平成14年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇39番(吉田洋治君) 政和会の吉田洋治でございます。
 高円宮憲仁親王殿下が、21日午後4時ごろ、スカッシュの練習中に倒れ、同日午後10時52分、急されました。47歳の若さでありました。
 殿下は、これまで6回御来県されましたが、4度目の1996年7月、雫石町の岩手高原スキー場で開催された第3回高円宮杯グラススキージャパンオープンに出席。日本グラススキー協会総裁の殿下は、2泊3日の日程を精力的に消化され、競技観戦や施設慰問など県民と親しく接触されました。
 大会の県実行委員会副会長だった私も同行の機会をいただきましたが、カラオケで美声を御披露されるなど、大変気さくな殿下であり、残念のきわみであります。心より哀悼の誠をささげ、御冥福をお祈り申し上げます。
 さて、通告に従い、順次質問をいたします。
 来春には第15回統一地方選挙が行われる予定となっており、知事選挙及び県議会議員選挙の投票日が、4月13日となる見込みであります。
 長く暗いトンネルを抜け出せず、長期化する我が国のデフレ不況は県民生活を直撃し、基幹産業である農林水産業の衰退、有力な誘致企業の撤退、建設業者の破綻、雇用環境の悪化など、県民の不安はますます増大しております。この不安を解消し、安心して生活できる県土づくりへの県民の期待は非常に大きく、これらは、県民が最も身近な選挙として直接政治参加ができる絶好の機会であり、統一地方選の意義もそこにあると思うのであります。
 増田知事の2期目の公約を私なりに検証いたしますと、持ち前の若さと情熱と行動力を前面に出し、決断と実行の政治姿勢を貫く決意は、高く評価できると考えております。県民との対話の重視、県民が主役との基本理念は、生活者、地域主権の視点に立った県政へと連動しており、初心が貫かれていると感じております。しかし、21世紀の岩手を担う県庁づくり、スピードと現場重視の県行政運営に当たるとの知事の基本姿勢は、残念ながら県職員との熟度には乖離があり、いまだ発展途上にあると感じております。
 環境、ひと、情報の三つの視点、そして景気対策を初めとする八つの重点施策は、知事がみずから策定した新しい総合計画との検証を要し、今次決算議会において活発な議論が展開されるものと思います。ただ、情報と公開という面で、知事の積極的な言動が記者会見等の場を通じてどんどん発表になりますが、私はもう少し議会との関係を重視し、配意することが必要ではないかと考えております。知事を初めとする執行部と議会は、車の両輪のはずであります。
 以上、私なりに知事の公約について所感を述べましたが、そこで増田知事にお伺いいたします。
 私は、平成10年11月25日の一般質問において、同23日に既に出馬表明をしていた増田知事に対し、2期目出馬への基本姿勢と決意などについて質問をいたしました。知事は答弁の中で、現下の厳しい経済状況への対応は何よりも喫緊の課題であり、国の政策とも呼応しながら景気対策に積極的かつ機動的に対応し、県内経済の回復に全力を尽くすことを基本姿勢とすると発言をされました。
 3期目を迎えようとしている今日の県内経済は、さきにも触れましたように極めて厳しい状況下にあり、知事は141万県民の先頭に立って、引き続き力強いリーダーシップを発揮しなければなりません。知事にはその責任があるのであります。
 つきましては、知事選3選出馬への基本姿勢と決意についてお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、平成15年度予算編成方針についてお伺いします。
 12月定例議会招集日の21日の新聞紙上では、国の経済財政諮問会議が、地方自治体が独自財源でインフラ整備などを行う地方単独事業の総額を、2003年度から4年間で毎年5%ずつ、計約3兆円を削減するとともに、また、同じ期間内に、地方公務員を計4万人以上削減するとの方針を明らかにしたとの報道がなされております。これは、道路に加えて、またまた地方の切り捨て政策でなくて何なのでしょうか。国本体は、どのような痛みを伴う構造改革を行おうとしているのでしょうか。
 地方分権一括法施行以来、真の地方の時代の到来と思いきや、権限の移譲はよいとしても、金は来ない、人も伴わないでは、地方へのしわ寄せが増大し、地方分権に逆行する施策であると断言せざるを得ません。
 そこで順次お伺いします。
 第1点として、このほど地方の側から構造改革を目指す地方分権研究会の初会合が開かれ、分権国家の実現を目標とした上で、本県など5県が共同で地方からの構造改革に取り組むこととしたとのことでありますが、この地方分権研究会の位置づけはどのようなものなのでしょうか、お示しください。
 また、地方からのチャレンジ・プロジェクトが数項目挙げられているようですが、具体的にどのように事業展開を図ろうとしているのでしょうか。また、税財政制度改革のプロセスについてもお伺いをしたいと思います。
 第2点として、過日開かれた予算編成連絡会議で、2003年度一般会計当初予算編成に関する県の基本方針を決めたと報じられたことについてであります。
 来年度は知事選挙もあり骨格予算になると思われますが、公共事業費を15%削減するとともに、新たな予算編成システムで経常経費を30%スクラップし、約54億円を捻出して政策予算に充当する、県債発行は償還額以下に圧縮するなどがその骨子のようであります。
 そこでお伺いいたしますが、来年度の歳入見通しの中で、県税収入及び地方交付税の見通しについて、どう予測しているのかお示しください。
 第3点として、新たな予算システム導入とは具体的にはどういう手法なのでしょうか、お伺いいたします。また、公共事業削減については、今年度は対前年度比10%削減、そして来年度は今年度ベースで15%削減となれば、地域経済への影響は極めて大きなものがあると思うのですが、その対応についてもお示しください。
 第4点は、北東北3県共同による地方債発行についてであります。産廃税の導入やこのたびの韓国・ソウルでの合同事務所の設置など、3県連携によるスケールメリットは大変大きいものと思いますが、地方債の共同発行についての今後の見通しについてもお伺いしておきます。
