令和5年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 県立大船渡病院における看護科での超過勤務手当の激減問題について、関連質問いたします。
 先ほどの医療局長の答弁は、看護師の深刻な声も実態も否定する、背を向けるひどい答弁でありました。
 問題の本質は、ことし4月に新しい総看護師長が赴任した直後から、超過勤務手当の申請が認められず、超過勤務手当の支給が激減したことであります。
 県医療局労働組合大船渡支部が6月27日、超過勤務の申請ができないという看護師のたくさんの切実な声を支部要求書として病院当局に提出し、改善を求めました。私も10月27日の決算特別委員会の医療局審査で取り上げましたが、事態は全く改善されていません。
 たくさんの看護師の切実な声と実態を本当にどう受けとめているのでしょうか。
 昨年4月から10月の1人当たり超過勤務時間は11.3時間でした。ことしは3.1時間に、4分の1程度に激減している。この具体的な要因、理由は何でしょうか。先ほどの答弁は全然答弁になっていない。事務の部門も技術職の部門も超過勤務はふえているのです。4分の1まで激減しているのは看護科だけなのです。
 11月24日に、改めて看護師の実態と声を聞いてきました。改めて切実な声、深刻な実態を紹介します。
 超過勤務手当の申請は今もできていない。怖くて書けない。始業時間と終業時間の打刻は、8時15分、17時15分に打刻するように言われている。その後はパソコンにさわるなと言われている。残業は打刻したその後に行われている。看護サマリー、退院準備の超過勤務は認められない。総看護師長が4月にかわってから、恐ろしい勢いで状況は悪化し、民主主義の全く通用しないところになりました。
 こうした総看護師長による圧力、パワーハラスメントで、超過勤務の申請ができない状況になっているのではないでしょうか。医療局長は、看護師のこの具体的で切実な声と実態について、どう認識されているか、否定するのか、はっきり答えていただきたい。
 終業時間の打刻が事実上強制されている実態について、労働基準法違反となるのではないでしょうか。昨年度と今年度の看護師の把握されている勤務時間はどうなっているか示してください。
 県立大船渡病院は、11月17日までに、超過勤務の申請ができなかった分を看護科ではなく事務局に直接申請するように伝えました。先ほど答弁あったように、期日までに申請した看護師は300人中60人にとどまりました。その理由を看護師に聞きましたが、事務局への申請といっても怖くて申請できなかった、組合員ではないから申請できなかった等の声が寄せられました。
 事務局長自身も、看護師が看護科を通して超過勤務を申請できないことを自覚しての対応ではなかったでしょうか。それでも申請できないような異常な圧力と恐怖を感じているのが、看護科の状況ではないでしょうか。
 こういう声も寄せられました。たった1人のために、どれだけの人間の気持ち、人生を犠牲にすればよいのでしょうか。たった1人に地域の大事な病院を内部から破壊され、多くのスタッフの気力がそがれ、徐々に仲間を失っていくのは本当につらいことです。この声を医療局長はどう受けとめますか。直ちに改善すべきではないですか。
〇医療局長(小原重幸君) 先ほどと繰り返しになる部分がございますが、まず、看護師の声の受けとめについてでありますが、県立大船渡病院において、職員団体等から超過勤務の申請がしづらい雰囲気があるという話を受けまして、病院において、超過勤務の申請手続や超過勤務状況の確認を行うなどの通知を発出し、適正な勤務時間の把握や管理に努めてきたところであります。
 時間外に行った業務に対する手当は適切に支払われるべきものでありまして、申請されていないものがあるのであれば、その状況を確認した上で必要な対応を行うよう、現在、県立大船渡病院とまさに調整をしながら進めているところでございます。
 一方で、超過勤務につきましては、事前に命令して事後に確認するという手続の原則に基づき、必要な超過勤務はしっかりと認め、事後報告についても確認の上、進めているところであり、日ごろから業務の内容の把握、調整など適切なマネジメントを行い、職員の負担軽減やワーク・ライフ・バランスの確保、健康保持等につなげていくことが重要であると考えております。
 また、超過勤務の減少の理由でございます。看護師のみ減っているというお話でありますけれども、まず、患者の動向といたしましては、今年度4月から10月までで入院患者数は、20病院全体では0.6%の減少に対し、県立大船渡病院においては2.7%減少しております。他病院と比較して入院患者数が減少しているところです。また、同様に今年度4月から10月までの外来患者数は、全病院で1.0%減少に対し、県立大船渡病院は4.7%減少していると。他病院に比較して外来患者数も減少しているところでございます。
