令和6年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録 |
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〇34番(城内愛彦君) 私は、自由民主党の城内愛彦です。一般質問の機会をいただき、同僚の皆様に感謝を申し上げます。
ことし1月1日、午後4時過ぎに発生した能登半島地震でお亡くなりになりました皆様に謹んで哀悼のまことをささげますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧、復興を願うものであります。 我が岩手県において13年前に経験した東日本大震災津波に際し、日本はもとより、世界中の方々から数え切れない支援をいただき今日の生活があります。北陸地方で被災をされた方々は、あすのことよりも、今をどのように過ごすかを考えることでいっぱいいっぱいかもしれません。だからこそ、同様の震災津波を経験した我が県ができる支援があるのではないでしょうか。 発災直後から段階的に被災地のニーズは変わり、その手助けはできるはずであります。行政サイドの支援やボランティアといった民間サイドの支援など、数えれば切りがないわけであります。 東日本大震災津波直後に議席をいただいた私は、沿岸部の出身ということもあり、諸先輩議員とチーム編成し、ごみ処理の可能な県に災害ごみの広域処理のお願いをする機会がありました。直接県が処理するのではありませんが、県を通じて、ごみ処理のできる市や広域行政処理組合などを紹介していただくためであります。その際、群馬県、新潟県、富山県の3県を県の職員とともに行脚した経験があります。 また、沿岸部の市町村には、日本全国からたくさんの職員の派遣をいただき、道路の復旧や港の復旧を前に進めました。 我が県においては、生活の再建、なりわいの再生、安全の確保を3本柱とし、10年の期間を設け復旧、復興を進めてきました。 県においても、既に多くの被災地への支援が始まっていると思います。復旧、復興のフェーズに応じた息の長い支援が必要と考えますが、改めて、県としての支援をどのように考えているのか伺います。 また、なりわいの再生の一番は、漁業に対する支援であると考えます。能登地方でも多くの漁港が被害を受けました。まずは、本格的な漁港の復旧に向けて、災害査定への対応なども始まってくるものと思います。 漁港の復旧に当たっても我が県の経験を踏まえた支援ができると考えますが、現在の取り組み状況と今後の支援の見通しを伺います。 以下の質問は質問席より行います。 〔34番城内愛彦君質問席に移動〕 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 城内愛彦議員の御質問にお答え申し上げます。 能登半島地震の被災地への支援についてでありますが、県では、国や被災自治体からの支援要請などの情報の一元化を図り、迅速かつ効果的な支援を行うため、1月5日に岩手県応援本部を設置し、職員派遣を初めとしたさまざまな支援を行っています。 また、本県が石川県能登町の対口支援団体となったことを受け、1月18日から現地連絡員を派遣するとともに、21日から住家被害認定調査や公費解体受付業務に当たる職員を市町村とともに派遣しています。 物的支援として、県及び奥州市が共同で段ボールベッドを、宮古市を初め県内市町村も食料品や生活物資を提供しているほか、民間レベルでも、避難所での炊き出しやテント型シャワー室の提供など、被災地が置かれた状況を十分に考慮した支援が行われています。 こうした支援のほか、東日本大震災津波からの復旧、復興に関する経験や知見として、復興計画の策定手法を初め、避難所運営、被災水道の応急復旧、災害廃棄物処理などに関する資料を提供しているところです。 先日、私も被災地を訪問し、石川県知事及び能登町長にお会いして、お見舞い申し上げ、被害状況等を伺うとともに、現地を直接確認したところでありますが、被害は甚大で、復興には中長期的な支援が必要と感じたところであります。引き続き、東日本大震災津波の教訓を生かし、被災地のニーズに応じた支援を行ってまいります。 その他のお尋ねにつきましては、農林水産部長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕 〇農林水産部長(藤代克彦君) 漁港の復旧支援についてでありますが、本県では、東日本大震災津波からの復興に当たり、農林水産分野においても、北陸地方を初め全国から応援職員の派遣をいただいたところです。また、漁港施設等の復旧、復興に関するさまざまな知見や経験があることから、国や石川県からの要請も踏まえ、漁港担当などの技術職員の派遣を行っています。 漁港担当の職員は、1月中旬から2週間を単位に3名ずつ、これまでに延べ9名を派遣しており、漁港施設等の被害状況を調査するとともに、東日本大震災津波での知見や経験を生かし、災害査定に向けた被害調査の方法や復旧計画の策定方法などについて、助言や資料提供を行っています。 今後も、東日本大震災津波の教訓を生かしながら、被災地のニーズに応じた支援を積極的に行ってまいります。 〇34番(城内愛彦君) 能登半島地方の皆様には、本当にこれから頑張って復旧に向けてもらいたいと思っております。どうか息の長い支援ができるように、知事のほうからも力強い支援をお願いします。 次に、知事のマニフェストプラス39について伺います。 知事は、昨年9月の知事選挙において5選を果たされました。岩手県政史上初の知事ということで、お祝いを申し上げます。 当初、いわて県民計画(2019〜2028)をベースに知事選に入ると考えていましたが、突如としてマニフェストプラス39を出されました。これは県民計画という県民に対する公約とは違うマニフェストで、一定の期限とそれに伴う財源が必要と考えますが、これまで新型コロナウイルス感染症の発災後も、いわて県民計画(2019〜2028)の中で対応できると私の質問に答えるくらい自信のあるいわて県民計画(2019〜2028)だったはずなのに、マニフェストプラス39を出されたことについては、私自身、ようやく県民の声に耳を傾けるようになった、我々の意見を取り入れたとも感じたところであります。 マニフェストプラス39の内容は、知事の任期4年間で全てを実現できるものではないと考えます。将来への負担も含め、どのような考えでこのマニフェストを作成したのか、これまでの動きを含めて知事の考えを伺います。 〇知事(達増拓也君) 昨年の知事選挙でお示ししたマニフェストプラス39は、現職の知事として、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期アクションプランのもとで、これをマニフェストまたは公約とすることに加えて、議員御指摘のとおり、新たな施策を求める声もいただきましたことから、さらにプラスとなるような政策を掲げたものであります。 〇34番(城内愛彦君) このいわて県民計画(2019〜2028)との整合性はどのようにお考えか、あわせてお伺いしたいと思います。 〇知事(達増拓也君) マニフェストプラス39に掲げております政策については、今回提案させていただいております当初予算案にも関係の施策が盛り込まれておりますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)や、また、第2期アクションプランの項目にそれぞれ位置づけまして、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランを進める形で、新規事業や継続事業として、このマニフェストプラス39の内容も盛り込んでいるところであります。 〇34番(城内愛彦君) 令和6年度当初予算案については、知事は、最高を更新する予算であるや、希望郷いわて、その先への予算と述べられましたが、令和4年度一般会計歳入歳出決算の附帯意見について、マニフェストプラス39も踏まえて、県の政策として令和6年度の当初予算案にどのように反映されているのか、知事に伺います。 〇知事(達増拓也君) 令和4年度一般会計歳入歳出決算におきましては、附帯意見として、賃上げや物価高騰に対応できるよう効果的な支援策を講じること、人口減少対策に国や市町村と一層の連携を図りながら取り組むこと、厳しい財政状況の中、あらゆる歳入確保策に積極的に取り組むことなどの意見が付されました。 