平成14年12月定例会(決算特別委員会)会議録

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平成14年12月2日(月)
   

1開会 午前10時4分

1出席委員別紙出席簿のとおり

1事務局職員
 事務局長 大沼 勝
 議事課長 平澤石郎
 議事課長補佐 浅田和夫
 主任議事管理主査 八重樫 典 彦
 議事管理主査 浅沼 聡
 議事管理主査 田丸 裕佳子
 議事管理主査 嵯峨俊幸

1説明員
 副知事 高橋洋介
 出納長 橋田純一
 総合政策室長 佐藤 勝
 首席政策監 法貴 敬
 政策推進監 久保協一
 政策評価課長 中田光雄
 
 地域振興部長 飛澤重嘉
 地域振興部次長兼 地域企画室長 池田克典
 地域企画監 福田 毅
 地域振興課長 和嶋憲男
 市町村課長 菅野文也
 
 総務部長 小原富彦
 総務部次長兼 総務室長兼 総合防災室長兼危機管理監事務取扱 長澤忠雄
 参事兼財政課長 菊池秀一
 人事課長 藤尾善一
 税務課長 荒竹宏之
 
 副出納長兼 出納局長 水本紘一
 出納課長 坂林則夫
 
 監査委員 一戸克夫
 監査委員 谷地信子
 監査委員事務局長 久保隆男
 総務課長 三上佑子
 監査課長 八重樫 賢 一
    

〇大沼議会事務局長  御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、菊池雄光委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 菊池雄光委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員菊池雄光君委員長席に着く〕

〇菊池雄光年長委員  ただいま御紹介いただきました菊池雄光でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇菊池雄光年長委員  御異議なしと認めます。よって、互選の方法は、指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇菊池雄光年長委員  御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に千葉伝君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した千葉伝君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇菊池雄光年長委員  御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました千葉伝君が決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました千葉伝君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 千葉委員長、委員長席にお着きを願います。
   〔決算特別委員長千葉伝君委員長席に着く〕
   (拍手)

〇千葉伝委員長  ただいま委員各位の御推挙により決算特別委員長を御指名いただいて大変光栄に存じておる次第であります。
 委員各位の御協力によりまして円滑な議事運営に努め、責務を全うしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長  御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長  御異議なしと認めます。よって、互選の方法は、指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長  御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に工藤大輔君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した工藤大輔君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長  御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました工藤大輔君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました工藤大輔君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 工藤副委員長、ごあいさつを願います。

〇工藤大輔副委員長  ただいま委員各位の御推挙を賜りまして決算特別委員会の副委員長を仰せつかりました工藤大輔でございます。
 若輩であり、また、何分にも未熟な身でございますが、精いっぱい委員長を補佐しますとともに、円滑なる委員会運営に努めてまいりたいと思います。委員各位の特段の御協力をよろしくお願い申し上げ、一言ごあいさつとします。(拍手)

〇千葉伝委員長  お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算12件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から12月6日までの5日間は、出納長及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算12件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、12月6日の警察本部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長  御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。認定第1号平成13年度岩手県一般会計歳入歳出決算から認定第12号平成13年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計決算までの12件を一括議題といたします。
 これより、出納長に決算の総括説明を求めます。

〇橋田出納長  平成13年度歳入歳出決算の概要につきまして御説明申し上げます。
 岩手県総合計画に掲げる施策の基本方向に基づきまして編成された平成13年度一般会計歳入歳出予算は、当初予算が9、027億8、238万円で、前年度の当初予算に比べまして64億4、752万円余、0.7%の増となり、この当初予算に、国の経済対策に対応した公共事業費及び県単独事業費など224億5、511万円余の追加補正が行われ、さらに前年度からの繰越額989億4、866万円余を加えた結果、予算現額は1兆241億8、615万円余となりまして、前年度に比べますと174億7、369万円余、1.7%の減となったものであります。
 それでは、お手元に配付いたしております歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書の365ページを御用意お願いいたします。実質収支に関する調書によりまして御説明申し上げます。
 ただいま申し上げました予算現額に対する決算額は、お手元の調書に記載のとおり、一般会計の歳入総額は9、687億8、092万円余、歳出総額は9、444億9、215万円余であり、歳入歳出差引額は242億8、876万円余となったものであります。また、歳入歳出差引額から翌年度へ繰り越されるべき財源218億9、188万円余を差し引いた実質収支額は23億9、687万円余の黒字となりました。
 次に、歳入歳出決算書を御用意いただきたいと思います。2ページから3ページでございます。
 まず、歳入についてでありますが、収入済額は9、687億8、092万円余で、前年度と比べますと35億9、414万円余、0.4%減少し、収入済額の割合は、予算現額に対して94.6%、調定額に対して99.7%となりました。
 なお、収入未済額は23億1、251万円余で、前年度に比べまして2億7、542万円余減少いたしましたが、この収入未済額の主なものは県税であります。
 次に、4ページ及び5ページの歳出についてでありますが、支出済額は9、444億9、215万円余で、前年度に比べますと32億9、852万円余、0.4%増加し、予算現額に対する支出済額の割合は92.2%となりました。
 また、翌年度繰越額は768億9、078万円余で、前年度に比べまして220億5、787万円余減少いたしましたが、この繰越額の主なものは、土木費及び農林水産業費であります。
 なお、不用額は28億321万円余で、前年度に比べまして12億8、565万円余増加いたしたものでございます。
 次に、歳入歳出決算説明書の1ページをごらんいただきたいと思います。
 一般会計の決算の特色といたしましては、第1には、歳入総額が減少し、歳出総額が増加したことでございます。決算規模は、歳入におきましては、地方交付税、県税、国庫支出金などの減少により前年度を35億9、415万円、0.4%下回り、歳出におきましては、公債費、労働費、民生費などの増加により前年度を32億9、853万円、0.4%上回ったものであります。
 第2には、実質収支、単年度収支とも引き続き黒字となったことであります。依然として厳しい財政環境のもと、歳入の確保、歳出のより効率的な執行に努めました結果、実質収支では23億9、688万円、単年度収支では7億5、674万円と、前年度に引き続き、ともに黒字となったものであります。
 第3には、自主財源が増加し、その構成割合が高まったことであります。法人事業税、軽油引取税及び県民税利子割等の減により、県税が前年度に比べまして65億2、365万円、5.0%減少したものの、県債管理基金等からの繰入金が前年度に比べまして172億2、501万円、366.0%と大幅に増加したことなどにより、自主財源が前年度に比べまして157億3、554万円、5.0%増加いたしました。このことによりまして自主財源の割合は34.4%となり、前年度の32.7%を1.7ポイント上回ったものであります。
 第4には、義務的経費が増加し、投資的経費が減少したことであります。義務的経費は、県債の元利償還に係る公債費が増加したことなどにより、前年度に比べまして158億5、215万円、4.5%増加し、投資的経費は、東北新幹線建設促進対策事業費などの減少に伴いまして普通建設事業費が減少したことなどにより、前年度に比べまして195億9、399万円、5.7%減少いたしました。
 第5には、繰越額が多額となったことであります。計画調整等に不測の日数を要したほか、国の経済対策に対応して公共事業の追加などが行われたことによりまして翌年度に繰り越した金額は768億9、079万円となり、前年度に比べ220億5、787万円、22.3%減少したものの、依然として多額となったものであります。
 以上、一般会計決算の特色を申し上げましたが、次に、母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の決算内容について御説明申し上げます。
 特別会計歳入歳出決算総括表によりまして御説明申し上げます。歳入歳出決算書の20ページ、21ページをごらんいただきたいと存じます。
 母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の収入済額は、25ページに記載されておりますとおり、397億3、506万円余であり、収入未済額は16億5、937万円余となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などであります。
 また、支出済額は、28ページに記載されておりますとおり329億4、624万円余であり、各会計とも実質収支は黒字となりました。
 以上で決算の概要説明を終わりますが、お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、説明資料といたしまして歳入歳出決算説明書をお配りいたしておりますので、御参照いただければと存じます。
 なお、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から説明申し上げることとなっております。
 また、監査委員から御意見のございました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでありますが、会計事務の適正な執行につきましては、今後とも、各部局への指導、適切な出納審査等を行うなど、その万全を期してまいりたいと存じております。
 よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願い申し上げまして、説明を終わりにさせていただきます。よろしくお願いします。

〇千葉伝委員長  これより総括質疑に入ります。
 最初に代表質疑を行います。発言時間は、答弁を除き1人30分以内となっておりますが、発言時間に残時間があるときは、その範囲内で、当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっております。
 なお、世話人会の申し合わせにより、平成13年度決算の審査であるので、当該年度に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力されるようお願いします。
 これより代表質疑に入ります。

〇藤原泰次郎委員  自由民主クラブの藤原泰次郎でございます。
 私は、自由民主クラブを代表いたしまして、平成13年度決算につきまして総括的に質問させていただきます。
 なお、ただいま委員長からもございましたように、決算の関係でございますのでそれに焦点を絞りますけれども、若干はこれからの考え方もあわせてお伺いいたしますので、よろしく御答弁をお願いいたします。
 まず、平成13年度の県政についてお伺いします。
 平成13年度は、長引く景気低迷の影響で、県内企業の倒産や国内工場の再編及び生産拠点の海外シフトに伴う誘致企業の撤退、工場閉鎖が相次いだ年でありました。また、こうした状況に追い討ちをかけるように、千葉県を初め、北海道、群馬県で発生した牛海綿状脳症の問題が全国的な社会問題にまで発展し、本県も深刻な影響を受けるとともに、現在に至るまでその影響を引きずっているところであります。
 このような厳しい社会経済情勢の中で、県においては、平成13年度から政策評価システムを本格的に実施するなど、県民満足度の高い行政運営に積極的に取り組むとしたところであります。
 そこでお尋ねいたしますが、平成13年度の県政全般を顧みて、どのように評価されているのかお伺いします。

〇高橋副知事  平成13年度は、11月に大船渡市と三陸町の合併もございました。また、12月には皇太子御夫妻に内親王が誕生いたしまして久々に明るい話題もあったわけでございますが、全般的には、委員御指摘のような大変暗い話題が多かった年でございます。
 そのような状況の中、平成13年度は、総合計画に掲げる主要な事業を中心といたしまして施策の積極的な展開に努めたところでございますが、計画におきまして、21世紀の岩手を切り拓くキーワードとして掲げました環境、ひと、情報の三つの視点から、県政全般にわたる施策の実施状況についてかいつまんで御説明申し上げたいと思います。
 まず、環境についてでございますが、平成13年7月に開所いたしました環境保健研究センターにおきまして、県内外の大学等と連携を図りながら、環境・保健に関するさまざまな調査研究あるいは技術開発を推進いたしますとともに、環境首都の実現を目指しまして、地球温暖化防止に対する取り組み、また、県内に生息・生育する希少な野生動植物の保護を図るための条例を制定いたしましたほか、北東北3県で産業廃棄物の不法投棄を防止するための取り組みを行ったところでもございますし、また、新エネルギーの利活用の推進に取り組んだところでございます。
 ひとに関しましては、平成13年10月に県立美術館が開館いたしまして、多くの県民の皆様が美術鑑賞に親しむようになりました。また同時に、基礎的・基本的な学習内容を重視する学校教育、また、国際理解を深めるため、児童生徒の英会話能力の向上を図りますなど特色ある教育を進めましたほか、世界文化遺産暫定リストに登録されました平泉の文化遺産につきまして、さらなる調査研究を実施したところでございます。
 それから、情報につきましては、平成13年4月からいわて情報ハイウェイの本格的な運用を開始したわけでございまして、このハイウェイを通じまして新たに医療、防災、教育などのネットワークを整備いたしますとともに、インターネットが使えるようになるためのIT講習会を実施いたしましたほか、携帯電話等の利用可能エリアの拡大、また、電子県庁の構築を図るための調査研究など、県民生活と県行政の一層の情報化に努めたところでございます。
 以上、平成13年度におきます成果の一端についてかいつまんで申し上げたわけでございますが、各分野において積極的な施策の展開を図ったところでございまして、県政は着実に推進していると考えているところでございます。

〇藤原泰次郎委員  次に、財政状況についてお伺いします。
 平成13年度の地方財政対策は、前年度に引き続き多額の財源不足を生じながらも、地方税の恒久的な減税の実施に伴う影響については、地方特例交付金の交付などで補てんされるとともに、地域経済の本格的回復を図るため臨時経済対策事業が継続されるなど、所要の地方財源の確保が図られています。しかし、地方財源の確保に当たっては、依然として財源対策債の発行に依存するほか、交付税特別会計からの借り入れを取りやめ、地方交付税の一部が新たに創設された臨時財政対策債に振りかえられるなど、一段と厳しい財政状況にあったものと思われます。
 本県におきましても、決算を見ますと、監査委員の審査意見にもありますように、歳入においては、主要な財源である県税、地方交付税及び国庫支出金については前年度を下回ったほか、歳出においては、国の経済対策への対応や東北新幹線の整備に係る県債の元利償還金が増加するなど厳しい財政状況が続いております。
 そこで、県当局は、平成13年度決算について、どのように分析しておられるのかお伺いします。

〇小原総務部長  平成13年度決算の分析についてでありますが、まず、歳入は、厳しい財政環境の中で、前年度に比べ73億2、700万円、0.8%減少したところであります。このうち県税は、長引く不況のため、県民税、法人事業税の減少などにより3.3%減少したところであります。また、地方交付税は、地方財源の不足額を交付税借入方式から個々の地方公共団体が臨時財政対策債などで借り入れる方式に切りかえたことに伴って減少いたしました。県債は、交付税から振りかえられた臨時財政対策債が大幅に増加することとなりましたが、東北新幹線の負担金の減少や発行を抑制したことなどから、全体としては減少したところであります。
 歳出については、前年度に比べ10億7、300万円、0.1%減少いたしました。義務的経費は、公債費が86億円ふえたことから3.3%増加し、投資的経費は、東北新幹線建設促進対策の大幅な減少及び県立美術館の整備が終了したことなどにより5.7%減少したところであります。このほか、国の緊急地域雇用創出特別基金や県単の雇用基金の創設などによりまして積立金が大幅に増加したところでございます。
 平成13年度決算に基づく財政構造の分析でありますが、財政構造を主な指標により前年度と比較いたしますと、経常収支比率は4.9ポイント増加し、90.4%となりました。これは、東北新幹線の整備や臨時地方道整備事業などの県単事業や、これまでの経済対策や地方財源不足に対処するために発行した補正予算債、財源対策債等の償還額の増加により計算式の分子である公債費が増加した一方、分母である地方交付税、県税などの経常一般財源が減少したことによるものであります。
 また、公債費比率は2.4ポイント増加し、21.0%となりました。これは、計算式の分母である地方交付税と臨時財政対策債が合計では微増したものの、分子である県債の元利償還金がそれ以上に増加したことによるものであります。
 これらの指標を東北各県と比較いたしますと、経常収支比率については前年度より順位を一つ下げまして東北第4位となり、公債費比率は前年度同様5位となっておりますけれども、平成12年度に引き続き、順位が低下傾向を示しております。
 以上のように、県債残高が多額になっていることから財政諸指標は平成12年度に引き続き悪化傾向にありまして、本県の財政は、硬直化が進み、厳しい状況にあるものと考えているところであります。

〇藤原泰次郎委員  次に、公債費比率の状況などについてお伺いします。
 平成13年度末の県債残高は1兆2、000億円を超え、公債費は前年度に比較して11.7%の非常に高い伸びとなっております。昨年度も10.6%と大幅な伸びを示しており、公債費の急増が懸念されます。本県の公債費がこのように大幅にふえているのはなぜなのでしょうか。
 また、公債費比率は21.0%となり、昨年度から2.4%もふえました。この公債費比率は、財政構造の健全性の観点から、10%程度が一応の目安とされ、15%を超えると財政運営に注意が必要と言われております。一般質問においては、プライマリーバランスの均衡が急務と当局は再三答弁しています。本県の公債費比率の見通しについて、中期財政見通しによれば平成17年度には24.7%と大幅に上昇する見込みとなっており、今後の財政運営に当たって、県債の発行の抑制が急務となってくるものと思われます。抑制の具体策と今後の県債導入の考えをお知らせ願います。

〇小原総務部長  公債費の状況でございます。
 公債費増加の理由についてでありますが、平成13年度の公債費は1、213億4、900万円であり、前年度に比較いたしまして127億2、900万円、11.7%の増加となったところであります。
 増加の主な要因といたしましては、一つとして、県民生活の向上と豊かな地域社会の形成を目指して、県北地域の振興を推進する東北新幹線や、21世紀の岩手を支える人材を育成する県立大学等県単独事業の財源とする県債を発行してきたことであります。それから、国の地方財政対策として、地方の財源不足に対応するため、地方交付税の振りかえとして平成6年度から制度化された財源対策債等を発行してきたことであります。さらに、国の経済対策に呼応して実施した平成4年度以降の公共事業の財源とするための補正予算債を発行してきたことであります。これらによって増加したものであります。
 公債費比率の上昇要因としては、分子の方の公債費が増加する一方、分母となる税収あるいは交付税が、景気低迷あるいは国における制度改正などにより減少したことによるものでありまして、これは今後とも上昇することが見込まれることから、財政硬直化の一層の進行が懸念される状況にあります。
 次に、県債抑制の具体策と今後の県債導入の考え方についてでありますが、本県ではこれまで、平成11年10月に策定いたしました中期財政見通しをもとに将来を見据えた財政運営を行ってきたところでありますが、長引く不況によりまして、策定当時想定していた以上に県税の減収が大きく、また、国による地方交付税制度の見直しが進められるなど、県財政を取り巻く環境が大きく変化してきているところであります。このため、今後は、確保が一層難しくなると見込まれます歳入を的確に見積もるとともに、それに見合った歳出となるよう、歳出の抑制を図りながら、県債残高がこれ以上増加しないよう、県債充当事業を厳選することによりまして県債発行を抑制していくことが不可欠であります。
 このようなことから、先ほど申し上げました中期財政見通しを見直すこととし、県債の発行が償還額を下回るよう、プライマリーバランスの均衡を早期に達成することを新たな財政健全化の基本目標として設定することとしているところであります。この目標を早期に達成するためには、多額の県債を財源とする投資的経費を抑制することが欠かせないことから、平成15年度予算編成方針においては、公共事業について15%縮減するとともに、公共事業以外の普通建設事業についても15%の縮減をすることとしたところであり、具体的な事業につきましては、今後の予算編成過程を通じて検討し、県債の縮減を図っていく考えであります。

〇藤原泰次郎委員  次に、総合計画の進捗状況についてお伺いします。
 本県では、自立、参画、創造を新しい岩手づくりの理念とし、みんなで創る夢県土いわてを基本目標とする総合計画を平成11年8月に策定し、その着実な推進に取り組んでいるところであります。
 計画では、進捗状況を的確に把握するため207の指標を設定するとともに、平成13年度からは政策評価システムを本格導入し、指標の見直しや県民意識調査、県民生活指標の活用など、評価の精度の向上に努めながら計画の推進に取り組んでいると理解しております。
 経済の先行きが不透明で、財政環境もますます厳しくなる中、政策評価の実施により計画の進捗状況を把握し、評価結果を活用した効率的で効果的な施策展開を行っていくことが重要であると考えます。
 そこでお伺いしますが、平成13年度における総合計画の進捗状況は、政策評価結果から見てどのように評価されているのか、また、昨年度との比較についてもお尋ねいたします。

〇佐藤総合政策室長  総合計画の進捗状況についてでございますが、政策評価は、総合計画の施策を対象にいたしまして、主要な指標の進捗状況を基本とし、県民意識調査や県民生活指標などにより総合的に評価しております。
 主要な指標をもとに総合計画の進捗状況を見ますと、全部で209の指標のうち、未測定等の23の指標を除いた186の指標がおおむね順調な指標――到達度が中以上の指標――となっており、その割合は54%。一方、昨年度とこれを比較いたしますと、昨年度が61%でありますから、7ポイント減少しているという結果になっております。
 また、この主要な指標の進捗状況を総合計画の五つの社会ごとに見てみますと、おおむね順調と評価されたものが第2の快適・安心社会、それから第4のネットワーク、交流・連携社会、それから、第5の個性・共生社会でありますが、進捗状況が厳しい状況を示したものが第1と第3の社会、すなわち、自然共生・循環社会と産業社会であります。この自然と共生し、循環を基調とする社会にありましては、例えば県民1人当たりのごみの排出量でありますとか、地下水の環境基準達成率については指標の到達度が低い状況にあります。また、産業の社会におきましては、1次産業農産物であるとか林水産物――の生産額が到達度が低く上向かない状況でありますし、また、卸・小売業の販売額、商店街小売販売額にいたしましても到達度が低い状況になっております。
 昨年度の進捗状況とこれを比較してみますと、同じ傾向が第2、第3、第5の社会でありますが、厳しくなっている社会は、自然と共生し、循環を基調とする社会であります。これは、昨年おおむね順調とされた社会でございましたが、今回厳しい評価結果になっております。また、逆に改善されているのが、ネットワーク、交流・連携社会であります。
 一方、主要指標の動向と県民生活指標により分析した17の施策の達成状況を見ると、順調である、あるいはおおむね順調とされた施策が17のうち12施策、71%であります。ややおくれている、あるいはおくれているとされた施策が5施策、29%となっております。
 ただいま申し上げました主要な指標の動向、それから施策の達成状況を踏まえまして、今後の取り組みといたしましては、全体としてはおおむね順調に推移していると見られますけれども、厳しい経済情勢などを反映いたしまして、とりわけ産業部門におきましては前年度を下回る指標が多かったこと、それから、環境なども大変厳しい状況を示していることから、これらの施策への重点化を一層徹底し、県民満足度を着実に向上させるように努めてまいりたい、このように考えております。

〇藤原泰次郎委員  次に、地域活性化事業調整費についてでありますが、昭和61年の地方振興局の設置に合わせて本制度が創設され、自来16年間、県単独経費で78億円、4、664事業が実施され、それぞれ地域の発展に大きく貢献してきたものと考えております。
 私の地元でも、今年度は山岳遭難事故の未然防止を目的とした志和三山トレッキングルート標識整備事業や紫波・矢巾町境にある稲村遺跡に隣接した親水公園を整備する岩崎川高水寺地区公園整備事業など、地域の喫緊の課題解決のために活用されているところであります。県のこの支援につきましては、深く感謝申し上げるところであります。
 この地域活性化事業調整費を毎年度どのような事業に対して運用するかについては、地方振興局において事業の緊急性や事業効果などを勘案しながら弾力的に対応されているものと認識しておりますが、各地方振興局においては、調整費事業として採択する際、個別の事業計画の審査はどのように行っているのでしょうか。また、事業成果はどのような方法で評価しているのかお答え願います。

〇飛澤地域振興部長  地域活性化事業調整費の審査及び成果の評価でございますが、事業計画の審査につきましては、地域活性化事業調整費取扱要領あるいは交付要綱に基づきまして、その事業が先導的事業であるか、あるいはモデル的事業であるか、緊急性があるか、あるいは事業効果はどうか、また、一過性の事業ではないのか、そういった観点等からいろいろ審査をいたしまして事業採択をしているところでございます。
 それから、事業成果の評価でございますけれども、個々の地域活性化事業調整費事業の評価につきましては、これまた地域活性化事業調整費事業評価実施要領を定めまして、事業目的あるいはその手法の妥当性でありますとか事業効果はどうかとか、そういった観点等から評価を実施しているところでございます。
 この評価につきましては、現在、局内の内部評価の手法にとどまっておりますので、今後、外部評価の導入についても検討していきたい、そのように考えております。

〇藤原泰次郎委員  次に、介護保険についてお伺いします。
 介護保険は、制度施行から2年半を経過し、各市町村においては、これまでの実績を踏まえた上で、現在、来年度からの介護保険事業計画を策定中と伺っております。
 そこで、本県における介護保険事業の実績はどのようになっているのか、特に、圏域ごとの特徴にはどのようなものがあるのかお伺いします。また、県では、そうした実績を踏まえ、次期計画策定に当たり、市町村に対してどのような支援、指導などを行っているのかお知らせ願います。
 また、介護保険財政が悪化し、赤字となった市町村もあると伺っておりますが、県に設置した介護保険財政安定化基金の運用状況と、今後の市町村の保険財政の見通しについてお尋ねいたします。

〇高橋副知事  介護保険事業の実績でございますが、市町村における介護給付実績は、平成12年度は約448億円でございましたが、平成13年度には約553億円で、23.3%の増加という状況でございます。
 それから、圏域ごとの特徴でございますが、本県では他県に比べまして在宅サービスの水準が低く、施設サービスの割合が高い傾向がございます。圏域ごとの特徴といたしましては、概して県央部、沿岸南部では比較的在宅サービスの水準も高いわけでございますが、県北部や沿岸北部では施設入所割合が高い傾向が見受けられるところでございます。
 それから、次期計画策定に当たって、県が市町村にどういうような支援をしたかということでございますが、県といたしましては、市町村に対しまして、評価・分析のための市町村別、圏域別のデータを提供いたしましたほか、圏域ごとに研修会、調整会議を開催いたしまして、市町村に対してさまざまな角度から助言を行っているところでございます。
 それから、介護保険財政安定化基金の運用状況と見通しでございますが、この基金につきましては、平成12年度と13年度であわせて約18億円の積み立てを行っておりまして、平成14年度末では27億5、400万円になる予定でございます。貸付実績は1件のみでございまして、平成13年度に新里村に対し850万円の貸し付けを行ったということでございます。平成14年度は数団体で基金からの借り入れが見込まれておりますが、そういうことで、この基金の運用状況は、まだそんなに需要がなく、今のところは順調にいっている、こういう状況でございます。

〇藤原泰次郎委員  次に、廃棄物対策についてお伺いします。
 持続可能な資源循環型地域社会の構築が求められる中、廃棄物の分野においても、できるだけ廃棄物を出さないようにする発生抑制に努めた上でなお廃棄物となったものは、これまでの焼却、埋め立て中心の処理を見直し、資源として有効に活用することが求められております。
 県においては、このような視点に立ち、本年3月に岩手県廃棄物処理計画を策定したところでありますが、この計画の進捗状況についてお伺いします。
 また、廃棄物の処理に当たっては、不法投棄の防止が重要であります。このため県は、昨年6月から不法投棄を許さないクリーンいわてローラー大作戦を展開し、特に本年度は緊急地域雇用創出特別交付金を活用して撤去作業などを行っているところでありますが、この活動についての現在の取組状況についてもあわせてお示し願います。

〇高橋副知事  まず、廃棄物処理計画の進捗状況でございますが、この計画は4点の目標を掲げておりまして、一つは、廃棄物の発生抑制と再使用、再生利用の推進、それから二つ目は、環境負荷が少なく信頼性の高い処理施設等の整備、3点目が有害廃棄物の適正処理体制の整備、4点目として不法投棄などの未然防止でございますが、この目標の達成に向けまして、産業廃棄物税の導入、 再生資源利用製品認定制度の創設、また、盛岡以北への公共関与によります資源循環型モデル施設の整備の検討、さらには、優良な産業廃棄物処理業者の育成など、廃棄物に関する総合的な施策の連携による資源循環型の地域社会の構築に向けたさまざまな取り組みを現在進めているところでございます。
 それから、今年度の基金、交付金を活用した廃棄物撤去に向けた活動の取組状況でございますが、今年度は、緊急地域雇用創出特別交付金を活用いたしまして、県内の廃棄物の不法投棄や放置などの状況について調査いたしまして、原因者が特定できない場合における原状回復のための撤去処分が促進されるよう、その廃棄物の分別作業を実施しているところでございます。
 この調査では、県内の国道、県道、市町村道の総延長約3万2、000キロメートルにわたりまして道路から目視できる-目でわかる-範囲で実施いたしまして、約1、370カ所で廃棄物が確認されたところでございます。このうち、県管理施設以外の箇所で原因者不明と判断され、そして市町村等と処分方法等について協議が整いました約250カ所で県において分別作業を行い、市町村及び廃棄物処理業者により撤去処分がなされたところでございます。このほかに地域住民の活動で撤去された箇所もあるわけでございますが、それ以外の箇所につきましては、現在、原因者を調査しているところでございまして、原因者が判明次第、市町村と連携いたしまして原因者に処分を指導してまいりたい、そのように考えております。

〇藤原泰次郎委員  次に、北上川清流化対策についてお伺いいたします。
 北上川の清流化対策は昨年度も約6億円の事業費を費やしておりますが、御案内のとおり、この事業は、旧松尾鉱山から排出される強酸性坑廃水を主因とする水質汚濁を防止するため、当時の林野庁、通商産業省、建設省、自治省、環境庁の関係5省庁による連絡会議、いわゆる5省庁会議における合意事項に基づき、国と県が分担して対策を実施してきたものであります。緊急対策としての暫定中和処理、坑廃水の減水対策としての発生源対策工事などが実施されてきましたが、新中和処理施設の維持管理は半永久的に続くことにかんがみまして、災害等不測の事態への対応が十分ではないことなど、新中和処理施設の稼動から20年が経過した今日、今後に向けて解決すべき課題も残されております。
 そもそも旧松尾鉱山の硫黄生産は国策により進められたものであり、北上川の清流化対策は本来国の責任において行うべきものと考えますが、県の考えと現状の課題への取組状況をお知らせ願います。
 あわせて、県内の他の休廃止鉱山、例えば、田老町の田老鉱山や和賀川流域の土畑鉱山などについても旧松尾鉱山と同様に強酸性の坑廃水の問題があると思われますが、その流域における水質の調査状況や対策はどのようになっているのでしょうか、あわせてお知らせ願います。

〇高橋副知事  清流化対策における国の責任についてでございますが、県では、旧松尾鉱山の閉山に伴いまして鉱害対策が検討された当時から一貫して坑廃水の処理については鉱山行政を所管する国の責任において行うべきである、そのように認識して取り組んできたところでございます。
 現在、5省庁会議の了解事項に基づきまして、国の補助金により新中和処理施設の維持管理を行っているところでございますが、現状では次のような課題があると考えております。
 まず一つは、県が事業主体になっているということでございます。2点目として、国の補助金が法律で定められていないということで恒久的で安定した制度にはなっていないことでございます。3点目として、大規模災害が発生した場合等の危機管理体制が確立されていない。4点目といたしましては、新中和処理施設の老朽化が進んでおり、その対策が急がれるということ等でございます。
 これらの課題を解決するため、県議会ともども統一要望でもいろいろとお願いをしてきたわけでございますし、また、関係省庁の担当者の出席による5省庁等連絡会におきまして、5省庁会議を再開してこれらの課題を検討してくれということで強く要請してきたわけでございますが、一部省庁におきましては、これまでの了解事項に基づき、県と関係省庁で個別に協議することで十分対応できるのではないかという意見もございまして、5省庁会議再開については合意するまでに至っていないところでございます。
 今後の取り組みといたしましては、課題解決には現在の枠組みを決定した5省庁での協議が必要であると考えられますので、この5省庁等連絡会を年度内にも開催いたしまして、この中でこれらの課題を再確認し、その解決方法を協議していただきますとともに、5省庁会議の再開について議論していただくように取り組んでまいりたい、そのように考えております。
 それから、他の休廃止鉱山の流域におきます水質の調査状況等でございますが、田老鉱山、土畑鉱山のほか、安代町の花輪鉱山、これらも坑廃水処理を実施しているわけでございます。これらは、いずれも鉱害防止の義務者が現存する休廃止鉱山といたしまして、補助を受けて適正な処理が現在も実施されております。
 水質調査の結果では、それぞれの休廃止鉱山の下流河川で測定を実施しているわけでございますが、有害物質は環境基準値を超えていないということで、良好な水質が維持されている、そういう状況でございます。

