令和6年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録 |
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〇8番(鈴木あきこ君) 自由民主党の鈴木あきこです。選挙後、そして、人生で初めての質問の場を与えていただきました先輩議員、同僚議員の皆様、そして、多くの皆様に感謝申し上げます。
それでは、通告に従い順次質問いたします。 初めに、人口減少対策について伺います。 今、岩手県は人口減少が大きな課題になっています。少子化、若者、女性の人口流出により、令和6年5月1日現在、岩手県の人口は114万9、758人、昨年12月の厚生労働省国立社会保障・人口問題研究所の推計では、26年後には78万人へと大幅に減少するとの衝撃的な報道がされています。 また、本年4月に人口戦略会議が公表した新たな分析では、岩手県の33市町村のうち26もの市町村が消滅可能性自治体と指摘されています。 岩手県は、平成27年に岩手県人口ビジョン、岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、本県の社会減ゼロ、出生率の向上、16年後に100万人程度の人口を確保することを掲げ、人口減少対策に取り組んでいます。 しかし、今後を見通した各種の分析や合計特殊出生率が平成30年度以降下がり続け、令和5年には1.16と全国39位になっている状況に鑑みると、県が掲げた施策や目標と現実とのギャップが感じられ、このままでは今後も厳しい状況が続くことが予想されます。 先日、NHKのクローズアップ現代で、地方からの若年女性の人口流出について放映されました。そもそも働く場所がない、女性は嫁としてもらわれて、家庭を持ってやっと一人前になると言われたなどの女性たちの本音を聞くことができ、少子化や若者、女性の人口流出を防ぐための社会的環境、機運がまだまだ浸透していないことを浮き彫りにする内容と感じました。 県は、人口減少問題に対して、子育て支援や女性が働きやすい環境整備など、改善のための施策をさまざま行っています。しかし、人口減少、少子化、若者、女性の流出の問題をどれだけの県民が認識し、危機感を持って生活しているのでしょうか。私も県内の保育士や子育て中のお母さん方と意見交換をする機会がありますが、そういった方々でも本県の人口減少、少子化の危機的状況について、漠然とした認識にとどまる方や、若者、女性の流出している状況を知らなかったと話す方が多くいらっしゃいます。 県としてさまざまな施策を打ち出すことは重要ですが、多くの県民がこれまで以上に人口減少問題を自分のこととして危機感を共有し、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすための施策がなぜ必要で重要なのかをより深く理解していただくことがふるさと振興総合戦略に基づく各種施策の有効性を一層高めることになると考えますが、知事の所見をお伺いします。 次に、子ども子育て支援について伺います。 こども家庭庁では、令和8年に、こども誰でも通園制度を始めることとしています。こうした制度の本格開始も相まって、今後、保育士の需要はますます高まっていくものと認識しております。 そこでまず、潜在保育士のマッチングについてですが、保育士不足解消のため、保育所等と潜在保育士のマッチング事業が行われていますが、令和5年のマッチング件数は、保育所等施設からの相談が115施設、潜在保育士からの相談は203名に対し100件と比較的高い水準とはなっております。 現在のマッチングの成功率に鑑みれば、例えば、養成施設の同窓会報にマッチング事業のQRコードを掲載させてもらうなど、潜在保育士等に対する周知を一層進めることにより、マッチング数のさらなる向上が期待されますが、今後どのように対応を行っていくのか伺います。 次に、保育教諭の養成について伺います。 子育て支援において重要な役割を担っている幼稚園、保育園ですが、これらの施設は、その意向や地域のニーズにより認定こども園に移行することができます。現在、岩手県では、このうち幼保連携型認定こども園がふえており、公立、私立合わせて142園あります。 幼保連携型認定こども園で働くための資格等として、保育士資格と幼稚園教諭免許の二つがありますが、今後は、その二つをあわせ持った保育教諭に移行していくこととなります。 幼保連携型認定こども園が保育できる子供は、ゼロ歳児から5歳児までですが、幼稚園教諭は文部科学省管轄であり、福祉としての免許ではなく、ゼロ歳児から2歳児までは保育することができないためです。 岩手県内には、保育士資格取得可能な学校が8校ありますが、そのうち幼稚園教諭免許も取得可能な学校は、専門学校を含めて4校のみです。一方で、岩手県立大学は、令和元年度入学生から幼稚園教諭免許は取得できなくなっています。つまり、保育教諭になることができないということです。 このことについて、過去には保育士、幼稚園教諭の両方を取得する学生は、おおむね数十名程度との県の答弁がありましたが、県が実施している保育士修学資金貸付制度は、令和2年に20名、令和5年には30名と、年々希望者が増加しているために枠をふやしている状況にあり、潜在的に保育教諭になるための資格取得の需要は少なくないと考えられます。 岩手県は保育士不足でマッチング事業までしており、今後は保育教諭の需要が高まっていくと考えますが、県の最重要課題に対し県立大学が役目を果たせないのは残念と感じます。今の子ども子育て支援施策のニーズに即した見直しが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。 次に、保育士等の県内定着について伺います。 保育教諭等の養成と同様に重要なのが、県内の学校で資格を取得した方々に岩手県で働いてもらうことです。令和5年度の実績では、県内の保育士養成校を卒業した286名のうち、県内の保育所等に就職した人数は122名にとどまっています。 保育士等の県内定着については、保育士修学資金貸付制度も一定の効果を果たしていると考える一方で、養成校への働きかけなどさらなる積極的取り組みが必要と考えますが、県の見解をお伺いいたします。 次に、グレーゾーンの子供への対応について伺います。 障がい児保育を実施している保育園等は加配保育士が配置され、地方交付税措置が行われています。