平成15年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(樋下正信君) 自由民主クラブの樋下正信でございます。通告に従い順次お尋ねいたしますので、知事初め、関係部局長には、誠意ある御答弁を期待するものでございます。
 なお、重複する質問が何点かあろうかと思いますけれども、御了承願いたいと思います。
 まず初めに、農林水産部長に、農作物の異常気象災害対策、とりわけ稲作共済対策についてお尋ねいたします。
 御案内のとおり、本年は6月下旬以降の異常気象によりまして、稲作を初め、野菜や飼料作物など、農作物全般にわたって大きな被害が発生しております。自由民主クラブ会派といたしましては、去る9月5日に沢内村、北上市、花巻市、紫波町に出向き、被害状況をつぶさに調査し、早急な対策の必要性を痛感した次第であります。
 その後、特に稲作につきましては、農林水産省から公表されました10月15日現在の作柄概況によりますと、作況指数が9月15日現在の77をさらに下回って、県全体では73となっており、これは大冷害となった平成5年の30、昭和55年の60に続く戦後3番目の不作となり、農業者にとっては非常に厳しい状況となっております。
 県におきましては、被災農業者の支援について総合的かつ効果的な対策を推進するため、いち早く9月2日に、副知事を本部長とする農作物異常気象災害対策本部を設置し、関係機関・団体との密接な連携のもと、稲の刈り取りまでの品質の向上を図るための技術対策を推進するとともに、国に対し、被災農業者の支援対策について要望されたところであります。
 こうした取り組みの結果、去る10月29日、異常気象災害に係る天災融資法の発動が決定され、被災された農業者の方々に天災資金が融通されることとなったところであり、県や関係団体の御尽力に対し敬意を表する次第であります。
 今後とも、被害の実態を踏まえ、今次の災害により農業者の営農意欲が損なわれることのないよう、また、次年度の営農に支障を来すことのないよう、被災された農業者の支援対策に万全を期していただきたいと思います。特に、被災農業者の所得補てん対策としての農業共済の果たす役割が重要でありますので、県のこれまでの対応とその状況をお示し願います。
 また、ことしの新米は例年より1カ月ほどおくれて店頭に並んでおります。その価格を見ますと、これまでの下落傾向から、一転して高値となっておりますが、農家の手取りに直結する県産米の卸売価格はどうなっているのでしょうか、あわせてお示し願います。
 次に、建設関係離職者の雇用対策についてお尋ねいたします。
 最近の県内経済は、個人消費の不振が続くとともに、公共投資や住宅建設がマイナス基調となっており、鉱工業生産の持ち直しも、足元ではやや弱まっている状況となっております。また、雇用面は改善傾向にあるものの、水準的には依然として厳しく、景気は総じて横ばいで推移しております。
 このような状況下にあって、本県の建設業は生産額で約4、400億円、県内総生産の約1割を占め、また、従業者数は約8万7、000人で県内の全就業人口の約12%を占めており、本県の基幹産業の一つとなっております。
 また、バブル経済崩壊後の数度にわたる総合経済対策の中で大幅な公共投資の増額が行われ、景気浮揚に大きな役割を果たしてきたものと存じております。しかしながら、本県におきましては、民間投資が大幅に減少する中で、建設投資を下支えしてきた公共投資は、平成11年をピークに減少しております。
 さらに県では、厳しい財政状況を理由として、平成16年度までに公共事業を30%削減するとの方針を打ち出したところであります。
 また、この間、建設業者の倒産件数は増加の一途をたどり、平成14年は県内の総倒産件数126件のうち49件、約4割を占めるなど、建設業を取り巻く環境は一層厳しさを増してきております。
 建設業は地域経済や雇用に大きな役割を果たしているわけでありますが、それだけに急激な公共事業の縮減は、本県経済にとって大きな痛手となり、地域経済を疲弊させる大きな原因ともなっております。
 県では、公共事業費30%削減の方針に基づき、来年度の事業実施箇所を検討中とのことでありますが、民間需要は現在のデフレのもとでそれなりに経済指数を維持しているものの、今回の公共事業費30%削減は、県単補助・負担金の見直しによる60億円のカットとともに、これから景気回復に進むべきときに、その影響を懸念せざるを得ないのであります。
 知事は、さきにサービス関連産業で雇用創出1万5、000人を目指していくと言っておられますが、現在の建設関係離職者数、雇用創出人数はどのようになっているのでしょうか。
 また、今後離職者が多くなると思われますが、どのような雇用の受け皿を考えておられるのかお示し願います。
 次に、観光振興についてお尋ねいたします。
