平成15年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇6番(野田武則君) 民主・県民会議の野田武則でございます。
 初めての一般質問でございます。3日間に及ぶ一般質問の最後を締めくくることになりました。先輩、同僚議員と重複する部分もあろうかと思いますが、御容赦をお願いしたいと思います。
 それでは、通告に従い質問いたします。
 増田知事が全国最年少知事として岩手県政のかじ取りを担ってから、はや2期8年が過ぎました。全国にも今や改革派知事としてその名が知られております。知事の御活躍に心から敬意を表します。今期は、県民の暮らしのさらなる向上に向けて確かな取り組みをお願いするものであります。
 さて、知人から聞いたことですが、既に30数年前に欧米ではエプロンをした男性がキッチンで食器を洗っている姿が頻繁にテレビに映っていたそうです。当時は、どうして男性がエプロンをしているのか不思議に思ったそうですが、今、日本で、そして岩手においてもやっと男女共同参画条例が制定されるに及んで、いかに我が国がおくれていたか痛切に感じたということであります。日本の急激な少子化は深刻であります。日本はどの国も経験していないような超少子・高齢化社会に突入すると言われておりますが、その結果、産業、経済活動や社会保障制度など、あらゆる社会システムが見直されることとなります。このような中で、やっとおくればせながら男女の別なくだれでも自由なライフスタイルを選び、自分の意思で参画できる社会の実現が求められたこと、女性にとっては結婚、離婚にかかわらず子育てに障害なく安心して子育てできる社会の実現が強く求められていること、このようなことが社会の重要な課題として取り上げられるようになったことに対し、大きな時代の変革を感じるものであり、さらに一層の議論を深めつつ、効果的な施策を講じるよう念願するものであります。
 しかし、ここでもう一つ忘れてはならない重要な課題があります。それは子供に未来をということであります。植物でも動物でもあらゆる生き物は次の世代をどう残すか、どう育てるかということに最大のエネルギーを注いでおります。しかし、私たち日本人はどうでしょうか。この生物としての根源的な関心事を小さな位置におとしめてきたのではないでしょうか。まちづくりや都市開発に当たっては、子供たちが体と心をはぐくむ場所としての配慮がなされたのでしょうか。テレビゲームやパソコンなどのメディア機器の子供たちに及ぼす影響についてはどうでしょうか。子供たちが口にする食べ物は安全でしょうか。ダイオキシンや環境ホルモンは子供たちにどう影響しているのでしょうか。子供たちがどのように変化しているのか真剣に調査し検証しているのでしょうか。経済効率と利潤追求の国づくり、社会づくりの中で我々は次の世代を真っ当に育てるという、人間として最も大事なことに余り力を注いでこなかったのではないでしょうか。家庭、医療、教育、福祉、産業、環境問題など、子供たちを取り巻くあらゆることについて、子供にとって最良、最善の環境を確保すること、このことを社会全体の最優先課題として位置づける必要があるのではないでしょうか。
 知事は、演述の中で、これまでの政策について、新しい視点で見直し、改めるべきことは大胆にこれを改めると述べております。これまでの行政の施策、企業活動の目的、我々国民、県民の一人一人の価値観や意識を大きく変え、子供に未来をという視点から取り組まれることを期待するものでありますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、地方分権の推進と地方振興局のあり方についてお伺いをいたします。
 構造改革プログラムには、官と民の適切な役割分担と市町村の自立への支援、地方振興局の業務完結性の向上が盛り込まれております。私は、これらはすべてが密接に関連するものであり、統一的な考え方のもとに推進されるべきものと理解しております。戦後の豊かさは行政の役割の増大と行政機構の肥大をもたらしました。昔、向こう三軒両隣で行われた子供の見守りや老人との語らい、あるいは地域で行われていた清掃活動などは、核家族化の進展とともに行政の役割の中に組み込まれてまいりました。直接行政の事務とならない場合でも、補助金という形で間接的に行政がかかわっております。国も県も市町村も多額の借金を抱えてあえいでいる現在、将来の子供たちにツケをこれ以上回さないよう、我々自身が行政に頼らないで、もう一度家庭や地域でできること、民間でできることを考え実行する必要があります。こうした行政と民間との機能分担、連携についてまず整理する必要があります。
 次に、そうした中で住民に身近な行政サービスは、できるだけ基礎的な自治体である市町村が担うという、国、県、市町村の機能分担の整理と、市町村への権限移譲、いわゆる地方自治、住民自治の本旨に立ち返る必要があります。そのためには地方分権の受け皿として、また、真に自立できる市町村となるためにも早急に市町村の強化を図っていく必要があります。合併もその一つの手段だと思います。そして、市町村を支援するために県があるのではないでしょうか。地方振興局の再編はそうした議論を整理した上で行われるべきものと思います。今回策定された改革プログラムにおいては、そうした考え方が明確に整理されているのでしょうか。次の3点について知事の所見をお伺いいたします。
 第1は、市町村への権限移譲についてであります。
 身近な事務を市町村に移譲することが住民にとっては好ましいことはもちろんでありますが、厳しい財政状況下において、どの市町村においても職員増を望めないのが実情であります。合併の進んでいない現状において権限移譲を急ぐことは、小規模市町村に事務処理上の負担を強いることになりかねないと思われます。したがって、権限移譲に際しては、受け皿である市町村の規模や能力あるいは要望にも配慮しながら行うべきであると考えますが、権限移譲についての基本的な考え方をお示し願います。
 第2は、地方振興局の再編についてであります。
