平成15年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇20番(川村農夫君) 民主・県民会議の川村農夫でございます。
 3人目としてかなり重複する部分もありますが、御容赦いただきまして、順次質問をさせていただきます。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてであります。
 県民の圧倒的支持を得て、2期8年間の県政運営を進めてきた増田知事は、県職員を初めとする行政関係者が県民と一体となって新しい時代の要請を柔軟に受けとめ、これまでなれ親しんできた制度やならわしと決別し、新たな時代を切り開こうとする知事の並々ならぬ意欲を頼もしく感じてきたものであります。知事職の重みをかみしめながら、1日1日を大切にその職を果たしてきたことと思います。
 この10月に発表された岩手県行財政構造改革プログラム、自立した地域社会の形成に向けての中で、知事は、行政改革並びに立ちおくれていた社会資本整備にも取り組んできた。その結果、多額の公債残高を抱え、長期景気低迷による所得税、地方交付税の大きな落ち込みなどによって危機的な財政状況に立ち至ったことを踏まえ、質の高い行政サービスを提供できる行政経営体に変わることを目指すものとしております。その中で、誇れる岩手、進化する改革とは、今まで2期8年間の増田知事が県民に訴え実現してきたものをどのように評価して、それがこれからどのように変わるのか、県民に理解と協力を得るつもりで答弁をいただきたいと思います。
 また、知事の政治姿勢として、政策評価システムを導入してきたことを高く評価するものですが、事業実施後の評価も確実に行っていくことが必要と考えます。それが次の政策にあるいは政策評価のシステムそのものの検証になってシステムの高度化につながるものと思いますが、今後の取り組みについてのお考えを伺います。
 また、今日の事態を迎えた背景には、知事の思いと職員の意識の中にずれがなかったのか。地方においても、このような現象があったことを申し添えておきます。
 知事の出前による県政懇談会や知事との意見交換会や話し合いへ出席した方々は、村長や議員にしゃべっても何にもよい返事が来ないのに、知事さんはすごい。すぐわかりましたと言ってくれる、大した人だと。役場はさっぱり役に立たないと。ここに増田知事の支持されるゆえんがあると同時に、反面、見通しの甘さと軸足の置き場に反省すべき行動があったのではないかと思うのであります。この点について所感があれば伺います。
 さらに、官と民の協働化の推進についてでありますが、天下りの先をたくさんふやすのではないかという感が否めません。忙しいから人をふやす。暇でも予算があるから人を減らさない。人がいないからここまでしかやらない。金があるから外注した方がいいものができてくる。予算がないから安くやらせろ。これが往々にしてある発注者の姿勢であります。
 今、ある企業家の取り組みを紹介します。
 企業は15人で戦うラグビーのごとし。負傷者が出ても補欠はない。野球のように15人、ベンチに補欠を入れておくわけにはいかない。いつ使うかわからない人を雇っているわけにはいかない。しかし、突発的なピンチが来る。そのとき欠員が出ても歯を食いしばって何とか守り切り、あるいは攻め出していかなければならない。ラグビーの戦いがそうではないか。気を失ったやつがいてもゲームは進む。それぐらいの取り組みをしなければ会社は持ちこたえられない。一生懸命やれば姿が見えてくる。県職員はおれたちの何倍も汗を流している。このことが見えればよいのではないか。補欠ばかりを用意したチームでは、監督は何をやっているのかと言われてしまう。狭き門を突破してきた最も優秀な人材をフルに動かし、機能を発揮させるための取り組みをも強く望むものであります。
 次に、農業行政について幾つか質問します。
 本年の異常気象による農作物被害は、農家経済を初め各方面に大きな打撃を与えております。我が会派の県内状況視察を踏まえての知事への要望項目と、さらには県から国に対する15項目に上る要望について、どのように実現されているのか、あるいは見込みがあるのか。困難なものは何なのか。先輩議員の質問項目に重複しない部分についてお答え願いたいと思います。
 今、食料の相当部分を輸入に依存している我が国において、必要な数量を国内で生産できるようにすることが、国民に対し安全な食料を安定的に供給するために不可欠であり、国土及び環境の保全を図る上でも重要であります。このことにかんがみ、農産物の生産確保に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、我が国の食料の生産確保を図る上で、この岩手の担うべき責務を明らかにしていく必要があると考えますが、この点、知事はどのようにお考えなのか御所見をお伺いします。
 先輩議員の質問にありましたが、稲作の新品種開発についてその方針を確認させていただきたいと思います。
 冷害に強い食味のよい収量の多い品種開発への取り組みで、遺伝子組換え技術を使用するのかという点であります。遺伝子組換え食品については、市民の合意が得られていない状況だと認識しております。遺伝子操作によるのか、従来の品種改良手法で行うのか、方法をお伺いいたします。
