平成15年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇19番(及川幸子君) 自由党の及川幸子でございます。
 今回、任期最後の質問の機会をいただき、心より感謝申し上げます。5度目の登壇ということになりますので、私なりに今までの総括、そしてまた、4年近くにわたる議員としての歩みの中で、多くの視察を通して感じたことや、県民の方々と熱い対話を重ねてきた中での思いを、順次質問させていただきます。
 初めに、平成15年度当初予算編成に係る知事の基本姿勢についてお伺いいたします。
 我が国経済の低迷に伴い、本県財政は県税収入が減少し、また、主要な財源である地方交付税や国庫支出金も、国の構造改革の影響を受けて大幅減少となるなど、歳入確保が極めて困難な状況下にあります。財源不足を補てんするための借金である県債の発行予定額は、前年度当初比3.6%増の1、381億6、100万円であり、県債発行残高は1兆3、623億円に上る見込みで、県民1人当たり約96万円の借金をしていることになります。我が家であれば、現在9人家族でございますので864万円という驚くべき額の借金であります。それだけの借金を返済するためには、一般家庭であれば、家族一人一人がむだ遣いをせず、緊縮、緊縮の苦しい生活が待ち受けているはずです。県では、人件費などの義務的経費や公共事業などの投資的経費の削減に努めたようでありますが、県債の新規発行額、県債残高も前年度を上回っており、借金残高は今後さらにふえることは確実であります。
 先日、私のところに一本の電話がありました。けさの新聞で県の新年度の当初予算案の記事を見て、やり場のない憤りを感じたと言うのです。その方は30数年間、車いすの生活をしている高齢者でありますが、義務的経費が歳出の半分近くの46.9%を占めており、これでは私たちのような弱い立場にある者には、ただただ苦しみが残るだけではないのか。何とかしてほしいというお話でした。この義務的経費のうち、扶助費は、平成11年度以降、対前年度比で100%を超えていたものが、来年度は対前年度比82.9%と大きく減額となっているのに対し、公債費は、平成10年度比で166%の大幅な伸びとなっておりますが、まずこのことに関する知事の御所見をお伺いいたします。
 私は、今回の予算編成の内容を拝見して、歳出に見合った財政運営がなされていないのではないかと懸念しておりますが、そのうち公共事業費が前年度対比18.3%減となり、過去最大の削減率となっておりますが、これだけで必要な財源を生み出すことができたのかお伺いいたします。
 盛岡駅西口複合施設の整備に対しましても、なぜ財政の逼迫したこの時期にやるのかという多くの意見が寄せられております。今、早急に取り組まなければならないことは、ベンチャー企業の育成などにより産業構造を変え、新たな民間活力を呼び起こすことではないかと考えるものですがいかがでしょうか。
 また、県では、政策評価システムについて条例化しようとしているとお聞きしておりますが、来年度当初予算案は、確かな評価で将来を見据えたものとなっているのでしょうかお伺いいたします。
 去る14日に行われた知事演述の中で、知事は、過去の成功体験にとらわれない、新しい発想に基づく非連続の改革に、失敗を恐れない勇気を持って挑戦していくことが大切であると述べられましたが、その勇気の部分が真に伝わってこないのは、私だけでしょうか。演述の最後にある、ほかのどこでもないこの岩手の大地が持つ、本当の豊かさを大切にしながら、しっかりと自立し、誇りと気概を持って、未来を切り開いていくことが、何よりも重要である、この言葉が生きた予算となっているのかお伺いいたします。
 次に、市町村合併について知事にお伺いいたします。
 地方分権一括法が施行されて、はや3年を迎えようとしている今、各市町村においては、権限、財源の大幅な移譲があるべきはずが、いまだに霞が関頼りであるとの不満の声が多く聞かれます。このような中で、県内各地で合併に向けて大いに論議が交わされており、各市町村は、あめの部分である合併特例法の期限である平成17年3月31日に向け、態度決定を迫られている現状にありますが、自治体間には若干の温度差もあり、期限が迫る中で早急に結論を出せない市町村もあるようであります。
 昨年12月5日に私の地元で開催された市町村合併シンポジウムで、知事は、市町村が地方自治の中心であり、自立していくべきであり、そのためには、国から何を言われようが、県から何を言われようが、だめなものはだめとはね返すだけの力を持った市町村でなければいけないと述べられました。まさに多様化した激動の道を歩む行政のリーダーにとって、希望の持てる力強い言葉だと感じたところです。このように知事は各種会合に出席し、また、多くのシンポジウムで各首長さん方の合併に向けた考えを直接聞いているわけですが、合併はだめだと意思表明している市町村に対し、今後どのように指導していくのかお伺いいたします。
 また、そのように合併しないとする自治体を除いて合併した場合、果たして道路などの地域の社会基盤整備が可能と考えているのかお伺いいたします。
 今後、我が国の人口が確実に減少するとともに、より一層の少子・高齢化が進むと予測されている現実を直視した上で、将来の地域のあり方を考える必要があります。合併に対する住民のさまざまな不安をいち早く払拭し、確かな方向づけが見える合併指針を示すべき時期に入っていると思いますが、県では今後どのように対応していこうとしているのか、具体的にお示し願います。
 次に、私がこれまでも本会議や委員会などで質問してまいりましたが、合併に関する会合が県議会などの日程と重なり、一度ならず二度までも欠席せざるを得なかったことは、市町村合併に関する県議会議員の役割を軽視していることのあらわれではないかと感じております。平成13年10月及び14年12月に私の地元で開催された合併シンポジウムでは、知事は、胆江地域の6市町村長さん方と合併に向けた真剣な論議を交わしております。私は、所管地方振興局からそのときの資料をいただき、2冊の資料を4時間かけて読ませていただきました。しかしながら、活字では各首長さん方の地域を思う熱い思いがいま一つ伝わってこないのです。県側はこれまでも、今後十分に検討してまいりますとの言葉を繰り返しておりますが、今回の日程の決定に当たっても、私たちに約束した検討を全く行ってこなかった結果ではないかと推測されますが、いかがでしょうか、きちんとお答えください。
 次に、産業廃棄物対策についてお伺いいたします。
 本県では、現在、環境首都いわての実現に向け、環境の保全に関する条例を制定し、さまざまな取り組みを積極的に進めているわけですが、本県にとって緊急の課題は、二戸市と青森県田子町にまたがる国内最大規模のごみの山、産業廃棄物不法投棄事件の処理問題であります。私も昨年5月、会派で現地に行き、その不法投棄量のすごさに驚くとともに、地域住民の悲痛な訴えも聞いてまいりました。主に首都圏から出された膨大な次世代へのツケを今後どう処理していくのかという重大問題の解決が求められているわけですが、全量撤去を前提に廃棄物の排出業者の負担も求めながら、平成15年度予算においても県境不法投棄現場環境再生事業として、この財政難の大変な時期に28億7、600万円という莫大な予算が計上されており、県民もやり場のない痛みを感じております。平成7年に岩手県側で産業廃棄物の埋め立てが確認されてから今まで、住民は不安の中で生活してきたのです。私たちの周囲にも、私たちが知らない間に、どこからか環境汚染につながる廃棄物が持ち込まれているのではないだろうかとの不安は隠せません。地域住民の安心・安全な暮らしを守るためにも、次の点についてお伺いいたします。
