令和6年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(高橋こうすけ君) 自由民主党の高橋こうすけでございます。
 初めに、本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震で犠牲になられた方々の御冥福をお祈りいたします。また、被害に遭われました皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 一般質問の機会を与えてくださいました県民の皆様、そして、先輩、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げ、質問に入ります。誠意ある御答弁をいただきますようお願い申し上げます。
 人口減少の問題は全国的な課題であり、国、都道府県、市町村において、それぞれの立場でさまざまな対策を講じております。
 全国の中でも、岩手県は人口減少の問題が深刻な状況にあり、県においても、在宅育児支援金の創設などの子供、子育て支援策を初めとする人口減少対策を講じております。
 初めに、人口減少対策の中でも、子育て支援、産後ケアについて質問させていただきます。
 産後ケア事業は、出産後の母子に対して、心身のケアや育児のサポートなどきめ細かい支援を行い、出産後も安心して子育てができる支援体制を確保することを目的として、平成27年度に国が事業を創設したものであります。
 令和元年には、産後ケア事業の全国展開を図ることを目的とした改正母子健康法が公布され、市町村は、産後ケア事業を実施するよう努めなければならないとされたところであります。
 この改正された母子健康法によると、産後ケア事業は、三つの実施方法があります。病院、助産所などの空きベッドの活用などにより、宿泊による休養の機会の提供などを実施する宿泊型。個別、集団で支援を行うことのできる施設において、日中、来所した利用者に対して実施するデイサービス型。実施担当者が利用者の自宅に赴き実施するアウトリーチ型です。
 国においては、産後ケア事業の令和6年度末までの全国展開を目指しているところですが、県内市町村における産後ケア事業の宿泊型、デイサービス型、アウトリーチ型の実施状況について伺います。
 さきに述べたとおり、産後ケア事業は、母子保健法の規定により、市町村が行うよう努めなければならない事業とされています。しかし、令和4年1月に、総務省が厚生労働省に勧告した子育て支援に関する行政評価・監視の結果によると、産後ケア事業を行う市町村の現場では、事業の委託先となり得る病院、助産所や助産師等が地域によって偏在しており、委託先の確保等に課題があることから、厚生労働省に対し、都道府県の役割を含め幾つかの選択肢を示すなど、市町村の産後ケア事業の実施を支援するよう勧告しています。
 また、先日、国会に提出された子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案では、産後ケア事業を市町村子ども・子育て支援事業計画に従って実施する地域子ども・子育て支援事業に位置づけ、国、県、市町村の役割を明確にし、計画的な産後ケアの提供体制の整備を行うとしています。
 これらの状況に加え、広い県土の岩手県でひとしく産後ケアを受けることができるようにするためには県の役割が重要であると考えますが、市町村が行う産後ケア事業への県の支援状況と県が担うべき役割について、知事に伺います。
 次に、妊産婦のメンタルヘルスについて伺います。
 核家族化や晩婚化などによって、出産前後の身体的、精神的に不安定な時期に家族などの身内の人の助けが十分に得られず、不安や孤独感を抱いたり、鬱状態の中で育児を行う母親が少なからず存在している状況であります。
 出産前後の母親の育児不安や鬱状態が子供の虐待の誘因になることも指摘されており、出産後の育児を家庭のみに任せるのではなく、母親の孤立を防ぎ、生活している地域でさまざまな支援を行うことが重要と考えます。
 国が実施した令和3年度母子保健事業の実施状況調査において、出産後のメンタルヘルス対策について、精神科医療機関を含めた地域関係機関と連絡会などを定期的に実施している市町村が、全国の1、741団体のうち7.2%にとどまっている状況でございます。
 その状況を踏まえ、国は、今年度の補正予算で、医療機関と地域の関係機関と連携したネットワーク体制の構築を図るため、都道府県において、拠点病院等に妊産婦などのメンタルヘルス支援に関するコーディネーターを配置する経費を補助する事業を創設したところであります。
 このように、国では妊産婦のメンタルヘルスの取り組みを進めているところですが、県の取り組みの状況について伺います。
 次に、市町村少子化対策支援事業について伺います。
 県が公表した令和6年度一般会計当初予算案で、少子化対策の強化の取り組みの一つとして、新規事業の市町村少子化対策支援事業費を計上しています。
 この事業は、市町村が行う産後ケア等の利用促進や子供の遊び場の整備に要する経費を補助するとともに、モデル的に、分野横断で少子化対策に取り組む市町村が行う地域課題の分析等に対して伴走型支援を実施するもので、事業費として8、200万円を予算案に計上しています。
 この予算により、どの程度の事業実施を見込まれているのか伺います。また、少子化対策は、地域の実情に応じた市町村の取り組みが必要という観点から、市町村が行う独自の少子化対策を幅広く支援する交付金のような形の事業とする方法も考えられたかと思いますが、県の考えを伺います。
 次に、助産師活躍推進事業費について伺います。
 産後ケア事業を行うに当たっては、国の基準により、助産師、保健師または看護師のいずれかを常に1名以上配置しなければならないとされています。そのことから、産後ケア事業の実施体制を整備するためには、妊産婦や新生児の保健指導を行う助産師の役割は重要であると考えます。
