平成15年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(伊沢昌弘君) 社会民主党の伊沢昌弘でございます。
 ただいま上程されました発議案第8号地方自治の確立と自主的合併方針の堅持を求めることについての提案理由を申し上げます。
 この意見書は、社会民主党会派4名と共産党斉藤信議員の5名で提出したものであります。地方制度のあり方を検討している第27次地方制度調査会において、一定規模以下の自治体の解消を目的として、その事務権限、組織の制限、縮小または編入合併を自治体に強制しようとする内容のいわゆる西尾私案がたたき台として昨年の11月1日提出をされているところであります。これを受けて県内の45町村中31町村は本年1月までに、いわゆる西尾私案に反対する意見書を国に提出をしているところでございます。
 加えて、全国町村会と全国町村議会議長会の共催で、本年2月25日に東京の日本武道館で町村自治確立総決起大会を開催し、次のような宣言を採択しております。
 その宣言とは、我が国は、停滞を続ける経済、増大する財政赤字、悪化する雇用環境など深刻な問題が山積しており、日本再生に向けた、明るい展望が開けない状況にある。一方では、市町村合併が明確な理念も示されないまま数値目標やさまざまな財政措置によって半ば強制的に進められている。さらに、関係各方面では、合併特例法期限後、一定の人口規模に満たない市町村の権限を制限縮小したり、他の基礎的自治体へ自動編入する論議がなされるなど、極めて憂慮すべき事態に立ち至っている。このことは、地方自治の本旨、地方分権の理念に照らしても相反するものであるばかりでなく、我々、町村が人口は2割で国土面積の7割を支え続け、食料の供給、水資源の涵養など極めて重要な国家的な役割を果たすとともに、現に住民生活にかかわる幅広い分野でさまざまな行政サービスを提供してきた実態を無視したものであり、到底容認できるものではない。町村の存立なくして、地域の発展も、国の繁栄もない。我々町村長及び町村議会議長にある者は、この信念のもと、事態を厳しく受けとめ、一致団結して町村の自治を守り、将来にわたり、その役割を果たせるよう、強力な活動を展開していくことを誓うと宣言をしているものであります。
 この宣言が述べているように、町村の存立の危機的状況が生み出されようとしていると言えるわけであります。現在進められている合併についても自治体の自主的な意思決定が尊重されているものであり、憲法第92条に規定する地方自治の本旨にのっとり、将来的にもこの理念は守っていかなければならないものだと考えるわけであります。
 また、地方自治の確立を図るために、地方税財源の拡充強化が不可欠の課題となっており、国においては税源移譲の本格的な実施と国庫補助制度の改革、地方交付税制度の堅持を中心とする税財源の拡充強化を積極的に取り組むべきものであります。
 以上の理由から、地方自治の確立と自主的合併方針の堅持を求める意見書を、岩手県議会としても国に対して提出すべきものと考えたわけであります。各会派との政策調整は不調となりましたが、県内町村の多くが同様の意見書を採択している現状について御理解の上、御賛同賜りますようお願いを申し上げ、提案理由の説明といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(谷藤裕明君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第8号地方自治の確立と自主的合併方針の堅持を求めることについては、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第8号地方自治の確立と自主的合併方針の堅持を求めることについては、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
 これより、発議案第8号地方自治の確立と自主的合併方針の堅持を求めることについてを採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立少数であります。よって、発議案第8号地方自治の確立と自主的合併方針の堅持を求めることについては、否決されました。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
   
