令和6年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録 |
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〇31番(名須川晋君) 希望いわての名須川晋でございます。
会派の皆様の御了承をいただきまして代表質問に登壇させていただきます。 まず初めに、このたび発生いたしました石川県能登半島地震において、お亡くなりになられた皆様に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に対しまして心からお見舞い申し上げます。 マグニチュード7.6、最大震度7を記録、消防庁調べによれば、7万棟を超える住宅被害が発生し、いまだ約1万2、000人の方が避難を余儀なくされておりますが、被災地の一日も早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。 日本は災害大国です。関東大震災からちょうど100年が経過し、今後30年以内に70%の確率で発生すると予測される首都直下地震、前回発生から70年が経過し、おおむね100年から150年の間隔で起きているとされる南海トラフ地震等、巨大地震が発生した場合の甚大な被害想定が、中央防災会議から示されております。 地方の支援体制の構築、そして、特に東京一極集中問題を含めた国土のあり方について、根本からの検討を進めるべきと考えます。 それでは、防災対策について2点伺います。 能登半島地震への対応について伺います。 本県においては、初動対応として1月5日に令和6年能登半島地震に係る岩手県応援本部を設置しました。以降は、保健師、DMAT、自治体支援等、人的応援派遣を進めてきているところです。また、今般、被災地救援における緊急的に執行が必要な経費として、医療、福祉分野を中心とした人的派遣や救援物資の提供など、予備費から2億3、667万円余を執行するとの報告があったところです。 まず、この地震により甚大な被害を受けた被災県に対し、本県のこれまでの支援状況と今後の支援のあり方について伺います。 能登半島地震では、幹線道路が寸断し、集落の孤立化が相次ぎました。高齢化、過疎化が進んだ地方で、共助の仕組みが困難になりつつあり、初期消火や避難誘導等、若手や担い手不足が顕著であり、脆弱化する地域社会において巨大災害に地方がどう立ち向かうかという大きな問題が突きつけられたと言えます。 住宅、水道管の早期の耐震化を図るとともに、特に福祉避難所における妊産婦、乳幼児、障がい者、高齢者等要介護者への対応と備蓄など、遅滞なく見直しを進めていかなければなりません。 本県における住宅及び水道管の耐震化率の状況と、能登半島地震の被災状況を踏まえ、本県における防災対策上の課題等について、知事の認識を伺います。 令和6年度当初予算案について4点伺います。 令和6年度一般会計当初予算案は総額約7、322億円、令和5年度と比較して392億円、5.1%の減、うち東日本大震災津波対応分41億円、11.2%減の325億円、通常分が351億円、4.8%減となりました。 復興の進捗に伴う事業量の減少や人口減少に起因する財政規模の縮小等の影響により、近年、県予算は減少傾向が続いています。 一方で、予算の内容を子細に分析すれば、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、四つの重点事項を中心に、現下の喫緊の課題である人口減少対策に最優先で取り組むとともに新機軸の施策を盛り込むなど、施策推進と財政健全化を両立させためり張りのきいた予算編成になったものと思います。 達増県政5期目を迎え、改選後初の当初予算案は希望郷いわてその先へ予算と命名され、知事の新たな決意が込められた内容になったものと推測いたしますが、予算編成に当たってはどのような意を用いたのか伺います。 次に、四つの重点事項について伺います。 知事は、自然減・社会減対策、GXの推進、DXの推進、安全・安心な地域づくりの四つの重点項目を強力に推進するとして、関係予算を840億円、そのうち新規分として26億円の予算を重点配分しました。これは、新型コロナウイルス感染症対策予算を除けば、令和5年度当初予算より多くなっているものです。 この重点項目は令和5年度から取り組みを進めているところでありますが、その成果や課題を踏まえ、令和6年度当初予算案にどのように反映させたのか伺います。 知事は、昨年9月の知事選挙において、いわて県民計画(2019〜2028)の遂行に加え、39項目の政策を新たに加える形でマニフェストプラス39を掲げられました。これらの実現に向け具体的な施策を展開されていくものと考えますが、当初予算にどのように盛り込まれたのか伺います。 人口減少社会における地域のあり方について伺います。 