令和6年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(田中辰也君) 田中辰也でございます。
 まず冒頭に、能登半島地震におきまして犠牲となられました方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧、復興をお祈り申し上げるところでございます。
 本日の一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。また、本日は、私の57回目の誕生日に当たりまして、記念すべき日に登壇の機会をいただきましたことを重ねて感謝申し上げ、質問をさせていただきます。(拍手)
 知事は、5期目の県政運営に当たり、9月定例会で希望郷いわてのその先にある、まだ見たことのない景色に向かって歩を進めましょうと述べ、今期定例会の知事演述において、希望郷いわてのその先とは、岩手に関係するさまざまな人たちが、岩手の価値や魅力とともにあり、岩手とつながりながら希望の道を進むことができる岩手県である旨を述べられました。
 岩手の価値や魅力を、県民みずからが生まれたこと、住んでいることを誇りに持ち、自信を持って行動していくことが、希望郷いわてのその先を見るために必要であり、県民の皆さんが、このような思いを共有する施策が必要であると考えます。
 また、昨年12月に公表された国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によると、岩手県の2050年の推計人口は78万人余りで、2020年比64.7%に減少するとされ、全国の減少率約83%に比して高くなっております。この数値は、あくまでも新たな人口減少対策を行わない場合の推計ではありますが、非常にショッキングな数字でありました。
 暮らしていくためには、何よりも確かな所得を得ていく必要があると考えております。知事演述にあるとおり、企業の設備投資や生産拡大により新たな雇用が創出され、農林水産業においては、自然環境の変化や資材高騰への対応などに苦慮しつつも、意欲的に取り組む生産者が数多くあります。頑張る人を応援するためにも、岩手の持つ有利な環境を生かし、他の地域との交易を盛んにし、県内に人、物、資金の流れをつくり出すことが求められていると思います。
 しかしながら、首都圏と仙台市に住む北東北3県出身者の若者に対して行われたあるアンケートでは、県外に出る理由として、やりたい仕事が見つからないが最多で、県内定着には、地元企業の魅力を高め、伝える努力が求められるとしています。
 知事の言うとおり、岩手の価値や魅力を十分に知らず、また理解されていないことで、岩手県への定着につながっていないことが明らかになっています。岩手県の持つ資源を最大限に生かし、企業、生産者の魅力や理解度を高めるため、多くの人を引きつけていくような施策が求められていると思います。
 産業を支え、地域をにぎやかにしていくためには、地域に根差した人材の育成が不可欠です。しかしながら、児童生徒数の減少により学校の統廃合が進み、高等学校においては、開講講座の減少により地域内で学ぶことができず、地域外への流出が続いています。伸びているところはさらに伸ばし、伸び悩んでいるところに適切な支援を行い、郷土に貢献できる人材を県内全域で育てていく施策が必要です。
 また、岩手を元気にしていくためには、障がいを持っていても、高齢になっても、それぞれが能力や体調に合わせて心豊かに生活できるよう、地域で安心して暮らせる施策が必要です。
 以上のような問題意識を持ち、以下質問をさせていただきます。
 まず、産業振興全般について伺います。
 人口減少社会にあって、岩手県で生活していくためには、産業振興は真っ先に考えなければならない課題です。県内には優秀な企業、生産者がいるにもかかわらず、県外に出た若者からは、やりたい仕事が岩手県にはないなどと評価されています。企業のPR不足もあるとは思いますが、世間や市場から高い評価を得られるような企業をふやしていくことは、県全体のイメージアップにもつながりますし、求職者がふえ、地域の活力にもなると思います。
 また、岩手県の豊かな森、里、川、海から得ている多くの恵みも、現状ではそれを最大限に生かし切れていないものと思います。
 若者が働きたくなる環境の整備と夢の実現に向けてのチャレンジを支援する体制の構築が必要と思いますが、知事の目指す本県産業の姿と実現に向けた施策の方向性について伺います。
 農業振興について伺います。
 岩手県は日本の食料供給基地であり、農林水産業は、言うまでもなく本県の基幹産業です。県では生産基盤の整備を進めるとともに、環境負荷を低減する農業生産の推進やスマート農業技術を活用した高収益作物の生産性向上などに取り組むとしております。
 さらに、令和6年度からは、新たに、北いわてグリーン農業人材育成事業において、県農業研究センター県北農業研究所を拠点とした(仮称)いわてグリーン農業アカデミーの開講や収益性の高い果樹生産を支援する研究体制の整備に取り組むとされています。県北部の環境に即した農業人材の育成は急務であると考えており、こうした取り組みは非常に魅力的で、県北部の農業従事者育成や産地づくりにつながるものと大きな期待を寄せるものであります。
 (仮称)いわてグリーン農業アカデミーでは、どのような人材育成を目指し、具体的にどう取り組もうとしているのでしょうか。また、県北部に適した高収益な作物を研究開発していただきたいと思っておりますが、現状と課題、今後の取り組みについて伺います。
 林業振興について伺います。
 民有林の森林に関する情報は、県が今年度から運用を開始した森林クラウドシステムを活用して、市町村が主体的に取りまとめできることになっています。将来にわたり森林資源を有効に活用するためには、市町村境を越えた活用が必要ですし、また、このデータベースは土砂災害などの防災にも活用できるものです。
 現在、県は、市町村が整備した航空レーザー測量などの調査データを森林クラウドシステムに搭載するとの姿勢だそうですが、航空レーザー測量調査の進捗は市町村によってばらつきがあり、県全体を把握するためには時間がかかります。また、細切れに発注すると費用も高くなりがちです。
 このため、県で航空レーザー測量等に係る総合的な活用の方向性を示し、森林クラウドシステムのデータベースを一元管理することで、より効果的に活用できると考えますが、県の考えを伺います。
 将来を担う人材育成について伺います。
 希望郷いわてのその先に進むためには、その実現をともに推進する人材が不可欠です。また、特定の地域だけでなく、広い県土の至るところで、その地域を牽引する人材が育たなければならないと考えております。
 知事は、一人一人の可能性を伸ばす学びの確保と、郷土に誇りと愛着を持ち、岩手県で、世界で活躍する人材の育成などに取り組むとしております。
