平成15年9月定例会 決算特別委員会(企業会計)会議録

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平成15年9月30日(火曜日)

1開会 午前10時3分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
 事務局長 武 田 牧 雄
 議事課長 平 澤 石 郎
 議事課長補佐 八重樫 典 彦
 主任議事管理主査 千 田 利 之
 議事管理主査 近 藤 光 宏
 議事管理主査 多 田   繁
 議事管理主査 安 藤 知 行

1説明員
 企業局長 船 越   穣
 企業局次長 齊 藤 静 夫
 企業局技師長 武 蔵 繁 明
 総務課長 伊 藤 瞬 一
 風力発電開発室長 池 内   達
 財務管理課長 駿 河   勉
 業務課長 杉 下 安 弘
 
 監査委員 一 戸 克 夫
 監査委員 谷 地 信 子
 監査委員事務局長 久 保 隆 男
 総務課長 八重樫   良
 監査課長 渡 邉 和 男
 
 参事兼予算調製課長 藤 尾 善 一

〇及川幸子委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成14年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第3号平成14年度岩手県工業用水道事業会計決算までの3件を一括議題といたします。
 認定第2号平成14年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成14年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件について、企業局長から説明を求めます。

〇船越企業局長 企業局が所管しております認定第2号平成14年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成14年度岩手県工業用水道事業会計決算について、お手元の決算書に基づきまして、その概要を御説明申し上げます。
 決算書のうち決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税を含めた金額で作成しておりますが、損益計算書及びその他の財務諸表は、消費税及び地方消費税抜きの金額で作成することとなっておりまして、金額に相違がありますので、あらかじめ御了承願います。
 まず、認定第2号平成14年度岩手県電気事業会計決算でありますが、電気事業会計決算書の1ページ、平成14年度岩手県電気事業決算報告書をお開き願います。
 1ページの収益的収入及び支出でありますが、収入の決算総額は51億7、500万円余、支出の決算総額は42億8、000万円余であります。
 収入の内訳でありますが、第1項営業収益47億5、500万円余は、水力発電に係る電力料が主なものであり、第2項財務収益1億7、000万円余は、株式配当金、貸付金利息及び預金利息であります。第3項附帯事業収益8、600万円余は、稲庭高原風力発電所及び昨年10月に運転を開始した柏台発電所に係る電力料等であり、第4項事業外収益1億6、300万円余は、松川及び早池峰発電所建設に係る利子補給金のほか、発電所の事故に係る災害共済金等であります。
 次に、支出の内訳でありますが、第1項営業費用36億5、300万円余は、水力発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用4億4、300万円余は、企業債に係る支払利息であります。また、第3項附帯事業費用8、100万円余は、稲庭高原風力発電所及び柏台発電所の運転等に要した経費で、第4項事業外費用1億100万円余は、納付消費税及び地方消費税等であります。
 次に、2ページをお開き願います。2ページの資本的収入及び支出でありますが、収入の決算総額は4億3、000万円余、支出の決算総額は22億4、800万円余であります。
 収入の内訳でありますが、第1項企業債5、500万円は、柏台発電所建設事業に係る起債であり、第2項補助金1億5、600万円余は、柏台発電所及び胆沢第三発電所の建設事業に係る国庫補助金であります。第3項負担金400万円余は、岩洞ダム河川維持放流設備設計業務委託に係る負担金であり、第4項長期貸付金償還金2億1、300万円余は、一般会計及び工業用水道事業会計に対する長期貸付金の償還金であります。
 次に、支出の内訳でありますが、第1項建設費5億4、100万円余は、柏台発電所の建設費であり、第2項改良費10億1、400万円余は、各水力発電所の施設の改良や更新に要した経費であります。第3項電源開発費4、000万円余は、新規の水力及び風力発電開発のための調査等に要した経費であり、第4項企業債償還金5億6、100万円余は、発電所の建設のために借り入れた企業債の償還金、第5項長期貸付金8、900万円余は、工業用水道事業会計に対し企業債償還元金の原資として貸し付けたものであります。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額18億1、700万円余は、2ページの下段の欄外に記載してありますとおり、当年度消費税及び地方消費税資本的収支調整額、減債積立金などをもって補てんしたところであります。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は9億3、500万円余となっており、この営業利益から財務収支、附帯事業収支及び事業外収支の合計の損失1億1、400万円余を差し引いた8億2、000万円余が当年度の純利益となっております。
 次に、4ページをお開き願います。4ページの剰余金計算書の利益剰余金の部についてでありますが、減債積立金から5ページの中小水力発電開発改良積立金までの年度末の積立金合計額は50億9、000万円余となっており、また、当年度未処分利益剰余金は8億2、000万円余となっております。
 次に、6ページをお開き願います。6ページの資本剰余金の部でありますが、国庫補助金以下3科目の合計額は18億3、400万円余となっております。
 次に、7ページの剰余金処分計算書(案)でありますが、当年度未処分利益剰余金8億2、000万円余のうち、企業債償還金に充てるための減債積立金として3億8、100万円、建設改良積立金として4億3、900万円をそれぞれ積み立て、残額の84万円余を翌年度に繰り越ししようとするものであります。
 次に、8ページをお開き願います。8ページから11ページまでの貸借対照表でありますが、資産合計と負債・資本合計はそれぞれ391億2、000万円余となっております。
 以上で電気事業会計の説明を終わらせていただきます。
 次に、認定第3号平成14年度岩手県工業用水道事業会計決算について御説明いたします。
 工業用水道事業会計決算書の1ページ、平成14年度岩手県工業用水道事業会計決算報告書をお開き願います。1ページの収益的収入及び支出についてでありますが、収入の決算総額は11億8、500万円余、支出の決算総額は10億2、200万円余であります。
 収入の内訳でありますが、第1項営業収益11億8、500万円余は、一般水及びろ過水の給水料金が主なものであります。
 次に、支出の内訳でありますが、第1項営業費用7億800万円余は、各工業用水道施設の給水業務及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用2億9、800万円余は、企業債及び電気事業会計からの借入金に係る支払い利息、第3項事業外費用1、600万円余は、納付消費税及び地方消費税等であります。
 次に、2ページをお開き願います。2ページの資本的収入及び支出でありますが、収入の決算総額は7億5、500万円余、支出の決算総額は11億7、000万円余であります。
 収入の内訳でありますが、第1項企業債5億5、800万円は、第二及び第三北上中部工業用水道の建設事業並びに第二北上中部工業用水道及びろ過施設の改良工事に係る起債であり、第2項出資金9、000万円余は、経営健全化支援等に係る一般会計からの出資金であります。また、第3項補助金1、800万円余は、第三北上中部工業用水道建設事業に対する国庫補助金等であり、第4項他会計からの長期借入金8、900万円余は、電気事業会計から企業債償還元金の原資として借り入れたものであります。
 次に、支出の内訳でありますが、第1項建設費3億3、600万円余は、第二及び第三北上中部工業用水道の建設事業に要した経費であり、第2項改良費2億8、300万円余は、各工業用水道施設の設備の改良や更新に要した経費であります。第3項企業債償還金3億5、100万円余は、工業用水道施設の建設のために借り入れた企業債の償還金であり、第4項他会計からの長期借入金償還金1億9、900万円余は、一般会計及び電気事業会計からの借入金の償還金であります。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額4億1、500万円余については、2ページの下段欄外に記載してありますとおり、消費税及び地方消費税資本的収支調整額、過年度及び当年度の損益勘定留保資金で補てんしたところであります。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は4億3、400万円余となっており、この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失3億100万円余を差し引いた1億3、300万円余が当年度純利益となっております。
 次に、4ページをお開き願います。4ページの剰余金計算書でありますが、当年度の未処理欠損金は、前年度の未処理欠損金7億6、600万円余から、当年度純利益1億3、300万円余を差し引いた6億3、200万円余となったところであります。また、翌年度繰越資本剰余金41億2、500万円余は、国庫補助金等であります。
 次に、5ページの欠損金処理計算書でありますが、当年度の未処理欠損金6億3、200万円余は、翌年度へ繰り越しをするものであります。
 次に、6ページをお開き願います。6ページから8ページまでの貸借対照表でありますが、資産合計と負債・資本合計はそれぞれ148億5、700万円余となっております。
 以上で企業局関係2会計の平成14年度決算の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

〇及川幸子委員長 これより質疑に入るわけでありますが、世話人会の申し合わせにより、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、また、質疑に当たっては、質疑項目が多い場合、関連する項目についてはできるだけまとめて質疑を行うよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑につきましては、冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性のあるもののみ短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう、御協力をお願いいたします。
 ただいまの船越企業局長の説明に対し質疑はありませんか。

〇工藤大輔委員 自由・県民会議の工藤大輔でございます。
 平成14年度の企業局決算の質問をさせていただきますので、簡潔明瞭な答弁を願いたいと思います。
 それでは初めに、電気事業会計についてお伺いをします。
 平成14年度は総収益49億4、589万円余、前年度比0.8%の減少に対し、総費用は41億2、558万円余、前年対比2.2%の減少であり、差し引き損益8億2、030万円余、前年対比6.7%の増加でありました。平成14年度の電力受給契約の改定により、売電単価が平均8円26銭から7円83銭に低下をしたものの、6年間減少をし続けていた利益幅を5、184万円上回ったことは、大変評価すべきことと考えます。また、財務分析指標を見ましても、総収益対総費用比率、営業収益対営業費用比率、自己資本構成比率、固定資産対長期資本比率が適正な数値を示しております。ただ、若干気になるのが、流動比率が1、336.8%とまだまだ高い数値であるものの、前年対比1、015.8ポイントと大きく下がったこと、そして企業債償還元金対減価償却費比率が前年対比8.1ポイント上がったことであります。
 そこでお伺いしますが、この要因と平成14年度決算を全体的にどのように評価しているのでしょうか。また、新しく適用された卸供給料金算定規則により売電単価が改定されましたが、実際どのような影響があったのでしょうか。今後、2年ごとの改定により、売電単価がさらに下がっていくと思いますが、財務分析指標においてどのようなことに留意していく考えか、お伺いします。
 それともう一点、あわせまして、これまで効率のよい事業の推進に向け、コスト縮減効果を毎年検証しながら経営に努められてまいりましたが、昨年度と比較してどのような効果があったのでしょうか。また、今後どのような分野の効率性を高めようとしているお考えか、お伺いします。

〇船越企業局長 まず、私の方からは、平成14年度の電気事業決算の評価についてお答えを申し上げます。
 経営収支におきまして、電力受給契約の改定に伴い売電単価が低下いたしましたが、良好な出水状況を背景に効率的な発電に努め、収益への影響を極力圧縮できたこと、また、費用については、管理費の縮減や企業債支払い利息の減少などによりまして、収益の減額を上回る減となったことから、前年度に比べ5、100万円余の増益となる8億2、000万円余の利益が確保できたところでございます。また、建設におきましても、13番目の水力発電所となる柏台発電所の建設を進め、計画どおり昨年の10月から運転を開始できたこと、さらには、電源開発調査等の各事業を着実に推進できたことなど、収支状況や各事業の進捗状況から勘案いたしますと、おおむね順調ではなかったかと思っているところでございます。しかしながら、稲庭高原風力発電所につきましては、機器の故障や落雷等の影響によりまして稼動実績が計画を大幅に下回り、一部については補償金を徴し補てんしたところではありますが、こういった経験を踏まえまして、さらに今後の開発に生かしてまいりたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係課長から答弁をさせますので、御了承いただきたいと思います。

〇駿河財務管理課長 流動比率についてでございますが、これは年度末に工期が及びました大規模な改良工事の支払いにつきまして未払い金として整理いたしましたことから、流動比率が一時的に低下したものでございます。
 なお、この未払い金につきましては、4月に支払いを完了いたしてございます。
 それから、企業債償還元金対減価償却比率についてでございますが、これは分子であります企業債の償還元金は、松川発電所の償還が始まったこと等によりまして増加しておりますこと、それから、分母であります減価償却額につきましては、各施設の資産償却が進んだことにより減少してございまして、特に御所発電所の主要資産の償却が22年を経過いたしまして完了したこと等によりまして、大幅に減価償却額が減少いたしましたことから企業債償還元金対減価償却比率が上がったものでございますが、経営上は特に問題がないものと認識しているところでございます。

〇杉下業務課長 新しく適用された卸供給料金算定規則により売電単価が改定されましたが、どのような影響があったかについてでございますが、今回新しく適用された卸供給料金算定規則では、利潤となるべき事業報酬の算定方法が、従来定率で算定されたものから市場金利に連動する方式に改められたほか、修繕費や委託費等の原価項目から、新たに受取利息分を控除することとされました。このことにより、平成13年度の料金織込額と比較し、事業報酬は約1億2、000万円の減、新たに控除されることとなった額は約3、000万円、その他の費用の減額とあわせまして総括原価、いわゆる想定料金収入は2億4、000万円の減となることが見込まれていたため、支出の抑制に努めたものであります。
 次に、財務分析指標においてどのようなことに留意していくのかということでございますが、平成14年度の総収益対総費用比率は119.9%、営業収益対営業費用比率は125.5%、その他の指標も含めて良好な水準となっています。これらの水準を維持していくため、電力自由化の進展により総収入は低下傾向にあるものの、それを上回る支出の低減により、収益性の向上を図ることが必要と考えております。このため、さらなる効率的な運営に努めまして健全な経営を進めてまいりたいと考えております。
 次に、コスト縮減効果についてですが、前年度と対比したコスト縮減効果としては、電気事業に係る職員数を139人から135人に4人減として、約6、100万円の人件費の節減を図ったほか、工事の実施に当たって、工法の見直しや新技術の導入により工事費を前年と比べ約1、800万円縮減するなど、効率的経営に努めてきたところであります。
 コスト縮減に当たっては、原価に占める割合の大きい人件費や修繕費などの見直しが効果的であることから、今後さらに組織の見直しや委託業務の効率的な実施による人件費の低減に取り組むとともに、引き続き工事コストの縮減などに取り組んでまいりたいと考えております。

〇工藤大輔委員 次に、供給電力量についてお伺いします。
 水力発電は目標電力量56万6、260メガワットアワーに対し、達成率は109.4%でありました。これを発電所で見ますと、滝発電所の123.0%を筆頭に、岩洞発電所の119.7%、入畑発電所の117.5%と、13発電所中11の発電所において100%以上を達成したことが、この目標達成量の要因と考えます。その中で、御所発電所と昨年10月から営業を開始した柏台発電所において、目標に対し未達成の結果が出ておりますが、その要因は何だったのでしょうか。
 また、風力発電についてなんですが、稲庭高原風力発電の平成13年度の実績は計画電力量の51.3%でありましたが、14年度の供給電力量は5、482メガワットアワーの計画に対し48.1%と、2年連続して大幅に目標を下回りました。これは、先ほど局長からも答弁がございましたが、機器の故障や機器の取かえ工事を実施したほか、落雷による風車の損傷により、年間を通じた運転がなされなかったことによるわけですが、この2年続きの事故により、風力発電の難しさを改めて感じたところでございます。
 前年度の相次ぐ機械の故障により、大幅に稼働日数が削られ、請負業者である日本鋼管との間で確認書が交わされ、損失の補償がなされました。今回の事故により、営業損失はどのぐらいになったのでしょうか。損失補償金を含めた交渉はどのように進み、実質的な達成率は金額ベースで何%であったのか、お伺いします。これは雷と風況の内訳についても示してください。
 また、当初17年の稼動において6、700万円の利益を見込んでおりましたが、この2年間の実績により、当初の計画においてずれが生じたのではないでしょうか。総事業費中4億4、000万円は自己資金であり、投資した分の回収にはまだまだ問題はないと思いますが、収支の見通しはどのようになっているのでしょうか。事業計画を立て調査をしていた段階、事業実施後の運営対策検討委員会においてこのようなことは予期されていなかったのでしょうか、お伺いします。

〇杉下業務課長 御所発電所と柏台発電所が目標に対して未達成だった要因ですが、御所発電所では、10年に1回実施する水車発電機の分解点検及び水圧鉄管の内部塗装補修のため92日間停止したことにより、89.7%の達成率になったものです。また、柏台発電所は平成14年10月1日に営業運転を開始しましたが、運転開始以降、11月から3月まで出水に恵まれなかったほか、初期調整等のための停止も若干あったことによりまして、82.2%の達成率になったものです。

〇池内風力発電開発室長 稲庭高原風力発電所の機器故障及び機器取りかえ工事に伴う営業損失額ですが、平成13年度は1、723万1、000円、平成14年度は1、335万2、000円であり、このうち落雷損傷により停止した分は、平成14年度は624万3、000円になっております。
 営業損失補償等に関する交渉につきましては、平成13年度から請負業者と協議を重ねまして、平成14年8月23日に確認書を取り交わしております。この確認書では、一つは、請負業者の責任において、無償で故障が多い電気系、それから制御系の機器を国産の機器に取りかえること、もう一つは、営業運転を開始した平成13年9月11日から国産の機器への取りかえ工事が終了するまでの期間において、故障により発電できなかった営業損失を補償すること、この二つの事項について具体的に取り決めております。その結果、国産の機器に取りかえる工事が平成14年8月から11月に実施されまして、取りかえ終了後は、信頼性及び安定性において格段の改善が図られております。また、営業損失補償金として平成13年度分1、723万1、000円、平成14年度分1、335万2、000円の支払いを受けております。この営業損失額を加えた実質的な未達額と達成率は、平成13年度は232万7、000円減の94.2%、平成14年度は1、937万8、000円減の69.3%になっております。
 1、937万8、000円の内訳ですが、落雷による損傷で停止した分が624万3、000円、残りの1、313万5、000円が風が弱かった分等によるものです。
 次に、当初計画で見込んでいた利益のずれについてでありますけれども、運転開始以降の純利益の実績額は平成14年度末の累計で889万6、000円でありまして、17年間の累計では計画額の6、700万円に対しまして6、236万1、000円となって、計算上では467万1、000円の未達となっておりますが、今後におきましては、故障発生時の迅速な復旧に努めまして、今まで以上に保守体制を強化し、計画値の達成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 こういったようなこと、特に雷被害の予期についてでありますが、雷につきましては、計画段階の調査では落雷による被害の可能性は低いと報告されておりまして、また、運営対策検討委員会におきましても、稲庭の機種は、落雷があっても発電機や制御関係の機器が損傷しないように一般的な対策がとられた構造になっておりまして、特に問題視されなかったものであります。雷が全くないとは考えておりませんでしたが、これほど大きな被害が発生するものとは予測していなかったものであります。このため、本年度中に雷の被害を最小限にとどめる対策を講じることとしております。

