令和8年2月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(岩渕誠君) 希望いわての岩渕誠です。登壇の機会を与えていただきました全ての皆様に感謝し、質問いたします。
 質問に入ります前に、金ケ崎町で発生した高病原性鳥インフルエンザについて、当該農場にお見舞いを申し上げるとともに、24時間体制で対応に当たっておられる県や町、近隣自治体の職員の皆様、県建設業協会奥州支部、県トラック協会を初めとする民間団体の皆様、各県から応援に駆けつけた獣医師の皆様など、支援に当たる全ての皆様に心からの敬意と感謝を申し上げます。
 それでは、質問に入ります。最初に、地方分権についてお尋ねします。
 先般の解散総選挙は、私どもにとっていまだかつてない厳しい結果となったことに、御支持いただいた皆様にはおわびと感謝を申し上げるとともに、当選された方々には心からの祝意を表します。
 ただ、政策的な争点は曖昧なままで、特に人口減少や1次産業の振興など、私たちにとって極めて重要な政策課題について踏み込んだ論戦ができなかったことは、残念至極であります。
 私ども野党も、目の前にある地方の危機がありながら、その悲鳴を国政の場から政策とし焦点化するには力不足であったことを認めなくてはなりません。
 現場の声を拾い集めて対話し、共感できる政策として提示できるよう、そして、多くの支持を集められるよう、得意淡然失意泰然の構えで捲土重来を期していく覚悟であります。そのときには、国政与党の皆様に胸をおかりしたいと思います。
 さて、昨年秋の自由民主党と日本維新の会の政策合意以来、突如として副首都構想なるものが国政課題として取り上げられるようになりました。
 中央集権体制と東京一極集中を打破し、地方分権、多極型国家構造への転換をうたい、災害等の発生時に首都機能の中枢を代替できる副首都をつくるとしています。
 防災に着目して首都機能を移転することに加え、経済の東京一極集中の是正という成長戦略の一環として掲げていますが、日本維新の会が掲げる大阪都構想と密接に関連しており、誰が見ても大阪ありきであり、大阪のための地方分権であることに疑いの余地はない政策と言わざるを得ません。
 そもそも、首都機能の移転については、長年の議論を経て、平成2年に国会等の移転に関する決議が衆参両院で賛成多数で可決されているほか、国会等の移転に関する法律の制定や内閣府に移転審議会も設置され、三つの地域を移転候補地とする報告書も総理大臣に答申されています。
 法律や答申では、東京一極集中の是正の必要性を認め、新しい政治行政システムの確立、経済発展や国土構造の改編、首都機能の防災対応力強化が移転の効果と意義として言明されています。
 また、移転先については、九つの具体的基準が示されており、特に東京からの距離について、鉄道で1時間から2時間、おおむね60キロメートルから300キロメートル程度の範囲で、東京圏との連担を避けることともされています。
 副首都構想を進めるならば、まずこうした首都機能移転に関する経緯を踏まえ、あるべき地方分権を議論すべきと考えます。副首都構想には、当然巨額の費用がかかります。
 日本維新の会は、今のところ費用について明示していませんが、平成9年に行った国の試算をもとにすれば、少なくとも4兆円から7.5兆円程度と見込まれています。正直、大阪ほどの大都市にこれほど財政投資をするのであれば、人口流出に直面し、待ったなしの課題に挑む地方にこそ、国として手を差し伸べるべきではないかと私は思います。これは、恐らく与党自由民主党に所属する地方議員も同調していただけるものと思います。
 達増知事も、衆議院議員時代を含め、こうした議論には深く接してきたものと承知しています。知事のお考えをお聞かせください。
 さて、これまでの地方分権に関する議論は、権限の移譲に始まり、道州制など統治構造に関するものが中心であったと思います。確かに許認可を中心に権限の移譲は進んだ部分もあり、機関委任事務の廃止など、地方としてすべき役割も整理がついてきたところでもあります。
 統治構造については、行政の効率化などを理由とした市町村合併が進んだだけであり、地方分権を主題にした国民的、本質的な議論は深まっていません。それ以上に深刻なのは、地方で私たちが生きていくために必要な経済の分権、地方経済の活性化が脇に置かれ続けているということです。
 統治構造や権限移譲よりも、地方に住む人々にとっての重要なことは、この地に暮らし続けるための十分な給料は担保されるのか、地方経済に先行きはあるのかという点です。
 その点で言えば、これまでの内閣でも確かに地方創生や田園都市構想などは掲げられてきましたが、十分満足のいく成果を上げたとは決して思えず、むしろ熱狂する株式市況と輸出関連を初めとした過去最高水準で推移する大企業の業績の前に、格差の広がりと不安の増幅が感じられるだけでした。
 昨年末、政府は、2029年に地方の経済成長率を東京圏を上回るとする地方創生総合戦略に盛り込みました。もともと東京の経済成長率は高くありませんが、地方の経済成長率に着目したことは一定の評価をいたします。
 問題は、地方の大都市圏ではなく、地方、とりわけ人口減少が進む地域の経済成長を何に求めるか、そして、それをやり切るためにどのような政策で後押しするかです。
 例えば、再生可能エネルギーに着目してデータセンターの地方移転を政府は打ち出しましたが、これも遅々として進まず、データセンターの9割は都市部近郊に設置されたままと言われています。経済成長のエンジンどころか、災害時の情報アクセスへのリスクも放置されたままです。
 一方で、広域リージョン連携に見られるように、地方が連携し、産学官金を巻き込んで成長の種をつくり育てるなど、まさに画一的でない地方の成長のエンジンづくりが求められています。
 何を岩手県の経済成長のエンジンとし、求める国からの支援をどう考えるか、知事の考えをお聞かせください。
 さて、総選挙の自由民主党の大勝により、常識的には、今後4年間は解散をせずに政治的課題解決に邁進するものと思われますが、この4年間で我が国には人口構成の二極化が進むことになります。既に65歳以上の人口は、岩手県を初め、東北、九州、四国地方を中心に減少に転じており、2040年まで増加すると見込まれる都市との人口構成に違いが出てきます。
 高齢者人口の減少は、社人研―国立社会保障・人口問題研究所の推計より四、五年早くなっており、このまま推移すると社会保障費が増大する75歳以上人口も、地方では早ければことしか来年にはピークアウトすることが見込まれます。これは、社会保障や税、地方財政にとって構造改革を迫る人口構成の変化、二極化と捉えるべきであろうと思います。
 特に、主要な社会保障財源と位置づける消費税については、日本全体が高齢化することを前提に、直間比率の見直しや安定税財源の確保の観点から導入されたものですが、その前提が崩れることにより、消費税の地方配分などに懸念が生じます。端的に言えば、若者や女性に加えて、税も介護人材も東京都がブラックホール化してしまうということです。
 消費税の話は、減税や財源のところに行き着きがちですが、人口の二極化と導入の前提を踏まえれば、先ほどの視点を含むより広範で早急な議論を進め、税負担と配分のありようを改革していかなくてはならないと考えています。
 また、同時に、地方交付税改革も必要です。全国どの地域においても一定水準の行政サービスを提供できるよう保障する財源保障機能については、まず、分権化定理に基づいて、国がなすべき行政サービスを再定義し、教育や医療、福祉などについて財政的な国の責務を果たすべきと考えます。
 見直しを進めれば、二重補助などの問題も洗い出しが進められますが、その上で、必要な行政需要を確認し、自由度の高い交付金などの措置をすることが肝要と考えます。
 こうしたことを進めれば、医療で5割、教育で8割しか国から措置されておらず、県単独で巨額の支援を進めざるを得ない医療局や高校教育の財源についても、一定程度の安定をもたらすことになりますが、人口構成、特にも老齢人口構成の二極化の及ぼす税財政への影響と、消費税や地方交付税などの税全体の見直しの必要性とあるべき方向性について、県のお考えをお示しください。
   〔29番岩渕誠君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩渕誠議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、副首都構想に係る地方分権の議論についてでありますが、いわゆる副首都構想においては、地方分権、多極型の国家構造を実現する第一歩として副首都をつくり、ひいては、中央省庁の権限の地方自治体への移譲等を進めるとしています。