 他の医療従事者はふえているということでありましたが、放射線部門につきましては、今まで1夜2勤務体制をとっておりましたが、人材の都合上、ことしから宿直に切りかえましたので、そちらの宿直部分で超過勤務がふえている。また、栄養部門でも、人が足りなくなったということで、その分、業務の負荷がふえているという話を伺っているところでございます。
 また、看護師の超過勤務の実態の認識についてでございます。時間外に行った業務に対する手当は適切に支払われるべきものでありまして、申請されないものがあるのであれば、その状況を確認した上で、必要な対応を行うよう県立大船渡病院と調整しながら進めているところであります。
 今後、報告状況の分析を進めるとともに、病院において、超過勤務の報告のあった職員と面談を通じて状況の確認を行い、必要な対応を行ってまいります。
 なお、業務改善の取り組みを通じて、職員負担の軽減、超過勤務の縮減等の取り組みの方向性は正しいものと考えていますが、多様な取り組みを進めるに当たりまして、職員に、より丁寧に説明するなど工夫していく必要があるものと考えております。
 また、終業時刻の実態への認識でございますが、県立大船渡病院において、勤務時間の打刻を強制しているということはございませんが、職員からの超過勤務の追加報告では、約半数が勤務時間の打刻外の超過勤務となっており、勤務終了後の勤務記録の業務や勤務開始前の情報収集など、ほぼ毎日、短時間で行っている状況が見られたところであります。
 今後は、超過勤務の事前命令、勤務開始前及び勤務終了後の打刻の徹底など、院内ルールの周知徹底を図り、労務管理の適正につなげてまいります。
 続きまして、看護師の勤務時間の昨年度との比較についてであります。県立大船渡病院看護科の勤務時間について、本年10月の休憩時間を含む勤務時間8時間45分を含んだ在院時間は、1日平均で9.2時間と、昨年10月の10.1時間と比べ0.9時間減少しているところであり、業務改善の取り組みは、職員の負担軽減や超過勤務の縮減に寄与しているものと考えております。
 また、看護師の声に対する受けとめについてでございますが、斉藤信議員御指摘のような声につきましては、先ほど来申し上げているとおり、職員との面談を通じまして詳細を確認しながら、働きやすい職場づくりに向けた取り組みを丁寧に進めていきたいと考えているところでございます。
 また、一方で他の職員からは、改善の取り組みにより定時で帰れるようになった、職員配置の見直しにより休憩時間を確保できるようになった、時間や効率化を意識して業務に取り組むようになったなど、それとは異なる声も伺っているところでございます。
 職員負担の軽減と超過勤務の縮減に向けまして、職員の一層の理解と共感が得られるよう、日々の業務の中で取り組みの目的や効果をしっかり説明しながら進めてまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 本当にひどい答弁でありました。本当に看護師の血の出るような声や実態を医療局長は全くわかっていない。パワーハラスメントをやっている側からの話しかあなたは聞いていないのですよ。被害者の話を聞いていないのですよ。
 改めてお聞きします。県立大船渡病院の院長名で、10月20日付で看護科職員宛てに超過勤務の申請状況の確認についての事務連絡を行いました。その結果、60人から1,281時間の超過勤務の追加報告が行われました。これは病院当局も看護師の超過勤務の申請ができていないという事実を認めていることではないでしょうか。同時に、300人の看護師のうち60人しか追加の申請が行われなかったという事実は、いまだに怖くて超過勤務の申請ができていないという実態を示しているのではないでしょうか。
 医療局長は、令和5年9月定例会の決算特別委員会の私の質問に対して、超過勤務の申請が認められなくなったということはございませんと答弁しましたが、これは事実に反する答弁ではなかったのですか。60人が超過勤務の申請をしているのだから、あなたの答弁は事実と違ったのではないですか。
 総看護師長のパワーハラスメントについて、総看護師長が看護事務室で師長等に対して怒鳴り散らしている声が聞こえる。どう落とし前をつけてくれるんだ。指二、三本じゃ済まねえという暴言も聞いています。こうしたパワーハラスメントで超過勤務の申請をさせない圧力をかけているのであります。パワーハラスメントの実態を医療局長自身が直接看護師等から聞くべきではないでしょうか。
 知事に質問します。この総看護師長は、2018年度、2019年度の2年間、県立遠野病院で看護師の超過勤務の申請を認めないという同じことをやっていました。このときは、釜石労働基準監督署に告発があり、88人中87人の看護師に総額2,424万円余の超過勤務手当の追加支給となりました。
 県立遠野病院事件と同じことが、同じ総看護師長によって県立大船渡病院でも行われているという異常な事態について、知事はどう受けとめているでしょうか。
