令和7年12月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(鈴木あきこ君) 自由民主党の鈴木あきこです。3度目の一般質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆さん、ありがとうございます。
 それでは、質問に入ります。目を覚ましてください。
 初めに、子育て支援について伺います。
 本県は人口減少を最重要課題と位置づけ、知事のマニフェストプラス39における主要施策の一つとして、全国トップクラスの子育て支援に取り組んでいます。令和5年度からは第2子以降3歳未満児の保育料無償化や在宅育児支援金の給付を行う市町村への補助を開始、令和6年度、7年度には、保育料無償化は全市町村、在宅育児支援金の給付は26市町村に広がるなど、子育て世帯の負担軽減を進めています。
 また、令和7年度当初予算においても、いわて子育て応援保育料無償化事業費補助に6億1、400万円余、いわて子育て応援在宅育児支援金に1億円余、市町村少子化対策支援事業費に5、300百万円余を計上し、子育て支援の強化が続けられています。
 しかしながら、こうした支援策を積み重ねているにもかかわらず、ことし11月21日に厚生労働省が発表した人口動態統計の速報値によると、本県の今年1月から9月までに生まれた赤ちゃんの数は3、751人で、依然として厳しい状況が続いており、出生数の改善には結びついておらず、全国トップクラスとは言えない状況です。子育て支援策を行っているだけでは足りず、地域の実情に応じ、若い世代のニーズを的確に捉えた施策展開が極めて重要と考えます。
 県は、各種会議や市町村からの要望、補助金事務を通じて状況把握に努めるほか、令和6年度は洋野町、野田村、普代村、田野畑村、令和7年度は葛巻町、岩手町、軽米町、九戸村、一戸町を対象に、データに基づく地域課題の分析や分野横断的な伴走支援を行うワークショップを実施してきたと承知しております。
 そこで、本県ではいわて子育て応援保育料無償化事業費補助やいわて子育て応援在宅育児支援金などの子育て支援を進めてきましたが、依然として人口減少に歯どめがかからない現状を踏まえ、現時点でどのような課題認識を持っているのか。また、今後どのように実効性の向上を図ろうとしているのか伺います。
 あわせて、小規模町村を対象としたワークシヨップを通じて把握した、各町村の具体的な課題や住民ニーズにはどのような特徴が見られるのか。また、その結果をどのように県全体の少子化対策に生かしていくのか伺います。
 次に、いわて産業人材奨学金返還支援制度について伺います。
 本県では、地域産業を支える若者の定着やU・Iターンを図るため、いわて産業人材奨学金返還支援制度を平成29年から運用しており、令和8年度においても現行制度により継続予定とされています。しかしながら、制度の利用者数は募集人員120名に対し平成30年は49人、令和5年41人、令和6年31人と、定員に満たない状況も見られ、さらなる周知強化や制度改善が求められていると考えます。
 本制度は、企業に対してはホームページやメール配信、企業訪問やイベントでの説明、学生、保護者に対してはSNS、チラシ、ポスター、大学掲示板等での周知を行っています。また、最近では、県内企業1、143社へのチラシ送付や、ホームページの改善、認定企業140社に対してガイドの配布など、情報発信の強化も進められていますが、これらの取り組みを通じた効果をどのように分析しているのか、周知の課題について伺います。
 奨学金返還支援制度は全国40都府県が実施していますが、本県の企業認定要件は業種区分を設けず広く対象としており、支援対象者の学歴要件は、大学、大学院、高等専門学校に限定されています。
 一方、31府県では短期大学や専修学校等も対象としており、比較すると本県の要件は狭いと言えます。定員に満たない状況を踏まえると、学歴要件を緩和し、短期大学、専修学校等まで対象を広げることで、県内就職者の裾野を拡大し、若者のU・Iターンの促進にもつながると考えます。制度の実効性向上のためにも、認定要件の緩和を検討すべきと考えますが、県の見解を伺います。
 次に、農業振興について伺います。
 本県の農業は、地域の暮らしや文化、そして私たちの食を長い問支えてきた大切な基幹産業です。しかし、農業に携わる方々の減少や高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増加など、さまざまな課題が重なり、現場では将来を不安に感じる声が多く聞かれます。さらに、気候変動の影響による高温や大雨などの異常気象が続き、生産活動にも大きな負担が生じている状況です。
 こうした中、国では食料安全保障を重要な課題として位置づけ、農地の集積、集約化、スマート農業の推進、担い手の確保、中山間地域への支援など、多方面からの取り組みが進められています。
 本県でも、農業がこれからも続き、地域が守られていくように、国の施策を上手に取り入れながら、県としての支援をさらに充実させていくことが大切と考えます。農業者が安心して生産を続けることができるよう、本県として、食料安全保障の確保と農業生産力の向上に向け、まず、どの分野から重点的に取り組むべきとお考えか伺います。
 また、国の支援策や制度改正が進む中で、県として特にどの部分を強化し、今後どのような方向性で施策を進めていくのか伺います。
 農地が細かく分かれている地域では作業効率の低下が課題となり、農業者の負担が年々増しています。特に中山間地域では、土地条件の厳しさに加え、人口減少や高齢化が進み、農業を続けることが難しくなっている地域もあります。
 ことしの6月定例会の私の一般質問では、農業基盤整備をしっかり進めていくとの前向きな御答弁をいただきましたが、基盤整備とあわせて農地を効率よく使える状態を整えることが欠かせません。今後、農地中間管理事業の活用や、地域の実情に合わせた支援がますます重要です。農地中間管理事業のこれまでの活用状況について、県としてどのように評価しているのか。また、今後、地域計画に基づき農地の集積、集約化をどのような方針で進めていくのか、考えを伺います。
 あわせて、中山間地域など営農条件が厳しい地域で農地を保全し、地域農業を維持していくために、県としてどのように支援を強化していくのか伺います。
 次に、老朽化する農業水利施設への対応について伺います。