 次に、岩手の農業行政全般に岩手ブランドというものがなく、地域単一農協や地名に由来したブランドが多いことに一抹の寂しさを抱くものであります。これは岩手ブランドでなくてもよい、県内地域間競争で振興されればそれで岩手農業は成り立っていく、このような見方もあろうかと思います。県内各地で水田農業集落ビジョン策定に奔走している今日、自分の住む地域、集落でこれからどのような農業経営を描き、その創造実現に向けて進むとき、営農作物は何を取り入れ、稲作と何か1品目の特産地経営を目指していきたい。地域営農組織の自由度と自己責任を啓発したことでありましょうが、国の政策で減反を強行してきて、これからは自分たちでビジョンを持ってやりなさいというとき、こうしたときこそ、岩手の地域特産品目の徹底を図り、所得向上と補償制度の導入をあわせて岩手農業のブランド化を図り、振興発展に踏み出さなければならないと考えますが、農林水産部長の御所見を伺います。
 次に、農業振興上、大きな役割を担ってきた農業改良普及員について伺います。
 協同農業普及事業における県の専門技術員と改良普及員の区別を廃止し、これからの農業改良普及員は一定の農業実務経験を受験資格の条件とする改正が行われようとしております。この農業改良普及員の資質向上対策について、本県では今の本県農業改良普及員の資質能力をどのように評価、認識されているのか伺います。また、農業改良助長法改正による普及員充足の見通しをどのように考えているのか、農林水産部長に伺います。
 食料流通の拠点である中央卸売市場について。
 設営者は盛岡市でありますが、青果卸1社体制になり集荷業務も手薄な状況で、市況放送にも入荷量対前年比80%台の放送が多く聞かれます。対前年比とは、対前々年比64%が実情であるということを見逃してはいけません。市場使用料の増大と集荷の落ち込み、さらには県内産直施設の活性化により、休日明けの野菜販売は市場の底値で投げ売り状態であります。大規模生産者にとって市場価格安値の誘引ともなっておりますが、卸、仲卸、運搬、運送業界、小売商店が連鎖的に落ち込んでおります。市場関係者、卸、仲卸の販売額の落ち込みは市場使用料の支払いを困難にし、業を畳む者もふえつつあります。市場償還金がどこから生まれてくるのか、そして県都盛岡市の食材価格が適正なものなのか、秩序が保たれているのか、不安が増してくる状況であります。盛岡市中央卸売市場の現状をどのようにとらえ、また、県としてできる側面的支援施策があると考えますが、農林水産部長に所感があれば伺いたいと思います。
 次に、環境行政について伺います。
 県境産廃不法投棄事件は全量撤去の方針で進められていますが、地域農林業者が受けた風評被害や地域名誉棄損などの損害補償についてこれからの取り組みで対応を考えているのか、地域挽回の被害救済策や支援策は持っているのかを伺います。
 また、県境産廃不法投棄現場の復旧策について、知事が提唱する北東北3県連携の発想からすれば、県境現場を一つの工事現場、事件現場ととらえ、岩手、青森両県共同の不法投棄現場回復工事対策事務所として一体的に行動する組織体制をつくれば、ともにノウハウを出し合い、一体地域としての取り組みと工事の合理化が可能と思いますが、3県連携や共同の姿勢を持つ知事のお考えはいかがでしょうか。
 次に、環境首都としての県民行動について提案いたします。
 県民一斉にクリーン作戦を展開するとか、環境首都いわての県民一体行動の定めを持って、朝6時から1時間程度、環境首都県民の朝と題して、県民総参加のもとに元気に取り組む機会をつくり出せば、県民意識の高揚とみずからのクリーン行動の実践が図られると考えます。どこの地域でも、どこの世帯でも、だれでもどこでも参加できる我が町の町内一斉清掃。このように、既にある町をきれいにする運動などと連携をとりながら、全県規模で行うことに環境首都行動の第一歩が始まると考えますがいかがでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、県境においての産業廃棄物不法投棄問題がクローズアップされる前、県内の山野に埋設あるいは投棄された廃棄物が発見された場合の県の対応策はどうなっているのかをお示しください。
 次に、森、川、海の保全条例を持つ我が県において、全県域汚水処理適正化構想の中に80%の目標達成を掲げておりますが、現在の見通しはいかがでしょうか。
 散居集落や中山間地の50戸前後の規模でのFRP構造による低コスト化を目指した新型処理手法が実証段階に入っています。この普及を推進し早期目標達成を期待するものですが、森、川、海の保全条例制定の岩手県にふさわしい汚水処理適正化の推進見通しを伺います。
 次に、青少年育成と教育行政について伺います。
 教育を取り巻く問題は、不登校やいじめ、非行問題、教育機関での教員の不祥事など、指折り数え切れないほどの課題山積であります。我々の時代より確実に学校は開かれてきていると思いますが、幼児教育の問題や少子化社会、IT化社会、孤立性の傾向など、そして親の教育力の低下等々、要因を挙げても切りがありません。青少年の健全育成を目指して活動を続けている数多くの団体もあります。教育振興への取り組みを全国に先駆けて展開してきた岩手県教育振興運動の活動など、支える団体も組織も多岐にわたっています。しかし、現実を分析しますと、組織団体活動は点と点でしかありません。有機的結合がない場合が多かったり、構成員が同じ人物のところも多くあります。青少年問題協議会も、余り子供たちに効果的な直接行動は出ておりません。学校警察連絡協議会や防犯協会など組織はたくさんありますが、しかし、青少年の健全な育成や民警防犯の意識啓発のために継続されてきました防犯柔道剣道大会が、財源不足を理由にことし限りとなるなど、時代のテーマである青少年育成・教育が強く論じられながら活動が縮小化していく現状があります。要は、縦割りを乗り越えても取り組んでいこうとか、連携をとりながら行動していこうとかという有機的結合が希薄で、ネットワークが成り立っていないのであります。
