令和5年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇46番(岩崎友一君) 自由民主党の岩崎友一です。一般質問を行います。よろしくお願いいたします。
 初めに、東日本大震災津波からの復興について取り上げます。
 死者5,145人、行方不明者1,107人、家屋被害2万6,079棟、未曾有の大災害であった東日本大震災津波の発災から間もなく12年9カ月が経過いたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 振り返れば、この間、総額3兆7,520億円余と巨額の事業費が注ぎ込まれ、復旧、復興事業が進められてきました。
 私たちは、これまでの復旧、復興の全ては、震災により犠牲となられた方々の上にあるということを忘れてはなりません。そして、犠牲となられた方々の思いに報いるためにも、残された課題の解決、そして、復興の完遂へと向かわなければなりません。
 私はこの間、復興の完遂とは、一人一人の心の復興、いわば自立と震災前より強い経済をつくることであるとの強い思いを持って活動してまいりました。しかしながら、コロナ禍や物価高の影響などもあり、被災地の経済が下降し続けている現状や、生活相談の内容も変化してきていることを鑑み、新たな施策の投入も必要になってきております。
 そこで知事に伺います。知事は被災地の現状をどのように捉えているのか。また、復興の完遂について、具体的にどのような目標を持っているのでしょうか。新年度予算の策定に向け、特に経済復興に対してどのような事業を盛り込むのかも含めて伺います。
 登壇しての質問は以上です。以下、質問席から質問いたします。
   〔46番岩崎友一君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の御質問にお答え申し上げます。
 復興の現状についてでありますが、ハード面では、復興道路や災害公営住宅の整備が完了し、商業施設や水産加工施設が順次再開されるなど、計画された事業の多くが完了するとともに、ソフト面では、被災者の心のケアや新たなコミュニティー形成の支援などによる生活の再建、事業者の債権買い取りや販路開拓支援によるなりわいの再生などを支援してきたところであり、復興の取り組みを着実に進めてまいりました。
 また、原油価格、物価高騰問題や主要魚種の不漁、日本海溝・千島海港沿いの巨大地震、津波への対応など、復興の進展に影響を与える新たな課題のほか、県全体の課題である人口減少問題に対しても対策を講じていくことが重要であり、今後もあらゆる主体と連携した施策を展開してまいります。
 新年度予算の編成に当たっては、復興の取り組みにより新たに整備された交通ネットワークを生かした産業振興や水産業の再生に向け、漁業体験など三陸ならではのコンテンツを生かした教育旅行の誘致や、復興・防災ツーリズムの促進による交流人口の拡大、主要魚種の資源回復や増加している資源の有効利用、新たな漁業、養殖業の導入、生産性の向上や経営課題の解決に取り組む水産加工事業者への支援など、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン復興推進プランに基づく取り組みを積極的に推進するための予算としていく考えです。
 いわて県民計画(2019〜2028)長期ビジョンには、復興の目指す姿として、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を掲げており、引き続き、誰一人として取り残さないという理念のもと、将来にわたって持続可能な新しい三陸の創造を目指してまいります。
〇46番(岩崎友一君) ありがとうございます。ことし11月に、現地復興推進会議が行われまして、国のほうから岩手復興局長も出席しておりました。市町村も出席しておりました。当然、県も出席しているわけであり、そこでも指摘をさせていただいたのですが、年を越せば発災からもう13年たつわけでありますけれども、国、県、市町村が復興というものに対して共通の同じ数値的なゴールを持っていないというのは大きな課題ではないかというお話をさせていただいたわけでございます。
 今、私が感じているのは、市町村も人的、物的被害の状況がさまざまでありますから、復興の完遂というものの考え方が違うと思っております。できるならば、国、県、市町村が統一の数値的なゴールというものを共有すべきだと思いますし、また、最低でも県と市町村は共通の目標を持つべきだと思いますが、その辺の考え方について、知事のお考えをお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 東日本大震災津波のような災害の場合に、突き詰めると、1人1復興というようなところがあり、被害を受けた方々の住まいの再建でありますとか就職、就業、また、経営者であれば事業の展開、学んでいる人たちであれば進学、そして、さらにその後の進路、それぞれにそれぞれの計画、目標があり、また、そこにコロナ禍があったり、物価高騰問題があったり、さまざま外部環境の変動で柔軟にそういった目標を変更しながら進んでいるところもあるのだと思いますけれども、そういった一人一人の目標、また、市町村ごとにもそれぞれの目標があると思います。そういったものを尊重しながら、県として県が直接行う事業に関しての目標でありますとか、また、人口や所得、そして産業関係の指標などを指標という形で、第2期復興推進プランの場合ですと123の指標を設定して、県の事業に取り組んでいるところであります。
〇46番(岩崎友一君) 知事がおっしゃるのもわかりますけれども、市町村もそれぞれおっしゃいます。1人1復興というのもわからなくはありませんが、岩手県としてこの間、復旧、復興事業を進めてきて、どこに至ったときがゴールなのかという具体的な目標がないと、県においても各部局で同じベクトルで進めていかなければならないと思っておりますので、所得や観光客の入り込み客数もそうですし、新たな経済指標の導入でもいいのですが、何か一つのここだという目指すものを明確にすべきだと私は思うのです。そして、そこにできれば市町村にも追随していただきたいし、そういう中で、本当に真の復興というものを果たしていくべきだと思いますが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 東日本大震災津波全体を通じた復興の目標というものは、どこからも出たことはないのではないか。今も質問の中で、岩崎友一議員も特にそういう例は挙げられなかったと思いますけれども、一方で、5年で終わりとか、10年で終わりとか、機械的に復興というものを終わらせてはならないということもあります。復興道路の整備のようなハード整備でありますと、工程表が示され、何年までには終わるという整備の目標が掲げられ、そこまでには終わるというものがありました。一方で、心のケア、コミュニティー支援のようなものについては、必要性がある限りやらなければならないのではないかということが言われております。
 基本的には、必要性がある限り、生活を再建し、なりわいを再生し、安全を確保するような事業は続けなければならないと考えておりますし、また、そのための事業それぞれに応じて、それぞれの目標というのはあると考えます。
〇46番(岩崎友一君) 私が強調したいのは、やはり経済の問題です。経済復興という視点で、わかりやすい数値目標を示していただきたいと思います。
 それにも絡みますが、次の質問に移ります。
 震災伝承は私たちの子孫が二度と同じ悲劇を繰り返さないためにも、期間や時間を区切ることなく継続して取り組まなければならない問題でございます。
 2019年に開催された三陸復興防災プロジェクト2019について、私は当時、時期尚早であること、それでも開催するのであれば継続して行うべきと述べてきましたが、単発で終わってしまったことは非常に残念でありました。
 そこで、改めて提案でありますけれども、被災地の経済の復興及び震災伝承を目的とした県、市町村合同の継続的なプロジェクトを実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
〇知事(達増拓也君) 県ではこれまで、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催、防災推進国民大会2021、いわゆる、ぼうさいこくたいなど、さまざまな機会を通じ、復興支援の感謝や復興の姿、三陸地域の多様な魅力を国内外に発信してきたところであります。
 この三陸防災復興プロジェクト2019の目指す姿や取り組みについては、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる三陸防災復興ゾーンプロジェクトに継承し、東日本大震災津波伝承館を拠点とした震災の事実、教訓の伝承と復興の姿の発信に取り組むとともに、復興の象徴である三陸鉄道や三陸ジオパークなど地域の資源を活用した誘客促進、三陸の豊かな食を生かした施策などを展開してきたところであります。