障がい児として保育士の加配を受けるには、子供が障がい児であることの認定について、家族の同意のもと医師から受ける必要があります。しかし、まだ幼い子供に対しての判断は難しく、また、家族の精神的負担が大きいことから、いわゆるグレーゾーンの子供も保育園等ではふえてきています。 このようなグレーゾーンと言われる子供は、その行動にもよりますが、保育士がつきっきりになるなど保育上の影響は少なくありません。保育士の加配については、市町村の判断によることは認識しておりますが、県としても保育園におけるグレーゾーンの子供の実態をどのように把握しているのか、また、それに対する支援のあり方について伺います。 次に、知事に伺います。知事は全国トップレベルの水準の子ども子育て支援策を掲げ、所得制限なしでの第2子以降の3歳未満児に係る保育料無償化や在宅育児支援金の給付など、さまざまな事業を行っています。 一方で、岩手県に生まれてくる子供たちが安心して健やかに育っていくためは、子供と子育て中の家庭を支える保育施設の充実や保育士の養成、確保も重要なファクターであり、こうした保育環境の充実は、安心して子育てができる県として認められる指標にもなり得ます。また、保育士の県内定着は、若者の人口流出の解消にも資することとなると考えます。 保育士の不足は全国的な課題でありますが、県内における潜在保育士が相当数認められる中、さきに申し上げた保育士等の県内定着や幼保連携型認定こども園への移行に対する長期的な人材確保の面では、県としてもまだまだ積極的な取り組みは可能と思います。 全国トップレベルの具体的な子育て支援策の展開について、県内の保育士確保の推進においても、さらなる取り組みが必要と考えますが、その方向性と知事の意気込みを改めて伺います。 次に、農業振興について伺います。 まず、新規就農者の確保についてです。岩手県の農業では、人口減少、人口流出の問題、また、農業従事者の高齢化の加速化や後継者不足の問題から、農業がしたくてもできずに耕作放棄地になっている田畑が目立つようになってきました。地域の農地を集約し、AIやロボット等を使用するスマート農業の推進が図られていますが、高齢者にとっては、後継者がいないことや資金の負担を考えると非常に難しい状況です。 国は、新規就農者を地域農業の担い手として育成するため、就農段階から農業経営の改善、発展段階まで一貫した支援が重要として、市町村の認定を受けた認定新規就農者に対して早期の経営安定に向けた支援措置を集中的に実施しています。 岩手県においても、いわて県民計画(2019〜2028)に新規就農者数の確保を目標に掲げ、就農受け入れから定着までの支援に取り組んでおり、令和2年度には312人、令和3年度には277人、令和4年度には291人と順調に伸びています。平成30年度から令和4年度までの新規就農者数は1、393人にも上りますが、これらの方々の現在の就農状況を伺います。 新聞報道によると、全国の新規就農者の離農率については、令和4年で独立、自営就農を対象とする経営開始資金受給者の1年後の離農率は2.3%ですが、雇用就農資金の給付を受けた農業法人の雇用農業者の1年後の離農率は24.9%となっています。また、農業の雇用労働者の離農理由としては、労働条件が悪いことが挙げられています。 また、現在、岩手県で新規就農している方からは、雇用先の法人との相性が合わない、イメージとのギャップ、自分で営農したいが農地を探せないなどの話を聞きました。雇用就農者を含む新規就農者の不安の解消のため、技術や経営の向上、就農者同士のネットワークの構築などの支援に取り組むことで新規就農者の不安が解消され、意欲や向上心が高まると考えます。 県では、新規就農者の離農理由や就農者の困りごとは把握しているでしょうか。また、就農者が安心して農業ができるような県としての支援について伺います。 新規就農者の一定数が離農してしまう現状からも、まずは一人でも多くの若者に農業に興味を持ってもらい、新規就農者の絶対数をふやしていくことが必要と思います。そのためには、県内における潜在的な就農希望者の獲得はもちろんですが、他県における就農希望者にも岩手県を選んでもらうため、他県等へのPRが必要と考えますが、取り組み状況を伺います。 次に、知事に伺います。 知事はマニフェストプラス39において、収益力の高い農林水産業の確立を掲げました。また、令和5年9月定例会の一般質問においては、本県の農業は地域経済を支える基幹産業として、将来にわたり持続的に発展していくとともに、食料自給率が100%を超える本県は、我が国の食料供給基地としての役割をしっかり果たしていかなければならないとの決意を述べられています。 金色の風、銀河のしずくに代表される良食味、高品質な品種の生産やスマート技術等による収益性、生産性の向上など、県としてさまざま取り組みは見られますが、農業を支えてくれる人材の部分では、高齢化、担い手不足が深刻であり、これからも厳しい状況が予想されます。岩手県の農業を魅力ある産業として次世代に継承していくためには、消費者や生産者自身がその魅力を感じることができる農業を目指す必要があると考えます。 県として、本県農業の強み、弱みを的確に把握しながら、消費者のニーズ、生産者や新規就農希望者の抱えるニーズ、課題にも対応した施策について、先日、知事から前向きな答弁がありました。中長期ビジョンのもと打ち出していく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、畜産振興について伺います。 5月27日に洋野町の大規模養豚農場から、家畜伝染病である豚熱が発生したことは非常に残念なことではありましたが、防疫措置作業を迅速に進めていただきました県職員の皆様、本当にお疲れさまでした。また、他県から派遣された延べ104名の公務員獣医師、洋野町や農協職員の方々、そして、この緊急事態に御協力をいただきました岩手県建設業協会の皆様には感謝申し上げます。当該農場におかれましては、国や県の支援により一刻も早く経営が再開できますよう、心よりお祈り申し上げます。 最初に、知事にお伺いいたします。岩手県の畜産は県内の農業産出額の6割以上を占めており、農業の基幹産業となっています。しかし、飼養戸数は年々減少しており、特にも肉用牛の飼養戸数は、農林業センサスによると、令和2年では3、948戸、5年前の5、212戸に比べて1、264戸減少しています。 一方、岩手県のブランド牛、いわて牛は、全国肉用牛枝肉共励会において、全国最多11回の日本一に輝いている日本最高級のブランド牛です。 