 次に、条例制定に関する諸問題についてお伺いします。
 第1点は、政策評価システムについてでありますが、知事は先般の記者会見におきまして、条例化する方針であると言明をされました。これまで議会でも活発に議論をしてきており、要綱から条例化への決断は、県政の厳正さと透明度をさらに高めるとともに、県民の県政への参加と行財政改革への連動が大いに期待されるところであります。私は、第三者委員会の委員選任につきましても、議会承認の人事案件にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、知事は記者会見で、議会との関係をもう一度きちんと考えて、できるだけ議会に根拠を置いていくことが大事であるとも発言をしておりますが、その内容について具体的にお聞かせください。
 第2点は、自治基本条例の制定についてであります。平成10年4月、地方分権一括法が施行され、機関委任事務の廃止など、国の権限を大幅に地方に移譲した形になっておりますが、相変わらず国が財源を握っている状況では、分権の名のもとに地方にしわ寄せが来ている状態であり、法の趣旨が生かされていない極めて未成熟な状況にあると考えております。しかしながら、地方分権時代を迎えたとの認識のもと、県の役割、国との関係、他県との連携あるいは自治体の基本理念や組織体制、行政運営の基本ルールなどに関する総合的な条例として、平成14年10月に公布された北海道行政基本条例などの制定も進み、本県でも宮古市が検討を始めたと伺っております。
 増田知事は、10月21日の記者会見におきまして、自治基本条例は自治体の憲法のようなものであり、じっくりと議論を練り上げていく必要があると前置きをしながらも、最終的には、やはりこういう自治基本条例といったものの制定を考えていく時代になってきたのではないかとの認識を示されております。つきましては、ここで改めて自治基本条例制定についての知事の率直な御意見をお伺いいたします。
 第3点は、新エネルギー・省エネルギーを促進するための条例制定についてであります。
 県は本年6月に、本県のエネルギーを取り巻く環境を踏まえ、本県の実情に応じた新エネルギー・省エネルギーの推進方策を検討するため、岩手県新エネルギー・省エネルギー促進懇話会を設置したと伺っております。これまでの議論の中で、需要供給の両面から総合的に取り組んでいくため条例を制定すべきものとの方向性が示され、条例に盛り込むべき事項などについて議論が展開されているとお聞きしております。
 そこでお伺いいたします。まず第1点は、本県は電力自給率約25%と、他県依存型、電力輸入県であります。したがって、電力の自給体制の整備、向上は長年の課題でありましたが、新エネルギービジョンとの整合性についてはどう図っていくお考えでしょうか。
 また、本県は水力発電、地熱発電がほとんどの主流を占めておりますが、加えて、海洋エネルギーなどは新エネルギーの定義の中にどのように位置づけをされるのでしょうか。あわせて、条例制定後の施策の具体的進め方につきましてもお示しください。
 次に、市町村の合併問題についてお伺いいたします。
 盛岡青年会議所など、経済3団体で構成する住民発議による合併協議会を求める会は、盛岡市、矢巾町、滝沢村の3市町村に住民署名を提出し、住民サイドから行政へと具体的な合併協議の進展を促そうとしており、この運動は、県内外から大きな注目が寄せられております。私は、この署名運動の持つ意味は極めて重く、合併協議会設置は民意であるとの認識に立ち、3市町村の首長、議会は、住民を交え活発な議論を盛り上げる絶好の機会としてとらえ、積極的な協議を尽くしてほしいと願うものであります。
 そこでお伺いいたします。第1点として、県内初めての試みである住民による合併協議会設置請求を県当局はどのようにとらえ、今後どのように指導していくつもりか、今後の展望を含めてお示しください。
 第2点は、いわゆる西尾私案についてであります。地方分権の担い手である自治体のあり方を検討している地方制度調査会では、いわゆる西尾私案、今後の基礎的自治体のあり方についてを専門委員会に提出し、大きな波紋を呼んでおります。それは、福祉や教育、まちづくりなどの事務をすべて処理する基礎的自治体として市を位置づけるとともに、人口が一定規模に満たない自治体の解消を目標とすべきだとしております。これは、合併特例法の期限が切れる平成17年3月以降は、現在のような財政的な特典をつけた自主的合併から、財政的な特典をつけない強制的な合併への転換をもうかがわせるものであり、来年3月の中間報告の方向性に大きな影響を与えるものと見られておりますが、県当局の西尾私案に対する御所見をお伺いいたします。
 第3として、本県では昨年11月の大船渡市・三陸町の合併以降、さきに述べました盛岡広域圏、宮古、一関、胆江地域など、合併特例法適用期限内の合併の目安とされる平成14年度内の合併協議会設置に向け、各地で精力的な努力が続けられておりますが、ここは増田知事の強力な後押しを含めたリーダーシップが求められているものと私は思っているのですがいかがでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、厳しい雇用情勢への対応についてお伺いいたします。
 東京商工リサーチがまとめた本年度上半期の県内企業の倒産状況は負債総額約450億円と、対前年度比で208%の大幅増、倒産件数は66件と、前年同期比3.1%増と過去最悪となり、建設業を中心に不況の影響が色濃くあらわれていることから、下期もさらに厳しい状況が続くであろうと予測されております。そうした中で、誘致企業の撤退などを含め雇用情勢は完全失業率5.4%と、過去に経験したことのない高水準で推移しており、本県の9月の有効求人倍率は0.43倍と、全国ワーストグループであります。私は、特に、来春、希望に胸を膨らませて高校を巣立つ卒業予定者の10月末の就職内定率が45.0%と、例年以上に厳しい状況にあることから、岩手労働局、県当局挙げて最重要課題として取り組むべきであると考えておりますが、商工労働観光部長及び教育長の御所見はいかがでしょうか。
 次に、岩手医科大学の移転についてお伺いいたします。
