平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇4番(木戸口英司君) 民主・県民会議の木戸口英司でございます。
 一般質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。県議会議員として2年目を迎え、本県のおける状況を踏まえしっかりと責務を果たしてまいりたいと存じます。
 以下、通告に従いまして順次質問させていただきます。
 7、798億3、000万円。平成16年度当初予算は本当に厳しい緊縮予算となりました。平成18年までに見込まれる1、750億円の財源不足を解消しつつ、これまで以上に質の高い行政サービスを提供する。この命題克服は難解かつ峻険な道と言えます。本県が標榜する自立した地域社会の形成はまさに時代の要請でありますが、その背景にはいわゆる三位一体の改革が、初年度である平成16年度は国家財政の再建が優先され、関係省庁の抵抗もあってほとんど進まず、歳入の確保はますます困難になる中で、歳出規模を抑制せざるを得ないのが実態と言えます。
 政府は6月4日、いわゆる骨太方針2004を決定し、平成18年までに国から地方自治体へおおむね3兆円規模の税源移譲を目指すことが明記され、補助金削減と税源移譲を一体で進める姿勢を示しました。しかし、小泉首相は昨年1兆円の補助金削減を指示しただけで内容については官僚に丸投げ、官僚や政治家の強い抵抗が今回においても予想されます。3兆円はいかにも小規模、政府は補助金改革の具体案策定を地方公共団体に進めさせることで、改革が実現可能かどうか自治体側の結束を問うても来ています。
 実際、税源移譲と補助金削減を進めるためには、まず国と地方の関係、あり方を明確にし、抜本的な改革を図っていくことが必要不可欠と考えます。昭和21年制定された日本国憲法の中に、第8章地方自治が新たに明示され、地方自治の保障の基本的原則は地方自治の本旨とされました。しかし、地方自治の本旨が意味する内容はあいまいであり、結果、今日まで続いてきた中央集権型行政システムは、今や変遷する社会経済環境に適合できません。地方分権改革こそが真の構造改革であるとの認識に立ち、地方税財政の改革と同時に、分権時代に即した地方自治の保障システムを構築していくことが喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。
 憲法をめぐる議論が高まってきています。憲法第9条にのみ関心が行きがちですが、地方自治を保障する視点で憲法を検証していくことが必要と考えます。全国知事会自治制度研究会は2月、地方自治の保障のグランドデザインとした報告書をまとめております。ヨーロッパ地方自治憲章と世界地方自治憲章から、国際的な地方自治保障の動きの中で基本的な考え方として提示されている補完性の原理を検証した上で、日本国憲法における地方自治条項を検証し、我が国の新たな地方自治保障システムの検討がなされています。日本型地方自治を保障する制度確立のため、憲法改正とあわせ地方自治法の大改正が望まれるとしています。国と地方のあり方の論議なしに税財源の移譲の論議はなかなか深まりません。地方自治を確立する制度論こそ重要と考えますが、知事の御所見を伺います。
 今、現行制度の中で市町村合併が進んでおります。財政という観点からのみ合併が進められ、本来、国と地方のあり方を見直した上で、自立した地方行政を確立するための市町村合併であるべきです。地方自治の確立は、地方が重い責任を負うことであり、多少痛みが伴うものと認識いたします。であればこそ、一向に進まない国からの地方分権改革を待つのではなく、現在合併が進んでいる市町村、もちろん当面単独でいく市町村においても、住民が地方の立場から地方と国のあり方を考えていくことが肝要と言えます。そして、制度論を憲法論議まで深めていくとすれば、県民を巻き込んだ議論をする時期に来ていると言えるのではないでしょうか。地方自治の確立を地方住民の意思として国に発信していくことでこそ、改革は前進すると考えます。真の地方自治確立への道筋について知事の考えをお伺いいたします。
 岐阜県では、既に知事を中心に憲法改正試案をまとめております。道州制を踏まえた試案となっております。増田知事も道州制の必要性を訴えてはいますが、現行制度での限界からか、現実的、段階的とも言える北東北3県広域連携が今進められていることからか、もう一つ将来への方向性が県民にダイレクトに伝わってこないのが残念であります。知事は発言の中で住民と行政の距離を縮めることと、補完性の原理が地方自治を築いていく二大要素とし、市町村合併、そして道州制はその観点に立ち進めるべきとしています。道州制の必要性と実現への道筋について、知事の率直な考え、また、現在、国、知事会、21世紀臨調等で議論されていることは何か、地方自治確立のためなぜ道州制なのか、県民に伝え議論し、県民の理解を進め、改革への意思を共有していく時期に来ていると考えますがいかがでしょうか。
 次に、市町村合併と自立支援についてお伺いいたします。
 県内の合併論議は、ここに来て各地で加速しております。合併の相手先探しの議論が先行してしまうのはある程度いたし方ないとしても、中には、難産の末と言える地域も多く、住民、議会、行政の対立も見られ、住民投票という手続がとられた自治体もありました。諸問題を乗り越え、協議会が順調に運営され、しっかりとした将来構想を打ち立てていくには、県の果たす役割は大なるものがあります。市町村建設計画の作成に当たり、合併特例法で都道府県知事と協議を行うこととしております。建設計画の中に、合併特例債を活用した整備事業が盛り込まれることになりますが、県が指導、協議をしていく上で基本的な考え方をお伺いいたします。
 先般の国会において合併関連3法が成立し、合併の際、合併特例区を設置できること、市町村内に地域自治区を設置できることとなりました。この制度が県内の合併を進めるに当たり有効な制度だとすれば県は指導していく考えがあるのか、設置について検討がされている地域があるのかお聞きいたします。
 県では、権限・財源に職員をセットにして市町村に事務移譲することが進められております。さらに、合併市町村への県事務の権限移譲方針を策定し、移譲が見込まれる県事務と移譲手続を示し、市町村合併の検討の中で論議していくこととしています。市町村の自立確立につながるものでなければなりませんが、移譲について市町村の理解は得られているのか、今後の進め方、進める上での課題、制度上の問題点はないかお示しください。
 また、地方振興局の再編の検討が進められています。市町村合併の進展により広域圏は変わり、地方振興局の果たすべき役割も大きく変わってくることは自明の理と言えます。この再編が単なるリストラではなく、拡大する広域圏に対応しながら、県民に近い距離でサービスの向上を目指し、市町村の自立を支援していく、現在よりバージョンアップした体制づくりでなければなりません。地方振興局再編への基本的な考え方をお伺いいたします。
 次に、NPOとの協働についてお伺いいたします。
 行政がNPOとの協働を推進する動きが全国的に活発化してきており、新しい公共として、地方分権、地方の自立の担い手としてNPOに期待が高まっております。国は先月、平成16年度国民生活白書を発表、人とのつながりが変える暮らしと地域・新しい公共への道をテーマに、NPOに地方公共団体等のさまざまなセクターとの協働を求める内容になっております。県としても積極的な取り組みが始まっており、3月に、部局ごとに県民と県職員が協働のあり方について議論をする場として県民との協働を考える会を開催し、また、現在は県とNPOとが協働で行う事業をNPO側から提案してもらう募集事業も進められております。この事業は今月半ばで締め切られたわけですが、応募状況について、また、審査の基準について、県としてどのような協働事業が展開されることを期待しているのかお伺いいたします。
