令和7年9月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇40番(郷右近浩君) 希望いわての郷右近浩です。一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員に心より感謝申し上げ、順次質問をさせていただいてまいります。
 まず最初に、地域医療提供体制と地域包括ケアシステムについてお伺いしてまいります。
 8月27日、厚生労働省が中央社会保険医療協議会総会に提出した資料によると、令和5年度の病院の医業利益について、全体で55.2%が赤字、特に人口減少地域は62.1%が赤字となっており、地方の医療機関が極めて厳しい経営環境に置かれていることが浮き彫りとなっております。県内でも、7月に医療法人が自己破産申請を行ったとの報道があり、医療崩壊の危機が現実のものとなりつつあります。
 このような状況を背景に、全国知事会では、医療機関等の経営安定化に向けて、臨時的な診療報酬の改定や国による補助制度の創設、拡充などを要望されております。
 また、知事が会長を務める地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会では、これまでとは次元の異なる対策を行うよう国に対して強力に訴えており、知事を初め関係各位の御尽力に心から敬意を表します。
 しかしながら、我々が人口減少、少子高齢化、特に、極めて急速に進行する生産年齢人口の減少という問題に正面から向き合おうとするとき、これらの対策だけで十分と言えるのでしょうか。
 冒頭で紹介した厚生労働省の資料を別の視点で見ると、高度急性期、急性期医療を担う病院の経営が特に厳しいことが読み取れます。それは、高度急性期、急性期を担う大学病院や県立の基幹病院のような病院は、患者の数にかかわらず、医師のみならず多くの医療スタッフを常時配置する必要があることに起因するものであります。
 本県では、全国に先駆けて人口減少が進み、患者となる高齢者人口の減少以上に、医療スタッフとなる生産年齢人口が急速に減少します。経営はもちろん、医療スタッフの確保すら難しい時代が差し迫っている中、医療機関を持続可能な形で存続させ県民に良質な医療を提供していくためには、国への要望に加えて、自助努力による抜本的な対策が必要なときが迫っているのではないでしょうか。
 介護分野でも同様の問題が生じています。共同通信社がことし6月から7月に全国の都道府県知事と市町村長に実施したアンケートによると、介護保険サービスの提供体制の持続に危機感を抱く首長が97%に上ったとのことです。県内でも、回答した32市町村全ての市町村長が危機感があるとしており、その主な理由は、介護現場で働く人が減り、制度の支え手不足、高齢化に伴う介護給付費の膨張などになっております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 地域包括ケアシステムの持続可能性に誰もが不安を覚えています。団塊の世代が後期高齢者となる中、持続可能な地域包括ケアシステムを構築していくためには、介護サービスの抜本的な改革が必要なのではないでしょうか。
 少子高齢化と人口減少がピークを迎え、労働力不足、医療、介護サービスの需要増と供給不足などが顕著に表面化する2040年問題が取り沙汰されており、国では、新たな地域医療構想策定に向けた議論が行われております。
 さきの2月定例会の一般質問で私がこのことを取り上げた際、知事から、地域の医療提供体制を維持していくためには、医師を初めとする医療従事者の確保が不可欠と答弁をいただいておりますが、将来にわたり本県の医療の質を確保していくためには、医師を初めとする医療従事者が集まる環境を整備する必要があります。
 そのためには、医師や症例数を集約し、良質な医療を提供できる病院が必要であり、今後の人口減少を踏まえれば、高度急性期、急性期を担う病院の適正配置が不可欠と考えられます。
 新たな地域医療構想は、地域の医療提供体制全体の将来ビジョンと位置づけられており、急性期を担う病院の配置と密接に関連する二次保健医療圏の見直しも大きな論点とされております。国全体では、2040年に向けて高齢者人口が増加していく見込みでありますが、本県では、既に高齢者人口は減少局面に入っており、高齢者人口の減少と、それを大幅に上回る生産年齢人口の減少という、国全体の動きより一足先の現実に対応していかなくてはなりません。
 新たな地域医療構想が念頭に置く2040年の二次保健医療圏のあるべき姿をどのように捉え、それに向けてどのような方向性で構想を策定していくのか、知事の考えをお伺いいたします。
 以上、演壇での質問とさせていただきます。あとは質問席より質問させていただきます。
   〔40番郷右近浩君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 郷右近浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 二次保健医療圏についてでありますが、二次保健医療圏は、地域の特性や保健医療需要に対応して、保健医療資源の適正な配置を図りながら、これらを有効に活用し、包括的な保健医療サービスを適切に提供する体制の体系化を図るために設定するものです。
 岩手県保健医療計画(2024〜2029)では、一般的な医療需要の充足が図られることを基本として、九つの二次保健医療圏を設定するとともに、がんや脳卒中など高度な医療の提供や症例数の集約が必要な疾病等については、より広域の疾病・事業別医療圏を設定し、現在、それぞれの圏域において必要な医療提供体制を確保しているところです。
 今後の二次保健医療圏については、医療需要や医療従事者の確保の状況、医療機関へのアクセスなど、さまざまな状況を考慮しながら、そのあり方を検討していく必要があると考えております。
 現在、国の地域医療構想及び医療計画等に関する検討会において、二次保健医療圏に関する議論が行われているところであり、これらの議論に対応し、将来にわたって県民に良質な医療を持続的に提供できる体制の構築に向けて、新たな地域医療構想の検討を進めてまいります。
〇40番(郷右近浩君) 御答弁ありがとうございます。今、御答弁いただきましたけれども、本当に岩手県の場合は、特もこの間、二次保健医療圏のほかに、疾病別といった保健医療圏を設定しながら、そしてさまざまな地域の医療需要に対して応えていくという形をとってまいりました。
 そうした中でも、どうしても集約されていくのではないかといった考え、そして、最終的にどのような形になっていくのかというような部分を非常に不安に思っているそれぞれの地域の方々がいらっしゃいます。
 先ほど質問しましたとおり、2040年問題については、岩手県はもう既に始まっているというか、2040年問題という国の問題提起は、岩手県にとっては2035年問題であったり、よそより一足先に来る問題であり、もしかしたらその課題を解決すること自体が、岩手県は先進県となるような状態であると認識しております。
 ただ、今この二次保健医療圏をどのように持っていくかという中で、先ほど知事からアクセスといった話もありました。特に広大な岩手県という意味では、今二次保健医療圏の検討を行っている中で、震災後に整備された復興道路であったり復興支援道路とともに、ドクターヘリの最大限の活用も念頭に入れて活用されております。