 岩崎友一議員御提案の、県、市町村合同のプロジェクトについてですが、三陸防災復興プロジェクト2019で実施した22の事業のうち、11事業は現在もその趣旨を引き継ぎながら実施しているところであります。今後も市町村等と連携し、事業の継続を前向きに検討してまいります。
 また、三陸地域におけるより大規模なプロジェクトということであれば、さきの9月県議会定例会で、令和版三陸・海の博覧会開催のご提案をいただいたところであり、県民の皆様や関係機関等の御意見も伺いながら、さらに研究を重ねていきたいと考えております。
〇46番(岩崎友一君) それぞれ考え方があるからいいのですが、私は大規模なものを求めているわけではなくて、経済の復興と震災の伝承という目的で継続して開催すべきと、そのことを今、提案させていただいているわけであります。
 三陸防災復興プロジェクト2019の22の事業のうち11は継続してやっている。私もやっていることは理解していますけれども、議員の皆さんも何をやっているのか、多分、具体的な事業はわからないと思うのです。しっかりとプロジェクト化をして、実行委員会をつくって、銘打ってやったことによって多くの方々がそこに集まって、経済の復興であったり、震災伝承の一助になったと理解しておりまして、しっかりプロジェクトとして継続して開催するということが重要であると思いますが、その点をもう一度聞きたいのが一つ。
 もう一つが、この件に関して私が取り上げたのは初めてではないのですが、市町村と一回こういうことをやってみないかという話し合いは持たれたのかどうか、これもあわせてお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 三陸防災復興プロジェクト2019の事業で継続されているものとしては、三陸防災復興シンポジウム2019はその後、いわて復興未来塾や東日本大震災復興フォーラムという形で、復興のシンポジウムが毎年基本的に実施されておりますし、さんりく音楽祭2019に関しては、別の名前で、子供たちのオーケストラや佐渡指揮者のオーケストラなどが、釜石市などで行われているところであります。
 三陸ジオパークフォトロゲイニングフェスティバルは、以降、フォトロゲイニングが毎年三陸で行われておりますし、また、三陸防災復興プロジェクト2019のかなりの部分は三陸鉄道の事業でもありました。三陸プレミアムランチ列車、三陸縦断夜行列車、そういったものが三陸防災復興プロジェクト2019の22の中で行われておりまして、こうしたものは続いております。復興の学習列車もそうであります。
 特に、三陸鉄道を活用した事業については、三陸鉄道株式会社の役員会でありますとか、沿線自治体の会議でありますとか、そういったときに、県とほかに何かいろいろなことができないかという議論はしておりますし、また、シンポジウムのような伝承、発信系の事業や、また、音楽祭関係の事業、フォトロゲイニング、それぞれ現場において、次はどのようにやっていこうという議論をしながら、各年度の事業を行っているところであります。
〇46番(岩崎友一君) 知事には私の真意がなかなか伝わっていないというか、いろいろやっているのは私もわかっていますが、ただ、議員の皆さんも大多数はわからないと思うのです。そのくらい規模としては小さいし、インパクトが弱いということで私は申し上げているわけであります。
 加えて、ぜひやってほしいという意味は、2023年度の追悼式、県としては沿岸市町村の意向も尊重して、盛岡市で開催をすることとなりました。この盛岡市での開催に関しては賛否両論あるわけでありますけれども、県として復興がまだまだ終わっていない、最後までやり遂げるという姿勢を示すためにも、継続的なプロジェクトは必要だと私は思うのです。ぜひ市町村と早急に協議をしていただいて、来年からというのは厳しいと思うのですが、再来年からでもスタートしていただきたいと思いますが、知事、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 市町村や三陸鉄道を初め、沿線の経済関係の事業体ともさまざま協議、調整した上で、継続したほうがいいと思う事業をそうやって11ぐらいやっているところで、三陸国際ガストロノミー会議は、最近は舞台を盛岡市に移しているのですけれども、三陸の海の幸も実は取り上げていて、11の中に入れていない、継続はしていない扱いで答弁をしていたのですけれども、そのように、盛岡市を会場にしながら、しかし、沿岸市町村や関係者が食で事業をつなげるということは、やっているところです。
 それ以外、実際に市町村や三陸鉄道等の事業体等と県が協議して継続したほうがいいと思っているのは継続していますので、それ以外に、三陸防災復興プロジェクト2019でやったほかの事業で、具体的に何か提案があるなら検討したいと思います。
〇46番(岩崎友一君) 今、提案しているつもりなのですが、なかなかかみ合わない。ただ、ぜひ、私が言った視点というものはしっかりと県当局の中でももんでいただければと思います。
 次にいきます。大変恐縮でありますけれども、きょうは質問の順番を変えまして、先に釜石港と海業の関係について質問をさせていただきます。
 初めに、釜石港の振興について。
 現在、本県では、国の直轄事業として久慈港の湾口防波堤の整備、宮古港の藤原ふ頭の防波堤のかさ上げ工事が行われております。釜石港においては、須賀地区の土質調査が行われておりまして、それを受けて、岸壁構造の検討に入る予定と聞いております。これは国として大型岸壁整備の事業化に向けて進めているものと理解しております。
 釜石港においては、震災後、コンテナ取り扱い量が飛躍的に伸び、ガントリークレーンの整備も相まって、県にも多大なる御尽力を賜ったわけでありますが、コロナの影響を受けながらも、取り扱い量は堅調に推移をしております。
 また、物流問題2024への対応も考慮すれば、果たすべき役割の重要性も増していると感じています。釜石港、そして県内経済の発展、物流の好循環を生み出すためにも、今、このタイミングで釜石港須賀地区のふ頭用地の造成と大型岸壁の整備を行うべきと思いますが、県の見解を伺います。
〇県土整備部長(加藤智博君) 釜石港須賀地区のふ頭用地の造成と大型岸壁の整備についてでありますが、釜石港におきましては、これまでガントリークレーンやリーファーコンテナ電源などの整備や、外貿定期コンテナ航路の開設、三陸沿岸道路を含めた道路ネットワークの構築により港湾の利便性が向上しており、現在、県では集荷拡大に向けたポートセールスを行っております。
 直近では、釜石港と物流連携協定を締結している横浜港の港湾運営会社と今後のポートセールス先について協議を行いながら、県外の荷主企業を訪問するなど、継続して取り組んでいるところでございます。
 このような中、新たなふ頭用地等の整備は、将来的な貨物の増加について確度が高まり、その必要性が見込まれる際に検討する必要があると考えております。
 引き続き、港湾を取り巻く環境の変化を的確に把握しつつ、釜石市と連携して集貨拡大に向けたポートセールスを行うとともに、港湾施設の利用状況、取り扱い貨物量の推移や将来の見込み、企業立地の動向等を見極めながら、適切に対応してまいります。
〇46番(岩崎友一君) 大型岸壁の整備に関しては国の直轄事業になろうかと思います。ふ頭用地の造成は県の管轄かと思いますが、国が予算化した場合、県の対応はどうなるのか、加藤県土整備部長、もう一度答弁をお願いします。
〇県土整備部長(加藤智博君) 直轄港湾事業の新規事業化に当たりましては、新規事業採択時評価を実施する必要がございまして、その評価調書の作成に際し、あらかじめ国と港湾管理者において、必要な規模等の事業内容について調整が行われるものと考えております。
 このため、港湾を取り巻く環境の変化を的確に把握しつつ、港湾施設の利用状況、取り扱い貨物量の推移や将来の見込み、企業立地の動向等を見極めながら、整備に要する期間も考慮した上で、機能強化について検討してまいります。
〇46番(岩崎友一君) 千葉総務部長にお尋ねをしたいのですが、これまで国の直轄事業が予算化された場合、私は、県も呼応して予算化をしてきていると認識しておりますけれども、財政をつかさどる総務部長に、今の釜石港の関係に関して見解をお伺いします。
〇総務部長(千葉幸也君) 一般的には、港湾の岸壁整備などに当たりまして、国直轄事業で実施される場合には、県の実質的な負担割合は3割程度となっておりまして、県が補助事業や単独事業で実施する場合と比較すると、財政的には有利なものと承知しております。
 実際の事業実施に当たりましては、整備に伴う効果、それから、必要性等について、さまざまな角度から検討がなされるものと考えております。
〇46番(岩崎友一君) いろいろあろうかと思いますが、必要性については既に述べましたので、ぜひ国が予算化した場合には、財政も、担当部である県土整備部も連携して、呼応して取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、海業の振興についてお伺いいたします。
 水産庁では豊かな自然や漁村ならではの地域資源の価値や魅力を生かし、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すため、海業の取り組みを推進しております。