 40の政策によると、行政システムの進化として、県、市町村とNPOとの協働事業数を平成17年までに100事業とするとあります。平成15年で51事業、平成16年で71事業を目標とするとありますが、現状での達成状況、目標達成への道筋をお示しください。県は本年度、新規事業としてNPO活動拠点調査費を計上しております。活動拠点をつくり、地域でのNPO活動を支援していくことは重要であり、その基本的な考え方と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 NPOとの協働は、県は当然でありますが、基礎自治体である市町村に多くの可能性があるものと考えます。県として地域のNPOを育成し、市町村とNPOとの協働を推進するため、市町村をどのように指導していく考えかお伺いいたします。
 NPOとの協働を進めることで民間のノウハウを生かして質の高いサービスを求めつつ、逼迫する県財政の中でいかにコスト削減が図られるかが重要となってきます。NPOと県との協働により今後見込まれるコスト削減について、成果目標を事業費ベースで考えていくことが必要と思いますがいかがでしょうか。
 次に、雇用創出のための企業誘致、新産業の育成についてお伺いいたします。
 平成15年度本県の、県と国による雇用創出事業の実績は、目標7、800人に対し、計9、146人となり目標を1、346人、17.3%上回ったことが報告されました。本県の雇用情勢が若干でも改善傾向にあるとすれば喜ばしいことでありますが、依然厳しい状況にあり、雇用創出事業の中には臨時的なものも一部含まれ、常用雇用につながる雇用創出が最重要かつ緊急の課題であることに変わりはありません。
 先般、花巻市にある松下関連の2工場撤退の発表がありました。県は雇用の確保に市と連携し、強力に取り組むことを要望します。企業誘致のあり方について、知事は、産業構造が変わる中、工場の統廃合、国内外で移転集約が進むことはやむを得ない面があるとし、研究開発機能を中心とした、また、将来の成長産業を中心とした企業の誘致に重点を置いていくこととしています。企業の移転を食いとめるため、企業が人材養成や研究開発を進める上で、地域側の産学官連携を積極的に提供していく等の努力が大事であり、今までの地元における研究の蓄積と合致した形で大きく飛躍できる企業に的を絞った誘致施策を展開するとも述べています。このことは他県においても同様の問題意識を持って取り組んでいるものと考えます。将来性のある企業の誘致には、他県との比較優位性が問われるものであり、産学官連携の仕組み、地元で蓄積されている研究が企業ニーズに合致するものなのか、人材はどうか、インフラ整備、高速通信網の整備等が企業の要請にこたえる状況かどうか。この点について県の認識、今後の誘致施策の展開に資するようどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。
 また、研究開発機能の誘致が雇用の拡大に結びつくためには、長いスパンで連携、支援が必要となってくるものだと考えますがいかがでしょうか。
 また、新産業、新事業の創出については、起業家大学等による起業家の育成、インキュベート支援、資金面、研究開発面での支援、産学官連携等の取り組みがなされております。県は40の政策で平成18年まで700名の起業家を育成する、大学発ベンチャーを20社創出する、株式公開企業を5社創出する等の目標を立てておりますが、現状として成長可能性の高い研究開発型のベンチャー企業が育ってこないこと、研究開発がビジネスにつながっていないことなど、ベンチャー企業が競争力のある企業として成長し、雇用創出の場となっていくにはまだ道半ばの感があります。すぐれた技術を有するベンチャー企業、そして大学等の研究開発成果を加速的に事業化につなげ、競争力のある成長企業に育成していくには、資金調達やマーケティングシェアはもちろん、先進技術を求める既存企業、大企業との産産連携やビジネスパートナーの発掘というようなコーディネート力が重要と考えます。本県の持つポテンシャルを掘り起こし、岩手が起業家にとって魅力ある産業活動の場となるよう、岩手独自の新産業が雇用創出の場となるよう、これからの取り組みについてお伺いいたします。
 次に、米政策改革と農業再生策についてお伺いいたします。
 田植えが済み、緑の田んぼを見て、ことしこそ暑い夏であるようにと祈るばかりであります。米政策改革はいよいよ本年よりスタートしました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 ポイントは、売れる米づくりであり、担い手の明確化から担い手を中心とした集落型経営、そして産地づくり対策で地域の特色ある作物づくりにあります。市町村、各地方の水田農業推進協議会は、集落ごとに作成された集落水田農業ビジョンを市町村、各地方の地域水田農業ビジョンとしてまとめ、県の協議会に提出されたところであり、現在認定作業が進められています。ここに至るまでの経過、状況についてお伺いいたします。
 農業者、農業団体が主役となるシステムとうたいながら制度が複雑で、現場では徹底を図るのに相当の苦労があったのではないでしょうか。集落水田農業ビジョンをまとめる事務作業も大変煩雑なため、地域協議会の事務局のほとんどは行政内部に置かれている現状にあり、将来、事務局を農業団体等に移行する上で、事務の簡素化を図ること、県の指導が重要と考えますがいかがお考えでしょうか。
 さらに、これからは担い手の育成が重要であります。県では、担い手を認定農業者に誘導することとしており、また、各地域に集落型経営体支援センターを立ち上げ、集落型経営体の育成に当たるとしております。今後の具体的な取り組みについてお伺いいたします。
 地域水田農業ビジョンに基づく産地づくり対策は、その目的は農業者においては経営基盤の安定、地域においては産地間の競争力アップにあり、さらに大きな意味において食料自給率の向上につながっていくものでなければならないと考えます。県としても、水田農業構造改革支援事業費補助を単独で実施するなどとしていますが、経営の安定を図りながら適地適作化を進め、食料自給率を高めるという観点に立ち、計画性を持って地域を指導していくべきと考えますがいかがでしょうか。
 持続的な農業・農村へ再生を図り、食料自給率の向上を目指すには、補助金政策から所得政策へ転換する直接支払いを導入していくことは時代の要請と考えます。政党、農水省においても直接支払いについて検討が始まったところであります。猫の目農政と言われる中、農業と農村が活力を失っている現状にあって、WTO、FTAで農産物の市場開放圧力の高まりもあり、生産現場から今の米政策改革の問題点を指摘し、将来の農政のあり方を提言していくことが必要であります。本県として、また、連携を深める北東北3県等でそのことに取り組むべきと考えますが、直接支払い導入についての御所見とあわせお伺いいたします。
 次に、花巻空港の利活用と観光施策についてお伺いいたします。
 花巻空港を発着する定期航空便の平成15年度旅客数は47万5、600人で、前年度対比6%減少、平成14年度に回復した50万人の大台を再び割り込みました。原因は、景気の低迷に加え1月の機材トラブルの影響が挙げられております。国際チャーター便は、新型肺炎SARSの影響もあり47便にとどまっています。長引く不況の中で不測な要因もあったにしろ、空港の利用促進への取り組みは、充実と新たな展開が求められております。空港整備事業が休止、延期される状況で、これまでの利用促進策のあり方を検証し、利用率向上こそ事業の早期完工に向けた強い後押しになるとの認識に立ち、厳しくても果敢に取り組んでいくことが必要と考えます。花巻空港の滑走路を2、500メートルに延長することが第7次空港整備計画に盛り込まれたのは平成8年、以来、知事において、空港整備は本県の発展に資する重要な事業として位置づけ推進されてきたものと存じますが、空港が本県に果たす役割、空港整備の意義と完成に向けた取り組みについて、改めて知事の御所見をお伺いいたします。
 また、空港の利用促進について県土整備部に移管されたわけですが、今後の取り組みをお示しください。