〇工藤大輔委員 自然が相手の電力また発電ですので、何が起こるか本当にわからないというような状況ですが、この2年間にわたる事故に対し、この経験をこれからの電力、風力発電にぜひ用いてもらいまして、業者選定、機器の選定、また、そういった雷対策等に万全を期してもらいたいと思います。
 次に、電力自由化に対する取り組みについてお伺いします。
 昨年の12月27日に開催された総合資源エネルギー調査会の事業分科会において、自由化への範囲が段階的に拡大し、卸電力取引市場の創設や振替供給制度の見直しなどを内容とする制度改革の大枠と実施に向けたスケジュールが公表され、19年度には家庭向けに発展するかどうかというような勢いにございます。電力自由化は安さへの挑戦という観点だけではなく、安定供給やエネルギーセキュリティーの確保など、公益的な課題をしっかりとクリアした上で成り立つものであると考えます。しかし、平成14年度以降適用される卸供給料金算定規則において、事業報酬が変動方式になったことにより利益が減少する、また、さらなる自由化が進むとこの料金がさらに低減して経営に大きな影響を及ぼすと思いますが、今後の電力自由化への動向をどのようにとらえているのでしょうか。また、企業局として、どのような点を重視し経営に当たっていく考えか、お伺いします。
 私は、電力自由化の方向性が見えてきた昨今、経営環境の変化を的確にとらえ、長期戦略を立て直す時期にあると同時に、これまで整備してきた施設等を見直す、いわば足元を固める時期にあると考えます。岩洞発電所は建設から40年を経過し、取水口も古くなっており、仮に破損等が発生すればこの事業のみならず、農業にも影響があると思います。
 そこで、私は、毎年見直しをしている修繕10カ年計画をより厳密にし、この時期のうちに改良や補修をしっかりし、次なる競争の激化に備えるべきと考えますが、企業局ではどのように考えているのでしょうか。また、このような修繕10カ年計画はどのような形で決定しているのかお伺いします。

〇船越企業局長 電力の自由化に対するお尋ねでありますが、まず、電力自由化の動向をどうとらえ、どのような点を重視して経営に当たるかということでございますが、電力の小売自由化については、平成16年の4月には500キロワット以上の高圧需要家まで、そして平成17年の4月には50キロワット以上のすべての高圧需要家まで拡大され、そしてさらに平成19年の4月以降には、一般家庭まで含めた全面自由化に向けた検討が始まると、こういうスケジュールになっているところでございます。
 今後は、このような電力自由化の進展によりまして、一般の電気事業者や新規の参入者による顧客獲得競争が激化いたしまして、その進展度合いに従って電気料金も下がっていくものと考えております。
 このような状況の中で、企業局につきましても、その影響により、当然、卸供給料金の低廉化が求められてくると思われますので、今後とも質の高い安定した電力供給を通じて供給先の信頼を確保するとともに、競争に耐え得る価格とするため、民間的な経営手法を導入するなど、業務全般において効率化を進め、経営基盤の強化に努めてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、業務課長からお答えを申し上げます。

〇杉下業務課長 修繕10カ年計画等を厳密にして今のうちに改良や修繕を行うべきではないかということと、そのようなことがどのような計画で決められているかという点についてお答えいたします。
 電力自由化に備え、電力の安定供給が重要となることから、改良、修繕については年度別事業実施計画、これは10カ年計画で策定しておりますが、これに取り組んでいるところですが、設備点検の精度を高め、その結果を踏まえ毎年見直しを行いながら、引き続き計画的に実施してまいりたいと考えております。
 また、長期にわたる発電所の工事は、保安規程に基づいて、定期的に実施する分解点検や設備の点検結果に基づいて、老朽化や効率性を判断して行う改良補修工事等が今後とも発生してきます。これらを年度別実施計画である10カ年計画に反映させ、計画的に実施していきたいと考えております。

〇工藤大輔委員 自由化に関連しまして、平成16年4月から小売電力市場の自由化の範囲が拡大し、500キロワット以上の事業所が自由に電力を購入することとなります。そうしますと、県庁や盛岡合同庁舎等がその対象になってまいります。また、平成17年4月からは50キロワット以上の事業所が対象となってきますが、そうなれば、ほとんどの県の施設が対象となります。企業局の立場からしますと、県の施設には、率先してみずからがつくる自然エネルギーを使うようにというような趣旨の申し入れをしてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 全国的には経済産業省や三重県、岐阜県、鹿児島県等、既に入札により電力会社以外の特定規模電気事業者が落札している例があり、本県にとってもそのような入札の方向に進むことも十分に考えられますが、企業局として関係部局に対し交渉や検討はされてきたのでしょうか、お伺いします。
 次に、新エネルギー利用法についてお伺いします。
 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法が平成15年4月に全面施行され、エネルギーの安定的かつ適切な供給を確保するため、電気事業者に対し販売量に応じた一定割合以上を、太陽光、風力、水力、バイオマス等の新エネルギーから発電される電気の利用を義務づけられました。義務量が多い東北電力や東京電力では、この新エネルギー利用への準備はどこまで進んでいるのでしょうか。その情報について把握している分がございましたらお伺いをします。
 平成22年度までには全体の目標量が約50億キロワットアワー増加するように環境を重視した取り組みが一層進むにつれて、この利用目標量がさらにふえる方向にあると思いますので、クリーンで循環可能な自然エネルギーである水力や風力発電の開発にさらに取り組み、いつでも電力会社に供給できる準備もしていかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

〇杉下業務課長 県庁などに供給することの検討とそれから自然エネルギーを県の施設に用いることの申し入れについての取り組みについてでございますが、私どもが東北電力に供給以外の新たな供給方法としまして、発電所近郊で最も電力使用の大きい県庁を対象に自家発電としての供給可能性について検討しました。その結果、時間帯や季節により電力の過不足が生じ、不足分を電力会社から受け取るための費用が必要なこと、また、余剰電力は安い単価で電力会社に買い取られることなどの理由から、採算面の確保が困難であるとの結果となりました。このため、知事部局に対して提案するまでに至らなかったものであります。
 それから、県の施設に対する企業局からの電力供給については、自然エネルギーの促進を図る観点から、望ましい供給形態であると考えております。しかし、水力単独では需要に見合った供給が行うことができず、経済効率のよい発電が難しいこと、また、電気を送るための送電線使用料が決まっていないことなど多くの課題があり、現時点で申し入れをできる段階にありませんが、今後、新しい技術の開発や電力自由化の動向などを注視しながら、県施設への供給の可能性について引き続き研究してまいりたいと考えております。
 それから、入札についての検討でございますが、企業局でも入札を含め供給形態に関する検討を行っていますが、企業局から供給する場合には入札制によらず、長期安定供給が見込まれる自家発電としての供給が可能であると考えています。しかし、行政コストの削減のためには、自家発電であっても入札制に匹敵するだけの低廉で良質な電力供給が求められることから、先ほど答弁したさまざまな課題の克服に向けまして、引き続き研究してまいりたいと考えております。

〇武蔵企業局技師長 電力会社による買い取り義務量の関係でございますが、経済産業省では、平成22年度までのRPS法による新エネルギーの利用目標を全国で122億キロワットアワーとしておりまして、現在はその経過措置、初年度ということで、平成15年度では全国で約33億キロワットアワーとなっております。そのうち、東北電力の義務量としては約3億7、800万キロワットアワー、東京電力につきましては約9億8、600万キロワットアワーと公表されております。
 今年度から始まった関係で、実際の義務量が決定したのが6月1日でございまして、本来であれば四半期ごとに公表されることとなっておりますが、今年度につきましては第2四半期から公表されるということで、10月には公表されるものと考えております。
 それから、クリーンエネルギーの開発取り組み、準備をするということでございますが、そのとおりでございまして、風力につきましてはこれまでいろいろ調査してまいりましたが、その中で最も有望と考えられます一戸町の高森地区につきまして、建設が可能となった場合にすぐ着手できるように、現在、環境影響調査や基本設計、地質調査などの準備を進めておりますし、これからも続けていきたいと思っております。
 それから水力につきましては、流量観測調査をやっておりますが、それを継続してやってまいりたいと思っております。

〇工藤大輔委員 できれば私は企業局の方でつくられている、自然にやさしい環境を重視した電力をまず県の組織でしっかりつくってもらって、そしてさらに別な分野の、その実績をもとにしてさらなる発電に取り組んでもらいたいと、それをまた民間の方々が利用する電力として東北電力に販売してもらうだとか、そういったことをこれからも努力をし続けていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、電源開発についてお伺いをします。
 簗川発電所につきましては、平成4年度から2、000キロワットでダム事業に発電参加する方向で基本協定が締結をされました。その後、開発同意を得るべく交渉を進め、平成11年ごろには同意へ向けた感触を得ていたにもかかわらず、電力自由化の流れと相まって、同意を得るには厳しいという見方がされてきました。ダム事業に影響がないということで1年間さらに延長し交渉を進めてこられました企業局として、これまで参入を目指してきた簗川ダム事業の実施計画等のスケジュールから見ても、判断をしなければならない最終局面に来ているとも考えます。売電先である東北電力との交渉は、どのようになっているのでしょうか。
 また、6月定例会におきまして伊藤勢至委員の質問に対し知事は、小規模の風力・水力発電の開発検討を進める旨の答弁がなされました。これは、電力会社が入札の対象としない2、000キロワット以下の風力発電や小型水力発電を示していると思いますが、これを踏まえ、これまで企業局としてはこの分野の開発をどのように検討してきたのか、また、これから進めていくお考えか、技術や電力の利用方法等、決まっていることがございましたらお伺いをします。
 また、新エネルギー分野において、企業局が事業として取り組んでいないことを先駆けて取り組む自治体が県内にも出てまいりました。今年度もバイオマス発電等の検討を鋭意されてきました企業局の所感と成功の可能性をどのように見ているのでしょうか。また、研究開発分野において部分的にも共同で事業参加するような考えはなかったものか、お伺いをします。

〇船越企業局長 まず、簗川発電所の開発同意に係る東北電力との協議についてでございますけれども、私が昨年11月に東北電力と協議した際、東北電力側からは、電力の小売自由化の急速な進展の中で、電力の需要の低迷や長期的な経営環境の見通しがつかないことなどから、現時点で同意について判断することは極めて困難であるという御説明があったわけでありますけれども、今後も何か新たな提案があれば協議をしていきましょうということでございました。こういったようなことで、企業局といたしましては、この新たな提案ということについていろいろ検討してまいりまして、建設資金を企業債に頼らないで補助金と自己資金のみで調達することとして、経費、利益を最大限に切り詰めた事業内容での新たな料金単価を提示いたしまして、ことしの6月からこの新しい内容で交渉を進めてきたところでございます。
 9月10日に私自身、再度東北電力本社に赴きまして、担当部長にお会いし、本県にとってこの簗川発電所建設は電力の自給率の向上、あるいは資源循環型の構築を図る上からはもとよりでありますけれども、河川総合開発の面からも極めて重要な事業であることを御説明いたしまして、この新たな事業提案での受電の要請をしてきたところでございます。これに対しまして、東北電力側からは、本県のこういった事情についての理解は示していただきましたけれども、電気事業制度改革によりまして経営環境が大きく変わっていく中で、東北電力としてもスリムで効率的な設備形成が急務であること、そして、中長期的な供給力についても現在のところ十分確保できる見通しであること、そして、簗川発電所は電気事業者による新エネルギー等利用に関する特別措置法、いわゆるRPS法でありますけれども、この対象外となったこと、こういったようなことから受電できないとの説明がありました。この9月26日に、正式に受電できない旨の文書回答があったところでございます。
 一方、私どもとしましては、これまで電力会社以外の新たな供給方法の一つとして、先ほど業務課長からも御説明申しましたように、県庁への自家発供給についても検討してきたところでありますが、現時点では採算性の確保が困難であり、事業化は無理という結論に至ったところであります。こういったようなことから、私としましては、大変残念ではありますが、企業局の発電参加は断念せざるを得ない状況であると判断しているところであります。
 次に、新エネルギーに関してのお尋ねで、企業局が取り組んでいないことを各自治体が県内でも取り組むところが出てきたけれども所感はどうかというお尋ねでございますが、新エネルギーによる発電に取り組んでいる市町村としては、盛岡市などが一般廃棄物の処理とあわせて従来から廃棄物発電を行っているほか、本年6月には、葛巻町で畜産バイオマス発電施設が稼動しております。また、過日、衣川村が環境省の助成を得てガス化方式よる木質バイオマス発電装置を年度内に導入するとの報道がございました。いずれも自家発電施設でございまして、電気事業規模の発電ではないわけですが、各自治体が少しでも環境負荷を減らすという観点から、地域の実情に適したさまざまな新エネルギーの導入に取り組むことは、新エネルギーの重要性を普及、啓発する意味からも大変有意義なもので、その取り組みに心から敬意を表しているところでございます。
 実証試験の段階のものもあり、課題も多いと承知しておりますが、今後、これらの施設規模が拡大していけば、環境への貢献だけではなくて、産業振興や地域の活性化にもつながっていくのではないかと期待をしているところでございます。
 企業局といたしましても、これまでこれらの取り組みを支援するため、必要に応じて発電に関する技術面や採算性に関するアドバイスを行ってきておりまして、また、今年度は林業地域における木質バイオマスによるコージェネレーション、これは電気と熱と両方を得るものでございますけれど、こういったシステムの導入を支援するために、知事部局と連携して住田町をフィールドとした事業の可能性調査を実施していくこととしております。
 その他のお尋ねについては、技師長の方からお答えいたします。

〇武蔵企業局技師長 新たに調査を実施した箇所の現状と今後の見通しについてでございますが、風力開発につきましては、盛岡市簗川の飛鳥地区と一戸町宇別地区で、昨年12月から本年11月までの予定で実施しております。その調査結果を見まして、今後の開発の可能性について検討することとしております。
 それから、一戸町の高森地区では現在猛禽類調査を行っておりまして、昨年の11月から本年の10月まで1年間の予定で実施しております。これまでイヌワシなどの絶滅危惧種の出現はございませんので、現在のところ大きな問題はないものと考えております。
 それから水力開発につきましては、現在、一関市の槻木平地点など5カ所で流量観測調査を行っております。この流量観測調査は、水力発電所建設の最も基本的な調査でございまして、連続10カ年以上の調査資料に基づいて建設の可否や発電所の規模を決定することとなります。
 今後の見通しでございますが、風力につきましては、ことし4月からいわゆるRPS法が導入されまして、2、000キロワット以下の風力発電所に適用されておりますので、電力会社は来年度以降も風力発電を募集するものと見込まれることから、今後とも地元市町村等の協力を得ながら、新たな風力発電の開発に取り組んでまいりたいと考えております。
 水力発電につきましては、RPS法の対象がダムなしの1、000キロワット以下ということになっておりますので、これに適合、現在の計画では開発できる地点はございませんが、我々公営電気の全国組織であります公営電気事業経営者会議を通じましてこの適用範囲の拡大などを要望しておりますし、また、国では最近のCO2対策として環境税の導入なども検討されているようでございますので、水力発電の展望はこれからも期待できるのではないかということで、今後も調査を続けていきたいと思っております。
 それから、小水力発電についてでございますが、今申し上げましたとおり、RPS法では1、000キロワット以下の水力発電所が対象だということでございますので、これに合ったような小規模発電を開発すべく、既存の発電所の導水路の落差を利用したり、あるいは農業用水路を利用して開発できないかということで、現在検討を始めたところでございます。
 それから技術に関してでございますが、今までの水力発電所というのは、各地点ごとにいわゆるオーダーメードでやっていたものですが、メーカーの方では汎用品の大量生産みたいな感じのものも発表しておりますので、それらを組み合わせて、例えば1、000キロワットの発電所であれば200キロワットの汎用品を五つつないで発電できないかとか、そういった技術資料を収集しておりますし、また、そういう先進事例がないかというようなことを現在資料収集をしております。
 それから電力の利用方法については、やはりRPS制度を活用して電力会社に供給するのがいいのではないかという考えでございます。それから、実際やっている箇所につきましては、現在検討を始めたところでございまして、まだこれからということでございます。