令和6年度当初予算案では、こうした議会からの御意見も踏まえ、これまでの対策に加え、喫緊の対応が必要な賃上げや物価高騰対策、国のこども・子育て政策等に呼応した少子化対策に取り組む町村への伴走的支援等、市町村と一層連携した人口減少対策、全国の自治体をリードするグリーン/ブルーボンドの発行などを盛り込み、現下の危機に適時適切に対応するとともに、人口減少対策に最優先で取り組む予算案を編成したところであります。 加えて、マニフェストプラス39の内容を盛り込み、新機軸の事業として、国内外への岩手県の強みや魅力の積極的な売り込み、相談支援を初めとする公的福祉の拠点整備、いじめ、不登校対策の強化、地域公共交通の維持、確保対策の強化などの事業を展開してまいります。 〇34番(城内愛彦君) 東日本大震災津波発災から13年がたとうとしています。人口減少については、たびたび取り上げてきました。復興事業最優先で進めてきた10年間でありましたが、仏つくって魂入れずの感も禁じ得ません。特に本県沿岸部の人口減少は著しく、その要因は、基幹産業である水産業の不振であったり、若い世代の流出といった複合的な問題が引き起こしていることは一定の理解はするものの、沿岸部の出身として、これまで県に立て続けに課題解決を求めてきたところでありますが、余りにもその対応の遅さが今日の結果となってあらわれていると思わざるを得ません。 知事の演述の中で、日本の地域別将来推計人口をもとに2045年の我が県の推計人口は85万3、120人と公表しました。この推計を受け今後いろいろな対策を講ずると言えますが、その内容も具体的なものが見えてきませんでした。 そこで知事に伺います。人口減少はありとあらゆる問題と通じていく中で、いわて県民計画(2019〜2028)のその先を見据え、次期県民計画に向けた準備が必要と考えますが、ふるさと振興総合戦略に掲げる社会減ゼロの達成も含め、現計画で何をどこまで実現し、次の計画につなげていくのかお伺いします。 〇知事(達増拓也君) 岩手県人口ビジョンでは、人口減少に歯どめをかけ、2040年に100万人程度の人口を確保し、2115年におおむね80万人程度での定常状態を展望しております。 このような中、いわて県民計画(2019〜2028)第2期政策推進プランでは、人口減少対策に最優先で取り組むこととしており、また、国のデジタル田園都市国家構想総合戦略に呼応して、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略を改訂しております。 令和8年度の社会減ゼロの実現に向けては、国や市町村と連携しながら、第2期政策推進プランの四つの重点事項の一つである自然減・社会減対策を強化するとともに、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の4本の柱に基づく13の戦略等を着実に進めてまいります。その上で、将来の定常状態を見据え、合計特殊出生率の2030年1.8、2040年2.07を目指してまいります。 〇34番(城内愛彦君) なかなかその辺の実効性が見えてこない、感じない、私はそう思っています。これまでもそういった観点からいろいろ提言もしてきましたけれども、もう少しスピード感を持った、そして、まさに次の計画につなげていくものを今、既に考え始めなければならない時期に入っていると思っています。そういった観点は、知事はどのようにお考えかお伺いしたいと思います。 〇知事(達増拓也君) この人口減少対策は国を挙げて行っているわけでありますが、まち・ひと・しごと創生法に基づき、まず、国が長期ビジョンと総合戦略をつくり、そして、全ての都道府県と全ての市町村が、同様に人口ビジョンと地方版総合戦略をつくります。 そして、それぞれ、例えば岩手県であれば、この地方版総合戦略の中でKPI―重要業績評価指標を定め、その中には、社会減ゼロや1人当たり国民所得に対する1人当たり県民所得水準の乖離解消というものもございますし、また、合計特殊出生率の向上もこの政策推進目標の中に入りますし、生活満足度が高い人の割合の上昇や、生活満足度が低い人の割合の低下などがあります。 こうしたKPIの実績については、国にも報告するようになっておりまして、国は、そのような地方の動き、目標の達成度合いを見ながら、また、国としても長期ビジョンや総合戦略に基づいて、毎年度の政策を工夫していくことになっております。 残念ながら、過去約10年間、地方創生を進める中、国としても、東京圏への毎年毎年の人口流入10万人をゼロにするというのが、新型コロナウイルス感染症が蔓延した時期に一時減ったのですけれども、基本的には、むしろ10万人を超えて十数万人にまでふえているという、かえって東京一極集中が加速するという状況にはなっております。ここには、東京オリンピック・パラリンピックがあったとか、新型コロナウイルス感染症、そして、物価高騰対策の中、日本全体の経済対策を考える中で、まずは東京都の回復というような政府の方針もあって、こうなってきているところもあるとは思います。 改めて、デジタル田園都市国家構想の中で、このデジタルも活用しながら、今まで以上に、地方がきちんとこの目標を達成しながら、それぞれの人口ビジョンと総合戦略に進んでいけるようにすることとなっておりますので、岩手県としても、その中で全力を尽くしてまいります。 〇34番(城内愛彦君) 全力を尽くすのはもう当たり前で、一丁目一番地であります。知事としての最大の仕事だと私は思っています。ですが、だからこそ、これだけ人口が減っていくことが予想されるわけで、どのように次の計画をつくりながら岩手県民を導いていくのかをお伺いしているわけで、その辺、もう少し知事の思いが私にもわかるように御説明いただければと思います。 〇知事(達増拓也君) この岩手県の人口に関する総合戦略は、日本全体が、まち・ひと・しごと創生と言っているように、まち、地域づくり、地域の魅力を高める中で岩手県は、国の交付金も利用しながら、盛岡市にある県営運動公園にスポーツクライミング施設をつくるなど、世界大会も行えるようなスポーツ振興、これは復興の中で国体を成功させたり、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催を開催させたりという、岩手県の経験にも基づきながら進めているところであります。そのような、まず、まちの魅力を高めることに関して、いわて県民計画(2019〜2028)の10の政策分野に即してさまざま取り組みます。 そして、まち・ひと・しごとのひとは、人に着目し、まさに生きにくさを生きやすさに変えていくための保育料無償化、育児支援金、給与等、それから、産後ケアも今回重視しているところでありますが、人に着目した部分があります。 そして、まち・ひと・しごとのしごとは、仕事をつくることで、地方で稼げる、地方で稼ぎながら暮らしていけるということで、半導体、自動車関連産業集積促進などが顕著でありますが、岩手県は第1次産業も条件に恵まれ、非常に将来性のある分野であります。デジタル、グリーンという要素を入れることで、さらに岩手県の第1次産業を進めてまいります。また、第1次産業、第2次産業に加え、第3次産業の観光が一つの軸になります。 また、スタートアップも、福祉と連携したスタートアップや、また、地域の農林水産物を都会で買ってもらうというような、いわゆるインパクトスタートアップ、社会問題解決型のスタートアップが岩手県では非常に顕著にスタートしているところでありますので、そういったところに力を入れながら、まち・ひと・しごと創生法に基づく国全体のスキームの中で、岩手らしさをこのいわて県民計画(2019〜2028)とアクションプランで進めていきたいと考えております。 〇34番(城内愛彦君) なかなかよくわからないと言ってしまう私がここにいます。 今般示されたマニフェストプラス39で唯一、沿岸部への施設整備として具体的表現をされたのは、いわてリハビリテーションセンターのサテライト施設の沿岸部への整備であります。 医療、福祉の充実はふるさと振興総合戦略推進の一端を担うものでありますが、特に沿岸部のリハビリテーション医療の充実が図られることに大きな期待を寄せております。ぜひ進めていただきたいと考えるものですが、整備に向けた検討状況について伺います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 高齢化が進行する中、脳卒中患者などの予後の改善や社会復帰、在宅高齢者の自立支援などを図る上で、心身機能や日常生活活動などの向上に資するリハビリテーションは、一層その重要性を増しております。 本県の急性期から回復期までのリハビリテーションを実施している医療機関は内陸部に集中しており、また、いわてリハビリテーションセンターの入院患者のうち、県北・沿岸地域の患者の割合は約3割となっております。 