 ただ、ドクターヘリの運航については、ヘリのみならず、ドクターヘリと連携して患者を搬送する救急隊や地上支援隊の役割が重要なことは申すまでもありません。先日の報道にもありましたが、青森県との連携強化のほか、ドクターヘリのより効果的な活用のため、県として、今、何が課題だと考え、どのような取り組みを行っているのかお伺いしたいと思います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) ドクターヘリの出動により迅速に医療機関へ搬送することが可能となり、救命率の向上等に効果を上げているものと認識しております。
 これまでの運用により、天候不良によりドクターヘリが出動できない場合における対応や、県北地域におけるドクターヘリの広域連携による効果的な運用などが課題となっております。
 ドクターヘリが出動できない場合については、現場の救急隊が救急車により症状に応じて医療機関に搬送しているほか、広域連携による他県ヘリでの搬送も行っているところであります。
 また、県北地域においては、より迅速かつ的確な対応を図るため、昨日10月1日からグループ通話サービスを導入し、各消防本部と岩手医科大学附属病院、八戸市立市民病院の3者間での同時通話体制による搬送調整を開始したところであります。
 引き続き、救命救急活動の高度化に向け、消防機関や医療機関等とも緊密な連携のもとに、安全かつ円滑な運航に取り組んでまいります。
〇40番(郷右近浩君) 四国4県と同程度の広さとも言われるこの広い岩手県で、本当にドクターヘリ1台だけでいいのか。これまでのドクターヘリの運用を見ると、確かに1日当たり出動回数は1回であったり2回であったり、さらには、いざというときのためには、県の防災ヘリがそれを補完できるといった体制があるのは承知しております。
 ただ、発着する場所がどうしても限られている中で、ヘリが到着するまでの時間であったりを勘案すると、岩手県内の道路網が震災以降、当初の計画どおり90分以内に全部盛岡市と結べるようになり、さらにはそれぞれの移動が以前より早くなっている中で、救急車等で運ぶほうが効率がいい場合もある。
 今、私の地域の県立胆沢病院と一関市の県立磐井病院で、例えば脳外科が県立磐井病院に集約されていく。では、ドクターヘリを呼んで運んでいったら、救急車と余り変わらないのではないか。ただ、救急車で運ぶにしても、一分一秒を争うような病気等に関しては、先ほど来も話がありましたが、県立大船渡病院が9月16日から導入しているドクターカー等の運用も、私は視野に入れていていいのではないかと思います。
 今回、大船渡病院が導入するドクターカーについては、私もいろいろな分類というものを初めて知ったわけでありますが、患者を搬送する機能というよりは、医師や看護師、医療資器材を運ぶラピッドドクターカーというものがあります。医療提供自体が難しい中で、医師を乗せたドクターカーをどこまで運用できるかという課題は確かにありますが、迅速に患者に向き合う、そして、一分一秒を争う中でしっかりと命を守る、また、さらには脳疾患の場合は、後遺症であったりいろいろな部分に出てくる影響をケアするという意味では、ドクターカー等の導入も含めて考えていくべきではないかと私は思うわけでありますが、この点について御所見をいただければと思います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 現在、県内にはドクターカーとして患者搬送に対応できる救急車型車両が、岩手医科大学の高度救命救急センターなどに配備されており、他病院への転院搬送に活用されているところであります。
 また、郷右近浩議員から御紹介いただきました、令和6年4月から県立大船渡病院において救急科の医師が配置されたことから、現場出動を行うドクターカーとして試行的に運用を開始したところであります。
 こうした現場救急へのドクターカーの運用については、ドクターカーに同乗する医師の確保や、医師が出動している間の病院における救急患者の受け入れ体制の確保などの課題もあることから、現時点において、他病院でどんどん運用を開始していくということにはさまざまな課題があろうかと考えておりますが、ドクターヘリの配備、運用の件とあわせまして、その必要性についても引き続き研究してまいります。
〇40番(郷右近浩君) まずは、ぜひ検討を進めていっていただきたいと思いますし、何とか配置できるような形に展開をお願いしたいと思います。
 今度は、地域の医療を守る中での医療機関の役割分担についてお伺いしていきたいと思います。
 救急で入院して急性期を脱した患者が、急性期を担う基幹病院から地域の回復期、慢性期を担う医療機関へ転院するということが通常の流れとなっております。回復期、慢性期の医療機関は、住民のニーズに応じて、地域で複数の病院が協力してその役割を担っている例が多数あります。こういった身近な医療を提供する体制が崩れることはあってはなりません。
 今後、人口減少が進む中で、持続可能で良質な医療を提供する地域医療提供体制を維持していくためには、地域での役割分担の調整が重要になってくると考えますが、本県では、地域の医療機関の役割分担が適切に行われているのか、県の考えをお伺いいたします。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 地域の医療機関の役割分担についてでありますが、平成28年に策定いたしました岩手県地域医療構想のもと、県内九つの構想区域ごとに設置しております地域医療構想調整会議において、医療、介護、市町村等の関係者が連携しながら、急性期、回復期、慢性期といった機能別の必要病床数の実現に向けて、不足する機能の解消や患者ニーズとの整合が図られていくよう、地域の医療提供体制について議論を行ってきたところであります。
 この結果、余剰とされておりました急性期病床と慢性期病床が減少し、不足していた回復期病床が増加したことで、地域医療構想で定める令和7年の機能別の必要病床数に近づいてきており、各構想区域において、限られた医療資源を有効に活用しながら、さまざまな形で機能分化、連携に取り組み、医療機関の役割分担が進んでいるものと認識しております。
〇40番(郷右近浩君) 今お話がありましたけれども、地域医療構想調整会議については、地域での医療機関の役割分担を議論する場として設置されて開催される中で、さまざまな地域の医療調整の役割を担っていることは承知しております。
 そうした中で、9月29日に胆江圏域の調整会議であります胆江圏域地域医療連携会議に私も出席してまいりました。この会議の調整という役割について、成果は成果として、確かに慢性期であったり急性期であったり、さまざまな部分で少しずつ調整を進めてこられたと感じております。しかしながら、この調整という役割が、まだまだ弱いのではないかと感じているものであります。
 現在、胆江圏域では、奥州市新医療センターの議論が盛んに行われているところでありますが、地域の医療を支える関係者が一堂に会し認識を一つにする中で、地域における民間病院と市立病院、県立病院の役割分担をより緻密に検討し、将来にわたって持続可能な地域医療提供体制を構築していく必要があり、地域医療構想調整会議の機能を強化すべきと考えますが、県の見解をお伺いいたします。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 地域医療構想調整会議は、医療法で、地域医療構想の達成を推進するために必要な事項について協議を行うものとされており、県では、その協議に向けて、データや論点の提示、地域医療や病院経営に精通した地域医療構想アドバイザーの派遣による専門的な助言など、必要な役割を果たしてまいりました。
