令和6年9月定例会 決算特別委員会会議記録 |
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令和6年10月11日(金)
1開会 午前10時3分 1出席委員 別紙出席簿のとおり 1事務局職員 事務局長 坊 良 英 樹 議事調査課 総括課長 昆 野 岳 晴 議事管理担当課長 佐 藤 博 晃 主任主査 柴 田 信 主任主査 及 川 雄 也 主査 高 橋 宗 子 主査 堀 合 俊 彦 主査 佐々木 賢一郎 主査 三 浦 訓 史 1説明員 知事 達 増 拓 也 副知事 八重樫 幸 治 副知事 佐々木 淳 企画理事兼 保健福祉部長 野 原 勝 企画理事兼 商工労働観光部長 岩 渕 伸 也 会計管理者 滝 山 秀 樹 会計課総括課長兼 会計指導監 今 雪 博 貴 政策企画部長 小 野 博 総務部長 千 葉 幸 也 財政課総括課長 佐 藤 直 樹 復興防災部長 福 田 直 ふるさと振興部長 村 上 宏 治 ILC推進局長 箱 石 知 義 医療局長 小 原 重 幸 教育長 佐 藤 一 男 監査委員 五 味 克 仁 監査委員 中 野 玲 子 監査委員事務局長 佐々木 真 一 参事兼監査第一課 総括課長 及 川 博 英 監査第二課 総括課長 長谷川 英 治 〇坊良議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が臨時に委員長の職務を行うこととなっております。 出席委員中、千葉伝委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。 千葉伝委員、委員長席にお着き願います。 〔年長委員千葉伝君委員長席に着く〕 〇千葉伝年長委員 ただいま紹介のありました千葉伝でございます。よろしくお願いいたします。 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。 これより委員長の互選を行います。 委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇千葉伝年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇千葉伝年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。 決算特別委員長に福井せいじ君を指名いたします。 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました福井せいじ君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇千葉伝年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました福井せいじ君が決算特別委員長に当選されました。 ただいま当選されました福井せいじ君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。 福井せいじ委員長、委員長席にお着き願います。 〔決算特別委員長福井せいじ君委員長席に着く〕 〇福井せいじ委員長 ただいま決算特別委員長に選任されました福井せいじでございます。 今回の決算特別委員会は、議会改革推進会議において具体的にさまざまなルールを定めた上での初めての決算特別委員会であります。ルールを遵守して、働き方改革が実現されるよう頑張りますので、ぜひとも皆さんの御協力、御指導を賜りたく、働き方改革実現決算特別委員会としますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。(拍手) 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇福井せいじ委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 これより副委員長の互選を行います。 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇福井せいじ委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選とすることに決定いたしました。 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することといたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇福井せいじ委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。 決算特別副委員長に大久保隆規君を指名いたします。 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました大久保隆規君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇福井せいじ委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました大久保隆規君が決算特別副委員長に当選されました。 ただいま当選されました大久保隆規君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。 大久保隆規副委員長、御挨拶をお願いいたします。 〇大久保隆規副委員長 ただいまは副委員長に選出いただきまして、まことにありがとうございます。 福井せいじ委員長を補佐いたしまして、委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) 〇福井せいじ委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件及び議案2件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び15日は、知事、副知事、企画理事、会計管理者、関係部局長及び教育長等の出席を求め総括質疑を行い、総括質疑終了後、15日から18日まで、及び21日から23日までの7日間は、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め部局ごとに質疑を行うこととし、決算15件及び議案2件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、23日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会の意見調整を経た上で行いたいと思います。 なお、農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇福井せいじ委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 これより議事に入ります。 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号、以上17件を一括議題といたします。 これより会計管理者に決算の総括説明を求めます。 〇滝山会計管理者 令和5年度歳入歳出決算の概要について御説明いたします。 お手元に令和5年度歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書など8件の法定書類のほか、説明資料として令和5年度歳入歳出決算説明書をお配りしておりますので、便宜、この説明書に基づき御説明いたします。 それでは、説明書の7ページをごらん願います。 第1、令和5年度歳入歳出決算の概況、1、決算の状況ですが、令和5年度の当初予算は、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、東日本大震災津波からの復興を進めるとともに、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、自然減・社会減対策、GX、DX、安全・安心の四つの重点事項を推進し、ふるさと振興に取り組むいわて県民エンパワー予算として7、714億794万円が措置され、前年度の当初予算に比べ208億2、791万円、2.6%減少しました。また、その後6回にわたる補正予算において、原油価格、物価高騰等への対策として、生活者支援や事業者支援のほか、防災、減災、国土強靱化等の推進に必要となる予算として381億551万円の増額補正が行われています。これに前年度からの繰越額849億263万円を加えた最終予算額は8、944億1、608万円となり、前年度に比べ732億5、671万円、7.6%の減少となりました。 次に、この予算に対する決算について、一般会計の収支の状況を御説明します。11ページをごらん願います。 下段の2、決算収支の項目中、一般会計歳入歳出決算収支の状況の表をごらんください。一般会計の歳入総額は8、277億4、868万円余、歳出総額は7、763億7、574万円余であり、前年度比で歳入歳出とも減少しました。歳入総額から歳出総額の差引額は513億7、294万円余であり、この差引額から翌年度へ繰り越すべき財源をさらに差し引いた実質収支額は194億6、470万円余の黒字となりました。 次に、歳入決算状況を御説明します。少し飛びまして、54ページと55ページをごらん願います。 第2表、一般会計歳入決算状況の表中、一番下の合計欄をごらん願います。左から三つ目、令和5年度の収入済額は8、277億4、868万円余となり、その右に二つ参りまして、収入未済額は主に諸収入ですが、267億5、235万円余で、この結果、55ページ左から二つ目、対調定収入率は96.9%となりました。その右に二つ参りまして、収入済額の前年度との比較増減額は709億1、379万円余、7.9%の減少となりました。 続いて、歳出決算状況を御説明します。少し飛びまして、62ページと63ページをごらん願います。 第7表、一般会計歳出決算状況の表中、一番下の合計欄をごらん願います。左から二つ目、令和5年度の支出済額は7、763億7、574万円余となり、その右隣の翌年度繰越額は、主に土木費や農林水産業費などで808億4、403万円余、その右隣の不用額は、主に衛生費や商工費などで371億9、630万円余となりました。この結果、右隣の対予算執行率は86.8%となりました。63ページ左から二つ目、支出済額の前年度との比較増減額は695億5、606万円余、8.2%の減少となりました。 次に、決算の特色を御説明いたします。恐縮ですが、7ページにお戻り願います。ページ中段の2、決算の特色をごらんください。 なお、前年度比較につきましては、便宜、増減率で御説明させていただきます。 まず第1は、決算規模が前年度を下回ったことです。歳入は、国庫支出金や県債等の減により、前年度に比べ7.9%減少し、歳出は、衛生費、土木費や災害復旧費等の減により、前年度に比べ8.2%減少しています。この結果、決算規模は歳入歳出ともに前年度を下回りました。 第2に、県税収入の減少です。個人所得の増加に伴い個人県民税が2.1%増加したものの、県内に本店等を有する事業者の国内取引の減少に伴い地方消費税が7.5%減少したほか、企業収益の伸びの縮小に伴い法人二税が3.0%減少したことなどにより、前年度に比べ1.7%減少し1、293億7、651万円となりました。 第3に、投資的経費の減少です。投資的経費の普通建設事業費は、海岸防潮堤等の事業費の減により、前年度に比べ10.4%減少し、また、災害復旧事業費は、復旧、復興事業の進捗に伴う漁港等の事業費の減により、前年度に比べ49.0%減少しました。この結果、歳出総額に占める投資的経費の割合は、前年度に比べ1.3ポイント減少し14.7%となりました。 第4に、翌年度繰越額の減少です。復興関連事業や災害復旧事業が進捗したことなどにより、前年度に比べ4.8%減少し808億4、404万円となりました。 第5に、県債残高の減少です。県債残高は、県債発行額が県債償還に充てられる公債費の元金償還額を下回ったことから、前年度に比べ2.7%減少し、1兆1、955億3、494万円となりました。 続きまして、特別会計の決算を御説明いたします。43ページをごらん願います。ページ中段の特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により御説明申し上げます。 特別会計全10会計の歳入総額は2、910億7、807万円余で、前年度に比べ115億8、751万円余の増加となり、続いて、歳出総額は2、890億4、192万円余で、前年度に比べ128億1、127万円余の増加となりました。増減の理由は、歳入歳出ともに公債管理特別会計の増加などによるものであります。また、実質収支につきましては、各特別会計とも黒字または収支均衡となっております。 以上で、令和5年度歳入歳出決算の概要説明とさせていただきますが、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。 なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じております。 説明は以上でございます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。 〇福井せいじ委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。 質疑時間につきましては、まず、希望いわてが37分、次に、自由民主党が37分、次に、いわて新政会が17分、次に、いわて県民クラブ・無所属の会が15分、次に、日本共産党が9分、次に、会派に所属しない議員は、社民党木村幸弘委員、公明党小林正信委員、無所属田中辰也委員の順に、それぞれ7分となっております。 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑することができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、基本的感染対策として、換気のため、午後はおおむね1時間半ごとに休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。 なお、総括質疑は、15日の遅くとも正午までに終了することを目途にしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。 これより総括質疑に入ります。菅野ひろのり委員。 〔菅野ひろのり委員質問者席に着く〕 〇菅野ひろのり委員 それでは、会派を代表いたしまして、前半は、私から財政や歳入歳出について、そして後段は、実施事業等について柳村一委員から総括的に質疑をさせていただきます。 それでは、まず初めに、令和5年度の決算総括を行うに当たりまして、私は、財政も含めて過去のトレンドをしっかりと押さえた上で財政指標、そして現状を照らし合わせることが、正確な私たちの県政の立ち位置を確認することになると考えております。そういった中から質問に入ってまいります。 まず、達増県政が始まったのが2007年、平成19年であります。そのときの状況はと言いますと、ほかの都道府県と比較しまして標準財政規模、いわゆる総務省が示した岩手県の財政規模に対する県債費の残高は高い割合となっていて、当時は全国41位だったということです。これは、いわば身の丈を越えた借金を抱えてしまっていたというのが達増県政のスタートであって、さらには、岩手県競馬組合への融資に伴う財源対策基金の残高、この貯金が大幅に減少するという厳しい数字が始まりでありました。 その前、増田県政時代、1995年、平成7年からでありますが、この時代は、国の事業に呼応した公共事業の予算が当初予算ベースの3割、30%を占めていまして、バブル崩壊後の景気浮揚策として、国、地方とも公共投資にかじを切った時代でありました。 このあたりの時代の評価というのはそれぞれあるでしょうから置いておきますが、そういった公共事業が3割を占めていたという増田県政に比べて、達増県政がスタートしたその後の時代背景としては、2007年、平成19年は15%台まで下がって、現在は一桁になっているという状況であります。 そうなると、気になるのは、今度は県債の残高であります。結果的に臨時財政対策債を除いた実質的な県債残高は、平成14年に約1.3兆円というピーク、それ以降は減少して、現在はその6割程度の水準となった7、500億円ということであります。 ここから質問に入っていきますが、要は、当時の財政出動と公共施設の建設等があった時代から、達増県政というのは、大型公共事業投資を抑えながら、借金を返済しながら、抑制的に事業を行ってきた。その中に東日本大震災津波があって、達増知事初め、県職員の皆様の不断の努力が行われてきたと思っております。その点に、まずは敬意を表したいと思います。 そして、今であります。現在は、人件費が上がってきて、物価も上昇、金利も上昇等の要因が加わっています。ことし9月に出された岩手県中期財政見通しでは財政調整基金の取り崩しによって対応した場合は、令和9年度には枯渇するのだというより厳しい時代に入ってきた。私は、フェーズが変わってきたと捉えております。 ここで伺いますが、最長の県政運営を担う達増知事は、岩手県財政の変遷をどう捉え、現在の財政健全化についての認識を持っているのか、今後の見通しについてお伺いいたします。 〇達増知事 知事に就任した平成19年当時は、過去の公共事業や大規模施設の整備等により県債残高が高い水準で推移する一方、財源対策基金については大幅に減少するなど、非常に厳しい財政状況にありました。 知事就任以降、平成19年度に策定した岩手県集中改革プログラムや平成25年度に策定した公債費負担適正化計画のもと、歳入確保と歳出の見直しに不断に取り組むことにより、平成23年度から9年連続でプライマリーバランスの黒字化を達成するとともに、公債費負担適正化計画についても、2年前倒しで目標を達成しました。 これにより、臨時財政対策債を除く県債残高が大幅に減少し、財政調整基金の残高も85億円から、令和5年度末時点で310億円と225億円増加するなど、財政健全化を着実に進めてまいりました。 今後、人口減少等を背景として実質的な一般財源が減少する一方、金利上昇等による公債費の増加等、歳出の拡大が見込まれるなど、厳しい財政運営が続いていくものと認識しております。 〇菅野ひろのり委員 そのような中で、この間示された中期財政見通しであります。ここから財政状況について伺ってまいりますが、やはり収支ギャップの要因とこの対策でございます。 県がことし9月に公表した中期財政見通しによりますと、令和6年の当初予算で歳入確保、歳出抑制に努めた結果、1年前と比較して収支ギャップは一定程度改善されたものの、令和7年度以降、ここは99億円から190億円程度の財政収支ギャップが生じるということであります。財政運営は大変厳しいと思います。 そこで、収支ギャップが生じる要因とその解消策をどう考えているのか伺います。 〇達増知事 本県を含む地方全体の一般財源総額は、国のいわゆる骨太の方針により、令和9年度まで令和6年度と同水準が実質的に確保される見込みですが、本県においては、人口減少等を背景とした県税や普通交付税の減少に伴い、今後、実質的な一般財源総額は減少していくものと見込んでいます。 一方、歳出について、給与改定や定年引き上げによる人件費の増加や高齢化の進行等に伴う社会保障関係費の増加のほか、金利上昇に伴い公債費の増加が見込まれることから、令和7年度以降、収支ギャップが拡大していくものと見込んでいます。 こうした状況を踏まえ、各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直し、より低利な資金調達など、あらゆる手法による歳入確保に取り組むとともに、事務事業の精査など徹底した歳出水準の適正化と限られた財源の重点的、効果的な活用に努め、収支ギャップの縮小と収支均衡予算の実現に向けて不断に取り組んでまいります。 〇菅野ひろのり委員 先ほど知事にも御答弁いただきましたが、金利上昇が県財政に与える影響も大きいだろうと思っています。中期財政見通しにも記載がありましたけれども、その内容を見ますと、先ほど御答弁いただいた人件費、公債費、大規模事業費の影響、この三つが非常に大きく見えます。特に公債費におきましては、日本銀行の金融政策の見直し等の影響も考慮し、今後の利払いの見込みも推計されていると記載がありますが、メリット、デメリットいろいろあると思います。 歳入面、歳出面それぞれですが、金利上昇が県財政に与える影響をどう捉えているのか伺います。 〇千葉総務部長 金利上昇が県財政に与える影響についてでございますが、まず、県債発行について、例えば10年満期一括償還債で比較した場合ですが、ことし3月にマイナス金利政策の解除を含む金融政策が変更される以前、令和5年10月の実績が利率0.895%であったのに対し、今月発行予定分については1.029%と0.1%程度上昇しております。100億円を発行した場合では、単年度で1、000万円程度の利払い費の増となっております。 一方、基金の債券による長期資金運用においては、運用開始以降、購入債券の利率が上昇してきており、10年償還銘柄の利率の加重平均で見た場合、令和5年度0.844%に対し、令和6年度は1.038%となっており、0.2%程度上昇しております。 運用や調達の時期や期間、規模等の変動要素があるため、現時点で具体的な影響額を試算することは困難でありますが、金利上昇により歳出、歳入の両面で影響が生じるものと認識しておりまして、引き続き、金利環境の動向について注視をしてまいります。 〇菅野ひろのり委員 私がこの金利上昇で懸念する点は、財政についてはそのとおりだと思いますので、後ほど触れますが、資金運用の部分に関してはプラスなのだと思っています。 心配されるのは、個人あるいは企業について、今、コロナ禍から経済を回復させていかなければいけないところですが、金利上昇する中で、資金が借りにくくなって経済活動が抑制される一方で、物価に対しては下げ圧力が働くということであります。やはり個人、中小企業が多い本県でありますから、しっかりと県の財政面を捉えつつも、私は、企業の動向、特に法人税などにも関連していきますから、そういったところも注視していただきたいと思っています。 ここから、歳入確保策について伺ってまいりたいと思います。 税収の現状と見通しについてでございます。 先ほど、最初の説明の中で法人二税は3%減だという御報告があったわけでありますが、県税収入の内訳を見たとき、中期財政見通しでは経済連動による法人事業税などの増加を見込んでおります。一方で、人口減に伴う影響額というものがあります。個人県民税などは減収となっています。結果、数字で見ると、人口減少でマイナス38億円、県税等でプラス25億円、この間は、63億円程度あるということです。すなわち、これは低減税率の関係と、法人税があることによって相殺される関係になっているという様子であります。 国はどうなのかと見てみると、国税は4年連続で過去最高を更新している。総務省が先月公表しました都道府県の普通会計の決算によると、地方税は前年比プラス1%と伸びているのです。 一方で、岩手県はどうかと見ますと、令和3年度をピークとして、令和5年度は1、294億円となっておりまして、この2年間の減少額は48億円、率にして3.6%の減となっている。要は、地方税が全国を見るとプラス1%だけれども、岩手県は3.6%減っているとのことです。 自治体ごとや人口、産業構造によっていろいろな違いがあるので単純に比較するのは難しいと思いますが、国税や他都道府県と動きが異なる要因をどう把握、分析しているのか伺います。 〇千葉総務部長 菅野ひろのり委員御指摘のとおり、令和5年度の国税収入は72.1兆円で1.3%の増、全国の都道府県税は23.4兆円で1.0%の増となりましたけれども、本県の県税収入決算見込み額は1、293億7、000万円余で、前年度と比較して22億1、000万円余、1.7%の減となっております。 全国と傾向が異なることとなった要因といたしましては、法人事業税が全国の2.1%の増に対し、本県は2.4%の減となっており、これは、円安を背景に業績が好調となった輸出関連企業が多く立地している都道府県において税収が伸びた一方で、中小企業の割合が高い本県においては税収が伸びなかったためと考えております。 また、地方消費税は、全国の2.4%の減に対し、本県は7.5%の減となっており、これは、物価高騰等を背景に、県内に本店等を有する事業者の国内取引の減少の割合が、全国よりも大きかったことによるものと考えております。 〇菅野ひろのり委員 先ほど中小企業の割合が本県は多いということでありました。一方で、法人税をしっかり確保していくことが、今後の中期財政見通しでもキーワードになるのだと思っています。 そこで、法人税を支える県内製造業、ものづくりについて伺いたいと思います。 本県は、自動車産業、半導体産業、そういった産業を中心に、税制、財政、人員確保等、いろいろな推進体制を構築しながら行ってきたと思っています。根本的には人口減少対策をしながら税収を確保していくということでありますが、人口はすぐ回復するわけではありません。県税収入の4分の1を占める法人二税の確保は、非常に重要だと思っています。 経済環境の変化も大きいところでありますが、金利、為替の変動が製造業に与える影響をどう捉えているのか伺います。 〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 自動車、半導体関連産業はグローバル産業であり、半導体関連産業については、世界経済の動向に大きな影響を受け、本県の自動車関連産業についても、トヨタ自動車東日本株式会社が、輸出の拡大が期待できる新型車の製造を開始していることなどから、特に為替や海外の需要の変動の影響を受けるものと受けとめております。 自動車、半導体関連を初めとした輸出向けの製品等を製造する企業は、あらかじめ金利や為替の変動リスク等の影響を業績予測等に適切に盛り込みながら事業展開しているところであり、現在の状況においては、大きな問題は生じていないと聞いております。 一方で、大幅な変動が長期化することによりまして、今後、これらの企業に影響を及ぼしてくる懸念もあると捉えております。 〇菅野ひろのり委員 その懸念というのが今非常に重要なのだと、私も思います。といいますのも、10月9日に、宮城県大衡村に台湾の半導体大手PSMC―力晶績成電子製造が進出を予定しておりましたが、断念するという報道がありました。これは四半期連続で赤字、あるいは日本政府から補助金を受けるには10年以上の継続生産を求められたとのことです。要は、将来見通しの難しさが半導体産業にあるのだと思っています。 そういった報道を見ますと、キオクシア岩手株式会社を抱え、そういった中で中心の法人税あるいは雇用環境を維持している本県としては、これは対岸の火事ではないと思っています。 そう思いますと、法人二税収入を半導体、自動車産業を中心にしっかりと確保しつつ、税源涵養、すなわち将来の税収をふやす方法を考えながら産業振興の具体的な方策を講じていく必要があるのではないかと考えておりますが、見解を伺います。 〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 令和5年度の法人二税調定税額は県全体で約293億円であり、このうち製造業は約98億円、10年前と比較して約48%増加し、調定税額全体の約33%を占めております。 また、令和4年の県内の製造品出荷額は約3兆1、124億円で、初めて3兆円を突破、10年前と比較して約40%増加しており、自動車、半導体関連産業を中心としたものづくり産業の成長が、税収増加に寄与しているものと受けとめております。 こうした中、自動車、半導体関連産業が為替や海外の需要の変動の影響を受けることを踏まえ、安定的に税収を確保していくことが重要であると考えており、内需型で今後成長が期待できる医療機器関連産業を自動車、半導体関連産業に続く戦略産業に位置づけ、その振興に取り組んでいるほか、スタートアップ支援や新産業の育成等も進めているところでございます。 加えまして、各地域の特性を生かした産業の集積やインバウンドを含めた観光客の誘客拡大による観光産業の振興なども進めているところであり、今後も、そうしたさまざまな取り組みを通じて経済の好循環を生み出し、税源涵養に努めてまいります。 〇菅野ひろのり委員 一般質問でもありましたが、ヘルステック産業であるとか、県内でも食品加工産業も強みなのだと思っています。また、雇用の面で言えば、北上市、金ケ崎町だけではなく、県北地域にもしっかりと広げるような産業基盤を目指していただきたいと思っております。 次に、歳入の確保策、あらゆる確保と当局の皆さんはいつもおっしゃっている中で、ふるさと納税について伺いたいと思います。 あらゆる歳入確保策、これは過去の答弁の中でも三つ挙げられています。ふるさと納税の魅力化、基金の長期資金運用の拡充、電気事業会計からの繰入金の拡充、この三つであります。ふるさと納税の現状と今後の方針について伺っていきますが、その実績であります。 岩手県への納税額と県民が行った納税額の差し引き額、増収分と減収分の差し引き額です。これまで、過去にもいろいろ質疑がありますが、その答弁を見ますと、令和3年度は約9、000万円の減収、令和4年度は約1.9億円の減収となっている。実質的には赤字が拡大しているのだという内容だと思います。 そこで伺いますが、令和5年度の決算、この収支、増収分と減収分の状況はどうかお示し願います。 〇村上ふるさと振興部長 ふるさと納税の令和5年度実績に係る収支でございますが、本県が受け入れた寄附額2億4、000万円余から、募集に要した経費約8、000万円を除いた収支額は約1億6、000万円となります。 一方、県民が行ったふるさと納税に伴う県民税の減収額は、前年の減収額に対する普通交付税措置額を加味しても3億5、000万円余となっておりまして、差し引きで約1億9、000万円の減収になっているものと推計しております。 〇菅野ひろのり委員 やはりこの部分が、私は岩手県の課題ではないかと思っています。一方で、課題ということは伸び代でもあると考えます。 他県の動向を調べてみますと、本県と似ているようなところで言いますと、全国トップの山形県は、令和5年度決算で27億円を超える寄附を全国から集めています。山形県の産業の構造、人口を見ますと、人口102万人、製造業や農業が中心と、岩手県とはそんなに大きく違わないように感じています。 そこで端的に伺いますが、ふるさと納税額に対して、山形県と本県の決算額で約25億円もの大きな開きが生じていますけれども、その要因をどう分析しているのか伺います。 〇村上ふるさと振興部長 山形県におきましては、ふるさと納税による寄附額が多いことから、県内事業者の出品に対する意向が強く、サクランボや桃などフルーツを中心に3、000品弱の返礼品があると承知しております。 山形県におきましては、返礼品の選定に当たりまして、特段市町村との調整を行っていないということでありまして、多くの返礼品におきまして、市町村と重複している状況にあると伺っております。 本県におきましては、極力市町村との重複を避けるような調整を行っており、仮に重複する場合でありましても、事前に市町村と調整を行って、市町村の意向を尊重して返礼品の選定を行っておりますことから、返礼品数の差を生じているものと捉えております。この返礼品数の差が、本県と山形県との寄附額の差の大きな要因であろうと捉えております。 こうした状況にはございますが、本県におきましても、昨年度、ポータルサイト事業者との新たな契約によりまして返礼品の拡充を進め、令和5年10月1日現在で102品あった返礼品が、本年10月6日現在では168品まで増加したところであり、今後におきましても拡充に努めてまいります。 〇菅野ひろのり委員 確認ですが、山形県は3、000品あると。本県の場合は168品だけれども、その違いは市町村と重複しているかどうかという理解でよろしいですか。