畜産県岩手として、いわて牛の生産を拡大していくとともに、積極的に県内外、国外に流通販売をしていく必要があると考えます。 いわて県民計画(2019〜2028)には、牛肉を含めた農林水産物について、輸出拡大に取り組みます、また、トップセールス等により県産品の認知度向上に取り組みますと掲げられています。そこで知事に伺います。飼養戸数が減少している中、いわて牛のブランド確立に向け、国内外への流通販売戦略をどのように立て、どのように対応していくのかをお伺いいたします。 次に、獣医師の確保について伺います。 いわて牛のブランド確立に向けた生産基盤の強化には、肉用牛農家の規模拡大や生産性の取り組みが重要です。畜産経営における繁殖管理や家畜衛生などで産業動物獣医師が非常に大きな役割を果たしています。 そのような中、岩手県農業共済組合では、平成30年度、家畜共済制度の改正の影響により、今年度から沿岸地域を家畜診療対象外としました。畜産農家の皆様は大変不安を感じたところと思います。 産業動物獣医師は、今回の豚熱のような家畜伝染病などの緊急事態が起こった場合の迅速な対応のほか、畜産農家の規模拡大に伴う大規模管理における家畜衛生対策など中心的な役割を担っています。沿岸地域が岩手県農業共済組合の家畜診療対象外となったことについて、県としての対応を伺います。 また、令和4年時点の県内の産業動物診療獣医師数は151名と不足する中、今回の豚熱発生のような緊急事態も想定し、今後どのように産業動物獣医師を確保していくのかも伺います。 次に、家畜人工受精業務について伺います。 肉用牛生産、また、いわて牛の生産拡大をするためには、生産基本となる繁殖管理が非常に重要です。ことし、優秀な黒毛和牛をつくるための種牛、県有種雄牛に菊美翔平等を選抜しました。繁殖農家の方々は、大谷翔平選手にあやかって種牛のスーパースターになってほしいと期待しています。いわて牛のブランドを確立する上でも非常に期待されるところです。 一方、生産現場では、岩手県農業共済組合において、家畜診療と同様に、家畜共済制度改正の影響により人工受精業務を令和6年度で廃止することが令和5年11月の理事会において決定されました。 そのため、牛の繁殖管理に非常に重要な役割を果たしている盛岡広域、県南広域の家畜人工授精師の業務が継続できない状況となります。これにより、繁殖農家の経営危機、子牛が生まれてこない、肉用牛の生産量、生産額の大きな減少が考えられます。現在、解決が見られない中、繁殖農家の不安は募るばかりです。 岩手県の畜産振興を強力に推進するためには、繁殖農家を含む畜産農家が来年度以降も安心して経営を継続できるよう取り組むことが急務であり、また、家畜人工授精に関する講習会を行っている岩手県が責任を持って、市町、生産者団体を取りまとめ、早急に家畜人工授精業務の継続的な取り組みの構築、そして、地域の家畜人工授精師の確保を行うことが必要と考えますが、その対応を伺います。 今は緊急的な対応で乗り越えたとしても、この先、家畜人工授精師の高齢化や、また、種の価格が高く管理が難しいことから、個人では開業するにはリスクが高いのが現状です。そのため、県や関係機関と連携し、持続可能な体制をつくることが望ましく、重要と考えています。この件につきましては、ぜひ県の前向きな答弁を求めたいと思います。 次に、消防、防災について伺います。 ことし元旦に能登半島地震が発生し、海外では台湾東部沖地震が発生しました。また、近年では地球温暖化の影響と思われる豪雨災害も多発しています。 県は、いわて県民計画(2019〜2028)において、安全分野の政策項目の一つとして、自助、共助、公助による防災体制を掲げ、東日本大震災津波や近年の各種災害の経験、教訓を踏まえ、今後起こり得る大規模自然災害に備えた総合的な取り組みを推進することとしています。 そこでまず、防災DX―デジタルトランスフォーメーションの推進について伺います。 災害対応の現場では、避難所の受付業務や避難者情報の管理など、依然として紙ベースによるアナログな仕組みが多いと認識しております。一方で、今般の能登半島地震の対応の中では、ドローンによる被害状況の把握や交通系ICカードを活用した被害者の把握など、デジタル技術を活用した有効な事例も注目されました。岩手県においても、能登半島地震の発災前から復興防災DX研究会を設置し、デジタル技術の活用手段について調査、研究を実施しておりますが、今般の能登半島地震の教訓を踏まえ、また、今後起こり得る日本海溝・千島海港沿いの巨大地震に備え、防災のDX化にどのように取り組んでいくのかを伺います。 次に、消防団員の確保について伺います。 いざ災害が発生したとき、地域を守っているのが消防団です。消防団員は地域防災のリーダーとしての役割を担うとともに、危険を伴う職務であり、災害対応においては使命感を持って活動し、時には住民の安全を守るため命を落とすこともあります。 岩手県の消防団員は、令和5年4月1日現在で1万8、857名となり、前年度に比べ817名の減少、令和3年に比べ1、478名の減少となっています。岩手県と同等の面積を有する四国4県の消防団員は、令和5年で4万3、738名です。人口の違いはありますが、山林火災等の災害発生を考えると、岩手県の消防団員一人一人の役割、負担が大きいことがわかります。 人口減少、少子高齢化の課題に直面する中、消防団員のなり手の減少は顕著であり、消防団員の減少により災害時に県民の生命、財産を守れるのか、危機感を感じています。 消防団については市町村の消防機関ではありますが、県民の生命、財産を守ることは県の大きな役割と考えます。広大な面積を有する岩手県として、消防団の確保にどう取り組んでいくのか、市町村との連携のあり方も含めお伺いいたします。 最後に、無形民俗文化財について伺います。 岩手県には多くの無形民俗文化財があり、県内外から民俗芸能の宝庫として評価されています。特に、東日本大震災津波で大きな被害を受けた沿岸部の民俗芸能が地域行事の中心となって活動を再開したことは、地域における民俗芸能の重要性を示しています。 最初に、無形民俗文化財の後継者について伺います。 ことし新たに岩手県指定無形民俗文化財に、盛岡八幡宮祭りの山車行事と山田の神幸行事が指定されました。また岩手県の宝物がふえたことは喜ばしいことの反面、国の記録作成等の措置を講ずるべき無形の民俗文化財である岩手県の蘇民祭の一つ、1000年の歴史のある黒石寺の蘇民祭は、ことし2月の祭りを最後に幕を閉じました。