平成15年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成15年12月4日(木曜日)
   

1開会 午前10時3分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
 事務局長 武 田 牧 雄
 議事課長 平 澤 石 郎
 議事課長補佐 八重樫 典 彦
 主任議事管理主査 千 田 利 之
 議事管理主査 近 藤 光 宏
 議事管理主査 多 田   繁
 議事管理主査 田 丸 裕佳子
 議事管理主査 嵯 峨 俊 幸
 議事管理主査 安 藤 知 行

1説明員
 農林水産部長 佐々木 正 勝
 農林水産部林務局長 坂 元 邦 夫
 農林水産部水産局長 武 井   篤
 農林水産部次長兼農林水産企画室長 主 濱   了
 農林水産部次長 千 田   勉
 農林水産部次長 佐々木 忠 正
 参事兼漁港漁村課長 千 葉 信 明
 農林水産企画監 高前田 寿 幸
 団体指導課長 和 佐 健 介
 組合指導監 藤 沼 豊 頼
 流通課長 佐々木 和 博
 農業振興課長 河 村 茂 幹
 中山間対策監 村 上 芳 子
 農業普及技術課長 小 岩   寛
 農村計画課長 川 邊 賢 治
 農村建設課長 佐 藤 具 揮
 農産園芸課長 中 正 保 治
 水田農業推進監 小 原 利 勝
 畜産課長 菅 原 好 秋
 家畜衛生対策監 千 葉   厚
 林業振興課長 千 田 壽 光
 緑化推進課長 照 井   昇
 松くい虫対策監 菊 池 信 一
 森林保全課長 黒 澤   茂
 水産振興課長 宮 澤 公 明
 漁業調整監 伊 藤 正 明
 
 教育長 佐 藤   勝
 教育次長兼冬季国体推進室長兼全国スポーツ・レクリエーション祭推進室長 小 原 公 平
 教育次長兼高校改革推進室長 伊 藤   勝
 総務課長 渡 邊 主 喜
 教職員課長 田 村 均 次
 小中学校人事監 岩 田 俊 雄
 県立学校人事監 山 田 市 雄
 学校教育課長 石 崎 宏 明
 生徒指導監 戸 羽   茂
 学校財務課長 清 水 眞一郎
 生涯学習文化課長 吉 川 健 次
 文化財保護監 小田野 哲 憲
 スポーツ健康課長 佐々木 正 春
 高校改革推進監 鎌 田 善 昭
 冬季国体推進監 高 橋 光 彦
 全国スポーツ・レクリエーション祭推進監 高 橋   保
 
 出納長 橋 田 純 一
 副出納長兼出納局長 水 本 紘 一
 出納課長 坂 林 則 夫
 
 監査委員 一 戸 克 夫
 監査委員 谷 地 信 子
 監査委員事務局長 久 保 隆 男
 総務課長 八重樫   良
 監査課長 渡 邉 和 男
 
 参事兼予算調製課長 藤 尾 善 一
   

〇阿部敏雄委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。認定第1号から認定第12号まで、決算12件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部、教育委員会関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 また、質疑につきましては、世話人会の申し合わせにより、平成14年度決算の審査であるので、当該年度の決算に関する質疑とし、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑されるとともに、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び答弁は簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性のあるもののみについて、短時間かつ簡潔に行い、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いいたします。
 最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。

〇佐々木農林水産部長 平成14年度の決算について御説明を申し上げます前に、森のトレー事案に係る補助金返還の問題につきましておわびを申し上げます。
 この事業は、平成10年度から12年度にかけて、国の景気対策臨時緊急特別林業構造改善事業補助金及び経営基盤強化林業構造改善事業補助金を導入して実施したものであります。
 平成14年6月に実施されました会計検査院の実地検査におきまして、補助事業の目的が達成されておらず、国庫補助金の全額、12億7、910万4、000円でございますが、この全額が不当と認められるとの指摘を受け、本年10月に補助金返還命令が発出されたものであります。
 このような事態が生じましたことについて、事業の所管部として極めて重大に受けとめておりまして、おわびを申し上げます。
 今後は、このようなことが再び起こることがないよう適正を期してまいりたいと考えております。
 それでは、農林水産部関係の平成14年度の決算について御説明を申し上げます。
 平成14年度歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 まず、一般会計についてでありますが、農林水産部関係、6款農林水産業費及び16ページの11款災害復旧費のうち1項農林水産施設災害復旧費でありまして、合わせて予算現額が1、501億7、389万円余であります。これに対する決算額は1、378億336万円余となり、前年度に比較して105億32万円余、7.1%の減となっております。また、執行率は91.8%となっております。
 なお、一般会計の翌年度への繰り越しは56事業で122億1、162万円余となっており、前年度に比べて70億6、537万円余、36.7%の減となっております。
 次に、一般会計決算の内容につきまして、便宜、平成14年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げ等は省略させていただきますので御了承願います。
 決算事項別明細の172ページをお開き願います。
 6款農林水産業費1項農業費であります。
 農業総務費は、農政関係職員の人件費などの管理運営に要した経費や国土調査に要した経費等であります。次に、174ページをお開き願います。農業金融対策費は、農業近代化資金などの貸し付けを行う農協等の融資機関に対する利子補給等が主なものでございます。次に、農業構造改善対策費の主なものでありますが、177ページの備考欄の経営構造対策事業費は、効率的で安定的な農業経営を育成するため、ライスセンターや農作物集出荷貯蔵施設などの整備に対し助成したものであります。次に、農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営に要した経費のほか、新規就農者の育成確保のための就農相談活動や技術研修などに要した経費であります。次に、農業振興費の主なものでありますが、179ページの備考欄のいわての農林水産物まるごと展開事業費は、県産農林水産物の需要拡大を図るための総合的なPRに要した経費のほか、地産地消の推進に要した経費であります。山村等振興対策事業費は、定住環境の整備、都市との交流促進等に要した経費に助成したものであります。中山間地域等直接支払事業費は、生産条件の不利な中山間地域において農業生産を行う農業者等に対する交付金の直接支払いに要した経費であります。いわて農業担い手支援総合対策事業費は、認定農業者などを育成確保し、地域ぐるみ農業を推進するため、簡易ビニールハウスや農業機械等の整備に対し助成したものであります。次に、農作物対策費の主なものでありますが、水田農業経営確立対策費は、米の生産調整の実効性の確保や米と麦・大豆等を組み合わせた収益性の高い水田農業を確立するための推進活動等に助成したものであります。水田作付体系転換緊急推進事業費補助は、米の生産調整の緊急拡大面積を達成するため、米から他の作物等への転換を図る農業者に対し助成したものであります。次に、畑作振興費の主なものでありますが、181ページの備考欄の農業生産総合対策事業費は、麦・大豆の品質向上や産地の形成のため、実証圃の設置、営農用機械の導入等に対して助成したものであります。次に、北上奥羽山系開発費は、北上奥羽山系の開発事業に係る地元負担金の償還に要した経費などであります。次に、植物防疫費は、病害虫の発生予察、防除指導等に要した経費であります。次に、182ページをお開き願います。農業協同組合指導費の主なものでございますが、農業協同組合経営改善特別対策資金貸付金は、債務超過農協に対する支援事業を行う岩手県農業協同組合中央会に対する支援資金の原資の積み立てに要する資金を貸し付けたものであります。次に、農業共済団体指導費は、農業共済に係る事務に要した経費に対して助成したものであります。次に、食糧管理費は、県内市町村に対する米の計画出荷数量の配分や確認に係る指導等に要した経費であります。次に、184ページの農業研究センター費は、センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。次に、農業大学校費は、大学校の管理運営及び施設整備に要した経費であります。次に、186ページをお開きいただきまして、蚕業費は、養蚕産地育成のため、農協等の養蚕産地育成推進員の設置への助成に要した経費であります。
 次に、2項畜産業費でありますが、畜産総務費は、畜産関係職員の人件費等及び岩手県肉牛生産公社の運営の円滑化を図るための無利子の貸付金などであります。次に、188ページの畜産振興費の主なものでありますが、畜産振興総合対策事業費は、生産性の高い経営体の育成を図るため、生産から流通・消費に至る総合的な地域畜産振興対策に要した経費であります。環境保全型畜産エネルギー利用推進事業費補助は、家畜排せつ物を主原料としたメタン発酵処理実証展示施設の整備に要した経費について助成したものであります。次に、草地対策費は、畜産関係の公共事業がその主なものでありますが、県営畜産経営環境整備事業費は、環境汚染の防止と経営の合理化のため、家畜排せつ物処理施設等の整備に要した経費であります。次に、190ページの家畜保健衛生費は、家畜保健衛生所の管理運営、家畜の衛生対策、家畜伝染病の予防、牛海綿状脳症対策及び久慈・二戸の家畜保健衛生所の統合に伴う施設整備などに要した経費であります。次に、農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究などに要した経費であります。
 次に、192ページをお開き願います。3項農地費であります。農地総務費は、農地関係職員の人件費等であります。次に、土地改良費は、農地等の区画整理、農道・用排水路の整備、農業集落排水の整備など、生産基盤の整備、農村の生活環境の整備を総合的に推進するために要した経費であります。次に、194ページに参りまして農地防災事業費は、農地・農業用施設の洪水被害を防止するための防災ダムの整備及び老朽化した水利施設の整備に要した経費等であります。次に、196ページの開墾建設事業費は、農業経営の規模拡大等を図るため、農地造成、用排水施設等の整備に要した経費等であります。農地調整費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化などを促進するための経費について助成したものであります。
 次に、4項林業費であります。林業総務費は、199ページの備考欄に記載のとおりでありますが、林政関係職員の人件費及び県有林事業特別会計への繰出金などであります。林業構造改善対策費は、競争力のある産地を形成するため、木材加工施設等の整備に対し助成したものであります。次に、200ページをお開きいただきまして、林業振興指導費の主なものでありますが、森林組合育成強化対策事業費は、森林組合の経営体質の強化など広域合併の促進を図るため、財務改善等に要する資金の貸し付けなどを行ったものであります。いわて木質エネルギー活用総合対策事業費は、県林業技術センターに木材チップを燃料とするボイラーを設置し、実証普及展示を行ったこと等に要した経費であります。岩手しいたけ王国確立総合対策事業費は、輸入しいたけの急増等に対応するため、生産施設の整備、流通販売体制の強化等に要した経費について助成したものであります。森林整備地域活動支援事業費は、森林所有者等が市町村長との協定に基づいて実施する森林現況調査等の地域活動を支援するため、国の制度に基づき交付金を交付したものであります。次に、202ページの森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止のほか、五葉山周辺のシカ被害の防止に要した経費であります。次に、造林費は、森林資源の充実と森林の公益的機能の維持増進を図るため、森林の育成管理、広葉樹林の整備等に対し助成等を行ったものであります。林道費は、林業生産基盤の整備と山村地域の生活環境の改善を図るため、県営56路線、市町村営25路線等の林道整備などに要した経費であります。次に、204ページの治山費は、山地災害などから県土を保全するため、治山事業140カ所、地すべり防止事業4カ所の実施などに要した経費であります。次に、206ページの林業技術センター費は、センターの管理運営及び試験研究などに要した経費であります。
 次に、5項水産業費についてでありますが、水産業総務費は、水産関係職員の人件費及び水産科学館の管理委託に要した経費等であります。次に、208ページをお開きいただきまして、漁業構造改善対策費の主なものについてでありますが、水産経営構造改善事業費は、効率的かつ安定的な漁業経営の育成を図るため、アワビ種苗生産施設や水産物鮮度保持施設等の整備に要した経費に対し助成したものであります。次に、水産業振興費の主なものについてでありますが、211ページの備考欄中のワカメブランド推進事業費は、輸入ワカメの増加等に対応するため、優良種苗、省力化機械の開発等、生産から販売までの一連の構造改革に要した経費であります。さけ・ます増殖費は、サケ・マス資源の維持・安定のため、調査研究や稚魚の買い上げ、河川への放流を行うとともに、増殖効率化施設の整備に対し助成したものであります。次に、水産業協同組合指導費の主なものについてでありますが、漁業協同組合信用事業統合促進資金貸付金は、漁業系統団体が信用事業の統合を促進するため、低利の長期資金の融資を行う岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、無利子資金の貸し付けを行ったものであります。
 次に、212ページの漁業調整委員会費及び漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催、漁業調整などに要した経費であります。次に、漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や漁業取締船の運航などに要した経費であります。次に、214ページをお開きいただきまして、水産技術センター費及び内水面水産技術センター費は、それぞれのセンターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。次に、216ページの漁協管理費は、県管理漁港施設等の維持管理に要した経費であります。次に、漁港漁場整備費は、水産業振興のため、漁港・漁場の整備、海岸保全及び漁業集落の整備など、生産基盤及び漁村の生活環境の整備に要した経費であります。
 次に、大きく飛びまして284ページをお開き願います。
 11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であります。農地及び農業用施設災害復旧費及び、288ページの林道災害復旧費、治山災害復旧費は、それぞれの過年災害と現年災害の復旧事業に要した経費であります。漁港災害復旧費は、過年災害の復旧に要した経費であります。
 以上が一般会計の決算について申し上げました。
 次に、特別会計の決算について御説明いたします。恐れ入りますが、平成14年度歳入歳出決算書にお戻りいただきたいと思います。32ページをお開き願います。
 農業改良資金特別会計についてでありますが、予算現額は6億8、748万8、000円であります。これに対する決算額についてでありますが、収入済額は6億8、011万円余で、貸付金に係る償還金がその主なものであります。次に、支出済額は5億2、853万円余で、農業経営の安定や生産力の増強を図るため、一般資金、畜産振興資金などを無利子で貸し付けたものであります。
 次に、34ページをお開き願います。
 県有林事業特別会計についてでありますが、予算現額は53億9、146万9、000円であります。これに対する決算額についてでありますが、収入済額は53億7、947万円余で、県有林造成基金の運用収入、一般会計及び県有林造成基金からの繰入金、立木処分に係る売り払い収入等であります。次に、支出済額は53億4、426万円余で、県行造林造成事業等の下刈り、除伐、素材生産などに要した経費であります。
 なお、翌年度への繰越額は2、740万円となっております。
 次に、36ページをお開き願います。
 林業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は21億7、975万4、000円であります。決算額についてでありますが、収入済額は21億8、368万円余で、貸付金に係る償還金がその主なものであります。次に、支出済額は8億5、147万円余で、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対する林業生産高度化資金、林業労働福祉施設資金などの無利子での貸し付け及び森林組合等に運転資金を低利で貸し付けるため、金融機関にその原資の預託を行ったものであります。
 次に、40ページをお開き願います。
 沿岸漁業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は8億2、746万4、000円であります。決算額についてでありますが、収入済額は8億2、401万円余で、貸付金に係る償還金がその主なものであります。次に、支出済額は5、445万円余で、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、経営等改善資金などを無利子で貸し付けたものであります。
 以上で農林水産部関係の決算についての説明を終わらせていただきます。よろしく御審議のほどお願いいたします。

〇阿部敏雄委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。

〇佐々木一榮委員 早々の御指名、感謝申し上げます。
 それでは、第6款農林水産業費4項林業費2目林業構造改善対策費に関係して、冒頭お話ありましたいわて森のトレー事業についてお尋ねいたします。何点かありますので、分けて御質問をさせていただきたいと思います。
 この事業は、平成10年6月に地元森林組合、林業・木材加工業者が、事業構想を久慈地方振興局に持ち込んだのが最初とされております。同じ年度の景気対策臨時緊急特別林業構造改善事業、これは補正予算措置されて、平成11年度は繰り越しとされておりますが、平成11年度、12年度経営基盤強化林業構造改善事業により約27億円をかけ実施された事業でありますが、一般的にこんなに早く、迅速に事業認可されたことは大変なことでありますし、経済対策ということもありましょうが、当時林野庁からいらした本山林業水産部長も大変なリーダーシップを発揮されたものと思っております。申請のための事業計画作成や国と県、久慈市との事前協議は相当な労力を要したものと私は考えます。
 そこでお尋ねいたしますが、国との事業認定までの折衝経過はどのぐらいの回数行われこの事業認定になったのか、まず冒頭、それをお伺いします。

〇佐々木農林水産部長 この国の事業認定までの折衝経緯でございますが、少し長くなりますけれども、経緯を順を追ってお答えさせていただきたいと思います。
 この事業は、平成10年6月に木製トレーを事業化したいという構想が、地元の木材業者から久慈地方振興局に持ち込まれたものであります。そして、7月から9月にかけまして、その木材業者が林業構造改善事業での実施を前提に事業計画の作業を進められました。その後、9月29日に国の景気対策としての林業構造改善事業、景気対策臨時緊急特別林業構造改善事業でございますが、これはお話ありましたように補正予算でございます。この事業による木製トレーの製造について、久慈市を通じて県に要望があったところでありまして、県は、10月8日、林野庁に事業の実施要望を行ったところであります。
 これと並行して、同木材業者は久慈市に対し、10月22日に久慈地区拠点工業団地に立地したい意向を伝えられたところであります。
 11月4日、久慈市から県に補正予算に係る事業計画予備協議資料が提出されたのを受けまして、県は、11月10日に林野庁に対し予備協議を行ったところであります。このときに林野庁から、事業費が非常に大きいので、平成10年度の補正予算事業と11年度以降の通常の林業構造改善事業に分けて実施するように指導があったところであります。
 その後、12月2日にいわて森のトレー生産協同組合の設立総会が開催され、同日に、組合が久慈市に景気対策林業構造改善事業の実施申込書を提出し、12月3日に久慈市が県に実施申込書を提出したということでございます。
 県は、12月11日付で林野庁にこの事業計画認定協議を提出したところでありまして、平成11年1月4日、林野庁から同意を受けまして、1月5日付で県がこの計画を作成し、久慈市に通知したところでありまして、委員から御指摘がありましたように、約半年でこの事業がスタートすることになったところであります。

〇佐々木一榮委員 ありがとうございました。
 いただいた資料を見ますと、組合の設立総会が平成10年12月2日、そして組合の設立登記が平成11年1月20日でありますから、今の経過を聞きますと、この組合の設立と国、県、市の協議が同時並行でぴったりと進んで、大変なウルトラCだったのではないか、ほかの部局ではちょっと考えられないような労力を要したのではないかと思っております。その点、経過として今お伺いしたところで、次の問題に入ります。
 当初計画の変更を平成11年4月の計画診断時にコンサルタントであります林野庁の外郭団体、全国林業改善協会の指導により、コスト低減のため自動化の必要性を指摘され、行っております。まず、この全国林業改善協会はどのような団体で、どのような理由、経過で組合のコンサルタントを引き受けたのでしょうか。組合は、自動化ラインの生産設備のできる愛知県のトリニティ工業と北海道のウロコ製作所の2社に生産方式の提案を依頼し、安価なトリニティ工業提案を理事会で決定したとしておりますが、この理事会の決定に当たりましてもコンサルタントの指導があったのでしょうか、お尋ねいたします。

〇佐々木農林水産部長 まず、全国林業構造改善協会がコンサルタントを引き受けたわけでございますけれども、どのような経過であったのかというようなことでございますが、まず、この全国林業構造改善協会についてでありますが、この協会は、全国森林組合連合会、全国町村会、全国農業会議所等の関係10団体を構成員として、林構事業の円滑かつ適正な推進を支援することを目的に昭和39年に設立された協会でございまして、林構事業計画書作成時の経営診断、既往林構事業の施設運営に係る診断・指導等のコンサルタント活動を実施している協会でございます。
 県の当時の事務取扱要領では、7、000万円以上の事業についてはコンサルタントによる専門的な診断を受けることとなっておりましたし、また、国からもそういう指導がありましたことから、この事業の実施に当たり、組合に経営診断を受けていただくこととしたものであります。
 また、コンサルを実施した全国林業構造改善協会は、県の担当者が、林業構造改善事業の計画診断を多数行っている協会だということで紹介したものであります。
 それから、トリニティ工業の提案に対するコンサルタントの指導ということでございますが、コンサルタントに確認いたしましたところ、生産方式の決定に関しては、このコンサルタントは指導は行っていないということでございました。組合からコンサルタントに対しましては、庄内鉄工からトリニティ工業に機械納入業者を変更した結果報告だけを受けたということでございまして、これは事業主体の判断で決定されたものとしております。

〇佐々木一榮委員 ありがとうございました。
 こういった事業の場合、この全国林業構造改善協会にかわる、ほかにこういうコンサルをできる会社というのは全国に何社ぐらいあるのでしょうか。
 次に、業者選定に当たってトリニティ工業は東証二部上場、資本金13億1、100万円、従業員610名の会社であります。それからシンコウプラント、この会社は資本金1、200万円で従業員が10名、加藤工業が資本金3、000万円で従業員27名、この3社から見積もり徴収をして、低価格のトリニティ工業に決定したということでありますけれども、一般的に、このように資本金も企業規模も違う3社を見積もりの業者として選択するということがあるのでしょうか。考えますと、何か事情があるとしか思えませんが、いかがでしょうか。
 これも協会なり、コンサルの指導によるものでしょうか。
 また、この会社の関係を見ますと、シンコウプラントと加藤工業の販売先、いわゆる得意先がトリニティ工業であります。こういうことから言うと、トリニティ工業の思うままに操作できる環境ではなかったでしょうか。県は、この業者選定に当たりどのような指導をされてこられたのか。この段階でおかしいという認識はなかったのでしょうか。
 それから、見積もり外の設備仕様書はどなたが作成し、事業計画段階の設備予算に対する実施金額は幾らになっていますでしょうか。
 県の説明によりますと、破綻原因は設備のふぐあい発生とその解消ができなかったことが理由としておりますが、契約書上、瑕疵保証条項がトリニティ工業により履行されなかったのはなぜでしょうか。東証二部上場の株主には大手の自動車会社も入っている立派な会社と思っております。なぜそういう会社が保証条項を履行しなかったのか非常に不思議であります。また、なぜ組合はトリニティ工業に訴えを起こさなかったのか、トリニティ工業と組合の中に何か関係があるとしか思えませんが、いかがお考えでしょうか。
 県は、訴訟費用を立てかえとして補正予算計上しておりますが、間違いなく原告は組合になるのでしょうか、確認しておきます。

〇佐々木農林水産部長 まず、経営規模の異なる3社の選択についてでありますが、これもコンサルタントに確認いたしましたところ、業者の選定について指導した事実はないとのことでありまして、組合の判断で選定されたものと考えております。
 それから、この3社の関係から、トリニティ工業の思うままになったのではないかということでございますが、一般的に業者の選定に当たりましては、その選定理由が合理的であったかどうかということが問われるものだと考えております。本事案では、売買価格が11億円余の機械を購入するものであったことを考えますと、契約した業者以外の2社は、会社の規模からして妥当か否かという点はあったと考えております。
 それから、業者選定に当たっての県の指導についてでありますが、業者選定に当たって、県の当時の担当者は、3社以上から見積もりを徴する必要があるとの指導は行ったということでございますが、それ以上のことは行っていないとしております。
 それから、見積もり仕様書はだれが作成したかということでございますが、この仕様書につきましては、組合に確認いたしましたところ、組合の依頼によりましてトリニティ工業が作成したということでございます。
 それから、組合はなぜトリニティ工業に訴えを起こさなかったかということでございますが、確かにトレー組合とトリニティ工業との売買契約書にはこういう条項があります。検収後、1年以内において補償損失を生じるときは、甲乙協議の上、期日を定め、乙(トリニティ工業)の負担において新品と交換することができるとするという条項でございます。ただ、本事案の機械設備は、注文生産した特殊なものでありまして、まず、調整改良により対処することで双方が合意したのではないかと考えておりまして、現にトリニティ工業では、平成12年4月から平成13年5月まで、2名から8名の社員を組合の工場に常駐させて改良に取り組んだものでありますが、結局、その解消に至らず、そのときには既に1年間の保証期間が経過していたものだと思っております。
 組合では、訴訟について弁護士に相談した経緯はあったようでございますが、結果として、訴訟は行われなかったということでございます。
 訴訟の原告につきましては、今、組合になっていただくことで協議中であります。

〇佐々木一榮委員 受注先のトリニティ工業が設備の仕様書をつくっているということでありますので、これはもうすっかりわかっている内容かと思いますが、県当局からいただいた資料によりますと、シンコウプラントは売上高が年間で4億8、000万円の会社です。それから、加藤工業というのは年間売り上げが5億7、000万円。それで、要は11億円の設備を導入しようということでありますから、これは普通に考えておかしくないでしょうか。実際、できるわけがないと私は思いますが、現職の佐々木部長にこれをお尋ねしても、大変申しわけなく思います。当時の部長がいらっしゃいませんので、あえてこの認識をちょっと現職の佐々木部長にお尋ねしておきたいと思います。
 次に、組合が久慈市に無断で施設を担保に供したということが会計検査院の指摘となっておりますが、融資資金の使途目的及び金額は幾らになっていますでしょうか。これが事業運営費となった場合、先ほどの国との折衝段階でありますが、当初、事業計画認可時に虚偽の計画を提出したことにならないでしょうか。
 融資された三つの金融機関は、この対象が補助事業という認識は全くなく融資をされ、担保設定したのでしょうか。私は、当然金融機関から県及び久慈市に何らかの問い合わせがある、きのう佐々木博委員が預貸率の話をしましたが、なかなか貸さない金融機関がここまで貸すわけでありますので、そういう確認は当然していると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、組合理事9名の連帯責任、支払い能力をどう見ていらっしゃるでしょうか。
 それから、今度、国に返還ということでありますが、国の責任、県及び久慈市の責任の所在はどこにあるとお考えでしょうか。
 それから、今回の補正は遅延延滞金回避のための3分の1の返還でありますが、残額については現在どのようにお考えでしょうか。
 最後に、県支出分の2億5、680万円を含め、県民にどのように理解を求めようと考えているのかお伺いいたします。

