平成15年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇51番(佐々木俊夫君) 佐々木俊夫であります。
 通告に従いまして質問いたします。
 去る9日の天下分け目のマニフェスト総選挙も御承知のとおりの結果になりました。さすがに日本国民は踊らされずに、堅実にして賢明な判断を下したと思います。長野県知事と違って不偏不党を貫いた増田知事は、政権与党との間合いをよくとり、県勢発展に全力を挙げられることを期待します。
 最初に、三位一体改革に関連して、税源移譲に伴う自治体の財政危機問題について質問いたします。
 この問題は、偶然ですけれどもきょうの朝日新聞1面トップ記事に出ておりますが、3年間で補助金を約4兆円廃止し税源移譲するという三位一体小泉改革に対して、増田知事は、21世紀臨調知事・市長連合会議座長として、補助金約9兆6、000億円の廃止と国から地方への税源移譲約8兆8、000億円をセットにして推進すべき旨を申し入れたと聞きます。地方自治確立のためには、国からの税源移譲を推進することと、ひもつき補助金を廃止するとともに交付税を見直すなど財政の自主運営を行うことが原則ですが、多額な税源移譲方式では、税源の多い東京、京阪神等大都市部がひとり勝ちになり、税源の少ない地方自治体は財政危機に瀕することは明らかであります。PHP総合研究所の全国のアンケートによれば、67%の自治体は財政が脆弱化すると訴えております。増田知事は、地方自治確立のためには、税源移譲によって多少の不均衡が生ずることを憂えるよりも国が財政調整権限を握ることを嫌うと発言されたとのことですが、これは、21世紀臨調の座長としての立場での発言で、その本心は、財政危機に直面しておる地方自治体の財政実態に詳しい知事として矛盾を感じておられると私は推察いたします。この際、多額の税源移譲が実現したとして、それによって生ずるであろう自治体の財政危機問題の解決策について、知事としてどのような実現可能な成案をお持ちなのか明確にお示しいただきたいと思います。
 次に、市町村合併問題について伺います。
 いよいよ市町村合併特例法期限まで1年5カ月を切り、時は極めて切迫しております。県では、合併推進本部の設置や合併自立支援交付金制度を創設しましたが、本県の進捗状況は全国的に最低と報じられております。知事が熱心な北東北3県連合や道州制実現のためには市町村合併が不可欠と思いますが、知事には一貫して積極性を感じません。知事として合併促進に向けて積極的な指導力を発揮すべき最後の段階だと思いますが、意欲のほどをお示しください。また、合併特例法の延長についてどのような見通しをお持ちでしょうか。
 担当部長からは、宮古、一関地区で法定協議会が目前のようですが、ほかに期限内合併可能な具体的見通しと、合併が予測される地区についての把握とその展望についてお知らせください。
 次に、県行財政構造改革プログラムと県総合計画について伺います。
 増田知事は、去る10月29日に県行財政構造改革プログラムの内容を発表されました。1、723億円の財源不足を補い、再建団体転落を防ぐために、人件費、各種補助金削減実施等、前例のない意気込みを感じます。去る9月議会で知事は、余り事業を積極的にやり過ぎ、多額の県債残高を抱えたために改革プログラムを実施せざるを得なくなった、その最終責任は自分にあると話されましたが、このたび県が発表した改革プログラムの前文にも、県の財政見通しに甘さがあったこと、霞が関スタンダードに安易に乗り、身のほどもわきまえない財政運営をしてきた結果だと明記しております。この中央依存体質は、基盤整備を初め、緊急を要する事業が山積みしているのに自主財源が乏しい本県の宿命からきたもので、当局とともに中央陳情をしてきた私ども議会にも責任があります。県下の市町村長さんたちも直接霞が関に出向き、政治生命をかけて事業導入を図ってきたことも事実で、これら事業はいずれも県の施策、財政に密接にかかわるものですが、改革プログラムとの関連で、市町村に対して県は今後どのような対応と指導をされますかお伺いいたします。
 改革プログラムと県総合計画との整合性についてでありますが、知事は9月議会で、財政が窮乏しているが、総合計画の理念は堅持して、実施計画は前期終了の平成17年度までに考えると答弁されました。今や計画がスタートして5年、全体計画12年の中盤に入っております。総合計画決定後は知事みずから県下各地に出向き、特に学校生徒にも直接説明された夢多い計画ですが、この事態では画餅に帰しませんか。夢県土いわての建設を夢に終わらせないために、今後の総合計画と改革プログラムの関係について、知事は具体性を持った決意を明確に示すべきときと思いますが、いかがでしょうか。
 この際、改革プログラムの内容について3点伺います。
 1点目は、県の改革プログラムを実行することによって県下市町村の行財政にどのような影響を与えると考えており、その是正策について何かお考えがありますか。
 2点目は、補助負担金744件、161億円について見直しを行い、目標達成などにより補助金等の打ち切り件数は350件、目標削減額は一般財政ベースで約58億円となっておりますが、その中に市町村に対する国保診療施設補助金2、700万円余、携帯電話エリア拡大補助3、800万円なども入っております。このことのほかに、今なお県政上緊要な案件が多く含まれておるようですが、本当に目的を達成したのでしょうか。
 3点目は、人件費削減で、行政職10%縮減、教職員5%削減とあります。平成12年に県の行革懇談会で委員であった私は、地方振興局の職員の数は県下平均で県民約550人に1人となっているが、ある地方振興局は県庁に約1時間の距離にあり、しかも管轄市村は2つで、特別なプロジェクトもないのに管内人口約250人に1人の県職員が配置されている、そこの役場職員の総数は470人であるのに、県職員はその地内にその約29%に当たる134人が配置されている、これは過剰ではないかと発言したことがあります。今回の改革プログラムで地方振興局の再編がうたわれておりますが、県職員にとっては、給料カット、定数減で二重苦でありますが、何で10%縮減なのか、その根拠とその内容、基準、進め方をお示しください。
 さらに、今、全国的に少人数での教育の時代を迎え、本県でもすこやかサポート推進事業が始まったばかりであるのに、突然に教職員5%を削減することは、児童生徒が減少傾向にあるとはいえ、過疎地域を抱え、学級編制の特殊性を思うとき、乱暴に見えます。教職員定数減がもたらす本県の今後の学校教育の進め方と5%の削減根拠について教育長の御見解を伺います。
 次に、県立病院改革基本プランに関連して一つの提言をいたします。
 昭和25年11月に県立病院設置条例が施行されてことしで53年になります。県立病院は、そもそも県有医療機関と農山村医療のための農業会系列の医療施設を合併して25病院、40診療所で発足したものであり、それが現在27病院と5診療所に統合されております。医療局では、年々厳しくなる経営環境打開策として平成12年に長期経営計画を立てましたが、ついに14年度は、一般会計から145億円の繰り入れがあってもなお18億円の赤字決算になりました。平成15年6月から有識者による経営懇談会を発足させ、10月にその答申を得、11月には5カ年計画の県立病院改革基本プラン(案)を公表しました。その努力には敬意を表します。
 懇談会の論議の過程で私が最も重視しますのは、県立病院に民間の経営手法取り入れの意見が出されたこと、医療局は、従業員約5、800人、1、000億円規模の大企業なのに、責任者である医療局長は短期で交代し、リーダーシップが十分に発揮されていない。全職員の民間的意識改革が必要であるとの指摘であります。そしてデータ的に、県立病院の職員給与費割合が全国の自治体病院の平均値よりも高いとの指摘であります。しかるに、このたび医療局が出した基本プランでは、それらのことには余り視点を置かずに、病床規模の適正化とサテライト方式の導入に重点が置かれております。