 プログラムでは、平成16年度には広域生活圏の見直しを、平成18年度までには地方振興局の再編を行うとされております。市町村への権限移譲の推進、市町村合併の進展により地方振興局の果たすべき役割が変化していく中にあって、より多くの県の業務が地方振興局において完結されるよう、再編により充実強化することが目的となっております。しかし、広域生活圏は複数の市町村によって構成されており、合併後の市町村のあり方に大きく左右されます。県内のどの地区においても合併の動向はまだ不透明な状況で、果たして来年度までに広域生活圏の見直しは可能でしょうか。また、合併後の市町村の構成、市町村の機能が明らかにならないうちに地方振興局の再編を行うことは可能でしょうか。私には今回の計画は、まず再編ありきの無理な計画のように思えるのであります。地方振興局の再編の必要性については十分理解できますが、こうした不透明な現状にあって、期限内の再編ありきではなく、議論の前提条件を十分整理して取り組むべきであると考えますがいかがでしょうか。
 第3は、市町村合併についてであります。
 既に申し述べましたとおり、市町村への権限移譲も、広域生活圏の見直しも、地方振興局の再編もすべて市町村合併が前提となります。知事は、合併問題については市町村の自主性を尊重されておられますが、これこそ何にも優先すべき課題だと思います。累積された多額の借金に加え、あとほんの数十年でかつて経験したことのないほどの高齢化と人口減少を迎える県内市町村にあって、生き残りをかけて今、合併か単独かの選択が迫られています。住民の真剣な議論が必要ですが、残念ながら意識がそこまで至っていない市町村も多く見受けられるのですが、知事に県内市町村と将来も運命をともにする意識があるならば、もっと市町村に入り込み、議論を巻き起こし、積極的に合併を支援すべきではないでしょうか。本県では法定協議会が一つも設立されていませんでしたが、けさの岩手日報の報道によりますと、一関市、花泉町、東山町、川崎村の法定合併協議会の設置が決まったようでございます。しかし、他の市町村の動きはまだ見られていないのが現状であります。知事は、本年の仕事始めの式においても、また、3選後の知事訓示においても、繰り返し非連続の改革を強調されたと伺っております。構造改革プログラムが策定された今こそ、合併についての県の基本的なスタンスを変えるべきときであると考えますがいかがでしょうか。この質問は昨日の再質問で出されましたが、改めて再確認のため質問させていただきます。
 さて、本県の幼児教育、就学前教育は、平成14年度学校基本調査によると、国公立、私立あわせて園数は158園、園児数は1万6、225人となっております。特に園児数の約70%以上を占める89の私立の幼稚園は、園児数の減少の慢性化によって多くが経営的に危機的な状況にあり、余儀なく廃園をするところもあると聞いております。幼稚園は学校教育法に基づく学校教育施設として位置づけられていますが、保護者のニーズに応じて長時間保育や子育て支援に取り組むなど運営の弾力化が進められた結果、児童福祉施設である保育所との均質化が進んでおります。この本来の幼稚園教育の独自性が損なわれつつある現状に、関係者の間では戸惑いも見られます。国においても幼稚園と保育所の一体的運営の推進について論議がなされるといういわゆる幼保一元化の流れの中で、今後の幼児教育のあり方をどうするのか、また、私立の幼稚園は総務部、公立の幼稚園は教育委員会、保育園は市町村と、その所管が分かれている現状をどのように解決するのか、さまざまな課題を残していると思うのでありますが、40の政策の中における七つの重点施策の一つ、新しい時代を担う人づくり教育先進県の内容には、幼稚園という言葉すら記載されていないことを見ますと、幼児教育に対する当局の認識不足を疑わざるを得ません。厳しい財政状況の中ではありますが、安心して幼児教育に専念できる財政基盤の確立と、岩手の人づくりの根底として、すべての子供たちに良質な教育を保障する幼児教育を明確に位置づける必要があると思いますが、どのように考えておられるのかお伺いいたします。
 また、本県の幼児教育、就学前教育の指針として、平成13年3月に文部科学省より、幼児教育振興プログラムについて各県のプログラム策定実施が義務づけられ、平成17年度までに振興実施を図ることになっておりますが、本県の進捗状況はどのようになっているのでしょうかお伺いいたします。
 次に、知事のマニフェスト及び40の政策の中にあります、いわゆる幼保一元化施設としてのこども園についてお伺いいたします。
 幼保一元化の問題は、今や社会の構造問題であり、教育、福祉、雇用、家庭、財政などさまざまな観点から検討がされる必要があります。地域や保護者の求めに応じてこのような幼保一元化施設の設置は望ましいものと考えますが、保育所は保育所としての、幼稚園は幼稚園としての理念に基づき運営されております。それぞれの位置づけを明確にした上で、実際的に幼稚園教育、保育事業の充実を担う第一線の施設設置者が戸惑うことなく、そして何よりも子供の立場に立って取り組まれることを願うものであります。
 そこで、お伺いいたします。知事は、幼稚園と保育所をそれぞれの機能を生かした、一体的運営によるこども園を実現しますと掲げておりますが、中央省庁の縦割り行政の中で、一体的運営とはどのような運営なのか、また、幼稚園でもない保育所でもない新たな施設としてのこども園なのかどうか、どの地域に何カ所設置される計画なのか具体的にお示しください。
 次に、心身障害児についてお伺いいたします。
 在宅で療育の場を設けて、心身に障害のある児童を支援する施設は、平成元年度から心身障害児早期療育事業として県内に10カ所設けられております。就学前の心身障害児の日常生活における基本動作の指導や集団生活への適応訓練を行うもので、幼稚園や保育所、また、小学校との連携も進められております。児童同士の触れ合いと養育に悩む親同士の支えにもなっております。しかし、この運営費補助、すなわち県単独の事業としては平成14年度限りで廃止となり、一部の施設は、国の児童デイサービス事業に移行したと聞いておりますが、県は、このような貴重な療育施設を今後どのように確保なされようとしているのかお伺いをいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、障害者作業所につきましても、利用者が8人未満の施設については、1年の経過措置の後、補助を打ち切ると報道されております。現在、該当する作業所は4カ所あります。地域によっては利用者を8人確保することが困難なところもあり、作業所の必要性は規模のみで判断されるものではないと思いますが、どのような考えに基づいて制度改正されたのか、今後どのように育成しようとしているのかお伺いをいたします。