 本県医療の中核を担っている岩手医科大学の附属病院及び大学機能を移転する計画が明らかになり、川村矢巾町長は町議会全員協議会の場において、岩手医大が町に進出するなどと報告したと報じられております。
 マスコミ報道によりますと、病院及び町関係者の話として、当面の主な移転施設である大学と附属病院は現在の敷地が手狭な上、老朽化が進行しているほか、慢性的な交通渋滞により緊急車両の通行が阻害されるなど、その立地条件の悪さが指摘されていたとされております。
 そこでお伺いいたします。第1点は、岩手医科大学から県に対しまして計画の概要の説明があったと思いますが、その内容についてお示しください。
 第2点は、私は福島県などに見られますように、医科大学を県で設置、運営している自治体もあること、また、県高度救命救急センターは、国庫補助の導入など県行政と深いかかわりがあることなどから、県の適切な指導と支援が必要と考えておりますが、県当局の御所見をお示しください。
 次に、岩手競馬に関する現状認識と今後の展望についてお伺いいたします。
 私は岩手県議会から選出され、昨年6月から、先輩である山内議員と2人で岩手県競馬議会に参画しており、盛岡・水沢両市議会から1名ずつの計4名で構成する一部事務組合・岩手県競馬組合の議会で仕事をさせていただいてまいりました。その管理者は増田知事であります。副管理者には盛岡・水沢両市長が、出納長には橋田県出納長が就任しており、そこで働く従業員関係者は約2、700名を数えております。この1年5カ月の間、岩手県競馬事業を議会から見てきた立場からあえて問題提起をし、岩手県競馬の存続と今後の展望を見出していきたいと考えているものであります。
 さて、古来より、名馬は北辺にありと言われ、北の大地、岩手県は馬産地としての長い歴史を有し、これまで数々の名馬を産出してまいりました。
 本県では、明治34年に、水沢において円形馬場が開設され、競馬産業は急速に発展したと言われております。昭和23年の競馬法制定とともに本県でも競馬が再開され、昭和39年に岩手県・水沢市及び一関市、その後盛岡市による一部事務組合として岩手県競馬組合が設立され、以来38年の歴史を刻し、今日に至っております。
 さて、今日の岩手競馬は、盛岡、水沢の二つの本場と九つの場外発売所・テレトラックを有し、我が国の地方競馬におけるビックスリーにまで発展し、本県の産業、経済、馬事文化の発展に大きな役割を果たしております。盛況を博した設立から平成10年までの34年間で、県、盛岡市、水沢市への収益配分金は約407億円に上ります。しかしながら、今日の地方競馬には昔日の隆盛はなく、新潟、中津など幾つかの地方競馬が廃止となっており、岩手競馬におきましても馬券の発売額が年々減少し、44億8、000万円余の繰り上げ充用という措置を講じなければならない状況に立ち至っております。
 しかしながら、一方では、入場人員は増加傾向を示しているほか、中央競馬・JRAとの提携が進み、第2回日本ダート競馬の祭典で、盛岡競馬場に大観衆を集めるなど、明るい兆しも見えているように思うのであります。そして、岩手県議会にも競馬振興議員クラブが発足し、県においては、平成15年度政府予算統一要望に地方競馬振興に対する助成の項目を盛り込んだのであります。
 そこで、構成団体である県の認識として、岩手県競馬組合の財務内容を貸借対照表であらわした場合の現況をどう把握しておられるのか、お伺いいたします。
 私は、馬産地としての長い歴史と伝統、県民の意識の底に根づいている馬に対する深い愛情、さらには産業、経済、文化の振興に及ぼす有効性を考えるとき、長い視点から考慮していく必要があると思いますが、今後の岩手競馬についてどのような展望を持っておられるのか、知事の見解をお伺いいたします。
 最後に、地方バス生活路線の維持についてお伺いいたします。
 地方バス路線の維持を求める請願が本年7月3日、第14回県議会定例会において全会一致で採択されました。この請願の趣旨は、本年2月に実施されたバス交通の規制緩和、すなわち乗り合いバスの需要調整規制の廃止に基づき、関連法や補助制度の変更があり、利用者の少ない不採算路線の維持がますます厳しくなっていることから、県議会として政府に意見書を提出したものであります。仮に生活バス路線の廃止となれば、高齢者、児童、障害者など、教育・医療福祉施設などを要する生活弱者への影響が特に大きく、このことは、ひいては過疎化の進展を加速させ、地域振興面にも大きな影響を与えることが危惧されるのであります。
 現実に、この緩和策によってバス路線の休・廃止が容易になることから、不採算路線の休・廃止は増大するものと考えられますが、一方、国の指導により、本県でも生活交通対策協議会が県レベルで設置されるとともに、分科会が地方振興局ごとにつくられ、生活交通の枠組みづくりを目指すことになりました。
 新しい補助金制度により補助対象路線が減った一方、結果として、各自治体が単独補助金で維持する路線が増加するという状況になっております。各自治体の単独補助金については地方交付税で措置されることとなったのでありますが、いかに地方分権とはいえ、厳しい財政状況の中で、ほとんどの自治体にとっては不採算路線の維持が重荷となっております。
 そこでお伺いいたします。第1点として、市町村から県に対するバス路線の維持のための要望の状況はどうなっているのでしょうか。
 第2点として、青森県など東北他県では、地方バス路線維持のための補助金交付要綱を定め、市町村に対して補助金を交付しております。ついては、本県でも早急に対応策を構ずべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第3点として、県レベルでは設置されている生活交通対策協議会には、勤労者及び利用者を代表して労働者代表が参加しておりますが、地方振興局ごとにつくられている分科会には参加しておりません。ついては、県レベルと同様に、これらの代表者を分科会メンバーに加えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、県政各般にわたる事項について質問させていただきました。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 吉田洋治議員の御質問にお答えいたします。