 国際チャーター便につきましては、県の東アジアをターゲットにした経済交流事業や国際観光推進事業の推進とあわせ拡充していくことと存じますが、将来の定期便実現を念頭に置きながら、戦略的に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。
 外国人観光客誘致は北東北3県など広域的な取り組みが主でありましたが、本年度より国際観光推進事業として県独自の取り組みが推進されます。観光キャンペーンの展開とともにニーズに合った旅行商品の開発が肝要であります。具体的な取り組みと誘致の数値目標についてお伺いいたします。
 外国人観光客の多くは、つくられた文明的なものよりも、その国、地方の固有の文化、自然、また、その土地の人との触れ合いを求めていると言われます。その点では本県はすぐれた観光資源を有しております。都市住民の観光ニーズが高まるグリーンツーリズムについて、県は推進協議会を設置し、いわてグリーン・ツーリズムサポートセンターを立ち上げるなど、県民参加による全県的なグリーンツーリズム運動の展開を図り、平成14年度から4年間で20%の旅行者の受け入れをふやすことを目指すとしております。本県のありのままを体感してもらういわて・ツーリズムとして、国内誘致はもちろん外国人観光客誘致という視点も取り入れ取り組むべきと考えます。御所見をお伺いいたします。
 有事関連7法における国民保護法への対応についてお聞きいたします。
 昭和52年当時、ソ連の侵攻を想定し政府内で有事法制定への取り組みが始まって以来、四半世紀が経過し、我が国を取り巻く状況も大きく変化いたしました。昨今の北朝鮮の脅威、米中枢同時テロの発生等で機運が高まり、昨年、有事関連3法が成立しております。しかし、その一つの武力攻撃事態法は、他国が日本本土を着上陸侵攻を想定する現実味の乏しい、時代の要請にこたえたものとは言えず、武力攻撃事態などが発生した際の国、地方公共団体、国民の役割を定める国民保護法制は未整備のままでありました。イラク問題は混迷を深め、テロは世界に拡散し、我が国もテロの対象であることは、アルカイーダの日本潜伏、日本の施設にも同時テロの攻撃計画があったことが最近判明するなど、間違いなくイラクへの自衛隊派遣からなし崩しに多国籍軍参加まで突き進む現状で国民の不安はますます大きくなってきております。そのような中で今回、武力攻撃事態対処法は改正され、武力攻撃に加えて大規模テロなど緊急対処事態が位置づけられたのは、現実に一歩近づいたものと言えます。さらに、緊急事態基本法案の骨子も示され、シビリアンコントロールと基本的人権を確保しつつ、国民の生命、身体、財産を守ることを主眼に置いた法整備が進んでいくことを期待したいと思います。
 国民保護法については、国民の主権を広範に制限することが想定され、国と都道府県、市町村、また、自衛隊と警察の役割分担や連携が円滑に進められるかなど今後整理していかなければならない課題が多いと思います。昨年来これまで、県においてもさまざまな想定のもとに市町村、関係機関とシミュレーションをしながら検討を重ねてきたものと思いますが、法の中身が明らかになり国からの指導も始まっている中で、今後市町村とともにどのような取り組みをしていくのか、また、制度上の問題点はないのか、地方から一層の国の責任の明確化と地方の立場に立った法整備を求めていく必要があるのではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 同じく、県警としての今後の対応、対策も重要でありますが、県警本部長の今後の取り組みへの考えもお聞きいたします。
 次に、知事の資産等の公開に関する条例についてお伺いいたします。
 知事の資産公開の対象を配偶者と扶養する子に広げる条例改正案は、昨年6月定例会で否決、さきの2月定例会に一部修正が加えられ再提出されましたが、現在継続審議中であります。当初、問題とされた配偶者と扶養する子のプライバシーについて、今回の改正案は配偶者らの資産、所得は合算方式にし、氏名を記載しないことで配慮したとされております。条例を提案した知事の考え、修正したねらいについて改めてお伺いいたします。
 情報公開の一層の推進は時代の要請であり、地方分権が今後進む中で、首長の権限と責任はさらに増し、首長みずから透明性を高め、政治倫理の確立に努力をしていかなければならないのは当然の責務と考えます。また、有権者の政治不信を払拭し、政治の信頼を取り戻すためには、政治倫理確立に向けしっかりとした制度を構築することが重要であると認識しております。しかし、現在の資産公開条例が、政治倫理を確立するという点、透明性を高めるという点において果たしてその期待にこたえているのか。報告義務が定期預金のみであること、借入金減少分の報告義務がないことなど検討課題が指摘されております。今回の改正案においてプライバシーに配慮し、配偶者らの資産等を合算方式としたことは、結果、透明性を後退させたと言わざるを得ません。
 政治倫理を確立するためには、まず行政の政治的中立の確立、行政手続の透明性の向上、オンブズマンの制度化、首長の多選禁止などの広範多岐にわたる仕組みづくりについて、いろいろな場で議論を積み上げ、その中で資産公開のあり方についても話し合っていくことが望ましいと考えます。議論の方向が出るまでの期間は条例化にこだわらず、知事の自主的な判断で対象を広げ資産公開を進めることには、県民の意向もわかることであり賛同をいたしますが、なぜ資産公開のみ先行させるのか。この点についての知事の考えをお聞きいたします。
 本県が率先して政治倫理の確立に取り組み、全国に発信していくことは意義あることです。議会としても一緒になって考えていくべき課題と考えますが、知事の政治倫理確立にかける思い、今後取り組むべき課題等についてお聞かせください。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 木戸口英司議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方自治の保障システムの構築についてということで何点かお尋ねがございますので、お答え申し上げます。
 地方自治制度につきまして、私は、補完性の原理と、それからもう一つ、近接の原理、今、議員が御指摘ございましたが、この二つの理念を踏まえることが重要であると思っております。この考え方に基づきまして、中央政府と地方政府のあり方を問い直して、そして、国の形をつくり直すことが必要である、このように考えております。その中で、真の地方自治の確立を可能とする観点がぜひとも必要でございます。
 このような考え方に基づいて、今、早急に、具体的に取り組むべきことといたしましては、行政サービスの担い手の中心となる、我々に一番身近な存在である市町村の行財政基盤の充実強化ということでございまして、これについては市町村合併、いろいろ今取り組まれておりますけれども、合併に意欲的な市町村、そうした市町村を支援するということが重要であろうと思います。
 また、地方みずからの判断と責任によって、自主的・自立的な行政運営を進めることができるように、地方への税源移譲や国庫補助金の廃止・縮減、これは、今行われておりますというか、昨年行われた、ああいうような三位一体改革ではなくて、真の意味での三位一体改革、したがって、4兆円とかといった枠にとどまらない、地方財政の自立に向けた改革を、やはり財政面でも進めていかなければならないと思います。
 また、合併によって行財政基盤が強化された市町村に対して、県から思い切って権限、財源、なお、さらに職員もセットにして移譲する、そして、同じようなことを国も地方に対して行ってもらうということで、さらにそうした身近なところで物事が決定するという大きな枠組みづくりに向かって進んでいくことが必要ではないかと思うわけでございます。
 こうした取り組みを進めていくためにも、これは私ども一人でできるわけではありませんので、今後も、全国知事会や21世紀臨調など、あらゆる場を通じて積極的に提言を行い、こうした問題についてはなかなか国民全体の議論に広がりにくい性格のものでございますが、かみ砕いてそうしたことをお話し申し上げて、広く国民全体の理解と支持が得られるような努力を行っていきたいと考えております。