いわてリハビリテーションセンターのいわゆるサテライト施設の整備については、岩手県リハビリテーション協議会などの場において、本県のリハビリテーション医療に係る現状、課題を分析の上、県立病院を初めとして、県内の医療機関や関係団体と連携しながら検討を進めてまいります。 〇34番(城内愛彦君) 今、保健福祉部長がおっしゃられたとおり、県北・沿岸地域から多くの方々が内陸のリハビリテーションセンターに来ているわけであります。病気にならないようにという予防もして、なおかつこの状況でありますので、ぜひ、しっかりとした計画を立てて前に進めてほしいと思うのですが、その辺のスピード感も含めて、これからどれぐらい時間がかかるのか。プラス39だってマニフェストですので、一定の期間を決めて実効性のあるものにすべきだと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) やはり、将来にわたりまして、患者の動向も今後2040年に向けて大きく変わってくることが見込まれます。リハビリテーション医療に関しても、急性期から回復期まで、またリハビリテーションも、いわゆる脳卒中にかかわるような身体的なリハビリテーションから、心臓やそういったもののリハビリテーションまでさまざまございますので、今後の医療需要の動向をきちっと精査、分析した上で、どのような機能が将来にわたって必要なのかということ、また、一方で、やはり医療人材、リハビリテーションを担う理学療法士や作業療法士、医師などが不足しているという現状もございますので、そうした点をさまざまな視点で、まずはきちっと精査、分析を行いながら検討を進めてまいりたいと思います。 したがいまして、現時点でいつごろという形で明確に申し上げることはできませんけれども、きちっとした精査、分析を行いながら検討を進めてまいりたいと考えております。 〇34番(城内愛彦君) 知事は演述の中で、人口減少問題を初め、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる施策を推進するに当たっては、県と市町村の連携が重要と述べました。また、県と市町村が構築してきた重層的な連携体制を生かし、地域の実情や課題に応じた施策を一層進めていくと話されました。 人口減少問題や地域の実情や課題を踏まえ、どのようにして市町村と政策を共有し連携を図っていくのか、お伺いしたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 人口減少対策を始め、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに掲げるさまざまな施策等を推進していくためには、県と市町村の連携が重要であるという認識のもと、さまざまな取り組みを進めているところであります。 これまで、県・市町村トップミーティングや県・市町村連携推進会議の開催等により、市町村長、副市町村長などのトップレベルによる重要施策の情報共有や意見交換を行うとともに、各施策の実施においては、部局単位での課長会議等の開催により、重層的な連携体制を生かして市町村と連携した施策の推進を図ってまいりました。 令和6年度からは、本庁と各広域振興局に特命課長を設置して、広域振興局を拠点として、市町村と一体となった集中的かつ効果的な人口減少対策を一層推進していくこととしております。 引き続き、知事と市町村長との情報共有、意見交換の機会を活用しながら、人口減少対策を初め、地域が直面する喫緊の課題解決に向け実効性のある取り組みを推進してまいります。 〇34番(城内愛彦君) ぜひ、各市町村との連携は力強く進めてほしいと思っています。これまでも議会でたびたび取り上げられましたが、知事と各市町村長が対話するというのは、まさにそこから大きな意味でのつながりが出てくるわけですし、現場にある課題を解決する上で、これ以上にないチャンネルだと思っています。ぜひ、特命課長を置くことも大事ではありますが、屋上屋にならないような仕組みにしてほしいと思いますが、再度、その辺はいかがでしょうか。 〇知事(達増拓也君) やはり行政同士の連携でありますから、究極的には予算や人事というような、お金や人の部分での制度的な連携、協力が効果を発揮するものと考えております。そのような予算と人に関しては、やはり首長が、自治体を代表して最終的に責任を持っておりますので、首長間の連携をさらに大事にしていきたいと思います。 〇34番(城内愛彦君) そこは本当に期待をするところであります。 次に、県立病院の果たす役割は大きく、地域の命を守るとりでであります。これまでもたびたび地域の医療のあり方について取り上げてきたところでありますが、医師や看護師の確保の状況について、県の考え方や医療資源の確保などが、地域医療を守るものと考えてきました。ですが、医師の働き方改革もいよいよ始まり、地域のかかりつけ医との連携強化なども課題の一つであります。 先日行われた宮古地域県立病院運営協議会において、恒常的な薬剤師の不足が話題となりました。県立病院全体として、薬剤師の充足の状況はどのようなのか、医師、看護師の充足状況とあわせて伺います。 あわせて、看護師、薬剤師の募集については、春季、秋季、冬季の年3回の募集も行い、その確保に努めているとは承知していますが、課題解決に向けた取り組み状況と見通しについて伺います。 〇医療局長(小原重幸君) 県立病院の医療従事者の確保状況についてでありますが、医師につきましては、現行の県立病院の経営計画において、令和元年度から令和5年度までで66人の増員目標に対し、令和6年1月1日現在で83人の増となっており、着実に増加しているところであります。 また、看護師につきましては、令和元年度から令和5年度までで41人の増員目標に対し、令和5年4月1日現在で44人の増。同じく薬剤師については、16人の増員目標に対し12人の増となっており、薬剤師については目標に届いていない状況でございます。 看護師、薬剤師確保に向けた取り組み状況と見通しにつきましては、議員御紹介のとおり、春季、秋季、冬季の年3回の採用試験を実施し、受験機会の確保に取り組んでいるほか、試験日程や内容の見直し、試験会場の複数化、受験年齢の上限の引き上げなど、受験者の負担軽減を図りながら、より多くの受験者を確保するための取り組みを実施してきたところであります。 生産年齢人口の減少に伴いまして、医療従事者の確保について全国的に厳しい状況が続くことが見込まれているところですが、県内外の各種養成校の訪問や就職説明会において、県立病院の役割や県立病院で働くことの魅力を伝えるとともに、SNSなどを活用した情報発信にも力を入れながら、引き続き医療従事者の確保に取り組んでまいります。 〇34番(城内愛彦君) ぜひ、しっかりと対応していただきたいと思います。せっかく採用しても、途中でやめる方々も結構いらっしゃる。数字上はふえてはいるけれども、恒常的に医療資源の不足が見てとれます。ぜひ、その辺もしっかりと対応をお願いしたいと思います。 次に、知事は昨年の知事演述の際に、県立病院に対し200億円余の財政負担を表明しました。なぜこのタイミングで、知事の言葉としてあえて県民に発信するのか、驚きもありました。 今後進む人口減少社会において、20の県立病院が将来にわたり維持し続けられるのか不安であります。県立病院のあり方について、展望を知事にお伺いします。 〇知事(達増拓也君) 本県においては、これまでも高度医療や救急医療の提供のほか、医療資源の状況から県立病院が初期医療等の役割も担うなど、県民福祉の増進のため最も重要な社会基盤を、県が直接県民に提供してきたところであります。 現在策定を進めている次期保健医療計画では、人口減少に伴う患者数の減少、医療の高度、専門化などの環境の変化を踏まえ、地域において身近な医療を受けられる体制を確保するとともに、がんや脳卒中、心血管疾患などについては、二次保健医療圏とは別に、広域的な疾病、事業別医療圏の設定を検討しているところであります。 県立病院では、来年度、次期経営計画の策定を行うこととしており、今回の保健医療計画の内容を踏まえ、引き続き、そのネットワークを生かしながら、環境の変化に応じた役割や機能の見直しを図り、県全体の医療提供体制の中で主要な役割を果たしていく必要があると考えております。 〇34番(城内愛彦君) また、ハイボリュームセンターに対する考え方を伺います。