平成15年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(阿部富雄君) 無所属の阿部富雄です。
 通告に従い、質問します。
 総務省が本年1月1日現在でまとめたところによると、全国の市町村合併に向けた法定と任意の協議会が合わせて387、構成する市町村の数は1、618となり、全市町村の半数が合併に向け動き出しています。都道府県別でも、半数以上の市町村が合併協議会に参加しているのは26府県、うち11県は4分の3以上で、合併協議会が一つもないのが本県と東京都だけとなっていますが、本県でもようやく動きが出てきました。すなわち、一関、花泉、東山、川崎の4市町村はことし1月31日に設立会議を開催し、2月1日に一関地方任意合併協議会が発足しました。
 県は、市町村合併について、今日まで市町村の自主判断、自主決定を尊重する立場から、十分な論議が尽くされる機運の醸成を図るとしてきましたが、市町村合併は市町村の自主的判断で行われるのはそのとおりですが、それだけではなく、県議会としても一定の責務があり、きちんと対応すべきものと考えています。
 地方自治法第7条は、市町村の廃置分合又は市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基づき、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならないとされていますし、合併に伴う関係条例の整理が必要となることからも、関係市町村の申請をそのまま受け入れるだけでなく、議会としての意思を示すことが必要です。議会には執行権がありませんから、県をして議会の意思を反映させていただければ幸いです。
 一関地方任意合併協議会が発足しましたが、当地方の合併の動きは、一関市長が14年1月に、宮城県北を含む両磐広域生活圏の市町村に対する広域合併の呼びかけで始まり、11市町村が参加して一関地方広域合併研究会を設置、将来図を作成しました。同年8月には、研究会に参加した市町村で準備会議が開催されました。こうした一連の流れの中で、合併の枠組みや参加市町村の思惑が見え隠れし、流動的な状況が続いています。
 一関市長が呼びかけた藤沢町については、財政状況が不透明とのことで準備会への参加自粛を要請したこと。大東町は、参加の意思を表明していたが、町議会の理解が得られないと、8月の準備会への出席を見送ったものの、9月議会では任意協の負担金を提案、可決を経て任意協への参加呼びかけを待っているが、今もって、何らの働きかけがないという状態でしたが、一昨日、任意協の会長は大東町に対し、構成市町村の中で大東町の参加に難色を示すところがあり、意見調整が難航している現状を伝えたと報じられており、事実上、大東町の参加が困難になっていること。平泉町は、町長が4市町村に平泉町、衣川村を加えた枠組みを唱え、町議会は、特別委員会が中間報告をした単独存続と合併推進の両論の域を出ず、3月議会をめどに方向を決めるとしていること。花泉町長は、枠組みを平泉、花泉、一関の1市2町を想定しています。
 このような枠組みや思惑が交錯する状況を県としてどう受けとめているのか、知事のお考えをお聞きします。
 枠組みや思惑が交錯するのは当然のこととしながらも、今日まで両磐広域生活圏としてさまざまな課題に取り組んできた1市6町2村の信頼関係や協力関係を破ることなく進めることが必要ですが、広域生活圏の枠組みと市町村合併の枠組みが異なる場合、県としてどのように調整していくのか、知事のお考えをお聞きします。
 一関地方任意合併協は、国の財政支援を得られる17年3月までの合併を目指すとしています。合併の新しいまちづくりの事業のうち、10年間にわたり地方債と地方交付税により財政支援が行われます。構成市町村の財政状況、とりわけ公債費比率は、一関市19.1%、花泉町11.1%、川崎村13.4%、東山町12.9%といずれも高い比率となっており、多額の起債導入は難しいものと思われます。任意協の枠組みで合併を想定した場合の財政支援はどの程度見込まれるのか、合併による人件費等の経常経費の削減効果についてはどう試算されているのか、お聞きします。
 4市町村の合併が実現した場合、人口規模は9万2、000人余と、盛岡市に次いで北上市と並ぶ大きな市になり、面積は667平方キロメートルとなります。市部では遠野市を抜き第1位、県内では岩泉町の約1、000平方キロメートルに次ぐ広さになります。
 既に広大な自治体が存在していますから一概には言えませんが、合併については面積的な要件も重要です。行政の目が行き届き、自治体の交流に要する時間的許容範囲を考慮すべきですが、県は市町村合併における面積的な要件をどう考えているかお聞きします。
 知事の最近の記者会見では、道州制について、2010年ぐらいには都道府県をどうするかという議論を始めなければならない時期ではないかとか、具体的な事業を通じ、南東北との連携ができるのではないかとも話されています。
 昨年末には、北東北3県の事務担当者の研究会が、平成22年から27年ごろをめどに、北東北3県の合併など、一体化を進めて道州制を目指す骨子をまとめています。スケールメリットを強調しても、県同士の連携が進まない中で理解を得るのは難しいものと思います。知事の発言がひとり歩きし、職員が今なすべきことを示さないまま、発想だけが先行しているように思われます。県同士の連携の中でも、県境地域においては地理的にも隣接しており、行政境とは関係なく昔から交流・連携が行われてきました。知事は、岩手県南と宮城県北の連携のあり方についてどう考えているのか、県民に見える形で示してください。
 特に、県境地域においては、例えば道路を見た場合、国道342号は宮城県や秋田県とを結ぶ幹線道路ですが、このうち、交通の要衝である花泉町については、涌津地内の直角カーブ2カ所が隘路となっています。県道大門有壁線は、花泉町民が多く利用する道路ですが、有壁本陣脇は狭隘で交通のネックになっています。
 今、道路の狭隘箇所を課題として取り上げてみたところですが、このように両県に係る課題について、今日までどのような調整や対策を協議されてきたのかお示しいただき、その対応方についてお聞きします。
 研究開発型工業団地の整備については、平成9年度に県において整備基本構想を策定、10年度に県と一関市で基本調査を実施し、11年度岩手県総合計画に位置づけられたところです。その後、12年度に環境共生型工業立地可能性調査を県において、13年度には自然共生型工業団地開発コンセプト調査を一関市において行ってきました。一関市は、本年1月30日に議会議員全員協議会を開き、研究開発型工業団地整備候補地の概要等について説明しています。この中では、整備方針についてただされても、県への配慮なのか、一関市の主体性のなさか、明確にされなかったことも多かったと聞いています。
 こうした状況を見るとき、整備主体は県などとなりますが、一関市の意向も大きいものと思いますが、十分な事前の協議がなされたのでしょうか。また、県総合計画に掲載されてから相当の期間が経過し、事業の進捗が大幅におくれているように思われますが、どのような理由によるものかお聞きします。
 一関市では、一昨日、地元住民の了承を得て、県に整備候補地として提示したようですが、平成15年度の事業着手は可能であるのかお聞きします。
 一関市が議員全員協議会で説明した開発想定面積は、おおむね20から30ヘクタールとしています。厳しい経済情勢の中で、企業立地を予測することは難しいものの、昨年、日本ピストンリングの立地を含め、東工業団地80ヘクタールには40社が立地しています。こうした一関地区における状況や造成効果などを考えるとき、見合い造成を視野に入れるなど相応の開発面積を確保し対応すべきですが、県としてどう考えているかお聞きします。