 先般公表された岩手県行財政構造改革プログラムにおいて、県では官民の役割分担を徹底し、民間でできることは民間に移譲することとして、観光関係でも、平成16年度から宣伝業務の民間移譲を予定されております。
 知事は、平成12年2月議会における私の一般質問に対し、観光産業は21世紀の本県のリーディング産業の一つと認識している旨答弁されておりますが、それでは、このように重要な観光産業の振興における官民の役割分担とはどうあるべきなのか、今回の改革プログラム策定における基本的な考え方をお示しいただきたいと存じます。
 また、その中で県の役割はどのように位置づけられるのか、あわせてお聞かせ願います。
 次に、東北新幹線八戸開業における観光への影響についてお尋ねいたします。
 昭和57年6月東北新幹線盛岡開業から20年、平成9年秋田新幹線開業から5年後の昨年12月1日、東北新幹線が八戸に乗り入れ、同時に本県ではいわて沼宮内駅、二戸駅の新幹線停車駅が誕生し、念願の東北新幹線本県縦断が実現したところであります。
 あれから間もなく1年がたとうとしておりますが、最近、JR駅構内に開業1周年記念イベントや、はやて1周年記念パスなどの割引切符のポスターを張り出すなど、開業1周年の機運の盛り上がりを図っております。
 昨年の八戸開業直後は、いわゆるはやて効果により、八戸駅や二戸駅の乗降客数が増加したものの、いわて沼宮内駅は予想値を若干下回るスタートであったと伺っておりますが、その後、春の行楽シーズン、夏祭りシーズン、そして秋の紅葉シーズンを経て、一通り県内の観光施設や交通関係、観光地などにおける観光客の動向が明らかになってきているものと思います。
 そこでお伺いいたしますが、はやてが本県の観光に与えた影響についてどのようにとらえておられるのか、さらに、八戸まで延伸した新幹線を今後どのように活用して観光振興を図るお考えなのかお聞かせ願います。
 また、東北新幹線のターミナル駅が盛岡駅から八戸駅に変わったこの1年間で、盛岡広域観光に与えたプラス面、マイナス面をどのようにとらえておられるのか、それらを踏まえて、今後盛岡広域にどのような観光対策が必要であるのか、お考えがあればあわせてお聞かせ願います。
 次に、要介護者、長期療養患者等への対応についてお尋ねいたします。
 本県の高齢化率は、平成14年10月1日現在22.8%で全国10番目と高く、寝たきりや痴呆症高齢者の増加、介護期間の長期化など、介護ニーズはますます増大するとともに、これまで要介護の高齢者を支えてきた家族においても、介護する家族の高齢化など、介護の問題が、精神的にも、肉体的にも大きな負担となっているのであります。
 平成12年4月に介護保険が始まり、高齢者がたとえ介護を要する状態になっても、住みなれた地域で安心して生活できるよう、この間、各市町村等において介護保険事業が円滑に進められ、おおむね順調に事業が運営されていると聞いております。しかしながら、介護者が高齢や病弱などのため、在宅での介護が困難な状況にある多くの方々が、特別養護老人ホーム等に入所できないのも事実であります。
 そこでお伺いしますが、本県において特別養護老人ホームなどに入所を希望しているにもかかわらず、入所できない方々の実態と今後の対応についてお示し願います。
 また、長期療養患者等への対応についてでありますが、病院における在院日数は、医学の進歩や介護保険施設の整備などにより、全国的に短縮傾向にあると伺っております。県立病院においても同様であり、特にも平成14年度は前年度に比較して大幅に短縮し、入院患者が大きく減少して、一般病床の平成14年度の平均空き病床数は全体で約950床に達すると聞いております。
 県立病院経営懇話会の報告書では、病院機能の見直しによる空きベッドの有効活用、あるいは廃止などを計画的に進め、病床数の適正化を図ることとしております。
 さらに、過日公表されました県立病院改革基本プラン(案)によりますと、平成20年度までに県立病院全体で一般病床を720床縮減する計画となっております。
 そこでお伺いしますが、この縮減によって不要となる病棟、病床、長期にわたって療養が必要な方や在宅での介護が必要な方のために利用ができるような対策を講ずるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、2巡目の国体を本県で開催することについてお尋ねいたします。
 ことしの静岡国体では、お家芸と言われるホッケー、山岳、ウエートリフティング、レスリングで着実に得点を重ねたほか、セーリング、バスケットなど、高校生諸君の頑張りが勝利に結びつくなど、今後に向けて明るい芽が出始めたものと評価しております。