〇佐々木農林水産部長 業者の選定についてでありますが、この業者の選定に当たって、事業の規模、それから取引関係自体は本質的な問題ではないとされておりますが、しかし、この会社の規模等からいたしまして妥当であったかどうかというのは、私としては疑問が残るということでございます。
 それから、融資資金の使途目的及び金額についてでありますが、組合は補助残に係る資金として金融機関から11億5、000万円を借り入れたものでありまして、事業運営費として借り入れたものではないということでございます。
 それから、当時の県の担当者からの聞き取りによりますと、政府系金融機関との協調融資であれば、補助金の交付目的に反しない限り担保設定ができるという認識を持っておったということでございまして、一方、金融機関も、県からそのような説明を受けたとされているところであります。
 それから、組合理事の連帯責任、支払い能力についてでありますが、組合の設立の根拠規定であります中小企業等協同組合法によりますと、理事がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があったときは、その理事は、第三者に対し連帯して損害賠償の責に任ずるものとされておりまして、返還金の解消を図るため、当面、機械納入業者との訴訟に全力で取り組みたいと考えております。
 それから、国の責任、県及び市の責任についてでありますが、この事業は、事業主体はもとよりでありますが、国、県、市がそれぞれの責務のもとに実施されたものと認識しており、それぞれに責任があると考えております。国は、補助金の交付行政庁として県を指導する立場にあったと思っております。それから、組合、市、県についてでありますが、会計検査院から、組合においては、完成検査及び新たな開発に対する検証が十分でなかったこと、県及び久慈市については、完了確認調査及び組合に対する指導監督が十分でなかったことなどから事業が中断している。また、組合は、久慈市に無断で施設を担保に供しており、県及び久慈市の指導監督が十分でなかった。これらのことから、施設は補助目的を達しておらず、また補助条件に違反しており、これに係る国庫補助金全額が不当だというような指摘を受けたものでございます。
 それから、3分の1の返還で、補助金返還額のうち残りの3分の2についてでありますが、組合が行う機械納入業者への損害賠償請求訴訟を支援することにより、補助金全額を回収する考えでありまして、県としては、久慈市とも連携して最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。
 それから、この事案について県民理解をどう求めるのだというお尋ねでございますが、多額の補助金により整備した施設がこのような事態になりましたことについて、重大に受けとめておりまして、改めて県民の皆さんにおわびを申し上げたいと思っております。関係職員の責任につきましては、当部としての調査はほぼ終えまして、人事担当部において検討を行っているところでありまして、県の責任を明らかにすることにより、県民の理解をいただきたいと考えております。
 また、補助事業者からの回収に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 確認と、最後になります。
 金融機関の担保設定に当たっては、確認ですが、県の方に問い合わせがあって、可能だということで、今の御答弁のとおりでよろしいでしょうか。ということは、これは会計検査院の指摘があったわけでありますので、これは完全に県の、行政サイドのミスということでよろしいのか確認します。
 それから、せっかくの機会ですので、坂元林務局長にお尋ねいたします。
 平成12年に本山林業水産部長が林野庁にお帰りになりまして、その後、坂元林務局長が岩手県においでになりました。これは、当然、林野庁というのは今いろいろなわけでありますが、今の佐々木部長の答弁、また質疑の中でどのような所感をお持ちでしょうか。今、延滞金の補正予算も上がっているわけですが、お聞きしたいと思いますし、また、どういう引き継ぎが平成12年度に本山林業水産部長から坂元林務局長に、今、局長が現役ですので、大変前のことだということかもしれませんが、引き継ぎはどのように行われていたのか、これを最後にお伺いしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 この担保設定についての県の担当者の認識でございますけれども、補助金適正化法の第22条にこういう条項がございます。補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。各省各庁の承認を受けないで担保に供してはならないということでございまして、この解釈について当時の担当者の考え、解釈を確認したところでございますが、補助金等の交付の目的に反して使用しなければ担保に供してもいいのだと解したということで、この補助残は、この補助事業を遂行するためにそういうふうに解してしまったということでございます。
 実は、ここの解釈については全国的にいろいろ統一的な受けとめがなされていないということで、私も国とのやりとりの中でいろいろ議論したわけでございますが、そういう議論があって、事務連絡ではございますが、初めて平成14年3月28日にここの解釈の通知が国から出されたということで、全国各県がこの解釈についてまちまちではなかったのか。補助事業に反しない限りというところで、当然、補助残ですから、補助事業の遂行のために使うのであればというところの解釈を誤ったのではないかということで、そこのところは極めて残念に思っているところでございます。

〇坂元林務局長 私としてのこの事案に関する所見でございますけれども、まず、やはり今回、こういう事態に至っているということについては、担当者として非常に重大に受けとめており、この事案について適正な処理を図るために、私としても最大限取り組んでまいりたい。そのためには、私といたしまして、今までの原因等についてはいろいろ検証しているわけでございますので、県民負担を極力少なくするような、延滞金の問題も、今、既に延滞金が現実の問題となっているという中で、これを極力防いで、今後県民負担を少なくする方策のために取り組むことが、私としての重要な役割であるということで、ぜひこれらについて、今後展望が見えるような形での一つの方策をお願い申し上げたいという考えでございます。
 それと次の、私が平成13年4月にこちらへ赴任したわけでございますけれども、そのときにどういう引き継ぎがあったかと。その引き継ぎの内容の詳細は別といたしまして、その当時の私が課せられた課題といたしましては、ちょうど森のトレー生産施設が一応本格稼働を始めた時期でございますので、それに対して、今後その生産活動が円滑にいくこと、かつ、販売をできるだけ促進して、事業が今後軌道に乗ることが一つの課題であったということでございます。結果的に、その後そういう方向にならなかったことについては、私としても非常に深く受けとめているところでございます。

〇佐々木一榮委員 長々と済みませんでした。最後になりますが、これからいろいろ関連等、議論があるかと思いますが、今後、議会でも、参考人の招致を含めいろいろ議論されると思います。県当局の全面的な真相究明に向けた御協力を議会に対してもお願い申し上げまして、質問を終わります。

〇佐々木博委員 ただいまの質疑を通じて、非常に何か不透明だなという印象を強く持った次第であります。それで、私も関連して何点かお聞きしたいんですが、まず、今までの経過を見ますと、平成12年4月から3ラインが稼働した。この段階で既に機械のふぐあいがあった。そして、平成13年4月から全ラインで操業を開始したわけですが、機械のふぐあいがあった。そういった経過があるわけです。
 実は、このいわて森のトレー生産協同組合の概要を見ていますと、設立したときの出資金が1、000万円なんですね。それが平成14年5月1日に1億800万円に増資をしております。平成14年5月といいますと、平成14年8月にはもう何か稼働をやめたということのようでありますから、もうそろそろだめだということで、事業継続を多分断念したころではないかと思うんですね。何でそういった時期に増資をするか、非常に不透明だと思うんですが、そのことについてまず1点お伺いしたいと思います。

〇千田林業振興課長 ただいまの御質問でございますが、1億円の増資でございますけれども、これにつきましては、理事長個人がトレー生産協同組合に貸し付けたお金が1億円ございました。それで、トレー生産協同組合の方も、運営が非常に厳しいということもございまして、その貸し付けたお金を出資金として増資の方に回すということに決めたと伺っております。

〇佐々木博委員 わかりました。
 それで、先ほどもありましたけれども、結局、3社の見積もりを徴収して機械を決めたわけですが、3社といいましても、2社はいわば系列会社みたいな会社でありますから、実質上の競争がなされていない中での業者選定がされたわけであります。
 なお不思議なことは、先ほども説明がありましたとおり、何か瑕疵条項が売買契約書の中にあるということですけれども、一般に瑕疵というのは、瑕疵があることを知ったときから1年以内に要するに瑕疵担保の請求をしますが、これは時効ではなくて、法律的には除斥期間というものなんです。それで請求権を起こして、それから時効期間が進むんですね。先ほどの説明は、1年間いろいろ交渉したけれども、期間がたったからそれがなくなったという御説明でしたが、こんな話は100%通らない話です。ですから、そこのところが大変不透明なんですが、本当にそういったことが理由になって瑕疵担保の問題が立ち消えになってしまったのかどうか、その点をちょっと確認させていただきたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 実際にその条項を発動させなかったことについての事実は詳細には承知しておりませんけれども、いずれ、この機械については、新しく開発された機械で、そして、それにふぐあいがあったから別の機械を入れてくるということにはいかなかったということでございまして、何としてもその機械を修繕して、改善して、そして所期の能力が発揮されるような取り組みが先決と考えたのではないかと思っておりまして、その条項を発動させなかったことの具体的なことについては、私は承知していないということでございます。

〇佐々木博委員 部長、物には民法上、特定物と不特定物というのがあるんです。いっぱい売っていて、すぐ交換できるようなものは不特定物といいまして、きちんとした性能のものを納めて初めて債務を履行したことになるんです。それがふぐあいだったら、別なものにかえろと言えるわけです。こういったつくったもの、特注品というのはすぐかえろというわけにいきませんから、したがって瑕疵担保というのがあって、普通、瑕疵担保というのは、修補というのは特約条項で入れますが、目的を達しない場合は、契約を解除して損害賠償をもらう、これが民法の常道なんです。ですから、その当たり前のことをやっていないということが、私は大変不思議だということを申し上げたいんです。
 しかも、これから県は訴訟費用を肩がわりして訴訟をされる、それも、できれば組合を原告とした訴訟をしたいとおっしゃっているわけですけれども、私は、普通であれば当然訴訟をやっていて当たり前なんですよね。その訴訟ができなかったところに何か不透明な問題があるのではないかと、すごくそこがまず不思議なわけです。私は、そこが大変大きな問題だと考えています。
 それから、訴訟も、県で訴訟費用を負担するということですけれども、そこのところをはっきりしないと、訴訟費用は負担したけれども、何も取れなかった、なおさら県民に損失を与えたという結果になってしまいますよ。
 ですから私は、やはり県が原告になるか、あるいは訴訟の場合、独立当事者参加という形で3当事者が参加できるやり方もあるわけですから、原告はあくまでも組合で、自分たちはそれを後ろから支えるという姿勢じゃなくて、県が正面に出てやらないと、何か不透明な、何となくもやもやした関係がありますので、きちんとした訴訟もできないのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。

〇佐々木農林水産部長 瑕疵保証条項についてでございますが、組合では弁護士に相談した経緯はあったということは、そのことについては承知しておりまして、結果として訴訟は行われなかったわけですが、伝え聞くところによるとということで申し上げますけれども、結局、訴訟費用が準備できなかったというようなことで聞いております。

〇主濱農林水産部次長 なぜ県が今回の訴訟の原告にならないかという御質問だと理解しましたが、まず、機械納入業者と直接の契約関係にあったのが組合である。要するに、債権債務の関係は、組合と機械納入業者の関係であるということで、一番近いのが組合であるということから、組合にやっていただくことを前提に現在調整中であるということでございます。
 県としては、やはり回収するという一つの目的がございますので、それに訴訟参加をして進めたいと考えているものであります。

〇佐々木博委員 最後にしますけれども、何か今までの議論をずっと聞いていて、組合は、自分が当事者だという意識が少し欠けているのではないかというような気が私はいたします。それで、今の主濱次長、独立当事者参加という手法もあるわけですから、やはり訴訟についても、県がただ訴訟費用を立てかえるというだけじゃなく、ある程度主体的にかかわれるようなポジションで参加すべきではないかということを申し上げて、私の質問を終わります。

〇伊藤勢至委員 ただいまの森のトレーに関連して二つ、三つお伺いしたいと思います。
 まず、この事業手法についてなんですけれども、平成10年6月に話が持ち込まれて、半年のうちに、総事業費約27億円でこれを進めようということが決まったようであります。大変時間のかからない、まさに最短距離の要件だったのかなと思いますが、本来、事業というのは、例えばここに敷地を求めまして、工場を建てまして、機械がどういうもので、それから、従業員の社屋あるいは研修所、いろいろなものがトータルで27億円です、こういうことで積み上げていくのが手法だろうと思うんです。
 しかし、この経緯経過を見ておりますと、27億円の事業費が決まって、コンクリートされてしまいました。いろいろな計画を検討しているうちに、これはオートメ化でいくべきだということで、オートメ化にする方向になったということでありますが、このオートメ化というのは、素人でありますけれども、まさに基幹ラインの根幹のものだと思っていますから、5万円とか100万円単位の変更ではないと思うんですね。恐らくウン千万円単位の、あるいは億単位のラインの変更になるという部分があろうかと思うんです。そういったことがあったと思われるんですが、27億円は変わっていない。つまり、最初から27億円でもう固定化してしまって、それから、さあ仕事を間に合わせでやろう、こういったことだったのではないかとどうも思えてなりませんが、ちゃんとした図面とか、工場の面積、敷地がどうの、そういったものも当然あって、そのトータルでの27億円でやりましょうということだったと私は思うんですが、そこら辺はどうだったんでしょうか。

〇千田林業振興課長 事業費の約27億円の件でございますけれども、この事業がそもそも出てまいりましたのは、先ほど部長が御答弁申し上げましたように、景気対策の中で出てきたということでございます。したがいまして、当初はこの事業を全体で約24億円、そもそもの申し込みの時点では24億円、これはまだ概算の数字でございました。
 それで、その後、国とのヒアリングをしている中で、全体計画として現在の約27億円という数字、精査した結果27億円になったという数字が出てまいりまして、最終的に、景気対策林構事業と通常の林業構造改善事業の二つで実施するという方向で全体の事業が固まりましたのが、平成11年6月でございます。それまでは景気対策林構事業を先行しておったわけでございます。そういう中でラインの整備も進めてまいりましたので、全体の構成事業につきましては、その時点では、当初といいますか、ラインを変更した後の額が同じ額で事業の実施に至った、そういう経過でございます。

〇伊藤勢至委員 どうしても金額が先にあって、その後、工場内容を精査したとしか聞こえないんですけれども、これはこれとして置いておきます。
 いずれ、今どき景気がこのような状況の中で、半年ぐらいで国とのヒアリングでぱっと決まるというのは、本当に超ウルトラCがあったのではないかと思っております。結果がよければ大変いいことだったんですが、結果的に、市長も、森のトレーそのものは値段が高いとは言いながら、安全な食ということから、少しぐらい高くても、高いものを買おうという要求もあったようで、1億5、000万枚ぐらいの完成品があれば順調に仕事が始まって流れていったんだろうと思います。単価は高いかもしれませんが、価値観を見出す人がいっぱいいたみたいでありますから、それが流れていったんだと思うんです。
 ところが、現実、完成をしました。機械を動かしました。1、500枚しか完成品ができなかった。全然間に合わなかったと、こういうことですね。そうすると、基本的にはこの機械が全くでたらめな機械だったと、こういうことですよね。そして、国に対してもいろんなヒアリングを通じて打ち合わせをしてきた。そういう中において、最終決断をしたのは国だと思うんですよ。お金を出す、事業を認めるというのは。そういう中にあって、国は会計検査院から指摘をされましたということもあったんでしょうけれども、補助金全額返せと、返してよこさなければ延滞金を取るぞと。国が全く横柄だと思いますよ。したがいまして、私はこの辺からまず問題を解きほぐしていきませんと、もちろん県費としてのお金も投入されていますから、県民に負担をかけることにはなるわけでありますけれども、それ以前に、岩手県が真摯にヒアリングを繰り返して、これでよろしいでしょうか、これでいきたいと何度もやってきたと思うんですが、そういったものに一言も触れないで、返せ、返さなければ延滞金を取るぞと。
 今度の本会議で教育問題のときにやくざの話が出てきましたが、このやり方はやくざ以上じゃないですか。私、そう思います。そういうのがやくざというんだと私は習ってきました。私がやくざではなくて、私がそう習ってきたと。
 そこでお伺いをしますが、平成10年度に始まってきたものですよね。ところが、時系列があって担当の方々がかわってきています。したがって、今の担当の方にこれを詰めるのは酷だと私思いますよ。したがいまして、当時の担当の方にぜひこちらに来ていただいて、最初のころの経緯、経過を説明していただきたいと思いますし、やはり国も知らんふりをしたような形ではなくて、国も非を認めて、一緒に解決しようというテーブルに着くべきだと思います。したがいまして、本委員会の委員長は農林水産常任委員会の委員長でもあるわけでありますので、10年度の林業水産部長は渡辺さん、それから林業水産部次長が国から来た方で本山さん、そして木材振興課長が溝上さん。平成11年度が林業水産部長が佐藤克郎さん、そして林業水産部次長が国から来た人で本山さん、そして木材振興課長が溝上さん。12年度が本山さんが林業水産部長、そして小国平二さんが次長、そして木材振興課長が伊藤巖さんと、こういうことでありますので、特にも国とのやりとりの点において、私は本山さんという方に一度委員会なりあるいは常任委員会なりにおいでをいただいて、この部分の説明を詳しく聞くのが筋だと、私はそのように思いますので、本委員会の委員長さん、そして農林水産常任委員会の委員長さんであります阿部委員に、ひとつその辺をお酌み取りをいただきまして、臭いところは全部ただしていかなければならない、こういう観点からぜひ取り組んでいただきますようにお願いをいたしまして、終わりたいと思います。

〇斉藤信委員 今のは質問ではないのか。
 この問題は、私は議案に対する質疑で部長と知事にお聞きしました。特に、4億2、600万円も支出するときに、経過と責任について全然明らかにしないで、一般財源である県民の血税を投入するなんていうことは私は許されないと。
 経過と責任について、先ほど部長は、内部調査が終わって人事課、総務部の方に行っているんだと。だったら、農林水産部としては、経過の中で県がどういう責任があったのかということを第一に示していただきたい。

〇佐々木農林水産部長 こうした事態に至りました当部としての責任でございますが、いずれ、当部といたしましては、詳細にただいまお話がありましたようにその時々の担当者すべてにわたって、かなりの部分にわたって調査をしてきたところでございまして、その調査はほぼ終わっておりまして、これから人事担当部でこれは判断されるものと思っておりまして、責任について、当部でこうだ、ああだということは申し上げられる立場ではないと思っております。

〇斉藤信委員 4億2、600万円も税金を投入するときに、投入しなければならない責任も明らかにしないということはないでしょう。金だけ出せと。しかしその責任はここでは答えられませんと、知事もそうでしたね。こういうのを無責任というんですよ。
 具体的に聞きますよ。一つは、この森のトレーの計画が作成された段階で、県にどういう責任があったのか。今から考えたら、間伐材を活用してのトレーの生産というのは、環境首都を標榜する岩手県としては、全く時代錯誤の発想ではなかったのか。これ、使い捨てですからね。もう一つは、実際に岩手県の間伐材は使われなかったんですよ。北海道の間伐材が使われたんですよ。岩手県の林業振興には全然関与しませんでした。私はそういう点で、当初の計画自身がずさんだったのではないかと。これが一つ。
 二つ目に、そんなずさんな計画が、先ほどからも議論がありましたけれども、すんなりと林野庁を含めて半年もかからないで決まってしまったと。協同組合の設立と林野庁の認可がほとんど同時期ですよ。これは国と一体となった、国、県、市、協同組合共犯のような、そういうやり方ではなかったのかと私思います。そして、その後、これは説明されているから同じことを言いませんが、実際に機械が納入されてふぐあいがあって、私が説明を受けたところでは、あなた方は瑕疵担保条項を使ってその修理・改修に取り組んだと言っているでしょう。しかし、結果的には修理・改修がうまくいかなかったと。だったら、機械を全部更新させるとか損害賠償を請求するというのが筋ではないですか。あなた方、瑕疵担保条項を適用していたと説明しているんだから。いわば、最後まで改修が成功しなかったのに、何でそのままになったのかと。これ第2の点ですよね。
 あと、完成検査のときに寸法だけはかって終わったと。実際に生産しなかったと、トレーを。こんなの初歩的な問題ですよ。完成検査になっていないわけですよね。私はそういう点で、それぞれの段階で県がやるべきこと、やらなかったこと、そのことをはっきりさせて、同時に、その中で国にも責任があるのではないかということを堂々と主張しなかったらだめですよ、これは。大体国の責任なんか、あなた追及できないでしょう、こういうことでは。県の責任も明らかにして初めて国の責任も追及できるんですよ。そういう点では金だけ出す、その責任はあいまいだというやり方では、これは通せませんよ。その点どうお考えですか。

〇佐々木農林水産部長 県の責任についてでありますが、答弁でも申し上げましたが、この事業の実施に当たりましては、事業主体はもとよりでございますけれども、国、県、市、それぞれの立場にあってその責任があったものだと思っております。
 具体的にも何点か申し上げましたけれども、県も会計検査院から指摘をされておりますように、具体的に指摘されておりますような責任があったと受けとめております。ただ、個別具体的な責任につきましては、人事担当部で決められるものだと思っております。
 いずれにいたしましても、こういう事態になりましたのは、委員からも御指摘がありましたけれども、事業の実施を急ぎ過ぎたことにあると、一言で言えば私もそのように受けとめております。

〇斉藤信委員 会計検査院の指摘は昨年の6月、会計検査委員会報告が出たのは昨年11月でしょう。1年以上たっているんですよ、指摘されてから。しかし、指摘されたことについての検証をまだ明らかにできないと。しかし4億2、600万円は一部返還しますと、これ通用しないでしょう。つい最近指摘されたことではないんだから、1年以上たっているんだから。私、ここにも県行政の怠慢があると思いますよ。これでは決算、これ通らないと思いますよ。
 それで、私もう一つお聞きしたいのは裁判の問題ですが、確かに機械納入業者の責任は私重大だと思います。裁判では26億円の請求をすると言っております。しかし、金融機関への債務が10億8、000万円あって、これが抵当権を設定されていますから、私は県や市や組合にも責任があるとなれば、26億円全額というのは無理だと思いますよ。しかし、例えば半分だとしても10億円は金融機関に取られてしまうんですよね。だから、本当に取り戻すという点であれば、どうやって県は金融機関との関係でも県民の税金を使わないように解決するつもりなのか、裁判をすれば済むということではないでしょう、実際には。どうですか。

〇主濱農林水産部次長 金融機関の抵当権、それが先行するのではないかという御指摘と受けとめました。まさにそのとおりでありまして、それで金融機関の債権プラス、それから当方で回収したい金額をそれに上乗せをしてやっております。今提案をしているところであります。そこのところはそのとおりなんですが、金融機関と時価というものがありまして、時価と現在設定している額、ここの圧縮ができないかということについて、現在協議をしておるところであります。

〇斉藤信委員 これで終わりますけれども、例えば10億円返還させたと。しかし、ほとんどは金融機関に行ってしまったとなったら、何のための裁判かとなるわけだから、私は国に対する、国にどれだけの責任を追及できるかということを県ははっきりさせるべきです。
 もう一つは、金融機関だって共犯みたいなものなんだから、県からだまされたということもありますから、これはなかなか難しいですよ。しかし、金融機関ともぎっちり詰めて、本当の意味で血税を最小限に食いとめるということをしなければだめだと思いますが、その見込みはどうですか。

〇主濱農林水産部次長 ただいま県との協議中でありまして、できるだけ県として努力をいたしますが、現時点におきましてはその見込みは申し上げることはできません。

〇伊沢昌弘委員 この件については御報告もいただいて、部の部長、次長を含めて、今4億2、000万円、何としても延滞金の発生をとめたいと、この一念で出ているのではないのかという思いがしています。これ以上ほうっておくと、国に対しての補助金返還を求められてプラスアルファで利子が取られると。これに対して何とか御理解をと、こういうことで来ている部分があるわけで、そこは私はわからないわけではありませんけれども、今までの議論を聞いていますと、やはりスタートの部分に戻って、原点に戻って、組合が会社との契約、その中でだめな場合は瑕疵条項に基づいて新品にかえると、こういう部分があったわけですが、私は最初に御説明をいただいたときに、これだけの大きなラインを一発でつくったんですかと。そして、今、会社の設立から中身を含めてなってきた部分があるわけですが、私も民間で機械をいじって自分でつくってきた経験があるんですが、コマーシャルベースに持っていくためには、それぞれのところでいろんな意味での実験を繰り返し、乾燥がうまくいかなかったとか、のりづけがどうのこうのというのが出ていますけれども、そういうものをクリアして初めてモデルをつくって、それではこれをコマーシャル化しましょうかというのがあるわけですけれども、そういうものがあったのかどうかというのが、私、一番最初に疑問点に思ったわけであります。そういう意味で、B社が上の方から組合の方に推薦があってやったという段階について、どのようなものがあったのか。
 これは今の部長にお聞きしても、先ほど伊藤勢至委員の方から、昔の人を呼んでいろんなことを聞いてみたらというのがあるわけですけれども、県はそこまで関与する必要がなかったのか。補助金の中でこういうものつくると、絵そらごとのものを、できた場合はこれだけのものができますよということでやったのか、その辺のところを私も聞いてみたいという思いがします。
 それともう一点、これは改めて問題になったものですけれども、機械とかいろんなものに対する補助金も先ほど御説明いただいた中でそれぞれいっぱいあるわけで、新たなものをつくったというのはこれが最初だと思うんですけれども、機械整備をするというのは、十分な実績があったものを何社か見積もりをとりながらやるのが普通だと思うんですけれども、そういう意味から今回の3ラインをつくって、うまくいかなかったという原点の部分についてはどのようにお考えなのか、御説明をいただければと思います。できないとすれば、前の部長を含めて担当者の方からお聞きしなければならない部分ですが、県はそこまで関与する必要がなかったのかどうかも含めてお示しをいただきたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 このトレーの事案がこのような事態に至りました最大の原因は、この機械のふぐあいにあったと思っております。そういう意味で、会計検査院からも指摘されておりますけれども、新たに開発導入した機械であったのにもかかわらず、その検証がなされていなかったという指摘を受けておりまして、そのことが最大の原因だと思っております。
 業者の選定については、当然、事業主体が選定されるべきものと思っておりまして、それに県がどう関与するべきかということにつきましては非常に難しい面がありまして、基本的には組合の物の考え方によりまして、その合理性から組合が業者を選定されるべきものだと考えております。

〇伊沢昌弘委員 県が関与してこれがだめだからB社ではなくてC社にしろというのは、これは紛れもなく黒い霧になるわけでありまして、そういうことを私言っているわけではありません。ただ、いろんなものが出てくるときに、本当にこれがうまくいくんですかというのは、後で申し上げたように、実績があってこれが大きくなったときにはちゃんとなるなというところの検証というのはやっぱり――県は最終的にお金を出す、市と一緒になってやるというときには、県の責任というのはどうなんですか。国に対して補助金を申請してやるときのいわば県が窓口だと思うんですけれども、そこの責任というのは私はやっぱりある程度大きいと思うんですね。それを認めた国の責任というのは、今斉藤委員が言ったように、そのときにいわばスルーパスをしておいて、後でうまくいかなくなったから全部返せと、それは県なり市なり組合の責任だというところは、国のチェック機能というものは私は甘いと、延長上で言っていかなければならないという思いがしたので原点に返ってという話をしたわけでありまして、その辺はどうなんですか。やっぱり県が一番重いんですか。3分の1ずつなんですか。その辺もちょっと確認をさせてください。県と市と組合というか、組合が重いんですか。

〇佐々木農林水産部長 それぞれの事案によるものと考えますけれども、基本的には組合においてこの事業の成果が発揮されるような機械の選定なり導入なりをされるべきものだと思っておりまして、基本のところは組合にあると思っております。ただ、県は県として指導監督の立場にあって、そして完了確認調査にも立ち会っているわけですから、これも会計検査院の指摘でございますけれども、例えば農業機械のように既に普及されている機械であればいざ知らず、全くこの規模からして全国で初めての施設でございまして、そういう新たに開発導入する機械であったために、完了確認調査も能力調査までするべきであったというような指摘を受けておりまして、県としてこのことを重く受けとめているところであります。

〇伊沢昌弘委員 そうしますと、組合の責任、最終的には業者、納入した人だと思うんですね。そこのところは、先ほど来言っているように、一生懸命直したけれどもうまくいかなかったと。これから先の部分については、話は出たかもしれませんが、確認ですよ。私は知らんと言っているのか、裁判を起こさなければだめなのかというところが私はちょっと理解できないんです。裁判をやっても最終的には担保に取られるから半分だという話になってくると、これから先の部分でいけば県が4億2、600万円出して、最終的に私もお聞きしましたけれども、組合の分で出すものがないと。市の方とすれば今協議中だということですけれども、残された部分も含めて一たん3分の1を県が負担をすれば、取れなかったということになれば県がさらにこれを負担することになるのではないかと思うんです。今の時点では、どれだけ取れるかわからない。努力をしますという努力目標はあるんですが、最終的にはかぶるということも想定される事案ではないかと思うんですけれども、その辺はどうなんですか。メーカーの方の今の対応というか。裁判をやって、負ければ出すよと言っているのか、それでも出さないと言っているのかよくわかりませんけれども、その辺はどうなんですか。

〇佐々木農林水産部長 トレー組合に対して訴訟してもらうということで今協議中でございますけれども、いずれ、訴訟の相手でございますので、そこのところの接触は全く行っておりません。
 回収できなかった、では、どうなるのかという話でございますけれども、現時点では回収に最大限の努力をさせていただきたいと思います。

