令和6年9月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録 |
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〇46番(岩崎友一君) 自由民主党の岩崎友一です。
初めに、能登半島においては、ことし元日に発生した地震、また9月の豪雨災害により甚大な被害が出ております。犠牲となられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。また、今なお行方不明となっている方々が、少しでも早く御家族のもとに戻られますことを御祈念いたします。 私たちは、東日本大震災津波、そして台風とたび重なる災害を受けた者として、能登の復旧、復興を官民一体となってしっかりと後押しをしていきたいと思います。 それでは質問に入ります。よろしくお願いします。 東日本大震災津波からの復興について伺います。 県が行っている復興に関する意識調査で、沿岸部の回答者では、復旧、復興が進んでいる、やや進んでいると感じる割合が初めて70%を上回る一方で、復興ウォッチャー調査の地域経済の回復度については、回復していないと実感している割合もふえている状況であります。 県の統計を見ても、震災前と比較すると、市町村内生産額は、久慈市、野田村、田野畑村、普代村など沿岸北部地域の伸びは大きいものの、陸前高田市では震災前の水準を下回っている状況です。 また、市町村内総生産の割合を見ても、大槌町や陸前高田市では、公務や保健衛生、社会事業の割合が高い状態が続いており、民需が弱いイコールいまだ被災地の経済が回復していないことを示しているものと認識しております。 知事は、現在の沿岸被災地の経済状況をどのように捉えているのか、認識を伺います。 登壇しての質問は以上です。以下、質問席から質問をいたします。 〔46番岩崎友一君質問席に移動〕 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の御質問にお答え申し上げます。 これまで地域の企業や住民の皆さん、そして国、県、市町村がなりわいの再生に向けて努力してきた結果、沿岸12市町村のGDPは、被災前である平成22年度の7、500億円余から令和3年度には8、600億円余に伸びているところです。 とりわけ地域の外を主な市場とする水産業や製造業、観光産業などは、その地域の経済規模に与える中長期的な影響が大きいとされています。しかしながら、沿岸12市町村のGDPのうち水産業については、平成22年度の240億円余が、令和3年度には180億円弱にまで減少しており、これは水揚げ量が約4割にまで落ち込んだことなどが原因と考えられます。 一方、県としても各種支援に取り組んできた結果、養殖サーモンを初め水産物のブランディングで、付加価値を高める動きが生まれています。また、観光産業の面では、みちのく潮風トレイルに多くの欧米の旅行客が来訪しています。 今後、そのようなよい流れを捉えながら、三陸沿岸地域の地域経済活性化にさらに取り組んでまいります。 〇46番(岩崎友一君) 今答弁をいただきまして、数字もさることながら、肌感も含めて、私も沿岸部で暮らす者として、やはり経済が弱い、これは震災だけではなくて、その後のコロナ禍であったり物価高の影響もあるかと思いますが、震災前の経済に全ての市町村で回復しているといった状況にはないと認識しております。 そこで、これまでも提案してまいりました、3.11を基軸とした三陸防災復興プロジェクトの再開及び継続的な実施について取り上げたいと思います。 その趣旨は、これまでも述べてきましたとおり、沿岸部の経済が回復し切れていないといった現状及び、被災各地に整備された東日本大震災津波の伝承、追悼施設では、来訪者が減少している施設も多いと聞いている中で、開催を提案しているものであります。 加えて、知事からも若干答弁がありましたが、被災地では防災集団移転元地の活用も徐々に進み、新たな産業、観光拠点として期待される中、さらなる情報発信や三陸ジオパーク、みちのく潮風トレイルなどの普及を後押しするためにも、市町村と合同でぜひ開催していただきたいと思いますが、改めて知事の見解を伺います。 〇知事(達増拓也君) 県ではこれまで、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催、防災推進国民大会2021、いわゆるぼうさいこくたいなど、さまざまな機会を通じ、復興支援への感謝や復興の姿、三陸地域の多様な魅力を国内外に発信してきたところであり、こうした取り組みは、交流人口や岩手ファンの拡大につながったものと考えています。 岩崎友一議員御提案の県、市町村合同のプロジェクトの継続的な実施についてですが、三陸防災復興プロジェクト2019で実施した22事業のうち11事業は、現在もその趣旨を引き継ぎながら実施しており、例えば、三陸ジオパークフォトロゲイニングフェスティバルは、三陸ジオパークを舞台に開催されているほか、さんりく音楽祭2019についても、コロナ禍で一旦中止となりましたが、昨年度は2、800人を超える多くの人が集まるなど、地域に根差した取り組みとして開催されています。 今後、みちのく潮風トレイルや新たな観光拠点など、2019年以降に生まれた地域資源も活用しながら、市町村等と連携し、取り組みの継続や発展を進めます。 また、令和4年度から実施している岩手県政150周年記念事業においては、最終年度となる令和8年度において、取り組みの集大成となる記念行事や記念イベントの開催を予定しており、東日本大震災津波からの復興の姿や三陸地域の多様な魅力を発信する観点から、開催地の一つとして沿岸地域における開催も検討することとしており、市町村とも十分に連携しながら具体的な検討を進めてまいります。 〇46番(岩崎友一君) 昨年の答弁に似ていると思って聞いておりましたけれども、11事業は引き続きやっているということでありますが、継続してやってきても、なかなか被災地の経済が上向いていかないというのが実際の成果だと思います。であるならば、さらに突っ込んだ取り組み、対策が必要だと思っておりまして、そういった観点から私は質問しているわけであります。 沿岸部といいますと、市は企業誘致などにもかかわることができますが、町村が何で稼ぐか、それはやはり観光であると思います。ですから私は、沿岸地域全体でこういった継続したプロジェクトを行うことによって、先ほど申し上げた趣旨に加えて、市町村と合同でやることによって、町あるいは村の観光に対する力といいますか観光施策を学ぶ、さらに鍛えるといった場面でも、そういったものにも活用できるかと思っております。そういった観点からも継続した実施が大切であると思っているのですが、いかがでしょうか。 〇知事(達増拓也君) 市町村の観光の力を高め経済活性化につなげることは重要であり、JR東日本と連携した秋旅観光キャンペーンがちょうど10月頭から始まったところでもあり、今回は、特に人口の少ない町村の中にあるスポットに焦点を当てて宣伝しているところであります。 そういう意味で、沿岸地域の経済活性化につながるような、人が集まる工夫、人がやってくる工夫をさまざまな形で進めていきたいと思います。 〇46番(岩崎友一君) まず、先ほどの答弁の中で、岩手県の150周年記念事業を沿岸部でもというのは、市町村も県と連携してやることに意味があると思うので、ぜひやっていただきたいとは思うのですが、それも一過性になってしまうと効果が薄いと思います。成果として、沿岸部の景気がよくなった、経済が回復した、そういった実感が持てるような施策をやっていただきたい。それの名前は別として、三陸地域が一体となったプロジェクトの実施であると思いますので、これに関しては、引き続き前向きに検討いただきたいということは要望しておきます。 次に、復興の残された課題への対応についてでありますけれども、国の復興庁においては、復興推進委員会の下に有識者による第2期復興・創生期間までの復興施策の総括に関するワーキンググループを設置し、これまでの復興施策の総括と今後の方向性について議論されてきたところでありますが、このたび、地震津波被災地域である岩手県、宮城県の施策に関する方向性について取りまとめられ、復興推進委員会に中間報告がなされたところであります。 その内容を見ますと、長期的な支援が求められる心のケア等の被災者支援を初め、一般施策に移行する方向性が多々盛り込まれていることは、私としましても非常に残念であり、今後、政府に対し、引き続き財源も含めた国による支援の継続を強力に要請していかなければならないと思っているところでございます。 そこで伺いますが、この中間報告を受けて、知事はどのような認識をお持ちなのかお聞かせいただきたい。また、復興の残された課題について、県としてどのような覚悟を持って取り組んでいくのか、あわせて伺います。 