 工業団地候補地は、関連事業として、国道284号真滝駅前の直角カーブの交通隘路解消のため、バイパスを建設しその沿線地とされています。バイパスの構造、建設計画はどのようになっているのか。また、国道284号は、一関市の釣山交差点から流通団地まで4車線化がされていますが、流通団地入り口から建設するバイパスまでの4車線化には、どう対応するのかお聞きします。
 さらに国道284号沢地区の改良事業では、一部の区間に未改良区間があり、交通安全上、早期に改良すべきであることを何度も議会でも指摘しているところです。これに対し、事業認定も視野に入れて対応する旨の答弁が繰り返されていますが、取り組みの状況、事業認定への対応状況、どのような手順、時期を目指して未改良の解消を図るのかお聞きします。
 総務省が1月31日に発表した昨年12月の完全失業率は5.5%と過去最悪と並び、年間平均の失業率は5.4%で過去最高となりました。完全失業者は331万人、有効求人倍率は0.58倍となっています。
 県内の雇用状況については、平成12年度まで月間有効求職者がおおむね2万人台で推移してきましたが、13年度には3万人台、14年度には4万人台にも及ぶ月も出ています。製造業の生産拠点の海外シフトにより、誘致企業等の撤退やリストラが急速に進んできたこと、公共事業の減少による建設関連産業の企業倒産が多くなっていること、大型小売店舗等の撤退が進んでいることなどから、昨年12月の月間有効求人数は1万712人、有効求人倍率は0.47倍と深刻な状況にあります。
 県は、平成13年10月に県総合雇用対策を策定し、3カ年で臨時応急の雇用を含め2万1、000人の雇用創出を目指し、14年2月、同9月及び本年2月に県雇用対策を改定し取り組んできましたが、目標に対する3月末の到達度が93%と見込まれるのに、このうち基金事業についてはなかなか常用雇用に結びつかないという現実があります。これは、今日までの雇用対策は当該失業者がどのような対応を求めているのか、何を行政に期待するかや、受け入れる企業がどのような支援を求めているか、十分把握しないまま対応してきた側面があるのではないでしょうか。例えば、失業者を新規常用雇用として雇用した場合、当該賃金の2分の1を6カ月助成するといった施策を講じてほしいというような潜在的な要望があるかもしれません。そこで、失業者や受け入れ側の意向を直接に把握、そして支援するための機関を設置し、雇用情勢の変化に的確に対応すべきではないかと思うのですが、この対応について知事のお考えをお聞きします。
 ところで、雇用対策のうち、比較的困難とされる障害者の雇用に目を向けると、県教育委員会の障害者雇用は、法定雇用率が2%と定められているものの、1.01%にとどまっており、県教育委員会の低い雇用が県全体の障害者雇用率を引き下げています。率先して取り組むべき県の機関がこのような対応では、民間の事業主にどのように説明できるのでしょうか。教育の現場で障害者が頑張っているということは、ユニバーサルデザインを目指す生きた教育ではないのでしょうか。県教育委員会は、現況の厳しさや県が総力を挙げて取り組んでいる雇用対策を理解されているのでしょうか。教育現場における障害者の雇用についてお聞きします。
 我が国の食料自給率は、昭和40年度から平成11年度の間に73%から40%へと大きく低下しました。食料・農業・農村基本計画では、食料自給率の目標が設定され、22年度の目標年次に供給熱量ベースで45%とすることとしています。この基本計画を踏まえ、本県では岩手県農業・農村基本計画を策定するとともに、平成11年の岩手県農業・農村振興大会においていわて総合食料供給基地宣言を行い、我が国の食料自給率向上の一翼を担うことを表明しています。
 今日まで、本県農業を語るときは、食料供給基地とか農業立県という言葉が頻繁に使われてきましたし、だれもが疑うことなく受け入れてきました。確かに、昭和40年代からの県産米50万トン運動などは、県民共通のよりどころとして、それを達成するため、農家や行政が一体となり、成果を上げたことは事実であります。
 振り返って今日の本県農業はどうでしょうか。農林業こそ暮らしの基盤であることは、だれもが疑うことはありません。農水省では、都道府県別の自給率を試算しています。それによると、平成13年度の岩手県の自給率は101%にすぎません。全国5番目の自給率ですが、自給率101%をもって総合食料供給基地とは、現実と大きくかけ離れ、説得力や生産意欲を湧き上がらせるものではないと思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 県民経済計算によると、県内総生産に占める農業生産は額で1、600億円余、その割合は3.5%であり、また、農業産出額は2、800億円、全国9位ですが、県が言う総合食料供給基地とはどのような形を想定しているのか、そのためにどのような手だてを講じようとしているのか、知事のお考えをお聞きします。
 農水省は、昨年12月3日、米政策改革大綱を決定しました。大綱は、2010年度までに農業構造の展望と米づくりの本来あるべき姿の実現を目指すとして、08年度までに農業者、農業団体が主役となる需給調整システムを国と連携して構築する。04年度からの当面の需給調整は、生産数量を調整する方式へ転換する。助成については、全国一律の方式から転換し、水田農業の産地づくりを進める対策と、米価下落対策を柔軟に実施する産地づくり推進交付金を創設する。実勢に即した価格の形成、消費者の信頼性の回復など、市場重視の流通制度、消費者重視に改革するなどとなっています。
 この大綱を踏まえ、県は、稲作と他の作物を組み合わせた水田の高度利用、担い手の明確化などを盛り込んだ岩手県水田農業改革大綱を策定し、各地で説明会を実施してきました。
 売れる米づくりを中心とした水田の高度利用と持続的農業の推進を図るには、全県一律の米づくりから脱却し、地域特性に応じた体系に改めるべきです。良質米地帯での米生産と米以外の作物需要に応じた生産、加工用米など特色ある米生産など、市町村間調整、地域内調整を導入すべきです。当然、米以外の作物、加工用米などを担う地域については、田畑輪換を中心とした畑地化等の強力な推進や、所得減が想定される場合は新たな助成措置の活用、互助制度の創設、県、市町村の助成により、一定の所得を確保するなどの施策を講ずることが必要です。
 今日までの農業は、国の施策に依存してきたこともあり、新たな取り組みを行うことは勇気が必要でありますが、多少のリスクがあってもいつかは乗り越えなければならない課題です。直ちに全県に導入することは、農業者、農業団体の理解を得るに至りませんから、市町村間調整、地域内調整のモデル地区を設定し、本県独自の対応を試みるべきです。こうした取り組みは、市町村や集落だけでは難しいことから、県が市町村間調整、地域内調整を積極的に支援し、特色ある産地づくりを推進すべきと考えるものですが、県の見解をお聞きします。
 2点目は、担い手の明確化についてです。
 県では、意欲ある担い手の育成として、経営能力にすぐれた主業型農家を育成し、機械、施設の有効活用、労働力の確保、農地の利用集積等、経営規模の拡大などに向け施策を重点的に配置するとしていましたし、これらの担い手を中心とした地域ぐるみ農業を展開するとしてきましたが、今日まで取り組まれてきた地域ぐるみ農業の取り組みによって、担い手や集積の状況はどうであったのでしょうか、お聞きします。