 副首都構想では、災害時等における首都中枢機能の代替、東京一極集中の緩和を効果に挙げていますが、今必要なのは、小規模町村を含め、地方に人、物、金を分散させる政策であると考えます。
 人口が少ない地方は劣悪であるということはなく、小規模町村にこそ豊かで快適な暮らしや食、文化など多くの価値、魅力があります。全国町村会においても田園回帰の一層の促進を要望していますが、こうした価値や魅力に光を当てることで、地方、特に小規模町村から東京一極集中を裏返し、日本全体の人口構造を変えていくことが重要であり、東京一極集中の逆、地方多面分散こそ目指すべき国家構造であると考えます。
 次に、本県の経済成長についてでありますが、本県の県内総生産は、生産年齢人口の減少にもかかわらず、その規模を維持するとともに、長期的な増加傾向を示しています。
 その理由は、女性と高齢者の労働人口がふえたことに加え、生産性の向上があったからです。生産性の向上を牽引する分野が、岩手県の経済成長のエンジンです。
 本県には、自動車や半導体、医療機器関連産業に代表されるものづくり分野などの産業集積のほか、世界から評価される農林水産物などの高品質な県産品、国内外で活躍するスタートアップ企業、高いポテンシャルを有する再生可能エネルギーなど、本県独自の強みがあり、域内生産、域内調達を拡大し、域外から人や投資を呼び込む生産性向上の牽引役、経済成長のエンジンが多く存在しています。
 議員御指摘のように、国の新たな地方創生の総合戦略は、地方のGDP成長率を東京圏以上に高めるという政策目標を設定するなど、地方の強い経済の実現に力点を置いています。
 こうした国の動きを好機と捉え、地域未来交付金などの国の財政措置も十分に活用し、戦略的に取り組みを進めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、総務部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長福田直君登壇〕
〇総務部長(福田直君) 税財政についてでありますが、東京一極集中に伴う税財源の偏在が一層深刻化する中、本県からは、地方税源の偏在是正や地方交付税の留保財源率の見直しなどを提言しており、令和8年度税制改正では、税収が東京都に集中している道府県民税利子割について、税収帰属を調整する清算制度が導入されることとなりました。
 議員御指摘のとおり、基準財政需要額への算入割合は費目によって異なるものであり、留保財源や特別交付税との兼ね合いもありますが、自治体間の偏在が大きい局面にあっては、普通交付税による財源保障機能の充実、すなわち基準財政需要額への算入割合の引き上げが重要となります。
 例えば、投資的経費については、時代背景に応じた事業費補正が行われてきましたが、近年、インフラの老朽化が進む中、基準財政需要額への算入割合が高められてきたところであり、令和8年度地方財政計画では、公立高校や公立病院の施設整備に対する財政措置が拡充されたところです。
 今年度の普通交付税は東北6県のうち本県への交付額が最大となっておりますが、地方交付税の財源保障機能の充実、そして、地方法人課税を含む税源の偏在是正に向け、国への働きかけをさらに強化していくことで、将来にわたって持続可能な財政基盤を構築してまいります。
〇29番(岩渕誠君) 今、達増知事から御答弁がありました。この副首都構想については、おおむね私と考え方は同じであろうということは確認させていただいたと思っております。
 やはり、全体のベクトルを間違えると、本当に今、地方が立ち行かなくなっているという意味において、これは政権の維持というところもあるとは思いますが、ただ、本当に大阪ありきで副首都構想を進めていいのか。その副首都構想自体をもう一回ゼロベースでやらないと、本当に地方は立ち行かなくなってくると思います。そのことはぜひあらゆる場面を通じて、全国知事会等を通じて強く申し入れていただきたいと私は思います。
 福田総務部長からは、地方税財源の話がありました。御努力いただいているのは、そのとおりでございますが、ここで確認しておきたいと思います。
 今、地方財政格差がとてつもなく拡大しているというのは、行政関係者は共通した認識であろうと思いますが、一般的にはなかなかこれが伝わっていないというのも、これまた現状だと思います。
 このとてつもなく格差が拡大する先には、まさに地方が自然死してしまう、東京都だけがブラックホール化してしまう、結果的に国家全体が沈んでしまうという問題認識なのでありますが、これをもっと端的に言うと、どことどこが格差が拡大しているかというと、東京都とそれ以外ということで考えていいと思います。
 その理由は二つあります。一つは、コロナ禍を通じて社会経済構造が激変したこと。これは、例えばeコマース、ネット通販の拡大であったり、あるいはチェーン化などです。これに代表される資本の寡占化。それも東京都に集中しているということが一つ。だから、コロナ禍後の地方の留保財源について、1人当たりで見ると、東京都が10万4、000円増加したのに対して、そのほかの道府県は1万6、000円の伸びにとどまっている。実に6倍の差がついているということが実態としてあります。
 もう一つは、地方交付税制度の不備にあります。物すごく簡単に言えば、例えば、地方税が岩手県で100ふえましたといっても、地方交付税は増収分の75%が減額されるという仕組みになっています。地方税が増加しても、交付税と合わせて25しかふえない、増収にならないということです。これは、地方交付税をもらっている団体はどこもそうです。
 一方で、東京都は地方交付税をもらっていませんので、ふえればふえただけ、収入がそのまま入ってくるということですから、特に地方税が拡大する局面では、この税収格差というのは広がりやすいということであります。そして、これが東京都と地方とのサービス格差の要因になっているということが言えるかと思います。
 本来であれば、交付税の調整機能があるのですけれども、東京都の場合は、交付税をもらっていないのでこれは何ともならないわけです。それをどうするかというところをやっていかないと、地方の税財源というのは回らない。これは今も説明がありましたけれども、実際にきちんとしたルールが決まっていますから、どこかの党の国会議員の数で交付税が決まることは全くありません。社会構造の変化に地方交付税の制度がついていけていないということが問題であろうと思います。
 与党税制調査会はここの点については認識があるようですけれども、どうもターゲットを東京23区の固定資産税に絞っているという報道であります。確かに23区の商店街の面積というのは全国の中で1%、だけれども税収入はそこだけで2割取っているという固定資産税のところがありますから、それは取りやすいところから取ろうというのはわかるのですが、ただ、本来は、先ほど私が指摘した原因をどう是正するかということにありますから、やはり地方交付税の本則に手をかけてはいけない局面だと思います。ここについての認識を伺います。
〇総務部長(福田直君) 地方税財政制度については、平成の改革でさまざまな見直しが行われましたが、今後、令和の改革について議論を深めることが重要となっております。
 まず、留保財源率については、平成の改革で都道府県分が20%から25%に引き上げられた結果、財源保障機能が縮小しております。そのため、今後は留保財源率を引き下げ、財源保障機能を充実する必要があります。
 次に、地方交付税については、マイナスの交付税が存在しない以上、不交付団体である東京都に財源超過額が発生することになり、近年はその額がさらに大きくなっております。
 平成の改革では、地方法人課税を譲与税化することによって、交付税の前提となる税源偏在に手をつけたところであり、今後、そのような偏在是正をさらに強化する必要があります。
 これらの点について、全国知事会の中で同様の見解を持つ仲間をふやしていき、将来にわたって持続可能な地方税財政制度を構築する令和の改革につなげてまいります。
〇29番(岩渕誠君) 今の御答弁にあったそうした改革とともに、あと二つぐらいあると思います。
 まずは、基準財政需要の判断です。これは総務省が中心にやっているわけですけれども、では、例えば岩手県は県立病院がいっぱいあるから、基準を超えて勝手にやっているのだという話ではなくて、県立でやらなくてはいけないからやっているという、この基準財政需要そのものをやはりきちんとそれぞれの県、地域に応じて算入するということをしないと、いつまでたっても、岩手県の医療はぜいたくしているのですから5割しかよこしませんとか、そういう話になってしまう。
 もう一つは、地方交付税で是正するということになると、先ほど言ったように、東京都はそもそももらっていないので、法人事業税あるいは地方消費税に手をかけないと、税収というものは地方の基盤として活用するような方策が私は必要だと思っていますが、もう一つ、答弁をお願いします。