これが、仮に合わせたときはどういう数字になるのか理解していらっしゃいますか。 〇村上ふるさと振興部長 申しわけありません。私の説明が十分伝わりづらかったかもしれませんが、山形県は、県も市町村も同じものを出しているといったことで、県側の返礼品数が約3、000に上っているということです。本県の場合は、県と市町村の返礼品を極力ダブらないように調整しているので、県の返礼品数が少ない状況になっている、そういう状況でございます。 〇菅野ひろのり委員 ありがとうございました。大変失礼しました。 私も山形県に、大変恐縮だったのですが、お電話して直接聞かせていただきまして、平成20年代当初は、山形県も30位とか低位だったのです。そこから品数をふやしてきた中で、特に好評なのがフルーツ定期便だということで、定期的に、継続的にふるさと納税いただいていることが大きいのではないかとおっしゃっていました。 やはり魅力的な商品により繰り返しふるさと納税いただく仕組みに取り組んでいく必要があるだろうと私は思っています。 そこで、今後、ふるさと納税をさらに伸ばしていくため、県の取り組みをどのようにやっていくのか伺いたいと思います。 〇達増知事 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった自治体への寄附を通じて感謝や応援の気持ちを伝えることができる制度であるとともに、岩手ファンの拡大や県産品のPRに対し有効な取り組みであります。 このため、令和4年度には、県内の対象宿泊施設等で利用可能なポイントを返礼品として付与するサービスを開始、令和5年度には、ポータルサイト運営事業者と新たな契約を締結し、より多くの事業者が返礼品の提供に参画できるような仕組みの導入や返礼品の拡充を進めてまいりました。 本県には、山形県にまさるとも劣らぬ魅力的な県産品が数多くありますので、今後におきましても、県内事業者への働きかけによる魅力ある返礼品の発掘、充実、好調に推移しているポイント型返礼品の利用対象施設の拡充、民間ポータルサイトによるプロモーションの強化、岩手ファンが集まる首都圏イベントでのPRなどの取り組みを強化し、交流人口、関係人口の拡大と財源確保を目指し、ふるさと納税の一層の魅力化を推進してまいります。 〇菅野ひろのり委員 この点については部局別審査でも質疑があると思いますから、いずれ、ここは伸び代があると思っておりますので、重点的に対応をお願いしたいと思います。 次に移ります。2点目であります基金の長期資金運用の拡充について、先ほど金利のお話もさせていただきました。達増県政がスタートした当時、県債管理基金と公共施設等整備基金を財政調整基金に加えたいわゆる財源対策基金の残額が、平成8年のピーク時1、564億円から282億円にまで減少しておりました。 その後、公共施設等整備基金が廃止され、現在は五つの基金―少し割愛しますが―を収支ギャップ解消のために活用できると捉えることができると思います。 その財政調整基金は、令和6年度末現在高で227億円という見込みだそうですが、財政調整基金以外の残りの4基金の令和6年度末現在の見込みをお示しいただきたいと思います。あわせて、四つの財源対策基金の活用に当たっての考え方、見通しを伺います。 〇千葉総務部長 財政調整基金以外の4基金についてでございますが、各基金の設置条例におきまして充当する経費を定めており、地域振興基金は、県内各地域の特性を生かした振興を図る事業に要する経費、公共施設等適正管理推進基金は、公共施設等の長寿命化並びに配置及び規模の最適化を計画的に推進するための事業に要する経費、退職手当基金は、職員の退職手当の支給に要する経費、県債管理基金は、県債の償還に活用するものでございます。 これら4基金の令和6年度末残高は合計で500億円程度となる見込みでございまして、今後も、中長期的な財政需要を勘案しながら、各基金の設置目的に従い、毎年度の予算編成過程において具体的な活用について検討してまいります。 〇菅野ひろのり委員 中期財政見通しで財政調整基金が枯渇するという見通しもありましたが、目的別に沿ってほかの基金があるということでございました。500億円ということであります。 では、長期資金の運用についてどうしていくのかというところを伺ってまいりたいと思うのですが、令和6年度の運用額と利息収入をことし2月の予算特別委員会で柳村一委員が伺ったところ、当局からは、行政経営プランの目標額を上回る200億円余の運用額を予定し、その200億円を運用した利息収入は1億円を超えるという見込みの答弁がありました。 自治体というのは、歳入の硬直性が高い中で、年間1億円を超える財源を新たに確保する取り組みに挑戦されたのは、私は歳入確保策としては大きな前進であったのではないかと思っています。 一方で、先ほどから取り上げております金利の状況、外的な要因、これらの変化がある中で、金利のある世界が戻ってきたわけであります。一方で、安全性も第一だと資金運用の中では考えるわけですが、今の金融環境の変化も捉えて、令和7年度以降、この運用方針をどうするのか、県の考え、運用額、利息収入の見通しを伺います。 〇千葉総務部長 令和4年6月の運用開始以降、金利変動リスクの観点から、債券購入時期を平準化すること、地方債や財投機関債など一般的にリスクが極めて低いとされている債券に対象を限定することといった方針のもと、各基金における債券運用の比重も考慮しながら、一定のペースで運用規模を拡大しているところでございます。 この結果、令和7年度末時点での運用額は、行政経営プランの目標額170億円を上回る270億円余、また、令和7年度中の利息収入は約1億8、000万円になると見込んでおります。 金融環境が大きく変化している状況下であり、引き続き、市場の動向を注視しつつ、安全性と利息収入の最大化の両立に努め運用規模の拡大を図ってまいります。 〇菅野ひろのり委員 1.8億円ということでありました。この点は、金融の専門家の方々がいらっしゃると思いますから、そういった助言等をいただきながら、丁寧に運用いただきたいと思います。 そして、3点目でございます。これも一般質問でもありましたが、やはり電気事業会計からの繰入金は、多くの皆さんが気になると思っています。県立病院等事業会計は赤字という中でありますが、電気事業会計は安定した経営状況を確保していると思っています。 令和4年度から令和6年度までの3年間で、総額25億円を上回る一般会計への繰り出しが行われました。過去の答弁で知事からも、この役割の重要性は認識されているという答弁がありました。私からも、ここはさらに踏み込んで、企業局の貢献をさらに期待するものでございますが、知事の見解を伺います。 〇達増知事 電気事業会計では、これまで高い収益性を背景に、その利益の一部について地域貢献施策を通じた県民への還元を図ってまいりました。 令和5年度においても16億円余の純利益を上げる一方、GX―グリーントランスフォーメーションの推進などの財源として10億円余を一般会計に繰り入れ、また、県立病院等事業会計に30億円の貸し付けを行うなど、地域社会の発展と県民福祉の向上に大きく寄与したところであります。 監査委員の審査意見書にも指摘がありますが、クリーンエネルギーの安定供給とGX推進のための財源確保は、本県におけるグリーン社会実現のいわば両輪であり、電気事業会計が、これまで以上に重要な役割を果たしていくことを期待しております。 〇菅野ひろのり委員 歳入確保策については、法人税、ふるさと納税、資金運用、電気事業会計、この4点申し上げさせていただきました。ぜひそういった中、打ち出の小づちというのはないと思いますが、一つずつ確保策に取り組んでいただきたいと思います。 そして、話は変わって、歳出のほうに移りたいと思います。歳出の抑制策です。 やはり収入の確保1.云々億円というのがありましたが、これは歳出の抑制を岩手県はしっかりやっていかなければいけないと思っています。 そこで、職員体制についてでございます。 先ほどから述べておりますが、中期財政見通しでは、4年間で24億円上がるという見込みがされております。長期的に見た場合、人件費の抑制、本庁と広域振興局の役割分担、組織のスリム化の検討が今後必要になってくると思いますが、考え方、方針について伺います。 〇千葉総務部長 菅野ひろのり委員御指摘の中期財政見通しにおける人件費の増は、今後の給与改定や定年引き上げ期間中の職員採用に伴う定数増など、一時的な要因を見込んだものでございます。 人口減少が進み、行政を担う人材確保が一層困難となる一方で、さまざまな社会経済情勢の変化に伴い、行政需要はより複雑化、多様化していくことも想定され、そうした状況に適応していくためには、組織体制のスリム化を図りながら、限られたマンパワーを最大限活用し、必要な県民サービスを持続的に提供していくことが重要と認識しております。 具体的には、現在、中長期的な観点から、移動時間の短縮等を踏まえた本庁組織の大くくり化や出先機関の活動エリア等の見直しを初め、出先機関を含む県組織の抜本的なあり方について、全庁挙げて検討しているところでございます。 こうした取り組みを通じて、限られた行政経営資源の中にあっても、職員が個々の能力を十二分に発揮しながら、将来にわたって県民サービスを維持、向上し得る組織、職員体制の構築を適時適切に進めてまいります。 〇菅野ひろのり委員 抜本的にいろいろ考えていくということでありましたが、他県の状況、特に東日本大震災津波以降の東北6県の人員体制を見ますと、総務省が発表している地方公共団体定員管理調査結果では、岩手県の場合は、平成23年から令和5年、東日本大震災津波以降109%と職員がふえていまして、被災県の宮城県、福島県は101%、ほかの東北地方の県は下がっていたと記憶しています。要は、岩手県は少しというのか、多いのです。 これを見ると、職員の数、これは、ある事業に対してどうしていくのかとなってしまうと確保するしかないと思っていて、私も民間企業出身ですが、ある人員でどうサービスを提供していくかという考え方に立たないと、組織体制のスリム化というのはなかなか難しいのではないかと考えます。 一概に言えないと思いますが、改めて考えを伺いたいと思います。 〇千葉総務部長 東日本大震災津波の発災以降、被災3県におきましては、復旧、復興事業を推進するため、一般行政部門の職員を増員し、その後、ここ数年は、復興の進捗に伴い徐々に減少傾向となっていると捉えております。 菅野ひろのり委員御指摘のとおり、本県の職員数は東日本大震災津波前よりもふえておりますが、これは、たび重なる自然災害、新型コロナウイルス感染症対策などに対応するため、土木職や保健師を初めとする技術系職員の採用を積極的に進めたことと、平成29年に文化スポーツ部を新設する際に、教育委員会事務局から定数を知事部局に移管したことが要因として考えられるところでございます。 先ほど御答弁申し上げましたとおり、現在、中長期的な観点から、県組織の抜本的なあり方について全庁挙げて検討しているところであり、DX―デジタルトランスフォーメーションを一層展開し、業務の変革、効率化を図りながら、将来を見据え、必要な県民サービスを持続的に提供し得る最適な組織体制の構築を進めてまいります。 〇菅野ひろのり委員 DXの話もいただきましたし、部局から移ったのだということがありましたが、県庁舎建てかえの議論もある中で、将来を見据えた業務改革、そして、箱物の大きさ、さらに人員体制、これはセットだと思っておりますので、引き続き考えていただきたいと思っています。 そういう中で、歳出という点でいうと、公共施設の適正管理についてであります。 県は、総合管理計画を出していますが、これも、今後30年間で約6、050億円、年平均約202億円出ていくと見込まれています。この辺も、施設の規模の適正化に向けた検討が必要なのだと思います。 2040年までに面積を令和2年度比で85%まで削減するという目標もあるところですが、来年度の計画の改定に向けた現在の検討状況、考え方、方針について伺います。 〇千葉総務部長 将来にわたって公共施設の維持管理及び行政サービスの提供を持続可能なものとするため、現行の公共施設等総合管理計画では、県の人口ビジョンを踏まえ、2040年までに公共施設の延べ床面積を85%程度まで削減することを目標に取り組みを進めており、取り組み開始2年目となる令和5年度末では、利用が低調な職員公舎、庁舎を中心に3.2%の削減実績となっております。 目標の達成に向け、また、厳しい財政環境の中で限られた財源を投資していく施設を見きわめるため、現在、県民生活に直結する県民利用施設等67施設で、施設の利用状況や維持管理コスト、建物性能を点数化する定量評価と、施策上の必要性や代替の可能性などを評価する定性評価のいわゆる二軸評価を行っております。 この取り組みにより、優先的に整備する施設や統合、廃止する施設を峻別し、来年度策定する次期公共施設等総合管理計画に盛り込むとともに、その財政負担につきましては、令和7年度に策定する中期財政見通しに反映させてまいります。 〇菅野ひろのり委員 公共施設の計画を進める中で、目標として、県民1人当たりの負担額1万2、000円以下というのも出されているかと思います。財政の面からはそれを達成するのは重要だと思うのですが、一方で、公共施設の修繕費あるいは資材単価が上がってきたりしている中で、その目標の1万2、000円に頑張って合わせるのも重要ですが、私は、目標達成と施設の維持、そこに係る修繕費の捻出というのでしょうか、そのバランスが非常に重要だと思っています。その辺の考えを少し伺いたいと思います。 〇千葉総務部長 菅野ひろのり委員御指摘の県民1人当たり負担額を1万2、000円以下とするという目標でございますが、令和4年度に公共施設等総合管理計画及び財政目標として掲げております。 その後、令和5年度、令和6年度と全国的な物価高騰、賃金上昇の流れを受けまして、公共施設等の維持、更新等に係る経費についても相当程度上昇していると考えております。 安定的な公共施設の維持管理、更新といった持続可能な財政基盤の構築という相反する両面から慎重な検討を行った上で、新たに設定する目標について、来年度更新を予定している次期公共施設等総合管理計画に反映してまいりたいと考えております。 〇菅野ひろのり委員 今、相反するという言葉がありましたが、私もこれを見ながら、どちらの軸で捉えていいのか、実は自分自身の答えを持ち合わせておりません。ぜひそこは庁内でも検討いただいて、考えていただきたいと思います。 そういう中で1点、個別の話をさせてください。県立農業大学校について、関連する9月補正予算がありました。この公共施設は40年以上たっていて、ことし7月に電源が喪失してしまったのです。その間、クーラーも使えないし、例えば生乳の廃棄も行われたということです。今は発電機を使って対応しているとのことです。その補正予算でありましたが、施設を訪問したところ、そろそろ考えなければいけないのではないかと率直に思ったところです。 また、建設した当時から農業環境も大きく変わっています。私は、今の農業を取り巻く環境に合わせながら、役割、機能について考えていかなければいけないのではないかと思っていますが、県の考えを伺います。 〇佐々木副知事 県立農業大学校は、本県の基幹産業である農業を支え、地域農業の発展を担うリーダーとなる農業者を育成する役割を担っており、農業の専門科目の講義と実習、先進的な農業経営体での実務研修など、理論と技術を一体的に学ぶ教育を実践しています。 現状でありますが、少子化の進行に伴い学生数が減少しているほか、昭和40年代から50年代に整備された施設が多く、老朽化が進んでおります。これは菅野ひろのり委員御指摘のとおり、電源も一旦とまったということでありますが、魅力あるカリキュラムや研修内容の充実、施設の整備等により、農業大学校の機能を強化していくことが必要となっています。 また、農業従事者の減少、高齢化、経済のグローバル化、気候変動やGX、DXの進展など、本県農業を取り巻く環境が大きく変化する中、農業大学校の果たす役割はますます重要になっていると認識しています。 このため県としては、本県農業の次代を担う農業者を着実に育成していくため、今後、農業大学校の果たす役割や必要となる機能、施設設備の方向性などについて、農業者、関係団体等の意見を伺いながら、農業大学校の機能強化に向けた基本構想の策定に向け検討を進めてまいります。 〇菅野ひろのり委員 基本構想の策定ということで、岩手県における後継者の育成の拠点になるわけですから、ぜひ検討を重ねていただいて、これからの農業を担う施設を築いていただきたいと思います。 岩手県立病院等事業会計予算について伺います。 人員体制、そして公共施設の適正化管理、そして、大きいのは県立病院等事業会計であります。年間200億円の繰り出し、これは、国レベルの委員会に名を連ねる見識の高い外部有識者で構成された持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の議論の中でも取り上げられておりまして、繰り出しは本県の強みと整理されております。次期経営計画では、計画初年度約10億円の赤字を見込んでいますが、最終年度、令和12年度は黒字としております。 一方で、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後、県立病院だけではなく、いろいろな病院が本当に大変です。特にその結果で大きかったのが県立中央病院です。9億円近い黒字だったのが赤字に転落したというのが、非常に衝撃的でありました。 基幹病院の県立磐井病院、県立大船渡病院、県立宮古病院、県立二戸病院も5億円から9億円程度の損益悪化ということでありますが、令和6年度上半期の状況を踏まえて、現状の経営見通しをお伺いします。 〇小原医療局長 損益の見通しについてでありますが、今年度は、新型コロナウイルス感染症の通常の対応への完全移行に伴い、通常診療の充実を図りながら、地域の医療機関や介護施設等との連携による入院患者の確保や救急患者の積極的な入院受け入れなどの取り組みを行っております。 しかしながら、昨年度まで多発していた新型コロナウイルス感染症による診療制限は最小限に抑え込めているものの、患者数がコロナ禍前の水準に回復しておらず、特に基幹病院においてその傾向が強い状況にあります。 新たな施設基準の取得による診療単価の向上により収益は増加しているものの、高額薬剤の使用量の増加等による材料費の増加や物価高騰の影響による委託料等の経費の高どまりから、費用の伸びが収益の伸びを上回り、また、今後は給与改定による給与費の増加も見込まれ、現時点で令和6年度は新型コロナウイルス感染症関連補助金がないこともあり、昨年度よりも厳しい状況を見込まざるを得ないものと認識しているところでございます。 〇菅野ひろのり委員 医療局長も今回から決算特別委員会の総括質疑に出席されるということで、もう少し伺っていきたいと思うのですが、おっしゃるように、基幹病院の赤字が経営全体に対して一番大きいと思っています。一方で、不採算地区医療などを含め、県民の医療を支える経営安定というのは、繰り出しが認められていても、やはり重要なのだと思います。 令和7年度を初年度とする次期経営計画では経営が改善する見通しとなっていますが、少しずつ経営計画に対する影響も出てくるのではないかと思っておりますが、その実現に向けた方策について伺います。 〇小原医療局長 収支計画につきましては、現状として非常に厳しい状況にありますけれども、令和7年度以降は、機能分化と連携強化の基本方向のもと、機能集約、強化型の病院に症例を集積し、診療単価の向上を図るほか、サイバーナイフ等の高度医療器械を重点配置し、他県に流出していた患者を積極的に受け入れてまいります。 また、地域病院においては、基幹病院との連携により回復期の患者の受け入れを強化するなど、県立病院全体で収益の確保に取り組むとともに、また、費用面では、患者数に応じた病床数の見直しのほか、必要性や収益性、業務の効率化による職員配置の適正化、薬品や診療材料の品目統一化、廉価購入といった取り組みを不断に進めながら、計画達成に努めてまいります。 また、病院の経営状況につきましては、全国自治体病院協議会や民間の病院団体、また、全国知事会からも、同様に非常に厳しい経営環境にあることが発信されており、医療局といたしましても、国に対し、現状を訴え、必要な財政支援を要望してまいりたいと考えております。 〇菅野ひろのり委員 やはりこの経営環境が非常に厳しいというのは、これからさらに進むのだと私は思っています。人口も当然減少しますし、医師の高齢化、そして医師の確保もさらに難しくなっていくと思っています。だけれども、やはりそこに住む人がいるわけでありますから、公立病院の役割はますます重要になってくると思います。 先ほど医療局長からも国に対するという話がありましたが、診療報酬も基本的に改定しなければいけないし、あとは財政措置を充実していかなければいけないと思っています。 全国の動向を見ますと、地方公営企業の2023年の決算は1、996億円の黒字から、一転して、公立病院の事業は約2、000億円の赤字となったということです。新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の減や人件費高騰が影響している中で、全国知事会における地方税財政常任委員会において、達増知事から、不採算地区など条件不利地域を含む全ての地域において必要な医療を安定的に提供できるよう―ここからが重要で―繰出金に対する地方財政措置をさらに拡充すべきだと力強く提言していただきました。この発言もあって、公立病院の経営安定化支援が追加されたところであります。私は、これは地方の実態に即した重要な提言であって、本県は県立病院が一番多いわけでありますから、重要な提言だったと評価されるべきだと思っています。 そこで、コロナ禍以後の急激な損益の悪化については、全国の公立病院が抱える共通の課題ですから、診療報酬の抜本的な見直しを求めることは原則ですし、まさに、国全体の医療体制が非常事態と言える現状を踏まえて、国は新たな財政措置に踏み込むべきだと考えておりますが、県の認識を伺います。 〇千葉総務部長 本県ではこれまで、医師不足や不採算地区での経営などの条件不利地域においても、必要な医療を安定的に提供できるよう、公立病院への繰出金に対する措置の拡充について国に要望してきたところでございます。 昨今、全国的に患者数の減少や物価高や賃上げの影響等により、公立病院は極めて厳しい経営環境が続いており、本県の意見も踏まえて、全国知事会として、資金繰りの円滑化のための企業債の創設や一般会計からの長期貸し付けに対する地方財政措置等を盛り込んだ新たな提言を作成したところでございます。 地域医療を維持していくため、地方財政措置のさらなる拡充が必要であると認識しており、本県においては、同一地方公共団体が設置する医療機関から医師等の派遣を受け入れる経費に対する新たな措置の創設等について具体的に要望しているところであり、今後も継続的に取り組んでまいります。 〇菅野ひろのり委員 これは、岩手県の実情を考えれば、与野党問わず、皆さんで一緒になって医療体制、この財政措置を求めていく必要があると思っています。 話が変わりまして、県立高等学校のあり方でございます。 県立高校も岩手県の強みと整理されていますが、やはり気になるのは人口減少です。令和5年の出生数は約5、400人。この世代が高校受験を迎えるとき、今と比べると、今は、令和4年は1万200人、15年後は5、000人になるということです。5割減になるというのが、これから待っている県立高校の生徒の姿なのだと思います。 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会でも一般財源負担額と基準財政需要額の乖離が指摘されておりますけれども、将来を見据えた県立高校のあり方をそろそろ考えていかなければいけない時期かと思いますが、次期県立高等学校再編計画に向けた議論の状況、基本的な考えを伺います。 〇佐藤教育長 県教育委員会では、昨年度から県立高等学校教育の在り方検討会議を設置し、次期県立高等学校再編計画の土台となる県立高等学校教育の在り方〜長期ビジョン〜の策定に取り組んできました。 今後見込まれる急激な生徒数の減少を踏まえ、県立高校の教育の基本的な考え方を、持続可能な社会の創り手となる人材の育成、高等学校の多様化に対応する教育環境の構築、教育の質の保証、教育の機会の保障、地域や地域産業を担う人材の育成、大学進学率の向上や基本的専門知識を持つ人材の育成の五つの柱に整理し、これらをもとに、学びのあり方、学びの環境整備、配置の考え方、教育の充実の方策等について具体的に検討を進めてきたところです。 検討の中では、生徒数の減少から統廃合はやむを得ない、小規模校における教育の質の保証の難しさなどについての意見がある一方で、高等学校の統廃合は、志願者数だけではなく、地域の実情を踏まえて判断すべき、1学年1学級校の募集停止基準は見直すべきとの意見も頂戴しております。 また、地区割と学校配置のほか、遠隔教育や特色化、魅力化の推進等についても意見が交わされたところであります。 今後、パブリックコメント及び県民説明会などを開催し、広く県民の皆様の御意見等を伺いながら、ビジョンの策定に取り組んでまいります。 〇菅野ひろのり委員 ストレートな答弁ではなかったような気がしますけれども、そういった中で、財政の観点からきょうは質問しますから、今後の建設投資に伴う将来世代の負担について伺います。 県立宮古商工高等学校、県立宮古水産高等学校の一体的整備、県立盛岡南高等学校、県立不来方高等学校の統合に伴う新築等を含めて、それ以外にも老朽化が進んでいる、41年以上たっている校舎が約65%もあるのが岩手県の状況であると聞いています。 建設投資に伴う将来世代の負担軽減のためにも、県立高校の適正配置に努めるべきと思いますが、その認識を伺います。 〇佐藤教育長 先ほどの県立高等学校の教育の在り方〜長期ビジョン〜の策定におきましても、適正配置についてはテーマということを申し上げたところでございます。現行の地区割、学校配置は、九つの地区割で配置しておりますが、これを六つの地区割に見直した上で学校配置を行う案をお示ししております。 また、農業、工業、商業などの専門高校や総合学科高校のあり方につきましても議論を進め、そのうち小規模校においては、専門性を維持しながら、よりよい教育環境の整備を図るため、より広域での再編も視野に入れながら検討を進めているという案でございまして、これらの点につきましても、広く県民の意見を伺いながらビジョン策定に取り組んでまいります。 〇菅野ひろのり委員 最後、簡潔にいきたいと思います。令和7年度の予算編成についてです。 これが示されておりますが、今回、重点事項推進枠を設けて3倍の額で要求するということでございますが、事業規模はどの程度になるのか伺います。 〇千葉総務部長 令和7年度の予算編成についてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興と第2期アクションプランで掲げる四つの重点事項の推進を最優先課題であると捉え、県民のニーズを的確に把握しながら、政策評価結果等を踏まえた積極的な見直しや再構築を行ってまいります。 御指摘の重要事項推進枠につきましては、令和7年度予算要求・調整基準のとおり、基礎的経費の1%、政策推進費の5%分の3倍が、要求額ベースで約15億円程度の規模となりまして、この範囲内で四つの重点事項に対する重点化を図ってまいります。 〇菅野ひろのり委員 最後でございます。マニフェストについて、まとめてお伺いさせていただきます。 マニフェストプラス39は知事の公約で挙げられて、34万票の支持を集め、5期目の当選の原動力になって、政党、会派を問わず、県民の皆さんもこの実現には関心、期待が寄せられていると思います。 それで、このマニフェスト関連事業について、私は、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期アクションプランの推進と一体に検討されているものと認識しております。その多くは、毎年度の予算編成で決定されますから、昨年2月同様、その進捗状況は県民、議会にわかりやすい形で示すべきだと考えます。県の方針について伺います。 もう一点でございます。その際、やはり予算要求における配意と財源確保についてでございます。 予算要求に当たってどう配意しているのか、そして、財源確保にどう取り組むのかということがさらに明確になると、より実現性へのプロセスが示せるのではないかと考えます。県の考えを伺います。 〇小野政策企画部長 前段の御質問にお答えいたします。 御指摘のように、マニフェストプラス39に掲げている内容につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期アクションプランの内容を踏まえた具体の施策として位置づけられるものでありまして、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン、マニフェストを一体として、他の施策と合わせて、各年度の予算の中で事業化を進めていくものになります。 したがいまして、その進捗状況に関しましては、来年2月の当初予算の公表に際して、マニフェストプラス39に関連する事業やその時点における取り組み状況等をお示しする方向で考えております。 また、現時点でマニフェストプラス39に掲げる多くの項目について既に実施しているところですが、施設整備など時間を要するものにつきましては、市町村を初め関係団体等とも連携、調整を行いながら取り組みを進めているところでありまして、その進捗状況に応じて、随時、計画等を示していくこととなります。 〇千葉総務部長 マニフェストプラス39に盛り込まれた事業のうち、多額の事業費を要するものは、四つの重点事項の推進に係る事業、道路の整備などの公共事業や大規模施設整備事業等でありますが、四つの重点事項の推進に係る事業については、先ほど申し上げたとおり、シーリングで捻出した財源の3倍まで要求できる仕組みとしております。 それから、公共事業については、毎年度一定の事業規模を確保している中で、緊急性や重要性、費用対効果を図るなどしてその優先順位を勘案して予算計上しており、公共施設の整備については、その進捗状況に応じて、大規模施設整備事業として所要額での要求を認めております。 これらの事業の実施に当たりましては、国費や有利な地方債を最大限活用しながら、さまざまな選択肢を検討の俎上に乗せ、あらゆる歳入確保策を通じ継続的かつ安定的な財源の確保に努めてまいります。 〇菅野ひろのり委員 2月定例会でしっかりとお示しいただきますようお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 〇福井せいじ委員長 では、質問者がかわります。柳村一委員。 〔柳村一委員質問者席に着く〕 〇柳村一委員 物価高騰対策について伺います。実績と今後の方針について。 県は、令和5年度に153億円余の原油価格、物価高騰対策を講じられ、この対策は事業者支援から生活者支援まで幅広く実施されました。 そこで、県が実施した令和5年度の物価高騰対策について、どのように評価しているのか、あわせて今後の物価高騰対策に対する県の基本的な考え方を伺います。 〇達増知事 令和5年度は、低所得世帯及び子育て世帯を初めとした生活者、中小企業者や運輸、交通事業者、介護、福祉、医療施設や農業者等の幅広い事業者など、物価高騰の影響を受けている生活者、事業者を支えるため、国の経済対策に全国に先駆けて呼応し、累次の補正予算を編成して、迅速かつ機動的に必要な物価高騰対策を講じてきました。 県が商工指導団体と連携して実施しているエネルギー価格・物価高騰等に伴う事業者の影響調査によれば、ことし8月末の調査時点でも、エネルギー価格、物価高騰により経営への影響が継続しているとの声が8割を超え、県民や事業者への影響は非常に大きいものと認識しております。 今年度においても、賃上げ支援金や生産性向上に取り組む中小企業に対する設備投資補助、事業継続に向けた相談体制の強化などを実施しているところであります。 