 私は、地域ぐるみ農業を一歩進めて、地域営農への組織化を図るべきと思います。すなわち、具体的には、集落単位での担い手を明確にし、育成計画を作成する。担い手が不足する地域では、集落営農組織を育成し、集落ごとに地域の農地利用の完結型組織を目指す。そして、農業法人への移行を目指すという岩手型の農業を確立すべきですが、どう考えるのかお聞きします。
 主要地方道平泉厳美渓線の都市計画街路毛越寺線の改良整備に伴い、平泉町教育委員会が緊急発掘調査として行った倉町遺跡から、昨年10月下旬に巨大な柱穴群が発掘されました。
 倉町遺跡は、県道を挾んで毛越寺山門の南側に隣接し、北側には奥州藤原氏2代基衡の妻が造営したと伝えられる観自在王院が県道を挾んで接しています。遺跡から発見された遺構は、巨大な柱穴を持つ建物跡1棟、周を配した竪穴式建物跡1棟、20メートルぐらいの幅があると見られる道路跡であると聞いています。巨大な柱穴群は、大きいもので口径1.5メートル、深いもので地下1.5メートルに達し、何本かの柱材が腐ることなく残されており、その直径は40から50センチメートルで、丸太のままではなく八角に面取りがされており、これほど太い柱が深く立てられていたとすれば、相当高い建物が建てられていたことが容易に想像されます。
 鎌倉幕府の編さんになる歴史書吾妻鏡には、高屋に関する記述があります。
 高屋・宝蔵、倉廩、泰衡が庫倉、平泉高屋とも記され、藤原氏の政庁・平泉館内に犀角、象牙笛、金沓など、先祖代々宝物を収納していたとされ、奈良・東大寺の正倉院に匹敵する倉庫と言われています。
 記述によるもう一つの高屋は、「観自在王院の南大門の南北の路、東西数十町に及びて倉町を造り並ぶ。また、数十宇の高屋を建つ」とされており、柱穴群は高屋の遺構と推察する研究者が多くいます。
 遺物では、中国北部磁州窯でつくられた緑釉壷の破片が初めて見つかったほか、高級品とされる青白磁の皿の破片が多数出土していることから、平泉館内の高屋には及ばないものの、平泉・藤原氏の経済、通商活動を支えた物資の数々が収納されていたと考えられます。
 平泉には、京都、奈良、鎌倉などのように古い建物群が残されていないものの、地下には浄土庭園や藤原氏の政庁跡など中世都市が埋もれており、発掘により都市の全体的なあり方を見せてくれる事例はまれであり、他に存在しない貴重な文化的価値を有しています。県は、発掘された巨大な柱穴群をどう評価しているかお聞きします。
 平泉町、同教育委員会は、文化庁や道路建設主体である県と保存方法について協議を行い、高屋跡と見られる柱穴部分を改良予定路線から外すことを要望していると聞いています。県はこのような要望が出されている倉町地内の道路改良についてどのように対応されるのか、お聞きします。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 阿部富雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、一関地方の市町村合併の枠組みについてお尋ねがございましたが、この合併の枠組みについては、それぞれさまざまなパターンがあるというふうに思っております。ねらいとして、都市の拠点性を高める意味で合併をする場合ですとか、住民サービスの向上や行財政の効率化を進めるという意味で合併を志向していく、あるいは地域のイメージアップをさらに図るといったようなことを中心に志向していく場合と、幾つかそういうパターンがあるわけでございますので、それぞれの合併のねらいや地域の将来像によって、実は多様な組み合わせが現実には想定をされるというふうに考えております。
 この現実の一関地方の今の状況も、今ちょうど日々動いているところでございますが、やはりそれぞれの単体の個別の市町村が地域全体に思い描いている地域の将来像など、あるいは将来像のそれぞれの違いといったものが今ちょうど出てきているわけでありまして、それぞれが幾つかのそれにふさわしい枠組みを想定して、関係の市町村が議論を積み重ねてきた結果として、ちょうど今そういう違いということが出てきているものというふうに思っております。ある意味、今議員の方でお話しになったように、こうした時期を経ていくわけでありますので、今地域でいろいろ議論されておりますので、そういった将来像がうまく重なり合って双方の考え方が一致するように、もう少しこの議論が必要であり、また、我々もそうした議論について見守っていきたいと思っておりますし、それから必要なこの点についての助言もしていきたいというふうに思っております。
 それから、広域生活圏の枠組みと具体的に出来上がる市町村合併の枠組みとが異なる場合ということですが、単一の自治体というふうになるかどうかというのは、今申し上げましたような一つの自治体としての将来像をどう考えるかによってまた変わってくると思います。いずれにしても、それと、さらにそれを取り巻く周辺の市町村との日常生活圏の実態や歴史・文化などのつながりということで広域生活圏ということが積み重なってくるわけであります。そういったものが広域生活圏ということででき上がっているわけでございますので、そういう一つの広域生活圏の枠組みという中で、具体的に一つの自治体まで選ぶのかどうかというところについては、十分に地域の住民の皆さん方の議論を経た上で、これは自主的に選択されるべきものと考えております。
 次に、岩手県南と宮城県北との連携のあり方についてでございますけれども、これにつきましては、私は、地域の自立や地域主権型の社会を実現するためには、これまでの経済的、それから歴史的、文化的なつながりに基づくさまざまな分野での交流・連携に加えまして、行政はもとよりなんですが、地域住民の皆さん方の多様な交流や、さらには民間部門での連携など、やはり県境を越えて、お互いのそれぞれ持っている特性や資源というものをより積極的に生かしながら、生活者の視点で地域づくりを進めていくことが極めて重要だと思っています。
 このため県では、今、議員の方からお話あった宮城県とのいわゆる県際地域につきましても、私どもの方では、県南の三つの地方振興局、それから、宮城県側は県北に五つの県事務所というのがございますが、そこから成る岩手・宮城県際連絡会議というものをつくって、そこでこうした県際の連携ということを取り扱ってきていたわけですが、正直、従来はその県際連絡会議というのが、情報交換の場という域をなかなか出ないような活動でございましたので、今年度、一歩進めまして、産業振興など具体的な課題検討の場ということで、その県際連絡会議の機能をより高めることにしたところでございます。
 そのほか、県際地域づくりに関する毎月の共通の広報誌を発行し、あるいは産業廃棄物の合同パトロールの実施、農業基盤や道路整備における各種の調整、それから、観光物産展の共同開催など、そういった地域が主体となった密接な連携を進めてきております。具体的にそういうことで一つ一つ実例を積み重ねてきているところでございまして、これは、今後ともこうした具体的な取り組みを数多く進めることによって、多くの成果を出していきたいと思っています。
 それから、トップ同士の十分な意見交換も必要だと思っていまして、宮城県知事とも、そうした県際を越えた連携・交流という観点での意思疎通もいろいろ図っております。当面、産業廃棄物対策の連携など、広域で対処することにより、より大きな効果を発揮すると考えられるようなものについて幾つか私の方から持ちかけていきたいなと考えておりまして、これから、宮城県側のさまざまな御事情とかお考えもあると思いますけれども、より積極的な連携を図っていきまして、お互いが連携することによって、地域全体としての自立に向けた歩みを強めていきたいと考えております。
