平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇19番(工藤大輔君) 民主・県民会議の工藤大輔でございます。声変わりの時期を迎えてしまいまして、若干聞き苦しいことがあるかと思いますが、どうか御容赦願いたいと思います。
 それでは、通告に従いまして順次質問をいたします。
 まず初めに、経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004について、知事にお伺いします。
 三位一体改革のこの1年を振り返ってみると、2003年6月に骨太方針第3弾が示され、4兆円規模の国庫補助負担金の廃止・縮減等と、それに伴う税財源移譲、さらには地方交付税制度の見直しについて進められるという方針が示されましたが、昨日の質疑でもございましたように、地方にとって惨たんたる結果となりました。このような措置は、完全に自治体の自主性を失わせたものであり、これでは自己責任すら果たすことができません。
 また、三位一体改革を進める上での理念、優先順位の決定、実施方法、年次計画、検証のシステムが示されず、いまだ全体のビジョンや工程表が示されないままで進められております。自治体運営の根幹となるこの改革において、このような手法では、地方自治体は十分に説明し得る中長期計画すらつくることができません。
 知事は、現在の三位一体改革の進め方に対しどのように感じているのでしょうか。
 また、政府において6月4日に閣議決定した経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004、これは骨太方針2004についてでございますが、現時点での評価をどのようにしているのでしょうか。
 一部報道によると、石原東京都知事は昨年の12月に全国知事会の席上、知事会の提言は国依存を露呈している。大都市の財政事情をしんしゃくせず、知事会は東京都の主張を封じ込めたと批判し、地方分権改革に関する東京都の基本見解を公表し、独自路線を貫こうとしています。
 こうした中で、骨太方針2004に基づき、政府は地方公共団体に国庫補助金改革の具体案を作成するよう要請しましたが、全国知事会の中では意見は違ってきておりますし、義務教育費の国庫負担金などに対する考え方にも食い違いがあるようですが、具体案は本当にまとまるのでしょうか。仮に意見の取りまとめに時間を要すれば、地方の忍耐力も底をつき、以前の方がかえってよかったということになり、改革が一向に進まなくなることも想定されます。
 知事は、補助金改革案の作成を具体的にどのように進めるべきだと考えているのでしょうか、お伺いします。
 次に、地球温暖化防止対策についてお伺いします。
 気候変動に関する政府間パネルの報告書によれば、現状のまま大気中の二酸化炭素等の増加が続けば、地球の平均表面気温は21世紀末には1990年に比べ最大5.8℃上昇すると予測されております。このような気温の上昇は、自然環境の大きな変化をもたらし、人類の生存に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。
 そのような中、我が国は京都議定書において、温室効果ガスの排出量を基準年である1990年の水準と比べて6%削減することを約束しており、本県の削減目標は1999年に策定した岩手県環境基本計画において、二酸化炭素の排出量を2010年までに国の目標を上回る8%削減を掲げています。家庭部門からの二酸化炭素排出量が伸びていますが、果たしてこの目標は達成可能なのでしょうか、お伺いします。
 次に、雇用対策についてお伺いします。
 一部に過去最高益を出す企業が出てきておりますが、景気の厳しさは総じて変わりない状況にあります。5月28日発表の有効求人倍率は、全国平均で0.77倍、東北6県の平均も0.58倍で、ともに前月と同水準であるものの、県内は0.52倍で前月対比0.05倍の減でございました。県内の地域別で見ますと、最も高い北上地域の0.92倍を筆頭に、一関地域の0.56倍、盛岡地域の0.52倍と続き、最低は久慈地域の0.17倍、次いで二戸地域の0.24倍となっています。
 雇用や所得水準は地域振興のバロメーターであり、有効求人倍率が県下で0.75倍の開きがあるということは、地域振興の格差が一層広がっているとも言えるのではないでしょうか。
 今年度の計画を見ると、数値目標を設定し取り組む地方振興局や市町村もあれば、努力目標のように取り組み内容を掲げているだけのところもございます。地域が主体性を持ってこの緊急課題に当たることが必要と思いますが、県としてこれまでどのような取り組みをしてきたのかお伺いします。