日々進化する医療については門外漢でありますが、今後できるであろうハイボリュームセンターは、現行ある県立病院とのあり方とどのような関係性を持たせながら開設していくのか、お伺いしたいと思います。 〇医療局長(小原重幸君) ハイボリュームセンターの整備についてでありますが、人口減少や医療の高度化、専門化など、医療を取り巻く環境の変化に加え、医師を初めとする医療従事者の確保は一層困難になっており、県内で高度、専門的な医療を安定的に提供できる体制を確保していくためには、限られた医療資源を効率的に活用していくことが必要であると考えております。 県立病院におきましては、まずは既存の中核的な病院に高度、専門的な手術機能等を集約し、疾病ごとに症例数の確保を図りながら、ハイボリュームセンターとしての役割を果たしていくことを検討することとしております。 こうした取り組みを進めながら、症例数や手術件数の推移、患者動向の変化等の状況を分析し、将来の設備整備について検討してまいります。 〇34番(城内愛彦君) ぜひ、県民に安心・安全が保たれるような、担保されるような仕組みにしてほしいと思いますし、そういった機能が1カ所に集中、集約されることによって不安を感じる県民もいるかもしれません。ぜひ、そういったことのないような、しっかりとした説明も含めて進めてほしいと思います。 次に、これまで地域医療を支えてきた地域の診療所、医院も高齢化等で減少していく中、県立病院も含め地域医療をどう担保していくのかお伺いしたいと思います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 議員御指摘のとおり、かかりつけ医機能を担っている地域の民間医療機関においては、医師の高齢化や後継者不足に加え、人口減少に伴う患者数の減少などの課題があるものと認識しております。 このように医療を取り巻く環境が変化する中、県では、急性期医療から在宅医療に至るまで切れ目のない持続可能な医療提供体制を構築するため、身近な医療については、引き続き、地域密着で安心して医療を受けられる体制を確保するとともに、県民により質の高い高度、専門的な医療が提供できるよう、現在、次期岩手県保健医療計画の策定を進めているところでございます。 今後、保健医療計画の推進に当たりましては、県立病院や民間医療機関、介護関係者、市町村などで構成されます地域医療構想調整会議などの場におきまして、病床機能別の医療機関の役割分担や急変時の受け入れ、退院調整などの医療と介護の連携を初めとした地域医療を守っていくための議論を各地域で行いながら、計画の達成に向けた取り組みを進めていく考えであります。 〇34番(城内愛彦君) ぜひ、いい方向に進むようにお願いします。 次に、水産業の振興について伺います。 本県のサケ増殖事業は、昭和50年代からふ化場が整備され、その後4億尾の稚魚放流体制が確立したことにより、サケの漁獲量は平成8年度に7万トンを超え、金額も平成2年度には240億円を記録し、漁協経営や地域経済を支える重要な産業となりました。 また、東日本大震災津波や近年の大雨洪水被害により、ふ化場が壊滅的な被害を受けた際にも、国、県の力強い支援によりふ化場が復旧し、4億尾の放流体制が再構築され、沿岸地域では、サケ資源の増大による水産業並びに関連産業の振興に大きな期待を寄せたところであります。しかしながら、近年の海洋環境が変化し、基幹魚種である秋サケは記録的な大不漁に見舞われています。 収入減となるサケの水揚げが減少することによって、サケの定置網漁業を主体とする本県の沿岸漁業は、ふ化場の運営経費の確保が大変厳しい状況に置かれるなど大きな危機に直面し、水産加工業を含む地域の経済は大打撃をこうむっております。 このような状況に対し、一部ではサケにかわる別の魚種に完全シフトすべきとの意見が出ていますが、なかなか難しいことは、定例会、予算、決算特別委員会等で実情を訴えてきたところであります。 本県の水産業の振興を考えるとき、今後もサケ資源の復活に向けて取り組むことが本県水産業の振興を図る上で重要だと考えますが、知事は、サケ資源の増殖事業についてどのような認識をお持ちか、また、今後具体的にどのように取り組むのか、お伺いします。 〇知事(達増拓也君) 本県の水産業は沿岸地域の基幹産業であり、東日本大震災津波により被害を受けた生産基盤が着実に復旧、復興してきた中で、本県の主要魚種であるサケの不漁は、サケを主な漁獲対象とする定置漁業に依存する漁協や、ふ化放流事業に依存する内水面漁協、さらに、原料不足となる水産加工業者など、生産から流通、加工に至る関係事業者の経営に深刻な影響を及ぼしております。 このため県では、サケ資源の回復と持続可能なふ化放流体制の構築を目指し、サケ資源の回復、ふ化場の生産機能の集約化、ふ化場施設の有効活用の取り組みを支援しています。 サケ資源の回復に向けては、稚魚の生産に必要な種卵の確保とともに、生き残る率の高いとされている大型で強靱な稚魚の生産と適期の放流を推進しております。 また、ふ化場については、採卵から放流までを担う拠点ふ化場と拠点ふ化場を補完する地域ふ化場に区分し、種苗の生産機能の集約化を進めるほか、ふ化場施設の有効活用に向けたサケ、マス類の海面養殖用種苗の生産などを推進しております。 今シーズンのサケの漁獲は依然として厳しい状況にありますが、北海道などからの種卵の確保に努め、目標の約7割を確保し、現在、各ふ化場において大型で遊泳力の高い強靱な稚魚の生産を進めており、県としては、今後とも、サケ資源の早期回復と持続可能なふ化放流の実現に向け、市町村や関係団体と連携しながら全力を挙げて取り組んでまいります。 〇34番(城内愛彦君) サケは4年たたないと帰ってこない魚でありますので、将来に向けた投資になるわけでありますので、ぜひしっかりと事業を進めていただきたいと思います。 次に、漁業協同組合の経営状況を踏まえた水産業のあり方について伺います。 令和6年1月10日現在のサケの漁獲量は130トン、前年比30%と大きく落ち込んで過去最低とのことで、サンマ、イカなどの主要魚種も軒並み大不漁の状況が続いており、自営定置網漁業により経営を支えている漁業協同組合にも深刻な影響を及ぼしている状況にあります。 この大不漁は、黒潮が岩手県沖まで北上するなど、近年の海洋環境の激変等に起因するものであり、この状況は今後も同様と予想されることから、自営定置網漁業の収益に依存する漁業協同組合の財務状況は、さらに悪化が予想され、大変心配しております。 漁業協同組合の経営が成り立つような今後の水産業のあり方について、知事はどのような考えをお持ちかお伺いしたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 県内の漁協は、サケ等の不漁により、定置漁業において十分に収益を確保できず、漁協経営は依然として厳しい状況が懸念されます。 本県の漁協は、水産振興の中核的な役割を担っており、将来にわたり組合員の負託に応えていくことができるよう、経営基盤を強化していくことが重要であります。 このため県では、県漁連等で組織するJF経営指導岩手県委員会に参画し、漁協の経営基盤強化に向けた経営改善計画の策定指導とともに、資金繰りの改善に必要な借りかえ資金への利子補給のほか、経営基盤の強化に活用可能な国の金融支援事業の活用を進めています。 また、漁協の収益の中心となる定置網等の漁業自営事業と水産物の販売事業の強化に向け、サケやアワビの資源回復、ウニ等の増加している資源の有効利用、サケ、マス類の海面養殖など、新たな漁業、養殖業の導入を推進しています。 これまでの取り組み等により、県内では、ウニ資源の畜養、出荷が12漁協で、サケ、マス類の海面養殖が6地区で行われており、来年度、サケ、マス類の海面養殖は、9地区で2、000トンを超える生産が計画されています。 さらに、漁協の販売事業の強化に向け、来年度は漁協役職員を対象とした水産物のブランド化や新たな商品開発、販路開拓等の先進的な取り組みを学ぶセミナーなどの開催を予定しており、引き続き、漁協の経営安定と強化が図られるよう積極的に支援してまいります。 〇34番(城内愛彦君) 少し具体的にお伺いします。近年、沿岸部の定置網にクロマグロが入り出しました。ですが、漁獲可能数を遵守するためにクロマグロの放流をしなければなりません。その状況はどのようになっているのかお伺いします。 あわせて、その補償や今後の漁獲可能量の拡大を望む声が現地からあるのですが、その見通しについてお伺いしたいと思います。 〇農林水産部長(藤代克彦君) クロマグロについてでありますが、県では、県資源管理方針に基づき、クロマグロの漁獲可能量の超過が懸念される場合、定置漁業者等に対し漁獲自粛を要請しており、昨年度、漁業者から報告のあった放流数量は約740トンとなっています。 