 そのような中、大槌町では磯焼け対策や海面養殖などの取り組みが評価され、全国で12地区、東北では唯一、海業振興モデル地区に選定されたところでございます。
 大槌町の吉里吉里地区では、令和3年度から民間事業者がサーモン等の養殖事業に取り組んでおり、今年度、県では海面養殖を後押しするため、国庫補助事業で整備した漁港用地に事業者が倉庫等を建設できるよう、漁業者と調整の上、国と必要な手続を行ったと聞いております。
 今後の展開としましては、漁港を拠点とした漁業、養殖体験や水産加工体験、漁港周辺における教育旅行の受け入れ、マリンレジャー、マリンスポーツの受け入れなどが期待されるところでもございます。
 県は、沿岸地域の水産振興や地域振興に向け、海業を推進すべきと考えますが、今後の取り組みの方向性についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(藤代克彦君) 海業の振興についてでありますが、人口減少、高齢化の進行等により漁村の活力低下が懸念される中、海や漁村の地域資源を最大限に活用しながら地域を活性化していく、いわゆる海業を推進していくことが重要と考えています。
 県内では、漁港内の静穏水域を漁場として利用するアワビの増殖やウニの畜養のほか、漁港施設を活用した児童生徒等の漁業体験学習やサーモン祭りなど、地域のにぎわい創出に向けた取り組みが行われています。
 また、今年度は藻場再生活動を組み込んだスキューバダイビングや地引網等の漁業体験が行われている大槌町の吉里吉里漁港が国の海業振興のモデル地区に選定されたところであり、現在、県も参画し、海業の取り組み拡大に向けた計画策定を進めています。
 県ではこれまで、地域のニーズを踏まえた漁港施設等の整備や有効活用を進めてきたところであり、今後とも交流人口の拡大など漁港を核とした漁村のにぎわい創出に向け、関係機関、団体と連携しながら取り組んでまいります。
〇46番(岩崎友一君) これはこれからスタートする事業でありますが、大槌町としても海面養殖、銀ザケ、トラウトサーモンがそのとおりでありますけれども、誰かが先に進んで、成功事例を見てほかの漁協でも取り組みを始める状況になっているかと思いますが、大槌町としても、まず、先行事例を自分たちがつくって、それをしっかり横展開して、県内のさまざまな前浜が元気になるようにと考えておりますので、県としてしっかりとバックアップをお願いしたいと思います。
 加えて、国でも海業に関しての取り組みは省庁横断的な取り組みになっております。先ほど申し上げましたように、マリンレジャー、マリンスポーツとなれば商工労働観光部も絡んでくると思いますし、教育旅行だと教育委員会なども絡んでくると思いますので、ぜひ国だけではなくて、県として部局横断的な取り組みを進めてほしいと思いますが、これは政策企画部長ですか、ぜひよろしくお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
〇政策企画部長(小野博君) 大槌町のいわゆる海業の横展開について、部局横断の観点からお答え申し上げます。
 第2期ふるさと振興総合戦略におきましては、農山漁村における体験、交流、それから、グリーンツーリズムなどを通じた国内外の人々の交流が広がる地域づくりを掲げております。
 また、いわて県民計画(2019〜2028)の三陸防災復興ゾーンプロジェクトの展開におきましても、この海業の取り組み、非常に重要な取り組みであると認識しております。
 今般の吉里吉里港における海業につきましても、水産業振興の取り組みに観光や教育、それから余暇など、他分野との連携の要素が加わることによりまして、地域の産業振興、交流人口の拡大につながるものと期待しております。
 今後、交流人口の拡大に向けた新たな取り組み事例といたしまして、この海業の取り組みの成果に注目しながら、庁内関係部局とともに他地域への横展開について検討を進めてまいりたいと考えております。
〇46番(岩崎友一君) よろしくお願いします。
 それでは、戻りまして、たっそ拓也マニフェストプラス39についてお伺いしてまいりたいと思います。
 このマニフェストでありますけれども、地域性、分野別を見ましても、非常にすばらしい内容であると思っています。そこで何点かお聞きいたします。
 初めに、今回のこのマニフェストに掲げた事業、なぜこれまでの4期16年でやらなかったのか、その理由をお答えください。
〇知事(達増拓也君) さきの知事選挙に臨むに当たり、知事に当選した後に何をするのか県民に示すべく、まずは、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期アクションプランの推進を掲げたところでありますが、さらなる新たな政策を求める声があり、39項目の政策を加える形でマニフェストプラス39を掲げたものです。
 マニフェストプラス39の内容は、過去行ってきた政策やいわて県民計画(2019〜2028)及びアクションプランの内容と連続性があるものであり、同趣旨の政策は過去にも行ってきたものであります。
 その上で、過去の政策の積み重ねにさらに加えていきたい内容や、ことしの夏の時点で緊急性がより高いと思われる物価高騰対策など、強化したい内容をマニフェストプラス39に盛り込んだところです。
〇46番(岩崎友一君) 私は違う認識を持っていまして、まず、知事は今回、このマニフェストプラス39は、知事選挙を戦うに当たって新たにつくったという部分は、答弁のとおりでよろしいのですか。
〇知事(達増拓也君) そのとおりです。
〇46番(岩崎友一君) わかりました。連続性という御答弁がございましたが、これは、どうなのでしょう。ハードを中心に、確かに、新笹ノ田トンネルの関係などはずっと議会でも取り上げられてきました。北・北道路もそうです。ただ、選挙の1年くらい前から徐々に答弁が、熟度を高めるとか、何かどんどん、選挙目当てではないですけれども、少しでも前向きな答弁に変わってきたという認識をしておりますが、全くマニフェストプラス39が出るまでは議会でも議論にならなかった点についても多く掲載されていると思うのですが、それに関してはいかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 新しい政策を公約にする場合、いろいろなやり方や考え方があるのかとは思いますけれども、私は、民主主義的な選挙を集団的意思決定の場として政策形成にも活用していこうと考える場合、県民が求めている、今、県としてやると決めている計画やそのもとでの事業にプラスして新しいことをやりたいという場合、県民が何を求めているのかというのを公約にして、それをマニフェストプラス39に盛り込んだところであり、したがって、県民的にも、まだやっていないけれどもこれからやりたいことということで考えていること、それをすくい上げてマニフェストプラス39に入れ、これが当選という形で承認いただいた暁には、改めて県民の皆さんとその内容を詰めて、行政機関も動かして検討を重ね、実現を目指すというものであります。
〇46番(岩崎友一君) 一番最後のほうの答弁は、若干、私と認識が違うのですが、次に、マニフェストの認識についてお伺いします。これは、これからの4年間で達成するという県民との約束であると私は理解しています。これは知事も同じようなニュアンス、少しニュアンスは違いましたけれども、当然、県民の皆さんも同じ認識で、達増さんが当選したらこれをやるのだといって投票された県民も非常に多くいるわけです。念のため、知事の認識を確認させてください。4年間で達成する、県民との約束、この2点について、簡潔にお願いします。
〇知事(達増拓也君) 今でもホームページを見ることができるのですけれども、文書そのものが選挙中に話していた内容であって、それを言いかえ始めますと、選挙のときに言っていた内容からずれていくわけであります。いずれにせよ、この3カ月間にもいわて県民計画(2019〜2028)、アクションプラン、マニフェストプラス39の内容に取り組んできておりまして、4年間、これらの実現に向け全力を尽くしてまいります。
〇46番(岩崎友一君) 尽くしていくといいますか、やはり我々は、マニフェストを見て投票されている方々もいるので、当選したらこれをやるのだ、やってくれるのだという認識で投票されている方々もいるのです。知事の答弁だと、努力はするというようなニュアンスにとれるので、やらなければならないというようなニュアンスでは答弁されていないのです。私は県民との約束だとはっきり言い切って、全部できなくても4年間で道しるべはつけると、そのくらい最低でもやってもらわなければ、県民は納得しないと思うのですが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 建設土木事業を伴うようなものを幾つか例を挙げますと、例えば、いわて子どもの森や放課後の居場所を提供する放課後児童クラブ及び放課後子ども教室の一層の充実を図る、これはそのとおり、やると言っていたわけですから、そのとおりするわけでありますし、県立病院の計画的な更新とあわせて、症例数や手術数が多い病院、ハイボリュームセンターの整備を進めますというのもそのとおりであります。そして、沿岸地域に既存の県立病院と連携したサテライト施設の整備を進めますというのもそのとおり、スポーツ医科学センターを建設します、そのとおりですね。福祉総合相談センターと県民センターの合築や、広域振興局とセンターを結ぶオンライン相談の導入など、相談支援機能の一元化や機能強化を図ります、ここに書いているとおりです。