 産業廃棄物処理業者が業務上必ず記入、保管すべきマニフェストが適切に処理されているのか否かの確認調査を、抜き打ちで現場に足を運んで実施しているのかという点を含めて、県の業者指導の状況についてお伺いいたします。事が起きてからの調査、指導ではなく、常に健全な処理業務が行われているかどうかを日常的に調査、指導する体制の強化が必要と考えますが、いかがですか。
 次に、産業廃棄物処理業者を対象とした研修についてですが、健全な処理業務が行われるためには、処理業者の資質向上が必要不可欠であり、このためにも研修の充実がとても重要であると思いますが、この点に関し、県はどのように取り組んでいるのでしょうか。
 次に、子育てに関する支援策についてお伺いいたします。
 少子化、核家族化が急速に進んでいる現在、子育て環境は大きく変化しております。子育てと就労の両立についてその負担感も増大し、子供を産み育てにくい環境になっているのではないかと感じております。子育ての悩みをだれにも話せぬままに、とうとい、かわいい命を母親の手で奪ってしまう痛ましい事件も年々ふえ続けております。また、小泉内閣は、母子家庭の児童扶養手当削減について強行採決いたしました。子供が18歳になる年の年度末まで所得に応じて支給されていたものが、支給から5年たてば減額され、最大で半分にするというものです。母親の涙の訴えも国には全く届かなかったようです。また、何らかの事情で母親の手一つで子育てをしていかなければならない母子家庭の平均年収は、一般家庭の3分の1程度であり、また、養育費の支払いを受けている母子家庭は2割程度にすぎないのが実態です。私は、このような世帯に対して、県としても何らかの子育て支援策を講じていく必要があると思いますが、この点についての見解をお聞かせください。
 また、子育て支援策としてのファミリー・サポート・センターは、平成13年度に水沢市と花巻市の2カ所で設置されておりますが、利用者からは、援助を依頼する相手方に支払う1時間500円の報酬は少し高いので、見直してほしいという声も出ております。県では、その運営状況についてどのように認識されているのでしょうか。また、このセンターの今後の整備計画についてもお伺いいたします。
 昨年12月には盛岡市の保育料の滞納額が2億円を超えているとの報道がなされました。不景気で生活が厳しく、保育料が払えないとの理由が多かったと聞いております。盛岡市の問題だけでは片づけられない、子育て支援策として重要な課題であると考えますが、県の見解をお伺いいたします。
 また、保育所の待機児童の実態と今後の整備計画及び無認可保育所の現状と今後の取組方策についてもお伺いいたします。
 次に、就学前児童への医療費助成についてお伺いいたします。
 少子化時代を迎えている現在、私はすべての市町村が所得制限のない一律的な助成を行っていくべきであると考えますが、県のお考えをお聞かせください。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 我が国は、長引くデフレ不況による企業の倒産やリストラが後を絶たず、雇用問題は深刻度を増しております。年平均の完全失業者数は、前年度に比べて19万人増の359万人で、4年連続で300万人台を超えている状況であります。家計を支える世帯主の失業率も最悪の3.7%であり、完全失業率も5.4%と、先行き不透明感は払拭されておりません。このことは人口の流出にも影響を及ぼしており、本県でも5、000人以上の人口が減少していると聞いておりますが、活力ある岩手を生み出すためには、何といっても地場の中小企業を元気にさせる施策こそが重要であると考えるものであります。ついては、県の中小企業に対する支援の状況と、それによる雇用上の効果の状況についてお示しください。
 また、胆江地区においては、工業団地への企業誘致を積極的に行い、何千人もの雇用確保に努めているところもありますが、県全体としての今後の企業誘致への取組方策についてもお伺いいたします。
 県では、中心商店街の空洞化に対する各種の施策を講じているとお聞きしておりますが、商店街に元気が戻り、かつ、雇用状況も改善されたという例はあるのでしょうかお伺いいたします。
 また、文部科学省が調査した全国の今春卒業予定の高校生の就職内定率は、昨年12月末現在で66.3%と、一時よりも幾分上がりましたが、依然として過去最悪の状況下にあります。本県では、1月末現在で何とか前年並みまで戻り、70.4%と全国平均を上回ってうれしい数字かと思いきや、1月末現在の数字としては1996年度以来の最低数字ということで、またまたがっくり。国にはもう頼れません。いまだ就職先の決まっていない1、259人の生徒の就職先確保のための本県独自の力強い施策をお示しください。
 次に、農業振興対策についてお伺いいたします。
 我が国の農業を取り巻く環境は大変厳しく、食料自給率も毎年下がり続けております。食料自給率40%に対し、農産物輸入額は1984年以降世界第1位を占め、海外では、国内農地面積の何と2.5倍の農地を日本向けの生産のために使っていることになり、食の安心・安全が問われている現在、何とも不安な状況にあります。毎日買い物に行く大手スーパーの野菜売り場には、これ、大丈夫なのと疑いたくなるほどピーンとした海外から輸入された青物野菜がずらりと並んでおります。
 農畜産物の県内の流通状況について担当部に問い合わせたところ、大手スーパーなどは市場を通さない独自の仕入れルートを持っており、実態把握が難しい状況であるとのことでしたが、消費者としては、食料品の安全マークの徹底、生産者の顔の見える生産物、いわゆるトレーサビリティーこそ一番望むものであります。昨年、農薬問題で中国産ホウレンソウが大騒ぎとなりましたが、私の周りでは農家のお母さんたちが、栄養価たっぷりの安全な朝取りホウレンソウを毎日産直施設に並べ笑顔いっぱいで販売しております。私は、しばしば道の駅にある産地直売施設に行って新鮮な農畜産物を購入しておりますが、そこにはこのような実に多くの旬の農畜産物が所狭しと並んでおります。そこで感じることは、品質のよさと品目の多さです。そして、こうした農産物を生産されているお母さんたちの生き生きとした表情にも出会うことができます。このような直売施設の様子を見ていると、品質がよく安心できるものを生産していれば、消費者は必ず評価してくれるはずであると感じます。私は、本県の恵まれた生産条件を生かし、品質のよい農畜産物をもっともっと生産し、自信を持って県内外に販売する、このことによって生産者の皆さんも元気が出て、地域も活性化し、かつ農家所得も増加すると思うのです。
 そこで、お伺いいたしますが、本県産の農畜産物の販売状況はどうなっているのでしょうか。また、今後の県内外における販売対策についても、あわせてお示しください。
 また、未来を担う子供たちにも、学校給食において地元で生産された安心・安全な食材を味わわせたいと考えるものです。学校給食への地元産食材の活用促進に向けたこれまでの取り組みと今後の方針について、現在の利用状況も含めてお聞かせください。
 また、大手スーパーなどを含む本県内で流通している農畜産物の品目ごとの流通経路や流通量などについては、消費者のみならず生産農家のためにも、ぜひとも把握する必要があると考えるものですが、県の御見解をお聞きいたします。