〇樋下正信委員 今までずっと話を聞いていまして、国内とか世界とかで最初の試みというような話もあったんですけれども、そこの会社もまだちゃんとした会社であるわけですよね。であれば、今の話を聞いていると訴訟をして取る、取らないの話なんですけれども、最終的には結論は出るかもしれませんけれども、設備はもう鉄の山になってしまうわけですよね。ですから、本来の商取引であれば、最後まで責任を持って、1年でも2年でもかかってもいいから改良に改良を重ねて、当初の目的が達成できるような商品を出せるようにしてもらうということはできないものなんでしょうか、その辺。裁判をやって取る、取らないの話もいいんですけれども、その辺どうなんでしょうか。

〇坂元林務局長 先ほど部長から申し上げましたように、トレー組合の方では、機械納入業者に対していろいろふぐあいを直してもらうような努力をしたわけでございますけれども、結果としてそれがならないまま事業実施をしたと。そういう段階の中で、昨年8月の段階で、トレー組合が最終的に事業としてそれを継続することができない状況になりまして、現在中断になっていると。そういう状態でありますので、今現在、それに対してこれから県として、国から全額返還命令を科せられておりますので、これから回収していく方法として、組合がこれから機械納入業者から訴訟という形で回収して、それを県としても国に返していくと、そういう形で対応していくことが必要だと考えているところでございます。

〇樋下正信委員 要するに、組合がもう生産というか機能がなくなったということも一つ、やっていけないということのようですけれども、本来であれば、会社であればどこかの企業が支援ということも考えられないわけでもないわけですよね。資本参加でやっていくとかなんかということで、そこら辺の考え、民間であればそういうことも考えられないわけでもないんですけれども、そういうことも一つ考えられないのかなという。残ったものがどうなるのかということもありますし、せっかくそこまで設備をしてあれして、何か私はできそうな気がするんだけれども、難しいんでしょうか。

〇千田林業振興課長 現在の不都合のあった機械を改良して使えば何とか所期の目的を達成させることも可能ではないのかというような御質問であったかと思うんですが、やはり結果論となってしまいますが、まず、このような形でラインがストップしたことによりまして、当初予定していた販売先を失ってしまったということも非常に大きなことでございまして、仮に今、日産50万個のトレーの製品をつくったとして、今度は販売先にまた苦労することになるのかなと。動かしたことによってさらに赤字と申しますか、多大な経費をつぎ込まなければならないような状況に陥る懸念もございます。
 組合におきましても、実は平成12年で機械が不都合が発生した段階から相当な回数にわたりましてトリニティ工業に対して機械の改善の要望、それから、トリニティ工業は1年余りの期間を費やしまして機械の改善に取り組んだわけでございますが、結果といたしまして、現時点でも生産能力からいたしますと恐らく当初の計画生産能力をかなり下回るような状況でございますので、これを仮に改善して全部ラインを動かしましても、今度は販売面の方がネックになりまして、さらに投資した金額がまたむだになるということも考えていかなければならないのではないかと思っております。組合は今の時点では、やはり機械納入業者からこの販売、買った機械の代金を回収することに第一番目の目的を置いて進めていきたいということに、それも含めまして損害賠償という形で進めていきたいという考えを持っておりますので、県といたしましては、そちらの方面で対応していくことが、今とり得る方法とすればこちらの方がいいのではないかと考えてございます。

〇佐々木俊夫委員 よく理解できないんですけれども、訴訟の話が盛んに出ておりますけれども、ちょっとお伺いしますが、このトレー組合というのは私聞きますところ、もう倒産状態、破産状態に等しいように聞いているんですけれども、訴訟する能力はありますか。
 それから、訴えられた相手のメーカーはどんなメーカーかわかりませんけれども、判決の結果によっては支払いをする能力があると見ておりますか。
 それと、組合がその程度の状況であるならば、先ほど来話が出ていますように、補助金を出した国、県、市、これにも何らかの責任があると。なれば、組合が訴訟できないような状況がもしあるとすれば、国とか県とか市も告訴できるんじゃないでしょうか。どうでしょう、その辺は。

〇千田林業振興課長 まず、第1点の組合に訴訟に耐え得る能力があるかということでございますが、現時点で組合におきましては訴訟費用をまず捻出するのが非常に難しいといった状況にも陥っておりまして、訴訟を起こすという気持ちはありましても、単独で起こすのは非常に難しいと。これが今まで組合が訴訟を起こせなかった理由の一つだと、このように考えております。
 それから、機械納入業者の方でございますが、これは東証の二部上場の会社でございまして、年商も350億円ほど現在ございますので十分な返済能力はあると思いますが、逆に、だからこそ、向こうの方も訴訟に当たってはいろいろなことを言ってくるのではないかと思いまして、非常に厳しい訴訟になるとは思いますが、私どもといたしましては、やはりそこから何とか補助金の返還分をいただきたいということで、今回このような形で提案させていただいたものでございます。

〇坂元林務局長 国とかほかのものに対する訴訟はどうなのかということでございますけれども、現在のところ、補助金返済命令が当然全額、国から県、それで県からは市に対して、県のかさ上げ分も含めて市に対して全額補助金返還命令を出していると。市から組合に対しては、当然その額を返還命令を出しているという形にあります。そういうことで、現在の状況の中で、まず、当方として考えておりますのは、一つ、訴訟によって回収努力を最大限やっていくと。そのためには、今考えられる方法といたしましては、ふぐあいな機械を組合に対して納入したところから、要するに、それに対する損害賠償という形で訴訟に全力を持ってそれから回収すると。それがまず第一、今我々が取り組むべき最大のことであろうと。
 それと、あともう一つ、さらに大きな問題としては、11月4日で返還命令が切れております。すると11月5日以降、延滞金が10.95%という形で科せられると。そういうものに関しまして、県としては回収に対する努力を最大限取り組むことによって、この延滞金の発生を極力それは国に認めていただいて、それでそれを抑えると。そういうことが県の一つの負担を軽減するための今ぎりぎりの選択であろうということで、今回の方策を提案させていただいているところでございます。

〇佐々木俊夫委員 根っこにあるものは、組合がメーカーに訴訟する、そしてそれを回収するということが根っこなわけですよね。ところが今お話を聞いていますと、組合自体に訴訟する能力があるのかないのかと、非常に不確定なお話なものですから、それが崩れると今県が考えていることは全部崩れるんですよ。私はそう思うんです。もともと県は補助金をかさ上げ、出した立場ですから、組合に対しては債権者なんですよ。ところが、一方、国からは債務者だと言われて金を立てかえる。債権者でありながら、結果としては債務者になって、両ビンタをくっているようなものなんですね、県はそういう立場にある。
 そこで、問題は、組合が本当に訴訟を起こして取れるのかどうか。それについて確信を持って事を進めているのかどうか。それがあやふやであれば、今の4億何がしというものはむだ金であり、無責任な支出になるおそれがあると、私はそこを心配するものですから、組合にいかにして訴訟を起こさせ、そのためにはどんな手だてをして、間違いなく勝訴に持ち込むというような手だてというものが裏づけにあり、私どもにそのような説明がないと、当面を糊塗して、国の方をなだめておいて利息がかからないようにと言ってこの場を逃れるような感じにしかとれないんですね。その辺の確信のほどをひとつ。

〇坂元林務局長 現在組合とも、当然、久慈市と連携していろいろ接触はいたしておりまして、やはり先ほど申しましたように、組合が資金的な面等から単独で訴訟を行うことが今までできなかったと。そういう観点が大きなネックになっておりますので、それに対して県として補助参加という形で今回訴訟を提起するように、全力を傾けて取り組んでいるところでございます。

〇佐々木俊夫委員 そうすると、県も補助参加として告訴人になると、こういうことですか。となれば、市はどうなんですか。今補助参加をすると。私、法律用語でわからないですけれども、要するに原告になると、こういうことのように聞こえたんで、市はどうなんですか。そういう決意を固めて県も、市も、それならば国も参加するべきでしょう、これは。もともと国が出した金なんですから、それを回収するには窓口の県を責めるんじゃなくて、国もやっぱりメーカーを責めなければ。国をだましたんですから。結果としてだまされたのは国であり、県であり、市なわけ、組合なんですから。国もそういう立場に引き込んで、一緒になってメーカーを責め上げていくというのが私はこの解決の第一歩じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

〇主濱農林水産部次長 原告の問題でございますが、原告にはまず組合になっていただくように現在お願いをしております。その理由につきましては、機械納入業者との契約関係があったからそうであったということでございます。それで、市と県がどういう立場でかかわるのかということですが、これは原告とは違って補助参加と、こういう形でかかわりたいと思っております。そして国なんですが、国というのは少なくとも県の債権者でありまして、逆に国と県の関係者は、国が債権者で県がお支払いをしなければいけない先でございます。そこはひとつ分けて考えて現在いるところであります。

〇佐々木俊夫委員 国を別格にする必要はないと思うんです、私は。国が債権者だと言いますけれども、国民から見ますと国は債務者なんですよ。我々の税金ですから。ぐるっと回っちゃうんです、これ。ですから、やっぱりこの問題は国様は別でございますと、県と市でございますという感覚ではなく、むしろ国も補助参加であろうが何であろうが一緒に参加してもらって、やっぱりメーカーから損害賠償を受けるというような姿勢というものが県にあっていいのではないかと、こう思うので、提案を申し上げながら、もし御見解があれば。私の論法が間違っているかどうか。

〇佐々木農林水産部長 県と国の関係につきましては、ただいま次長から申し上げたとおりでございますけれども、適化法によりまして、国から、農林水産省から県に補助金の返還命令が発出されているものだと受けとめております。この訴訟について国と一緒になって、あるいは国の支援を得てということでございますけれども、先般、知事が林野庁の長官に会ってお話をしていただいたときにも、林野庁の長官からも、そういう回収についての支援については林野庁としてもできるだけのことはやるというようなお話をいただいておりまして、そういう林野庁としての立場からの御支援もいただきながらこの訴訟に全力を尽くしてまいりたいと思っております。

〇佐々木俊夫委員 せっかく林野庁の長官がそうおっしゃるんですから、言葉ではなく行動でもって県と一緒になってやってもらうように知事は堂々と申し入れをして、一緒になってこの解決に進むと。何かしら聞いていますと、国が偉くて県が悪くて、国がよくて県が悪くてというようなものの進め方になっている傾向にあるようにとられて仕方がないものですから、やっぱり国も責任があると。よって、一緒になって解決するという姿勢を林野庁なりあるいは農林大臣なり、そういうことできちっとお願いなり申し入れをすべきであると、私はそう思います。

〇小原宣良委員 関連をして1点伺いたいんですが、これは業者がラインの整備を行って、それぞれ年度でやっていますね。12年度、13年度。そして完了検査、完了調査、これもそれぞれ年度で実施しておると、こういうわけなんですが、この事業費の支払い、これは国の補助金、県の補助金、市の補助金を含めてなっておりますけれども、これは完了検査をして、支払いの時期がいつかということなんですね。業者に対して完了検査を行って支払いをするわけですけれども、それは実質稼動はその後であったのか。あるいは12年度、13年度ありますから、例えば12年度のでき上がったラインについて、それが稼動に供されてふぐあいがその時点でもわかったということなのか。これは12年度、13年度事業のようですから、その辺はどうなんですか。そして完了検査を行いながら補助金を含めた事業費、契約にかかわる業者に支払いがなされたと思うんですけれども、その部分がノーチェックで支払いになったのか。私、お話を聞いてみて、ここはちょっとおかしいですよということがあります。それを一つ伺いたいと思います。
 それから2点目は、先ほど伊藤委員からもありましたけれども、やはりここのところはきちっと真相究明というか、事実経過をしっかりただしていく必要があると思うんですね。ですから、これは常任委員会もありますから、担当常任委員会の中でも結構ですから、これはもうしっかりと、この場は14年度決算ですからやはり常任委員会の中でもやってみたらどうですか。これは委員長に、農林水産常任委員長でもある決算特別委員長に伺っておきたいと思うんですが。

〇佐々木農林水産部長 完了確認調査をして当然補助金を支払ったわけでございますけれども、ふぐあいがある状況の中で補助金が支払われたということは事実であります。

〇阿部敏雄委員長 今、小原宣良委員が申し述べました、私は委員長でもあり農林水産常任委員会の委員長でもありますので、慎重にこれを、私が委員長で発言権がありませんで、委員の方々に十分に論議していただいて、皆さんの納得のいくようにしてまいりたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時47分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇柳村典秀副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前中の質疑の中で答弁漏れがありましたので、執行部に説明を求めます。

〇千田林業振興課長 午前中の佐々木一榮委員からの森のトレーに関する御質問のうち、このようなコンサルができるのは全国にどれくらいあるのかというお尋ねでございました。
 国を含めて関係機関に問い合わせを行いましたが、いずれも、どれぐらいの調査会社でやっているのか、その把握はできていないということでございました。ちなみに、全国林業構造改善協会では、調査専門の外部スタッフが60名ほどいるとのことでございますけれども、木材加工関係をできるのは、やはり限られた人数だと伺ったところでございます。

〇小野寺研一委員 森のトレーの関係でいろいろ詳細に質疑応答がなされました。行政責任といいますか、その所在がなかなかはっきりしないというか、これは当然のことかもしれませんが、やはり、ひとついろいろな関係で最高責任者である知事が、今までのこと、あるいはこれからのことの行政の責任の覚悟といいますか、そういうことをひとつ私どもに説明していただくということで、ぜひ、過日の決算特別委員会で、本日の世話人会で、知事に出ていただいてひとついろいろな形で説明していただきたいということが議論されるそうでございますので、このトレーの問題のことについても、世話人会は非常に重大な関心を持ってこのことに当たっていただきたいということを強く要請しておきたい。ひとつ委員長にそのことをよろしくお願い申し上げたいということです。

〇柳村典秀副委員長 ただいまの件に関しましては、本日世話人会を開くことになっておりましたので、その場で協議をしたいと思いますので、よろしく御了承お願いいたします。

〇藤原泰次郎委員 平成14年の決算ということで、事項別明細書の189ページにありますが、畜産振興費についてお伺いいたします。
 この畜産振興につきましては、今さらるる申し上げるまでもない、非常に厳しいわけでございますが、平成14年の事業費はおおよそ3、441万円余となっておるわけでございます。そこで、この平成14年度の事業の内容はどのようなものであったか、その辺をひとつお伺いいたします。

〇佐々木流通課長 お尋ねの家畜畜産物流通対策事業費の内訳でございますが、これは、学校給食用牛乳の円滑な供給や牛乳に関する正しい知識の普及等に要する経費が2、492万3、657円、それから、指定生乳団体である東北生乳販売農業協同組合連合会、本県では全農岩手県本部が構成団体となってございますが、この連合会が行う生乳の計画生産を推進するために要する経費が658万6、000円、それから、肉畜や鶏卵の安定的な生産供給を推進するために要する経費が290万2、000円、合わせて3、440万円余という状況でございます。

〇藤原泰次郎委員 いろいろこの事業費というのは、学校給食等、食農教育、あるいはまた消費の拡大ということで非常に意義ある事業なわけでございます。本来でありますと、冒頭、きょうの委員会の開会の中でも委員長から、平成14年度の決算ということでという発言があったわけでございますが、私は当該委員でもございませんし、また、2月定例会では時遅しということで、若干この平成16年にかかわるところのことを要望申し上げ、また、要望と同時にその姿勢についてお伺いしたいと思います。
 と申しますのは、畜産振興は前段申し上げたようなことで大変苦労されているわけでございますし、また、BSEを含んで、この流通関係も非常に厳しい、いわば風評被害ということもあったりということで、通常の畜産経営も容易でないわけでございます。
 そこで、一たんそういう風評なり、あるいは何か事故や事件があったりということになりますと、非常に厳しい流通関係なわけでございます。
 そこで、平成16年度のことではないにしても、やはり前段申し上げたようなことで、平成16年におけるこうした対策事業費につきましてはどのようにお考えなのかお伺いいたします。

〇佐々木流通課長 先ほど御説明申し上げました事業につきましては、実は、その経費の大半が国庫補助金を財源としてございまして、国でも畜産物の関係の流通改善については非常に重要だということで、農林水産省では現在、概算要求の段階ではございますけれども、これまでと同様の概算要求を行っております。
 県といたしましては、やっぱり畜産につきましては、委員お話のとおり、BSEの問題等々あって、消費も回復してきておるとはいえ、やはり県産畜産物の評価をさらに高めて消費を伸ばしていくということが大切なわけでございますから、この国庫補助金等も活用させていただきながら、学校給食用牛乳の円滑な供給、さらには、県産畜産物の流通改善に取り組んでまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 今のお答えを聞きまして安心したわけでございます。ただ、再三でくどいようでございますけれども、この事業費というのは、さらに拡大しなければならない大事な要素の事業費だと思うわけでございます。今後、そうしたことを踏まえた中で、これからも、平成16年につきましてもお願いしたいということで、本来は要望で終わるのではありませんけれども、そういうことでひとつお願いしたいと思います。

〇大宮惇幸委員 ページ数によりますと184ページの13目農業研究センター費に関連いたしまして二、三お尋ねしたいと思います。
 私、さきの一般質問に登壇させていただきまして、水稲の種子の開発等については概略的にお聞きいたしましたけれども、当委員会では、もうちょっと内容のある質問をさせていただきたいと思います。
 私が特にこの問題を取り上げるのは、あえて申し上げるまでもないわけでありますが、岩手県は農業県であるという見地からお尋ねするわけであります。
 鋭意品種開発には取り組んでいただいておるという部分につきましては理解いたします。特に、冷害時であった翌年のかけはしの種子の確保なり、近年はいわてっこの品種開発等々があるわけでありますけれども、やはり岩手にとっての独自のオリジナル品種を今2系統ほど開発中と伺っておるわけですが、具体的に、あと何年ぐらいかかったらこの品種の種子が生産者のもとに配布可能なのかということをまず第1点にお尋ねしたい。
 2点目は、生産調整あるいは減反から生産調整等々という文言が変わってまいりまして、生産者は30年以上にわたってこの減反に協力してまいった。そういう中で、やはり換金作物ということでいろいろな作物を取り入れながら検討してまいったわけでありますが、その中で主流を占めるのが麦に大豆、そして、やはり着目して動いてまいったのが、水田を利用して最も適しているのがリンドウであるという点から、リンドウの作付拡大が図られてまいったわけであります。
 そうした中で、この品種開発につきましては、町単独でやっております安代町の花きセンターというものがございます。当然、県の研究センターでも花卉の品種開発にも取り組んでいただいているというのは承知しておりますが、非常に開発のテンポが安代町でやっている花きセンターの方が早い、素人で見ますとそのように感じられるわけであります。
 それで、県の研究センターと安代町の花きセンターの連携はどのようにやってこられておるのか。ややもすると、安代町の花きセンターで開発された種子は、一般の生産者になかなか入りがたいというのが実態であります。そうしたことから、今後、安代町の花きセンターとの連携をどのようにやっていこうとするのかという件についてお尋ねしたいと思います。
 また、もう1点は、リンドウの栽培に関して、節間短縮症、これは俗にこぶ症と言うのだそうでありまして、リンドウの発祥は長野県であるわけであります。そうした中で、長野県もこういうこぶ症対応に迫られて、産地が岩手に移った。しかし、今度は岩手のリンドウがこのこぶ症で参っている。産地が北海道に移行しつつあるというような状況もあるわけでありまして、このこぶ症対策についてどのように取り組んでまいっておるのか、その実態等もまずお聞かせ願いたい、このように思います。

〇佐々木農林水産部長 水稲の品種の関係については私からお答えさせていただきますが、リンドウの関係につきましては、農産園芸課長から答弁を申し上げます。
 水稲の品種開発でございますけれども、以前にさかのぼって申し上げますと、水稲の品種開発は国が一元的に行うということで、全国各地に指定試験地を設置して取り組んできたところでございます。昭和9年からでございます。そういうことで、東北では宮城県の古川農試と青森県の藤坂農試があるわけでございまして、本県でも大きな面積で栽培されてきましたササニシキあるいはひとめぼれも、この国の試験の中で開発されたものでございます。米の販売競争が激化するようになって、各県でも独自に取り組むようになったわけでございますが、東北では青森県が最初で、その後、山形、秋田、その次が岩手ということで、岩手県はややもすると出おくれたという状況になっているところでございます。
 本県が品種開発に本格的に取り組んだのが昭和59年でございまして、さらに、平成2年からは、特に耐冷性の県定圃場を整備いたしまして、本格的に品種開発に取り組んできたところでございます。そういうことで、お話がありましたように、かけはし、いわてっこ、あるいはモチ米のもち美人というような品種について、奨励品種に採用してきたところでございます。
 現在、有望な品種が5系統出てきておりまして、あきたこまち並みのものが3系統、ひとめぼれ並みの系統が2系統ということで5系統でございますが、今、現地で試験栽培を実施しているところでございまして、早くてあと三、四年はかかるのではないかと思っているところであります。
 そういうことで、本県も現在本格的に取り組んでいるところでございまして、その体制につきましても、それから予算につきましても、全国で遜色のないところで実施していると思ってはいますが、いずれにしても、これからの産地間競争に打ち勝っていくためには、どういう優良・有望な種子・種苗を持つかということが一番決め手になるものだと思っておりまして、今、温度調節できて1年に2作つくれるような施設もつくりまして、栽培に拍車をかけているところでございます。できるだけ早い時期にそういった新しい優良な品種が作付されるように、今後とも一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。

〇中正農産園芸課長 私の方から、リンドウの品種開発に関係して、安代町の花き開発センターとどのように連携しているのかということについてお答え申し上げたいと思います。
 県の研究センターで開発していることは御存じのとおりでございますけれども、まず、具体的に申し上げますと、交配に用いる親系統など、これを用いまして普通は品種開発してまいりますが、それの交換というような格好での連携というものはなされておりませんが、育種開発を早めるという観点で言いますと、やはり何といってもリンドウを開発する関係者が一堂に会して情報交換する、そして、どういう方向での開発が必要かということが一番大事なのかなと思っているところでございます。
 そういう意味で、県内のリンドウの育種関係者で組織されておりますリンドウ研究会というのがございまして、ここには安代の研究センターも入ってございますし、もちろん県の研究センターも入っているわけでございますが、ここで育種技術あるいは需要動向を踏まえた育種開発目標はどうか、こういう情報交換を密接にやって、効率的な開発に努めておるところでございます。そういうことで、安代研究センターと連携を図っているというところが実態でございます。
 それから、もう1点のリンドウのこぶ症の関係でございます。
 これにつきましては、農業研究センターにおいて、これまで病害虫分野を中心に、ウイルスあるいは細菌についてどうだろうかということで調査研究に取り組んできたところでございます。
 また、平成14年度からは、農業研究センターの指導助言をいただきながら、栽培管理面、あるいは土壌、肥料の面なども含め、総合的な観点から原因究明に取り組んできているということでございます。
 さらに、平成15年度から岩手大学あるいは弘前大学などの協力も得まして、加えまして、現地でこの農業改良普及センター、現地圃場を具体的に持ってございますけれども、そこで調査圃場も設置するということで、あらゆる角度からこの研究を進めておるところでございまして、この問題解決に早急に取り組んでまいる、解決を図ってまいりたいと考えているところでございます。

〇大宮惇幸委員 水稲の品種開発については鋭意取り組んでいるというようなお話を今されていましたけれども、部長が言われるとおり、岩手は特にもこの品種開発がおくれている県であるとも私は思っておりまして、やはりこの品種開発にはもっともっと力を入れてほしいという思いであります。
 また、リンドウの通称こぶ症の解決策を早期に出していただかないと、非常にリンドウ栽培農家が減少していくという現状にあります。そういう点につきましても、今後の研究に力を入れて取り組んでいただきたいと強く要望いたして、終わります。

〇渡辺幸貫委員 今の米のことについて伺いたいんですが、最近、各委員から品種開発を求められる。ところが、例えばひとめぼれのケースを見ますと、前、まだひとめぼれの名前がなかった、145という番号の時代に、私の地区の場合、周りが七、八割まで、古川から一気にそれをやろうということでやりました。ですから、やっぱり銘柄をとるという意味では、岩手の置かれた地形なり、寒さなりに合わせて品種を改良するというのは一つの生き方ではありますけれども、ただ、今後の米の流通の中では、ある程度のロットがなければ消費地で相手にしてもらえない。何十万、何百万トンとなければ、とても銘柄として認められない。したがって、今後の作付を、要するに需要がなければ作付ができませんから、そういう意味では、他県の品種をよく見ながらそちらの流通を図るというような御返事もなければ、常に御質問があれば、それは、例えば遺伝子操作でない交配の中でとか、そういうお答えだけしか出てこない。それでは、私は岩手県が米産地としてはとても生きていけないと大変危機を感ずるわけでありますが、いかがお考えですか。

〇佐々木農林水産部長 米の開発の今後の方向性でございますが、いずれ来年度から新たな米政策に移行するということで、これまでにも増して売れる米づくりが求められるところでございます。
 この品種開発につきましては、本県はそれぞれの地域で立地条件が異なるものですから、そういう意味では、いろいろな特性に合った品種開発というものが求められるところでございます。
 実は、今次の冷害で、県北の方に行きますと、県北の方にさらに冷害に強い品種を開発してほしいというような強い要望も出されているわけでございます。当然、こうしたことにも取り組みながら、委員からお話がありましたように、やっぱり販売戦略というものはロットの確保だと思っておりますので、県内部の品種ということもさることながら、本県に適した品種があるのであれば、そういう品種との組み合わせも図りながら、そして、全体として販売戦略を高めていくということも大事な要素だと思っております。そういった研究開発の方向について、改めて吟味をしながら取り組んでまいりたいと思っています。

〇渡辺幸貫委員 要するに、今回冷害になりました。これはちょうどその大切な時期に寒さが来たということなんですね。ですから、ひとめぼれの方がよくて、いわてっこだとか、我々が石垣島に頼んだようなものの方がむしろひどかったという結果は、皆さんよく御存じだと思います。要するに、その時期に寒さが来れば、どんな品種でもだめなんですね。ですから、それを率直に言っていただいて、そうでないと今言われたロットの議論にならないんですね。常に新しいものを出してくれ、新しいものを出してくれしかないんですね。ですから、それを行政当局としては率直に皆さんに話す勇気をぜひ持ってもらいたいと思います。

〇照井昭二委員 事項別明細書の179ページの基礎的バイオテクノロジー技術開発促進事業費に関連しましてお尋ねいたします。
 生物工学研究所に関してお伺いしますけれども、この研究所は、平成4年に開所されましてことしで10周年を迎えたわけでございますけれども、この研究所はどれぐらいの運営予算の規模でやっておられるものなのか。そしてまた、その全体の予算の中に県のお金を何%ぐらい使ってやっておられるのかをお聞かせ願いたいと思いますし、この10年間で研究されましたテーマの数、そして、その研究された成果が特許なり、あるいは実用化なりされた数、そしてまた、引き続きまだ研究中、それがどれぐらいか、また、研究を取りやめたものはどれぐらいか、それをまずお聞かせ願いたいと思います。