代々、祭りに向けて身を清め、粛々と準備をしてきた檀家の後継者がいないことから、管理者である黒石寺の住職が決断したと聞いています。 現在、岩手県には国指定無形民俗文化財は9件、県指定は44件あり、市町村指定のものも多く存在しています。今、大きな課題は、後継者がいないことです。継承者の高齢化、ここにも人口減少、人口流出の影響があります。休止、消滅団体は年々増加しており、黒石寺の蘇民祭のような状況は、県内の多く無形民俗文化財にいつ起こってもおかしくない状況です。 令和8年に岩手県政150年を迎えますが、それよりはるか昔から岩手県を支えてきた人々の祈り、思い、風習、習慣を表現したのが神楽、鹿子踊り、虎舞の無形民俗文化財です。守っていくべき県民の宝物です。無形民俗文化財の中でも民俗芸能の後継者を取り巻く状況は深刻ですが、県はどのように把握をしているのか伺います。県の取り組みについても、あわせて伺います。 次に、次世代への普及等について伺います。 後継者をすぐに育成することは容易なことではありませんが、いわて県民計画(2019〜2028)には示されています。伝統文化の理解を深めるための県の具体的な取り組みとして民俗芸能フェスティバルなどがありますが、例えば、小学校や中学校で地域の民俗芸能を鑑賞するだけでなく、子供たちが実際に触れてみる、そうすると興味を持ついい経験になり、将来の後継者育成につながるものと思います。 そこで、次世代への伝統文化の普及、情報発信の重要性についての県の認識と、今後のさらなる取り組みの方向性について伺います。 次に、保存団体のつながりの強化について伺います。 神楽等の無形民俗文化財を守っている方々は、後継者不足のほかにも装束の新調や道具の修理に要する資金の調達など、さまざまな苦労を抱えております。高齢化している団体には、さまざまな支援の情報がなかなか行き届かない状況があると思います。 例えば、盛岡市無形民俗文化財保存連絡協議会では、盛岡市教育委員会が事務局となり、情報提供、共有、総会懇親会での団体の方々との交流をしています。また、国指定のものも含め、盛岡市にある無形民俗文化財であれば会員として一緒に活動できます。盛岡市郷土芸能の継承発展及び担い手育成に関する条例も令和4年に制定されております。 県としても各団体のコミュニケーションやつながりをより強固とし、各団体が一体となって無形民俗文化財の存続に取り組んでいくことができるよう、こうした環境の構築にも積極的に取り組んでいくべきと思いますが、お考えをお伺いします。 最後に、保存団体への支援について伺います。 茨城県教育委員会では、令和5年に、伝える、結ぶ、広がる いばらきのおまつりと題し、県内の祭りを対象とする補助金の交付を始めました。補助金は1件最大500万円、祭りの運営や山車、装束等の整備、伝統芸能の練習などに用いられることが想定されています。 一方で、岩手県の現在の無形民俗文化財の支援内容は、価値を認めること、記録作成、録音、映像に残すことなどが主です。これも非常に重要なことである一方、県事業では、装束、道具などに対する補助はありません。保存団体の自助努力も重要ですが、新型コロナウイルス感染症の影響も受けて団体のみで衣装や道具の新調、修理を行うのは厳しいのが現実です。 茨城県と同じような支援ではないとしても、今後、県における補助制度等の支援のあり方については、現在の補助制度の活用実績も踏まえつつ、国の支援制度ではなかなか手が届かない保存団体のニーズを適切に把握することにより、機動的、弾力的に検討していくことが重要と考えますが、お考えをお伺いいたします。 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 鈴木あきこ議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、人口減少対策についてでありますが、本県では進学、就職期における若年層の転出が人口減少の大きな要因となっており、また、人口減少に伴い、地域産業の労働力不足や生産量の低下、利用者の減少に伴う地域公共交通への影響、少子高齢化の進行による地域コミュニティー機能の低下など、県民生活への深刻な影響が懸念されていることから、人口減少の状況や施策に関する情報を県民の皆様にしっかりとお知らせし、共有して取り組みを進めていくことが重要であります。 このため、人口動向や影響、県の施策などについて、市町村や広域振興局等を通じたパンフレットの配布や大学等での講義、いわてグラフやいわて幸福白書を初めとした広報媒体への掲載、人口問題対策本部会議における最新の動向を踏まえた取り組みの発信などにより周知しているほか、いわてで働こう推進協議会や、いわて未来づくり機構など、関係機関、団体が集まる機会を活用し、現状を共有しながら人口減少対策を推進しております。 ふるさと振興総合戦略に掲げる施策の実効性を高めていくため、さまざまな機会を活用し、人口動向や労働環境、子供子育て支援策などについて、若い世代やその家族、事業者の方々などへ発信をより一層強化するとともに、多様な主体との連携によるオール岩手での取り組みを進めてまいります。 次に、保育士の確保についてでありますが、本県では、保育士不足が待機児童発生の要因となっていることから、必要な保育士を確保するため、保育士修学資金の貸付による県内への就職の促進や、潜在保育士の再就職支援などに加え、今年度、新たに保育士の負担軽減を図るための子育て支援員の養成に取り組んでいるところです。 また、県内保育所等の就職先としての魅力を高めるため、保育士の処遇を改善していくことが必要でありますが、国の公定価格により首都圏等との間で給与水準に大きな格差が生じていることが課題となっています。 このため、公定価格の地域間格差を是正し、地方での保育士確保が可能となる単価設定とするよう、北海道、東北各県と連携して国に要望しているところです。 県としては、引き続き、国に制度の改善を働きかけながら、保育士確保に向けた取り組みを強化することにより待機児童の解消を図り、安心して子供を産み育てられる環境の整備を進めてまいります。 次に、持続的農業の確立についてでありますが、本県では、農業従事者の高齢化と基幹的農業従事者の減少が同時に進み、経済のグローバル化など農業を取り巻く環境が厳しさを増す中、県では、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、意欲と能力のある経営体の育成、収益力の高い食料供給基地づくり等に取り組んできているところでありまして、販売額3、000万円以上の企業的経営体の増加、農業経営体1経営体当たりの農業総産出額の増加、県オリジナル水稲品種の作付拡大や畜産物の生産拡大などの成果が見られるところであります。 