平成15年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号2003年度岩手県一般会計予算に反対の討論を行います。
 今、県民はかつて経験したことのない深刻な長引く不況に苦しめられています。小泉内閣が構造改革の名のもとに進めている医療・社会保障の改悪、中小企業つぶしの政策が最大の原因であることは明らかであります。今、県政に求められていることは、地方自治法に明記されている住民の福祉の増進の立場に立って、小泉自民・公明内閣の悪政から県民の命と暮らし、雇用と地域経済を守る抜本的対策を講じることであります。しかしながら、増田知事による来年度予算は、自民党政治に追随して大型開発優先の従来型の県政を推進し、来年度末で県債残高1兆3、600億円に及ぶ財政破綻を一層深刻にするとともに、県民の願いである福祉・教育の充実に背を向けるものとなっています。
 来年度予算に反対する第1の理由は、県民の命と暮らしを守る切実な願いに背を向けていることであります。昨年10月からの高齢者の医療費1割負担の導入で、深刻な受診抑制が引き起こされています。特に重大なことは、在宅酸素療法の患者が医療費が10倍にも引き上げられ治療を中断せざるを得ない事態が引き起こされていることであります。私は本会議で増田知事に特別の対策を求めるとともに、北海道や東北各県が既に実施している内部障害3級までの医療費助成の実施を求めましたが、知事の答弁は生活保護の申請で対応しろということでありました。県民の痛みが伝わらないこんな冷たい対応でいいのでしょうか。障害認定3級までの医療費助成は7、200万円あればできるというのに、財政環境が厳しいからできないというのも、他県と比べてもおくれた、冷たい県政と言うべきものであります。
 高過ぎる国保税の滞納者が3万4、000世帯、滞納額が93億円に達しています。ところが今、1年以上の滞納者から保険証を取り上げ、窓口全額払いの資格証明書が発行されています。2月1日現在、県内23市町村で、2、455世帯、家族を含めると4、145人から保険証が取り上げられました。子供が病気になっても病院にかかれないなど深刻な事態が起きています。糖尿病など慢性疾患のお年寄りの治療も心配であります。こうした金の切れ目が命の切れ目となるような冷たいやり方は直ちに是正すべきであります。あくまで悪質な滞納者に限るべきであります。
 介護保険の実態も深刻です。岩手県の居宅サービスの利用状況は限度額に対して34.8%にとどまり、全国46番目、特養ホームの待機者はこの間11倍に急増し昨年9月末時点で在宅の待機者は1、745人となっています。在宅もだめ、施設もだめというべき事態です。改善すべきことは、高過ぎる利用料の軽減であり、特養ホームの緊急整備であります。この点でも増田県政は、県独自の対策を何ら示していないのであります。それどころか増田知事は、重度層の特養ホームの在宅待機者の半分を解消するという公約を出しています。これでは4分の3の待機者はいつまでも入所できないということになります。
 増田知事の姿勢を端的に示したのは、医療団体や県民の強い要望であるサラリーマンの3割負担凍結の願いに対し、予定どおり実施してもらいたいという答弁でした。県議会は公明党1人の反対で3割負担凍結を求める請願を採択しましたが、増田知事の姿勢は厚生労働省ばりの官僚知事の本性を示したのではないでしょうか。
 反対する第2の理由は、雇用・中小企業対策の問題です。昨年の県内の失業率は5.8%、失業者は4万3、000人となりました。1年間で8、000人ふえたことになります。県は基金事業に取り組んでいるものの、雇用日数は平均で67日にとどまり、常用雇用の拡大では極めて不十分であります。従業員の86%を占める中小企業対策予算は611億円余で予算全体のわずか7.5%にとどまっています。融資の予算を除けば60億円余で、何の対策にもなりません。雇用対策で必要なことは、県内でも237件の是正指導がなされたサービス残業を根絶すること。残業の解消で2万3、000人の雇用を拡大することです。さらに、特養ホームなど福祉施設の緊急増設、小学校全学年での30人学級の実現、消防職員の基準人員までの増員、森林の整備など県民が切実に求める課題の実現で雇用を拡大することであります。また、大企業、誘致企業などの一方的リストラや工場閉鎖を許さない事前協議制の条例を制定するなど新たな失業者を最大限出さないことであります。
 反対する第3の理由は、国の米、農業つぶしの米政策に追随し、先取りして実施するなど農民の願いに背を向けていることであります。米問題の最大の課題は、ミニマムアクセス米の削減、廃止を行うことであり、再生産を保障する米価の確立です。これはアメリカやEU、発展途上国でも実施していることです。やれることをやらないで、需給と価格について国の責任を放棄し市場にゆだねることは、大商社やスーパーによる米の買いたたきと米価の暴落を引き起こすものであります。ところが増田県政は、県独自の対策を示すことなく、国の対策を先取りして実行しようとしています。これでは岩手の米と農業は守れません。農林水産関係の予算の53.8%が公共土木事業で占められていることは、農政のゆがみを端的に示すものであります。一方で、価格・所得保障の予算はわずか2億2、000万円で0.2%にすぎません。大型開発を見直して、価格・所得保障の予算をせめて100億円規模に拡充すべきであります。
 反対する第4の理由は、30人学級の実現に背を向けていることであります。30人学級、少人数学級の取り組みは今年度22道府県で実施され、来年度はさらに7県で実施されようとしています。既に実施しているところでは学年をさらに拡充しようとしています。私は山形県の少人数学級の調査を行ってきましたが、教育委員会も校長先生も確信を持って取り組んでいることが印象的でした。県議会も岩手県で30人学級を求める請願を全会一致で採択をしました。30人学級を求める署名は7万人を超えて広がっています。しかし、増田知事はこの県民の運動と願いに背を向けています。教育委員会は何の根拠もなく、非常勤講師による少人数指導の方がより効果的などと言っています。とんでもないことです。県民の声と全国、東北各県の取り組みに謙虚に学び、県議会での請願採択を踏まえ、一刻も早く30人学級に取り組むべきであります。