〇藤原泰次郎委員  次に、医療対策についてお尋ねいたします。
 まず、県民の入院医療の確保についてでありますが、県内の一部の医療施設――有床診療所といいますか――の中には、入院用ベッドの設備がありながら、入院治療が必要な患者を入院させない施設があるやに聞いております。このような事態は、県民の生命を守る観点から問題であると思いますが、県当局として、この問題をどう把握されているのかお伺いします。
 次に、小児救急医療についてでありますが、若い世代が安心して子育てのできる環境を確保する上でも、充実した小児救急医療の体制整備は大きな課題となっております。本県の多くの圏域においては、地域の医療関係者の努力にもかかわらず、小児科医の確保が難しいことなどから十分な体制整備が進んでいないのが現状であります。
 地域における小児救急医療の確保には、県が主導的に医療関係者、県立病院等との連絡・連携体制の整備を進めることが重要であると思いますが、昨年度の救急医療対策として、県は、小児救急医療の体制確保のためにどのような取り組みを進めてきたのかお示し願いたいと思います。

〇高橋副知事  まず、有床診療所の問題でございますが、診療所の中には、入院のための病床を持っていながら実態としてほとんど入院診療部門をやめている施設があることは承知しているわけでございます。その理由といたしましては、やはり看護婦(後刻訂正)さん等の人的スタッフの確保、また、それに伴う経営上の問題とか、それから、開業しているお医者さんが御高齢である、そういうような個別の事情があって休止しているものが多いようでございます。
 入院医療の必要な患者さんにつきましては、病院との機能分担、いわゆる病診連携体制を前提といたしまして、診療所からそういう患者さんが出た場合には病院へ患者を紹介していただいて入院させるという形で入院医療が確保されているのではないか、そのように考えているところでございます。
 それから、小児医療対策でございますが、昨年度、医師会、関係者・団体等に協力を求めまして、各医療圏ごとに小児救急患者の状況、それから医療資源など、地域の実情に応じた小児救急医療体制の整備等について検討を行ってきたところでございます。
 そういう中で、宮古医療圏においては、開業医と県立病院勤務医の参加によって、日中については365日、小児科医による診療体制が確保されたケースもございますが、その他の地域では、小児の輪番制については、盛岡医療圏以外では小児科医の不足のため実現は困難とされたところでございまして、基本的には、従来と同様、オンコール――いわゆる呼び出しでございますが――によって小児科医が診療を行うことを確認している、そういう状況でございます。
 また、必要な場合には、圏域内の他の病院、それから小児の輪番制を実施している盛岡等他の圏域との連携、搬送体制の充実によりまして、確実に小児科医による診療が確保される体制の整備を強めることとしたところでございます。
 このような検討会の中での意見を踏まえまして、今年度から、小児の初期救急機能の向上を図るため、小児の初期救急に携わる開業医等を対象に、小児救急に関する基本的な事項につきましての研修を全圏域で実施いたしまして、318名のドクターの参加をいただいたところでございます。
 長期的対策といたしましては、県・医療局で昨年から新たに開始いたしました医師養成事業におきまして、小児科医師の養成確保も念頭に置きまして、小児科等を専攻した場合の義務履行期限の短縮を行うこととしているところでございます。
 いずれにしても、この問題につきましては小児科医の確保というものが最重要でございますので、一段とそれに向けた努力をしてまいらなければならんと考えているところでございます。

〇千葉伝委員長  高橋副知事にお伺いします。
 答弁発言中、看護婦と聞こえた答弁があったように思いますが、その部分をどういたしましょうか。

〇高橋副知事  失礼いたしました。看護師と訂正をお願いいたします。

〇藤原泰次郎委員  次に、農業問題に関して何点かお伺いいたします。
 まず、中山間地域についてお尋ねいたします。
 中山間地域においては、農業の生産条件に関する不利を補正するため、中山間地域等直接支払制度が平成12年度から実施されており、本年度で3年目になります。平成13年度に締結された集落協定等は1万7、000ヘクタール、交付額が30億円有余であり、全国的に見ても有数の実績であると聞いておりますが、その成果はどのようにあらわれているのでしょうか。
 また、中山間地域での農業生産活動の継続や立地条件・特性を生かした多面的機能の確保を広く行うためには、要件を緩和して対象となる農用地をふやすなどの制度の見直しが必要と考えますが、どのようにお考えでしょうか、お伺いします。

〇高橋副知事  中山間地域等直接支払制度の成果でございますが、この制度が導入されて2年が経過いたしました昨年度に、集落のその後の変化について調査をいたしましたところ、耕作放棄地が49%の集落で減少しておりました。それから、寄り合いを活発化させた集落が73%というようなことでございます。そのほかにも、農作業の受委託等に取り組んだ集落が19%、また、野菜・花卉等の拡大、農産加工に取り組んだ集落が16%等々となっておりまして、集落協定に基づいた活動の成果が着実にあらわれてきているのではないかと考えているところでございます。
 その主な事例を申し上げますと、例えば宮守村の宮守川上流集落では、一集落一農場の実現を目指しまして、交付金の全額を共同活動に充てて大型機械の導入やオペレーターの育成に取り組む一方で、ブルーベリー、ワラビなどの新しい地域特産物の導入に向けた活動が進められているというような事例もございます。
 このように、それぞれ集落におきまして話し合いを幾度も重ねて合意形成を図りながら、創意と工夫に富んだ多様な取り組みが進められていると評価しております。
 このような取り組みを他の地域に波及させるために、今年度、県では、岩手県中山間地域モデル賞を全国で初めて創設いたしまして、他の集落の模範となる11集落に授与したところでございます。
 それから、中山間地域等直接支払制度の見直しでございますが、この制度の実施要領におきましては、平成16年度に制度全体の見直しを行うこととされておりますので、現時点では、要件緩和というようなことはかなり難しいのではないかと考えております。

〇藤原泰次郎委員  次に、国土調査についてお伺いします。
 本県の県土は広く、これに比例して地籍の実態を明確化する国土調査も膨大な作業になっております。古くは太閤検地、明治の地租改正などに例を引くまでもなく、各市町村、そして県にとって、その区域と土地の地籍を正確に把握しておくことは、住民の経済活動、生活、行政施策の展開の根幹であることから、広大という理由に甘んじることなくその推進が必要と思います。
 そこでお尋ねいたしますが、本県における国土調査の進捗状況はどのようになっているのでしょうか。また、実施に際して、測量などは市町村が民間業者に委託するのが一般的と思います。このため測量の精度をきちんと確認することは大変重要であると考えますが、検査などは十分に行われているのでしょうか、お伺いします。
 この質問の背景は、実は、実際に市町村においてはいろいろな国土調査の精度についての疑問点も、県内を歩きますと出てきていることがあったものですから、それを背景にして今お伺いしたわけでございます。

〇高橋副知事  国土調査につきましては、本県では国土調査法制定の翌年にはいち早く着手いたしまして、ことしでもう50年を経過したわけでございます。
 これまで58市町村のうち紫波町を初め28市町村で完了いたしまして、宮古市など24市町村が現在調査を実施中ということでございます。ほかに休止中というところが6市町村ございます。
 県全体の進捗率は平成13年度末で76.6%でございますが、ただ、今後におきましては、残っているところが、権利関係が細分化している盛岡市とか北上市の市街地の部分などに集中しておりますので、引き続きこれらに対して事業を推進する必要があるものと考えております。
 その疑問があるということで民間業者委託に係る精度の確認でございますが、この国土調査業務のうちの測量などにつきましては、一般的に市町村が専門の民間業者に委託しているわけでございます。この成果につきましては、国土交通省が定めた工程管理検査基準に基づきまして、事業主体である市町村が各工程ごとに確認するというようなことが第1段階でございまして、これをさらに県が検査をして所要の精度を確保するという段階で、二重に精度を落とさないような形で万全を期すという形になっているものでございます。
 なお、そういうような事例があるのであれば、また引き続きさらに指導を強めてまいりたいと思います。

〇藤原泰次郎委員  次に、ほ場整備事業の実施状況と見通しについてお伺いします。
 本県の農業を振興するためには、高生産性農業を展開するための基礎となる生産基盤の整備が不可欠であります。低コスト生産の条件となる大区画圃場の整備とあわせて、担い手への農地の利用集積を一体的に進めるほ場整備事業を積極的に推進することがますます重要になっていると考えるものでありますが、本県のほ場整備事業の実施状況と今後の見通しはどうなのかお伺いします。
 また、山里などの中山間地域では、総じて圃場整備がおくれているようでありますが、中山間地域の農業者こそ、自分たちの農地を守るために農業を続けていきたいという意欲が強いのではないかと思っております。つきましては、今後、中山間地域の農業を支援するため、この地域の圃場整備をどのように進めていこうとしているのかお伺いします。
 この質問の背景というのは、実は、国営、県営の場合は圃場整備の補助率が高いわけでございますが、小さいところになりますと、むしろ条件が悪くて補助率が悪いということも背景にあった関係から、お伺いするものでございます。
 後段につきましては答弁の必要はありませんが、前段の方でお願いします。

〇高橋副知事 ほ場整備事業の実施状況と今後の見通しでございますが、ほ場整備事業を重点化事業の一つに位置づけまして、これまで計画的に推進してきたわけでございます。平成13年度末では57.4%の整備率というようなことになっているわけでございます。
 水田の整備につきましては、県の総合計画におきまして、平成17年度までの圃場整備率を63%まで高めることにしておりまして、この目標設定に向けまして、かなり厳しいところもございますが、今後とも達成に向けて努力をしていかなければならないと考えておるところでございます。
 それから、中山間地域でございますが、これは平場よりは地形条件が厳しくて費用がかさむわけでございまして、一般のほ場整備事業よりもより補助率の高い中山間地域総合整備事業で整備をしてくれという要望が数多く出されているわけでございます。
 県といたしましては、大変厳しい財政状況下ではございますが、中山間地域の整備の重要性というものにかんがみまして、これらの地域における生産基盤の整備を、できるだけ補助率の高い中山間地域総合整備事業を使いながら計画的に進めることとしているところでございます。

〇藤原泰次郎委員  次に、BSEの発生に伴う畜産農家への影響についてお伺いします。
 昨年9月に我が国で初めて発生したBSEにつきましては、牛肉消費が大幅に減退したことにより、牛肉の価格や子牛価格も大幅に低下するなど、本県の肉用牛農家に大きな影響を与えたばかりではなく、BSEの感染牛すべてが乳用牛であったことから、酪農経営においても影響が出たと承知しております。
 そこでお伺いしますが、これまでにBSEが畜産経営にどのような影響を及ぼし、それに対する支援対策はどのように講じられたのでしょうか。また、その対策の成果はどうなっているのでしょうか、お伺いします。

〇高橋副知事  まず、BSE発生に伴う畜産農家への影響でございますが、御案内のように、BSEの発生以降、国産牛肉の消費量が大きく落ち込んだわけでございまして、肉牛経営におきましては、出荷の繰り延べとか販売収入の減少によりまして、資金繰り、所得確保に大きな影響があったわけでございます。
 また、酪農経営におきましても、いわゆるぬれ子の価格が急落いたしまして、さらに、廃用牛が滞留するというような事態も生じて、大きな影響が及んだところでございます。
 これらの畜産農家に対しましては、資金繰り対策といたしまして大家畜経営維持資金、いわゆるBSEつなぎ資金を創設したところでございますし、また、これにつきましては無利子資金として255件、総額約16億円の融通をことしの3月までに行ったところでございます。
 それから、枝肉・子牛価格の低落による減収分につきましては、肥育農家に対しましては、既存の肉用牛肥育経営安定対策事業、それから、新たに創設されたBSE対応肉用牛肥育経営特別対策事業などによりまして、それから、繁殖農家に対しましては、子牛生産者補給金制度、また子牛生産拡大奨励事業によりまして現在までに総額で約61億円が補てんされておりまして、県としては、生産者積立金として独自の助成を行ったところでございます。
 また、出荷が滞留した廃用牛につきましては、5月から畜産流通センター等での処理を開始いたしまして、現在では滞留が解消されております。
 こうした資金繰り改善、所得補てん、また滞留牛の解消など、一連の支援を行ったものでございますが、現時点では牛肉消費が回復いたしまして、生産者価格も発生前の水準を超える状態になっております。また、年末需要が見込まれる中で、肥育牛の出荷量は不足ぎみの状態にもあるというようなことで、今のところは畜産農家は落ち着きを取り戻している状況にあると認識しております。

〇藤原泰次郎委員  次に、商工業問題について幾つかお尋ねいたします。
 まず、中小企業安定対策についてでありますが、長引く不況により、本県においても企業倒産の増加、誘致企業の相次ぐ撤退や雇用環境の悪化などにより個人消費は伸び悩んでおり、中小企業を取り巻く経営環境は一層深刻なものとなってきております。
 財団法人岩手県産業振興センターの行った岩手県商工業経営動向調査の本年9月末の調査結果によりますと、全業種にわたって、売り上げの減少企業数が増加企業数を上回っており、県内中小企業は厳しい資金繰りが続いているものと推測しております。
 このような中、県単融資制度である中小企業経営安定資金は、県内中小企業の資金繰りの改善に大きく寄与してきているところでありますが、平成13年度における貸付実績と今後の見通し及び既存債務の借りかえのための利用状況についてお示し願います。
 また、長引く不況の中、景気回復の兆しも見えず、県内企業の倒産件数は増加傾向にあり、本年10月末の県内企業の倒産状況は、負債総額で531億円と過去最悪を記録しているところであります。取引先企業が倒産した場合には、国のセーフティーネット保証を活用した中小企業経営安定資金の別枠での利用が可能となっておりますが、平成13年度の利用状況についてもあわせてお示し願います。

〇高橋副知事  中小企業経営安定資金の平成13年度の利用状況でございますが、260億円の融資枠に対しまして657件、173億3、100万円余、融資額で前年比133.7%の利用実績となっております。これは、中小企業金融安定化特別保証が平成12年度末で終了したことなどによりまして、大幅に増加したものと考えております。
 今後の見通しでございますが、平成14年度は260億円の融資枠に対しまして、10月末現在で340件、70億8、700万円余、融資額で前年同月比66.9%の利用実績となっております。今後は、過去の利用状況から推計いたしますと、平成13年度実績は下回るものの、平成12年度実績程度の利用となるのではないかと見込んでおるところでございます。
 それから、中小企業経営安定資金の既存債務借りかえのための利用状況でございますが、御案内のように、中小企業経営安定資金は、直接は借りかえを目的とはしていないのでございますが、一定の要件に該当する場合は、実質的に借りかえ資金としても利用できるものとして運用しているところでございます。
 平成13年度の借りかえの状況でございますが、中小企業経営安定資金の保証承諾ベースでは148億6、000万円余、全体の84.6%が借りかえに利用されております。これは、景気の低迷によりまして売り上げ等が当初借入時の計画を下回ったために、短期資金を中小企業経営安定資金で長期資金に借りかえることで毎回の返済額を軽減した結果ではないのかと考えております。
 それから、別枠の関係の平成13年度の利用実績でございますが、保証承諾ベースで29件、7億5、500万円余、額で前年比755.5%となっております。これは、建設業、流通業などで大型倒産が増加したことによりまして、利用が大幅に増加したものではないかと考えております。

〇藤原泰次郎委員  次に、中心市街地活性化の取組状況についてお伺いします。
 最近、本県の中心市街地・商店街においては、大型店の撤退が相次いでいるほか、バイパス沿いなど、いわゆるロードサイドへの大型店や専門店などの出店が進み、町中においてはシャッターをおろした空き店舗が増加し、また人通りも少なくなるなど、空洞化がさらに進展しているのではないかと感じております。これ以上の空洞化が進むと、町中が寂れていくこと、そしてまた、コミュニティーとしての機能が失われるばかりではなく、地域経済の発展の基盤も揺るがしかねなくなるのではないかと大変懸念している次第であります。
 中心市街地活性化法が施行されてことしで4年目となり、中心市街地の活性化が叫ばれて久しくなるわけでありますが、その中にあって、本県においてもその支援に努め中心市街地の活性化に積極的に取り組んでいるところと聞いておりますが、平成13年度の取組状況と今後どう対応していくか、お考えをお伺いいたします。

〇高橋副知事  中心市街地活性化対策の平成13年度の取組状況といたしましては、まず、ハード面では商店街の快適性・利便性の向上を図るために、アーケードの大規模改修を盛岡市肴町商店街が行っておりますし、ルーフ付バス停の整備を釜石市の大渡町商店街が、それから、太陽光街路灯の設置を江刺市の中町、川原町が行いまして、これらに対して助成したところでございます。
 それからソフト面では、中心市街地活性化基金の原資を19億円増資いたしまして、その運用益等によりまして商店街が連携した広域的なイベント事業などに助成いたしましたほか、蔵を活用した伝統工芸館(江刺市の川原町)とか、空き店舗を活用したアンテナショップの設置(盛岡市のサンサン青山さん通り商店街)、それから、インターネット上にバーチャルの仮想商店街を構築する事業(盛岡市の肴町商店街)などに対しまして、活性化に向けた先進的な取り組みを支援したところでございます。この結果、歩行者が増加するなど、取り組みの成果が徐々にあらわれ始めているというように伺っております。
 現在、これらの取り組みの成果を確実なものとしていくために、県を初め、TMO、それから市町村等で構成したTMO構想推進チームにおきまして、歩行者通行量、年間販売額、空き店舗の減少数などの目標を設定した事業推進計画(アクションプラン)を作成いたしまして、具体的にこの計画に基づいて地域の実情に応じたTMO構想を着実に推進するための取り組みを展開しているところでございます。
 県といたしましては、今後とも支援策や支援体制の充実を図りながら、これらの取り組みを積極的に支援いたしまして、地域の特色を最大限生かした中心市街地の活性化を図ってまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員  次に、雇用対策についてお伺いします。
 本県の有効求人倍率は、平成9年度には0.83倍であったものが、平成10年度以降は大きく低下し、平成13年度には0.41倍まで落ち込みました。平成14年9月の有効求人倍率は0.43倍となりましたが、依然として全国の0.55倍を下回って推移しております。
 こうした厳しい雇用環境に対応して、県では、雇用対策を実施するため、平成11年度に国の交付金を受けて22億4、100万円の基金を創設し、さらに平成13年12月には、県単独で10億円、国の交付金により53億5、000万円の二つの基金を新たに創設しております。これらの基金を活用して平成13年度にどのような事業を展開し、どのような成果を上げてきたのかお示し願います。
 また、平成13年度に創設した新たな基金を今後どのように活用していくのか、あわせてお伺いします。

〇高橋副知事  平成13年度はこの三つの基金を活用いたしまして失業者等の新規の雇用を図る事業、雇用を促進するための研修事業を実施したところでございます。主な事業といたしましては、公有林の除間伐、不法投棄物の除去等の環境美化事業、教員補助員配置等の教育・文化に関する事業、ホームヘルパー養成等の研修事業を含む福祉分野の事業、また、観光ガイドの配置等の地域振興に資する事業等でございます。県、市町村合わせて225の事業を実施いたしまして1、349人の新規雇用を創出したところでございます。
 平成13年度に新たに設置した二つの基金のうち、国の交付金事業につきましては、地域に密着した臨時応急の雇用創出を図っておりまして、また、県単独の基金事業につきましては、主として常用雇用の創出を目的とした事業展開を図りますとともに、国の交付金事業を補完するというような位置づけで考えておるところでございます。
 この二つの基金事業の機能分担によりまして、即効性のある雇用機会の確保、将来の新たな常用雇用の創出につながるように努めてまいる考えでございます。

〇藤原泰次郎委員  次に、県内建設業者の受注拡大に向けた県の取り組みについてお伺いします。
 本県の民間、公共の建設投資額は平成8年度をピークに減少傾向にあり、本年度の公共事業費も平成10年度と比較するとマイナス40%と激減しております。また、建設業の企業倒産件数も増加傾向にあるなど、県内建設業者の経営環境はもとより、地域経済の低迷により雇用環境も極めて厳しい状況にあります。
 こうした状況の中にあって、地域経済の活性化と雇用の拡大等を図るためには、県内建設業者に対する公共事業の受注機会を最大限確保することが喫緊の課題となっていることから、県議会9月定例会において、公共工事に当たっては、これまで以上に県内業者への優先的発注に努めるよう決議したところであります。
 そこでお伺いしますが、県営建設工事における県外、県内建設業者の受注割合は平成11年度以降どのように推移しているのか、また、今後、県は県内業者への受注機会の拡大にどう取り組もうしているのかお尋ねいたします。

〇小原総務部長  県内建設業者への受注拡大についてのお尋ねでございますが、まず、県内と県外の建設業者の受注割合でありますが、県営建設工事における県内建設業者の全体に占める受注割合は、平成11年度、県内83.5%、したがって県外は16.5%、平成12年度、県内73.1%、県外は26.9%、平成13年度が、県内79.0%、したがって県外は21%となっております。
 特に平成12年度の県内受注率が下がっておりますが、これは、早坂トンネル、盛岡東警察署など大規模、特殊な建設工事が発注されたことから、県内業者の受注金額割合が総体的に低下しているためであります。
 次に、県内建設業者の受注機会の拡大に対する取り組みについてでありますが、県営工事の発注に当たりましては県内建設業者への発注を基本としてきたところでありますが、特に条件つき一般競争入札で発注される一般的な工事につきましては、入札参加資格である施工実績の要件の緩和を8月から実施したところであります。緩和内容を若干申しますと、設計額5億円以上から、いわゆるWTO対象の22億2、000万円未満について会社施工実績を当該工事の発注工事数量の8割から6割に、また、配置予定技術者の施工経験、工事数量についても4割から3割に緩和したところであります。
 設計額2億円から5億円未満の工事につきましても、工事施工実績を発注工事数量の5割から4割に、配置予定技術者施工経験を2.5割から2割に緩和したものであります。
 これらの実績要件の緩和によりまして企業の受注機会の拡大が図られ、施工実績のレベルが上がり、さらに要件を緩和できる技術力の確保につながっていくと期待しているところであります。
 また、技術的難度が高い工事、あるいは専門技術を要する特殊な工事、さらには、県内建設業者に施工実績のある業者が少ないような工事の場合には、競争性の確保という観点から県内に限定することはできないわけですけれども、そのような場合には、引き続き県内建設業者を含む特定共同企業体への発注といたしまして、できる限り県内建設業者の参入が可能になる機会の確保に努めることとしております。
 県といたしましては、今後とも公正性、透明性、そして競争性の確保に努めながら、県内建設業者の技術力を適切に評価しながら、受注機会の拡大に最大限努めてまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員  次に、道路の整備に関するプログラムの進捗状況についてお伺いいたします。
 広域的な交流・連携を促進し、岩手らしさを生かした個性ある地域づくりを進めるに当たり、県民から最も要望の多いのが、高速道路から日常生活に係る道路の整備についてであります。私は、自立した地域社会の実現を目指す上で、県民の望む共有の財産としての道路整備計画を進めることは、極めて重要な課題であると認識しているところであります。
 そこでお尋ねいたしますが、平成11年8月に策定、公表した道路の整備に関するプログラムにつきまして、本年度終了する前期計画の進捗状況はどのようになったでしょうか。また、平成15年以降の後期計画についてどのような見通しをお持ちなのか、あわせてお示し願います。

〇高橋副知事  道路の整備に関するプログラムの対象箇所は全体で107カ所が計画に位置づけられているわけでございますが、本年度末見込みの進捗状況は、このうち、新規着手予定43カ所に対しまして着手済みが34カ所、それから、完成予定53カ所に対しまして完成が39カ所ということになっております。
 ことしで前期が最終年度となるわけでございますが、その後の後期計画につきましては、今後、国の道路予算の動向、また本県の財政状況を見きわめながら、その取り扱いについて検討してまいりたいと考えております。
 なお、次年度からスタートいたします5カ年計画の本県における中長期的なビジョンとなります岩手のみちの将来像につきましては、現在、パブリックコメントを行っておるところでございまして、年度末には策定する予定となってございます。

〇藤原泰次郎委員  次に、土砂災害への対応と今後の取組方針についてお伺いします。
 この7月に発生した台風6号により本県は大きな被害を受けました。特に釜石市では、記録的な豪雨に伴って発生した土石流により、死者2名、住家の全壊2戸、半壊1戸等の被害を受けたところであり、土砂災害の恐ろしさを改めて思い知ることになりました。
 御案内のとおり、県内は山地がほとんどであり、土砂災害を受ける危険箇所も多くなっており、このような地域に住む方々の安全を確保し県民の生命と財産を守るためにも、危険箇所の早期改善が望まれるところであります。
 そこでお伺いいたします。土砂災害の危険箇所に対して総合計画の前期の最終年度である平成17年度までに、砂防ダム70基、急傾斜地崩壊防止施設71カ所の整備を行う計画となっておりますが、これらの整備状況は平成13年度末でどのようになっているのでしょうか。また、今後の見通しはどうなっているのでしょうか。
 時間の関係もございますので、引き続きお願いします。
 次に、土砂災害対策に関連して、ダム整備についてお伺いいたします。
 最近、公共事業に対する批判が強まってきており、特にダムや高速道路などの大型公共事業のあり方について全国的に議論が高まっております。
 さて、中国の故事に、水を治めるものは国を治めるとありますが、我が国においても戦後の歴史の中で治水対策は最重要課題でありました。戦後間もない昭和22年、23年、アイオン、カサリン台風による大災害を契機とした北上川総合開発事業は、5大ダムを建設し、北上川沿川地域を水害から守るとともに、農業用水などの水資源開発や水力発電によるエネルギー供給を通じて、県勢の発展に大きく貢献したものであることは万民の認めるところであります。
 しかし、平成11年の軽米町を中心とした県北の豪雨災害や本年7月の台風6号による甚大な被害は記憶に新しいところであり、県民の生命と財産を守るためには、ダムの整備を含めた治水対策を今後とも一層強力に推進していく必要があると考えております。
 そこでお伺いしますが、本県におけるダム整備の現状はどうなっているでしょうか。
 また、ダムの建設は地域の自然環境などに大きな影響を与えるものと考えられますが、ダムが建設される水源地域では自然環境に対してどのような対策を行ってきているのでしょうか。
 また、ダム貯水池は新たな親水空間としての活用も期待されると思われますが、現状と今後の取り組みはどうなっているのか、あわせてお伺いいたします。

〇高橋副知事  砂防ダム等の整備状況の今後の見通しでございますが、砂防ダムは、総合計画の前期7カ年の整備目標が70基でございますが、これに対しまして平成13年度末までに28基完成いたしました。また、急傾斜地崩壊対策施設は、整備目標71カ所のうち30カ所完成いたしました。これは両方ともほぼ計画どおりに進んでいると思っております。
 今後は、国、県ともに厳しい財政事情でもございますが、土砂災害の軽減を図るこれらの施設について、引き続き着実に整備を進めてまいる考えであります。
 それから、ダムでございますが、まず、ダムにつきましては現在、国土交通省の5ダム、県営ダム7ダムが管理中でございまして、国土交通省1ダムと県営ダム4ダムを建設中というような状況でございます。
 水源地域対策につきましては、簗川ダム等におきまして、水源地域対策特別措置法による道路、汚水処理施設、コミュニティー施設等の整備を実施しているところでございます。また、ダムを生かした水源地域の活性化を図り、流域内の連携と交流による発展を図ることを目的に、直轄ダムでは水源地域ビジョンが策定されているところでもございます。
 それから、自然環境対策につきましては、各ダムにおきまして専門家委員会を設置いたしまして、環境負荷の回避、低減及び代替措置等の検討を行って影響を最小限にとどめることに努めておるところでございます。
 ダム湖の親水空間としての活用につきましては、ダム湖周辺を水と緑のオープンスペースといたしまして、自然環境の保全とのバランスを図りながら利活用を推進し、地域の活性化に寄与しているところでございます。
 今後は、現在、建設中の鷹生ダム等におきましても、引き続き地元と連携しながら、ダム湖の親水空間の利用促進に努めてまいる考えでございます。

〇藤原泰次郎委員  次に、交通安全対策についてお伺いします。
 平成13年中における交通死亡事故は全国的には減少したと聞いておりますが、本県の場合、前年の133名を16名も上回る149名もの方が亡くなられておられ、そのうち高齢者の方が62人と全体の41.6%を占めており、まことに残念に思っております。県としてはこの結果をどのように受けとめておられるのか、また、この結果を受けてどのような交通安全対策を推進しているのかお尋ねいたします。
 次に、治安情勢とその対策についてお伺いします。
 近年、県内においても覚せい剤などの薬物により逮捕されるといった報道をたびたび目にするようになりました。平成10年に内閣総理大臣を本部長とする薬物乱用対策推進本部が策定した薬物乱用防止5カ年戦略に基づき、関係省庁が協力して第3次覚せい剤乱用期の早期終息等に向けた薬物対策を強力に推進しているとは聞いております。しかし、薬物による犯罪が最近報道されるようになってきた実態はまことに憂慮すべきことであります。
 そこでお伺いしますが、全国的な薬物の実態、そして県内における状況並びに防止対策がどうなっているのでしょうか、お聞かせ願います。

〇高橋副知事  まず、交通事故死亡者の状況でございますが、御指摘のように、全国が減少している中で岩手県の死亡者がふえている、また、近年高水準で推移しているという時代でございまして、まことに憂慮すべき事態である、総力を挙げてこれを抑止するように取り組んでいかなければならない重大な課題であると認識しているところでございます。
 これらの交通死亡事故抑止対策といたしましては、まず第1に、重点対策区間を指定いたしまして、これは死亡事故が多発している76区間でございますが、これに集中的に対策を講ずるというようなことをやっておるわけでございます。
 二つ目といたしましては、御指摘のように死者のうちの40%以上がお年寄りの方でございますので、高齢者の方々のお宅を訪問いたしまして交通安全指導を実施するというようなこともやっております。
 それから、やはり大事なのはライトをつけるということで、ライトの早目点灯運動というようなことをやっておりまして、特にもバス、トラック、それから安全運転管理者事業所を中心として、9月から全県的な運動としてやっているところでございます。
 今後は、これらの対策を常時見直しながら充実して、一層の交通事故の抑止につなげたいと考えております。
 それから、薬物乱用の関係でございますが、まず全国的な薬物の実態でございますが、依然として海外から相当量の覚せい剤が流入して、覚せい剤事犯の検挙人員は減ってはおりますが、かなり高水準で推移している、また、初犯者が多くなって乱用者のすそ野が拡大している、また、乾燥大麻とか錠剤型麻薬の押収量が過去最高を記録しているというようなことで、極めて憂慮すべき状況にあるわけでございます。
 県内における状況でございますが、平成13年中の覚せい剤事犯の検挙件数は65件、検挙人員は50人ということで、これはいずれも前年に比べまして減少してございます。ただ、平成14年10月末現在では、検挙件数が既に62件、検挙人員が45人というようなことでふえておりまして、予断を許さない状況にあるわけでございます。
 この防止対策といたしまして、薬物乱用対策推進本部というものを設置いたしまして、関係機関と協力しながら、覚せい剤等薬物の乱用を拒絶する県民意識の高揚を図るための薬物の危険性・有害性等の広報啓発活動と、取り締まりの強化に総力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 それから、警察本部では、薬物問題を治安の根幹にかかわる重要な問題としてとらえまして、需要の根絶と供給の遮断という両面から取り締まりを強化しております。
 さらに、小中高校生を対象とした薬物乱用防止教室を開催いたしまして、薬物の危険性・有害性等の広報啓発活動を推進しているところでございます。

〇藤原泰次郎委員  次に、本県の競技力の強化についてお伺いします。
 本県の近年における国体成績は低落傾向をたどり、ことしの高知国体では43位と大変厳しい結果となったところでありますが、その要因の一つとして競技人口の減少が挙げられるのではないかと考えております。厚い競技人口があってこそ、優秀な選手が輩出してくるものと存じます。この競技人口の状況は近年どう推移しているのでしょうか。また、減っているのであれば、減少に対しどのような対策をとられているのかお尋ねいたします。
 全国規模の大会の開催はスポーツの振興と競技力強化につながるだけではなく、地域の活性化に寄与するなど有効な手段であると考えておりますが、本県で今後開催が予定されている全国規模の大会とその期待される効果についてお尋ねいたします。
 また、誘致の動き等があればお知らせ願います。

