平成14年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇知事(増田寛也君) 第13回県議会定例会が開催されるに当たり、今後の県政運営の基本方針について所信の一端を申し上げます。
 昨年9月11日、アメリカ合衆国において発生した同時多発テロ事件は世界じゅうに大きな衝撃を与え、今なおその深刻な余震が続いております。地球上での一つの出来事が、瞬時に全世界の人々に直接影響を及ぼす時代であることを改めて思い知らされました。
 このテロ事件を初め、昨年は総じて暗い話題が続きましたが、12月に愛子内親王殿下が御誕生され、国民に大きな喜びと明るさを与えてくださいました。
 さて、高度情報化や技術革新の進展に伴い、世界との交流や連携が拡大する今日、地球環境やエネルギー問題など、市民が国境を越えて助け合う地球市民としての立場から考えなければならない場面が多くなり、地球的な視野で考え、地域から行動していくことが一層求められています。
 また、さまざまな情報があふれる中で、選択の可能性が広がり、人々の価値観も多様化してきています。
 さらに、高齢化が進行し、労働力人口が減少する中で、右肩上がりの経済成長の時代は終えんし、学歴主義、終身雇用制、護送船団方式などといった、これまで日本を支えてきたさまざまな仕組みが、むしろ新たな発展を阻害するようになってきています。しかし、これまでの枠組みにかわる新たな枠組みをいまだ明確に見出しがたい状況にもあります。
 このように答えのない時代にあって、小泉内閣の聖域なき構造改革の推進に伴い、地方交付税や道路特定財源の見直し、公共事業の削減など、地方財政は大きな影響を受けることが懸念されますが、私は、不安感や焦燥感に流されることなく、見直しや改革がしやすいこの状況をむしろ未来への大きな飛躍のチャンスととらえ、自己決定・自己責任の原則により、自分たちの地域を自分たちの手で築くため、地方みずからがあるべき地方の姿を提言しながら、その将来像の実現に向けて努力していくことが重要であると考えております。
 そのためには、従来のように全国一律の基準や要件に従って地域づくりを進めるのではなく、その地域の人たちがみずからの発想によって、地域の実態や現場に即した独自の施策を展開していくことが求められています。
 また、各自治体ともそれぞれの特徴を生かせる分野にこれまで以上に力を注ぐとともに、他の自治体との協力や共同によって、より効果が発揮できる分野については、広域行政の視点から県境を越えた県同士の連携や市町村の合併などにより、相互に補完し合いながら地域の自立性を高めていくという考え方が必要になってきております。
 特に、平成14年度は、12月に東北新幹線が八戸まで延伸されることから、高速交通体系の整備効果を北東北3県で実感できるよう、これまでの連携の実績を踏まえ、これをさらに発展させ、3県全体が脚光を浴びる北東北の時代にしたいと考えております。
 そして、この北東北3県による連携の成果を北海道や東北各県との連携強化につなげ、各道県の機能分担を図りながら、連携による総合力の発揮を図ってまいります。
 また、分権型社会の形成に伴い、住民自治を確立するためには、住民に最も身近な市町村が中心となる行政に転換することが重要であると考えます。今後、厳しい財政状況の中で、少子・高齢化の進行などに対応し、市町村が高度かつ多様な役割を担うことが一層求められていくことから、市町村の行財政基盤を強化するとともに、行政の効率化を図っていく必要があります。そのため、これまで以上に県の権限を市町村に円滑に移譲できるよう、財源に加え、職員も一括して市町村に移管・派遣するとともに、市町村合併によって具体的に生活がどう変わるのかなど、住民の判断材料となる情報を積極的に提供し、市町村の自主的な合併を促してまいります。
 私は、この海図のない時代において、新しい岩手づくりのシナリオとして策定した岩手県総合計画に、未来を切り開くキーワードとして位置づけた環境、ひと、情報の三つの視点、すなわち、本県のすぐれた財産であり、産業経済や地域の活性化などの面でも大きな力を発揮する可能性を持つ環境、創造性や感性が豊かで、さまざまな課題に柔軟に対応できる人材をはぐくむためのひと、生活や産業、行政などのあらゆる局面で創造、流通、蓄積され、それが社会の豊かさと発展の源泉となる情報の三つの視点に立って、県民の皆様の参加と協力をいただきながら、21世紀の力強い岩手づくりを進めてまいります。
 その推進に当たっては、総合計画の中に県行政の基本姿勢として掲げました、県民と行政が互いの信頼関係のもとに進める県民とともにつくる開かれた県政の推進、県民意識調査などを通じて把握した住民の生活実感を大切にする生活者の視点に立った県政の推進、市町村との連携や地方振興局の機能強化など、現場を重視する地域の視点に立った県政の推進、そして社会環境の変化に的確、迅速に対応する機動性と柔軟性を重視した県政の推進の四つの方針を基本として、各分野にわたる多様な施策を積極的に実施してまいります。