 サテライト方式とは、二次医療圏ごとに県立病院を集団化し、一体的に運営して安定した経営基盤を確立するのが目的とありますが、要するに地方の14病院にサテライトの名をかぶせて、医師が常駐しない病院か診療所にするということではありませんか。このシステムは、私たち地方民から見ますと都市民的感覚による提案で、県立病院の経営合理化と医師の不足改善に名をかりた地方病院の切り捨て、縮小、医療過疎地からさらに医師を引き上げ、無医村化を促進するそのものであります。何ゆえに半世紀も前に本県の先輩たちは全国で最も多くの県立病院を運営することにしたのか、営々として苦労してきたのは何ゆえか、赤字解消の名のもとに創業の根本理念を忘れては県立病院の存在理由がなくなり、県民はこれを絶対に承服せず、重大問題に発展する可能性があります。
 以下、突然ですが、一つの提案をいたします。今や官から民への時代であります。私は、都市部にある県立病院の一般診療部門は民営化するべきであると思います。県営事業としては、救急医療と地方の県立病院、それに国保病院や診療所への医師を派遣する機能を持つ病院に改めるべきではないかと考えます。医療局は、この際毅然として県立病院創業の精神に立ち返り、農山漁村の医療過疎地をなくするための事業展開が本来の任務であり、それこそが県民の期待する増田知事の県民医療施策ではないでしょうか。この考え方について知事の基本的な御見解をいただき、さらに具体的問題については医療局長の考え方を示してください。
 次に、医師確保対策と奨学金制度について伺います。
 都市部を除く県内ほとんどの町村で、最大の悩みは医師不足、医療過疎化対策であります。先般、田老町で、町の奨学金を受けて岩手医大を卒業した青年医師が町立田老病院に勤務するとの約束を守らないので、町長が手土産を持って再三訪問し、説得し、お願いしたのに、失礼にも手紙一本でこれを断り、栃木県の老人保健施設に就職したとのことであります。田老町では過去にも同じような苦汁をなめており、また先般は、医療局を初め、市町村が医師確保のため相当多額の公金を医大関係者に支出していることが明らかにされました。
 本県での医師養成奨学制度の歴史は古く、昭和25年度に医療局の奨学資金貸付制度が発足してから44年には岩手医大特別奨学金制度、47年には自治医大医師養成制度、57年には市町村医師養成事業、平成13年からは医療局医師養成事業が実施され、既に中止された岩手医大特別奨学金制度以外の四つの制度が現在実施されております。しかし問題は、これら奨学資金を利用して医師免許を取りながら、契約を履行しない医師が余りにも多いことであります。具体例では、岩手医大特別奨学制度で医学部卒業者158名中、50人の31.6%が、医学部卒業者45人中、16人の35.5%が、医療局関係は、平成4年度までの旧制度では、卒業生346人中、104人の30.1%で、その合計実に170人が義務不履行者とのことで、驚くべきことであります。東北各県の状況はどのようでしょうかお知らせください。県民の貴重な税金を使って医師免許を取りながら、仁術に徹すべき医師が算術に走っていることではありませんか。道義上も許されません。氏名と、その拒否した理由を公表すべきではありませんか、いかがでしょうか。
 このように契約不履行者が横行していることは、本県の奨学生制度に本来の不備があるのか、それとも管理不十分なのか、貸付金が回収されても当局は責任を免れないと思いますが、今後どのように改善し、所期の目的を達成しようとしているのか、それぞれ担当部局長の考えをお示しください。
 次に、国民健康保険制度と国保病院・診療所支援について伺います。
 国民健康保険は、昭和36年に国民皆保険として世界に誇る64年の歴史を刻んでまいりました。しかし、その構造的問題から、運営する市町村は財政負担が厳しく、政府ではこの実態を受けて、保険料徴収事務は引き続き市町村が行い、保険者を都道府県単位とする連合形式にする案が検討されていると言われております。さらに、県立病院のない市町村は、国保病院・診療所を開設しているがゆえに医師確保等何重にも苦悩しておりますが、県では、平成9年に地域医療支援協議会を設立して国保連を通じて医師派遣要請に協力することになっておりますが、このたびの国保制度の改善問題への見解と国保施設への医師派遣支援についての取り組みについてお示しください。
 次に、岩手県住宅供給公社問題について伺います。
 岩手県住宅供給公社の包括外部監査結果を受けて住宅供給公社のあり方検討委員会が開かれ、過般、提言がなされました。監査結果は公社の廃止を示唆したのに対して、あり方委員会は、基幹事業である住宅分譲事業は撤退すべきであるが、今後はまちづくり貢献と高齢者向け住宅供給を重点事業にすべきであるとしております。
 県住宅供給公社は、昭和31年に財団法人岩手県住宅協会として設立されて以来、856ヘクタールの団地造成、8、707戸の分譲住宅を供給するなど時代的要請に応じて実績を上げ、本県の持ち家比率は、全国の60.6%に対して70.7%で高い水準にあります。しかし、公社の現在保有地は約61ヘクタールで、今後の販売見通しは暗く、約80億円の内部留保金があるとはいえ、現在、単年度1ないし2億円の赤字を計上する事態で、今後が憂慮されます。全国的には、土地、道路を含む地方3公社の4割が赤字で、3県が公社廃止が決まり、3割が統廃合を検討中と報じられております。
 私は、せっかくのあり方検討委員会の提言ですが、公社にノウハウのない、新規にまちづくり事業や高齢者向け住宅に進出することは極めて危険だと思います。私は、公社の歴史的使命は既に終わったと判断されますし、むしろ民間業者を圧迫し、その活力を阻害すべきではないとの観点で、今後はその保有地販売に徹し、外部監査指摘のとおり、公社の解散、廃止を決断すべきものと思います。この問題についての考え方と今後の県民の住宅政策の基本方針については知事より、公社の抱えている具体的諸課題については担当部長から御答弁を願います。
 次に、開かれた学校運営について伺います。
 県教育委員会は、県立学校に2人の民間人校長予定者を決定し、来年4月から現場着任させるとのことであります。今、あえて2人の民間出身校長先生に学校運営上期待せんとする理由は何なのでしょうか。県教育委員会の昇任試験に合格して、教育に人生をささげ、努力してきた現職の校長先生たちでは職責を果たせないのでしょうか。この民間校長制度が生徒や父兄の現職校長先生不信の原因になりませんか。そして、将来を目指して今営々と努力している若い教職員たちの意欲阻害になりませんか、あわせて御説明ください。
 この制度は、今後さらに拡大し、小・中学校にも配置する計画でしょうか。民間校長は、文部科学省の発表によりますと、平成15年4月1日現在で21の都道府県で55人程度いるとのことで、本県もひたすらこれに追随しようとしているとしか見えません。本県には、県立の全日制高校は81校、特殊学校17校、市町村立小学校462校、中学校207校ありますが、私は、この2人の民間人校長先生で、学校運営に果たしてどのような成果が期待されるか疑問であります。
 既に本県には教員を民間企業に派遣し、研修させ、その経験を教育活動に生かさせる制度があったはずですが、その成果をどのように評価しておりますか。また、学校運営に家庭や地域の意見を入れるために学校評議員制度が導入されておりますが、その成果をどのように評価しておりますか。そして、私は、何よりも民間の良識者で構成されている教育委員会制度本来の任務、使命、役割、それこそが開かれた学校運営であると思いますが、教育委員長の御見解を伺います。
 次に、学校施設内禁煙と小・中・高校生の携帯電話学校持ち込み規制について伺います。
 全国では80を超える自治体が学校施設内での禁煙を実施または予定し、県では、青森、茨城、愛媛、岐阜、福井、長野県も今後予定していると言われます。本県では完全禁煙制ではなく、禁煙または分煙するよう指導しているとのことであります。たばこは大人の嗜好品であると教育長は理解を示したとのことですが、まさにそのとおり、それなりの効用があります。しかし、学校は、未成年者を教育する神聖な施設であります。加えて、本年5月には健康増進法が施行され、学校の施設管理者に受動喫煙防止が義務づけられたことでもあり、私はこの際、本県の学校施設を全面禁煙にすることを提案し、御意見をお伺いいたします。
