平成16年2月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇15番(田村誠君) 政和会の田村誠でございます。
 まず初めに、故及川幸郎先生御生前の御功績をたたえ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
 さて、増田知事の掲げる、時代を見据え岩手の地を確固たるものにする県土づくり、夢県土岩手の創造に私も再び参画することができ、まことに光栄に存じます。また、このたび一般質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げ、以下、通告に従い、順次質問を行いますので、当局の誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず最初に、岩手県総合計画と行財政構造改革プログラムについてお伺いをいたします。
 最近の我が国経済情勢を見ますと、デジタル家電関連などの製造業が好調であり、景気の回復に一部明るい材料が見えているものの、国、地方を通じ財政状況はかつてないほど悪化し、借金の累積総額は719兆円に達し、加えて三位一体の改革が実施され、その内容は国庫補助金が一般財源化される中で、それに見合う地方交付税が十分に補てんされず、地方は大幅な財源不足を生じ、各地域において予算が組めないという悲鳴にも似た声が出ております。本県の平成16年度予算編成も例外なく厳しいものとなり、中期財政見通しで予測した財源不足をはるかに超える財源不足が生じ、公共事業のさらなる縮減が行われたところであります。
 一方、昨年11月に示された岩手県総合計画の実施状況を見ますと、前期実施計画に掲げる343の主要な事業の実施状況は、平成14年度末現在で着手事業が326事業で95%の着手率となっており、また、平成11年度から平成14年度までに投入した事業費は約2兆514億円余りで、全体事業費に対し48.9%の割合になっているとされております。
 また、道路などの社会資本整備が主たる事業となっている交流連携を支える交通ネットワーク整備は、東北新幹線盛岡−八戸間の開業及び道路整備の進展等により、主要な指標の到達度が高いものが多く、県民の満足度は中程度以上となっており、施策全体としてはおおむね順調であると思われます。また、沿岸部においては交通ネットワークの整備に対する県民の満足度が内陸部に比べ著しく低く、交通アクセスの改善を求める意見が多いとされています。
 平成16年度当初予算編成において、知事は、県民からの要望の強い福祉、教育、環境について重点配分し、公共事業については行財政構造改革プログラムに沿って大幅に削減し、めり張りをつけたとされております。このように公共事業を削減していくと、総合計画に掲げる道路を初めとする交通ネットワークなどの各種社会資本整備や、生活・産業基盤整備の指標はおおむね到達度が順調とされているものの、今後その指標は達成できず、また、沿岸部の県民満足度の向上も果たせなくなるのではないでしょうか。公共事業が削減される中で知事は総合計画の指標をどのように達成し、また、交通ネットワークについて沿岸部の県民満足度をどのように高めていくお考えなのかお伺いをいたします。
 また、行財政構造改革プログラムの実施に当たって、継ぎ足し補助金の廃止や福祉関係補助金の見直しなどについて、市町村を初め、県民に将来への不安が生じているところであります。この不安を解消するため、県民の理解や県民参加をどのように確保していかれるお考えなのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、水産振興についてお伺いをいたします。
 総合計画における水産業振興関係主要指数の到達度を見ると、つくり育てる魚介類の生産額のうち、サケは到達度がマイナス89.7%、アワビ3.6%、ウニ、マイナス19.7%、ワカメに至ってはマイナス248.6%と、いずれも到達度が低い状況が続いております。また、水産業をめぐる環境は、諸外国からの安価な輸入水産物の急激な増加が続き、加えて病害虫の発生や低気圧災害により甚大な被害が生じるなど、まことに厳しく、将来の経営維持も危ぶまれている状況になっております。私は、これまでも、浜がよければおかがよいという立場で、さらなる水産振興への取り組みを強く求めてまいりました。しかし、関係者の努力にもかかわらず現実は大変厳しい実態であり、水産業を三陸振興の核として進めるためには、今後、抜本的な構造改革を進める必要があると考えますが、知事は水産業の現状をどのようにとらえ、その振興をどのように進めるのか、まず基本的なお考えをお伺いいたします。
 私は、水産振興を考えた場合、消費者の視点に立って消費の拡大を図るとともに、水産加工についてもさまざまな対策を講じていく必要があると考えています。本県の水産加工業は、主要な加工原料となる秋サケやワカメなどの低水準の水揚げが影響し原料確保が困難となり、一方で販売価格は上昇せず、加えて水産加工業者の経営規模は従業員50人以下、販売規模で5億円未満の中小企業が半数以上を占めており、経営基盤が脆弱な状況にあり、まことに厳しい経営が続いております。このような状況を打開し水産加工原料の安定した供給を確保するためには、漁業者と加工業者が緊密な連携を確保するとともに、消費者の視点に立ち地産地消運動の展開やブルーツーリズムの推進などを図り、消費の拡大も図っていくことがまず肝要であると考えております。今後どのような水産加工業の振興を図っていかれるものか、また、水産物の消費拡大策をどのように進めていくお考えなのかお伺いをいたします。
