| 令和7年9月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録 |
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〇14番(千葉盛君) いわて新政会の千葉盛でございます。このたびの定例会において、一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員各位に心より感謝申し上げます。
それでは、質問をいたします。 本年2月に、大船渡市で発生した大規模林野火災は、林業、水産業、農業、商工観光、そして、地域住民の生活基盤にまで広範な影響を及ぼし、被害額は29億円を超えています。特に、菌床シイタケ栽培施設や林業機械、水産養殖設備、商工事業者、観光関連施設など、地域経済を支える分野が甚大な被害を受けました。 国や県、市による既存の補助制度は一定の役割を果たしておりますが、現場からは制度と実態の間に大きな乖離があるとの指摘が多数寄せられております。例えば、補助率が4分の3の制度であっても残る自己負担が高額となり、特に高齢者や小規模事業者にとっては再建を断念せざるを得ない状況です。また、焼失施設の解体、撤去費用は支援対象外であり、復旧の第一歩を踏み出せないという現実もあります。 さらに、既存制度では、風評被害による売り上げ減少や流通の停滞といった水産業や商工観光分野における間接的被害は対象外であり、被災者の苦しみに十分応えられておりません。加えて、物価高騰や資材価格の上昇により、以前と同じ施設を再建するにも費用が大幅に増加しており、既存制度の補助額では実際の復旧費用を賄い切れないという声も上がっています。 こうした状況が続けば、制度はあるのに使えない、制度が実情に合っていないという不満が現場に積み重なり、再建を諦める事業者がふえ、地域産業の基盤が失われるだけではなく、雇用の維持や生活環境にも重大な影響を及ぼすことが懸念されます。 被災による雇用不安も顕在化しております。事業再建の見通しが立たない中で雇用を維持するには雇用調整助成金などの活用が不可欠ですが、現行制度では要件が厳しく、地域の実情に即しているとは言えません。災害時の特例的な運用や要件緩和を国に強く求める必要があります。 生活再建の面でも課題は大きく、住宅の再建、補修費用は、物価高騰により高額化しています。能登半島地震の事例にもあるように、被災者生活再建支援金の上限額を600万円規模へ引き上げるなど、実費水準に応じて柔軟に見直すよう国に働きかけていくべきではないでしょうか。 県として、こうした被災地の実態を真摯に受けとめ、既存制度の枠組みにとらわれず、解体撤去費用や間接的被害への対応、雇用維持のための助成制度の柔軟運用、さらには、生活再建支援金の抜本的引き上げなど、実際に再建につながる実効性ある支援制度の新設や拡充について、国に対し、時代に合った制度改正を強く働きかけていくべきと考えますが、県の認識と対応方針を知事に伺います。 今回の林野火災では、多くの高齢者、障がい者施設が歩行困難な入所者らの命を守るため、自主的に早期避難を行いました。これにより、移送費や人件費など高額な費用が発生しましたが、現行の災害救助法では、避難指示と指定避難所への避難という厳格な要件があり、自主避難は国の補助対象外とされました。 この状況を受け、県は、補正予算で600万円を確保し、独自の補助を決定しました。この対応は高く評価されるものであり、県民の命と安全を第一に考えた姿勢として現場からも感謝されており、大変意義深いものと考えます。 早期避難は、人命を守るための合理的で不可欠な行動です。にもかかわらず、経済的負担をおそれて避難をちゅうちょするような事態は大きなリスクとなり、東日本大震災津波の教訓からも、早目の避難を支える国の制度整備は急務であります。 今回の事例を踏まえ、福祉施設が自主的に早期避難を行った場合でも、移送費や人件費等を国が補助の対象とするよう、本県だからこそ、制度化の必要性を全国的な課題として国に訴え、強く要請すべきと考えますが、県としての考えを伺います。 被災漁業者は、漁業施設や資材に甚大な被害を受け、再建に苦慮しております。農林水産委員会の調査では、漁業用倉庫や定置網の全焼、さらには、養殖業や漁船漁業に必要な漁具や資機材など、多岐にわたる被害が報告されております。漁協関係者からは、施設背後地のり面補強や被災木撤去に係る費用負担など、切実な訴えも上がりました。 また、被災漁業者からは、物価高騰で資材価格が高騰し自己負担が課題、補助対象外の資材が多く、このままでは事業が続けられないという深刻な声が上がっています。一方で、支援が拡充されれば再建に挑戦したいという希望の声もあり、支援制度のあり方が地域漁業の再生意欲を左右することが明らかになっています。 現状の支援制度は、資材価格の高騰や多様な被害実態に十分に対応できているとは言えず、このままでは再建を断念する被災者がふえ、地域漁業の存続が危ぶまれます。東日本大震災津波からの復旧の歴史を踏まえれば、今回の復旧は単なる施設の修繕ではなく、地域のなりわいと暮らしを未来につなぐ重要な課題です。 県は、被災者一人一人の状況に寄り添った柔軟な仕組みや実効性のある施策を検討すべきです。 国の支援メニューにとどまらず、県独自の補完的支援も視野に入れ、なりわいの再建を諦めることなく挑戦できる環境を整えることが求められております。被災地の漁業者が再び立ち上がり、地域の誇りである漁業と養殖業を次世代につないでいくために、県としてどのように支援していくのか伺います。 多くの被災者が仮設住宅での生活を続ける中、住民の孤立を防ぎ、心のケアや互助を促す談話室の整備は極めて重要です。談話室は自治会組織づくりや見守り活動の拠点としても欠かせません。 しかし、長らく談話室の設置がおくれた結果、コミュニティー形成や自治会組織づくりが進まず、生活支援相談員によるコミュニティー支援も不十分な状態が続きました。 特に、東日本大震災津波の経験がある岩手県で同様の課題が生じたことは、行政が被災者の生活再建に不可欠なコミュニティー支援への取り組みを十分に行ったのか検証が必要であることを示唆しております。住民同士が支え合える環境の整備は、被災後の心身の安定に直結する重要な政策課題であり、行政の手厚い支援が必要だったのではないかという指摘も聞かれます。 幸い、民間団体や支援者の尽力により談話室は整備されましたが、行政の予算制約から生活相談支援員の常駐体制は確保できない見込みです。せっかく談話室が整備されたにもかかわらず、人員配置が伴わなければ、本来期待される安心の拠点としての機能が十分に果たせないおそれがあります。 自治会組織づくりや見守り体制が不十分となったこと、さらには、行政としてコミュニティー形成への手厚い支援が必要だったのではないかという指摘を踏まえ、県として住民の安心を守るために、どのようにコミュニティー形成支援に取り組んでいく考えか伺います。 激甚災害に指定された山林の復旧は、制度上の期限である令和10年度までの完了が難しい状況にあります。被災地の説明会では、森林所有者から、下刈りや間伐の負担に耐えられるか、運搬費用が木材の売却益を上回るのではないかといった経済的負担への不安が示されました。 物価高騰による資材や作業費の上昇、木材価格の低迷は、所有者の復旧意欲をそぐ大きな要因となっています。