平成14年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(小原宣良君) 社会民主党の小原宣良でございます。
 ただいま上程されました議案のうち、議案第16号、議案第17号、議案第18号、議案第19号に反対討論を行います。
 これらはいずれも岩手県人事委員会から、本年10月に岩手県議会議長と岩手県知事に出された職員の給与等に関する報告及び勧告を受けて措置された職員の給与の減額調整を行った結果生じた補正予算であります。この調整は極めて不当なものと言わなければなりません。
 その理由の第1は、職員の手当等を含む年収ベースで職員1人当たり平均12万6、000円、1.97%、総額61億円余に及ぶ減額となるものであり、しかも、減額された給料表の施行月日が平成15年1月1日であるにもかかわらず、減額調整という、実質的には本年4月にさかのぼっての給与返還とも言うべき措置がとられたことであります。県人事委員会報告及び勧告の中に、本年の給与改定は公務員の給与水準を引き下げる改定であるため、官民給与を均衡させるための所要調整措置を講じた上、遡及することなく実施する、の一文があります。これはまさに詭弁と言わざるを得ないものであります。改定給料表の施行月日を来年1月1日としながら、来年3月の期末手当から本年4月にさかのぼって現行給料表との差額を差し引く措置は、実質的な4月1日遡及を意味するものであります。ならばなぜ、改定給料表の施行日を従来どおり本年4月1日としなかったのか、そうできなかった理由は何かと私は総務委員会で質問もいたしましたが、納得のいく説明を聞くに至りませんでした。
 第2は、不利益不遡及の原則に反している点であります。さきの国会での質疑において内閣法制局は、国民の権利、利益を侵害するような遡及適用については、刑罰法規については憲法第39条により禁止しているが、刑罰法規以外についても法的安定性等の観点から、みだりに行うべきではないと述べているとおり、不利益不遡及の原則は社会規範の重要な要素をなすものであります。したがって、私は、こうした今回の措置が不利益遡及の行為が社会一般において、まさにみだりに行われる風潮を助長することにならないかと危惧するものであり、決してあってはならないものであります。
 第3は、国における人事院、県における人事委員会勧告において行われた今回の減額調整という方法は、不利益不遡及という法的問題を発生させたという点で、過去にもない汚点を残したものであることを強く指摘しておきたいと思います。同時に、公務員に対する労働基本権のあり方を含め、これらの制度的改善を強く求めるものであります。
 以上の点を指摘し、議案第16号から議案第19号までの減額調整にかかわる関係4議案に反対するものであります。
 なお、議案第5号循環型地域社会の形成に関する条例の審査の過程で、及川敦議員より提案のあった一部修正案についてでありますが、例えば第10条第2項再生資源利用認定製品において、再生資源を製造する者とした原案に対し、または製造しようとする者を加えることは、不確実な要素を本文に定めることとなるため不適当との判断から、環境福祉委員会で修正案に反対したものでありますが、もとより、この条例は循環型地域社会の形成を目指すもので、私たちは以前からこうした施策の推進を強く求めてきたものでありまして、原案に賛成するものであります。
 以上で私の討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(谷藤裕明君) 次に、斉藤信君。
   〔23番斉藤信君登壇〕

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