放流による収入減少について、クロマグロの資源管理を計画的に実施した場合には、漁業共済と積立ぷらす等の漁業収入安定対策事業により、クロマグロ以外も含めた定置網の年間漁獲金額を対象に、過去の漁獲金額に基づいた額の最大95%までの補填を受けることが可能とされているほか、国事業を活用した放流作業への支援を進めています。 県ではこれまで、国に対し、クロマグロの大型魚の漁獲可能量の配分方法の見直し等を要望してきたところであり、現時点で来年度の漁獲可能量の当初配分は昨年度と同水準であることから、追加配分の動向を注視するとともに、今般、見直しされた小型魚から大型魚への振りかえ数量の引き上げにつきましては、これまで10%だったものが30%というような形で引き上げをされたものでございますが、こういった新たな仕組みを活用するなど、大型魚の漁獲可能量が増加するよう取り組んでまいります。 〇34番(城内愛彦君) 現地、現場の方々は、これまでとれなかったクロマグロが定置網に入ると、大変喜びを感じるのだそうです。それをまた放流しなければならないというのは心が折れてしまうという話があります。ぜひ、そういったことも踏まえて、今後見直しがあるだろう漁獲枠の拡大について、県としてもう少し力強い交渉をしてほしいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。 〇農林水産部長(藤代克彦君) クロマグロの漁獲枠の拡大についてでございますが、クロマグロの配分につきましては、都道府県に配分されるもの、それから、大臣承認というような形で全国一律で承認されるものと大きく二つございます。 全国で配分されるものについては、クロマグロがかなりとれている状況なので枠がないのですが、都道府県の分については、幾らか余裕があるような県も見受けられますので、こういった配分枠を譲っていただけないかというようなことを、昨年度は4回ほどお願いしたところですが、なかなかうまくいかなかったというようなところがございます。 ただ、一方で、世界的に資源管理が行われているものでありますので、令和7年度に向けましては、そういった世界的な枠の見直しを行うというようなことが今時点で表明されていますので、そういったところに向けまして、本県への配分枠がふえるように、引き続き、国にさまざま働きかけていきたいと考えているところでございます。 〇34番(城内愛彦君) 水産業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。今こそ、とる漁師と買って加工する加工業者等の川上から川下までの連携が必要と考えます。県として、関係者が一堂に会する水産会議のような新たな仕組みづくりをしてはいかがかと思いますが、県の所見を伺います。 また、あわせて、新年度予算案にある海業について伺います。前段の川上から川下までの連携に関しても、この海業に期待をするものですが、今年度の取り組みと地域理解を深めるための県の取り組みについてお伺いします。 〇農林水産部長(藤代克彦君) 県では、地域の水産業の活性化に向け、生産、流通、加工分野の連携を強化していくため、漁業者、水産加工業者等を対象とした意見交換会やセミナー等を開催しています。 これまでの取り組み等において、水揚げが増加しているマイワシや海面養殖のサケ、マス類を活用した商品開発、未利用資源の活用、加工用原料の確保などについて情報共有が図られてきたところです。 城内愛彦議員御提案の川上から川下までの連携については、重要な取り組みであり、水産関係団体の意見等も伺いながら、今後どのような対応が可能か研究してまいります。 また、海業について、現在、山田町の織笠漁港などにおいて、漁業体験や潮干狩りなど、水産業と観光を一体的に振興する計画の策定が進められております。 県では、こうした地域が取り組む海業のビジネスモデルづくりへの支援や、海業の理解醸成に向けたシンポジウムの開催などに必要な経費を当初予算案に盛り込んでおります。 今後とも、水産業の収益力強化と漁村の活性化に向け、関係機関、団体と連携しながら積極的に取り組んでまいります。 〇34番(城内愛彦君) 令和5年9月定例会の決算特別委員会において、水産加工業者の窮状を訴え、東日本大震災津波の際に整備した冷蔵庫に物が入らない内陸部の業者と連携して、あいている手持ちの冷蔵庫を活用することや、水揚げから加工、販売まで一歩踏み込んだ仕組みづくりが必要ではないかと質問しました。 さまざまな関係者が連携を行う仕組みづくりについても検討するとの答弁であり、農林水産部と連携した取り組みを力強く進めてほしいと期待するものです。 新年度予算案への反映の状況も含め、商工観光労働部の取り組み状況について伺いたいと思います。 〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 令和6年度当初予算案においては、水産加工業連携新活動促進費補助として、水産加工業者などが共同して行う新商品の開発や、内陸の企業が沿岸部の水産加工業者の冷蔵設備等を活用するといった他社、他エリアの企業と連携した事業活動を支援していくための取り組みを、新たに盛り込んだところでございます。 主要魚種の不漁やエネルギー、原材料価格の高どまりなどにより、沿岸部の多くの水産加工業者が厳しい状況にあり、これらの方々からは、今後は、地域の垣根を越えた複数の事業者が共同で原料調達、加工、運搬、販路拡大などに取り組む必要があるといった声を直接伺っております。 今般の取り組みを契機といたしまして、沿岸部の水産加工業者の経営の維持、発展に向け、引き続き、関係者の意見を伺いながら、環境変化に対応した適時適切な支援を、庁内はもとより、関係機関、団体と連携して行っていきたいと考えております。 〇34番(城内愛彦君) ぜひ、垣根を越えても何にしても、しっかり前に進めてほしい案件でありますので、よろしくお願いします。 人口減少については前段でも取り上げましたが、どの分野にも影響があります。これまでも少子化による地域における学校のあり方は取り上げてきたところでありますが、事は深刻化しています。 岩泉町の小学校の統合により通学が片道1時間かかるというような事例もあります。小規模校の維持も難しくなってきています。県立高校も特色ある教育活動に取り組んでいますが、どの取り組みも、子供の減少速度に追い越されるのも時間の問題に見えてしまいます。地域間での子供の奪い合いに陥っています。 過日、新聞報道により県立高校への志望状況が公表されました。史上最低の競争倍率との公表であり、驚きを隠せませんでした。果たして子供の適正な教育環境が維持されると言えるのか。本県の昨年の出生数も5、500人と推計が出され、この年代の子供たちが高校入学時の準備も急務であります。 また、令和3年に策定した県立高等学校再編計画後期計画では、地域の小規模校を維持することや教育の質の確保に向けて取り組んでいく方針が示されており、あわせて高校魅力化に向けた取り組みも推進されているところです。 今後、一層子供たちが減っていく中で、県立高校の望ましい学校の規模と配置及び小規模校の存続について、どのように考えているのかお伺いしたいと思います。 〇教育長(佐藤一男君) 県立高校の学校規模や配置等についてでありますが、県立高等学校再編計画後期計画では、本県の地理的条件を踏まえ、どの地域に居住しても高校教育を受けられる機会の保障と、将来の高校生も充実した高校生活を送ることができる環境の整備を目指し、地域の小規模校を維持した上で、高校魅力化の推進や教育の質の確保等に取り組んでいるところです。 他方、令和5年度における全日制県立高校62校の募集学級数を見ると、1学年3学級以下のいわゆる小規模校が32校となっており、今後も見込まれる中学校卒業者数の一層の減少に伴い、学校の小規模化への対応が必要であると認識しております。 高校時代は、社会に羽ばたこうとする段階の人間形成期であり、学力の向上並びに社会性や協調性の育成等に向けて、生徒同士が切磋琢磨できる教育環境を残していかなければならないと考えております。 現在、この後期計画期間後を見据え、県立高等学校教育の在り方検討会議を開催し、県立高校の学校規模や配置、小規模校のあり方等について、外部の有識者から意見をいただいており、今後、地域の方々等の意見も伺いながら、子供たちにとってよりよい教育環境の整備に向け、丁寧な議論を進めていきたいと考えております。 〇34番(城内愛彦君) ここは大事な部分であります。