 地域が自立して、みずからの責任と判断で物事を決めていくためには、行政と県民との間での情報や意識の共有化、県民の地域づくりへの参画が不可欠であることから、企業会計方式による財務諸表の公表やパブリック・コメント制度の推進などを通じて、説明責任や県民参画の取り組みをなお一層徹底してまいります。
 また、多様化する県民ニーズに迅速に対応する行政経営を目指して、民間の経営者や、行政経営を専門とする学者などからなる行政経営推進会議を設置し、民間の経営管理手法の導入や顧客志向の徹底を図るほか、客観的に県の経営の仕組みを評価する外部診断を実施することにより、これまでの取り組みの成果を明らかにするとともに、自己診断・自己改革を行い、県の組織の風土や体質を改革する行政品質向上運動に取り組んでまいります。
 次に、平成14年度の予算編成方針などについて申し上げます。
 平成14年度は、景気の低迷や国の構造改革により、県税収入の大幅な減収のほか、公共事業関係費の削減や地方交付税の減額が見込まれるなど、歳入の確保を図ることが極めて厳しい状況に置かれております。このため、歳出全般の徹底した見直しを図る一方、県債発行額の抑制などにより財政健全化にも配意し予算を編成したところであり、この結果、平成13年度当初予算を大幅に下回る緊縮予算となったものであります。
 予算編成に当たっては、限られた財源の有効活用を図る観点から、成果重視の行政運営や効果的な施策の選択を行うため、総合計画に掲げる施策等を対象に、県民意識調査による県民の満足度・優先度や、外部の有識者からなる政策評価委員会の意見を取り入れて、総合的・客観的に政策評価を実施いたしました。この政策評価結果や経済社会情勢等を踏まえて、特に緊急かつ重要な課題に対応するため、雇用の確保、複合産業や新産業の創出に向けた取り組みを初め、環境首都実現に向けた取り組み、地域で支える健やかで、安心できる暮らしの実現に向けた取り組みなど8項目からなる平成14年度施策重点化方針を定めたところであります。
 なお、喫緊の課題である雇用対策や牛海綿状脳症対策につきましては、本年度に引き続き、重点的に取り組んでまいります。
 雇用対策については、我が国の失業率が過去最悪を記録する中、本県においても受注の減少により電気機械や半導体の製造部門で企業倒産や工場閉鎖が見られるなど、企業のリストラ圧力が強まり、雇用環境は極めて悪化しております。県では、対象事業の範囲の拡大や雇用期間の延長を盛り込んだ緊急地域雇用特別基金を活用して、誘致企業の撤退等に伴う失業者の雇用の場を確保し、内発型産業の育成による中長期的な雇用環境の整備を図る制度を設けるなど、より地域に密着した即効性の高い雇用・就業機会の創出を図ってまいります。
 牛海綿状脳症対策については、消費者が安心して食生活ができるよう、家畜を個別に管理する情報システムの普及・定着を推進し、監視体制の強化や適正かつ円滑な検査を実施してまいります。また、畜産農家に対しては、長期・無利子の借換資金の制度を設けるなど、経営の安定化に万全を期すほか、県内外における各種キャンペーンの展開を通じて、岩手県産牛肉の消費拡大対策を積極的に講じてまいります。なお、肉骨粉の処理及び廃用牛の対策については、引き続き抜本的な解決に向けて努力してまいります。
 次に、平成14年度の主要な施策について、施策重点化方針に基づく八つの項目を中心に申し上げます。
 第1に、雇用の確保、複合産業や新産業の創出に向けた取り組みに関する施策についてであります。
 まず、現在の厳しい雇用情勢に的確に対応するため、国の施策と連携しながら、雇用の創出、雇用のマッチング支援、セーフティーネットの充実及び雇用創出等のための産業支援を基本的な視点とする総合的な雇用対策を講じるとともに、国において実施する離転職者に対する職業訓練を補完するため、県においても、IT技術等に係る職業訓練を拡充実施し、職業能力開発の強化を図ってまいります。また、一段と厳しい状況下にある障害者の就労を促進するため、生活面と就業面を一体的に支援するチャレンジド就業支援センター(仮称)を設置するなど、障害者の就業支援に努めてまいります。
 商工業の振興については、産業を発展させる原点としての物づくりを支えるいわゆる基盤的技術産業の集積を図るとともに、内発型産業の育成や新産業の創造を促進することが重要であります。本県においては、岩手大学を中心として全国でも先駆的な産学官連携の基盤がありますことから、産学官共同による新技術開発を一層促進するほか、民間ベンチャーキャピタルが組成するいわてインキュベーションファンドに対する出資により、起業家やベンチャー企業に対する総合的な支援を行い、本県製造業等の力強い発展を支援してまいります。