10月4日に経済対策の総理指示があり、国においても検討が進められているものと承知しておりますが、県として、地方の実情に応じたきめ細かい物価高騰対策が可能となるよう、国に対して、交付金の配分を含む早期かつ十分な財政措置を求めるとともに、経済対策の動向を見きわめつつ、これに呼応し、補正予算案の編成を含め速やかに対応してまいります。 〇柳村一委員 生活者第一で今後も支援をお願いしたいと思います。 次に、指定管理者の賃上げについて伺います。 物価高騰はさまざまな分野に影響を与えていますが、自治体が委託や工事を発注する際の労務単価の急激な上昇もその一つです。今定例会の小西和子議員の一般質問において、東北地方で初めて賃金スライド制度を導入する趣旨の答弁がありました。 そこで、令和6年度における指定管理施設における人件費の総額を伺います。また、賃金スライド制度の導入に伴う県の財政の影響額の試算は行っているのか、行っているなら、その試算額を伺います。 〇千葉総務部長 令和6年度の人件費は、毎年指定管理者から提出される職員配置計画書をもとに算定したところ、約29億1、800万円となっております。 指定管理者制度におきましては、施設運営における事業者の裁量を重視しており、その人件費は、指定管理料のほか、施設利用料や自主事業等も含んだ運営費により賄われていることから、県財政への影響額を厳密に試算することは困難ではありますが、仮に、本年8月に人事院が示した民間給与の前年比の伸び率2.8%をそのまま反映させた場合の令和7年度の影響額は、約5、300万円と試算しております。 今後、県人事委員会が公表する民間給与をもとに変動率等を算出した上で、予算計上に向けた精査を実施してまいります。 〇柳村一委員 来年度から導入するというお話だったようですけれども、そうなると、令和6年度は2.8%だったのですが、それも加味した形の総額になるような予定でしょうか。 〇千葉総務部長 まず、来年度からということでありますが、私がお話しそびれていたかもしれませんが、例えば今年度の指定管理者の人件費上昇については、年度当初に指定管理者から提出されている配置計画書の中には、改定後の最低賃金を下回る施設もあるということでありますので、指定管理者からの要請等があった場合には、運営状況等も考慮しながら検討させていただきたいということで、それを踏まえて、また来年度、知事からこの間答弁させていただいたスライド制を導入するということでございます。 〇柳村一委員 指定管理制度は契約でありますので、その点もしっかりと皆さんに合ったような手当てをしていただきたいと思います。 次に、四つの重点項目について伺います。 まず、人口減少対策について伺います。 四つの重点項目の中でも、人口減少対策は最も重視すべき項目として知事も取り組まれております。全国トップレベルの施策を打ち出していますが、即効性がある施策は難しく、所得向上や生活環境改善なども含めた分野横断的な施策を展開しながら、人口減少対策に立ち向かう必要があります。 そこで、県が取り組んできたこれまでの人口減少対策をどう評価し、今後の人口減少対策の方向性をどう考えているのか伺います。 〇達増知事 これまで、いわて県民計画(2019〜2028)や岩手県ふるさと振興総合戦略などに基づき施策を展開し、自動車、半導体関連産業の集積による雇用の場の確保、県外からの移住、定住者数の増加、仕事と育児の両立に向けた環境の整備などの進展がある一方、コロナ禍を経て、東京一極集中の加速による社会減の継続や合計特殊出生率の低下など、全国的に人口減少に歯どめがかからない状況です。 こうしたことから、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、四つの重点事項を中心に人口減少対策に最優先で取り組んでおり、人口問題対策本部会議において部局横断的に議論し、相乗効果を高めながら、自然減、社会減対策を推進しています。 今後に向けては、少子化対策、社会減対策の強化の三つの柱の方向性を基本に、アンコンシャスバイアスの解消や、全ての方が自己実現や多様な働き方ができる職場環境の整備、関係人口、交流人口の拡大など、ジェンダー平等の視点や社会経済情勢の変化、市町村等のニーズを踏まえた施策の充実強化を図り、一人一人の希望する生き方を自由に選択できる岩手の実現に取り組んでまいります。 〇柳村一委員 知事もおっしゃっていましたけれども、今できること、さらには、将来に向けてやらなければいけないことがたくさんあると思います。特に、将来に向けてやることをしっかりと施策して、人口減少対策に取り組んでいただきたいと思います。 次に、GX推進について伺います。 県では、令和6年3月に県有施設等の脱炭素に向けた基本方針を策定し、令和6年度当初予算において、太陽光発電など10億円を超える予算を計上しております。 一方、県が掲げる第2次岩手県地球温暖化対策実行計画を着実に推進するためには、県だけではなく、県民、中小企業など多くの主体が、共通の課題認識を持ち、その解決に向けた自主的な取り組みが推進されるよう、社会の機運を醸成していく必要があります。 そこで、官民が連携しながら取り組みを推進していくことが求められていますが、今後のGX推進に向けた県の基本的な考え方を伺います。 〇佐々木副知事 県では、2050年度の温室効果ガス排出量の実質ゼロに向けて、あらゆる分野で県民や事業者、市町村等と連携、協働しながら取り組んでいく必要があるとの認識のもと、自然豊かな環境を守り、県民の生活基盤に影響を及ぼす極めて深刻な環境問題である地球温暖化の防止を図るため、県内101の機関、団体が参画する温暖化防止いわて県民会議を設置し、同会議を中核として、県民、関係機関、団体、行政が一体となり、家庭、産業、業務、運輸の各部門における省エネルギー化、再生可能エネルギーの導入促進、吸収源対策などの多様な手法による地球温暖化対策の推進などに取り組んでいます。 また、県内では、国の脱炭素先行地域として東北地方で最多の5市町が選定されるなど、市町村においても、企業、団体等と連携を図りながら、地域課題に対応した脱炭素化の取り組みを積極的に推進しているところです。 私自身、県のCGO、最高脱炭素責任者でありますので、県として率先した取り組みを進めるとともに、県民、事業者、市町村など、あらゆる主体との連携、協働のもと、地域経済と環境に好循環をもたらす持続可能な脱炭素社会の実現に向け、オール岩手で取り組んでまいります。 〇柳村一委員 特別委員会室の天井を見ますとまだLEDになっていないような気がするので、よろしくお願いいたします。 安心・安全な地域づくりについて伺います。 令和7年度の予算要求基準として、公共事業は、令和4年度以降3年ぶりの前年同額シーリングとなりました。中期財政見通しを踏まえると、公債費の増加や大規模投資の増嵩に伴う県債発行の増など厳しい状況でありますが、インフラの老朽化対策や維持、管理、地域活性化を支える道路ネットワーク整備などについても公共予算が措置されております。 そこで、公共事業費の総額確保に向けた県の方針を伺って、終わります。 〇八重樫副知事 近年、激甚化、頻発化する自然災害から県民の安全・安心な暮らしを守るためには、柳村一委員御指摘のとおり、社会資本の整備や適切な維持管理に向けた公共事業費の確保が重要と考えています。 このため県では、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算を最大限活用し、当初予算、補正予算を合わせた今年度の実行予算ベースで、東日本大震災津波前の水準である平成22年度当初予算を上回る公共事業費を確保しているところです。 今後も継続して公共事業費を確保していくためには、国費の活用が重要であることから、これまで、通常の予算提言・要望に加え、財務大臣に対する要望や政党を通じた国土交通大臣への要望など、さまざまな機会を捉え、公共事業予算の安定的、持続的な確保とあわせ、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策のさらなる推進などを提言、要望してきたところであります。 令和7年度の当初予算編成に当たっては、今年度の経済対策分も含めた実行予算ベースを勘案し、第2期政策推進プランの重点事項である安全・安心な地域づくりに資する社会資本の整備等に必要な事業費を確保してまいります。 〇柳村一委員 終わります。(拍手) 〇福井せいじ委員長 次に、臼澤勉委員。 〔臼澤勉委員質問者席に着く〕 〇臼澤勉委員 自由民主党会派を代表いたしまして総括質疑をさせていただきます。前半は私から、後半は菅原亮太委員から質問させていただきます。 まず初めに、令和5年度の決算について知事の評価を伺います。 令和5年度の当初予算については、深刻な人口減少を踏まえ、戦略的な事業構築と重点的な予算配分をすべきとして、我が会派から編成替えを求めた経過があります。残念ながら、賛否が拮抗した結果、我々の意見は通りませんでしたが、今でも当時の課題認識は誤っていなかったと考えております。 今般の決算、つまり一つの区切りの段階で、知事に、令和5年度の実績、すなわち実現できたこととできなかったことをお聞きし、決算に対する総括的な評価を伺います。 〇達増知事 令和5年度は、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、東日本大震災津波からの復興を進めるとともに、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、自然減・社会減対策を初め四つの重点事項を中心に、政策を推進してきました。 特に、物価高騰の影響を受けている生活者、事業者を支えるため、国の経済対策に全国に先駆けて呼応し、累次の補正予算を編成して、迅速かつ機動的に必要な物価高騰対策を講じてきました。 また、全国トップレベルの子供、子育て環境の実現に向けた取り組みを初め、各ライフステージに応じた総合的な施策の拡充に加え、若年層の県内就職やU・Iターンの促進による移住、定住施策の強化などに取り組みました。 その結果、物価高騰対策賃上げ支援金については、令和6年9月19日現在、見込みを上回る2、562事業所からの申請を受け付けるなど、賃上げの促進に効果を上げており、先日の岩手地方最低賃金審議会における過去最大59円の引き上げの答申の後押しになったと考えております。 また、県内全市町村が第2子以降の3歳未満児に係る保育料無償化を実施、i−サポ―“いきいき岩手”結婚サポートセンターの登録料無料キャンペーンにより会員数が大幅に増加、県外からの移住、定住者数が着実に増加し、令和5年度は過去最多を更新したほか、高卒者の県内就職率が高い水準で維持されるなど、一定の成果につながったと考えております。 一方、県が商工指導団体と連携して実施している調査結果などから、県民や事業者への物価高騰の大きな影響が続いていると認識しており、賃上げ支援金や生産性向上に取り組む中小企業に対する設備投資補助、事業継続に向けた相談体制の強化などを実施しているところです。 また、本県からの転出超過や出生数の減少が続いていることから、少子化対策、社会減対策の三つの柱を基本に、アンコンシャスバイアスの解消や全ての方が自己実現や多様な働き方ができる職場環境の整備、関係人口、交流人口の拡大など、ジェンダー平等の視点や、社会経済情勢の変化、市町村等のニーズを踏まえた施策の充実強化を図ってまいりきます。 〇臼澤勉委員 この令和5年度の決算に知事が点数をつけるとしたら、何点ですか。 〇達増知事 これは、多くの人たちがかかわって執行した決算でありまして、私が今この場で思いついて点数をつけることは、少し難しいと思います。 〇臼澤勉委員 先般、読売新聞のインタビューで、知事が、当選してから1年間を振り返って80点という点数をつけておりましたが、その80点の意味について、少し御説明をお願いします。 〇達増知事 あれは自分自身についてということで、まず、100点満点というわけにはいかないだろうということで、80点にしました。 〇臼澤勉委員 先ほどもさまざまな成果のお話がありましたけれども、令和6年の県民意識調査、生活満足度を見ると、不満の割合が増加しております。特に県北地域、沿岸地域、県南地域で満足と答える割合を超えて不満が増加しております。この2年連続で伸びています。 私は、主要政策の成果が必ずしも県民に実感されているとは言えないという点、これをまず指摘させていただきたいと思います。 そして、知事は人口減少、少子化に立ち向かい大攻勢をかけると知事は当選後言っておりました。この5年間、14歳から19歳、20歳から24歳の年代では一貫して男性より女性のほうが転出数が多い。この要因と背景について、本質的な課題を当局はどのように分析し、これまでの取り組みの何を改善し、今後どう対策を講じようとしているのかお伺いします。 〇村上ふるさと振興部長 本県の人口の社会減は、進学、就職期における若年層の転出が大きな課題となっており、とりわけ女性の転出数が男性を上回る傾向が続いているところでございます。 本年6月に内閣府が公表した調査によりますと、地元と異なる地域に進学、就職した理由として、男女ともに、自分の能力や関心に合った学校、仕事がなかったと回答した比率が高いほか、特に女性の回答割合が高い、親元を離れた生活、私生活の充実との理由と相まって、進学先、就職先や余暇などの面において、多様な選択肢がある東京圏へ転出していると分析し、本質的な課題は東京一極集中にあるものと認識しております。 令和6年度当初予算におきましては、社会減対策の3本の柱に加え、少子化対策の3本の柱の一つにも女性の社会減対策を位置づけ、女性の多様で柔軟な働き方の推進、女性や若者が生き生きと活躍できる環境づくり、所得向上を図るためのスキル取得や就労に向けた支援、性別に基づくアンコンシャスバイアスの解消に向けた啓発など、女性の雇用、労働環境の改善等に係る事業の創設や拡充を図ったところでございます。 今後に向けましては、9月に開催した第2回人口問題対策本部会議で確認した取り組みの方向性に基づき、若者、女性やジェンダー平等の視点から、企業の魅力、採用力の向上と多様な働き方ができる職場環境の整備、首都圏の社会人層をターゲットとしたU・Iターンの推進、多様なニーズやライフデザインに応える地域づくりなどの施策のさらなる充実を図るとともに、特に人口減少が深刻である県北・沿岸地域や小規模町村に対する支援を強化していきたいと考えております。 〇臼澤勉委員 今、本質的な課題は東京一極集中とおっしゃっておりました。これまでもいろいろ議論しておりますが、転出先の第1位は宮城県であることは指摘しておきます。 そして、この1人当たりの県民所得の水準が、直近の数字で格差が拡大しております。また、県内大学の就職率が4割を切って39.1%という数字が出ております。この向上なくして、人口減少、若者の社会減対策といった課題解決にどう取り組むのか、改めてお伺いいたします。 〇村上ふるさと振興部長 今、社会減に伴うさまざまな課題について御指摘がございました。先ほども御答弁申し上げましたが、やはり女性の社会減は、臼澤勉委員からも御指摘あったとおり、東北地方各県そうなのですけれども、本県にとっても大きな課題となっております。やはり女性が活躍できる、また、就職先として選んでいただけるような県内企業の魅力の発信であったり、労働、雇用環境の改善であったり、あるいは県内大学の魅力の発信であったりといったところにしっかり取り組んでいきたいと考えております。 〇臼澤勉委員 特に、圏域別に見ると、県北・沿岸地域の15歳から24歳の女性の流出が非常に高い、恒常化している。私は本当に危機感を感じております。 県北地域は、15歳から19歳で32.8%、20歳から24歳で47.3%です。沿岸地域も、15歳から19歳で34%、20歳から24歳でマイナス40%。ここに具体的な対策を今打たなくてはいけないと思いますが、少し所見をお伺いします。 〇村上ふるさと振興部長 今、特に県北・沿岸部の人口減少の問題について御指摘いただきました。臼澤勉委員御指摘のとおり、県北・沿岸地域は県平均を上回る人口減少、そして社会減が続いているというのは、そのとおりだと思っております。 我々としましても、ふるさと振興部で県北・沿岸振興を所管しておりますので、やはり県政の重要課題としてきちんと掲げて、県北・沿岸地域における社会減対策として、官民にわたってさまざまな取り組みを強化していく必要があると考えております。 〇臼澤勉委員 次に、自然減について伺います。 令和2年から令和5年にかけて出生数の減少率全国ワーストスリーとなっており、第2期アクションプランの合計特殊出生率の目標値1.58を達成するには、私の試算では約7、400人の出生数が必要となる。目標に対して約2、000人のギャップがあるのです。この2、000人のギャップを埋めるために、県として本質的な課題をどう捉え、分析し、これまでの取り組みの何を改善して、どういう対策を講じていくのかお伺いします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 出生数の減少にはさまざまな要因が関係していると認識しておりますが、県が行いました少子化要因の分析におきましては、子育てや教育への経済的負担感や仕事と子育ての両立の難しさなどが、結婚行動や出生行動に影響している可能性が認められたことから、結婚や子供を持つことを希望する方が直面するさまざまな困難を解消していくことが重要であると考えております。 そのため、自然減対策の今後の方向性として、有配偶率の向上については、結婚支援、若者のライフプラン形成支援及び若年層の賃金等向上策の強化などを、有配偶出生率の向上については、仕事と子育てを両立するための子育て支援サービスの充実などを、女性の社会減については、雇用、労働環境の安定、活躍できる職場の創出に向けた取り組みの強化などを掲げたところであります。 さらに、各市町村がそれぞれの地域事情に応じた少子化対策に取り組めるよう、今年度新たに、地域課題の分析に基づく専門家と連携した少子化対策の伴走型支援もあわせて実施しております。 そして、これらの取り組みを進める中で、出生数などの向上には、社会減対策との連動も重要であると改めて認識されてきたところであります。 引き続き、結婚や子育てに係る経済的負担の軽減などの自然減対策に取り組むとともに、地域の実情に応じた実効性のある取り組みを推進しながら、社会減対策との連動のあり方についても検討してまいります。 〇臼澤勉委員 出生数2、000人のギャップを埋めるには、やはり婚姻件数を上げる必要があるというのは、そのとおりだと思います。これは3年間で毎年約600組です。そして、先ほど答弁でも課題分析、伴走型支援について、一部の地域でやっているのは承知しておりますが、私は、各4圏域で同時並行で一気に進めなければいけないと思います。 地域の実情に応じた実効性ある対策と言いますけれども、改めて、どう取り組むのか具体的にお伺いします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 今年度は、沿岸地域北部の町村、比較的規模が小さい町村を中心に伴走型支援をしております。その中で見えてきたこととしては、いわゆる子育て支援策については、一定程度共通して取り組んでいるものの、女性の社会減というところがきいているというのが、各自治体の共通した認識です。 また、各自治体の中では、一部で、若者の住まい、住む場所が不足していて、定着がなかなか難しいのではないかといった課題、また、一部の自治体では、市部と隣接しているので、ある程度定着に結びついているといったような、小規模町村の中でもかなり特徴が出ている部分がございます。 したがいまして、地域ごとの特性にあわせた対策、また、広域で共通に取り組んでいく課題というものを、今、ワークショップの中で議論しているところでありまして、来年度以降、地域経営推進費でありますとか国の交付金等を活用した具体の事業化に向けて、今検討を進めているところでございます。 こういったところを、さらに各地域に横展開してまいりたいと考えています。 〇臼澤勉委員 私は本当に待ったなしだと思いますので、調査、分析というよりは、もう実効性のある対策にぜひトライしていただきたいと思います。 そして、賃上げ支援について伺います。 令和5年度岩手県一般会計予算につき撤回のうえ編成替えを求める動議では、若年層の社会減対策として、賃上げのための助成制度の創設を我々は訴えました。恐らく、その結果、令和5年度の補正予算で中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助が設置、措置されたと思っておりますが、令和5年度の実績では、予算額2億円に対して、補助事業者51者、補助金交付実績は7、500万円にとどまっております。 また、物価高騰対策賃上げ支援金の枠4万人に対して、申請は1万8、241人にとどまっております。予算額21億円に対し申請額は9億1、200万円と5割にも満たないとのことでした。 これは、県内においてどのぐらいのインパクト、実際の効果があったと県では捉えているのか、効果的に事業が行われていないのではないかと思いますが、お伺いいたします。 〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 エネルギー、原材料価格の高騰に伴う物価高に対応するための賃上げの促進や人口減少の進展に伴う人材確保が、中小事業者の大きな課題となり、これに迅速に対応する支援策を講ずることが求められてきたところでございます。 このため、昨年度、物価高騰対策賃上げ支援金を全国に先駆けて実施するとともに、中小事業者の賃上げを実現するためには、生産性向上と円滑な価格転嫁を推進することが重要であることから、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助をあわせて実施し、加えまして、円滑な価格転嫁に向けたパートナーシップ構築宣言の普及拡大などに取り組んだところです。 物価高騰対策賃上げ支援金については、当初見込んでいた2、000事業所を上回る2、562事業所からの申請を受け付けているところであり、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助につきましては、パートナーシップ構築宣言を行っていることを要件とし、経営革新計画に盛り込んだ新事業活動を補助対象経費としたところであり、直近4年間で246事業者が経営革新計画を策定している中で、51事業者に活用いただいたところです。 こうした状況から、これらの取り組みは、価格転嫁の実現が厳しい小規模事業者を含めた多くの中小企業者の賃上げの促進に効果を上げていると考えております。 〇臼澤勉委員 事業のインパクト、実際の効果に対する答弁がなかったという感じはしますが、生産性向上と価格転嫁を促進するためには、ある程度の予算規模や事業要件の緩和も必要になると思っております。これまでの一般質問の答弁でも、支給上限額、20人の根拠についての答弁で、全体の89.3%を占めているというような答弁もありましたけれども、これは、いわゆる小規模事業者ですが、事業者数で見れば全体の50%程度の企業の割合になります。 私は、県内全体の従業者数で見たときに、いわゆる中小企業と言われる100人未満の企業まで、もう少し積極的に受けられるような形に枠を広げると従業者数で見れば大体8割をカバーします。私も昔、県職員として小規模事業所に関する業務を担当していましたので、大体そのような見通しかと思っておりますけれども、その辺の基準の見直し等について、御所見があればお伺いします。 〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 今般の賃上げ支援金の申請状況を分析しておりますけれども、圧倒的に20人以下の事業所が多いという状況でございます。 例えば、20人までとした要件を撤廃したときにどうなるかといったあたりもしっかり分析はしたいと思っているのですけれども、基本的には、今時点で今回の申請状況等を見たときに、この20人にしたことによって利用が進まなかったという状況にはなかったと思っております。 〇臼澤勉委員 岩崎友一議員の一般質問でも、県北・沿岸地域の特別な申請枠を設けたらどうかという話もありました。今回の申請状況を圏域別に見ると、沿岸圏域で13.6%、県北圏域でわずか6.4%なのです。 私は、先ほど県北・沿岸地域を中心とした若い女性の流出の話もいたしました。このあたりの賃金上昇に向けた取り組みも、少し手厚く政策誘導するような形が必要なのではないかと思いますが、その辺をお伺いします。 〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 県北・沿岸地域に優遇したような事業構築という質問を一般質問でもいただいており、その際にも答弁しておりますが、この賃上げ支援金につきましては、一定水準以上の賃上げをしたということを要件としておりますので、仮に県北・沿岸地域だけ低い賃上げでもいいよというようなインセンティブをつければ、それはそれで、また格差の拡大にもなっていくということもあります。 それから、今、賃上げに係る経費の半額を県で負担するという形の構築にしておりますけれども、これを県北・沿岸地域だけもっとふやすというやり方がいいのかというのも、少し考えていかなければいけないことから、一般質問の際にも、県北・沿岸地域の事業者が、今どういう経営課題を持っているのかをしっかり把握した上で、そちらに効果のある特別な対策をやっていくことが大事なのかと考えております。 〇福井せいじ委員長 この際、臼澤勉委員の質疑の途中ではありますが、昼食のため午後1時まで休憩いたします。臼澤委員、御了承願います。 午後0時4分 休憩 午後1時1分 再開 〇福井せいじ委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇臼澤勉委員 次に、追加的な賃上げ支援について伺います。 知事は、岩手労働局に出向いて最低賃金の改正についての申し入れを行った結果、59円の改正により全国最下位を脱出いたしました。私なりにこの賃上げ投資額を試算すると、フルタイムパート社員で社会保険料込み、年間14万6、892円の増、非正規労働者18万4、300人の影響率3割として試算すると、年間約100億円弱規模の資金を要することになります。 企業にとって、この原資をどう生み出すかが本当に重要な問題であります。賃上げしてくださいと企業に求めるだけでは、県としての主体性に疑問が生じます。県としてさらなる支援、対応をどう考えるのかお伺いします。 〇達増知事 地域経済を持続的に発展させていくためには、処遇面を含めた若者や女性に魅力ある雇用、労働環境を構築し、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができるようにしていくことが重要であります。 こうした考えのもと、昨年、最低賃金が大幅に引き上げられたことを踏まえ、県では、円滑な価格転嫁の促進に向けたパートナーシップ構築宣言の普及拡大に取り組むとともに、物価高騰対策賃上げ支援金による賃上げ原資の補填や中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助金などにより、経営革新を図りながら生産性向上に取り組む中小企業に対する伴走支援を展開しているところです。 一方、県内の多くの中小企業は、エネルギー、原材料価格の高騰などの影響、また、価格転嫁が十分に進んでいないことなどにより人材確保のために防衛的な賃上げを余儀なくされるなど、その経営環境は引き続き厳しい状況にあります。 今般、国が50円という目安額を示し、岩手県では59円という引き上げ額となり、最低賃金がさらに引き上げられる中で、消費の拡大と賃金の上昇の好循環を生み出す国の大胆な経済対策が求められており、そうした対策の実行を国に働きかけながら、県としても、商工指導団体を初めとした関係団体等との連携のもと、今後の対応策について検討を進めてまいります。 〇臼澤勉委員 いろいろと企業の皆様と意見交換すると、まず、この59円の根拠って何なのだろう、そして、最低賃金法第9条の3要素で賃金支払い能力があるのですけれども、県は、これをどのように捉えているのかお伺いします。 〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 通常の事業の賃金支払い能力につきましては、個々の企業の賃金支払い能力を指すものではなく、また、業況の厳しい産業や企業の状況のみを見て議論するのではないとの考え方のもと、国及び地方それぞれの最低賃金審議会において、賃金改定状況調査の結果や消費者物価指数を初めとした各種統計資料をもとに議論を行った上で、この通常の事業の賃金支払い能力の有無を含めて総合的に判断されたものと承知しております。 このような最低賃金を決定する上での通常の事業の賃金の支払い能力につきましては、ただいま申し上げたような考え方に基づいて行われたものですので、県や私どもの立場で、その有無があるかどうかを申し述べることは難しいと考えております。 〇臼澤勉委員 難しいとは思います。ただ、経営者の皆様からは、非常に切実な声をいただいておりますし、岩手県中小企業団体中央会で緊急調査を行っております。この結果によると、賃金増加分の補填助成金あるいは生産性向上支援、価格転嫁対策といった部分について対策を求めておりますけれども、やはりこういった要望に応えるべきと思いますが、御所見をお伺いします。 〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 先ほど知事が答弁申し上げましたとおり、県内の多くの中小企業者は、防衛的な賃上げを余儀なくされているなど、経営環境は引き続き厳しい状況にあると考えているところでございます。そのような話は、岩手県中小企業団体中央会のほか、いろいろな団体からも聞いているところでございます。 そうした状況を踏まえつつ、消費の拡大と賃金の上昇の好循環を生み出す大胆な経済対策が今一番求められているということであり、そういうことを国に働きかけながら、県としての対応を早急に進めていきたいと考えております。 〇臼澤勉委員 ぜひよろしくお願いします。 財政運営とマニフェストプラス39について、今後の財政運営について伺います。 岩手県中期財政見通しでは、令和7年度以降、99億円から190億円の収支ギャップが見込まれております。財政調整基金も令和9年度には枯渇するといった厳しい見通しが示されております。 危機的な状況と感じておりますが、人口減少の影響を最小限に抑え、この危機的状況をいかにして乗り越えていくのか、知事のお考えをお聞きいたします。 〇達増知事 今回公表した中期財政見通しにおきましては、人口減少の影響等により県の実質的な一般財源が縮小傾向にある一方で、人件費や社会保障関係費のほか、金利上昇に伴い公債費も増加していくと見込んでおり、今後の財政運営は、より一層厳しさを増していくものと認識しております。 このような状況に対して、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランで掲げる四つの重点事項の推進と総合的な産業政策の展開により、地域内経済循環を拡大して税源の涵養を図り、人口減少下においても県税収入の増加を目指していくほか、各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直し、より低利な資金調達など、あらゆる手法による歳入確保に取り組むとともに、事務事業の精査など徹底した歳出水準の適正化と限られた財源の重点的、効果的な活用に努め、将来にわたり安定的な行財政運営を行うための財政基盤を構築してまいります。 〇臼澤勉委員 知事の基本的な財政の考え方、予算編成などの基本的な考え方をお伺いしたいと思います。今回の新1万円札の渋沢栄一さんが、150年前、入るをはかりて出ずるをなすとの考えで、国の放漫予算を求める政府内の声に抵抗して大蔵省をやめたというようなことがあります。 