 次に、養殖漁場の整備についてお伺いをいたします。
 三陸沿岸地域の養殖業は、昨年の十勝沖地震の襲来により、本県沿岸では出荷直前の養殖ガキを初め、ホタテガイなどの水産物及び養殖施設を中心に多大の被害を生じたところであります。地震が頻繁に続く今日、自然災害に備えて安心して操業できる漁場を整備するとともに、漁業経営の担い手が高齢化している現状を見るとき、高齢者でも楽に操業できる漁場の整備が不可欠であると考えております。災害に強く高齢者でも操業しやすい養殖漁場整備をどのように進められていくお考えなのかお伺いをいたします。
 次に、港湾の振興策についてお伺いをいたします。
 私ども港湾議員連盟として、昨年末と年初めに県内重要港湾と地方港湾の現地調査並びに関係者との意見交換会を行い、港湾に寄せる期待の大きいことに今さらながら驚いてまいりました。
 そこで、お伺いいたします。平成14年9月に輸送効率の改善などによって、本県沿岸地域のみならず内陸地域の活性化を図るなど、今後おおむね20年間の港湾整備と、港湾を核とした地域づくりの方向性を示した岩手県港湾ビジョンが策定されております。そのビジョンによれば、定期航路の誘致、物流の効率化などにより物流拠点を形成するとともに、大規模地震時における物流の確保や、津波防災に対応した防災機能の強化、マルチモーダルの推進による地球環境の保全などを目指し、豊かなまちへ未来は港からとのキャッチフレーズのもとに港湾の振興を掲げております。私も、本県は三陸の海を通じて世界に通じ沿岸を活性化することにより、地域全体の振興につながるものと考えております。人口が今後ますます急激に減少し高齢化が著しく進展することが予測される沿岸部において、海をキーワードにして、水産振興はもとより、港湾の物流機能をさらに発揮させることが地域の活性化につながるものと考えております。県は、この港湾ビジョンをさらに具現化するためアクションプランを策定中と聞いておりますが、各港湾の課題をどのようにとらえ、具体的施策をどのように進めるお考えなのか、アクションプランの策定状況も含めてお伺いをいたします。
 次に、港湾の安全対策についてお伺いいたします。
 国際競争力の強化を目指して港湾の整備やソフト対策が進められているところでありますが、米国同時多発テロ事件を契機として船舶所有者、港湾管理者に対して保安の確保のための処置を講じさせることにより、国際海上輸送システムの信頼性の向上を図り、あわせて、急迫した脅威が認められる船舶の入港を拒否することなどにより、国際海上輸送に係る不法な行為の防止を図る目的で、平成14年12月にSOLAS条約が改正され、平成16年7月から条約が発効されることになっております。私は、港湾の物流の拠点として安全対策を講じることは最低限の処置であり、早急に対策を講じていくことが必要であると考えております。この条約への対応状況はどのようになっているかお伺いをいたします。
 次に、安全・安心な県土の整備に関連して、沿岸部の液状化マップの作成についてお伺いをいたします。
 大船渡港湾は、昨年の地震被害において液状化の状況が見られたことは、記憶に新しいものがあります。地震の場合は、地下の断層活動がもたらした地表の変異や、津波、液状化、斜面崩壊あるいは火災などの二次的に発生する現象も大きな災害要因となることが予測され、これらの現象を対象としたハザードマップも重要となると考えております。このような考えのもとで内閣府は、液状化マップの作成マニュアルを示しているところであり、横浜市や東海地震が予測される静岡においても、液状化マップを作成し地域防災対策を進めております。最近、地震が頻繁に続き、特に海岸部においては地震による液状化に対する地域住民の不安も高くなってきております。県は昨年から津波や洪水によるハザードマップの作成に着手しておりますが、このハザードマップに加え、沿岸部の防災対策として他県においても作成の例が見られる液状化マップの作成を行うお考えはないでしょうかお伺いをいたします。
 次に、津波観測システム広域ネットワーク化事業についてお伺いをいたします。
 津波観測については、気象庁の予報区が岩手県全域を単位としており、平成15年9月の十勝沖地震の際には、津波予報が50センチであったものが、実際の津波は久慈市で1メートル32センチ、宮古市では60センチ、大船渡市では20センチと予報と乖離があり、リアルタイムで迅速かつ広域での津波情報の提供が課題となっております。これはリアス式海岸特有の課題として、一つの予報区ではなかなか正確な津波情報が把握できず、住民の避難対策をより確実にするためにも津波情報の広域的把握とネットワーク化を図ることが必要であり、このたびの県のプロジェクトは時宜を得たものであると評価をしているところであります。
 そこで、お伺いをいたしますが、この事業により得られる効果をどのように活用していかれるものか、まずお伺いをいたします。