 また、岩手県地域連携研究センター(仮称)を設置し、岩手県立大学などの有する研究成果を活用して、情報・通信技術を軸とした産学官による研究開発を促進するほか、県内のモデルとなるコミュニティ・ビジネスの創業や経営の支援、高齢者向け宅配受注システムの構築など商店街の先進的な取り組みに対する支援、グリーン・ツーリズムによる体験型観光の推進を行ってまいります。
 農林水産業の振興については、本県農林水産物の生産構造を改革するため、意欲ある担い手に対して経営、生産対策などの施策を集中的、重点的に実施するとともに、品質のすぐれたネギ、シイタケ、ワカメなどの生産・流通コストの低減による産地力の強化や、需要動向に即した乾燥材の安定供給体制の整備などを進め、国際競争力を備えた体質の強い農林水産物の生産体制を確立してまいります。また、多様化する消費者ニーズを的確にとらえ、農林水産物や伝統的技術など本県の豊かな地域資源を最大限に活用しながら、岩手ブランドの育成と定着化に向けた商品開発を推進し、需要開拓から流通に至る総合的かつ戦略的なマーケティングの支援を行ってまいります。
 第2に、環境首都実現に向けた取り組みに関する施策についてであります。
 まず、循環型地域社会を形成するため、廃棄物の適正処理の推進や発生抑制を図り、リサイクルを促進する新たな条例の制定に取り組むとともに、本県にふさわしい資源循環型モデル施設の整備に向けた調査を実施いたします。廃棄物の不法投棄については、北東北3県による合同パトロールや、市町村及び関係機関との連携による監視・巡回指導の強化を図り、関係法令に基づき厳正に対処してまいります。さらに、ゼロエミッション型産業の育成に向けて、工業団地における廃棄物の発生抑制や再利用の取り組みを促進してまいります。
 また、持続可能な地球環境を維持していくために、環境への負荷の少ないエネルギーの積極的な導入が求められていることから、風力、太陽光、木質バイオマス、地熱など新エネルギーの利活用を進めてまいります。
 なお、本県の二酸化炭素排出量の削減目標8%を達成するため、県みずから率先して環境負荷の低減に取り組んでおりますが、県民や事業者の方々にも地球温暖化防止県民行動計画に沿って地球温暖化防止に取り組んでいただくための県民行動キャンペーンを行うほか、実効性ある省エネルギー対策を推進するためのビジョンを策定いたします。
 一方、今議会に岩手県希少野生動植物の保護に関する条例案を提出しておりますが、自然豊かな本県においても、多くの種が絶滅の危機に瀕していることから、県内に生息・生育する希少な野生動植物の保護対策を強化し、生物多様性の確保に積極的に取り組んでまいります。
 さらに、環境の保全・創造に取り組むためのネットワークづくりを進めるとともに、インターネットによる環境情報を発信するなど、地域や学校における環境学習を支援してまいります。
 第3に、地域で支える健やかで、安心できる暮らしの実現に向けた取り組みに関する施策についてであります。
 まず、昨年策定した健康いわて21プランを基本として、県民一人一人の健康づくりを促進するため、循環器疾患やがんなどの生活習慣病の発症予防など一次予防を重視した取り組みを進めてまいります。あわせて、県立病院については、花巻厚生病院と北上病院の統合整備に向けて、基本構想の策定や用地取得に着手するとともに、引き続き、磐井病院や南光病院、福岡病院等の整備を推進してまいります。
 また、ひとにやさしいまちづくり推進指針に基づき、ユニバーサルデザインの考え方の普及啓発を図る国際的なシンポジウムの開催や、住民ボランティアによる点検活動等により、ひとにやさしいまちづくりを一層推進してまいります。
 少子化対策については、いわて子どもプランに基づく放課後児童クラブへの支援の充実など子育てと仕事の両立支援や、小児科救急医療の充実を図るなど、安心して子供を産み育てられる環境づくりを推進するとともに、虐待の問題に対応する相談体制の充実を図るため、新たに児童虐待対応専門チームを設置するなど、地域と一体となって子育て支援を行う体制の整備を図り、次代を担う子供たちが健やかに育つ環境づくりを推進してまいります。
 さらに、高齢者の生きがいづくりや社会参加を促し、子供や高齢者、障害者を含む地域の人々によるともに支え合う社会の構築を進めるほか、高齢者が関与する交通事故が後を絶たないことから、高齢者交通安全教育を徹底するなど、総合的な交通安全対策を推進してまいります。
 第4に、情報の森づくりの推進に向けた取り組みに関する施策についてであります。
 まず、情報の森づくりの推進については、高速インターネットの利用環境を整備するための計画策定のほか、いわて情報ハイウェイを活用した医療情報ネットワークの運用や県立大学の公開講座の配信など、県民生活の利便性を高める情報化の推進に一層努めてまいります。