〇総務部長(福田直君) 先ほど例示で申し上げました投資的経費につきましても、これも時代背景に応じて事業費補正が行われてきたところでございます。そういったことも踏まえて、地方交付税の財源保障機能の充実、これがまず一つ目に大事だろうと思っております。
 それに加えて、不交付団体対策という意味も含めて、地方法人課税を含む税源の偏在是正、これをセットで行っていくということが、極めて重要であろうと考えております。
〇29番(岩渕誠君) 認識は一致していると思いますので、ぜひ、これは地方の行政にとって極めて重要な改革になると思いますので、福田総務部長はいずれ総務省の中枢にお戻りになると思いますので、地方の立場をしっかりと対応していただければと思います。
 それでは次に、新年度予算と今後の財政運営についてお尋ねします。
 達増知事は所信表明の中で、世界に開かれた地方創生を掲げました。そして、その定義を、国境を越えて人、物、お金を生かすやり方とし、新たなチャレンジとさまざまな分野でのイノベーションの必要性を訴えておられます。
 知事は32歳で衆議院に初挑戦した当時から世界に羽ばたく岩手を掲げており、その世界観、政治的信念は今日まで30年間、寸分もぶれていないものと感じております。その要諦は、世界と岩手県が直接結びつき、開かれ、つながりを強化していくことが、地方自治においても国際政治においても、また、そこに住む人々にとっても有益であるという認識かと思います。
 その具体的な取り組みとして、世界に開かれたスタートアップ成長促進事業費が今回予算に盛り込まれております。知事の肝いりの予算だと私は受けとめております。
 イノベーション拠点としての岩手県の可能性を国内外にアピールする機会として、国際会議を開催するとお聞きしていますが、どのようなマッチングを岩手県として期待しているのか。これは岩手県の経済戦略とも密接にかかわると思いますが、方針を伺います。
〇知事(達増拓也君) 本県が、シンガポールのベンチャーキャピタル、インシグニア・ベンチャーズ・パートナーズと連携して令和8年度に開催する国際スタートアップカンファレンスは、国内外から参加する起業家、投資家等とのネットワークを構築し、県内スタートアップの成長機会を創出することが狙いです。
 インシグニア・ベンチャーズ・パートナーズは、アジア、ヨーロッパ、北米の機関投資家等から資金を集めたファンドを運用し、東南アジアを中心とした多様な業界の企業に対する数多くの投資実績があることに加え、次世代のリーダーや投資家、起業家を育成するインシグニア・ベンチャーズ・アカデミーを運営しています。
 昨年、同社がシンガポールで開催した年次総会には、多くの投資家や投資先企業、さらには、日本からも大手金融機関、総合商社などが参加し、ビジネスマッチングが行われています。
 県は、このインシグニア・ベンチャーズ・パートナーズが持つグローバルなネットワークに加わり、例えば、革新的なビジネスモデルで成長を目指すスタートアップと国内外の目ききのある投資家とのマッチングなどにより、社会にイノベーションを引き起こすビジネスの創出を目指してまいります。
 一関市出身の楡周平さんの小説、限界国家では、日本の最後の希望として、引用しますと、ベンチャー企業の経営者を志す若者に、いかに快適な環境を整えることができるかに、国の将来がかかってくるというわけか、というセリフが出てきます。
 今後、国の新たな地方創生に関する総合戦略に基づいて策定する地域産業成長プランの中で、スタートアップについても、産業横断的な戦略として検討を進めることとしており、国の施策とも連動しながら、岩手県から世界に開かれたスタートアップ・エコシステムの構築に取り組んでまいります。
〇29番(岩渕誠君) 今までの経済政策というのは、国、地方ともにケインズ的な手法、需要喚起という中で成長を遂げるのが一般的でありましたけれども、イノベーションと投資、特に民間の投資をやるというのは、経済学で言えば、シュンペーターの考え方の方向に、国全体がかじを切ってきたのだろうと思います。
 そういう意味で国際的な会議をして投資を岩手県に呼び込もうというのは、大変チャレンジングだと思いますし、成功を期待しておりますが、そこには、より日本と諸外国の地方同士が直接につながることが必要と思います。
 これまで知事も、諸外国への出張を通して岩手県産品の販路拡大に努めてきましたが、1段ギアを上げて、地方政府間外交など踏み込んだ対応が求められると思います。
 政府間の外交が困難な場面も出現する中、地方政府間や民間の外交が存在感を発揮することがあります。ことしも、知事は外国でのトップセールスに伺うと伺っていますが、地方のトップ同士が直接つながることも大変有意義だと思います。お考えをお示しください。
〇知事(達増拓也君) 海外との地方政府間交流には、相互理解や国際親善の推進、地域の振興、活性化、さらには、国際社会の平和と繁栄への貢献といった意義があり、地方政府のトップ同士が直接つながることは、そのような地方政府間交流を進める上で重要であると考えます。
 本県はこれまで、大連市と中国地方政府やドイツのラインラントプファルツ州との交流を行ってきているほか、全国知事会主催により、今年度韓国で開催された日韓知事会議、令和5年度の日米知事オンラインミーティングなどにも参加し、積極的な地方政府間の交流に取り組んできたところです。
 本県の国際戦略ビジョンの基本戦略に掲げる海外とのネットワークの強化に沿って、今後展開を予定しているインドやASEAN諸国等とも意義ある交流につながるような取り組みを進め、全国知事会等とも連携しながら、引き続き海外の地方政府同士のパートナーシップの構築、強化に努めてまいります。
〇29番(岩渕誠君) 大変力強い答弁だったと思います。
 知事は、新年度も東南アジアでのトップセールスを予定していると伺っていますが、投資を呼び込もうとすれば、胸襟を開いて語り合える人間同士の関係構築というのも必要だと思います。ぜひ、地方政府、自治体間での交流も視野に入れて進めていただきたいと思います。
 岩手県と交流したいという外国の地方政府が何件かあると聞いております。ぜひ進めていただきたいと思います。
 そして、ことしは中尊寺伽藍落慶900年、そして、世界遺産登録15周年という節目の年でもあります。平泉の文化遺産の普遍的価値、資産の重要性について、国内外にその機会にアピールするチャンスでもありますから、この点もぜひしっかりとお伝えいただきたいと思います。
 そして、東南アジアは太平洋戦争の激戦地でもあります。インドは戦時中最大の問題のある作戦と言われたインパール作戦の地でもあります。今なお遺骨の収集はできていない場所もあり、ぜひ知事には、現地での慰霊にも心を砕いていただいて、戦没者の皆様に平和の祈りをささげてほしいと思います。
 こうした点が、全人格的な交流や信頼につながるものと思います。お考えがあればお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) トップセールス実施の大きな目的として、地場産品等の輸出促進のほか、インバウンドの誘客拡大があり、歴史や伝統文化など本県の強みを生かしたPRを行っていくため、英語版のパンフレットやパネル等も活用しながら、機会を捉えて平泉文化遺産の普遍的価値についても発信を行っていきたいと考えております。
 戦没者の慰霊については、戦争の惨禍を二度と繰り返さないためにも、戦争の悲惨さと平和のとうとさをしっかり次の世代に継承していく必要があると考えております。遠い異郷の地で帰らぬ人となられた方々に、現地で思いをはせるなど、戦没者の皆様に平和の祈りをささげたいと思います。
〇29番(岩渕誠君) これは大変大事なことだと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 さて、今後の財政運営上の最大の課題というのが、私は公共施設整備だと思っております。昨年の代表質問において、教育施設を含め公共施設整備全体の計画を示すように求めておりましたが、知事の聖域なきという方針のもと、今般、第2期公共施設等総合管理計画が示されたことについては、関係者の努力に敬意を表するものであります。
 ここでは、中期財政見通しと連動した公共施設マネジメントの推進や施設の総量適正化や適正配置に向けた取り組みの具体化など、新たな視点が追加され、物価や賃金動向を踏まえて、決算額で県民1人当たり1万6、000円以下、学校施設を含む全ての公共施設の延べ床面積を85%程度に削減するとした新たな管理目標が示されています。
 計画によれば、保有する資産全てを維持すると仮定した場合、今後30年間で必要な維持、更新の経費は、公共施設、いわゆる箱物で1兆713億円、年平均に換算すると、これは過去5年間の平均の2.4倍に上る額となります。また、道路や河川管理などインフラの維持には1兆1、073億円、年平均で369億円、こちらもここ5年の平均の1.7倍に当たります。