 それから、雇用問題の関係ですけれども、失業者や受け入れ側の意向を把握し、支援する機関を設置して強力に進めたらどうかというお話でございましたが、確かに、今お話ございましたように、求職者と求人側との間には、希望する職種や賃金などの労働条件、それから、必要な資格要件の有無などの面で、いわゆる雇用のミスマッチが生じているわけでございます。これは、厳しい経営環境による求人数の減少というのがベースにございますが、正社員からパートなどへの雇用形態の転換や、新規学卒者から即戦力となる人材へのシフトなど、雇用ニーズの変化がその主な要因になっていると考えております。
 このため、各地方振興局に地域雇用相談員というのがおりますが、この地域雇用相談員による日ごろのこちらからの企業訪問活動や、公共職業安定所、市町村、高等学校等との合同企業訪問などを実施して、企業側がどのような人材を求めているのか、それから、行政に対して何を望んでいるかなどの把握に今努めております。
 それから来月、3月でございますが、県内企業約1、700社を対象として従業員の採用方針、それから、新規学卒者に対する注文、行政施策への要望――我々に対してどういうことを要望するのかといったことなどを来月調査することにしてございますし、また、今度は勤める側ですが、県教育委員会と連携して、県立高校を対象に就職希望者の就業意識などの調査を行って、今後の円滑な就職を進めるための対策に生かしていきたい、そういうときの十分な基礎資料にしていきたい。企業側、それから求職側、両方の意向などを十分に把握して、いわゆる冒頭申し上げました雇用のミスマッチの解消に努めていきたいと思っています。
 さらに、地方振興局の就職支援センター、これはことしの1月15日にそれぞれの地方振興局につくりましたが、この就職支援センターでは、求職の相談に訪れた皆さん方に対して、就職活動についての助言や職業能力開発に関する情報提供を行っているわけですが、そこの就職支援センターに4月から新たに就職アドバイザーというものを配置する予定にしてございます。この就職アドバイザーを配置して、求職者の適性、それから適職診断やカウンセリングを実施するなどして、それぞれの人一人一人により一層きめ細かに対応していくということを考えております。
 それぞれの地域の実情に応じて効果的な雇用対策を推進していくためには、今申し上げましたのは県の中での関係の努力の一つでございますが、県だけではなくて、もちろん関係機関がこれまで以上に密接に連携することが何よりも重要でございますので、県の地方振興局で先般つくりました就職支援センター、それから、国の方の公共職業安定所、所在の市町村、商工団体等が、求職者や求人側の情報を共有して相互に提供し合うネットワークをさらにしっかりと構築して、一人でも多くの求職者が希望どおりに就職できるように支援していきたい、今こういう考えでおります。
 それから、総合食料供給基地としての農業振興についてお尋ねがございましたけれども、本県は全国でもトップクラスの農業就業者と農地を有しておりまして、また、平場での農業から中山間地域までの変化に富む農業、これはバックに気象条件がそれぞれ違うということがあるわけでございますが、そうしたことでの多様な農業、農業生産にとっては極めて多彩な立地特性を有しているということでございます。
 こうした本県の持つ、一つが人的資源、もう一つが自然資源、それぞれの有利性を生かして、そういったことが我が国の総合食料供給基地を標榜するもとになっているわけでありますし、また、現実に農業の振興に努めてきたところでございます。
 今お話ございましたように、県内総生産に占める農業生産の割合が低いこと――3.5%ということであるわけでございますが、これは、素材生産という農業の持つ特殊性によるものではございますが、一方では、この3.5%という数字以上に関連産業への誘発効果も大きく、また、県土の保全や水源の涵養といったような、県内総生産という中に直接数字にあらわれないような、いわゆる多面的機能と言われている部分、これも多くこの農業が果たしているわけでございます。
 したがって、今後においても、まず産地づくりの中核を担う経営能力にすぐれた担い手を重点的に育成して、全体としての生産量の維持・拡大に努めていく考えでございます。
 また、昨今、輸入農作物の増大や、また、それにはいろいろな残留農薬などがついているといった問題がございます。こうしたことから食への関心が全般的には非常に高まっている中で、安全・安心を基軸としたフードシステムの確立にも、こうした食料供給県として、我々としては全国に先駆けて取り組んでいく考えでございます。生産の現場から最終的な販売に至るまでの間でいろいろな施策をさらに強化して、引き続きこうした総合食料供給基地としての地位を確かなものにしていきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 一関地方の市町村合併についてでありますが、まず、一関地方任意合併協議会の構成メンバーであります4市町村で合併した場合の財政支援ということでございますが、合併市町村補助金が約5億円、合併直後の臨時的経費に対する交付税算入額が約14億円ということが見込まれますほか、合併市町村が市町村建設計画に基づいて一定の事業を推進する場合、財源として認められております合併特例債が約321億円充当できる見込みとなっております。
 それから、合併による人件費等の経常経費の削減効果ということでございますが、これは、相応の行政効率化に努めた場合、類似規模の団体との比較により試算をいたしますと、年間約43億円程度の削減が見込まれるところでございます。
 次に、市町村合併における面積的な要件についてどうかというお尋ねでございますが、交通条件の改善、それから、情報通信ネットワークの整備などに伴いまして、日常生活圏が拡大し、従前の行政区域より広範囲で行政サービスの提供が可能になってきていると感じております。各市町村が置かれている地理的・地勢的な条件、あるいは交通機関や道路網の状況といったものがそれぞれ異なっておりまして、全県を一律に考えることは非常に困難ではないかと思っておりまして、それぞれの地域において合併を議論する際に勘案すべき要素の一つであろうと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) まず、岩手、宮城両県に係る道路整備についての協議・調整でありますが、一般国道342号のように両県に係る道路の整備につきましては、これまでも必要に応じて計画の協議・調整を行っているところでございます。例えば、宮城県境にある一般県道油島栗駒線では、宮城県が実施する圃場整備事業と密接に関連しますことから、これまでも数回にわたり協議・調整を行っているところでありますし、また、国道342号では、両県や市町村で構成する整備促進期成同盟会というのが結成されておりまして、毎年開催される総会の場などを通じて、定期的に情報交換を行っております。
 御指摘の国道342号の涌津地区におきましては、本年度より新規に延長約5.4キロメートルのバイパス事業に着手しておりますし、また、一般県道大門有壁線では、宮城県が金成町の有壁本陣付近で、平成10年度より延長約1.5キロメートルのバイパス事業を進めておりまして、それぞれ両県の交通事情を踏まえまして整備を行っているところであります。
 今後とも、両県に係る道路につきましては、相互の連絡をより密にし、整備計画の協議・調整や情報交換を行うなど、両県の間で連携が図られた道路整備が推進できますよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、一般国道284号の整備についてであります。まず、一関市の真滝地区についてでございますが、本地区は人家が連檐し、道路の勾配がきつく、直角カーブもあるなど、交通の隘路となっているものでございます。