 また、平成15年度の国の電子政府実現に対応し、行政文書管理システムの開発に着手するなど、電子県庁の構築を進めるほか、地理情報システムの整備計画を策定してまいります。
 さらに、現在インターネットを通じて配信している道路情報をモバイル端末へも提供して、ドライバーへのサービス向上に努めてまいります。
 第5に、岩手らしさを生かした人づくりの推進に関する施策についてであります。
 まず、すべての県立学校において、学校の自主性に基づく特色ある学校づくりを推進するため、教員、生徒、保護者及び地域の関係者が一体となって、地域と連携した授業展開など創意工夫を凝らしたさまざまな取り組みを行ってまいります。また、個性を尊重する教育の推進に向けて、小学校1年生における基本的生活習慣の定着と基礎学力の向上を図るために、30人を超える学級に非常勤講師を配置して少人数指導を徹底するなど、個々の児童生徒の個性や能力に応じたきめ細かな指導に努めてまいります。あわせて、小・中学生の時期から農林水産業に対する興味や関心、理解を醸成するため、一学校一農園運動など農林漁業の体験学習活動を推進してまいります。
 また、保護者や地域の人々の信頼にこたえ、家庭や地域と連携した学校運営を行うため、外部評価を含めた学校評価に関する調査研究を進めるなど、開かれた学校づくりの推進に一層努めてまいります。
 さらに、体育・スポーツの面では、学校体育の工夫改善により運動に親しむ意識の醸成に努めるなど、児童生徒の体力・運動能力の向上に取り組むとともに、高校を拠点として中学校、高校と地域が一体となって競技力の向上に取り組むほか、地域におけるスポーツ活動を推進するための基盤として総合型地域スポーツクラブの普及に努めてまいります。
 一方、心の教育の推進については、教育活動全体を通じて、人間の生き方を考える力を育成するほか、地域との連携による自然体験活動や伝統文化伝承活動、世代間交流などを通じて、豊かな心をはぐくむ取り組みを推進してまいります。
 第6に、多様な交流連携や個性豊かな地域づくりの展開とそれらを支える交通ネットワークの整備に関する施策についてであります。
 まず、個性豊かで活力に満ちた地域づくりに向けて、地域資源を再発見するいわて地元学の普及や、地域づくり団体のリーダー育成など、地域特性を生かしたオンリーワンの地域づくりを目指して、総合的な支援を行ってまいります。
 また、図書情報や県民活動に関する情報などの拠点として、盛岡駅西口において、多機能型複合施設の建設工事に着手いたします。
 高速交通ネットワークの形成については、本年12月に予定されている東北新幹線盛岡-八戸間の開業を県北・沿岸地域のさらなる発展の契機とするとともに、JR東日本から経営分離される並行在来線について、IGRいわて銀河鉄道株式会社の健全な経営と充実したサービスの提供が図られるよう支援してまいります。
 また、東北横断自動車道釜石秋田線の釜石-花巻間や、三陸縦貫自動車道及び宮古盛岡横断道路など高規格幹線道路や地域高規格道路等の整備を促進するとともに、港湾と高規格幹線道路を結び、物流の円滑化や地域の交流促進を図る道路の整備を進めてまいります。
 第7に、快適な暮らしを目指す生活基盤整備の推進に関する施策についてでありますが、快適な暮らしの実現に向けて、公共下水道、農業・漁業集落排水、合併処理浄化槽の各事業間の連携を図りながら、汚水処理施設の効率的な整備を一層推進してまいります。
 第8に、県民の参画の促進に関する施策についてであります。
 まず、ボランティアやNPOの活動は、今後、社会サービスの提供や地域づくりに重要な役割を果たしていくことが期待されることから、公益信託いわてNPO基金による支援やNPOに対する業務委託の促進、いわてNPOサポートルームでの各種相談や情報の提供などを通じて、ボランティアやNPOの活動が社会に定着するための環境整備を積極的に進めてまいります。
 また、男女がその個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現に向けて、条例の制定に取り組むとともに、男女共同参画の視点に立った意識啓発を図るほか、地域における取り組みを一層支援してまいります。
 以上、今後における県政運営の基本方針と平成14年度の施策の概要について申し上げました。
 私は、本格的な分権型社会を構築していくためには、みずからのことはみずから決断する。そして、みずから実行するという自治の原点に戻ることが重要であると考えております。
 今から約80年前、後藤新平は自治生活の新精神の中で自治第一主義を提唱し、国家の基礎は自治の健全なる発達に存すと訴えていますが、これは地域や人々の自立の重要性を説いたものと理解しております。