 次に、農林水産業の振興策についてお伺いいたします。
 異常気象による水稲の対策につきましては、既に他の議員から質問されておりますので、この件については割愛をさせていただきます。
 先般、盛岡市内で地産地消の集いというイベントがあり、約700名の参加者が出席し、本県ではぐくまれた食材のよさを再認識したと報道されておりました。今、食べ物の安全・安心に対する消費者の関心は高く、こうした食材の生産者と消費者が強い信頼関係で結ばれることが、いかに大切であるかということであります。県下各地で展開されております産直施設が、まさにこの面で大きな役割を果たしていると考えられます。しかし、ここ数年、いわゆる狂牛病問題、雪印問題、偽装食品表示問題、外国野菜の残留農薬問題と、我々の食に対する安全性の信頼を損ねる事態が続いております。こうした中、いわて純情野菜をブランドとして持つ本県として、また、地産地消の観点からも、より積極的に食の安全性に対する消費者の信頼にこたえていく必要があると考えます。安全・安心を地域を越えてつなぐ方策としてトレーサビリティーシステムが、この12月から牛肉について義務化されると聞いております。生産者と消費者の信頼関係を築くため、このシステムの本県の取り組みについてお伺いいたします。
 また、農家が、自分のつくった農産物について安全だと確信し、自信を持ってPRできるよう、全農岩手県本部において残留農薬を検査する機器を整備していると伺っておりますが、農家が生産した農産物を手軽に検査するためには、各地域において低料金で検査できるような体制を整備していく必要があると思いますが、現在の取組状況と、今後の見通しをお伺いいたします。
 次に、水産業についてであります。
 釜石港にことしのサンマが初水揚げされ、銀色に輝くサンマの姿が新聞紙上を飾ったのは8月の末であります。しかし、初日キロ当たり175円から120円をつけた入札価格が、今は半値以下の30円から40円で取引され、漁業関係者は大量貧乏を嘆いています。また、9月26日早朝の十勝沖地震で県内沿岸を襲った津波は、カキやホタテの養殖施設に深刻な打撃を与えました。自然が相手とよく言われますが、自然災害や気候に影響を受けやすいこうした漁業の特性に加え、漁業者の高齢化や後継者不足、海外からの安い輸入品の急増などにより、岩手の三陸漁業は非常に厳しい状況に置かれております。こうした現状を乗り越えていくため、県では、例えば災害に強い養殖漁業づくりに向けて施設の強化と漁場再編を支援していると伺っています。あるいは水産物産地市場における機能強化に向けた計画もお持ちであると聞いております。
 そこで、お伺いいたしますが、漁業を取り巻く厳しい環境を乗り越えていくためには、漁業協同組合の集約化や経営改善、老朽化した魚市場の近代化あるいは後継者対策など、県として体質強化に向け総合的に支援していく必要があると考えます。ぜひ三陸の浜で働く人々に笑顔と希望をもたらしていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
 また、先日、岩手県漁業協同組合連合会において、三陸わかめのブランド化を図るため、三陸岩手わかめの認証制度を発足させたと伺っておりますが、このブランドを定着するための県の取り組みについて、あわせてお伺いをいたします。
 次に、高規格幹線道路の整備についてお伺いいたします。
 沿岸地域にとりまして、三陸縦貫自動車道や東北横断自動車道などの高規格幹線道路は、経済活動や産業振興の面からも、また、救急、災害時などの県民生活上の観点からも早期整備が必要であります。高速道路の整備のあり方については、道路公団の改革の問題とあわせて、現在国において議論されておりますが、現在計画されている路線の着実な整備を望むものであります。
 まず、東北横断自動車道釜石秋田線であります。この道路は花巻から釜石までの区間のうち、昨年11月に花巻-東和間が開通になりましたが、それより東の区間、特に遠野-釜石間については仙人峠道路を除いては基本計画のままであります。開通した花巻-東和間については、交通量が当初の見込みを下回っており苦戦を強いられていると伺っておりますが、高速道路はある程度の距離が開通になってこそ利用されるものであり、わずか10キロ程度の短区間で評価すべきものではないと考えます。これを効果あるものとするためにも、東和より東の区間の早期整備を願うものですが、その見通しはどうでしょうか。また、仙人峠道路についてでありますが、当初想定された18年度完成は可能でしょうか。その完成の見通しをお伺いいたします。
 次に、三陸自動車道のうち釜石山田道路であります。この区間は平成5年度から事業に着手し、今年度は両石地区の用地買収を進めると伺っております。この区間、特に鵜住居地区は本県の中でも渋滞の激しい地区となっており、その解消の観点からは、アクセス道を早期に整備し、渋滞区間の早期供用が望まれるところでありますが、これらの整備の見通しはどうでしょうかお伺いいたします。
 次に、リサイクルポートと港湾の振興についてお伺いいたします。
 平成15年4月、釜石港は国土交通省が定めた総合静脈物流拠点港、いわゆるリサイクルポートの指定を受けることができました。このリサイクルポートとは、港湾を中心としてリサイクル産業の集積を進めるとともに、リサイクルの広域的ネットワークの全国的な拠点であると伺っております。釜石港においては、現在PCC船、これは自動車専用船ですが、釜石-名古屋間を週2回運航されており、金ケ崎にあります自動車工場で生産される輸出向け仕様車の積み出しや鉄鋼製品の輸出、輸入穀物の取り扱いなども行われており、港湾物流の重要拠点となっております。平成18年度に向けた公共埠頭の整備も進み、また、隣接する平田地区にはエコタウンの整備が計画されており、各リサイクル産業の展開が望まれるところとなっております。しかしながら、ただ指定を受けただけでは絵にかいたもちになってしまいます。
 そこで、お伺いいたしますが、先進県におけるリサイクルポートへの取り組みはどうなっているのか、いわば指定の具体的なメリットは何でしょうか。また、この指定によって釜石港では具体的にどのように整備が進められていくのか、あわせてお伺いいたします。