 次に、本県の小・中・高校生の携帯電話学校持ち込み規制について伺います。
 現在の本県小・中・高校生の携帯電話の学校持ち込み状況はどのようになっており、学校持ち込みについての指導はどうなっておりますか。これは本来文明の利器でありますが、もろ刃の剣だと思います。現在、それを利用しての非行、犯罪が多発していることは広く報じられており、この実態にかんがみて、私は、小・中校生は原則的に学校持ち込み禁止、高校生については学校持ち込み規制等強力な指導が必要と思いますが、教育長の御見解をお聞かせください。
 この際、関連して県警本部長にお伺いいたします。
 携帯電話を利用しての全国並びに本県の青少年犯罪、非行、特に小・中・高校生のそれはどの程度と把握しておられますか。それの所持禁止や規制措置が犯罪や非行の減少、防止に相当の効果があると考えられましょうか、御見解をお伺いいたします。
 最後に、養殖施設等の被害対策に関連してお伺いいたします。
 本県漁業の中核をなし、漁民生活の安定に大きな役割を果たしている養殖漁業は、ほぼ毎年暴風波浪被害を受けております。本年3月7日から10日に至る暴風雪波浪被害は、実に記録的で27億9、000万円に及び、再起不能かと心配される大被害になりました。知事は、早速に災害現地を視察され、過去に例のない規模での施設被害復旧対策やステップアップ支援事業を創設されたことを高く評価します。
 しかし、一体何ゆえに毎年のように被害が発生するのでしょうか。それは、本県の養殖漁業が海況の荒い太平洋に直面しているところとリアス式海岸のために反射波が強烈であることに関連があるとは思いますが、私は、漁業者たちが、その特性のある漁場においての養殖施設の強度や構造と設置方法を決めるに当たり、それぞれの過去の被害経験をもとに判断する、いわゆる経験則でのみ決めてきた結果ではないかと思われてなりません。当然のこと、過去からの積み上げてきた経験則は大事でありますが、今や高度に科学技術が進歩している時代でありますから、漁場ごとに季節的に変動する潮流と突発的な暴風・波浪、養殖物の成長による施設への負荷など、漁場特性等を精密に究明して、施設の設計と設置が決められなければならないと思います。したがいまして、今こそ長期展望を持って、水産研究機関や大学に研究委託して、完全に耐久力のある養殖施設を開発することが漁業政策の重点課題であると思いますが、その可能性を含めて見解をお伺いいたします。
 御答弁のいかんによりましては、再質問をいたします。以上で終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 佐々木俊夫議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず初めに、税源移譲に伴う自治体の財政危機問題、特に税源の偏在の問題についての御質問でございます。
 この税源移譲につきましては、具体的に申し上げますと、今、大都市の方に税源が非常に偏在をしておりますので、まず、税源移譲をする場合の税目を何にするかというのが大変重要かと考えております。そこで、私は、地域偏在性の少ない税目、具体的に申し上げますと、消費税とそれから所得税でございますが、これが一番地域偏在性の少ない税目でございまして、さまざまな税目が税源移譲の項目としては考えられますけれども、たばこ税は大変税源が偏在してございますので、今申し上げましたような基幹税、所得税と消費税を中心に税源移譲を行うというのが一つ重要なことであると思っております。また、このことについては、全国知事会、それから21世紀臨調などの提言においても指摘をしているところでございます。
 それからもう一つは、こうした地域偏在性の少ない所得税や消費税を税源移譲いたしましても、なお、地域間によっての差が出てまいります。この部分につきましては、現在、地方交付税の制度がございますけれども、この地方交付税の制度といいますのは、本来、財源保障するという機能と、それから今申し上げましたような財源調整をするという二つの機能を果たしているわけでございますが、このうちの財源調整の機能はさらに機能を維持するような方向でこの問題は考えていかなければならない。今、交付税改革のことが三位一体改革の中の一つとして取り上げられておりますけれども、このような観点から言えば、交付税について透明性を確保するような形で制度を見直しすることは必要かと思いますけれども、財源調整の機能を十分発揮するような、そういう形でなければいけない。このことによって税源偏在を是正するということが必要であろうと思います。
 それからもう一つは、そのほか地方譲与税、この中には地方譲与税の配分調整ですとかそれから県の主要な税でございます法人事業税がございますが、法人事業税も今分割基準ということで、いわば大都市と地方の県がどういう形でこの法人事業税をとるかという基準が決められておりますけれども、こうした地方譲与税の配分調整や法人事業税の分割基準を見直して、そして大都市と地方自治体との財源調整を行うと、こういうことも検討する必要があろうかと思います。
 大きくいいますと、三位一体改革の中で、私は今補助金などを廃止して地方に税源を移譲していくべきだと、そこは各地方団体ともに意見を合わせて国に求めていく必要があろうかと思いますが、そのことによって生ずる税源の偏在に対しての是正措置については、今申し上げましたように税目だけではなくて、交付税ですとかそれから法人事業税の分割基準の見直しなど、幾つかの措置を組み合わせることによって、そうした地方間の偏りをなくすようなことが必要かと、このように考えているところでございます。
 それから、市町村合併についてでございますが、今回のいわゆる平成の合併の一番大きな特色は、自主的な合併ということが基本でございまして、ここの原則は外さずに対応したいと考えておりますが、県内各地域で随分議論も活発化してきておりまして、住民の皆さんとの議論を尽くし理解を得た上で、今枠組みを決めて合併に取り組んでいる地域がございますけれども、そうした地域に対しては、県は全庁を挙げて支援を行っていく考えでございます。
 また、今関係市町村間で枠組みを構築中のところもあるわけでございまして、こうした地域についても可能な限り、特例法の期限内の合併が実現できるように県として適切なアドバイスを行っていきたいと、このように考えております。
 それから、合併特例法の期限延長の関係でございますが、その見通しについてお尋ねがございましたけれども、11月13日に出された政府の地方制度調査会の答申の中で、この合併特例法については、合併特例債等の財政支援措置のある現行の合併特例法はその期限以降は延長しないと、こういう形になってございますので、そこのいわゆるあめ玉の部分はなくなるであろうと。合併特例法の失効後、平成17年4月以降は合併に関する障害を除去するための特例、これは合併算定がえですとか、地方税の不均一課税ですとか、議員の在任特例もございますが、こうした特例を中心とした新しい法律を制定してさらに自主的な合併を促すと、こういう方向がその中に明らかにされておりますので、現在の合併特例法につきましても期限延長という形になると思いますが、あめ玉のないそういった障害除去の事項を中心とした法律延長になると見通しているところでございます。
 それから、次に、県行財政構造改革プログラムについてのお尋ねでございますが、この関連で市町村に対して県が今後どのような対応と指導を行うかと、こういうお尋ねがございました。
 この行財政構造改革プログラムは、自立した地域社会の形成ということを目指して策定したものでございまして、県の具体の仕事の進め方について徹底した見直しを行って、これまで以上に質の高い行政サービスを提供できる行政経営体に変わっていくためのさまざまな措置を取り入れたものでございます。基本的な考え方は、地域の自立のための経営をどう進めるかというものでございますが、住民に最も近い自治体としては、これは県よりも市町村でございますので、市町村の自立があって県全体の自立につながると、こういう観点が重要だと思っています。そのため、市町村の自主的な合併の推進や権限、財源に合わせて人材も市町村へ一括移譲する、あるいは総合的な市町村助成制度、地域の独自施策の支援といったものを組み合わせて市町村に対して対応していきたい。