今般、国では、食料安全保障等の観点から、食料・農業・農村基本法を改正したところでありますが、食料自給率が100%を超える本県においては、今回の基本法の改正を契機に、気候変動やGX―グリーントランスフォーメーションの進展など、本県農業を取り巻く環境が変化する中、その強みを一層発揮し、我が国の食料供給基地としての役割をしっかりと果たしていくことが重要と考えておりまして、市町村、関係団体、生産者と一体となって農業生産の増大や人材の確保、育成など、本県農業の強化に取り組んでいくことが必要であります。 こうしたことを踏まえ、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策を一層推進していくため、農業ビジョンについては、生産者や関係機関、団体等の意見を伺いながら、その策定に向け検討を進めてまいります。 次に、いわて牛のブランド確立についてでありますが、いわて牛のブランド力を高めるためには、市場関係者等の声に応えられるよう、出荷頭数の確保と国内外における効果的なプロモーションの展開が必要と考えております。 このため、県、農業団体、市町村等で構成する、いわて牛普及推進協議会では、農協系統以外の団体の協議会への加入を促進するとともに、国内では市場関係者等に対するトップセールスや飲食店でのフェア開催、輸出拡大に向けては、在外公館と連携したPRレセプションや、バイヤーを招聘した商談会などを実施してまいりました。 こうした取り組みにより、協議会に新たに2団体が加わり、出荷頭数が拡大するとともに、東京食肉市場において平均を上回る価格で取引されるほか、コロナ禍前の令和元年度と比べ、いわて牛取扱推奨店が86店舗増加し、県産牛の輸出量は約3倍に増加しています。 さらなるブランド力の向上に向けては、バイヤー等の実需者や消費者の認知度を高めていくことが重要と考えておりまして、今年度、国内ではいわて牛の集い等のトップセールスや、著名人を起用したPR、マスメディア、SNSを通じた情報発信の充実とともに、海外ではアメリカでのトップセールスや、ことし新たに輸出が開始されたEU等での販路開拓などに取り組むこととしております。 県といたしましては、生産者や関係団体等と一丸となって、トップセールスを初め、より高い効果が期待できるプロモーションを国内外で展開しながら、いわて牛のブランド力の向上に積極的に取り組んでまいります。 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、潜在保育士のマッチングについてでありますが、県では、保育士の確保を図るため、平成25年度に保育士・保育所支援センターを設置し、潜在保育士等の再就職支援に取り組んできたところであり、昨年度までに累計で1、077人が県内の保育所等に採用されております。 これまで潜在保育士等に対し、支援センターによる再就職支援の取り組みを周知するため、いわてグラフやフリーペーパーへの掲載、ウエブ広告などにより広報を行ってきたほか、保育所等に対しても昨年度からリーフレットを配布し、センター事業の利用促進を図ってきたところであります。 今後は、こうした取り組みに加え、鈴木あきこ議員御紹介の保育士養成施設との連携による広報などにより、センター事業に係る周知を強化し、潜在保育士の採用数のさらなる拡大を図ってまいります。 次に、保育士の県内定着についてでありますが、県では、保育士の県内での就職を促進するため、平成29年度から保育士修学資金貸付に取り組んできたところであり、これまで累計で107名が県内の保育所等に就職するなど、保育士の県内定着に一定の成果を上げてきているものと認識をしております。 また、現役保育士の就業継続のための研修の実施や、保育士・保育所支援センターによる相談支援、処遇改善のためのキャリアアップ研修の開催などにより、保育士の就業の継続を支援してきたところであります。 今後はこうした取り組みに加え、保育士養成施設を訪問し、県内就職への協力を働きかけるなど、県内定着に向けた取り組みを強化し、保育士の確保を図ってまいります。 次に、いわゆるグレーゾーンの子供への対応についてでありますが、県内の保育所等では、令和4年度実績で障害者手帳等の交付を受けていない子供を含め、29市町村の232施設で598人の障がい児を受け入れております。 市町村においては、手帳の交付を受けていない子供について、医師の診断書のほか、巡回支援専門員等の専門的知見を有する者の意見により、障がい児の認定を行っているところであります。 認定を受けた障がい児に対しては、状態に応じた合理的な配慮を行い、ほかの子供とともに安心して遊びや生活を送ることができるよう、市町村が地方交付税を財源に保育士の加配を行っており、令和4年度実績で432人が加配されております。 県では、市町村における取り組みが円滑に行われるよう、保育士等キャリアアップ研修により障がい児保育に係る人材を育成しているほか、公定価格の加算制度の周知などにより、市町村の取り組みを支援してまいります。 〔ふるさと振興部長村上宏治君登壇〕 〇ふるさと振興部長(村上宏冶君) 岩手県立大学における保育教諭の養成についてでありますが、幼稚園教諭免許状取得のための教育課程につきましては、平成31年4月からの新課程に対応した再認定を受ける必要が生じ、教育目的の学科への改組、専任教員の増員、教職科目の大幅な増加等を要するなどの課題があったことから、その対応につきまして、当時の学内で検討されたところでございます。 この新課程は、一般的な教員養成課程に近いプログラムが求められるものでありまして、社会福祉学部の目的である、高度で専門的な知識を持った福祉人材の育成との両立が困難であったことから、やむなく廃止の判断に至ったものであり、そうした経緯を踏まえますと、県立大学の学科等を直ちに見直すことについては、さまざまな制約があるものと考えております。 一方で、本県の子育て環境の充実のため、保育教諭の確保は重要な視点の一つであると認識しておりまして、今後の需要を見極めながら、保育教諭の養成を担う県内の高等教育機関とこれからの人材育成のあり方について検討していくことが必要と考えております。 