〇工藤大輔委員 企業が取り組まない新エネルギー分野に自治体が取り組むということは本当に意義深いと思いますし、私は、企業局サイドも、また知事部局サイドも一緒になって、できるだけのバックアップ体制をとってもらいたいと思いますので、これは要望とさせてもらいたいと思います。
 また、ただいまは簗川ダムの電力参入を見送るという答弁がございまして、私も非常に残念に思うところでございます。これまで長きにわたりまして開発同意を得るべく取り組まれてこられました方々に、敬意を表します。
 しかし、これは私は、簗川ダムがRPS法の1、000キロワット未満の水力発電じゃないということが大きかったからというような局長答弁でもございますが、東北電力としては、電力需要は鈍化の傾向に進むということでございますが、そうなれば、これからは中小というか、小さいダムの分野だったら電力を買うという考えを東北電力の方では持っているのでしょうか。
 また、交渉過程におきまして、この売電料金なんですけれども、40年の指標となる均等化単価において、まず納得されるような、企業局サイドでは、これなら納得してもらえるよというような金額がなかなか提示できなかったかどうか、これは改めてお伺いします。
 また、これまで河川管理者、かんがい事業者、水道事業者の計5者の協定によりダム事業の負担金を払ってまいりましたが、負担金の取り扱いはどのようになっているのでしょうか。今後は他の事業者が支払うこととなるでしょうが、理解は得られるのでしょうか、お伺いします。
 また、中小水力発電開発改良積立金が20億7、400万円ほどありますが、電力需要が鈍化の方向に進むのであれば、積立金の変更や使途の具体的な絞り込み等も必要となってくると思います。今後どのようにして取り扱っていくお考えか、お伺いします。

〇杉下業務課長 東北電力の交渉過程において、40年均等化単価等で東北電力が納得できる単価を提示できなかったかということでございますが、私ども東北電力との過去の交渉において、提示した価格についてはある程度の理解を示したものの、電力の自由化の進展の影響により、スリムで効率的な設備形成が急務であることや、中長期的な供給力についても十分確保できる見通しであることなどの理由によりまして、受電できないとされまして、価格交渉はなかなか進まなかったものでございます。
 それから、電力会社の今後の購入とか需要の認識についてでございますが、東北電力は、電気事業制度改革などの影響や電力需要を見越した供給力については十分であるということから、当面、ダムに係る発電の開発の同意はしないのではないかと考えられます。
 水路式においては、最大出力1、000キロワット以下はRPS法の対象となりますが、そうでないものは同様な扱いになるものと思われます。しかし、RPS法については、施行3年経過後の見直しや適用範囲拡大を要望していることや、環境税の導入などもあり、近い将来には新たな展開も期待できるものと考えております。
 次に、負担金の取り扱いについては、県土整備部との話し合いは、今後他の利水者も含めて協議しなければならない重要な事項であり、共同事業者の御理解を得られるように努力してまいりたいと思います。
 次に、中小水力発電開発改良積立金は、新規発電所の建設や改良工事等に限られるもので、今後は、胆沢第三発電所の建設及び老朽化した既設発電所の大規模な改良工事に、取り崩し充てていくこととしております。

〇工藤大輔委員 私は、自然に優しいエネルギーということもあり、大きいからこそスケールメリットがあり、価格も安くできるといういい分野も持っていると思いますが、東北電力の方でそういった考えであるとすれば、これからRPS法の適用範囲内での電力の開発に向けて、今後とも積極的に取り組んでもらいたいと思います。
 それでは次に、工業用水道会計についてお伺いします。
 平成14年度は総収益11億2、912万円余、前年度比0.1%の減少、総費用は9億9、598万円余、前年対比3.2%の減少で、差引損益1億3、314万円余、前年対比31.8%の増加でございました。ここ6年黒字決算を続けておりますが、その要因と、平成14年度決算を全体的にどのように評価しているのでしょうか、お伺いします。
 財務指標分析を見ますと、流動比率が128.0%、前年対比17.2%減少しており、東北で最高の指数を示す山形県の約35分の1でございます。これは未払い金がふえたためでありますが、どのように対処するお考えでしょうか。
 また、固定資産対長期資本比率は99.3%と、目安となる100%に突入間近にございます。このような状況をどのようにとらえ、事業の効率化に向けどのように取り組んでいくお考えかお伺いします。
 契約水量は日量4万1、722立方メートルで、前年同量でございましたが、契約を上回る超過水量が減少しているほか、受水企業の使用水量は前年対比4%の減少でありました。その要因はどこにあるのでしょうか。契約水量より実質使用水量が下回っている企業は何社あるのでしょうか。
 現在、19社に対し工業用水を供給し、平成14年度は1億3、300万円余の差引損益を上げておりますが、営業雑収入がなければ2、400万円余の差引損益となります。これを前年度に置きかえてみますとマイナス700万円余となり、とんとんというような経営の状況にあるとも言えます。しかも、この雑収入の内容は、ろ過装置を設置した富士通からの経営負担金であり、来年9月にはすべてが払い終わってしまうために、大きな雑収入は見込めなくなります。今後の工業用水の供給量いかんによっては、さらに厳しい状況に陥るおそれが十分にあると考えますが、今後の見通しはどのようになっているのでしょうか。その対策としてどのようなことを考えているのでしょうか。

〇船越企業局長 工業用水道事業決算についてのお尋ねでございますが、私の方からは、評価ということについてお答えを申し上げて、その他につきましては関係課長の方から申し上げます。
 まず、平成14年度の工業用水道事業決算の評価についてでありますけれども、経営収支におきましては、企業を取り巻く経営環境が厳しい中、引き続き19社のユーザーに対しまして、安定的に工業用水を供給し、ほぼ前年度並みの営業収益となったこと、また、費用につきましては、動力費や管理経費など一層の経費の節減を図ったほか、企業債償還利息の減等によりまして前年度を3、300万円余下回り、収支では前年度に比べ3、200万円余の増益となる1億3、300万円余の利益を確保できたこと、また、建設におきましても、沈殿池や取水・配水ポンプ等の増設を進め、建設改良10カ年計画等の着実な進捗を図ったことなど、収支状況や工業用水の供給状況から勘案いたしますと、おおむね順調だったのではないかと思っているところでございます。
 しかしながら、依然多額の累積の欠損金を抱えておりまして厳しい経営状況にございますことから、今後におきましても、関係機関と連携して工業用水の利用拡大に努めるほか、経営の健全化に向けた取り組みに一層努力してまいる所存でございます。
 なお、平成9年度から6年連続しての黒字決算の要因についてでありますが、平成3年度から8年間、国の工業用水道事業経営健全化対策に基づく国及び一般会計からの支援や高利率の企業債の繰り上げ償還により経費の大幅な軽減が図られたことなどが、大きく影響したものと認識しております。

〇駿河財務管理課長 まず、流動比率でございますが、平成14年度は債務負担行為による建設・改良工事がございまして、その支払いが未払い金として整理されましたことから流動比率が低下したものでございまして、未払い金につきましては、4月に支払いを完了しているところでございます。
 次に、固定資産対長期資本比率でございますが、委員御指摘のとおり99%前後を推移しているものでございます。当会計は累積欠損金がございまして、自己資本金が少ないことから、固定資産の取得財源は企業債及び国庫補助金に依存せざるを得ないため、このように100%近い数値となっているので、非常に厳しい経営状況であることを示しているものでございます。
 このため、今後におきましては、水需要の拡大、経費の節減等の取り組みを進めまして、効率的な事業運営により、さらに経営の健全化を進める必要があると考えているところでございます。

〇杉下業務課長 受水企業の使用水量の減少の要因についてですが、平成14年度の使用水量は約1、055万立方メートルで、平成13年度については約1、099万立方メートルであり、前年度と比較して約44万立方メートルの減少となっています。
 主な要因は、社会経済情勢の変動の中、受水企業における生産量の減少や生産工程の変更、使用水のリサイクルの進展等により、工業用水の使用量が減少しているものと思われます。
 次に、契約水量に対して実質使用水量が下回っている企業数でございますが、受水企業全19社のうち16社です。
 なお、工業用水道は、契約水量を超えた場合に超過料金をお支払いいただく仕組みとなっておりますことから、一般的には契約水量の範囲内で御使用いただいております。

〇齊藤企業局次長 工業用水道事業の今後の経営見通しということでございますが、委員御指摘のように、富士通からの経営負担金、これは今後減ってくるわけでございますし、平成17年度からなくなるということでございます。
 富士通から受け入れた経緯でございますが、富士通の増産に伴いまして、ろ過施設が足りなくなり増設した、その建設相当分を経営負担金として受け入れてきたものでございます。平成16年9月では終了しまして、16年度には5、400万円の減、17年度から、受け入れております1億800万円丸々なくなるということから、非常に厳しくなるという状況でございます。
 長引く景気の低迷がございまして、当面の水需要が期待できないという状況がございますし、それから、施設の老朽化、修繕等、費用の増加が見込まれますことから、今後の経営収支というのは非常に厳しいものと考えております。
 そこで、対策でございますけれども、今後、工業用水道の安定供給のためには、建設・改良、修繕というのは欠かせないわけでございまして、この、うちで立てております10カ年計画、そういったものをしっかりとした計画で、年度を平準化するとかしまして、計画的な改良、修繕を行ってまいりたい。
 それから、業務委託の拡大といったものによりまして、経営効率化を図っていくということに努めてまいりたいと考えております。
 また、抜本的には、費用の中で約3割を占めております高利率企業債があります。その中でも高利率の企業債の繰り上げ償還についてはこれまでも要請しているわけでございますけれども、強く要請してまいりたいと考えております。
 それから、企業誘致がなければなかなか未売水の解消というのは難しいわけでございまして、現在、県の担当部局、あるいは地元の北上市、金ケ崎町をメンバーとします工業用水利用促進等関係機関連絡会議を設置しておりまして、用水型企業の誘致促進を図りながら、水需要の拡大に粘り強く努めてまいりたいと考えております。

〇工藤大輔委員 最後にと思ったんですが、今恐らくお答えいただいた中身等が、これから出されると思われる経営改革プログラム等の中身のことも十分に入っていたのかなと思います。まずこれは、いずれ今年度じゅうに出される考え方ということを最後に答弁していただきまして、まず、総体的に見まして、収支のバランス等がしっかりととれており、コスト削減に向けた一体的な取り組みという姿勢が強く感じられたところでございます。ですので、今されている事業について、着実に実績を積まれまして、国の施策の動向や技術の進歩などの状況を十分に考慮しながら、採算性のある新規分野について取り組んでもらいたいと考えます。
 そして、県内での供給電力量27.7%というような状況でございますが、関係部局と連動しましてこれをさらに高いものに引き上げてもらい、地方公営企業法にうたわれている経済性の発揮と公共の福祉の増進に大きく寄与されますよう申し上げまして、質問を終えます。

〇船越企業局長 ただいま次長の方からもるる御説明申し上げました内容が、確かに今回検討しておる経営改革プログラムの内容に盛り込まれるようなものでございます。今、全庁的に行財政構造改革を進めておりまして、企業局では経営改革プログラムということを連動して今検討しているわけでございますが、知事部局と連動するような内容のものにつきましては、年内に行動計画等を取りまとめてまいりたいと考えておりますし、それから、抜本的な経営改革という観点からの中期経営計画といういわゆる経営目標を立てて、そしてまた、それをローリングさせて改善を図っていく、そういったような計画につきましては、年度内につくっていきたいと考えているところでございます。

〇照井昭二委員 平成14年度の電気事業会計約8億2、000万円の純利益、そしてまた、工業用水道事業会計では1億3、000万円もの純利益を出しているということで、企業局の経営手腕には大変評価するところであります。
 それでまた、さほど申し上げることもございませんが、企業局の経営ノウハウを教えていただく、そのようなつもりで若干質問させていただきます。
 また、工藤大輔委員のまことに細部にまでわたる質問がございまして、答弁もあったわけでございますが、大分はしょりまして、私の方からも、ダブる点もあると思いますがお尋ねいたします。
 まず、大変厳しいこの経営環境下で約5、200万円の増益を上げておるわけでございますが、人件費の削減、また経費の削減等、経営努力の成果とは思われますが、この企業局の経営の秘訣が、まさにここに盛られているのではないかと思いますので、その具体的な理由を教えていただければと思っております。
 また、今後とも、経営が非常に厳しくなる中で、自由化が進んで、さらにまた電力卸売市場の創設など、市場ベースでの動きが進む中で、この自由化をどのようにとらえて今後の経営に踏まえていくのか、お示し願いたいと思います。
 また、電気事業会計の損益計算書の収支の中で、対前年比16.6%減少した財務収益について伺います。
 決算書の収益明細書には、財務収益の内訳として、受取配当金及び受取利息、さらに、受取利息は貸付金利息及び預金利息となっておりますが、この財務収益1億7、000万円余は、東北他県と比較してみますと突出した額となっており、大きな収益を上げているわけでありますが、昨年比較では減少傾向を示しております。この最近の低金利状況を反映しているものと思われますが、財務収益の内訳と減収の具体的な理由についてお尋ねいたします。

〇船越企業局長 経営のノウハウということで過分なお褒めをいただいたわけでございますが、電気事業についてのお尋ねがございましたので、私の方からは、電力の自由化の動向を踏まえた、経営のこれからの考え方についてお答え申し上げたいと思います。
 電力自由化をめぐる環境につきましては、先ほどからいろいろ御質疑いただいているところでございますが、電力の小売自由化の範囲拡大とともに卸電力取引市場の創設が決定いたしまして、既に電気事業者等を中心とした設立準備会が発足するなど、創設へ向けた動きが加速しております。この取引所の創設によって、今後多様な電源が容易に調達できるようになり、取引市場が活発・活性化することが期待されております。
 また一方では、この市場ベースでの環境が整うことにより、競争がますます激しくなると予想され、電力会社への卸供給をしている価格といえども、こういった面での影響は避けられないものだと考えております。
 このような電力自由化の進展による厳しい経営環境に対応するためには、卸供給を基本とする公営企業といえども、民間に伍していけるだけの競争力を持つことが必要になってくると考えております。このために、民間的な経営手法を取り入れながら、さらに効率化を進めて、経営基盤の強化を図ってまいりたいと考えております。

〇駿河財務管理課長 約5、200万円の増益の理由でございますが、収支別に内訳を申し上げますと、収益につきましては、電力受給契約の改定によりまして、売電単価の低下による営業収益の減少が約1億1、600万円余、柏台発電所が平成14年10月に運転を開始したことに伴います附帯事業収益の増6、200万円余等によりまして、収益の合計では前年度比3、800万円余の減少となったところでございます。
 費用につきましては、職員数の減少及び退職者の減少によります人件費の減が1億1、900万円余、各施設の資産の償却が進捗したことに伴います減価償却費の減が9、300万円余、それから、柏台発電所が運転を開始したこと等によります附帯事業費用の増が5、500万円余等によりまして、合計で前年度比9、000万円余の減少となったことによりまして、結果といたしまして、前年度との比較では、収益は減少いたしましたものの、費用がそれを上回る減少となったことから、5、100万円余が増益となったものでございます。
 それから、財務収益の減収の理由でございますが、まず、財務収益の内訳につきましては、受取配当金1億2、279万円余は、東北電力ほか所有株式に係る配当金でございます。貸付金利息2、931万円余は、一般会計及び工業用水道事業会計に係る貸付金利息でございます。預金利息1、804万円余は、現金に係る大口定期預金等の資金運用による預金利息でございます。
 それで、財務収支の減収の理由についてでございますが、平成13年度との比較によりますと、受取利息につきましては、大口定期預金の利回りの上昇等によりまして630万円ほど増額となりましたが、受取配当金におきまして、平成13年度にございました東北電力の50周年記念配当金が減となりましたこと等によりまして約4、000万円の減収となりました。ということで、合計で3、300万円余の減収となったものでございます。

〇照井昭二委員 民間的手法まで取り入れて、今後も具体的に頑張っていかれるという姿勢、大変ありがとうございます。
 次に、平成14年度の工業用水道事業会計についてお尋ねいたします。
 これも純利益が前年と比較しまして3、200万円増加、また同じく、ここでも増益の要因を具体的に教えていただければと思います。
 また、借入金90億円以上を抱えているとのことでありますが、その内訳はどうなっているのか、また、それら借入金に対しまして金利負担が大分経営を圧迫しているようですが、これからそれにどのように対応していくのか、お示し願いたいと思います。
 なお、先ほどの質問にもございましたが、まだ未売水を大分大量に抱えておるという中で、こういう経営が厳しい中で、今後どのように経営を打開していかれるのか、その辺をお聞かせ願えればと思います。

〇及川幸子委員長 執行部の答弁を求めます。

〇駿河財務管理課長 失礼しました。
工業用水道事業会計におきまして純利益が3、200万円余増加した要因でございますが、工業用水道事業会計におきましては、収益につきましては、超過水量の減少等によりまして100万円余減少したものでございますが、ほぼ前年度並みの収益を確保したところでございます。
 また、費用につきましては、前年度と比較いたしまして大規模な修繕がなかったこと等によりまして、修繕費3、300万円余の減のほか、企業債利息の減、夜間電力利用による動力費の節減などによりまして、合計で3、300万円余の減少となりました。
 以上によりまして、結果といたしまして、収益の減少以上に費用が減少いたしましたことから、純利益が3、200万円余の増加となったものでございます。

〇伊藤総務課長 平成14年度末におけます借入金残高の内訳でございます。企業債が67億2、400万円、他会計借入金が23億9、553万円余でございます。
 なお、他会計借入金につきましては、電気事業会計からの借入残高が1億9、400万円余でありまして、また、企業債の繰り上げ償還財源として借り入れいたしました一般会計からの借入残高が22億円余となっているところでございます。
 平成14年度決算におきまして、支払い利息の額でございますけれども、2億9、800万円余でございまして、総費用の29.9%を占めております。したがいまして、その負担軽減がぜひとも必要であると考えてございます。このために、高利率債の借りかえを実施したいと考えているところでございます。
 しかしながら、現行制度上では、借りかえができるのは利率7%以上のものに限られておりまして、本県は既に実施済みでございます。したがいまして、現在はこの要件緩和策について国や関係機関に要望しておるところでございまして、現在、国におきましては、対象利率引き下げを含めた借りかえの要件緩和策を検討中と聞いているところから、その実現に期待しておるところでございます。

