平成16年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成16年3月15日(月)
   

1開会  午前10時3分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長 武田牧雄
  議事課長 平澤石郎
  議事課長補佐 八重樫 典彦
  主任議事管理主査 千田利之
  議事管理主査 近藤光宏
  議事管理主査 多田 繁
  議事管理主査 田丸 裕佳子
  議事管理主査 嵯峨俊幸
  議事管理主査 安藤知行

1説明員
  商工労働観光部長 小原富彦
  商工労働観光部次長兼商工企画室長 種田 勝
  商工企画監 久保協一
  新産業推進監 菅原和彦
  産業振興課長 江口純一
  岩手ブランド推進課長 熊田 淳
  企業立地推進課長 菅原研一
  労政能力開発課長 東大野 潤一
  技能五輪推進監 大矢正昭
  観光課長 田中正武
  総合雇用対策局長 上村俊一
  総合雇用対策監 勝部 修
 
  医療局長 千葉 弘
  医療局次長 岩渕良昭
  病院改革室長 佐藤 巖
  参事兼医師対策監 橘山孝悦
  管理課長 齋藤淳夫
  職員課長 細川孝夫
  業務課長 大沢 孝
  システム管理室長 桜小路 昭男
  経営改革監 八木善一
 
  地方労働委員会事務局長 山瀬宗光
  総務課長 白木健志
  審査調整課長 岩渕 清
 
  参事兼予算調製課長 藤尾善一
   

〇吉田昭彦委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第23号、議案第29号から議案第31号まで、議案第33号から議案第36号まで、議案第39号、議案第41号、議案第43号、議案第47号及び議案第48号の以上34件を一括議題といたします。
 本日は、商工労働観光部・総合雇用対策局、医療局及び地方労働委員会関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 また、質疑につきましては、世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する項目については、できるだけまとめて質疑されるとともに、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び答弁は簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性の強いもののみ、短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いいたします。
 最初に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求め、引き続き総合雇用対策局長に総合雇用対策局関係の説明を求めます。

〇小原商工労働観光部長 平成16年度の商工労働観光部関係の予算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計予算でありますが、議案その1の7ページをお開き願います。5款労働費のうち、総合雇用対策局及び3項労働委員会費を除く28億2、478万9、000円と、7款商工費の633億6、303万8、000円、あわせまして661億8、782万7、000円が商工労働観光部関係の予算の総額であります。これを前年度の6月現計予算と比較いたしますと27億2、173万円余の減、率にいたしまして約3.9%の減となっております。
 以下、予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 それでは、予算に関する説明書の148ページをお開き願います。まず、5款労働費についてでありますが、本県の有効求人倍率はやや改善の兆しはあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい状況が続いているところであり、このような状況の中、若年者の雇用対策等について取り組むものであります。それでは、各項目ごとに説明申し上げます。
 1項労政費でありますが、1目労政総務費のうち、当部関係の予算は1億3、147万9、000円であります。これは、中小企業の労務改善及び労働関係等調査に要する経費であります。2目労働教育費は、各種労働講座の開設に要する経費であります。次に、149ページに参りまして、3目労働福祉費は、仕事と家庭両立支援促進費や労働者等生活安定支援資金貸付金など労働者の福祉の向上に要する経費であります。4目雇用促進費でありますが、当部関係の予算は2億4、722万8、000円であります。主な事業でありますが、若年者等就職支援事業費は、新規学卒者等を対象とした就職面接会の開催や職業講習、就業体験による職業意識の啓発などにより、若年者の就職支援を行おうとするものであります。若年者ふるさと就職支援事業費補助は、未就職高校卒業生等の就職を支援するため、市町村が未就職の高卒者等を雇い入れた事業主に対して補助した場合に要する経費の一部を助成しようとするものであります。若年者就職支援センター管理運営費は、若年者に対するきめ細かなカウンセリング等の就職支援サービスを行うため、平成15年12月に設置した、いわてヤングジョブサポートセンターの運営に要する経費であります。チャレンジド就業支援事業費は、障害者の生活面と就業面を一体的に支援するチャレンジド就業支援センターの運営に要する経費に対し助成するとともに、民間職業訓練法人への委託による身体障害者及び知的障害者の職業能力開発を実施することにより、就業支援を行おうとするものであります。また、説明欄の一番下段に記載しておりますが、財団法人岩手県勤労者福祉協会清算費用負担金は、協会が管理運営を受託しております、いこいの村岩手につきまして、その所有者である雇用・能力開発機構が施設を民間へ売却することで準備を進めており、勤労者福祉施設としての運営が終了することから、施設の運営団体として設立されたこの協会は、平成16年度中に解散、清算が見込まれ、その清算に伴う費用の一部を負担しようとするものであります。
 次に、151ページに参りまして、2項職業訓練費1目職業訓練総務費でありますが、認定職業訓練費は、技能労働者の養成及び技能水準の向上を図るため、認定職業訓練に要する運営費及び施設設備費の一部を助成しようとするものであります。技能五輪全国大会開催推進事業費は、平成16年10月22日から25日までの4日間、本県で開催されます第42回技能五輪全国大会の開催及び本県選手の育成・強化に要する経費であります。2目職業訓練校費は、産業技術短期大学校を初めとする県立職業能力開発施設の管理運営に要する経費及び離転職者の再就職を促進するため、離転職者が民間職業訓練法人等において建設機械運転や介護サービスなど、知識、技能を習得するための訓練の実施に要する経費などであります。
 次に、飛びまして194ページをお開き願います。7款商工費1項商工業費であります。産業振興につきましては、起業家育成やベンチャー企業の支援、成長可能性の高い企業の重点支援など新産業の創出や創業支援に取り組むとともに、県内経済を支えております中小企業の事業活動の活性化を図るため、意欲のある中小企業に対する経営革新計画の策定支援や事業再生などに取り組むものであります。それでは、各項目について御説明申し上げます。
 1目商工業総務費でありますが、工業技術集積支援センター管理運営費は、新たに工業技術集積支援センターを北上市に設置し、誘致企業と地場企業との連携強化による自動車関連産業の集積と、産学官連携による内発型産業の創出を現地密着型で進めようとするものであります。いわて新事業創造プラットフォーム推進事業費は、財団法人いわて産業振興センターが行う、創業、研究開発から事業化までの各種支援事業に要する経費の助成などであります。重点企業成長密着支援事業費補助は、成長可能性の高い企業に対し専門チームが密着支援し、有望企業の成長を支援しようとするものであり、次の高度技術者起業化支援事業費は、高い技術力のある人材を県内外から公募し、工業技術センターや関係機関と連携しながら起業化を支援し、将来的に有望なベンチャー企業を創出しようとするものであります。また、戦略的技術開発推進事業費は、県内誘致企業が有する有望な技術シーズ、具体的には酸化亜鉛単結晶技術でありますが、これを核に、工業技術センターや岩手大学等の産学官連携のもとに実用化を目指した関連研究を実施し、関連産業の創出を図ろうとするものであります。こうした事業を通じて、産業の創出あるいは活性化を総合的に促進してまいりたいと考えております。次に、いわて型ペレットストーブ普及促進事業費についてでありますが、木質バイオマスエネルギーの利用を促進するため、市町村及び一般家庭、レストラン等が導入するペレットストーブの設置経費に対し助成しようとするものであります。195ページに参りまして、1行目の科学技術振興推進費から中ほどの平成基礎科学財団負担金までの事務事業につきましては、行政機構の再編整備により、地域振興部から当部の方へ移管になることに伴い、科目を移したものでありまして、地域振興部から説明申し上げているところであります。次に、国際経済交流推進事業費は、県内企業の海外展開への支援、ビジネスフェアの開催等東アジアなどとの経済交流を推進しようとするものであります。次に、195ページから198ページにかけて記載しております2目中小企業振興費でありますが、まず、商工観光振興資金は、中小商工業者等の設備改善等に要する経費に対する貸付金であります。196ページに参りまして、中小企業経営安定資金貸付金は、中小企業者に対して運転資金を融資することにより、経営の健全化を図るための貸付金であります。いわて起業家育成資金貸付金は、創意と活力ある企業育成のため、創業に要する経費に対する貸付金であります。商工業小規模事業対策費は、商工会、商工会議所等が行う経営改善普及事業などに要する経費に対して助成しようとするものであります。197ページに参りまして、中小企業経営革新支援事業費は、新商品開発など新たな事業活動を実施する中小企業等に対する助成や、経営革新計画の策定についての指導啓発に要する経費であります。なお、これは国庫補助による継続事業であり、これに加えまして新たに県単事業として次に記載しておりますが、いわて中小企業経営革新推進事業費補助を設け、県内の中小企業者の経営革新をさらに進め、国の承認要件を緩和した経営革新計画の認定事業及び認定を受けようとする中小企業者が実施する市場調査等、財団法人いわて産業振興センターが行う助成事業等に要する経費を補助することとしております。さらに、この事業に連動いたしまして、恐縮でございますが前のページ、196ページに戻っていただいて、中ほど9項目めに記載しておりますが、経営革新支援資金貸付金は、ただいま説明申し上げました県単事業による経営革新計画の認定を受けて、新たな事業活動を実施しようとする中小企業者に対する設備資金や運転資金の貸付制度を創設するものであります。次に、中心市街地活性化推進事業費補助及び中心市街地商店街施設整備補助は、中心市街地活性化法に基づき、市町村の基本計画及びタウンマネジメント機関の事業化計画に位置づけられた、商店街活性化のためのソフト事業の支援及び施設整備事業に要する経費に対し助成しようとするものであります。コミュニティ・ビジネス育成支援事業費は、福祉サービスや特産品づくりなど、地域に根差したビジネスの担い手育成や、その立ち上げを支援しようとするものであります。中小企業創造技術研究開発費補助は、中小企業者がみずから行う新製品や新技術開発等に要する経費に対して助成しようとするものであります。自動車関連産業創出推進事業費補助は、本県の新たな中核的な業種として今後大きな成長が期待される自動車関連企業群の集積を図るため、コーディネーターや推進チームの設置、技術・生産管理アドバイザーの派遣事業、調査・情報提供事業などに要する経費に対して助成しようとするものであります。198ページに参りまして、銀河プラザサテライト店設置事業費は、いわて銀河プラザのある東京銀座のレストラン等を銀河プラザサテライト店、具体的にはいわてフレンドリーレストランという名称でございますが、このサテライト店として指定をし、食材を通じて県産品の情報発信を強化しようとするものであります。森からの新ビジネス展開事業費は、森林や木材を新たな活用方策でビジネス化する企業や組合、NPO等を支援し雇用の創出を図ろうとするものであります。いわて短角和牛肉逸品化推進事業費は、首都圏の消費者を対象に、安全性の高いいわて短角和牛肉のオーナー制度を立ち上げ、購入はもちろんのこと調理法の紹介など情報提供や交流事業等を実施しようとするものであります。次に、同じく198ページの3目企業立地対策費でありますが、企業立地促進奨励事業費補助は、企業の立地を促進するため、市町村が実施する事業に対し助成しようとするものであり、コールセンター立地促進費補助は、雇用創出効果の大きいコールセンターの立地を促進するため、コールセンターの開設等に要する経費に対し助成しようとするものであります。企業立地促進奨励緊急特別事業費補助は、県北・沿岸部等において、企業の立地を促進し雇用の創出を図るため、先ほど申し上げました企業立地促進奨励事業費補助に加え、雇用人数等の要件を緩和した新たな助成制度を創設しようとするものであります。199ページに参りまして、4目中小企業経営指導費は、財団法人いわて産業振興センターが行う専門家派遣事業、情報化支援事業、研修事業及び取引支援事業等に対する助成などであります。5目貿易振興費は、海外販路の拡大など貿易振興に要する経費であります。6目工業技術センター費は、工業技術センターの管理運営に要する経費及び県内企業の技術ニーズに対応した試験研究、技術指導、企業技術者の養成等に要する経費、並びに計量検定に要する経費であります。なお、4行目の計量検定費につきましては、行政機構の再編整備に伴い科目を移したものであります。
 次に、201ページをお開き願います。2項観光費でありますが、観光につきましては、官と民のしっかりした役割分担と連携のもとに、国内外からの観光客の誘致拡大に取り組むものであります。それでは、各項目について説明いたします。
 1目観光総務費でありますが、観光事業推進費負担金は、官民の役割分担の中で、県観光協会が実施するにふさわしい事務事業を移管することに伴い、所要の経費を負担しようとするものであります。ゆったり・ぬくもり岩手の旅推進事業費は、本県の持つ魅力ある地域資源を有効に活用した岩手らしいゆったり・ぬくもり感のある旅行商品化を促進し、観光客の拡大を図るために、県観光協会が実施する事業に要する経費を負担しようとするものであります。北東北広域観光推進事業費は、観光客の誘致拡大を図るため、北東北3県共同での各種観光宣伝事業等を実施し、広域観光を推進しようとするものであります。国際観光推進事業費は、韓国、台湾、中国の各国別の戦略により外国人観光客の誘致を図ろうとするものであります。大河ドラマ「義経」タイアップ観光特別推進事業費は、平成17年1月からのNHK大河ドラマ義経の放映を機に、地元市町と連携を図りながら、観光客を誘致しようとするものであります。2目観光施設費でありますが、観光地間の移動の利便性向上を図るための外国語併記の総合観光案内板、誘導標識の設置など観光施設を整備しようとするものであります。
 以上で一般会計歳出予算の説明を終わりまして、次に債務負担行為について御説明申し上げます。
 戻りまして、議案その1の11ページをお開き願います。第2表債務負担行為のうち、当部関係のものは、事項欄の4から12ページの7までの4件であります。これらは、岩手県火災共済協同組合が行う火災共済契約の履行に関する損失補償、岩手県信用保証協会が行う、創造的中小企業支援資金についての信用保証契約の履行に伴う損失補償、及び財団法人いわて産業振興センターが貸与した設備に係る被貸与者からの償還金の納入がない場合の不足額の損失補償、並びに岩手県信用保証協会が行う中小企業再生支援に係る融資についての信用保証契約の履行に伴う損失補償について、それぞれの期間並びに限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 以上で一般会計の説明を終わります。
 次に、特別会計について御説明申し上げます。
 議案その1の33ページをお開き願います。議案第7号平成16年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算でありますが、これは、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ34億3、036万6、000円とするものであり、歳入及び歳出の区分は、34ページ及び35ページの第1表のとおりとするものであります。
 第2表地方債は、歳出予算の1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費のうち、中小企業高度化資金貸付金に充当しようとするものであります。
 各項目ごとの内容につきましては、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 予算に関する説明書の377ページをお開き願います。歳入歳出予算の総額につきましては、ただいま申し上げたとおりでございます。
 378ページをお開き願います。まず、歳入でありますが、1款繰入金1項一般会計繰入金1目一般会計繰入金は、中小企業高度化資金の貸付原資として一般会計から繰り入れるものであります。
 379ページの2款繰越金1項繰越金1目繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであります。
 次に、380ページに参りまして、3款諸収入1項貸付金元利収入1目貸付金元利収入は、設備資金貸付金などの貸付償還金であります。
 381ページの2項預金利子1目預金利子は、歳計現金の利子であります。
 次に、382ページに参りまして、3項雑入1目雑入は、違約金収入などであります。
 383ページの4款県債1項県債1目県債は、中小企業高度化資金の貸付原資の一部として、中小企業総合事業団から借り入れしようとするものであります。
 次に、歳出でありますが、384ページをお開き願います。1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費1目設備資金貸付費及び2目設備貸与資金貸付費は、財団法人いわて産業振興センターが行う設備資金貸付事業及び設備貸与事業に要する資金を貸し付けしようとするものであります。3目高度化資金貸付費は、構造改善等高度化資金貸付金などの貸付金及び中小企業総合事業団に対する償還金などであります。
 385ページの2項貸付事務費1目貸付事務費は、貸付事務及び資金の回収などに要する経費であります。
 以上で商工労働観光部関係の予算についての説明を終わります。
 続きまして、予算に関連した議案について御説明を申し上げます。
 議案その2の23ページをお願いいたします。議案第34号岩手県手数料条例の一部を改正する条例のうち、商工労働観光部関係の改正は、恐縮ですが33ページの議案第39号工業技術センター等条例の一部を改正する条例を受けて改正しようとするものでありますので、先にこの議案第39号を説明させていただきます。議案第39号工業技術センター等条例の一部を改正する条例につきましては、33ページから51ページにかけて記載しておりますが、これは、工業技術センターにおいてデザイン開発を促進することとし、岩手県立産業デザインセンターを廃止すること。及び計量検定所を廃止し、工業技術センターにおいて計量に関する業務を行うこととしたこと。並びに工業技術センターの手数料について額を改定することなど所要の改正をしようとするものであります。
 このことから、戻りまして23ページを再びお開き願いますが、議案第34号岩手県手数料条例の一部を改正する条例のうち、24ページの下から6行目に記載しておりますが、計量器の検定等に関する手数料を定めておりました、別表第4の15の項から27の項までを削除しようとするものであります。
 次に、53ページをお開き願います。議案第41号産業技術短期大学校条例の一部を改正する条例でありますが、これは、産業技術短期大学校の授業料等の額を増額しようとするものであります。
 以上で商工労働観光部関係の議案についての説明を終わります。よろしく御審議のほど、お願いいたします。

〇上村総合雇用対策局長 議案第1号平成16年度岩手県一般会計予算のうち、総合雇用対策局関係の予算について御説明申し上げます。
 議案その1の7ページをお開き願います。総合雇用対策局関係は、5款労働費1項労政費のうち、商工労働観光部関係を除く13億7、181万円であります。これは、国及び県の基金を活用した市町村補助事業、総合雇用対策局及び地方振興局が実施する事業などであり、他部局の雇用創出関連事業はそれぞれの部局の予算として計上しております。雇用対策につきましては、雇用創出目標の達成に向け、他部局と連携を図りながら積極的に進めてまいります。
 以下、予算の内容について、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただきます。
 それでは、予算に関する説明書の148ページをお開き願います。5款労働費1項労政費1目労政総務費のうち、総合雇用対策局関係の予算は6、242万7、000円であります。これは、職員の人件費や事務費など管理運営に要する経費であります。次に、149ページに参りまして4目雇用促進費のうち、総合雇用対策局関係は、150ページに記載しておりますが13億938万3、000円であります。緊急地域雇用創出特別基金事業費補助は、雇用及び就業の機会を緊急に創出するため、市町村が実施する事業に対し助成しようとするものであります。緊急雇用対策施設等整備奨励費補助は、県内の中小企業が施設等を整備し失業者を常用雇用した場合、施設等の整備に要した経費に対し助成しようとするものであります。地域雇用対策強化事業費は、各地方振興局に就職アドバイザーを配置し、求職者の就職活動の総合的な支援を行おうとするものであります。地域人材育成モデル事業費は、NPO等での実地訓練や経営手法などの習得を通じて、地域密着型サービス分野での起業や就職を希望する人材を育成しようとするものであります。また、雪冷熱システム開発推進事業費及び地域ものづくり産業技術改善事業費、並びに山・川・海の再生緊急特別対策事業費は、地方振興局が地域の特性を生かして、国及び県単基金を活用して実施する雇用創出のための事業であります。
 以上で総合雇用対策局関係の平成16年度一般会計予算の説明を終わります。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。

〇吉田昭彦委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。

〇阿部敏雄委員 中小企業振興費の中の岩手中小企業経営革新推進事業補助、それと経営革新支援貸付金の、県として、その目的、事業概要、そしてその審査過程についてお知らせいただきたいと思います。

〇江口産業振興課長 岩手中小企業経営革新事業の点についてお答えをいたします。
 経済環境の変化というものの中で、中小企業はさまざまな経営課題に直面をしておりまして、それに的確に対応していくということが求められるわけでございます。このような中で、自社の事業の状況の分析をした上で、強み、弱みの把握を通じまして経営基盤の強化、経営の向上を図っていくというのが中小企業に求められておるところでございます。このような中で、県といたしましては、平成14年度――昨年度からでございますが、中小企業経営革新計画策定について支援というのをいたしておりまして、このような計画づくりの支援というのを講習会等々を通じて行ってきたところでございます。
 このような中で、16年度につきましては、特にこのような計画づくりに取り組んだ企業の方々に対しまして、その計画をさらに推進していただくために、担保ですとか保証人に過度に依存しない、いわばビジネスプランとも言えます経営革新計画を重点的に評価をする制度をいわて産業振興センターに創設をいたしまして、やる気と意欲のある中小企業に対して支援をするということで、この制度を立ち上げるということにいたしたところでございます。
 具体的には、企業の方にその計画というのをつくっていただきまして、その計画につきまして産業振興センターの方で委員会を構成しまして、そのプランの審査を行うことといたしております。審査といいますのは、具体的なビジネスの経験者ですとか、コンサルタント、さらには、ある意味、過去金融に携わったことがあるような方々などに入っていただきましてプランを審査する。その事業の効果というのを見きわめた上で、その事業がうまく進むのかどうかというのを審査するということにしておるところでございます。この事業につきましてその委員会で評価が得られたものにつきましては、金融機関に対して事業としての可能性が高いということでの評価を提出するということによる、ある意味推薦を行うことによって資金、設備資金ですとか運転資金にリンクをさせるということを考えておるものでございます。
 また、特に事業計画をつくる上では、単に事業計画をつくっただけではなかなか難しい問題が出てくると思います。例えば、その事業が本当にうまくいくんだろうかというようなこと、例えば審査をしていてもある意味、プランについて、アイデアについて、うまくいきそうかもしれない、ただ、実績というものがなければなかなか難しいというような場合には、その事前の問題といたしまして、貸し付けに至るという以前の問題として、ある意味小規模な、ある意味パイロット事業的なものを行っていただこうというようなことを考えております。この事業に対しての補助をするというのもこの制度の中で用意をする。その補助事業を通じましてそのビジネスプランをさらに一段と高めていただきまして、その評価をした上でさらには貸し付けにつながるというような仕組みを考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、県内、やる気のある中小企業の方々の経営革新というのを支援していくというのは我々非常に重要だという認識に立っておりますので、これらの制度を使いまして、これまでの計画づくりに対する支援から、その実行に対する支援というものを的確に行っていけるようにしたいと考えておるところでございます。

〇阿部敏雄委員 実は今の言葉の中でやる気という言葉がありましたね。事業をやる人はそういう意識があるんですよね。しかし、これは県だけが幾らそういうことを話しても、これは最終的には保証協会の保証がなければだめですよね。銀行と保証協会ですよね。よく言うんですけれども、本当はやりたい、しかし、事業がこの今の状態であれだから新しい何かをしようと思って計画して出しても、やはり過去にちょっとまずかったのではないかということになれば、いかに意欲を持ってもやれない。それはやはり保証協会の保証がなければやれない、銀行がいいと言っても保証協会がだめではだめですね。ですから、私は、こういうのは県も保証協会と本当につながりが深いわけですから、よく密にやって、やはりやる気、そうでないと、ここにやる気とか何か書く必要がないと思う。やる気と意欲のある者にはやはりぴちっとした指導をすると思うので、その指導は保証協会なり、また、銀行などにもやはり、こういうのを県で今度やるんですから、ぜひ前向きに取り組んでくれるような姿勢を示すように私はお願いしたいと思います。いかがですか、それについては。

〇江口産業振興課長 委員御指摘のとおり、最終的には金融にいかに結びつけるかというのが重要になってくるところでございます。特に今年度には地域の地方銀行なども地域に密着した経営ということでのプランというようなものも示しておるところでございます。また、保証協会といいますものもそれをサポートするという意味で非常に重要な役割を担っておるところでございます。我々もこの制度をつくるに当たりまして、やはりやる気と意欲のある中小企業者をいかに応援するかということでこのようなプランの審査をする。やはりこれまで難しいところはプランを審査するというのが難しかったところでございますから、そこの点について我々もきちんと責任を持った体制をつくるということで、保証協会を含め議論を尽くしてきておるところでございます。いずれにいたしましても、関係者が一丸となってこれに取り組むというのが重要でございますので、これまで以上に関係機関との連携というのを深めて、この事業を進めてまいりたいと考えております。

〇中平均委員 関連してお伺いします。この中小企業振興費、平成15年度の決算においても大きく減額補正しているところであります。当該委員会の方でも質問が出たと聞いてはおりますけれども、その理由をお聞かせ願いたいと思います。

〇吉田昭彦委員長 簡潔にお答え願います。

〇江口産業振興課長 中小企業振興費における貸付金の減額ということについてということでお答えをいたしたいと思います。
 平成15年度2月補正におきましては、県単制度の貸付金融資実績見合いとして合計で69億6、700万円の減額を行っておるところでございます。これは新規融資分の実績見込みに対する減額補正として28億5、900万円、過年度分、これは以前に貸し付けた分、毎年度の更新ということになってまいりますので、その見込みに対する補正といたしまして41億800万円の減額ということにいたしたところでございます。補正の理由ということでございますけれども、平成14年度の融資実績見込みをもとに平成15年度の予算措置というのを行ったところでございますが、これに対して新規、今年度多少の伸びは見えるところでございますけれども、予想していたほどの伸びがなかったということが大きな原因ということになっておるものでございます。また、14年度以前に係る貸し付け、過年度分の貸し付けにつきましても、当初14年度内の見込みをいたしたものが一部予定に満たなかったということがございまして、そのようなことでの貸付減というのを行ったというものでございます。

〇中平均委員 この貸付制度が県のパフォーマンス的なものにならないように強く望みまして、今後の取り組みについては先ほどの阿部敏雄委員からの質問でお答えいただきましたので、それを言わせていただいて質問を終わります。

〇平沼健委員 説明書の198ページの企業立地対策費について伺います。
 この中に企業立地促進奨励事業費補助として、補助率2分の1で2億520万円、それからその下の下に今回新しく企業立地促進奨励緊急特別事業費補助として2、000万円ございます。これについて伺いたいと思います。従来の企業立地、企業誘致についての補助というのはたしかこの上の方の、前段の方の、県とそれから各市町村が総事業費の1割をというような形だったと思いますが、それに加えて今回、新規に県北と沿岸部で、たしか雇用が5人以上であればというような形で出てまいりました。これは本当にすばらしいことだと思っております。一つ伺いたいのは、例えば県北・沿岸でそういう企業が立地したときに、これは両方とも利用できるということなんでしょうか。それをまずお答えいただきたいと思います。

〇菅原企業立地推進課長 5人以上の新設の企業立地促進奨励緊急特別事業費補助でございますけれども、県外の方が最初に県北につくって、それからまた後で沿岸の方にもつくるというようなケースの場合には、どちらも県外資本の進出ということで、2度使えるということはございます。

〇平沼健委員 いや、そういうことではなくて、従来のものは県内全体にこれは利用できるわけでしょう。今回新しくなったのが県北と沿岸ということでしょうから、県北・沿岸に初めからこういう企業を誘致したときに、両方ともこれが加算されるのですかということなんですよ、私が伺っているのは。

〇菅原企業立地推進課長 10人以上の方につきましては、現行制度を使って、それから5人から10人のところの方は緊急のものを使っていただきたいということでございますけれども、同時に両方使うということはできませんということでございます。

〇平沼健委員 わかりました。それと、今この企業誘致ということは、お互い県同士で、全国でえらい競争なわけですね。雇用の問題がこれは絡んでおりますので。それで、ある県では莫大な補助金を出しているというところもあるわけでして、それはそれといたしまして、我が県内では、例えば各広域によって、あるいは各市町村によって、例えば自動車関連がここのエリアが今、盛んに出てきているとか、あるいは金型とか、あるいはリサイクルとか、そういうような地域の特性といいましょうか、そういうのが今、大分固定されてきていると思います。そういうところにはいろんな関連企業が将来張りつく可能性がこれは大きいわけですね。ですから、私が今申し上げたいのは、今回のこういう補助制度は、これはこれで結構なんですが、そういう地域の特性を生かすようなそういう企業といいましょうか、そういうのがもっとその地域で拡大をするというときには、さらに加算されたような、それを後押しするようなそういうような考え方があるのかないのか、それが一つ。
 それから、例えば、ある地域に県内に数百人の企業がどんと来るというようなことがあったときに、今までのこの補助以外の何か、ある県がやっているようなそういうような考え方が県にあるのかないのか。
その二つをあわせてお示しを願いたいと思います。

〇小原商工労働観光部長 企業誘致、誘導のための県の施策のお話だと伺いましたが、いずれ委員御指摘のとおり、地域あるいは企業の業種、それらがもう画一的に考えられませんので、例えば今回特別事業であれしたことも、比較的このごろ集約産業、いわゆるソフトウエアとかそういうのがふえてくる。これまでの既存の事業費補助では10人以上だったものですから、結構雇用人数は小さいけれども誘致で来ているところがある。そういう実態を見まして、10人だとちょっときついと、ですから5人に緩和しようということが今回の創設の理念ということで、いろんな状況を見ながらこれについては柔軟に対応するということで、今回みたいに特別事業をつくったり、あるいは既存の制度の中に補充したり、そういうことは考えていきたいと思います。
 それから、かなり大きな形で来た場合、これはやっぱり流れとして単なる誘致企業の、誘致してある特定の団地に特定の企業が来るというよりは、もっと大きい政策的な問題になってきますので、当然ながら既存のこういった奨励事業費の枠で対応できないということになると思いますので、多分そういうレベルでのお話でございますよね。ですから、そういうときには全然また違う形で、まさに議会でもきちんと議論していただきながら、大きな形で対応を考えるべきものだと考えますし、ですから、私どもとすればそういうことも含めてこれから誘致活動を続けながら、そういうスケールの大きい形のものが、萌芽があればそれについての戦略については十分検討してまいりたいと思います。

