平成16年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成16年3月8日(月)
   

1開会  午前10時6分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長 武田牧雄
  議事課長 平澤石郎
  議事課長補佐 八重樫 典彦
  主任議事管理主査 千田利之
  議事管理主査 近藤光宏
  議事管理主査 多田 繁
  議事管理主査 田丸 裕佳子
  議事管理主査 嵯峨俊幸
  議事管理主査 安藤知行

1説明員
  知事 増田寛也
  副知事 竹内重徳
  総合政策室長 照井 崇
  首席政策監 今泉敏朗
  参事兼政策推進監 廣田 淳
  参事兼行政経営推進監 酒井俊巳
 
  地域振興部長 大沼 勝
  地域振興部次長兼地域企画室長兼複合施設整備室長兼IT推進室長兼地域振興課長事務取扱 法貴 敬
  市町村課長 松川 求
 
  総務部長 時澤 忠
  総務部次長兼総務室長 長澤忠雄
  参事兼予算調製課長 藤尾善一
  人事課長 小川明彦
  税務課長 千葉茂樹
   

〇武田議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、藤原泰次郎委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 藤原泰次郎委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いいたします。
   〔年長委員藤原泰次郎君委員長席に着く〕

〇藤原泰次郎年長委員 ただいま紹介のありました藤原泰次郎であります。よろしく御協力をお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に吉田昭彦君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました吉田昭彦君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました吉田昭彦君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました吉田昭彦君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 吉田委員長、委員長席にお着きを願います。
   〔予算特別委員長吉田昭彦君委員長席に着く〕

〇吉田昭彦委員長 ただいま予算特別委員会委員長に選任されました吉田昭彦でございます。
 委員会の運営につきましてはふなれでありますが、委員の皆様方の御指導、御協力をいただきまして円滑な運営に努めてまいりたい、そのように思いますので、よろしく御指導をお願い申し上げたい、そのように思います。
 甚だ簡単でございますが、ごあいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇吉田昭彦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇吉田昭彦委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇吉田昭彦委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に照井昭二君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました照井昭二君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇吉田昭彦委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました照井昭二君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました照井昭二君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 照井副委員長、ごあいさつをお願いいたします。

〇照井昭二副委員長 ただいまは副委員長に選任いただきましてまことにありがとうございます。
 大変力不足、経験不足でございますけれども、委員長を精いっぱい補佐いたしまして、議事の円滑な運営に努めてまいりたいと思います。委員の皆様の御協力、御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

〇吉田昭彦委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案34件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程のとおり、本日から12日まで、及び15日から17日の8日間は、関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、議案34件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、17日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇吉田昭彦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第23号、議案第29号から議案第31号、議案第33号から議案第36号まで、議案第39号、議案第41号、議案第43号、議案第47号及び議案第48号の以上34件を一括議題といたします。
 これより、平成16年度予算の総括説明を求めます。

〇時澤総務部長 平成16年度当初予算の概要につきまして総括的に御説明申し上げます。
 本県財政は、県内景気の低迷状況が長引き、県税収入の大きな伸びが期待できないことに加え、国の三位一体改革の影響を受けまして、地方交付税や国庫支出金の大幅な減収が見込まれる一方、公債費が累増するなど財政構造の硬直化が進行しており、極めて厳しい状況にあります。
 このような中にあって、平成16年度当初予算は、中期財政見通しのもと、より一層の選択と集中に努め、誇れるいわて40の政策を中心に、雇用や福祉、教育など県民ニーズが高い分野等に重点的に取り組むことといたしました。その上で、行財政構造改革プログラムに基づき、持続可能な行財政構造の構築への第一歩として、主要3基金の取り崩しに依存せず、県税等の収入に見合った財政支出となるよう歳出規模の適正化に努める一方、自主財源の確保や県債発行の抑制、公債費負担の平準化など、財政運営の将来にもわたる健全化にも配慮して、自立と構造改革元年予算として編成したところであります。
 この結果、当初予算の規模は7、798億2、900万円余で、前年度当初予算対比4.6%の減、実質的な当初予算とも言えます6月現計予算との対比では6.1%の減となるものであります。
 次に、歳入歳出予算の概要につきまして御説明いたします。便宜、お手元にございます予算に関する資料で説明させていただきます。
 予算に関する資料の1ページをお開きいただきたいと思います。平成16年度一般会計歳入歳出予算総括表の第1表歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに、10財産収入から14諸収入まででありまして、その総額は2、562億7、300万円余で、前年度当初予算と比べますと11.0%の減、6月現計予算対比では11.3%の減と大幅に減少いたしております。これは、県税や地方消費税清算金は増加したものの、財政調整基金など主要3基金からの繰り入れを大幅に抑制したことなどによるものであります。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であります。その総額は5、235億5、600万円余で、前年度当初予算対比1.0%の減、6月現計予算と比べますと3.4%の減となっておりますが、これは、主に地方交付税及び国庫支出金の減などによるものであります。
 この結果、歳入に占めます自主財源の割合は32.9%と、前年度6月現計予算の34.8%から1.9ポイント低下し、一方、依存財源の割合は67.1%となりました。
 次に、歳出でありますが、主要な事業につきましてはそれぞれ所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に御説明いたしますので、款別歳出につきましては説明を省略いたしまして、私からは性質別の主なものにつきまして申し上げたいと思います。
 3ページをお開きいただきたいと思います。3ページの平成16年度一般会計歳出性質別予算表のうち、まず人件費は、表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄をごらんいただきたいと思います。4.7%の減となっております。これは、人事委員会勧告に沿った給与改定による減額のほか、行財政構造改革プログラムに基づき、県独自の給料月額の減額措置や職員数の縮減など総人件費の抑制に努めたことによるものであります。物件費は、新たに参議院議員選挙費を措置したことなどによりまして2.6%の増、また、維持補修費は、土木施設の維持修繕費の増等によりまして2.8%の増となっております。4ページの扶助費は2.2%の増となっておりますが、これは、生活保護扶助費や児童扶養手当支給事業費の増などによるものであります。補助費等は1.7%の増でありますが、これは、16年度に本県で開催されます技能五輪全国大会及び冬季国体スキー競技会に係る負担金や地方消費税清算金・交付金が増加したことによるものであります。普通建設事業費は11.9%の減となっており、そのうち単独は18.0%の減となっておりますが、これは、公共事業の投資規模の適正化を図ったほか、いわて銀河鉄道事業用資産取得費補助の終了などによるものであります。次に、5ページの災害復旧事業費は、河川等災害復旧費の減などによりまして23.5%の減となっております。公債費は4.0%の増となっておりますが、これは、国の経済対策に呼応した補正予算債や地方財源不足対策として発行されました財源対策債等についての元利償還額が増加していることなどによるものであります。積立金は、15年度に積み増しをいたしました中山間地域等直接支払交付金基金への積立金などが減少したことなどによりまして44.5%の減、また、出資金は、工業用水道事業会計に対する出資金が減少したことなどに伴いまして7.8%の減となっております。貸付金は、農業協同組合経営改善特別対策資金貸付金の終了や商工観光振興資金などの貸付額の減少等によりまして12.0%の減となっております。繰出金は、県有林事業特別会計への繰出額の増等に伴いまして1.6%の増となっております。
 一般会計歳入歳出予算の概要は以上のとおりであります。
 特別会計につきましては、所管部局におきまして御説明申し上げますので、私の方からは説明を省略させていただきたいと思います。
 続きまして、歳入その他につきまして御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の1ページをお開きいただきたいと思います。議案第1号平成16年度岩手県一般会計予算についてでありますが、第1条歳入歳出の総額を7、798億2、991万円余と定めるものであります。第2条は、債務負担行為の限度額等を、第3条は、地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであります。第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与につきまして、同一款内での予算流用を定めるものであります。
 次に、歳入について御説明いたします。
 便宜、予算に関する説明書の4ページをお開きいただきたいと思います。まず、第1款県税第1項県民税は232億2、900万円余で、前年度当初予算対比3.8%の増となっておりますが、これは、1目の個人県民税が景気の低迷や厳しい雇用情勢から個人所得の減少が見込まれ減収となる見通しであるものの、2目の法人県民税が製造業を中心とした企業収益の向上などにより増収が見込まれることなどにより増となるものであります。
 第2項事業税は241億6、500万円余で15.3%の増となっておりますが、これは、同じく収益向上が見込まれる企業の業績見通しから増収と見込んだものであります。
 次に、6ページの3項地方消費税であります。これは、地方財政計画等をもとに116億7、600万円余、1.4%の減と見込んだものであります。
 4項不動産取得税は30億2、600万円余で8.8%の増となっております。
 8ページに参りまして、5項県たばこ税は26億8、000万円余で1.7%の減となっており、6項ゴルフ場利用税は4億7、000万円余で0.2%の増となっております。
 10ページに参りまして、7項自動車税は204億2、500万円余で1.7%の減となっておりますが、これは、定期課税台数及び1台当たりの課税額の減が見込まれることによるものであります。
 8項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し、1、900万円余を計上したものであります。
 次に、12ページの9項自動車取得税は40億2、500万円余で0.9%の減となっております。
 10項軽油引取税は190億6、000万円余で2.6%の減となっておりますが、これは、景気低迷による物流の停滞や軽油使用車両の減少が見込まれることなどによるものであります。
 次に、14ページ、11項狩猟税は、狩猟者登録税と入猟税を統合し創設された税目でありまして、6、400万円余を計上したものであります。
 12項産業廃棄物税は、本年1月から条例が施行されたところであり、最終処分場の年間埋立量を勘案いたしまして1億円余と見込んだものであります。
 16ページの13項は旧法による税であります。
 17ページ及び18ページは、狩猟者登録税と入猟税の前年度の額を掲げたものであります。
 以上、県税の合計額は1、089億5、400万円余で、前年度当初予算額に比べまして32億8、300万円余、3.1%の増となるものであります。
 次に、19ページ、2款地方消費税清算金は264億3、500万円余で4.7%の増となっております。
 20ページに参りまして、3款地方譲与税1項所得譲与税は、今回の地方財政対策におきまして、平成15年度及び16年度の国庫補助負担金の一般財源化に伴う措置として創設されたものでありまして、23億7、000万円余を見込んだところであります。
 2項地方道路譲与税は41億2、100万円余、22ページの3項石油ガス譲与税は3億5、000万円余、4項航空機燃料譲与税は1、600万円余をそれぞれ見込んだものであります。
 次に、24ページの4款地方特例交付金は36億6、100万円余と、前年度に比較しまして70.9%の増と大幅に増加しておりますが、これは、国庫補助負担金の一般財源化に伴い、税源移譲予定特例交付金による財政措置が講じられたことなどによるものであります。
 5款地方交付税は2、355億8、200万円余で、前年度当初予算対比3.6%減で計上いたしておりますが、これは、平成16年度の地方財政計画におきまして歳出全般にわたる徹底した見直しが行われ、地方交付税総額が減少したことなどによるものであります。
 次に、26ページの6款交通安全対策特別交付金は6億200万円余と見込んだものであります。
 7款分担金及び負担金でありますが、27ページの1項分担金は、そのほとんどは農業農村整備事業等に係るものでありまして、28ページから30ページまでの2項負担金は、総務、民生、衛生、農林水産業、土木及び教育に係る受益者負担、市町村負担金等を計上したものであります。
 次の31ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、2目民生使用料では、し体不自由児施設使用料、32ページの5目農林水産業使用料では、漁港施設使用料、7目土木使用料では、空港施設使用料、道路及び河川の占用料、そして県営住宅使用料、9目教育使用料では、高等学校の授業料や34ページの中ほど県立大学の授業料などであります。これら使用料の総額は86億6、100万円余で、前年度より2.0%の減となっております。
 次に、2項手数料でありますが、その主なものにつきましては、35ページの3目衛生手数料の食品営業許可や屠畜検査に係る手数料、37ページの7目土木手数料の建設業者許可や建築確認に係る手数料、38ページの8目警察手数料の運転免許更新等に係る手数料などでありまして、その合計は29億6、000万円余で、前年度とほぼ同額になっております。
 次に、39ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、8節の児童保護委託15億8、200万円余、11節の生活保護41億3、000万円余、40ページの3目農林水産業費負担金では、1節の農業共済団体等事務16億5、800万円余、4目土木費負担金では、基幹河川改修事業、砂防事業など、5目教育費負担金では、義務教育人件費に係るものなどがその主なものであります。6目の災害復旧費負担金は、4節の河川等災害復旧事業などでありまして、7目公債費負担は、平成13年度から15年度までに発行いたしました特定資金公共投資事業債の償還金に係る国庫負担金であります。これら国庫負担金の総額は519億1、900万円余で、義務教育費国庫負担金の一部が一般財源化されたことなどによりまして前年度より11.0%の減となっております。
 次に、42ページ、2項国庫補助金でありますが、その総額は、57ページまで進んでいただきまして、739億7、900万円余で7.8%の減となっておりますが、これは、公共事業の投資規模の適正化や国庫補助金の一般財源化などによるものであります。
 続きまして、58ページに参りまして、3項委託金でありますが、1目総務費委託金の3節参議院議員選挙執行に係る国庫委託金の増などによりまして、総額は、60ページに記載しておりますとおり23億1、100万円余で、108.0%の増となっております。
 次に、61ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は6億4、500万円余を見込んでおりまして、62ページの2項財産売払収入は、県有未利用資産の活用を図るため、土地の売り払いを積極的に進めることなどによりまして、前年度に比較しまして107.5%増の14億5、000万円余を計上したものであります。
 次に、64ページの11款寄附金でありますが、県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議に関する条例に基づく環境保全協力金につきまして1、200万円余を見込んでいるものであります。
 次に、65ページの12款繰入金1項特別会計繰入金は、電気事業会計からの借り入れを行うことなどによりまして13億2、700万円余となっております。
 66ページ、2項基金繰入金は110億2、700万円余となっておりまして、前年度と比較いたしまして275億2、400万円余、71.4%の減と大幅に減少しておりますが、これは、財政調整基金、県債管理基金及び公共施設等整備基金のいわゆる主要3基金につきまして、平成18年度までの間、行財政構造改革プログラム策定時に見込んでおりました平成15年度末の残高約430億円を下回らないということを基本として、その取り崩しを大幅に抑制したことなどによるものであります。
 なお、平成16年度末の主要3基金の残高につきましては、ここには記載しておりませんけれども、財政調整基金は79億9、900万円余、県債管理基金は387億6、900万円余、公共施設等整備3基金は147億8、900万円余、あわせまして615億5、700万円余と見込んでおります。
 67ページの13款繰越金は整理科目であります。
 68ページに参りまして、14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料は1億8、800万円余を計上しており、2項預金利子は、金利動向等から2、100万円余を見込んでおります。
 次に、70ページ、3項公営企業貸付金元利収入は139億9、000万円余で、県立病院等事業会計への貸付金元金が主なものであり、4項貸付金元利収入は、総務や農林水産業、72ページの商工など各行政部門における貸付金に係る元利収入で、その合計は、73ページに記載しておりますとおり619億4、800万円余となっております。
 74ページ、5項受託事業収入の総額は、次の75ページにありますように24億500万円余となっております。
 次に、76ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収入34億6、500万円余、7項利子割精算金収入は500万円余を見込んでおります。
 78ページ、8項雑入の総額は、82ページまで進ませていただきまして、56億2、400万円余と見込んでおります。
 次に、15款県債でありますが、その総額は、84ページに記載しておりますとおり、1、486億8、600万円余でありまして、前年度に比較しまして105億2、500万円余、7.6%の増となっておりますが、これは、11目借換債につきまして、当初からの借換予定債に加えまして、世代間の負担の公平等、県債償還に係る一般財源所要額の中長期的な平準化を図るために、行財政構造改革プログラムに基づきまして300億円の借換債の発行を見込んだことなどによるものであります。
 次に、314ページまで進ませていただきます。県債の現在高見込みでありますが、平成15年度末では、前年度末現在高見込額の315ページの計の欄になりますが、1兆3、806億7、300万円余、平成16年度末では、同じく計の欄の右端になりますが、1兆4、046億8、200万円余と見込んでおります。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

〇吉田昭彦委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、従来の代表質疑、自由質疑の区別を廃止し、今回から、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分し、一括して総括質疑として行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主・県民会議が45分、次に、自由民主クラブが41分、次に、政和会が21分、次に、社会民主党が12分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員の順に、それぞれ7分となっております。
 次に、このほかに議会運営委員会で決定された事項を申し上げます。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができます。この場合におきましては、会派として続けて行うこと。
 なお、これまで、会派に所属する議員で代表質疑で質疑をした委員以外の委員は自由質疑を行うことができましたが、今回から、会派等に配分された時間内での質疑方法になったことに伴い、これを認めないこと。
 会派間の質疑時間の調整は認めないこと。
 また、今期定例会から、予算特別委員会の総括質疑においては、委員長席前に質問者席を設け、ここで行うこととされておりますので、御了承をお願いいたします。
 なお、総括質疑は、あす午後2時までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いいたします。
 これより総括質疑に入ります。佐々木一榮委員。
   〔佐々木一榮委員質問者席に着く〕(拍手)

〇佐々木一榮委員 民主・県民会議の佐々木一榮であります。
 平成16年度予算審議に当たりまして、会派を代表いたしましてお伺いいたしますので、簡潔明瞭、そして積極的な御答弁をお願いいたします。
 このたびの予算特別委員会から議会改革の一環として知事に出席をいただき答弁をいただくということで、私自身5度目の総括質疑になりますが、とても新鮮さを感じております。詳細は部局審査にゆだねることにいたしまして、本県の県政の指針についてお尋ねいたします。
 それでは、順次質問させていただきますが、既に今定例会では代表質問、そして一般質問が行われており、なるべく重複しないように心がけましたが、重複の点はお許しいただきたいと思います。
 また、今、委員長のお話にありますとおり、会派の持ち時間が45分ありますことから、残時間につきましては同僚委員より質問をさせていただきます。
 それではまず、県内経済の現状認識と見通しについてお伺いいたします。
 まず、県内経済の現状認識と今後の見通しについてでありますが、昨年10月のドバイG7以降、世界経済の回復は顕著に力強さを増してリスクは軽減し、2004年の成長見通しはこの3年間で最も高い水準に上方修正され、世界経済の状況は決して悪くはなく、世界全体のGDP成長率は3.6%、アメリカは4.6%、中国は8.3%、そして我が国は、それに引っ張られる形で2.1%の成長を示すというようにも言われております。テロさえ起きなければ、日本経済が復活する可能性は高いとされております。
 しかしながら、この現象は、第一に、リストラなど大企業の徹底した合理化により利益を生む体質になったことと中国効果と言っても過言ではないと考えております。この3月決算で大企業の4割以上が歴史上最高の利益が予想されるとも言われております。しかしながら、地方に住む私たちには全くその実感がないのが事実ではないでしょうか。
 ここ何年か振り返ってみますと、県南の比較的県内では条件のよいと言われる私の住む地元でも、相次ぐ誘致企業の撤退、人員削減や企業倒産、そして、中心商店街の空き店舗、依然として高い失業率、新卒者の就職率低下と全く先行き不透明で、県民の不安は日々増加し、また、今回の県の行財政構造改革プログラムの発表、補助金カットは、その後押しをしているようにも感じるのは私だけではないと考えております。
 そこで増田知事は、県内の現在の現状をどう分析、認識され、今後の見通しをどうお持ちでしょうか。また、県内経済はいつごろから回復基調に向かうとお考えでしょうか。あわせて、自主財源確保対策と税収増加策についてはどのようにお考えでしょうかお尋ねいたします。

〇増田知事 まず、県内の経済の現状認識についてのお尋ねでございます。
 県内の鉱工業生産は平成13年3月から大幅に減少してきておりますが、平成14年7月以降は一進一退という繰り返しに変わりまして、さらに15年に入りましてからは電子部品や自動車など一部業種が好調であるということで、持ち直しの動きに入っているところです。今、そういう状況でございます。
 一方で、雇用についてでございますが、有効求人倍率は昨年の3月が底でございました。0.44という非常に低い数値でございましたけれども、ことし1月は上がりまして0.58ということで、これも緩やかに改善という形になっております。ただ、全国の数値が同じ1月時期に0.77でございますので、本県は依然として低い水準にあるということでございます。
 それから、大型小売店の方を見てみますと、19カ月連続して前年水準を下回るといったことで、個人消費が低迷をしている。それから、住宅建設も依然として水準が低いということでございますので、一部に持ち直しに向けた動きが見られるものの、県内経済は低迷状態が長引いて厳しい状況が続いている、このような見方をしているところでございます。
 今後の見通しですが、電子部品などの製造業の好調さが世界経済的な動き、それから国内でも見られ、それが県内にも波及してきていたわけでございますけれども、それが持続して、さらに非製造業部門、それから雇用・所得環境の改善を通じて家計部門まで及んでいくことを大いに期待しているわけでございますが、御承知のとおり、本県の場合には中央の動きに比較して常にタイムラグが生じておりますので、今申し上げましたように電子部品などの製造業の好調さが家計部門に波及することを期待しております。けれども、やはり中央に比べまして、それはおくれる、はっきりとした時期まで明示できませんけれども、そういうこともございますので、引き続き地域産業の振興や雇用創出に努めて、景気回復が実感できるような政策をとっていきたいと考えております。

〇時澤総務部長 自主財源の確保につきまして私の方から答弁させていただきます。
 この自主財源の確保につきましては、現在の危機的な財政状況を克服するためにも、また、持続可能な行財政構造に資するためにも重要であると考えておりまして、全力を挙げて取り組んでいく必要があると思っております。
 自主財源の大宗を占めます県税につきましては、地域経済の活性化対策の推進によりまして中長期的な税財源の確保を行ってまいりたいと考えておりまして、新年度予算におきましても、飛躍するたくましい産業の振興を重点分野の一つと位置づけておりまして、各種施策に取り組んでいくことといたしております。
 また、税負担につきましては、公平性確保の観点がございまして、滞納整理の推進によります収入未済額の縮減、各税目の課税捕捉調査の強化あるいは課税免除制度や特例税率制度の見直しにも取り組みまして県税収入の確保に努めることといたしております。
 また、その他の自主財源につきましても、主要3基金の取り崩しには求めないということで、県有未利用資産の処分あるいは資産株の売却、使用料・手数料の見直し、さらには、特定目的基金や定額運用基金、他会計資金の活用、こういったものにも一層の取り組みを行いまして自主財源の確保に努めてまいりたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 タイムラグのお話がありましたけれども、けさも国会の審議の中で中央と地方の経済格差が非常に議論されておりました。空き店舗もどんどんふえるばかりということで、本当に地方は冷え出した感じだと思っておりますので、地方振興局を通じまして、きめ細かな指導をお願いしたいと考えております。
 次に、知事のリーダーシップについて確認させていただきます。
 知事は、平成7年就任以来、ドリームランドいわて、そして夢県土いわてをキーワードに、岩手丸の船長として県民に対しリーダーシップをとってこられました。しかし、演述に述べられるように、海図なき航海を迷走する今こそ、今まで以上に知事及び県の強いリーダーシップが必要と私は考えます。このような厳しい時代こそ夢やロマンを持たなければ乗り越えられないのではないでしょうか。最近はまことに厳しい話ばかりが続いております。知事の描く夢、ロマンとはどういうものでしょうか。具体的にドリームランドいわて、夢県土いわての夢をお知らせいただきたいと思います。
 21世紀臨調を初めとする地方分権への国に対する要請や道州制など知事の積極的行動は評価いたしますが、足元の本県経済がこういう状況にあって、具体的にどう再生して、国で言う構造改革に匹敵する本県の構造改革をどう進めていくのか、県民にはっきりとその思いを御披瀝いただきたいと思います。

〇増田知事 まず、私のロマンがどういうものか、こういう話でございましたけれども、私のロマンとしては、何よりも、岩手の子供たち、次世代を担う子供たちが、日本、そして世界へと羽ばたくような、例えば第二、第三の新渡戸や賢治、啄木のような、そうしたたくましい子供たちに世界に羽ばたいていってもらいたい。そのためにも、やはり我々先立つ大人を見て子供たちは育っていく、こういうことでございます。我々自身がこの岩手県をよくしていくため、これからの時代はそういった多様な価値観をお互いに認め合うということが大変大事だと思います。したがいまして、一人一人が自立した個人として支え合って、多様な価値観を認め合いながら、この岩手で住みやすい県土づくりにお互い努力していくような、そのような県を我々がつくり上げていく。そして、そのような中から、冒頭に申し上げましたような世界に羽ばたくような次世代のたくましい人材が育っていってほしい。そういう世の中をぜひ実現していきたいという考えを持っております。
 そのために、本県の経済の再生というお話がございましたけれども、やはり精神的にも、そして経済的にも自立した県でなければならないと思います。特に、経済的な自立ということが何よりも大事でございます。そのためには、本県においては、第1次産業を21世紀のリーディング産業として強固なものにしていく。それから、先ほどの御質問にもございましたような、現状認識からいいますと2次産業でも一部好調なところもございますけれども、そうしたものが国内の景気動向に左右されない強固さを持っていくようにしていかなければならないと思っていまして、具体的には、やはり本県では、まず足腰の強い農林水産業、21世紀に通用するような農林水産業を育てていく。安全・安心な食料供給基地、それから、海外への供給も含めた展開を農林水産業で考えていくということ。それから2次では、自動車関連産業などを中心として北上川流域などで展開しておりますものづくり産業の集積を高め、それを県内全体に広げていくということ、それから、最近、新しく展開されてまいりましたバイオマスですとかコミュニティ・ビジネスなどの地域の資源に立脚した、小規模でも地に足のついた産業を育成していく。それから、何といっても豊かな自然と食がございますので、観光産業が大変大事でございます。こうした1次産業から3次産業の中で、特に岩手らしい産業をこれから育て、そして地域経済の再生を実現する、こういう施策をこれからさらに強力に展開していきたい、このように考えております。