 また、産後ケアのみならず、産婦人科医師と協働した院内助産等の普及を図る観点からも、地域によって助産師就業の偏在があるとされている中、助産師の確保、育成などの取り組みを実施するため、令和6年度一般会計当初予算案で、新規事業として助産師活躍推進事業費の経費を計上したことは、大変評価しております。
 助産師活躍推進事業の目的と具体的な取り組み内容について伺います。
 子育て支援は、行政による取り組みも重要でありますが、企業において、男性、女性ともに気兼ねなく育児休業制度を使えるようにするなど、仕事と育児を両立できる環境づくりを進めていく必要があると考えます。
 しかし、企業におけるそうした取り組みは、企業それぞれの判断による部分が大きく、県が企業における仕事と育児を両立できる環境づくりを促進していくのは、非常に難しいのではないかと考えています。
 一方、知事は、昨年の知事選のマニフェストに、企業における働き方改革や子育て支援の促進を掲げ、企業における社員の育児休業取得を後押しする取り組みなどを推進するとしています。
 そこで、知事マニフェストに掲げられている企業における働き方改革や子育て支援の促進の項目に関して、令和6年度一般会計当初予算案にどのような事業を盛り込んでいるのか伺います。
 また、それらの事業を実施した結果を評価する指標の有無についても、あわせて知事に伺います。
 次に、教育施策について伺います。
 文部科学省では、ソサエティー5.0時代を生きる子供たちにふさわしい、全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びの実現に向け、GIGAスクール構想を推進するなどの取り組みを進めています。
 そうした中で、教育現場では、児童生徒の1人1台端末の環境整備などICT環境が急速に整備されてきております。
 しかし、今年度の文部科学省の調査によると、パソコンやタブレットなどのICT機器をほぼ毎日、または週3回以上活用と回答した学校の割合が、岩手県内の小学校で71.4%、中学校で81.9%となっており、昨年度の調査と比較し、活用している学校の割合が16%から22%と伸びているものの、全国平均を下回っている状況にあります。
 整備されつつあるICT環境を十分に生かすためにも、全ての教員が児童生徒に対してICT活用について指導することができるようにする必要があると考えます。
 これまでの教員のICT指導力の向上への取り組みと効果について、どのように考え、来年度どのように強化していくお考えなのか伺います。
 学校現場において、1人1台端末環境による本格的な教育活動が展開されている中、その円滑な運営を支え、子供の学びを保障するための運用面の支援のさらなる強化が求められております。
 また、児童生徒がパソコンやタブレットを授業や家庭で使用している際の故障へのフォローなどをする体制の整備や、そのようなICT支援ができる人材の不足等の解消を図る必要があります。
 国では、そうした課題認識のもと、地方自治体が、ヘルプデスクの開設やサポート対応、休日などにトラブル対応等を行うGIGAスクール運営支援センターの整備や、授業計画の作成支援やICT機器の準備、操作支援等の日常的な教員のICT活用の支援を行うICT支援員の配置を支援しています。
 私は、国のこのような支援制度を活用し、GIGAスクール運営支援センターの整備とICT支援員の配置をともに進め、学校現場でのICT運用を支援していくことが、ICT活用を進めていくために必要なことと考えています。
 そこで伺いますが、県及び県内市町村におけるGIGAスクール運営支援センターの整備とICT支援員の配置の現状、そして、さらなる整備、配置に向けた県の取り組みについて伺います。
 ICTを活用した教育の推進も重要ですが、どのような子供たちも、ひとしく教育を受けることができる環境を整備することも必要と考えています。そうした観点から、障がいのある児童生徒等の一人一人の教育的ニーズに対応した指導、支援の中核的な役割を担っている特別支援学校の整備は非常に重要です。
 県内の特別支援学校の在籍者数は、令和2年の1、584人と比較すると、令和5年は1、505人と減少しているところですが、特別支援学校の教室の不足の状況は、令和2年の県独自調査によると5校で34教室が不足、令和5年の文部科学省の調査によると4校で32教室が不足している状況とのことです。
 県内の特別支援学校の在籍者数が減少している中で、特別支援学校の教室の不足は、児童生徒数の将来的な動向や財源的な課題から、すぐに解消するのは難しいと思いますが、可能な手段を講じて改善に向けていかなければいけないと考えます。
 県は、この特別支援学校の教室不足の現状をどのように分析し、改善への取り組みをどのように進めていくのか伺います。
 先ほど、県内の特別支援学校の在籍者数について述べましたが、小中学校で、大部分の授業を在籍する通常の学級で受けながら、一部の時間で障がいに応じた特別な指導を行う通級による指導を受ける県内在籍者数が、平成26年の1、291人から今年度の1、489人と増加している状況にあります。
 そうした状況の中、中学校で通級による指導を受けた生徒が、高校においても、小中学校と同様の教育指導を受けるニーズがふえてきているのではないかと考えます。
   〔副議長退席、議長着席〕
 国においても、そのようなニーズが高まっていることを踏まえ、平成28年に省令などを改正し、高校においても通級による指導を制度化したところです。
 県内でも、この制度化を受け、県立紫波総合高等学校を皮切りに、計5校において通級による指導を実施しているとのことです。
 通級による指導を行う高校のさらなる拡大が必要と考えますが、県は、どのように認識しているのか伺います。
 次に、いじめ防止対策について取り上げます。