〇高橋副知事  競技人口の推移でございますが、一般につきましては、競技団体登録人数では増加はしておりますが、中学校・高等学校の運動部員数で見ますと、いずれ児童生徒数が減っているものですから、それに伴って減少傾向にございまして、この10年間で中学校・高等学校では1万9、200人ほど減っているというような状況でございます。
 競技人口減少の対策でございますが、まずもって、各地域のだれもが気軽に参加できまして、ごく自然にスポーツに触れ親しむことができるような多様な環境づくりが重要であるという観点から、総合型地域スポーツクラブ育成事業を今積極的に推進しているところでございます。
 それから、地域に根差した競技種目の育成、競技人口の底辺拡大をねらいといたしました、中学校・高等学校の連携による地域シンボルスポーツ推進事業を今年度から実施しております。これは、今対象校は7校でございますが、例えばソフトボールは千厩というような形でやるものでございます。これらを通じまして、豊かなスポーツライフの実現を目指していきたいと考えております。
 それから、今後開催予定の全国規模のスポーツ大会は、平成15年7月に水沢市におきまして第37回全日本高等学校馬術大会をまず予定しております。それから、平成16年1月には、盛岡市、石鳥谷町、金ケ崎町におきまして第53回全国高等学校スケート競技・アイスホッケー競技選手権大会が予定されております。それから、平成17年2月には、安代町におきまして第60回国民体育大会冬季大会スキー競技会、同年秋には第18回全国スポーツレクリエーション祭が開催される予定となっております。
 全国的規模のスポーツイベントの誘致・開催の効果は県民のスポーツへの興味・関心が高められるとともに、全国のトップレベルの競技を直接目の当たりにできるということで、本県の競技力の向上はもとよりでございますが、地域の活性化を図る上でも大きな効果をもたらすものと考えているところでございます。国体の冬季スキー競技会、スケート・アイスホッケー競技会が8から10年周期で開催されておりますほか、夏秋季の2巡目国体の本県開催につきましては、現在のルールによれば平成28年の開催が想定されるわけでございますが、これにつきましては、今後県民の意向を幅広くお聞きしながら取り組んでまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員  最後に、北東北3県連携の成果についてお伺いします。
 これはこれからのことでございますが、平成13年9月15日に本県花巻市を会場にして第5回北海道・北東北知事サミットが開催されましたが、この際に合意された事項に基づいて、3県合同の北海道事務所の開設や産業廃棄物税の導入など、北東北3県の連携が着実に進展しているところであります。
 特にも、4道県合同のソウル事務所の整備につきましては、このたび11月19日に開設の運びに至った次第であり、これまで海外に拠点を持たなかった本県にとって、今後、アジアとの経済交流等を深めていくための足がかりとして大いにその役割が期待されるものであります。
 このほかにも、観光、環境などの分野で全国に先駆けたさまざまな取り組みが展開されておりますが、今後は、やはりこうした成果を3県それぞれの特性を生かした機能分担、役割分担につなげていくことが必要だろうと思います。例えば空港については、秋田空港は韓国、青森空港はロシア、そして花巻空港は台湾あるいは中国といったように、国際便の定期航路を分担して開設するなど、効率よく社会資本を整備し活用していくという発想が重要になると思われますが、北東北3県の連携の成果を今後どのように展開させていく考えなのかお伺いします。
 以上で私の質問を終了いたします。長時間にわたり御清聴まことにありがとうございました。御答弁をひとつよろしくお願いします。

〇佐藤総合政策室長 北東北3県連携についてでございますが、北東北3県知事サミットは平成9年から開催しておりまして、平成13年からは北海道の知事にも参加いただいているところであります。
 これまで北東北3県は、福岡市のみちのく夢プラザの設置を初めといたしまして、観光、環境、情報と産業、食料などのさまざまな分野で取り組みを重ねてきたほか、ことし8月に開催されました第6回のサミットにおきましては、新たに保健医療の分野にも取り組んでいくことになっております。
 広域連携につきましては、共通する課題の解決に向けまして共同で取り組む、また、スケールメリットを生かして地域の自立を図っていく、さらには、地域の特性、地域の資源を相互に補完しまして利用し合うこと、このように広域的な問題、課題の解決に向けまして有効な取り組みではないかと考えております。
 今後におきましては、これまでの成果の上に立って、空港、港湾あるいは試験研究機関などの県境を越えた大規模な社会資本の機能分担や共同利用についても検討していくべきものと考えております。

〇千葉伝委員長  この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
    午前11時55分 休 憩
   午後1時3分 再 開

〇千葉伝委員長  休憩前に引き続き会議を開きます。

〇佐藤力男委員  自由党の佐藤力男でございます。
 会派を代表いたしまして、平成13年度決算につきまして総括的に質問させていただきますので、よろしく御答弁をお願いいたします。
 なお、質問に当たり、当該年度の決算に関連して、今後の県政運営にかかわる事項もありますことをお許しいただきたいと存じます。
 まず、平成13年度における主要な事業への取組状況についてお伺いいたします。
 県では、平成11年8月に策定した岩手県総合計画において、理想とする地域社会の姿である五つの社会の実現に向け、実施計画の中で、平成11年度から平成17年度までの前期7カ年に実施すべき343の主要な事業を明らかにしております。平成13年度は、この総合計画策定から3年目の年であったわけでありますが、これら主要な事業に対する県の取組状況についてお伺いいたします。

〇高橋副知事  平成13年度における岩手県総合計画の主要な事業への取組状況でございますが、343の主要な事業のうち325事業を実施いたしまして、その実施割合は約95%となっているところでございます。実績額の合計は、県決算ベースで3、516億円余となっているところでございます。
 この総合計画の五つの社会ごとに主な取組状況を申し上げますと、まず、第1の、自然と共生し、循環を基調とする社会につきましては、地球温暖化防止に対する意識を高めるため、環境家計簿を全世帯に配布いたしますとともに、県営稲庭高原風力発電所が平成13年9月に完成いたしまして、運転を始めたところでございますし、そのほかに、地中熱ヒートポンプ等を備えた環境共生住宅を建設するなど、新エネルギーの利活用推進に積極的に取り組んだところでございます。
 それから、快適に安心して暮らせる社会につきましては、医療情報センターを中心とした医療情報ネットワークの構築を図るとともに、平成13年7月に開所いたしました環境保健研究センターにおきまして、県内外の大学等との連携を図りながら、環境・保健に関するさまざまな調査研究・技術開発を推進したところでございます。
 それから、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会につきましては、農林水産業につきましては、エコファーマー等による環境に優しい栽培技術の普及や耕種と畜産の連携による自然循環機能を活用した持続的農業の取り組みを進めますとともに、地元の産物を地元で消費する、いわゆる地産地消運動を積極的に展開したところでございます。商工業につきましては、中心商店街活性化に向けた支援を拡充いたしましたほか、地域課題の解決を起業化に結びつけるコミュニティ・ビジネスを支援いたしますとともに、岩手ブランドの確立や新たな海外販路の開拓などにも取り組んだところでございます。
 4番目の、ネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会につきましては、平成13年5月に並行在来線の運営主体といたしましてIGRいわて銀河鉄道株式会社が設立され、経営基盤が整備されますとともに、平成13年4月からいわて情報ハイウェイの本格的な運用を開始いたしまして、新たに医療、防災、教育などのネットワークを整備したところでございます。
 最後の、個性が生かされ、共に歩む社会につきましては、平成13年10月に県立美術館が開館いたしまして多くの県民が美術鑑賞に親しむようになったわけでございますし、それから、県公会堂内にNPOサポートルームを設置いたしまして、NPOに関する各種相談、情報提供を行いましたほか、公益信託いわてNPO基金を創設いたしまして、NPO団体の活動支援を行ったところでございます。
 以上、平成13年度におきます主要な事業への取組状況について概括的に説明申し上げましたが、総じて所期の成果を上げたものと考えているところでございます。今後におきましても、計画的、効率的な事業展開に努めまして、総合計画の着実な推進を図ってまいる考えでございます。

〇佐藤力男委員  次に、政策評価結果の施策への反映についてお伺いいたします。
 県においては、限られた資源を最大限に活用しながら、県民にとって満足度の高い、効果的で効率的な行政を運営していくため、平成12年度に政策評価を試行し、平成13年度には機構改革により総合政策室に政策評価課を新設して体制を整え、政策評価を本格的に導入したところであります。この政策評価では、岩手県総合計画の着実な推進を図るため、総合計画に掲げる主要な指標の動向を基本として、県民意識調査の結果や社会経済情勢なども含めて総合的に評価していると承知しておりますが、何より政策評価の結果をその後の政策立案等に反映させることが非常に重要であると考えております。
 そこでお伺いいたしますが、平成12年度の政策評価の試行結果が平成13年度の施策にどのように反映されているのでしょうか。また、平成13年度に本格実施した政策評価の成果をどのようにとらえているのかあわせてお伺いいたします。

〇佐藤総合政策室長  政策評価結果の施策への反映についてでありますが、まず、平成12年度は、主要な指標の動向や県民意識調査の結果などによりまして政策評価の試行を行いました。この評価結果に基づきまして、政策評価・推進会議におきまして7項目の平成13年度施策重点化方針を定めまして、平成13年度当初予算におきまして110の事業、646億円余の重点化施策・事業の選定を行ったところであります。
 次に、平成13年度の政策評価は、専担組織の政策評価課を設置いたしまして、これまでの事務事業評価、公共事業評価あるいは政策評価そのものを統合しましてシステム化し、外部意見を反映するための第三者委員会の試行的な設置、それから、重点化方針や予算編成への一層の反映、連携など改善を加えながら、総合計画に掲げる17の施策につきまして総合的な評価を行い、施策の達成状況や施策展開上の課題などを明らかにしたところであります。
 評価の結果に基づきまして平成14年度施策重点化方針――雇用の確保など8項目でございますが――を策定いたしまして、予算要求におきましても、これらの項目については重点的課題として取り組んだものであります。
 以上の評価結果を踏まえまして、新規事業、継続事業の中から重要度の高い事業を平成14年度重点化施策・事業として選定いたしまして、これらの事業につきましては、予算要求で政策形成経費として予算調整に反映させるなど重点的な予算配分を行ったものでありまして、その重点化施策・事業は、132の事業と、額にしまして465億8、600万円余となっております。
 なお、平成14年度の施策重点化方針に基づいて各部局が企画した新規事業――これは46の事業がございますが――については事前評価を試行的に導入し、できるだけ客観的な方法で事業内容を検証しながら、重要度の高い新規事業を厳選したところであります。
 次に、政策評価の成果といたしましては、施策の達成状況や施策展開上の課題などが把握されることによって施策展開の重点化が可能になったこと、それから、各部局間に部局横断的な施策形成の機運がこれまで以上に醸成されてきたことなどが挙げられます。

〇佐藤力男委員  県で示します評価結果と県民満足度が必ずしも一致していないように思われますので、今後もさらに反映に努力されますことを期待しまして次に進みます。
 次に、平成13年度の財政運営についてお伺いいたします。
 平成13年度の当初予算は、経済情勢が厳しい状況を脱していない中にあって、県税収入や地方交付税等に多くを期待し得ない一方で、公債費が累増するなど一層厳しい財政環境のもとでの予算編成を余儀なくされたところであり、また、年度途中には、国の改革先行プログラムを実施するための第1次補正予算及び緊急対応プログラムを実施するための第2次補正予算に呼応して補正予算を編成するなど、限られた財政の中でさまざまな課題への積極的な対応を求められているところでありますが、平成13年度においては、年間を通じて、どのような考え方に立って財政運営に当たってきたのでしょうか、財政運営に当たっての基本姿勢についてお伺いいたします。

〇小原総務部長  平成13年度の財政運営についてでありますが、まず、歳入面では、地方財源不足額について、交付税特別会計の借入方式から、地方公共団体が個々に臨時財政対策債を起こす方式に初めて切りかえられたことから、地方交付税の減額という財源確保の上で難しい状況が生じたこと。また、県債残高が多額となっていることから、中期的な財政見通しのもとに県債発行を厳選することが求められたこと。歳出面では、公債費が増加する中にあって、政策評価結果による施策重点化方針に配意しながら、限られた財源の重点的、効果的な配分を基本として、県の総合計画の着実な推進が求められたこと。特にも、公共事業については、事業効果の早期発現を目指し継続事業を大幅に進捗させることに主眼を置き、新規着工箇所については優先度を踏まえて厳選するなど重点化、効率化を図ることとしたことなどが挙げられ、このような観点から、平成13年度当初予算は、対前年度比0.7%増という歳出抑制型予算として編成に至ったものであります。
 平成13年度は、年度間を通じて厳しい財政環境にありましたが、新たな行政課題や緊急の財政需要に機動的かつ的確に対応することといたしまして予算の補正を行ったところであり、9月補正予算では、凍上災害等の災害復旧事業費や国庫補助内示に伴う公共事業費の確定に係る経費を計上いたしました。また、12月補正予算においては、特に緊急を要する課題であったBSE対策と岩手信用組合の破綻対策に要する経費を措置するとともに、悪化する雇用情勢に対処するため、国の改革先行プログラムに基づく第1次補正予算等に呼応した国の雇用対策基金54億円と、それを補完する県単基金10億円の設置及びその活用に要する経費を計上したところであります。2月補正予算では、国の緊急対応プログラムを実施するためのいわゆる第2次補正予算に呼応いたしまして、公共事業を中心とする予算を編成したところであります。平成14年度当初予算とあわせて、いわゆる15カ月予算として一定の事業量の確保を図り、経済対策効果の早期発現に努めたところであります。その結果、平成13年度の最終予算額は、前年度最終予算額に対しまして74億円、0.8%の減となったものであります。
 以上のとおり、平成13年度の財政運営に当たりましては、多額の県債残高を抱えていることから、県債発行及び歳出規模の抑制を図るとともに、緊急度と優先度の高い施策についての一層の重点化・効率化に努めながらも、緊急を要する行政課題あるいは財政需要にも可能な限りの対応を行ってきたものと考えております。

〇佐藤力男委員  厳しい財政運営の中で精査されて事業実施を目指されたものの多額の繰越額を計上されましたことは、やむを得ない事情と承知しながらも、大変残念なことでもございます。なお一層の円滑な行政運営を要望し、次に進ませていただきます。
 次に、県税の決算状況についてお伺いいたします。
 平成13年度の県税の収入済額は1、229億7、200万円余で最終予算額を2億1、000万円ほど上回る結果となっており、税収の確保に御尽力をいただきましたことに敬意を表する次第であります。しかしながら、平成12年度決算額に対しては65億2、300万円余の減となっており、かなり厳しい状況であります。
 そこでお伺いいたしますが、主な税目ごとの決算額は、前年度あるいは最近の推移から見てどのような状況になっているのでしょうか、増減の要因もあわせて御説明願います。
 また、地方分権を一層推進するためにも、自主財源である県税の確保はますます重要になっており、そのためには収入未済額の縮減が大変重要と考えているところでありますが、収入未済額は前年度と比較してどのようになっているのでしょうか。収入未済額の縮減にどのように対処しているのかも含めてお伺いいたします。

〇小原総務部長  県税の決算についてでありますが、県税収入全体では1、229億7、220万円ということで、お話のあったとおり、前年度より65億2、300万円余、率にして5.0%の減となりました。
 主な減収税目といたしましては、県税全体の7%を占めます県民税利子割は、高金利時に預けられた定額郵便貯金――10年ものでございますが――の集中満期のピークが過ぎたことから、前年度より12.3%減の85億7、600万円余となったところであります。また、全体の23.8%を占めます法人2税は、景気低迷の影響によりまして法人所得が減少したことなどから、前年度より6.5%減の292億6、400万円余となり、中でも法人事業税は、景気低迷に加え、企業活力あるいは国際競争力の観点から平成10年度、平成11年度税制改正におきまして2年続けて税率が引き下げられたことから、ここ数年落ち込みが著しいところであります。さらに、全体の10.6%を占めます地方消費税は、消費の低迷から前年度より4.3%減の130億300万円余となったところであります。また、全体の16.9%を占める軽油引取税は、物流の低迷によりまして引取数量が減少したことから前年度より6.9%減の208億6、400万円余となったところであります。
 一方、唯一の増収税目といたしましては、全体の17%を占めます自動車税は、定期賦課台数が伸びたことから前年度より0.8%増の209億3、400万円余となったところであります。
 次に、県税収入の未済額についてでありますが、平成13年度は、県税全体では前年度より3億700万円余、率にして13.7%減ったところでありますが、これは、軽油引取税の多額滞納事案――約4億2、300万円ほどでしたけれども――について、関係都道府県と連携をとりながら調査を進めた結果、その大半が東京都に課税権があることが判明いたしまして、本県計上分を減額処理あるいは不納欠損処理をしたことによるものでありまして、この特殊要因を除けば、収入未済額は逆に1億1、600万円余、率にして6.4%増加したところであります。
 この主な増加要因といたしましては、一つは個人県民税で、完納町村数が9となり、前年度は13でしたので、2けたを割り込んだことで未済額が10億円を超えまして、前年度より7、100万円余の増になったところであります。また、自動車税では、滞納件数が2、656件、34.2%増加したことなどによりまして3億5、400万円、前年度より8、900万円余の増となったものであります。
 このように滞納が増加している状況を踏まえまして、本年度は、今申し上げたとおり、恒常的に増加している個人県民税あるいは自動車税の滞納額縮減を重点課題といたしまして、各地方振興局で目標数値を設定した上で具体的な整理計画を策定し、その計画に沿ってさらなる滞納整理の促進に努めているところでございます。
 具体的には、未納額全体の18.3%を占めます自動車税について、期限を定めて初動集中整理期間を全職員体制で実施したほか、全県一斉マスコミ発表を行うなど納税PR等に努めているところであります。また、全体の54.8%を占める個人県民税については、市町村と一層の連携を図って、共同文書催告あるいは共同臨戸催告等のほか、人事交流を行うなどして市町村に対する徴収支援等に努めているところであります。
 いずれ、税の滞納は直接自治体の予算編成に影響を与えますので、今後におきましても、市町村とも連携して徴収に力を入れてまいりたいと考えております。

〇佐藤力男委員  次に、県内市町村の決算状況等についてお伺いいたします。
 現在、市町村財政は、県財政と同様、長引く景気低迷による税収減や過去数次にわたる景気対策などによって地方債の現在高が年々増嵩するなど、財政の硬直化が進行し、極めて厳しい状況にあります。一方、国においては、国庫補助金、地方交付税、税財源移譲を含む税源配分のあり方の三位一体の改革を検討しており、先月には、地方交付税の財源保障機能の廃止・縮減を求める財務省の基本的考え方が示されるなど、市町村財政をめぐる状況は大きく変化しようとしております。
 このような状況の中で、その規模等により財政状況は異なると思いますが、県内市町村における平成13年度決算の状況はどのようなものであったかお聞かせ願います。また、その決算状況などから見て、県内市町村における財政運営上の課題をどのようにとらえておられるでしょうか。さらに、今後、県としてどのように対応していくおつもりなのかもあわせてお伺いいたします。

〇飛澤地域振興部長  県内市町村の平成13年度の決算状況でございますが、平成13年度の県内市町村における普通会計決算の見込みでございますけれども、平成12年度と比較いたしますと、歳出決算額は、普通建設事業の抑制などがございまして、1.3%減の6、357億4、100万円となっております。
 それから、財政状況を見ますと、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は前年度より1.1ポイント高くなっておりまして、81.9%となっております。また、市町村債の元利償還に充てられる一般財源の度合いを見る公債費負担比率が19.5%と前年度より0.6ポイント上昇しておりまして、地方債の残高も7、756億円の1.8%増と、年々増加する傾向にございます。
 現在、国におきましては、地方税財政制度の改革を進めているところでございまして、各市町村におきましては、行財政改革に取り組むとともに、総体として抑制的な財政運営が求められているのではないかと考えております。
 県といたしましては、今後とも国の動向を見ながら、一つは、税収入の確保あるいは受益者負担の適正化など財源確保に努める一方で、事務事業評価などに基づきまして各種施策の優先順位について厳しい選択を行うなど、限られた財源の重点的かつ効率的な運営が必要と考えております。同時に、財政構造の十分な分析と的確な把握を行いまして、財政状況につきまして住民の皆様方から理解をいただきながら、中長期的な見通しのもとに健全な財政運営を進めていくことができるようにしていかなければならない、そういった点にウエートを置いて、市町村に対しまして必要な情報提供と助言を行ってまいりたいと考えております。

〇佐藤力男委員  次に、県民の健康で快適な生活を確保するための環境の保全に関する条例についてお伺いいたします。
 昨年12月議会において成立した生活環境保全条例が本年4月1日から施行され、約半年が経過いたしました。この条例は、近年における都市・生活型公害、ダイオキシンなどの化学物質による環境汚染、さらに、地球温暖化などに見られる地球環境問題が県民の大きな関心を集め、県としてこれらの環境問題に適切に対応する必要があり、制定されたものと認識しております。
 しかしながら、県民の日常生活に密接にかかわる規制も含まれていることから十分な周知が必要であり、特に焼却行為に対する規制については市町村との連携も不可欠であるとの議論が議会でなされ、その結果、施行日を原案の平成15年10月1日から平成16年4月1日に修正したという経緯がございます。
 そこでお伺いいたしますが、本条例に関して、これまで県民等への周知活動はどのように行ってきたのでしょうか。また、現時点での市町村、産業界、県民の対応や反応をどのようにとらえておられるでしょうかお示し願います。

〇高橋副知事  いわゆる環境保全条例につきましては、御指摘のように、2月の予算特別委員会でもその周知徹底について御指摘を受けたわけでございます。これらを踏まえまして、まず第1に、テレビ、ラジオ、それから全戸配布しておりますいわてグラフ等を活用しまして周知・啓発を実施しております。特にラジオでは、野外焼却規制を中心に、もう既に12回ほど実施しているところでございますし、また、パンフレット、リーフレット――これは住民の皆さんにお配りするということで50万部ほど刷らせていただいておりますが――、これらはすべて市町村の意見を反映して、住民にわかりやすいような形につくられておりますが、これらを作成し、配布しているところでございます。
 市町村との連携につきましては、担当者会議はもちろんでございますが、県内を6ブロックに分けまして、市町村、地方振興局、県との打ち合わせを実施いたしておりますし、また、合同で地域ごとの住民説明会も実施しているところでございます。
 その他、産業界等につきましては、商工団体等に対する説明会をこれまで4回開催しておりますし、また、例えば改良普及員が地域を巡回する際に訪問活動で周知を図るとか、それから、食生活改善推進員団体連絡協議会、JA女性部、そういう団体を通じて説明をするという形で、あらゆる機会をとらえて周知徹底を図ったところでございます。
 これらへの対応とか反応でございますが、市町村では、おかげさまで現在積極的に協力をしていただいていると受けとめております。それから、産業界への周知につきましては一定の効果を上げていると考えておりますが、ただ、県民各層への浸透はいまだ十分と言えないと考えておりますので、今年度、地方振興局と周知方法の検討や周知状況の検証を行い、これらを踏まえ、一層きめ細かな周知活動に取り組んでまいりたいと考えております。

〇佐藤力男委員  次に、循環型社会の形成に向けた産業廃棄物適正処理の推進についてお伺いいたします。
 大量消費、大量廃棄の20世紀型の社会から、資源の循環による持続可能な21世紀型の新しい社会の構築が求められている中、首都圏等のごみが大量に本県に持ち込まれ、不法投棄されるという、まさに20世紀のひずみを象徴するような事件が表面化いたしました。私は、この原因の一つとして、産業廃棄物の処理の実態と、法律を初めとする制度が必ずしもマッチしていないことが挙げられるのではないかと考えております。
 本議会には、循環型地域社会の形成に関する条例を初めとする産業廃棄物に関する条例が提案されておりますが、県は、循環型社会の構築を目指す上で、産業廃棄物処理の現状をどのようにとらえ、解決を図ろうとしているのかお示し願います。

〇高橋副知事  御指摘のように、例えば青森県境不法投棄事件に見られますように、産業廃棄物が広域的に移動することに伴いまして処理責任が不明確になっているわけでございますが、現行の廃棄物処理法では特段対策が講じられていないわけでございます。また、コスト優先の安かろう悪かろうという処理によります悪貨が良貨を駆逐する構造にありながら、これを是正する手だてが講じられてこなかったこともございます。また、廃棄物ではなくて有価物だという主張がなされると指導監督が困難であること等、現行法や従来の施策では対応し切れない事案が増加しているわけでございます。
 このため、今般、3条例をお願いして提案しているわけでございますが、この条例の中で、県外からの産業廃棄物の搬入に係る事前協議及び搬入量に応じた環境保全協力金を制度化することで現行法を補完いたしたい、そのように思っているところでございます。
 また、県内の産業廃棄物処理業の経営の健全化を図る公益法人を産業廃棄物処理業者育成センターに指定いたしまして、民間との役割分担のもと、産業廃棄物処理の安心度の観点から処理業者を格付することで、コストだけではなくて安心できる処理を行う優良な処理業者に仕事が集まるシステムを構築いたしまして適正処理の推進を図ることとしております。
 それから、指導監督の対象が廃棄物処理法上では「廃棄物」となっておりますが、これを保管なのか廃棄なのか判断が困難な、例えばRDF様の廃棄物 ごみ固形化燃料様廃棄物でございますが とか建設廃材等を含む「廃棄物等」へ拡大することで有価物を偽装した不法投棄事件への早期の対応を可能とするなどの仕組みを盛り込むことで現行法を補完いたしまして各種施策を充実・強化していこう、そのように考えておるところでございます。

〇佐藤力男委員  ただいまは県の一定の認識を示されたわけでございますが、広い県土を有する本県にあっては、国の法の定めによる条例規制は必ずしも県民意識と一致していないという認識も持っております。いずれ、今後、環境に関する両条例が制定の目的に沿って県民の理解が得られますよう、求められる環境問題に適切に配慮されますよう、その努力をお願いいたしまして次に進ませていただきます。
 本県の新エネルギーの導入状況は、太陽光発電は県営施設などへの設置が順調に進んでおり、また、風力発電は、葛巻町や釜石市、遠野市、大槌町にまたがる丘陵地帯で大規模風力発電を進めているなど活発な導入が図られているところであります。こうした、地域に賦存する各種の新エネルギーを有効利用する取り組みは大変好ましいことではありますが、私は、新エネルギーの中でも岩手県において真に有効なものは何かを見定め、ある程度絞り込んでいく時期に来ているのではないかと考えております。
 そこでお伺いいたしますが、県としては、これまでの取り組みを踏まえ、今後どのような新エネルギーに力点を置いて導入・普及に力を入れていこうとしているのでしょうかお示し願います。

〇高橋副知事  本県の恵まれた自然条件などの地域特性を最大限に生かしますとともに、地域に豊富に賦存するエネルギー資源を積極的に活用する観点で、岩手らしさを前面に出した新エネルギー導入を目指したいと考えておりますが、具体的に申し上げますと、風力発電につきましては、北上高地などの丘陵地を中心として恵まれた地域が多いわけでございまして、環境への配慮をしながら導入促進を図ることとしております。
 それから、バイオマス利用でございますが、これにつきましても、国内有数の森林地域を有しておりまして、林産資源が豊富でございます。また、畜産も盛んでございまして、家畜排せつ物も大量に発生するということでございますので、これらバイオマス資源を活用したエネルギーの導入を図ることとしております。
 それから、地中熱利用ヒートポンプシステムにつきましては、全国でもいち早く実証実験を行ったわけでございまして、その結果、年中温度が一定な地中熱を利用するため、燃料消費量の削減-省エネ効果でございますが-、それから、環境負荷の低減に大変効果があるということがわかってまいりました。今後、これを積極的に導入していきたいと思っております。
 それから、今度新たにバイオマスとともに、新エネルギーに入りました雪氷冷熱がございます。豪雪地帯が多いわけでございますので、農作物の貯蔵なり施設の冷房にこれを新しいエネルギー源として利用する取り組み、これもあちこちで先導的に見られるわけでございますが、これにつきましても積極的な導入を図ってまいりたい。
 それから、太陽光発電につきましては、日射量は東京とほとんど同じで、全国的には遜色がないということでございまして、これにつきましては、国の補助制度を活用しながら、個人住宅への普及を中心に導入を図ってまいりたい、そのように考えております。

〇佐藤力男委員  ただいまは、これまで取り組んでこられました新エネルギーについて、その成果あるいは今後の取組姿勢を示されたわけでありますが、これらの推進に当たりましては、それぞれ抱える課題もあるわけでありまして、そうした細かい点にも積極的に対応されまして進められることを希望いたします。
 次に、高齢化社会に対応した元気な高齢者に対する保健福祉施策の充実についてお伺いいたします。
 高齢者にとって豊かな暮らしとは、地域においてできるだけ介護保険のお世話にならず、自立して家族とともに生きがいを持って生活していくことであり、しかも地域社会の一員として、生涯現役でさまざまな地域活動に積極的に参加していくことであろうと思います。このためには、介護予防の観点から、常日ごろからスポーツで体を鍛えたり、学習や仲間づくりなどさまざまな活動を積極的に行っていくことも重要であろうと思っております。
 そこでお伺いいたしますが、人生経験豊かな地域のベテランである元気な高齢者の方々の生きがいづくりに県としてどのように取り組んでいくのか、また、高齢者の方々の健康づくりへの支援をどのように行っていくのかお示し願います。

〇高橋副知事  高齢者が健康で生きがいを持って豊かに暮らしていくためには、委員御指摘のように、これまでに培った経験、知識、技能、これらを発揮いたしまして、地域社会の中で積極的に活動していくことが重要であると考えておるわけでございます。県の主な取り組みといたしましては、まず第1に、生涯学習につきましては、約400人の参加者を得まして、県内4カ所の青少年の家などでいわてシルバーカレッジを開催したところでございます。それから、生涯スポーツにつきましては、約3、500人が参加いたしまして、盛岡市などでいきいきシルバースポーツ大会などを8月から9月にかけて開催いたしたところでございます。また、地域における社会貢献活動の支援といたしましては、シルバーパワーネットを各地方振興局において展開いたしまして、高齢者保健福祉基金を活用して、例えば江刺市の下川原水辺環境をよくしよう会など、現在までのところ17事業に助成しているところでございます。それから、就労活動の支援も大事でございまして、市町村の地域活動交流センター11カ所、それから、高齢者団体の生産・加工・販売活動拠点でございます結っこステーション4カ所を設置してございます。また、健康づくりの取り組みにつきましては、県内の19の市町村老人クラブ連合会が行うニュースポーツ講習会、健康セミナーなど46事業について支援を申し上げ、地域の健康づくり活動の推進を図っているところでございます。
 今後におきましても、高齢者が健康で生きがいを持って、地域社会に参加、貢献できるような環境づくりを進めるために、県高齢者保健福祉計画の見直しに当たり、新計画において引き続きこれらの取り組みを重点事項として位置づけまして支援してまいりたい、そのように考えております。

〇佐藤力男委員  私の地域の事例まで挙げて答弁していただきました。
 いずれ、本県は、ますますこれから高齢化比率が高くなっていくであろうと思いますし、特に中山間地域においては、高齢者の皆さんが元気であることが何よりも地域が活性化することであろうと思います。引き続き積極的にお取り組みをいただきまして、やり過ぎはないわけでありますから、高齢者の生き生きした岩手県をつくれるようにお願いしたいと思います。
 次に、少子化社会への対応についてお伺いいたします。
 県では、平成13年1月に少子化対策の総合的な計画としていわて子どもプランを策定し、男女がともに家庭や子育てに夢を持ち、次代を担う子供たちが健やかに育つ環境づくりを基本方針に掲げ、子育てをしやすい環境づくりを総合的に推進していると承知しております。
 しかしながら、私は、少子化対策の原点は未婚率を減少させることであり、これを解決せずに人口増加を望めるはずがないと訴えてまいりました。未婚者の中には、さまざまな事情により、結婚したくてもなかなかそこまでいけない人も多いのではないかと思われます。そこで、県としても積極的に結婚支援策に取り組むべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。