また、制度上は伐採、植栽費用が補助されても、その後の長期的な管理費用、森林保険料や下刈り、間伐費用などは、所有者負担となる点も復旧を阻む壁です。さらに、復旧作業を担う人材の不足も深刻な課題となっています。 このような現状を踏まえ、県は国に対し、事業期間の延長と財源確保を強く働きかけるべきです。加えて、森林保険料や下刈り費用の補助、木材搬出コストの軽減など、所有者の負担を減らす仕組みを構築することが不可欠であります。また、地域の森林組合や事業者が共同で作業を進められるような体制づくりも重要です。 単なる復旧にとどまらず、広葉樹やシイタケ原木など、地域経済に結びつく樹種の植栽を進めることも有効な施策です。 現行制度の内容が現実と乖離している現状を踏まえ、県として国に対し、事業期間の延長や新たな仕組みの構築を提起するとともに、森林所有者の経済的負担軽減や担い手不足の克服に向けて取り組む必要があると考えますが、どのような支援策を講じていくのか、考えを伺います。 森林復旧に向けては、被害状況の調査が進み、市と県、森林組合等の関係団体による協議会が設立され、地権者等に対する説明会も始まるなど、これからも加速度的に進んでいくことを期待しているところですが、大船渡市においては、これからの事業を進める上で、さらに林業や土木など専門的な技術を持つ職員が必要となる一方、そういった技術職の人材が市では十分に確保できておらず、業務の遂行に不安を抱えているとの声が聞こえております。 全国どの自治体でも技術職の確保は課題であり、県においても同様であると承知しておりますが、今回の被害規模から考えると、まずは市や県の垣根を取り払って人的支援を行うなど、技術職の職員が持つ専門性を発揮してもらい、森林復旧に係る事業が円滑に進むように十分な支援を行うべきと考えますが、県はどのように支援をしていくのか、知事に伺います。 今回の林野火災では、強風や乾燥した気象条件により急激な延焼拡大を引き起こし、飛び火が広範囲に及ぶ深刻な事態となりました。消防団員を初めとする地域の方々が不眠不休で消火活動に当たり、まさに命がけで地域を守りました。 一方で、被害の全貌がわからない中、活動に当たる方々の安全を確保しなければならず、夜間を含めて活動を制限せざるを得ない状況も続きました。 その過程で浮き彫りになったのは、広域的な消防力の限界、夜間の情報収集体制の不足、消防団員の長期的な負担という重大な課題であります。 特に消防団員は、地域防災の最後のとりででありますが、その活動は過酷を極め、昼夜を分かたず長時間に及ぶ出動を余儀なくされました。 本県においても人口減少が進み、地域での消防団員の確保が厳しくなってきている中ではありますが、地域の防災体制を支える消防団員の確保に向けてどのように取り組んでいく考えか伺います。 東日本大震災津波から14年半が経過し、復興支援はハード事業から被災者の心のケアや見守り、相談支援といったソフト事業へと移行しております。しかし、今年度で復興予算の柱である被災者支援総合交付金が原則終了する見通しで、国の支援が縮小する中、支援の継続が危惧されております。岩手県こころのケアセンターにおける相談件数は増加傾向にあり、精神医療の手薄な沿岸部では事業の中止は容認できません。 災害公営住宅などでは、高齢化や空き部屋の増加により、自治会や地域住民による共助の維持が困難になり、孤立死のリスクが高まっています。専門家は、公的な支援が縮小される中、地域住民の共助力の向上や支える側の人をふやす仕組みづくり、粘り強い支援の継続が不可欠と指摘しております。 国の支援が縮小する中、県として、今後の心のケア事業や見守り、相談支援について、どのように継続、強化を図っていくのか、また、被災者の孤立防止に向けた具体的な施策やボランティア、NPOとの連携などの考えはないか伺います。 知事は、ことし9月5日から12日まで、米国及びカナダを訪問し、岩手県産米や牛肉、日本酒などの県産品販路拡大に向けたPR、さらに国際リニアコライダーの誘致に向けた研究者への協力要請を行いました。 今回の訪問では、バンクーバーとロサンゼルスにおいて、いわてフェアやレセプションを開催するとともに、大リーグで活躍する岩手県ゆかりの選手との接点を生かし、北米の消費者へのアピールを図ったと承知しております。 MLB―メジャーリーグベースボール選手とのかかわりを通じたプロモーションは、話題性も高く、これを一過性のもので終わらせずに、今後の岩手県産品の継続的な需要拡大につなげるため、現地流通業者やレストラン、日系スーパーマーケット等との中長期的な関係構築を積極的に進めていただきたいと思います。 知事には、今回の北米訪問を岩手県の産業振興に確実につなげていただくよう期待しておりますが、今回の北米訪問で得られた成果を県としてどのように総括し、この得られた成果をどう具体的な施策につなげていく考えか、知事の所感を伺います。 また、今回ILC―国際リニアコライダー誘致に向けて、米国研究者への協力要請を行ったと伺っております。 ILC誘致の実現には、国の主導的役割が不可欠と考えますが、国に対する働きかけをどう強化していくのか、また、国際的な研究者ネットワークとどう連携していくのかなど、今回の訪問の成果を踏まえ、ILC誘致の実現に向けた具体的な戦略についてどのように考えているのか、知事に伺います。 第3期県立高等学校再編計画案において、県立大船渡東高等学校食物文化科の募集停止が示されております。 この学科は、東日本大震災津波からの復興において、地域の食文化や観光産業を支え、即戦力となる人材を輩出してきました。保護者や生徒、地元の事業者は存続を強く望んでおり、地域経済の活性化に不可欠な存在です。 震災からの復興において、食と観光は地域を支える重要な柱であり、地域外から人を呼び込み、経済と文化を再生させる大きな力となってきました。少子化を理由に安易に廃止するのではなく、この分野を強化することが地域存続の戦略そのものであります。 観光、飲食、福祉分野との連携を深化させ、地域産業と直結する教育を強化しながら、食物文化科の存続を前提に教育環境を整備すべきではないかと考えますが、県の考えを伺います。 また、県立高田高等学校海洋システム科の募集停止も示されましたが、三陸沿岸地域の水産業を支える気仙地域で唯一の専門教育機関であり、後継者不足の解消や震災からの復興において重要な役割を果たしてきました。地域からは存続を望む声が多数寄せられています。 水産業を担う人材を育成し、震災からの復興経験を継承してきた同科の募集停止は、地域社会と産業基盤に大きな影響を与えます。 漁協関係者や保護者、生徒からも存続を望む声がある中、このような声を真摯に受けとめ、地域に必要な教育を基軸とした判断を行うべきであり、漁業協同組合や水産事業者との連携をさらに強化し、産業ニーズに即した教育カリキュラムを再構築しながら、海洋システム科の存続を前提とした教育環境整備を行うべきと考えますが、県の考えを伺います。 県立住田高等学校は、いわて高校魅力化推進事業重点推進校に選定されたこと、県内外からのいわて留学生を受け入れている現状について高く評価されております。これらの取り組みは、生徒の主体性を育み、地域の活性化に貢献する先進的な教育モデルとして、気仙地域や岩手県全体の発展に資すると考えられます。 この住田高校における特色ある教育やいわて留学生の受け入れが果たす役割を評価し、今後の気仙地域や岩手県全体の発展に資する高校として存続させる方針を明確にすべきではないかと考えますが、県の考えを伺います。 