 次に、間伐材の利用促進についてお伺いいたします。
 輸入材の増加や林業従事者の高齢化など、林業が抱える問題は非常に深刻であります。県土の約8割を森林が占める本県では、資源を有効に活用して、地球環境への負荷を抑制する資源循環型社会の構築を目指し、さまざまな取り組みがなされております。その中で、間伐材の利用促進、有効活用も求められておりますが、用途が限られ利用が少ない間伐材や、製材工場から発生する端材などの林業の副産物の活用は進んでいないのではないかと感じております。木材チップとしての需要の減少や古紙のリサイクル利用が推進される中で、大変厳しいものとなっており、今後の需要の増加が見込まれないと聞いておりますが、新たな用途への県の取組状況をお示しください。
 次に、学校教育のあり方についてお伺いいたします。
 今、学校における教員の指導力の低下が問題とされておりますが、完全学校週5日制によって生徒にゆとりが生まれているのでしょうか。ゆとり教育は、生徒の考える力や問題解決能力の育成上、問題はないのでしょうか。文部科学省は、学力低下に対応した施策を打ち出しているようですが、ゆとり教育を目指して学習内容を3割削減したことによって学力低下が生じているのであれば、何のためのゆとり教育だったのかと疑問を感じます。
 国立教育政策研究所が、昨年、東京都と岐阜県の小・中・高の児童生徒を対象に実施したアンケートによりますと、小・中・高と年齢が上がるほど学習意欲が低下する傾向が見られ、小学生では、一生懸命勉強しているが29%であるのに対して、中学生では13%、高校生では6%という状況であり、その一方で、高校生の勉強していないは60%という惨たんたる状況であります。やはり学習習慣を身につけさせるためには、小学校低学年のうちから、読み、書き、そろばんという基礎的学習をきちんと行う必要があるのではないかと考えるものであります。
 また、小学校低学年のころから心の教育に取り組み、子供たちと誠実に向き合い、子供たちの悩みを真剣に受けとめていけば、子供たちも先生を好きになり、それに伴って学習意欲も高まっていくのではないかと考えるものであります。今の先生方は忙し過ぎて、休み時間も放課後も生徒と触れ合うこともできず、与えられたカリキュラムをこなすだけで精いっぱいではないのですか。ゆとり教育は、まず教師側がゆとりを持つことから始めるべきだと思いますが、これらゆとり教育をめぐる現状認識と今後の対応策についてお伺いいたします。
 この完全学校週5日制の導入に関しては、県教育委員会は、いつも順調に推移していると述べておられますが、子供たちは、ゆとり教育によって生まれた時間の多くをゲームやテレビ、漫画に費やしており、保護者からは、子供の生活がだらける、学力が低下するとの不安の声が出ているとも報じられております。県では、このような声についてどのように理解し、今後どのように対応していこうとしているのかお伺いいたします。
 また、行き届いた教育を目指す30人学級の実現を目指す運動が展開されておりますが、この問題に関する県の考え方についてもお示しください。
 次に、地元水沢市に関係する課題について質問させていただきます。
 JR東北本線水沢駅周辺の鉄道高架化構想については、再三にわたって知事にも要望している事項でございます。水沢駅を中心として南北にオーバーブリッジが2カ所あり、その2カ所の大橋を地域の人たちが利用しているわけでございますが、冬場の凍結時期は混雑する車で大変危険な思いをしている箇所でもあります。交通弱者の人たちは、長い大橋を隣町まで移動するたびに大変な苦労をしております。鉄路が地域を東西に二分していることが地域住民の日常生活に大きな影響を与えている現状を見るとき、一日も早い構想の実現を望むものであります。この構想については、国の条件が緩和され県が事業主体となることの可能性が高まるなど、明るさが見えてきたと感じているところであります。この水沢駅周辺高架化構想は、水沢市のみならず、現在の胆江地区の発展にとって重要な位置を占めるものになると確信しているものでありますので、この構想の実現に関し、将来に向けた明るい展望を持てる前向きな答弁をお願いいたします。
 また、国道397号の整備促進に関するもののうち、小谷木橋の整備についてお伺いいたします。
 この小谷木橋は、大船渡港と内陸地方を結ぶ大変重要な位置にありますが、知事も御存じのとおり、幅員が非常に狭く大変危険な箇所であり、積雪時期になりますとそれがますます狭くなり、水沢市内から新幹線の水沢江刺駅に向かうときなどは、遠回りしてこの橋をなるべく通らないようにしている人も多いのです。長年の懸案事項でありながら、これまた実現が難しく、都市計画の方向が見えない限り、周辺の土地利用さえ、めどが立たない状況であります。関東自動車で生産された車が仙台港から積み出されている現状を打破するためにも、この橋の早期整備を実現し、県内陸部の工業地帯と港湾とが連携することにより、大いなる本県の工業振興を図られるよう、将来を展望した前向きの御答弁を期待いたします。
 最後に、職員の県民との対話及び地域活動への参加状況についてお伺いいたします。
 知事は、2期8年の間、県政懇談会や市町村要望のほか、農作業や各種会合などへの出席など、多くの機会を通じて積極的に県民との対話を行っておられますが、一方、職員はどうでしょうか。県議会においても、再三、職員倫理条例制定以降、県民との対話に消極的になっている職員が多いのではないかとの質問がなされており、私も同様に感じておりますが、知事はいかがお感じでしょうか。
 また、職員のボランティア活動やNPO活動、消防団などの地域活動への積極的な参加についての御所見もお伺いいたします。
 以上、申し述べましたが、4年余りの間、議員として県政に参画する中で、常に県民と同じ目線で物事を考え、心のある判断をしていくことがいかに大切であるかを知ることができました。そしてまた、多くの出会いの中で、自分自身の研さんを積みながら、今以上の知識を持ち、前向きな歩みの中で県民のために活動していく必要性を感じたものであります。今後においても、すばらしい県土の発展があらんことを切に願い、質問を終わります。
 御清聴くださいましてまことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 及川幸子議員の御質問にお答え申し上げます。
 何点か平成15年度当初予算編成についてお尋ねがございましたが、まず、この予算の性格でございますけれども、今回は選挙の関係がございますので、いわゆる骨格予算として編成をしております。したがいまして、新規・政策的経費は除いたものとして編成をしているわけでございますが、その中で、議会の方にもお許しをいただいて、現下の厳しい財政状況にかんがみて、公共事業費の方は削減、それから、人件費の抑制や事務事業評価の徹底などによりまして経費を見直し、歳出全般は抑制を図っておりますし、それから県政課題で喫緊の課題だと思われるもの、すなわち産業構造の転換や緊急の雇用対策、それから青森県境での産業廃棄物不法投棄現場の環境再生、食の安全安心対策など、今申し上げました緊急性が高いものについては、本県の将来も見据えた上で、この骨格予算の中に盛り込んだものでございます。