〇高橋副知事  本県におきます40代の方の未婚率は国よりも若干高いわけでございまして、また、近年かなり未婚の方々の割合がふえてきている状況でございます。結婚や出産は個人の自由な選択にゆだねられるものでございまして、平成10年度に実施いたしました県の少子化に関する意識調査の結果などを踏まえまして、いわて子どもプランでは、結婚支援策としては、結婚を希望する人たちがその願いを実現できるように、未婚の男女の出会いの場の提供を促進することとしているわけでございます。これまでも、市町村や岩手県農業公社などによります青年たちの交流活動や結婚相談員を対象とした研修会の開催など、地域における自主的な取り組みを支援してまいっております。
 最近の若者の意識等を踏まえますと、広域的に行われているスポーツ、サークル、それからボランティア等の活動を通じて自然な形で出会いを繰り返し、互いを理解していくことが必要ではないのか、そういう考えも持っております。このため、県のホームページを活用いたしまして、地域で行われております若者を対象とした交流事業や公的な結婚相談窓口等の状況につきまして広く情報提供をするよう現在検討を進めておるところでございまして、できれば年度内にはこれを立ち上げたいと考えております。

〇佐藤力男委員  ただいま後段の方で、検討してこれから取り組むべき姿勢をお伺いしまして、少しは考えていただいていると思っております。この結婚問題に関しては、個人の性格によるところが強いといいましても、だれかお世話する人もいていいわけでありまして、そうした意味では、狭い地域ではなく、県のレベルで対応することも私は大変重要だと思っておりますので、引き続きお願い申し上げまして、次に移らせていただきます。
 次に、観光振興についてお伺いいたします。
 県は、平成9年度において、県内を魚彩、湯雪、黄金、穀彩の四つの王国に区分し、これまでそれぞれの王国の実行委員会と一緒になって観光振興に取り組んできたところでありますが、最近の観光の状況を見ますと、団体旅行客が減少し、観光客のニーズもますます多様化しているように思われます。観光振興に対する取り組みも、例えばこれまでの四王国を中心とした取り組みを見直すなど、こうした状況変化に対応する視点が必要となってくるのではないかと考えるものであります。
 そこでお伺いいたしますが、最近の観光客の入込状況はどうなっているでしょうか。その状況をどうとらえ、今後どのように取り組んでいこうとしているのでしょうか。観光に対するニーズが多様化している状況にあって、観光動向を的確に把握するとともに、本県固有の歴史や文化に光を当てるような観光施策を進めるべきと考えますが、御所見をお示し願います。

〇高橋副知事  まず、観光客の入込状況でございますが、平成8年の4、158万9、000人回がピークでございまして、その後、平成10年には御案内のように岩手山の火山活動の影響などによりまして減少し、平成13年は3、925万5、000人回と、前年度に比べてわずかに増加したわけでございますが、依然として全体としては伸び悩んでいる状況にあるわけでございます。
 県内客と県外客に分けて見ますと、県内客が約6割、県外客が約4割ということで、県外客が減少する傾向にございます。それから、日帰り客と宿泊客別では、宿泊客がやっぱり減少する傾向にあるわけでございます。
 こういう入込状況につきましては、申し上げましたように、県外からの入り込みなり宿泊客が減っているわけでございまして、ホテル、旅館、交通事業者など県内の観光関係者にとっては厳しい状況が続いていると思っておりますし、また、日本の人口はやはりこれから減少に転ずることが予想されているわけでございまして、それと同時に、今、安い海外旅行商品との競合がございまして、国内観光を取り巻く環境は大変厳しいわけでございます。ただ、レジャー白書によりますと、逆に健康とか、いやしを求める自然志向、それから本物志向の高まりなど、国内観光旅行への潜在需要は依然高い状況にあるとされておるわけでございまして、これに期待した取り組みをしていかなければならないということでございます。
 県としては、これまで進めてきた四王国事業の成果を生かしながら、観光情報誌の読者アンケート調査などにおきまして、本県への関心が高く、時間的にも経済的にも余裕のある中高年層に的を絞りまして、奥州藤原文化やアテルイなどの本県固有の歴史、文化、また、啄木、賢治の人物、それから、豊富で新鮮な食材と郷土料理などを生かした岩手ならではの旅を提案してまいりたい、そのように考えております。こういう岩手ならではの旅の提案によりまして、新規顧客の開拓、また、リピーターの確保を図って、ゆったり、のんびり、岩手の自然や文化、人情などに触れ合う、いわゆるスローライフな旅を多くの方に楽しんでいただくように努めてまいりたい、そのように考えております。

〇佐藤力男委員  いずれ、雄大な自然を有するとともに、地域固有の誇れる歴史があるわけでありますから、どうぞこれからも積極的に本県の観光振興を図っていただくように御要望申し上げまして、次に進ませていただきます。
 次に、新規学卒者の雇用対策について質問をする予定でございましたけれども、今議会一般質問で先輩議員各位から詳しく取り上げられましたので割愛させていただきます。
 私もかねてから申し上げておりますように、有職者の失業はまさに国の問題だとしても、新規学卒者、特にも、地域に残りたいとする就職希望者が職につけない実態は、まことに憂慮すべき問題であると思っております。特に、我が胆江地方は30.1%の内定率でございまして、これは、求人倍率が0.32%でありますから、まさに職がなくて就職できないという実態であります。そうした意味では、就職支援をするというよりも、雇用できる環境をぜひ県の施策としてとっていかなければならないものと考えておりますので、今後ますます努力されますことをお願い申し上げまして、次に進ませていただきます。
 中山間地域の農業振興対策についてお伺いいたします。
 我が国の農村は、高度経済成長期に多量の労働力を提供し、経済発展を支えてきましたが、その結果、農家戸数の減少、高齢化が進み、安定成長期に移行した現在でもその傾向は続いており、西日本では集落の維持さえ困難になる地域も出てきていると聞いております。本県の場合、農家戸数の減少、高齢化の状況はどのようになっているでしょうか。
 特に、本県は中山間地域が多く、これらの地域は農家戸数の減少、高齢化がより顕著に進んでいると思われますが、今後、中山間地域の農業を安定的に維持・発展させていくために、県としてどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

〇高橋副知事  2000年の農業センサスで見ますと、農家戸数は9万2、438戸と、5年前に比べまして7.8%減少しております。また一方、農業従事者の高齢化率-これは65歳以上の占める割合でございますが-は32.2%と、これは5年前に比べて6.5%増加してございます。中山間地域全体もほぼ同様の傾向でございますが、山間地域では、農家戸数が11.7%の減少、それから、農業従事者の高齢化率は36.4%で7%の増加と、その傾向がより顕著となっているわけでございます。
 このように、中山間地域は厳しい状況にあるわけでございますが、中山間地域は、農家戸数の減少、高齢化の進行で農業労働力の不足が強く懸念されておるわけでございまして、地域農業の安定的発展を図るため、まず第1に、地域ぐるみの主体的な取り組みによりまして、農業生産のみならず、地域資源を積極的に活用した農産加工、産直などの起業化によりまして付加価値をつくり出し、地域全体で所得の向上を目指すことが重要である、そのように考えているわけでございます。
 県としては、このような地域の主体的な取り組みに対しまして、中山間地域等直接支払制度、いわて農業担い手支援総合対策事業、いきいき農山漁村づくり支援事業などによりまして、支援をしているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを支援いたしまして、他の地域に波及させながら中山間地域の安定的な農業発展に努めていきたい、そのように考えております。

〇佐藤力男委員  次に、地産地消推進運動の取組状況と園芸品目の地場流通の促進についてお伺いいたします。
 県では、昨年6月から、地元で生産された農産物を地元で消費する地産地消について県民運動として取り組みを展開したところであり、新鮮で安全・安心なものに対する消費者の要請が高まっている中、まことに時宜を得た運動であると思っております。
 そこで、まず、昨年6月からこれまでの地産地消推進運動の取組状況についてお伺いします。
 また、この運動の推進に当たっては、特に、身近な品門である野菜など園芸品目の地場流通がポイントになると思っております。園芸品目についてはこれまで団体任せであったという感を持っており、今回の運動に大いに期待するものでありますが、今後この運動と関連づけて園芸品目の地場流通をどう促進していくお考えなのか、あわせてお伺いいたします。

〇高橋副知事  地産地消運動の取組状況でございますが、重点的な取組事項といたしまして、毎月第4土曜日の前後3日間をいわて食財の日と設定いたしました。また、学校給食や食品産業における県産農林水産物の利用拡大、食生活指針の普及・定着、これらを重点取組事項として推進しているところでございます。
 特に、学校給食につきましては、牛肉や雑穀、地元産大豆を原料とした豆腐などの特産物を利用した地元食材の給食の日が県内各地において実施されておりますほか、パンにつきましても、これまでは輸入小麦を100%原料としていたものでございますが、ことしの4月から県下一斉に県産のナンブコムギを30%混合いたしましたパンに切りかわっております。また、本年10月には全国初の地産地消全国の集いを本県で開催したところでございますが、この大会には全国から1、400人余りの方々が集まりまして、地産地消の意義を改めて確認し合いますとともに、食と農の交流を深めたところでございます。
 それから、園芸品目につきましては、日常生活の中で旬を感じさせ、また、日々の食生活に欠かすことのできないものでございまして、地産地消を推進する上で大変重要な品目でございます。県内の市場に入荷される青果物のうち、県産品が占める割合は――季節によって大きく変わるわけでございますが――年平均では25%程度になるのではないのかと推定しておりまして、議員御指摘のように、地場流通を一層促進する必要があると思っているところでございます。このため、県内市場での取扱量の拡大、それから、地場流通の仕組みづくりに向けまして、出荷団体、流通・販売関係者との協議を進めているところでございまして、この10月には県南の量販店内に産直コーナーが設置されたところでございます。
 今後とも流通実態の把握にさらに努めますとともに、地産地消の推進とあわせまして、出荷団体、流通・販売関係者の理解と協力を得ながら、先進地域での取組事例を広く県内に波及させるなど、地場流通の促進に向けて取り組んでまいりたい、そのように考えております。

〇佐藤力男委員  今、一定の認識をお示しいただきました。いずれ、園芸品目を中心とした流通の形態が変わっておるという実態があると思っておりますし、また、その一つのあらわれが今回の岩果の問題であろうと思っているわけであります。今後、問題の本質をとらえられまして、生産者、消費者どちらの実態も十分検討されながら、適正な本県の流通、園芸を中心とする農業に努力していただきたい、そのように思っているところでございます。
 次に、BSE対策の成果と今後の課題についてお伺いいたします。
 昨年9月に我が国で初めて確認されたBSEは、社会全体に大きな不安を与えるとともに、牛肉消費の減退、牛肉及び子牛価格の下落など、畜産経営に大きな影響を及ぼしたところであります。現在では牛肉の消費量も価格もかなり戻ってきており、消費者も落ち着いて対応するようになってきていると思っております。
 発生後の国や県においての状況、対策については先ほどの質問で答弁がございましたので割愛させていただきますが、現在、どのような課題が残されておるのでしょうか。また、それに対してどのように取り組みをされようとしているのかお考えをお聞かせください。

〇高橋副知事  BSE対策についてはそれぞれ実施をしてきたわけでありますが、現在、残されている課題といたしましては大きく二つございます。
 一つは、肉骨粉の焼却をどのようにして進めるかということでございまして、現在、県内4カ所、県外2カ所の6カ所で1日当たり51トンを焼却しているわけでございますが、特に太平洋セメント大船渡工場さんでは施設等の改善によって焼却量を大幅にふやしていただいたわけでございますが、これらの取り組みにもかかわらず発生量は約75トンでございまして、依然として在庫量は減っていない状況でございます。このため、現在、受け入れを検討中の県内一般廃棄物処理場に対しまして、早期受け入れに対して協力を要請しております。それから、県外での焼却についても引き続き要請しているところでございます。これは、現在は秋田の方である程度の動きがございます。
 二つ目の課題としては、死亡牛のBSE検査への対応がございまして、ことしの7月に施行されました牛海綿状脳症対策特別措置法に基づきまして、平成15年4月1日から、24カ月齢以上の死亡牛全頭につきまして、生産者は県が行うBSE検査の受検が義務づけられたところでございます。このことについて生産者等への周知の徹底を図りますとともに、これの対応をしていかなければならないということでございまして、これにつきましても、いずれ適切に対処してまいりたい、そのように考えております。

〇佐藤力男委員  次に、県内の森林組合の経営状況についてお伺いいたします。
 森林組合は、地域の森林管理の担い手としてこれまでも大きな役割を果たしてきたところであり、今後とも、森林の持つ公益的機能の確保や林業の振興を図る上からも、その役割を安定的に果たすことが期待されております。しかしながら、県内の森林組合の経営状況については、基幹事業である造林事業の減少や木材価格の低迷などにより、極めて厳しい状況にあると認識いたしておりますが、最近における森林組合の経営の実態はどのようになっているのでしょうか。また、森林組合を取り巻く厳しい状況の中で、森林組合の経営改善を図るために県としてどのように取り組んでおられるのでしょうか、お伺いいたします。

〇高橋副知事  森林組合の経営状況でございますが、平成13年度単年度で申し上げますと、これは九戸村森林組合を除いておりますが、赤字、損失を計上した組合は6組合でございます。それから、累積欠損金を計上した組合、これは九戸村森林組合を含んでおりますが、26組合中12組合でございます。
 この累積欠損金を計上するに至った主な要因といたしましては、造林事業の減少、林産・加工事業の不振が主な要因として挙げられるところでございます。
 これら森林組合に対する支援策でございますが、今年度から、緊急に経営改善を要する組合に対しまして、森林組合経営改善事業によりまして、経営コンサルタントの指導による経営改善計画の策定に対して支援を行っているところでございます。
 さらに、経営改善に意欲的な組合におきましては、組合みずから経営改善に向けて、森林組合連合会の指導のもとで、今年度から経営検討会議というものを設置しておりまして、県はこの構成員として参画し、指導・助言を行っているところでございます。
 なお、今年度において全国的な取り組みといたしましては、各県それぞれの森林組合連合会が自主的に改革プランを策定して、森林組合系統としての組織・事業改革に取り組むこととしているところでございます。

〇佐藤力男委員  次に、県産材の利用促進に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 近年、輸入木材の増加と木材価格の長期低迷により林業経営の採算性は悪化をたどり、林業生産活動の停滞から間伐などの整備が十分に行き届かない森林が県内にも見受けられます。さらに、住宅着工戸数の減少などにより木材需要全般の低下も危惧されるところでありますが、私は、本県の森林の適正な整備を促進し、林業の活性化を図っていくとともに、森林資源の循環利用を図るために、県産材の利用を一層促進していく必要があると思っております。
 県では、例えば県産木材を利用した住宅の建設に対して利子補給補助を行うなどの施策を講じておりますが、この制度が県産材の利用促進を図る上で真に実効性のある施策であるか、私はいささか疑問を持っているところであります。
 そこでお尋ねいたしますが、今後、県産材利用に向けた普及啓発と利用促進に向けた取り組みについて、県はどのように進めていくおつもりでしょうか、お示し願います。

〇高橋副知事  県産材の利用を積極的に推進していくことは、健全で活力ある森林の整備促進をして、森林資源の循環利用を図りながら良好な環境保全に貢献する面からも大変重要な課題でございまして、また、近年では、地球温暖化防止対策を推進する上からも大変重要でございます。
 木材利用推進を全庁的に取り組むために設置しておりますもっと・WOOD・県産材推進連絡会議を中心といたしまして、関係部局が連携を図りながら、公共施設や公共工事への率先的な木材利用や木製側 ぶた等の間伐材を利用した製品開発など、県産材の利用拡大に向けた取り組みを進めてきております。
 また、平成13年度には公共施設の整備で約9、200立米、土木工事等で約1万1、000立米の木材が利用されました。さらに、浄法寺町の役場庁舎、一戸町の交流センター等で公共施設の木造化への取り組みが広がるなど、一定の成果があらわれてきているのではないかと思っております。
 地域の木材を使った身近な施設に地域の方々が接することで、木のよさに対する理解が深まって、県産材の利用が促進されるものと考えております。このような市町村等が行うモデル的な木造施設、学童用の机、いすの整備に対して積極的な支援を行っていくと同時に、また、県産材の利用促進を図るために、気仙地域に見られるような川上から川下に至る一体的な取り組みを一層強化することによりまして、県産材を安定的に供給する体制を整備していくこととしております。
 それから、いわてめぐみフェア、県内各地で実施している木の日のイベントなどの普及啓発活動を通じまして、関係者が一体となって、一般住宅、公共施設等への県産材利用促進に向けた取り組みをより強力に進めていく考えでございます。

〇佐藤力男委員  次に、木質バイオマスの利用促進についてお伺いいたします。
 新たな森林資源活用の一つとして注目されている木質バイオマスのエネルギー利用については、紫波中央駅へのペレットストーブや住田町立保育園へのペレットボイラーの整備、沢内村のチップボイラーの導入など、県内各地で先駆的な取り組みが進められているところであります。
 地域林業の振興を図っていく観点からは、林内に放置されている残材や製材工場等から出される端材などを有効活用するために、チップやペレットとして積極的に利用していく取り組みが重要でありますが、さらには、北欧からの輸入品に見られるような高性能のまきストーブの開発なども考えられます。
 今後、木質バイオマスの利用施設の整備や県民への利用促進に向けて、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

〇高橋副知事  木質バイオマスの現在の取組状況でございますが、県では、岩手県木質バイオマス資源活用計画を定めまして、林業技術センターにペレットストーブを導入して、今調査を実施中でございますし、工業技術センターでは、南部鉄器を活用した岩手型ペレットストーブの開発を進めているところでございまして、今月16日には1号機を県民室に設置することとしております。
 それから、既存のチップ工場での生産が可能な木材チップの利用を進めていくために、今年度中に林業技術センターにチップボイラーを導入することとしておりまして、これらを通じて実証的な取り組みを行っているところでございます。
 このような木質バイオマス利用を広く県内に普及していくために、岩手型ペレットストーブは、県内市町村の公共施設などでモニター試験を行うこととしております。また、今後は一般住宅での利用に向けて小型化を進めなければならないということで、小型化を進めまして、県民への普及に向けた取り組みを進めることとしております。
 それから、市町村の公共施設などへの利用施設整備を推進するために、国庫事業等を活用した積極的な支援を行うこととしております。
 それから、林地残材、工場端材などの効率的な集荷方法の調査・検討も必要でございますし、木質燃料生産施設の整備、製材工場の乾燥施設、農業用ハウスの熱源としての利用、さらには、御提言ございました従来からのまき、木炭の利用など、これらも含めた総合的な木質バイオマス利用促進対策に取り組んでいかなければならん、そのように思っております。
 県民への利用推進につきましては、来年1月に県民を対象にした木質バイオマスシンポジウムを開催いたしまして、このような木質バイオマスの利用促進をPRすることとしております。

〇佐藤力男委員  いずれ、北海道に次ぐ林業面積を持つ我が県でありますので、きめ細かい実効性のある施策を積極的に展開されますことを要望いたしまして、次に進ませていただきます。
 次に、環境共生型住宅についてお伺いいたします。
 環境首都の実現を標榜する本県においては、岩手県地球温暖化防止県民行動計画による二酸化炭素の排出抑制策など、各分野における環境共生への取り組みが行われているところであります。特にも県民の生活と密着した住宅分野での取り組みは、省エネルギーや自然エネルギー活用による二酸化炭素の排出抑制効果はもちろんのこと、県産材等の自然素材活用や雨水利用など、室内環境から周辺環境、さらに地球環境に至る多岐にわたるものであり、環境共生社会の実現と真に豊かな住環境を県民が得るために、大きな役割を担うと考えられます。
 県では、平成13年度事業で岩手県住宅供給公社に補助を行い、紫波中央駅前にいわて環境共生モデル住宅を建設し、本年度以降県民に公開していると聞いておりますが、来場者の状況や成果についてお伺いいたします。
 また、この施設を活用することによって、本県の今後の環境共生住宅の普及促進にどのように取り組む考えでおられるのか、あわせてお伺いいたします。

〇高橋副知事  住宅供給公社のいわて環境共生モデル住宅でございますが、展示期間は5年間を予定しておりまして、ことしの5月30日に展示を開始いたしまして、10月末までの5カ月間で、一般消費者、また住宅関係事業者等の方々が1、100名ほど県の内外からここを訪れております。これは少なくない数字ではないのかなと思っております。
 さまざまな先進の環境共生技術を具体に体験していただきまして、消費者の方々からは環境共生の理解が深まっておりますし、住宅関係事業者の方々からは、最新の技術情報を得られたというようなことで、それぞれ評価をいただいていると聞いております。これらは、今後良質な住まいづくりに生かされていくものだと期待しているところでございます。
 今後の普及促進への取り組みでございますが、展示内容の一層の充実を図りながら、この施設の公開による普及啓発に引き続き取り組んでまいりますとともに、この施設で得られます各種の実験データを広く情報提供しながら、他のさまざまな環境共生施策とあわせまして、県内における環境共生住宅の幅広い建設促進に努めてまいる考えでございます。

〇佐藤力男委員  次に、港湾施設使用料についてお伺いいたします。
 県においては、本年9月に国際競争力の強化と地球環境の保全を基本理念として岩手県港湾ビジョンを策定し、おおむね20年間の港湾整備と港湾を核とした地域づくりの方向性を示したところであります。
 本ビジョンでは、物流拠点、地域活性化、防災機能、環境との共生の点から、久慈、宮古、釜石、大船渡港の4重要港湾の機能や役割分担を明確にしておりますが、道路整備の進展により港湾の背後圏が拡大しつつあり、港湾所在市のみならず、県内陸部を含めた本県全般の物流、地域活性化の拠点としての利活用の促進を図る必要があるものと考えております。
 そこでお伺いいたしますが、本県港湾施設の利用実績について、最近の推移はどうなっているのでしょうか。また、利用率を上げるためには港湾施設使用料を見直す必要があると思われますが、お考えをお示し願います。

〇高橋副知事  港湾施設の最近の推移と利用実績の推移ということでございますが、本県港湾の取り扱い貨物は、平成5年には997万トンであったわけでございますが、平成10年は740万トン、11年が734万トン、12年が706万トン、どんどん減少を続けてきたわけでございます。しかし、平成13年になりまして10万トン増加いたしまして716万トンと前年比で1.5%の増に転じたところでございます。
 港湾施設使用料の見直しでございますが、この港湾施設使用料は、昭和59年以降、消費税の導入や改正を除いては実質的には据え置きのままとしておりまして、近隣の青森県、秋田県、宮城県と比較しても概して高額とは言えない状況にございます。
 使用料の見直しにつきましては、荷主、船会社など港湾関係者からのヒアリングや他県の取り組み状況を勘案いたしまして、港湾ビジョン実現に向けての取り組みの中で検討していくこととしております。

〇佐藤力男委員  わかりました。ただ、当該市町を中心にして、そういう認識がなくて、高いから利用が進まないんだという陳情も受けていると聞いております。それに対して、この見直しはそういう答弁のようでありますが、ぜひ、こういう時代でありますから、いろいろな意見を調整されて柔軟に進められるよう要望いたしまして、次に進めさせていただきます。
 次に、県事務の市町村への一括事務移譲についてお伺いいたします。
 県では、住民に身近な行政はできる限り市町村に委ねることを基本に、権限、財源、人をセットにして県の事務を市町村に移譲する、いわゆる岩手モデルの一括事務移譲について、昨年度、市町村等の意見・要望を踏まえて検討を重ね、本年度から試行的に実施しているところでありますが、現時点においてはその成果、効果をどのようにとらえておられるでしょうか。また、今後、移譲を希望する事務として、市町村からどのような要望が寄せられているのかお伺いいたします。
 移譲事務の具体的な検討段階に入ると、総論賛成、各論反対となり、調整が難航し、市町村が希望している事務が必ずしも移譲されていないという話も聞いております。市町村から要望のあった事務については、できるだけ移譲すべきではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。

〇小原総務部長 県事務の市町村への一括移譲についてでありますが、まず、試行の成果・効果のお尋ねでありますが、今年度は大船渡市に県単道路改良事業を中心とした道路改良改築事業、それから大東町に道路改築事業と河川改良事業を移譲いたしまして、それぞれ県の職員を1名ずつ派遣したところであります。この移譲によって、市町村道の取りつけ、あるいは交差など、県との調整を要する事務を市町村がみずから行うことができ、また、技術系職員の派遣によりまして、市町村職員の技術向上に貢献できると期待しております。
 これまでのところ、移譲された事務は円滑に進められておりまして、さらには、派遣職員は当該市町の道路計画など、公共事業関係の企画立案等についても参加して首長のブレーンとして活躍しており、また、本年7月の豪雨災害への対応においては、災害査定あるいは復旧工事などについて率先して国や県との調整に当たるなど、高い評価を受けていると聞いております。
 一括事務移譲の試行は、一定の成果を上げつつあるものと考えております。
 来年度の事務・権限の移譲に向けては、本年6月と9月の2回、全市町村に対しまして要望調査を実施したところであります。2回の調査で、例えば有害鳥獣駆除許可とか、農地法の農地の移動あるいは転用等の許可などについて、28市町村から30ほどの事務の要望がございました。このうち、いわゆる人的支援措置を伴う一括事務移譲につきましては、12市町村から12事務の要望が寄せられたところであります。
 しかしながら、これらの要望された事務について検討を進めていく中で、業務の性質から事務移譲になじまないもの、あるいは業務量が少なくて人的派遣の要件を満たさないもの、あるいは広域行政との関係といいますか、調整が必要なものなど、それぞれの事務ごとにさまざまな検討課題があることから、現在、個別に詰めている段階でございます。
 本来、住民に身近な事務を基礎的自治体である市町村が担っていくことが望ましいということから、現在の県の事務でそれらに該当するものについては、可能な限り市町村の方へ移譲を進める方向で取り組んでまいりたいと考えております。

〇佐藤力男委員  ただいまお話ありましたように、地方分権に向けていろいろこうした取り組みをされているのだろうと思いますが、残念ながら、市町村の意識と県の考えておられる移譲のレベルとはまだまだ大きな乖離があるだろうと思っております。そうした意味では、いろいろ市町村を指導されながら、的確に地方分権に向けた取り組みを進められるように希望いたしまして、次に進ませていただきます。
 次に、県幹部職員の公社等役員の就任状況についてお伺いいたします。
 県では、組織の活性化を図るため早期の退職勧奨を実施しており、毎年幹部職員が定年を待たずに退職し、県出資法人等の要請を受けてその役職員に就任いたしております。こうした県幹部職員が退職後に県関係法人等の役職員に就任することは、いわゆる天下りとして、法人等の独立性の確保といった観点などから批判もありますが、平成13年度末に退職した幹部職員の県出資法人等の役職員への就任状況はどのようになっているでしょうか。
 また、部局長等の幹部職員がそのポストについた後、短期間で退職するのは、県行政の充実や人材の有効活用といった観点からも問題なしとはしません。いわゆる天下りを抑制し人材の有効活用を図るためにも、この早期の退職勧奨を見直すべきと考えますがいかがでしょうか、お考えをお示しいただきたいと存じます。

〇小原総務部長  幹部職員の公社等役員への就任状況についてのお尋ねでございますが、平成13年度末に退職した次長級以上の職員のうち、県出資法人等の役員等に就任した者は、県出資法人については19人、それから、県行政と深くかかわりのある団体については8人、計27人であります。
 本庁次長級以上の職員を対象とした退職勧奨については、人事の刷新や新陳代謝の促進などの観点から実施してきているものでありますが、今後の幹部職員の退職勧奨のあり方については、ただいま御指摘のあった有能な人材の活用ということを基本といたしまして、年金の支給開始年齢の引き上げ、あるいは高齢者の雇用の確保といった官民共通の課題への適切な対応を念頭に置きつつ、組織活力の維持や人事刷新の面にも配慮しながら、現在、見直しの方向で検討を進めているところでございます。

〇佐藤力男委員  関連しまして、これまでこうした扱いをしまして関連法人に出向されまして、実際にどのような成果がおありになったと認識されているのか、この際お尋ねいたしておきます。

〇小原総務部長  出資法人等につきましては、当然、その設置目的が極めて県の行政と関連がございますので、県職員として培った能力あるいは知見等が、それぞれの公社等の職におきまして十分に生かされ、公社等の運営に役立っていると考えております。

〇佐藤力男委員  役立っていなくては大変なわけでありますから、それはお役に立っているんだろうと思いますが、今問題になっております第三セクターですとか、あるいはいろいろな公社の経営状況等々の問題もあるわけでありまして、今後も引き続き県としていろいろな配慮をされながら、含めたトータル的な円滑な行政運営をお願い申し上げて、最後の質問にさせていただきます。
 最後に、知事の県政運営についてお伺いいたしたいと思います。
 増田知事は、さきの一般質問において、次期知事選への対応について年内に表明する旨を明らかにされたところであります。既に県民の間には、圧倒的な支持のもとに出馬は確実視されているところであります。知事は就任以来、県民が主人公の県政を原則に、県民対話を深めるため7年間で350回を超える懇談会に出席されたそうであります。歴代知事は年9回ぐらいだったそうでありますから、まさに若さと行動力をもってかなり精力的に積み重ねられたものと承知いたしております。
 一方、一般質問でも議論されましたように、全国でも注目される若い知事として、中央を中心にあらゆる会合や記者会見などで次々と先導的、刺激的な発言や構想を打ち出し、多くの議論も呼びましたし、また、若手改革派知事グループを結成され、地方分権が進まない現実や都市中心の政策に反発するなど、地味な本県のイメージを払拭する活躍を見せ、地方自治分野での注目も集めているところであります。その反面、岩手の風土、歴史に根差した哲学・構想を、あるいは積み重ねた対話を生かした施策の実行をなどなど、知事に対するさまざまな御意見もございます。
 折しも、つい先日、増田知事が兄貴分として尊敬し、また一番身近に連携をとってきたと思っております三重県北川知事の3選不出馬の表明もありました。
 そこで、日ごろ職員を指導され、また県政の大ベテランとして実質的に県政運営を預かる高橋副知事に、さまざまな県民の意見を踏まえられた上で、これまでの増田知事の実績と3選出馬に向けての御所見があれば、この際お伺い申し上げて、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。

〇高橋副知事  出納長、副知事と増田知事の補佐役としてともに歩んできた私といたしましては、大変申し上げにくい、答えにくい質問でございますが、あえて申し上げますならば、これまでの実績につきましては、県政の主役は県民であるというような認識のもとに、地域社会の自立を目指して、生活者視点、それから地域視点というような視点に立ちまして、県民満足度の向上なり、成果重視、また透明性の高い県政運営というようなことで、いろいろと新しい風を入れて県政運営に当たられたわけでございます。特にも、県内の各地に積極的に出向きまして、地域の声に耳を傾けて、それに基づいた新しい総合計画もつくりました。現在、力強く岩手づくりを推進しているというように思っております。
 同時に、この計画の推進に当たりまして、庁内の職員意識の改革とか、組織機構の再編、また積極的な情報公開を実施いたしましたし、政策評価制度も取り入れました等々、体制の整備にも努めたところでございます。
 いずれ、計画でキーワードとして掲げました環境、ひと、情報、この三つの視点からもさまざまな施策を実施しておりまして、着実かつ先駆的な県政運営に取り組んでいると思っておるところでございます。
 3選の話がございましたが、これはもう私が申し上げる事柄ではございませんので、先ほども答弁したわけでございますが、いずれ知事とすれば、出るか出ないかというようなことにはかかわらず、任期中は力強いリーダーシップを発揮してくれるもの、そのように思っております。