 本日、昼前でございますが、町村会の代表の方からも、このプログラムの推進に向けての幾つかの御要望をいただいておりますが、今後、町村会あるいは市町村とともに考えて、同じ認識のもとでともに推進をしていきたいと、このように考えております。
 それから、このプログラムと総合計画との整合性についてお尋ねがございますが、この県の総合計画の三つの自立、参画、創造という理念で夢県土いわてを実現すると、こういう考え方になっておりまして、これは今後も引き続き県政の基本指針として堅持をしていきたい。特に自立、参画、創造という考え方は重要であると考えております。この考え方のもとに、先般40の政策というものを策定して公表したわけでございますが、この総合計画に盛り込まれたいろいろな施策がございますが、今の県に置かれている状況から考えますと、この4年間に特に重点的、優先的に力を入れていくものと、こういう考え方でこの40の政策を明らかにしたものでございます。したがって、この総合計画の理念を堅持しながら、特に今後4年間は40の政策の達成のために全力を挙げていくと、そしてそのことによって、質の高いサービスを提供する自治体に切りかえていこうということでございまして、そのため私が先頭に立ってしっかりと改革を行っていくと、このことが夢県土いわての実現を図るということにつながると考えているところでございます。
 それから、県立病院の改革基本プランについてお尋ねがございました。
 この県立病院の経営理念といいますのは、県下にあまねく医療の均てんをということで、50有余年の歴史を有しながら医療水準の向上を図ってきたわけでありますが、今、医療を取り巻く環境といたしましては、少子・高齢化、それから医療技術の進歩といったようなことで環境の変化がございます。こうしたことを背景に、医療提供体制と医療保険制度の両面にわたって、今、国の方でさまざまな制度改革が進められているわけでございます。この改革のさまざまな影響を県立病院の方、県営医療の方も受けておりまして、県立病院では在院日数の短縮で入院患者が減少しております。それから薬の長期投与の緩和によりまして、外来患者の減少も起こっております。それから診療報酬のマイナス改定によりまして、経営が急速に悪化しているということもございます。こうしたこともございますので、やはりこの県営医療の抜本的な改革、改善に取り組んで安定した経営基盤を確立する必要がある。その安定した経営基盤の上に立って、この県営医療サービスを県民の皆さん方に提供していきたい。組織、機能を一段と効率化をして、ぜひともこの安定した経営基盤を確立したいという考え方に立っております。
 その考え方、具体的には二次医療圏内での医療の完結性を高めていくということを目標にしていきたいと思っております。県内に九つの二次医療圏がございますが、気仙地域なり宮古広域なり、それぞれの二次医療圏の中で医療の完結性を高める。したがって、具体的には地方の地域病院や診療所にあっても、内科や外科などの必要な常勤医師をしっかりと配置する。それから、診療科によって常勤医師の配置をできないものも当然ございますが、それについては、広域基幹病院から地域のニーズに応じて診療科の診療応援を行うといったようなことで、地域の圏域ごとの医療サービスが低下しないように十分配慮しながら、保健医療圏の核となる病院の救急医療、高度・特殊医療を充実させて、今申し上げましたような二次医療圏内での医療の完結性を高めていくと、こういう観点でこの県立病院の改革に取り組んでいきたいと考えております。
 それから、最後に岩手県の住宅供給公社についてお尋ねがございますけれども、まず、住宅政策の基本方針でございますが、これは平成13年12月に策定をした県の住宅マスタープランにあらわされておりまして、そこでは岩手型住宅の創造、それから高齢者の居住の安定確保、住環境の整備と地域の活性化など、七つの重点施策を位置づけまして、その個々の具体的施策を住宅供給公社を含むさまざまな実施主体で展開をしてきていると、こういう形になっております。
 住宅供給公社でございますが、これは、現在の社会経済状況を見れば、ただいま議員の方から御指摘をいただきましたとおり、新たな住宅団地の整備についてはその役割を終えたと理解をしてございます。それから、既に保有している宅地等もございますが、この資産を早期に売却することが極めて大きな課題と思っておりまして、この問題をとにかく解決することに全力投球を行うべきと思っております。
 先般、あり方検討委員会の方で提言がございましたが、これは高齢者向け住宅の供給ということで、県の住宅政策の中にも位置づけられているものでございますが、これを住宅供給公社が行うのかどうかということでございまして、この施策自体は私は重要な施策と認識しておりますけれども、住宅供給公社の方には、現時点ではこうした高齢者向け住宅の供給というものについてノウハウが不足していると考えられますので、この住宅供給公社がこの事業を実施すべきか否かについては、さまざまな観点からの検討が必要だと考えております。県では、先ほど議員から御指摘ございましたように二つの御意見をいただいています。包括外部監査結果での御意見と、ただいま申し上げましたあり方検討委員会の提言というものがございますので、それらで問題としております点などについて、今、中で慎重に検討中でございます。今しばらくお時間をいただきたいと思っておりますが、県としての方針は年内に決定をしたいと考えておりますので、今申し上げましたような点についても慎重に検討して結論を出したいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔地域振興部長大沼勝君登壇〕

〇地域振興部長(大沼勝君) 市町村合併の具体的な見通しについてでありますが、今後の議論の推移にかかっておることでございますので、現段階で現行の合併特例法の期限内にどの程度合併が実現されるかということを明確に見通すことは困難ではありますが、期限内の合併に向けた議論の進捗状況を見ておりますと、現在、宮古・一関地区のほかに、任意合併協議会が既に立ち上がっている地域として、湯田町と沢内村がございます。両町村におきましては、10月末に任意合併協議会の協議を終了いたしまして、現在、協議会が策定いたしましたまちづくり将来構想を示しまして、住民懇談会を行っているところであります。
 次に、任意合併協議会の設置を表明している地域といたしましては、野田村と普代村があります。年明けの任意協設置に向けて設立準備会で検討しているところであります。さらに、任意合併協議会の設置の申し入れがなされた地域といたしましては、西根町を中心とした盛岡北部地域、花巻地域、遠野地域、さらには二戸地域があります。それぞれ市町村の枠組みを含めた議論がなされているものと承知しております。
 なお、先般、11月13日に、第27次地方制度調査会の答申がなされまして、11月20日には県内の市町村長、議会議長を対象に説明会を開催したところであります。こうしたことによりまして、市町村長の態度表明が進むなど、合併の取り組みが加速されることを期待しているところであります。
 次に、行財政構造改革プログラムに絡みまして、市町村の行財政への影響についてでありますが、市町村行財政に与える影響といたしましては、市町村の普通建設事業分を除く県単独補助金の削減に伴いまして、16年度から3カ年間で、市町村特定財源につきまして17億円余の減収が見込まれるところであります。このため、市町村総合補助金を初め県単独補助金等、補助制度についても各年度の予算編成を通じまして見直しをいたしますとともに、市町村の自立に資する総合的な助成制度の創設を検討したいと考えております。