 過日行われた東京大学社会情報研究所が実施したアンケート調査によれば、三陸南地震の際、震度6弱を観測した大船渡市の危険地域にいた人の28%が高台に避難するにとどまり、三陸津波やチリ地震による被害の風化が危惧されているところであります。この住民の津波に対する防災意識をどのように高めていくお考えなのか。また、特に高齢者や障害者などの災害弱者の避難対策をどのように構築しようとなされているものかお伺いをいたします。
 次に、地震対策に関連して急傾斜地崩壊対策事業についてお伺いをいたします。
 このことは決算特別委員会においてもお伺いをいたしましたが、平成14年度の政策評価においても、安全な暮らしの実現のため急傾斜地崩壊対策については、地理的特性を踏まえながら着実に取り組む必要があるとされており、今後、災害に強い県土整備を進めていくために、特にその整備が急務である沿岸部における急傾斜地崩壊対策を進めていく必要があると考えます。しかしながら、行財政構造改革プログラムの実施により、公共事業費の削減はこの分野にも影響を与え、整備の進度がおくれていくことが懸念をされるところであります。三陸沿岸地域は、過去の津波対策などで高台に家屋の移転を余儀なくされ、そこが新たな急傾斜地危険箇所になっている実態があると考えられますが、今後これらの地域も含め、危険箇所の実態を詳細に調査するとともに、必要であれば、地域防災計画の改定を行う必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、林業振興についてお伺いをいたします。
 間伐材を有効利用するとともに、森林の荒廃を防ぎ、あわせて地域の製造業の立地を目指した森のトレーの事業は、現在、事業の進め方などの瑕疵についてその原因究明が進められているところであり、一日も早い解決がなされることが望まれるところでありますが、私は、この事案にめげず、豊かな本県の森林資源を将来、岩手の大いなる財産とするためにも、人工林がいまだ未成熟期にある今こそ計画的な間伐を実施し、資源を有効活用しながら健全な森林に育成するための施策を展開する必要があると考えております。
 しかしながら、林業を取り巻く環境は、木材価格が低迷し間伐実施のための森林所有者の資金が不足し、また、生産コストの縮減に取り組む木材加工事業体は定時定量に供給されることを求めているにもかかわらず、これに対応できないなど、まことに厳しい状況となっております。県は、誇れるいわて40の政策の中でも、食と森の先進県の樹立のためにさまざまな施策を重点的に進めていくこととしておりますが、林業経営の課題をどのようにとらえ、また、喫緊の課題である間伐の促進をどのように進めていくお考えなのかお伺いをいたします。
 次に、地球温暖化防止対策についてお伺いをいたします。
 本県では、平成22年までに平成2年比で二酸化炭素排出量の削減目標を国の目標を上回る8%と定め、地球温暖化防止県民行動計画の策定、地球温暖化防止講座の開催、地球温暖化防止エコチャレンジなど、さまざまな地球温暖化対策を講じてきているところであります。私は、このような対策を進める一方で、主要な温室効果ガスである二酸化炭素の削減をさらに進めるためには、その吸収源とされる森林の保全を積極的に進めていくことが必要であると考えております。
 林業経営をめぐる環境が厳しい状況にある中で、森林所有者のみの力ではこの森林の保全は進まないのではないでしょうか。生産林としてのみ森林をとらえることなく、水資源の確保や県土の保全、地球温暖化防止のための環境保全機能に着目し、公益林として森林をとらえ、公共的事業として森林の多目的利用を図っていくことが必要だと考えております。地球温暖化防止対策の現在の進捗状況はどのような状況になっているのか、また、地球温暖化防止対策という側面から森林の役割をどのように評価をしておられるものか、環境生活部長にお伺いをいたします。
 次に、閉鎖性水域における富栄養化対策についてお伺いをいたします。
 湖沼や内湾のように水が滞留しやすい閉鎖性水域では、河川から流入する有機物などによる直接的な汚濁のほかに、水中の窒素・燐の濃度が高くなることにより引き起こされる富栄養化が課題となっており、特に海域では赤潮の発生などが起こり水産物への障害が生じてきております。県では、森・川・海条例に定める閉鎖性の高い水域における富栄養化の防止に係る施策の推進を掲げ、また、平成16年度の当初予算において水と緑の保全推進プロジェクトを立ち上げて積極的な対応をなされておりますが、今後この閉鎖水域の富栄養化を防止するために、どのような施策を展開しようとしているのかお伺いをいたします。
 次に、医療局の県立病院改革に関連してお伺いをいたします。
 県民医療を確保するため、限られた医療資源を最大限に生かし質の高い医療を提供することを目的としたこのたびの県立病院改革は、一応理解はするものの、各地域における医療の現状を見ると、医師の偏在により医療の格差が生じ医療過疎地域があるのもまた事実であります。患者の大型病院志向も反映し、救急、夜間を問わず一般診療についても大型病院に通い、医師不足に加え、患者の増加によりいわゆる3時間待ちの3分診療とやゆされ、一方、個人病院は入院、夜間診療を避け地域の医療がいびつになってきております。私は、国が方向性を示しているように、医療供給体制を見直し適正な地域の医療計画のもとで、患者の病態に応じ急性期医療、長期療養など医療機関の機能分化を進め、また、病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション等が十分に連携し地域の医療を確保していくことが、今後ますます重要となってくるものと考えております。特に地域における第一線の機関としてかかりつけ医の普及、定着がかぎを握っているものであり、この対策を講じていくことが必要であるのではないでしょうか。知事は、この地域の医療連携対策をどのように進めていくお考えなのか、また、医療機関や医師が希薄で地域の医療連携もままならない地域の医療をどう確保していかれるのかお伺いをいたします。
