令和6年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録 |
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〇28番(吉田敬子君) いわて新政会の吉田敬子です。登壇の機会をいただき、先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。
ことしは、日本が子どもの権利条約を批准してから30年の節目となります。子供の人権を守る取り組みは道半ばであり、子供の生活環境は、劣化と呼ぶべき極めて困難な状況にあります。体力、運動能力の低水準、子供の生活習慣病の増加、意欲の減退を初め、虐待、貧困、いじめ、自死など、深刻な事件、事故が連日のように報道されています。 2014年の子どもの貧困対策の推進に関する法律施行からは10年が経過しました。2012年の子供の貧困率は16.3%、およそ6人に1人から、2021年は11.5%、およそ9人に1人と10年前より数値上は改善された一方で、貧困にさらされている子供の生活状況がよくなったわけではありません。 先般、岩手県社会福祉大会に参加した際、子供の貧困についての講演がありました。栃木県では、食事だけでなく入浴などの生活支援を行い、家庭機能を補完する子供の居場所が県内に広がったこと、宇都宮市では、支援のレベルと多様なニーズに応じた居場所を3層構造で設置していることが紹介されました。 子供の将来が、その生まれ育った環境によって左右されることのないよう、私たちは何をするべきなのか。子供の声を聞き、行政を動かすといった、子供の権利のために活動する第三者機関を設置する自治体はふえ、約50自治体にも上っています。 令和4年6月に成立したこども基本法は、こども施策策定時には、子供の意見反映に係る措置を講ずるよう、国や自治体に義務づけました。具体的な手法として、子供を対象としたアンケートの実施、審議会、懇談会への参画、直接意見を聞く場の設置などが挙げられています。 2月定例会の代表質問で、知事は、子供たちの声を生かす方策について検討し、次代の社会を担う子供たちの意見の把握と県政への反映に取り組むと御答弁されました。 例えば群馬県では、知事に対する高校生リバースメンターを始めて1年半といいます。岩手県の希望郷いわてモニターの年齢は18歳からとなっていますが、そもそも性別や世代、障がいを持つ方など多様な人選になっておらず、改善と配慮が必要であるし、子供については、いまだモニターに入っていない状況にあります。 知事に答弁いただいた検討を行った結果として、子供の声をどう県政に生かすこととしたのかお伺いいたします。 以下の質問は、降壇して行います。 〔28番吉田敬子君質問席に移動〕 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 吉田敬子議員の御質問にお答え申し上げます。 子供の声の反映についてでありますが、本県ではこれまでも、岩手県教育振興計画や岩手県子どもの幸せ応援計画の策定に当たり、児童生徒等対象のオンライン調査を実施したほか、より広く意見を聞くため、いわて希望塾やいわて若者カフェの場における子供や若者との対話などに取り組んできました。 これらに加え、今年度は新たに、学校を訪問しての小学生との意見交換や県内各地域での管内状況調査における高校生との意見交換、首都圏の大学に通う本県出身の学生を対象とした県政懇談会など、子供や若者の声を知事が直接聞く機会を設けているところです。 また、モニター制度については、県政に対するニーズや意識等を効果的に把握することができる仕組みですが、現在の希望郷いわてモニター制度は、18歳以上の県民を対象としていることから、今年度、子供に特化したモニター制度を導入している先進自治体の取り組み状況について調査を行っております。 子供の声の反映については、施策の内容や目的に応じて多様な手法を組み合わせながら実施していく必要があり、今後も、子供、若者を対象としたアンケートや懇談により意見聴取に取り組むとともに、子供向けのモニター制度も含めた新たな手法について検討するなど、次代の社会を担う子供たちの意見の把握と県政への反映に取り組んでまいります。 〇28番(吉田敬子君) 御答弁ありがとうございます。子供用モニターについては検討いただけるということで、今年度調査ということは、来年度以降、設置していただけるのではないかということで、ぜひ期待を申し上げたいと思っております。 県は、ことし11月にいわてこどもプラン(2025〜2029)の素案をまとめました。この素案の取りまとめに当たり、具体的にどのような方法で子供たちの声を反映したのか、かかわった子供たちの人数を含め具体的にお伺いいたします。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) こども基本法では、こども施策を策定、実施、評価するとき、子供、若者、子育て当事者などの意見を反映するために必要な措置を講ずることを国や地方公共団体に義務づけており、この趣旨にのっとり、それぞれの政策の目的等を踏まえ、子供、若者の最善の利益を第一に考えながら、子供、若者の意見を聞き、反映させることが求められております。 このため、いわてこどもプラン(2025〜2029)の策定に当たりましては、幅広い対象から意見を聴取するためのアンケート調査とあわせて、子供たちや施策関係者へのインタビュー調査といった方法で意見聴取を実施いたしました。 アンケート調査の例としては、令和5年12月から令和6年1月にかけて、県内の小学5年生、中学2年生及びその保護者を対象に、子どもの生活実態アンケート調査を実施し、小学5年生5、394人、中学2年生5、298人、合計1万662人の子供から生活の状況などの意見を聴取したところであります。 また、インタビュー調査については、49団体158人の子供たちや施策関係者から意見を聴取しており、そのうち子供たちについては、県内で募集した13人の中学生を対象に、ワークショップ形式により詳細な意見を聴取したところであります。 〇28番(吉田敬子君) アンケートでは、小学校5年生、中学校2年生ということで、あと、ワークショップ等は中学生、高校生も対象にされていますけれども、例えば大学生はやられていないわけです。そういったところについては県として特に必要ないのか、お伺いしたいですし、今回は、いわてこどもプラン(2025〜2029)策定に関係してやられたかと思いますけれども、これは定期的にやっていく必要があると思いますが、その定期的な部分について、改めてお伺いしたいと思います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 大学生に関しては、直接には伺っていないのですけれども、例えば、県政懇談会で大学生と知事との懇談でありますとか、このプランに直接は関係ないですが、若者たちからさまざま伺う機会がございます。そうした意見なども、当然反映させていただいているところでございます。 また、若者の自立支援ネットワーク会議構成団体という形で、若者たちの困難を支援するような団体からも、支援者の立場でありますけれども、意見聴取などを行ったところでございます。 当然、こうしたプランの推進のためには、子供や若者の意見を反映させていくことが必要でありますので、先ほど知事から御答弁申し上げました子供モニターを今検討しておりますけれども、そうした施策の活用なども含めて、子供たちの意見の反映について、今後きちんと意見を聴取する機会を設けて、プランに反映させていきたいと考えております。 〇28番(吉田敬子君) 例えば滋賀県だと、子供の意見聴取の対象をおおむね小学校4年生から大学生として、これは定期的にやるということを決めています。例えば、声を上げにくい子供の意見も聴取するために、不登校の子供たちも含めた取り組みをしっかり年何回やるということを決めているのですが、そこも踏まえて、今回、プランをつくるために子供たちの声を聞いただけではなくて、その進捗をどうしていくかということが必要だと思います。 先ほど県政モニターのことをお話しさせていただきましたけれども、それと、こちらのプランも連携していいとは思うのですが、改めて、そこはしっかり定期的にしていくということからお伺いしたいと思います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 今般、いわてこどもプラン(2025〜2029)策定に当たりまして、5年ぶりに子どもの生活実態アンケート調査を行いました。一方で、毎年行えればいいのですが、かなりの数になりますし、学校現場にも負担をかける調査になりますので、どのような形で毎年、経時的にモニターできるかということは、子供たちの負担、支援者の方々への負担なども考えながら検討していきたいと考えております。 