子供たちを中心に物事を考えてほしいということについては私の持論でありますけれども、ぜひ真ん中に子供たちがある教育環境をつくってほしいと思いますが、その辺の考え方はいかがでしょうか。 〇教育長(佐藤一男君) この検討会議でも、現在さまざまな議論がなされております。最低規模の基準は1学年2学級にすべきとか、一定の学校規模が必要だという意見もございますが、一方で、地域においては、県立高校が大きな役割を果たしているという意見もございます。 いずれ、生徒たちにとって最もよい教育環境を残していくにはどうしたらいいかということについて、関係者を初め地域の方々からも御意見を頂戴しながら、丁寧に議論を深めてまいりたいと考えております。 〇34番(城内愛彦君) 2点目は、高校再編に伴う通学支援についてであります。今後、県立高校の統合や学科改編が行われた場合、通学負担の増加が見込まれる子供たちがふえてくることが想定されます。通学に対する補助、寮、下宿等に対する支援などが必要と考えますが、教育長のお考えをお伺いします。 〇教育長(佐藤一男君) 高校再編に伴う通学支援についてでございますが、現後期計画におきまして、計画に基づく県立高校の統合により、公共交通機関による通学の費用が大幅に増加する場合や通学が困難になる場合には、他の地域との公平性も考慮した上で、通学支援策の導入を検討することとしております。 また、現在開催しているこの県立高等学校教育の在り方検討会議におきましても、広大な県土を有する本県の通学事情等を考慮すると、学校統合を行う場合で、かつ、通学が困難となる場合には、市町村と連携した通学支援を行うことが必要ではないかという観点での検討も行っているところです。 当該検討会議における意見や地域等の意見を広く伺いながら、通学支援のあり方についても丁寧に検討してまいりたいと考えております。 〇34番(城内愛彦君) 海のことを勉強したいということで、宮古市に下宿している内陸の子供がいます。そのことをたまたま宮古市長が聞いて、来年からは下宿の半額ぐらいは補助しようではないかという話をされていました。それぐらい、子供たちを本当に大事にする姿勢が各地域にはあります。 そういったことも踏まえて、しっかりとした県としての明確な支援策を子供たちに示すことによって、安心して進学、通学できる状況ができるわけでありますので、そういった点について再度お伺いしたいと思います。 〇教育長(佐藤一男君) 高等学校への通学につきまして、地元市町村からもさまざまな御支援をいただいているケースがございます。スクールバス等による支援、定期券購入等の支援あるいは寄宿舎、寮等を整備しているということで御支援いただいているケースもございます。 先ほど申し上げましたとおり、今後のあり方について、通学支援等、広く有識者あるいは地元の方々からも御意見を伺いながら、あり方について丁寧に議論してまいりたいと思います。 〇34番(城内愛彦君) 次に移ります。 令和6年能登半島地震を目の当たりにして、改めて道路の必要性を感じたところであります。東日本大震災津波の際にも、瓦れきや道路の決壊、土砂崩れなどで目的地にたどり着けない、支援物資の搬送に使えないなどを思い出したところであります。 能登半島を中心とする北陸地方の方々が直面している状況にお見舞いを申し上げ、必ずその出口はやってくると、我々の経験を被災地の皆様にお伝えしたいと思うところであります。 我々の住む地域は、常に地震災害と隣り合わせであり、その備えを怠ってはいけません。特に道路の整備は重要課題と考えます。我が宮古市の主要地方道重茂半島線、県道41号は、復興関連の事業として、被災した地域の部分改良にとどまる。そして、来る日本海溝、千島海溝地震に対しての備えも必要であり、改めて主要地方道重茂半島線の道路改良の必要もあると考えますが、その改良の取り組みについて伺います。 〇県土整備部長(加藤智博君) 主要地方道重茂半島線は、重茂半島を周回する唯一の路線であり、地域の産業や日常生活を支える重要な路線と認識しております。 東日本大震災津波後に、7区間、15.2キロメートルの整備に着手し、令和2年度までに全区間の整備が完了したところであり、これにより、東日本大震災津波の浸水域を回避するルートを確保いたしました。 その他の未改良区間につきましては、震災後に整備した区間の効果や利用状況の変化を調査するなど、その状況を見きわめながら研究してまいりたいと思います。 〇34番(城内愛彦君) 重茂半島には重茂漁協があります。そこは全国に誇れる優良な漁家の地域であります。産業にもすごく寄与する道路でありますので、ぜひ、そういったことも踏まえて、地域の漁協が成り立つ、残る、そして、子供たちが安心してそこに住んで暮らせるようにするためには道路の改良は必要だと思うのです。そういったことも踏まえて、ぜひ、いずれそういうことをというのではなくて、前向きにこの部分を少しずつでもいいですので、しっかりとした改良に努めてほしいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。 〇県土整備部長(加藤智博君) 改良の状況につきましては先ほど御答弁申し上げましたとおりですが、この主要地方道重茂半島線に関しましては、未改良区間を含む路線全体につきまして、定期的な道路パトロールや防災点検などを通じ、引き続き、安全な通行の確保に努めていきたいと思います。 一方で、やはり道路ネットワークの整備を初めとします社会資本の計画的な整備には国費の確保が重要であることから、令和6年度政府予算提言・要望において、公共事業予算の安定的、持続的な確保について国へ要望しているところでございます。 今後とも、さまざまな機会を捉えて、公共事業予算の確保を国に働きかけるとともに、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算も活用しながら、災害に強い道路ネットワークの構築に取り組んでまいります。 〇34番(城内愛彦君) 次に、改良済みの道路の安全対策である携帯電話の不感地帯解消の状況について伺います。 道路は改良されても、何かあった場合にラジオも携帯も不感地帯ということではいけないと思います。道路管理者として、整備を行う移動通信基盤整備協会との協議、国や通信業者への要請を行っているものと思いますが、国道106号及び国道340号の道路トンネルにおける携帯電話の不感地帯解消の取り組み状況をお伺いします。 〇県土整備部長(加藤智博君) 道路トンネル内の携帯電話用の通信設備につきましては、公益社団法人移動通信基盤整備協会が、総務省の補助事業等を活用し整備を進めており、今年度、国道106号の宮古市の古田トンネルなど六つのトンネルで通信環境が確保されるとともに、国道106号の宮古市の岩井第一トンネルなど三つのトンネルと国道340号の宮古市の立丸第一トンネルなど二つのトンネルで設備の整備が完了し、一部の通信事業者により通信環境が確保されました。 道路管理者としましては、今後も関係部局と連携しながら、国や事業者に働きかけるなど、道路の通信環境等の確保に努めてまいります。 〇34番(城内愛彦君) 引き続きこれはお願いします。 そこで、山間部などにおける携帯電話不感エリアの解消に向けた取り組み状況については、ふるさと振興部長にお伺いしようと思いますが、いかがでしょうか。 〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 山間部等におきます携帯電話の不感地帯解消につきましては、県民や来訪者の皆様の安全、安心の確保の観点から重要な課題と認識しております。 毎年、市町村に対して不感エリアの調査を実施しております。この調査結果に基づき、県内の不感エリア、そして、これに係る市町村の整備の意向等を把握しているところでございます。 これを踏まえ、市町村と通信事業者の調整が整った案件から、順次、国庫補助事業を活用し、不感エリアの解消に努めているところでございます。 今後におきましても、整備が必要なエリアについては、市町村と連携し、毎年度、国や通信事業者に対して整備促進の要望を行うとともに、条件不利地域において通信事業者が独自に行う基地局整備に対する支援制度の拡充について、国に要望を行っているところでございます。 今後も、道路周辺における不感エリアの解消が進むよう、庁内関係部局及び市町村と連携しながら、継続して国や通信事業者に働きかけを行ってまいります。 〇34番(城内愛彦君) 今後、国道106号においても2カ所ほど道路改良が行われる予定であります。