〇齊藤企業局次長 工業用水道事業の経営をどう打開していくかということについてでございますが、現在、計画給水量は日量約8万7、000立米でございます。これに対しまして契約水量が4万1、700立米となっておりまして、契約率が全体の48%、5割を切っている状況にございます。
 4万5、000立米ほどの大量の未売水を抱えているわけでございますが、採算的には、4万5、000立米をすべて解消するということではなくて、一定の契約率、あるいは稼働率、そういうものを確保すれば計算試算的には成り立っていくものだと考えております。
 まず、この未売水の解消のためには、企業局で、県の企業誘致の担当部局、あるいは工業用水等も所掌しております部局、あるいは地元の北上市、金ケ崎町で構成しております連絡会議を通じまして、特に北上南部工業団地、ここには1万8、000立米を供給するという計画を持っているわけでございますが、まだそういったものが未着手であるということから、できればその用水型の企業誘致といったものを図りながら水需要の拡大に努めてまいる、これが重要だと認識しております。
 ただ、これは非常に難しいということでございまして、企業局だけではなかなか解決困難ということで、今後、関係機関の協力を得ながら粘り強く努力してまいりたいと考えております。
 それから、経営改善の対策としましては、やはりかかるものはかかる、それから、安定供給のためには、施設が老朽化している、それを整備していかなければならないということで、改良投資あるいは修繕、そういったものが今後ふくらんでくるということから、現在立てております10カ年計画を見直して、さらに年度間の費用の平準化を図るなどして、計画的な改良、修繕に努めてまいりたいと考えております。
 それから、現在、一部業務委託をやっておりますけれども、やはり民間の技術ノウハウといったものを活用しまして、この業務委託の拡大を図るなどして、経営効率化に努めてまいりたいと考えております。
 工業用水道を圧迫している要因の中に、岩手県の場合は、水源を入畑ダムとか早池峰ダムに求めたことによりまして大きな負担が強いられたわけでございまして、それを企業債でほとんど賄っているというようなことから、先ほども説明しましたように、支払い利息が3割近くにも達するというようなことでございますので、やはりこの高利率の企業債の繰り上げ償還を要請していくというのは非常に重要です。内部の経営改善に加えまして、こういうことで3割の費用負担になっている企業債の繰り上げ償還が重要な課題だと考えているところでございます。
 先ほど局長から申しましたように、今年度中期経営計画を策定することにしておりますので、これらの計画をしっかりと立てまして、経営効率化を一歩一歩着実に実行しまして、経営健全化に努めてまいりたいと考えております。

〇照井昭二委員 次に、企業局をめぐる他県の動向に関連してちょっとお尋ねいたします。
 9月25日の秋田魁新報ですか、これに秋田県の企業局を廃止して知事部局に編入するとの記事が載っておりました。秋田県企業局の場合には、岩手県の電気事業、それから工業用水道事業と同じでございますが、そのほかに土地造成・資金運用事業、それに観光事業と、事業数は本県より多く実施しております。職員数は本県の企業局と比べて若干少ない程度のようでございます。
 思い切った合理化案であると感じたわけでございますが、新聞記事によりますと、電気は電力自由化の進行で採算性が厳しくなる、工業用水は給水開始から30年以上経過しており、施設改修など将来の費用負担が懸念されている云々などとあります。
 このことは、我が岩手県におきましても、まさに事情は同じではないかと考えております。こうした動向を踏まえ、企業局は、今後の厳しい経営環境の中、どのような方針に基づいて事業運営していくのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

〇船越企業局長 他県の動向を踏まえての今後の企業局の運営についてということでございますけれども、秋田県において、平成18年度に企業局を廃止して知事部局に編入するという方針が示されたわけでありますけれども、これは、企業局から知事部局へ電気、工業用水道事業等を引き継ぐということのようでございまして、基本的には公営企業として存続する方向と聞いております。
 しかし、いずれこういったことは、今、委員御指摘のとおり、公営企業を取り巻く厳しい経営環境に対応するための対策と受けとめておるところでございます。本県企業局といたしましては、これまでも社会経済情勢の変化に対応すべく、経営基盤の強化や経営の効率化に努めてきたところではございますけれども、先ほど来御説明申し上げておりますように、現在、経営改革プログラムというものを策定中でございまして、こういった中で、今後の経営運営に当たりましては、現在検討中でございますので、現在のところということでございますが、以下の二つの基本方針に基づいて運営していきたいと考えております。
 その一つは、電力と工業用水の安定供給と新エネルギーによる地球環境保全への貢献を企業局の役割と考えまして、今後も県政の一翼を担うこと。二つ目といたしましては、民間的な経営手法を導入することなどによりまして、経営の効率化を推進し、経営基盤の強化を図ること。この二つを我々の根本理念と申しますか、基本的な理念として進めてまいりたいと思っております。
 この基本方針をもとに、これも先ほど申し上げましたとおりでございますが、本年度内に経営目標あるいは行動計画等を定めた企業局の中期経営計画を取りまとめて、そして、今後はこの計画を着実に推進することによりまして、厳しい経営環境を乗り切り、引き続き公営企業としての使命を果たしてまいりたいと考えております。

〇照井昭二委員 大変頼もしい局長の御答弁をいただき、安心しておるところでございます。
 最後に、ちょっと二、三点だけお聞きしたいと思っております。中小水力開発の取り組みについてお尋ねいたします。
 先ほど工藤大輔委員の簗川ダムへの質問についての答弁の中で、この簗川発電所の事業化を断念するという大変ショッキングな答弁がございました。クリーンエネルギーの重要性がますます増大している中で、大変残念に思うわけでございます。このような時代に本当に巨費を投じてのダムをつくるわけでございますから、何としても発電の芽だけは将来に向けて残していただければと思うわけでございます。
 そこで、これに関連いたしまして、他の利水者とともに参加してきたこのダム事業、これへの影響について、どのように認識されているのかお示し願いたいと思います。
 あわせて、クリーンなエネルギーとして中小水力開発の促進を目標に掲げている企業局におきまして、今後の開発計画をもっと明確に示していくべきだと思いますが、どのように考えておられるのか、お示し願います。
 また、4月に施行された新エネルギー等利用法におきまして、1、000キロワット以下の水路式発電にも積極的に取り組むべきと考えますが、先ほどの御答弁でも、導水路を利用したり、あるいは農業用水路を利用して検討されているというお考えでございました。例えば、簗川発電事業参画をやめた、ですから、こういう中小水力発電開発の方のもっと具体的な計画を早急につくるべきと考えておるわけですが、いかがでしょうか。
 また、今後ますます電力自由化が進展する中で、新たな水力開発を進めるには、今までの電力会社への卸供給以外の方法も考えられると思います。果たしてその可能性、電力会社への供給以外の可能性があるものなのかどうなのか、今後どのように取り組んでいくのかも、あわせてお示し願いたいと思います。

〇船越企業局長 中小水力開発の取り組みについてのお尋ねでございますが、まず、先ほども申し上げましたように、簗川発電所を断念した場合ということでございますけれども、この簗川発電所につきましては、本当に私も残念でございますが、いずれ、このダムの影響については、簗川発電所は河川の維持流量に従属する計画でございまして、ダム容量を持っていないこと、つまり発電だけのために水量を確保するというものではございませんので、事業参加を取りやめても、ダムの基本構造にはほとんど影響がないものと思っております。
 一方、河川総合開発の共同事業者としての事業負担金を我々は0.3%負担しておりますので、この事業参加を取りやめた場合は、この負担金の変更が必要となってまいります。このため、今後、他の共同事業者に対しまして、経過を十分に御説明した上で、負担割合の変更について御理解がいただけるように、一生懸命努めてまいりたいと考えております。
 次に、今後の中小水力発電の開発計画についてでございますけれども、現在、事業着手しているものとしては、胆沢第三発電所が、出力は1、500キロワット規模でございますが、平成2年度から胆沢ダム事業に発電参加しておりまして、現在のところ、平成20年度の発電所の建設着工、そして平成26年度の運転開始を予定しております。そのほかには、将来の事業化に向けて5カ所で流量観測を実施しているところでございます。
 中小水力発電の新規開発は、先ほど来御説明を申し上げていますように、大変厳しい状況ではございますが、クリーンで循環可能な自然エネルギーである水力発電は、電力自給率が低く、また環境首都を標榜する本県にとりまして極めて重要なエネルギーだと思っております。RPS法の適用範囲の拡大というものも近い将来あると思っておりますので、こういった新規開発に向けての条件整備を進めながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、RPS法による1、000キロワット以下の水路式発電所についてでございますが、ただいま申しましたように、水力発電はクリーンで自然循環型のエネルギーということで、まさに地球規模で環境問題が大きな課題となっております現代において、重要なエネルギーの一つだと思っております。これまでは小水力発電は経済的な面からほとんど利用されてこなかったわけでありますけれども、最近、経済的に発電できるようないろいろな設備もメーカーで開発されつつございます。
 こういったようなことで、これも委員お話のように、既設発電所の導水路でありますとか、あるいは農業用水路を利用した方法など、いろいろ提案されておりますが、私どもも現在、こういった方法で開発できる可能性がないかどうかということについて検討を進めているところでございまして、早急にこういった内容についても取りまとめて、できるだけ早くこういった事業が実現できるように頑張ってまいりたいと考えております。
 次に、電力会社への卸供給以外の方法についてでございますけれども、県有施設への自家発電としての供給、あるいは県と関連がある機関への特定供給等の選択肢が考えられるほか、平成17年4月に創設される予定の卸電力取引所を通じて、市場への投入も可能と考えております。
 しかし、これらの実現に向けましては、水力発電の特性上、需要に応じた出力の調整ができないというのが水力の欠点ではございますが、こういったようなこと、それから、送電線の使用料が決まっていないことなど多くの課題がございまして、今後の新しい技術の開発や電力自由化の動向などを注視しながら、供給の可能性について引き続き検討してまいりたいと考えております。

〇及川幸子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時50分 休 憩
 
   午後1時4分 再 開

〇及川幸子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 企業局関係の説明に対する質疑を続行いたします。

〇柳村典秀委員 政和会の柳村典秀でございます。質問をさせていただきます。
 企業局のこの電気事業会計ですけれども、超優良企業といいますか、90億円の預金を持ちさらに40億円の投資をしている。88億円の借金をしておりますが、すぐにでも返せるという状態の企業でございますけれども、そういう中において、いかにして県民のための利益剰余金等を活用していくかという観点から質問を進めさせていただきます。
 そこで、まず最初に、本年度の純利益ですけれども、昨年より若干上向いたものの、平成2年から平成11年という10年間を見ますと、平均で約11億円という利益が出ております。これに対して平成12年度からの3年間の平均でいきますと約7億9、000万円と、3億円ほどの差が出ております。なぜこのように以前の10億円を超すような利益を出せないのかという点を、まず最初にお聞きします。
 そして次ですけれども、平成14年度から売電単価の算定に卸供給料金算定規則が適用されております。それ以前の卸供給料金審査要領と比較して、本年度の純利益にどの程度の影響を及ぼしているかという質問でしたが、先ほどこれについては2億4、000万円という話がありました。そうしますと、単純に言いますと、今年度8億2、000万円の利益が出ておりますので、2億4、000万円を足して10億6、000万円、以前の基準ですと利益が出るという計算になるかと思うんですが、それで間違いがないかお尋ねします。
 その次ですけれども、卸供給料金算定規則によれば、事業報酬は6億4、000万円と見込まれています。ところが、当初予算における純利益の見積もりというのは、税抜きですと2億8、000万円程度と見込んでおります。
したがって、結果的に決算では8億2、000万円という数字が出たわけですが、差し引きすると5億4、000万円ふえているという、かなりの当初見通しからすれば利益が出ているということになるわけですが、この原因は何であったのかということをお聞きいたします。

〇杉下業務課長 12年度以前のように10億円を超えるような利益を出せないかと、その理由についてでございますが、電気事業をめぐっては平成7年と12年に電気事業法が改正され、国際的に遜色のないコスト水準を目指し、部分自由化の導入と合わせて料金規制の見直しが行われました。その一連の動きの中で、平成11年と12年の2度にわたり、卸供給料金の算定方法の見直しが行われました。近年の電気事業決算においては、純利益が平成9年度約13億5、000万円とピークに達した後、この見直しの影響などによりまして、ここ3年は8億円前後に下がっております。この見直しでは、特に事業報酬の算定方法が大きく変わり、従来は定率で算定していたものが市場金利に連動する方式に改定されたため、最近の市場金利の低迷を反映し、事業報酬が大きく減少することとなりました。この影響を受けて、以前のような利益確保が難しくなっております。
 次に、卸供給料金算定規則が制定されて、以前の卸供給算定要領と比較して、2億円を超える利益と今年度の8億円の利益をあわせて10億6、000万円ほどになる見込みかということにつきましては、先ほどの卸供給料金算定の規則で低廉化に向かっておりますので、その収入そのものは前回と比較しまして先ほどの理由等で低廉しておりまして、今後の利益は、14年度の利益にそのまま単純に足して利益が見込まれるというふうにはなかなか難しくていきませんが、これは傾向としましてはそういう形に見込まれます。

〇伊藤総務課長 約5億4、000万円の増収になったのはなぜかというお尋ねでございますけれども、14年度の当初予算の編成におきましては、14年度、15年度の料金交渉と同時期の予算編成作業でございました。したがいまして、料金交渉結果を見込んでの編成となったものでございます。その結果予算編成したわけでございますけれども、収益では料金交渉の結果、料金単価がほぼ見込みどおりであったものでございますけれども、過去10年間では3番目に多い出水によりまして料金収入の増収が得られるなど、収益全体では、当初予算に比べ約1億2、000万円の増収となったものであります。
 一方、費用は、卸供給料金算定規則が初めて適用されたことによりまして、人件費、修繕費、委託費等において、当初予算計上どおりに料金織り込みが認められなかったことなどによりまして、約4億2、000万円の減額となったものでございます。この結果、収益の増と費用の減をあわせまして、約5億4、000万円の増収となったものでございます。

〇柳村典秀委員 今の説明なんですけれども、過去3番目の出水率ということですけれども、実際は売った電気料金の金額といいますか、それの増というのは7、000万円ぐらいしかないわけです。残りの5、000万円というのはほかの収益でも入ってきていると。収入で1億2、000万円、当初よりもふえていますよと。ただし、実際は費用の方でかなり安くなっているということなわけですけれども、見積もりとして予算を組んでそして決算という形になってくるんですけれども、これほどの大きな見積もりの違いというのを、それだけで済ませていいのかというふうに思うんです。今までは、予算と決算の違いというのはそんなになかったんですね。料金単価の改定に伴ってという話もありましたけれども、それについてはほとんど見込みどおりの金額で推移したということなわけですし、そこからすると、費用の部分でかなり節約したというふうには受けとめられるわけですけれども、これらについて当初見込みと大きく違ったこと、その原因というのをもう少し詳しくお話しいただきたいと思います。
 それと、先ほどの話で2回の今まで電気事業法の改定があったと、そのことによって大きく影響を受けているという話でした。以前に比べて、公営電気事業者に課せられた使命といいますか、国の政策も転換してきているのかと思っているわけですが、その点を企業局長はどう考えるのかお尋ねします。
 あと、先ほど来議論になっておりますけれども、電力の自由化、そしてこのRPS制度、この法律の施行によって大きく環境が変わってきているわけですけれども、このことが企業局にとっては得なのか損なのか、そこら辺をお教えいただきたいと思います。
 それと、ちょうど今回新たに基準となったことによって、14年、15年が売電単価が影響を受けているわけですけれども、ちょうど2年で改定になります。そうすると、来年新たに契約をしなければならないということになるんですけれども、その時期に当たって事業報酬を幾らに見込んでいるのかという点についてお尋ねします。

〇船越企業局長 それでは、私の方からは最近算定規則等が変わったという背景、あるいはそれをどう見ているかというようなことについてお答えをしたいと思います。
 最近、要領とか規則が改正になりまして、それに伴いまして、今御説明しておりますようにいろいろと事業報酬等が下げられて、低くなって収益が落ち込んできているという状況にございます。この背景にございますのは、従来は、電気事業というのはいろいろ規制が強くて、公益的な面が強いということである意味ではいろいろ保護されてきたわけでありますけれども、規制緩和の流れが強くなってまいりまして、公営で例えば電気事業をやっておっても、民間と比較して同じようなレベルにしていく必要があるのではないかという国の考え方に最近なってきておりまして、そういったような関係から、今回の規則に変わったのも、大体大ざっぱに言えば民間と同じような算定基準になってきたということが言えるかと思います。そういったようなことで、やはり自由化の進展というこういう大きな流れの中で、先ほど来御説明しておりますが、公営企業にとってもこういった事業報酬の引き下げといいますか、利益がどんどん少なくなっていく状況にあるのではないかと考えおります。

〇伊藤総務課長 14年度当初予算と織り込みの乖離の大きさの問題でございますけれども、私ども織り込み交渉の際に当たっての一番大きな当初予算との違いでございますけれども、人件費が大きく違っております。人件費等で約1億2、000万円ほど、それから修繕費ですとか委託料等で1億3、000万円ほど、それから減価償却費等で1億1、000万円、その他ということで大きく乖離しておったものでございます。

〇杉下業務課長 次期改定の事業報酬を幾らに見込んでいるかということでございますが、来年度、再来年度の料金についてはこれからの電力会社との交渉に係ることでございますが、先ほどの説明で率で計上ということですが、いろんな対象の項目というのをすべて拾い出しをしまして積み上げしていくということでございますので、具体的な数字はまだ詰めておりません。

