令和6年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇47番(千葉伝君) 自由民主党の千葉伝です。通告に従い、順次質問いたしますので、誠意ある答弁をお願いいたします。
 初めに、人口減少対策について伺います。
 ことし4月に増田前知事が副議長である人口戦略会議が消滅可能性自治体を発表しました。これは10年前の平成26年に日本創生会議が公表した消滅可能性都市の流れをくんでおり、本県では33市町村のうち26市町村、盛岡市以北、沿岸地域の市町村は、市であっても軒並み消滅可能性自治体とされています。
 国は、平成26年に、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定して以降、10年近く地方創生を掲げ、地方への移住促進など対策を講じていますが、地方の自治体間での人口の奪い合いにとどまり、東京一極集中を是正できなかったことが地方の人口減少の大きな要因となっていると知事も述べています。
 児童が減る学校、減便、廃止される公共交通機関、荒廃農地が発生し野生鳥獣の出没がふえる農村地域など、盛岡市以北、沿岸地域を初めとする人口減少が深刻な地域の様子や、そこに住む方々から聞く声からも、近い将来、消滅が現実のものになるのではと危機感を強くしています。
 一定程度の人口減少は想定されることとはいえ、人口減少のスピードや人口の年齢構造、若年女性人口に着目した消滅可能性自治体の公表などの状況から、若者の県外の流出を食いとめ、出生数をふやし、さらに、県外からの移住定住を推進していくとともに、いかに持続可能な地域を築くか、未来を開く仕組みづくりへの努力を重ねる必要があると考えます。
 かつて千田正知事は、岩手大県構想を掲げ、現在の岩手県を支える産業の基盤整備と産業力の強化に尽力されました。人口減少という新たな時代に県知事に求められるのは、広い県土を俯瞰的に捉え、人口減少社会に適応し得る、しなやかで足腰の強い地域社会を実現するとともに、将来にわたって持続可能な強い産業を育成していくことであるということを私どもの仲間で考えた、令和いわて大県構想の中で掲げており、今こそ岩手県の新たなグランドデザインが必要だと思うところであります。
 知事は昨年の選挙で、マニフェストプラス39を掲げ当選されました。そのマニフェストプラス39では、子育て支援策の拡充、関係人口の拡大から移住定住の推進、結婚支援施策の拡充などの政策を実現させるとしています。マニフェストプラス39に掲げる政策など人口減少対策の取り組み状況と、今後どのように取り組む考えか、知事に伺います。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)における新しい時代を切り拓くプロジェクトの一つとして、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトを掲げ、東京大学を中心に、岩手県立大学と県が参加するセンター・オブ・イノベーション・ネクスト、基幹産業である農林水産業と再生可能エネルギー資源を結びつける取り組み、次世代リーダーの育成など、多様な取り組みを推進してきたものと承知していますが、この間、盛岡広域圏の北部などを含む北いわてにおいては、全県に先行して人口減少と高齢化が進行し、地域経済の衰退やコミュニティー機能の低下などが懸念されているほか、コロナ禍後の社会変化への対応や物価高騰等の課題も加わり、厳しい状況が続いています。
 そこで伺いますが、北いわての振興について、今後どのような方針で取り組んでいくのか、県の考えをお聞かせ願います。
 次に、食料・農業・農村基本法改正に伴う本県の対応について伺います。
 農政の憲法と言われる食料・農業・農村基本法が本年5月に改正されました。25年ぶりの初の改正で、食料安全保障の確保、農業の持続的な発展などの基本理念と政策の方向性が示されています。国内外の情勢変化による食料安全保障への懸念の高まりが改正の背景にあり、対策は待ったなしの状況であります。
 また、国内を見ると、人口減少が進み、農業従事者も減少していることから、食料供給基盤を維持するには、担い手の確保、育成やスマート農業による生産性の向上、さらには、海外市場を取り込む輸出の拡大が必要と考えます。
 これまでも我が会派の松本雄士議員、菅原亮太議員から、岩手県の農業の目指す姿を示すビジョンが必要だとの問題提起がなされ、知事は、農業を取り巻く環境が大きく変化する中、担い手の確保や育成、農業の体質強化が重要。農業ビジョンの策定について研究していくと答弁されており、私も岩手県の農業ビジョンは絶対必要なものだと考えております。
 これまで、県議会において中長期的な視点に立った農業ビジョンについて議論されてきたところであり、こうした点も含めて、今回の食料・農業・農村基本法の改正を踏まえ、県としてどのように取り組んでいくのか知事に伺います。
 次に、畜産振興策について伺います。
 本県の令和4年の農業産出額は、総額2、660億円であり、全国で第11位、東北地域で第2位となっており、そのうち畜産が1、714億円と6割以上を占め、全国で第4位、さらに、統計が公表されている昭和35年以降最高額となっています。もとより畜産は本県農業の基幹部門であり、今後も成長が期待できる産業として振興を図らなければならない分野であります。
 こうした中、先月5月28日に洋野町で県内初の豚熱が発生し、養豚関係者に衝撃が広がりました。県は同日夜から、飼育する1万9、780頭の殺処分、埋却を開始し、6月20日で殺処分、埋却が終了したとのことであり、この間、北海道から沖縄県まで全国から応援に駆けつけてくれた公務員獣医師延べ104名や、県職員延べ4、157名が従事したと聞いております。これまでの防疫作業を進めてきた県畜産課、県民くらしの安全課、復興危機管理室を初め、作業に携わった多くの職員や地域の建設業者の方々など、関係者の労をねぎらうものであります。
 平成30年に国内で26年ぶりに発生した豚熱は、ことし5月に栃木県の養豚農場で発生し、ウイルスに感染した野生イノシシの確認地域が拡大するなど、いまだに終息の見通しが立たない状況にあります。
 さらに、日本では発生例のないアフリカ豚熱が韓国で急拡大し、我が国への侵入が懸念されており、農場における防疫対策を一層強化していくことが重要であります。