〇小岩農業普及技術課長 県のいわて生物工学研究センターの取組状況についてでございますが、予算につきましては100%県からの委託研究でございまして、約4億円の予算でございます。
 それから、取り組んでいるテーマの数、ちょっと今、持ち合わせの資料で数を探しているところでございますが、なかなか出てまいりません。いずれ、これまで生物工学研究センターにおきましては、地域に密着した課題で世界に通じる技術、競争力のある技術の開発を目標にいたしまして、水稲、花卉、野菜、これらなどの優良遺伝子の探索とその機能の解明、遺伝子の診断技術の開発、それからバイオ増殖技術の開発などに取り組んでおりまして、これまで品種改良の効率化とか栽培の安定化につながる基礎的な研究が行われているところでございます。
 それから、途中でやめたテーマとか、そういうものは特にございませんで、生物工学研究センター全体を水稲のプロジェクトだとか、野菜、花卉のプロジェクト、果樹のプロジェクト、それから酵母関係のプロジェクト等に分けまして、それぞれのプロジェクトごとにテーマを定めて、毎年度県と関係試験研究機関と調整しながら、研究課題を定めて研究を推進しているところでございます。
 数字的なところはちょっと、後で御説明申し上げます。

〇高前田農林水産企画監 生物工学研究センターの特許の関係のお尋ねでございましたが、現在、生物工学研究センターにおきましては41件の特許の申請を行っております。ただ、現時点で登録済みの特許はございません。

〇照井昭二委員 ありがとうございます。
 あと、ちょっと数字的なことで1個お願いしたいんですが、179ページのこの基礎的バイオテクノロジーの事業費3億7、000万円余はわかるんですが、この上の管理運営費1億3、000万円、合わせると5億円近くになるんです。先ほど4億円ちょっとというお話がありましたが、どちらが本当なんでしょうか。

〇小岩農業普及技術課長 先ほどの4億円は研究委託費でございまして、残り1億円は生物工学研究センターの施設の管理運営費でございます。

〇照井昭二委員 それでは、その研究所の研究員の、先ほど研究テーマを県と調整しながらということでしたが、例えば、ある一つのテーマはこれぐらいの予算で、何年間でやってくれとか、そういう予算と年期を区切ってやっているものなのか、あるいは研究員に任せっ放しで、これだけの金を使ってくれよと、そういうやり方なのか、その辺、どちらなんでしょうか。

〇小岩農業普及技術課長 毎年度研究テーマを県と協議してやっておりますが、研究テーマごとに予算を定めているというやり方はとっておりません。全体を配分いたしまして、それぞれの研究テーマに必要な経費をその中からそれぞれが支出して使っていただいているという状況でございます。
 それから、先ほどのテーマ数でございますけれども、今年度研究しているテーマの数は14課題ございまして、これは、その年、その年によって余り大きく変化はしてございません。大体この程度の課題で取り組んでいただいております。

〇照井昭二委員 主に基礎的研究をやられておるということでございますけれども、先ほど御答弁の中に41件の特許を申請中ということでございましたが、その研究の成果がここにあらわれているとは思いますが、それが果たして県民のためになるのか。研究のためだけの研究で終わってしまう基礎研究ではまるで意味がない。応用研究につながり、実用化されてこそ、県費を使う意味があると思うのですが、その辺の御所感を部長、お聞かせ願えればと思います。

〇佐々木農林水産部長 財団法人の生物工学研究センターと、隣接しております農業研究センター、相互に連携をとりながら、成果をできるだけ早く、多く出していくというような体制で取り組んでいるところでございます。そういうことで、生物工学研究センターでは基礎的研究、その成果をもとにして農業研究センターでは応用化研究をするというようなことでございます。いずれ両者の連携を一層強めながら、植物あるいは微生物等の持つ多様な機能をしっかりと解明し、これを安定した食料生産あるいは環境調和型の産業の創出につなげていくという基本に立って、今後とも両者の連携を強めながら、成果を上げていくように取り組んでまいりたいと思っております。

〇照井昭二委員 1点だけちょっとお願いいたします。研究所での基礎研究、それが応用研究にまで、いわゆる農業研究センター等、ほかの試験場に応用研究のレベルにまで取り上げられた件数なり、本数なりは、今ございますか。

〇小岩農業普及技術課長 これまでの研究成果といたしまして、例えば、花のスターチスの新品種の育成、それから遺伝子診断技術を用いました水稲品種識別技術、ピーマンやリンゴ等の病原ウイルスの検出と診断技術の開発、それから、実際酒屋さんでも使っていただいておりますが、清酒酵母の交雑育種技術の開発、こういったものが主な成果でございます。

〇野田武則委員 釜石の魚市場の移転についてお伺いしたいと思います。
 鉄と魚の町として活気がありました釜石でありますけれども、溶鉱炉の火も消えてから釜石も大分寂れてきたわけでございますが、釜石の魚市場の移転に伴って、HACCP対応の新しい魚市場ができるということで、釜石の市民も皆期待をしておったわけでございますが、昨日の新聞の記事を読みましたところ、釜石の水産審議会では、魚市場の移転を延期するという方針を決定したということで、大変残念に思っているわけでございます。
 当然、これは釜石市あるいは市の漁連の運営でございますので、そちらの方のいろいろな都合といいますか、経営の不安ということでこういう結果になったと思うんですが、県の方としては、平成14年度の事業で既に岸壁あるいは用地の造成等の工事も進められているところだと思います。本当に県の方には大変御迷惑をかけているということで、市民の一人としておわびを申し上げなければならないと思っているわけでございますが、その辺の経過と所感について、まずお伺いしたいと思います。

〇武井水産局長 釜石の魚市場につきまして御説明させていただきます。
 釜石の魚市場につきましては、県としても、県内の中核市場の一つとして位置づけております。片方で現在の魚市場は供用開始以後、40年以上を経過しておりまして、非常に老朽化が進んでおります。現在、魚市場に限らず、食品全般につきまして安全・安心という社会的な要請がある中で、現在の市場の施設のままで鮮度及び衛生管理の高度化に対応した施設たり得るのかという問題がございまして、今後、やはり鮮度及び衛生管理の高度化というものは避けて通れない課題と考えてございます。
 こういうような中で、釜石市といたしましても、市の計画の中で新しい市場の建設、市場の移転というものが計画されておったわけでございます。このため、県といたしましては、その移転用地の造成を、委員御指摘のとおり、県営の漁港整備事業として実施しているところでございます。
 しかしながら、釜石市が現在、新市場の卸売人として予定しております釜石市漁連から移転延期の要請があったわけでございます。現在、市といたしましては、12月2日に水産審議会が行われたわけでございますが、この審議会の意見、検討結果を踏まえて、できるだけ早い時期に、今後いつ移転するのか、あるいはどのような市場として持っていくのか等々についての市の方針を示す意向であると私は伺ってございます。
 県といたしましては、今後の移転計画に関しまして必要な助言を行っていくとともに、適切な移転計画が作成されるよう努めてまいりたいと思います。
 それから、新しい市がつくります計画に基づきまして、施設整備等につきまして必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。

〇野田武則委員 そういうわけで大変残念に思うわけですが、今のお話の中にありました強化計画、これについての見直しはなされるのでしょうか。このまま継続して計画どおり進めていくということですか。

〇武井水産局長 市場の整備計画の見直しということでございますか。

〇野田武則委員 はい。

〇武井水産局長 これにつきましても、市の方で現在の状況等を踏まえて見直しされるものと理解しております。

〇野田武則委員 御存じのとおり、釜石に限らず、沿岸の漁業関係といいますか、大変厳しい状況下に置かれておりますので、ぜひ今後とも御支援をお願いしたいと思います。
 ありがとうございます。

〇樋下正信委員 私は、調書の200ページ3番の林業振興指導費というところでお聞きしたいと思いますけれども、この中のいわて木質エネルギー活用統合対策事業費のところでございますが、県は本州では最大の森林資源のストックを有しているわけでございますけれども、有効活用されないで廃棄されている木質バイオマス資源などが非常に多くあると思われます。山林に放置されている間伐材とか、製材所で発生する炭材など、エネルギーとして使われていないものがたくさんあると思います。
 こういったことから、県では、民間団体のいわて木質バイオマス研究会がジェトロの補助を受けて木質バイオマス資源利用の先進国であるスウェーデンとの交流を展開して、市町村レベルでも住田町における町立保育園のペレットボイラーの設置、また、沢内村の雪国文化研究所へのチップボイラーの設置や、紫波町の紫波中央駅におけるペレットストーブの設置など、多くの団体に木質バイオマス資源利用の取り組みが始まって何年か経過してきているわけでございます。
 こういった中におきまして、現在、住田町の方にその工場があると認識しておりますけれども、県内で今何カ所ほどあって、その生産されているものがどういう形で県内また県外に販路というんですか、出荷されていっているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
 また、我々一般家庭に将来は普及されるものと思われますけれども、商工労働観光部との連携がどのようになっているのかお聞きしたいと思います。

〇千田林業振興課長 木質バイオマスに関連いたしまして、ペレットの生産の関係と、あわせまして、商工労働観光部との連携ということでございました。
 まず、ペレットの生産でございますが、これまで葛巻町にございます葛巻林業が唯一のペレット生産工場であったわけでございますが、今委員からお話がありましたように、今年度、住田町のけせんプレカット事業協同組合に県内で2カ所目のペレット製造施設を整備いたしまして、先般稼働したところでございます。
 それぞれの工場の生産能力でございますが、葛巻林業は今、年間約1、300トンほどでございまして、それから、けせんプレカットにおきましては、今年度は稼働時期が遅かったということもございまして200トンほどでございますが、年間稼働いたしますと、ここも1、000トン規模になるものと思います。
 これまで葛巻林業が一手に流通関係を担っていたわけでございますが、今考えておりますのは、葛巻林業には県央から県北地域、それから、けせんプレカットには県南地域に供給する、こういう形で、供給エリアを分担してその体制をきちんと組んでいきたいと考えております。
 それから、一般家庭へのペレットストーブの普及の関係でございますが、当然、ペレットの流通に関しましても、これまでのように流通経路が一つしかないということでございますと、かなり消費者の方も不安になると思いますので、現在いろいろ検討しているところでございます。例えば、森林組合系統でストックできないか、あるいはガソリンスタンドの方で取り扱ってもらえないかとかいろいろ、きちんと家庭の方にペレットが届くような体制も現在検討しているところでございます。
 それから、商工労働観光部との連携でございますが、現在、ペレットストーブの普及に当たりましては、主に林野庁の補助事業を活用して進めているわけでございますが、当部は市町村等の公共施設に対する導入助成、それから商工労働観光部におきましては、主に県立学校等の県の施設に率先して導入を進めるということで進めております。そのほかにも、一般家庭等を対象にしたモニターも設置しながら、その普及を現在進めているところでございます。
 今後におきましても、商工労働観光部と連携しまして、ペレットストーブが確実に普及するように、あわせましてペレットの供給体制もとれていけるように進めていきたいと考えております。

〇及川幸子委員 この間伐材の利用促進については、私も大変なものだと思っておりますが、この間伐材、チップ材が大変多くなって山積みになっている状況で、この活用策がなかなか見出せないという業者がたくさんいらっしゃいます。せっかく業者がチップ材を何とかしようというときに、その方策を県でも指導してくれない、なかなかそれを言ってくれないというのが実は本音でございます。
 私たちの周りにも多く山積みされたチップ材があるわけですが、一体このペレットストーブは、モニター的にといいますが、一般家庭に何台ぐらい普及されているのでしょうか。そして、企業の中ではペレットを率先して使っているところがあるようですが、何台ぐらい使われているのでしょうか、お伺いいたします。

〇千田林業振興課長 ペレットの民間への普及の状況でございますが、まず、モニターに関しましては、ことし20台の枠で進めていると伺っております。
 それから、ペレットストーブにつきましては、これまでは公共施設が主体でございまして、なかなか民間には入っていかなかったわけでございますが、現時点で、公共施設も含めまして、ペレットストーブにつきましては27台ほど入ってございます。それに、今回商工労働観光部と当方でペレットストーブを新たに87台ほど導入いたしますので、今年度で100台ぐらいになろうかと思います。
 ただ、今後を考えますと、やはり100台、200台ということでは、なかなか間伐材の利用促進ということには結びつかないと思っておりますので、さらに多くの台数を民間の方々にも使っていただけるように、これからも努力してまいりたいと考えております。

〇及川幸子委員 間伐材の利用促進で、山に行きますと散策路にチップ材を敷き詰めた遊歩道があるわけですが、今もそのような促進をなされているのかお聞かせいただきたいと思います。

〇千田林業振興課長 間伐材をチップ化して活用する方策はいろいろあるわけでございますが、今委員が言われましたように、遊歩道に使う、これは森林公園とか、そういうところを主体に、私どももできるだけ使っていただきたいということでお願いもしておりますし、そのように進めているところでございます。
 それから、あわせまして水田の暗渠資材としても、特に針葉樹のチップが暗渠資材としても有効に使えるという見通しが立っておりましたので、これは平成14年度からでございますが、そちらの方での活用も現在進めているところでございます。

〇及川幸子委員 この水田の暗渠に使われるのは大変重要だと思っております。いいものはいいということでどんどん進めていかないと、あちこち見て、廃材の山になってしまいますので、どうぞどんどん利用の部分を促進していただきたいと思います。

〇野田武則委員 今のペレットストーブに関連して質問したいと思いますが、先ほど民間の方に20数台ということでお話がありましたけれども、県庁の下にあるのはサンポットのファン式ですが、実を言うと、私は釜石なんですが、釜石の業者も同じようなものをつくっています。これは自動ではなくて手動だそうでございますけれども、ただ、小型なんです。それで、何か県庁の下の方には置いてくれないというので、釜石地方振興局の方に行ったら、地方振興局の方で今度置いてくれることになったそうです。手動で手間暇かかるわけなんですけれども、かえってそれがいいということで結構売れているということでございまして、多分、今の20何台には入っていない台数だと思うんですよね。要するに、今そちらで把握しているのはサンポットの方だと思うんですが、そうでないいわゆるペレットストーブも結構出回っているということだと思うんですよ。
 ただ難点は、今お話がありましたとおり、ペレットそのものが今の段階では高い。かえって運送費の方が高いということで、本来であれば灯油と同じ値段で購入できるということだったわけですが、今の段階では高いということですので、やはり販路を早くつくるべきだろうと思いますし、それから、モニターと言わずに、どんどんサンポット以外のいろいろなペレットストーブがあるはずですので、電気屋なりストーブ屋なり、どこでもどうぞどんどん展示してはいかがかなと思っていました。まだ一般県民の方に啓蒙されていないのではないかと思います。
 あと、さっきお話があったとおり、商工労働観光部と農林水産部と分かれていますよね。これは片手間でやるのではなくて、本腰を入れてやるのであれば、やっぱりそこを一緒にしたプロジェクトチームのようなものをつくって本格的に取り組んでいかないと、間伐材の対応にもおぼつかないのではないかと思います。

〇坂元林務局長 バイオマスの利用促進につきまして、ただいまおっしゃられましたいろいろなペレットストーブが開発されていると。今回、サンポット社等の例のいわて型ペレットストーブについては、岩手県とサンポットで共同開発したということで普及を図っているわけですけれども、それにとどまらず、いろいろな製品の開発、また利用が促進されるように、県としても進めてまいりたいと思います。
 また、今後の木質バイオマスの利用促進に当たりましては、やはり一部局だけでそれぞれ別個にやっていくことでは、総合的な利用促進、または流通とか、または規格とか、いろいろなところの問題が生じてまいりまして消費者に支障が生じますので、現在、県としては全庁的な促進会議というものを毎月1回必ず開きまして、そこで問題点を決めて、今後の対応策を決めてやっていくということで取り組んでおります。
 また、今年中をめどに、岩手県の木質バイオマス促進のプランを現在策定しているところでございまして、そういう大きな方針を定めて、その上で岩手の木質バイオマスの利用促進を図ってまいりたいと考えております。

〇工藤勝子委員 179ページ水稲直播モデル事業についてお尋ねしたいと思います。
 水稲は機械化によって省力化がなされてまいりました。今度はいかに無農薬、また低農薬において、消費者が求めるおいしいお米を低コストでつくるかということに課題が移ってくるだろうと思っておりました。そういう面において、高齢化率も高くなってきておりますし、低コスト化によって所得が上がれば、おのずと担い手も育ってくるということから、この水稲におけるモデル事業の、水稲というのは、冷害があったわけですけれども、非常に天候に左右される作物なわけですが、このモデル事業としての検証の結果と成果についてお聞きしたいと思います。

〇中正農産園芸課長 まず、本年度の直まき栽培の結果でございますけれども、ことしは県内7地区で87ヘクタールで取り組まれておりまして、昨年から比べますと36ヘクタールほど増加という結果となっているところでございます。
 ことしの異常気象の中での収量等の成績はどうかということでございますけれども、直まき栽培は例年、移植栽培に比べますと15%ほどの減収というのが、技術的には大体平準なところかなというところでございます。本年を見ますと、異常気象の影響で生育が大幅におくれたということで、結果として減数分裂期の低温影響というものが少なくなったのではないかということで、農業研究センターのデータでございますが、例年の移植栽培に比較しますと、収量でいいますと、あきたこまちでは30%減、それから耐冷性の強いひとめぼれでは15%減の収量ということでございます。このような状況になっているということでございます。

〇工藤勝子委員 それでは、減になっている部分もあるでしょうけれども、この実施いたしました農家の反応、または、それを見ている周辺農家の反応、さらには今後の計画、または、平場で行われていると思うんですが、これを例えば中山間地ではどの辺のところまでモデル事業として今後の計画があるのかを聞いてみたいと思います。

〇中正農産園芸課長 ことしの結果を見た農家の反応というお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、農業研究センターのデータによれば今申し上げたとおりということでございます。現場でいろいろ聞いた話でございますので、そのところは御勘弁いただきたいと思いますが、地域によって、例えば県南の水沢地方、あるいは委員の出身地であります遠野地方、その辺の話を聞いてみますと、ことしなかなかとれたなというのが農家の反応だと聞いてございます。そういう意味で、ことし1ヘクタールやってみたんだけれども、来年は2倍の2ヘクタールやってみようかなということで、そういう意欲がちょっと出ているのかなという反応で聞いておるところでございます。
 それから、今後この直まき栽培をどういうふうに進めていくのかということでございますけれども、委員おっしゃいましたように、今後、この直まき栽培につきましては、規模拡大する上での有効な手段だろうと思ってございます。特に、移植栽培と組み合わせすることによって、かなりの大型栽培ということが、規模拡大ができるだろうと思ってございます。そういう意味で今後、冒頭87ヘクタールと申し上げましたけれども、これを350ヘクタールほどまで拡大していきたいものだと考えておるところでございます。

〇工藤勝子委員 わかりました。やはり今後、低コスト化に向けてこういうことにどんどん取り組んでいただきたいと思っております。
 もう1点は、国における米政策改革大綱が出されたわけですけれども、担い手に農地を集積しながら集落水田農業ビジョンを策定するというようなところに来ておりますが、現在における進捗状況について、どの程度の地域でこういうものが既に策定されているのかをお聞きしたいと思います。

〇小原水田農業推進監 それでは、集落水田農業ビジョンの取り組み状況についてのお尋ねでございます。
 既に策定を終えた件数は県内でどれぐらいかというお尋ねでございますけれども、この集落ビジョン、これまで約2、200ほどの集落等で策定目標といたしまして、これまで1、700ぐらいの集落でビジョンづくりに向けた話し合いが行われてございます。
 現在、約800の集落でビジョン策定の取り組みがスタートされてございまして、そのうち、もう80ほどの集落では既に原案ができているといった状況になってございます。
 この中には、非常に特徴的な取り組みがあるわけでございますけれども、例えば、畜産農家との連携による減農薬、減化学肥料による米づくりを行うこととしております紫波町の十二神集落や、あるいは飼料用稲をつくりまして、それを他の地域の酪農家との提携によりまして、集落内の稲作の有機質として還元し、いわば地域循環型農業のようなものに取り組もうとしております一関市の上要害集落、さらには、四、五年後には、いわゆる集落農場のような営農形態を目指していこうとしております遠野の綾織地区など、県内で特色のあるビジョンが今現在一生懸命つくられておるといったような状況でございます。

〇工藤勝子委員 結局、今後いろいろとこういうビジョンが策定されてくると思うんですけれども、水田に限らず、私たちのところは水田で生きるところではない中山間地なわけですが、集落水田農業ビジョンというよりは、もうその地域、その村のビジョン策定を今後進めて、集落において自分たちが何で生きていこうとしているのか、担い手を何で育てていこうとしているのかというようなところで、また、多面的機能の部分からも、結局、農村、農家にあるそういう文化、食文化なり、伝統文化なり、芸術文化なりを、その村でそういうものまで進めたビジョンづくりというものを今後進めていただければいいなと思っております。
 先ほど綾織という地区が出ましたので、綾織は今年度の全国村づくり部門で天皇杯を受賞いたしましたすばらしい地域が我が地域にございます。これは構造改善事業から始まったことで、女性の人たちのしなやかな視点から、構造改善事業にトイレをつくるという、そこから始まった村づくりが天皇杯までここ四、五年の間で結びついていった地域でございます。
 今後とも、こういうビジョンづくりはむだにならないと思いますので、策定しないところにもどんどん進めていただけるようにお願いしたいと思います。

〇嵯峨壱朗委員 決算の全体的なところですけれども、繰越額が100億円ほど出ていますけれども、これかなりの件数に及ぶわけですけれども、平成16年3月31日事業完了予定とかというのが一番多い、30件弱ですけれども、それも含めて多い背景というんですか、国の関係等もあるかと思いますけれども、説明願えればと思います。
 それと、完成の予定になっていますけれども、本当にできるのか、完了の予定になっていますけれども、そういったものを現時点でその見通しもお聞かせ願えればと思います。
 それと、不用額も出ておって結構なことなんですが、説明書によると、節の中で幾らという形の説明にはなっていますけれども、事業ごとの説明というのはないので、どの事業でどれぐらいが不用になったというのがわからない説明書になっております。そういった意味で申しますと、できれば項ごとにある程度重立った不用額の生じた事業について説明願えればと思います。

〇佐藤農村建設課長 まず、繰り越しが発生いたしました背景とその完成見通しについてのお尋ねでございますが、農林水産部所管事業のうち、まず農業農村整備事業につきましては、農道事業等におきまして埋蔵文化財の調査に不測の日時を要したことなどを理由といたしまして繰り越しが発生いたしましたが、既に埋蔵文化財調査を終えるなどいたしまして、現在、工事は順調に進んでおりまして、すべての事業につきまして完了予定日までに完成する見込みとなっております。
 次に、治山及び林道事業につきましては、治山事業等におきましてボーリング等詳細な調査とその後の調査結果の分析、検討に相当な期間を要したことなどから繰り越しが発生いたしましたが、所要の調査を終えるなどいたしまして、これにつきましても、事業完了予定日までにすべて完了できる見込みとなっております。
 また、漁港漁場整備事業につきましても、施行位置や工法上、サケやアワビ等の漁業生産活動との調整を図るために日数を要したことなどを理由といたしまして繰り越しが発生したところでございますが、これにつきましても、すべての事業について完了予定日までに完成の見込みとなっております。

〇高前田農林水産企画監 不用額が発生した主な理由について御説明を申し上げます。
 まず、一般会計の農林水産業費でございますが、恐れ入りますが歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 まず、農林水産業費1項農業費の不用額でございますが、これは55事業で5、723万円余でございますが、その主なものは、本庁それから地方振興局などの管理運営費等の節減、これが3、360万円余でございます。
 それから、主なものだけ御紹介させていただきますが、5項水産業費でございますが、水産業費の不用額は36事業で3、357万円余でございますが、その主なものは、農業集落環境整備事業の市町村における入札減によります補助金の実績減、1、216万円余となってございます。
 次に、恐れ入りますが16ページをお開き願います。災害復旧費でございますが、農林水産施設災害復旧費の不用額は7事業で2、123万円余でございますが、これは、いずれも工事請負契約の入札による減となってございます。

〇嵯峨壱朗委員 繰り越しと事故繰越と二つあるようですけれども、この事故繰越と通常の繰り越しとの違いというのはどうなれば事故繰越なのか、その辺御説明願えればと思います。
 あと、繰り越し理由で先ほど若干説明がございましたけれども、計画に調整の不測の日数を要したためという項目が一番多いんですけれども、これは、事前にある程度その事業によっては想定できたものもあったのではないかという気がするんですけれども、となればその年度内に完了したということ、その辺の兼ね合いはどうなっているのかお聞かせ願えればと思います。

〇佐藤農村建設課長 まず、計画調整に日程を要したということを理由にして繰り越したケースにおいて、事前にもう少し調査をしておれば繰り越しを避けられたのではないかというお尋ねでございますが、例えば農道事業を例にして御説明させていただきますと、埋蔵文化財があった場合に、前年度に埋蔵文化財の予備調査をいたしまして、どの程度の埋蔵文化財の本格調査が必要なのか、必要でないのか、あるいは必要であればどの程度なのかということを把握した上で、当該年度に埋蔵文化財の本格調査を経て工事を実施するわけでございますが、どうしても、予備調査と現実に本格調査を始めた結果の文化財の存在の状況というものの見込みが違う場合がございますので、その場合はやむを得ず繰り越しをするということでございます。
 いずれにいたしましても、繰り越しを最大避けるように事前に十分な、できるだけ充実した調査なり調整をして、今後、適正な事業執行に努めてまいりたいと考えております。

〇千葉技術参事兼漁港漁村課長 ただいま事故繰越と繰り越しの違いというお尋ねでございましたが、事故繰越2件は私どもの所管の件でございましたけれども、通常の繰り越しであれば、もう議会の方の承認を得て明許繰越という手続をとってございますが、今回のこの事故繰越は、去る3月7日から10日にかけての低気圧でもって手戻りあるいは災害をこうむったことから、その年度内に完成ができなくなったということで事故繰越という形で繰り越しの承認をいただくということで、事故繰越と繰り越しの違いはそのような内容となっております。

〇小原宣良委員 生物工学研究センターにおける各種試験研究の成果につきましては、先ほど照井委員から質問がありました。私からは、遺伝子組換え稲の試験研究についてお伺いをいたします。
 ことし生物工学研究センターで遺伝子組換え稲の試験研究が行われまして、県内外からこの試験研究に対して疑問、批判の声が上がりました。この試験研究については本会議で知事から答弁もありましたが、改めて担当部の見解を伺いたいと思います。
 生工研では、安全性についてプロジェクトをつくって対応するとしているようでありますが、これはどういうものでしょうか。

〇小岩農業普及技術課長 生物工学研究センターにおきます遺伝子組換え稲の研究につきましては、耐冷性それからいもち病等の耐病性に関与する遺伝子の働きを解明すると、そういうことを目的に行っておりまして、遺伝子組換え食品に対する消費者の根強い不安がありますことから、県といたしましては基礎的研究の範囲に限定しますとともに、組換え食品の開発は行わないことといたしたところでございます。
 また、今年度実施いたしました組換え稲の屋外栽培試験におきましては、耐冷性に有用と考えられる遺伝子の働きについて検討してまいりましたが、ある程度初期生育が促進されるということがわかりまして一定の成果が得られたということで、今回の試験をもってこの屋外試験につきましては終了することにいたしました。
 それから、安全性評価についてでございますが、これは国の指針に基づきまして、一般の環境や生態系などへの安全性を確認しながら進めていく必要があるということでございまして、今回の遺伝子組換え稲の屋外試験におきましても、周辺の環境への影響について調査しておりまして、特に花粉の飛散による交雑、これは一切確認されておりませんし、それから飛んでくる昆虫だとか雑草の生育などに影響がないかも調べておりますが、すぐ近くに植えた一般のササニシキと違いが全く見られなかったということで、安全性の確認をいたしてございます。