 最後に、地域・地場中小企業活性化対策についてお伺いをいたします。
 引き続き厳しい雇用情勢に、増田知事も県政最大の緊急課題としてとらえ、新年度も各般の施策に取り組むものとしており、現在、岩手県においては地域の特性を生かした新たな産業の創出や既存産業の活性化に向け、産学官が連携しINS、北上ネットワークフォーラムなどの活動について積極的に取り組み、実績を出しております。しかし、資金力、研究力のない地場中小零細企業は新たな事業の展開や新製品の開発などできるすべもなく、その日の仕事に追われている厳しい実態で、こうした下請企業は大手企業が海外に移転した場合、何ら救済されることなくそのまま切り捨てられる実態にあり、過日、繊維関係の企業が工場閉鎖との新聞報道があり、関係市町村と地方振興局はそれらの対応に追われ、社員も不安に駆られております。こうした中小零細企業の多い本県にとり、これを支え活性化することが地域の発展に欠かすことができないと思います。
 そこでお伺いをいたしますが、地域・地場中小企業活性化に向けこれまでも取り組んでまいりましたが、過日、連合岩手と知事の懇談会の席上でも提案があったと存じますが、産学官に加え、金融をつかさどる地域金融機関と、あらゆる産業を超えた人的ネットワークそのものである労働組合の参画を含めた新しい連携、いわゆる産学官金労の連携を強化し、これを基礎とした地場中小企業の基盤強化策を推進し、地域産業活性化による雇用創出安定を図ること、ネットワークの整備により技術を有する地場中小企業の受発注支援体制の確立を図ること、中小企業の技術開発を進め、岩手らしいものづくり技術の伝承と進化を図ること、企業の創業支援策を強化すること、中小企業の知的財産権の保護と有効な利用により健全な技術開発を促すこと、地域の特性と自主性を生かした地域まちおこしを進めること。特にも、大変厳しい経営に直面している中小企業に対し円滑な金融の確保を図ることなど、これまで以上にそれぞれの役割を発揮し、連携しながら産業の活性化を進めるべきと思いますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 田村誠議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、総合計画の指標についてのお尋ねでございますが、今議員がお話のとおり、平成14年度までは全体の54%が中程度以上の到達度となっておりまして、おおむね順調に推移していると判断をしております。一方、平成16年度当初予算における公共事業費につきましては、平成14年度当初予算に比べまして30.6%減という水準になっておりますので、例えば汚水処理施設や住宅の整備の分野が含まれる総合計画の第2社会、それから、道路、港湾などの整備の分野が含まれる総合計画の第4社会などの施策の進捗に影響が出てくるものと想定されるところでございます。したがいまして、今後は、その時々の県民のニーズや満足度、そして安全・安心な暮らしの確保への要請などを勘案しながら、それぞれの公共事業の分野間で融通を図りまして、全体としてさらなる重点化を進めまして、より一層、県民の皆様が成果を実感できるように施策の推進を図ってまいりたいと考えております。
 それから、次に交通ネットワークの沿岸部の満足度の向上についてのお尋ねでございます。
 今、新幹線や高速道路などの高速交通ネットワークが整備をされているわけでございますが、こうした整備の効果を、沿岸部を初め県下全域に波及させることが大変重要であると。そのため、沿岸部にありましては高速交通拠点、すなわち新幹線の駅や高速道路インターチェンジなどの高速交通拠点へのアクセス性の向上を図ることが肝要でございまして、沿岸部と内陸部を結ぶ横軸、それから三陸沿岸地域を縦貫する縦軸の整備の促進が大きな課題となっております。このため、東北横断自動車道の釜石秋田線、それから三陸縦貫自動車道、八戸久慈自動車道などの高規格幹線道路や、これらと一体となって機能する国県道や市町村道の整備を、今、進めているところでございます。
 今後とも、選択と集中による事業の重点化、効率化に努めて、こうした交通ネットワークの着実な整備を進めていきたいと考えております。
 それから、総合計画、県行財政構造改革プログラムの県民の理解、そして県民の県政への参加についてのお尋ねでございますが、プログラムを策定した後、各関係部から県単独補助金の見直しにつきまして、市町村それから関係団体など、直接県民の皆さんへの説明会をあわせまして延べ100回ほど開催をしているところでございます。とりわけ、市町村長さん方とは、私を初め県三役それから県幹部職員が一堂に会して率直な意見交換を行いました。その改革の目指すところの意識の共有化に努めたところでございます。いろいろな御意見をその中でいただきましたので、県単独補助金の見直しにつきましても、いわて畜産物ブランド強化対策事業費など、八つの事業を新規振りかえ事業といたしましたり、それから医療費助成の見直しにつきましても新しい支援制度を創設するなど、特に保健福祉施策の拡充を図ると。それから市町村総合補助金でございますが、これについては特別枠を設けて支援するといったようなことで、市町村や県民の皆様方からの意見や要望にできるだけ対応した措置をとったところでございます。