〇46番(岩崎友一君) この実現性についてお伺いします。財源の問題も絡みますので、知事答弁はきょうは短目に、時間も限られていますのでお願いします。
 財源面から見た実現の可能性について伺います。知事も今、幾つか答弁されましたが、沿岸部へのリハビリテーションセンターのサテライト施設の整備、スポーツ医科学センターの建設、福祉総合相談センターと県民生活センターの合築、県北地域への産業技術短期大学校の新設、中山の園の整備、消防学校の整備など、いわゆる箱物の新設が掲げられています。加えて、北・北道路や新笹ノ田トンネル、国道107号、国道340号線大船渡から遠野市におけるトンネル化や道路改良など、巨額の事業費が必要となる事業も具体的に記載をされているわけであります。
 千葉総務部長にお聞きしますけれども、このマニフェストプラス39の実現に向けて、どれだけの財源が必要なのか、概算で結構ですのでお答え願います。
〇総務部長(千葉幸也君) マニフェストプラス39に盛り込まれた施策の具体化に当たっては、国の経済財政政策の方向性や民間投資の動向等により、さまざまな選択肢や可能性があり得ることから、現時点で財源の概算額をお示しすることは難しいところでありますが、岩崎友一議員御指摘の、いわゆる箱物施設や道路改良等の公共事業については、かなり大まかな推計にとどまるものではあるものの、数百から数千億円規模の財源を要するものであります。
 今後、岩手県公共施設等総合管理計画における令和22年度までの延べ床面積の見直し目標などを勘案しつつ、所要額を積算しながら、財源確保策についてもあわせて検討する必要があると考えております。
〇46番(岩崎友一君) ありがとうございます。当然、概算でしか計算できないと思うのですが、数百億円から数千億円ということで、メジャーリーガーの契約みたいな金額になっています。これは非常に巨額ですね。ことし9月に公表された岩手県中期財政見通しを見ても、本県の財政は非常に厳しい状況にあることは知事も御承知のはずです。
 実は、知事はこれだけの大風呂敷を広げたからには、財源確保について妙案をお持ちなのかと思いながら去る9月定例会の答弁を聞かせていただきました。しかしながら、県有資産や基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直しなど、これまでとかわり映えのない取り組みばかりであります。知事にお聞きしますが、このマニフェスト推進のための財源確保策について、知事はどのような妙案をお持ちなのか、具体的にお示しを願います。
〇知事(達増拓也君) これまでの財源確保策によっても、いわて盛岡ボールパークのような新しい施設の建設でありますとか、道路そのほかのインフラ整備など、さまざま大きな事業もやっているところでございまして、これまで取り組んできた県有資産や各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直しなどというのは、やはり重要な財源確保策と考えております。
 さらに、いわての森林づくり県民税の使途拡大や、超過課税のあり方なども含めたさらなる財源確保策についても検討に着手しているところであります。
 あらゆる歳入確保策を講じつつ、さまざまな選択肢を検討の俎上にのせ、継続的かつ安定的な財源の確保に努めてまいります。
〇46番(岩崎友一君) 今の財源確保策では数百から数千億円という財源は確保できないと思うのです。いかがですか、知事。
〇知事(達増拓也君) それは、どういう根拠でそう言われているのかがわからないのですけれども、過去も今、述べたような財源確保方策によりまして、かなりの学校や病院もそうでありますし、さまざまな新しい施設の整備を行い、いわて花巻空港の新しいターミナルでありますとか、そしてまた、道路、河川、こうした事業につきましても、かなり進めてきたと思います。
 そのようなやり方で今後におきましても、県民が求めている行政ニーズに応えられるように、継続的かつ安定的な財源の確保に努めてまいります。
〇46番(岩崎友一君) 恐らくこれは財政をつかさどる総務部は非常に頭を悩ませるのではないか。私は知事の今の答弁では到底納得はできません。
 本来、マニフェストというものは、達増知事は今回もう5期目の当選でありますので、新人でもありませんから、財源の根拠も含めてマニフェストというものは作成をするものではないかと私は思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 公約のつくり方はさまざま、人によっていろいろやり方があり、そういう中から、滝沢市長選挙では盛岡赤十字病院の誘致といったような公約が出されたりしていたことを思い出しますけれども、いずれ、私といたしましては、県民みんなで既にやるということを決めているいわて県民計画(2019〜2028)とアクションプラン実施、これは非常に私もさまざま自分の思いを込めながら、いろいろな会議に参加し、また、県民の皆さんともやりとりしながら決めていったことでありますので、それを推進するということをまず示しつつ、プラスして、マニフェストプラス39という新しい政策を、これは今、県民がさらに求めているであろう内容を私が言葉にし、そして、それを選挙を通じて承認いただければ、その内容について、さらに県民の皆さんと検討して、調整して、詰めていって実現するという選挙を民主主義的な政策決定の過程として生かしていくやり方としてやったものです。
〇46番(岩崎友一君) なかなか私は理解できないのですが、人の選挙はどうでもよくて、知事の選挙のことを聞いていますから、ほかの選挙はどうでもいいのですけれども、知事は新人でもなくて、もう5期目ですよ。私が思うのは、知事のようにすばらしい学歴があって、経歴があって、知事としても5期目、もうベテランの域に入ってきています。そんな達増知事が、こんな財源の根拠もないマニフェストをつくれるわけがないと思うのです。このマニフェストはどなたがつくられたのですか。
〇知事(達増拓也君) 選挙対策本部の中でさまざま議論をし、そして、発表する際にも、選挙対策本部で用意した発表の場で発表したりとか、そういう組織的な作業はありましたけれども、私の責任において、候補者の政見、そして、公約として出されたものであります。
 そして、過去も、例えば先ほど取り上げた三陸防災復興プロジェクト2019も、実は選挙の公約として出したのですけれども、特に財源を示したわけではありませんで、特に財源について言えば、いわて県民計画(2019〜2028)とアクションプランの財源についても、年度の予算の中で財源を明示するものでありまして、今後4年分について、今回、それらの計画やプランの財源が明示されているわけではありません。過去の選挙でも、そういった財源の明示ということはせずに、4回選挙を経てきたところであります。
〇46番(岩崎友一君) それは、要するに、このマニフェストは達増知事がつくられたものではなくて、選挙対策本部でつくられて、それを達増拓也のマニフェストとして使ったということが真実ですか。
〇知事(達増拓也君) 基本的に私が書いたものです。
〇46番(岩崎友一君) 知事が書いたのですね。なかなか知事は、財源の根拠のないマニフェストを書けるかと思って本当に疑問ですが、いずれ、県民の期待というものは、最初から言っていますけれども、当選したらこれをやってくれるのだから投票したという声を非常に多く聞くわけです。ですから、これは精神論といいますか頑張りますで済む話ではなくて、しっかりと知事の責任で財源も確保しながら、一つ一つ実現させていかなければ、単なるマニフェスト詐欺にしかならないのですよ、正直申し上げて。これに期待して皆さん入れているわけですよ。
 私、よく聞きます。沿岸部でも、私は選挙が終わって聞いたのは、達増知事が岩手医科大学のような病院を沿岸部につくると。私は何を言っているのかと思ってよくよく見ると、沿岸部にリハビリテーションセンターをつくるというのと、ハイボリュームセンターの整備を、多分みんなが話をしているうちに混同して、沿岸部に岩手医科大学のような病院ができるということです。ただ、そのくらいみんな、このマニフェストを見て投票しているのです。それをやってくれるという期待のもとで投票しているわけですから……
〇副議長(飯澤匡君) 静粛に願います。
〇46番(岩崎友一君)(続) ですから、今のような中途半端な答弁だと県民も納得しないと思います。知事、財源も、できますとかやりましたではなくて、これから4年間ありますが、我々もしっかりと進捗状況について注視していきますけれども、決して詐欺眼鏡と言われないように、まじめに、県民の皆様にちゃんと応えるのだ……(知事達増拓也君「それは言い過ぎだろう」と呼ぶ)という思いでしっかりやっていただかないと、我々も選挙で当選をさせていただいた者として、県民の皆さんに説明がつかないということだけは申し上げておきます。