 女子選手の活躍をはかる皇后杯順位は昨年の最下位から35位に、男女総合の天皇杯順位は昨年の43位から37位に上がって、近年の低落傾向に歯どめがかかったとの印象を持ったものでありますが、さらなる成績向上を願うものであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 私も、昨年の高知国体に参りましたが、開会式に先立って行われた岩手県選手団の出陣式では、団長である知事から激励の言葉があり、選手一同、郷土の代表として国体のユニホームでまなじりを決する姿には、凛としたすがすがしさを覚えたものです。また、知事を先頭に入場行進する本県選手団は、どこよりもはつらつとしており、観客席からは多くの声援と喝采が送られたことが思い出されます。
 本県では、国体が開催されますと、県内各地で多くの県民が直接本県選手団の活躍に接し、応援や感動を分かち合えることから、ことし3月に、2巡目国体を本県で開催することについて、岩手県スポーツ振興議員連盟から知事に要望したところであります。知事は、本年6月定例会におきまして、国体開催について県民の意向を把握した上で判断するとの答弁をされておりますが、本県の2巡目国体開催に向けた対応について、県としての考え方を改めてお伺いいたします。
 あわせて、国体の総合開会式を行う場合に必要とされる陸上競技場についてお尋ねいたします。
 高知国体の開会式が行われた高知県立春野総合運動公園は、平成元年のインターハイ開催に向けて整備され、平成14年の国体にあわせて改修が行われたと伺っております。ことしの静岡国体は、エコパスタジアムで開会式が行われましたが、2002年ワールドカップの会場となったところであります。お隣の秋田県は、4年後の平成19年に国体が開催される予定でありますが、高知県同様、インターハイの会場を改修しての開催となると伺っております。
 本県の場合、平成11年に開催されたインターハイの総合開会式会場となった北上総合運動公園陸上競技場がありますが、総合開会式の開催を県都・盛岡で想定した場合、昭和45年国体に向けて整備されたみたけの県営運動公園陸上競技場もその候補地として検討が必要ではないかと考えますが、県営運動公園での総合開会式は開催が可能であるのか、その見通しについてお伺いいたします。
 次に、教職員の不祥事についてお尋ねいたします。
 教育の成否は教員の資質に大きく係っており、教員は教壇に立ち、児童生徒の人格形成に大きな影響を与える立場であり、より高いモラルが求められます。
 しかしながら、本県における教職員の飲酒運転や体罰、わいせつ事件など、不祥事による懲戒処分は年々増加しており、平成14年度は37人、今年度はこれまでに31人となっており、うち平成14年度は2人、平成15年度は7人を懲戒免職処分としたとのことであります。
 さらに、先般は中学校教諭が、飲酒運転で盛岡市内の市道を逆走して逮捕されるという事件が報道されたところであります。
 こうした異常事態を受けて、県教育委員会では、これまで校内研修や一斉点検の実施などさまざまな取り組みを行ってきたほか、教育長みずから各学校に出向いて教員と意見交換会を行って、不祥事の発生防止に努めていると聞いております。
 また、市町村教育長も、一人一人が教職者としての自覚を求めるメッセージを全教職員に配付したとのことであり、県、市町村一体となったさまざまな取り組みや指導を行っていることは評価するものであります。
 しかしながら、さきに申し上げたとおり、教職員の不祥事が依然として後を絶たず、県PTA連合会でも、怒りを覚えるとして教員としての自覚を求める異例の申し入れ書を教育長に提出したとのことでありますが、児童生徒や保護者はもとより、県民は本県教育に対して大きな不安と不信の念を抱いているのではないかと危惧しております。
 新聞報道によりますと、このような不祥事発生の背景には、今だったら落ちている人も当時は先生になれたような倍率の低い時期に採用された教員がいるという教員の資質の問題、生徒や保護者の意識の変化を認識せず、熱心さの余り励ましのつもりでセクハラや体罰に及んでしまう意識のずれ、さらには、教員の多忙化や人間関係の変化により、教員同士の関係が希薄になり、お互いのことを話し合う時間が少なくなったといった学校現場の環境の問題などが指摘されております。
 一方で、多くの教員は教育に対して情熱と使命感を持って日々努力していることも事実であり、これらの教員が萎縮することなく学校現場で力を発揮できるような環境づくりも望まれております。
 そこでお伺いいたしますが、教育長はこれまで学校現場を回り、教員との意見交換などを通じて、教職員の不祥事が後を絶たない背景をどのようにとらえているのでしょうか。
 また、今後、信頼回復に向けてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。
 最後に、青少年がかかわる犯罪等についてお尋ねいたします。
 先ほど、柳村議員からも質問がありましたけれども、平成14年度中の刑法犯検挙人員のうち少年が44%を占めており、少年犯罪の増加が治安低下の一因となっておりますが、一口に青少年がかかわる犯罪と申しましても、窃盗や傷害、暴行などのいわゆる刑法犯罪のほか、シンナー、覚せい剤などの薬物乱用事案や売春などの福祉犯罪と、その態様は多岐にわたっております。