 まず、知事選挙についてでございます。
 私は、今この時代を岩手が新しい時代に羽ばたくための変革と創造の時代である、このように位置づけまして、生活者主権、地域主権の県土づくりをこれまで目指してきたところでございます。このため、県政への県民参画、現場重視の考え方から、県内各地を回りまして、県民の皆様が県政を真に身近なものとしてとらえていただけるように努めてきたところでございます。
 今、我が国の地方自治をめぐる状況は大きな節目の時期を迎えている、このように認識しておりまして、地方分権を確立するためには、国と地方のあり方、とりわけ国から地方への税源移譲と、これを前提とした国庫補助負担金の廃止や地方交付税制度の改革などの大きな問題に対して、改革を強力に推進していかなければならない時期にございます。こうした中で、私自身これまでの県政運営を振り返りながら、さらに今議会での議論も踏まえて、次期知事選への対応について決断をして、年内にこの内容を明らかにしたい、このように考えております。
 次に、自治基本条例の制定についてでございます。
 自治基本条例は自治体の憲法とも言われるものでございまして、近年、地方分権が一層進む中にありまして、自治体のあるべき姿を導く基本的な理念やその実現に向けての行政運営の基本的な姿勢などを明確に示す条例として、この自治基本条例を定める自治体が出てきていることは御案内のとおりでございます。私も、今日のような先の見えにくい混沌とした時代にありまして、県政が進むべき明確な道筋を示して、透明性の高い行政運営を適正に行っていくことは、時代の要請であると考えております。
 一方では、自治基本条例の制定に当たりましては、県民全体が目指すべき理念をどのように集約していくか、その制定過程における県民参加のあり方や、また、その理念を実効あるものにするにはどのような内容とすべきかなど、検討すべきさまざまな課題もございます。要は、内容も大変重要でございますし、同じくこうした条例の制定過程をどのようにしていくのか、ここも大変重要だと考えております。さらに、県と国や市町村との関係も含めて、地方制度のあり方が大きな議論となっている現在、今のままの仕組みを前提として考えていいのかどうかという問題もございます。
 したがいまして、当面は政策評価システムの条例化や今議会に御提案しております循環型地域社会の形成に関する条例など、それぞれの具体的な取り組みを積み重ねていく過程で、私どもも議論を深めながら、岩手県の憲法とも言うべき自治基本条例の制定について、今後考えていくことといたしております。
 次に、市町村合併についてでございますが、地域のあり方は地域が決めるということが地方自治の基本である、私はこのように考えておりまして、地域の将来像は関係市町村が住民とともに十分に議論し、その上で将来像を描いていくべきものと考えておりますし、市町村において判断材料となる資料を住民の皆さんに積極的に提供した上で、地域のあり方についての議論を一層深めていただくことが重要であると考えております。
 特に、平成17年3月という合併特例法の期限を考慮いたしますと、市町村長がみずからの考えを地域の住民の皆さんに示して、合併するか、あるいは単独で存続するかという結論を見出すべき時期に来ていると思われますので、市町村長さんから年内にその意向をお聞きし、その上で議論の一層の活発化を促したいと考えております。
 私自身も12月に胆江地域で開催する合併シンポジウムに参加いたしまして、地域の将来像について市町村長さん方と議論する予定としてございますし、今後も各地域における議論に積極的に参画して、より具体的な検討が進められるよう働きかけをしてまいりたいと考えております。
 次に、岩手県競馬組合の財務内容と岩手競馬の今後の展望についてでございますが、農林水産省の地方競馬の在り方に係る研究会が昨年12月に取りまとめた中間報告を見ますと、競馬運営の効率化を図る観点から、今後、企業会計方式の導入について検討すべきとされております。こうしたことも踏まえて、競馬組合が平成13年度末における貸借対照表を試算して財務状況を分析したところによりますと、土地や建物などの総資産は約360億円、一方、起債や歳入不足などの総負債は約230億円、したがって総負債が総資産を下回っている状況にございます。
 しかしながら、競馬組合では、平成12年度以降でございますが、歳入不足を生じておりまして、昨日、11月26日に開催されました岩手県競馬組合議会において、44億円余を歳入不足額とする平成13年度決算が認定されたところでございまして、これは大変厳しい経営状況にあるものと受けとめております。
 また、岩手競馬の今後の展望についてでございますが、競馬組合では、平成8年の新盛岡競馬場――通称オーロパークの開設以降、県外へのテレトラックの設置、山形県の上山競馬や九州地区の佐賀・荒尾両競馬との連携による広域委託販売の実施など、積極的な事業展開を図ってきたところでございます。
 こうした取り組みによりまして、新競馬場への移転前と比べまして入場人員は48%増加しておりますものの、景気の低迷などによりまして1人当たりの購買金額はこの間に半分以下に減少するなど、競馬を取り巻く環境は大きく変化してきております。
 競馬組合におきましては、こうした近年の地方競馬の動向や今月14日に農林水産省に設置されました我が国の競馬の在り方に係る有識者懇談会の検討状況も踏まえて、東日本を代表する競馬としての振興に努められるべきものと考えております。
 岩手競馬は、馬産地岩手に根づき、今ではみちのくレース岩手競馬の愛称で県内外の多くのファンに愛され、親しまれているものでございます。県では、こうした長い歴史と伝統のある岩手競馬が、将来ともさらに充実、発展できるように支援をしていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いします。
   〔総合政策室長佐藤勝君登壇〕