〇28番(吉田敬子君) ぜひよろしくお願いいたします。県政モニターの仕組みがしっかりできればいいかと思っていますので、よろしくお願いいたします。 このプランの素案における目指す指標がありますけれども、それには、目指す指標として、合計特殊出生率、男性の家事時間割合、総実労働時間とあります。子供や若者が主語のものが何一つないわけですけれども、いわてこどもプラン(2025〜2029)の目指す姿としてふさわしいのか、正直、疑問を感じています。 県内中学生との意見交換では、どのような感じで助けてくれるのか、未来を支えてくれるのか、目指す姿を見てわかるとよいというような意見も出ていますけれども、果たして子供たちにとって見てわかる内容になっているのか。 岩手県子ども・子育て会議では、どのような意見が出て、またどのように反映されたのか、この素案の目指す姿を示すに至った考え方についてお伺いいたします。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) いわてこどもプラン(2025〜2029)策定に当たり、今年度、子ども・子育て会議を3回開催いたしまして、1回目では骨子や策定方針を、2回目ではプランの中間案を、3回目では素案を審議いただきました。 会議では、妊産婦のメンタルケアの充実、子供が将来を想像できるような教育の支援、子供の遊び場整備などの多岐にわたる御意見をいただきまして、その多くをプランにおいて掲げる具体の施策に盛り込んだところであります。 目指す姿につきましては、子供が大切にされていることがわかるようにといった中学生からの意見を取り入れ、個人や子供の尊重、子供と大人や社会との関係性、子供を取り巻く環境や支援体制という三つの観点から、子供を真ん中に置いた内容となるよう整理をしたところであります。 目指す姿指標については、本プランはいわて県民計画(2019〜2028)と一体的に推進していくものであることから、いわて県民計画(2019〜2028)におけるいわて幸福関連指標との整合を図ることを前提に、若い世代の就労、出会い、結婚、妊娠、出産、子育ての願いをかなえるとともに、仕事と生活を両立できる環境づくりを進めることを体現するものとして設定したところでございます。 〇28番(吉田敬子君) 例えば、男性の家事時間がふえたり、みんなの総実労働時間が減れば、確かに、子供とかかわる時間がふえるという意味では、子供の幸せにかかわるかもしれません。しかし、例えば合計特殊出生率も、正直これは子供一人一人にかかわることではないです。子供を真ん中にして、子供たちが幸せをいかに感じているかとか充実しているかというのは、なかなか数値ではかりかねるのは重々承知ではありますけれども、その意味でも子供たちの声を毎回聞いて、このプランにのっとってしっかり進められているのか、大人が考える視点でやっているのではないかということを、しっかり子供の目線になったプランにならなければ、本当に意味がないと思います。 ここの指標として掲げるのはこういうことでないとなかなか難しいとは思いますが、ぜひそこは、正直、子供の立場としては、ここの三つの指標というのは余り関係ないことであると思いますので、そこは指摘させていただきたいと思います。 次に、県では、いわて若者カフェを開催していますが、今年度からは、新たに社会課題の解決に取り組むNPOへのインターンシップを開催するなど、若者の交流や情報交換、若者の活動を応援する居場所としてよい取り組みと思っています。 また、いわて若者アイデア実現補助事業は、若者の声が反映され、アイデアを実現できる機会の創出にも貢献しているものと考えます。 いわて若者カフェのこれまでの取り組みの成果について、県としてどう評価しているのか。また、これまでの盛岡市に加え、ことし6月からは、久慈市、宮古市、陸前高田市、一関市の四つに連携拠点を設置したところであり、今後はさらに拠点を広げることを提言させていただきますが、見解をお伺いいたします。 〇環境生活部長(大畑光宏君) いわて若者カフェは、若者同士やカフェマスターとの交流などを通じて、若者の主体的な活動を支援できるよう県公会堂に設置しているものであります。令和5年度の利用者数は、若者がみずから企画立案した活動等の活発化によりまして、前年度と比較して5.4倍となったところであります。また、今年度は、既に昨年度1年間を上回る利用者数ともなっております。 新たな取り組みとして始めました地域課題に取り組むNPOでのインターンシップも好評でありまして、若者カフェが、若者の活動、交流をつなぐ場として定着し、若者が地域活動への参加意欲や地域への愛着を深めるきっかけにもなっていると捉えております。 一方で、県央地区以外のニーズに十分応えられていないといった課題などがありましたことから、本年6月に、宮古市、久慈市、一関市、陸前高田市に連携拠点を設置し、地域の特色を生かしたイベントの開催、相談対応、若者アイデア実現補助の採択団体への伴走支援といったことも行っているところであります。 今後も、若者カフェを通じまして、若者の主体的な活動や交流を県内全域に広げていけるよう、地域おこし協力隊やNPO等との連携を深めるとともに、連携拠点の他地域への設置も検討しながら運営してまいりたいと考えております。 〇28番(吉田敬子君) ここの拠点になっていませんが、同じように県内では居場所を支援している、例えば中学生、高校生にやられている活動もあるのですけれども、学生のころから継続してやっていると、大学生が卒業しても、社会人になってもという居場所の支援になっているのかと話を聞いて思っておりましたので、ぜひ広げていく取り組みを進めていただきたいと思っております。 県では、高校生と大学生を対象に、それぞれ海外派遣研修やグローカル人材の育成を実施しています。また、令和4年度からは、小学生から大学生までを対象に、国際協力機構―JICA海外協力隊などを講師にオンラインによる講演会を実施しています。 語学学校を世界展開する企業、FFエデュケーションファーストがこのほど発表した英語圏以外の国、地域の2024年版英語能力指数では、調査対象116カ国、地域のうち、日本は過去最低の92位に転落。急速な国際化に逆行し、英語力の低下に歯どめがかかっていません。地域別指標では、関東地方が最高で、東北地方が最下位とのことです。 外国語の習得支援やグローバルにかかわる仕事への意識醸成や動機づけを得る機会として、海外への短期派遣など、社会人になってからのグローバルな視点を広げる支援も必要と考えますが、社会人のグローバル人材の育成にはどう取り組むのかお伺いいたします。 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 社会が急激に変化しグローバル化が進展する中、国際的な視野と地域に貢献する視野を持った人材の育成は、大変重要であるものと認識しております。 県ではこれまで、高校生を対象とした海外派遣研修や県内大学生等を対象とした海外留学支援を実施し、多様な考え方や異文化に対する理解、外国語による実践的コミュニケーション能力の向上を図るとともに、児童、生徒、学生を対象としたオンライン講演会を実施し、学生等のグローバルな視点を育てるなど、国際感覚のある人材の育成に取り組んでまいりました。 一方、現在、県が実施するグローバル人材育成に係る取り組みは、基本的に大学生以下を対象としていること、また、現在策定を進めている次期岩手県多文化共生推進プランにおきましても、グローカル人材の育成などを施策の柱に据える予定としておりますことから、吉田敬子議員御指摘の趣旨も踏まえまして、社会人も含めた今後のグローバル人材育成の取り組みの具体策について、検討を進めたいと考えております。 〇28番(吉田敬子君) さきの城内愛彦議員の一般質問の中でも、知事の海外出張でのトップセールスについて取り上げられていましたけれども、城内愛彦議員もおっしゃっていたとおり、知事だけがそこに行ってやるだけではなくて、県民の皆さんも含めて、社会人、産業人材に世界を見てほしいという思いがあります。今回、検討していただけるということですので、ぜひ今後に期待させていただきたいと思っております。 次に、子育て支援についてお伺いしたいと思います。 主体性、協調性、自己肯定感など子供の非認知能力を高めるには、小さいころからの遊びが重要と考えています。外遊び、自然体験、公園、プレイパークなど、屋内、屋外の子供の遊び場の整備を、保健福祉部、農林水産部、県土整備部など部局横断的に取り組んでほしいということは、これまでも提言し続けております。 森のようちえんを初めとする自然を活用した幼児教育、保育は、非認知能力を育む上で大変重要だと思っております。令和3年4月に普代村に開園したつちのこ保育園が、本県初となる森のようちえんで、近年は同様な取り組みを目指す保育施設がふえております。 