〇佐々木一榮委員 ぜひ知事の夢、そしてロマンというものを、140万県民、1人でも多くの方々に理解をしていただいて、そしてみんなが同じベクトルの方向で進めるように御努力をいただきたいと思っております。
 きょうは予算委員会でありますので今後もいろいろ議論されるでありましょうが、県議会では、今、議会改革を進めております。そこで、知事の議会に対する認識について、この後の質問の関係もありますので、お尋ねしたいと思います。
 報道各紙・各局は、平成16年度予算、また、構造改革プログラム、三位一体改革が及ぼす本県への影響についてさまざまな角度から検証しています。その中で某地元紙は、シリーズの中で、財政悪化の責任について県民世論調査を行ったとのことであります。その結果、財政悪化の責任は、国会議員、県議会議員、市町村議会議員がトップで21.8%、次いで0.4%差の21.4%で首相、知事、市町村長などの首長、次いで18.2%の時々の政権、首長、議員を選んだ有権者となっております。この結果を、戦後の経済成長を引きずる利益誘導型の政治を容認し、選択してきた有権者、これらが財政危機を生じさせた要因だと多くの県民は考えていると結んでいます。議会は、これまで各年度の予算、決算を審議し、附帯意見を付しながらも議決してきた経過があり、我々も率直に反省しなければという思いも痛切に感じているところであります。
 そこでお尋ねいたしますが、知事は、この県民世論調査結果をどう認識され、議会の責務についてどういうお考えをお持ちでしょうか。
 また私は、今後ますます議会の責務は重要になってくると考えております。知事は、議会に対し率直に何を期待し、執行部と議会の現在の関係を改革するとすれば何が一番の問題とお考えでしょうかお尋ねします。

〇増田知事 まず、世論調査の結果でございますが、議会議員と知事とほぼ同じ数字で、これは車の両輪とよく言われるわけでございますけれども、県民の皆さん方が、その車の両輪たる議員と知事に対して同じような見方をして、同じような責務をそれぞれ負っているがゆえに同じような数字が出てきている、こういうふうに見ております。
 まず、このことに対して、私自身に課せられた責務の重要さに思いをいたしたわけでございますし、それから、私も議会側も住民の付託にしっかりとこたえていかなければならない同じような共同の責務を負っているもの、このように改めて認識したわけでございます。
 議会の改革でございますけれども、これは、議会改革検討委員会の方で今さまざまな改革を進めておられる。自主的かつ創造的な取り組みをしておられるということでございますので、これが今後ますます進んでいくものと思っておりますが、そうした中で、議会側もそれだけの改革を進めるわけでございますので、執行部の方も、あわせてしっかりと県民にこたえるという意識で改革を進めていかなければならない。その中で、私も、やはり議会との間で一定の距離、この距離感が大事だと思っておりまして、緊張感あふれる審議を通じて、しかも政策論議を通じて私どもも一層切磋琢磨していきたい、こういうふうに思っております。県政をしっかりと運営していくことが我々への県民の期待にこたえる道だ、このように考えているところでございます。

〇佐々木一榮委員 議会との距離を置くということでありますので、これは是々非々ということでいいと思いますが、私ども議員に入ってくる情報というのはある程度限られております。私たちも議論するに当たっては、県執行部当局に対してさまざまな情報提供のお願いを事務局を通じて行うことになると思いますので、ここで積極的に御協力をお願い申し上げたいと考えております。
 次に、県民福祉の向上についてお尋ねいたします。
 若干私の思いも入っておりますので長くなるかもしれませんが、御了承いただきたいと思います。
 私たち県議会議員は、それぞれの出身地域、選挙区を地盤とし、県民、地域住民の福祉向上のため、市町村の要望や住民の要望の実現のため、県当局とさまざまな議論をしたり、時には国会議員に対し要望も行ってきたりしています。しかしながら、決してむだとか浪費とか言われるような事業を要望したり議論したりということはなかったと認識しております。私自身、このたび21世紀枠に選ばれました高校を卒業しましてから、大学、社会人と10年間東京で生活いたしましたが、当時、恐らく今では死語となったでしょうが、岩手県は日本のチベットと呼ばれていたのではないでしょうか。友人に、今度岩手県に遊びに来てはと誘いますと、岩手県ってどこだと。そして、海外旅行に行くような決断が必要だとも言われてまいりました。今では東京の日帰りは当たり前のようになっていますが、大学時代、やっと新幹線が大宮暫定開業、東北自動車道の盛岡までの開通も同じ時期だったように思います。当時、本県には民放テレビ放送も2社しかありませんでした。本県は、まさしく高速交通網、情報化や上下水道の普及などの生活基盤等、中央との格差は歴然としていたと認識しております。
 私たちの先輩方も、中央と地方の格差是正に努力されてきたものと私は思っております。県内においても、都市部と沿岸、県北の格差是正のため、県土の均衡ある発展が叫ばれてきました。財政悪化の最大の原因は国の経済対策に呼応した公共投資であるとしておりますが、四国4県に匹敵すると言われる県土に140万県民という全国一――北海道は除きますが――低い人口密度で、なおかつ生活基盤整備は今でも全国におくれをとっている状況であります。
 反面、これといった税収を安定的に確保できるような主産業も上場企業も決して多くはなく、地方交付税や補助金などに頼る体質は、私は今に始まったことではないと考えております。
 確かに身の丈に合わない公共事業を行ってきたことは事実であると考えます。これからは、本当に県民福祉向上につながる投資が望まれます。こういった今まで日本という国の中でチベットと言われた岩手県の置かれていた環境をもう一度再認識し、新しい本当の意味での21世紀の岩手を創造することが私は肝要と考えます。今までの投資をむだにすることなく、いかに最大限の付加価値を生ませるかにもかかっています。
 そこでお尋ねいたしますが、現在の県民の生活水準を知事はどう認識されているでしょうか。そして、県民の生活水準、福祉向上に何が一番重要と考えていらっしゃるでしょうか。
 また、前向きの議論も必要と考えますのでお尋ねいたしますが、知事就任以来投資してきた県民資産を、いかに生きた資産として今後展開させるお考えでしょうか。私は、不良資産は積極的に逆の意味で処分すべきと思いますが、いかがでしょうかお尋ねいたします。

〇増田知事 県民の生活水準でございますけれども、私は、東北自動車道、東北新幹線の整備など、大変な御苦労をされた中で、先輩方の整備に向けた熱意と、そしてたゆまぬ努力がございまして、そうしたことを背景に、やはり県民の生活水準は当時に比べて相当程度上がってきていると思っております。
 住宅における水洗化率など、我々の生活基盤と言えるような部分でいまだに整備率が低いものもございますけれども、こうしたところをこれからやはりしっかりと整備していかなければならないと思っております。その際には、これからは一律の全国比較の尺度よりも、どのような方向を目指せば本当に真の豊かさにつながるのかという視点からこうした整備を考えていかなければならない。多様な視点を入れて、そして岩手の真の豊かさにつながるようにしていかなければならない、こういうふうに思っております。
 これからは、岩手ならではの利点というものが我々の地域に多数ございますので、地域に住む我々が岩手で生まれ育つということに対して誇りを持つ、地域にプライドを持つことができるような、そういう岩手づくりに向けて、今、申し上げましたような真の豊かさが何かという多様な視点での検討を踏まえた上で整備を進めていくべき、このように考えております。
 それから、多くのそうした先人の皆さん方の努力の中で、県立大学や美術館やすばらしい優良な社会資本が生み出されてまいりましたけれども、こうしたものをできるだけ長く良好な状態で活用していかなければならない、これは委員の今のお話のとおりでございまして、真に生きた資産としていくためには、やはり利用者の立場に立った管理運営上の最大限の工夫が必要だろうと思います。ちなみに、昨年5月にオープンしたいわて子どもの森というものがございます。このことについていろいろ御議論ございましたけれども、民間から有力な、それまでNPO活動をやっていた方を館長に迎えて、今、大変多くの子供たちでにぎわっております。また、地元関係者の協力やスタッフの子供の目線に立った運営姿勢がその中に随所に生かされているわけでございまして、やはりこうした外部からの英知を広く集めるということがその場合にも大変重要なことであると思っております。
 こうした県民の目線、それから利用者の立場ということをこれから常に意識して、こうした優良な社会資本をできるだけ長く良好な状況で活用していきたいと思っておりますが、委員御指摘のように、その中で今後の活用方策が見出せないと判断される資産も出てくる場合も当然考えられるわけでございまして、その場合には、処分も含めて早急にその後のことについて検討していかなければならない、このように考えております。

〇佐々木一榮委員 けさの日経の朝刊にも、全国の、例えば病院の満足度調査ランキングが出ておりました。そういった中で、やはり県民のそういう意見を積極的に資産に対して取り入れまして、部局横断型に積極的に取り組んでいただきたいということをお願いいたします。
 次に、三位一体改革と県行政改革プログラム、市町村財政についてお尋ねいたします。
 平成16年度の全国47都道府県の当初予算案を見ますと、国・地方財政の三位一体改革に伴う地方交付税などの削減が直撃して財源不足が各自治体で深刻化し、40の都道府県で前年度を下回る緊縮型であります。27県は政府の地方財政計画の規模のマイナス1.8%を下回り、財源不足額は47都道府県で2兆4、581億円となっております。本県の259億円も過去最大であります。知事も本会議等で政府の三位一体改革についての憤りを披露していますが、恐らく増田知事ばかりでなく、全国の多くの知事が同じように、地方交付税の不意打ちの削減に見られるように、三位一体改革は改革ではなく改悪だという認識を持っていると私は思っております。
 本来、三位一体改革の趣旨は、それぞれの地方が持ち味を生かして自立したまちをつくっていけば、日本全体も元気になるというように私は信じておりました。知事は、三位一体改革の本来をどうお考えでしょうか。
 しかし、最近の議論は、補助金1兆円削減というノルマの達成だけが国と地方、そして省庁間の金の取り合いに終わっているように私は思います。全く国と地方の関係をどうするかという基本議論がありません。これでは全国知事会の怒りも当然と考えます。私は、全国都道府県議長会での活発な議論を期待しておりますが、全国知事会の三位一体改革に対する姿勢をどう認識され、知事は、全国知事会も含め、政府に強力にリーダーシップをとっていただきたいと期待いたしますが、決意を再度お尋ねしたいと思います。
 また、知事会として、全国市長会、町村会にも積極的に運動展開を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

〇増田知事 全国知事会の方でございますけれども、昨年の夏以来、闘う知事会ということで、以前に比べますと大分強力に活動を展開してきているように私も思っておりますけれども、今、三位一体改革の一番大事な時点に差しかかっておりますので、今後、より強力に活動を展開する必要があると思いますし、また私も、全国知事会のみならず、ほかの場面も通じて、本当の意味での三位一体改革が行われるように、提言なども取りまとめながら、先頭に立って政府や関係機関に強く働きかけていきたいと思います。
 それから、この活動、運動のためには、全国知事会のみならず、今、委員からお話ございましたとおり、全国市長会、町村会あるいは議長会の方の関係の一致協力した行動が大事でございます。ちなみに、5月に地方6団体が集まって、この三位一体改革について全国規模の大変大きな大会を開く予定で今動いているというふうにも聞いておりますし、今後、なおさら県、市、町村それぞれのレベルで一枚岩となって運動を巻き起こす必要がある。そして、その中で真の意味での三位一体改革の実現に努力していくべき、このように考えております。

〇佐々木一榮委員 適切な運動を、また、リーダーシップを期待するところであります。
 やはり現在の国の支配と地方の依存を抜本的に改革して、国からの画一的規制を撤廃して、教育でも福祉でも道路建設などでも知事の言うローカルスタンダードを可能とさせる権限の移譲が急務と考えます。国のコントロールを解消し、地方の自主性尊重のため、国に関しては、法律や政令の制定過程における自治体の関与、自治体においては、条例や事務処理に対する省令のコントロール解消、そして、市町村事務処理に対する都道府県条例のコントロール解消など、地方自治法の改正が絶対不可欠と考えますが、いかがでしょうか。
 本県からでも早速行動を起こせることは、県から一方的に市町村におろすのではなく、協議し、積極的に進めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 知事が懇意にされています梶原全国知事会会長は、国の所掌事項を列挙することを提案するとしていますが、増田知事も同じお考えでしょうか。

〇増田知事 今、地方自治法の改正等でお話がございましたけれども、知事会の中で国の過剰関与等撤廃研究会というものを立ち上げまして、私もメンバーでございますが、今、お話ございましたような国の関与、特に不必要な過剰な関与について調べ上げて、そして、その撤廃に向けて運動を進めていきたいと考えております。
 スケジュールも、ことしの9月ごろまでには具体的な提言をまとめたいと考えておりますので、その中で、やはり今例示でお話になっていたようなことをできるだけ排除するように運動を進めていきたいと思いますし、それから、本県においても、そうした中で、県と市町村の関係も非常に大事なことでございますので、市町村側の意向を確認するルールを確立して、そして、丁寧に、丁寧に市町村への権限移譲を進めるという従来のやり方をこれからも進めていきたいと思っております。
 それから、梶原全国知事会会長の私案の御紹介がございましたけれども、これは、梶原会長御自身の以前からの持論でございまして、国のやる仕事を限定列挙する、こういう考えを表明されておられます。私もそういった形で、これは例の補完制の原理ということで、市町村、続いて県、そして最後に国でしかどうしてもできないものだけに国の事務を限定しようという考え方に成り立つもので、これが真の地方自治の確立に通じるものであるということで、私も同感であり、評価をしております。ぜひこうした考え方がさらに関係者の間に行き渡るように努力していきたいと思います。

〇佐々木一榮委員 非常に厳しい中で、先行き不安な部分が非常に強くあります。ぜひこういう知事会の動きに期待するところであります。
 次に、行財政構造改革プログラムについてお伺いいたします。
 これまでもさまざまな議論、そして市町村からの悲痛な叫びと、現在、県財政の置かれている環境は、交付税、補助金の先行き全く不透明な状況で、来年の見通しもつかないような厳しい状況に置かれておりますが、鬼になっても、県財政の再建を最大の課題に取り組んでいかなければいけないことは、多くの県民が危機感を持っていることと思います。
 プライマリーバランスの均衡の平成18年達成に向け、大変な痛みが今まで以上に予想されます。平成16年度予算を自立と構造改革元年予算と位置づけています。まず、従来に比べて県民の痛みを伴うこともあるとはっきり述べられておりますが、知事の言う痛みは、いつまで我慢すればよいと県民に説明なさるのでしょうか。ことしだけなのか、5年先までか、10年先なのか、県民不安解消のためにも、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 あわせて、次の3点もお伺いいたします。
 知事の描く自立とはどういうことなのか、再度お伺いしたいと思います。我が県の置かれている状況の中で、自立ということは具体的にはどういうことなのかということが見えてこないように思いますので、再度お尋ねしたいと思います。
 また、これは先ほども申し上げましたが、構造改革という言葉が使われておりますが、何を具体的にどう変えようとするのか。1次産業を元気にする、リーディング産業にするのはいいわけでありますが、1次産業、2次産業、3次産業、それぞれの分野をどう具体的に進めていこうとしているのか、どういう数値を挙げて、どういう成長率を見込んでやろうとしているのか、お考えを伺いたいと思います。
 そして、自立と構造改革は、県民に最終的にどのような生活をもたらすとお考えなのか、お尋ねいたします。

〇増田知事 今、行財政構造改革プログラムについて何点かお尋ねございましたが、このプログラムの目指しておりますものは、まず、平成18年度までにプライマリーバランスの均衡を達成する。要は、県債の発行額よりも県債の償還額の方を多くしていく、その分岐点がちょうどプライマリーバランスの均衡の時点でございますけれども、これを平成18年度までに達成する。そして、それを達成すれば、それ以降は公債費も県債の発行残高も減少してまいりますので、その分をさまざまな行政投資に活用できます。したがいまして、平成18年度まではさまざまな御不便をおかけいたしますけれども、そこでプライマリーバランスの均衡を達成して、その後は皆さん方のさまざまなニーズに対応した行政運営が可能となるように、そういう持続可能な財政基盤を確立して、そして、質の高い行政サービスを提供できる行政経営体に転換させていく、こういうことを考えているわけでございます。
 その際に、構造改革ということでございますが、一番大事なポイントは、官と民の役割分担をしっかりと見直ししていくことでございまして、そういった見直しを行った上で、本当に官が、行政がやらなければいけない分野を十分に見きわめた上で、さまざまな政策、投資を行っていきたいと考えているわけでございます。
 自立というお話がございましたけれども、自立には、経済的に自立するということと、それから精神的に中央依存の体質から脱却するという意味合いがあると思いますが、経済的にも今の財政構造がおおよそ3割自治と言われているような脆弱な構造であるがゆえに、国の地方交付税などの削減に大きく影響されているということがございますので、やはり中央志向、それから中央依存のさまざまな体質を変えていかなければならない、そして、先ほど申し上げましたような、1次産業、農林水産業など岩手発の新しいスタイルでの産業をしっかりと育成していくことが、そのことにとって必須でございますので、これから財政が再建された上で、そうした分野への投資をさらに強めて、そして、多様で厚みのある産業構造を構築していくことが自立につながるものと思っております。
 あわせて、自立にはみずから立つという意味と同時に、みずからを律するという意味合いも必要だと思っておりまして、その後にみずからの身の丈を超えたような量的な財政の拡大一辺倒になるということは、また同じような状況に立ち戻ってしまうことになりますので、中央依存から脱却した上で、身の丈を超えないように、みずからを律しながらその後の財政運営をしていく、そういう考え方が大変重要だと思っております。
 具体的な政策の重点の置き方は40の政策の中に示してございますけれども、その中で、地域力をできるだけ活用するという、地域の資源となるようなものをできるだけ活用するような考え方が示されておりますので、今後、構造改革を進めていく上で、そうした地域力を最大限生かされるような視点を持ちながら、政策、財政運営を進めていきたいと考えております。

〇佐々木一榮委員 平成17年でしょうか、総合計画の見直しについて本会議で御答弁があったわけでありますが、市町村も、首長さん方がそれぞれ市町村の発展計画というのをお持ちであります。県が構造改革を進めるということは、市町村も構造改革を進めるということでありますから、ぜひその整合性を図っていかれるようにお願いしたいと考えております。
 次に、県内の市町村財政の見通しについてお尋ねいたします。
 知事は、県内市町村の自立について、住民本位の行政を確立し、真の地方分権を実現するため、住民に最も身近な基礎自治体である市町村の自立が必要不可欠であり、今後、市町村はみずからの判断と責任において、行財政基盤の強化や創意工夫を凝らした魅力的な地域づくりが求められているというようにおっしゃっております。まさしく私も、発想はすばらしいと思っておりますけれども、本当に県内の市町村が独力だけで知事のおっしゃるような自立が可能なのでしょうか。
 特にもこのような厳しい財政下、県の積極的市町村へのいい意味での関与が私は必要と思いますが、いかがでしょうか。決して市町村を見放すような誤解があってはいけないと思いますので、あえてお伺いいたします。
 また、さきの民放の市町村アンケートによりますと、34の市町村が赤字転落の可能性を示唆しており、5年以内に転落見通しを28の市町村が持っているというショッキングな報道でありました。そして、転落可能性市町村の約8割が、合併による回避を検討しているということですから、嫌でも合併を選択せざるを得ないという大きな課題を抱えているところがうかがえます。
 このような県内市町村の厳しい財政に、県自身も大変なわけではありますが、どういう指導、関与を行っていくのでしょうか、お尋ねいたします。

〇増田知事 まず、市町村へのかかわり方でございますけれども、今、市町村も確かに厳しい財政環境下にあって、いわゆる市町村版の行財政構造改革を懸命に進めていると理解しております。
 その中で、さらに市町村が自立を高めるためには、当然、広域行政を推進していくという視点も必要だと思いますし、それから、市町村合併なども、そういった市町村の判断で進めていかなければならないと思います。
 また、それぞれ市町村の中で税財源基盤を充実させていくといったようなことも重要であろうと思います。
 県でも、市町村が本当に自由度高く、そうしたさまざまな行政が展開されるように、これからも財源や、場合によっては人などもつけて権限移譲を市町村に行って、そして、市町村が本当に裁量性の高い行政が展開できるようにしていきたいと思いますし、それから、市町村総合補助金の拡充、今回も少し拡充いたしましたが、そういったことのための必要な支援を行って、そして、やはり県と市町村が対等協力関係に立って、そういう立場で市町村の自立を支援していきたい。
 今、委員の方からお話がございましたけれども、市町村は、やはり県の支援ということが大変重要な場面が多うございますので、これは、我々も干渉にならないように十分気をつけながら、温かい支援ということをこれからも意識して市町村をサポートしていきたいと考えております。

〇大沼地域振興部長 市町村への支援についてということでありますが、市町村におきましては、それぞれ抱えている財政運営上の課題はさまざまでありますけれども、個々の課題・状況に応じて助言を行うことによりまして、財政健全化への取り組みを支援してきたところであります。
 今後とも、市町村財政をめぐる極めて厳しい状況のもとではありますが、三位一体の改革の動向など、国の動きを注視しながら、情報収集や周知に努めていくこととしております。
 さらに、市町村におきましては、将来の財政見通しの策定と公表をみずから行うこと、また、市町村合併も含めまして、住民の皆さんと今後の地域のあり方をともに考えることを通じて、透明性の高い健全な財政運営を確保することが重要と考えておりまして、引き続き、適時適切な助言を行っていきたいと思っております。
 また、市町村が将来の財政見通しを策定する際の参考となりますよう、平成14年度でありますが、合併シミュレーションのソフトを作成して、全市町村に配布し活用してもらっております。その後、地財対策が大きく変化したことなどがございますので、新たなバージョンとして本年度内に作成いたしまして、改めて提供することで考えているところでございます。

〇佐々木一榮委員 この市町村合併につきましては、県の広域化計画がスタートしてからずっと議論が進んできまして、もう時期が迫っているのにかかわらず、岩手県は非常に遅いというわけでありますが、知事が北東北3県連携ということでやっています秋田県は、御存じのように、合併しない7町村に自立計画の提出をことしの3月までに求めるということであります。道路や学校などの建設費の見通しや上下水道の料金、住民負担の変化、ごみ収集や除雪などの行政サービスの水準について具体的な数値を出すように、合併しない市町村に対しては計画を出すよう求めております。
 これは、条件として、今後地方交付税、また補助金も厳しくなるということが前提だということでありますが、県は、提出される計画を審査して、達成が不可能と見られる場合は、計画の再検討や合併も選択肢に入れて再度協議するよう要請するということです。これは法令で決められておりませんが、これがいいか悪いかの議論は別にしまして、秋田県はこういう積極的なかかわりをされております。
 これに対して、知事と非常に懇意にされています寺田知事でありますが、合併しない市町村の財政状況を把握するのは県の役目だというように言及されております。先ほど私が、民放の調査結果といいますかアンケートの報道のお話をしたのは、この部分でありますが、秋田県の寺田知事は県の役目だとおっしゃっていますが、知事はどうお考えでしょうか。
 これに対して、この記事をあれした中央大学の先生でありますが、やっぱり将来展望を描かずに合併したくないという自治体への県の合併促進策の一つではないか。自治体の財政の透明性を高める面では評価できるというようにも評論しております。
 知事は、この秋田県の寺田知事の動きについて、相談なり、何か意見交換等あったのか、また、この寺田知事のこういう県の役目ということについてどうお考えでしょうか。