 反対する第5の理由は、むだと浪費の大型開発に全く手をつけず、推進していることであります。簗川ダムについては、全く根拠のない盛岡市の利水計画について、遅きに失したとはいえ、県として検討し、盛岡市と協議するという答弁がなされました。津付ダムについても陸前高田市の利水の再確認を求め、変更があるなら計画を見直すとしています。大事なことは、治水問題、環境問題を含め、専門家による科学的で独自の検討と住民参加で、事業の必要性を再検討することであります。港湾整備事業、花巻空港拡張事業、馬淵川沿岸水利事業など需要予測をやり直し、真に必要な規模と事業に抜本的に見直すことです。公共事業の中身も、大型開発優先から、福祉生活型に転換するなら、額は減少しても地元中小企業の仕事はふやすことができるのであります。そうしてこそ、福祉や教育の充実も、財政再建も実現できることになるのです。
 第6に、道州制の推進、市町村合併の上からの押しつけはやるべきではありません。多様な市町村の存在を認め、住民の自治を大切にして、小規模町村への支援こそ県として実施すべきであります。
 最後に、イラク問題は、21世紀のあり方にかかわる重大問題であります。査察の継続によってあくまでも平和的に解決されるべきであります。県議会もアメリカの武力行使に反対し、平和的解決を求める請願を採択しました。ところが、小泉内閣は異常なほどアメリカの武力行使を支持するというアメリカべったりのみじめな態度をとっています。増田知事は、平和的に解決されることは望ましいと述べましたが、県民の平和の願いにこたえて堂々と小泉首相とアメリカの大統領に戦争反対の声を示すべきではないでしょうか。
 以上が来年度予算に反対する理由であります。
 議案第11号から13号は、港湾整備・県民ゴルフ場事業特別会計で、むだと浪費、赤字体質の問題があり反対するものであります。県立病院等事業会計予算は、入院在院日数の減少による早期退院、2人夜勤の増大、病院建設・医療器械の購入問題での改善の問題があり反対するものであります。
 議案第16号から21号は、公共事業費の一部を関係市町村に負担させるものであり反対です。
 議案第23号は、県職員の定数を減少させるもので、サービス残業、長時間残業を放置したもとでの定数削減には反対するものであります。もっと必要な人員をふやすべきであります。
 議案第33号、35号、36号、45号、49号は、県立大学の授業料の値上げなど、手数料・利用料を引き上げるもので反対するものであります。
 以上、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(谷藤裕明君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第1号、議案第11号から議案第13号まで、議案第16号から議案第21号まで、議案第23号、議案第33号、議案第35号、議案第36号、議案第45号及び議案第49号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第11号から議案第13号まで、議案第16号から議案第21号まで、議案第23号、議案第33号、議案第35号、議案第36号、議案第45号及び議案第49号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第10号まで、議案第14号、議案第15号、議案第27号、議案第28号、議案第30号から議案第32号まで、議案第34号、議案第44号及び議案第47号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第10号まで、議案第14号、議案第15号、議案第27号、議案第28号、議案第30号から議案第32号まで、議案第34号、議案第44号及び議案第47号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第55 議案第87号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第55、議案第87号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。高橋副知事。
   〔副知事高橋洋介君登壇〕

〇副知事(高橋洋介君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第87号は、教育委員会の委員であります五十嵐正氏が、3月31日をもって退任いたしますので、その後任として、新たに佐藤勝氏を任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。

〇議長(谷藤裕明君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事議案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第87号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第87号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、議案第87号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   
日程第56 税財源対策に関する調査、広域行政の推進に関する調査、政策評価に関する調査の件から日程第59 保健医療・福祉の充実に関する調査、男女共同参画の推進に関する調査の件まで

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第56、税財源対策に関する調査、広域行政の推進に関する調査、政策評価に関する調査の件から日程第59、保健医療・福祉の充実に関する調査、男女共同参画の推進に関する調査の件までを一括議題といたします。
 各調査事件に関し、委員長の報告を求めます。藤原地方分権推進特別委員長。
   〔地方分権推進特別委員長藤原泰次郎君登壇〕


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