1、000年以上の歴史を誇った奇祭、黒石寺蘇民祭が、関係者の高齢化や担い手不足を背景に、先週2月17日の開催をもって幕を閉じました。コロナ禍で中止していた地域の伝統行事も、そうした課題が潜在していた地域では、一旦住民の士気が失われれば二度と心に灯をともすことができず、存続を断念せざるを得ない、こうした事例が相次いでいます。時代の大きな流れを感じざるを得ません。 さて、前年度比5.1%減という当初予算総額の中、新年度予算の重点事項の筆頭に挙げられている自然減・社会減対策は、前年度より4億円増の221億円となり、達増知事の力の込めぐあいが反映されたものと思います。 少子化対策、移住、定住施策の強化、多様な雇用の創出、労働環境と所得の向上、交流、関係人口の増加といったあらゆる施策で、私たちは急激な人口減少の流れに立ち向かい、その大波に抗っていく必要があります。 一方で、長年にわたる国の実効性の至らぬ少子化対策によって、日本の人口減少が間違いなく進行していくのは、推計から明らかになっています。 〔議長退席、副議長着席〕 2040年、15歳から65歳までの生産年齢人口が1、200万人減り今の8割になる、メディアがいうところのいわゆる8掛け社会が到来。国立社会保障・人口問題研究所公表の地域別推計人口では、2020年と2050年時点を比較したところ、本県の生産年齢別人口の減少率は46.1%と半減します。 民間の有識者でつくる人口戦略会議は、このたび人口ビジョン2100を発表しましたが、これを参考にすれば、これから取り組むべき人口戦略として、人口減少のスピードを緩和させ、最終的に安定させる定常化戦略、そして、質的な強化を図り、現在より小さい人口規模でも、多様性に富んだ成長力のある社会を構築する強靱化戦略が必要であると説いています。 2040年に人口100万人確保を目指す岩手県人口ビジョンと第2期岩手県ふるさと振興総合戦略は、そうした視点も含まれたすぐれた内容であるとは思いますが、現実として、働き手が確保できない、除雪も道路補修もままならない、介護が受けられない、交通、物流も滞る、日常生活への支障は、既に社会のそこかしこに露顕し、時々刻々と深刻化しています。 人口動態や社会情勢の変化を真正面に受けとめ、それでも社会が回るというありように徐々に適合させていく、人口減少社会における出口戦略を総合的に講じていく必要があると思いますが、知事の御所見を伺います。 政治資金問題について3点伺います。 岩手県議会は、昨年12月定例会において、自由民主党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、政治資金収支報告書への不記載が多数かつ多額になると見られ、政治と金の構造的問題として国民の政治不信は高まっているため、徹底解明を求めるとの内容で、政治資金規正法違反疑惑の徹底解明を求める意見書を全会一致で可決し、内閣総理大臣を初めとする関係機関に提出しました。 この問題は、ことしに入り、政治資金規正法違反として事件化することとなりましたが、元派閥領袖はここまで説明責任を果たさず、誰ひとり責任をとることもなく、政治不信の払拭どころか国民の間でますます増大している状況にあります。 このいわゆる裏金問題に係る知事の所感について、まずは伺います。 政策活動費についてであります。 国会議員に月額100万円が支給される調査研究広報滞在費、旧文書通信交通滞在費は、使途を明確にする必要がないことから、国会議員の第2の給与とも称され、その特権を象徴するものとも言えましょう。 今般の政治資金問題を機に新たにクローズアップされているのが、政党や政党支部から主に党幹部個人宛てに支給されている政策活動費です。 2022年度は、自由民主党幹事長への9億7、150万円を筆頭に、党幹部15人に対し計14億1、630万円を、立憲民主党は計1億円、国民民主党6、800万円、日本維新の会は5、057万円、社民党は700万円を支出しているとのことです。 政治資金は原則として課税されないかわりに収支を公開しなければなりませんが、政策活動費の使途は報告の義務がなく、まさにブラックボックスと化しています。そのあり方については今国会の議論の争点ともなっており、期末に残額が発生していた場合は、残額分に対して納税の義務があるのではないか、これを怠っていれば脱税であるとの論点が指摘され、確定申告を前に国民の納税意識を逆なでした形になっています。 自由民主党は、政治活動の自由を主張し改革に後ろ向きの一方で、公明党は、使途公開の義務づけ、立憲民主党、日本維新の会、日本共産党、国民民主党は、ともに廃止の立場を訴えております。 この政策活動費のあり方について、知事の御所感を伺います。 市井の人の政治不信ここにきわまれりという状況において、与党、野党問わず一丸となって一刻も早い改革に取り組まなくてはなりません。