 また、市町村行政に与える主な影響といたしまして、特にも合併市町村からの要請に基づく県事務に係る権限、財源、人材の一括移譲に伴いまして、住民に身近なサービスを市町村において提供できるようになることが見込まれるところであります。このため、合併市町村への移譲可能事務リストを作成いたしまして、各市町村の実態に応じた移譲の実現に向けて、個別に協議を重ねてまいりたいと思っております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、補助金・負担金等の見直しについてでありますが、補助金・負担金の見直しに当たりましては、事務事業評価結果に基づきまして、その目的や効果、必要性の度合い、他の制度による補完の状況など、こういったものを検証の上見直しを行ったところでありまして、その中で平成18年度までに所期の目的が達せられると見込まれるものにつきましては、その時点で廃止をするという方向として整理をしたものでございます。
 今回公表した見直しの内容は、現時点における見直しの方向性というものを取りまとめたものでありまして、個々の補助金の廃止・縮減につきましては、最終的には交付先であります市町村、関係団体等の意向も踏まえまして、平成18年度までの各年度の予算編成において検討し決定することといたしているものでありまして、その際に、目的達成の状況についても改めて検証していく考えであります。
 次に、行政職定数縮減についてであります。現在、県の財政状況は、プログラム期間、この4年間で巨額の財源不足が見込まれるなど極めて厳しい状況にあるわけでございます。さらに、今後、国におきましては、いわゆる骨太の方針において、地方公務員4万人の削減が地方財政計画に盛り込まれるとされておりまして、さらに交付税も減少することが見込まれるなど、厳しい状況が続くことが予想されるわけでございます。このような状況のもとで、これまでどおりの県の組織・職員体制を維持することは難しいということでございます。県の組織・職員体制の規模を見直しまして、その効率を上げる必要があると考えております。そのため、まず、県のすべての事務事業を官民の役割分担、国、県、市町村の役割分担、優先度を重視した事務事業の厳選など、こういった視点でゼロベースの見直しを行う。そして、それに伴いまして、組織・職員体制はよりスリムで効率的なものへ再構築をし、職員数は必要最小限の体制となるように計画的に管理をしたいと考えているところでございます。このため、職員定数の縮減につきましては、事務事業の見直しやあるいは次長、課長補佐の見直しによりますフラット化の実施、あるいは小さい係の統合によりますグループ制の導入、こういったことによりまして10%程度の職員定数を減らすことが可能と考えたところでありまして、その上で40の政策など県民ニーズの高い分野につきましては、新たに4%程度の人員を配置いたしまして、人員の効率的な活用というものを図ってまいりたいと考えているところでございます。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) まず、県立病院改革基本プランについてでございますが、県立病院の現状は、医療技術の進歩、入院時診療計画あるいは疾患別の標準的な診療計画、これらの普及に伴いまして在院日数が短縮化し、また、介護保険施設の整備などにより入院患者が減少し、空床が増加している状況にございます。さらに、外来患者につきましては、薬の長期投与の緩和などによりまして、患者数が大幅に減少すると。さらに、診療報酬のマイナス改定の影響があり、収益が悪化いたしております。このような状況を踏まえまして、県立病院が今後とも県民の皆様に良質な医療を持続的に提供していくため、県立病院改革基本プラン(案)を策定したものでございます。
 この改革プラン(案)の具体的な内容についてでございますが、まず、病床規模の適正化についてでございます。
 入院患者数の減少に合わせまして、それぞれの二次保健医療圏の県立病院群で病床数を調整し、計画的に縮減を行うものであります。この場合におきましても、圏域の入院需要に見合う必要数は確保してまいります。また、二次保健医療圏を単位といたしまして、それぞれの圏域の核となる広域基幹病院の医師の充実に努めまして、救急医療や高度医療、これらの診療機能を高めるとともに、臨床検査や事務等の業務をできるだけ集約いたしまして、圏域内の県立病院を効率的、一体的に運営いたします。また、周辺の病院、診療所におきましても、内科、外科等の常勤の医師を配置いたしますし、あわせて広域基幹病院から診療応援や業務応援を行うなど、二次保健医療圏を単位といたしまして、それぞれの医療施設がお互いに補完し合いながら、適切な医療を確保しようとするものでございます。
 3点目に、その他の経営改善策でございますが、経営の具体的な数値目標の設定あるいはこれを定期的に評価する仕組み、また、民間コンサルタントの活用などによりまして、経営管理の強化を行うなど、医療局機能の充実に努めてまいります。
 それから、職員の適正配置、あるいは諸手当の見直しなどによりまして給与費を全体として抑制を行う、さらに薬品等診療材料の廉価購入、あるいは業務の外部委託の推進など、これらによりまして経費の削減に取り組むと、このようなことを内容とするものでございますが、これらの取り組みを行うことによりまして、安定した経営基盤のもとに、引き続き県民医療の確保に努めてまいりたいと考えているものでございます。
 次に、都市部にある県立病院の一般診療部門を民営化すべきとの御提案でございますが、都市部にある広域中核病院の場合でございますが、二次、三次の救急医療、あるいはがん治療、リハビリテーション、周産期医療など、高度・特殊医療を行うほか、臨床研修病院、あるいは災害拠点病院としての機能を持つと。さらには周辺の県立病院、市町村立病院等への診療応援などを実施しておりまして、これらの機能は一般診療と一体的に行うことによりまして、効果的にその機能を発揮し得るものと考えております。したがいまして、現時点で一般診療部門を分離し民営化するということは難しいものと考えているところでございます。
 次に、従前の医療局医師奨学資金貸付制度において、貸付者全体の30%に相当する104名の義務を履行しなかった者の理由等についてでございますが、その理由につきましては、病気のために退学したと、あるいは大学に残って研究活動に専念するなどの進路変更、また、開業、その理由はさまざまでございます。しかしながら、義務不履行者の氏名の公表につきましては、それぞれの理由が必ずしも個人の責めに帰するものではなくやむを得ない場合もあり、差し控えさせていただきたいと考えてございます。
 なお、昭和25年に創設いたしましたこの貸付制度は昭和62年度以降新規貸し付けを中止し、平成9年度から従来の月額7万3、000円の貸付額を20万円に増額いたしまして再開したところでございます。この貸付枠を増額した後の新しい制度におきましては、現在まで、病気等の理由により、これは在学中でございますが、返還した者が5名おりますものの、医師免許取得後に全く義務履行をしないで返還した者が出ていないという状況にございます。さらに、来年3月に卒業する奨学資金貸付者が7名ございますが、この7名につきましては、全員が2年間の卒後臨床研修を県立病院で行うことと内定いたしております。この臨床研修期間を通じまして、臨床研修後の義務履行を果たすよう、強く指導してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君) まず、奨学金制度の東北各県の状況についてであります。
 東北各県でこの事業を実施していますのは、青森県と福島県だけでございます。青森県では、平成11年度からこの事業を進めておりまして、これまで8名が卒業し義務修了者が2名、義務履行者が6名と聞いておりまして、辞退はないということでございます。それから、福島では平成15年度、本年度から始めたということでござまして、まだ卒業生はいないということでございます。
 ちなみに、全国的にも実施しているところは非常に少なくて、島根県、高知県、長崎県、この三つぐらいと聞いております。長崎県が45年からということで特化しておりますけれども、ここでは特徴的には辞退、返還率が5割を超えていると聞いております。