 本県の養豚農場においては、豚舎等への出入りの際の消毒など衛生管理の徹底や、野生イノシシの侵入を防ぐための防護柵の設置などに取り組み、万全を期しているところと認識しています。しかし、豚熱に感染した野生イノシシが県内では180例と多く確認されており、生産者はこれまで以上に警戒感を強めているところです。
 このような状況を踏まえ、私は令和4年6月定例会の一般質問において、野生イノシシに対する経口ワクチンの散布の取り組みについて尋ねましたが、これまでの散布の実績と、今後、農場における防疫対策の強化に向け、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、本県の養鶏は、令和4年の産出額が818億円と、本県の畜産産出額の約5割を占め、ブロイラー生産羽数は1億2、000万羽を超え、全国第3位となる重要な産業でありますが、脅威となっているのが高病原性鳥インフルエンザであります。全国的に発生が見られており、本県でも令和4年、久慈市の養鶏農場において本県初となる発生があり、令和5年にも金ケ崎町の養鶏農場で発生し、2農場の飼育鶏約12万羽が殺処分されました。
 本病が発生した場合、発生農場で飼養される鶏は全て殺処分、埋却されるほか、周辺区域が移動制限及び搬出制限区域に指定されるなど、発生農場のみならず、周辺農場がこうむる経済的損失は多大であります。
 毎年、全国的にウイルスに感染した野鳥が確認され、最近はカラスの感染も多く確認されているところでありますが、発生防止対策のほか、発生時に備えた取り組みも強化していくことが重要であると考えます。
 そこで、今後の発生防止に向け、また、万が一の発生に備え、県はどのように対応していくのか伺います。
 次に、酪農、肉用牛経営の支援について伺います。
 本県の1戸当たりの飼養頭羽数については、豚、鶏の中小家畜では全国でもトップクラスであり、大規模化が進んでいる一方、肉用牛、乳用牛の大家畜では、全国に比べて低位となっています。
 本県の酪農、肉用牛経営は、生産者の高齢化とともに飼養戸数、飼養頭数が減少し、さらに、飼料等の生産資材価格の高どまりに加え、子牛価格や牛枝肉価格が低迷し、生乳需給の緩和が見込まれるなど、飼養戸数の減少の加速化と生産基盤の弱体化が懸念される状況にあります。
 特に、葛巻町では酪農家戸数の減少が進み、資材高騰前の令和2年の125戸から4年間で19戸減少し、令和6年には106戸となり、10年前に比べると79戸減少しています。
 また、社会全体では人手不足が進む中、畜産分野でも労働力確保はますます困難となり、家族経営が中心となっている本県の酪農において、戸数の減少がさらに進むことが危惧されます。
 このような状況を踏まえ、牛飼養農家における経営の安定化に向け、これまで以上に対策を強化していく必要があると考えますが、持続可能な酪農、肉用牛経営の確立に向け、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、県産牛の流通、販売の取り組みについて伺います。
 近年、新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンドや外食需要の減少、物価高騰の影響などにより国内の牛肉の消費は減少傾向にあり、肉用牛生産者の経営安定と生産意欲を高めるためには、県産牛の品質の高さをPRし、少しでも高値での販売に結びつけ、生産者の所得向上につなげていく必要があると考えます。
 知事は、マニフェストプラス39に、収益力の高い農林水産業の確立と国内外の販路拡大を掲げ、さきの2月定例会の知事演述においては、農林水産物等の輸出拡大に向け、アジアや北米等をターゲットに、フェア開催やトップセールスなど、戦略的なプロモーションを展開すると述べています。
 さらに、ことし3月に策定した、いわて国際戦略ビジョンにおいても、県内事業者の海外市場への展開や戦略的な輸出促進の取り組みにより、牛肉等の農林水産物の販路拡大を進めるとしており、国内市場はもとより、海外市場に対しても県産牛の認知度と評価を高め、ブランド力の向上を図っていく必要があります。
 県内の畜産農家のために知事が先頭に立ち、関係機関、団体が一体となって、国内外においてさらなる販売促進活動やPR活動を展開していく必要があると考えますが、今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、馬産振興について伺います。
 本県は、古くから日本有数の馬産地であり、県内各地には多様な馬事文化が培われてきました。この間行われた、初夏の風物詩と言われるチャグチャグ馬コは、日ごろ重労働を課せられる馬たちをねぎらうとともに、人馬の無病息災を願いお参りしたことが始まりとされており、馬産地岩手の文化と愛馬精神を伝える伝統行事であります。
 しかしながら、近年、本県の農用馬の飼養頭数は減少し、チャグチャグ馬コへの参加頭数も年々減少していることから、農用馬の飼育頭数確保に向けた取り組みを今、強化しなければ、伝統行事のチャグチャグ馬コを初め、今後における馬事文化の継承が案じられるところであります。
 そこで、農用馬の飼養頭数の確保に向け、県としてどのように取り組んでいるのか伺います。
 次に、岩手県政150周年について伺います。
 明治5年1月に盛岡県から岩手県に改称されてから令和4年1月に150周年となり、また、明治9年5月に現在の岩手県の圏域が確定してから令和8年5月に150周年を迎えることから、県では令和4年度から令和8年度までを岩手県政150周年記念期間と位置づけ、記念事業を展開しています。
 県政150年の歴史の中で、行政と議会は車の両輪であり、自治の原点と言えるものであります。県民の負託に応えるべく先達が厳しい自然条件や政治経済環境を克服しながら、営々として郷土の発展のため日夜心血を注いできた歴史を顧みれば、その努力と不屈の精神に深く畏敬と感謝の念を一議会人として強く覚えるものであります。
 本県議会の歴史をひも解けば、明治11年に県会議条例に基づき発足し、明治、大正、昭和の時代を経て昭和20年8月の終戦後、昭和22年5月3日に新憲法が施行、この年の4月5日に初めての知事選挙が行われ、国分謙吉氏が初の公選知事として誕生したと同時に、終戦後初の県議会議員選挙が昭和22年4月30日に行われ、地方自治法時代の県議会が幕をあけました。