   議長のあいさつ

〇議長(谷藤裕明君) 今期定例会を閉じるに当たり、一言ごあいさつ申し上げます。
 本定例会は、平成15年度当初予算を初めとする重要案件を審議する最も重要な議会でありました。私どもも任期最後を飾るにふさわしい、まことに意義深い議会でありました。
 提案された数多くの重要案件に対し、議員各位は極めて真剣にして熱意を尽くして審議に当たられ、また、これらに対し増田知事を初めとする執行部の皆様には、誠意を持って説明をいただき、極めて順調な議事運営のもと、全議案の議決を見るに至りましたことは、まことに喜びにたえないところであります。
 私ども議員一同は、平成11年4月、県民の皆様の信託を受けて本議場に議席を得て以来、早くも4年の歳月が流れ、今、ここに任期最後の定例会を閉じようとしておりますことは、まことに感慨無量なるものがあります。
 さて、この4年間を顧みますと、海外におきましては、平成13年9月のアメリカ中枢同時テロの発生が世界に大きな衝撃を与え、その後のイラク・北朝鮮問題などへと続き、予断を許さない新たな緊張が世界を覆い尽くしております。
 また、国内におきましては、平成12年4月に地方分権一括法が施行され、真の地方自治確立のための糸口が開かれ、地方公共団体は自己決定と自己責任の原則に基づき、自主的な施策の展開が強く求められる一方、90年代初頭から始まったバブル崩壊に端を発した景気低迷から抜け出せないまま21世紀を迎え、多額の不良債権を抱える金融機関への信用低下に起因する金融不安や大手企業の倒産、事業の改廃等により過去最悪の失業率を記録するなど、極めて厳しい状況が現在も続いております。
 さらには、平成13年9月、国内初のBSE感染牛が確認され、以来国民の食の安全に対する信頼を著しく損なう事件が続発するなど、激動の4年間であったと思います。
 本県におきましても、平成11年の豪雨、平成12年の台風3号、平成14年の台風6号などたび重なる自然災害により大きな被害を受けたほか、東北最大手の建設業者の経営破綻を初め、相次ぐ誘致企業の閉鎖・撤退や、青森県境での日本最大級の産業廃棄物不法投棄事件の発覚など困難な課題が次々と発生した一方、東北新幹線盛岡-八戸間の開業やIGRいわて銀河鉄道の開業、三陸縦貫自動車道山田道路と東北自動車道釜石秋田線の一部開通など高速交通網が着々と整備されるとともに、県民待望の県立美術館のオープン、県環境保健研究センターの開所、さらには盛岡東警察署や県立病院等の整備充実が図られてまいりました。
 さらには、全国高校総合体育大会夏季大会や全国産業教育フェア岩手大会など大規模なイベントが、県民を挙げた取り組みにより成功裏に終わり、本県のすばらしさを全国の多くの方々にお伝えすることもできたものと確信しているところであります。
 また、当県議会といたしましては、この4年間、活発な論議を通じ県民が安心して暮らせる夢県土いわての実現に向け努力してまいったところであり、議会内部の取り組みといたしましても、真に県民に開かれた県議会を目指し、議員発議による岩手県議会情報公開条例を制定したほか、インターネットによる議会中継などITを活用した情報発信、広報紙の全戸配布など広報の充実に努めるとともに、政務調査費の透明性を高めるため全国で初めての取り組みや、議員歳費の削減なども行ってまいりました。
 ここに改めて、県民の皆様のたゆまぬ御努力と議員各位の御精励、執行部の方々の御尽力に対しまして、深く敬意を表するものであります。
 地方をめぐる情勢は地方分権の推進や行財政改革、環境対策の充実強化など依然として多くの課題が山積しております。
 今、私どもは、県勢の発展と県民福祉の向上を願い、熱い議論を交わしたこの議場に別れを告げようとしておりますが、これらの諸課題の解決と潤いに満ちた豊かなふるさとの創造に向け、引き続き渾身の努力を傾注してまいることを誓うものであります。
 終わりに臨み、今期をもって御勇退をなされる議員各位におかれましては、今日までの本県の発展と住民福祉の向上のために御尽力賜りましたことに対し、深甚なる敬意を表し、心から厚く御礼を申し上げる次第であります。
 また、来るべき選挙に重ねて立候補される議員各位におかれましては、どうかくれぐれも御自愛、御自重の上、御奮闘され、見事に当選の栄を勝ち得られ、全員、再び本議場に相まみえられんことを心から祈念申し上げる次第であります。
 また、一昨年の6月定例会において、不肖私が議長に選任されて以来、先輩正副議長の御指導と議員各位の格別の御鞭撻に支えられ、また、増田知事を初め執行部の皆様の御協力により、瀬川副議長ともども、議会運営の重責を果たさせていただきましたことに対し、心から御礼を申し上げるとともに、県議会に寄せていただきました報道関係の皆様の御厚情に深謝申し上げ、ごあいさつといたします。まことにありがとうございました。(拍手)
   
   閉 会

〇議長(谷藤裕明君) これをもって本日の会議を閉じ、第17回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後3時 閉 会

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