 今後とも、市町村それから県民の皆様との対話そして意見交換を重ねまして、一層の信頼関係を築いていけるように努めてまいりたいと考えております。
 水産業の振興についてのお尋ねでございますが、水産業は、漁業はもとより、加工、流通にわたるすそ野の広い産業でございまして、沿岸地域での基幹産業でございます。その振興を図ることは極めて重要なことでございますが、現在、輸入水産物との競合それから漁業者の減少と高齢化、特に主要魚種でございます秋サケのここ数年の不漁と価格の低迷ということで厳しい環境にございます。こうした状況に対処するために三つの基本方針がございまして、つくり育てる漁業と資源管理型漁業の振興、これが第1点。第2点目は生産構造の改革、それから、第3点目は消費者が求める食の安全・安心への対応に取り組む必要があると認識しております。
 具体的な取り組みで、第1点目に対しましては、秋サケの増殖体制の強化やヒラメ、カレイの小型魚の保護を推進するということ。それから、第2点目の生産構造の関係でございますが、これは担い手を中心に生産構造改革を推進するために養殖経営の規模拡大を図る、また、許可制度の見直しによりまして、漁船漁業への新規参入者を確保すると、こうしたことを行います。それから、3点目の安全・安心の関係でございますが、これはノロウイルス対策の強化、以前はSRSVと呼ばれておりましたが、現在は国際的に学会で名称が統一されておりますが、いわゆるカキのノロウイルス対策の強化、それから産地魚市場の衛生管理の徹底などによりまして、水産物の安全性を確保するとともに、この分野でもトレーサビリティーシステムの導入や三陸岩手ワカメ認証品の拡大、それからイクラ、塩ウニ、干し昆布などの産地表示の普及などによりまして食の安全を提供していくこととしております。さらに、経済発展が著しい中国、台湾などの海外市場を開拓したいと思っておりまして、海外事務所を拠点として情報収集に努めますとともに、海外の輸入業者に対する宣伝活動などにもこれから取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、先般、県漁連の方で1県1漁協構想ということを策定したわけでございまして、これは漁業協同組合が地域水産振興の中核としての役割を担っていただくためにも必要なことでございますので、この1県1漁協構想の実現に向けて、でき得る限りの支援を行っていく考えでございます。
 それから、次に地域の医療連携対策についてでございます。
 これまで医療連携を進めるために、かかりつけ医の機能の定着と中核的な病院での地域医療連携室の設置、そして患者さんの紹介と逆紹介などを行ってまいりました。これは盛岡保健医療圏で特に進められておりまして、県立中央病院に地域医療連携室を13年11月に設置いたしまして、続いて岩手医科大学附属病院など、市内の病院5カ所でこの医療連携システムが構築されて、県立中央病院では、紹介率が大幅に増加して今現在44%になっておりますが、高度医療や入院を中心とした県立中央病院本来の機能が確実に発揮をされてきていると考えております。
 限られた地域の医療資源を十二分に活用していくためには、こうした二次保健医療圏単位ごとに地域の中核的な病院から市町村立病院、診療所への診療応援ということ、それから民間の医療機関を含めた病診連携を進めて、二次医療圏全体で医療の水準、質の確保を図る必要があると考えているわけですが、盛岡圏域以外の他の圏域でもこうした取り組みを進めようとしてまいりましたが、医師不足のために必ずしも十分な成果が上がっていないという課題がございました。このため、来年度、16年度から県と市町村が共同して新たな医師養成事業を行うわけでございまして、こうしたことを一方で行うとともに、関係機関の協議によりまして過疎地域に計画的に医師を配置する仕組みを構築して、そして県内への定着に向けた取り組みを進めることとしているところでございます。
 次に、地域の地場中小企業の活性化対策で、産学官そして金融機関、労働界、この連携の強化というお話でございます。
 現在まで産学官連携というのはかなり積極的な取り組みを行ってまいりましたが、こうした厳しい経済環境下の中で、さらに中小企業に対する支援、それから新たなビジネス機会の創出を図っていくためには、こうした産学官に加えまして、中小企業の資金調達を支える金融機関、それから生産現場を熟知する労働界との新たな連携も必要になってきていると認識をしております。特に、中小企業の活性化にとって金融機関の理解と協力が不可欠で、これまでも定期的な意見交換の場を通じて、金融機関に対して中小企業融資に対する制度拡充を要請してきたところでございます。これは年に三、四回やってきておりまして、昨年の12月、そしてことしに入りましてから3月の下旬に予定をしているところでございます。