 その一方で、出席者数が多いことによる委員の発言機会の確保や、協議事項が多岐にわたることによる十分な協議時間の確保などの課題があると認識しております。
 今後、新たな地域医療構想の推進に向けて、地域医療構想調整会議の役割がますます大きくなることを踏まえ、県としては、引き続き、これまでの役割を果たすとともに、他県の例なども参考にしながら、各構想区域での議論がより深まるよう取り組んでまいります。
〇40番(郷右近浩君) 今、保健福祉部長からお話があったとおり、これからますます重要になっていくと思います。新たな地域医療構想調整会議においては、医療計画の記載事項もこれまでのように一つという話ではなく、地域の医療提供体制全体の将来のビジョンであったり方向性を定めるものになると認識しております。
 そうすると、役割が格段に上がってきて、とにかく地域の医療構想調整会議で方向性全体を決めた中で医療計画に落とし込んでいくという形になると、これまでのように、どちらかというと地域で集まってみんなで話してくださいといった姿勢よりも、さらに県の関与であったり県がリーダーシップをとってやっていく部分が非常に大きくなっていくものと私は考えております。
 そうしたことについて、所感というか、どのようにしていくのかについてまた御答弁いただければと思います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 構想区域で病床機能の分化や連携を進めるに当たっては、その機能の転換や削減など病院経営の根幹にかかわる事項もありますことから、地域医療構想調整会議は、医療法に基づき、医療機関の自主的な病床機能の分化や連携について協議を行う場として設置してまいりました。
 これまでの地域医療構想では、入院医療における病床機能についての議論が中心となっておりましたが、2040年に向けた新たな地域医療構想におきましては、郷右近浩議員からも御紹介いただきましたとおり、入院医療だけではなく、外来医療や在宅医療、医療と介護の連携、精神医療など論点が多岐にわたりますことから、地域医療構想調整会議の役割は、さらに大きくなるものと認識しております。
 県としては、これらの論点について地域医療構想調整会議でより活発な議論が行われるよう、引き続き、将来の医療や介護の需要の見込みなどのデータ分析や地域における論点や課題の提示、また、地域医療構想アドバイザーの派遣による専門的な助言などにより、積極的にその役割を果たしてまいります。
〇40番(郷右近浩君) 積極的に役割を果たしていくと言っていただきました。先ほどの繰り返しになりますけれども、私の住む奥州市新医療センターの部分につきましても、では、何をやっていく病院なのか、どのようにしていくのか、これは本来的に地域全体の中で考えなければいけないものだと思っております。ただ、それがなかなかうまく回っていかない中で、私どもの地域のみならず、県内の医療をしっかり構成できるようなものをつくり上げていく力を発揮していただければと思います。
 次に、県立病院についてお伺いしてまいります。
 県立病院の経営状況についてお伺いしますが、9月30日に総務省が公表した資料によりますと、自治体が経営する全国の公立病院事業全体の昨年度の経常収支は、物価高騰や職員給与の引き上げの影響により、過去最大となる3、952億円の赤字であったとのことです。
 本県においては、令和7年7月末の県立病院の経営状況は、入院患者の増加により医業収益が対前年度比9.2億円の増収の一方、医業費用の増加は1億円にとどまっており、医業損益が8.2億円改善されている状況との報告をいただきました。経営計画に基づく経営改善の取り組みの成果のあらわれと考え、医療局、そして各病院の努力に敬意を表するものであります。
 しかし、人件費や材料費の高騰と診療報酬のギャップなど外的要因を踏まえると、決して油断できない状況でもあります。引き続き経営改善の取り組みを進めていくものと承知しておりますが、それを踏まえて、令和7年度の収支がどのようになる見込みかお伺いします。
〇医療局長(小原重幸君) 県立病院の収支見込みについてでありますが、今年度は、過去最大の赤字となった昨年度決算から36億円余の収支改善をし、赤字額を35億円程度にとどめることを目標とし当初予算を編成いたしました。
 医療局では、年度当初から救急や地域の医療機関との連携による紹介患者の積極的な受け入れ等により患者確保を図るとともに、上位、新規施設基準の取得による診療単価の向上、後発医薬品の使用促進やDXの推進による業務の見直しなどに取り組んでおり、入院患者数や医業損益についても一定の経営改善の成果があらわれ始め、郷右近浩議員から紹介いただきましたとおり、直近では、昨年度と比較して8.2億円の収支改善を図ってきております。
 年間を通じた収支の見込みにつきましては、今後の患者の受療動向や最低賃金の上昇に伴う経費への影響、今年度の人事委員会勧告の状況など不透明な要素が多く、現時点で明確に申し上げられる状況にございませんが、医療局といたしましては、先ほど申し上げました費用の上昇要因を踏まえてもなお、昨年度決算を上回る状況が達成できるよう、職員一丸となって取り組んでまいります。
〇40番(郷右近浩君) 本当にこの数字を聞いたときに、しっかり一丸となって取り組んでおられるのだということを感じたものであります。ぜひ今後とも頑張っていただければと思います。
 次に、本県は県立病院が初期医療から高度・専門医療まで幅広い医療を担っており、県立病院なくして本県の地域医療を語ることはできないと思っております。医療の高度、専門化や人口減少等による医療需要の変化等に対応し、地域医療を確保しながら持続可能な医療提供体制を構築していくためには、二次保健医療圏の議論とあわせ、基幹病院についても、将来的により大きな体制で担っていくことが必要になってくるのではないかと考えます。
 2040年の県立病院のあるべき姿をどのように捉え、それに向けてどのような取り組みを進めていくのか、知事の考えをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 岩手県においては、これまでも、県立病院が採算性と人材確保の面から民間医療機関の立地が困難な地域の救急医療や、小児、周産期、精神等、不採算、特殊部門に係る医療、そして初期医療も担うなど、県民福祉の増進のため最も重要な社会基盤を直接県民に提供してきました。
 人口減少による医療需要の変化や医療従事者の不足等、医療を取り巻く環境が大きく変化する中、今後も、県民が高度・専門医療と身近な医療を受けることができる体制が必要であり、引き続き、県立病院が、機能や規模等を見直しながら、地域医療体制を確保し、主要な役割を果たしていく必要があると考えております。
 今年度からスタートした経営計画においても、県民が高度・専門医療と身近な医療を受けられるよう、がんや脳卒中等の疾病・事業別医療圏に対応し、中核的な病院に専門人材の配置を進めるなど、機能の強化を図りながら、県立病院全体のネットワークを生かし、県民の医療ニーズに応えてまいります。
〇40番(郷右近浩君) 県立病院については、今後のあるべき姿の部分で、先ほど話をさせていただきましたけれども、県立胆沢病院で言えば、脳外科であったり、産婦人科など、さまざまな診療科がなくなっていったりしている。これは県立釜石病院、県立大船渡病院にも共通する部分であります。
 そうした中で、どのように担っていけるようにしていくのか。ドクターヘリであったり、先ほどお話ししたドクターカーであったり、さまざまな手法を使いながら進めていく。そうなると、やはりいつかの段階では、もっと集約される可能性も否定はできないと私は思っております。
