平成14年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇20番(阿部敏雄君) 自由党の阿部敏雄でございます。
 このたびは、先輩・同僚議員の御高配を賜り、4度目の登壇の機会をいただきましたことに、心から感謝を申し上げます。
 さて、ことしも残すところあと1カ月余りとなりました。振り返りますと、引き続く景気の低迷、企業の倒産や撤退、依然として厳しい雇用情勢、さらに、厳しさを増す国・地方の財政状況など、この1年は日本全体が不安な気持ちを抱きながら歩んだ1年であったように思います。来るべき新しい年は、明るさに満ちた年にしたいものであります。増田知事には、県民のリーダーとして、従来にも増して大胆にして、きめ細かな政策の展開をお願いするものであります。
 それでは、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
 まず、最初に環境問題についてであります。
 昨日の新聞によれば環境省では、1998年以前に不法投棄され撤去作業がおくれている大規模な産業廃棄物を対象に、国の補助金と地方債を活用して原状回復を進める制度を盛り込んだ新たな法律を次の通常国会に提案する方針と報道されました。これが施行されれば、3年前に発覚した青森県田子町と岩手県二戸市にまたがる山間部に不法投棄された産廃問題の原状回復にも大きくつながるものと私も期待しております。
 さて、この県境産廃につきましては、私も自由党国会議員団及び県議会の会派の方々と現地を視察いたしましたが、その全容が解明されるにつれ、安全性の回復や排出業者の責任、経費負担の問題など、問題解決のための道のりの厳しさを思うとき、私は、かけがえのない自然やそこで暮らす人々の生活を平気で踏みにじる無神経さや無責任さに驚くとともに、強い憤りを覚えるものであります。環境の世紀と言われる21世紀のスタートと相前後するように、大量生産、大量消費、大量破棄という今の経済社会システムを象徴するような出来事が、国内最大と言われる規模で、なおかつ、環境を政策の柱と標榜するこの岩手において、長期間にわたって行われていたという事実にあきれるばかりであります。この事件の責任は、第一義的には不法投棄した産廃業者の責任であるわけですが、非常に単純とも思われるこのような事件発生の陰には、環境問題や環境政策上の構造的な問題が存在しているように私は思うのであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。このような問題が発生した本質的な原因はどこにあるとお考えでしょうか。最近の調査、解明の状況等を踏まえ、今後の取り組みの方向性ともあわせてお答え願いたいと思います。
 また、いわゆる環境問題は、地球的、全国的な問題であると同時に地域的な問題でもあります。また、産業界の問題でもあり、行政や地域住民一人一人の問題でもあります。さらには、大量の産業廃棄物等を排出する都市側と、その廃棄物を投棄される地方の側の問題という側面もあります。私は、これまでの廃棄物問題に対する取り組みは、このような一見、相対する軸のように見えるこれらの軸が、実際は極めて密接に関連しているのに、総合的な視点に立って問題の解決に取り組んでこなかったということが、今日の問題の解決を非常に難しいものとしてきた大きな要因の一つではないかと考えるものであります。
 そのためには、国や他の都道府県、特にも、旺盛な社会経済活動に伴い、大量の廃棄物を排出する都市や排出の大きな原因者である産業界との真剣な連携と協力が不可欠ではないかと思うのであります。つまり、国全体としてグローバルな視点に立って、この問題の抜本的な解決の仕組みや手法を具体的かつ迅速に協議し検討を進めるような、実践的な機能を果たす場が必要ではないかと考えるものであります。私は、知事の環境問題に対するスピーディーな行動力やわかりやすい施策の展開に対して、感心いたすとともに敬意を表しているものでありますが、このことに関する知事の基本的な御認識をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、環境問題に関連して、現在、釜石市及び大船渡市で進められているエコタウン構想についてお伺いいたします。
 現在、釜石市におきましては、工業都市として培った基盤整備を生かし特色あるリサイクル産業の集積を図るとともにリサイクル産業を核とした資源循環型社会の形成を目指し、地域が一体となってエコタウン構想の実現に向けて取り組んでおります。平成16年度に施行が予定されている自動車リサイクル法を視野に入れ、カーリサイクル事業の主体となる協同組合の設立に向けた動きが具体化しているほか、水産加工残渣を活用したバイオ・ケミカル事業など九つの事業が計画されており、本年度中の国の承認を目指しております。また、エコタウン構想との連動を図りながら、総合静脈物流拠点港、いわゆるリサイクルポートの指定に向けた取り組みも進められております。
 一方、大船渡市においても国のエコタウン指定を目指す動きがありますことから、県におきましては、釜石市及び大船渡市の構想を核とした沿岸南部地域3市2町による沿岸南部エコタウン構想の実現に向けて積極的に支援しているところであり、感謝申し上げる次第であります。
 私は、三陸沿岸の豊かな海洋環境との共生を基本としつつ、港湾機能や基幹産業の基盤技術を生かした地域産業の再生を図るためには、エコタウン構想の実現が不可欠であると思うのであります。環境首都を目指す本県にとって、本地域が国のエコタウン地域として承認されることは、大きな意義を持つものと考えますが、エコタウン構想に対する県の基本的な取り組みについてお伺いいたします。