 公営企業の施設に対する維持、更新費を合わせると年間負担額は870億円を超える規模となり、一般会計の1割を優に超える財政負担が生じ、硬直化の要因と強く懸念しています。
 インフラの維持、整備については、国からの補助金が見込まれますので、いわゆる真水の投入というのは避けられるのですが、問題は箱物をどうするか。これが財政と住民サービスのバランスを維持する上で重要な論点となると思います。
 個別に見ていきますと、箱物の維持、更新費で最も多いのは学校施設で、全体の4割を超えます。
 達増県政では、前知事時代と大きく異なり、地域の学校については、一定の条件下で1学級校も存続する方針です。これは、地域維持と岩手県の広大な県土に鑑み、また、学ぶ権利を可能な限り尊重したもので、私は高く評価しますが、少子化と厳しい財政状況を考慮すれば、学校建設に当たっては工夫が必要と考えます。
 学校設備は今、産業振興など一部にしか国からの補助金がありません。基本的には県単独の事業であり、国からの支援がほとんどないのが実情です。
 文部科学省は依然として義務教育までを中心とした考え方であります。他方、高校の授業料無償化が拡大される中で、私立学校の少ない本県などの地方と私立学校の多い首都圏を初めとする大都市圏では、結果として、税金の投入に格差が生じることになっています。
 そもそも岩手県では、高等学校に必要な予算に対して国から措置されるのは8割程度、県単独で多額の財政投入をして、子供たちの未来への投資を続けてきました。
 ここに来て、文部科学省では、いわゆる高校無償化にあわせて、公立学校等への支援の拡充を図るために、基本方針、グランドデザインに沿った緊急性ある取り組みについて、都道府県に造成する基金等により先行的に支援を行うとしていますが、高校進学率や教育投資への地域間不均衡を是正する観点からも、教育施設の整備に対する支援は、国は積極的に行う必要があると考えますが、県の考えと具体的な対応をお示しください。
〇教育長(佐藤一男君) 今般、文部科学省では、高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)を示すとともに、専門高校の機能強化、高度化、普通科改革を通じた高校の特色化、魅力化、地理的アクセス、多様な学びの確保に資する施設の整備を支援することとしたところであり、総務省では、これらの整備に対し、交付税措置される有利な起債を創設するなど、公立高校等への支援を拡充することとしております。
 県教育委員会としては、今後、これらの支援により、先端技術を活用した機器の導入、探究的な学びの実施に向けた施設整備や遠隔授業配信拠点の整備等、生徒たちのよりよい教育環境の整備に努めていきたいと考えております。
 また、県立高等学校再編計画との整合性も図りながら、施設の老朽化の状況に応じて計画的に整備を進めていく必要がありますので、引き続き、国に対しては、高等学校施設へのさらなる財政支援措置について要望してまいります。
〇29番(岩渕誠君) 国の出した方針は、何か実業高校の人数をふやしていくとか、いろいろなことを言っているのですけれども、それであれば、やはりそこに対しての支援、そしてまた、広大な県土に鑑みて、地域の高校、特にこの辺は財政支援というのは当然必要だと思っております。
 学校施設整備は、それがあったとしても結構金がかかる話でありまして、今の学校施設整備というのは、国の基準に当てはめると、47年ほどの耐用年数があります。これは減価償却が47年となっているためです。その後、長寿命化の整備を行って、大体60年から70年使用して更新するというのが運用上の基本となっています。
 現在の県立高校は全て鉄筋コンクリート造りで、巨額の建設費を投入し、60年から70年のサイクルでランニングコストを支払い、更新するということです。
 少子化の状況を踏まえれば、こうした従前の考え方での投資は、極めて困難であると私は認識しております。また、教育そのものがAIなどのツールの変化や小中一貫校あるいは中高一貫校など形態の変化もしてきており、箱としての学校の形は、多様性を持って論じられてしかるべきであろうと考えます。
 そうした点を踏まえれば、学校で何を学ばせ、学ぶかという県民的な合意を前提にした上ですが、まずは少子化に対応するため、耐用年限については、例えば、30年から40年程度に短縮することも、私は検討すべきだと思います。さらには、自治体によっては、地元の定着の観点から、中高一貫などを求める声も以前からあると聞いております。
 市町村との共同による学校運営や、さらなる教育振興と人材育成に取り組める形態の模索なども必要かと思いますが、あわせて県の見解をお示しください。
〇教育長(佐藤一男君) 学校施設の整備に当たりましては、これまで建物の構造体を堅固にし、長期間有効に使えるよう、主に鉄筋コンクリート造としてきているところです。
 今後見込まれる生徒数の減少や建築のコストや耐用年数などの点を踏まえ、これまでのような鉄筋コンクリート造ではなく、鉄骨造とするなど、社会情勢の変化に応じた施設整備のあり方について検討を進める必要があります。
 県教育委員会では、今回の高校再編計画最終案におきまして、地域社会や地元企業等と連携、協働し、地域や地域産業を担う人材の育成に向けた教育環境の構築に取り組むこととしております。
 また、市町村との共同や連携は、教育内容の充実や地域を担う人材育成、若い世代の地元定着につながるものと捉えており、引き続き、市町村や関係機関と連携しながら、生徒数の減少や社会情勢等を見据えた学校づくりに取り組んでまいります。
〇29番(岩渕誠君) 今、大変貴重な答弁、重要な答弁があったと思います。年限こそ示しませんでしたけれども、事実上、これは60年、70年という施設整備のサイクルを大胆に見直していくと、こう受けとめたいと思いますし、そのとおりの答弁だと思います。ぜひ、しっかりとした議論を進めていただきたいと思います。
 この問題の最後にお尋ねしたいと思います。やはり、学校以外の施設整備については、今のまま行政丸抱えで進めるのは困難であるのは、共通認識として持たざるを得ないと思います。
 実際、行財政の運営上、公共施設の整備に向けて相応の積み立てを行うのも限界があり、また、資金調達の主な手段である地方債の発行に当たっては、依然として国の制限があります。
 既に手法としては各地で取り入れられておりますが、パブリック・プライベート・パートナーシップ、いわゆるPPP、官民連携について導入の検討を進める時期に来ています。端的な民間ビルへの入居などから、PFI方式による施設整備など、目的、予算、地域事情に応じた可能性をしっかりと議論することが必要だと思います。
 それはまた、行政の役割や目的、費用対効果などを明確にする作業でもあり、公共施設等の管理計画を通して、本質的な幅広な議論をお願いしたいところであります。
 起債制限の問題とあわせ、公共施設整備における官民連携の必要性と今後の進め方についてお伺いいたします。
〇総務部長(福田直君) 資産の保有を抑えてバランスシートを軽くすることなどは、企業活動でも広く行われており、議員御指摘のPPP/PFI手法の導入は、有効な視点の一つであります。
 本県では、平成30年に岩手県PPP/PFI手法導入指針を策定して以降、いわて盛岡ボールパークや陸前高田オートキャンプ場を当該手法により整備し、民間のノウハウを活用した効率的な整備、運営を図ることができております。
 来年度当初予算案では、このような考え方をさらに推し進め、公共施設等に設置する太陽光パネルを第三者が整備するPPA方式の導入可能性を検討する経費も盛り込んだところです。
 また、現在基本構想の策定作業を進めている県庁舎の再整備につきましても、PPP/PFI手法の導入可能性を含めて検討していくこととしており、今後、これまで以上に柔軟な発想で公共施設等の更新、統廃合、長寿命化を進めてまいります。
〇29番(岩渕誠君) いずれ、今まで税財源の話と公共施設管理計画の話をしてきましたけれども、やはり大きなところで言うと、地方交付税を初めとする地方税財源の安定をどう進めるか、これは国家的な議論をして、巻き込んでいかなければならない。
 これを標準ベースにして、一方で、岩手県の状況に応じてどういう手法で整備をする、あるいは削減する、あるいはどういう形で学校を整備していったほうが、子供たちにとっても地域にとってもいいのか、マイナス部分を消せるのかということを、ぜひここ1年のところでしっかり議論していただきたいと思います。
 次に、県民の健康と医療についてお尋ねします。
 まず、健康について。