 次に、若年者への対策についてお伺いします。
 県は昨年、総合雇用対策局を設置して、雇用対策を最重点課題と位置づけて取り組んでこられました。国が新たに行う若年者の雇用対策モデル地域に、全国15カ所の中から本県が指定され、ジョブカフェのモデル事業が実施されることになったことは高く評価します。
 そこで、この事業の実施についてお伺いしますが、このジョブカフェは盛岡市にオープンし、若者の利便性を考慮して、年中無休で、しかもモバイル機能を活用して遠隔地からのアクセスも可能な仕組みを検討中とお伺いしました。さらには、県北・沿岸地域にサテライト機能を構築し、若年者雇用に結びつける計画を持っているとのことですが、地方振興局や市町村との協議はどのように進んでいるのでしょうか。
 また、この事業は、本県のほか、東北では青森県も本県同様に地域指定をされたところですが、青森市の観光物産館アスパムにジョブカフェを設置して、本県同様に県内に数カ所サテライトを設置する計画があるようです。
 そこで提案ですが、国のモデル地域の指定を受けた隣接する県同士、中でも雇用環境が特にも厳しい本県の県北地域と青森県の八戸地域で連携した事業ができないものでしょうか。この両地域は、昔から経済圏を共有してきた経緯もあり、県境の壁を越え、同じモデル事業の二つの相乗効果を発揮し、県境の地域を補完し合うような事業展開ができないものかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、ワークシェアリングについてお伺いします。
 県では、未就労若年者が業務を体験し職務経験を通じてキャリアアップを図ることにより、民間企業等への就労促進に寄与することを目的に、若年者就労支援事業を平成14年度から実施し、非常勤特別嘱託員の配置を行いました。1年後の民間企業等への就職状況は、平成14年度は延べ85人中49人の内定者、15年度は、雇用情勢のさらなる厳しさからか、延べ92人中36人の内定者となりました。
 3年目に入り、これまでの取り組みをどのように評価されているのでしょうか。雇用状況の悪化が続いていることから、さらなる継続と一般行政事務以外の人材育成や雇用の創出も必要と思いますが、研究機関等にもワークシェアリングを広げる考えはないのでしょうか。
 また、臨時職員の民間企業への就労状況を見きわめ、本事業と比較をした上で募集人数の変更を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、教育問題についてお伺いします。
 まず、生徒の就労の確保でございますが、高校生の就職支援を行うため、高校就職支援相談員配置事業を平成13年度から実施しています。35校37名の就職相談員が、広域内の企業を訪問し採用枠の確保や新規学卒者の採用へ向け学校側のフォローをしています。その結果、平成13年度は新たに429事業所で738名、平成14年には778事業所で923名の掘り起こしが行われました。新規開拓事業所への内定者は、平成13年度は163名、平成14年度は485名となり、一定の成果を上げることができたと思います。
 しかし、全就職者数に占める相談員のかかわった割合は、平成13年度は3.9%、平成14年度は11.9%と低調に終わっています。平成15年度からは県内8地域に1名ずつジョブサポートエリアマネジャーを配置し、各学校に配置した就職相談員の情報を共有化し、効率のよい支援体制の強化が進められました。しかし、実施初年度だからか、開拓事業所への内定者は思ったほどの成果は上がっていません。
 そこでお伺いしますが、県では来年度の取り組みとして、どのように課題をとらえ、生徒の就職先の確保に向けてどのような努力をされているのでしょうか、お伺いします。
 学校経営という言葉がよく使われますが、校長を初め、教頭や就職・進路担当者が中心となり、一人でも多くの採用に努力するようトップセールスも求められます。職業観を高めるとともに、我が子を一人でも多くという気持ちを一層高め、年々刻々と変わる企業側のニーズに対応するため、どのような人材を必要としているのか、そのためには何を指導すべきか、いま一度知る必要があると考えますがいかがでしょうか。
 次に、ディベートについてお伺いします。
 自分を理解してくれる者同士としか会話をしないという現象が起きています。私は、こういう時代だからこそ、学校内においてディベートが必要だと考えます。ディベートと言うと、意見の合わない者同士の言い合いや、議論に負けることは人格まで否定されるようなイメージがありますが、決してそのような性質のものではございません。子供が成長する過程や社会においてなくてはならないツールが数多くあります。