 お尋ねの道路の構造及び建設計画につきましては、関連する事業であります工業団地の規模、また整備期間などとの調整を図る必要がありますことから、関係部局とも連絡を密にしながら、今後、早期に具体的な整備計画策定のための調査に着手して検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、車線数については、当該区間を通過する交通量を勘案いたしますと、お尋ねの流通団地入り口から、今回新たに整備が必要な真滝地区までの間につきましては、新たな工業団地が整備されたといたしましても2車線で対応ができるものと考えております。
 次に、一関市沢地区の未改良区間の整備についてでありますが、本地区は、地権者との話し合いの行き違いもございまして、面談交渉を拒否されるなど地権者の同意が得られず、約160メートル区間が現在2車線のままとなっているところでございます。
 この用地につきましては、これまでも再三にわたり交渉を重ねてまいりましたが、引き続き、電話や手紙を主体に粘り強く交渉を行うことといたしまして、昨年10月の境界確認の依頼に加えまして、先日は、また手紙によって面談のお願いをしたところでございます。
 しかし、このように交渉が難航していますことから、これと並行して、法的な措置となる事業認定の手続を進めることといたしまして、これまで国との事前協議を重ねてきたところでございます。
 今後、早期に事業認定の申請を行いまして、土地収用法に基づく収用ができるよう手続を進めますとともに、任意交渉による解決も視野に入れながら、早期に解決できるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、平泉町倉町地内の道路整備についてでありますが、都市計画道路毛越寺線は、JR平泉駅を起点として国道4号と交差し、毛越寺を経由して平泉小学校付近を終点とする延長約1キロメートルの都市計画道路であります。
 この路線は、朝夕の通勤・通学路であるとともに、観光拠点である毛越寺や観自在王院跡に観光客を誘導する重要な路線であると認識しております。
 県では、平成11年度から、古都の香りが漂う街路整備事業という名前でございますが、その事業を導入いたしまして、順次、毛越寺方面に向け道路整備を進めているところでございますが、今回、御指摘のように道路整備区域の一部で巨大な柱穴群が発掘されたということから、昨年11月からは一時事業を中断しているところでありまして、今後、この遺構の重要性、また保存のあり方等、県教育委員会等関係機関の御意見をいただきながら、また、地元平泉町とも連携して、ルートの変更も含め、これから事業の進め方について検討してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長照井崇君登壇〕

〇商工労働観光部長(照井崇君) 研究開発工業団地の整備についてでありますが、県ではこれまで、一関市及び事業主体として予定している県土地開発公社との間で、企業に対するインセンティブや自然環境に配慮した開発手法など、工業団地の基本的な整備の方向性について鋭意協議を重ねてきたところでありますが、企業の海外シフトの進展など、昨今の企業誘致を取り巻く環境には極めて厳しいものがあり、こうした状況下での工業団地のあり方や整備の進め方を十分に検討する必要があったこと、また当該地域における企業立地動向や工業用地の需給状況等を見きわめる必要があったことなどから、相応の期間を要したところであります。
 整備候補地については、一昨日、一関市から同市鶴ケ沢地区を候補地として推薦いただいたところでありますが、県といたしましては、これを受けて、今後、関係者と協議の上、早期に整備方針を決定し、平成15年度内に現地調査に着手してまいりたいと考えております。
 工業団地の規模については今後検討してまいりますが、企業の立地動向が大きく変化し、取得用地の小規模化や初期投資が抑制傾向にあることから、これら工業団地に対する企業ニーズを十分踏まえた適正な規模とするとともに、先行造成方式とオーダーメード方式の併用など、開発リスクの軽減やコストの削減も考慮しながら、一関市や県土地開発公社と密接に連携して整備を進めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 市町村間調整などによる特色ある産地づくりについてでありますが、国の米政策改革大綱に基づく新たな政策のもとにありましても、体質の強い持続的な水田農業を確立するためには、稲作と他作目を組み合わせた水田の高度利用により、水田の持つ潜在生産力を最大限に発揮できる利用を進めていくことが極めて重要であります。
 新たな需給調整は、平成20年度には、農業者・農業者団体が主役となるシステムに移行することとしており、また、平成16年度からは、生産調整目標面積の配分から、米の生産目標数量の配分に転換するとともに、農業者・農業者団体の自主的・主体的な取り組みを強化することとされたところであります。
 今後は、こうしたことを踏まえ、農業者や産地みずからの創意工夫による売れる米づくりや、個性ある産地づくりを一層促進していかなければならないと考えております。
 このような観点から、生産調整目標の市町村間や地域内の調整につきましては、農業者や農業者団体の主体的・自主的な判断によって、これまで以上に積極的に取り組まれるべきものと考えており、こうした調整が活発に実施されますよう、県といたしましても、岩手県農協中央会が設置しております岩手県水田農業推進センターや農業協同組合等の活動を支援し、地域ごとに特色のある産地づくりを推進してまいる考えであります。
 次に、地域ぐるみ農業の取組状況と担い手の育成についてでありますが、本県農業の担い手である認定農業者は、平成13年度末で6、436人、担い手への農地の利用集積割合は38%となっており、平成13年度目標に対しておおむね9割の進度となっております。
 しかしながら、水田農業におきましては、稲作の作付農家の約7割が1ヘクタール未満の小規模農家によって占められており、今後、効率的な生産に取り組むためにも、大規模農家の育成のほかに、担い手を中心とした小規模農家を含めた地域ぐるみによる営農組織の育成を加速していかなければならないと考えております。
 県といたしましては、農業者や集落の自主性と創意工夫による自立できる経営体を育成するため、各集落の立地特性や経営条件に応じて担い手の育成タイプを示し、集落の取り組みを支援することとしております。
 具体的には、水田の経営規模が比較的大きい平場地域などにおいては、個別経営に対する農地の利用集積を促進し大規模家族経営体を育成するほか、大規模な個別経営の育成が難しい地域におきましては、まず、農作業受委託などの生産組織の育成を進めてまいりたいと考えております。
 また、既にこうした生産組織があるところにつきましては、生産から販売、収益配分まで一元的に経理が行えるよう、段階的な経営の高度化を図り、集落型経営体として育成するとともに、熟度に応じて法人化を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育長五十嵐正君登壇〕

〇教育長(五十嵐正君) まず、教育現場における障害者の雇用についてでありますが、県教育委員会の障害者の雇用率は、平成14年6月1日現在で、事務職員及び現業職員などが2.02%と法定雇用率を上回っているものの、法定雇用率の算定基礎の約8割を占める教育職員の雇用率が0.75%であることから、全体では1.01%の雇用率となり、法定雇用率の2%を下回る状況となっております。
 このようなことから、障害者の雇用を推進するため、事務職員については毎年度、身体障害者の特別枠による採用を行うとともに、来年度、視覚障害者を特別選考により盲学校教員に採用することとしております。