 ただ、どのような配置で県民の安心・安全をしっかりつくり上げていくかということを考える中で、今、知事からお話しいただきましたとおり、今の経営計画の中で、今の高度医療と地域医療的なものの考え方、私の地元で言えば県立胆沢病院のあり方、そしてまた、さらには県立江刺病院のあり方、そうしたもののあり方をしっかりと両方とも考えながら県民の医療を考えていくという部分については、私自身の中でも二律背反というか、変なことを言っているように思うわけですけれども、その部分をしっかりやっていくという姿勢とあわせてつくり上げていかなければいけない。
 医療に関しては、本当に大変な課題であり、県民に対してしっかり示していかなければいけないものだと思いますので、特にこの点についてはコメントを求めないほうがいいかと思いながらですが、どのようにお考えかお伺いできればと思います。
〇知事(達増拓也君) 医療は、県民の側から見ても、さまざまな県民意識調査でも非常に重要な関心の高い政策分野でありまして、やはり県民の日々の生活や仕事にもかかわる、命と健康にかかわる分野であります。
 そういう県民の側から見たときに、まず、身近なところで医療を受けたいというニーズ、身近な医療を受けることができるというニーズですね。と同時に、やはり、いざというとき高度・専門医療を県内で受けられるという、その両方をいかに両立させるかということが、地域医療体制の確保ということだと思っております。
 その時々の課題に応じてどのような医療提供体制が最適かということについて、医療関係者、関係機関等と議論し、また、県民とも議論して決定していくことが重要と考えております。
〇40番(郷右近浩君) しっかりと県民と一緒になって考えながら進めていっていただくということで取り組んでいければと思います。
 次に、地域包括ケアシステムについて伺ってまいります。
 まず、介護施設の整備についてお伺いいたしますが、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2025年に40万7、859人である本県の高齢者人口は、2040年には38万6、460人に減少する見通しとなっております。
 医療と同様に介護も需要がピークアウトしていく中で、いわていきいきプラン(2024〜2026)では、介護老人福祉施設の計画的な整備により入所待機者の解消を進めるとして施設の整備を推進しています。建設費には国や県の補助金などが充てられております。市町村の介護保険財政も厳しい中、県が支援をするための財源となる地域医療介護総合確保基金の残高も、令和2年度末の22億円が、令和7年度末には9億円に減少する見込みであり、このままでは枯渇の可能性すらあると考えるものであります。
 高齢者が、住みなれた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、高齢者人口などの需要と介護従事者の確保という供給の両面を踏まえつつ、介護保険料の増加や介護事業者の経営、そして県、市町村の財政に配慮し施設の整備を進める必要があると考えますが、県の見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 高齢者が、住みなれた地域で安心して生活し続けることができる地域包括ケアシステムの構築は、社会的に弱い立場にある方々が孤立することのないよう、ソーシャルインクルージョンの観点から政策を進めるいわて県民計画(2019〜2028)の理念と軌を一にするものであり、県では、介護施設を含めた体制の整備を推進しています。
 体制の構築に向けては、高齢化の進展による地域差等を踏まえた検討が必要であり、県では、市町村が策定する介護保険事業計画に基づき支援を行っていますが、近年、物価高や資材価格の高騰、人材確保の困難さなどにより整備を見送るケースが散見されることから、補助単価の見直しや処遇改善など人材確保につながる取り組みを強化しています。
 介護保険制度が始まり25年となりますが、この間、社会保障を取り巻く環境は厳しさを増しており、県や市町村においては、厳しい財政運営を余儀なくされていることから、安定的な制度の運用に向けて、国の責任のもと、地方の財政負担を伴わない形で見直しを図る必要があります。
 現在、国では、将来不足する高齢者の住まいの確保に向けて、老朽化が進む介護施設のシェアハウスへの転用を促進することとしており、今後、こうした施策も活用しながら、高齢者の住まいを確保し、介護保険制度を支える事業者や行財政の持続可能性を高めながら、地域共生社会の実現を目指してまいります。
〇40番(郷右近浩君) 今、知事からお話しいただいたとおりだと思います。ただ、そうした中で、やはり県と市町村がしっかりと同じ方向、同じものを見ながら、一緒に進めていっていただけたらと思います。
 その中で、次に、在宅医療、そして医療・介護連携の推進についてお伺いしてまいりたいと思います。
 新たな地域医療構想については、これまでの入院医療にとどまらず、外来、在宅、介護連携等もその射程に入ってくるとのことであります。これは先ほど保健福祉部長からも話があったものでありますけれども、この議論を背景に、今年度からかかりつけ医機能報告制度が開始されており、この結果を踏まえて、在宅医療、医療・介護連携に関する議論が進められるものと承知しております。
 しかし、これらはそもそも古くからあるテーマであり、今回の策定を機にどのような進展が見られると考えるのか、県の考えをお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県では、令和6年3月に岩手県保健医療計画(2024〜2029)及びいわていきいきプラン(2024〜2026)を策定し、各圏域における在宅医療に必要な連携拠点の設置や、広域で在宅医療、介護連携を担う拠点を支援する取り組みなどを推進しています。
 2040年に向けて本県の65歳以上人口は減少しますが、慢性疾患を有し、医療、介護の複合ニーズが高まる85歳以上人口は増加すると見込まれており、入院や外来での医療提供に加え、かかりつけ医による在宅医療の提供や医療機関と介護施設による入退院調整など、医療、介護連携がますます重要になるものと認識しております。
 新たな地域医療構想の策定に当たっては、郷右近浩議員御指摘のかかりつけ医機能報告などを参考に、地域の医療資源の実情を改めて整理し、圏域ごとに設置する地域医療構想調整会議において、医療、介護の関係者に、地域で必要なかかりつけ医機能の確保や、かかりつけ医と介護関係者との連携などについて御議論をいただき、地域における医療と介護の連携をさらに進めてまいります。
〇40番(郷右近浩君) 新たな地域医療構想の根幹の部分は、これから医療需要が減っていく、介護需要がふえていく、そして、最後には両方減っていく、そしてまた、それを支える支え方といった部分だと思います。今、るる質問させていただいてまいりましたが、ぜひ県でも、しっかりと県民を安心させる指針をつくっていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは次に、農業人材の育成についてお伺いしてまいりたいと思います。
 県立農業大学校の機能強化についてお伺いいたします。
 本県の基幹的農業従事者数は、平成27年の約5万9、000人から、令和2年には約4万4、000人と、5年間で約1万5、000人減少しております。また、基幹的農業従事者の平均年齢は約68歳から69歳と上昇し、高齢化が進行しております。