 それから、もう一つ、道州制についての御質問でございますけれども、私は、今後、市町村合併などが進んでいった場合に、現在の都道府県の規模や機能が果たして今のままでずっとあり続けていいのかどうかということについては、問題意識を持っているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、経済社会活動の広域化という実態がもう非常に進んでいるわけでございまして、そういった実態を踏まえて、今、国が行っております権限、これは非常に多くのことについて国が権限を手放さないわけですが、そうした国の権限を住民により身近なレベル、都道府県のレベルに大幅に移すことが重要ではないか。ただ、その際に、今の都道府県のあり方、都道府県制そのままでよいのかどうか。
 一方で、今、市町村合併も進んでおりますけれども、国と市町村ということになりますと、市町村は国の圧力に対してひとたまりもないわけでございまして、そういった市町村に対する国の圧力に対して、都道府県が盾となってそうした圧力を遮断するというような都道府県の役割というものも重要でございます。そうした意味からも、この都道府県のあり方というものを今後もう一度考えていく必要があるのではないか。
 こういった問題意識を踏まえて、今後、都道府県制度、都道府県の規模や機能でございますが、それがどうあればいいのか、その上で、さらに本県がどうなのかということを、県民の皆さんとさまざまな観点からしっかりと議論を進めていく時期になりつつあると考えております。国の方で、今、地方制度調査会などでそうした議論がもう既に行われているわけでございますけれども、そういう時期に来ているという、この国民的なそういう認識は広がってきていると思っています。
 本県では、これまで産廃税の導入やミニ公募債の共同発行など、北東北3県、あるいは、場合によっては宮城県との広域連携による成果を一つ一つ積み重ねて進んできたわけです。そして、その際にメリットを明らかにして具体的に事業を積み重ねてきたわけでございます。私は、こうした広域連携の積み重ねを進めていく一方で、そうした実績を踏まえながら、将来の県の規模や機能がどうあるべきか、これから県民の皆さんとしっかりとした実のある議論を充実した形で進めていく必要があると考えます。
 これは拙速に、急いで進める議論じゃありませんし、やっぱりじっくりと進めていく必要がある。それだけ大変大きな課題でございますけれども、こういう視点に立って、昨年12月にスタートした北東北パートナーシップ岩手フォーラムという場もございますが、そうした場などにおきまして、今後、県民の皆さんと幅広い議論を行っていきたいと考えております。
 それから、地方振興局の再編についてのお尋ねですが、この地方振興局の再編も、補完性の原理というものに基づいて、今現在の地方振興局が担っている地域における行政サービスの総合センターとしての機能は、これはもうできるだけ市町村の方に移したい。それから、地方振興局は、広域的な地域振興施策の推進など、地域経営の戦略拠点としての機能を強化して、また、市町村の補完・支援機能を担う方向で取りまとめていきたい、考え方としてはそのように考えおります。
 その場合、今回の再編では、まず、順番としては国、県、市町村の役割分担やその望ましいあり方などについて、将来をしっかり見据えて十分議論を行って、その上で、今度は県の中で本庁と地方振興局がどうあればいいのかということを検討する、こういう手順を踏む必要があると思っているんですが、本庁については、主に全県的な企画調整業務を担う小さな組織を目指すこととしていきたい。一方、地方振興局については、地域のことは地域で完結できるよう、本庁に今現在ございます権限や人、予算を大幅に移譲して、名実ともに地域経営戦略の拠点としての機能が十二分に発揮されるようにしていきたい、このように考えております。
 今年度1年間かけて市町村などの御意見も伺いながら、県の中で再編案のさまざまな検討をしていきたい。そして、その上で、それを取りまとめ、来年度にこれを公表して、県民の皆さんとの議論を十分に深めながら再編を進めていきたい、このようなことを考えております。
 それから、花巻空港の利活用についてでございますが、花巻空港の空港整備を今行っております。その整備の意義ですが、これは今後の本格的な国際化の進展などに対応して、人、物、情報の交流拠点としての本県の経済を初め、各分野の発展ポテンシャルを高め、県勢の総合的な発展に必要不可欠な事業だ、こういうふうに現在の整備事業を認識しております。
 先ほど議員お話ございましたが、昨年度の利用者数というのは50万人を割り込んで47万6、000人となったんですが、航空機のエンジン故障などでの欠航便などの影響もございました、SARS等の問題もございました。しかし、現実にそういうことがあったということでありますけれども、利用人数が非常に少ないということもございまして、今後、積極的に利用促進に努めていく必要があると思います。今、これから利用促進について具体的に申し上げますが、ぜひ今の利用の実態を県民の皆さんにも御理解いただき、実際に利用していただきたい、このように思っているわけでございます。
 その上で、県財政も今厳しい状況にございますが、滑走路延長について、平成17年3月の供用開始で今進めておりますし、ターミナル地域の移転整備については、平成19年度の完成を目指して事業を進めているわけでございます。
 利用促進についての具体の取り組みでございますが、国内各地との交流手段を確保するために、現行路線の維持・拡充を重点にする、こういう考え方で、引き続き旅行商品の造成・販売に対する支援、それから、利用促進キャンペーンの展開、航空会社に対しての具体の要望などの活動に取り組むということで、特に、今年度は滑走路延長部の供用開始を予定していますし、空港開港40周年の節目ということでもございますので、間もなく開港40周年記念式典を行いますし、空の日、これは9月23日ですが、空の日にイベントを開催することとしております。それから、新滑走路供用開始にあわせたイベントの開催も予定してございます。
 また、観光などで今計画してございます例の千年の古都平泉プロジェクトというのがございますが、そうした観光関連施策と連携して、県民の利用促進、あるいは他県の人たちも含めて、国内での大いなる利用促進について理解を深め、そして積極的な利用促進運動を展開していきたい、このように考えております。
 それから、国際チャーター便の関係でございますが、当然、これは身近な空港から海外への直接渡航を望む利用者のニーズにこたえるということから望ましいと考えておりまして、チャーター便運航に対する支援などを引き続き行います。また、国際経済交流推進プロジェクトと連携して、台湾、韓国、中国といった東アジアの諸国からの運航拡充を図りたいと考えておりまして、その点での施策も展開してまいります。そうしたことを通じて、将来的に恒常的な運航につなげていきたい、このように考えているところでございます。
 最後に、知事の資産等の公開に関する条例についてのお尋ねでございます。
 まず、政治倫理の確立ということは、政治家として常に心がける問題だと考えておりまして、この中で、政治倫理を確立する上で透明性を確保するということは、選挙によって選ばれた者の当然の責務でございますし、特に県政執行の最高責任者である知事という職は、今、地方分権が一方で進んでいる中ですが、その中で、従来にも増して、県民の信頼にこたえるべく、常に高い倫理性と、それから一層の情報公開、透明性の確保が求められている、このように認識してございます。