〇柳村典秀委員 先ほど聞いたんですけれども、答弁がなかったのですけれども、今の国の政策というのはそうなってきている。そうすると、そのことによって企業局としての使命というか、以前と変わってきていると思うんです。そのことについてどう思うかと、どういう使命を持っているかということについて聞きたかったわけです。
 それと、今の事業報酬の件ですけれども、実は事業報酬というのは自己資金投資額掛ける報酬率ということで決まってしまうわけです。これは積み重ねとかいろいろな、どういう状況とかそういうのは関係なく、今ある自己資本が幾らあるのか、それに対して報酬率を掛けて決まるわけです。これは、以前は0.0421という掛け率なんです。ところが、実はもう既に先行して新しい改定に入っている企業局があるわけです、他県で。これを見ますと、0.0369になっているんです。これは何で0.0369かというのは、主要5銘柄の主要な金利、それを16年間の平均で割ってこれを出すと。したがって、年々これは下がっていくわけです。以前は高利であったから、しかし、今非常に少ないわけです。金利が低いと。そうすると、年々この報酬率、掛け率が下がってくる。これはおよそ私の計算でいくと5億8、500万円ということです。6億4、000万円からさらにまた下がっていくと。この下がるというのは年々同じなんです。そういうことを加味して、今これから結局企業局としてどう考えていくかということ、使命としてこれからどうしていかなければならないかということをお聞きします。

〇船越企業局長 答弁漏れがありまして失礼をいたしました。
 まず一つ、RPSは損か得かというお話もございました。これは現在進めておりますのは、従来は相対交渉で決まってきたものが一つありまして、今度RPS法ということで、いわゆる経済的にはなかなか難しいけれども、クリーンエネルギーの推進ということで、重要なものについてはある程度電気事業者に義務を課してそれを進めるというのがRPS法なわけですけれども、そういったようなことで、二つのやり方での事業というのがこれからも続いていくものだろうと思っております。ただ、水力をとってみた場合は、どうしても自由競争となりますと原子力あるいは火力等との競争ということになるわけでございまして、これまではそういった競争の中でも、水力についてはある程度原価計算主義に基づいた料金で必要なものは認められるという形になってきておったわけですけれども、現在も21年までは卸供給が契約で担保されておりまして、その中で恐らく原価主義という考え方もいくのではないかと思います。したがって、現在進めております中小水力の料金というのはお話のとおり、だんだん利益が下がっていくことは予想されますけれども、ある程度そういったような形で21年までは行けるのではないか。しかし、22年以降どうなるかは、まだ予測ができないということでございます。
 それと、RPSについては、いずれそういった事業趣旨でございますので、我々としてはその中で対応ができるものについては積極的にやっていきたいという基本的な考え方でございます。
 それで、今お話のようにどんどん事業報酬が下がっていく中で、企業局としてその経営をどのように考えていくかということでございますが、私としても、これはどんどん事業報酬等が引き下げられて経営が今までよりはより厳しくなっていくだろうと思っておりますし、それから、料金についても卸供給という中でいったにしても、今のようなことがありますので、利益もどんどん多分少なくなっていくだろうと。そういったようなことから、先ほども申し上げておりますけれども、そういうことをにらみながら経営改革プログラムというものを今策定しておりまして、その中で長期的な展望に立った経営基盤の強化あるいは事業としてやっていくべき方向というものを今考えているところでございます。ただ、基本的には、特に岩手県の公営企業、企業局としましては、やはり一番の使命は電力あるいは工業用水の安定供給ということが一番の使命だと思っておりますので、そういった意味合いから、これをきちんとできるように経営基盤の強化を図っていくことが一番ではないかと考えております。

〇柳村典秀委員 そこで私が考えるに、増田知事も政府の経済政策に呼応してどんどん借金を重ねていったというような話がありました。その結果が現在の状況を招いていると。私、この企業会計、電気事業にしてもそうだと思うんですが、政府の考え方は変わってきているわけなんです。そしてどちらかといえば、新エネルギーについてもどんどんやりなさいよという話をしてきている。ただし、それをやったら果たして得か損かということになってくるんですが、私は余り得ではないような、かえって首を絞めていくのではないかという気がしているわけです。
 そこで、次の御質問に入っていきますけれども、現在適用されている卸供給料金算定規則、これによると、経営の効率化に努め企業努力をすればするほど売電単価の低下を招くと。このことは、例えば余剰資金を預金しておいて受取利息、金利をもらったとしても、それがまた事業報酬から控除されるというようなことで、結果的には事業報酬が圧縮されてくるということになると思うんです。そういう中で、実は全国で33ある公営電気事業者、この中でも下から数えて3番目という低い単価になっている。だから、言ってみれば岩手県というのは超優良、政府の言うことを聞いてまじめに取り組んでいるという結果かと思うんですけれども、それよりはむしろ、もっと直接的な県民に対して、90億円も預金があるわけですし、こういったお金を使って恩恵をもたらすことができないのか。他県では、こういった余剰資金を使って地域振興積立金というようなものを積んで、そして利益剰余金の一部を地域に還元したりということをしているわけです。何で本県はそういうことをしないで今までずっと来たのかということをお尋ねします。
 それと、新潟県では平成12年度の電気事業法改正以降、電気事業で得た利益の処分について一定の自由度を付与されていると。したがって、事業外の繰り出しをできるということから、平成15年度には地域振興積立金の中から5、000万円を取り崩して他会計に使っているという例も実はあるわけです。そういったことを本県でもなぜやらないのか、できないのかということ。そして、実際売電単価に影響しない部分が投資の配当金約1億2、000万円あると。これは実は受取利息とは違って、言ってみれば単価に反映されない部分だと思うんです。これについては、例えばほかに使うなりということができると思うんですが、それについてどう考えるか。そして、卸供給料金算定規則では総括原価の控除分に新たに受取利息が入れられていると。14年度決算における受取利息の内容を見ますと、預金利息で1、804万円で、他会計への貸付利息が2、931万円、この中で特にも貸付利息の中で産業廃棄物処理施設整備資金の10億円に対する貸付利率が2%。したがって、利息が2、000万円ということになっています。他に貸し付けている利率は0.5%なのに、なぜここの部分だけが2%という高い利率に据え置いているのかということをお聞きします。

〇伊藤総務課長 まず、地域振興積立金などの活用ということで、利益剰余金を地域に還元するという問題でございますけれども、これまで企業局では電気事業以外に資金を流出させるべきではないとの国の見解を受けまして、例外として認められている余剰資金の有利子での貸し付けを通じて、間接的ながら地域振興に寄与してきたと考えております。平成12年の電気事業法の改正に合わせまして、内部留保資金等の自由度が付与されたということになっております。これは、効率化等によって得た利益を内部留保資金等に充当することにより、財務体質の改善や設備増強を図ることなどの自由度でございまして、これまでどおり事業本来の安定的運営のための活用が基本であると認識しております。
 企業局といたしましては、これまでも電力の安定供給を通じまして、産業の振興ですとか県民生活への貢献、さらには地球環境対策としての役割を果たしてまいりました。近年の環境問題への関心の高まりの中で、クリーンで再生可能な水力発電の重要性は今後さらに増すものと考えられ、胆沢第三発電所などの新規開発の推進が必要であると考えております。
 また、岩洞第一発電所などの初期に建設されました主要発電所が既に40年以上経過いたしまして、取水設備や導水路設備を中心といたしまして老朽化が進んできておりますところから、今後計画的に大規模修繕や改良を進める必要がございます。これらの新規開発や大規模改良を視野に入れまして、長期にわたる安定的な経営を維持するために自己資金の投入が不可欠であると考えておりまして、経営体質の強化を図る観点からも自己資本比率を高めていくことが重要であると考えております。そのため、長期展望に立った資金確保が必要であると考えているところから、利益剰余金を内部留保資金に充当しているところでございます。
 それから、総括原価における控除対象外とされている株式配当を外部へ持ち出せるのではないかという御意見でございますけれども、先ほど申しましたように、利益処分について、事業本来の安定的運営のための活用が基本でございまして、その範囲内で中長期的に卸供給料金の低廉化が図られる等の説明が、経営効率化計画等によりまして卸先の電力会社及び需要家に対して説明がなされていれば、その配分方法についての自由度を付与するという国の見解がございます。しかしながら、先ほどの考え方で、総括原価における控除対象外と言えるこの株式配当金についても、同様と今は考えているところでございます。
 地方公営企業としての立場から、地域振興も重要な課題であるととらえておりまして、余剰資金の貸し付け等の間接的な貢献に加えまして、これまでの取り組みを生かすことができる水力、風力、木質バイオマスなどのクリーンエネルギーの分野を通じまして、地域振興につながるような取り組みを行ってまいりたいと考えております。
 先ほどの新潟県の例等もございますので、一応他県の例などを参考にしながら、もう少しこの株式配当については研究をさせていただきたいと考えております。
 それから、他会計への貸付金のうち、産業廃棄物処理施設整備資金の貸付利率が2%と据え置いていることはなぜかというお尋ねでございました。
 産業廃棄物処理施設整備資金への貸し付けにつきましては、財団法人クリーンいわて事業団が行います産業廃棄物処理施設整備の資金といたしまして、平成7年4月に一般会計を通じて貸し付けを行っているものでございます。貸付利率は一般会計から同事業団への貸付利率と同率とする形での対応を要請されておりまして、それに従いまして設定しているものでございます。

〇柳村典秀委員 今のお話を聞くと、旧態依然として今までの企業局の権益を守るということがひしひしと伝わってくるんですけれども、今、県の財政というのは大変な時期に来ているわけです。平成17年にはもう破綻するのではないかという話がされている。そういう中にあって、企業局はこれほどまでの超優良企業であるということなわけです。県庁がつぶれて企業局が生き残ってどうなるのかと思うんです。そして、企業局が例えばこの電気事業会計で幾ら利益を出しても、皆さん方のボーナスとかには影響されないわけですね。そういう状態の中で、なぜこれほどまでに縦割りというか、そういうことに固執するのかという疑問を持たざるを得ないわけです。そして、例えば株式投資に10億円しております。これを一般会計に10億円を0.5%で貸してそして株式を移せば、一般会計では1億2、000万円の配当金が出てくるわけです。そういうことが可能かどうか。私は可能だと思うんです。確かに皆さん苦労して今まで外部に持ち出さずに積み立てた結果が、こういう90億円あるいは40億円という結果だと思うんですけれども、今、こういう時期に来て企業局だけ生き残ってもしようがないのではないか。もっとこれらについてフリーな考え方で活用できないのか。恐らく予算調製課では、相当財源確保に悩んでおられると思うんです。企業局に対してはかなり期待をかけているのではないかと思うんです。これに対して企業局長としてどうこたえていくつもりなのか、その点をお尋ねしたいと思います。

〇船越企業局長 ただいま知事部局の方が財政難の中で、優良企業で内部留保資金もかなりある企業局がどうして協力しないのかというお尋ねでございますが、この内部留保資金の活用と申しますか、その利用につきましてはただいま総務課長の方から申し上げましたように、これは法律、規則等で定められた中での運用でございまして、したがいまして、企業局としましては特に縦割りに固執しているわけではないわけですけれども、我々の使命として、電気事業を安定的に続けていかなければならないという使命がございまして、その中でこのクリーンエネルギーである水力発電を続けていくためには、今も申しましたように、当面は第三胆沢発電所の建設を考えておりますが、これにも24億円ほどの投資が必要になりますし、そしてまた、老朽化している施設につきましても10億円、20億円という改修費がこれから見込まれてくるところでございます。そういった中で、一方では、先ほど委員から御指摘がございましたように、利益率がどんどん下がっていって、そして内部留保資金も少なくなってくるということが見込まれておりますので、我々としてはやはりそれを第一義的な優先順位と申しますか、そういう使い方をしていかなければならないという面もあるわけでございます。したがいまして、法令規則等の許す範囲で今行っております一般会計への貸し付け等を今後も続けていくことによって、私どもとしても知事部局の方への貢献という形でこたえていきたいと考えております。

〇柳村典秀委員 次に移らせていただきますけれども、風力発電ですけれども、この風力発電における最近の状況というのは、RPS法によって利用がそれぞれの電力会社に義務づけられているとはいえ、コスト低減のために大規模化が図られているわけです。そういう中で、例えば電力会社では入札制度を用いて2、000キロワットについては入札と、それ以下については応募した人たちの抽選でやるというような話になってきております。そうすると、実は今9円台になってきているんです、その入札によって。以前は県でも稲庭をやっていますけれども、あれは11円50銭ということなわけです。かなり下がってきている。しかも、RPS制度によって、東北電力は平成13年から3年間で10万キロワットずつ募集をかけております。3年間で30万キロワットという中で、県もたしか応募していると思うんですけれども、2、000キロワットの部分については余剰電力と同じ3円でしか買わないということになっています。そうすると、実際3円かというとそうではなくて、3円というのは、電気部分として新エネルギーの部分がプラス上乗せされると。ところが、東北電力自体は実際新エネルギーの部分についてはクリアをしていて、これ以上必要ないという状況なわけです。そこで、この3円でしか買いませんよという方針になっている。先ほど話がありましたけれども、簗川ダムについても買いませんという結論が出てしまっているわけです。そうしますと、今後のそういった新エネルギーあるいは中小発電については、先ほど来一生懸命これからやると言っていましたけれども、買ってくれるはずの東北電力が要りませんと言っているのに、幾ら買ってくださいと言っても、結局無意味なことになるのではないかと思うわけです。このことについて、どう考えるかをまずお尋ねします。
 あと、今までそういった中小あるいは風力、新エネルギー部分について電源開発ということでお金を投資してきていると思うんですけれども、過去10年間で総額8億2、500万円使っているわけです。これの投資した分というのは、今例えば稼動している発電設備についてどういうふうに寄与しているのかということをまずお伺いします。
 そして、平成14年度の電源開発費が4、000万円余りと、これは以前に比べるとかなり少なくなっている。このことはどういう理由でそういうふうに少なくなってきているのかということをお聞きします。
 そして、いろんな市町村、先進的なといいますか、新エネルギーについて積極的にやっているところがあるわけです。先ほども話が出ておりました。そういう中で、取り組みに対しては心から敬意を表するという話で、お金は全然やっていないというような話なわけです。私はむしろそういったところにお金を出して、企業局として電気を売ることだけではなくて、トータル的に新エネルギーの導入ということで考えていけば、東北電力に売るよりも直接使った方がずっと採算が合うはずなんです。今、例えば家庭料金でキロワット当たり27円ぐらいまでなるんですか。そうすると7円83銭で今売っているわけですけれども、その差というのはかなりある。そうすると、直接使った方が効率がいいという話になると思うんですが、そういった点についてお尋ねをいたします。

〇船越企業局長 何点かお尋ねがございましたけれども、私の方からは風力開発の考え方について御答弁を申し上げたいと思います。
 風力につきましては、現在我々企業局ばかりではなくてと申しますか、むしろ最近は大型のものについては民間企業が積極的に取り組んでいる状況にございます。そういった中で、環境首都を目指す本県としましては、これまで企業局としては2、000キロワット未満の風力発電を手がけてきたわけでありますけれども、これは規模は小さくても県みずから率先して取り組むということが電力の自給率の向上はもとよりでありますけれども、地球温暖化対策あるいは地域活性化、さらにはクリーンエネルギーや環境政策の啓蒙という意味からも、極めて重要なものだと考えて取り組んでまいりました。
 例えば、企業局が取り組んでまいりましたこの稲庭高原風力発電所は浄法寺町にあるわけでございますけれども、浄法寺町の観光のランドマークとして活用されておりまして、この10月にはこの稲庭で全国風サミットというものが開催されます。そしてまた、この8月に私どもがプレイベントとして取り組んでまいりました新エネセミナーin稲庭では、地元の中学生を対象といたしまして、環境の保全と新エネルギーの導入ということについてやってきたわけでありますけれども、地元の小・中学生から環境の保全と、それからこの風力発電の大切さがよくわかったという感想文が多数寄せられておりまして、言ってみれば我々の地域貢献と申しますか、そういった意味づけがこういったところにあるのではないかと私は考えているところでございます。しかしながら、今委員御指摘のように、RPS制度が導入されたわけでありますけれども、東北電力では本年度の2、000キロワット未満の風力については、電気のみ1キロワットアワー当たり3円で購入するということを公表しております。しかし、これにつきましては、RPS制度のものについては、いわゆる電気の部分とそれから環境価値部分の二本立てという料金体系になっておりまして、したがって、稲庭で我々がやった11円50銭ということからいたしますと、3円でございますので、8円50銭があれば大体その値段になるわけですけれども、いまだこの環境価値分については全国的に取引事例がなくて公表されていないという状況でございます。
 確かに東北電力は、もう環境価値分は要らないということで3円だけ買うということでございますけれども、この環境価値分については、いわゆる全国的なレベルで取引されるわけでございまして、例えば東京電力なんかは余り環境価値分が埋まっていないと聞いておりますが、そういった形で、仮にそちらの方で我々が期待するような値段であれば、東京電力にも我々としては売れるというものでございます。いずれ、これは需要と供給のバランスと申しますか、そういった中で価格が明らかになっていくものだろうと思っております。企業局といたしましては、この風力開発の採算性に大きな影響を及ぼす環境付加価値の取引動向を注視しながら、もちろん採算性というのは一番大事でございますので、この採算性を検討しながらこの事業化の可能性について検討を行っていきたい。
 今後とも、この地域活性化の面からも地元市町村と一体となって取り組んでいきたいと考えているところでございます。