 本県の農業水利施設は、多くが整備から長い年月が経過し、老朽化が進んでいます。頭首工や用排水路などは農業を支える重要な施設であり、安心して営農を続けるためには、安定した機能の確保が欠かせません。現場からは、機能低下への不安や、早期の更新に向けた要望が多く寄せられています。将来にわたり農業を支えるためには、施設の現状を丁寧に把握し、優先順位を明確にしながら、計画的に整備を進めていくことが求められます。
 県では、老朽化が進む農業水利施設について、県営施設及び国営施設それぞれにおいて、どのように現状を把握しているのか。その上で、更新、補修に向けた考え方や、優先的に取り組むべき施設の選定をどのように進めていくのか、今後の整備方針について伺います。
 次に、産業動物獣医師について伺います。
 本県の畜産は、地域経済と農業基盤を支える極めて重要な産業であり、その根幹となる家畜診療体制の維持は欠かせません。一方で、岩手県農業共済組合においては、令和7年4月から北部家畜診療所や葛巻家畜診療所で業務が縮小され、岩手県農業共済組合の常駐獣医師が不在となる地域がさらに広がっています。基幹家畜診療所が広域をカバーする体制となっていますが、地理的条件や移動距離を踏まえると、迅速な初動対応に限界があることは否めません。
 こうした状況は、畜産県岩手の基盤そのものに影響を及ぼす深刻な課題と受けとめています。獣医師確保のためには、岩手大学獣医学部附属産業動物臨床・疾病制御教育研究センターによる人材育成は極めて重要ですが、その効果が中長期的にあらわれるため、迅速かつ実効性のある支援が求められています。
 そこで、地域の診療体制を直ちに支える緊急的な獣医師支援について、県はどのような即効性のある対応を講じていくのか伺います。
 次に、家畜診療所について伺います。
 我が会派が行った市町村要望調査では、遠野市、住田町、田野畑村から産業動物獣医師確保に関する強い要望が寄せられました。これは、本県全域で獣医師不足が深刻化している実態を示しているものです。農家からは、岩手県農業共済組合の家畜診療所の業務縮小により診療空白が生じるのではないかとの不安から、このままでは安心して営農を続けられないとの切実な声が寄せられています。
 そこで、岩手県農業共済組合の家畜診療所の業務縮小により畜産農家の不安が高まる現状を県としてどのように認識し、診療空白を生じさせないために、岩手県農業共済組合と連携してどのような対応を進めていくのか伺います。
 次に、家畜伝染病への備えについて伺います。
 豚熱や高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病発生時において、獣医師による迅速で的確な対応が防疫の成否を大きく左右します。専門性の高い防疫措置や検査、現場判断を担う獣医師の存在は欠かせず、公務員獣医師の不足は家畜衛生リスクの増大に直結します。
 家畜伝染病発生時に獣医師が果たす役割の重要性を踏まえ、公務員獣医師の不足が防疫体制に与えるリスクに対してどのように対応しているのか伺います。
 また、昨年度の家畜伝染病発生の経験を踏まえて、家畜伝染病発生時の危機管理体制をどのように強化していくのか伺います。
 次に、家畜人工授精師について伺います。
 本県では、家畜人工授精師の確保を畜産振興の基盤と位置づけ、昨年度から従事者の活動状況調査を進めています。令和6年12月時点で従事者数は292名と前年より13名増加、免許取得者29名のうち23名が農業協同組合等に就職し、そのうち16名が実際に従事するなど、一定の成果が確認されています。
 しかし、地域偏在や高齢化は依然として深刻で、現場では将来、繁殖基盤が維持できるのかとの不安が強まっています。県はこれまで、関係団体と意見交換を行い、課題共有や令和8年2月のスキルアップ研修開催など、育成と定着に向けた取り組みを進めていくとしていますが、持続可能な仕組みづくりは、なお重要な課題です。これまでの意見交換会で明らかになった課題を踏まえ、将来にわたり家畜人工授精師が地域で安定的に確保されるために、県としてどの部分を重点的に強化し、どのような仕組みづくりを進めていくのか伺います。
 あわせて、令和7年の講習会合格者数とその後の従事状況をどのように把握しているのか、定着につなげるための具体的支援策、さらに、若手技術者の定着を促すスキルアップ研修の充実について、県の取り組みを伺います。
 次に、建設業振興について伺います。
 建設業は、災害時の応急復旧や除雪作業、道路、河川、橋梁といったインフラ維持管理を通じ、地域防災のかなめとして県民生活を日常から支える欠かせない存在です。
 本県では近年、豪雨災害が相次ぎ、令和6年8月には、台風5号の影響により県北・沿岸部で川の氾濫や土砂災害が発生し、盛岡市では線状降水帯の形成により外水氾濫や浸水被害が生じました。
 こうした甚大な被害の中、地域の建設業者が昼夜を問わず迅速に対応し、県民の安全確保に大きく貢献したことは言うまでもありません。
 一方で、今後想定される南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震などに備え、防災、減災対策や老朽化したインフラの計画的な整備を進めることは急務です。
   〔副議長退席、議長着席〕
 国では、令和8年度から総額20兆円規模の第1次国土強靱化実施中期計画に取り組む方針を示しており、本県としても国の方向性を踏まえながら、地域計画に反映していく必要があります。
 第3期岩手県国土強靱化地域計画に、国の新たな国土強靱化実施中期計画の方向性をどのように反映し、今後の防災、減災対策や老朽化したインフラの整備をどのように計画的に進めていくのか、県の考えを伺います。
 災害時の即応体制を担う建設業者が、将来にわたりその役割を果たし続けるためには、平時からの安定的な事業量の確保や、年度を通じた発注の平準化、技術者育成、若手入職促進など、持続的な体制づくりが重要です。
 しかし、本県建設業界は担い手不足や資材高騰に直面し、令和6年には県内倒産企業の約3割を建設業者が占めるなど、経営基盤が揺らぎかねない状況にあります。
 こうした厳しい環境の中でも、地域の建設業者が安定して事業を継続できる仕組みづくりは喫緊の課題です。そこで、建設業者が地域の守り手として持続的に役割を果たしていくため、令和8年度当初予算案の編成に当たり、十分な事業量の確保と、年度を通じた発注の平準化をどのように進めていくのか、県の見解を伺います。
 青森県では、地域の建設業者を正当に評価し、受注機会を確保するための制度改革に踏み出しています。具体的には、総合評価落札方式の一部において、地理的条件の加点を1点から3点へ、災害協定や災害対応など地域貢献項目の加点を1点から2点へ拡充するなど、地域を支える企業を高く評価する仕組みが導入されます。