 この問題だけではなくて、ほかにも、今、議員御指摘ございましたように、出処進退を含めた多選の問題ですね、任期制の問題と言いかえた方がいいかもしれませんが、こうした問題がございます。それから、行政執行過程、そこでの住民参加の問題ですとか、行政手続の透明性をいかに確保するかといった問題。あるいは、私も反省しておりますけれども、従来、選挙の際の公約というのは、あれもこれもといったような形で掲げていたわけですが、もっと明確な形で、契約の概念を入れて、県民としっかりとしたものを結ぶべきではないかといったような、倫理の確立のためにはさまざまな課題がございます。
 そうした多くの中で、今申し上げました透明性の確保というのは非常に重要なものでございまして、その中でも、今回問題になっております資産公開制度は、公選の公職者の資産を住民の不断の監視と批判のもとに置くことによって、政治の透明性や公正さをさらに一層確保しようという制度だと考えておりますので、この政治倫理の確立それぞれをさまざまな分野で進めていかなければならないわけですが、今、この資産公開制度の拡充も重要な問題だと思っているわけであります。
 とりわけ、社会通念上は、その資産形成について知事の関与・管理が及んでいると考えられる配偶者及び扶養する子まで公開対象に含めることは、既に閣僚についての先例もあり、その透明性をより一層高めることにつながると思いまして、その配偶者等の資産について、そのときどきの知事によって公開する、公開しないということではなくて、県民合意のもとに、条例による制度によって、知事の資産とあわせて一覧性のある形で公開することに意義があるのではないかということで、昨年6月に資産公開条例の一部改正案を提案したということです。これが、今お尋ねの条例を提案した理由でございます。結果としては御理解いただけなかったものでございますが、改めて申し上げますと、そういう背景がございまして、条例の改正を提案したわけでございます。
 昨年の6月定例会で御理解いただけなかったわけでございますが、それについては大きく二つの理由があると思っておりまして、一つは、プライバシーの関係についていろいろ疑義が出されたということがございます。それから、もう一つは、条例化の是非ということでございます。
 このうちの前者について、プライバシーの点について、その当時行われました、これは常任委員会でございましたが、私、出席しておりませんけれども、そこでの議論というものを踏まえて、プライバシーの観点についていろいろと御疑問が出されたということを踏まえて、氏名の記載を要しないということにしたり、それから、配偶者と子の資産を合算して記載する、それから、関連会社等の報告書の作成を要しないといったようなことで、可能な限り、配偶者等の資産が特定されないように、あそこで出ておりましたプライバシーに十分配慮し、一方で、やはり透明性の向上という趣旨も損なわれないような、そういう見直しを行って、2月定例会に再度改正条例案を提案したということでございます。
 もう一つの大きな否決の理由でございました条例化になじむのかどうか、条例化するかどうか、これはもう、条例化するかしないかだけで、修正ということはちょっと考えられないので、これはここで条例化して、先ほど言いましたような趣旨で一歩踏み出すかどうかということでございますので、あえて修正はしないで、そのまま議会の方にお出ししたということでございます。
 議員の方から今お話がございましたとおり、この問題も含めて、政治倫理の確立のためにはさまざまな問題があろうかと思います。決して、この問題だけを進めて、それでよしということはよくないわけでございまして、私自身も、私なりに政治倫理の確立のためにさまざま現在まで取り組んでまいりました。行政執行過程をできるだけ透明化したり、住民参加をよりしやすいやり方にするなどのことも行ってまいりましたし、昨年の統一選挙でも、マニフェストという形で、より具体的な公約を数値目標も入れて作成して、それを検証するということにも取り組みました。
 また、首長の任期の問題、これは、私は制度化すべき話ではなくて、住民の選挙制度を尊重すべきと思っておりますが、ただ、任期についての見解はきちんと議会で表明しております。そういうこともございまして、それぞれの課題について私なりに政治倫理の確立のために取り組んできているわけでございますが、そうしたこととあわせて、今回の提案もその一連の中のものということで御理解いただきたいと思います。
 今、議員が最後にお話ございましたとおり、この倫理の確立のために、それぞれの政治家が一層努力するということは大変大事なことでございまして、今後も、その政治倫理の確立のために、私なりにさまざまな課題に向けまして一層努力をしていきたい、このように申し上げたいと思います。
 その他のお尋ねは、関係部長に答弁させますので、御了承お願いします。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 市町村合併と支援についてでございます。
 まず、市町村建設計画の県協議の基本的な考え方についてでありますが、市町村建設計画の協議に当たりましては、合併特例債を使用する事業が真に地域に必要な施設なのか、また、合併特例債を使用することによって、合併市町村の将来の財政運営に支障を来すことがないか、このような観点で助言をしてまいりたいと考えております。
 次に、合併特例区及び地域自治区の設置についてでございます。
 市町村合併に伴う合併特例区及び地域自治区につきましては、法定合併協議会または任意合併協議会の場において設置について協議されていくものでありますので、関係法律の成立に伴い、今後、県内の協議会において検討されるものと考えております。
 現在、法定協議会が6、任意協議会が4、トータルで10でございまして、26市町村となっておりますが、今のところ協議会の中で検討されているところはまだありません。
 次に、合併市町村への権限移譲についてでございますが、合併市町村への権限移譲については、平成15年3月に合併市町村への県事務の移譲方針を策定して、県の基本的な考え方を明らかにし、本年1月には、より具体的な合併市町村への移譲事務パターン及び移譲事務手続についてお示ししたところでございます。
 これについては、現在、法定合併協議会及び任意合併協議会を設置している市町村に対して、その趣旨を説明し、合併後に移譲を希望する県事務の要望調査を行っているところでございます。
 課題といたしましては、権限移譲に伴う財源措置及び人的支援措置や移譲する権限について、市町村との調整がより一層必要なものなどがあるものと認識しておりまして、今後とも、基礎自治体である市町村の自立性を高めるなど、市町村の理解が得られるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、NPOとの協働についてでございます。
 まず、協働事業の応募状況についてでありますが、NPOとの協働を進めるため、NPOに事業を委託して実施する事業について、事業提案を募集し、今月18日に応募を締め切ったところでございます。NPOからの提案は24団体、28件となっております。
 今後、庁内外の委員によります事業選定委員会において、提案内容の的確性、事業計画の具体性及び実現性、事業遂行能力等を審査しまして、7月上旬には事業を決定することとしております。
 県としましては、岩手県とNPOとが共通の問題意識を持つ領域で、それぞれが個別に活動するよりも、対等な立場のもとに協力し合うことにより高い成果を上げることが期待され、また、その成果が広く県民に還元される協働事業が展開されることを期待しているところでございます。
 次に、40の政策における協働事業の目標事業数の達成状況についてでありますが、平成15年度は目標の51事業に対して59事業、達成率でいいますと115.7%となっております。目標を上回っている状況であります。
 平成16年度は71事業、平成17年度は100事業をそれぞれ目標としておりまして、その目標達成のために、平成15年から17年までの3カ年間を集中期間としまして、県としてNPO協働推進事業を実施し、取り組んでいるところでございます。そのためには、庁内にNPOボランティア活動推進連絡会議を設置し、庁内関係課が各分野の情報を共有するとともに、庁内及び各地方振興局の各所属にNPOの協働推進委員を設置し、取り組んでいるところでございます。
