平成15年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成15年12月1日(月)
   

1開会 午前10時5分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員 
 事務局長 武 田 牧 雄
 議事課長 平 澤 石 郎
 議事課長補佐 八重樫 典 彦
 主任議事管理主査 千 田 利 之
 議事管理主査 近 藤 光 宏
 議事管理主査 多 田   繁
 議事管理主査 田 丸 裕佳子
 議事管理主査 嵯 峨 俊 幸
 議事管理主査 安 藤 知 行

1説明員
 副知事 高 橋 洋 介
 出納長 橋 田 純 一
 総合政策室長 照 井   崇
 首席政策監 今 泉 敏 朗
 参事兼政策推進監 廣 田   淳
 参事兼行政経営推進監 酒 井 俊 巳
 政策評価課長 中 田 光 雄
 
 地域振興部長 大 沼   勝
 地域振興部次長兼地域企画室長兼複合施設整備室長兼IT推進室長 法 貴   敬
 
 地域企画監 荒 竹 宏 之
 地域振興課長 和 嶋 憲 男
 市町村課長 松 川   求
 
 総務部長 時 澤   忠
 総務部次長兼総務室長 長 澤 忠 雄
 参事兼予算調製課長 藤 尾 善 一
 人事課長 小 川 明 彦
 税務課長 千 葉 茂 樹
 
 副出納長兼出納局長 水 本 紘 一
 出納課長 坂 林 則 夫
 
 監査委員 一 戸 克 夫
 監査委員 谷 地 信 子
 監査委員事務局長 久 保 隆 男
 総務課長 八重樫   良
 監査課長 渡 邉 和 男
   

〇武田議会事務長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、藤原泰次郎委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 藤原泰次郎委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員藤原泰次郎君委員長席に着く〕

〇藤原泰次郎年長委員 ただいま紹介されました藤原泰次郎でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は、指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に阿部敏雄君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した阿部敏雄君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました阿部敏雄君が決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました阿部敏雄君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 阿部委員長、委員長席にお着きを願います。
   〔決算特別委員長阿部敏雄君委員長席に着く〕

〇阿部敏雄委員長 ただいま委員各位の御推挙により、決算特別委員長に御指名いただき大変光栄に存じている次第であります。
 委員各位の御協力によりまして円滑な議事運営に努め、責務を全うしたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇阿部敏雄委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇阿部敏雄委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は、指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇阿部敏雄委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に柳村典秀君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した柳村典秀君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇阿部敏雄委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました柳村典秀君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました柳村典秀君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 柳村副委員長、ごあいさつを願います。

〇柳村典秀副委員長 ただいまは皆様の御推挙によりまして、決算特別副委員長に御指名をいただき大変恐縮いたしております。
 委員長を補佐し、円滑な議事運営に務めてまいりたいと思いますので、どうか皆様の御協力をよろしくお願いいたします。(拍手)

〇阿部敏雄委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算12件についての審査の方法でありますが、お手元に配付しております日程案のとおり、本日から12月5日までの5日間は、出納長及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算12件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、12月5日の警察本部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇阿部敏雄委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。認定第1号平成14年度岩手県一般会計歳入歳出決算から認定第12号平成14年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計決算までの12件を一括議題といたします。
 これより出納長に決算の総括説明を求めます。

〇橋田出納長 最初に概括的な御説明を申し上げます。
 平成14年度歳入歳出決算の概要でございます。
 岩手県総合計画に掲げる施策の基本方向に基づいて編成された平成14年度一般会計歳入歳出予算は、当初予算が8、680億2、181万円余で、前年度の当初予算に比べまして347億6、057万円余、3.9%の減となり、この当初予算に、国の経済対策に対応した公共事業費及び県単独事業費など107億5、093万円余の追加補正が行われ、さらに前年度からの繰越額768億9、079万円余を加えた結果、予算現額は9、556億6、353万円となりまして、前年度に比べますと685億2、263万円余、6.7%の減となったものであります。
 それでは、お手元に配付をいたしております歳入歳出決算書の2ページを御用意いただきたいと思います。
 まず、歳入についてでありますが、ただいま申し上げました予算現額に対する収入済額は9、122億5、762万円余で、前年度に比べますと565億2、329万円余、5.8%減少し、収入済額の割合は、予算現額に対しまして95.5%、調定額に対して99.7%となりました。
 なお、収入未済額は27億1、920万円余で、前年度に比べまして4億669万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは県税であります。
 次に、4ページ及び5ページの歳出についてであります。予算現額に対する支出済額は8、958億3、238万円余で、前年度に比べますと486億5、977万円余、5.2%減少し、予算現額に対する支出済額の割合は93.7%となりました。
 また、翌年度繰越額は577億1、762万円余で、前年度に比べまして191億7、316万円余減少いたしましたが、この繰越額の主なものは、土木費及び農林水産業費であります。
 なお、不用額は21億1、351万円余で、前年度に比べまして6億8、969万円余減少いたしました。
 次に、歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書を御用意いただきたいと思います。367ページをお開き願います。
 お手元の調書に記載のとおり、一般会計の歳入総額は9、122億5、762万円余、歳出総額は8、958億3、238万円余であり、歳入歳出差引額は164億2、524万円余となりました。また、歳入歳出差引額から翌年度へ繰り越されるべき財源142億8、562万円余を差し引いた実質収支額は21億3、961万円余の黒字となりました。
 次に、歳入歳出決算説明書を御用意いただきたいと思います。1ページでございます。
 一般会計の決算の特色といたしまして、第1には、決算の規模が前年度を下回ったことであります。決算規模は、歳入におきましては、国庫支出金、諸収入、県税などの減少により、前年度を565億2、329万円、5.8%下回り、歳出におきましては、商工費、農林水産業費、土木費などの減少により前年度を486億5、978万円、5.2%下回ったものであります。
 第2には、自主財源が減少したことであります。法人事業税、県民税利子割及び軽油引取税などの県税が前年度に比べまして132億7、234万円、10.8%減少したことなどにより、自主財源が前年度に比べまして260億2、499万円、7.8%減少いたしました。このことによりまして、自主財源の割合は33.7%となり、前年度の34.4%を0.7ポイント下回ったものであります。
 第3には、基金からの繰入金が増加したことであります。県税の減収などの財源不足を調整するため、県債管理基金、公共施設等整備基金、財政調整基金の主要三基金を取り崩したことなどにより、繰入金が前年度に比べまして107億5、146万円、49.0%増加いたしました。
 第4には、公債費の増に伴い義務的経費が増加し、投資的経費が減少したことであります。義務的経費は、県債の元利償還に係る公債費が増加したことなどにより、前年度に比べまして66億7、109万円、1.8%増加し、投資的経費は、東北新幹線建設促進対策事業費などの減少に伴いまして普通建設事業費が減少したことなどにより、前年度に比べまして312億7、300万円、9.7%減少いたしました。
 第5には、繰越額が引き続き多額であったことであります。計画調整等に不測の日数を要したほか、国の経済対策に対応して公共事業の追加などが行われたことによりまして翌年度に繰り越した金額は577億1、763万円となり、前年度に比べ191億7、316万円、24.9%減少したものの、依然として多額となったものであります。
 以上、一般会計決算の特色を申し上げました。
 次に、母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の決算内容について御説明申し上げます。
 特別会計歳入歳出決算総括表により御説明申し上げますので、歳入歳出決算書の20ページ以下をごらんいただきたいと存じます。
 母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の収入済額は、25ページに記載されておりますとおり408億3、821万円余であり、収入未済額は16億6、340万円余となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などであります。
 また、支出済額は、28ページに記載されておりますとおり347億4、220万円余であり、各会計とも実質収支は黒字となりました。
 以上で、決算概要の説明を終わりますが、お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、説明資料として歳入歳出決算説明書、これらをお配りいたしておりますので、御参照いただければと存じます。
 なお、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明を申し上げることとなっております。
 また、監査委員から御意見のございました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでありますが、会計事務の適正な執行につきましては、今後とも、各部局への指導、適切な出納審査等を行うなど、その万全を期してまいりたいと存じております。
 よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願いを申し上げまして説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

〇阿部敏雄委員長 これより総括質疑に入ります。
 最初に代表質疑を行います。代表質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、発言時間は答弁を除き1人30分を限度としておりますが、発言時間に残時間があるときは、その範囲内で、当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっております。
 なお、世話人会の申し合わせにより、平成14年度決算の審査であるので、当該年度の決算に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁ついては簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 これより代表質疑に入ります。

〇佐々木順一委員 民主・県民会議の佐々木順一でございます。
 代表質疑に入るに先立ちまして、過日、イラクにおいて不慮の事故に遭われましたお2人の外交官の御冥福をお祈り申し上げますと同時に、みたまの安らかならんことをお祈り申し上げたいと思います。
 それでは、会派を代表いたしまして総括的に質疑をさせていただきますが、本委員会の役割が成果主義を重視した、そしてまたこれを将来に反映させていくことにあるわけでありますので、必然的に今後の問題にも発展的に言及させていただくこともありますので、あらかじめ御了承を賜りたいと思います。
 それでは、まず初めに、昨年の決算特別委員会において、施策の重点化による事業の精選と見直し、財源の重点的かつ効率的な活用、さらには、新たな行政課題への対応に努められたい旨の附帯意見を議決しておりましたが、これらの指摘に対しどう対応されたのか、まずお伺いいたします。

〇高橋副知事 決算特別委員会の附帯意見については、これまでも県といたしましてこれを真摯に受けとめまして、県政への最大限の反映に努めてきたところでございます。
 昨年の決算特別委員会直後に編成をいたしました平成14年度の2月補正予算につきましては、これは国の改革加速プログラムに呼応した予算編成ではございましたが、事業の精選や財源の効果的な活用に努めるべしとの附帯意見に沿いまして、平成15年度の実施予定事業・箇所のうち、緊急度と優先度の特に高いものを前倒しで計上いたしまして、事業効果の早期発現を図ることといたしました。また、平成15年度の予算編成におきましても、施策の重点化による事業の精選と見直しにつきましては、政策評価の結果や最近の社会経済情勢を勘案いたしまして、地域経済の活性化による雇用の創出やゼロエミッション型社会の構築など、緊急かつ重要な課題につきまして、平成15年度予算における施策重点化の考え方として取りまとめを行いまして、重点的に取り組むことといたしました。また、事務事業評価によります事業の見直し、それを行いますとともに、公共事業評価結果に基づきまして、新規箇所を厳選するなど事業の精選に努めたところでございます。
 それから、財源の重点的かつ効率的な活用につきましては、県として新たに政策形成・予算編成システムを導入いたしまして、政策形成プロジェクトに優先的に財源を配分することといたしまして、各部局が主体的に立案したプロジェクトにつきまして、プレゼンテーションに基づきましてその内容を検討の上、優先度の高い順に採択をいたしますなど、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努めたところでございます。
 さらに、新たな行政課題への対応につきましては、青森県境におきます産業廃棄物の不法投棄への対応、また、食の安全安心の確保を図るための取り組みなどに積極的に対応しているところでございます。
 このように、決算特別委員会の附帯意見を踏まえた行財政運営に配意しているところでございます。

〇佐々木順一委員 議会の議決を尊重していただきましてありがとうございました。
 次に、監査委員にまとめて3点お伺いいたします。
 まず初めに、今回提出されました意見書の中で、収入未済額の増加あるいは諸手当の過誤払いなど、一部留意改善の必要性を指摘されております。この問題点の指摘は、過去3年間に限ってみましても、例示を除いて全く表現が同じであるわけでありますが、見方を変えますと、執行側の努力の形跡がないということにもなるかもしれません。一般的に3回も同じ指摘をして改善の気配がない場合は、何かしらむなしさを覚えるものでありますが、ついては、監査委員の率直なお気持ちをお伺いいたします。
 二つ目は、工事等に係る契約の設計見積もりの誤りなどを指摘されておりますけれども、具体的にはどういった事柄があるでしょうか。
 三つ目は、従来の意見書の最後に必ずありました岩手県総合計画に掲げる諸施策の着実な推進と、こういういわば常套句が今回どういうわけか消えております。単なる校正の間違いなんでしょうか、それとも何か深い意味があるのか。いずれにしろ、今回の表現を見送った理由につきまして、3点よろしくお願いいたします。

〇一戸監査委員 決算審査意見書について、3点の御質問がございましたので順次お答え申し上げます。
 まず、留意改善事項についての監査委員としての所見を申し述べたいと思います。
 今回記述しました収入事務あるいは諸手当の過誤払いについて依然として指摘がなくならないのは、組織内部における相互チェックや事務の執行管理が十分に行われていないからではないかという危惧の念を抱いているところであります。監査の結果として、毎年のように意見書において記述しなければならない事態となっていることは、監査委員としてまことに残念なことであると思っております。
 私ども監査委員といたしましては、厳しい財政環境のもと、予算執行に対する県民の関心の高まりの中で、公費の執行に関するチェック機能として県民の信頼により適切にこたえるよう、今後とも公平、不偏の態度を保持して厳正な監査を行い、その職責を果たしてまいりたいと思っております。
 次に、工事等に係る契約の設計積算の誤りの具体的事例についてお答えします。
 工事に係る契約において、落札人決定が不適当なものがあったこと、及び工事の執行において設計積算が不適当なものがあったことであり、監査委員告示として県報に登載し公表しているものであります。
 その内容は、河川災害復旧工事に係る指名競争入札に当たり、最低制限価格を下回る者を落札人と決定し契約を締結したもので、入札調書は税抜きで表示されているのですが、予定価格調書は税込みも表示されていることから、これを見誤ったものであります。また、道路改築工事の執行に係る設計変更に当たり、工期の延長に伴う冬季補正の変更を行わなかったため、設計額が過大に積算されたものであります。そのほかに、注意扱いとして、委託業務に係る設計積算の誤りや工事に係る設計積算の誤りがあったものであります。
 最後に、総合計画の着実な推進の記述を見送った理由についてお答え申し上げます。
 審査意見書の中で中段のところでございますけれども、本県の財政は硬直化が一層進行し、危機的な状況になっております。具体的には、財政構造の弾力性を示す経常収支比率が前年度に比べて2.7ポイント上昇して93.1%となっていること、公債費比率も前年度に比べて2.5ポイント上昇して23.5%と、極めて高い数値となっております。また、今後の県財政は多額の県債残高を抱えながら、県税の一層の減収や地方税財政の三位一体改革などにより、歳入の減少が予測されることから、これまで以上に困難な財政運営が迫られると思われます。このことから、財政の健全性の確保に向けて行財政構造改革に取り組んでいく必要があり、この改革の実行により、総合計画の実施計画への影響は避けられないと思われます。このため、これまでと同様な諸施策の着実な推進を図ることは困難ではないかと判断して、このような記述をしたものであります。

〇佐々木順一委員 高橋副知事にお伺いいたします。
 今、監査委員が厳しい財政状況であるという極めて深刻な認識を踏まえての今回の監査意見であったと思いますし、事務上の単純ミスもあったわけでありますが、それ以外のちょっと深刻なミスもあったということでありますが、いずれにしろ、総合計画の達成は監査委員の立場からすると、財政状況の改善がない限り達成はちょっと難しいのではないかと、こういう指摘でありました。ついては、ただいまの監査委員の御見解を含めまして、どう意見書を受けとめておられるのか御所感を伺いたいと思います。

〇高橋副知事 まず、厳しい財政状況の前に、毎年毎年同じようなことを繰り返し指摘されるということは、本当に残念なことでございまして、まことに遺憾に思っているわけでございます。このことにつきましては、不正があったかないかということ、不正にわたるようなものはなかったとは思っておりますが、いずれ、きっちりと改めなければならないということでございますので、いろんな研修等も通じまして内部の総合チェック、事務の執行管理の適正化を図りながら、これらを解消するように全力を挙げていかなければならない、そのように思っております。
 それから、総合政策の着実な推進にかかわりまして、財政環境が非常に厳しいと。まさにそのとおりでございまして、私どももそれを厳しく受けとめているわけでございまして、そういう厳しい財政状況下でございますので、より一層の施策の選択と集中、これを図りまして施策の重点化に努めていかなければならない。そして、それらによりまして自立した地域社会の形成を図っていかなければならないと、そのように心を引き締めて感じているところでございます。
   〔「だれの責任だ」と呼ぶ者あり〕

〇佐々木順一委員 責任問題はまた後で取り上げたいと思いますが、次に、総合計画に掲げられております主要指標の到達度について伺いますが、平成14年度予算、知事が小泉改革影響予算と命名されました。前年度対比3.9%減の超緊縮型、減少率も過去最大と、こういうことでありました。これはいろいろな要因があります。構造改革の実施と景気の低迷、あるいは地方税や交付税、国庫支出金の減少などが招いたものでありますけれども、それはそれとして、県は昨年3月に総合計画の指標見直しを行ったところであります。すなわち、起業化目標36から1、500に上方修正、あるいは株式公開企業の数も5から15ということです。それから全体で15の指標を新たに追加、そして現在の195指標のうち九つの指標の目標値を修正されましたが、昨年度の厳しい財政状況下の中で、この総合計画で掲げられている主要指標はどの程度達成されたんでしょうか。それから、今後厳しい財政状況などを反映して、達成の見通しはどういう見通しを持っているのか、あわせて端的にお伺いいたします。

〇照井総合政策室長 総合計画に掲げられました主要な指標につきましては、毎年度、政策評価によってその進捗状況を検証しているところでございます。この主要な指標は、毎年度見直しを行っておりまして、平成13年3月の195指標から平成14年3月には209指標、平成15年3月には221指標となってございます。このうち、例えば県民1人当たり住宅延べ床面積のように、この指標を測定する際に用いられている国の調査が毎年度実施されていないなどの理由から、測定ができなかった20指標を除いた201の指標の進捗状況を見ますと、実績値が目標値に向かって順調に進んでいる指標の割合は54%となってございます。
 この順調に進んでいる指標の割合を総合計画の五つの社会ごとに見てみますと、第1社会の自然と共生し、循環を基調とする社会では54%、第2社会の快適に安心して暮らせる社会では69%、第3社会の創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会では38%、第4社会のネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会は73%、第5社会の個性が生かされ、共に歩む社会は67%となってございます。
 このように、第2社会、第4社会、第5社会は、主要な指標が目標値に向かっておおむね順調に推移しております。このままいけば、それぞれの社会が掲げている主要な指標の目標値を全体としてはおおむね達成できるのではないかと、このように考えておるところでございます。逆に、第1社会と第3社会では、実績値が目標値に向かって順調に進んでいる指標の割合が低くなってございますが、これは、例えば県民1人当たりのごみの排出量でありますとか、民生部門における二酸化炭素排出量の削減への取り組みが進んでいないこと、あるいは長引く景気の低迷を受けまして、卸・小売販売額でありますとか製造品出荷額等が伸び悩んでいること、さらには、輸入の増加などによりまして農林水産物の価格の低迷でありますとか、生産量が減少していることなどによるものでございます。これらの状況が改善されない場合には、それぞれの社会が掲げている主要な指標の目標の達成が難しくなるのではないかと、このように考えております。
 今後は、これらの状況を十分に踏まえながら、施策のより効率的な実施でありますとか展開方法の創意工夫などに一層取り組みまして、主要な指標の目標値の達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと、このように考えております。

〇佐々木順一委員 1点確認します。このような財政状況でも、目標達成は、努力次第では可能であるという理解でよろしいわけでしょうか。

〇照井総合政策室長 私どもとしては、ただいま申し上げました創意工夫なり施策の重点化なり、効率的な実施でありますとか、そういうもろもろの手段、方法等を使って、何とか目標の達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと、このように考えております。

〇佐々木順一委員 御期待をいたします。
 次に、決算上の個別具体の事務上の問題点についてお伺いいたします。
 まず初めに、収入未済額、県税を中心に27億1、920万円余になっております。ついては、その発生要因についてお尋ねします。同時に、今後、未済額の縮減に向けてどう取り組まれるのかお伺いいたします。
 また、繰越額についてお伺いしますが、前年度と比較して24.9%減少しております。これは努力を評価したいと思いますが、それでも県政史上6番目に多い額とお聞きしております。会計年度独立の原則の例外規定で繰越明許は当然認められておりますが、しかしながら、これがこの圧縮に向けて予算の執行に努力しなければならないのは当然のことであります。ついては、税負担の公平性の確保を図るために、そういう観点からこの圧縮は県政運営の基本中の基本であると思いますので、今後の圧縮策についてお伺いいたします。さらに、21億円余の不用額の発生原因についてもお伺いいたします。

〇時澤総務部長 まず、収入未済額につきまして、この主なものは県税でございまして22億7、500万円余でございます。前年に比べまして3億3、600万円、117.4%(後刻訂正)の増となっております。特に個人県民税そして自動車税の増加が多くなっているものであります。県税以外の主なものにつきましては、県営住宅使用料でございまして1億6、700万円、対前年度20.7%の増ということでございます。これらの収入未済額の増加の主な原因につきましては、依然として県内の景気が低迷していること、あるいは厳しい雇用情勢が継続していると、このようなことからだと考えているところでございます。
 その縮減への取り組みでございますが、個人県民税の対応につきましては11億1、200万円、収入未済額の48.9%、約半分ということでございますので、ただ、個人県民税は、市町村におきまして個人の市町村民税とあわせて徴収しているということもございますので、市町村とのより一層の連絡協調を図っていくことが大事だと思っておりまして、滞納整理の方策について指導あるいは助言を行うとともに、徴収支援策、こういったものも講じまして収入の確保に現在努めているところでございます。
 自動車税の滞納につきましては4億8、500万円になっておりまして、収入未済額の21.3%を占めております。これにつきましては、一定期間に地方振興局の全職員が滞納整理に当たるというような初動集中整理あるいは土日の納付窓口の開設、こういったことをやっておりますし、さらに臨戸によります納税交渉の強化、差し押さえ等の滞納処分を推進いたしまして、収入の確保に現在努めているところでございます。そのほかの税目につきましても、滞納者の実態把握、情報収集に努めまして、財産の差し押さえ、交付要求、滞納者の個々の実態に応じての措置、そういったものを講じまして収入確保に現在努めております。
 また、県税以外の歳入科目につきましても、例えば県営住宅の使用料の滞納整理につきましては、督促文書の送付、電話の督促、臨戸訪問、連帯保証人に対する納入指導協力要請、そういったものの措置を講じた上で、多額の滞納がありながら納入に対する誠意のない者に対しましては、本会議にも議案を提出しているところでございますけれども、県営住宅の明渡し及び滞納家賃支払いを求める訴訟を提起するなど、必要な措置を講じながら収入の確保に努めているところでございます。
 それから、繰り越しについてのお尋ねがございました。14年度から15年度に繰り越しをした金額につきましては、繰越明許が575億円余、事故繰越が2億円余ということで、合計577億円余ということになっております。このうち、8.4%を占めます48億6、000万円につきましては、国の改革加速プログラムに対応しました2月補正に係るものということで、工期的に繰り越しせざるを得なかったものでございます。これ以外の通常分につきましては528億円余でございますが、その大半につきましては、占用許可、保安林解除等によります関係機関との調整、関係者の要望によります計画見直しなどによりまして計画調整のおくれによったものもございますし、12年度、13年度からの繰越額が多額に上ったということもございまして、前年度からの繰越事業に押し出されるような形で14年度の執行が遅延したという状況もございます。しかしながら、御指摘ありましたように会計年度独立の原則に基づいて執行する、これが原則でございますので、多額の繰り越しが生ずることのないように、適切な予算計上と執行に努める必要があると考えておりまして、このため、まず予算計上に当たりましては、当然でございますけれども、歳入に見合った事業規模にするとともに、事業ごとに年度内の執行が可能かどうか、そういったような視点からも十分に検討した上で事業の適正化を図っていきたい。また、事業執行に当たりましても、あらかじめ施行計画を立てまして計画的な推進を図っていく、このようなことによりまして、繰越額の圧縮に努めてまいりたいと考えております。
 それから、不用額についてのお尋ねがございました。主なものについて御説明申し上げますと、例えば東北新幹線建設対策事業、これは事業費の確定によります所要額の減少で2億400万円程度、それから介護予防生活支援事業費補助、これは利用件数の実績が見込みを下回ったために9、800万円程度不用額が生じる。あるいは老人福祉施設整備事業、これは事業主体の計画変更によりまして9、800万円余不用額が生じる。こういったことによりまして、2月補正段階での所要額の確定が困難でありまして、その後の事業費の精査・確定などによって生じたものでございます。

〇佐々木順一委員 徴税にはさまざま県民の今の経済状況もあると思いますので、その辺に配慮を講じながらも市町村と連携をとっておやりになっていただきたいと思いますし、予算の執行につきましては、くれぐれも予算の消化が目的とならないようによろしくお願いをしたいと思います。
 それから、次に、財政赤字全般について問題点を指摘させていただきながらお伺いいたします。
 県債残高は本年度末で1兆3、682億円が見込まれております。まさに県財政破綻ということではないでしょうか。これは平成4年度の大型経済対策に全面的に呼応して、1、000億円余を超える補正を2回も組んできたことも大きな原因であろうと思いますが、しかも霞が関依存の構造が招いたものと、こう思っております。一方、国の政策をうのみにしてきた地方、議会も含めてですが、その責任も重いものがあるのではないかと、このように自責の念を持っている一人でありますが、それはそれとして、知事はかつて県庁株式会社という言葉を使いました。民間であれば、今の状況は会社更生法の適用ということになるのではないかと思います。この深刻な事態に至るまでは議会もその都度、例えば盛岡駅西口事業あるいはいわて子どもの森など、大型事業の着手の一歩手前で立ちどまって考える機会もあったと思います。後戻りできないまま、結果としてそのまま進んできたことが現実的にはそういった結果になっていると思いますが、事態がここまで悪化することは当然予測できたことであると思います。なぜもっと早い段階で再建に向けて動き出さなかったのでしょうか。まず、この点について明確な御説明をいただきたいと思います。

〇時澤総務部長 まず、先ほどの私の答弁で県税の収入未済額、前年に対しまして117.4%の増と申し上げましたけれども、17.3%の増ということでございます。間違っておりますので訂正させていただきたいと思います。
 ただいまありました、なぜもっと早い段階での再建の動きがなかったのかということでございます。県では、これまで社会経済情勢の動向を踏まえながら、国の経済運営の動向を見きわめて行財政運営を行っておりまして、その際、本県、非常に財政基盤が脆弱でございますので、国庫補助金あるいは交付税措置のある起債を活用しながら財政運営を行ってきたところでございます。
 この間のことについて若干申し上げますと、まず平成4年度以降、累次の国の経済対策が行われてきたわけでございます。この間、立ちおくれておりました社会資本整備を前倒しし、集中的に実施をしてきたところでございます。平成3年度の決算規模と平成12年度を比べてみますと、平成3年度の歳出決算7、008億円でございます。平成12年度が9、412億円でございますので、平成3年度から平成12年度までで34.3%歳出規模が伸びております。
 一方、この間の歳入を見てみますと、県税につきましては、年度によって減ったりふえたりというのはありますけれども、総じて毎年度増加をしておりまして、平成3年度が1、132億円、平成12年度が1、295億円でございますので、歳出も34%、先ほど申し上げましたけれども、税は14.4%ふえていると。地方交付税につきましては15.2%ふえているという状況がございまして、その時点では県民あるいは地域の要望にこたえつつ、公債費の負担に耐え得る財政的な体力は残っていると考えていたものございます。平成13年度になりまして、県税は対前年度比も5%減ということで、交付税も臨時財政対策債等に交付税を振りかえられたということもございまして、非常に歳入の確保が厳しい状況に陥ったわけでございます。
 国におきましても、平成13年6月、いわゆる骨太の方針を踏まえまして、平成14年度で国債発行額30兆円以下あるいは公共投資の10%削減という、改革断行予算としての予算が国において編成されるということになりまして、本県におきましても、平成14年度当初予算はこうした歳入の見通し、国の予算編成方針などを踏まえまして、これまで以上に歳出規模の抑制に努めたわけでございます。前年度当初予算額を3.9%下回ります緊縮予算として編成をいたしまして、特に公共事業費につきましては16.5%の減というようなこともやったわけでございます。ところが、景気の低迷によりまして、県税収入が対前年度比11.3%減で計上しました当初予算額よりも、決算ベースでさらに27億円下回った状況にございます。平成15年度におきましても、国の財政改革路線などを踏まえた財政運営を行いまして、歳入に見合った歳出規模となるように歳出の抑制に努めたところでありますが、やはり県税収入が2年連続で前年度を下回る。この2年連続で前年度を下回るというのは、昭和25年の地方税法施行以来初めてでございまして、そういった県税状況が非常に厳しいということ、さらに地方交付税、国庫支出金が国の構造改革の影響を受けまして、大幅な減収となるというようなことが平成15年度に明らかになりましたので、このこと自体が中期財政見通しの想定を超える事態となったものと我々考えたところでございます。このために、今般、行財政構造改革プログラムを策定いたしまして、持続可能な財政構造への転換に向けて、全庁挙げて取り組んでいこうと考えたものでございます。

〇佐々木順一委員 財政的な観点からの今御説明であったと理解しておりますが、簡単に言うと、金がないから抑制に努めたとか将来は行財政構造改革プログラム、それに基づいてこの財政の適正化に努めると、こういったような状況でありますが、私が言いたいのは、大事業などを立案する際に、例えば県民の目に見える形で立案過程とかそういったものを情報公開して、検討段階で県民の批評といいますか、見解を仰ぐべきではなかったのかと、そういった観点で聞いたわけでありますが、そういった反省点といいますか、県民の声を聞くようなことが、立ちどまって考えるということ、そういった反省はないのかということであります。例えば、総合計画の中では参画を一つの理念として掲げております。また、自治の精神は住民参加という建前でありますから、そういったところに着目しますと、この事業の企画あるいは政策形成過程をある程度その段階から県民の皆さんの目に見える形でおやりになった方がいいのではないのかなと、こういう考えであります。
 それで、県の情報公開条例では、政策形成過程は情報公開の対象外になっております。したがって、一部特殊なものはあるかもしれませんが、今までの反省に立って、こういったこれからの大規模事業などにつきましては、原則、政策立案過程や形成過程なども公開の対象にしていくべきではないかと、こう思っております。
 それから、先ほど総務部長は行財政構造改革プログラムに言及されましたが、これは一口で言いますと、手段であって目的ではないわけであります。いわば、行財政構造改革プログラムを実施してどういった県政をつくるかというのが本来の目標であろうと思います。
 それで、副知事にお伺いしますが、今回の決算を含めまして、これまでの県政運営を平成14年度の決算も含めてどう総括されているのか、そしてどのような教訓が得られているのか。それから、行財政構造改革プログラムはこれから実行に入るわけでありますが、その達成後、岩手県はどうなっているのか。知事に聞くのが一番いいと思うのですが、きょうは出張のようでありますから、副知事にビジョンをお伺いいたします。