 こういう形で編成をしたものでございますが、具体的に御質問のございました経費について申し上げますと、まず、扶助費の減額が大きいのではないかと、こういうお話でございますが、知的障害者の施設入所に対しての措置費が、平成15年度から支援費制度に移行することとなっております。障害者の自己決定を尊重して利用者本位のサービス提供になるようにと、こういう趣旨で措置費から支援費制度になると。その仕組みとして、市町村負担分が県予算を経由しない形でダイレクトに行くことになってございますので、これは本県の予算上は全体で減額ということになってございますが、県と市町村分を合算した制度全体では、従前と同様の予算措置を行っております。そのほか、この要素を除いた場合、生活保護費などは当然増加になっておりますので、扶助費全体では増加をしていると、こういうことでございます。
 それから公債費が増加してございますが、これは、一方では国の経済対策に呼応して、交通基盤や農林水産業関係の生産基盤施設整備といったような公共事業を推進してきたということがございますし、他方で県内の状況、県民生活の利便性の向上を図るということで、東北新幹線や県立大学、それから美術館などの整備に努めるほか、そのほかもさまざまな公共施設整備を行ってまいりまして、いわゆる良質な社会資本整備のための財源として県債を活用してこれを発行してきた、その償還が今多く重なってきておりますので、そういう理由で公債費の増加ということにつながってきております。
 公共事業の削減についてでございますけれども、これまで本県では、全体的には社会資本の整備がおくれてきたという状況がございましたので、それを取り戻したいということで、国の景気対策などでこうしたものについて有利な制度ができておりましたので、そうしたものを活用して、事業の大幅な前倒しを行って整備の促進に努めてきたわけでございますが、現下の財政状況というものを十分に考えますと、やはり本県がそれ以前の段階で行ってまいりましたあるべき適正水準に段階的に平準化していくことが必要だと、そういう形でハンドルを切ることが必要だというふうに考えまして、今回削減をしたわけでございます。
 もう、これから右肩上がりの経済成長が期待できないという段階になってきておりますので、国への依存ということを極力廃止して、そして本県の自立に向けて、岩手県が持っております技術やすぐれた人材を生かしたいわゆる新たな内発型産業などの育成に努めると、そして、これからは、公共事業に過度に依存しない地域経済構造に転換を図りたいと、こんなことで、これまで整備した社会資本ストックは十分活用する方向で考えると。それから環境分野、雇用分野、福祉、それから教育などのこうした分野中心の施策への転換を図っていく必要があると、こんなふうに私は考えています。
 その中で、産業構造を変えて民間活力を呼び起こすための具体的な取り組み、今、議員の方からベンチャー企業の育成などが大変大事ではないかと、こういうお話がございましたが、創業ノウハウの習得を目的として今までいわて起業家大学も開催してまいりましたし、今年度からより専門的な起業家大学院というものを開催して創業支援を行っております。それから、産学官連携による独創的な研究開発を推進したり、さらには、専門家チームによる成長可能性の高い企業への重点支援、そしてまた、今年度つくりましたいわてインキュベーションファンドを活用して、投資・株式公開支援といったようなことで、今お話のございましたベンチャー支援ということには特に力を入れておりますし、そうしたことによって多くのベンチャー企業を創出していきたいと、こんなふうに考えております。
 また、今申し上げましたものづくり技術というのは、本県にとりましても大変重要な要素でございますので、この強みを生かした、特に自動車関連産業などを一層集積させたり、情報サービス、物流など、いわゆる雇用吸収力の高い産業分野で新たな企業誘致をしたり、それからコミュニティ・ビジネス、地元住民が地元の資源を利活用して行うビジネスですが、こうしたものの育成を図って、多様で厚みのある産業構造への転換を図っていきたい、こうしたものは当初予算の中にも十分盛り込んでございます。
 今後は、これまでの政策評価の結果を十分に踏まえて、いわゆる選択と集中によって重点的に施策を展開していくと、こういうことを考えておりますので、今、骨格予算という中で、当初予算で措置した事業のほかにも、考えただけでもさらなるベンチャー企業支援ですとか産廃税を活用した環境産業の育成、あるいはひとづくりなどを初め取り組むべき多くの課題がありますので、そうしたものについて具体的な施策をさらに練って、今後の補正予算、6月になりますけれども、ここにおいて肉づけをしたいと、こういうふうに考えております。
 それから、合併について幾つか御質問がございましたが、まず、市町村長の意思表明についてでございますけれども、暮れから年明けにかけまして全市町村長の意向を聞いたわけでございますが、そこでは、意向として合併そのものを否定する市町村長さんはおりませんでした。それから、例の国で設定をしております合併特例法期限内の合併にはこだわらないと、その期限内には逆に言うと合併をしないということを言っているわけですが、そうした期限内にはこだわらないでもっと長い期間で考えていきたいと、こういうことは何人かの市町村長さんがおっしゃっておりますし、最近もそういうことで表明をしている方もございます。
 このように、当面は合併を選択しないという市町村では、より財政状況は厳しくなっていくわけですので、そうした市町村では今の行政サービス水準を維持し、あるいはこれから出てくる新しい行政課題に対応するためには、相当な事務事業の厳選ですとか、行政コストの削減ですとか、それから場合によっては他町村との事務の共同処理など、今までとは異なるようなさまざまな対応が必要になるわけでございますので、そうした選択をする場合でも、この町では、こういうことを行ってこれからの厳しい財政状況に対応していくのだと、そして住民の皆さんに行政サービスを提供していくのだということで、やはり十分に説明をする必要があると思います。いろいろな策を講じて、そして、その状況について住民の皆さんに十分説明をして、理解と協力を得る必要があるだろうというふうに思っておりますので、こうした住民の皆さんへの説明なり地域での議論を深めていただくための、我々としてもさまざまな協力を惜しまずにやっていきたいと、助言もいろいろしていきたいと、こういうふうに思っております。
 それから、地域の社会基盤整備について、合併しないとしている自治体を除いてほかが合併した場合に道路整備などはどうなるかということですが、一部の市町村で合併を選択しなかったために一体的な基盤整備ができない場合には、そこの部分については、その市町村みずからの力で取り組んでいくと、こういうのが原則だと思います。このため、地域の将来像を考える際には、地域住民の皆さんの生活圏とか歴史・文化などのつながりというのが今まで蓄積されてきていますから、そういうものを十分考えていただいて、それぞれの市町村長さんが住民の皆さんと十分に議論を重ねて、それからまた周辺の関係市町村間で協議していくことが重要だというふうに考えております。