〇総合政策室長(佐藤勝君) まず、地方分権研究会についてでありますが、この研究会は、民間との協働により、地方のための構造改革を目指す任意の研究会としてことしの7月に発足したものであり、国に対して提言活動を行うとともに、地方というフィールドにおいて、具体論から出発して、実行していくことを目的といたしております。そのための具体的な取り組みとして、「地方からのチャレンジ実行プロジェクト」を掲げ、現在8県の担当職員、学識経験者、民間企業などから成るワーキングチームにおいて、その実施に向け詳細を詰めている段階であります。
 また、税財政制度の改革につきましては、当面の取り組みとして、税源移譲とこれに見合った地方交付税、国庫補助負担金の廃止縮減及び水平的な財政調整制度の仕組みの検討を進めることとされております。そして、将来のあるべき姿として、地方と国の役割分担の明確化と受益と負担の明確化を基本として、国から地方への税源移譲、税源移譲を前提とした国庫補助負担金の廃止、地方みずからの手による財政調整制度の創設を目指すこととされております。
 県といたしましては、新しい時代に的確に対応し得るように、この研究会の成果をこれからの行政運営に生かしてまいりたいと考えております。
 次に、新たな予算システムについてでありますが、この政策形成・予算編成システムは、透明性の高い県政、成果重視の県政をさらに実効性あるものにするため、平成15年度予算から実施することとしたものであります。具体的には、人件費などの義務的な経費、公共事業などの投資的な経費を除いたいわゆる政策的な経費の中で、各部局が主体的に総合計画を推進する事業、また、部局における課題を解決するために必要な事業で構成する政策形成プロジェクトを立案し、各部局長が政策評価・推進会議の場でプレゼンテーションを行い、十分に審議を尽くし、来年度予算に盛り込むプロジェクトを採択していくという仕組みであります。
 採択されたプロジェクト個々の事業につきましては、そのまま予算化され、事業が執行されることとなっております。これは、実際に現場で直結して事業を実施している部局の自主性・企画立案分野を大幅に拡大し、政策評価結果に基づいた既存事業の見直しや政策形成の責任体制の明確化を図るものであり、部局横断的な課題に対する的確な予算化、さらには、平成15年度当初予算から稼働する予算編成事務等支援システムとあわせて、予算編成事務の簡素合理化を図ろうとしているものであります。
 右肩上がりの時代とは異なり、限られた予算の中で、時代の潮流に対応した新しい施策を展開していかなければならない現状にありまして、既存の制度を見直し、より一層の施策の重点化やその優先度を見きわめながら、実効性のある施策が展開し得るように努めてまいりたいと考えております。
 次に、政策評価に関する第三者委員会についてでありますが、知事等の執行機関では、その内部部局のほかに、行政執行の前提となります審査等を行うために審議会等の附属機関を設けることができるとされております。今回、政策評価システムの条例化の中で検討いたしております第三者委員会は、この附属機関に属し、知事の要請により、その行政執行のための必要な審議等を行うことを職務とする機関であります。したがいまして、議会の同意を要せず、その委員の選任権は知事に専属するものとされております。
 しかしながら、第三者委員会につきましては、透明性の確保が重要と考えておりますので、条例化に当たりましては、委員会の構成や権限、委員の選任方法など、基本的な事項を明確化するよう検討してまいりたいと考えております。
 次に、議会に根拠を置くことについてでありますが、行政運営上の重要なルールにつきましては、議会の意向を十分に反映し、制度の実効性の向上や県民の信頼を確保することが重要であると考えております。その趣旨を踏まえて、政策評価システムにつきましても、条例化により評価の分野・体系や評価委員会の位置づけの明確化などを図りまして、成果重視の効率的な行政運営を制度的に確保し、あわせて県行政の透明性を一層高め、県民への説明責任をより果たしていこうとするものであります。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕
〇総務部長(小原富彦君) まず、来年度の県税と地方交付税の収入見通しについてでありますが、国におきましては現在、税源移譲、国庫補助金、地方交付税の三位一体の改革について検討中でありますことから、来年度の歳入全体を見通すことは現時点では難しい状況にあります。
 こうした状況のもとで来年度の県税収入を見通しますと、10月末現在の県税全体の調定実績額では、自動車税を除く各税目で前年度を下回っており、法人2税や県民税利子割が大幅に落ち込んでいるため、前年度同期対比で13%弱の減となっていることから、当初予算額を確保することはかなり難しい状況になってきております。このようなことから判断すると、来年度の県税収入につきましても、本年度当初予算額をさらに下回るのではないかと懸念されるところであります。
 また、地方交付税収入の見通しにつきましては、国の平成15年度概算要求では、地方公共団体への交付ベースで交付税特別会計借入方式から、地方公共団体が個々に臨時財政対策債を起こす方式に全面的に切りかえることから、前年度対比でマイナス4.8%となっており、これを単純に本県に置きかえますと130億円の減少と見込まれます。
 また、平成15年度から地方交付税の留保財源率を現在の20%から25%に引き上げる方向で検討されており、これを単純に本県に置きかえますと31億円の減少と見込まれます。
 このように、来年度の財源の確保は極めて厳しい状況が見込まれますので、こうした地方の実情を説明しながら、分権型社会の構築にふさわしい地方税財政システムを確立できるよう、国に対して働きかけをしてまいりたいと考えております。
 次に、公共事業減額の地域経済への対応についてでありますが、本県の財政は、多額の県債残高を抱える厳しい状況にありますことから、来年度の当初予算編成に当たりましては、県債の発行額が償還額を下回るよう、いわゆるプライマリーバランスの均衡を早期に実現することを基本とし、多額の県債が財源となる公共事業については15%を縮減することとしたところであります。