〇高橋副知事 これまでの県政運営に当たりましては、総合計画で掲げた夢県土いわての実現に向けまして、生活者主権、地域主権、そして現場主義という基本理念に基づきまして、住民に身近な現場とか、そして市町村での総合行政が推進できるようにということで取り組んできたわけでございますし、また、政策評価システムを導入いたしまして、予算主義から成果主義への転換を図るということもやってまいりました。そういうことを踏まえて、より効果的で効率性の高い行政運営に努めてきたわけでございます。しかしながら、これまでの行政運営の改革に向けた取り組みにもかかわらず、大きな目で見れば、国の画一的な基準による補助制度なり経済対策一辺倒の公共事業の枠組みの中での取り組みであったということは否めない事実でございます。確かに社会資本の整備等は進んだわけでございますが、中央依存の体質というものは改善できなかったということで、先ほど総務部長からも話がございましたが、自主財源の少ない本県にとりましては、弱者の悲哀を味わうという状態でもあったわけで、財政的にも劇的な状況を迎えたということでございます。そういうことから、私どもとすれば、経済的にも精神的にも自立した岩手県というものを確立していかなければならぬ、そういう教訓を得たわけでございます。
 そういう反省に立ちまして、平成15年度から18年度までの4年間を自立を進める4年間と位置づけまして、40の政策というものを掲げこれを推進し、その実現の手段として行財政構造改革プログラムというものをつくったわけでございますが、これに基づいた行財政構造改革を進めるのだと、断行していこうということにしたわけでございます。したがって、私どもがこういう取り組みが達成された暁には、自立、参画、創造という総合計画の理念のもとで、地方みずからが地域の経営を担う自立型の社会が形成されて、地域に暮らす人々もその創造力を十二分に発揮いたしまして、みずからの責任と判断でお互いに役割を分担し合いながら、個性豊かな地域づくりに主体的に参画している社会になっている、そういう社会を目指そうと考えているところでございます。

〇佐々木順一委員 1点確認します。さっき言いましたが、政策の立案及び形成過程の段階も今パブリックコメントとかありますが、ある程度制度化してこういったものを県民の目に見える形で情報公開、情報提供と言った方がいいかもしれませんが、そういった仕組みをつくる用意があるのかどうか、この1点確認をさせていただきます。

〇照井総合政策室長 情報公開条例でございますけれども、これは県が保有する情報を公開いたしまして、県民による県政の監視と参加の充実を図るということを目的としております。開示請求に対しましては、原則公開としておりまして、意思形成過程情報も開示の対象となっております。ただし、公開することによって、誤解とか憶測に基づいて県民に混乱を生じさせたり、あるいは特定のものに不当に利益を与えるなどの支障が生じる場合などに限りましては、例外的に非開示とすることができることになってございます。
 一方、県民とともにつくる開かれた県政の推進を図るために、県では求められてから情報を提供するのではなくて、積極的にこれを提供することとしておりまして、県の重要な基本計画の案でありますとか、重点事業などの進捗状況、さらには審議会の会議内容等についても進んで情報公開をすることにしてございます。しかし、政策形成過程で県民の御意見を反映する仕組みが必ずしも十分でなかったり、あるいは職員一人一人が情報公開の精神を十分に理解して適切に対応しているとは言いがたい面もあったものと、このように認識してございます。例えば、これまでの公共事業評価制度においては、第三者委員会による外部意見の反映はあるものの、県民の方々の御意見が十分反映されるような制度にはなっていなかったり、また、パブリックコメント制度の運用に当たりましても、その周知方法が十分でなかったり、公表する内容もまた必ずしも県民の皆様にわかりやすいものになっていなかったのではないかと、こういったことを反省いたしてございます。このためには、政策等の評価に関する条例を制定するなどいたしまして、県民の意向を適切に反映させる仕組みの整備を図ったところでございます。
 いずれ、今後とも政策立案過程の情報も含めまして、県が保有する情報につきましては、適時適切に公開するように努めてまいりたいと考えております。

〇佐々木順一委員 総合計画の夢県土いわては、サブタイトルがたしか、みんなでつくる夢県土いわてでありますから、みんなというのは県民全員でありますから、ある程度問題点を共有しなければならないと思いますので、ぜひそういった方向で、いろんな仕組みを今後とも、現在の制度にさらに改善を加えて県民の参加を求めるようなものにしていただきたいと思います。
 それでは次に移りますが、話は変わりますが、平成14年度と平成15年度の県政の運営方針は知事演述を見るまでもなく変わっております。
 例えば平成15年度の知事演述では、さっきの究極の県政の目標であった夢県土いわてが消えております。さっき代表監査委員も指摘しましたが、知事演述では、岩手県総合計画に掲げる施策の着実な推進という表現もありません。常識的には、これは見直しというあるいは修正というような概念を超えておりまして、いわば一種の政策転換と、こういうことになるのではないかと思いますが、いかがでありましょうか。また、そういうことになると、今後、岩手県の総合計画はどういった位置づけになるのか。

〇照井総合政策室長 ことし6月の県議会における知事演述では、行政を取り巻く環境の大きな変化や本県の厳しい財政状況を踏まえまして、これからの岩手を経済的にも精神的にも自立する、非常に強固な自治体としていくことが最優先であるという考えから、これからの4年間を自立を進める4年間と位置づけておりまして、これは知事の強い決意をあらわしたものと受けとめております。
 一方、自立、参画、創造により夢県土いわてを実現するという、総合計画の理念、基本目標は、これは県民総参加で生きる喜びを実感することのできる社会を創造していくという意味が込められたものでございますが、本県の目指すべき姿として、普遍的なものであると考えておりまして、引き続き県政の基本指針として堅持していくことには変わりございません。このたびの40の政策は、県民一人一人がみずからの地域や暮らしに誇りを持てるような自立した地域社会を形成するために、総合計画に盛り込まれたさまざまの施策の中でも、この4年間に特に重点的、優先的に力を入れていくものを明らかにしたものでございます。
 したがいまして、まず総合計画があり、その目指すべき姿に到達するための当面4年間の施策として40の政策があり、この一つ一つの施策を確実に実施していくことが夢県土いわてを実現させるための重要なステップであると考えているところでございます。

〇佐々木順一委員 そうしますと、総合計画、基本計画、実施計画いろいろあるわけでありますが、実施計画までも見直す用意は現段階ではないということでありますか、確認します。

〇照井総合政策室長 実施計画の方でございますが、これは御承知のとおり平成17年度が目標になってございます。この終期の平成17年度までの達成状況などを十分評価しまして、その後の実施計画のあり方を考えていきたいと考えているところでございます。

〇佐々木順一委員 わかりました。では、予定どおりの時期に見直すということですね。となれば、ちょっと私わからないので確認だけさせていただきますが、今回の一連の政策転換――私から言わせればですよ――が到来したのは、知事のマニフェストの登場によると思っております。もし、あれがなかりせば、多分このまま前と同じような状況で進んでいたのではないかと思うのですが、しかしそれはそれで、今後総合計画を事務当局は推進をしていきます、一方、知事のマニフェストも尊重しなければならないとなると思いますが、作業をやっていくうちに両者が相反するような状況は生まれないと、そういったことはないということなのでしょうか。まず、そこを確認させていただきます。というのは、さっき御答弁でありましたが、職員の統一な認識も欠けていたという、何か御答弁ありましたよね、なかったですか、事業推進に当たって共通の認識が欠けていたというような御答弁もあったように記憶しておりますので。簡単に言いますと、知事を先頭にして、全職員同じ認識でもって作業に当たってもらわないとやっぱりよくないと思うのです。だから、さっきの前のお話になりますが、もし総合計画とマニフェストが競合した場合、相反する場合どちらを優先されるのか、なければなくて、そういうことはないであればなくてという答弁でも結構ですので、その辺、確認をさせていただきます。

〇照井総合政策室長 ただいま申し上げましたように、総合計画に掲げる目標、みんなで創る夢県土いわてを実現するために、平成15年度から平成18年度までの4年間に特に重点的、優先的に取り組んでいくものが40の政策でございますが、この40の政策の取りまとめに当たりましては、マニフェストの七つの重点施策と二つの緊急課題につきまして、総合計画の基本構想や基本計画の理念を踏まえて、政策ごとにその具体的な目標でありますとか、期限を設定しながら県の政策として整理したものでございます。したがいまして、総合計画とこのマニフェストを具体化した40の政策は整合性が図られているものでございます。

〇佐々木順一委員 わかりました。時間がないので次に行きます。
 次に、職員のさっきの認識について伺いますが、平成14年度の県職員満足度調査によりますと、今の仕事にやりがいを感じている職員は63.8%で、年齢の低下に比例してやりがいの低下も顕著になっていることが明らかになっております。また、みずからの職場については、今までの行政システム改革によって仕事の仕組みや進め方が生活者や地域の視点に立って効率的・機動的に改善されてきていると評価する職員は30.5%にとどまっております。まさにこの数字は、庁内に政策以前の問題が内在しているということを裏づけるのではないかと思うのですが、それで、これまでのやり方を含めまして、行政システム改革は結果的に職員の共鳴を得ていなかったということになろうかと思います。ついては、どこに問題があったのか、また、この結果を踏まえてこれまでどのような対策を講じてきたのかお伺いいたします。
 同時に、今回、行財政構造改革プログラムですか、職員に痛みを求めたわけでありますが、これは職員心理にどのような影響を与えているのか、そしてまた、この行財政構造改革プログラムは職員の支持をどの程度得られているのかお伺いいたします。

〇照井総合政策室長 県では、これまでも数次にわたりまして行政改革に取り組んできたところでございます。これまでの改革では、事務事業評価でありますとか公共事業評価制度の導入、行政品質向上運動などの民間企業の経営管理手法の導入、あるいは地方振興局への権限委譲などに取り組んできたところでございます。しかし、こうした取り組みは、機動的で効率的な行政運営でありますとか、情勢の変化等に対応した柔軟な施策の推進を目指すものでございましたが、これに対する職員の評価が低いものとなっているということにつきましては、率直に反省すべきものと認識しております。
 この原因でございますが、行政改革の目指すものが職場の末端まで浸透し切れておらず、改革改善に向けた職員意識の共有化が十分に図られていなかったということ。また、事務事業評価制度とか行政品質向上運動などのそういう手法――ツールですが――の導入の目的が職員に必ずしも十分に理解されず、作業自体がいわば目的化してしまいまして、結果として職員にやらされ感が強いものになってしまったこと。それからまた、改革改善のための今の手法――ツール――は示したのですが、それを、では日常業務の中でどのように生かしていくのかが十分に浸透し切れていなかったこと。こうしたことのために、職員には改革改善のその必要性の認識はあるものの、それを日常の職場の中で具体的な行動に結びつけていくことができなかったということです。それからまた、改革改善に向けた上司のリーダーシップが不足していたことなども挙げられます。
 こうした反省に立ちまして、すぐれた改革改善の取り組みに対する知事表彰でありますとか、あるいは庁内イントラネットを活用しました各職場における改革改善運動の紹介コーナーを設けるなどしまして、業務改革への取り組みやその意欲を引き出すための仕組みづくりを進めるとともに、知事と部局長の意見交換でありますとか、課長級を対象としたセミナーなどリーダーシップを発揮させるための取り組みも行ってきているところでございます。
 このたびの行財政構造改革プログラムは、職員にとりましても、給与の減額だけでなく、これまでのいわば価値観の転換を促すようなそういう内容も盛り込まれておりまして、職員の士気に影響を与えることは十分認識してございます。しかし、この改革は、これまでの業務のあり方やその仕事の進め方を抜本的に改めまして、新しい視点に立った行政運営システムを構築しようとするものでございますので、このことについては、知事みずからが職員に直接説明し、また、意見交換などを行っているところでございます。こうした取り組みを通しまして職員にこの改革の背景やねらいを十分に理解浸透されれば、職員からの支持が得られ、職員が主体的にこの改革に取り組むようになるものと期待しているところでございます。

〇佐々木順一委員 いずれ、新しい行財政構造改革プログラムがこれからスタートするわけでありますので、一層の浸透を図るための御努力をお願い申し上げたいと思います。
 次に、本決算の総括的反省を踏まえまして、今後の問題を発展的にちょっと伺わせていただきたいと思いますが、まず、行財政構造改革プログラム達成後、県はどういった行政体を目指しているのでありましょうか。今はやりの言葉で言いますと、市町村、県、国対等だということでありますから、一つの独立した地方の行政体ということになると思いますので、したがって、県民の負担を求める、求めないというのが最後大きな議論になると思いますので、本県としては、平たく言いますと大きな行政体を目指すのか、小さな行政体を目指すのか、その辺の目標、あらかじめそういったものを念頭に置きながらこのプログラムは進めないと、だんだんに県民負担を求めることになっても、これはちょっとぐあい悪いわけでありますので、最初からやっぱりその辺を確認して、そして取り組んでいただくためにも、どういったものを目指しているのかお伺いをしたいと思います。
 それから、よく身の丈を越えたという表現がいろいろ随所にあります。そしてまた、反省という言葉も今の答弁でもありましたし、知事自身も使っております。反省と言ってもこれは次郎でもできるわけでありますが、それから身の丈と言ってもなかなか、私は163センチしかないのでありまして、いろいろいろんなところでたたかれたからちょっと成長がおくれました。副知事もお見受けするところ大体163センチぐらいだろう……、2センチですか。いずれ庁内で順調にお仕事をされてきたわけでありますが、恐らく終戦後の余り栄養のよくない状態が災いしたのかと思っております。一方、知事は183センチぐらいあると思いますが、いずれにしろ身の丈と言ってもなかなか、感覚的にはわかるのでありますが、逆説的にはこれからは身の丈に合った岩手県を目指すということにもなると思うのですが、しかしながら、極めて抽象的でありますので、ついてはこの辺も踏まえて具体的にどういった財政規模の岩手県を目指しているのか、できれば論理的な御説明をいただきたいと思います。

〇照井総合政策室長 私からは、本県が目指す行政経営体としての姿についてお答えいたします。
 今回の行財政構造改革は、官と民、県と市町村との適切な役割分担のもとに、県は組織のスリム化、業務の効率化を実現しまして、安定した行財政基盤のもとに、県民にとってこれまで以上に質の高い行政サービスを提供できる行政経営体に変わるということを目指すものでございます。具体的には、官から民へ、つまり民間でできることは民間でという原則を推進してまいりますし、また、住民に身近な行政サービスは、できる限り住民に身近な市町村が担うということを基本といたしまして、市町村中心の行政システムを構築するため、より多くの権限を市町村に移譲することといたしてございます。
 こうした権限の市町村への移譲に伴いまして、県の役割というものは、市町村を包括する広域的自治体として、広域の圏域における戦略的あるいは効果的な政策を自立的に展開できるように変容していかなければならないと考えているところでございます。いずれにいたしましても、大事なことは、大きいとか小さいとかということよりも、こうした県の果たすべき役割を十分に担い得るような強い、いわば筋肉質の行政経営体に転換することであると考えております。

〇時澤総務部長 身の丈に合った財政規模について、私の方からお答えさせていただきます。
 身の丈に合った財政規模と言いますのは、県税等の歳入に見合った歳出規模となるような財政の姿を考えているところでございます。平成4年度以降、国の経済対策に呼応しまして、いろんな公共事業、社会資本整備を行って集中的にやってきました。その間、生活関連基盤でありますとか産業経済の基盤、あるいは交通基盤、いずれも夢県土いわての土台づくりとしてこれは必要なものであったわけでございますけれども、交付税措置のある起債を活用いたしまして前倒しで実施をしてきたということ、結果として、これがいわゆる身の丈を越えた規模であったということは否めないのではないかと考えたところでございます。
 したがいまして、まず、この公共事業の投資規模と言いますのを、国の経済対策が始まる以前の水準に今、戻すと、そしてその上で歳出削減あるいはその公債費負担の平準化によりまして、主要3基金の取り崩しに依存しない県税等の収入の範囲内で適正規模の財政支出に努めていくことが、すなわち、その身の丈に合った行政体の姿であると考えておりまして、これによりまして持続可能な財政運営が可能となると考えているものでございます。

〇佐々木順一委員 わかりました。いずれ公共事業に関しては平成4年と言いましたか、その辺が一つの目安かなという理解をいたしましたが、それでは関連してちょっと伺いますが、目標的な今、説明は了とはしませんが、まず理解をいたします。しかしながら、今度県民の方の立場に立ってちょっと伺いますが、この行財政構造改革プログラムを実行していきますと、4年後の県民の受益と負担の関係、簡単に言いますと、県民の負担が今よりもどうなっているのか、その辺、端的にお答えできればありがたいと思いますが、どうなっているか、その点だけ確認をさせていただきます。

〇照井総合政策室長 行財政構造改革プログラムを進めた場合の県民の受益と負担の関係ということでございますが、これは具体的な数字でお示しすることはなかなか難しいところがございます。今後、県としましては、心の豊かさとかゆとりとか、あるいは安全・安心、こういうものがいわば県民の生活水準をはかるような物差し、尺度になっていくのではないかと考えております。このため、岩手が持っているすぐれた地域特性を生かした政策を推進いたしまして、岩手ならではの地域づくりを進めていくということが重要だと考えております。
 具体的には、例えば生産者と消費者の距離が近いという特性を生かしまして、安全・安心な農林水産物をより低コストで提供するとか、あるいは結いなど地域での人々のつながりが強いという特性を生かしました岩手型福祉の実現、充実とか、あるいは豊富な森林資源という特性を生かした地元のバイオマスエネルギーを生かした生活スタイルの実現とか、こうした取り組みを通じまして、ただいま申し上げました県民の皆様が心の豊かさとか、ゆとりとか、安全・安心を実感して、いわば物心バランスのとれた人間らしく生活できるようになるものと考えているところでございます。強いて言えば、このプログラムの中で県民の皆様にお願いした痛み、つまり負担がこうしたことによって得られる対価、受益と認識しているところでございます。

〇佐々木順一委員 それでは、ちょっと視点を変えて確認します。負担となれば、所得が伴わなければ負担できないわけでありますので、総合計画では県民所得について着実な上昇を掲げております。中間年次の平成17年の1人当たりの県民所得は299万4、000円と見通しを立てておりますが、今の不況情勢の中で、また、行財政構造改革プログラムを実行した中で、最終的にこれに沿ったものになるのかどうか、その見通しだけ1点確認をさせていただきます。

〇照井総合政策室長 1人当たりの県民所得でございますが、平成12年度まではおおむねこの見通しに沿いまして順調に推移してまいりました。しかし、平成13年度の1人当たりの県民所得は対前年比で6.4%減の246万円と大きく減少してございます。これは、平成13年度は、アメリカを中心といたしまして世界的なIT関連需要の冷え込みによる、製造業の生産の減少でありますとか設備投資の抑制によって急速に経済情勢が悪化して、国の経済成長率、これは実質ですがマイナス1.4%となり、本県におきましても、その影響を受けて、製造業が最も低い生産水準まで落ち込み、本県では経済成長率、実質がマイナス5%と4年ぶりのマイナス成長となるなど非常に厳しい状況にあったことによるものです。
 平成14年度以降も、全国的に見ますとデフレの長期化による経済不況、失業率の増加などにより、景気は横ばいで推移しておりまして、本県におきましても、県内企業の経営破綻や誘致企業の撤退が相次ぐなど、県内景気は低迷状態が長引いておりまして、回復の見通しは依然厳しい状況が続いてございます。このような状況から、平成17年度におきまして、1人当たり県民所得が総合計画の見通しどおりになるかどうかは難しいものと見込んでおるところでございます。

〇佐々木順一委員 わかりました。それではなかなか県民の負担を求めるのもつらいと思いますので、いずれにしろ将来の予測は現段階ではなかなか困難ではあると思いますが、県民負担を求めるとなると所得が伴わないとこれは難しいわけでありますので、いずれにしろ総合計画は当面見直さないということでもありますので、その線に沿っていくとこの県民所得、平成17年の目標はいずれまだ生きていると、目標に向かってやっぱり努力しなければならぬということになろうかと思いますので、ひとつ県当局の一層の御努力を御期待申し上げる次第であります。
 それで、時間がなくなりましたので大分省略をいたしまして、次に行きます。今後の政策評価のあり方と、それから盛岡駅西口の整備事業についてお伺いいたします。
 まず、政策評価についてでありますが、平成9年度から事務事業評価を導入して以来、公共事業政策評価、いろいろ取り組んでこられました。そして、本年の9月議会で、すべての政策評価システムを包括的にまとめた政策等の評価に関する条例として一応の完成を見たわけでありますが、しかしながら、これで完結ということにはならないと思います。すなわち、客観的評価、この条例には入っておりますけれども、完璧な客観的評価とはならないわけでありまして、これからは客観的評価をいかに担保していくかというところに対しても、考えをめぐらせていく必要があるのではないかと思います。最近、NPOとかいう団体がやる政策評価が関心、注目を集めておりますが、今後は内部評価とは別にこういった完璧な客観評価を行うような団体の評価も、県の政策立案形成の中でそういった評価の仕組みも導入していく必要があるのではないかと考えているところでありますが、御見解をお願いしたいと思います。
 それから、盛岡駅西口の問題ですが、過般、県はこの事業について、議会でもさまざま議論になったわけでありますので、政策評価と事務事業評価を実施されました。結果として、初めての試みでありながらも事業着手の正当性を確保されたところでありますが、しかしながら、これは条例を導入する前の評価でありました。したがって、新しく条例に裏打ちされた政策評価というものがあるわけでありますので、もう一回この条例に裏打ちされた政策評価を再度実施すべきではないかと思っておりますが、御見解をお願いしたいと思います。
 それから、花巻空港の滑走路の平行誘導路に対して公共事業評価をやりましたが、それでちょっと聞きます。平行誘導路の完成まであとどのぐらい予算が必要なのでしょうか。それから、何か聞くところによりますと、平行誘導路の工事の休止の代替案として芝生を植える案が検討されているとのことですが、植栽に要する経費、あるいは、これは5年後ですか、いつになるかわかりませんが、除去することにもなろうと思いますが、その経費は幾らなのか。そしてまた、まだ工事をどうするかという最終的な決定をしていないようでありますので、いつ行うのか、あわせてお伺いをいたします。

〇照井総合政策室長 私からは、今後の政策評価のあり方についてお答えいたします。
 このたび、政策評価システムのより一層の透明性、客観性を高めようということで、政策評価条例を制定したところでございますが、この条例におきましては、第三者委員会である政策評価委員会の位置づけでありますとか調査権というものを明確にするとともに、委員会がみずから必要に応じて県民から意見を聞くことができるようにしたほか、政策等の評価結果については速やかに公表して、県民から御意見をお聞きし、その意見をその後の政策立案や評価の手法などに反映させるなど、より透明性や客観性が高くなるような仕組みとして整備したところでございます。
 今後におきましては、こうした仕組みにとどまらず、県とは異なった立場からの、例えばNPOなどの方々から県が行う施策やその評価結果について検証いただくということもまた重要であると考えております。この県が行う評価とは別に、県民の批評を仰ぐシステムを構築することについては、どちらかといえば県がイニシアティブをとるというよりは、NPOなどの方々に自主的に取り組んでいただく性質のものかなと考えておりまして、将来こうした動きが出てきた場合には、県としてどのように対応していくことが適切であるのか、そのあり方について研究してまいりたいと考えております。

〇大沼地域振興部長 盛岡駅西口の複合施設整備事業に係ります政策評価についてでありますが、昨年度、建設工事に着工する前に費用便益費等を試算するなどによりまして評価を行い、本年度も継続実施しているところであります。来年1月施行の政策等の評価に関する条例におきましては、大規模事業評価が新たに導入されまして、事前評価と事後評価とを行うことになっておりますが、本事業につきましては既に着工されておりますので、今後は完了後の事後評価の対象となるものであります。条例に基づきまして適切に評価を行う必要があると考えているところであります。

〇高橋副知事 花巻空港の平行誘導路でございますが、いずれこの平行誘導路、平成15年度までには用地造成工事が概成することになっております。その後でございますが、造成工事の仕上げに約3億円、それから休止をすることとした舗装工事には約20億円、計23億円必要になるということでございます。植栽の工事でございますが、これは約2億4、000万円、そしてそれを撤去するというか除去する工事には約6、000万円、その関係では約3億円ぐらい必要ではないのか、そういうような経費を見込んでおるところでございます。それから、工事休止の決定の関係でございますが、この舗装工事、当面5年間休止することにしたわけでございますが、これは10月29日に公共事業評価委員会から意見書を受けまして、10月31日に県として内部的に決定をいたしまして、ホームページで公表しているということでございます。

〇佐々木順一委員 植栽の関係で、単純な発想なんですが、植えてまた撤去して経費をつぎ込むというところについて、むだなような気もするのですが、その辺どうなんでしょうか。そこだけちょっと確認します。20億円と今言っていましたね。やった方がいいのではないでしょうかという感じもします。いかがでしょうか。

〇高橋副知事 今舗装工事20億円やるなら、3億円やらないで20億円やった方がいいのではないかということがございました。いずれこの植栽の関係は、工事を休止してそのまま用地造成だけで放置しておきますと、それ以上にいろいろ管理上の支障が出て経費がかかるということで、必要最小限の管理ということで、この方法が一番安上がりだということで選択したものでございます。

〇佐々木順一委員 次に移ります。雇用問題について伺いますが、昨年度の雇用創出実績について伺います。それから、あわせてこの中から、いわば常時雇用、正式雇用という表現がありますが、それは何人ぐらいになったのか。
 また、県の方で常時雇用あるいは正式雇用という概念をどう規定されているのか、御説明をいただきたいと思います。

〇高橋副知事 まず、雇用の実績でございますが、平成14年度の創出目標は6、400人でございましたが、実績は7、686人ということで、達成率で言えば120%ということでございます。なお、サービス関連産業による雇用創出につきましては、目標2、550人に対しまして、2、548人の雇用創出ということで、ほぼ計画どおりということでございます。そのうち常時雇用に係る人数でございますが、基金事業につきましては、雇用創出実績3、519人のうち、139人が常用雇用に結びついておりますし、基金事業以外につきましては、3、800人の目標に対して、4、167人の常用雇用を達成したところでございます。
 それから、常時雇用の概念でございますが、これは国において、雇用期間の定めのないまたは4カ月以上の雇用期間が定められている仕事としているところでございまして、県でもこの国の定義を採用しているところでございます。

〇佐々木順一委員 わかりました。いずれにしろ雇用問題、憲法でも一応、国民は勤労の権利を有し義務を負うとありますので、これは本当に今の状況を見ると、憲法違反にはならないと思うのですが、仕事をする義務があるし、行政の方は紹介する責任があるということになると思うのですが、しかしながら、特に将来、今のフリーター等を見ましても若年層の雇用状況が非常に厳しいものがあります。本年10月末の来春卒業予定者の就職内定率も先般新聞等に載りましたが、前年度と比較してマイナスが多いし、短大・高校含めて、高校が横ばい状態、数字は省略いたしますが、いずれにしろ超低空飛行という状況にあります。
 一方、国会では職業安定法が改正されまして、来年度ですか、自治事務として地方自治体が無料の職業紹介事業を行うことができるとなったようでありますが、いずれにしろこれを実効あらしめるためには県と市町村の――当然なことでありますが――当事者意識が、特に市町村の方も同様な認識が必要であろうと思いますが、いずれ各市町村の主体的取り組みにかかっているのではないかと思っております。それで、法律改正に伴って市町村に対してどういった当事者意識を意識してもらうか、そういった今後の県の指導、取組方針につきましてお聞かせいただきたいと思いますし、もう一つは若年雇用対策について、これについて今後どう取り組んでいかれるのか。この前、本会議でも若者自立・挑戦プランですか、国のこういった政策に呼応して今後種々講じていかれるということはお聞きしましたけれども、今後フリーター対策を含めまして、若年雇用対策に対してどう取り組まれるのか。そしてまた、当面の目標値をどう据えておられるのかお聞かせいただきたいと思います。

〇高橋副知事 職業安定法の改正が行われ、これは平成15年度末で今のところは施行される見込みと、3月ごろではないかということでございまして、これによりまして地方公共団体が対象者を特定して無料職業紹介業務を行うことができるようになったわけでございますが、ただ、これにつきましては、附帯的に行われるものというような制限がございますので、そう簡単にはなかなかいかないということでございます。もちろん県では、これはU・Iターン事業の促進のための有効な手段だということで、導入検討を進めておりますが、市町村につきましては、既にこの制度自体の周知を図っておりまして、市町村がそれぞれの地域の実情に合わせたさまざまな雇用対策を行う上で、このような事業を積極的に取り組めるようにいろいろと打ち合わせ等を今行っているところでございまして、県としても適切な助言、支援をしてまいりたいと考えております。
 それから、フリーター等の若年雇用対策でございますが、これはいずれ岩手労働局、また、関係団体等と連携・協力をいたしまして、高卒者の求人開拓とか就職面接会、また、就職ガイダンス・職業講習の開催などによりまして、職業意識の形成、また、就職の支援等に取り組んでいるところでございます。それから、岩手労働局と連携した新たに設置する若年者のためのワンストップサービスセンター、いわゆるこれをジョブカフェと言っておりますが、このジョブカフェではカウンセリング、それから職業紹介機能の充実を図りまして、支援を強化していくということにしているところでございます。また、いわゆるフリーターにつきましては、これまでも地方振興局の就職支援センターで就職相談等によりまして就職を支援してきたわけでございますが、さらに、今申し上げましたジョブカフェでその充実を図っていくということで考えておりますし、また、今後におきましても、国の若者自立・挑戦プランの具体化を受けまして、本県の実情に応じて有効と考えられる施策の導入を図っていく考えでございます。
 それから、目標値ということがございましたが、この目標値につきましては、40の政策におきまして平成19年3月卒業の新規高卒者就職率――これは県外就職を含む数字でございますが――を95%まで、それから大卒者就職率は同じく85%までに伸ばしたい。そして、新規高卒就職者の就職から3年以内の離職率でございますが、これを11年3月卒業者の51.2%から、15年3月卒業者につきましては45%以下に抑えたいという目標を掲げてございます。