 次に、拒否の理由、氏名等の公表についてでありますが、先ほど医療局長からも話がありましたけれども、義務不履行者につきましては、その理由が病気あるいは免許の取得の有無などやむを得ない場合もありまして、氏名等の公表は差し控えたいと考えておりますけれども、事業の評価を行う中で、義務履行の状況などについて必要な都度説明してまいりたいと考えております。
 次に、今後の対策についてでございますが、これまで市町村の医師養成事業につきましては、義務履行の停滞あるいは義務履行後の定着がない、あるいは市町村が望む診療科と合わないなど、こういう課題が残っておりました。今後、さらに確実な医師確保を図るために、これまでのような個々の市町村の取り組みのみならず、県内全市町村の共同事業として医師を養成し、円滑な義務履行と義務履行終了後の県内定着を目指すべく、新たな仕組みについて、現在、市町村や国保連等関係機関と協議を進めているところでございます。
 さらに、国保診療施設等への医師派遣につきましては、現在、国保連等を通じ医師派遣の要望を受けた市町村等のうち、派遣の必要性の高い医療機関等に対し毎年6人から7人ほどの自治医科大養成医師の派遣を進めているほか、県立病院においては、センター病院である県立中央病院のほか、広域中核病院等から11の施設に対しまして年間332件の応援を行っております。そのほか、国保診療施設等の医師の急病等における代診医の派遣につきましては、岩手医科大学、医療局、国保連合会と調整した上で、近隣の病院等が協力し、必要な支援を行っているということでございまして、今後継続してまいりたいと思っております。
 次に、都道府県単位を軸とした保険者の再編・統合に係る本県の見解ということでございます。国保制度が国民皆保険を支える地域保険として重要な役割を保ち、制度の安定性を確保していくことが必要であるという観点から、一つは、保険者の財政基盤の安定を図るためには一定以上の保険者規模の必要性は理解できるということ、しかし、将来的にあるべき姿として、全国レベルで市町村国保、政管健保、健保組合などすべての医療保険制度の一元化を明示して、これに向けた道筋を明らかにすべきである。それから、制度改革に当たっては、加入者の高齢化、低所得者の増加など国保が抱える構造的な課題の解決につながる具体策を明示すべきであるということを県として全国知事会を通じ国の方に提案しているところでございます。
 現在、厚生労働省におきましては、国保再編・統合推進委員会を設置して、本年3月28日に閣議決定された基本方針の具体化に向けた議論を進めていると聞いておりまして、その推移について注視してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) 住宅供給公社が抱えている具体的諸課題でありますが、既存事業におきましては公社の主力であります分譲事業が不振でありまして、現在保有している完成宅地657区画などの処分を早急に進める必要があること、また、新たな事業に関しましては、高齢者向け住宅の供給などの事業について、これまで具体的実績がなく、現時点においてはノウハウが不足している部分もあることであります。
 このため、まず、既存事業につきましては、保有資産を早期に処分するため、営業体制の強化や分譲価格の見直しを行ったほか、宅地建物取引業協会との連携などの販売促進策を実施しているところでありますし、また、組織体制の見直しなどによる経営コストの縮減にも取り組んでいるところであります。新規事業につきましては、高齢者向け住宅の需要の把握や採算性等も含め、住宅公社が事業を実施すべきか否かにつきまして、現在慎重に検討を行っているところであります。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 養殖施設等の被害対策についてでありますが、ことしは、3月の暴風雪波浪や9月の十勝沖地震津波により、水産物はもとより養殖施設にも甚大な被害をこうむったところであります。これら養殖施設の復旧に当たりましては、単に原形復旧にとどまらず、将来を見据えた生産基盤の強化が重要であるとの観点から、ロープやアンカーの強化など、漁場ぐるみでの災害に強い養殖施設の整備に対して支援してきたところであります。
 また、耐久性のある養殖施設の開発につきましては、岩手県水産技術センターが被災施設の破損状況等を詳細に調査しており、今後に生かすこととしておりますが、さらに高度な、最新の水理工学等を活用した研究開発を独立行政法人水産工学研究所や大学等において実施していただけるよう国に対して要望しているところであります。さらに、十勝沖地震津波による被害の発生状況を踏まえ、漁場ごとに津波に耐え得る施設の仕様や適正な漁場配置のあり方等について今後検討してまいりたいと考えております。
   〔教育委員会委員長船越昭治君登壇〕

〇教育委員会委員長(船越昭治君) 教育委員会制度と開かれた学校運営についてでございますが、御承知のとおり、教育委員会制度は、教育行政におきます中立性、自主性、安定性を確保するために設けられている制度でございますが、地域における教育行政の主体であります教育委員会の役割というものは、教育、文化、スポーツ振興等幅広い分野において、きめ細かな教育行政を主体的、積極的に展開することでございます。私ども教育委員に課せられた使命というものは、社会的要請を踏まえて、教育に関する基本方針でありますとか大綱であるとかという基本的な方策を定めて教育行政の適切な運用を図っていくことになると認識しております。
 現在、学校現場におきましては、校長は、地域や学校の状況、課題等を的確にとらえて、リーダーシップを発揮して、教職員一丸となって開かれた学校づくりに努めているところでございますが、このような学校運営をさらに進めてまいりますために、県教育委員会としては、民間出身の校長2名を採用することとしたところでございます。これは、民間企業等で培った柔軟な発想とか企画力を生かした学校運営を期待するということでございまして、現在求められております生きる力をはぐくむ教育の推進、それから、現職校長と民間校長の相互の接触、学び合いの中から本県教育界全体の活性化を図りたい。また、学校と保護者、地域住民との協力関係、信頼関係がより一層深まっていくことを期待するものであります。
 今後とも、学校現場と一体となって、保護者と地域住民の信頼にこたえますよう学校運営の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 学校配置職員の削減数についてでありますが、学校に配置される教職員の定数は、いわゆる標準法により、学級数に応じて定められております。今回示した削減数は、行財政構造改革期間内の児童生徒の減少及びそれに伴う学級数の減少等を考慮し、現行の標準法の算定基準で算出したものであります。小・中学校でおおむね4%、400人程度、県立学校で8%、400人程度、合計いたしまして800人程度、おおむね5%の削減を見込んだものであります。
 学校配置職員数の削減と本県の今後の学校教育の進め方についてでありますが、行財政構造改革期間内の学校配置職員数の算定に当たりましては、第7次定数改善計画において措置される少人数指導対応のための加配定数など、増員が見込まれる定数については増員分を見込んで算定したところであります。また、すこやかサポート事業あるいは学校いきいきプランで配置している非常勤職員については、少人数指導を支援するため、標準法に基づく教職員とは別に配置いたしてきたものでありまして、少人数指導の充実のため、今後とも継続して配置していくことにしております。このように、児童生徒数の減少及びそれに伴う学級数の減少に応じて標準法定数の減少が見込まれるものの、一方では、少人数指導支援事業などを一層充実し、きめ細かな指導を展開することにより、学力の向上や安定した学校生活の推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、民間人校長の小・中学校への配置についてでありますが、小・中学校は、高校と比べ所在する市町村や地域とのかかわりが一層深いことなどから、地元市町村教育委員会の意向を十分に踏まえつつ、慎重に進める必要があるものと考えております。