その際には、ふるさと振興部とも連携を図っていただきながら、できた途端に利用できるような環境を整えてほしいと思いますが、県土整備部長、いかがでしょうか。 〇県土整備部長(加藤智博君) ただいまお伺いいただきました田鎖蟇目道路と箱石達曽部道路、この二つの区間には9箇所のトンネルが計画されており、供用時点におけるトンネル内の通信環境の確保につながるよう、移動通信基盤整備協会に計画内容について情報提供を行うなど、道路管理者としましても道路の通信環境の確保に努めてまいります。 〇34番(城内愛彦君) 次に、国道340号の未改良区間の整備について伺います。 国道340号は、北は八戸市から南は陸前高田市までをつなぐ全長245キロメートルで、重要な国道であります。これまでも長年にわたり改良が行われてきましたが、残された未改良の区間は宮古市和井内と岩泉町浅内地区間の10キロメートルほどを残すだけとなりました。この区間の改良については、両市町を中心とした関係者により、毎年、国道340号宮古岩泉間整備促進住民総決起大会が宮古市と岩泉町で交互に開催されています。コロナ禍のときを除いては、毎回1、000人ほどの両市町の住民がその開通を願い集います。 県においては、知事への案内に対し、県土整備部長または県土整備部の技監の代理出席であります。国会議員も参加する中にあって、公務多忙の中、県民の代表である知事が出席するのは、住民悲願の開通式のときになるのでしょうか。その点について知事にお伺いしたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 国道340号は、北上高地を縦断する唯一の緊急輸送道路として、沿線地域の住民の生活はもとより、防災や地域間交流においても重要な役割を担う路線であることから、県ではこれまで、宮古市と岩泉町間の押角峠工区などの整備を進めてまいりました。 現在は、宮古市の和井内―押角工区や岩泉町の浅内工区において、地域の御協力をいただきながら整備を進めているところです。 住民総決起大会への出席については、県内には国道340号を初め約50の道路整備を求める団体があるため、各団体が主催する個別の行事への出席はかないませんが、いただいた御要望や地域の思いをしっかりと受けとめて、国道340号の整備に努めてまいります。 〇34番(城内愛彦君) 全部出ろというわけではありませんが、順繰りに定期的に回る。完成するまでは相当の年月がかかると思っています。先ほど前段でもお話しましたとおり、市町村の連携というのは、まさにこういうところにあるのではないかと思っています。 こういった機会を通じて、地域の首長としっかりとした懇談も図られるでしょうし、まさにそういったときに相乗効果というのがあらわれるのではないかと私は思うのですが、その辺の知事のお考えを再度お伺いしたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 近年、幾つかの道路については、市町村と合同で国への要望を行っておりまして、令和4年ですと、国道4号の盛岡南道路について、私と盛岡市長、矢巾町長、また、盛岡商工会議所会頭や矢巾町商工会会長、岩手医科大学理事長とも一緒に、国土交通省、そして財務省に要望しております。 令和3年ですと、宮古市長とともに、宮古盛岡横断道路を国土交通省に要望しておりますし、令和2年ですと、国道4号の北上花巻道路、そして、宮古盛岡横断道路の田鎖―蟇目を花巻市長、北上市長、宮古市長とともに国土交通省に要望するなどしております。 この国に要望する段階で、ここというところでは、しっかり目に見える形での知事と市町村長との共同での要望を行っているところでありまして、それぞれの道路について、早い段階でこのようなところに持っていくことができるよう、日々調整をして進めていきたいと思います。 〇34番(城内愛彦君) もちろん市町村長との連携というのは、まさにそこを越すものはないと思っていますが、県民である地域住民が参加していることもあり、そういった方々に、あなた方がやっていることは間違いない、しっかりと私も応援をするのだという意思表示こそ知事がする仕事ではないかと私は思うのですが、その辺の考え方はどうでしょうか。 〇知事(達増拓也君) ただ、50ある団体の総決起大会、道路だけではなく、砂防でありますとか治水でありますとか、期成同盟会というものはさまざまあるのですけれども、知事の出席を前提に行われているものはないのが実態です。しかし、道路の整備はやはり重要でありますので、総合的に考えながら対応を決めていきたいと思います。 〇34番(城内愛彦君) もちろんそういうことはわかってお伺いしているわけで、だからこそ、順繰りでもいいという話をしたわけでありますので、ぜひ、そういったことも前向きに検討していただければと思います。 次に、港湾振興について伺います。 宮古─室蘭フェリー航路は2018年6月に開設され、2020年3月31日をもって、当面は宮古港への寄港を休止するとの唐突な発表がありました。 2018年9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震の発災時には、宮古─室蘭フェリーの宮古港からの出港をおくらせながらも、岩手県中の消防本部が宮古港に集結して、宮古─室蘭フェリーを利用してその支援に向かいました。まさに、北海道が海を挟んで隣町であることを実感した瞬間でありました。いろいろな面で、これから将来にわたって北海道と我が県の交流の可能性が見えたやさきの話でありました。 そのフェリー航路の宮古港への寄港休止から間もなく4年になります。宮古市はもとより、関係する皆様にとって、この上ないショックであったことは間違いありません。 三陸沿岸道路も2021年12月18日に全線開通しました。なぜこのタイミングでの航路開始でなかったのか、甚だ疑問でなりません。以前も宮古─室蘭フェリー航路の再開について述べましたが、当時の川崎近海汽船の社長の話では、先行投資で被災地を勇気づけたいと話されていました。突然の寄港休止は、四つの重要港湾を管理し、特色ある港づくりにシフトし出した県や港湾が所在するまちとしても、大きな痛手であります。特にも、港を活用したまちづくりや交流人口の拡大を目指し、復興のシンボルであったフェリー航路の再開は必須であります。 ことしの年初に、東京都で港湾関係者が集い新年会が開かれ、県の幹部も出席されたと伺いました。令和6年度から2024年問題として言われてきたトラックドライバーの働き方改革が始まり、トラックドライバーの不足も言われている中、ますますモーダルシフトに注目するところであります。 物流が大きく変化しようとする中にあって、宮古港を活用する物流のあり方も含め、これまでにない視点も含め再開を望むものであります。 そこで、航路再開に向けたこれまでの県としての取り組み、今後の見通しについて伺います。 〇県土整備部長(加藤智博君) 宮古─室蘭フェリー航路の再開に向け、昨年10月に開催した宮古・室蘭フェリー航路連絡調整会議において、宮古盛岡横断道路や三陸沿岸道路の利便性や機能強化の状況、内陸部の大規模物流拠点の整備状況等を共有するとともに、今年度は、企業訪問の対象を首都圏まで拡大し、荷主企業等32社に宮古港の優位性などをPRしてまいりました。 また、来月開催予定の今年度2回目の連絡調整会議においては、北海道と本州間の物流の動向等をフェリー運航会社や関係機関と共有することを予定しております。 現時点では再開の具体的な見通しを確認するには至っておりませんが、引き続き、宮古市等と連携しながら企業訪問を行い、新たな貨物の掘り起こしに努めるとともに、得られた企業動向等をフェリー運航会社と共有し、航路再開に向け取り組んでまいります。 〇34番(城内愛彦君) ぜひ頑張っていただきたいと思います。 次に、クルーズ船誘致状況について伺います。 昨年8月4日に宮古港にMSCベリッシマが寄港し、ツアー客は盛岡さんさ踊りの見学や県内を周遊するなど、コロナ禍の県内経済に新たな可能性を示しました。盛岡市もニューヨークタイムズ紙に取り上げられ、岩手県全体にその波及効果を期待する機運も高まってきている中、クルーズ船の寄港の効果と評価をどのように考えているのか伺います。また、県としての誘致の考え方も伺います。 ことしも宮古市においては積極的にクルーズ船の誘致を進めており、令和6年度は宮古港へ延べ8隻の外国船社のクルーズ船の寄港が予定され、期待が高まるところであります。 クルーズ船の誘致は2年から3年後の寄港に向けた活動と聞きましたが、今後の誘致の見込みとその誘致の取り組みをお伺いしたいと思います。 