〇増田知事 特に秋田の知事さんとただいまの件について、あるいは市町村合併について意見交換をそのことについてしたという事実はございません。秋田の寺田知事さん独自の御判断で恐らくやられていることであろうと思います。
 先ほど答弁申し上げましたとおり、市町村行政にどういうふうに県がかかわるのか、過大な干渉になっては大変いけないわけでありまして、そこはしっかりと一線を画しておかなければいけないと私は思っております。
 市町村財政を自立あるものにしていくということは、これは県としても重要な関心を持って見ていかなければなりませんし、それから、アドバイスなども当然、市町村等に行ったり十二分な意見交換ということもやはり必要だろうと思います。それぞれの市町村の意識、それから県の意識、それぞれの県でさまざま過去から醸成されてきたものが積み重なった上でのことだと思うので、そこの部分だけで秋田県と岩手県との比較はなかなかしづらいところもございます。
 私どもも、市町村との意見交換なりを十二分に行って、そして市町村の皆さん方が責任を持って、住民の皆さんに財政状況を提示するなり何なりということが望ましい姿でございますので、今の秋田県のことも十二分に頭に入れる一方で、やはり、さまざまな施策を講じて市町村を温かく支援していく、そして、自立に向けて導いていくということを行っていきたいと思っています。

〇佐々木一榮委員 青森、秋田、そして岩手の3県合体を目指して、それぞれの知事さんがほかの県に行ってさまざまな講師も努められておりますが、これだけお隣の秋田県と市町村合併で温度差があって、果たして合体できるのかなという思いが非常にしております。道州制議論で、東北6県の道州制も今後議論されるようでありますので、やはりこういう現状認識というもので足元を一緒にしていかないとなかなか難しいのかなという思いがしております。ぜひ、私は、一線を越えることはなくても、やはり積極的な関与をしていきませんと、この合併特例法が終わった後に、最後に一番痛みを感じるのは住民の方々ということを忘れないで進めるべきだと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、今議会、継続審査となっておりますが、大きな問題でありますので、森のトレーの補助金問題についてお伺いいたします。
 これは現在におきましても、総務、農林両常任委員会による連合審査会で継続審議中であります。実は、審議調査の限界を感じていますことと、県政の大変重要課題と認識しておりますので、以下お尋ねいたします。
 知事も継続審査となっている国庫補助金3分の1の返還については、マスコミに対しまして、2月定例県議会でしっかり説明し納得を得たいと返還に向けた具体的対応を急ぐとの考えを示されておりますので、お伺いいたします。
 この事業は平成10年6月にいわて森のトレー生産協同組合の前身である岩手林材が久慈地方振興局に持ち込んだのが発端でありますが、知事はどの段階でこの事業を知り、林野庁との協議を進めるよう指示されたのでしょうか。
 また、林野庁との補助決定までの中間、進行状況については、どのような形で、どなたに報告を受けてきたのでしょうか。まず1点目、伺います。

〇増田知事 この森のトレーの事案は、林業構造改善促進対策として行われたものでございまして、当時の岩手県知事部局代決専決規程によりまして、事業は林業水産部長の専決事項となっております。部長の専決で事業実施してきたということでございまして、私がこの事業について説明を受けておりますのは、調べますと、平成11年1月27日に翌年度の当初予算の知事査定が行われております。平成11年度の当初予算の知事査定、これは、選挙がございましたので骨格ではございますけれども、その当初予算の知事査定のときに説明の資料が入っております。したがいまして、私が説明を受けたのは平成11年1月27日に行われた当初予算の知事査定のときだと思っております。

〇佐々木一榮委員 次に、今、平成11年1月27日に初めてお知りになったということでありますが、平成11年6月25日の庄内鉄工方式からトリニティ方式に計画変更届が林野庁に出されておりますが、これは知事は御存じだったでしょうか。
 私は、この計画変更は実施内容の一部を変更するという軽微な変更ではなく、実施方式の完全な入れかえであることから、すんなりと林野庁が受け付けたのには驚きを隠せません。もしほかの部局の補助事業であれば最初からつくり直しになると考えますが、知事の認識はいかがでしょうか。安易に認めた林野庁の国の責任をどうお考えでしょうか、お尋ねいたします。

〇増田知事 庄内鉄工方式からトリニティ方式への変更についてでございますけれども、当時、担当部から報告を受けたことはございません。林業水産部長の専決のもとに進められていると認識しております。
 それから、事業計画をその際に変更しているということでございますけれども、これは、確かにトレーを生産するという補助目的を変えるものではございませんでしたが、トレー製造ラインの中枢となる成型部分でございますので、私は、やはりこの部分の変更というのは重要な変更であったと考えております。したがいまして、この事業計画の変更ということも、多額の事業費を伴う全体の事業の中で重要な変更でございますので、もっと慎重な対応をすべきでなかったかと考えているものでございます。
 この事業計画の変更も、これは組合からの強い要望を受けて県が行ったということでございますが、当然、あらかじめ林野庁とも十分協議しながら進めてきたものでございますので、林野庁にもこうしたことについて責任があると考えているものでございます。

〇佐々木一榮委員 知事は、事業採択の経緯に関連して、岩手県がやりたいと手を上げたのは事実だが、ベンチャー的事業であり、小さな規模で始め、成果が出たら少しずつ広げていけばいいと考えていたところ、林野庁側は、最初からもっと大きくやれというような指導をしていた経過があるというように新聞社の取材に対して述べていますが、今まで議会の審査では、農林水産部からは全く反対の、大きな事業をここまで縮小してきたとの答弁がありました。知事のおっしゃる林野庁の指導の経過について、もう少し詳しく御説明いただきたいと思います。

〇竹内副知事 指導の経緯についてでございますが、この事業の導入に当たって、県は組合に対して、小さく始めて、後から規模を大きくするようなやり方もあるということで、事業申請に当たって規模を縮小するように指導した経緯がございます。
 林野庁からも、最初のヒアリングでは事業費の縮小を指導された経緯はありますが、平成10年10月27日付で、景気対策臨時緊急特別枠に係るさらなる需要掘り起こしを各県に依頼する通知を発した後は、林野庁の事業費の縮小に関する指導は一切なくなったということでございます。結果的には、景気対策に係る事業の掘り起こしを行う中で、大きな事業費でのスタートになったものでございます。

〇佐々木一榮委員 そうしますと、やっぱり国の都合で、岩手県はそれに対応せざるを得なかったということを確認させていただきました。
 次に、先ほど申し上げました連合審査会においでいただいた参考人の質疑でも、公文書の日付のさかのぼりや参考人同士の答弁の食い違いなど、この問題についてはっきりしません。参考人の中には、自分の責任逃れで部下の責任のように答弁した方もいらっしゃいます。
 解明できないため整合性が図れないと考えまして、参考として担当部に内部調査結果資料の提出をお願いいたしましたが、総務部の職員処分に影響があること、プライバシーの観点から提出いただけないとのことでありました。さきの食糧費の相手先公開の判決もあり、議会に対しては公開してもよいのではないかと思いますが、知事はいかがお考えでしょうか。

〇増田知事 議員のお話の内部調査結果資料でございますけれども、これは、農林水産部の方で事故報告書という形でまとめております。この事故報告書の内容が職員の個人情報に係る部分が含まれております。それから、今後予想される懲戒処分等の判断に直接影響を及ぼす部分が含まれております。しかし、大変重要な報告書でございますので、今申し上げました部分については除外をして、それ以外のもの、これは、関係職員のてんまつ書ですとか、現在までの経緯ですとか、問題と考えられる事項、リスト、それから再発防止のためにとった措置等含まれておりますので、そうしたものについては速やかに議会に提出いたしたいと考えています。

〇佐々木一榮委員 提出いただけるということでございますので、次回の連合審査会での提出と御説明をお願い申し上げたいと考えております。
 私は、参考人招致で森のトレー組合の岡野専務が涙を流して訴えたのが今でも目に焼きついております。これは、一生懸命現場で協力してくれた地方振興局の若手の職員の方々が、岩手の自然、大地を将来にわたっても守るため仕事を一生懸命にされたという思いが彼らの涙に見えました。
 私は今回の調査結果、先ほど言いましたように内部調査でありますが、さまざまな観点から調査をされたと思いますが、これからの岩手を担う若い行政マンが、その仕事にたまたま偶然携わったために処分を受けるというようなことがあってはいけないと考えておりますので、再度きちんとした調査を検討していただくようにお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、これは最後にお尋ねしたいと思いますが、今回の事案の責任の所在及びこのようになったことの原因は、確かに機械のふぐあいという部分、これは今訴訟になっておりますが、これは何度もお聞きしております。これは、事実上の手続上、また事業決定上の問題について、知事はどのようにお考えでしょうか。確かに機械が悪いというのはわかりますが、今、副知事からも御答弁がございましたけれども、今回のこの事案の問題というのは何が一番重要とお考えでしょうか。また、責任の所在というものについてはどのように認識されておられるでしょうか。

〇増田知事 まず、この手続上、それから事業決定上の問題点でございますけれども、これは、次に申し上げます明確な責任まで至るかどうかは別にいたしましても、やはり、まず今申し上げました問題点について言えば、そもそもこの事業は景気対策に係る補正予算だったということ、それで、林野庁も、枠をいっぱいとってあるからできるだけ使えというような背景の中で行われてきた事業でもございました。したがって、平成10年の秋から始まった事業ですが、全体を見ておりまして、やはりどうも十分な準備がなされないまま走っていってしまったということがあるだろう。そして、そういった時間が窮屈な中で進めていきましたので、途中、途中で書類のさかのぼり処理などもその中に入っております。手続上においても適正さを欠いたということで、やはり要所要所で立ちどまって、しっかりと考えて進む必要があったと、これは今回の事業の手続上の大きな問題点だったと思います。
 責任の所在でございますけれども、やはり、これは最大の要因は機械のふぐあいということにあるわけでございまして、組合と機械納入業者とのやりとりがどうであったかということになるわけですが、ここは訴訟を提起しましたので、訴訟の中で明らかになると思っております。
 私ども県、それから久慈市も、会計検査院から指導監督が十分でなかったというような指摘もはっきりとされておりますので、私ども県、市も指導監督の責任があったと考えております。
 それから、先ほど御質問でお答え申し上げましたとおり、事業計画を策定する際や、また方式を変更する、そういった事業計画の重要な部分の変更に当たって、国にも事前に協議をしながら進めてきたものでございますので、私どもは、これは国にも責任があるという立場で考えているものでございます。

〇佐々木一榮委員 しつこいようでありますが、重要な案件でありますので、再度、2点お伺いしたいと思います。
 農林水産省の、これは国会の予算委員会でありますが、ここで、平成10年度から16年2月まで、農林水産省及び林野庁に訪問した県職員のリスト、またその打ち合わせ内容について、長官に対して黄川田衆議院議員が質問いたしました。そうしましたところ、林野庁に資料がなく、岩手県に問い合わせて報告するとの答弁でありましたが、今、部長の専決事項ということがありましたが、当時、国から部長も出向されておったわけでありますけれども、県では、出張許可なり復命書ということでこれは明らかになるものなのでしょうか。
 ちなみに、連合審査会でこれをお聞きしましたけれども、上司の出張については知り得ないというような参考人の答弁でありましたので、これをちょっと確認させていただきます。

〇竹内副知事 森のトレー事業に関して林野庁に訪問した県職員とその打ち合わせ内容につきましては、出張命令なり復命書でおおむね把握できるものと考えております。

〇佐々木一榮委員 それでは、その件につきましても後ほど御説明をいただけるということでよろしいでしょうか。

〇竹内副知事 はい。

〇佐々木一榮委員 それでは、この件の最後にいたします。
 今申し上げましたとおり、この問題はさまざま、新聞もそれぞれの角度から分析していますし、私ども、昨年の12月24日、25日、そして1月に入りまして15、16日と連合審査会を開いております。来週も2日間、またこれも開かれる予定と聞いておりますけれども、今議会で継続審査で3分の1の返還金を最終日に議決するという状況下の中で、そういう状況下でお尋ねしますので、お答えいただければと思いますが、今回の県費分を合わせて15億3、000万円が水の泡となったわけであります。これを議会が、とりあえず3分の1の議決を求められているわけでありますが、現在のような状況下でどう議決したらいいかというのが、ほとんどの議員がそう思っているのではないかと思っております。議会も県民に対して、選ばれた議員でありますから説明責任が当然あります。県議会の議員は県民にどのように説明して、これを議決したらいいと思うのか、知事からぜひ御教示をいただきたいと思います。

〇吉田昭彦委員長 御静粛にお願いします。

〇増田知事 県では、今回議会の方に議案をお願いしているわけでございますが、これは12億8、000万円ほどの国庫補助金を国からもらって、そして事業を実施したというわけですが、残念ながら事業効果が全く発揮されなかったというわけであります。したがって、国の立場からは、そうした交付した補助金12億8、000万円を全額返還せいということで我々求められております。また、現に期限が到来して、延滞金が今、毎日発生している、こういう状況でございますので、補助金の全額ではなくて、3分の1の額を組合からの回収を待たずして先行して支払うということは、私ども県の立場から言えば、大変難しい、ぎりぎりの選択ではございますけれども、その中で、ぎりぎりの選択としてそういう道を選んだものでございます。
 当然、先ほど御質問いただきましたように、県の責任ということもあるわけでございますので、そうした責任も、こうした事態に至ったその職員の責任も明らかにしなければならないと思いますし、それから、二度とこうしたことが発生しないような徹底した改善策もはっきりとした形でとるということでございますので、こういう県の今置かれております立場を県議会の議員の皆様方、そして県民の皆様方にもぜひ御理解をいただきたい、このように申し上げたいと思います。

〇佐々木一榮委員 答弁しにくい質問をしてまことに申しわけありませんでした。
 私の質問の最後になります。先月上旬の「西澤県立大学学長来春退任へ 首都大学東京学長へ」の記事は、これも本当にショッキングなものでありました。教育立県を目指した工藤知事から増田知事が引き継いだ県立大学であります。構想段階から建学の精神を今まで本当の中心人物として御活躍されてきた西澤学長が、県立大学の法人化を控え岩手を去られることは、今後の県立大学にとって大きな後ろ盾を失ったようにも私は感じております。
 世界の西澤先生ですから、新天地の首都大学での活躍を期待するところではありますが、今後の学長人事も含め、知事は、県立大学の運営をどのようにお考えでしょうか。学内には教授陣や学生にも動揺があるとも伺っておりますので、トラブルのないよう、早い時期の引き継ぎなり人選を西澤学長がいらっしゃる間にぜひ進めていただき、混乱のないようにしていただきたいと思いますが、いつごろのめどをもって進められようとお考えでしょうか、お尋ねいたします。

〇増田知事 大学としてはあと1年、西澤先生の指導のもとで大学がしっかりと運営されるわけでございますので、今、独立行政法人化に向けての時期でございますが、さらに西澤先生の指導をいただきながら、その法人化に向けて着実な実行とスムーズな移行というものが大学の方で進められると考えております。
 後任の学長については、当然、西澤先生とも十分御相談をしながら人選を進めるわけでございまして、これは、西澤先生のお考えもよくそんたくしながらやっていきたいと思いますが、ここは早急に進めていきたいと思います。
 これまで先生が築いてこられた教育の理念や、地域貢献という大変はっきりとした方針を掲げておられますので、そうした理念や方針をさらに発展させていただける方にお願いしたいと考えておりまして、西澤先生ともよく相談いたしたいと思っております。

〇佐々木一榮委員 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

〇吉田昭彦委員長 次に、伊藤勢至委員。
   〔伊藤勢至委員質問者席に着く〕

〇伊藤勢至委員 民主・県民会議の伊藤勢至でございます。佐々木一榮委員の持ち時間の中で2点ほどお伺いいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 第1点は、佐々木委員も取り上げましたが、森のトレー事案についてであります。視点を変えて伺いますので、お願いいたします。
 県費2億5、500万円余の補助と国費約12億8、000万円を受けて進めてきた事業であります。ところが、結果的に目的とした製品が製作されず、会社経営が破綻し、会計検査院から国の補助金全額返還を求められております。県の補助金2億5、000万円余が泡と消えたばかりか、国からの補助金12億8、000万円余を県費で支払うとなれば、この財政状況の厳しい中で15億円以上の県民からの税金が全くむだになります。県民は決して許さないでありましょう。
 ところで、増田知事は、県政の最高責任者として、この組合のこの事業が破綻することをいつの時点で知ったのでしょうか。
 仄聞するところによりますと、ある日の庁議で、高橋副知事からこの完成品を示されて、知事、久慈の森のトレーに行ってきましたが、このような製品ができるんです、順調に進んでおります、こういう報告があったと伺ったところであります。知事が自分の目で見なくても、県のナンバーツーである副知事からの報告であれば、それはそのまま聞き入れることが普通であると思います。しかし、このことで県政の最終意思決定者である増田知事の、進め、とまれ、あるいは戻れの判断がおくれたとしたら、庁議の重要性と組織の情報伝達のありようが問われることになると思います。
 この事業の補助金は平成10年度と平成11、12年度分として2回に分けて交付されていますので、副知事の報告がどの時点だったかによっては、この事業を見直す時期を失したことになるかもしれません。いかがでありましょうか、お伺いいたします。

〇増田知事 事業・組合の破綻をいつ知ったかということでございますが、平成13年11月5日付で担当の方から、ちょうど4月の本操業開始以来半年が経過しているけれども、その経営状況が厳しい、そのような報告を受けているところでございます。
 それから、年が改まりまして平成14年1月25日に、やはり売り上げが伸びないということで、累積欠損金がかなり多額に達しているということで、金融機関を交え経営改善に取り組んでいるとの報告を受け、そしてその後、平成14年7月8日には、事業中断との報告が担当部からあったところでございます。

〇伊藤勢至委員 ただいま重大な御報告をいただきましたが、この場ではこれ以上お伺いしません。総合審査の方にお譲りしたいと思っております。
 次に、岩手県の青森県との県境産廃の問題についてお伺いいたします。
 これはトータルで、青森県側の分440億円、岩手県側の分220億円、合わせて660億円にも上る産廃不法投棄の一大事例でありまして、香川県の豊島を凌駕する量であろうかとも思います。そういう中で、何となく代執行という方向が定まってきて、県も、あるいは国からも予算がついてきた、これで一安堵だ、一件落着だ、どうもそういう雰囲気があるのではないかと思いますが、私は、視点を変えて、これをもう一度見直すべきだと思っております。
 岩手県は、まず第1番目に、これは大きな被害者であります。いわゆる県内でないもの、あの中に投棄されておりますいろいろな燃え殻、バーク、汚泥、廃油、廃プラ、あるいはRDFなどを見ますと、これは県内の小中零細企業等が運んだものだとは全然思えません。したがいまして、これはほとんどが関東、関西から来たものだと思います。
 国から半分の予算が出ましたが、このお金が厳しい中に岩手県の県費を110億円出していくという、この110億円出すというところをもっと我々は慎重に、しかもしつこくこれを追い求めなければいけないのではないか、このように思うわけであります。
 今、県内の各12の地方振興局があるわけでありますが、どこでも欲しがっております特養老人ホーム、50床のものを一つつくると8億円ぐらいでできるようでありますが、そうすると、12地方振興局に8億円の特養老人ホームをつくってもおつりが来るぐらいのお金を投入して、このだれかが投げていったごみを今から正確な処理をしなければならないということになりますね。
 そうしますと、そのほかにぜひ考えていただきたいのは、これは、今回岩手県が正規・正常な処置をしようとすることで220億円かかって、県費を110億円出すということでありますから、そういうことをしたくなかった関東、関西の連中は、例えば関東、関西からこの現場まで運ぶ10億、20億円の運賃を差し引いた180億円ないし190億円のもうけをむさぼっているのだ、そのように考えなければならないと思うわけであります。
 一方、警察は、この運搬してきた業者、あるいはそこに捨てさせた業者を青森県との共同捜査で懲役幾らかに決めて一件落着のようにしておりますけれども、そうではなくて、この背後にはもっと大きな問題が寝ているのだと考えまして、ぜひ全県庁的な、保健所のプロパーを集めて、あるいは警察力もお願いして、巨悪を眠らせてはいけない。
 今どき、2トンから4トンぐらいのダンプで建設廃材を山に持っていって捨てればすぐつかまります。しかし、これは17年間も後楽園の野球場・東京ドーム25杯分のものをどんどん投げられて一向に気がつかなかった、こういう状況にあるわけでありますので、ぜひこれは、知事の大号令によって、県の総力を挙げて、あるいは警察力も挙げてこの犯人を特定して、代執行というのはかわりの執行のお金なわけでありますから、その一番にっくき犯人を見つけて100億円を取り返す、そういう大号令を出していただきたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
 これで私は終わります。

〇竹内副知事 県境産廃処理に関するお尋ねでございますが、県といたしましては、原因者の責任追及等につきまして、専任のセクションを設置して、まさに総力を挙げてこれに対応いたしております。
 これに当たりましては、県警察との連携はやはり不可欠でございまして、このため、平成14年9月から、産業廃棄物不法投棄緊急特別対策室に県警察本部から併任の警察官を配置いたしております。
 今後も、関係者の責任追及の進捗状況を勘案しながら、県警察との連携強化を図ってまいりたいと考えております。

〇伊藤勢至委員 以上で終わります。ありがとうございました。

〇吉田昭彦委員長 次に、佐々木順一委員。
   〔佐々木順一委員質問者席に着く〕

〇佐々木順一委員 民主・県民会議の佐々木順一でございます。きょうは、先輩の佐々木一榮委員から5分間お譲りいただきました。感謝申し上げたいと思います。
 5分間でありますので一本勝負であります。どうぞ、判定、引き分けなしで、そういうおつもりで知事にはお答えを賜りますことをお願い申し上げたいと思います。
 それでは、まず財政問題について、平成15年度の直近の一般会計の債務は1兆4、000億円、これに医療局、企業局、さらには林業特別会計など七つの特別会計及び組合の債務、あるいは県の出資比率25%以上の法人への県からの借入金およそ300億円弱、これを計算しますと1兆6、072億円強になります。
 知事は演述で、負の遺産を次世代に残さないということを明言されました。また、平成18年度中のプライマリーバランスの均衡、これの実現も表明されましたが、これはあくまでも目標設定でありまして、しかも一つの通過点であって、何と言いますか、財政再建に向けた出発点ではないかなと、私はこう思っております。
 しかしながら、ただでさえ年金、雇用、所得など、県民から見ますと将来に対して極めて不安があります。長期債務の解消に向けての何らかの手だてが見えない限りは、県民から行財政改革プログラムを含む財政再建に向けた理解と協力を取りつけることは甚だ困難ではないかなと思っているところでもあります。
 将来予測はなかなか難しいかもしれませんが、論理的には県民に大増税を求めればいいわけでありますが、99万円強ですね、ただ、これは非現実的でありますね。それではどうするかとなりますが、一時日本も、終戦後、徳政令的なことをやりました。これは一地方公共団体でやれるものでもないし、もし国家的立場でやっても、国の国際的なこの金融の、円の信頼失墜も招く可能性があります。じゃ、どうするかとなれば、インフレ経済かということになりますが、今のこのデフレの経済状況下ではなかなか難しい。したがって、ローリスクの借換債かということになりますが、これは問題の先送りということになるかもしれません。
 ついては、痛みを伴うプログラムへの県民の協力と理解をとりつけるために、知事は、プライマリーバランスの達成後、長期債務の解消に向けた道筋として、圧縮策はこうあるべきだとか、あるいはこのようにやってほしいとか、あるいはこうすることに全力を傾注する、そういったたぐいの何らかの考え方を県民に向かって言うべきではないかと思いますが、御見解を賜りたいと思います。

〇増田知事 ただいまのお尋ねでございますけれども、やはり次世代に私ども随分良質の社会資本の整備を行ってきたと思うんですが、今お話ありましたように、そのことと同時に、次世代にあわせて過重な借金のつけ回しをしては絶対いけないということがございます。
 そこで、整備された社会資本を最大限活用する、そして、それによってすばらしい産業育成をしていく、それから、産業のみならず、その周辺に発生してくるようなコミュニティ・ビジネスなど、すべてを含めて税財源の涵養に役立つようなものをしっかりと醸成していくことが大事で、そうしたことを行うことによって着実に、そして、しかもなお加速度をつけて県債の残高、いわゆる今委員のお話になった長期債務を急速に減少させていく、こういうことが大事だろう。
 そのためには、やはり予算の投資分野もシフトが必要であろうと私は思います。今まではどうしても、足らざる社会資本の整備ということをまず急速にしていこうということでございましたが、これからは、その利活用を十二分に図って、そして地域の財を使った、経済分野、成長分野にシフトしていくことも必要だろうと思うんです。そうしたことによって税財源を涵養し、残っている債務を、平成18年まではどうしても我慢をお願いせざるを得ないんですが、その後は急速に加速度をつけて減少させていく。そして、今お話ございましたように、あすの岩手を担う子供たちには絶対に借金のつけ回しをしない、それで良質な社会資本をしっかりと残していく。
 ちょうど今、我々はこの21世紀のスタートラインにいるんですが、その21世紀の発展の土台づくりを我々がしていくという覚悟で、今言ったことをなし遂げていきたいと思っております。