また、岩手県森林林業会議からは、令和7年度林業関係施策に関して、緑の少年団数及び団員数の減少や活動の減少に対する支援など森林環境学習の推進を求める要望もあり、これは、幼児期からの森林環境教育の必要性でもあると私は捉えております。 本県も、森と自然の育ちと学び自治体ネットワークに初年度から加盟しておりますが、ネットワークでの交流や学びはどう生かされているのかお伺いいたします。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 森と自然の育ちと学び自治体ネットワークについては、森と自然を活用した保育と幼児教育が子供たちの幸せな成長の基盤であることを、全国各地の自治体と幅広く共有することを目的として、平成30年度に設立されたものであり、本県も、その趣旨に賛同し、初年度から参加しております。 ネットワークでは、令和3年度から自治体間の交流や学び合いを目的としたフォーラムを開催しており、本県も構成自治体として参加し、他県の先進的な取り組み事例について情報共有を行っているほか、市町村に対してもフォーラムへの参加を呼びかけているところであります。 本県においては、自然保育に重点を置いた取り組みを行う施設はまだ少数でありますことから、県としては、引き続き、ネットワークの活動を通じ、森と自然を活用した保育、幼児教育の考え方について、市町村や教育、保育施設等と幅広く共有を図ってまいります。 〇28番(吉田敬子君) 先ほどのネットワークもそうですけれども、長野県等が実施している自然保育認証制度について、自然保育の社会的な認知及び信頼性の向上を図り、森林環境学習の裾野を広げるためにとても有効な制度であり、これは、先般9月定例会において佐々木宣和議員も取り上げておりますけれども、普代村からも、ことしは県に対して要望が出ております。 本県においても同様の取り組みを行ってほしいと私は考えておりますが、自然保育の支援のための具体的な取り組みの方向性についてお伺いいたします。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 本県では、吉田敬子議員から御紹介がありました普代村のつちのこ保育園において取り組まれているところであり、県では、業務のICT化に対する補助や保育料の無償化による保護者の経済的負担の軽減のほか、いわての森林づくり県民税を活用した活動支援により、その取り組みを支援してきたところであります。 県としては、まずは、こうした補助の活用や森と自然の育ちと学び自治体ネットワークの活動を通じた先進事例の紹介などにより、自然保育の意義や効果について理解が広がることが重要と考えております。 自然保育認証制度については、取り組みが拡大していく中で効果が期待されるものと考えており、自然保育に対する保護者のニーズや市町村、教育、保育関係団体等の意向などを把握しながら、そのあり方について研究してまいります。 〇28番(吉田敬子君) この普代村からの県に対する要望について、県からは普代村へ反映区分A判定というものを回答していると、私は普代村の政策推進室長とお話しさせていただきました。このA判定というのは、提言の趣旨に沿って措置というような意味合いだと私は思っております。そもそも普代村は、自然保育認証制度を県でつくってほしいという今回の要望なのですけれども、これに対してAということは、この制度について、今後、制度をつくっていくということでよろしいのか、お伺いしたいと思います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) こちらが反映区分Aとなっているのは、普代村から二つ御要望をいただいています。一つが、今、吉田敬子議員から御紹介いただいた自然環境保育認証制度の創設と、あとは、その活動費や運営費への村と協調した支援という二ついただいておりまして、この後者の部分について反映させていただいたということで、A区分とさせていただいておりました。 正しくは、前者については、御意見を参考にさせていただくという形で、全て反映という形にはなっていないというのは、そのとおりでございます。 〇28番(吉田敬子君) そうですね。ですので、私は、普代村にこのA判定の回答をするのは、普代村の趣旨としては、それを分けて答えてあげるのであればまた別ですけれども、その制度をまだ県としてやるという意識がない中でA判定と回答した。私は、ポジティブに捉えて、やっていただけるのだと思って普代村とお話をさせていただきましたが、そういった市町村からの要望に対する県の判定の返し方についても、今後これでいいのかと思いました。 先ほどの保健福祉部長の答弁で、自然保育についての理解を広げることが必要とおっしゃいましたけれども、認証制度を行うことで理解が深まると私は思っています。他県は、理解を広めるために認証制度をつくっていますので、ぜひそこの趣旨をしっかり捉えて、先ほどの森と自然の育ちと学び自治体ネットワークに、県は、参加していただいているのですけれども、ずっとオンラインですね。今年度、来年1月に鳥取県でありますけれども、オンラインではなく、現地にもぜひ行ってみて、これまでは農林水産部の皆さんともぜひ連携していただきたいということで環境福祉委員会で取り上げていますが、農林水産部と保健福祉部と一緒に実際に現地のものも見ていただきたい。ネットワークの趣旨に賛同しているわけですので、ぜひ参加していただきたいと思っていますが、改めてお伺いしたいと思います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) ネットワークへの参加については、コロナ禍の期間中ということもあって、オンラインでの開催でありましたことから、なかなか現地に赴くことができなかったということがございます。 普代村で始まりました取り組みなどについては、きちんと評価、取り組みの状況なども我々もきちんとヒアリングを丁寧にさせていただきますとともに、この認証制度は、長野県を含む6県で今実施されていると伺っております。多分それぞれの地域において、当事者の方々であるとか運営している方々の思いがあってやっているのではないかと思いますので、本県に合った取り組みがどんなものかということなどもきちんとヒアリングしながら、取り組みを進めてまいりたいと考えております。 〇28番(吉田敬子君) どうぞよろしくお願いいたします。 病気や障がいのあるお子さんを持つ御家庭から、私にはたくさんの声が届きます。生まれてすぐ長期間の病院生活が始まったこと、支援や制度が複雑であること、制度の狭間に埋もれ何の支援もない子がいること、相談する余裕すらないこと、どこの誰に相談してよいのかわかりづらいこと、成長過程で悩みや不安が変化すること、そして、ある日突然やってくること。お母さんたちは、とても頑張り過ぎています。頑張らないと情報にも支援にもたどり着かない現状です。 命にかかわる重い病気の子供は全国に2万人いると推計されていますが、正確な数はわかっていないため、国は今年度、調査をすると聞いています。 小児がんや重い病気と闘う子供たちと家族をサポートするための取り組みの一つとして、ファシリティードッグという存在を私は知りました。臨床経験のある看護師とペアになり、特定の病院に医療チームの一員として常勤する専門的に訓練された犬のことです。子供たちの心の励みとなり、不安やストレスの軽減、治療への前向きさ、食欲やリハビリへの促進などの効果が期待でき、海外では多くのファシリティードッグが活動している一方、現在、日本で活動するファシリティードッグは、神奈川県立こども医療センター、静岡県立こども病院、東京都立小児総合医療センター、国立成育医療研究センターの4頭ほどにとどまるといいます。 こども家庭庁では、2025年度、子供の入院に家族が泊まり込みで付き添う付き添い入院の環境改善に向け、新たな支援事業を始める方針です。本県では、小児科のある九つの県立病院のうち、三つは付き添い食の提供をしている現状です。 県では、入院、在宅、通院通学、発達への支援、家族支援など、病気や障がいのある子供や家庭への切れ目のない支援の現状について、どのような課題認識を持っているのか、また、今後の支援策についてお伺いいたします。 〇知事(達増拓也君) 病気や障がいのある子供や家庭への支援についてでありますが、重い病気や障がいと向き合うことは、子供自身にとっても家族にとっても大変なことであり、必要な支援を受けながら、よりよい環境のもとで日々を過ごしていくことが必要であると考えております。 そのため県では、小児慢性特定疾病や重症心身障がい児への医療費助成、小児専門医療体制の整備、小児医療を担う医療従事者の育成、確保、医療的ケア児支援センターの機能充実などの取り組みにより、病気や障がいのある子供や家庭への支援を行っております。 