 郷土に誇りと愛着を持たなければ、ふるさとを顧みることはありません。私は、一戸町長在任中に、小中学生に対して、住んでいる地域のいいところ探しをしてもらいました。さらに、修学旅行や遠足など訪れた地で、見知らぬ人たちに発見したことをPRしてもらいました。調べたり学んだりするだけでなく、見知らぬ人に話すためには、みずからがしっかり理解し、好きになることで、初めて人にも魅力を伝えることができます。この経験を積んだ子供たちは、おのずと地域への愛着を育んでくれたと思います。この経験を最初に行った小学生たちは、今、高校生となり、さまざまな提言を行い、みずから行動を起こしています。
 このように、岩手県に対し誇りと愛着を持ち、自信を持ってPRできることは、将来を担う人材育成にとって重要であると考えます。知事も、岩手県のよさが理解されていない、PRし切れていないとよく言われておりますので、共通の課題認識をお持ちだと思います。
 私も、岩手県を離れて各地を回る中で、ふるさと岩手県について尋ねられることがよくありました。しかし、当時は不勉強で、よく説明することもできなかったため、岩手県に興味を寄せてもらえないこともあったのではないかと思っております。
 知事は、海外に打って出ると言われております。それならなおさら、ふるさとを愛し、自信を持って岩手県をPRできる人材をふやさなければなりません。
 そこで知事に伺います。今後の岩手県を担うリーダーに求める人物像はどのようなものでしょうか。各分野において、そのようなリーダーを育成していくための基本方針をどのようにお考えか伺います。
 私は、これまで17年ほど岩手県を離れていた期間がありました。帰郷後も地域でさまざまなことに取り組むことができましたが、これは町内外にいる中学、高校の先輩、後輩の皆さんとの人的ネットワークのたまものでした。このことからも、次世代を担う人材は、それぞれの地域でしっかりと育成しなければならないと考えております。そのためには、できるだけ多くの生徒が、高校までは自宅から通学し、地域内で学び合い、高め合うことが有効だと思います。
 しかしながら、近年は、地域内の生徒数の減少により管内各高校の入学者数が減少し、各高校とも学級減などの対応をせざるを得ない状況です。本年4月には、県立福岡工業高等学校と県立一戸高等学校が統合し、新たに県立北桜高等学校が開校します。
 このような状況変化のもと、地域リーダーを育成するための高等学校教育の充実について、以下質問いたします。
 県立福岡高等学校について伺います。
 福岡高校は、明治34年開校の旧制県立福岡中学校を前身とし、これまで多くの地域リーダーを輩出してきました。しかし、今では、学級減等もあり上位校を目指す生徒にとっては魅力的に映らず、地域外への進学者の流出が続いております。このままでは地域に優秀な人材が残らず、将来の地域リーダー育成が大いに心配です。
 そこで、平成21年に県立一関第一高等学校に開設した併設型の県立中学校を福岡高校に開設することにより、より深く学びたい子供たちのニーズを満足させ、地域内で学ばせることで、次世代を担う地域リーダーの育成に大いに寄与するものと思います。このことからも、併設中学校の設置について検討の価値があると考えますが、いかがでしょうか。
 また、福岡高校校舎は、一番古いものが昭和42年3月完成で、私と同じ築57年になります。建てかえが必要な時期と考えられることから、校舎建てかえの検討状況とあわせて伺います。
 本年4月に開校する県立北桜高等学校について伺います。
 北桜高校は、二戸地区の職業系専門教育を希望する生徒の唯一のよりどころです。生徒の多様な学びを保障するため、また、地域が必要とする人材確保のために、充実強化は必須であると考えます。
 学科は、総合学科3学級、工業学科2学級でスタートとなっており、工業学科は専門学科のため、さまざまな資格取得が可能ですが、総合学科は、一戸高校において普通科、農業科、福祉科を改編した経緯がありますが、地域内の福祉事業所からは、卒業時までに資格を取れず、地域内に人材が残らないなどの意見も寄せられております。
 必要な人材供給の観点から、卒業後も学びを続け、資格取得ができる介護福祉系の専攻科などの開設も検討しなければならないのではないかと思いますが、考えを伺います。
 今後も地域内の中学卒業予定者数は減少傾向にあります。また、さらなる学級減が予想されるところでございますが、総合学科は3学級が機能維持の最低ラインだと思います。2学級となると開設できる系列が制限され、多様な学びを提供することが困難になり、総合学科の機能を十分に発揮できないと思います。
 そこで、今後の北桜高校のあり方についてのお考えを伺います。
 小規模校のあり方と学びの機会の保障について伺います。
 二戸地区の県立軽米高等学校では、平成13年から連携型の中高一貫教育を実施し、成果を上げてきております。県立伊保内高等学校でも、令和3年に校内に村おこし会社を設立するなど、地域と連携した活動を続けております。ともに地域に必要な人材確保に向けて取り組んでおり、各町村とも、地域での学びの確保について工夫を凝らし、努力を続けているところでございます。
 軽米、伊保内両高校を含め、今後の小規模校のあり方と学びの機会の保障について、どのように考えているのか伺います。
 県立産業技術短期大学校の新設について伺います。
 知事は、マニフェストプラス39で、産業技術短期大学校の県北地域への新設など地域の産業を担う人材の育成・確保を挙げられました。県北地域にとって、新たな産業創出と人材確保に向けて大きな希望となるものであります。せっかく設置するのであれば、県北地域の将来を明るくするような施設であってほしいと思うところです。
 徳島県神山町にある神山まるごと高等専門学校は、モノをつくる力で、コトを起こすことをミッションに、15歳からテクノロジーとデザイン、起業家精神を一度に学ぶことを実行しております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 校名にある、まるごとには、人間の豊かな未来を創造するために必要な力を丸ごと学習する、授業のみならず、課外活動や寮生活などの機会からも丸ごと学習する、失敗も成功も糧とし、全ての経験から丸ごと学習するとの思いが込められております。せっかく設置するのであれば、このような地域に学び、将来を牽引するような人材を輩出する施設であってほしいと思います。
 また、昨年12月にまとめられました二戸地域デジタル人材育成研究会の報告書では、地域の産業等及びデジタル化を担う人材の育成を目的とする、カシオペア地域まるごとマイスター・スクール構想が提言されており、新設校の役割にも大いに期待されるところです。
 そこで、産業技術短期大学校新設について、現時点での構想を伺います。また、老朽化している県立二戸高等技術専門校の整備方針についても、あわせて伺います。
 スポーツ人材の育成について伺います。
 岩手県出身のスポーツ選手の活躍に注目が集まっております。いわてスーパーキッズ発掘・育成事業の修了生の中からも、オリンピックや世界大会で活躍する選手が輩出され、その成果は大きいものがあると思います。