 それぞれが自立し、みずからの夢や理想を実現させていくためには、変革を恐れない勇気と、未来への希望を失わない強靭さを持って、常に前向きに挑戦をしていくことが重要であります。
 人は新しいことに挑戦をするとき、好むと好まざるとにかかわらず失敗を経験いたします。しかし、失敗は、うまく生かせば、将来への大きなプラスに転じる可能性を秘めております。
 私は、この時代の転換期に、失敗を恐れず、新たな可能性に積極的にチャレンジするとともに、市町村とのパートナーシップのもと、県民一人一人としっかり手を携え、県民みずからが地域づくりの主役となって活躍する夢県土いわての実現に向けて、全力を挙げて取り組んでまいります。
 議員の皆様の一層の御理解、御協力と県民の皆様の岩手づくりへの積極的な参加を心からお願い申し上げ、私の所信表明を終わります。(拍手)
日程第6 議案第1号平成13年度岩手県一般会会計補正予算(第7号)から日程第71 報告第2号道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分の報告についてまで

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第6、議案第1号から日程第71、報告第2号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。小原総務部長。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 本日提案いたしました各案件について御説明いたします。
 議案第1号は、平成13年度岩手県一般会計補正予算であります。これは、国の改革先行プログラム及び緊急対応プログラムに係る補正予算に対応する公共事業等に要する経費について、総額210億9、675万7、000円を補正しようとするものであります。補正の主なものは、生活福祉資金貸付費補助10億円、農道整備事業費7億4、400余万円、林道開設事業費6億7、300万円、道路改築事業費24億8、000万円、直轄道路事業費負担金29億9、800余万円、基幹河川改修事業費7億3、000万円、直轄河川事業費負担金21億7、000余万円、鷹生ダム建設事業費21億6、000万円、直轄港湾事業費負担金5億余万円、公営住宅建設事業費6億2、300余万円等であります。
 次に、債務負担行為の補正は、農村総合整備事業ほか18件を新たに追加するとともに、かんがい排水事業ほか7件の限度額を変更しようとするものであります。また、地方債の補正は、電気通信格差是正事業ほか7件を新たに追加するとともに、土地改良事業ほか15件の起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第2号は、平成13年度岩手県県有林事業特別会計補正予算でありますが、これも、国の補正予算に対応する経費について、所要額を補正しようとするものであります。
 議案第3号から議案第5号までは、予算の補正に伴う建設事業の一部負担の変更に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第6号は、平成14年度岩手県一般会計予算であります。この予算の編成に当たりましては、国、地方を通じて一段と厳しさを増している財政環境下にあることにかんがみ、地方財政計画や中期財政見通しを踏まえ、歳出を抑制することを基本としたところであります。このため、政策評価システムのもとで策定された、施策重点化方針に基づく施策の具現化を図るとともに、既存の事務事業の見直しや縮減を行うなど、限られた財源の重点的、効果的な活用に努めたところであり、また、公共事業については、国の予算編成の状況等を踏まえ、大幅に削減する一方、公共事業評価結果に基づき、新規着工箇所の抑制により、継続事業箇所の早期完成を目指すこととしたところであります。
 以下、その概要について御説明いたします。
 第1条は、歳入歳出予算の総額を、それぞれ8、680億2、181万2、000円と定めるものであります。これを前年度当初予算と比較しますと3.9%の減となっております。
 次に、歳入について御説明いたします。
 第1款県税につきましては、1、123億8、100余万円を計上しており、前年度当初予算と比較しますと、142億8、600余万円の減となっておりますが、この見積もりは、平成13年度の税収の最終見込みを基礎として、平成14年度の経済見通しによる経済指標、地方財政計画の収支見込みにおける税収の伸び及び県内経済の動向等を勘案して見込んだものであります。
 第2款地方消費税清算金につきましては、256億2、300余万円を計上しており、前年度に比較して20億3、500余万円の減となっております。
 第3款地方譲与税につきましては、32億7、900余万円、第4款地方特例交付金につきましては、9億5、600万円を計上しております。