 また、労働界とは、本年度から連合岩手など労働3団体との定期的な懇談の場を設けまして、これまで2回、情報交換を行っております。この懇談の中で、労働団体では、労使協議や労働相談などを通じて生産現場に携わる人々の実態を実によく把握されていると、このようなことを改めて認識をしたところでございまして、産業振興というこの観点からは、労働界との連携の必要性を強く感じたところでございます。こうしたことで、産業界それから大学、行政機関、金融機関、労働団体のいわゆる産学官それに金、労と、この五つのそれぞれの団体との意見交換の場を、全体としてまとめて意見交換をするような場をできるだけ早い時期に設けるなどいたしまして、それぞれの有する機能を最大限に生かしながら、地域・地場中小企業の活性化に向け連携して取り組んで、競争力のある力強い地域産業の構築に努めていきたいと考えております。
 その他のお尋ねは、関係部長より答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 水産振興について、まず、水産加工業の振興と水産物の消費拡大についてでありますが、本県の水産加工業の振興を図るためには前浜資源の鮮度や素材のよさを最大限に引き出し、中国などから輸入される安価な水産加工品とは一線を画す、付加価値の高い加工品づくりを進めることが重要と考えております。このため、県と加工業者が一体となって、地域独自の伝統的な熟成加工技術を活用した新しいサケ加工品、三陸ワカメの風味を一層引き立てる冷凍生ワカメなど、産地の特色のある加工品の開発を進めますとともに、生産者と加工業者が一体となった産地のPRや消費者ニーズの把握、さらには養殖水産物の多様な商品開発を進めるために、相互の連携を強化してまいります。また、水産物の消費拡大を図るため、これまでの料理教室の開催などによる魚食普及や学校給食での利用拡大に加えまして、地産地消やブルーツーリズムを一層推進する観点から、漁協と県内陸部の産直組合との連携による鮮度の高い水産物の供給や観光客に対する浜料理、新巻など、伝統的な食の提供を促進してまいる考えであります。
 次に、養殖漁場整備についてでありますが、本県は沿岸各地で養殖業が盛んに営まれておりますが、暴風波浪を伴った低気圧や津波の常襲地帯でありますことから、災害に強い養殖漁場の整備を進めることが重要であると考えております。このため、県では漁場の再編整備に合わせまして、ロープやアンカーの強化など、災害に強い養殖施設の整備に対して支援を行ってきたところでありますが、さらに昨年9月の十勝沖地震津波災害を踏まえまして、平成16年度、来年度から、今後想定されます津波のシミュレーションを実施いたしまして、漁場ごとに津波に耐え得る施設や適正な漁場配置について明らかにしてまいることとしております。また、養殖業は、収穫や陸揚げ、荷さばきなど短期間に集中する重労働が多いことからこれを軽減し、高齢者にも配慮した労働環境の改善を図る必要があると考えております。
 こうした観点から、養殖作業の効率性を高めるための漁場再編への支援や省力化機器の開発に取り組んでおり、あわせて、岸壁等へ陸揚げ作業を省力化する荷揚げクレーンや荷さばき等の作業環境を改善する防風・防雪施設の整備を進めてまいります。
 今後とも、これらの施策を進めることによって、災害に強く操業しやすい養殖環境を整備し、本県の養殖生産の維持、増大を図ってまいる考えであります。
 次に、林業振興につきまして、まず、林業経営の課題をどうとらえているかということでございますが、本県は森林面積が118万ヘクタールと北海道に次ぐ全国第2位の森林県で、その蓄積は年々充実してきておりまして、木材の供給や公益的機能の発揮など、将来に向けて大きな可能性を有しております。しかしながら、森林の経済的価値の低下など、林業をめぐる厳しい情勢の中で国産材の需要が低迷していることから、森林所有者の林業経営に対する意欲が減退し林業生産活動が停滞しており、手入れの行き届かない森林が増加するなどの課題を抱えているところでございます。
 こうした状況下にありまして、県産材の利用拡大を図ることが何より重要でありまして、県が率先して取り組む必要がありますので、昨年の5月に岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部を設置して、その利用拡大に努めているところでございます。また、一般県民に対する普及啓発を図るため、県産材を利用して建設された住宅を対象に助成措置を講ずるなど、県産材の需要拡大に取り組んでいるところであります。
 また、間伐材につきましては、現在の利用率が40%程度にとどまっておりまして、間伐が進まない大きな要因ともなっておりますことから、県産材を暮らしに生かす取り組みとして、ペレットストーブの普及による木質バイオマスの利用促進を図りますとともに、本年度、気仙、遠野、宮古地区をモデルといたしまして、川上の森林組合と川下の木材加工事業体が協定を結びまして、間伐材を安定的に供給する仕組みづくりを進めているところでありまして、今後、全県へ拡大させていきたいと考えております。