 ディベートは、日常会話以上にコミュニケーション能力が要求されます。しっかりとした話し方や聞き方が求められ、相手に理解してもらうためには、話のポイントを押さえるとともに、論理的な説明能力や表現方法が必要となります。そこには考える力が生まれて、異なる意見にも耳をかす忍耐力と感情に左右されない冷静な判断力が養われます。また、ディベートを通じて、社会問題や目の前で起きている事柄について、日常的に考える必要があるのではないでしょうか。
 県は、学校教育の中でディベートの必要性をどのように認識されているのでしょうか。また、生徒の育成という観点から、どのように指導していく考えかお伺いします。
 次に、高校再編についてお伺いします。
 後期マスタープランに基づく後期計画の策定に向け、佐藤教育長には、通学区域での説明や意見の聞き取りを進めていただいています。今回の論点は、少子化が一層進むことから、適正な学校規模で教育や部活動を充実させ、互いに切磋琢磨できる教育環境をつくるという教育委員会と、地域とともに歩んできた高校がなくなることは地域振興に支障を来す、交通費等の新たな出費により家庭の負担が増し、通学時間の増加は生徒に負担をかけ勉強や部活動に支障を来すなどという自治体側との間で、意見の違いが明らかになっています。
 危機感が募る自治体や住民から教育委員会に対し、高校の存続やこれまで検討してきた学科再編の要望が次々と出されています。これらを踏まえ、教育委員会として十分に検討し計画案を示すということですが、教育長の話の節々から、批判は覚悟の上、実施に向け並々ならぬ決意をされているような感を持ったのは私だけではないと思います。意見を聞く会を通じ、どのような思いを新たにしたのでしょうか。
 市町村からの要望を検討するのであれば、各学校や通学単位での検討に多くの時間を要すると思いますが、現在出された市町村からの要望をどこまで検討し、計画案に盛り込むのでしょうか。また、整備計画案は、いつ具体の計画案を発表するのかお示し願います。
 次に、企業誘致と産業集積支援についてお伺いします。
 県内でも企業の撤退が相次ぎ、中国への生産拠点のシフトが進みました。しかし、近年、中国を初めとするアジア諸国に進出した企業の海外撤退や進出を計画したが、技術力や労務管理、言葉の関係等で断念するケースがふえているという回帰現象が起きていますが、県として、そのような企業へのアプローチに積極的に取り組む必要があるのではないでしょうか。
 また、これまで立地した企業に地域に根づいてもらうため、フォローアップを今後どのようにしていくのかお伺いします。
 北上川流域地域は、本県の工業を牽引する高度技術産業集積圏の形成を目指し、これまでの工業集積に加え、より一層の先端技術関連企業や付加価値生産性の高い研究開発型企業の導入を図るとともに、部品や金型などのものづくりを支える基盤的技術産業の導入に努めてきました。
 以前、岩手県工業技術集積支援センターの事業内容をお伺いし、部品メーカーの誘致や部品の地元調達を進めるため、関東自動車工業OBの方にコーディネーターとして組織に入ってもらい、地元企業との橋渡しをしていただくという事業を詳しくお伺いしました。技術の向上を図り、部品納入を進めるには、設備投資を初め、もろもろの体制を整えていく必要があります。金融面からの支援を初めとするバックアップ体制はとれているのでしょうか。支援策についてお伺いします。
 県北・沿岸地域は、これまで企業誘致の最重要課題地域として、県でも、県北部会、沿岸部会をそれぞれ設置するなどして取り組んできました。しかし、これといった決め手や広がりがないのが実態でございます。長きにわたり続く有効求人倍率の低水準を考えると、市町村との共同によるさらなる優遇施策や通勤エリアをともにする広域的取り組みが必要であります。また、物流コストが大きく変わらない小型の精密機械や組み立て工場、地場産業と連携できる食品加工会社等、この地が適しているという必然性を見出した誘致戦略の確立も欠かせません。県北・沿岸地域の企業誘致に関する現状と今後の取り組みについてお伺いします。
 また、今後の誘致活動において、第2クリーンセンターが稼働する目途としている平成21年を目指し、どのような取り組みをし誘致実現に結びつけていく考えか、お伺いします。
 一方、雇用はどこまで改善されるのかという思いもあります。これまで、需要を拡大すれば経済成長は起き、失業者は減るとされてきましたが、アメリカでは、雇用なき景気回復が盛んに叫ばれています。企業が1人当たりの労働生産性の向上を目指した結果、単位時間当たりの生産物はふえましたが、その分、労働力が余ってしまいました。その後、需要がふえても人をふやさず、さらなるコスト削減と生産性の向上に向け機械化やオートメーション化を進めた結果、人件費のかからない体制が確立されたからです。