〇佐々木順一委員 時間もなくなりましたが、最後に1点だけ副知事にお伺いしまして質問を終わりますが、副知事の職務は、長と一体化して地方公共団体の重要な政策を決定し、長の補助機関たる職員の担当する事務を監督することが本分であります。内外情勢、殊のほか急変する今日におきまして、明年は、副知事は何に意を用いて県政執行に当たられるのか、1点確認をさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。

〇高橋副知事 来年の職務執行についての基本姿勢ということでございますが、いろいろ今までの議論でもございましたように、大変厳しい環境が続いているわけでございますし、県民の方々、職員の方々にもそれなりに痛みを分かち合いいただいているという情勢もございます。それらの中で私どもは、やはり自立できる岩手、誇れる岩手というものを何としても確立していかなければならぬと考えておりまして、来年はこの岩手の自立、地方の自立に向けて全力を傾注してまいりたいと思っております。

〇佐々木順一委員 高橋副知事の武運長久をお祈りいたしまして、代表質疑を終わります。ありがとうございました。

〇柳村岩見委員 自由民主クラブの柳村岩見でございます。
 私は、自由民主クラブを代表いたしまして、平成14年度決算につきまして総括的に質問させていただきます。質問に当たり、平成14年度の決算に関連して、おのおのの施策が平成14年度を経て現在どうなっているのか、今後の見通しやお考えについてもお伺いすることになりますことをお許しいただいておきたいと思います。
 改めて岩手県の平成14年度を振り返ってみますと、12月1日、東北新幹線盛岡-八戸間97キロメートルが開業、それと同時に盛岡以北の並行在来線運営をJRから引き継いだ第三セクターIGRいわて銀河鉄道が開業した年でありました。さかのぼる3月、岩手県と青森県にまたがる産業廃棄物不法投棄で、廃棄物総量が82万立方メートルに上ることが判明、1990年に摘発されました香川県豊島事件の約45万8、000立方メートルを大幅に上回る全国最大規模の産業廃棄物不法投棄事件となりました。7月11日、台風6号が県内を襲い、大雨の影響で、釜石市で土砂崩れが発生し家屋3軒が押し流され、2人のとうとい命が失われたほか数人のけが人が出ました。河川の堤防決壊や浸水などで延べ4、700世帯、1万人以上に避難勧告指示が出され、床上・床下浸水は3、600世帯を数えるという大被害をこうむったことは記憶に新しいところであります。経済界では、雪印食品事件が本県にも波及、東北雪印食品の全従業員解雇、アルプス電気盛岡工場閉鎖、本社が盛岡市の東北最大総合建設業高弥建設の民事再生法申請、県内最大手青果物卸業岩果が集荷業務停止処分を受けた後、自己破産するなどのほか、BSE対策に追われた1年でありました。
 振り返って、県当局から見る平成14年度が岩手県と岩手県民の暮らしにとってどのような1年であったと考えておられますか。また、平成14年度の県政全般を顧みてどのように評価されておられるかについて、まずもってお伺いをいたします。

〇高橋副知事 いろいろ既にお話がございましたが、改めて岩手県、県民の暮らしにとってどんな1年であったかということを申し上げてみたいと思います。
 平成14年度は、国際的にはイラク、それから北朝鮮情勢が非常に緊迫した状況になりまして、世界平和、また、世界経済への不安が増大をいたしまして、国内においても、デフレの長期化による経済不況、また、失業率の増加など、閉塞感が漂う1年でございました。その影響が本県にも生じまして、県内企業の経営破綻、また、誘致企業の撤退が相次ぎまして、雇用情勢が一段と厳しさを増しましたほか、7月には台風6号が参りまして、沿岸、県南部を中心に大変大きな被害を受けるなど、暗い話題が何かと多くて、本県、県民にとりましても、大変将来展望が難しい、厳しい1年であったと思っております。しかしながら、12月1日、ちょうど1年前には県民の待望久しかった東北新幹線が八戸まで延伸をされまして、はやてが走り始めました。盛岡以北にも高速交通時代が到来をし、また、IGRいわて銀河鉄道も開業いたしました。それから、小笠原選手がワールドカップにも出場したということもございまして、幾らか県の将来に明るい光をもたらすような話題もあったわけでございます。
 平成14年度の県政全般につきましての評価でございますが、少し具体的に申し上げてみますと、まず廃棄物の適正処理関係、循環型地域社会形成のために岩手県産業廃棄物税条例と循環型地域社会の形成に関する条例、それから県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議等に関する条例、この3条例を制定いたしました。また、県境廃棄物対策では、現場の環境再生と排出業者等の責任追及に向けた取り組みを行ったところでございます。それから、食の安全安心委員会を平成15年3月に設置いたしまして、食品の安全性の確保及び県民が安心することができる食生活の確保にも取り組んでおります。それから、産業関係では平成14年4月に岩手県地域連携研究センターを設置いたしましたし、また、いわてインキュベーションファンドに対して出資をいたしました。また、ペレットストーブの試作品を完成させるということで、バイオマス利用の推進にも取り組んでおります。さらに、東北新幹線盛岡以北の建設促進とあわせまして、並行在来線についてはIGRいわて銀河鉄道株式会社を支援いたしまして、地域交通の確保にも努めたところでございます。それから、岩手男女共同参画推進条例を制定いたしまして、男女共同参画に関する基本理念を定めるほか、NPOとの協働を進めるためのガイドラインも策定いたしまして、NPOとの協働の促進に努めたところでございます。
 平成14年度はいろいろとそういうような取り組みを行ったところでございますが、その一端について申し上げましたが、各分野におきまして、それ以外にも積極的な施策の展開を図ったところでございまして、総じて所期の成果を上げたものと考えているところでございます。

〇阿部敏雄委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時51分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇阿部敏雄委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

〇柳村岩見委員 平成14年度の予算編成では、歳入においては県税収入が大きく減少するとともに、地方交付税や国庫支出金についても大幅な減少が見込まれる一方、歳出面においては公債費の増嵩に加え、大規模プロジェクトの事業費が増大するなど、極めて厳しい状況の中で当初予算規模8、680億2、100万円余と編成されました。
 平成14年6月には、BSE関連対策として緊急に予算補正を専決処分したほか、同年9月、台風6号に伴う大雨洪水災害対策として緊急分を専決処分、補正をされました。加えて、同台風被害復旧に要する経費156億円のほか、国庫補助事業の決定等に伴う事業費に追加及び変更を要するもの等、事業執行上、計上を要するものとして総額282億600余万円を補正しております。平成14年12月には、一般職の職員及び市町村立学校職員の給与改定等に要する経費の総額61億2、730万8、000円を減額補正、平成15年3月には、国の補正予算改革加速プログラムに対応する経費のほか、国庫支出金の決定及び事業費の確定に伴う整理及び事業執行上、計上を要するものなどを中心に増減をし、結果として総額113億2、851万4、000円を増額補正し、加えて、繰越明許費として148事業に係る予算を次年度に繰り越している内容であります。その結果、先ほど御説明をいただいたとおり、歳入で9、122億5、763万円、対前年比565億2、329万円、5.8%の減、歳出で8、958億3、238万円、対前年度比486億5、978万円、5.2%の減となり、決算収支は実質収支で21億3、962万円の黒字となったものであります。平成14年度諸施策の多くの推進事業が予算執行を通し実施をされました。決算も定まったところでありますが、その成果として、歳入歳出それぞれの決算総額をどのように評価されておられるかについてお伺いをいたします。

〇時澤総務部長 平成14年度決算につきまして、歳入は長 引く不況のために法人事業税、県民税利子割等の減によりまして、税トータルで申し上げますと133億円、対前年度マイナスということで10.8%の減となっておりますし、地方交付税につきましても、地方財政対策によりまして地方交付税が臨時財政対策債に振りからえれたこと等によりまして2.4%の減ということで、歳入総額、先ほど議員おっしゃられましたけれども、5.8%の減となっているところでございます。
 一方、歳出につきましては、義務的経費が公債費の増加によりまして1.8%の増、投資的経費が東北新幹線建設促進対策の減少などによりまして9.7%の減ということで、歳出につきましては5.2%の減となっているものでございます。
 これにつきましての評価でございますが、国の改革断行予算として予算編成方針等を踏まえまして、歳出の一層の重点化、効率化を図り、歳出規模が抑制されたものと考えております。収支の面でも単年度収支は赤字でございますけれども、実質収支は黒字となっております。これを財政関係の指標から見てみますと、県税、地方交付税の減少に加えまして、公債費の増加を背景といたしまして、経常収支比率、公債費比率、義務的経費比率、いずれも上昇しているところであり、財政の弾力性が低下していると認識しており、経常経費の削減に努めるなど、財政構造の健全化の確保に向けた取り組みが必要であると認識しているところでございます。

〇柳村岩見委員 次に、財政状況についてでありますが、歳入の主なものである地方交付税、国庫支出金、県債、県税、諸収入については、平成14年度予算審査におきましても多くの質問があったところであります。平成14年度中、それぞれの歳入項目において確定及び計上に必要なものについて補正が行われてまいりました。予測と結果という意味において、当初予算に対して決算ではどうなったかにつきましての状況、御認識とあわせてお伺いをいたします。
 一方、財政確保においては、確保されたかどうかということと同時に、どのような方法で確保されたかが問題でもあり大事なことであります。特に、特定財源が平成13年度に比べて国庫支出金が15.3%減少する中で、一般財源では、県債一般財源分が48%増加いたしております。この結果、平成14年度県債残高がどのようになり、平成15年度予算執行中でありますけれども、現在はどうなっておりますかについてお尋ねをいたします。
 あわせて、主要3基金とそれ以外の地方振興基金、自治振興基金、産業振興基金の平成14年度末残高と現在残高につきましても確認しておきたいと思いますのでお伺いをいたします。

〇時澤総務部長 まず、平成14年度当初におきます歳入見積もりでございますけれども、これは地方財政計画等の指標を基本といたしまして、本県の実情も加味しながら算出しております。例えば県税収入につきましては、前年度決算見込み額のベースがございますので、これに国の経済指標、地方財政計画等の税収見込み、さらには県内の景気動向等を勘案して積算をいたしますし、地方交付税につきましては、前年度の額をベースにいたしまして総務省から指示伸び率というものが示されるわけでございますので、そうした指示伸び率をもとに本県におけます事業費補正、公債費等、これは実績で見込みがつけられますので、それを加味して推計をする。国庫支出金につきましては、前年度の実績をベースにいたしまして、各事業ごとに国の概算基準で示された増減率等を勘案して算出するという見込みを行っているわけでございます。
 決算との比較をしてみますと、まず県税につきましては、預貯金利率の低下によります県民税利子割の減少、電気機械等の製造業及び非製造業の建設、銀行等の落ち込みによります法人事業税の減少、それによりまして税につきましては、27億円の減少となっております。
 一方、地方交付税につきましては、基準財政需要額の算定が当初の推計を上回ったこと、また、基準財政収入額が税収の減収等によりまして当初の推計を下回ったこと、両方がプラス要素に働きますので、あわせまして地方交付税は102億円の増加となっております。
 国庫支出金につきましては、災害復旧事業の実施によります補正によりまして45億円の増となっておりますし、県債につきましては、災害復旧事業、経済対策の実施によります補正、あるいは前年度からの繰り越しによりまして253億円の増加となったところでございます。
 県債残高及び基金残高でございますけれども、まず県債残高につきましては、平成14年度末で1兆3、238億円余ということでございまして、平成15年度末、これは見込みになりますけれども、1兆3、681億円余ということで、14年度から現在の15年度の見込みにつきましては3.3%程度増加するのではないかと見込んでいるところでございます。
 一方、基金につきましては、平成14年度末基金残高、財政調整基金、県債管理基金、公共施設等整備基金、主要3基金で申し上げますますと平成14年度末現在高が749億円余ということになります。平成15年度末の見込みにつきましては、431億円余という数字を現在見込んでいるところでございます。

〇柳村岩見委員 ただいま法律に定められる基金、このように基金をしなさいと、こういうことでもあるわけでありますが、地域振興基金、自治振興基金、産業振興基金、おのおのの基金の性格がありますけれどもも、これの現在残高についてもお尋ねしたつもりであります。

〇時澤総務部長 失礼いたしました。地域振興基金につきましては平成14年度末で50億9、200万円、自治振興基金につきましては205億8、600万円、産業振興基金につきましては10億8、100万円ということになっております。これを平成15年度末で見てみますと、地域振興基金につきましては、平成14年度末の50億円程度から平成15年度末は40億円強と見込んでおります。自治振興基金につきましては、平成14年度末の205億円が195億円余と見込んでおります。産業振興基金につきましては10億8、100万円、同額を平成15年度末は見込んでいるところでございます。

〇柳村岩見委員 平成14年度予算の執行が結果として平成11年8月に策定いたしました岩手県総合計画に掲げます五つの社会実現の推進にどのように反映されたかということについて、そのお考えについてお尋ねをいたしたいと思います。特にも、平成11年から平成17年までの前期7年間に実施すべき243の主要な事業がどのように進捗されたかについてお伺いをいたします。

〇照井総合政策室長 まず、総合計画に掲げる五つの社会の実現の状況につきましては、毎年度主要な指標の進捗状況を分析することによりまして、推進の度合いを検証しているところでございます。平成14年度に実施した施策が、五つの社会の実現に向けてどのように反映されたかを、各社会ごとにこの主要な指標の動向により申し上げます。
 まず、第1社会の自然と共生し、循環を基調とする社会では、例えば県民1人当たりごみ排出量やCO2排出量削減率などの指標の到達度は低かったものの、ISO14001取得団体数や産業廃棄物適正処理率などの指標の到達度は高かったことから、第1社会全体といたしましては、実績値が目標値に向かって順調に進んでいる指標の割合は、前年度より8ポイント上回って54%となってございます。
 次に、第2社会の快適に安心して暮らせる社会では、放課後児童クラブ利用率や人口10万人当たり医師数などの指標の到達度は高かったものの、乳児死亡率や人口10万人当たりの肺がん死亡率などの指標が悪化したため、同様に順調に進んでいる指標の割合は、前年度より4ポイント下回って69%となってございます。
 次に、第3社会の創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会では、有機農産物等認証数量や起業化件数などの指標の到達度は高かったものの、地場産業製造品出荷額や卸・小売業販売額などの指標の到達度が低かったことから、順調に進んでいる指標の割合は、前年度と同率の38%となっております。
 次に、第4社会のネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会では、三陸鉄道利用者数や海外への渡航者数などの指標の到達度は低かったものの、沿岸地域から盛岡市までの到達時間や学校におけるコンピューター設置割合などの指標の到達度が高かったことから、順調に進んでいる指標は、前年度より6ポイント上回って73%となっております。
 次に、第5社会の個性が生かされ、共に歩む社会では、県立大学公開講座参加者数やNPO認証団体数などの指標の到達度は高かったものの、スポーツ実施率や小学校5年生の児童生徒運動能力などの指標の到達度が低かったことから、順調に進んでいる指標は、前年度より5ポイント下回って67%となっております。
 以上、五つの社会を全体として見ますと、主要な指標全221指標のうち、この指標を測定する際に用いられている国の調査が毎年度実施されないなどの理由から、測定できなかった20指標を除く201指標の進捗状況は、順調に進んでいる指標の割合が前年度と同率の54%となっておりまして、おおむね良好であり、平成14年度決算が五つの社会実現の推進に反映されているものと考えております。
 今後におきましては、とりわけ到達度の低い主要な指標につきまして、その原因は何であったのか、また、今後における課題は何なのかをしっかり分析、検証しまして、その結果を次の施策に反映させて、この五つの社会の着実な実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、総合計画の前期7カ年に予定されております主要な事業の平成14年度の実績は、事業費ベースで見た場合、4、012億円余となってございます。また、平成11年度から平成14年度までの主要な事業の進捗状況を見ますと、343事業のうち326事業に着手し、着手率は95%となっております。事業費ベースでの進捗率は48.9%となり、昨年度までの進捗率39.4%から9.5ポイントの増となってございます。このように、平成14年度における総合計画の進捗状況につきましては、おおむね順調に進んでいると考えておりますが、今後におきましても、計画的、効率的な事業展開に努めまして、総合計画の着実な推進を図ってまいりたいと考えております。

〇柳村岩見委員 平成14年度の決算の審査であることから、平成14年度の決算から見ますと総合計画に対してそのようにおおむね反映されていると、このような答えになるんだろうと思います。午前中にも質疑が多くあったところであります。特にも、県財政の立て直しに向けまして行財政構造改革プログラム、これを実際に実施していく過程において、この総合計画との整合性につきまして、どうなっていくかということにつきましてはしかるべきときにきちっと検証がされるべきであり、また、議論も必要なところであります。そのことについては、後日のことになろうかと思います。
 平成14年度といいますと、やはり台風6号による大被害が私は岩手県にとって1年間において一番大きなことだったと思います。被害は多くの施設分野に及びますが、特に農地・農業用施設被害100億7、300万円、公共土木施設被害286億4、789万4、000円の被害についてでありますが、平成14年度9月補正等によって対応、災害復旧事業が行われました。農林水産部、県土整備部、両部にかかわる復旧事業が具体的にどのように復旧され、現在ではどうなっておられますかについてお尋ねをしたいと思います。

〇高橋副知事 台風6号被害の復旧状況でございますが、まず農地・農業用施設につきましては、本年の4月末までに約70%の復旧を完了いたしまして、残りの箇所につきましても仮設工事によりまして、本年度の営農に支障のないように措置をしたところでございます。来春の営農開始までには大規模なため池1カ所を除いて復旧がすべて完了すると、そういう見込みでございます。
 それから公共土木施設につきましては、玉山村の北上川・荒谷地区、滝沢村の滝ノ沢川・外山地区など2、807カ所で被害を受けたわけでございますが、緊急を要する箇所から直ちに復旧工事に着手をいたしまして、本年度上半期までには約95%の発注を終えておるところでございまして、年度内にはおおむね完了する見込みでございます。また、被災の規模が大きくて原形復旧のみでは対応できない砂鉄川などの6河川、7カ所につきましては改良復旧事業に着手をいたしまして、鋭意整備を進めておるところでございますが、磯田川、黄海川の2カ所については本年度完了する見込みでございます。

〇柳村岩見委員 台風6号に対する災害復旧の取り組みについて感謝を申し上げておきたいと、このように思います。
 次に、市町村合併の推進はやはり平成14年度において大きな県政課題でありました。今日、各地において市町村合併の枠組みや任意合併協議会設置に向けた模索、取り組みが行われております。一般質問においても多くの質問があったところでありますが、平成14年度決算審査に当たり、改めて市町村合併推進について県が取り組んでまいりましたことと、任意合併協議会、法定合併協議会の設置状況、全国における比較について検証しておきたいと思いますので、このことについてお尋ねをいたします。

〇大沼地域振興部長 昨年度の合併に係る取り組みでございますが、平成14年8月に市町村合併に取り組む市町村等への県の具体的な支援策を取りまとめまして、岩手県市町村合併支援プランとして策定いたしました。さらに、この支援プランに合わせまして同じ8月でございますが、市町村におきます合併議論の参考としていただきたく、合併、非合併それぞれの場合の未来の財政状況を比較できるように市町村合併シミュレーションを作成いたしまして、各市町村にCD-ROMで配布いたしました。また、県のホームページにも掲載しているところであります。さらに、平成14年12月から1月の間にかけまして各市町村長の意向調査を実施いたしまして、その結果も公表しております。また、昨年の夏場、一関におきまして総務省と共催で市町村合併全国リレーシンポジウムを開催いたしましたほか、胆江、二戸等、県内各地で計7回にわたりましてシンポジウムを開催したところでもあります。
 また、平成15年3月には岩手県市町村合併支援プランを受けまして、県としての合併市町村への権限移譲の基本的考え方を明らかにいたしまして、合併市町村への県事務の権限移譲方針を策定し公表したところでございます。
 次に、県としてどういった見解を持っているのかということでございますが、全国の状況でございますが、11月半ば現在におきましては、法定協議会の数が444ございます。その構成市町村数は1、726と、全市町村の過半数となっているところであります。本県におきましては、本日午前中に一関地方の合併協議会が法定協議会となりまして、今のところ法定協議会は一つのみとなっております。決して全国と比べますと進んでいる状況ではございません。また、合併特例法は今後経過措置が設けられる予定となっておりまして、現在の財政支援の優遇措置がある現行法は平成17年3月までとなっております。したがいまして、その適用を進める地域におきましては、協議の進捗度を高めていただく必要があるものと考えているところであります。
 県といたしましては、既に合併に向けて取り組んでいる市町村はもちろんでありますが、現在取り組みを構築中の地域につきましても、可能な限り特例法の期限内での必要な手続が完了するよう、支援してまいりたいと考えているところであります。

〇柳村岩見委員 私は市町村合併議論のスタート時、合併機運の醸成時に何度か一般質問で取り上げてまいりました。県における市町村合併に対する姿勢が幾つかの側面予想、特にも道州制の考え方の提言など、わかりにくい面が多くあったと思っております。物事の順序として、市町村合併の推進にエネルギーが集中されるべきであって、道州制の枠組みはその後の形で議論されることと考えます。現在、各地において議論と取り組みがあるところであり、この程度といたしますけれども、それなりの時期においてしっかりと検証されるべきことの一つであると私は思います。
 次に、平成14年度重点化施策事業を見ますと、雇用の確保、複合産業や新産業の創出に向けた取り組みを初めとする八つの重点化施策のもとに、132事業が実施されております。そのうち58事業が新規または一部新規事業で、74事業が継続事業となっております。これらの事業の中から幾つかについて、県民側の立場に立って各部局において事業推進に頑張っておられる皆さんを激励する意味からも、なるべく部局別になるように心がけながら順次お尋ねをしてまいります。
 農林水産部の決算について考えますときに、本県の産業構造の観点からも総合食料供給基地の標榜、食品の安全の面からも農林水産業の振興は、まことに重大な課題であると考えられます。それだけに、岩手らしい振興が進められているかについて問われるところであります。ここでは、農業振興についてに絞りますが、平成14年度、岩手らしい農業振興がどのように推進をされましたかについてお尋ねをしておきたいと思います。

〇高橋副知事 平成14年度におきましては、本県が総合食料供給基地として一層の発展を期すために、生産・販売の拡大また生産・流通コストの低減などの生産構造改革を加速化させますとともに、これまで以上に消費者に軸足を置いた安全・安心なフードシステムの構築に努めたところでございます。
 主な取り組みについて申し上げますと、まず、生産構造改革につきましては、平成16年度からの国の新たな米政策の本格実施を踏まえて、これを先取りして水田農業改革を実践するための岩手県水田農業改革大綱を策定いたしまして、具体的な取り組みをスタートさせたところでございます。
 また、安全・安心なフードシステムの構築につきましては、本県独自のトレーサビリティーシステムによる牛肉の生産履歴情報の公開を本格的に実施いたしましたほか、新たに加工米飯などのシステムの構築を支援いたしまして、安全で安心な県産食品のPRに努めたところでございます。さらに、いわて食財の日を設けまして、また、学校給食への県産食材の提供に取り組み、そのほかに平成14年10月には地産地消全国の集いを開催いたしまして、地産地消を積極的に推進したところでございます。

〇柳村岩見委員 平成13年9月、我が国で初めて牛海綿状脳症、いわゆるBSEが確認されて以来、新しい検査体制を初め、BSE対策に県当局は大変な努力をされてまいりました。改めて敬意を表したいと思います。平成14年度もBSE対策に大きなエネルギーが注がれた年でありますことから、省みまして、BSEによって起きました諸課題に取り組まれた対策について検証しておきたいと思います。畜産振興費、家畜保健衛生費にまたがると思いますが、お伺いをいたします。
 同時に、現在も対策の努力は続けられておりますが、ここで本県の畜産酪農全般について、BSE発生以前に比べて、現在どのようになっているかについてお尋ねをしておきたいと思います。

〇高橋副知事 一昨年9月に発生をいたしました我が国初の牛海綿状脳症でございますが、本県の畜産にも大変大きな影響を及ぼしたわけでございます。平成14年度は、平成13年度に引き続きまして、食肉の安全確保のための全頭検査を実施いたしました。さらに、6月からは廃用牛の検査を実施したわけでございます。また、生産者支援といたしまして、借換え資金の融通や価格安定積立金の助成、それから消費者対策といたしまして、牛肉のトレーサビリティーシステムによる県産牛肉の販売促進などを実施いたしまして、各般にわたっていろんな施策を講じたところでございます。これら一連の対策事業におきます平成14年度の予算総額は、決算ベースで2億6、900万円余となっておるわけでございます。
 現在の畜産の状況でございますが、平成13年に比較いたしますと黒毛和種は若干、飼養頭数が落ちておりますが、乳用種は結構、飼養頭数が落ち込んでおります。ただ、価格の方はBSE発生当時と比較をいたしますと枝肉価格の回復が見られまして、肉用子牛、また、乳用雄子牛の価格も完全に回復をしているということで、発生以前の生産ベースに戻っているという状況でございます。

〇柳村岩見委員 次に、家畜排せつ物法の施行に伴い、法の施設整備猶予期間が平成16年10月末までであり、残すところ11カ月となりました。県では、平成14年7月、農家の実態調査を行うなど、県営畜産環境整備事業等により施設整備を進めてまいりました。国の補助による整備、市町村単独事業としての整備もありますが、結果として現在どうなっておりますかお伺いいたします。あわせて、猶予期間平成16年11月までの見通しについてもお伺いをいたします。

〇高橋副知事 家畜排せつ物処理施設の整備状況でございますが、平成14年度は220戸の施設が整備されまして、進捗状況が全体で約6割強という状況でございます。本年の4月時点でさらに整備が必要な農家が約1、500戸ございますが、全戸の巡回指導を行いまして、今、農家の意向に基づいた施設整備計画の策定に取り組んでおるところでございまして、この計画では猶予期限までにはすべての農家で施設の整備を完了する見込みでございます。
 なお、本年度におきましては、このうち約600戸について整備を実施いたしまして、大体今年度末では進捗率はおおむね8割となる見込みでございます。

〇柳村岩見委員 次に、農業基盤整備の状況についてお尋ねをいたします。
 国、県、市町村の財政事情が大変厳しくなりますと、土地改良事業、かんがい用水事業、圃場整備事業等の農業基盤整備に大きく影響してくることが考えられます。農地費で見ますと、平成13年度は前年比13.7%減少しておりますが、平成14年度の農業基盤整備について、平成13年度比較、平成15年度までの推移はどうなっておりますかについてお尋ねをいたします。
 県では、総合計画において、平成17年度までの圃場整備率を63%まで高めるという目標を持っておりますが、今後の見通しもあわせてお伺いをいたします。

〇高橋副知事 農業農村整備事業の実施状況でございますが、平成14年度は439億円の事業費によりまして、圃場整備560ヘクタールを初めとした事業を実施したところでございまして、平成13年度に比べまして83.1%ということでございます。平成15年度は353億円の事業費で、これは平成14年度に比べますと80.3%、平成13年度に比べますと66.8%というかなり厳しい状況でございます。
 今後におきましては、行財政構造改革プログラムに基づきまして予算が大幅に削減されることとなるわけでございますが、こういう厳しい状況の中ではございますが、県農政の最優先課題でございます水田農業改革に向けて圃場整備事業を最重点事業として推進いたしますほか、継続的な措置が必要である施設の維持管理事業等につきましては、必要な予算を優先確保することなどによりまして、より一層の事業の選択と集中に努めてまいりたいと、そのように考えております。

〇柳村岩見委員 農業基盤整備は大変地味な事業であります。あすの飛躍に対しても、この地味な事業継続によってその飛躍がなされるものと認識をいたしております。今日の財政事情の中でも、農業基盤整備の事業費を極力削減をしないで努力している県が東北にあります。恐らく、その県は県勢発展に農業振興が欠かせないことを肝に銘じて取り組んでおられるものと思います。どのような位置づけにするかが大切であります。今後の御努力に御期待を申し上げておきたいと思います。
 次に、雇用対策についてでありますが、県では以前の雇用創出計画、岩手県総合雇用対策を見直し、現在では部局横断的に総合雇用対策局を設置して取り組んでおりますが、成果についての中間報告も報じられているところでありますが、今日的雇用対策の成果についてお尋ねをいたします。

〇高橋副知事 雇用対策関連事業の進捗状況を四半期ごとに点検をしながら、雇用創出目標の達成に向けた取り組みを進めてきているわけでございますが、9月末の雇用創出数は約3、600人ということで、これは達成率では46.4%となっているところでございます。
 それから、若年者雇用対策につきましては、若年未就職者のカウンセリングから職業紹介までをワンストップサービスをいたします若年者就職支援センター、いわゆるジョブカフェでございますが、これを労働局と連携して年内にも開設することとしておりますほか、新たに高等学校の就職相談員、これをサポートいたしますエリアマネージャーというものを学区ごとに配置いたしまして、高校生の就職支援体制を充実したところでございます。
 それから、大変心配されます建設業の離職者の受け皿づくりにつきましては、遠野市の構造改革特区が11月28日に認定されまして、ここで建設業の農林業への参入を支援するモデル的な仕組みづくりが行われているわけでございますので、この取り組みを県内に普及してまいりたいと、そのように思っておりますし、また、建設業協会が設置しております経営支援センターにおいて相談とか助言とか、また、アドバイザー派遣などの活動をしておりますが、これらを助成していきたいと思っておりますし、建設業の新分野・新市場開拓等も支援しているところでございます。さらに、NPO等での実地訓練、それから経営手法などの習得を通じまして、今後の地域での雇用の受け皿として期待されておりますNPOやコミュニティ・ビジネスを担う人材の育成というものにも、これは盛岡地方振興局でございますが取り組んでいるところでございます。

〇柳村岩見委員 ただいまの質問と一緒にお尋ねするのを忘れました。平成14年度からの事業として緊急雇用対策施設整備奨励費補助に対して1億円を準備して取り組んでおりますが、その実績についてお伺いをいたします。

〇高橋副知事 緊急雇用対策施設整備奨励費補助金でございますが、これは厳しい雇用情勢に対応いたしまして、地域における雇用の場を早急に確保するために県単基金を活用いたしまして、工場の新増設とか生産ラインの増設によって、新しく失業者を雇用する企業に助成を行っているものでございまして、平成14年度には8社に対しまして総額1億3、000万円余を補助いたしまして、67名の失業者の方々を新たに雇用されたところでございます。これはもちろん常用雇用でございます。
 なお、有効求人倍率の低い県北・沿岸部におきましては、補助要件の中で失業者を10名以上雇用となっておりますが、これを5名以上と要件を緩和しております。そうして、県北・沿岸部での導入を促進しているわけでございますが、それによりましてこれらの地域では全体の65%に当たる44名の雇用が創出されたところでございます。