 また、これまで地元企業が代表者として参加できなかったWTOの対象工事についても、県が地元発注可能と判断したものは条件を緩和し、県内企業が代表者として参加できる案件をふやす方針を示しています。これらの取り組みは、地域を守る建設業者を将来にわたり存続させる上で極めて重要であり、本県にとっても参考となる事例です。
 青森県の事例も踏まえ、地元企業に対する評価項目の拡充や大規模工事への参画促進など、本県の建設業者の受注環境の改善にどのように取り組むのか、県の考えを伺います。
 次に、多文化共生について伺います。
 県では、全ての県民が、お互いの国籍や言語、文化などの多様性を尊重し、多様な人材が育まれ、幸せに暮らすことができる岩手を目指して、岩手県多文化共生推進プラン(2025~2029)を策定し、外国人住民の生活を支える体制整備を進めています。多言語相談、多言語情報提供など着実に展開されています。
 先日、県内で外国籍の13人が出入国管理及び難民認定法違反で逮捕された事案が報じられるなど、県民の間には不安の声も存在します。その一方で、地域にとけ込み、まじめに働き、家庭を築きながら生活しておられる外国人住民も多く、県内の在留外国人数は、令和7年6月末で1万1、775人、外国人労働者は令和6年10月末で7、866人と、地域社会や産業を支える重要な存在となっています。
 プラン策定時のアンケートでは、外国人住民がふえることを、よいこと、交流が楽しみとする意見が多かった一方で、生活習慣の違いによるトラブル、事件、犯罪増加への不安、治安悪化の懸念などの声も寄せられています。県民が多文化共生に理解を示しつつも、安全、安心の面で不安を抱えている現状が明確に示されています。
 しかし、現在のプランでは、外国人住民への支援は充実しているものの、県民の安全、安心に関する記述は十分とは言えません。多文化共生社会の実現には、県民の不安に丁寧に寄り添いながら、地域全体で安心して暮らせる環境を整える視点が不可欠です。県民の安全、安心を守る視点を、今後の岩手県多文化共生推進プランにどのように位置づけ、推進していくのか伺います。
 また、多文化共生社会の実現には、外国人住民と地域住民が互いに理解し合える関係づくりも重要です。アンケートでも、意思疎通の難しさ、文化や価値観の違いへの不安が多く指摘されており、交流機会の拡大や、学校、地域団体との連携、外国人児童生徒への日本語教育支援、地域との橋渡し支援など、相互理解を深める具体的な仕組みが求められています。そこで、本県として、外国人住民と地域住民の相互理解を促進するための取り組みを、今後どのように強化していくのか伺います。
 次に、無形民俗文化財について質問いたします。
 その前に、私の大好きないわての文化情報大事典について、検索しにくいので整備をお願いしておりました。このたび、今まで以上にすばらしいものに整備していただきました。携わっていただきました文化スポーツ部の皆さん、ありがとうございます。
 それでは、質問に戻ります。
 令和7年3月、全国24の道県知事が参画し、神楽継承・振興知事連合が設立されました。共同代表には、出雲大社が鎮座する神話の国―島根県の丸山知事、天孫降臨の地、神話のふるさと―宮崎県の河野知事、そして、本県の達増知事が就任されています。
 設立宣言では、全国に4、000を超える神楽が地域の暮らしと信仰の中で受け継がれ、祭具や衣装、楽器の製作、補修を通じて伝統技法が守られてきた一方、少子高齢化により継承が難しくなっている地域がふえていることが示され、文化を未来へ残し、世界へ発信していく必要性が強調されています。
 さらに国の重要無形民俗文化財に指定されている全国40件の神楽のユネスコ無形文化遺産登録を目指すことを掲げています。
 そのような中で、11月29日の報道によると、民俗芸能神楽のユネスコ無形文化遺産への登録を目指すとの国の方針が示され、本県宮古市の黒森神社の黒森神楽、普代村の鵜鳥神社の鵜鳥神楽を含む40件が申請候補として取りまとめられました。本県では既に、早池峰神楽、吉浜のスネカ、永井の大念仏剣舞が登録されていますが、新たに世界の宝と認められることになれば、岩手県政150年を迎える本県にとって大きな喜びであり、地域の誇りを一層高めるものと考えます。
 今回、新たに黒森神楽や鵜鳥神楽がユネスコ無形文化遺産登録の申請候補となったことを受け、県として今後どのように支援を強化し、神楽継承・振興知事連合とも連携しながら、ユネスコ無形文化遺産登録に向けてどのように取り組みを進めていくのか、知事のお考えを伺います。
 本県には44件の岩手県指定無形民俗文化財があり、地域の誇りや精神文化のよりどころとして大切に受け継がれてきました。しかし、近年、担い手の高齢化や後継者不足が深刻化し、このままでは継承が難しいと懸念される例もふえています。達増知事が神楽継承・振興知事連合の共同代表を務められることは、本県の文化財を未来へ引き継ぐ強い意思のあらわれと受けとめています。地域文化を守るため、県としてどのように岩手県指定無形民俗文化財を支援し、継承を進めていくのか。また、知事が神楽継承・振興知事連合の共同代表を引き受けられた思いや決意についてもお聞かせください。
 ことし本県を会場に開催された第67回北海道・東北ブロック民俗芸能大会は、多くの地域芸能が集い、県内外からの来場者も多く、大変にぎわいのある催しでした。本県でも岩手県民俗芸能フェスティバルを毎年開催しております。地域の芸能を広く紹介し、ことしは12月13日に開催されます。
 一方で、県内の民俗芸能団体からは、発表の場がない、地域の祭り以外で披露する機会がないといった声が寄せられています。担い手が減る中、発表の場がないことは活動意欲の低下につながり、継承に大きな影響を及ぼすと懸念されます。
 県は、いわて県民計画(2019~2028)第2期アクシヨンプランで、文化の継承と観光振興を組み合わせた取り組みを推進する方針を示しています。県主催のイベントやスポーツ大会、国民スポーツ大会関連行事など、来訪者が集まる機会に発表の場を設けることは、若い世代ヘの魅力発信にもつながります。
 こうした背景を踏まえ、県内のさまざまなイベントで、神楽や民俗芸能に取り組む団体が活躍できる機会をふやしていくことについて、県としてどのように取り組む考えか伺います。
 最後に、熊被害について伺います。
 本県では、ツキノワグマによる被害が深刻化しており、令和7年4月1日から11月12日までの人身被害は36件37名、そのうち亡くなった方は5名に上り、死亡者数については、遡ることができる昭和59年の統計開始以降で最多となっています。