 財政の健全化は、本県のみならず、国、地方を通ずる喫緊の課題でありますが、地域経済への影響に対する配慮も求められているところであります。お尋ねの公共事業につきましては、ここ数年、翌年度に繰り越される事業が多額に上っており、平成14年度では814億円となっております。これを考慮いたしますと、単年度で見れば、来年度も相応の事業量は確保されるものと考えておりますが、今後、国において経済対策としての補正予算編成が行われる場合には、今年度の2月補正と合わせたいわゆる15カ月予算として、平成15年度実施予定事業を前倒しすることとし、事業の平準化による一定の事業量を確保する方針で臨むこととしております。
 また、政策評価システムの精度をさらに高め、優先度の高い施策・事業や施工箇所を選択して実施することにより、県民生活や産業への発現効果の高い基盤整備に努めることとしております。
 厳しい財政状況にありますが、創意工夫のもと、地域経済の進展に結びつく施策・事業について、全庁を挙げて取り組んでまいる考えであります。
 次に、北東北3県による地方債の共同発行についてでありますが、去る11月20日、3県による地方債の共同発行に向けた調査・研究を行うため、北東北広域政策研究会の部会として、3県の実務者レベルによる研究部会を設置したところであります。これまでの全国における共同発行の例としては、大阪府と大阪市が大阪港と堺港の整備事業について発行した例があるだけで、複数の県による共同発行は初めてとなりますことから、検討すべき課題も多く、多方面からの研究が必要であるものと考えております。
 このため、今後の進め方といたしましては、想定される共同発行の手法ごとのメリット、デメリットや課題とその解決方策を検討・研究することにより、まず、共同発行の可能性と方向性を理論的に明らかにしていく考えであり、こうした検討を経て、発行手法を特定し、金融機関や総務省との協議や調整などの現実的・具体的な作業に進みたいと考えております。したがいまして、現時点で今後の見通しを申し上げるまでには至りませんが、できるだけ早期に共同発行が実現するよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕
〇環境生活部長(時澤忠君) 新エネルギー・省エネルギーを促進するための条例制定についてでありますが、エネルギー安定供給の確保、地球温暖化などの地球環境問題への対応というものが喫緊の課題となっておりまして、これらに対応し、持続可能な社会を形成していくためには、エネルギーの需給両面にわたりまして、県、県民、事業者一体となりまして地域から取り組んでいくことが何よりも重要であると考えておりまして、その促進を図るための条例整備について、現在検討を行っているところであります。
 本県は他県からの電力融通に大きく依存しているという状況がございますので、電力を含むエネルギー自給率の向上につきましては、平成10年に策定いたしました新エネルギービジョンにおきましても課題の一つということでとらえておりまして、条例におきましても、新エネルギー及び省エネルギーを促進することによりますエネルギー自給率の向上につきまして、これを位置づけるということで現在検討しております。
 また、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法におきましては、水力、地熱、海洋エネルギーとしての波力エネルギー、こういったエネルギーは新エネルギーとして扱われていない状況でありますが、条例におきましては、新エネルギービジョンと同様に、本県の地域特性を生かした新エネルギーとしてこれらのエネルギーを含めていくということで検討しているところでございます。
 さらに、施策の具体的な進め方につきましては、条例に基づいて長期的な目標及び施策の方向性を含む基本計画を定めていきたいと考えておりまして、これにより本県の地域特性に応じた新エネルギー及び省エネルギーの促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進してまいりたいと考えているところでございます。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕
〇地域振興部長(飛澤重嘉君) まず、市町村の合併問題についてでありますが、盛岡地域での住民発議による合併協議会を求める会による合併協議会の設置請求につきましては、それぞれの市町村議会において、住民が地域社会をみずからの手で運営するという地方自治の理念を反映させるために設けられた直接請求制度の趣旨を重く受けとめまして、十分に審議が尽くされるものと考えております。
 県といたしましては、盛岡地方振興局を中心に、こうした地域での議論や動向をも把握しながら、地域の実情に即した支援をしてまいりたいと考えております。
 また、第27次地方制度調査会の西尾副会長が示した私案についてでありますが、合併特例法の失効後も、一定期間さらに強力に合併を推進し、それでも残る小規模自治体について、権限を縮小する、あるいは他団体に編入するなどというような内容となっておりますけれども、一定規模未満の自治体については、基礎的自治体としての法人格を残すかどうかなど、地方自治の根本にかかわる問題が数多く含まれておりますので、地方制度調査会におきまして、地方団体の意見を踏まえて、広範な角度からの議論が行われるべきであると考えております。
 次に、地方バス生活路線の維持についてでありますが、市町村の要望状況につきましては、平成13年度以来、市長会や町村会、町村議会議長会などのほか、個別の市町村からも要望を受けているところでございます。
 また、県の補助制度についてでありますが、地域住民の日常生活に必要な交通手段の確保は一義的には市町村の役割と、そのように考えておりますけれども、県といたしましても、県内の広域的なバス路線を確保することは重要であると、そういうふうに認識しておりまして、鋭意、その具体的方策につきまして検討を進めているところでございます。
 それから、岩手県生活交通対策協議会の分科会への労働者代表の参加についてでありますが、この分科会は個別具体的な路線に係る生活交通の確保方策を決定するため、国、県、市町村及びバス事業者を構成員として各地方振興局ごとに設置したものであります。
