平成14年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号、4号、11号から12号に反対の討論を行います。
 認定第1号は、2001年度岩手県一般会計歳入歳出決算であります。反対する第1の理由は、簗川ダムや津付ダム、港湾整備事業、花巻空港拡張整備事業など、不要不急、むだと浪費の大型開発を推進し、1兆2、678億円の借金を県民に押しつけたことであります。県債残高は、本年度末では1兆3、384億円にもなります。これは、県民1人当たり95万円にもなるものであります。増田県政の8年間で7、444億円の借金をふやしたことになりますが、これは、県民1人当たり52万円の借金を新たに押しつけたことになるものであります。県財政の危機的状況をもたらした増田知事の責任は重大であります。
 大型開発の内容も、先に事業ありきというべき、問題に満ちたものであります。簗川ダムの問題についてはさきに述べましたが、津付ダムも、治水上、計画高水流量のわずか8%しか流量を調節できないものであります。利水上も、全く見通しの立たない工業団地の利水であります。まさにダム先にありきの計画と言わなければなりません。
 港湾整備事業も、まともな需要予測もなく、数百億円も投入してからポートセールスをするという逆立ちのやり方となっています。
 花巻空港整備事業は、利用予測をやり直して事業の見直しを行うべきであります。来年度、公共事業を15%削減するとしていますが、こうした大型開発にこそメスを入れるべきであります。
 反対する第2の理由は、深刻な不況と雇用危機に対して対策が極めて不十分なことであります。昨年度の県内失業者は3万5、000人に達し、事業主都合による離職者は2万9、681人となりました。私は、昨年9月議会で提案しましたが、12月議会で県単独の雇用対策に取り組んだことは評価します。しかし、まだまだ不十分であります。何よりも、新たな失業者を出さない対策を講じるべきであります。
 ことし1月、アルプス電気は一方的に工場閉鎖を発表しました。30億円の赤字宣伝が、労働者が離職、転職を受け入れたときには合理化の費用も含めて10億円の黒字となる不当なものでありました。こうした横暴な工場閉鎖やリストラを許さないためにも、誘致企業の撤退、工場閉鎖、リストラについては県との事前協議の制度を義務づけることが必要と提案するものであります。
 また、従業員の8割を占める中小企業に対する支援と対策を抜本的に強化すべきであります。中小企業対策は697億円で、決算総額のわずか7.4%、その9割が融資などの金融対策であります。雇用拡大策も、県民が切実に求めている30人学級の実現や特養ホームの30カ所緊急整備など、即効性のあるものを実行すべきであります。
 反対する第3の理由は、福祉、医療に冷たい県政となっていることであります。介護保険は3年目を迎えていますが、在宅介護サービスの利用率は全国46番目、特養ホームの在宅の待機者は、介護保険前の156人から1、745人、11倍に急増しています。ところが、ほとんどの市町村で来年度から保険料が引き上げられ、特養ホームの整備計画は5カ年間で829床にとどまっています。すべての高齢者が必要な介護のサービスが受けられるように、保険料、利用料の軽減と待機者を解消する特養ホームの緊急整備に責任を持って取り組むべきであります。
 不況の中、高過ぎる国保税の滞納者は3万4、000世帯となり、滞納額は93億円となっています。重大なことは、滞納者に対して保険証を取り上げ、資格証明書の発行が機械的に無慈悲に行われていることであります。資格証明書の発行は、昨年2月の1市3世帯から、ことし11月には23市町村1、657世帯に及び、短期保険証は3、021世帯から1万2、777世帯に急増しています。金の切れ目が命の切れ目となるような冷たいやり方は直ちに改善すべきであります。
 児童虐待も昨年111件から173件に急増しましたが、児童福祉費は、ことし2名増員したものの、交付税措置の17人を下回る13人にとどまっていることは福祉と子供に冷たい県政の姿を象徴するものであります。
 障害者の医療費助成も、北海道と東北各県が内部障害も含めれば3級まで実施していますが、岩手県は2級にとどまっています。在宅酸素療法の患者が医療費の引き上げで酸素ボンベを外さざるを得ない深刻な事態も起きており、この改善を強く求めるものであります。
 反対する第4の理由は、農林漁業のゆがみであります。今一番求められていることは、再生産を補償する価格補償制度の確立と充実であります。ところが、農業関係の56%、林業は67%、漁業も67%が公共事業となっています。価格補償費は、農政のわずか0.3%、2、774万円にすぎません。このゆがみを正すべきであります。
 政府は最近、米政策改革大綱を明らかにしましたが、その内容は、米の需給も価格も市場にゆだね、国の責任を放棄するものであります。担い手対策は4ヘクタール以上の農家に限り、それは、県内ではわずか945戸、農家の1.1%にすぎません。こうした国の米と農業崩壊に導くやり方に毅然と対決して、食料供給基地にふさわしい対策を講じるべきであります。
 林業の問題では、県産材活用の取り組みを進め、公共施設、とりわけ学校の老朽校舎の改築・改修に県産木材を活用する抜本的対策を実施すべきであります。また、大規模林道などは見直し、間伐など森林整備の取り組みこそ強化すべきであります。
 私は、長期にわたる食肉偽装問題の疑惑を指摘しましたが、新たな告発と反響も寄せられています。徹底した調査を改めて求めるものであります。
 反対する第5の理由は、30人学級に背を向けるなど、国に追随した教育の問題であります。全国22道府県で既に独自に30人学級、少人数学級が取り組まれ、東北では山形県、福島県、秋田県、青森県、仙台市で取り組まれています。始まったばかりですが、どこでも、子供と教師の距離がなくなった、きめ細かな指導ができたなど、少人数学級編制による教育効果は、学習指導のみならず、子供の生活全般にかかわるという意味で非常に懐の深さと幅の広さがあると成果が明らかとなり、来年はどこでも拡充される見込みであります。文部科学省でさえ、最初は反対していましたが、現在では少人数学級の成果を見守るという態度に転換しています。ところが、岩手県は、国の40人学級にしがみついた取り組みにとどまっていることは残念なことであります。子供、父母、教師の切実な願いにこたえ、岩手でも30人学級に一刻も早く踏み出すべきであります。