〇佐々木順一委員 まだ質問したいんですが、時間がありませんので次に行きます。
 財政問題をもう1点、知事のマニフェスト、これは言葉でありますが、されど言葉であって、そしてまた、しかしながら、言葉であります。
 それで、何を言いたいかとなると、政治家にとって言葉は生命線なのであります。したがいまして、公約の具現化を図る物差しとして、一つの物差しが予算のできばえに集約されると思います。特に、知事には予算編成権とか執行権、あるいは議会の解散権とか人事権、すべての権限が集中しております。ある方は、アメリカの大統領よりも権限が集中していると言われております。
 このようなことから、知事がマニフェストで言った単年度50億円、4年間で200億円の21世紀夢県土枠、これは知事の特認枠にすべきと私は思います。なぜかといいますと、予算が、県民から見ますと、行政ベースで積み上げてきますと政治の責任がわからなくなるわけであります。よって、これを知事の特認枠にすべきと考えます。
 画竜点睛に欠けるという言葉がありますが、知事の意思によって50億円の目が入ることによって、県民からは知事の意識と政治の責任と予算がある程度一体化して評価がしやすい、こうなるわけでありますが、知事の御見解を賜りたいと思います。

〇増田知事 今の50億円の枠でございますけれども、今のやり方は、例の政策評価推進会議で、全部局長、それから三役が入って協議をして決めるというやり方をとりましたので、よかった点は、さまざまな意見やその場の議論というものをみんなが認識、共有化して、アイデアも随分出てきたこと。したがって、より的確な判断が、今回の予算にそれが成果として反映されたのではないかと思ってはいますけれども、一方で、全体の予算枠が厳しい中で大勢で協議するがゆえに、どうしても部局からはみ出た部分がそっちの方に入ってきて、それで、やはりめり張りつけた予算編成に当たって、一方ではそのことが制約になったということも私は感じております。
 ですから、ちょうど予算編成をし終わったところで、まだ議会に審議をお願いしている段階ではございますけれども、この後、予算を執行する段階、来年度前半あるいは中ごろまでに、そうした予算のねらっているところがちゃんと実行できているかどうか厳しく検証して、正確には再来年度予算編成になりますが、来年度の秋というか、実際、ことしの秋からですが、予算編成作業が始まるので、そのときには、ことしのようなやり方を本当にこれからずっと引き続いてやることが妥当かどうかよく検証して、もう一度見直すところは見直しをしていきたい。
 今、委員のお話、御提言もございまして、それもめり張りを出していくという上で、しかも責任などを明確化する上でも、確かに説得力のあるお話でございますので、その提言も十分に念頭に入れて、見直すべきは見直しをしていきたいと考えております。

〇佐々木順一委員 以上で私の質問を終わります。あとは工藤委員に押さえをお願いしたいと思いますので、以上で終わります。ありがとうございました。

〇吉田昭彦委員長 民主・県民会議の委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時55分 休 憩
   午後1時3分 再 開

〇照井昭二副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。工藤大輔委員。
   〔工藤大輔委員質問者席に着く〕(拍手)

〇工藤大輔委員 民主・県民会議の工藤大輔でございます。
 数点についてお伺いさせてもらいます。
 最初に、北東北3県の取り組みについてですが、青森、秋田、岩手の各県若手職員の任意組織であった北東北広域政策研究会が平成14年4月に設置され、その後、平成15年10月には北東北広域政策推進会議が正式な機関として設置されました。そこで私は、いよいよ北東北の時代を予感させる思いを持ったところですが、知事は、北東北広域政策研究会が作成した報告書へどのような評価をしているのでしょうか。また、知事が描いているビジョンと相違点はあるのでしょうかお伺いします。
 また、現在の連携の手法は、共同事務所の設置、産廃税の導入、共同債の発行、人事交流の促進など、できるところから成功事例をつくり上げ、連携強化を進めていこうという堅実型の手法であるとも言えます。しかし、各県には林業公社や医師の確保等単独では解決しにくい重要課題があり、そのような課題にも取り組むことが必要であるとも考えますが、いかがでしょうか。
 また、知事サミットの合意事項である空港や港湾の機能分担には、各県の思惑や地域の合意、総合計画の変更が必要であるとも考えますが、グランドデザインを今後どのようにつくっていくのでしょうかお伺いします。

〇増田知事 昨年の8月に北東北広域政策研究会で報告書がまとめられたわけでございます。この報告書について、私は、これからの新しい地方自治制度をどのように設計していくかということについて提言をしているものと受けとめていまして、これからこうした新しい地方自治制度については多くの素材を前提に議論をしていかなければならないと思いますが、そういった多くの素材の中の一つである、こういうふうに受けとめております。
 これから具体的にこうした新しい地方自治制度を設計していく上では、これは、まさしく国の統治機構にかかわる問題、国の統治機構そのものの問題でございます。地方自治の制度でありますが、国の根幹である統治機構そのものでございますので、これについては、やはり多方面からの非常に時間をかけた検討が必要であると思っておりまして、そうした制度、内容がどのようになるのか、地方制度調査会などで議論が今進められようとしておりますけれども、そういった事柄に対してこちらもはっきりと意見を言っていかなければならない場面も多いと思います。本会議でも申し上げましたが、そのときに大事なことは、基本的には住民との距離を前提に、より身近な自治体に権限を移すという視点から考えていかなければならないと思います。
 具体的に北東北をどうするかということは、利害得失を慎重に判断する必要があります。当然県民議論の活発化が必要でございますので、こうした十分な議論も起こした上で考えていかなければならないと思っていますが、その前の制度について、ちょうど始まったところでございますので、私どもも十分な関心を持って見ていきたいと思います。
 それから、これからの連携のあり方でございますけれども、医師確保の問題でございますとか林業公社の問題ですとか、3県で類似の課題となっているものも多くございますので、今、委員お話しのとおり、今までは3県で共同でやることにより利益を最大限追求するような形でやってまいりましたけれども、これからは難しい類似の課題となっているものにまで範囲を広げて取り組んでいくべき時期に来ているのではないかと思っておりますし、また、機能分担についての考え方から、例えば高度医療の分野ですとか県立大学の共同研究ですとか単位互換などについてもこれから検討の素材に乗せていけばいいのではないかと思っております。
 いずれにしても、こうした3県共同のグランドデザインについて、昨年秋に北東北3県の企画課長等で構成する会議が設立されましたので、そこで検討していただいて、来年度の知事サミットにそれまでの検討の中間報告をしてもらおうかと思っておりますが、その中での報告をよく聞いた上で今後の方向性を見きわめていきたい、このように考えております。

〇工藤大輔委員 北東北広域政策研究会の報告書では、2010年に特別県として、おおむねその5年から10年後には道州制へ移行すべきということが盛り込まれています。宮城県の浅野知事は、山形県との間に観光や中小企業再生の仕組みをつくろうとしており、他県でも連携を深めようとするなど新しい動きが出ているほか、地方制度調査会も道州制に向け、調査、検討がなされています。
 そこでお伺いしますが、知事は、3県合体の方向性をいまだ関心が薄い県民にしっかりと伝え、県民議論を起こさせるとともに、議会に対しみずからの率直な思いを伝えるべきと思いますが、いかがでしょうか。

〇増田知事 まず、3県の進むべき方向についての利害得失の検討、それから、しっかりした県民議論、この二つを十二分に行っていくことが大変大事でございまして、これをどのように進めていくのか、この進め方が大変大事かと思います。余り拙速に結論を求めるのではなくて、一方で制度の議論が国の方でこれから行われようとしているときに、やはりある程度そうした制度を前提として踏まえておかなければならない部分があるであろう。全く今、制度が何もないわけでございますので、そういう制度を前提として踏まえておかなければならない部分があるだろうと思います。先ほど申し上げましたように、まず、これから住民との距離を近づけるという基本原則は十二分に踏まえたいと思いますけれども、どういうふうにして県民の皆さん方に関心を深めていったらいいだろうか、これもこれから十分に検討していきたい、そして、そこから議論を起こしていきたいと思います。
 昨年、県内の民間団体やNPOの皆さん方で構成する北東北パートナーシップ岩手フォーラムというのが設立しました。民間の皆さん方を代表するような立場の方にも入っていただいていますので、そこでの検討内容なども踏まえて議論を進めていければと思っておりますが、一方で、国で行われております制度論がどんどん進んでいって国のペースになってしまうので、そちらの方にも発言権をしっかり確保しておかなければいけないということがございますので、中での十二分な検討をしていきたいと思っております。

〇工藤大輔委員 私は、以前、秋田の寺田知事、青森県の木村前知事からこの3県合体は3県知事の合意事項だということをはっきりと聞いたところであり、今現在の状況もまさに山が動こうとしているような状況下にあるわけでございますので、これから積極的な取り組みを期待しますとともに、また、発言の方も、議会に対しても積極的な発言を今後も望みたいと思います。
 次に、地方振興局に関する統合と合併、また、3県にも若干触れますが、お伺いさせてもらいます。
 現在、両磐地域を除いて市町村合併は地方振興局の範囲内でのみ議論されておりますが、地方振興局という見えない壁を取り払うことができれば合併に向けた新しい視点が広がってまいります。これは、北東北3県合体とも同様で、県境に近い自治体や似たような課題を抱える地域においては将来に向けたより現実的な同一方向を向ける選択肢が得られることや、合併を現在する、しないの重要な判断材料ともなり得ると言えます。また、国会に提出されている市町村合併特例新法案により、特例債は廃止されますが、期限が切れても地方交付税額が段階的に5年間保障される優遇措置が出されたため、期限後の合併も十分あり得ると思いますので、地方振興局の統合や3県合体の手順と枠組みを早く示す必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 また、地方振興局の持つ調整・補完機能の強化に来年度どのように取り組まれるお考えかお伺いします。

〇増田知事 まず、地方振興局の統合を進める手順ですとか枠組みの関係でございます。これは、やはり十二分な検討が必要だと思っておりますので、この手順、スケジュールにつきましては、来年度――平成16年度中に庁内で十分な検討を行う。そして、再来年度になりますけれども、17年度にその庁内での検討結果を公表した上で、県議会、それから広く県民の皆様方へはもちろん、市町村などの御意見を伺いたいと思っております。そして、そうした場面での御意見を十二分にいただき、それを検討の内容に反映させた上で18年度に再編した新しい姿の地方振興局としてスタートできればと、このような手順を今考えているところでございます。これは我々が理想とするスケジュールでございますけれども、こうした形で、しっかりと手順を踏んだ上で新しい姿をお示ししたいと考えております。
 それから、地方振興局の再編に当たりまして、地方振興局の機能をどのように考えていくかという問題がございますけれども、今、地域での行政サービスのさまざまな主体が地方振興局であったり市町村であったりしておりますけれども、できるだけ行政サービスの主体は、総合センターとして市町村になっていただくという方向にしていきたい。市町村にできるだけサービスの主体を移していきたい。地方振興局の機能は、より広域的な地域振興施策を企画する機能ですとか、それから、市町村がサービスを提供する上で、それを支援していく機能も大事でございますので、そうした市町村支援機能を担うための地域経営の拠点という形で地方振興局の機能を強化する方向で再編をまとめていきたい、このように考えております。

〇大沼地域振興部長 来年度における地方振興局の機能強化についてのお尋ねがございました。これまでも地方振興局の機能強化については随時考えてきたところでございますけれども、次年度におきましては、特に地域経営の戦略的拠点としての機能強化をまず考えてまいりたいと思っています。
 具体的には、地方振興局の施策評価の着実な実施によりまして、評価結果を地域振興方針に反映させていくことが大切だと思っております。そして、このことによりまして実施事業の質の向上を図ることができるものと思います。
 また、二つ目には、市町村の自立支援のための機能強化、つまり、地域補完ということにも力を入れてまいりたいと考えております。これは、具体に申しますと、市町村の要請に応じてでありますが、県の権限、財源、人材、こういったものを一括移譲することによりまして、市町村の総合行政の展開を支援してまいりたいと考えておりますし、また、市町村総合補助金の中に来年度は特別枠を設けまして、市町村の行財政構造改革の推進等についても地方振興局が中心になって支援してまいりたいと考えているところであります。

〇工藤大輔委員 以上で質問を終わります。

〇照井昭二副委員長 次に、小野寺研一委員。
   〔小野寺研一委員質問者席に着く〕(拍手)

〇小野寺研一委員 自由民主クラブの小野寺研一でございます。
 直接予算特別委員会に関係がないかもしれませんけれども、知事演述の冒頭に、世界平和について、あるいは一般質問において、自衛隊のイラク派遣についての知事の発言がいま一歩演述よりも踏み込んだ回答になっているという観点から、私どもの会派あるいは自民党としての考え方の違いをここで申し述べ、知事の所見をお伺いしたい、そのように思うところであります。
 知事は、力によって国際秩序を維持しようとすることに危惧を持っています、また、国連を中心とする国際協調のもとで平和を確保することが重要と考えているということを言われてございます。私ども会派も、あるいは自民党も、力でなく話し合いで秩序が保たれ、国連を中心とする国際協調で平和が確保されるのであればそれにこしたことはないと常々思っておりますが、しかし、イラクのフセイン政権は、クウェート侵略に失敗してから10年近く、国連の決めたイラク国内の査察等も拒否し続け、国内では非人道的行為がたびたび行われていたことなどを思えば、イラクが、あるいはフセイン政権が今日の状況になってもいたし方なかったものと思うところであります。
 また、知事は、国民的議論もされないまま自衛隊を派遣したとも言っておりますが、これは、全く当たらないのではないかという感じを強くするものであります。国会においても議論がされましたし、それを受けて、テレビあるいは新聞が毎日のように報道し、国民的議論も全国各地で行われ、各界各層でも慎重に、あるいはけんけんがくがくの議論がされたと私は承知いたしております。人道支援あるいは復興支援のため自衛隊派遣を決定し、派遣された隊員も、与えられた任務をイラク国民のために日本国のために立派に果たしてまいりたい、そういう力強い意思を表明しながら旅立って行かれました。そのような矢先、国連代表のアナン事務総長が来日いたし、国会において演説をされ、日本政府の決断と行動を評価しながら賞賛までされたと私は理解いたしております。これを知事はどのように受けとめておられるのでしょうか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
 国連中心にテロ撲滅や平和維持のため努力をする世界各国に日本の発言力が大きな影響を及ぼすことになったと私は理解いたします。近年にない政治決断の快挙であったとさえ思うところでありまして、国連のもとに各国が結束すれば、イラクの復興はもとより、北朝鮮の核あるいは拉致問題も近いうちに解決されるということが期待されてまいりました。国連主導で進むことに、自衛隊派遣の決断は大きな効果を上げることと思います。アメリカに強く言える立場ができつつあると信じます。本当の信頼関係を強固なものとして、アメリカを初め、各国と協力し合い、国連を揺るぎないものにしていくことに努力する必要を強く感じます。これこそ真の外交と言えるものであると考えております。自衛隊派遣の決断に対する知事の所見をお伺いいたしたいと思います。

〇増田知事 自衛隊のイラク派遣についてのお尋ねでございますけれども、ある通信社で行った世論調査の結果が2回ございまして、昨年の12月段階、自衛隊の派遣をいつにすべきかいろいろまだ分かれていた時期でございますが、このときに行いました調査結果を見ますと、派遣すべきでない、慎重に検討すべきだがあわせて90%近い数字になっております。総理の国民への説明について、その時点でやはり同じく90%ぐらいが十分でないとなってございます。年が明けまして1月の中下旬にまた同じところで調査しますと、今度はもう派遣がなされたときでございますので、反対が51%でございますが、賛成も42%ということで、この調査結果はかなり接近をしてきている。事実上、もうイラクに行って活動を始めるという段階でございますので、今、委員お話しのように、無事に帰ってきて立派に任務を果たしてきてほしいという国民の期待のあらわれも出てきたんだろうと思いますが、非常にこの賛否が接近しております。一方で、総理の国民への説明について、同じように十分でないという数字、これは相変わらず85%ぐらいあるという結果が出ております。私は、国民的議論と言っておりますのは、やはり国民が十分理解する、納得するような議論ですとか、あるいは、少なくとも総理からの十二分な理由の説明というものがあって、それについて主義主張の違いはあるにしても、総理として十二分な説明を尽くされたと国民が思うことが重要ではないかと思っております。余りにも足早にそこのところまで至ったからこそ一方で国民的にいろいろ心配の議論が出てきたとも考えられるわけでございますので、私は、今現在、もう自衛隊が向こうに行ってまさしく活動を開始している時期ですから、国民として立派に任務を果たして、そして無事、安全に帰ってきてほしいと心底から願っておりますけれども、一方で、常々政府にはしっかりとした国民に対しての説明をしていただきたい、そのように考えているものでございます。
 それから、先般、アナン国連事務総長が来日されて、国会演説をされました。国会での演説の要旨を取り寄せて見たわけでございますが、日本の平和維持活動、PKOを初め、東ティモール、モザンビーク等各地に行ってそうした活動をしておりますので、それについてはアナン事務総長は賞賛をしていたわけでございますが、イラクへの自衛隊派遣につきましては実に慎重な言い回しをしてございまして、その事実には言及してございますけれども、特に評価はせずに、その事実に触れたわけでございます。私は、恐らく国連への最大の貢献国である日本の立場をおもんぱかってのことだろうと思うんですが、このあたりに国連の微妙な立場があらわれていると思っております。私は、アナン事務総長が日本が自衛隊を派遣したことについて、特にその演説の中でも必ずしも評価はしていないものですから、十二分にやっぱりそうした背景を考えながら慎重な言い回しに終始したのではないかと思っています。それにしても、仏独が米英に対して懸念を表したときに国連も非常に懸念を表していましたけれども、その後、日本政府が外交努力としてアナン事務総長を招聘して、国連の理解を得るためにその後しっかりとした活動をしているということは高く評価していいのではないかと私は思っております。国連もそのような中で非常に慎重な言い回しをしているということでございますので、こうした、今まさしく始まろうとしている、大きく世論の分かれる自衛隊派遣でございますので、これからも引き続き外交努力と、それから国民的な議論、そして国民へのしっかりとした説明を政府の方に求めていきたい、このように考えております。

〇小野寺研一委員 アナン事務総長がそれほどの見解を述べていない、こういうことでございましたが、私は、あの雰囲気からして、よくやった、そういうふうに感じたことを申し述べました。その後、フランスの外相が来日して、川口外務大臣といろいろな形で今後の国際協調のあり方なども話し合いをされて多大な成果を上げた、そういうことが報道されたりテレビで放映されたりしております。派遣しないでじっと他岸の争いだという形で見ておればよかったのか、そうなったときに一体どうなっていくのかということも考えれば、やはり国際協調、国連を中心とした今後の平和維持あるいは国際紛争、そういうものを推し進めながら世界平和の維持に全力を挙げることが大事だ、私はそう思うところでありますので、今後とも知事におかれましては、賛成、反対のいろいろな意見はあると思いますけれども、いろいろ御検討されて発言されるようお願いいたしたいものだ、そのように思うところであります。
 続きまして、平成16年度予算案についてお尋ねいたします。
 佐々木委員からも詳細に予算編成あるいは今後の見通しなどについてお尋ねがございましたので、重複することに相なります。簡潔にお答えをいただきたいと思いますけれども、平成16年度予算の過去数年との比較、それにあわせて、任期中あと3回の予算編成があるんでしょうか、任期中の予算編成は、県民生活あるいは福祉の維持、向上にどのような影響を与えているか、知事の評価といいますか判断をお示しいただきたい、そのように思いますし、今後3年間、このような形で右肩下がりの予算編成が組まれていくのか、あるいは平成16年度の水準を維持できて、そしてもう少し右肩上がりに進めるのか、その辺の見通し、予測をぜひお伺いしたい、そのように思いますので、よろしくお願いいたします。

〇時澤総務部長 平成16年度当初予算につきましては7、798億円ということで9年ぶりに8、000億円を切っておりまして、平成7年度と同水準ということでございます。平成13年度には9、000億円を突破いたしましたが、14年度から減少に転じまして、今回、3年連続で前年度を下回ることとなったわけでございます。
 今後につきましては、今回、中期財政見通しをローリングいたしまして、その中である程度予測をつけておりますが、2月に推計したものによりますと、17年度、18年度の歳入歳出予算は7、800億円台で16年度からのほぼ横ばいと見込んでいるものの、各年度200億円、300億円の大幅な財源不足が見込まれるということ。また、国の三位一体改革の動向、それを受けた地方財政対策いかんということにも注意しなければならないということで、現在の状況からいたしますと、歳出予算規模が中期財政見通しを下回ることも十分想定して考えていかなければならないと考えておりますし、地方財政対策あるいは三位一体が不透明感がある中で、17年度、18年度の予算編成に対しましては強い危機感を持っているというのが事務方の考え方でございます。
 この中にありましても、一層の選択と集中に努めることが必要であると考えますし、また、特に県民ニーズの高い分野の重点施策につきましては、最優先で予算措置をして行政サービスの質的な向上を目指していくことが必要であると考えているところでございます。

〇小野寺研一委員 次に、県出資法人の見直しについてお伺いいたします。
 県出資法人の数は53法人、それに見直しあるいは廃止を決めた法人が13と記憶しておりますが、間違ったら訂正をいただきたいと思います。そういうことがございまして、この出資法人の見直しの現状、あるいは見直しをすることによっての成果と今後の予測について、どのようなメリット、デメリット、まあ、デメリットはないと思いますけれども、メリットがあるか、その辺についての見解をお尋ねしたい、そのように思いますし、それから、民間でできることは民間へ、こういうことが私どもの、あるいは県のモットーでございます。スリムな行政主体を構築するためにあらゆるものを見直していこう、こういうのが願いでございますが、今の厳しい財政状況の中にあっては、民間にある程度の仕事の配分をしていかなければ私は活力が出ないという感じがいたしておりまして、ぜひとも官から民へといいますか、民間の仕事量をふやす、あるいはそういうことをどのような形で行えるか、そういうこともお尋ねしてみたい、そのように思います。
 今、建設業界を取り巻く不況といいますか苦境は群を抜いているような感じがいたしまして、平成15年の建設予算約15%の削減、そして、16年度もまた15.6%、そういう形で2年連続の大打撃は業界にとって大変な苦痛となっておりまして、今後、そういうことがどれほど続くのか、耐えられないという悲鳴が聞こえるような気がいたします。
 そこで、一つだけ例をとらせていただきますけれども、財団法人の土木技術振興協会、副知事は前の理事長でございますが、そこの協会は、平成13年、あれはきっと県南の大豪雨の災害が入っておったこともあるんでございましょうか、決算において約2億円以上の納税がされております。利益といいますか、そういうことを見れば恐らく20数億という感じでお仕事をされたということなのではないかと感じておりますが、巨額の利益を得ればいいということもさることながら、逆に言えば民間がそれに圧迫をされている、そういうこともあるわけでございますので、その辺のいろいろなやりくりといいますか、そういうことをこれから慎重に考えて、官から民への話し合いは積極的に行っていただければ、そのように思いますが、いかがでしょうか。
 以上、申し上げましたが、何よりも地産地消、要するに食のことだけではなくて、この建設工事といいますか、業界に関しても、やはり地産地消といいますか、県内のことは県内で、そういうことにまず重きを置いていろいろな行政指導をしていく必要があると思いますけれども、知事、いかがでございましょうか、お尋ねしたいと思います。