 また、港湾のセールス、いわゆるポートセールスの組織は、現在、県土整備部で所管されていると伺っております。セールスのためには県職員みずからが営業マンとして船舶貨物の誘致や国際コンテナ航路の誘致、あるいは企業の誘致などに積極的に取り組む必要があります。こうした業務は、産業・交通政策全体における位置づけ、企業誘致のノウハウ活用などの観点から、産業政策や交通政策部門との連携において行うべきものと考えますがいかがでしょうか。
 次に、エコタウン事業についてお伺いいたします。
 先ほど述べましたとおり、現在、釜石市の平田地区においては水産加工廃棄物のリサイクル事業を中心として、エコタウン事業への取り組みが進められております。この地区には沿岸南部地域3市2町の一般廃棄物、産業廃棄物の処理施設が建設される見込みであり、また、本年3月には環境関連産業として使用済み自動車リサイクル工場を建設する協同組合オートリサイクルセンターも設置されたところであります。リサイクルポートの指定と相まって、港の活用と内陸部の産業集積地との連携を図りながら、各リサイクル事業の展開が期待されておりますが、環境首都を目指す本県としても、積極的にこうした資源循環型企業の育成を図っていく必要があると思います。国においては、地域循環ビジネスの支援策のあり方を見直すこととし、エコタウン事業の制度見直しも議論されると伺っておりますが、今後のエコタウンの指定に向けた県の支援と指定の見通しについてお伺いをいたします。
 人口約9万人を有し、沿岸随一の拠点都市として栄えた釜石市も、今や当時の約半分、約4万5、000人余りとなり、当時を知る者にはまさに夢幻のごとくであります。地域課題として道路、エコタウン、リサイクルポートについてお伺いいたしましたが、仙人峠道路の開通、公共埠頭の完成、船舶の安全な航行と港の安全性が確保される湾口防波堤など、すべて平成18年度に完成の見込みであります。また、国内最大級の風力発電事業も工事に着手されております。この基盤を活用しエコタウン事業が沿岸や内陸との連携のもと展開されていくことを念願いたします。
 沿岸地域は、急激に少子・高齢化が進み、人口も著しく減少しております。農林漁業は後継者不足が深刻であり、誘致企業の閉鎖・撤退は雇用の場を狭め地域の活力が急速に失われております。一方、高速道や新幹線が整備された内陸部には企業も人も集中しております。高速交通体系から外れた沿岸部は衰退を余儀なくされている現状であります。内陸と沿岸との格差是正は県政の重要課題でありますが、依然としてその差はますます広がるばかりであります。高速交通ネットワークの整備により経済活動や産業振興が図られ、内陸との格差是正を期待するものでありますが、さらには拠点となる地域の産業の構築が図られなければなりません。大槌を含めた釜石地区の再生は、とりもなおさず沿岸地域の活性化につながるものと確信するところでありますが、これらの事業の成否は国の総合的な支援体制が必要不可欠と思います。
 釜石市の再生と沿岸地域の発展について知事の所見をお願いいたしまして、私の最後の質問といたします。御清聴ありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 野田武則議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、子供に未来をという議員のお話がございました。この関係について私の見解を申し上げます。
 まず、今、子供を取り巻く環境というのはさまざま変化しておりますが、今後、社会保障費の負担増加や労働力人口の減少による活力の低下など、必ずしも明るいとは言えない未来が待ち構えているように、今の状況からしてそのように感じ取られるところでございます。
 県の総合計画で、私どもは夢県土の実現を図るという中で、世代をつなぐという視点を打ち出しております。世代をつないで、自分たちが見つけた夢を次の世代へ渡していくということで、この夢県土の実現を図ると、こういう視点を打ち出しているわけでございますが、ともすれば、これまでの行政施策というのは、子育ての問題にしろ教育や青少年の問題にしろ、親の視点ですとか大人の視点からとらえてきたのではないかと、このように感じる部分もございます。こうした例を見るにつけまして、今一度、これまで当たり前と考えて進めてきた我々の行政施策全般についても、子供の目線に立って見直し、考え直すということで、これまで気づかなかった、見えなかった新たな視点が逆に見えてくるのではないかと考えておりまして、これからのさまざまな施策の見直しを行っていくわけでございますが、その中ではこうした視点から新たなものにつくり変えていくことが大事であると考えております。
 今、子供たちには三つのことを約束しなければならないと思っております。一つは、このかけがえのない環境を保全、創造していく、そして決して汚さないということです。それから二つ目は、負の遺産を残さない、多額な負債を転嫁せぬように、今の時点で改革に努めるということ。それから三つ目は、生きる希望や喜びをはぐくむということで、子供たち一人一人が夢を持ってその実現に希望が持てるような社会をつくる、こういうことだと思っておりますが、そういう視点に立って、この子供を主人公に据えた施策の展開に当たっていきたいと考えております。
 それから二つ目のお尋ねでございますが、地方分権の推進と地方振興局のあり方についてのお尋ねでございます。
 まず、市町村への権限移譲についてでございますが、これは今まで基礎的自治体である市町村がサービスの担い手であるべきだという考え方のもとに、かなり積極的にこの市町村への権限移譲を進めてきた経緯がございます。その際には、市町村の要望を十分にお聞きをする、それから必要な財源などの手当を行うといったようなことで、市町村の自主性を尊重しながら行ってきたわけでございまして、岩手県では一律に何かの事務を一斉に市町村に移すということではなく、いわばまだら的な移譲、意欲あるそういった権限をぜひともみずからのものにしたいという自治体の考え方を優先して、そういうまだら的な移譲を行ってきたわけでございます。さらに、平成14年度、昨年度からは専門的な知識、技術を必要とする事務事業について、試行的に権限それから財源に加えまして当該知識、技術を有する職員も含めて一体となった権限移譲を進めてきておりまして、これは四つの市町村でこうしたことを行っておりまして、これからも市町村が主体的に総合行政を展開できるように、こうした権限移譲を進めていきたいと考えております。その際には、ただいま議員から御指摘がございましたとおり、市町村に押しつけになることは避けなければいけませんので、十分にその市町村の自主性を尊重し、また、考え方をよく聞いた上で、何が必要なのかということをこちらの方でしっかり判断して行っていきたいと思います。