 こうした中、農業大学校は、学生教育により本県農業の次代を担う人材の育成に、また、農業者研修においては、農業者の経営発展段階に応じた研修により、本県農業の核となる担い手の育成に貢献してきており、その役割はますます重要になってきているものと考えます。
 県では今年度、農業大学校の機能強化に向けた基本構想の策定に向け、農業者や農業団体、学識経験者が参画する懇談会を設置するなどして検討を進めているところと認識しておりますが、基本構想の検討状況についてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県では、農業団体や学識経験者が参画し、本年6月に設置した農業大学校基本構想等策定検討懇談会で意見を伺うほか、農業大学校の学生、卒業生等との意見交換会を開催し、基本構想の策定に向けた検討を進めています。
 先般公表した基本構想の素案では、入学者の状況や卒業後の進路などの現状と課題や、本県農業を取り巻く情勢変化、農業大学校が果たすべき役割と機能を踏まえ、機能強化に向けた具体的方策を示しています。
 定員については、今後の少子化を踏まえ見直すものの、現状の入学者数である50人程度とし、学科は、農産園芸と畜産を維持しつつ、野菜、果樹などの経営科は、入学後、みずからの適性を見きわめた上で専門コースを選択する体系に見直し、カリキュラムは、スマート農業技術等の先端技術や農業法人等の現場を学ぶ内容に充実強化するなどとしています。
 懇談会等では、定員の見直しについておおむね賛同をいただいたほか、専門コースについては、入学時から専門的に学びたい学生に配慮してほしい、最新の試験研究成果を学ぶカリキュラムとしてほしいなどの意見がありました。
 9月に開催した懇談会では、こうした意見を反映させた最終案や老朽化した管理棟、教育棟などの施設整備の方向性について意見を伺ったところであり、いただいた意見を反映させ、今月中を目途に基本構想を策定するとともに、施設の規模や整備内容などについて、さらに検討を進めてまいります。
〇40番(郷右近浩君) 素案を拝見させていただきました。知事から御答弁あったとおりで、おおむね、将来このようにしていきたいといったことがさまざまな形で網羅されており、すばらしいものをつくり上げてきていると感じております。
 ただ1点、先ほど知事からも話がありましたが、定員数の部分で、これまで70人ということだったのを、おおむね50人といった形にするという部分についてだけ、どうなのかといった思いが私自身はあります。
 というのは、食料供給基地岩手であり、農業県岩手と、これまでも標榜してきた、さらには自負してきたこの岩手県において、実績がこれまで大体50人だから50人のままにしていくといった消極的なことよりも、しっかりと人が集まって、そして農業を進める、まさに基地の最前線というような形にしていくべきではないかと考えるものであります。
 とすると、もちろん、これからの時代でありますから、DXやGX化が進んで、そして農業を学びたいという高校生に対しての最先端のスマート農業機械等に触れるであったり、また、次代の担い手として必要な知識、技術を学ぶことができる環境整備が必要であると考えております。
 そして、農業大学校の基本構想においては、農業高校との連携をどのようにして取り組もうとしているのか、さらにまたお伺いしたいと思います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 将来、本県農業の担い手として期待される農業高校生に対しまして、農業大学校と農業高校が連携して、スマート農業などの最新技術に触れる機会をふやしていくことが重要と考えています。
 現在、県立農業大学校では、農業高校生等を対象に、作物の栽培管理や牛の飼育管理などの実習体験ができるオープンキャンパスや、農業高校へ出向き、農業大学校のカリキュラムや学生生活を紹介するなど、進学に向けた説明会を開催しております。
 基本構想には、こうした取り組みに加えまして、新たな取り組みとして、スマート農業学習会など、農業高校では実施が難しい授業の連携開催のほか、先進農家等による講義を一緒に聴講できる授業や農業大学校生から高校生への卒業研究等の活動紹介といったことを盛り込もうとしておりまして、高校生が農業に対する興味、関心を高めて、将来、本県農業の担い手として活躍するよう、農業高校との連携を一層強化してまいります。
〇40番(郷右近浩君) 今お聞きした部分は、ことし2月の予算特別委員会等で聞いたときの答弁のトーンより、少し踏み込んでいるということは感じます。ただ、それにしても、先ほどの繰り返しになりますけれども、食料供給基地岩手であったり農業県岩手という中にあっては、今お聞きした考えよりも、さらにその先を目指していっていいのではないかと思うわけであります。
 そうなってくると、これは教育長にお伺いしたいと思いますが、私自身は、農業高等専門学校といった考え方があっていいのではないかと思うわけであります。現在、教育委員会では、第3期県立高等学校再編計画の策定に向けて、県内各地で住民との意見交換会を開催されるものと認識しておりますが、食料安全保障に注目が集まる今、農業大学校と農業高校の連携の先に、食料供給基地岩手として、一体的な教育機関としての農業高等専門学校を設置することにより、農業人材の育成を強化する姿勢を明確に示す好機ではないかと考えますが、教育長のお考えをお伺いします。
〇教育長(佐藤一男君) 農業高等専門学校の設置についてでありますが、高等専門学校、いわゆる高専は、実践的、創造的技術者を養成することを目的とした5年一貫の高等教育機関であり、現在、全国に国公私立合わせて58校設置されておりますが、いずれも工業系の学科を中心とする高専と、船員養成のための商船学科を設置する高専でありまして、郷右近浩議員御提案の農業高等専門学校は、現在全国的に例がないものと承知しております。
 高専を設置する場合には、大学を設置する場合と同様に、学校教育法の規定により文部科学大臣の認可が必要となりますが、現状において、国は、農業系の学科に関する設置基準を設けていないことなど、制度上の課題を初め、さまざまな課題があります。
 加えて、農業高等専門学校の設置につきましては、本県の農業の現状や課題、今後の農業振興の方向性や人材育成のあり方などを見据える必要があることから、関係機関や関係部局の意見を伺いながら研究をしてまいりたいと考えております。
〇40番(郷右近浩君) 現状では難しいということはわかります。もちろん、現在の農業大学校の教職員の配置であったり、しっかりとした資格であったり、そうしたものも含めていろいろ乗り越えなければいけないものがあります。もちろん現在設置が認められていないといった部分、日本ではまだ一例もない中で、その先端を行くという話になります。だからこそ、私はこの岩手県でやるべきだと思っていますし、岩手県でしかできないとも思っております。
 ましてや、これを高等専門学校として5年間というカリキュラムになったときには、例えば、これまでの農業高校、農業大学校だけの取り組みではなく、さらに、例えば岩手大学の農学部との協力体制をとりながら、特に、岩手大学であれば、食品健康科学コースなどであったり、もちろん獣医、そして海洋、農学コースとある中で、そうしたさまざまな研究職的なものも含めて興味がある子供たち、農業に携わっていきたいという方々をしっかりと集められる。まさに東北地域の中で、そして、日本の中ではこの岩手県で、そうしたものがつくり上げられるのではないかと思っております。