 今後とも、こうした取り組みを強化しながら、間伐材の利用を図り、計画的な間伐の促進を図ってまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) 港湾の振興策についてでございますが、物流拠点の形成に向けてそれぞれの港の課題がございます。久慈港では、バラ貨物による利活用の促進、宮古港では、関東方面との内貿定期航路の開設や内航フィーダーの拡充による外貿定期航路の開設、また、釜石港では、名古屋港や北関東方面との内貿定期航路拡充、また、既存のベースカーゴを核とした外貿定期航路の開設があります。大船渡港では、バラ貨物取り扱い拠点港としての施設の拡充や中部・近畿方面との内貿定期航路等の開設、このようなものであるととらえております。また、各港共通の課題として、港湾を核としたみなとまちづくりを推進する必要があると認識しております。
 こういった課題に対応した具体的施策の進め方についてでございますが、これらは個々の組織が単独で取り組むのではなく、地域住民、産業界、また、関係市町村、県等が一体となった組織的な取り組みが必要であり、昨年7月に商工団体や関係市町村、庁内関係部局等による協議会を発足させてアクションプランの検討を進めてきております。このアクションプランは、内陸部での集荷体制の確立など全県的課題に対応する全県プラン、この全県プランと相手港の選定など各港の課題に対応する各港プラン、この二つから構成されておりまして、具体的には定期航路の開設・拡充とみなとまちづくりの推進を重点課題といたしまして、それぞれ行動の主体でありますとか、時期、方法などを示す内容になっております。
 本アクションプランは、協議会での議論を経まして今年度末――今月末になりますが――今年度末までに策定することといたしております。
 次に、港湾の保安対策でございますが、本県における保安対策対象港湾は、久慈、宮古、釜石、大船渡、この四つの4重要港湾でございますが、当面、国際航海船舶の入港頻度が高い宮古港と大船渡港において対策を講ずることとしております。
 具体的な対策につきましては、ハード面では、船舶が接岸する埠頭用地をフェンスで囲み、ゲートや監視カメラなどを設置し、船舶に不審者などが侵入しないように対応するとともに、ソフト面では、港湾ごとに港湾施設保安計画を策定いたしまして、埠頭保安管理者を配置することが必要になります。これらには事業費約1億9、000万円が見込まれておりまして、今年度から条約が発効する本年7月1日までをめどに対応することといたしております。
 次に、急傾斜地崩壊対策事業についてでありますが、現在、県内における急傾斜地崩壊危険箇所は約7、000カ所あります。これらのうち、優先度の高い箇所から順次整備を進めているところでありますが、非常に危険箇所の数が多いために、土砂災害のおそれのある区域についての危険の周知、警戒避難体制の整備などのソフト対策を、ハード対策とあわせて実施することが極めて重要であると考えております。そのために、平成13年に施行された土砂災害防止法に基づきまして、土砂災害警戒区域の指定を計画的に行うことといたしまして、平成15年から平成18年に向けまして、緊急度の高い約1、300カ所の地形・地質及び土地利用状況の実態等を詳細に調査することとしておりまして、今年度は250カ所の調査を終了して、順次、土砂災害警戒区域の指定作業を進めてまいることとしております。
 地域防災計画に関しましては、平成9年に調査した危険箇所をもとに、県、市町村とも現在の計画が策定されているわけでありますが、平成15年3月に全国的に行った調査によりまして、全国的に大幅に箇所数が増大しておりまして、今回、昨年の調査結果を受けた形で平成16年度に岩手県地域防災計画を改定する予定にしておりますし、また、市町村に対しても計画の改定を要請しているところであります。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、液状化マップの作成についてであります。
 県では平成10年3月に、内陸の活断層を震源といたします二つの地震、十勝沖地震、三陸沖の地震空白域を震源といたします海溝型地震、あわせまして四つの地震を想定いたしました地震被害想定調査を行っております。液状化につきましては、この調査の一つといたしまして、全県域を500メートルメッシュに分割をいたしまして、その危険度を3段階に区分した分布図を作成しております。これによりますと、海溝型地震が発生した場合、沿岸部では一部地域に液状化の可能性が高いと想定される場所があることがわかります。さらに、現在、高い確率で発生が予想されております宮城県沖地震につきまして、県が現在行っております地震・津波シミュレーション及び被害想定調査、この中で地震シミュレーションを行いまして、その結果をもとに液状化危険度地域の分布図を作成することといたしております。これら二つの調査の成果をあわせることによりまして、沿岸部の地震によります液状化がより明確に把握できますので、土地利用計画でありますとか施設の建設、避難対策など、地域の防災機能の向上に役立てていただきたいと考えております。
 続きまして、津波観測システムの広域ネットワーク化でございます。
 ネットワークを構築することによりまして、県、市町村では広域的かつリアルタイムでの津波情報の収集が可能になりますので、津波被害の状況を瞬時に把握し、的確な応急対策に生かすことができるものでございます。県では、リアルタイムな津波情報から被害の大きい地域を推定いたしまして、県を挙げての人的・物的資源、あるいは自衛隊への災害派遣要請、あるいは他県への応援要請を行う際の重点的投入地域の判断等に活用していきたいと考えております。また、市町村では、津波到達時刻をほぼ予測できることになりますので、住民に対する避難の呼びかけの徹底、水門の閉鎖状況の確認等を行うとともに避難指示等の判断材料に活用し、津波による被害を軽減しようとするものでございます。