 また、対外的には、平成15年度には、先ほど議員からもお話がありましたが、県民との協働を考える会を開催しまして機運の醸成を図るとともに、いわてNPOサポートルームなどによる情報交換の場を設けるなど、NPOや市町村の自主的な協働の取り組みを促し、目標達成に向けて取り組んでいくこととしております。
 次に、NPO活動拠点調査についてでありますが、県ではこれまで、県民参画を促進するため、公益信託いわてNPO基金の創設、いわてNPOサポートルームの設置など、県民がNPOやボランティア活動に参加できるよう、その環境の整備を進めてきたところでございます。
 今後、より一層の県民参画を図るため、参加と協働による行政の推進体制の整備を進めることとしており、NPO活動の促進における課題の一つと考えられる活動拠点のあり方について、NPOとの協働のもとに調査を実施しているものであります。
 現在、NPO活動拠点調査研究会の開催、県内のNPO団体に対し具体的なニーズ調査を実施するとともに、県内12カ所で既存施設利用活用検討ワークショップを開催するなど調査を進めている段階であり、今後、調査内容を分析しながら、具体的な拠点支援のあり方について検討していくこととしているところでございます。
 次に、地域のNPOの育成についてであります。
 基本的には、市町村も県と同様に、あるいは住民に身近な基礎的自治体である市町村はより以上にNPO活動を推進・支援していく立場にあると考えております。そのため、県としては市町村を指導するということではなくて、説明会の開催などによりまして情報の共有化を進めながら、連携して取り組んでいく考えでございます。
 次に、県とNPOとの協働事業における事業費ベースでの成果目標についてでありますが、NPOと県との協働は、NPOの持つ柔軟性や専門性といった特性を県政に取り入れることで行政サービスの質の向上を図ろうとするものであり、NPOとの対等な関係を構築しながら事業を実施しているものでございます。そのため、NPOとの協働については、事業コスト削減が図られるという一面もありますが、当面のところ、事業費ベースでの成果目標については設定していないところでございます。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、将来性のある企業誘致に当たっての本県の比較優位性と今後の誘致施策の展開についてでありますが、本県の産学官連携は、日本で最初の本格的地方発の産学官交流ネットワークとして全国的にも高く評価されている岩手ネットワークシステムを中心に活発に展開されており、産学官連携を具体的に展開するための組織、体制についても、岩手大学においては、今年度から、これまでの地域共同研究センターを発展改組し、産学官連携を総合的に推進する岩手大学地域連携センターを新たに整備したほか、ソフトウエアを中心とする産学官共同研究では、岩手県立大学に地域連携研究センターも平成14年度に整備されております。
 こうした産学官連携の成果として、例えば、岩手大学における高機能鋳鉄に関する技術シーズが、エンジン用ピストンリングに応用され、具体の企業誘致に――本社工場の移転促進でございますが――おける有力なインセンティブともなったところでございます。
 インフラ整備についても、高速交通網の拠点としての有利性を生かした工業団地が整備されているところであり、本県の企業誘致に当たっての比較優位性は評価され得るものと認識しているところであります。
 こうした本県の比較優位性を生かした今後の企業誘致施策の展開についてでありますが、グローバル化が進展する中にあって海外に進出する企業がある一方、国内において積極的に研究開発を進め、高付加価値の製品をつくり、高い国際競争力を維持しようとする企業の国内回帰、国内立地も進んでいることから、こうした企業の誘致を進めるため、今後におきましても、産学官連携が一層充実したものとなるよう、大学等との連携をさらに強化するとともに、インフラ整備の面では、今後とも需要動向を適切に見きわめながら工業団地の整備を進めていくほか、整備に向けて、現在、基礎調査中の一関研究開発工業団地では、高速通信網としてブロードバンド環境もあわせて提供していく予定としてございます。
 次に、研究開発機能の誘致を雇用に結びつけていくための連携支援策についてでありますが、企業の研究開発による新たな技術や製品を事業化に発展させることが重要でありますことから、これまでの産学官連携の一層の充実を図るとともに、事業化に当たって必要とされる資金調達、あるいは企業と企業とのマッチング推進の観点から、資金面のみならず、県内外を問わず多くの企業情報等を有する金融機関との連携――産学官金連携と言ってございますが、これを進めることが重要と認識しているところでございます。
 さらに、企業ニーズに応じた人材の確保、育成も重要と認識しておりますことから、これまで以上のきめ細かなフォローアップを行いながら、企業誘致、とりわけ研究開発型企業の本県への定着促進と雇用の拡大に努めてまいりたいと考えております。
 次に、雇用創出を図るため、岩手独自の新産業の育成にどのように取り組むかについてでありますが、県においては、これまで、いわて起業家大学の開催等を通じ、新たな起業家の育成に取り組むとともに、インキュベート施設の提供や産学官の連携による研究開発により、研究開発型ベンチャーの育成に取り組んでまいりました。
 また、研究開発の成果を企業活動として発展させるため、いわてインキュベーションファンドを設立し、成長可能性の高い企業に対する資金投資を行うとともに、いわて産業振興センターに専門支援チームを設置し、企業の経営戦略や販売展開の支援を集中的・継続的に行っているところであります。
 さらに、産学官連携による大学等の技術シーズを具体の応用製品に転嫁することにより、研究開発がビジネスにつながった成果は年々増加しており、トリアジンチオールや高機能鋳鉄などに関する事例は、その典型として挙げることができるものと考えてございます。
 こうした取り組みの結果、平成15年度までに新たに298名の新規創業者が生まれ、8社の大学発ベンチャーの企業が設立されるなどにより、新産業・新事業創出に伴う雇用創出も、平成15年度におきましては1、005名の実績を残すことができたというところでございます。
 今後においては、引き続き新たなベンチャー企業等を生み出すための各般の支援策を積極的に実施するとともに、これまでに創業、設立されたベンチャー企業等が、競争力ある企業として成長するためのフォローアップが必要でありますので、産学官連携の一層の充実強化とともに、先ほど申し上げました産学官金の連携を積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
 このような取り組みを通じまして、岩手の新産業の育成と新たな雇用の創出に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、国際観光推進事業にかかわる具体的な取り組みと誘致の数値目標についてでありますが、外国人観光客の来訪促進は、地域経済活性化に大きな意義を有することから、最大の訪日旅行市場である韓国、将来の巨大マーケットである中国、本県と歴史的なつながりの深い台湾などの東アジア圏を中心に、国際観光推進事業を展開することとしてございます。
 具体的には、中国や韓国へのミッション派遣、台北国際トラベルフェアなど、国際観光展への参加、あるいは温泉やゴルフ、スキーの体験視察などの旅行エージェント招聘事業、あるいは造成した旅行商品の広告支援を行う旅行商品造成促進タイアップ事業などを実施いたしまして、誘客の促進に努めているところでございます。