 それから、次に、地方振興局の再編についてでございまして、これについては先ほどの嵯峨議員のところでもお話を申し上げたところでございますが、この地方振興局の再編、それからそのほか広域生活圏の見直しなどについても行うわけでございます。今、野田議員からお話がございましたとおり、国や県、市町村の役割分担、どういうことをこれから行っていくかと、そこのところについてはよく整理をしてそして進めたいということと、それから、当然のことながら、市町村合併の進捗状況もよく注視をして行っていきたいと考えております。
 広域生活圏については、先ほどの嵯峨議員にも申し上げましたとおり、やはり見直しが必要だと思っておりますので、来年中に見直し作業を終えたいと思いますが、逆にそうしたことが今後の市町村合併や広域行政の取り組みにも、市町村サイドにとっては参考になっていくものと考えます。
 それから、地方振興局についても、より広域的な地域振興施策の企画など、広範な市町村支援機能を担う方向に質的に変えていきたいということで取り組むわけでございますが、その前段としてのそれぞれの役割分担、特に県が果たすべき役割、これについては補完性の原理を原則にしながら、これからの見通しもよくつけて、そして十分整理の上で行っていきたいと考えております。
 それから、市町村合併の推進で、県がもう少し前に出て知事ももっと市町村に入り込んでこの問題に取り組めと、こういうお話でございます。昨日もこの点について御質問がございまして、基本的な考え方はその点の考え方と同じなわけでございますが、やはり自主的に選択されるというこの枠だけは出ないようにしていきたい。必ずしも積極的にやらないということを申し上げているわけではなくて、支援することについてはこれは同じ気持ちでございまして、十分に県でこの問題について市町村を支援していかなければならないと思っております。
 一つ自主的に選択ということを繰り返し申し上げておりますのは、やはり上から枠組みを与えられると、どことどこが合併をすると、そこの部分まで押しつけるようなことは決してあってはならない。上から与えられたような形では、これからもさらに自治が必要な時代に絶対に自治が育っていかないと思っておりますので、ともにこの問題については考えていかなければならないと思っておりますし、県を上手に使ってほしいという思いもあるわけでございますが、我々は自主的な、基本的な考え方のもとに合併に取り組んでいる市町村に対しては全庁挙げて支援、それから枠組みを今構築中の地域についても可能な限りアドバイスを行って、もちろん市町村の方にいろいろお話をしながらこの問題に取り組んでいきたいという考え方でございます。
 それから、幼稚園と保育所の問題、いわゆる幼保一元化についてのお尋ねでございますが、これは40の政策の中にも今議員御指摘のように触れている問題でございますが、幼稚園と保育所の一体的運営ということについてはこういう考えでおります。
 すなわち、一体的運営については、希望するすべての児童が年齢や保護者の就労形態等に区別されることなく、同一の施設において保育内容、保育時間、利用料など、同じ条件のもとで保育・教育を受けることのできる新たな施設運営、これが望ましいものと考えております。もとより、幼稚園は幼稚園、保育所は保育所、それぞれの目的や機能がございまして、これはまた大変重要な機能を果たしているわけでございます。また、根強い保護者のニーズもございますので、先ほど前段で私が申し上げましたような一体的な施設、すべての施設がそうした一体的な形態で運営されなければならないということは考えておりませんが、現実に県内でも過疎地域や待機児童の多い都市部などでは、幼稚園と保育所の一体的運営を望む声が出ているわけでございまして、こうした期待にこたえたいという思いがございます。現実に今の行政を見ますと、これは国の方で大変な縦割りになっているわけでございまして、現段階では対象児童の範囲、保育時間やカリキュラムの内容、それから職員の資格要件等が制度上異なっているというこの厚く越えがたい壁がございます。そこで、当面は私どもでは幼稚園と保育所の施設の共用化などの規制緩和や合同保育の容認などの構造改革特区制度の活用なども含めて弾力的な運営を進めると、そういうことをまた国にもしっかりと話をしていくと、実現に向けて要望していくと。県では今後、利用者、設置者、関係団体の意向を十分把握するなど、それからまた地域のニーズをよく考えて、県内で行われている類似施設の運営状況なども検証しながら、この幼保一元化の実現に向けて市町村などの取り組みを支援していきたいと考えております。
 今現在、こうした類似の施設で行われておりますのは藤沢町、宮守村、一関市などにございますし、今年度中にまた江刺市でもこうした施設が整備されるということでございまして、そうしたものは幼保一元化に向けてのそれぞれの市町村の自助努力で行われているわけでございますが、こうした運営状況をよく検証しながら、この幼保一元化の実現に向けて努力をしていきたいと思います。
 なお、御承知のとおり、国の経済財政諮問会議あるいは骨太の方針の中で、18年度までに就学前の教育・保育を一体としてとらえた総合施設の設置について触れられております。そのことについて検討が今進みつつあるところでございまして、中教審の方でもこうした問題に部会を設置して検討するということで、大きな流れはそちらの方に行っておりますが、財源などはどうするかといったような問題もございますので、私どももこうした大きな制度全体の動きもよく見ながら、この問題に対応していきたいと考えております。
 それから最後に、釜石の再生と沿岸地域の発展についてのお話でございます。