 教育現場においては、平成25年に制定されたいじめ防止対策推進法に基づき、全ての児童生徒等が、いじめを行わないことを目指して、さまざまな対策を講じております。
 文部科学省の調査によると、いじめの認知件数は、増加する傾向にあります。いじめを積極的に認知し、速やかに解消させる取り組みが進められています。
 いじめ防止対策に限らず、政策の評価は、その政策の達成状況や課題等を検証し、その結果を次の政策等に適切に反映させることにより、効果的かつ効率的な行政を推進するものとされています。
 県のいじめ防止対策の政策評価の指標は、いじめはいけないと思う児童生徒の割合と認知したいじめが解消した割合となっています。今、県が設定しているこれらの指標が適切ではないというわけではありませんが、よりいじめ防止対策の効果を検証するため、いじめ認知件数を指標とする考え方もあるかと思います。
 しかし、まずは、いじめの認知と認知したいじめの解消を進めていくことが重要であると考えます。
 県では、いじめの認知と認知したいじめの解消のために、どのように取り組まれているのか伺います。
 次に、若者の県内定着について伺います。
 本県における人口減少は、少子化が極めて深刻な状況でありますが、県内への転入者よりも県外への転出者が多い社会減も深刻な状況です。
 本県の社会減の状況は、令和5年岩手県人口移動報告年報によると、令和3年は2、750人の減と近年では一番少ない減少幅であったものの、令和5年は4、665人と減少幅が拡大しているところです。
 県においても、社会減対策として、県内就職率の向上、U・Iターンの促進、雇用、労働環境の整備の促進、起業、事業継承の取り組みを進めているところです。
 県内就職率の向上、U・Iターンを進めていくためには、高校生、大学生に対する取り組みや岩手県の魅力を発信する取り組みなどにあわせて、私の経験からも、岩手県で暮らしたい、働きたいと思っている人が、県内での求人情報に簡単にアクセスできる仕組みを整備することが重要と考えています。
 昨年の県議会6月定例会の一般質問でも触れさせていただきましたが、県では、就職支援マッチングサイト、シゴトバクラシバいわてを設置し、このサイトの登録企業数、求職登録者数、求人情報掲載数が増加し続けていると聞いています。
 このシゴトバクラシバいわてのサイトは、大変すばらしく、もっと多くの方々に知っていただき、一人でも多く県内への就職に結びついてほしいと考えていますが、県は、このサイトの求職登録者数などをさらにふやす取り組みをどのように進めていくのか伺います。
 若者の県内定着に向けては、企業の魅力と雇用の質を高め、働く意欲のある全ての人が、希望を持って県内で就職できる雇用、労働環境の整備促進も重要です。
 しかし、県内企業の待遇面について、令和5年度最低賃金で比較すると、岩手県で時給893円、東京都で1、113円と、東京都のほうが220円高いことからも、県外企業との賃金水準に差があることにより、人材が県外に流出していると考えられ、その対策のためにも、賃金などの労働条件等の雇用の質の向上を図る必要があります。
 しかし、企業の賃上げは、一時的なものではなく、持続的なものである必要があり、そのためには、企業におけるデジタル化の推進や経営、技術両面のイノベーションの推進による生産性の向上を図る取り組みが不可欠であると考えます。
 企業のそうした取り組みを促進するためにも県の役割は重要であり、県は、今年度、生産性の向上を図り、賃金引き上げ等のための環境整備に取り組む県内中小企業等を支援する、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助金の制度を創設し、令和6年度一般会計当初予算案にも所要の経費を計上しているところです。この事業内容と補助実績について伺います。
 次に、消防団について伺います。
 消防団は、消火活動のみならず、地震や風水害など、多くの人の動員を必要とする大規模災害時の救助救出活動、そして、避難誘導など非常に重要な役割を果たしています。
 さらに、平常時においても、住民への防火指導、応急手当ての指導など、地域に密着した活動を展開しており、地域における消防力、防災力の向上、地域コミュニティーの活性化に大きな役割を果たしています。
 しかし、消防団の団員数は減少を続けており、総務省消防庁の調査によると、令和5年4月1日現在の岩手県の団員数は1万8、857人となっており、令和4年と比較すると817人減少し、消防団員の確保は重要な課題となっています。
 県においては、消防団の担い手確保のため、消防団員の教育訓練や広報活動などを実施するとともに、今年度、新たに国の消防団の力向上モデル事業を活用した事業を実施しているところです。
 消防団の力向上モデル事業を活用した県のこれまでの取り組み内容と、来年度、実施を予定している取り組みについて伺います。
 また、頻発している豪雨災害などにおいては、消防団員が、救命ボートにより逃げおくれた住民の救助を実施するなど、消防団の果たす役割は多様化しています。こうした活動を安全に実施するためにも、消防団の装備等の充実が必要と考えます。
 国は、消防団設備整備費補助金により、市町村による消防団の救助用資機材の整備に対し支援を行っています。この補助制度は補助率が3分の1以内となっていますが、市町村が実質的に負担する3分の2の一部に特別交付税が措置されるといった財政的に手厚い制度であり、市町村が積極的に活用して消防団の装備等の充実を図るべきと考えますが、この補助金の活用実績と県の見解を伺います。
 次に、DXの推進について質問します。
 人口減少や少子高齢化、東日本大震災津波からの暮らしの再建など、本県が抱える課題に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う観光業などの産業への打撃などにより、本県の経済社会情勢は厳しい状況にあります。