〇小原宣良委員 屋外の栽培による実験研究はことしで終わると、来年度以降はしないということでありますのでその点はいいわけですが、屋外はしないということは屋内ではやるということでしょうか。いずれ、そこのところはこれからの基礎研究にとどめるということなんですが、いかがですか。
 それと、やはり消費者を初めとしてこれに心配が出てきているというのは、食料、食品に対する安全、これに疑問があるからにほかならないわけでして、同時にまた、圃場を隔離するとかあるいは花粉が飛ぶこと、それが伝播するおそれがあるということでの隔離、こういうことは結局そういう危険性がある、一般の作物の生態系にも影響を及ぼす可能性があるんだということを前提にしたこういう措置であったかと思うんですね。そういう点で、今回で終わるということでありますから、私は賢明な選択であると思います。これら影響が十分考えられるあるいは危険性があるということについて、あえてそこのところをまたさらに進むということであれば、これはぜひおやめになった方がいいということを私も言おうとしておったわけでありますが、ぜひこれからの研究については、先ほども照井委員からも話があったように、ぜひ実用化できる、そして農家の皆さんがそうした研究の上に新たな栽培なり、同時にまた流通、こうしたものに有効に作用できる研究、実用的研究という部分でひとつ大いに実力を発揮してほしいと、こう願っておりますが、最後にその辺をお伺いしておきたいと思います。要するに、基礎研究という部分は、屋外は終わったけれども今後はどうするかということです。

〇小岩農業普及技術課長 組換えの関係でやる意義といいますか、そのあたりはなかなか専門的で難しい部分がありますけれども、特に本県の場合、水稲ではたびたび冷害の被害をこうむっておりますし、いもち病も毎年各地で出ているということで、それらに対応できる品種が非常に待たれるわけですが、そういう品種を効率的に育成するために、その耐冷性だとかいもち病に関与する遺伝子を探したり、それからその遺伝子そのものの機能を解析したり、今、屋内でもってやっておるわけですが、今後はその遺伝子に着目した交配育種過程における選抜方法について、これもあわせて研究してまいりたいと思っておりますし、そういう研究過程においてこの遺伝子の働きを確認するために組換えといいますか、その遺伝子を導入して、それがもくろんだように働いてくれるかどうかを確認するために組換え技術を活用しているというのが、組換えの研究の意義だと考えております。

〇小原宣良委員 いずれ、屋外の試験研究についてはしないということでありますから、そこははっきりと今後もやらないようにした方がいいと思います。
 それと基礎研究、私ももちろん専門的なことはわかりませんけれども、遺伝子を組換えして、仮にそういう稲という部分が出回るということになった場合は、結局、屋外で試験研究をしたことと同じことが出てくるんですよ。これが一般の稲との交雑という部分にどういう影響が出てくるのかとか、あるいはイネ科の草にどういう変化が出てくるかということはこれは同じなんですよ。ですからある意味では、極論を言えば、在来種の淘汰になるんですね。こういう種子、種苗のこれからのありようというものに大きな影響を及ぼす問題だと思うんですね。ということで、ぜひこれは屋外の試験研究はしないということを評価はいたしますが、しかし、今後、これの基礎研究のありようという部分は十分に注意なさった方がいいと申し上げて終わります。

〇伊沢昌弘委員 3点お伺いをしたいと思います。
 初めに、4目農業改良普及費のところに新規就農総合対策事業費3、300万円ほどが計上されているわけでありますけれども、この事業は私は大変重要だと思うわけであります。農業に関して若い人たちを含めて、次代を担う人たちが定着をするという意味で、この事業の成果が出ることを期待しているわけでありますけれども、この事業、いろんな事業内容を持っていると思いますけれども、主なもののお知らせをいただきたいのと、それから実際にこの間、新規就農の皆さんがどのような状況なのか。学卒の方もあるでしょうし、Uターンをしてきた人もあるだろう、または東京都を含めて全く農業に参入していない方々が新規に参入をするということで、ほかの県では大々的にテレビなどで報道されながら頑張っている姿等々があるんですが、本県ではなかなかこういうのが見えないと思いますので、そういった実態についてどのような傾向なのか教えていただきたいと思います。
 もう一つ、農外事業者といいますか、農事法人等を含めて株式会社等が参入、一定程度の制約のもとで参入できるやに聞いているわけでありますけれども、実際、県内でこの間そういった法人等がつくられて運営をされている、事業を開始しているという例があればお示しをいただきたいと思います。

〇小岩農業普及技術課長 新規就農対策の関係でございますが、県といたしましては、新規就農総合対策事業によりまして、農業大学校に1名、それから県の農業公社に2名の就農相談員を配置しまして、市町村等と連携をしながら、就農希望者に対しまして専門に相談に当たるということをしてございますし、その就農に当たった方々に対しまして、希望に応じまして就農支援資金を貸し付けまして、研修だとか就農の準備それから機械や施設整備等に対する無利子資金で支援を行っているところでございます。また、就農相談会を盛岡あるいは首都圏では東京で開催しておりますし、市町村における研修施設や体験農場の整備、さらには県立農業大学校における新規就農者の研修や農業改良普及センターによります個別営農指導など、各地域において就農希望者に応じたさまざまな支援を行ってございます。
 そういう最近の新規就農者の動きでございますが、ここ数年は県内で90人前後で推移しておりましたが、近年それが増加傾向にありまして、昨年度、平成14年度は112名となっておりまして、こうした中身を見ますと、最近ではUターンの就農者とか新規学卒者、それから新規参入の方々が増加傾向にあるという状況でございます。

〇河村農業振興課長 株式会社といいますか会社が農業に参入する、法人が農業に参入するのはどのぐらいあるかという御質問でございますが、現在、株式会社のまま農地を取得して農業経営をしたいという動きがあるのは遠野で1事例、それから分社化といいますか、例えば建設会社で子会社といいますか分社化をして、農業生産法人の資格を取ってそして農地を取得してやりたいという事例が1カ所。これは現在農業委員会に生産法人の認可といいますか、それを申請中だと、具体的にはその2事例でございます。

〇伊沢昌弘委員 若干ふえているという傾向のようですけれども、数字を見せていただきましたが爆発的にということではないんで、これはやっぱりこれからも重要なものではないかという思いがいたします。
 これと関連をするわけでありますけれども、2点目につきまして同じく5目になりますが、農業振興費の中に中山間地域等直接支払事業費というのが51億円計上されています。これは12年度から創設されてこの間来たわけでありますけれども、いろんな集約なり団体を含めて5年間継続をしながら認定をいただいて、契約をして協定をしながら行うという事業なわけであります。12年度以降の動きといいますか、この支払制度がどのように進捗をしてきたのかまずお伺いをしたいと思っております。
 その間、いろいろなことが施策展開をする中でおやりになってきていると思うんですけれども、協定を結ばれた皆さんの意向把握といいますか、要望などいろんな部分があったと思うんですけれども、そういったことについてどのように把握をされているのかお伺いをしたいと思います。

〇村上中山間対策監 中山間地域等直接支払制度の現状でございますけれども、協定を締結した集落につきましては14年度で1、335集落と、12年度にスタートしてから順調に年々増加しております。
 それから、協定面積につきましても14年度で1万8、319ヘクタールと同じく増加しているということです。それに伴いまして交付金も増加しており、協定締結面積及び交付金ともに、全国で岩手県は第3位の内容になっているところでございます。
 それから、協定に取り組む集落の動き等でございますけれども、この交付金を活用しまして各集落におきましては機械施設の共同購入とか利用、あるいは農作業の共同化あるいは農作業の受委託、耕作放棄地の復旧など、こういう生産性の向上の取り組みあるいは高収益作物を導入していくとか、そういう取り組みの拡大を進めてきております。
 例えば、宮守川上流集落では、1集落1農場を目指した取り組み、あるいは東和町の舘迫集落では、耕作放棄地にソバを植えるとか、そういう取り組み、そしてそれを加工して販売するという取り組み、あるいは川井村の夏屋集落では、山菜を栽培してそれを加工して産直施設に販売する、そういった地域ぐるみの活性化をしていくような取り組みをしているところでございます。集落の方々は、この制度によって、集落に初めて、中産間地域に光が当てられたというような喜びを持って語っているところでございます。

〇伊沢昌弘委員 全国的に比べて締結数が多いというのは、やっぱり山間地が多いのかと。1番目はたしか北海道だと記憶しているんですけれども、そういったところで定着をしつつあるのかなという思いがします。
 ただ、部長、どうなんでしょう。スタートの時点で該当しないところで県でプラスをしてやろうとかというのがありました。ただ、もう一つは、いろんな事業をやらないと直接支払制度とはいえ、本当の意味での支援にならないんじゃないかということを私ども指摘をした経緯があるわけですけれども、この間、12年度から3カ年経過をして今4年目を迎えているわけですけれども、将来にわたってこの制度というのは時限があったやに記憶しているんですけれども、どのような展開になっていくのか、その辺についてもし御所見があれば、部長からちょっとお伺いをしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 この中山間地域等直接支払制度は、中山間地域が抱えているいろんな課題があるわけですけれども、それを何とか解消する中で活性化を図る必要があるという観点から平成12年度に創設された制度でございまして、ただいま御答弁申し上げましたように、県内各地で創意工夫を凝らしたいろんな新しい取り組みをしていただいているものと思っているところでございます。この制度、当面5カ年ということで創設されましたので、16年度までということになるわけですが、いずれ、国はその時点でこの制度の全体的な検証をして、以後どうするかというような検討が行われるということになっているわけですが、いずれにしてもこの成果が一番問われるものだと思っておりまして、県はそういう意味でも、国に先駆けて中間的に検証しながらさらに効果的な取り組みということで誘導しているわけですが、いずれにいたしましても、この制度、大変中山間地域にとって評価をいただいている事業で、また、有効に活用していただいていると思っておりますので、いずれ、国がこの5カ年を検証するときに、改めて地域の要望を取りまとめてその段階で検討すると伺っておりますので、いずれ、その事業対象地域の件も含めて、県として改めて地域の実情を把握しながら、要望もお聞きしながら対処してまいりたいと、そのように思っております。

〇伊沢昌弘委員 一定程度の成果だと私思いますので、これら継続となるか、また新しい展開になるか、ぜひ県内の御要望を含めて豊富化をしていただきたいと思います。
 最後になりますが、何年か前から何度か聞いていました蚕業費、蚕のことについてお伺いをしたいと思います。
 14年度の予算書、決算書にも載っているわけでありますけれども、この間、養蚕農家を含めて桑畑、桑園面積等々を含めて、減少の一途をたどってきているということが統計上あらわれているわけでありますけれども、14年、15年を含めて現状がどのようになっているのか、まずお示しをいただきたいものだと思います。

〇中正農産園芸課長 養蚕の現状でございます。
 まず、農家数そして生産量等について申し上げたいと思いますけれども、14年は農家数が73戸でございます。そして繭の生産量が21トンということでございます。15年、今年度でございますけれども、農家数が64戸、そして生産量が20トンということでございます。

〇伊沢昌弘委員 どんどん減っている一途なんですが、私がこれを最初に聞いたときには、文化の継承ということで絹繭を育てて絹糸、つむぎ、絹の製品をつくると、こういう意味から大変重要ではないかという思いをしました。
 いただいた資料によれば、1、966トンというのが昭和32年にあって、今これは20トンまで落っこっちゃったということになるわけでありまして、大変な状況だと思うんですが、それでも蚕業費が予算書、決算書に載っているという中で、農家の皆さんもこれ大変な手間隙がかかる部分でありますけれども、県としてはこれまでどのようなことをおやりになって事業として推進をされてきて、今後どのような方向を向こうとしているのかぜひお伺いをしたいと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

〇中正農産園芸課長 養蚕の現状につきましては今申し上げたとおりでございまして、非常に厳しい状況にあるということでございますが、何といっても養蚕については、今委員おっしゃいましたように伝統的な産業であるということもあるわけでございますが、経営的に見ましても中山間地域を中心に複合経営の重要な部門で、これをもってやっていこうという農家もあると認識しているところでございます。
 そこで、今やってきている事業の関係を申し上げたいと思いますが、一つは、農協に指導員を配置いたしまして、その指導員がそれぞれ個々に農家を巡回して指導して歩くということで、効率的養蚕産地育成推進事業と申しますけれども、これを実施しているところでございます。そしてまた、高品質な繭をつくっていって所得を上げていただこうという観点から、県産繭の品質の向上を奨励するということで、県産優良繭安定供給対策事業という事業も実施しているところでございます。加えまして、本年、15年度から地産共同飼育所におきまして、3齢蚕と申しますけれども、お蚕の場合は5齢くらいまであるんでございますけれども、3齢の段階まで共同で飼育すると。そして3齢になったものを農家に配ると。そうしますと、いわゆる農家の段階では省力化が図られるということでございます。まさに高齢化に対応した対策と考えておるところでございますけれども、こうした取り組みを進めているということでございます。

〇伊沢昌弘委員 先輩の議員たちも昔、蚕を手伝ったという方もいっぱいいるだろうし、それからことしの9月には、県議会の園芸研究会で白川郷を訪れたわけです。この間テレビでは世界遺産の中でそれらも報道されていましたが、あの2階、3階のところには蚕の飼ったものが全部残っていまして、私も懐かしく見てきた部分があります。ただ、懐かしさだけではなくて、やはり経営が成り立っていかなければならないという部分がこれからも必要だと思いますし、ぜひ残していただきたいという思いがあります。
 部長はかつてこの養蚕分野も担当されたと伺っているわけですけれども、現状、なかなか難しい中で県は頑張っていると思うんですけれども、今後の方向も含めて部長から一言、この問題について御所見があればお伺いして終わりたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 養蚕の歴史を振り返ってみますと、先ほど、現在64戸という数字になっているということを申し上げたわけですが、大正の末期から昭和の初めにかけて、本県では4万戸に及ぶ養蚕農家があったわけでございますが、まさに今は100戸を割ってしまったということで、大変隔世の感があるわけでございますが、戦後日本が復興したのは養蚕のおかげだとも言われておるわけでございまして、非常に残念に思っておりますが、これもまた時代の変遷だと受けとめているところでございます。
 いずれ、戸数は減ってまいりましたけれども、これから改めて新規の養蚕農家をふやすということにはなかなかならないと思いますけれども、何とかこの辺の数字で食いとめて、そしてこうした経営が今後とも継続していただけるような、そういう支援を県としても積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

〇阿部静子委員 1点だけ質問をいたします。
 それは私、お米の食味ランキングにこだわっているんです。昨年度までは山形のはえぬきであるとか、それから新潟魚沼のコシヒカリ、そして岩手県南のひとめぼれという、そういうすばらしいお米が、10回ですか9回ですか、連続の特Aという、そういう超すばらしいランキングの中に入っていたはずでございますが、その評判と、何で魚沼ばかりがいいのかというのが私、悔しくてしようがないんですけれども、岩手のひとめぼれのおいしさ、それから売れ行き、価格等、昨年の成果についてちょっと御説明をいただきます。

〇佐々木流通課長 県南ひとめぼれが9年連続特Aでございました。これは本県のひとめぼれの食味のよさが評価されたものと素直に喜んでございますが、その自主流通米価格形成センターにおける価格の状況を見ますと、現在、コシヒカリのひとり勝ちの状況にございまして、残念ながら本県ひとめぼれは二番手から三番手ぐらいについているというのがその実情でございます。
 今年度も食味ランキングがそろそろやられるわけでございますけれども、私どもは県南ひとめぼれの食味のよさということを、私どもはもちろんでございますけれども、生産者ともども、やっぱり自分たちのお米に自信を持ってこれを大消費地ラインにPRしていって幾らかでも高く売れるような、そういう対策につなげてまいりたいと考えてございます。

〇阿部静子委員 9回連続の特Aなわけでございまして、今年度となりますと冷害の中での品質が危惧されるわけでございますが、予想といたしまして、ことしもとれるだろうかと、特A。それ10年連続とれましたら、やっぱりお祝いしなければならないのではと。できれば知事がしょって歩いて、県南のひとめぼれ、大変おいしいのだということをコシヒカリに負けないように宣伝する必要があるのではなかろうかと思うんですが、いかがでございましょうか。

〇佐々木流通課長 異常気象の中でもひとめぼれは低温に非常に強い品種特性がございますし、農家の努力もこれあって、県内品種の中では被害が非常に少なかったということでございましたし、それからその品質、これは外形を中心にいわゆる米検査ということで検査を行うわけでございますけれども、この一等米比率が96%ということで、これ全国最高位の現在成績でございます。ですけれども、食味ランキングはあくまでも官能試験でございますので、そのところがやや心配なわけでございますが、私どもはこういう一等米比率の高いお米、それから土づくりなりに吟味した県南ひとめぼれの食味のよさが審査員の方々にも正しく評価いただけるものではないかと期待しておるところでございます。

〇斉藤信委員 私、最初に決算の全体像についてお聞きをしたい。
 平成14年度の農林水産関係の決算全体で公共事業が占める額と比率、価格保証が占める額と比率はどうなっているでしょうか。
 公共土木事業、偏重のゆがみをただすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
 それに関連して、馬淵川沿岸水利事業、これは国が520億円の事業で県が63億円の事業の計画ですが、この計画に対して実際に参加が決まっている農家はどうなっているでしょうか。
 簗川ダム建設事業負担金、これが956万円となっていますが、これまでの総額はどうか。なぜ県が肩代わりしているのか。農家負担は今後どうなるのか。4割減反の中で本当にこういう農業用水が必要なのか示していただきたい。
 ふるさと林道事業というのが35億9、000万円あります。長野県では新たなふるさと林道事業はもうやめると。私は抜本的に見直す事業ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇高前田農林水産企画監 決算における公共事業費それから価格・所得補償の額及び比率についてのお尋ねでございますが、まず平成14年度における農林水産業関係の公共事業の比率についてでございます。農業関係の公共事業費は477億円余となっており、比率は50%となっております。林業関係の公共事業費は166億円余となっており、比率は64%となっております。水産業関係の公共事業費は113億円余となっており、比率は65%となっております。農林水産業全体では公共事業費が757億円余となっており、比率は55%となっております。
 次に、価格・所得補償関係の決算額及びその比率でございますが、農業関係の青果物の価格安定対策及び家畜畜産物の価格安定対策の決算額が2億2、000万円余でございまして、決算額に対する比率は0.2%となってございます。
 次に、公共事業偏重のゆがみが生じているのではないかという御指摘でございますが、農林水産業関係の公共事業につきましては、生産性の向上を図るための基礎的な条件となります生産基盤の整備や農山漁村の生活環境の整備、これを目的として実施しているところでございます。本県におきましては、こうした基盤の整備が行われておりますことから、今後とも公共事業を通じまして、農林水産業の生産性の向上等に努めていくことが重要であると考えております。

〇川邊農村計画課長 国営馬淵川沿岸農業水利事業についてでございますが、同地区の受益農家は2、039戸でございます。そのうち、1、919戸の同意を得て事業着工しているものでございます。
 この国営事業に関連します県営事業につきましては、畑地帯総合整備事業としまして、平成12年度に舌崎地区、それから平成14年度に東奥中山地区で着工したところでございます。現在、両地区で国営受益農家の約10%に当たります211戸の事業参加となっております。また、さらに、南奥中山地区ということで、平成16年度採択に向けまして鋭意取り組んでいるところでありまして、新たに54戸の事業参加が見込まれております。
 次に、簗川ダムでございます。簗川ダムの建設にかかわります平成14年度までの農業用水の負担額は4、680万1、000円となっております。
 それから、なぜ県が肩代わりしているのかにつきまして、これは特定多目的ダム法施行令第14条第2項に基づきまして、利水者負担金の支払いにつきましては、ダムが完成した年の翌年から開始されるとなっておりますので、この間は県が立てかえしているものであります。さらに、農家負担につきましては、その支払い方法とか支払い期間等について、ダムが完成する時点までに県と利水者が協議して決定することとしております。
 減反の中で本当に水が必要なのかということにつきましては、現在の営農形態とか転作率等を踏まえながら花巻の豊沢川地域のかんがい期間、これが変更になっておりますので、それによります必要水量について検討した結果、現在の許可水利権では用水が不足するために、簗川ダムに利水参加しているものであります。

〇黒澤森林保全課長 ふるさと林道緊急整備事業についてでございますが、この事業は間伐等森林整備を進める上で基盤となる施設でございまして、さらにはまた、地域の生活基盤の整備という観点からも大変重要な施設でございます。そういうことで、既設林道の改築や舗装を重点的に実施してきておりまして、地域からの要望も大変強いものがございます。
 今後は、公共事業が大変厳しい中にあるわけでございますので、継続事業に予算を重点配分いたしまして早期完成を図り、事業の早期発現に努めてまいりたいと。また、森林の公益的機能が高度に発揮されますよう、自然環境の保全に十分配慮しながらコストの縮減に努め、計画的な推進に努めてまいりたいと、このように考えてございます。

〇斉藤信委員 実態はわかりました。今後の進め方は全く逆行しているので、私は部長にお聞きしたいんです。
 平成14年度の県内農業算出額は2、726億円であります。これは前年比で2.2%減。米はちなみに794億円で前年比で20億円減少、野菜は290億円で24億円減少、果実も31億円減少、高原作物は11億円減少と、こういう深刻な事態ですよ、今、農業の生産にかかわって。私はそういうときにこの生産を助けるのではなくて、55%が農業土木事業に使われていると、生産基盤と言ったって、今ある生産基盤が十分使われていないというのが実情なんですよ。私はここを抜本的に組みかえて、今農家の圧倒的な要求は価格保証、所得補償ですよ。安心して生産できるようにしてほしいと、そこに根本的な重点の転換を図らないと、農業算出額はどんどん後退するということになりませんか。このことを私はまとめて部長にお聞きをしたい。
 ふるさと林道も、馬淵川なんていうのは計画の10%しか参加していないわけでしょう。国営520億円ですよ。これだけ投入して昔の同意の数あなた言ったってだめなんですよ。本当にこういうのを抜本的に今見直して、むだな公共事業をやめるという方向にしないと、農家や農業を守る施策にならないんじゃないですか。これまとめて部長、どうですか。

〇佐々木農林水産部長 今、農林水産業、さまざまな課題を抱えているところでございます。農業内部におきましては構造改革を進めなければならないという課題でございますし、それから、外的な要因としてはWTO農業交渉が予断を許さない状況になっているというようなこと、来年度から米政策が新たに展開されるという状況の中で、こうした情勢に対処していくためには、何といいましても生産基盤の整備を図ることが極めて重要な課題だと思っております。そういうことを進めながら、並行して農地の利用集積なりを進めてそして体制の強い農業の展開が必要だと。そのために必要な農業生産基盤であり林道等の整備だと認識しておりまして、いずれにいたしましても、全体としてこういった生産基盤の整備あるいはお話がありましたような価格安定制度等の対策も含めて全体のバランスにも考慮しながら、全体として農林水産業の発展が図られるような、そういう予算の執行に努めてまいりたいと考えております。

〇柳村典秀副委員長 斉藤信委員の質疑の途中でありますが、この際世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時54分 休 憩
   午後3時18分 再 開

〇阿部敏雄委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行します。

〇斉藤信委員 それでは次に、政府の米政策改革大綱に基づく集落ビジョン、県が推進してきた集落水田農業ビジョンの取り組みについて具体的にお聞きしたい。先ほど工藤勝子さんも取り上げましたのでね。
 地域の農業と担い手の育成が大問題ですけれども、国は、4ヘクタール以上の農家、20ヘクタール以上の集落経営しか育成しない、こういう方向を明記しています。産地づくり交付金は、市町村がビジョンをつくれば、これは交付の対象になると思いますが、それでよろしいのでしょうか。
 それと、20ヘクタールの集落ビジョンは、一部の農家ではなくて、農家全体が参加する集落ビジョンでも対象になると思いますが、いかがでしょうか。
 後継農業青年、新規就農も含めて、担い手の見通しはどうなっているでしょうか。
 来年度の減反の割り当てについて、先日、岩手県は30万8、420トン、これは今年度と比べて1、920トンふえるという減反割り当てになりましたが、私は、深刻な冷害に見舞われたこういうときに減反がふえるということは、本当は許しがたいものだと思いますが、どのように農林水産部長は受けとめているでしょうか。
 岩手県は、この減反割り当てについて傾斜配分を行うという方向を今目指しているようですが、どういう中身なのか示していただきたい。

〇佐々木農林水産部長 最初に、減反割り当て傾斜配分の話を私から答弁いたします。その他につきましては、担当の方からお答え申し上げます。
 平成16年度産米の生産目標数量が先般国から示されたわけでございますが、平成15年度の米生産数量のガイドラインに比べて1、920トン多いということで、これは減反がふえるということではなくて、作付がふえるということでございます。1、920トンふえるということでございます。これは、ふえた数量が全国で9番目の数量でございますけれども、本県が米主産地として評価されたものだと思っておりまして、売れる米づくりということをベースにして配分されたものだと思っております。
 12月15日に市町村に配分する予定でございまして、今、具体的な市町村別の生産目標数量について、配分についての検討をしているところでございますが、いずれ、本県の水田の持つ潜在生産力を最大限に発揮するという観点からいたしますと、適地適作を基本とした作目再編を図ることが緊要な課題だと思っておりまして、この配分いただきました面積の配分に当たりましても、そういう観点も含めまして、15日に先立って11日に岩手県水田農業推進協議会、これは団体、あるいは市長会、町村長会、各関係機関団体の協議会でございますが、そこで協議、調整を経て、それぞれの目標面積を決定してまいりたいと考えております。

〇小原水田農業推進監 集落水田農業ビジョンと産地づくり推進交付金の関連でございますけれども、先ほど、工藤委員のお尋ねにもお答えいたしましたが、現在、県内では2、200の策定を目標といたしまして集落ビジョンの取り組みが行われております。いずれ県といたしましては、この農閑期の2月までを集落ビジョンの策定強化月間としていただきまして、市町村、農協と一緒になってこの策定を進めてまいりたいと思ってございます。
 このビジョンづくりは、来年度から新たに創設される産地づくり対策の交付金の活用の基本になるものではないのかと思っておりまして、いずれビジョンづくりについては、これからも一生懸命取り組んでまいりたいと考えてございます。

〇河村農業振興課長 担い手経営安定対策に入るための集落型形態、これには、例えば小さい農家も参加すれば、担い手経営安定対策の恩恵を受けるのかという御質問だったと思います。基本的にはそのとおりでございます。
 担い手育成の見通しと取り組みの実績ということでございますが、いずれ2010年に担い手がどうなるかということを1999年の農業基本計画の策定のときに推計してございます。それによれば、これは主として農業に従事する基幹的農業従事者ということですが、5万4、000人まで減るという結果が出てございます。
 こうした中で、いずれ本県農業の中心となる担い手を認定農業者として認定しようということで、2010年には1万1、000経営体を育成することとしてございまして、現在は7、097経営体が育成されているということでございます。