 特に、明治11年5月に初めて県会が開催されてから大きな節目となる100周年が昭和53年に、さらに、平成、令和の時代を経て、私ども県議会も間もなく令和10年には150周年を迎えることになります。私としても、このような節目の機会に、改めて岩手県のこれまでの歴史を振り返り、岩手県の未来を展望する機会とすることは非常に重要なことと考えております。
 ことしは県政150周年記念期間の中間年となります。県ではこれまで特設ホームページの開設、記念パネルや動画の作成、ロゴマークを活用したPRなどの取り組みを進めてきたものと承知していますが、まだまだ県民に広く浸透するところまでは至っていないと感じています。
   〔副議長退席、議長着席〕
 岩手県政150周年記念事業について、これまでどのような取り組みに力を入れてきたのか、また、さらなる県民への周知を図るため、今年度は特にどのような取り組みに力を入れ事業を行っていくのかお伺いします。
 次に、道路整備について伺います。
 東日本大震災津波以降、脈々と進められた復興道路及び復興支援道路が完成し、沿岸地域の交流拡大が進む中、盛岡市以北の内陸地域と沿岸地域を結ぶ横断道路は、依然として課題が多い状況にあります。
 盛岡市以北の市町村には、農林水産物や再生可能エネルギーなどの地域資源が数多くあるにもかかわらず、農山漁村と都市部をつなぐ社会基盤の整備のおくれが産地間競争に大きな影響を与えているほか、県全体を俯瞰したとき、県南地域の道路網との格差拡大が地域経済はもとより人口減少にも深刻な影響を与えています。
 久慈市と盛岡市を結ぶ国道281号は、大坊地区、下川井地区、案内地区の改良などが進められてきましたが、いまだ多くの線形不良区間及び隘路区間が存在し、物流輸送及び救急搬送など円滑な交通が阻害されている上、平成28年台風第10号による豪雨災害では、道路流出等による通行どめが多数発生しました。
 こうした中、関係する市町村は、北岩手・北三陸横断道路、いわゆる北・北道路の整備を要望し、県では令和3年に岩手県新広域道路交通計画を作成していますが、高規格道路としての役割が期待されるものの、個別路線の調査に着手していない構想路線として(仮称)久慈内陸道路の名称で位置づけ、令和4年度から調査に着手しているところと認識しています。
 こうした中、今月15日には、葛巻町で鈴木財務大臣、達増知事も出席され、北岩手・北三陸横断道路整備促進期成同盟会の第6回決起大会が開催されました。地元の思いが強い路線であり、地方創生、地域の安全確保、防災、医療などの充実、さらには、観光振興により地域経済を加速させるためにも盛岡市以北の内陸地域と沿岸地域を結ぶ横断道路の整備が重要と考えますが、現在、県による整備が進められ、早期完成が期待される国道281号案内─戸呂町口工区の整備の進捗状況とあわせて、国道281号に重ねる形で位置づけた構想路線の調査の進捗と今後の見通しを伺います。
 次に、鳥獣被害対策について伺います。
 二ホンジカは、以前は五葉山周辺にしか生息していないとされていましたが、現在では県内各地で生息が確認されており、県では鹿の推定個体数を約10万頭としていると承知しております。
 イノシシは県内では一度絶滅したとされていましたが、平成23年に県南地域で捕獲が確認されて以降、徐々に生息地が拡大し、現在では県内全域で生息が確認されています。
 また、昨年度のツキノワグマの出没は異常とも言える状況で、過去最多の49人の方が人身被害に遭われたと承知しています。今年度も県内各地で熊が出没しており、一関市や北上市内では、駅周辺の市街地での出没が繰り返されているほか、遠野市において、ことし初の熊による人身被害の死者が確認されたと報道されているところです。
 今後、出没の増加に伴い人身被害の危険性が高まると思いますが、市街地等に出没した熊は確実に捕獲していくべきと考えます。そこで、鳥獣被害対策について、何点か伺います。
 県内では、鹿やイノシシ、熊による深刻な農業被害が続いていますが、農業被害の状況について伺います。
 また、鹿やイノシシ、熊による農業被害を低減させていくためには、より積極的な取り組みが必要と考えますが、今年度の取り組み内容について、あわせて伺います。
 次に、野生鳥獣の個体数管理についてでありますが、県は、鹿やイノシシ、熊の個体数管理にどのように取り組んでいるのか、近年の捕獲実績の推移とあわせて伺います。
 また、捕獲数の増大に伴い、捕獲後の処理も課題と聞いていますが、その対応についても伺います。
 ツキノワグマによる人身被害が拡大する中、ことし4月16日に国がツキノワグマを新たに指定管理鳥獣に追加し、今後、国において秋ごろをめどに支援メニューを示すと聞いております。県ではこうした国の動きを踏まえて、どのような対策を実施していく考えか伺います。
 次に、動物愛護センター整備について伺います。
 県と盛岡市で共同設置することして、平成30年4月に岩手県動物愛護センター(仮称)基本構想を策定、公表してから既に6年が経過したところです。
 先日6月20日、動物愛護センターについて、令和10年度のオープンを目指し、県営野球場跡地の東側駐車場に整備すること、また、整備基本計画を盛岡市と共同で今年度中に策定することが公表されました。同様の施設がないのは全国で本県と長崎県のみで、ようやく整備に向けた大きな一歩が踏み出されたと思っており、早期完成を期待するとともに、他県の施設の状況も参考にしながら、県民の声にも耳を傾け、充実した施設にしてほしいと考えます。
 整備を進めるに当たり、引き続き盛岡市と連携しながら取り組まれるものと思いますが、動物愛護センターをどのような施設にしていこうとしているのか、現段階における県の考えを伺います。
 最後に、知事の県政運営について伺います。
 昨年の選挙で達増知事が掲げたマニフェストは、実現に向けて確実に取り組みを進めていかなければならない県民との約束であります。最終的に成果があらわれなければ県民をあざむくことになりかねないものとなります。
 知事は、マニフェストプラス39に、市町村と連携した県政を掲げています。記者会見でも、今年度は職員や予算の面で県から支援しながら、人口の少ない町村が人口減少対策を自立的かつ効果的に進められるような事業をやっていくと述べられ、小規模自治体への支援に県として取り組む考えを示しています。