 今後、さらに人口減少が進むと見込まれる中で、商工業、観光業、農林水産業、建設業などの産業における生産性の向上や、子育て、教育、医療、介護等のあらゆる分野での変革が必要となっています。そのような状況の中、デジタル技術の多方面での利活用が進んでいることから、今後、さらなる利活用が必要であり、行政による後押しも必要であると考えます。
 県では、令和5年3月に岩手県DX推進計画を策定し、全庁を挙げて四つの取り組み方針―行政のDX、産業のDX、社会・暮らしのDX、DXを支える基盤整備について取り組みを進めていくとしています。このように、県がDX推進の取り組みを進めていくことは必要なことと考えていますが、DX推進計画がどのように推進されたのか、達成状況を評価する方法が読み取れなかったことが残念であります。
 DX推進計画の達成状況をどのように評価、検証していくおつもりなのか、知事に伺います。
 人口減少や少子高齢化の課題に加え、物流業界においては、平成30年に成立した働き方改革関連法に基づく自動車運送事業の時間外労働規制の見直しがことし4月に行われることとなっており、何も対策を講じなければ物流の停滞が懸念される、いわゆる2024年問題に直面しています。
 この物流の2024年問題を乗り越えていくために官民挙げて対策を講じており、民間事業者においては、物流への負担となる商慣行の是正などの取り組みを実施。国においては、昨年10月に物流革新緊急パッケージを作成し、即効性のある設備投資、物流DXの推進、モーダルシフトの推進、トラック運転手の労働負担の軽減や担い手の多様化の推進など、さまざまな物流の効率化の取り組みを着実に行うこととしています。
 県においても、物流の2024年問題への対策として、令和6年度一般会計当初予算案に、スマート物流等社会実装促進事業にかかわる予算を盛り込んだところであります。大変評価するとともに、成果を期待するものであります。
 この事業の今年度までの取り組みと来年度実施する具体的な取り組みについて伺います。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。なお、答弁によっては再質問させていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋こうすけ議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、産後ケア事業における県の役割についてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン政策推進プランにおいて、令和6年度末に全33市町村での実施を目標に掲げ、産後ケア利用料の無償化への補助や産後ケア事業の事例集の作成、配布などを通じ市町村の取り組みを支援してきており、産後ケア事業を実施する市町村は32まで拡大しています。
 さらに、令和6年度当初予算案において、産後ケアのさらなる利用促進のため、全国でも例の少ない、市町村が実施する産後ケア利用時の子供の一時預かりや交通費の支援に要する経費への補助を新たに盛り込んだところです。
 一方で、市町村によって宿泊型やデイサービス型の実施状況に差異が見られるところであり、委託先となる産科医療機関や助産師等の人材の確保のしにくさや、産婦の数が少ない小規模市町村における単独での事業実施の難しさなどが要因にあると考えています。
 県としては、市町村の意向も踏まえながら、広域連携も視野に、医療機関や民間事業者との調整や助産師など産後ケアに従事する人材の確保など、それぞれの地域の実情に応じた産後ケアの提供体制の具体的な整備に向けて支援してまいります。
 次に、企業における働き方改革や子育て支援の促進についてでありますが、全国的に人口減少が進む中、県内の高校や大学を卒業する若者の地元定着、また、県外に進学した大学生や、一旦、県外に就職した若者のU・Iターンを促進していくためには、産業界や教育機関などを含めたオール岩手で、ライフステージやライフスタイルに合わせて希望に応じた多様な働き方ができる環境を構築していく必要があります。
 令和6年度当初予算案においては、働き方改革の一層の推進に向け、仕事と育児の両立支援を含めた企業における働き方改革の取り組みを支援するためのアドバイザー派遣や、優良事例の普及拡大を促進するための取り組みを盛り込んでいるところです。
 また、若者や女性に魅力ある職場環境の構築に向け、配偶者出産休暇の導入や育児短時間勤務制度の適用拡大を促進するなどにより、中小企業の子育てしやすい環境整備の取り組みに対する支援の強化を図ることとしています。
 いわて県民計画(2019〜2028)においては、総実労働時間や共働き世帯の男性の家事時間割合などをいわて幸福関連指標に掲げ、第2期アクションプランでは、いわて働き方改革推進運動参加事業者数や、いわて子育てにやさしい企業等認証の認証数などを具体的推進方策指標として示しているところです。
 次に、DX推進計画の達成状況の評価等についてですが、人口減少など地域が抱える社会問題の解決を図り、個性豊かで活力に満ちた地域社会を構築するためには、デジタルの力を活用し、生産性の向上や新たな価値の提供を実現するDXを積極的に推進していくことが重要であり、あらゆる分野で県民がデジタル化の恩恵を享受できるよう、DX推進計画を策定し、取り組んでいるところです。
 DX推進計画においては、四つの重点方針を定め、それぞれ取り組みを実施していますが、その指標の設定に当たっては、各分野のアクションプランの指標と整合を図って設定しているところです。
 DX推進計画に掲載されている取り組みの達成状況については、各分野のアクションプランの評価を踏まえるとともに、産学官金で構成するいわてDX推進連携会議や有識者会議等で進捗を報告し、取り組みに対する意見をいただき、柔軟に見直しや改善を図ることとしています。