また、高校の魅力化を推進する上で、学校環境の整備は不可欠です。校舎屋根やトイレを初めとする施設の老朽化については、高校魅力化や入学希望者確保に直結する重大な課題であり、早急に修繕、改修を行うべきと考えますが、あわせて県の考えを伺います。 盛岡市等の内陸部への医師の偏在や、人口10万人当たり医師数が全国平均を大きく下回る現状は、特に気仙地域や沿岸地域での医療サービスの確保に重大な課題をもたらしています。 こうした状況を踏まえ、地域に根差した医師を育成し、地元への定着を促すことが極めて重要であり、気仙地域の若者が地元で学び、将来的に地域医療に従事する機会を確保することが必要不可欠です。地域に医学部進学の道を開くことで、沿岸地域からの人材流出を防ぎ、地域の将来を担う若者を育てる効果も期待できます。 地域住民に希望と活力をもたらすとともに、将来的な地域医療の確保、体制強化にも資する重要な取り組みであると考え、気仙地域の県立高校への医学部進学課程の設置を検討すべきと考えますが、県の見解を伺います。 障がいのある生徒の卒業後の支援体制について、沿岸部や内陸北部などの地域においては、就労継続支援A型、就労移行支援事業所の閉鎖や休止が相次ぎ、卒業後の進路選択に大きな不安が生じています。特に、障害者手帳を所持しない軽度の障がいや難病、軽度難聴等の生徒は就職機会が限られ、継続的な支援が欠かせません。 宮城県や秋田県が圏域ごとの就労支援体制を強化し、職種の多様化を図る中、本県では圏域間や市町村間の格差が大きく、進路決定の自由度や選択肢が制約されています。 また、障がいのある子供とその家族が地域で安心して暮らすために不可欠なグループホームや入所施設の不足は深刻で、希望しても地元で就労、生活が難しく、県外や遠隔地へ移らざるを得ないケースも少なくありません。 障がい児・者の卒業後の就労機会の創出について、特に沿岸部や内陸北部のような就労支援資源の乏しい地域において、どのように支援を充実させていくのか、また、グループホームや入所施設の不足解消に向けて、どのような整備計画や支援拡充を検討しているのか、県の考えを伺います。 県内最大の貨物取扱量を誇る大船渡港は、コンテナ貨物が増加し、地域物流の拠点としての役割が高まっています。加えて、主な利用企業がカーボンニュートラル、循環型経済への移行を進める中で、パームヤシ殻や廃棄物などの循環資源の物流拠点として重要性を増しております。 しかし、現状の港湾施設には、貨物の一時保管場所が極めて不足しており、野々田埠頭のコンテナヤードに加え、茶屋前埠頭は石炭やパームヤシ殻で占有され、他貨物のスペースがほぼない状況です。今後、循環資源である廃棄物や石炭灰等の取り扱い増加が確実視される中、このままでは十分な対応が困難であり、港湾の発展に大きな制約となります。 大船渡港を国が推進する循環経済拠点港湾―サーキュラーエコノミーポートとして位置づけ、資源循環型貨物の増加に対応する港湾機能強化を図るため、茶屋前埠頭北側防潮堤内側を活用し、新たな貨物保管場所として上屋等の整備を進めるべきと考えますが、県の認識と今後の方針を伺います。 国は2030年に観光消費額15兆円を目標とし、観光は基幹産業化が進んでいます。2024年には訪日外国人旅行消費額が8.1兆円に達し、全国の観光資源の国際発信も活発に行われています。 一方で、岩手県では旅館、ホテルの約8割が小規模施設で、人材不足や経営継承が深刻な課題です。そのため、県全体での観光施策の強化が急務であります。 県は現在、みちのく潮風トレイルの受け入れ体制整備に係る事業や、三陸地域への教育旅行の誘致拡大、周遊促進を図るための貸し切りバス等に係る補助などの観光振興策を行っていると聞いておりますが、東日本大震災津波からの復興を遂げつつある地域であり、世界に誇れる豊かな自然景観や文化、食資源を有しながらも、観光振興のための戦略的投資が不足していると考えます。 特に、公益財団法人さんりく基金三陸DMOセンターの機能は十分に発揮されておらず、地域事業者の声が反映されていないとの指摘もあります。三陸DMOセンターが真の推進窓口として機能するためには、県による観光関連団体や他の自治体との一体的な支援が不可欠です。 岩手県により多くの観光客が足を運ぶよう、観光施策に対する予算規模を拡充すべきであり、特に三陸沿岸地域の観光振興について、しっかりとした予算措置を行い、重点的な投資を進めていくべきと考えますが、県の方針を伺います。 本年7月、市民による日本遺産の市(まち)にする市民運動の成果として、大船渡市が日本遺産みちのくGOLD浪漫―黄金の国ジパング、産金のはじまりの地をたどる―に追加認定されました。この市民の情熱が生み出した成果は、地域がみずから歴史文化を掘り起こし、未来につなぐ力を示した点で大きな意義があります。 みちのくGOLD浪漫は、奈良時代に日本で初めて金が産出された宮城県涌谷町を初め、奥州藤原氏が築いた平泉の黄金文化、近代の金山開発、大航海時代の国際交流に至る1、200年余りの産金史を語る壮大なストーリーです。当初は5市町で構成されていましたが、石巻市、そして今回の大船渡市が加わり、現在は7市町に拡大しました。 大船渡市からは、今出山や碁石海岸、今出山金山跡、大なる入り江サン・アンドレス―大船渡湾の風景―が新たに構成文化財となりました。これらは地質学的、産業遺産的、国際交流の歴史的価値を含み、震災復興の歩みを重ね合わせた貴重な文化ストーリーを形づくっています。 この追加認定を契機に、観光振興や地域ブランド化、教育、学習資源としての活用、さらには国際交流へとつながることが期待されます。 県としても、このような地域資源を最大限に生かし、地域活性化の取り組みを強力に後押しすべきと考えますが、気仙地域や宮城県の構成市町との広域連携など、県はどのように支援していくのか伺います。 遊漁船業は、地域経済や観光、漁業後継者育成に重要な産業です。しかし、令和6年4月に国土交通省が改正した遊漁船等の安全に関する規制に対し、現場から深刻な懸念の声が寄せられています。 北海道知床の事故を受け、安全確保は最優先でありますが、今回義務化された救命いかだや無線機の導入、維持には、零細な事業者が多い地方の遊漁船業者にとっては150万円以上の過酷な費用負担が生じ、廃業が相次ぐのではないかと危惧されております。 遊漁船は、地域経済や文化を支える存在であり、観光や交流の担い手を失うことがないよう取り組まなければなりません。 県は、遊漁船業者の現状や規制による影響についてどのように把握し、高額な安全設備の導入に対する支援の必要性などをどのように考えているのか伺います。 近年の急激な物価高は、県民の暮らしに深刻な影響を及ぼしています。全国で約6割が生活が苦しいと感じる中、本県では賃金水準が全国平均を下回るため、食料品や光熱費などの負担増が生活に直結し、特に若い世代や子育て世帯の家計を圧迫しています。これにより、貯蓄や生活資金の確保が難しく、日常生活や将来設計の不安が顕著になっています。 県はこれまで、子育て世帯への保育料軽減や公共料金負担軽減、生活支援金の支給など、さまざまな取り組みを実施してきました。しかしながら、現状の支援策は物価上昇のスピードに十分追いついておらず、支援額の限界や対象範囲の狭さ、そして、一時的な支援にとどまることが課題として指摘されています。 