〇武蔵企業局技師長 電源開発費についてでございますが、電源開発費は発電所建設の工事を始めるための事前調査、例えば河川流量調査とかあるいは発電所の基本設計、実施設計あるいは多目的ダムに参加する場合にはそれの負担金ということでございまして、平成5年度から14年度まで10年間で、今お話がありましたとおり8億2、000万円余りを計上してございます。そのうち、早池峰発電所では1億1、000万円余りを使っておりますし、それから柏台発電所で1億7、000万円余りを使っておりまして、これらは運転開始に至っております。
 それから風力発電としましては、稲庭高原風力発電所で2、900万円ほど、これも運転開始をしております。それ以外に胆沢第三発電所、現在建設中でございますが1億7、000万円余りを使っております。それ以外に簗川発電所については現在まで4、000万円余り支出しております。それ以外には北本内地点を初めとする7地点の流量観測に使っておりまして、今後開発準備に活用しようという状況でございます。
 それから、平成14年度電源開発費の支出が少なかったということでございますが、一応開発計画地点の基本設計等が一段落しまして、現在はその5地点の流量観測を主にやっているため減ったものでございます。
 それから、需要が低迷しているので難しいのではないかということでございますが、確かにそういう面はございますが、新エネルギー開発ということで二酸化炭素は排出せず、自前の再生可能なクリーンエネルギーということでございまして、本県でも新エネルギー導入の促進及び省エネルギーの促進を図るための条例を制定しておりますし、地球温暖化防止あるいは循環型社会の形成、あるいはエネルギーの自給率の向上を図るという観点から、企業局としても、今後とも水力開発あるいは風力開発を進めていくことが重要だという観点から調査を継続していきたいと考えております。
 それから、市町村や民間への協力ということでございますが、過去に葛巻町のエコ・ワールドくずまき構想というのがございまして、それで小水力開発をやりたいというようなお話があったものですから協力をして調査もやっております。ただ、これは経済性がよくないということで実現はできなかったんですが、こういうこともやっております。
 それから、住田町で木質バイオマス活用調査事業というのをやっておりますので、これにも参加しまして、(「委員長、簡潔にやれ」と呼ぶ者あり)協力を行っているところでございます。

〇及川幸子委員長 静粛にお願いします。答弁中であります。
 この際、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

〇武蔵企業局技師長 ちょっと動揺して答弁漏れがございました。大変失礼しました。
 自分で使った方がいいのではないかというお話でございましたが、これ自分で使うためには、送電線とかあるいは配電線を活用する必要がございまして、現在ではなかなか自分で使うために送電線、配電線まで活用する制度にはなっておりませんので、直接発電所のすぐそばで使うのであればよろしいのですが、離れたところでは難しいという現状でございます。

〇柳村典秀委員 この風力ですけれども、企業局で発電している中の割合で幾らぐらいかと調べると、14年度実績でいくと0.4%にしかすぎません。これには7億円を投資しておりました。そして先ほど開発費でも2、900万円かけている。そして17年間で6、700万円の利益が出るよという話なわけです。これは11円50銭の場合。ところが、先ほど来話が出ているように、3円はもう決まっていると。プラスの上乗せ部分が明確になっていない。採算が合うか合わない段階で、なぜこれからもずっと風力のために開発費なりそういったお金を投資していかなければならないのかという点が非常に疑問なわけです。その点をお尋ねしたいと思いますし、そこでちょっと監査委員にもお尋ねしたいと思います。
 というのは、監査の審査意見書、平成11年から見させていただきましたけれども、ほとんど毎回同じ言葉が出ております。それは、新規電源開発に努めるようにということと、そして引き続き健全な経営に努めるようにという言葉です。これに後押しされているのか、新エネルギーについて相当お金をかけているし、見込みがあるかないかわからなくてもやっているという段階だと思うんです。そういうことから、企業局長にもその点をお尋ねしますし、監査委員については、こういう実態をわかっていてこういう毎回同じような話をしているのか。健全な経営ということと、私は新規の電源開発というのは相反する話ではないかと。というのは、今回の風力を見ても、危険性があるというのはよくわかったわけです。そういうことからすると、ただただ電源開発をこれからも努めるようにという話は果たしてどうかなと思うんですが、その点を監査委員にお聞きをしたいと思います。
 あと、先ほど出てきましたけれども、利益の一部を他会計に繰り入れというか使うことができるかどうか、この点については平成12年の話があるわけですけれども、そのことも監査としてはどのように考えているか、その点についてお尋ねいたします。

〇船越企業局長 風力のお尋ねでございますが、いずれ、採算性が悪いと見込まれる、あるいは単価的に割が合いそうにないのにどうしてやるかという御質問でございますけれども、風力の意義につきましては先ほども申し上げたとおりでございますが、特に風力につきましてはクリーンエネルギーということもございますが、今、国で進めているこういった採算性の面ではかなり難しいけれども、やっぱりRPS法をつくって、その中で進めようという分野のものでございまして、いわゆる新しい技術をこれから開発しながらどんどん効率化を図っていくという途上にあるものだと認識しております。そういった中で、このRPS法に参画する意義というのは企業局としてもあるのではないかと考えておりますし、その中では採算性も当然検討はするわけでありますが、一方ではそういった大きな意義があるものだと思っております。したがいまして、利益率からすれば中小水力よりは恐らく危険性と申しますか利益率は少ないだろうと思いますけれども、一方ではそういった意義があるということを御理解いただきたいと思います。
 それから、いわゆる3円でしか買わないのに、採算が合わないのになぜかというところでございますが、まだ環境付加価値分がはっきりしていないわけでございまして、これは我々だけではなくてほかの企業なりあるいは公営企業が手を挙げるにしましても、当然それは採算が合うところでないと事業はできないわけでございまして、したがって、この環境価値分というのは先ほども申しましたように、それぞれの需給バランスの中で採算が合うラインで決まっていくものではないかなと考えているところでございます。

〇一戸監査委員 健全な経営と新規電源開発は相反するのではないかというお尋ねでありますけれども、大変簡略にという委員長からのことがございましたけれども、若干長くなる点もありますので御了承願いたいと思います。
 委員皆様の中には、会社経営に携わっている方もいらっしゃいますし、かなり業績を上げている方もいらっしゃいますので全く釈迦に説法のそしりは免れませんが、あえて申し上げたいと思います。
 どの企業であっても、新規の事業を立ち上げるという際には、私の経験から申し上げましても損益分岐点というのが大事なことになりますので、つまり採算性、これを度外視して新規の事業は展開できないということになります。それに企業が存立、永続発展させるというのが非常に大事なことでございますし、経営を取り巻く環境、社会性、その他もろもろの条件を考えて座してじり貧を待つか、新しい事業でプラスになるかというような決断のもとに、プラスになるということを考えて新規な事業に展開すると、こういうのが一つの経営の心得ではないかと思っております。そういう点から申し上げますと、新規電源の開発は国家的にも取り組むべき課題であります。本県においても、恵まれた自然と豊富な資源を生かし、積極的に取り組むべきものと考えております。先ほど前段で申し上げましたように、新規電源の開発に当たりましては、事前の調査を経て採算性の確保が十分にもくろむことができるものを事業化するというのがこれは当然のことでありますから、新規電源開発自体が電気事業の健全な経営に反することはないと考えております。
 もう一点の、利益の一部を他の会計に使用することは違法かどうかというようなことを含めましてお尋ねがありましたけれども、電気事業の一部を他の会計に使用することにつきましては、地方公営企業は、本来、経営に伴う収入によって賄うべきことでありますから、これは独立採算制ということでございます。他の会計に使用することには相当の制約があるものと考えますが、具体的には国の考え方も聴取しながら、企業管理者がしかるべく判断されるものと思います。
 なお、参考までに申し上げますと、これまで本県では、電気事業以外に資金を流出させるべきではないとの国、これは旧通産省の見解を受けて、例外として認められているのが余剰資金の有利子での貸し付けを通じ、間接的ながら地域振興に寄与してきたものであります。平成12年度の電気事業法の改正に合わせ、内部留保資金等の自由度が付与されましたが、これは効率化等によって得た利益を内部留保資金等に充当することにより、財務体質の改善や設備増強を図ることなどの自由度であり、これまでどおり事業本来の安定的運営のための活用が基本であると認識しております。
 ちなみに、本県ではこの電気事業の円滑な運行に支障のない範囲で、一般会計に対し自治振興基金や環境保全基金の原資等の貸し付けを行っております。

〇及川幸子委員長 柳村典秀委員に再度申し上げます。質問は簡潔にお願いしたいと思います。

〇柳村典秀委員 はい、わかりました。
 監査委員のお話はよくわかりました。ありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきます。
 平成9年に四十四田ダムの湖底に土砂が大量にたまってきて、当初予測の倍で進んでいるという新聞報道がされております。その中身といいますか内容は、ダムの総貯水量の4分の1に相当する部分にたまる年数というのを100年と見込んでいるそうですが、それが30年足らずでもう8割を超えているという内容でございました。これについて当時は上流に砂の流入防止の小規模ダムをつくるなどの対策の検討に着手したいということで、今の国土交通省でしょうけれども、そちらの方のコメントが出ていたんですが、これについてはその後どうなったのか。このことによって、発電量に影響があるのかということをお尋ねします。
 それと、次に、企業局では発電所に係る共有施設管理費農業側分担額ということで土地改良区からお金を徴収しています。この金額が幾らになっているのかということと、ことしは平成5年に匹敵するような大冷害と言われております。政策的な配慮というか、その分担金について免除というか、そういったことができないのか、この2点についてお尋ねいたします。
 それと、続けて工水の方になりますけれども、平成12年度の工水の決算議会といいますから平成13年に行われたわけですが、このときに平成14年度の決算は赤字に転落するというお話がありました。しかし、結果的には1億3、000万円の黒になっているということなんですが、その当時と今との違いといいますか、なぜその当時は赤字になると予想していて結果的にはこういう黒字になったのかということと、平成11年から支払い利息を見ていきますとかなり上がってきていると。そのことが原因しての話があったのかなと思うんですが、この利息の内容についてお話をいただければと思います。

〇杉下業務課長 四十四田ダムでの堆積状況についてですが、四十四田ダムを管理している国土交通省北上川ダム統合管理事務所によると、四十四田ダムの堆砂量は平成14年度末現在で964万4、000立方メートルで、計画堆砂量の83.1%となっています。
 今後の堆砂の見通しについては、洪水の規模により堆砂量の変動はありますが、近年10カ年の堆砂状況の変化を考慮してみますと、年に11万5、000立方メートルの土砂が堆積していることから、17年後の平成31年ごろには、計画堆砂量に達すると予想されています。
 このようなことから、北上川ダム統合管理事務所では、詳細な測量調査により、堆砂形状の面的な把握を行い、精度の向上を図り、恒久的な対策工法の検討を行う予定と聞いています。
 発電は常時満水位から計画堆砂面までの水深12メートルの発電容量を利用して運転しておりまして、発電への影響はありません。

〇駿河財務管理課長 農業水利事業と発電事業に係ります共用施設の分担金についてでございますが、この施設につきましては、農業水利事業と発電事業の共同工事により建設した水路等の施設の管理を企業局が受託いたしまして、その管理費用の負担について、受益割合に応じた負担をちょうだいしているものでございます。
 平成14年度の分担金の収納額でございますが、胆沢平野土地改良区、和賀川土地改良区、岩手山麓土地改良区連合の合計額で1、834万9、000円となっているところでございます。
 それから、その免除についてでございますけれども、この分担金につきましては、相互の協議によりまして、使用水量の割合に基づきまして管理費用を案分して分担いただいているものでございまして、受益者負担原則並びに公平性の観点から、極力、負担割合については原則を維持すべきものと考えているところでございます。

〇杉下業務課長 工業用水道事業会計の平成12年度決算議会において、平成14年度の決算は赤字に転落するとの答弁についてですが、平成12年度の決算議会時点における経営見通しでは、過去の決算の状況をもとに、将来予測される事項を加味して推計したものであり、収益は増加する見込みがない一方で、早池峰ダムの完成に伴う企業債の支払い利息、市町村交付金など費用の増加が見込まれたため、平成14年度に欠損金が生じて、累積欠損金もふえる見込みである旨答弁したところであります。
 欠損金の発生が予想されたことから、予算の執行段階においても経費の節減に努めたところであり、修繕費の大幅な節減、最小限の人員配置による事業執行及び人事院勧告に基づく給与水準の低下による人件費の減少、電気料金の改定に伴う動力費の減少などにより、おおむね1億3、000万円ほどの黒字を確保することができたものであります。

〇伊藤総務課長 支払い利息の内訳についてでございますけれども、企業債利息が2億9、769万円余でございます。また、資金不足の補てん財源として電気事業会計から借り入れしておりました長期借入金利息が29万円余、同じく電気事業会計からの一時借入金利息が1万円余となっております。

〇柳村典秀委員 土地改良区に対する分担金の件なんですけれども、実は、平成5年の際には、当初の協定したといいますか予定していた金額よりも、冷害だということで配慮しているはずなんです。なぜ前回配慮できていて今回できないのか、その理由をお尋ねいたします。

〇駿河財務管理課長 この負担金の分担額を定める協定書の規定の中には、これによりがたい場合には相互に協議して定める旨の条項がございます。これは、管理負担金が管理費用の増嵩に伴いまして値上がりする際に、要請を受けまして、関係者協議の上、やむを得ず激変緩和という趣旨で軽減を図ったものでございます。

〇柳村典秀委員 要請されたのでやむを得ずという話がありました。恐らく、今回も要請が来ると思います。その際はよろしくお願いいたします。

〇伊沢昌弘委員 簡潔にお伺いしてまいりたいと思います。
 まずもって、平成14年度の決算、電気事業、それから工業用水道事業につきましても、経営収支が純利益を出したということで、企業局職員の皆さんの御努力に敬意を表しながら、質問させていただきたいと思います。
 1点目は、風力発電についてお伺いしたいと思います。
 先ほど来お話がございまして、平成14年度の決算では、当初計画から、言ってみれば補償費もいただいて69.3%の実質的な達成率だったということでお話がありました。
 私がお聞きしたいのは対応でございます。いわゆる落雷に対する対応について善処したと。技師長もおられるので、技術的な面でお伺いしたいと思います。予測がつかなかったという落雷の問題があったわけですけれども、なぜそうなったのか。日本国じゅう落雷はあるわけでありますけれども、その理由についてお知らせいただきたい。
 それから、対応していく中で、お聞きしますと、発電をとめることによって落雷がとめられると。このメカニズムについてわかりやすく教えていただきたいものだと思います。
 まず、ここまでお願いします。

〇武蔵企業局技師長 まず、落雷の点でございますが、稲庭風力発電所開発時点で、環境影響調査などをやりまして、その時点では余り強い雷はないということで、日本海なんかに行きますと、冬の雷が随分激しくて、そういうところでは、上から雷が落ちてくるのではなくて、横から落ちてくるというか、走ってくるというか、そういうものが非常に強烈だったわけですが、あそこの稲庭岳につきましては、普通の、夏に上から落ちてくる。それに対してメーカー側も一般的な避雷装置は完備しておりました。そういうことから、我々としても余り問題はないのではないかというようなことで、その標準品を使ったものでございます。
 それから、発電をとめれば雷が落ちないのではないかというようなことで、今対策を練っておりますけれども、9月3日でしたか、国会議事堂に雷が落ちたということですが、あれについても、立派な避雷針が頂上にはついておりましたけれども、多重雷ということで、短時間に何発も落ちてきて、それが強風にあおられて避雷針以外のところに落ちて破壊したというようなことで、まだまだ雷に関しては完全な解明がなされていないということでございます。
 それで、FRPを使った風車を回しておきますと、どうしても電界をこするといいますか、よく、乾いた新聞紙で髪をこすると静電気が起きる、ああいうような感じでございまして、とめることによってそういう影響はないのではないかということで、採用しようということでございます。

〇伊沢昌弘委員 わかりました。科学の実験のおさらいをしたような気がしますけれども、いずれ2年続けて大変な事故だったわけですが、先ほどの柳村委員のお話ですと、これらを含めてむだではないかという話があるわけですが、私は、次にお聞きする新たな電源開発も含めて、ぜひこの成果を、教訓を生かすということでお願いしておきたいと思います。
 新たな電源開発について、平成14年度中に流量調査等のお話がございました。たしか5地点やっていらっしゃる、それから風力についても、今は環境評価の方に結びついたということで御答弁をいただいているんですが、そこで、この平成14年度中までに行ってきた流量調査の結果、水量的に水力発電が可能な地点といいますか、10年たたないと結果が出ないと言われているんですけれども、見込みとして何地点かあるのかどうか。
 それから、風力については、稲庭で今、現実に動いているわけであります。盛岡市内の、ちょっと忘れましたが、風況調査をやってきた。これの実態からいけば、風力については、今までの稲庭よりも大きな発電効果が得られる見通しなのかどうかについて教えていただきたいと思います。

〇武蔵企業局技師長 流量観測調査につきましては、今お話ありましたとおり5カ所についてやっております。ただ、直ちにそれが開発に結びつくかということになりますと、簗川ダムの件もありましたとおり、1、000キロワット以上の計画地点でございますので、このままではなかなか開発は難しいものと現時点では考えられております。そのために、こういう流量調査を活用しまして、1、000キロワット以下のRPS対象の開発ができないかということで、これから検討を始めようという段階でございます。
 それから、風力につきましては、盛岡市飛鳥地区と一戸町の宇別地区の2カ所で昨年12月から調査をやっておりますが、現在までのところ、夏場の関係もございまして、稲庭風力よりいいという感触はなかなか得られない状況でございます。これから冬場に向かってもう少し風が強くなるのかなと思いますが、なかなか6メートル以上、あるいは6.7メートル以上の結果が得られるのは、ちょっと難しいのかなというような感触を得ております。