 また、青森県は既に今年度中にエコタウン地域の承認が確実との情報があります。これは、県を挙げて構想を策定し、承認に向けて積極的に取り組んだことによる成果と思われます。本県の沿岸南部地域は、スタートこそ青森県に先んじていましたが、現在は後手に回っている感がぬぐえません。エコタウン構想の地域承認を目指している全国の地域の状況及び沿岸南部地域エコタウン構想の今後の承認の見通しについて、あわせてお伺いいたします。
 また、今議会においては、産廃税及び県外産廃に係る環境保全協力金の徴収が大きな焦点となっておりますが、港湾機能を積極的に活用し、他県産廃をリサイクル原料として活用を図ろうとする本地域にとって、これらはコスト競争面で大きな足かせになる心配があります。リサイクル産業は、廃棄物の分別収集、低コストリサイクル技術の開発、製品の品質確保、流通の拡大など大きな課題を抱え、いわば発展途上の産業であります。産廃税及び協力金については、リサイクル産業の振興のために還元すべきかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、漁業問題についてお伺いします。
 今、我が浜では秋サケ漁が最盛期になり、アワビの口あけ、養殖カキの水揚げ、殼むき作業と1年で一番忙しく、活気づく季節を迎えております。魚市場では、大漁旗を上げて帰港する定置網船を仲買人や加工業者が胸躍らせて出迎え、また、アワビの開口日には家族総出の集荷に、浜は一層のにぎわいを見せております。しかしながら、本県の今日の漁業は3年続きの秋サケの不漁、洪水のように押し寄せる輸入ワカメによる価格の低落と生産量の減少、漁業者の高齢化、後継者不足という大変厳しい状況が続き、年々厳しさが増しております。このような状況が続くと漁業者の生産意欲は減退し、ますます生産者の減少や生産量の減少に拍車がかかるのではないかと、私は大いに心配しているところであります。
 また、先般公表になりました平成13年の漁業と養殖業の生産額を見ても、ピークであった昭和57年の半分の水準にまで落ち込んでおります。調査結果によると、低下の要因はやはり秋サケと養殖ワカメの大幅な減少によるもののようですが、一部の魚種を除き総じて生産量、金額とも減少している状況であり、沿岸の漁業資源の悪化と価格の低落が影響しているのではないかと考えております。本年の秋サケ漁獲量も、11月20日までで約1万7、000トンと前年度とほぼ同じであり、またことしも4年続きの不漁になるかと大変懸念しているところであります。
 そこで、お伺いいたしますが、県は三陸岩手のこのように厳しい漁業の現状と課題について、どのように認識しているのか、また、三陸岩手の漁業復活のためにどのような方策を考えているかお伺いいたします。
 また、漁業者の協同組織であります漁業協同組合におきましても、前段で述べた漁業情勢の中で、生産物の取扱高が減少し、平成13年度には38漁協中20漁協が赤字となるなど、その経営は一段と厳しい状況にあるものと認識しております。申すまでもなく、漁協は購・販売事業などの経済事業を通じ、漁業・漁村振興の中核的役割を果たしているわけでありますが、漁協の経営の悪化は、漁協が本来持つ機能を十分に発揮できないことにつながり、地域漁業、さらには本県漁業の将来にとって支障が生ずるものと考えます。このことから、漁協経営の健全化を図り、資源管理や担い手育成などの課題に対応でき得る基盤を形成していくことは、漁協系統が取り組むべき課題であると考えますが、県では漁協経営基盤強化について、どのように支援していかれるつもりかお伺いします。
 次に、漁港及び漁港関連道の整備についてお伺いします。
 漁港は、漁業生産や水産物流通の基地として重要な役割を担っていますが、その整備はいまだ不十分で台風などの荒天時においては漁船の安全確保のため、漁業者は昼夜を問わず対応に追われている状況にあります。また、漁港関連道は漁業の効率化や流通機能の強化の観点から重要であり、私は積極的に推進すべきものと考えております。県では、平成14年度を初年度とする水産基盤に係る新たな整備計画をまとめたと伺っておりますが、その中で、釜石市が管理する片岸漁港及び室浜漁港について、計画上どのように位置づけて、今後どのように整備を進めることとしているか、また、釜石管内の漁港関連道の整備について今後どのように進めていく計画か、あわせてお伺いいたします。
 次に、雇用対策と中小企業対策についてお伺いします。
 本年9月の雇用情勢を見ますと、我が国の完全失業率は5.4%と依然として高い水準にあります。また、全国の有効求人倍率0.55倍に対して、本県は0.43倍となって全国を下回って推移しております。さらに、9月の離職者のうち事業主都合による離職者は約4割を占めていることから企業倒産やリストラなどにより仕事を失った方の割合も高い水準にあります。このように本県の雇用情勢は厳しいものとなっておりますが、これに対する県の対策をお伺いします。
 また、長引く景気低迷の中、本年10月末現在の県内企業倒産は過去最高の負債総額を記録するなど、依然として地域経済は深刻な状況にあります。このような中で、県内中小企業は厳しい経営を余儀なくされておりますが、年末を迎え資金繰りなど経営環境が一層厳しくなることが心配されるところであります。年末の資金需要期を迎え、中小企業者に対する適切な対策が求められるところですが、県としてはどのような措置を講じておられるかお伺いいたします。
 次に、障害者福祉についてお伺いいたします。