 それから今後の対応ですけれども、県では、先ほど言いましたような市町村長の意向調査結果というものがございますので、これをよく見て、まだ一部ですけれども、みずからの意向を表明していない市町村長がおりますので、こうした市町村に対しては、これは選挙の都合などがあって首長さんがかわられたというところもございますし、そうしたいろいろな状況があると思いますけれども、やはり地域の住民の皆さんと議論を一層深めていただいて、あるいは議論をしっかりとやっていただいて、早期にどういう選択をするのかを表明していただくことが必要だろうと。そのことを我々の方から促していきたいと思っていますし、それから、市町村長間で合併の選択をしながらも方向性が一致していない地域が現実にあるわけで、こういう場合には必ず生じてくるわけですが、こうしたものについては関係市町村間での協議がスムーズに行えるよう我々も助言したり、それから私もそうした問題には先頭に立って、全庁挙げて、そういう市町村合併という選択をとられた市町村に対しては取り組みを積極的に支援していく、こういう考え方で臨んでいきたいと思っております。
 次に、職員の県民との対話あるいは地域活動への参加についてでございまして、議員の方から特に御懸念として例の職員倫理条例制定以降、むしろそういったことが欠けているのではないかと、こういう御心配をいただいたわけでございますが、まず、基本的にはこの私も含め、県庁職員全員が現場重視の観点で積極的に地域へ出て行って地域の皆さん方と対話をすると、これはもうすべての基本でございますから、これからも全員がそういうことに心がけていかなければならないというふうに思っております。特に、現場に一番近いところは地方振興局で、地方振興局が今どういう状況かといいますと、職員の倫理条例を制定した後、むしろ地域県政懇談会ですとか地域計画推進懇談会など、名称はいろいろ地方振興局ごとによって異なるのですが、今言ったような名称などで地域の方々との意見交換の機会をふやしてきております。倫理条例制定以降、むしろそういった機会をふやして、局長ですとか地方振興局の部長などが出席をして、皆さん方とそういう意見交換の機会を持ってございますのと、それから各種団体が主催する会議にも出て、そしてそういったところで地域の皆さん方の声を聞くということに努めてきております。
 それから、ボランティア活動などいわゆる地域活動でございますが、これは地域に暮らす住民の一員として、これは官民分け隔てなく、県民としての立場でそういうものに参加をしていくことが大事でございます。例えば、昨年の台風6号が夏にございましたけれども、その際の大雨災害時の救援活動、豪雪地帯での雪おろし活動、これは今の時期でございます。それから消防団の火災予防活動など、それぞれの地域での活動に多くの職員が参加してきております。
 分権時代の県職員というのは、地域と積極的にかかわりを持って、それで相互理解の中で地域課題に対応すると、これが基本であろうと思いますので、例えば地元消防団への県職員の入団というのは、これからまたさらに一層督励していかなければならないと思っていますし、先ほど言いましたようなボランティア活動、その母体となるボランティア団体への参加などについても大いに促して、そして今後とも職員の県民との対話や地域活動への積極的な参加ということが、そのとおり実態として行われるようにしていきたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 合併シンポジウムの開催日程についてでありますが、県議会12月定例会の開会中に開催せざるを得ない状況となったことにつきまして、議員の皆様方に深くおわびを申し上げます。
 この日程につきましては、平成17年3月の合併特例法の期限を考えますと、昨年末がこれからの市町村のあり方を決める一つの重要な時期であると、そういうふうにとらえまして、こうしたシンポジウムを昨年内に開催することが、この地域の議論を一層深めるために効果的であると、そういうふうに考えまして、市町村議会の日程や関係市町村長さんあるいは講師等の参加者の日程、さらには年末にも確認することといたしておりました各市町村長さんの意向を明確にしていただくための時間をも考慮した結果、12月初旬のみが開催可能というふうに考えましたので、やむを得ず県議会の会期中に開催したものでございます。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) 産業廃棄物対策についてでありますが、産業廃棄物の不適正処理を未然防止するため、保健所におきまして、産業廃棄物処理業者に対し抜き打ちでの立入検査を実施しているところでありまして、平成11年度で延べ1、391件、平成13年度には約3倍の延べ3、930件と、その件数も年々増加しているところであります。
 監視内容といたしましては、廃棄物の保管状況、処分状況のほか、必要に応じて委託契約書やマニフェストを確認し、適正な処理が行われるように指導をしているところであります。
 監視指導体制につきましては、平成11年度にいわゆる産廃Gメン4名を配置して以来、逐次体制強化を図りまして、平成14年度には11名といたしまして、県内すべての保健所に配置したところであります。
 正規職員につきましても、地方振興局における環境対策の業務量増大に対応いたしまして、平成14年度に5名を増員したほか、資源循環推進課へ警察併任職員を配置するなど、体制強化を図ってきたところであります。
 また、来年度からは、産業廃棄物処理施設等への立入検査の権限を市町村に移譲いたしまして、市町村との連携による監視強化を図っていくこととしております。
 次に、研修につきましては、毎年、産業廃棄物処理業者、廃棄物排出事業者、これらを対象といたしまして、産業廃棄物処理法の説明会を保健所単位で実施しているところであります。今年度は約2、000名が受講をしております。さらに、研修の一層の充実を図る観点から、昨年度から新たに、岩手県産業廃棄物協会が実施いたします優良処理業者育成研修、これへの講師派遣や補助を実施しているところであります。
 今後は、昨年12月にお認めいただきました循環型地域社会の形成に関する条例で掲げております優良な産業廃棄物処理業者の育成、優良事業者の育成でありますが、これを本県の廃棄物行政の主要な柱と位置づけまして、産業廃棄物業者の資質の向上を通じて、産業廃棄物の適正処理がなお一層推進されますよう、環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君) まず、母子家庭への子育て支援策についてでありますが、これまで母子家庭の経済的支援策として、児童扶養手当の支給や母子寡婦福祉資金の貸し付けを行うほか、県単独事業として、市町村が行う医療費助成に対する補助などを行っております。また、日常生活における自立支援策として、介護人の派遣事業、母子相談員や弁護士による相談など、きめ細かな子育て支援を実施してきたところであります。
 国においては、離婚の急増など、母子家庭等をめぐる状況の変化に対応するため、昨年の3月に母子家庭等自立支援対策大綱を策定し、就業・自立支援センターの設置など、所得の増大に結びつく雇用機会の拡充等を図り、就労による自立を促進する方向性を示したところであります。さらに、子供の養育費支払いの履行をより実効性のあるものとするため、法制度の見直しなども検討されていると聞いております。
 県としても、これらの施策とともに、今後、市町村やハローワークなど関係機関と連携し、母子家庭の自立と子育て支援対策を総合的、計画的に推進してまいりたいと考えています。
 次に、保育料の負担についてでありますが、前年に比較して収入が減少するなど、負担能力に著しい変動が生じた家庭に対しては、国の通知によりまして、市町村長が保育料徴収の階層区分の変更を行うことができるものとされております。県としましては、この保育料の階層区分の変更により、子育て家庭の保育料の負担軽減が図られるよう、さらに本制度の周知に努めてまいりたいと考えております。