 利用者等の意見につきましては、分科会での検討に先立ち、利用者に最も身近である各市町村が地域住民の意見を十分に把握し、それを踏まえて検討していること、あるいは、分科会におきましては、必要に応じて直接利用者等関係者の意見を伺うこととしておりますので、労働者代表の意見につきましてはこれらの過程でお聞きしてまいりたいと、そのように考えておるところでございます。
   〔商工労働観光部長照井崇君登壇〕
〇商工労働観光部長(照井崇君) 来春の高校卒業予定者に対する就職支援策についてでありますが、岩手労働局によりますと、10月末現在における県内、県外あわせた就職内定率は、前年同月を4.9ポイント下回る45.0%となっており、就職希望者の半数以上の就職がいまだ内定していないという、極めて深刻な状況にあると認識いたしております。このため、高校生の就職支援につきましては県政の最重要課題の一つとしてとらえ、本年7月、知事と岩手労働局長の連名により、県内企業約1万2、000社に対し積極的な採用を要請するとともに、各地方振興局においては、公共職業安定所、県立高校と連携して、直接地域の事業所に出向き採用の要請を行っているところであります。
 今後は、県単独の緊急地域雇用特別基金を活用し、例えば、新規高卒の未就職者を新たに雇用した地元企業への支援など、幅広い雇用支援の施策が各市町村において展開されるよう、積極的に助言してまいりたいと考えております。
 さらに、去る11月5日、岩手労働局、市町村、関係機関・団体で構成する岩手県緊急雇用対策推進会議を開催し、新規高卒者の厳しい就職状況を踏まえて、その就職支援活動を積極的に進めていくことを確認したところであります。
 今後とも、岩手労働局、教育委員会、市町村との連携を一層密にし、1人でも多くの生徒が就職できるよう努めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕
〇保健福祉部長(長山洋君) 岩手医科大学の移転についてでありますが、岩手医科大学から去る9月18日、県に対しまして、大学施設、附属病院施設等の移転計画に対する支援について要望がありました。
 この移転計画の要望の内容でありますが、学校施設及び附属病院施設の老朽化や敷地の狭隘化、さらには医学・医療の高度化に対応するため、矢巾町西徳田地区に約18万平方メートルの用地を取得することを大学理事会で決定したとのことであり、同地区への移転基本構想など、具体的な施設の移転計画や移転のスケジュールについては、今後、学内に委員会を設置し検討する予定であると聞いております。
 もとより、岩手医科大学は本県唯一の医師養成機関であるとともに、その附属病院は救命救急センターなどを有する中核的医療施設であり、これらの施設の移転計画につきましては、その機能や規模の大きさから、移転までに多くの解決すべき課題が想定されているところであります。
 県といたしましては、今後、大学が具体的な移転計画を取りまとめていく段階で、随時、地元の盛岡市や矢巾町はもとより、各関係機関と十分に連携を図りながら、本県医療の一層の向上が図られるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。
   〔教育長五十嵐正君登壇〕
〇教育長(五十嵐正君) 厳しい雇用情勢の対応についてでありますが、議員御指摘のとおり、高校生の就職は非常に厳しい状況にあります。生徒の進路実現を支援することは学校教育の重要な使命であり、特にも、本県では高卒者の約3分の1が就職しており、全国的に見てもその割合が高い状況にあることから、高校生に対する就職支援は、重要課題の一つとして積極的に取り組む必要があると考えております。
 このため、県教育委員会では、岩手労働局と連携しながら、県内経済団体に対し高校生の雇用枠の拡大について訪問要請をしたほか、本年9月から、各学校が地方振興局と連携し、高卒者のための求人開拓要請をともに行うなど、これまで以上に連携を密にした支援を実施しております。また、就職支援相談員を63校に67名配置し、県内を中心とした求人開拓を実施するとともに、就職支援に係る研究指定校4校に就職支援教員――ジョブ・サポート・ティーチャー――を配置し、地域における効果的な就職支援のあり方やインターンシップの推進等に係る研究を進めているところであります。さらに、産業界及び教育関係者で組織される産業教育振興会においても、理事会や地区懇談会等で産業教育の振興と高校生の雇用問題を協議するなど、連携を密にしているところであります。
 今後とも、生徒の就職支援を重要課題としてとらえ、関係機関及び関係部局との連携をさらに強化しながら、生徒一人一人に応じた支援を行ってまいりたいと考えております。
〇39番(吉田洋治君) 御答弁ありがとうございました。
 増田知事にお伺いするわけですが、きのう、きょうのマスコミ報道等によりますと、三重県の北川知事が議会答弁で、突如、3選出馬をしないと、3選断念を宣言したと、このように報道をされておりまして、中央、地方の政界に大きな波紋を呼んでおります。いずれ、県内の各政党もそうだと思いますが、県議会におきましてもきょうから一般質問ということで、増田知事の動向に県民挙げて注目をしていると、私はそのように認識をするわけでございます。
 先ほど私は質問でも申し上げたんですが、増田知事や三重県の北川知事がともに参画をしながら、全国の改革派と言われる知事さん方や学者、経済人を構成しまして地方分権研究会、これを発足しながら、地方から国への改革を目指すさまざまな提言活動を始めたわけでございます。北川知事もその先頭に立ってきたと私らは認識するわけでございますが、増田知事もともに歩んでいると、こういう認識の中から、マスコミ等でも、北川知事は新党結成かあるいは知事連合かなどとの見出しで各紙報じております。本県の増田知事のそうした今後の動向について、県民が注目するのも当然なことではないかと、このように思います。
 ただいまは、私の3選出馬への質問に対して年内というお話があったわけでございますが、率直にお伺いしますけれども、北川知事のことですから、底の気持ちまではなかなかわからないと思いますが、3選断念の宣言を、知事、日ごろおつき合いをしてまいりまして、どのようにとらえていらっしゃるでしょうか。まさか、知事も追随するというようなお話にはならないと私は思うんですが、非常に心配をしておりますけれども、その所感を率直にお伺いしたいと思うんです。