 また、毎年度の教員採用試験においては、受験上の配慮をするなど受験者の確保に努めてきているところでありますが、教員は免許職種であり、教員免許状を取得している障害者の受験が極めて少ないことから、法定雇用率を確保することが困難な状況にあります。
 ちなみに、法定雇用率2%が適用される都道府県等の教育委員会における平成14年6月1日現在の平均雇用率は1.23%であり、各都道府県とも障害者の雇用に努めているところでありますが、法定雇用率を下回っております。
 本県におきましては、引き続き事務職員について身体障害者の特別枠による採用に努めるとともに、教員採用についても、より多くの身体障害者が採用試験を受験するように広報啓発を図りながら、障害者の一層の雇用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、倉町遺跡で確認された巨大な柱穴群の評価についてでありますが、特別史跡毛越寺跡に隣接する倉町遺跡の発掘調査につきましては、都市計画道路毛越寺線の道路改良整備に伴い、平泉町教育委員会が調査主体となり実施したところであります。
 調査の結果、巨大な柱穴群を初め、周囲に溝をめぐらせた竪穴建物跡や藤原氏時代の道路跡などが確認されるとともに、藤原氏の経済力を物語る多数の中国産陶磁器片が出土しております。
 中でも、柱穴群につきましては、観自在王院南大門の向かいで確認されたという位置関係を初め、柱の太さが40センチメートルほどあり、八角形に面取りされる特殊な形状を呈していること、柱が深く埋められており高層の建物であったと考えられることなど、これまで町内で確認された建物とは明らかに相違が見られることから、県教育委員会といたしましては、12世紀の都市平泉の構造を解明する上で非常に重要な遺構であると認識しております。
 また、議員御指摘のとおり、研究者の中には、鎌倉幕府の正史、吾妻鏡に述べられている高屋の可能性を指摘する声もありますが、もしそうであれば何棟か建ち並んでいたということになります。今回、1棟が確認されたのみでありますので、その可能性につきましては、今後、引き続き平泉町教育委員会が実施する隣接地の調査成果等を見ながら判断する必要があると考えております。

〇13番(阿部富雄君) 合併についてお伺いをいたしますが、一関地方任意合併協議会の最近の動きを見ていますと、事実上、大東町の参加というのは困難になったのかというふうに私は見ているわけであります。住民の福祉だとかあるいは地域のあり方という、合併本来の目的あるいは理念を欠落させて、首長の思惑で合併の枠組みを決めようとしているように思えてならないのであります。
 県が合併重点支援地域として指定する際は、こういうふうな言い方を知事はされていました。
 一関地方任意協が、今後参加を希望する町村には、敷居を低くしている姿勢を踏まえた上で行ったとしているわけですね。任意協会長が大東町に、任意協内の意見調整が難航しているということを伝えたことを見る限り、任意協が敷居を低くしている姿勢の評価を県が誤ったのか、任意協側が県の考えを理解しなかったのか、大きな乖離が私はあったのではないかというふうに見ているわけであります。
 任意協内には、大東町内が一つにまとまっていないこともあり、仕方がないというような首長の発言も新聞報道ではされておりますけれども、これは大東町議会が任意協の負担を議決したということは町としての意思決定でありますから、外部の者が、町内がまとまっていないとか何とかという、そういう議論には私はならないだろうというふうに思っているわけであります。
 そこで、重点支援地域の指定に当たって、任意協との共通認識は県はなされたというふうに思って理解されているのでしょうか。まず、この点をお伺いしたいというふうに思います。
 それから、一関地方合併任意協議会には、一関・千厩両地方振興局長が新市将来構想検討審議会委員として協議会に参画するのだと、それに加えて局内に合併プロジェクトチームを設置するなど、体制を強化して支援していくと、こういうふうな言い方をされているわけですね。任意協会長が大東町に、意見が難航していることを伝えたことについて、これは、県は事前にこのことを理解して、その上で任意協会長が大東町に伝えたということなのでしょうか、その点についてもお伺いしたいと思います。
 それから、任意協が進めることだけに支援していくということになれば、重点支援地域としての指定そのものが私は問われてくるのだろうというふうに思うんです。今後の対応、これからの支援のあり方というのはどのようになされるのかお伺いいたします。
 それから、これからそれぞれの地域でいろいろな合併の論議がされてくるだろうというふうに思っておりますけれども、一関地方の任意協の動きを見ていると、国の財政支援を受けられる時期を目指して国主導の枠内で進められているというように思われます。ここにやっぱり問題が起きているのではないかというふうに私は見ているわけであります。地方分権だとかあるいは地方自治の本旨だと、こういうふうなことを言われていても、こうした本来あるべき姿から外れて進められているという、こういうふうな実態だろうと思うんですが、当該自治体が腰を据えて将来のまちづくりができる、そういう環境づくりを県としても支援していくべきではないのかと私は思っています。
 合併まで要する期間というのは、おおよそ22カ月というふうに言われておりますけれども、岩手県内の合併論議はなかなか進んでおりませんから、この22カ月に合わせてやるというのは非常に難しくなってきているのだろうと思いますので、そういう状況を考えれば、財政支援の受けられる時期にこだわることなく進めても、私はいいというふうに思うんです。住民に理解されて住民の考えが生かされる合併論議ができるような、合併のスタンス、県のスタンスをきちっと示してもいい時期に入ったのではないかというふうに思うわけですが、この点についてはどのようにお考えになっているか、お尋ねしたいと思います。
 それからもう一点は、財政の支援のあり方ですね。財政支援があるということが、合併論議を加速させたり遅滞させたりしている大きな要因でもあるのだろうと私は思っています。財政そのものは重要ですけれども、やっぱり財政というのは目的であって手段ではないんですよね。ですから、合併と財政支援というのは、切り離して考えてもいいのではないかというふうに私自身は思っているわけです。
 特に先に県内でも合併した自治体の例を見ても、計画した事業がなかなか進んでいないという、そういう状況もありますし、これから10年間の新しいまちづくり計画を策定するといったって、10年後を果たして見通して計画ができるでしょうか。そういうふうな時代ではなくなっている。しかも、財政の厳しさも予想されて、どの程度の財政状況になるかということも全く不透明な、そういう時代に入っていますし、新たな住民ニーズ、あるいは行政需要も多分出てくるだろうと思うんです。