また、切れ目のない支援を行っていくためには、関係機関との連携が不可欠であることから、本年3月に策定した岩手県保健医療計画(2024−2029)において、重症心身障がい児や医療的ケア児、慢性疾患児が、生活の場で療養、療育できるよう、医療、介護、福祉、教育等関係機関との連携を推進することを施策の方向性として掲げております。 県としては、引き続きこうした取り組みの充実に努めるとともに、吉田敬子議員御紹介のさまざまな取り組みや国の動向について情報収集を行いながら、必要な対応を検討してまいります。 〇28番(吉田敬子君) 先日、医療的ケアの必要なお子さんが亡くなり、母親が逮捕されるという事案が報じられました。子育ては、健常児であっても、日々やるべきことに追われ悩みと葛藤の連続です。病気や障がいがあったり医療的ケアの必要なお子さんを抱える家族の苦労ははかり知れず、家族にばかり負担が重くのしかかる社会のあり方は、現在も変わっていません。 県内各市町村において、医療的ケア児やその家族等が利用できるレスパイト機能を持った施設は、令和6年6月時点で、宮古市1、釜石市1、一関市1、矢巾町2、平泉町1の6施設のみであり、令和5年度の利用状況は、実利用人員5人のみと聞いています。広い県土に限られた施設しかなく、レスパイトを受けたくても受けられない現状です。 そのような中、矢巾町、紫波町、住田町では、在宅におけるレスパイトに対して独自の助成を行っており、このような取り組みを広げていくことも有効と私は考えています。 家族の負担を軽減するレスパイトの本県の現状について、課題認識と今後の取り組み方針をお伺いいたします。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) レスパイトへの支援についてでありますが、県内において医療的ケア児の受け入れ実績のある短期入所事業所は、福祉型が1カ所、医療型が6カ所でありますが、家族の介護負担軽減に対するニーズは高く、その拡充が重要であると考えております。 医療的ケア児に対応できる事業所を確保するためには、医療的ケアの複雑さや個々の疾病にも対応できる専門的スキルを持つ看護職員の配置が求められるなど、人材確保が課題となっており、県ではこれまでも、看護職員を対象とした研修や事業所への出張講座等を実施してきたところであります。 さらに、事業所の参入を促すため、今年度は、地域で医療的な見地から助言等を行う医療的ケアアドバイスチームを創設し、医療機関との連携体制の構築により医療面の不安の軽減を図るほか、医療的ケア児及びその御家族と当事者とのマッチングの機会も検討してまいります。 また、在宅におけるレスパイトの拡充が図られるよう、地域の訪問看護事業者に参入を促しながら、各市町村に対しても、さまざまな機会を通じて情報提供を行いながら、事業の実施を働きかけまいります。 〇28番(吉田敬子君) 次の質問に移ります。本県では分娩可能な施設が限られており、現在では、33市町村中9市町村のみとなっています。 年々分娩後の入院日数は短期間になっているため、十分に育児技術を習得しないまま退院を迎える方も多く、不安を抱えたまま遠方の自宅や里帰り先に帰り、育児を開始します。近年は、祖父母世代も働いていることで、里帰りしたからといって、十分な産後の支援を受けられる状況にない母子も少なくありません。 妊娠中や出産から1年以内に自殺した女性は、2022年から2023年の2年間で少なくとも118人に上ることがわかりました。うち妊娠中が28%、産後が72%となっています。また、令和4年度の児童虐待死は、ゼロ歳児が44%となっています。産後の母親の身体的、精神的苦痛が、生まれたばかりの赤ちゃんに向いていることがわかります。 ことし10月、産前・産後サポート事業及び産後ケア事業ガイドラインが改定になりました。産後ケアの対象者として、里帰り出産の母親、死産や流産を経験された方、養親、里親も追加されたほか、医療的ケア児、多胎児家庭、きょうだい児への配慮や早産、低出生体重児等に係る修正月例での利用も盛り込まれました。 実施担当者については、出産後4カ月までは原則、助産師を中心とした実施体制としていますが、研修を受講した上で、理学療法士も置くことができるとされました。 本県の現状として、今年度には、県内全市町村で産後ケアを実施するようになったものの、その内容にはいまだ格差があり、人材不足等により産後ケアの充実強化を図れない市町村もあります。 ガイドラインにおいても、産後ケアの実施者に対する研修を行う必要があるとされているとおり、助産師等に対する産後ケア研修の充実により人材育成を支援することが重要と考えますが、御所見をお伺いいたします。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 県では、産後ケア事業に代表される母子保健事業を実施するために必要な専門的知識を身につけるため、これまで、事業の担い手である市町村の保健師、助産師などを対象に研修を実施し、専門職員の資質向上を図ってまいりました。 吉田敬子議員御指摘のとおり、本年10月に、国の産後ケア事業ガイドラインが改定されたことから、ガイドライン改定による全国的な取り組みの状況を注視しつつ、地域の状況に応じ、妊娠、出産、子育て期にわたる切れ目のない支援が行われるよう、関係機関と連携し、専門人材の育成等に取り組んでまいります。 〇28番(吉田敬子君) 理学療法士の皆さんが、自主的に研修会等を県内で最近開催されていますし、産後ケアをやっていきたいという助産師だけでなく、その支援者の方もいっぱいいる中で、こういう人材を積極的に利活用させていただけるような研修の充実は必要だと思います。 NPO法人のまんまるママいわてにも、実際に研修を受けたいということで、勤務しながら、そちらで研修しているという助産師もいらっしゃいますので、ぜひ県が主催して研修をやっていっていただきたいと思っております。 NPO法人まんまるママいわての利用者アンケートから、花巻市においては出生数の46%が、北上市においては3割が産後ケアを利用し、宿泊型産後ケアへのニーズはふえているとの結果が出ております。また、釜石市や大船渡市では、旅館を利用してデイサービス型産後ケアを実施するなど工夫されております。 山梨県では、平成28年から産前産後ケアセンターが県主体で設置されています。同県では、センター設置により得た知見として、小規模市町村による実施が困難な事業については、広域的な連合体を構成することが有効であること、宿泊型産後ケア事業は、利用者の満足度が高く、産後の母親の不安軽減に一定の効果があるということに言及しています。 昨年12月定例会において、宿泊型産後ケアの整備についての請願が全会一致で採択されました。宿泊型産後ケアについて、地域の実情に応じた事業が展開できるよう、具体化に向けて関係者と議論を進めると知事から答弁いただいておりますが、どのような議論をし、どう取り組みを進めることとしたのか、県内の助産師の活用促進支援の実績とあわせてお伺いいたします。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 宿泊型産後ケアについてでありますが、身近な地域できめ細やかなサービスを受けられる環境の整備という点で、産後ケアの推進は重要であり、宿泊型産後ケアについては、設備及び助産師等専門人材の確保などの課題がありますことから、市町村の意向や他県の状況等も参考にしながら検討する必要があると考えております。 また、助産師活躍推進事業でありますが、今年度はこれまで、窓口設置等の体制の整備を行い、助産師確保を求める市町村と関係団体や医療機関と調整を進めているところであります。 県としては、引き続き、助産師等産後ケアを担う人材の確保に努めるとともに、圏域単位での連携の必要性も考慮しつつ、圏域ごとに開催している連絡調整会議の場などを活用し、市町村や地域の関係者との意見交換を行いながら、各地域の実情に応じた事業のあり方について議論を進めていく考えであります。 〇28番(吉田敬子君) 検討など議論を進める段階の中で、私も、これまでの環境福祉委員会等で県立病院においての産後ケアのことを取り上げさせていただいているのですけれども、県立釜石病院で実際に今、産後ケアをやられていまして、そういったことを県として、保健福祉部として、そこと連携というか共有していってほしいというお話をさせていただいています。釜石病院での産後ケアについての情報共有はどの程度されているのか、お伺いできればと思います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 県立釜石病院での産後ケアについては、まず、県立釜石病院で分娩ができなくなったことも背景にあって、やはり出産については県立大船渡病院でしていただきますけれども、母子保健の分野については身近な地域で行って、その後の産後ケアについても身近な地域で行えるようにという趣旨で、大槌町と釜石市の県内でも数少ない広域的な取り組みなのですけれども、県立釜石病院で産後ケアを行っていると認識しています。 