 そうした中で、教育長におかれては、何も悪い意味ではなく、今の答弁しかないと思っております。だとすると、改めて知事にもお伺いしたいと思いますが、農業高等専門学校の設置については、今るる話をさせていただいたとおり、この岩手県ならではという観点も含めて、農業人材育成のために必要と考え、そしてぜひ設置すべきと私自身は考えますが、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 本県では、農業高校と農業大学校において、地域や関係機関と連携し農業技術や農業経営に関する高いレベルの教育を行っているほか、岩手大学もあり、岩手大学やJA岩手グループとの協働によるいわてアグリフロンティアスクールという事業もございます。郷右近浩議員御提案の趣旨に沿うような農業人材育成の取り組みが行われているものと認識しております。
 こうした取り組みにより、本県は全国を代表するような農業人材育成県となっておりますが、全国初の農業高等専門学校設置は、岩手県の農業人材の育成について、さらに関心が集まることも考えられます。
 先ほどの教育長の答弁のとおり、農業高等専門学校の設置については、現状ではさまざまな課題があるものでありますが、県教育委員会には、関係機関や関係部局の意見を参考にしながら研究をしてほしいと思います。
〇40番(郷右近浩君) 農業県岩手を示すような、子供たちや、学びたいという方々がこの岩手県に集まってくるような農業高等専門学校や施設をつくるように、ぜひ前向きに進めていただければと思います。御検討をよろしくお願いします。
 次に、第2期岩手県公共施設等総合管理計画についてお伺いします。
 先ほどの農業大学校の質問では、施設の機能にも着目して質問させていただきましたが、関連して、農業大学校も含めた県全体の公共施設に議論を広げたいと思います。
 施設の総量適正化への懸念についてお伺いしてまいりますが、さきの6月定例会の総務委員会において、第2期岩手県公共施設等総合管理計画の新たな取り組みとして、県全体の公共施設の総量適正化に向け、定量、定性的な評価をもとに整備の優先度を峻別する仕組みが導入される旨の説明があったと承知しております。
 人口減少という避けがたい現実に直面する中、現実的な対応として取り組みの趣旨は理解できますが、一方で、合併によって広域化した市の周縁部や県北・沿岸などの地域においては、利用状況の推移、経費効率、利用者数などをもとにした評価では、機械的な施設の切り捨てにつながるのではないかという懸念も抱いております。
 こうした地域の声を丁寧に拾い上げる仕組みが必要ではないかと考えますが、知事の見解をお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県民の皆様が将来にわたり安全な公共施設を安心して利用できるよう、持続可能な公共施設のあり方についてこれまで検討を進めてきたところです。
 現在策定を進めている第2期岩手県公共施設等総合管理計画では、老朽化比率など定量的、定性的な評価を踏まえた施設整備の方向性を示すなど、将来世代の過度な財政負担を回避するため、公共施設の総量適正化の取り組みを推進する新たな取り組みを盛り込むこととしています。
 これは、評価の結果により機械的に公共施設の統廃合を進めるものではなく、本計画の策定により、初めて全ての公共施設の現況が見える化されることから、県民の皆様と施設の現況を共有した上で、持続可能な公共施設のあり方について丁寧に議論を深めていきたいと考えます。
〇40番(郷右近浩君) ぜひ、地域の声を丁寧に聞いて進めていただきたいと思います。そうした中で、今、話もありました公共施設のカルテの活用についてであります。今回の改訂では、全ての公共施設のカルテを作成し、利用状況や経費効率、建物性能、今後5年間の経費負担などを定量的に評価するとともに、地域における代替施設の有無や施策との整合性などを定性的に評価するとのことです。
 利用率が低い、老朽化が進んでいることをもって、単に施設を統廃合するのではなく、むしろこうした情報をもとに、地域住民や関係団体との対話を進め、施設カルテを活用して、地域の課題や将来像を共有しながら、施設のあり方を一緒になって考える場を設けることが有効ではないかと考えます。
 こうした対話の進め方について、県としてどのような姿勢で臨むのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 公共施設カルテの活用についてでありますが、公共施設カルテは、具体的に施設の置かれている現状を見える化するものであり、定量的、定性的な両面から評価を行うことにより、施設の強みや課題が明らかになるものと認識しております。
 郷右近浩議員御提案のカルテを活用した地域との対話については、施設の現状や将来の経費見通しを明確にした上で、施設の将来像について議論していくことは大変有意義であると考えます。
 第2期計画の策定を契機として、市町村や関係団体との連携をさらに深め、丁寧な議論を重ねながら、持続的な公共施設のあり方について検討を進めてまいります。
〇40番(郷右近浩君) ほっとしました。ありがとうございます。
 もう一点、予算との関連でお伺いします。第1期岩手県公共施設等総合管理計画においては、公共施設維持のための県民1人当たりの負担額を1万2、000円に抑えることを目標としており、令和6年度決算ベースでは1万1、996円と目標を達成していると承知しております。
 しかしながら、近年の人件費や資材費の高騰を踏まえると、老朽化した施設の更新を初め、施設の適正管理、利用の高度化を図るためには、目標額の見直しは避けられないのではないかと考えているものであります。
 財政規律が重要なことは私もこれまで指摘してまいりましたが、安全・安心な県民生活を支えるためには、施設管理の質を保つための責任ある判断が必要だと考えます。
 6月定例会では1万4、000円程度まで引き上げる方針が示されましたが、現在の検討状況についてお伺いいたします。
〇企画理事(千葉幸也君) 目標の見直しについてでありますが、第1期計画で掲げた県民1人当たり決算額1万2、000円については、平成28年度から令和2年度までの5年間の決算額の平均により設定したものでありますが、郷右近浩議員御指摘のとおり、近年の資材価格や労務単価の急騰により公共施設等の適正な維持管理が困難になりつつあります。
 現在、12月定例会での第2期計画案の提示に向けて策定を進めておりますが、県民1人当たり決算額の目標については、設定当初から比較しますと、直近の令和6年度末時点で労務費が約27%、資材費が39%上昇しており、それぞれの上昇分を丁寧に反映させる必要があると認識しております。
 現在、精査を進めているところでございまして、現時点で確たる数値は申し上げられませんが、機械的に上昇分を反映させた場合、6月定例会でお示しした1万4、000円を上回る水準となる公算が高くなっております。
〇40番(郷右近浩君) もしかしたら1万4、000円から1万6、000円ぐらいまで引き上げる必要があるのではないかと私も思っております。先ほど私の前に一般質問した佐々木宣和議員に対して、知事が戦時経済という言葉を使われました。今の物価高騰はさまざまな要因がある中で、ウクライナ戦争によりエネルギー高になって、そのエネルギー高が原因で全てのものが高くなっている。非常事態宣言ではないですけれども、そうした中で、やはり行政の役割としてしっかりと県民に対して良質なサービスを提供していかなければならないという考え方も必要であると私は思っております。