 第5款地方交付税につきましては、2、649億1、900余万円を計上しており、前年度に比較して46億1、300余万円の減となっております。
 第6款交通安全対策特別交付金につきましては、6億2、200万円を計上しております。
 第7款分担金及び負担金につきましては、110億4、600余万円を計上しており、前年度に比較して5億900余万円の減となっております。
 第8款使用料及び手数料につきましては、119億3、300余万円を計上しており、前年度に比較して1億8、300余万円の減となっております。
 第9款国庫支出金につきましては1、615億2、200余万円を計上しており、前年度に比較して142億7、900余万円の減となっております。
 第10款財産収入につきましては31億8、300余万円を計上しており、前年度に比較して13億500余万円の増となっております。
 第11款繰入金は365億500余万円を計上しておりますが、これは、県債管理基金、公共施設等整備基金、緊急地域雇用創出特別基金等から繰り入れを行うものであり、前年度に比較して82億2、500余万円の増となっております。
 第13款諸収入につきましては1、027億700余万円を計上しておりますが、その主なものは貸付金の元利収入であります。
 第14款県債につきましては1、333億4、200万円を計上しておりますが、前年度に比較して19億7、400万円の減となっております。
 次に、歳出について御説明いたします。
 第1款議会費につきましては14億9、800余万円を計上しております。
 第2款総務費につきましては415億9、300余万円を計上しておりますが、その主なものは、地区合同庁舎建設事業費19億余万円、盛岡駅西口複合施設整備事業費6億6、700余万円、市町村総合補助金15億9、600余万円、東北新幹線建設促進対策事業費16億1、500余万円、並行在来線対策事業費60億800余万円、知事、県議会議員選挙執行費3億7、300余万円等であります。
 第3款民生費につきましては531億1、700余万円を計上しておりますが、その主なものは、重度心身障害者(児)医療助成費15億1、500余万円、知的障害者更生援護費25億8、900余万円、介護給付費等負担金70億2、700余万円、すこやか子どもランド(仮称)整備事業費27億7、000余万円、児童保護措置費59億8、600余万円、生活保護扶助費45億8、600余万円等であります。
 第4款衛生費につきましては232億700余万円を計上しておりますが、その主なものは、精神障害者入院等措置費8億3、300余万円、老人保健対策費69億3、600余万円、産業廃棄物処理モデル事業推進費10億5、800余万円、合併処理浄化槽整備費補助1億9、600余万円、ふれあいトレッキングロード整備事業費2億7、000万円、救急医療対策費8億3、400余万円等であります。
 第5款労働費につきましては40億500余万円を計上しておりますが、その主なものは、緊急地域雇用創出特別基金事業費補助8億円、認定職業訓練費4億3、100余万円、職業能力開発推進事業費2億7、400余万円、公共職業能力開発費4億5、000余万円等であります。
 第6款農林水産業費につきましては1、231億2、300余万円を計上しておりますが、その主なものは、経営構造対策事業費7億3、700余万円、中山間地域等直接支払事業費37億7、300余万円、農業大学校施設整備費3億2、100余万円、県営畜産経営環境整備事業費16億8、200余万円、ほ場整備事業費101億3、100余万円、農業集落排水事業費38億2、800余万円、森林整備地域活動支援事業費19億余万円、森林整備事業費24億700余万円、治山事業費36億1、600余万円、地域水産物供給基盤整備事業費21億5、700余万円、広域漁港整備事業費37億4、300余万円、漁業集落環境整備事業費13億6、700余万円等であります。
 第7款商工費につきましては741億4、000余万円を計上しておりますが、その主なものは、商工業小規模事業対策費25億6、100余万円、商工観光振興資金貸付金188億1、800余万円、中小企業経営安定資金貸付金291億3、200余万円、工業立地促進資金貸付金33億6、000余万円、八幡平山頂展望休憩等施設整備事業費3億2、300余万円等であります。
 第8款土木費につきましては1、258億6、200余万円を計上しておりますが、その主なものは、空港整備費58億2、500余万円、交通安全施設整備事業費35億6、600余万円、道路維持修繕費39億4、000余万円、緊急地方道路整備事業費122億2、900万円、三陸高潮対策事業費17億2、800余万円、砂防事業費20億3、400余万円、鷹生ダム建設事業費37億4、000万円、港湾改修事業費21億9、800万円、土地区画整理事業費11億4、000万円、過疎地域公共下水道整備代行事業費11億6、700万円等であります。