 今後も、全庁一丸となってDXの推進を図り、県民一人一人が快適に暮らし、岩手県をベースに活躍することができ、幸せを実感できる、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現に向けて取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、産後ケア事業の実施状況についてでありますが、今年度、産後ケア事業を実施している市町村は32市町村ですが、サービス類型別で見ますと、病院や助産所の空きベッド等を活用する宿泊型は1市、日中の来所によるデイサービス型は15市町、自宅に出向くアウトリーチ型は28市町村で実施しているところであります。
 次に、妊産婦のメンタルヘルスの取り組み状況についてでありますが、県では、岩手県周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶを構築し、産科医療機関と市町村との間で妊婦健診や産後鬱スクリーニングなどの情報の共有化を図り、市町村においては、リスクの高い妊産婦に対して訪問指導を行うなど、関係機関が連携して支援を行う体制の整備を進めてまいりました。
 また、市町村保健師や医療従事者を対象に、妊産婦のメンタルヘルスケアを中心とした母子保健従事者研修会、産後鬱事例検討会を開催するなど、妊産婦の支援を行う人材の資質の向上に努めてまいりました。
 一方で、核家族化の進行などにより、地域において妊産婦を支える力が弱くなっていることから、妊娠、出産、子育ての各ライフステージに応じた切れ目のない支援を行うことが課題となっております。
 このため国では、市町村において、妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない伴走型の相談支援の充実を図ることとしており、県としても、引き続き、関係機関の連携や相談事業に従事する保健師等の資質の向上に努めるなど、市町村の取り組みを支援してまいります。
 次に、市町村少子化対策支援事業についてでありますが、今年度実施した本県の少子化要因の分析において、圏域ごとの出生動向や人口移動状況等についての分析を行っており、女性人口や有配偶率の減少の度合いなどに地域差が見られたところです。
 こうした状況から、市町村がそれぞれの地域事情に応じた少子化対策に取り組めるよう、令和6年度当初予算案において、市町村少子化対策支援事業費を新たに盛り込んだところであります。
 本事業では、産後ケアの利用時の子供の一時預かりや交通費の支援、子供の遊び場の整備など、地域の実情に応じて活用できる補助メニューを設けることとしており、事前の意向調査では、複数の市町村が利用する見込みとなっております。
 さらに、小規模な町村に対しては、地域課題の分析や少子化対策の立案などについて、専門家等とも連携しながら伴走型支援を行い、国の地域少子化対策重点推進交付金や県の地域経営推進費などを活用した、地域課題に即した施策の展開につなげていく考えであります。
 次に、助産師活躍推進事業についてでありますが、本事業は、妊産婦や新生児のケアなどに高度な知識や技術を持つ助産師を育成するため、正常分娩の経験が少ない周産期母子医療センター等に勤務する助産師の産科診療所等への派遣や、院内助産、産後ケアに関するセミナーなどを実施することとしております。
 また、市町村が産後ケア等の事業を実施するに当たって、助産師の確保が課題となっておりますことから、助産師会等の関係団体と連携し、市町村へのアドバンス助産師などの紹介に取り組むこととしております。
 県としては、引き続き、助産師の確保や資質向上に取り組み、産前から産後までの切れ目のない支援体制の構築に努めてまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、就職マッチングサイト、シゴトバクラシバいわての登録者数をふやすための取り組みについてでありますが、県では、大学生の就職に際してのインターンシップの重要性が高まっていることから、今年度、このサイト内にインターンシップのページを新設したほか、1990年代半ば以降に生まれた、いわゆるZ世代やアルファ世代に対応するため、就活応援メディアみんなの想職活動を開設するなどにより、県内の企業やそこで働く若者たちの姿を、SNSも活用して広く紹介しているところでございます。
 また、コロナ禍で活動が制限されていたU・Iターンクラブ加盟大学への直接の訪問や、首都圏などで実施する移住、U・Iターンフェア、お盆や年末年始の帰省時期を利用したUターンキャンペーンなどの際に、登録に向けたPRを行ったところでございます。
 こうした取り組みにより、求職登録数が令和2年度の1、732人から令和4年度の2、296人にふえているところであり、今後、さらに登録者をふやしていくため、来年度は、県内の全ての高校生に対してQRコードつきのリーフレットの配布を行うなど、将来的なUターンによる登録者数の増加を図ってまいりたいと考えております。
 次に、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助金についてでありますが、令和5年度6月補正予算で措置したこの補助事業は、経営革新計画に基づいて生産性の向上を図り、適切かつ円滑な価格転嫁や賃上げのための環境整備に取り組む県内中小企業者等に対して、設備投資、人材育成等に係る経費の一部を補助するものであり、これまでに54件、約8、100万円の交付決定を行い、現在、事業実績報告等の提出を受けて、順次、補助金額の確定手続を進めているところでございます。
 具体的な事例といたしましては、遠隔地業務支援体制を構築し、作業時間の短縮を図るため、ウエブカメラやタブレット端末等を導入するためのものを、また、製造品の検査工程の効率化と高精度化を図るため新たな検査装置を導入するものなど、生産性向上に向けたさまざまな取り組みに活用されたところでございます。