〇知事(達増拓也君) 令和3年に閣議決定された第2期復興・創生期間以降における東日本大震災津波からの復興の基本方針では、岩手県を含む地震津波被災地域は、令和7年度末までに復興事業がその役割を全うすることを目指すとされています。 しかしながら、心のケアや子供の支援を初め、中長期的な課題がまだまだ残されていることから、ワーキンググループの構成員の皆様に本県への現地視察を行っていただくなど、支援の継続の必要性を強く訴えた結果、全ての復興事業が令和7年度末で一律に廃止される事態にはならない見通しとなりました。 復興大臣からは、中間報告を踏まえながらも、自治体と連携して丁寧に検討を進めるとの発言があったところであり、県の復興推進プランを円滑に進めることができるよう、被災者に寄り添った対応を求めてまいります。 加えて、三陸沿岸地域では、復興事業の次の成長戦略として、民間事業者と連携した地域脱炭素や観光交流の取り組みなどが進みつつあり、脱炭素先行地域を初めとする国の支援も活用しながら、新しい形での地域経済の活性化にも取り組んでまいります。 〇46番(岩崎友一君) ぜひよろしくお願いします。国としてもやるべきこともあると思いますし、足らざる部分は県としても、県単事業でしっかりやっていく必要があると思いますので、よろしくお願いします。 次に、二つ目、釜石港の振興についてお伺いいたします。 釜石港では、東日本大震災津波以降、国際フィーダーコンテナ定期航路の開設を契機に、コンテナ取扱貨物量が堅調に推移しております。平成29年には、県の御尽力もあり、県下初となるガントリークレーンが供用開始となり、物流機能が飛躍的に向上したことにより、ことし6月には、釜石港コンテナ定期航路として3便目となる新たな国際フィーダーコンテナ定期航路も開設され、貿易の選択肢が広がりを見せております。 このように、国際貿易拠点化が進展する中、一方では、公共埠頭の脆弱性が顕在化しており、釜石市が復興のシンボルとして掲げている完成自動車物流の再開や大型化するローロー船等の新たな寄港ニーズに対応していくためには、公共埠頭の用地や大型岸壁の整備が喫緊の重要課題となっております。 釜石市からは、平成18年度から毎年要望されているところでもあります。被災地沿岸部の経済復興を大きく前に進めるためにも、そろそろ前向きな答弁を求めたいと思いますが、釜石港須賀地区の埠頭用地の造成及び大型岸壁整備の事業化、完成自動車物流の再開支援について、県の見解を伺います。 〇県土整備部長(上澤和哉君) まず、釜石港の埠頭用地造成等についてですが、釜石港においては、ガントリークレーン設置やコンテナ定期航路の増便などにより港湾の利便性が向上しており、さらに、物流の2024年問題への対応等により、陸上輸送から海上輸送への転換が進むものと認識しております。 これら港湾を取り巻く環境の変化を的確に把握しつつ、釜石市と連携して集荷拡大に向けたポートセールスを継続するとともに、港湾施設の利用状況、取扱貨物量の推移や将来の見込み、企業立地の動向等を見きわめながら、埠頭用地造成及び大型岸壁整備の事業化の時期については、適切に判断してまいります。 また、完成自動車物流の再開に向けては、釜石市と連携し、トヨタ自動車株式会社等へ釜石港の現地施設や県、市が費用の一部を負担する形での試験輸送を提案するなどの働きかけを行っており、引き続き、早期の再開に向けて取り組んでまいります。 〇46番(岩崎友一君) 1点だけ伺います。先ほど申し上げましたが、平成28年から釜石市の重要な要望として上がってきておりまして、このまま行きますと、令和の間にも全く同じような答弁がずっと続くのではないかと懸念しているわけですが、この整備に当たって何が障害になっているのか、県土整備部としてどのように捉えているのかお示しいただきたいと思います。 〇県土整備部長(上澤和哉君) 埠頭用地の造成、大型岸壁整備の事業化に当たっては、まず、基本的に現在の施設で対応できないような貨物が見込まれる場合には、港湾の機能強化が必要になるかと思っております。 釜石港須賀地区の拡張については、事業期間はおおむね6年から8年かかると見込まれておりますが、このことから、引き続き、港湾を取り巻く環境の変化を的確に把握しつつ、釜石市と連携して集荷拡大に向けたポートセールスを行うとともに、港湾施設の利用状況、取扱貨物量の推移や長期的な見込み、企業立地の動向等を見きわめながら、将来も含めた貨物の取り扱いに支障が生じないよう、整備に要する期間も考慮した上で、事業化の時期について適切に判断してまいります。 〇46番(岩崎友一君) いずれ、これは鶏と卵であると思っておりまして、やはり釜石港においても、コンテナも大事ですけれどもローロー船も大事で、さまざまな船の形、物流の形はあると思うのですが、需要ができたからつくりますでは、これは遅いと思うのです。ですから、その辺もしっかり踏まえた上で、県土整備部として対応をお願いしたいと思います。 いずれ、これは国の負担もありますが県の負担も生じますので、ぜひ、財政課をつかさどる総務部にも御理解を賜れればと思いますので、よろしくお願いします。 次に、三つ目、海業の振興についてお伺いしたいと思います。 知事も出席されました9月20日に開催された県主催の復興委員会において、漁業士会の会長からも意見が出たところでございますけれども、本県沿岸部の漁業、水産業は、主力魚種の不漁などにより非常に暗い話題ばかりが続いていることから、海業を起爆剤として浜を盛り上げていきたいといった声が多数あります。 昨年は、大槌町の吉里吉里漁港に始まり、山田町の織笠漁港においても計画が策定され、本年度は釜石市箱崎漁港においても計画の策定が進められているところであります。また、ことし7月には、吉里吉里漁港において1泊2日のモニターツアー、海とウニの体験教室in大槌町が開催されたところでもあります。 県内のあらゆる浜にさらなる横展開を図りながら、漁村全体あるいは地域全体を盛り上げていきたいと考えておりますが、これまでの取り組みを踏まえ、今後の課題などについて、県としてどのような認識をお持ちなのかお伺いいたします。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 海業推進についてでありますが、県内では、大槌町吉里吉里漁港を初め3地区で海業の取り組みが進められておりまして、県では、今年度から新たに海業推進モデル事業を創設し、地域が取り組む海業のビジネスモデルづくりを支援しています。 事業の実施に当たっては、沿岸12市町村ごとに、漁協や市町村職員と意見交換会を行ったところであり、この中では、海業の取り組み方法や人員の確保、収益性の向上などの意見が出されたところです。 こうした意見等も踏まえまして、県としては、海業への理解醸成を図るとともに、大槌町などでのビジネスモデルの構築を進め、沿岸地域全体への波及を図る必要があると考えております。 〇46番(岩崎友一君) この海業は、おととし、大きくクローズアップされまして、今、本当に国会議員間でもさまざまな勉強会が開かれております。今や海の地方創生とも言われており、多くの可能性を秘めていると思います。 海業発祥の地と言われる神奈川県三浦市におきましては、海業フェスタを開催するなど先駆的な取り組みが進められておりますけれども、本県では、沿岸部に小規模自治体も多いことから、県全体で沿岸市町村と協議会をつくることであったり、市町村への財政的な県としての支援も含めて、県も主体的に海業の取り組みを推進すべき、かかわっていくべきと考えますが、見解をお伺いします。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 県では、海業に対する理解醸成に向け、漁業者や市町村等を対象に、県内外の先行事例の紹介などを行うシンポジウムの開催とともに、大槌町に続いて、山田町において養殖カキを活用したモニターツアーの実施を予定しております。 また、沿岸地域全体への波及を図っていくためには、市町村ごとの意見交換会を継続して実施し、各地域の資源を生かした海業の検討を進めていくことが重要です。 県としては、シンポジウムや意見交換会を通じて、市町村、関係団体の意見を伺いながら、まずは各地域の魅力を再認識し、磨き上げていくことが必要と考えており、岩崎友一議員御提案の県全体での協議会の設置については、海業の理解醸成につながる取り組みと考えますが、これまで申し上げた取り組みを進める中でその対応を研究していきます。 また、国に対し、市町村が事業実施主体となって行う海業支援施設等の整備事業の地方負担について、地方財政措置を講じるほか、地域が取り組む活動経費を支援対象とするなど、事業内容の拡充とともに、必要な予算の十分な確保を要望しており、市町村等と連携しながら、海業の取り組みが推進されるよう取り組んでまいります。 〇46番(岩崎友一君) 研究という話もありましたけれども、研究と言われると、これは多分20年、30年かかってしまうのではないかと思ってしまいます。