 ほかに、農作物への被害だけでなく、河川敷では高い雑草や木が生い茂り、熊や鹿の通り道となっていることから、釣り人を初め県民が危険を感じています。その結果、岩手県内水面漁業協同組合では、釣り人の減少による経営不安も生じている状況です。なりわいも含め県民生活に大きな不安を与えています。
 こうした事態を受け、県は令和7年11月5日に熊対策の新たな基本方針を策定し、麻酔による捕獲体制の整備、ハンターヘの手当を含む市町村への支援、環境生活部長をトップとした緊急対策チームの設置など、体制強化を進めようとしています。また、令和7年度は熊の捕獲を積極的に進め、10月末までの捕獲数は、本年度の捕獲上限数の796頭を超え998頭となっており、捕獲のための予算措置、麻酔銃の使用条件緩和、鳥獣捕獲の担い手確保、放任果樹ヘの対策などを国に強く要望しています。
 そこで、本県の熊被害が過去最多となった要因について、県としてどのように分析しているのか。また、この冬から来春に向けた被害防止において、最も重視すべき点は何かを伺います。
 また、県が策定した新たな基本方針に示された麻酔捕獲体制の強化やハンター支援、市町村への経費補助などの施策を、どの程度のスピード感で整備し、県民が安全対策を実感できる形としてどのように実装していくのか、県の見解を伺います。
 県は、令和7年2月に対策パッケージを策定し、また、今般、新たに基本方針を策定し、熊対策を進めることにしていますが、県民が安心して暮らせる環境を確保するため、今後さらに強化すべき施策があると考えているのか、知事の見解を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 鈴木あきこ議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県民の安全、安心を守る視点の強化についてでありますが、ことし3月に策定した岩手県多文化共生推進プラン(2025~2029)の立案過程で実施した、多文化共生に関する県民意識調査においては、外国人住民がふえることについてどのように思いますかという問いに対し、非常によいことだと思う、18.3%、どちらかといえばよいことだと思う、50.3%、あまりよいことだとは思わない、8.5%、懸念や不安がある、14.4%という結果でした。
 プランでは、懸念や不安の解消を図るため、アンコンシャスバイアスをなくし、多様性を理解、尊重する共通認識の醸成を新たな取り組み施策として位置づけています。
 また、全国知事会においては、11月26日に、多文化共生社会の実現を目指す共同宣言の中で、ルールに基づく共生と安心の確保として、違法行為や制度の不適切利用については厳正に対処し、外国人がルールを適切に把握できるよう、生活に関する情報発信や相談対応等に努め、日本人と外国人が安心して暮らすことができる環境を国とともに整えていく考えを表明したところです。
 国では、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けて、来年1月を目途に基本的な考え方、取り組みの方向性を示すこととしています。
 県としても、全国知事会の共同宣言や国の方向性を踏まえ、取り組みを整理する必要があるものと考えており、県民の安全、安心を守る視点にも配慮した検討を進めることにより、プランに基づく、全ての県民が一体となった多文化共生社会の実現を目指してまいります。
 次に、神楽継承・振興知事連合とのユネスコ無形文化遺産登録に向けた連携についてでありますが、我が国においては、全国各地で多くの神楽が、古くから日本固有の文化として息づき、人から人へと受け継がれてきており、神楽が世界に広く認知されることは、人口減少等により継承の危機に直面している神楽にかかわる方々の励みになるとともに、地域の活性化にもつながるものです。
 本県では、早池峰神楽が全国の神楽で二つしかないユネスコ無形文化遺産に登録されていることから、本県が率先して神楽の価値を世界に発信していく使命があるものと考えております。このため、昨年度設立した、国内各地の神楽をユネスコ無形文化遺産に登録するための活動を後押しする、神楽継承・振興知事連合では、私が、宮崎県知事、島根県知事とともに共同代表となって、国への要望活動などを行ってまいりました。
 そのような活動が実を結び、国の文化審議会の答申を経て、11月28日に黒森神楽と鵜鳥神楽を含む、神楽が本年度のユネスコ無形文化遺産への提案案件に決定されたところであり、2028年のユネスコ無形文化遺産登録を目指し、今後も国や関係自治体とも連携を図りながら、国内外へのさらなる魅力発信に努めてまいります。
 次に、県指定無形民俗文化財の継承についてでありますが、本県には、神楽や祭り、風流踊りなど、人々の生活の中から自然に発生した風俗慣習や民俗芸能などさまざまな無形民俗文化財があり、それぞれが地域の風土と密接に関連しながら継承されてきており、その本質的な価値を適切に保存し、将来へと伝えていくことが大切であります。
 このため、県教育委員会においては、本質的な価値を維持しているものを岩手県指定無形民俗文化財として指定し、記録等の作成や、伝承者の養成などの継承活動等に対する補助を行っているほか、担い手育成等の取り組みに対して、文化庁の事業や民間の助成事業などの支援についての情報提供も行っているところです。
 本県は民俗芸能の宝庫であり、東日本大震災津波からの復旧、復興に際しても、神楽や祭りは人々に安らぎや勇気を与え、地域のきずなを強め、新たな交流を生み出すなど大きな役割を担っており、岩手県としては、先頭に立って国内外に魅力を発信し、伝統文化への理解を深めてまいります。
 次に、熊被害対策の強化についてでありますが、県では、ツキノワグマの出没と人身被害が相次ぐ中、県民の生命、身体、財産を守るため、ツキノワグマ対策基本方針を策定し、人の生活圏への出没防止、出没時の緊急対応、クマ類個体群管理の強化など五つの柱の対策を、緊急度に応じた三つの段階で講じることとしたところです。
 まず、人の生活圏への出没防止では、市街地等への熊の出没増も踏まえ、人の生活圏への侵入経路にもなっている河川における樹木の伐採等の実施箇所をふやしており、今後、人と熊のすみ分けを図るゾーニング管理にも取り組んでまいります。
 出没時の緊急対応では、増大する出没事例に対し、緊急銃猟も含め、市町村、猟友会等の関係機関が適宜対応しており、今後、人に危害を加えるおそれのある熊を確実に捕獲できる捕獲者の育成、確保を強化します。
 クマ類個体群管理の強化では、近年、従来の知見と異なる傾向が見られる熊の行動を踏まえながら、現在行っている生息状況調査等をもとに新たな管理計画を策定し、科学的根拠に基づく個体数管理を着実に進めます。