それぞれ、例えば宿泊型産後ケアについては、24時間体制で助産師等を置かなくてはならないということで、やはり創設されているのは、医療機関でありますとか分娩を取り扱う助産所ということになっております。個々の病院の体制、事情などもありますので、県立釜石病院での産後ケアの事例は、医療局や保健福祉部、釜石市や大槌町などともきちんと共有しております。こういった部分を横展開できないかというのは、一応、内部的には協議しているところでございます。 〇28番(吉田敬子君) 先日、県立病院総合学会というところで報告されていることを知りました。県立釜石病院における産後ケアの現状と課題について、これまでの4年間の実績を助産師が県立病院総合学会で報告されております。 その中に、本当にすばらしい、アンケートもしっかりとられていて98%が満足、リピート率55%、予約の希望全てに対応することができなくて残念であるといった心のうちも書かれております。この中では、栄養士、理学療法士と協働してやることが、高い満足度の評価につながっているということで、県立釜石病院でやっていただいていることが、県の中でもモデルになっているのではないかと私は思っています。 これまでの委員会でも、ぜひ県立病院でやっていることを、宿泊型も含めてしっかり検討の中でやっていっていただきたいと思っております。検討するから答弁がなかなか進まないので大変残念に思っているのですが、ただ、請願が採択されたという重みについては、しっかり県当局に感じていただきたいと思っております。改めて答弁いただきたいと思います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 昨年12月に請願が全会一致で採択されまして、それを受けてというわけではないですが、産後ケアに係るアクセス支援などについては、今年度から県としても導入させていただいたところでございます。 宿泊型の産後施設については、たびたび本会議や環境福祉委員会等でも御質問いただいている部分で、例えば、吉田敬子議員から御紹介いただきました山梨県の事例ですと、全市町村から1時間以内でアクセスできるような地区の県央部に設置して、あとは、担い手となる施設もあったといったような条件があってできたということもあろうかと思います。 山梨県の施設ができて8年が経過していますが、まだ全国的になかなか広がっていないところもあり、それについては、地域の事情とかアクセスの問題とか、クリアすべき課題がいろいろあるのだろうと考えております。 これはニーズがあるのは吉田敬子議員から御紹介いただいたとおり、妊産婦の産後ケアについて、産後すぐについてはなかなか寝られないですし、大変な中で産後ケアのニーズが非常に高いというのは、我々も十分認識しております。 実施主体である市町村とも十分意見交換しながら、岩手県に合った取り組みはどのようなことであるべきかについて、不断に検討して、取り組みを進めてまいりたいと思います。 〇28番(吉田敬子君) 大事なのは、産後のお母さんたちを守るというか、そこは権利なわけですけれども、産後のお母さんたちと、あと、その赤ちゃんです。先ほど、ゼロ歳児の児童虐待が多いことと産後の自殺が多いということも数値として挙げさせていただきました。出産してすぐから1年というところで、少しでも身体的、精神的不安を、不安定な部分を軽減していくことは本当に大事だと思っております。 先ほど山梨県の事例がなかなか全国で進まないというお話をされていましたけれども、全国は、逆に医療機関等で宿泊型をやっていただけているのです。なので、あえて都道府県単位で宿泊型施設をつくる必要がない現状にあります。岩手県は宿泊型がないのですが、他県は、逆に宿泊型産後ケアが多いのです。選択肢がとても多い現状ですので、そこは、山梨県のものが広がらないという意味では私は捉えておりません。ただ、いろいろなやり方があるというのはそのとおりですので、ぜひ県立釜石病院の件も含めて早急に―いつも、ずっと早急にということでお話ししているのですが、何とか進めていっていただきたいと思っております。 本県の令和3年度女性活躍推進に関するアンケート調査結果においては、企業における女性活躍を推進する上での課題として、家事、育児、介護等の家庭の負担が重いと回答しているのが55.2%と最も高くなっております。 2017年にいわて女性の活躍推進促進連携会議において発足した女性の就業促進部会は、ことし10月に、特に優先して取り組むべき三つの柱に関する提案書を知事に提出されました。提案書の中では、家事や育児、介護などの負担が女性に偏っていることに加え、活用できる家事代行サービス等の外部サービスの選択肢が少ないなど、外注のハードルが高いことが指摘されており、家事、育児に係る外部サービスの充実、その費用に対する助成制度の創設が提案されています。 11月に開催した県政懇談会は、子育てをテーマに行い、この場でも参加者から家事代行やベビーシッターについての提言があったと伺っております。 今年度から実施の家事育児シェア大作戦での啓発活動もよい取り組みではありますが、いわて女性の活躍促進連携会議を所管する環境生活部では、これらの提案をどう受けとめているのか、また、女性に偏りがちな家事や育児、介護の負担について、具体的にどう軽減していくのかお伺いいたします。 〇環境生活部長(大畑光宏君) 県が行いました令和5年県民意識調査の結果におきましても、共働き世帯の男性の家事時間割合が、女性の家事時間に対して約4割と低い状況となっております。今年度から新たに、夫婦や家族が協力して家事、育児を行う意識の醸成を図るため、家事・育児シェアシートにより家庭内の負担割合の現状と理想を見える化し、家事等のシェアについて考えるきっかけとしてもらうこととしたところであります。 また、家事自体の負担軽減と最適化にもつなげていくため、シェアシートの普及に当たりましては、時短家電の割引や時短便利商品の提供など、企業協賛をいただきながら、社会的な広がりをつくっていく啓発キャンペーンをこの11月に実施したところであります。 今後も、シェアシートの活用を通じた意識啓発を継続していきたい考えでありまして、この継続に当たりましては、女性の就業促進部会の提言も踏まえつつ、家事代行サービスを行う企業等との連携も検討していきたいと考えております。 引き続き、庁内関係部局や関係団体等と連携を図り、職場や家庭、地域社会等のさまざまな場において、固定的な性別役割分担意識が解消され、女性に偏っている負担が軽減されるように取り組んでいきたいと考えております。 〇28番(吉田敬子君) 検討していっていただけるということで、ありがとうございます。 知事が、困っている人に支援が届かないのは、県行政としても悩んでおり、連携していきたいということを、子育て支援の県政懇談会のときに、参加された家事代行だったりをされている業者に対してお話しされておりました。知事もそれについては理解されていると、私もそのやりとりを議事録で見て思いましたので、ぜひ今後に期待させていただきたいと思っております。 国内の出生数は減少を続け、近年その傾向が顕著になっていますが、一方で、生殖補助医療による出生数は増加を続けており、全体の1割に迫る勢いとなっています。不妊の検査、治療の経験がある夫婦は約4.4組に1組と言われています。 令和4年4月から保険適用となった生殖補助医療に対し、本県では、令和5年度より交通費の助成を開始しました。また、独自支援を実施する市町村も少なくありません。私がヒアリングを行った方の中には、県内から仙台へ年間往復30回以上の通院をされた方もおり、現在の通院回数上限である10回や市町村基準額の引き上げなどの拡充も、今後検討していく必要があるのではと私は考えております。 不妊治療に対するハードルを感じる方も少なくなく、開始する年齢が35歳以上の割合が高いのが現状で、プレコンセプションケアの一環として、不妊治療を行う前に実施する保険適用ではない不妊検査に対する助成制度を設けるなど、さらなる支援の拡充が必要と私は考えております。 交通費助成の実績についての評価と課題認識、また、今後の生殖補助医療への支援に係る取り組み方針をお伺いいたします。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 生殖補助医療への支援についてでありますが、不妊治療のうち、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療は保険適用となっておりますが、診療を行うことができる医療機関は盛岡市内の2カ所のみとなっており、広い県土を有する本県の地理的状況などから、移動に係る受診者の負担軽減を図るため、生殖補助医療を受けた方に対する通院交通費の一部助成を、県独自の支援策として令和5年度から実施しているところでございます。 