 小学校1年、2年から計画的に実施するなら、180の学級増で217人の新たな教員の新規採用をふやすことができるわけです。学生の就職難打開の大きな力にもなります。
 約6割を占める老朽校舎の耐震診断と改築・改修は、子供たちの安全と災害時の避難場所となっていることから、最優先で取り組むべきであります。
 岩手大学教育学部の存続についても、県として積極的に対応すべきであります。
 体罰・セクハラ事件が続出しましたが、これは、体罰に甘い県教委の体質によるものであります。抜本的改善を求めるものであります。
 最後に、増田知事の政治姿勢であります。盛岡市、矢巾町、滝沢村の市町村合併では、知事は、滝沢を中心にするとか、矢巾に庁舎を移すぐらいの考えが必要と述べましたが、乱暴な発言ではないでしょうか。滝沢村では57%、矢巾町では53%が合併に反対となっています。こうした中で県が合併を進めることは、介入、圧力の何物でもありません。
 また、知事は、財界人、慶應大学関係者らと地方分権研究会を立ち上げ、わずか数カ月の議論で地方分権研究会の理念なるものを発表しましたが、それは、地方からの声どころか、財界の声、一部学者の声ともいうべきものではないでしょうか。株式会社による真のリーダー養成学校とかコミュニティースクール、5県による統一学力テストなど、とても検討にたえられるものではありません。知事のパフォーマンスで県政と県職員を振り回すべきではないと率直に指摘したいと思います。
 知事は、昨年度、出張日数が150日となっていますが、もっと腰を落ち着けて、県幹部職員はもとより、職員と意思疎通を図り、県政に取り組むべきではないでしょうか。
 認定第4号、11号、12号は、県有林事業、港湾整備事業、県民ゴルフ場事業特別会計決算であります。それぞれ赤字体質、むだと浪費の事業というべきものであり、抜本的見直しを求めるものであります。
 以上申し上げ、私の反対討論といたします。御清聴まことにありがとうございました。
〇議長(谷藤裕明君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号、認定第4号、認定第11号及び認定第12号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(谷藤裕明君) 起立多数であります。よって、認定第1号、認定第4号、認定第11号及び認定第12号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号、認定第3号、認定第5号から認定第10号までを一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、認定第2号、認定第3号、認定第5号から認定第10号までは、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   
日程第41 議案第27号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第41、議案第27号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。高橋副知事。
   〔副知事高橋洋介君登壇〕
〇副知事(高橋洋介君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第27号は、収用委員会の委員であります小野寺金彦氏、金野煕氏及び津志田武氏の任期が12月24日で満了となりますので、小野寺金彦氏及び津志田武氏を再任し、新たに佐藤克郎氏を任命するため、また、予備委員として新たに東海林寛子氏を任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(谷藤裕明君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、これより、議案第27号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第27号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、議案第27号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   
日程第42 発議案第1号岩手県議会情報公開条例の一部を改正する条例から日程第50 発議案第9号パートタイム労働者及び有期契約労働者の均等待遇等に係る法制定についてまで
〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第42、発議案第1号から日程第50、発議案第9号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第5号国家公務員の削減など国の行政改革のより一層の推進についてを採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(谷藤裕明君) 起立多数であります。よって、発議案第5号国家公務員の削減など国の行政改革のより一層の推進については、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第6号農業政策の確立についてを採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(谷藤裕明君) 起立多数であります。よって、発議案第6号農業政策の確立については、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第1号から発議案第4号まで、及び発議案第7号から発議案第9号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第4号まで、及び発議案第7号から発議案第9号までは、原案のとおり可決されました。
   
〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第16回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後2時27分 閉 会

前へ 次へ