 この問いの最後に、このマニフェストの……(知事達増拓也君「マニフェスト詐欺ということと詐欺眼鏡ということに反論させてください」と呼ぶ)
〇副議長(飯澤匡君) ちょっと待ってください。まだ質問を続けていますから。
   〔46番岩崎友一君「議事進行」と呼ぶ〕
〇46番(岩崎友一君) 答弁は私が質問しているものだけ答えていただければ結構ですので、議長の整理権でお取り計らいをお願いします。
〇副議長(飯澤匡君) 質問してください。
〇46番(岩崎友一君) この問いの最後に、このマニフェストの実現に向けて、KPIも含めたいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン等への落とし込みが重要であると思いますが、そのプロセスや時期について伺います。
〇知事(達増拓也君) いわて県民計画(2019〜2028)及びアクションプランにつきましては、個別の事業を盛り込んだものではなく、それが事業によって目指す姿や分野別の内容について述べておりまして、個別の事業については、年度ごとの予算の形で提示していくものであります。
〇政策企画部長(小野博君) ただいま知事から答弁申し上げましたとおり、マニフェストのアクションプランへの反映についてでございますけれども、今回、マニフェストプラス39に掲げられました各項目は、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期アクションプランの内容を踏まえ、これら県民計画のもとに行われる政策として掲げられたと聞いておりまして、具体の施策として位置づけることができると考えております。
 現在、マニフェストの実現に向けた具体的な課題の整理、それから、施策の方向性などにつきまして、全庁で検討を重ねているところでございます。その具体化に向けましては、市町村を初め関係団体等とも連携、調整を進めているところです。
 アクションプランは、実施計画といたしまして取り組みの基本方向でありますとか、県が取り組む具体的推進方策などを明らかにするものでございますが、マニフェストの具体化に向けた検討の結果、第2期アクションプランに位置づける必要がある場合には、これまでのプラン改定のプロセスなどを踏まえながら、プランを柔軟に見直すことも想定しております。
〇46番(岩崎友一君) 申し上げてきましたように、マニフェストは重要でございます。ハードはわかりやすいのですが、ソフトは目に見えないのでわかりづらい部分もありますので、しっかりとKPIに落とし込んでもらって、毎年の進捗状況を議会にも報告をいただきたいと思いますし、県民の皆様にわかりやすい形で進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、県北・沿岸振興について伺います。
 県では平成18年1月、持続可能な地域社会を構築することを目的とし、県北・沿岸振興本部を立ち上げ、格差の解消などに取り組んできたとのことです。しかしながら、県北・沿岸部との格差は依然として存在しており、根本的な対策が求められているところです。
 この間の活動を見ても、年に二、三回の会議を重ねているだけでありますが、知事は県北・沿岸振興本部に何を期待してきたのか、また、格差がまだまだ是正されていない現状を踏まえ、どのような認識をお持ちなのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 県北・沿岸振興本部は、4年ごとに基本方針を定め、現在は持続的に発展する地域をテーマに、いわて県民計画(2019〜2028)の新しい時代を切り開くプロジェクトの推進、DXやGXの推進、交流人口の拡大、震災の伝承と人材育成を掲げて取り組んでいます。
 復興推進プランや地域振興プランなどいわて県民計画(2019〜2028)の推進により、県北圏域では、多様かつ豊富な資源、技術、培われた知恵、文化を生かし、北東北、北海道に広がる交流、連携を深めながら、新たな地域振興を展開する地域、沿岸圏域では、東日本大震災津波からの復興を着実に進め、その教訓を発信し、新たな交通ネットワークやさまざまなつながりを生かした新しい三陸の創造により、国内外に開かれた交通拠点としての岩手の魅力を高め、広げていく地域という目指す姿の実現に向かっています。
 一方で、県北・沿岸圏域では、婚姻件数、出生数とも全県平均を上回る減少率で推移しており、他県や県内他圏域への転出も顕著となっています。また、主要魚種の不漁や物価高騰等の課題も加わり、厳しい状況が続いています。
 このことから、いわて県民計画(2019〜2028)のさらなる推進とともに、人口減少対策、主要魚種の不漁、物価高騰等、喫緊の課題への取り組みを強化して、県北・沿岸振興に取り組んでまいります。
〇46番(岩崎友一君) 県央・県南部と県北・沿岸圏域の格差という部分に関しては、今どのような、これまでも振り返って、どのような認識をお持ちですか。私はまだまだ是正されていないと思っていますが、知事の認識をお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 県民所得、市町村民所得ではかりますと、県北・沿岸圏域の1人当たりの市町村民所得は上昇しており、県央・県南部との乖離も縮小してきております。
〇46番(岩崎友一君) 恐らく県北・沿岸振興本部は所得の部分だけではなくて、例えば、観光客の入り込み客数や地域医療も関係してくると思うのです。10万人当たりの医師数においても、二戸地域が若干高いくらいでありますが、観光客入り込み数など、県北・沿岸圏域は総じて低いという現状があります。
 今、知事は、1人当たりの市町村民所得の話をされました。この計算式ですが、これは雇用者報酬、財産取得、企業所得を足して、それぞれの市町村の人口で割り直して算出されているわけであって、市町村経済の水準をあらわすような指標として、国のルール、基準で決められているわけであります。ことし選挙が終わってから知事にも沿岸圏域で、二、三度、会議で御一緒させていただいているかと思うのですが、1人当たりの市町村民所得が地域の経済の好循環や、所得の二百五十何万という数字が、数字自体は差がないのですけれども、やはり活力、にぎわいにすごく差があると思っております。これは計算式が計算式なので、沿岸圏域の場合は、雇用者報酬、財産取得、企業所得が少ない、そして人口も少ないので、割り直せば知事が答弁したような数字になるかと思うのですけれども、結果として、沿岸・県北圏域は経済規模が小さいがゆえに地域の経済であったり、にぎわい、活力に格差が生じていると私は理解しております。
 そう考えますと、1人当たりの市町村民所得は個人の所得とはまた別の数字でありますが、その部分を県北・沿岸部においては相当上げていかないと、地域住民の方々が景気がよくなったという実感を持つことができないと思います。そういった視点から捉えることも重要かと思いますが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 格差という抽象的な質問でしたので、一つの例として、格差の問題で典型的に語られる所得の問題で答弁したところでありますが、具体的に医療の格差、医師数のお話もありました。そういったことに関しては、県南・県央圏域と比較した場合には県北・沿岸圏域の課題それぞれがありますので、もう少し具体的に聞いていただければ、それぞれに対してきちんと回答できるものを用意できるとは思いますけれども、一般的には、どこにおいても人間として尊重されるべき福祉の関係、医療の関係でありますとか、そういったことについては、もっと一つになっていかなければならないと思います。
 一方、経済、産業に関しましては、もちろん沿岸圏域や県北圏域においても県央圏域や県南圏域に見られるような超大型の工場誘致というものの可能性を諦めてはいないわけでありますけれども、より地理的条件に見合うコネクター産業でありますとか、海洋と関係のある産業でありますとか、逆に、県央圏域、内陸には立地しにくいような産業が県北・沿岸圏域のほうには期待できるところもあり、県北圏域のブロイラー産業でありますとか、漆を生かしたこと、また、観光についても、沿岸・県北圏域は内陸、県南圏域とは全く違ったサービスを提供することができるわけで、そこは格差というよりは、県北・沿岸圏域に合った形での産業の発展、経済の好循環というものを目指していくという考え方が先ほど述べた答弁、県北と沿岸圏域のそれぞれの目指す姿に込められているところです。
〇46番(岩崎友一君) 観光客や医師数の関係はしっかり数字が出ていますので、それは見れば歴然でありますので、ぜひ見ていただきたいと思います。
 産業に関しても、格差の捉え方はさまざまあるかもしれませんが、知事も沿岸圏域に来て、盛岡市から沿岸圏域に来れば、盛岡市のほうが当然にぎわっているな、活力あるなと感じると思うのです。肌感ですら感じると思いますので、地域の皆さんに実感を持ってもらうためにどうするかという視点を、一つの格差というものの是正の指標に県としても加えていただきたいというのが私の要望であります。
 次に、県北・沿岸振興を進めていく上で、組織についてお伺いいたします。