 次に、保育所待機児童についてでありますが、平成14年10月現在では、12市町村112名となっております。県では、待機児童の解消のため、市町村から保育所待機児童解消計画書の提出を求め、おおむねその計画どおり、施設の整備や定員増などの対応を行っているところであります。
 また、認可外保育施設についてでありますが、昨年10月現在、25市町村に126の施設があり、2、430人の児童が利用しております。これらの認可外保育施設に対しましては、地方振興局による立入調査等を通じ、適正な保育が確保されるよう指導を行っているほか、保育従事者の研修会への参加の促進、ハンドブックの作成・配付等を行っているところであります。
 県においては、これらの事業等を通じ、県民が安心して利用できる質の高い保育サービスが提供されるよう、努めてまいりたいと考えております。
 次に、就学前児童への医療費助成についてでありますが、乳幼児に対する医療費助成は、必要な医療を確保することにより乳幼児の心身の健康を保持するとともに、生活の安定を図ることを目的として実施しております。
 乳幼児医療費の負担軽減については、都道府県や市町村がばらばらに実施するのではなく、少子化対策の一環として国の施策として実施されるべきであると考え、これまで国に対してその制度化を働きかけてまいりました。これまで、健康保険法等の一部改正によりまして、昨年10月から、3歳未満の乳幼児に係る自己負担率が3割から2割に引き下げられたところでございます。
 所得制限につきましては、今後ますます増大する福祉施策への多様なニーズに積極的に対応するためにも、それぞれの能力に応じて負担していただくという観点から導入しているものであり、必要な措置であると考えております。
   〔商工労働観光部長照井崇君登壇〕

〇商工労働観光部長(照井崇君) まず、ファミリー・サポート・センターの運営状況についてでありますが、平成15年1月末現在、水沢市の会員数は220人、活動件数は1、097件であり、花巻市の会員数は312人、活動件数は1、655件となっております。今年度は、各センターとも昨年度に比べ、会員数、活動件数ともに大幅に増加しており、労働者の仕事と家庭の両立や地域の子育て支援に貢献してきているものと考えておりますが、育児の援助を受けたい会員に比べて援助を行う会員の数が少ないことから、援助を行う会員数の増加を図ることが課題となっております。
 援助を行う会員へ支払われる報酬の額については、各センターが会則によりその基準を定めているところでありますが、東北各県の1時間当たりの報酬の額の平均は555円であり、水沢市と花巻市はこれを下回っております。
 また、平成15年度には盛岡市で設立が計画されておりますが、労働者の福祉の増進と児童の福祉の向上を図るため、今後とも、未設置市町村に対し積極的に設置促進を働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、中小企業に対する支援策と雇用上の効果についてでありますが、まず、創業を目指す方々に対しては、そのノウハウの習得を目的としていわて起業家大学や大学院などを開催するとともに、中小企業支援センターなどの支援機関が創業に向けた相談にきめ細かに対応しているほか、県単の創業資金融資などによる支援を実施しているところであります。
 また、新事業分野への進出や経営効率化などの経営革新を促進するため県内各地で講習会を開催し、中小企業者の経営革新意欲の醸成を図るとともに、専門家派遣などにより経営革新に向けた計画づくりを支援しているところであります。さらに、その実施段階においては、中小企業経営革新支援法に基づき、新商品の開発や新たな生産・販売方式の導入等に対し助成を行うとともに、創造的な研究開発を促進するため、産学官共同研究の推進や中小企業創造活動促進法に基づく各種の支援策を講じているところであります。
 本年4月には、いわて産業振興センターに経営やマーケティングなどの専門家チームを設置し、経営戦略の確立、販路開拓などをきめ細かに支援するなど、成功事例を一つ一つ積み重ね、地域経済の活性化と雇用の担い手となる元気な企業を数多く創出、育成してまいりたいと考えております。
 このような創業や経営革新、研究開発などの中小企業支援により、平成14年度の雇用創出効果は約630人と見込んでいるところであります。
 次に、企業誘致の取り組みについてでありますが、誘致企業が県内経済の発展と雇用の創出に果たしている役割は極めて大きなものがあり、今後とも優良企業の誘致に積極的に努めていく必要があると考えております。
 具体的な取組方策としては、自動車関連業や今後も国内展開が期待される業種、すなわち、コールセンター等の情報関連業、物流、環境関連業などを重点的なターゲットとして、立地促進のための補助や低利融資など各種優遇策の拡充強化、さらには、団地の小区画化、割賦販売及びリース制度の導入など、企業の多様なニーズに対応しながら、市町村や関係団体と一体となった企業誘致活動を展開してまいりたいと考えております。
 また、立地決定から操業後に至るまでのきめ細かなフォローアップにより、企業の満足度の向上を図り、企業の皆様から岩手に立地したい、岩手に立地してよかったと評価されるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、中心商店街の活性化対策についてでありますが、これまで本県では、まちづくり機関――TMO――が作成するTMO構想に基づき、地域が一体となって、創意工夫を生かした取り組みが展開されてきております。
 その成果といたしましては、北上市では、平成12年にTMOであるまちづくり会社が百貨店や市営の多目的ホールなどが入居した商業施設北上ツインモールプラザを中心市街地に整備したところ、約1、200名の雇用が創出されるとともに、整備前に比べ市街地の自動車交通量が約23%増加し、また、空き店舗数が約半数に減少しております。遠野市では、閉鎖された旧遠野サティの建物を市が取得し、昨年12月に、新たに市民サービスセンターや農産物直売所などが入ったとぴあをリニューアルオープンしたところ、約190名の雇用――閉鎖前は140名でございます――が創出されたほか、売上高は前年同月比で約30%増加しております。
 今後とも、こうした成功事例を一つ一つつくり出して、各地の取り組みに波及させ、にぎわいと活気あふれる中心商店街を形成してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 県産農畜産物の販売状況と今後の対策についてでありますが、農業産出額は昭和60年をピークに減少してきており、販売額についても同様の傾向になっております。こうした中ではありますが、産直販売につきましては、それぞれの地域での創意工夫を生かした取り組みにより、施設数やその販売額が増加しているところであります。今後はこうした新たな取り組みに対しましても積極的に支援しながら、農業生産の縮小傾向に歯どめがかかるよう、今改めて、生産から販売にわたる各段階を検証し、ステップアップに向けた取り組みを強化してまいる必要があると考えております。
 今後の販売対策についてでありますが、昨今、輸入農産物が増大しており、また、残留農薬の問題など食への不安が高まる中で、販売対策の柱に据えるべきは、まずもって消費者と生産者の間に、安全・安心を基軸とした顔の見える関係を構築していくことであると考えております。
