平成16年2月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、11号、13号、16号から21号、33号から36号、41号、48号に反対の討論を行います。
 議案第1号は、2004年度岩手県一般会計予算であります。
 反対する第1の理由は、増田知事自身がみずから招いた県財政の破綻のツケを県民に押しつけ、医療、福祉、暮らしを切り捨てる最悪の予算となっていることであります。県債残高、いわゆる借金は、来年度末で1兆4、046億円に増大します。これは、県民1人当たり99万円、4人家族では396万円にもなる深刻なものであります。特に、増田知事の10年間で8、100億円の借金が増加した責任は重大であります。
 ところが、増田県政は、行財政構造改革の名のもとに、県民の医療と福祉を切り捨てる計画を明らかにしました。最大の問題点は、障害者医療費助成や乳幼児医療費助成など県単独医療費助成制度を改悪し、重大な負担増を押しつけたことであります。通院すれば1件当たり1、500円、入院の場合は1件5、000円の負担を押しつけるものであります。負担増の総額は、県の削減額で通年4億9、000万円となり、事業費ベースでは約10億円の負担増となるものであります。特に一番立場の弱い重度心身障害者が5億円の負担増を強いられます。この結果、重度心身障害者医療費助成も乳幼児医療費助成も、東北6県では最低の水準に落ち込むこととなりました。
 増田知事は昨年の知事選挙の公約で、バリアのないユニバーサル社会先進県、安心して暮らせる社会先進県、このスローガンを打ち出しましたが、今回の医療費助成制度の改悪は、まさに公約違反そのものであります。
 児童虐待問題が重大な社会問題となり、岩手県でも痛ましい死亡事件が起きました。児童虐待の相談件数はこの10年間で12件から172件に、14倍にも増加しているにもかかわらず、相談と解決に当たる児童福祉司は11名から13名にわずか2名ふえただけで、国が交付税措置している19名に対し6名も不足している異常な状況であります。子供に、福祉に冷たい増田県政の姿を示すものであります。
 私は、増田知事が児童虐待対策の現場をみずから調査し、抜本的な対策を講じるよう強く求めるものであります。
 反対する第2の理由は、県財政破綻の最大の原因となった不要不急、むだと浪費の大型開発に全くメスが入らなかったことであります。
 簗川ダムの利水問題は、県による過大な試算でも、盛岡市が21年後も4万4、000トン、人口10万人分も余ることを明らかにしました。そうであるなら簗川ダムへの利水参加は取りやめるべきであります。むだなダムはつくるべきではありません。
 ところが、県都盛岡市は、広域6市町村の勝手な試算を行って1万4、000トンも不足するとしたのであります。盛岡市を除けば5万8、000トンが不足するという重大な内容であります。しかし、実際は、滝沢村も雫石町も紫波町も、6市町村の合併協議会後の懇談会で、水不足はないと答えていたのであります。こうしたでたらめな試算はやるべきではありません。
 津付ダムは治水だけのダムとなったにもかからず、事業費は334億円と67億円も増大しました。それでも河川改修案の354億円より安いとダム建設に固執しています。
 私は、ダムの専門家である国土研究会の方々と現地調査をしましたが、これまでの洪水の実態はごくわずかで、国道整備などの堤防のかさ上げで河川改修は金をかけずに対応できると提言をいただきました。
 北本内ダムの場合は、600億円を超える事業費となったために河川改修に転換しました。河川改修費用は430億円でありましたが、50年に1回の治水安全度で、実際は2億円で済むことになりました。この教訓を生かして、あくまでもダムに固執する姿勢を転換すべきであります。
 利用客が減少している花巻空港整備事業は321億円の事業ですが、県負担分は279億円になります。既に県負担分は210億円が投資されています。ところが、135億円の平行誘導路も97億円のターミナル整備も、飛ぶはずのない大型機の恒常的就航のためのものであります。途中で5年間の休止としましたが、そもそもむだな事業だったのではないでしょうか。
 港湾整備事業も、貨物取扱量の計画に対して実績は39.7%と大きく乖離しています。430億円の大船渡港湾整備事業は、既に需要予測が破綻しており、抜本的に見直すべきであります。
 反対する第3の理由は、雇用不安と不況打開に対応できないものとなっていることであります。
 昨年1年間の岩手県の失業率は5.4%、3万8、000人であります。特に、青年の失業率は、無業者を含めると15%、7人に1人という深刻さです。フリーターは5万1、000人に及んでいます。青年・学生の雇用拡大と就職難打開は、県政にとっても緊急・重大な課題であります。
 一番即効性がある対策はサービス残業の解消です。県内でも1万6、000人程度の雇用拡大に結びつきます。年間1、800時間を達成すれば3万2、000人の新たな雇用拡大となります。県が率先してこうした対策の先頭に立つべきであります。
 もう一つは、500人以上の大企業の採用が極端に少ないことであります。昨年度の常用雇用の採用者2万3、067人のうち、500人以上の企業はわずか432人、0.02%にとどまっています。知事が先頭に立って大企業の雇用拡大に取り組むべきであります。
 また、事業所数の98.7%、従業員数の85.4%を占める中小企業対策の予算は全体の7.6%にすぎません。金融対策を除けば57億円余で、わずか0.7%であります。地域経済と雇用を支えている中小企業対策を抜本的に強化すべきであります。
 反対する第4の理由は、公共事業に偏重した農林水産業予算のゆがみであります。
 917億円の予算のうち、公共事業費は502億円55.1%を占めています。この中には、受益農家の参加が13%にとどまっている520億円の国営馬淵川沿岸水利事業も含まれています。一方で、価格保障対策は2億2、352万円で0.24%であります。完全に逆立ちしています。
 森のトレー問題についてはさきに述べました。県産材の活用は、紫波町の取り組みにも学び、森林県として本格的に取り組むべきであります。
 反対する第5の理由は、子供たちの願いに背を向けた教育の問題であります。
 30人学級実現の願いは12万人を超える署名に示されています。県はやっと研究指定校方式で県内23校で実施するということになりました。既に宮城県も来年度から実施し、東北では岩手県だけが取り残されることになりました。
 県立高校新整備計画後期マスタープランは、1学年80人以下の高校は廃止・統合し、地域から県立高校をなくしてしまう最悪のプランでした。地域や県民から大きな怒りと反対の声が上がっているのは当然のことであります。県民の声に耳を傾けて計画を策定すべきであります。
 重大なことは、増田知事が参加する財界主導の地方分権研究会の方針のもとで、4県の統一学力テストや受験産業任せの小学校での英語教育、日本の次世代リーダー養成塾やコミュニティスクールなど、まともな議論なく、上から押しつけようとしていることであります。
 教員によるたび重なる不祥事、県立高校の大学合格者の情報提供問題など、教育委員会の反省のない官僚的体質を根本的に改革すべきであります。
 反対する理由の第6は、増田知事による県議会の外での道州制推進発言であります。
 市町村の自立こそ県政の優先の課題であり、知事の二枚舌的行動は問題であります。
 議案第11号は、港湾整備事業特別会計でありますが、既に述べました。
 議案第13号は、県立病院等事業会計予算でありますが、さきに請願採択の不採択のところで述べたところであります。
 花巻厚生・北上統合病院における緩和ケア病棟設置について、知事は、患者団体に対して別棟での設置に賛同しましたが、医療局長は消極的回答でした。知事の回答には責任がないのでしょうか。明確にすべきであります。
 議案第16号から21号は、建設事業に要する経費の一部を市町村に負担させるものであり、反対であります。
 議案第33号から36号、41号、48号は、県立学校の授業料や産業技術短期大学校の授業料などを引き上げるものであり、反対するものであります。
 以上申し上げ、私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第1号、議案第11号、議案第13号、議案第16号から議案第21号まで、議案第33号から議案第36号まで、議案第41号、及び議案第48号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第11号、議案第13号、議案第16号から議案第21号まで、議案第33号から議案第36号まで、議案第41号、及び議案第48号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第10号まで、議案第12号、議案第14号、議案第15号、議案第23号、議案第29号から議案第31号まで、議案第39号、議案第43号、及び議案第47号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第10号まで、議案第12号、議案第14号、議案第15号、議案第23号、議案第29号から議案第31号まで、議案第39号、議案第43号、及び議案第47号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
   日程第56 議案第82号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第56、議案第82号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。竹内副知事。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕

〇副知事(竹内重徳君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第82号は、教育委員会の委員であります佐藤勝氏の任期が、3月31日で満了となりますので、同氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。

〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第82号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第82号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、議案第82号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   
   日程第57 発議案第1号岩手労災病院の存続を求める意見書から日程第65 発議案第9号輸入牛肉の安全性確保及び高病原性鳥インフルエンザ対策に万全の措置を求める意見書まで

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第57、発議案第1号から日程第65、発議案第9号までを一括議題といたします。
 ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第1号から発議案第9号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第9号までは、原案のとおり可決されました。
   
   日程第66 発議案第10号出資法人等調査特別委員会の設置について

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第66、発議案第10号出資法人等調査特別委員会の設置についてを議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第10号出資法人等調査特別委員会の設置については、各会派共同提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第10号出資法人等調査特別委員会の設置についてを採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、発議案第10号出資法人等調査特別委員会の設置については、原案のとおり可決されました。
   
〔参照〕
 出資法人等調査特別委員会
  渡 辺 幸 貫   及 川 幸 子
  佐々木   博   新居田 弘 文
  平 野 ユキ子   佐々木 大 和
  樋 下 正 信   嵯 峨 壱 朗
  高 橋 雪 文   飯 澤   匡
  亀卦川 富 夫   伊 沢 昌 弘
  斉 藤   信
   

〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。ただいま設置されました出資法人等調査特別委員会の委員の選任につきましては、委員会条例第5条第1項の規定により、お手元に配付の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、出資法人等調査特別委員会の委員は、お手元に配付の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 出資法人等調査特別委員会は、委員長互選のため、本日、本会議終了後、第1委員会室にこれを招集します。改めて招集通知を差し上げませんので、御了承願います。
   
   閉 会

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第6回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後3時3分 閉 会


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