 賃上げへの対応が喫緊の課題となっている中小企業にとって、生産性向上を図り、経営基盤を一層強化し、構造的な賃上げを実現していくことが重要となっていると考えております。
 このため、令和6年度当初予算案におきましても、この事業を継続して実施することとしており、引き続き、中小企業の持続的な賃上げに向け、必要な環境整備を支援してまいります。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) まず、消防団の力向上モデル事業についてでありますが、このモデル事業は、全国的に消防団員が減少する中で、社会環境の変化に対応した消防団運営の普及、促進に向け、消防団の充実強化につながる創意工夫を凝らしたさまざまな分野の取り組みを国が支援し、先進的な取り組み事例として全国に波及させるため、昨年度創設されたものです。
 県では、若者を中心とする幅広い世代の方々に消防団への加入を促すため、今年度、このモデル事業を活用し、消防団の役割や活動内容等を伝える広報事業を実施しているところです。
 具体的には、消防団の活動紹介やイメージアップにつながる動画の制作、制作した動画のテレビ放送やユーチューブ等での配信などに取り組んでおり、さらに、制作した動画は、今後、各市町村に提供し、市町村での広報にも活用していただくこととしています。
 令和6年度は、消防団入団のための動機づけや働きかけの方法など、団員確保のために有効な手段を検討するため、県民を対象に、消防団に対するイメージや入団につながる取り組み等に関するアンケートを実施することとしています。
 また、現役の若手消防団員を対象に、入団に至った経緯や理由なども調査することとしており、これらに必要な経費を令和6年度当初予算案に盛り込んだところです。
 今後とも、市町村や公益財団法人岩手県消防協会などの関係団体と連携し、消防団員確保のための取り組みを推進してまいります。
 次に、消防団設備整備費補助金の活用実績等についてでありますが、この補助金は、災害時における消防団のより効果的な救助活動を図るため、救急救助用資機材等の整備を促進することを目的に、平成30年度に創設されたものです。
 また、令和2年度以降、大規模災害に対応できるよう、排水ポンプやゴムボートなど水害対応のための資機材、高性能防火衣など安全確保のための装備品、ドローンや発電機など捜索や夜間活動のための資機材などが、補助対象として追加されています。
 県ではこれまで、市町村に対しこの補助金の活用を促してきたところであり、補助金が創設された平成30年度から今年度までの活用実績は、19市町村で、補助対象事業費は9、736万円余、補助額が3、230万円余となっています。
 整備された主な資機材は、高視認性活動衣や高性能防火衣など安全確保のための装備、自動体外式除細動器─AEDなど救助活動用資機材等であり、県内消防団の装備の充実、強化につながっているものと認識しています。
 一方で、近年の国の予算額は補助金創設当初と比較して減少しており、活用を希望する一部の市町村は、不採択となる場合もあるところです。このため県では、全国知事会を通じて、国に対し、消防の体制強化や消防防災力を高めるための財政支援の拡充を要望しているところであり、引き続き、必要な要望を行っていきます。
 また、補助金を活用していない市町村に対しては、消防団の活動に必要な資機材を計画的に整備するために有利な補助事業であることを周知し、その活用を促してまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) スマート物流等社会実装促進事業費についてでございますが、県では、人口減少や少子高齢化が進む中山間地域における物流対策として、買い物困難者の割合が最も高い岩泉町をフィールドに、令和元年度から、ドローンを活用した物流の社会実装に向けて、さまざまな条件下での実証実験を行ってまいりました。
 令和4年度からは、大手物流企業の参画も得ながら実用化に向けた実証実験を行い、今年度は、買い物困難者への日用品の配送に加えて、運送効率の低い荷物をドローン配送に置きかえることを想定した実証実験を行ったところでございます。
 来年度からは、物流事業者の時間外労働時間について上限規制が適用され、物流の停滞なども懸念されることから、来年度当初予算案に、共同配送管理システムによる集配の効率化、陸上配送とドローン配送を組み合わせたスマート物流の社会実装に向けた実証実験等に係る予算を計上したところです。
 今後、地元企業及び住民との調整や物流システムの運用体制の整備に関する検討、社会実装を想定した実証実験等を行い、持続可能な地域づくりに取り組んでまいります。
   〔教育長佐藤一男君登壇〕
〇教育長(佐藤一男君) まず、教員のICT指導力の向上についてでありますが、県教育委員会では、初任者研修や中堅教諭の研修等、年代や職位を問わず対象となる者が受講しなければならない悉皆の研修にICT研修を導入するなど、78のICT研修講座を設けており、研修に参加した教員からは、授業ですぐに使える内容である、研修内容の伝達や周知を職場で行いたいといった意見が寄せられています。
 一方、研修会場が遠いことや多忙などの理由により希望した研修を受講できない、さまざまな活用方法について実践的に学びたいなどの声もあり、あらゆる年齢層の多くの教員が、研修を受講することや、活用能力、指導力などに応じた多様なニーズに対応していく必要があります。
 このため、来年度は、GIGAスクール運営支援センターを活用した学校集合研修の拡大やICT活用の実践演習の時間の増加など、研修機会の拡大や研修内容の充実を図ることとしており、引き続き、学校においてICT活用が進むよう、教員の指導力の向上に取り組んでまいります。