 残念なことですが、岩手県の健康寿命は令和元年の調査以来、男性は全国最下位、女性も令和4年に全国最下位となっています。男性の健康寿命は70.93年、女性のそれは74.28年で、ともに全国平均から比べると1歳以上の開きがあります。深刻なのは、今から10年前、平成28年の調査から見ると健康寿命が短くなっており、これは特異なケースだと思います。
 県として、健康寿命の問題をどう捉え、改善に向けた取り組みについてどのような課題認識のもと進めているのか、また、当面の具体的な改善目標についてお知らせください。
 個々のライフサイクルの問題はもちろん、健康寿命が短くなることへの公的影響についても、あわせて示していただきたいと思います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 本県は、健康寿命に影響を与える脳血管疾患や心疾患などの循環器疾患の有病率が全国に比べて高く、これらの疾患による死亡率が65歳未満の若年層から既に高いことが、健康寿命が短い主な要因となっており、全国との差が生じている、減塩を初めとする食生活や運動などの生活習慣の改善が課題と認識しております。
 また、健康寿命が短くなることにより、個人の生活の質の低下はもとより、医療費や介護給付費などの社会保障負担の増加や、生産年齢人口が減少する中、就労者数の確保にも影響を与えることから、健康寿命を延伸し、平均寿命との差を短縮することが必要と考えております。
 このため、令和6年度を初年度とする健康いわて21プラン(第3次)では、食塩摂取量の減少、日常生活における歩行数やいわて健康経営事業所の認定数の増加など、具体的な目標を掲げ、市町村や関係機関、団体と連携を図りながら、毎月28日のいわて減塩・適塩の日の普及や健康経営の促進など、プランの全体目標である健康寿命の延伸や脳卒中死亡率の全国との格差の縮小に向けた取り組みを進めているところであります。
〇29番(岩渕誠君) 健康寿命がなぜだめなのかという分析と取り組みについては、全くそのとおりだと思うのですが、問題は、こういったことが県民の間で共有されていないことではないかと私は思っております。これについても、県政課題の最上位に位置づけて、危機感の共有を進めていただきたいと思います。
 一方で、この健康寿命の問題に対して、岩手県の医療ネットワーク、国内最大の公的病院ネットワークを有する県立病院の力は、極めて有効なものだと私は思います。
 特にも、脳血管疾患、心疾患、がんのいわゆる3大疾患による年齢調整死亡率は、いずれも全国を上回るなどしているだけに、県立病院の持つビックデータの解析が県民の健康に寄与するものと考えます。既に県立病院のビッグデータを活用した健康管理が進められていますが、さらに踏み込んだ取り組みが求められていると思います。
 今後の取り組み方針、具体的な施策についてお示しください。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 県では、県立病院などの受診情報を含む医療等のビッグデータから、疾病やそのリスク要因を分析し、脳卒中などの罹患状況やメタボリックシンドロームリスクなどの12項目について県平均との比較を行い、市町村に提供することで、地域の健康課題の解決につながるよう見える化を進めているところであります。
 今後は、こうしたデータのさらなる活用に向け、地域の健康づくりを担う市町村において、ビッグデータを生かして、地域の健康課題に応じた効果的な事業が展開されるよう取り組むとともに、県としても、分析結果を活用して、県民の健康づくりへの関心を高めるための普及啓発に取り組むこととしております。
 具体的には、データの活用を通じて施策の立案、実施につなげるセミナーを引き続き開催するとともに、新たに有識者と連携した市町村の健康課題解決に向けた伴走型支援に取り組むこととしており、これらの取り組みに必要な経費を令和8年度当初予算案に盛り込んだところであります。
 また、脳卒中など本県の健康課題をテーマとして、ビッグデータの分析結果のわかりやすい情報発信に取り組むこととしており、市町村や岩手県脳卒中予防県民会議に参画する関係機関、団体、企業等に加え、関係部局とも連携を図りながら、さまざまな機会を捉え県民に働きかけていくことで、健康的な生活習慣づくりの浸透を図ってまいります。
〇29番(岩渕誠君) 県民の健康と医療を密接に連携させて健康寿命を伸ばすなど具体的な成果を上げるには、医療、福祉の両面に精通したリーダーや、強力に推進する体制づくりも必要だと思います。
 さきに提出されていた医療局管理者の設置条例は撤回されましたが、その狙いについては、医療と福祉の連携強化を通じた県民の健康という点もあったと理解しております。
 医療局の管理者設置については、時間をかけて再度整理するということですが、県民の健康の問題は待ったなしです。どのような責任ある体制を構築して健康寿命の問題などに取り組んでいくおつもりか、知事のお考えをお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 健康寿命の延伸を含む県民の健康増進を図り、県民が住みなれた地域で、生涯にわたり心身ともに健やかに生活するためには、ライフステージに応じた切れ目のない保健、医療、福祉施策の連動が重要であります。
 県では、これまで、心の健康づくりや包括的な自殺対策、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築への支援など、官民一体となって保健、医療、福祉が連携して取り組んでまいりました。
 今後、医療や介護を必要とする85歳以上の高齢者が増加すると見込まれる2040年を見据え、介護予防や在宅医療、介護等の予防から医療、福祉にわたる部局横断的かつ重層的な取り組みが求められています。
 本県の健康寿命は全国に比べ低位にあり、また、全国よりも早く高齢化が進むことから、健康づくりや医療、介護連携は喫緊の課題であるという認識のもと、まずは関係部局がより力を発揮できるよう努めてまいります。
〇29番(岩渕誠君) 私の子供のころ、うちの祖母なども、減塩ということで、昔は塩引き、これを焼くと塩が浮くようなものがあって、これは物すごくおいしかったけれども、結局こういうのはやめて甘塩にしようというので、子供の私まで、岩手県内で今こういうことをやっているのだということがあったわけです。ところが、今は、一部でやっているのかみたいな感じになっていて、やはり自分事として捉えないと、健康の問題というのはできないのだと思います。
 私も、子供が小さいので、ときどき冗談で、学校にお迎えに行くのが先か僕にお迎えが来るのか先かなんていう話をするのですが、それはしゃれにならないことでありますので、まずは健康診断とかをきっちりやっていく、自分事にして取り組んでいくということが必要だと思います。そのためには、やはりグリップをきかせてやっていくということが必要だと思いますので、ぜひ強力な取り組みをお願いしたいと思います。
 ここからは医療についてお尋ねします。
 このところ国は、地域医療の経営改善の方針として、病床などを中心としたダウンサイジングで対応しようとし、補助金をつけてまで促進してきました。しかし、次期地域医療構想では、医療と福祉の連携に重きを置いており、あめとむち的な収入はほぼない状況と理解しています。
 ただ、ここで1点指摘をしておきます。国の病床数適正化支援事業というのがあるのですが、本来、県立病院に対して14億7、300万円余が補助されるべきでありますが、交付されたのは2億5、400万円、率にして17.2%にとどまっています。これは既に決算特別委員会で私も指摘をしておりますが、実はもっと事態は悪化しております。17.2%で上乗せがないだけではなくて、今年度、国の補正予算で同様の予算がつきましたが、何と、既に求償済みの病床は補助単価が半分に減らされているということです。
 そうなると、14億何がしのお金はどんなに頑張ったって半分しか来ない。これでは全くお話にならない。協力したのに、一体これは何だという話になるわけでありまして、これは何とか改善していただきたいと思います。
 この補助分がきちんと来て、さっきから言っている基準財政需要の見直しがあって、県立病院には半分しか来ていませんから、これをきちんとすれば、県立病院会計というのは既に収支は安定する水準であって、国の対応は厳しく批判されなくてはならないと思います。あめとむちではなくて、これは今、むちとむちという状況です。
 話を戻します。
 現在の医療局の厳しい経営環境は診療報酬単価の改定に起因し、これまで経営的に県全体をカバーしていた急性期病院群が大幅に赤字に転落したことが大きな原因です。