〇斉藤信委員 減反の割り当ては誤解して済みませんでした。
 それで、傾斜配分の問題ですけれども、これは、売れる米づくりとか、適地適作ということになると、やっぱり県南部中心になるわけですよ。ところが、県北・沿岸部というのは、ほとんど飯米農家が圧倒的なんですね。じゃ、この飯米農家まで傾斜配分で削っていいのかと。
 もう一つは、県北農家ほど、ある意味でいけば米に対する愛着が強いというのも事実です。例えば、久慈市なんかは、かけはしで千葉県とか首都圏と提携して、かけはしはかけはしなりの魅力があって、私はそういう点では、この傾斜配分というのは今二重の意味でやられようとしているんですね。市町村間の傾斜配分、もう一つは、市町村内部で担い手を中心にした傾斜配分とありますが、私は、県が受けた提言でも、時間をかけてやるべきだ、市町村の合意、住民の合意を大事にしてやるべきだということになっていますから、これは絶対画一的にやってはならない。県北や沿岸の農業をどう守るかということをきちんと踏まえた上でやらなければだめだと思いますので、もう一回、ここは部長にお聞きしたい。
 それと、私が米政策の問題で聞いたのは、国の産地づくり交付金というのは、市町村がビジョンをつくれば対象になるんですよ。しかし、今、県は集落水田農業ビジョンということで、2、200を目標につくらせるとなっていますね。下の方は誤解しているんですよ。県の水田農業ビジョンをつくらないと産地づくり交付金の対象にならないのではないかと。そうではないでしょう。あくまでもこれは、市町村がつくれば、産地づくりは、市町村の判断で農家にこれを配分できるわけですよね。そこをきっちり確認したいんですよ。
 それで、県の集落ビジョンというのも、それは意欲のあるところはいいんですよ。ただ、これは地方振興局のアンケート、市町村のアンケートを示していただきたいけれども、圧倒的には、土地の流動化は難しい、土地を手放すつもりはないというのが農家の声です。市町村の声でもあります。私はそういう点で、県も集落ビジョンを大いに支援するのはいいけれども、押しつけになれば、決してこれは実を結ばない。
 例えば、花巻市は市農協などと一緒になって岩手県に50の米政策に対する提言も出しているでしょう。私は、そういうことを踏まえて、本当に今の地域農業を、意欲のあるすべての農家と一緒になって進めていくという集落づくりをしなければ、上から一部の担い手農家に集中・集約ということでは決して成功しないと思いますけれども、いかがですか。

〇佐々木農林水産部長 傾斜配分につきましては、委員からただいま御指摘のありましたようなことを十分踏まえて、地域生産者はもとより、関係者の理解を十分得て進めてまいりたいと考えております。
 それから、ビジョンは今、市町村段階のものと集落段階のものと両方あるわけでございますが、これにつきましても、産地づくり推進交付金の交付要件としては、市町村のビジョンが策定されていることということになっておりますので、それはそれでいいわけでございます。集落ごとのビジョンにつきましても、今大きな変革の中で、地域の皆さんが将来の農業の展望をどう切り開いていくかというような目標と戦略をぜひ持っていただきたいという観点で策定していただいているものでございまして、それは、つくらなければどうのということを申し上げているものではございませんが、そういう意味でぜひつくっていただきたいというお願いをしているものでございます。

〇斉藤信委員 集落ビジョンについては、国の産地づくり交付金は市町村のビジョンが条件だという誤解を与えないようにひとつやっていただきたい。
 次に、補助金削減が山のように出ています。農林水産部の一覧表をコピーしたらこのぐらいになりました。すさまじい規模で農業補助金を廃止するとか、大変な規模になって、私は、その中でも特にごく一部のものだけ取り上げたいんですが、例えばきょうの新聞にも出ていましたけれども、秋サケ給食、学校給食や病院給食で秋サケを活用するという事業、これは平成4年からやっている。私は、この事業は地産地消を進めてきた元祖だと思いますよ。それを目的達成でやめると。せっかく今定着して、病院まで広がってきたのに、これをやめたら、本当に市町村や学校や病院に水をかけるようなことになるのではないでしょうか。成果を上げてきたからこそ、大事にして進めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 あと、二、三だけちょっと具体的にお聞きしたいんですが、例えば、いわて農業担い手支援総合対策事業、これは、廃止できない理由として、県農業農村基本計画の達成に不可欠な事業である、こう書いていて、廃止なんですよ。不可欠の事業が何で廃止になるのか。今、担い手育成というのは、まさに農政の中心ですよね。こういうものもあります。特に、秋サケなんかは今年度で廃止という方向ですから、本当に廃止していいのか。
 木質バイオマス活用施設整備事業、これも、バイオマスエネルギー利用をより一層確実に推進していく必要がある。廃止できない理由としてこう書いていて、廃止なんです。私は、ほかの部局でもそういうものがたくさんあったんだけれども、あなた方は、廃止できないと言いながら、こんな大事な補助事業を次々と廃止していいのか。農林水産部の補助事業の廃止件数と、もう一つは、単純に廃止できない、これは継続なり新しい事業で対応しなければならないと思っている事業が幾らあるのか。私が今具体的に指摘した点についてはどうなのか、ちょっと教えてください。

〇高前田農林水産企画監 当部関係の補助金の見直しの状況についてでございます。
 当部関係におきましては、見直しの対象とされておる補助事業は全部で142件ございます。これらについて現在見直しを行っているところでございまして、先般公表されました行財政構造改革プログラムのこの趣旨を踏まえまして、平成16年度当初予算の編成の中におきまして検討を行っておるところでございます。
 したがいまして、今後個々の事業についてどうするかということは、こういった当初予算の編成の検討の中で具体的に明らかにして、その検討状況につきましては、関係団体、市町村、そういったようなところに具体的に説明を申し上げて、理解を得て実施してまいりたいと考えております。

〇宮澤水産振興課長 委員の御指摘の中で、秋サケの学校給食廃止ということでございますけれども、委員おっしゃいましたように、秋サケの学校給食は平成8年度から実施しておりまして、本年度8年目ということで、この間、サケの日の例えば給食が今100%、学校給食で秋サケの利用は非常に定着しつつあるということでございます。このことから、従来国庫補助事業と県単独事業で実施しておりましたうちの県単独事業分については廃止しますが、引き続き国庫事業で継続を図ってまいりたいと考えております。

〇斉藤信委員 余り弁解しないでいただきたいんですね。秋サケの事業は平成8年度からになっているのは、新しい事業に転換したんですよ。平成4年度からやっているんですよ。最初、経過を言いますと、国庫補助事業があって、1回、2回試行をやってやめようとしたときに、これを県の事業としてやり始めたというのがスタートなんですよ。そうして、文字どおり学校から病院に広がってきたというすばらしい事業なんですよ。11月11日はサケの日だということで、いつもテレビに出てやっているじゃないですか。私はこういう成果を上げて花開いてきたものを、目的達成でやめて水をかけたら、本当にむだな公共事業をやめてこういうものを守っていかなければならない。そういうことを、ここは指摘だけにしますから。
 それで、高前田さん、私がもう一つ聞いたのは、これは予算調製課長も言っているけれども、73件は継続見直しの対象だという話もあったので、農林水産部が継続見直ししなければならないと考えているのは先ほど言われた142件のうち何件か、これをお答えください。
 最後です。県産材の活用事業についてお聞きしたい。
 これまでの県産材活用の取り組みと実績はどうなっているか。そして、公共施設や公共事業、個人住宅での県産材の活用策を今後どう進めるのか、この点も補助事業の廃止というのも入っていますから、私は、次々廃止されたら県産材の活用は進まないのではないかという危惧を持っているので、その点について示していただきたい。

〇阿部敏雄委員長 この際、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いします。

〇千田林業振興課長 県産材の活用推進に向けての取り組みでございますけれども、本県の場合は、平成10年10月に県産材の利用推進方針を策定いたしました。それと並行いたしまして、平成8年度からは、公共施設や学校施設での県産材の利用に対する助成を進めてきたところでございます。
 その結果、平成14年までには公共施設で27施設、それから公共関係の外構整備で59地区、それから学童用の机、いすにつきましては3、276セットの導入支援を行っているところでございます。
 平成15年度におきましても、これらの補助を継続して進めているところでございますが、これらにつきましては、取り組みの一つの成果の結果ではないかと思っているところでございます。
 なお、今後につきましては、本年6月に岩手県公共施設、公共工事の木材利用推進本部を立ち上げて、今、幹事会等を開催いたしまして鋭意検討しているところでございますが、やはり具体的に数値目標を定めた行動計画をつくりまして、県産材の利用の推進に努めてまいりたいと考えております。

〇佐々木流通課長 個人住宅での県産材の活用についてでございますけれども、これまで住宅金融公庫資金の融通を受けて県産木材住宅を建設いたしました個人に対しまして、5年間の利子補給補助を行ってまいりました。昭和62年から本年8月までその対象とした住宅は2、598戸でございます。今年度からは、これまでの利子補給補助を改めまして、使用した県産材の数量に応じて一括補助金を交付する木の香る環境共生住宅促進事業を実施しているところでございます。
 今後におきましても、事業導入者に対するモニター調査などを実施いたしまして、県民ニーズをしかとつかまえながら、この事業の一層の普及に努め、県産材の利用拡大を推進してまいりたいと考えております。

〇高前田農林水産企画監 当部所管の現在見直しを行っている142の補助事業についての見直しの状況でございますけれども、当部といたしましては、災害対策に係る事業でございますとか、末端利用者の方々の負担の大幅な増加が見込まれるといったような事業など、いわゆる特別な事情のあるものについては十分配慮しながら、今見直しをしているところでございますが、現時点での検討状況として申し上げますと、142件のうちの55件について廃止、65件については、先ほど申し上げましたような特別な事情等に配慮して継続したいと考えておりますし、残りのものについて、まだ最終的な調整が終わっていないということで検討中でございます。
 いずれにいたしましても、先ほどお答え申し上げましたように、平成16年度当初予算編成の中で具体的な検討を行ってまいりたいと考えております。

〇阿部敏雄委員長 ほかに質疑ありませんか。

〇伊藤勢至委員 水産漁業の点をどなたかおやりになるのかと思っていましたけれども、出ませんでしたので、私から改めてお伺いしたいと思っています。
 養殖施設の災害による被害の復旧という部分につきましてお伺いしたいと思います。
 三陸沿岸はこれまでもたびたび台風やら、あるいは低気圧等の被害を受けてまいりまして、そのたびに養殖等の棚と施設が壊滅的な被害を受けてまいりました。
 平成14年1月27日には台風並みの低気圧が襲来してまいりまして、このときは宮古につきましては、重茂半島の方の外洋施設の部分が相当やられたようでありますが、湾内は比較的静かでありました。ただ、夜中の12時ごろだと思うんですけれども、津波並みの高潮が入ってきまして、当時係留されておりました5、000トンクラスのロシアの船あるいはフィリピンの船がつなぎ場に打ちつけられまして大変危険な状況だったわけですが、養殖被害的にはそんな大きなものはありませんでした。
 ただ、今回、先月26日に襲来いたしました三陸沖地震の津波の場合は、まさに、壊滅的ではなくて壊滅の状態だったわけであります。これは、高潮のときはそんなに動かないんだと思いますが、津波の場合は引き潮があるということから、どうも棚が移動するようでありまして、移動した棚が複雑に絡み合いましてもう用をなさなくなってしまった、こういう状況にあったと思っております。
 私は27日の日曜日に現地を視察いたしましたが、県の水産部では次の日の月曜日に現地を見に来てくれるということだったわけでありまして、ごらんいただいたかと思いますが、その際の印象等をまずお聞かせいただきたいと思います。

〇武井水産局長 私が9月28日、委員が視察した翌日現地に参りましたので、私の方から答弁させていただきたいと思います。
 委員御指摘のとおり、あのときの津波は、たしか高さ60センチということで、そういうふうに考えると大したことないのかなと考えられたわけでございますが、実際に宮古湾の湾の奥部のところ、津軽石川の河口のあたりにつきましては、本当に養殖施設がだんご状に絡まって、非常に壊滅的な被害を受けていたという状況でございます。
 それで、本県は沿岸各地にそれぞれ養殖施設が配置されておりまして、養殖業が本県の基幹となってございます。片方で低気圧の災害あるいは津波が常襲する地帯でもあるということでございまして、やはり本県の漁業、水産業、あるいは養殖業の今後のためには、災害に強いような養殖施設をつくっていくことが非常に重要だなと、これは3月の低気圧のときにも感じたわけでございますが、9月の津波のときにも改めて実感したということでございます。

〇伊藤勢至委員 早速の御視察をいただいたようで、本当にありがたかったと思っております。
 そこで、現地の人たちからいろいろ聞きましたところ、あす朝収穫をしようと思っていた矢先のことであったということで、本当に残念だということでありました。カキ、ホタテあるいはワカメにしても、一つの棚から大体100万から120万円ぐらいとれる。1軒のうちで四つから六つぐらい持っているんだそうです。そうしますと、もう簡単に言いまして500万から600万円ぐらいの被害を1晩で受けてしまったということなわけであります。
 その善後策をどうするかということでお伺いいたしますと、まず共済に入っている人たちの支払いを何とか急いでもらいたい。もう一つは、複雑に絡み合ったものを今さらほどいてもとに戻すのは無理だ。だけれども、時期的には収穫を終えて、来年のための種つけ作業をしていかなければならない。したがって、複雑に絡まったものはどこかに除去して、仮置きをさせてもらって次なる作業に入らないと来年に間に合わないのだということでありました。したがって、仮置きをする場所を、港湾の方なんでしょうけれども、県の所有するどこかを提供して、一時置かせていただきたいということもありましたので、私からも地方振興局あるいは水産部の方にお願いしておったところであります。
 そうしましたら、その後、港湾課の方からは、置いたところの、つまり借地料を払ってください、何平米、幾らとすぐ来たというんですね。どうもそういうときは素早いんです。滞納家賃なんかのときはずっと何十年もほったらかしておく人たちが、そういうときはすぐ坪幾らという請求書を持ってくるというのも信じられないんですが、それもそれ、つかさつかさ、役目役目かもしれません。問題は、被害を受けた人たちがあきらめたり、くじけたりしないで、よし、今段取りをしなければ来年に間に合わない、こういうことでやっているときに、まさに水をかけるようなことがあってほしくないと思ったから、今言ったわけであります。そういうときは、まず気持ちをなえさせないように応援してもらいたいと思うものであります。
 それから、今部長が、根本的な対策としての見直しをしていかなければならないとおっしゃっていただきました。どうも素人なんですが、棚というものが、今まではアンカー、つまり、いかりを二つぐらい置いて、それで引っかけるような形でやっておったようでありますが、どうも今回の津波の波の動きによって、それがいとも簡単に動き歩いたようでありまして、これが絡まってしまったということのようであります。
 ところが一方、北海道の奥尻島というところで地震があって、津波があった際には、あそこのいかだはびくともしなかったところがあるんだそうであります。それは、スーパーアンカーといいまして、海底の岩面に打ち込むといいますか、ただ置くだけではなくて、岩着といいますか、岩に突き刺す、そういうスーパーアンカーを使って固定している棚は、少しぐらいの――奥尻島の津波は相当なものだったと思うんですが、動かないで、固定になった状況が保てたということもあるようであります。この際、そういったものを参考になさって、たびたび襲来しておりますこの被害に十分耐え得るようなものがもしできるのであれば、これを早速に取り組んでいただきたい、こういうことをまずお願いする声が現地から強かったものですら、お聞きになったと思いますが、何か見解があればお示しください。

〇宮澤水産振興課長 ただいま伊藤委員からお話がありましたスーパーアンカーというものについて、我々も今お話ありましたように、今回の津波の影響を受けまして、いかり型アンカー、いかり型のマークを憶測されればいいと思うんですが、そのアンカーが動いたことによりましてだんご状になったということが実際あったわけでございます。
 これにつきましては、やはり宮古漁協の方からは、いかり型アンカーというのは固定力不足だということがございまして、打ち込み式のアンカーにしてぜひ施設強化を図りたいということが出ました。
 今のスーパーアンカーの件につきましては、要するに布の張っていない傘を想像していただければいいと思いますが、その傘の先端から水鉄砲みたいに勢いよく噴流を出しまして、砂の中を真っすぐ掘り進む、その後でロープを引っ張りますと、ちょうど傘の骨が開いた形になって、非常に安定した状況で固定力を確保する、そういうものでございます。
 宮古漁協では、ことしこのアンカー式が本当に有効かどうかを確認するために、平成15年度に漁場の底質調査を行って、この結果を踏まえまして、どのようなアンカーの種類にするか決定するということのようでございます。
 県といたしましては、漁協が行う調査につきましては、支援をしていきたいと思っております。

〇伊藤勢至委員 下から上がってくるのを待つというのも大事でしょうけれども、現実にそういう声があって、現場の漁師さんたちは、しかと自分たちで勉強会で見てきていると言っているんですからね。だから、北海道に飛んでそういうものを見るとか、あるいはメーカーがどこなのか、そういうものをすぐ当たるのが、下から来るのを待っている、そんな悠長なことではいけないと思いますから、ぜひひとつ早目にそういうのを先取りして研究をなさっていただきたい。これは強く要望しておきたいと思います。
 それから、今、サケがことしも決していい状況で帰ってきていない、あるいは来ているのかもしれませんが、捕獲ができていないのかわかりませんが、いずれ状況は余りよくないようであります。
 そこにさらに輪をかけて、エチゼンクラゲといいまして、大変巨大なクラゲが日本海から津軽海峡を回って、この三陸沿岸にも南下してきておりまして、これが定置網等に入りますと、サケを収穫する前にえらい作業をしなければならない。そして、一緒にサケが入ってしまうと、クラゲの毒で魚体が傷む、商品価値が下がる、大変今難儀をしているようであります。水産試験場等でもいろいろな手法をお考えになっているようでありますけれども、難しいのかなと思いますが、何か方法がなければ、ますます大変が大変の2乗になりまして苦しい状況なんですよ。
 そこで、武井水産局長は、前のブラックバスの際は、レシピを出して食べ方をいろいろ県民にやったわけでありますが、このクラゲも何か、一説によりますと食べればおいしいとかという話がありますが、どうですか、武井水産局長、またクラゲのレシピでもやって、あるいは水産部とか、県庁職員に1匹ずつ配れというのなら、すぐ宮古漁協を通じてお配りしますが、いかがですか。この対策をひとつお願いします。

〇武井水産局長 委員御指摘のとおり、ことし10月ぐらいからクラゲが大量に、もともと東シナ海で発生しているクラゲでございますが、これが日本海を経まして、三陸沖までやってきまして、定置網等では非常に大きな被害を受けてございます。
 まず、このクラゲは食べられないかという話でございますが、実はこれ、中華料理等で使用するクラゲの原料は、このエチゼンクラゲというクラゲだそうでございます。それで、加工方法等も、これは塩に漬けて、水にさらしてということであれば食用になるということでございます。
 ただ、このクラゲについては、日本で年間7、000から1万トンぐらいの製品輸入がある。既に日本国内の需要というのは大体それで満たされているということでございまして、大量に来るものにつきまして、加工することによって処理するというのはなかなか難しいと思います。
 それから、あわせまして対策ということでございますが、今、水産技術センターが漁業者と協力しながら、例えば定置網の前にクラゲが入らないような網をやる方法、あるいは、クラゲが網に入った後、魚とクラゲを分離してとるような方法、こういうような技術の開発をやってございます。ただ、なかなかこれ、実際のところ決定打はないというのが残念ながら現状でございます。
 先般、日本海の福井県に関係者が集まりまして、国の人間も来ました、それから被害で苦しんでいる関係県の人間が参りましていろいろ協議をいたしました。その結果、まず、全国レベルでクラゲの出現状況とか被害の防止策について情報交換を行おうということ、あるいは、新潟県にございます独立行政法人日本海区水産研究所、専門の研究所でございますが、この研究所がクラゲの分布量などの調査を行う、こういうようなことが決まったわけでございます。
 今後は、こういったような機関とも連携しながら、利用者に情報を出していくというような形で、残念ながらこれ、クラゲの被害をゼロにするということはできませんし、また、完全に退治するとか、定置網に一切入れないということもできないわけでございますが、少しでも被害が低減されるようなことをやってまいりたいと考えてございます。

〇佐々木俊夫委員 まず最初が、これは質問ではありませんけれども、今、伊藤勢至委員が触れられました養殖漁業の毎年の災害対策につきましては、御案内のとおり、私がこの間の11月26日の本会議で取り上げました。なぜこういう災害が毎年続くんだろうか、その原因は、どうも過去の経験だけの積み重ねの上に施設をしているのではないのか。やっぱりこういう時代ですから、時代に合った研究調査というものがなされて、新しい角度から施設の防護といいますか、養殖施設のあり方というものを究明すべきではないのかということを提案申し上げて、そのとおり今後やってみますという答弁をいただきましたので、これは私の感想であります。
 私が今質問申し上げたいのは、今お話も出ましたように、漁業が大変厳しい状況に追い込まれてきている。この状況を反映いたしまして、漁業者の団体である漁業協同組合の経営というものも大変厳しい状況に追い込まれつつある。そこで、県の方ではかねてからこれの統合、合併という問題に一生懸命取り組んでこられまして、その姿勢は私、正しいと思うんです。そこで、一生懸命取り組んできたんたけれども、どうも余り成果が見えていないような気がするものですから、現在までにこの合併の問題はどの程度成果を上げてきたのか、それから、これからどのようなスケジュールで、どの程度のことをやろうとされておられるのかということが第1点であります。
 それから、2点目ですけれども、今日のような金融情勢にかんがみまして、漁協一つ一つの金融業といいますか、信用事業、これはなかなか大変な時代になったので、これを県下で一本化しようということの作業が進められまして、現在おおむね一本化の方向に来た。これは大変な当局の御努力ですし、また漁協そのものの努力もあったと思うんです。
 ただ、問題は、その一本化するに当たりまして、かねてから各漁協に累積しておりました不良債権的なもの、これをそのまま漁協に残しまして、いわば経済ベースに乗っているような分だけを一本化した。したがって、漁協には古きものがそのまま残って、これがまた漁協経営を圧迫しているのでないか、こんな感じを持っているんですが、そういういわば不良貨――と言うのは失礼だと言うかもしれませんけれども、不良貨的なものがどの程度あって、その処理に対して県ではどのような対策を講じておられるのか、その問題点はどの辺なのかということをお示しいただきたいと思います。

〇和佐団体指導課長 漁協の合併の進捗状況とこれからどうするのかということと、信用事業ということでございますが、まず漁協の合併の進捗状況でございますが、本年4月1日に種市南漁協というのがまず一つできまして、もう一つ、7月1日には釜石地区で3漁協が合併して釜石湾漁協ができたということでございます。陸前高田市内の五つの漁協も、今合併の議論をして、この前、ちょっと合併総会で足踏みがあったというようなところでございますが、また議論していくということでございまして、そのほかにも、大船渡地区でも来年度中を目指して議論されているということでございます。
 その成果がいま一つ出ていないのではないかという御指摘でございますが、漁協の経営状況全体が厳しいことは確かでございますが、合併するというのはまずその一つの成果でございますが、合併をして、それが経営にはね返ってくるというのは、まさにこれからなのではないかと思いますし、これからまさに水産業の環境が厳しくなるのであれば、それにあわせて一段の体質の強化を図っていかなければならないということだと思います。
 今後どういうふうにしていくのかということでございますが、現在、漁協系統の方では、平成19年度の1郡1漁協ということを目指してやっておりまして、それについて県もそれを支援していくということで議論しております。さきの通常国会で漁協の合併を支援する法律が議員立法で継続になりまして、その際に、漁協系統の方でも、これは全国的な話だと伺っておりますが、さらに今ある計画を加速していこうということを約束されている、決められておると伺っております。それについて我が県でも漁協系統の方で検討されることになるのではないかと伺っておりますし、必要であれば、そうしていただくこともあるのではないかと考えております。
 それから、信用事業の譲渡の問題でございますが、平成12年度末でいわゆる信用事業を統合した後に漁協の方に残った、不良と言っていいのかわかりませんが、信用事業で残っている資産でございますが、これが約29億4、200万円ございましたが、これが平成14年度末では26億2、900万円ほどとなってございまして、約10%減少しているということでございます。
 その経緯でございますけれども、これは、漁協系統の中で、まず、岩手県漁協信用事業統合基本計画というものをつくられまして、そのルールの中でどういうものを新しい統合、今の新漁連でございますが、それに持っていって、残りの分を漁協に残そうかということが決まったわけでございます。その中ではいろいろと、もともと漁協が貸した資産であるという問題でありますとか、あるいは、統合した漁協の、それ自体が強い、しっかりとした経営基盤を持っていなければいけないとか、そういう事情も勘案されて、話し合って決められたものだと考えております。
 県としては、残されました漁協の不良債権について、検査などを通じまして資産を査定したり、あるいは引き当てを積んでいただいたり、あるいはその回収体制をもうちょっと強化していただく必要があるのではないかとか、そういう御指導を申し上げているところでございまして、当然のことながら、統合された新漁連ともそういうことは連携してやっていっているところでございます。

〇佐々木俊夫委員 もともと漁協は自主的な組織でございますので、行政といえどもこれを強制することはできないわけでありますので何ですけれども、今お話の1郡1漁協ということが法的な裏づけができそうだというお話なんですが、そうしますと、これは法的な措置が決まらないと、県としてはこれ以上手のつけようがないんだ、努力はしますけれども、可能性としてはなかなか難しいという考えなんですか。それとも、法律ができればもう一挙にできるんだという感覚を持っておられるのか。
 それから、私の聞き落としだと思うんですけれども、漁協に不良債権的に残してきたもの、統合から外したものが29億円だったというお話ですか。そして、それが10%ぐらい回収されたんだということで、なおかつ指導しようということなんですが、指導というのは、言葉だけの指導でしょうか、それとも何かいろいろな裏づけ的なものをつけながら回収していこうということなんでしょうか。

〇和佐団体指導課長 私の説明がちょっと不明瞭だったかもしれませんが、法律の方はもう成立しておりまして、漁協の合併を支援する、例えば合併したときの税制上の優遇でありますとか、そういうことはもともとあった法律なんでございますが、それをさらに延長しようという法律が既に成立しているわけでございます。
 その法律を延長すべきかすべきでないかという議論の中で、漁協系統の中で、さらにもうちょっと合併に対する努力をしなければならないのではないかという議論が世上ございまして、それにこたえる形でそういう法律を延長する暁には、漁協系統としてもその取り組みを加速していこうということを漁協の全国組織で決めていらっしゃるということでございます。
 それで、個々の県とかで具体的にどういうふうにするかということについては、まだこれからの、今一生懸命検討されているんだと思いますけれども、現在の取り組みのところでございます。
 それから、信用事業を譲渡する際に譲渡しなかった漁協に残っている資産についてでございますが、平成12年度末の時点で、これは譲渡する時点がそれぞれの漁協によって異なりますので、全体として見ると平成12年度末というところではかるのが一つの、便宜上一番好ましい時点なんですが、その時点で約29億円あったということでございまして、それが約10%減っているということでございます。
 個々の漁協の不良債権回収の指導については、特にそれについて何か財政的な支援ということを県でしているわけではございません。特に経営状況の厳しい漁協については、経営全体の改善に取り組んでいただく中で、計画をつくっていただく中で、そういう計画をつくっていただいた漁協に対しては、資金を漁協がお借りするときに、ある程度、経営再建のための資金をお借りするのに対する利子補給などを県がやっているところでございますが、個々の債権回収に対して財政的に支援しているわけではございません。

〇佐々木俊夫委員 そうしますと、1郡1漁協というお話が先ほどあったんですが、2回目の答えには出てこなかったんですが、これはだれが言って、だれがこれをやろうとしておられるのか。

〇和佐団体指導課長 これは、漁協系統で定められて、それを県庁の方に提出いただいて、それを我々としても、いいのではないですかということを過去にお認めしているということでございます。