 釜石市は、私ども沿岸地域の拠点都市として発展の大いなる可能性を有しているところと考えております。今議員の方からお話がございましたとおり、18年を目指して仙人峠道路、それから釜石港のリサイクルポートとしての整備、公共埠頭の整備などが着実に進展してきておりますし、湾港防波堤の整備も今進んでいるわけでございまして、今後、釜石地域の物流拠点としての発展可能性が飛躍的に高まってくると考えております。それから、あわせまして、エコタウンの推進に向けた取り組みが行われてきておりまして、釜石市は製鉄所、近代製鉄の発祥の地としてすぐれた技術と人材を有しているわけでございますが、それをまたこれからの環境の時代の新しい技術に応用するだけの応用力を持っておりますので、そうした部分を発展させて資源循環型の地域づくりの可能性がございます。また、グリーンツーリズム等の体験型観光の推進といったことは既に取り組まれておりますし、こういったことも大いに進めていく、そういうことにつなげていけるものだと思っているところでございます。したがいまして、こうしたものを大事にして、これからの釜石の再生あるいは発展につなげていければと思っておりまして今申し上げたものでございますけれども、横断道の釜石秋田線、それから三陸縦貫自動車道、港湾などの交流・連携基盤や生活基盤の整備を引き続きしっかりと行いまして、こうしたインフラ整備のもとで、あの地域には海洋に関する研究機関、東大の国際沿岸海洋研究センター、それから海洋バイオテクノロジー研究所、それから岩手県の水産技術センターなどの研究機関がございますが、そうした機関が集積しているという地域特性を生かした水産業やリサイクルポートの活用による環境関連産業など、釜石という地域の特色を生かした産業の振興、それから意欲ある地域づくりを支援していきたい。そして地域の自立的な発展が可能となるように、釜石のみならず、周辺の振興局もあわせた県の機関、関係部局が連携して、そして地元の市町村などとも連携して、この沿岸地域の拠点として発展していけるように取り組んでいきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君) まず、心身障害児早期療育事業の廃止についてでございます。
 御案内のとおり、本年4月から支援費制度への移行に伴いまして、この事業は児童デイサービス事業所として指定を受けることにより、一つは事業運営に要する設備基準が明確になったこと、事業管理者の配置と利用者の実態を踏まえた職員配置基準が示されたこと、事業所にデイサービス計画の作成が義務づけられ、障害児への指導内容の充実が図られたことなど、これまでよりもより進んだ早期療育事業が可能になったと判断したことから、平成14年度をもって当該補助事業を廃止し、関係市町村に支援費制度への移行について働きかけをしてきたところでございます。その結果、支援費制度による児童デイサービス事業に移行した市町がある一方で、保護者の利用者負担の問題、あるいは職員確保の問題など、地域の特性により従来どおりの市町単独事業として継続しているところもございます。
 今後の対応でございますけれども、支援費制度に基づく児童デイサービス事業所は、障害児の早期療育等にとって重要な役割を担っておりまして、本年10月末現在で13の児童デイサービス事業所が指定されておりますが、引き続き可能な限り支援費制度への移行を進め、この事業の拡充に努めてまいりたいと考えております。
 次に、障害者作業所運営費に対する補助要綱の改正についてでございます。
 今回の改正は、働くことを通じ、障害者の方々の地域での自立を支援するための一環として、基本型、重度知的障害者型、重症心身障害者型、三つのタイプの作業所がございまして、特にこの基本型作業所を福祉的就労の拠点と位置づけまして、運営体制の充実・強化を図るとともに、通所授産施設等への移行等を進めまして、安定的な運営というものを目指してまいりまして、県の政策形成プロジェクト事業と位置づけまして取り進めてきたところがございます。しかしながら、こうした考え方について関係者の方々への説明がおくれ、少なからず不安を巻き起こしたということでございまして、深く反省をいたしております。その後、改めて障害者作業所あるいは市町村等からのお話をお聞きし話し合いを続けておりまして、一部の作業所でありますけれども、設立5年以内ならば利用者を8人以上にすることも可能だという提案を受けるなど、運営体制についての強化ということについての趣旨につきましては一定の御理解を得ております。しかし、地域の実情や建物構造上の制約から、8人以上の利用者を確保するということが困難な場合があるという御意見もございました。このような考え方、情勢を踏まえまして、就労型作業所の補助対象利用人員は原則として8人としますけれども、利用人員が5人から7人のところについても、対象となるような方向で検討を進めてまいりたいと考えております。
 もとより、この事業は家族の強い希望として生まれ今日に至っているものでございまして、今後とも市町村等とも連携しながら、さらにその拡充に努めるとともに、より安定した運営が可能となるように、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) まず、トレーサビリティーシステムについてでありますが、食品の生産流通の履歴を確認できるトレーサビリティーシステムは、生産者と消費者の距離を縮めること、また、消費者に対して食の安全・安心情報を提供できるという意味で極めて有効な仕組みであります。さらに、本県が食料供給県としての説明責任を果たす観点からも、積極的に取り組んでいく必要があると考えております。このため、平成14年の2月に、全国に先駆けて県独自のいわて牛トレーサビリティーシステムの導入を図ったところでありますが、来月12月からシステムの対象を県産牛全頭に拡大するということでございますし、さらに参加協力店舗も現在の130店舗から300店舗に拡大をすることにしております。牛肉以外の品目につきましても、県内のJAグループや民間企業で積極的な対応が見られておりまして、これまで米、レタス、ネギ、リンゴ、鶏肉、干しシイタケの6品目で導入が図られておりますが、年度内にはホタテガイ、マツカワでも導入される予定になっております。
 次に、残留農薬の検査体制の整備についてでありますが、安全な農産物に対する消費者の信頼にこたえるためには、生産者の段階でも自主的に残留農薬を検査することが重要であると考えております。このため、全農岩手県本部では、ことし新たに精密分析機器を整備して、これまで検査しておりました米、リンゴに加えまして、主要野菜についても残留農薬検査を開始したところであります。