 長期的に見ると、やはり医療と福祉の連携や役割分担、医業本体の収支構造をどう改善するかが、県民の命のとりでの県立病院にとって、より重要だと思います。医療局はこの点を意識し、既に改善の取り組みを始めており、効果が出始めているものと、私は高く評価しております。
 ただ、本県の地域医療、そして県立病院を支える基本となる医師の確保、養成、定着について、引き続き継続して支援することが必要であり、また、3大疾病や産科、小児科などへの医療資源の配置、医療の質を高める取り組みの基本的な課題の解決に立ち返り、これまで以上に注力する必要があると考えております。
 これまでの成果と課題、新年度の取り組みについて、方針をお示しください。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 県では、医師確保計画に基づき、即戦力医師の招聘や奨学金による医師養成などに取り組んできたところであり、直近の令和6年の県全体の医師数は2、563人で、計画の基準年である令和2年に比べ54人増加しております。
 また、奨学金養成医師については、令和8年度の配置は、県全体で前年から29人増の215人、そのうち県北・沿岸地域には70人の配置を予定しており、平成28年度の配置開始以来、年々増加しているところであります。
 一方で、医師の働き方改革や医療の高度化などへの対応もあり、医師の充足の実感には至っていない地域や診療科もあると認識しております。
 このことから、奨学金養成医師の配置において、県北・沿岸地域での勤務を必須化するとともに、これまで周産期医療を支える産婦人科及び小児科、がん医療を支える放射線科及び病理診断科を選択した医師の配置特例を設け、地域偏在や診療科遍在の解消に向けた取り組みを進めてまいりました。
 これらに加え、来年度からは、県内の救急医療を支える救急科や二次医療圏における手術体制を支える麻酔科を選択した養成医師の配置特例を設けることとしており、引き続き医師の絶対数の確保と地域偏在、診療科偏在の解消に向けて取り組んでまいります。
〇29番(岩渕誠君) これは平成19年の医療危機以来、県は本当に積極的に御努力いただいて、成果も出てきたのだろうと思います。だから、グロス的に見れば、非常に医師養成というのは成果が出てきていると思います。それが今還元されていると思いますが、一方で、やはり県外に進学をした生徒が戻ってきていない、あるいは、いよいよ期間が長くなっているという問題がありますので、これも丁寧に問題の解決について御努力いただきたい。これは、きょうは指摘にとどめておきます。
 次に、脱炭素の取り組みについて伺います。
 今、気候変動対策の視点を企業経営に織り込んだ脱炭素経営の対応が進んでおります。アメリカでトランプ大統領がいろいろなことを言っていますが、脱炭素経営への歩みというのは、とまっていないというのが実態だと思います。
 これは2050年のカーボンニュートラルに向けて、エネルギーコストの削減、資金調達への優位性もメリットとしてありますが、サプライヤーに対して排出削減を求める企業も増加しており、取引先の意向に応じて競争力の強化や売り上げの維持拡大に取り組まざるを得ないケースも出てくるものと思います。
 特にも、この4月からカーボンプライシングというのが制度化をされます。この排出量取引制度は、排出権取引市場の先駆けとなるものでありまして、脱炭素経営はこうした動きに呼応して対応していると。
 私も幕張メッセとか、いろいろなところでこの脱炭素経営というのをやっていまして、行くと、本当に企業の人たちは、相当この問題を真剣にやっているというのがよくわかります。
 今のところ、県内ではこのカーボンプライシングの対象となる事業者はいないと考えられておりますけれども、市場の拡大により、いわゆるスコープ3、これはサプライチェーン全体の排出量削減の取り組みが本格化されると私は見ております。
 現状では、国の基本方針が見えないところもあって、スコープ3レベルでは排出削減に向けた本格的な環境投資までは至っていませんが、早晩、対応を余儀なくされるものと私は思っております。県の認識を伺います。
〇環境生活部長(中里裕美君) 令和5年5月に成立いたしました脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律、いわゆるGX推進法で規定される排出量取引制度では、二酸化炭素の直接排出量が10万トン以上の大規模な事業者を対象に、国が二酸化炭素の排出枠を割り当てることとされております。
 事業者におきましては、排出枠の過不足分を市場で売買することができることとされ、その取引市場は、令和9年秋ごろの開設が見込まれております。
 また、令和5年4月以降、上場企業に対して、有価証券報告書等における気候関連情報の開示が求められてきており、将来的には、購入した原材料の生産や物流などの温室効果ガス排出量を含めて、サプライチェーン全体に波及することが見込まれます。
 こうした中で、脱炭素経営に積極的に取り組む事業者においては、取引拡大の新たな機会の創出につながると考えております。
 県といたしましては、これらの動きを県内企業が発展するチャンスと捉え、国の動向などを広く周知するとともに、引き続き、省エネルギー設備や再生可能エネルギー設備の導入支援を行いながら、早期に脱炭素経営にシフトできるよう、機運の醸成を図ってまいります。
〇29番(岩渕誠君) これは既に企業局の水力発電所、早池峰ダム、これがTAGA―一般社団法人東北自動車産業グリーンエネルギー普及協会を通じてトヨタ自動車東日本株式会社に行って、ここはレクサスブランドも生産していて、それまでは6カ国の輸出にとどまっていたのが、今60カ国以上になっているということで、非常に効果のあるものでありますので、これはぜひ進めていただきたいと思います。
 今の話は、CO2排出削減で企業側、つまり買い手側、対応しなければいけない側の話だったのですが、当然、排出権の売り手側というのも存在します。しかも、それは岩手県にとって魅力的なマーケットであると思われます。
 カーボンプライシングと密接な関係のあるカーボンクレジットを含めると、特にも1次産業においては、私は可能性が非常に高いものだと思います。
 例えば、農業分野で中干しの延長、これは代表的なカーボンクレジットの取り組みですけれども、全国で昨年は前の年度を3万ヘクタール近く上回って8万ヘクタール、このうち東北は全国の4割近くを占めています。
さらに木や竹、もみ殻由来のバイオ炭も、農地土壌への散布がカーボンクレジットの対象になっています。
 これは、農家経営や農村振興の新しい収入源としても期待されるほか、価格設定にもよるんですけれども、遊休農地を含む農地への散布は、特にも中山間地帯のバッファーゾーンの環境維持の財源にもなることで、私は鳥獣被害対策、あるいは放置竹林、放置間伐材の処理など、社会的解決への糸口になると思っております。
 広大な農業県の岩手県だからこそ、最先端の取り組みで世界的な課題と地域の価値をつなげ、解決できるものだと思います。取り組みを強化すべきと以前から指摘しておりますが、県の基本的な方針と今後の具体的な取り組みをお聞かせください。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 県では、いわて農業生産強化ビジョンにおきまして、施策推進の柱に、環境負荷低減と安全・安心な産地づくりを掲げ、温室効果ガスの排出量の削減等に向けまして、Jクレジット制度の対象である中干し期間の延長やバイオ炭の農地施用を進めています。
 中干し期間の延長につきましては、今年度新たに、県内の先行事例やクレジット発行の手続を学ぶ研修会、収量や品質確保のポイントをまとめたリーフレットの作成に取り組み、農協への聞き取りによりますと、令和7年度の取り組み面積は前年度と比べ約2倍に拡大しております。
 バイオ炭の農地施用につきましては、県が主体となった実施を継続しておりますが、さらなる取り組み拡大に向けましては、バイオ炭の購入、製造コストや散布労力の低減が課題となっております。
 このため、令和8年度は新たに、中干し期間の延長については、収量、品質を確保する栽培技術の検証、バイオ炭については、もみ殻を活用したコスト低減の先進事例の研修会を実施する経費を当初予算案に盛り込みましたほか、民間企業と連携して、果樹栽培で剪定した枝を活用した現地実証を検討しております。
 今後も、農業者の新たな収入確保につながるよう、温室効果ガスの排出削減の取り組みを強化してまいります。
〇29番(岩渕誠君) これは前向きな取り組みをしていただけると受けとめましたが、この手のものは、2番ではだめなのです。やはり1番でやらなければいけないということでありますので、先ほど、もみ殻、燻炭ということがありましたけれども、例えば、農業分野の純粋な課題解決、これも燻炭をやるというのは、畜産農家が減って、もみ殻の処理に困っているからこれを処理しようという、ある意味、社会的な解決の部分もあるわけですが、一方で、もみ殻だと単価がとれないのです。やはり竹炭とか、そういったところにも行って単価をとる。やるからには経済ベースに乗せるということも一つ必要であります。