 このような犯罪を起こす温床はどのようにつくられてきたのでしょうか。私は、大人社会が青少年犯罪を誘発するような環境をつくり出したことも大きな要因ではないかと考えております。
 近年、モラルの低下や希薄化という問題は、青少年に向けられている傾向も見受けられますが、問われているのは、むしろ大人社会そのものではないでしょうか。犯罪を犯した少年を検挙することも必要、そして、以後の立ち直りを支援することも必要なことであります。しかし、私は、何よりも青少年に犯罪を起こさせない、青少年を犯罪から守る社会環境づくりこそ重要であると考えております。
 いかにしてこの劣悪な環境を取り除くとともに、良好な社会環境をつくり青少年の健全育成を図っていくか、これは社会全体が一丸となって取り組むべき重要課題であります。このことが青少年犯罪の減少、ひいては治安の回復につながる大きな要因と認識しております。
 そこで警察本部長にお伺いいたします。本県における青少年を取り巻く有害環境の実態、青少年の福祉を著しく害する犯罪の実態はどのようになっているのかお示し願います。
 また、これらの対策として県警察がどのような取り組みをしておられるのか、関係機関や団体とはどのような連携をとられているのか、あわせてお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 樋下正信議員の御質問にお答え申し上げます。
 建設業関係の離職者につきまして、数値、それから、雇用創出人数などについてお問い合わせがございました。
 まず、建設業からの離職者数でございますが、これは岩手労働局の調査でございますが、平成14年度は1、016人、全離職者数の19.5%でございます。それから、平成15年度は、現在わかっておりますのは9月までの数値でございますが、9月までの上半期の数字で365人、全離職者数の18.5%、このようになっているところでございます。
 また、雇用創出人数につきましては、建設業の離職者のみを対象として集計したデータがございませんので、恐縮でございますが全業種ということになりますけれども、こちらの雇用創出人数につきましては、例の緊急地域雇用創出特別基金事業による臨時的な雇用も含めまして、9月末現在で約3、600人、このような数値になっているところでございます。
 また、雇用の受け皿でございますが、県の建設業協会におきまして経営支援センターを設置して、建設業の経営基盤強化や新分野、新市場への進出などへの取り組みを進めているわけでございまして、県でもその活動を助成しているわけでございますが、その相談受け付けの状況を見てみますと、主な相談として、例えばリフォーム事業を展開したい、畜産、ハウス野菜栽培、シイタケ栽培など農業に参入したい、それからリサイクル事業に参入したい、さらには、保育所、託児所を設立したい、ほかにもございますが、今申し上げましたような具体的な相談などが寄せられているようでございまして、この経営支援センターを設立して、10月末現在で30件ほど相談がございます。うち、こうした新分野の創出に関する相談が13件ございまして、今、主なものを紹介したわけでございますが、こうした建設業の新分野、新市場への進出につきましては、地域によってその事業者の実態、ニーズが多様でございますので、こうした問題についてきめ細かな対応が必要であると思っております。
 遠野市で、構造改革特区によりまして建設業の農林業への参入を支援するモデル的な仕組みが始まるわけでございまして、明日、国の方でこの構造改革特区が認定される予定になってございますが、こうした遠野市のモデル的な仕組みを全県下に普及していくとともに、今後とも、地方振興局を中心に、市町村や関係団体とも連携して、農林水産業を初め、福祉の分野、環境分野など幅広い分野で雇用の受け皿となる仕組みを創出していく考えでございます。
 次に、観光振興についてのお尋ねでございますが、観光は、地域の活性化に果たす役割が大きく、その振興は極めて重要であるということで、これは以前本会議で申し上げたとおりでございまして、特に岩手にとりましても第3次産業の主要な柱の一つと考えております。観光について県でもさまざまな施策を展開してございますが、施策評価のバロメーターとなる観光客の動向が経済情勢や社会状況、流行などに大きく左右されるところでございまして、このような社会経済の変化を的確に見定めて効果的な施策を打ち出していくことが必要であると考えております。