令和5年度は91件、令和6年度は10月末現在で44件の利用実績があったところであり、年度末実績を確認した上で事業評価を行うこととしております。 本助成については、県内の専門医や関係者で構成する岩手県不妊治療協議会において実施状況の報告を行っており、本事業を進める中で、保険適用以降の受療動向や不妊専門センターの相談状況等について把握しながら、今後の支援のあり方について検討していきたいと考えております。 〇28番(吉田敬子君) お隣の青森県では、今年度から不妊治療費の自己負担分の全額補助を開始されております。こういった取り組みは、岩手県内でも市町村が頑張って、回数制限されている部分に対して補助を行うことも独自でやられていますけれども、そこは限られていますので、ぜひ、県で支援策を検討していっていただけるということですので、どうぞよろしくお願いします。 次に移りたいと思います。本県の2023年度の小中高校で不登校児童生徒は前年度より17.9%増の3、052人と過去最多となりました。オンラインフリースクールを運営するSOZOW株式会社は、このほど、不登校の小中学生の保護者に実施したアンケート結果を公表しました。子供が不登校になった際、学校からどのような情報提供を受けたかについて、情報提供はなかったとの回答が49.7%と半数近くに上っています。 不登校の子供の数が年々増加する中、仕事をやめざるを得なかったり―これは5人に1人と言われています―精神的に不安定になったりして孤立する保護者もいて、支援が必要であると私は考えております。 山形県では、一人でも多くの児童生徒やその保護者への支援を目指して、不登校児童生徒の支援ハンドブックを作成し、学校だけではなく先生方にも配布、また、リーフレット型の相談支援ガイドも作成し、不登校の児童やその保護者へ配布するなどされております。 家庭の経済的な負担軽減となるよう、また、児童生徒や保護者へのフリースクールの周知の意味でも、長野県のようなフリースクール認定制度を創設していただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。 また、こうした取り組みを含め、今後はどのような方針で全ての子供たちの学びを確保していくのか、新たな支援策はあるのかお伺いいたします。 〇教育長(佐藤一男君) 不登校対策は、全国的に教育支援センター、フリースクール、学びの多様化学校、オンライン活用など、児童生徒一人一人に応じた多様な施策が展開されており、長野県では、本年4月に、活動目的、利用児童生徒数、スタッフの資格など、一定の基準を満たすフリースクールを認証する独自の制度を創設したものと承知しております。 フリースクールなどの施設につきましては、保護者等に対して、その支援情報の提供が不足しているとの指摘がなされているところであり、文部科学省が策定しました誰ひとり取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、いわゆるCOCOLOプランにおきましても、早期支援のために、フリースクールなどに関する適切な情報や支援が受けられるようにすることが重要であるとされております。 県教育委員会では、フリースクール等民間団体等との連携を図るため、令和3年度から不登校児童生徒支援連絡会議を設置し、不登校児童生徒の支援に係る課題等について意見交換や情報共有を行い、会議の内容について各学校に情報提供するとともに、県のホームページに掲載し情報発信を行っているところです。 また、今年度は、この支援連絡会議が主催となり、7月と11月、不登校支援フォーラム2024を開催し、フリースクールの関係者や専門家によるパネルディスカッション、不登校の経験者や保護者による体験談の発表を行うなど、情報発信、啓発に取り組んでいるところです。 引き続き、児童生徒の学びの場や居場所の確保のため、フリースクール等民間団体との連携を強化しながら、児童生徒や保護者の一層の支援に取り組んでまいります。 〇28番(吉田敬子君) 新たな支援策はないという御答弁だったと私は聞きましたけれども、令和3年度から連絡会議をやられて、意見交換会、情報共有、啓発を3年間ずっと続けて、具体策がないということですか。 〇教育長(佐藤一男君) 令和3年度からこの会議を創設しまして、毎年度、フリースクールとか教育支援センターの参加者が多くなってきておりますし、その中で、単なる会議ではなくて、保護者あるいは児童生徒向けのフォーラム等も開催するなど、毎年、工夫を凝らしながら進化を続けてきていると思います。そういうことで、来年度も一層の充実を図っていきたいと考えております。 〇28番(吉田敬子君) そのフォーラムの中身の充実を図ってほしいということは私は一切言っていなくて、支援策を検討してほしいということをずっと、私だけでなく、不登校の対策についてさまざまな議員が取り上げています。例えば今回のフォーラムは、フリースクールに通っている不登校当事者の御家庭には届いていなかったということを私は聞いているのです。 参加者をふやすことばかりやっていても、結局届いていないところもあって、そこだけを一生懸命広げていくのではなくて、実際に不登校の児童生徒と御家庭に、もっと支援策を検討してほしいというかやってほしいということをお伝えしているのですが、そこのフォーラムにいっぱい参加してもらうことを今後もやっていくということでしょうか。 〇教育長(佐藤一男君) 今回のフォーラム参加者のアンケートから、支援センターやフリースクールがあることを知ることができてよかった、親のせいではないという言葉で心が少し楽になった、当事者の子供たちだけでなく、大人にも胸を打たれる内容でしたというような感想など寄せられております。こういうフォーラムを継続して展開していく、そして、意識啓発、情報発信に取り組むことは、重要な観点ではないかと考えております。 〇28番(吉田敬子君) 例えば情報共有の仕方も、先ほど他県の事例を取り上げましたけれども、今不登校の子たちは、確かに関心があって、そこに行ってみようと思うかもしれませんが、自分がいつ不登校になるかがわからない子供とその御家庭に対しては、例えば、常にハンドブックとかリーフレットをつくっていると、そういうものがあるということも、情報共有の一つとして私はいい取り組みだと思っています。 なかなか前に進まないので、他県のやられているような取り組みを、フリースクール認定制度まで頑張っていただきたいですけれども、そこに至らなくても、情報共有のあり方を工夫してやっている教育委員会がありますので、ぜひもっとやっていただきたいと思っております。 今年度から設置した県立教育支援センターの県立図書館への分室設置は大変評価しております。 大分県では、県教育センターと県立図書館において、2013年から本県と同様の支援を開始し、見学、調べ学習、職場体験、読み聞かせなど、日常業務の中でさまざまなプログラムを展開しています。また、2016年度からは、不登校支援図書館活用ハンドブックを作成し、県内への普及を目的とした事業をスタートし、複数の市町村を対象に、同様の取り組みができるよう県が支援しています。 市町村の教育支援センターの設置に当たっては、ぜひ市町村立図書館への設置を支援し、多様な学びの選択肢をふやしてほしいと考えますが、所見をお伺いいたします。 〇教育長(佐藤一男君) 教育支援センターは、学校に登校することが難しい児童生徒にとって、学習機会の確保や居場所として大切な役割を担っております。 このため県教育委員会では、本年4月に、県立図書館内にふれあいルーム盛岡を設置し、不登校児童生徒の多様な学びや居場所の確保と保護者等に対する相談体制の充実強化を図ってきたところです。 また、県教育委員会では、全ての市町村に教育支援センターが設置されることを目標にその整備を支援しており、現在、27の市町村において整備され、運営がなされております。市町村の教育支援センターは、市町村庁舎のほか、公民館等の社会教育施設など、さまざまな施設を活用して設置されているものと承知しております。 県教育委員会としましては、県立図書館内のふれあいルーム盛岡における生徒の支援状況や教育相談の実績などを市町村教育委員会に情報提供するなど、連携、協力して、誰ひとり取り残されない学びの保障に向けて取り組んでまいります。 〇28番(吉田敬子君) 県立図書館の分室に通っていた方が3名程度いらっしゃる―もしかしたら今は前後があるかもしれませんが、そのうちのお一人の高校生で、これまで不登校だった子が、ここの図書館に通い先を見つけました。それから、自分の意思で、今の自分がいた高校ではなく、編入先として、次、ここだったら通えるといってこの分室を去ったというか卒業したというか、そういう子がいたということを聞いています。 教育支援センターとかどこかということではなくて、本当にどこか1カ所、その子に合った場所を提供して、選択肢をふやしていただきたいと思っておりますので、ぜひ市町村に対しても、こういう活用の仕方があるということをお伝え願えればと思っております。 