〇亀卦川富夫委員 4点にわたってお尋ねいたします。
 まず、第1点、工業技術集積支援センターがこのたび新設されます。これまで周辺の工業振興等は北上川流域テクノポリス構想に基づいて振興策が図られてまいりました。かなり実績が上がってきたと思います。そこで、このたび工業技術集積支援センターが新設されますが、これは40の政策に基づく施策展開と思いますが、これの具体的な施策内容と進め方についてお伺いいたしたいと思いますが、それに基づきまして、一つは、自動車産業を中心とした構想でありますが、中心となる企業との話し合い、あるいは具体的な計画など、どのようにこれを今、進めているのかお伺いいたします。
 さらに、これは花巻市、北上市、江刺市、金ケ崎町、それに水沢市の4市1町を圏域とした立ち上げでありますが、この圏域市町との連絡ですとか、あるいは準備の状況をお聞きしたいと思います。
 また、地元の関連企業と目されるもの、あるいはそれの組合、また、商工会議所など経済団体との連絡、連携、これは進めると思いますが、どのようになっておりますのかお伺いいたします。

〇久保商工企画監 工業技術集積支援センターについてお答え申し上げます。
 この支援センターにつきましては、40の政策の中に七つの重点施策の第1番目に、21世紀型の新しい産業先進県を掲げておりますので、その具体的な施策展開の一環として、今回、北上オフィスプラザ内にこのセンターを設置しようとするものでございます。センターの具体的な配置になりますと、4人の専任職員を配置いたしまして、自動車関連産業を中心に、ものづくり産業の集積と高度化を図っていく。そのために地域に密着した活動を展開するということにしてございます。
 それで、具体的にはその支援センターの中に二つ、技術移入支援部と、それから地場産業育成部というのをつくりまして、その技術移入支援部の方では主に関東自動車工業岩手工場との連携を図りながら、昨年、いわて産業振興センターに配置いたしました自動車関連産業創出コーディネーターと協力いたしまして、自動車産業を支える部品メーカーの誘致あるいは技術移入の促進、それと自動車組み立て工場及び部品メーカーからの地場企業への受注率の発注の向上、こういったものに取り組んでまいりたい。それから、地場産業育成部では、岩手大学地域共同研究センターあるいは花巻市起業化支援センター、北上市基盤技術支援センターなどと、いわばその産学官の連携による、ものづくり技術の育成や高度化の支援に取り組んでまいりたいと思っています。
 事業の推進に当たりましては、先ほど委員からお話しございましたとおり、地元市町村、それから商工団体あるいは県でも4人の専任のほかに、本庁に3人、それから花巻、北上、水沢の各地方振興局に1人兼務職員を発令していますので、こういった関係団体一体となって取り組んでいかなければならないと思っていますので、それについては十分連携を図って取り組んでまいりたいと思ってございます。

〇亀卦川富夫委員 ぜひこの連携、まだこれからだろうと思いますので、十分図っていただきたいと思います。さらに、触れられたと思いますが、いわゆる産学官共同でというお話でありますが、これは自動車関連以外のもの、こういった分野まで広げていくということで受け取っていいのかお伺いします。
 それから、もう一つは、自動車関連となりますと、このいわゆるインフラ整備というのが必要だろうと思うのですね。港湾ですとか、あるいは道路、橋梁、この辺の関係まで考えていかないとなかなかこういった大きな試みというものは、いわば中心企業とのつき合いから言っても、技術ばかりではないと、そういうインフラ整備の部分というものも大切だろうと思いますが、どのようにお考えになっているかお聞きします。

〇久保商工企画監 先ほどちょっとお話し申し上げましたけれども、産学官の連携に取り組みますのは、最終的にはものづくり基盤というものに岩手大学の研究シーズ等を活用して取り組んでまいりたいと思っておりまして、いずれ北上川流域にこういったものづくり基盤の集積を図りまして、これが県内全体に波及していくようにそれは十分配慮していかなければならないと思ってございます。
 それから、インフラ整備との関係ございましたけれども、できましたら県内でつくったものは県内の港湾から輸出するというのは大変重要だと思いますので、これにつきましては県土整備部と十分連携を図りながら、対応をしてまいりたいと思ってございます。

〇亀卦川富夫委員 二つ目に中心市街地活性化についてお尋ねいたします。
 中心市街地ということは非常に今、空洞化、衰退が進んでいるわけでありますが、その中で、これは県土整備部の部分でありますが、今、岩手県の都市計画、マスタープラン、これを策定中なわけです。これは言ってみますと、いろいろなものが都市計画にあるわけですが、特にこの市街地の形成ということでは非常に大切な計画であります。ただ、これは長期にわたります。その中で、今コンパクトシティーという考え方がまちづくりの思想といいますか、そういうものの主流になりつつあるといいますか、岩手県ではそれをはっきり標榜していくということになります。これは従来の市街地活性化という点では、商業機能ということのみにある意味では着目してやっていたものだろうと思いますが、近ごろでは住まい、住を主体にしたコミュニティー機能といいますか、そういった機能が大変大切だと、つまり福祉とか、具体的には医療、学校、こういった施設などを複合的に設置、機能させることによっての経済効果、あるいは集積というようなものを目指すものでありますが、こういったものが今、県のまちづくりの中心的思想として策定されつつあるわけですが、そういった意味でこの中心市街地、今、当部で進めているもの、これは中心地イコール商業ということからやはり脱皮して、そういうものを一体的に今後進めていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇江口産業振興課長 中心市街地の活性化に対する政策ということでございますが、平成10年に施行されました中心市街地活性化法というものにおきましては、地域活性化のために地域の創意工夫を生かしながら、市街地の整備改善及び商業等の活性化を柱とする総合的、一体的な対策を推進するということを目的に、商店街の枠組みを超えた中心市街地全体の活性化を図るということを目的といたしておるところでございます。これまで当部で行っております支援策につきましては、委員御指摘のとおり、やはり商業中心というのが見え隠れする部分があるやに思われる部分もあるというふうには認識をいたしておるところでございますが、他方やはり今申し上げましたような思想のもとにこの法律ができておるわけでございますし、そのような観点からは商店街振興だけではなくて、商店街に住む高齢者、子供たちを含めた、さらにはその周辺の住民にとって暮らしやすいまちづくりをするというのが最も重要であると考えておるところでございます。このため、この計画の中には大規模なハード整備などというものも伴ってきてしまいまして、なかなか財政的な面等々の状況から整備が進んでいないということにあるというのも認識をいたしておるところでございます。
 このような中ではございますけれども、やはり今後、委員御指摘のとおり、暮らしやすいまちづくりというのをしていくということが重要だということでございますので、やはり地域の方々の創意工夫を生かして特色のある町並み整備を進めるという観点からコンパクトシティーという概念も出てきておるところでございます。このようなものにつきまして既存の都市基盤というのを有効に活用するとともに、住宅、医療、さらには教育ですとか商業、これらを複合的に整備していくということが必要だと考えておりまして、この合意形成ですとか事業プランの明確化につきまして、関係部局と連携を図りながら支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。

〇亀卦川富夫委員 非常に当を得た答弁といいますか、ぜひそのように願いたいわけですが、ハード整備を伴わないと、これはなかなかこの実現が難しい分ですね。ところが、そのハード整備の分となりますと、例えば県土整備部でいきますと道路とかそういったものになってきますね。そうしますと、今の財政上どうしてもその政策評価というもので相当な点数を上げていかなければだめなんですが、道路を拡幅するようなものでは点数は上がりませんね。しかし、それは、ハードは県土整備部、こうなりますと今のような総合的なものが政策評価という点につながっていきませんと、せっかくいろいろ皆さんが努力されても、あるいは地域社会がそのつもりになっても実際は取りかかれないということですので、今後ぜひ関連部局と十分この辺が政策評価につながるような進め方をお願いしたいと思います。まず、これが一つです。
 それから、そうは言ってもこれもまた時間がかかるわけです。しかし、現在のこの中心市街地のありさまというものは、もうこれは全国的に大変なわけですが、地元の水沢市におきましても、今ジャスコの撤退というのが顕在化いたしまして大変これは問題なわけであります。今、中心市街地いろいろ進めてきましたが、周辺には企業はどんどん立地しているわけですが、あっさりと撤退ということは非常に我々としては困ったことだとしか言えないわけですが、ぜひこれは県の一つの大きな政策の中で、そういう企業とのお話し合いなども十分やっていただきたい。これが一つであります。
 どうしてもやむを得ないというときにこれをどう立て直していくかというときに、さっきのコンパクトシティーのような考え方でそういった商業施設をリニューアルといいますか、再生していかなければいかぬ。こういうときに今の考え方をもって国等、依然として国のやはり政策に乗りませんとこれは具体的には進められませんので、国、地元市、そういたしますとどうしても県の方の強力な働きかけ等がないと、国もやはりなかなか進みにくい部分があるのではないかと思いますがいかがなものか、現在の現状をどうとらえているか、そして、今後どう進めるかについての決意をひとつ表明していただければと思います。

〇小原商工労働観光部長 コンパクトシティー構想に絡んでそういう中心市街地のいろんな、水沢の例も含めてお話があったわけですけれども、国の方では基本的にこれまで以上に、いわゆる市町村にまちづくりの権限を与えようということで、現在、都市再生特別措置法改正案というのを国会に提案しているわけですが、したがって、それぞれの都市でそういう今の問題も含めて、やっぱりまちづくりをどうやっていくかということを、それぞれの市町村がやっていく。その場合に可能な限り市町村に権限を与えようという考え方。ですから、コンパクトシティーもそういった形のベースになる理念だと思うわけですね。したがいまして、委員御指摘のとおり、県土整備部の方でもコンパクトな都市づくりというのを基本理念に現在マスタープランを立てていますので、そういった形でうちの所管としてのことはソフト事業を含めて全部やりますけれども、今後そういうことで市町村がまちづくり、具体的に言いますとまちづくり交付金というふうな形で検討されているようですので、そういった形で主体的に、あるいは独自性を発揮してまちづくりができるような形がこれまで以上に強まるのではないか。そうしますと、私どもの立場で、例えば、いわば撤退した各テナントをどう立ち直すかというあたりも、かなり市町村の主体性で考えられるのではないか。したがいまして、そういったことも含めて県土整備部、そして私どもそれぞれの所管で、あるいは市町村と3者で、今後いい形でやっていけるのではないかという期待感もございます。
 いずれにいたしましても、私どもとしては、先ほど課長が言ったとおり、市町村、そして関係部と連携して、国のそういった考え方、制度等を活用しながら、うちが持っている部分については最大限発揮して市町村を御支援申し上げたいと思っています。

〇吉田昭彦委員長 答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

〇江口産業振興課長 水沢市の大型店の撤退問題でございます。
 このリニューアルといいますか、その再活用につきましては、地元市、さらには地元の事業者の方々、さまざまな検討を行っておられ、我々も相談を受けておるというところでございます。そのような中で、やはりなかなか事業プランといいますものが練り切れていなかった部分というのがこれまではあったのかなと考えるところでございます。
 いずれにいたしましても、このような計画づくりというものにつきましては、例えば宮古のサティも、大型店が撤退した後の再活性化ということでの、うまく事業が進んでいるというような例もございます。このような例もございますので、関係者の方々といろいろと議論をさせていただきまして、我々もそのような方々の事業がうまくいくように、市街地活性化が進むようなところで、いろいろな助言、さらには国への働きかけというものもやってまいりたいと考えております。

〇亀卦川富夫委員 特にこの中心市街地におけるジャスコの件は、今、緊急課題でございますので、ひとつ、特に年次がまたがってきますのでやりにくいところがあると思いますが、十分地元の考え方をお聞きしてもらって、頑張っていただきたいと思います。
 次に、観光振興についてお尋ねいたします。
 銀河系いわて情報発信事業の推進。この銀河系いわて情報発信推進事業によって、岩手県のホームページアクセスが月に13万件を超えるなど、相当岩手に対する注目度が上がってきているのではないかと思いますが、このホームページのアクセス等の一定の成果について、観光推進の上で分析とか、あるいはそれの活用策について、今、何か取り組んでおられるのかお伺いいたします。

〇田中観光課長 ホームページの関係でございます。
 観光でもホームページを持っておりまして、これは県のホームページともリンクしているところでございます。観光のホームページは2、000件を超える観光情報をテーマ別・ジャンル別に整理、データベース化しまして、平成14年4月から供用しているところでございます。本年度のアクセス件数は月平均2万6、000件ということで、昨年に比較しまして26%ほどふえているところでございます。
 そういうホームページを持っているわけでございますけれども、そのホームページの中でも、さまざまな御意見等をちょうだいするようなシステムになっております。そして、ちょうだいしました御意見等につきましては、関係者に周知いたしまして、観光宣伝だとか、受け入れ態勢の向上等に活用しているところでございます。

〇亀卦川富夫委員 特に、来年度の予算にもございますように、大河ドラマの関係と、あとは世界遺産というようなことでの平泉、こういったことでかなり注目を浴びているのではないかということで、ここはもう相当強力に進める年であろうと思います。
 一方、食の部分で、特に安心とか安全という部分で、岩手の農産物といったものに非常に関心が高まっているのではないかと。そこで、グリーンツーリズムとかといったものとの連携、これらの考え方についてお尋ねしたいと思います。

〇田中観光課長 まさにおっしゃるとおりだと私どもも認識しているところでございます。これからは、やはり単なる観光関係だけではなく、今委員おっしゃったさまざまな、農林水産業ですとか、あるいは食、さらには人との触れ合い、そういったものを総合的に、やはり地域の力を発揮していくことによって観光がますます振興されていくものと認識しているところでございます。今後とも、関係部局とも十分連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

〇亀卦川富夫委員 最後に、国際経済交流推進事業についてお尋ねいたします。
 これは、岩手が外に打って出るという意欲を私は高く評価したいと思います。そこで、これは県だけが突出してもなかなか進まないだろうと思うんですね。これは県内の民間という意味ではなくて、もう少し幅広く民間との協働、こういったことをどのように考えて推進していくのか、また、今、観光部門でありましたが、農産物の輸出などが、リンゴ等の試験輸出などが考えられておりますが、これらと相当リンクしていくべきだろうと思います。この辺の進め方について、来年度どのように取り組むのかお伺いして、終わりたいと思います。

〇久保商工企画監 海外との経済交流は地域経済を発展させていくために大変大事だと思っていますけれども、経済交流の主役になるのは民間ということになりますので、いずれ民間ベースでの交流を拡大していかなければだめだということで、県としての重要な役割というのは、そのきっかけをつくったり、あるいは県内の企業と海外の企業の橋渡しをしていく、そういったところだろうと思いますので、そういったことに県としても取り組んでまいります。また、これを進めるに当たっては、商工団体はもちろんですけれども、あとは個々の企業、そういったいろいろな需要を聞きながら取り組んでまいらなければならないと思ってございます。
 それから、農産物輸出関連との関係でございますけれども、今、委員からお話ございましたとおり、農林水産部で日本貿易振興機構あるいは海外事務所等を活用して、リンゴなど農林水産物の輸出拡大に向けまして、海外での市場調査あるいは試験輸出等に取り組むとなっております。こうした事業を効果的に推進して本県の輸出拡大を図るといったことからも、農林水産部と商工労働観光部が十分に連携というよりは、一体的に取り組んでいかなければならないと思っております。
 また、これまでも海外等のフェア等につきましても一体的に取り組んでまいりましたので、今後、さらにそういったものを詰めていきたいと考えております。

〇佐々木博委員 それでは、信用保証事業についてお伺いしたいと思います。
 最初に、保証承諾の件数と金額並びに保証債務残高の件数と金額について、最新のデータをお示しいただきたいと思いますし、あわせて、それが増加しているのかどうなのか、その傾向についてもちょっと教えていただきたいと思います。
 それから、ことしの2月10日から始まったばかりなわけですけれども、資金繰りの円滑化の借換保証制度ができましたね。これがどの程度実施されているのか、それについてもあわせてお知らせいただきたいと思います。

〇吉田昭彦委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

〇江口産業振興課長 信用保証協会の保証実績でございます。
 平成15年度、これはことしの1月末の数字でございますが、件数にいたしまして1万1、000件余、金額につきましては1、058億3、500万円となっております。これは、前年同期比で見ますと、件数にしまして35.5%の増加、さらには、金額につきましては48.6%の増加になっております。
 保証債務残高でございますが、これは2、800億円余ということになっておるところでございます。これにつきましては、金額ベースで前年度比94.5%ということで、減少の傾向でございます。
 さらに、資金繰り円滑化借換保証でございます。これは平成15年2月からスタートしたものでございます。これまでの実績でございますが、1月末現在で1万2、591件の利用がございました。これは全体に占める割合で見ますと、これも昨年度2月、3月では金額ベースで全体の20%が借換保証ということになっておりましたが、平成15年度については23%ということで、増加傾向にあるものでございます。

〇佐々木博委員 今のをちょっと確認したいんですが、保証承諾の金額は前年度と比較して48%増ですよね。それで、保証債務残高は94.5%減ですね。そういう御答弁ですね。94.5%の減。保証債務残高の金額、そうですね。間違いありませんか。

〇江口産業振興課長 94.5%となっておりまして、5.5%の減少でございます。失礼いたしました。

〇佐々木博委員 それでは次に、こういった経済状況でありますので、恐らく代位弁済がふえているのではないかと思うんですが、代位弁済の最新のデータの金額と、その回収金額でも率でもいいですけれども、それから、代位弁済がどういった傾向になっているか、多分ふえていると思いますけれども、その傾向についてもちょっとお示しいただきたいんですが。

〇江口産業振興課長 代位弁済でございます。これも平成16年1月の数字でございますが、439件で36億5、500万円ということで、これは前年が少し大きかったものでございますので、件数については13.6%の減、金額についても31.5%の減ということになっております。
 また、回収額でございますが、平成15年度につきましては13億円ほどの回収をいたしておるところでございます。これも回収率は3.9%強でございます。これを前年と比較いたしますと、回収額は多少増加の傾向にございます。回収率については求償権の残高がふえておりますので、多少減少ということになっております。

〇佐々木博委員 大変金融が厳しいわけですけれども、金融機関はオーケーと言っても、保証協会が保証してくれないので融資が受けられないというお話を実はよく聞くわけであります。しかしながら、例えば98年から2001年にかけて特別保証という制度がございまして、合わせて30兆円ほどのお金を国で準備して、29兆円ぐらいが融資に回されたはずであります。2002年6月のデータしかないんですが、それの代位返済が、保証件数も6万弱を占めて、金額にして約1兆3、000億円に上ったんですが、回収できたのは809億円だったというデータを実は私は今手元に持っております。
 こういった状況でありますから、中小企業総合事業団がやっております信用保険制度、何かその再保険の財源が非常に厳しくなっているということを伺っているわけであります。結局、これがどういうことになるかといいますと、それがいわゆる信用保証協会からの融資を受けるときの保証率というんですか、これが結局高くなってくる。要するに、お金を借りるコストが高くなってくるということにつながってくるのではないかと思うんですが、その信用保証料率の推移についてちょっとお伺いしたいと思うんですが。

〇江口産業振興課長 信用保証料率でございます。
 普通保証のケースでございますが、昭和54年から平成14年までは普通保証が1%、平成15年、今年度でございますが、値上がりしてございます。これは信用保険料、要するに中小企業事業団へ支払う保険料ということになりますが、それが0.3%上乗せになってございまして、無担保保証で1.35%、有担保保険証では1.25%という率になっておるところでございます。
 県単融資の制度につきましては、一部補助をするという形になっておりまして、今年度までは0.7%という保証料率で運用いたしておるところでございます。

〇佐々木博委員 この保険ですけれども、代位弁済した金額について全額保険で補てんされるわけじゃないですよね。7割とか8割とか、そういった金額だと思います。ですから、県の保証協会の運営上もいろいろ困難な問題が出てきているのではないかと思うんですが、私は、これの原因の一つに、金融機関が、信用保証協会が保証さえしてくれれば融資しますよと、要するに自分のところできちんとした適性が、担保の査定だとか、そういったことを余りしていないのではないか。したがって、代位弁済をした後の回収率も低いということは、結局、担保価値が低いから回収率が低いわけですよね。
 そこでちょっとお伺いしたいんですが、信用保証協会で保証する際、例えば担保の査定だとか、そういったものはどの程度きちんとやるものですか。金融機関から上がってくれば、大体そのままうのみでやるものなのか、それとも改めてきちんとやっているものなのか、そのことについてちょっとお伺いしたいと思います。

〇江口産業振興課長 担保の査定ということでございますが、詳細なところまで、運営のところまで、我々そこまで踏み込めていない部分があって、正直、理解が不足している点があるかもしれませんが、私が聞いている限りにおきましては、保証協会でもきちんと担保評価を行っているという認識でおります。

〇佐々木博委員 保証協会でももしきちんと査定されているということであれば、回収率が余りにも低いですから、やはりきちんとした担保の査定がされていないのだということだろうと私は思います。
 何でそうなるかというと、代位弁済されるような事態になってしまいますと、きちんとした担保査定のもとでの融資をされていないと、結局、債務者にその後の負担というものが物すごくかかってくるんですね。ですから、そういったところのチェック機構を、金融機関もそうですし、信用保証協会も、やはりもう少しきちんとやらなければ、最終的には債務者に想定外の負担がかかっていくといったことになってしまうということが、まず1点挙げられるのではないかと思うわけです。
 それから、もう1点ですが、実は全国の信用保証協会のホームページを見てみました。リンクしていないのが岩手県の保証協会だけ。全国広しといえども岩手県の保証協会だけが、実はホームページのリンク先になっていません。
 やはり普通の方は、例えばどういった保証制度があるだとか、時間の都合もありますし、いろいろ調べたいといった場合、最近はやっぱり随分ホームページを見て、そして調べる方が大分ふえているだろうと思うんです。なかなか金融機関に行って聞くとかといっても時間がありませんから、まず予備知識を得るためにもホームページを見る。こういった場合、岩手県だけがまだホームページを開設していないようでありますので、これについてはぜひとも開設するように指導していただきたいと思います。

〇江口産業振興課長 保証協会の経営がきちんとしていないと、事業者の方々に対する保証というものもできなくなりますので、担保の査定等々含めましてきちんと行うように、我々からも意見を申し述べておきたいと思います。
 また、同様に、広報につきましては、インターネットは最近非常に重要なツールということになっておりますので、状況を確認した上で、適切に対処するようにしたいと思います。

〇高橋雪文委員 説明書196ページ、中小企業振興費のいわて起業家育成資金貸付金に関連して質問させていただきたいと思います。
 この貸付金に関しましては、岩手県内のベンチャー企業育成について、その企業に対しての貸付金が主なものだと思うんですけれども、この平成15年度の実績と、あとは企業の成功事例があるのであればお示しいただきたいと思います。
 また、各地域では市町村単位でインキュベート支援センターというものを設立しておるんですけれども、その事業との連携、もしくはその実態をお知らせいただきたいと思います。
 また、あわせてその実績についてもわかる範囲でお示しいただきたいと思います。
 さらに、ベンチャーの育成は、私は大きく二つあると思います。それは、企業内のベンチャーと、あとは全くのベンチャー、ゼロベースから始まるベンチャーですけれども、そちらの割合が今日どういうふうになっているのか。いわゆる企業内ベンチャーの方が私は成功例が非常に多いのではないかと思うわけでありますけれども、それについてお知らせいただきたいと思います。
 また、アメリカとかヨーロッパ各国と比べますと、ベンチャーに対する考え方が日本では非常におくれていると言われております。そういった意味で、これからベンチャーを育成していくというのは非常に重要なわけでありますけれども、このベンチャーマインドの育成についてどのような取り組みをされているのか、それについてお知らせいただきたいと思います。
 また、同ページの各種支援金の損失補償費の考え方と見込みについてお知らせいただきたいと思います。

〇江口産業振興課長 起業家育成資金貸付金でございます。これは今年度の実績でございますが、65件、金額にいたしますと5億3、156万円ということでございます。件数につきましては、昨年度同期比ほぼ同等、2%増ということになっております。一方で、少し小さい形での創業というのが多くなっているということで、金額につきましては44%の減少ということになっているところでございます。
 これまでの成功事例ということでございますが、幾つもあると思いますが、その中で、最近の例といたしましては、ワイン工場、ワインの生産・販売を行うということで、これはやっぱりワイン会社から独立された方でございますが、そのような方々が起業したというような事例もございますし、また、これは盛岡市内でございますけれども、ビールの醸造・販売ということで、地ビールの販売を行っておられる方々がいらっしゃるというところでございます。
 続きまして、インキュベートでございます。
 現在、県内には6カ所のインキュベートセンターがあるところでございます。このような中で、県がどのようなサポートをしているかということになりますと、県で設置しておるもの、これはマリオスにございますが、ここにつきましては、施設の借り上げを行いまして、賃料を安くしてお貸しするというようなことで、借料の補助的な事業、さらには、事業者の方々を支援するマネジャーの設置費、さらには経営相談、さらには展示会に出展するといったような事業についての経費について補助いたしているところでございます。
 このような中で、今申し上げました4施設すべてについてデータをとっておるわけではございませんので、県が事業の補助をしているところにつきましては71社の企業が利用しておりまして、その後、原則3年以内という利用期間になっておりますので、それを出た企業が37社あるということでございます。すべてにおいて成功しているということではなく、倒産した企業も中には残念ながらあるとは聞いておるところでございますが、県内各地で事業を展開していると聞いておるところでございます。
 また、企業内ベンチャーとゼロベースでの割合はということでございましたが、これにつきましてはデータをとっておるものではございませんので、具体的な数字は把握いたしておりません。ただ、企業の方々と話をしておりますと、もともとある会社で働いておられて、独立をして事業を展開する、技術を身につけて、その技術をベースに事業をされているような方の成功例が多いように私の方でも感じておるところでございます。
 また、ベンチャーマインドの育成ということに関しましては、本県におきましては、特に全国的にも先駆けて平成7年度からいわて起業家大学ということで、起業家精神の涵養と創業のノウハウ習得を目的としたセミナーを開催しておるところでございます。これまでに427名が修了して、この中から78名が創業するというような成果を見出しておるところでございます。
 いずれベンチャーマインドを育成していくベンチャー企業をどのように発展させていくのかということにつきましては、非常に重要だということでございますので、そのような考え方のもとに、これからも行ってまいりたいと考えております。
 最後に、損失補償の考え方ということでございます。
 損失補償につきましては、例えば大規模災害による罹災ですとか、特にリスクの高い研究開発活動に対する資金というようなものにつきまして、信用リスクが高い中小企業を対象とした貸付金に対して、損失補償というものを設けておるところでございます。平成16年度の見込みでございますが、これは、既に信用保証協会が行った対象となる制度の代位弁済について予算措置をしておるところでございまして、49件のものに対して838万円余の損失補償額を計上しておるところでございます。

〇高橋雪文委員 ベンチャーマインドの育成についてでありますけれども、経営的なものは、社会人になってから、ある程度実績を積んでからでないとなかなか実践は難しいと私も思います。しかしながら、例えば今、非常に若い人たちの雇用が失われている。それは、大学を卒業して、みずからがベンチャーとして仕事をつくり出すという能力に非常に欠けているのではないかと思うわけであります。
 アメリカの大学ですと、卒業して一、二年企業に勤めて、すぐに起業化するという事例がたくさんある。ところが日本の場合、大学生は中央に行って、ある程度、10年、20年培ってきてから、それから独立されるということで、私はその差が、ベンチャーマインドの育成に対して非常に欠けているところではないかと思います。ぜひとも大学との連携も含めて御検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。

〇江口産業振興課長 先ほどお話をさせていただきましたいわて起業家大学には、学生の方もかなり来られて勉強しているというような状況にあります。ただし、それが全員というわけではございません。これから、やはり大学生が卒業後に起業していくというのも非常に重要になってまいると認識いたしておりますので、大学との連携を含め、起業家精神、起業家マインドの醸成をどのように行っていくか、いろいろ勉強してまいりたいと思います。

〇高橋雪文委員 次に、150ページの雇用促進費にかかわる緊急地域雇用対策にかかわる事業について質問させていただきます。
 まず、いろいろな事業を展開されているわけではございますけれども、やはり私が非常に問題ではないだろうかというのは、いわゆる60日間雇用を原則として1人雇用しているというような形で公に発表されている。60日間雇用して1人ということでありますので、年間を通すと五、六人分雇用しているのと同じなのではないかと思うわけであります。
 実は、この短期雇用というのは、これの数がふえればふえるほど、若い人たちの雇用が確かにふえるわけではあるんですけれども、先ほどいろいろな委員の皆様方から御指摘あるようなフリーターをふやしてしまう、そういう土壌にもなっているのではないかと思うわけであります。
 この60日間雇用の考え方についていま一度お知らせいただきたいと思いますし、あとは、その長期雇用対策について、民間にお願いしている、お願いしているというところではありますけれども、私は、やはりもっと力を込めて県は長期雇用を働きかけるべきだと思うわけでありますが、それについてどのようにお考えなのか、総合雇用対策室としての見解をぜひともお知らせいただきたいと思います。