そうなった場合に、受益と負担について、住民にきちんと理解を求めていく努力というものも出てくるだろうというふうに思いますので、私は合併と財政支援のあり方を切り離して論議を進めていくということも、県の考え方の一つとして取り入れていくべきではないかというふうに思うわけですが、この辺についての知事のお考えをお聞きしたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 今、何点かございましたので、少し細かな点、大東町の方にこの間任意協の会長さんが行かれていろいろ話をされたそうですが、そのあたりの連絡があったかどうか、幾つか細かな点は部長から答えさせますけれども、基本的な点について私の方からお答え申し上げたいと思うんですが、まず市町村合併ですけれども、今議会でも随分各議員の方からも御質問がございましたが、一つは、ことしの1月1日現在の全国の任意協の発足状況など総務省の方で発表されて、東京都と岩手県が白塗りになっていたわけですが、これは当然総務省の方でねらいがあって、いわゆる西高東低と言われていますけれども、そういう中で全国のいわば一目瞭然のランキングのようなものを見せて、それで議論をもっと促そうと、こういう意図があって、そういう明白な意図のもとにああいったものを出されたと思うんですが、私自身は、今お話がございましたが、2005年3月がやっぱり一つの大きな節目だろうと思っていますけれども、それまでにいろんな過程があって、うちの県の場合には、大船渡市のように任意協ができてから5カ月ぐらいで合併までこぎつけるようなものからいろいろさまざまありますので、ああいった総務省のある一定のねらいのもとに出された図面で、しかもそれは合併ができたかどうかではなくて、今の段階の任意協の参加云々ですから、それに余り浮き足立つことなく、やっぱり住民の皆さんとしっかりとした議論をやっていくということ、それが長い意味で将来につながるだろうと。ですから、今我々の方でやってきた、住民の皆さんとの議論をいろいろ地域で促すとか、それからあと一つの節目の段階を迎えて、それでそれぞれの市町村長さん方がその前に合併をしようとするのか、あるいは今お話あったように、財政的な面だけでなくてもっと長いまちづくりを考えて、将来の合併というものをもう少し議論をしながら、いずれは合併を志向するという町村も幾つかございますけれども、どっちを考えようとするのか、そのあたりは市町村長さん方のお考えとして、早く住民の皆さんに表明をしてそれぞれに備えていく必要があるのではないかと、こういうふうに思って、この場でもいろいろ繰り返し申し上げましたが、やはり意向を表明していない市町村長さん方には意向を表明してもらった上で、我々は合併期間までに合併を選択すると、志向するというところは最大限支援をしますし、それから、いろいろな考え方が異なっているものについては、そういったものができるだけ合うような形でいくように、またこれもいろいろ取り組みたいと思いますけれども、そういうところを住民の皆さん方は議論の上で、ひとつ市町村長さん方に選択をしていただきたいというふうに思っています。
 それから、これは確かに財政支援、目の前のある種ニンジンのようなものでございまして、これをもって国の方は誘導していくということでしょうけれども、基本的な自治体の姿をどうするかでありますから、いずれにしても建設計画が大事でありますし、それから、それに向けて、先ほど申し上げましたように合併の理念という幾つかの、どういう町を目指すのだ、どういう市を目指すのだというところが合っていないと、これはいい建設計画につながりませんので、これについては、例えば一関地方においても、ああいう形で今考えがそろっている、一緒に合併にとにかく入って、そこを議論しようというところが四つあるわけですから、先般申し上げましたように、私どもの方でも地方振興局に、これは近々にプロジェクトチームを発足させて、そうした人たちとの十分な議論を積み重ねていくようにしていきたいというふうに思っていますし、そういう考え方が一致している皆さん方との議論が、より将来像に確実につながっていくように、県としても努力をしていくつもりです。
 これはここで繰り返し申し上げておりますが、市町村の自主性というものを最大限尊重するというのがこの際の一番大事なことでありますから、市町村の自主性を最大限尊重しながらも相互理解が十分に行われるように、地域でそういう円滑な協議が行われるように、我々としては最大限努力をしていきたいというふうに思っております。
 県の合併支援プランでは、財政的な支援ということだけでなくて、将来を考えていろいろな権限移譲を最大限県としても行うと、そして住民に身近な行政を全部そこの市町村でやっていただくような体制をとっておりますし、これは我々としても将来必ず必要になってくる項目だと思っていますが、そうしたものを入れておりますが、そういった県の合併支援プランの考え方などを十分にお酌み取りいただいた上で、こうしたことについて議論を積み重ねていただければというふうに思っております。
 あと、どういうふうな連絡があったか等につきましては、部長の方から答弁をさせます。

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) たくさんお尋ねがございましたけれども、一関地方の合併について今回大東町にどういう話をするか、事前に地方振興局の方で知っていたのかどうかというお話がございましたけれども、私の知る範囲では、事前に地方振興局にそういうお話があったということは聞いておりませんで、新聞情報で知った次第でございます。中身、これまた新聞情報でございますけれども、大東町の参加が事実上困難になったという議員のお話がございましたけれども、大東町の参加について、任意協の方の雰囲気として難色を示すところがあって、大東町に入っていただいて任意協を開きたいというふうに思っているのだけれども、そういう難色を示すところがあって、早期には開催できそうにないというのが私どもで聞いている情報でございまして、参加してもらって一応話し合いを持ちたいという意思はあるというふうに私は思っておりますけれども、そういう会議の場を早期には招集できない状態だという状況説明があったのではないかというふうに受けとめております。
 それからもう一点、地方振興局内に合併支援のプロジェクトチームの発足ということを申し上げましたけれども、これは来週あたりにでも早期に設置したいというふうに地方振興局の方で考えているようでございまして、私どももできるだけ早くそういう支援体制というのをつくり上げて、任意協に対する支援をしていただきたいと、そういうふうに考えているところでございます。

〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 議案第1号平成15年度岩手県一般会計予算から日程第87 議案第86号財産の取得に関し議決を求めることについてまで

〇議長(谷藤裕明君) この際、日程第2、議案第1号から日程第87、議案第86号までを一括議題といたします。
 議案第54号から議案第86号まで、以上33件について提出者の説明を求めます。小原総務部長。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 本日提案いたしました各案件について御説明いたします。
 議案第54号は、平成14年度岩手県一般会計補正予算であります。これは、国の補正予算、いわゆる改革加速プログラムでありますが、これに対応する経費のほか、国庫支出金の決定及び事業費の確定に伴う整理並びに事業執行上、今回計上を要するものなどについて、総額113億2、851万4、000円を減額補正しようとするものであります。
 増額補正の主なものは、財政調整基金積立金12億余万円、東北新幹線建設促進対策事業費3億3、100余万円、バス運行対策費補助3億8、600余万円、介護給付費等負担金3億4、400余万円、緊急地域雇用創出特別基金積立金12億2、000万円、直轄道路事業費負担金21億200余万円、簗川ダム建設事業費19億9、900余万円等であります。
 また、減額補正の主なものは、商工観光振興資金貸付金39億8、500余万円、中小企業経営安定資金貸付金58億8、200余万円、河川等災害復旧事業費53億3、500余万円等であります。