 県といたしましては、生産現場に一番近い農協段階における検査を支援するため、今年度残留農薬検査・安全防除促進事業を創設したところでありまして、農業研究センターにおきまして簡易な検査機器を導入し、農協職員を対象に、低コストでしかも数時間で検査できる分析方法の講習や実習などを行ったところであります。来年度以降は、農協などに対するこうした機器の導入について検討してまいりたいと考えております。
 次に、水産業の体質強化に向けた取り組みについてでありますが、本県水産業の体質強化を図るためには、つくり育てる漁業をより一層推進していく中で、生産構造の改革による競争力の強化、水産資源の増大と適切な管理、消費者視点に立った安全で良質な水産物の供給体制を整備することが極めて重要であると考えております。
 県といたしましては、特にも意欲ある担い手を中心とした養殖業の生産構造改革を積極的に進めるとともに、漁船漁業におきましても新たに漁業許可枠を設け、就業機会の拡大を図りながら、漁業後継者の確保に努めてまいります。あわせて、ヒラメ・カレイの資源管理とサケの増殖体制の強化を進め、水産資源の増大を図ってまいる考えであります。
 また、流通の拠点となります産地魚市場の競争力を強化するため、県内の主要な4市場を中核市場と位置づけ、周辺市場との機能分担により業務の効率化を図りますとともに、鮮度及び衛生管理の高度化に対応した施設の整備等を支援してまいることとしております。さらに、これらの施策を進めてまいりますためには、漁協が体質強化を図り、漁業・漁村の中核的組織として主体的な役割を担うことが重要でありますことから、県漁連や沿岸市町村などと連携しながら、広域合併について漁協系統団体の主体的な取り組みを促進してまいる考えであります。
 次に、三陸ワカメのブランド化についてでありますが、県産ワカメのブランド化を図りますためには、安価な輸入ワカメが大量に出回る中で、肉厚で風味があり、熱にも強い県産ワカメを他産地と明確に区別して消費者の方々に供給し、そのすぐれた品質や食味、食感などを認めてもらうことが重要であると考えております。三陸岩手わかめ認証制度は、このような観点から、県漁連、漁協、さらに県など関係者で検討してきたものでありまして、全国初の試みとして先般、10月1日にスタートしたところであります。県ではこの制度の普及定着のために、県漁連、漁協などと一体となりまして生産者等を対象にした説明会の開催、店頭PR用ポスターの作成配布、さらにはテレビでの広報などを行いますとともに、岩手まるごと農林水産フェア、全国農林水産祭など、県内外のイベント等でのこの制度の紹介を行ってきたところであります。
 今後におきましても、県産ワカメのブランド化に積極的に取り組みますとともに、この制度創設を契機として、さらに生産・加工・流通履歴情報のデータベース化を促進し、トレーサビリティーシステムの構築につなげてまいりたいと、そのように考えております。
   

〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) 東北横断自動車道・釜石秋田線の整備についてでありますが、国では高速道路の今後の整備手法として、国と県の負担で整備する新直轄方式と民営化会社が整備する新会社方式の二つの方式を打ち出しておりまして、本日、政府与党協議会に国が検討内容を説明したと、そういうふうにも伺っておりますけれども、近々にもそれらの概要が示されて関係機関から意見を聴取すると聞いております。
 お尋ねの釜石秋田線の東和以東の区間のうち、整備計画区間である遠野-東和間の整備については、整備スピードや地元負担等を総合的に検討した上で、県として意見を申し述べ、その整備促進に努めてまいりたいと考えております。
 また、釜石-遠野間の整備については基本計画区間でありますことから、今回の路線の検討対象に含まれておりませんが、県としては、引き続きその整備促進を強く国に訴えてまいりたいと考えております。
 仙人峠道路の整備でございますが、仙人峠道路は平成4年度から国と県が区間を分担して整備を進めているもので、国の工事では昨年10月仙人トンネルが貫通し、本年度には滝観洞トンネル工事が本格化、また、県工事ではアクセス道路となる上郷道路の工事に着手するなど、工事の進捗が図られております。
 次に、三陸縦貫自動車道の釜石山田道路についてでありますが、これは平成5年に23キロメートル間の整備に着手しておりまして、国ではこのうち特に渋滞の著しい水海地区から鵜住居地区の約4.5キロ間を優先的に整備することとして用地買収を進め、現在この区間の用地取得は約50%の進捗と伺っております。県としては、早期に整備が図られるよう、引き続き国に強く要望するとともに、アクセス道路については国ともさらに協議を進め、その整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、リサイクルポートの指定の具体的メリットでありますが、リサイクルポートは現在全国で18港が指定を受けておりますが、そのうち、例えば室蘭港では、石膏ボードリサイクル企業の立地表明があったとか、神戸港では、廃プラスチックを破砕・圧縮する中間処理事業の操業が開始されるなど、事業化が進められております。釜石港においても、このような港湾を核としたリサイクル産業の立地促進による地域の活性化が期待されております。
 現在、釜石港においては、使用済み自動車一貫リサイクル事業、水産資源バイオ・ケミカルリサイクル事業など12の事業を計画しており、うち、3事業は既に事業を開始、6事業は平成17年度までの事業開始を予定しております。また、港湾施設については須賀地区の公共岸壁の整備を進めており、今後とも鋭意推進していきたいと考えております。