政治と金の問題の本質は、民主主義の健全さを担保するものでありますし、金を出す側の金額の多寡で政策の扱い方が変わってしまうという資本の論理であってもいけないのではないでしょうか。 企業、団体献金の禁止、企業、団体のパーティー券の購入禁止、連座制導入といった罰則強化、あるいは政党法の制定によるガバナンス強化といった改革案を野党は示しておりますが、これら案についての御見識を、また、政治と金と民主主義のあり方について、知事の御高察を伺います。 GX―グリーントランスフォーメーションの推進についてであります。 地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した。国連のグテーレス事務総長は、昨年、史上最も暑かった7月をこう表現し、各国政府に警告を発しました。岩手県のこの冬も、春の陽気を思わせる高温が続き、この夏に何かしらその反動が出るのではないか、非常に不気味で大いに危惧するものであります。 さて、本県に環境政策の取り組みについて朗報がございました。その財源確保策として、今年度、全国の地方公共団体として初となるグリーンボンド、ブルーボンドを発行いたしましたが、この取り組みについて、一昨日に開催された第5回ESGファイナンス・アワード・ジャパンにおいて、環境大臣賞銀賞を受賞したほか、一般社団法人環境金融研究機構の第9回サスティナブルファイナンス大賞の地域金融賞を受賞するなど、いずれも自治体の受賞はほとんど事例がない中で、対外的にも高い評価を得ています。 県は、昨年度初めて市場公募地方債を発行したわけですが、今後、金融環境の激変が想定される中で、このような取り組みは、債券市場での本県のプレゼンスを高め、多くの投資家の獲得に寄与する意義ある先駆け事例であり、広く全国自治体に普及していくものと推察いたします。 令和6年度も継続して発行する方針とのことですが、本県では、施策推進の四つの重点事項の一つにGXの推進を掲げており、施策推進という歳出と環境金融という歳入確保を両輪に一層の取り組み強化が期待されるところです。 そこで、令和6年度のグリーン/ブルーボンド発行について、どのように改善、拡充していくのか伺います。 昨年10月に策定された県有施設等の脱炭素化に向けた基本方針は、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画において、県の事務事業に関する温室効果ガスの排出削減目標を2030年度までに2013年度比60%削減するという設定のもと、2050年カーボンニュートラルや議会において私を含め複数議員が取り上げてきた事業活動に再生可能エネルギーを100%使用する、いわゆるRE100を県にも導入すべきという指摘にも呼応されたものと思いますが、まずは、その策定について評価するところです。 新年度予算案にも、早速、脱炭素化推進事業、そして、議論は分かれるところの公用車EV導入事業として反映されておりますが、計画期間である令和12年度までの7年間で、今後どのように実装していくのか、年次的めど、温室効果ガスの削減見込みについてお示しください。 DX―デジタルトランスフォーメーションの推進について伺います。 地方自治体の基幹業務システムの統一・標準化について伺います。 国民が行政手続において情報技術通信の便益を享受できる環境を整備し、情報通信技術の効果的な活用による持続可能な行政運営を確立するため、令和3年に地方公共団体情報システムの標準化に関する法律が施行されました。 地方公共団体情報システムの統一・標準化については、2025年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指すとされていますが、岩手県を初め、県内各自治体の進捗状況はどうなっておりますでしょうか。自治体担当者や開発ベンダーから非常に苦労していると仄聞しておりますが、県は、今後どのように市町村を支援していくのか伺います。 生成AIの導入と活用について伺います。 数日前、テキストの入力だけで実写としか思えない動画を作成する生成AIが発表されたことに驚かれた方は多いと思います。デジタル技術の圧倒的な進化のスピードには、ただただ驚愕するばかりです。 御承知のとおり、生成AIによって業務の効率化が図られる可能性は大きく、人材不足解消と生産性向上の一策として、積極的に活用を進めていくべきであります。 本県においては、このたび約100ページにわたる生成AIの利活用ガイドラインバージョン2.0を作成しましたが、今後どのように日常業務に取り入れていくのか伺います。 1次産業の振興について3点伺います。 農政の憲法とも称される食料・農業・農村基本法の改正案と不足時の食料安全保障の強化、農地の総量確保と適正・有効利用、スマート農業の振興に係る関連法案が今国会に提出されます。 