 さらに、人材の育成・確保として、有害捕獲に取り組む市町村への被害防止対策等の助言、指導を行う専門人材を派遣するほか、銃使用の経験と能力を有する者をガバメントハンターとして確保、配置します。
 こうした取り組みの実効性を高めるため、県、市町村における推進体制をさらに強化するとともに、被害防止と不安解消に向けた県民への啓発と広報、効果的な対策のための調査研究を推進します。
 人と自然の新しい共生のあり方が問われる中、市町村、猟友会等の関係機関とも連携し、最新の知見も活用しながら、人と熊とのあつれきの軽減に向け、全庁を挙げて取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、子育て支援の課題についてでありますが、県ではこれまで、市町村と連携し、第2子以降の保育料無償化や在宅育児支援金の支給など、子育て世帯の負担軽減策を強化してきたところでありますが、こうした施策の効果の発現には一定の時間を要することなどから、依然として人口減少に歯どめがかからない状況となっております。
 県の施策を実効性のあるものとするためには、鈴木あきこ議員御指摘のとおり、子供や若者の状況やニーズをより的確に捉えた施策を推進することが重要と考えており、県では、今年度、インターンシップの学生や若手職員とともに、ライフデザインや出会いを考えるワークショップを開催し、県の施策の検討過程に参画いただいたほか、有識者や当事者、支援者などにより構成される子ども・子育て会議において、子供、若者からの意見聴取と施策への反映について意見交換を行ったところであります。
 こうした中で、若い世代のライフデザインの支援に関する意見が多かったことから、今後は、結婚や妊娠、出産も人生の選択肢として考えながら、一人一人が思い描く人生設計を支援することができるよう、ライフデザインについて学ぶ機会の充実に取り組んでいく考えであります。
 次に、現状と課題を踏まえた少子化対策についてでありますが、県が、昨年度から小規模町村を対象に実施してきたワークショップにおいては、客観的なデータに基づく地域課題の分析や、当事者である住民を対象としたインタビュー調査などを実施し、その結果をもとに、さまざまな角度から少子化対策の検討を行ってまいりました。
 小規模町村に共通した課題としては、子育て支援策は充実しているものの、若者自体が少なく出会いの場が少ないことや、若い世代の働く場が少ない、若者が移住を希望しても、賃貸住宅が少なく住む場所が見つけられないといった特徴が見られ、若い世代に選ばれるための支援策の充実が求められております。
 こうしたワークショップでの検討を踏まえ、参加町村においては、例えば、賃貸住宅リフォーム補助などの新規の施策が実施されており、県においても、若者たちが地域に定着し、安心して仕事と子育ての両立ができるよう、企業が両立支援に係る目標や対策を定めた一般事業主行動計画の策定促進に向けた働きかけや支援を強化するなど、ワークショップでの検討結果を今後の県の取り組みに生かしていく考えであります。
   〔商工労働観光部長箱石知義君登壇〕
〇商工労働観光部長(箱石知義君) いわて産業人材奨学金返還支援制度の周知についてでありますが、制度の活用の促進に当たっては、県内企業へ概要を周知するとともに、本年6月に実施した利用者へのアンケートをもとに、企業向けに利用ガイドを作成し、認定企業に対して求職者へのアプローチ強化を助言したほか、県ホームページの学生等向け情報の充実を図ってきたところであります。
 このような取り組みもあり、本年12月1日現在では認定企業数が前年同期比で19社増加し、今年度上期の利用者も12名増の34名となっており、一定の効果が出ているものと考えております。
 今後、制度の活用の一層の拡大に向けて、県と協働で人材確保に取り組む認定企業をふやすとともに、学生、保護者に対して、就職活動を始める前のできるだけ早い段階での本制度の周知に取り組んでまいります。
 次に、制度の要件緩和についてでありますが、この制度は、ものづくり企業等の技術力や開発力の向上等を担う大学、大学院等を卒業した者の県内就職の促進をするために、ものづくり企業等に就職する理工系の大学等の新卒者等を対象にして平成29年度に創設したものであります。
 その後、本県産業の発展や若者、女性活躍の促進などの戦略的な視点から、学部等の要件撤廃や対象業種の拡大を図り、現在は、全ての大学、大学院、高等専門学校の新卒者等を対象とし、実質的に全ての業種の民間企業を対象としております。鈴木あきこ議員から御指摘のあった要件緩和につきましては、ニーズや環境の変化を踏まえた上で、企業等の関係する方々の御意見を伺いながら検討してまいります。
   〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤法之君) まず、食料安全保障と農業生産力の強化についてでありますが、食料安全保障の強化に向けては、日本全体として食料自給率を高めていくことが重要であり、既に食料自給率が100%を超える本県が、我が国の食料供給基地としての役割をしっかりと果たしていくため、本年7月、いわて農業生産強化ビジョンを策定し、本県農業の強化に向け、農業生産の増大や人材の確保、育成などに重点的に取り組んでいく考えです。
 農業生産の増大については、県オリジナル水稲品種の普及による米の生産拡大、高温等の気候変動に対応した品種開発、スマート農業技術の導入等による生産性の向上、地域のニーズに合わせた生産基盤の整備、県産飼料の生産、利用の拡大などの取り組みを強化していきます。
 人材の確保、育成については、担い手への農地の集積、集約化の促進、新規就農者の経営の安定化や円滑な経営継承の推進、県立農業大学校の機能強化などに取り組んでいきます。
 国では、令和7年度からの5年間の農業構造転換集中対策期間において、農地の大区画化、共同利用施設の再編、整備、スマート農業技術の導入、輸出産地の育成を推進できるよう、別枠で必要十分な予算を確保することとしており、県としては、こうした国の施策と連動して、関係機関、団体などあらゆる主体と一体となって、いわて農業生産強化ビジョンに基づく施策を着実に推進していきます。
 次に、農地集積、集約化等についてでありますが、本県では、農地中間管理事業の活用により、令和6年度の農地集積率は56%と、事業開始前の平成25年度と比較して約10ポイント上昇するなど、担い手の農地の集積や経営規模の拡大などにつながっています。
 一方で、さらなる農地の集積、集約化に向けては、平場地域では、集積した農地の集約化、中山間地域では、農地の受け手となる担い手の確保、育成などが課題となっています。