 観光客の志向も最近大分変化しているようでございまして、以前はバスで大勢で乗りつけて宴会を開くといったようなタイプがよくございましたが、最近は、家族、仲間での少人数のグループ化といったように、その観光客の行動、量なども大分変化してきているということもございます。こうした情勢の的確な見きわめが必要だと思っておりますが、観光の振興は、官民の役割分担を明確にして、官民が協力して取り組むのに実にふさわしい分野である、このように考えております。具体的には、観光関係団体や観光事業者の皆さん方には主体的に観光宣伝に取り組んでいただく、また、素材の発掘や旅行の商品化などに取り組んでいただく、さらには、受け入れ態勢の向上策などを具体化してその実現に取り組んでいただく、こういったことが適していると思いますし、一方、県の方の役割としては、こうした動きを支援するとともに、北東北3県や東北6県の連携での観光施策、それから、広く海外に目を向けて、韓国や台湾、さらには今後、中国など東アジアからの誘客対策を進める、こういったことが必要かと思います。官の役割としては、そのほか、旅行業法などの法令に基づく事務などもございますけれども、官民それぞれの役割分担と、一方で連携を進めて岩手型の観光産業を育て上げていきたい、このように考えております。
 次に、2巡目岩手国体への対応についてお尋ねがございましたが、2巡目国体開催に向けて県民の意向調査を10月に実施したところでございますので、まず、その内容について申し上げたいと思います。
 この意向調査は、10月に一般県民の4、000人を対象として行ったものでございまして、半数弱でございますが1、827名から回答がございまして、回収率が45.7%となっております。本調査の結果を集約いたしますと、開催形態では、単独開催――単独というのは岩手県単独という意味ですが――を望む者が58%、隣県との共同開催が24%、あわせまして82%の数字になるわけでございますが、8割を超える皆さん方が本県での国体開催を望んでいるという調査結果になってございます。一方で、開催をしなくてよいという回答者もおられまして、その数は9%でございます。それから、開催に必要なスポーツ施設は、既存のものを最大限活用するというのが84%という数字になっております。それから、開会式のあり方でございますが、これにつきましては、充実した式典を目指すというのが42%ございますが、基本的な方向としては、簡素化に努める、こちらが全体の43%を占めておりまして、わずかですが、充実した祭典よりも少し上回っている状況でございます。それから、目指すべき国体の成績についてお伺いしてございますが、必ずしも成績にこだわらないというのが全体の45%、できるだけ上位を目指すというのが39%、はっきりと総合優勝を目指すべきだというのが8%、こういうことでございます。
 ちょうど調査結果がまとまったばかりのところでございまして、これからよくこの調査結果を分析したいと思っているところでございますが、こうした調査結果を踏まえて、それから、今、日体協の方で国体改革に取り組んできております。例えば、平成18年からは夏の国体と秋の国体を一本化するという方向でまとまってございます。そのほか、さまざまな国体改革に日体協としても取り組んでいる。それから、先催県の静岡や高知などでも大分簡素化に努めたわけでございますが、そうした具体的な取り組み、さらには、本県の今抱えております財政事情や県内の体育施設の状況などを勘案しながら、2巡目国体の開催につきまして早期に方向性を決めていきたいと考えております。
 それから、国体の総合開会式の会場についてお尋ねがございましたが、これは、2巡目国体についてどう対応するかを決めてからということでございますが、仮に2巡目国体を本県で開催するという場合、今のお尋ねは盛岡みたけの県営運動公園陸上競技場がどうかということでございますが、このみたけの陸上競技場は昭和41年6月に完成した施設でございまして、今現在で建設以来36年を経過して、大分老朽化が進んでおります。したがいまして、2巡目国体が想定されますのが平成28年ごろでございまして、大分まだ先でございます。開会式会場として使用するには当然建てかえが前提になるわけでございますが、一方で、この地域の地盤が軟弱地盤であるということがございます。それから、必要とする面積を十分確保することができるかどうかという点があることと、それから、建築して以来現在まで周辺環境が随分変わってきておりまして、御承知のとおり住宅地化していることに伴って、交通アクセスや駐車場の確保など多くの課題がある。2巡目国体についての対応をまだ決めていませんので、総合開会式の会場についてどうするかということを断定的に申し上げるわけにはいきませんけれども、今申し上げましたような実に多くの課題があるもの、このように認識しているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承お願いします。