〇柳村岩見委員 次に、商工業振興についてお伺いをいたします。
 平成13年度、平成14年度と誘致企業の企業撤退、工場閉鎖が相次ぎました。そんな中でも企業誘致実績もまたあるところであります。それらの状況についてお尋ねをいたします。あわせて、企業誘致活動における課題についてお尋ねをしておきます。

〇高橋副知事 誘致企業の工場閉鎖等につきましては、平成13年度は御案内のようにアイワ岩手、それからアルプス電気を含めまして24件、離職者は2、168人に上ったわけでございますが、平成14年度は7件、離職者が212人、また、今年度もこれまで5件、離職者330人ということで、平成13年度に比べましては沈静化の傾向にございます。
 それから、企業誘致の実績でございますが、平成13年度は製造業13件、それから情報・流通関連が2件ということで15件の実績がございまして、操業時の雇用予定人員は953人ということでございます。それから平成14年度は製造業が13件、情報関連、それから環境関連等が8件ございました。21件、操業時雇用予定685人ということでございます。
 なお、今年度は11月現在で9件の内定が見られておるところでございます。
 それから、こうした企業誘致の課題といたしまして、これからの企業誘致活動は海外も含めました地域間競争が激化するわけでございますが、そういう中で、他県と差別化した特色ある誘致政策を積極的に講じていくこと、それから、多様化する企業ニーズに対して幅広く充実したサービスを提供していくこと、これらが重要な課題であると認識しているわけでございまして、そのために助成制度とか融資などの充実強化、これは当然でございますが、今は工場用地のリース制度、これが非常に評判がようございますので、これらを大いに広めまして、魅力ある優遇策を展開していきたいと。
 それから、既に立地しております企業の二次展開とか、それから新分野への進出をどんどん支援していこうということで、そういう既存の誘致企業に対するきめ細かなフォローアップも実施しておるところでございます。
 それから、自動車関連産業の創出など、これは東北では本県でございますが、こういう本県産業の優位性と、これらを生かしたセールス活動というものにも積極的に取り組む必要もございますし、また、産学官によります共同研究の推進なり技術開発の支援強化、これらも大切でございますので、これらを基本としながら企業誘致活動に取り組んでまいりたいと考えております。

〇柳村岩見委員 平成14年4月に創設されましたベンチャー企業の支援体制を整備するため、インキュベーションファンドの組成事業の実績で、4社に対して合計9、000万円の投資をしているというところまでは記憶しておりますが、この事業のその後の状況、現在の実績についてお伺いをしたいと思います。

〇高橋副知事 ファンドの創設以来、現在までは4社9、000万円から今は6社、1億5、300万円の投資を実行しております。ワイズマンからティエムエー、フォーユー、十割そばまで4社でございます。そのほかに中洞牧場、川喜、これら投資先企業におきましては、株式公開に向けて順調に売り上げを伸ばしてきているところでございまして、投資実行後、これまでに15名程度の雇用を創出しているところでございます。
 それから、15年度内には3社程度でございますが、これらの投資を予定しておりまして、今投資に向けた調査なり審査を進めているところでございますし、さらに来年度は四、五社程度を見込んでおりまして、ここら辺で大体終わりと、満杯ということになるのではないかと思っております。

〇柳村岩見委員 このことについての取り組みにつきまして、今後に大いに期待をしているところであります。
 次に、地域の特性に着目した個性豊かな地域づくりを促進するオンリーワンの地域づくり支援事業でありますが、地域づくりステップアップ支援事業、いわて地元学推進事業とのかかわりがあると思いますが、この事業の状況についてお尋ねをしておきたいと思います。

〇大沼地域振興部長 オンリーワンの地域づくり支援事業でありますが、これは地域の個々の特性に着目いたしまして、個性豊かな地域づくり、これをオンリーワンの地域づくりと呼んでおりますが、これを進めることを目的といたしまして、地域づくり活動の各段階に応じた体系的、総合的な支援策として実施したものであります。
 具体的な事業といたしましては、大きく三つで構成してございます。一つは地元学の推進事業でございまして、これは地元を再認識し、地域のあり方を再発見する、いわゆるいわて地元学を推進するための地域づくり団体等の方々を対象にいたしまして研修会等を開催してございます。
 また、二つ目には、地域起業化支援調査事業といたしまして、地域の資源を活用いたしましたコミュニティ・ビジネスの立ち上げのための研究会等を行ってございます。
 それから三つ目の大きな柱が、地域づくりステップアップ支援事業でございます。これは地域づくり活動の支援といたしましてフォーラムの開催あるいは講師とかアドバイザーの派遣、さらには地域づくり情報誌オリザの発行、あるいはテレビ番組の全国放映等によりまして、地域づくりの情報の提供、交流活動の活発化を図っているところであります。また、地域づくりに顕著な功績のあった団体を顕彰するため、岩手県地域づくり表彰も実施しているところであります。

〇柳村岩見委員 次に、別な分野でありますが、結の心・子育て環境日本一の取り組みについてお伺いをいたします。
 この取り組みには、事業として地域子育て相互支援事業補助、のびのび子育て支援事業及び特別保育事業がありますが、それぞれの事業実施の実態についてお伺いをしたいと思います。
 今後の取り組みの部分でありますが、特にも特別保育事業の延長 保育について、市町村が実施する延長 保育に対する補助でありますが、事業の所期の目的が達成されたということで、補助金を削減するという考えがあるようでありますが、この考え方と見通しについてお尋ねをしておきたいと思います。

〇高橋副知事 まず、地域子育て相互支援事業の実施の状況でございますが、これは子育てグループの会員同士で相互に託児等を行う場合に、その団体に対して市町村が補助する県単の事業でございまして、一関市など6市町村で実施をしてございます。登録会員数は372名ということでございます。
 それから、のびのび子育て支援事業でございますが、これは休日保育や延長 保育、軽度障害児保育を実施する市町村に補助する県単事業でございまして、休日保育推進事業は5市町村、12カ所、それから延長 保育料軽減支援事業は20市町村、120カ所、利用児童は10人でございます。それから、軽度障害児保育事業は23市町村、66カ所ということでございます。
 それから、特別保育事業でございますが、これは多様な保育サービスを提供する市町村に補助するもので国庫補助でございまして、主なものは延長 保育促進事業、これは32市町村、152カ所、それから一時保育促進事業が26市町村、84カ所、乳児保育促進事業が20市町村、83カ所、地域子育て支援センター事業が37市町村、47カ所、それから障害児保育対策事業、重度でございますが、これが39市町村、116カ所ということでございます。
 これらの中で、延長 保育料軽減支援事業につきましては、これは平成10年度の制度改正によります保護者負担の急激な増大に対する激変緩和施策として実施いたしているものでございまして、既に平成15年度に補助率を2分の1から10分の4に落としておりますし、平成16年度にはこれを10分の2に段階的に引き下げをいたしまして、16年度限りで事業を廃止する予定となっておるところでございます。ただ、国庫補助事業といたしましては、この延長 保育事業は今後とも継続実施をするということでございますし、低所得の家庭に対しましては、前から市町村において個別に保育料減免を適用することが可能となっているものでございます。

〇柳村岩見委員 この議論はまた平成15年度の予算審査、委員会等において大いに議論があるところと存じます。
 次に、岩手県の社会資本整備についてお伺いいたします。
 県は現在、公共工事予算を平成15年度に前年比15%削減、さらに平成16年度15%を削減するという計画を持っておりますが、平成14年度の決算において、既に前年比88億6、593万円、5.5%減少しております。平成14年度の岩手県の社会資本整備の実態と予算の削減による影響についてお尋ねをしたいと思います。

〇高橋副知事 平成14年度におきましては大変厳しい財政状況でございましたが、良質な社会資本の着実な整備に向けて最大限の努力を行ったところでございます。
 具体的には、公共下水道などの事業の進捗によりまして、水洗化人口普及率が前年に比べて3.4ポイントの増、56.6%となっておりまして、質が高く快適な暮らしの実現に一歩近づいておるところでございますし、また、交流・連携を支える交通ネットワークの整備といたしましては、東北自動車道釜石秋田線東和-花巻間や、三陸縦貫自動車道山田道路の一部が供用されましたほかに、国道283号高木工区の拡幅事業や主要地方道二戸九戸線折爪工区などが完成をいたしまして、地域間の交流促進に寄与しておるところでございます。さらに、治水事業におきましては、河川整備や海岸保全施設、急傾斜地崩壊対策等の整備推進によりまして、災害に強い県土づくりが進展したところでございます。
 いずれ、委員御指摘のように大変窮屈な予算の中ではございますが、極力知恵を出して施策の周知と重点的な投入を図りまして、社会資本の整備にはその中で努めてまいりたいと、そのように思っております。

〇柳村岩見委員 例年の市町村からの統一要望を初め、県に寄せられる要望の中で、道路整備や河川の改修、急傾斜地の解消の要望が大変多いと認識しておりますが、こういう財政事情の中でどのようにその要望が整理、ストックされ、今後どのように対応されていくものなのか大変心配されるところであります。
 知事は現地も見ておきたいとし、今後とも統一要望を実施するとの考えでありますが、見て、要望を受けまして、予算化できない事例がふえ膨大化していくと考えられます。このことにどのように対応されていくのか、そのプロセスについてお尋ねをしておきます。

〇高橋副知事 市町村からの要望は知事が現地に行ったり県政懇談会、それから地方振興局への提言、また、本庁への要望もございます。多岐にわたっているわけでございますが、これらは新県政提言等処理検索システムというものがございまして、これで全部を一括してストックをいたしまして、適切に進行管理するという仕組みになっているわけでございます。これらの提言は、それぞれ地域の実情を踏まえた非常に重要な提言でもございますので、各種計画の策定に当たっての有益な資料といたしますとともに、緊急性、重要性等を十分検討しながら、予算編成に反映させるように努めているところでございます。
 なお、それらの整備に当たりましては、公共事業評価によって透明性、客観性の確保を図りますとともに、その採択の結果などについてはインターネット等によって一般に公表していると、こういうことで透明性を図っているところでございます。

〇柳村岩見委員 平成14年度の決算で繰越明許費が前年度に比べて22.1%減少しておりますが、それでも218億8、989万円であります。もちろん、それぞれ理由があって、結果としてこの数字になるわけでしょうが、その理由を整理するとどういうことになるのかお伺いをいたします。
 現状の経済情勢下にあって、事業が推進されないことは景気の下支えの面からも大変残念なことであります。恐らく、県土整備部を初めいわゆる公共工事にかかわるものが多いと思いますが、いかがでしょうか。事業準備、着手、着工、発注において大いに工夫が求められるところであります。用地買収については地元自治体の責任もあるところでありますが、道路などの整備において、着工してから一部の地権者に御理解が得られないというケースも見られ、事業がスムーズに進んでいかない様子を目にするところでありますが、改善策についてもお伺いをいたします。

〇高橋副知事 繰越明許費は県土整備部が大変多いわけでございまして、県土整備部を例に申し上げますと、平成14年度から平成15年度への繰越明許費繰越額、一般会計で433億円余ということになっておりますが、その要因といたしましては、台風6号に係る災害査定、これが年末まで行われたわけでございまして、この査定がずれ込んだということと、国の補正予算の内示が2月となったことがございまして、これらの理由によりまして地元調整なり工法の選択、検討に大変不測の日数を要したということで、年度内の完成が見込めなかったものでございまして、災害分及び補正分につきましては、その大半を繰り越すこととなったものでございます。
 こういう繰り越しを減少させるための工夫でございますが、一時的な業務量の増大に応じまして、人的支援それからまた組織体制の整備というものを図らなければならないわけでございますが、これらのほかに事業の執行に当たりましては、地権者等の理解と協力、これは御指摘のように非常に大事なものでございますので、これらを得ながら計画的な執行を図って、やはり極力繰越額が減少するように努めていくというのがオーソドックスなスタイルでございます。こういう取り組みによりまして、平成14年度はおかげさまで前年度に比較して15%ほど繰越額は減少したということでございます。

〇柳村岩見委員 次に、教育委員会にかかわることでございますが、地域シンボルスポーツ推進事業についてであります。
 平成14年度の実績においてお伺いいたしますし、この事業は事業期限が平成16年度までとなっております。成果、見通しについてもお聞かせいただきたいと思います。

〇高橋副知事 地域シンボルスポーツ推進事業でございますが、この事業は高校と周辺の小・中学校等が連携をいたしまして、ジュニア期から一貫した指導体制の確立を図りながら、地域と一体となった競技スポーツの振興を推進するものでございます。岩手町のホッケーは町を挙げてホッケー競技の振興に取り組みまして、顕著な功績を残しましたモデルのケースでございます。現在、本県において国体で最も得点が期待できる競技に成長 いたしておるところでございます。この事業は、このような競技、地域を拡大することを目的に、柳の下のドジョウではございませんが、実施をしているところでございます。平成14年度におきましては、七つの高校がそれぞれの指定競技について強化事業を計画いたしまして、地域の小・中学生の参加希望者を募り、県内外講師、また、地域指導者による講習会や合同合宿、それから県外優秀チームの招聘によります合同練習会などを実施しておりまして、これらは延べ37事業に1、165人も参加しているところでございます。
 この事業の成果といたしましては、中学・高校・スポーツ少年団等の参加者や指導者が講習会に参加することによりまして高いレベルの技術を習得することができました。また、小・中・高それぞれの発達段階におきまして重点的に習得すべき技術の指導ができました。さらに、レスリングなど高校から開始いたします競技におきましては、競技の説明や体験を通しまして理解が深まり、競技人口の底辺拡大に効果があったことが挙げられております。
 今後でございますが、ジュニア期からの選手強化というのは、国体の選手強化のように速効性があるわけではございませんが、この事業を推進することによりまして、将来的には、着実にしかも継続的に強化が図られていくものと考えております。

〇柳村岩見委員 これは少し突然のことでありますけれども、平成14年度の決算の中に、岩手県が各分野における何々会、何々会という会の中に会員として存在をいたしまして、会費をその会に納入しているケースは多々ございます。その中で、例えば日本桜の会、この平成15年度実績を見ますと、松尾村では200本を、江刺市では200本、住田町では300本植栽をされております。そういった会に今後どのように対応されていくのか。お聞きするところによりますと、その会から脱会をしていくという傾向にあるようであります。考え方の一部であります。そのことにつきまして、所期の目的でありますおのおのの会の目的に沿いながら、岩手県がかかわりを持ち、そしてその中から情報収集をし、今後の諸課題推進に当たり情報をストックし、整理をしていく中において、今後そういうことの情報収集に非常に果たされない例が生ずるのではないかと懸念されるところがございます。その考え方や、どういうことになっておりますか、おわかりになります分につきましてお尋ねをしておきたいと思います。

〇時澤総務部長 現在、県では事務事業の見直しの一環で補助、そして負担金の見直しということでやっております。今お尋ねありますのは負担金の見直しのお話だと思っております。負担金の見直しにつきましても、その目的、効果、それぞれの目的があると思いますので、それが現時点においてゼロベースでの見直しを行うということを、まず基本として考えるということでございます。なお、それによって得られる効果といったものを一つ一つ判断をいたしまして、それでその負担を続けるのか、やめていくのかということを一つ一つ検証していくことにしておるものでございます。先般出しましたのは、一応の見直しの方向という形で現在の考え方を出していきましたけれども、現在それをもとに――相手方のある話でございますので――相手方ともそれぞれ話をしていっているわけでございまして、各年度の予算編成においてそれをどうするかということを最終的に詰めるべく現在は調整している最中でございます。

〇柳村岩見委員 質問を締めくくるに当たりまして、私はこれからの3年間ほどが岩手県政にとって正念場の時期と考えます。行財政構造改革プログラムに示されている補助金の削減はもちろんのこと、それにも増して実施事業の廃止、凍結、それらの説明責任、やらなければならない事業として立案された事業をしかるべき時期まで温めていくそのエネルギーの確保、職員の皆さんの給与削減、しかし意欲の確保、知事以下県庁職員一丸となって乗り越えていかなければならないと思います。知事も選挙で選ばれた政治家として、持論を持って県外各地に出張が多いわけですが、先頭に立って職員の皆さんを激励しつつ、腰を据えての取り組みが求められていると思います。私どもは、県財政が厳しくとも住民福祉の向上を願って住民の要望を訴えていくわけであります。一層の御奮闘を御期待申し上げますし、所感を副知事よりお伺いをしたいと思います。
 時間に残があれば、会派の委員の先生方にお譲りをしたいと思います。

〇高橋副知事 今までに委員おっしゃられました締めくくりのとおりでございまして、私ども本当に職員には十分に理解をしていただくことも必要でございますが、県民の方々にも私どもの状況を十分に御理解していただく、これが非常に大事でございます。やはり知事を先頭に職員一丸となって、同じ考え方のもとで同じように行動していかなければならぬ。ここ3年から4年、大変厳しいときが続くと思いますが、先生方の御支援を得ながら知恵を出して乗り切っていきたいと思っております。

〇柳村岩見委員 重ねて一層の御奮闘を御期待申し上げて、私の質問を終わります。

〇菊池勲委員 今、柳村岩見委員が我が会派の代表質疑を終わったわけでありますけれども、残時間がちょっとありますので、1点だけちょっとお聞かせを願いたい。
 増田知事が平成7年に就任されてから3期目に入ったわけでありまして、平成7年5月から、副知事、当時は農政部長の時代であったんだけれども、増田県政のスタートで、農家のために各地を回りながら農作業をして歩いて今も続いておるわけであります。一番最初は、私のまち北上でスタートが始まったわけでありまして、当時のことを思い出すと、私も農民の一人として朝早くから農作業をしてこの仕事をさせてもらっているんだけれども、知事が県内各地の農家を回って作業しながら、農民と対話をしながら岩手の農政や基盤に大変尽力されることはお認めするけれども、果たしてその結果が我々農民にどれだけの効果が出ているかとなれば、私は多少疑問があると思っておる一人でありますので、副知事は当時の農政部長の時代からのスタートでありますから、すべて経緯を承知しているとは思いませんけれども今、副知事という立場からして8年間以上の知事の各農家回り、私のまちには田植え、稲刈りでしたが、その後、3年ほど前に北上市農協が大豆の収穫の施設を農林省の補助事業で入れましたので、その収穫にも私も立ち会いました。機械はすばらしい、もちろんお金だけの値打ちはあるわけですけれども、果たしてその機械は農家のためにどうなっているのかとなると、大変疑問を持つところでありますけれども、副知事の御感想、知事の今までのやり方に対しての反省も含めてお聞かせ願えれば大変ありがたい。今、決算審査でありますので、先般の一般質問でも御案内のとおり、大変厳しい財政事情になったこの岩手県政に対して、我々農民、第1次産業に従事する県民の一人として大変疑問を持つところでありますけれども、その点をお聞かせ願いたいと思います。

〇高橋副知事 平成7年は御指摘のように知事が北上で1回田植えをたしかやったはずでございます。そのとき私が引っ張り出した張本人ということでございまして、その後、水稲だけではなくいろんなものに視察をしていただいたわけでございますが、当時、やはり岩手を理解するには農業というものが大変基幹となる産業でございますので、よく理解をしていただきたい。そういう思いが我々にはございまして引っ張り出したということでございます。今までもかなりの場所、かなりの回数、それなりに実地に体験をしていただきましたので、知事には十分に農政に対する理解、思いというものもできたのではないのか、また、理解も十分に行われたのではないか、そのように思っております。ただ、いかんせん、そのような厳しい財政環境下でもございますので、なかなか思うようにはまいらぬところもございますが、私は知事にそういうようなものを通じて、十分に本県の実情を理解していただいたものと評価しているところでございます。

〇菊池勲委員 大変いい答弁なんですけれども、私が見ている範囲においては、知事がやる農作業の場所はその地域で一番の条件の整った土地でやるわけですね。30アール区画の直線100メートル、往復をやって200メートルですよ。下は舗装道路の上に索道を入れたような田んぼの中で田植えをされるわけですから大変立派にできる。ところが、我々農家は大変厳しいところで農作業をしているわけだ。ですから、ほ場整備を含めて一番の条件の悪いところに来て見てもらった方が効果が十分あると思うのだけれども、いかんせん、県内の至るところのその実施というものは、ほとんどその地域の一番いいところでやる。これに対して副知事はどう思いますか。

〇高橋副知事 確かにいい場所だということはそのとおりかもしれません。ただ、私も田植えをしようとしたら無免許はだめだと断られましたのでだめだったのですが、どのくらい簡単なのか難しいのかよくわかりませんが、ただ、確かに県内それぞれ立地条件は異なりますので、同じような立地条件だけではなくいろんな立地条件の場所をごらんいただくと、これは大事なことだと思います。

〇田村誠委員 政和会の田村誠でございます。
 平成14年度決算を踏まえて、今後の対応策等も含めながら総括的に質問を行いたいと思います。ただ、さきの質問者とダブる点もございますので、その点はよろしくお願いを申し上げます。
 さて、平成14年度は出口のない平成不況が県民生活を直撃した年でもありました。東北最大手の建設会社の経営破綻、玉山村のアルプス電気盛岡工場の閉鎖など、人員整理を伴う破綻や撤退が続出し、生活の糧となる雇用の不安が根本から揺らいだ年でもありました。景気の低迷は、平成15年度の主要経済指標を見ても、大規模小売店販売額は15カ月連続して前年水準を下回り、また、有効求人倍率も依然として低い水準で推移をするなど、県内景気は明るさを見出せない状況にあります。県民意識調査でも示されているように、個性を生かし能力を発揮して働ける環境の整備と人づくりは、県民が県政に望むニーズとして高くなっております。私は、人口が減少に向かう今日、若者の定住を進め地域が活性化し、県民が安心して暮らせる県土を築き上げるためには、一日も早い景気の回復を果たし、地域、地域で特色ある産業を育成していくことが喫緊の課題であり、そのことが雇用の創出を果たしていくものと考えており、このことから、まず雇用と産業振興について順次お伺いをいたします。
 まず、製造業の振興についてでありますが、人口が減少し経済が右肩上がりでない時代になり、加えて経済のグローバル化が一層進む中で、地方が自立し暮らしを立てていくためには、金太郎あめ的ないわゆる全国均一、平均的ではなくて、地域、地域において特色あるものを見出し、それを伸ばすことによって地域の競争力をつけていくことが、ますます重要となってきていると考えております。
 とりわけ、製造業の分野においては、賃金水準の差異による製造コストや技術力の向上により、中国などアジア地域への海外移転などが続き、産業の空洞化が急速に進み、目覚ましい工業製品出荷額の成長で他県にもうらやましがられた北上川流域の工業団地も例外ではなくなってきております。このような状況から脱却をするためには、日本でなくてはできないもの、あるいはまた、岩手でしかできないものを見出して知的財産を蓄積し、それを力として産業の振興を図っていくことが必要となってきていると思います。組み立て型の工場誘致により支えられてきた岩手の製造業の構造改革をどのように進め、グローバル化の中でも生き抜く製造業育成策をどのように進めていくのか、まずお伺いをいたします。

〇高橋副知事 本県におきましても、御指摘のように経済のグローバル化の進展、また、中国等のアジア諸国の台頭等に伴う国際競争の激化などを背景にいたしまして、製造業の空洞化が進んでいるわけでございます。このような中で、本県製造業がまさに御指摘のように将来にわたって活力を維持し、雇用を確保していくためには、その先端的な、または独自の基盤技術力の育成強化、それから地域の優位性を生かした産業の振興、また、新事業の創出・ベンチャー企業育成による産業集積の活性化、これらを図ることによりまして、多様で厚みのある産業構造への転換を図っていく必要があると考えておるところでございます。
 先端的な、または独自の基盤技術力の育成強化につきましては、産学官の連携によりまして、精密金型加工、また、新素材加工技術などが、本県が優位性を持っている分野の次世代技術でございますので、これらをさらに開発を進めまして、高度な技術を有する人材の育成を図ってまいりたいと思っておりますし、また、地域の優位性を生かした産業の振興につきましては、東北・北海道では唯一の自動車組み立て工場が立地しております本県でございますので、この優位性を生かして、産業のすそ野が広く、地域経済への大きな波及効果が期待される自動車関連産業の集積を促進するため、自動車部品メーカーの立地なり地元取引企業の育成を図ってまいりたいと考えております。
 それから、新事業創出・ベンチャー企業育成による産業集積の活性化につきましては、大学等の知的資源を活用いたしまして、独創的な技術に支えられた新事業の創出やこれを担う大学等発のベンチャー企業の創出を図ってまいりたい。また、重点企業への密着支援による研究開発成果の加速的な事業化の促進、それからいわてインキュベーションファンドによる投資・株式公開支援などによって、競争力のある成長企業を育成していきたいと考えております。

〇田村誠委員 ありがとうございました。ひとつ岩手らしい製造業というものを、ぜひ早急に確立をされていただきますようにお願いを申し上げ、次に移りたいと思います。
 次は、雇用対策についてお伺いをいたします。
 県内の雇用保険の受給者実績実人員は1994年以降2002年まで上昇傾向にあります。特に2001年、2002年は誘致企業の工場閉鎖、人員整理が集中したことにより著しく上昇しております。県内の失業者の多くは復職できず失業が長期化し、また、地域別では沿岸・県北地域で受給者の割合が高くなっております。一方、雇用の受け皿となる県内の事業所は2001年度以降、年間の廃止事業所数が新規事業所数を上回って推移し、雇用情勢は逼迫した状況になってきております。また、産業別に労働者の動きを見ると、建設業、製造業で労働者が減少し、サービス業では労働者が増加傾向にあります。公共事業が今後削減されることなどにより、建設労働者はますます減少することが予想され、労働力を他の分野に円滑に移動させる対策が求められているところであります。さきに公表された県の行財政構造改革プログラムにおきましても、雇用対策は緊急に対応すべき最重点課題として挙げられておりますが、雇用情勢をどのように認識をされ、とりわけ県北沿岸部の新たな雇用の確保と、特にも沿岸地域では建設業にもかなりの労働者が依存をしておりますので、そうした建設業の方々の労働力移動対策をどのように進めていくか、まずお伺いをいたします。
 雇用対策の中の常用雇用の創出につきましては、先ほどの質問者の方からも出されておりまして大方理解をしたところでございますので、ぜひ県民の雇用不安にこたえていただきますように、特にも常用雇用対策をもっと具体的に進めるべきと思っておりますので、これは要望にとどめておきますが、もし御所見があれば賜りたいと思います。

〇高橋副知事 まず、雇用情勢でございますが、本県の有効求人倍率は、御案内のように本年4月以降徐々に回復傾向を示しておりまして、10月には前年同月0.13ポイント上回る0.58倍となったわけでございますが、ただ、そうは申しましても、全国平均0.70倍を大きく下回っているところでございます。また、就職内定率も、本年10月末では大学が38.2%、高校が46.2%ということで、これも全国に比べましてかなり低迷をしているわけでございます。国では月例経済報告などで景気は持ち直しというような見方もされているわけでございますが、なかなか岩手ではその実感が感じられるには至っていない状況にございますので、雇用情勢についても、依然として厳しい状況が続くものと認識をしているところでございます。特にこの有効求人倍率、御指摘のように久慈地域、二戸地域で落ち込みが大きいわけでございまして、これらの地域におきましては、建設業の就業割合が県平均よりも大きいわけでございますが、新幹線関連の事業も終わりましたし――ちょっとは残っていますが、ほとんど終わりました――また、災害関連の工事も終わってきておりますので、そういう建設工事の減少による影響が結構あるのではないかと見ているわけでございます。
 そういう面で、建設業などからの労働力移動対策といたしましては、建設業協会において、経営支援センターを設置いたしまして、建設業の経営基盤強化なり新分野・新市場への進出などへの取り組みを進めておるわけでございますが、これらの活動を助成するなどいたしまして、雇用創出を支援しておるところでございますし、また、県基金を活用いたしました緊急雇用対策施設等整備奨励補助金、先ほどお答え申し上げましたが、県北・沿岸地域におきましては、要件緩和をしてこれを導入しやすくしておるということでございます。今年度――平成15年度では今12社決まっておりますが、県北・沿岸では、このうち11社が県北・沿岸の企業が利用しているということでございまして、県北・沿岸だけでも今年度はこの制度を用いまして69人の雇用創出予定ということでございます。それから、遠野市におきます構造改革特区のこの仕組みを普及させていきたい。さらに、農林業だけではなく福祉、環境、これらの幅広い分野での雇用の受け皿となる仕組み、これも創出していかなければならぬと思っておるところでございます。
 それから、常用雇用対策については前も答弁をいたしましたが、いずれ委員御指摘のように具体的にこれは一つ一つやれるものからやっていく、そういう取り組みを地方振興局中心にやっていくことが大事でございますので、私どもは大きな制度という面でここで考えますが、そういう取り組みを地方振興局で大いに助長していかなければならぬ、そのように思っています。

〇田村誠委員 関連がありますので、次に移らせていただきます。
 次に、若年者の雇用対策についてでございます。これも先ほど多少ダブった経過はありますが、改めて御質問させていただきます。
 求人数が減少する中で、企業は大学卒業者の求人割合を高め、高等学校新規学卒者の求人倍率及び就職率は年々悪化し厳しい就職環境が続いているわけであります。若年者の雇用形態を見ると、15歳から34歳はパートとアルバイトの割合が増加し不安定な就業形態に置かれております。また、一たん就職をしても若年層の離職率が高く、高等学校の新規学卒者のその後の3年間の離職状況を見ると、3年以内に離職する割合が46%と高くなっており、新規学卒者の就職先の定着も課題となってきております。若者が定着し高齢者と相まって地域を形成していくことが地域の活性化のかぎであると思いますが、若年者の雇用の確保を進めていく一方、離職者対策を進めていく必要があると考えております。若者の雇用をどのように進めるのか、また、離職率の高い要因をどのようにとらえ対策を講じているのかお伺いをいたします。