 これらの選手の活躍は、岩手県で暮らす、岩手県で育てる魅力の一つになると考えますが、これまでの事業成果を踏まえ、今後の事業の方向性について伺います。
 カーリング専用施設の整備について伺います。
 カーリングは県内ではまだマイナーなスポーツと見られておりますが、オリンピックなどでの活躍により、かなり注目を浴びるようになってきております。岩手県でのカーリング競技は、1995年、当時の二戸青年会議所が、二戸市で第1回カシオペア杯カーリング大会を開催したことに始まります。
 2014年には二戸市出身の苫米地美智子選手が、北海道銀行のチームメンバーとしてソチオリンピックに出場し、本県でもオリンピック選手を輩出するに至りました。近ごろではジュニアメンバーの活躍も目覚ましく、将来有望な選手も育ってきており、次のオリンピック選手誕生も期待されるところです。
 しかしながら、県内には小規模な練習施設はあるものの、全国的な大会を開催できるような専用施設はなく、選手育成にもスポーツを通じた地域振興にもとても十分とは言えません。
 カーリング専用施設整備は、県単独でも市町村単独でも事業化に向けては大きな課題があるとは思いますが、県と盛岡市が共同で整備したいわて盛岡ボールパークのように、県と市町村が共同で施設整備を行うことも方法の一つと思います。カーリング専用施設の整備についての考えを伺います。
 次に、交易の推進について伺います。
 県北広域振興局管内8市町村と葛巻町は、2019年2月に横浜市と再生可能エネルギーの活用を通じた連携協定を結び、2020年2月に北岩手循環共生圏を結成しました。北岩手の有する森、里、川、海の豊富な地域資源を活用し、再生可能エネルギーや豊かな食材などを供給することで、都市と地方との間で人、事、金が循環するよう取り組みを始めたもので、エネルギーや地域産品の販売のみならず、企業の持つ技術提供や支援、企業版ふるさと納税による資金提供などを通じて、都市と地方がウイン・ウインとなる施策展開を目指したものです。
 しかしながら、電力市場の高騰により電力の一般販売が成立しなくなったり、コロナ禍により交流活動が制限されるなどで思ったような活動ができておりません。横浜市主催の物産展や各市町村レベルでの活動は若干行われておりますが、目立った成果にはつながっておりません。
 県は、北岩手の強みとして多様な再生可能エネルギーを挙げておりますので、まずは、この強みを生かして、当初の目的を達成すべく活動を強化すべきと思います。そのために県もより積極的に関与すべきと考えますが、今後の方針について伺います。
 インランドデポについて伺います。
 2024年問題やトラックドライバー不足、脱炭素社会実現など物流を取り巻く環境は大きく変わっております。岩手県は、大量消費地である首都圏、関西圏からは遠く離れており、輸出入においては、国際物流の玄関口である京浜港、成田空港からも離れているため、物流問題は、県内ものづくり産業のみならず農林水産物の販売においても大きな影響を与えます。
 また、本県は、北東北の物流拠点として各社が拠点を置くようになっており、立地の優位性は増してきております。輸出入の取り扱い拠点となるインランドデポを整備することにより、県産品の輸出のみならず、輸入品取扱業者の誘致にも貢献し、また、花巻空港や釜石港を利用した輸出入の促進にもつながると思いますが、物流拠点及びインランドデポ整備の必要性に関する県の考え方を伺います。
 安心して生活できる地域づくりについて伺います。
 知事は、生きにくさを生きやすさに変えると常々おっしゃっておられます。これは単に健康な若者や働き盛りの世代のみを指しているのではなく、障がいを持った方々や高齢者など、生活する上で何らかの不便を感じている方々にも当てはまるものと捉えております。
 医療の偏在が顕著となり、簡単に医療サービスを受けられない地域もあります。民間の医療サービスが手薄であれば、公的医療サービスを手厚く施す必要があると思います。また、障がいを持った方々も、地域内で生きがいを持って生活できるインクルーシブ社会を形成していかなければならないと考えております。
 今後、さらに高齢化が進展する中においては、高齢者のQOL―クオリティー・オブ・ライフ向上が幸福度を増すことにつながると考えますが、知事の言う、生きにくさを生きやすさに変えることについて、医療福祉分野の施策を行う上で、何が最も重要なポイントだとお考えか伺います。
 救命救急医療体制の充実について伺います。
 県内の救命医療体制は、令和4年に救命救急センターとして県立中央病院が指定され、現在、高度救命救急センターの岩手医科大学附属病院を含め4カ所体制で運用されていますが、広い県土をカバーするためには不十分であると思います。ドクターヘリは、夜間や悪天候時の運用はされませんし、道路状況によっては、搬送に2時間以上かかることも想定されます。
 また、県立病院改革で脳疾患、心疾患、がんの手術数をまとめるため、ハイボリュームセンター化して医師を集中させた場合、脳疾患、心疾患においては、初期判断治療が救命率を左右するため、遠方の地域は非常にリスクが高くなると思われます。
 現在、県北部、県南部、沿岸中部は、いずれも現在の救命救急センターへのアクセスに難があると思いますが、救命救急センターの体制を拡充する考えはないか伺います。
 地域包括ケアシステムの充実について伺います。
 誰しも病に倒れ、その結果、障がいが残る場合もあります。そのような場合でも、地域で、そして家庭で生活することは、生活者のQOL向上に大事なことであると考えます。
 QOL向上には、何といってもリハビリテーションが重要になります。現在、県北部にはリハビリテーション専門病棟がなく、多くは県央部の病院で入院治療をしております。例えば、県立一戸病院には空き病棟があり、そこを活用することで、地域包括ケアシステムが地域内で完結するようになると思います。
 地域包括ケアシステムを有効に機能させていくためにも、このような方法でリハビリテーション医療を充実させることについての考えを伺います。
 障がい者福祉について伺います。
 県立福岡工業高等学校敷地内に整備が予定されている新たな特別支援学校は、二戸地区の障がい児学習拠点として大いに期待されるものです。これまで県立盛岡みたけ支援学校二戸分教室として、小・中・高に分散設置されていたものを一体化することにより、教育の満足度の向上が図られるものと思います。また、県立盛岡みたけ支援学校奥中山校は、昭和56年の開設以来、奥中山小学校、奥中山中学校と運動会や文化祭などで交流を続けてきており、インクルーシブ教育を実践しているところです。
 二戸分教室は、これまで併設校だったため、ごく自然にインクルーシブ教育を実践したものと思いますが、単独校となった後もインクルーシブ教育を継続するため、どのような対応を検討しているのか伺います。あわせて施設整備計画と開校スケジュールについても伺います。
 放課後等デイサービスの充実について伺います。