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) ことしの異常気象に伴います水稲共済対策についてでありますが、県といたしましては、被害が決定的になりました9月の初め、いち早く指導通達を発しまして、農業共済団体における適切かつ迅速な損害評価の実施と共済金の早期支払い体制の確立について万全を期すよう要請したところであります。また、国に対しましては、農業災害補償法に基づく農業共済再保険金の早期支払いや農業共済団体の損害評価費増嵩に対する事務費補助等の増額について要望を行ったところであります。ことしは全県で約47万筆、引き受け筆数の約92%ということで、平成5年のときは約100%でございましたが、ことしは92%となっております。この47万筆について損害評価が行われたところでありますが、農業共済団体が共済金の支払いを行うためには、損害評価高について国の認定を受ける必要がありますことから、現在、岩手県農業共済組合連合会において、鋭意、損害評価高の取りまとめを行っているところであります。県といたしましては、年内の一日も早い時期に被災農業者の方々に共済金の支払いが行われるよう引き続き要請してまいります。
 次に、県産米の卸売価格についてでありますが、15年産の県産米につきましては、例年より1カ月おくれて10月24日に自主流通米価格形成センターの入札取引に初上場されましたが、60キロ当たりでひとめぼれが2万1、030円、あきたこまちが2万1、123円と、前年同期に比べ35%高で落札されたところでございます。2回目が昨日26日に行われたわけですが、その落札価格は、ひとめぼれが2万4、345円、あきたこまちが2万4、333円で、前回に比べてさらに15%高となったところでございまして、前年同期比では50%以上の上昇となっておりまして、入札制度が始まりましたのが平成2年でございますが、その2年産以来の最高値となったところでございます。
 また、モチ米につきましては、10月4日に全農全国本部が年間を通じての販売価格となる産地銘柄別価格を実需者に提示したところでありますが、これによりますと、県産の大部分を占めるヒメノモチが60キロ当たり2万218円と、前年産に比べ25%高となっております。
 こうした価格の情報は、全国的な作柄と需給の状況を反映したものと受けとめておりまして、被災農家が少しでも元気づくことになればと考えているところでございますが、一方、この高値が消費者の米離れを招くことにならないかということも心配でございまして、このことにつきましては、消費者に被害の実情について御理解をいただきたいと思っております。
   

〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君) 新幹線はやてが本県の観光に与えた影響についてでありますが、はやて開業により北東北に対する注目度が高まり、JR6社の協力を得て実施した北東北大型観光キャンペーンなどを通じて、首都圏からの観光客は、青森県は増加、秋田と本県はほぼ横ばいの状況であります。旅行代理店などの関係者からも、全国的に観光需要が低迷する中にあって比較的好調に推移していると言われておりまして、はやて開業は本県観光によい影響をもたらしているものととらえております。
 一方、首都圏から本県を通過して青森県に向かう観光客が多いことから、今後におきましては、こうした観光客を本県に誘導できるよう、青森県との広域観光の推進や二次交通の整備を図るなど、はやて効果をできるだけ本県の観光振興に波及させるよう、市町村や関係団体と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 また、盛岡広域の観光対策についてでありますが、はやて開業により首都圏から盛岡広域への観光客は総じて好調に推移しておりますが、盛岡駅を終点・起点とする新幹線の利用客は減少しておりまして、盛岡駅の拠点機能は、総体的には低下していることは否めないととらえております。
 今後におきましては、個々の観光スポットの魅力をさらに高めるとともに、盛岡駅やいわて沼宮内駅を起点とした周遊型の観光を推進するなど、盛岡広域の観光振興にもはやて効果を生かすよう取り組んでまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君) 特別養護老人ホーム等への入所希望の状況についてでありますが、入所を希望している在宅の要介護者は、本年9月末現在で、介護老人福祉施設――特別養護老人ホーム1、893人、介護老人保健施設が449人で、平成15年――ことしの3月と比較しますと若干減っておりますけれども、ほぼ横ばいと見ております。
 このような状況を踏まえまして、当面、各介護老人福祉施設に県特別養護老人ホーム入所に関する指針を参考にした入所規程を策定していただき、入所の必要性の高い方が円滑に入所できるよう支援しているところであります。