やはりこれはパイオニア、先駆者になっていくことが大事なのだと思います。全国でもさまざまな取り組みが進んでおりますけれども、岩手県がぜひ参考事例となるように、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。 また、国でもこれから力を入れてくるわけでありますが、国の財政支援を待たずとも、県単事業を使って進めていかなければ、これはなかなか先駆者にはなれないと思います。そういった意味で、ぜひ頑張っていただきたいのですが、改めて答弁をお願いします。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 現在、沿岸地域の基幹産業である水産業は、非常に厳しい環境にあると認識しております。そういった中で、海業の推進というものが、岩崎友一議員からもお話しいただきましたとおり、非常に期待の高い取り組みだと認識しております。 予算的な部分は、先ほど国に働きかける、求めるという話もしましたけれども、今年度、県単独の新規事業も設けましたので、こういった実施状況も踏まえながら、ぜひ沿岸地域全体にこの海業の取り組みが広がっていくように、県としても積極的に取り組んでまいります。 〇46番(岩崎友一君) 今年度の海業そのものの予算は、説明会では年間500万円ということで、主に計画の策定に要する経費と理解しております。モニタリングツアーなどは、それ以外の事業を使ってやっているというのは確認させていただいておりますけれども、ぜひ踏み込んで頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 次に、四つ目、物価高と賃上げ対策についてお伺いしていきたいと思います。 喫緊の課題であります物価高と賃上げ対策。ことし8月28日付の岩手地方最低賃金審議会の答申により、今年度の本県の最低賃金は、国の審議会で示された目安額50円を9円上回る59円と決定いたしました。物価の上昇あるいは人材の確保といった観点から引き上げの必要性は理解いたしますけれども、昨年の39円に続く大幅な引き上げに、給料を支払う側である使用者、経営者からは、困惑の声ばかりが聞こえてきております。 そこでお伺いいたします。知事は、ことし5月、岩手労働局長を訪問されましたが、どのような意図を持って訪問されたのでしょうか。 〇知事(達増拓也君) 生産年齢人口の減少に加え、本県では人口の社会減が続いており、特に進学、就職期の転出が顕著となっています。 地域経済を持続的に発展させていくためには、若者や女性にとって魅力ある職場づくりの推進が求められ、県民一人一人が、必要な収入や所得が得られていると実感できる岩手県を実現していく必要があります。 しかしながら、昨年の最低賃金改正では全国単独最下位となり、都市部のみならず隣県との格差が生じていました。 こうした状況を踏まえ、全国的に人口減少が進展し産業人材の確保が大きな課題となる中、本県の優秀な人材が、安心して県内に定着し、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができるよう、最低賃金が全国最下位であるという現状を勘案しながら、地域別最低賃金の改正に向け十分な議論を行うことについて、岩手労働局長及び岩手地方最低賃金審議会会長に申し入れを行ったものです。 〇46番(岩崎友一君) 知事がおっしゃっている意味もわかります。昨年は全国最下位ということで決してイメージはよくないのですが、私は今回、勘繰って申しわけないですけれども、全国最下位を脱出するためにお願いに行ったという認識で受けとめていたのです。賃金を上げることも大切ですけれども、賃金を上げることによって支払う側が倒産などしたら、本末転倒になってしまうわけです。 知事は、労働局長にお会いになる前に、39円上げた後の使用者側、経営者側の声を踏まえた上でお伺いしたのかどうか、いかがでしょうか。 〇知事(達増拓也君) さまざま、コロナ禍があり、物価高騰がある中で、日本全体が賃上げということをてこにしながら、賃上げ、消費の拡大、そして事業収入の向上という好循環が起きることを岸田内閣も強く全国的にアピールしながら進めておりましたので、基本的に、岩手県もその中で対応していたものであります。 最低賃金の問題については、先ほどお答えした内容は、ほぼこの文書をそのまま岩手労働局長、岩手地方最低賃金審議会会長に提出しているところでありまして、先ほど申し上げたことが、岩手労働局長訪問の意図であります。 〇46番(岩崎友一君) 今、私が質問したのは、使用者側、経営者側の状況を把握した上で行ったのかという質問だったのですが、次の質問に行きます。 岩手地方最低賃金審議会の採決におきましては、15人の代表委員のうち使用者代表委員が5名おりますけれども、結果、全員が反対したわけであります。これについての受けとめをお尋ねします。 〇知事(達増拓也君) 地域別最低賃金は、公益、労働者、使用者の代表から構成される岩手地方最低賃金審議会におけるさまざまな議論を踏まえて、岩手労働局において決定したものであり、議論の詳細までは承知していないところですが、今般の改正は、過去最大の目安額が示されたことに加え、県内の中小企業は、エネルギー、原材料価格の高騰などにより引き続き厳しい経営環境を強いられている状況などがあり、使用者の代表の判断に影響したものと受けとめております。 〇46番(岩崎友一君) では、今回の答申についてでありますけれども、答申の行政機関への要望として、政府に対する要望に加えまして、ことしは初めて岩手県に対する要望が入れ込まれました。その内容は、県としても、地域の実情に考慮した支援策の拡充、強化をするとともに、各種助成金申請に要する経費の支援など、賃上げ環境を整備する新たな助成制度の創設を図ることとされております。 この要望への、県の対応についてお伺いいたします。 〇知事(達増拓也君) 県内中小企業者の賃上げを促進するため、現在、物価高騰対策賃上げ支援金により賃上げ原資の補填を行うとともに、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助金などにより、経営革新を図りながら生産性向上に取り組む中小企業に対する支援を展開しているところです。 また、県が人件費を補助する商工指導団体が、国や県の各種補助金申請を伴走型で支援しており、さらに、商工指導団体に対し、さまざまな事業計画策定支援のための専門家派遣に要する経費も補助するなど、県内中小企業者の補助金申請を手厚く支援しているところです。 今般の最低賃金の改正は、全国的に大幅な引き上げとなるものであり、国の経済対策の動向も踏まえながら、引き続き、商工指導団体との連携のもと、中小企業を取り巻く環境変化に対応した必要な支援策を適時適切に展開してまいります。 〇46番(岩崎友一君) 岩手県に対する要望は、先ほど申し上げましたとおり、初めてです。これまでは政府に対する要望にとどまっておりましたけれども、今回初めて、岩手県に対する要望が入れ込まれたということで、その重みに関して、これまでやってきた事業はいいのですけれども、初めて入れ込まれた重みというものを踏まえて、県として、今後どうしなければならないかという知事の方針みたいなものはあるのでしょうか。 〇知事(達増拓也君) 御指摘の、県としても地域の実情に考慮した支援策の拡充、強化をするとともに、各種助成金申請に要する経費の支援など、賃上げ環境を整備する新たな助成制度の創設を図ることというこの要望を踏まえまして、先ほど申し上げたような対応をしていくということであります。 〇46番(岩崎友一君) では、この重みはしっかり受けとめた上で対策を講じるという理解でよろしいですか。―はい。 では、次に行きます。昨年の39円引き上げ時には、県では、国の物価高騰対応交付金を活用いたしまして、物価高騰対策賃上げ支援金制度を創設いたしました。9月19日時点の支給申請実績は2、562件、人数にして1万8、244人、金額にして9億1、000万円余となっております。事務費を除いた予算20億円に対し、申請率が5割にも届いていないのが現状であります。 これは、きのうの佐々木朋和議員の質問とも一部重複してまいりますけれども、私は、この申請率が低い理由として、事業者の方々にいろいろお聞きしておりますと、1者の上限が20人となっていること、また、39円の引き上げに対し、50円以上の引き上げが条件で、この11円というのは非常に大きな引き上げ幅だと思っておりまして、こういった点が挙げられると思いますが、申請状況を踏まえた県の認識をお伺いいたします。 〇知事(達増拓也君) 本県では、従業員数20人未満の事業所が全体の89.3%を占めており、これらの事業所を中心に本支援金が活用されることを念頭に、1事業者当たりの上限を20人としたところであります。 令和6年9月19日現在、当初見込んでいた2、000事業所を上回る2、562事業所からの申請があり、価格転嫁が厳しい小規模事業所を中心に多くの事業所に活用いただいている状況から、賃上げの促進に効果を上げていると考えております。 