東京都美術館では、2012年から10年以上実施するとびらプロジェクトの取り組みの中で、学校がしんどいと感じる子供と保護者のためのプログラムを2021年から開始しました。多様な子供たちに、美術館を居場所の一つとして知ってほしいという願いから生まれた企画で、私はよい取り組みであると感じています。 県立図書館が不登校の子供たちの居場所としての機能を発揮していることは、既に結果としてあらわれており、今後は、ぜひ本県でも、不登校の子供たちの居場所の機能を美術館や博物館へも展開していただきたいと考えますが、御所見をお伺いします。 〇教育長(佐藤一男君) 県教育委員会では、県立図書館内のふれあいルーム盛岡における不登校への支援のほか、従前から、県内3カ所に設置する県立青少年の家におきまして、不登校やひきこもり傾向のある児童生徒を対象とした、創作やスポーツなどのさまざまな体験活動を通じた学習の機会や居場所を提供する事業に取り組んできているところです。 また、美術館や博物館は、学校では体験することが難しい芸術や科学、歴史等に関する豊富な情報の提供が可能な施設であり、さまざまなプログラム等を用意し、多くの児童生徒を個人または団体で受け入れており、児童生徒にとっても貴重な存在となっております。 一方で、教育支援センターの設置には、その利便性や受け入れ態勢の整備といった観点からのさまざまな検討も必要であることから、県立美術館や県立博物館への展開は将来的な検討課題として、まずは県立図書館内のふれあいルーム盛岡における支援の充実に取り組むこととし、他県の先進事例等の情報収集に取り組んでまいります。 〇28番(吉田敬子君) 図書館での取り組みは先ほどもお話しさせていただきましたけれども、あとは、美術館、博物館だと、その子供たちで好きな分野があって、例えば美術館もそういった居場所になるでしょうし、博物館もそのとおりです。まだまだこれから、図書館が今年度始まったばかりですので、この図書館での機能を今後評価していく中で、ぜひ美術館、博物館というところも、実際に東京都の美術館ではやられていますので、その子の特性に応じた選択肢をふやしていっていただけたらと思っております。 先ほどフリースクールの認定制度についてお話しさせていただきましたけれども、フリースクールであったり、美術館であったり、博物館であったり、子供たちの特性で選べるところを本当にふやしていきたいと思っている中での提言ですので、ぜひよろしくお願いいたします。 次にお伺いしたいと思います。文化庁の2023年度国語世論調査では、1カ月に1冊の本も読まない人が過去最多の6割を超えたことが明らかになりました。若い世代の読書離れが指摘されている中、実際には年代にかかわらず進行する実態があるといいます。 一方で、本に親しむ子供は多いという現状です。2023年度岩手県子どもの読書状況調査によると、1カ月で1冊以上読んだ小中学生は95%を超え、高校生でも79%、読書が楽しいと思う児童生徒は8割を上回っており、家庭での読み聞かせや学校での読書の時間などの取り組みの成果と考えています。 ただ、量だけでなく質の確保も重要で、子供たちの読書意欲を阻害しないよう、学校図書館の図書の選定、更新にはしっかり取り組んでいただきたく、今後も注視させていただきたいと思っております。 文学の国いわてをうたう本県でありますが、県立図書館の資料購入費は全国最低水準になっています。資料購入に係る過去5年の当初予算額については、東北6県の平均が3、000万円台から4、000万円台、全国の平均は5、000万円台で推移している中、本県は2、000万円台で推移しております。 この10年で全国の書店数は約3割減ったと言われており、本県でも同様に書店数が減少、本に出会う機会の創出はもちろん、全ての人の居場所としての機能も果たす図書館の役割は、極めて重要と私は考えています。 県立図書館は、生涯学習推進の中核的な施設として、県内町村の公民館図書室を含む全ての市町村立図書館等と連携、支援を行う必要がありますが、その資料等の購入費の現状は、市町村ニーズに応えるのに十分との認識であるかお伺いいたします。 また、岩手県図書館協議会に対し、岩手県公立図書館等振興指針を改訂し、岩手県内の図書館に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の方向等を定めることについての諮問もありましたが、今後の方針をお伺いいたします。 〇教育長(佐藤一男君) 県立図書館は、県民のニーズに対応したサービスの提供に努めるとともに、市町村立図書館等の支援と連携を図る役割を担っております。 このため県立図書館は、その運営に当たって、生涯学習推進の中核的な施設、県全域に関する資料の専門的な図書館、図書館を支援する図書館などの機能を果たすことを目的に資料収集方針を定め、この方針に基づき収集を行っております。 資料の収集を行うに当たって購入費の確保は課題でありますが、限られた予算の中で、県民及び市町村のニーズに応えるため、利用者や市町村立図書館等から要望があった資料について優先的な購入に努めているところです。 また、岩手県公立図書館等振興指針につきましては、図書館を取り巻く環境の変化や県内公立図書館の現状と課題を踏まえ、本県の公立図書館の目指すべき方向性を示すよう、今年度から改訂作業を進めてまいります。 〇28番(吉田敬子君) 今年度から改訂作業を進めていらっしゃるということで、県立図書館の資料購入費は、確かに予算が限られている中であるとは思いますけれども、全国の中でも最下位だということです。県立図書館にも私も何回かお話を伺ったりしていますが、図書を選定するにも、本棚があいてきている場所もあって、そこを補充するのに、タイトルは違うけれども同じものを置いてみたりとか、これは雑誌の部分ですが、そうやって工夫しているということもお伺いしました。 県立図書館では資料をしっかり持っていただきたいですし、今、本当に市町村にある本屋が今だんだん減っている中で、児童生徒には学校図書館もありますけれども、本に触れる機会を、図書館という場所がしっかり確保していただきたいです。全ての世代の方々が使える図書館の資料が豊富であったらいいと私は思っています。予算の部分でということはそのとおりかもしれませんが、今後、計画指針の改訂にのっとって、そこも含めてぜひお願いしたいと思っております。 県内では、図書館や書店に限らず、読書会の開催、店舗の一角への図書スペースの設置、本を通じた地域イベントの開催など、工夫を凝らした取り組みが見受けられます。これらは、子供から大人まで全ての世代に対する本に親しむ環境づくりであるとともに、本を通じた居場所づくりでもあると感じています。 このようなまちライブラリーなど地域と連携することにより、本を通じた居場所づくりを推進していくべきと考えますが、今後の方針をお伺いします。 〇教育長(佐藤一男君) 本を通じた居場所づくりについてのお尋ねでございますが、県教育委員会では、本県における読書活動の充実を図るため、読み聞かせやお話会を行うボランティア等の資質向上を目的とした研修会を実施し、読書に親しむための環境づくりに資する人材育成に取り組んでいるほか、県立図書館が地域団体等へ図書をまとめて貸し出す団体貸し出しにより、図書館以外での読書活動の推進に取り組んでいるところです。 これらのボランティアや地域団体等を支援する取り組みにより、県内の学校や福祉施設、社会教育施設等において、読み聞かせやお話会、地域文庫の開設などが行われ、県民の本に触れる場の創出や居場所づくりに寄与しているものと認識しております。 県教育委員会としましては、今後も、市町村と連携しながら、ボランティアや地域団体等の取り組みを支援し、県民が本に親しむ環境づくりに取り組んでまいります。 〇28番(吉田敬子君) 本を通じた居場所づくりということで、先ほどの不登校のところでは子供たちへの取り組みですけれども、本というのは、本当に子供だけでなく、全世代を通じての居場所になると思います。今、子供だけでなくて大人も、家庭と仕事だけでない、第三の場所というところも接点としてあると幸福度が高まると言われていますので、その取り組みは、ぜひ支援していっていただきたいと思っております。 次にお伺いいたします。県は、老朽化が進む岩手県庁舎の在り方に関する報告書の素案をまとめました。県庁舎のある内丸地区は、1957年に全国で初めて、国、県、市それぞれの公共施設を一つの団地とした一団地の官公庁施設―内丸団地と呼ばれていますが―として整備されましたが、盛岡地方裁判所や岩手県民会館など、どの建物も築50年以上が経過しており、岩手医科大学の跡地活用も含め、エリアとして一体的な更新が求められています。 盛岡市による(仮称)内丸プランの中間取りまとめにおいては、今後の取り組みの方向性として、必要に応じて一団地の官公庁施設の見直しを検討すること、緑地の設置など、来訪する全ての人がゆとりと潤いを感じられる居心地のよい空間を創出するためのガイドラインを設けるなど、歩いて楽しむウォーカブルなまちづくりに取り組むともあります。 