 こうした課題に対応するため、県では、県や関係団体で構成する県地域計画推進協議会で定めた推進方針に基づき、地域計画の実現とブラッシュアップを図っていくこととしています。今年度は、モデル地区を14地区設定し、農地の集約化に向けた法人間の話し合いによる農地交換、きめ細かな基盤整備の促進や新たな集落営農組織の立ち上げなどの取り組みを重点的に支援しています。
 また、中山間地域については、中山間地域等直接支払制度を活用した農業生産活動や、農村型地域運営組織、いわゆる農村RMOの形成を通じた農地保全などの取り組みへの支援に加え、今後は、農地の一元的な管理による生産活動、そばや菜種等の省力化作物の導入による農地保全など、地域農業の維持に向けた取り組みを支援していきます。
 次に、農業水利施設の整備についてでありますが、県では、100ヘクタール以上の受益を有する農業水利施設のうち、県営施設については、土地改良区や市町村の施設管理者から施設の状況を聞きながら、毎年度、頭首工や用排水路の現地調査など、施設の点検を行うとともに、国営施設については、国が実施した点検結果を提供いただき、情報共有を図っています。
 令和6年度末時点で、当該施設のうち、頭首工と水路は約3割、ポンプ場は約7割が耐用年数を超過している状況にあり、施設の点検結果を踏まえ、施設の補修、更新工事を計画的に進める必要があると考えています。
 このため、県では、今後10年間に対策工事が必要な施設について、緊急度や優先度等を明らかにした農業水利施設の維持更新計画を策定するとともに、施設の点検結果を踏まえ、毎年度、当該計画を改訂し、施設の追加や時期の見直しを行っています。
 さらに、ドローン等の新技術の導入による点検時間の短縮と点検箇所の拡大を進めており、今後も、農業水利施設の安定的な機能確保に取り組んでいきます。
 次に、地域診療体制への支援についてでありますが、県では、岩手県農業共済組合の診療対象外等となった地域において、広域振興局が主体となり、地域の市町村や農業協同組合等と検討を重ね、例えば、地域外の開業獣医師による広域診療や県外から往診していた開業獣医師の移住などにより、安定的に獣医療が提供できる体制が構築されていると承知しています。
 また、現在、地域外からの迅速な広域診療に向け、岩手大学獣医学部附属産業動物臨床・疾病制御教育研究センターと連携し、衛星回線を活用した遠隔診療の実証実験を行っており、来年度には、民間家畜診療所に対し、国事業を活用した遠隔診療の導入を促進するなど、遠隔診療の早期実用化に向け、岩手大学や一般社団法人岩手県獣医師会など関係団体等と連携しながら取り組んでまいります。
 次に、今後の獣医療の提供についてでありますが、岩手県農業共済組合の診療対象外等となった地域の畜産農家からは、開業獣医師の高齢化等により、将来の地域の家畜診療体制について不安であるとの声を伺っています。
 このため、県では、昨年度から、今後の獣医療提供体制のあり方について、岩手県獣医師会や関係団体等と意見交換を行い、遠隔診療の実証実験を進めるとともに、広域的な人材活用などを検討し、今後、大学や岩手県農業共済組合等の意見を伺いながらさらに検討を進め、年度内に一定の方向性を取りまとめることとしています。
 こうした取り組みを通じて、今後も各地域の実情に応じた獣医療が継続して提供されるよう取り組んでいきます。
 次に、家畜伝染病への備えについてでありますが、豚熱や高病原性鳥インフルエンザ等の家畜伝染病が発生した際、家畜伝染病予防法では、家畜防疫員である公務員獣医師の指示に従い、直ちに防疫措置を行うこととされています。
 また、国の指針では、発生した都道府県からの要請に基づき、農林水産省や他の都道府県から家畜防疫員を派遣する仕組みが構築されており、公務員獣医師が不足する場合においても、この仕組みを活用し、迅速な防疫措置に当たることとしています。
 昨年度の高病原性鳥インフルエンザの発生の際には、大規模農場や同時発生時に対応できるよう、本県でも初めて防疫措置に民間委託を一部で導入したところです。
 さらに、今年度は、業務委託する民間事業者の数をふやすとともに、業務委託する内容を現地拠点施設の運営等に拡大する方向で調整するなど、危機管理体制を強化しています。
 今後も国や各都道府県等と連携しながら、家畜伝染病が発生した際、迅速かつ的確に防疫措置が実施できるよう取り組んでいきます。
 次に、家畜人工授精師の確保についてでありますが、県と岩手県家畜人工授精師協会や農業協同組合等との意見交換では、家畜人工授精師について、現時点で人数は充足しているものの、高齢化が進んでいることから、将来を見据え、業務従事者の確保と技術向上が必要などの意見があったところです。
 こうした意見を踏まえ、従事者の確保、育成の強化に向け、県では、講習会の開催による免許取得者の確保に加え、今年度から新たに、免許取得者の家畜人工授精業務への従事、定着の取り組みを関係団体と一体となって進めています。
 令和7年度の合格者については、12月中旬に決定することから、合格者決定後に個別相談を行い、業務従事を働きかけ、農業協同組合とのマッチングを行うこととしています。
 また、岩手県家畜人工授精師協会や農業協同組合と連携した実技研修に加え、来年2月に、受胎率向上に向けたスキルアップ研修を新たに開催することとしており、こうした取り組みを通じて、家畜人工授精業務に従事する人材の確保、育成を進めていきます。
   〔復興防災部長大畑光宏君登壇〕
〇復興防災部長(大畑光宏君) 第3期岩手県国土強靱化地域計画についてでありますが、国では、本年6月に国土強靱化実施中期計画を定め、令和8年度から5年間において、国土強靱化基本計画に掲げる基本的な方針に沿って実施すべき施策の内容や目標とともに、その推進が特に必要な施策の内容及びその事業規模を明らかにしたところです。
 現在、県が策定作業を進める第3期岩手県国土強靱化地域計画においては、孤立集落対策やインフラ老朽化対策、林野火災対策など近年の自然災害等に対応した施策とともに、道路施設の防災対策や建設業の担い手の確保、育成など、国の国土強靱化実施中期計画等を踏まえた施策を盛り込んでいるところです。
 第3期岩手県国土強靱化地域計画については、年内に策定することとしておりますが、計画の進捗管理に当たりましては、毎年度、指標の進捗状況や成果、課題等の把握、分析を行うとともに、有識者から意見等を伺いながら、必要な事業の追加等を検討していくこととしています。