 障害者福祉サービスについては、平成15年度からは、従来の措置制度から支援費制度に移行し、行政側がサービスの対象と内容を決定していたものを、利用者である障害者みずからがサービスを選択して事業者と契約することによりサービスの提供を受ける新たな仕組みに移行すると聞いております。私は、この制度改革は、障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービスを提供しようとするもので、その理念はまさに時宜にかなったものと考えており、本県にしっかりと定着させる必要があるものと考えております。実施まで残すところ4カ月余りとなってまいりましたが、この制度改革をしっかりと定着させ、本来のねらいを実現させる上での課題をどのように認識されているのか、また、その課題解決のためにどのような取り組みをお考えかお伺いします。
 また、長引く景気低迷の影響を受け、県内の障害者授産施設の活動状況は大変厳しいものと考えますが、その実態はどうなっているのでしょうか。障害者に働く場を提供し、社会参加を支援する授産施設の活動を活発化することは極めて重要と考えますが、県はどのように取り組もうとしているのか、あわせてお示し願います。
 次に、高齢者保健福祉についてお尋ねいたします。
 新聞報道によると、我が国は世界一の健康で長寿の国となっております。本県では、65歳以上の高齢者が32万人余り、100歳以上の長寿者が265人に達する一方、介護が必要な高齢者が4万3、000人余りとなっており、全国を上回る速さで人口の高齢化が進展しており、高齢者の在宅介護を初めとするいろいろな問題が生じております。今後、本格的な高齢社会の到来に当たり、高齢者保健福祉施策を充実させていくことが肝要であり、介護保険事業、高齢者の生活支援、生きがい対策などの充実がますます重要になってくるものと考えます。このような中、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みである介護保険の事業計画が3年を経過しようとしており、高齢者保健福祉計画とあわせて見直しを進めていると聞いておりますが、高齢者保健福祉、介護保険事業支援計画の見直しの具体的内容をお示し願います。
 次に、道路整備のあり方について、最近の論議に対して感ずることからお伺いいたします。
 小泉内閣が聖域なき構造改革を掲げて約1年半、国の財政構造改革の一環として、公共事業の見直し論や道路特定財源の見直し論、道路整備の見直し論等が連日のようにマスコミをにぎわしております。その論議の中で感じますのは、公共事業は、すべてむだ的な論議とか、地方の道路等の社会資本整備への投資は、もう必要がないかのような短絡的と思われる議論がなされているということであります。高度経済成長を経て私たちの暮らしが豊かになったことはだれもが認めるところですが、社会資本の整備も大きくこれに貢献してきたことは言うに及ばないところであります。私は、岩手を含めた地方は、物的あるいは人的側面において、日本の高度経済成長を下支えする大きな役割を果たしてきたと考えているものであります。
 一方、地方においては、人口の流出に伴う過疎化や高齢化、あるいは地域の活力の低下が進む中で、地域に残った人々は、地域のコミュニティーを維持、存続させるため、創意と実践的な工夫などいろいろな努力を重ねているのであります。そのような取り組みと呼応し、地域の維持、存続を支えてきたのが道路等の社会資本の整備であり、まさにこれらの事業なくしては地域の存続なり振興といったものがあり得なかったと私は考えるものであります。今、中央で論議されている公共事業の見直し論や道路整備の見直し論等の論議は一面的な見方であり、中央の視点からのみの論議であります。私は、そのような論議に大いに疑問を持つものであります。地方分権時代と言われる今、私は地域の視点から、道路を利用する地域の声を十分に反映した道路整備、地域がみずからの地域のグランドデザインとして描く総合交通体系整備としての道路整備を中央に向けて発信していく必要があると考えるものであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。このように地方の道路整備に逆風が吹いている今、本県の道路整備についての基本的なお考えと知事の決意をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、東北横断自動車道釜石秋田線及び三陸縦貫自動車道の整備、促進についてお伺いいたします。
 去る10月29日、釜石、大槌を初め、沿岸地区待望の国道283号仙人峠道路の新仙人トンネルが、めでたく貫通を迎えることができました。知事を初め、関係の皆様に心から感謝を申し上げる次第であります。新日本製鐵釜石の高炉休止以来、低迷を続ける釜石・大槌地域にとって、この新仙人トンネルの貫通は、今後予定されている東北横断自動車道釜石秋田線及び三陸縦貫自動車道の整備と連動することによって、地域経済再生のための起爆剤となり得るものであり、地域の期待はますます高まりを見せております。
 また、国道45号は、沿岸部を貫く唯一の幹線道路でありますが、私の地元の釜石市鵜住居・両石地区においては、朝晩の恒常的な渋滞によって、経済活動の面や排気ガス等の環境面での問題も生じております。この解消のため地域の住民によって鵜栗国県道期成同盟会が結成され、バイパス整備に向けて活発な運動を展開してきたところですが、三陸縦貫自動車道の整備計画の構想を受けて、問題の解決を三陸縦貫自動車の整備に託したのであります。三陸縦貫自動車道の整備・促進は、このような問題解決のためにも、また、地域の発展のためにも不可欠なものであります。日本海と太平洋をつなぐ横断道路と沿岸部を縦軸に貫く三陸縦貫道路とが並行的に整備され、沿岸部と岩手中央部や東北最大の都市である仙台市とが短時間に連結されることにより、大きな広がりを持った新たな文化・経済圏の形成につながるわけであります。