入るをはかりて出ずるを制す、歳入見込みを制約して歳出を決めるという考え方、あるいは出るをはかりて入りを制すという、歳出所要額をもとに歳入を決める、知事はどちらのお考えですか。 〇達増知事 行政の長としては、先ほどから述べているとおり、安定的な行財政運営を行うための財政基盤を構築した上で、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策、特に重点事項を中心に進めていくということです。 〇臼澤勉委員 マニフェストプラス39の次の質問にもいろいろと関連するので、そのお考えをあえて聞いたところであります。 政策の重点化についても、私は、小手先の対応ではもう限界に来ているのだと思います。知事のリーダーシップのもとに、政策を形成していく過程から必要性と優先順位を全庁的に議論しながら、見きわめ、重点化について責任を持って判断していくことが必要だと思います。 具体的に成果が上がらなかった事業をどう見直したかお示しいただきたいと思います。あわせて、庁内でどういった体制で取り組もうとしているのか。ゼロベースからの政策の重点化を担保していくのかお伺いします。 〇達増知事 令和6年度当初予算では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、自然減・社会減対策、GXの推進、DXの推進、安全・安心な地域づくりの四つの重点事項を設定して、昨年度を実質的に上回る840億円を措置して大胆な予算の重点化を行いました。 また、政策等の評価に関する条例に基づき、令和5年度の政策評価及び事務事業評価を実施して、令和6年度の政策等の立案、予算編成等に反映させることで、事業のスクラップ・アンド・ビルドを行いました。 この結果、政策推進プラン構成事業のうち、保育対策総合支援事業費では、保育士の相談先として、保育士・保育所支援センターが認知されるよう周知方法を見直し、保育人材の確保に取り組むなど、52事業を見直しました。あわせて、広域防災拠点設備等整備費など6事業を縮減し、ドローン技術社会実装促進事業費など24事業を廃止、休止することで、約15億円の縮減を実現しました。 令和7年度に向けては、私が本部長を務める人口減少対策本部で重点的に取り組む事項と施策のポイントを明確化したところであり、それらをもとに、部局横断の政策推進クロス・ファンクショナル・チーム等で施策内容の検討を行っています。 また、令和7年度予算編成の方針において、令和6年度岩手県一般会計予算附帯意見等も踏まえ、政策評価結果等を踏まえた積極的な見直しや再構築を行うこととしており、具体的な事業検討において、その必要性と優先順位を見きわめ、重点化を図ってまいります。 〇臼澤勉委員 私は、ゼロベースでの議論、検討においては、各部局での限界があると思います。基本的に、組織は防衛に走りますから、予算あるいは人事、人を減らしたくないとなります。ただ、客観的に事業を評価して、逆に提案するような、少し一歩引いた第三者的な仕組みも必要なのではないかという問題意識を持っております。 箱物ではありませんけれども、私もこれまで議会でも聞いております特別秘書の制度は、全国の38府県では、厳しい世間からの指摘を受けて廃止し、設けていません。私は、ゼロベースで見直すならば、まず足元からやってはいかがかと思いますが、知事の御所見をお伺いします。 〇達増知事 長野県知事特別秘書に係る訴訟の判決において、知事という特別職に属する公務員は、かえって政治的に活動することによって公共の利益を実現することも職分とする公務員であり、その政治的活動にかかわる政務につき、公務員としてこれを補佐する秘書を設けることが、その職務の円滑、効率的な遂行に資するものとして判示されております。 私がやってしかるべき政治活動について、私は行政の長としてやるべき仕事も多いので、私の政治活動を政務秘書にかわりにやってもらう部分が多くなっているのですけれども、特に最近、岩手県において、現職参議院議員が刑事事件で起訴され辞職に至ったという、岩手県政史上過去に例がないような不祥事が起きておりまして、この不祥事に対する岩手県民の怒り、悔しさ、驚きは大変大きく、この汚名を返上し、本来の岩手県の政治のあるべき姿を取り戻すことが求められており、私としても、そのような政治活動を強化しなければならないと思っております。 そのようなほかの県にはないような事情が岩手県にあることもあり、今、ますます政務秘書は、やらなければならないことが多くなっている状況でございます。 〇臼澤勉委員 私が聞いているのはそういうことではないのですけれども。いずれ今回、政治活動、国政選挙もありますけれども、この政務秘書、特別秘書は、応援などの活動をされるのですか。 〇達増知事 岩手県民が選挙の主役として誇れる参議院議員補欠選挙を実現する、そして、汚名を返上して、本来の岩手県の政治のあるべき姿を取り戻す、このために私が活動することは、長野県知事特別秘書の判例にあったような、政治的に活動することによって公共の利益を実現することです。この現職参議院議員が刑事事件で訴追され辞職に至って、補欠選挙が行われ、例えば、全国ニュースで第一声の様子が日本中に報じられるなど、そうした汚名を返上するということは、岩手県民にとって公共の利益を実現することにほかならないのではないでしょうか。 そのために、私も政治家として、かえって政治的に活動することによって公共の利益を実現することも職分とする公務員として、やはり今回はかなりやらなければならないのではないかと思っておりますし、そして、政務秘書には、それを補佐してもらおうと思っています。 〇臼澤勉委員 いずれ、特別地方公務員であるということは、お忘れなくお願いいたします。 そして、マニフェストプラス39の提示から1年が経過しております。これまで知事からは、この実現に必要な経費を担保する財源について具体的な説明がされておりません。後ほど公共施設等総合管理計画において、今後30年で6、050億円、年平均202億円、平均投資額1.4倍の1、500億円を新たに確保する必要があるとも聞いておりますが、改めて伺います。 知事は、このマニフェストプラス39実現のために、この施設整備事業に必要な予算規模と財源をどう見積もって、どう確保するのか、具体的にお答え願います。 〇達増知事 マニフェストプラス39に盛り込まれた施策は、それぞれ熟度が異なっていることから、その進捗状況に応じて、随時、その内容をお示ししていきます。 施設整備などの大規模な投資の実施に当たっては、整備方針や場所、規模や機能等の検討とあわせ、予算規模や所要の財源、その確保策についても具体的に検討してまいります。 また、四つの財政目標や岩手県公共施設等総合管理計画、金利や人件費、資材価格の推移など社会経済情勢等にも配慮しながら、予算編成過程において中長期的な見込みも立てつつ、必要な予算を確保してまいります。 〇臼澤勉委員 この施設整備に必要な予算規模は、大きく7施設分を私なりに試算すると660億円ほど必要になるかと見ます。中期財政計画に反映されている施設もありますけれども、それに載っていないような、県立病院におけるハイボリュームセンターであったりリハビリテーションセンターのサテライト施設などさまざまあるのですが、これらの県財政への影響をどのように見ているのか、お伺いします。 〇千葉総務部長 マニフェストプラス39に盛り込まれた事業につきましては、施設の整備方針や場所、その規模等について具体の検討を進めながら、交付税措置のある有利な地方債など、活用できる国の財源措置もあわせて検討している段階であり、一概に財政運営への影響について申し上げることは困難かと考えております。 ただ、財政指標を目安とするということでありますが、例えば、実質公債費比率については、機械的な試算ではございますが、交付税措置のない県債を約600億円発行した場合に、後年度の比率が約1%上昇するということであります。 これら健全化判断比率等の財政指標の状況も踏まえて、公共事業などほかに財政状況に影響する事情も総合的に勘案し、投資の規模を検討していく必要があると考えております。 〇臼澤勉委員 いずれ、さまざま建設事業費がかかるわけですけれども、先ほども660億円と試算しました。仮にこれを耐用年数で30分の1ぐらいで割ると、年間20億円とかいった部分が必要になってくるのです。先ほど、廃止事業で15億円をスクラップして財源を生み出したという答弁もありますが、私は今回の中期財政見通しの中にも、ぜひマニフェストに占める建設費用、こういった部分も、細かくは今はできないことは十分わかりますが、あらあらでも、大体3年後あるいは5年後にはこうやって必要になってくるということを見込みながら載せていく必要もあるのではないかと思います。そうでないと、今後の予算審査とかといった部分でも、我々どう判断していいのかがわかりかねると思いますので、その辺は要望しておきたいと思います。 次に、次期経営計画、医療についてお伺いします。 我が会派で市町村重点要望調査を実施しております。改めて県内市町村を回ると、医療と教育に対する要望の強さを実感しております。 まず、医療について伺います。令和5年度の県立病院等事業会計決算、経常損益32億6、000万円余の損失と7期ぶりの経常赤字となっております。日夜奮闘されている医療局職員には敬意を表するものの、過去に例を見ない規模の損失額であり、県政全体としても大きな課題と言わざるを得ません。 8月に公表された次期経営計画素案においては、現下の非常に厳しい状況からのV字回復を見込むと、かなり前向きな計画となっておりましたが、これをいかに実現、達成していこうと考えているのか。この収支計画の達成による県財政一般会計への影響を医療局としてどう捉えているのか、まずはお伺いします。 〇小原医療局長 まず、収支計画の実現に向けては、機能分化と連携強化の基本方向のもと、機能集約、強化型の病院に症例を集積し、診療単価の向上を図るほか、サイバーナイフ等の高度医療器械を重点配置し、他県に流出していた患者を積極的に受け入れていきます。 また、地域病院においては、基幹病院との連携により、回復期の患者の受け入れを強化するなど、県立病院全体で収益の確保に取り組むとともに、費用面では、患者数に応じた病床数の見直しのほか、必要性や収益性、業務の効率化による職員配置の適正化、薬品や診療材料の品目統一化、廉価購入といった取り組みを不断に進めながら計画達成に努めてまいります。 次に、収支計画の一般会計への影響についてでございますが、県立病院への繰入金は、病棟再編による病床数の減少、県立中央病院附属紫波地域診療センターの廃止により一定の縮減が見込まれますが、救急や周産期、精神医療など政策医療として実施している分野は、次期経営計画においても変わらず担っていくことから、不採算医療を中心とした繰入金の総額には、大きく影響がないものと見込んでいるところでございます。 〇臼澤勉委員 私は、持続可能な医療体制を実現するためには、具体的な提案として、例えば釜石から気仙あるいは胆江、両磐などの地域における機能分化、医療資源の再編の議論を実施していく必要性の中において、宮城県とか山形県、新潟県で取り組んでいる重点支援区域としての設定、指定、国から技術的、財政的支援を受けながら体制構築を検討していくべきと考えますが、御所見を伺います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 重点支援区域については、国において地域医療構想を推進するため、複数医療機関再編、統合について開設者から要請があった場合、地域医療構想調整会議の合意を経て都道府県が申請し、国が選定した上で技術的支援及び財政的支援を行うものとなっております。 現時点においては、県内医療機関からの重点支援区域の要請実績はないところでありますが、複数医療機関における再編、統合に加え、機能の見直しなどについても重点支援区域の対象となる場合もありますことから、医療機関に対しまして、国による技術的支援や財政的支援の内容を周知しながら、開設者からの要請があれば、重点支援区域の申請について検討していくこととなると考えております。 〇臼澤勉委員 新たな財源についてもお聞きします。知事は、財政が縮小する中、医療の確保など財源を必要とする課題に対し、超過課税の議論は避けては通れない、新たな超過課税は持続的な財源確保策の一つであり、目的と手段、受益と負担の関係等、さまざまな論点を考慮しながら、そのあり方の検討を進めていくと答弁しておりますが、具体的な現在の検討状況、スケジュールをお示し願います。 〇達増知事 現在、県庁内部で先行事例の研究や課題の整理等を進めているところであり、宮城県の宿泊税構想や滋賀県の交通税構想など、全国的に具体的な検討が進んでいる事例の動向についても、随時、情報収集しているところであります。 地方税は、地方自治の根幹にかかわる部分でありますことから、住民サービスの受益と負担の対応関係の明確性などの観点から丁寧な議論が必要であり、持続的な財源確保策の一つとして、さまざまな論点を考慮しながら検討を進めてまいります。 〇臼澤勉委員 次に、公共施設の適正管理について伺います。 まず、県庁舎の方向性をお伺いいたします。 維持管理費も含めて今後50年間の試算で720億円から1、279億円の一般財源負担も要すると聞いておりますが、県庁舎の整備について、改修なのか建てかえなのか、場所をどうするのか、財源をどうしていくのか、着手時期はいつ、どうしていくか。いろいろ後に負の遺産を残すことのないようにと知事が2年半前に言っておりましたが、御見解を明確にお示し願います。 〇達増知事 まずは、東日本大震災津波後の県庁舎の現状を把握するため、令和4年度に耐震診断に着手し、その技術的知見を踏まえた上で、令和5年度からさまざまな分野の有識者から成る懇談会を開催し、今年度末には、県庁舎のあり方報告書を取りまとめることとしています。 整備手法については、有識者懇談会で示された一部建てかえ、知事局棟の改修を最小限にとどめ、耐震性が低い議会棟を高層化するというアイデアは、DXの進展など社会情勢が激しく変化する中で、30年程度の時間的留保を持ちつつ、相対的に財政負担が抑制できる手法として評価しています。 整備地区については、一団地の官公庁を形成し、災害耐性にもすぐれる現在の県庁舎がある内丸地区を中心に議論が行われているところです。 有識者懇談会の報告書を受けて、来年度から具体的な基本構想、基本計画の策定を開始し、令和8年度中には整備手法、整備地区、整備規模と必要となる財源及びその確保の方法について明確にお示ししたいと考えております。 〇臼澤勉委員 県庁舎一部建てかえという方向で評価しているということ、それから、令和8年に、整備手法、整備地区、整備規模、財源を示すということでございます。 今、考えられる着手時期の見通しとか、どの程度の着手時期で考えているのか、わかれば教えてください。 〇千葉総務部長 先ほど知事がお話ししたとおりでございますが、スケジュール感については、まだ有識者の懇談会が続いているところであります。今後のスケジュールについては、まず、あり方報告書を年内に何とかまとめたい、素案をまとめまして、最終案を年度内にまとめるとしています。また、来年度から基本構想、基本計画の策定着手ということで進めているものでございます。 ただ、実際に工事がどうなるか、整備終了がどうなるかということでございますが、これは、通常、他県などの場合を見ますと、基本構想、基本計画の策定で2年程度かかっている。それから、さらに基本設計、実施設計で、これもやはり複数年かかる。それから、工事については、仮庁舎の整備などもございますので、これも他県の例を見ると5年以上かかっているということでありますので、なかなか一概に申し上げられないのではありますが、令和10年代後半ぐらいまでかかるのではないかと考えております。 〇臼澤勉委員 私がなぜ聞いたかというと、一般論として約10年かかるということです。耐震基準を満たさない全国唯一の県庁舎で働く職員の安全性を早期に確保する、これは知事の責任だと思います。完成までに10年近くも不安な状況を抱えて仕事をさせるのか、これは行政の不作為と言わざるを得ないと私は思います。万が一の場合、誰が責任をとるのかお伺いします。 〇達増知事 昭和56年の建築基準法の改正以降、耐震基準を満たさない既存不適格の状態が続いてきた県庁舎でありますが、最新の技術的知見によれば、知事局棟は震度6強の地震で倒壊する危険性は低く、本県では、震度6強を上回る地震の発生が想定されていないことから、直ちに危険な状態になるとは認識していないところです。 一方、議会棟については、議場が大空間で特殊な構造となっており、震度6強の地震に対して倒壊し、または崩壊する危険性が高いとされているため、耐震化が急務となっています。 大規模な建築物である庁舎については、早急に耐震化に着手した場合でも、設計や工期を勘案すれば、整備完了までに一定程度の期間を要することから、職員の安全のみならず、防災拠点として県民の安全・安心を確保していくためにも、一日も早く耐震化に着手することが責務と考えております。 〇臼澤勉委員 いずれ、一度の地震で倒壊しなくても、何回か来ると、ダメージを受けた建物は倒壊する危険性も出てくると思います。あるいは想定外の地震もないとは言えないと思います。私は、東日本大震災津波でもそういった教訓を得ているものだと思っております。 この点もいろいろ難しい課題はあると思いますけれども、早期にそのような環境を整えて、職員の安全性あるいは県民の安全性を確保していただきたいと思います。 次に、公共施設等総合管理計画について伺います。 真に必要な施設について、必要な規模を見きわめながら、機能統合の視点も含めて検討していく必要があると考えます。加えて財政負担についても、中期財政見通しとリンクさせながら厳に見きわめていく必要があると考えますが、この策定に向けた道筋、当局の所見をお伺いします。 〇千葉総務部長 現行の公共施設等総合管理計画では、県の人口ビジョンを踏まえ、2040年までに公共施設の延べ床面積を85%程度まで削減することを目標に取り組みを進めており、取り組み開始2年目となる令和5年度末では、利用が低調な職員公舎、庁舎を中心に3.2%の削減実績となっております。 厳しい財政環境の中、この取り組みの実効性を高めていくためには、臼澤勉委員御指摘のとおり、真に必要な施設を見きわめていく必要があることから、現在、県民生活に直結する県民利用施設等67施設を対象に、施設の利用状況や維持管理コスト、建物性能を点数化する定量評価と施策上の必要性や代替の可能性などを評価する定性評価のいわゆる2軸評価を行っております。 この評価を、来年度策定する次期公共施設等総合管理計画や大規模施設等整備事業の優先度評価に活用しつつ、その財政負担についても、令和7年度に策定する中期財政見通しに反映させてまいります。 〇臼澤勉委員 次に、マニフェストプラス39で明確に建設すると言っておりますスポーツ医・科学センター、そして県営体育館の整備について伺います。 このスポーツ医・科学センターの機能もあわせ持つ体育館整備については、私は賛成であります。立地場所の検討に当たっては、渋滞状況も含む道路アクセスのよさや、近接性であったり適切な面積の確保、既存社会資源の活用や連携を考慮することが必要と考えます。現在地にこだわることなく適地を検討していく必要があると考えますが、現在の検討状況をお示し願います。 〇佐々木副知事 先月公表した県営スポーツ施設のあり方に関する報告書において、まず、県営体育館については、担う役割や今後の市町村施設の改修状況等を踏まえた検討が必要であること、長期的に維持する場合、同様の機能を有する県勤労身体障がい者体育館と集約した高機能の体育館整備を検討することが望ましいこと、また、スポーツ医・科学センターにつきましては、競技力向上を図る観点から、本県におけるスポーツ医・科学の拠点として整備することが望ましく、県民の健康づくりの機能も持つ拠点の必要性もあわせて検討する必要があること、県営体育館及び県勤労身体障がい者体育館の集約など、他の施設との併設とあわせて検討する必要があることなどとしています。 スポーツ施設の整備に当たりましては、ただいま臼澤勉委員御指摘の視点は重要と考えており、さらに、利用者等のニーズを踏まえた提供すべき公共サービスのあり方、施設整備費の軽減や整備後の収益の向上、管理、運営費の低減策、環境負荷の低減やユニバーサルデザインの導入、スポーツにより地域を活性化させる施設という観点なども十分に考慮して、まずは長期的な運営を見据えた施設のコンセプト、内容の検討が必要と考えています。 こうした考えのもと、現在、県営体育館の個別施設計画の改訂作業の検討に着手するとともに、スポーツ医・科学センターについては、最先端の医科学の動向などを踏まえ、他県の事例等の調査を行いながら、必要な機能や規模などの具体的な検討を進めているところです。 〇臼澤勉委員 知事にお伺いします。マニフェストプラス39での表現で、建設しますという書き方と整備を進めますと書いています。この違いについて、少し解説をお願いします。 〇達増知事 いずれ、あり方については、今それぞれ検討したり、あるいは着手したりしているところでありまして、マニフェストプラス39は、既存の県の計画や事業に接ぎ木のようにつけ足すものではなくて、既存の県の事業や計画の中にまぜ込んで、溶かし込んで、そして、それぞれの関連する担当において、今まさにスポーツ医・科学センターについての答弁にあったように、ほかのいろいろな政策や事業との兼ね合いですとか、それを一緒にするとかといったこともあわせて検討してもらっているわけであります。 建設する、整備する、それぞれそのような形で県としての政策の中にうまく溶け込んで、実現に向けて進んでいるところです。 〇臼澤勉委員 わかりました。 次に、農業ビジョンについて伺います。 本会議でもいろいろと聞かれておりましたが、市町村や関係団体から、今いろいろと意見を吸い上げながら検討を進めているという答弁でありましたけれども、これを踏まえて、知事は、いつまでにこの農業振興ビジョンを県民に提示しようとしているのかお伺いします。 〇達増知事 これまで、県内全ての市町村や農業協同組合長等との意見交換を実施し、生産性、市場性の高い産地づくり、地域の強みを生かした生産の推進、環境負荷低減と安全・安心な産地づくり、担い手の確保、育成などを中心に意見を伺ったところです。 意見交換においては、食料自給率を見たときに岩手県の果たす役割は大きいといった意見のほか、高温対策を進めるとともにスマート農業による生産性向上が必要、水田地帯では米をしっかり生産し、沿岸地域を野菜産地にしたい、自然の豊かさという強みを発揮しながら環境負荷低減を進めてほしい、法人への農地の集約化とともに多様な担い手を支えることが必要など、多くの意見をいただきました。 今後も、生産者や農業団体等の意見を広く伺いながら、今年度末の策定をめどに、現在議論が進められている国の食料・農業・農村基本計画の策定などの動向も踏まえつつ、策定時期も含め農業ビジョンの検討を進めてまいります。 〇臼澤勉委員 そうすると、今年度内には県のこういった素案のようなものが示されて、多分、今あたりもドラフトのようなものも作業されているのかというイメージを持ちます。 本会議でも松本雄士議員から、基幹農業人口は、現在の4万人が、20年後に1万人ぐらいに減少するということで一般質問がありましたけれども、こういった人口減少の見通しも踏まえた内容になっているのか、少しお伺いします。 〇達増知事 生産者や農業団体等の意見を広く伺いながら、現在、策定時期も含めて農業ビジョンの検討を今進めているところでありまして、先ほど述べたような意見が出ているところであり、多様な担い手を支えるといったところに、臼澤勉委員御指摘の要素も入っていると思います。 〇臼澤勉委員 重要なポイントになってくると思いますので、よろしくお願いします。 次に、昨年の代表質問で知事に飼料あるいは農業生産資材価格高騰による経営への影響と具体的な対策について尋ねました。飼料価格等の高騰の本質は、飼料原料を海外に依存している構造にあると私は思います。 ことし6月に岩手大学に畜産飼料総合教育研究センターが発足し、来年度からは獣医学部を新設するという動きになっています。 ぜひこういった産学官連携をして、岩手県から自給飼料の生産を推進し、畜産業の経営安定につながる岩手モデルを構築すべきと私は考えますが、具体的にどのように取り組みを展開するお考えかお伺いします。 〇佐々木副知事 岩手大学では、県や県北部の6市町村、民間団体など28機関と連携し、畜産を核とした地域活性化モデルの構築に取り組むプロジェクトの検討を進め、今月1日でありますが、国立研究開発法人科学技術振興機構が公募する研究プロジェクトに採択されたところであります。 このプロジェクトは、将来的に、豊富な飼料基盤を活用した飼料生産や就業希望者が参入しやすい飼養管理技術を初め、都市との交流による関係人口の拡大等の実現を目指すものであります。 具体的には、循環型飼料生産流通システムや、誰もが放牧管理を行うことができる次世代型放牧技術、獣医師不在地域等を対象とした産業動物遠隔診療システムなどの研究、開発に取り組むものであります。 こうした取り組みは、県の畜産施策や人口減少対策と方向性が合致することから、県として積極的に参画してきたところであり、今後も、本プロジェクトの中核となって、産学官の緊密な連携のもと、共同試験研究への参画、本県ならではの自給飼料の増産や獣医療の提供などを通じて、全国的にも先行モデルとなる持続的な畜産業の発展に取り組んでまいります。 〇臼澤勉委員 私は、基盤整備が大変重要になってくると思っています。御案内のとおり、水田の整備率が我が県は東北地方最下位、しかも、過去10年間の整備率の伸びは2.7%にとどまっております。他県、青森県は4.9%、宮城県6.9%、秋田県4.9%、山形県5.4%、福島県4.3%と、2倍ぐらいの開きがあるのが現状になっています。 そこで、私から提案ですけれども、例えば国土強靱化のための5か年加速化対策のように、期間を区切って、この農業農村整備の加速化対策、集中的な取り組みを打ち出してはいかがかと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。 〇達増知事 本県農業が、地域経済を支える基幹産業として持続的に発展していくためには、地域農業の核となる担い手の確保、育成とともに、生産性、収益性の高い農業の実現に資する基盤整備が重要であります。 圃場整備事業の予算については、国全体の予算が横ばいの状況にある中、国から本県への配分額も横ばいとなっており、圃場整備事業の加速化を図るためには、御提案のような県の取り組みだけでは難しく、まずは、国の予算確保が重要と考えております。 このため県では、国に対し十分な予算措置を繰り返し求めるとともに、ことし8月には、全国知事会の農林商工常任委員長として、国に事業の推進に必要な予算確保を要請したところであります。 さらに、圃場整備事業に予算を重点化するほか、建設コストの縮減を図りながら事業推進に取り組んでいます。 圃場整備事業は、地元の合意形成から事業実施まで一定の時間を要することから、事業の見通しなどを地域に丁寧に説明するとともに、市町村と連携し、地域の話し合いに参画しながら、その思いをしっかり反映させた営農構想が作成されるよう支援しているところであり、今後も、地域のニーズに応じた基盤整備が早期に進むよう取り組んでまいります。 〇臼澤勉委員 国にいろいろと要望すれば、いやいや岩手県さん、県でつき合うぐらいの財源を確保してくれれば、もっとあげられますと言っております。 なぜ私がこの質問をしたかというと、佐々木朋和議員も本会議で質問しておりました。今答弁にあったとおり、地元の合意形成、計画調査期間あるいは採択から事業完了まで大体15年とか20年かかってしまいます。今、工期を短縮したり、あるいは、順番待ちの地区も、ある程度重点化して、はかって進めないと、3条資格者の申請者というか受益者の方々、生産者は、もう待てないという声をいっぱいいただいております。そういった意味で聞いております。 改めて、そこに対する知事の考えをお伺いします。 〇達増知事 私も直接生の声を聞く機会があり、とにかく時間がかかることについて、自分が生きている間にきちんとできるかとか、きちんと跡を継がせることができるだろうかとか、不安も聞いております。 一方、そういう皆さん方が丁寧につくった地図に、それぞれいろいろ書き込みながら、丁寧にこの会議を開いて意見を交わして、そして、丁寧に取り組んでいるのが圃場整備事業というところもありまして、時間がかかっているところを、できるだけ短縮していく工夫と努力は、県としてもさまざますべきであるということは、そのとおりだと思います。 〇臼澤勉委員 ぜひよろしくお願いします。 次に、県の組織について伺います。 自由民主党の石破新総裁が防災庁新設の構想を打ち出しております。本県においても、岩手山の噴火警戒レベルが初めて2に引き上げられまして、県の防災、危機管理体制が極めて重要になってくると思います。 改めて、復興防災部の設置意義、プロ集団を構成する、いわば防災のプロ職員をどう育てていくのかお伺いいたします。 〇福田復興防災部長 防災対策における当部のミッションは、御指摘の岩手山の噴火災害や日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震、激甚化、頻発化する豪雨災害など、今後起こり得る災害に対して、でき得る限りの対応を図ることと認識しております。 その対応能力の向上に向けては、研修や訓練の充実、関係機関との人事交流などが重要とされており、当部においても、各種訓練や防災士資格を有する職員による内部研修、消防や警察、自衛隊との人事交流などを行っております。 また、本県が独自に設置している風水害対策支援チームや火山活動に関する検討会など、外部専門家との連携も積極的に図っており、一昨日開催された危機管理産業展2024においても、このような本県独自の取り組みを紹介させていただいたところです。 防災、減災の主流化が世界的な潮流となる中、当部を中心とする防災人材の育成や確保などに、さらに取り組んでまいります。 〇臼澤勉委員 次に、長期療養者の状況について伺います。 精神疾患により継続して療養されている職員数、そのうち20代の若手職員の人数と割合について10年前と比較して増加しておりますが、なぜ歯どめがかからないのかお聞きいたします。 〇千葉総務部長 令和5年度における14日以上の継続療養者数は実人員で100人であり、10年前、平成26年度の54人から約1.9倍となっております。このうち29歳以下の職員は全体の約半数となる51人であり、10年前の5人から約10倍となっております。 こうした状況の背景といたしましては、社会経済情勢の変化等に伴う業務の多様化、複雑化や、たび重なる災害など危機管理事案への対応などにより、職員の心身に大きな負荷がかかる場面が多くなっていることなどが考えられます。 また、療養に至る要因としては、職員アンケートや健康サポートルームで受けた相談内容によりますと、業務の量や質、職場における人間関係などの悩みや不安、個人的な事情、あるいはこれらが複合的になっていることが見られ、職員個々の状況に寄り添った対応を行っていくことが必要と認識しております。 〇臼澤勉委員 一方で、若手職員の普通退職者の現状について、採用10年未満で退職している状況についてお聞かせ願います。 〇千葉総務部長 知事部局における普通退職者数は、令和5年度は57名となっております。 このうち採用10年未満の若手の退職者は41名で、退職者全体の約72%となっており、退職の理由については、それぞれの職員の事情もあり全てを把握してはおりませんが、転職等によるものが約49%、結婚が約15%、病気療養が約2%となっております。 〇臼澤勉委員 この知事部局の有能な職員4、310人の個性と能力を発揮させるのがトップの役割でございます。県政史上最長、御自身でも長過ぎると発言されるほどの長期にわたって県庁のトップとして過ごされている達増知事は、この状況をどう捉えているのか。知事の多選による影響があらわれているのではないか。