あわせて、保育教諭の育成に関し、県立大学が果たすべき役割につきましても、こうした検討の中に盛り込みながら、子ども子育てを担う専門人材の育成の充実を図ってまいります。 〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕 〇農林水産部長(佐藤法之君) まず、新規就農者の就農状況についてでありますが、県では、毎年度、新規就農者の確保状況や就農後5年目までの定着状況を調査しており、この調査では、平成30年度から令和4年度までの5年間の新規就業者数が1、393人となっており、この方々の令和5年11月末時点での定着率は約8割となっています。 これを就農区分別に見ますと、自営就農者数は632人で、定着率は約9割、雇用就農者数は761人で、定着率は約7割となっています。 次に、新規就農者の離職防止についてでありますが、県では新規就農者について、市町村や関係団体と連携し、離農理由や経営上の課題の把握とともに、課題解決に向けた取り組みを進めています。 令和5年度の調査結果では、雇用就農者、自営就農者とも、その離職理由については、仕事に向いていないや、病気、けが、就業条件に不満などが挙げられたほか、自営就農者の経営上の課題としては、生産技術や経営管理能力の向上、機械、施設の導入、優良農地の確保などが挙げられたところです。 このため、県では、自営就農者に比べ定着率の低い雇用就農者については、農業法人とのミスマッチの解消に向け、就農相談会での面談に加え、就業体験などを実施しているほか、就業条件の改善に向け、農業法人を対象とした労務管理等に関する研修会の開催や、社会保険労務士等の専門家派遣に取り組んでいます。 また、自営就農者の経営課題の解決に向けては、市町村、農協等と構成するサポートチームにおいて、農業普及員等による栽培技術や農業経営ノウハウの習得支援、経営発展に必要な機械、施設の導入への支援、農業委員会等と連携した農地の情報提供などに取り組んでいるところです。 さらに、新規就農者同士や新規就農者と地域の農業者とのつながりを深めるための交流会の開催などを行っており、県としては、今後とも、新規就農者が早期に経営安定を図り、地域に定着できるよう積極的に支援していきます。 次に、他県へのPRについてでありますが、本県では県外からの新規就農者の確保に向け、市町村や関係機関、団体と連携し、東京都や仙台市での就農相談会の開催のほか、県のホームページ等を活用した県や各市町村の就農支援情報の提供や民間の情報サイトを活用した県内で活躍するU・Iターン就農者の営農や暮らしに関する情報発信などを行っています。 また、首都圏等で開催する移住フェアにおける本県農業の魅力や就農支援に関する情報提供や、県の移住定住ポータルサイトにおける就農相談に関する情報発信など、移住、定住施策と一体的に取り組んでいるところです。 今年度は新たに、移動に係る時間やコストをかけずに、遠隔地からでも参加しやすいメタバースを活用した就農相談会の開催や、移住、就農希望者と県内の農業法人とのマッチングなどを実施することとしており、県外からの新規就農者を確保できるよう、さまざまな機会を通じてPR等に積極的に取り組んでいきます。 次に、産業動物獣医師の確保についてでありますが、県農業共済組合は、令和4年4月から宮古地域を、令和6年4月から釜石・大槌地域、気仙地域、久慈地域を家畜診療対象外としたところです。 県では、広域振興局が主体となり、地元の市町村や農業協同組合等と検討する場を設け、地域の家畜診療のあり方等について検討を進め、令和6年3月までに家畜診療対象外となった地域全てで県農業共済組合のかわりに家畜診療を引き受ける開業獣医師が確保されるなど、安定的に獣医療を提供できる体制が構築されていると承知しています。 また、牛などの産業動物診療獣医師と豚熱等の家畜伝染病対策などを担う公務員獣医師を合わせた産業動物獣医師の確保に向け、獣医学生に対する修学資金の貸し付けや東日本地域の獣医系9大学での就職説明会の開催、獣医学生のインターンシップの受け入れなどに取り組んでいるところです。 こうした取り組みにより、この10年間で61名の獣医師が県内の産業動物獣医師として就業したところであり、今後とも、大学等と連携しながら、獣医師確保に積極的に取り組んでいきます。 次に、家畜人工授精業務についてでありますが、畜産振興を図る上で、家畜人工授精師は、家畜の改良増殖を促進することにより畜産農家の経営改善に大きな役割を果たしています。 県では家畜人工授精業務が継続的に提供されるよう、家畜改良増殖法に基づく講習会を開催し、毎年、約30名の家畜人工授精師の免許取得を支援するとともに、牛を対象とする178カ所の施設に対し、家畜人工授精業務の施設開設を許可しています。 県農業共済組合の盛岡地域と遠野地域の6市町における家畜人工授精業務の廃止に関しては、広域振興局が主体となり、地元の市町や農業協同組合、農業共済組合等と検討する場を設け、地域の家畜人工授精業務が継続できるよう検討を重ねてきたところです。 これまでに滝沢市と雫石町では、地元の農業協同組合が全ての対象農家の家畜人工授精業務を継承したほか、盛岡市の一部では、個人開業の施設が継承しており、その他の地域では、現在、個人開業等の施設と継承の意思を確認しながら、継承に向けた条件などを調整しています。 引き続き、地域ごとの検討状況を丁寧に把握し、生産者等との情報共有を図りながら、市町や農業協同組合等と連携し、各地域の実情に応じて、安定的な家畜人工授精業務が実施されるよう取り組んでまいります。 〔復興防災部長福田直君登壇〕 〇復興防災部長(福田直君) まず、防災DXについてでありますが、令和6年能登半島地震に関しては、先月公表された政府検証チームのレポートの中で、NPОとの連携やドローンの活用などに関する課題が教訓として得られたとされております。 NPОとの連携については、被災者一人一人のニーズに合わせた支援を自治体やNPОが連携して行うための情報共有が課題となっており、私自身も石川県を訪問して議論を交わす中で、あるべき被災者データベースの構築に向けた共同研究を行うことを検討しております。 ドローンの活用については、昨年度、住民の避難誘導にドローンを用いる実証実験を岩手県立大学と連携して行っており、今年度中を目途にそのマニュアルを作成することとしております。 また、災害時のドローンの活用については、避難誘導だけでなく、被災状況の把握、さらには支援物資の輸送なども考えられることから、復興防災DX研究会で議論を深めていきたいと考えております。 