 私は、人づくり・青少年育成に多くの部分を担っている教育機関に、小・中学生から高校生までも含めた青少年層の人づくりにかかわる環境を総合的につくり育てる組織、青少年の目の高さで教育、非行防止、健全育成を教育現場と一体的に推進するサポーター的担当課、人づくり・青少年丸ごと対策課とでも言いましょうか、そういった課を教育委員会の内部に創設すべきだと考えます。青少年対策と教育を切り離しておくことには、子育て現場からは納得できません。知事のお考えをお伺いいたします。
 そして岩手の子供たちを強くたくましく育て上げ、未来に活力を約束できる夢県土をつくっていこうではありませんか。そのためにも、教育振興運動夢少年岩手、これを全県民運動として復興を図り進展させていき、本当の学校、家庭、地域社会総ぐるみの人づくりの夢県土としていきたいのですが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、暮らしの安全・安心対策についてお伺いします。
 女子高校生が夜、JR駅から徒歩での帰宅途中痴漢に襲われ、歩道から車道に押し倒される事件が近所でありました。この種の事件は、女性が最後まで事件の立証にかかわることが難しく、事件は現行犯逮捕でないと解決しがたいとのことで、再度の犯行を待って捕らえるしかないということであります。女性被害者特有の実態かと残念な思いと、犯人がそのまま存在し続けることへの不安が募り、電車通学を拒否する状態へと進みました。このような事件の現状は、警察としてどのように把握しているのかお尋ねいたします。
 また、同様の事件での認知件数に占める検挙率はいかほどか、そして今後の解決策、取組策につきましてもお伺いいたします。
 このような実情とともに、児童や青少年を対象にした凶悪犯罪や傷害事件などが急増する中で、広い県土は街灯のない暗い夜道が多くあります。また、電車内での痴漢やまちに潜む多くの犯罪の目から、青少年女子生徒を守り、犯罪予防・防止を図る観点からも、防犯ベルの携帯を奨励すべきであると考えます。防犯ベルを生徒児童に貸与し携帯させ、卒業時には返却してもらう。犯罪抑止・防犯の効果と青少年の防犯意識の向上、そして子供たちの命を守る策となればと、多くの母親から意見をいただいているところであります。このことについて、警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 医療行政についてお伺いします。
 大牟羅良の「ものいわぬ農民」、「あの人は帰ってこなかった」の著書にある、戦後の本県農村の保健医療は、まさにほうはいする農村と医療に言われるもので、この地域医療救済に、各診療所や県立病院が果たしてきた役割は非常に大であり、その政策実行をなし遂げた先人に深く敬意を表したいと思います。しかし、医療制度改革や県立病院の赤字経営から病院再編を図ることは、単に赤字脱却を目指すことに合理性を見出し、ベッド数削減や統廃合を行うものなのか、将来見通しをどのように立てて行うものかをお示しいただきたいと思います。そして医師過少地域、そういった地域にも健やかで安心な暮らしの実現を保障していかなくてはならない立場から、フォローアップの対策はいかなるものを考えているのかお示し願います。
 また、さきにも取り上げられましたが、医師確保対策についてお伺いしますが、平成14年度から岩手医科大学に特別奨学生枠を設けておりますが、その応募実態はいかがでしょうか。また、奨学生の経済的負担は授業料や寄附金、入学金などの面において、国立大学との差異、差額はどうなっているのかお示し願います。
 次に、県土整備部にお伺いいたします。
 指名業者の指名願提出について、これを県の所管課が率先して、県内各市町村にもIT化で対応可能にするよう働きかけることが必要であると考えます。これは役所側が経営合理化を訴えながら、請け負う側はそれぐらいの営業は当然だと、そういった姿勢はもう通じません。広い県土、IT化でカバーできることは大いに利用していくべきだと考えますが、取り組みはいかがでしょうか。
 次に総務部に伺いますが、災害・防災の観点から常に主張してきたことですが、ハザードマップはコミュニティーごとにマップ化することが効果的活用につながると考えます。先日、長崎市での土砂崩れ災害での犠牲者を1人も出さないコミュニティーの行動を視察、研修してまいりましたが、地域情報の伝達範囲でのマップが最も効果的であろうと確信してきたところであります。ぜひとも、その普及・作成に取り組んで、早期に頒布するよう望むものでありますが、御所見をお伺いいたします。
 最後に、志波三山の県立公園指定について述べさせていただきます。
 県都盛岡市の西南に連なる標高900メートル前後の箱ケ森、南昌山、東根山などで代表される志波三山は、宮澤賢治が愛した山々としても知られ、植物採集家須川長之助ゆかりの植物や高山植物を初め、ブナの原生林が茂り、クマゲラ、カモシカが生息するなど豊かな自然が残されています。近年、尾根筋を縦走する登山者の増加など、入山者の増加と相まって、ごみの不法投棄や盗掘などにより、自然の破壊や荒廃が危惧されてきております。比較的都市近郊にある山として、後世に自然豊かなまま残す施策が速急に望まれております。志波三山を県立自然公園に指定し、自然環境の保全を図られるよう望むものでありますが、実現に向けての特段の御配慮を賜りますようお願いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁によっては再質問をさせていただきますので、よろしくお願いします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 川村農夫議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、2期8年の私が今まで行ってきたものをどのように評価し、それをどのように変えようとしているのかと、こういうお尋ねでございます。