 このような観点から、県といたしましては、県産農畜産物がすぐれた生産環境のもとで、安全にこだわって生産されていることのPR、そしてトレーサビリティーシステムの普及拡大などに積極的に取り組むとともに、産直活動への支援などによる地産地消の推進や、契約取引の促進などにも今後一層努めてまいる考えであります。
 次に、学校給食での県産食材の利用促進についてでありますが、最近、地産地消推進運動を通じて、学校給食での県産食材の利用は、学校や関係機関・団体の理解と協力のもとに急速にふえております。本年度上期での県産食材の利用状況調査では、ホウレンソウやレタスで約60%、牛肉や豚肉は約80%、米は100%となっておりまして、また、全品目を平均しても50%を超えており、この運動の開始前である平成11年度の県平均30%と比べ大きく高まってきております。
 また、こうした取り組みは、県産食材の利用にとどまらず、給食時の生産農家と子供たちとの交流などにも発展してきており大変好ましいことだと思っております。しかしながら、学校給食におきます県産食材の利用は、ニンジン、それからバレイショのように県内で生産されていながらも利用率が低い品目があり、また、栄養士さんなどからは数量の安定確保ができるか心配である、あるいは県産食材を扱っている業者がよくわからないなどの声も寄せられているところであります。
 こうしたことも踏まえ、県産食材の安定した供給の仕組みづくりが大きな課題でありますので、今後におきましては、関係者間の事例交換の場の設定や、産直施設、地方卸売業者などを核とした供給体制の整備などを重点的に促進してまいりたいと考えております。
 次に、農畜産物の流通経路等についてでありますが、県内の量販店などでは、近年、食生活の多様化などを踏まえ、消費者の選択の幅を広げるため、県外産地や輸入業者と直接取引しているものが相当ありますが、最近の地産地消運動の広がりにより、生産者とタイアップして県産農産物の販売コーナーを設置しているケースも多く見られるようになってきております。これまで県といたしましては、県産農畜産物の流通状況等につきましては、卸売市場での取り扱い等を中心として調査を行ってきたところでありますが、農畜産物の流通実態をより詳しく把握して明らかにしていくことは、消費者の地域農業への理解を高め、地産地消をさらに推進していくことにもつながるものであり、また、生産者にとっても、安全で安心な農畜産物を消費者に円滑にお届けするための販売戦力などにも役立つものでありますので、さらに関係者の理解と協力をいただきながら、農畜産物の流通経路等の把握に努めてまいりたいと考えております。
 次に、間伐材の利用促進についてでありますが、木材価格の大幅な下落や外材輸入の増加などにより、間伐材の利用は思うように進まない状況にあります。こうした中で、森林の持つ多面的な機能を発揮する上からも適切な森林管理が求められており、間伐材の利用促進が重要な課題となっております。このため、県では、これまでの建築材やパルプ用材としての利用などに加えまして、環境に優しい資材としての特性を十分に生かし、公共土木工事における暗渠資材や道路側ぶた、遊歩道での路盤材、公園などでの雑草抑制資材としての新たな用途への利用促進に、関係部局や市町村が一体となって取り組んでいるところであります。さらに、公共施設へのチップボイラーやペレットストーブの導入により、エネルギーとしての利用についても推進するほか、民間団体と連携して大型合板工場での原料としての利用拡大を図るなど、間伐材の一層の利用促進に努めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) まず、JR東北本線水沢駅周辺の鉄道高架化構想についてでありますが、この構想は、水沢市が平成10年度に策定したものであり、連続立体交差事業として県に事業化を要望されているところであります。高架化する2.7キロメートルの区間のうち、駅の北側の約1.3キロメートルの鉄道高架化については、既に市において国の補助事業として市道の立体交差事業に着手しているところであります。県では、市から要望のあった連続立体交差事業の導入について検討したところでありますが、交通量が事業の採択要件に合致せず、現在のところはその事業採択は難しいものと考えております。さらに、本事業は非常に大規模な事業となると想定されておりまして、現在の逼迫する財政状況から見ても、この構想の早期実現は厳しいものと認識しておりますが、この高架化構想の対応につきましては、今後、関係機関とも協議しながら、長期的視点に立って検討してまいりたいと考えております。
 次に、一般国道397号小谷木橋の整備についてでありますが、本橋梁は、昭和29年、北上川に架橋された橋長595メートルの橋梁で、これまで伸縮装置や舗装の補修を行うなど、適宜、維持補修に努めてきたところであります。この橋梁は、県で管理している橋梁の中でも3番目の長さを持つ長大な橋梁であるため、そのかけかえには膨大な事業費を要するものと考えており、また、水沢市のまちづくりや市街地における国道のあり方などについて、地元を初め関係機関と協議、調整を行う必要があります。これらを考え合わせると、小谷木橋かけかえの早期の着手は難しいものと考えておりますが、今後、地元水沢市を初め関係機関とも十分意見交換を行いながら、その整備のあり方について、さまざまな角度から検討を重ねてまいりたいと考えております。
   〔教育長五十嵐正君登壇〕

〇教育長(五十嵐正君) まず、就職がまだ決まっていない高校生への支援についてでありますが、内定状況は、現時点においても、なお厳しい状況が続いております。このような状況にかんがみ、県教育委員会では、内定状況の厳しい学校について、個別の職業相談や求人開拓等を行う就職支援相談員の配置期間を延長するとともに、新たな雇用の拡大を図るため、商工労働観光部と連携の上、各地方振興局における個別事業所への求人開拓も実施し、支援の強化を図っております。さらに、今後は、卒業後も含め就職支援相談員による求人開拓を継続するとともに、未内定生徒全員を対象とする職業相談の実施等を行う未内定者ジョブサポート事業の活用等、関係機関との連携を一層強め、積極的な支援を行ってまいります。
 次に、学校教育のあり方についてでありますが、新学習指導要領は、ゆとりの中で特色ある教育を展開し、みずから学び、みずから考える力などの生きる力をはぐくむことをねらいとしております。このため、各学校においては、教育内容の厳選によって生ずる時間的、精神的なゆとりも活用して、読み、書き、計算を含む各教科の基礎、基本を確実に身につけさせることや、考える力、問題解決能力などの育成に向けた教育実践に取り組んでおります。今後さらに体験活動の充実や習熟の程度に応じた指導などが求められていることから、教師一人一人の創意工夫がなお一層必要になってきていると認識をしております。このようなことから県教育委員会としては、今後とも授業改善のための指導資料の提供や、研修の充実などを通じ、各学校での取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、完全学校週5日制についてでありますが、県教育委員会が昨年行った調査では、子供たちは土日にさまざまな活動に取り組んでおり、完全学校週5日制が定着しつつある一方、保護者からは、子供の生活がだらけたり学力が低下したりすること等に対する不安が挙げられており、土日の過ごし方については、さらに工夫していく余地があると認識しております。