 また、取り組みに当たり、知事と市町村長との連携が重要でありますが、知事は昨年の選挙前までは、県内市町村長の多くから、要望時に広域振興局長に対応を任せ、直接の対話ができないと批判されていましたが、途中から選挙向けのパフォーマンスとしか思えないように出席していると聞いています。私は、出席することが本来の姿勢であると思っており、続けてもらいたいと望みます。
 そこで伺いますが、マニフェストプラス39に掲げる、市町村と連携した県政の実現に向けて、小規模自治体への人的支援や財政支援を含め、市町村支援や連携に現在どのように取り組んでいるのか、また、今後どのように取り組むのか、具体的にお示し願います。
 私も含め、これまで知事の政治姿勢について質問されていますが、平成19年4月の知事就任直後は、不偏不党、公正中立で臨むとしており、その後、3期目は政党推薦を求めず県民党で臨み、4期目は国政野党の推薦を受けながら野党共闘で臨み、令和4年2月県議会の答弁では、政治姿勢を安易に変えることのないよう努めるとしていました。その後、令和4年の参議院議員選挙では、タブーなし、禁則なし、何でもやる、今までにやったことがないようなこともやると、かなり偏った姿勢で臨み、5期目の選挙前の記者会見においては、県民党的な支持の広がりを一人でも多く極力ふやし、そして、いわばオール岩手というような政治の形をつくっていくと述べていますが、結果として、社民党、立憲民主党、日本共産党、国民民主党に協力要請を行い、選挙を戦われました。
 私の考える県民党的立場とは、特定の政党に偏らず、県民を向き、県民に寄り添い、県民のために仕事をすることであります。知事が考える県民党的、また、オール岩手の政治の形とはどのようなものなのか、現在の知事の政治スタンスはどこにあるのか、改めて県民が理解できるよう説明願います。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   
〇議長(工藤大輔君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉伝議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、人口減少対策についてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、人口減少対策に最優先で取り組むこととし、人口の自然減・社会減対策の推進、GXの推進、DXの推進、安全・安心な地域づくりの推進を重点事項として掲げております。
 少子化対策については、コロナ禍で急減した婚姻数が出生数に大きく影響していることから、有配偶率の向上、有配偶出生率の向上、そして、女性の社会減対策の三つの柱のもと、29歳以下の新婚世帯に対する支援金の県独自の10万円上乗せ支給、放課後児童クラブの運営や一時預かり事業に対する助成、デジタル分野のスキル取得に向けた支援などに取り組んでおります。
 また、社会減対策については、コロナ禍で社会減の減少幅が一時的に縮小したものの、再拡大の傾向が見られることから、いわてとのつながりの維持・強化、多様な雇用の創出、労働環境と所得の向上、そして、交流人口・関係人口の拡大の三つの柱のもと、U・Iターン拡大に向けたお試し就業、お試し居住体験の場の提供、若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の整備、外国人観光客誘客プロモーションの展開などに取り組んでおります。
 さらに、人口が減少する中にあっても、地域の社会経済システムが維持向上できるよう、デジタル化による産業、経済の強化やコミュニティー、公共インフラ等の対策を進めております。
 岩手県で生まれ、岩手県で暮らし続ける県民だけではなく、岩手県から出て県外で活躍する人、県外から岩手県にやってくる人など、さまざまな形で岩手県とかかわりながら、働き、学び、暮らすことができるようにしていくことが人口減少対策につながっていくと考えており、こうした一人一人の希望を自由に選択できる岩手の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、農業の振興策についてでありますが、国では、世界人口の増加による食料需要の増加や異常気象による食料生産、供給の不安定化など、食料、農業、農村を取り巻く情勢変化を踏まえ、将来にわたって国民に対し食料を安定的に供給できるよう、食料安全保障、人口減少、環境負荷低減の観点から食料・農業・農村基本法を改正いたしました。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、地域農業の核となる経営体の育成や、次代を担う新規就農者の確保、育成、生産性、市場性の高い産地づくり、農産物の高付加価値化などの取り組みを進めております。
 食料自給率が100%を超える本県においては、今回の食料・農業・農村基本法の改正を契機に、気候変動やGX―グリーントランスフォーメーションの進展など本県農業を取り巻く環境が変化する中、その強みをより一層発揮し、我が国の食料供給基地としての役割をしっかりと果たしていくことが重要と考えておりまして、市町村、関係団体、生産者と一体となって農業生産の増大など、本県農業の強化に取り組んでいくことが必要であります。
 こうしたことを踏まえ、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策を一層推進していくため、農業ビジョンについては、生産者や関係機関、団体等の意見を伺いながら、その策定に向け、検討を進めてまいります。
 次に、県産牛の流通、販売の取り組みについてでありますが、トップセールスを初めとする販売促進、PR活動は、県産牛の認知度やブランド力の向上、市場関係者等とのこれまでのつながりの強化や新たなネットワーク構築など、販路拡大につながる重要な取り組みであります。
 県ではこれまで、県、農業団体、市町村等で構成する、いわて牛普及推進協議会を中心に、国内においては、市場関係者やいわて牛の取り扱い業者に対するトップセールスや飲食店でのフェア開催等に取り組むほか、輸出拡大に向け、在外公館と連携したPRレセプションや、現地バイヤーを招聘した商談会等を実施してきたところであります。
 こうした取り組みにより、県産牛の品質やおいしさが高く評価され、いわて牛が東京食肉市場において平均を上回る価格で取引されるとともに、コロナ禍前の令和元年度と比べ、いわて牛取扱推奨店が86店舗増加し、県産牛の輸出量が約3倍に増加しています。