 今後の取り組みにつきましては、外国人観光客の誘致、拡大を図るためには、何よりも宿泊施設や観光施設などの地元の受け入れ側の積極的な取り組み、対応が不可欠と考えてございます。こうした取り組みは今まで不十分であったと認識してございます。このため、今年度早い時期に、外国人観光客の受け入れに積極的な宿泊施設、観光施設等を構成員とした国際観光推進連絡会議――あくまでも仮称でございますが、こういうものを設置いたしまして、外国人観光客のニーズに合った旅行商品の提案をエージェント任せにすることなく、官民協働体制の中で積極的に行っていきたいと考えてございます。
 誘致の数値目標についてでございますが、韓国については、平成14年の入り込み数1、436人回を平成18年には2、872人回に倍増、中国につきましては、平成14年の805人回を同じく倍増、台湾につきましては、平成14年の3万5、822人回を、ピークでございました平成12年の入れ込みでございます4万人回強に回復することを目標といたしております。
 次に、グリーンツーリズム旅行者の外国人誘致についてですが、本県の農山漁村は、全国農村アメニティコンクールにおいて全国で最も多く最優秀を受賞するなど、美しい自然や景観、地域の風土に根差したすぐれた伝統文化や特色ある郷土料理に恵まれております。特にも、欧米系の外国人においては、こうした日本の農山村地域への関心も高まっておりますことから、いわてグリーンツーリズムサポートセンターのホームページを通じたPR等によりまして、外国の方々も含めたグリーンツーリズムへの誘客に積極的に努めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 米政策改革と農業再生策について幾つかお尋ねがありましたが、まず、水田農業ビジョン策定までの状況についてでありますが、新たな米政策への移行に伴い、市町村・農協等の担当者が集落に入り、農家の皆さんと幾度となくひざを交え、時には夜を徹して集落の水田農業の未来について熱心な話し合いが行われた結果、5月末までには、3、000を超える集落において1、545の集落水田農業ビジョンが策定されたところであります。
 集落の水田農業の目指す姿に関して、これほど多くの地域で話し合いが行われたことにつきましては、集落の方々から、これまでこのような機会がなかった、集落の農業の将来を本音で議論できた、担い手や水田の利用計画について納得のいく合意ができたなどの声が寄せられております。
 こうして策定された集落水田農業ビジョンの内容は、直ちに実践に移すことができるものから、さらに話し合いに時間を要するものまでさまざまでありますが、まずは、できるところから取り組んでいただき、また、取り組みの過程で必要な見直しを行い、その内容の充実を図っていくことが大事であると考えております。
 次に、農業者・農業団体が主役となるシステムへの移行についてでありますが、新たな米政策では、これまで行政が行ってきた生産調整業務の多くを地域水田農業推進協議会が担うこととなり、既に花巻地域を初め10の地域協議会においては、農業団体が主体となった体制が整備されたところであり、こうした体制のもとに、地域水田農業ビジョンや産地づくり対策交付金の活用方法を定めた産地づくり計画の策定など、短期間に適正な業務を進めていただき、去る6月22日、国から計画承認されたところであります。
 今後も、まだ農業団体が主体となった体制が整備されていない地域協議会につきましても、これまで行政が担っていた業務が円滑に移行され、農業者・農業団体の自主的・主体的な取り組みが発揮できるよう、既に農業団体が主体となった地域協議会の運営に当たっての課題やその解決手法の情報提供などを行いながら、指導・助言してまいりたいと考えております。
 また、業務の移行を進めていく上で事務の繁雑さが障害となるような場合につきましては、その都度、その対応について検討してまいりたいと考えております。
 次に、担い手育成の今後の具体的な取り組みについてでありますが、米政策改革を成功させるためには、何といっても担い手の育成がかぎであり、水田地帯において担い手が確保できる地域では、大規模家族経営体を育成し、中山間地域等で担い手が不足している地域では、集落の構成員が参画して農業経営を行う集落型経営体を育成していくことが、何よりも重要であると考えております。
 このため、担い手に位置づけられた大規模家族経営体の中に、認定農業者に認定されていない農業者がいる場合には、重点指導対象とし、経営改善計画の作成支援等を通して認定農業者に誘導し、生産基盤整備への助成の活用等を図りながら、経営規模拡大を支援してまいりたいと考えております。
 また、集落型経営体につきましては、新たに各農業改良普及センターに設置した集落型経営体支援センターにおいて、生産から販売までの経理の一元化や法人の設立手続等について個別具体的な指導を行い、担い手としての育成を図ってまいります。
 次に、水田農業ビジョンに基づく産地づくり対策についてでありますが、産地づくりにおいては、地域の発想と戦略による主体的な取り組みを基本に、立地特性を踏まえて策定された地域ビジョンや集落ビジョンの実現に向けて、とりわけ改革の主役である集落の方々が意欲を持って実践していくことが重要であると考えております。
 こうした取り組みが県内各地で展開されることにより、おのずと適地適作による個性ある産地形成が進み、全体として体質の強い持続的な水田農業が確立され、我が国の食料自給率の向上にも寄与できるものと考えております。
 このため、県といたしましては、市町村、農協等と一体となって引き続き集落に入り、主体的な取り組みを誘導するとともに、米の生産目標数量の市町村間調整や水田の畑地化、園芸作物等の導入・拡大を促進することにより、作目再編を加速してまいりたいと考えております。
 次に、直接支払制度と北東北3県が連携した国への提案等についてであります。
 現在、国で検討されている農業経営に対する直接支払制度は、従来からの個々の品目別価格対策ではなく、対象を経営全体としてとらえ、農業収入または所得の一部を国が補償し生産者に支払う制度であります。
 世界貿易機関、いわゆるWTO、あるいは自由貿易協定、いわゆるFTA交渉等の進展によって、安価な輸入農産物が一層拡大し、さらなる市場価格の低下が懸念されている中で、本県農業の将来を担う意欲ある農業者の経営安定を図るとともに、これら農業者の思い切った経営規模の拡大を阻害している将来不安を払拭する観点から、こうした直接支払制度は極めて重要な政策と考えております。
 また、今後WTOなどによる流通のグローバル化が進む中で、国際ルールによって削減や撤廃の対象とならない国内政策を創設していく観点からも有効なものと考えております。
 次に、生産現場から将来の農政のあり方を提言することを北東北3県等で取り組むべきではないかというお尋ねでございますが、これまで北東北3県が連携した取り組みとしましては、協議会によるグリーンツーリズムの促進や食料フォーラムの開催などがございます。現在、さらにグリーンツーリズムを促進するための法規制の緩和や県への財源移譲について、国に提案することを3県で検討しているところであります。ただ、これ以外の分野では、御案内のとおり東北3県それぞれ競争関係にありますことから、なかなか難しい面もあるわけでありますが、今後、議員御提言の趣旨を踏まえまして、北東北3県の中で農業・農村の振興に向けて、将来の農政のあり方に関して提言を行っていく上でどのような取り組みができるのか、今後具体的に検討してまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 国民保護法への対応についてでございます。
 現在国から示されていますスケジュールによりますと、平成16年度中に国は基本指針を示すとされておりますし、また、国におきまして数種類の攻撃パターンや地理的条件を考慮した国民保護計画や避難マニュアルのモデル計画、こういったものを県に示すとされております。県といたしましては、まず国民保護協議会の設置などの準備作業を進めるとともに、国から示されます基本指針、モデル計画、そういったものに基づきまして県の国民保護計画の策定、こういったものを行っていくということになるわけでございます。この国民保護計画や避難マニュアルの策定に当たりましては、市町村、関係機関との連携を密にいたしまして、国の基本指針やモデル計画との整合性を図るということはもちろんでございますが、地理的条件など本県の特性を十分に踏まえた内容となるように検討していく必要があると考えております。