〇佐々木俊夫委員 わかりました。そうしますと、漁協からそういう計画書が提出されている、だからそれが実現されるだろう、こういうことと理解いたします。
 それから、この機会ですから一つだけ、関係の課長がおられると思うので。実は私、この前の一般質問で学校における禁煙問題を取り上げたんです。岩手県では禁煙ではなく、分煙だとか、いろいろなことをやって、全国的には禁煙の傾向をとっている。私は、あのときの論法は、未成年者を教育する場所なんだから禁煙にしてもいいのではないかという意味で申し上げました。確かに生徒から見ますと、学校の先生がたばこ臭い、それから、教員室に入っていくと、先生たちがたばこをぶかぶか吸っている、こういう状況を目の当たりにしている。それから、PTAなんかが学校で会議をしますと、やっぱりたばこが吸われる。その辺にたばこの灰が落ちる。こういうことになるので、いかがなものかという観点なんですが、たばこ産業を奨励する立場から、部長でいいんですが、この問題はどのように考えられますか。

〇佐々木農林水産部長 たばこを生産振興する立場でございますが、いずれ、日本一のたばこ産地でございまして、所得率から言いますと、本県の農業で作目がいろいろ、米、園芸、畜産、肉牛、酪農あるわけでございますが、米に次いで2番目に全体の所得額が高いのはたばこでございます。そういうことで、当部としては、その振興を図っていく立場であるわけでございますが、学校における禁煙につきましては、できますれば、この後、教育委員会でございますので、ぜひそこでひとつ御議論いただきますように。

〇佐々木俊夫委員 私は教育委員会には本会議で聞きましたので、あのときも、本当は部長にも再質問しようと思ったんです。でも、皆さんもお疲れだったのでやめましたので、いい機会なので、生産が高いから非常に依存度も高いから、岩手県は学校でもいいんだよ、どこでも吸いなさい、県庁でも――ここも、実は昔、たばこを吸ったんですよ。我々、ここでぶかぶかしながらやった。今はもう禁止になってしまったんですけれども、学校という、ああいうところですのでどう考えられるんだろうか、いい機会だから農林水産部長にお聞きしているんです。

〇佐々木農林水産部長 生産振興の立場ではそういうことでございますが、私は、学校というのはまさに児童生徒の教育の現場でございますので、私個人の立場で申し上げさせていただきますと、禁煙をするということは、私はいいと思います。

〇新居田弘文委員 畜産関係について二、三お聞きいたします。
 事項別明細書の189ページに、県営畜産経営環境整備事業の実績が出ております。いわゆる家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律の施行が目の前に控えておりまして、県では、国庫補助事業や、あるいは県単事業を立ち上げて、農家の指導をやっているということで、まず敬意を表したいと思います。
 その関連でお聞きしますが、今まで整備された県の補助事業、県が事業主体になっている補助事業、それから、県単事業として農家、団体であるとか、あるいは農事組合法人等でやっている事業があると思いますが、それらの事業実績と、それらが全体の必要量に占める整備率といいますか、そういうものの内容、さらに、特に県営事業関係ですと、大体1カ所5億円とか8億円単位での投資規模の事業が展開されているようでございますが、問題は、そのできた後、どのような運営になっているかというのが非常に心配なわけです。いわゆる、その事業主体は県でつくりますけれども、あとは地元の市町村なり組合が管理するとなりますが、それがその経営体にどのような影響を与えているか。かなり市町村の出費もあるやにお伺いしますけれども、まずその辺をお伺いします。

〇菅原畜産課長 家畜ふん尿処理施設関係の御質問でございます。
 これまで環境整備事業につきましては、国庫補助事業あるいは県単事業等で家畜排せつ物の処理の整備が実施されてきております。現在まで約900カ所での整備が成ってございます。
 いわゆる家畜排せつ物法の施行が平成11年にあったわけでございますが、それ以降、平成14年度までの整備箇所数でございますが、これが363カ所となってございます。この結果、平成14年度末の数字では、この法の対象農家に占める割合になりますが、進捗率が約6割強となってございます。ただいま進捗中でございますけれども、本年度末ではおおむね8割幾らになる見込みとなってございます。
 いろいろの事業で施設整備がされておるわけでございますけれども、委員御指摘のように、いわゆる市町村等で整備される大型の堆肥施設、年間約1、000トン以上のいわゆる大規模堆肥施設、俗に堆肥センターと言われておりますが、こういう施設につきましては現在21カ所ほどございます。これらの稼働率でございますけれども、平成14年度の実績を見ますと、処理能力に対する稼働率が84%ぐらいになっているということでございます。
 やはり、生産される堆肥量が大体6万4、000トンと言われておりますが、これに対する販売量が5万1、000トンということで、平成14年度末では1万3、000トンほどの在庫を抱えているということで、経営的には非常に厳しい、結果的には市町村等の支援をいただきながら経営しているのが実態でございます。

〇新居田弘文委員 ありがとうございました。
 それで、大きな規模のものが21カ所ということで、稼働率もかなり上がっているようでございますが、県内全部を見ているわけではないんですけれども、身近なところといいますか、胆江地区の3カ所を拝見したんですが、その設置している場所は、市町村と協議の上だと思いますが、かなり山間部といいますか、いわゆる利用するのは畜産農家が利用するわけですが、そこから運び出してそちらまで持っていくためにはかなりの遠距離、あるいはできた堆肥を利用する側の立場から言ってもかなり遠いところにあるんですね。もちろん堆肥センターという特殊性もございますから、なるべく人家を避けたという経緯はわかるんですが、結果的には堆肥が利用されなければ、先ほども在庫が大分残っているようですし、さらにそれが経営にも影響を与えているということがあります。
 農家にとって一番大事なのは、畜産農家も大分高齢化しまして、なかなか後継者が難しい。その大きな理由は、堆肥の処理で一番頭を抱えているのが実態なんです。そういう意味では、むしろ利用する側、あるいは畜産農家、あるいは堆肥を買う側からいいましても、もう少し身近な、近いところに、なお加えれば、大きな県道、国道を越えないような、軽トラックですぐ持ち込める、あるいは堆肥もそこでできたものがすぐ田んぼに入れられるような場所の設置について、今後まだまだ進められると思いますので、御配慮賜りたいと思います。
 あわせまして、圃場整備もおかげさまで大分進んでおりますけれども、今、田んぼの大型化によりまして、大きな機械の導入で、即わらをその場で切り込んですき込むというようなパターンがかなり一般化しておりまして、昔のように棒がけとか、あるいははせがけとか、自然乾燥というのはだんだん少なくなってきております。
 今、県を含めて、減農薬あるいは減化学肥料ということで、そうであれば、むしろこういう堆肥の利用をさらに促進する必要があると思いますが、圃場整備の振興とあわせて、そういうものを身近なところに設置するというのが、畜産農家の側にとっても、それを利用する水田農家にとっても非常にリンクした姿ではないかと思うんですが、その辺についてのお考えをお聞きしたいと思います。

〇菅原畜産課長 施設の整備に当たってということでございますけれども、やはり、地域における家畜の飼養実態、いわゆる畜種の問題、あるいは飼養規模の問題、それから、委員御指摘ありましたように畜産農家の労働力の問題、非常に高齢化しているというような問題もございます。さらに、地域の環境への問題、環境に対する配慮、こういうものも必要であります。
 一方で、これも御指摘のとおり、やはり利用する側に便がなければならないということでございますので、今後につきましては、農家に近いところに整備するというような配慮も非常に大切だろうと考えてございます。
 いずれにしましても、事業の実施に当たりましては、この両面から地域の実情に沿った場所、整備の計画を決定していくというようなことで進めたいと考えてございますし、それから、御提案ありましたように、圃場整備等の実施などを契機といたしまして、耕畜連携による地域ぐるみの堆肥利用の推進が図られるように、一層促進してまいりたいと考えてございます。

〇新居田弘文委員 そのような農業の、畜産の位置づけということなんですが、今回の岩手県行財政構造改革プログラムということで40の政策が述べられておりまして、その中に農業関係に関する記載もございますが、いわゆる農業県を標榜し、あるいは食料基地を標榜している岩手県とすれば、この中の農業、とりわけ米とか、あるいはさっき言った畜産とか、それらの記述がちょっと寂しいような感じで拝見しているんです。これから具体的に進める上では、その辺も十分配慮があると思いますが、その辺について部長のお考えをお聞きしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 40の政策の中での農林水産業の位置づけが弱いのではないかということでございますが、いずれ、七つの重点施策のうち一つとして掲げております、スローライフを基調とした食と森の先進県という中にその振興の思いを込めたものでございますが、限られた整備の中でそのように受けとめられないということでございますが、いずれ、このプロジェクトの思いとしておりますのは、本県の農林水産業は地域経済の基盤をなしていると、そして食品関連産業などの2次、3次産業と強く結びついておりまして、これら関連産業への波及効果は極めて高いということで、本県経済を支える基幹産業だと認識しているところでございます。また、最近の厳しい雇用情勢の中で、農林水産業は雇用の受け皿としての役割も担うことが期待されているところでございます。
 もとより、農林水産業は、国民の暮らしと命を支える根源的な産業だと認識しておりまして、特にも我が国の総合食料供給基地を標榜しております本県におきましては、米、園芸、畜産等の基幹作物、シイタケ等の特用林産物、秋サケ、ワカメなどのつくり育てる漁業などの一層の振興によりまして、農林水産業としての機能と役割を一層果たしてまいるように努めてまいりたいと思っております。

〇千葉康一郎委員 時間も大分経過いたしましたけれども、簡単に要点だけを質問させていただきます。
 いわゆる家畜排せつ物法、これは16年の11月から本格施行になるわけでございますけれども、実は今の法対象は、生乳10頭以上の家畜の排せつ物を処理しなければならないと、こういうことになっているわけなんですが、今の畜産農家の人たちは、今のところ10頭だが、これから10頭という法対象の頭数がもっと下げられるのではないかと、あるいはその枠が撤廃されるのではないかという話があるわけでございます。そうなれば、9頭以下を飼っている農家の人たちは、採算面からして、とにかくこれはやめざるを得ないということを言っているわけなんです。ですから、県として安価で有効な処理方法、堆肥舎になるかあるいは別な方法になるか、その辺あたりを指導、普及をしていただきたいものだということが一つ。
 それから、いずれ環境対策の観点からもこれは15年度もありますけれども、16年度予算に大いに反映をしていただきまして100%実施できますようにお願いしたいんですが、その辺をお伺いしたいと思います。

〇菅原畜産課長 まさに16年の10月が迫ってきておるわけでございますけれども、いわゆる基準でございますけれども、これは現在のところ、基準を見直すというような話は現在は承っておりません。いわゆる今後の取り組みでございますけれども、生産農家の負担はなるべく課さないということで、できるだけ低コストの施設を整備するということで、特に県単事業等を活用しまして、積極的な導入を今後とも図っていきたいと思っておりますし、16年度の予算につきましても、15年度に引き続きまして予算の確保に努めながら、16年10月の完了を目指して取り組んでいきたいと考えてございます。

〇阿部敏雄委員長 ほかにありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇阿部敏雄委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。
次に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。

〇佐藤教育長 教育委員会関係の平成14年度の決算について御説明申し上げます。
 お手元の平成14年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 教育委員会所管に係る一般会計予算現額は、10款教育費のうち1項教育総務費から7項保健体育費までと、16ページの11款災害復旧費のうち3項教育施設災害復旧費でありまして、あわせまして1、678億6、128万円余でございます。これに対する支出済額は1、669億1、826万円余、執行率は99.4%であります。支出済額は前年度に比べますと69億1、711万円余、4%の減となっております。
 なお、翌年度への繰越額は4事業で6億7、579万円余となっております。この結果、県の一般会計決算額に占める教育委員会関係の決算額の割合は18.6%となるものであります。
 以下、個々の内容につきましては、便宜、平成14年度歳入歳出決算事項別明細書によりまして、その主なものについて御説明を申し上げます。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略いたしますので御了承願います。
 決算事項別明細書の258ページをお開き願います。10款教育費の1項教育総務費1目教育委員会費は、教育委員会の運営に要した経費、2目事務局費は、教育委員会事務局の管理運営に要した経費のほか、保護者向けの広報紙の発行、語学やスポーツの指導支援を行うための外国青年招致事業等に要した経費であります。次に、260ページをごらんいただきます。3目教職員人事費であります。教職員の人事管理や退職手当に要した経費であります。それから、次の262ページでありますが、4目の教育指導費は、県立学校が地域住民との連携により特色ある学校づくりを行うために要した経費、いわて教育情報ネットワークの整備事業などに要した経費であります。これが263ページの備考欄に掲げられてあります。それから次の5目教育センター費であります。教職員の各種研修等に要した経費、それから次の6目幼稚園費は、こまくさ幼稚園の管理運営に要した経費であります。それから次の264ページ、7目恩給及び退職年金費は、恩給及び扶助料等であります。
 それから次の2項小学校費1目教職員費は、教職員の人件費のほか、小学校1年生入門期におけるきめ細かな指導を行うための非常勤講師の配置等に要した経費であります。265ページの備考欄の2行目に、学校いきいきプラン推進費とあります。これは子供たち一人一人に目配りのきいた教育を実現するため、社会人を非常勤職員として配置した事業であります。このいきいきプラン推進費は、中学校費、高等学校費、それから特殊学校費でも実施をいたしております。
 3項中学校費、264ページの一番下段であります。1目教職員費につきましては、中学校の教職員の人件費や初任者研修に要した経費であります。
 それから次のページに参りまして、4項高等学校費1目高等学校総務費でありますが、県立高校の教職員の人件費や初任者研修等に要した経費、それから次の2目全日制高等学校管理費、それから次のページに参りまして268ページ、3目定時制高等学校管理費、これは各高校の管理運営、それから教育設備の整備等に要した経費であります。それから同じページの4目教育振興費、これは県立高校の産業教育設備、部活動設備、情報処理教育設備及び教育実験実習等に要した経費であります。それから5目学校建設費であります。これは次の270ページにわたっておりますが、269ページの備考欄、一番下段に掲げてあります校舎建設事業費、この校舎建設は花北商業高校ほか3校の建築工事と紫波高校の改築設計委託、それから271ページに参りまして、備考欄の産業教育施設建設は、盛岡農業高校の寄宿舎改築、宮古工業高校の実習棟の改築、それから次の体育館建設は千厩高校、それから部活動施設整備は盛岡第三高校、校地整備は高田高校ほか5校、大規模改造は久慈工業高校ほか2校の整備に要した経費であります。次に6目の通信教育費でありますが、通信教育のための管理運営に要した経費であります。
 それから次の5項特殊学校費でありますが、1目盲聾学校費、それから次の272ページの2目養護学校費は、盲学校、聾学校及び養護学校の管理運営及び施設整備に要した経費であります。
 それから次に272ページの一番下段、6項の1目社会教育総務費であります。これは274ページにわたりますが、生涯学習県民フェスティバルの開催や家庭の教育力の充実を図るために要した経費、それから、主体的に生きるたくましい青少年の育成を図るため、訪問地での体験学習を行う銀河鉄道の旅の実施に要した経費のほか、生涯学習推進センター、それから青少年の家の管理運営に要した経費であります。それから274ページの2目視聴覚教育費であります。視聴覚教育の指導者養成等に要した経費であります。それから3目文化財保護費、この文化財保護費は指定文化財の保存・修理等への補助、柳之御所跡の史跡整備を促進するために要した経費、北海道・東北ブロック民俗芸能大会やこども伝統芸能北東北大祭典の開催に要した経費のほか、埋蔵文化財センターの管理運営等に要した経費であります。それから276ページの4目、芸術文化振興費であります。芸術文化の振興を図るため、岩手芸術祭や青少年劇場等の開催、高等学校総合文化祭や国民文化祭への派遣、高校生の文化部活動の育成、中学校総合文化祭の開催補助、県民会館の管理運営等に要した経費であります。それから次の5目図書館費は、県立図書館の管理運営に要した経費のほか、図書情報総合センターの整備に向けて図書資料の拡充と図書情報システムの整備等に要した経費であります。次の278ページ、6目博物館費は、県立博物館の管理運営及び施設整備等に要した経費であります。7目の美術館費は、県立美術館の管理運営と美術品の取得に要した経費であります。
 それから次の280ページでありますが、7項保健体育費1目保健体育総務費であります。児童生徒の保健管理に要した経費のほか、岩手県学校給食会に対する貸し付け等に要した経費であります。次に2目体育振興費は、平成17年度の全国スポーツ・レクリェーション祭の本県開催に向けた諸準備に要した経費のほか、ジュニア選手強化対策を初め、国体選手強化事業など、競技力向上を図るために実施した事業に要した経費であります。次に282ページをごらんいただきます。3目体育施設費は、県営運動公園、県営体育館等体育施設の管理運営及び施設改修等に要した経費であります。
 これが10款教育費についての御説明でございますが、次に款が変わりまして284ページ、第11款災害復旧費でありますが、この中の教育委員会関係は290ページをお開きいただきます。第11款の災害復旧費3項教育施設災害復旧費1目学校施設災害復旧費であります。これは、藤沢高校ほか2校の災害復旧に要した経費であります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

〇阿部敏雄委員長 ただいまの説明に対し、質疑ありませんか。

〇ザ・グレート・サスケ委員 私から3点伺います。
 まず一つは、体育施設の使用料についてです。県営体育館の使用料が近隣の3県に比べて突出して高いんですが、これの理由を伺います。
 そして2点目は、競技力向上対策事業費についてです。これの具体的な競技、何の競技が向上したのか、成果と現状を伺います。
 それと3点目は、外国青年招致事業費について伺います。この外国青年招致事業費は外国人語学指導助手、いわゆるALTと呼ばれるものの招致計画にかかわる費用だと思いますが、これの現状とその効果、これについて伺います。

〇佐々木スポーツ健康課長 県営体育館の使用料についてのお尋ねでありますけれども、県営体育館の使用料につきましては、利用形態や利用時間により料金が異なっておりまして、東北各県の県営体育館を、使用料はいろいろ分かれておりますけれども、入場料を徴収する場合の興行として行うものである場合で比較いたしますと、36万3、000円から153万5、000円と幅があります。これは施設の整備年度や施設規模などの差によるものと考えられます。ちなみに、本県の使用料はその部分では36万9、000円となっておるものでございます。
 次に、競技力向上対策事業についての具体的な内容についてのお尋ねでございますけれども、県民のスポーツ振興と体育・スポーツ水準の向上を図るため、岩手県競技力向上計画に基づきまして、県体育協会、高体連、中体連など、関係団体と連携を図りながら施策の推進に努めております。
 具体的には、全国大会に出場する選手の直接強化といたしまして、県内外における強化合宿や遠征合宿、交流試合などを実施する、がんばれ!いわて選手強化事業、雪国スポーツ育成強化事業、センチュリー21ジュニア選手強化事業などを実施しております。
 また、指導者の養成事業としましては、優秀な指導者を招聘して、選手への指導をいただきながらその指導法を学ぶアドバイザリーコーチ招聘事業やスポーツ国際交流員の招聘事業などを実施しております。そのほか、教員のスポーツ特別選考制度によります優秀選手や指導者の確保、あるいは大会、強化練習、強化合宿等にスポーツドクターとかトレーナー等を派遣するスポーツ医・科学サポート事業、ジュニア期からの一貫した指導体制の確立と地域に根ざした競技種目の育成強化をねらいとした地域シンボルスポーツ推進事業などを実施しております。
 そういった事業の中の成果についてでありますけれども、全体的に国体の成績についてでありますけれども、昨年の高知国体では国体成績43位でありましたが、今年度静岡で行われました総合成績は37位と挽回したところでございます。
 個々の選手については優勝した選手等もありまして成果があったと思っておりますが、まだまだ本県の成績は不本意な水準でありますので、一層の選手強化が必要であると考えております。

〇石崎学校教育課長 ALTについてのお尋ねでございますけれども、県教育委員会では、外国語教育の充実と国際交流の推進を図るため現在76名のALTを雇用いたしまして、県立高校62校、それから県内12の教育事務所、そのほか総合教育センターなどに配置をしているところでございます。
 県立高校に配置したALTにつきましては、当該高校あるいは周辺の高校に行きまして、そこに外国語教育のチームティーチングの一人として事業を行っておるところでございますし、教育事務所に配置しておりますALTにつきましては、主に中学校の方に出向きまして、同じように英語教育のチームティーチングの一人として教育指導をしているところでございます。
 ALTは、英語圏の外国人の方と接する機会の少ない本県にありましては、生きた英語というものを学ぶ貴重な機会を提供していると考えておりまして、会話を中心といたしましたコミュニケーション能力の育成に貢献するとともに、生徒がALTとの会話の中で、自分の英語が外国人にちゃんと通じたというような喜びを感じることができ、このことが生徒の英語学習の動機づけあるいは学習意欲の向上に大きな役割を果たしていると認識しております。
 また、昨年度、中学校2年生を対象に学習定着度状況調査を実施しているところでございますが、その中で英語の科目につきましては、特にリスニングの分野につきまして平均正答率が86%という結果が出ているところでございます。こちらの学習定着度状況調査については、80%台後半の成績を取っていただくことを一つの目安として実施したものでございまして、唯一満足できる結果が出ている分野であると認識してございます。これらにつきましては、やはりALTによる指導が、生徒のリスニング能力の向上に大きな役割を果たして、その向上の一因となったのではないかと認識しているところでございます。

〇ザ・グレート・サスケ委員 まず、最初の1点目の体育施設使用料に関して再度伺います。
 先ほど、最後に基本使用料が36万9、000円というお答えがありましたが、これは実は数字のマジックでありまして、これは月曜から金曜の平日の場合でありまして、週末の土日の場合は2割増しとなっております。ですから、44万3、000円余ということになります。そしてさらに、岩手県営体育館の場合は、近隣の県ではないことなんですが、これは岩手だけの特色なんですが、附帯設備使用料というのを強制的に取られます。これはつまり電気、机、いす、暖房、それから床の養生、これにかかわる附帯料を強制的に取られますので、基本料というのはあくまでも最低限の値段でありまして、この基本料で済むものではないのです。ですから、実質かかる具体的な値段というのは、およそ60万円程度を払わないと借りられないというのが現状でございます。
 ちなみに、近隣の例をとりますと、青森県営体育館が24万円、それから秋田県立体育館が、これは土日、平日の平均値をとりまして30万円、それから宮城県スポーツセンターが、これは土日、平日の区別なく値下げをしましたので37万2、000円ということで、はやり高いのではないかと。しかも数年前はこの岩手県営体育館はこれにプラスしまして、これも強制的にですが、指定清掃業者を抱き合わせでやっていましたものですから90万円ぐらい取られていました。これが現状でありますので、老朽化をかんがみましてやはりちょっと安くしてもよろしいのかと思いますが、いかがでしょうか。

〇佐々木スポーツ健康課長 県営体育館の使用料については、まず積算根拠についてお話し申し上げなければならないと思いますが、県営体育館の使用料につきましては、県内の類似施設との比較とか、それから行政財産使用料条例による使用料の額及び他県の県営体育施設などの比較などから、総合的に判断して使用料を設定しております。県営体育館の場合には、建設に要した経費や施設規模をもとに1日1平方メートル当たりの使用料を計算して、それを基礎としてアリーナ部分の面積に1時間当たりの使用料を算定して、それを今度は使用時間数に乗じて使用時間区分、朝とか午前とか午後とか、使用時間区分ごとの使用料を算出しておるところでございます。できてから数年たっておるわけですけれども、これをもとにしまして盛岡市の消費者物価指数の上昇率などを参考にして、必要に応じて使用料を改定して現在に来ているところでございます。
 先ほど委員の他県の例等もありましたが、若干こちらで調べたのと数字は違いますけれども、老朽化されてきたというところで、秋田県の場合等も同じような、大体似通った年代にできておりまして、ほぼ同じような使用料になっておるのかと思っております。また、冬場の暖房費とかあるいはフロアの養生に要する経費等については、主催者の負担となっておるところでございます。

〇ザ・グレート・サスケ委員 これは中央の方から今言われていることなんですが、スポーツ、芸術、文化の面において、やはり岩手県はちょっと敷居が高いというようなことも言われていますから、今一度、身の丈に合った値段設定というものをぜひ再度検討していただきたいと思います。
 それから、2点目の質問の競技力向上対策事業費についてですが、答弁ありがとうございました。これはより一層の競技向上を私も望んで、こちらの質問は結構でございます。
 そして、三つ目のALTに関してですが、私自身、過去10年ほどいろんな学校にお邪魔をしまして、実際外国人語学指導助手がいらっしゃるんですが、余り生徒と接していないように見受けられるんですが、本当にこれが生きた英会話として、教育として成立しているのかどうかというところで非常に疑問を持ちながらずっと私も見てきたのですが、リスニング面での成績において定着度86%という数字もありますが、果たしてそれがALTによるものなのかどうかというのは私は非常に疑問に思っているんですが、実際に高校までの教育の中で、外国人と接して全然しゃべれないというのが本当の実態ではないのかと思うんですが、果たして年間3億6、500万円以上のものをかける価値があるのかどうかというところで、再度、今後の展望も含めてお尋ねいたします。

〇石崎学校教育課長 ALTの実際の学校における活動状況につきまして、例えば実際、子供を何人ぐらい、どのぐらいの時間接しているのかということについては定かなデータはないわけでございますけれども、過去、昭和60年代からずっと実施してきているわけでございますが、やはり10年間データがないので恐縮でございますけれども、目に見える効果としては、ALTが常駐している高校では、すべての生徒がそうであるとは言い切れない部分がございますけれども、やはり昔の生徒では考えられないというんですか、外国人に対する遠慮といいますか、なかなかしゃべられないというような部分があったのが、先生よりも積極的にALTになつくと言っては変かもしれませんけれども、話かけてコミュニケーションをとろうとする意欲というものが強く出てきている。それが実際に英語が話せるところまでは至っていないという部分は現実にあるわけではございますけれども、やはりそういうことで英語に対する、自分も英語はしゃべってみたい、実際にALTとしゃべれば英語が通じるんだというような心の英語の楽しさという部分を、今後は学校教育の中でどのようにさらにつなげていくかということが今課題ではないかと思ってございます。
 いずれにしても、やはり岩手県、英語教育は一生懸命やっておりますけれども、それが実際の英語を使える場面というのはなかなか少ないわけでございますので、このようなALTをさらに学校の中で活用していきまして、英語教育の充実に使っていきたいと考えてございます。

〇ザ・グレート・サスケ委員 英語に強い岩手になることを信じて、質問を終わらせていただきます。

〇小原宣良委員 高等学校の再編成にかかわりまして、2点お伺いをいたします。
 黒沢尻南高校の新しい校舎建設が、現在、北上農業高校の校舎のすぐ隣で行われております。また、北農の校舎の大規模改修も行われますが、現在、北農の生徒は2年生、3年生が在校しておりまして、来年は3年生のみということになります。来年度の新しい黒沢尻南高校の開校に当たっては、北農の生徒との連携といいましょうか、思いやり、こういったものについて十分配慮していただきたいと思います。
 最近、両校の校長先生とも話し合いをする機会がありましたが、北上農業高校の生徒は、歴史と伝統を背負った最後の生徒としての自覚が感じられ、涙の出る思いだと言っておられました。
 そこで、クラブ活動など学校間交流というか生徒間交流と言ったらいいのでしょうか、こういう点についてどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
 次に、花巻農業高等学校、北上農業高等学校の統合による新しい農業高校についてでありますが、これは当分の間、現在の花巻農業高等学校校舎を活用するとしてきました。そこで、今後どのように検討することになるのかお伺いをいたします。