基本法の改正は四半世紀ぶり、1999年の制定以来初めてであり、食料安全保障の抜本的な強化、環境と調和のとれた産業への転換、人口減少下における生産水準の維持、発展と地域コミュニティーの維持という三つの観点から改正が行われます。 この改正に対する知事の評価と、本県農政にどのように落とし込み、その特色に合わせた農業振興につなげていくのか伺います。 物価高騰対策について伺います。 食料・農業・農村基本法改正の方向性において、適正な価格形成の促進と消費者の役割の明確化が掲げられ、食料価格の形成によって合理的な費用が考慮された適正な価格形成を促す視点が、消費者の役割も含め盛り込まれました。消費者としては負担もふえることとなりますが、生産者の努力にも比例し、農業に若手が参入する合理的な価格が形成されるよう十分に取り組んでいかなければなりません。 さて、この4月までとしていた燃料油価格激変緩和補助金、いわゆるガソリン代補助の延長も政府において検討され始めたようです。農業者の所得確保のためには昨今の物価高騰の影響を低減していく必要があると考えますが、県では、物価高騰対策としてどのように支援をしているのか伺います。 農林水産物の輸出拡大策について伺います。 知事は、昨年12月、農業、商工団体関係者とともに、マレーシア、シンガポールを訪問し、観光と組み合わせた米やリンゴ、牛肉、水産物を初めとする県産品のPRや、日本酒のセミナーを催すなど、トップセールスを行ってきたとのことであります。 本県の農林水産物の輸出を拡大していくには、市場の成長が見込まれるこの2カ国を初めとするアジアの市場開拓に大いに期待するところでありますが、その成果はどうであったのか伺います。 また、この戦略が結実するには、やはり継続性が大事となりますが、今後どのように取り組むのか伺います。 最後に、次世代放射光施設の活用について伺います。 その前に、まずは、ILC―国際リニアコライダーについて述べさせていただきます。 失われた30年、縮む日本。特に次代を担う若者にとって、将来への明るい期待や展望を持つのが難しい時代となりました。だから、今こそILC―国際リニアコライダーは、アジア初の大型国際科学技術の拠点として、科学技術立国、経済安全保障、新たな国の創生、復興、国土強靱化、高度人材の集約、科学技術イノベーション等、多岐にわたる壮大な計画を実現する必要があります。 コロナ禍あり、そして、さまざまな障害によってここ数年、進捗に停滞ぎみの感はありますが、人類誕生以来の知のフロンティアを切り開くという高邁な理念のもと、必ずや実現すべく、関係各位、組織、機関とも手をしっかり携え実現に向け果断に挑んでまいりましょう。 さて、東北大学青葉山新キャンパス内に整備が進められてきた次世代放射光施設ナノテラスは、令和6年4月にいよいよ本格稼働いたします。一般社団法人東北経済連合会の推計によれば、10年間の経済効果が1兆9、000億円と試算されております。 公設試験研究機関も利用が優遇されているとのことで、岩手県農業研究センター等、有数の本県の研究施設がその対象として挙げられます。本県としても、ぜひとも積極活用を図るべきと考えますが、知事のお考えをお示しください。 以上、積極、前向きな御答弁を期待いたしまして質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 名須川晋議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、能登半島地震の被災地への支援についてでありますが、県では、国や被災自治体からの支援要請などの情報の一元化を図り、迅速かつ効果的な支援を行うため、1月5日に岩手県応援本部を設置し、職員派遣を初めとしたさまざまな支援を行っております。 具体的には、1月6日以降、保健師等チームを初め、DMAT、県警広域緊急援助隊等を順次派遣し、その後も、応急仮設住宅建設地調査や漁港等の被害調査などに当たる職員を派遣しています。 また、本県が石川県能登町の対口支援団体となったことを受け、1月18日から現地連絡員を派遣するとともに、21日から住家被害認定調査や公費解体受付業務に当たる職員を市町村とともに派遣しております。物的支援としても、県及び市町村によるもののほか、民間レベルでも、被災地が置かれた状況を十分に考慮した支援が行われています。 こうした支援のほか、石川県には復興計画の策定手法等に関する資料を提供しているところですが、今後、応急復旧から復興へと局面が変わっていく中で、技術職員を中心とした人的支援が必要になっていくと見込んでいます。 先日、私も被災地を訪問し、石川県知事及び能登町長にお会いして、お見舞いを申し上げ、被害状況等を伺ったところですが、引き続き、東日本大震災津波の教訓を生かし、被災地のニーズに応じて中長期的に支援を行ってまいります。 