 県では、県北・沿岸振興本部を立ち上げているほか、県北広域振興局、沿岸広域振興局があります。また、公益財団法人さんりく基金と、その基金内に三陸DMОセンターが設置されておりますけれども、これらは組織的にどのような序列、役割分担になっているのかお伺いをいたします。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 県北・沿岸振興に関する組織の役割についてのお尋ねでございます。
 県北・沿岸振興につきましては、県北・沿岸振興本部を中心として、いわて県民計画(2019〜2028)の10の政策分野や復興推進プラン、地域振興プラン、また、ゾーンプロジェクトによる多様な取り組みを推進してまいりました。
 県北・沿岸振興本部は、本庁各部局及び県北・沿岸広域振興局により構成しており、本部で決定した重点的取り組み方針等に基づき、本庁と広域振興局が一体となって県北・沿岸振興の事業を展開しているところでございます。
 また、県の出資法人である公益財団法人さんりく基金は、三陸地域の振興を図るため、復興等の課題に対応しながら、県や市町村の取り組みを機動的に補完する交流人口の拡大に資するイベントや、新商品、地域サービス開発に対する助成などを実施しておりますほか、平成28年度には、地域資源を生かした観光振興による交流人口の拡大を図るため、さんりく基金に三陸DMОセンターを設置し、教育旅行や観光プログラムの企画、観光人材の育成等に取り組むなど、県の取り組みを補完するとともに、市町村や関係団体の取り組みを支援しております。
 引き続き、県北・沿岸振興本部を中心に、市町村や関係団体とも連携しながら、県政の重要課題である県北・沿岸振興に取り組んでまいります。
〇46番(岩崎友一君) そうしますと、県北・沿岸振興本部がトップ、その下に県北広域振興局、沿岸広域振興局がある。さんりく基金はそれと同列で横にあるというような組織図でよろしいのですか。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 県北・沿岸振興本部につきましては、本庁各部局、それから、先ほど御答弁させていただきました沿岸、県北の広域振興局が構成員となっております。さんりく基金につきましては、県出資法人ではありますが、あくまでも民間企業でございますので、組織的に上下とかそういうことではありませんが、先ほど申しました事業につきまして、三陸振興を補完するため、県の機能を補完するために、現場実態に沿った事業を展開しているところでございます。
〇46番(岩崎友一君) 県北広域振興局、沿岸広域振興局も本部員のメンバーなので、やはりトップにあるのは県北・沿岸振興本部ということでよろしいですね。
 私は気になるのですが、職員の仕事の仕方を見ていると、誰がグリップを握って、誰の言うことを聞いて動けばいいのか、今いただいた説明のとおりに上手に機能していないのではないかと思うのですが、その辺、実感はどうですか。私は見ていて何かやりづらそうというか、どこを見て仕事をすればいいのだと思います。県北・沿岸振興本部がトップであれば、そこを見て沿岸広域振興局、県北広域振興局が仕事をすべきだと思うのですが、なかなかそうはなっていないような実態に見えます。職員たちの理解も含めてどのような認識でしょうか。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 県北・沿岸振興本部が所掌している中身が、それぞれの各部局の事務事業を総括する三陸沿岸振興の枠組みという形でございます。本部の定めました重点取り組み方針等に基づき、各部局が事業を立案し、それを予算化し、実行していくという流れになっております。副知事を本部長として、より機動的に動けるように、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
〇46番(岩崎友一君) ここで一つだけ、ぜひ提案なのですが、三陸DMОセンターについてであります。盛岡市内から、宮古地区合同庁舎の中に移していただいたのは、これはありがたい話でありますけれども、振興局にいますと、どうしてもかたいといいますか、例えば、釜石市のDMCは、うおがしテラスといって民間の施設にあって、そこにはいろいろな観光客など人が出入りしますから、肌感覚で、きょうは外国人が来ているな、きょうは何とかナンバーのバスが入っているなと、いろいろな町の雰囲気、観光客の雰囲気というものを肌で捉えることができると思っています。
 そしてまた、そこの社長は民間の方で、市役所の職員はその下にいるという組織になっているわけでありますが、三陸DMОセンターのセンター長は今、県の職員だと思います。その下に民間の方々がいるかと思いますけれども、ぜひ場所に関しては、例えば宮古市内で、人の流れ、金の流れ、物の流れがわかるような場所に移していただきたいということと、民間の力を活用するためにも、民間の方々がもっと自由に活動できるように、センター長を民間の方にするかも含めて御検討いただきたいと思うのですが、いかがですか。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 三陸DMОセンターにつきましては、平成4年度に現地機能を強化するため、三陸鉄道株式会社本社や三陸ジオパーク推進協議会事務局などが置かれている宮古市に活動拠点を移し、県の宮古地区合同庁舎に事務所を置いているところでございます。
 現在、事務所を置く宮古合同庁舎におきましては、三陸ジオパーク推進協議会事務局と同じ事務室を区分して利用しております。また、県の宮古地域振興センターと同じフロアであるほか、三陸鉄道株式会社本社とも近く、関係先との連携に非常に便利な環境にあると認識しております。
 地域の状況を肌で感じることは、DMОを運営する上で非常に重要であると認識しております。積極的に地域の関係機関、団体と交流を持ち、引き続き、地域に根差した観光地域づくりを進めていってほしいと考えております。
 また、センター長の御提言もいただきました。センター長は県派遣職員でございます。行政経験が豊富な副部長級の職員が充てられております。関係機関との密接な連絡調整、特に、県の施策との連携に経験が生かされているところでございます。一方、DMОの運営には民間の経営感覚が欠かせないことから、プロパー職員である観光プロデューサー2名は、いずれも旅行会社勤務経験を有する者を充てております。県派遣職員とプロパー職員、それぞれの長所を最大限に活用しながら、引き続き、地域に根差した観光地域づくりを進めてまいります。
〇46番(岩崎友一君) 私の提案を聞いていただけたのかどうかわかりませんけれども、ぜひ立地の問題と組織の問題に関しては御検討いただいて、民間の活力を活用するというのは非常に重要だと思います。特に、観光というものは経験も必要ですし、そういう方を当然、コーディネーターとして雇っているかと思いますので、前向きに御検討をお願いしたいと思います。
 それで、県北・沿岸振興本部でありますが、先ほど組織に関して御答弁をいただきました。私は、実は今、県北・沿岸振興本部は何をやっているのかというと、各部局から既存の事業をかき集めて、これですという形になっているように見えるのですが、しっかりと県北・沿岸振興を図るためにも本部の権限を強化し、県北・沿岸部に関する事業について、県北・沿岸振興本部が各部局と調整を行いながら、本部として予算要求するくらいの組織にすべきと考えておりますけれども、これまでの活動の評価、そして、こうやったらもっといい組織になるのではないかという御意見があれば、それも含めて本部長である八重樫副知事の見解を伺います。
〇副知事(八重樫幸治君) 県北・沿岸振興本部におきましては、部局横断的な体制により、全庁を挙げた県北・沿岸振興に取り組むこととしており、豊かな再生可能エネルギーを生かした社会システムの構築、三陸沿岸道路等の交通ネットワークや港湾機能の活用、DXの推進による産業振興の取り組みなど、毎年度定める重点的取り組み方針に沿った事業を展開しています。
 また、毎年度の予算編成方針には、県北・沿岸振興の重点化を盛り込んでおり、本年度は、県北・沿岸圏域における地域資源を活用した産業振興や交流人口の拡大などに積極的に取り組むよう、私から全庁に指示をしているところであります。
 今後におきましても、県北・沿岸振興本部を中心に、北いわて産業・社会革新推進コンソーシアムや三陸振興協議会の枠組みを生かして、市町村など関係機関と一体となった地域振興を推進してまいります。
〇46番(岩崎友一君) 私が提案しました予算要求自体も、本部でしっかり取りまとめて、本部で検討して、こういう事業をもっとやらないといけないのではないか、事業費をもっとふやしたらいいのではないか、そのくらい強い権限を持って進めていただきたいと思うのですが、本部長、いかがですか。
〇副知事(八重樫幸治君) 県北・沿岸振興の取り組みは、商工振興を初め観光、農林水産業、地域振興、環境、復興など、多岐の分野にわたることから、部局の専門性を生かして総合的に推進していく必要があると考えています。