 障がい児の放課後等デイサービスについて、現状では受け入れが不十分であるように思われます。受け入れをしている施設は、定員いっぱいで受け入れをふやせないのが現状です。ごく軽度の場合は、一般の放課後児童クラブで受け入れる場合もありますが、指導員のスキルなどに課題があり、受け入れに限度があります。障がい児を持つ親の負担軽減のためにも、対応の検討が必要です。
 このような現状を県ではどう認識し、どのような対応を検討されているのか伺います。
 難病を持つ児童生徒への学校給食における対応について伺います。
 グルコーストランスポーター1欠損症という病気があります。難病に指定され、全国でも80人程度しか確認されていない病気です。病気には特殊な食事療法が必要ですが、一般の学校給食での除去食や代替食では対応できないため、学校に食事を持参することが必要です。
 一戸町に2人の罹患者がおり、患者会の情報では、滝沢市などにもおられると聞いておるところです。難病がゆえに食事療法に対する理解が不足していることもあり、御両親もどこに相談すればいいかわからず、孤立を深めていたように思います。
 一戸町では、独自に支援制度をつくり、わずかばかりの支援を始めた後に、こんな病気があることを理解してもらうだけでもありがたい、私たちは孤立無援ではないのだというだけで元気が出てくるとの声をいただきました。このような方々を理解し、支援の手を差し伸べることは非常に大事であると思いますし、知事の言う生きにくさを生きやすさに変えることにつながると思います。
 県教育委員会では、このような対応が必要な難病を持つ児童生徒をどう把握し、学校給食においてどのような対応をしているのか伺います。
 積極的な答弁をぜひとも期待しております。なお、答弁内容によっては再質問させていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 田中辰也議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、目指す本県産業の姿についてでありますが、人口減少が進む中、活力ある地域社会を形成していく必要があります。労働生産性の向上や県内企業の経営力強化に加え、産業全体の底上げを図っていくことが大切であり、国際競争力の高いものづくり産業、地域の特性や資源を最大限に生かした農林水産業や観光産業など、いわゆる域外市場産業について、地元調達や付加価値を高めながら強化するとともに、交流人口の拡大や商業、サービス業の振興を図り、地域内経済循環を拡大していく総合的な産業政策が重要と考えます。
 いわて県民計画(2019〜2028)の仕事・収入分野においては、農林水産業やものづくり産業などの活力ある産業のもとで、安定した雇用が確保され、また、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手を目指す姿として掲げ、若者を初め、一人一人の能力を発揮できる環境づくり、起業、スタートアップなど地域経済の中核を担う企業の育成、地域資源を生かした産業の魅力向上、観光産業の総合産業化、農林水産業の持続的な発展などに総合的に取り組むこととしております。
 また、ものづくり産業の集積を生かした産業の高度化や生活環境の充実を図る北上川バレープロジェクト、三陸地域のさまざまな資源を活用し、復興の取り組みにより進展したまちづくりや交通ネットワークを地域産業の振興に生かす三陸防災復興ゾーンプロジェクト、北岩手の豊かな地域資源を高度に活用し、産業と社会のイノベーションを一体的に推進する北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトに取り組み、本県の持続的な経済成長につなげてまいります。
 次に、岩手県のリーダー育成についてでありますが、これまでの岩手県の歴史の中で、近代製鉄の父とされる大島高任、初めて政党政治を実現した原敬、関東大震災の復興に手腕を発揮した後藤新平、国際協調や平和に貢献した新渡戸稲造を初め、岩手県が輩出した多くの先人は、世界や全国を舞台に活躍し、岩手県の歴史に大きな影響を与えるとともに、ふるさと岩手に誇りや愛着を持ち、岩手県とつながり続けました。
 また、近年、世界や全国の舞台で目覚ましい活躍をしている本県出身の若者たちも、こうした岩手県への思いを口にしているところであります。
 岩手県が輩出した先人の多くに共通するのは、人道主義、民主主義、科学主義であり、近年活躍している若者たちも、人を大切にする姿勢や科学的で合理的な思考など先人に通ずるものがあり、郷土への誇りや愛着とともに、このような資質を持った人材をリーダーとして育成することが重要と考えます。
 そして、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの開校に代表されるように、世界有数の学びの場としても選ばれている岩手県には、こうした人材を育む力があると考えます。
 岩手県を担うリーダーの育成に向け、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでは、郷土を愛し、岩手県の復興、発展を支える人材の育成、キャリア教育の充実等による産業を担う人材の育成、国際的な視野と地域に貢献する視野を持ったグローカル人材の育成などの方針を掲げており、多様な主体と連携しながら、各分野を担う人づくりを進めてまいります。
 次に、医療、福祉分野の重要なポイントについてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、県民一人一人が、お互いに支え合いながら幸福を追求していくことができる地域社会の実現を目指し、幸福を守り育てるための取り組みを進めています。
 昨年の岩手県知事選挙では、マニフェストプラス39において、全県的な医療体制の一層の充実などによる持続可能で希望ある医療体制の構築、実効性のある医師不足、医師偏在対策などによる医師の育成・確保の推進、多様化、複合化する県民ニーズに対応するための福祉と生活を支える一元的な相談体制の構築などを掲げ、県民の皆様から5期目の負託をいただいたところであります。
 医療、福祉分野においては、高齢者や障がいのある方、社会的に弱い立場にある方も含め、県民誰もが地域社会の中で安心して保健、医療、介護、福祉のサービスが受けられる体制を確保することが重要であり、困難を抱えた方でも希望を持って生活することができるよう、県民一人一人に寄り添った施策を展開してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、救命救急センターの体制拡充についてでありますが、救命救急センターは、人口100万人に1カ所を目途に全国で整備が進められてきたところ、本県では、面積が広大で山間部が多いという地理的状況等も踏まえ、岩手医科大学附属病院など4病院を指定しております。