 今まで私が言ってまいりましたのは、県であれば県の仕事をできるだけ地方振興局に、そして、さらには県から市町村に、すなわち、住民に近いところで仕事が行われるようにしていくということ、あわせて情報公開を推進すること、この両者を進めることによって県民の皆さん方の地域づくりへの参画の道筋を立てるということでございます。そうすることによって、より本来の形で住民自治が行われていくだろう、こういう考え方のものでございまして、こうしたことによって、県内各地においてさまざまな地域づくりの取り組みが展開される、そして、住民自治への芽生えが各地域に出てきた、こういうふうに考えております。
 しかし、こうした取り組みも、大きく見ますと、いわば自治体としての判断の自由をかなり奪われた国の補助制度のもとでの取り組みであったり、あるいは経済対策一辺倒という形で公共事業の取り組みを行ってきた。もちろん公共事業自体は重要なものでありますし、カンフル剤的に景気対策で行うことも効果があるものと思いますが、経常的に10年続けてきたということもございます。すなわち、大きく見れば、そういう国の傘の下で行ってきたということでございまして、そうしたことによってもちろん社会資本の整備は進んだけれども、財政は一方で疲弊するということもありますし、それから、中央への依存がより高まるといったようなことで、やはりこうした流れをここで変えていかなければならないと考えているところであります。これが行財政構造改革プログラムという形で具体化をしたものになるわけでございますが、国に対しての制度的な障害を除去するような働きかけもより行っていかなければならないと思いますし、我々の中で自助努力としてやらなければいけないものも多々含まれていると思います。自立ということを申し上げておりますが、その道のりは決して平たんではございませんけれども、市町村ですとかNPOの皆さん方あるいは県民一人一人の皆さん方とよくコミュニケーションを行って、その実現に向けて全力を尽くしていきたい、こういう考え方でおります。
 それから、政策評価システムの今後の取り組みについてでございますが、今までともすれば薄れがちであったのは、実施をした後の評価というところでございます。プラン・ドゥー・シーというところのシー――評価の部分が今までかなり薄かったという反省点もございますので、特に評価をしっかり行う。この場合には、内輪での評価ということだけではなくて、第三者委員会の意見を聞いて、そして、その評価結果を次の政策立案につなげていく、こういうサイクルを確立するということで、全体的にはより透明性の高い仕組みを整備したつもりでございます。今後、こうした政策評価システムそれ自体の改善も行いながら、システムのよりよい運営に努めていきたいと考えております。
 それから、私のいろいろ考えていますことと、職員なり地域の人たちとの考え方などにずれがあるのではないかというお話がございました。この8年間行政を行ってまいりまして、私が地域経営の経営者とすれば、当然経営者としての見通しの甘さというものは甘んじて受けなければならないわけでありますし、県として行ったことの最終的な責任は知事にありますから、当然のことながら、そういったことを十分かみしめながら行政を行っていかなければいけない。
 あわせてみますと、岩手県だけがそういう形で経営者の判断の甘さがあったかといいますと、全国全く同じように自治体でこういうことが行われている。これは、やはり経営者本人の問題のみならず、構造的な問題がこの問題には横たわっているのだろうと。通常の民間経営であれば、一方で不況な業種もあれば好調に推移する業種もあって、それぞれの経営者の手腕ということであろうと思いますが、今の自治体の場合には、やはり構造的な問題も問題視していかなければならないであろう、こういうことでございます。やはり大事なことは、ヒントを現場に探す。住民との近い距離でこの問題を解決するヒントを探していくことだと思いますので、県民の声を直接聞くという姿勢はこれからも堅持していきたいと思いますし、それから、職員との対話も当然行いながらこうした問題の解決に当たっていかなければならないと思っております。これは、当然のことながら粘り強い努力が必要かと思っておりますが、このことを繰り返し続けていきたいと考えております。