知事は、ここからどのようにマネジメントして若手を初めとする職員のモチベーションを高め、県庁組織を運営していこうとされているのかお伺いいたします。 〇達増知事 県政の未来を担う若手職員の心身不調や離職には、私自身、心を痛めております。 公務職場における精神疾患による療養者の増加や若手の離職は全国的な課題ですが、県では、令和3年度から、本庁の相談窓口に、従来の保健師に加えて臨床心理士を配置し、若手の悩みにきめ細かに対処してきたほか、今年度から、新たに広域振興局にも保健師を配置するなど、職員一人一人に寄り添った全国的にも先進的で手厚いメンタルヘルス対策を講じているところであります。 また、これまで、知事と広域振興局職員との意見交換を定期的に開催するなどし、若手職員の声に耳を傾けるとともに、私の思いを直接伝えているほか、若手有志による政策提案の機会を設けるなど、若手職員が県における仕事のやりがいや魅力を感じ、ひいては、職場定着につながる取り組みにも力を入れてまいりました。 今後も、県政を支える根幹である職員の健康を第一に考えながら、モチベーションの維持、向上にも努め、若手職員が安心して生き生きと働くことができる職場環境の構築に向け、取り組みを推進してまいります。 〇臼澤勉委員 先ほどの質問で取りあげた、知事が長過ぎると発言されておりました新聞インタビューの発言の真意を、あえてお伺いします。 〇達増知事 5期というのは、今、岩手県政で過去なかったことでありますし、また、5期されている知事は全国にももう数人しかいなくて、私も、任期の長さでいうと、栃木県、岐阜県、宮城県、鳥取県に次いで5番目と、年齢は26番目とまだ全体よりは下なのですけれども、もう上から5番目になっているというのは、かなり長いと感じているところです。 〇臼澤勉委員 意味がわかりました。 最後に、職員からの相談体制の整備について伺います。 本県において、ハラスメントに関する相談は18件寄せられたものの、認定はゼロ件です。しかし、これを調査、認定したのは県の人事課で、第三者が介在しておりません。また、公益通報制度が2018年から運用されておりますが、この窓口も人事課です。通報対応責任者は総務部長となっております。 兵庫県の事例もいろいろとニュースで流されておりますけれども、通報先が県内部であることは、職員が相談するには心理的な妨げになるのではないかと私も思います。一言で言えば、やはり少し怖いと思うのだと思います。 そういった意味において、要綱上は、定期的に客観的かつ公正な方法による点検、評価を行って改善策を講じていくということが規定されておりますが、制度のより適切な運用を担保する体制整備を検討すべきと考えます。県の見解をお伺いします。 〇千葉総務部長 公益通報制度は、事業者による違法行為等の通報を行った職員を保護するものであり、その通報窓口については、コンプライアンスを所掌する部局の内部窓口に加え、外部窓口の設置にも努めるよう、国のガイドラインで定められております。 このため県では、人事課のほか外部の弁護士による窓口を設置するとともに、弁護士が調査した結果、法令違反が明らかな場合は警察等へ通報することなど、調査等の過程における独立性を担保しております。 また、制度上、通報者に対する不利益な取り扱いや通報者の探索は禁止されており、通報者保護の仕組みが確保されております。 現在、国では、不利益な取り扱いに対する罰則の新設等が検討されていることから、こうした動きも注視しながら、職員が安心して制度を利用することができるよう、適切な制度の整備、運用に努めてまいります。 〇臼澤勉委員 兵庫県でお亡くなりになった県民局長が残したコメントを紹介させていただきます。気がつけば、権力者の周囲には二流、三流のイエスマンが主流を占めている状況。そのような組織の腐敗、内部崩壊も外部にはなかなか伝わりにくく、不祥事、事件の発生といった出来事でようやく世間で知ることとなるといったコメントを残されておりました。 私は今回これを取り上げて、ぜひ独立性のある通報窓口、そういった改善策あるいは職員への周知についても、ぜひ取り組んでいただければと思います。 要望して、次の菅原亮太委員にかわります。ありがとうございました。(拍手) 〇福井せいじ委員長 質問者がかわります。菅原亮太委員。 〔菅原亮太委員質問者席に着く〕 〇菅原亮太委員 私からは、令和5年度は人口減少対策を重点事項に掲げたいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの初年度ということで、その決算を踏まえ、人口減少対策に係る知事の認識や各般の施策についてお伺いしたいと思います。 まず、達増知事がSNSで訴えている適疎についてであります。 可住地人口密度が岩手県は345人で、ドイツと同じくらい。それくらいが世界的に見れば人口が適度にまばらな状態である適疎とのことであります。日本は平均で1、109人、盛岡市は1、170人でありますので、知事の主張に沿えば、盛岡市は過密ということになります。 さきの県議会6月定例会の一般質問では、適疎という言葉は、東京都を基準にして地方を過疎であるという先入観を覆すとともに、消滅可能性自治体という言葉に過度に悲観的にならず、冷静に現実を捉えることの大切さを提示する言葉という知事答弁がありました。これは、人口減少対策の成果が上がらない現状を、適疎という耳ざわりのいい言葉に置きかえ、問題を棚上げしているのではないかと危惧するところであります。 岩手県の少子化が劇的に加速しており、出生数減少率が全国下位であるという厳しい現実に目を背けることなく、冷静に向き合い対策を打っていくことこそが、県に求められていることだと私は思うところでありますが、知事は、岩手県の現状を適疎と捉え、是とされているのか、認識を伺います。 〇達増知事 有識者からは、日本の地方は決して過疎、つまり人口がまばら過ぎるという状態ではなく、むしろ世界的に見れば適疎、人口が適度にまばらな状態である旨、指摘されています。 適疎と表現される人口密度の状態は、過密に起因するさまざまなリスクやコスト、不安から人々を解放するという点で、人間本来の豊かな暮らしを可能にする基礎的条件の一つであるといえ、岩手県にはその条件があると考えます。 そのような大都市にはない本県の特性も踏まえながら、人口減少対策や医療、教育、公共交通、産業振興など、さまざまな県政課題に取り組んでいくことが重要と考えております。 〇菅原亮太委員 福井県で行われました全国知事会議でも、また、ことし9月の岩手県人口問題対策本部でも、知事は、地方への人の流れを生み出す政策の実施が重要としている一方で、適疎でこのくらいのまばらさがちょうどいいと主張されているところであります。 改めて伺いますが、知事は、過疎を適疎と置きかえ、現状を維持していくのか、それとも、岩手県への人の流れを生み出す政策を実施していくのか、どちらを目指されているのか伺います。 〇達増知事 岩手県人口ビジョンでは、2040年に国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口を上回る100万人程度の人口を確保することを展望しております。 そして、岩手県に多様な人の流れをつくり出していく施策をいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもとで進めているところでありますけれども、先ほど、盛岡市が過密ではないかという御指摘がありましたが、盛岡市の1、000人ぐらいの、あるいは日本も平均で1、000人とか1、100人ですか、そのくらいは決して過密だとは思いません。東京都の8、000人とか9、000人とかが過密、特に東京都新宿区や池袋がある豊島区が、たしか1キロメートル四方に1万8、000人とか2万人住んでいる、それが過密だと思います。 やはり過密というのは、暮らすにせよ、仕事をするにせよ、少し問題があるのではないかということをにじませつつ、適疎の地域にどんどん来てくださいと。そして、300人ぐらいの密度が、盛岡市ぐらいの1、000人ぐらいまでいっても、まだ過密とは言えないと思いますので、どんどん岩手県に人が来てくれればと思います。 〇菅原亮太委員 適疎がいいと言いながら、どんどん人が来てくださいという、少し矛盾しているような感じを受けます。知事も、常日ごろから東京一極集中の是正と訴えながら、岩手県は適疎だ、このままがいいのですということをおっしゃっています。これは、職員の皆さんも人口減少対策にさまざま取り組んでいらっしゃる、また、市町村長の皆様におかれても、いかに自分の市町村に人を呼び込むか、若い人に定住してもらうか、そういった施策を一生懸命とっている中において、県のリーダーである知事が、岩手県は適疎です、人口はこれ以上ふやさなくてもいいのです、このままがいいのですといったメッセージ性はいかがなものかと思っています。 この適疎について、市町村長に、このままでいいのですと言えるかどうか、改めて伺いたいと思います。 〇達増知事 ニューヨークタイムズ紙も盛岡市を2023年に行くべきところの2番目に選んだときに、混雑していないということを書いて、だから行こうということで、それを受けて盛岡市や岩手県も、盛岡市は混雑していません、混雑していません、だからどんどん来てくださいとやったわけです。混雑していない快適さを売りにして人をどんどん入れるというのは、いいことではないかと思っております。 それで、たちまちオーバーツーリズムのような過密状況が生まれるとまずいのかもしれませんけれども、そうはなっていないし、クレイグ・モドさんも、自分の記事でオーバーツーリズムになることはないだろうと書いてくれています。 そして、市町村長、特に人口の少ない町村、5、000人規模以下の町村長たちは、人口が少ないこと自体があたかも何かよくない地域であるがごときレッテルを張られているような不満をにじませていまして、問題があるから人口が少ないのだろう、すぐれていないから少ないのだろうといったような風評被害的なものに悩んでいるのではないかと思いました。 やはり人口が少ないところにも、いや、むしろそういうところにこそ非常に魅力があって、そこに住むべきいい利点、そこで働くべき利点が、人口の少ないところにこそあるのだという、人口の少なさをむしろ売りにしていくような姿勢が、今後、人口減少対策、人口戦略の中でも有効なのではないかと考えております。 〇菅原亮太委員 最初に戻るのですけれども、可住地人口密度が岩手県は345人でドイツと同じくらい、それくらいがまばらな状態であるとおっしゃっていて、でも盛岡市は1、100人ですと。盛岡市の1、100人についても、先ほどの答弁では、過密ではなくて適度な人口密度ですというところで、知事が考えている適疎の範囲が本当に曖昧過ぎて、どういう人口減少対策をとっていこうとしているのかが、本当に見えなくなっているところでございます。 次に、医療提供体制について伺います。 県立、市立の枠組みを超えた病院の統合、再編の議論について伺います。 令和5年度の県立病院等事業会計決算は、純損失35億円を計上しました。この危機的な状況と今後人口減少が進んで医療需要の減少が見込まれることを踏まえ、私は、医師確保と医療の質の向上、そして、県財政の安定化の観点から、県立病院とほかの公立病院の統合、再編の必要性を訴えたいと思っております。 県立病院の次期経営計画の素案で県立病院の機能分化が提示されましたが、県立病院の体制を見直すだけでは完結しないと思っています。ついては、持続可能で希望ある岩手の医療体制を実現するためにも、県立、市立の枠組みを超えた病院の統合、再編の議論を県が主体となって行うべきと考えますが、県の考えを伺います。 〇達増知事 地域の医療提供体制については医療機関の機能分化、連携が重要であることから、県内九つの構想区域に医療関係者や介護関係者、市町村等を構成員とする地域医療構想調整会議を設置して、関係者が連携しながら、各地域の医療提供体制について議論いただいています。 県では、市町村を超えて二次保健医療圏単位で対応が必要となる救急医療や災害医療などの政策医療について、県立病院を中心として医療提供体制を構築しています。 また、二次保健医療圏を超えた対応が必要となるがんや脳卒中などについては、より広域的な疾病・事業別医療圏を設定し、県立病院と岩手医科大学などとの連携により高度、専門的な医療を提供しています。 一方、市町村立病院については、住民に密着した医療を提供する等、病院ごとにそれぞれの開設者が理念を掲げて設置しているものと認識しており、今後のあり方についても、各開設者の判断により運営されていくものと考えております。 病院の統合、再編については、各病院の開設者からの要請に応じて議論を行っていく必要があると考えております。 〇菅原亮太委員 私の地元の奥州市の胆江医療圏では、皆さん御存じのとおり、奥州市総合水沢病院を新しく建てかえようとしています。病床利用率も低い中で100億円かけて新たに建てかえることについて、市民の中でも賛否があるわけでございます。 県の積極的な統合、再編への関与をお願いしたいと思っておりますが、先ほど知事から答弁あったように、公立病院、市立病院の状況を踏まえて、そちらの現状を踏まえて判断していきたい、検討していきたいという答弁だったと思います。 つまりは、県から市立病院、公立病院に対して、一緒に統廃合しましょうとは多分言いづらいと思います。当然、それは市立病院をなくしてくださいといった形に捉えられてしまうという危険もあると感じています。 仮の話で大変恐縮ですが、もし公立病院、市立病院から統廃合の相談をしたい、ぜひ県立病院と統廃合したいといった相談があった場合、県としてはそれに対してどう対応していくか、見解を伺いたいと思います。 〇達増知事 市町村がそれぞれ病院を持つかどうか、また、それをどのような形で経営するかどうかというのは、極めて高度な自治の問題であり、組織としての自治でもあり、また住民自治の問題でもあると思います。 そういう中で、これはどのような分野でもそうでありますけれども、ある市町村が自治の行為として民主的な手続で県に何か申し入れてきた場合には、正面からしっかり受けとめたいと思います。 〇菅原亮太委員 次に、私の地元で長年分娩を受け入れてきた開業医から、先日、次のような話を伺いました。今後は市内の妊婦健診できる病院も高齢化でなくなることが懸念される。さらに、産科医、助産師、看護師不足から、県内でも分娩できる病院のより一層の集約化が進むのではないかという、一開業医の方の話でありました。 こう仮定すると、岩手中部、胆江、両磐の周産期医療圏を、将来的には一つの分娩病院でカバーするといった時代が来かねないといった観点を考える必要があるのではないかと思います。 今、令和4年の出生数を見ますと、中部医療圏で1、060人、胆江医療圏で645人、両磐医療圏で466人の出生数に対して、分娩施設が、中部4、胆江ゼロ、両磐3であります。出生数に対して分娩施設数がアンバランスな状況になっております。 そこで、本当に将来的な仮定の話ですが、将来的に県立中部病院の分娩機能をそのまま県立胆沢病院に移転するといった考えはいかがかと思います。そうすれば、分娩施設は中部3、胆江1、両磐3というリバランスになります。また、先ほどの開業医の先生のお話のように、将来的な集約化を想定しても、この中部医療圏、胆江医療圏、両磐医療圏のちょうど真ん中に位置する県立胆沢病院への分娩機能の集約がベターと考えるところでありますが、当局の見解をお伺いしたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 本年度からスタートしております第8次保健医療計画では、周産期医療体制の検討に当たって、大学教授や医療関係団体等の専門家、市町村や消防などで構成する岩手県周産期・小児医療協議会におきまして、県内の分娩数やハイリスク妊婦、新生児医療への対応、大学からの派遣医師を含む医療従事者の確保状況などを踏まえて議論されたところであります。 その結果、県南周産期医療圏におきましても、引き続き安全・安心な妊娠、出産ができるよう、現行の県立中部病院、北上済生会病院、県立磐井病院を周産期母子医療センターとして維持することとしたところでございます。 一方で、菅原亮太委員から御提言の体制も含めまして、将来的な周産期医療提供体制については、この検討の中で御提案のような話が出たというわけでは決してありませんが、将来的な周産期医療提供体制についても、今後の分娩数の推移や産科医、小児科医の確保状況などを踏まえまして、岩手県周産期・小児医療協議会等の関係者の意見を伺いながら、不断に議論していくこととなると考えております。 〇菅原亮太委員 岩手中部圏域のことをなおざりにしているのではないかと思った方もいらっしゃると思います。私も、これ以上、県に対して見解を求めることはいたしませんが、それくらい、分娩施設がなくなるということは、地域の方は不安を抱えている、そしてまた、再開を切望しているといったことをぜひ皆様に御理解いただきたいと思って、質問させていただきました。 次に、産後ケアについて伺います。 先ほどの質問の続きで恐縮ですけれども、仮に県立胆沢病院に分娩を集約となると、北上市や一関市の方は、分娩できる病院の近くのホテルに宿泊してから通院するといった待機宿泊のニーズ、また、宿泊型産後ケア施設のニーズがより一層高まります。今のは仮定の話です。 これは実際の話ですけれども、現在、奥州市には待機宿泊した際の宿泊費助成制度がありますが、そもそも民間のホテルは予約がとれない現状です。これについて、私は、県が主体的に周産期医療圏ごとに待機宿泊や宿泊型産後ケアの体制を整備してそういったニーズに対応すべきではないかと考えますが、御所見を伺って、終わります。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 まず、待機宿泊の体制整備についてですけれども、県では妊産婦アクセス支援事業を行っておりまして、妊婦の分娩前の宿泊費についても補助の対象としており、現在13市町村で事業を行っております。 一部の市町村からは、分娩前の待機に係る宿泊に当たり、宿泊施設に空きがなく泊まることができない場合があるとの声もいただいていることから、まず、市町村から個々の状況について詳しく伺いながら、市町村とともに検討すべき課題と認識しております。 また、宿泊型産後ケアの体制整備についてでありますが、宿泊型も含めたきめ細かい産後ケアを受けられる環境の構築に当たりましては、市町村におきましても継続的に事業化がなされることで、持続的な運営が可能になるものと考えております。 こうしたことから県では、市町村の意向を踏まえつつ、医療機関や民間事業者、助産師など地域の関係者と議論を深め、地域の実情に応じた産後ケアを提供する環境を整備していく必要があると考えております。この体制整備に当たっては、人材の確保が課題だという声も伺っておりますし、我々もそう認識していることから、今年度から、新たに産後ケアに係る人材確保のため、県内の助産師の活用促進支援に取り組んでいるところでございます。 県としては、圏域単位での連携の必要性も考慮しつつ、圏域ごとに開催しております連絡調整会議の場などを活用いたしまして、市町村や地域の関係者との意見交換を行いながら、各地域の実情に応じた事業のあり方について議論を進めていきたいと考えております。 〇菅原亮太委員 終わります。(拍手) 〇福井せいじ委員長 次に、千葉盛委員。 〔千葉盛委員質問者席に着く〕 〇千葉盛委員 いわて新政会の千葉盛です。会派を代表して質問させていただきます。 まず初めに、東日本大震災津波から13年、沿岸被災地は全力で復興に取り組んできましたが、この間、コロナ禍、物価高、円安が県民生活や地域経済に大きな悪影響を及ぼし、人口減少は進み、住民や事業者は本当に苦しい思いをしております。 また、近年、本県でも大雨などの災害が頻繁に発生しており、ことし8月、9月には、釜石自動車道、国道455号、国道107号で全面通行どめが起こりました。東日本大震災津波のとき、沿岸部の国道などは寸断されましたが、東北自動車道から沿岸部へ抜ける国道の啓開が優先されることにより、遅滞なく避難所などへ救援物資を輸送することができました。 今回、この沿岸部へ抜ける重要な道路が3路線も寸断されました。多くの社会的資源が内陸部に偏在している岩手県において、その内陸部と沿岸地域を結ぶ道路は、沿岸地域への医療の提供、物流、人流を支える大動脈であり、これを寸断されることは、まさに沿岸地域にとって死活問題であります。これより、この問題意識を踏まえて質問をさせていただきます。 岩手県内でも、さきの一般質問で佐々木朋和議員から指摘のあった東京一極集中のような現象が起きております。盛岡市や矢巾町、北上市など内陸部に人口、産業、医療、教育、官公庁、公共施設、高速交通網などあらゆる資源が集中しています。例えば、県庁舎のあり方が検討されていますが、県は、DXの推進を掲げる一方、有識者会議では、分散整備は考えず、盛岡市の中心市街地に県庁舎を整備し、行政機関を集中させるとのことです。県ではまた、産業人材も半導体関連産業などに誘導しようとしております。 知事が選挙で掲げられたマニフェストには多くの公共施設の整備が盛り込まれていますが、沿岸地域に整備するとされているものは、リハビリテーションセンターのサテライト施設くらいです。一概に東京一極集中の話と比較できるものではないかもしれませんが、佐々木朋和議員の質問に対し、知事は、地方の生産性向上には、若者、女性初め、多くの多様な人材が地方で活躍することが必要、地方と都会でバランスのとれた人口構造に展開していくことが重要であると答弁されました。 これは、岩手県に置きかえることのできる話だと思います。沿岸振興を考えるときに、例えば県庁舎を沿岸部に移転するくらいの大きなインパクトのある政策誘導がないと現状は変わらないと思いますが、令和5年度決算を見ると、沿岸振興関係の事業は、新しい三陸振興推進費など少額のものしかありません。 知事は、この岩手県内の状況をどう捉え、岩手県においては、どのようなバランスに導いていくことが重要だと考え沿岸振興を進めていくつもりなのか、知事の考えをお伺いいたします。 〇達増知事 沿岸振興についてでありますが、国内のみならず、県内においても一部地域に人口や産業が極端に集中することなく、それぞれの地域が持続可能な状態を目指していくことが重要であると考えます。 沿岸地域では、東日本大震災津波からの復興を進める中で巨額の投資によるさまざまなインフラが整備されましたが、特に、三陸沿岸道路などの復興道路については、国の1兆円規模の直轄事業として整備されました。 また、令和5年7月に開催された三陸復興防災会議2023の基調講演における講師である藻谷浩介氏からは、海がきれいで食べ物がおいしいので、日本で一番修学旅行が来るのが三陸地域であるという状況をつくることができる。岩手県はアジアの中で強い競争力が持てる県である。山と海があってイタリアやスイスのような要素があり三陸地域には大きな力がある。三陸地域で満ち足りて暮らし、好きなときに都会や世界で遊ぶ豊かな未来は必ず実現できるなどと、沿岸地域の現状を評価いただいています。 一方、沿岸12市町村のGDPは、被災前である平成22年度の7、559億円から令和3年度には8、606億円に伸びているものの、沿岸部では県平均を上回る人口減少が続いていることから、新たな価値やサービスの創造による地域振興の取り組みが、今後ますます重要になると認識しております。 こうしたことから県では、令和元年度から、いわて県民計画(2019〜2028)に三陸防災復興ゾーンプロジェクトを掲げ、新たに整備された交通ネットワークを生かし、防災ツーリズムや港湾の利用促進、クルーズ船寄港誘致、近年の主要魚種の不漁問題等に対応した新たな水産物の販路、物流モデルの構築、海業のビジネスモデルの構築支援、さらに、みちのく潮風トレイルや新たな観光拠点などの地域資源を活用した観光振興等にも取り組んでおります。 これらの取り組みは、これまで、県北・沿岸振興本部を中心として全庁を挙げて取り組んできたところであり、県北・沿岸の発展なくして岩手の発展なしという基本的な考え方のもと、引き続き、沿岸振興を県政の重要課題に位置づけ、持続的に発展する地域の創造に取り組んでまいります。 〇千葉盛委員 とても海がきれいだ、ヨーロッパのようだということであれば、県庁舎をぜひとも沿岸部に移転していただけるのではないかと思います。きょうは県庁舎の議論ではないですので、違いますが、とりあえず一つの例として、東京一極集中もそうでありますけれども、京都から首都が東京に移転した明治時代から150年です。それと同じで、それだけのインパクトのあることが起きれば人の移動も変わるかと思っています。 今の話だと、知事が、岩手県に起きていること、私が言った資源が内陸部に集中している、それで沿岸地域との格差が生じているという中で、東京一極集中のような是正の仕方は、岩手県でも必要かどうかというところでお答えいただければ。お願いいたします。 〇達増知事 県庁がないということが、むしろ沿岸部の魅力、適度にまばらな人口密度が、かえって住みやすさ、また仕事のしやすさにもつながるところがあるかもしれません。 先ほど、菅原亮太委員の質問への答弁で、盛岡市や日本全体の1、000人、1、100人の人口密度は、過密ではなく、むしろ適疎ということを言いましたが、そこは適疎とは言えないです。盛岡市や日本全体はまばらとは言えないと思います。 ですから、まばらでない状況を新たにつくるより、適度にまばらな状況を活用したほうがよく、岩手県出身の小説家、楡周平さんのサンセット・サンライズという地方創生のあり方を小説にしたものが、今回、映画化され、来年の1月初めに公開されます。岩手県境に近い宮城県の沿岸部が舞台になっていて、三陸の海に都会の人がリモートで働きに来て、そして、そこで非常に快適に、釣りもできるし、食べ物はおいしいし、生活する場所、働く場所として非常にいいと。 それがきっかけになって日本全体の地方創生が大きく前進していくという壮大なストーリーの小説が、今回映画化されることになっておりますので、岩手県の沿岸地域を売り込んでいくチャンスです。岩手県沿岸地域、三陸地域が、日本全体の地方創生の先頭に立っていくように努めていきたいと思います。 〇千葉盛委員 ぜひとも沿岸振興を頑張っていただきたいのですけれども、さまざまな資源が内陸部に集中している。そうすると、沿岸地域の方々は、そこに来る機会もふえる。沿岸地域に公共施設も少ないので、人が集まる場所だったり、医療だったり、教育だったりを受けるにしても、どうしても盛岡市だったり、それ以外の場所に行く。盛岡市というか、内陸部だったり県外に出ていったりしてしまう構図ができ上がっていますので、これを何とかしてほしいという質問でしたので、よろしくお願いいたします。 これからまた質問していきます。次に、喫緊の課題であります物価高、賃上げへの対応についてお伺いいたします。 国際的な原材料価格の上昇や円安を背景とした物価高に対応するため、国は、昨年度13兆円規模の経済対策を実施しましたが、その効果を全く実感できていないというのが多くの県民の声であります。 県の令和5年度決算でも、LPガス価格高騰対策、物価高騰対策賃上げ支援金など、物価高対策、賃上げ支援を行っていますが、今なお、県民や事業者は物価高、円安に苦しんでおります。 このような状況下で、10月27日には最低賃金が引き上げられ、中小、零細企業の経営はさらに苦しくなるおそれがあります。また、新たな人材確保が難しくなり、人手不足も懸念されます。 県は、物価高に苦しむ県民や事業者のためにどのような対策を講じていくのか、知事の考えをお示しください。 〇達増知事 県では、国の経済対策等を踏まえ、これまで迅速かつ機動的に累次の予算案を編成し、生活者への支援や事業者の負担緩和などの物価高騰対策を講じてきたところであります。 今年度も、賃上げ支援金や生産性向上に取り組む中小企業に対する設備投資補助、事業継続に向けた相談体制の強化などを実施しております。 10月4日に経済対策の総理指示があり、国においても検討が進められているものと承知しておりますが、県として、地方の実情に応じたきめ細かい物価高騰対策が可能となるよう、国に対して、交付金の配分を含む早期かつ十分な財政措置を求めるとともに、経済対策の動向を見きわめつつ、これに呼応し、補正予算案の編成を含め速やかに対応してまいります。 〇千葉盛委員 本当に物価高、賃上げ対策というのは一刻を争うもので、賃上げも今月27日から上がってしまうということで、国は、そのとおり経済対策の指示は出したのでしょうけれども、衆議院も解散しましたし、選挙が終わるまでは、恐らくほとんど何も進んでいない。 国会で決まって、県、市町村と行くまでにかなりのタイムラグがありますので、やはりこれは、県としても、どこまでできるかは別として、かなり支援しておかないと、その前に県民生活、県民も企業も耐えられなくなってしまうと思うのですが、この間、どうやって支援策を講じていくのかお伺いいたします。 〇達増知事 最低賃金50円引き上げという目安を日本中に提示したことを受けて、日本政府としてそれなりの賃上げ対策があってしかるべきということを前提にしながら、今、日本中の自治体は、それを待っているだけではだめなので、さまざま悩んで対応しようとしているところだと思います。 岩手県といたしましても、せめて補正予算を決めてから解散してくれればと繰り返し思うところもあるのですけれども、現状、そうではありませんので、選挙の中で中小企業がどんどん行き詰まっていくような状況にならないよう、マクロ経済政策、一度にお金をどんと投ずることができるのは国の取り柄でありますが、一つ一つの企業に当たっていくミクロの政策ができるところが地方の取り柄でありますので、経済団体等とも連携しながら、苦しいところ、危ないところの声をよく聞きながら、そういったところを下支えしたり、猶予、期間を稼ぐ手法がさまざまありますので、そういったものをフルに活用して下支えをしていきたいと思います。 〇千葉盛委員 本当に国を待っていられる状況ではないですので、県としてもしっかり取り組んでいってほしいと思います。 次に、少子化対策について伺います。 令和5年1月、当時の岸田総理が異次元の少子化対策を打ち出し、児童手当の充実などが加速化プランに盛り込まれました。 県においても、令和5年度にいわて子育て応援保育料無償化事業費補助やいわて子育て応援在宅育児支援金などの子供、子育て支援施策を打ち出して取り組みを継続しておりますが、少子化がとまる気配はありません。例えば、気仙地区の15歳未満人口は、平成22年には8、138人であったものが、令和2年には5、392人と33.7%の減、令和22年には2、843人になってしまう見通しです。 子育て世代への経済的支援などの現在の取り組みに加え、とまらない少子化を何とか食いとめるため、今後、県としてどのような対策を打ち出していくのか、知事のお考えをお聞かせください。 〇達増知事 我が国が直面する最大の危機とも言えるこの未曽有の事態に対し、個人の価値観や考え方が尊重されることを前提に、特に結婚や子供を産み育てることを希望する人が、その希望を実現するに当たって、障壁がなく、若者や女性が活躍できる社会にしていく必要があります。 少子化対策については、有配偶率の向上、有配偶出生率の向上、そして、女性の社会減対策の三つの柱に加え、地域の実情を踏まえた少子化対策が重要です。 有配偶率の向上については、結婚支援、若者のライフプラン形成支援や若年層の賃金、収入の向上対策の強化などを、そして、有配偶出生率の向上については、仕事と子育ての両立を実現するための子育て支援サービスの充実などを、女性の社会減対策については、雇用、労働環境の安定と活躍できる職場の創出に向けた取り組みの強化を今後の方向性として示したところであります。 さらに、各地域の実情を踏まえた少子化対策として、小規模町村を対象に、地域課題の分析に基づく専門家等と連携した伴走型支援に取り組んでいます。 これらの取り組みにより事業の効果や課題等を検証しながら、さまざまな生きにくさを生きやすさに変えていく施策の一層の充実を図ってまいります。 〇千葉盛委員 理念や方向性はそのようなものだとは思うのですけれども、少子化を食いとめるのはなかなか難しく、少しでもまた県で対応していかなければいけないのですが、経済的な部分の支援は、もうそろそろ県としても行き詰まってきたかという感じもします。 