〇46番(岩崎友一君) 執行率が5割に行っていないという点に関しては、どのような認識をお持ちですか。 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 執行率につきましては、知事が答弁申し上げましたとおり、この事業の開始に当たっては、従業員20人未満の事業所が県内には89%で、その見込みを、県内の全企業の5%程度と見込んで2、000者としています。圧倒的に20人未満が多いのですが、その中には、当然5人未満もいますし10人未満もいるわけでございます。それを一律20人を掛けて4万人を見込んだ予算を計上しています。 そうすると見込み自体が多くなるのですが、賃上げを50円以上する事業所を民間の調査会社のアンケート結果をもとに5%と見込んだのですが、それを上回る事業者が賃上げを行ってこの支援金の申請をしても十分に賄えるように、かなり幅を持って多目に予算を確保して、安心して活用できるように構築しております。そういう中で、2、000者を超える事業者から申請があったという趣旨でございます。 〇46番(岩崎友一君) 今回の制度の設計が従業員20人未満が対象ということで、20人以上の会社もあるわけであります。これが、例えば100人とか200人になれば、岩手県で言えばもう大企業的な会社になってくるのでしょうが、30人、40人の従業員のところが対象になっていない点に関しても、さまざまな要望をいただいているところであります。 今回の制度設計に当たって、その反省点というか、もっとこうすべき点があったのではないかという認識があれば、お聞かせいただきたいと思います。 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 御指摘のとおり、20人以上の事業所もあるわけでございます。結果を踏まえれば20人という枠が必要なかったのではないかということについては、20人未満の事業所が見込みを超えていますけれども、20人を超える事業所が、もう少し人数が多くても賄えるような予算は確保できていたかとは思います。県内に4万者の企業がありますが、50円以上賃上げできるのが、そのうちの2、000者と見込んだわけですので、規模感としてどれくらい申請があるのかというのは、全国的にも例のない事業でございましたので、かなり不安なところがございました。その中で人数は抑えたのですが、結果を見れば、全部賄えたのではないか、20人未満でなくてもよかったのではないかというような御意見もあるかと思いますが、支援金はまだ終了しておりませんので、しっかりと分析していきたいと思います。 〇46番(岩崎友一君) それでは、ことしの59円の賃上げを踏まえた物価高騰対策賃上げ支援金について取り上げていきたいと思います。 既に申し上げているとおり、ことしは昨年を上回る引き上げとなり、多くの事業者の声として、賃金増額分を補填する助成金制度、生産性向上に向けた支援、価格転嫁に関する対策等が挙げられております。 昨年の賃上げ支援金の状況を踏まえて、今も一部答弁いただきましたけれども、以下の点に配慮いただきながら、本年度も賃上げ支援金制度を早急に議会に提出願いたいと思っております。 その配慮すべき点でありますけれども、1者の人数上限を緩和すること。また、引き上げ幅を今回の59円に沿った形とすること。内陸部と県北・沿岸部の格差が生じているといった実態を踏まえ、県北・沿岸部の事業者に対しインセンティブを付与することを提案いたしますが、県の見解をお伺いします。 〇知事(達増拓也君) 中小企業を取り巻く経営環境が引き続き厳しい中で、最低賃金が大幅に引き上げられることや今般の支援金の実施状況などを踏まえ、消費の拡大と賃金の上昇の好循環を生み出す経済対策を国に働きかけながら、商工指導団体を初めとした関係団体等との連携のもと、今後の対応を検討してまいります。 商工指導団体からは、沿岸被災地の事業者においては、販路が依然として回復していないことや、多発する自然災害、さらには主要魚種の不漁による原材料不足などの課題が山積しているといった状況も伺っているところであり、こうした沿岸圏域における復興を進める上で、中小企業が抱える課題解決を進めるために、どういった支援がより効果的であるかなど、商工指導団体や関係団体などと連携しながら検討を行い、引き続き、県北・沿岸振興にも取り組んでまいります。 〇46番(岩崎友一君) ちょっと漠然としておりますので、整理させていただきたいと思います。 配慮すべき点として3点挙げさせていただきました。人数上限の緩和と、昨年は39円の引き上げに対し、プラス11円の50円以上の賃上げが条件だったと。また、県北・沿岸部と内陸部との格差が生じていることを踏まえてインセンティブを付与。この3点に関しては、しっかり配慮された形で支援制度を組んでいただけるのか。その辺、しっかりと言及いただきたいと思います。 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 今回の最低賃金の引き上げに対する今後の県の対応ですけれども、現在の時点で、さっき知事が申し上げましたとおり、やはり消費の拡大と賃金の上昇の好循環を生み出す経済対策が非常に重要だと思っております。 また、今回行っているような支援金、これは、継続するかどうかということも含めてこれから検討していくわけでございますけれども、御指摘のございました59円に沿った形とすることは、答えるのが難しいのですが、もしもこういうものを継続するとした場合には、当然これは配慮することになると思います。 それから、内陸部と県北・沿岸部のインセンティブにつきましては、継続した場合という仮定の話で申しわけないですが、仮に沿岸部だけ低い賃上げで可とするような制度設計をしますと、それは内陸部との格差をつくってしまう要因にもなりかねないという気持ちも持っております。 そういう中で、やはり大事なのは、知事が答弁申し上げましたとおり、県北・沿岸部の事業者に対して、どういう支援をすれば今一番有効なのかということをきちんと見きわめた上で、支援策を講じていくことが重要だということでございます。 〇46番(岩崎友一君) 今回の賃上げをいかにして行政として支援できるかというのは、非常に重要であると思っています。私も小さい会社をやっておりますけれども、給料が上がるということは、会社が折半する社会保険料であったり、残業であったり、深夜であったり、全てが会社にとって、負担という言い方は失礼ですけれども、キャッシュフローに影響を及ぼすわけであります。そういったことの事業者側の視点というものをしっかり把握した形で、また、地域性も含めて新たな支援策を期待しております。 いずれ、国においても、経済対策、交付金も含めてこれから措置されていくだろうと思いますが、昨年は、12月定例会でこの支援金を補正予算で提出していただいたと思います。11月から既に賃上げはスタートしなければならないわけでありますので、ぜひ、12月定例会には補正予算として議会に提出するように、とりあえず県単でも支援制度をつくっていただきたいと思いますが、そのスピード感についてはいかがでしょうか。 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 先ほど来、知事が答弁申し上げておりますとおり、県内企業を取り巻く環境は非常に厳しいものがございます。そうした中で、今回、全国的に50円という目安額が国のほうで示されて、それをもとに最低賃金が大幅に引き上げられてきている。それにも対応しなければいけない。対応しないと人材が確保できないというような、非常に厳しい状況でございます。 いつということは申し上げられませんけれども、そのような状況に早急に対応できるように努めてまいります。 〇46番(岩崎友一君) よろしくお願いします。沿岸・県北地域は特に景気が悪いです。そして、この賃上げによって好循環をつくっていくのも大切でありますが、その好循環ができる前に倒産ラッシュが生じないように、しっかりとした適正な措置、時機を逸せずに対策を講じてほしいと思います。 次に、人口減少対策についてお伺いいたします。 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略では、令和8年度に社会減ゼロ、合計特殊出生率1.58以上を目標としております。令和4年度実績を見ますと、社会増減がマイナス4、113人、合計特殊出生率が1.21にとどまっている状況でありますが、この状況に知事はどのような見解をお持ちなのでしょうか。 〇知事(達増拓也君) 岩手県人口ビジョンでは、今後、一定程度人口減少が進む見通しですが、国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンに準拠した東京圏の転出入の均衡と合計特殊出生率の回復により、2040年に100万人程度の人口を確保することを目指しています。 