 今年度は、国内においては、いわて牛の集い等のトップセールスや、首都圏ホテルでのフェアなどを実施するとともに、海外においては、県産牛の需要が拡大しているアメリカでのトップセールスや、新たに、ことし5月に輸出が開始され、高価格の取引が期待できるEU等での販路開拓にも取り組むこととしております。
 今後も、生産者や関係団体等と一丸となって、トップセールスを初め、より高い効果が期待できるプロモーションを国内外で展開しながら、県産牛のブランド力の向上と販路の拡大に積極的に取り組んでまいります。
 次に、市町村連携についてでありますが、県ではこれまで、行政のデジタル化に対する支援や滞納整理機構による事務共同処理、職員の相互交流など市町村のニーズに応じた支援を行ってきたほか、各広域振興局において、地域経営推進費などを活用して地域課題の解決に向けた支援を実施してまいりました。
 小規模自治体においては、専門職員の確保が困難な状況にあるなど、深刻な課題に直面していることから、今年度から新たに普代村や住田町に県の保健師を派遣して、地域の保健活動を人的支援により支える体制づくりを進めているほか、地域経営推進費において小規模町村支援枠を新設し、人事、財政を一体的に支援する仕組みを構築するなど、広域振興局を核とした小規模自治体支援に取り組んでおります。
 今後においては、市町村要望や市町村長とのトップミーティングなどの機会を通じて、市町村との情報共有を図りながら、今年度実施している取り組み等の状況を踏まえ、一層効果的な施策のあり方を検討し、県と市町村とのさらなる連携の強化につなげてまいります。
 次に、政治的スタンスについてでありますが、民主主義の原則は、行政は中立、政治は自由であり、これを念頭に行政と政治活動に取り組んでまいりました。
 行政においては、かつて、内閣は野党の言うことは聞かないというある大臣の発言が問題になったことがありますが、そのように、個人や団体の政党支持のあり方によって行政上の扱いを変えるようなことはあってはならないということであります。
 政治においては、長野県知事関係の裁判例にもあるように、知事という特別職に属する公務員は、政治的に活動することによって公共の利益を実現する存在でありますので、国政選挙などでは自由に活動してきたところであります。
 知事に対して、政治における中立を求める議論もありますが、行政においては中立が可能であり、かつ必須であるのに対して、政治においては、いわゆる中立の姿勢というのは多数派に味方し、少数派には味方しないことであり、現状維持派に味方し、変えようとする側には味方しないことでありますので、政治における中立というのは、実は現実にはほとんどあり得ないことであります。
 私は、世界の民主主義諸国に負けないような政治を日本とこの岩手県に確立すべきと考え、志が一貫していればこそ、日本の多数が私の考えに合致する場合には政治的にその多数とともにあり、私の考えに合致する政治勢力が日本の少数である場合には、政治的にもその少数とともに変化を求めて政治活動を行ってきたところであります。
 岩手県においては、知事選挙の結果に示されているように、私は、政治的に県民の多数とともにあることが続いており、その形を県民党的と呼んだり、オール岩手と呼んだりしてきたものであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔ふるさと振興部長村上宏治君登壇〕
〇ふるさと振興部長(村上宏冶君) まず、北いわての振興についてでありますが、北いわては、千葉伝議員御指摘のとおり、人口減少や高齢化、コロナ禍後の社会の影響などの課題を抱えているものの、農林水産資源や再生可能エネルギーなど、他地域を先導する高い可能性を有する地域であると認識しています。
 このため、県では、毎年度、県北・沿岸振興本部を中心に全庁を挙げて関連事業を推進しているほか、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトにより、北いわての持つポテンシャルを最大限に発揮させる地域振興に取り組んでいます。
 令和4年度からは、COI―NEXT―共創の場形成支援プログラムの事業に参画し、農林水産業と豊かな再生可能エネルギー資源の組み合わせによる地域産業の振興に向けた社会実証や、地域を牽引する次世代リーダーの育成などに取り組んでいるところです。
 今後におきましては、北いわてをフィールドとした各種の社会実証の結果について、早期に事業化などの具体的な成果に結びつくことを目指し、大学や市町村等と連携して取り組みを進め、北いわての振興に取り組んでまいります。
 次に、岩手県政150周年記念事業についてでありますが、記念事業の実施に当たりましては、各界が参画する実行委員会で検討を行いながら進めており、昨年度は、商工団体と連携し、記念商品の開発、販売を実施したほか、創立150周年を迎える小学校と連携し、歴史を振り返る企画展や県政150周年を記念した給食を実施するとともに、将来の岩手県に対する夢や希望、意見を伺うなど、次代へつながるさまざまな取り組みを実施したところでございます。
 今年度におきましては、これらの取り組みに加え、新たに大学生との協働事業や、過去の県政映画等の映像や資料を公開する歴史アーカイブの構築を行うなど、事業の拡充を図ることにより、県民への一層の周知に努めてまいります。
 また、最終年度である令和8年度に向けて、子供たちの夢につながる取り組みや若者参画に向けた企画の検討を進めるなど、本事業が次代を担う人材の育成や地域振興にも資するよう、関係機関、団体と連携しながら官民一体となった取り組みを展開してまいります。
   〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤法之君) まず、豚熱対策についてでありますが、豚熱の発生防止に向けては、豚熱の感染源の一つである野生イノシシを介した農場内へのウイルスの侵入防止対策を徹底するとともに、飼養する豚に対し、適切な時期にワクチンを接種することが重要です。
 県では、野生イノシシの豚熱感染が確認された令和4年度から経口ワクチンの散布を実施し、令和4年度は11市町、約90カ所、令和5年度は30市町村、約310カ所、令和6年度は、これまでに31市町村、約340カ所に散布したところです。