 また、介護施設の整備につきましては、市町村等の計画を取りまとめましたいわていきいきプラン2008というものがありまして、このプランにおいては、平成19年度までに、県全体で介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び痴呆性高齢者グループホームをあわせまして2、000床程度の増床を行う計画となっております。ちなみに、平成15年度整備中のもの、平成16年度に計画をしているものをあわせますと、この2年間でおよそ750床ほどふえるものと見込んでおります。
 また、在宅で生活している方々の介護を支えるために、ホームヘルパーを初めとするマンパワーの養成と資質の向上、デイサービスセンターなどのサービス提供拠点の整備、住宅改修などにより在宅での介護ができるような環境整備にも引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) 県立病院の空き病棟の利活用についてでございますが、地域の保健や福祉との連携という観点から、介護保険施設あるいは市町村の保健活動等の施設などに有効に活用されるのが望ましいものと考えております。しかしながら、これらの活用に当たりましては、例えば介護保険施設の場合は、県の介護保険事業支援計画の中で地域ごとに対応が可能かどうか、あるいはハード面の整備といたしまして、専用の入り口の設置などにより病院施設との区分を明確にする必要があるなどの医療法の制約あるいは機能訓練室、食堂などの諸室の整備や廊下の幅などの施設基準を満たす必要があることなど、クリアすべき課題も多くあるものと考えてございます。
 また、介護関連施設以外にも枠を広げて、幅広くその活用について検討する必要があると考えてございます。いずれ、具体的な活用計画あるいは事業主体等につきましては、今後、県の関係部局や地元市町村などと協議しながら検討してまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 教職員の不祥事についてでありますが、今年度7月から10月にかけまして、県内12カ所になりますが、不祥事に限定しないで学校や教師が抱えている問題全般についてということで県立学校の教職員との意見交換を行いました。この意見交換の中で、不祥事の背景、原因等についていろいろ意見が出まして、例えば、採用段階での人物のチェックをきちんとする必要があるのではないか。職場での話し合いの機会が少なくなり、職員間のコミュニケーションが不足しているのではないか。教員は1人で判断することが多い、問題をみんなで話し合う機会が少ないのではないか。教員は同僚に対する甘さがあるのではないか。教員が一つの世界にどっぷり浸っているその結果ではないか。それから、生徒指導やクラブ指導においては、短時間で、あるいは短期間で結果を出そうとする余り手が出てくる、体罰につい及んでしまった、そういうことがあるのではないかなど意見が出されております。
 また一方、この防止に向けた取り組みでありますが、これにつきましてもいろいろ出ました。交通安全に関しては、職場内に交通安全友の会をつくって、職員会議等での体験スピーチ、週末には安全運転に対する呼びかけ、また、市町村の交通安全運動に参加するといったこと。あるいは飲酒運転の防止については、学校から懇親会の会場までの交通手段の確保あるいは翌日の通勤手段の確認等をして未然防止に努めている。あるいは、生徒とコミュニケーションを図ることが大切で、性急に結果を求めるべきではない。あるいは、盲・聾・養護学校ですが、児童生徒との身体的接触がどうしても多いということで、授業に保護者、生徒の意見を取り入れて、また、常に保護者に説明できる行動を心がける等々たくさんの意見が出されております。また、どこの学校におきましても、不祥事の防止に向け繰り返し研修会が行われており、教職員が真剣に取り組んでいるということが実感できたところであります。
 不祥事の未然防止につきましては、教職員みずからの取り組みが何よりも大切であるということを考えておりますが、今回の意見交換の中におきましても、自分たちの問題ということで取り組みを始め出したところもありますし、また、個々の職員の意識もかなり向上したということで、教育委員会といたしましては、今後ともまた研修を通じて教員の資質の向上を図る。また、できる限り私自身も現場にさらに足を運んで、この問題のみならず、学校が抱える問題はたくさんありますので、これらについての意見交換をするため、生の声を聞くため、現場に出かけたい。そして、それらの声を生かしてきめ細かな指導に反映させたい、こう考えております。これからも繰り返し不祥事の未然防止に努め、信頼回復に努めていきたい、こう考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) 初めに、少年を取り巻く有害環境についてでございますが、いわゆる有害雑誌やビデオ、ピンクチラシのはんらん、性風俗関連特殊営業店の増加、出会い系サイトなどへの誘惑のほか、性的感情を著しく刺激したり、粗暴性や残虐性を助長するおそれのある情報、遊技のはんらん、さらに、窃盗等の犯罪行為を誘発する物品の交換、買い取りなどが横行し、その環境は年々悪化している状況にあると認識しております。