 今、実証を県北地域で炭をつくって、八幡平市でやっていますけれども、県南地域も圃場への部分をやっていただきたいと思いますし、もう一つは、これは理論上で言えば、いわゆるバイオ炭の散布は、現在生産している土地だけではなくて、荒廃農地に対してもきちんと手をかけるというきっかけになるとすれば、これは非常に有効な手段になると私は思います。そういう意味での新結合、イノベーションをしていただきたいと思っております。
 ここまでカーボンプライシングやカーボンクレジットの話をしてきましたが、脱炭素の取り組みの柱は、やはり再生可能エネルギーだと思います。地元の理解と環境との調和が前提ですが、岩手県は再生可能エネルギーのポテンシャルが国内トップクラスであり、電力の地産地消によって産業集積を進めていくことが、大きな投資を呼び込める成長戦略の柱になると考えております。
 既に県内では、30億キロワットの発電電力量を確保し、5年後には50億キロワットを目標にした計画が進行中です。これとは別に、洋上風力や地熱の期待が高まっています。
 昨年、NEDO―国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構と意見交換する機会をいただきましたけれども、地熱は県内でも具体的な取り組みに着手しているほか、浮体式洋上風力について、さらに厳しい環境下での実証を進めたい考えをNEDOは持っておりました。
 まず、県内で計画されている再生可能エネルギーの電源開発の状況、目標達成は可能か、自然との共生と地元理解の観点での必要な課題について伺います。
〇環境生活部長(中里由美君) まず、再生可能エネルギーの導入状況等についてでございますが、令和6年度の導入量は1、997メガワットとなり、発電電力量は設備更新等による一時的な発電停止等があったものの、30億キロワットアワーを超えたところでございます。
 また、令和7年12月末時点で、国の固定価格買取制度の認定を受け、今後の設置を計画している1メガワット以上の発電所は25カ所、合計875メガワットであるほか、県の支援制度等により自家消費型太陽光発電設備の設置が進むなど、2030年度の再エネ電力自給率66%の目標達成に向け、着実に導入が進んでいると考えております。
 さらに、久慈市沖の洋上風力発電の導入に向けた取り組みのほか、昨年12月には、国が地熱開発を加速化させるために取り組む地熱フロンティアプロジェクトの候補地に雫石町が選定されるなど、2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みも進められております。
 次に、課題についてでありますが、再生可能エネルギーの導入に当たりましては、適正立地による環境との調和と地元の理解が重要と認識しており、国の大規模太陽光発電事業に関する対策パッケージなどの検討状況も踏まえながら、市町村と連携し、地域の特性を生かした再生可能エネルギーの導入を促進してまいります。
〇29番(岩渕誠君) 電力問題は、2011年の東日本大震災津波の発災当時、今後、人口減少等もあって、発電効率の問題もあって、電力需要は下がるだろうというのが当時の目標設定の基礎になったのですが、残念ながら、今の現状というと逆になっていると。データセンターとか、そういったものができたので、かなり電力の需要がふえてきている。今後も多分ふえるだろうという中で、やはり岩手県としてどういうものでやっていくかというところ、再生可能エネルギーをどう生かして生産していくか、これが大事になってくると思います。
 もちろん、それは地元の部分というのも大前提でありますけれども、浮体式風力発電であるとか、地熱発電であるとか、これはきちんと対応していただきたいと思います。
 再生可能エネルギーで留意すべきもののうち、重要なものは、私は電力の自給自足を進めることだと思っております。これは、産業振興、産業集積にもつながる話ですし、岩手県への投資、日本全体の災害リスクの低減など、多方面から必要だと思います。
 先ほども紹介しましたけれども、グリーン電力がTAGAを通じてトヨタ自動車東日本に供給されて、それが非常に広がっているというモデルケースもあります。これに続いていただきたいと思うのです。
 私も昨年取り上げたのですが、再生可能エネルギーによる産業団地の造成を進めるべきだと思っております。全国に先駆けてやる、あるいは広域リージョン連携の一つとして、県をまたいでやるといった積極的、チャレンジングな試みが不可欠だと思っています。
 これまで工業団地造成は市町村が主体となってきましたけれども、県主導、パイロット的にでもやるべきだと思います。
 県内の再生可能エネルギーの電力自給率向上への考え方とあわせ、再生可能エネルギーを利用した産業集積の取り組みについて、考えをお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 脱炭素化が進む国際市場において、再生可能エネルギーを活用した製品製造は強力な競争力となり、近年はサプライチェーンや取引先企業からGXへの対応を求められるケースがふえるなど、再生可能エネルギーの電力自給率の向上は、企業が岩手県に投資するインセンティブになります。
 こうした中、脱炭素電源を核とした産業クラスター形成を目指す地域を国が重点的に支援するGX戦略地域制度の公募が行われ、本年2月、金ケ崎町が主たる申請者として脱炭素型の産業団地整備の計画を策定し、県と民間企業が共同申請者となって応募したところであります。
 県といたしましては、引き続き市町村と連携しながら、広域連携への支援も含め、本県の持つ再生可能エネルギーの可能性を最大限に生かした産業集積に取り組み、地域産業のさらなる発展につなげてまいります。
〇29番(岩渕誠君) これは大変大きな一歩だと思います。まず、金ケ崎町をスタートとして、これを全県でできる可能性があるわけでありますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 先ほどシュンペーターの話をしました。イノベーションというのは、技術革新にとどまらない、新結合という話になるわけでありますけれども、まさに環境分野、GXというのは、投資を呼び込める、しかも長期的に呼び込める、成長できるというものだと思いますので、この政策をしっかりと進めていただきたいと思います。
 最後に、農業振興についてお伺いいたします。
 令和の米騒動は昨年の出来事でしたが、当初政府が原因としていた流通の目詰まりなどという一過性のものではありません。供給力の低下と需要の変化が複合的に重なった深刻な問題であるというのはもはや疑う余地のないことであり、需給を見誤って米不足を招いたことが原因と、政府みずから認めたところでもあります。
 まさに農政の失敗が招いたわけですが、にもかかわらず、政府・与党の方針は二転三転し、石破政権では増産の方針が示されたかと思えば、高市政権下では需要に応じた生産、つまり減反政策の維持の方針が堅持されるなど、米騒動の本質から目を背けたものとなっていることは極めて残念です。水田フル活用による食料自給率の向上など政府の決まり文句では、現実から乖離するばかりです。
 県内の農業経営体も10年前の6割程度に減少し、耕作面積も5、000ヘクタール余り減っています。政府の進める大規模農家の育成といっても、稲作の占める割合はまだまだ低く、そもそも中山間地帯の岩手県では、政府の方針自体が地域に合わないケースが目立ちます。
 県として、令和の米騒動の原因をどう分析し、その後の政府方針についてどうお感じになっているか、所感を伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 米の生産流通につきましては、都道府県単位では完結しないため、国全体での対応が極めて重要と考えております。
 国の公表資料によりますと、人口減少等による需要の減少傾向の継続を前提として、翌年産の生産と需要の見通しを作成していたこと、高温障害等により精米歩どまりが悪く、供給量が減少、インバウンド需要などにより需要量が増加し、その結果、生産量は需要量に対し不足して、店頭の米が品薄になったものと承知しております。
 こうした状況を踏まえて、昨年10月に策定された政府方針では、今後の主食用米等の需給見通しについて、精米歩どまりの変動やインバウンド需要量の動向などを考慮して、幅を持って設定したところです。
 こういった生産や消費の実態の正確な把握に向けました国の取り組みについては、一定の評価をするところでありますが、県が全国知事会と連携し要望しています、各産地において国内外の需要に応じた米生産が着実に実施できるよう、実効性のある対策を講じていただきたいと考えております。