 これは、だからこそ上がっていいのだという話ではないですけれども、そこはしっかりと抑制できるように考えて対応しながら、県民に対して必要なものはしっかり提供していくということで考えていただければと思います。
 次に、教育環境の整備についての質問に移らせていただきたいと思います。
 教室へのエアコン設置についてお伺いしてまいります。
 県内の公立学校におけるエアコンの設置についてお伺いしますが、この問題については、令和元年9月の決算特別委員会において、私は地元の中学生から相談を受ける中で切実な問題として質問したところであり、その後、コロナ禍ということもあり、さまざまな形の中で全国的な課題として国、県とも対応を進めていただいてまいりました。
 近年、普通教室へのエアコンの設置は進みましたが、文部科学省の調査によると、本県の公立小中学校における特別教室については32.8%にとどまっております。
 6年前と比較しても、近年はさらに地球温暖化による異常気象が顕著にあらわれており、気象庁の発表では、全国のことし6月から8月までの平均気温は、平年と比較して2.36度、北日本では3.4度も高くなっており、本県でも猛暑日や真夏日を多く観測するなど、記録的な高温となったところです。
 子供たちが安心・安全に学べる環境を確保するためにも、特別教室へのエアコンの設置を進めるべきだと考えますが、教育委員会の考えをお伺いいたします。
〇教育長(佐藤一男君) 近年、全国的に記録的な猛暑が続き、児童生徒の熱中症リスクや教育活動への影響が生じている中で、児童生徒の安全確保と教育環境の改善という観点から、エアコンの設置の必要性が従前にも増して高まっているものと認識しております。
 市町村における学校施設の改修は、それぞれが策定した施設整備計画に基づいて実施されておりまして、特別教室へのエアコン設置についても、計画に沿って順次進められているものと承知しております。
 本県の公立小中学校における特別教室へのエアコンの設置率は、令和6年9月1日現在で、郷右近浩議員から御紹介のありましたとおり32.8%でありますが、本年度末までの整備分を含めると40%程度まで増加する見込みとなっております。
 今後も、各市町村の事業が円滑に実施できるよう、国の補助制度に関する助言や情報提供など、必要な支援に努めてまいります。
〇40番(郷右近浩君) 設置率がしっかり上がってきているということであります。ただ、これは昨年の数字でありますけれども、高校については特別教室は21.7%になっています。もちろん高校もしっかり対応していただいているものと思いますが、ぜひ、さらに進めていっていただきたいと思います。
 また、この猛暑によって、学校では屋外での体育の授業が制限されて、そして教育活動に影響が及んでいます。国では、空調設備整備臨時特例交付金を創設し、工事費の半額を補助する制度を整えておりますが、先ほどと同様に、文部科学省の調査によると、本県の公立小中学校における体育館等へのエアコンの設置率は0.8%で、全国で最も低くなっております。
 また、ことし7月30日に発生したカムチャツカ半島付近の地震による津波警報が発令された際には、地域の避難場所として学校の体育館なども利用されております。
 避難所機能の強化という観点からも、特別教室同様に、体育館にもエアコンの設置が必要だと考えますが、教育委員会としての考えをお伺いいたします。
〇教育長(佐藤一男君) 学校体育館は子供たちの学習や生活の場であるとともに、災害時には地域の避難所としても活用されており、避難所における生活環境改善を図るためにも、エアコンの設置は重要であると認識しております。
 このことから、学校施設の整備方法や補助制度の活用に関する理解を深められるよう、本年8月に市町村担当者研修会を開催し、文部科学省職員を講師として、新たに創設された空調設備整備臨時特例交付金の活用や整備方法に関する講義、昨年度に体育館へエアコンを設置した市町村による事例発表、市町村間での情報交換などを実施したところであります。
 今後とも、各市町村において、それぞれの実情を不踏まえ、防災担当部署とも連携しながら、体育館へのエアコン設置に向けた検討が進められるよう支援してまいります。
〇40番(郷右近浩君) 東京都においては、全部の体育館にしっかりエアコンを設置したといったような話もありました。これは、やはり住む場所によるというような話ではないですけれども、特に、岩手県でも、昔よりもさらに温度はどんどん上がっており、温度差に関しては、日本全体よりも上がり率が高い中にあって、ぜひ設置を考えていただきたいと思います。
 今、教育長からお話がありましたように、防災、減災の分野の補助金等もありますので、そうしたものをしっかり活用しながら、もちろん避難場所であったり、いろいろな要件はありますけれども、進めていっていただければと思います。
 次に、県立産業技術短期大学校の水沢校を活用した多様な学び場の提供についてお伺いしてまいりたいと思います。
 産業人材の育成機関として、県立産業技術短期大学校水沢校が平成16年4月に開校し、生産技術、電気技術、建設設備の3科が設置され、これまでに本県の産業を担う人材の育成に寄与されております。
 北上川バレーエリアにおける産業人材の育成については、県立である産業技術短期大学校水沢校に求められる役割が非常に大きいものと考えますが、同校への入学者数を見ますと、近年、減少傾向にあり、ここ数年は定員割れを起こしている状況にあります。
 若年者人口の流出防止や入学者数の増加を目指し、現在の科に加え、盛岡市にしかない公務員専門学校的な科や、地域の産業である鋳物の鋳造など、産業を幅広く捉えて学校の魅力化向上につながる新たな科の新設などについて検討してはどうかと考えますが、御所見をお願いいたします。
〇商工労働観光部長(箱石知義君) 県立産業技術短期大学校を活用した多様な学びの場の提供についてであります。
 北上川流域では、自動車、半導体関連産業を中心としたものづくり産業の集積が大きく進む一方で、全国的な人口減少の進行に伴い、産業人材の確保が課題となっております。
 県立職業能力開発施設においては、これまでも訓練科の統合や新たな訓練科の設置など、地元企業のニーズ等に応じて見直しを行い、地域の産業に貢献する人材の育成を図ってきたところでございます。
 現在、県立職業能力開発施設再編整備計画の策定を進めているところでございます。今後、年度内に外部有識者等で構成する再編整備に関する検討委員会を設置することとしており、カリキュラムの見直しや訓練科の設置につきましては、この中で議論していきたいと考えております。
〇40番(郷右近浩君) あり方検討の中で考えていくということでありますので、ぜひ考えていただきたいものであります。現在の産業技術短期大学校のこれまでの成果として、ことし10月に愛知県で開催される第63回技能五輪全国大会に水沢校から過去最多の6人が出場するということであり、これまで進めてきていただいた方向性は、しっかりとした形で進めていただいており、そして結果も出てきていると認識しております。
 ただ、そうした中にあっても、四国4県と同じ面積のこの広い岩手県については、子供たちがいろいろなものを学びたい、そして、地元の鋳造などもしっかりと人材育成するためには、3年、4年かかっても一人前になるには難しいことから、それを例えば教育課程に組み入れた中で、学びたいという人に対しては授業料の減免まで含めることも含めて、それぞれの地域の産業の人材育成を進めていくことも、県立の産業技術短期大学校であれば可能ではないかと私は思っているわけであります。