〇増田知事 県の出資法人の見直しの関係からまずお答え申し上げます。
 今、委員の方からお話ございましたとおり、出資法人の整理合理化について、平成15年――昨年の9月までに13法人を縮減したということでございます。その後、さらに昨年の12月に岩手県出資等法人改革推進プランを策定いたしまして、そちらの方では58法人を見直しの対象といたしまして計画をつくりまして、住宅供給公社などが含まれている廃止対象6法人、それから、出資引き揚げ対象6法人、経営改善を有するもの8法人、県の関与を見直すもの1法人――これはグリーンピア田老でございます――、それから管理運営等の業務委託を行っているものが4法人、これら24法人を具体的な改革の対象として挙げて取り組むということで、今、その改革に取り組んでいるところでございます。
 それから、全体が58でございますので残り34法人あるんですが、残りの34法人についても今整理をしている最中でございまして、対応方針を今年度内に県として決めて経営改善に取り組む、こういうことでございます。
 それぞれ問題を抱えている法人には経営改善計画をつくらせて経営改善に取り組んでもらいますが、いずれにしても、存続とする法人についても今後毎年度新しい運営評価制度をつくりまして、運営状況を毎年検証していくことにしてございます。法人によってその設立目的が大いに異なっておりますけれども、いずれにしても、それぞれ具体的な設立目的が十二分に発揮されているかどうかということをこうした新しい運営評価制度によってしっかりと検証を行いまして、何らかの問題を抱えているものにつきましては県として責任ある決断をする。問題を先送りにしないようにしていきたい、このように考えております。
 それから、今、民間でできることはできるだけ民間にというお話がございましたが、この出資法人等の改革の中におきましても、あるいは県の業務の中全般につきましても、官民の役割分担の徹底ということをこれまで以上に図っていきたいと思っておりまして、具体的に、例えば公共施設の管理運営業務については積極的に民間委託を行うとか、あるいは官民協働化を進めていきたいと思いますし、それから、普及、指導、調査などの専門的知識・技術を必要とする業務についても、今申し上げましたように民間委託などを大いに進めていきたいと思っております。こうしたことによりまして、より低コストでサービスの提供が可能になったり、あるいは民間に出すことによって、そちらサイドでの雇用の創出にもつながっていくものと考えておりますので、このことはこれからも進めていきたい。
 今、委員の方から例としていわゆる土振協と言われております財団法人岩手県土木技術振興協会の委託業務についても例がございましたが、今後、その内容についてよく精査いたしまして、民間への委託の範囲を拡大していきたいと考えております。
 それから、県営建設工事の県内発注についてでございますが、これは、今、委員がお話しになった観点からもこれからより進めるべきものでございますので、県内業者で施工可能と認められる工事につきましては、今後とも県内優先発注を原則に、透明性を確保しながらその適正な発注に努めていきたい、このように考えているところでございます。

〇小野寺研一委員 昨年の12月の決算特別委員会で我が会派の委員がこの土振協のことについてお尋ねした経緯がございますので、私もその確認の意味で御質問申し上げました。どうかひとつ民間の苦境を察していただきまして、より強力な指導といいますか、相談をされながら事に当たっていただきたい、そのように思うところであります。
 次に、岩手県競馬組合についてお尋ねいたします。
 平成5年度以後の出資状況の推移並びに平成15年度の財政状況についてお尋ねしたいと思いますし、関係自治体に対してそれなりの配分金もされておるやに聞いております。この推移についてお願いいたしたい。
 また、岩手競馬は、私としてはぜひ存続させてほしい。そのためには単年度の黒字決算を目指すための対策をどうするかということが何よりも必要なわけでございまして、それには、馬券の売り上げ増、特にも、盛岡市内あるいは水沢市内の競馬場に行けない人たちのためにも簡易の馬券売り場、そういうものを五、六カ所でもつくっていただければまた別な販売増が私は見込まれるのではないか、そんな感じをしておりますので、御検討をお願いしたいと思いますし、これはどうなんでしょうか、盛岡、水沢両競馬を一体化させるということは余りにも波紋を大きくすることになるのか。単純に考えて、やはりスリムに、そして独立法人でも決めて、そして、自分たちの職場を自分たちの責任でということに情熱を注ぐ、そういう組織体ができ上がればいいな、そんな感じをしているわけでございます。地方競馬、なかんずく岩手競馬の継続について、知事の決意のほどをお尋ねいたしたいと思います。

〇増田知事 何点かお尋ねがありましたので、競馬組合の財政状況ですとか配分金の推移については副知事の方から答弁させますが、今、お話ありました単年度黒字を目指すための対応策ということで幾つか具体的に御提案等もございました。従来から何とかしてこの収支を単年度黒字に持っていきたい。盛岡競馬場の建設のための莫大な借入金がございますけれども、それはそれといたしまして対策を講ずるにしても、単年度収支をぜひまず早目に黒字に持っていきたいということで、いろいろ販売の拡大策も講じてまいりました。馬券売り場なども、いわゆるテレトラック等を広げてまいりましたし、それから簡易な販売所ということでございますが、これは地域の住民の皆さん方とのいろいろな合意形成が必要でございまして、幾つか試みたんですが、やはり地域での合意が得られなくて中止したものもございます。これから投資額と、逆に収入額がどうなるか慎重に考える必要があると思いますけれども、そうした販売策を拡大していったりということはこれから当然考えていかなければならないと思いまして、何といいましても、魅力あるレースづくりと経営改善策をしっかりとこれからも考えていくことが必要だと思っております。
 この岩手競馬については、本会議の方でもお話し申し上げましたが、ちょうど岩手競馬のあり方懇談会からの報告が今月中にまとめられるということでもございますので、そこでの内容について踏まえる必要があると思っておりますが、私、組合の管理者を兼ねている立場でもございます。その立場から申し上げますと、今後の競馬法の改正の動きを今、見据えております。競馬法が改正されて来年度から施行する方向に動いているということで、大幅な民間委託等も可能になり、それから、財政支援等もその中に盛り込まれようとしているやに聞いておりますので、そうした改正法の動きも見据えながら、これからの競馬のあり方を十二分に考えてみたい。盛岡市と水沢市ともよく相談の上で考えていきたいと思います。実に県経済全体に多くの影響を与える問題でございますので、その内容について、また両市とも十二分に相談した上でぜひいい方向を見出したい、このように考えているところでございます。

〇竹内副知事 収支状況のお尋ねがございました。勝馬投票券の売り上げが平成3年度は689億円ございましたが、これをピークにいたしまして減少を続けまして、平成15年度は367億円という水準になっております。これに加えまして、新盛岡競馬場等の建設に係る公債費の償還に伴って、競馬組合の収支状況は大変厳しい状況になっております。
 その収支につきましては、平成12年度に初めて15億円余の歳入不足額を計上して以降その額が増加しておりまして、平成14年度では65億円余となっております。それから、平成15年度の財政状況につきましては、1月に終了した岩手競馬の年間の開催成績によりますと、勝馬投票券の売り上げが前年度の83.1%にとどまったことなどから、競馬組合の財政状況はさらに厳しくなるものと見込まれております。
 配分金のお尋ねがございました。競馬組合が設置された昭和39年度以降、構成団体に対してこれまで総額で407億円余の収益配分がなされておりました。単年度当たりの配分金は、昭和55年度から58年度までの4年間、皆同じでございますけれども、27億円がピークになっておりまして、その後は徐々に減少いたしまして、収支状況の悪化に伴って平成10年度の3億円を最後に、その後は配分金が支払われていない状況となっております。

〇小野寺研一委員 廃止の方向ということになりますと、先ほど知事も申しておるように大変な影響を県内に及ぼすということでございまして、そこに従事している従業員の方あるいは家族の方を含めると数千人になる、こういうこともございますし、関連の企業あるいは個人的にもいろいろなかかわりで職を持っておられる方の今後のことが大変心配になるということがございますので、ひとつ知恵を出して、そして存続の方向に進んでいただくようにぜひともお願いを申し上げたい、そのように思います。
 次に、第2クリーンセンターについてお伺いいたします。
 事業計画の進捗状況並びに今後の事業計画あるいは実施スケジュールと事業規模についてお尋ねいたしたいと思います。

〇増田知事 第2クリーンセンターでございますけれども、今現在、候補地を選定する作業を行っております。具体的には、県北の軽米、山形、九戸、この3町村から用地が推薦されておりますので、学識者等をメンバーとする用地選考評価委員会で審査をいただいております。この委員会の評価がまだまとまっておりませんけれども、近日中にこの委員会での評価がまとまると聞いておりますので、その上で県北地域の11市町村と協議をしながら、年度内に立地場所の決定にこぎつけたい、こういうふうに考えております。
 それから、現在、この第2クリーンセンターの機能につきまして、基本計画の策定作業を行っているところでございます。この基本計画の策定作業の中で、焼却施設の能力ですとかを決定していくわけでございます。今、想定してございます事業の規模が日量200トン程度の焼却施設、あわせまして17万立方メートル程度の管理型最終処分場をそこに設けよう、今、そのようなことを考えているところでございまして、立地場所と基本計画を決めた後、平成16年度にPFI事業可能性調査を実施して、その上で今度は事業主体の決定にこぎつけたいと考えております。その後、事業主体が決まりましたら、事業主体の方で環境影響評価、実施設計を行うことになりますので、そうした設計を進めて、順調に行けばというか、最短のスケジュールではということでございますが、平成18年度に着工して21年度稼動を目指すということでございますが、これは今段階でのスケジュールでございまして、また基本計画等を検討する中でさらにこのスケジュール等は詰めていきたい、このように考えております。

〇小野寺研一委員 次に、森のトレーの事案について、先ほども大変具体の話でお尋ねがございましたので、素朴なといいますか、そういうことでお尋ねしてみたい、そのように思います。
 県と久慈市の返還金の負担割合はいまだ合意されていないと聞いておりますが、負担割合はどのようになるのか。予算特別委員会の審査等の中で、負担割合の詳細が示されないと審査できないのではないかと心配いたしてございます。
 また、負担割合が決まった後、国にも責任ありという知事の判断もございまして、これから林野庁あるいは農林省への要請が頻繁に行われるだろうと思いますが、その見通しについて所見をお伺いしたいと思います。

〇増田知事 久慈市との負担割合についてはいまだ決定に至っておりませんで、大変申しわけなく考えております。去る2月25日に私と久慈市長さんが直接会いまして相談をしたところでございまして、基本的な考え方について、お互いにどのように考えるか協議したところでございます。その場では具体的な額まで決めるに至りませんでしたので、その基本的な考え方を受けて、今、双方で整理をしているところでございまして、近々に再度お会いして決めたいと思っております。
 25日にお会いしたときに、基本的な考え方ということで、県と市のこの事業に対するかかわり方の程度によって負担割合を考えていこうということで、事業計画の当初の段階がどうだったのか、それから変更の場合、事業の実行過程、完了確認調査、担保設定の指導といった項目について、それぞれかかわり方で負担割合を考えよう、こういうことをその場でお話をしたところであります。できるだけ早く合意に至りたいと思います。
 それから、林野庁長官を初め国とのかかわり方でございますが、林野庁長官には昨年11月お会いしておりまして、とにかく補助金の全額返還ということで言われているわけですが、県が返還努力をしっかりとするようにということを言われているわけでございまして、今回予算に3分の1計上してございますが、県が補助金の一部返還、それから、その後の補助金の回収に最大限の努力をすれば、現在発生しております延滞金の免除について林野庁としてもでき得る限りの対応をしていく、このような感触を林野庁長官と会って私も得ておりますので、私どもの補助金の一部返還の返還努力、それから、訴訟を提起いたしましたが、その中での最大限の努力をしっかりと行って、それを国の方にもしっかりと伝えて、そして今後の延滞金の免除ということを確実にしたい、このように考えております。

〇小野寺研一委員 大変な仕事になるだろうと思いますけれども、ひとつ頑張っておやりいただきたい、そのように思います。
 次に、鳥インフルエンザの問題についてお尋ねします。
 山口県、そして大分県、京都府で猛威を振るっております鳥インフルエンザの現状をどのように把握しておられるのか。また、これ以上の広がりを阻止するための国への働きかけ、あるいは国も相当の覚悟で対応し始めたというのがよくわかるような状況にございますけれども、県としても、やはり独自の調査あるいは検疫体制、そういうものの危機管理をぜひとも速やかに立ち上げられて対応していただきたい、そのように思うところであります。
 食鳥あるいは鶏卵の生産の方々は、今、岩手の農政に関しては本当に大変な優良企業でございまして、もし鳥インフルエンザが岩手に侵入をしてきた場合の影響を考えると、とてもじゃないが本当に夜もおちおち眠られない。浅野農産の会長御夫妻がけさ亡くなられた、自殺されたというお話もございます。そういうことがまた県内でも繰り返されることを憂慮するわけでございますので、どうかひとつしっかりとした対応策をお決めいただいて対応していただきたいと思うところでありますが、御所見をお伺いしたいと思います。

〇増田知事 鳥インフルエンザの関係でございます。本県は、今、委員のお話の中にも出てまいりましたとおり全国でも有数の養鶏の産地でございますので、私どもも大変な危機感を持ってこの問題に対応しているところでございます。国での発生の状況、山口県から大分、そして京都と広がってまいりましたので、そうした情報については私のところにも逐一担当部から情報を上げてもらっておりますけれども、私の方でも、生産者初め、多くの関係する機関、団体への速やかな情報提供と監視体制の強化などに万全を期すようにそれぞれのところに指示をしているところでございます。
 先月の2月6日に1度、山口で発生したことを踏まえて、国の方に、具体的には農林水産省でございますが、そちらの方に鳥インフルエンザの拡大の防止に万全を期すよう要請をいたしました。これは、35道県知事で組織しております養鶏安定対策推進全国協議会でほかの県の知事とも共同して国に万全の対応を期すように要請をしたわけでございますけれども、そういった行動をすると同時に、もう既に本県におきましては昨年韓国で発生した際に防疫上の留意点など必要な情報を養鶏業者には提供してきたところでございますが、その後またさらに感染が拡大しているということでございますので、鶏舎の定期的な消毒、鶏の観察に最大限の注意を払って、万が一何らかの異常を発見した場合には速やかに家畜保健衛生所に届け出るように繰り返し指導し、徹底を図っているところでございます。
 鳥インフルエンザが万が一発生した場合には甚大な影響を受けるということがございまして、これはもう、事前の予防を手間暇が幾らかかっても繰り返しやることが必要だということで、京都の事案の発生も受けまして、今月に入りましてからはそうした対策をさらに強化してございまして、1、000羽以上の飼養者に対しましては、3月7日――すなわち昨日からでございますが――から当分の間、1週間ごとに死亡羽数などの報告を義務づけてございますし、それから、モニタリング検査や死亡した鶏等の情報に基づく検査などの監視をさらに継続していきたいと思っているところでございます。
 御承知のとおり、感染が非常に微妙なところから出てくる可能性がありますので、そういった業者の皆さん方を一堂の会議で集めるということが、かえって感染を拡大するきっかけをつくりかねないので、我々の方で消毒した人間がきちんとそれぞれのところに行ったり、あるいは毎日のように電話を入れたりしているところでございますが、そうした監視を徹底していきたいと思っております。
 また一方で、消費者に対して正確な情報を提供することも必要でございまして、鶏肉の価格がこのところずっと下がっておりますので、消費者の皆さん方には、こうした鳥インフルエンザウイルスが、食べることによって人に感染することは世界的にも報告されていないということを正確に情報提供を行っているところでございます。それから、トレーサビリティーシステムのような安全を提供するシステムの整備についても、今、検討してございます。
 いずれにしても、日々刻々事態が変わってきておりまして、京都の方では、また周囲に感染が広がるといったようなこともございますので、明日、3月9日でございますが、本県の方でもさらにまた、自衛隊や警察も含めた関係機関・団体、全部を集めまして、明日の午後、連絡会議を開催することにしているところでございます。そのことによりまして、また危機管理に万全を期していきたいと考えております。

〇小野寺研一委員 大変細かいといいますか、神経を使う仕事になろうかと思います。地方自治、市町村、あるいは保健所、業界はもちろんでございますし、その主導を県がとりながら、侵入の阻止だけは、絶対断っていただきたいということで再度よろしくお願いいたしておきます。
 林業振興について3点のお尋ねをしておりましたが、時間の関係上、林業公社の県に移管といいますか、移ってくる、そのことについてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
 林業公社は、県北地域を中心とする14市町村を対象として、地域住民の所得の向上や地域産業の振興を図ることを目的として設立され、造林造成を通じて、これまで県土の緑化、あるいは荒廃した森林の復旧に加え、山村地域の林業従事者の安定した職場として安住化を促進し、過疎対策に寄与するとともに、林業後継者や専門の林業技能者を育成するなど、林業技術の先導役としても大いに評価されるものと考えております。
 しかしながら、木材価格の低迷などにより、林業公社を経営していくことは困難となり、先般の一般質問において、県有林事業に一元化するとした方向性が打ち出されたところであります。
 もとより、これまで林業公社が造成してきた森林は、水源の涵養、県土の保全あるいは二酸化炭素の吸収・固定による地球温暖化防止など、森林環境の保全のためにも重要でありまして、一元化により管理がおろそかにならないよう、今後、分収造林契約の期間中、県有林として県の責任で適切に管理していくことが必要であると考えます。
 そこで、林業公社の造成をした森林を今後適切に管理していくための事業量をどの程度見込んでいるのか、また、これに要する事業費とその財源はどのように調達されようとしているのかお伺いいたします。

〇増田知事 林業公社の関係でございますが、県有林事業に一元化をして県が管理ということで、その事業量を平成67年度まで、したがいまして、今後おおよそ50年間でございますが、平成67年度までに必要な間伐を行っていくことになりますけれども、延べ3万6、000ヘクタール程度、このように見込んでおります。事業量が延べ3万6、000ヘクタール、延べでございます。間伐を大体2.5回ぐらいする勘定でやっておりますが、延べ3万6、000ヘクタール。
 それを計算いたしますと、それに要する事業費が、3万6、000ヘクタールでございますと約15億円と見込んでおりまして、この事業費をどのように調達するかということでございますが、これについては、後年度負担が生じないように措置する必要があるであろうと思いますので、一般会計からの充当でこの財源を調達していきたいと考えております。

〇小野寺研一委員 なお、木材需要の喚起とかそういうことについては、後日、部局審査においてお尋ねすることにいたします。
 最後に、合併問題についてお尋ねいたします。
 先ほどの質問あるいは一般質問においても、道州制などに踏み込んだいろいろな質疑応答がございました。そういうことに踏み出すためにも、私は、市町村合併そのことについて、県が必要としているのかいないのか、こういうことは、やはり示すべきであろう、そんな感じがします。というのは、いろいろとお話がされているわけでございますけれども、合併のときの判断は、それは知事がずうっと申しておるようにそこの住民が決定するわけでございますけれども、そうでなくて、やはり県とすればこういう形が望ましいし、そのためにも合併は必要だと思います。しかし、これに具体に踏み込んでいくというわけにはいきませんので、決定は当然その地方自治体にある、そういうことをはっきり申し上げて、知事の、あるいは県の要望といいますか思いを、私は自治体の方にいろいろな発信をするべきであると思います。
 この間、阿部富雄委員の発言にもありましたように、やはり知事は深く、あるいは職員の方々は深くこれにかかわりを持って、そして、合併に向けて元気に踏み出していただくようにお願い申し上げたいということを最後にお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

〇増田知事 市町村合併の関係でございますが、この市町村合併については、やはり私も常々申し上げておりますが、これからの地方自治を考えていきますときに、市町村中心の行政に転換していくことが望ましい、そのために、市町村が行財政基盤の強化を図っていく必要がある、そのように考えているわけでございます。当然、住民合意が前提になりますが、市町村合併はそのための大変有効な手段であるととらえております。
 本県でも、他県と同じように、あるいは内容によりましては他県以上に、市町村合併を行った市町村に対してのさまざまな支援措置を用意しております。大幅な権限移譲ということもその中に盛り込みまして、その体制を整えております。
 県として、こうした市町村合併を市町村の全く自助努力で全部やれと言っているわけではなくて、むしろ、そうした他県にも増すような大幅な権限移譲も市町村に行って、そして、市町村に自由にさまざまな自立のための行政を展開してもらおうということで、交付金なども用意しております。そこは、それだけ私どもも力を入れているわけでございまして、そうした制度の中で、市町村が活発な議論をみずからの意思で展開して、そして、そうした行財政強化に向かってほしい、このような思いを持っているわけでございます。
 今、委員の方からも、その中で県も議論に加わるようにということでございまして、これは、従来から申し上げておりますけれども、当然、県としてのそうした議論への参画というものも大事なことであります。私も、それから職員も、こうした点について十二分にタイミングを見る必要がございますけれども、そうした上で地域での議論に加わって、必要な助言なりをしっかりと行っていきたいと考えているところでございます。
   〔「押しつけるなよ」と呼ぶ者あり〕

〇小野寺研一委員 押しつけるなよというお話がございますけれども、やっぱり一定の方針を、考えを述べて、自治体の首長たちに一生懸命努力してもらうことは県の責務でもあるなという感じがしますので、どうか、これからもひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 残り時間、同僚の佐藤正春委員が、これから予算案についての質疑をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

〇照井昭二副委員長 次に、佐藤正春委員。
   〔佐藤正春委員質問者席に着く〕

〇佐藤正春委員 まず知事、御就任9年目でございまして、毎日お仕事御苦労さんでございます。
 私から申し上げると、こんな岩手にだれがした、こう思うんですよね。この県内紙の借金県土という連載を我々議員も、それから県民も随分見ているんですよ。一体これでやっていけるべかと県民から聞かれるんですよ。おれはまず、増田知事をうんと支持したんだけど、こんなにしてしまって大丈夫かや、こう言われているわけでございまして、これは、私ども議会も責任がございます。予算・決算は承認しておりますから。
 ただし、私は今まで、黙って、知事万歳で承認したことはございませんよ。議事録をごらんになってください。私は、知事に抵抗勢力と思われながら、常に、これでいいのか、県債は大丈夫か。花巻空港は、こんな余分なものは要らないじゃないか。競馬場は大き過ぎるぞ。西口ビルはどうだ、こう言ってきたんですよ。ですから、それでもやはりこのような結果になってきたわけでございまして、私から言わせると、そこに総務、財政、何をやってきたんだと、実は言いたくなるんですよ。知事ばかりを責めてもかわいそうだ。君たちは一体何をやってきたんだ、反省せい。
 これをおらほの言葉で言うとこうなるんですよ。「おやじ、うぢ空にして外でばりいいカッコしている間に家ん中めちゃくちゃだ。かがは財布を空にして借金だらけ。大きい息子は酒食らって車運転して押しゃえられる。次の息子はパチンコ屋で泥棒。すけべ先生は見つかるし、まずまずおしょすいもんだ。おしょすいくてわがね」、こういうことになるんだ。おらほの言葉で言えばね。これは、知事の実家の前沢でもこういう言葉を使うんですよ。
 昨年10月に発表があった改革プログラムで、本当に知事、やれるんですか。いろいろ議論があるが、本当にやれるんですか。また、このふらちな職員の気の緩みはどこから来るんですか、この気の緩み。だれの責任なんですか、明快にお答え願いたい。

〇増田知事 まず、行財政構造改革プログラムで本当にやれるかどうかということでございますが、この中には、確かに県民の皆様方に従来にない痛みを与えるものも盛り込んでおりまして、そうした中で、私どももこの内容に沿ってぜひとも御理解をいただいた上で、平成18年度までに県財政を、そして県の行政全体を次のその先に向けて、しっかりと県民に求められる良質の行政サービスが提供できる、そういう行政経営体に転換していきたい、そういう考え方を盛り込んだものでございます。
 このことによって、一時的な痛みが確かに生ずるわけでございますが、それが、さらにその後の産業を強化し、そしてサービスの質を豊かにするということでございますので、この行財政構造改革プログラムの線に沿って、ぜひこの改革を進めていきたい。そして、次の世代に過重な負担を先送りしないという我々の世代の責務を果たしていきたいと考えております。
 また、職員の気の緩みということで、今委員の方から具体的な幾つかの例示がございましたが、県職員に係る不祥事が、今お話のとおり後を絶たずに発生しておりまして、これは県政に対する県民の信頼を大きく傷つける行為でございまして、まことに遺憾なことと考えております。
 この気の緩みとお話がございましたが、こうした不祥事発生の原因でございますけれども、やはり、第一義的には、当人の公務員としての自覚の欠如、それから、過去の不祥事を他山の石とせずに、みずから省みなかったといったようなことによるものと思いますが、それだけでなくて、当該職員はもとより、私も含めたそれぞれの管理者が果たしていかなければならない責任があると思っておりまして、改めて、すべての県職員が公務員としての自覚を再認識して、しっかりとした倫理観で業務に取り組む姿勢をいま一度見直すように、私も特に先頭に立って、そのような士気の鼓舞に努めていきたいと思います。
 これからまた各職場での話し合いや研修の充実など、こうした職員の公務員意識の高揚に責任を持って取り組んでいきたいと考えております。

〇佐藤正春委員 あなたは今、県民にも痛みを求める、しかし、県民生活に影響は出ないと述べております。今度の予算に盛り込んでいますか。
 我々議会は、昨年6月には宮城県沖を震源とする地震津波対策を、9月には建設産業の振興による県民生活の安定向上にかかわる県建設団体連合会の請願を議決いたしております。それは、今度の公共予算の中で何%、どれだけ盛り込んでいますか。
 また、あなたのマニフェストによる30%削減による4、000人の首切りと838億円の経済効果の減は、これらの予算によりどれだけ緩和されておりますか、お伺いいたします。