このような状況を踏まえ、県民が安心して生活できる環境を整備するため、県としてさらなる物価高騰に苦しんでいる生活者支援策をどのように進めていくのか、知事に伺います。 岩手県の最低賃金は、令和7年12月1日より現行の時給952円から1、031円へ引き上げられることが決定されました。この引き上げは、労働者の生活向上や物価高騰への対応として必要であり、県民生活の底上げにつながるものであると思います。 一方で、県内の中小企業や小規模事業者にとっては、人件費の増加は経営にとって大きな負担となり得ることも事実です。最低賃金の引き上げが円滑に実施され、地域経済や事業経営への過度な影響を回避するためには、県として具体的かつ実効性のある支援策が求められます。 最低賃金引き上げにより企業経営への負担が増すことが想定される中で、県として、中小企業や小規模事業者が適切に対応できるよう、どのような支援策を講じていくのか、知事に伺います。 改正鳥獣保護管理法―鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の施行により、ことし9月1日から市街地に出没する熊への緊急銃猟が可能となりました。しかし、9月中に実際に運用可能と回答した市町村はわずか4市にとどまり、多くの市町村で対応が間に合っておりません。 この背景には、対応マニュアルの未整備、猟友会との調整不足、人材不足に加え、現場ハンターからは危険性が高い、発砲までの手順が多く即応できないといった実務的な課題が指摘されています。 県は補正予算で約500万円を計上し、ハンターの日当や防具、保険料等への補助や対策チームの新設を掲げております。しかし、これらの措置を実効性あるものとするためには、単なる費用支援だけでなく、市町村の現場実務を支える仕組みづくりが急務であります。 県が主体となって標準マニュアルや訓練用の共通プログラムを整備、提供していくなど、市町村間での進捗に格差が生じぬよう、県主導での横断的な支援体制を強化すべきです。 また、現場では、即応可能なハンターが不足しており、負担も大きい状況です。今後、若手や新規担い手の育成、さらには、専門的な緊急銃猟隊のような人材育成を県が主導して取り組むべきと考えますが、これらについて、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。 実際の緊急銃猟の場面を考えると、市街地での発砲は、流れ弾や事故のリスクが極めて高いものの、北海道の事例では、複雑な手順が逆に現場対応のおくれを招いています。岩手県においては、こうした教訓を踏まえ、シンプルかつ安全を優先する手順に改定する必要があると考えます。 このことに加え、緊急銃猟は行政やハンターだけではなく、住民の理解と協力が不可欠です。発砲時の避難行動や市民への事前周知、情報共有体制をどのように構築していくのか、県の考えを伺います。 以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 千葉盛議員の御質問にお答え申し上げます。 大船渡市林野火災からの復旧、復興についてでありますが、県では、被災地の復旧、復興に向けて、暮らしの再建、なりわいの再生、インフラの整備の3本柱で取り組みを推進しています。 暮らしの再建では、応急仮設住宅の整備とともに、被災者生活再建支援金の速やかな支給や相談支援などにより、被災者の住宅再建を支援しているほか、なりわいの再生では、被災した施設、設備の復旧支援や被災地の観光需要の喚起など、インフラの整備では、森林整備や治山事業などに取り組んでいます。 これらの取り組みの推進に当たっては、国庫補助制度の活用が重要となることから、被災地の実情や大船渡市の要望を踏まえ、国に対し、国庫補助制度の柔軟な運用や見直しを繰り返し働きかけてきたところです。 こうした本県の働きかけに応じ、国においては、解体等を含めた水産業共同利用施設の復旧に対する県と市による補助率のかさ上げ分への地方財政措置、被災事業者等に対する雇用調整助成金の適用、テレビ共聴施設の復旧に対する補助対象の拡大など、被災地の実情を踏まえた支援策を講じていただいています。 今後とも、大船渡市と連携を図りながら、国に対し、被災地の復旧状況や新たな支援ニーズに対応した制度の創設や見直しなどを働きかけてまいります。 次に、大船渡市に対する人的支援についてでありますが、今般の林野火災は、平成以降で国内最大規模の延焼範囲であり、復旧、復興には相当の時間を要するものと見込まれます。大船渡市が事業主体となる森林災害復旧事業等の速やかな実施に向けては、市への支援体制を強化することが重要です。 このため県では、5月1日付で、沿岸広域振興局大船渡農林振興センターに総括課長級の林学職を新たに配置したところであり、県による被害状況調査の実施や市に対する技術的助言など、関係機関と連携しながら、市の取り組みを支援しているところです。 また、今後、森林所有者の意向調査や復旧計画の策定、災害査定への対応など、業務量が大幅に増加すると見込まれることから、県では、市に対し、本日10月1日から、大船渡農林振興センターの林学職4名が市の森林災害復旧業務を支援するスポット派遣や、中長期派遣として土木職1名の派遣を行っています。 今後とも、森林の早期復旧に向け、大船渡市の意向等を確認しながら、職員派遣など市の取り組みを支援してまいります。 次に、北米訪問の成果についてでありますが、先月のカナダ、米国でのトップセールスにおいては、県出身のメジャーリーガーの活躍も背景に、日本に対する好感度の高さを感じるとともに、食を中心に日本の生活文化が浸透し、日本の食材や日本酒に対するニーズが高いことを実感いたしました。 両地域では、現地のシェフやバイヤー等に県産食材の特別メニューや日本酒を提供するPRレセプションを開催し、レセプションでは、私から両地域と岩手県とのかかわりや岩手県の観光、物産のPRを行いました。 今回特に、大谷翔平選手など本県出身メジャーリーガーの注目度が高い中で、ドジャースタジアムを会場としたこともあり、米国でのPRレセプションにはロサンゼルスだけではなく、フロリダやハワイなど全米各地からバイヤーやシェフに参加いただき、今後の展開への足がかりとなりました。 また、ドジャースタジアムでは、IWATEのユニフォームを着て県産おにぎりの配布を行い、アメリカの消費者に岩手県のお米を直接PRしました。 さらに、現地では、日系スーパーや飲食店と連携し、いわて牛を初めとした県産品をPRするフェアを開催しました。 両地域の多くの関係者から県産品について高い評価を得ることができ、実際に取り扱いたいという声やフェアを継続して実施したいという評価をいただいたところです。 今回のトップセールスにより、新たに構築、強化されたネットワークを生かしながら、バイヤーの産地招聘等を通じた取引拡大、岩手フェアの開催を通じた認知度向上に継続的に取り組むなど、県産品のさらなる輸出拡大、インバウンドの誘客に結びつけてまいります。 次に、ILC―国際リニアコライダーの誘致に向けた取り組みについてでありますが、今回の北米訪問では、村山斉カルフォルニア大学バークレー校教授やSLAC国立加速器研究所を訪問し、ILCの実現に向けた地元の取り組みと熱意をお伝えしました。 意見交換では、次期欧州素粒子物理戦略で議論されているFCC-ee―次世代円形衝突型加速器への関心が米国内においても急速に高まっていることを伺いました。 