 それから、農業政策についてお尋ねでございますが、まず、自由党会派から、今回のいわゆる冷害異常気象対策として8項目の御要望を県の方にいただいております。県の方は、そうしたものも含めて、15項目について県から国への要望を行ったところでございます。この15項目のうち、国の方で今現在検討しておりますのが米の生産目標数量の見直しでございまして、これについては間もなく返事が来ると思いますけれども、まだどういう形になるか承知していないところでございます。それから、備蓄水準についても、こうした事態を想定してよりふやすようにということで申し入れをしたところでございます。ちなみに、今の備蓄水準は100万トンということになっておりますが、この100万トンの水準については、10年に1度の不作や通常の不作が2年続いた事態を想定して設定されたということで、今の時点では見直さないという旨、向こうの方から連絡を受けております。それ以外の項目についてはすべて措置がされたところでございまして、県の方でも、そうした国の対策と連携して、農業共済組合の損害評価経費の助成や水稲の優良種子の確保対策など4事業を実施いたしました。さらに、県独自で越冬用飼料の確保対策や低利融資対策、これは天災資金等を借り入れできない被災農業者もおりますので、そうした皆さん方への低利融資対策など3事業を実施することとしておりまして、こちらについてはこの議会で補正予算を提案しているわけでございます。こうした形で、御要望いただいた項目については何らかの形ですべて措置をするということで取り扱っているところでございます。
 それから、農業について、本県の立場をしっかりと考えて明らかにしていく必要があるだろうというお話で、これはそのとおりでございまして、もう一度改めて本県の位置づけを考えて見ますと、全国でもトップクラスの農業就業者と農地を有している。それから、地理的な条件としても、平場から中山間地域までの変化に富む立地や気象条件下にある。一方で不利条件ということになりますが、首都圏の暑い気候から考えると有利にそれが展開するということもありますので、こうしたものを前向きにとらえる必要がある。それから、こうした地域特性を最大限に生かしながら食料自給率向上の一翼を担って、安全で安心な農作物を安定的に供給する、こういう立場に本県はあります。さらには、豊かな伝統食や食文化を承継・発信して、新しい価値観、最近よくスローフードということを言われていますが、こうしたものを提案していく。こういう絶好の立場にあると考えておりますので、これから担い手を中心とした生産構造改革をさらに加速化して、自立できる経営体を育成する。そして、農業として、これはWTOの関係でこれからさらに海外との競争が激化するわけでありますが、その中で産業としての競争力を一層高めていくということを行うと同時に、地産地消やトレーサビリティーシステムの整備で消費者と生産者の顔の見える関係を構築する。その距離というのを最大限に生かしていく、こういう政策をつくり上げていくことが肝要だ、こういうふうに考えております。
 環境の関係について、まず、県境産廃の不法投棄事案についてお話がございましたが、現時点では具体的な風評被害などについては聞いておりませんけれども、そこに捨てられた相当量の廃棄物がございますので、この廃棄物のすべてを早期に撤去して、そして平穏な状況を一刻も早く取り戻していくことが風評被害などの発生を今後未然に防止する最善の対策だ、こういうふうに考えております。したがって、一刻も早く全量撤去にこぎつける。年内できるだけ早い時期に、先行実施が認められましたいわゆるキャッピング工事に取りかかりたいということで、あと数日以内にこれには着手したいと考えております。
 それから、廃棄物の撤去については、実施計画について国の同意をできるだけ早期に得たいと思っていますが、その後に早期に事業を開始していきたいと考えております。
 それから、両県の連携が当然不可欠でございますので、このことは十分頭に入れて行っていきたい。本県でも二戸駐在組織を強化して、そして青森県との共同の行為、仮設道路を共同で設置したり共同利用といったようなことから始めて両県の連携を密にしていきたいと考えております。
 厳密に言いますと、法的には行政代執行を行うことになるわけでございますが、両県知事が法律に基づいてそれぞれの責任で実施していくということなので、個別の実施主体ごとの責任が生ずる、こういう形になるわけでございますが、実体的な行動ではできるだけ共同歩調でいきたい、こういう考え方でおります。合同検討委員会の方では、地形とかいろいろな状況によって、具体的な廃棄物の除去の方法などについてはそれぞれの状況に応じて決定するとなっていますので、やはり地形等が違うところはそれぞれの考え方でやるということですが、全体としては共同して連携して取り組む、こういう考え方で臨みたいと思います。
 それから、全県的な県民一斉クリーン作戦の展開ということでございまして、これについては、やはり全県運動として展開をしていく必要がありますので、ただいま議員の方からも御提言をいただきました、そうした全県運動としてやはり多くの人たちが参加した運動にしていきたいと思いますので、御提言の趣旨を踏まえて、運動を全県的に拡大するようにしていきたい。より多くの住民参加が得られるような運動の展開を個々に地区で考えて運動が進むようにしていきたい。今まで行ってまいりましたこういう県民クリーン作戦の展開を見ましても、市町村によってやはり取り組みに差があったり地域ごとに差があったりするのが実情でございまして、これをもっと意識を高めて行っていく必要がありますので、この点についてはよく御提言の趣旨も踏まえて留意していきたいと考えております。
 最後に、青少年育成と教育行政についてお尋ねがございました。