 民間企業への教員派遣については、平成11年度から始まった教員の長期社会体験研修といたしまして、これまで47名の教員をデパート、ホテルなどへそれぞれ3カ月間派遣いたしております。参加した教員の報告書によれば、視野を広げることができたこと、異なる組織の中で人間関係やコミュニケーションの重要性を再確認できたこと、顧客を第一に仕事を進める意識やコスト意識を身につけることができたことなど、意識改革が図られたとしております。また、派遣した学校の校長からは、研修後の教員が、厳しい社会の実情を踏まえ、教科指導や進路指導の充実を図ったり、学校運営により積極的に参加したりする姿勢が見られており、このことが他の教職員の意識の啓発につながっていると報告されております。今後とも、この研修を継続し、民間的な感覚を学校現場に取り入れるなど、教職員のさらなる意識改革につなげてまいりたいと考えております。
 次に、学校評議員制度の成果についてでありますが、これまでに県立学校93校中、79校で学校評議員制度を導入しております。県教育委員会では、平成16年度当初までにすべての県立学校で学校評議員を設置することといたしております。
 各学校におきましては、学校評議員からの提言を学校に対する外からの評価として受けとめ、また、教職員の意識改革を進めたり、学校としての説明責任を果たしていくなど、学校運営を改善する有力な手段の一つと考えております。
 次に、学校における全面禁煙についてでありますが、県立学校の禁煙の取組状況は、禁煙9校、完全分煙54校、その他の分煙37校となっているほか、小・中学校でもすべての学校で禁煙または分煙が行われております。
 県立学校については、県立の施設における分煙指針に基づき、すべての県立学校を分煙化いたしたわけでありますが、今後は、健康増進法の趣旨に従い、できるだけ早く県立学校の完全分煙化を図りたいと考えております。また、小・中学校につきましても、完全分煙化に向けて早期に対応するよう働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、携帯電話の学校への持ち込み規制についてでありますが、携帯電話の学校への持ち込みは、基本的には学校の判断に任されております。携帯電話の学校への持ち込みについては、県内の約98%の中学校は、学校生活に必要がないということで持ち込みを禁止いたしております。小学校については調査を行っていないので不明でございますが、高等学校では、遠距離通学や部活動の広がりで家庭との連絡の必要から約83%が学校への持ち込みを認めながら、校内では電源を切るなどのマナーの指導を行っております。なお、持ち込み禁止は、高等学校の場合17%になっております。
 携帯電話は、使い方によっては生活の乱れや利用料金等をめぐる家庭内のトラブル、出会い系サイトなどの利用により事件、事故に巻き込まれる原因の一つともなっております。こうしたことから、通知やホームページへの掲載並びに各種会議等のいろいろな機会を通して、携帯電話の危険性や使用マナーについて周知を図りながら指導を行っているところであります。家庭の理解を得るために、携帯電話に伴う危険性であるとか使用のマナー等についてのリーフレットを作成し、中学生、高校生のすべての保護者を対象に配布しながら啓発を図ってきたところでありますが、生徒の生活状況等の実態把握に努めながら使い方の指導の徹底を図ってまいりたいと考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) 少年の携帯電話所持についてのお尋ねにお答えいたします。
 まず、非行等の状況についてでありますが、少年と携帯電話のかかわりでは、いわゆる出会い系サイト利用の非行が主な問題となっているところでございます。これは、インターネット上の出会い系サイトへの携帯電話等による書き込みを利用するもので、買春の相手になるなど福祉犯被害が大多数でありますが、中には、交際の場において相手の財布を盗むといった窃盗事件なども発生しているところでございます。
 全国の出会い系サイト利用に係る事件の検挙は、本年6月末現在で約780件、被害者数約650人となっており、被害者のうちの約7割が中学、高校の生徒となっているところでございます。また、本県におけるこの種の犯罪の検挙は、平成14年が10件、7人、本年10月末で10件、被害者8人となっており、被害者のほとんどは中学生、高校生となっているところでございます。
 このような現状を踏まえ、いわゆる出会い系サイト規正法が制定され本年9月から施行されておりますが、県警察といたしましては、教育委員会、学校、少年ボランティア等と連携を図りながら、防犯教室の開催や家庭、生徒に対するチラシの配布などにより法の趣旨徹底に努めているところであります。また、これと並行して、違法行為につきましては徹底した取り締まりに努めているところであります。
 少年の携帯電話の所持につきましては、犯罪に遭った際の連絡手段として用いられる例もありますが、他方、議員から御指摘のありましたように、犯罪、非行の手段として利用される側面もあり、警察といたしましては、携帯電話が犯罪、非行に用いられることがないよう、今後とも広報、啓発や指導に努めてまいる所存でございます。

〇51番(佐々木俊夫君) それぞれ御丁寧な答弁をいただきましてありがとうございます。
 おおむね私が予測した御答弁だったと思うんですけれども、まだまだ掘り足りないと。その点につきましては、やがて開かれます決算委員会もありますし予算委員会もあるわけでありますので、そっちの方におおむね譲りますけれども、一、二点だけ、もし御意見があればお答え願いたいんですが、一つは、今度の三位一体改革で税源移譲の問題ですけれども、私は、いろいろな報道等を詳細に私なりに見てきたつもりですが、税源移譲を地方にされると岩手県のようなところは税金収入が少なくなって困るんだという発想が基本にあるんですけれども、知事は、地方自治のためには多少のことはやむを得ない、しかし、そのために国に調整権を残すことはだめだ、こういう発言をされたと私は聞いているんです。ところが、今の御答弁は、国でやるのか地方がやるのか、やっぱり地方交付税の調整力発揮は必要だというお答えなので、私が知っておることとちょっと違うなということを感じました。
 それとまた関連しますけれども、今までは、それでも県の段階までは多少減っても何とかやり繰りできるんだから県はいいだろうと。しかし、過疎化の進んでいる市町村になった場合、税源は移しましたといっても、税収は上がらないということでとんでもないことだということから、市町村長さんたちはこの問題には必ずしも賛成じゃない。このように、県はある程度理解する、しかし、市町村は反対、私はこういう理解をしたんですが、先ほども申し上げましたが、けさの朝日新聞の1面トップに出ておりますけれども、これで見ますと、県と市町村ではなくて、県そのものに問題点が出てきた。つまり、税源移譲によって逆にもうかる、もうかるという言葉は当てはまりませんけれども、もうかるのは、例えば東京なんかは、3兆円で考えた場合、補助金の打ち切りは2、000億円だけれども、税源移譲で4、800億円入ってくるんだから2、800億円も収入がふえる。ところが、ほとんどの県、37県は100億円から300億円ぐらいの減収になる。したがって、県仲間でさえもこの問題については意見が違ってくるんじゃないかという指摘があるんです。今までは県と市町村と思ったら、県の中でもう既にそういう問題が出ている。これは仮定した計算ですけれども、資料の出どころは政府となっていますので、政府のしかるべきところが計算したと思います。したがって、でたらめではないと思います。これは3兆円の場合です。知事は9兆円やれと言っているわけですね。増田知事が親方をしているグループでは9兆円と言っているんですから、これの3倍の話になってしまうということになりますので、その辺は一体どう理解したらいいんだろうか。これにもしお答えがあればお伺いいたします。