 令和6年度の予算編成方針において、県北・沿岸圏域における大学や研究機関等との連携による地域資源を活用した産業振興や広域観光を活用した交流人口の拡大など、地域の振興を図る取り組みを推進するよう各部局に指示したところであり、予算要求において、今申し上げた方針に基づいて、各部局が予算要求を行っているところであります。本部長である私が県北・沿岸振興に係る予算に目配りをしながら、予算編成を行うこととしております。
〇46番(岩崎友一君) そうなりますと、これまでも各部局から県北・沿岸振興に係る予算が、財政課に予算要求されて、本部長はそれを全部見た上で、ゴーだと、これで行こうということでやってきているし、これからもそういうふうにやるという理解でよろしいですか。
〇副知事(八重治幸治君) 予算要求においては、各部局が予算編成方針に基づいて予算要求を行っていることはそのとおりでありますし、予算をどうするかということは、予算編成過程において総務部がさまざま調整を行いますが、その過程で私がその予算編成において、県北・沿岸振興に係る予算について調整をしているというか、確認をしているところでございます。
〇46番(岩崎友一君) 本部長、求められているのは成果でありますので期待しております。
 県北・沿岸振興を取り上げてきましたけれども、これは私が沿岸地域の人間だからということもありますけれども、県北・沿岸圏域が元気になることによって、結果、県都盛岡が元気になるわけです。人の流れもそうです。高校を卒業したら盛岡市の専門学校、県立大学、岩手大学など、若い人も結構来ますので、県北・沿岸圏域を元気にすることが岩手県全体の活力になるという意識で質問しておりますので、期待をしております。本部長、よろしくお願いいたします。
 県北・沿岸振興の最後に、知事がマニフェストで掲げられているまちづくり会社について伺います。
 三陸振興を総合的にプロデュースするまちづくり会社、これは県北・沿岸振興、特に沿岸圏域ですが、どのようにかかわっていくのでしょうか。まちづくり会社の組織、期待する役割、求めている結果について、知事に伺います。
〇知事(達増拓也君) マニフェストプラス39の内容についての御質問でありまして、これは先ほど、マニフェスト詐欺ではないかというような発言もございましたけれども、あれが詐欺という前提では、その内容について、本会議の場で質問ということにはならないでしょうから、あの言葉をちゃんと受けとめた上で、内容についての質問をしているという前提で答弁をしたいと思います。
 三陸振興については、これまでも県北・沿岸振興本部を中心に、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる三陸防災復興ゾーンプロジェクトにおいて、交通ネットワークや港湾機能などを生かした地域産業の振興や、三陸地域の多様な魅力の発信、国内外との交流の活発化などの取り組みにより、持続的に発展する地域の創造に取り組んできました。
 また、三陸地域においては、さまざまな個人や団体の活動も活発に行われており、さんりく基金では、交流人口の拡大に資するイベントや新商品、地域サービス開発に対する助成などを実施し、三陸DMОセンターでは、三陸鉄道を初め震災学習や体験学習を行う各種団体等と連携し、教育旅行や観光プログラムの企画、観光人材の育成等に取り組んでいます。
 私個人といたしましては、今般のマニフェストプラス39に掲げたまちづくり会社について、現在、さんりく基金や三陸DMОセンターが果たしている役割をさらに発展させ、地域の知恵と力を結集することにより、強力に三陸振興を進める先導的役割を果たすことができると考え、選挙公約に掲げたところです。
 今後、こうした考え方について、市町村を初め関係団体の御意見を伺いながら、具体化に向けた検討を進めてまいります。
〇46番(岩崎友一君) 検討ということでありますが、もしやるのであれば、いずれ組織体がしっかり整理されて機能する形で、しっかりやってほしいと思いますし、民間の活力、これはものすごく大事だと思います。県庁や県から出向した人がグリップするのではなくて、民間の活力を生かした会社にしていただきたいということだけ申し上げて、次の質問に入ります。
 地域医療についてでありますが、岩手県保健福祉計画についてお伺いいたします。
 今定例会には、令和6年度から令和11年までの6年間の岩手県保健医療計画の素案が示される予定となっております。これを受けて、令和7年度から医療局で県立病院等の経営計画が策定されるかと思います。
 現在、県内には20床以上の病床を有する医療法上の病院が22の県立病院を含め、国立、市町村立、民間を合わせて92あります。医師不足が顕著であることや、各病院の施設の老朽化も目立つ中で、地域医療については、県のみではなくて、市町村や民間病院と連携をしながら、建屋の整備、医療圏のあり方などを慎重に考えるべきであると思っています。
 今回示される素案も、今後、パブリックコメントや関係団体、市町村への意見聴取が行われると思いますけれども、私は、総論賛成、各論反対になりかねないと懸念しております。そのくらいしっかり、市町村だったり関係機関との調整が必要だという意味でありますけれども、県の見解を伺います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 今般お示しさせていただきました岩手県保健医療計画の素案の作成に当たりましては、医療機関や患者、家族会、市町村などの関係機関で構成されます、がんや循環器、小児・周産期など、それぞれ専門の協議会において、さまざまな御意見を伺いながら検討を進めてまいりました。
 これら意見を踏まえまして、岩手県医師会などの関係団体や医療機関、保険者などで構成されます医療審議会の医療計画部会におきまして、素案の方向性について具体の調査、審議をいただいた後、市町村や関係大学なども加わった全委員による審議会で御意見をいただき、このほど素案を作成したところでございます。
 また、9圏域に設置をしております市町村や地域の民間医療機関などを構成員とする地域医療構想調整会議におきましても、岩手県保健医療計画の策定に向けた方向性の段階から、地域の医療提供体制の現状などを踏まえた御意見もいただいてきたところでございます。
 今後、最終案の作成に向けまして、市町村や医師会などの関係団体、パブリックコメントを通じた県民からの御意見を伺うとともに、地域医療構想調整会議などの場において丁寧な説明に努めまして、幅広い意見を頂戴しながら、最終案に向けました検討を進めていきたいと考えております。
〇46番(岩崎友一君) 先ほど郷右近浩議員の質疑のやりとりでもありましたが、地域医療というものはものすごく重要な話でありまして、その地に定住をするか、移住をするかを決める大きな決断につながりかねない重要な分野でございます。そう考えますと、市町村との連携や民間病院と連携をしながらやっていくには、最終案が出るのは来年3月ですか、時間的に短いと思いますが、いかがなのでしょう。しっかりその中でまとめられるものでしょうか。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、さまざまな審議会の場で民間の医療機関も含めた方々に参画していただいて、協議を重ねてまいりました。また、審議会の場以外にも、当然、我々県としてのたたき台の案を示す前に、地域のさまざまな医療関係者などの意見を伺いながら素案を作成して、審議会の場に諮るという形で進めさせていただいたところでございます。
 ある程度、県内の医療提供者側の意見については集約させていただいた形で素案にまとめさせていただいたと理解はしておりますが、改めて、まだまだ市町村や関係機関の方々から丁寧に御意見を伺って、最終案、短い期間ではございますが、きちんとまとめてまいりたいと考えております。
〇46番(岩崎友一君) ぜひ丁寧に進めていただきたいと思います。
 次に、人口減少対策についてお伺いいたします。
 初めに、市町村との共同宣言についてでありますけれども、ことしの2月定例会で、私も代表質問で取り上げました。市町村との共同宣言は、知事がことしの新春インタビューで、人口減少を打開するため市町村と共同宣言をやりたいと表明をされました。私は選挙前のパフォーマンスであると思っていましたが、共同宣言の理由について、当時の答弁では、国において、こども家庭庁を発足させたタイミングに合わせ、岩手県でも人口減少に立ち向かうため、取り組みをもう一段強化する必要があると考えたとのことでありましたが、一方で、いまだに共同宣言は行われておりません。間もなく年も越します。
 そこで伺います。選挙戦も終わり、地に足をつけて人口減少対策に全力で取り組める環境にあると思いますが、市町村との共同宣言はいつ行うのでしょうか。また、恐らく共同宣言に向けた一歩として行われるであろう市町村長とのトップミーティングもいまだ開催されておりませんが、いつ開催するのか、あわせてお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 人口減少問題というのは非常に重要な問題なのであって、選挙目当て云々という話ではないということをまず申し上げておきたいと思います。
 市町村と県の実務者間で調整を進める中、市町村からさまざまな御意見をいただき、市町村への説明や具体的な議論を丁寧に進めていくため、今年度、市町村、県が連携して取り組むべき事業等について、町村長や実務レベルでの意見交換を行ったところであり、今月中旬には、市長との意見交換を行う予定です。