〇鎌田高校改革推進監 まず、最初に、現在の北上農業高校の生徒についてでございますが、来年開校する予定の北上翔南高校、あるいは統合先の花巻農業高等学校と生徒間交流についてお答え申し上げます。
 まず、現在、北上農業高校、先ほども委員御指摘のとおり2年生と3年生が在籍しております。来年度の在校生は3年生のみとなりますが、現在の校舎で学習することになっておりますが、来年度に隣接して開校します北上翔南高校、これは仮称でございますが、新校舎も授業等で北上農業高校の生徒も活用することで今考えております。また、先ほどクラブ活動というお話もございましたが、部活動につきましても、その活動内容によって若干違いますが、隣になります北上翔南高校と合同で活動する場合、あるいは単独チームとして活動する場合ということになると思いますが、現在、両校の間で具体的な検討を進めているところでございます。
 それから、現在、大規模改造が北上農業高校の方でも行われておるわけでございますが、これも生徒の学校生活に支障がないような形で配慮しているところでございます。
 続きまして、新しい花巻農業高校についての御質問でございましたが、これにつきましては花巻、北上地区における将来の農業教育のあり方についてということで検討を行うわけでございますけれども、この新しい花巻農業高校の今後のあり方につきましては、学科の充実、現在新しい学科としましては生物科学科、それから環境科学科、それから食農科学科の三つがございますけれども、この充実やそれに伴う施設設備の整備とともに、新しい校舎のあり方等を検討する新しい組織を設置することとしており、今後進めることとしております。
 この新しい検討組織の設置時期でございますけれども、今年度内には設置することとしまして、今後検討してまいりたいと考えております。

〇小原宣良委員 今の北上農業高校の校舎の大規模改修、これは支障なくやっておられるとは思うんだけれども、そこに学んでいる生徒たちというのはこれはかなりの負担というか、そういうものを我慢してやっているようなんですよ。ここはぜひ十分に御配慮をいただきたいものだと。その子供たちの心情たるやいかにという思いを私は強く持っております。
 そこで、北農の実習農園ですけれども、これはかなり広大な用地そして立派な農園がございます。これらの活用方法についてはどうお考えでしょうか。
 それから、翔南高校というのはまだ仮称でありまして、もうすぐ、そう決まるかもしれませんが、いずれこの黒南の跡地利用、この点についてはどのような状況でしょうか。
 それと、新しい農業高校の農業教育のあり方という点で検討委員会を設置するということでありますが、今お考えのイメージとしてどういう皆さん方、例えば再編にかかわっての、統合にかかわっての検討委員会というのは両市あるいは農業関係者とか、あるいはOBの皆さんとか、こういうことがありましたが、そういう検討委員会の構成というものは、今もしありましたらお教えをいただきたいということです。

〇鎌田高校改革推進監 まず、北上農業高校の農地のことについてでございますが、平成16年度につきましては、北上農業高校の3年生が実習等で使用することから、農地はこれまでと同様に活用することになります。それから、平成17年度以降でございますが、これは先ほどから出ております仮称でございますが、北上翔南高校の中の環境系列の授業や学校行事等において活用することを考えております。
 それから、花巻農業高校に関する検討組織のメンバーでございますが、現在いろいろな角度から検討しておるところでございますが、申し上げられることは、現在かなり専門的なアプローチ等も考えておりますので、学識経験者、大学の先生とかそういう先生方も今検討中でございます。それからまた、関係機関の代表の方等も今検討中というところでございます。

〇清水学校財務課長 ただいま黒南の跡地利用ということでございますが、これにつきましては、県におきまして一部活用をする希望がございます。あと、北上市に対しまして照会いたしました結果、北上市から活用したいという回答をいただいてございまして、今、具体的な活用方策が示されようといたしてございます。それに基づきまして、北上市と協議を進めてまいりたいと考えているところでございます。

〇高橋賢輔委員 今、高校再編のことが出ましたから、私もこの件につきましては大変注目される課題だろうと思っているわけです。
 と申しますのは、今子供たちは、何と申しますか大変な思いでおられるんだろうと、こう思っているんです。真向かいにああいう立派な校舎が建っておるわけです。しかも、今、農業高校の生徒たちは、行き先も決まっているわけですけれども、しかし、スタートはこうなんですよ。全く変則的なスタートなんですよね。校歌も決まっていない、いろんな面でまだ不備な点がいっぱいあるわけです。しかも検討委員会の云々が今出ましたけれども、これとて約束をしているわけです。すぐ立ち上げてそして検討しますと、こういうことまで言っているんです。教育の立場からいけば、今の子供たちの思いというものは大変なものだと思う。精神的にも果たしてこの教育は、高校教育、あるいは何の教育でもそうですけれども、こんな形でやられたら、岩手の教育は最も望ましい教育にはならないと私は思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。全然約束を守っていないですよね。最初の立ち会った方々、委員の方々もそう言っているんですよ。さっぱりどうなっているのか、大変心配している。しかも生徒たちは今大変な思いをしているんだろうと思うんです。前にああいう立派な校舎を建てて、毎日見ているわけですから、今度は自分たちが行く学校は一体どうなっているのかも、そういう教育であれば、私はいろんな学校教育の立場で大変な問題も出てきているわけですよ。そういうときにやっぱりきちっとした形でスタートしなければ、私は岩手の教育というものは、この先はどうも不安な面が多いのではなかろうかと、こう思うわけですけれども、見解をお聞きしたいと思います。

〇佐藤教育長 今、北上農業につきまして高橋委員それから小原委員からお話がございましたが、今、そこに学ぶ子供たちが大変つらい思いをしているというお話がございましたが、私、就任して一番最初に北上農業高校に参りまして、ただいまお話がありましたように、目前にと申しますか隣接地に、ぎりぎりに新しい学校が建っている。そういう中で子供たちが頑張って勉強している姿を私視察してまいりましたが、今、両委員からお話があった件、これは残された課題はまだまだたくさんありますし、それから両関係者がいろいろ話し合っていただく、そういう土俵づくりをまず今やるべく頑張っているわけでございますが、そういうお話十分に、私その心とするところはわかりますので、これを受けてこれから早く検討委員会をつくり、そしてその中で大いに関係者が議論をし、そしていい形に、そしてもう目前に迫っておりますけれども、60年に余る伝統のある北上農業高校、今幕を閉じようとするわけでありますから、ここですばらしい学校だった、あるいはいい思いを心に刻んで巣立つことができるような、そういう学校運営に努めていきたいと、こう考えております。

〇伊藤勢至委員 学校再編、関連をして1点だけお伺いをいたしたいと思います。
 学校再編あるいはクラスの削減、これも一緒の問題だと思っておりますので、あわせて伺いたいと思うわけでありますが、今、私の岩泉の学校時代の同級生から岩泉の町民の会報というんでしょうか、これが送られてきたところであります。その中に、唐突な発表に町は揺れるというタイトルで、岩泉高校の学級数が減らされるというのがいきなり新聞に出て、それでみんな動揺しているというようなことが書いてありまして、多分これを聞いてみろと、こういうことだと思ってお伺いをしたいと思っています。しかし、これは岩泉のことでありますけれども、宮古、下閉伊は一体だと思っておりまして、あすはわが身、宮古市もちょっと危ないところもあるのではないかという思いも実はしたりしているので、あわせて聞きたいと思っているところであります。
 この春に、岩泉高校の小川分校を廃止して本校と合併をしたんだと思うわけですが、そういったときは以前から、相当早くから話があって、最終的にはしようがないかということで合併を認めたような経緯が書いてあります。合併といいますか、統廃合ですか、統合ですか。
 ところが、そうなってこれはしようがないなと思っていたところ、いきなり寝耳に水の形でクラスを減らすんだ、しかも充足数はまあまあ、ほぼ満足している状況にある中で、なぜいきなりこう出たかということなんだと思います。それで私もあすは我が身ということではありませんけれども、本当の説明責任、あるいは今教育長がおっしゃいましたような、地域の皆さんと会話をしながら、話をしながらということをおっしゃるのであれば、ここの文面から読む限りにおいては、余りにも一方的過ぎたのではないか、私はこんなふうに思うわけであります。
 県都盛岡で暮らしている皆さんは、県立何々、県立何々というのがあふれていますから、意外と思っていらっしゃらないかもしれませんが、我々盛岡から遠く離れた方の地域は、例えば県立大学があるわけでもありませんし県立中央病院があるわけでもない。大体県立と名のつくものは高校ぐらいしかないという中で、県立というものに本当のあこがれといいますか誇りといいますか、そういうものを持ってやってきているんです。そういう中でいきなり学校が統廃合される、クラスが減ってくる、地域のみんながいろんな意味で元気を出そうと思ってやっている中で、何かしゃくし定規に減らされていくということについて、しかも説明がないままにいきなりということに対しての反発が多いんだと思うんですが、どういう経過だったのか、そして今後どのようにこれに取り組まれるのか、教えていただきたいと思います。

〇鎌田高校改革推進監 ただいまの岩泉高校の学級減についてでございますが、学級数につきましては、私ども毎年5月1日現在の学校基本調査の結果を参考にしながら、中学校卒業者の進路動向を把握し、各学校ごとの状況を検討して調整を行っているところでございます。
 本岩泉高校におきましては、平成16年、来年の3月、中学校の卒業者数がことしの3月に比べまして122人ということで、比べまして52人の減少が見込まれたところでございます。岩泉高校の入学状況につきまして、町内の中学校卒業者のうち、岩泉高校に入学する生徒の割合等も過去のデータ等を調べまして、そこから適正な学級数を割り出したところでございまして、このような生徒動向から毎年調整を行っているというところで、今回1学級の減を行ったところでございます。

〇伊藤勢至委員 行ったところでと、もう決定ですか、これは。決定なんですか。
 その前にちょっと待ってください。この情報が入ったのは、町の関係者の方々が相当数、頭数をそろえて陳情に来たようですよ。その際に、佐藤教育長は、一つ直すと全体を見直さなければならないと答えたと書いてありますけれども、そういうお気持ちなんですか。いきなりある日ぼつっとぶつけて、もう思案の余地はないみたいな、こういうことは会話、対話の県政とは私は言えないと思いますよ。
 この前宮古地方に、1週間ぐらい前ですが増田知事が来られて県政懇談会をやりました。田野畑あるいは岩泉、普代などから、各地区から30人ぐらい集まって私らも平沼委員と同席をしたわけでありますが、その際、岩泉から来たお母さんがこのことを聞いていましたよ、知事に、直に。知事は、教育委員会もあっていろいろ情報交換をしながらやっているので、今ここで私がふやすとか減らすとか、そういったことについては答えられませんという答弁をしたんですね。すかさずそのお母さんが、増田知事さん、あなたは岩手県で一番偉い人でしょう、あなたが決められなくてだれが決めるんですかと。私は拍手しましたよ、その奥さんに。すごい奥さんです、大したものだと。岩泉は元気がいい、こう思うわけでありますが、そういう中で、一体地域の皆さんの声が県立というものにこれから高校生をいっぱい集めて、田野畑からも普代からも入ってきていますよ、よし、頑張ろう、スポーツも勉強も頑張ろうと、こう思っている矢先に、いきなり出して決まりましたと。取りつく島がない。これはちょっとちょっとですね。
 佐藤教育長、こういうのではまさに説明責任を果たしている、あるいは県民のための県政と、こう私は言えないと思いますけれども、どのようにお考えになっていますか。

〇佐藤教育長 ただいま、委員から唐突の感これはどうも否めないということで、これは決定経過というかあるいは岩手県内の県立の高等学校の定員を決めるに当たりましては、ただいま申し上げたようなことを踏んで決めます。これにつきましては、委員の皆様方御案内のとおりでございますが、毎年9月議会におきまして、これを常任委員会で実は説明し了解をちょうだいし、それを現地に伝えるという仕組みが長年取り扱われてきたものです。これはどういうことかと申しますと、もちろん、学級の増減は教育委員会の権限でありますが、あわせて公の施設としての学校の設置そのものは条例にゆだねられております。議会とのかかわりが深いわけですから、議会との間において十分な協議をし、その結果をもって伝えると。ただ、これがいいかどうかということが今回一つの問題提起がされました。私どもの常任委員会でもその議論があって、私どもとしてはこれまでの手続、やり方がいいのかどうか、これを反省したときに、確かに保護者あるいは子供の視点から考えれば、このことは実際に翌春の3月に受験する子供たちが不安を抱かないように、あるいは早く希望校を決めるように、そういう形にするのが最も望ましいということで、できる限り早くそれを決めようということで、今、内部ではもちろん検討をしておりますが、今まで以上に、今までは9月議会、これを8月なり6月なりできるだけ早くし、そして仕組みと申しますか、条例あるいは規則の関係も早く整備をしようという形で進めたいと、こう思っております。
 今回岩泉町におきましては、今御提示されました広報紙、あるいはあすも地域の方々が署名簿を持ってお見えになるということですが、岩泉町の岩泉高校に対するその熱意といいますか、あるいは岩泉高校を支えていこうという、そういう気持ちが今回本当にひしひし伝わります。したがいまして、これからの岩泉高校のあり方については、ちょうど私どもこれから後期の高校再編計画をつくりますけれども、その中にどういう形で位置づけるか、そういうときに、この岩泉の地域の方々の思いというものも十分に私どもしんしゃくし計画の中に位置づけをしていきたいと、このように考えております。

〇伊藤勢至委員 佐藤教育長という方を私は見直しました。あなたはまさに温厚なスタイルに見えますし、しゃべり口もまさにゆっくりしています、ジェントルマンに見えますけれども、しかし、あなたの心の中にあるのは、全く冷たい切り捨ての、対話をしようという心が一つも私には今見えません。こういうことは、これが今後岩手県全般に行われてくるとしたら、教育委員会を応援しよう、サポートしようということはほとんどなくなって、私は、こんなやり方では、県民の皆さんが教育委員会の敵に回ると思いますよ。
 私は、宮古、下閉伊という中で言いましたけれども、宮古も確かに子供たちが減ってきていますから、いつまでも今のような五つの学校が存続していくとは、実は思っておりません。思っておりませんけれども、もし宮古に対してこういうようなやり方が来たのだったら、私は、この岩泉の人たちのように温厚ではありませんから、それなりの手段を考えて、やりとりをしなければならない、こんなふうに今思っているところであります。
 あなたたちが一番最初に県庁に入るときに思ってきた思いは、パブリックサーバントですよ。大衆への奉仕者、岩手県への奉仕者、こういうことが一番先にあって県庁マンになったんだと思うんですよ。それはやはり、言ってみれば県民に対する説明責任だと思うんです。1回か2回しゃべって、言ってみれば、ガスぶろの湯に火をつけて、手を入れてみれば、確かに上は温かいんですけれども、一回これをかきまぜてみないと世論というのはわからないんですよ。そういう意味で、ちょっとやり方が余りにも冷た過ぎる、私は今こう思ったところであります。そうでなく、これから県民の声をもっと聞きながらやりますというのでしたら、お答えをいただきたいと思います。

〇佐藤教育長 私ども仕事を進める上で、まさに地域の方々、あるいは県民の方々の声を聞きながら、耳を傾けながら仕事をする。ただ、行政というのは、一つのことを決定する過程におきまして、やはりこうあらねばならない、こうすべきだというところで、苦渋の判断をし、そしてそれを進めるという部分もあるわけでございます。そこは、私どももこの実態をとらえて、まだほかにも学級減した学校もありますし、そういう中で、数字だけではなくして、その地域地域の実情とか、それから、今後どういうふうにするか――今、たまたま前期の計画が終わろうとしております。前期の計画から後期の計画へ移ろうとする、そのつなぎの部分で、この岩泉高校をどうするか、これをどういう形でこれからも維持・存続させるか、そこまでの考え方をしながら、どういうふうに持っていくかという経過が内部的にはあるわけでございます。
 ただ実態が、今推進監から説明いたしましたように、子供の数が実際減りますし、そういう状況で、ただ、そう言いながらも、保護者の皆さんや関係するPTAの皆さんが心配する向き、これも十分にわかります。十分にわかった上で、これを次に生かす方法が何かないのか、これを次のステップにしたいと考えているわけでございます。

〇阿部敏雄委員長 ほかに質疑ありませんか。

〇佐々木大和委員 今の高校再編の案件に関連して、私からもお話しさせていただきます。
 まずこの、直接また岩泉高校の案件でございまして、ただいま出ている案件につきましては、下閉伊選出の佐々木俊夫委員と私で要望に立ち合っております。地元の活動は、今、隣の伊藤勢至委員が言いましたけれども、そういう中で、私はたまたま当該委員でありますので遠慮していますが、商工文教委員会でもまたやらせていただきますが、あすも要望を住民が上げてくるということは、先ほど教育長から話がありました。
 教育長にちょっとお願いがあるんですが、さっきの発言の中で、9月の――ことしは10月でしたか――定例会の際の常任委員会で了解を得て発表したということなんですが、実は、あれは報告なんだということで、委員会は論議をしないでここまで引っ張ってきております。そこは確認しておきたいと思いますので、教育長からもう一回お願いします。

〇佐藤教育長 ただいま私、了解という言葉を言いながら、思いついて協議というお話を申し上げましたが、ただいま佐々木委員から御指摘あったように、まさにこれは執行機関としての教育委員会の権限という形で決めたその内容について、これは条例とのかかわりがありますし、また予算ともかかわりがあります。そういう観点から、議会とのかかわりが非常に深いという意味で、これまでも10何年、あるいは20年超えているかもしれませんが、9月定例会に議会に対して報告申し上げ、そして、そのもとに、その後に現地にそれぞれ説明して歩いた。ちなみに、ことしの場合も、その後、御報告申し上げ、そのもとに、その資料で現地それぞれに出向き、そして明年度春の募集要項を説明して歩いております。今、そういう状況です。

〇佐々木大和委員 今のそのことは、委員会の報告であって、委員会で協議した、あるいは了解を得た、その部分は一切ない、報告だけだということだけ確認してください。
 そして、その後に議会の意向として、ただいま伊藤委員からも出ましたけれども、住民の意向を何とか反映する努力をしてもらいたいというのは、これから、私どもは常任委員会の委員としての責任の上でお願いしていきたいと考えていますので、今の教育長の9月定例会での報告のことをもう一度確認してください。

〇佐藤教育長 9月定例会におきまして案を固め、そして、その内容について9月定例会の、正しくは常任委員会の場におきまして私から、報告という形で御説明したということになります。

〇小野寺好委員 コンピューター教育について3点質問いたします。
 平成14年度の主要施策の成果、74ページ上の方に、子供のころからコンピューターやインターネットになれ親しみながら、こういった部分があるわけなんですけれども、高校生になってから情報処理といったような専門的な部分があるかもしれませんが、その前に、義務教育の段階でどこまでの習熟度を考えているのか、これは第1点、お伺いしたいと思います。
 二つ目ですけれども、岩手県は全国的にパソコンの普及率、そしてインターネットの接続の割合といったものが低い。そういった中で、子供がうちに帰ればパソコンがあるよ、しかもインターネットに接続しているよ、そういった割合がどのくらいまでいっているのか、わかる範囲でお聞きしたいと思います。
 3点目ですけれども、コンピューターという高性能の機械、車であれば高性能の車、免許が必要ですけれども、こういったものはそういった免許が必要なしにだれでも使える。その場合に、功罪いろいろあるかと思うんですが、そういった面をどのように把握しているかですね。
 ちょっと気がかりなのは、先般、紫波郡内の子供さんが警察のお世話になって、しかもそれが全国的なニュースにもなってしまったということもありましたので、その辺をお聞きしたいと思います。

〇石崎学校教育課長 情報教育についてのお尋ねでございますけれども、まず、義務教育段階でこの情報に関する能力、資質というものをどのように育成しているか、またどのようなねらいで行っているのかということでございます。
 委員御指摘のとおり、高校のような形で、特定の教科を設けて指導しているわけではございませんが、総合的な学習の時間、あるいは各教科の中で、コンピューターを使った授業を行うという形の中で、コンピューターに関する技能、それから活用方法等について指導しているということでございます。
 例えば、小学校段階では、コンピューター、それから情報通信ネットワークという機器を適切に使用することを通じまして、コンピューター、それから情報通信ネットワークになれ親しませるということをねらいとして指導しているということでございますし、中学校段階では、少し進みまして、コンピューターの基本的な構成、操作、それからコンピューターの利用のあり方ということについて、情報に関する基礎的な内容を学ぶということで指導しているところでございます。
 次に、家庭におけるコンピューターの保有状況というようなことでございますけれども、教育委員会の方でこちらについては調査をしておりませんので、わからないということで御理解いただきたいと思います。
 それから、コンピューターの功罪の面ということでございますけれども、やはりコンピューターにつきましては、青少年に有害なものを発信している部分もあるということでございますので、いわゆる情報の陰の部分といいますか、こちらへの対応もしっかり行っていくことが大事だと考えてございます。
 例えば、プライバシーの保護であるとか、著作権の尊重であるとか、いわゆるコンピューターネットワークを利用する上でのエチケットというようものについても、コンピューターの指導をする際に、あわせて指導しているということでございます。
 なお、委員から御報告もございました今回の紫波郡での補導の事案につきましては、その後、県の教育委員会の方から、情報モラルに関する指導をさらに徹底してほしいということで、ことしの8月に通知を流しているところでございます。

〇斉藤信委員 私も岩泉高校の問題について、これは、昨年度小川分校の廃止が決まった。そして、ことしまた学級減だというので、町長初め、地元の町民は大変大きな衝撃を受けている。私も町長さんから直接陳情を受けました。全く同感いたしました。
 それで、私は県教委のやり方というのは不当だと思うんです。というのは、県立高校の再編計画があるんですけれども、この再編計画では、前期の分で岩泉高校は学級減の対象になっていないんですよ。前期の計画にないのになぜ前倒しするのか。
 もう一つは、卒業者の推移も、平成16年3月は122人ですが、17年3月になると148人になる。(「当該委員。委員会発言と同じ発言だ」、「委員会でやれよ」と呼ぶ者あり)岩泉の話はやっていないでしょう。(「当該委員。時間ないぞ」と呼ぶ者あり)いや、きのう工藤委員だってやったでしょう、自民党も。余り言わないでください。簡潔にやりますから。極めて大事な問題です。本当に、教育の根本にかかわる問題なんだから。(「岩泉だけやれ」と呼ぶ者あり)
 前期の計画になかったのに、なぜ前倒しするのかと。卒業生の見通しが、平成17年には148人にふえるのに、減ったりふやしたりするような学級減をやるのかと。
 さらに、地元は、地元志向を強めて、地元から大学にも進学できる高校づくりに全力で取り組んでいるんですよ。岩泉町はあの岩泉高校に500万円も補助金を出しているじゃないですか。私は、これだけ地域が頑張っているときに、2年連続、分校を廃止したり、学級減をさせるということは、これは教育の根本にかかわる問題です。岩手県は、本当に地元の声や要求を大事にして対応すべきだと思いますよ。これに限って聞いて、終わります。

〇佐藤教育長 ただいまの御質問ですけれども、お話あったとおり、今現在、前期の計画を平成16年度までの計画ということで進めております。これを平成17年度を初年度にする後期の計画につなぐということで、今諸準備をしているわけですが、そこで、御指摘ありました前期の計画に盛られていない学級減ではないかというお話でございますが、計画そのもの自体は、もちろんこれは中長期の展望ということで、計画はその方向性を示したものであります。この中で、学校のいわゆる条例にかかわる部分、これは何か、学校と、それから学科であります。それとあわせて、しかしながら、一方では子供たちの数がこれから減少するということで、まず予告的にも、あるいはこういう流れだよということで、学級減というものも参考までに示しているわけです。
 したがって、我々が毎年度、その年、その年の実態を踏まえながら学級の、ですから、ただいま御指摘ありましたが、ことし減にして、翌年度増になるということも、これはあり得るということでありまして、つまり、その年、その年の子供たちの状況、あるいはその学校の進学の状況、それらを総合的に見て決めるということ。つまり、これは計画があるから計画どおりということではなくして、それはゼロベースで、もう一遍その年、その年で見る、そういう観点に立って、今回は見直しした結果であります。

〇斉藤信委員 私はあなた方の計画がそんなにずさんなものだと初めて聞きました。とんでもない話ですよ、ないものまで前倒しでやるなんてね。そして、地元がこんなに頑張っているわけでしょう。地元の高校を大事にして、地元の中学生が地元の岩泉高校に入る率も高まっているんですよ。そして大学に進学するような努力もしているんですよ。そういうときに、小川分校をなくして、学級減にしてという2年連続の冷たい仕打ちをやっていいのか。それは地元に水をぶっかけるものじゃないですか。
 教育というのは信頼関係でしょう。やっぱり地元の協力というのは、教育を守る最大の要因ですよ。私は、子供の数が1年、2年で減ったり、ふえたりするから、学級もふやしたり減らしたりするんだ、こういうやり方をやっちゃいけないと思いますよ。やっぱり少なくとも5年、10年単位でこういう計画を立てたんだから、計画にもないようなことはやるべきでないと思います。そういうことであなた、地元の熱意にこたえられると思いますか。

〇佐藤教育長 計画はそのときに把握し得た状況を見て、それで中長期に立てる。したがいまして、その年、その年に状況が変わるわけでありますから、それに沿った格好で現実的な学級の増減を図る、こういう形で進めてきたものです。

〇阿部敏雄委員長 ほかに質疑はありませんか。

〇佐々木俊夫委員 大分真剣なやりとりがございました。私も関係者ですので聞き耳を立てておったんですが、私が今申し上げるのは、煙に巻くわけではございませんが、話は変わりますけれども、この前、私は学校施設における禁煙を申し上げました。教育長も前向きに答弁された、こういうことなんです。
 先ほど、実は農林水産部の審査がございまして、たばこ農家を育成する農林水産部長の見解を聞きましたところ、個人としては禁煙に賛成だという答えでございました。勇気を持って取り組んでください。いかがでしょうか。

〇佐藤教育長 佐々木委員から本会議におきましても御質問ございましたが、今現在、まだ完全分煙がなされない状況下にあります。まずは、これは県が今進めている計画とあわせて、学校関係、まず完全分煙をなし遂げようということで進めたいということを考えております。
 個人的には、これは嗜好でありますから、飲む、飲まないは個人の問題だ。ただ、飲む場所は、もし禁じられれば、そこで飲んではいけませんし、また、決められた場所で飲むべきだということで、学校が全面完全分煙で、それからさらに完全禁煙に移行するとなれば、当然ながらそれに沿った形で、嗜好といえどもそれぞれ従うべきものと考えております。

〇佐々木俊夫委員 何かスケジュール闘争みたいになってしまうんですけれども、じゃ、いつまでに完全分煙にして、いつから禁煙にするのでしょうか。そういうスケジュールは決まっているんですか。

〇佐藤教育長 完全分煙につきましては、平成16年度を目途に完全分煙を達成しようと考えております。

〇佐々木俊夫委員 そうしますと、平成16年度に完全分煙をして、完全禁煙はいつからですか。

〇佐藤教育長 煙に巻くわけじゃございませんが、それは、まず完全分煙を達成に向け努力すると。まだまだ平成16年というと、長いようでありますが、すぐ参りますから、これまでに各学校に叱咤激励し、完全分煙に向け努力したいと考えております。

〇阿部敏雄委員長 ほかに質疑ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇阿部敏雄委員長 質疑がないようでありますので、教育委員会関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了しました。
 本日はこれをもって散会します。
   午後5時38分 散 会


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