〇勝部総合雇用対策監 ただいまの緊急地域雇用創出特別基金、いわゆる国の基金事業に関連しての60日間という雇用期間についてお尋ねがありました。
 この国の基金事業につきましては、平成13年度から実施してきておるところでございますが、雇用失業情勢が非常に厳しい中にありまして、構造改革の集中調整期間における緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出を図ることを目的として実施されているものでございます。
 国の特別交付金を受けて、県でも基金を造成して、その基金を活用して、より即効性の高い雇用機会の創出のための事業を実施してきているところでございます。したがって、実際の事業の実施状況を見ましても、御指摘のとおり、短期雇用が大半を占めているわけでございます。しかしながら、この国の基金による事業につきましては、その制度の趣旨から短期雇用もやむを得ない面があると考えてございまして、より多くの離職者に就業の機会を提供するという事業目的がございますので、そういう面では目的にかなった成果を上げているということも言えるかと思います。
 なお、60日間という日数につきましては、最初から60日間という雇用日数を定めて雇用しているのではございませんで、実際に雇用される方々の期間には長短がございます。一番長い方でも6カ月の1回更新で1年間という期間がございます。そういうそれぞれ雇用される方々について長短がありますことから、便宜上、平均雇用日数を60日と定めまして、雇用創出人員の算出をしているわけでございます。
 参考までに、平成14年度の実際の雇用平均日数がどのぐらいかといいますと63日になってございます。平成15年度、現時点まででございますが、若干これが延びまして72日間となってきております。
 それから、長期雇用対策についてのお尋ねもございました。県といたしましても、可能な限り長期間の雇用、そして常用雇用に結びつくような事業実施をしたいということで、事業実施の主体となる市町村などと協議しながら取り組んできているところでございます。
 また、この基金事業につきまして市町村の方と協議していく中で、いろいろ要望等もいただいております。その中で、基金制度の弾力的な運用について、機会あるごとに国の方にも要望してきているところでございます。その結果、特定事業、具体的には中小企業特別委託事業という事業があるわけでございますが、この事業の要件が部分的に緩和されてこの4月から適用されることにはなったわけでございますが、まだ全体としての基金事業の使い勝手の悪さというものが完全に解消するまでには至っていないということが言えると思います。
 一方で、国の基金事業を補完するものとして、県単独で基金を造成して事業を実施しておりますが、この県単独の基金につきましては、本県のほか、全国で4県が措置してやっているところでございます。この県単独の事業の方では、国の要件を満たさないような事業、あるいは常用雇用を前提とした事業、そういうものにこの事業を優先的に採択、実施しているところでございます。
 なお、基金事業につきましては、平成16年度が最終事業年度となるわけでございますが、本県の産業構造が今後変化していく中で、今後の雇用の受け皿として、地域の特性を生かした幅広い分野で雇用創出が期待できるサービス関連産業の振興、あるいはNPOなど民間活力を引き出しながらの自立・内発型の産業起こしというものが非常に重要になってまいりますので、これらの分野における有効な基金事業の実施によりまして、可能な限り長期雇用に結びつくような事業に取り組んでまいりたいと考えております。

〇高橋雪文委員 先ほど、その短期雇用がいわゆるフリーターを生み出す素地になっているのではないかという指摘をさせていただきましたが、まず、それについてどのように考えているのかお知らせいただきたいと思います。
 また、今は非常に景気が悪化しているということで、国の方も積極的に雇用対策に予算をつぎ込んでいるところでありますが、やはりこれが長期的に見込めるものかどうかというところを考えると、非常に心もとないのではないかと思うわけであります。とするならば、地元での雇用確保、ただ単に短期的に、確かに勧奨としての意味合いはあると思いますが、やはりしっかりとした雇用対策を今こそやらなければならないのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
 また、若干触れますけれども、仕事の内容について、例えば幾つか事例を御紹介いただければと思います。

〇勝部総合雇用対策監 フリーター増加の背景にもなっているのではなかろうかという御指摘でございます。フリーターが現在非常に増加傾向にございまして、全国で417万人という数字も出ておりまして、さらに、今後これが増加していくことが予想されると言われております。
 確かに、現在フリーターが本県におきましても増加傾向にあるということでございますが、フリーターの背景を見ましても、さまざまな要因があります。ただ単に若者自身の意識の問題にこの要因を求めるだけでなく、企業側にももちろん責任がございますでしょうし、学校側にもあると思います。それから、親の問題もございます。やはり地域社会全体で若年者の雇用問題というものの対策を練っていかなければだめだろうと思っておるわけでございます。
 この短期雇用がフリーター増加の背景にあるというのも一つの見方でございます。確かにフリーターというのは、職を、アルバイトを次々と変えていく、なかなか長期定着しないということもございます。そういう面からも、若年者の雇用対策というのは非常に重要な問題であると考えております。
 それから、実際の基金事業の具体的な例ということでございます。これにつきましては、さまざまな事業がございますので、その代表的なものを御紹介するにとどめたいと思いますが、一番多いのは、市町村で行っております、例えば公園の美化作業であるとか、森林の除間伐作業であるとか、図書館のデータベース作成のための作業であるとか、そういう臨時的なものでございます。
 県単事業の方につきましては、先ほども申しましたとおり、常用雇用を前提とした事業を優先しておりますものですから、あるいは常用雇用に結びつくような事業を優先しておりますから、例えばコールセンターのオペレーター養成講座にこの資金を充てておったり、そういう、国の基金に比べますとかなり弾力的な運用をしているところでございます。

〇高橋雪文委員 答弁漏れが一つありますので、長期的なものが見込めるのかどうかについて。

〇勝部総合雇用対策監 基金事業だけについて見ますと、長期雇用に結びつくような事業を展開していくことが非常に難しい状況にはありますけれども、その中でも、平成16年度で基金事業が終わるということでございますが、あと残された1年間でどれだけ、その基金事業が終わった後に常用雇用に結びつくような事業に基金を充当できるか、そこが私ども今一番頭を悩めているところでございます。事業採択等に当たりましても、可能な限り、例えば雇用期間が終わって、それであとは全く関係なくなるということではなくて、そこの雇用主に対して、引き続き雇っていただけるように要請活動もしておりますし、可能な限り、常用雇用として定着するような働きかけをしているところでございます。

〇高橋雪文委員 議会でも各委員が、岩手県内の人口減に関して非常に警鐘を鳴らしているところであるんですけれども、特に人口減の大きな部分は若年層、もしくは現役世代の層でありまして、やはり私は、短期雇用という問題が、結局アルバイト、いわゆるフリーターのような層をつくって、そして、仕事がなければすぐに大きな都市に流れてしまう、こういう構図をつくってしまっているのではないかと思えるわけであります。
 最後に要望でございますけれども、そういう将来的な展望を含めて、やはり今こそ、単なる短期的な雇用創出ではなくて、長期的な雇用を視野に入れながら対策を練っていただきたい。その御所見を局長に聞いて、終わりたいと思います。

〇上村総合雇用対策局長 私ども、昨年6月に雇用対策局が設置されまして、今約10カ月なんですけれども、私そのものも、現場の空気を知らないと実感のわく雇用対策ができないということから、地方振興局を2巡したわけです。先ほど対策監の方から答弁がありましたが、やはり地域地域によって違うわけですが一番問題、頭に残ったのは、地域の方々が地域の仕事を知らないというのがありました。
 実は、高校の進路担当の先生方とか、あるいは私どもが配置しています地方振興局の就職アドバイザーに集まってもらって、若年者の就職問題を中心に懇談会を開いたんですけれども、その中で聞いたのは、いずれ地域でどんな仕事をやっているのか意外と知らない。就職のときになって初めてそういう問題を取り上げるといったことがあったわけです。
 いずれ、若年者の問題をこのままにしておきますと、いろいろな社会保障の問題等々、あるいは地域、社会の問題等々ありますので、やはり県としても、若年者問題については大きな問題としてとらえているわけですし、40の政策の中でも最優先に掲げているわけです。いずれそういったものをきちんととらえながら真剣に考えていかないと、大変な問題になるなということは、強く認識しているところであります。
 したがって、これを、もう平成16年度で終わりますけれども、例えば今の緊急雇用創出基金等で処理するという話ではなくて、やっぱり長期的な展望に立って、きちんと戦略を持ってかかっていかないと大変だろうという危惧を持っております。
 そういったことから、私ども、当面3万600人とか、サービス産業1万5、000人の創出目標もありますが、そういったきちんとした点も含めて、この雇用問題にかかわっていきたいと考えております。

〇木戸口英司委員 私も若年者の雇用対策について、まずお聞きしたいと思います。
 それで、ちょっと基本的な取り組みについてでありますが、この40の政策の中で若年者の雇用対策について、最終目標はまだ先にあるわけでありますけれども、平成16年度の目標は、新規学卒者就職率高校生92%、新規学卒者就職率大学生は84%、新規高卒就職者の離職率、就職から3年後48%とそれぞれ定めておりますが、本年の実績を踏まえて、この目標達成に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。

〇東大野労政能力開発課長 若年者の雇用対策について、目標達成状況をお話しさせていただきます。
 まず、平成16年度新規卒業予定者の1月末での就職内定状況ですけれども、高校生は74.7%ということで、前年同期比で4.3ポイントの増、それから、大学生は54.9%ということで、逆に前年同期比3ポイントほど低下してございます。離職率につきましては、最新のデータはまだ発表がございませんけれども、平成11年3月に卒業した新卒者の3年後離職率は51.2%といった状況でございます。
 これらの新規学卒者の就職率の上昇と離職率の低減に向けての取り組みでございますけれども、まず、高校生につきましては、地方振興局、学校、職業安定所、各地域で共同いたしまして新規高卒者の求人開拓を続けてございます。来年度、ふるさといわて定住財団が国の委託事業で展開する予定にしてございましたけれども、高校生の職場見学会あるいは高校の進路指導担当者の方の知識・技能向上の支援といったことも予定してございます。当部ではございませんけれども、教育委員会の方では就職支援相談員あるいは、さらに広く就職支援するということでエリアマネージャーの配置等、さらに高校1・2年生を対象としてキャリアアップ講座やインターンシップの実施等、早いうちから就業意識を形成して、就職そのものもそうですけれども、離職防止に向けた取り組みが始まっていると思います。
 それから、大学生につきましては、従来からいわて就職面接会ということで、企業と会う場というものを設定してございましたが、そのほかに就職ガイダンスということで3月5日に実施いたしました。この際には、あわせて今年度から職業講習会というものも設定いたしまして、ここでも、やはり就職に向けた心構えとか、常識づくりといった点を支援していこうという取り組みと、全体あわせて内定率の向上、就職率の向上、それから離職の防止に努めていきたいと考えてございました。

〇木戸口英司委員 今の離職率の件はともかくとしまして、就職率の数字を見ても、目標の数字とはちょっとかけ離れた数字になっているようであります。この点は、まずいろいろな取り組みをなされているところということで、指摘だけとさせていただきます。
 それで、いわてジョブカフェの取り組みについてお伺いいたしますが、当センターの運営主体は、今名前が出ましたが、財団法人ふるさといわて定住財団とハローワーク岩手とのワンストップサービスということで、こういった体制については先駆的な取り組みということで大変評価をいたしているところでございます。
 キャリアコンサルタント、ジョブサポート・エリアマネージャーの配置や、国の受託事業として厚生労働省、経済産業省のさまざまな雇用対策事業を進めておられるということでありますが、また、県の単独事業も推進していると。こういう広範かつ最新の情報を、今のこの就職対策をしていくということでありますので、当然、最新の情報、また就職という特別なノウハウが求められる事業であろうと思います。この、財団による運営主体ということでありますけれども、これが今の時代、また学生たちの要望、期待というものにこたえられているのかどうか、この点、今県としてどのようにとらえておるか、お考えをお伺いしたいと思います。
 といいますのも、他県、東京都のある区でありますけれども、東京と岩手を単純に比べられないと思うんですが、私もちょっと視察してまいりまして、同様のワンストップ化ではありますが、構造改革特区で役所の中にハローワークと民間職業紹介業者が共同事業主体で同様のセンターを開設した例もあります。役所は場所を無料で提供するだけで、事業そのものには資金提供、例えば委託とか補助金とかは一切しない。民間事業者は当然、長年培ってきた就職という事業に対するノウハウを多く持っているわけでありまして、また、当然、民間でありますから、利用者は利用料を支払うという形にはなりますけれども、成功報酬的な利用料ということになるようでありますので、民間としても最後まで責任を持ってこの学生たち、また若者を指導していくといういい面があるようであります。
 こういう民間との連携ということの考え、この財団法人でその部分は十分足りているということであれば、私の老婆心であるだけなんですけれども、やはり今の就職難を考えていく上で、民間事業者もさまざま新しい取り組みをされているということも聞いております。例えば産業界に詳しい金融機関OBを民間企業で登録して、そして就職支援のために大学等に派遣している。民間事業者が民間の力を利用して就職の増大、拡大に努めているということも聞くわけであります。
 県として、この民間事業者とのこれからの連携等、そういう考え方がないのか、まずお伺いしたいと思います。

〇東大野労政能力開発課長 昨年12月開設いたしましたいわてヤングジョブサポートセンターにつきましてでございますけれども、実績を申し上げますと、先週末までの実績、来所者が開設以来698人で、内訳ですが、新規が245人、再来が453人ということで、来所者のうち27人は就職まで至ってございました。
 来所者の就業状況ですけれども、おおむねですが、無業者が約50%、パート・アルバイトの方が30%ということで、サポートセンターの初期に想定した来所の状況ではございますが、その来所状況から見て、一定の評価は得ているのではないかと考えてございました。
 隣接するハローワークの出先機関との連携をさらに深めて、就職の実現に努めていきたいと考えてございます。
 それから、民間会社のノウハウあるいは情報の活用といったところについてどう考えるかということでございますけれども、これにつきまして、今回サポートセンターを設置するに当たっては、ふるさといわて定住財団が直接産業カウンセラー等の資格を持つ人を雇用するという形で展開いたしました。
 民間会社について先ほどお話のございました成功報酬方式等、さまざまな方式が今とられるようになってきてございますので、県といたしましても、これから就職支援を効果的に推進するという観点で、民間ではセミナーの企画・運営とかスキルアップ研修といった面ですぐれた能力を持っている会社が多々ございますので、どういった場面で、どういった会社なりと提携して事業を進めていけばいいかというとこら辺を個別に考えながら、導入は検討してまいりたいと考えてございました。

〇木戸口英司委員 わかりました。
 いろいろ事業の中で、例えばインターンシップとか職場見学会、就職面接会、また求人等については開拓作業ということが重要であろうと思います。当然、これは経済界、また特にも経営者協会などとの連携が進められていると思いますが、やはり先ほど民間会社などでは、待ちの姿勢ではなくて、さまざまこういう開拓事業、また大学、高校現場にまで出向いていって、今の就職のさまざまなニーズにこたえるという姿勢になってきていると聞いております。
 センターとして、こういった開拓に向けたいわゆる営業活動、それから経済界との組織的な連携ということが大変重要になってくると思いますが、その取り組みについてお伺いしたいと思います。

〇東大野労政能力開発課長 いわてヤングジョブサポートセンターとしての求職・求人開拓といった方向性ですけれども、この辺につきましては、サポートセンター自体が求人開拓に当たるというところは、今のところ予定してございませんが、委員お話ございましたとおり、経営者協会とは、今年度も大学生のインターンシップの受け入れ先開拓といったような面で、既に一緒に事業を展開してございますし、そのほかに、若年の未就業者につきまして、今年度は新卒者だけを、高卒でまだ就職先が見つからないという方に就業体験をしてもらうといった事業も、やはり経営者協会さんにお願いして事業展開してございます。
 そういった面で、いわゆる企業と共同で事業を展開していかなければならないといった場面では、やはり経済界、経営者協会と連携しながら事業を展開していきたいと考えてございました。

〇吉田昭彦委員長 木戸口委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 木戸口委員、御了承願います。
   午前11時57分 休 憩
   午後1時6分 再 開

〇照井昭二副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇木戸口英司委員 先ほどの件はわかりました。ここからスタートいたします。いずれセンターとして外に出ていくと、営業活動という言葉が適切かどうかわかりませんが、地方振興局では随分積極的に求人開拓などをされているということは聞いておりますが、これからの積極的な活動に期待したいと思います。
 それでは、同じ雇用問題についてでありますが、ワークシェアリングへの考え方、取り組みについてお聞きしたいと思います。
 このワークシェアリングの考え方、もう今さら言うまでもありませんが、一時的な景気、景況の悪化を乗り越えるための緊急対応型と、勤労の仕方を多様化し、女性や高齢者を初めとして、より多くの労働者に雇用機会を与える多様就業型という考え方に分かれるということでありますが、現在の雇用状況の悪化という現状も踏まえて、特にこの多様就業型という考え方に立ちながら、今後この方向性を考えていくことは重要であろうと、急がれることであろうと思います。岩手県でもワークシェアリング研究会、これは労使の労働問題研究会という中で研究報告がなされておりますが、その中でほとんどの項目については今後検討を進めるということの報告書になっているようでございますが、その後、検討状況についてお伺いをいたします。
 また、他県でも早いところでは、県と労ということで連合、また、経営者協会、この三者でワークシェアリングについて合意をして既に導入モデル事業と、各導入する企業に補助を出してモデル事業を進めている県もあると聞いております。この考え方の一番大事なところは、産業構造の転換が進む中で景気が回復しても雇用は回復しないことが懸念される。この点が実はこれからの産業構造だけではなく、さまざまな状況の中で重要な観点になってくるのではないかと思います。成熟社会に対応した新しい働き方を創造することということがこのワークシェアリングの考え方に出てくるであろうと思いますが、県としてのこれに対する取り組み、また、考え方をお伺いしたいと思います。
 それと、また、先進的に進んでいる県の中では県職員のワークシェアリングということも進めていると聞いております。例えば、超過勤務を削減して若年者の非常勤職員を雇用するという取り組み、これは何県か取り組みが始まっているところ、また、予定をしているところもあると聞きます。例えば、青森県、秋田県などもこういう考え方に立っているということを聞きますが、こういった県職員のワークシェアリングということも、一つこの考え方を県内に普及していくためにも一つの取り組みではないかと考えますが、この点についてお伺いいたします。

〇東大野労政能力開発課長 今、御質問のありましたワークシェアリングについての御質問の前に訂正をさせていただきます。
 先ほど木戸口委員の方から、いわてヤングジョブサポートセンターの御質問に対する答弁の中で、私、サポートセンターの再来所者数を458人と申し上げましたけれども、453人の誤りでしたので、訂正させていただきます。
 それでは、ワークシェアリングについての取り組み等についてでございますけれども、このワークシェアリングへの取り組みにつきましては、委員お話しのとおり、労使で構成される岩手県労働問題研究会という会議の中にワークシェアリング研究会を設置いたしまして種々検討し、課題も出されてございました。そういう中で結論的な部分として、今後の取り組みとして個々の企業にワークシェアリングを導入するに当たっては、その個々の企業の事情、労使の理解、その辺が非常に重要だというところで、その問題を解決していかなければならないといったところが研究会の結論であったと考えてございました。その後、そのワークシェアリングについての研究につきましては、昨年設置された労働団体と経営者団体を構成員とします岩手労使就職支援機構というものが設置されてございますけれども、そこで引き続き普及啓発と議論が続けられてございました。県といたしましては、そこに対する情報の提供、あるいはセミナーも開催してございますけれども、セミナーへの講師派遣等で支援してございます。
 県としてのワークシェアリングへの取り組みということでございますけれども、これにつきましては委員お話しのとおり、雇用の維持創出、それから多様な働き方に対する支援にとって有効な手段とは存じ上げますけれども、その辺の理解を労働者の方々にも理解していただかないとなかなか進まない方策だと思いますので、引き続き労使支援機構に対しての取り組み等と連携しながら、普及啓発に努めてまいりたいと考えてございました。
 あともう一つ、岩手県の県職員の中での取り組みということでございますけれども、これにつきましては平成14年度から、あくまでも雇用対策の一環として若年者のキャリアアップあるいは就職の促進に寄与という観点で、非常勤職員として80数名を1年間という期限で雇用してございましたけれども、15年度も同数、それから16年度も同じような数を非常勤職員として雇用して、そのキャリアアップと就職促進を図っていくということが予定されると聞いております。これは総務部の方で実施される事業であります。

〇木戸口英司委員 いずれ、これから普及、啓蒙を図っていくと、必要な考え方であるということ、これをお聞きしました。先進的事例もあるようであります。また、これからの、先ほど申し上げました新しい社会構造、また、産業構造の中で働き場所をみんなで分け合っていくという考え方、新しいまた、女性また老人の働き場所の創出という部分では大変重要な考え方になってくるだろうと思います。またこの点は随時お聞きしてまいりたいと思います。
 それで、最後になりますが、観光行政についてお聞きします。
 まず、観光課が廃止になるということ、改めてこの理由、そしてそれについてまた今後の観光行政のあり方をお伺いしたいと思います。
 また、それによって県の組織体制、また、岩手県観光協会との関係、また、これは人材派遣等も今もなされているわけでありますが、また、本年度と来年度、この体制になって予算がどのように変わってきているのか、その点をまずお伺いしたいと思います。

〇田中観光課長 観光課の廃止の関係でございます。御案内のとおり、来年度の組織改編の中で、観光課と岩手ブランド推進課を廃止といたしまして、観光経済交流課というものを新たに設けるということになっているところでございます。この中で県では、観光協会を人的あるいはその財政面で支援しながら、県といたしましては、観光振興の総合的な政策立案ですとか、あるいは県の関係部局との連携調整、あるいは北東北3県等との連携による広域観光、あるいは国際観光、そういったものを推進していくということで、より広域性のある業務ですとか、法令に基づく業務を担当していくということとしているものでございます。
 それから、協会への人的支援の関係でございます。現在、2名派遣しているところでございますが、来年度からは3名増員いたしまして5名派遣する予定でございます。
 それから、予算の関係でございますが、会費相当のいわゆる県の負担金、従来平成15年度までは2、300万円でございました。これは全体の補助金、負担金の見直しの中で、マイナス15%ということで1、955万円になるものでございます。これらも含めまして、それから派遣職員に係る共済費負担等の人件費を除きました事業費関連の負担金、あるいはその補助金、この総額でございます。来年度は1億3、020万円、本年度が1億1、882万6、000円でございますので、9.6%ほど増額ということになっております。

〇木戸口英司委員 観光を民間でという考え方、これはまさしくそのとおり賛同できるものであります。ただ、観光行政、ちょっとこれ確認ですけれども、この商工労働観光部で所管してきたと、商工分野はもちろんでありますけれども、農林水産、地域との連携、また、交通システムという観点で言えば地域振興部、道路整備や空港行政という点からいけば県土整備部と、また、いやしということも盛んに言っているようでありますので、こういう点で言えば保健福祉部、広範多岐にわたるこういう行政が求められている。当然今までも取り組んできたわけであります。この点、ここはこれからこの観光経済交流課と引き続き総合的な観光行政はやっていくということの考えでいいのかどうか、これは確認とさせていただきます。
 それで、これを最後にしたいと思いますが、国の方では来年度から外国人観光客の誘致を支援するために、地方財政計画に250億円を計上すると、自治体サイドの取り組みを後押しすると、これは交付税措置ということのようでありますが、例えば宣伝広告、受け入れ体制の整備、外国人向け観光の企画調査、イベントの誘致・開催、人材育成、こういったことの取り組みについて支援をしていくと、平成10年までに外国人観光客を倍増させるという目標を打ち出しているようであります。交付税措置費を云々ではないですが、国としてそういう取り組みになっているということを踏まえて、この外国人観光客誘致、この点のまず県の取り組みについてお伺いしたいと思います。

〇田中観光課長 前段の件でございます。先ほど申し上げましたとおり、いずれ観光は非常に幅広い分野にかかわりがございますし、また、その関係する分野がそれぞれやっぱり協力し合って、地域全体として取り組んでいかないと、いわゆる観光振興なり地域振興というものは結びつかないということで、今後とも関係部局などとも十分連携を図ってまいりたいと思っております。
 それから、国際観光の関係でございます。御案内のとおり、国ではビジット・ジャパン・キャンペーンということで、外国からの観光客の誘致に非常に一生懸命取り組んでいるところでございますし、その中の一環として、委員御指摘のとおり、来年度の地方財政対策の一環として、観光立国推進対策として交付税で250億円の枠を一応設けるということで私どもも承知しております。私どもといたしましては、交付税の措置云々は別にしましても県は県として、これからやはり国際観光の振興という視点で従来も取り組んできたわけでございますけれども、今後も取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 具体的には、これまでは主に北東北3県で連携したりとか、東北6県で連携したりして広域的な取り組みが中心であったわけでございます。来年度は、新たに国際観光推進事業ということで、各県共同で取り組む事業に加えまして、県単独でも積極的に取り組んでまいりたいということで、主としてソウル事務所を持っている韓国、あるいは従来チャーター便等が乗り入れている台湾、さらには、将来のマーケットとして非常に期待できる中国を具体のターゲットとしまして、県単独でもそれぞれ観光キャンペーンですとか、あるいは旅行エージェントとかマスコミを招待してのいろんな観光PR、それから旅行商品の造成支援といったことに、今後ともさらに強化しながら取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

〇中平均委員 それでは、2点質問させていただきます。
 まず、1点目、観光総務費における北東北広域観光の推進事業費について。ただいまの木戸口委員からの質問にも関連するんですけれども、今回の例えば広域観光、北東北での広域観光推進とありますが、これによってどのように観光客がふえて、また、岩手県における、このふえたことに関するこの経済効果の見込みについてどのようにとらえているのか、お知らせ願いたいと思います。

〇田中観光課長 御案内のとおり、北3県ではこれまで協議会等をつくりまして、特にも平成10年には北東北文化観光振興アクションプランというものを策定してございます。そういったプランに基づきましてそれぞれ共同ポスターの作成ですとか宣伝活動、あるいは広域旅行商品の造成支援等に取り組んできたところでございますし、最近では、はやて開業に合わせまして昨年の4月から6月まで3カ月間、JRとタイアップしました大型観光キャンペーンを展開してきたところでございます。
 その効果ということでございます。観光客の入り込みの関係でございますが、このキャンペーンなり連携することによって、どれだけふえたかというのは特定できないわけでございますけれども、一応平成14年の本県の観光客の入込状況は3、871万1、000人回ということで、アクションプランを策定しました10年に比べますと、5年間でございますが2.9%ほど増加しているというところでございます。
 それから、経済効果の面でございます。これも何万人ふえて、その分が幾らかというのは特定できないわけでございますけれども、これまでの観光客の入込調査と、あるいは観光客の動態サンプル調査をもとにしまして推計されます本県の平成14年の観光消費額は約3、275億円でございます。これをもとにして、さらにその二次波及効果を加えました産業連関表を活用しての本県経済への全体の波及効果ということでは、総額で5、072億円と推計されているところでございます。

〇中平均委員 一定の成果がそういった意味では出てきているということで、逆に年々やはり各県とも、当然岩手県に限らず3県連携の青森県、秋田県も当然ですし他県も十分やっている中で、どうしてもこの岩手県が観光に対するアピールが弱いというのは、どこに行ってもよく聞く話でありますので、その点さらに充実した観光のアピールの推進をお願いいたしたいと思います。
 続きまして、総合雇用対策局の関係でお伺いいたします。
 まず、今回、県の重点施策であり、総合雇用対策局に対する期待というものは大変大きいと思うのですけれども、今年度、また来年度の予算額、また、人員数で現在数値目標を掲げているものに対して、本当に実現可能であると考えておられるかどうかお伺いします。

〇上村総合雇用対策局長 総合雇用対策局の予算でございますけれども、冒頭御説明申し上げましたとおり、あの数字は、いわゆる13億円余の数字は私どもの総合雇用対策局の数字でありまして、いわゆる雇用関連の事業は各部局にまたがっておりまして、例えばプロジェクト等の40の政策で申し上げますと、前年の9月現計で20億円余の予算ですけれども、来年度当初は23億円、15.6%の増になっております。いわゆる他部局にかかわる事業関連予算が結構ありますので、私どもはこれの関連事業を一つ一つしっかりやってもらうことが雇用の創出、確保、増大につながるものだと思っています。私どもの局の使命というのは、そういった事業の進捗管理をしっかりすることが一つの使命でありますので、きちっと事業の進行管理をしながら目標に向けて実現してまいりたいと思います。
 私ども今、専任6名の体制ですけれども、兼務が14名おります。こういった職員で毎週金曜日、雇用創出に関連するいろんな事業、プロジェクト関連の議論をしていますけれども、分野、分野によっては各部局から臨機応変で職員を派遣してもらって議論しておりますし、あるいは地方振興局からも職員が出ておりますので、こういった体制で臨めば、あるいは先ほど申し上げましたとおり進捗管理をしっかりしていけば、雇用対策上の目標の数字は実現できると考えておりますし、今後とも頑張ってまいりたいと思っています。