 医療局長に改めて聞きます。県立遠野病院の場合は、総看護師長の人事異動によって対応されましたが、今回も同様の具体的な対応をすべきではないでしょうか。総看護師長が温存されれば、県立大船渡病院の看護体制は崩壊しかねません。退職に追い込まれる看護師が多数出ることは明らかです。総看護師長を県立大船渡病院に配置した医療局長の責任は、極めて重大だと私は考えます。
 看護師は、患者の命と健康を守るために、献身的に患者に寄り添い看護を行っています。ところが、超過勤務を減らすために、患者の記録を書くことも退院の手続を行うことも超過勤務ではないと否定され、患者の安全も看護師の使命も無視されていることに本当に心を痛めています。
 業務改善と言いますけれども、看護師の仕事量は去年から全く減っていません。それどころか、業務改善の名のもとに、1時間遅番、2時間遅番、3時間遅番、このようなことが前日に指示される。チームワークとしての看護ができなくなる、こう言っているのですよ。
 病棟以外のところに、例えば8月、9月、新型コロナウイルス感染症でクラスターが発生しました。県立大船渡病院でも、20人前後の患者を一般病床でも受け入れた。そこに病棟から看護師が派遣されて、4・4体制のところが崩壊してしまった。3・3体制も維持できなかった。これは大問題ですよ。看護体制が崩壊しているのだから。こういうことまで起きているのですよ。あなたはわかっていますか。
 業務改善というのは、プラスどころか混乱を招いているのです。そして、実態は、看護師の本当に患者に寄り添った看護をしたいという思いが、努力が無視されているのです。医療局長、県立遠野病院の事件と同じことを繰り返してはだめだ。そして、その総看護師長を配置したのはあなただ。
 最後に言いますけれども、私は、改めて事務局長に会ってきました。あの総看護師長は変わらないと言っていました。変わらないということは、県立遠野病院の事件と同じことをやっている。県立大船渡病院にいる限り同じことをやっています。これからも続きます。直ちにこれは、人事異動を含めて県立遠野病院のように改善すべきだ。このことを最後に質問して、終わります。
〇知事(達増拓也君) 県立大船渡病院看護科における超過勤務の状況についてでありますが、職員の働き方については、法令が守られなければならないのは言うまでもないことであり、さらに、県においては、生活とバランスのとれた働き方を実現できるよう、若者や女性に魅力ある職場環境づくりの推進に取り組んでいるところであります。
 病院など組織の運営に当たっては、職員間の意思疎通が十分に図られ、職員が意欲を持って取り組んでいく環境を整えていくことが必要であり、県立大船渡病院においても、斉藤信議員御指摘の内容を踏まえながら、こうした職場環境を整え、地域において必要とされる医療が持続的に提供されるよう、医療局において取り組みが進められることを望みます。
〇医療局長(小原重幸君) まず、令和5年9月定例会におきまして、事実と違う答弁をしたのではないかということでございますが、そちらにつきましては、私もそういう認識はございませんというお話をしております。
 その根拠といたしましては、令和3年度から勤務管理システムということで、勤務への入出をタイムカードでチェックしております。それと超過勤務の申請の乖離につきまして、例えば、帰りが18時過ぎなのに超過勤務の申請がなされていないなどをしっかりつぶしながら、申請がなされていないのではないかというものには、きちんと確認した上で、それをしっかり申請するようにと改めて確認しながら毎月やっているところでありましたので、そういう点で、ないということをお答えしました。
 先ほど御答弁いたしましたとおり、打刻後もしくは打刻前に超勤しているというような実態が今回聞こえてまいりましたので、そこにつきましては、やり方として見直すことも含めまして、しっかり周知が必要かと思っていますし、取り組みが必要と考えているところでございます。
 人事異動等の具体的な対応についてでありますが、総看護師長には、看護部門のトップといたしまして、院長を補佐し病院全体のマネジメントに携わる者として、質の高い看護を実践するため、現場の監督、指揮指導、評価、人材育成、安全管理、職員の健康管理などに加えまして、看護部門の目標や病院の目標の達成を目指し、業務改善を行いながら看護部門全体のマネジメントをしていく看護管理者としての役割を期待し、これまでの経験や実践能力等を踏まえまして、適材適所で配置しているところであり、今後も、こうした観点から対応してまいりたいと考えております。
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 議案第1号令和5年度岩手県一般会計補正予算(第4号)から日程第24 議案第23号当せん金付証票の発売に関し議決を求めることについてまで
〇議長(工藤大輔君) この際、日程第2、議案第1号から日程第24、議案第23号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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