 ポートセールスについては、現在港湾物流の活性化、港湾利用型企業の誘致、それと客船の誘致、これらを三つの柱といたしまして、地元の市や関連企業と連携をとりながら積極的に取り組んでおり、首都圏などにおいて毎年商工労働観光部との共催で企業ネットワークいわてを開催し、荷主企業や船会社などへの県内各港のPR、港湾取扱貨物の掘り起こし等を行ってきております。今後とも、庁内関係部局はもとより、地元市、産業界等との連携を強化しながら、本県港湾の一層の振興に努めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君) 国のエコタウン事業への取り組みについてでありますが、この事業は、地域におけるゼロエミッション構想を推進するため、平成9年度に創設された事業でありまして、先導的な技術を導入するリサイクル施設に対して、国庫補助が導入されるなど重点的な助成措置が講じられることとなっております。本県では、対象地域をエコタウンのまちづくりを進める釜石市として経済産業省、環境省と事前協議を行っているところでありますが、経済産業省では来年度このエコタウン事業について、公募制度やプラン承認に当たっての外部審査の導入など、仕組みの改善を検討していると聞いております。
 県といたしましては、こうした国の動向の把握に努めながら、釜石市のエコタウンプランが承認されることによりまして、本県が目指します資源循環型地域社会の形成に一層弾みがつくということから、早期に承認が得られるよう、釜石市を初めとした関係機関と連携しながら対応してまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 幼児教育の重要性についてでありますが、幼児期は生涯にわたる人間形成の基礎が培われる大変重要な時期であり、この時期における幼児教育は、地域や家庭と十分な連携を図りながら、計画的に構築された環境のもとでの集団生活を通して、自然体験や社会体験等の充実を図り、豊かな心や小学校以降の学校教育における生活や学習の基礎を培うなど、極めて重要なものであると認識いたしております。県といたしましては、県総合計画に私立幼稚園の振興を初め、幼児教育の推進を掲げているところでありますが、すべての幼児・保育教育関係施設において、未来の担い手であるすべての子供によりよい幼児期の教育・保育が保障できるよう、公立、法人立を問わず、幼稚園と保育所の連携を図り、幼稚園教諭と保育士の合同研修の実施など、各市町村や各幼稚園の取り組みをさらに支援してまいりたいと考えております。
 次に、幼児教育振興プログラムについてでありますが、今後、幼児教育の一層の振興・充実を図るために、文部科学省が策定いたしました幼児教育振興プログラムを踏まえつつ、岩手県における幼児教育の方向性を明らかにし、幼児教育の基本的な考え方及び具体的な方策、例えば幼稚園と保育所の連携、また、あり方、幼保と小学校の連携に関すること、地域や家庭における子育て支援に関することなどを盛り込む独自のプログラムを策定していきたいと考えております。過日、そのためのいわて幼児教育振興会議を設置したところであり、来年度中の策定、公表を目指してまいりたいと考えております。

〇6番(野田武則君) 済みません。時間が経過しているということで大変申しわけありませんが、質問をいたします。
 まず、知事初め、関係部局長の皆さんには大変丁寧な御回答をいただきまして、ありがとうございます。一つだけ質問をいたします。
 合併の知事の姿勢について質問したいと思いますが、昨日の再質問におきましては、知事は、市町村の自主性、それから最大限のサポートを県として行うというお話がありましたけれども、その最大限のサポートという意味について具体的にお聞きしたいと思いますが、例えば合併と言いますと、よく結婚に例える方がおられまして、私もそのとおりだと思うのですが、相思相愛で黙っていても結婚するということもあるわけですが、ところが、やっぱり中に仲人役として入る方がいて初めて結婚なされる方もいると思うわけでございますが、そういう意味で知事の言う最大限のサポートというのは、そういう役も入っておられるのでしょうか。調整役として、もし合併をしたいという市町村があった場合、そういう要求があった場合、知事はそういう役もおやりになるという意味の最大限のサポートでしょうか。ちょっとお伺いをしたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 今、結婚を例にお話しがあったのですけれども、私はこの問題については、いわゆる町村会の方でも先般の地方制度調査会の答申に対して、大変な拒否反応を示された部分があると思うのです。知事が合併構想をつくると、それで勧告でそういった町村に対していろいろ示すということに対して、大変拒否反応を示したところがあるわけでございまして、私は、それはやはり理由があるであろうと思っております。地方自治の中でそういうものというのは、今までの歴史的に考えれば、やっぱり県の立場というのは町村に比べて大変強い立場がありますから、県が何か物を町村に対して言うという言い方から本当に気をつけていかないといけないと、これはこれから20年、30年の自治体の形をつくっていくことですから、それは気をつけていかなければならない。
 ですから、今の例えでお話しになられましたけれども、その間に立っていろいろと相手を見つけてきたりするのが結婚の場合の間に立つ仲人さんのいろいろな役割で、仲人さんにもいろいろなタイプがありますので、そこまで一生懸命やられる方もいると思うのですが、私はやっぱり余り出過ぎたことまでしてはいけないと、今お話しになったように、相思相愛ということを真っ先にお話しされましたけれども、やっぱりそれが一番理想なケースで、必ずしも理想どおりいかないのはもちろんそうなんで、これも物は限度がありますけれども、やはりそういった県の立場、市町村に対して圧倒的に強い県の立場、あるいはその長である知事の発言というその重みをよく考えながら、市町村の皆さん方の相談にはよく乗っていきたい。地方自治の原則はやはりきちっと踏まえた上で、全庁でやっぱり支援することはきちっとやりますので、特例交付金とかいろいろなものを用意してありますから、サポートはしていきたいと考えております。

〇議長(藤原良信君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 認定第1号平成14年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第41 議案第28号平成15年度岩手県一般会計補正予算(第6号)まで

〇議長(藤原良信君) この際、日程第2、認定第1号から日程第41、議案第28号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。


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