〇佐藤力男委員  ありがとうございました。

〇田村正彦委員  政和会の田村正彦でございます。
 会派を代表いたしまして、平成13年度決算及びその決算を受けて今後の県のあり方というものについて質問させていただきますが、実は、私の後でまだ5名ほど質問者がおるんです。要点だけの答弁でひとつ簡易にお願い申し上げたいと思います。
 その前に、日ごろ私が感じておりますことを若干申し述べて質問に入らせていただきたいんですが、県の大型建築、建設事業、例えば西口複合施設240億円、新幹線1、000億円、そしてまた、花巻空港270億円、県立大学430億円、県立美術館100億円と、今後支出されることも予想して、ここ五、六年でトータルして2、000億円を超えようとする莫大な建築費用が支出されておりますし、されようとしております。
 片や県民生活といいますか、実際我々を取り巻く状況を見てみますと、この不況で可処分所得も減った、消費はふえない、そういった中でリストラ、倒産、そして失業者の増加、私の周りにもたくさんおるんですけれども、子供が就職できない、大学に進めようにも親がリストラに遭ってそんな経済的な余裕がない、まさに深刻な状況があります。
 そして一方では、特に農業関係ですが、農業の基本であります水にしましても、末端の水路まで水が順調に来ないといった現状もあります。
 そしてまた、道路にしましても、泥水をはねかけられる、あるいは未舗装ででこぼこ道だと。よく県の賠償なんかでも載っているんですが、穴だらけの道路、そういった本当に県民生活に密着したような現場では、ちょっとした配慮、ちょっとした予算があればこれが解決できるんだというような現実もあるわけです。私は非常に、何と表現していいのかいい言葉が見つからないんですが、むなしさを感じるといいますか、昨今、そういったことを感じております。
 一方、知事は日ごろ県民の目線に立った施策を展開していこうというような発言を各地でなさっているわけなんですが、最近の知事の目線がちょっと上の方に向いているのかどうかわかりませんけれども、もう一度補正をしていただいて、原点に返った、本当に県民に直結したような施策といったものを展開していただきたいと常々感じておるものでございます。
 そこで質問に入らせていただきたいんですが、平成13年度決算につきましては、前段の総括でいろいろな評価、そして、これからの財政といったものに対する質疑が交わされておりますので、あえて質問は差し控えさせていただきたいわけですが、1点だけ、単年度収支7億5、000万円の黒字ということで、その努力に対しては敬意を表するものでございます。ただ、この黒字も、先ほど冒頭に説明がありましたとおり、県債管理基金からの大幅な繰り入れをした結果ということでもあり、厳しい財政のやりくりということには変わりはないと思っております。そういった結果を受けての平成15年度の公共事業15%カットというような方針を打ち出されたものだと思うんですが、この財政の健全化といいますか、これはいつごろになったら健全化できるのか、どういうスケジュールで健全化を図ろうとしているのかをまずお尋ね申し上げたいと思います。

〇小原総務部長  緊縮財政の見通しというお尋ねだと思いますけれども、御案内のように、本県の財政依存財源率が65%強ということで、国からの財源に多くを依存しているということから、国の財政状況あるいは制度改革の影響を大きく受ける構造になっております。したがって、地方税財政改革の方向が明らかにならない現時点で将来を明確に見通すことは難しい状況にあるわけですが、詳細な分析はこれからの、平成11年度に策定した財政中期見通しの見直しの中で検討していくことになるわけですけれども、現時点の段階では、平成16年度には、いわゆるプライマリーバランスの均衡を実現させることを目標に置いて取り組み、平成17年度以降は、さらにプライマリーバランスの黒字化の実現を目指していきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、本県の行財政運営に大きな影響を及ぼす国の地方行財政改革の方向を見定めながら、私どもも新たな視点に立った行財政システムの改革に取り組むということで、不断の努力を払いながら、健全財政の早期実現を目指してまいりたいと考えております。

〇田村正彦委員  次に、ローカルスタンダード、いわゆる地方の独自性というんですか、この件についてお尋ね申し上げますが、公共事業の実施に当たっては、地域事情に合致した規格・手順で進めるべきだということは知事もおっしゃっておりますし、私も町議会議員時代から、本当に規格といいますか、むださといったものは強く認識しておりました。そういう意味では知事の考え方と同じ考えを持つ者ですが、国の今後の対応、これは今後どのようになると予測しておられるのかお尋ね申し上げます。

〇高橋副知事  ローカルスタンダードにつきましては、つい先般、19項目にわたる提言活動を国に行ったわけでございますが、国土交通省では、高規格幹線道路における2車線構造等の採用、それから1.5車線的道路整備の導入、この二つの事業につきましては、平成15年度の予算概算要求に盛り込んでおるところでございます。
 それから、農林水産省の関係では、農道についても、林道についても、大体はもう地元の実情に応じて柔軟に対応できるというような仕組みになっておりますので、こちらの方は問題ないとは思います。いずれ国の方からは、国土交通省でございますが、この11月20日の提言活動でも前向きな発言をいただいておりますので、今後、担当部局とローカルスタンダードについての協議は進むものと考えております。

〇田村正彦委員  次に、公共事業の県内経済への波及効果といったものについてお尋ねいたします。
 御案内のとおり、極めて厳しい経済情勢なわけでございますが、この景気というのが県内企業及び県民の生活に非常に影響を及ぼしているわけです。公共事業悪玉説というのがあります。ただ、私は必要な公共事業は取捨選択の上、実施することが必要であろうと認識しております。特に、本県においては雇用の場が限定されておりますし、公共事業に依存せざるを得ないのが現実なわけでございます。私もかかわっておりますが、現実に農業が成り立っているのも公共事業があるからだと言っても過言ではないくらい、公共事業のかかわりというのは多いわけでございます。
 そこで、公共事業が県内経済にどのような経済効果をもたらしているのか、まずその点についてお尋ねします。

〇佐藤総合政策室長 公共事業の経済効果についてでありますが、公共事業の実施によりまして、建設業に対する直接的な効果を及ぼすほかに、建設資材等の生産、流通を通じて、製造業を初め、卸・小売業あるいは運輸・サービス業等の産業にも間接の生産誘発効果をもたらすということでありまして、これに伴いまして、直接・間接に雇用の創出や所得の増大が図られるなど、県内経済の維持、拡大に大変大きな影響力を持っているものと考えております。
 ちなみに、平成13年度の公共事業の経済効果というものを数字で推計いたしますと、平成13年度におきましては公共事業費、災害復旧費として投資された県の公共事業全体の実績額が2、691億円ということで、これをベースにして、これから用地費を除いた本工事費2、546億円を対象として、県内経済に与える波及効果を岩手県産業連関表によって試算いたしますと、建設業に対する直接効果、建設資材等の発注を通じて他産業の生産を誘発する間接効果を合わせた第1次波及効果が3、665億円程度になります。また、雇用の創出や所得の増大に伴った消費需要の拡大から生ずる、いわゆる第2次波及効果が562億円程度になっています。
 これらを合計いたしますと、対象となる投資額の約1.66倍に相当する4、227億円程度の経済波及効果が見込まれると推計されます。

〇田村正彦委員  冒頭に申し上げましたとおり、時間が大分押しているので、簡潔な答弁で結構ですので、お願いいたします。
 今、いみじくも部長の方から、建設業者への効果という発言がありました。去る28日の一般質問における佐藤正春議員の関連質問の中でも、公共工事と建設業、そして選挙、こういったお話があったわけでございます。
 実は、先月末に開催されましたある政経パーティーにおきまして、公的な立場にある連盟の会長さんが、自民党の議員がふえなければ岩手県に公共工事は来ませんよと。自民党の人にとっては大変迷惑な発言であって、ひいきの引き倒しにつながりかねない発言だと私は理解しておったんですが、公共工事を発注される側として、こういった団体の責任ある立場の人が公的な場所でこういった発言をなさるということはいかがかと思うんですが、答弁に値しないようなことですが、一応、見解をお尋ね申し上げます。

〇高橋副知事  私もそれは聞いたこともございませんが、いずれこれについては、そうだとすれば、私は答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

〇田村正彦委員  こういうひいきの引き倒しみたいな、ましてやこういった時代の中で公共事業を請け負う側の人がこういった発言をするというのは、私は非常にいかがなものかと感じております。
 次に、市町村補助金と地域活性化事業調整費についてお尋ね申し上げます。
 地域重視の観点から創設されたと理解しておりますが、この両事業、これまで地域振興に果たす役割というのは非常に大きいものだと私も認識しておるところでございます。そこで、これは予算的なものを含めて、この事業の評価と今後どういう見通しをお持ちになっているのか、お尋ね申し上げたいと思います。

〇飛澤地域振興部長 市町村総合補助金と地域活性化事業調整費の評価ということでございますが、市町村総合補助金につきましては、環境、ひと、情報の三つの視点から、平成12年度から14年度までの3カ年を通じまして、全市町村で882事業、36億6、000万円余が活用される見込みでございます。
 それから、地域活性化事業調整費でございますが、これは昭和61年度から平成13年度までの16年間で約78億円、4、664事業が実施されておりまして、地域産業の振興や地域の伝統文化の保存、地域の情報化等、地域の要望を踏まえた地域振興施策の支援誘導や地方振興局管内の各分野にわたる事務の調整補完に活用されてきたところでございます。
 評価でございますけれども、総合出先機関としての地方振興局が、地域振興の拠点としての機能を発揮するため、市町村総合補助金と地域活性化事業調整費は、いわば車の両輪として地域づくりを支援してきているものと考えておりまして、いずれも市町村等の高い評価をいただいておると考えておりますし、全国的にも地域重視の施策として充実した制度として、その趣旨が十分に生かされているものと考えております。
 今後におきましても、地域住民や市町村等におきまして、特色ある地域づくりがさらに促進されますように、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

〇田村正彦委員  私の質問は、これから今後、この事業に予算の拡充を図っていかれるのかどうかという質問内容だったわけなんです。それはそれとして、今後予算の拡充を図っていかれるにしても、現在の事業の中身につきましてもそう感じているんですが、実はこの事業にしても、予算的には総枠ではほとんど議会のチェックを受けるんですが、事業的な中身というのはほとんどチェックを受ける機会もないということです。この事業内容、政策評価とか何かで内部的なチェックはなさっておられると思いますが、ただ、やはりかなりな予算規模の支出が伴うわけですから、これをチェックする機能、機関といったものが必要になってくるのではないかと思うんですが、その辺の認識はどうお考えですか。

〇飛澤地域振興部長  ただいまの調整費のチェック機能についてでございますが、これは確かにこの委員会においても以前から議論されてきておりまして、このチェックにつきましては、現在、局内において内部評価をいたしておるわけでございますが、今後、外部委員も含めた外部評価制度を取り入れてこの事業成果を検証してまいりたいと考えております。
 また、議会の審査と申しますか、そういうチェック機能がどういうふうにしたら働くかということにつきましても、もう少し検討させていただきたいと思っております。

〇田村正彦委員  次に、地方バス運行についてお尋ね申し上げます。
 地方バスの運行支援というのは、住民生活の足の確保という観点、あるいはどちらかと言えば弱い立場の県民の皆さんへのサービスという観点からも、重要な行政施策と考えるところでございます。
 地方バス運行に対して県が今までどのような支援をされてきたのか、そしてまた今後の支援策のあり方、これは一般質問の際の部長の答弁にも、今検討中であるという答弁はあったんですが、その答弁の検討中という内容といったものをお聞かせいただきたい。簡単でいいですから。

〇飛澤地域振興部長  地方バス生活路線と運行についてという御質問でございまして、このバス利用、昭和48年度をピークといたしまして輸送人員が年々減少してきておりまして、平成12年度におきましては、この輸送人員がピーク時の3分の1、3、100万人ぐらいに落ち込んでおります。そういったことで、バス事業者の経営環境が大変厳しくなっておりまして、ことし2月の需給調整規制廃止に伴いまして、一層不採算路線の休廃止が続いているという状況下でございます。
 今まで県では、国庫補助制度を活用いたしましてバス事業者に補助を行いまして、県内のバス路線の確保に努めてきたということで、平成13年度におきましては、国2分の1、県2分の1でございますが、約4億円の補助金を交付したところでございます。
 今後、これ以降の対策はどうかというお尋ねでございまして、今検討してございますのは、こういう急速に進む休廃止路線を、いずれどういうふうにして不採算路線地帯において確保していくかという視点で、原則的には市町村内で単独で完結するような路線につきましては、市町村の手持ちのバス等の活用によりまして、工夫によってひとつ対処してもらいたいと考えております。市町村をまたがって一定の距離、広域性を有するバス路線につきましては、何らかの支援方策を講じてもらいたいということで、今盛んに調査・研究を続けているところでございます。

〇田村正彦委員  今、鋭意調査・研究中ということでございますが、実はこの地方バス路線の維持に係る東北各県のいろいろな状況を見てみますと、先ほど部長が、国の補助事業に乗って事業をやっているというお話があったんですが、それとは別個に、各県単独の補助事業をやっているんですよね。やっていないのは岩手県だけということなので、ぜひ検討の中に、こういった東北各県の実情も考えながら、これは財政厳しい折ですので大変だとは思うんですが、本当に生活者の足の確保という観点に立って、市町村は、今お話がありましたとおり対応がばらばらなもので、その市町村の指導もあわせて総合的に考えていただきたいと思いますが、どうですか。

〇飛澤地域振興部長  東北各県の状況は把握してございますので、知恵を絞りに絞りまして、いずれ対策を講じられるように頑張っていきたいと思っております。

〇千葉伝委員長  田村正彦委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
 田村正彦委員、御了承願います。
    午後2時56分 休 憩
   午後3時14分 再 開

〇千葉伝委員長  休憩前に引き続き会議を開きます。

〇田村正彦委員  次に、交通安全指導員についてお尋ねいたします。
 これは私のライフワークみたいになってしまったんですが、交通安全指導員の公的な身分保障といいますか、御案内のとおり、交通安全指導員というのは、いろいろな意味で消防団と等しいようなボランティアというか、活動をなさっておられます。ただ、その身分に対する法的な保障がない。それを保障している根拠法がない。あくまでも事務次官通達によってこれがなされているという異常さをいつも指摘しておるんですが、国の方ではこれをどう考えておられるのか、状況を把握なさっているんだったら教えていただきたいと思います。

〇高橋副知事  交通安全指導員の身分の関係でございますが、県は、これまで法的明確化について国に要望してきたわけでございます。ことし6月に、国から、各都道府県、また、政令指定都市の交通安全対策主管課長あてに、都道府県レベルでまず交通指導員の組織をつくってくれ、こういう通知が参っております。国の考えでは、どうやら半分以上の都道府県でそれができたときに全国段階にまとめて、これを基盤にいろいろ身分の安定に取り組もうということのようでございまして、県としては、各県と協議しながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。

〇田村正彦委員  ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、クリーンいわて事業団について 江刺ですが お尋ねいたします。
 県では9億5千万円の出捐をなさっておられるわけですが、当初、御案内のとおり、非常に経営的に厳しいということだったんですが、現在の状況はどうなっているのか。
 そしてまた、県北に第2のクリーンセンター構想というものが県によって打ち出されておるわけですが、その規模、場所 まあ、場所はまだまだ先の話ですが 、その内容、収集範囲、建設スケジュールがどういうことになっているのかあわせてお願いします。

〇高橋副知事  クリーンセンターでございますが、クリーンいわて事業団の平成13年度の収支決算は、平成7年の開業以来初めて黒字を計上しております。1億3、784万円ということで、これは、ごみが結構集まってまいりましてやっと収支損益レベルまで達したということでございますが、なおまだ約10億円の累積欠損がございますので、引き続き経営の安定化を図るように指導していかなければならない、このように思っております。
 第2クリーンセンターの構想につきましては、今年度実施している基礎調査の中で、事業主体とか規模とか事業内容等を検討している段階でございます。
 立地場所につきましては、基礎調査の結果を関係市町村なり関係業界に説明して、要望、意見等をいただく形で適地を選定してまいりたい、そのように考えておりますし、スケジュールについては、基礎調査の結果を今年度内にまとめて、その結果に基づいて来年度は基本計画を策定していきたい、そのように考えております。

〇田村正彦委員  今まさに大問題になっているわけですが、県境の不法投棄問題とも絡めて、例えばこの県北に設置するクリーンセンターを広域圏的な考え方でやるという構想も中にはあるんでしょうか。

〇高橋副知事  私はまだそこまで承知しておりませんが、いずれこの第2クリーンセンターというのは、今の江刺のあれを受けて、県北地方にもやはり一つ置かなきゃならぬということで、ただ、その視野の中には例の県境の廃棄物の処理というものも入っていると伺っておるところでございますが、そういう形で今検証しているものでございます。

〇田村正彦委員  次に、グリーンピア田老の移譲問題についてお尋ね申し上げたいと思います。
 年金福祉事業団から県への経営移譲が、押しつけられようとしていると言えば表現がよくないんですけれども、そういった状況にあると聞いておりますが、当該グリーンピア田老の問題についてどのような対応をなさっておられるのか。
 あわせて、これは部局が違うんですが、私の地元にいこいの村岩手という、これも雇用・能力開発機構の施設がございます。これもやはり地元自治体に対しての移譲というものが今進められておるようでございます。それに対しての県のかかわり方というのはどうなっているのかお尋ね申し上げたいと思います。

〇高橋副知事  グリーンピア田老でございますが、簡単に申し上げますと、事業団から意向確認がありまして、県としては、いずれ引き受けは困難な状況だということを返事して、今、中で検討しているわけでございます。ただ、国の合理化計画では平成17年度までに廃止するということで決まっておりますので、それらを踏まえながら、現在、地元市町村の意見集約のため、県と関係市町村の担当課長で構成するワーキンググループを設置いたしまして、それで基地の経営の見通し、利用者の動向、それから廃止した場合の影響などを検討項目として検討作業を進めていると。ただ、これはなかなか素人ではできませんので、コンサルにも調査を委託しております。このコンサルの調査委託の中間報告は12月には出てくるのではないのか、これらを踏まえながら検討していく、こういうことでございます。
 それから、いこいの村岩手につきましては、先般の11月に雇用・能力開発機構から西根町に対して譲渡についてどうだという問い合わせがあったわけでございます。現在、西根町では、それを踏まえて検討中と伺っておりますので、県としては、この機構からの町に対する申し出に対する西根町の検討結果を踏まえて対応を考えてまいりたい、このように考えております。

〇田村正彦委員  西根町のいこいの村岩手の問題ですが、現在使われている浴場が県条例に合わない浴場だと。それを改修するにはかなり多額な経費が要るということで苦慮しているのが現実でございます。条例に合わない浴場施設のままで移譲するというのは果たしていかがなものかという認識を私は持っておるんです。県では、雇用・能力開発機構と地元自治体との話し合いの中で、その辺のところの調整役というんですか、自治体負担が余りかからないような、そういった一つの指導というのをぜひやっていただきたい。これはお願いで終わります。
 次に、これは多分きょうだと思うんですが、何かごたごたしているようですが、米政策、いわゆる減反の国の関与の問題ですね。これからの生産調整のあるべき姿というものが盛んに論議になって、本来であれば29日に結論が出る予定だったんですが、これがなかなか調整がつかないということで、きょうには何とかという話があります。
 そこで、新しい国の米政策、特に生産調整政策、今まで小出しにマスコミを通じていろいろな情報が流れてきております。そういったものも踏まえて、どういった状況を想定しておって、そしてまた、それにどう対応しようとなされているのか。これは、きょうの結論が出るまでははっきりした答えは出ないとは思うんですけれども、ただ、今までいろいろ小出しに出ていますから、その大まかな方向というのは変わらないと思うので、ぜひその辺の見解をお尋ね申し上げたいと思います。

〇高橋副知事  新たな米政策については、決定はあすではないかという情報がございまして、生産調整配分も同じ3日になされるのではないのかという見通しでございます。いずれ、それらを踏まえなければならないことでございますが、県としては、食料供給基地として発展していけるような、適地適作を基本とした売れる米づくりを一層進めていかなければならないということで、いずれ、経営能力にすぐれた、自立した経営の育成に重点的に取り組めるような、そういうスタンスで物を申し上げていかなければならないと思っているところでございます。
 どのような形で出てくるかはわかりませんが、具体的に申し上げますと、まず、メリット措置について一つあるわけでございます。これは、全国一律ではなく、地域の自発的な取り組みを助長し、特色ある水田農業の展開に結びつくものであるべきだということでございますし、また、新しい形の生産調整でも実効性の確保がやっぱり重要でございますので、需給計画の策定なり生産目標の設定などにつきまして、引き続き国は安定供給に関する基本的な役割を担うべきだ、こういうスタンスで臨んでいるということでございます。

〇田村正彦委員  ぜひそのスタンスで国に対して当たっていただきたいとお願い申し上げます。
 次に、同じ農業問題ですが、今、盛んに環境というものが叫ばれております。環境を守るのも壊すのも、私は農業だと認識しております。そういった認識の上に立って、環境を壊さない農業、守る農業を考えた場合、やはり家畜のふん尿処理の問題あるいは農薬の問題とかいろいろあるわけですが、多分情報は承知しておると思うんですが、今、農林水産省では、例の六つの大きな施策の中で、バイオマス技術を駆使した農山村の循環というんですか、農業で自己完結するような政策というのがこれから打ち出されようとしております。そういったものに対して、私は、県は積極的に取り組んでいくべきだと思うんですが、どうお考えになっているのかお尋ねします。

〇高橋副知事  農業による環境への負荷を軽減するということで、いろいろ農薬の問題とかふん尿処理の問題にこれまでも取り組んでいるわけでございますが、やはり基本的には、農業というものの性格上、委員おっしゃいますように、地域内で全部循環する形で処理される、これが理想でございます。こういう取り組みにつきましては、ほかの県でも既にやっているところもございますし、県内でも葛巻町等そういう検討をしているところもございまして、県としては、やはりそういう取り組みに対して応援をしていかなければならない、そういうように考えておるところでございます。

〇田村正彦委員  次に、今はなかなか話題に上らなくなったんですが、一時北上山系の入植者の農家経営問題ということで大分話題になりました。県では北上山系入植農家経営安定緊急対策費補助で今まで対応しておるわけですが、その後、大分時間も経過しております。その後の経営状況の改善とか状況についてお尋ね申し上げたいと思います。

〇高橋副知事  北上山系の入植農家に対する経営安定緊急対策費補助でございますが、これは対象農家が14戸ございまして、今のところ6戸は大丈夫計画どおりやっておるわけでございますが、残り8戸のうちの5戸につきましては計画どおりの償還が進まないという状況でございます。
 県としては、それらの農家に対しまして、地域営農指導班を設置して、また、営農アドバイザーも委嘱しまして、その支援を得ながら、経営、技術両面からの濃密指導に取り組んでいる、そういう状況でございます。

〇田村正彦委員  次に、これも農業というか農村部の環境に大きな影響を及ぼしますし、また、米の販売という面からも、きれいな水を田んぼに入れる、きれいな水でつくった米だということでなければ、私はこれから米の販売というのは非常に厳しい時代に入ってくるだろうと思っております。そういう意味で、農業集落排水事業が今盛んにあちこちでやられておるんですが、なかなか予算がつかない、厳しい状況に置かれていると認識しております。県では重点化ということを掲げておるわけですが、これをある程度最重点課題にして、一挙にやってしまうという姿勢が私は必要ではないのかと思っておるわけです。
 そういった考えに基づいて質問するわけですが、農業集落排水事業、これの進捗状況もそうなんですが、今後どういう意気込みで取り組もうとしているのかお尋ね申し上げたいと思います。

〇高橋副知事  農業集落排水事業につきましては、委員御指摘のように、農村にとっては大変大事な事業でございまして、一挙にやってしまえればいいわけでございますが、なかなかそうもまいりませんので、限られた財源の中でございますが、これにつきましては、やはり県の重点施策ということで、積極的に、かつ着実に推進していきたい、そのように思っております。

〇田村正彦委員  この農業集落排水につきましては一部マスコミで取り上げられました。つくってはみたものの加入率が悪い。一体この事業効果はどうなんだということが今言われております。現実に、私の地域にも集落排水が入ろうとしているんですが、非常に工事費の単価が高い。これは何とかならないものか。この単価の見直しでかなり普及が図られるのではないのか。
 そしてまた、一つの私は工夫があると思うんです。例えば、あくまでもこれは集落の排水対策事業ですから、おふろとか台所とか、そういったものから流れ出る排水をきれいにしましょう、こういう事業です。こんなことを言ってはなんですが、トイレの方まで一挙にやってしまう、これは感情としてもちろんそうだと思うんですが、それにかかる費用というのは非常に大きいんですね。そういったこともあるので、工事のやり方というんですか、そういうものを安価にできるような方法を考えていかないと、効果が検証されて、これからもう予算措置しないぞということにもなりかねないので、みんながこぞって入れるような仕組み、そういったものをぜひ進めていただきたい。これは要望でございます。
 次に、佐藤委員の質問にもありました森林組合ですが、これは、経営の問題ももちろんそうですが、今、県では合併基本構想なるものを策定して鋭意努力なさっているわけですが、この進捗状況についてお尋ねいたします。

〇高橋副知事  森林組合につきましては、平成11年に構想策定して、計画時点では組合数は28ですが、これを平成22年度までに五つの流域圏ということで広域合併を目指しているわけでございます。一部の組合の累積欠損金の解消が進まないことが阻害要因となっておりまして、現状では必ずしも進展している状況ではございません。現時点における組合数は26組合でございます。
 このような状況を踏まえまして、県森林組合連合会では、ことしの10月にこの構想の実現を促進する岩手県森林組合系統の改革基本方針を定めまして、平成15年度から17年度までの3カ年で累積欠損金の解消、それから、流域圏ごとの連携強化を図ることとしておりまして、年度内にその実施計画を策定することとしておるところでございます。これらを通じて合併が促進されることを期待しているところでございます。

〇田村正彦委員  合併については、農協合併あるいは共済組合の合併、いろいろ先例があるわけですが、実は私、土地改良の方でさる県に視察に行きましたら、土地改良区の合併に伴って、各組合が累積欠損金は理事の責任でゼロにして、そして職員には一たん全部やめていただいて、そして新たな気持ちで合併して職員を採用する。これは当然やめていただいた方の再雇用ということですが、そういった荒療治をしないと、たとえ合併したにしてもまた後からいろいろな問題が出てくるということにもなるので、そういったものも考えなければ、なかなか合併の効果というのは出てこないのではないかと考えております。参考までにお話し申し上げたいと思います。
 次に、入札事務関係でございます。
 県では、入札事務に係る不祥事の再発防止という観点から、平成13年度から入札事務を県土整備部から総務部に移管したわけでございます。この移管に伴ってどのような成果があったのか、そしてまた、反省点があるのであればお示しいただきたいと思います。

〇小原総務部長  入札業務の総務部門への移管に係る成果、それから課題はないかというお話でございますが、入札契約手続につきまして、工事執行を直接担当していない総務部門に移管したことによりまして工事に直接かかわる部門から業者の選定、入札執行事務が分離されまして、これまで以上に透明性、中立・公正性を確保できる体制になったものと考えておりますが、移管後2年目を迎えまして、業務を分離したことによりまして、工事所管部局と入札契約担当という異なる立場からいい意味で相互牽制が働いていると考えております。業者選定や入札制度の改善の協議の際、工事所管部局は主として工事の技術的な見地から、また、入札契約担当である私どもからは公平・公正な業者選定あるいは県内優先発注の見地からるる議論を重ねながら県営建設工事の入札発注あるいは施工監理の改善に努めてきているところでございます。
 移管当初は、特に地方振興局によっては工事担当部との技術面での協議に時間を要するといった状況も見受けられたわけですけれども、現在におきましては、それも解消して円滑に行われていると考えております。したがって、移管に伴う課題というのは、今のところ特にないと思っております。引き続き、所管部局と綿密に連携して県営工事の適切な発注に万全を期してまいりたいと考えております。

〇田村正彦委員  総務部に移ったことによって透明性、中立性が非常に高まったということですが、逆を返せば透明性、中立性が疑われたということにもとれなくもないんですけれども、いずれ透明性、中立性を強調するが余り、ただ机上の書類審査だけですべて処理されるという一つの危険性も私は包括していると思うんです。そういったものを防ぐために土木サイドとのいろいろな連携というのは常に必要だし、チェックが必要だと思うので、今お話がありましたけれども、もっと密にぴしっとした、書類審査だけですべてが通るんだという考え方ではなくて、やはり現場サイドとの協議というのも重視して進めるべきだと思っております。
 次に、低落札関係、最近私の周辺でも受注確保最優先ということで、採算度外視の入札というのが見受けられるんです。確かに、検証して、その結果発注していますよと、いつもそういう答弁をいただくんですけれども、国もこれからそういった制度を導入しようとしているんですが、やはり事後検証というシステムを持たなければ、この制度の趣旨が生かされないと私は思うんです。ただの書類審査だけで、そういったことがあって初めて中小、孫請の人たちが当初の予定のとおりの契約が実行されないというケースが仄聞されております。それが地場建設業の衰退、倒産につながっているというケースが非常に多いので、その辺のところを検証するシステムを構築する考えがないのか。国では今そういう話がありますので、県でもそういったシステム構築の考えがあるのかないのかお尋ねいたします。

〇高橋副知事  低落札工事でございますが、低入札調査、これはいずれ事前に調査をするわけですが、その調査を通った後の話でございまして、その工事につきましては、県土整備部で策定しています監督及び検査における施工体制・一括下請点検マニュアルというものがございまして、重点点検工事として品質管理などについて重点的な点検を行っているわけでございます。そのほかに、工事完成後におきましても、請負者施工成績評定要領に基づいて適切に成績評定をしておりまして、発注者として当該工事が適切に実施されるよう監督に努めているところでございます。
 ちなみに、平成13年度に低入札をやったところで、今施工中のものを除きます7件の工事成績というのは平均で78点でございます。これは、県全体の平均点の76点よりも若干高いということで、このようなことからも、きっちりと点検は今のところはしているということでございますが、おっしゃいましたような国のあれもあれば、それも参考にしながらこのシステムについてはきちんとしたものにしていかなければならないと思っております。

〇千葉伝委員長  以上で代表質疑を終わります。
 次に、自由質疑を行います。自由質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、発言時間は、答弁を除き1人10分を限度とし、交渉団体会派以外の委員を優先することになっております。
 質疑はありませんか。

〇小原宣良委員  社会民主党の小原宣良でございます。
 初めに、財政問題についてお伺いいたします。
 今日、国、地方とも多額の起債償還に苦慮しているのでありますが、その主な要因は、平成3年度から本格的に始まったバブル経済崩壊を受けた国の総合経済対策と、これに呼応した県及び市町村事業による起債の増加によるものであります。一方、この間、公共事業等により、本県の社会資本がこの対策により整備が進んだことも的確に把握しておくことも必要と思います。
 そこで伺います。質問の第1点は、平成3年度と平成13年度の本県の公共事業費、県債発行額、県債残高は幾らか、それぞれお知らせ願います。
 第2点は、県・市町村債の償還に係る地方交付税算入の制度的措置についてでありますが、平成13年度末の起債償還残高のうち交付税算入額について、県分については既に本会議において説明がありましたから、私からは、市町村債の償還に係る地方交付税算入の制度的措置について伺います。
 まず、市町村債の平成13年度末の起債償還残高は幾らになっているか。また、平成13年度における市町村債の元利償還金の額及びそのうち地方交付税で措置された額は幾らかお伺いいたします。