 こうした取り組みに加え、農場における防疫対策の強化に向け、豚を飼養する生産者に改めて野生イノシシの侵入防止柵の点検や、飼養する豚への適切な時期のワクチン接種など飼養衛生管理を徹底するよう周知するほか、国の事業を活用し、車両や農場の敷地を消毒する機器等の導入を支援することとしております。
 さらに、今般、洋野町の豚熱発生事例について、家畜伝染病等の専門家による国の疫学調査チームが、現在、発生原因を分析しているところであり、この分析結果も踏まえながら、本県の養豚農場で豚熱が発生することがないよう全力で取り組んでいきます。
 次に、高病原性鳥インフルエンザ対策についてでありますが、本県の養鶏は地域経済を支える重要な産業であり、高病原性鳥インフルエンザの発生は、養鶏産業に及ぼす影響が極めて大きいことから、発生防止に向けた農場内へのウイルスの侵入防止対策の徹底のほか、発生した際には迅速な防疫対策が重要です。
 このため、県では、渡り鳥が飛来する10月までに100羽以上を飼養する全ての養鶏農場に家畜保健衛生所の職員が立ち入り、衛生管理の徹底を指導するとともに、国の事業を活用し、車両や農場の敷地を消毒する機器等の導入を支援するほか、県内の飼養羽数の約5割を占める大規模農場での発生に備え、防疫作業人員の増加に対応できるよう、本年度の新規事業で、初動に必要な防疫資材の備蓄を拡充することとしています。
 今後とも、防疫対策の徹底とともに、発生時に備えた体制の強化に向け、生産者や関係機関、団体等と緊密に連携しながら、全力で取り組んでいきます。
 次に、酪農、肉用牛経営への支援についてでありますが、本県の酪農、肉用牛経営は、飼養頭数、産出額とも全国トップクラスであるものの、経営規模が小さく生産コストも高いことから、生産性の向上など経営体質の強化が重要となっています。
 また、酪農、肉用牛経営の規模拡大とともに、労働負担の軽減に向けては、コントラクターや酪農ヘルパー組合などの外部支援組織が重要な役割を担っており、こうした組織の育成、強化が必要となっています。
 県では、酪農、肉用牛経営の体質強化を図るため、自給飼料の生産拡大とともに、経営規模の拡大に向けては、生産者の牛舎整備や繁殖雌牛等を預かるキャトルセンターを活用した繁殖、肥育一貫経営の推進、生産性の向上に向けては、発情発見補助装置等のスマート農業技術の活用や、県、農協等で組織するサポートチームによる飼養管理技術の指導などを進めています。
 さらに、外部支援組織の育成、強化に向け、今年度新たに、研修会の開催による財務、労務管理などの経営ノウハウの習得や、中小企業診断士等の専門家派遣による経営の多角化等に向けた支援を行うこととしており、今後とも、本県が全国有数の酪農、肉用牛産地として持続的に発展していくよう取り組んでいきます。
 次に、馬産振興についてでありますが、本県では、チャグチャグ馬コや南部流鏑馬など、県内各地に多様な馬事文化が培われておりますが、農用馬は生産者の高齢化等により、飼養戸数、頭数ともに減少しており、農用馬を生産する後継者や指導者の育成、繁殖管理などの生産性の向上に向けて取り組んでいくことが必要と考えています。
 このため、県では、県馬事振興会等と連携し、後継者や指導者の育成のための飼養管理技術などの研修会の開催や、獣医師の繁殖指導による子馬生産率の向上、優良馬の保留に対する奨励金の交付などの取り組みを支援しています。
 また、昨年度から農用馬生産の担い手確保に向け、県立農業大学校の農大祭において、チャグチャグ馬コの飼養者と学生等との交流会を開催し、農用馬を飼う魅力を伝える取り組みを進めており、今後もこうした取り組みを通じて農用馬の確保に努めていきます。
 次に、野生鳥獣による農業被害対策についてでありますが、本県の野生鳥獣による農作物被害額は、令和4年度で約4億7、000万円となっており、令和3年度と比べると約6、000万円の増となるなど、近年、増加傾向となっています。
 令和5年度の被害額は現在精査中ですが、令和4年度に比べ、ニホンジカによる被害額は減少する一方、ツキノワグマやイノシシによる被害額が増加する見込みとなっております。
 県では、農作物被害の防止に向け、有害鳥獣の捕獲とともに侵入防止柵の設置や里山周辺の除間伐など、地域ぐるみの被害防止活動を推進しています。
 特に有害鳥獣の捕獲について、令和6年度は、昨年度から取り組んでいるニホンジカやイノシシの広域捕獲活動を大船渡地域を加えた3カ所で実施するほか、新たに、鹿の集中捕獲などの特別対策を実施する市町村等の取り組みを支援することとしています。
 さらに、広域振興局や市町村で構成する現地対策チームにおいて、わな遠隔監視システムによるツキノワグマの捕獲実証にも取り組むこととしており、県としては、野生鳥獣による農作物被害が低減するよう、関係機関、団体と連携しながら積極的に取り組んでいきます。
   〔県土整備部長上澤和哉君登壇〕
〇県土整備部長(上澤和哉君) 盛岡市以北の道路整備についてでありますが、まず、国道281号案内─戸呂町口工区については、昨年9月にトンネル前後の道路改良工事に着手し、現在、久慈市側の切土法面工事を進めており、引き続き、早期にトンネル工事に着手できるよう取り組んでいきます。
 次に、(仮称)久慈内陸道路については、全国的な高規格道路ネットワークにおける必要性の検討とあわせて、久慈市─盛岡市間の大まかなルートや道路構造等の調査を進めているところです。
 また、本年1月には、現道課題が多く確認された葛巻町内の区間を優先し、調査を進めていくことを沿線の市町村長と共有しました。
 今年度からは、引き続き、沿線の市町村と丁寧に意見交換をしながら、検討を優先する葛巻町内の区間について、より詳細な地形図などを用いて、ルート検討の精度を上げていくなど調査の熟度をさらに高めていきます。
   〔環境生活部長大畑光宏君登壇〕
〇環境生活部長(大畑光宏君) まず、野生鳥獣の個体数管理と捕獲実績等についてでありますが、県では、各鳥獣管理計画に基づき、ニホンジカは年間2万5、000頭以上を、イノシシは可能な限り捕獲する方針としています。また、ツキノワグマは現計画で初めて個体数を3、700頭から3、400頭に低減させる方針としたところであり、それぞれの捕獲を強化しながら個体数管理に取り組んでいるところです。