もう少し具体的な今後の対策として、どう考えているのかというところをお示しください。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 これまで、いわゆる少子化対策として子供、子育て支援施策という形で、この10年間ぐらい県もかなり頑張っておりますし、市町村もさまざまな取り組みを行っております。 今、先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、沿岸地域の小規町村を対象に伴走型支援を行っておりまして、共通しているのは、子供、子育て支援施策は、各町村かなりフルセットで行われていて、それももちろん重要です。それをやることが大前提ではあるのですけれども、それに加えて社会減対策と連動した―両施策は密接に関係していまして、連動した取り組みが必要だろうという認識でおります。 その中で、例えばある町村では、若者が住めるような住宅施策が必要であろうといった声が出ております。ワークショップなどをやっておりまして、これから取りまとめを行うところですが、そういったような今検討している課題についての具体の事業化まで何とかしたいと考えており、事業化なども見据えた政策パッケージとして取りまとめを行って、同じような課題に悩んでいる小規模町村などにも横展開できるように、取り組みを進めていきたいと考えております。 〇千葉盛委員 何とか市町村とも連携しながらやってほしいと思います。人口誘導ではないですけれども、被災地でもよく起こっているのですが、どうしてもいろいろな支援ができ上がってきても、住む場所が少なくなったので、学校がある場所、医療がある場所、買い物できる場所と、だんだんそういうふうに人が移動していきます。それが、結局、最初に言ったとおり、内陸部だったり県外だったり、資源が豊富なところにどうしても移っていってしまうので、そういったところも何とかならないかという意味での前提としてのお話でしたので、今後とも少子化対策には積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。 次に、緊急輸送道路等の整備について伺います。 ことし8月、9月の大雨による道路の通行どめは、県内の道路の災害に対する脆弱性のあらわれであると言えます。道路網の整備においては、災害時に地域の孤立を防ぐことが重要であり、国道107号等の緊急輸送道路は、災害直後から避難、救助を初め、物資供給等の応急活動のため不可欠であることに加え、平常時においても、内陸部と大船渡港などの海上物流拠点等を結ぶ重要な役割を果たしています。 災害に強い道路ネットワークの構築に向けた早期の対応が必要と考えますが、どのように対策を講じていくのでしょうか。特に、一般国道107号の白石峠の早期着工と未改良区間整備の早期の事業化、大船渡内陸道路の高規格化の早期実現が重要であると考えますが、いかがでしょうか。 また、倒木等による通行どめが発生しないように、早期に木の伐採等が必要な箇所が多くあり、対策を講じるべきと考えますが、道路維持の県の方針について伺います。 さらに、災害により道路が寸断、通行どめとなった場合、早期の復旧が必要になりますが、災害時の早期復旧のための県の取り組みについてもあわせて伺います。 〇八重樫副知事 災害に強い道路ネットワークの構築についてでありますが、国道107号を初めとする緊急輸送道路等の整備については、災害時に迅速な避難、救急活動や緊急物資の輸送等が行えるよう、防災機能の強化が重要であると認識しています。 このため、将来的な高規格道路化を見据えた規格により整備を進めている国道107号について、大船渡市―住田町間の白石峠工区の早期着工に向けて、トンネル設計や地質調査等を推進するとともに、未改良区間の整備を含む大船渡内陸道路の早期実現について、沿線の市町と丁寧に意見交換しながら調査の熟度を高め、引き続き、災害に強い道路ネットワークの構築に取り組んでまいります。 次に、道路維持についてでありますが、県では、道路パトロール等を通じて通行に影響を及ぼす可能性がある立木等の状況を把握し、必要に応じて早期の伐採を進めています。 また、倒木が電線に接触した場合は、道路の通行どめのほかに停電被害等も発生するおそれがあることから、電線管理者等と協働して予防的な立木伐採を実施しているところです。 今後も、倒木等が発生した場合には、速やかな除去に努めるとともに、日常の道路パトロールや維持作業を通じ道路利用者の安全を確保していきます。 次に、災害時の早期復旧についてでありますが、台風や豪雨等に伴う被害が事前に予想される場合は、あらかじめ道路の維持修繕業務の受託業者に、即座に対応できる体制の確保を指示しているところです。 また、岩手県建設業協会や岩手県測量設計業協会等の関係機関と災害協定を締結し、災害時の道路パトロールや災害復旧への迅速な対応に向け体制を整えているほか、国と事前打ち合わせをした上で、災害査定前に応急工事に着手するなど柔軟に対応しています。 引き続き、関係機関と連携しながら、災害発生時の早期復旧へ向けて取り組んでまいります。 〇千葉盛委員 本当に、この間の大雨で、気仙地域は県北地域に比べてそれほど降っていなかったのですけれども、南の地域では2路線が同時に通行どめになりましたので、本当の意味で災害に強い道路をしっかりとつくっていただきたいと思います。 次に、港湾の利活用促進について伺います。 沿岸地域の振興のためには、交流人口や物流の拡大が重要であり、拠点となる港湾の整備と利活用の推進が不可欠であると考えます。 釜石道、盛岡宮古横断道路など復興道路の整備等の効果もあり、コンテナ貨物やバルク貨物の拡大により県内港湾の取扱貨物量がふえてきているほか、昨年度は、17万トンを超える大型クルーズ船が宮古港に寄港するなど、特に釜石港、宮古港では、港湾のストック効果が出ているところですが、大船渡港は、速達性や安全面など内陸部へのアクセスがネックとなっており、最大限に活用されていない状況となっております。 現状でも、大船渡港は、セメント等のバルク貨物を含めた海上貨物取扱量が県内全体の約6割を占めるとともに、コンテナ貨物の搬出入先の8割以上が内陸部となっているなど、海上物流拠点として県内の経済活動の発展に大きく寄与しております。 大船渡港をさらに発展させていくためには、国道107号の整備や大船渡内陸道路の高規格化に加え、全国的な知名度の向上やガントリークレーンの設置による機能向上が不可欠であり、県が積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。 〇八重樫副知事 大船渡港の利活用促進についてでありますが、県ではこれまで、港湾所在市等と連携した企業訪問や首都圏に本社を有する荷主企業、船会社等に向けて県内港湾の利用を呼びかける、いわてポートフォーラムin東京を実施するとともに、本年7月には、大船渡市等が開催した、いわて・大船渡港セミナー2024in東京に県の担当者も参加し、大船渡市等とともに、大船渡港の特徴や利便性などをPRしてきたところです。 ガントリークレーンの設置については、大型コンテナ船への荷役やコンテナ貨物が集中した際の荷役を行う上で大きなメリットがあることから、取扱貨物量の推移や船舶の大型化の動向等を見きわめながら、将来的なコンテナ取扱貨物量の増加について確度が高まり、その必要性が見込まれる際に検討する必要があると考えております。 引き続き、大船渡市等と連携して、いわてポートフォーラム2025in東京の開催や、荷主企業、船会社等に対して港湾利用を直接働きかけるなど、大船渡港の全国的な知名度向上やコンテナ取扱貨物量の拡大に取り組んでまいります。 〇千葉盛委員 本当に道路の整備、あとガントリークレーンの設置、機能の向上は、荷物が運び込まれる要因に、大船渡港が選ばれる要因になっていきますので、県内港湾とともに、しっかり岩手県に寄与できる港湾ですので、ぜひとも前進できるようによろしくお願いいたします。 次に、建設業の振興について伺います。 東日本大震災津波からの復興工事が終わり、現在、沿岸部の多くの建設企業が、内陸部の民間工事や県外の工事を受注しなければ存続できない状況にあるとの切実な声が上がっております。これに加えて、賃上げや時間外労働規制、週休2日制などの企業負担が増しており、激減している発注量と偏った受注バランスにより、多くの企業が、公共工事を受注できずに耐え忍んでいる状況であると聞いております。 近年、頻繁に発生する大災害や家畜伝染病などの対応については、地元企業の持続可能な経営の上に成り立っているものであり、これが崩れると安全・安心な地域づくりにも支障が生じることになります。 建設企業の経営が維持され、建設業が持続可能な産業となっていくように、環境整備や対策を講じていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 〇八重樫副知事 地域の建設業は社会資本の整備や維持管理の担い手であるほか、自然災害や高病原性鳥インフルエンザ等の発生時に即応できる存在として、地域に欠かすことのできない重要な守り手であると認識しております。 このことから県では、いわて建設業振興中期プラン2023において、地域の建設業が目指すべき姿を実現していくため、担い手確保・育成など六つの施策を掲げ、令和5年度においては、いわて建設業みらいフォーラム開催による担い手の確保、経営力の強化を目的とした経営革新講座の開催、建設DXによる生産性向上を推進する企業への補助などを実施し、建設業団体等と連携し建設業の振興に取り組んだところであります。 また、経営力の強化を図るため、県営建設工事の発注に当たっては、県内、地域企業の受注を基本とするとともに、入札時に地域要件を設定し、地元企業への発注を優先するよう取り組んだほか、安全・安心な地域づくりや県民生活を支える社会資本整備を計画的に進めるため、必要な公共事業予算の確保を国に働きかけていきます。 〇福井せいじ委員長 この際、千葉盛委員の質疑の途中でありますが、一旦休憩いたします。千葉委員、御了承願います。 午後2時46分 休憩 午後3時7分 再開 〇福井せいじ委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇千葉盛委員 次に、総合評価落札方式の評価項目について、私が令和5年12月定例会の一般質問で、施工実績による評価は見直しか廃止するべきではないかと質問した際の答弁を踏まえて質問いたします。 答弁の趣旨は理解しましたが、県営建設工事を通じて、さまざまな業者に幅広く工事を受注させ、県内建設業者の技術力や施工能力を高めていくのも、発注者としての県の役割ではないかと考えます。 評価項目を見れば、より建設業の振興に配慮した評価を行うことができるのではないかと考えますが、改めて県の見解を伺います。 また、予定価格の事前公表の答弁についても、引き続き事前公表していくものと受け取りましたが、国からは、事前公表の適否について十分検討した上で、弊害が生じた場合には、速やかに事前公表の取りやめ等の適切な対応を行うよう要請されております。 この要請がある中で、前回の答弁にあった現在の入札動向や他県の状況、事前公表のメリットとデメリットをどのように捉えた上で予定価格の事前公表を行っているのか伺います。 〇八重樫副知事 総合評価落札方式は、工事における品質を確保するため、価格に加えて、企業が保有する能力や技術力など価格以外の要素も含めて評価し、入札価格と技術力が総合的にすぐれた者を選定する入札方式として実施しているところであります。 評価項目の見直しについては、入札結果の状況や建設業団体からの意見を踏まえ、適時改正を行っており、必要な見直しを行ってきたところです。 近年の地域懇談会等においては、復旧、復興事業の完了など工事発注件数の減少に伴う受注機会の減少により実績づくりが困難となる企業があることや、実績がある企業の落札が固定化されることなどの意見が寄せられているところです。 こうした意見も踏まえ、担い手の確保、育成、働き方改革への対応状況、企業の施工能力や地域精通度など、評価項目の見直しについて検討を進めているところです。 〇滝山会計管理者 予定価格の事前公表についてでありますが、国の入札及び契約の適正化に関する指針では、予定価格の事前公表により懸念される事項として、落札価格の高どまり、くじ引きによる落札の増加、入札談合の可能性などを挙げております。 本県の入札の状況を見ますと、落札価格の高どまりについては、直近3カ年の平均落札率は91%から92%台であり、全国平均の93%台と比較して著しく格差が生じていないこと、また、くじ引きによる落札の増加については、その発生割合が1%程度と非常に低い状況にあります。 さらに、入札談合が行われる事態を避けるため、公正入札推進ダイヤルの設置や談合情報対応マニュアルに基づき調査することとしており、現時点では入札談合は把握されておらず、国が示す弊害は、いずれも確認されていないものと考えております。 他県の状況につきましては、一部に事後公表との併用を含みますが、事前公表は29都府県で採用されており、東北地方では、本県を含む5県で採用されています。 また、事前公表のメリットとしては、予定価格の漏えいが発生しないため入札の透明性、公正性が確保されることや、再度入札がないため事務の効率性が向上すること等が挙げられます。 デメリットとしては国の指針で示された弊害が考えられますが、先ほど申し上げたとおり、本県ではこれらは生じていないことを確認しながら、事前公表を運用しているところです。 今後におきましても、国の指針に基づき、入札動向や他県の状況等を注視し、十分検討を行いながら適切に対応してまいります。 〇千葉盛委員 岩手県建設業協会からも要望等が出ておりますので、よくよく要望等を捉えながら進めていっていただきたいと思います。 次に、実質公債費比率について伺います。 県がさらに発展していくためには、公共施設の整備や公共事業の一定程度の確保が必要だと思いますし、それゆえに、知事が掲げたマニフェストプラス39でも、公共施設の整備や公共事業が多く盛り込まれております。 一方で、県が公表した令和5年度決算に基づく実質公債費比率は12.7%となっているものの、今後上昇の兆しを見せ、令和10年度には16.6%となり、県債の発行に国の許可が必要な起債許可団体となる18%にかなり近づく見通しとなっております。 今後、どの程度の規模の公共施設整備や公共事業を実施すれば起債許可団体となる可能性があるのか、また、そうならないためにどのような財政運営を行っていくのかお伺いいたします。 〇千葉総務部長 実質公債費比率については、財政規模に対する公債費の割合であることから、本県の財政規模を踏まえると、交付税措置のない公債費が単年度で30億円程度増加すると、比率が1%程度上昇するものでございます。 単純な試算でありますが、国庫や交付税措置がない場合、単年度に800億円程度の投資で、その75%に当たる600億円の県債発行を行いますと、後年度の公債費が30億円程度増加し、比率も約1%上昇すると見込まれております。 これにより、単年度1、100億円程度の事業実施により1.4%の上昇が見込まれますので、千葉盛委員御指摘のように、ピーク時の16.6%が起債許可団体となる18%程度まで上昇する可能性があるということでございます。 実際の事業実施に当たっては、国費や有利な地方債を活用しつつ、必要な投資規模を確保し、事業の優先度を勘案しながら、限られた財源の重点的かつ効果的な活用を徹底してまいります。 〇千葉盛委員 比率は非常に大切なラインだと思うのですけれども、今、県内、ましてや沿岸地域もかなり疲弊しておりますので、必要な公共投資はしっかりやっていってほしいと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、省エネ、高性能住宅の普及促進について伺います。 もともと寒さが厳しい岩手県ですが、地球沸騰化時代であり、暑さ対策からも建築物の高性能化の必要性が増しております。 県では、四つの重点事項にGXの推進を掲げていますし、来年4月から、新築建築物について省エネ基準への適合が義務化され、省エネ化に対する社会の要請も増しております。 住宅の高性能化により光熱費が安くなり、健康面にもメリットがあります。2050年度までの温室効果ガス排出量実質ゼロの取り組みと快適で豊かな暮らしの両立に一役買うこととなりますが、結局はコストの問題があります。 県では、いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助など取り組みを進めていますが、普及は道半ばと考えます。これまで以上に県が新築、リフォームを問わず、省エネ化、高断熱化といった住宅の高性能化により積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。 〇八重樫副知事 省エネ住宅は、温室効果ガスの削減だけではなく、千葉盛委員御指摘の快適で健康的な居住環境の実現やエネルギー消費の抑制など、多様な効果が期待できるものと認識しています。 このため県では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに基づき、高い断熱性能を備えた岩手型住宅を普及するための岩手型住宅ガイドラインを改訂し、2050年カーボンニュートラルに向けて国が示しているZEH基準を上回る高い省エネ性能を盛り込んだところです。 岩手型住宅の普及に向けては、設計者や工務店等の事業者向けの講習会による技術力向上に加え、県民の理解が重要と考えており、県の補助を受けて建築した住宅の見学会による省エネ住宅の快適性を実際に体感する機会の提供などに取り組んでいます。 引き続き、県民に向け、省エネ住宅がGXの推進に効果的であるとともに、ヒートショック等の健康への影響やランニングコストの削減等においてメリットがあることを積極的に周知していくことで、その普及促進を図ってまいります。 〇千葉盛委員 最後になると思いますけれども、ILC―国際リニアコライダーの推進について伺います。 令和5年2月、岩手、宮城両県17市町から成る国際リニアコライダーの誘致実現を目指す建設地域期成同盟会が発足し、実現に向けた活動が展開されています。 また、岩手、宮城両県議会の国際リニアコライダー建設実現議員連盟は、ことし1月、政府などに対して、誘致実現や取り組みの加速を要望してきました。 現状、ILC誘致はなかなか進展を見せている状況ではありませんが、誘致をめぐっては、2025年、令和7年が一つのめどになるとの見方も出されており、何としてでもILCを実現し、平成29年6月からILCの活用のために一時分譲が中断されている県有地である大船渡港永浜・山口地区工業用地を活用してもらわなければなりません。 県では、ILCの実現に向けて、首都圏を中心に機運醸成を促すため、小島よしおさんによるプロモーション動画の作成、放映などを展開していくとしております。この事業のコンセプトは、ILCでつながる仲間をふやして、機運を高めていくこととしており、今回は、岩手県単独の事業ですが、仲間づくり、友達づくりが必要なわけですから、今後は、宮城県や東北地方はもちろん、全国を巻き込んで実現に向けた活動を展開していけるように仕向けていくべきと思います。 そのためには、知事、副知事、ILC推進局長が、全国を仲間、友達にすべく、全国行脚をして精力的に活動すべきと考えますが、いかがでしょうか。 〇箱石ILC推進局長 今般の事業は、タレントの小島よしおさんが出演するILC解説動画により、幅広い層にILCを知ってもらうことに加え、SNSでILCフレンズの輪を広げるキャンペーンを展開し、広く国民の機運を醸成するための事業として企画したものでございます。 事業の実施に当たりましては、新潟県を含む東北7県や東北ILC推進協議会、また、産学連携の全国組織であるAAA―一般社団法人先端加速器科学技術推進協議会などの関係団体に対して周知を図ったほか、希望郷いわて文化大使などの県ゆかりの著名人にキャンペーンへの協力をお願いするなど、さまざまなチャンネルを活用した取り組みを進めているところでございます。 今後、ILC実現の要望を本県とともに実施している全国知事会、北海道東北地方知事会を通じまして、各都道府県に対する周知を図るとともに、首都圏でのイベント出展による活動など、あらゆる機会を捉えて、国民的な機運の盛り上げに取り組んでまいります。 〇千葉盛委員 ありがとうございました。(拍手) 〇福井せいじ委員長 次に、佐々木努委員。 〔佐々木努委員質問者席に着く〕 〇佐々木努委員 いわて県民クラブ・無所属の会を代表して質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 令和5年度予算は、少子化対策、GX、DXの推進、安全・安心な地域づくりの強化に重きを置いたいわて県民エンパワー予算でありましたが、令和5年度の取り組みは、その名のとおり、県民にエンパワーすることができ、県民の幸福感の向上につながったのでしょうか。その事業効果が具体的にどこに、どのようにあらわれたのか、知事の評価も含めてお聞きします。 〇達増知事 令和5年度は、第2期アクションプランの計画期間初年度でもあり、誰もが、生活、仕事、学びに本来持っている力を発揮し、困難を乗り越え、希望を叶えられるようにとの思いを込めたいわて県民エンパワー予算により、物価高騰の影響を受けている生活者、事業者を支えるとともに、全国トップレベルの子供、子育て環境の実現に向けた取り組みを初め、各ライフステージに応じた総合的な施策の拡充、若年層の県内就職やU・Iターンの促進による移住、定住施策の強化などに取り組みました。 その結果、物価高騰対策賃上げ支援金について見込みを上回る申請を受け付けるなど、賃上げの促進に効果を上げており、先日の岩手地方最低賃金審議会における過去最大の引き上げの答申の後押しにもなったほか、県内全市町村が、第2子以降の3歳未満児に係る保育料無償化を実施、i−サポの登録料無料キャンペーンにより会員数が大幅に増加、県外からの移住、定住者数が増加し、過去最多を更新、高卒者の県内就職率が高い水準を維持など、一定の効果があったと考えております。 また、県民の主観的幸福感については、令和6年の調査結果によると、幸福だと感じているまたはやや感じていると回答した人の割合は、県全体で58.5%となり、令和5年の調査結果に比べて1.6ポイントの上昇となっています。 一方、合計特殊出生率や総実労働時間など低い達成度となっている指標もあることから、今後、県民の幸福に関する実感や社会経済情勢の変化も踏まえた政策評価を行い、来年度の施策推進につなげてまいります。 〇佐々木努委員 知事の認識についてお伺いしたくてこの質問をしたわけでありますが、出生数あるいは婚姻数が減少している状況、このことについての知事の率直な、令和5年度事業、頑張ったけれども、うまくいかなかったとか、そういう感想でもよろしいですので、知事の評価について、もう少しだけお話いただければと思います。 〇達増知事 日本全体で婚姻数、出生数、そして婚姻率と出生率も、その低下が加速していること、岩手県もそうでありまして、非常にゆゆしい事態と捉えております。それだけ、結婚しにくい、また、出産、子育てしにくい、いわゆる生きにくさに直面している人たちが多く、また、そういう困難の場が、さまざまな場、家庭であったり、学校であったり、職場であったり、地域であったり、そうしたことをこの岩手県においても、一つ一つ丁寧に場面場面解決していかなければならないと強く思います。 〇佐々木努委員 それらの評価を踏まえて質問させていただきます。 厳しい財政状況下においては、事業の選択と集中が何よりも重要でありますし、事務事業評価を踏まえた事業の見直しは喫緊の課題だと思っております。しかしながら、私は、令和5年度における事務事業評価と事務事業の見直しが、果たして十分だったのかということに疑問を感じています。 知事は、令和5年度の事務事業の見直しについて、どのような所感をお持ちか、あわせて、今後、財政が一層厳しさを増すことが見込まれていますが、令和7年度予算の編成に向けた事務事業の評価、見直しをどのような考えで、どのように進めていくのかお伺いいたします。 〇達増知事 令和5年度の事務事業評価に当たっては、指標の状況や上位の施策との関係も踏まえながら、必要性、有効性等を考慮し、今後の方向を取りまとめ、令和6年度当初予算編成においては、さまざまな主体との役割分担や政策評価結果等を踏まえ、事業のスクラップ・アンド・ビルドを行いました。 この結果、政策推進プラン構成事業においては、広域防災拠点設備等整備費など6事業を縮減し、ドローン技術社会実装促進事業費など24事業を廃止、休止することで、約15億円の縮減を実現いたしました。 事務事業評価や予算編成過程を通じて必要な事務事業の見直しは行われていると認識していますが、今後とも、政策形成と評価、予算編成の連動を図りながら、政策手段の検証を不断に行い、計画の着実な推進に向けて取り組んでまいります。 残りの部分については、担当部長から答弁させていただきます。 〇小野政策企画部長 令和7年度予算編成に向けた事務事業の評価、見直しについてでありますが、先ほど知事から答弁ございましたとおり、事務事業評価の実施に当たりましては、各事務事業に設定した指標の状況、上位の施策との関係も踏まえながら、必要性、有効性などを考慮し、今後の方向を取りまとめているところでございます。 その取りまとめに当たりましては、さきの令和7年度の予算編成方針におきまして、令和6年度岩手県一般会計予算の附帯意見を踏まえまして、政策評価結果等を踏まえた積極的な見直しや再構築を行うこととしており、各事業について、指標の達成度を踏まえて、四つの重点事項、上位のいわて幸福関連指標、具体的推進方策指標の向上に資するように事業の検討を行っております。 特に、評価結果で指標の達成度が低いCのある事業につきましては、内容を精査し、必要な見直しを行うよう各部局に指示をしたところでございます。 また、政策推進プランの着実な推進に当たりましては、部局横断的に課題や解決策を探ることが重要でありますので、10の政策分野ごとに設置しております政策推進クロス・ファンクショナル・チームにおきまして、いわて幸福関連指標や具体的推進方策指標の達成状況に加え、社会経済情勢の変化、県民意識の状況なども踏まえまして政策分野の評価を行い、来年度の施策の見直しに着実に反映させてまいります。 〇佐々木努委員 指標の達成度がたとえAであっても、本当にそれが将来的に必要なものなのかということ、これはしっかりと検証する必要があると私は思います。人口減少や気候変動によって、これまで進めてきた事業そのものに、これは変えていかなければならないのではないかという疑問が多分職員の皆さんにもあると思いますので、これは積極的に進めてほしいと私は思っていますので、よろしくお願いいたします。 そして、県の中期財政見通しでも非常に厳しい数字が示されました。職員の皆さんは行政のプロですから、財政調整基金が枯渇するなどということは絶対にあり得ないのですけれども、ただ、財政調整基金の額をしっかり維持していくことは、それだけ歳出も見直していかなければならない。きょうも随分議論がありましたが、一方で歳入確保も取り組まなくてはならないということになると思います。 我々会派としては、少子化対策を第1にということで考えていますので、歳入確保策として少子化対策県民税、超過課税について取り組んでほしいということをもう何年も前から要望しているわけでありますが、これに対して知事からは、検討を進めるという話もいただいています。それは非常に期待が持てると思うわけでありますが、それも含め、もう一つ、我が会派では交通税についても検討すべきではないかという提案もさせていただいています。 これら超過課税、法定外目的税、これらの新たな財源確保に取り組むお考えはないか、改めて伺います。 〇達増知事 佐々木努委員御指摘の少子化対策や地域公共交通の維持といった継続的に取り組んでいくべき課題に対しては、安定的かつ継続的な財源確保が不可欠であります。 現在、県庁内部で先行事例の研究や課題の整理等を進めているところであり、宮城県の宿泊税構想や滋賀県の交通税構想など、全国的に具体的な検討が進んでいる事例の動向についても、随時、情報収集しているところであります。 引き続き、目的と手段、受益と負担の関係等、さまざまな論点を考慮しながら、そのあり方について検討を進め、持続可能な行財政基盤の構築に向け取り組んでまいります。 〇佐々木努委員 ぜひよろしくお願いいたします。このことについては、また次回も取り上げさせていただきますので、検討の状況をお聞かせいただければと思います。 それでは、きょうの本題であります少子化対策について伺ってまいります。 令和5年の我が県の出生数は5、432人で、前年からさらに356人減りました。合計特殊出生率も、令和4年の1.21から1.16に低下いたしました。同様に婚姻数も減少しており、出生減は想定されていたとはいえ、歯どめがかかる兆しが見えず、とても残念でなりません。 これは、我が県に限らず全国的なことであるというのは、先ほど知事もおっしゃっていましたし、私もそう思います。ですから、県の取り組みだけに問題があるとは全く思っていませんし、県ができることにも限りがあるということは理解しています。 それでも、若者の県外流出を極力食いとめ、一方で、県外の若者を呼び込み、定住化の促進によって次世代が生まれ育つ環境をつくることは、全ての県民の願いでありますから、県は、国、市町村、県民と一体となって対策に取り組まなくてはならないと思っています。 そこで、我々会派に寄せられている県民からの要望をもとに、これまで何度も取り上げてきましたが、または求めてきましたが、それらについて改めて伺ってまいります。 一つ目は、仕事と子育ての両立に関する支援についてであります。 今、夫婦共稼ぎの家庭がほとんどとなって、行政による経済的な支援や保育、教育環境の充実が急務になっているとともに、親が働く場における子育て支援の充実が強く求められています。 国も、民間企業による子育て支援を重視し、次世代育成支援対策推進法において、企業による子育て支援の強化を目指し、常時雇用従業員101人以上の企業に、一般事業主行動計画の策定を義務化し、100人以下の企業に努力義務を課しています。 しかし、常時雇用従業員100人以下の企業が大半の我が県においては、企業による子育て支援が思うように進んでいるとは言いがたいことから、100人以下の企業に対しても、県が条例で策定を義務化することを求めてきました。 そのような中で、知事は、昨年の就任直後の定例会で条例化に取り組むと明言され、ことし2月定例会の予算特別委員会においても、検討を進めていると述べられました。その後、年度が変わり半年が経過しましたが、現在どのように進められているのか、課題も含めて取り組みの状況をお聞きします。また、いつの条例化を目指しているのかも、あわせてお示しください。 〇達増知事 本県では、一般事業主行動計画の策定が努力義務とされている従業員100人以下の企業等を対象として、いわて子育てにやさしい企業等認証制度を設けています。 本制度の9月末時点の認定実企業数は249社であり、県内で多数を占める小規模企業等における一般事業主行動計画の策定に一定程度寄与してきたものと認識していますが、さらなる取り組みの広がりが必要であります。 国においては、令和7年4月1日を施行期日として次世代育成支援対策推進法が改正され、期限の延長にあわせて、一般事業主行動計画については、育児休業取得状況などの数値目標によるPDCAサイクルの導入などが義務づけられました。 今年度は、先行して条例制定した富山県に職員を派遣し、条例化に至った経緯やスケジュール、企業への支援の方法、条例化による成果等についてヒアリングを実施し、その内容をもとに関係団体との意見交換を予定しているところであります。 条例化に向けては、法改正の内容を踏まえた協議や検討のほか、中小企業を代表とする関係団体の意向も踏まえることが必要になると考えておりますが、可能な限り早期の実現を目指します。 