 これについては、今、県としては環境生活部が御案内のとおり総合的な青少年対策の企画及び調整を行うということで、そのもとで教育委員会を含む関係部局が具体的な事業を展開するという形になっております。教育委員会が果たす役割というのは大変大きなものがあると私も思うわけでございまして、そこでしっかりとした事業なり運動を展開していただく。先ほど教育振興運動についてのお話もございましたが、教育振興運動も40年にわたる歴史を有しておりまして、地域としていい取り組みがさまざま行われておりますし、まだ続いておりますが、かなり形骸化してきている地域が現実にあることも事実でございます。それから、そのことを学力の向上ということもねらいとしていってきた部分もあるわけでございますが、社会情勢が変わってきまして、県民の暮らし方、子供たちの生活環境も大きく変化する中で、青少年の健全育成に向けてさまざまな運動を展開していく、こういう視点も大事だろうと思いますので、こうした教育振興運動をさらに力強く進めていくということで取り組む必要もあると思います。
 同時に、教育現場だけではなく、やはり青少年の問題については、家庭や地域で果たす役割、家庭や地域での視点というのもやはり大事だろうと思うわけでございまして、家庭や地域、関係機関が連携を密にして、全体として青少年の健全育成が進む、こういう方向を考えていく必要があると思っております。
 体制の問題などについても、これからまたそういったものがスムーズに進むような体制、取り組みを私自身もよく考えたいと思っておりますが、県の方でこうした総合的な取り組みを推進するための岩手県青少年プラン――これは仮称でございますが――、この中で中長期ビジョンを具体的に明らかにして、そしてしっかりとした成果が出るように取り組みを進めていきたいと思いますので、このプランの策定の際に広く県民の皆さん方の声を聞いて、その上で青少年健全育成がより力強く進むような、そういう取り組みを進めていきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 遺伝子組換え稲についてでありますが、生物工学研究センターでの遺伝子組換え稲の研究は、耐冷性やいもち病等の耐病性に関与する遺伝子の働きを解明するために行っているものでございますが、遺伝子組換え食品に対する消費者の根強い不安がありますことから、県としては、基礎的研究の範囲に限定するものとして、組換え食品の開発は行わないということで9月議会で知事から申し上げたところでございます。
 また、今年度実施いたしました屋外栽培試験におきましては、稲がもともと持っております耐冷性に有用と考えられます遺伝子の働きについて検討したところでありますが、初期生育が促進されるなど一定の成果が得られましたことから、今回の試験をもって終了することとしたところであります。したがいまして、今後の稲の品種開発につきましては、こうした基礎的研究の成果を活用しながら交配育種で進めていく考えでございます。
 次に、岩手ブランドを確立するための産地のあり方について、個々の集落ビジョンでは岩手ブランドの確立にならないのではないかというお尋ねでございますが、本県は、平場から中山間地域、さらには高標高地まで極めて多彩な立地条件にありまして、また、気象や土壌条件も異なりますことから、園芸産地づくりに当たりましては、それぞれの特性を生かし、適地適品目を基本に生産拡大に取り組んできたところであります。その結果、日本一のリンドウや夏秋期のピーマン、ホウレンソウなどの産地が形成されてきたところでありますが、県全体とすれば、議員御指摘のとおり多品目産地にとどまっていることも事実でございます。
 現在の集落ビジョンづくりにおきましては、県としては、園芸産地拡大ビジョンを策定し、その中で重点推進品目を示して検討をいただいているところでありますので、それぞれの集落ビジョンの実現を目指す中で、産地の広がりをつくりながら産地間連携を強め、さらにはリレー出荷にも取り組みながら全国に誇れるブランドづくりが確立されるよう県としても積極的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、農業改良普及員の資質向上についてでありますが、現在検討されております普及職員資格試験制度改正の背景でありますが、農業経営の高度化、法人化が進展する中で、現行の協同農業普及事業は農業者の高度で多様なニーズに十分対応し切れていないのではとの指摘を受けて検討しているものでございまして、これは、本県も同様な状況であると認識しております。このため県では、これまでも新任期の農業現場での研修を初めといたしまして、経験年数に応じて高度な技術研修、さらには法人化支援研修などを体系的に実施しながら普及員の資質向上に努めているところであります。
 また、制度改正後の普及員の任用についてでありますが、国は、現任の普及員につきましては新制度にそのまま移行するとの考えを示しております。また、今後採用する職員につきましては、一定期間農業研究センターでの実務経験を積んだ後に資格取得させることで検討中であると伺っているところであります。
 次に、農業中央卸売市場の現状についてでありますが、昨年11月に卸売業者のうち1社が廃業し、当初は取扱高が大幅に減少いたしましたが、最近においては昨年並みの流通量が確保されております。開設者であります盛岡市は、本年2月に盛岡市中央卸売市場運営協議会の中に生産者、消費者、市場関係者などで構成する青果部再生委員会を設置し、市場青果部の再生に向けた卸売体制の整備、集荷販売力の強化等を内容とする報告書を7月に取りまとめたところであります。今後におきましても、盛岡市や卸売業者など関係者がこの報告書に沿って、卸売業務の一層の改善、合理化に取り組み、本県の生鮮食料品流通の中核的市場としての機能が十分発揮されるよう期待しているところであります。