 本県の救急医療体制は、三次救急医療体制の救命救急センターのほか、身近な医療を提供する二次保健医療圏ごとに、入院が必要な救急患者に対応する二次救急医療体制を構築してきたところであります。
 救命救急センターの整備に当たりましては、重症及び複数の診療科領域にわたる全ての重篤な救急患者を24時間体制で受け入れるという原則のもと、専用病床の確保や専任医師の配置など多くの基準が設けられていることなどから、医療資源が限られる本県で新たに整備するには、多くの課題があるのが現状でございます。
 県民が安心して救急医療を受けられるようにするため、脳卒中や心血管疾患など治療開始までの時間が重要な疾患については、県北地域で導入しております初期対応医療機関と専門医療機関におけるCT画像のデータ共有や、医療機関と消防機関における心電図のデータ共有などのデジタル技術の活用や、ドクターヘリの効果的な運用などの取り組みを推進し、救急医療体制の充実に努めてまいります。
 次に、地域包括ケアシステムの充実のためのリハビリテーション医療についてでありますが、本県のリハビリテーション提供体制は、二次保健医療圏によって医療資源が偏在しており、内陸部と比べて、県北・沿岸地域では、リハビリテーションを行う回復期病床や専門職が少ない状況にあります。
 高齢化が進行する中、脳卒中患者などの予後の改善や社会復帰、在宅高齢者の自立支援などを図る上で、心身機能や日常生活活動等の向上に資するリハビリテーションは、一層その重要性を増しており、地域医療構想において必要とされる回復期病床を確保する必要があります。
 県としては、2次保健医療圏ごとに設置いたしました地域医療構想調整会議の場において、さまざまな議論を行い、回復期病床など地域で不足する病床機能へ転換する取り組みを支援するほか、リハビリテーション医師の確保や専門職の資質の向上などによりまして、リハビリテーション医療の充実に努めてまいります。
 次に、放課後等デイサービスの充実についてでありますが、本県の放課後等デイサービスの利用実績は、延べ人数で申し上げますと、令和4年度は月平均約2万6、000人と、令和元年度の約2万2、000人から約1.2倍と増加傾向にあり、サービス提供事業所も同様に増加しているところであります。
 こうした状況の一方で、ニーズに十分対応できていない地域もありますことから、県では、令和6年度を始期とする市町村の次期障がい児福祉計画の策定に当たりまして、ニーズ調査によるサービス見込み量を定めることや、サービス確保のための方策を盛り込むよう助言を行っているところであります。
 県では、放課後等デイサービスの充実に向けて、引き続き、施設整備補助や必置とされております児童発達支援管理責任者などの人材育成を行いまして、市町村の取り組みを支援してまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、いわてグリーン農業アカデミー等についてでありますが、県北地域では、ブロイラー等の畜産業が盛んであり、堆肥等の豊富な有機資源が利用されていること、雑穀生産における環境負荷低減の取り組みや研究蓄積があることから、来年度、県農業研究センター県北農業研究所において、有機農業など環境保全型農業の実践者の育成を目的とした、(仮称)いわてグリーン農業アカデミーを開講することとしています。
 この農業アカデミーは、県立農業大学校の農業者向け研修の一つと位置づけ、年間を通じて、スマート農業や環境保全型農業に関する知識や技術の研修、有機農業等の先進事例の研修を行うほか、さらに、研修生は、環境保全型農業に取り組む農業者の認定、いわゆるみどり認定に向けた計画策定に取り組むこととしています。
 また、県北農業研究所では、県北地域の立地条件に適したスマート農業技術の活用によるキュウリの超多収栽培技術や雑穀等の機械除草技術、新品種の開発など、野菜や畑作物等の研究に取り組んできたところです。
 県北地域は、リンゴ冬恋などの高品質な果樹の産地であり、今後、温暖化などを見据えた産地づくりが重要であることから、収益性の高い果樹生産を支援する研究体制を整備し、リンゴや桜桃、桃等の安定生産技術や優良品種の開発などを進めることとしており、今後とも、県北地域の農業が持続的に発展していくよう、農業技術の開発や普及指導等の取り組みを進めてまいります。
 次に、林業振興についてでありますが、本県の森林資源が本格的な利用期を迎える中、森林内の樹種や立ち木の高さ、本数などの森林情報を市町村や林業経営体などが共有し、森林管理の適正化と林業経営の効率化につなげていくことが重要と考えています。
 また、航空レーザー測量等で得られた森林情報を地域の森林経営に生かしていくためには、森林クラウドシステムに搭載していくことが有効であることから、県では、航空レーザー測量や森林クラウドシステムの操作方法を学ぶ研修会の開催とともに、森林情報を活用できる人材の育成などに取り組んでいるところです。
 県内では、森林環境譲与税等を活用した航空レーザー測量の実施が、令和9年度末までに21市町村で予定されています。
 県では、こうした取り組みの拡大に向け、航空レーザー測量を活用した森林管理の事例紹介や、より低コストなドローンを活用した測量の研修などを行っており、引き続き、森林管理の適正化と林業経営の効率化が図られるよう取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、県立産業技術短期大学校についてでありますが、県北地域への産業技術短期大学校の新設については、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトに盛り込まれている、企業等の中核人材など地域産業の未来を担う人材の育成にも関連するものと考えております。
 また、全国的な人口減少の進展に伴い、本県においても産業人材の確保が課題となっており、県北地域に加え、県全体で産業人材をどのように育成、確保していくかといった観点から、産業技術短期大学校のみならず、二戸校を初めとした三つの高等技術専門校を含めた県立職業能力開発施設のあり方と、あわせて示していくことも必要であると考えております。
 このため、北いわて産業技術人材育成強化構想検討会議における議論を踏まえ、現在策定を進めている県立職業能力開発施設再編整備計画の中で、さらに市町村や地域の方々の意見を丁寧に伺いながら、検討を進めてまいります。
 次に、物流拠点とインランドデポについてでありますが、いわゆる2024年問題等を受け、東北エリアでは、既存の物流ハブである仙台地域から北東北地域等への当日中の往復が困難になることや、災害時におけるBCPの観点からの拠点分散化への対応が必要なことなどを背景に、物流における本県の地理的優位性が増していると認識しております。
 こうした中、実際に岩手県内に物流拠点を設けようとする企業の動きが活発化しており、市町村との連携のもと、多様な働く場所を確保するといった観点からも、こうした動きに的確に対応していきたいと考えております。