〇佐々木努委員 期限の目途は示されなかったわけでありますけれども、関係団体からの意見聴取、理解を求めることについては、知事がマニフェストに掲げていることであります。しかも、知事は、県の経済界とは強いパイプがあるとお聞きしておりますので、知事の一声でこういうものは容易に解決するのだと私は思っています。ぜひ、知事が先頭に立って、一日も早い条例化に向けて取り組んでいただきたいと思います。この進捗状況についても今後も伺ってまいりますので、よろしくお願いいたします。 次に、2点目に、学校給食費の無償化についてお聞きいたします。 今、全国の自治体で学校給食費の無償化が進んでいるわけでありますが、我が県においても、今年度の完全無償化が11自治体、一部助成が17自治体と、前年度から実施市町村がさらに増加しています。一方で、財政面から無償化に踏み込めず、一部助成も行われていない自治体が5自治体ありまして、県内で大きな格差が生じています。 私は、これまでも県が主導した無償化の実施を求めてきましたが、私の要望に対する答弁、先日の我が会派の工藤剛議員に対する答弁においても、一貫して、国がやるべきことである、国の動きを注視する、国に求めていくとの答弁に終始しています。 しかしながら、私は、出生数の減少が他県以上に進んでいる状況だからこそ、国の動きを待たずに、他県に先駆けて無償化することが必要だと思っています。それは、県内の多くの市町村長も同じ思いだと思います。 県財政が厳しいことは重々承知していますが、改めて、県が主導して完全無償化に取り組むお考えはないか伺います。 〇佐藤教育長 学校給食費の無償化につきましては、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われることが重要であることから、国全体として取り組むべきと考えており、本年6月に国に対して、学校給食費の無償化の実現について要望を行ったところであります。 国におきましては、昨年度、こども未来戦略方針に従い、学校給食の実態調査を行い、本年6月12日にその結果を公表したところであり、現在、自治体など学校設置者による実施方法の違いや法制面等も含めた課題を整理し、具体的方策の検討が進められているものと認識しております。 県教育委員会としましては、国の動向を注視しながら、引き続き必要な働きかけを行ってまいります。 〇佐々木努委員 教育長がといいますか、教育委員会ではそこまでしかおっしゃれないのだと思います。この問題は多額の予算を必要としますので、お隣の青森県のように知事の政治判断になるのだと思います。ことし2月にも知事にお聞きしましたが、改めて、知事、やってみようというお考えはないか伺います。 〇達増知事 学校給食費の無償化は、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われることに加え、長期的な視点で切れ目なく行うことが重要と考えております。 このことから、本年6月に国に対し、学校給食費の無償化について要望いたしました。 本年8月の全国知事会議において、私も副本部長を務める人口戦略対策本部が設置され、教育の無償化などの重要課題の解決に向け、緊急宣言を決議するとともに、国全体として学校給食費の負担のあり方を抜本的に整理した上で、国の責任で、財源を含め具体的な施策を示すよう、全国知事会としても国に申し入れたところであります。 県としては、国の動きを注視しながら、全国知事会等とも連携し、引き続き必要な働きかけを行ってまいります。 〇佐々木努委員 前回と同じ答弁でありまして残念でありますが、今定例会に学校給食費の無償化を求める請願が出されまして、昨日、全会一致で可決されました。知事も御承知だと思います。知事には、この重みをぜひ理解していただきたいと思います。 そして、我々も全額県が出すべきだなどということは全く思っておりません。市町村と折半する、市町村に少しでも支援をする、それで全体に無償化を広げるという県の取り組みも、一つの無償化に向けての県の大事な役割ではないかと思っておりますので、ぜひ、そのこともお含みおきいただいて、検討していただきたい。 私も、多くの方から、なぜ青森県がやって岩手県ができないのだということを、この間、何度もお聞きして、いや大丈夫、岩手県でも何とかきっと始めるからということで、うまくその場はしのいだのですが、全国的に広がっていくと、これももう通用しなくなるので、県には何とか頑張って決断していただきたいと思います。 次に、3点目、子供の遊び場、学び場の整備について伺います。 ここ数年、子育て中の方から、他県には屋内の子供の遊び場がたくさんあるのに、岩手県にはない。なぜ岩手県ではつくらないのか。何とかつくってほしいという要望を聞くことが本当に多くなりました。 県が今年度、市町村が子供の遊び場を整備する場合に、整備費の一部を助成する事業を始めたことは評価いたします。しかし、市町村が整備している施設の規模が、本当に子育て中の方々が求めているものなのか、私には疑問に思われます。 子育て中の方々が本当に求めているのは、自宅から少々遠くても、暑い日でも寒い日でも、あるいは雨の日でも、いつでも子供たちを長時間安心して遊ばせることができて、何度でも利用したくなる施設だと私は聞いています。 いわて子どもの森も、非常によい施設ですが、地理的に行きづらいという大きな課題があります。ですので、交通の便のよい地域にも全天候型で魅力ある遊び場、学び場を県が整備すべきと私は思いますが、そのお考えはないか伺います。 〇達増知事 昨年実施した子育て世代との意見交換などにおいて、行政に求める子育て支援策として、天候に左右されずに、子供が気軽に遊べる場所に対する県民の声を把握しており、そうした子育て世代のニーズに迅速に対応し、遊び場を確保する必要があります。 一方で、新たに大型施設を整備する場合、整備費用やその後の維持管理経費など財政的な課題や整備にも時間を要するため、慎重な検討が必要です。 そうした中で、県では、身近な遊び場の整備が迅速に進むよう、今年度から新たに、市町村が実施する既存の公共施設や民間施設を活用した遊び場整備に対する補助事業を実施しており、大船渡市では、南三陸ショッピングセンターサン・リアに、行政機能と遊び場や交流の機能をあわせ持つこども家庭センターDACCO(だっこ)、遠野市では、中心市街地活性化センターとぴあに、地域産材を使用した大型木製遊具TOMOK(ともっく)が設置され、にぎわいの創出にもつながっているところであります。 県としては、一人でも多くの子供が、身近な地域で、悪天候時や冬期間においても安心して遊ぶことができるよう、市町村と連携し遊び場の整備を促進してまいります。 〇佐々木努委員 知事は、全国のそういう遊び場をごらんになったことがあるかわかりませんけれども、全く規模が違うのです。私も環境福祉委員会がかなり長いので、この13年間、全国のあちこちの子供の遊び場を調査しました。ついこの間も、福島県郡山市と山形県鶴岡市に行き、郡山市はペップキッズこおりやま、鶴岡市はキッズドームソライというところを見てきたのですが、非常に規模も大きくて、子供たちもたくさん遊んでいて人気がある。そういうところを子育て中の方々はSNSなどで知って、岩手県にも欲しいと求めているわけであります。 きっと、知事初め職員の方々がイメージしている規模などと、子育て中の方々がイメージしているものと、私は少しかけ離れているのではないか、少しずれがあるのではないかと思いますので、ぜひ、子育て中の方々のイメージしているものも研究していただいて、御検討いただきたいと思います。 次に、最後になりますが、不登校対策についてお伺いいたします。 令和4年度の我が県の不登校児童生徒数は、小中高を合わせて2、588人にまでふえています。そのような中で、県内で17の団体が、そういう子供たちの受け皿になろうということでフリースクールを運営しておりますが、経営状態が非常に悪いということで、県に支援していただけないかという声をこの間いただいています。 あわせて、県にも支援していただいていますが、高等専修学校星北高等学園からも、物価高騰、人件費の高騰等で非常に厳しい、何とか支援してほしいという要望をいただいています。 これらフリースクールに対して、長野県同様の支援が行えないか、あるいは星北高等学園に対するなお一層の支援の強化を図っていただきたいと思いますが、県のお考えをお聞きして、終わります。 〇佐藤教育長 フリースクールに対する支援についてでございます。不登校対策は、全国的に教育支援センター、フリースクール等民間団体、学びの多様化学校、オンライン活用など、児童生徒一人一人に応じた多様な施策が展開されているものと承知しております。 長野県では、本年4月に、活動目的、利用児童生徒数、スタッフの資格など一定の基準を満たすフリースクール等民間施設を認証し、必要な支援等を行う独自の制度を創設したものと承知しております。 本県におきましては、教育支援センターの全市町村への設置や校内教育支援センター、いわゆるスペシャルサポートルームの設置などに優先的、重点的に取り組むとともに、不登校児童生徒支援連絡会議を通じて、フリースクール等民間団体との連携や保護者支援に取り組んでいるところでございます。 今後も引き続き、国の動向あるいは他県の取り組み等を注視しながら、児童生徒一人一人に寄り添った支援に努めてまいります。 〇村上ふるさと振興部長 星北高等学園に対する支援について御答弁申し上げます。星北高等学園は、不登校の経験を持つ生徒や発達特性のある生徒を積極的に受け入れ、一人一人の子供たちに寄り添いながら、それぞれの状況に応じた学びの機会を提供しているものと認識しております。 県では、こうした私立専修学校高等課程における教育の振興を図るため、人件費などの経常的経費に対し支援を行っておりまして、令和5年度から生徒1人当たりの補助単価を令和4年度の倍額となる7万1、920円としたほか、令和6年度当初予算におきましては、不登校の生徒等に対する支援の強化を図るため、スクールカウンセラーなどの配置費用に係る補助を新たに措置したところであり、星北高等学園に対する今年度の県の支援額は、令和4年度までの補助実績額の5倍を超える額となっているところでございます。 一方で、厳しい財政状況のもと、県の一般財源のみによる支援には限界がありますことから、高等学校に対する支援と同様の支援ができるよう、国に対して、国庫補助制度の創設と十分な普通交付税措置について要望しているところでございます。 引き続き、国や他県の動向を注視するとともに、令和5年度及び令和6年度に拡大した支援措置の効果やこれを踏まえた運営状況なども踏まえまして、星北高等学園高校との意見交換なども行いながら、丁寧に対応してまいります。 〇佐々木努委員 ありがとうございました。(拍手) 〇福井せいじ委員長 次に、斉藤信委員。 〔斉藤信委員質問者席に着く〕 〇斉藤信委員 日本共産党の斉藤信でございます。 医師、看護師確保と県立病院の新しい経営計画素案について質問いたします。 知事は、医師不足の打開のために12県の知事とともに、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会を立ち上げ、ことし8月9日にも政府に対して提言を行っています。 岩手県における医師不足の現状、提言の内容とこれまでの成果について示してください。 〇達増知事 国が令和5年に公表した医師偏在指標においては、全国で最下位となっているものの、これまでの取り組みにより県内の医師数は、奨学金養成医師の配置が始まった平成28年の2、458人から、令和4年は2、580人となり、着実に増加しているところです。 医師不足の解消には国を挙げた取り組みが必要でありますので、同様の課題を持つ11の医師少数県に知事の会設立を呼びかけ、医師不足の解消につながる具体的な施策を提言してまいりました。 今年度においては、国に対し、医師の地域や診療科の偏在解消に向けた仕組みづくりや医師を初めとする医療従事者の養成、確保、医師の地域偏在解消に向けた実効性を伴う専門研修の仕組みの創設等について提言を行いました。 これまでの知事の会の取り組みにより、令和8年度以降の臨床研修において、医師少数県等で一定期間研修を行う広域連携型プログラムの導入や、医師少数区域での勤務経験を管理者の要件とする病院の拡大等を盛り込んだ、国の医師偏在是正に向けた総合的な対策のパッケージが示されたところであります。 引き続き、より実効性のある医師不足、偏在対策が国の責任において実施されることを目指し、知事の会の活動を強力に推進してまいります。 〇斉藤信委員 8年間で128人ふえたということになると思います。また、知事の会も成果を上げつつあると、これは評価したいと思います。 そこで、これまでの医師確保の計画と実績について示してください。 〇達増知事 県ではこれまで、奨学金により医師を養成してきたところであり、配置を開始した平成28年度の16人から、今年度は172人となっています。 令和2年度から令和5年度までを計画期間とする第7次医師確保計画では、県全体の目標医師数として359人、二次医療圏ごとの目標医師数の合計として134人を確保する二つの目標を掲げて取り組んでまいりました。 奨学金による医師の養成や即戦力医師の招聘等の取り組みにより、令和4年までに122人の増加となっており、令和5年度における奨学金養成医師の前年度からの増加分29人を勘案すると、二次医療圏の目標医師数134人は上回るものと見込んでいます。 〇斉藤信委員 今年度まで見れば計画を達成しているということですね。 そこで、岩手県の医師確保計画はことし3月策定ですけれども、今後の医師確保の計画、目標とその見通しはどうなっているでしょうか。 〇達増知事 今後の医師確保計画の目標への見通しについてでありますが、令和6年3月に策定した第8次医師確保計画では、二次医療圏ごとの目標医師数を令和8年度までに181人増とする目標を掲げております。 この目標を達成するため、奨学金養成医師の計画的な配置や即戦力医師の招聘等に加え、症例数や手術数の確保による研修体制の整備や医師が出産、育児などを行いながら働き続けられるような職場環境の整備等により、新たに242人確保する見通しとしているところであり、より多くの医師を確保できるよう取り組んでまいります。 〇斉藤信委員 新しい医師確保の計画では181人増員、それに対して242人の見込みだということです。 ところが、県立病院の新しい経営計画では、医師増員の計画は6年間でわずか23人となっています。これでは県の医師確保計画から見ても、これまでの増員の実績、県立病院の医師不足の現状から見ても、余りにも少ないのではないでしょうか。 〇小原医療局長 これまで県立病院におきましては、深刻な医師不足に対応するため、奨学金による医師の養成とともに、65歳後の医師の勤務延長のほか、任期つき職員採用、即戦力医師の招聘等により医師の確保を図ってきたところでございます。 次期経営計画におきましては、県の医師確保計画の配置見通し等を踏まえまして、100人を超える奨学金養成医師の増員を見込む一方で、シニアドクター等の退職や大学病院への異動等による一定数の減員も勘案しているところでございます。 全体としては、人口減少に伴う患者数の減少を見込む中においても、県北・沿岸部等の常勤医師が不足している病院へ着実に配置を進めるため、医師を増加していくこととしているところでございます。 今後も、奨学金による医師養成の推進と着実な配置を進め、シニアドクターに過度に依存しないバランスのとれた体制を確保し、県民に高度、専門医療を安定的に提供するとともに、身近な医療についても継続的に提供してまいります。 〇斉藤信委員 現計画、6年間の計画でも54人増員されています。6年間で今後23人しかふやさないというのはどういうことかといいますと、来年度は1人、2026年度は4人、2027年度は4人、2028年度は5人、2029年度は5人、2030年度は4人と。これだったら、20病院あるうち1人ぐらいしかふえないという数なのです。 そこで聞きますけれども、機能強化と連携と言っています。では、機能強化する病院でどれだけ増員するのですか。医師が減る病院はどれだけあるのでしょうか。 〇小原医療局長 医師の配置見込みについてでございますが、今般の計画では、がんや脳卒中、心血管疾患等の疾病ごとに医療機能を集約し、症例数、手術数の集積を図ることで、専門医等の確保につなげようとするものであり、例えば、がん診療で中核的な機能を担う病院に、麻酔科医や病理医の重点的な配置を目指しているものでございます。 一方で、県北・沿岸部や地域病院等については、地域の医療ニーズを踏まえながら、奨学金養成医師の着実な配置を進めるとともに、関係大学への派遣要請を強化し、常勤医の確保に努めていこうとするものであります。 計画期間中の各病院の具体的な配置につきましては、医療の高度、専門化の状況や地域の医療ニーズの状況を踏まえながら取り組んでまいります。 〇斉藤信委員 残念ながら私の質問に答えなかった。機能強化するために高度な医療機器と医師をそこに動員すると言っているでしょう。何人ふやすのですか。たった23人の計画しかないのに。そこは答えられないのですか。 〇小原医療局長 先ほど申しましたとおり、がんや脳卒中、心血管疾患の疾病ごとに医療機能を集約するということにつきましては、徐々にそういう形で集約される側から集約するほうに医師が若干異動することはあろうかと思いますが、医局の状況等でそこを順次ふやしていくという形になろうかと思っています。 ただ、その一方で、症例が集約されるということでございまして、専攻医等も集まってくるということで、医師は着実に増加するものと考えているところでございます。 〇斉藤信委員 6年間でたった23人しかふやさないのに、機能強化の病院に何人ふやすかも言えない。ふやせば、ほかの病院は減るということになるでしょう。そういうあなた方の計画なのです。 そこで聞きますけれども、80時間以上、100時間以上勤務している医師の実態を示してください。 〇小原医療局長 県立病院の医師1人当たりの年間の超過勤務の平均時間は、令和5年度は475時間で、コロナ禍前の令和元年度の527時間と比較して減少傾向にあります。 また、時間外労働が年960時間超の医師につきましては、令和5年度が48人、令和4年度の76人と比較して減少傾向にあります。 〇斉藤信委員 私は、月80時間、100時間超えている医師を聞いたのです。月100時間以上というのが、これは一月だけです。12カ月で見ますから、これは掛ける12にしてもおかしくないのだけれども、20人から28人います。80時間以上は70人から84人います。 たった23人の増員で、今のこういう過酷な状況は全然解消されないのではないですか。 〇小原医療局長 これまで全ての県立病院におきまして、国のガイドラインの内容に沿った医師の労働時間短縮に係る計画表を作成いたしまして、医師の労働時間の短縮に取り組んできているところでございます。 具体的な取り組みといたしまして、医療クラークの配置による医師が行う事務的業務の負担軽減などタスクシフト、タスクシェアの推進、また長時間労働医師に対する面接指導や勤務管理システム等を活用した労務管理の徹底、各病院の医師を対象とした医師の働き方改革に係る研修会の開催等による意識啓発などを進めてきたところでございます。 先ほど申しましたように、これらの取り組みにより、超過勤務も着実に減少しているという傾向でございます。 〇斉藤信委員 救急車など救急患者の対応を県立病院はやっています。一つ例を出しますけれども、県立千厩病院は、医師8人の体制で年間1、100人の救急車による救急患者に対応しています。ここは医師の倍化が必要です。 県立千厩病院は医師をふやすのですか。 〇小原医療局長 県立千厩病院におきましては、準広域という取り扱いにしているところでございます。現在8人という形で、なかなか大変だというような状況でございます。やはり今は10人くらいということを目途に、医師確保に取り組んでいるところでございます。 〇斉藤信委員 県立千厩病院は辛うじて2人はふやしたいということです。どこもそういう病院なのです。そういう意味では、たった23人の増員で、機能強化と連携なんか絵に描いた餅だと、私は率直に指摘しておきます。 今までの実績からいったって、県の医師確保の計画からいったって、242人も確保見込みがあるのに、わずかこれしかふやさないというのは、知事、県の計画から見てどう思いますか。たった23人増員で新しい県立病院の充実が図れますか。 〇達増知事 県立病院の次期経営計画では、県内において高度、専門的な医療を安定的に提供していくことと身近な医療を提供するというニーズにも応えていくという二つの方向性に沿いながら策定しているものであり、これを実現するために必要な医師の確保に取り組んでもらいたいと思います。 〇斉藤信委員 知事選挙の選挙公報を持ってきました。知事の公約は、全県的な医療提供体制の拡充、周産期医療の強化、県立病院体制の充実です。ぜひ、この公約の立場に立ってやっていただきたい。余りにも貧困だ。 次に、看護師、医療技術職員は、私は減らすべきではないと。新しい県立病院の経営計画では、看護師は45人、医療技術職員は10人、事務管理は4人減らす計画です。増員ではないのです。夢も希望もない計画に、医療現場では落胆と怒りの声が広がっています。 なぜ減らすのですか。看護、医療の質が低下するのではないですか。 〇小原医療局長 次期経営計画では、限られた医療資源の中で、県立病院間の機能分化と連携強化を推進することとしており、病床利用率が低迷している病院を中心とした病床適正化等により職員配置の見直しを図る一方、リニアック等の高度医療器械の集約や新たなHCU―高度治療室の整備などの基幹病院への機能集約、強化に伴う職員の重点配置を進めることとしております。 これらの取り組みを進めることで、人口減少等による医療需要の変化に的確に対応していくとともに、医療の質の向上や医療安全の確保を図りながら、持続可能な医療提供体制を構築してまいります。 〇斉藤信委員 野原保健福祉部長にお聞きしたい。岩手県保健医療計画では、看護師をどれだけふやす計画になっていますか。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 昨年10月に国が策定いたしました看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針におきましては、高齢化の進展に伴う看護ニーズの増大を受けまして、看護職員の需要数は2040年度に向けて増加していくものと推計しております。 本年3月に策定いたしました岩手県保健医療計画においては、この指針に係る検討会の資料をもとに推計を行いまして、看護職員数については、令和2年の1万7、890人から、令和11年までに1万9、000人へふやす目標としているところでございます。 〇斉藤信委員 県の計画は大幅な増員なのです。これから6年間で看護師を45人も減らすと、考えられない話です。 現計画でも、計画では本当に少なかったけれども、45人の増員に19人はふやしました。医療技術者は136人の増員計画で132人ふやしました。まさに今までの努力に逆行するような計画になっている。 看護師の9日夜勤はどうなっていますか。 〇小原医療局長 8月末時点で、看護師の8回超え夜勤につきましても、延べ人数で、前年度比127人減少している状況になっております。 〇斉藤信委員 これは今年度の第1・四半期で9日夜勤は229人いました。昨年度は年間で970人もいたのです。45人も減らしたら改善されないのではないですか。 〇小原医療局長 職員につきましては、これまでも患者数や業務量の状況を見ながら必要な部門、部署に配置を行っており、看護部門におきましても、診療報酬算定上必要な人員を配置している状況でございます。 そういう中で、看護師の夜勤回数月8回に配慮した職員配置も行っているところでございまして、先ほど斉藤信委員からもお話があった比較でございますけれども、令和5年度の第1・四半期では356人だったものが、令和6年度の第1・四半期では229人ということで、着実に減っているという状況になっているところでございます。 〇斉藤信委員 さらに45人減らしたら、もっと悪くなるでしょう。看護師は、有給休暇は20日のうち8日しかとっていないです。ますますとれなくなるのではないですか。 私はこの間、県立大船渡病院、県立磐井病院、県立宮古病院、県立釜石病院の病院長と懇談してきました。ほとんどの病院長が、看護師やコメディカルの職員はふやすべきだと。今、基幹病院でも高齢の入院患者がふえて、今まで以上に介護と看護とセットで大変な状況になっているのだと。たくさんの基礎疾患も抱えていると。 看護の現場では、超過勤務を減らすために、入院患者はお風呂も入れず、1カ月も入れていない、衣服の交換もしない、患者のひげもそれない、深刻な看護の質の低下が起きています。 高齢者の入院患者がふえて、これまで以上に介護の負担も増加しています。減らすのではなく増員が必要なのではないですか。こういう看護の今の実態を医療局長はわかっていますか。 〇小原医療局長 看護師につきましては、さまざまな業務で忙しいというお話は伺っているところでございます。その忙しいという観点につきましては、看護師の夜勤回数が月8回を超えるですとか、病棟の業務で呼び出しが多い、外来の対応が時間的には急に混んで大変だというお話は当然聞いているところでございます。 今回の看護師の減員につきましては、おおむね半分程度が、病棟の削減によって職員数を減らそうというものでございまして、その余剰になった部分を使いまして機能分化、連携する病院に改めて人を配置するということでございますので、大きな影響はないと認識しているところでございます。 〇斉藤信委員 6年間で病棟を幾ら減らすのですか。 〇小原医療局長 現時点で想定しているものは、おおむね2病棟程度ということで考えているところでございます。 〇斉藤信委員 私は、有給休暇もとれない、そして、9日夜勤を強いられている、看護の質が落ちている。こういうときに2病棟減らすのだったら、その分で看護の質を改善することが必要なのではないですか。 20代、30代の看護師が一番やめているのです。そのときに6年間で45人看護師を減らすと。本当に今、医療局の看護師はがっくり来ていますよ。これでは希望がない。 この6年間の新しい経営計画、医師の確保を見ても、連携強化と言ったって幾らふやすかも示せない。今、知事が頑張って、全国で最も少ない岩手県の医師をふやそうというときに、6年間で23人ぐらいしかふやさない。県立病院はこんなことでいいのですか。 〇小原医療局長 まず、医師につきましては、次期経営計画で定めているものにつきましては、常勤医の数として計画を定めているところでございます。ですので、当然、奨学金養成医師がふえてまいります。今までは、なかなかそこがふえなかったために、65歳以上のシニアドクター等を活用して常勤医の数を確保してきたところでございます。 そういう中で、奨学金養成医師も当然ふえてまいりますので、そのシニアに頼っている部分というのは、当然、奨学金養成医師に置きかえていく。また、シニアの方々は、やはり年齢に見合った働き方ということですので、常勤医というよりは、または非常勤というような形で御貢献いただくというようなことに移行させていくことになろうかと思っています。ですので、常勤医という形ではございませんけれども、医療という形では何らか貢献していただくという形にもなろうかと思っています。 また、看護部門につきましては、現経営計画自体で、病床適正化を除きまして、看護師は計画時118名に対して167名ということでかなり増員して、一定程度充実させてきたつもりでございます。そういう中で、今回、新型コロナウイルス感染症対応もございましたので、さらにそこに加えて増員しているというようなことですので、やはり新型コロナウイルス感染症が落ちついた分につきましては、そういう部分もある程度整理するとか、当然、人口減に伴いまして病床の削減が必要だというところにつきましては、整理をしていくと。そういうものの財源を使いまして、しっかり機能強化していくところに配置していく考えで計画をつくっているものでございます。 〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症で看護師をふやした。だったら、それを看護の質を改善するために使う。そういう発想があなたにはないのです。厳しい今の看護師の状況を何ら改善しようとしない、医師の厳しい勤務状況を何ら改善しようとしない。だから夢も希望もない。本当にこれでは大変だと私は思います。 以上で終わります。(拍手) 〇福井せいじ委員長 次に、木村幸弘委員。 〔木村幸弘委員質問者席に着く〕 〇木村幸弘委員 それでは、私から、まず人口減少対策の実績とその評価についてお伺いしたいと思います。 2023年度の本県における人口減少対策について、具体的な取り組みと掲げられた目標に対する実績と評価を伺います。特に雇用状況と所得の向上は、若い人たちの安定した経済、生活環境の確保と将来のライフプランの展望を見出す上で重要であると考えますが、本県の取り組み実態と課題について伺います。 〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 若者や女性を初めとした岩手県の優秀な人材が、安心して県内に定着していくためには、やりがいと生活を支える所得が得られる処遇面も含めた魅力ある雇用、労働環境を構築していくことが重要であると考えております。 このため、自動車、半導体関連産業を中心とした幅広い業種の企業誘致や、いわてで働こう推進協議会を核とした働き方改革、商工指導団体等と連携した中小企業の生産性向上などに取り組んでいるところです。 こうした取り組みにより、令和元年から令和5年までの5年間で178社の企業が新増設を行っているほか、いわて働き方改革推進運動に1、000社を超える企業が参加しており、さらに、経営革新計画を策定して生産性向上に取り組む中小企業数が、東北地方で最多となっております。 コロナ禍を経て、また、人口減少の進展に伴って全国的に人材確保が大きな課題となる中、大都市圏の企業の採用活動がさらに活発化し、高校生や大学生の地元就職率は、本県も含めて東北各県とも低下している状況にあります。 このため、これまでの取り組みをさらに工夫を凝らしながら展開していくとともに、県内企業の採用力強化に向けた支援などをさらに強化していきたいと考えており、引き続き、経済団体を初めとしたさまざまな主体と連携し、オール岩手で若者や女性の雇用、労働環境と所得の向上に取り組んでまいります。 〇木村幸弘委員 また、子育て環境の支援策については、各支援事業の実績とその評価についてどのようになっているかお伺いしたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 子育て環境の支援策についてでございますが、県では、安心して子供を産み育てられる環境をつくるため、妊娠、出産、子育て期にわたる切れ目ない支援体制の構築など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。 主な支援事業としては、令和5年度から、新たに幼児教育、保育の無償化の対象とならない第2子以降の3歳未満児の保育料を無償化する市町村への補助事業を実施し、令和5年度の実績としては、月平均で6、411名に対し無償化を実施したところであります。 同じく、令和5年度から、新たに保育所等を利用しない生後2カ月から3歳未満児の第2子以降の子を養育する世帯に対して、在宅子育てに係る支援金を支給する市町村への補助事業を実施し、令和5年度の実績としては、2、110名に対し支援金を支給したところであり、いずれの事業も、事務事業評価における達成度はAとなっているところでございます。 これらを含む子育て支援策の評価につきましては、今後予定しております政策形成支援評価において、課題等を明らかにした上で、来年度の予算編成過程を通じて施策に反映させていきたいと考えております。 