 県といたしましては、私が盛岡市中央卸売市場運営協議会の委員となっておりますので、今後とも市場運営に関し、必要に応じて助言してまいりたいと考えております。
 次に、環境行政に関連いたしまして、FRP構造による低コスト化手法の普及推進についてでありますが、農村地域における汚水処理技術の開発等を行っております社団法人日本農業集落排水協会では、小規模で散在している50人から400人程度の規模に適した農業集落排水処理施設を対象として、従来の鉄筋コンクリート構造を強化プラスチック製のFRP構造に改良し、低コスト化や工期の短縮を図るための技術開発を進めており、平成17年度以降の運用開始を目指して平成16年度から実証試験を開始する予定と伺っております。
 本県におきましても、今後は中山間地域等のより小規模な集落での事業実施が見込まれますが、コスト低減が極めて重要な課題でありますことから、合併浄化槽などとの連携手法に加えまして、このような新技術の動向も十分に見守りながら、一層経済的かつ効率的な整備を進めてまいりたいと考えております。
   

〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 県境産廃不法投棄問題がクローズアップされる以前といいますか、過去に不法投棄された廃棄物の問題についてでございますけれども、不法投棄をされました廃棄物が一般廃棄物である場合には市町村、それから、産業廃棄物である場合は県が主導して対応するのが基本となっておるわけでございます。
 具体的には、まず、原因者の特定を行うための調査を行いまして、原因者が特定できました場合には、法律に基づく報告徴収、文書徴収、立入検査等々を行いまして実態の把握に努めまして、それらの結果を踏まえた上で、生活環境保全上、支障を生ずるような事態を招くことを防止し、廃棄物の適正処理を確保するために、原因者に対して原状回復など適正な措置を命ずるということになるわけでございます。
 原因者が特定できない場合もあるわけでございますが、制度的には行政による代執行ということもございますけれども、実態といたしましては、土地所有者の方への指導とか協力の要請等々によりまして周辺環境への支障を生じさせないような手段を講ずるということも実態としては行っているところでございます。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) 新・全県域汚水適正処理構想の今後の見通しについてでありますが、平成14年度末における汚水処理人口普及率は前年度に比べ3.4ポイント伸び56.6%となっておりまして、おおむね順調に推移していると認識しております。しかしながら、県、市町村を通じ非常に厳しい財政状況にありますことから、今後一層の建設費や維持管理費のコスト縮減を図り、整備目標80%の達成に向けて努力する必要があると考えております。
 そのため、今年度から2カ年の予定で公共下水道や集落排水、また、合併浄化槽等の役割分担の再点検を行いまして、全県域汚水処理実施計画を見直し、より一層の経済的、効率的な整備を進めることとしております。
 今後とも、岩手県汚水適正処理推進会議の場などを通じまして、市町村や関係部局と緊密な連携を図りながら汚水処理施設の整備推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県営建設工事請負契約に係ります競争入札参加資格の申請のIT化についてでありますが、入札に参加しようとする業者は、工事経歴書や技術職員名簿などの書類を定められた期間に提出することになっており、それを対面審査によりまして内容を確認した上で受理しております。このため、本県におきましては、入札参加資格申請様式などについてはホームページでダウンロードサービスするなど一部IT化はしているものの、申請自体の電子化はしていないのが実情であります。
 資格申請のIT化は、業務の効率化、また、遠隔地からの申請などに有効でありまして、本県におきましても、国や他県の動向等も踏まえながら導入の可能性を検討したいと考えておりまして、県内各市町村に対しても岩手県公共工事契約業務連絡協議会等を通じて情報提供してまいりたいと思っております。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) 県立病院改革についてでございますが、診療報酬の大幅なマイナス改定あるいは医療費の自己負担の引き上げなどが実施され、大変厳しさを増してございます。こういった中で、県立病院におきましても入院患者あるいは外来患者が大きく減少いたしまして、経営収支が急速に悪化しているところでございます。このような厳しい状況にありまして、県立病院が安定した経営基盤のもとに、引き続き地域住民に良質かつ適切な医療を持続的に提供していくために、今般、病床数の適正化あるいは経営の効率化等を内容とする県立病院改革基本プラン(案)を策定いたしたところでございます。
 この計画を策定するに当たりまして、今後の患者数の見通しをどう見たかということでございますが、医療技術の進歩や入院時の診療計画、疾患別の標準的な診療計画、いわゆるクリニカルパスでございますが、これらの普及などの状況から、今後も在院日数が短くなると考えられます。それから、介護保険施設の整備に伴い機能分担がさらに進むこと、また、高齢者人口は増加するものの全体として人口が減少することなどから、患者数は入院、外来とも伸びは見込まれないと考えてございます。