 現在、県におきましては市町村、消防本部、県警本部とともに、住民避難のシミュレーションを実施しておりまして、このシミュレーションの成果を国民保護計画に反映させていきたいと考えておりますが、シミュレーションによりまして抽出されました課題を整理いたしまして、国の策定いたしますモデル計画に反映する必要があるというものにつきましては、国に対しまして提言をしていきたいと考えておりますし、今後、国から政令あるいは基本指針、国民保護計画や避難マニュアルのモデル計画が示される中で、制度あるいは運用などの問題点がありますれば、それにつきましても国に対して意見を述べていきたいと考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) いわゆる国民保護法に関する県警察の取り組みについてお答えいたします。
 同法による警察の果たすべき役割は、避難住民の誘導が円滑に行われるよう警察官を配置し交通の規制等を行うこと、危険箇所や被災状況についての情報を収集するとともに、関係機関と協力して被災者を救出救助すること等とされております。
 県警察といたしましては、これまで県で検討しております住民避難のシミュレーションに参画してまいりましたが、今後とも、法の趣旨を踏まえ、県、市町村等関係機関と連携をとりながら、県民の生命、財産の保護が図られるよう、所要の措置を講じてまいる所存でございます。

〇4番(木戸口英司君) それでは、知事に再度質問をさせていただきます。
 先ほどのまずは地方分権改革のところで、知事もふだんから県民の理解を得ながらということをおっしゃっております。ところが、先ほどのお話でもありましたとおり、広く国民の議論にしていくのが難しい問題であると、そろそろそういう時期に来ているだろうというお話がございました。やはり私もこういう大きな改革、特に増田知事がいるこの岩手県でありますので、この岩手県民、この改革の方向性をもっとよく理解をして県民運動的な盛り上がりの中で、国にむしろ改革実現を迫っていくということが必要なのではないかと思っております。
 知事は、地方の自立を言います。市町村合併は住民の自主性でともおっしゃいます。合併しない市町村はみずから自立を選択したものとも言いますが、果たして本当にこの地方の自立、そしてその制度論というものを理解して進んでいる状況なのか、大変心配をするところもあります。やはり財政問題、合併の相手探しの議論ということ、ここに終始しているのも現状であろうと思います。税財源と権限と人材、これの国からの移譲、これも知事が言っていることでありますが、その受け皿づくりを県、市町村一体となってこの改革の趣旨を理解しながら、早くから先に進めていくと、それによって地方から国へ改革の主張が説得力を持ってくるのではないか。知事が、知事会、また、21世紀臨調でこの改革を一生懸命取り組んでいる、ここは理解するところでありますが、では振り返って岩手はどうか。例えば、今すぐにでも――これはあり得ないわけでありますが――地方分権改革が達成されたとき岩手がそこに対応でき得るのか。こういう問題があるのだろうと思っております。もう一度県民とのこの改革に向けた取り組みについて、もう少し具体的に知事の思いというものを再度お聞きしたいと思います。
 それから、資産公開についてでありますが、ここで県民の意思としてと出てくるわけでありますが、これが資産公開条例というこの中身であるということで、正直これでいいのかなと思うところであります。まずはこの資産公開条例、現在の条例について私も先ほど申し上げたのでありますが、さまざま検討課題が示されているところであります。まだまだ情報公開というものにまだ足りないのではないかと言われている現在の資産公開条例の現状もあるわけでありまして、この点を知事はどう考えているのか。
 それから、先ほど言いましたとおり、トータルで政治倫理の確立というものをもう少し議論をしていく必要があるのではないか。そして、資産公開条例についても現状の問題点をもう少し議論を深めて、そしてあり方を考えていく必要があるのではないか。その中で現状を自主的に公開していくという考え、知事にはないのでしょうか。その点をもう一度確認をさせていただきます。
   

〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   

〇知事(増田寛也君) まず、2点ありましたので、第1点目の地方の大きな制度にかかわる関係でございますが、これについては県民の皆さんとの議論ですとか、それから県民理解というのはやっぱり不可欠であると思います。それが背景にあって国の国民的な議論の広がりと国の大きな制度改正などにつながるという、この下からのやっぱり盛り上がりが十二分ではないということは私も感じております。これをどういうふうにわかりやすく問題提起をしていくのかということだと思うのですが、これを余り制度論を振りかざして大上段に構えていくのもいけませんので、やっぱり具体的な地についた例などを取り上げて、我々の生活がどう変わるのかということを丹念に示していく必要があるのかと思っておりまして、これはやり方がさまざまあると思いますが、今お話しあったような問題提起といいますか、問題点の指摘、それを十二分に頭に置いてこれからの進め方の中で私なりに考えて生かしていければと考えております。
 それから、資産公開条例ですが、これについては今の資産公開条例あるいは資産公開制度について、いろいろ問題点があるのは私自身も感じております。それは逆に言うと国民あるいは県民の皆さんもその制度が必ずしも十全のものではないと恐らく感じておられることと一致しているのだろうと思います。そのことも含めて政治倫理の確立全体について、特にやはりこうした政治倫理の確立についての国民全体の目も、視線も厳しさを増しておりますし、さまざまな問題をどれか一つだけということではなくて、全体的にやはり常に心がける、あるいは常にそして何かみずからのものとして取り組むというそういう姿勢が必要であろうと思いますので、先ほど言いましたようなこの資産公開とか透明性の確保だけではないほかの点も、一言で言えば政治倫理の信頼の回復ということでございますが、常に頭に入れて行っていきたい。資産公開の制度そのものについてもやはり不十分なところがあると思いますので、先ほどお話があったような御指摘の点も今後検討課題だと認識しております。
 私は、国会の資産公開法ですか、あれの制定過程も少し調べたのですけれども、そこでもいろいろな議論があって、対象とする範囲をどうするかということ、あるいは人の関係、配偶者とか何かどうするかという範囲、いろいろ議論があったようですが、余り全体がつまびらかにはなっていませんけれども、その中でやはり合意のとれるところということで、対象範囲をまず広げていこうということでいろいろ動いたようですけれども、結局与野党全部の合意がとれなくて、どっちかというと与党は今のああいう資産公開法、それから野党の方は対象を配偶者等も含めてという主張もあったようですけれども、結局今の形で成立をしたということのようです。だから、やっぱり対象範囲、配偶者にするかどうかというところがまず一番順番としては問題になってくるのではないかという、そういう資産公開法の制定過程の議論もあるのですが、そのほか今お話しあったような普通預金の問題ですとか、それからさまざま最近金融商品も出てきているので動産類の取り扱いもあると思います。その点についても今後検討していかなければならないもの。それも含めた全体としての政治倫理の確立に向けて、それぞれやはり取り組むべきと考えております。
   

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時4分 散 会


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