〇木村幸弘委員 本県のさまざまな取り組みが進められているわけでありますが、そこで、一般質問等でも各議員も取り上げておりました全国知事会議における人口減少問題をめぐる方針と本県の対応についてですが、8月1日に福井市で開催された全国知事会議において、人口減少問題に対する議論が交わされました。 この中で、新聞報道等によれば、地方創生や子供、子育て支援に関する政府への提言が取りまとめられたとのことですが、このたびの全国知事会議では、人口減少問題を取り巻く環境に対し、知事会としての認識やどのような地方の現状が訴えられ、取り上げられたのでしょうか。これまでの国の政策、すなわち自公政権によって進められてきた地方創生の政策について、10年間が経過する中で、どのような評価を知事会として行い、また、国と地方では、この問題に対して温度差があり、課題認識にずれが生じていると思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。 〇達増知事 地方創生10年間を通して、個別の施策では成果が上がったものの、マクロレベルでは成果が出ておらず、地方では人口減少の続く厳しい状況であり、地方創生の取り組みは正念場を迎えていると認識しております。 夏の全国知事会議では、厳しい地方の現状の例として、若年層の地方への定着、子供、子育て施策、公共交通やインフラの維持管理等について、地方による取り組みだけでは限界があり、国による施策の必要性について議論されました。 また、その要因として、特定の地域への人口集中や子育てに係る経済的、時間的な負担、さらに、大規模災害リスクなど地方のみでは解決困難な構造的課題に対して、国全体で集中して施策を投入できていなかったことを挙げています。 地方創生についての国と地方の認識については、国と地方が一体となって取り組むという方向性は一致しているものと考えますが、国による具体的な人口減少対策は十分ではなく、東京一極集中の是正、出生率の上昇も達成されていません。 こうしたことから、国は、若者の生きにくさの実態を把握し、若者が将来に希望を抱くことができる長期的な展望を示すとともに、東京一極集中の是正に向けた地方重視の経済財政政策や、全国一律の子供、子育て支援に取り組むことが必要であると考えています。 〇木村幸弘委員 今お答えいただきましたけれども、緊急提言で、政府の取り組みについて、マクロレベルで成果が出ていないという厳しい評価をしているわけであります。その上で、解決困難な構造的課題を改めるために、大きく3点のポイントが提言されています。 一つは、人口や産業が特定の地域に集中している現状を見過ごすことなく、地域における社会減を緩和する対策、二つ目は、子どもや若者が将来に夢を描きながら、希望に応じて、パートナーと出会い、結婚し、安心して妊娠・出産・子育てができる、保育・教育の無償化を初めとする子ども・子育てにやさしい社会へ転換する対策、三つ目は、人口減少地域においても住み続けることができる持続可能な地域づくり対策です。 これらの点を実現可能な政策へと転換していくため、知事会として人口戦略対策本部を設置したとのことでありますが、その実効性についていかがなものでしょうか、伺います。 〇達増知事 人口減少対策は、47都道府県知事が一致団結して取り組まなければならない大きな問題であるとの認識のもと、人口戦略を総合的かつ大局的に進めていくため、全国知事会に対策本部が設置され、私も副本部長を務めております。 設置後、速やかに全国知事会議で決議された、人口減少問題打破により日本と地域の未来をひらく緊急宣言により、対策本部長である平井鳥取県知事から国に対し、機動的かつ戦略的に必要な政策手段を重点的に投入することなどについて、要請活動を実施しました。 また、緊急宣言を踏まえ、全国知事会の国民運動本部として、自由民主党及び立憲民主党の代表選挙候補者に対し、人口戦略を総合的に推進する組織等の整備や国民との連帯行動に向けた働きかけなどについて、要請活動を実施しました。 人口減少対策には、地方の創意工夫による取り組みとあわせて東京一極集中の是正が不可欠であることから、国による大胆な取り組みを求めていくなど、対策本部が先導的役割を果たすことで、成果が着実にあらわれてくるものと期待いたします。 〇木村幸弘委員 特に私は、8月2日、この知事会議の関係で、岩手日報で報じられております提言の具体的内容として、政府に人口減少対策の司令塔組織の設置、あるいは自治体の財政力によって子育て環境に格差が生じないよう、全国一律での子供医療費助成や高校授業料無償化などの地方財源確保を掲げた点、大学や企業の本社機能、研究開発部門の地方分散推進の要求、企業が拠点を地方に移すと税が軽くなる地方拠点強化税制の拡充を求めている点について、強い関心を持っております。 そこで、知事は、本県の実情を踏まえて、これらの提言にどのようなお考えをお持ちか伺いたいと思います。 〇達増知事 人口減少対策には、地方の創意工夫による取り組みと合わせて、国による大胆な取り組みが必要であり、全国知事会では、子供、子育て政策を強力に推進するための提言や地方創生、日本創造への提言などの政策提案や政府要望を取りまとめ、国に対する要請を行いました。 本県では、全国トップレベルの子供、子育て支援を実施しておりますが、全国的に子育て支援策の拡充が進む中、子供の医療費の助成や高校授業料無償化などの政策は、本来、どこの自治体においても同等の水準で行われるべきものであり、国が全国一律で行う施策については、国の責任と財源において確実に措置すべきとの考えのもと、本県でも同様の要望をしております。 また、企業の本社機能等の地方分散については、県では、半導体を初めとした製造部門の誘致とあわせて、研究開発部門を含む本社機能の移転の取り組みを支援しているところですが、このような若者、女性が活躍できる雇用の場の創出などの地方への人の流れを創出する効果的な施策の展開について、本県でも国に対して要望しています。 全国知事会の提言は、本県を初め、地方の状況と課題を踏まえたものであり、今後においても、全国知事会と連携し、地方の実情を踏まえた提言、要望を行ってまいります。 〇木村幸弘委員 知事は、これらの議論を通じながら、本県の置かれている立場からどのような意見を発信してきたのかということについて、報道によれば、公立病院の経営問題に触れて、不採算地区など条件不利域で必要な医療を提供していくための国の財政支援のさらなる拡充を求めたということが報じられました。 このほかにどのような意見を発信されたのか、あわせて伺いたいと思います。 〇達増知事 東京一極集中に係る議論において、本県を初め、地方に人の流れを生み出し、地方が成長することが日本の持続的な成長につながるとの考え方に基づいて、日本経済をよくしていくためにも、東京圏の経済をよくしていくためにも、バランスのとれた人口の行き来というものをつくっていく必要がある旨、発言いたしました。 また、私が座長を務めました人口減少社会への戦略のセッションにおいては、講師の冨山和彦氏から、日本経済の成長には、地方の中小企業の生産性向上が重要であること、地方の生産性向上には、若者、女性初め多くの多様な人材が地方で活躍することが必要であること等の指摘があり、人口戦略対策本部や農林商工常任委員会の取り組みに資する内容であった旨を本会議に報告しました。 さらに、地方税財政の議題では、県立病院が高度医療から初期医療まで担っている一方、物価高や人件費の引き上げ等に係る支出の拡大等で厳しい経営状況にある現状を訴え、公立病院への国の財政支援の拡充を求めましたほか、農林商工常任委員会の委員長として、半導体を初めとした官民連携による大胆な投資の実現や、中小企業、農林漁業者の持続的発展の支援等に言及した提言の取りまとめを行ったところです。 〇木村幸弘委員 そうした地方の積極的な提言や発言が国に対してどのように届いているのかと思いながら、一方で、これらの知事会の議論の中では、東京都の小池知事は、産業や人口の一極集中に対して、日本全体の問題と反発したとも報じられ、緊急提言では、東京都の意見として追記という形がとられました。 こうした動向について、岩手日報では、経済官庁幹部が、国も偏在是正をやりたいが、与党は慎重な意見が根強いと明かし、小池都知事の3選後の影響力や来年の都議選を念頭にした都の財政縮小という反発は避けたいとの思惑などもあり、政府関係者は、小池知事は無敵の知事、人口減に立ち向かうという知事会の構想は絵空事だと突き放したと報道されております。 私は、こうした東京都知事の姿勢や与党、政府関係が、今後の人口減少対策に対する政策展開のむしろ足かせとなっていると危惧いたしますが、知事の御所見を伺います。 〇達増知事 東京都にとっても、過密に起因する大規模災害や感染症拡大のリスクへの対応、全国的にも低い可処分所得、可処分時間の改善は、東京都の持続的な成長につながるものであることから、現在のような極端な東京圏への転入超過の状況を変え、地方と都会でバランスのとれた人口構造に転換していくことが重要であると考えます。 政府は、本年6月に公表した地方創生10年の取り組みと今後の推進方向の中で、国民との信頼と対話の中で、地方創生に関する国民的な議論を展開していくことにより、人口減少や東京圏への一極集中等に関する認識を国民の間で広く共有することの必要性を指摘しています。 また、石破総理は、先日の所信表明演説で、これまでの成果と反省を生かし、地方創生2.0として再起動させると述べるとともに、新たな組織として、新しい地方経済・生活環境創生本部を創設し、今後10年間集中的に取り組む基本構想の策定を表明したところであり、国においては、国民理解の醸成や地方重視の経済財政政策に積極的に取り組んでいただきたいと考えます。 〇福井せいじ委員長 おおむね再開後1時間半が経過いたしますが、質疑を続行したいと思いますので、御了承願います。 〇木村幸弘委員 そういう地方の積極的な発信と、その一方での政府による今後の地方創生の取り組みについて、大変期待はしたいのですけれども、選挙前と選挙後でどういう政策の方向になっていくのか、よくよくしっかりと見きわめる必要があるかと思っております。ころころと変わらないことを祈っている次第であります。 次に、大雨洪水対策に係る安全確保のための適切な避難指示のあり方について。 8月27日の大雨による盛岡市米内川の氾濫では、周辺地域に避難指示が出ていなかったことから、住宅が水につかる被害や孤立する世帯が発生するなどの問題が生じました。 原因の前提として、米内川は、自治体が避難情報を出す際の判断基準の一つである避難判断水位を事前に定める水位周知河川ではなかったということです。 避難指示は、被害が発生するおそれがある地域に市町村長が発表することは承知しておりますけれども、県として、周辺地域に避難情報が出されなかった点について、どのように捉え、今後、市町村と連携していくお考えかお伺いしたいと思います。 〇福田復興防災部長 線状降水帯による大雨については、気象庁から半日程度前の呼びかけがなされる場合もありますが、8月27日は、それがない中で、盛岡市が避難指示を急遽発令する事態となり、一部の地域では、避難指示そのものが発令されませんでした。 気象庁による呼びかけがなされない場合でも、住民の皆さんに避難情報を正確に伝達し、避難所を迅速に開設することが重要であり、水防法の規定に基づいて、河川管理者が指定する水位周知河川以外についても、ウエブサイトで水位情報を確認することが可能となっております。 避難指示の発令等は市町村の自治事務ではありますが、県として、これらの点を風水害対策支援チームに諮問した上で、先月30日に改めて助言通知を発出したところであり、今後、盛岡市において、有識者による検証作業が行われる予定と伺っております。 住民の皆さんが的確な避難行動をとることができるよう、市町村と連携して対応を図ってまいります。 〇木村幸弘委員 終わります。(拍手) 〇福井せいじ委員長 次に、小林正信委員。 〔小林正信委員質問者席に着く〕 〇小林正信委員 知事は、令和5年度当初予算をいわて県民エンパワー予算と名づけ、予算に盛り込まれた事業が、県民をエンパワーできるものになるよう期待を述べられておりました。また、生きにくさを生きやすさに変えることが、人口減少に資するという考えを述べられております。 エンパワー予算が、どのように生きにくさを生きやすさに変え、人口減少対策に効果をもたらしたのか、知事のお考えをお伺いします。 〇達増知事 令和5年度は、誰もが、生活、仕事、学びに本来持っている力を発揮し、困難を乗り越え、希望をかなえられるようにとの思いを込めた、いわて県民エンパワー予算により、第2子以降の3歳未満児に対する所得制限を設けない保育料の無償化や在宅育児手当支給に係る市町村への支援、医療費助成の高校生等への現物給付拡大、若者のライフデザイン形成のための支援、雇用、労働環境の整備に向けた取り組みの支援、若者、女性の新規創業者の支援など、県民一人一人の生きにくさを生きやすさに変えていく取り組みを進めてきたところです。 このような施策の展開を通じて、これまでに、県内全市町村が第2子以降の3歳未満児に係る保育料無償化を実施、i−サポ会員数が8月末時点で前年同月比121%の1、000人を突破、いわて働き方改革推進運動に1、000社を超える企業が参加、東北地方最多の企業が経営革新計画に基づく生産性向上を実施などの成果につながっていると認識しております。 一方、本県からの転出超過や出生数の減少が続いていることから、少子化対策、社会減対策の三つの柱を基本に、アンコンシャスバイアスの解消や全ての方が自己実現や多様な働き方ができる職場環境の整備、関係人口、交流人口の拡大など、ジェンダー平等の視点や社会経済情勢の変化、市町村等のニーズを踏まえた施策の充実、強化を図ってまいります。 〇小林正信委員 人口減少対策においては、特に若者や女性に対する支援が重要であり、令和5年度予算においては、若者、女性のスタートアップ支援、魅力ある職場づくり等に取り組まれたということでございます。 私も一般質問において、若者支援を総合的に進めるべきと訴え、知事からは、支援策を部局横断的に図っていくことが重要であり、人口問題対策本部会議の枠組みでさらに検討を進めるとの答弁をいただきました。 令和5年度予算における取り組みを踏まえ、さらに若者支援施策の充実を図っていくべきと考えますが、今後の取り組みに対するお考えをお伺いします。 〇達増知事 若者支援施策のさらなる充実についてでありますが、県では、悩みや困難を抱える若者に向けた青少年悩み相談や奨学金返還支援などの継続的な取り組みに加え、賃上げ等の処遇面も含めた若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の整備とともに、県営住宅への入居支援や結婚新生活支援の上乗せ補助など、新たな支援策も展開しています。 また、積極的に活動する若者への後押しとして、利用者が増加している若者カフェの連携拠点を県内4カ所に設置したほか、いわてネクストジェネレーションフォーラムを北上市で開催し、産業と豊かな自然が調和し進歩を続ける北上川バレー地域の将来像を議論することとするなど、若者の活動、交流の場の全県への波及を図っています。 若者の生きにくさを生きやすさに変えていくことは、人口減少対策の基本的な考え方であり、さまざまな若者のニーズに応じて、総合的な支援策を講じていくことが重要であると考えております。 今年度の人口問題対策本部会議において、若者の新しい価値観や抱える悩みへの対応、アンコンシャスバイアス解消などの必要性について確認したところであり、今後も、雇用、労働環境の整備を含め、さらなる取り組みの充実強化を図るなど、若者や女性に選ばれる環境づくりに向け、全庁を挙げて若者支援施策を推進してまいりきます。 〇小林正信委員 ぜひともよろしくお願いいたします。 エンパワーメントという言葉にはさまざまな意味とか歴史があると思うのですけれども、特に、さまざまな困難を抱えながら前に進んでおられる方々へのエンパワーメントという観点から、何点か質問させていただきます。 不登校対策については、先ほどからもお話がありました。不登校児童生徒の増加は社会的問題であり、悩みを抱える児童生徒、また、保護者に対する支援の充実は急務であります。 令和5年度における不登校対策の取り組み状況についてお伺いします。 〇佐藤教育長 不登校対策の取り組みについてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおきまして、不登校などの未然防止、早期発見、適切な対応を推進するため、ICTを活用した教育相談体制の一層の充実、関係機関と連携した教育機会の提供を掲げまして、県教育委員会では、魅力ある学校づくりによる未然防止、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、24時間子供SOSダイヤル等相談窓口の設置、ICTを活用した学習支援、フリースクール等民間団体との連携会議の開催、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーの配置、1人1台端末等を利用したこころの相談室の開設、市町村教育支援センターのさらなる設置による相談、支援体制の強化などに取り組んでまいりました。 〇小林正信委員 了解いたしました。 文部科学省が昨年、不登校の総合対策COCOLOプランを策定し、学びの多様化学校の拡大、スペシャルサポートルームの設置など、具体策が示されております。 こうした国の動きを受け、兵庫県教育委員会では、全県一丸となって、ひょうご不登校対策プロジェクトを推進、アウトリーチ型支援のために大学生などを募る人材バンクを創設するなど取り組みを進めております。 岩手県としても、これまでの取り組みを発展させる意味で、兵庫県のような全県一丸となった不登校対策の検討、実践を進める体制を整えるべきと考えますが、御所見をお伺いします。 〇佐藤教育長 兵庫県では、令和5年度から、学校、地域、関係機関等が相互に連携しながら、各種不登校対策をプロジェクトとして推進しているものと承知しております。 不登校対策は、児童生徒の社会的な自立を目指して、学校、家庭、地域、関係機関、行政等が連携しながら取り組むことが重要であると認識しております。 このため県教育委員会では、先ほど申し上げた各種の施策に加え、従前から、不登校対策に係る課題等について意見交換などを行ってきている不登校児童生徒支援連絡会議が主催となって、今年度、新たに不登校の子供を抱える保護者の支援を目的としたフォーラムを開催し、魅力ある学校づくりや不登校対策の専門家による講演、本県不登校施策の説明、フリースクール代表者やスクールソーシャルワーカーなどによるパネルディスカッションなどを行い、多様な学びの実現に向けて理解を深めるとともに、関係者相互の一層の連携の必要性について確認したところです。 さらに、今年度60周年を迎える教育振興運動において、児童生徒の自己肯定感や協調性を育む体験活動の充実を全県共通課題として取り組んでおり、当該活動やコミュニティ・スクール等、地域の協力もいただきながら不登校対策に取り組んでいるところです。 引き続き、国の動向や他県の先進事例も参考としながら、不登校児童生徒支援連絡会議等を活用し、多様な主体との連携強化を図り、児童生徒の一層の支援に取り組んでまいります。 〇小林正信委員 兵庫県は5年前からプロジェクトとしてやっていたというお話だったと思います。岩手県としてはまだまだ―違いましたか。令和5年度から。失礼しました。間違えました。 兵庫県のような全県一丸となった取り組みが必要なのかと考えますので、ぜひともこの取り組みの充実をお願いしたいところでございます。 続きまして、医療的ケア児に対する支援について、まず、令和5年度における医療的ケア児支援センターの取り組み状況はどうだったのかお伺いします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 令和5年度の医療的ケア児支援センターの取り組みについてでありますが、まず、相談支援については、保育所、学校での受け入れやサービスの利用などに係る医療的ケア児及びその家族からの相談のほか、それらに対応した地域における受け入れ体制に関する支援者からの相談など、計284件の相談に対応したところであります。 人材育成については、医療的ケア児への対応力向上に向け、市町村が配置する医療的ケア児等コーディネーターの養成研修や、事業所、保育所、学校等で支援に従事する方を対象とした支援者研修を開催し、延べ63人が修了したところであります。 このほか、センターのコーディネーターが各地域に出向いて、医療型短期入所事業所の利用促進に向けた保護者団体と医療機関とのマッチング、就学、進学説明会や家族交流会の開催、地域自立支援協議会等への参画、各種研修会の講師などの対応を行ったところであります。 〇小林正信委員 現在、県内では11校に21名の看護師が配置され、医療的ケア児の学びの支援を行っておりますけれども、この看護師に専門的な知識が十分でないなどの理由から、看護師たちの心理的負担が大きく、例えば、支援センターが各学校の看護師に対してアドバイスを行うとか、あるいは支援センターが看護師同士の連携の仲介を行うなどの取り組みも必要ではないかと考えております。 医療的ケア児、また、保護者が安心して生活し学べるよう、支援センターの機能強化、充実を図っていく必要があると考えますが、御所見をお伺いします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律に基づき、県は医療的ケア児支援センターを設置し、医療的ケア児やその家族への情報提供や助言を行うとともに、従事者の育成、地域の保健、医療、福祉、教育等の関係機関との連絡調整などの役割を担うこととされております。 こうした役割のもと、センターでは、昨年度から医療的ケア児の家族同士の交流会を開催したほか、今年度からは、医療的ケア児やその家族の日常生活を紹介し、県民の理解を深めるための市民公開講座を開催するなど、取り組みの充実を図ったところであります。 また、今年度、県教育委員会主催の医療的ケアに係る研修会に参加し、助言を行うなど、学校現場で医療的ケアに従事する看護職員への支援にも取り組んだところであります。 今後におきましても、医療的ケア児やその御家族が、地域において安心して暮らせるよう、センターの機能強化、充実に努めてまいります。 〇小林正信委員 ぜひともよろしくお願いいたします。 続いて、困難を抱える女性、特に、特定妊婦に対する支援については、これまでも取り上げてまいりました。まずは、令和5年度における特定妊婦に対する支援の状況をお伺いします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 特定妊婦につきましては、市町村が中心となり、支援が必要な妊婦を把握し、要保護児童対策地域協議会、いわゆる市町村要対協におきまして、要保護児童、要支援児童とともに支援対象に位置づけ、関係機関が連携し、家庭訪問などによる支援を行っているところであります。 令和6年4月1日時点で市町村要対協に登録されている特定妊婦数は101件となっておりますが、行政への相談につながりにくい方につきましては、にんしんSOSいわてのような民間の活動と連携して支援を行っている例もあると承知しております。 〇小林正信委員 今挙げていただいた、にんしんSOSいわては、予期せぬ妊娠をした女性を初め、困難な状況にある女性に対し、寄り添った支援、伴走型の支援を行っております。 以前、こうした民間の取り組みを後押しする国の妊産婦等生活支援事業の活用についてお伺いした際、県や市町村、民間団体における支援体制の現状やニーズなどを把握し、検討するとの答弁を知事からいただきましたが、その後の検討状況についてお伺いします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 小林正信委員御紹介のにんしんSOSいわての相談実績を見ますと、10代、20代からの相談が7割を占めておりますが、こうした若年女性は、行政への相談窓口につながりにくい現状がありますことから、にんしんSOSいわてが行うメールを活用した相談対応や同行支援、一時的な居場所の提供などに係るニーズは、相当数あるものと認識しております。 予期せぬ妊娠は、虐待死など重篤な結果をもたらすおそれもありますことから、県では、こうした民間団体の活動と連携、協働し、支援が必要な妊婦の早期把握や相談支援の充実を図るため、小林正信委員御紹介の妊産婦等生活援助事業を初め、活用可能な国の補助事業について幅広く情報収集を行いながら、官民協働による支援体制の構築に向けまして検討を行っているところでございます。 〇小林正信委員 ぜひともお願いしたいと思います。 続きまして、令和5年度予算の四つの重点事項のうち、安全・安心な地域づくりについては、頻発する自然災害を考えたとき、今後さらなる重点化、取り組みの充実が必要と考えます。 特に、発達した積乱雲が停滞し局地的な豪雨をもたらす線状降水帯は、近年、東北地方、岩手県においてもたびたび発生し、大きな被害をもたらしております。 気象庁は、発生の可能性を12時間から6時間前に伝える半日前予測を都道府県単位にまで絞って呼びかける新たな運用を、ことし5月から開始しております。 現在の岩手県と気象庁との連携状況をお伺いするとともに、今後さらなる連携強化が必要と考えますが、御所見をお伺いします。 〇福田復興防災部長 県としては、盛岡地方気象台の職員に風水害対策支援チームに入っていただくなど、これまでも連携した対応を図っております。 気象庁では、線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いと予測できた場合、半日程度前からその旨を呼びかけることとされておりますが、現状の観測、予測技術では正確な予測が困難であり、事前の呼びかけがなされないまま線状降水帯が発生する場合もあるところです。 特に、夜間に線状降水帯による大雨が発生する場合などは、明るいうちから早目の避難につなげることが重要であり、気象庁において、観測、予測技術のさらなる向上に鋭意取り組んでいただいております。 〇小林正信委員 気象庁が委嘱する気象防災アドバイザーは、ことし4月時点で全国に272人が委嘱され、岩手県においては4名の方が委嘱されていると伺っております。 愛知県では、注意報級以上の大雨のときに、アドバイザーが降水量の予測、大雨のピーク時間など、自治体や消防本部に情報提供し、学校の休校措置や避難所開設などの事前の準備に貢献しているとのことです。 岩手県においても、気象防災アドバイザーとの連携は重要と考えますが、これまでの連携、活用状況をお伺いします。 〇福田復興防災部長 現在、県内には気象庁OBを初め4名の気象防災アドバイザーがおられると承知しておりますが、県での任用等は行っておりません。 県としては、風水害対策支援チームに盛岡地方気象台の現役職員の方に参加いただき、防災気象情報の詳細な解説など、専門的なアドバイスをいただいております。 また、市町村職員を対象とした県主催の研修会においては、防災気象情報の活用に関する講義を盛岡地方気象台の現役職員の方に行っていただいております。 一方、全国的には、市町村を中心に気象防災アドバイザーを活用している事例もあるようですので、昨今の災害の激甚化、頻発化を踏まえ、県内市町村に改めて周知を図っているところです。 〇小林正信委員 ぜひとも、せっかく4名おられるので、県としてもしっかり把握されていると思うので、このあたりを市町村にもしっかり周知しながら、取り組みを進めていただきたいと思います。 そして、この岩手県の風水害対策支援チームでございますけれども、令和5年度の活動状況を伺うとともに、今般、8月27日に盛岡市に発生した線状降水帯の予測や避難勧告の発令について、どのような役割を果たしたのかお伺いします。 〇福田復興防災部長 昨年度は、大型台風が本県を通過することがなかったため、風水害対策支援チーム員会議を開催しておりませんが、今年度はこれまでに2回開催しております。 ことし8月の台風5号については、気象庁から厳重な警戒が呼びかけられる中、台風上陸の前日に風水害対策支援チーム員会議を開催して、市町村に助言を行い、時間的な余裕のある中で高齢者等避難が発令されました。 一方、8月27日の線状降水帯による大雨については、気象庁による半日程度前の呼びかけがない中で、盛岡市が避難指示を急遽発令する事態となりました。 避難指示の発令等は市町村の自治事務ではありますが、県として、先月20日に風水害対策支援チームに諮問した上で、30日に助言通知を発出したところでございます。 〇小林正信委員 支援チームは、事前に予測をするというところが機能として期待されていると思いますので、このあたりはしっかりと、支援チームの皆様に事前の予測というところは緊張感を持ってやっていただきながら、一緒に取り組みを進めていただければと考えているところです。 そして、岩手県としてはこれまで、河川流域におけるソフト、ハード両面から災害対策をするという流域治水の取り組みを進めてきたところですけれども、今般の米内川の氾濫、中津川の増水を受けて、周辺の治水対策をどのように充実させていくお考えかお伺いします。 〇八重樫副知事 8月の大雨では、盛岡市の藪川で1時間降水量の既往最大を更新するなどして、米内川や中津川が急激に増水し、米内川では、家屋や農地の浸水などの被害が発生したところです。 これまでに、被災した河川管理施設の応急復旧や浸水範囲等の被害状況の調査を実施し、現在は、被災時の流量等、被災原因の調査を進めています。 県では、近年、洪水により家屋の浸水被害が発生した区間や資産の集中している区間等において優先的に河川改修を進めることとしており、米内川では、今後の調査結果及び家屋浸水や土地利用の状況を踏まえ、必要なハード対策の検討を進めていきます。 また、ソフト施策については、令和6年3月に米内川の洪水浸水想定区域を指定したところですが、今般の盛岡市からの要望を踏まえ、令和7年度出水期前の水位周知河川指定に向けて、調査や盛岡市等の関係機関と調整を進めていきます。 今後も、流域治水の考え方を踏まえ、ハード対策とソフト施策を効果的に組み合わせた防災、減災対策に取り組んでまいります。 〇小林正信委員 ぜひともよろしくお願いいたします。 最後に、災害時において、誰ひとり取り残さないという観点から、災害情報を全ての県民が平等に得られる環境整備は重要と考えます。 青森県や秋田県などでは、障がい者や高齢者が、平時から災害リスクを認識し、早目の避難につなげることを目的に、ハザードマップの情報等を音声で聞くことができる、耳で聴くハザードマップサービスの利用を開始しているとのことです。 岩手県としても、耳で聴くハザードマップの導入を含め、視覚障がい者への災害情報伝達を検討すべきと考えますが、御所見をお伺いします。 〇福田復興防災部長 災害時の避難情報は、Lアラート―災害情報共有システムを通じてラジオでも周知されるほか、スマートフォンで緊急速報メールを読み上げる設定にすることもできます。 また、視覚障がい者の方の迅速かつ円滑な避難につなげるためには、あらかじめ個別避難計画を作成しておく必要があり、家族やケアマネジャー、自主防災組織、消防団などの協力を得ながら、市町村が計画作成を進めていくことを促しております。 御指摘のサービスにつきましては、デジタル庁が防災分野のサービスを多数掲載している防災DXサービスカタログでも取り扱われているものですので、その他のサービスも含め、その有効性などを確認してまいります。 〇小林正信委員 ありがとうございました。(拍手) 〇福井せいじ委員長 お諮りいたします。時間もおおむね午後5時になりますので、続く総括質疑は15日に行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 〇福井せいじ委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 15日以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後4時59分 散会 |
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