〇高橋副知事 本県の若年失業者は、これは全国的な傾向でもございますが、結構高いわけでございまして、15歳から19歳までが、この平成12年国勢調査で見ますと15.7%ということで、これは全国が12.8%ということでございますから、ほぼ3ポイントも高いという状況になっておりまして、雇用情勢の悪化というものが結構若年層に影響を及ぼしているというように見ているわけでございます。これら若年者の雇用対策といたしましては、ことしの6月に知事の直轄組織として総合雇用対策局を設置いたしましたが、これを中心にいたしまして、国の若者自立・挑戦プランとも連動しながら、若年者雇用対策に部局横断的な取り組みが必要だということで、そういうような取り組みを強めているところでございます。
 具体的な施策といたしましては、エリアマネージャーの配置というようなことで、これまで高校単位に配置しておりました就職相談員だけでは限界がございますので、広域的な求人情報の収集・提供、また、職業安定所や地方振興局の就職支援センターとの連携などを行いますエリアマネージャーを高等学校の学区単位に配置をいたしまして、高校生の就職支援体制の充実を図ったところでございますし、また、若者のためのワンストップサービスセンターといたしまして、いわゆるジョブカフェを新設することとしておるところでございます。
 それから、離職率のことでございますが、これは、本当に離職率は結構高いわけでございまして、その主な理由といたしまして、これは県内1、500社の事業主に対してことしの2月から3月に調査を実施いたしました。この結果によりますと、仕事が自分に合わない、これが41.9%、ほかにやりたいことがあったというのが39.4%というようなことで、これら二つが大変高いわけでございまして、これは就職決定前におきます職業意識の形成なりマッチングの問題などに起因するものが高いウエートを占めているわけでございます。
 これらに対しまして県といたしましては、職業講習、それからインターンシップの実施、さらに高校生キャリアアップ講座の開設などを通じまして、職業観の醸成に努めると、また、職業意識の確立を支援しているところでございまして、地方振興局の就職支援センターにおきます適職診断、それからこれから申請するジョブカフェではカウンセリング等を行いますので、これらを効果的に使いながら早期離職者防止に努めてまいりたいと思っております。

〇田村誠委員 この雇用対策については、県も大変積極的なお取り組みをいただいているところでございますけれども、いずれさまざまな労働相談の場所には大変な実態が相談をされ、あしたから来なくていいとか、あるいは賃金未払いだとか、あるいは我々県議会議員にも、何とか就職を地元でさせてほしいという親からの履歴書が重なってくるような今の現状であります。どこに相談をすればいいのかわからないので来たということでよく来られるわけでありますけれども、その受け入れ先が大変少ない。これは押しなべて先ほど副知事が御答弁をいただきました県北・沿岸地域はそういうのが現状でございます。ぜひこの雇用対策につきましては、なお一層のお力添えをいただきたいし、それから若年者の離職率の問題でありますけれども、私も何件かお願いに行きました。ただ、今の子供たちは、何とかまず就職を一たんしろと、しかし入ってみたならば全然違うということで、早いので1カ月か2カ月でやめていくんだと、あなたの持ってきたこの履歴書は大丈夫かという話をむしろされるわけであります。ですから、これは教育の関係もいろいろあるだろうと思いますが、その辺も取り組まれているようでございますから、ぜひこれもなお一層手厚い御支援をお願い申し上げる次第であります。
 それでは、次に移らせていただきますが、水産業の振興策について関連いたしますのでちょっと長くなりますが一括して質問をさせていただきます。
 平成14年度分の政策評価によれば、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会のうち、豊かな環境と調和した農林水産業の振興分野は指標の到達度が低く、達成状況が厳しく、生産者の減少、高齢化や輸入の増大などによる価格の低迷など、内外の厳しい情勢に耐え得る農林水産業を構築するため、農業、林業、水産それぞれ生産構造改革、流通改革を進めていくことが必要だとされております。
 そこで、まず一つ目お伺いをいたしますが、私は、常に浜がよければおかがいいという例えのとおり、沿岸地域の振興には水産業の振興は不可欠であると考えております。ワカメなど中国からの安い輸入水産物に加え、大連での大型水産物加工施設建設など水産業のグローバル化が進む中で、厳しい国際競争を乗り切るため特色ある生産あるいは流通対策を講じていくことが必要と考えます。そのためには、生産物一つ一つの品質を高めるとともに、高付加価値化に加え学校や調理関係者の協力を得ながら、健康によいとされる海産物をもっと食べるような食育、教育や若者向けのマスコミ等によるPR、あるいはイベントの開催など、地産地消運動をさらに強化していくことが有効な方策であると考えておりますが、中国からの輸入による国際競争力を失いつつある本県水産業の生産構造改革、流通改革あるいは漁家及び加工業者の経営安定対策をどのように進めていくお考えかお伺いをいたします。
 二つ目として、津波常襲地帯と言われる三陸沿岸の養殖事業は、本年9月26日の十勝沖地震の津波の襲来により、本県沿岸では出荷直前の養殖ガキを初め、ホタテガイなど水産物及び養殖施設を中心に多大の被害が生じたところであります。地震が頻繁に続く今日、自然災害に備え、共済制度はもとより自然災害に強い水産業とするために、どのように取り組んでおられるかお伺いをいたしたいと思います。
 三つ目に、全国的に水産資源が減少される中で、資源管理型の漁業を進め、環境に配意しつつ、水産生物を積極的に増殖するつくり育てる漁業を推進していくことが必要であります。本県は、サケ、ワカメ、アワビ、カキ、ホタテガイなどの増殖あるいは養殖に取り組んでこられましたが、これらの本県水産業経営に占める位置について、また、他の養殖水産物の研究に手がけられておるのかお伺いをいたしたいと思います。
 四つ目として、漁村では定期市あるいは朝市の開催等による新鮮な魚介類の販売や、漁村民宿などの滞在型余暇活動、あるいは漁業体験学習活動への対応など、都市住民との交流により地域を活性化する活動が活発化してまいりました。また、全国的には、漁村の中には漁業と調整を図りつつ、遊魚等を地域観光資源として活用し地域の活性化に成果を上げ、新たな就労機会の確保につながっている例も見受けられております。しかしながら、都市住民との交流や観光資源として活用していくにも幾つかの課題が生じてきているところであります。都市との交流の場合、漁村環境の整備として下水道の整備がおくれ、子供たちの交流にちゅうちょされる面があります。県では、漁業集落環境整備事業を活用し、水質浄化と集落の基盤整備を進め、漁村における下水道整備を進めてきているところでありますが、その推進状況と今後の整備目標をどのように設定をされているかお伺いをいたします。
 また、プレジャーボートの事故対策として、漁港係留許可の実施に伴い賠償保険加入をむしろ義務づけることが得策であると考えておりますが、保険加入の促進への取り組みとその実態はどのように把握なされているものか。さらには、事故が発生した場合、捜査や救助では漁民の方々の理解と協力のもと、奉仕活動により救助を含めた事故対策が行われており大変迷惑をかけているのが実態であります。県は漁民への影響と実態についてどのように認識をされているのかお伺いをいたします。

〇高橋副知事 まず、経営安定化対策でございますが、御指摘のように中国は同緯度ということもございまして、大変厳しい中国との国際競争ということでさらされているわけでございまして、これに対応するには生産、流通双方での構造改革を進めていくということが本当に必要なわけでございます。委員からいろいろとそのための方向についてお話ございましたが、基本的にはまさにそういうようなことに一つ一つ取り組んでいかなければならぬと思っているわけでございますが、さらに申し上げますと、特に養殖業におきましては、平成15年度にプロジェクト事業を創設いたしまして、各地域で策定をしたステップアッププランに基づいて、意欲ある担い手を中心とした経営規模の拡大と生産コストの低減を図ってまいっております。それにあわせまして、早取りワカメや春ガキなども、これは前にも、昔は食べられていたそうでございますが、私は食したことはございませんが、こういうものもまた資源として見直して、そういう産地の特色を生かした新商品開発というものをどんどん進めて、産地競争力の強化を図っていくことも必要でございます。
 それから、最も大事な流通・加工対策でございますが、この四つの中核市場を中心として、県内の魚市場の機能分担を進めて、地域の水産物の流通拠点となる魚市場の経営体質の強化を図ることが必要でございますし、さらに、ホタテガイやマツカワなど水産物のトレーサビリティーシステムの導入とか産直活動の促進等によりまして、生産者と消費者との距離を縮める取り組みが大事でございます。それから、生産者と加工業者との連携によって、秋サケやイカなどの前浜資源を活用した地域の特色ある加工品づくりを進めていくということも非常に大事でございますので、これらの施策を重点的に取り組んでいく。さらに、制度資金の有効な活用によって、経営安定を図っていくということで考えております。
 それから、災害に強い水産業ということでございまして、本当に本県は養殖業が大変盛んなわけでございますが、津波や低気圧の常襲地帯でもございまして、災害に強い水産業を構築していくということが重要でございます。このため、災害に強い養殖施設整備に対しましては、引き続き支援をいたしますとともに、水産技術センターが行いました過日の暴風雪波浪なり十勝沖地震津波による施設の破損状況調査結果をもとにいたしまして、生産者に施設の強化策を指導してまいりたいと思っております。それとあわせまして、独立行政法人水産工学研究所等で、その耐波性が強い養殖施設の開発を行ってもらうように働きかけをしておるところでございます。それから、県といたしましても十勝沖地震津波の発生を踏まえまして、漁場ごとに津波に耐え得る施設の仕様なり、適正な漁場配置のあり方等については、今後検討してまいりたいと思っております。
 それから、これは強化策とは別個に、共済加入が非常に大事でございまして、十勝沖地震津波、暴風雪波浪等によりまして生物共済の方は加入率が結構高くなりましたが、相変わらず施設共済の方は加入率が低いという状況がございますので、これへの加入促進を図ってまいる考えでございます。
 それから、つくり育てる漁業でございますが、平成13年の漁業生産額427億円のうち、このつくり育てる漁業の生産額は235億円ということで全体の55%ということでございまして、これは本県水産業のまさに基幹となっているわけでございます。東北でもこれは断然に高い数字ということになっております。さらに、この養殖種を拡大するため、水産技術センターにおきましてマツカワ、それからイワガキ、マツモの種苗生産技術や養殖技術の開発に取り組んでおりまして、実用化のめどが立ったものから、順次、普及・定着を図っていくこととしております。
 それから、漁業集落排水施設でございますが、この整備率は、平成14年度末で22%ということになっておりまして、県全体が57%でございますから大変まだまだ低い状況にあるわけでございます。この集落排水施設の整備促進、これはおっしゃられましたようにブルーツーリズム関連で大変重要でございますし、漁場の水質保全にもまた重要なことでございます。財政状況が大変厳しい中でございますが、関連事業との連携強化などによりまして、事業の重点化、効率化を図って、県の総合計画における平成22年度の目標でございます整備率63%の達成に、とにもかくにも頑張ってまいりたいと思っております。
 それから、プレジャーボートの事故対策でございますが、このプレジャーボートの所有者等に対しましては、万一の事故による損害賠償なり救護費用の支払いに備えまして、あらかじめ責任保険に加入するように指導をしてきたところでございます。隻数は、加入率は約4分の1まで、23.6%ということで、そこまで上がってきたということでございますが、ただ、この義務化というものは、これは水産庁の見解でも難しいと、条例で義務づけるというのは難しいというような見解がなされておりますので、今後もいろんな許可更新が毎年なされますから、毎年その更新の機会等を利用しながら、保険に加入するように働きかけていきたいと思っております。プレジャーボートが事故を起こした場合には、漁具とか漁船に損害を与える。また、捜索活動、それから救助活動等に漁民の方々の出動が求められるというようなこともございますし、さらに、保険に入っていない場合には、十分な補償なり経費補てんが受けられないおそれもございますので、これらは非常に大事なことだと思っております。ただ、幸いにも係留許可制度創設以来きょうまでそのような事故は発生していないという状況でございます。

〇田村誠委員 ありがとうございました。ぜひ水産振興、沿岸地域の発展の原動力となるものでありますので、お願いを申し上げたいと思います。
 改めてお伺い申し上げたい点がございます。まず、施設に対する共済制度でありますけれども、それは、偶然にも十勝沖地震の直前に加入をした漁協がございまして、かなりの補償が受けられたということで大変喜んでいる地域もあります。あるいはまた、いまだ入っておらないというのもあるわけでありますが、この負担額がやっぱり漁民の今の置かれている状況からいきますと、なかなか高いという点など問題も指摘をされているところであります。市町村によっては補助を出して何とかこうした漁民の一朝有事に対応しようという地域もございます。そして、国でもこれに対してはそれなりの御負担をいただいているところでありますが、前にも御質問いたしました、県だけがぜひ加入すべきという、あるいはさまざまな国、県に対する要望等はやっていただいておるわけでありますが、助成についても再度検討していただけないものかどうか、まず一つであります。
 それから、加工品づくりでありますけれども、今までもこのことについては若いグループがさまざまなものを研究してまいりました。しかし、なかなかその加工というものに対して、浜でとれた新鮮なものをその場所でやるということが、まだなかなかその成果が上がりにくい状況であります。それには加工業者の今の経営状況等々を見てみますとなかなか大変だろうと思いますが、先進地を見てみますと、例えば気仙沼、ああいう場所ですとかなり気仙沼の会社がつくった産物をその場所で販売をしている。ああいう元気のある地域もあるわけであります。もっともっとこの加工というものを県の機関を通じて研究、開発をともにしていただけるように、これは要望しておきたいと思います。
 それから、プレジャーボートの関係でありますが、実際、事故という報告まではいかないにしても、結構地域ではいろいろトラブっているわけでございます。これを見てみますと、当時プレジャーボートの係留許可を与える条例をつくるときには、県としても許可の条件に強制加入というのは難しいということは私も聞きました。しかし、何としてもそれに加入をさせて、そして管理をきちっとやらせます。そういう指導をしたいということで、ああ、そうですかということになった経緯もあるわけでありますが、現状25%、あるいはまた、その中には、入っておらない場合は自己資産に丸をつけなさい、補償をする場合の能力をですね。そういう欄もあるようでありますが、自己資産と丸をつければ中身は何も要らない。そういう問題点なども出されているようでございますので、ぜひいずれ漁民に迷惑がかからないような状況でやっていただきたいと思います。改めてお願いします。

〇高橋副知事 漁業共済の関係でございますが、確かに十勝沖地震津波のときにその直前にたまたま入って保険金をいただいたというところがあったやに私も聞いております。県からの助成の話でございますが、これは前からしょっちゅう議論されていた話でございますが、農林水産部にはまた農林水産部なりの事情もあろうかと思います。そういうような中で検討されるべきものだ、そのように思っております。それで、できればやはり私はそういうようなケースをもっともっと漁協の方に、組合員の方に話をしていただいて、共済というものに入ればこれだけのメリットがあるのだということを、もっともっと周知徹底をしていただければと思っております。
 それから、加工の関係の研究開発はやはりこれは進めていかなければなりませんので、これからも続けていくわけでございますが、この気仙沼のケースのような加工品そのものばかりではなく、加工品からその売り方、販売のやり方、それらも含めたやっぱり全体としてのシステム的なというか、そういうソフトの、それをうまく考えていくということがこれから非常に大事ではないのか。魚種の開発、ブルーツーリズム絡みもございますが、そういうものとやっぱりこういうものは一体として物を考えていただければいい。地域でのそういう取り組みをお願いしたいと思っております。
 プレジャーボートにつきましては、条例をつくったときにその経過もあるようでございますので、もっと突っ込んだ検討をするように指示をしてみたいと思います。

〇阿部敏雄委員長 田村誠委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時56分 休 憩
   午後3時15分 再 開

〇阿部敏雄委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇田村誠委員 次に合併についてお伺いをいたします。
 合併特例法の期限を平成17年度末に控え、県内でも多くの自治体が真剣に合併について論議を交わしておりますが、国、県の指導をいただき一昨年大船渡市と三陸町が合併、豊かさが実感できる都市環境づくり、魅力と活力あふれる地域産業づくり、健康とやさしさに満ちた福祉社会づくり、文化の香り高い生涯学習のまちづくりを基本指針とし、大船渡港湾整備事業を初めとする各種の社会資本整備を進め、三陸沿岸地域における人と物の一大交流拠点を形成するなどの計画を盛り込んだ大船渡市合併建設計画が策定され、着実に10年後の計画実現に向け、成果があらわれておりますことに敬意を表します。これは、単に行政のみにとどまらず、市内商工関係団体を初め各種団体の合併にも波及し、一層の行財政運営の効率化が進むものと期待をいたしております。
 そこで、合併建設計画の中から幾つかの課題についてお伺いをいたします。
 その一つとして、大船渡港湾整備についてであります。社会経済のグローバル化による国際的な大競争時代を迎え、産業のコスト構造の是正が求められており、輸送効率の改善により本県沿岸地域のみならず、内陸地域の産業の活性化を図るなど、今後おおむね20年間の港湾整備と港湾を核とした地域づくりの方向性を示す岩手県港湾ビジョンが策定され、大船渡港湾は物流の拠点港として、観光ネットワークの拠点港として位置づけられております。公共事業の削減が行われ、今後ますます重点投資が行われるわけでありますが、この合併建設計画に基づく大船渡港湾の整備は着実に進められるものでしょうか。その進捗状況と今後の見通しについてお伺いをいたしますし、加えて、水産振興のかなめともなる大船渡魚市場の整備、見通しはどうなっているでしょうか、お伺いいたします。

〇高橋副知事 大船渡港の整備等についてでございますが、まず、大船渡港におきましては、茶屋前地区が老朽化してきたことからその機能を移転させるということと、船舶の大型化に対応することを目的にいたしまして、永浜・山口地区において岸壁等の整備を今進めているところでございます。
 国の直轄事業でもございます水深13メートル岸壁につきましては、平成15年度末で基礎工事である地盤改良工事が終了となりまして、約47%の進捗となる予定でございます。それから、県が事業を進めております水深7.5メートル岸壁におきましては、平成15年度末で地盤改良工事、また、くいの基礎工事が終了となりまして、約71%の進捗となる予定でございます。また、これら岸壁の進捗に合わせまして、背後地でございます埠頭用地造成、また、工業用地造成、さらには臨港道路の整備も合わせて進めているところでございます。
 今後の見通しでございますが、現在の県財政を踏まえると大変厳しい状況にあるわけでございますが、港湾は地域の産業活動を支える基盤でもあることから、引き続き整備に努めてまいりたいと考えております。
 それから、魚市場の整備でございますが、この魚市場は気仙沿岸地区の水産業における基幹施設でございまして、県の作成した産地魚市場機能強化計画におきましても中核市場と位置づけられているわけでございます。県としては、この新しい魚市場の整備には積極的に支援をすることとしておりまして、この水産業を核とする地域経済の振興を図っていく必要があると考えております。
 用地造成につきましては、新しい魚市場の用地造成、これは公共事業予算が厳しい中で、県営の漁港整備事業として最優先の工事と位置づけて予算の重点配分を図りながら進めることとしておりまして、平成18年度の完成を目指しまして、最大限努力をしてまいる考えでございます。
 それから施設整備につきましては、用地造成を待って大船渡市が作成する具体的な整備計画を踏まえて施設整備など実施されるわけでございますが、必要な支援については検討してまいりたいと考えております。

〇田村誠委員 このことについて重ねてお伺いをいたしたいと思います。
 合併建設計画の着実な推進について、先ほど大変心強い御答弁をいただいたわけでありますけれども、今、港湾のみならず、関連するさまざまな事業も並行して実施しておりますし、そのほかにも各般にわたる事業が進められておりますが、合併計画、建設計画は国と県、そして市町村が十二分な協議の上で作成されたものであり、国策として特例法までつくり、住民と約束を交わしたものと私は認識をいたしてございます。そういう意味で、こうしたとき、岩手県行財政構造改革プログラムが明らかにされ、先ほど答弁もありましたが大変財政運営も厳しいという状況の中で、大船渡市の合併計画は、180を超える事業がその計画をされ進められてきておるわけでございます。今後の建設計画を具体的に推進していく上で、この構造改革の中で本当に地域住民と約束をされた計画が確実に進められていくものかどうかを、改めてその決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

〇大沼地域振興部長 大船渡市の合併建設計画でありますが、当初計画に登載しておりましたのは185の事業でありますが、このうち14年度までに93の事業に着手済みであります。着手率は50.3%ということで過半であります。
 今後とも、合併建設計画が着実に推進できるよう引き続き支援してまいりますが、何しろ始まったばかりでございまして、まずは順調なスタートを切ったところでございますので、これを軌道に乗せていくことが重要だと思っております。
 私どもといたしましては、昨年8月に市町村合併支援プランを策定いたしまして、市町村建設計画に基づく事業につきましては積極的に支援することとしておりますので、これを全庁的に盛り上げてまいりたいと思っております。

〇田村誠委員 この建設計画の推進については今後、合併の議論をいろいろされている市町村もあるわけでございまして、こうした方々も合併特例法の恩恵というものを十分考えながらやっている地域もあるだろうと思います。ぜひ推進方、御指導をお願い申し上げます。
 それでは次に移らせていただきますが、急傾斜地崩壊対策事業についてお伺いをいたします。
 急傾斜地崩壊危険箇所は、平成12年度の調査によれば1、792カ所あり、その約半数は地形的条件から大船渡市が184カ所、釜石が330カ所、宮古が123カ所などの沿岸南部に集中しており、平成14年度末で8割が整備未着手となっております。また、その整備率は約13%にとどまり、東北6県で比較しても最下位となっております。平成14年度の政策評価においても、安全な暮らしの実現のため、急傾斜地崩壊対策については地理的特性を踏まえながら着実に取り組む必要があるとされており、平成14年7月に発生した台風6号などで約40カ所のがけ崩れが発生し、釜石市においては土石流により死者が出る痛ましい災害になったところであります。
 今後、災害に強い県土整備を進めていくことが必要と思いますが、行財政構造改革プログラムの実施により公共事業の削減はこの分野にも影響を与え、整備の進度がおくれていくことが懸念されるところであります。今後の急傾斜地崩壊対策の整備目標をどのように設定し、特に沿岸南部において整備率をどう高められていくのか、お伺いをいたします。
 また、三陸沿岸地域は、過去の津波対策などで高台に家屋の移転を余儀なくされ、そこが急傾斜地危険箇所となってしまっているところが多いわけでございます。今後の急傾斜地指定などを含めた解消策をどのように進めていくか、あわせてお伺いをいたします。

〇高橋副知事 急傾斜地崩壊対策事業の整備目標でございますが、11年度から目標年次の平成22年度までに122カ所、また、中間年次の平成17年度までに71カ所を概成させることとしておりまして、平成14年度末の概成箇所数は46カ所でございます。沿岸南部につきましては、大船渡市や釜石市等でございますが、これにつきましては重点的に予算を配分いたしまして、緊急を要する箇所から鋭意整備に努めているところでございまして、平成15年度におきましても沿岸南部の事業費は44%ということで、厚く配分をしておるところでございます。
 それから、危険箇所の解消策でございますが、危険箇所の解消を目指して大変厳しい財政状況下ではございますが、コスト削減に努めながら防止工事等のハード対策を推進いたしますが、それとあわせまして、がけ地近接等住宅移転事業によります住宅の移転促進を行いますとともに、平成13年度に施行されました土砂災害防止法に基づいて警戒区域を指定するなどのソフト対策を推進することとしているところでございます。

〇田村誠委員 急傾斜地については、いずれ死亡事故が発生するような状況にまで至っているわけでありますので、人命にかかわることでございます。なお積極的な施策の展開をお願いする次第であります。
 次に、シカ・カモシカ対策について改めてお伺いをいたします。
 五葉山に生息するシカは、北限のホンシュウジカとして本県を代表する貴重な大型野生動物ではありますが、近年の暖冬や北上山地に点在する牧場などの環境がシカの移転を容易にし、シカの生息地域が五葉山地から里山周辺に拡大し、防護網の内部に住みつき里ジカとなり、新たに農林はもとより水産にも被害が発生をいたしております。県では、シカの保護対策に加え食害対策を講じるためシカの生息管理を進めているところではありますが、この里ジカ対策をどのように考え、被害の拡大防止策を講じられているかお伺いをいたします。
 さらに、カモシカについても、天然林木被害が生じておりその防止策が求められております。カモシカは天然記念物であることから、シカと同様の固体管理は難しいとは存じますが、県はカモシカによる食害の防止策をどのように進めているかお伺いをいたします。

〇高橋副知事 まず、里ジカ対策についてでございますが、県ではシカの生息域が拡大して新たな被害地域の発生が大変懸念されておりますことから、平成14年の11月に第2次特定鳥獣保護管理計画、これは14年11月から19年3月までの計画期間でございますが、この保護管理計画を策定いたしまして、総合的な対策を推進しているところでございます。この第2次計画では、大船渡市、釜石市、それから陸前高田市と住田町の地域は適正生息数約2、000頭を目標に個体数調整を実施することとしているわけでございまして、平成15年度は狩猟と有害駆除をあわせまして700頭の捕獲を計画してございます。
 被害の拡大防止対策といたしましては、従来から耕地等へ防護ネットを張っているわけでございますが、これらの防護ネットの設置や造林地への忌避剤の散布を実施いたしますとともに、最近、荒廃地からの土砂流出によります水産関係への被害が出てまいりました。これらを防止するための復旧治山を実施することとしているところでございます。
 それから、有害駆除につきましては、平成15年度は100頭を目安としておりますが、地元の御意見を踏まえながら、猟期終了後の2月下旬から田植え時期の5月までが有効でございますので、この期間に重点的に実施をしていきたいと。さらに、本年の8月には従来のシカ対策関係組織、これを発展的に解消いたしまして、県と学識経験者、関係団体に加えまして、五葉山周辺の5市町を新たに委員としたシカ保護管理検討委員会を発足させたところでございますので、この中で地元の意見を十分に聞きながらシカ対策に反映させていきたいと考えております。
 それから、カモシカの食害防止対策でございますが、カモシカによる林木被害につきましては、平成14年度は実損面積が約13ヘクタールということで、損害額は約2、200万円と把握してございます。この防止対策につきましては、市町村が行います食害対策事業に対して補助を行っているところでございます。
 今後の対応といたしましては、市町村が行う食害対策事業をもちろん支援することでございますが、このカモシカの適正な保護管理を目的とするカモシカ特定鳥獣保護管理計画というものを平成16年度をめどに策定することとしております。この計画を策定いたしますと、地域を限ってカモシカを保護するカモシカ保護地域以外の地域におきましては、被害の状況等に応じて公的機関が有効適切な方法によってカモシカの個体数調整を行うことが可能となるということでございまして、この保護管理計画を平成16年度に策定をして個体数調整を実施していくことになろうかと思います。

〇田村誠委員 シカ対策についてはわかりました。ただ、最も今被害の多いといいますか、被害の実態調査をしていただいているところだろうと思いますけれども、里ジカ、いわゆる家の周りにもう既にシカが住みついてしまっていると。私、こういう表現は適当かどうか、シカを見た途端に頭にくる。坊主憎けりゃ袈裟までということで、ほかのシカを見ても憎らしくなるぐらい、家の周りでせっかくつくった野菜やそうしたものを全部食われてしまう。これが農地荒廃にもつながっている状況であります。この山の方に住んでいるシカはまだかわいいところがあるのでありますけれども、里ジカをどうするか。これは本当に真剣になって地元と協議をしていただいて駆除をしていただきませんと、目の前で梅を食べたり、さまざまなものを食べられている、これを毎日見ておりますし、ちょっと山手に入りますと、さくの中に人間が住んで、シカがのうのうと歩いているというのがまさに実態であります。このことをひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まだまだ質問する事項を予定しておったのでありますけれども、最後に県民意識調査の結果についてお伺いいたしたいと思います。
 県民意識調査を平成15年2月に調査いたしました。これは平成17年度の県の施策に関する県民意識調査結果であろうと思いますが、その報告書によれば、不満な状態とやや不満な状態の割合41.7%が、満足できる状態とやや満足できる状態の割合19.4%に比べて高くなっております。これを設問が多少異なることから単純に比較はできないにいたしましても、平成12年度の調査と比べ、不満な状態とやや不満な状態の割合が9.9ポイント上昇し、満足できる状態とやや満足できる状態の割合が12ポイント低くなっております。こうした県民意識が不満な状況に触れている要因はどこにあると分析をし、今後、県民の満足度を高める施策をどう進められていこうとしているかお聞かせをいただきたいと思います。

〇照井総合政策室長 県民意識調査の結果、現在の生活全般につきまして、不満な状態と回答した人の割合が増加した要因といたしましては、平成12年の前回調査以来、社会経済情勢が大きく変化して、経済成長率、有効求人倍率、完全失業率などの経済・雇用関連の指標が悪化していることに加えまして、医療・年金制度の改正が行われて、個人負担の増大や将来の年金給付への不安が生じていることなどによるものと考えております。
 回答をお寄せいただきました方々の個別の御意見を見ましても、就職難、リストラ、老後の生活など、現在に対する不満と将来に対する不安の声が多く見受けられます。また、調査項目で見てみますと、地域経済の活性化でありますとか、自分の能力を生かし、働ける環境などの項目で満足度が低くなってございます。こうした社会経済情勢に対する県民の不安が、不満な状態と回答したものと考えております。
 調査を行った49項目の中で特に県民からの要望の高い分野は雇用の確保、それからただいまの地域経済の活性化、それから医療・保健・福祉を担う人材の確保などでございます。
 この調査結果を踏まえまして、40の政策というものをこのほど策定したところでございますが、今後これらの施策を重点的、優先的に推進することによりまして、県民生活に対する県民の満足度を高めてまいりたいと、このように考えております。

〇田村誠委員 いずれ、県民の意識、住民意識は不満というのがふえてきているということは、もう一つのアンケート調査の中にアドバイザー制度のアンケート調査もありました。あれを見てみますと、あちらの方が数字は余り悪くない状況なんですね。情報といいますか、県民に県の行政のPRといいますか、そうした理解をしていただくことが私は大事なんだと感じました。そういうことで、平成14年度いろいろ御努力をいただきましたことに敬意を表して、質問を終わらせていただきます。

〇阿部敏雄委員長 以上で代表質疑を終わります。
 次に、自由質疑を行います。自由質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、発言時間は、答弁を除き1人10分を限度とし、交渉団体会派以外の委員を優先することになっております。
 質疑はありませんか。

〇小原宣良委員 社会民主党の小原宣良でございます。
 財政問題に絞ってお伺いをいたします。
 平成14年度一般会計決算の特色として、県は自主財源が減少したこと、基金からの繰入金が増加したこと、公債費の増に伴い義務的経費が増加し、投資的経費が減少したこと、繰越額が引き続き多額であったことなどを挙げております。これらはいずれも財政硬直化の要因と言われているものであります。
 さて、県は、ことし10月に行財政構造改革プログラムを公表いたしました。これによりますと、平成15年度から18年度までの4年間において、これまでどおりの財政運営を続けた場合、約1、750億円の財源不足が見込まれるとしております。同時に県は、こうした事態に至った理由として、財政運営面では経済動向の的確な予測の難しさという側面はあるものの、財政見通しに甘さがあったことや、いわゆる霞が関スタンダードの安易な受け入れなど、中央志向、中央に依存した体質から脱却できず、身の丈を超えた規模で社会資本整備を続けてきたこと、また、これまでの行政改革においては、仕事の進め方等の改革、コスト意識という面の取り組みが不十分であったことなどによるものと考えているとしております。後に伺いますが、これは実に驚くべき見解であります。
 初めに、財政悪化の要因について、平成14年度決算を基本に伺います。
 平成14年度の実質収支額は21億3、961万6、000円の黒字となっておりますが、単年度収支額は2億5、726万3、000円の赤字となっております。この単年度収支の赤字は平成7年度以来のことと思われますが、これら実質収支、単年度収支の実態をどう見ているのでしょうか。また、実質単年度収支も赤字となっておりますが、その要因をお知らせ願います。