 これらの道路整備は、地域の特性を承知せず、採算性など中央の視点のみで見た場合には、必要性が低いというような論議がなされる懸念がありますが、私は、道路整備を論議する場合には、採算性だけでなく、その地域に暮らす人々の生活やその地域の振興、さらには道路はつながってこそ初めてその機能が十分に発揮できるという基本を忘れてはならないと考えるものであります。東北横断自動車道釜石秋田線及び三陸縦貫自動車道の整備、促進について、県として今後どのように取り組まれるのか、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、土坂トンネルの整備についてお伺いいたします。
 私は、この問題につきましては、毎回一般質問で取り上げてきたところでありますが、県当局におかれましては、平成12年度から地質調査や用地測量を行うとともに、本年度は、改良の本工事費に加え用地補償費など約1億円の予算を計上され積極的な取り組みをいただいているところであり、感謝申し上げる次第であります。しかしながら、最近の道路整備に関する論議を目の当たりにして、地元県議として、いささかの不安を抱くものであります。主要地方道大槌川井線は、大槌町内から川井村道又間で国道340号に接続する道路であり、大槌町内から国道340号及び国道106号を経由して盛岡市に至る重要路線となっております。しかし、御案内のとおり、大槌町金沢から土坂峠を経由して川井村道又に至る区間は、現在1車線で急勾配、急カーブが連続し、特に冬期間の通行は困難をきわめている状況であります。大槌町及び近隣市町村では、土坂のトンネル化による抜本的な改良を強く望んでいるところでありますが、今後の見込みについてお聞かせ願いたいと思います。
 また、道路関係の最後として、釜石市内の平田上中島線の整備についてお伺いいたします。
 釜石市上平田地区には、県の住宅供給公社などが昭和50年代に分譲した戸数700世帯ほどの上平田ニュータウンが現在形成されております。この地域と釜石市街地と結ぶ道路は国道45号1本のみであり、これが地域唯一の生活路線となっておりますが、ことしの台風6号では、松原地区の水没によって交通が断されるなど、地域経済や防災面において問題を抱えております。平田上中島線が整備されますと、平田地区住民の念願であります地域経済路線、防災路線が誕生するとともに、釜石市街地の渋滞の解消にもつながることから、平田上中島線を県道昇格させ、早期整備を地元では強く望んでおりますが、県当局の御所見をお伺いします。
 地域なくして国家なし、東京だけでは国家は成り立たないのであります。地域やそこに暮らす人たちに光を当てることが今、政治や行政に求められているのではないでしょうか。知事を初め、県当局の答弁に期待を申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 阿部敏雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県境不法投棄問題についてでございますが、このような問題が発生した本質的な原因につきましては、そもそも産業廃棄物が広域的に移動することに伴って、その処理責任が不透明になるということがございます。また、大都市が自立した自治体としての廃棄物処理の機能を今現在全く喪失しているということ、コスト優先の安かろう悪かろうの処理による、いわば悪貨が良貨を駆逐する構造など、確かにこの大量生産・大量消費の現代社会が抱えております多くの構造的問題があると考えております。
 こうしたことを反省点としてとらえて、やはりここは産業廃棄物の自県(圏)内処理の原則を徹底する必要があるだろうと。この場合のジケン内というのが、一般的には岩手県ということだと思いますけれども、それでエリアが狭い場合には、もう少し広い圏域という意味での自圏内処理ですが、やはりできるだけ動かさないで、産業廃棄物をできるだけ近いところで処理していくという自県(圏)内処理の原則を踏まえて、今回、県外からの搬入事前協議、そして協力金を制度化することや優良産業廃棄物処理業者の格付登録など、こうした産業廃棄物に対する総合的な施策を推進する循環型地域社会の形成に関する条例案などを今議会に提案しているものでございます。
 また、県境不法投棄問題の責任追及の今後の取り組みについてでございますが、先般、主に首都圏に所在する排出事業者などに対して、廃棄物処理の委託内容について報告を求めたところでございます。いついつまでに報告してほしいということで期限をつけて報告を求めたところでございます。今後は、この報告内容を個々に詳細に調査して、徹底した責任の追及を行ってまいりたいと考えております。
 次に、廃棄物問題に対する取り組みについてでございますが、ただいま申し上げました産業廃棄物に関する構造的な問題の解決のためには、地域のごみは地域で処理すべきであるという前提に立って、国、産業界、そして我々地方が連携して環境問題に対応する新たなスキームが必要であると考えております。
 このための本県の具体的な取り組みとしては、大都市からの無秩序な産業廃棄物の流入から本県の良好な環境を守るために、産業廃棄物の自県(圏)内処理を廃棄物行政に関する基本的な考え方として条例において明示することとして、国に対しては、平成13年度政府予算要望から、不法投棄された産業廃棄物の処理についての排出県と投棄された県との負担調整、それから、排出事業者や処理業者に対する強制保険制度の制度提案などを行ってきたわけでございます。