〇増田知事 昨年、災害等が発生したわけでございますけれども、この地震や津波対策についての関係の事業でございますが、来年度の予算の中で43億7、000万円ほど盛り込んでございます。これは、前年の量に比べて0.998、99.8%ということで、まず全体が、今委員お話のとおり、これは大きく落ち込ませざるを得なかったわけでございますけれども、その中で前年並みを確保したところでございます。
 それから、暮らしにつながる部分として、下水道ですとか、交通安全施設といったような、下水道は7.4%ほど落としましたけれども、しかし、全体の落ち込みの中では、やはりこうした部分に重点配分をしようということで、極力落ち込みを抑えたと考えておりますし、維持管理費用については、逆に、若干でございますが伸ばして確保するといったことで、できる限り、中で知恵と工夫を凝らしてこの事業量を確保しようとしたところでございます。
 今、委員の方から建設業団体からの御要望のお話がございました。確かに事業量を大幅に確保しろということでございまして、この部分については十二分におこたえすることがかないませんでした。しかし、そうした建設業界の御要望も踏まえて、この事業を実施するに当たりまして、コスト縮減などの対策をできるだけ盛り込みまして、事業量をその数字以上に確保するように努力したところでございます。
 全体30.6%ほど平成14年度当初からは減っておりますので、先ほど委員お話のような痛みがどうしても生ずる可能性がございますし、県内経済への影響といったようなことも生ずることを見通さなければいけないと思っておりますが、そうしたことで財政をしっかりと立て直した上で、これからは公共事業を着実に、確実に実施していけるような体制にしていきたいと考えております。

〇佐藤正春委員 知事、すらすらっと言うと、みんな、はて、そうかなと思って、ついつり込まれるんだな。だけれども、実際は、本当に県民の声というのは予算の中に反映されていませんよ。いいですか、平成15年度の公共事業評価で実施すべきとされた事業・箇所で、予算がないために平成16年度当初予算計上を見送ったものが県土整備部で71地区14億円、いいですか、農林水産部で50地区29億円、合計121地区43億円もあるんですよ。ようく部下に聞いてみてください。これは本来実施しなければならない事業なんですよ。
 あなたは今、十二分じゃないけれども相当やっていると言うけれども、当たり前にやってください、当たり前に。余計なことをやらなくてもいいですよ、当たり前に。当たり前にやるべきもの、公共事業評価委員会で実施すべきとされた事業、これは平成15年度にやるべきものを16年度に先送りしているでしょう。それでもこれだけあるんですよ。何も余計なことをやってくれということは言っていないんですよ。いいですか。私は、本来実施しなければならないこの事業はどうなんですかと言うんですよ。
 知事がおっしゃるように、県民生活に影響がないようにと言うなら、こうした県民に必要な公共事業を着実に実施し、地場産業である公共事業をよい方向に見直すということを申し上げる。
 例えば、まだむだがある職員の出張手当は廃止するとか、残業手当を廃止するなど、物件費はまだ見直しできるんです。知事、あなたもそういうふうにおっしゃっているでしょう。新聞にはそう出ています。まだまだ見直すところがあると言っているんですから。
 例えば、委員は承知しているんですが、地方振興局の3年ぽっきりの活性化事業、あれは3年目からいよいよよくなってくるの。これが3年でみんな終わりになってしまった。こういうものは、やっぱりむだじゃないかと私は思うんですね。
 あるいは、当局ばかり申し上げません。私どもの議員の同僚諸君にも相談して、ことしあたりの海外旅行は少し遠慮すべきかなと。(斉藤信委員「よし」と呼ぶ)いや、最初から行かないやつはだめだよ。ぜひ行きたい人もいるんだから。何人か遠慮しなければならないかなということを思っている。
 そして、財源を見直して、県民生活を守るための公共予算をこれから考えていかなければいけない、私はそう思っているんですが、4、000人の首切りや838億円の経済的損失と、今私が申し上げたこと、どちらが正しいのか。県民にとって、私が言うことが正しいのか、知事の言うことが正しいのか。私の言うことが県民のためになるのかということをひとつお伺いしたい。

〇増田知事 今、委員の方から県土整備部、それから農林水産部で事業をやりたいと考えておりますような箇所、それから事業費の額等も御披瀝ございましたけれども、こうしたものは優先度も高いものでございますので、実施時期を今回調整せざるを得なかったわけでございますが、やはり進めていかなければならないものであると思っております。
 しかし、これを進めていくに際しては、やはり全体の事業量というもののコントロールがどうしても必要でございまして、それは、先ほどの委員お話ございました痛みということにもつながるわけでございますが、昨年6月に明らかにいたしましたプログラム骨子の中で触れてございますけれども、今までの事業量を前提にしてこうした事業を行ってまいりますと、早ければ平成17年度までに財政再建団体に転落する可能性があるといったような深刻な状況が一方でございます。
 私も、こうした公共事業の実施ということについては、公共性・公益性の大変高いものでございますので、従来にも増してそうしたことについて慎重に考えなければいけないと思っておりますが、何しろ、今置かれている状況から考えますと、仮に万が一そうしたことに財政を転落させますと、これは公共事業のみならず、県民生活に与える影響がはかり知れないものがあるということでございます。何としてもこの時期に、そうした必要な事業であっても、事業実施期間を調整して、そして、平成18年度までにこうした財政再建に取り組むということを議会の議員の皆様方や県民の皆様方にぜひ御理解いただきたい。そしてその上で、着実に公共事業が実施できるような体制にしていきたいと思っております。
 一方で、今痛みの例としてその経済に与える効果、それから離・転職者の数もございました。今、昨年6月に雇用対策局を立ち上げまして、雇用対策に全庁を挙げて取り組んで、効果が着実に出てきている段階でございますので、そうした離・転職者の皆様方への就職、そして雇用の問題には、一方で全力で取り組んでいきたいと考えているところでございますので、ぜひ、今回の予算の考え方、内容について御理解いただければと考えております。

〇佐藤正春委員 毎日、毎日、建設業者がつぶれているんですよ。もう10社つぶれている。もう99億円の損失を出しているの。自殺者も出しているんですよ。痛み、痛みと言っている暇はないんですよ。そこをひとつ忘れないでくださいね。
 さて、それからもう一つ伺います。
 先般、一関市にあるNEC東北が現800人を500人にリストラすると発表いたしました。私はここに工場建設にかかわる協定書を持っています。昭和45年5月29日付、一関市長、千田知事、小林宏治社長が署名捺印しております。従業員は最終4、000人と約束しておるが、4、000人になったことがない。最初からほら吹きだ。
 土地提供者優先採用の条件で美田を坪8、667円で売買、提供いたしました。この土地は現在20万円しております。その土地をとられた上に首切りということになると、悪徳土地会社がやることになりませんか。NECというのは大した立派な会社だと思ったが、これはひどい会社だ。積極的に支援した県の責任はどうなっているんですか。
 もと地主は協定書に違反しているから返還要求の訴訟を起こす、こう準備しております。県ではどのように支援いたしますか、見解を。
 次に、むだ遣い2件。知事は県立病院の開設責任者であるので伺います。
 医療局のおごりとたかりの体質は、赤字対策で大変な今もまだ直っていない。昨年の決算特別委員会で追及した領収書のないお見舞い、せんべつ、お歳暮、寄附、私の調査では、相手はもらっていないと言っている。これは切手が張られていませんね。職員が猫ばばしたんじゃないでしょうか。
 もう一つは、昨年12月15日、磐井病院の着工安全祈願祭が一関市でございました。直会が市内のホテルで行われました。テーブルは三つ、あとは立ち席。テーブルにはゼネコンの親方らしい人と県の幹部、議員が座りました。大切な地権者はどこにもおりません。料理は1人5、000円と記念品がつきました。こんなことをやっているのは医療局だけじゃないですか。あなたは開設者ですよ。この経費はどこから出したんですか。私はあきれて話にならない。
 その後あわてて、業者からは会費を集めて自主的に参加したというような隠ぺい工作まで行われている。これは事実ですか、調べましたか。
 また、地元経済活性化のため、地元下請業者、県内での資材納入を約束した医療局の配慮は全く守られていない。よく調査した上で対処していただきたい。
 私は、知事の公費による海外視察は大いに結構。問題は、本県にとっていかなる県益があるのか、また、その効果の継続性についての県民の判断でございます。いわば、公費による観光旅行にはならないのかということです。
 昨年11月2日、3日、中国の杭州市において日中中小企業技術製品交流懇談会。無錫市第5回日中韓3カ国地方政府交流シンポジウム。7、8日、上海東北フェア。10日、シンガポール、北海道・北東北3県事務所開所式。平成14年度北海道・北東北3県のソウル事務所開所式。平成15年8月3日、アメリカ・ローリー市のすしレストラン、参加者、これはたった80人しか来なかった。たったの80人。酒の売り込みですね。平成11年5月、ペルー大統領と面談、南部鉄器の技術。平成11年9月1日、オーストラリアメルボルン大丸、第1回岩手フェア。平成9年5月、ハンガリー共和国訪問、商工観光大臣と面談、岩手フェアの開設を約束。
 知事のおっしゃる費用対効果はどうなっているんですか。何ぼ費用がかかって、今まで岩手県からの輸出額、貿易額はどうなっているんですか。こんなに力を入れて一生懸命やった割合に、その効果はどうなっているんですか。これをお伺いしたい。

〇増田知事 まず、NEC東北の関係でございますが、今回、NEC東北の方から、会社の経営の方針を変えるということで県の方に話があったわけでございますけれども、そのことで、800人から500人に縮小するという話を聞いたところでございます。これは、今委員がお話になりましたように、工場建設当時の協定がございまして、その数値とは確かに大きくかけ離れているといったような事実がございます。
 そのときに、この協定書をどう考えるかということでございますけれども、これはNEC、一関市、それから県も、知事として入って交わしておりますが、相互が誠意を持って遵守すべき努力義務であるという性格を持った協定書と考えておりまして、企業が進出した際に、こうした協定書をNEC以外にも交わすわけでございますが、その法的な効果は努力義務ということで、NEC東北が現在まで一関市あるいは県南地域に果たしてきた役割を考えたときには、協定に盛り込まれておりますこの努力義務につきましても、おおむね履行されているものと考えているところでございます。
 いずれにしても、今回リストラによりまして配置転換等を余儀なくされているわけでございますので、県の方では会社に対して、このNEC東北が一関市でずっとこれからも長く事業を継続するように、そして、今この中に盛り込まれております従業員対策に万全を尽くすように強く向こうに要請したところでございまして、これからそうした従業員対策が十二分に行われることと、それから、その一関市の地でのこれからの継続した事業活動というものを期待しております。
 2月27日に、県の方でも入りまして雇用対策の会議を開催しているわけでございますが、これからも、このNEC東北の雇用対策には万全を期するようにしていきたいと考えております。
 それから、県立病院の関係でございまして、幾つか御指摘がございました。
 まず、見舞いやせんべつ、歳暮等の支出でございますけれども、これは、社会通念上は領収書を徴するものではないものでございまして、局の中では、財務規程に基づいて資金前渡ということで職員に渡して、そして支払い後に速やかに所属長が確認、こういう一連の手続で行っておりまして、局長が適正に処理しているものと思っておりますが、やはりこういうやり方を続けているのでは県民の理解が十二分に得られないであろう、こういった形はやはり廃止すべきではないかということで、昨年、そうしたやり方については廃止したところでございます。
 それから、もう一つ、磐井病院、南光病院の着工安全祈願祭について御指摘等がございました。これについては、こうした一連の事務すべて医療局の事務でございますので、局長の権限と責任のもとで判断されるべきものでございますので、私の方でも局長から説明を受けたわけでございます。この安全祈願祭、それから、その後の直会でございますけれども、主催者がおりまして、その主催者からの招待という立場で、医療局からは局長以下職員、それから磐井病院と南光病院からは両病院長以下職員が招待という形で出席した。日付は、委員お話ございましたように、昨年の12月15日ということでございます。
 趣旨は、工事の円滑な進行と安全を主催者とともに願うということで出席したということで、この直会の方につきましては、別途、市内のホテルで行われたようでございますが、これは主催者の負担で行われまして、飲食経費、それから記念品がついていたようでございます。記念品代相当額につきましては、医療局長、病院長については交際費から公費支出、それ以外の関係職員については、参加する、参加しないは当然自主的な判断でございますが、職員の方でも自主的に参加したいということで、それは職員の判断で主催者に額を支払ったということだと報告を受けました。
 今申し上げましたような状況で職員等が、それから局長が出席しているわけでございますけれども、今、医療局の方がそうした事実について隠ぺい工作を行ったのではないかといったような御質問もございましたが、会費等がどのようになっているか、1人当たりの飲食経費、それから記念品代の金額はどの程度のものかということで、主催者の方に医療局の方から確認したようでございまして、それを確認して、相当する金額を支払ったということでございます。そして、そういった今お話のような、医療局の方でこうしたことを隠ぺいするような事実は一切ないと医療局長から報告を受けているところでございます。
 それから、最後の私の海外出張の費用対効果がどうなっているかということでございましたが、今お尋ねございました、列挙されました9回の海外出張でございますが、それにつきましての私の出張旅費が9回分で502万1、000円でございます。502万1、000円でございます。9回分でございます。
 それで、こうしたそれぞれの出張でございますが、目的等も大分それぞれ違うわけでございますが、いずれにいたしましても、海外との経済交流はこれからも戦略を持って進めていく必要がある。特に、これからの産業強化のために、そうした戦略を持って進めていく必要があるということと、また、そのための拠点として海外事務所なども設置して、大いにその事務所設置をPRする必要があるということで考えているものでございます。
 その中で、知事の役割は、民間ベースでの交流のきっかけづくり、あるいは県内企業と海外企業との橋渡しということで、ある時期に来ましたら、それを、そういったきっかけを通じて、呼び水として民間企業のそれぞれの企業活動の中にスムーズに移行させて、そして県内経済のパイを大きくしていくということにつながっていけばと思っております。したがいまして、こうした観点からトップセールスや折衝など、必要な場面では私もみずから対応していく必要があるものと考えております。
 今、岩手県からの輸出額や貿易額がどうなっているかということでございますが、その後、民間ベースで、そうした民間の商談の中で相手先に輸出をしているものとか、さまざまなものがあるようでございますけれども、そうした個々の企業活動については十二分に把握してございません。考え方として、今申し上げましたような考え方で、今後も必要な場面では、私も費用対効果といいますか、その効果の部分を十二分に考えながら対応していきたいと考えております。

〇佐藤正春委員 今まで知事がおっしゃっているように、県民に痛みを求めてと言いながら、この医療局の今度の祝賀会、知事の海外旅行はむだですよ。むだなことをみずからやっているでしょう。そのことを申し上げている。
 NECの努力義務、努力目標というのは、知事もそう思いますか、知事からはっきりおっしゃってください。NECが今日、協定書にある努力義務を果たしているかどうかということ。
 それから、今の医療局の祝賀会の主催者というのはだれなんですか。いいですか、これは私も出席しているんですよ。余り派手だから、一体これは料理何ぼやと聞いたら、5、000円だというんだ。このお引物というのは見なかったけれどもね。それは医療局に返したから、おれは見ないでしまった。こういうことをだれがやっているのか知らないけれども、肝心な地権者は一人もいない。こういうむだをやっているということを実は申し上げているわけですよ。こういうことをきちんとやった後に、そして県民に痛みを求めるというのならともかく、自分らだけいい思いをして、ほいほいやっているようじゃ、しようがないじゃないですか。これの主催者はだれなんですか、相当かかっていますよ。
 その後で、今度ある業者が来て、医療局を通じて領収書を集めに来た、一体何のことだと、こうだ。おれのところには来ないからね。これは隠ぺい工作が行われている。こういうことをきちんと、今おわかりになるなら答えてください。後で、各部局のときにまた質問いたしますから。
 そういうようなことでございまして、この旅行などもそうでございますが、知事はことしもヨーロッパ旅行に行くそうですな。どういう目的で行くんですか、幾らかかるんですか、これも含めてひとつお伺いしたい。

〇増田知事 まず、わかる範囲で申し上げたいと思いますけれども、NEC東北の関係でございますが、これは、雇用の人数で言いますと、この協定書の中に4、000人ですか、大きな数字が書かれているというお話でございましたが、今まで従業員数、ピーク時で2、000名弱、しかし、売上高については1、350億円ほどということで県内有数の企業でございまして、地域、特に県南地域の経済活動をリードする中核企業ということでございましたので、地域発展に大変大きな貢献をしてきたと考えております。
 この協定上の会社の義務で、最終従業員3、000から4、000人と書いているようでございますが、そうした個々の数字から見ますと、今回500人まで縮小されますので、割り切れない部分も確かにございます。
 あそこで電話交換器を製造してございましたが、今の時代の変化の中で、随分電話交換器が携帯電話の方に切りかわっていったと。技術革新等もございまして、生き残りをかけていく上で、企業の方もいろいろ経営形態を変えていくということも一方でございますので、やはりこうした協定上の数字、特に従業員数についてはかけ離れておりますが、会社の方としても、私は、できる限り誠実な努力をしてこられたのではないかと判断して、先ほどのようなことを申し上げたわけでございます。
 これから、当然今回の問題については県としても、この従業員対策なり、それから、今後の会社の継続について県としての立場でしっかりしたことを申し上げていきたいと思っておりますが、こうしたNEC東北の今日までの貢献については、やはりそこの点については認めていかなければならないものと考えているものでございます。
 それから、県立病院の磐井・南光の着工安全祈願祭等の方でございますが、これはまた医療局の方に後で私も詳しく聞いておきたいと思いますが、主催者の名前、全部は承知してございませんけれども、建設に携わる建設会社などが集まって、そして主催をしたと。それで、幹事社を決めまして、そこでこの会を催したと聞いておりまして、全部の主催者のメンバーは私、ここに、手元に資料を持ってございません。至急医療局の方に言いまして、また部局審査なり何なりのときにきちんとしたものをお出ししたいと指示をしておきたいと思います。
 それから、私のことしの海外に行く予定でございますが、まだ十二分に検討してございませんけれども、今、ヨーロッパとお話がございましたので、恐らく6月の初めに、バイオマスエネルギーですとか自然エネルギーについての国際会議があると聞いておりますので、それについて今、どういう内容になっているのか検討させております。これは、まだ来年度のことでございますので私の方でも決めてございませんけれども、内容をよく見た上で判断していきたいと考えております。

〇佐藤正春委員 主催者のない祝賀って一体あるんですか。今言う建設会社が主催したなら、たかりですね、それじゃ。医療局は建設会社に行ってたかってきたわけだ。これははっきりおっしゃってください。
 それから、知事はことしまた視察に行くようでございますが、いわゆる私が聞いているのは、費用対効果は知事が行くことによって、それはあるかと思いますよ。ただ、そのことによって、本当に輸出額、貿易額というのがどのくらいあるんだということを聞いているんですよ。これはないでしょう、私も調べたけれども。ハンガリーだの、ペルーだの何だの随分行ってきたけれども、何かあったんですか。岩手県から出しているんですか。そのことを聞いているんですよ。
 あなたが行くのはいいですよ、あなたの顔で行くんだから。その結果、岩手県においてそれだけの経済効果があったのかどうか、輸出入があったのかどうか、そこのことを聞いているんですよ。今、そのことがおわかりなら、ひとつお答えいただきたいと思います。
 あと時間だから、また余りがんがん言うとあれだから、この後言うからね。

〇増田知事 この県立病院の磐井・南光病院の直会とか着工安全祈願祭ですが、手元の資料で、主催者の中に幹事社というのがいて、熊谷組がその幹事社であって、そこでやられているとなっておりますけれども、これは幹事社と書いていますから、それ以外に恐らく主催者として構成しているメンバーがいるんだろうと思います。
 そこの全体について把握してございませんけれども、私は、やはりこうした儀式などについて、安全祈願祭と一連のものとして行われているということでございますので、その時期が微妙なところもものによってあるかもしれませんが、普通、どういった形で行われるか事前に聞きまして、部局によっては、安全祈願祭だけで、あと飲食の伴うようなものは辞退して、出席を控えるといったようなことがございます。やはりこうしたことについて十二分な、慎重な行動が必要であったんだろうと思っているところでございます。
 それから、輸出入の方の効果についてでございますが、これはマクロの数字しか今ございませんで、本県の貿易額でございますが、輸出が1、600億円、輸入360億円という数字でございます。
 御質問の御趣旨が、今お話になった九つの例示がございましたけれども、そういった九つの中には、ペルーのように技術研修を向上するという、いわば草の根交流のような立場で行っているようなものもございますので、そうしたものは直接、すぐには輸出入、貿易効果などには結びつかないものだろうと思います。
 それから、先ほどノースカロライナの例がございました酒の関係でございますが、これは、その後、今4社ほどが向こうの方に酒の販売に結びつけて、そして、県内の酒造メーカーがそのことをきっかけにして酒の向こうへの輸出に確実につながったという報告を受けております。州内4店舗、四つのところで地酒が販売される。南部美人などが、また今月も行くようでございますが、そういうことでつながってきておりましたり、あと、JICAのLL事業の方に家具の交流ということで引き継ぎましたので、その中でこれから両者の家具を通じての交流事業で、これは、当然のことながら次の商業ベースでの効果に結びつけることを念頭に行っております。
 物によってそうした効果がこれから生ずるもの、それから、そういう効果が既に生じているものもございます。目的によって事業はさまざまでございますけれども、今、委員の御指摘もございますし、なお一層十二分に精査をして、こういった問題に取り組んでいくべきものと考えているところでございます。

〇佐藤正春委員 知事、その祝賀会、何で名前を隠していたの。主催者はわかっているんじゃないですか。何か熊谷組と関係あるの。何か後ろ暗いところがあるんじゃないですか。関係がなかったら何でおっしゃらないんですか。そういうことをやっていて、県民に痛みを求めるって、そのことがおかしいじゃないかと言っているんだよ。何で、関係あるんですか。

〇増田知事 失礼いたしました。幹事社の名前が書いているところをなかなか見つけられなくて、大変失礼いたしました。
 「主催者の幹事社(熊谷組)」ですから、それ以外にまだ主催者として多くの会社がいるのではないかと思うわけでございますが、佐藤県議から返還でお預かりしたものは、そちらの主催者の方に返したということで、今ちょっと、それをどこに書いてあったか見つけましたので申し上げたものでございます。
 なお、主催者としてそれ以外の企業が入っているものだろうと思いますので、医療局の方にしっかりと調べさせて、また資料を提出いたしたいと思います。

〇佐藤正春委員 委員長、質問は終わったけれども、議事進行について。
 ただいまの知事の答弁、あるいは本会議における一般質問の答弁を聞いても、まだ今回の予算議会に対する説明責任がなされていない。ほかの議員さん方もみんな聞いているんだ。
 それから、もう一つは、この行財政構造改革のプログラムというのがあるんですが、これの見通しだってはっきりしない。御本人も、市町村に対する県単の補助についてはこれから話し合っていく、あるいは地方振興局を通じて県民に理解してもらう、こうは言っているの。例えば、雇用の受け入れでも、全然なっていない。きちんとした答弁がなされていない。
 どうぞひとつ委員長、もう一度知事を本委員会に呼んでいただいて、もう少し詳しく質問いたしたい。ときどき、うそを言うわけじゃないけれども、知事もこのごろ答弁が上手になったおんな、はぐらかして。委員長、ひとつお願いいたします。
 以上をもって私の質問を終わります。御協力ありがとう。(拍手)

〇照井昭二副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時58分 休 憩
 
   午後3時18分 再 開

〇吉田昭彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。瀬川滋委員。
   〔瀬川滋委員質問者席に着く〕(拍手)

〇瀬川滋委員 政和会の瀬川滋でございます。
 政和会を代表いたしまして総括質疑をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 順次質問いたしますが、先ほど来の質問とダブるところがあると思いますけれども、よろしく御答弁お願いいたします。
 まず初めに、財政問題についてお伺いいたします。
 国は、公共投資を多少削減いたしておりますが、政府活動のための人件費や事務費に支出する政府最終消費は、景気が低迷をしているにもかかわらず逆に増加しておるような状態でございます。99年度が83兆3、000億円余、2003年度が91兆2、000億円という数字になっております。また、政府が政策に使う経費、一般歳出でございますけれども、2004年度予算で、わずかではありますが0.1%の増加になっております。このような国のやり方に対しまして、全国知事会の梶原会長は、地方の行政改革に比べ国の行革がどれだけ進んでいるのかをチェックする研究会や国の過剰関与撤廃をテーマとした研究会を立ち上げていくと発言して闘う姿勢を鮮明にいたしているところでございます。
 このことについて、増田知事のお考えも同じだと思います。今後、どのような活動をなされていくのかお伺いいたします。
 また、国と地方が激論を交わす立場で、知事の孤軍奮闘も大変だと思います。地方分権を推進するに当たり、県選出国会議員とどのような話し合いをし、連携をとっているのかお伺いいたします。