 県警察といたしましては、有害環境の浄化を少年非行防止対策の重要な柱と位置づけ、自治体、学校、少年ボランティア等と連携を図りながら、その実態把握に努めるとともに業者等に対する働きかけなどを行っているところであり、また、悪質な業者に対しましては、あらゆる法令を活用して取り締まりに当たっているところでございます。
 次に、少年の福祉を害する犯罪の実態等についてでございますが、本年10月末現在、青少年環境浄化条例や風俗適正化法などで35件、31人を検挙しております。これは、前年同期に比較いたしますと12件、11人の増加となっております。被害者はすべて女子となっておりまして、これを学職別で見ますと、中学生が10人、高校生が17人、有・無職者が8人で、被害者全体の約8割が中・高校生となっている実態でございます。
 少年の福祉を害する犯罪は少年の健全育成の観点から看過できない悪質な犯罪と認識しており、適正な取り締まりに当たっているところでございます。しかし、その一方では、被害少年の原因、動機が遊興費欲しさや好奇心などが多くを占めており、規範意識の低下や性の乱れが見られますことから、家庭や学校と連携を図りながら、街頭における青少年への声かけや防犯教室の開催などを実施し、その意識向上に努めているところでございます。

〇21番(樋下正信君) 知事、各部長から御答弁をいただきまして大変ありがとうございます。
 時間も5時を過ぎておりますけれども、1点だけお聞きしたいと思います。八戸の新幹線の開業に伴ってというところで小原商工労働観光部長からお聞きしたいんですけれども、県都盛岡といたしまして、広域という考え方になろうかと思いますけれども、先ほども、青森は観光客がふえた、秋田、岩手は横ばいだというようなお話の中で、盛岡は減っているのかなというように私は受け取ったわけでございます。実は、盛岡市長が新しくなりまして、盛岡市長は、盛岡を花いっぱいの町にしたいと、選挙のときに公約といいますか、お話をしておりました。盛岡はカナダのビクトリアとも姉妹締結をしているという関係もございますし、盛岡広域で、例えば私、前にもお話しした経緯があってこれは可能ではないという話をされたんですけれども、岩手公園にお城をつくるとか、中津川に九州の博多じゃないんですけれども中洲のような屋台をつくるとか、そういうふうな連携した何か一つ目玉になるようなものがあればと思います。雇用の場も含めて、よそから観光客にどんどん来ていただけるようなまちづくりが必要かなというふうに思われます。この辺につきまして、広域連携を含めて、部長から御所感があればお聞きしたいと思います。

〇商工労働観光部長(小原富彦君) 御質問は盛岡広域ということでございましたけれども、ただいまは盛岡というところに着目したお話だったと思います。私も盛岡にずっと住んでいるわけですけれども、観光スポットとして可能性のある、例えば歴史、文化ですとか食文化ですとか、いろいろな要素はあると思います。したがいまして、そういうアピールできるようなものを盛岡市あるいは観光協会等々と連携しながら、そういうものを何か考えていく。そしてまた、民間の方々のコミッションだとか、いろいろな動きが盛岡市にも出てきておりますので、そうした方々と力を合わせて、そういう観光スポットがもっと脚光を浴びられるような形で、私どもも盛岡市と協力しながら頑張っていきたいと思います。
   
日程第2 議案第28号平成15年度岩手県一般会計補正予算(第6号)

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第2、議案第28号平成15年度岩手県一般会計補正予算(第6号)を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。時澤総務部長。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 本日提案いたしました案件について御説明いたします。
 議案第28号は、平成15年度岩手県一般会計補正予算(第6号)であります。これは、いわて森のトレー事案に係る国庫補助金返還に要する経費として、総額4億2、636万8、000円を補正しようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願いいたします。
   

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時11分 散 会


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