 産業界とは、古くは昭和61年度から、岩手県環境保全連絡協議会を本県独自に立ち上げて、環境問題について企業との連携を深めて、平成13年度からは、岩手県産業ゼロエミッション推進協議会を通じて、古紙、木くず、廃プラスチックなどの具体的な循環型利用に関する取り組みを進めているほか、今回のこの議会に提案してございます条例案などの立案過程にも参画を求めて、いろいろ御意見をお聞きするなど、実践的な調整の場を多様な形で設けてきたところでございます。
 それから、他の都道府県との連携については、例えば、宮城、三重、和歌山、福岡の各県と先般立ち上げました地方分権研究会での産業廃棄物処理スキームの検討や、全国知事会にある産業廃棄物対策に関する検討会に本県も参加して、これまで明確でなかった産業廃棄物行政に関する国と地方との間の役割分担の見直しなどに取り組んでいるところでございます。
 今、議員からお話あったように、それぞれの経済界、国、地方が連携して取り組めということですが、私は、やっぱりこうした連携、協力に当たっては、まず産業界全体として、このような事件が起こったことに関して廃棄物問題を我が事とする認識に欠けていたということ、それから、首都圏を初めとする大都市圏は、みずからが出したごみをみずからが処理できる体制の整備が不十分であったということ、また、本県におきましては、結果としてあのような青森県境の不法投棄事件を防止できなかったこと、それぞれがそれぞれの立場に立って十分に反省する、そして、それぞれが不法投棄問題をみずからの問題として真剣にとらえること、それがぜひ必要であって、まずそこが第一歩ではないかと思います。
 経済界、産業界にも十分に反省してもらわなければいかんと思いますし、大都市の自治体にもそういったことを十分自覚してもらう。我々もそうでありますし、それぞれが真剣に反省するというところから、初めて有効な連携がこれから生まれてくると思っていますので、こうした十分な反省の上に立って、我々も、産業界初め、各方面の皆様と一層連携しながら、あるべきこの循環型社会の形成を目指して政策展開に努めていきたいと考えております。
 次に、道路整備についての基本的な考え方についてでございますが、道路は、日常生活や産業経済活動を支えるということのほかに、安全で快適な県民生活の実現を図る上で欠くことのできない最も基本となる社会資本でございます。特に、広大な面積を有しております本県にとりましては、県内それぞれの地域が、多様な交流・連携による自立的な地域づくりを進めていくことが重要でございまして、そのための発展基盤となる高規格幹線道路から市町村道に至る総合的な道路ネットワークの構築、とりわけその中でも高速道路を初めとする幹線道路の整備促進が緊急であり、かつ重要な課題だと認識しています。
 本県の実情を見ると、まだ高速道路は横断軸や海沿いの縦断軸が整備途上でありますし、一般道でも交通不能区間、あるいはこれからの冬場の時期の通行どめ区間などが数多くございまして、これらが県民生活や産業経済活動の大きな妨げになっていることを勘案すれば、本県の道路整備はいまだ十分な状況とは決して言えない、まだまだ整備をする必要があるところが多いと認識しています。
 一方で、これまでの経済成長期とは大分様相が異なってきていまして、まず、道路事業に投資できる財源がますます厳しくなるという予測がございます。さらに、道路ストックが本県の中におきましても増大してきておりまして、維持管理にかなり重点を移していく必要があるということを考えれば、今後の事業執行に当たりましては、相当の決意を持って臨む必要があるのではないかと思います。
 こうした背景がありますので、これらの整備に当たりましては、まず自然環境に十分配慮しながら、事業の重点化・効率化に努めるのはもちろんでありますが、公共事業評価などによりまして事業を厳しく峻別する必要がある、それから、コスト縮減、これも大幅なコスト縮減を考えていく必要があると思いますし、地域の実情に応じた公共施設の整備、いわゆるローカルスタンダードの導入にも率先して取り組むなど、自治体としてたゆまぬ努力を傾注していく必要があると考えております。
 現在中央では、確かに地方における道路整備不要論というのが叫ばれておりまして、その言い方や論拠も多様でありますけれども、中央が地方の道路はもう要らないとか、整備不要とかということを決める権限があるわけではなくて、本来、地方における道路整備というのは、我々のニーズを一番把握している我々自身が主体となって、自己決定、自己責任の原則のもとでその必要性や優先度を決めるべきであり、やはりそういった体制に一刻も早く変えていく、そういった体制の確立が肝要だろうと思います。
 ですから、これからはこのような視点を持ちながら、これからの岩手の道路の実情を一方では十分に中央に発信するということと、それから、やはり県民の皆さん方の御意見を十分にお伺いして、それぞれの地域が目指す将来像の実現に向けて今後の道路整備に積極的に取り組みたい、このように考えております。
 次に、東北横断自動車道釜石秋田線、そして三陸縦貫自動車道の整備促進についてのお尋ねがございます。
 この東北横断自動車道釜石秋田線は、機能としては内陸部と沿岸部を結ぶ基幹的な道路であって、物流の効率化による産業の振興、救急医療体制の確立、県内外の広域的な交流・連携など、そのほかにもいろいろな機能がありますが、極めて重要な機能を果たす路線ということで、これまでその整備を強く国に求めてきたわけであります。先般、ようやく東和-花巻間の供用が実現したわけですが、まだ大分先がその後残っている。今お話のように、釜石に向けてまだ大分先が残っているという状況でございます。