〇増田知事 国の方での行財政改革がしっかりと行われているかどうか、逆に言うとむだ遣いがまだあるのではないか、そういったことについて点検、評価を行うべきではないか、こういう声がございまして、国の行財政改革評価研究会というものを知事会の中につくりまして、そこで今申し上げましたような点をしっかりと点検、評価をしたい、こういうことで今動いております。そうした研究会や、それから過剰関与についての研究会などを含めまして、具体例をできるだけ挙げて国民の皆さん方に公表し、国に対して実効性ある改革を求めていくことが必要と思っておりまして、今後、そうした具体例をできるだけ私どもの方から突きつけて、そして、国、地方を通じた財政再建を進めていきたい、このように考えております。
 それから、県選出の国会議員の皆さん方には、こうした問題について十二分に御理解いただいていると理解しておりますが、私も昨年の暮れに県の選出国会議員のところにお伺いしていろいろお話し申し上げてきたり、あるいは年が改まりましてからも、三位一体改革の初年度の効果がこういう形で地方の予算編成などにいろいろな影を落としているといったようなことを申し上げる場がございました。今後とも、こうした県選出の国会議員の先生方とは密接な連携を図りながら、岩手県にとって意味のある三位一体改革の推進に向けて努力をしていきたい、このように考えております。

〇瀬川滋委員 地方分権の立場で、知事といたしまして、国に対して重きを置く場合、やはり政党のマニフェストというものを大事にしようと考えているのかお伺いいたします。

〇増田知事 各政党が昨年の総選挙のときにマニフェストを発表されました。そして、それにのっとった形で、今、政府の方もそのマニフェストの実現ということで政策をつくりまして動いているはずでございます。したがいまして、政党が掲げておりますマニフェストがどのような形で政府の政策の中に取り込まれたのか、そしてまた、その上で実行されたのかということをしっかりといろいろな広い立場で検証していく必要があるだろうと思いますし、その前提としては、そのマニフェストに掲げた政策に重きを置いて、そして政府の動き、国政というものを見ていく必要がある、こういうふうに考えております。したがいまして、マニフェストを重要視し、そして、その内容については、ことしの前半にも仲間の知事と評価をする場をつくりまして内容を検証していきたい。それからまた、次に参議院の選挙がございますので、そのときの各政党の公約の中にもそうした検証の結果をうまく反映できないかということで活動していきたいと思っております。

〇瀬川滋委員 次に、プライマリーバランスについてお伺いいたします。
 経済財政諮問会議がまとめた構造改革と経済・財政の中期展望によりますと、2010年代初頭に黒字化を達成することを目標に掲げております。県は、今回の中期財政見通しのローリングを踏まえ、今後の県債発行額と県債元金償還額を推計すると、2006年度にプライマリーバランスの均衡を達成できる見込みとのことであります。政府のプライマリーバランスの黒字化と岩手県のプライマリーバランスの均衡の違いを教えていただきたいと思います。
 また、プライマリーバランスの均衡は、みずから受益している分――建設公債のようなものだと思いますけれども――についても応分の負担をせずに次世代に先送りしていることになるわけでありますが、プライマリーバランスの均衡の達成が予算編成の一つの目安となるのかお伺いいたします。

〇時澤総務部長 まず、国の予算で言っておりますプライマリーバランスでございますが、これは、元金も利払いも含めました国債費を除きました歳出が国債発行額以外の収入で賄われているかどうかということを示すものでありまして、均衡している状態は、その年の国民生活に必要な財政支出とその年の国民の税負担がちょうど等しいということをあらわしているものでございまして、黒字の場合には国の借金が減ることを示しているものでございます。現在、非常に国債残高が急増しておりまして、プライマリーバランスは大幅な赤字になっております。
 国は、そういったプライマリーバランスの均衡を国債の発行額と元金プラス利払いとの均衡と申しておりますが、本県で用いておりますプライマリーバランスは、新規の県債発行額と県債の元金額――利払いは除いております――を比較しての均衡ということでございます。これは、多額となっております県債残高を減らしていこうということでございまして、基本的な考え方は国と同じでございますが、国の場合には、発行額に対しまして償還額の方に利払いを含めております。したがいまして、たとえ均衡がとれましても、利払い分だけ国債の残高が増加するということがございます。県で目指しておりますのは、やはり多額になっている県債残高を減らすということが重要と考えておりますので、本県独自のプライマリーバランスというものを考えまして、県債残高を減らして公債費の縮減を図る、そのことによりまして将来の世代に過大な負担を残すことがないような財政構造を構築したいということでこのような考え方をとっているものでございまして、18年度までにプライマリーバランスの均衡、そして黒字化ということを目標に掲げているものでございます。

〇瀬川滋委員 考え方はわかりましたけれども、そうすると、利払いの分が一般歳出に食い込んでいるような格好になると考えていいわけですか。

〇時澤総務部長 国の場合には利払い分を元金の方に充てておりますので、たとえ均衡がとれたとしても国債残高はふえている。国の場合にはGDP対比というものを考えておりまして、利払いにつきまして、名目のGDP成長率が名目の利子率に等しければ対GDPに対しての国債残高はふえないということからこのような考え方をとっております。国は、そういういろいろな経済政策のツールがありますので、GDPの中で国債がふえないようにということも一つの視点でこのような考え方をとっておりますが、県の場合にはそのようなことではなくて、やはり実額としての県債の残高を減らしていきたいということからこのような手法をとったものでございます。
 したがいまして、プライマリーバランスが黒字となりますと、過去からの借金も先送りせずに返していって、現年度での、家計でいいますと生活費に当たる部分も借金もしないでだんだん借金が減少していくということを示しているものでございます。

〇瀬川滋委員 そうすると、地方交付税で措置される県債、それはどのように見ればいいわけですか。財政の均衡というか、18年度のプライマリーバランスを達成するときに、やはりそれを含めてしっかり考えていくという考え方でいいんでしょうか。

〇時澤総務部長 地方交付税につきましては、交付税で措置される地方債は二つありまして、政府資金の場合には、実際に発行した額に対応する形での償還が交付税上保障されるわけでありますが、銀行等引受債のようなものにつきましては、理論償還ということで、実際借り受けた額に対応するというよりも、幾ら許可したからということに対して理論的にこのぐらいかかっているだろうということを措置しているものでありまして、例えば、本県につきましては、平成11年度から徐々に償還額を伸ばしてきて、現在では20年で発行しておりますけれども、交付税上は平成11年度から20年償還分を理論的に入れておりますので、必ずしも実際の県の償還と交付税措置がリンクしているものではございません。そのすき間がございますので、今回そのすき間を埋めることを限度に借換債というものも発行して交付税との整合性もとっていこうというのが今回の借換債の趣旨の一つでもございます。

〇瀬川滋委員 次に、経営戦略事業調整費についてお伺いいたします。
 事務事業評価を平成9年度に、公共事業評価は平成10年度から実施されております。事業の客観性、透明性が情報公開されており、県民にわかりやすい事業展開の仕組みができてまいりました。それが予算編成に反映されており、成果が出てきたものと評価いたします。
 知事は、誇れるいわて40の政策に県民の要望を広く取り上げ、公約の実現に向け努力されております。反面、岩手県の目指す将来像が総花的との御指摘もあります。今回、経営戦略事業調整費の創設は、増田知事のリーダーシップと個性を発揮する政策プロジェクト形成の芽出しの部分と考えていいものでしょうかお伺いいたします。
 また、政策形成プロジェクト枠の中に入る事業の創造と厳選が一段と必要になってくると思いますが、市町村、各種団体、民間からの提言をどのように取り扱うのかお伺いいたします。

〇増田知事 経営戦略事業調整費ですけれども、このねらいとするところは、今、委員の方からお話ございましたとおり、将来を見据えて、モデル的に進める課題、それから先導的に進める課題などに戦略的かつ迅速に対応できるように創設したものでございまして、いわばトップである私の考えを予算に迅速に反映させるための一つの調整費、このような考え方をとってございます。
 この政策形成プロジェクト全体にも各部局が現場の意見や考え方を十二分に反映できるように配慮したつもりでございまして、市町村、各種団体、民間からの提言をできるだけ各部局や私自身も直接つかみながら予算に反映させていくことがこれからも一層必要になってくると思いますので、できるだけ予算の基本的な立案段階からそのようなことに取り組んでいきたい。今回、市町村の方の要望等も非常に強かったものですから、一番最後の段階になってこの経営戦略事業調整費の枠も使いまして市町村総合補助金を上積みをしたところでございますけれども、これからは、基本的な立案段階から市町村、各種団体や民間の皆さん方からの声に十二分に耳を傾けながら実現していく、そういう予算編成の進め方にも配慮していきたい、そのように考えております。

〇瀬川滋委員 今、市町村とか各種団体からの取り扱い、提言は入っていましたね。
 くしくも平成16年度予算規模は、増田知事が就任した平成7年度6月現計とほぼ同じ水準とのことであります。予算の増減率を県予算と地方財政計画を比較いたしますと、一般歳出でマイナス6%の開きがあります。これは、今までの説明で、東北新幹線、県立大学等の岩手県としてやらなければならない事業の山があったからと認識いたしております。
 平成16年度の普通建設事業費は、前年度6月現計予算額と比較してマイナス313億1、700万円、マイナス15.7%の大幅な減少であり、その主なものは、圃場整備事業、空港整備事業、地方特定道路整備事業であります。今後、公共事業は、国の経済対策が始まる以前、平成3年度以前の水準に戻すことを目安にその投資規模の適正化を図るとありますが、公共事業の必要性をどのように認識されておりますかお伺いいたします。あわせて、平成3年度の普通建設事業費と公共事業費の決算額を教えてください。
 また、花巻空港新ターミナルビル整備の完了年度の繰り延べとあります。このことにつきましては、地元地権者の皆様の心情は複雑であります。今後の財政状況に左右されることなく確実に完成するものと思いますが、いかがでしょうかお伺いいたします。

〇増田知事 公共事業の必要性の認識について私の方からお答え申し上げたいと思います。
 公共事業について、事業量を縮小せざるを得ない段階に今来ておりますけれども、その中で、快適な生活環境や安全・安心を確保するための分野――下水道ですとか防災施設整備の分野などでございますが――あるいは交流・連携を促進するための交通ネットワーク整備、それから、農業の関係では担い手育成に向けた圃場整備など、こうした社会資本整備は、これからの公共事業の中でもやはり重要度の高い分野と理解しております。
 公共事業評価制度をつくりましたので、その評価制度を運用する中で事業の選択と集中をして、県民にとって真に必要な事業に重点化を図っていくことがこれからの時代必要でございますが、そうした上で、公共事業の着実な実施により、良質で効率的な社会資本の整備を着実に推進していきたい、このように考えております。

〇竹内副知事 花巻空港についてお答えいたします。
 滑走路の2、500メートルへの延長は、当初の予定どおり平成17年3月に供用開始を目指すことといたしておりますが、県の行財政構造改革プログラムや財政の状況等を慎重に勘案した結果、新空港ターミナルビルの整備につきましては、従来の事業期間を延長して供用予定を2年間繰り延べることとしたところでございます。したがいまして、新空港ターミナルビルの整備につきましては、なお今後の県の財政状況や国の予算動向を見きわめながら、平成19年度には完成をさせるように鋭意努めてまいりたいと考えております。

〇時澤総務部長 平成3年度一般会計ベースでございますが、普通建設事業の決算額2、119億円余、うち公共事業費につきましては1、653億円余となっております。

〇瀬川滋委員 増田知事は、平成16年度予算を自立に向けた構造改革予算と申しております。小泉内閣が進めようとしている郵政の民営化、道路公団の民営化等を構造改革とするならば、知事は、岩手県の構造改革をどのようにとらえ、進めていくのかお伺いいたします。また、これまでどのように取り組んできたのか、県立大学の独立法人化及び出資法人の見直し等を含めて考えをお示しいただきたいと思います。
 自立についてでありますが、歳出を身の丈に合った規模に縮小してもスローライフを心豊かに楽しむ方法もあると思いますが、私は、財政力指数の向上と経常収支比率の改善に資する積極的な施策が必要と思います。本県の財政力指数は、平成3年度の0.256から一定の伸びを示し、平成10年度には0.307となりましたが、それ以後は県税収入の低迷などにより年々低下いたしております。このことは、県財政の普通交付税への依存が高まっており、自立とはほど遠い姿であります。同じように経常収支比率の推移を見ると、平成2年度の66.4%を下限に年々増加し、地方税の減収と公債費充当一般財源の増により、平成14年度では93.1%に達しております。知事は、自立を目指す先をどのように考えておられるのかお伺いいたします。

〇増田知事 県の構造改革の考え方ですが、行財政構造改革プログラムの中で、官から民へという考え方のもとに、官と民との適切な役割分担や、分野によりましては官民協働化を進めることとしてございます。民間にできることは民間にという国の方の構造改革の考え方もございますけれども、今、委員からお話ございましたように、郵政や道路公団がああいう形で変わっていこうとしているわけでございますけれども、こちらは適切な役割分担、官民協働化という考え方にのっとって、例えば、来年度からでございますが、主に国内を対象とした観光宣伝業務につきましては、財団法人岩手県観光協会に県の業務の大半を移す、また、県立衛生学院歯科衛生学科の運営業務は岩手医科大学にそれぞれ移管することになりまして、より事業目的が適切に実施されるようにしていくこととしております。
 県の出資法人については、当委員会でも先ほど申し上げましたけれども、これについても改革を今進めておりまして、民間と競合する業務分野からは撤退して民間の方にゆだねる、それから、公の施設で管理運営を委託している出資法人などについては、これは、そういう法人ではなくて、もうそろそろ民間への委託を進めるといったようなことをこれからさらに進めていきたいと考えております。
 また、地方の独立行政法人化でございますけれども、これは、県立大学につきまして、今、スケジュールに乗せて移行に向けて業務を進めてございますけれども、そうした地方独立行政法人化がまた民営化に近い効果を期待できるわけでございますので、これは、県の各機関の法人化につきましてもこれから検討を進めていきたい、このように考えております。
 こうしたことによりまして県の財政を自立させたいと考えているわけでございますが、そのためには、今、委員の方からお話がございましたように、財政状況、それから各指標も悪化しているわけでございますので、その場合に、特に経済的に自立をするための地域の経済力を高める、そして、自前の安定的な財源を確保することがぜひとも必要でございます。農林水産業、そして、北上川流域での自動車産業を中心とするものづくり産業ですとか、あるいは新しい技術を使いました新産業の創出、さらには観光を初めさまざまなコミュニティ・ビジネス分野など、1次産業から3次産業までしっかりとした産業育成策をとることによりまして、こうした地域の経済力を一層高めていきたい。本当に中央に依存しない、精神的にも経済的にも自立した岩手の姿というのをしっかりとその先に見据えて、そうした自立に向けて進んでいきたいと考えているところでございます。

〇瀬川滋委員 次に、複数年度契約の導入についてお伺いいたします。
 情報システム構築から管理運営に係る複数年度契約は時宜を得た方法だと思います。西口複合施設の情報システム整備に導入とのことでありますが、ライフサイクルコストを含めた事業内容と契約の方法及び導入効果についてお伺いいたします。
 あわせて、今後も情報システム構築等に係る複数年度契約を積極的に導入してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

〇大沼地域振興部長 駅西口複合施設情報システム整備事業でありますが、この施設が多くの県民に利用され、安全で使いやすいものとするため、県民サービスに関する各種情報を提供すると同時に、施設の予約の受け付けあるいは来館者の案内、さらには緊急時の避難誘導等を行う情報システムを構築するものであります。
 この契約の方法でありますが、16年度に情報システム整備に係るシステムの設計、開発及び保守管理業務を包括的に発注することといたしまして、事業者の選定に当たっては、価格のみならず、システムの使いやすさなどを勘案して複数年度契約を締結しようとするものであります。
 この効果でありますが、本県といたしましては初めてのケースでありますのではっきりとは申し上げかねますが、システム設計から保守管理までのライフサイクルコストベースでの価格評価ができますので、長期的な視点に立ったコスト管理が可能となると同時に、各年度間の事務手続の軽減が期待されます。こうした効果を期待しているものであります。
 それから、複数年度契約を積極的に導入してはどうかというお尋ねでございましたが、これまでの単年度契約の場合ですと、システムの当初開発そのものは低価格で落札したといたしましても、その後の改修等を高値で請け負って、結局、システムのライフサイクル全体でとらえた場合、必ずしも安くはならないといった例が他県ではあると聞いております。複数年度契約の場合ですと、システムのライフサイクル全体での契約となりますので、こういった弊害を避けるメリットがあるものと考えております。ただし、その一方、IT分野におきましては、ハード面、ソフト面とも日々の技術革新が非常に著しいものがございます。同じ能力の機械あるいは処理でありましても、数年経過いたしますと著しく価格が変動する例もありますので、長期的な価格の見積もりが困難といった側面もございます。
 今回の複合施設のシステムでありますが、その機能が特定された変動の少ないシステムでありまして、ほかの情報システムとの機能連携もほとんどありませんし、価格変動の影響を受けるおそれが少ないということから複数年度契約を行おうとしたものであります。そのほかの情報システムの導入につきましては、複合施設の情報システムの契約状況あるいはほかの団体等における動向を踏まえながら今後検討していきたいと考えております。

〇瀬川滋委員 次に、質の高い県民医療の基盤整備についてお伺いいたします。
 花巻厚生病院と北上病院の統合病院が構想に沿って建設されることになり、統合を進めた一人として感謝を申し上げます。
 がんの診断、治療についてであります。御案内のとおり、がんは1981年――昭和56年より日本人の死因の第1位で、死亡総数に占める割合は31.0%に上ります。高齢社会になってがんの脅威が増しており、がん患者の数は年々多くなっております。特に、働き盛りである40歳代、50歳代を境に急激にふえており、予防、早期発見が一層重要になってまいります。他県では、がん専門病院を開設し積極的に取り組んでおられるところもあるようです。本県におきまして、統合新病院をがん医療の先端病院にしていただきたいと思います。その一環として、CT、MRIや従来のシンチグラムと比べ、早期にがん発見の可能性が大きい陽電子断層撮影装置――PETというんだそうですが――の導入を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それから、統合新病院には緩和ケア病棟24床の設置が実現いたしました。花巻・北上地区では、この二、三年で在宅緩和ケアが急速に広がっております。がんになったときに患者さんが過ごしたい場所は、1番は自宅、2番が緩和ケア病棟であります。署名を行った8、000人市民の要望は、家に近い環境で終末期を穏やかに過ごすことができたらという願いです。ぜひ緩和ケア病棟は、本院とは独立もしくは本院に隣接した1階に建設することができないものでしょうかお伺いいたします。
 また、岩手労災病院の存続をお願いしているところであります。岩手中部保健医療圏内の一般療養病床は1、925であります。人口1万人当たりの県平均を少し下回っております。病院の廃止は、医療資源の低下をさらに進めることになります。既に新しい患者さんをほかの病院へ紹介する動きもあるようです。地域医療にじわじわと影響が出始めております。岩手労災病院は、新しい保健医療計画の中でどのような役割を担っているのでしょうか。また、その機能を明確にして存続を強く働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

〇竹内副知事 陽電子断層撮影装置、いわゆるPETと言われておりますが、これは、腫瘍の悪性度や転移、再発の診断、抗がん剤や放射線治療の効果判定などに活用されている機器と承知いたしております。
 このPETの導入に当たりましては、さまざまな課題がございます。その一つは、撮影装置のほかに造影剤を製造する設備、サイクロトロンを含めまして、整備費用が全体で相当高額なものになります。そしてもう一つは、ランニングコストに見合う患者数が年間2、000人以上、1日平均8人程度以上の確保が必要であることなどが課題となっております。したがいまして、本県におけるPETの導入につきましては、これらの課題への対応を含めまして、その導入のあり方について、県立病院だけではなく、大学病院、民間医療機関などとの連携を考慮しながら総合的な検討を行う必要があるものと考えております。
 それから、緩和ケア病棟の建設についてでございますが、総合新病院の緩和ケア病棟は、病床数を24床と設定いたしているところでございますが、現時点では、病院施設の中に一体として組み込むか、あるいは別棟にするかにつきましては検討の途上でございます。この別棟整備につきましては、まず、同一施設への組み込みと比べまして、より広い敷地が必要になります。そして、当然多くの建設コストがかさむことになります。さらには、職員、患者の移動距離の増加による負担増や物流動線が長くなることによる建物の維持管理など運営経費の増嵩が見込まれる課題がございます。このようなことから、他県の先進事例も参考にしながら総合的な検討が必要で、別棟になるかどうかについては今後早期に検討を進めてまいりたいと考えております。
 それから、労災病院の件ですが、岩手保健福祉計画は、平成16年度に見直しを行うことにいたしております。岩手中部保健医療圏における従来の計画では、24時間対応の二次救急医療機関としての機能を位置づけられておりましたが、今回の見直しに当たりましては、岩手労災病院が持つ特色や果たしている役割につきましても、地域保健医療協議会における議論を踏まえながら、新しい地域保健医療計画の中で検討してまいりたいと考えております。
 また、存続に関するお尋ねでございますが、県におきましては、平成15年10月に岩手労災病院のさらなる機能の充実を図るよう、厚生労働省及び労働福祉事業団に対して要望書を提出いたしております。病院の存続につきましては、単に現状のままで存続を要望するのではなく、病院の特色であるリハビリテーション医療、人工透析、振動障害の専門センターなど、地域にとって真に必要な機能を分析し、ポイントを絞って説得力のある要望を行う必要があると考えております。県といたしましても、何らかの形で存続できるよう、今後とも要請活動を行ってまいる考えでございます。

〇瀬川滋委員 労災病院の置かれている立場はよくわかりますけれども、そのこととは別に、新しい患者さんをほかの病院に紹介するからと、病院がなくなるのが決まっているような考えででしょうか、そんなことを言ってお医者さんが患者さんを受け付けていないという状況があるんだそうです。それで、病院長さんなんかに職場の方々がお話ししてもなかなか聞いてくれない。そういう現実、非常にお医者さんのモラルハザードにもつながると思うんですけれども、そういうことを改めてもらえるような、まあ、県立病院ではございませんので難しいかもしれませんが、どうにか対応できないものかお伺いいたします。

〇竹内副知事 ただいまのお話につきましては、お話がございましたとおり、県立病院ではないものですからなかなか難しい点がございますが、いろいろ地域の人たちの情報をお聞きしながら、どういうことができるのか内部で検討してまいりたいと思っております。

〇瀬川滋委員 次に、公益法人による航空機の購入と運航による東京便復活についてお伺いいたします。
 東京便が休止して久しくなります。東北新幹線の利便性に圧倒される勢いであります。しかしながら、国際化の波は一向に衰える気配はありません。本県でも、新年度の事業に国際経済推進事業、国際文化観光都市推進事業、いわて農林水産ブランド輸出促進事業を新規に盛り込み、積極的な対応をお考えのようであります。東京都内と羽田空港との利便性も向上し、横浜、千葉周辺のオフィス化も急速に進んでおります。観光、ビジネスの両面からも一刻も早い東京便の復活を望むものであります。
 空港整備特別会計と関係自治体の補助と政策投資銀行からの融資による機材購入と路線運営の方法があると聞いておりますが、その仕組みを教えてください。また、東京便復活への意気込みをお示しいただければ幸いです。

〇大沼地域振興部長 国におきます航空機購入制度ですが、離島路線に係るものについてはその制度がございますけれども、それ以外を対象としたものは現在ございません。この件につきまして、関係機関、地方公共団体、航空業界等で構成されております全国地域航空システム推進協議会の場におきまして都市間路線の小型機購入費補助制度を検討した経緯がございますが、制度スキームが検討未了であること、また、購入費が飛行機は非常に巨額でございまして、機体所有権あるいは運航責任等々の課題が山積しております。検討を現在も継続しているところと聞いております。したがいまして、国におきましては、現在、離島路線を除きましては制度創設されていない状況であります。
 それから、東京便復活の考えでありますが、御案内のとおり、羽田空港は国内交通ネットワーク上の拠点空港でありまして、首都圏はもちろんですが、全国との交流拡大を図る上で重要な路線であります。これまでも路線復活の要請を行っておりますが、東北新幹線との競合あるいは羽田空港の発着枠の問題等から極めて難しいとの回答を得ているところであります。
 また、羽田空港におきましては、現在60席以下の小型機への発着制限がなされておりまして、昨年6月にこの羽田空港乗り入れの可能性を探りまして、国に対して規制緩和の要望を行ったところでございます。現在、国におきましては、平成17年2月の発着枠の再配分に向けて懇談会を開催し、審議を行っていると聞いております。その次の見直しは平成21年でございまして、羽田空港の再拡張整備、要するに第4滑走路の工事完成のときでありますが、これに合わせまして発着枠の再配分を行うということを聞いてございまして、これに合わせまして大幅な増枠があるものと期待しているところであります。
 県といたしましては、今後とも、羽田空港の発着枠拡大あるいは航空会社の路線展開等の情報を収集いたしますが、県内における需要調査等を通じた航空需要を示しながら、引き続き航空会社への働きかけあるいは国への要望を行ってまいりたいと考えているところであります。