 また、平成15年以降、関税法の改正等により、税関と企業間における通関手続の電子化や、関税を納めないまま長期間にわたって荷物を保管できる保税蔵置場の設置要件の緩和が図られ、内陸に立地する複数の物流事業者が、この仕組みを活用し、実質的にインランドデポと同等の機能を備えているところでございます。
 一方で、県内における輸出入額が増加していることや大規模な物流拠点の整備が進んでいる状況を踏まえ、今後のインランドデポの整備、活用のあり方などについて、国や他県の動向、県内企業のニーズ等の把握に努めてまいりたいと考えております。
   〔文化スポーツ部長小原勝君登壇〕
〇文化スポーツ部長(小原勝君) まず、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業についてでありますが、本県では、オリンピックなど国際大会で活躍するトップアスリートを輩出するため、すぐれた運動能力を有する児童生徒の発掘、育成を行う、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業を平成19年度から展開しております。
 現在、この事業を修了したスキージャンプの小林陵侑選手やノルディック複合の谷地宙選手、スピードスケートの吉田雪乃選手などが、世界の舞台で活躍しています。
 こうして見出された選手の活躍は、誇るべき本県の育む力として多方面から注目されており、続く若手アスリートの大きな励みとなるとともに、県民の誇りにもなっているところです。
 引き続き、スポーツ医・科学の知見や映像分析などDXを活用したトレーニングを取り入れていくとともに、国内最先端のトレーニング施設において、アスリートとしての視野を広げる体験の機会を加えるなどプログラムの充実を図り、関係競技団体等と連携しながら、世界の舞台で活躍できるアスリートの育成に取り組んでまいります。
 次に、カーリング専用施設の整備についてでありますが、カーリング競技は、本県においても地域に愛され交流の輪を広げるスポーツとして普及、発展し、その中からオリンピックに出場した選手を輩出したほか、今後の活躍が期待される有望な選手も育成されているところです。
 現在、県内には盛岡市アイスリンクにカーリング専用レーンがあり、年間を通じて大会や練習、レクリエーションに使用されているほか、青森県を除く東北各県の県選手権の会場として使われているところであります。
 また、スケートとの併用施設として県立県北青少年の家があり、毎週2回専用時間を設けるなど、カーリング競技者への利便性に配慮した運用がされているところです。
 新たな専用施設の整備については、利用者の見込みや財政負担等を踏まえて、設置場所や規模等を十分に検討する必要があると考えております。
 今後、県と市町村との共同整備や民間等との協働による整備など、さまざまな整備手法の情報収集を行いながら、市町村や競技団体の考えもお聞きして、その必要性などについて研究してまいります。
   〔環境生活部長福田直君登壇〕
〇環境生活部長(福田直君) 北岩手循環共生圏についてでありますが、構成する9市町村のエネルギー収支を足し合わせると、環境省の試算では毎年200億円余りの赤字となりますが、今後、再生可能エネルギーの地域内循環によって、これを黒字化し産業集積にもつなげることができれば、大きな経済効果が期待できるものです。
 実際にそのような構想のもと、複数の市町村で地球温暖化対策実行計画の共同策定を行い、再エネの地域内循環に向けて動き出している地域循環共生圏の事例もあるところです。
 また、北岩手循環共生圏の構成市町村の一部からは、再エネの地域内循環を行う事業者を優遇する方策について相談を受けており、現在、具体的な優遇税制のあり方などを協議しております。
 今後も、県市町村GX推進会議の枠組みを通して、北岩手循環共生圏の取り組みを支援していき、再エネの地域内循環、ひいては地域経済の活性化に貢献してまいります。
   〔教育長佐藤一男君登壇〕
〇教育長(佐藤一男君) まず、県立福岡高等学校への県立中学校の併設についてでありますが、県教育委員会では、現在、10年、15年先を見据えた本県高校教育における長期ビジョンの策定に向け、外部有識者を構成員とする県立高等学校教育の在り方検討会議を設置し、御意見を伺っているところです。
 本県における中高一貫教育のあり方については、当該検討会議の重要な論点の一つとして掲げており、新たな導入については、検討会議の議論や地域の児童生徒数の推移、中高一貫教育校を導入した際の地域の義務教育への影響等を十分に見きわめるとともに、今後高校再編のあり方等も含め方向性を検討する必要があると認識しております。
 また、県立高校における校舎等の整備につきましては、安全・安心で充実した学校生活を送ることができる教育環境を目指して、高校再編計画等との整合性も図りながら、全県の施設の老朽化の状況等を踏まえ計画的に進めていく必要があります。
 次に、県立北桜高等学校についてでありますが、北桜高校に引き継がれる県立一戸高等学校の介護、福祉系列においては、介護に関する基礎的な資質、能力を育成し、卒業後、一定の実務経験を経て、介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができる教育課程を編成しております。
 専攻科は、高校卒業者に対して、より高度な教育を行うために設けられる課程であり、その設置には、地域のニーズはもとより、一定数の生徒の確保、施設や人的体制の整備が必要であると考えております。
 北桜高校は、二戸地域の専門教育の拠点となる学校として、地域や地域産業を担う人材を育成するため、本年4月に開校いたします。将来的な北桜高校の学びのあり方については、先ほど御答弁いたしました外部有識者会議における専門学科や総合学科のあり方等に関する意見を伺いつつ、同校における今後の入学者数やニーズの推移等も注視しながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、小規模校のあり方と学びの機会の保障についてでありますが、現在、推進しております新たな県立高等学校再編計画後期計画では、本県の地理的条件を踏まえ、どの地域に居住しても高校教育を受けられる機会の保障と、将来の高校生も充実した高校生活を送ることができる環境の整備を目指し、地域の小規模校を維持した上で、高校魅力化の推進や教育の質の確保に取り組んできているところです。
 他方、令和5年度における全日制県立高校62校の募集学級数を見ますと、1学年3学級以下のいわゆる小規模校が32校となっておりまして、今後も見込まれる中学校卒業者数の一層の減少に伴う学校の小規模化への対応が必要であると認識しております。
 現在、開催している外部有識者会議におきまして、ICT等を活用した方策により地域に学びの場を残すことや、小規模校のあり方等について意見を伺っており、今後、地域の方々の御意見も伺いながら、子供たちにとってよりよい教育環境の整備に向けて、丁寧な議論を進めていきたいと考えております。