 私は先ほどの質問でも触れましたけれども、知事がみずから策定しました新しい総合計画も、前期7カ年の計画の今折り返しを過ぎまして、これから前期計画をしっかりと仕上げていこうと。これは3選出馬をしまして3期目に前期計画をしっかり仕上げて、後期に連動する重要な3期目の時期なんです。ですから、今、県内経済もすごく冷え切っているし、残り任期をしっかりと経済回復のために努力する、今議会も決算をする、次の定例会は予算を編成する、そして知事選に出馬してこの新しい総合計画を仕上げていくんだと、こういうような意欲ある答弁を、私、期待しておったんですけれども、もう一度率直なところをお話ししていただきまして、新しい正月は県民に大きな夢と希望を与えるような発進を、増田知事自身がしなければならないと、私はこう思うんです。そういう意味で、再質問をするわけでございます。
 次に競馬に触れます。私、競馬議員として参画させていただいておりまして、先ほどは知事から本当に力強い御答弁で、本県の馬事振興を果たしてきたこれまでの歴史と伝統、これに培われた岩手県競馬、これをさらに発展をせしめていこうと、こういう意欲あるお話がなされた。同感でございます。ぜひ、構成団体として、挙げてそういう方向で頑張ってほしいと思うわけでございます。
 その中でオーロパーク――盛岡競馬場を含む設備投資に非常にこれまで多くの資金を要してきまして、その借入金が今大きな重荷になっているわけです。これは公営企業金融公庫へ、現在未償還の残額、借金が残っているのが87億円ぐらいあるんですけれども、これは金利が高いので年利5.25%、毎年の競馬会計の金利が重くのしかかっているものですから、今言ったような累積赤字をずっと計上しているわけでございます。今日の経済状況下の金利としては非常に高い。あるいは県内の市中銀行におきましても、いわゆる縁故債、今86億円ぐらいの借金があるのですが、これとても高い方で3.7%という金利を有している、こういう状況もございまして、これらにつきましてはさまざまな制約もあると思うんですけれども、地方競馬の現状を考えてみた場合に、繰上償還等も含めたいろんな手だてを加えるような努力をしていかなければならないのではないかと、こう思うんです。それは制約もあります。本県も地方競馬の振興について政府統一要望にも、15年度も加えたし14年度もいろいろやらせていただいているわけでございますが、ぜひ、そういう努力を構成団体としても競馬組合と一体となって進めていくべきだと、そういう努力をしていかなければならない。岩手県競馬をこれから残すんだ、存続するんだという将来展望を持った場合、こういう地道なことを構成団体としても努力していかなければならないと、こういうふうに思うんですけれども、県当局の競馬組合に対しましての指導というのは非常に重要なことだと、私、認識するんです。大変重要な時期だと、このように思うので、ぜひその見解についてもお伺いをしていきたいと思います。
 そして地方バス路線の維持のための御答弁もございまして、前向きな御答弁があったんですが、不採算路線の確保、過疎化がどんどん進展している中に路線の確保というのは、弱者の生活を守るという視点から非常に重要なことだと思っています。東北各県で既に13年から実施しているんですが、本県だけ実施していないんですけれども、これはプロジェクトでいろいろと具体的に進めていると思いますが、来年度はぜひこうしたことを推進すべきだと、推進するというよりこれは予算化をして実施をするべきだと、要綱策定をするべきだというふうに思うんですが、その点について再度お伺いをしておきたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 三重県の北川知事の不出馬ということについての私の所感なり感想を今求められたわけでありますが、今までも北川知事は、地方自治の世界におきましてかなり大胆なかじ取りをしてこられた方でございますので、そういう意味で、私は今回の御判断は北川知事らしい判断だなと、こんな率直な感想を持ったところでございます。あれが、私も大分今までおつき合いをしてまいりましたが、まさに北川流のやり方ということかというふうに思ったわけでありますが、そのことは今後の私自身の行動には全く影響がないと、こういうことを申し上げておきます。
〇出納長(橋田純一君) 岩手県競馬組合の起債償還についてでございますけれども、先ほど知事の答弁にもございましたように、競馬組合の経営というものは大変厳しい状況にあると、このように受けとめております。殊にも、御指摘のございましたように、公営企業金融公庫などからの借り入れに係る償還利息が多額になっております。その負担は極めて大きいものというふうに考えております。こうしたことから、昨年12月に、本県も含めまして競馬経営の改善に取り組む1道9県、10道県が共同いたしまして、国に対して、地方競馬に係る諸制度の見直しについて要望活動を行ってきたところでございます。さらに、県といたしましても、独自に本年の6月に、国に対しまして公営企業金融公庫からの借入金について低利起債への借りかえができるよう、制度の見直しを要請したところであります。
 今後におきましても、競馬組合みずからの経営努力はもとよりでございますけれども、こうした制度の見直しの働きかけ、それらを通じまして経営改善が図られますよう、引き続き支援をしてまいる考えであります。
〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 生活バス路線に係る不採算路線の確保についてお尋ねがございました。現在、市町村、地方振興局あるいはバス事業者等から実情をいろいろ伺っている状況でございまして、担当部局として、生活者の足の確保という観点からも広域的な路線についてはぜひ確保してまいりたいと、そういうふうに考えておりますので、鋭意、現在検討を進めているということでございます。
〇議長(谷藤裕明君) 次に、佐々木俊夫君。
   〔49番佐々木俊夫君登壇〕(拍手)

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