〇時澤総務部長 平成14年度の実質収支でございますが、委員御指摘のとおり21億3、900万円の黒字でございます。これに対しまして、単年度だけで見た場合には、単年度収支額は2億5、700万円の赤字となるものでございます。この要因につきましては、税収の落ち込みなどから歳入の確保が十分に図られなかったものと分析しているものでございます。さらに、この実質単年度収支について御質問がありましたけれども、単年度収支には実質的な黒字要素、赤字要素が含まれております。これを控除するというのが実質単年度収支でありますけれども、平成14年度におきましては、黒字要素といたしまして、財政調整基金への積み立てが11億9、800万円ございます。また、赤字要素といたしまして、同基金から10億円を取り崩しているということで、それを差し引きをいたしますと、実質単年度収支は平成9年度以来の赤字ということで5、900万円の赤字となるものでございます。これも税収の落ち込みなどから歳入の確保が十分に図られなかったものと分析をしているものでございます。

〇小原宣良委員 要因は税収の落ち込みにあると、こういう見方のようであります。
 さて、次に財政力指数について伺います。
 財政力指数は、基準財政収入額を基準財政需要額で割ったものでありますが、税等の自主財源の比率をあらわすものと言われております。平成14年度の財政力指数は0.25785のようでありますが、この数値をどう見ているでしょうか。ここ数年の動向とあわせてお伺いをいたします。

〇時澤総務部長 財政力指数につきましては、1に近く1を超えるほど財源に余裕があるというものでございまして、平成14年度の本県財政力指数、先ほど委員おっしゃいましたけれども、小数点は2けたで今後言わせていただきますと、今0.26という数値でございます。これを東北平均で見てみますと、東北平均では0.31ということでございますので、本県の0.26、これは東北の平均に比べても低い状況と考えております。
 それから、平成10年度以降の推移について見てみますと、本県は平成10年度で0.31でございます。それで、平成10年度の0.31から毎年度低下をしてきております。これは東北平均、全国平均についても同様でございまして、近年、低下をしてきているというものでございます。
 この低下の要因につきましては、景気の低迷によります税収の減によりまして、分子の基準財政収入額が減少しているということ、そして一方で、経済対策によりまして増発いたしました県債の償還金が、財政力指数の分母になります基準財政需要額に算入されて増加をしているという原因と分析をしているものでございます。

〇小原宣良委員 次に、経常一般財源比率でありますが、これは経常一般財源の合計額を標準財政規模で割った数値であります。一般的にこの比率は100を超えるほど歳入構造に弾力性があるとされています。平成14年度は106.5となっているようでありますが、この数値をどう見ているでしょうか。ここ数年の動向とあわせてお知らせをください。

〇時澤総務部長 経常一般財源比率でございます。平成10年度が96.5でございまして、平成14年度が委員御指摘のとおり106.5でございますので、平成10年度と比べると10ポイント程度上昇しているという状況でございます。これは東北平均で見ましても、東北平均、平成10年度は95.3でございまして、現在平成14年度は104.5でございます。本県と同様に9.2ポイント上昇しておりまして、全国平均についても同様に上昇しているというものでございます。
 この上昇要因につきましては、分母となります標準財政規模の伸びに比較いたしまして、分子の経常一般財源の伸びが大きいということもあります。また、ちょっと数字的というか制度的な改正による影響というのもございます。といいますのは、平成13年度以降、本来普通交付税で交付されてきておりました基準財政需要額の一部が臨時財政対策債に振りかえられております。それによりまして交付税額が減額となっておりますので、分母の標準財政規模が縮小しているという状況がございます。一方、分子の経常一般財源にはこの臨時財政対策債は一般財源として含まれているものでございますので、標準財政規模の減額に比較して減額幅が少ないという事情もございまして、結果として、経常一般財源比率が上昇することとなったという制度的な問題も内包しているというものでございます。

〇小原宣良委員 そういう要素もあったかと思います。
 午前中に監査委員から指摘がありました。経常収支比率の悪化ということでございました。この経常収支比率というのは人件費などの経常的な経費に、地方税、地方交付税などの一般財源がどれだけ充当されているかを見る財政構造の弾力性を判断する指標と言われているものです。これについてもあわせてお伺いをしておきたいと思います。
 なお、都道府県については、小学校、中学校、高等学校の教職員の給与、あるいは警察官の給与、こういうものが含まれておりますので、市町村よりは高目に出てくるというのは当然かと思いますが、この点についてどうお考えでしょうか。

〇時澤総務部長 経常収支比率につきましては、前年度より2.7ポイント上昇しまして93.1%となっております。確かに人件費の占める比率が都道府県の場合にはウエートが高いということでございますので、この人件費の影響というのもあるかと思います。ただし、今回の93.1%の内訳を見てみますと、このうちの人件費分が39.4%でございます。平成13年度が40%でございますので、人件費に係る経常収支比率につきましては前年度より減少していると。これは人事委員会勧告等に伴う給与改定等がございましたので、このような人件費については、平成13年度に比べて経常収支比率の中におきましてウエートは低下をしております。一方で、先ほど申し上げました公債費が増加しているという要因がございますので、公債費分につきましては昨年度の28.5%から今年度31.6%ということでございます。経常収支比率を押し上げているのは、公債費の要因によるものと分析をしているところでございます。

〇小原宣良委員 ただいまの39%、これは人件費に係る経常収支比率というのは一般的に40%が危険ラインと言われているのではないでしょうか。そういう点で前年度よりも下がっていると、こういう要因がうかがわれるかと思います。
 次に、公債費負担比率と起債制限比率について伺います。
 公債費負担比率は、公債費に充当された一般財源を一般財源総額で割ったものであります。要するに、公債費に充当する一般財源の額を、できる限り増加させないようにするための指標であります。経験的には、20%以上が危険ライン、財政破綻寸前と言われてきたものでありますが、平成14年度は26.4%となっているようであります。どう見ているでしょうか。ここ数年の動向とあわせてお知らせを願います。また、起債制限比率についても同様にお知らせください。

〇時澤総務部長 公債費負担比率につきましては、平成10年度で19.8%であったものが、年々上昇して平成14年度は26.4%となったものでございます。これを東北の平均で見ても同様の傾向でございまして、東北平均、平成10年度18.6%、それが平成14年度24.3%ということで5.7ポイント上昇しておりまして、全国的な傾向もこのような傾向になっているものでございます。
 この要因といたしましては、平成4年度以降の国の経済対策に呼応しました公共事業の財源として補正予算債等を増加しましたこと、あるいは地方財源不足対策といたしまして発行されました財源対策債、これも増加をしております。また、東北新幹線、県立大学、農業研究センターほかの各種の試験研究機関の整備の財源とした県債、これも含まれておりますので、こういった要因によりまして公債費負担比率が上昇していると分析しております。
 また、起債制限比率についても、平成10年度は11.7%でございました。公債費負担比率と同様に年々上昇しておりまして、平成14年度は14.8%となっております。東北平均で見ましても同じような傾向がございまして、平成10年度12.4%であったものが、平成14年度は13.6%ということで1.2ポイント上昇しておりまして、全国的にも同様の傾向を示しております。
 上昇要因につきましては、起債償還充当一般財源が大幅に増加をしていると分析をしているところでございます。

〇小原宣良委員 指標の最後に地方債現在高比率について伺います。
 これは地方債残高比率とも言われておりますが、地方債残高を一般財源総額で割ったものであります。一般的には、この比率が200%を超えると公債費負担の重圧が大きくなり、財政運営が厳しくなると言われているものです。平成14年度は343.8%となっているようでありますが、どう見ているでしょうか。ここ数年の動向とあわせてお知らせを願います。

〇時澤総務部長 地方債現在高比率でございます。これも毎年上昇を続けてきておりまして、平成13年度には前年の287.1%から26.2ポイント上昇し300%を超えまして313.3%となり、平成14年度さらに30.5ポイント上昇しまして353.8%となったものでございます。東北平均で見ましても、平成13年度で274.5%、平成14年度で300%を超えまして306.4%ということで、本県と同様、上昇傾向にあると考えております。
 この上昇の要因につきましては、先ほどの公債費負担比率と同様に、公共事業と補正予算の財源としての補正予算債の増、あるいは財源対策債の増、あるいは本県の新幹線あるいは県立大学等によりまして、発行いたしました県債の増というのが原因となっているものでございます。

〇小原宣良委員 これまで財政指標の推移についてお伺いをしてきましたが、明らかなように、財政悪化の要因は多額の県債発行による借金体質に陥ったことであります。その要因はただいま御説明のあったとおりかと思います。
 改めてお伺いいたしますが、バブル経済崩壊後、国の総合経済対策に関連した本県の事業費は、平成4年度から平成14年度までの間の総額は幾らでしょうか。主な事業名を含めてお知らせ願います。また、この事業費総額に係る起債総額についてもお知らせください。

〇時澤総務部長 平成4年度の緊急総合経済対策以降、平成14年度までに本県が国の経済対策に関連して実施した事業につきましては、一般会計分4、808億円、特別会計分124億円でございます。あわせまして4、932億円となっているものでございます。さらに、債務負担行為分がございまして、これが1、055億円でございます。これを加えますと総額5、987億円余となるものでございます。
 主な事業といたしましては、平成10年度から12年度までの東北新幹線建設対策事業、そして、下水道や道路などの生活関連基盤整備事業の公共事業前倒をし、あるいは平成10年度のいわて緊急経済対策資金貸付金、平成13年度の緊急地域雇用創出特別基金積立金などの雇用対策事業、こういったものも含まれているものでございます。これらに係る起債総額でございますが、およそ2、055億円余となっているものでございます。

〇小原宣良委員 かなり多額の、これは補正を含めてのことでございましたが、予算が計上され、そしてまた執行されてきたというわけであります。前段にも申し上げましたけれども、県はことしになってから財政悪化だと、金がない、このままでは財政再建団体に転落するといきなり騒ぎ始めたというのが私の率直な印象であります。行財政構造改革プログラムの記述や知事の発言によく出てくる、財政見通しに甘さがあった、身の丈を超えた規模で事業が行われてきたという認識は、率直な物言いであるとは思いますが、見方を変えれば無責任ということにもなります。そんな無責任な認識の上で予算を編成し、議会に提案し、承認を求めてきたものだったということにもなりかねません。私ばかりではなく、この間、何人の議員も、何回も、県債償還の見通しは大丈夫かと当局に問いただしてきました。そのたびに当局の皆さんは、交付税措置のある優良起債なので心配ないと判を押したような答弁が返ってきた、これが実態ではなかったでしょうか。少なくとも、心配顔のかけらもなかった。それとも、議会のチェック機能論を持ち出すつもりでしょうか。知事の言い回しに気をつけた方がいいと思われる点が多々あります。
 副知事、いかがなものでしょうか。副知事の御見解をこの際伺っておきたいと思います。

〇高橋副知事 知事発言はどうかと、認識ということでございますが、確かにこれまでも県債償還の質問等もございまして、私どもも割かし大丈夫だというような答弁もしてきたわけでございます。そこら辺はまさに財政見通しに甘さがあったわけでございまして、それらを含めまして、率直に反省をしているところでございます。知事発言は、いずれ、そういうような知事の率直な気持ちを本当に端的に表現して発言したものと、そのように思っておりますし、また、その裏にはなかなか地方だけでは何ともならない、自立がなかなか国が言うようには進まない、分権も進まないという、そういう無念さとか焦りというようなものも背景にはあったのではないかと、そのように思っているところでございます。

〇小原宣良委員 先ほどの総務部長の答弁にもあったように、各種指標をお尋ねしましたけれども、総じて、東北の中にあってもあるいは全国的な傾向の中にあっても、大体その傾向に沿うと、こういう説明ではなかったでしょうか。これは少しおかしいと思いますよ。こういう説明では、責任がしっかりしたものにはならない、こう思っておりますが、改めてこの点はお伺いをしておきます。
 最後に1点お伺いをいたしますが、確かに財政事情が悪い。ただ、行財政構造改革プログラムが出てきた背景には、三位一体論に見られるような地方財政制度に対する不透明感があるのではないか、地方交付税制度もどうなるかわからないといった不透明感であります。この将来不安というものについてどうお考えですか。
 あるいはまた、債務負担行為についてでございますが、この財政圧迫の要因になっているとお考えか、なっていないとお考えか、どうでしょうか。

〇時澤総務部長 本県の財政の悪化につきましては、先ほども申し上げましたけれども、いろんな公共事業等の前倒しの実施によりまして公債費が膨らんできておるということでございます。これは繰り返しになりますが、本県独自の固有のものではないということでございます。構造的な要因というのがやはりあるのではないかと。特に、本県は自主財源が非常に少ない、脆弱な財政基盤ということで、公共事業等前倒しを集中的に行う場合には交付税措置等のある起債に頼らざるを得なかった、その累積的な結果が現在の危機的な財政状況を招いている。これは全国的な状況とも同じでありますけれども、自主財源が乏しい本県におきましては、やはりこれが非常苦しい最大の要因になっていると考えております。
 それから、三位一体に見られるような不透明感というような御指摘がございました。今回の行財政構造改革プログラムにつきましては、危機的な財政状況を脱しまして持続可能で安定な行財政運営ができるように、なおかつ、これまで以上に質の高い行政サービスが提供できるようにということで、行政経営体の転換を目指しているものでございます。
 一方、三位一体の改革は、これはみずからの責任と判断によりまして地域の実情に合った施策を決定しまして、そして自主的に運用できるような財源、そしてその施策が実行可能となるように自己決定、自己責任の地域主権型社会を構築していこうということでございます。ベクトルはプログラムと同じような方向を向いているのだと思っております。この場合、まず望みますのは三位一体ということでございまして、国の関与を縮小しまして、そして歳入歳出面での自由度を高めるということが一番基本的なことでございます。その際に、国庫補助負担金の廃止・縮減、それに伴う税源移譲、地方交付税の見直し、これをセットで行わなければ意味がないということでございます。
 11月18日の経済財政諮問会議におきまして、平成16年度予算で1兆円を目指して国庫負担金の廃止・縮減を行うほか、税源移譲についても平成16年度に行うということで小泉総理の指示があったところでありますが、現在、平成16年度の予算編成に向けた具体的な動きを新聞報道等で見てみますと、一部に単なる補助率の引き下げあるいは一律削減など地方の自立につながらないもの、あるいは地方への負担転嫁が行われるような報道がなされておりまして、私ども非常に危惧をしているところでございます。
 真の地方の自立にふさわしい内容になるように注視しながら、あらゆる機会を通じまして要請していかなければならないと思っておりまして、本日も政府主催の全国知事会議がございまして、知事の方が小泉総理にそのような趣旨を申し上げる機会がありますので申し上げていると思います。また、廃止されます国庫補助負担金に見合った税源移譲、これを行いましても、本県のように財政力の乏しい団体にありましては、財源調整機能あるいは財源保障機能、こういったことがきちんと果たされていくような制度が必要であると思いますので、これも国に働きかけていく必要があると考えております。
 それから、債務負担行為についてのお尋ねがございました。債務負担行為も基本的に県債と同様に、後年度の財政負担を伴うものでございますので、従来からこれも慎重に取り扱ってきたところでございますけれども、さらに将来の財政負担を勘案しまして、これが本当に必要なのかということを個別にきちんと精査をしていかなければ負担がふえていくということでございますので、慎重に取り扱っていきたいと考えております。

〇小原宣良委員 県内市町村の財政状況についてでありますが、これを県はどう見ているでしょうか。

〇大沼地域振興部長 県内市町村の財政状況でありますが、昨年度、平成14年度の普通会計決算で申し上げます。
 まず、各種財政指標でありますが、経常収支比率は84.6%であります。前年度より2.7ポイント上回っております。それから、起債制限比率は11.0%でありまして、これも前年度0.1ポイント上回っております。また、地方債残高は7、975億円となっておりまして、前年度に比べまして219億円、2.8%の増加を見ております。昨年度の決算を見ますと、歳入では地方税等の一般財源が減少いたしました。一方、歳出では公債費等の義務的経費が増加しておりまして、財政指標を見ても本県市町村財政は硬直化が一層進んでいるという状況にあります。

〇斉藤信委員 県財政の危機的状況と行財政プログラムについてお聞きします。
 昨年度末で県債残高は543億円余増加して1兆3、818億円余となっています。県はこのまま推移するなら、4年間で1、750億円余の財源不足となり、平成17年度には財政再建団体に陥るとして行財政構造改革プログラムを打ち出しました。こうした状況は、知事選挙前には明らかにならなかったのでしょうか。他の県でも同様の状況だと知事は居直っていますが、岩手県の財政危機は特別に深刻ではないでしょうか。

〇高橋副知事 平成15年度当初予算の編成過程におきまして、県税収入が、これは前にも申し上げましたが昭和25年の地方税法施行以来、初めての2年連続で前年度を下回るということもございましたし、また、地方交付税、国庫支出金が国の構造改革の影響等を受けまして大幅な減収となるなど、平成11年10月に策定いたしました中期財政見通しの想定を超える事態となって、見通しを大幅に上回る歳入歳出ギャップが発生したわけでございます。今のままでは、今後、歳入歳出ギャップが拡大をいたしまして、財政運営は一層厳しさを増していくということが見込まれましたことから、平成15年度中に中期財政計画、財政見通しを全面的に見直して、持続可能な財政構造に転換するための具体的方策、本県の自立への道筋を明らかにしたプログラムを策定することといたしまして、本年の2月議会におきまして知事がこの旨をお話し申し上げたところでございます。その後、6月補正予算の編成過程におきまして、平成15年度から平成18年度までの財政見通しの具体的な見直し試算を行いました結果、このままの財政運営を続けた場合には4年間で1、750億円の財源不足が生ずると。そして平成17年度には財政再建団体に転落するおそれが明らかになったものでございます。
 今日の財政危機は本県だけが例外なのではなくて、地方全体を通じた構造的なものでございまして、歳入面では、地域の総合的な行政主体であります地方の歳出規模から乖離した収入構造、また、歳出面では、補助制度を通じた国主導の画一的な行政システムでの基準、霞が関スタンダートと申しておりますが、これの押しつけなり公共事業を中心とした経済対策への誘導、それらのもとで右肩下がりの歳入の流れの中にあって多額の債務残高を抱え、その元利償還が財政を圧迫するなど、いずれの地方団体とも極めて厳しい状況にあるものと認識をしているところでございます。

〇斉藤信委員 私の質問に簡潔に答えてください。二つのことしか聞いていないですよ、私は。知事選挙前に明らかにならなかったのかということと、岩手県は全国の中でも特別に深刻ではないか、この二つだけ聞いたんですよ。長々と早口でしゃべらなくたっていいですよ。この2点、もう一回確認します。

〇高橋副知事 厳しい見通しにつきましては、今申し上げましたように、2月の議会の中で知事が表明をいたしました。また、他県も同じような状況のもとにあるということを申し上げたところでございます。

〇斉藤信委員 少なくとも東北の中では地方債残高も一番だし、公債費比率も一番ですよ。東北全体が深刻な中で、岩手県、本当に一番深刻ですよ。私はそういう点で、知事選挙が終わったら1、750億円の財源不足で財政再建団体になるなんていう、こんな発表の仕方はおかしいですよ。盛岡市長選挙では、市長選挙の前にそういう状況が明らかになりましたよ。私は極めて無責任だと思いますね。
 それで、次に具体的にお聞きします。
 財政危機をもたらした最大の原因は、身の丈を超えた社会資本整備、いわゆる公共事業の推進にあったと指摘をされています。だとするなら、対策はそうしたむだと浪費の大型開発にこそメスを入れるべきではなかったでしょうか。
 具体的にお聞きしますが、202億円の津付ダムは治水ダムということにダムの性格が変わりました。ダムの必要性も含めて見直しすべきと考えますが、国とどのような内容で協議をしているでしょうか。協議のめどはどうでしょうか。

〇高橋副知事 津付ダムでございますが、本年5月に陸前高田市の工業用水が利水参加を取りやめたということでございます。それに伴いまして、現在、治水ダムとして計画を見直すということで、国との協議を重ねているところでございまして、特に計画の規模について再精査をするということで協議を重ねてございます。できるだけ早く取りまとめられるように努力をしたいと思っております。

〇斉藤信委員 私、先日、ダムの専門家と一緒に現地の調査をしました。そして岩手県の津付ダム建設計画もかなり詳細な専門的分析をしていただきました。極めて津付ダムの計画はずさんだと。私は現場を見たけれども、洪水予想地域、実際に行ってみるとダムと関係ない内水はんらんとか、住田町の中心部も実際にははんらんしていないんですよ。死者が1名出たのは、支流の河川が流れて死者1名が出たという事件がありましたけれども、私はそういう点で治水ダムの必要性、是非も含めて国と協議をしていると思いますが、どうですか、副知事。

〇高橋副知事 治水ダムの必要性を含めて協議をしているということは私は聞いてはおりません。

〇斉藤信委員 副知事に報告されていないということですね。これは極めて重大ですよ。私は担当者からはそういう中身も含めて国と協議中なんだと聞いていますよ。また、そういう治水のあり方、ダムなしでも十分できるという根拠を私は具体的に後で示したいと思うけれども、こういうのにメスを入れて初めて深刻な財政破綻を解決できるんですよ。
 続いて簗川ダムについて。
 670億円の簗川ダムの利水問題は、盛岡市との具体的協議はどこまで煮詰まったでしょうか。いつまでに結論を出すんでしょうか。利水問題が見直されるなら、治水のあり方を含めて再検討すべきではないでしょうか。

〇高橋副知事 盛岡市との協議でございますが、いろ
いろとこれまで盛岡市とは13回にわたって意見交換を行って検討を進めてきたところでございますが、今、大体最終段階に入っているところだという受けとめ方でございまして、いずれ年内か年明け早々には、県としての考え方を示せればいいのかなということで、そこら辺を目標に、できるだけ早く考え方がまとまるように努力をしていきたいと思っております。
 それから治水対策でございますが、これは河川改修案、放水路トンネル案などを比較検討した結果、いずれダムとか河川改修を組み合わせた手法が最も有利で効果的であるとした現在の治水計画が妥当であると、そのように考えております。

〇斉藤信委員 670億円の簗川ダムを見直さなければ行財政構造改革プログラムができませんよ。ダムをやめれば200億円以上の節約になりますよ。そして専門家は、十分に河川改修対応で可能だし、その方が安くつくと、こういう専門的で具体的な提案を問題にしているんですよ。大体、ダムを推進する人が、三つの案を並べてダムが有効だと答えるのはまともな検討と言えないんですよ、これは。副知事、そう思いませんか。

〇高橋副知事 私は専門家ではございませんので、そこら辺については承知しないわけでございますが、いずれ、この案の検討に当たっても、そういう意味で専門的な立場からの検討が行われたものと、そのように理解するものでございます。

〇斉藤信委員 せっかく政策評価条例で専門家による大規模事業専門委員会というのが設置されるんだから、私はそこで河川改修の案も含めて検討されるべきだと思いますよ。そして盛岡市の利水がだめになるのであれば、例えば矢巾町の水や農業用水というのは御所ダムを活用すべきだと思いますね。そうすると完全に利水は必要なくなってくる。そうしたときに簗川ダムの性格は完全に変わりますからね。根本的な検討をしていただきたい。専門家でないようだからここで終わります。
 次に、318億円の花巻空港整備事業について。
 大型機の恒常的就航を目的とした平行誘導路の整備は休止となっていますが、全く必要がなかったのではないでしょうか。大型機の恒常的就航の見通しは全くないのではないでしょうか。現在、今2、000メートルの滑走で約300人乗りが飛べるのに、このA300さえ飛んでいないのです。私たちがこの間、議会で視察に行って伊丹から帰ってきた飛行機は50人乗りでしたよ。私はこうした整備事業は全面的に見直し、中止すべきだと思います。そして、今計画されているターミナルビルも新たなターミナルビルの建設は必要ないと思いますがいかがですか。

〇高橋副知事 平行誘導路につきましては、これはあくまで航空機の離着陸時の安全性の向上、それから冬季の就航率の改善、それから国際チャーター便の運航先の多様化などの目的でやっているものでございまして、前にも申し上げましたが、私は冬に2回ほどおりれなくなった経験がございますが、これは誘導路があれば十分に大丈夫だというようなことも聞いておるところでございます。
 それから、ターミナルビルの建設につきましては、これは行財政構造改革プログラムの中で大規模事業の関係もございますので、そういう中で建設も含めて今調整が行われているところでございます。

〇斉藤信委員 今、副知事の答弁間違っていましたね。今言った理由は滑走路延長の理由です。平行誘導路というのは大型機が就航するために必要なものですよ。それが132億円なんですよ。全然理由が違うじゃないですか。間違っていますよ、あなた。それで、この平行誘導路というのは必要ないと言って国の補助対象にならなかったんです。だから、県単事業でやっているんですよ。大型機が恒常的に就航しないのに、何で132億円をかけて平行誘導路をつくらなければだめなんですか。ちゃんと答えてください。

〇高橋副知事 平行誘導路そのものは、やはり2、500メートル延長いたしましても、さらに大型機等が回転するときに必要だということで計画されたものでございまして、これは委員の方がおわかりのようでございますが、そういうことで今これは空港全体の計画の中で事業化が進められているものでございますが、ただ、これは確かにおっしゃるように県単事業でございまして、まず、当面この舗装工事は今無理してやることがないということで、5年間休止するということにしたところでございます。

〇斉藤信委員 318億円の空港整備事業、その中で132億円が平行誘導路ですよ。その理由も、その現状もまともに認識しないで、こんな税金のむだ遣いしたらだめですよ、あなた。私は、そういう点ではこうした県財政の危機をもたらしたむだと浪費の大型開発、これにメスを入れないで、県民、県職員、市町村にだけ犠牲を強いるこういう行財政構造改革では、財政危機の解決にもならない、県民の理解も得られないと思いますがいかがですか。

〇高橋副知事 前からいろいろと何度もお答えをしておりますが、これは、行財政構造改革プログラムというのは、基本的に単純に収支の均衡を図るということ、また、歳出の一律削減を図ろうなどというものではございませんので、10年先、20年先を見越して、多様な価値観を持っている多くの県民の期待にこたえながら、精神的にも経済的にも自立した岩手ならではの地域社会を形成する。そういうようなことを目指して、この4年間において岩手県全体をどうやって強くしていくか、こういう観点からまとめたものでございまして、このことをぜひ県民の皆さんにも理解していただかなければならぬと思っているところでございます。

〇斉藤信委員 私は、本当に大事なところに全然メスを入れないで、切りやすいところだけ切っているというのが、この行財政構造改革プログラムの実態だということが、わずかな時間で明らかになったと思います。あとは各部でさらに詰めていきたい。
 二つ目に、県立病院の大リストラ計画について。これは私たちの命、健康にかかわる問題なのでお聞きしたい。
 昨年度18億円の赤字を理由として、県立病院の大リストラ計画が出されました。この特徴は、地域住民の要求や個々の病院の改革の努力を無視して、上から病棟と病床の削減を押しつけるというものであります。既に地域から、とりわけサテライト施設にされた地域から反対の強い声と不安の声が出されています。今パブリックコメントもなされていますが、県民の声、地域の意見・要望はどのように検討されるのか。それを無視してこの計画は強行されるのか。どういうプロセスで廃止する病棟は決められるのか。来年度から3病棟が廃止の計画になっていますが、どのように、いつまで決められるのか示していただきたい。

〇高橋副知事 今般の県立病院改革でございますが、これはいろいろ委員御案内のような、例えば入院患者が減少して空床が増加するとか、外来患者も減少しているとか、診療報酬改定もあって非常に収益が悪化しているとか、医師の確保が困難になっているとか、いろんな経営環境が非常に厳しくなっている。それで、現在の体制なり規模で運営することは、これからは困難だということでございまして、今後、県営医療が安定した経営基盤の確立を図って、今後とも県民に良質な医療を持続的に提供していくためには、ここでやはり抜本的な改革に取り組まなければならぬ。そういうことで今検討しているところでございます。
 県民の意見、地域の意見・要望の反映につきましては、これまでもパブリックコメントとか市町村長への説明を実施してきたところでございますが、今後は二次保健医療圏ごとに県立病院運営協議会の委員への説明を行いまして、意見を伺うこととしております。これらの意見・要望につきましては十分に検討いたしまして、この改革プランに反映できるものは反映させていきたいと思っております。
 それから、病棟の縮減でございますが、これは平成16年度から平成20年度の間に計画的に進めることとしておりまして、今後、二次保健医療圏ごとに各病院の診療機能や規模、体制等を示した計画を12月下旬までに作成をいたしまして、関係市町村長の意見を伺うなどいたしまして、平成16年1月下旬には医療審議会の審議を経て決定することとしておるところでございます。なお、この改革基本プランは今後の医療環境なり患者数等の著しい変化があれば、必要に応じて見直しを図ることとしているものでございます。

〇斉藤信委員 患者減少の背景には、副知事が言われた以外にも医療制度の改悪、医療費の負担増、こういうものがあります。現状は病気になっても病院にかかれないという状況が今広がっているということに、私は深刻な問題があると思います。そういう点では個々の県立病院が地域のやっぱり要求、ニーズをしっかり把握して個々の病院の改革を進めていく。私はこの間九つの病院を回ってきました。例えば、東和病院とか千厩病院、軽米病院、こういうところでは独自の改革を進めて、成果、実績、利益を上げているんですね。そういうことが大前提にされなければ、上から病棟を減らすという話では本当の改革にならないと思いますがいかがでしょうか。
 それとあわせて、時間がないのでお聞きします。在宅酸素療法患者の実態と治療中断、その改善について。これは私、予算委員会、本会議でも聞きましたが、在宅酸素療法患者の実態、そして中断の患者はどのぐらいあるでしょうか。県としてどういう改善の対策を検討しているでしょうか。障害者3級医療費助成の全国、県内の状況もあわせて示していただきたい。