 次に、GIGAスクール運営支援センターの整備等についてでありますが、県では、令和4年6月から同センターを設置しており、県内市町村においては、県設置のセンターに参画している四つの市町を含め、今年度、13の市町において設置されています。
 県教育委員会では、県内全ての市町村教育委員会とで構成する岩手県学校教育ICT推進協議会等の機会を捉え、県GIGAスクール運営支援センターへの参画の効果をお伝えしながら、さらなる市町村の参画を呼びかけているところです。
 また、ICT支援員については、16市町村において配置されているところであり、今年度初めて開催された岩手県市町村ICT支援員連携会議において、県内全ての市町村に出席の呼びかけを行い、ICT支援員の活動内容や成果の共有を図ったところです。
 今後も、このような取り組みを継続しながら、学校現場のICT活用を支援するため、さらなる整備、配置を働きかけてまいります。
 次に、特別支援学校の教室不足についてでありますが、令和5年度の調査によると、本県の特別支援学校15本分校のうち4校において32の教室不足が生じておりますが、近年のピーク時である平成24年度の75の教室不足からは、大きく減少してきております。
 また、議員御指摘のとおり、近年の県内特別支援学校の在籍者数は減少傾向にありますが、特別支援学校は、毎年、入学を希望する児童生徒の障がいの状況や学びのニーズに応じて就学先を決定しており、特定の学校に希望者が集中することがあり、このことも教室不足の一因となっております。
 これまでも、教室不足の解消に向けて、特別教室から普通教室への転用や教室の間仕切り等による改修を進め、教育に支障を来さないように取り組んできたところです。
 今後も、こうした教育環境の改善に努めるとともに、特別支援学校への入学に当たっての教育相談において、一人一人の特性や障がいの状況を丁寧に把握し、適切な学びの場の選択ができるよう一層支援してまいります。
 あわせて、令和3年5月に策定した岩手県立特別支援学校整備計画に基づき、施設の老朽化や狭隘化への対策を講じるなど、特別支援学校の教育環境の向上に努めてまいります。
 次に、高等学校における通級による指導についてでありますが、本県の高等学校において、障がいの診断のある生徒及び特別な支援を必要とする生徒の割合は、平成26年度調査で3.0%であったものが、令和5年度調査では6.8%に増加しております。
 本県では、高等学校における特別支援教育の取り組みの一つとして、平成30年度に紫波総合高校において通級による指導を導入し、その後、これまでに前沢高校、大迫高校、雫石高校、種市高校において、順次導入してきたところです。これら通級による指導の実施校においては、教員を加配し、生徒の特性に応じた教育課程を編成の上、特定の時間、別室で個別もしくは少人数での学習を行っております。
 県教育委員会としましては、引き続き、県立高校における特別な支援を要する生徒の在籍状況や校内支援体制等を踏まえて、通級による指導の実施について適切に判断してまいりたいと考えております。
 次に、いじめ対策についてでありますが、いじめは、どの子供にも、どの学校でも起こり得るとの前提のもと、初期段階のいじめであっても積極的に認知することが重要であり、近年のいじめ認知件数の増加については、学校が組織的に対応してきたことも要因の一つと捉えております。
 各学校においては、いじめ認知のため、定期的な児童生徒に対するアンケート調査の実施や早期の聞き取り等による事実関係の把握と関係者間の迅速な情報共有、いじめが判明した際には、児童生徒に対する指導の体制、対応方針の速やかな決定と保護者との連携など、学校のいじめ対策組織を中心に、チーム学校として児童生徒に寄り添った対応に努めているところです。
 県教育委員会では、これまで、管理職や教員を対象としたいじめ問題への理解と対応に係る研修の実施、学校で解決が困難な事案に対する指導主事や専門家によるいじめ問題解決支援チームの派遣、校長等の相談に応じるいじめ対応・不登校支援等アドバイザーの常勤化など、いじめの解消に向けた支援の充実を図っているところです。
 今後も、全ての児童生徒が、安心して学校生活を送り、さまざまな活動に取り組むことができるよう、市町村教育委員会と連携し、学校におけるいじめへの適切な対応に向け取り組んでまいります。
〇10番(高橋こうすけ君) 御答弁いただきありがとうございます。産後ケアに関して、再度質問させていただければと思います。
 超高齢化社会の到来と同時に、2023年の出生数は全国で72万6、000人程度になることや、岩手県では、これまでで最も少ない5万5、000人程度となる見通しになることなど、少子化対策は待ったなしの状況であります。
 現在、国では、子育て支援の強化について、児童手当などの経済支援強化、学童保育や病児保育を含めた幼児教育、保育サービスの強化と産後ケア、一時預かりなど伴走型支援の全ての子育て家庭への支援拡充、仕事と育児を両立する女性の働き方改革の推進の3点を中心とした政策を盛り込んだ法律案を国会に提出したところであります。
 ただ、子育て支援で重要なのは、手当や施設の拡充だけではないと思っております。出産後のお母さんたちを支援する産後ケアの担い手の育成も必須であります。母親の産後鬱や児童虐待の予防も不可欠で、ケアが必要な人への周知も求められています。
 さらに、支援の現場は、人手不足のあおりもあって赤字運営を余儀なくされているという実態も浮かび上がってきています。
 産後ケアは、行政が民間企業の知恵やノウハウを活用して、施設の整備、人材育成をしていくことや地域による切れ目のないサポート体制が重要になると思います。
 そこで、県内での産後ケア事業の内容が市町村の間で差がある状況を見ると、県内で産後ケア事業を実施している事業所を一覧で見ることができるようにすることも必要なのではないかと考えております。各自治体のホームページを検索したときに、産後ケアのページの表示がすぐに検索できること、また、実施施設まで表示されることが、自治体の産後ケア事業への取り組み度合いの深さだと思っております。これは産後ケア施設の利用希望者にとっても、ホームページでわかりやすく詳細な情報を得られることにもつながります。