〇瀬川滋委員 次に、循環型地域社会形成推進事業についてお伺いいたします。
 持続可能な循環型社会を築いていくため、ゼロエミッション推進プロジェクトを初め、各般の施策を掲げ、御努力されておりますことに感謝を申し上げます。
 本県では、循環型地域社会の形成に関する条例が平成15年4月1日から施行になりました。以前からも動きがありましたが、企業の再生技術の研究開発と新しいリサイクル製品の市場調査、販売に弾みがつくものと期待されております。しかしながら、先進事業の採算性は非常に悪く、やればやるほど経営が苦しくなるという現実がございます。販売店、ユーザーの御理解をいただくには、どうしても行政の後押しが必要と考えます。幸い、条例の中に再生利用の促進が明記されております。条例施行後1年になりますが、県において、認定製品の購入及び使用状況はどのようになっているのかお示し願います。あわせて、民間での販売実績はどのくらいのものか教えてください。
 また、再生資源利用認定製品認定事業に関連して、認定商品が売れる仕組みをどのように考えているのかお伺いいたします。

〇竹内副知事 再生資源利用についてでございますが、御案内のように、昨年からJIS規格やエコマーク商品認定基準などを満たす品質や安全性等にすぐれたリサイクル製品を認定いたしております。この制度や認定品につきましては、まず、広く知っていただくことが必要だと考えておりまして、認定マークの制定や各種展示会の開催、マスコミへの情報提供などを行ってきたところでございます。現在は、これのPR用のパンフレットを作成中でございまして、これを市町村等の関係団体に配布することによりまして、広く県民の皆様や事業者等に周知してまいりたいと考えております。
 県におきましては、再生資源利用材を優先的に利用することを趣旨といたしまして、グリーン購入制度や県条例及びISO14001の運用などによって、これら製品を率先利用するよう努めているところでございます。
 それから、県の利用実績についてでございますが、毎年6月ごろまで前年度分を公表することといたしておりまして、今年度分につきましては、昨年11月時点での利用状況を中間調査した結果、8製品について延べ62公署で使用実績がございます。具体的な例といたしましては、紙製品、これは印刷用の紙ですが、13トン、それからトイレットペーパーが1万8、000個、間伐材を利用した道路側溝が178メートルなどとなっております。
 民間での販売実績につきましては、条例に基づく制定制度がスタートしてからまだ1年を経過していないこともございまして具体的には把握をしておりませんが、今後、状況を見ながら必要な調査を検討してまいりたいと考えております。
 なるべく使われるようにするためにはどういうふうにしたらいいかというお尋ねもございましたが、これは、先ほども申し上げましたように、この製品のPRに積極的に努めてまいりたいと考えてございます。

〇瀬川滋委員 森のトレー補助金返還問題についてお伺いいたします。
 今月2日の衆議院予算委員会農林水産分科会で会計検査院の重松第4検査局長は、今回の事態は、事業計画の実施段階で基本的なチェックや指導監督が不十分だったことが主な原因と、事業主体の組合、補助事業者の県、久慈市に全面的に責任があるとの認識を示した上で、国は、審査など必要な業務で検査報告に明示するような問題はなかったと、一連の経緯で国の責任を否定したとの報道がありました。これは、直接の補助事業者であります岩手県にとってはゆゆしき問題であります。
 この事業の経過は合同審査で明らかになってまいりましたが、整理いたしますと、事業採択後、簡単に事業変更がなされ、生産事業の根幹である機械メーカーの変更を県も国も素通りした、よって、平成11年6月時点で入れかわったトリニティ工業方式は、経営診断を含め、全く補助金行政上のチェックが行われていなかった。補助事業の完了確認検査がしっかりと行われたのかどうか疑わしい。3として、県が国との協議で主張した経営診断報告書の日付も、平成11年3月――このときの調査対象は庄内鉄工方式となっております――と、4カ月もさかのぼったのはなぜかという点でございます。
 そこでお伺いいたしますが、この事業は平成14年8月に休止になりました。会計検査院の指摘を受けてから、補助金の3分の1、約4億2、000万円を先行返還する予算案提出までの経過と林野庁長官との会談の内容をお示し願います。
 きょう現在延滞利息は約4、800万円になりますが、訴訟の勝訴の見込みはあるのでしょうか。一たん補助金を全額返還して延滞金の発生を確実に回避し、行政としての責任を明確にすることが必要ではないかと思います。そして、裁判で事業休止の責任の所在を争うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

〇増田知事 会計検査院の指摘から補助金返還命令までの経緯を示せというお尋ねでございましたが、まず、平成14年6月17日と20日に実地検査を受検いたしました。その後、同年10月11日に会計検査院の第4局長から文書照会がございまして、10月28日に県から会計検査院にその回答を出してございます。そして同年、すなわち平成14年の11月29日に会計検査院長が内閣総理大臣に決算検査報告書を手交してございますが、その上で、年が変わりまして平成15年1月20日に内容が国会報告された、こういうことでございまして、その中に県や市の責任が記載されているものでございます。
 それから、補助金返還についてでございますが、県の15年度当初予算が選挙の関係で骨格予算でございましたので、6月議会終了後の7月末日を目途として、この補助金返還に関するフレーム枠について国と協議を進めてまいりましたけれども、6月の補正、いわゆる肉づけ予算段階では林野庁と県との協議が調いませんでしたので、9月議会終了後まで補助金返還命令の発出時期の延長を求め、これを国の方に認めてもらったものでございます。しかし、そのようにして時期を延長いたしましたけれども、その後も国との協議が調わずに、議会にも予算提案ができないという中で、10月16日に、国から県に対して支払い期限を平成15年11月4日とする、このような返還命令が発せられた、これがそれまでの間の経緯でございます。
 そうしたことを受けまして、昨年の11月に私は林野庁長官と会談を持ったわけでございますが、県が補助金の一部返還――これは具体的には3分の1ということになるわけですが――及び補助金の回収に最大限の努力をすれば、現在発生しております延滞金の免除について林野庁としてもできる限りの対応をする、こういう感触を長官から得たわけでございます。これはもう林野庁長官も申しておりますし、私どももそういう感触を得たわけでございます。そこで12月議会にそうした内容の予算案を提案したところでございます。補助金の回収に最大限の努力ということが言われてございまして、そのために今回、3月3日に組合の方で訴訟を提起いたしまして、県としてもそれに補助参加という方向をとっているということでございます。
 訴訟の勝訴の見込みでございますが、これはもう訴訟を提起して、県もそれに参加しようということでございまして、勝訴に向けて最大限の努力をする考えでございます。
 それから、県の責任を明確化すべしということでございますが、これにつきましては、今後の検証なども踏まえまして、できるだけ早く明確にしていきたいと考えておりますし、今、全額を一度返還して延滞金の発生を確実に回避したらどうかということがございましたけれども、私どもとしては、延滞金を避けるという意味で、まず3分の1払うということがそのことに通ずると考えておりまして、一方で県民の負担を最小限にしなければいけないということもございますので、それも考えあわせて、ぎりぎりの判断で12月議会に補助金の3分の1、4億2、600万円余でございますけれども、これを追加提案させていただいたところでございます。
 こうした経緯でございますので、今後もこの予算案について十二分な御理解が得られるように努力をしていきたいと思いますし、また、裁判につきましてはしっかりとした攻撃防御を展開していきたい、このように考えているところでございます。

〇瀬川滋委員 そうすると、補助金12億8、000万円の3分の2の免除は認められないということなんでしょうか。
 それから、もし12億8、000万円全額返還して、その後に3分の1等返還がされるということはあり得るのかどうか、そこをお伺いして質問を終わります。

〇増田知事 補助金の3分の2のところについては、国はあくまでも全額返還という立場でございますので、この部分については、林野庁がその解釈についてどうのこうのという立場にもないものですから、それについては、今、国としては、あくまでも命令どおりの返還をこの時点では要求してくるものだろうと思います。いずれにしても向こうで要求しているが、今の時点でぎりぎり、補助金のとにかく一部返還ということで、県の返還努力の姿勢を示してほしい。それから、その後、補助金の回収に向けて最大限の努力をしてほしいということを盛んに向こうから言われております。その努力を重ねていけば、私どもは、その時点でまた向こうと十二分な折衝をして、県のそういう努力を踏まえてぎりぎりの折衝をしたいと思っておりますが、まず、今は延滞金の免除ということで今回の予算を通すことに最大の努力を傾けて、あと、訴訟の関係については、それで回収ができればそれにこしたことはないわけでございますので、先ほど言いましたように、訴訟額として最大の額を今、裁判所の方にも出してございますので、その回収に向けて全力を挙げたい、このように考えているところでございます。

〇吉田昭彦委員長 次に、小原宣良委員。
   〔小原宣良委員質問者席に着く〕

〇小原宣良委員 社会民主党の小原宣良でございます。
 初めに、「トップリーダーの美学」についてお伺いいたします。
 このタイトルは、元岩手日報記者でありました梅原愛雄氏が平成9年に発刊いたしました元岩手県知事阿部千一氏の生涯をつづった書のタイトルであります。増田知事も巻頭においてこの書の推薦の言葉を寄せられておりますから、御存じのことと思います。
 この中に、「赤字財政克服に全力を注ぐ=総合開発関連の手は緩めず。」と題した一文があります。もちろん昭和30年代初頭のことでありますから今日とは時代背景も置かれている条件も異なるものでありますが、当時、戦災復興やカスリン、アイオンの二つの台風による被害復興などで、県財政は瀕死の状態に追い込まれていたのであります。そのとき阿部知事は、地方財政を圧迫している最大の要因は、義務教育費に係る教員給与の地方負担にある、これを国負担に組み替えることなくして解決しないとの持論を強硬に主張し、全国知事会等、地方団体の先頭に立ってこれを実現させ、かつ従来の総合開発計画の推進に支障を来さないで取り組んでいくよう幹部に徹底したとあります。後に赤字再建団体の指定を受ける道を選択するのでありますが、義務教育費の国庫負担を求める運動とその成果がここ岩手の地から巻き起こったことに私は深い感動を覚えたのであります。
 さらに、昭和35年のチリ地震津波復興に当たり、阿部知事は、病床から小川副知事にヘリコプターでの現状視察を命じ、その足で上京させ国の応急・恒久対策を訴えさせるとともに、対策方針の取りまとめに入りました。今回の津波は、津波防波堤だけで津波を防いだ例はなかった。防潮林によってエネルギーの弱められた津波を、さらに防波堤で防いで効果があった例が多い。高田松原のように防潮林の前面につくられた防波堤が一部跡形もなく破壊されているのを見ても工夫が必要である。特に、水防には津波ばかりではなく、洪水も考えねばならない。洪水で水が滞留せず、津波でも破壊されない上に、経済的に負担の少ないものという難しい条件を備えなければ防波堤をつくることはできないとの対策方針をまとめたとあります。県民の命と生活を守るというトップリーダーとしての気概を感ぜずにはおられないのでありますが、知事はどうお感じになっておられるのかお伺いいたします。
 あわせてお伺いいたしますが、自立と構造改革元年予算と銘打って提案されている新年度予算編成に当たっての基本認識についてであります。
 40の政策と行財政構造改革プログラムは、いわばマイナスとプラスの組み合わせであります。この内容は、決してわかりやすいものではありません。もっとコンパクトで、しかもいかなる事態にあっても県民の命と生活は断固として守るという説得力と感動にあふれるメッセージを期待するのでありますが、知事の率直なお考えをお示しいただきたいと思います。

〇増田知事 偉大な先輩であります阿部元知事のお話を私もあの本を通じて学ばせていただいたところでございます。その中で、今委員からお話ございましたとおり、戦後の混乱期の県財政の立て直しと、それから、総合開発事業の推進に積極果敢に取り組まれた姿が記述されておりまして、確固たる信念とすぐれた先見性、まさに時代の先頭に立つトップリーダーとしての気概に満ちていたものと感じております。
 また、あわせましてチリ地震津波などの復興の際も、すべて自分が被災者になったつもりでということで、いわばそうした弱い立場の視線に立って対応策を進める、あるいは指示するということがございまして、学ぶべき点も非常に多いと感じたところでございます。
 これからの私の決意といたしましても、こうした偉大な先人、先輩の知事がおられるわけでございます。そうしたこの姿を学ぶにつけても、私どもも今までいろいろな行政を展開してまいりましたが、そのトップとして、私もみずからの責任を果たして、将来を担う子供たちに、このすばらしい岩手をしっかりと引き継ぐ、そして、その中で借財などをそうした将来の子供たちに送ることのないような取り組みをしていかなければいけない、このように考えているところでございます。
 そして、今その関係で、第2点目のお尋ねでございますが、40の政策と行財政構造改革プログラムというものをつくったわけですが、これは、一方でマイナス・プラスがあって、必ずしもわかりやすいものとなっていないという御指摘がございました。今まで本県のおくれていた社会資本の整備を進める、しかも前倒しで進めるということで、いわば社会資本整備の方にアクセルを踏んで、そして優良な社会資本整備を数々生み出してきた、あるいは整備をしてきたということが言えようかと思います。
 しかし、そうしたアクセルを踏みっ放しでございますと、一方で県財政が非常に疲弊するということでございまして、これからは、社会資本整備についてはブレーキを踏んで、そこのスピードをコントロールしていかなければならないと考えております。そうした中で、雇用ですとか、保健・医療・福祉といったような、県民の暮らしや安全・安心にかかわる分野について、そのブレーキによって損なわれることは許されないことでありますので、そうした今申し上げました雇用・保健・医療・福祉など、県民の暮らしなどに係る部分については、よりサービスを充実させる方向で県政を運営していくことが必要かと思っております。
 そうした内容を40の政策と行財政構造改革プログラムの中に盛り込んだつもりでございますが、なお一層県民の皆様方の理解を求めるということ、それを毎年毎年の予算の中に確実に反映させていかなければいけませんので、また県民議論を十二分に行った上で予算の中に反映させ、そして、今委員の方からお話がございましたように、県民の生活、暮らしをしっかりと守るという考え方にのっとりまして、県政を推進していきたいと考えております。

〇小原宣良委員 県民の命と暮らしをしっかり守るということでありますが、例えば、県単医療費の助成事業であります。この部分については、新たに一部負担を県民に求めております。
 一方、制度の維持と拡大のためにはやむを得ない、こういう形でこれが出されているわけですけれども、しかし、こうした県民の命と暮らし、生活をしっかり守っていくという観点からするならば、この県単医療費の助成事業というのは、従来の水準を低めないで、下げないで拡充という形に行くべきであろう。今だからこそ、こういう財政状況が悪化している時期だからこそ、そうした部分を強く求めたいと思うわけでありますが、どうでしょうか、この県単医療費助成事業の見直しによる影響額、このことも含めてお知らせいただきたいと思います。

〇増田知事 県単医療費助成の見直しの影響額でございますけれども、平成16年度の予算ベースでございますと2億400万円ほど減額ということになっておりまして、その部分が影響額ということになるわけでございます。
 これは、平成16年10月から医療費の制度見直しを行いますので、その10月から実施される部分も見込んだ上での影響額ということでございますけれども、今、委員の方からお話ございましたとおり、こうしたときに最大の努力をしろというお話でございます。今、それぞれの各団体の皆様方といろいろとお話し合いをしているところでございまして、この県単のさまざまな、従来行ってまいりました助成事業、特に弱者の視点に立って住民税の非課税世帯に対しての負担などは除外したりとか、いろいろな見直しもその中に入れてございますが、なお一層、その内容についての検討をしなければいけないと考えているところでございます。

〇小原宣良委員 知事には突然ということだったかもしれませんが、予算調製課長、もう1点お伺いしますが、これは検認額ということですから、これは県民負担に回る分ということですよ。予算的には2億3、000万円ほど検認になるということですが、事業の対象を拡充するという点で、予算的には負担増ですね、こういう形になる額は幾らと見ていますか。
 知事がおわかりだったら。

〇藤尾参事兼予算調製課長 福祉分野での県単医療助成補助事業も含めまして、廃止・縮減の見込みは、見直し試算では廃止の20件、あるいは縮減・縮小事業と合わせて6億1、000万円と見込んだところでございますが、当初予算調製結果、5件ほど廃止から継続等に移したといったようなこともあって、約5億9、000万円の縮減となったものでございます。

〇小原宣良委員 このように、県民の命と生活を守っていくという観点で、大変財政厳しい状況なんだけれども、これだけはしっかり守るぞというものがメッセージとして伝わることが大事なんですね。その中で県民も、なるほど、そうかと。我慢すべき点については、なるほど3年我慢しようかと、こういうめり張りのある考えをしっかりと出していく必要がある。この県単医療助成事業については、見直しの見直しを必要とする項目だと思いますよ。こういう考えを私は持っていることをお伝えしたいと思います。
 次に、年金など、社会保険行政のあり方についてお伺いいたします。
 今、老後の安心を支える年金制度が強い不安と不信の中にあることはまことに残念であります。今日の年金制度は二つの大きな問題を抱えていると思います。一つは、これまで保険料を引き上げ、給付を引き下げる制度改正を何度も繰り返してきたため、保険料負担がどこまで上がるのか、給付がどこまで下がるのかわからないといった年金制度そのものへの不信であります。二つ目は、身近な市町村で行っていた国民年金の事務が国へ移されたことによる弊害であります。地方分権一括法成立の中で、地方分権と逆行し、社会保険行政と職員の身分が平成12年4月より地方自治体から国へと切りかえられました。このことによって事務の窓口が全国3、300カ所から300カ所に減るなど住民から遠くなり、住民の利便性、行政サービスの提供・広報・関心の低下を招き、結果として国民年金の収納率が激しく低下いたしました。
 知事は、平成9年2月議会で地方事務官の身分移管問題について、地方事務官が処理している社会保険関係の事務は、国の事業ではあるが、利用者の利便性や事務の効率性を勘案すると、この事務を都道府県の法定受託事務とし、その事務は地方公務員が処理することが最も望ましい旨の認識を示しておられます。
 そこでお伺いいたしますが、今日における国民年金収納率の低下の要因を知事はどう見ているのでしょうか。そして、年金など社会保険行政は、福祉行政や高齢者の雇用対策などとともに、住民に身近な県と市町村の協力のもとで総合的施策として行われるべきと考えますが、いかがでしょうか。

〇増田知事 国民年金の収納率が大幅に低下しているということで、県の場合で言いますと、ちょうど平成13年度が84.4%の収納率でございましたが、14年度に69.4%、実に15.0ポイント低下しております。
 ここがちょうど、今委員のお話ございましたとおり、窓口が市町村から社会保険事務所に変わったという変わり目の年でございますので、これは、収納率低下の背景として、年金制度そのものに対する不安感といったものも当然横たわっていると思いますが、一方で、収納事務が住民に身近な市町村から、こうした国の社会保険事務所に変わり、その場所も10分の1ぐらいに減ったということが、この収納率の低下に影響していると私は考えておるところでございます。
 それから、社会保険行政全体のあり方でございますが、これも平成12年度に都道府県から国の直接執行事務として、いわば吸い上げられるような形で逆方向に移ってしまったということもございますし、今言いました収納事務については、窓口が非常に少なくなってしまったということもあって、やはり住民の利便性ですとか、住民の視点ということが著しく欠けているような気がいたしております。
 したがいまして、この社会保険行政に関する事務をどこがどのような形で担うのがいいのかというのを改めて議論を進めることが必要だと。これは、それぞれに国の役割や県の役割、市町村の役割というものが大きくあると思うんですけれども、やはりこういったことについて、住民の一番身近な立場に立ったところでこうした役割分担というものをしっかり議論して、そういう住民に一番身近なところでこうしたものが担えるようにしていくのがいいのではないかと思うわけです。制度が変わったばかりということではありますけれども、改めて議論を進めることが必要、このように認識しているところでございます。

〇小原宣良委員 わかりました。
 次に、遺伝子組換え稲の野外での栽培実験についてお伺いいたします。
 県生物工学研究センターでの遺伝子組換え稲の野外栽培実験については、中止を含む大変多くの県民の声が寄せられました。県としては基礎的研究の範囲に限定するものとして、遺伝子組換え食品の開発は行わない旨、知事は本会議で答弁されております。
 北海道では、遺伝子組換え作物の花粉の飛散による一般作物との交雑や混入による環境への影響を防止するということ、あるいは北海道ブランドの一層の向上、安心・安全の食品という観点からのガイドラインを今月中にも策定すると聞いております。さらには条例制定まで目指した考えのようでありますけれども、本県における遺伝子組換え作物の栽培ということについて、条例化をも視野に入れた対策をとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇竹内副知事 お話にございましたように、本県におきましては、遺伝子組換え食品の開発は行わないことにしたところでございますが、多くの消費者が遺伝子組換え食品に対して不安を抱いておりますことから、本年2月に決定いたしました食の安全・安心アクションプランにおきまして、遺伝子組換え食用作物の一般農家圃場での栽培を規制するガイドラインを策定することとしたところでございます。
 今年度の早い時期にこのガイドラインを定めまして、これによって規制を行っていく予定でありますが、条例化につきましては、今後さまざまな角度から検討してまいりたいと考えております。

〇小原宣良委員 今、ガイドラインを策定する考えがあるということでございますが、少しそのガイドラインの考え方、どういうことですかね、ここのところについてお知らせいただければありがたいと思います。
 これはもう北海道でも、試験研究にかかわらないで、全般的に遺伝子組換えの作物については栽培しないということですね。こういう中で県民の、花粉の飛散による一般作物との交雑や混入による環境への影響、あるいは食の安心・安全に対する心配というものを除くんだということでありますから、その点、どのようなガイドラインという形でお考えかお伺いしたいと思います。

〇竹内副知事 まだ具体の検討に入っておりませんので、こうだとはっきりは申し上げられませんけれども、既に北海道のものがございますので、そういったものを参考にしながら検討を進めていくことになるかと思います。

〇小原宣良委員 わかりました。よろしくお願いします。
 次に、中小企業の振興策についてお伺いいたします。
 県はこれまで、産学官による共同研究を支援するなど、各般の施策を行ってまいりました。しかし、現下の厳しい経済状況のもとにあって、県内の中小企業は経営に大変苦労いたしているところであります。あわせて、この地域経済を支え、あるいは就労の場ということでも、中小企業の果たしている役割、存在、極めて大きなものがございます。
 中小企業基本法でもうたわれておりますように、この振興というのは大変重要な役割を担っていると思っておりますが、埼玉県では、中小企業振興基本条例を制定いたしておりまして、体系的な施策が組まれているとも伺っております。県においてさまざまな施策を行っておりますが、今後、条例化を展望した形での対応は考えておられるかどうかお伺いいたします。

〇竹内副知事 中小企業振興についてでございますが、御案内のように、自立した地域社会の形成と雇用の創出・確保を図っていく上で、地域経済を支えている中小企業の振興は大変重要でありますことから、いわて産業振興ビジョンにおきまして、中小企業施策を体系化いたしまして、施策の展開を図っているところでございます。
 昨年10月に策定した誇れるいわて40の政策でも、二つの緊急課題の一つに雇用対策を掲げ、また、七つの重要施策の1番目に、21世紀型の新しい産業先進県を掲げて、県民の皆さんに対応を明らかにしながら、中小企業の振興に取り組んでいるところでございます。
 御提言の中小企業振興のための条例制定につきましては、中小企業の自主的な努力目標、国、県、市町村、商工団体等の役割分担、施策展開の方向などを県民の皆さんに明らかにし、一層の理解、協力をいただくという観点から、今後、その取り組み方につきまして、条例化の可能性も視野に置きながら検討を進めてまいりたいと考えております。

〇小原宣良委員 最後の質問になりますが、インランドデポ(内陸通関基地)の本県設置の見通しについてでございます。
 北上で通関業務を既に行っておりますが、何にしろボリューム不足でございます。そこで、知事にお願いしたいのでありますが、ぜひ知事には、トップセールスに参加いただきながら、それぞれ関係する企業のインランドデポ設置に向けて、その前段としての取扱数量、件数、そしてまた額、これらの確保のために努力をいただきたいと思いますが、いかがですか。

〇増田知事 インランドデポでございますけれども、平成11年5月に北上市内に1カ所目の保税蔵置場などができ、そして15年6月に2カ所目の保税蔵置場、それから通関営業所が設置許可されるということで、着実に実績が上がってきていると思っておりますが、お話ございましたように、取扱数量を何としても伸ばしていかないといけないということで、私どもの方で函館税関を含めまして、国の方への働きかけをさらに強めていきたい。
 そして、今委員の方からお話ございました、知事もトップセールスをということでございますが、こうした取り扱いを行っているような企業本社などに私自身も訪問いたしまして、何としても取扱数量をふやしていただけるように働きかけてまいりたいと考えております。

〇吉田昭彦委員長 お諮りいたします。時間もおおむね5時になりますので、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇吉田昭彦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時42分 散 会


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