子供たちの土日の過ごし方については、基本的に各家庭において決められるものですが、各学校を通じ土日の計画的な時間の使い方や、自学自習の習慣化について指導するとともに、各学校の地域連携の担当教員や、県内全市町村に配置している地域教育推進員を通じ、土日の活動についての積極的な情報提供に努めるなど、より有意義な活動が行われるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、30人学級実現に関する県の考え方についてでありますが、子供たちの基礎学力の向上のためには、一人一人に応じたきめ細かな指導を充実することが不可欠であり、そのためには教科等の特性に応じて学習集団を編成したり、チームティーチングで個に応じた対応ができる少人数指導がより適切であると考え、今年度から岩手県少人数指導支援事業をスタートさせたところであります。この取り組みにより、よく授業に集中するようになった、学力検査の結果が向上したなどの具体的な効果が報告されていることから、来年度は、小学校1年生において25人を超える学級を有するすべての学校131校に非常勤講師の配置を160名まで拡充するほか、さらに年次的に他の学年にも拡大するなど、本県独自の改善を加えながら、少人数指導の充実に努めてまいりたいと考えております。

〇19番(及川幸子君) ただいまは、それぞれ当局の答弁をありがとうございました。ちょっと私の期待した答弁にならない点が何点かございましたので、通告はしてございませんが、この場で原稿なしで御質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず一つ、地域振興部長、私はこの場で別におわびをしてもらいたくて取り上げた問題ではございません。再三、本当に何度も申し上げておりますように、この重要な時期になぜということで、日程の関係で市町村長さん方の、首長さん方の御都合で何ともならなかったというのは何度も私聞いておりまして謝られてもおります。しかしながら、実際はそういうことがあったわけですので、今後、私ども議員がそういう会合に予定として出席する方向でやられるのかどうかということの検討の部分をお聞きしたかったのでありまして、何も謝っていただくために私は何度もしつこく申し上げているわけではございません。
 それから、農林水産部長、私の質問の中で県当局からいただいた資料では、日本全土に各国から輸入されている部分の野菜は把握できるということでお答えありましたが、この岩手県内に輸入されている農畜産物の量が把握できないということは、私、大変不思議に思うわけでございます。ああいうホウレンソウの問題が起きまして、いち早く心配するのは台所を預かる主婦でございます。私たちの行っているスーパーでどのくらいの量のホウレンソウが海外から入っているのかという実態を知りたいわけですが、県側ではそういう実態は、大手スーパーさんで直接そういう仕入れ先から入れているのでお答えはできないというのは、余りにも安心・安全を訴えるそういうお言葉が書いてある中で非常に心配される部分でありますので、今後やはり、岩手県内でどういう野菜がどの程度入っているのかをお答えいただきたいと思っております。
 それから、環境生活部長、最後3点目でございますが、大体Gメンというのは各業者さんにいきなり行っても、大抵は何もなく健全な運営で業務がなされているというふうに業者さんとの間で取り交わされているようでございまして、やはりこれから新規にそういう事業をなさる方々への講習等も十分検討していかれるべきではないかと思いまして次のことを質問いたしますが、昨年13年度と本年14年度、産業廃棄物または特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会、新規でございますが、これを見ますと岩手県内は平成13年度2日間だけですね。そして、本年もたった2日間でございます。全国の状況を見させていただきましたが、全国で一番少ない実施状況であります。やはりこういう重要な産廃で問題になっている時期に、この部分も国に要請していかなければならないのではないかと、この点をお尋ねいたします。
 以上です。

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 合併シンポジウムの開催日程について、結果として大変申しわけないことになったわけでございまして、その点おわびを申し上げたわけでございますが、また、説明不足であった点、重ねておわびを申し上げたいと思いますが、いずれこういう行事を持つ場合、参加される市町村長さん方、講師の方々、参加者の方々、それから市町村議会の日程、いろいろございますし、また、議員御指摘のとおり県議会の日程等、当然想定して我々も考えたわけでございますが、結果としてそういう結果になったということでございますが、今後いろいろな関係者の皆様方の日程、もちろん県議会の日程も含めまして検討を重ねてまいりたいと思いますし、何よりもこういう行事を持つ場合、この行事に参加する県民の皆さん、あるいは地域の皆さんにとって、いずれが好ましい時期なのかと、有益であるのかといった点に力点を置きながら、行事日程を決めていきたいと思います。

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 輸入農産物の流通状況の実態についてでありますが、この輸入農産物については、国全体につきましては貿易統計等でこれは個別に明らかでありますけれども、県内の個別のスーパー、量販店がどれだけのものを、どういう品目をどれだけ扱っているかというのは、そういう個別の統計というものはございませんので、こういうところの理解と協力のもとに調査をさせていただいて、そしてあくまでも理解をいただいて協力をいただくことになるわけでございますが、そういうことにも取り組んでみたいと思っております。

〇環境生活部長(時澤忠君) お尋ねのありました講習会でございますけれども、これは財団法人日本産業廃棄物処理振興センターというのがございまして、そこが実施主体となりまして産業廃棄物処理関係者の資質向上でありますとか、廃棄物処理法の修得ということを目的として行っているものでございます。議員も言われましたが、許可の種類というのに応じまして、例えば産業廃棄物の収集運搬業、そして産業廃棄物の処分業、特別管理産業廃棄物の収集運搬、そして処分業という四つのカテゴリーに応じまして、それぞれ新規、そして更新というような講習会が開催されているものでございます。議員からもお話しありましたが、今年度、本県では産業廃棄物収集運搬の新規の課程におきまして講習会が2日間開催されたというわけでございます。この開催地あるいはその各教科の開催数というものにつきましては、毎年度その各都道府県の新規、あるいはその更新の許可数というものを勘案した上でセンターの方で行っておりまして、東北ブロック内で調整を行っているものでございます。優良事業者の育成ということを県として標榜しておりますし、その中でやはりこの講習会というのは非常に重要なものだと我々も考えておりますので、今後のその申請状況あるいは更新の状況に応じまして、その講習会が適切に本県で開催されるようにセンターに要望してまいりたいと考えております。

〇議長(谷藤裕明君) 次に、及川敦君。
   〔4番及川敦君登壇〕(拍手)


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