 次に、繰越明許費は北東北三県名古屋合同事務所――仮称でございますが――開設ほか148事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようとするものであります。
 次に、債務負担行為の補正は、県営畜産経営環境整備事業ほか20件を新たに追加するとともに、市町村道整備代行事業ほか5件の限度額等を変更しようとするものであります。
 また、地方債の補正は、東北新幹線建設事業ほか13件の起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第55号から議案第68号までは、平成14年度の岩手県母子寡婦福祉資金特別会計等11特別会計及び3企業会計の各補正予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画等に基づいて所要額を補正しようとするものであります。
 議案第69号から議案第75号までの7件は、建設事業等に要する経費の一部負担及びその変更に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第76号は、岩手県食の安全安心委員会条例でありますが、これは、食品の安全性の確保及び県民が安心することができる食生活の確保を図るため、知事の諮問機関として岩手県食の安全安心委員会を設置しようとするものであります。
 議案第77号は、生活福祉資金貸付事業の補助に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これは、生活福祉資金貸付事業に対する補助の条件を改めるとともに、社会福祉法の一部改正に伴い所要の整理をしようとするものであります。
 議案第78号から議案第85号までの8件は、工事の請負契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第86号は、財産の取得に関し議決を求めようとするものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。

〇議長(谷藤裕明君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 次に、お諮りいたします。議案第1号から議案第21号まで、議案第23号、議案第27号、議案第28号、議案第30号から議案第36号まで、議案第44号、議案第45号、議案第47号及び議案第49号、以上35件については、46人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、議案第1号から議案第21号まで、議案第23号、議案第27号、議案第28号、議案第30号から議案第36号まで、議案第44号、議案第45号、議案第47号及び議案第49号、以上35件については、46人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することに決定いたしました。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
(第17回県議会定例会 平成15年2月26日)
予算特別委員会
1 議案第1号
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第4号
5 議案第5号
6 議案第6号
7 議案第7号
8 議案第8号
9 議案第9号
10 議案第10号
11 議案第11号
12 議案第12号
13 議案第13号
14 議案第14号
15 議案第15号
16 議案第16号
17 議案第17号
18 議案第18号
19 議案第19号
20 議案第20号
21 議案第21号
22 議案第23号
23 議案第27号
24 議案第28号
25 議案第30号
26 議案第31号
27 議案第32号
28 議案第33号
29 議案第34号
30 議案第35号
31 議案第36号
32 議案第44号
33 議案第45号
34 議案第47号
35 議案第49号
   

〇議長(谷藤裕明君) お諮りいたします。ただいま設置されました予算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を予算特別委員に選任することに決定いたしました。
 予算特別委員会は、委員長互選のため、3月3日午前10時に特別委員会室にこれを招集いたします。改めて召集通知を差し上げませんので、御了承願います。
 次に、ただいま議題となっております議案第22号、議案第24号から議案第26号まで、議案第29号、議案第37号から議案第43号まで、議案第46号、議案第48号及び議案第50号から議案第86号まで、以上51件は、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
(第17回県議会定例会 平成15年2月26日)
総務委員会
1 議案第22号
2 議案第24号
3 議案第25号
4 議案第26号
5 議案第29号
6 議案第38号
7 議案第51号
8 議案第52号
9 議案第53号
10 議案第54号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第1款、第2款、第9款、第12款、第13款
   第2条第2表中
    第2款、第9款
   第4条
11 議案第62号
12 議案第69号
13 議案第78号
14 議案第79号
15 議案第80号
16 議案第81号
17 議案第82号
環境福祉委員会
1 議案第37号
2 議案第39号
3 議案第40号
4 議案第41号
5 議案第42号
6 議案第43号
7 議案第54号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款、第4款
   第2条第2表中
    第3款、第4款
8 議案第55号
9 議案第66号
10 議案第76号
11 議案第77号
商工文教委員会
1 議案第50号
2 議案第54号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第5款、第7款、第10款、第11款第3項
   第2条第2表中
    第7款、第10款、第11款第3項
   第3条第3表中
    2変更中 6
3 議案第60号
4 議案第85号
5 議案第86号
農林水産委員会
1 議案第54号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款、第11款第1項
   第2条第2表中
    第6款、第11款第1項
   第3条第3表中
    1追加中 1~7
2 議案第56号
3 議案第57号
4 議案第58号
5 議案第59号
6 議案第70号
7 議案第71号
8 議案第72号
県土整備委員会
1 議案第46号
2 議案第48号
3 議案第54号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款、第11款第2項
   第2条第2表中
    第8款、第11款第2項
   第3条第3表中
    1追加中 8~21
    2変更中 1~5
4 議案第61号
5 議案第63号
6 議案第64号
7 議案第65号
8 議案第67号
9 議案第68号
10 議案第73号
11 議案第74号
12 議案第75号
13 議案第83号
14 議案第84号
   

〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時43分 散 会


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