 この間、県は、国のデジタル田園都市国家構想総合戦略の策定にあわせて、第2期ふるさと振興総合戦略の改定作業を行っており、これについては、国、県、市町村が一体的に取り組むべきものであることから、市町村と県が一層連携を図る必要があると考えています。つまり、こういったことに関しても意見交換をしたほうがいいということであります。
 県・市町村トップミーティングの開催時期については、現在、市長会や町村会側の意向等も確認しながら調整を進めております。
 今後も丁寧に議論を重ねながら、市町村と県との連携を一層強化し、このような連携を県民に
発信する観点から、効果的なメッセージ等についても検討を進めてまいります。
〇46番(岩崎友一君) いずれ人口減少問題は、知事が言うとおり、非常に大きな問題で、なかなか歯どめがかかっていない状況であるのはそのとおりであります。
 先に自然減に関する部分でまず1点取り上げます。知事のマニフェストプラス39の第1項目、子育て支援策の展開と拡充が掲げられました。今年度から3歳未満の保育料を第2子から所得制限なしで無料となるなど、全国トップクラスの子育て支援策がスタートしますとあります。県の政策誘導には評価をいたしますが、財政的には県の負担額が4億6,000万円余、市町村の負担額が7億2,000万円と市町村には大きな一歩も踏み出していただき、実施に至った経緯があります。
 さて、知事のマニフェストの表紙には、人口減少・少子化に立ち向かい、希望郷いわて、その先へ。大攻勢をかける次の4年間とあります。ことし2月の代表質問でも取り上げましたが、少子化対策としては経済的支援、サービスの充実、産休、育休を取りやすい環境というのがそれぞれ3割ほどニーズがあると私は申し上げました。
 データによれば、経済的環境が一番というデータもあるようでありますが、大攻勢をかけるに当たりまして、県としても矢継ぎ早に重層的な施策を打ち出していく必要があります。当然、次なる施策も検討されていると思いますけれども、県としての全体的な方針、具体的な施策の検討状況について伺います。
〇知事(達増拓也君) マニフェストの表紙とは、マニフェストを書いたパンフレットや、あるいはチラシのことを言っているのかと思いますけれども、そういったことについて、改めて取り上げていただいて感謝申し上げたいと思います。
 今年度、全国トップレベル水準の子供、子育て環境の実現を目指し開始した、第2子以降の3歳未満児に対する保育料無償化や在宅育児支援金の支給、医療費助成の高校生等への現物給付拡大などの施策は、現在、県内の多くの子育て家庭に利用されているところです。
 さらに、今年度実施した少子化要因の分析においても、子育てや教育への経済的負担感や仕事と子育ての両立の難しさなどが結婚行動や出生行動に影響している可能性が認められたことから、岩手県人口問題対策本部会議において、自然減対策の今後の方向性として、有配偶率の向上に向けた結婚支援、若者のライフプラン形成支援及び賃金等向上策の強化、有配偶出生率の向上に向けた仕事と子育てを両立するための子育て支援サービスの充実、雇用労働環境の安定、女性が活躍できる職場の創出などを掲げました。
 子育て支援施策の多くは、市町村が実施主体として担っていることから、各市町村がそれぞれの地域事情に応じた少子化対策に取り組めるような支援もあわせて支援することとしております。
 現在展開している全国トップレベル水準の子供、子育て支援策が、さらに県民に実感として広まり、県外にも伝わっていく中で、社会減対策とも連動した取り組みを推進し、施策の一層の充実を図ってまいります。
〇46番(岩崎友一君) 知事は、全国トップレベルとおっしゃいまして、知事がマニフェストに掲げた一つ目の項目に関しては、そのとおりでありますけれども、医療費などですと、大体、全国でも真ん中くらいです。給食費の無償化についても、沖縄県と千葉県など、結構踏み込んでやっているところもありますので、この一部だけ切り取って全国トップレベルと言うのは、私は違うと思います。
 時間の関係で質問まではいけないのでありますが、非常に重要な問題、今、自然減に対して取り上げましたが、社会減の質問も出しておりました。県では、岩手県ふるさと振興総合戦略を国のデジタル田園都市国家構想総合戦略の策定に伴って計画期間を2年間延長し、なぜか社会減ゼロ、自然減の達成目標、推進目標もそうですけれども、2年間先送りする方針が示されました。これだけ重要な問題で、我々は過去にヒアリングをさせていただいたのですが、なかなか先送りするという明確な理由がわかりませんでした。人口減少に全力で取り組むという知事でありますから、ぜひこの辺もしっかりやっていただきますことをお願い申し上げ、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇3番(大久保隆規君) まずは、岩崎友一議員、お疲れさまでございました。
 議会は言論の府でございますから、いろいろなやりとりというものはあってしかるべきだと思います。ただ、本日の質疑の発言の中で、マニフェスト詐欺という言葉と、詐欺眼鏡という言葉、これは少し思い余って岩崎友一議員としても過ぎた表現についつい出てしまったものではないのかというふうに拝察する次第でございまして、この不穏当、不適切な発言の部分だけ撤回をしていただけないものかという思いで、本会議場の礼節とか品位とかという思いで、少し生意気かもしれませんけれども立たせていただいた次第でございます。取り計らいをお願いいたします。
〇副議長(飯澤匡君) 斉藤信議員はよろしいですか。
 それでは、ただいまの件は議会運営委員会で検討したいと思いますが、さようでよろしいでしょうか。
   〔「はい」と呼ぶ者あり〕
〇副議長(飯澤匡君) 異議なしと認めます。
 質問は終わりました。自席に。
   〔37番斉藤信君「私も議事進行やったのに」と呼ぶ〕
〇副議長(飯澤匡君) 今、聞きましたけれども、ちょっと待ってください。
〇37番(斉藤信君) 私も大久保隆規議員と同じ意見なのですけれども、マニフェスト詐欺というこの発言は、公正に戦われた知事選挙に対する誹謗中傷であり、達増知事に対する誹謗中傷でもあります。議会の品位を汚す発言でもあります。議事録を精査して、削除を含めて対応されるように議長にお願いいたします。
〇副議長(飯澤匡君) ただいま申し上げましたように、議会運営委員会でこの件については議論をさせていただきたいと思います。
 ほかにはありませんね。
 以上をもって岩崎友一君の一般質問を終わります。
   
〇副議長(飯澤匡君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時7分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 田 中 辰 也 君
2  番 畠 山   茂 君
3  番 大久保 隆 規 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 菅 原 亮 太 君
6  番 村 上 秀 紀 君
7  番 松 本 雄 士 君
8  番 鈴 木 あきこ 君
9  番 はぎの 幸 弘 君
10  番 高橋 こうすけ 君
11  番 村 上 貢 一 君
12  番 工 藤   剛 君
13  番 小 林 正 信 君
14  番 千 葉   盛 君
15  番 上 原 康 樹 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 高 橋 穏 至 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 高 田 一 郎 君
26  番 木 村 幸 弘 君
27  番 佐々木 朋 和 君
28  番 吉 田 敬 子 君
29  番 高 橋 但 馬 君
30  番 岩 渕   誠 君
31  番 名須川   晋 君
32  番 軽 石 義 則 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城 内 愛 彦 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 郷右近   浩 君
41  番 小 西 和 子 君
42  番 高 橋 はじめ 君
43  番 五日市   王 君
44  番 関 根 敏 伸 君
45  番 佐々木 順 一 君
46  番 岩 崎 友 一 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時28分 再開
〇副議長(飯澤匡君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   
〇副議長(飯澤匡君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
〇副議長(飯澤匡君) 日程第1、一般質問を継続いたします。佐藤ケイ子さん。
   〔18番佐藤ケイ子君登壇〕(拍手)

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