〇伊沢昌弘委員 ありがとうございました。
 新たなクリーンエネルギーの開発という部分は絶対続けていかなければならないと私も思っています。そこで、県を初めとする他の機関とのこれまでの共同研究について、企業局でも単独で行ってきた部分があるだろうと思いますし、他の機関との共同研究について、これまでの実績と今後の計画等がもしあればお知らせいただきたいと思います。
 あわせて、今、簗川ダムのお話がございました。同意が得られないということで断念するということで、私はまことに残念な部分かなと思っています。水量調査をしなくても発電が可能な部分でございますので、10年間の水量調査が要らないでやれるということになります。
 それで、0.3%のダムに対する負担金があったと思います。670億円ですから、計算すると2億100万円になりますかね。今までこれに納めてきたといいますか、納入されてきた負担金は幾らで、それから、残りの部分については、多分、ダムのかさ上げ等々を含めて見直しになるということ、負担の部分については企業局に課せられないものだと思うわけでありますけれども、それぞれの関係機関との協議が残っていると思います。これらについては、当初乗っかると言って0.3%の負担をした部分が今後どのようになるのでしょうか。見通しがもしわかれば、教えていただきたいと思います。

〇武蔵企業局技師長 他機関との共同研究ということでございますが、平成11年度に北上中部工業用水道施設内にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)との共同開発研究事業ということで、太陽光発電設備を設置しておりまして、平成14年度まで4年間、発電効率とか信頼性、保守性等の基礎的な調査を実施してきたところでございます。ただ、その結果は、他の電源に比較して割高なものという結果になっております。
 それから、木質バイオマス発電についてでございますが、現段階では経済性を確保するというのは困難と考えておりますが、知事部局と連携しまして、住田町をフィールドとした自家発電事業可能性調査を実施しております。
 それ以外に、単独でございますが、昨年度スターリングエンジンを活用した小規模コージェネレーション調査なども行っております。ただ、これも電気事業としては開発困難だということから、調査結果を一関高専に引き継ぎまして、現在、同校を中心として研究会においていろいろ検討、研究がなされているところでございます。この研究会に対しましては、工業技術センターなどとともに、技術面とか運営面について支援を行っているところでございます。

〇杉下業務課長 簗川ダムのこれまで納めたダム負担金は、平成14年度までで4、841万5、000円でございます。
 それから、0.3%の負担金の今後の取り扱いにつきましては、県土整備部初め、共同利水者と協議して、検討してまいることになります。

〇伊沢昌弘委員 いろいろ研究されている部分、今後もそれは続けていただきたい。
 それから、2億円ですから、残りの1億5、000万円ほど、これはどうなるかというのは協議で、ひょっとすると負担されるということもあり得るのかどうか、この辺はないとは思いますけれども、その辺、もしわかれば教えてください。
 次に移ります。
 企業局の利益の県民への還元といいますか、そういったことで先ほど来いろいろお話が出ていました。私は2点お伺いしたいと思います。
 建設工事に係る地元業者への発注状況についてお示しいただきたいと思っております。長引く景気低迷の中で、地元の企業も懸命の経営努力をしてきているところでございますが、県も、県の財政が一層厳しくなる状況、市町村も同じように厳しくなる状況で、公共事業費の減少が今後見込まれている。このことについては、県民、県内の民間企業にとって大変厳しいものだと私も考えるわけであります。
 そこで、企業局の発注する建設工事等については、県内経済への波及効果の拡大を図って、言ってみれば優先的に地元企業へ発注することも可能ではないかと考えられるわけであります。
 そこで、建設工事等の入札・発注方針にかかわる基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。
 あわせて、平成14年度における契約金1、000万円以上の建設工事が電気事業にかかわっては掲載されております。工業用水についても決算書に載せられているわけですけれども、この契約された事業の中で、地元業者への発注状況について、件数、金額等についてお示しいただきたいと思います。
 もう1点、私は、実は平成9年9月の決算特別委員会で、企業局が得た利益を、言ってみれば水源涵養事業に回したらどうかという御質問をさせていただきました。このときの視点は、実は、水源を確保しながら水量を確保すべき、そのために荒廃している山を購入するなり、植林をするなりするのが妥当ではないか、こういう視点で御質問した経緯がございました。当時の企業局長は、調査検討の必要性について認識しているという御答弁をいただいておりました。その後検討されたことがあるのかどうかについて、改めてお伺いしたいと思います。
 今、環境首都を目指す本県の施策として環境問題が大きな事業になっているわけでありますけれども、企業局の事業としても、こういう分野に対する手だてというものがあってもいいのではないかと思うものでありますので、御所見を賜りたいと思います。

〇船越企業局長 それでは、私の方からは簗川ダムの負担金の問題と、それから、利益の県民還元について、水源涵養保安林の2点についてお答えしたいと思います。
 簗川ダムの負担金につきましては、原則、先ほど業務課長の方から申し上げたとおりでございまして、いずれ我々が事業をやめさせていただくとなりますと、当然、その事業ができなくなるということで、それに伴う負担金というのは本来計上すべきではないと思っております。しかし、これは先ほど申し上げましたように、共同事業者との協議が必要でございますので、鋭意理解をいただくように、私どもとしてはよく御説明をしていきたいと思っております。
 それから、利益還元のいわゆる水源涵養を目的とした森林の保全についてでございますが、委員から御提言ございまして、これまで企業局で検討してまいりましたが、特に県営の主力発電所であります岩洞発電所の水源域について、水源涵養を目的としてこういった事業ができないかということで検討してまいりました。対象地域は国有林野で、水源涵養保安林となっておりまして、森林管理署と協議してまいりましたが、国の管理により今後ともみだりに伐採あるいは開発が行われるおそれはないということで、適切に管理される地域であるということでございました。
 こういったようなことから、岩洞においては水源涵養事業は不要との結論に至ったわけでありますが、その他の地域におきましても同様に、水源地の大部分が国有林野で占められておりまして、そういったようなことからしますと、今の岩洞と同じような状況ではないかということで、企業局としてこういった事業を起こすのは難しいのではないかという結論になっております。
 しかしながら、企業局としては、この森林の恩恵に浴しながら事業が推進できているということを考えれば、森林に感謝し、また、その保全に協力することは大事な視点だと思っておりまして、私自身、今後こういう視点を大事にしながら、企業局としても何らかの形でできる方策を考えていきたいと考えております。

〇駿河財務管理課長 建設工事に係ります地元業者への優先発注についてでございますが、企業局におきましても、工事の請負契約に係る指名競争入札参加者の指名基準等を定めてございまして、その中に、県内資格者で施工可能と認められる工事については、極力県内資格者のうちから指名するよう配慮することとの規定を設けてございまして、これに従って入札を実施しているところでございます。
 この結果、1、000万円以上の工事で指名競争入札に付しました16件の発注実績を見ますと、県内業者への発注は件数で12件、率で75%でございます。契約金額では16億6、000万円余、率にして69.8%となってございます。結果といたしまして、電気事業の水車発電機製作据付工事でありますとか、工業用水道事業の送水管電気防食工事など、専門技術を要する特殊な工事で、県内に施工実績のある業者が少ないとき、あるいはないときに、県外業者に発注する結果となってございます。

〇伊沢昌弘委員 ありがとうございます。
 今後もぜひ県内企業への発注を含めて、余りやり過ぎるといろいろな問題が出てきますけれども……(「いやいや、いい」と呼ぶ者あり)公明正大の中でぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 水源涵養を含めて大変難しい課題だと思いますけれども、ぜひ前向きに、いろいろな可能性を含めて御検討を、ここはお願いをしておきたいと思います。
 工業用水道についてちょっとお伺いしたいと思います。
 先ほど来から、工業用水、未売水の解消等が大きな課題だということになっているわけでありますけれども、これまでも企業局内で企業誘致に向けたいろいろな取り組みをされてきたと。改めてここで、県の関係機関、もしくは市町村を含めてなわけですけれども、連携した取り組みの中で、企業誘致に向けた取り組み、これまでの経過なり今後の取り組みについての決意をお示しいただきたいと思っております。
 それから、2点目でございますが、さきの質問者の中にもあったんですが、超過水量と契約水量についてちょっとお伺いしたいと思います。
 実使用水量が平成12年度以降減少傾向にあり、契約水量との間に大きな開きが出ているような気がいたします。超過使用水量についても、平成10年度をピークにいたしまして、それ以降減少傾向にあるわけであります。
 先ほどの御質問で、19ある事業所のうち、基本水量を超過している事業所は3社だという御答弁がございましたので、それをひっくり返しますと、16社が契約水量に対して使用水量が少ない企業だと理解するところであります。企業局との契約は基本料金で契約をしていると思います。各企業は、超過料金にいかないところについては、自分が使った水量以上にお金を払っているのではないかという懸念が生じてまいります。
 そこで、企業局との契約更新の動きといいますか、働きかけもあるのではないかと思いますが、それらの実態についてお知らせいただきたいと思います。
 またあわせて、私が今申し上げたように給水先事業所と企業局との給水契約の条件といいますか、それらについて一定程度考え方があると思うんですけれども、これまで契約をしてきた条件等についてお示しいただきたいと思います。

〇杉下業務課長 工業用水道の未売水の取り組みについてでございますが、企業誘致に向けた対策としましては、県の関係部局、北上市、金ケ崎町等で構成する工業用水利用促進等関係機関連絡会議を通じまして、用水型の企業の誘致や既存企業への水需要の拡大に努め、工業用水の利用等を促進するとともに、企業立地の促進により、地域振興を図るための情報の収集・提供等、工業用水の利用に関する関係機関の相互の連絡調整を行っております。
 また、県主催の企業ネットワークいわて及び北上市主催の企業誘致説明会に参加し、工業用水事業のPRを行っております。
 それから、契約水量と実水量の開きということで、今後、企業の方で契約に対する動きが出てくるということについての考え方ということでございますが、契約水量と実際使用水量との間に乖離が大きい企業数社からは、減量の要請が出ています。しかし、本県の工業用水道においては、事前に企業から受水量の申し込みを受け、この申込水量を確保できるよう工業用水道施設を整備しております。このため、この投資額を回収する必要があることから、申込水量に応じて料金をいただく仕組みとしております。
 企業局はこれまで、国の経営健全化対策の導入やコスト縮減による値上げの回避等、健全化に努めてきましたが、現在も多額の累積欠損金を抱え厳しい状況にあります。このような状況から、現在のところ契約水量削減の要望にこたえることはできませんが、今後とも工業用水の安定供給を確保して、高利率の企業債の早期償還や水需要拡大等経営健全化を進め、経営基盤を強化した上で、企業の要請にこたえられるよう努めてまいりたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 わかりました。今の問題、ちょっと引っかかる御答弁なので、後でちょっと触れたいと思います。
 あと2点お伺いします。
 財政見通しを含めていろいろ御答弁がこの間あったわけですけれども、私は1点だけ、平成14年度において、地方公営企業法第18条に基づいて、一般会計から出資金として企業債元金償還に要する費用と思われるんですが、前年より多い8、700万円余が繰り入れをされているところでございます。一般会計から繰り入れされているこの出資金の繰入根拠について、どういう理由でこれが繰り入れられるのか、それから、一般会計からの繰り入れでございますから、県の財政そのものが大変厳しい中で、将来的にこの繰入計画が行われるものなのか、あわせてお伺いしておきたいと思います。
 それから、再三にわたり、将来に向かっての経営改革プログラムをこれからつくるというお話が先ほど来ございました。工業用水については、平成3年以降に実施された国の経営健全化対策によって、平成9年以降、単年度黒字をずっと計上してきているところであります。しかし、今私が御指摘を申し上げた未売水の解消等、それから、企業の使用する水量がどんどん減っているという状況等を考えていけば、大変厳しい状況になるのではないかと思われます。
 今後、言ってみれば工業用水の経営を安定化させるためには、営業経費を幾らかでも節減していく必要があると思われます。これまでも企業局としていろいろな努力を重ねてきていると思われますけれども、これまでの取組状況と成果についてお示しいただくとともに、今後の健全化に向けた計画、経営改革プログラムに盛るべき、言ってみれば節減対策等々を含めたこれらについて、お示しいただきたいと思います。

〇伊藤総務課長 一般会計から繰り入れている繰入根拠と今後の繰り入れについてでございますけれども、一般会計からの繰り入れの根拠についてでございますが、地方公営企業法では、公営企業の経営は独立採算を原則としながらも、同法第18条第1項で例外規定を定めておりまして、地方公共団体は地方公営企業の財政的基礎の充実を図るため出資を行うことができることとなっております。
 出資金は、企業債の元金償還に係る資金不足を対象に算定しておりまして、経営健全化を目的に、一般会計の支援策として繰り入れしているものでございます。
 今後についてでございますけれども、元金償還が今後ピークを迎えていくことなどから、今後はますます資金収支が悪化していき、多額の資金不足が発生するものと予想されております。このことから、関係部局と協議しながら、引き続き一般会計の支援を求めていきたいと考えているところでございます。

〇杉下業務課長 経費節減対策についてですが、これまで経費節減対策の取り組みについては、工業用水の安定供給の確保と経営の健全化を図る観点から、建設・改良計画の見直しや業務の外部委託の推進などにより、維持管理費の節減に努めてまいりました。
 この結果、計画的な予算執行による修繕費の節減や電力会社との契約内容を変更するなど、対策を講じたことによる動力の節減ができたところであります。
 経営見通しでは、収益は増加する見込みがない一方で、老朽施設の改修などによる費用の増加が見込まれることから、今後も建設・改良及び修繕計画の見直し、業務委託の拡大、支払い利息を軽減するための高利率企業債の繰り上げ償還を国に要請するなど、一層の費用の削減に努めることとしております。
 また、今年度、経営目標達成のための行動計画を内容とする中期経営計画を策定することとしており、これを着実に実行し、一層の経営健全化に努めてまいりたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 ありがとうございます。わかりました。大変厳しい状況でありますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思っています。
 それから、先ほどの契約水量のことなんですが、認定水量ということで、それぞれ月ごとの給水した実績等々いただきました。これを見ると、確かに契約水量と超過水量で契約をしているというのがあるんですが、実水量との差を見ていきますと相当の開きがあるという思いがしています。したがって、事前にこれだけやりたいということで契約をすると思うんですが、これはもう何年変わろうが動かないのだということが今成り立つのかなという思いがしています。
 企業局内部の経費節減のことについても、私は今お伺いしました。企業の方もかなり企業努力もやっていると思うんですが、これを年度ごとに見直しをぜひしてくれと言われたときに、企業局としてもこれは受けざるを得ないのではないかと思っています。超過しているところが3社しかなくて、残りは超過もしないで基本料金を払っている、こういう実態があるとすれば、これは企業局としてはまけるといいますか、契約をし直して、水量を下げればそれだけ給水の料金が減るわけで、大変マイナスの意味があるんですが、それぞれの企業が張りついて今やっている中で、操業短縮等々をやれば減るのは当たり前であります。
 企業の誘致がふえない中で、今ある企業が閉鎖をして撤退するということは、なお大きな影響が出ると思われる部分があるので、痛しかゆしの面があるんですが、それらについて今後慎重にやるべきことだと思うんです。改めて、そういう企業からの申し出等について、だめなものはだめだから、これを払えというのでは通用しないような気がしますけれども、局長、それについてどのような御所見なのか、お伺いして、終わりたいと思います。

〇船越企業局長 委員御指摘のとおり、現在、痛しかゆしのところがございまして、私どもも経営が苦しい中で、一般会計から支援を受けながら何とかやっているような状況もございます。そしてまた、一方では、その対策として、それでは企業誘致がどんどん進んで未売水の解消ができるかというと、それも当面はなかなか難しい情勢でございます。また、多額に借りている企業債の償還に当たる、いわゆる高利率のものの償還というものも、国の方の財政も厳しいということで、要望はしているんですが、これもなかなか難しい。
 そういうことになりますと、我々としては、健全経営の中でどうやってこれを安定供給していくかというのが一番の課題でございますし、また一方、ユーザーさんの方からすれば、経済が厳しい中で、自助努力をしながら、水もリサイクルに努めて、一生懸命経費節減に努めておられる。そういう中で、今約30%ぐらいの乖離があるわけですが、それをどうするかというのは、なかなか今すぐお答えができない状況でございます。
 しかしながら、我々としては、ユーザーさんがあっての公営企業でございますので、今後ともユーザーさんとよく話し合いをしながら、お互いが理解できるところで、こういった問題を解決していかなければならないと思っております。

〇斉藤信委員 最初に、簗川ダムの水力発電所計画について、これは今度の定例会前に断念という結論を出したと、これはよかったと思っています。定例会が終わってからというのは、これは無責任でだめだから、その点は評価をしたい。しかし、延ばし延ばしにして、去年の負担金、ことしの負担金、私はこれは全くむだな経費になったのではないか。去年は989万7、000円でしたね。今年度予算計上している負担金は、年度途中ですからゼロに修正することはちょっと難しいんじゃないでしょうかね。そこの判断を私はお聞きしたい。結局、総額幾らがむだになるのか、これが第1点です。
 あわせて、胆沢ダムの建設事業費の方は、これは開発同意がされているんでしょうか。そして、胆沢ダム発電所のダム負担金、水力発電所の建設事業費、これを示していただきたい。

〇杉下業務課長 簗川ダムの今年度の負担金については、基本協定を今まだ締結しているところでございますので、その終了次第、適切に処理されるということになります。現在は、その協議をこれから行うということになります。
 それから、胆沢ダムについてはちょっとお待ちください。

〇斉藤信委員 そういうあいまいな答弁じゃなくて、私が聞いているのは、今年度の負担金の計上は幾らで、それは、いわばもうゼロ補正する立場で交渉するのか、年度途中ですから、これはもうやむを得ないと、常識的にはそうですよね、年度途中だから。しかし、まだ金を支出していないとすれば、これは協議の対象になるかもしれないけれども、あなた方はどういう立場で話をするのか。
 私は、2億100万円の負担金は、ぎりぎり考えてももちろん今年度で終わりだと思いますよ。しかし、今年度の負担金についてはどうなるのかというシビアな話を具体的に聞いているのだから、交渉中などと言わないで、はっきり答えてください。