次に、能登半島地震を踏まえた本県の防災対策についてでありますが、住宅の耐震化率は、平成30年度の推計値で、全国平均約87%に対し、本県は83.4%となっています。また、水道の基幹管路の耐震適合率は、令和3年度の全国平均41.2%に対し、本県の令和4年度速報値では54.3%となっています。 今般の能登半島地震では、相当数の家屋が倒壊し、また、広範囲かつ長期にわたり断水していることから、耐震化率等を高めていく必要があると認識しております。 このため県では、岩手県耐震改修促進計画に掲げる令和7年度の住宅の耐震化率90%、新いわて水道ビジョンに掲げる令和10年度の基幹管路の耐震適合率68.6%という目標達成に向け、市町村等と協力しながら取り組みを推進してまいります。 また、能登半島地震は、寒さが厳しい冬季に発生したこと、道路が損傷し多くの集落が孤立したこと等を踏まえ、本県としても対策を進めていく必要があると改めて認識しております。 冬季の災害対策については、県、市町村において防寒対策用物品の備蓄が計画的に進められていますが、その対策が十分であるか、市町村とともに改めて確認するなどしてまいります。 孤立化対策については、岩手県地域防災計画に、その対策として、通信手段の確保、避難先、救出方法の確認、備蓄の奨励、自主防災組織の育成強化を掲げており、引き続き、市町村とともに取り組みを推進していくなど、災害対応全般にわたり万全を期してまいります。 次に、予算編成に込めた思いについてでありますが、令和6年度当初予算案は、県政初の5期目の知事として県民が向ける特別な思いに応えるため、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期アクションプランのもと、四つの重点事項を中心に人口減少対策に最優先で取り組み、県民の幸福度向上を図る10の政策や新しい時代を切り拓くプロジェクトを着実に推進することとしております。 また、施策の推進に当たっては、これまでの市町村長との意見交換等を踏まえ、少子高齢化が進む市町村が、個性や特色を生かした地域づくりを進められるよう、広域的な視点に立ち、必要な支援を機動的に行える予算を編成したところです。 特に、限られた行財政資源の中で、多様化、複雑化する行政需要に対応している小規模町村に対しては、柔軟に対応できる伴走型の支援体制を構築し、実効性のある事業を展開しながら、地域課題に立ち向かうこととしております。 県民一人一人の生きにくさを生きやすさに変えるため、岩手県にかかわる全ての人をエンパワーしていくとともに、各市町村、そして岩手県の価値や魅力を共有、発信し、岩手とつながりながら、希望の道を進むことができる希望郷いわてその先へと強力に推し進めてまいります。 次に、四つの重点事項についてでありますが、四つの重点事項は、それぞれ部局横断的な本部会議やワーキンググループのもと、令和5年度の成果や課題を踏まえながら、令和6年度の方向性を議論し、各部局において、シーリングにより捻出した財源の3倍に相当する額の範囲内で予算要求を認め、重点化を図りました。 令和6年度当初予算案においては、自然減・社会減対策では、コロナ禍による婚姻数の急減とこれに伴う出生数の減少を踏まえ、新婚世帯に対する支援金の県独自の上乗せを行うほか、コロナ禍後の社会減の再拡大を踏まえ、ニューヨークタイムズ紙掲載を契機とした交流人口、関係人口の拡大を進めることとしています。 また、GXの推進では、地域経済と環境にさらなる好循環をもたらすため、ZEHプラス基準を満たす住宅の普及促進や農業における環境負荷低減モデルの実証などに取り組むほか、DXの推進では、生産年齢人口の減少を踏まえ、大手ECサイトを活用した県産品販売やデータ駆動型農業など、産業のDXを強化することとしています。 さらに、安全・安心な地域づくりでは、今後起こり得る最大クラスの地震、津波や大規模災害への対応に加え、今年度深刻な被害をもたらしたツキノワグマなどの鳥獣被害対策を推進することとしています。 次に、マニフェストプラス39で掲げた施策の反映についてでありますが、令和6年度当初予算案では、希望郷いわてのその先へ歩みを進めるため、さきに述べた四つの重点事項を中心に据えつつ、マニフェストプラス39の内容を踏まえ、新機軸の事業を盛り込んだ予算編成を行いました。 新機軸の事業は、いわて県民計画(2019〜2028)の10の政策分野や11のプロジェクトなどに位置づけられるものであり、国内外への岩手県の強みや魅力の積極的な売り込み、相談支援を初めとする公的福祉の拠点整備、いじめ、不登校対策の強化、県北地域の農業人材の育成などの事業を展開してまいります。 次に、人口減少社会における地域のあり方についてでありますが、人口減少は、さまざまな需要の減少をもたらし、地域内からの各種サービス産業の撤退や減少などにつながりやすく、このことが住民の生活利便性を低下させ、さらなる人口減少のきっかけとなるなど、地域の産業や経済、コミュニティーや公共インフラの維持、存続に大きな影響を及ぼすものと考えております。 