このような中、第2期ふるさと振興総合戦略に基づく施策の展開により、自動車、半導体関連産業の一層の集積に伴う雇用の場の確保や、移住、定住者の増加、保育所等の待機児童の減少などの成果に結びつきました。 一方、近年は、東京都の有効求人倍率が本県など地方を上回る状況下で、新型コロナウイルス感染症や物価高騰などの世界的危機が相次いで起き、日本全体の合計特殊出生率の低下や東京一極集中の再加速が見られています。 こうしたことから、東京一極集中の是正や若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の整備、コロナ禍で急減した婚姻数の回復に向けた取り組みなどが重要であり、日本創生のための将来世代応援知事同盟や、新たに人口戦略対策本部を設置し体制を強化した全国知事会において、本県も役割を果たしながら、国に対し地方重視の経済財政政策の実施などを強く要望するとともに、県としても、市町村や民間企業を初め、さまざまな主体と連携し、オール岩手で人口減少対策に取り組んでまいります。 〇46番(岩崎友一君) 率直にお聞きしたいのですが、令和8年度の社会減ゼロ、合計特殊出生率1.58を目指すとした上で、現在、これは順調に来ていると知事は認識しているのか、これはもう少ししっかり対策を講じなければいかぬと思っているのか、その辺、シンプルにお答え願います。 〇知事(達増拓也君) 国を挙げて、まち・ひと・しごと創生法、そして日本の全ての地方自治体が国と並行してビジョンと総合戦略をつくり、毎年度の事業も、地方創生交付金という制度も活用しながら10年にわたって取り組んできたにもかかわらず、国が当初挙げていた東京圏への人口流出入をゼロに均衡させるということ、そして、合計特殊出生率を高くしていくことができていない、日本全体が10年間これだけ力を入れてやってきたにもかかわらず、このような状況であるというのは、極めてゆゆしい事態と受けとめ、全国知事会やそれに関係する団体も、この10年を迎えて、さらに対策を強化していかなければならないと覚悟して取り組んでいるところであります。 婚姻数、出生数を上げていくためには、まさに岸田首相が言った異次元の少子化対策が求められる局面であり、それが成功すれば、合計特殊出生率の回復は軌道に乗るはずであります。 また、東京一極集中の是正についても、過去、1990年代など地方の経済が相対的に東京都を上回る状況の中で、地方回帰の人の流れが実現した時期もありましたので、それをいち早く進めていかなければならないと考えております。 〇46番(岩崎友一君) 県の計画に対しての感想を聞きたかったのです。ただ、いずれ知事も御存じのとおり、岸田総理の異次元の少子化対策の中で、この10月から児童手当が大幅に拡充されたのは、経済的な支援という意味では大きいかと思っております。 次に行きますけれども、本県の人口減少対策は、ことしも既に本部会議が2回行われておりますが、これを見ておりますと、県内定着であったり、若い女性の流出など本県の若者をターゲットにした対策が目立つわけであります。 私も、県の考え方を否定するものではなくて、県の計画をずっと見てきて、その中で何ができるかを考えてきたのですけれども、これは大人目線ではなくて若者目線でいろいろと私も考えてきたところ、やはり岩手県の若者を鳥かごに閉じ込めるような政策や議論で若者の心を動かすのは、非常に厳しいと思っております。岩手県に暮らす若者の選択も自由でいいのではないかと思っております。 例えば東京一極集中といっても、東京都の社会増減を見れば、昨年も約5万7、000人の社会増です。40万人が転入。ただ、一方で35万人は転出しているわけであります。これは東京都に限らず、全国の転出者、さらには外国人にも選ばれる環境を岩手県として丁寧につくり上げていくことに軸足を置くべきかと思いますが、知事の見解を伺います。 〇知事(達増拓也君) 本県の人口の社会減は、進学、就職期における若年層の転出が大きな要因となっており、これまで、いわてで働こう推進協議会等を中心に、魅力ある雇用環境の構築、トップ層の意識改革に向けた企業への働きかけなど、官民が一体となった県内定着の取り組みを進めてきました。 また、昨年、ニューヨークタイムズ紙掲載を契機に見直された地方の持つ価値や魅力を最大限に発揮して、関係人口、交流人口の増加やU・Iターンの促進を図っています。 さらに、現在、第2子以降の3歳未満児に対する保育料無償化や在宅育児支援金の支給など、全国トップレベルの子供、子育て支援策を展開していますが、こうした自然減対策の充実は、若者、女性に選ばれる重要な要素で、社会減対策にもつながるものであります。 岩崎友一議員御指摘のとおり、県外から岩手県への人の流れをつくる施策は重要であり、岩手県で暮らし続ける県民だけではなく、県外に出て活躍する人、県外からやってくる人など、個人の自由な生き方の選択の中で、さまざまな形で岩手県とかかわりながら、働き、学び、暮らすことができるようにしていくことを推進しております。 県外からやってくる人にとって魅力的な岩手県であることは、岩手県で暮らす県民にとっても魅力的な岩手県であり、岩手県にやってくる人、住み続ける人、さまざまな多くの人に選ばれる岩手県の実現に向けて取り組んでまいります。 〇46番(岩崎友一君) 私が申し上げたのは、人口減少対策、社会増減の話です。この対策のターゲットを―ターゲットと言うことも失礼ですが、岩手県の若者にしてずっとやってきたけれども、成果がなかなか出ていない。一方で、移住者がふえているというのは、そのとおりであります。やはり岩手県として、岩手県に暮らす若者は自由で、都会に1回出たいという憧れを抱いている人に、幾ら岩手県はこうです、ああですと言ったって、なかなか響かないと思うのです。理解できませんか。 県の政策を否定しているわけではないです。そういった意味では、これからの政策には、ぜひほかの都道府県から人を呼び込むというほうに軸足を置くべきと考えますが、いかがですかという点について、シンプルにお答えいただきたいです。 〇知事(達増拓也君) やはり岩手県に生まれ育った人たちが、さらに岩手県にずっといて、暮らしていく、働いていくということがいいようにしていかなければだめなのだと思います。プラス外から新たにやってくる人たち、県外から新たに岩手県にやってくる人たちにも、魅力的な岩手県をつくっていくことで、それは、ますます岩手県に生まれ育った人たちが残りたくなるような岩手県にもなるわけであります。 そういう意味では、岩手県に生まれ育った人たちのための政策から外から来る人に軸足を移すということは、岩手県はどうなのかと思っております。 〇46番(岩崎友一君) 岩手県の若者には何もしないというわけではないです。軸足の問題です。ただ、岩手県の若者に軸足を置いた政策だったり議論をしてきた結果、私は、この社会減に歯どめがかからないと思っておりますので、今すぐでなくて結構ですので、ぜひ頭の片隅に入れておいて、今後も検討いただければと思います。 次に、県政懇談会についてお伺いします。 私は、知事がみずから出席している県政懇談会は、活発なやりとりが行われておりまして、非常にいい取り組みであると思って見ております。また、出席されたメンバーを見ますと、若者、女性、移住者、特にも地域おこし協力隊の方々が多く出席しているように見受けられますけれども、こういった方々の意見は重要で、このような意見、提言をしっかり受けとめて、県の施策に落とし込み、ニーズに応えることこそが、若者や移住者目線で岩手の魅力を高め、ひいては社会減対策そのものにつながるのだと思っております。 しかしながら、現在の県の対応はと言えば、いただいた意見、提言に対し、取り組み状況のみを示す、こうやっている、ああやっていると言うのみで、せっかくの県政懇談会もやりっ放しと言わざるを得ません。 私は、出席者の方々からは、行政の取り組みや制度などの情報が届いていなかったり、あるいは現在の支援策では足りないからこそ、県政懇談会の場で知事が聞いているような御意見、御提言が出ていると思います。県政懇談会の目的、現在の県の対応状況を知事はどのように認識しているのか伺います。 〇知事(達増拓也君) 知事が直接県民から意見や提言を聴取し、県政に反映させる機会とするとともに、県民の県政への参画と協働を推進することを目的に開催している県政懇談会でありますが、県内各地域やオンラインで、年間10回の開催を予定して行っているものであります。 今年度既に実施した懇談会の中では、みちのく潮風トレイルを活用した地域振興やジビエツーリズムの推進、県立高校の魅力化など、幅広い分野に関する意見が出されており、それらの意見については、庁議等の場で全庁的に共有し、関係部局において施策推進の参考とするとともに、新たな取り組みや改善策の提案、要望等については、県政提言として対応状況を整理し、その結果を県ホームページで公表しています。 