 それから、医療局長にお伺いしますけれども、奨学金制度、これはこちらにも関係ありますけれども、全国で岩手県が先進県だと私も承知しております。それはもう全国一の県立病院を抱えておるということと、医療過疎地が岩手県に非常に多いというところから、先輩たちが編み出した大変いい制度だと私は評価をしているんです。ただ問題は、それでお医者さんになりながら、ならない人が30%もあるというのは異常じゃないか。5%や10%であれば何かのいろいろな理由があるんだろうなと思うんですけれども、3割がお医者さんになりながら県病の就職を断っていくということは異常だと。ということは、最初から県はなめられているんじゃないのか。入るときは貸してください、出るときは、はい、さよならよと。そういう人が本当に人間の健康を守るお医者さんなのか。しかも聞きますと、先ほどの理由、病気のためにやらないというのもあると言いました。私は、言いたくないんですけれども、医者の不養生かと。そんなに病気の卒業生があるのかなと。これは不思議な理由だと。それから、大学に残る。結構です、大いに勉強してください。しかし、残っても県病に就職できるチャンスはあるんじゃないか。断る理由にはならない。もう一つは、開業するなどとは何事だと。これは最初から計画的じゃないか。勉強するうちは県にお願いします。終わった途端に私は開業します、はい、さよならと。これではやくざよりも悪いですよ。こんな人に何で金を貸したんですか。私の言いたいのはそれもあるんですよ、さっきの質問は。なめられているんじゃないか、甘いんじゃないか、それを直すにはどうしますか、こういう質問なんです、さっきは。
 これは医療局だけ責めるわけにはいきませんけれども、やっぱりその辺についての毅然たる態度、ならない人には貸してはいけないですよ、我々の税金なんですから。これは県民に対して絶対説明になりません。しかも、さっき挙げました田老町の例、何ですか、失礼ですよ。何回も町長さんが行っているのに手紙一本で断るようなこと。やっぱりこの辺は、県としても、貸していいんです、20万円で足りなければ次30万円でも50万円でもいいですよ、本当にやる人であれば。そこを私はきちっとやるべきだと。したがって、制度そのものも中身的に大いに検討の余地あり、罰則もつけるべきだ、こう思うんですが、いかがでしょうか。

〇知事(増田寛也君) 税源移譲の関係について、今、大きく言いますと二つ御指摘がございましたので、その関係について申し上げたいと思います。
 まず一つは、税源についてどうしても偏在があるということに対して、もう少し細かく言いますと、税源移譲の制度設計によって大分解消する部分があることはあります。先ほど所得税とか税目で言いましたけれども、所得税をどういうふうに個人住民税に移すかについて、例えば今、私どもの提言は、これは全国知事会の提言と全く同じで、全国知事会も11月18日に同じような提言をまとめましたが、所得税を個人住民税に移すときに10%の比例税率化という形で、今の制度と同じようなことではなくて、制度を改善する方向で変えますと税源の少ない団体に対して手厚く配分されるようになります。そういったことが一つあるかと思いますが、最終的に、それをやっても現在の入り方に比べますと、交付税などに比べますとどうしても差が出てきますから、この問題をどうするかということで、先ほど答弁で交付税という言葉を使いましたけれども、正確に言うと交付税の持っている財源調整機能ということでございまして、11月13日に北海道・東北知事会があって、そこでもこのことについて議論があったんですが、私も申し上げておきましたが、交付税は国が全部今議員がお話になったように配分をいたしますので、それは私はよくないと思います。やはり地方団体に渡して、端的に言えば全国知事会というか都道府県会館の中に金庫を移して、我々の中で同じように配分するような形にしないといけないので、私はそこはぜひそうするべきだと。ただし、やり方を今全国の中でどう配分するかといえば、当面は今の交付税制度のような算定式で配分しても、それはしようがないところがあるかもしれません。ただ、これから配分の仕方を我々の中でよく考えて、それで我々の自助努力で地方団体の中で財政調整をしていくと、このことはぜひ実現をしていきたい。先ほど交付税の制度の見直しをしながらと言いましたけれども、交付税制度で持っているような、財源調整の部分をきちっとそれを使うということは大事だと思いますが、配分権自体は地方が持たないといけないと、こういうことでございます。
 しからば、そのときに、もう一つ今議員からお話があった、市町村と県というよりも、県の中で、都道府県の中でいろいろ対立があるのではないかと。これは11月18日に全国知事会があって提言をまとめたときに実は顕在化をしておりまして、東京都は東京都で、今の東京都が持っているものを1銭たりとも地方の方に譲りたくないということで、反対意見を言いました。私はすぐ、東京都がそう言ったものですから発言をして、そういう考え方でやっているからいつまでたっても地方に対して税源が移譲されないのだということを申し上げたんですが、ここは私は国全体の中で、確かに端的に言えば東京都なんですが、大都市圏の県、ほかの県もそう思っているところがあるかもしれませんが、現実には交付団体ですから、不交付団体である東京都との関係だと思いますが、ここは東京都と都道府県レベルでもよく話を進めなければいけないのは事実でございます。事実ではございますが、東京都に対してはやはり地方団体の代表者であって今何が大事なのか、国から移すということが一番大事なときに、今の制度を堅持して、1銭たりとも取られるのはまかりならぬということをやっていてはいつまでたっても進みませんので、これはその場で知事会長や多くのほかの県も申し上げましたとおり、たとえ財政が東京都はでかいとはいえ、多くの自治体関係者が考えているような調整の形を我々のレベルの中できちっと話をつけて、東京都にも譲るところは譲ってもらわなければいけないと思います。これはこれから都道府県の自助努力の中で、そういった大都市の自治体と話を進めていきたいと考えております。

〇医療局長(千葉弘君) 奨学金制度について再度お答えいたします。
 私は先ほど病気のためと申し上げましたのは、病気のため大学を中途退学したということで、これはやむを得ないのではないかと思っております。いずれ、議員お話しのとおりで、30%もの不履行者がいるということは、履行義務に対する認識が十分ではないと、これは認めざるを得ないと思っております。ただ、制度としまして、貸し付けして義務履行したら返還免除という仕組みでございますので、不履行の場合の返還というのは制度としてあるわけでございます。したがいまして、その辺をどのように不履行者を減らしていくかというのは、先ほど御答弁申し上げましたとおり、平成9年に7万3、000円の月額を20万円に増額したということで、増額した分を返す場合負担も大きいわけでございまして、ある程度効果は出てきているのかなという気もいたします。ただ、今の制度は、不履行の場合、年利9%の利息を加算して返すことになっておりますので、この9%というのは大変高率であります。ただ、他県の例等を見ますと、さらに高率なものも見受けられますので、今の新しい制度、20万円になって今のところ何とかうまくいっているかなと思っておりますので、その辺もうちょっと様子を見ながらさらに、このペナルティーを強化することがあるいは履行を担保するのに結びつくのかなという気もいたしますので、その辺を今後検討してまいりたいと思います。

〇51番(佐々木俊夫君) 医療局長、大分御苦労されていることはわかります。ただ、他県なりその辺の様子を見ながらという言葉は使わない方がいいんですよ。岩手県はこうやるんだと。他県はどうあろうが岩手県は実効のある方式をとりますと、そういう毅然たる態度で臨まないと、この問題は私は解決できないと思いますので、申し上げて、答弁は要りません。終わります。

〇議長(藤原良信君) 次に、及川幸郎君。
   〔49番及川幸郎君登壇〕(拍手)


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