 そうした中で、改めて知事にもお伺いしたいと思います。現在の県立職業能力開発施設のあり方と再編整備計画の検討を進めている中にあって、知事のマニフェストプラス39にも掲げられております産業技術短期大学校の県北地域への新設を検討する中で、例えば漆や林業に関する学科や、繰り返しになりますが公務員を目指す学科を新設することや、水沢校には鋳物の鋳造など、地域の特色を踏まえた選択肢をふやすことも、学校の魅力化向上や地域産業の振興につながるものと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 地域の特色を踏まえた選択肢をふやすことについてでありますが、県立産業技術短期大学校は、学生に対し、実習や演習などの実践的な教育を提供することで、ものづくりに必要な技術や知識を習得させ、現場での即戦力となる人材を多く輩出してまいりました。
 訓練科の見直し等については、地域の特色やニーズ、今後の産業振興の方向性や社会環境の変化等を踏まえて、総合的に検討を進める必要があると認識しております。
 引き続き、地域の産業を担う人材の育成、輩出に向けたカリキュラムの見直しなどにより、施設の魅力を高めるとともに、若年層の人口の見通しや社会、経済状況の変化などを踏まえつつ、県立職業能力開発施設のあり方の検討を進める中で、この県立産業技術短期大学校の訓練科の新設等についても議論を行ってまいります。
〇40番(郷右近浩君) 先ほど公務員を目指す方という話もさせていただきました。今、私どもの住んでいる県南地区においても、そして、これからこの産業技術短期大学校を新設しようとしている県北地区についても、若い子供たちが高校を卒業して公務員になろうといったときに、みんな盛岡市内の公務員学校に来ている。これは、もちろん悪いことでは決してないですし、いいことであります。しかしながら、これはそれぞれの地域で18歳になった時点で人が流出していく。県の中でもその流出があり得たり、また、さらには自分が住んでいるところではそういった教育を受けられないというようなものであったりする中において、子供たちが、それぞれ自分たちがしっかりと生活していくその地域、そしてその範囲の中で、それぞれがしっかり受けたい教育を受けられる、目指したいものを目指せる、そうした選択肢をさらに広げていってあげたいと思うわけであります。
 ですので、ぜひ今後、岩手県が設置しております産業技術短期大学校、これは本当にすばらしいものをつくって、これまで展開してきていただいていると思っております。それをさらに岩手県の将来をつくるために最大限活用していく、そうしたあり方を検討していっていただきたいと思います。
 最後の質問に入らせていただきたいと思います。人口減少社会に対応する県と市町村の地方行政体制のあり方についてお伺いさせていただきます。
 今後、対策の成果にかかわらず人口減少が進行することは避けられず、その影響を最小化する対策と対応を並行して推進していかなくてはならない、そのように考えております。
 人口減少により、県、市町村ともに税収や地方交付税の減少による財政規模の縮小が見込まれます。加えて、技術系職員を中心に人材確保の困難性が既に顕在化してきており、行政サービスの継続性が問われる事態も想定されます。
 こうした状況を踏まえ、総務省では第31次地方制度調査会や地方公営企業改革の枠組みの中で、都道府県による市町村業務の垂直補完や人材プール機能の強化について検討が進められております。
 例えば奈良県では、技術職員の減少に対応するため、県が市町村の橋梁長寿命化計画の策定を支援するなど、連携、協働の実践例も見られます。
 これまで公共施設や医療機関、教育機関のあり方についてお伺いしてまいりましたが、これらを支える行政体制の持続可能性こそが根幹であると考えます。
 そこで、県と市町村の連携や相互補完を含めた協働のあり方、また、その深化の方向性について、知事はどのような見解をお持ちかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 人口減少下での地方行政のあり方についてでありますが、県と市町村は相互に対等であることを前提として、基礎自治体である市町村の自主性や自立性を尊重しつつ、県が広域自治体としての役割を果たしていく必要があると認識しております。
 これまで県では、滞納整理機構―岩手県地方税特別滞納整理機構による事務の共同処理を初め、情報セキュリティークラウドや電子申請システムの共同利用など、県と複数の市町村の参画による広域連携の取り組みを進めてきました。
 また、市町村がみずからの行政運営に必要な人材を確保するための支援も行政体制の持続性にとっては重要であり、保健師や林学職などの専門職員を週数回、小規模町村へスポット的に派遣しているほか、今年度から新たに、職員の共同採用や専門学校での合同業務説明会、合同就職セミナーを開催するなど、県が主導して市町村の職員確保の取り組みを支援しています。
 今後においても、それぞれの自治体が持続可能で安定的に住民サービスを提供できるよう、市町村のニーズや地域の実情を把握し、現在進めている各種取り組みを改善、発展させながら、県による自治体間の広域連携の支援や補完等の取り組みを一層強化してまいります。
 なお、国、県、市町村の役割分担の再定義や最適化を図ることも重要でありますので、そうした検討に係る国の動向にも対応してまいります。
〇40番(郷右近浩君) これから人口減少により、人材の面も含め、さまざまな形でそれぞれの市町村であったり県が単独でやっていくには大変な時代に入っていこうかと思います。市町村においても県においても、広域下水道であったり、道路の管理であったり、さらには公共施設の持ち方、そして、医療、福祉、きょう聞いたものの大体は、私自身の考えの中で質問させていただいてまいりました。
 そうした中にあっては、県と市町村がしっかりと一緒になって、同じものを見ながら同じ方向をつくり上げていくことがこれから本当に大切になってくると思います。
 ですので、その部分について、県と市町村が、この岩手県に住んでいる県民は、もちろん市町村民でもあり、住んでいる方々のために一緒になって取り組んでいく部分を改めて知事からも返答をいただければと思います。
〇知事(達増拓也君) 先ほど述べましたように、県と市町村は、相互が対等な関係であることを前提として、それぞれが自立的な行政を行うものでありますが、一方、基礎自治体である市町村が、急激な人口減少に伴う財政面や人員体制の制約によって持続的な住民サービスの提供が課題となっている現状にありましては、広域自治体である県が、各市町村のニーズや地域の実情を丁寧に把握しながら、補完的な機能も含めて必要な役割を担っていくことが重要と考えます。
〇40番(郷右近浩君) 私も、県と市町村が一緒になってしっかりと物事を進めていくということはやはり本当に大切なことだとこれまでも思っておりましたし、今も物すごく強く思っているものであります。
 ですので、今、しっかりと知事からもお話がありました。私も、どのような立場になろうとも、ならざるとしても、しっかりとこの件を一緒になって考えていければと思っております。
 知事、そして執行部におかれましては、御答弁ありがとうございました。
 それでは、私の一般質問をこれで終わります。(拍手)
〇議長(城内愛彦君) 以上をもって郷右近浩君の一般質問を終わります。
   
〇議長(城内愛彦君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時45分 散 会

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