〇高橋副知事 個々の病院の改革というお話がございました。サテライトの話が先ほど出ましたが、サテライトによって病棟と病床が削減されるというような、これはちょっと認識が違いまして、サテライトをやることによってその基幹となる中核病院にすべての機能が集中して、その末端の分院的なものは全部自由度もなくなるし病床も減らされる、病棟も減らされるというような誤解が、これは県立病院の中にもあるようでございますが、そういうようなことはないわけでございまして、これはサテライトの誤解であろうと、これは山形県がサテライトをやっておるのですが、山形方式のサテライトを考えているわけではございませんので、これは今持っている医療資源を有効に使って県民にサービスの向上を図ろうという観点から考えている仕組みでございます。したがって、この個々の病院の改革の必要性、これはサテライトであっても当然あるものでございますし、私はそういう意味ではこういう改革の中でもっともっと各病院の自由度を増すようなことも、あわせて考えるべきだということも話をしているところでございます。ここら辺だけは意見が一致するようでございます。
 それから、在宅酸素療法の患者さんの実態等でございますが、患者数は本年10月31日現在、約1、400人でございまして、昨年の10月以降、経済的理由で治療を中断した方は10人ほどございます。比較的症状が軽くて、医師と相談の上やめられた方が2人でございますが、あとの8人の方はちょっと理由がよくわかりませんが、まず酸素取扱業者からの調査によりますと10人ということになってございます。
 それから、全国の状況でございますが、身体障害者手帳3級のすべてを対象としているのは14都道県でございまして、うち東北が秋田県1県でございます。そのほかに身体障害者手帳3級のうちの内部障害のみを対象としているのが、全国で6都道県、うち東北が3県ということでございまして、青森県、宮城県、福島県でございます。市町村の状況でございますが、市町村で3級までを対象としている市町村は12市町村ございます。本県では、重度心身障害者(児)医療費助成事業は、障害が重度である方について、医療の受診の機会を確保し、生活の安定と福祉の増進を図ることを目的としておりますので、障害程度が1、2級の重度の方を対象としているところでございます。

〇斉藤信委員 サテライト施設というのは無床化もあるんですよ。病床、病棟がない病院がつくられるというのが計画ですよ。
 それと、在宅酸素療法の患者中断は、私が3月に聞いたときには13人だったんですよ。これは保険医協会の調査でもそうなんです。減ったのは亡くなった方ですかね。あと、いつの時点で今答えられたか教えてください。
 最後、30人学級、少人数学級の実現についてお聞きします。
 ことしの3月県議会で、岩手県として30人学級・少人数学級実現の請願が全会一致で採択をされ、先日10万4、440人の署名も知事に提出されました。今度の議会では半歩前進という回答もありましたが、今県議会で知事、教育長は、来年度から各教育事務所ごとに、小・中の研究指定校を決めて少人数学級の検証を行う方向を初めて示しました。もう少し広げて全市町村規模で実施すべきではないでしょうか。検証の結果では平成17年度から少人数学級が取り組まれると考えていいのか。東北各県の少人数学級の取り組みの経験と教訓は、すべての学校で低学年を中心に実施されていますから、一人一人に行き届いた教育が実施されて、先生と子供、子供同士、人間関係が濃密になって父母、県民の学校教育に対する期待と関心も飛躍的に高まっている。部分的な実践ではなくて、私は全体の実践をすべきだと思いますがいかがですか。

〇高橋副知事 サテライト、確かにこれは論理的には無床化ということも当然あるかと思いますが、それは医療資源の効率的な観点からということで、ただ、私は無床化というの……、そこまでは聞いておりませんが、あり得るということはあり得ます。
 それから、在宅酸素療法の13人の数につきましては、私が10人と言ったのは本年10月31日現在でございまして、それで昨年10月以降中断した方が10人という調査の結果だということでございまして、13人という数字につきましては聞いてはおりません。
 それから、30人学級でございますが、30人学級の早期実現を求める請願の採択、それから各団体の要望、運動を踏まえながら、よりきめ細かな少人数教育の充実に向けて、これまでも施策の検討を進めてきたところでございまして、県としては、少人数学級あるいは少人数指導、いずれによっても一定の効果があるものと考えておりまして、今年度は小学校1年生では25人を超える、小学校2年生から中学校3年生においては30人を超える学級において少人数指導を実施しながら、保護者や学校長を対象としたアンケート調査を行いますとともに、少人数学級についても、他県の実施状況を調査してきたところでございます。この少人数学級を実施している東北各県では、目が行き届いて、担任とのかかわりが密になったというような効果も出ておりますが、反面、特別に指導を要する子供――不登校児やLD児、ADHD児――への対応が難しい。それから、体育や音楽等の教科によっては、あるいは行事のときは人数が多い方がいいなどの課題があると把握をしているところでございます。
 この少人数学級についても実践的な研究を進める必要がございますので、各教育事務所単位を基本に、それぞれ小・中2校、あわせて二十四、五校程度を研究指定校として、市町村教育委員会、各学校の意向を踏まえながら、具体的に効果等を調査研究しようとする考えでございますが、このような実践的研究による効果を検証した上で、その後の取り組みを検討していきたいと考えております。

〇小野寺好委員 公明党の小野寺好であります。
 平成14年度一般会計決算に関してお伺いいたします。
 昨年は、BSEを引きずりながらも、夏のサッカーワールドカップで日本じゅうが沸き、暮れには東北新幹線八戸延伸という、北東北にとって画期的な年でしたが、戦後3番目の出水量となった7月の台風6号による被害、相次ぐ企業倒産や撤退、食品偽装事件等暗い事件・事故も多発いたしました。県の財政も歳入減を基金取り崩しで埋めながら、国の経済対策に対応した公共事業の追加を行わざるを得ないなど、黄色信号になり改革を迫られております。
 こうした中、肥大化しがちな行政をいかにスリム化していくかが最重要課題になりますが、平成14年度において新たに発生した行政需要は何であったか、逆に目的達成以外にあえて廃止した業務にはどのようなものがあったか、これによって県の財政にどの程度影響が出たかなどについて、まずお伺いいたします。平成14年度決算でありますが、後年度に向けた改善点が検討されていればお伺いいたします。
 さらに、岩手県総合計画に載せたものの、状況変化等で来年度以降は再検討しなければならない事務事業があるかどうかお尋ねいたします。

〇時澤総務部長 新たな行政需要でございます。平成14年度におきましては、施策の重点化項目というものを設定いたしまして、その中で新規事業といたしまして39事業、13億円を計上したところでございます。これにつきましては、例えば雇用の確保、複合産業や新産業の創出に向けた取り組みといたしまして、障害者就業支援事業、コールセンターの立地推進事業、あるいは環境首都の実現に向けた取り組みとしまして、環境首都創造ネットワーク形成推進事業、資源循環型廃棄物処理推進事業、あるいは情報の森づくりの推進に向けた取り組みといたしまして、県民情報ネットワークの形成推進、いわてブロードバンドネットワーク形成推進事業、こういったものを内容とするものでございます。このような業務に対しまして、人員面におきまして、地域雇用対策、障害者雇用対策、離転職者の就業等の業務につきまして5人を、そして産業廃棄物対策、そして特定化学物質の排出量の把握につきまして、PRTR法というのが本格施行されますので、そういった指導等も含めまして16人、電子県庁構築、ブロードバンド普及対応業務について5人というような新たな職員を配置したところでありまして、このほか家庭内暴力、DV法の施行もありましたので、児童虐待・家庭内暴力対応業務として7人、そしてBSE対策業務として4人というような職員も配置したところでございます。
 また、業務の見直しにつきましては、1、900余りの事務事業評価を実施いたしまして、結果、予算面でございましたけれども200余りの事業を休止、廃止、縮小、これは一つの概念でとらえておりまして、休止、廃止、縮小ということで42億円余を削減したところでございます。人員面につきましては、農林水産部の工事執行の体制見直しによりまして3人、水沢食肉衛生検査所の廃止で13人、そして職業訓練内容の縮小で3人等職員定数を縮減したところでございます。この職員定数につきましては、増減あわせまして、トータルで結果的に5人の削減となっているところでございます。
 さらに、行財政をスリムなものにということで、現在、行財政構造改革プログラムを策定しておるのでございますけれども、その中におきましても、事務事業評価をまず的確に行いまして、なおかつ、新規の行政需要に対応するための事務事業、こういったものを含めまして、既存のものも含めまして、県のすべての事務事業につきまして官民の役割分担、あるいは県、国、市町村の役割分担、そしてその優先度を重視した事務事業を厳選する。そういった視点で、ゼロベースで見直すようにすることといたしておるところでございます。

〇照井総合政策室長 再検討が必要な事務事業についてのお尋ねでございますけれども、平成14年度までの主要な事業の進捗状況を見ますと、343事業のうち326事業に着手し、着手率は95%となっておりまして、おおむね順調に推移していると考えております。未着手の事業が17事業ございますが、この中には例えば、産学官連携農業共同研究推進事業を別の夢県土いわて戦略的研究推進事業で対応しているなど、そうした別の事業や類似事業で、実質的に計画で想定した取り組みを既に進めているものもあるほか、未実施の事業についても、現在その実施時期や実施方法などを検討中でございまして、現時点では、今後実施するかどうかの再検討を要するものはないものと見込んでいるところでございます。

〇小野寺好委員 次に、市町村合併についてお伺いいたします。
 市町村が主体性を発揮していくというよりも、国、地方を通じての危機的財政状況の中で、質の高い行政サービスを提供していく手段として合併を考えなければなりません。住民があえてそれを求めず現状のくくりでいいと言うのであれば、それはそれでいいと思いますが、後で不都合に直面してから住民が判断すべき情報提供がなかったなどということのないようにしていただきたいものであります。市町村合併に関し他県においては法定協議会が次々に設置されておりますが、岩手県だけが進んでいないというふうに報道されてまいりましたが、本日やっと一関地方4市町村の法定協議会が設置されました。県はこれまで余り積極的ではなかったと思いますが、平成14年度にどのような取り組みを行ったか、また、大船渡市と三陸町との合併から2年が経過いたしましたが、この成果をどのように把握しているかお伺いいたします。
 次に、東北新幹線八戸延伸の効果についてお伺いいたします。
 ちょうど1年になりましたが、直接利用している皆さんには大変喜ばれていると思いますが、間接的効果としての地域振興に関してはどのような波及効果が見られたかお伺いいたします。
 IGRいわて銀河鉄道株式会社利用者には緩和措置を行ったとはいうものの、負担増は重くのしかかっております。1年経過してみて、これによる利用者数の変化はいかがでしょうか。
 また、通学生徒に対して一応平成17年3月まで措置されておりますけれども、その後の恒久的運賃軽減措置についてはいかがお考えでしょうか。

〇大沼地域振興部長 まず、市町村合併に関しまして平成14年度の取り組みでありますが、昨年度、市町村合併支援プランを8月に策定いたしましたし、それに合わせまして市町村合併シミュレーションを作成して、各市町村にCD-ROMを配付したところであります。これは合併する場合、あるいはしない場合、それぞれの場合の将来の財政状況を比較できるようにシミュレーションしたものであります。県のホームページにも掲載しております。
 それから、昨年度は12月から1月の間に、各市町村長の意向調査をいたしましたし、また、一関市初め、胆江、二戸地域など県内各地で計7回のシンポジウムを開催して、延べ2、500人を超える参加者数を見たところでございます。また、昨年度末――平成15年3月には合併市町村への県事務の権限移譲方針等も策定して公表し、積極的に議論を呼び起こすように努めたところでございます。
 それから、大船渡市と三陸町との合併の成果というお尋ねでしたが、平成14年3月1日には大船渡市の農協と三陸町の農協とが、また、平成15年4月には大船渡の商工会議所と三陸町の商工会が合併するなど、平成13年度から平成14年度にかけまして、関係団体のほぼすべての統合が達成されまして、一体的なまちづくりを進めるための体制が整ったと聞いております。また、全国で初めて設けられました大船渡市の三陸地域審議会というのがございますが、これまでさまざま協議が行われてございまして、旧三陸町のふるさと創生基金の活用によりまして、三陸町地域の振興を中心に順調に協議が行われていると聞いております。
 また、財政面で見ますと、平成14年度決算で申し上げますが、財政力指数、経常収支比率、公債費比率、これらが前年度と比べましていずれも改善されております。合併による効果が着実にあらわれているものと認識してございます。
 また、合併建設計画に登載されました事業が、これはハードが中心でございますので、具体的な成果があらわれるには今しばらく時間が必要であると思われますけれども、当初の計画に登載いたしました185の事業のうち、平成14年度までに93の事業が着手済みであります。50.3%の着手率でありまして、順調なスタートを切っているものと認識しております。
 次に、東北新幹線の八戸延伸の波及効果についてお尋ねがございました。
 波及効果といたしましては、時間距離の短縮あるいは輸送力の増強によりまして、首都圏等との交流が促進・拡大してまいりました。JRの公表によりますと、昨年12月に開業した盛岡-八戸間の乗車人数でありますが、前年度と比較いたしまして同じ区間で51%の増と聞いております。また、産業経済活動面においても徐々に効果があらわれてきておりまして、いわて沼宮内駅、二戸駅にそれぞれなにゃーと、プラザあい、駐車場等が整備されて、利用者が増加傾向で推移しているところであります。観光客でありますが、全国的に観光需要が低迷している中でありますが、県北地域におきましては比較的好調に推移していると聞いております。また、北東北24市町村の連携によりまして、東北新幹線の利用促進協議会が設立されるなど広域連携も深まってきてございます。あわせて、その地域住民の意識も変化してございまして、観光ガイドボランティア団体などの地域活動も活発化しているところでございます。こうした波及効果が見られると感じております。
 それから、IGRについてお尋ねがございました。
 IGRいわて銀河鉄道の利用者数の変化でありますが、昨年12月1日の開業から本年9月末までの1日平均乗車人員は1万4、000人ちょうどとなっております。いわて銀河鉄道の経営計画によりますと、運賃水準の設定に伴う旅客の減少率を13.6%と推計いたしまして、1日の平均乗車人員を1万2、997人と見込んでいたものであります。これを7.7%上回っておりますことから、計画の範囲内で順調にスタートできたものと考えております。
 それから、いわて銀河鉄道経営安定化基金によりまして、運賃の激変緩和措置を講じている通学定期につきましては、この効果もありまして計画を11.2%上回って推移しております。一方、運賃の水準でありますが、IGRいわて銀河鉄道株式会社の独立採算を目指してこれは設定されたものと承知しておりまして、その恒久的な軽減措置を講ずることは現在のところ想定しておりませんが、激変緩和措置の平成17年4月以降の取り扱いにつきましては、これは沿線市町村と時期を失することなく協議していきたいと考えているところでございます。

〇小野寺好委員 次に、災害対策についてお伺いいたします。
 昨年7月の台風6号による被害総額は過去2番目を記録いたしましたが、決算書の土木施設災害復旧費は253億円に達しております。このうち河川等災害復旧費は244億円であります。また、平成15年3月7日の台風並みに発達した低気圧による大雪、暴風被害も甚大でありました。自然の脅威からの被害を最小限にとどめるための措置、災害に強い県土づくりはどのようになされましたかお伺いいたします。
 また、鳥取県知事は、個人財産への災害補償に関しユニークな考えを展開しておりますが、我が岩手県の場合はいかがでしょうか。
 次に、県立大学の教育、研究、経営についてお伺いいたします。
 県立大学の平成14年度の運営費は56億円を計上しておりますが、開学してから会計年度を5回終えてみて、短大も含めた今後の経営見通しはいかがでしょうか。県立大学の設立は今日のような財政難を想定していないときの計画であったので、今後の大学運営が懸念されます。ちなみに、国立大学は来年4月に独立行政法人となり、財務諸表なども作成し、第三者委員会で業績評価を受けるとか、あるいは東京の都立新大学の場合は、再来年の春に独立行政法人となり教育と経営を分離する予定であるなど報道されております。将来、岩手県立大学の研究成果を積極的に世に問うなどといったお考えがあるかどうかお尋ねいたします。
 また、大学は卒業生次第でありますが、不況下での進路、進学志願者の動向、研究機関としての最近の成果、地域貢献等県費投入の実績をお伺いいたします。
 また、学生を支える親も大変な状況にありますけれども、月額3万円の県立大学奨学金の応募、採用実績の状況をお伺いいたします。

〇高橋副知事 県立大学の関係は総務部長の方から答弁をさせます。
 災害対策でございますが、本県は御案内のように、地形的にも、気象的にも、大雨による洪水災害、また、土砂災害、そして地震による津波災害等、過去において大変被害があったわけでございまして、被害を受けやすいことは御案内のとおりでございます。そのため、県では、これまでも河川改修、それから砂防ダムの整備、また、防潮堤の整備等、防災施設の整備に努めてきたところでございますが、何せ整備が必要な箇所が膨大なことから、依然として整備率が低い現状にございます。このような現状を踏まえまして、自然災害からの被害を軽減するための施設整備を着実に推進いたしますとともに、市町村と連携しながら、雨や水位の河川情報の提供、また、自主防災組織の育成、洪水や津波のハザードマップの作成支援を行うなど、住民の方にもふだんから防災意識を持っていただけるような、そういうソフト対策をあわせて推進しているところでございます。
 それから、鳥取県の制度のお尋ねがございました。鳥取県では、平成12年の鳥取西部地震の際に、被災者の住宅再建を支援する制度を創設いたしました。これは、県及び市町村が拠出する基金等によりまして、住宅建設の場合に最高で300万円の補助を行うものでございます。国の中央防災会議の提言等を踏まえまして、全国知事会として国に対しまして、全国的な住宅再建支援制度の創設に係る予算措置及び立法措置を早期に行うよう、今要望がされているところでございまして、この制度は都道府県からの拠出金、それから国の補助金からなる資金を活用いたしまして、被災住宅の新築に対して200万円の支援金を支給する等の内容のものでございまして、国においても平成16年度予算概算要求に盛り込んでいると聞いているところでございます。県としては、この鳥取だけではなく、この制度でやっていきたいということで、その実現に向けて積極的に国に働きかけてまいる考えでございます。

〇時澤総務部長 県立大学の見通し等につきましてお答えをさせていただきます。
 県立大学、平成14年度の歳出決算額、大学運営費56億円余となっておりまして、短大運営費を含めました全体で62億8、400万円余となってございます。これは、設立前の見込み、設立前には77億円余と見込んでおりましたので、それよりも19%というような圧縮をされているところでございますけれども、なお、学内情報システムを初めといたしまして運営経費の節減に努めていきたいと考えておりますし、また、今後の見通しにつきまして、特段のその経費増加要因はないところでございますけれども、行財政構造改革プログラムによりまして、効率的な運営に努めながら、なおかつ、県民の期待にこたえ、建学の理念の実現が図られるように取り組んでいくこととしているものでございます。
 それから、研究成果等の公開というお尋ねでございます。この研究成果の公開につきましては、県の学術研究振興財団を通じまして研究成果概要集の発行、あるいはホームページによります公開のほか、産学連携に向けて研究シーズを連載いたしました知的資産ガイド、こういったものの発行によりまして取り組んでいるところでございます。引き続き知的財産をデータベース化して公開するなど、地域社会への還元に努めていくこととしておりますし、さらに、県立大学の独立行政法人化につきましても、行財政構造改革プログラムにおきまして平成17年度からという位置づけを行っております。この独立行政法人につきましては、目標による業務管理あるいはその適切な評価、そしてその積極的な情報公開という趣旨がございますので、こういった趣旨を踏まえながら、現在平成17年度に向けての検討を行っているところでございます。
 それから、進路の動向でございます。四大の就職率につきまして、まず4学部全体で第1期生が96.9%、2期生が94.8%でございます。いずれも全国平均を上回っておりまして、実績を上げることができたと考えております。今年度につきましては、11月26日現在でございます。内定率62.4%でございます。これまでのところ、昨年度の11月末現在が57.5%でございますので、現在62.4%ということで約5ポイント上回っている状況でございます。また、短大部におけます今年度の状況、これも11月26日現在でありますが、盛岡短大部で44.9%、昨年度11月末現在で43.4%でございます。宮古短大部で47.7%、昨年度同期が40.0%でございます。いずれも昨年度を上回っているところでございます。また、本学におきましては、新設大学であるということの知名度等のハンディ、あるいはその厳しい雇用状況を踏まえまして、開学当初から各種ガイダンス等の実施、求人開拓など総合的な支援対策を講じてきておりまして、今後におきましても、全学を挙げてきめ細かな対策を講じてまいることといたしております。
 それから、入学志願者の動向でございます。本学の募集人員440名に対しまして、平成15年度の志願者数2、581人ということで、志願倍率で5.9倍となっております。過去5年間におけます入学志願者の数、これが平均で2、821人でございます。志願倍率が6.4倍でございますので、志願者数は緩やかに減ってきているという傾向にございますけれども、これは開学効果が薄れてきていること、あるいは18歳人口の減少に伴う影響というのもあるのではないかと考えております。本学の入試につきましては、大学入試センターの試験を課さない入試、ソフトウェア情報学部も行っておりますし、また、他の公立大学に先駆けまして、面接等によりまして個々の人の能力、実績活動を見るという、いわゆるアドミッション・オフィス入試と言われておりますけれども、それを実施するなど、学力検査にのみ偏ることなく、入学者の個人の個性、資質、意欲、そういった多様な潜在能力にも配意した多面的な選抜を行ってきているところでございます。また、平成16年度からは大学入試センター試験を一定の学力水準に達しているかという判定として用いるというような、いわゆる資格試験化にも取り組んでいるところでございます。引き続き多くの志願者を引きつけるようなさまざまな努力を行ってまいりたいと思っております。
 それから、研究機関の成果、地域貢献等につきまして、研究の成果につきましては、地域課題の解決に向けました研究、新たな技術開発に向けた企業との共同研究、あるいは受託研究を通じて地域貢献をしているところでございます。例えば、4学部の教員が連携をいたしまして岩手山の火山活動に関する地域防災総合研究というのも行ってきましたし、また、ギガネットワーク――国のプロジェクトでありますが――を利用したマルチメディアの遠隔事業支援システムというような研究、カシオペア連邦の地域情報化モデル実証事業、こういったものもやっておりますし、さらに、教員が研究成果を活用いたしましてベンチャー企業3社を設立しておりまして、また、論文発表も多数行っておりますなど、学術研究拠点の形成に向けた取り組みを行っております。また、平成14年度の実績で、公開講座延べ30回、3、400人が参加、県・市町村の審議会等の委員の就任、講師の派遣というのが1、000件余に上っておりますし、図書館あるいはその体育館の開放を行うなど地域貢献に努めているところでございます。このほど策定をいたしましたアクションプランにおきましても、現場主義の研究、そしてその地域貢献、これを大学の柱として位置づけておりますので、住民本位・成果主義に立ちながら、県民に貢献できる大学づくりに努めてまいりたいと考えております。
 最後に、県立大学奨学金の応募、採用実績の状況のお尋ねがございました。岩手県学術振興財団が県立大学に在籍をしている学生を対象に、他の学生の模範となるような資質を有する者に対して実施している月額3万円の奨学金、これの平成15年度の応募状況と採用実績でございます。推薦入学を対象にいたしました第一種奨学生につきましては、定員11名に対しまして、申請が28名、採用実績11名となってございます。また、2年の進級時に第一種奨学生以外の学生を対象とします第二種奨学生というのがございます。定員9名に対しまして、申請が9名でございましたが、採用は5名ということとなっております。なお、新規採用及び継続分も含めました15年度におけます奨学生は、第一種奨学生が41名、第二種奨学生が17名、合計58名となっております。

〇小野寺好委員 次に、奨学金についてでありますけども、県の奨学金制度は高校生が対象になっております。私は、かつての一般質問で大学生にまで拡充してはどうかと提言したいきさつがありましたが、一蹴されてしまいました。しかし、今お示しいただきましたように、月額3万円の県立大学の奨学金があるということは、日本育英会の奨学金とは別に県の奨学金制度が必要であるということになろうかと思いますがいかがでしょうか。
 また、日本育英会の有利子奨学金きぼう21プランは、昨今の不況を反映してか応募者多数であったと仄聞しておりますが、最近の傾向を把握しておりましたら、お知らせいただきたいと思います。
 重ねてお伺いいたしますが、日本育英会と重複してもいいという大学生への貸し付けに関しいかがお考えでしょうか。
 次に、県立図書館についてお伺いいたします。
 図書館が単に本を貸し出すだけという時代は終わりつつあります。利用者の希望する情報を常に提供する情報館としての機能が求められており、各地の図書館もそのように整備されてきているようであります。最近では、特にビジネス支援機能が拡充している千葉県の浦安市立図書館は大人の役に立つ図書館として有名であります。私は、かねてから情報化時代における県立図書館のあり方について数点要望いたしておりましたが、このほど希望する本が県立図書館の蔵書にあるかどうかの検索と予約が自宅のパソコンからできるようになり、また、遠隔地の住民への配慮も見えるようになりました。折しも盛岡駅西口複合ビルが着工になりましたが、平成14年度は図書情報総合センター整備に向けてどのような準備がなされましたかお伺いいたします。

〇高橋副知事 奨学金の制度の話でございますが、大学生に対する奨学制度は日本育英会等が行っているわけでございますが、県単独で一般の大学生等を対象とした奨学金制度を新たに設けるということは、現在のこの厳しい財政状況からは大変難しい状況にある、率直にお答えをいたさなければならぬものだと思っております。
 それから、日本育英会の有利子奨学金きぼう21プランの最近の傾向でございますが、日本育英会によりますと、ここ3カ年の状況は、平成14年度生は、応募者――これは基準適格者でございますが――1、065人に対しまして、決定候補者は870人、それから平成15年度生は、1、637人に対して1、102名、それから平成16年度生が、2、048人に対して1、366人ということでございまして、無利子の奨学金はこれよりも競争率が大変高いわけでございますし、また、有利子は貸与額の最高額が10万円ということで高いわけでございますから、この有利子奨学金きぼう21プランの応募者は増加している状況にございます。
 なお、他の奨学金と重複受給できるいわゆる併給につきましては、それぞれの奨学事業の実施の際に、その目的いかんで判断されるものだと考えております。
 それから、図書情報センターでございます。平成14年度の準備状況でございますが、新県立図書館の運営方針や情報化・市町村図書館の連携を含めた事業計画等につきまして、銀河系いわてモニター、それから市町村図書館関係者等のアンケート、それから意見等を踏まえまして、平成15年3月に新県立図書館運営計画を策定いたしました。それから、新県立図書館の図書資料の充実を図るため、通常の整備に加えまして3万8、000冊余を購入いたしまして、総蔵書冊数は平成14年度末で52万8、000冊となっております。それから、利用者サービスの向上、また、市町村図書館等とのネットワーク化を図るための図書情報システム、これのプログラム開発を行いまして、これは平成15年10月15日、今の現県立図書館で稼働済みでございます。それから、図書情報システムの整備に伴う図書資料や郷土関係資料のデータベース化等を行っております。
 今後は、平成18年の開館に向けまして、図書資料・視聴覚資料の充実なり自動化書庫、マルチメディア、システム等の整備を図っていきたいと考えております。

〇小野寺好委員 次に、いわてゼロエミッション事業についてお伺いいたします。
 生活ごみは一向に減る傾向にありません。資料によれば一般廃棄物の県民1人1日当たりの排出量は、平成9年度を基準に平成13年度を見ると10.5%増加しております。なるべく廃棄せずに回収ルートに乗せる努力をしなければなりませんが、市町村ごとに分別の仕方が違っていて、せっかく紙やビニール類に回収の仕分けが記載されていても用をなしていません。果たして市町村の資源ごみの回収は前進しているのかどうか。再利用、再資源化等の数値的指標はどう変化しているかお伺いいたします。
 また、来年の野外焼却全面禁止の実効性を上げるための準備は進んでいるのかどうかについても、あわせてお伺いいたします。
 あちこちに散見されるナンバーのない放置自動車、農地や山林に野積みされた廃棄自動車、これらは自然豊かな岩手に似つかわしくありません。しかも、有害化学物質が土壌を汚染する危険性を有しております。有価物であるとするならそれなりに保存すべきでありますが、これに対し県は何か対策を考えているかどうかお伺いいたします。
 最後に、中小企業対策についてでありますが、貸し渋り、貸しはがし、黒字倒産等、経営者は資金繰りに苦慮してまいりました。平成10年10月から実施された中小企業金融安定化特別保証制度を利用した中小企業は、長引く不況で返済の負担が重くのしかかるようになってまいりました。我が党はかねてより返済条件の緩和を求めてまいりましたが、その結果、国の平成14年度補正予算に資金繰り円滑化借換保証制度が計上され、平成15年2月10日よりこの制度が実施されました。半年で20万件近い利用件数で、約3兆円の利用額と報じられております。本県における借換保証制度の利用状況及び県単融資制度である中小企業経営安定資金の利用状況をお伺いいたします。