 次に、特別支援学校の整備についてでありますが、県立盛岡みたけ支援学校二戸分教室は、平成20年に二戸市立石切所小学校内に小学部を設置し、以降、二戸市立福岡中学校内に中学部、県立福岡工業高等学校内に高等部を順次設置し、共に学び、共に育つ教育の推進を図ってまいりました。
 具体的には、小学部は小学校と、中学部は中学校と、高等部は高校と、それぞれ運動会や文化祭などの行事、作業製品づくりや地域清掃などの活動を行ってきているところです。
 北桜高校工業校舎の敷地内に整備される新設校においては、引き続き、石切所小学校、福岡中学校との交流及び共同学習を継続するとともに、北桜高校との間に校種を超えた交流を行うなど、インクルーシブな学校運営のモデルとなるように取り組んでまいります。
 開校スケジュールにつきましては、現在、整備に向けて設計業務を進めており、令和6年度から令和7年度にかけて新築整備することとして、当初予算案に整備費を計上しており、令和8年度の開校を目指しております。
 次に、難病を持つ児童生徒への学校給食における対応についてでありますが、難病を持つ児童生徒については、各学校において、就学時健診や毎年の定期健康診断時に保護者から提出していただく保健調査等により把握し、学級担任や養護教諭、栄養教諭等の学校関係者、学校医やかかりつけ医等とも情報共有しているところです。
 学校給食における対応につきましては、給食調理場や学校でできる調理や介助等の最良の方法について、学校関係者と保護者等で相談し、難病を持つ児童生徒に応じた個別の対応を行っているところです。
 県教育委員会としましては、難病を持つ児童生徒が安心して学校生活を過ごすことができるよう、市町村教育委員会とも連携しながら、引き続き、一人一人に寄り添いながら、必要な支援に努めてまいります。
〇1番(田中辰也君) それでは、再質問させていただきます。
 最初に、いわてクリーン農業アカデミーについてお聞きします。
 今の答弁の中では、有機農業のほか、先端技術等についての研修をするということですが、農業人としての教育にはどの程度重きを置くのでしょうか。
〇農林水産部長(藤代克彦君) いわてグリーン農業アカデミーでの研修という中身でございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、農業大学校では、農業者を対象とした農業技術研修を行っていまして、いわゆるリカレント教育的なものになりますけれども、一定程度技術を身につけた方が、さらにその技術力を高めていただこうという目的で行っているものです。
 こういった県北農業研究所で今行おうとしているものについては、5月ぐらいから1月ぐらいまでの期間、それを年6回ぐらいに分けまして、有機農業に関する先ほど申し上げました知識ですとか、実際にそれを技術的に栽培の中にどう生かしていくか、あるいは機械の操作方法ですとか土づくりについて、土壌診断という技術があるのですが、科学的見地に基づいてどういった生産を行うかを体系的に学んでいただいて、自分の経営の中で、有機農業を生かした経営展開をしていただく意識づけ、あるいは技術力の向上等、そういった人材を育成していきたいと考えているものでございます。
〇1番(田中辰也君) それでは、年数回に分けた研修ということで、アカデミーとはいうけれども、教育というレベルまではいかないということでよろしいでしょうか。
 私は、やはり県北部の中山間地に合った農業人を育成しなければ、今後の中山間の農業は崩壊するのではないかという危機感を持っています。そういう中山間に合った、どのようにして高収益な作物を育成し、販売しながら農業経営していくのかということまでしっかりとやっていかなければ、大規模水田の農業だけやっても中山間地には全く合わないのです。そういう環境の違いの中で、どのような農業経営をしていくのだということをしっかりと育成していく機関になるかと思っていたのですが、そういうことはやらないということでよろしいですか。
〇農林水産部長(藤代克彦君) 今、田中辰也議員御指摘のような農業技術、知識を体系的にという形については、全寮制という形になりますが、農業大学校で2年間学んでいただくというのが、農業分野では教育的な体系に位置づけた取り組みとさせていただいております。
 今回の農業アカデミーについては、あくまで既に農業の分野で就農されている方を主に対象として、さらに自分のスキルを高めていただく形の取り組みにしていきたいと考えているものでございます。
〇1番(田中辰也君) わかりました。ですが、農業大学校でやっていることが、やはり全部カバーし切れていないのではないかという問題意識を持っているわけです。だからこそ、このアカデミーが、県北部に合った農業を推進する上ですごく光のような感じを受けたわけですが、そういうところについて、例えば県北農業研究所に農業大学校のサテライト的なものを置いて、それに特化した営農教育とかを考えるべきではないかと私は思っているわけですが、いかがなのでしょうか。
〇農林水産部長(藤代克彦君) 県北農業研究所で農業大学校のサテライト的な教養といいますか、いろいろ学ぶというものについては、既にオンラインで授業がやれる体制を整えておりまして、そういったことについても呼びかけを行っております。
 なかなか参加していただける方が多くない状況ではあるのですが、県北農業研究所では、農業大学校のオンライン授業にも取り組める形のハード的な整備、あるいはソフト的な人材での対応を今行っている状況でございます。
 また、就農された方につきましては、地域の農業改良普及センターで、就農後5年程度、定期的に面談を行いながら、自分の経営計画がきちんと進行管理できているかというような形で、技術的なもの、経営的なものを助言などしながら、しっかり地域に定着できるようにという形で取り組んでいるところでございます。
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって田中辰也君の一般質問を終わります。
 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 議案第1号令和6年度岩手県一般会計予算から日程第109 議案第108号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(工藤大輔君) この際、日程第2、議案第1号から日程第109、議案第108号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 次に、お諮りいたします。議案第1号から議案第20号まで、議案第27号から議案第38号まで、議案第40号、議案第41号、議案第44号、議案第47号、議案第48号、議案第52号、議案第54号から議案第67号及び議案第69号から議案第76号まで、以上60件については、47人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(工藤大輔君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