一方で、FCC-eeは建設費が高額であること、日本のILC関連技術が高く評価されていることから、日本政府がILC建設の意見表明をすれば、研究者からは歓迎されることが示されました。 この訪問を通して、海外の研究者との連携の必要性を認識するとともに、改めて日本政府による前向きな態度表明が重要であると実感したところであります。 県といたしましては、海外の研究者に対する情報発信を継続するとともに、政府に一日も早く誘致の決断をしていただけるよう、県内外の推進団体や各都道府県、経済界と一体となって、政府に対し、あらゆる機会を捉えて働きかけを行うなど、ILCの実現に全力で取り組んでまいります。 次に、物価高騰における生活者支援策についてでありますが、物価高騰の影響が続いている中、国の家計調査によれば、食料品等の価格高騰の影響等により、家計の消費支出に占める食料費の割合が数十年ぶりの高い水準にあり、千葉盛議員御指摘のように、県民生活において物価高騰が強く影響していると受けとめています。 これまでの物価高騰対策として、国では、ことしの年末調整から予定されている所得税の減税や政府備蓄米の売り渡しなど、また、県では、国の交付金を活用し広く県民の負担軽減につながるLPガス価格高騰対策などを行っており、市町村では、住民税非課税世帯向けに給付金の支援などに取り組んでいます。 こうした状況を踏まえたさらなる支援策については、国に対して一刻も早い経済対策の実施を訴えつつ、県としても国の動向に対応しながら、独自の予算措置も含め、臨機応変に取り組んでいきたいと考えています。 次に、賃上げ支援についてでありますが、現在、エネルギー、原材料価格の高騰の中で、中小企業や小規模事業者が持続的な賃上げを行っていくためには、生産性向上と適切な価格転嫁の実現による賃上げ原資の確保が重要であります。 しかしながら、中小企業者等はすぐに価格転嫁を十分に進めることはできず、人材確保のために防衛的な賃上げを余儀なくされている状況にあります。 こうした状況を踏まえ、県では、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助金による生産性向上の支援や、物価高騰対策賃上げ支援金による支援などを行っています。 また、県では、県内商工団体等と共同宣言を行い、国が示した労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の周知や、企業が発注者の立場で望ましい取引慣行の遵守を宣言するパートナーシップ構築宣言の普及拡大などにより、適切な価格転嫁の促進に取り組んでおります。 最低賃金に関しては、国の目安を超えて引き上げる場合には、国が重点支援を講じるとしており、今般の最低賃金の大幅な引き上げに対応するため、全国知事会とも連携し、国に対して大胆かつ迅速な支援の実施や財源の確保を働きかけていくとともに、今後においても、県内事業者の経営の安定や生産性向上に向け、国の施策とも連動しながら、適時適切に必要な施策を展開してまいります。 なお、最低賃金の引き上げ時期までに国の特別な支援策が明確にならない場合には、県として、独自の対応も検討してまいります。 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、自主避難を行った福祉施設等への支援についてでありますが、今般の高齢者施設等における自主避難は、延焼の範囲が見通せないという林野火災の特性を踏まえ、人命を最優先に考え行動したものであり、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害の教訓を踏まえた適切な判断と認識しておりますが、関係経費が災害救助費の適用外となったことから、県独自の支援策を全国に先駆けて実施したところであります。 一方、同時期に発生した西日本の大規模林野火災では、自主避難を行った施設への支援が見送られるなど、対応は自治体任せとなっており、頻発する大規模災害を踏まえ、防災庁の設置に向けた準備が進む中、国において、本県の事例を踏まえ、統一的な支援の枠組みを構築することが必要と考えております。 県では、発災以降、高齢者施設等における自主避難に要する経費などについて、適切な財政措置を講じるとともに、法の弾力的な運用を可能とするよう国に要望してきたところであり、今後も東日本大震災津波や大船渡市林野火災を経験した被災県として、あらゆる機会を捉えて、国への働きかけを行ってまいります。 次に、今後の心のケア事業や見守り、相談支援についてでありますが、被災者の心の不調には現在も震災の影響が認められており、心のケアは中長期的に取り組むべき課題であると認識しております。国の次期復興基本方針においても、真に必要な範囲で第2期復興・創生期間の後も復興施策による対応も行うとされたところであります。 このため、県としては当面、岩手県こころのケアセンターによる専門的支援を継続しつつ、将来的には市町村や保健所を中心とした相談支援体制へ移行できるよう、国や関係機関と調整の上、地域の専門人材の育成やマニュアル、教材作成によるノウハウの継承などについて検討してまいります。 見守り、相談支援についても、被災者が抱える課題も複雑化、多様化してきていることから、同様に中長期的な支援が必要であると認識しています。そのため、県としても、被災者が孤立を深めることがないよう、見守り支援を行っている市町村と対応を相談しているところであり、引き続き市町村の取り組みを支援してまいります。 また、被災者の孤立防止のためには、市町村における属性や世代を問わない包括的な支援体制と、民生委員などによる住民主体となる地域共生社会に向けた地域づくりに対する支援に取り組んでまいります。 加えて、いわてNPO災害支援ネットワークとの連携により、岩手県防災ボランティア支援ネットワークを構築し、地域における受援力を高める取り組みを進めるとともに、多くのボランティアに地域行事のサポートなどの生活支援型の活動をしていただいているところであり、県としては、引き続きこうした取り組みを推進してまいります。 次に、障がい児・者の卒業後の支援体制についてでありますが、特別支援学校においては、ハローワークなどの関係機関、障がい福祉サービス事業所や企業との連携のもと、生徒一人一人の主体的な進路、職業の選択を支援しております。 また、全ての圏域に設置している障害者就業・生活支援センターを中核として、職業面、生活面の一体的な相談対応などを通じ、就職から職場定着までを継続的に支援しています。 障がい児施設からの退所児童については、国の通知に対応し、障害児入所施設入所者の移行調整に係る会議を設置し、福祉、教育、行政関係者の参画を得て、本人の希望を尊重した成人期にふさわしい環境への円滑な移行調整に努めております。 障がい者の地域生活においては、多様な就労機会や住まいの場を確保することが重要でありますが、地域によっては就労移行支援やグループホームなどの利用機会が限られる状況もあるものと認識しております。 県としては、施設整備の補助に当たり、岩手県障がい福祉計画の進捗状況を評価の上、サービスの不足している地域においては、優先的に補助事業を採択しているところであります。 今後においても、障がい福祉サービスの実施主体である市町村への助言、指導を通じて、各圏域における支援基盤の均てん化を図ってまいります。 〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕 〇農林水産部長(佐藤法之君) まず、漁業被害への支援についてでありますが、今般の林野火災の被害を受けた漁業協同組合や漁業者の多くは東日本大震災津波との二重被災となることから、経営の再建に向けては、被災した漁業者等に寄り添った支援策を講じていくことが必要と考えています。 県では、これまで、定置漁業用倉庫の復旧について、市と連携した国事業への上乗せ補助を実施しているほか、県独自に、国事業の対象とならないワカメなどの養殖用機器等の再整備に要する経費への補助を措置したところです。 また、国や県の事業の対象とならない採介藻漁業や漁船漁業の漁具等については、市が独自に補助事業を創設するなど、国、県、市が連携してきめ細かな支援に努めています。 今後も、被災した漁業者等の声を丁寧に伺いながら、地域の基幹産業である水産業の持続的な発展に向け、市や関係団体等と連携した支援に取り組んでまいります。 次に、森林災害復旧についてでありますが、県では、国に対し、事業実施期間の延長や下刈り作業の追加などを繰り返し要望しており、先月にも、事業実施期間の延長に加え、ストックヤードの整備等に対する支援について要望しました。 市では、先月から、森林所有者を対象に地域説明会や意向調査を行っていますが、その中では、木材としての価値が下がり赤字となることや、下刈りなどの費用負担が大きいことを心配する意見が出されており、こうした声に対応した支援策を検討していくことが必要です。 このため県では、市、国、関係団体等と設置した大船渡市林地再生対策協議会において、森林所有者の負担軽減や復旧事業を担う人員体制の構築に向けた具体的な検討を行い、年度内に復旧計画を策定することとしています。 今後も、森林所有者の意向を丁寧に把握しながら、被災した森林の復旧が円滑に進むよう、関係機関、団体と一体となって取り組んでまいります。 次に、遊漁船についてでありますが、本県の遊漁船業者は、ことし8月末時点で226あり、そのうちの約9割が漁業と兼業しており、その経営規模は小規模となっています。 国では、遊漁船を含む小型旅客船等について、救命いかだ等の安全設備の設置を義務化しましたが、遊漁船については、対象設備の供給や流通の状況等を考慮し、義務化の適用日を検討中です。 県としては、漁業者の安全確保を図るため、安全設備の導入を円滑に進めることが重要と考えており、国と連携した制度説明会の開催や設備の導入を支援する国事業の活用を促してきたところです。 説明会に参加した事業者からは、事業の継続とともに、補助事業の予算額が少ないなど、遊漁者への支援が十分でないとの声が寄せられています。 このため県では、国に対し、事業の継続や予算の十分な確保などを要望することとしており、本県の遊漁船業が安全かつ安定的に営まれていくよう取り組んでまいります。 〔復興防災部長大畑光宏君登壇〕 〇復興防災部長(大畑光宏君) まず、仮設住宅団地におけるコミュニティー形成についてでありますが、県では、今般の大船渡市林野火災におきましても、被災者の方々が新たな居住環境で、不安を抱え孤立することがないよう、大船渡市の意向も踏まえ、専門家を派遣しながら、仮設住宅団地におけるコミュニティー形成を支援しているところであります。 支援状況でありますが、入居戸数7戸の蛸の浦仮設住宅団地については、既存の自治会に所属する組織としてその形成を支援したところであり、入居戸数19戸の綾里仮設住宅団地については、団地単独での自治会組織の形成に向け、ごみ収集を初めとする団地内のルールづくりが進められており、引き続き必要な支援を行っていくこととしております。 また、綾里仮設住宅団地では、入居者が被災前に居住していた地元の夏祭りに準備段階から参画するなど、NPOの協力も得ながら、地元とのつながりを維持するための交流も行われているところであります。 今後は、生活支援相談員による見守り支援の充実や住民同士の触れ合い機会の創出など、団地内の談話室を活用したコミュニティー活動がより一層活発化するよう、専門家と連携し、市の取り組みを支援してまいります。 次に、消防団員の確保についてでありますが、令和6年度に実施した消防団に関するアンケート調査では、団員確保のために必要な取り組みとして、処遇の改善や負担の軽減が挙げられたところであり、年額報酬、出動報酬の引き上げや直接支給、機能別団員制度の導入などを促進しているところであります。 こうした取り組みに加え、今年度は、消防団員の約7割が被雇用者であるという現状を踏まえ、従業員の消防団活動に配慮する事業所として、国、市町村が認定する消防団協力事業所に対し、県の一部の補助金審査で加点措置を行う取り組みなどを新たに実施し、その周知等を図りながら、被雇用者の方々も消防団活動に参加しやすい環境づくりに取り組んでいます。 また、地域防災力の強化に向けた消防団を含めた共助のあり方について、今後、市町村や有識者等の御意見を伺っていくこととしており、伺った御意見等を踏まえた上で、団員確保に向けた取り組みの充実、強化について、具体の検討を進めていくこととしてしております。 〔県土整備部長上澤和哉君登壇〕 〇県土整備部長(上澤和哉君) 大船渡港についてですが、大船渡港は、太平洋セメント株式会社大船渡工場等による石炭灰、パームヤシ殻、廃プラスチック等の取り扱いがあり、経済活動における資源循環の重要な拠点の役割も果たしていると認識しております。 国では、循環経済の拠点としてサーキュラーエコノミーポートの取り組みを進めようとしているものの、その具体的な枠組みや支援制度等については、本年度末をめどに取りまとめる予定としており、県では、国や大船渡市と情報共有しながら、選定を受けるための検討を進めております。 また、資源循環型貨物の増加に対応するための上屋等の整備については、荷主企業の動向を注視するとともに、港湾施設の利用状況、取扱貨物量の推移や将来見通し等を見きわめながら、必要に応じて検討してまいります。 〔商工労働観光部長箱石知義君登壇〕 〇商工労働観光部長(箱石知義君) 三陸沿岸地域の観光振興についてでありますが、本県における観光予算については、厳しい財政状況の中、国の予算の活用を含め、限られた予算の中で最大限の効果を発揮できるよう、時々の状況を捉え、選択と集中により、必要な施策に応じた予算を確保し、取り組みを進めてきたところであります。 三陸各地域においては、観光キャンペーンの展開に加え、みちのく潮風トレイルの受け入れ態勢強化やアドベンチャー・ウイーク東北2025の開催による国際的な情報発信、震災学習をテーマにした教育旅行の誘致や株式会社ポケモンと連携した取り組みなど、多角的な誘客に力を入れております。 また、三陸DMOセンターの充実強化に向け、活動の核となる観光プロデューサーやコーディネーターの配置等を支援しているところであります。 このような取り組みにより、三陸地域における令和6年の観光入り込み客数は727万3、000人回となり、コロナ禍前の令和元年度比で103.1%と、内陸地域を上回る回復状況となっております。 引き続き、三陸地域の観光振興に向け、必要な予算の確保と重点的な支援に取り組んでまいります。 