〇中平均委員 ちょっと質問の仕方が大変失礼いたしました。まず、数字等の方は私も存じていましたので、あえてあれでしたけれども、人員数の方も6人と、プラス兼任で14人、20人の中で、あと各部局の連携のもとに進めていくと、その総合管理をしながら進めていくという方針、そのとおりだと思いますし、ただ、本当にこの重点施策でやるというのであれば、6人で、あと兼任が14人というのはちょっと、産廃とともにこの雇用が二大重点だと言っている知事のあれの中で大変少ないと思いまして、あえて質問させていただきました。本来であればここではなくて、局長にお聞きする話ではなかったのかもしれませんけれども、その点はおわび申し上げます。その意見をしゃべらせていただきまして、私の発言を終わらせていただきます。

〇伊沢昌弘委員 3点ほどお聞きしたいと思います。
 最初に、今の観光行政の民間との連携と、こういうことで、当初、部長からも御説明いただきましたが、201ページにこの観光総務費があるわけです。3億3、000万円余。先ほど課長がお話をされた、協会を支援してやっていくと、2名を5名にふやしながら、人件費を除いて1億3、000万円ほどと、こういう形で、トータルでいくと会費分入れて1億四、五千万円がかかっていくのかなと思うのですが、ここの3億3、000万円のうちいろいろ名前が、事業名が書いています。協会の方と一緒にやるというのは、いずれ県の部分から外れるというのはどういうものなんでしょうか。改めてそこを教えていただきたいと思います。
 それから、5名に派遣職員がふえるということですが、課長が行くというのであれば、私、もろ手を挙げて賛成をいたしますが、どういう方たちが行かれるのか、県の観光行政というものがいわば協会と一緒にやるという部分で大変前向きなところがあるんですが、行政の言ってみれば責任といいますか、観光にかかわる事業者、民間のホテル、旅館も含めて、旅行会社も含めて大変あるわけですが、岩手県としてのこの観光に対する姿勢を示すためには、一定程度の方が行くべきではないのか、こう思うので、その辺をちょっと教えていただきたい。

〇田中観光課長 具体の観光協会の方に移管される事業について申し上げたいと思います。この中では代表的なものは、ゆったり・ぬくもり岩手の旅推進事業でございます。これは、従来はその主要なものは委託という形で観光協会に部分的にお願いしていた部分もございますが、今度は、これは負担金という形で全体を観光協会の方で主体的に事業を推進していただくというふうになっているもので、これが代表的なものでございます。
 それから、観光課の関係の全体の予算はいろいろございますけれども、観光課全体も若干ソフト関係ふえているところでございまして、その主たるものは先ほど申し上げたように、観光協会との関連でふえているものでございます。

〇小原商工労働観光部長 観光協会への事業の移管は今、課長が申し上げたとおりですが、行政としてきちんとやるべきことと、いわゆる民間にやっていただく部分で、県の観光協会がそういう意味では民間――民間と申しましてもいろいろ企業もありますし、それからまさに県民の方たちもいらっしゃるわけですけれども、そういう意味では民間のそういう観光に向けての取り組みを牽引する役としては、県の観光協会が一番組織としても、あるいは力としても持っているのではないか。その県の観光協会の下に市町村の観光協会がございますので、地域、地域のそういったものをまとめながら、県と県の観光協会がまさに両輪になって観光推進を図っていくという考え方であります。
 したがいまして、県と観光協会は常に両輪でいくという意味から、先ほど伊沢委員の方からどういう人間が行くのだという申し入れがありましたので、既に人事が発表になっていますのであえて申し上げさせていただきますが、今答弁した観光課長が事務局長で派遣でまいります。それから、観光課の中から精鋭を選んで派遣して、いずれ今までの県がやってきた事業とそごのないように、そしてこれまで以上に進むように観光協会と県が力を合わせて頑張っていきたいと思っております。

〇伊沢昌弘委員 いみじくも、課長が行くなら私は認めると言ったので、観光課がそのままいわば民間の協会と一緒に頑張るという趣旨で、ここは新年度の部分で観光が豊富化されることを望みたいと思います。
 2点目ですが、雇用に関してお伺いします。
 説明書の150ページに、地域人材育成モデル事業943万5、000円が計上されているわけであります。私、たしか前の地域振興部の際にNPOとの関係でお伺いした経緯がございますので、これはNPOとの連携事業で今年度もやってきたのではないかと思われるところであります。NPOとの協働事業の中で地域社会の理解と関心が高まっているときに、新年度も今年度よりふやしてやるような形で私、見たわけでありますので、この事業によって新年度どのような効果が期待できるのか、また、今年度もやってきたとすれば、一定程度の成果なり課題があると思いますので、この事業に関しての御説明をお願い申し上げたいと思います。

〇勝部総合雇用対策監 ただいま御質問の地域人材育成モデル事業でございますが、この事業は、福祉や介護、あるいは子育てなどの地域密着型のサービス、これの分野が今後、雇用の受け皿として非常に大きな期待を寄せられております。したがいまして、これらの分野において新しく事業を起こしたい、あるいはこの分野に関係する分野に就職したいという方々の人材を育成するというねらいを持って行ったものでございます。NPOに委託して実施したものでございますが、NPOが持っている能力開発等のノウハウを十二分に生かしまして、例えばNPOの経営手法あるいは税務会計の実務、労務管理、そのほかに実際に現場に出て研修を積むなど、そういう多様な内容を持った講座を開設していただいたものであります。
 昨年11月の受講生募集の時点で、既に定員の倍以上の応募があったわけでございますが、この種の人材育成講座へのニーズの高さを改めて感じたわけでございますが、受講生を37名と決定いたしまして、このうち講座を無事終えたのが30名、その30名のうち27名が先日開催されました起業プラン発表会というものに臨んだわけでございます。
 それによりますと、子育て支援とか、あるいは介護関係のNPOの設立、あるいは企画代理店などの会社設立を決めている人が全部で21名、それから民間企業への就職が決定した人が6名、あわせて30名中27名の方が起業や就職を決めたということになってございます。計画段階では私どももそれほど、9割ほどの人が就職を決めるとはちょっと予想しませんでおりましたけれども、予想を上回る結果となってございます。今後、これらの起業や就職を決めた方々の事業が着実に展開されていきますと、それによりまして二次的な雇用がそこに生まれてくるということが大いに期待されます。したがいまして、事業実施の主体となりました盛岡地方振興局、あるいは実際に事業を行ったNPOにおきまして、起業あるいは就業後のフォローアップ、これをきちっとやっていくということも計画されておりますので、そういう面での雇用の創出を期待しているところでございます。
 今回の事業実施結果から、非常に雇用創出効果が高いことや、それからニーズも非常にあるということが明確になっておりますので、平成16年度におきましても引き続き実施していきたいと考えているところでございます。そして、このモデル事業の成功事例というものを県内各地に波及させて、より地域に密着したサービス関連の雇用創出に努めてまいりたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 たしか今年度は1回だったと思うのですが、16年度は回数的にはふえるのでしょうか。また、講座の中身といいますか、新たな展開も含めて考えているのか、その辺もちょっと教えていただきたいと思います。

〇勝部総合雇用対策監 16年度におきましては2回の講座実施を考えております。今年度は1回だけでございました。3カ月単位で1講座やるわけでございますが、16年度におきましては2回を予定してございます。講座の内容につきましては、現在、盛岡地方振興局の方でいろいろ内容を詰めておりますが、特にも今年度実施した結果から見ますと、より実務的な内容の講座を希望する方々が多くいらっしゃいますので、そういうものを盛り込み、さらに現場での実習、これが実際に起業した際に大いに役に立つということでございますので、そういう面に特に重点を置いて講座の内容を企画しているように聞いております。

〇伊沢昌弘委員 NPOとの協働でうまくいっている事例だと思いますので、これ頑張ってやっていただきたいし、雇用につながるという意味で頑張っていただきたいと思っています。
 3点目ですが、実はきのう新幹線に乗る機会がございまして盛岡まで来たのですが、そのときに新幹線におもしろいPRが、パネルがございました。江刺フロンティアパーク産業団地土地リース、月坪当たりおにぎり1個分とまでは大きく書いてありますね。小さく程度と書いてあるんですが、そういうことで企業のための団地が月坪当たりおにぎり1個と言うと300円ぐらいかなと思ったのですが、この江刺フロンティアパークのところを教えていただきたいと思って今、質問したわけであります。地域振興整備公団、それから県、市の方がかかわったようでありますけれども、区画的にリースと分譲もあると思うのですけれども、新年度からの事業といいますか、売り出しがあるようなんですけれども、その辺をちょっと教えていただきたいと思います。

〇菅原企業立地推進課長 私の事務室にも同じものがありまして持ってまいりましたけれども、この土地のリース制度、午前中御議論いただきました補助制度とともに、最近注目を集めている優遇措置でございます。県内の団地造成主体でもこの半年間で急速に対応を進めていただいております。既にこの効果が出て、今年度、北上と花泉でも立地実績が出ております。計算方法でございますけれども、この販売価格が坪で言いますと5万6、100円の土地でございますが、それに3%の料率を掛けます。この3%の根拠は、固定資産税見合い、それから長期プライムレート見合い、およそ1.4あるいは1.6ぐらいのものを足しまして3%ぐらいと、したがって、税金と金利の分だけいただきますよというような形でございます。これを計算して、今度12カ月で割ります。そうしますと実際の計算上140円25銭というような数値になります。コンビニのおにぎり1個そのくらいかなということでございます。

〇伊沢昌弘委員 実にユニークなあれだなと思いまして、初めて目にしたものですから、ただ、下の方には3%の云々が書いてあったので計算すればわかるのかなと思ったところであります。今、実績があるということですが、いずれ土地を買ってやるというのは、これは大変だと思いますし、そういった金額であれば多くの企業がこれは引き合いが来るのではないかと思うのですが、今、北上、花泉のお話がございましたが、江刺以外でもこういった方法で、残っていると言えば語弊がありますが、なかなか企業が張りついていない工業団地があるわけなので、広げていくことも一つの手かと思うのですが、基本的にどうなんでしょうか。残存のようなところも、こういう制度は途中からできるのかどうかも含めてちょっとあると思うのですけれども、その辺のところはいかがなものでしょうか。

〇菅原企業立地推進課長 先ほど何団体かで始めておりますということを申し上げましたが、今の地域公団のほかに花泉町、一戸町、北上市というようなところで取り組んでおります。それから、団地を花巻第一、花巻第二あるいは久慈、二戸の団地を持っております岩手県土地開発公社の方でも、販売予約つきでございますけれども、そういう分割支払い制度で似たような制度を用意してもらっておりますので、これをもう少し各市町村の理解を得て広めて分譲促進、あるいは立地の促進につなげていきたいと考えているところでございます。

〇伊沢昌弘委員 わかりました。新たな課題だと思いますし、これは金利しかもらわないから最終的には元金の部分は生まないわけですけれども、定着をしてうまくいったら買ってくれというようなことも含めて、ぜひ豊富化といいますか、繁盛するように御祈念をいたしまして終わります。

〇斉藤信委員 それでは、私は中小企業対策に絞って一発回答で聞きますから、よろしくひとつ。
 今、中小企業は事業所数で98.7%、従業員数では85.4%を占めています。私はこれにふさわしい中小企業対策の予算をとるべきだと思いますが、来年度予算の中小企業対策の額と比率、金融対策、こういうものを示していただきたい。
 二つ目に、中小企業対策と言うとどうしてもベンチャーだ、展望のある企業だという一部になってしまうのですが、私は中小企業全体を視野に入れて実態をつかんで、そういう中小企業間の連携も含めて生産、経営、販売、流通、こうした総合的な支援が必要だと思いますけれども、その対策はどうなっていますか。
 三つ目は、来年度から消費税の免税点の引き下げや課税最低限の引き下げなどが、いわゆる改悪が行われますが、対象となる中小企業数、増税額、それはどのように推計をされるでしょうか。この不況下で影響が大きいと思いますが、そのことを示していただきたい。あと政府の調査がありますが、消費税が転嫁できない企業数、これは県内でもどのぐらい見込まれているか示していただきたい。
 4番目は、きょうの委員会の議論にもなりました信用保証協会の保証渋りというのでしょうか、今、運転資金の要望が多いんですね。私はこうしたものを解決するためには、やっぱり信用保証協会の出捐金をふやすとか、信用保証協会の支援策を県として強化しないといけないと思うのですよ。その対応を聞きたい。
 あと最後ですが、昨年の夏に県下最大の大型店イオンが盛岡に出店をしました。このイオン出店の地元商店街の影響をどういうふうに見ているのか。また、それに対抗して努力している地元商店街への振興策、それにどういう支援をしているのかを示していただきたい。

〇久保商工企画監 5点ほど御質問ございました。私からは中小企業対策費とそれから消費税関係についてお答え申し上げます。
 まず、平成16年度当初予算における中小企業対策関連の予算額ですけれども、592億1、400万円余で、一般会計に占める比率は7.6%となっており、これは平成15年度6月補正現計予算に比較しまして0.2ポイントの増となっております。それから、金融対策関連を除いた予算額ですけれども、これは57億7、800万円余で、一般会計に占める比率は0.7%と、これは平成15年度6月現計補正予算と同率ということになってございます。
 それから、消費税関係ですけれども、消費税法の改正に伴いまして、4月1日から事業者免税点と、それから簡易課税制度の適用の上限が引き下げられるということになってございます。このことによりまして、税務課の試算によりますと、県内の免税事業者の割合は、全事業者の6割から4割程度に、それから簡易課税選択事業者の割合は、5割から2割程度に減少するということが見込まれております。この減少によります本県分の国税として納税される額は、政府の算定による全国の税収見込み額を、本県の平成14年度決算額で案分して試算いたしますと、30億円程度の増額が見込まれるということになってございます。
 それから、今回の改正は、免税点とそれから簡易課税制度の見直しということですので、原則的には、新たな税の負担を求めるというものではございませんけれども、現実問題として、消費税の転嫁を行わなければ、それはその事業者の負担ということになりますし、また、それから納税に伴う事務負担というのも生じてくるだろうと思います。したがいまして、岩手県商工会連合会が中心となりまして、消費税の制度改正に適切に対応できるよう、講習会あるいはその税務相談等を現在実施しているところでございます。

〇江口産業振興課長 中小企業に対する総合的支援ということに関してでございます。
 中小企業に対する総合的な支援ということに関しましては、特にベンチャーですとかそういうようなものに対しての指導ということの一方で、県下にございます商工会、商工会議所というところに経営指導員、これは現在150名強の人数を配置するなどで対応いたしておるところでございます。また、いろいろ支援ということに関しますと、やはり相談窓口の設置ですとか、教育研修等々というようなこと、さらには、経営とか販売というようなことに対して一貫指導ということで、県の産業振興センターの方でいろいろな窓口等々を設置するとともに、事業に対する支援というのを行ってきたところでございます。
 ただ、こういうようなケースを見た場合に、やはり問題となっている点は、個別のメニューという意味では生産、販売、経営等々至る面、一貫してあるんですけれども、なかなか連携がうまくいかないといった反省点もあるのも事実でございます。そのようなことから、本年度から重点企業成長密着支援というようなことも含めまして、生産、販売、流通等々を含めた全体的な支援ができるような体制を構築いたしたところでございます。このような活動を通じまして、中小企業に対する総合的な支援というのを効率的に行えるような体制を築き、また、先ほど言いましたように施策のメニューというものについても、横の連携が図れるように工夫をしていくということで考えておるところでございます。
 また、2点目の保証協会に対する支援という意味で出捐金をふやすべきではないかというところでございます。保証協会への出捐につきましては、平成16年度予算におきましても5、000万円ほどの出捐ということで、その基盤の強化を図るということで予算計上をさせていただいておるところでございます。やはり先ほど佐々木博委員からもございましたが、保証協会の活動といいますのが中小企業を支えるという活動につながっていかないといけないわけでございます。
 そのような観点から県といたしましては、保証協会の経営が適切に行われているかどうかきちんと把握をしていく必要があると思いますし、そのような支障があるというようなケースにおいては、出捐金をふやすというようなことも含めて検討していかなければならないと考えております。現在のところは保証協会の債務残高は、保証できる限度額の34.6%程度ということになっておりますので、そのような意味からは大きく積み増さねばならないという状況ではないと判断をしておりますが、いずれにしましても全体の経営の中で考えていくべき問題と認識をいたしております。
 最後に、イオン出店に伴う地元商店街への影響等に関するものでございます。
 具体的なデータにつきましては、まだまとまっておりませんので数字については把握をしておりませんが、地元の商工会議所等々から話を聞いておるところによりますと、当初見込んでいたよりは影響が総じて言うと少ないのではないかというような声が上がっておるところでございます。しかし、一方で飲食などを見てみますとやはり大きく影響を受けているというふうな部分もあるというのが現状でございます。また、これは雫石町、かなり隣接した地域になりますが、ここで消費動向の調査というのを行った結果を見てみましても、身の回りの生活品等々に関しますと余り影響は受けていないが、やはり飲食に関しては影響を受けているというようなデータが示されておるところでございます。
いずれにいたしましても、このような商店街の方々、これから創意工夫をしていろいろと解決をしていかなければならない問題があると思います。そのようなものについて県としてサポートできる部分、例えば商店街でイベントを開催するというようなものに対して、にぎわいを創出するためのイベントの開催というようなことの提案等々上がってくるものにつきましては、可能な範囲での支援というのを行ってまいりたいと考えております。

〇照井昭二副委員長 ほかに質疑はありませんか。

〇平野ユキ子委員 平成16年度経済産業省の重点施策の中で、新しい項目として健康サービス産業の創造・育成という施策が上げられております。そして、ことしの1月発表になりました経済産業省の予算案の中で、この事業に14.8億円という予算がついています。こうなりました背景には、急速に高齢化が進む我が国において、国民の健康を支える基盤をどのように構築するかということで、よく最近言われますけれども、病気になってから治療するのではなく、健康を維持しあるいは増進、そして病気を予防するという視点に立った制度改革や政策展開が必要であり、その実現に向けた国民の意識変革が重要であるという背景のもとに出てきていると思います。これから高齢化社会になり医療費が増大することが懸念される中、この施策は非常に新しい切り口として求められる、国民のニーズにこたえたものと思われますが、県としてこの施策に対して手を挙げるおつもりかどうか、そして手を挙げるのであればどのような取り組みをするつもりがあるかということをお示しいただきたいと思います。

〇菅原新産業推進監 経済産業省が来年度の事業として予定しております健康サービス産業創出支援事業につきましては、国民の多様な健康ニーズにこたえた健康サービス産業を創造していくために、先進的なモデル事業を支援しようとする公募提案型事業となっております。健康産業は、今、御指摘のとおり今後成長が大いに期待できる分野であり、本県におきましても、地域経済の活性化や雇用創出などの効果が期待できますことから、本年1月、庁内に部局横断的な検討チームを立ち上げまして、健康サービス産業の創出に向けて検討を始めたところでございます。一方、県内には事業化に意欲的な民間事業者や大学関係者の動きもありますことから、このような民間事業者の方も加えまして、産学官によるコンソーシアムを立ち上げ、健康サービスの事業構想を組み立てまして、国のモデル事業として提案すべく取り組んでまいりたいと思っております。

〇平野ユキ子委員 今、産学官のコンソーシアムということで、これから立ち上げていきたいという回答をいただきました。実はこの取り組みは欧米ではもう既に進んでいるものなのですが、我が国ではこの予防という分野において非常に科学的な根拠に基づいた取り組みというのがおくれておりまして、これからどんどん出てくる。今、御答弁の中にありましたように、健康サービスといいますのは地域に密着しておりますし、また、生活密着型産業であるという特性から、地域経済の活性化ですとか雇用創出にも寄与すると思われますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思いますので、その積極的な取り組みを期待いたしまして質問を終わります。

〇照井昭二副委員長 ほかに質疑はありませんか。

〇柳村岩見委員 小原商工労働観光部長には、この3月をもって県を勇退されると伺っておりますので、私からこの機会をおかりして一言御礼の言葉を述べさせていただきます。
 小原商工労働観光部長には、昭和44年、時まさに岩手国体を翌年に控え、人々が高度経済成長の夢を追い、大県岩手づくりを目指して邁進を続けていた時代に県職員として採用され、以来、35年間の長きにわたり県勢の発展に大いに御尽力をいただきました。小原部長の県職員のスタートは、当時の岩手紫波福祉事務所のケースワーカーだったと聞いております。新採用から10数年間、福祉の職場を経験し、その後、総務畑の仕事を中心に経験を積みながら、視野の広さと管理能力を磨かれ、県の屋台骨を支える重要なポストを歴任されるようになられました。
 長い県庁生活の中で小原部長御自身、最も印象に残った出来事は、大阪事務所長時代、平成7年1月の阪神大震災の恐怖と混乱を、身をもって体験されたことではないでしょうか。御自身も兵庫県内の宿舎で九死に一生を得たとのことです。地震発生当時、職員との連絡がとれず安否を気遣われたり、また、交通機関が復旧されていなかった時期に、みずから荷を背負って県から派遣された支援チームに徒歩で差し入れを届けられたというエピソードまでお持ちと伺っております。この大震災の体験談は何かの機会に聞いたという職員も10人や20人ではないようです。こうした貴重な体験は岩手県の防災対策にとって貴重な財産となったのではないでしょうか。
 その後、県民生活課長、商政課長を経験され、平成9年にはその力量を請われて宮古市の助役も経験されました。平成12年には県に戻られて主席政策推進調査監、翌平成13年には県政運営のかなめである総務部長に就任され、県の行財政改革に手腕を振るわれました。このころから県財政の困難な状況が顕在化し、予算編成には大変御苦労があったのではないかと推測をされます。初めての予算編成に当たられた平成14年当初予算では、昭和25年度以来、実に52年ぶりの対前年比で実質マイナス予算の計上を断行されました。さらに、翌平成15年の予算編成に当たっては、マイナス予算の中にあって重要施策には重点的に予算配分できるよう、従来の予算編成システムに大胆にメスを入れ、政策形成プロジェクト方式を導入し、困難な時期を乗り切るための、県庁職員が一致協力して取り組む体制を築かれました。
 小原部長にとって県庁生活最後の年となったこの1年間は、商工労働観光部長を務められ、県と産業界との関係をより緊密にし、地域経済の活性化に向けて官民の協力体制の強化に腐心されました。小原部長の仕事ぶりは、緻密で論理的であることに加え、決断力に富むものであり、また、部下職員の指導には厳しい中にも温情豊かな包容力を持って当たられたと伺っております。県財政を取り巻く環境は厳しく、最近は縮小だ、縮減だと県職員も何かと萎縮しがちな状況にあるのではないかと感じられますが、そんな中にあって職員のやる気を引き出しながら、持ち前のフットワークのよさに加え、県政に対する情熱を持って業務に当たり、産業振興や雇用創出に積極的に取り組み、平成16年度当初予算においても多くの政策形成プロジェクトを構築されました。その成果は県庁の外からごらんになることと思いますが、あなたの薫陶を受け力を蓄えた後輩たちが、必ずやこの困難な時代を乗り切ってくれるものであると思います。
 長い間、本当に御苦労さまでした。ここに改めて深く感謝を申し上げます。退職されましてもどうぞ御健勝で県勢発展のために御協力賜りますようお願い申し上げ、御礼の言葉とさせていただきます。
 この際、35年間の県庁生活を振り返り、何か御所感の一端をお聞かせいただければ幸いでございます。

〇小原商工労働観光部長 ただいま、過分なお言葉を賜りまして大変恐縮いたしております。心から御礼申し上げます。
 お話しがありましたけれども、私が県庁に入りました翌年が岩手国体でございました。本当に県としては一大イベント、この国体を経験していろんな面で県職員は自信を持ったような気がします。また、私は盛岡の住人でありますが、盛岡を中心に本当に県内の道路が格段によくなったということを覚えております。以来、御紹介のありましたとおり福祉、農政、総務などでその時々の課題につきまして、上司の指導を得ながら、同僚、そして部下と力を合わせて対処してまいりました。
 今、地方行政、大きな変革期を迎えておりまして、しかも、変化のスピードが年々速まってきているということが実感でございます。政策につきましても、まさに各県の知恵比べといった様相を呈しているわけでありますが、最近とみに感じるのは、ベンチャーの成功例などを見ていましても、先を読む力といいますか、先見力といいますか、そういったことが本当に必要な時代になったということを感じております。そういう意味で日本経済もなかなか先を読めない状況でありますが、我が県庁、我が県は先を見通しながら的確に歩を進めてまいるものと存じております。どうか、県議会議員の皆様の一層の御指導と御支援をよろしくお願いいたします。
 私も、これまでとは違った立場から、ふるさと岩手を見守ってまいりたいと考えております。本当に激動の時代、県政の重責を担っていらっしゃる県議会議員の皆様方の御健勝と一層の御活躍を心からお祈りいたしまして、御礼の言葉にかえさせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手)

〇照井昭二副委員長 これで商工労働観光部及び総合雇用対策局関係の質疑を終わります。
 商工労働観光部及び総合雇用対策局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、医療局長から医療局関係の説明を求めます。
 なお、ただいまお手元に配付いたしました資料、県立磐井病院及び南光病院新築工事安全祈願際及び直会の主催者につきましては、総括質疑の際、後日配付することとされたものでありますので、御了承願います。
   
〔参照〕
平成16年3月15日医療局
【資料】
県立磐井病院及び南光病院新築工事安全祈願祭及び直会の主催者
1 主催者(幹事社:(株)熊谷組)
 ○ (株)熊谷組(東京都)・(株)平野組(一関市)・(株)佐賀組(大船渡市)特定共同企業体
 ○ (株)きんでん(大阪府)・北上電工(株)(北上市)・新高電気(株)(花巻市)特定共同企業体
 ○ 富士水工業(株)(盛岡市)・(株)永沢水道工業(一関市)・大宝商事(株)(一関市)特定共同企業体
 ○ (株)奥村組(大阪府)・高惣建設(株)(水沢市)・(株)佐々木組(一関市)特定共同企業体
 ○ 新興電気(株)(盛岡市)・三陸電業(株)(大槌町)特定共同企業体
 ○ (株)セントラル設備機器(水沢市)・松村工業(株)(釜石市)・三浦設備(株)(釜石市)特定共同企業体
 ○ 新菱冷熱工業(株)(東京都)・三建設備工業(株)(東京都)・三和設備工業(株)(花巻市)特定共同企業体
 ○ フジテック(株)(大阪府)
2 開催日
  平成15年12月15日(月)
3 開催場所
  安全祈願祭  新病院建設用地(一関市狐禅寺字大平地内)
  直会     ベリーノホテル一関
   

〇千葉医療局長 平成16年度岩手県立病院等事業会計予算につきまして御説明申し上げます。
 議案その1、48ページをお開き願います。議案第13号平成16年度岩手県立病院等事業会計予算につきましてでございますが、まず、第2条の業務の予定量でございます。収益的収入及び支出につきましては、病床数を6、151床と定め、年間延べ患者数を、入院で181万1、000人、外来では361万4、000人と見込むものでございます。
 次に、資本的収入及び支出でございますが、病院建築工事のうち、新築工事では、磐井及び南光病院は平成17年度の竣工に向け工事費など所要の事業費を計上するものでございます。花巻厚生・北上病院及び山田病院につきましては、基本実施設計料ほかを計上するものでございます。増改築工事では、胆沢病院が平成16年度の竣工に向けて所要の事業費を計上するものでございます。
 また、医療器械につきましては、磁気共鳴画像診断装置――いわゆるMRIでございますが――などの購入が主なものでございます。さらに、医師養成負担金につきましては、岩手医科大学に本県出身者の入学枠5人分を確保し、その養成経費を負担しようとするものでございます。
 次に、第3条の収益的収入及び支出と第4条の資本的収入及び支出の具体的な内容につきましては、後ほど予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 次に、50ページに参りまして、第5条の債務負担行為でございますが、これは、工期が翌年度以降にわたる二戸病院用地の造成工事費並びに花巻厚生・北上病院の基本実施設計料等の債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものでございます。
 第6条の企業債でございますが、病院建築工事や医療器械購入等の財源となる起債の限度額を104億8、100万円とするほか、その償還方法等を定めようとするものでございます。
 第7条は、一時借入金の限度額を158億円と定めようとするものでございます。
 第8条は、議会の議決を経なければ流用することのできない経費を定めようとするものでございます。
 51ページに参ります。第9条でございますが、薬品、診療材料等のたな卸資産購入限度額を定めようとするものでございます。
 第10条重要な資産の取得は、購入予定価格が1件7、000万円以上の医療器械の取得でございます。
 それでは、予算に関する説明書をお開きいただきますが、436ページをお開き願います。平成16年度岩手県立病院等事業会計予算実施計画につきまして御説明申し上げます。
 初めに、収益的収入及び支出についてでございますが、まず、収入でございますが、第1款病院事業収益は988億100余万円で、平成15年度の最終予算と比較しますと0.8%の増加でございます。
 第1項医業収益は864億3、100余万円で、1目入院収益は548億6、500余万円、2目外来収益は256億4、700余万円でございます。3目その他医業収益は59億1、800余万円で、その主なものといたしましては、救急医療等の一般行政経費に係る一般会計繰出金、健康診断等の公衆衛生活動収益等でございます。
 第2項医業外収益は123億6、900余万円で、主なものといたしまして、3目負担金交付金112億4、500余万円は、結核病院や精神病院及び高度医療等のいわゆる不採算経費に係る一般会計繰出金でございます。5目その他医業外収益6億6、100余万円は、不動産貸付料等でございます。
 437ページに参ります。支出でございますが、第1款病院事業費用は1、003億7、200余万円で、平成15年度の最終予算と比較しますと1.4%の増加でございます。
 第1項医業費用は938億7、100余万円で、その主なものといたしまして、1目給与費527億3、900余万円、2目材料費258億3、500余万円、3目経費112億4、700余万円、5目減価償却費34億1、500余万円等でございます。
 第2項医業外費用は51億2、300余万円で、その主なものといたしましては、1目の企業債等に係る支払利息40億3、000余万円等でございます。
 次のページに参りまして、第3項特別損失は13億7、200余万円で、新築いたしております二戸病院の旧建物の解体除却費等でございます。
 以上、支出の合計額は1、003億7、200余万円となり、この結果、収入と支出の差し引きでは15億7、100余万円の純損失が見込まれるものでございます。
 439ページに参りまして、資本的収入及び支出について御説明申し上げます。
 収入の総額は146億5、200余万円であり、その主なものといたしましては、第1款資本的収入の第1項企業債104億8、100万円で、これは、さきに業務の予定量で御説明申し上げました、磐井及び南光病院等の建築工事や医療器械の購入等に充てるためのものでございます。
 第3項負担金41億7、000余万円は、企業債償還等に係る一般会計からの繰入金でございます。
 次に、支出でございますが、その総額は206億6、400余万円であり、その主なものといたしましては、第1款資本的支出の第1項建設改良費107億2、000余万円でありますが、その内容は、次のページでございますが、2目建物費73億5、600余万円、3目医療器械費25億4、900余万円等でございます。
 第2項企業債償還金は89億2、700余万円でございます。
 第3項投資は3億2、700余万円でございますが、その内容といたしまして、1目長期貸付金は、医師等に対する奨学資金の貸付金として1億2、400余万円、2目医師養成負担金は2億200余万円でございます。
 第4項開発費は、情報処理システム等の開発費で6億8、700余万円でございます。
 なお、441ページ以降の資金計画、給与費明細書、債務負担行為に関する調書、予定貸借対照表及び予定損益計算書につきましては、説明を省略させていただきます。
 先ほど委員長からお話がありましたが、あらかじめお配りいたしております資料は、県立磐井病院及び南光病院工事安全祈願祭及び直会の主催者の一覧でございます。
 以上、説明を終わらせていただきます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