岩手県人口ビジョンは、人口減少に歯どめをかけ、2040年に100万人程度の人口を確保し、2115年におおむね80万人程度での定常状態を展望していますが、これは、議員御紹介の民間有識者による人口戦略会議が発表した人口ビジョン2100が掲げる定常化戦略と強靱化戦略に通じるところがあります。 岩手県人口ビジョンや市町村、関係団体、機関など、さまざまな主体からの意見を踏まえ、第2期政策推進プランでは、人口減少対策に最優先で取り組んでいるほか、当面の人口減少を見据え、産業、経済面では、労働力不足への対応を見据えたあらゆる産業のデジタル化による生産性向上や、高付加価値化、コミュニティー対策では、地域おこし協力隊制度などを活用した地域の活性化や空き家などを活用したU・Iターンの促進、公共インフラでは、予防保全型の維持管理による施設の長寿命化や上下水道の広域連携による効率化などに取り組んでおり、人口が減少する中にあっても、地域の社会経済システムが維持、存続できるよう対策を進めてまいります。 次に、自由民主党派閥の政治資金規正法違反事件についてでありますが、国会議員や派閥の会計責任者などが起訴されるなど、違法性が疑われることが組織的に行われており、統一教会との関係の問題もあわせて日本政治の中に極めて劣化が進んだ部分があると感じています。 政治資金規正法違反事件については、岩手県議会12月定例会においても、政治資金規正法違反疑惑の徹底解明を求める意見書が全会一致で可決されており、国会においては、調査や再発防止のための対策が求められていると考えております。 今回の政治資金規正法違反事件や統一教会との関係の問題、さらに、桜を見る会や森友学園、加計学園の問題は、日本における国政及び地方の選挙の正当性や、今までの、そして現在の政府の民主的正当性を根底から覆すような問題であり、国を挙げて調査し、国及び地方の議会や政府の正当性を取り戻すため、国民的な努力が求められると考えます。 次に、政策活動費についてでありますが、政治活動は、自由であるとともに公明公正に行われるものであり、政治活動の公明性を確保するに当たっては、政治活動が、国民の不断の監視と批判のもとに行われる必要があることから、政治団体及び政治家に係る政治資金の収支は公開されるべきものであります。 政党から政治家個人に対して支出されるいわゆる政策活動費は、使途を明らかにする必要がなく、領収書の添付や清算、納税の義務もないとされていることから、政治活動の公明性確保の原則に反するので、このような政治資金の運用は廃止されるべきと考えます。 次に、政治改革案と民主主義のあり方についてでありますが、公職選挙法第3条において公職と定義される国会議員などの政治家は、予算を決め、税を扱い、法律をつくる立場にある職業集団であり、権力を扱う者として高い倫理観を保持していくべき存在であります。 今般、自由民主党派閥の政治資金規正法違反事件に関連して、さまざまな法律改正案も議論されていますが、そもそも今回問題になっている特定の団体や特定の個人が、当然保持しているべき倫理観を持っていさえすれば、一連の事件や疑惑などの問題は起こらなかったのであります。 したがって、まず問われるべきは、問題になっている特定の団体や特定の個人が行ったことをめぐる事実関係を明らかにすることであると考えます。岩手県議会12月定例会で可決された政治資金規正法違反疑惑の徹底解明を求める意見書も、疑惑の徹底解明を求めています。 今後に向けての再発防止策は、問題になっている特定の団体や特定の個人が、みずからに関する事実関係の公表とあわせて、それぞれがまさに自己責任で世に問うべきものであると思います。それができない団体や個人は、政治の場から身を引くという形でしか責任をとれないというのが今回の事の本質であり、その空白は、公職にふさわしい高い倫理観を保持する別の者が埋めるということだと思います。 次に、令和6年度のグリーン/ブルーボンドの発行についてでありますが、今年度は、地方公共団体初となるグリーン/ブルーボンド50億円の発行について、その先進性と県内投資家を中心に多くの需要を集めた実績が評価され、議員から御紹介のありました第5回ESGファイナンス・アワード・ジャパンの環境大臣賞銀賞を受賞するなど、県内外から高い評価を得ております。 グリーン/ブルーボンドによる資金調達は、持続的な発展が可能な社会を構築するため、県民や事業者、市町村を初めとする県内外のさまざまな主体と協働し、GX―グリーントランスフォーメーションを推進するための大きな原動力であり、安定的な財源確保策の一つとしても有効なものと認識しております。 