〔ふるさと振興部長村上宏冶君登壇〕 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) みちのくGOLD浪漫への支援についてでありますが、今般、日本遺産みちのくGOLD浪漫の構成自治体に大船渡市が新たに加わるとともに、構成文化財に大船渡市の今出山金山跡などのほか、陸前高田市の旧吉田家住宅主屋が追加されたことは、歴史的、文化的な地域資源の価値が広く発信されることにつながり、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる三陸防災復興ゾーンプロジェクトの推進にも大きく寄与するものと受けとめております。 県におきましても、岩手、宮城両県が連携して発行している合同広報誌に大船渡市の追加認定に関する記事を掲載するなど、広域的な情報発信に取り組んでいるところでございます。 地域の歴史的魅力や特色を発信する取り組みは、地域活性化や県際連携にもつながることから、今後におきましても、関係広域振興局や関係市町村、宮城県などとも連携を深めながら、みちのくGOLD浪漫を契機とする人的、経済的な交流が一層図られるような施策が拡充されるよう検討してまいります。 〔環境生活部長中里裕美君登壇〕 〇環境生活部長(中里裕美君) まず、緊急銃猟の実施に向けた体制整備についてでありますが、県では、国が策定した緊急銃猟ガイドラインを踏まえ、ツキノワグマ市街地出没時対応マニュアルを改定し、訓練の実施方法を盛り込むなど、市町村が独自のマニュアルを策定する際の参考となる内容としたところでございます。 また、緊急銃猟を実施する市町村を支援する緊急銃猟対策チームを設置できることとし、対策チームの設置を想定した緊急銃猟に係る訓練を9月22日に釜石市で開催したところですが、そこで明らかとなった課題等につきましても、市町村間で共有し、市町村における緊急銃猟の実施体制の充実につなげてまいります。 さらに、緊急銃猟を担う若手狩猟者の育成に向け、狩猟経験の浅い狩猟免許を取得して3年以内の者を対象に、捕獲技術の向上等を目的としたスキルアップ研修会を県独自で開催するほか、岩手県猟友会が実施する射撃技術の向上を目的とした研修会への参加を促進してまいります。 こうした取り組みを通じまして、実施主体となる市町村が、円滑に緊急銃猟を実施できるよう、引き続き市町村における体制整備を支援してまいります。 次に、安全確保に向けた取り組みについてでありますが、緊急銃猟は、市街地等の通常は禁止されている地域でも銃猟を行うことができる制度であることから、鳥獣保護管理法等や国のガイドライン、県のマニュアルで定められた手順を遵守することが捕獲者の保護、そして、地域住民の安全の確保にもつながるものと考えております。 また、関係法令においては、ホームページ等による事前周知や交通の制限等を行う場合の職員の配置などが義務づけられており、県のマニュアルにおきましても、これらの規定を補う形で、防災無線等を用いた住民への周知などの安全を確保するための措置の流れについて解説しております。 これらの措置を適切に実施することで、緊急銃猟の安全性が担保されるものと認識しておりますが、今後の制度の運用状況に応じて、必要なマニュアルの見直し等を行ってまいります。 〔教育長佐藤一男君登壇〕 〇教育長(佐藤一男君) まず、県立大船渡東高等学校食物文化科の存続についてでありますが、大船渡東高校食物文化科では、地域の教育資源の活用や地域産業との交流、連携により、地域や学校の実情に応じた、魅力ある学校づくりに向けた取り組みを進めてきたところであります。 本年4月に策定した県立高等学校教育の在り方〜長期ビジョン〜では、総合的な専門高校について、地域の産業構造やニーズを踏まえた学科構成としながら、よりよい教育環境の整備を図るため、より広域での再編も視野に入れながら、他の学科との併置校への再編等を検討し進めることとしております。 今回、再編計画当初案では、全県における調理師養成施設について、今後の教員配置を踏まえた上で、広域での再編が必要と判断したところです。大船渡東高校については、令和10年度に食物文化科を廃止の上、食物、被服、保育などの家庭の学びは農芸科学科の中にコース等として維持することとしたものであります。 再編計画当初案公表後に地域の方々や中学生等から、地域や地元企業との連携、協働した高校の特色化、魅力化や、地域や地域産業を担う人材の育成について貴重な御意見を伺ったところであり、子供たちにとってよりよい教育環境が維持されるよう丁寧に議論を進めてまいりたいと考えております。 次に、県立高田高等学校海洋システム科の存続についてでありますが、高田高校海洋システム科においても、地域の教育資源の活用、水産業や漁業関係者等との交流、連携により、地域や学校の実情に応じた、魅力ある学校づくりに向けた取り組みを進めてきたところであります。 長期ビジョンでは、将来的にも水産の学びを確保できるよう、より広域での再編も視野に入れ、学びの配置バランスを考慮するとともに、他の学科との併置校への再編等、教育環境の整備のあり方について検討し、進めることとしております。 今回の再編計画当初案では、全県における水産の学びについて、これまでの志願者の動向や今後の教員配置を踏まえた上で、広域での再編が必要と判断し、高田高校については、令和10年度に海洋システム科を募集停止とすることとしたものであります。 再編計画当初案公表後に、地域の方々から、地域や地域産業を担う人材の育成について、貴重な御意見を伺ったところであり、教育環境の整備に向け、丁寧に議論を進めてまいりたいと考えております。 次に、県立住田高等学校の存続と施設改修についてでありますが、高校魅力化の取り組みは、市町村や地域、地域産業などの支援を受けながら、岩手県の産業や地域を支える人材の育成、小中学生の地元高校への理解促進、いわて留学の着実な進展などに一定の成果を上げてきたものと認識しており、引き続きの取り組みの推進が必要と考えております。 再編計画当初案では、住田高校を初めとする1学年1学級校について、高校を核とした地方創生推進の役割を考慮し、地域校と位置づけ、地域における学びの機会を保障することとしております。 また、施設の老朽化については、生徒の学校生活に支障を来さないよう、必要な修繕を適切に実施してまいりますが、屋根の全面的な修繕などの校舎の大規模な改修については多額の費用が伴うため、教育委員会所管施設全体の整備計画の中で、優先度を踏まえながら検討してまいります。 次に、気仙地域の県立高校への医学部進学課程設置についてでありますが、長期ビジョン及び再編計画当初案では、基本的な考え方の五つの柱の一つに、大学進学率の向上や専門的知識を持つ人材の育成を掲げており、医師確保等の県政課題に対応した人材の育成に向け、医系等の専門職を目指すコースなどの設置や、進学指導に重点を置いた全日制普通高校への単位制導入について検討し、取り組むこととしております。 医系コースについては、これまでの医学部医学科の進学実績や志望者数を踏まえ、設置を検討する必要があります。先般、県立盛岡第一高等学校において、進学型単位制の導入と合わせ、令和8年度入学生からの医系コースの設置を決めたところです。 また、志願者数などの観点から医系コースの設置に至らない場合であっても、難関大学や医学部医学科等への進学を目指す生徒が一定程度いる場合、その学びを支援するため、進学型単位制を導入することとし、令和7年度以降、複数の高校への導入を進めてきているところです。 沿岸地区の県立高校におきましても、生徒の進学実績や志望動向を勘案しながら、進学型単位制の導入について検討してまいりたいと考えております。 