〇小原総務部長  地方交付税について、平成3年度と平成13年度の公共事業費などの比較についてでありますが、まず、公共事業費は、平成3年度が1、658億円に対し平成13年度は2、374億円で、1.4倍となっております。また、県債発行額は、平成3年度が639億円に対し平成13年度は1、552億円で、2.4倍となっております。また、県債残高ですが、これは、平成3年度が4、600億円、これに対しまして平成13年度は1兆2、678億円で、2.8倍となっております。

〇飛澤地域振興部長  市町村債についてのお尋ねでございまして、本県市町村の起債残高でございますが、平成13年度の普通会計決算見込みでは7、756億2、300万円となってございます。これを平成12年度と比較いたしますと、137億2、300万円、1.8%の増となっております。それから、元利償還金でございますが、平成13年度は885億5、400万円でございまして、平成12年度に比べて10億7、100万円の増となっております。それから、元利償還金のうち地方交付税措置額でございますが、13年度で434億7、200万円ということで元利償還金額の49.1%となっておりまして、ほぼ半分が地方交付税によりまして措置されている状況でございます。

〇小原宣良委員  詳しくは総務委員会で伺うことにいたします。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 雇用不安が消費減退を招き、さらに地域経済の不況へとつながっている、こうした悪循環を断ち切らない限り、今日の不況を脱出することはできないと考えます。私は、雇用を軸とした企業支援、産業支援であるべきと考えておりまして、以下、お伺いいたします。
 第1点は、国と県が行っている雇用対策の連携についてであります。県は、緊急地域雇用創出特別基金事業など、市町村と一体となった対策をとってきました。一方で国は、岩手労働局を中心に、多くの関係機関のもとに企業支援や雇用対策がとられているものと思います。県は、こうした国の関係機関の役割と、実施している事業内容について十分理解、認識しているでしょうか。また、どのように連携しておられるのかお伺いいたします。
 第2点は、ただいまの質問とも関連いたしますが、県が昨年度に行ってきた緊急雇用対策はどのような成果があり、その成果が今年度にどう生かされてきたとお考えでしょうか。
 第3点は、職業能力開発についてでありますが、県が行っている職業訓練に加え、各地域の職業訓練協会が運営している職業訓練校の役割も大きなものがあると思います。厳しい雇用状況のもとで、県及び地域の職業訓練協会により行われている職業訓練が雇用対策に果たしている役割をどう把握しているでしょうか。地域別、職種別に見た特徴点を含め、お伺いいたします。また、地域にある職業訓練校の施設・設備の改修整備の要望も強いのでありますが、どう受けとめ、対応してきたのかお伺いいたします。

〇高橋副知事  国の機関の役割と実施している事業内容については、市町村の場合は労働費がございませんのでなかなか理解が困難だと思いますが、県とすれば、十分に理解をして対応しているものでございます。ただ、そうはいいましても、これはまさに国と県との一層の連携が必要でございますので、岩手労働関係連絡調整会議とか緊急雇用対策推進会議を設置いたしまして、これらの中で連携を図っているわけでございます。
 具体的な連携の事例といたしましては、さらに地方振興局ごとに雇用関係連絡会議等を開催いたしまして、市町村、それから公共職業安定所などとの間でも情報交換を随時行っておりますし、それから、地方振興局と公共職業安定所が共同で求人開拓を行うということもやっております。特にも、高校生の新規卒業者の就職求人開拓につきましては、県教委の就職支援相談員を加え、合同で事業所訪問をやっている状況でございます。
 それから、これはこれからでございますが、就職支援センター(仮称)を各地方振興局に設置して、国と県、関係団体の雇用関係情報の一元的な提供に努めることにしておりますし、また、国と関係団体、県が共同で説明会を開催し、いろいろな助成制度がございますので、これらの説明を共同でやって普及・促進に努めている、そういうような状況でございます。
 それから、県の平成13年度の緊急雇用対策として、新たに創設した国の基金、それから県単独の基金で事業を積極的に展開したわけでございますが、その結果、225事業、1、349人が新たに雇用され、環境の保全とか美化、教育・文化などの分野で雇用の確保に成果があったと考えております。
 このような成果を踏まえまして、今年度は、それらの事業効果を一層高めるため、平成13年度につくりました二つの基金を活用いたしまして、国の交付金事業は、より地域に密着した事業の展開を図る、それで市町村の事業配分を厚くし、離職者を対象とした臨時応急的な雇用の創出に努めていくということでございまして、一方、県の基金事業の方は、産業支援などによりまして常用雇用を創出する、それから、国の交付金事業を補完する役割を持たせるという形でやっていきたい、そのように思っております。
 職業訓練の関係でございますが、県の行っておる職業訓練といたしましては、産業技術短期大学校を初めとする7カ所の職業能力開発施設を内陸、それから県北・沿岸部にそれぞれ配置いたしまして、これは主に新規学卒者を受け入れて職業訓練を行っているわけでございます。地域的に見ますと、内陸部では製造業やサービス業に対応する情報、電子、機械の職業訓練、県北や沿岸部では建築系や自動車整備の職業訓練に特徴がございます。県立施設の平成13年度の修了生は278人、就職率は93.5%ということで、ものづくりを目指す若者の就業促進がかなり図られておるものと考えております。
 また、ITの活用とか電気工事士資格取得の支援など地域の訓練ニーズに対応した短期間の在職者訓練もやっておりまして、平成13年度は4、945人が受講しておりまして、資質向上を通して雇用の維持・安定に効果を上げている、このように思っております。
 さらには、離転職者の雇用対策につきましても、OAビジネスとか介護サービス、建設機械運転などの訓練を行って再就職の支援に努めておりまして、平成13年度は130人が受講し、就職率は40.8%となっているところでございます。
 他方、職業訓練協会の方でございますが、いわゆる認定職業訓練校は県内に16校ございます。主に就労間もない在職者を対象とした職業訓練を行っているわけでございます。この認定職業訓練校の平成13年度の訓練生は537人で、そのうち9割を建築・建設系の職種が占めているのが特徴でございまして、現場で必要とされる基礎的な知識・技能の習得を図ることで、若年労働者の雇用の維持・安定に効果を上げているものと見ております。
 さらに、この協会は、雇用・能力開発機構、それから県から委託を受けて離転職者訓練も行っておりまして、求職者の再就職支援にも貢献しているところでございます。
 4点目の施設・整備の関係でございますが、訓練校につきましては、訓練を効果的に進めるためには施設・設備の整備が重要であると考えておるわけでございまして、この認定職業訓練校の設置主体でもある市町村等からの要望、また、毎年、各職業訓練協会から提出される翌年度の施設・設備の整備を含む訓練計画を受けまして、施設・設備の老朽度、また、技術革新への対応など、その必要性を判断して、国と協議をしながらその実現に努めているところでございます。
 最近の例としては、平成12年度に岩手県理容美容高等職業訓練校、それから、平成13年度には花巻高等職業訓練校、そして、本年度は一関高等職業訓練校を建設中でございます。

〇小原宣良委員  3点目の部分はわかりました。
 国の機関の役割という部分がよく見えないというのが私の印象です。この労働行政にかかわっては地方分権が必要だと私は強く思っております。
 次に、介護保険事業についてお伺いいたします。
 介護保険制度は、2000年4月から必ずしも十分でない体制の中で始まり、試行錯誤しながら3年目を迎えております。今年度は、第1期介護保険事業の最終年度であると同時に第2期計画策定年度であることから、これまでの事業実施状況を踏まえ、以下お伺いいたします。
 第1点は、当該事業実施主体である市町村において、平成13年度に取り組まれた事業内容の特徴的な点についてお伺いすると同時に、県は、どのような支援策を講じてきたのかお伺いいたします。
 第2点は、介護事業計画の基本をなす要介護認定者は、昨年度は何人であり、次期計画における認定者を何人と推計しているでしょうか。また、これに見合う在宅サービス費用、施設サービス費用、居宅介護支援給付をあわせた総費用をどう見ているのでしょうか、昨年度実績とあわせてお伺いいたします。
 第3点は、生活困窮者に対する保険料、利用料の軽減措置についてでありますが、昨年度の状況と、2期対策に当たっての軽減措置をどう検討しているのかお伺いいたします。

〇高橋副知事  市町村事業の特徴的な点でございますが、在宅サービスの利用は他県に比して低調ではございますが、住民に対して制度の周知が進みつつございまして、平成13年度の実績では、対前年度比で31%増と大きな伸びを示してございます。サービス種別ごとに見ますと、通所系のショートステイ、デイサービスは他県並みの利用率でございますが、訪問系サービスの利用が少なくなっております。その中では訪問介護サービスなどは堅調な伸びを示しておりますが、その一方で、訪問リハビリなどの医療系のサービスが伸び悩みの傾向にございます。
 市町村に対する県の支援策でございますが、給付分析研修会の開催とか、圏域ごとの研修会への職員派遣、また、各種の給付データを分析して市町村に提供するなど、いろいろな支援を行ってまいりました。また、市町村が設置する基幹型在宅介護支援センターを核といたします地域ケア会議の活性化やケアマネジメントリーダーの養成及びその活動支援、さらに、ケアプラン指導研修チームの派遣など、市町村及び介護サービス事業者の連携によりまして高齢者一人一人を支える地域ケア体制を確立するための支援を行っているところでございます。
 それから、要介護認定者数でございますが、平成14年3月末現在におきます要介護認定者は4万770人で、認定率は12.9%でございます。これは、次期計画の最終年度である平成19年度には5万4、112人となって、認定率は15.7%まで上昇するものと見込んでおります。
 これに対応した介護サービス費用でございますが、平成13年度の介護サービス費用の実績は、在宅サービス費用が約190億円、施設サービス費用が約428億円、総費用は618億円余でございます。次期計画の最終年度である平成19年度には、在宅サービス費用は約349億円、それから、施設サービス費用は約535億円、総費用は884億円になるのではないかと見込まれておるところでございます。
 保険料及び利用料の軽減措置でございますが、平成13年度におきましては、保険料の軽減は、まず、災害減免として、3市町で5人に対しまして7万6、000円を軽減しております。それから、市町村の単独減免といたしましては、平成13年度におきまして、6市町村で260人に対し194万8、000円を減免しております。
 次に、利用料の軽減でございますが、国庫補助を利用してやったものとしては、全市町村で4、491人に対し9、831万1、000円を軽減しております。それから、市町村の単独減免といたしましては、21市町村で1、862人に対し4、074万円を減免しておるところでございます。
 第2期計画に向けたこれら保険料、利用料の検討状況でございますが、保険料の軽減措置につきましては、市町村民税非課税者の所得段階区分の細分化-5段階から6段階-、それから、弾力化についても検討するよう市町村に会議等を通じて助言しているところでございます。
 利用料の軽減措置につきましては、国におきまして、減免対象の拡大や新型特養のいわゆるホテルコスト軽減などの措置を検討しておるところでございまして、県としては、市町村に対して、軽減措置の利用の拡大について引き続き指導・助言してまいりますし、国に対しても、減免対象範囲の拡大、それから、事務の簡素化等につきまして、引き続き要望してまいりたい、そのように思っております。

〇小原宣良委員  今の御説明でわかりましたけれども、これからの部分でいうと、在宅サービスというよりは、むしろ施設サービスの方に重点があるように現状も含めて感じますが、やはり在宅サービスの部分について工夫が必要ではないか、こんな感想を持っておりまして、今後の対応をお願いしたいと思います。
 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 本県の中山間地域は県土の約8割を占め、農業生産の約6割を担うなど、生産の場であるとともに貴重な伝統文化を担っている場であり、県土保全の上からも重要な役割を果たしている場でもあります。 しかし、近年、人口の流出などによって高齢化が進行しており、生産活動だけでなく、生活基盤整備を含めた総合的な対策が急務となっております。
 県においては、中山間地域総合整備事業などにより、生産、生活両面の支援を講じているところでありますが、今後の支援策を含め、以下お伺いいたします。
 質問の第1点は、新しい総合計画にも位置づけられておりますが、本県の第1次産品の加工、流通、販売を通じた高付加価値化に向けた施策についてであります。すぐれた生産素材を生かした高付加価値化の取り組みがどのように行われ、また、他産業に波及しているとお考えでしょうか。昨年度の成果を踏まえ、お伺いいたします。
 第2点は、農業経営のあり方についてであります。本県の中山間地域での農業粗生産額は、米、園芸、畜産を初め、県全体の約7割を占めているようであります。農業粗生産額は、平成13年度からは農業産出額と名称が変更されたようでありますが、改めて平成13年度の実績をお伺いいたします。
 また、県は、農業経営のあり方において、兼業農家を含めた家族農業を基盤とする集落営農をどう位置づけ、支援策を講じてきたのかお伺いいたします。

〇高橋副知事  まず、第1次産品の高付加価値化の取り組み、いわゆるアグリビジネスでございますが、これは、生産者の所得向上とか地域における就業機会の確保に結びつくものでございまして、その振興は極めて重要だと考えております。平成13年4月にアグリビジネス振興方針を策定し、特に農村女性の起業化に向けた研修会、産直セミナーなどを開催するなど、生産者の取り組みを支援しているところでございます。関係者の熱意とこうした支援によりまして、県内各地で産直活動なり加工品の製造、農家レストランなどの取り組みが着実に広がっている、そのように認識しております。例えば、農産物直売施設 産直施設 は、平成10年度の231から13年度は281、また、加工に取り組む団体数も150から174、農家レストランも12から17と、着実にふえております。
 これらのアグリビジネスの他産業への波及ということでございますが、生産者による高付加価値化の動きは、地産地消の推進なり、県産品を原料として利用したいとする企業の意識の高まりと相まって、例えばナンブコムギを原料としためん類やパン類の製品開発が行われるなど、食品産業と連携した新製品開発にもつながっております。シイタケかまぼことか、いろいろな饅頭類、それからおかゆのレトルト食品の開発等の事例もございます。また、道の駅における産直、加工、レストランなどの取り組みが交流人口を拡大いたしまして大変来場者がふえておりまして、観光振興にも寄与している事例も出てきておるところでございます。
 それから、中山間地域における農業産出額でございますが、平成13年度の農業産出額は、県全体で2、787億円、そのうち中山間地域は1、868億円となっており、県全体の67%でございまして、この割合は、ここ5年ぐらいの推移では変わってございません。
 それから、中山間地域における集落営農についてのお尋ねでございます。
 集落営農の位置づけでございますが、中山間地域は、御案内のように平場に比べまして傾斜がございますし、圃場の分散もございまして、経営規模の拡大による生産性の向上には制約があるわけでございます。そういうことから、県としては、冷涼な気象を生かした野菜の栽培、また、特産物の高付加価値化に取り組む担い手を育成するとともに、経営能力にすぐれた担い手を中心といたしまして、副業型農家や自給的農家も含めた合意に基づいて、それぞれの役割が適切に発揮される、いわゆる地域ぐるみの集落営農を展開することが重要だと認識しているところでございます。
 これらの集落営農への支援策といたしましては、これまで、集落営農の中核となる担い手への農地の利用集積支援といたしまして農地流動化ステップアップ運動、また、地域ぐるみの産地づくりに必要な農業機械・施設の導入支援といたしましていわて農業担い手支援総合対策事業、また、新規作物の導入や新商品開発等による高付加価値型農業の展開支援につきましては中山間地域夢づくり総合支援対策事業、それから、農業法人の設立及び経営改善支援につきましては農業法人等育成支援事業など、ハード、ソフト両面にわたり支援対策を実施しているところでございます。

〇小原宣良委員  次に、環境問題についてお伺いいたします。
 県は、環境首都宣言のもと、いち早く環境問題に積極的に取り組んでいることを高く評価いたします。私どもは、循環型社会とは、廃棄物を出さない社会だけでなく、自然に還元しにくいエネルギーや有害な化学物質が使用されることのない社会であり、地球上のあらゆる生物との共生を図る社会であると考えております。
 こうした観点から岩手・青森県境産業廃棄物不法投棄事件を見ますと、まさに20世紀の大量消費・大量廃棄社会を象徴する遺物とも言えるものであり、したがって、この処理は、今後の循環型社会の形成のためにも徹底した対応を図るべきものと考えます。
 そこでお伺いいたします。第1は、不法投棄にかかわった原因者の究明でありますが、県は昨年2月に盛岡地裁に対して財産仮差し押さえの申し立てをし、決定がなされました。この仮差し押さえにより、原因者による原状回復義務はどう担保されたのでしょうか。
 第2は、原状回復を図るための費用負担でありますが、法的整備を含めて国の関与は不可欠と考えますが、いかがでしょうか。
 第3は、県の人的体制についてであります。県が配置している産廃Gメンは、身分的には非常勤のようであり、権限等から常勤職員の配置とすべきではないでしょうか。また、この事件のように廃棄物処理を初めとして環境対策の業務量が増大していると思われますので、文書指導や行政指導・処分などの法的処理に対応する環境担当職員が不足しているのではないでしょうか。増員を含めいかがお考えでしょうか。

〇高橋副知事  まず、財産の仮差し押さえの関係でございますが、三栄化学工業に対しまして、平成13年2月に預金1億4、900万円余、不動産1億1、400万円余を仮差し押さえしたわけでございます。この財産の仮差し押さえは、原因者の財産の散逸等を防止することによりまして命令の履行を確保する効果がございます。このことによりまして、原因者にこれまで、燃え殼等の不法投棄廃棄物約1、200トンの撤去、それから現場の全面掘削調査などを行わせてきたところでございます。
 それから、法的整備と国の関与の話でございますが、このような原状回復の費用負担につきましては、まず、既に判明している不法投棄実行者がいればそれでございますが、それ以外に不適正な廃棄物処理委託等を行っていた排出事業者等を解明いたしまして、その責任を徹底して追及して負担を求めていく考えでございます。これによってもなお原状回復が困難となった場合等は、県が行政代執行によりまして原状回復を図る方法が考えられるわけでございます。ただ、投棄された県が一方的に経費負担を強いられるということは問題でございますので、そういうことのないように、国の調整によって排出元の都道府県が応分の負担をするなどの制度を創設することを、国に現在提案しているところでございます。
 また、本事件におきます現在の支援制度は、県の負担する費用の3分の1を国が支援するという制度でございますが、環境省では、御案内のように平成15年度政府予算におきまして、新たに県の負担する費用の2分の1を国が補助する事業を要求しているところでございまして、国の補助等について法整備を今検討しているというようなことも承知してございます。
 今後とも、投棄された側の県が一方的な負担を強いられることのないように、そういうような解決を図るような法制度の整備等を国に働きかけてまいる考えでございます。
 それから、産廃Gメンを常勤職員にすべきだというようなことでございますが、産廃Gメンの権限につきましては、廃棄物処理法に基づく立入検査員証を携帯いたしまして、同法に基づく立入検査を行うなど、通常の監視については職員と同様な権限行使が行われるような体制としてございます。しかし、業務内容は、施設等の巡回指導、不適正処理の監視指導業務などの専門業務に限定されるために、非常勤専門職員によることが適当であると考えております。
 それから、環境関係の職員の配置でございますが、地方振興局でも環境対策の業務量が大変増大しておりますので、平成14年度には新たに5地方振興局に1名ずつ計5名の担当職員を配置したところでございますし、先般、産廃対策室に9名配置したところでございます。平成15年度の職員定数につきましては現在作業中でございますが、今後とも環境対策の業務量を勘案しながら、必要に応じて適正な職員配置を図っていきたいと考えております。

〇小原宣良委員  知事は先ごろ、県境不法投棄対応検証委員会というものを設置すると記者会見で述べたようでありますが、当時の県職員がこの事件にかかわって適切な対応がなされていたかどうか検証するため県民から情報を求めているようでありますが、そのねらい、目的は何でしょうか。

〇小原総務部長  青森県境の産廃不法投棄対応検証委員会のお尋ねでありますが、不法投棄事案につきましては、9月9日に環境生活部に産業廃棄物不法投棄緊急特別対策室を設置して、いわば緊急かつ重点的に対応する体制を整備したところであります。
 一方、本件事案がどのような経過をたどって発生して、なぜあれほどの規模に至るまで発見されずに、今日このような事態に至ったかということについて、知事を初めとした本県の関係機関の対応について問題がなかったのか、行政責任も視野に入れた検証を徹底的に行って、県民に対する説明責任を果たす必要があることから、廃棄物関係あるいは行政関係の法学の学識経験者、弁護士で構成される客観的・中立的な検証委員会を10月1日に立ち上げました。その調査・審議の過程で、これまで現地調査も含めて3回委員会を開催してきたところでございますが、その中でやはり、今お話の県民からも情報をとる必要があるのではないかというお話があって、それについてはそれで対応していくということで、今後、そういったことも含めて、より事案の内容について詳細な調査をお願いいたしまして、年度末までには内容について知事に対して答申なり報告なりをいただくということで進めているものでございます。

〇小原宣良委員  検証委員会が悪いと私は言っているのではないですよ。ぜひしっかりとこの問題については対応いただきたい。

〇斉藤信委員  最初に、県財政の危機的状況とその原因、増田知事の責任と今後の対応についてお聞きします。
 昨年度末の県債残高は1兆2、678億円となっています。平成6年度末から増田県政の7年間で増大した県債・県民への借金はどれぐらいでしょうか。その要因別県債残高を示していただきたい。今年度末見込みはどうでしょうか。
 最大の原因は普通建設事業、いわゆる大型開発など公共事業優先の県政にあったと思いますが、7年間の普通建設事業費の総額と年平均額、歳出決算額に対する比率はどうなっているか。来年度公共事業費を15%削減するといいますが、どういう公共事業をどう削減するのか。大型開発の公共事業削減に踏み込むのか、示していただきたい。

〇小原総務部長  県債残高と今年度末見込み等についてのお尋ねでありますが、平成6年度末から13年度末までの7年間で県債残高は、一般会計ベースでありますが6、738億円余増加したところであり、県民1人当たり借金額にいたしますと、平成6年度末が41万円余、平成13年度末が89万円余となりますので、48万円増加しているところであります。
 それから、要因別の県債残高でありますが、その主なものは地方財源不足として発行した財源対策債等2、355億円、国の経済対策に呼応して公共事業の財源とした補正予算債が912億円、東北新幹線建設負担金の財源とした県債が723億円、県立大学整備のための財源とした県債が313億円となっております。
 また、平成14年度末の県債残高見込み額は、9月現計でありますが1兆3、384億369万円余であります。
 それから、平成6年度末から13年度末までの普通建設事業費の総額と年平均額、歳出決算額に対する比率というお尋ねでございますが、総額は2兆3、816億円となっておりまして、年平均で3、402億円であります。また、歳出決算額に対する比率は38%となっております。
 それから、どの公共事業をどう削減するかということでありますが、どれをどのように削減するかについては、今後の予算編成の過程を通じて公共事業担当部局とともに検討していくこととなりますので、現時点では特定できませんが、いずれにしても県民の生活に身近な生活基盤については最優先で取り組んでいく必要があるものと考えております。
 それから、大型開発を見直すべきとのお話でありますが、平成15年度予算編成方針においては、公共事業のみでなく、投資的経費全体について原則として前年度の85%以内の額とするということにしているものであります。大型開発も含めて、政策評価システムの精度を高め、事業の優先度、重要度を客観的に判断することにより事業採択の可否を決定いたしまして、限られた財源の効率的・効果的な活用に一層努めてまいる考えであります。

〇斉藤信委員  今の答弁で、昨年度までで増田県政の7年間、6、738億円の借金をふやしたと。今年度末見込みで見ますと7、444億円、県債残高全体の55.6%ですよ。私はこの責任は極めて重大だと。
 それで、その要因は普通建設事業ですね、年平均で3、400億円、その決算比率に対して38%ですよ。私は本当に大型開発を進めてきて、今は県政が本当に深刻な危機的状況にある、これを踏まえて今後の対応を考えなくちゃならん。
 それで具体的に聞きますが、簗川ダム建設事業について、事業費が昨年倍増の670億円となりましたが、わずか2カ月の公共事業評価委員会の議論でゴーサインとなりました。再評価に当たらないのではないか。盛岡市の60年後の利水とか、過大と指摘される治水計画、貴重な環境への影響など、専門的・科学的な検討、情報公開、住民参加の再評価が必要だと思いますがいかがでしょうか。
 花巻空港の滑走路延長事業について、利用客が減少しているのに、県の利用客見通しと大きな乖離が出ているときに、なぜこうした事業を進めようとするのでしょうか。他県と比べても異常じゃないでしょうか。
 港湾整備事業について、321億円投資した久慈港の実態についてどう受けとめているのか。
 大船渡港湾の整備について、貨物取扱量が減少しているのに何を根拠に436億円投じようとしているのか。太平洋セメントの合理化でさらに減少するのではないでしょうか。公共埠頭の利用状況はどうなっているのでしょうか。

〇高橋副知事  まず、簗川ダム建設事業についてでございますが、再評価に当たらないという御指摘がございましたが、昨年の公共事業評価委員会では、現地調査や利水事業者からの意見聴取を行いまして、各種の代替案につきましても議論を尽くした上で、委員会から事業継続が妥当であるとの結論が出されて、これを受けて県として事業継続を決めたものでございます。
 なお、公共事業評価委員会に提出されました資料、議論の内容につきましては、すべて県民に情報公開されているところでございます。
 それから、再評価が必要だというようなことでございますが、事業内容に大幅な変更があり、再評価を実施する必要があると判断した場合に該当すれば、公共事業評価委員会の附帯意見に従って、再度公共事業評価委員会に諮ることになるものでございます。
 花巻空港整備事業についてでございますが、現在行っております滑走路2、500メートルの延長等の整備は、航空機の離着陸時の安全性の向上、また、冬季の就航率の改善、国際チャーター便の運航先の多様化などの目的もございまして、県勢の総合的な発展を図る上で必要な事業だと認識しております。
 なお、先般私が大阪から帰ってまいりますときに、残念ながらまた大阪まで帰っていってしまいましたが、あの程度の雪でも、2、500メートルであればおりられたという話を雑誌でやっておりましたので、申し添えておきたいと思います。
 それから、港湾整備事業でございますが、久慈港の港湾整備事業につきましては、諏訪下地区岸壁工事についてやってきたわけでございますが、昭和62年度以降は整備を行っておりません。また、半崎地区につきましても、平成9年度以降はやっておらないところでございます。近年の久慈港の貨物取扱量は35万トン前後となっておりまして、中国からの川砂の輸入、また珪石、石材等の移出を中心に利用されておりまして、今後一層地元と一体となったポートセールスを展開して、利活用を図っていく必要があるものと思っております。
 大船渡港の港湾整備事業につきましては、現在整備を行っておる永浜・山口地区につきましては、老朽化が進んでいる茶屋前地区の機能移転等を目的としているものでございまして、この整備に当たりましては、取扱貨物量の動向を見定めながら進めることとしておるところでございます。
 それから、本年4月11日に太平洋セメントの中期経営計画の中で、小型キルンを休止する予定が発表されたわけでございますが、この具体的な内容につきましては承知していない、まだ発表されていないところでございます。
 なお、同社では独立系発電事業の計画を進めておりまして、これが実現しますと、発電に要する石炭等の取扱貨物の増大が期待されるところでございます。
 公共埠頭の利用状況でございますが、平成12年度の公共埠頭の主な取扱貨物は、久慈港では非鉄金属、砂利・砂、木材チップなどでございます。宮古港では原木、燐鉱石、化学肥料、化学薬品。それから釜石港では鉄鋼、木材チップ、完成自動車。大船渡港では原木、非金属鉱物、石材等でございます。
 本県の港湾で取り扱われている貨物につきましては、原木等の港湾背後の企業の貨物取扱量が減少傾向にあるわけでございますが、内陸部で生産されました完成自動車の輸送等が増加傾向にあるわけでございまして、そういうような貨物もございますので、平成13年は全体で10万トンの増加になったわけでございます。
 今後、道路整備と連携した物流ネットワークの形成がさらに進むことによりまして、貨物の集荷体制の確立もなされ、公共埠頭を含めた本県港湾の利活用が推進されるように努力してまいる考えでございます。

〇斉藤信委員  副知事、長野県や鳥取県ではどういうふうにダムが検討されて、中止になったかわかっていますか。岩手県とどこが違うか。

〇高橋副知事  それについては、私は詳しくは承知していないところでございます。

〇斉藤信委員  これは朝日新聞にも報道されましたけれども、両県の議論は全く違う道筋をたどったと。長野県は、専門家を含めて1年間独自に治水、利水を検討したんですよ。そうして、当初の県の計画はむだだとなったんです。鳥取県は知事が、県が立てていた大改案のむだを指摘して直させたんですよ。たった2カ月の公共事業評価委員会で、みずから検討もしないで、大体川を調査していないんですよ。私はそういうものは公共事業評価委員会に当たらないと思いますけれども、副知事、もう一回答えてください。あんな程度でいいんですか。

〇高橋副知事  知事も答弁いたしましたが、それは斉藤委員の見解だと、そのように思っております。

〇斉藤信委員  それではもう一回聞きますが、盛岡市の利水計画については、盛岡市がこう言っているという答弁しかないんだけれども、県としてそれが本当に適切かどうかという評価はしないんですか。

〇高橋副知事  盛岡市の利水計画も十分に検討した上での結論だと、そのように承知しております。

〇斉藤信委員  結局、県は全く根拠のない盛岡市の利水計画を前提にして、むだな大型開発をやろうとしている。
 花巻空港のことについても一つ聞きますけれども、利用客が減少して、いわば予測と大きく乖離してもやるんだということですか。

〇高橋副知事  今、需要予測については再度見直しをしているところでございまして、結果が出れば、またその時点で検討することになろうかと思います。ただ、花巻空港につきましては、利用客の増減に対応してのみやっているというようなことではないということを御理解願いたいと思います。

〇斉藤信委員  2年後に83万人が今50万人を切っているという、費用対効果をやったらマイナスになりますよ。部局で後から示していただきたい。
 第2に、私は雇用拡大策についてお聞きします。
 平成13年度の県内失業者は3万5、000人となっていますが、事業主都合での離職者はどうなっているでしょうか。工場閉鎖の件数、離職者はどうでしょうか。平成14年度はどうなっているでしょうか。大規模なリストラ、工場閉鎖などの合理化計画については、私は県への事前協議を義務づける対策が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 具体的雇用拡大策について、県民が切実に求めている30人学級の実現や特養ホームの30カ所の整備、約6割の老朽校舎の改築、県営住宅の増設、消防職員の基準人員までの増員、残業を減らし雇用拡大に回すワークシェアリングの実施など、私はこうした切実な課題に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 県内の従業員の約8割を占める中小企業への対策は決算ではどうなっているでしょうか。金融対策その他で示していただきたい。二、三倍の規模に拡充すべきではないか。経済団体、商工業者が強く反対している外形標準課税の導入をなぜ知事と県は推進しようとしているのでしょうか。中小企業いじめとなるのではないでしょうか。