次に、消防団についてでありますが、消防団員の皆様には、地域住民の安全、安心のために貢献いただいておりまして、ことし4月の宮古市刈屋地区の山林火災においても、県の防災ヘリコプターへの給水活動を初め、大いに活躍いただきました。 昨年4月の県内の消防団員数は1万8、857人で、人口10万人当たりでは1、585人、これは全国平均の608人を上回っておりますが、県土が広大であることを踏まえると、団員確保の取り組みを強化する必要があります。 消防団員の確保に向けては、やりがいを高め、負担感を軽減することが特に重要であり、これまで県による表彰の実施や、消防団応援の店の登録拡大、また、市町村によっては、役割が限定される機能別団員制度の導入やデジタル技術の活用による業務効率化などを行っております。 消防団員数が県全体で減少する中、北上市と矢巾町では前年より増加しており、その理由として、機能別団員や学生団員の確保が挙げられることから、今後、そのような優良事例を他の市町村とも共有してまいります。 さらに、今年度は消防団について、県民向けのアンケート調査も行うこととしておりますので、その結果も踏まえた上で、消防団員の確保に向けた取り組みを検討してまいります。 〔文化スポーツ部長小原勝君登壇〕 〇文化スポーツ部長(小原勝君) まず、民俗芸能の後継者を取り巻く状況についてでありますが、新型コロナウイルス感染症による活動休止などの影響も残る中で、少子高齢化による後継者不足や指導者の高齢化などの課題が大きくなっていると認識しております。 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおきましても、児童生徒の部活動などを通じた取り組みを推進するとともに、地域等と連携して指導環境の充実に努めることとしております。 県では、民俗芸能団体が行う後継者育成などの取り組みに対して、文化庁事業や岩手県文化振興基金を活用した支援を行っているほか、岩手県文化財愛護協会と共催している民俗芸能フェスティバルに高校生が出演する場を設けるなど、若い世代に誇りや意欲を高めるさまざまな機会を提供しているところであり、今後も担い手の確保、育成に向けた取り組みを進めてまいります。 次に、次世代への伝統文化の普及、情報発信についてでありますが、若い世代が地域の歴史や文化への理解と愛着を深め、民俗芸能の保存と継承の重要性への意識を高めてもらうためには、鑑賞や体験する機会を通じて、伝統文化の魅力や価値に関心を引きつけるような取り組みが必要と認識しております。 このため、県では、いわての文化情報大辞典のユーチューブチャンネルにおいて、100を超える本県の民俗芸能の動画配信を行っているほか、岩手県民俗芸能フェスティバルや、いわて世界遺産まつりに高校生などが演舞する場を設けており、若い世代にも共感を持ってもらうよう、鑑賞の機会を用意しております。 また、岩手芸術祭の芸術体験フェスタにおいて、民俗芸能に身近に触れるプログラムを実施しているところです。 今後も、SNSの活用をさらに展開するなど、若い世代へ向けた情報発信を強化し、地元の若者を初め移住者等の参加なども期待しながら、新たな担い手の確保につながるよう取り組んでまいります。 次に、民俗芸能団体のつながりの強化についてでありますが、民俗芸能の後継者を育成し、継承、活性化を図るため、県内の民俗芸能団体が相互に連携、協力して取り組んでいくことが重要であり、こうした問題意識から、平成20年度に、岩手県民俗芸能団体協議会が設立され、本県の民俗芸能団体のネットワークが構築されたところです。 当協議会では、これまで、民俗芸能の技術講習会や民俗芸能フェスティバルを岩手県文化財愛護協会と連携して開催してきましたが、令和5年度は、民俗芸能の保存、継承をテーマとする講演会や意見交換会を実施するなど、活動の拡充を図っているところです。 今後も民俗芸能団体のつながりの強化に向けて、当協議会が団体間の相互交流が促進される場となるよう、より積極的な市町村の参画も働きかけながら活動を支援してまいります。 〔教育長佐藤一男君登壇〕 〇教育長(佐藤一男君) 県の保存団体への支援のあり方についてでありますが、無形民俗文化財の保護に当たっては、地域の人々の生活の中で生まれ、さまざまな変容を遂げながら継承、発展されている風俗、慣習や民俗芸能の価値を認め、必要に応じてそれらを記録、保存し、将来へ伝えていくことが重要と捉えております。 このことから、県教育委員会では、県指定を受けた無形民俗文化財の保存団体等を対象として、記録の作成に加え、伝承者の養成などに対し補助を行っており、指定文化財の価値の保護に努めているところです。 衣装や道具の新調や修理については、これまで県内の多くの保存団体が民間の助成事業等を活用して対応してきたものと承知しております。 県教育委員会としましては、今後も保存団体に対し、市町村や関係団体を通じて助成事業等に関する情報提供を行うなど、引き続き、関係部局等と連携しながら、保存団体の支援に努めてまいります。 〇8番(鈴木あきこ君) 私でもわかりやすい御答弁をいただきまして、ありがとうございました。いろいろとそうなのだろうかと思うことはありましたが、二つのことだけ質問―一つは意見になりますが、再質問させていただきます。 まず、保育教諭にこれから移行されていくという見通しがありますが、皆様御存じだと思いますけれども、青森県教育委員会では、令和7年の公立小学校の採用試験で幼稚園教諭免許保有者を対象に特別選考を行うとしています。内定後は3年以内に小学校教諭2種免許を取得する必要がありますが、希望者には取得前でも臨時免許が授与され、臨時教諭として活用する内容となっているということです。 岩手県も教員の働き方改革などがありまして、先日、神崎浩之議員からも、それが子供たちに対してしわ寄せがいっているのではないかという趣旨の質問がされていました。青森県は幼稚園教諭を小学校の先生にするくらい幼稚園教諭がたくさんいるのかもしれません。岩手県ではまたその課題とは違うかもしれませんが、幼稚園教諭がこれからいろいろな形で活躍できるということが青森県の今回の取り組みで示されたと思います。 その中で、先ほど岩手県立大学の社会福祉学部は、福祉なので幼稚園教諭免許は取れない、いろいろな事情があってできないという話がありましたが、岩手県は人口減少問題や子育てに力を入れているのに、県の大学ではそれがかなわないというのは私は非常におかしいと思っておりました。 