〇照井昭二副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。

〇伊藤勢至委員 1点のみお伺いいたしたいと思います。医師確保対策についてであります。
 昨年の12月2日の地元の新聞でありますが、「待ってました小児科先生」というタイトルで、木元医師(広島出身)が着任、県立遠野病院、こういう大変いい記事が載っておりましてほっとしたところであります。
 この内容は、医療局あるいは遠野市がホームページでお医者さんを募集しているというのを載せたところ、それをたまたま見たこの先生が、将来、困っているところでお役に立ちたいということで決断されたそうでありますが、研修医時代から友人と3回ほど遠野市を訪れ、あるいは1年ほど前からは、数回、家族で遠野に来られていた。そういう中で、このホームページが大変よかったと思うんですが、今後の医師確保対策の一つのいいお手本になるのではないかと思っておりますが、今後、こういったことを使っての対応、対策をどのように考えておられるか、まずお伺いいたします。

〇千葉医療局長 ホームページを使ってのいわゆる医師の確保でございますけれども、今委員のお話ありましたとおり、医療局本庁でもホームページを開設しておりますし、各病院でも、それぞれいろいろな工夫をして医師募集をやっております。
 ただ、実態としまして、県立病院の正規の医師が481人おりますが、そのうち427人、約9割は、やはりいろいろな系列の大学に依存しているということで、今後とも継続して安定的に医師を確保するというのには、やはり大学との関係をきちんとやらなければならないと思っております。
 今のそういったホームページも今後いろいろ進めてまいりますし、いろいろな形で個人情報を、データバンクみたいなものをつくって、それで手紙を出したり、訪問したり、そんなものも組み合わせながら進めていかなければならないと思っております。
 今、この時点で、不安もありますけれども、一番期待できるのは、やはり4月から始まる医師の臨床研修であろうと思っておりまして、これは県全体で73名の臨床研修医を、これは岩手医科大学、日赤を含めてですが、任意研修である今の時点の場合、近くということで、伸び率は全国で4番目なそうですが、この研修医が2年の義務研修を修了後、できるだけこの地元に定着するような働きかけに今後努めていかなければならんと思っております。
 そのほかに、従来からやっております奨学資金の貸付事業であるとか、岩手医科大学の5人枠の事業、そういったものをいろいろ絡めまして、今、大変な時期ではございますが、医師の確保に鋭意努めてまいりたいと思っております。

〇伊藤勢至委員 今回のこの遠野病院のように、御自分から地域を指定してこられた先生は、そこで定年までずっと異動することなく働いてもらうということなんでしょうか、それを一つお伺いします。
 もう一つは、岩手県は福岡市、名古屋市、大阪市、東京都、北海道に事務所を持っているわけですよね。これは医療局だけの問題ではないと思っておりますので、岩手県全体の問題だと思いますから、やはりここにも問題意識を持ってもらって、継続して医師確保対策のために――継続してですよ、人がかわっても継続してこれに取り組んでいくべきではないかと思うんです。
 これもまた一つのいい参考になると思うんですが、かつて、田野畑村の田野畑診療所には、無医村だった時代を含めて、大変お医者さんが少ないということもあって、当時の早野村長が28歳で就任した折に、大学の同窓ということで将基面先生という大変すばらしい方を、口説いて、口説いて来ていただいて、40数年頑張ってもらったという例があるわけですよね。したがいまして、今回のこのようなホームページを活用して募集する現代風のやり方、硬軟、どっちが硬か軟かわかりませんが、そういうものと同時に、やはり人が人を熱意を持ってお願いする、口説く、こういう両面作戦が必要なのではないかと思うところであります。
 それから、私が思いますに、私は宮古市なわけでありますが、30数年前は本当にお医者さんが少のうございましたけれども、お医者さんがどんどんふえて、それぞれ頑張っていただいているわけですが、当時は大変パイオニア精神を持っていたお医者さんが多かったと思っております。お医者さんとしての仕事はそのまましっかりやっていただいたほかに、例えばスポーツだとか、音楽だとか、そういういろいろな文化活動のパイオニアであったのであります。ゴルフだとか、ラグビーだとか、サッカー、ヨット、ボート、あるいは音楽活動、そういったものは、やはりその地域のパイオニア、先達としてお医者さん方に切り開いていただいた部分が大変多かったと思っております。
 そういう中で、今、先生方のライフワークといいますか、生活パターンはいろいろ変わってきていると思っておりますが、岩手県にあり余って、そして今の若い人たちにないもの、そういうもののやりとりをすることが必要だと思うんですよね。そういう、つまりグリーンツーリズムとかブルーツーリズムとかいろいろあると思うんですが、アウトドアライフを志向する先生方に、岩手のこの大自然のすばらしさという部分を提供するというような考えがあってもいいと思うんですが、そういったものについてお考えでしょうか。

〇千葉医療局長 何点かありましたが、最初に、ホームページを使って来てもらった医師が、今後どう動くかということについては、正直申し上げまして、やはり本人の意向というものも尊重しなければなりません。絶対的に数が足りませんので、そういった形になろうかなと思います。
 参考までに、平成15年度にホームページで何とか獲得できた医師が4名おりますし、4月からの医師が2人ほど内定いたしております。いずれ、できるだけ長くいていただくようにと。
 一方では、本人の希望で別な地域に行きたいという場合もあるわけで、そういう意味では、できるだけ定着するような、町を挙げて、村を挙げてそういったおつき合いをこの場でお願いしたいと思いますし、私どももそういった環境整備には努力してまいりたいと思っております。
 それから、県外事務所の活用、具体的に考えてございません。ですが、今後やはり、いずれ我々のみでは大変でございますので、いろいろな情報を収集するといった観点でも、県外事務所を何とか活用してやってまいりたい。
 それから、医師が医療以外での活躍と申しますか、地域での文化等のかなめとなってやるといった活動、これは個人差もあろうかと思いますけれども、大いにそういった部分でも地域と一緒になって継続的に働いていただきたいと思ってございます。そういう意味でも、現実を申し上げますと、医師もいわゆる地方にはなかなか行きたがらないというのが現実でございます。それで我々の方で思うように異動させられないという実態がございます。そういった地方で何とか定着するような策を私ども一生懸命考えながら、それぞれ実行できるものからやってまいりたいと考えております。

〇伊藤勢至委員 最後ですけれども、いずれ医療局だけの問題ではないわけですので、県民全体の問題でありますから、県庁組織挙げて、それぞれが薄く広く、皆さんに一役買ってもらって、これは全県庁的に取り組んでいくべきだと思いますので、活用できる部分は活用されてお願いしたいと思います。
 それから、提案ですけれども、都会になくて岩手にあるもの、岩手にあり余っているもの、私はそれは山だと思っています。一山であれ、二山であれ、こういう若いお医者さんに貸してやればいいんですよ。住宅つき、山つき。桃栗三年柿八年と言いまして、将基面先生のように40年もこの岩手に居ついていただくとなると、最初の10年で借りた山を開墾しただけでも、これは桃源郷ができるんですよ。私は、決して都会では持てない岩手の岩手らしさだと思っていますから、その中にブルーツーリズム、グリーンツーリズム、あるいは渓流釣り、そういったものが新しい魅力として起こってくるんだと思っていますから、余っているものを活用する、そういう観点からぜひお考えをいただきたいと思いますが、いかがでございますか。

〇千葉医療局長 先ほど、ホームページをいろいろ工夫していると申し上げましたけれども、各病院、それぞれの地域の特徴とか、海がある、山があるとか、そういった特徴を出しながらPRにこれ努めているところでございます。
 冒頭ありました遠野の小児科医の場合も、遠野物語初め、全国的にネームバリューがあります。そういったことで学生時代から遠野に何回か来ている。そういった縁があって、遠野の魅力にも引かれ、赴任までこぎ着けたといったようなことがございます。いずれそういった地域の特徴も十分生かして、それが確保につながるように努力してまいりたいと思います。

〇佐々木俊夫委員 医療局は開闢以来の難しい問題に当面しておりまして、千葉局長以下、大変御苦労されておりまして、ひとつ頑張ってやっていただきたいと思います。
 例の改革プラン、私は去年の11月本会議で最初に取り上げさせてもらいまして、その当時の考え方から今日まで、大分内容的に大きく変わってきております。これは医療局自体が県民の医療ということ、あるいはまた、県民のいろいろな要請というものを非常によく受けとめながら改善を加えてきた結果であろうと思っております。
 そこで、特に当時と現在までで変わった点、なお、特に気を配っている問題点は何なんだろうかということについてお伺いします。

〇八木経営改革監 当初、基本プランをお出しし、パブリックコメント等を実施しながら、各圏域におきまして運営協議会委員に対する説明会を実施してきました。さらに、市町村議会等からの意見書、それから、各町村、団体等からの要望等が多くあったところでございます。
 特にもこの中で、休日・夜間に対する無医村、いわゆる診療所化した場合には無医村になるのではないかといったこと、それから、やはり病床が当該地域からなくなるのではないか、こういう声が非常に強うございました。
 さらに、パブリックコメント等では、当初の計画ではサテライト施設という形でお出ししていましたけれども、どうもそのサテライトという言葉自体が誤解を招くといいますか、どうしても遠くに離れるというようなイメージがあるだろう。こういったようなこと等がございました。
 これらを受けまして、まず第1点目は、当初の基本プランでは無床の診療所ということで考えてございましたけれども、これを有床の診療所化に変更した。これは、先ほど申しましたように、休日・夜間のいわゆる無医村といいますか無医地区といったものをなくすためにも、医師等の当直制ができるような有床診療所化をしたといったことでございますし、それから、従前、長期の経営計画の中で地域総合病院あるいは地域病院という位置づけをしてございましたので、これらの連携を継承するといいますか、その中身を維持していこうということで、サテライトという言葉をやめまして、地域総合なり、あるいは地域病院なり、そして診療所は有床、こういったように見直しをしてございます。
 いずれ、この改革プランの中で大きな点はそういったものでございますし、特にも重要視したのは、休日・夜間等に対する救急対応ということでございます。

〇佐々木俊夫委員 これはまだまだ大変な課題を含んでおると思いまして、いろいろとまだ意見も出てくるだろうと思っておりますのでよろしくお願いします。いずれこれが成功するかしないかというのは、基本的にはお医者さんの問題に帰着するのかなと思うのでありまして、先ほど伊藤委員の方から大変明るい話題が出たのでありますが、そこでお伺いしますけれども、ことしの年度末をもって退職する県立病院のお医者さんは何名ぐらいあるんですか。また、その理由等について。

〇千葉医療局長 退職というのは、定年という意味ではなくて、大学との関係ということだと思いますが、かなりの数になります。一部には、現に医局に所属しておっても、離れる、退職するという医師も数名ございます。ただ、大変申しわけございませんが、1月1日現在の常勤医師数で言えば、昨年の4月と現在同数でございますが、毎年異動が、やはり我々事務屋の人事異動と同時期が最も多うございますので、大変申しわけありません、今資料がございませんので、数については申し上げかねます。

〇佐々木俊夫委員 大変大事な問題だと思うんですが、数を把握していないというと意外な感じもしたんです。私自身も、やめるというお医者さんもある程度知っているんですよ。大学に戻るのではなくて、もうやめていくと。何か私、この改革プランに絡んでいるのかなという感じを持ちながら、何とかもう少し頑張ったら、先生、と言った人もあるんです。そういう数をきちんと押さえていないで改革プランというのはないと思うんですよ。
 同時に、先ほど研修医が73名、前よりも多く来ますよと、これは結構な話なんですけれども、やっぱりその結果、新年度の医療局におけるお医者さんの活動はどうなるんだというのをつかんで予算を組んでもらわないと、私は、これはちょっと、実は納得しかねる答弁だなと。前もって予告すればよかったんですけれども、予告もしないで言ったので。いずれ、相当数やめられるという悪いうわさもあるものですから、何とかそこを克服しながらやっていただきたいと思います。
 もう一つ、今、時期的な問題もあるんですけれども、私はこの前の本会議でも取り上げたんですが、奨学金、これが果たして成功しているんだろうかどうだろうかという心配もあるんです。現段階で、もう既に大学等は入学許可がおりていると思うんですけれども、申込状況というものはどうなんでしょう。例年に比べて何名ぐらいで、どうなっているんでしょうか。

〇橘山参事兼医師対策監 ただいまの奨学資金の申し込みの状況でございますが、十六、七名の方から今、書類の問い合わせがございます。

〇佐々木俊夫委員 結構な話なんですが、十分選考されたらいかがかなと思うんです。成績がいいから成績の順番などと言わずに、やっぱり目的をきちんと守るような方に奨学金を出すということをしないと、例年の結果を繰り返さないようにひとつ努力をしていただきたいと思います。
 いずれ、最初に申し上げましたように、医療局は大変な状況にありますので、何はともあれそれを打開するのはお医者さんでございますので、先ほども提案があったようですけれども、ひとつ積極的な活動を期待して終わります。

〇田村正彦委員 この平成11年度に長期見通しをお立てになったわけですよね。それで、年度が進むに従ってその乖離がどんどん大きくなって、もうにっちもさっちもいかなくなって今度の改革案だ、私はそう理解しているんです。その改革案で、平成20年にはプライマリーバランスを整えるんだというような計画にはなっているんですけれども、前段の平成11年の計画をつくった経緯、そしてまた今度の計画をつくったことから、確実に予定どおり、計画どおりいくと考えておられるんですか。

〇千葉医療局長 平成11年度は、平成12年2月に長期計画をつくったわけでございますが、今お話のとおり、もう翌年から大幅に収入が乖離したという実態がございます。特にも平成14年度は診療報酬の改定がございまして、そういった影響、あるいは徐々に進んでまいりました在院日数の短縮ということで、入院患者が相当数、県全体では空床が出るという状況がありました。
 それから、外来患者については、平成11年の計画策定時には全く予測できなかったんですが、いわゆる長期投与の緩和ということで、大幅に、現在でも前年比10%ぐらい減っておりますが、そういったいわゆる収入面での大幅な減少というのが計画との乖離の原因だと思っております。
 現在お示ししている改革プランで果たして今後大丈夫かという話ですが、現時点で私ども見込める、まずもって患者数の減少に対応した規模なり、機能を見直さなければならんというところに重点を置いておりますし、自助努力、自分たちでもそういった患者数減少をそのまま、例えば職員数であるとか、中で外部委託できるものがないかとか、さらには、いろいろな経費の節減できる部分がないかという面で最大限やったつもりであります。そういうものを積み上げて、短期間ではありますが、5年後を見通して収支がバランスできるようにということでやりました。
 ただ、いずれいろいろな制度が変わってきております。それから、地域医療計画がまた見直されるとか、いろいろな部分で見直しがなされると思いますので、もっと長いスパンではなかなか見通せない。ただ、高齢者はふえますけれども、絶対的に人口が減少していくというのはもう明らかでございますので、そういったことで5年間という短期間の計画にせざるを得なかったというところでございます。
 いずれ、今後これで大丈夫かということに関しては、5年後を見通せば、現在の段階で今のまま何もしないでこのまま進めますと、累積赤字ということよりも、むしろ現金収支の方で数年後にショートする、パンクするという状況でございますので、これは早急に手をつけなければならんということで計画を立てたものでございます。

〇田村正彦委員 確かにこの医療を取り巻く環境がここ数年大幅に変わってきたということがこういった事態を招いているという大きな一因はあると思います。ただ、ぜひ皆さんに理解していただきたいのは、一般会計から140億円の金を毎年毎年つぎ込んでも、なおさら赤字だ。これでは県民の人たちは、どう考えたって、何とかするべきだという人がほとんどだと思うんですよ。それを受けた形でのこの改革だと思うんですけれども、例えば今、5年間は何とかという話がありました。この改革プランの前提、構造的な面、経営的な面、人事の面あるいは給与の面、いろいろな改革案が網羅されておりますよね。そういったものを一つ一つ確実に処理する自信が本当にあるのかと私は言いたいんです。
 いろいろな各種の団体、地方自治体からもこの改革プランに対しては非常に強い抵抗があるのは皆さん御承知のことなんですよね。この抵抗――抵抗という言葉はよくないんですが、この人たちにどう納得のいく説明ができるのかというのが、この改革プランの成功の一番のポイントじゃないのかなと思っているんです。
 そこで、機能の強化、あるいは充実という言葉がよく使われているんですけれども、この改革プランによって機能は本当に強化するのか、充実した医療が展開できるのか、このことについてお尋ね申し上げたいと思います。

〇千葉医療局長 機能の強化とか、いろいろ言葉を並べてあるのは事実でございますが、基本的に今回の計画は、要するに個々の病院ではなくて、これから患者数減少というのは、それぞれの病院はそれなりに入っておりますが、全体として空床があるということで、いわゆる二次保健医療圏単位でこれからの県営医療を考えていかなければならんというのが基本にございます。ですから、病棟を休止したり、あるいは一部診療所化ということで御不便をおかけする地域もあるわけでございますけれども、そういう意味で、基本的に二次保健医療圏に全部、盛岡市の場合は中央病院ですが、その他に、いわゆる現在で言う広域中核病院があるわけでございまして、そこに医療器械であるとか、検査とか、いろいろな事務部門もそうですが、そこには機能的にできるだけ集約する。それが効率化にもつながると考えてございます。
 金太郎あめのようにそれぞれ満遍なくやろうとしますと、今と変わりないというか、むしろ赤字を増幅することになりますので、いずれそういう意味で、広域基幹病院を中心に機能を強化する、充実するということでございますし、可能な限り周辺の地域病院あるいは地域総合病院についても、基幹病院からの医師のみではありません、医師は今でもやっておりますが、検査とか、事務とか、そういった応援を得ながら、医師の応援もできるだけやりますけれども、そういったことでできるだけサービスは低下させないように配慮しながら、医療圏単位全体として充実するように、何とかこの計画を実行に移してまいりたいと思っております。

〇田村正彦委員 ぜひ努力をしていただきたいと思うんですが、一般質問でも申し上げましたけれども、県立病院のない地域にあっては、いわゆる市町村営の病院においては、みずからの財源を持ち出して、そしてその地域の人々の医療の確保に当たっているんだ。私は、この県立病院の医療行政に当たって、そういったこともぜひ頭の隅に入れておくべきだと思うんです。
 これは、言っていいかわかりませんけれども、人件費にしても、お医者さんはもちろんそうです、看護師さんにしてもそうです。例えば、30歳の看護師さんで、年俸470万円もあるんだという実態もあるわけですよね。これは一般の民間の看護師さんから見ればどうなんだ、一般の県民から見ればどうなんだと。確かに労働時間はきつい面もあるとは思いますけれども、私は、そういったものもやっぱり真摯に検証すべきだと思うんです。そういった個々のそれぞれの問題に真剣にとにかくぶつかってもらいたいということをお願いして、終わります。

〇千葉康一郎委員 私も1点御質問いたします。
 平成16年度の産婦人科医の医療の確保についてでございます。
 先般、病院改革基本プランが発表されまして、身近な医療機関として頼りにしてきました県民にとりましては、本当に大変大きなショックを受けているところであります。
 加えて、このたび県立の3病院、つまり、花巻厚生、高田、千厩病院の産婦人科の医師が不在になるということで、4月から休診するということでございます。いずれ本年4月から休診する病院を利用している患者さん、入院している方、あるいは通院している方、そういう患者さん、それから、地域の住民には、今回の突然と言ってもいい休診に、極めて大きな不安と動揺が広がっているのであります。特に、あすあすお産を控えている患者さん、本当にこの不安、動揺というのは、まことにはかり知れないものがあるわけでございます。
 そこで、こういういわゆる休診について、これは先ほどのお話でございますと、臨床研修医制度の関係から引き揚げということにもなるんでしょうが、これは基本プランの中に組まれて取り組まれておったのかどうか。私はないように思っておりましたが、先ほど申し上げました臨床医制度の関係もあるのでしょうが、なぜ急にこういうふうに決まったのか。臨床医制度というのは前から知っていたのかどうかですね。それであれば、やっぱりそれなりの対応が必要ではなかったのか。その知った時期をお聞かせいただきたい。理由ですか、それをまずもってお聞きします。

〇千葉医療局長 千厩病院の医師が4月から常勤ではなくなります。この医師については、退職の申し出はかなり以前からありました。いずれ本人には、鋭意、最大限慰留に努めてまいったところでございますし、あわせて後任医師の派遣について関係大学に要請してきたということで、大変遅くなったわけですが、千厩病院の場合は2月24日に院内掲示という形でお知らせしたという状況でございます。
 いずれその慰留にこれ努めてきたということで、あわせて大学当局に派遣を要請してきたという結果で、住民の皆様には本当に御不便をおかけして大変申しわけないと思ってございます。何とか、できるだけ早い時期に再開できるように努力はしたいと思ってございます。

〇千葉康一郎委員 いずれ今のお話を聞きましても、花巻厚生病院なり高田病院なり、ここは事前に皆さん方に休診するということもお話ししてあったのでしょうか。

〇千葉医療局長 花巻厚生病院については、ここは東北大学からの医師でございまして、昨年の年末の段階で東北大学から、隣の北上病院に集約せざるを得ないということでお話があり、何度も大学に足を運びまして継続を要望したんですが、いずれ見込みが立たない。現在、週3日の診療応援で対応いたしておりますけれども、1月8日に院内掲示をいたしました。
 それから、高田病院につきましては、これは岩手医大の関連でございますけれども、いずれ医師の絶対数が、臨床研修もありますし、入局者の数という問題、そもそも産婦人科医の場合は絶対数が少ないといった問題がございますが、そういったことで、岩手医大経由の産婦人科の医師、いわゆる県立病院全体ですが、全県的なバランスのとれた配置という観点で、どうしても高田病院から産婦人科をなくさざるを得ないということで、今回のような措置となったものでございまして、2月27日に院内掲示いたしております。
 なお、そういったことで、先ほど申し上げましたが患者さんに本当にご不便をおかけしていますけれども、現在通院されている方につきましては、それぞれ希望をお聞きいたしながら、紹介先病院をお話ししているところでございますし、今後ともそういった形でやってまいりたい。
 いずれ、産婦人科の場合特にもなんですが、産婦人科という特性から、どうしても一人勤務ではドクターに負担がかかります。そういったことで、私どももそう考えておりますし、大学当局もそうでございますが、最低2人、それが3人、4人ということでないと本当は難しいということで、これからは、当面、こういった医師の絶対数の不足の中では、県立病院の場合、こういう基幹病院に重点的に複数体制で配置せざるを得ない。私は、当面はそういったことにならざるを得ないと考えております。
 いずれ標榜している基幹病院以外の病院があるわけですが、そういったことで、お産はできないと思いますが、婦人科の方で最低週1日の応援ということを何とか確保するよう努力してまいりたいと思っております。

〇千葉康一郎委員 今、局長の方から標榜している病院の話がございましたが、調べてみますと、これはもう既に休診状態になっているんですが、遠野病院とか、江刺病院、大槌病院、ここについてもかなり地元の方々からは、何とか早くしてほしいという要望がかなり出されていると聞いております。いわゆる今加わった今度の3病院、合わせますと6病院になるわけですが、大変なことだと思います。ただ、医師がいないのには何ともなりませんけれども。
 この医師が、全国的には充足率130%を超えているという話も聞こえてくるんですが、これは本当なんでしょうか。岩手県の場合は全く、80%を切るという、これは全体のすべてを含めたことなんでしょうか、その辺お伺いしたいと思います。

〇千葉医療局長 その100数十%というのは恐らく全医師だと思います。産科の医師の充足率、いわゆる診療科ごとの充足率という概念は私は承知いたしておりません。ただ、私は今データを持っておりますが、人口10万人対医師数というのが全国では9.8人です。全国のデータですが、人口10万人に産婦人科の医師が9.8人ということです。本県の場合はそれが8.5人ということで、余り差異はないんですが、やはり本県の比率は全国的にも少ない。
 産婦人科の場合は開業医さんが圧倒的に多うございまして、地域偏在、盛岡市周辺に多くいる、やはり地方には少ない。釜石医療圏の場合は市民病院からいなくなりますし、県立釜石病院に、遠野を含めて、開業医さんを含めて1人しか産婦人科医がいないという現在の状況でございまして、非常に足りない。
 それから、いろいろな大学の教授等と話しておりますと、産婦人科になり手がない、欲しい数の半分ぐらいしかないというお話は、全国的な話ですが、私は前にいただいたことがございます。いずれ絶対的に、恐らく全国的にも、総数でも少ない、足りないのではないかと思っております。

〇千葉康一郎委員 いずれ、今の入院なり通院している患者さんのことを思えば、一日も早く、とにかく何とか医者を確保して再開してもらいたいものだと思うわけですが、いわゆる先ほど伊藤勢至委員からもお話がございました、さっき局長もお話でございましたが、この岩手に来たがらないと、何が原因で岩手県に医師が来たがらないのか。ですから、先ほど伊藤委員が話されたようなことをもっともっとPRしていったらいいのではないかと思いますが、何で岩手県には医師が来たがらないのでしょうか。

〇千葉医療局長 来たがらないかどうか、いずれ数は足りません。これは今に始まったことではなくて、長年の課題、懸案であると私は思っております。
 いずれ国に対しましては、これは本県だけではございません。本県も、特にも地元大学、岩手医科大学ですが、入学定員をふやしてくれと。全国的には医師過剰と言われておりますが、東北、北海道を中心に医師が非常に少ないといったことで、医師の定員枠を総体では変えなくても、そういった医師不足の地域にふやしてほしいといったような働きかけもやっております。
 それから、やはりどうしても現実に県内でも、いわゆる県央部とその他の地域との偏在があると私は思っております。特にも開業医さんの場合はあるんですが、県立病院でもございますので、できるだけそういったものを何とか大学の理解を得ながら、これはちょっと時間がかかるかと思いますが、そういった医師の配置の適正化について、何とか進むように努力してまいりたいと思っております。

〇千葉康一郎委員 いずれ平成16年度、この休診地域の配置、これはとにかく何とかしてもらいたい。見通しをお聞きしたいんですが、同時に、自治体病院とか開業医さんとの連携、その辺等もきちんとやってもらいたいと思っているところでございます。
 いずれ、一日も早く解消していただきまして、そして、県民が安心して暮らせるような地域社会づくりに一層の御努力をいただきますようお願いして、最後の見通しを聞いて、終わります。

〇千葉医療局長 先ほど申し上げましたが、産婦人科の場合、いずれこういった少ない医師数の中で、やはり一人診療科になりますとその医師にも相当な負担がかかるということで、やはり複数配置ということを念頭に置いて当面は考えていかざるを得ないと思っております。したがって、標榜しておって不在、今申し上げました千厩病院を初めですが、常勤医を直ちにということはかなり厳しいと思っております。いずれ、努力はいたしますが、当面、週何日とかいった応援体制がとれるような努力をしてまいりたいと思っております。