 直近3カ年の捕獲実績は、鹿が令和3年度、2万6、839頭、4年度、2万6、554頭、5年度は速報値で2万9、035頭、イノシシが令和3年度、945頭、4年度、979頭、5年度は速報値で1、595頭、熊は、令和3年度、461頭、4年度、419頭、5年度は速報値で897頭となっており、昨年度の捕獲実績は、いずれも過去最多となっております。
 また、捕獲数の増加に伴い、捕獲個体の処理が捕獲従事者の負担となっていることから、市町村の要望も踏まえ、国の交付金を活用した市町村等による捕獲個体の解体処理施設や食肉加工施設等の整備に対し、県としても鳥獣捕獲個体処理効率化支援事業費を今年度新たに創設し、市町村等の取り組みを支援しているところです。
 今後とも、被害の防止と適正な個体数管理に向け、各鳥獣管理計画のもと、市町村や猟友会などと連携し、捕獲や被害防止対策に積極的に取り組んでいきます。
 次に、国の動きを踏まえた熊対策についてでありますが、国では、本年4月に、クマ被害対策施策パッケージを取りまとめ、人の生活圏への出没防止対策や出没時の緊急対応、熊類の個体群管理の強化、人材の育成、確保など、熊被害を抑制する省庁横断的な施策を示しています。
 現在、国では、本県を初め熊が出没する地域でこうした施策を積極的に展開できるよう、県第5次ツキノワグマ管理計画の改定に必要なガイドラインの修正や交付金の拡充等を検討しており、本年秋ごろをめどに、技術的、財政的な支援内容を明らかにする方針です。
 現段階で国の検討状況は明らかになっておりませんが、県としては、引き続き、国からの情報収集を進め、市町村等と意見交換なども行いながら、指定管理鳥獣となった熊の捕獲対策強化など、交付金を活用した追加的な対策の検討とともに、第5次ツキノワグマ管理計画の改定作業を進めていく考えです。
 大規模な生息密度調査や新規狩猟者の確保、定着に向けた研修会等の実施など、当初予算で既に措置したさまざまな取り組み等とあわせ、総合的な熊被害対策を推進できるよう取り組みを進めていきます。
 次に、動物愛護センターの整備についてでありますが、このセンターは、岩手県動物愛護センター(仮称)基本構想において、多様な主体やボランティアと協働し、誰もが利用できる、人と動物が共生する社会の実現に寄与する拠点施設として、盛岡市と共同で整備することとしていたところであり、今般、旧県営野球場東側駐車場を整備予定地として公表したところです。
 今後、同センターの運営体制や担うべき機能、施設規模等を具体的に示す整備基本計画を今年度末までに策定することとしており、この計画の策定に当たっては、有識者等で構成する、岩手県動物愛護推進協議会で議論いただくとともに、岩手県獣医師会や動物愛護団体などの関係機関、団体のほか、住民説明会でも個別に意見を伺うこととしています。
 動物愛護への県民の関心が高まる中、動物の命を尊重し、命の大切さやともに支え合う心を育む拠点として、多様な主体と連携しながら、適正飼養など動物愛護思想の普及や譲渡の推進による生存機会の拡大、災害発生時の動物愛護などの取り組みを積極的に展開できる施設となるよう、盛岡市とより一層連携を図り、令和10年度の開所に向けた整備基本計画をしっかりと策定して、計画的に施設整備に取り組んでまいります。
〇47番(千葉伝君) それぞれ御答弁いただき、ありがとうございました。再質問です。最初、1点と思っていましたが、きょう1人目の高橋但馬議員に関連して聞きたいと思うので、2点になります。
 一つ目は、鳥獣被害対策の件です。このことについては、いろいろと御答弁をいただいたところでありますが、私の近くに熊もちょくちょく出ております。対策を進めるというか、捕獲等々については、地域の人たちの協力をいただいて進めているところですが、ツキノワグマの件ですけれども、聞くところによると、鹿と比べて捕獲をするには危険性が伴うということがあるわけであります。
 そしてまた、ツキノワグマの捕獲は一人だけではなかなか難しく、何人か組んだりということもしていかないとならない。そういったことを進めるに当たって、先ほど交付金のお話がありましたけれども、出ているのが捕獲1頭当たり8、000円、9、000円、1万円弱を支給するという話で、猟友会の人たちからすれば、その程度ではとてもではないがやっていられないという声をかなり聞いております。
 今度、新たに国で交付金を活用した手当、保障という部分を、10月ころをめどに示すとは言われておりますけれども、国は国として出る分があろうかと思いますが、県が市町村と力をあわせて、県としての交付金をあげるべきではないかと私は思っております。
 ここの部分について今の県の考え方、そして、10月以降は、もちろん国の手当、保障もあるわけでありますので、そのときは国と県と市町村ということで、プラスして報奨、あるいは日当を上げることが必要だと思います。
 聞くところによると、岩泉町では猟友会の人たちがグループをつくってやった場合に、岩泉町が単独でグループに対して、日当実働分とかという名前だそうですけれども、交付金をことしから出していると聞きます。そういうことを踏まえて、ぜひ県もそこを補うことを進めてもらいたいと思うのですが、これが一つ目の質問であります。
 二つ目は、知事にもお聞きしましたけれども、本県農業の振興策についてであります。
 本質問において、知事に今回の食料・農業・農村基本法の改正を踏まえた今後の本県農業の振興策についてお伺いしました。知事からは、法改正の趣旨も踏まえながら、本県の農業ビジョンはぜひ必要だということに対して、策定に向けて検討を進めるという答弁でありました。以前の答弁では、研究していくという答弁であったのが、検討を進めるということは、一歩、二歩前進しているのかというふうに私は捉えたのですが、いずれにしても、ぜひ早期の策定に向けた取り組みを進めていただきたいということであります。
 知事が昨年の選挙戦に向けたマニフェストプラス39の中にもある、収益力の高い農林水産業の確立に通ずるものとして承知していることもあります。
 そういうことから、本県農業の方向性や方針を示すには、私の本質問でも述べましたが、岩手県の農業の目指す姿として、中長期的視点に立って岩手県の農業のグランドデザインを示す岩手の農業ビジョンを策定し、県内外に示すことが必要不可欠ということが、以前、松本雄士議員、菅原亮太議員からもあったことも踏まえて、私もぜひ、岩手県として農業ビジョンをつくる必要があると思っております。