参加者からの意見や提言は、社会減対策など県政の重要課題の解決に向けた施策立案を行う上で、地域で活躍する県民の意見を伺う大変貴重なものと認識しており、引き続き県政への反映に努めてまいります。 〇46番(岩崎友一君) 多分、いただいた御意見だったり提言というのは、知事も直接聞いていて、コメントを返したりして、私も地元でやる場合には参加させていただいておりますけれども、一つだけ例を挙げます。 私も令和に開催された分を全部読ませていただきました。ことしのアンケートに対する意見として、いざUターンやIターンで移住を考えたときに、田舎になるほど移住者の受け入れ体制が薄い。移住の宣伝とともに移住してからのフォローアップを手厚くしてほしい。自治体によるかと思うが、移住の引っ越しやU・Iターンの助成金が周知されていない。役場で転出転入時の手続の際に声がけが欲しかったという意見がありました。 それに対して、県としては、反映区分としてはAで、提言の趣旨に沿って措置ということで、県では令和元年度から市町村に市町村移住コーディネーターを配置し、移住者が円滑に地域へ定着できるよう、地域の暮らしに関する情報提供や相談対応等の支援を行うなど、市町村と連携した移住者のサポート体制を整備している。今後においても、移住者の定住につながるよう、きめ細やかな支援を行っていくと返しているわけでありますけれども、そうではなかったから、こういった意見が出ていると思います。 そういった中で、やっていると言っても、向こうからしたら、いや、やっていないから言っているのにということだと思います。素直に向こうの意見、提言を受け入れて、県として、多分これがしっかりやれているかどうか、フォローアップをもっとしようという新しい動きをしていかなければ、県政懇談会をより有意義なものにしていくことはできないと思うのですが、知事、いかがでしょうか。 〇知事(達増拓也君) 具体例がありますので、担当部長から答弁させたいと思います。 〇政策企画部長(小野博君) 岩崎友一議員から御質問がございました件についてですけれども、今、1件という形で、県の対応状況について御紹介いただきました。1件の御意見ではございますけれども、地域おこし協力隊の皆さん、あるいは移住した方々など、非常に重要な、重い意見であると受けとめております。 先日、釜石市で行いました県政懇談会に当たりましても、浜留学の話でありますとか大学生の夏休みを活用して来ていただくといった取り組みが行われておりました。 第2回の人口問題対策本部会議では、来年度どうしていくのかといった議論を行いましたけれども、その中でも、私は、1件ということではなくて、そういったことを来年度の事業に反映させていくことが極めて重要といった観点から、県政懇談会での意見について紹介して、こういったところは重要だから、来年度の事業としてぜひ取り入れていきましょうといった意見を申し上げました。 こういう形で、やはりEBPM、データ1ではなくて、政策に向けたエビデンスというものは、それぞれさまざまな重みがあると思いますので、それを大切にして、それが次に生かされるように取り組みをしっかり進めてまいりたいと思います。 〇46番(岩崎友一君) ぜひよろしくお願いします。せっかく知事も忙しい中、直接生の声を聞いていると思いますので、これは1件であっても、実際に各市町村に聞けば、体制が整っていないとか、そういった事実関係も見えると思うのです。そういった中でしっかり改善していかなければいけないと思いますので、よろしくお願いします。 次に、移住支援金の拡大について。 県政懇談会の議事録を見ていきますと、移住者からの声として、移住時の経済的な支援、住宅政策のあり方など、なるほどという意見がございました。 きょうは、移住支援金のみ取り上げたいと思いますけれども、県では、国の移住支援金に加え、対象を拡大した県独自の支援金制度を構築されておりますが、その対象は1都3県に在住する方々にとどまっております。本来であれば、先ほどの県の社会増減対策の中で、知事も、ぜひ全国に間口を広げてやっていきたいという答弁で、この質問をつくって、少し食い違いはあったのですけれども、私は、この移住支援金について、その対象を1都3県ではなくて全国に広げるべきだと考えておりますが、県の見解をお伺いします。 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) いわて若者移住支援金は、39歳以下の者を対象に、国の移住支援金の制度に該当しない東京23区以外の首都圏からの移住者に対し、単身15万円、世帯の場合は25万円を支給する支援制度として、令和3年度から実施しているものです。 この制度は、東京一極集中が進む中で首都圏からの若者のU・Iターンを促進するために創設したものでありますが、現在の本県への移住者は、首都圏からに限ったものではないと承知しているところです。 移住者の居住地域を拡大することは、U・Iターンを促進していく上で有効な手段になると思われ、また、首都圏以外からの移住者に支援金を支給している県が西日本を中心に8県ありますことから、これらの県の取り組み状況なども把握しながら検討を進めていきたいと考えます。 〇46番(岩崎友一君) 受け入れの間口は広いほうが移住してきやすいと思いますので、前向きに御検討いただきたいと思います。 次に、少子化対策について取り上げます。 県民からも関心が高い本県の周産期医療体制は、正直申し上げて脆弱であるのは事実であります。県内でも多くの地域において分娩施設が減少の一途をたどり、自宅の近くで分娩できる体制をつくってほしいという県民の声は、私自身の体験も踏まえてしっかりと受けとめており、その思いは今後も変わることはございません。 一方で、産科医、小児科医が不足する現状にあって、安心・安全な周産期体制を提供するためには、県民の皆様にも、保健医療計画を丁寧に説明し、御理解いただかなければならないことも大切であろうかと思っております。 そのような中で、県として今考えなければならないのは、脆弱な周産期医療体制をどのようにして補っていくかということであります。 2点お尋ねします。1点目が、妊産婦アクセス支援事業の拡充であります。現在、ハイリスク妊産婦へ5万円、ハイリスク妊産婦以外の妊産婦に2万円を上限とし市町村へ支援しておりますが、例えば、これは初産といったケースであったり、産科医療機関までの距離に応じて上限額を引き上げるなど、さらなる拡充を求めたいと思いますが、県の見解を伺います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 分娩取扱医療機関が減少し、遠距離の通院をせざるを得ない妊産婦がいる状況の中、妊産婦の通院負担の軽減を図り、安心して妊娠、出産ができる環境の充実が必要と考えております。 このため、妊産婦アクセス支援事業については、令和5年度から、リスクの有無にかかわらず全ての妊産婦を対象とするよう制度を拡充したところであり、制度を活用する市町村は、令和4年度の11市町村から今年度は24市町村に増加したところであります。 本事業の利用状況については、多くの方が現在の上限額の範囲内で利用されているところでありますが、一部の方は上限額を超えて利用していることから、上限額の引き上げについて要望いただいている市町村もあるところであります。 今後におきましても、利用状況や市町村の意見などを踏まえまして、よりよい制度のあり方について検討を進めてまいります。 〇46番(岩崎友一君) 今の答弁がいい答弁なのか前向きな答弁なのか少しわからないのですが、例えば、釜石市においては、県立大船渡病院に通院しなければならない方々が一気にふえたわけであります。そういった中で、通院に伴う負担や陣痛時における移動に多くの不安の声があったことを受けまして、これは市としての英断であると思うのですが、タクシーで移動する場合に、ハイリスクの有無を問わず上限を撤廃するといった思い切った対応、補正予算を組んだところであります。 県には今はそこまでは求めませんけれども、せめて今の支援策より上限の引き上げについて早急に対応していただかないと、その対策が講じられるまでの間、妊産婦の方々はずっと不安な思いであります。早急に手当てをお願いしたいと思うのですが、そのスピード感について、どのような感覚を持っておられるでしょうか。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 御紹介がありました釜石市から、具体的な御提言もいただいているところであります。やはり現場の母子保健事業、産後ケア事業を担っている市町村の声は重要だと考えておりますので、我々もスピード感を持って検討を進めてまいりたいと考えております。 〇46番(岩崎友一君) よろしくお願いします。 次に、産前産後ケアの充実についてであります。特に、産後ケアにあっては、全ての市町村で今行われておりますけれども、その内容を見ますと、ショートステイ型、いわゆる宿泊型になりますが、実施しているのは奥州市のみというのが現状でございます。 