 さらに、国に対しては、国土強靱化関係予算の安定的かつ十分な確保等を要望していくなど、第3期岩手県国土強靱化地域計画に掲げる施策を着実に推進していけるよう、必要な取り組みを進めてまいります。
   〔県土整備部長上澤和哉君登壇〕
〇県土整備部長(上澤和哉君) 事業量の確保についてでありますが、地域の建設業者は、社会資本の整備や維持管理の担い手であるほか、自然災害や高病原性鳥インフルエンザ等の発生時に即応できる存在として、地域に欠かすことのできない重要な守り手であると認識しています。
 こうしたことも踏まえ、公共事業費を含む建設投資額の確保は、建設企業の経営の安定化はもとより、建設業における生産性の向上などの土台となる重要な取り組みであると考えております。
 このため、県の公共事業費においては、国土強靱化の予算も十分に活用しながら、当初予算、補正予算を合わせた令和7年度の実行予算ベースで東日本大震災津波前の平成22年度当初予算を上回る水準とし、令和8年度当初予算案の編成においては、政策推進費が0.95のマイナスシーリングとなる中、公共事業費については1.0シーリングとなっており、安定的、持続的な予算の確保に努めることとしております。
 また、鈴木あきこ議員御指摘の発注の平準化は、働き方改革の推進の観点からも重要であることから、いわて建設業振興中期プラン2023の具体的取り組みに位置づけ、債務負担行為の活用などに取り組んでいるほか、地域の建設企業が受注の準備を進められるよう、発注見通しの公表などを行っているところです。
 引き続き、これらの発注の平準化に資する取り組みや公共事業費の安定的、持続的な予算の確保を進めながら、地域の建設企業が安定して事業を継続できる環境を整えてまいります。
   〔会計管理者兼出納局長滝山秀樹君登壇〕
〇会計管理者兼出納局長(滝山秀樹君) 県内建設業者の受注環境の改善についてでありますが、県では、県内業者の育成、地域経済の活性化、雇用確保の観点から、県内業者で施工可能と認められる工事は、原則的に県内業者に優先的に発注することを基本としております。
 また、これまでも、入札結果の状況や建設業団体等からの意見を踏まえ、入札制度について適時見直しを行ってきたところであり、総合評価落札方式においては、地域内拠点の所在や災害活動等を技術評価点の評価項目として設定し、地域に貢献、精通した事業者をより高く評価し、県内業者の受注機会の拡大を図ってきたところです。
 大規模かつ技術的難易度の高い工事については、円滑かつ適正な施工を確保するため特定共同企業体に発注することとしておりますが、個々の工事内容を踏まえて設定する入札参加資格を満たす場合には、県内業者を代表者とする共同企業体や県内業者のみを構成員とする共同企業体が参加できる制度としております。
 今後も、入札動向や建設業団体等からの御意見も踏まえ、公平性、透明性、競争性を確保しつつ、県内業者の受注機会の拡大に配慮した適切な入札制度となるように努めてまいります。
   〔ふるさと振興部長村上宏治君登壇〕
〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 外国人住民と地域住民の相互理解促進についてでありますが、県内の在留外国人数が1万人を超えて過去最高となる中、多文化共生社会の実現に向け、鈴木あきこ議員御指摘の外国人県民と地域住民との相互理解は、ますます重要になっているものと認識しています。
 そのため、岩手県多文化共生推進プラン(2025~2029)におきましては、取り組みの柱立てとなる施策の方向に多様性の理解、尊重や、ともに生活できる地域づくりを掲げ、その実現に取り組むこととしております。
 具体的には、地域づくり団体等の参画による、多文化共生への理解を深めるワークショップの開催や、事業所等との連携による交流機会の創出や地域活動への参加促進等に取り組んでいるところでございます。
 今後におきましては、デジタル機器等の積極的な活用や、各外国人コミュニティーにおけるキーパーソンを通じた効果的な情報発信等によりまして、こうした取り組みの拡充、強化を図りながら、外国人県民と地域住民の相互理解の一層の促進に取り組んでまいります。
   〔文化スポーツ部長菊池芳彦君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池芳彦君) 民俗芸能の継承支援についてでありますが、民俗芸能の担い手の活動意欲の向上や、継承意識の醸成を図るためにも、活動されている方々の発表の機会の確保は重要であると認識しております。
 このため、県では、岩手芸術祭総合フェスティバルや地域で開催する体験フェスタ、民俗芸能フェスティバル、いわて世界遺産まつりなどにおいて、民俗芸能団体の活動を発表いただいており、その中では、若い世代への継承意識の醸成を促進するためにも、高校生など若い世代にも出演いただいているところです。
 また、県内トッププロスポーツチームの主催試合においても、アトラクションなどで民俗芸能の披露も行われているところです。
 今後においても、来年度開催する第81回国民スポーツ大会冬季大会スキー競技会―いわて八幡平雪ゆめ国スポにおける関連セレモニーの場や、県主催イベントでの発表の検討、一般社団法人岩手県文化財愛護協会などの関係団体と連携した発表機会の拡大など、民俗芸能の継承に向けた取り組みを進めてまいります。
   〔環境生活部長中里裕美君登壇〕
〇環境生活部長(中里裕美君) まず、ツキノワグマによる人身被害等の要因、その分析等についてでありますが、ことしについては、猛暑とブナ類の大凶作により、夏から秋にかけ山に熊の餌となるものが著しく少なかったことなどから、熊が餌を求めて人里に頻繁に出没し、多くの人身被害が発生したものと考えております。
 依然として市街地等への出没が相次いでおり、今後も、餌を求めて熊が人里に出没する可能性があることから、ツキノワグマの出没に関する警報の期間を年末まで延長し、県民への注意喚起を継続するとともに、指定管理鳥獣捕獲等事業により、県としても捕獲に取り組んでいるところでございます。
 また、専門家によりますと、餌不足により早期に冬眠に入った熊が、春先早くに冬眠から目覚める可能性もあるとされておりますことから、ツキノワグマの出没に関する注意報の前倒しや、先般発表されました国の対策パッケージにも記載された春季の捕獲などについても検討してまいります。
 次に、県のツキノワグマ対策基本方針に示された各種施策の実施についてでありますが、まず、麻酔捕獲体制の強化に向けて、麻酔吹き矢に対応できる人材を4人育成するための経費を補正予算案に計上し、関係機関との調整を並行して行っているところでございます。
 補正予算案の可決後、速やかに研修を実施し、吹き矢による捕獲体制を整えてまいります。