〇14番(千葉盛君) 引き続き大船渡市林野火災の対応については、支援の取り組みを続けていってほしいと思いますので、先ほど話したとおりですけれども、被災者が訴えても、なかなか被災者が求める支援まで行き届いていないというところもありますので、今まで以上にきめ細やかな対応をお願いしたいと思います。 森林復旧も、山林をしっかりともとに戻していくというのであれば、やはりいろいろな山の持ち主の方々が、大きな手出しがあるというとなかなか復旧が進まず、そのままになってしまうということも起きてくると思いますので、その辺はしっかり進むように、今後ともよろしくお願いしたいと思います。 それで、1点再質問させていただきます。高校再編計画について質問させていただきます。 先ほど、大船渡東高校と高田高校の件について、丁寧に議論を進めていくということでありましたけれども、状況から言えば、今、報道等で知っていると思いますが、大船渡市議会や陸前高田市議会でも、募集停止に反対ということで、存続、現状維持を求める意見書も可決されましたので、これから県や県教育委員会にも意見書が届いてくると思います。 先ほども言いましたけれども、やはり大船渡東高校食物文化科、高田高校海洋システム科も気仙地域全体での話でありますので、その中で言われているのが、この気仙の産業自体の人材がまた奪われてしまうということです。これまでの専門人材を育成してきた場所が失われてしまうということで、さらなる若者の流出を招いてしまうといったところで、本当に地域、地域住民、産業界、保護者、OB同窓会の方々も一生懸命になって、今、存続に向けて動いております。 できれば、一旦しっかり柔軟な対応をしてもらいたいというのが本音なのですけれども、その中で、皆さんが今、東日本大震災津波から一生懸命取り組んできて、大船渡市林野火災があってまた大変な状況の中で、こういった議論への対応をしなければいけないということです。この食物文化科、そして、海洋システム科の募集停止というのは、今まで一切話がなくて、本当に唐突感がありました。今、林野火災で、実際被災していなくても、やはりいろいろな影響があります。いろいろなところで皆さんが大変な思いをしています。 だから、地域、自治体が疲弊している中で、これから復旧、復興をしようという中で、また大船渡市及び陸前高田市の市議会でも取り上げられ、産業界とか保護者とかが一体になって、また署名運動もしようということで、皆さん大変なのだけれども、存続をするために今いろいろ動いております。 林野火災があった中で、あえてこの時期を選んで、こういった唐突な話をよく出してきたという声がすごく聞こえております。県の姿勢、県教育委員会の姿勢に疑問を呈している方々もたくさんおります。 そういった状況の中で、もう一度伺いますけれども、地域、地域住民、いろいろな方々が存続を求めている中で、同じような答えになってしまうかもしれないですが、また林野火災への対応を考えた中で、こういった再編計画の再検討、募集停止に対する再検討など、柔軟な対応が求められていくと思いますけれども、これは知事と教育長にお伺いしたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 高校のあり方については、一定の期間を区切りながら、その期間ごとの人口の推移、今の小中学生の人数から高校生の人数というのを予測しながら、地域ごとに計算をして分析して案を出していると思います。また、教育委員会としては、高校のあり方ということ以外の、災害でありますとか、経済、社会的要因については、それとは切り離された形で、純粋に人口の動態と学校を取り巻く事情というところから、今回の提案に至ったものと考えます。 これについては、広く県民的な議論を行った上で結論に至るプロセスでありますので、そういうプロセスの中で、現代日本が経験したことのないような林野火災を経験した大船渡市であり、気仙地区ということの中での議論ということは、今後、教育の理論とはまた別の形であるのだと思います。 〇教育長(佐藤一男君) このたびお示ししている高校再編計画は、第3期の計画でございまして、これまで、それぞれ10年ごとに計画を策定し、前期、後期5年ずつ分けながら高校の再編を進めてきたという中で、これまでの定員の充足状況、それから、中学校3年生の人数等々、実績及び推計をもとにしながら、先ほど申し上げたような考え方に基づいて、当該校の再編が必要ではないかという判断をお示ししたところでございます。 まさに地域の御事情というのはございますので、地域あるいは行政、それから、産業界などの御意見も伺いながら、丁寧な議論をしながら、計画の成案づくりに向けて取り組んでまいりたいと思います。 〇議長(城内愛彦君) 以上をもって千葉盛君の一般質問を終わります。 〇議長(城内愛彦君) この際、暫時休憩いたします。 午後2時25分 休 憩 出席議員(47名) 1 番 田 中 辰 也 君 2 番 畠 山 茂 君 3 番 大久保 隆 規 君 4 番 千 葉 秀 幸 君 5 番 菅 原 亮 太 君 6 番 村 上 秀 紀 君 7 番 松 本 雄 士 君 8 番 鈴 木 あきこ 君 9 番 はぎの 幸 弘 君 10 番 高橋 こうすけ 君 11 番 村 上 貢 一 君 12 番 工 藤 剛 君 13 番 小 林 正 信 君 14 番 千 葉 盛 君 16 番 菅野 ひろのり 君 17 番 柳 村 一 君 18 番 佐 藤 ケイ子 君 19 番 高 橋 穏 至 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 福 井 せいじ 君 23 番 川 村 伸 浩 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 高 田 一 郎 君 26 番 木 村 幸 弘 君 27 番 吉 田 敬 子 君 28 番 高 橋 但 馬 君 29 番 岩 渕 誠 君 30 番 名須川 晋 君 31 番 軽 石 義 則 君 32 番 佐々木 朋 和 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城 内 愛 彦 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 37 番 斉 藤 信 君 38 番 中 平 均 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 郷右近 浩 君 41 番 小 西 和 子 君 42 番 高 橋 はじめ 君 43 番 五日市 王 君 44 番 関 根 敏 伸 君 45 番 佐々木 順 一 君 46 番 岩 崎 友 一 君 47 番 千 葉 伝 君 48 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(1名) 15 番 上 原 康 樹 君 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後2時42分 再 開 〇議長(城内愛彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第3、一般質問を継続いたします。高橋はじめ君。 〔42番高橋はじめ君登壇〕(拍手) |
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