令和6年度においてもグリーン/ブルーボンドの発行を継続し、その意義をより多くの方に御理解いただけるよう、投資家への広報活動であるインベスターリレーションズ―IR活動を強化するとともに、環境改善効果をよりわかりやすく公表するなど、取り組みをさらに拡充し、より多くの投資家に御購入いただけるよう努めてまいります。 次に、県有施設等の脱炭素化についてでありますが、来年度当初予算案は、昨年10月に策定した県有施設等の脱炭素化に向けた基本方針を踏まえて編成しており、県有施設のZEB―ネット・ゼロ・エネルギー・ビル化、太陽光発電やLED照明の導入、公用車のEV化に向けて、10億円以上を計上しております。このうち、例えば県有施設のZEB化については、新たに二戸地区に整備する特別支援学校について、省エネ性能50%以上のZEB Ready相当とすることなどを盛り込んでいます。 また、複数年度の工程表を作成して計画的に導入を図ることも重要であり、基本方針を踏まえると、例えば、太陽光発電は2030年度までに約40カ所で導入する必要があり、現在、各年度の導入施設数を整理しているところです。工程表は来月末までを目途に作成する予定ですが、2030年度までに県の事務事業に関する温室効果ガスの排出量を基準年度比で60%削減するためには、約10万トンの削減を実現する必要があることから、今後、再エネ電力の調達なども組み合わせながら、脱炭素の取り組みを加速させてまいります。 次に、地方自治体の基幹業務システムの統一・標準化についてでありますが、本取り組みは、住民の利便性の向上及び自治体の行政運営の効率化を推進するため、住民記録、医療、介護、子育て、就学支援などの20業務を更新するものであり、令和7年度末の移行完了を目標に、全ての都道府県及び市町村において、その対応を進めているところです。 令和6年度においては、システムの移行作業が本格化することから、県及び各市町村において、現在、システム化に伴う業務手順の精査や移行方法の検討に取り組んでいるところであり、県では、研修や個別相談など、円滑な移行に向けた支援を行っております。 各市町村では、システムの整備とあわせて抜本的な業務改善にも取り組むことが必要であり、オンライン手続の導入や窓口業務の電子化など、デジタル技術の活用による効率化が求められています。 県としては、引き続き、研修会の開催や個別相談への対応、専門人材の派遣などの伴走支援を行うとともに、小規模な市町村の状況にも応じたきめ細かな支援など、全ての市町村において移行が円滑に完了するよう取り組んでまいります。 次に、県における生成AIの今後の活用の方向性についてでありますが、生成AIは、多様な課題解決へのヒントや新たな文書などが即座に作成され、文書作成に係る業務の効率化や省力化に資するなどメリットがある一方、利用に当たり、生成される情報には信憑性や著作権など留意すべき課題もあるところです。 このため県では、生成AIの利用上のルールと実際の利活用事例集とで構成する生成AIの利活用ガイドラインを定め、12月から本格的な利活用フェーズへと移行したところであり、日常業務において生成AIの利活用が浸透してきているところであります。 今後、事務事業における効果的かつ効率的な活用を初め、職員の創造的な業務推進に役立てていくよう、積極的に取り組んでまいります。 次に、食料・農業・農村基本法の改正についてでありますが、食料・農業・農村基本法の制定から20年以上が経過し、世界人口の増加による食料需要の増加や異常気象による食料生産、供給の不安定化、我が国の人口減少、高齢化に伴う国内市場の縮小など、食料、農業、農村を取り巻く情勢が大きく変化しています。 こうした情勢変化を踏まえつつ、将来にわたって、国民に対し食料を安定的に供給できるよう、食料安全保障、人口減少、環境負荷低減の観点から基本法の改正を行うとされたことは、一定程度評価できると考えております。 一方、基本法の改正とあわせた農地転用手続の厳格化などの農地法制の見直しについては、これまでの地方分権の経緯を踏まえつつ、地方公共団体の自主性、自立性に配慮した対応を行うよう、本年1月に、全国知事会の農林商工常任委員長として国に要請したところであります。 食料自給率が100%を超える本県は、我が国の食料供給基地としての役割をしっかり果たしていくことが重要と考えており、本県の強みである広大な農地や堆肥等の地域資源を生かした収益性の高い農業の実現に向け、海外依存度の高い麦、大豆の生産拡大や環境負荷を低減する農業生産の推進、スマート農業技術を活用した高収益園芸作物の生産性向上などを進めていくこととしており、本県農業が持続的に発展するよう取り組んでまいります。 次に、物価高騰対策についてでありますが、県では、肥料や飼料の価格上昇分を補填する国事業の活用を進めるとともに、県独自に、肥料や飼料の購入費、肥料コスト低減に必要な機械導入、農業共同利用施設の省エネ化への支援などを実施してきたところです。 