〇船越企業局長 負担金につきましては、先ほどもお答えしておりますけれども、いずれ私どもとしては、事業をやめたことに伴って、今後の負担金をどうするか、それから、今までの負担金をどうするかという問題がございます。いずれ、これにつきましては、私どもとしては、事業をやめたことによって、事業がなくなるわけですから、そういった負担金はなくしたいというのが本音でございます。しかし、これは共同事業者もそれぞれの立場もございまして、やはり協議をして、そしてまた、法令的にもどれが一番妥当性があるのかということを検討していかなければなりませんので、それは、これから関係者と協議をしてまいりたいと考えております。

〇杉下業務課長 胆沢第三発電所についてお答えいたします。
 胆沢第三発電所は、平成3年3月に電力の開発同意を得ております。
 それから、これまでの負担金でございますが、平成14年までの累計が2億417万円でございます。
 それから、事業費は約24億円を見込んでおります。

〇斉藤信委員 私が最初に聞いたのは、今年度の簗川ダムの負担金はどうなっていますか、まず額だけ教えてください。
 それで二つ目に、北本内ダムの負担金、これは2、036万円ありました。これは、簗川ダムは企業局自身の判断でやめるわけだから、それは協議ということになるでしょう。私は、企業局の責任があるから、今までの負担は難しいでしょうと思うよ。しかし、北本内ダムの問題は、これは県の判断で途中でやめたわけですね。この2、036万円の清算はどのように協議されているでしょうか。

〇杉下業務課長 まず初めに、簗川ダムの本年度の負担の費用でございますが、負担協定額は600万円となっております。これにつきましては、先ほど申し上げました簗川ダム建設事業の基本協定に基づいて支払ってございますので、その協議を進めてまいって、本年度の予算については、その進行を見て決めていきたいと思っております。
 それから、北本内ダムの負担金2、036万円の清算についてでございますが、企業局が北本内ダムに参加して支払った負担金の清算については、北本内ダム建設事業中止に伴う精算に関する覚書に基づいて、現在、県土整備部において清算の作業中であります。清算に関する作業が完了し次第、清算に係る協定を締結することとしております。残存物件の処分については、取得済みの事業用地の大部分が山林であることから、確実に処分する必要があります。このため、処分方法、処分先について関係者と協議を行っているところであり、その作業の都合から、当面数年を要する見込みであるとのことであります。

〇斉藤信委員 官僚用語でよくわからないけれども、北本内ダムの2、036万円も清算の協議をしているが、難しいということでしょう。いわば、戻ってくる何物もないということではないですか。何かあれば言ってください。
 次に、稲庭高原風力発電の問題について、私はお聞きしたいと思うんです。
 この問題については、機種の選定から、対応から、さまざまな問題があったと今までも指摘をしてきました。稲庭高原風力発電所運営対策検討委員会、これはこの間検証しておりますね。この検証結果、どういうことが指摘されているか、簡潔に示していただきたい。
 12月の落雷、きょうも議論されています。私は全国的な例から見て、事前の対応ができたのではないかと思うんですよ。例えば、京都府でも平成14年1月5日に落雷を受けていますね。高知の場合は、これは平成11年以降、落雷の経験が幾つかあるわけですよ。だから、全国的な例を本当に踏まえていたら、稲庭は大丈夫だということではなくて対応できたのではないか。検証結果も踏まえて示していただきたい。

〇池内風力発電開発室長 稲庭高原風力発電所運営対策検討委員会の検証結果についてでございますけれども、この委員会は、故障原因の究明と運営対策に関する検討を行うため設置したものでありますが、この委員会では、外部の有識者や実務経験者3名を加えまして、計画段階から営業運転までの業務全般について検証を行っており、その結果、改善すべき事項として次の四つの指摘がなされております。一つ目は、機種選定委員会には、風力発電に関する専門知識や実務経験を有する外部の委員を含めること。二つ目は、仕様書に営業損失の補償内容を明記すること。三つ目は、試験調整の期間は、強い風が吹く期間を含めること。四つ目は、特許技術供与契約がある場合には、請負業者と保守体制等について十分に協議・確認をする。この四つであります。
 なお、売電電力量の計画値につきましては、今後、数年間のデータが蓄積された段階で、適正であったかどうかを検証することにしております。
 それから、12月の落雷についてでありますけれども、まず、この導入した機種は、落雷があっても、発電機や制御関係の機器が損傷しないような一般的な対策がとられた構造になっております。今回の落雷事故では、残念なことに、避雷針の役割をしている羽根の先端部分が損傷しましたけれども、発電機とか制御装置は被害を免れているというものです。
 我々、平成11年に計画段階で調査しました環境影響調査及び基本設計では、落雷の可能性について、立地地点は雷の発生回数が少ない地域であり、特に冬の雷発生地域には含まれていないため、雷被害の可能性は低いと予想される、こういった報告がなされており、我々も、雷は全くないとは考えておりませんでしたが、これほど大きな被害があるということは予想していなかったのものであります。

〇船越企業局長 北本内ダムの負担金の御説明につきましては、先ほど課長の方から申し上げたとおりでありますけれども、いずれ、私どもとしては、これは清算していただきたいと思っているわけであります。ただ、先ほども御説明申し上げましたように、いわゆる残存物件の処分について関係者との協議に時間がかかっているということでございますので、いずれ我々としては、この推移を見守っていきたいと考えております。

〇斉藤信委員 検証結果でさまざまな問題点が指摘されています。最初の機種の選定に専門家の第三者が入っていなかったと、私は本当に初歩的な問題だったと思うし、余り風が強過ぎて故障したなんていうのも、あそこの地域の風況調査が極めて不十分だったという感じはしています。この検証結果を本当に受けとめて今後やっていただきたい。
 それで、今後の風力発電等新エネルギー利用の特別措置法の関係なんですが、風力発電というのは、クリーンエネルギーとして国家的な事業として本来推進すべきだと思うんですね。それで、新エネルギー利用特別措置法は、私はそのための法律だと思うんだけれども、実際にはそういう効果は上がっていないと。
 そこで私は聞きたいんだけれども、新エネ特措法の新エネルギーの具体的な拡大策、その保障というのはどうなっているのか。去年の議論では、風力発電は30万キロワットから300万キロワットに、国は10年間で10倍の計画を立てているということがありました。しかし、新エネ法では8年計画ですね。だから、このかかわりで、実際に新エネ計画では風力発電というのはどのように位置づけられて、それを達成するための保障というのはどういうふうになっているのか、このことを少し示していただきたい。

〇池内風力発電開発室長 新エネ特措法における風力の位置づけということですけれども、国は、風力発電を10倍に拡大するため、具体的対策、保障として、これは風力発電に限ったものではありませんが、RPS制度を導入しまして、電力会社等に販売電力量に応じて一定の割合で新エネルギーの利用を義務づけているということだと思います。
 その具体的な対策としましては、補助制度の拡充・強化でありますとか、送配電線への接続対策の検討など、供給インフラの整備を行っていくものと考えております。

〇斉藤信委員 じゃ、風力発電を30万キロワットから300万キロワットに10年間でふやすというのは変わっていないんですか。新エネ法でもそういうふうに位置づけられているんですか。そして、それを実際に保障する制度というのは、例えば売電単価にしても、東北電力にしろ、電力会社が何%まで、幾らまでとりなさいという枠がありますよね。しかし、先ほどの議論から言うと、単価は下げるんだとかなんだということになれば、これは実際にはもう不可能なわけですよ。だから、具体的にそれを保障する法的な枠組みというのはどうなっているんですか。

〇池内風力発電開発室長 30万キロワットが300万キロワットにふやすということについては変わっておりません。それで、その保障といいますか、そういった目的達成のためにどうなっているかということですけれども、単価的なものとか、そういうものでは示しておりませんが、いずれ電力会社等に販売電力量の一定割合を新エネで賄うように、そういう義務づけをして、その量で300万キロワットを達成するようにその義務量を定めていると考えております。

〇斉藤信委員 先ほどの議論に戻りますが、ちょっと確認したいんですけれども、全国的には73.2億キロワットから122億キロワットということですね。これは新エネ全体ですね。そして、東北電力がそのうち3億7、800キロワットから9億6、000キロワット、こういう枠組みがある、これは間違いないですか。この9億6、000キロワットまでということになると、東北電力は3倍ふやせということですよね。これは具体的に、例えばこの9億6、000キロワットの中で風力発電というのはどういう比率を占めるのか、東北電力は9億6、000キロワットをどうしようとしているのか、それはどう受けとめていますか。

〇池内風力発電開発室長 9億は東京電力かと思いますけれども、東北電力が具体的にどういうふうにして達成していくかということについては、我々が調べ切れないところもあるんですが、いずれそういった国から義務づけられている量を達成していくことによってやっていくんだろうなというところです。

〇船越企業局長 このRPS法の趣旨と仕組みでございますが、趣旨は、先ほど来御意見のとおりだと思います。それで、その仕組みでございますが、じゃ、どうやってそれを、何を担保にしてその達成量をやるのかということでございますが、いずれお話のように、いわゆるその枠を示して、それでとにかく達成しなさいという義務づけをしていますから、いわゆる担保というのはそれだと思っております。
 しかし、その中で、じゃ実際、東北電力は今回3円で買うと言っていますけれども、じゃ、その環境付加価値分が幾らかというのがまだわからない。そうすると、それに応募する人がいるのか、いないのかということになります。現在のところ、その中身は我々にはちょっとわかりませんが、いずれ、それがなければ当然達成できないことになります。したがって、仮の話ですが、3円で電気を売って、そして環境価値が1円でもいいという人がいれば達成できるわけですし、いやいや、これは採算が合わないから、環境付加価値分は10円でなければならないとなれば、そういった値段で市場取引がなされるんだろうと思っております。
 ただ、現在の動向を見ておりますと、確かに10年間で目標量を示されているわけですが、どうもカーブの伸びが弱いといいますか、いわゆる一次曲線ではなくて、加速度的なカーブになっているわけです。ですから、現在のところはまだ低いところで出ていっていまして、最終年度近くになってから急に上がるような計画になっています。ですから、この計画自体も、私どもから見ればおかしいのではないかというか、本当にやる気があるのであれば、もう少し早くからその伸びを上げるべきではないかと思っているんですが、こういったような不合理はあると思っております。
 したがって、我々としては、10年度で幾らという伸びを達成するために、今後もそういう募集があると思っておりますので、それに対応して今準備を進めているというようなことでございます。

〇斉藤信委員 わかりました。クリーンエネルギーの開発というのは、これはもう21世紀の課題で、国家的な仕事で、私は国がそれを保障すべきだと。だから私は、採算がとれないから慎重にすべきだという立場ではありません。そういう点では、国に対してその保障を求めると同時に、東北電力に対しても3倍枠をふやさなければならないわけだから、もっと詰めた議論をする必要があるのではないでしょうか。これは指摘だけにとどめておきます。
 それで、岩手県の風力発電で今唯一可能性があるのが高森高原ですね。そして猛禽類の調査をやっていると。10月までの環境調査ですから、まだ正確なことはわかりませんが、イヌワシなどはまだ出ていない、猛禽類のノスリが頻繁に飛び交っていると。これは、岩手県のレッドデータブックだとCに近いDランクですね。ちょうどきのう、NHKでノスリの特集をやっていたんですよ。畑地のモグラをたくさんとるんですね。これは畑作、農業とかなり深くかかわった猛禽類なんです。私は、イヌワシほどの重要性はないかもしれないが、高森高原の状況ですけれども、そうした畑作農業とのかかわりというのはないのかどうか、そういうこともよく踏まえてこれは対応してほしいと思いますけれども、いかがですか。

〇池内風力発電開発室長 高森高原の猛禽類調査によりまして、ノスリが高い頻度で出現しております。これにつきましては、3カ月、途中の段階で県立大学の猛禽類の専門家に意見を聞きまして、どういった対応をすればいいのかということで、まだ、最終的に10月まで1年間の調査を行ってから再度確認をするところではありますけれども、ノスリの場合には風車との共存が可能ではないかと。ほかの例ですと、ノスリの巣を移動したといったような例もあると聞いております。

〇斉藤信委員 工業用水道事業についてお聞きします。
 工業用水道事業は長期経営見通しというのがあったんですが、これは今年度中に見直すという、新しい経営計画を立てると理解していいのか。
 それと、入畑ダムの工業用水の活用はどうなっているか。一時、北上周辺の上水に転用するという話がありましたが、これは水は余っているということで破綻しましたね。だから、入畑ダムの工業用水が今どのくらい使われていて、使われていない部分の活用を今後どういうふうにするのか。
 あわせて早池峰ダム、ここでも工業用水をとったと思いますが、この早池峰ダムの工業用水は今どう使われているんでしょうか。また、ダム負担金と建設事業費はどうだったのかを示していただきたい。

〇杉下業務課長 まず最初に、長期経営計画についてでございますけれども、昨年度の決算特別委員会で述べました経営見通しは、長引く景気の低迷の中で、当面は水需要の拡大が期待できない状況であることや施設の老朽化による修繕費等、費用の増加が見込まれたことから、欠損金の発生が見込まれる旨を説明したものでございます。
 欠損金の発生が予想されたことから、平成15年度においては、当初予算編成段階から、費用の削減等を中心に精査を行った結果、500万円余の利益を確保できる見込みとなり、予算の議決をいただいたところでございます。
 経営見通しの検討に当たっては、そのときどきの経済情勢や今後見込まれる費用を予測し、幾通りかの条件を設定し、シミュレーションを行いながら推測したところであります。
 今後の経営見通しは、引き続き厳しい状況が見込まれることから、用水型企業の誘致促進を図るほか、建設・改良、修繕10カ年計画の見直し、業務委託の推進、支払い利息を軽減するための高利率企業債の繰り上げ償還を国に要請するなど、費用の削減等に努めることとしております。
 さらに、これを具体的に推進するため、今年度経営目標と目標達成のための行動計画を内容とする中期経営計画を策定することとしております。
 次に、入畑ダムの工業用水の活用についてでございますが、入畑ダムを水源とする第二北上中部工業用水道の水利権については、北本内ダムの事業休止に伴って、平成12年4月に、県の利水調整委員会が、1日当たり約8、000立方メートルを岩手中部広域水道企業団に転用する旨の利水調整を行いました。
 しかし、平成14年度に県環境生活部が広域水道の需要推計を行った結果、新しい水源を取得する必要はないということが明らかになったことから、この利水調整は撤回されました。
 このため、現在、関係機関から水需要についての情報収集を行っているところであります。
 次に、早池峰ダムの負担金についてでございますが、早池峰ダムについては、建設事業費の負担金が30億円でございます。
 それから、その効果でございますけれども、第三北上工業用水道の計画給水量の2万トンというものに使われてございます。

〇及川幸子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇及川幸子委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
 お諮りいたします。認定第1号平成14年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第3号平成14年度岩手県工業用水道事業会計決算まで、以上3件についての意見の取りまとめの方法でありますが、この後、議会運営委員会室において各会派の代表の方々で御協議いただき、その結果を待って、委員会を開き結論を出すことにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇及川幸子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 この際、意見の取りまとめのため、暫時休憩いたします。
   午後3時6分 休 憩
   午後3時45分 再 開

〇及川幸子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 決算3件に対する各会派の意見の取りまとめについて協議した結果について、御報告申し上げます。
 認定第1号平成14年度岩手県立病院等事業会計決算については、医療環境が厳しい状況にありながらも、医療の近代化、高度化を積極的に推進し、公的病院及び地域医療の中核医療機関として、その使命を果たしてきた努力は評価するところである。
 しかしながら、平成14年度において診療報酬及び薬価基準の引き下げ改定が行われたことに加え、平均在院日数の短縮や薬剤の長期処方の増加等に伴う入院及び外来患者数も大幅に減少したことなどにより、平成14年度の経営収支は、18億円余の純損失を生じる大幅な赤字決算となり、累積欠損金は99億円余となるなど、極めて厳しい経営環境に置かれている。
 今後の経営に当たっては、引き続き国に対し、財政措置の強化などを積極的に要望するほか、病院機能の見直しや効率的な運営により、経営の健全化に一層努めるとともに、医療安全対策の推進や医師の確保を初め、高度医療設備の整備充実等、良質で効率的な医療提供体制の確立を図り、もって県民に信頼される医療サービスの充実、向上に努力をせられたい。
 認定第2号平成14年度岩手県電気事業会計決算については、今後とも引き続き健全な経営の推進に努めるとともに、新規電源の開発についても、なお一層の努力をせられたい。
 認定第3号平成14年度岩手県工業用水道事業会計決算については、関係機関と密接な連携をとり、積極的に需要の拡大に努めるとともに、経営の健全化にさらに一層の努力をせられたいとの意見を付し、それぞれ認定することにいたした次第であります。
 これより採決いたします。
 認定第1号平成14年度岩手県立病院等事業会計決算について、ただいまの意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇及川幸子委員長 起立多数であります。よって、認定第1号平成14年度岩手県立病院等事業会計決算については、ただいまの意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号平成14年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成14年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件について、ただいまの意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇及川幸子委員長 起立全員であります。よって、認定第2号平成14年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成14年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件については、ただいまの意見を付し、認定することに決定いたしました。
 以上をもって、当特別委員会に付託されました案件の審査は全部終了いたしました。
 委員各位の御協力に対し、深く感謝を申し上げます。
 これをもって決算特別委員会を閉会いたします。御苦労さまでございました。(拍手)
   午後3時49分 散 会

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