〇県土整備部長(加藤智博君) クルーズ船の寄港においては、多くの観光客が訪れることにより、食事や観光等による直接的な経済効果を初め、これらに伴う関連産業の生産や雇用への波及効果があると考えております。 さらに、道路整備に伴うオプショナルツアーの圏域拡大等により、これらの効果が内陸部も含め県内に広く波及しており、クルーズ船の寄港は、県内経済の活性化や交流人口の増加に資するものと評価しております。 クルーズ船の誘致に当たっては、船社等に対し、港湾施設の状況や周辺の観光資源など各港湾の特徴等を踏まえたポートセールスを行っております。来年度は、現時点において、外国船社が宮古港に8回、国内船社は宮古港に2回、大船渡港と久慈港にそれぞれ1回の合計12回の寄港が予定されております。 今後も、港湾所在市等と連携したクルーズ船社や旅行会社への訪問などを実施し、さらなる寄港拡大を図ってまいります。 〇34番(城内愛彦君) 次に移ります。 東日本大震災津波で復旧、復興に大きく貢献した県内建設業もその工事も、13年を経て落ちつきを見せています。通常に戻り、その仕事量は激減し、受注規模に対応した事業の縮小でしのげる状況ではない、危機的状況に陥っているとの関係者の話であります。 東日本大震災津波から間もなく、3月11日で13年になります。この後、起こるかもしれない日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震災害に対する備えの一つとして地域の建設業の存在は大であります。 これまでも、東日本大震災津波後に発生した平成28年台風第10号や令和元年台風第19号による災害は、これでもかというように沿岸部に襲いかかりました。このようなとき、復興事業を担っていた大手ゼネコンを中心に、応急作業に当たった地元沿岸部の建設業者の活躍は評価するべきものと考えます。一致団結して、復旧工事を一時休止してまでも道路の復旧に回ってくれました。 現在、県内の公共工事も減少する中にあって、沿岸部は降雪も少なく、仕事がない状況にある中で、数少ない仕事に対し内陸部の業者の参入なども相まって、大変な状況にあります。 これまでの地域要件は理解しつつも、その仕組みを見直してはどうかと考えますが、県の考え方をお伺いします。 〇会計管理者兼出納局長(木村久君) 県営建設工事の入札における地域要件は、地元企業の受注機会の確保と十分な競争性の確保が両立できるよう設定しているものであり、小規模な工事ほどその地域の企業が優先されるよう、施工場所の属する広域振興局等の管内を基本的な区域として、地域要件をきめ細かく設定する仕組みとしているところであります。 一方で、震災後に実施してまいりました沿岸地区の建設工事入札に、地元企業に加え内陸地区の企業の追加参入を認める特例制度は、令和3年3月に廃止して、地元優先の形に戻して実施しているところでございます。 県といたしましては、入札における地域要件につきましては、現在のルールを継続することが適当であると考えておりますが、入札動向や業界団体の御意見等を踏まえ適切に対応してまいります。 〇34番(城内愛彦君) 先日、ある団体と意見交換の際に、現在の入札制度の中で、建設工事等における予定価格の事前公表の見直しをする必要があるのではないかとの声を聞きました。 積算も含めた技術力を高められる入札制度や仕組みづくりが必要と考えますが、予定価格の事前公表の見直しについて、落札率等の現在の入札状況を踏まえた県の見解をお伺いします。 〇会計管理者兼出納局長(木村久君) 予定価格の事前公表についてでありますが、本県では、入札の透明性の向上、発注者、受注者双方の事務効率の向上、さらには予定価格に係る不正防止の観点から有効として導入し、国の指針に基づき十分検討を行いながら運用しているところであります。 落札率につきましては、直近の3カ年の平均落札率が91%から92%台で推移しており、全国平均と比較いたしまして著しく格差が生じていないことなど、予定価格の事前公表による弊害は確認されていないところではございますが、引き続き、入札動向や他県の状況等を見ながら適切に対応してまいります。 〇34番(城内愛彦君) 地域にとっての建設業の重要性は、雇用の場であり、地域経済の牽引者でもあり、災害時には強い味方であります。今日、公共工事の減少により、東日本大震災津波時とは別次元の危機的状況にあります。既に人材の流出も始まっているとの声もあり、退職者不補充や定年後の再雇用でしのぎ、事業規模の縮小などが始まっています。 総じて高齢化が進む企業に、後継者の育成や事業承継の明るい未来を感じ、挑む若者が来てくれるのでしょうか。今こそ、新たな視点と人口減少社会を見据えた建設業のあり方を考える時期ではないでしょうか。 そこで、こうした現在の状況を踏まえ、地域企業の受注機会の確保や経営力の強化、育成にどのように取り組むのかお伺いします。 〇県土整備部長(加藤智博君) 地域の建設業は、地域経済を下支えする重要な産業であるとともに、激甚化、頻発化する自然災害や家畜伝染病への対応、社会資本の整備や維持、管理の担い手として欠かすことのできない存在と認識しており、受注機会の確保などを通じ経営力の強化を図ることが重要と考えております。 このため、県営建設工事の発注に当たっては、県内企業への発注を基本とするとともに、入札時に地域要件を設定し、地元企業への発注を優先するよう取り組んでいるところであります。 また、いわて建設業振興中期プラン2023において、経営力の強化などを施策として位置づけており、経営管理能力の向上を目的とした講座の開催や、新技術、新工法の開発等の取り組みを推進しているところであります。 今後も、建設業団体等との意見交換を行いながら、適切な受注環境の整備や本業の経営強化への支援に取り組んでまいります。 〇34番(城内愛彦君) ありがとうございました。(拍手) 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって城内愛彦君の一般質問を終わります。 〇議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。 午後2時31分休憩 出席議員(48名) 1 番 田 中 辰 也 君 2 番 畠 山 茂 君 3 番 大久保 隆 規 君 4 番 千 葉 秀 幸 君 5 番 菅 原 亮 太 君 6 番 村 上 秀 紀 君 7 番 松 本 雄 士 君 8 番 鈴 木 あきこ 君 9 番 はぎの 幸 弘 君 10 番 高橋 こうすけ 君 11 番 村 上 貢 一 君 12 番 工 藤 剛 君 13 番 小 林 正 信 君 14 番 千 葉 盛 君 15 番 上 原 康 樹 君 16 番 菅野 ひろのり 君 17 番 柳 村 一 君 18 番 佐 藤 ケイ子 君 19 番 高 橋 穏 至 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 福 井 せいじ 君 23 番 川 村 伸 浩 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 高 田 一 郎 君 26 番 木 村 幸 弘 君 27 番 佐々木 朋 和 君 28 番 吉 田 敬 子 君 29 番 高 橋 但 馬 君 30 番 岩 渕 誠 君 31 番 名須川 晋 君 32 番 軽 石 義 則 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城 内 愛 彦 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 37 番 斉 藤 信 君 38 番 中 平 均 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 郷右近 浩 君 41 番 小 西 和 子 君 42 番 高 橋 はじめ 君 43 番 五日市 王 君 44 番 関 根 敏 伸 君 45 番 佐々木 順 一 君 46 番 岩 崎 友 一 君 47 番 千 葉 伝 君 48 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(なし) 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後2時52分再開 〇議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。岩渕誠君。 〔30番岩渕誠君登壇〕(拍手) |
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