 第9款警察費につきましては345億6、900余万円を計上しておりますが、その主なものは、警察行政運営費234億600余万円、警察情報管理システム開発事業費4億8、400余万円、警察署庁舎整備事業費29億6、500余万円、交通安全施設整備費17億7、200万円等であります。
 第10款教育費につきましては1、837億2、900余万円を計上しておりますが、その主なものは、いわて教育情報ネットワーク整備事業費9億6、400余万円、すこやかサポート推進事業費2億5、800余万円、高等学校校舎建設事業費36億6、800余万円、柳之御所遺跡土地公有化事業費2億9、900余万円、図書情報総合センター整備事業費2億2、800余万円、体育大会開催、派遣事業費1億5、700余万円、県立大学運営費58億3、800余万円、私立学校運営費補助49億余万円等であります。
 第11款災害復旧費につきましては130億4、300余万円を計上しておりますが、その主なものは、団体営農地等災害復旧事業費15億7、500余万円、河川等災害復旧事業費98億5、900余万円等であります。
 第12款公債費につきましては1、342億6、300余万円を計上しております。
 第13款諸支出金につきましては555億6、500余万円を計上しておりますが、その主な内容は、公営企業負担金192億900余万円、地方消費税清算金122億7、200余万円、地方消費税交付金128億7、800余万円等であります。
 第14款予備費につきましては3億円を計上しております。
 以上をもって第1条の説明を終わりますが、歳出に充当した一般財源の額は、県税、地方交付税等で4、893億8、100余万円となっており、その割合は56.4%になっております。
 第2条債務負担行為は、公営企業金融公庫及び市中金融機関が岩手県土地開発公社に融通した資金についての債務保証ほか58件について債務を負担しようとするものであります。
 第3条地方債は、地区合同庁舎建設事業ほか51件について、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法を定めようとするものであります。
 第4条一時借入金及び第5条歳出予算の流用は、それぞれ所要の措置を講じようとするものであります。
 議案第7号から議案第17号までは、平成14年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計予算等11件の特別会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画等に基づき、その所要額を計上したものであります。
 議案第18号から議案第20号までは、平成14年度岩手県立病院等事業会計予算など3件の公営企業会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画に基づき、収益的収支及び資本的収支の所要額を計上したものであります。
 議案第21号から議案第26号までの6件は、建設事業等に要する経費の一部を受益市町村に負担させることに関しそれぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第27号から議案第62号までの36件は条例議案でありますが、これは、岩手県事業認定審議会条例、森林整備地域活動支援交付金基金条例など4条例を新たに制定するとともに、食肉衛生検査所設置条例、岩手県職員定数条例など29条例の一部改正、及び岩手県医療扶助審議会条例など3条例の廃止をしようとするものであります。
 議案第63号は、公平委員会の事務の受託の協議に関し議決を求めることについてでありますが、これは、規約を定めて公平委員会の事務を水沢市から受託しようとするものであります。
 議案第64号は、包括外部監査契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 次に、報告第1号は、職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について報告するものであります。
 報告第2号は、道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について報告するものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛同くださるようお願い申し上げます。

〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後2時19分 散 会


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