 また、三陸縦貫自動車道は、三陸沿岸地域の相互の交流、そして自立的発展を支える重要な路線というような認識をしてございますけれども、これも関係する市町村と県で一緒になりまして、この実現に向けてさまざまな活動を展開してきたわけでございます。
 高速道路について、昨日のこの場でも御答弁しましたように、今かなり厳しい状況に置かれているということでございますけれども、全国知事会、それから有志の知事が集まった地方委員会、そのほか自治体がメンバーになっている全高速という高速道路に限った組織もございます。いろいろな組織がございますので、そういうところの活動、それから、当然本県独自の単独の活動などを通じて、今までも我々の意見、そして考え方というものを国の方に提示をし、提言をしてきたわけであります。
 昨日も御答弁申し上げましたが、来月6日に例の民営化推進委員会から最終報告が出される予定になっておりまして、内容についてはまだいろいろと行ったり来たりということがあるようでございますが、いずれにしても、まとめられたこの最終報告の内容や、これに対して国が一体どういうふうに対応していこうとしているのかということを十分に見きわめながら、引き続き、県内においては関係市町村とも連携し、他の都道府県や他の自治体、各組織といったようなところとも連携しながら、この横断道の釜石秋田線、それから三陸縦貫自動車道の整備促進に向けて積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔商工労働観光部長照井崇君登壇〕
〇商工労働観光部長(照井崇君) まず、エコタウン構想についてでありますが、これまで、釜石市と大船渡市が、それぞれの地域において環境と調和したまちづくりの推進や環境関連産業の創出について、その可能性を専門機関に委託して調査を実施するとともに、産学官で構成する推進委員会を組織し、構想の取りまとめを進めてきたところであります。
 県におきましては、これらの構想について、両市がそれぞれ進めるよりは、いわて資源循環型廃棄物処理構想で示している沿岸南部地域において広域的に取り組む方が効果的・効率的であるとの考えから、地元市町村や住民の方々、産業界などと協議を進めてきたところであり、その結果、本地域を対象とするさんりくエコタウン構想案を取りまとめ、現在、地域承認に向けて経済産業省と事前協議を継続しているところであります。
 本構想が承認されることにより、リサイクル施設整備などに重点的に助成措置が講じられることから、環境関連産業の育成や環境と共生するまちづくりが促進されるものと期待されるところであり、本県が目指す資源循環型地域社会の形成に一層弾みがつくものと考えております。
 平成9年度にエコタウン事業が創設されてから、これまでに全国で16地域が承認されておりますが、現在、承認を目指している地域については、所管する経済産業省、環境省とも公表していないため、正確な状況については承知しておりません。しかしながら、国の助成を得て、毎年度複数の地方公共団体がエコタウン構想策定のための調査事業などを実施していることから、年々競争が激しくなるものと見込まれております。
 また、本構想の今後の見通しにつきましては、事前協議の過程で、これまでに承認された地域には例のないような独創的なプランや技術の先導性がより強く求められるなど、従前に比べハードルの高い承認基準となっており、現時点ではこの基準に適合して新たに承認された地域はないと伺っております。
 県といたしましては、こうした厳しい状況の中で、できる限り早期に承認されるよう、今後とも関係市町村等と一体となって経済産業省、環境省に対し積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、雇用対策についてでありますが、厳しい雇用情勢に対応し、よりきめ細かな雇用対策を推進するため、本年9月に、県内各地域の求人・求職の状況や県民ニーズ等を踏まえて、岩手県総合雇用対策を改定したところであり、現在、この対策に基づき雇用の創出に向けてさまざまな施策を積極的に展開しているところであります。
 具体的には、まず、緊急地域雇用創出特別基金等を活用した市町村事業の大幅な拡充を図り、より地域に密着した臨時応急の雇用機会の創出を促進するとともに、中期的な視点から本県産業経済の自立的発展を促進するため、中小企業の新商品開発やベンチャー企業等の新規創業を支援するほか、誘致企業の撤退などに伴い離職した技術者を活用し、産学官連携による実用化技術の研究開発を進めるなど、産業支援施策の充実強化に努めております。
 また、国や市町村等との密接な連携のもと、一層の求人開拓に努めるとともに、来年1月をめどに、各地方振興局に求職者への就職関係情報の一元的な提供やカウンセリングなどを行う(仮称)就職支援センターを設置することとしております。
 今後とも、雇用情勢の変化や県民ニーズを的確にとらえながら、総合雇用対策の着実な推進に努めてまいります。
 次に、年末の中小企業金融対策についてでありますが、中小企業者の年末資金繰りに支障が生じないよう、今月中旬に県から各金融機関、県信用保証協会などに対し、資金供給について文書で協力要請を行ったところであります。
 また、12月上旬開催予定の県内金融機関などで構成する中小企業金融連絡会議において、中小企業金融についての情報・意見交換を行い、年末における金融相談と資金供給の体制を整えることとしております。