 また、担い手の確保、育成に向けて、年度内をめどに、野生動物に関する知見を有する者や、狩猟免許を有し捕獲の即戦力となる者を県として確保することを目指し、現在、詳細な制度設計を進めているところでございます。
 さらに、捕獲の実施主体である市町村への支援に向けて、緊急銃猟に伴い必要となる経費の補助を実施しているほか、被害防止対策に関する助言を行う専門家を予算成立後、速やかに派遣できるよう、現在、準備を進めております。
 このような取り組みにあわせて、今後におきましても実効性のある熊対策を実施するとともに、被害防止に向けた取り組みを広く県民の皆様にお知らせしながら、安心感の醸成に努めてまいります。
〇8番(鈴木あきこ君) 御答弁ありがとうございました。たくさん聞きたいことがあるのですが、二つだけ伺います。
 まずは、家畜人工授精師の確保等についてですが、私はずっと質問してきましたけれども、そもそも岩手県農業共済組合が家畜人工授精部門を撤退したのは財政的な理由からであって、それを農業協同組合などほかの団体に担っていただくというのは、その団体に非常に申しわけないという思いがあります。これまで持続可能な仕組みづくり、家畜人工授精師がいなくて困るというような状況をつくらないために、そういう取り組みをしていただきたいと今回もお話をさせていただきました。
 県は、関係団体といろいろ話をして進めているということでしたが、種の管理であったり、どこに誰がいるとか、仕組みをきちんと整えていかないと、どこが責任を持ってそれをやるのか。岩手県家畜人工授精師協会がやるのか、獣医師がやるのか、県がやるのか、その辺があやふやだと、畜産農家がどこに相談したらいいのか、今回も岩手県農業共済組合が撤退してから、あっちに相談に行ってうちではない、次にあっちに相談に行ってうちではないという状況があって困っておりました。
 財政難で手放した事業をいろいろな団体にやっていただくということは、やりたくないだろうと思います。そうすると、どこが責任を持つかとなると、県がある程度の形をつくって、どこかの団体に渡すとか、そういう形でやっていかないと、いつまでも、家畜人工受精師が少ないですね、どこに相談に行ったらいいですか、わかりませんという状況が繰り返されるのではないかという不安を私も持っておりますし、畜産農家も持っております。その辺を県がもう少し踏み込んで、どういう仕組みづくりをしていくのか伺いたいと思います。
 家畜伝染病のときの対応は公務員獣医師がメーンだと農林水産部から伺っておりました。先ほど、公務員獣医師が不足する場合は他県から公務員獣医師が来るから大丈夫というようなお話がありましたが、県のホームページ等々を見ていると、岩手県の公務員獣医師は、年間を通して募集をかけている状況です。ということは、充足されていないという現状なのだと思うのですが、なぜ年間を通しての募集になってしまっているのか。募集をかけてもなかなか応募者がいないのかというところを県で把握しているのか。そして、原因を解決していかなければ公務員獣医師はふえないだろうと思っておりますので、その辺の把握状況も伺います。
 次に、いわて産業人材奨学金返還支援制度について伺います。要件のことをお話しさせていただきましたが、この要件の中に、申請するときには、大学生であれば、3年生、4年生のときに申請して交付決定者とならなければ認定されない、該当にならないという条件があります。その時点で知っている人はいいのですが、今まで周知がうまくいかなくて、人数もふえないし、知らない人もいた。認定企業に就職しているのに、知らなかったためにそれが利用できていないという状況があります。
 それを考えると、これから周知を徹底していくことを踏まえて、それ以前に、知らなくて認定企業に就職して奨学金を借りている方に対して、特例として措置できないのかというところを伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 2点御質問を頂戴いたしました。
 一つは、家畜人工授精師の仕組みを整えるという御質問だと思います。昨年度から診療対象外となるような地域が広がってきていまして、農家の不安の声も受けとめておりますし、また、関係者が集まって、地域ごとにきちんと意見交換、そして、地域ごとに獣医療を提供できる体制を整えて、昨年3月までについても一定の形にしたところであります。
 これで十分と思っているわけではもちろんありませんで、これを継続して提供できるような体制をつくっていく。それは鈴木あきこ議員御指摘の仕組みをつくっていくということになろうかと思いますので、この点についても、引き続き、地域ごとに置かれている状況が違いますので、地域ごとに関係者が集まり、意見交換を重ね、安定的な体制が継続できるように取り組んでいきたいと思います。
 それから、家畜伝染病対応で公務員獣医師が対応する中で、他県から応援があればという話もありましたけれども、基本的には、他県応援だけではなく、当然、発生県において公務員獣医師が対応していくような体制を構築することが大事だと思っています。鈴木あきこ議員からもお話がありましたとおり、公務員獣医師の確保は必要なのですが、募集をかけても欠員になるという状況は把握しております。この状況について、本県だけではなくて全国的にも産業動物獣医師が不足している。ペットショップなどの民間企業への就職がふえているという状況なのだと思います。
 ただ、家畜伝染病の発生時に公務員獣医師が必要になる、大切な役割を果たすということはそのとおりでございますので、県として、引き続きしっかり確保に取り組んでまいります。
〇商工労働観光部長(箱石知義君) 制度の運用の緩和と言いますか、運用面で、制度を知らなかった者に対して救済措置ができないかということだと思います。
 基本的には、企業の負担をお願いしている制度ですので、あらかじめ企業と利用者が制度を了解しているということが前提になると思います。ただ、知らないのが利用者だけだったのか、企業なのか、両方なのかということがあると思いますが、適用の緩和の検討の余地があると思いますので、その辺については、これから企業の意見等もお聞きしながら、運用面での改善ができないか、検討していきたいと思います。
〇議長(城内愛彦君) 以上をもって鈴木あきこさんの一般質問を終わります。
   
〇議長(城内愛彦君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時45分 散 会

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