これから先、幼稚園教諭資格は、先ほども申し上げましたが、いろいろなところで活躍できるものでございますので、難しいという答弁ではありましたが、今後、ぜひ考えていただき、岩手県の子供たちが健やかに育っていくために岩手県が頑張るべきと思っております。これは意見として伝えておきたいと思います。 あと、家畜人工授精師ですが、私は相談を受けていろいろ調べました。各関係団体にお話を伺ったのですが、県に去年の春ごろには知らされていて、その後、令和5年8月には遠野市と遠野市議会から知事への一括要望としても要望されております。先月6月14日には、繁殖農家の方々から知事要望という形でまた要望が出ています。私も広域振興局や、農協、農業共済にいろいろお話を伺ったのですが、それぞれ言い分があって、これは来年3月までという期間が決まっている中で悠長にやっている暇はないのだと思いました。その中で、県は先ほど広域振興局が主体となって話し合いを重ねていますとおっしゃっていましたけれども、去年の春前には知らされているという話だったので、そこから1年以上たっても話し合いを続けて、なかなか解決に結びつかないところが県としていかがなものかなと非常に思っております。 また、達増知事は誰一人取り残さないということを掲げて県政に取り組まれておりますので、今の状況であれば、来年3月移行、誰一人取り残されないではなくて、誰かが取り残される状況にあるのだと思っています。 岩手県は畜産県ですし、今は規模を拡大して大規模でやっている農場などもありますが、これまでの岩手県の畜産を支えてきてくれたのが個人の繋殖農家や畜産農家の方々ですから、決して取り残すようなことがないようにしていただきたいと思っております。 それについては、先ほども答弁がありましたが、早急に取り組んでいただきたいと思っております。 もう一つ、沿岸地域の獣医師については確保ができたということで安心しましたが、人口受精師については、先ほども質問の中でありましたが、家畜人工授精師にかかわる講習会を県が行っていますので、今後、過去に振り返ってああだ、こうだではなくて、期間が決まっているので、これから県がやるべきこととして、人工授精師と獣医師の把握はきちんとやらなければいけないのだと思っております。 先ほど申したとおり、人工授精師も獣医師も高齢化が進んでいて、この先、何が残るかわからない状況なので、きちんと県が把握するべきと思いますが、そこも県の考えをお伺いしたいと思います。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 家畜人工授精業務の件でございますけれども、県としてもこの課題を把握した後、先ほど申し上げましたとおり、地域ごとに丁寧に検討ができるように、また、地域ごとに状況が異なりますので、そういった検討を重ねてきた中で、現時点では、対象となる328戸の農家のうち、継承が決まったのは109戸、約3割まで検討が進んできたという状況にございます。 この農業共済組合の業務の廃止に伴う盛岡地域と遠野地域の継承の関係については、私も実際に生産者の方々から意見を伺う場をいただいたところでございまして、しっかりと課題認識を持っていると思っております。盛岡地域、遠野地域の全ての業務継承が決まるまで、県としてしっかりと取り組んでいきますし、また、獣医師の確保の部分につきましても、あわせて検討してしっかり取り組んでいきたいと考えております。 〇8番(鈴木あきこ君) それでは、その言葉を信じて、来年3月に誰一人取り残されないような取り組みをぜひお願いします。 以上です。 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって、鈴木あきこさんの一般質問を終わります。 〇議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。 午後2時13分 休 憩 出席議員(47名) 1 番 田 中 辰 也 君 2 番 畠 山 茂 君 3 番 大久保 隆 規 君 4 番 千 葉 秀 幸 君 5 番 菅 原 亮 太 君 6 番 村 上 秀 紀 君 7 番 松 本 雄 士 君 8 番 鈴 木 あきこ 君 9 番 はぎの 幸 弘 君 10 番 高橋 こうすけ 君 11 番 村 上 貢 一 君 12 番 工 藤 剛 君 13 番 小 林 正 信 君 14 番 千 葉 盛 君 15 番 上 原 康 樹 君 16 番 菅野 ひろのり 君 17 番 柳 村 一 君 18 番 佐 藤 ケイ子 君 19 番 高 橋 穏 至 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 福 井 せいじ 君 23 番 川 村 伸 浩 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 高 田 一 郎 君 26 番 木 村 幸 弘 君 27 番 佐々木 朋 和 君 28 番 吉 田 敬 子 君 30 番 岩 渕 誠 君 31 番 名須川 晋 君 32 番 軽 石 義 則 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城 内 愛 彦 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 37 番 斉 藤 信 君 38 番 中 平 均 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 郷右近 浩 君 41 番 小 西 和 子 君 42 番 高 橋 はじめ 君 43 番 五日市 王 君 44 番 関 根 敏 伸 君 45 番 佐々木 順 一 君 46 番 岩 崎 友 一 君 47 番 千 葉 伝 君 48 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(1名) 29 番 高 橋 但 馬 君 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後2時32分 再開 〇議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。上原康樹君。 〔15番上原康樹君登壇〕(拍手) |
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