〇及川幸子委員 いろいろ答弁をお聞きしましたけれども、ちょっと私は、局長、お産をする人の身になりますと、大変神経が細いんですよ。この千厩病院、休診となる3日後にお産をする患者さんがおりました。大変不安で不安でたまらないという訴えを聞いたんですが、ちょっと、複数配置、常勤医だけでは無理、対応を何とかすると、余りのんびりしているのではないかなと思います。一人勤務の医師であれば、助産師さんの活用などはどうなんですか。ちょっとそれをお聞きします。

〇橘山参事兼医師対策監 ただいま及川委員の方からの御質問でございますが、確かに休診される地域の方には非常に御不便をかけておりますので、おわびを申し上げたいと思いますが、私どももできる限り、一人配置も心情的にはお願いしたいわけでございます。ただ、このように患者からのニーズが高くなってくればくるほど、医師に対する負担といいますか、そういうものが、24時間365日拘束されますので、1人では対応できないということになります。
 したがいまして、もし強硬に一人配置をお願いした場合、配置された医師が退職されますと、岩手県内のどこかにいられればいいわけですが、他県の方に出てしまうとなりますと、医療局全体の数が減ることになります。したがいまして、私どもは、やはりそれだけは避けたいということで、これからは複数配置で、各圏域には少なくともそういう体制を整えていきたいと考えておりますので、御理解いただきたい。
 助産師につきましては、医師と一緒にやることによりましてよろしいと思いますが、その辺については非常に難しい面があると思います。

〇及川幸子委員 難しいのはわかりますけれども、助産師さんも大変な技術を持っていらっしゃいます。昔は助産婦さん、産婆さんでお産をして元気に育っている我々でございますので、その辺のところも厚生労働省などに呼びかけてやらないと、これは絶対改善ができないと思っております。
 先ほどの問題ですが、2月24日院内掲示したというんですが、お産の方々はその前、とっくから検診に行っているはずです。ですから、以前から退職の申し入れがあった時点で、先生はいつごろこの病院からはいらっしゃらなくなるんですが、それでもいいですか、ほかの病院を考えるという手もありますよというぐらいの親切があった方がいいと思いますよ。神経的に高ぶって、大変不安な産婦さんがいっぱいいらっしゃる中で、もう一度そういう点を反省し直して、もっともっと積極的に取り組むべきと考えます。

〇千葉医療局長 仰せのとおりでございます。以前というのはかなり前でございまして、本当に時間をかけて説得したということです。ただ、仰せのとおりでございます。本当に配慮が足りなかったと反省いたしております。今後、余り早くやるのも、後任の医師等の関係もありましてですね。いずれ、診療科によっていろいろ考え方が違うと思います。このように1人しかいないところでは、当然、委員おっしゃるとおりやるべきであろうと思っております。本当に反省して、今後に改めるべきは改めてまいりたいと思います。

〇及川幸子委員 江刺病院の産科もなくなりまして、水沢市の胆沢病院の産科の方が大変込んでおります。これも大変な問題であると、江刺市から婦人科に通う患者さんたちが大変こぼしております。この胆沢病院の取り組みも積極的にお願いしたいと思います。

〇照井昭二副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時2分 休 憩
   午後3時24分 再 開

〇吉田昭彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、橘山医療局参事兼病院改革室医師対策監から発言を求められておりますので、これを許します。

〇橘山参事兼医師対策監 先ほど佐々木俊夫委員の方から、今月末で退職される医師の数と、それからその補充の状況についてということでございますが、まだ確定してございませんでしたので、まだわからないというお話をいたしましたが、3月13日の段階では50名の方が退職されます。その補充につきましては、研修修了後の医師の採用等を含めますと49名に今の段階でなってございます。したがいまして、ほぼ同数の確保ができるのではないかと考えてございます。いずれ、今も大学の方とも折衝しておりますので、そういうことで御了解いただきたいと思います。

〇吉田昭彦委員長 質疑を続行いたします。

〇平沼健委員 先ほど平成16年度の医療局の予算案が示されました。本当に大変厳しいというか、そういうようなことでございます。それにも関連しまして、現在、県立病院の改革案というものが示されておりまして、この県病の改革案についての基本的な考え方を幾つかお尋ねしたいと思っております。これにつきましては県内各地域で何回か説明会等もございまして、私もそのときには伺っておりますが、ただ、なかなか理解できないというか、箇所があるものですから、くどいようですけれども再度またこの場でお尋ねしたいと思っております。
 まず、一つは、今回この改革案が示されておりますけれども、本来の県病のあり方、それから存在の意味というものは、県民がひとしく同じ医療を受けられるという趣旨から、一般会計からの繰り入れ等があるわけでございます。ただ、地方ほど今、県病の存在が大きくなっているときに、各地域の広域の中心部にこの県病を集約するというようなことが、本来の趣旨に反するのではないのかと私は感じております。これについて御意見というか、考え方を示していただきたい。
 それから、この改革案、これはまさしく今後のこれから5年間かけて収支バランスをとるというような形で出てきております。それはそれで私は理解できるんですが、今回のこのような改革案を示す前に、現在の県内にある各市・町にある県病、これが今までどおり本当に存続できないのかどうなのか、この辺が私は非常に疑問というか、今申し上げたようなこの県病の本来の意味から考えますと、やっぱり医療局全体の内部努力といいましょうか、その辺がまだまだこれは不足しておるのではないのか。自分たちが幾らでもそういう努力をした後に、どうしてもだめなんだというのであれば、今回のような案が出てきても私は結構だと思うのですよ。その辺を、考え方を一つ伺いたいと思います。

〇岩渕医療局次長 県立病院改革案につきましての基本的な考え方でございますが、今般策定いたしました県立病院改革基本プランの考え方を申し上げますと、まず、患者数が大幅に減少しているということで、県内九つの二次保健医療圏ごとに、入院事業に見合うように病床規模を適正化する。それからまた、広域基幹病院には検体検査や事務などの業務を集約するとともに、医師や医療器械等を重点配置しまして、救急・高度医療機能を充実する。そして、民間の医療機関等との連携を図りながら、二次保健医療圏の中心的な医療機関としての役割、機能を強化するということにしております。それから、地域総合病院あるいは地域病院や診療所につきましては、原則、現行の診療体制を維持するということと、常勤医師のいない診療科につきましては、地域のニーズに応じて広域基幹病院からの診療応援を受けながら、慢性期医療や初期医療を担うということとしております。このように二次保健医療圏内の医療機関で機能分担と連携を強めまして、各地域での診療機能を確保するように十分配慮してまいりたいと考えております。
 次に、県立病院の内部努力や改革というものを先行させるべきではないかとのお尋ねでございますが、従来から各県立病院におきましては毎年度、具体的に経営収支の改善目標を定めまして、患者の確保、診療単価のアップ、それから健康保険法に基づく施設基準の引き上げ等による収入の確保に努めるとともに、院外処方の推進をしてまいりましたし、それから後発医薬品の使用拡大を図り、また、医事業務委託の拡大などによりまして費用の縮減に取り組んできたところでございます。
 しかしながら、平成14年4月に診療報酬の大幅なマイナス改定が実施され、また、患者数が大幅に減少したということで収支が急速に悪化している。それと同時に、県立病院の一般病床のうち毎日1、000近くのベッドがあいている状況になっております。このままの規模、職員体制で運営していくこととしますと、平成18年度には内部留保資金が枯渇いたしまして、27の県立病院全体の経営の根幹が大きく揺らぐということとなりますので、早急に抜本的改革を進めなければならない状況になっているものでございます。
 こうしたことから、構造的な改革、自助努力による経営改善を内容とした県立病院改革基本プランを策定しまして、改革に着手しているところでございます。

〇平沼健委員 今の答弁というものは、やっぱり各地域でも私も聞いてきました。それでもちょっと理解できなかったものだからきょうこうして伺っているんです。今までここ1年、2年ではないんですね。累積約100億円ですから、それなりの年間の収支が悪いというか、そういう形で――トータルの県病ですよ――来ているわけですから、その間にやっぱり努力というか、そういうことがどういうことがされてきたのかと一つ私は思っておりますので、その辺ちょこっと示してくれませんか。どういうことがされてきたのかということなんです。

〇千葉医療局長 今、次長が申し上げたとおりでございますけれども、いずれ今までの努力というのはやはりそれぞれ個々の病院でいろんな目標を立て、患者さんの確保とか、あるいは診療報酬、1人の単価というのはただ上げるのではない、要するに他の病院との比較、ベンチマークして診療報酬請求に漏れがないかとか、そういった努力は続けてきているわけでございます。ただ、いずれ国のいろんな診療報酬のいわゆる抑制策のもとにマイナス改定であるとか、在院日数の短縮が進みまして空床が大きく出てきている、県立病院全体で出てきているといったようなことで、今後を見通せばこれは構造的な問題が多々あるということで、この際、将来を見越して抜本的に改革をしなければならないと思っているところでございます。これは委員から御説明ありましたけれども、まずもって自助努力ということですが、私どもはこういった実態にありますゆえに、病床規模の適正化なりその業務の集約化、例えば検査の集約、事務の集約ですが、新たに調理の業務とかそういったものを委託するということをもう既に準備いたしておりますけれども、そういった形で全体として給与費を圧縮する。これは全体として内部努力の一環という部分もあると私ども思っておりまして、ただ単にこの病床をあけたまま手をこまねいていれば大変な不効率だということに出発点があると私ども考えておりますので、何とぞ御理解いただきたいと思います。

〇平沼健委員 まさしくそうなんですね。空床というか、空きベッドをこれは少なくとも皆さん方が言っています9割ぐらいまではということは、それはまさしくそのとおりだと私も思います。それはそれで結構なことだと思いますが、ただ、一般財源といいましょうか、そっちの方からのいろいろなそういう繰入金があって、これはあくまでも県内どこでも、場所でもいろんな同じような医療を受けられるという、そういうためのものだと私は思っておりまして、そうしますと県病自体が一つのこれは企業会計なわけですよね。そうなってくると今回のこの案をつくるときに、一つの大きな私立の総合病院とか、あるいは置賜にある広域の病院でしょうか、その辺を参考にしながらいろんな県病との比較をされてきたと私は思っておりますが、そういう中でやっぱり収入減、外来とか入院とか、これは落ちております。ですから、収入が落ちていくんですが、それはそれとしまして、それも大きな原因なんでしょうけれども、例えば、いろいろな病院と県病を比較して、一つは、医業費用に占める例えば給与費とかあるいは医業収益とか、その辺を比較したことがおありと思うのですが、その辺はどうなっているんでしょうかね、我が県病の数字というのは。

〇齋藤管理課長 ただいまお話の出ました山形県の置賜広域病院組合とのモデル的な経営比較というのをやってございまして、そことの、ここはたまたま総合病院、それからサテライト施設を含めて3病院1診療所という構成になってございます。現状で、平成14年度末における許可病床数が、精神80床、それから感染4床含めて680床ございます。一方、県立病院の方でございますが、気仙医療圏というところが大船渡広域中核病院、それから高田、住田病院の3病院で構成されておりまして、許可病床数が、精神105床、結核10床、感染4床を含めて同じ680床となってございます。今回のたまたまグループ比較ということで比較した結果でございますが、今のお話しのありました医業収益対医業費用の比較でございますが、山形県が85.6%、当県が97.3%とちょっと当県の方がよくなってございますが、例えば給与に占める医業費用では、山形県が55.6%に対しまして当県が57.7%、そのほかに比較いたしますと、病床利用率ですが、置賜が92.4%と大変高くなってございますが、気仙医療圏の方は77.5%と14.9ポイント下回っているという現状でございます。
 こうしたことを考えますと、私どもはやはり当県の方は医業費用に占める給与費の割合が高いということと、それから病床利用率がやっぱり低いと、これは県立病院全体に一致する現象でございます。こうしたことから、先ほど答弁申し上げたとおり、今後においてはやはり職員配置、それから病床規模の適正化、これが肝要だということで取り組んでまいることとした次第でございます。

〇平沼健委員 私も調査をしているんですが、まさしく今、回答されたとおりなようでございます。それと、いろいろな人事院勧告の給料体系とかそういうものを私、調査をしているんですが、これは一概に、例えば看護師さんの給料が高いとか安いとかというようなこと一つではこれはいけないと思うのですけれども、総体的な考え方から言って、基本的に県病を将来、今までのような形で維持していくということであれば、やっぱり一般会計からの繰り入れは、これは当然必要なんです。ただ、それの繰入金が生きてくるような経営をこれはしていかないと、県民からは納得がされないと私は思っておりますし、そうするためには繰入金を入れて、そして、なおかつ赤字にはならない、例えば14年度は18億円でしょうか、単年度でこういう赤字でしたね。これであれば、医業費用が全部で946億円余かかっているんですね。そのうちの給与費とか、それから材料費含めていろんなものがあるんですが、やっぱりみんなで自分たちの県病を維持するんだというような考え方でいけば、例えば給与費をみんなが1%削減するとすれば、これは全体では9億円ぐらいが出てくるわけですね。全体でですよ。これは医業費用のですよ。例えば、そういう考え方でいかないとなかなかこれは抜本的な解決というか、そういう方には行かないと私は思っております。その辺、何か御所見があれば伺わせてください。いかがでしょうか。

〇千葉医療局長 給与費については、やはり地方公営企業法という根本の法律がございます。それから、それを受けた県の条例があるわけでございまして、一般職の職員の給与を基準としてやるということになっておりまして、さらには企業の特殊性の実態を考慮する。これはいわゆる職種が夜勤とかいったことでいろんな手当があるわけですが、そういったことで原則論があると考えてございます。そういったことで給与のマイナスというのは人事院勧告に準じて今、引き下げ、ことしはもう引き下げになっておりますし、いわゆる給与カット、これも職員に準じてやっている。これはあくまでそういった一般職の条例に準じてやっているわけでございますが、いずれ基本的な原則はやはり守りつつ、そういったいろんな状況の変化に対応した、できる努力をまず私どもやるべきだということで、いろんな改革案をお示ししているところでございます。いずれ何とかこれを実行することによって収支を立て直してまいりたいと思っております。

〇平沼健委員 そういう法律とか条例とか、確かにそれはおっしゃるとおりです。これはそういうことがあるものですから、もうこれ以上はどうしようもないんだというようなことかもしれません。そう言われると何とも言えないんですけれども、一般的な考え方から見ればいつまでもそういうようなことで本当にいいのかということを私は申し上げているわけでして、しかも、県病の使命から言って、さっきから言っているとおり一般会計からの繰り入れ、私は、これは当然あっていいんだと、だけども赤字ではだめなんだよということですよ、努力が足りないということですよ、最終的に私が言いたいのは。そこなんです。ですから、ひとつその辺もよく勘案して、うまく経営の方をよろしくお願いいたします。

〇亀卦川富夫委員 先ほど以来、深刻な経営悪化、医師不足という中での御指摘があるわけでありますが、私はこの医療改革の中でIT化という観点で質問したいと思います。
 今までの答弁でも明らかなように、県立病院の再編というのは、二次医療圏内の効率化あるいは医療の充実などを求めた構造改革的な進め方だと思っております。この二次保健医療圏内の県立病院はもとより、地域医療の質を維持してさらに向上させていくためには、他の公立病院あるいは民間医療機関、さらに福祉や介護施設など県立病院以外の機関との連携がこれは不可欠だというのが、先ほど来の答弁でわかるわけでありますが、それをどのようにそれではこの連携を推進するのか、これは大きな課題だろうと思います。その方法論の一つとして、このITによるネットワーク化が必要だと私は思いますが、これに対する医療局の考え方をお伺いいたします。
 さらに、40の政策の中で、県立病院のIT化等による医療の質及び患者サービスの向上に取り組みますということで、目標を掲げて進めております。しかし、いわゆるインターネットを駆使した推進、これに対してはコストを極力抑えつつも、日常的に進化していっておりますので、一層のユーザーのニーズを反映した使い勝手のよいシステムが求められるというものでありますが、これは大変難しい経営の中で来年度どのようにこれを進めていくのかお伺いいたします。

〇桜小路システム管理室長 ITを利用した連携についてでございますが、まず現在、県立病院間におきましては、がん細胞等の病理画像及びCTあるいはMRI画像の伝送による専門医による遠隔診断を中央病院など12病院で実施しているところでございます。今後、入院患者さんの退院の経過記録あるいは検査結果等の患者情報をデータベース化しまして、その情報を病院間において共有できるシステムを今、広域基幹病院へ順次導入するということで取り進めているところでございます。
 次に、お尋ねの県立病院以外の医療機関との連携についてでございますが、地域の医療機関と電話やファクスによる患者の紹介を受けたり、あるいは患者を紹介したりしているという状況でございます。基本的な考え方といたしまして、IT化による地域医療機関と連携を図ることは、患者サービスの向上や効率的な医療供給体制に資すると考えております。しかし、これらを推進するためには、データ形式を統一することや個人情報を保護することの対策、あるいは地域の関係機関と一致した協力関係を構築すること、また、経費の負担のあり方などを明確にすることなど多くの課題があるものと考えております。
 次に、システム技術の向上に対する経費の関連ですけれども、医療情報のIT化は、患者サービスの向上なりあるいは医療の質の向上、それから病院経営の効率化、あるいは地域連携の推進に効果があるものと認識しております。したがいまして、情報技術の進歩に対応していく必要があるものと考えております。その場合は費用対効果を十分に見きわめながら取り進めてまいりたいと考えております。

〇亀卦川富夫委員 今の答弁の中で地域の連携ということでは非常に、目標に掲げるんだけれども、現状からいくと電話、ファクスで今やっているということなんですね。それで、来年度の予算では地域振興部でもこの部分に関してはかなり力を入れてやっていくということで、地域振興部に対する質問の中でも、医療局との連携などを十分図るように私は尋ねたつもりでありますが、今いろんな大きな課題があると、医療局で抱え込んでしまって進まないというのは相当前が暗いように感じるんです。したがって、これはしまい込まずにもっと、今、県庁内で言えば地域振興部でありますが、その辺とうまく連携をとって事に当たっていくべきだろうと思いますが、これは局長かな、お考えをお聞きいたします。

〇千葉医療局長 御案内のとおり、地域振興部には我々との直接的な関係はないものでございますが、いずれ、そういった地域のIT化というのは当然私ども十分、先ほども申し上げましたように関心はあります。ただ、まず県病間の今IT化、患者情報データベース化をやっておりますし、本県では初めてなんですが磐井・南光病院で電子カルテを導入するといったようなことで、やはり膨大な開発経費がかかりますし維持経費もかかるということで、順次進めていかなければならぬ。ただ、地域での例えば民間の開業医さんと連携するとなれば、やはり相当な、一部の方とだけ結ぶわけにいかないという、やっぱり一致した協力関係が必要、それから経費の負担をどうするか、あるいはセキュリティーをどうするか、いろんな課題があろうと思います。そういったことで、まずもって県立病院間でできるだけそういったIT化を、その費用対効果を見きわめながら進めてまいりますし、お尋ねの地域での連携にも十分情報交換しながら、可能な限り取り組んでまいりたいと思います。

〇亀卦川富夫委員 いわゆる医療再編ということでの答弁を聞いておりますと、最終的にまず二次保健医療圏内での地域医療というものをどうつくるかということが目的のようでありますので、これはやはり、順次ということで結構でありますが、きちっとした進め方についての合意形成といいますか、そういうところが一つ必要ではないか、これは指摘しておきたいと思います。
 そこで、費用対効果という面で、いわば今までもいろいろ進めてきたと思うのですが、これまでのいわゆる医療の情報化は大手のIT企業の主導型で進められているのではないか、このように思っているんです。これはクローズドシステムというようなことでありますね。そういうものでのシステム開発が行われておりますから、一たんこのシステムを構築してしまいますと、あるいは導入してしまいますとその後の新しい技術の対応がかなり難しいといいますか、現場の医師とかスタッフなどの意見を反映させて改善するのはなかなか難しいのではないかと思うわけです。また、急速に進む変化に対応するということですから、これはお金がどんどんかかるような仕組みになっていくのではないか。これは前にもお話ししたつもりであります。
 ですから、このような状況の中で岩手県の医療業務のこのIT化に当たっては、いわゆるトータルコストを低く抑えるためにも汎用的な機器、あるいはソフトウエアを利用したオープンシステムによる開発が行われるべきと思うわけです。これはコストを抑えつつ医療の質を維持向上させていく。このためには医師とか医療スタッフのノウハウがこのシステム構築に正しく反映される必要があると思うのです。ですから、ここは大変難しいと思いますが、そのためにはITコーディネーターと言われるような専門家を積極的に活用するということを、県の方あるいは医療局が主導権を持ってやっていかなければならないのではないかと思います。ですから、この辺がいわば大変な努力の要るところだと思いますが、これだけ財政悪化した中で思い切った進め方をしていくためには、やはりこういうことを極力内部で大いに努力する必要があるんだろうと思います。県というか、医療局といいますか、この辺のリーダーシップ、主導権の持ち方、言ってみれば大手の企業にすべて任せるというようなやり方ではないものを開発していくといいますか、進める必要が大いにあると思うのですが、この辺の御認識についてお伺いいたします。

〇千葉医療局長 いわゆる人的な配置なり活用というのは、知事部局の方でIT推進監というのが民間からたしか登用されたと聞いていますが、そういったところと連携をとりながらやってまいりたいと思います。
 それから、新たにいろんなITシステムを開発する際のその拡張性とか、それから変化への対応といったようなこと、極めて大事だと思っておりますし、私、不勉強なんですが、例えば沖縄ではかなり相当進んだような評価の高いものが導入されていると聞いております。これは磐井病院に電子カルテを導入しますけれども、病院では担当者がそういった情報をかなり収集しておりますし、今後、我々も一生懸命勉強してむだ遣いしないような、将来にきちっと対応できるようなシステム開発を心がけてまいりたいと思います。

〇関根敏伸委員 県病の改革案の収支に係る質問が先ほど来よりありますが、関連して収支にかかわる質問を二、三させていただきますと同時に、花巻厚生と北上の新統合病院に係る質問を何点かさせていただきたいと思っております。
 先ほど来、収支の改善見込みにつきまして何点か先生方から御質問ございますが、私もたまたま平成12年2月に策定されました県立病院の中期経営計画をちょっときのう見させていただいたんですが、この計画ですと平成15年度では、間もなく決算が出るわけですが、当初の予定ですと医業収益が1、200億円の見込みになっております。これに対して現実が970億円と、約230億円の減と、あわせまして年度末の累積欠損金の予測が平成12年2月策定時点ですと約71億円にとどまっていたものが、このままですと109億円という形でかなり大きな乖離があるわけです。ですから、この辺を見た場合に、今、示されております経営収支の改善計画が本当にこのような形で推移するのか、二、三年たった段階でまた見直し、それにかかわって統廃合やら地域医療の大幅な改悪が出てくるのではないかと、このようなことがちょっと心配されまして、その辺含めてまたあえて聞かせていただきたいと思います。
 まず、本当に根本的なことなんですが、先ほど平沼委員からもおっしゃられましたが、いわゆる一般会計から県立病院に繰り出されております約182億円の繰入金の根拠、基準につきましてお聞かせをいただきたいと思っております。

〇齋藤管理課長 一般会計からの繰出金についての基本的な考え方でございますが、地方公営企業というのは収入をもって支出を償うというのが基本原則でございます。しかし、地方公営企業というのは公的な性格を持ってございまして、一般行政事務の一部をやらなければならない。あるいは不採算ではあるけれども公共的な必要性から事業を行わなければならないもの、こうしたものに係る経費については地方公営企業法に基づきまして一般会計が負担するということになってございます。病院事業会計におきましては二通り種類がございまして、病院事業の収入をもって充てることが適当でない経費というのがございます。例えば、救急医療経費であるとか、保健衛生経費、救命救急センターに係る運営経費、こういったものと、それからもう一つの性格のものとして、能率的な経営を行っても、なおその収支を償うことが客観的に困難である経費というのがございまして、こうしたものとして高度医療、こういった経費がございます。これらの経費につきましては、それぞれ繰入項目というのを定めまして、地方財政計画という国の財政計画がございますが、これで単価を定めて、そしてそれぞれの県立病院の実態の数量に合わせて額を決めて、そして一般会計の方から繰り入れをいただいているという仕組みになってございます。

〇関根敏伸委員 そういうことですよね。いわゆる一般行政事務が本来やらなければならない地域全般の保健衛生行政ですとか、看護師さんの養成所ですとか救急医療、これをまず補うと、それと同時に、先ほど言いましたが、民間ではできない、能率的な経営に合わない僻地医療ですとか不採算地域をいわゆる一般会計からの繰入金で賄いなさいと、このような趣旨に理解してよろしいわけですよね。これに関しましては、いわゆる総務省の明確な基準があって国からも交付税措置されると聞いております。ですから、この理由からいきますと単に病院会計が赤字だからと言って不採算地域をいわゆる切り捨てると、全体の改悪につながるようなことはやってはならないとまず理解できますが、これに関してはいかがかという点が一つですね。
 改めまして、地方公営企業法の第17条の2の第2項にございます。いわゆる経済性の原理と公共性の原理を両立させなさい。あわせて公営企業の経費はいわゆる得られる収入内の経費で賄いなさいと、このような原則があるわけですね。ですから、いわゆる地域医療を守るということと、赤字を出してはならないということが、どちらかではなくて両立させなさいということが、これは県立病院が地方公営企業法にのっとって経営される最も大きな存立基盤であると思うのですが、これに関しまして医療局長の見解をお聞かせいただきたいと思っております。

〇千葉医療局長 委員仰せのとおりと私も理解いたしております。先ほど管理課長が申し上げましたとおり、一定の繰り出しの項目があり、一定のルールで基準に沿って一般会計からいただいております。ただ、国の基準にない項目も一部さらに一般会計とルール化していただいている部分もございます。そういった中で地域医療あるいは僻地医療、その他の部分、大体全体収入の十四、五%は一般会計からいただいているわけですが、残り85%ぐらいは私ども職員がいろいろ収入を得ているわけでございますが、いずれその他残余の部分については独立採算でやるのが原則だ。したがいまして、我々はできる努力を最大限やらなければならない。それが今こういった患者数が減少し、あるいはむだな部分がさらにないか、節約できる部分はないかといったようなことで、何とか今回計画を立てさせていただいたと考えております。そういった地域の医療というのは、いずれいろんな状況でそういったことで病床、病棟を縮減するということでやはり御不便をおかけする地域はあるわけでございますが、それをすべて満足させるというのはとても今の状況ではできないということで、できる限り後退させないような努力をしながら、適正な会計の本来あるべき姿に持っていきたいということで計画を立てさせていただいたものでございます。

〇関根敏伸委員 あくまで大前提として、医療局の努力が足りないということを言っているわけではない。いろんな効率化、見直しは当然行っていくべきでありますが、県立病院存続の意義そのものをやはり大きく揺るがすようなことがあってはならないという意味でお聞きしたわけでございますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 その前提で収支の改善計画の具体的なところを少し細かくまず聞かせていただきたいと思っております。医業収益の中に占める経費の割合でこれは最も高いのは、先ほど来出ておりますが、給与費と、あわせて材料費でございます。これをあわせますとほぼ九十二、三%を占めるというところでございます。ですから、収支の改善の是非は、この経費をどのように見て、どのように抑え込んでいくかということが大前提になると思うわけでございますが、このそれぞれの見込みと、どのように取り組んでいるのか、まず基本姿勢をお話しいただきたいと思っております。

〇八木経営改革監 まず、経営収支の改善計画でございますけれども、基本的な考え方は、いずれ在院日数が年々短縮しているということで、今後も在院日数の短縮などによって入院患者はふえるということはない。逆に言うと減少していくだろうという予測をしてございます。したがいまして、病床規模の適正化を図って病床利用率を90%程度にすることを目標にしてございますし、給与費や材料費等の経費の削減を図りながら、単年度収支の均衡に努めるという前提条件をしてございます。そこで、個別の話なんでございますが、平成16年4月――ことしの4月から診療報酬の改定がありますけれども、平成16年4月の診療報酬の改定は一応見込んでございますが、平成16年度の給与改定はちょっと予測つきませんのでこういったものは見込んでございません。さらに、平成17年度以降に関しての診療報酬改定とか給与改定、あるいは特別利益、特別損失、特別利益というのは、例えば土地を売るとかそういったもの、突発的に出るもの、それから特別損失も同じような中身でございますが、こういうものは見ていない、いわゆる経常的な収支の見方を平成17年度以降はしてございます。
 そこで、給与費についてでございますけれども、給与費の見方は病床規模の適正化を図っていくということでございますので、その病床を一定程度縮減したことによっての例えば看護職員の縮減あるいは調理業務の委託、それから医事業務の委託、こういったものの拡大による職員の減、それから逆に医師に関しては若干拡充をしていくと、特に臨床研修医もふやしていくと、こういう目標を立てて一応職員配置計画を立ててございますので、ここの中で全体をあわせまして、その増減をあわせまして、この5年間で、合計で286人の職員の削減を見込んでございまして、大体5年間のこの給与費の職員の減による縮減額といいますか、こういったものが61億円ぐらいになるのではないかと見込んでいるものでございます。さらに、病院業務手当というような、病院にあるような特殊手当の見直し、それから業務の改善等による超過勤務手当の縮減、こういったものにも取り組むということで一応給与費の計画を見込んでいるものでございます。
 それから、材料費でございますけれども、材料費は患者数に比例をしますといいますか、患者数によって左右されるいわゆる流動的な要素があるものでございますので、近年、院外処方せんの発行の推進によって薬品費が年々大幅に減少している。特にもこの院外処方せんの発行率が昨年12月末現在で67.5%ということで、ほとんどの病院で院外処方に取り組んでいるということで、ほぼこの院外処方は定着したのではないかと考えまして、今後は新しい薬の採用、あるいは医療技術等の進歩に伴います新しい診療材料、こういったものの使用により増嵩するのでないかと考えてございます。そこで、薬品とかあるいは診療材料、これについては本庁一括購入、これを薬品はすべてやってございますし、診療材料は大体6割強本庁で一括契約してございますので、こういったもののメリットを生かしまして、さらに廉価購入に努めてまいりたい。あわせて使用品目の整理統一やあるいは後発医薬品、いわゆるジェネリックと言うんですが、こういったものの使用拡大、あるいは物品管理システムの導入によって材料の在庫管理の適正化に取り組んでいきたい。
 そこで、見込みでございますけれども、見込みに当たっては平成15年上期の入院・外来収益に対する材料費の割合をもとにしまして、先ほど申しましたような節減効果、これは大体5年間で3億8、000万円程度見込んでございますけれども、こういったものを勘案して入院・外来収益の30.4%が材料費に当たるのではないかと見込んで、この計画を立てているものでございます。