 それから、津波に対する防災意識でございます。
 津波から生命を守る最善の方法は、日ごろの十分な備えと地震発生後、速やかに避難するということでありますので、沿岸市町村と連携をいたしまして、津波避難訓練や学習の場などあらゆる機会をとらえまして、津波に対する正しい知識の理解の促進を図りまして、住民の防災意識の高揚に努めてまいりたいと考えております。
 県が現在取り組んでおります地震・津波シミュレーション及び被害想定調査、この成果は市町村に提供することとしておりまして、市町村ではそれをもとに津波防災マップを作成いたしまして、住民に周知をするということになっております。また、県では、現在津波避難計画の策定指針も作成をいたしておりまして、市町村はこの指針に基づきまして、津波避難計画を作成あるいはその見直しをすることになるわけでございますが、さらに、住民みずからが地域ごとの避難計画の作成に取り組むことによりまして津波に対する認識を深め、避難行動計画に結びつくようにしていきたいと考えております。
 それから、災害弱者の避難対策であります。
 県の地域防災計画におきましては、市町村があらかじめ高齢者、障害者など自力で避難することが困難な者の居住状況等に配慮して避難計画を定め、具体的には消防団員等を配置して誘導することを掲げておりまして、また、現在、県が作成中であります津波避難計画の策定指針におきましても、災害弱者の避難対策といたしまして、津波情報の伝達方法や地域ぐるみの避難行動支援の確保を明記することとしております。このため、市町村が来年度以降、津波避難計画を策定あるいは見直しをする際に、このような災害弱者に対します避難対策について、具体的に記述し、なお、実行動に結びつくよう、市町村に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、災害弱者等の避難誘導につきましては、地域ごとのきめ細かな対応が不可欠でありますので、地域におきまして防災関係者、近隣住民による声がけの確認など地道な活動が重要であります。さらに、自主防災組織の果たす役割が極めて大きいと考えておりますので、市町村と連携をしながら自主防災組織の結成や活動を促進いたしまして、地域の防災機能の向上を図ってまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) まず、地球温暖化防止対策の進捗状況についてでございますけれども、直近のデータで申し上げますが、2001年――西暦でございます――平成13年におきます二酸化炭素の排出量は約1、365万トンとなってございます。基準年の1、990年に比べまして残念ながら増加してございます。産業部門では6.1%の減でございますけれども、民生家庭部門は23.6%という増になっておりまして、トータルで3.3%の増加ということになってございます。ちなみに、全国ベースで申し上げますと、基準年に比べまして8.2%の増加という状況になってございます。このような状況でございますので、今後さらに二酸化炭素の排出の削減対策、それから吸収源対策、この両面から地球温暖化防止対策を一層推進していく必要があると考えているものでございます。
 また、地球温暖化防止対策という側面から、森林の役割をどう評価するかということでございますけれども、森林につきましては、林業というそういう経営面としての機能のほか、国土保全に大きな役割を果たしているとともに、その森林の成長の過程で大気中の二酸化炭素を吸収して、長期にわたって蓄積をすることから、地球温暖化対策上、温室効果ガスの大部分を占める二酸化炭素の吸収源として大きな役割を有していると認識しております。したがいまして、この吸収量を確保するために適切な森林整備を行っていく必要があると考えているものでございます。
 次に、閉鎖性水域における富栄養化対策についてでございますけれども、従来から実施してまいりました生活系、事業所系の排水対策に加えまして、今回、森林の保全あるいは農地の適切な管理、さらには、水域や土壌が持っております自然の浄化機能、自浄作用と言うわけですけれども、これらの維持向上など、流域の特性を踏まえて総合的な対策を進めることとしております。
 具体的な富栄養化防止の施策といたしまして、平成16年度は水質汚濁未然防止推進事業という事業を起こすことを計画してございまして、県内の地域別に富栄養化の原因となります窒素・燐について、その流れと収支を明らかにするとともに、流域の特性に応じまして窒素・燐削減の目標値や対策をまとめようとするものでございます。これらの目標値や対策を岩手県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例という条例を制定していただきました。この条例によります流域別基本計画に盛り込みますとともに、流域全体での計画推進体制の確立に努めまして、これ以上水質が悪化しないように取り組みを進めてまいりたいと考えているものでございます。

〇議長(藤原良信君) 次に、伊沢昌弘君。
   〔36番伊沢昌弘君登壇〕(拍手)


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