私自身、子育て世代の一人として、お父さん、お母さん方からさまざまな声を聞く機会も多いわけでありますけれども、やはりショートステイできる環境整備を求める声は非常に多くあります。 一方で、その施設であったり助産師の確保も含めて、県内の各市町村がそれぞれ整備をするのは非常に難しいと考えておりまして、県として一歩踏み込んで、例えば二次医療圏を軸に環境整備をすべきではないかと思いますが、県の見解を伺います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) ショートステイ型の産後ケア事業は、助産師等の看護職を24時間体制で配置する必要があり、医療機関の空き病床または入院施設を有する助産所のほか、居室そのほか必要な設備を有する施設で実施することとされております。 産後ケア事業は、関係法令や国が示す産後ケアガイドラインに基づき、市町村において実施することとされており、ショートステイ型の実施に当たっても、市町村の意向を踏まえつつ、医療機関や民間事業者、助産師など地域の関係者と議論を深め、地域の必要に応じたきめ細かい産後ケアを提供する環境を整備していく必要があると考えております。 一方、国では、令和7年4月から施行されます子ども・子育て支援法の一部改正により、産後ケア事業を地域子ども・子育て支援事業に位置づけ、国、都道府県、市町村の役割を明確化し、計画的な提供体制の整備を行うこととしているほか、産後ケアのガイドラインの見直しなども検討する方針であり、こうした国の動向も注視する必要があると考えております。 その上で、県としては、圏域単位での連携の必要性を考慮しつつ、ショートステイ型も含めた産後ケア事業の拡充に向け、圏域ごとに開催している連絡調整会議の場などを活用しまして、市町村や地域の関係者との意見交換を行いながら、各地域の実情に応じた事業のあり方について議論を進めてまいりたいと考えております。 〇46番(岩崎友一君) 昨年12月定例会において、まんまるママいわてから、岩手県における産後ケア事業の更なる充実・強化を求める請願が全会一致で可決されたところでございます。請願項目は三つありまして、その一つである産後ケア利用時のアクセス支援に関しては、おかげさまで新年度から予算措置をしていただいたことには感謝申し上げたいと思いますが、残りの二つ、一つは行政間をまたぐ話でありますので時間を要すると思いますが、宿泊型の産後ケアの整備は、今、産後ケアをやっている事業主体からも、やはり必要だという声のあらわれだと思います。 これはぜひ、県議会全会一致という重みを踏まえて早急に体制を整えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 昨年、県議会で採択されました請願につきましては、非常に重要な視点で、我々もきちんとやらなくてはならないという思いで進めているところでございます。 産後ケアにつきましては、その充実のために、我々は無償化、またアクセス支援に取り組んできたところであります。施設整備についても、御指摘のとおり、宿泊型については、ニーズはあるものの、まだ奥州市だけにとどまっている状況です。 我々としても、まだ、母子保健法上の事業は市町村との組み立ての中で、国の補助制度も市町村に対してという中で、どのような形でやっていくのか。 また、産後ケア事業については、妊娠届を受け、妊産婦の健診を行い、産後の鬱であるとかといった母子保健を担っている市町村が主体的に担っていくべき事業であると考えておりますので、市町村と十分意見交換をしながら、県として、広域的な利用、どういった施設を目指すべきかということで、我々もその調整、整備に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。 〇46番(岩崎友一君) 他県を見ますと、山梨県などは県も関与していますし、基本的に市町村事業というのは、子育てだったり出産等の場合は多いわけでありますけれども、知事の英断で第2子以降の保育料の無償化、これは政策誘導して市町村とセットでやっているわけでありますから、県としてもスキームとしてはできるのだと思います。 先ほど申し上げましたように、周産期体制の脆弱性を補うためには、ほかの事業をいかにして手厚くするかしかないと思っています。そうでなければ、移住されてきた方々からも、岩手県の周産期、子育て環境は最悪だとなってしまいますので、そういった点も踏まえながら早急な対応をお願いしたいと思います。 最後に、知事のマニフェストプラス39についてお伺いしてまいります。 初めに、改めてマニフェストに対する知事の認識についてお伺いいたしますが、マニフェストはこれからの4年間で達成するという県民との約束であると思うが、知事の認識を伺うといった昨年の私の質問に対し、この3カ月の間にも、いわて県民計画(2019〜2028)アクションプラン、マニフェストプラス39の内容に取り組んできておりまして、4年間これらの実現に向け全力を尽くしてまいりますという答弁を知事からいただきました。 私も含めてでありますが、県民は4年間の任期中に実現するという認識でいると思いますが、実現させることに変わりはないということでよろしいのか、改めて知事にお聞きいたします。 〇知事(達増拓也君) 昨年の知事選挙では、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期アクションプランの推進を公約にするとともに、さらに新たな政策を求める声に応える形でマニフェストプラス39を掲げ、県民の皆さんとともに推進しているところであります。 マニフェストプラス39は、県民計画やアクションプランと軌を一にするものであり、県民計画、アクションプラン、マニフェストプラス39を一体として、他の施策と合わせ、各年度の予算の中で事業化に取り組んでいます。 これからも、県民の皆さんとともに着実に進めてまいります。 〇46番(岩崎友一君) ことし4月8日、岩手日報で、県内首長の公約に関する記事が掲載されておりました。タイトルは、問われる根拠、実現性となっております。 この記事の中で、選挙公約について公共政策を専門とする県立大学の齋藤俊明名誉教授は、聞こえのいいリップサービスであってはならない。所信表明や予算編成にどう具現化されたか評価することが必要で、首長は、プロセスを含めた進捗を細やかに有権者に伝えるべきだと述べております。 記事自体は直接的に知事のマニフェストに触れてはいないものの、マニフェストの考え方については同様であり、二元代表制の一翼を担う我々議会は、マニフェストがなおざりになっていないか監視するのも大きな役割の一つであります。 そこでお伺いいたします。昨年の選挙から約1年が経過いたします。我々議会に対しては、令和6年度当初予算におけるマニフェスト関連の事業についてといった資料以外は報告がない状況にありますけれども、予定どおり進んでいるのか、マニフェストを作成された知事から現在の進捗状況をお伺いいたします。 〇知事(達増拓也君) 現在の進捗状況でありますが、マニフェストプラス39の各項目に掲げた内容については、既に実施しているもの、予算を措置して事業に着手しているもの、検討会やワーキンググループなどで具体的な検討を進めているものなど、それぞれ実行に移しております。 既に実施しているものとして、例えば、項目1、子育て支援策の展開と拡充では、全国トップクラスの子育て支援策の展開、項目2、こどもの居場所・遊び場づくりでは、大船渡市のこども・家庭センターDACCO(だっこ)やオープン間近の遠野市のとぴあ子ども木の空間、木製遊具の設置、項目10、中小企業の振興では、賃上げ環境整備支援の実施、項目11、地域の産業を担う人材の育成・確保では、いわてグリーン農業アカデミーの設置、項目31、自然災害への対応と社会資本の長寿命化では、基幹河川の改修や日常的、応急的な道路の維持、修繕、項目32、持続可能な地域交通の確保では、乗り合いバス運転手を確保する取り組みへの補助を実施しており、さらに、項目3、4、6、12から23、25、26、29、33から39に掲げる内容についても、順次実施しております。 また、事業に着手しているものとして、項目9、福祉と生活を支える一元的な相談支援体制の構築における福祉総合相談センターと県民生活センターの一体的整備などがあります。 さらに、検討会やワーキンググループなどで具体的な検討を進めているものとしては、項目5、持続可能で希望ある医療体制の構築、項目7、リハビリテーションセンターのサテライト施設の整備、項目8、スポーツ医科学センターの建設と活用の検討、項目24、中山の園の整備、項目28、三陸振興を総合的にプロデュースするまちづくり会社を設立、項目30、道路ネットワークの整備などがあります。 このように、マニフェストプラス39にお示しした内容を着実に進めております。 