〇高橋副知事  最後の外形標準課税については、総務部長の方から答弁させます。
 まず、事業主都合での離職者数でございますが、平成13年度における新規常用求職者のうちの各月の事業主都合による離職者数の合計は2万9、681人で、月平均は約2、473人となっておるところでございます。
 それから、平成13年度の県内における誘致企業の工場閉鎖、県の調査によりますと24件、工場閉鎖時の従業員数は2、168人となっております。
 誘致企業については、立地に当たって市町村と誘致企業が協定を締結しておりまして、その中において、地域産業や従業員に重大な影響を及ぼすような事態が生じる場合には事前に協議することとしておりまして、県に対しても同様の対応を要請しているところでございます。
 それから、企業の倒産、大規模小売店舗や大規模工場の閉鎖等については、地方振興局を通じて情報収集を行っているところでございます。
 次に、具体的な雇用拡大でございますが、これはいっぱいございましたが、まず、30人学級の実現でございます。30人学級を仮に小学校1、2年生で実施する場合には217人の教員増となるわけでございますが、約18億円の財源増加というようなことが見込まれておりまして、本県の厳しい財政事情のもとで措置することは難しい、このように思っておるところでございます。
 それから、特養ホーム30カ所というようなことでございますが、これにつきましては、介護保険事業計画の中で施設サービスの必要数を設定しているものでございますので、その計画に沿った施設整備の結果として、地域の雇用拡大につながっていくものだと考えております。
 それから、約6割の老朽校舎の改築というようなことがございました。確かに建築後20年以上の老朽校舎が全体の60%あるわけでございますが、県立学校につきましては、大規模改造事業でおおむね30年以上経過したものについて改築の対象としておりまして、計画的に整備を進めることとしております。
 小中学校については、市町村の事業でもございますので、計画的に整備していくように引き続き指導してまいりたいと思っておりますが、国に対しても予算の確保について要望してまいりたいと考えております。
 それから消防職員でございますが、確かに消防職員基準数を満たしておらない、約65%の充足率でございます。これは、施設設備を重点に整備をしてきた関係で配置が追いつかないというような実情でございますが、いずれ現下の厳しい財政状況を考慮しながら、市町村の実情に即し、計画的に充足率の向上を図るように指導してまいる考えでございます。
 それから、ワークシェアリングの話がございました。ワークシェアリングにつきましては、中央においてワークシェアリングに関する基本的な考え方について労使の合意がなされまして、その中で個々の企業の労使の自主的な判断と合意により行われるべきものとされておるところでございまして、県におきましても、現在、岩手労働問題協議会の中にワークシェアリング研究会を設置して検討を進めているというようなことでございます。これらの結果を踏まえて、労使双方の啓発に努めてまいりたいと考えております。
 それから、中小企業対策関連の決算額でございますが、697億5、600万円余ということでございまして、これは、一般会計に占める比率が7.4%ということでございます。このうち金融対策関係が612億6、200万円余というようなことで大きいわけでございますが、金融対策関係以外は84億9、300万円余というようなことでございます。これは平成12年度決算に比べ23.9%の増加というようなことでございます。

〇小原総務部長  外形標準課税についてでありますが、法人事業税への外形標準課税の導入は、広く薄く公平に、応益課税として受益に応じた負担を求めるものでありまして、さらには、地方分権を支える基幹税の安定化、ひいては経済の活性化にもつなげるといった趣旨で進めているものであります。
 本県においては約4割の法人しか法人事業税を負担していないという現状にありまして、税負担の不公平が生じている。さらには、県税の基幹税目である法人事業税税収は、ピークであった平成3年度に比較いたしますと平成13年度は3分の2まで落ち込んでいる。景気の動向に左右されない安定的な税収を確保する上からも、また県民に安定的な行政サービスを提供するためにも、法人事業税に外形標準課税を導入することはぜひとも必要だと考えております。
 中小企業いじめになるのではというお話もございましたが、現在示されている総務省案では、資本金1、000万円未満の小規模法人に対しては、課税の特例として外形標準課税にかえて定額年4万8、000円の簡易外形税額を選択可能としているほか、創業期のベンチャー企業等に対しては、最大6年間の徴収猶予制度を創設するなど、中小企業の税負担を軽減する措置を講じることとされております。
 現在、自民党税制調査会におきまして、来年度の外形標準課税導入の是非について議論されているところでありますが、ただいま申し上げたような内容に加えて、さらに中小企業等に対するきめ細かな配慮を検討中と聞いておりますことから、県といたしましても、それらの動向も踏まえ適切に対処してまいりたいと考えております。

〇千葉伝委員長  執行部に申し上げます。
 議事の進行に協力していただくため、この際、答弁は簡潔に願います。

〇斉藤信委員  先ほど、リストラ、合理化の件で事前協議は立地契約に書かれているんだと。アルプス電気やアイワ岩手の場合にそういう事前協議がありましたか。私は、広域的な影響があるわけだから、岩手県としてそういう事前協議制度をつくるべきだと思いますが、副知事いかがですか。

〇高橋副知事  その件については承知しておりませんので、部局審査の際にお尋ねいただきたいと思います。

〇斉藤信委員  これは大事なことですよ。私の質問にかかわる核心部分なんだよね。まあ、仕方ありません。
 次に、今も若干答弁がありました30人学級の実現について改めてお聞きします。
 全国22道府県で既に実施されています。特に東北では、山形、秋田、福島、青森県で先進的に実施されて、来年度はさらに拡充される予定であります。全国、東北の状況についてどう受けとめているか。
 ことし8月、山形県は全国に呼びかけて少人数学級編制研究会を開催し、岩手県も参加しました。この内容、成果について知事、副知事には報告があったのか、どう受けとめているのかお聞きします。
 岩手県として小学校1、2年生から計画的に実施するとすれば、今18億円という試算がありましたけれども、私は新卒を採用した場合に幾らになるか示していただきたい。18億円は高過ぎますよ。
 小学校全体では、また中学校全体ではどのくらいの学級数と教員増になるでしょうか。
 岩手県としては来年度に向けて検討されているのでしょうか。
 岩手大学教育学部の再編・統合問題ですが、文部科学省は地域と協議するよう指示しています。どう協議されているでしょうか。岩手の教育と教員養成を考えるなら、教育学部の存続を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇高橋副知事  岩大の教育学部の関係は地域振興部長の方から答弁させます。
 30人学級の全国、東北の状況についてでございますが、22道府県が一部を含めて少人数学級を導入していることは承知しておりますが、これは、それぞれの地域の教育課題なり施策の効果等を踏まえて、さまざまな取り組みが進められているものだと受けとめているところでございます。
 それから、山形県主催の少人数学級編制研究会でございますか、これは事務レベルの研究会だと聞いておりますが、いずれ直接報告は受けていないところでございますが、少人数学級や少人数指導等の効果的な指導方法について関係者で研究していくということは、有意義なことであろうと考えております。
 それから、小学1年生、2年生で実施した場合18億円ということでございましたが、これは基本・基礎が平成14年度の年間平均給与830万円を使っておりますので、新卒ということになりますとこれよりは下がるということでございます。もし額であれば、部局審査の方でお聞きいただければと思います。
 それから、来年度からというようなことでございますが、30人学級につきましては、本県では学級編制基準は国の標準どおり1学級40人としながら、国の第7次定数改善計画の趣旨に沿って少人数指導を進めているところでございます。
 特に、平成14年度は施策重点化方針における岩手らしさを生かした人づくりの推進の一つといたしまして、本県独自に岩手県少人数指導支援事業「すこやかいきいきいわてっ子」を実施しておりまして、28日の教育長答弁にありましたように、指導上の効果が上がっているように聞いておるところでございます。
 今後におきましても、本県のこうした取り組みによりまして、きめ細かで行き届いた教育ができるように努めていく必要があると考えております。

〇飛澤地域振興部長  岩手大学の教育学部の統合問題ということでございますが、これまで岩手大学との間で情報交換を行う場を設定しておりまして、7月以降3回ほど情報交換をしているところでございます。
 現在、3大学全体の再編・統合問題を検討する枠組みの中で、教育学部長によるワーキンググループが設置されまして、これまで準備会と第1回の会合が持たれた段階と聞いております。ただ、それでもまだ具体の検討が進んでいないと聞いております。
 委員お尋ねの学部の存続という点についてでございますが、3大学が全学部を対象とした再編・統合に関する検討を行っている途上だということでございますし、また、その3大学それぞれで学内でいろいろな議論が行われているという状況で、具体の方向性が見えないということでございます。委員が先ほどおっしゃいましたとおり、国も、地域との協議を十分に行うようにという話もございますので、いずれ適切な時期に大学の方から方向性なり素案なりといったものの協議が多分あるであろうと思っております。その際、庁内意見を集約いたしまして、その場で意見調整あるいは別の場も想定されますけれども、いずれ適切な時期に意見調整をしていきたいと考えております。

〇斉藤信委員  これが山形県が行った研究会の報告書ですよ。副知事、ちゃんと報告を受けてください。
 この中ではこう言っていますよ。少人数学級編制による教育効果は、学習指導のみならず、子供の生活の場にかかわるという意味で非常に懐の深さと幅の広さがある。本当にそういう成果があるから、どの県も来年度さらに拡充するんですよ。私はその成果を岩手としてもしっかり学んでいただきたい。環境、ひと、情報と言っているんだから、人づくりで全国最低の取り組みではだめですよ。
 岩手大学の教育学部の問題を地域と協議しなさいということは、地域の要望をまとめて伝えなきゃだめですよ。大学の方からこうなりましたじゃだめなんですよ。その大学の計画に地域の要望が伝わるようにしなきゃだめじゃないですか。どうですか。

〇飛澤地域振興部長  基本的には学内の問題と考えておりますけれども、委員おっしゃるとおり、地域の意見というものも一方では必要でございますので、庁内意見を集約しながら、適切な時期に意見としてその協議の場で申し上げる機会があるのではないかと思っております。

〇斉藤信委員  しっかりやっていただきたい。県議会も決議を上げているんだから。
 市町村合併の取り組みについて。
 盛岡市、矢巾町、滝沢村の状況について住民アンケートでは、合併に反対が滝沢村が57.8%、矢巾町が53.4%、この住民の意思、状況をどう受けとめているでしょうか。その理由をどう認識しているでしょうか。住民の多数が反対している中で、県が合併を推進することは民意に反するのではないでしょうか。
 市町村合併をめぐる状況について、国、自民党の動向には、1万人以下の町村をなくして強制合併を目指す動きもあります。一方で、地方交付税は財政調整機能をなくすなどの動きに見られるように、地方自治を否定する動きの中で合併を推進することは、国の町村切り捨てに加担することにならないか。全国町村会が最近、西尾私案に対する意見、政府に対する緊急重点要望を行っていますが、どう受けとめているでしょうか。
 知事は岩手経済同友会の例会で、盛岡市など3市町村の合併問題について、広域に庁舎を移すとか新しい機能をつくるぐらいの、矢巾町や滝沢村が盛岡市をのみ込んでも地域が発展するぐらいのビジョンを議論すべき。滝沢村を中心にするとか、矢巾町に庁舎を移すぐらいの考えが必要だと述べたと報道されていますが、その真意は何でしょうか。とんでもないピンぼけ発言じゃないでしょうか。

〇飛澤地域振興部長  市町村合併に対するお尋ねでございまして、住民アンケートでございますが、両町村が住民の意向を調査するために実施したものでございまして、その結果につきましては、町村自身が今後の方向性を判断するための一つの要素であると考えております。
 いずれ、市町村合併につきましては、地域のあり方は地域が決めるという地方自治の基本にのっとりまして、住民の意思を幅広く把握して、最終的には市町村が自主的に判断すべきでありまして、県としては、その結果として合併に向けて取り組みを進める市町村を積極的に支援してまいりたいと考えております。
 それから、2点目、町村切り捨てだという話でございますが、先ほど申し上げましたとおり、合併については、一律に合併を進めることは適当でなく、地域の実情に応じて住民合意を前提に自主的な判断のもとで進められるべきものとこれまでも繰り返しお答えしてきているところでございます。今度のいわゆる西尾私案につきましては、地方自治の根本にかかわる問題が多く含まれておりますので、地方団体の意見を含めて広範な角度から議論が行われるべきものであって、全国町村長大会の緊急重点決議も、地方団体の意思表明の一つであると考えております。
 それから、岩手経済同友会での知事発言というお話でございましたが、この岩手経済同友会におけます講演内容は、市町村合併につきましては一般的に都市が町村を吸収するとか、あるいは町村部が周辺部になってしまうといったような視点で議論されることが多いという一般的な傾向に対しまして、現在の市町村の枠にとらわれずに地域全体としてとらえて、公共施設の配置でありますとか、土地利用、あるいは地域の特性と申しますか個性を生かしたゾーニングといった、全体としての広域的な視点に立ったまちづくりという観点から、地域の将来像を主体的・積極的に描いて議論してほしいといった意味合いと私どもは受けとめております。

〇斉藤信委員  知事の発言だからこれは重大なので、委員長、ぜひ世話人会で検討して、決算委員会に呼んでいただきたい。

〇千葉伝委員長  休憩します。
    午後4時57分 休 憩
   午後4時57分 再 開

〇千葉伝委員長  再開します。
 斉藤信委員の知事の出席要望であります。世話人会等でこの知事の要望が出た場合は、世話人会で打ち合わせをするということになっておりますので、直ちに議会運営委員会室で打ち合わせをいたします。その間、暫時休憩いたします。
    午後4時57分 休 憩
   午後5時12分 再 開

〇千葉伝委員長  再開いたします。
   〔佐藤正春委員「議事進行」と呼ぶ〕

〇佐藤正春委員  委員長、ただいまの斉藤信委員の知事召喚については、議会運営委員会で、委員長、斉藤信委員もオブザーバーで出席して、知事がいない、そして最終日に呼んだらどうかということが決まっているわけだから、そういう中で行われるのは、これは、いいですか、委員長を初め、議事課長、あなたもだ、それから斉藤信委員を含めて、こういうことで議事を停滞して同僚議員に迷惑をかけるということは非常によくないことだ。これはやはりおのおのがみんな注意して、議会運営というのは、みんなの議会なんだから、そして健全な、スムーズな実のある議会にするようにしてほしい。委員長、わかりましたか。
 そういうことで、三者ともども私は責任がある、この停滞させた責任というものを感じてほしい。
   〔斉藤信委員「議事進行」と呼ぶ〕

〇斉藤信委員  私は今すぐ呼べなんて言っていないんですよ。知事を呼んでほしいと委員長にお願いしたわけだから、私に何の責任があるんですか。私は議会運営委員会の申し合わせ事項に基づいてそういう趣旨で言ったんですよ。

〇千葉伝委員長  議事を進行いたします。
 佐藤正春委員、そしてまた斉藤信委員からの議事進行の御発言があったわけでありますが、知事の出席を求めるということにつきましては、議会運営委員会というよりも、世話人会の申し合わせということの中で取り決めがなされているということでありますので、佐藤正春委員の、今後のやり方については以後の議会運営委員会でそれは話が出るものということで、御了承願いたいと思います。
 ただいまの世話人会の協議結果を報告いたします。
 知事の出席を求めることの件については、決算認定に当たり、知事の出席を認める重大性がないとの結論に至りましたので、斉藤信委員、御了承願います。
 質疑を続行いたします。

〇斉藤信委員  最後に、介護保険の改善、児童虐待対策についてお聞きします。
 特養ホームの緊急整備について、介護保険実施前から現在まで、在宅の特養ホーム待機者はどう推移しているでしょうか。待機者急増の原因をどう受けとめているでしょうか。要介護者が介護サービスを選択できるという介護保険の原則からいって、私は緊急に特養ホームを整備することが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 介護施設の整備計画について、要望の強い特養ホームの整備を重視した計画にすべきではないでしょうか。老人保健施設、介護医療施設の整備目標の根拠は何でしょうか。
 児童福祉司を交付税措置の17人まで増員すべきではないでしょうか。児童養護施設の増員は本会議でも答弁がありましたが、いつまでに、どの施設で行うのか示していただきたい。

〇高橋副知事  特別養護老人ホームの待機者の推移でございますが、平成12年3月末では待機者が156人でございましたが、平成14年9月末現在では1、745人と大幅にふえているわけでございます。この原因は、個人の施設選択が可能となった、また、要介護認定者自体が増加している、それから、介護費用の負担が在宅と比較して割安感がある、さらに、申込順で入所者を決定するというような実態にあったということなどが考えられるわけでございます。
 それから、緊急整備のお話がございましたが、現在市町村におきまして、施設整備が保険料に及ぼす影響や、また住民の保険料負担も十分勘案しながら、入所希望者の状況を踏まえた適切な整備が行われるように第2期の介護保険事業計画を策定中でございまして、県といたしましては、必要な助言を行いながら、計画に基づいた整備が図られるように支援してまいりたいと思っております。
 それから、特養ホームの整備計画の関係でございますが、市町村においては次期の計画策定に当たりまして、地域の事情、入所希望者の状況なども勘案いたしまして、特養、老健、療養型医療施設について、それぞれ施設種別ごとに入所定員目標数を見込んだものでございます。この結果、今後5年間に県全体では特養、老健、痴呆性高齢者グループホームを合わせまして約2、000床の増床を行う計画でございます。
 それから、児童福祉司の増員の関係でございますが、児童福祉司につきましては、ことしの4月に2名増員いたしまして13名体制としたところでございます。虐待相談件数は、平成13年度は急増いたしましたが、本年度はほぼ横ばいであるという状況もございますので、今後の相談状況等を見ながら、増員については対応してまいりたいと考えております。
 また、児童養護施設の定員増についてでございますが、緊急の場合は一時保護で対応してまいりたいと思っておりますが、定員増を行う施設につきましては、施設面積等から定員増が可能な既存の施設において調整をしてまいりたいと考えております。
 現在、名前は申し上げられませんが、一応、そういうような可能性のある施設も押さえているというようなことでございます。

〇斉藤信委員  在宅サービスは去年の10月からことしの6月まで、限度額比減少していますよ。特養ホームは今言ったように10倍ふえましたね。割安感ではなくて、在宅サービスが割高感なんですよ。だから在宅サービスを使えるような対策をとるのと、やっぱり緊急にやらないと、5年間で829床整備したって待機者はふえるばかりじゃないですか。副知事、どうなんですか。
 それと、児童福祉司、17人も交付税措置があるのになぜこれを配置しないんですか。こんな子供に冷たい政治でいいんですか。

〇高橋副知事  在宅サービスにつきましては、確かに本県の特徴として低調だということもございますので、いろいろ割高感がないようなことで考えていかなければならないと思います。
 児童福祉司の増員につきましては、交付税措置は交付税措置でございますので、必要に応じた適切な定員配置をしていきたいと考えております。

〇小野寺好委員  公明党の小野寺好であります。
 平成13年は21世紀開幕の年でしたが、国内のBSE問題、米国での同時多発テロなど、重苦しいスタートになってしまいました。また、国、地方を通じての多額の債務、さらに進む少子化、高齢化、就職難等で明るい展望はなかなか見出せません。このような中、昨年度の県政はいかがであったか、平成13年度の一般会計決算についてお伺いいたします。
 最初に、地球温暖化防止についてであります。
 21世紀は環境の世紀と言われております。生きとし生けるものの生存がかかっているような昨今であります。こうした中、県としてこの地球温暖化防止策について、どのような成果を上げてきたかお伺いいたします。
 個人、自治体、企業はまだまだ努力できる余地があると思いますが、いかがでしょうか。県の環境家計簿の成果についてもお伺いいたします。
 次に、環境首都を標榜している本県で、現在、県境産廃が特に注目されていますが、県内至るところ廃棄物が投棄されています。家電品とか、タイヤ、あるいはナンバープレートを外した車までたくさんあります。県は、不法投棄を許さないクリーンいわてローラー大作戦を展開してきましたが、成果はいかがでしょうか。
 午前中の答弁で、廃棄物対策について4点挙げられまして、そのうちの4番目に不法投棄の未然防止ということを御答弁なさっております。なかなかこの不法投棄についてはこれといった適切な措置がない、そういった中で、もうモラル云々ではなく、たばこや空き缶のポイ捨てに対し、行政はもっともっと強く出てもいいのではないかと思いますが、いかがであったでしょうか。

〇高橋副知事  まず、地球温暖化防止対策の取り組みでございますが、温暖化の主な原因でございます二酸化炭素の本県における排出量の状況は、1999年で1、317万9、000トンということで、1990年に比べて0.3%の減でございましたが、2000年では逆に1990年に比べて3.1%の増加に転じたところでございます。全国では10.5%の増というようなことになっておりますので、本県ではまだ排出量の伸びの状況は低いというようなことが言えるわけでございまして、これは、昨今の社会経済情勢も影響していると見られるわけではございますが、県による普及啓発活動なり、各部門における取り組みもこれに貢献しているのではないかと考えられるところでございます。
 部門別に見ますと、2000年では1990年に比べまして産業部門が7.8%減少しております。それから、店舗等の民生部門、これは業務関係でございますが23.9%の増、民生部門のうちの家庭は18.5%の増、それから運輸部門、これはマイカーも含みますが20.9%の増というようなことになっておりまして、やはりこれからの対策のウエートは、民生や運輸部門において削減できる余地が大変多くあるので、ここに重点を絞らなければならんと思っているところでございます。環境家計簿のお話もございましたが、そういう点では、もう少し環境家計簿の効果も出るような取り組みをしていかなければならんと感じておるところでございます。
 それから、不法投棄対策のクリーンいわてローラー大作戦でございますが、これは先ほどもお答えいたしましたが、国道、県道、市町村道、総延長約3万2、000キロにわたりまして、目視できる範囲で調査を実施いたしまして、1、370カ所で廃棄物を確認いたしました。そのうち250カ所については県で分別作業を行って撤去処分がなされたところでございます。これ以外については、今後原因者を追及して、処分を指導してまいるというようなことにしておるわけでございます。
 それから、空き缶、たばこ等のポイ捨ての話がございました。この空き缶、たばこのポイ捨ての禁止につきましては、昨年12月に生活環境保全条例を制定したわけでございますが、これに規定が置かれておりまして、ことしの4月から施行したところでございます。現在、この空き缶、たばこ等のポイ捨ても含めまして、この条例の実効性を高めるための啓発に努めているところでございます。

〇小野寺好委員  不法投棄については、もっと未然防止という点で頑張っていただければと思います。
 次に、BSE問題でありますけれども、安全体制は確立いたしましたが、いまだ原因が解明されたわけではありません。しかし、今では枝肉価格、消費量が戻ってきたと言われております。しかしながら、あの騒動、事件は一体何だったのか、こういった疑問を抱いております。仮にBSE患畜が出たとしても、牛乳、牛肉は人体に影響はない。しかしながら、全国的にあたかも接触感染でもするように疎まれてしまいました。こうした中、県民が正確な情報、正しい判断力を持つためにはどうあるべきとお考えになりましたか、お伺いいたします。
 また、BSEに乗じて利益を得ようとする動きが大手、大企業にありましたが、本県ではいかがであったでしょうか。
 次に、広聴広報ですけれども、銀河系いわて情報発信事業の内容と成果についてお伺いいたします。
 これまで県では、地域づくり情報誌、県外広報誌、ページ数が多くなったり少なくなったりしているいわてグラフ等々、質、量とも大変なものだと思っております。しかしながら、必要なものが本当に県民に伝わっているかどうか、こういった点についてどのように対処してきたかお伺いいたします。

〇高橋副知事  銀河系いわて情報発信事業につきましては総合政策室長の方から答えさせます。
 BSE問題でございますが、委員御指摘のように、まさに正確な情報を、しかも初期段階に出すことが大変重要だと思っております。今回のBSE問題を反省してみますと、国が誤った発表をしたこともございますし、報道でも、ヤコブ病等かなり刺激的な放映もございました。こういうものが消費者自身が本当に適切に正確に判断できるような正しい情報という形で伝わらなかったことが混乱を大きくさせた一因でもあろうと考えておるところでございます。
 それから、BSEに乗じて利益を得ようとする動きということもございましたが、これは、本県では、ないものだと承知しております。

〇佐藤総合政策室長  銀河系いわて情報発信事業の内容と成果についてということで、まず、その発信事業の目的でありますが、主に県外に向けて本県のPRとイメージアップを図るということ、それからもう一つは、観光や物産、企業誘致などの諸施策を支援するため、いわば岩手ブランドの確立に向けた情報発信を行っているものでございます
 主な内容でございますが、全国紙を活用した新聞広告、インターネットによる広報、県外向けの広報誌イパングの発行、首都圏向けのラジオのCMなどであります。
 それから、発信事業の成果といたしましては、特にも新聞広告につきましては、アンケートによると、岩手に好印象を持っていただいた方、あるいはその理解が深まったという方々が多数おりますが、一方ではまた、意見も届いております。それから、広告の内容につきましてもいろいろ反響をいただき、あわせてさまざまな媒体、例えば雑誌であるとか、テレビとか、そういうところで取り上げられる2次的な発信も行われ、相当の効果があったものと考えております。また、インターネットのホームページへのアクセス数も増加しております。それから、メールマガジンの登録者数も前年に比較し、かなりの増加を見ております。
 今後の方向性としましては、本県の知名度、好感度の向上に一定の効果を上げているものでありますから、今後とも、限られた予算の中ではありますが、利用する媒体の選定、発信する情報に工夫を凝らしながら、岩手のイメージアップを図るため、県外向けの広報等を行っていきたいと考えております。

〇小野寺好委員  次に、少子化対策でありますけれども、県では各種事業を展開してきておりますが、特に顕著な成果があれば、お示しいただきたいと思います。
 仕事を続ける上で、保育所の役割は非常に重要であります。全国の総数といたしまして、認可保育所の定員を上回る希望者があるといいますが、本県においては、保育園待機児童の解消は進んでいるかどうかお伺いいたします。
 また、決算書によりますと、延長保育実施可能保育所割合が38.7%となっておりますが、これは住民要望を満たしている数値なのでしょうか。
 なお、本県における幼保一元化の動きがあるかどうかについて、もし把握していればお聞かせいただきたいと思います。
 次に、高齢者の生活不安についてお伺いいたします。
 子供を育て上げても、一緒に暮らせない老人世帯、独居老人がふえております。こうした中、判断力の少し衰えた高齢者をねらった悪徳商法がふえておりますが、その被害と対策についてお伺いいたします。
 県として、特に高齢者用消費者相談窓口のようなものを開設して対応してきた経過があるかどうか、また、広い県土の本県における地域福祉権利擁護事業の様子はいかがでしょうか。
 なお、土地、家屋といった資産を持ち合わせてはいるものの、日々の生活費に苦慮している高齢世帯の救済策はいかがでしょうか。

〇高橋副知事  まず、少子化対策事業の顕著な結果でございますが、いわて子どもプランに掲げる各種施策のうち、平成13年度までに大きく計画を上回る主な事業を申し上げますと次のとおりでございまして、一つは、地域子育て支援センターでございます。これは、地域において、子育て相談等を初めとし、子育て中の親と子の交流などを行っているものでございまして、順調に設置数を伸ばしております。
 それから、放課後児童クラブでございますが、これも利用率が高まっておると。今現在で81.8%ということで、これも設置率、利用率も高まっている状況でございます。
 三つ目は、子育てボランティアでございます。地域における子育て支援を行うボランティア数は、地方振興局や市町村等での養成事業によりまして増加しております。これは、計画に対する到達度は55.4%と、かなり高いものがございます。
 それから4点目は、子育てサークルでございますが、母親の自主的な集まりであります子育てサークルも地域において着実に育ってきております。今、141サークルとなっておりまして、4月には、子育てサークルの連絡協議会も設立されたところでございます。
 それから、保育所待機児童の解消状況でございますが、保育所待機児童は、平成14年4月1日には123名でございましたが、10月1日には112名ということで、減少してございます。待機児童の発生する市町村からは保育所待機児童解消計画書を出していただきまして、施設の整備なり定員の見直し、さらには、分園の設置等を市町村と協議しながら待機児童の解消に努めているところでございます。
 それから、延長保育実施可能保育所の割合でございますが、延長保育につきましては、保育の実施者であります市町村で住民ニーズを把握して実施しております。この要望を踏まえまして、県では、市町村に要望どおり補助をしておるところでございまして、住民ニーズは満たされているのではないかと考えております。
 それから、延長保育実施可能保育所の割合は、現在、分母を全保育所としているわけでございますが、延長保育を必要としない地域の保育所もございますので、目標値の設定方法については見直したいと考えておるところでございます。
 それから、幼保一元化の動きにつきましては、本県では、類似のものといたしまして、保育所と幼稚園が有機的に連携して運営している事例が若干ございます。なお、平成12年から保育所設置主体の規制緩和が行われまして、本県においても、幼稚園を経営する学校法人が保育所を設置するなど、多様なニーズに対応した動きもございます。
 それから、高齢者をねらった悪徳商法でございますが、平成13年度に、県民生活センター、それから、11地方振興局の消費生活相談室で受けた相談件数は8、633件で、うち70歳以上の高齢者が当事者となったものが803件で、全相談件数の9.3%でございます。この相談状況は、やはり増加傾向にございます。特に平成13年度は、対前年比29.4%増の非常に大きなものになっているわけでございます。
 この対応といたしましては、高齢者に対する相談業務につきましては、高齢者相談総合相談センター、岩手県老人クラブ連合会、それから民生児童委員連絡協議会、県社会福祉協議会等関係機関・団体と連携を図りながら相談業務に対応しているわけでございまして、さらに、被害防止策といたしましては、高齢者講座の開催とか、講師派遣をしておりますし、パンフレットを作成して、広く啓発・普及に努めている。センターの啓発・普及はもとよりでございますが、ラジオによる啓発・普及もやっているところでございます。
 それから、地域福祉権利擁護事業でございますが、これは、平成11年10月から実施しているわけでございますが、本年9月末現在で5、317件の相談がございます。そのうち146件のサービス提供契約が締結されているわけでございますが、年々相談件数、契約者数が増加する状況にございます。
 高齢世帯に対する土地、建物の、いわゆるリバースモーゲージの件でございますが、生活保護は、原則として、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われているわけでございます。これは補足性の原理と言っておりますが、この原理によりまして、最低生活の内容としてその所有、または利用を容認するに適しない資産は、原則として処分の上、最低生活の維持のために活用させることとされているわけでございます。ただし、当該世帯の居住の用に供される家屋や、その家屋に附属する必要な面積の土地については、処分価値が利用価値に比して著しく大きいもの以外は、保有を認めた上で生活保護の適用が可能となっているわけでございます。
 それから、生活福祉資金でございますが、低所得世帯や高齢者世帯に対しまして生活資金等を貸し付ける生活福祉資金貸付制度では、田畑、家屋等の不動産を所有する世帯であっても、所得状況等から低所得世帯と判断される場合には、貸し付けの対象として差し支えないこととされております。
 なお、このリバースモーゲージでございますが、この生活福祉資金においては、一定の居住用不動産を持っており、将来にわたりその住居に住み続けることを希望する高齢者世帯に対しまして、その不動産を担保とし、推定相続人1名を連帯保証人として、生活福祉資金の貸し付けを行う長期生活支援資金が新たに創設される予定となっているところでございます。

〇小野寺好委員  かつて、盲導犬貸付事業の実績を質問いたしましたところ、本県ではさほど盲導犬利用の希望者はないという答弁をいただきました。その後、決算特別委員会の席で聴導犬について質問いたしましたら、その当時、細田課長は、聴覚障害者からそのような希望を伝えてきた方はいないとのことでした。ことし5月、身体障害者補助犬法が成立し、介助犬その他について認識が広がったと思いますが、これまで補助犬について、高齢者、障害者からどのような要望が寄せられてきているかお伺いいたします。
 また、啓蒙活動について、県としての実績がありましたらお伺いいたします。
 次に、交通対策についてお伺いいたします。
 バス会社として不採算路線の撤退が続いておりますが、県内の自治体で、交通弱者のためにうまくバスを活用している例があればお伺いいたします。また、今後、県はどのように支援していくお考えなのでしょうか。

〇高橋副知事  バス対策は地域振興部長の方から答えさせます。
 まず、身体障害者等からの補助犬についての要望状況でございますが、本県では、8月現在で、補助犬のうち盲導犬が7頭活動しております。さらに、11月に県視覚障害者福祉協会を通じて調査をいたしましたところ、県内には、さらに5名の盲導犬給付希望者がございます。
 県では、障害者団体との意見交換会を毎年開催するなどいたしまして、障害者の方々から意見、提言、要望をいただく機会を設けているわけでございますが、このような場では補助犬に対する要望は示されていないところでございます。しかしながら、補助犬が果たす役割は大変大きいと考えられますことから、障害者の方々からの御要望もさらにお伺いしながら、その普及に努めてまいりたいと考えております。
 それから、啓蒙活動の実績でございますが、身体障害者補助犬法の施行に伴いまして、県といたしましては、各種媒体を活用して広報を行っているところでございます。印刷物では、ポスター1、500枚、リーフレット2、000枚を官公署初め、いろいろなところに配布いたしました。また、ラジオ番組を活用した広報を行ったほか、ホームページへの情報掲載もやっております。各種会議、イベントの場での説明も行うなど、広く県民に周知を図っているところでございます。さらに、今後、デパートやスーパー等、補助犬を入れる、そういう施設の方と補助犬を使う方々との話し合いも行う予定にしておるところでございます。