〇29番(岩渕誠君) 何か去年も聞いたような答弁が出てきましたけれども、岩手県の実情に応じて、独自に分析して、こうなのだということを言わないと、国は変わっていかないと思います。
 作況指数を変えるという話があったのですが、そのようなことをやるのだったら、もっと別なことをやってくれ。そのようなところに労力をかけるのだったら、もう少し別なところをやってくれというのが、これは現場の声です。それを、我々も代弁しますけれども、やはり岩手県は農業県のリーダーの一つだと思いますから、しっかりやっていただきたいと思います。
 依然として米価は高どまりしているものの、一方で、本年度産米の豊作基調により、春以降の価格の暴落などの可能性も指摘されており、生産現場はさらに疲弊感を強くし、生産意欲の減退が強く懸念されている状況です。基幹的農業従事者の平均年齢は70歳目前、条件不利地での営農を余儀なくされている農家も多いだけに、政策の転換がなければなりません。
 もともと気候に左右される農業に対して、主に生産断面で調整する減反政策では、生産者も消費者も守れなくなっていると私は思います。
 所得補償、直接支払いなどを中心に据えて生産量をふやし、備蓄や輸出の強化など出口で調整する仕組みに転換させていく局面が来たのではないかと私は思っております。県の見解をお示しください。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 食料安全保障の重要性が高まる中、資材価格の高騰は、依然として農業経営に影響を与えておりますが、農業経営のセーフティーネットは、収入の減少を補填する収入保険制度等にとどまり、資材価格の高騰に対応していないところであります。国は、生産者が、将来にわたり意欲を持って生産活動に取り組むことができる何らかの支援策を検討すべきと考えております。
 米の生産量につきましては、本質的に、国全体で確保していくことが重要でありまして、西日本の作付面積の減少率が高くなる中、本県を初め、東北地方などの主産地が生産を維持、拡大していくことが必要と考えております。
 県では、全国知事会とも連携し、昨年11月、国に対し、安定的な供給に向けまして、主食用米に加え、加工用米や新市場開拓用米など、国内外の需要に応じた米の生産拡大を図るとともに、米価が下落した際のセーフティーネットの構築について要望しています。
 あわせまして、国全体で需給の安定が図られることも重要と考えておりまして、需要の拡大に向けて主食用米の消費喚起や米粉用米、輸出用米などの需要拡大対策を一層推進することなどを要望しております。
 今後も、こうした農業経営のセーフティーネットの構築と輸出を含めた需要拡大対策を推進するよう、全国知事会と連携し、国に継続して働きかけてまいります。
〇29番(岩渕誠君) やはり、このままいくと本当に日本の農業というのが崩壊しかねない。岩手県は特に高齢化、そして面積が非常に小さいところでやらざるを得ないということを抱えておりますので、やはり政策を生産断面から出口の断面というところを考えていかないと、本当に真剣に考えていかないと厳しいのだと思います。
 岩手県の場合は、例えば、中山間の農地整備に関しては、国に先駆けること10年以上前から、いわて中山間地域いきいき暮らし活動支援事業をやって、本当に身の丈に合って使い勝手のいい予算でやっております。
 こういうのは、ようやく国も追いついてきそうだけれども、やはりうちはこういうのをやっているというのをもっとアピールしていいと思います。多分こういうことをやっているのは、なかなかほかはないですから。身の丈に合ったものをやる、それはすぐできるというものをやっていただきたいと思います。
 最後に、畜産、和牛生産についてお尋ねします。
 繁殖、肥育の経営環境は、ここ1年で激変しています。取引価格の低迷と経費高に苦しんできた繁殖は、ここ1年ほどで取引価格が15万円近く上昇し、少しは一息つけそうなところまで来ています。
 一方、肥育は、平均取引価格が横ばいから下落傾向が続き、ここに来て素牛価格の上昇が経費の上昇に拍車をかけるものと、かなり心配をしております。
 東京食肉市場への上場頭数も4、000頭割れが目前になって、定時定量という購買者にとってのブランド力の低下も深刻です。
 何度もこの場で提言をしてきましたが、やはりいわて牛へのブランド統一は急務です。最大の課題だったJAふるさと管内の前沢牛へのブランド統一も進み、あとは他の単位農協ごとのブランドを整理し、やるのかやらないのかだけになったと私は思っています。
 これは系統団体の問題でもありますが、県として向き合うべき畜産振興の柱となる大事な戦略の話です。満足のいく明確な答弁を求めたいと思います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) ブランド牛として高く評価されるためには、市場において一定のシェアを獲得し、流通関係者の需要に常に応えられる頭数を継続的に出荷することが重要です。
 県や市町村、関係団体等で構成しますいわて牛普及推進協議会では、これまで、前沢牛など地域ブランド牛を尊重しながら、出荷頭数の確保に向け取り組んできたところでありまして、農協系統外の3団体からいわて牛の出荷が開始され、出荷頭数の増加につながったところです。
 議員から御紹介のありました、令和6年の前沢牛へのブランド統一につきましては、平成10年の岩手ふるさと農協発足以降、前沢牛としての頭数確保が難しくなってきたことが背景にあるものと承知しておりまして、他の地域ブランド牛についても同様の状況が見られます。
 こうした状況を踏まえまして、県では、頭数確保に向け、ブランド統一するかどうか検討が必要と考えておりますが、生産者や農業団体に加えまして、流通関係者など、生産から流通までの関係者への丁寧な説明が求められますことから、まずは、協議会で各地域ブランド牛の現状や協議会会員の意向確認など、今後の進め方について議論を始めます。
〇29番(岩渕誠君) ぜひ、お尻を決めてやっていただきたいと思います。終わります。(拍手)
〇議長(城内愛彦君) 以上をもって岩渕誠君の一般質問を終わります。
   
〇議長(城内愛彦君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時26分 休 憩
   
出席議員(43名)
1  番 田 中 辰 也 君
2  番 畠 山   茂 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 菅 原 亮 太 君
6  番 村 上 秀 紀 君
7  番 松 本 雄 士 君
8  番 鈴 木 あきこ 君
9  番 はぎの 幸 弘 君
10  番 高橋 こうすけ 君
11  番 村 上 貢 一 君
12  番 工 藤   剛 君
13  番 小 林 正 信 君
14  番 千 葉   盛 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 高 橋 穏 至 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 高 田 一 郎 君
26  番 木 村 幸 弘 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 岩 渕   誠 君
30  番 名須川   晋 君
31  番 軽 石 義 則 君
32  番 佐々木 朋 和 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城 内 愛 彦 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
39  番 斉 藤   信 君
40  番 工 藤 大 輔 君
41  番 小 西 和 子 君
42  番 高 橋 はじめ 君
43  番 関 根 敏 伸 君
44  番 佐々木 順 一 君
45  番 岩 崎 友 一 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(2名)
3  番 大久保 隆 規 君
15  番 上 原 康 樹 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時40分 再開
〇議長(城内愛彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。福井せいじ君。
   〔22番福井せいじ君登壇〕(拍手)

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