〇46番(岩崎友一君) 私は知事のように頭がよくないので、今の答弁を1回で理解するのは不可能です。不親切な答弁だと思いますけれども、端的に言えば、着手済みが何件で、検討中が何件で、未着手が何件なのでしょうか。 〇知事(達増拓也君) 会議録も残り、先ほどの答弁は、正式なものとして全ての県民に知っていただきたいと思いながら答弁しているところでありますが、先ほどの答弁から数えますと、既に実施しているものが1、2、3、4、5、6、7、8、9、ここで一旦、計算をちょっと整理します。12から23というのは、23引く12で…… 〇議長(工藤大輔君) 時間をとめてください。計算をしてから答弁願います。 〇知事(達増拓也君)(続) 先ほどの答弁の中でおおよその数というものは把握できたのではないかと思いますし、あえて数をと言うなら、それは計算すれば出せると申し上げます。 〇議長(工藤大輔君) 数字の精査をしてから答弁していただきたいと思います。 〇知事(達増拓也君)(続) 今の質問を受けて、議場執行部側にいる者の中で急遽計算した数字ですので、そういうものとしてお聞きいただきたいのですが、既に実施しているもの31、事業に着手しているもの1、検討会やワーキンググループなど具体的な検討を進めているもの6。 〇46番(岩崎友一君) ハードも含めて未着手はありませんか。 〇知事(達増拓也君) 昨年の今年度予算説明の資料にも、39番目の全般的な財政的配慮以外の38について、全て予算化されていると資料が配られたと記憶しておりますが、そのように全て着手しております。 〇46番(岩崎友一君) 昨年もらった資料ですと、着手していないもの、ゼロというものがたしかあったと思いますので、そこは確認していただければと思います。 このマニフェストの進捗状況については、いかがなのでしょうか。知事から積極的に定例会ごとに議会並びに県民に示すのか、もしくは我々が議会で一々取り上げなければお答えいただけないのか。今後の県民への説明、議会への説明のあり方についてお尋ねいたします。 〇知事(達増拓也君) 先ほど答弁したように、まず、御質問いただければその場で、先ほどの答弁がマニフェストプラス39の進捗状況については一つの答えになっていると思いますが、他方、こどもの居場所・遊び場づくりで、大船渡市のこども家庭センターDACCOや遠野市のとぴあ子ども木の空間、木製遊具の設置が行われているなど、それぞれの事業に関しては、基本的に公表されていることであります。その中から、特にマニフェストプラス39関係を何か表のような形にして整理するということについて、昨年は、関心が高いということで予算の添付資料として整理したことがありますので、そのような工夫はしていきたいと思います。 〇46番(岩崎友一君) 先ほど齋藤俊明名誉教授のコメントもお伝えしましたけれども、やはり首長は、プロセスを含めた進捗を細やかに有権者に伝えるべきだとありますので、これは、議会で取り上げなくても、毎定例会がいいのか半年に1回がいいのか、知事みずからが進捗状況をお示しいただきたいとお願いします。 次に、中期財政見通しへのマニフェストの反映についてお伺いします。 9月24日、令和6年度から令和10年度までの岩手県中期財政見通しが公表されました。この中で、財政調整基金の年度末残高を見ると、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の議論も踏まえ、当面の水準目標値として設定された177億円を下回り、令和9年度には枯渇してしまう見通しが示されております。 知事のマニフェストの実現に当たっては、昨年の私の質問に対し、総務部長から、かなり大まかな推計にとどまるものの、数百から数千億円規模の財源を要するとの答弁がありました。 今回公表された中期財政見通しの中には、知事がマニフェストで示された箱物を含む事業等はどの程度織り込まれているのでしょうか、お伺いします。 〇総務部長(千葉幸也君) マニフェストプラス39で示された事業の中期財政見通しへの反映状況についてでありますが、マニフェストプラス39に盛り込まれた施策については、例えば、設計中の福祉総合相談センターと県民生活センターの一体的整備や整備基本計画の検討を進めている中山の園の整備事業など、個々の進捗状況に応じて見通しに盛り込んでいるところでございます。 今回の試算結果も踏まえながら、これまでの財源確保の取り組みを一層強化するとともに、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めつつ、マニフェストプラス39を初めとした必要な施策の推進に向けて取り組んでまいります。 〇46番(岩崎友一君) 逆に言えば、織り込まれていない箱物はどれになりますでしょうか。 〇総務部長(千葉幸也君) 盛り込まれていないものということでありますが、先ほど申し上げた県民生活センター、福祉総合相談センターの一体整備、中山の園整備以外のものについては、今回の見通しには盛り込んでいないということであります。 〇46番(岩崎友一君) そうなりますと、新たに盛り込むことによって、この財政調整基金の残高も含めて、盛り込んだ場合、県財政は破綻してしまうことになるかと思うのですけれども、その辺、総務部長はいかが思いますか。 〇総務部長(千葉幸也君) マニフェストプラス39に盛り込まれた事業のうち、多額の事業費を要すると見込まれるものは、人口減少対策など第2期アクションプランで掲げる四つの重点事項の推進に係る事業、それから、道路の整備などの公共事業、公共施設の整備等であります。 このうち公共事業については、毎年度一定の事業規模を確保しておりまして、実際の事業実施に当たっては、用地確保、事業調査の進捗等に応じて、毎年度の予算編成課程において、緊急性、重要性、費用対効果を図りつつ、国庫採択や地元の合意形成の状況も踏まえて、その優先順位を勘案して予算計上しております。 また、公共施設の整備については、事業によってそれぞれ熟度が異なっておりまして、その進捗状況に応じて、大規模事業として所要額の予算要求を認めているものでございます。 〇46番(岩崎友一君) 終わります。(拍手) 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって岩崎友一君の一般質問を終わります。 〇議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。 午後2時33分 休 憩 出席議員(48名) 1 番 田 中 辰 也 君 2 番 畠 山 茂 君 3 番 大久保 隆 規 君 4 番 千 葉 秀 幸 君 5 番 菅 原 亮 太 君 6 番 村 上 秀 紀 君 7 番 松 本 雄 士 君 8 番 鈴 木 あきこ 君 9 番 はぎの 幸 弘 君 10 番 高橋 こうすけ 君 11 番 村 上 貢 一 君 12 番 工 藤 剛 君 13 番 小 林 正 信 君 14 番 千 葉 盛 君 15 番 上 原 康 樹 君 16 番 菅野 ひろのり 君 17 番 柳 村 一 君 18 番 佐 藤 ケイ子 君 19 番 高 橋 穏 至 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 福 井 せいじ 君 23 番 川 村 伸 浩 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 高 田 一 郎 君 26 番 木 村 幸 弘 君 27 番 佐々木 朋 和 君 28 番 吉 田 敬 子 君 29 番 高 橋 但 馬 君 30 番 岩 渕 誠 君 31 番 名須川 晋 君 32 番 軽 石 義 則 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城 内 愛 彦 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 37 番 斉 藤 信 君 38 番 中 平 均 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 郷右近 浩 君 41 番 小 西 和 子 君 42 番 高 橋 はじめ 君 43 番 五日市 王 君 44 番 関 根 敏 伸 君 45 番 佐々木 順 一 君 46 番 岩 崎 友 一 君 47 番 千 葉 伝 君 48 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(なし) 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後2時52分再開 〇議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。小西和子さん。 〔41番小西和子君登壇〕(拍手) |
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