農業生産資材の価格は低下傾向にあるものの、昨年12月現在の価格は、高騰前の令和2年と比べ、肥料、飼料とも約4割高く、依然として農業経営に大きな影響を与えています。 このため、これまで措置した支援を迅速かつ確実に実施するとともに、化学肥料の使用量を低減する堆肥等の活用や、飼料基盤を積極的に活用した自給飼料の生産拡大を推進しており、引き続き、農業経営の安定が図られるよう取り組んでまいります。 次に、農林水産物の輸出拡大についてでありますが、マレーシアやシンガポールでは、約15年前にもフェア等を実施したところですが、当時に比べ、現在は日本食レストランも増加し、日本への観光客もふえ、日本への関心が高まっており、現地の流通関係者からは、本県の農林水産物等の品質やおいしさなどが高く評価され、取り扱いたいとの声を多数いただくなど、大いに手応えを感じております。 輸出拡大に向けては、トップセールスにより築いたネットワークなどを生かし継続的な取引につなげていくことが重要でありますことから、今回構築した現地とのつながりや評価を最大限に活用しながら、経済成長が見込まれるアジア地域等をターゲットに、県産農林水産物等の輸出が拡大していくよう積極的に取り組んでまいります。 次に、次世代放射光施設の活用についてでありますが、次世代放射光施設ナノテラスは、太陽光の10億倍以上の明るさを用いて物質の状態を原子レベルまで識別することができ、極めて高い分析能力を有する大型の加速器を用いた世界トップレベルの研究施設です。令和4年に本格稼働した山形県の東日本重粒子センター等と相まって、東北地域における加速器による科学技術力の向上や関連産業の集積が進み、ILCの実現にもつながるものと考えております。 本県においては、本格運用開始前のトライアルユース期間に、岩手県工業技術センターが、県内ものづくり企業と連携して原材料の分析を行ったほか、いわて加速器関連産業研究会や岩手ネットワークシステム―INSにおいて、講演会やセミナーを開催するなど、ナノテラスの理解増進を図っているところであります。 今後、ナノテラスの活用は、本県産業のイノベーションの創出にもつながることから、県の試験研究機関を初め、大学や産業界と連携し、その有効活用を進めてまいります。 〇副議長(飯澤匡君) 以上をもって名須川晋君の一般質問を終わります。 〇副議長(飯澤匡君) この際、暫時休憩いたします。 午後2時46分休憩 出席議員(47名) 1 番 田 中 辰 也 君 2 番 畠 山 茂 君 3 番 大久保 隆 規 君 5 番 菅 原 亮 太 君 6 番 村 上 秀 紀 君 7 番 松 本 雄 士 君 8 番 鈴 木 あきこ 君 9 番 はぎの 幸 弘 君 10 番 高橋 こうすけ 君 11 番 村 上 貢 一 君 12 番 工 藤 剛 君 13 番 小 林 正 信 君 14 番 千 葉 盛 君 15 番 上 原 康 樹 君 16 番 菅野 ひろのり 君 17 番 柳 村 一 君 18 番 佐 藤 ケイ子 君 19 番 高 橋 穏 至 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 福 井 せいじ 君 23 番 川 村 伸 浩 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 高 田 一 郎 君 26 番 木 村 幸 弘 君 27 番 佐々木 朋 和 君 28 番 吉 田 敬 子 君 29 番 高 橋 但 馬 君 30 番 岩 渕 誠 君 31 番 名須川 晋 君 32 番 軽 石 義 則 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城 内 愛 彦 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 37 番 斉 藤 信 君 38 番 中 平 均 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 郷右近 浩 君 41 番 小 西 和 子 君 42 番 高 橋 はじめ 君 43 番 五日市 王 君 44 番 関 根 敏 伸 君 45 番 佐々木 順 一 君 46 番 岩 崎 友 一 君 47 番 千 葉 伝 君 48 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(1名) 4 番 千 葉 秀 幸 君 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後3時2分再開 〇副議長(飯澤匡君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。吉田敬子さん。 〔28番吉田敬子君登壇〕(拍手) |
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