 また、この改革基本プラン(案)におきましては、それぞれの二次保健医療圏ごとに広域基幹病院の医師の体制の充実に努めるとともに、検査や事務などの業務をできるだけ集約いたしまして、救急医療や高度・特殊医療機能を高めながら、圏域を単位として県立病院群を一体的に運営する新たな組織形態の構築を目指すものであり、この場合、地域の病院や診療所にありましても、内科や外科などの医師を常勤で配置し、さらに広域基幹病院等から地域の医療ニーズに応じた診療科の診療応援を行うほか、入院需要に見合った病床を圏域全体で確保するなど、医療サービスが低下しないよう十分配慮しながら地域医療の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、平成13年度に制度を創設し、14年度の入学生から新たに適用いたしております県立病院医師養成事業についてでございますが、この制度は、本県出身者を毎年5名医療局修学生として採用し、地元の岩手医科大学で養成するものであり、修学生は国立大学並みの入学金及び授業料を負担し、岩手医科大学の学納金との差額分を県医療局が負担することで、卒業後、県立病院等公的医療機関への勤務を義務づけ、県内定着を図ろうとするものであります。この制度への平成14年度入学者の応募は21名、15年度入学者については13名でありまして、それぞれ各年度5名を採用したところでございます。
 また、入学金及び授業料等の国立大学との差額についてでございますが、平成15年度の場合で申し上げますと、入学者1人当たり、6カ年分で、合計額でございますが入学金で71万8、000円の差額、授業料で1、187万5、200円の差額、そのほか実験実習費300万円、施設整備費600万円など、あわせて総額、1人当たりおよそ4、000万円となるものでございます。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) ハザードマップの普及・配布についてでありますけれども、本県におきましても、火山、洪水、津波対策といたしましてハザードマップの作成の取り組みが進んでおりますけれども、市町村の集落あるいは町内会などのいわゆるコミュニティー単位でのマップづくりまでは及んでいないというのが現状でございます。地域の危険情報をマップ情報といたしまして地域住民一人一人が共有し災害に備えることは、防災意識の向上にもつながりまして、被害軽減の上で大変有効と認識しておりますし、また、ハザードマップを集落単位などの住民が中心となり作成することといたしますと、自主防災組織の育成にもつながるということで、より実効性のあるものになると考えております。
 県では、今年度から津波、そして県管理河川の浸水予測図の作成に取り組んでおりまして、これを市町村に示すことといたしております。これらをもとに、各市町村におきましてハザードマップの作成あるいはその見直しを行うことになるわけでございますが、作成過程における住民参加あるいは住民へのきめ細かな周知のほか、集落あるいは町内会単位での避難計画策定、そういったものをより効果的となるように県といたしましても助言、支援いたしていきたいと考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) まず、痴漢被害の実態についてお答えいたします。
 いわゆる痴漢による女性をねらった犯罪につきましては、悪質かつ重大な犯罪であると認識しており、この種の事件は県警察としてもさまざまな捜査活動により徹底的に検挙すべく努めているところであり、本年10月末現在、強制わいせつ等刑法犯については51件の被害を認知しており、30件、21名を強制わいせつ等で検挙しているところでございまして、検挙率は58.8%となっております。なお、ちなみに、この種犯罪の全国平均の検挙率は41.2%でございます。
 県警察といたしましては、今後とも重点的なパトロールや広報等による地域住民や学校等と連携した未然防止活動を行うとともに、被害が発生した場合には重点的な捜査活動により被疑者の徹底検挙に努め、あわせて被害者の心情に配意した被害者対策を推進してまいる所存でございます。
 続きまして、防犯ベルにつきましては、女性や子供が身の危険を感じた際に、ボタンを押したりひもを引いたりすることで大音量のブザー音が鳴り周囲に危険を知らせることができるということで、身近で手軽な防犯用具の一つとして大変効果的なものと考えております。岩手県防犯協会連合会では、県内各地区の防犯協会に防犯ベルを配布し、無料のレンタル方式で小・中学生や一般の方々の利用を図っておると承知しております。また、この防犯ベルの一部は各警察署でもお預かりして地域の皆様に貸与しております。さらに、地域の防犯協会などのボランティア組織が地元の学校へ寄贈している例もあると聞いているところでございます。その活用状況につきましては、地域実態により差異はあると考えておりますが、現在のところ必ずしも不足している状況にはないと認識しております。しかしながら、犯罪情勢によりましては、東京都杉並区のように区費での措置も有効と考えておりますし、富山県高岡市の牧野小学校PTAが全児童に配った例もあると承知しております。今後とも、これらの例も参考としながら、犯罪情勢に適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
   

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時11分 散 会


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