〇飛澤地域振興部長  県内市町村におきますバス対策の事例ということでございますが、民間バス路線のない地区に貸し切りバスを利用してカバーしている事例といたしまして、水沢市のZバスあるいは一関市のなの花バスがございますし、また、紫波町におきましては、集落が独自にマイクロバスを運行いたしまして、町がこれに対して補助している事例がございます。
 県といたしましては、過疎地域等で適時かつ効率的に輸送需要にこたえられる方式等について市町村と積極的に検討を進めていきたいと思っております。

〇小野寺好委員  バス交通でありますけれども、県都盛岡の場合は、渋滞対策、環境対策ということで、別な意味で非常に重要かと思います。こういった中、盛岡市のオムニバスタウン構想への県の支援はいかがだったかお伺いいたします。
 料金、路線、接遇、時間帯等、利用者本位になっているかどうか、朝夕、バスレーンはきちんと確保されているかどうかお伺いいたしたいと思います。
 最後でありますけれども、最近、まちの中で目にします電動カートであります。これは免許なしに気軽に使えるということで、非常に高齢者、障害者には人気があるようであります。そういった中で、ドライバーにとっては非常に大変な存在でもあります。車社会でどのようなおつき合いをしていけばいいか、幹線道路、あるいは市街地の中心部、そういったところでの電動カートについての県の今までの対応についてお伺いしたいと思います。

〇高橋副知事  私の方から電動カートのお話、地域振興部長の方からオムニバスタウンについて答えさせていただきたいと思います。
 まず、電動カートの位置づけでございますが、いわゆる電動カートは、道路交通法上は身体障害者用の車いすに該当するものと整理されてございます。身体障害者用の車いすの使用者は、道路交通法の適用については歩行者とみなされておりまして、この電動カートにつきましては、各種の歩行者保護規定の適用を受ける、そういう扱いになっております。
 この電動カートの使用につきましては、身体障害者のみならず、高齢社会の進展に伴いまして、歩行困難な高齢者の使用が増加するものと予想されますことから、各地区交通安全対策協議会等と連携強化いたしまして交通安全対策を推進することとしておるところでございまして、具体的には、ボランティアによる高齢者在宅家庭訪問指導や各種交通安全講習等を通じての安全指導の徹底、また、更新時講習を初めとする各種交通安全講習等を通じ、運転者対策として、逆に歩行者保護の観点からの安全指導を行うこと、それから、警察、交通指導隊等によります街頭活動を通じての安全指導、それから、市町村広報紙等各種広報媒体を活用した安全広報の推進等を行うことによりまして安全対策に努めてまいりたい、そのように考えております。

〇飛澤地域振興部長  盛岡市におけるオムニバスタウン構想でございますが、県といたしまして、これまでスロープ付低床バスの購入あるいはバスロケーションシステムの整備事業、パーク・アンド・バスライド整備事業などに対しまして、広域性や県内への波及効果などを総合的に勘案しながら支援を行ってきたところでございます。
 それから、この構想の実施主体であります盛岡市におきましては、この構想の推進に当たりまして、オムニバスタウン整備事業推進連絡会を設置いたしまして、県、国、バス事業者などの関係機関と意見調整を行いながら、具体的に事業を進めてきたところであります。ゾーンバスの実証運行当初、松園バスターミナルでの乗り継ぎが悪い、あるいは定時に目的地に着かない、あるいは早朝や夜間の騒音といったことで苦情、意見があったと聞いておりますが、その後、市におきまして、バス事業者と十分協議しながら改善を図ったと聞いております。その結果、利用者からの苦情は大幅に減少し、利用者数についても前年同期に比べて増加したと伺っております。

〇阿部富雄委員  NPOの活動費助成金の運用については、公益信託方式により、NPO活動の自主性、自立性を最大限尊重し、助成の審査、配分、活動報告までの業務を受託者にゆだねることとしています。活動費助成費は県民の税金で賄われていますが、公益信託方式により運用されることから直接的なチェックがなされないため、適正な管理運営、透明性、公平性の確保が求められています。
 公益信託いわてNPO基金における助成の募集、助成の配分はどのような状況か、また、今後予定される活動実績報告、その成果評価はどのような形で行われるのかお聞きします。
 不正が行われた場合の対応、公益信託いわてNPOの基金の適正な管理運営はどのように担保されているのかお聞きします。

〇飛澤地域振興部長  NPO活動費助成に関する御質問でございまして、まず、NPOの助成の状況でございますが、公益信託いわてNPO基金の募集に際しましては、まず、助成規程をつくりまして、市民の代表、学識経験者等の10名で構成する運営委員会を設置いたしまして募集要項等を作成いたしました。その要綱の周知に努めて募集を行った結果、助成予定額の約6倍に当たります111件5、951万円の応募があったところでございます。最終的にこの助成のコースは二通りに分けてございまして、言ってみれば入門コース-10万円の助成コースでございますが-につきましては、27件に263万円の助成を行ったところでございますし、展開コース-これは100万円の助成でございますが-につきましては、9件に748万円の助成を行ったところでございます。
 この事業結果についてでございますが、助成規程によりまして、助成を受けた団体は、実績報告書を活動完了後2カ月以内に基金の受託者に提出することになっておりまして、平成13年度助成決定分は実質14年度事業でございますので、実績報告書は最終的に平成15年5月末までに提出されると思っております。この成果の評価は運営委員会で行いまして、ホームページ等で公開する予定でございます。
 それから、不正が行われた場合はどうかというお尋ねでございますが、不正な手段により助成金の交付を受けたことが判明したときや、助成金をその目的以外に使用したときには、助成規程第18条に基づきましてこれを公表するとともに、助成金の返還を求めることにいたしております。これは、社会貢献活動支援審議会でもそういう懸念が表明されまして、その議論の結果としてこういう方法を考えたものでございます。その他これを補完する、知事の監督権限でありますとか運営委員会の運営方法とかいろいろございますけれども、いずれ不正が行われないように、あるいは行われた場合の措置については明定しているところでございます。

〇阿部富雄委員  次に、本県の水田整備率は、平成13年度末で57.4%、全国の63%、東北の65.2%より低く、東北では5番目となっています。地方振興局別では花巻が76.9%と最も高く、北上69.7%、盛岡68.6%、遠野65.9%、千厩47.7%、水沢47.2%、一関41.9%と、良質米産地ほどおくれています。
 平成14年11月に農村建設課が示した農業農村整備事業の予算状況見通しによると、平成15年度予算は対前年比85%の枠で、平成8年から10年のピーク時の4割程度、約300億円程度とされています。また、同課が算定した平成17年度までの事業管理計画では、事業効果の早期発現に向け、平均工期短縮目標を8年と設定する、優先する事業等と抑制する事業等に区分することとしています。こうした内容を示された事業主体、受益団体である市町村や土地改良区では、事業管理計画が実情にそぐわない、事業採択に向け地元の合意形成に努め、めどが立った途端、抑制する事業に振り向けられたなどと、不満が続出しています。
 事業推進に向け指導してきた県では、この責任をどう考えているのか、事業主体、受益者団体から出されている要望にどうこたえていくのかお聞きします。
 地域ごとの整備率はさきに述べたとおりですが、格差是正にはどう取り組んでいくのかお聞きします。
 また、平成17年までを平均工期短縮に全力を傾注するとしていますが、この結果、地域ごとの整備率はどう推移するのかお聞きします。

〇高橋副知事  厳しい財政環境の中で公共事業は総じて抑制基調になっているわけでございまして、農業農村整備事業につきましても、新規採択地区の厳選などによりまして実施地区数の絞り込みを行うとともに、重要性、緊急性の高い地区へ予算を重点配分することを内容とした事業管理計画を策定し、事業の効率的な執行、効果の早期発現を図ることとしているわけでございます。
 その中では、ほ場整備事業などの4事業を重点化事業と位置づけまして、これについて予算を傾斜配分するということで取り組んでいるわけでございますが、このような事業執行方針につきまして、先般、地方振興局ごとに説明会を開催いたしまして、市町村や土地改良区の方々に御理解と御協力をお願いしたところでございます。今後も、必要に応じて説明会を開催するなどいたしまして、御理解をいただくように努力をしてまいりたい、そのように思っております。
 それから、水田整備に係る格差是正の取り組みでございますが、委員御指摘のように、本県の良質米の主産地であります県南の水田地帯はこれまで整備がおくれていたわけでございますが、低コスト生産、担い手の育成・確保に向けた大区画圃場の整備をこれらの地区については重点的に進めているところでございます。今後におきましても、地域関係者の意向を踏まえながら、建設コストの低減化など効率的な事業の推進に努めてまいりたい、そのように考えております。このような取り組みによりまして、平成17年度には、県全体では3.6ポイントアップして整備率が61%となる見込みでございますが、一関管内では7.1ポイントアップの49%、水沢管内では5.6ポイントアップの52.8%と整備が進行する見込みでございます。

〇阿部富雄委員  国においては、食料・農業・農村基本法に基づく施策の一つとして、耕作放棄地の増加等により、多面的機能の低下が特に懸念される中山間地等において、担い手育成等による農業生産の維持を通じて多面的機能を確保する観点から、国民の理解のもとに、中山間地域等直接支払交付金を交付する制度を平成12年度から創設いたしました。平成13年度は56市町村で1、426件の協定が締結され、交付対象面積は1万7、902ヘクタール、対象農用地の88%を占め、交付金総額は30億3、500万円となっています。
 成果についてどう評価しているのか、特徴的な取り組みはどのようなものであるのかお聞きします。
 耕作放棄地は年々拡大の一途をたどっていますが、中山間地域等直接支払制度は、耕作放棄地にどのような影響を与えているのかお聞きします。
 耕作放棄地を減らすことは、第一義的には農業者の意欲によるところが大きいものがありますが、行政の支援も欠かすことができません。耕地の有効利用を進めるため、どのような施策を講じ、農業者を支援しようとしているのかお聞きします。

〇高橋副知事  直接支払制度の評価と特徴的な取り組みということでございますが、交付金を有効に活用いたしまして、県内各地では、耕作放棄地の復旧、生産基盤の簡易な整備、機械の共同購入・利用等による生産性の向上など、それぞれ知恵を絞った取り組みが行われておりまして、農業生産の維持を通じまして多面的機能を確保するという制度の趣旨に沿った活動の成果があらわれてきた、そのように考えております。
 一例を申し上げますと、委員の出身地でございます一関市の赤猪子集落では、集落全体で協定を締結いたしまして農地の適正管理を行っております。それと同時に、炭焼き窯をつくりまして、これを拠点にして集落内外の交流を行っている、こういう例もございますが、そのほかにもいろいろと特徴的な取り組みが見られるところでございます。
 それから、耕作放棄地への影響でございますが、制度導入による集落の変化を調査いたしましたところ、半数の集落で耕作放棄地が減少したとしているところでございます。また、大迫町の竪沢集落のように、耕作放棄地を復旧して新規作物の導入に取り組んでいる事例も県内各地に見られてきているところでございます。
 耕地の有効利用のため、県といたしましては、立地条件に応じた生産基盤の整備、地域特産物導入のためのソフト活動、さらには、必要な施設・機械等の整備など各般の支援策を引き続き講ずることとしているところでございます。

〇阿部富雄委員  7月10日から11日にかけての台風6号に伴う大雨洪水災害は、県内でも大きな被害を出しました。被害の状況は、死者2名、被害総額は705億円余となっています。この台風6号の影響により平泉町の衣川橋が冠水し、国道4号が全面通行どめとなり、国土交通省は、東北自動車道一関-平泉前沢インター間の上下線を無料走行させる措置をとりました。こうした対応がなされたにもかかわらず、長時間にわたり大渋滞を招き、抜本的な対策が求められるところです。
 その一つは、平泉バイパスの早期完成です。国土交通省岩手工事事務所は、国道4号平泉バイパスについて平成32年ごろの供用開始と見込んでいました。仄聞するところでは、国土交通省も整備の速度を速める検討に入っているとのことですが、県と国の協議の状況、国土交通省はどう対応されているのかお聞きします。
 二つ目は、関係自治体や民間の期成同盟会が要望している(仮称)金成・一関・平泉・衣川前沢線の県道認定、及びその整備により迂回ルートを確保することですが、これにどう対応されているのかお聞きします。

〇高橋副知事  平泉バイパスにつきましては、これまでの国との協議の中で、残る区間のうち、衣川右岸までの約1.5キロメートルの区間につきましては、町道坂下線を利用して平成19年度に暫定供用を図ることで検討してきたところでございますが、今回の台風6号による冠水状況を勘案いたしまして、残る全区間の早期完成に向けて、今後、事業に取り組む旨の説明を受けているところでございます。県といたしましては、地元平泉町と一体となって、残る全区間の早期完成に向け、これまで以上に積極的に国に働きかけてまいりたい、そのように思っております。
 それから、県道認定の話でございますが、この県道の認定は、大変要望が多うございます。道路の整備状況、それから、県道として早期に整備・管理する必要性等を総合的に判断の上、緊急を要する路線から段階的に認定することとしているものでございます。
 最近の状況では、逼迫した財政状況から、道路の整備に係る十分な事業費の確保が厳しくなっているわけでございまして、現状では、県管理道路の新規認定は極めて厳しい状況にあると申し上げなければならないと思います。県といたしましては、いずれ本路線の地域における役割等を総合的に勘案しながら検討してまいりたい、そのように考えております。

〇阿部富雄委員  栗駒山は、本年もタケノコとりのため入山し、多くの遭難が相次ぎ、幸い死者は出なかったものの、捜索隊や県の防災ヘリにより無事発見され、保護されています。いずれのケースも、山菜とりのため入山が一部認められている秋田県側から山に入り、危険地帯と言われる須川高原温泉北側で、岩手、秋田の国道を結ぶ三角地帯で遭難しています。これに伴い、岩手県側も捜索隊や防災ヘリの出動を余儀なくされています。
 こうした事態を重く見た須川山岳遭難対策委員会や森林管理局など関係機関は、対応を協議し、これまで秋田県側の一部に限って山菜とりの入山を認めてきたものを、タケノコとりシーズンが終わるまで暫定的に入山禁止としました。岩手県側は、入山規制がなかったときは遭難事故が多発していましたが、平成6年に森林生態系保護地域指定により、登山道を除き入山禁止にした以降は遭難がなくなったこと、タケノコとり入山者は商売目的の人が多いこと、しかも入山ベテランの遭難が目立っていることから見ても迷いやすい地帯であり、関係機関が連携して入山禁止に取り組むべきと指摘されています。
 そこでお伺いしますが、平成13年度以降の遭難救助件数、捜索隊や防災ヘリの出動の状況と遭難救助に要した捜索隊や防災ヘリの経費についてどのように処理されているのか、また、多発する遭難に対して県はどう対応していくのかお聞きします。
 一方、栗駒山は、多くの登山者でにぎわっています。登山の基点となる須川高原温泉から頂上までの登山道にトイレがないことから、沿道はちり紙の花が咲くと言われています。登山者の利便のみならず、自然汚染や景観上、放置し得ない状況であり、トイレ設置を考慮すべきですが、現状をどう認識され、対応しようとしているのかお聞きします。

〇高橋副知事  まず、平成13年以降の遭難発生件数でございますが、平成13年中は遭難が2件発生しておりまして、防災ヘリはこの2件とも出動しております。ことし10月末現在では5件遭難が発生しておりまして、防災ヘリは4件出ておりますが、あとの1件は宮城県の防災ヘリが出ている、このような状況でございます。
 これらの遭難に対する捜索でございますが、警察や消防などのほかに、お話のありました須川山岳遭難対策委員会が主体となって対応している状況でございます。
 この捜索隊の経費につきましては、須川山岳遭難対策委員会の規約に基づいて出動要請者の負担を原則としているわけでございますが、ほとんどの場合、無償で対応しているのが現状でございます。遭難救助活動の実施に伴う地元消防職員とか、消防団員の出動経費につきましては、消防の任務という観点から地元市町村が費用を負担している、こういうことになっております。
 防災ヘリの活動に要する経費につきましては、機体の維持及び運航経費は県が負担しておりますし、隊員の人件費は市町村が負担するということで、結果的には、遭難者の方からは全然御負担をいただいていない形になっているわけでございます。
 多発する遭難に対する対応といたしまして、栗駒山は岩手、秋田、宮城3県にまたがって位置しているわけでございますので、それぞれの関係機関が連携を密にして、遭難防止の広報活動なり、遭難発生時に迅速、的確な救助活動を行っていくことが大事でございますので、そういうように努力していくつもりでございます。
 それから、栗駒山のトイレの関係でございますが、確かに栗駒山に設置されている公衆トイレは、秋田県側に2カ所、宮城県側に2カ所、本県では、須川高原温泉の登山口に2カ所、笊森避難小屋に1カ所、こういうことでございます。このトイレの問題につきましては、早池峰にも見られましたようにいろいろと議論があるところでございまして、特に、登山道、山頂でのトイレというのは議論がございますので、必要性や設置場所、管理方法などについて、利用者や地元関係機関等の御意見を聞きながら検討を進めてまいりたいと考えております。

〇阿部富雄委員  今、入山禁止の問題については副知事の方から具体的な答弁がなくて、遭難が起きたときには救助などの対応をする、こういう言い方で終わっているわけですね。先ほども申し述べましたように、問題は、あそこは専門家でも迷いやすいところだということです。それから、入山者のほとんどがタケノコをとって売るという商売目的で入ってきている方がほとんどなわけでありますから、そういう意味では、一般の登山者とか自然を楽しむ形のものとは違うということをきちっと認識した上で対応していただくことが必要だろうと思っています。先ほどの答弁では経費負担は行っていないということですけれども、防災ヘリだって飛んでいけば相当の金がかかっている。結果的にそれは県税の中から支出されることになるわけですから、法的に規制が難しい部分があるのは承知しておりますけれども、関係機関が協議して、いい方法を私はとり得るだろうと思いますので、ぜひ関係機関と協議をする、このことをもう一度御答弁をいただきたいと思うわけであります。

〇高橋副知事  私の説明が不十分だったかもしれませんが、要するに、防災ヘリについてもみんなこっちが負担していて、遭難した方は一銭も負担していないということでございますから、みんな税金で出している、こういうことが現状でございます。
 私も栗駒山は何度も行ったことがございますのでよくわかっておりますが、確かに迷いやすいゾーンが岩手県側にあるわけでございまして、これはよくわかります。入山禁止につきましては法的な根拠はないわけでございますが、実務上は市町村長の権限で行っているということでございますので、地元市町村等ともこれらについては協議をしながら対応をさせてまいりたい、そのように思っております。

〇佐藤正春委員  時間が大分経過しましたので、棒読みでいきます。佐藤政策室長は棒読みが上手だから、まねしてひとつ。
 未曾有のデフレが進行する中で、本県では、平成13年度においていかなるデフレ対策をとり、それによりどのような効果があったかお示し願いたい。
 政府は、総合デフレ対策の柱である構造改革特区法案を決定し、去る21日には衆議院で可決され、現在、参議院で審議されている。また、今本会議においても質問が集中しているが、国では、1月15日までにもう一回提出を受け付けることにしているが、どうもはっきりしない。
 その項目は、主として五つございます。農業県である本県としては、株式会社の農業参入や先般の常任委員会で問題となった特別養護老人ホームの公設民営化などに注目いたしたい。
 去る10月11日には構造改革特区推進本部会議が開かれ、構造改革特区推進のためのプログラムが決定されたと聞いております。本県の提案した3件は、日本のふるさと再生、地域分散型総合クリーンエネルギーシステム、ITを核とした産学官連携であるが、いかにもわかりにくい。これらが目の前のデフレ政策になると考えているんですか。庁内の職員からいろいろと聞いてまいりますが、だれもよくわからない。副知事はわかっているんだかなんだか、ほかの人はわからないと言っている。この三つの分野は10年ぐらいかかって整備され、その後、効果を発揮するようなものだと私は思うんですが、どうですか。また、そのときにはデフレは終了し、インフレに入っている、これは大方のエコノミストはみんな予測されておりますが、このようなプログラムで効果が上がると考えているんですか。
 また、特区として国がオーケーしたもの、ノーとしたものを含めて、その内容を簡単に説明してください。
 農業県、日本の食料基地である本県にとって、農用地が荒れ放題であるとの問題とか、農業の後継ぎ不足の問題、日本民族の食料確保、飢餓対策にとっても重大な問題でございます。したがって、企業の農業参入もやむを得ないし、都市の住民の移住促進対策は過疎化対策としても賛成でございます。問題は、関連法律でございます。農地法第3条、第4条、第5条をどのようにクリアできるのか。
 また、がんばらない宣言岩手を具現化するものとして-これは本会議で佐々木俊夫議員から散々当局がやっつけられたんですが-アピールするとしているが、余計なお世話でございます。室長、あなたは頑張るんですか、頑張らないんですか、どっちですか、伺っておきましょう。
 知事のがんばらない宣言以来、職員間には怠け気風が蔓延しているそうですが、県民は皆、頑張れ人生で生きているのです。人生頑張らない人は岩手には必要ございません。それでもおやりになるんですか、伺っておきます。
 次に、ITを柱とした産学官特区についてでございます。今さらというような気持ちがしますが、どうも岩手はいつも後から追いかける傾向がございます。これではいつまでも後進県を脱却できません。ITの推進は、これまでどおり民間がぬきんでております。今やっと県内でパソコン教室をやり始めたところでございます。たしか平成13年度末までに受講者7万人を目標としていたはずでございますが、受講の状況はどうなっておりますか。
 ITを核とした産学官連携特区は、ベンチャー企業の設立や大学の研究成果の技術移転による産業化の促進をねらって国立大学教員を営利企業の役員に兼業させようとする緩和策であり、教員の積極的な取り組みが大きな要素となっております。本県では岩手大学が該当するが、一部にオンブズマンと称して活動している教員もおるようでございますが、教員の意向は積極的なんでしょうか。土俵をつくっても、主役が上がらなければ勝負にはなりません。
 まず、この点についてお伺いいたします。

〇高橋副知事  デフレ対策については私から、構造改革特区につきましては総合政策室長の方から答弁をさせることにいたします。
 デフレ対策ということでございますが、県のレベルでデフレ対策というのは難しいわけでございまして、県としては、経済対策、つまり実需対策になろうかと思います。御案内のように、政府の緊急対応プログラムに対応いたしまして、196億円の補正予算を組んで各種の事業を実施したことがまず第1点でございまして、そのほかには、中小企業対策といたしまして、経営安定資金の限度額の引き上げとか、商工観光振興資金の貸付限度額の引き上げとか、県単融資制度の拡充を図っておるところでございます。さらに、雇用創出対策といたしまして、緊急地域雇用創出特別基金と県単の基金を創設いたしまして、これらの基金の活用によりまして225の事業を実施し、1、349人の新規雇用を創出した、こういうことでございます。ここら辺がまず効果といえば効果ということかと思っております。

〇佐藤総合政策室長 本県が提案した特区がデフレ対策になると考えているのかということでございますが、今回の構造改革特区につきましては、御指摘ありましたように、いわゆる総合デフレ対策の中で、潜在的需要を喚起する規制改革の加速のための対策、いわゆるデフレ対策としてきちんと位置づけられたわけでございます。この構造改革特区そのものにつきましては、既に平成13年の総合規制改革会議が設置され、そこで大きく議論され、その後、具体的にはいわゆる骨太の方針第2弾で出されたということで、デフレ対策と若干ずれ込んだ形で本県も国に提案を申し上げたということで、おっしゃるとおり、果たして直ちにデフレ対策につながるかどうかということになりますと、三つの特区構想の中には、地域の活性化を図るという観点から即効性が期待されるものもあるわけでございますが、総じては、地域づくりの視点から、中長期的な効果を見据えて出したものであります。
 それから、国のプログラムの効果についてですが、ただいま申し上げたように、その内容につきましては、全国の状況を見ましても、直ちに取り組めるものと、それから、もちろん研究技術開発みたいな項目につきましては一定の期間を要するものもありますので、プログラムに載った93件そのものがすべて効果が上がるかということになりますと、なかなか難しいものがあるのではないか。いずれ、具体的な取り組みにつきましては、今後、法案が通って、政令、省令がきちんと整理された後、具体的な内容が示されるはずでありますから、国の動きを注視する必要があるものと考えております。
 次に、本県の特区構想についての国の可否の状況ということで、これは、プログラムに盛り込まれたものの状況といいますか、本県におきましては三つの構想を提案しまして、その三つの構想には項目としまして18項目あります。18項目のうち11項目がプログラムの中に盛り込まれまして、その11のうち、それではすべてが法律案に結びついているかといいますとそうではなくて、そのうちの二つだけが今回の特別区域法案に盛り込まれている。
 それは何かといいますと、一つには、民間企業等の農地取得容認、これは農地法の3条の関係です。市町村の取得した農地について、民間企業等が転貸を受けて営農できる。それからもう一つは、市民農園の開設者の拡大ということで、これは、農家が宿泊客等に対し自己所有の農地を貸与できる、この市民農園整備促進法と農地法の関係二つが法律の中で項目として認められたということで、そういう意味では、採否の関係を見ますとなかなか厳しい状況になっております。可とされた項目が、例えば全国区で全部一律に直しましょうという項目も含めて11あるわけですが、これらにつきましても、いずれ政令、省令の改正段階あるいは別の法律で特例をつくるものもありますから、それら一連のものが明らかにされ、見た上でこれから対応も考えていく必要があるだろうということで、1月15日にさらに2次の募集がありますから、それに向けた検討を内部でしたいと考えております。
 農地法との関係ですが、今一部出ましたように、農地法の3条につきましては特例が認められました。ただし、これは限定がありまして、現に耕作されておらず、かつ引き続き耕作されないと見込まれる農地等を市町村等が株式会社等に貸し付ける場合に限り特例措置が講じられる。しかも、その場合には、市町村等と適正な事業を実施するための協定を締結した場合に許可されるというかなり限定的な形で農地法の特例がつくられております。
 それから、4条、5条の関係は、これは今回、農地転用を制限する規定でありますけれども、特例措置はないものであります。
 IT講習会の関係につきましては、国の設定した受講者数の目安が成人人口の5.5%、これを本県に置きかえますと6万2、000人になるわけですが、7万人を目標に設定しまして昨年1月から講習会を実施しているところで、本年3月末までの受講者数は7万人に至らず、6万人ということになりました。ただ、本県の特殊事情と申しますか、冬期間の開催が困難な地域もあるということから、国におきましては本年3月までとされたものが本年12月末までの期間延長が認められまして、現在も引き続き講習会を実施しているわけでございますが、本年10月末現在の受講者数は約7万4、000人となっておりまして、当初の目標をクリアいたしております。
 次に、ITを核とした産学官連携特区、これは、岩手大学の教員の状況について、意向は大丈夫かというお話でございますが、岩手大学におきましては、これまでも岩手大学の地域共同研究センターあるいは岩手INS、岩手ネットワークシステムを中心として、産学の共同研究が他大学に比べてかなり活発に展開されてきております。産学官連携の取り組みも全国的にも高い評価を受けている。
 この特区構想におきましては、大学教員の営利企業への役員兼業の緩和ということをお願いし、これが認められるとなれば一層の産学連携体制の強化が図られるというようなことで、研究成果の技術移転や実用化に向けた取り組みが岩手大学におきましてもかなり関心を呼んでおりまして、この取り組みが大きく進展するものと期待いたしております。
 それから、がんばらない宣言の関係で、頑張るのか頑張らないのかということでございますが、がんばらない宣言につきましては、本会議におきまして知事からその趣旨とするところを御答弁申し上げたわけでございますが、本県の総合計画におきましては……(佐藤正春委員「いや、あんたのことを言っているんだ。あなたが頑張るか頑張らないか」と呼ぶ)はい。したがいまして、本県の計画におきましては、岩手の可能性を切り開くということで、環境、ひと、情報と三つのキーワードを挙げておりますが、この三つの視点に連なるものがこのがんばらない宣言だということで、私どもそれを大事にしながら、そして、計画の推進のために、これからもまた頑張っていきたいと考えております。

〇佐藤正春委員  あんたの棒読みも堂に入っているけれども、聞かれたことだけ答えればいいんだよ。室長自身が頑張るか頑張らないか。今、頑張ると言っているんでしょう、そうしたら知事の言っていることと違うじゃないか。
 それから答弁の中で、今の特区の問題だけれども、答弁ではっきり、即効力もないし、実現性も非常に薄いと言っているんだから、それならなぜ手を挙げるの。小学校じゃないんだから、何でも手を挙げればいいってものじゃないんだ。即効性も何もないと自分で言っているんじゃないか。
 そこで、特区法案の中で最も手が挙がったのが農業特区であると言われております。本県にとって一番関心が深く、一番大事なところでございます。今、お話がございました企業参入については、3条等厳しい条件がつけられております。また、農業系議員や農協などの反対も多いと聞きますが、本県ではどうですか。
 去る11月8日開催された衆議院本会議で高橋衆議院議員は自由党を代表して質問に立ち、構造改革特区法案に対し、法案で対象にされている本案等の廃止、廃案を訴えているようでございますが、これは、知事の有力与党である自由党が廃案を訴えているということは大変なことだ。それでも知事は出すんですか、確認をしておきます。
 最後になりますが、かねてから本県の科学振興、特にベンチャー企業について力を入れていることについては敬意を表します。しかし、これは一朝一夕で成果が上がるものではございません。まず、少年期から科学教育が必要と思われます。その教育施設としての科学博物館構想というものが今県南でございます。特に副知事は熱心だと伺っておりますが、この状況と対応についてお示し願いたい。

〇高橋副知事  私から、科学博物館の件にお答えしたいと思います。その他につきましては総合政策室長の方から答弁させます。
 県南の一関市で科学博物館構想が民間の方々を中心に設立の動きが出ているというようなことは承知しておりますし、その具体的な一応の構想等についても、資料等を入手していろいろ見させていただきました。現在、この手の博物館というのは盛岡市と二戸市にあるわけでございますが、これはいずれも県が出さずにやっておるというような状況で、ざっくばらんに申し上げるとそういうような状況でございます。したがって、一関市の構想につきましても、いろいろな知恵を絞って、やはりこれを実現できるような形に持っていけないかというようなことでいろいろ考え、また、それぞれの担当のところで、その構想を立ち上げておられます方々と、今のところいろいろと具体的に協議をしながら、実現に向けて取り組んでいるような状況でございます。一部、新しい形で、当初の構想とはちょっと違いますが、いずれ目的を達成できるような形で可能になるような動きも現在あるやに伺っているところでございます。

〇佐藤総合政策室長  構造改革特区で農業団体等の反応ですが、確かに構造改革特区は農地の扱いがどうなるかということでかなり懸念する向きもあったり、いろいろありましたが、農業委員大会というのがこの10月に開かれまして、その中で遊休農地等であって、市町村との協定に基づく賃借に限定するなど懸念払拭措置を十分に講じられれば、これはという決議をしまして、そのように講ずることという決議をしました。結果としましては、特区法案はこの考え方に沿ってつくられておりまして、その辺では納得したということだと思います。
 次に、自由党が特区法案に反対しているということですが、ここでは、現在法案が国会で審議されているというような状況にありますし、今後、先ほど申し上げましたように、政令、省令の改正がこれから予定されております。実際にどのような規制の緩和がなされるのか、いずれ制度の内容をよく見きわめながら対応していくことが必要だろうということで、まずは注視しておきたいと考えております。

〇千葉伝委員長  ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長  質疑がないようでありますので、総括質疑はこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。あす以降は毎日午前10時に開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
    午後6時35分 散 会


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