県庁舎の在り方に関する報告書の素案では、改修のみ実施、一部建てかえ、全て建てかえの三つの整備案が示されていますが、どの案を採用するかの建物本体の議論のみならず、県産木材の積極的な活用、景観や空間デザイン、町並みなど、一団地の官公庁施設、内丸団地のエリアとして一体的な議論を行い、県と盛岡市が共通認識を持って整備すべきであると私は考えております。 先日、ニューヨークタイムズ紙に盛岡市を選出してくださったクレイグ・モドさんの出版記念イベントが開催されました。内丸周辺に対する熱い思いなども改めて語られ、知事も御出席されました。 盛岡市庁舎の建てかえの議論も同時にされていますが、盛岡市からは、県に対してどのような要請があったのかお伺いいたします。 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 盛岡市新市庁舎整備審議会からの答申を受けて、盛岡市では、9月議会定例会での説明やパブリックコメントを経て、年内には整備エリアを内丸地区とする新市庁舎整備基本構想が策定される見通しと承知しております。 盛岡市では、検討を進めている(仮称)内丸プランについて、土地利用や景観などエリアの将来像を共有することが重要であるとの認識のもと、新市庁舎の用地選定に当たっては、関係者との十分な調整や丁寧な交渉を進めていくこととしており、県と盛岡市は、これまで実務者間で、庁舎のあり方や事業の進捗状況に関する情報共有や意見交換を行ってきたところでございます。 これを踏まえまして、今般、県に対して、内丸地区内の県管理施設及び県管理用地である岩手県営内丸駐車場、岩手県議会議員会館及び内丸緑地の敷地について、当地区内の再整備を目的とした検討についての協力依頼があったところでございます。 〇28番(吉田敬子君) 盛岡市からは、内丸駐車場、議員会館、内丸緑地について検討してほしいということが来たということですか。わかりました。 少しそこは置いておきつつ、県庁舎の建てかえについては、(仮称)内丸プランの策定と一体的に議論がされるべきと私は考えておりますけれども、どのような形で進められているのか。また、これから50年先、100年先を見据えた県庁舎のあり方に係る知事の所見について、内丸地区への思いとあわせてお伺いいたします。 〇知事(達増拓也君) 内丸地区は、昭和32年に全国で初めて一団地の官公庁施設に指定され、以来、本県の行政、経済の中心地として、その社会経済活動を牽引してまいりました。この歴史的背景を踏まえ、50年先、100年先の岩手県庁舎のあるべき姿を展望する必要があると考えます。 盛岡市の(仮称)内丸プランにおいても、県都の顔と言える内丸地区の歴史的背景を重んじ、将来にわたってその活力を維持するための再整備であることが明記されており、県庁舎の整備も同様の方向性で進めております。 現在、岩手県庁舎のあり方に関する報告書の取りまとめに向け、有識者懇談会で議論いただいておりますが、その整備手法やコンセプトについては、今後、広く県民の皆様から意見を伺うこととしております。 それらの意見を踏まえた上で、来年度から基本構想・計画の策定に着手いたしますが、まちづくりへの貢献という観点も大切にしつつ、将来にわたって県民福祉向上の拠点として、県民に親しまれ、愛される庁舎となるよう取り組んでまいります。 〇28番(吉田敬子君) 先ほど、ふるさと振興部長からは、盛岡市から県内の内丸駐車場、議員会館、内丸緑地に対しての協力依頼があったということですけれども、ある意味、この辺の景観が大分変わるということですが、改めて知事にもその辺をお伺いしたいのですけれども、先ほどは知事から、県民から意見を伺うということが述べられていますが、知事はいかがですか。盛岡市から内丸駐車場、議員会館、内丸緑地、そういったところを活用させていただきたいという依頼を受けて、私はかなり、盛岡市役所がその辺に移動するというのはなかなか想像がつかないわけですけれども、改めて知事の思いをお伺いしたいと思います。 県庁舎はそうなのですけれども、そこも含めて、本来、私は、盛岡市のことではありますが、県に対して依頼があるということは、もう少し、もっと広いエリアで、県庁舎をどうするかだけではない議論がもっと必要なのではないかと思いますけれども、改めてお伺いします。 〇知事(達増拓也君) 盛岡市が(仮称)内丸プランを策定する過程においても、広く市民の皆さん、また県の関係、そして全国的に活躍する専門家も招聘し、意見交換しながら進め、盛岡市の河南公民館だったと記憶しますが、そういうシンポジウムの一つに、私も盛岡市民の一人としてもぐり込んで話を聞いたことがあります。 やはり、広く意見を集めながら、また、専門家の意見、たしかそのときは、盛岡市出身で東京大学工学部で都市計画を専門にやっている学者を招いていたと記憶しておりますけれども、そういう専門家の意見も参考にしながら進めていけば、悪いようにはならないのではないかと思いました。 盛岡藩のお城ができるときも、蒲生氏郷でしたか、あるいは豊臣政権の枢要な役を占めるような大名の意見も参考にし、そして、三戸、福岡から移るということで、地元の人たちのさまざまな考え方も踏まえて、今の内丸のもとになるお城やその周辺もできてきたのだと思いますので、そういったことも参考にしながら進めていけばいいのではないかと思います。 〇28番(吉田敬子君) 悪いようにはならないのではないかということですけれども、確かに盛岡市のことではあるのですが、例えば、議員会館だと我々議会側も困りますし、内丸緑地も憩いの場でもあって、私も県庁舎の議論だけで考えていたのですが、盛岡市からそういった依頼があるということは、もう少しエリア一帯として、この土地、空間、団地としてどうしていくのか、そして、その中で役所機能をどう担保していくのかという視点で、ぜひ、もっと幅広く議論を今後していっていただきたいと思っております。 これで一般質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって吉田敬子さんの一般質問を終わります。 〇議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。 午後2時30分 休憩 出席議員(47名) 1 番 田 中 辰 也 君 2 番 畠 山 茂 君 3 番 大久保 隆 規 君 4 番 千 葉 秀 幸 君 5 番 菅 原 亮 太 君 6 番 村 上 秀 紀 君 7 番 松 本 雄 士 君 8 番 鈴 木 あきこ 君 9 番 はぎの 幸 弘 君 11 番 村 上 貢 一 君 12 番 工 藤 剛 君 13 番 小 林 正 信 君 14 番 千 葉 盛 君 15 番 上 原 康 樹 君 16 番 菅野 ひろのり 君 17 番 柳 村 一 君 18 番 佐 藤 ケイ子 君 19 番 高 橋 穏 至 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 福 井 せいじ 君 23 番 川 村 伸 浩 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 高 田 一 郎 君 26 番 木 村 幸 弘 君 27 番 佐々木 朋 和 君 28 番 吉 田 敬 子 君 29 番 高 橋 但 馬 君 30 番 岩 渕 誠 君 31 番 名須川 晋 君 32 番 軽 石 義 則 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城 内 愛 彦 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 37 番 斉 藤 信 君 38 番 中 平 均 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 郷右近 浩 君 41 番 小 西 和 子 君 42 番 高 橋 はじめ 君 43 番 五日市 王 君 44 番 関 根 敏 伸 君 45 番 佐々木 順 一 君 46 番 岩 崎 友 一 君 47 番 千 葉 伝 君 48 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(1名) 10 番 高橋 こうすけ 君 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後2時52分 再開 〇議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。村上秀紀君。 〔6番村上秀紀君登壇〕(拍手) |
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