 岩手県のホームページは、私も調べてみましたが、時間をかけて調べないとなかなか情報が出てきませんでした。このことに関して県の認識をお伺いいたします。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 議員から産後ケアの重要性について御紹介いただきました。私どもも、今後、産後ケアの充実は本当に必要だと考えております。そのためにも、令和4年度から、県と市町村で一緒になって実質無償化の取り組みを行っておりますし、先ほど御答弁申し上げたとおり、令和6年度当初予算案において、一時預かりであるとかアクセス支援の取り組みなどを拡充することとしております。
 一方で、利用者にとっては、住んでいる地域でどのようなサービスが受けられるのかがわかりにくいということは、御指摘のとおりだと思います。今、御指摘のあったとおり、市町村も産後ケアを実施したいと思っているのですけれども、担い手がいなくて、今、構築段階にあり、まだ住民の方々にこういう形ですと十分お示しできていない市町村が多いと理解しております。
 こうした意味で、県の役割として、先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、担い手の育成、確保のための新規事業を盛り込ませていただいたとともに、広域連携という形で、県として、市町村の取り組みをきちんと支援をしていくとともに、議員から御提案がございました利用者、妊婦の方々に、お住まいの地域でこのようなサービスがあるということをきちんとお知らせしていくことは重要なことでございます。今、母子手帳を配布する際には、そういった説明を市町村がされているとは思いますけれども、その辺は、市町村によって差があるのではないかという問題意識を議員からもいただきましたので、こうした状況を県としても十分把握いたしまして、利用者、県内の皆さんに適切に情報提供できるような体制づくりを進めてまいりたいと考えております。
〇10番(高橋こうすけ君) ぜひ、前に前に進めていただければと思っております。
 もう一つ質問させていただきます。知事は、全国トップクラスの子育て支援をするということで、第2子以降の3歳未満児を対象とした保育料の無償化などをスタートしたこと、これは評価するところでございますが、私は、産後ケア事業の県内の実施状況に関して疑問を感じております。
 子供を産んで最初のこの数カ月の一番大変なときに、この産後ケアを通して、お母さんが安心して子育てできる環境を整えることに、まず県は力を入れていくべきなのではないかと私は思っております。
 産後ケアの実施状況は先ほど答弁いただいたとおりでございます。かなり進んでいるとは思うのですが、私は、宿泊型に関して焦点を当てて全国の都道府県別、市町村別の宿泊型の実施施設数の状況を調査しました。調査方法は、2023年11月時点で各都道府県、各市町村のホームページに記載のある施設が対象でございます。
 調査したところ、私も実は驚いたのですけれども、宿泊型の施設が、現在、岩手県には1カ所しかないということでございました。全国で宿泊型が1カ所しかないのは岩手県だけでございます。全国最下位という状況の中で、ほかの都道府県では、民間と連携して宿泊型の施設を設置しているところが数多くあります。
 この宿泊型の産後施設が1カ所しかない状態で、全国最下位という状況で、今、知事が全国トップレベルの子育て支援をしたいと言っているのは、非常に難しい状況なのではないかと私は思っているのですが、知事のお考えをお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県では、県独自の支援として、令和4年度から、市町村が行う産後ケア利用料の無償化に対する補助を実施してきており、さらに、令和6年度当初予算案において、全国でも例が少ない、産後ケア利用時の子の一時預かりや交通費の支援に対する補助を新たに盛り込んだところであります。
 一方、医療機関など地域資源の有無や出生数の少なさなどによる産後ケア事業の利用度の違いなど、圏域ごとに抱える問題が異なりますので、地域の課題等を整理して、医療機関や民間事業者、助産師などとの関係者と議論を深めながら、委託先や活用できる地域資源、宿泊施設等の開拓、助産師等の人材確保を進めていく必要があると考えておりまして、その調整に当たって、県としては市町村を支援していく考えであります。
〇10番(高橋こうすけ君) もっともっと前向きに議論を進めていただきたいと思いますし、やはり実施主体は市町村なのかもしれませんが、計画を立てていくに当たって、県もしっかり一緒になってどうしていくか、これは国でもそのようにしてくださいと指針が出ております。県でもしっかりと、知事もしっかりと、この産後ケア事業に関してもっと関心を持って、これからというところもあるのかもしれませんが、さらにさらに前向きな議論を進めていただきたいと思います。
 私は、子供は国の宝だと思っています。生まれてくる赤ちゃんと、出産という大きな人生の節目を迎えたお母さんたち、その家族を国、行政、民間、そして地域社会がいかに支えていくか、これを県民一人一人に、知事にもこの認識が行き届くことを願って私の再質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって高橋こうすけ君の一般質問を終わります。
   
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時48分散会

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