〇高橋副知事 いわてゼロエミッション事業でございますが、まず、市町村の分別回収とリサイクルの状況でございます。資源ごみとしてどのような品目を回収するかというのは、それは市町村がそれぞれの分別収集計画によって定めておりまして、1市町村当たりの平均分別収集品目数は、平成11年度の4.9品目から平成14年度には8品目へ、それからリサイクル量も平成11年度は6万9、000トンでございましたが、平成13年度は8万トンで毎年着実に増加してございます。
 それから、指標の状況でございますが、資源化再利用の指標であるごみのリサイクル率は、平成11年度は14.1%でございましたが、平成13年度は16%ということで、年々これも向上してございます。
 それから、野外焼却全面禁止への取り組みでございますが、まず、来年4月より全面禁止になるわけでございまして、その実効性を上げるためには、県民の理解を得ることが最善の方策でございます。これまでも大変いろいろと周知活動を行ってきたわけでございますが、その効果を検証しつつ、一層の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
 また、家庭ごみにつきましては、市町村において収集回数をふやすなどの対応がとられてきているところでございますが、現在、県においては、県民への浸透状況を検証するため、3、600世帯を対象に焼却規制に関するアンケートを実施しておりまして、これは締め切りが11月28日ということで締め切ったばかりでございますので、これからまとめということになります。この集計結果を踏まえて、さらに収集処理が適切に行われるように、今後においても市町村との連携を一層推進して取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、個別には、それぞれ野外焼却を行っている人に対しましては、地方振興局職員による巡回指導もあわせて行ってまいりたいと思っております。
 それから、廃棄自動車等でございますが、使用済み自動車対策の方向性といたしましては、生活環境保全条例によりまして平成15年10月から、有価物である使用済み自動車についても廃棄物と同様の保管基準が適用されております。さらに、自動車リサイクル法によりまして、平成17年1月から、使用済み自動車等はその金銭的価値の有無にかかわらず、すべて廃棄物とみなされることになっておりまして、廃棄物処理法の保管基準が適用されることになっております。この具体的な保管等の基準につきましては、今月中にも示される見込みでございます。このため、野積みなど不適正に保管された使用済み自動車等の実態につきましては、関連団体の協力を得まして今調査を実施しているわけでございますが、この調査の結果、野積みや長期間にわたり放置されているなど不適正な保管が行われている場合は、改善を指導いたしますほか、違法性が高いと判断される場合には、改善命令を行うなど厳正に対処していく考えでございます。
 それから、バッテリーからの鉛の溶出等の土壌汚染等も考えられるわけでございますが、これに対しましては、本年4月から施行されました循環型地域社会の形成に関する条例におきまして、放置物等に起因する環境汚染が生じている場合は、県は調査や撤去を命ずることができることとされておりますことから、土壌汚染等が生じている場合は、この条例に基づいて厳正に対処していく考えでございます。
 最後に、資金繰り円滑化借換保証制度の利用状況でございますが、この平成14年度保証承諾状況は、これは2月からの取り扱いでございましたので169件、30億5、200万円となっておりますが、平成15年度に入りまして10月末現在で1、130件、174億5、500万円ということで、これは増加傾向にございます。
 それから、中小企業経営安定資金でございますが、この平成14年度利用状況は、件数で583件、融資額で127億8、800万円ということでございまして、これは、平成14年度は不況の長期化による中小企業者の資金ニーズが小口化の傾向があったということで、前年比ではどちらも落ち込んでおります。しかし、平成15年度に入りまして、10月末現在では、件数で538件、それから融資額でも112億6、800万円ということで、前年同月比を大幅に上回っておるような状態でございまして、これは経営安定資金利用の大半を占めます既存借り入れの借りかえ、それからセーフティネット保証の利用が大幅に増加しているほか、中小企業者の資金ニーズが回復してきたのではないのか、そういうように考えておるところでございます。

〇阿部富雄委員 二戸市と青森県田子町にまたがる国内最大規模の産業廃棄物不法投棄事件、平成15年度岩手県農作物病害虫・雑草防除基準の誤記載により農薬が使用された黄桃及びブロッコリーの出荷を停止させた事件、及び流通中の黄桃を回収させたことにより与えた損害の賠償事件、いわて森のトレー生産協同組合が平成14年6月に受検した会計検査において、機械の受領検査が十分でなかったなどのため補助目的を達成していなかったり、施設を無断で担保に供していて補助金の交付要件に違背している事件など、許認可事務や行政内部だけで決定する重要事項の業務について不適切に運用されていることが相次いでいます。このような重大な事態を起こした原因を明らかにするとともに、県の責任はどうあるべきか明確に示してください。また、同様な問題の再発を防ぐことは急務ですが、どのような対応をとられているのかお聞きします。
 これに関連し、県では許認可事務や入札、行政内部だけで決定する重要な事項を検証したとしていますが、38件について一部問題があったとありますが、その内容、損害の有無はどうなっているのかお聞きします。
 産業廃棄物不法投棄事件では、原状回復に220億6、700万円、岩手県農作物病害虫・雑草防除基準の誤記載に起因する被害に係る損害賠償については、2、002万5、000円が支払い済み、森のトレー事業中断については、返還を求められている12億8、000万円のうち、3分の1を県と久慈市、残りをいわて森のトレー生産協同組合が負担することとしています。県は措置命令や費用求償を行っていくとしていますが、当該企業が破産、倒産しており厳しいものと思います。これら事件については行政内部で決定している事項であり、最終の損害金の補償については執行者の責任においてなされるべきですが、賠償についてどのようにされるのかお聞きします。

〇時澤総務部長 まず、産業廃棄物不法投棄等の重大な事案を起こしました原因と県の責任等でございます。まず、この県の責任等のあり方について考えますに当たりましては、まずもって、第三者が行ったいわゆる犯罪的な行為と、そして県職員の事務執行等に起因するものというものを分けて考える必要があるのではないかと思います。
 県職員の事務執行に起因する場合につきましても、業務遂行上のもろもろの課題に対して問題が発生する場合と、職員の資質・モラル等に起因して発生する場合というのがありまして、これも個別に考えていく必要があると思います。
 委員御指摘の事業につきまして、それぞれ外的な要因も異なっておりますので、問題の発生過程において、先ほど言いましたように犯罪に起因しているもの、業務の懈怠によるもの、県の行政対応が不十分なもの、さまざまでございますので、これを一律に原因を特定することはできないと考えております。職員の業務懈怠、行政対応の不適切な場合につきましても、これも専門的な知識・技術の不足、内部牽制等が不十分なこと、そういったものに起因しているものもあると考えております。したがいまして、県境の産業廃棄物不法投棄の問題につきましては、外部委員からなります検証委員会の検証結果を踏まえまして、違法性が指摘されました産業廃棄物の収集運搬業務の更新許可に係る関係職員については処分を行ったところでございますけれども、農作物病害虫・雑草の防除基準事案及びいわて森のトレー事案につきましては、発生に至った過程、職員のかかわり度合い等につきまして調査を行っているところでございまして、今後、その内容等を十分精査いたしまして責任の所在等を明確にしていきたいと考えております。
 今後の再発防止につきましては、このような問題がなぜ起こったのかという原因に基づきまして、それに的確に対応することが重要であると考えております。このような視点から、業務遂行のプロセスの改善を初めといたしまして、役職者の責任ある指揮監督の強化、事業計画等に対するチェック機能の強化を図る、あるいは職員の専門的・技術的知識の研修強化ということも必要だと考えておりまして、さらにこのような業務遂行の対応とあわせまして、法律的な面、会計的な面からチェックしていく人員の配置、組織の強化ということもあわせて検討していきたいと考えております。
 それから、県の許認可業務に対する検証結果でございます。県境産業廃棄物不法投棄事案の検証結果報告におきまして、関係機関との連携、危機管理とその研修のあり方、早期発見、早期対応の徹底などについてその検証委員会から具体的な提言をいただいたところでございます。このような視点は、廃棄物行政に限らず他の行政分野においても対応が可能ではないかというような視点から、知事部局におきまして許認可業務、警察や公正取引委員会など捜査権限を有する機関とのかかわりのある業務、重要な事項であるにもかかわらず、内部だけで決定や対応をしている業務、その他これに準ずるような業務につきまして、同様の問題の再発防止を図るために各行政分野における行政対応の検証というものを各部局みずから行ったところでございます。
 検証の結果、議員御指摘のとおり、38業務につきまして一部問題ありという結果が出ております。対象業務、検証の対象とした304業務の12.5%に相当いたします。その内容につきましては、マニュアルが策定をされているけれども、既にその内容が古くなっており見直す必要があるというもの、関係機関との連携をさらに強化すべきもの、専門的な知識を求められる業務が多く研修の充実が求められる、あるいは定期的な監視指導のより一層の徹底が求められるというものでありまして、県に損害を与えたというようなことを内容とするものではございません。
 以上の検証結果を踏まえまして、問題の再発防止に向け関係部局等への積極的な情報提供、あるいは連携強化、職員の研修の充実強化、こういったことに努めることとしているところでございます。
 それから、執行者の責任ということについて最後お尋ねがございました。産業廃棄物不法投棄事件につきましては、基本的に第三者の不法行為に起因するものであります。当該廃棄物を排出して、現在、排出責任者の責任追及というのを徹底的にやっているところでございますけれども、当該廃棄物を排出した都道府県、都県ですが、これの責任までも含めて対処する方針でありますし、また、森のトレー事案につきましては、まずもって補助事業者からの債権回収に努める必要があると。それとともに、いわて森のトレー生産協同組合が行います機械納入業者への訴訟、これを支援するということで対応していきたいと考えております。
 これらの事案・案件につきましては、第三者の不法行為、職員の業務の懈怠、さらに産業振興施策上の危険負担の問題、そういったものにも起因していると考えておりまして、それらの要素が複雑にふくそうして問題が発生したと考えておりますが、基本的にはそれぞれの問題の原因者が費用負担をすべき問題であると考えておりますので、法的手段を含めまして、これまで以上に厳しい姿勢で措置命令、費用求償を行ってまいりたいと考えているところでございます。

〇阿部富雄委員 今の部長の答弁では、今具体的に挙げた三つの例については、事業者の不法行為であるとかあるいは県職員の事務執行上の問題、あるいは業務の懈怠、こういうことが複雑に絡み合って原因を特定できないんだという言い方をしていますね。それぞれ三つ今挙げたわけですから、事業者の不法行為部分の責任はどうなのか、職員の事務執行上の責任はどうなのか、業務の懈怠上どういう問題があったのかという、個別の原因を特定していかないと解決にならないでしょう。それが最後に質問した、県が賠償しなければならない、県が賠償といいますか、執行者がこのうち幾ら賠償しなければならないのかというのは原因特定をした段階で出てくるわけじゃないですか。そこはどのようにお考えなんですか。

〇時澤総務部長 先ほど申し上げましたのは、その三つの事案を一律に論ずることはできないということでございます。それぞれの事案につきまして、それぞれの事案ごとに原因を追及し、責任を追及していくべきであると申し上げたところでございます。したがいまして、産業廃棄物不法投棄につきましては、まずもって原因者が負担すべきであると。原因者はいませんので、現在法律的にいいますと、排出事業責任者の責任追及ということになっているわけです。それに今、全力で取り組んでいるわけでございますし、さらに、当該廃棄物を排出した都県、こういったところの責任もあるのではないかということで、そういったことの可能性も現在検討しているところでございます。
 いわて森のトレー事案につきましては、まず補助事業者から回収すべき問題であると考えておりまして、まず補助事業者への債権回収ということもございますが、ただ、その補助事業者につきましては、これはいわて森のトレー生産協同組合でございますけれども、機械納入業者に対して瑕疵担保責任を追及するということでございますので、これについて県も支援をしてまいると。
 そのようなことを通じて、あくまでも問題の対応ごとに原因者がありますので、個別に個々の事案ごとにそのような原因者に対しての費用負担ということを考えていくということでお答えをしたものでございます。

〇阿部富雄委員 今の答弁ですと、排出者にその責任を負わせる、あるいは排出事業所がある都県にも責任を負わせるということですが、それで回収できれば私は問題ないと思います。ただ、今までの調査の結果では、回収できる金額というのは知れているわけですね。少なくとも200億円以上は不法投棄に関係しては県費より、あるいは国の金も含めて出すということですよね。ですから、その部分をどうするんですかと私は聞いているんです。そこを執行者である知事が負担すべきものではないですか。県民に対して賠償すべき責任は私はあると思うんです。
 監査委員にお聞きしますが、このように県の過失あるいは背任と思われるような形で県に被害を及ぼした場合に、当然私は執行者において賠償する責任があると思うんですが、監査委員はどのような見解をお持ちかお聞きします。

〇一戸監査委員 先ほど総務部長の方から答弁がありましたように、個別にその事案を検討して、検証して、県の財政に損害を与えたかどうかという観点が大事だと思います。その辺を検証しなければ、この賠償を云々するということは難しいことだと思います。

〇時澤総務部長 職員に対しての求償ということに最終的にはなるんだと思いますけれども、それにつきましては、地方自治法あるいは国家賠償法の規定というのがございます。故意または重大な過失が認められる場合となっておりますので、それぞれの事案ごとにそれぞれの法に照らして判断してまいる必要があると、最終的にはそのように考えております。

〇阿部富雄委員 時間の関係で、また別の機会にこのことは質問させていただきたいと思います。
 次に、県は、自立、参画、創造による持続的地域づくりを理念とし、みんなでつくる夢県土いわての実現を目指した岩手県総合計画を県政の基本指針とした県政運営を行ってきました。総合計画に基づき、社会資本の整備などに取り組んできたものの、多額の公債残高を抱え、景気低迷による県税収入や地方交付税等が大きく落ち込み、深刻な財政状況に至りました。このまま財政運営を続けた場合、財政再建団体に転落することから、自立した地域社会形成に向けた行財政構造改革プログラムが策定されました。こうした事態に至ったのは、財政見通しに甘さがあったこと、身の丈を超えた規模で社会資本整備を続けてきたことなどを挙げています。しかし、信頼して県政を託してきた県民にとって、財政見通しが甘かった、身の丈を超えたなどの文言だけで財政破綻の言わけにされたり、県民に負担を強いることは理解できないことです。政治は結果責任が問われます。今の財政状況にはどのような執行責任があるのか、それはどのような形で解決されるべきかを明示する必要があります。お示し願います。
 行財政構造改革プログラムは、組織・職員体制のスリム化、事務事業の効率化、総人件費の抑制や補助金・負担金制度の見直し、公共事業などの投資的経費の見直し、重点化など、歳出規模の適正化に向けた取り組みなどが盛られています。こうした取り組みは、総合計画から大きく乖離するものと思われますが、行財政構造改革プログラムを展開すると中間年次の平成17年度、最終年の平成22年度には、事業数や事業費ベースではどう推計されるのかお聞きします。
 夢県土いわては、多くの県民が策定にかかわり合いを持ってまいりました。その計画に期待を寄せていましたし、総合計画は県政の基本指針であります。それが揺らぐことになれば、県はもとより、県民、市町村、民間の活動にも大きな影響をもたらします。夢県土いわてから覚めた今、県政、県民の指針となる総合計画を早期に見直し県民に示すことが必要ですが、対応についてお聞きいたします。

〇高橋副知事 先ほど来議論があったわけでございますが、いずれ、公共事業重視の財政運営が財政の悪化を招きますとともに、中央依存の土壌がつくり上げられてきたと。これらのことにつきましては、いずれ率直に反省をしているわけでございまして、このような中央に依存したやり方を改めまして、経済的にも精神的にも自立した地域経営を目指して持続可能な財政運営が可能となるように、行財政構造改革プログラムに沿って、歳入歳出のあらゆる分野におきまして徹底した見直しを行い、今日のような財政危機を打開いたしまして、いずれ、平成18年度までにはプライマリーバランスの均衡を達成して、将来の世代に過大な負担を残すことがないような財政構造を構築いたしますとともに、県民にとってこれまで以上に、より質の高い行政サービスを提供できる体制を築き上げていくこと、これが私どもが今後真摯に改善の方向として、責任のとり方として取り組まなければならないことだと、そのように考えております。

〇照井総合政策室長 総合計画では実施計画におきまして343の主要事業を掲げておるところでございますが、この実施計画は中間年次である平成17年度までのものでございまして、その後につきましては、後期実施計画のあり方を検討する段階で、具体の事業の取り扱いを含めて検討してまいりたいと考えております。現在の実施計画における平成14年度までの実績を見ますと、事業着手状況については既に95%が着手済みでございまして、また、事業費ベースでは約49%の進捗となってございます。
 今後の見込みでございますが、現在未着手のものが17事業ございますが、その中には、例えば視覚障害者情報センター整備事業が盛岡駅西口複合施設整備事業の中に取り込まれているなど、別の事業や類似事業などで実質上、計画で想定した取り組みを進めているものもございまして、こうした状況から見まして、今後、大きな乖離は生ずることはないものと考えてございます。
 また、事業費ベースでは、今後の予算の措置状況などによりまして大きく変動する要素があることから不透明な部分が多く、現時点では推計するのがなかなか困難でございます。
 それから、次に総合計画の見直しについてのお尋ねがございました。自立、参画、創造により夢県土いわてを実現するというこの総合計画の理念、基本目標につきましては、本県の目指すべき姿といたしまして、引き続きこれは県政の基本指針として堅持いたしていくことにしております。
 今後、この計画の理念を実現していくためには、県民お一人お一人が地域や暮らしに誇りを持って生き生きと活動できるような、そういう自立した地域社会の形成を進めるということが必要でございまして、こうした考えからこのたび40の政策を策定しまして、総合計画の施策の中でも、この4年間に特に重点的、優先的に力を入れていくものを具体的に明らかにしたところでございます。したがいまして、総合計画の全体フレームを見直すということについては考えておりません。

〇阿部富雄委員 今の答弁で納得するわけではありません。私ども議会とあるいは監査委員と県執行部との間では私は考え方に若干の、若干といいますか大幅な相違があると思っていますので、これについてはあとはまた別の機会にやらせていただきたいと思います。
 花泉町と宮城県境を流れる夏川の堤防かさ上げについては、本県及び宮城県がそれぞれの計画に基づき進められてきましたが、両県が協議し同じ高さで整備するルールがつくられてきました。平成10年の台風洪水で堤防からの越流が懸念され、宮城県では平成10年度の補正予算から平成13年度予算で工事を行い、本県側より約2メートル高くなりました。本県では、平成14年度及び平成15年度に磯田川合流点下流区間の工事を施工し、宮城県と同じ高さにすることとしていますが、宮城県側が施工した橋向橋の上流部約500メートルについては平成16年度以降としており、本県側が大幅におくれております。今回のかさ上げについて、宮城県とどのような協議がなされたのかお伺いします。
 また、本県側が大きくおくれている理由は何であったのか。さらに、宮城県のかさ上げに合わせた工事はどのように行われるのかお聞きします。
 夏川沿線住民は、堤防が宮城県側より低いことから出水時に大きな不安を持っており、また、日常生活で宮城県との関係が深く密接な連携を望んでいるが、このような対応が続くのであれば、両県の信頼関係や県境連携もままならないと考えますが、今後の連携はどうあるべきと考えているのかお聞きいたします。

〇高橋副知事 夏川の河川改修区間、これは総延長で6.5キロでございまして、左岸側を岩手県、右岸側を宮城県が管理して、両県で協議を行いながらこれまでも進めてきたところでございます。委員御指摘の舟場橋から橋向橋までの約4キロメートルの区間、これは平成12年度計画高さまでのかさ上げに向けて、両県で施工区間や施工内容等について調整を図りながら工事を進めてきたところでございました。しかしながら、平成14年度になって宮城県側におきまして年度途中で計画を上回って工事の進捗が図られまして、橋向橋まで工事が完成したものでございます。このために、本県では、事業調整を図るために平成14年度に補正予算を組むなどいたしまして、現在、舟場橋から磯田川合流点までの区間の堤防のかさ上げを推進しているところでございまして、これは今年度内に完成させる予定でございます。
 宮城県側が施工いたしました橋向橋までの上流部約600メートルにつきましては、橋向橋下流部約400メートルの区間につきまして、磯田川右岸にすりつける形で来年度に完成させる予定でございまして、また、残りの磯田川右岸の200メートルの区間につきましては、これは農道橋のかけかえ等もございますので、地元と調整を図りながら、引き続き堤防のかさ上げを進めていく予定でございます。
 今後とも、均衡のとれた改修が進められるように、状況の変化に応じまして、宮城県と十分に調整を図りながら河川改修を進めてまいりたいと考えております。

〇阿部富雄委員 最後になりますけれども、県は本年4月1日から、これまでの法定外小規模作業所に交付していた補助金交付要綱を改正し、5人から対象にしていた補助金を8人に引き上げました。平成15年度の経過措置があるものの、小規模作業所関係者は、作業所の廃止や新規作業所の立ち上げが困難になるなど、困惑しています。県内作業所の多くは補助対象の5人からスタートし、一定の期間の中で現在の人数に至っているという作業所の経過を理解しないばかりか、小規模作業所の置かれている状況を理解しないまま進められようとしているように思われます。今回の改正に当たって、受注開発機能の強化を打ち出していますが、厳しい景気状況の中で成果を得ることは難しさがありますし、重度知的障害型と重度心身障害型の活用を求めていますが、就労の場だけを強調し生活訓練を軽視することは問題があります。小規模作業所への補助は、市町村がその運営に要する経費を助成した場合、要綱により補助金を決定することとしていますが、市町村との協議や当該作業所へも何ら説明がないまま進められるなど、手続き上、不誠実なやり方と言えます。なぜこのような不透明な経過をたどったのかお聞きします。
 小規模作業所の国庫補助はもとより、全国的にも5人が補助基準となっていること、東北各県の対応を見ても、福島県は3人に引き下げ、宮城県は利用人数を限定せず、設置者の希望をもとに窓口である市町村が対応するなど、基盤の充実を図ろうとしています。こうした状況を考えれば、補助金交付は現行どおり進めるべきと考えますが、対応方についてお聞きいたします。
 県総合計画では、障害者福祉作業所を中間年である平成17年までに87カ所、21カ所ふやすこととしていますが、平成14年度実績は基準年次の平成10年度、66カ所からわずか1カ所増で、目標に対する到達度は4.8%、改善度はマイナス9.5%となっています。知事のマニフェストでも、障害者福祉作業所を新たに20カ所設置すると明記されていますが、どのように立ち上げるのかお聞きします。

〇高橋副知事 まず、補助金交付要綱の改正等に係る関係者への周知でございますが、今回の就労型作業所の補助金交付要綱の改正につきましては、受注開発員の設置及び受注開発に要する経費に対する補助を新設いたしまして増額を図るなど、その作業所運営基盤の強化を図る内容でございまして、関係者の了解を得ることができるという、担当の方で善意の解釈をしたということがまず一つ挙げられるかと思います。それから、平成14年度時点での作業所数が67カ所、その中で利用人員が5人から7人区分に該当する作業所数は4カ所ということでございましたので、8人以上にしていただくのは容易ではないのかと、こういう考えもあったようでございます。ただ、そうはいいましても、実態として努力してもなお8人以上の利用者数を確保することが困難な作業所があったわけでございまして、これらの作業所に対する経過的措置のあり方も含めまして、要綱改正のための事務手続に相当の時間を要したところでございます。
 このように、関係者に対する事前の説明が不足をいたしまして、不安や混乱を与えたことを踏まえまして、本年7月以降は岩手県手をつなぐ育成会、また、岩手県障害者作業所連絡協議会等関係福祉団体はもとよりでございますが、障害者作業所や市町村等に改正の趣旨を改めて説明をいたしますとともに、今後の対応に係る意見等の聴取に努めてきたところでございます。
 それから、補助金の交付についてでございますが、改めまして障害者作業所と市町村から実情を調査いたしましたところ、一部の作業所からは設立5年以内に利用者を8人以上にすることは可能であるという提案を受けるなど、運営体制を強化するという改正の趣旨については一定の理解を得た面もございますが、地域の実情、また、建物構造上の制約から、設立時に8人以上の利用者を確保することが困難な場合があると、そういう意見もあったわけでございます。そのような情勢を踏まえまして、就労型作業所の補助対象利用人員は原則として8人以上とはいたしますが、利用人員が5人から7人のところについては、市町村が真にやむを得ないとする場合にのみ補助対象とするという方向で現在検討が進められている状況でございます。
 それから整備の状況でございますが、平成10年度の障害者作業所は66カ所でございまして、その後平成11年度から平成15年度までに、25カ所の障害者作業所が新たに設立されているわけでございます。しかしながら、この期間内に障害者作業所の運営努力によりまして、このうち、19カ所が通所授産施設等の法定施設に移行等をいたしました。そういうことで、統計上は障害者作業所数の増加が表に出てこないということになっておりまして、実際には積極的な整備が進められて障害者の就労の場の充実が図られているわけでございます。これは指標の表現の仕方というものを考えていかなければならない、そのように思っております。
 いずれ、障害者作業所は社会福祉施設の利用が困難な状況の中で、家族の強い希望として生まれて今日に至っているものでございまして、今後とも市町村等とも連携しながら、さらにその拡充に努めますとともに、より安定した運営が可能となるように引き続き支援してまいる考えでございます。

〇平澄芳委員 大分時間を経過しているようでございますが、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 教育費のうちの特殊学校費、養護学校費についてお尋ねをいたしたいと存じます。
 県内には養護学校は12校、昨年の在籍者数は約1、200名のようでありますが、今後、生徒数は増加傾向で推移するのか、減少傾向になるのか、あるいは現状維持なのかについてお示しをいただきたいと思います。
 また、子弟の教育に対する親の願いがどのようなところにあるのかも、大まかで結構ですのでお示しいただければ幸いです。
 と申しますのは、町の教育委員会あるいは教育事務所かもしれませんが、総合的に判断をして、養護学校に行くのが子供のためにもよいとの結論が出たとしても、親とすれば、普通の子供と同じ環境で学ばせたいと、子供と日常生活をともにしたいと願うのも自然の感情でありよく理解できるところであります。そういった生徒がいる場合は、特殊学級を設け、先生も配置していただけるということでありますが、その生徒が車いすを使っているような場合には、残念ながら階段やトイレがそれに対応するようにはなっていないために、登下校は親の責任で行うにしても、校舎内の移動や排せつなど、身の回りの世話は町村が単費で雇用した補助員にやってもらっているという実態があるわけであります。養護学校費85億7、000万円決算額でありますが、そのうち1%でも補助員の確保に回してもらえないものかと思っているところであります。
 このケースは、小・中併設の小規模校でありますが、一般の生徒たちも2階の図書室への移動の際には、車いすのままで運んであげるということなど、弱者を気遣う心がはぐくまれると言っています。副次的な教育効果があります。御一考いただけないでしょうか。

〇高橋副知事 養護学校の児童生徒の増減傾向でございますが、最近5年間を見ますと、障害の多様化や高等部への進学希望者の増加等によりまして、養護学校の児童生徒数は増加しておるところでございます。
 ちなみに、申し上げますと、平成10年度1、204名でございますが、平成15年度は1、294名ということで、7.5%の増ということでございます。
 それから、教育委員会によりますと、小学校低学年段階を中心に、障害のある子供も地元の小・中学校に通わせたいという要望が委員御指摘のようにあると聞いておりますが、その一方では、学年が進行いたしますと、やはり自立と社会参加を促すために養護学校等に転学をさせた方がいいと、それを希望する保護者が増加する傾向があるとも聞いてございます。
 それから、補助員等の配置でございますが、県では障害のある児童生徒に対応するために、今年度は新たに、80小中学校に80名の非常勤職員を配置したところでございます。
 なお、市町村でも15市町村で25名の介助員などの配置を行っている状況でございますが、今後も引き続き障害のある子供の支援については努力してまいりたいと考えております。

〇平澄芳委員 それでは次に、私立学校費についてでございます。
 私学が日本の教育の重要な一翼を担っていることは承知しているところでございます。岩手においても特色ある教育指導のもと、大きな成果を上げておられることなどもたびたび報道されているところであります。少子化の中で、その経営に関係の方々は、日々腐心の連続のことと思います。その御労苦に敬意を表します。
 門外漢なるがゆえに、的外れになるかもしれませんが御容赦を願います。
 公立学校教職員のさまざまな不祥事が報告されております。一方で、マスコミ報道にはなされていないのでありますが、私学の先生方の不祥事の実態はどうなのでしょうか。私には、公立学校の教職員だけが不祥事を起こしているとは思えません。細かいことは別にしても、仮にでありますが、少なくとも、教え子に性的暴力を加えることなどは、絶対に許されることではありません。そのような実態があるのかないのかを県では把握しているのでしょうか。
 私学における教育委員会的組織は存在するのでしょうか。だれが私学を指導するのでしょうか、お示しいただきたいと思います。
 私立学校費として58億円余の税金が支出されているからといって、指導を強化したりあるいは規制をかけて、がんじがらめにせよというつもりはないわけでありますが、公立と私立の違いはあっても、そこに学ぶ生徒の教育環境に違いがあってはならないと思うところであります。間違っても、教える側の非行によって子供の将来の芽を摘むようなことがあってはならないのであります。私学みずからが情報公開を積極的に行い透明性を確保する義務があると思いますが、いかがでございましょうか。

〇時澤総務部長 私立学校におきまして生徒に係る事故等、そのようなことが発生しました場合には、学校長から県に報告書を提出するとされております。また、県に保護者などから私立学校に関する苦情が寄せられた場合には、速やかに学校長に事実関係等の聴取を行いまして、不適切な事案については必要な調査・指導を行うこととしているものであります。
 私立学校の教員が生徒等に性的暴力を加えるような事案につきましては、最近では平成11年度に私立高校の教員が青少年のための環境浄化に関する条例違反の容疑によって逮捕されたことがございますけれども、それ以降については私ども承知していないところでございます。
 だれが指導するのかというお尋ねがございました。私立学校法によりまして、県内の大学、短期大学を除きました私立学校につきましては県知事が所管をしているところでありまして、実務的には総務部総務室で担当しているところでございます。県では、私立学校に対しての指導につきましては、学校法人が設置します学校の運営状況、補助金関係事務の処理状況、そういったものにつきまして原則、高校設置法人については2年に1回、その他につきましては4年に1回実地に検査・指導、必要な調査を行っておりますし、また、学校に関する教育の調査、統計、その他学校に関する必要な報告書の提出、これは随時求めているところでございます。ただ、私立学校につきましては、法律でも県立学校と異なりまして、建学の精神、独自の校風が尊重されるという特性を有することから、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって健全な発達を図るとされているところでございますので、私立学校に対します県の権限は、こうした私立学校の特性に配慮したものとなっておりますので、学校運営全般にわたるものではないというものでございます。しかしながら、私立学校につきましても公教育の一翼を担っているところでございますので、県といたしましても、法令違反のみならず、社会的に影響が大きい不適切な事項につきましては指導していきたいと考えておりますし、これまでも、私学関係団体とも連携をしながら対処してきたところでございますので、必要に応じてそういう私学関係団体とも連携を図りながら対応を図ってまいりたいと考えております。
 それから、私学の情報公開の取り組みでございます。開かれた学校づくりを推進いたしまして、学校としての説明責任を果たしていく上で、学校が保護者等に対して積極的に情報提供することが必要なことから、平成14年度に学校の設置基準の中で、自己評価、情報の積極的な提供に努めることとされたところであります。県では、これを踏まえまして、私学に対しまして自己評価、情報の積極的な提供に努めるよう周知を図りまして、また、私学関係者の会議、補助金関係の事務検査等の場において指導をしているところでございます。現在、私立学校の情報公開の取り組みにつきましては、ホームページ、テレビCM、新聞広告などを利用しながら、必要に応じて、教育方針、教育内容、法人等の財務内容の情報提供は行っているところでございますが、少子化によりまして生徒の減少が進む中で、私学に対する保護者あるいは地域等からの信頼を得るということが重要であると考えておりますので、引き続き一層の情報公開が推進されるように指導していきたいと考えております。

〇阿部敏雄委員長 ほかに質議はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇阿部敏雄委員長 質疑がないようでありますので、総括質疑はこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了しました。あす以降は毎日午前10時に開会いたしますので、よろしくお願いをいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時52分 散 会


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