〇関根敏伸委員 細かな取り組みはここにも書いてありますので、読めば大体そのようなことかなとわかるんですが、私の言いたいのは、全体の比率なんですね。今、例えば材料費のことをいろいろ、SPDですか、そのような導入ですとか、いわゆる後発薬への切りかえというようなこともるるおっしゃっておりましたが、これは細かいことですけれども、平成15年度からずっと20年度まで医療収益に占める材料費の割合を見ますと一定なんですよね。全く一定なんです。これを取り組んで材料費を軽減するということがどこにもこの収益の中には見込まれていない。ですから、これなのかな、なぜなのかなというのが単純な疑問なんですよ。今言ったような後発薬への切りかえやSPDを導入すれば、当然医療収入に占める材料費の割合が低減しなければならないですよね。それがまず一つこれが反映されていないから、これはどういう意味なのかということで、まず1点お聞きをいたしました。
 それから、給与費のことに絡むんですが、先ほど局長から答弁ございましたが、今の職員の方々の給与は恐らくいわゆる県庁職員の方々の給与に連動されていると思います。その法的な根拠も一つお示しいただいたわけですが、私一つ疑問なのは、あくまで公営企業会計で行われておりますし、地方公営企業法の38条にはこのように書いております。企業職員の給与は、類似の職種の国及び地方公共団体の職員、ここまではそうですが、並びに民間事業の従事者の給与及び当該地方公営企業の経営の状況その他の事情を考慮して決めなければならない。このような規定になっているわけでございます。そうしたときに、民間のいわゆる従事者の給与も参考にしなさいよと、いわゆる当該公営企業の経営の内容をさらに吟味して決めなさいよということがここに明確に決められてあるわけでございます。そのような点からかんがみたときに、この給与の医療収入に占める割合は、再度、適正なものなのかどうかということを、ちょっとどなたかに御答弁をいただきたいと思っておりますし、材料費がなぜいろんな努力をしても医療収益に占める割合が平成20年まで変化しないのか、これをちょっと御答弁いただきたいと思っております。

〇八木経営改革監 材料費に関しましては、先ほどちょっと申し上げましたけれども、年々材料費は減ってきてはいるんですが、ある一定の線になったろうと、院外処方も落ちついて薬品も一定の線になったろうということで、今後は逆に伸びるのではないか、新薬とかそういうものを考慮すると自然増的なもので伸びるだろうと、例えばそれが30.4%という、先ほど申し上げましたけれども、仮に31%とか31.5%と伸びるのをこういうことを取り組んで抑えていきたい。現状でいくようにやっていきたいというのが一つの目標でございます。いずれ入院単価は少し自然増的に伸ばしてございますので、これは大体過去の伸び率等から見て単価は伸びるという前提に立ってございますから、そういう意味では薬なども伸びるだろうという前提で、それを伸ばさないような形でこの5年間の材料費の形をとっていきたい。そのためにも先ほど言ったような後発医薬品の取り組みとか、あるいはSPDの導入等も図ってまいりたいというのが趣旨でございます。
 それから、医業収益に対する給与費の割合でございますけれども、全国の自治体病院で調査しました病院経営実態調査報告というのがございますので、これは平成14年6月の調査でございますが、医業収益を100とした場合の給与費でございますけれども、これは全病院――これは私立あるいは国立病院等を含みますけれども――これで平均が大体56.6%、自治体病院の平均が61.1%、岩手の県立病院の場合は平成14年度が63%ということで、やっぱり給与費の比率が非常に高いという結果が出てございます。これは収入が落ち込んだというのも大きな原因でございますので、そういう面ではやや高くなっているということで、今、高くなっているこの給与費を先ほど言いましたような職員の縮減等を図りながら、平成20年度には60%を切るような、医業収益に対して58%程度に抑えていくという形で考えてございます。

〇関根敏伸委員 材料費は努力して今の水準が維持できるという読みですね。あと給与費のことはわかりましたが、ただ、私が持っている資料とちょっと医療収入に占めるほかの全国の国公立の病院の実態がちょっと違う部分があるのかなと思っております。細かいところなので、これはどちらがどうとは言えませんが、ただ、ここに病院経営懇話会の平成15年10月23日の議事録をたまたま持っております。この懇話会、どのような方々がメンバーなのか私、詳しくわかりませんが、いわゆる民間病院の経営者の方ですとか、公認会計士の方ですとか、いろいろ有識者の方々十四、五名で組織されている懇話会で、この懇話会のいろんな答申が今回の病院改革のこれに示されて出てきたものと理解しておるんですが、このやりとりの中でちょっとこういう場面がありますのでお読みをさせていただきます。かなり真剣なやりとりがありまして、職員給与のことが示されております。どなたの発言かわかりませんが、職員給与のところで、職員給与が自治体病院あるいは民間よりも高いとあり、高いことがいい悪いということではなく、経営の状況を反映した給与体系のあり方というのも望みたいわけです。そこから、ここに数字を書けという御指摘がございまして、これは平成13年度の自治体病院全体1、025病院の――医業収益に対する給与費の割合の――平均が55.3%であります。これは先ほど御答弁いただいた数字と大分違っておるかなというような印象があります。これに比べますと県立病院が60.6%。これはいわゆるちょっと計算の比率が違うと思いますが、大体これを見ますと5%ぐらい、1、025の自治体病院の平均と我が岩手県の県立病院の給与費の割合が高いということが、この資料では示されておるわけでございまして、この辺の実態がどうなのかということは詳しくはわかりませんけれども、この辺のところも含めましていろんな改革に、ぜひ御努力を再度お取り組みいただければと思っております。
 次に、医療機材の購入のことに関しまして若干お聞かせをいただきたいと思っております。平成16年度も医療機材に対しまして20数億円の予算が計上されておりまして、高額器械3品ほど購入の予定になっておるようなことでございますが、今年度――平成15年度の医療機材の購入実態につきまして若干お聞かせをいただきたいと思っております。納入業者が県外業者の比率が高いと聞いておるわけなんですが、その辺、平成15年度の医療器械の購入実態につきまして若干お聞かせをいただきたいと思います。

〇大沢業務課長 医療器械の購入実態でございますが、まず県外の業者の比率ということですが、平成15年度の件数では、業者は50%、50%で、県外が50%になっています。それから、契約金額では68%ほどが県外の業者さんが契約しているというような状況になってございます。

〇関根敏伸委員 一部業者へのいわゆる落札の割合が非常に高いと聞いております。具体的には、株式会社自治体病院共済会というのが自治体病院にこの医療機器で随分納入実績があると聞いておりますが、今の件数割合で自治体病院共済会がどの程度落札されたのか、また、わかれば落札率もお示しをいただきたいと思っております。

〇大沢業務課長 共済会が落札した件数は8件でございまして、99.6%の落札。12件のうち8件を落札してございます。

〇千葉医療局長 62件のうち、自治体病院共済会が契約した件数は8件、12.9%でございます。落札率わかるかな……。

〇吉田昭彦委員長 後で答弁するんですか。では、後で、後ほどわかりましたら答弁することにします。

〇関根敏伸委員 この資料は実は事前にいただいておりましたが、平成15年の一般競争の入札参加状況、一般競争入札の実施件数が20件、このうち自治体病院共済会が参加したのが11件で、落札したのが8件と私の方には御報告をいただいております。入札実施件数が97%という実態がございまして、この辺、適切な競争原理が働いているものなのかどうか、後からよく検証していただきたいと、私も少し勉強しまして、この辺に関しましては再度御質問させていただきたいと思っております。
 次に、質問を変えまして……。

〇吉田昭彦委員長 関根委員にお願い申し上げます。この際、進行に御協力願うため、質疑は簡潔明瞭にお願いします。

〇関根敏伸委員(続) それでは、次に花巻厚生と北上新統合病院のあり方と方向性につきましてでございますが、今の基本構想にございます小児・周産期母子医療とリハビリ医療について、方向性を若干お聞かせいただきたいと思っております。

〇齋藤管理課長 花巻厚生、北上新統合病院の方向性についてでございます。
 花巻厚生病院、それから北上病院、これはともに圏域内の周産期母子医療センター協力病院と現在なっておりまして、ハイリスク妊婦や異常分娩、異常新生児など、周産期における比較的高度な医療行為に対応してございます。
 また、リハビリテーション医療につきましては、現在、花巻厚生病院及び北上病院それぞれに理学療法士を配置しまして、脳神経外科と整形外科における脳疾患や骨折などの術後の患者の機能回復などを行っておりまして、病状の安定した回復期の患者につきましては、ほかの医療機関との連携のもとに、他機関に紹介するなど、機能分担あるいは連携に努めてございます。
 新しい統合病院につきましては、このほど基本構想を定めたところでございまして、周産期医療やリハビリテーション医療の機能の詳細については、今後検討していくこととなりますが、いずれにしましても、統合のメリットを生かしながら、スタッフを初めとする体制の充実や施設整備に努めてまいりたいと考えてございます。

〇関根敏伸委員 最後になりますが、今の小児・周産期母子医療とリハビリ医療に関しまして、最後の質問と見解をお聞きして、終わらせていただきたいと思っております。
 まず、北上病院と花巻厚生病院の平成14年の分娩数を見てみますと、北上が419件、花巻が422件で800件を超えております。今、県内で一番多いのが中央病院の562件でございますが、これがもし統合になりますと800件以上。先ほどの江刺病院とか遠野病院の産婦人科医の不在の実態も考えますと、1、000件以上の分娩が実施されることが予想されております。そういった中で設備の充実といったようなものと、いわゆる地域での周産期医療センターとしての機能を充実させることが、この地域の医療を考えたときにぜひ必要だと思いますので、その設備の充実と地域周産期医療センター設置に関してのお考えを一つ。
 あわせまして、リハビリ医療についてでございますが、仮にリハビリ科が設置されまして、いわゆる急性期のリハビリは実施できたとしても、回復期リハビリの受け入れ病院がなかなか見つからないというのが北上地域の現状であると聞いております。ですから、急性期病院は新統合病院でやって、受け入れの回復期のリハビリを含めまして、いわゆる圏域内でのリハビリ医療に対しましての積極的なお取り組みの方向性につきまして所感をお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。

〇齋藤管理課長 まず、周産期の方で、協力病院をセンターにということでございますが、これは一般会計で、県の保健福祉部全体の中で、岩手医大を総合周産期母子医療センターと定めまして、その下に地域周産期母子医療センター、これは県立中央病院、大船渡病院、久慈病院、皆救急機能の高いところを定めておりまして、現在のところ、この統合病院につきましては協力病院という形で位置づけられてございますが、やはり統合しますので、それなりに機能の充実を図ってまいりたいと考えてございます。
 それから、リハビリについてでございますが、圏域内でということでございます。ただ、現況につきましては、例えば花巻厚生病院につきましては、患者数の大宗が東八幡平病院とか県外の病院と協力している現状もございます。ですので、私どもとしましては、これはやはりいろいろなところと連携しながら、圏域にこだわらず総合的な医療をやっていくことがベターではないかと考えてございます。

〇中平均委員 それでは、2点質問させていただきます。
 まず最初の1点目、リハビリ関係の人員の配置についてお伺いします。
 来年度からの職員配置適正化計画によりますと、リハビリ分野に関して、平成20年度までふやしていくということで記載されておりますけれども、まず、このもとになった現在のリハビリを希望している患者さん、また、それに対応している病院の現状についてお伺いいたしたいと思います。

〇細川職員課長 リハビリ関係についてでございますが、県立病院の現状ということでございます。現在、24病院で理学療法士が45名、作業療法士が19名、言語聴覚士が5名ということで、合計で69名の専任スタッフをもって、脳疾患だとか、あるいは骨折等術後、あるいは神経疾患患者のリハビリ医療を実施してございます。
 職員等の取扱件数についてでございますが、診療報酬制度というのは、職員がマン・ツー・マンで行う個別療法というものがございまして、それだと20分以上を1単位とした場合、職員1人1日当たり18単位までとされてございます。県立病院の平均で申しますと12ないし13単位の実績ということで、単位数からすれば余裕のある状況にありますが、ただ、病院によっては上限近くまで達している、そんな状況のところもございます。

〇中平均委員 そういう状況の中で、今回ふやしていくということで、まず、このリハビリの分野も、将来、これから先に向けてさまざま潜在的な患者さんというのが非常に多い分野だと聞いておりますし、厳しい病院の環境の中で、この部門をふやしていくということはあれですが、またより一層充実していくことを望みますけれども、それについて御見解をお伺いします。

〇細川職員課長 確かにおっしゃるとおり、収支の面を見てみますと、例えば、平成14年度の実績でいいますと、リハビリ職員の直接人件費に見合う程度の収入しかないということで、不採算となっている状況の部門でございますが、いずれリハビリ医療といいますのは、疾病構造の変化ですとか、あるいは高齢化ということの進展に伴ってますます需要がふえる傾向にございます。
 私どもといたしましては、こうした状況を踏まえまして、平成16年度にはそれぞれ大東病院には理学療法士を1名、福岡病院には作業療法士を1名、宮古病院には言語聴覚士1名、それぞれ増員し体制を強化したいと考えてございます。
 さらに、平成17年度以降についてでございますが、県立病院改革基本プランに沿いまして増員を計画してございます。いずれその配置に当たりましては、関連する診療科の患者数ですとか、あるいは地域における他の医療機関のリハビリ体制を勘案しつつ、さらに収支のバランス等も考慮しながら検討してまいりたいと考えてございます。

〇中平均委員 わかりました。
 もう1点ですけれども、北海道の方の病院で院内感染という報道があったと聞いておりますが、岩手県の県立病院内での院内感染の心配はないか、また、その対策をどのようにしているのかお伺いいたします。

〇大沢業務課長 各病院におきましては院内感染対策委員会というものを立ち上げてございまして、毎月、必要な細菌等を調査してございます。あと、新聞にありましたMRAの患者さんとか、院内がどういう状態になっているかということを毎月定例的に調査しながら対策を練ってございまして、あのような死亡に至るような状況にならないような事前対策を、それぞれの病院で対応しているところでございます。

〇中平均委員 わかりました。まず、このようなことのないように、院内感染が起きないようにぜひお願い申し上げまして、質問を終わります。

〇斉藤信委員 それでは、県立病院改革実施計画について質問します。
 まず最初に、改革プラン、その後の実施計画に対してパブリックコメントの結果や地域住民の声、市町村議会、団体からの申し入れ状況はどうなっているか示していただきたい。

〇佐藤病院改革室長 改革プランに対します署名、申し入れ、それからパブリックコメント等の状況でございますが、県立病院改革基本プランの策定に当たりましては、パブリックコメントを実施したところでございます。これとあわせて、関係市町村長や二次保健医療圏ごとに県立病院の運営協議会委員等に説明を行ったところであります。
 パブリックコメントでは郵便等により5、238件の御意見をいただきましたし、説明会では112件の意見があったところでございます。主な意見は、診療所化されると夜間・休日に無医村になるなどの診療所化・縮小に関するものが1、355件、それから、地域の病院がなくなると通院時間・費用が負担となるなどの通院・交通事情に関するものが670件など、改革プラン案の全体にわたり御意見をいただいたところであります。
 それから、地方自治法に基づく市町村議会からの意見は18市町村で、住民・団体の要請は延べ31回、署名は11市町村で署名者数合わせて10万6、000余人となっております。この意見書、要望書の主な内容は、病床規模の縮小に対する意見等でございます。

〇斉藤信委員 今回答がありましたように、5、238件のパブリックコメントの中で、大変大事な、特に診療所化・縮小に対して1、355件ですね。全体の結果を言わなかったけれども、全体の結果は、このプランに対して賛成が2.1%、反対が83.3%、そして、もう少し時間が必要だというのが14.6%、医療局のプランに賛成はたった2.1%でした。だから、18市町村から議会の決議が上げられ、署名は11町村で10万6、000余人。最近県議会に4万3、300人の署名が集まりましたから、これはもう15万人ですね。15万人の署名がこの短期間のうちに寄せられたということになります。
 私は、パブリックコメントとかこういう説明会というのは県民の声を聞くということですから、この人口の過半数とか有権者の9割を占めるような町村の声についてどういうふうに受けとめているのか、それを局長にお聞きしたい。

〇千葉医療局長 非常に関心の高い問題であると改めて感じました。それだけに我々に与えられた使命は大きいと思っておりまして、なかなかお寄せいただいた書式が一定のものでございまして、賛成、反対、どちらかに丸をつけるという欄がございます。そういうことでああいう結果もあったのかなという思いもいたします。
 しからばどうするかということでございますが、やはり私どもとすれば、可能な範囲で御意見は取り入れたつもりではございます。有床の診療所にするとか、実施時期についても一定の配慮をしたつもりでございます。いずれ、今のこの時期を逃せば、なかなか改革も成らない、それから、もう数年で資金的にもショートするといったような状況でございますので、やはりこの改革は、いろいろ御意見を今後も伺いながら進めていかなければならんということで計画を作成させていただいたということでございます。

〇斉藤信委員 苦しい答弁でしたね。15万人の署名が集まっていますから、パブリックコメントの5、000件のうち、一定の書式だったというけれども、これは県医労の皆さんが地域住民に配って、寄せられたものですよ。意図的な答弁をしないで、局長は15万人の署名を正面から受けとめなければだめですよ。
 それで、今度の県立病院改革実施計画で一番問われている問題は、地域の医療を守るか切り捨てるか、ここですよ。そして、その焦点は診療所化であります。最初は無床の診療所化計画でありましたが、これは微調整をして有床の診療所化としました。これは県民の声に押された結果でありますけれども、中身は私は微調整だ、本質は変わらないと。
 それで具体的にお聞きしたいんです。私は、19床程度の診療所化であればかえって経営は悪化する。医師は減らさないと言っています。医師を減らさないのなら、なぜその医師を最大限活用して今のベッドを活用しようとしないのか。普通の経営者なら、医師がいれば、その分の患者の入院ができるんですよ。看護師だけ減らして、そしてその人件費を減らそうなんていう姑息な発想では、これは経営にならない。
 それで、具体的にお聞きしますが、紫波病院は昨年の9月末現在で病床利用率78.8%、伊保内病院は78.2%でした。もう8割にほぼ接近するもので、こういう利用実態だったら、診療所化するよりも経営効率が高いのではないですか。
 もう一つ、あわせて聞きますが、5病院の診療所化というのは、今の段階で入院している患者が100人追い出されます。1カ月30日入院するとして、これは1年間に1、200人の患者が追い出されるということになるんです。これはかなり小さく見積もって。私はもっと多くなると思うけれども。こういう入院している患者、したい患者を追い出す診療所化でいいのか。あなた方は1、000床空床だと言っているけれども、診療所化の計画はあいているベッドじゃないですよ。使われているベッドをなくすという計画ですよ。こんな非人道的なことはないじゃないですか。
 三つ目は、19床で看護師が12名という試算をあなた方はしていますが、12名では一人夜勤であります。一人夜勤でどうして夜間の救急患者の対応ができるんですか。私は、夜間の救急患者、例えば紫波病院は2、200人、伊保内病院でさえ1、800人ですよ。救急患者への対応がこういう看護師の体制でできるのでしょうか。私はできないと思います。まずその点からお聞きしたい。

〇佐藤病院改革室長 県立病院の病院改革における診療所化でございますが、非常に厳しい状況にある県立病院を今後も持続的に県民医療を確保していくためには、やはり二次医療圏を単位として病床の適正化を図りながら、県立病院を一体的に運営し、効率的な医療供給体制を確立することが不可欠でありまして、その一環として診療所化というものを計画しているものでございます。
 診療所の経営収支でございますが、現在の地域病院から診療所に移行した場合の収支の改善効果は、一番効果が出るのは無床の診療所の方が期待できますが、休日・夜間の救急医療、それから一定の病床を確保するという観点から、有床の診療所としたところでございます。一定の条件によります有床診療所の収支では、入院患者の減に伴う収益は減少いたしますが、給与費などの費用の減少がこれを若干上回る結果となっております。
 それから、医師をもっと効率的に活用したらということがありますが、これも、医師については圏域内の病院あるいは診療所間の相互応援、相互の診療応援、こういう形で有効な活用としていきたいと考えております。
 それから、個別の紫波病院なり伊保内病院の診療所化の収支ですが、標準的な地域病院のモデルと一定の条件による有床診療所の収支の試算の比較では、有床診療所の方が年間3、000ないし6、000万円の改善が見込まれる結果となっております。
 それから、入院患者さんの追い出しになるのではないかという御指摘ですが、これは、やはり先ほど申し上げましたように、病床の適正化を二次保健医療圏で行うということですので、診療所化につきましては、地域に十分周知を図りながら、平成18年から20年の改革の後半の3カ年において計画的に実施するもので、地域によっては入院患者さんに多少の御不便はおかけしますが、県立病院あるいは民間の医療機関等との連携によって適切に入院需要に対処してまいりたい、このように考えております。
 それから、有床診療所にした際の看護師の配置でございますが、看護師の配置につきましては、医療法の趣旨、健康保険法に定める施設基準、それから他の有床診療所の例などを考慮するとともに、患者の状況等を踏まえながら、看護補助者の導入も含め、今後12名を基本として個別に検討していくものでございます。
 お話のありました救急患者ですが、対象病院の平成14年度の時間外の1日平均は5病院で3.6人でございました。そのほとんどが帰宅するなど軽症患者が中心で、重症患者は圏域の病院群でカバーしているのではないかという認識に立っております。

〇斉藤信委員 私は質問もあなた方に示して、紫波病院と伊保内病院の話を具体的に聞いているんですよ。それで、5病院まとめてじゃなく、具体的に答えてください。
 いいですか、あなた方の試算は、五つの病院を診療所にする場合に、病床利用率65%で試算しているんですよ。しかし、紫波病院や伊保内病院は今利用率がほぼ80%なんです。だったら病院の方が効果的でしょうと僕は聞いているんですよ。具体的に聞いているんですよ。あなた方の試算が違うから。80%で試算したらどうなりますか。
 それで、平成14年というのは、全体で18億円の赤字で、最大の赤字を記録しましたね。このとき、五つの病院のいわば赤字は3億5、800万円でありました。しかし、ことしの1月まで見ますと紫波病院で2、178万円、いわば収支を改善しています。大迫病院で2、327万円、花泉病院4、390万円、住田病院2、775万円、伊保内病院は5、430万円、平成14年度に比べて収支を改善しているんですよ。その総額が1億7、101万円ですよ。だから、最悪の平成14年だけ見ないで、平成15年はこれだけ改善しているんですよ。
 例えば、伊保内病院は5、430万円の、これは平成14年の赤字そのものです。赤字がなくなるぐらい収支改善しているんですよ。
 私はもう一つ紹介するけれども、伊保内病院は九戸村の大変小さな病院ですが、二戸医師会の会長がこう言っています。新しい院長が伊保内病院に赴任して、改革が始まったのではなく、革命が始まった。かなりの病院の医療あるいはその対応については充実してきた。いわば革命が始まった、そして、今まで九戸村の患者が、福岡病院や一戸病院に行っていたのが戻ってきたというんですよ。そして収支改善しているんですよ。伊保内病院から軽米病院や福岡病院に行っていた患者さんが伊保内病院に戻ってきた。
 こういうふうに革命的な変化が起きているところで、患者を戻しているところで、何で診療所にするんですか。いいですか、収支も改善していますよ。紫波病院だってそうですよ。あなた方はそういう実態を見ていますか、地域の声を聞いていますか。紫波病院と伊保内病院について答えていただきたい。

〇佐藤病院改革室長 先ほどお話しした現状については、紫波病院を、例えばそういう形でやった場合には、3、000万円ぐらいの改善につながるということでございます。それから、伊保内病院については、有床診療所の方が6、000万円ほど改善するという形でお示ししております。
 それから……(斉藤信委員「うそでしょう。あなた、病院で黒なんだよ、もう」と呼ぶ)

〇吉田昭彦委員長 今、答弁中ですから。

〇佐藤病院改革室長(続) それから、平成15年度に診療所化する病院が改善をしているのではないかということですが、これにつきましては確かに改善は成ってはおりますが、これは、どちらかといいますと人事院勧告の給与のカットとか、人事院勧告に基づくマイナスの給与改定とか、そういうものが多いところでございます。

〇斉藤信委員 私、伊保内病院の話はリアルに紹介したのに、あなたはちっともわかっていないね。本当に革命的な変化が起きているんですよね。それは確かに人事院勧告の影響もありますよ。患者さんが戻ってきているんですよ。だから、二戸の医師会長が、一番変わっているのはこの病院ですと、こう言っているんですよ。こういうときにここの病院のベッドをなくして、何で福岡病院に入院させなければだめなんですか。
 いいですか、九戸村から福岡病院に通ったらバス代で2、000円かかるんです。今のお年寄りが、どうして伊保内病院にかかって命と健康を守っているのに、毎日2、000円かけてそっちに行くようなことになるのか。これは看護する人ですよ。私は、そういう点で、一つ一つの病院をよく見ていただきたい。
 花泉病院について言いますと、4、390万円改善させました。平成14年のあの赤字が3、400万円でしたから、これも、花泉病院は今年度もう黒に転換しているんですよ。花泉病院は、平成14年度は赤字だったけれども、その前は黒字なんです。どうしてこういう黒字になっているところを診療所化しなければだめなんですか。私はそこをよく見ていただきたい。地域の方々が圧倒的に使って、頼りにしている、改善している病院もある。だから、一律に五つの病院を有床診療所化するというやり方は画一的、非科学的、そして地域医療切り捨ての最悪のことだと思いますよ。一つ一つの病院を見て対応していただきたいが、局長どうですか、そういう対応をする気はありますか。

〇千葉医療局長 個別に病院を考えるのではなく、こういった全体として患者が減少している、それが収支を悪化させているということで、二次保健医療圏で全体を考えていきましょうというのが今回の基本的な考え方でございます。
 お尋ねの伊保内病院は、確かに患者数がふえてございます。残念ながら、二戸医療圏全体で見ますと70%ちょっとということで、これではやはり全体の改善にはつながらない。要するに、二戸医療圏は県立病院だけでございますので、入院患者さんがどちらに行くかということだろうと思っておりますが、いずれ医療圏単位で県立病院全体を考えていかなければならんと思っております。
 今の通院のお話、高齢者の方は2、000円かかるとおっしゃいましたけれども、外来機能はいずれ残すわけですので、毎日、例えば九戸村から二戸市に通院ということは、診療科にもよりますが、それは現状でも同様ということでございます。いずれそういった、基本的に医療圏単位で考えて、入院患者さんにはそういった意味で御不便をおかけする場合があるわけでございますが、そういう考え方で今回の計画を策定したものでございます。

〇斉藤信委員 実態を見ない上からのベッドの削減というのは、私は、全く地域に背を向けた非科学的なやり方だと思いますよ。
 今、二戸医療圏が出たから言いますが、二戸医療圏の四つの病院で病床利用率が一番高いのは伊保内病院であります。78.2%。その次が軽米病院の75.9%、福岡病院が74.2%、一戸病院が63.4%であります。伊保内病院は一番使われている病院じゃないですか。
 いいですか、福岡病院は、平成15年度9月末でどのぐらいベッドが余っているか、75床余っています。伊保内内病院はたった10床しか余っていません。余っている病院を1病棟減らしたらいいじゃないですか。使われている病院を守ったらいいじゃないですか。これが当たり前の発想じゃないですか。福岡病院の院長だって、伊保内病院は大事ですよ、必要だったら福岡病院の1病棟、余っているんだから。私は、無理して使われている病院をなくしてそうやるべきではないと思いますよ。
 もう一つ続けて聞きますが、気仙医療圏、これも住田・高田病院が大幅に1病棟なくなり、住田病院は診療所化であります。しかし、この住田・高田病院のベッドを減らしたらどうなるか。今、大船渡病院の現状は、外来患者が朝5時から受付で待っているんですよ。そして、93%の病床利用率です、満杯状態であります。だから、個室一つに男女の患者を2人入れているんですよ。そして、患者が次々来るので、入院予定の患者がまた先延ばしされた。入院患者が、もうしょっちゅうベッドをかえられる、こういう状況ですよ。
 私は、住田病院の患者が、減らされたら、とても大船渡病院に行くような状況じゃないと思います。大船渡病院のそういう救急患者を、少し安定したら住田や高田病院にという、こういう連携こそ必要じゃないでしょうか。地域の病院のベッドをなくしたら、そういう方々が大船渡病院に入院できるという状況じゃないんです。
 本当の意味での連携というものを県立病院の間で図るべきだと思いますよ。そうしたら、紫波病院だってもっと患者をふやすことができる。いかがですか、この具体的な問題に答えていただきたい。