 さらに、テレビ・ラジオの広報媒体、インターネットなどにより、中小企業者に対し年末金融対策の情報提供に努めているほか、県信用保証協会、各商工団体においても、日ごろから経営・金融相談体制を整え対応しているところであります。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕
〇環境生活部長(時澤忠君) 産業廃棄物税及び環境保全協力金の使途についてでありますが、この税は、産業廃棄物税の発生抑制、再使用、再生利用などの施策に充てるため導入しようとするものでありまして、現在、環境保全協力金も含めまして、この目的に沿った使途について検討しているところであります。
 具体的には、廃棄物の減量化やリサイクル技術の開発、廃棄物の排出抑制とリサイクルのための設備投資、リサイクル製品の開発・製造などに対する支援策を検討しているところでありまして、税制度の実施に先立って来年度から実施したいと考えているところであります。
 また、これらにつきましては、産業界や学識経験者等によります審査、事業効果の検証等を行いまして、意見や要望をいただきながら実施していきたいと考えております。このような施策や取り組みを通じまして、リサイクル産業や環境関連産業などの振興が図られますとともに、環境に配慮した産業活動が促進されていくものと考えているところであります。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕
〇農林水産部長(佐々木正勝君) 本県漁業の課題と復活のための方策についてでありますが、本県の漁業は、全国に先駆けてつくり育てる漁業を推進してきており、資源変動等の影響を受けにくい安定した生産を目指してまいりました。しかしながら、近年の秋サケの不漁やワカメ養殖の不振などによって漁業生産額が年々減少し、また漁業就業者の減少と高齢化の進行など、極めて厳しい状況にあります。このような中で、水産資源の増大と適切な管理、さらには販売力の強化とあわせて、輸入水産物に打ち勝つため、生産構造の改革による産業としての競争力を高めてまいりたいと考えております。
 このため、サケ放流技術の改善やサケ・マスふ化場の機能強化などによって回帰率の向上を目指すとともに、アワビ、ヒラメの放流など、つくり育てる漁業を一層推進し、水産資源の増大を図るほか、未成魚の保護など、資源の適切な管理を促進してまいります。
 また、漁業者みずからが旬限定の早どりワカメなど、市場優位性を発揮できる新商品の開発や殼つきカキに見られるような地域ブランドの確立に向けた取り組みを支援し、漁家所得の向上を図るとともに、生産者の顔が見える安全・安心な水産物の供給体制を確立してまいります。
 さらに、安価な輸入水産物に対する競争力を高めるため、消費者の求める高鮮度・高品質な水産物の生産を促進するとともに、ワカメなど養殖施設の再編整備や省力化機械の導入などにより生産コストの削減と省力化を図り、意欲ある担い手を中心とした養殖業の生産構造改革を積極的に進めてまいります。
 こうした施策を重点的に進めながら、三陸漁場の特性を生かしつつ、本県漁業の積極的な振興を図ってまいる考えであります。
 次に、漁協経営の基盤強化についてでありますが、漁協の経営は、秋サケの不振等により年々悪化してきており、平成13年度決算では、沿岸38漁協中、半数以上の20漁協が赤字を計上するなど、極めて厳しい経営環境にあります。
 このため、県におきましては、不採算部門の抜本的見直しについて指導するとともに、信用事業部門の統合に伴う借入金に対する利子補給や不振漁協の財務改善などの漁協系統の取り組みに対して支援をしているところであり、また、漁協経営基盤の強化のためには漁協合併も有効な手段でありますことから、漁協系統が進めております平成19年度に1郡1漁協の構築を内容とする岩手県漁協合併の促進に関する基本計画の取り組みに対して、助言・指導しているところであります。
 漁協経営が一段と厳しくなる中で、漁業振興などの漁協本来の役割を果たしていくためには、まず、漁協自身が厳しい現状を認識した上で、みずからの努力により、経営の合理化や効率化など、経営基盤強化に積極的に取り組む必要があると考えております。こうした漁協系統の自助努力とあわせて、県といたしましても、漁協役職員の研修や経営改善に必要な利子補給などにより、漁協の経営改善を支援してまいりたいと考えております。
 次に、漁港及び漁港関連道の整備についてでありますが、県におきましては、水産基盤の整備を効率的・効果的に推進するため、本年3月に、平成14年度を初年度とし、平成23年度を目標年次とする岩手県水産基盤整備基本計画を策定したところであります。この中で、釜石市が管理する片岸漁港及び室浜漁港は養殖業の基地として位置づけ、安全な港づくりを目指しているところであります。
 具体的には、片岸漁港につきましては、係留中の漁船の安全確保を図るため、平成15年度までに延長70メートルの防波堤を整備する計画であります。また、室浜漁港につきましては、計画期間の後半になりますが、防波堤50メートルの整備を予定しているところであります。
 漁港関連道につきましては、水産業の振興はもちろんのこと、漁村の活性化のためにも重要と考えておりますので、未整備となっております小白浜漁港関連道につきましては、平成15年度からの整備を目指し、現在その事前調査を実施しているところであります。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕
〇保健福祉部長(長山洋君) まず、障害者福祉についてでありますが、支援費制度では、障害者によるサービスの選択と契約による利用が基本となりますことから、何よりも障害者自身にこの制度をよく知っていただくことが重要であります。そのため、市町村ともども、各地域で現地の説明会等を開催しているほか、リーフレットの配布や各種広報の利用などによって、障害者やその家族に対する制度の周知に努めているところであります。
 また、サービスを利用しやすくする条件の整備も大切でありまして、市町村に相談窓口を設置していただくとともに、市町村職員等を対象にして、ケアマネジメント従事者養成研修等を実施し、障害者のニーズに対応したサービス利用を支援する体制の整備に努めております。
 さらに、サービス利用の選択の幅を広げることも重要でありますので、先行している介護保険事業者等の参入を促進するなど、制度に対応したサービス提供体制を整備するよう努めております。
 なお、市町村、サービス事業者双方の事務処理の負担軽減を図るため、支援費の請求と支払いを一元的に処理する電算システムの開発を進めております。
 次に、授産施設の活性化についてでありますが、県内授産施設の売上出荷額、1人当たりの利用者工賃は近年減少傾向にありますことから、県では、昨年度から2カ年事業として、授産施設活性化特別対策事業を岩手県社会福祉協議会に委託して実施しており、昨年度行った実態調査では、不況の影響に加え、販路拡大、営業努力、製品開発等にも課題があるとの結果が示されました。
 今年度は、この結果をもとに授産活動活性化指針を策定し、製品開発、共同受注・共同販売など授産施設が取り組むべき課題とその方向性を示すことにしており、今後においては、この指針に基づきながら、県社会福祉協議会等を中心とした活動の展開を通じて、授産活動の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 また、指針の策定にあわせ、県内授産施設等が共同して、展示即売会の開催、あるいは経営・技術研修会の実施、製品カタログの作成やホームページの開設による広報宣伝の強化などの試みにも取り組んでおります。授産施設は、一般就労が困難な障害者の働く場として大きな役割を担っておりますので、商工関係団体等の御協力もいただきながら、その活性化に努めることとしております。
 次に、高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画の見直しについてでありますが、現在、広く県民の方々の御意見をいただきながらその作業を進めているところであります。まず、在宅介護を重視する観点から、平成19年度までに訪問介護など在宅サービスについて、平成13年度実績の約1.8倍を見込んでいるところであります。また、施設サービスについても、要介護認定者の増加を踏まえ、高齢者人口に対する施設入所者割合を国の示している参酌標準の3.2%、それを上回る3.73%と見込んでいるところであります。
 さらに、介護サービスの質の向上を図るために、従事者研修などを通じて質の高い人材を育成するとともに、利用者一人一人の生活のリズムを大切にする全室個室・ユニットケア型の特別養護老人ホームなどの整備を進め、また、痴呆性の高齢者グループホームを初めとする施設への外部評価や身体拘束廃止の取り組みについても、一層推進することとしております。
 また、高齢者の自立した生活を支援するため、高齢者個々人のニーズを的確に把握し、高齢者やその家族からの相談に、より身近なところで応ずることができるよう在宅介護支援センターの機能の充実を図るとともに、生きがいデイサービス、配食サービスなど介護予防生活支援事業を充実することとしております。さらには、地域の中で生きがいのある生活が送られるよう、シルバーパワーネット――これは元気な高齢者の社会活動の支援の事業でありますが――、それとシルバーカレッジなどの事業を通じて、社会貢献等の地域活動を促進してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕
〇県土整備部長(猪股純君) まず、主要地方道大槌川井線の土坂トンネルの整備についてでありますが、大槌町金沢地区から土坂峠を経て、終点の川井村道又地区までの計画延長5.2キロメートルの区間につきましては、平成12年度から環境調査や測量などを進め、平成12年9月には、皆様方の御意見をいただいて取りまとめた調査ルートを公表したところであります。この計画区間のうち、現道拡幅などにより早期に整備効果が発現できる一部区間の600メートルについて本年度より工事に着手しており、当面、本工区の整備推進に努めることとしております。残るトンネル部分を含む区間の改良計画については、今後の予算の動向を見きわめながら、県全体の道路整備計画の中で、その進め方を検討してまいりたいと考えております。
 次に、市道平田上中島線の県道昇格による整備促進についてでありますが、このルートは釜石市平田地区と市街地とを連絡し、一般国道45号と283号の迂回機能を有する道路となるものと認識しているところであります。県道の認定に当たりましては、道路の整備状況や県道として早期に整備、管理する必要性などを総合的に判断の上、緊急を要する路線から段階的に認定することとしておりますが、近年の逼迫する財政状況から道路の整備に係る十分な事業費の確保が難しく、現状では県管理道路の新規認定は極めて厳しい状況にあります。このことから、県といたしましては、本路線の地域における役割等を総合的に勘案しながら、慎重に検討してまいりたいと考えております。

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