(第4回県議会定例会 令和6年2月28日)
予算特別委員会
1 議案第1号
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第4号
5 議案第5号
6 議案第6号
7 議案第7号
8 議案第8号
9 議案第9号
10 議案第10号
11 議案第11号
12 議案第12号
13 議案第13号
14 議案第14号
15 議案第15号
16 議案第16号
17 議案第17号
18 議案第18号
19 議案第19号
20 議案第20号
21 議案第27号
22 議案第28号
23 議案第29号
24 議案第30号
25 議案第31号
26 議案第32号
27 議案第33号
28 議案第34号
29 議案第35号
30 議案第36号
31 議案第37号
32 議案第38号
33 議案第40号
34 議案第41号
35 議案第44号
36 議案第47号
37 議案第48号
38 議案第52号
39 議案第54号
40 議案第55号
41 議案第56号
42 議案第57号
43 議案第58号
44 議案第59号
45 議案第60号
46 議案第61号
47 議案第62号
48 議案第63号
49 議案第64号
50 議案第65号
51 議案第66号
52 議案第67号
53 議案第69号
54 議案第70号
55 議案第71号
56 議案第72号
57 議案第73号
58 議案第74号
59 議案第75号
60 議案第76号
   
〇議長(工藤大輔君) お諮りいたします。ただいま設置されました予算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名したいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(工藤大輔君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を予算特別委員に選任することに決定いたしました。
 予算特別委員会は、委員長互選のため、3月4日午前10時に特別委員会室にこれを招集いたします。改めて招集通知を差し上げませんので、御了承願います。
 次に、ただいま議題となっております議案第21号から議案第26号まで、議案第39号、議案第42号、議案第43号、議案第45号、議案第46号、議案第49号から議案第51号まで、議案第53号、議案第68号及び議案第77号から議案第108号まで、以上48件は、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
(第4回県議会定例会 令和6年2月28日)
総務委員会
1 議案第22号
2 議案第23号
3 議案第25号
4 議案第26号
5 議案第42号
6 議案第68号
7 議案第84号
8 議案第87号
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第1款
       第2款第1項
          第2項
          第3項
          第4項(第1目中ふるさと振興部関係、第2目、第3目、第4目)
          第5項
          第6項
          第7項
          第9項
          第10項
       第3款第2項(第2目)
          第5項
       第9款
       第12款
       第13款
   第2条第2表中
    第2款第1項
       第4項
       第6項
    第9款
   第4条
9 議案第94号
10 議案第95号
11 議案第107号
12 議案第108号
文教委員会
1 議案第78号
2 議案第87号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第2款第8項
       第10款
   第2条第2表中
    第2款第8項
    第10款
3 議案第104号
環境福祉委員会
1 議案第24号
2 議案第39号
3 議案第43号
4 議案第45号
5 議案第46号
6 議案第49号
7 議案第50号
8 議案第51号
9 議案第53号
10 議案第79号
11 議案第80号
12 議案第81号
13 議案第82号
14 議案第83号
15 議案第86号
16 議案第87号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款第1項
          第2項(第1目、第3目)
          第3項
          第4項
       第4款
       第11款第6項
   第2条第2表中
    第3款
    第4款
   第3条第3表中
    1追加中 1
17 議案第88号
18 議案第96号
19 議案第98号
商工建設委員会
1 議案第85号
2 議案第87号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第2款第4項(第1目中商工労働観光部関係)
       第5款
       第6款第3項(第2目中県土整備部関係)
       第7款
       第8款
       第11款第2項
          第3項
   第2条第2表中
    第5款
    第6款第3項(第2目中県土整備部関係)
    第7款
    第8款
    第11款第3項
   第3条第3表中
    1追加中 2〜9
    2変更
3 議案第92号
4 議案第93号
5 議案第97号
6 議案第99号
7 議案第100号
8 議案第101号
9 議案第102号
10 議案第105号
11 議案第106号
農林水産委員会
1 議案第21号
2 議案第77号
3 議案第87号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款第1項
          第2項
          第3項(第1目、第2目中農林水産部関係、第3目、第4目)
          第4項
          第5項
       第11款第1項
   第2条第2表中
    第6款第1項
       第2項
       第3項(第2目中農林水産部関係、第3目)
       第4項
       第5項
    第11款第1項
4 議案第89号
5 議案第90号
6 議案第91号
7 議案第103号
   
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時42分散会

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