〇八木経営改革監 まず、二戸医療圏のお話がありましたけれども、先ほど局長も申し上げましたとおり、二戸医療圏全体では病床利用率が平成15年上期で72%ほどということで、そこで、今回の計画では一戸あるいは伊保内病院という形の病床縮減を計画したわけでございます。
 県立病院改革の基本的な考え方といいますと、二次保健医療圏ごとに病床規模の適正化を図っていく、これは先ほど来申し上げてございます。そして、広域基幹病院に医師や医療器械などを重点的に配置して、圏域全体の中心施設として救急医療施設、あるいは高度特殊医療機能、こういったものの充実を図って、医療圏域の病院群を一体的に運営する、こういう仕組みを構築することを目指しているわけでございます。
 それから、個別病院の福岡病院の話でございますが、福岡病院は、現在新築中ということでございますので、福岡病院に関しましては、平成16年5月に新しく開院する、こういう予定でございますので、開院後の圏域の患者の動向といったものを見きわめながら、計画期間内に適正規模等を検討していきたいと考えてございます。
 それから、気仙のお話がございました。気仙に関しても一応2病棟という計画を立ててございます。高田病院、住田病院ということでございますが、まさしく委員おっしゃるとおり、連携というのは大変重要だと思います。これをやっていかないと、私たちが今計画しているプランは成り立っていかないと考えます。したがいまして、気仙に関しても、どこの圏域でもそうでございますが、広域基幹病院である大船渡病院を中心に、高田・住田病院を加えた県立病院群でのより一層の機能分担と連携を図って効率的な対応をしていく、これに力を注いでいきたいと考えてございます。

〇斉藤信委員 だから、あなた方が広域医療圏で考えるというなら、一番使われている病院を何で減らすんですかと僕は聞いているんですよ。
 例えば、じゃ、気仙の広域医療圏は全体では黒字ですよ。何でここで住田病院も何も減らさなければだめなのか。両磐だってそうですよ、全体で黒字ですよ。あなた方が広域医療圏で考えるというなら、黒字の病院までなぜつぶすんですか、こういうことになるんですよ。
 私はそういう点で、あなた方の言い方は、本当に先に診療所化ありきなんですよ。だから、地域の医療をよく見て、どう使われているか、どう頼りにされているか、どう命を守っているか、これが県立病院の創業の精神なんですよ。県下にあまねく医療の均てんをと、どの地域にいても医療にかかれる、医療を守れる、これで53年間守ってきたわけじゃないですか。私はこの精神が今本当に問われていると思いますよ。
 それで、県内に五つの国保診療所があります。私はどういう実態になっているのかこれを調べてみました。例えば石鳥谷の町民医療センターは、19床で入院が9人です。衣川村は19床で7人、川井村は19床で8人、残念ながらこういう結果なんですよね。だから結局、診療所化すれば、19床あるから19床使えるかというと、そうじゃないんですよ。やっぱり必要なときに入院できない病院ということになれば頼りにならなくなるんです。私はそういう点で、有床診療所化というのは微調整だけれども、やっぱり地域医療からの切り捨て、撤退にしかならない、このことを率直に指摘しておきます。
 それで、本当の改革について幾つかお聞きしたいと思うんです。本当にあなた方が改革を進めるというなら、医療局にあるむだと浪費の構造にメスを入れなければだめですよ。一つは、過大な病院建設費の是正です。私は具体的に聞きたいけれども、県立病院の建設に当たって、同規模の民間病院と比べて建設費はどうなっているでしょうか。例えば、沼宮内病院は同規模類似の民間病院と比べたら建設費は2倍ですよ。私はこういうところにこそしっかりメスを入れるべきだと思います。
 医療器械の問題は、先ほど鋭い質問がありました。自治体病院共済会が平成15年度も8件とっている、その落札率は99.6%だ。今、岩手県の公共事業でさえ平均九十二、三%ですよ。99.6%なんていうのは、これはイコール談合ですよ。ましてや自治体病院共済会というのは特別の団体で、特別にセールスもメンテナンスもしないんですよ。私も一貫して取り上げてきたけれども、もう自治体と癒着した団体なんですよ。だから、病院建設費が過大だ、医療器械の購入、入札にこういう癒着がある。
 さらには私は、医療材料、薬品だってそうだと思います。後発薬品を徹底して使えばもっと節約ができる。私はそういう点で、こうした浪費の構造にこそメスを入れるべきだと思いますが、実態を含めて答えていただきたい。

〇齋藤管理課長 私の方からは、病院の建設費についてお答えいたします。
 民間病院の建設につきましては、医療法上のいわゆる報告義務がないということでございまして、一般的にほとんど公表されることがございません。したがいまして、本県の病院整備事業との比較はできない状況にあるということを御理解いただきたいと思います。
 それから、建築単価につきましてでございますが、過去の実績をベースにいたしまして、県の建築単価、それから、近年の物価等の動向を加味しながら適正な算定をしております。近年は単価をずっと落としておりますが、今後においても、建設コストの縮減に努めてまいりたいと思っております。

〇大沢業務課長 共済会の入札の件でございますが、共済会が入札に参加していますのは、WTO、いわゆる一般競争入札による参加でございますので、談合等の要素が入らない一般的な競争入札でございますので、そういうことはないと考えてございます。
 それから、後発薬品の活用を徹底的に図ったらというお話でございますが、現在の平成15年度の採用ベースでございますが、11.97%ということで、金額的には4億3、000万円ほどの採用になってございます。この数字というのは、47都道府県を1月に調査した調査表がございますが、岩手県が最も高い採用率だというような調査の内容も出ております。

〇吉田昭彦委員長 斉藤委員にお願い申し上げますが、議事進行に協力いただくために、簡潔に質問をいただくようにお願いします。

〇斉藤信委員 わかりました。
 それで、給与なんかは民間と比べるけれども、建設費は民間と比べられないと、おかしいですよ。調べればわかるんですから。民間の建設費なんかは工業新聞なんかに出ているんですからね。都合の悪いものはあなた方は比較しないんですよ。
 医療器械については、落札率の推移を全体として出してください。
 自治体病院共済会は、癒着の典型ですよ。前に私が聞いたときには、入札の札を前の日に入れるなんていうことがありましたが、これは改善されましたか。入札の日に出して、そこでちゃんと封を切っていますか。それは確認したい。
 じゃ、あと、まとめてお聞きします。
 緩和ケア病棟について。
 磐井病院、北上・花巻厚生病院の緩和ケア病棟、これは設置の方向で検討されていると聞いています。
 知事は、北上・花巻厚生統合病院は別棟で緩和ケア病棟を設置したいと患者団体に答えていますが、医療局はそう言っていませんね。知事のこの回答というのは私は重みを持つと思うけれども、いかがでしょうか。
 そして、この緩和ケア病棟というのは、私は盛岡中央部にも必要だと思います。県立中央病院の院長も中央病院にぜひとも欲しいと言っています。県立中央病院はがんの手術件数では全国有数で、こういうところにこそ緩和ケア病棟が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 最後、医師確保対策について。
 私は、医師の確保対策については、奨学生の確保の現状と具体的な対策、必要ならこの枠をふやすことも必要なのではないか。そして、今いる奨学生を確実に確保するためには、やっぱり奨学金だけではなく、毎年、スクリーニングとか、そういういろいろな形で岩手の医療に接するという機会が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 岩手医大は窓口を一本化して対応するという方向を示していますが、その取組状況、岩手医大との連携、取組状況はどうでしょうか。
 最近、産婦人科の医師確保、小児科の医師確保が問題になりました。千厩病院、花巻厚生病院、高田病院、大変深刻であります。努力しているというだけではなくて、中期、長期でどういう見通しがあるのか、このことを示していただきたい。

〇千葉医療局長 私から、花巻厚生・北上統合病院の緩和ケア病棟についてお答えいたします。その他は担当課長から。
 これについては、地元の皆さんから強い御要望があったというのを認識いたしておりますが、私といたしましては、やはり他県の状況であるとか、いろいろなコストの問題があります。御要望の趣旨はよくわかりますが、そういったものを見きわめながら、知事とも今後相談しながら、十分に検討してまいりたいと思います。

〇齋藤管理課長 中央病院の緩和ケア病棟の設置についてでございますが、今回新築を機に設置を予定しております磐井病院の運用状況を見ながら研究してまいりたいと考えております。

〇橘山参事兼医師対策監 医師確保対策の関連でございますが、奨学生の確保についてどのようにしているかということでございますが、平成9年度から新制度のものを設けまして、7万3、000円の月額貸付金額でございましたが、それを20万円にふやしまして再開してございまして、毎年度10名の方を確保してございます。
 それから、この10名の枠をふやすのかということでございますが、この件につきましては、県の保健福祉部の方で新市町村医師養成事業というものがございますので、今度10名ふやすことになっておりますので、それらの状況を見てからということで、現段階ではふやす考えはございません。
 それから、奨学生のその後の履行の関係ですけれども、貸し付けしている奨学生には、毎年、奨学生に直接面談するか、電話での意向確認、親御さんとの連絡とか、それから、どうしても大学の方で卒後の研修をしている先生方がおりますので、教授の方に直接お会いしまして、いずれ早期の義務履行の促進をしてございます。いずれそういうことでやっておりますので、ひとつ御理解いただきたいと思います。

〇大沢業務課長 入札票の件でございますが、平成15年度より入札票の受領と開札は同一日に行ってございます。
 それから、一般競争入札の請負率でございますが、96.69%となってございます。

〇吉田昭彦委員長 答弁漏れがないですね。

〇斉藤信委員 あります。

〇橘山参事兼医師対策監 答弁漏れいたしまして失礼いたしました。
 岩手医大との連携によっての研修医の確保の関係でございますが、従来は県立病院と、それから岩手医大とそれぞれやってございましたが、昨年から、いずれ岩手県全体での臨床研修医の合同面接会とか、それらを考えております。ですから、今後につきましては、今の医学生に対する説明会等も、岩手医大と県内の臨床研修病院全体での取り組みをしていかなければならないのではないかと考えてございます。
 それから、小児科、産婦人科の医師確保の関係でございますが、これにつきましては、国に対しても要望はやってございます。したがいまして、大学医学部の入学定員の拡大とか、周産期とか小児科医師の確保につきましてやっておりますが、私どもにつきましても、平成14年度から開始しております医師養成事業におきまして、特にも小児科、産婦人科などを専攻する医師につきましては、一般医師につきましては義務が9年でございますが、これらの小児科、産婦人科につきましては7年ということで誘導策をしてございます。

〇斉藤信委員 これで終わりますが、私は、県立病院改革実施計画、やっぱり地域医療の実態、それぞれの病院の実態をよく見て、具体的対応をしていただきたい。特に、院長の役割というのは極めて重大ですよ。医師の役割、院長の役割は極めて重大で、伊保内病院みたいに、院長がかわって革命的変化を起こしたと。
 私は今までも千厩とか東和病院とか、頑張っている病院を紹介してきましたが、そういう点では、そういう院長を配置する、院長の力を発揮させるのは医療局なんですから、その責任を放棄しないで、しっかり個々の病院の改革をやって、地域医療を守る手だてをとっていただきたい。
 終わります。

〇小原宣良委員 ただいまの答弁の中で、花巻厚生・北上統合病院にかかわって、がん患者の緩和ケア病棟、これの別棟にという要請がそれぞれ北上市、花巻市在住の皆さんが中心でございましたけれども、知事に要望した経過がございます。そのときには、私も行っておりましたが、たしか医療局長もその場に同席しておられたと思います。ですから、知事が理解を示した、あのときにお話をした部分というのは、医療局長も十分承知をしておると思うんですね。
 知事は、がん患者、みずからがんを患っている患者の方が直接お見えになったし、あるいはがん患者家族の会という、深刻にこの問題に直面している皆さんがあのときに知事にお会いしたという経緯です。それで十分理解を示されました。翌日の新聞では、それぞれ各紙報道がされているという状況です。
 ただ、お聞きしますと、医療局長の答弁、説明は、あのときの増田知事の思いというものからは、正直言ってちょっと後退していますよ。ですから、これはこれから十分検討するということではありましょうが、あの思いというものはぜひ裏切らないでいただきたい。いろいろな財政上の事情もあろうかと思う。しかしながら、それ以上に人の命というのは重いのです。そういう意味で、ぜひ再度局長から、この緩和ケア病棟の別棟設置についてお考えをいただきたいと思います。

〇千葉医療局長 私もその場におりました。いずれ、緩和ケア病棟を別棟にするという場合、やはり相当コストがかかります。それから、職員の体制も非常に、移動コストといいますかそういった意味で、人の配置が相当かかり増しになるのではないかといったようなことでございます。
 それから、今磐井病院では最上階に予定いたしておりますが、最上階ではありますが、いずれ定員とか、安らぎにできるだけ配慮したような設計でやっておりますし、運営コストといったようなことで、他の先進事例等もいろいろ勉強しながら検討していきたいということで、私は、そういうふうに考えているものでございます。
 今後、知事の意向も十分お聞きしながらやってまいりたいと思っております。

〇小原宣良委員 再度で恐縮ですが、これは、知事はコストがかかるというのは十分わかっての話なんですよ。知事がコスト論をわからないで、ああいう説明を患者の皆さんに、あるいは家族の皆さんにしたわけじゃないんです、と私は理解しました。本当に心底からの思いで話をされたんですよ。あなたはそれをコスト論で来ますけれども、知事はわかっておったということですから、ぜひ知事の意向というものを十分体して、今後検討をしていただきたいと思います。
 再度の御答弁を求めます。

〇千葉医療局長 いずれ、十分に検討させていただきたいと思います。

〇吉田昭彦委員長 ほかに質疑はありませんか。

〇野田武則委員 1点だけ質問させていただきたいと思います。
 市町村立病院と県立病院との関係でございますけれども、昨年、県立病院の改革プランが出されたときは、釜石医療圏の方では削減の計画が出されましたが、その後、釜石市民病院の存続問題が浮上した後に、釜石市民病院の動きにあわせて医療圏の削減はやるという方向で、ちょっと先送りしたような説明があったかと思います。
 そこでお伺いしたいわけですが、先ほど来お話がありましたとおり、改革プランの基本姿勢といいますか、いわゆる市町村立病院との関係につきまして、市町村立病院の運営計画を優先するのか、あるいは、県立病院は県立病院としての計画で進めていくのかという点でございます。一つの例として今、釜石市民病院の問題が新聞紙上でもいろいろと騒がれているわけでございますけれども、いわゆる釜石市民病院の計画がこれから出されるかと思うわけですが、それが出た場合、そちらを最優先するのかどうか、その点をちょっと確認したいと思います。

〇千葉医療局長 釜石市の場合、計画ではっきり、市民と調整の上でと書いてございますけれども、釜石市の場合は、以前に申し上げましたが、330床、基準病床数に対して41%という著しいオーバーベッド地域だということがございます。その地域に新日鉄記念病院とか国立療養所、それから県立釜石病院と市民病院と、ほぼ同規模の総合病院が二つあるということで、いずれ相当以前から私ども医療局でも問題意識を持ってきたわけでございます。
 その後、いろいろなお金の問題やら何やらで急展開したということで、病院長さんの議会での発言以降、急速な動きを示しておりますけれども、私どもは、いずれ早晩、県立病院との調整というのは必要だという認識でおりましたし、そういう意味でああいう書き方をした。
 いずれ、他の圏域とは違ったそういった地域であるということ、それから、以前から地方振興局が中心となって協議会を立ち上げて検討いたしているところでございますので、現在そういう認識でありまして、市がこう決めたらばというよりは、私どもは、今後の動向については一緒になって決めていただかないと困ると思っております。そういうことで御了解いただきたいと思っております。

〇野田武則委員 私はてっきり市町村立の方の運営計画が最優先する、それに基づいて県立病院のあり方が変わっていくと解釈していたわけでございますが、今の局長のお話だと、一緒に考えてやっていくということで、基本的な姿勢というのはないと解釈して、一緒にやるということが姿勢だ、こういうことでございますよね。

〇千葉医療局長 市のお考えというのもやはり大事だと思います。ただ、いずれ課題がいっぱいある。まず、医師体制をどうするのかということがございますし、それから、どちらも負債を大きく抱えておりますし、どういうスケジュールで、職員の処遇をどうするかといったようなもの、いっぱい問題があります。そのうちの大筋をある程度きちんとしないで方向づけはできないのではないかなと。ですから、やはりお互いに話し合いながら、大筋の方向性をまず決めなければならん。これは、お互いに一方的な決め方はできないと私は認識いたしております。

〇野田武則委員 全くそのとおりだと思います。ただ、私が聞いているのは、県の医療局としての基本姿勢といいますか、各市町村立の病院と県立病院とのあり方の基本姿勢についてどう考えているのかということをちょっとお伺いしたかったんですよ。例えば、市町村立の病院がないところは県立病院をつくって地域の医療を守る、これが県立病院のあり方だったと思うわけですが、そこら辺の流れで、釜石のみにかかわらず、水沢とか胆沢とか、いろいろと競合しているところもあろうかと思うんですが、今後のことも含めて、その基本姿勢というのがあるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

〇千葉医療局長 県立病院のある市町村、それから市町村独自にやられている市町村、それからどちらもない市町村があると認識いたしております。県立病院の今の27病院体制というのは、いずれ53年の歴史があって、設立の経緯がそれぞれあるわけでございます。
 いずれ今、私どもの基本的な考え方は、27の県立病院を今後どのようにやっていくか、それを二次医療圏単位で、現在の市町村立病院なり、国公立の病院、それから民間の医療機関、そういったものを前提として27の県立病院をどう持っていくかということで計画を立てているわけです。ただ、その中では釜石の場合は、先ほど申し上げましたとおり、以前から他の圏域とは著しく異なる要素があるということで、現在、医師の体制も非常に大変な状況になってきておりますので、できるだけ早く検討する必要があるのではないかということで、ああいう計画にしたものでございます。

〇野田武則委員 どうもありがとうございます。
 そういうわけで地域医療の充実を守るということで、今後とも局長さんには御尽力を賜りたいと思いますが、地域住民の方から見ますと、県の方の情報源がないんですね。市の方の情報はたくさん地元の新聞で出てくるわけですが、県の姿勢というのが見えないものですから、ぜひ適当な時期に適当な判断で情報を提供していただければありがたいと思っております。
 今後ともどうぞよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

〇嵯峨壱朗委員 議論を聞いていて感じたことですけれども、コストの削減について議論していましたが、医療局の局長初め、話を聞いておりますと、給料は決して高くはない、適正である。さらに、職員の生活は守っていく。しかし、その結果、県民医療サービスは低下させるという姿勢に間違いないですねということを確認します。
 もう1点は、これは前から聞いていたんですけれども、入院日数減少の原因は、少子・高齢化にもかかわらず病人が減ったということなのか、それとも医療報酬の改定に原因があるのか。
 それと、院外処方の数ですけれども、平成10年から見るとずっと減ってきて、院外処方が去年の末で67.5%までいった。そして、材料費は平成10年に対して77%まで減少している。しかし、薬剤師は210人から205人にしか減っていない。それはやっぱり変です。(「本来の仕事です、問題は」と呼ぶ者あり)本来の仕事じゃないですよ。
 そして、あとは開発費について、情報処理システム等の開発費、これは内容と入札の方法、随意なのか競争なのかで、1回に聞きます。

〇千葉医療局長 最初の給与の関係と医療サービスを低下させないという件について私から申し上げますし、病床利用率につきましては八木経営改革監、それから薬剤師の数については職員課長、情報システム開発関係についてはシステム管理室長から御答弁申し上げます。
 職員給与で職員を守って医療サービスを低下させる、決してそういうことではございません。先ほど御答弁申し上げましたとおり、基本的に給与決定の原則がありますので、法律、条例に基づく原則があるということでございますし、ただ、それのみでは手をつけないということではなくて、やはり超過勤務であるとか、いろんな手当の部分で職員にやはり協力を仰がなければならない部分があります。それから、より以上に病床があいているという状況で県立病院全体を適正な規模にすると、いわゆる個々の病院はそれぞれ患者さんがいるわけですが、二次医療圏単位で考えないと、いわゆる病棟単位で減らさないと看護師の数は減らないわけです。ですから、そういう意味で、二次医療圏単位で調整しながら看護師さんの数を減らす、あるいは連携をとりながら事務とかいろんな分野での職員数をできるだけ縮減していくという形で、給与費全体を縮減したいと考えているものでございます。
 その他の答弁は関係課長から申し上げます。

〇吉田昭彦委員長 質問に対する答弁が順不同になりますけれども、手を挙げた順序で。

〇八木経営改革監 入院日数の減少の要因というのは少子・高齢化か医療制度かということなんですが、過去のちょっとデータを見ますと、病院に新しく入院してくる患者、いわゆる新入院患者と言いますが、新入院患者の数というのは県病全体で見てもほぼ横ばいで推移してきています。ということで、患者が減ったということは、やはり平均在院日数がずっと過去、短くなってきているということが要因ではないかと考えてございます。いずれ、この平均在院日数が減った要因というのは、医療技術の進歩等あるいは介護施設の整備といったものによって減ってきていますし、それから病院の中でもそれなりに患者様に対していろんな入院時の診療計画、こういったものも取り組んでございますし、クリニカルパスということで治療中のいろんな経過、これも含めて当初から説明をしてきているということによって、患者が減ってきているのが要因ではないかと考えてございます。

〇細川職員課長 私からは院外処方せんと薬剤師の関係についてでございますが、平成14年度以降、確かに現在、院外処方の率が進んでございます。私ども平成14年度の数値で見ますと、薬剤師の100床当たりの職員数の比率が3.4となってございますが、いずれ、それ以降についても進んできている分につきましては、その都度見直しをし、その見直しに当たっては当然、単にということではなくて、当直体制とかそういったことも考慮に入れながら見直しを進めてきてございます。ちなみに、平成15年度は正規の職員で6人、それから臨時の職員が10人ほどで、あわせて16人超、それから16年度も正規で5人、あわせて臨時を含めますと約6人減員をかけてございます。

〇桜小路システム管理室長 システムの開発費の内容と契約の方法でございますが、内容について代表的なものを御説明いたしますと、窓口会計とかそれからレセプトの作成、これは医事ネットワークシステムと呼んでいますけれども、そういうものが4、800万円ほどでございます。それから、医師が会計データを指示するオーダリングシステムというシステムがありますけれども、これが4、600万円ほどでございます。そのほか財務会計システムとかあるいは電子カルテシステムというようないろんなシステムがございます。契約の方法でございますが、従来のシステムを継続して使う、あるいは改修するということにつきましては随意契約ということでもっております。それから、例えば財務会計システムとかあるいは電子カルテシステムということで、新しくシステムをつくるものにつきましては、一応公募型プロポーザルということで全国から技術提案を求めまして、それで審査委員会を求めて審査した結果でもって、その業者と随意契約を結ぶという仕組みになってきてございます。

〇吉田昭彦委員長 ほかに質疑ありませんか。

〇平野ユキ子委員 南光・磐井病院の電子カルテ導入についてのことなんですけれども、先ほど局長の答弁の中で、沖縄ですぐれた方式があるやに聞いているという答弁がありましたので、ちょっとそこを確認したいんですが、それは多分エンドユーザーコンピューティング方式と言われるものだと思います。先週、地域振興部の予算審議のときにもちょっとお話ししたんですけれども、今、県で使っているシステムはレガシー方式と言いまして、非常に経費が、維持費がかかるんですね。ランニングコストもかかりますし、それからエンドユーザーが自由に変えたいと思ったときでもブラックボックスがあるために変えることができない、結局は委託料を払って業者に頼むしかないというシステムになっています。このエンドユーザーコンピューティング方式を検討していただければ、県民の税金ですから、せっかく電子カルテを導入してさらに赤字をふやすようなことにならないようにしていただきたいと思いまして、なるべく税金を、県民の税金ですので大事に使っていただきたいという観点から、このエンドユーザーコンピューティングシステムを検討していただけるかどうかということをお伺いします。

〇桜小路システム管理室長 お話しのありました沖縄県のやっている状況につきましては、うちの方でもいろいろインターネットなり、あるいはいろんな情報誌を通じまして承知をしておりますけれども、これは経済産業省の補助事業でやっている事業でありまして、今その動向が注目されているところでございます。それで、今回、私どもで磐井・南光病院に電子計算機を入れるときも、その公募型プロポーザルということで、今、全国の業者を募集してございまして、大体今のところ6社の方がその応募に応じるということになっています。その中の1業者があるいはそういう今、委員がおっしゃったような技術をあるいは出すか出さないか、その辺がちょっとわかりませんけれども、いずれ新しい技術でありますので、なかなか普及というところまではまだいかないのではないかという認識は持っていますけれども、ただ、そういう業者があるということで、どうしても参加するというようなことで今後どうなるのか、注目していきたいと思います。また、そういう新しい技術につきましては私どももいろいろ情報を収集しまして、適時適切に対応してまいりたいと考えております。

〇吉田昭彦委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇吉田昭彦委員長 質疑がないようでありますので、これで医療局関係の質疑を終わります。
 医療局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、地方労働委員会事務局長から地方労働委員会関係の説明を求めます。

〇山瀬地方労働委員会事務局長 地方労働委員会関係の予算につきまして御説明申し上げます。
 便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、説明書の153ページをお開き願います。第5款労働費第3項労働委員会費のうち、1目委員会費3、476万1、000円は、委員の報酬及び委員会運営に要する経費であり、2目事務局費9、537万9、000円は、事務局職員の人件費等、事務局の管理運営に要する経費であります。
 以上で地方労働委員会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

〇吉田昭彦委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。

〇伊沢昌弘委員 委員会の中で少ない予算なわけですけれども、地労委の方に今、平成15年度含めて委員会が開催をされるというのはいろんな案件があろうかと思います。現状がどのようになっているのか。それから、1件の委員会審査が長引いているのもかなりあると思うのですが、平均しますとどういう形になっているのか、この際、教えていただきたいと思っています。
 それから、年度を越えて平成16年度まで今、課題になっているような案件がどのくらいあるのか、この際、教えていただきたいと思います。

〇山瀬地方労働委員会事務局長 地方労働委員会の現在のこの件数でございますが、まず一つは、不当労働行為事件の審査状況でございます。今年度新規申し立てが1件ございまして、これは現在、審査を行っている最中でございます。それから、また、平成14年度からの繰り越しが7件ございまして、これは現在も係属中でございます。
 それから、次に調整事件、あっせんとか調停の関係の調整事件でございますが、そのうちの一つ目として集団的労働関係紛争、これは労働組合からの申請でございますが、これが本年度は新規があっせんの申請が1件ございました。それから、平成14年度から繰り越しているのが3件、あっせん2件、調停1件ということで、全部で今年度の処理件数は4件でございます。これらについては来年度への繰り越しということはございません。解決ないしは打ち切りでございます。それから、調整事件の中で、平成14年8月に条例でもってうちの方で処理しております個別労働関係紛争のあっせんでございますが、これが今年度は新規が2件ございました。1件は取り下げになりましたが、1件は現在も係属中でございます。それから、14年度からの繰り越しは個別労働関係紛争についてはございませんでした。これが審査関係、調整関係の現状でございます。
 それから、委員会の平均日数というのは、多分あっせん等の、例えば1件につき何日ぐらいかかっているかという御質問かと思いますけれども、あっせんについては基本的には1回で解決を図るというのが基本的な考え方でございますけれども、ただ、中には1回では終わらなくて、双方の当事者がもう少し帰って検討してということ等ありまして、2回とか、長ければ3回ぐらいになる場合もございますけれども、普通は大体1回で終わるのが多いという感じでございます。
 それから、来年度への係属件数どのくらいあるかという話でございましたが、不当労働行為についても調整事件についても現在やっている最中で、これが今年度に片づくかどうかということになると、はっきりはわからないですけれども、不当労働行為については審査日程等からすれば恐らく現在の新規申し立て1件、それから繰り越し7件、これが大部分来年度に係属になる可能性があるのかなと思っております。

〇伊沢昌弘委員 大変厳しい経済状況の中で、労働組合の組織率も少なくなっていますので、不当労働行為の申し立ても含めて少ないのかもしれませんが、大変な状況の中で、これは経営者にとっても、働く側にとっても大変な課題だと思います。できるだけこういった提訴があった際の審査を含めて、早急なる取り組みをされるように要望いたしまして終わります。

〇吉田昭彦委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇吉田昭彦委員長 質疑がないようでありますので、これで地方労働委員会関係の質疑を終わります。
 地方労働委員会の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。委員の皆様方におかれましては、議事進行に協力いただきありがとうございました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時42分 散 会


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