 したがって、本県農業を振興する上で、より具体的な内容を示して、この農業ビジョンに盛り込んでいくということが必要と改めて思うところであります。策定に向けて動き出すことになると受け取りましたが、ぜひそこの分について、再度、知事の考えの分で、一つは策定時期も検討しているのかどうかということと、本県農業の将来を示すビジョンの策定に当たって、知事は岩手県の農業をどのように導いていくのか、改めて決意をお聞かせ願います。
〇知事(達増拓也君) 今回の食料・農業・農村基本法の改正につきましては、県内の生産者の方々、また、農業団体からも非常に強い意見がさまざま出てきているところでありまして、食料安全保障を言うのであれば、生産者が希望を持って生産にいそしみ、また、日本全体として食料自給率がふえていく、そこに、既に食料自給率100%を実現している岩手県としては、大きな役割を果たしていくべきではないかという声が出ているところであります。
 国では、新たな食料・農業・農村基本法に基づいて、食料・農業・農村基本計画の策定が行われますので、この策定の動向も見ながら、岩手県として必要なこと、岩手県の農業として掲げるべきことを検討していくことになると考えております。
 生産者、関係機関、団体等の意見を伺いながら、岩手県の農業のあるべき姿に向け、それは日本の農業が危機的状況に直面している今、この岩手県からあるべき日本の農業の姿を実現するというような方向で私も全力を尽くしてまいりたいと思います。
〇環境生活部長(大畑光宏君) 御指摘をいただきました、捕獲の際の猟友会の皆様への支給の単価ということでございます。
 有害駆除の際には、農林水産省の交付金を活用して捕獲従事者の皆様に報酬を支払っているということで、こちらの単価は国で定められておりまして、それに基づいて支給をされているところでございます。
 これにつきましては、昨年度、北海道東北地方知事会で熊の指定管理鳥獣の指定をするということの要望とあわせて、この単価もきちんと上げていただいて、実際に捕獲従事者が活動している実態に見合った単価にしてほしいということで要望もしておりますし、今年度の県の政府予算要望におきましても、同様の要望をさせていただいております。
 また、今回、熊が指定管理鳥獣になりましたことに伴いまして、熊につきましても、鹿、イノシシと同様に、個体数管理という観点から捕獲ができるようになると考えております。それを実施するためには、先ほど答弁で申し上げました、第5次ツキノワグマ管理計画を改定していく必要がありまして、今、国でガイドラインを修正、検討しておりましたので、その内容を見ながら、県としても第5次ツキノワグマ管理計画の改定を進めていきたい。その上で、個体数管理としての捕獲を進めていくということになろうかと考えております。
 個体数管理としての捕獲ということになりますと、捕獲従事者に支給する報酬につきましては、環境省の交付金を使って、県が定める単価で支給できる形になっておりまして、約1万5、000円と記憶しておりますが、そちらの単価で支給できるようになるのではないかと考えております。
 いずれ、熊の個体数管理としての捕獲については、どういう地域で、どういう場所で、どういう場合に捕獲するかというところについて、有識者の意見も聞きながら議論を進めていかなければなりませんので、現在のところは、そういう形で進めたいと考えております。
〇47番(千葉伝君) ありがとうございます。知事から、新しい岩手の農業ビジョンの策定に向けての決意ということで伺ったところであります。いずれ、岩手県は農業県と私は思っております。そういった中で、これから岩手県の農業の方向性を示すということが非常に大事だということから、岩手らしさ、あるいは、岩手県にふさわしい農業ビジョンの策定に向けて、ぜひ取り組まれることをお願いいたします。
 それから、交付金の関係ですが、私が聞いたのは、国で報奨金の額が決まって出ているとはいっても、それでは足りないということで市町村でも出すところがある。そういった状況から考えれば、県がそれにプラスアルファで出すということをやらないと、猟友会の人たちが大変だと思います。国から交付金のメニューの拡充が出るのは10月以降の話です。そういったことで、ぜひ県でプラスアルファの交付というか、市町村と合わせて報奨金を出すということをしなければ、猟友会の人たちがやっていられないという声を聞いており、私は大変だと思います。人身被害がこれからも出かねない。そういった状況でありますので、県がそこをしっかりと対応することが必要だと思いますが、県でプラスアルファを、国が10月に交付金のメニューの拡充を決めるまではやるとか、あるいは、補正予算でやるとか、その様なことを考えているのか、考えていただきたいというお願いもありますが、もう一回だけそこをお聞きします。
〇環境生活部長(大畑光宏君) 国の交付金のメニューの拡充につきましては、今現在、検討中であります。そういう中で、今、国で検討中の交付金メニューは、環境省中心のメニューということになりますので、農林水産省が決定している交付金の単価の中に、環境省の交付金を使って上乗せできるかどうか、これは調整、考え方を国に確認していかなければなりませんけれども、いずれそういった支給単価の上乗せということにつきましては、国の交付金を上手に活用していくことが重要で、大切だろうと思っておりましたので、国の検討状況について、情報収集しながら、どういうことができるか検討していきたいと思います。
〇議長(工藤大輔君) 今の質問は、交付金ではなく、独自の財源を意図した質問だと思いますので、それについて答弁をしてください。
〇環境生活部長(大畑光宏君) 失礼いたしました。
 一般財源を用いてということでございますけれども、それについては、交付金の活用とあわせて検討させていただければと思ってございます。
〇47番(千葉伝君) いずれ、私は、県単独でやるというくらいの気持ちでやらないと大変だと思います。知事、ぜひそこを御検討というか考えていただきたい。これをお願いして終わります。
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって千葉伝君の一般質問を終わります。
   
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時33分 散 会

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