 日本においても、このまま景気の回復が実現すれば、まさにアメリカと同じ状況になる傾向にあります。これまでのように製造業の好調が雇用の改善につながるというわけではないという時代に入ったと言えます。これまでの誘致企業撤退から好転してきた産業の生産体制を見たとき、今後の企業誘致の方針に変化はあるのでしょうか。また、県は増加傾向にあるサービス関連事業により、雇用の創出を目指し、コールセンターなどサービス関連産業の誘致に向けてどのように取り組むのでしょうか、お伺いします。
 次に、いわて子どもの森についてお伺いします。
 いわて子どもの森は、初年度の入場者数は年間利用見込みを大きく上回り、開業1年後の5月5日に30万人を達成したところでございます。施設使用料等の収入を見ると、行政財産使用料は見込みを71万円上回ったものの、施設利用料が1、024万円と大幅に計画を下回る結果となりました。これは、日帰り客が大半で、宿泊者数とバーチャルモーションスライドの利用実績が当初見込みの半分程度となったことが要因と言えます。県財政の状況や今後の施設修繕やソフト面の充実、職員の適切な配置等を考えると、入館や駐車場の点で無料という現在の形ではなく、適切な料金徴収を実施し、独立採算の形の方向も目指してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
 オープン以来1年を経過しましたが、県はこの時点でどのように総括しているでしょうか。
 また、今後この施設を拠点とし、子供の健全育成をどのように図っていくのでしょうか。
 また、県の運営費負担の軽減策と今年度の収入の確保にどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、地域交通の確保についてお伺いします。
 三陸鉄道は、開業当初268万人の利用者がありましたが、年々減少し、100万人を割り込む勢いであります。
 三陸鉄道は先般、2004年度から10年間の経営改善計画を策定しましたが、極めて厳しい環境にあります。前年度の赤字分を補てんする運営助成基金は5億500万円まで減り、3年後には枯渇をする見通しとなっています。また、徹底した経営改善を行っても、施設の老朽化対策費等に会社負担分として7億円が必要となるなど、10年間で7億8、000万円の資金不足が生じる見込みとなっております。
 そこでお伺いしますが、県は三陸鉄道の経営健全化に向けた今後の支援について、どのように取り組む考えかお伺いします。
 次に、地域路線バスについてでございますが、平成12年5月に道路運送法が改正されて以降、バス事業者の路線休廃止の申し出は本年度5月までに157路線に上りました。その対策として、市町村が代替バスの運行をしたのが38路線、市町村単独補助による維持が20路線など、国庫補助や県単独補助による維持の9路線と比べると、しわ寄せは市町村側に来ています。また、現在15路線で検討中ということでもございます。
 平成15年度の6月補正予算で地域バス交通支援事業費補助として1億3、317万円計上しましたが、決算額は2、457万円と、候補路線の多くが国庫補助路線に移行したため減額補正をしました。果たしてこのような状況で地域の足は守れたのか非常に懸念を持っているところでございます。このままいくと、一たんは市町村が引き受けたものの、市町村財政も厳しさを増すことから、地方自治体の運営する公営バスの廃止や本数の減少も増加してきます。そこで、地域路線の確保に向けどのように取り組まれるかお伺いします。また、路線バスの今後の見通しと市町村が運行するバスに対する支援について、あわせてお伺いします。
 次に、林業公社問題についてお伺いします。
 林業公社は、昭和39年の設立以来、分収造林事業を通じて、森林資源の造成はもとより、山村地域における雇用の創出など、地域の振興に大きな役割を果たしてまいりました。
 その一方で、事業財源を借入金に依存してきたことから、累積債務が増大し、近年の木材価格の低迷などにより経営改善の必要が生じたことから、この4月に県は、平成19年度を目途に林業公社を解散して、県有林事業と一元化をする方針を発表されました。解散をする公社に対し3年間融資し続けるということへの抵抗もありますが、林業公社の清算をどのように行うのか、具体的にお伺いします。
 これまでの県の貸付金は、元利合計で351億円に上ると聞いていますが、これは債権放棄するのでしょうか。さらに、市町村貸付金の元利合計39億円はどのようにするのでしょうか。市町村は厳しい財政状況の中で、今後3年間林業公社を支援しようとしておりますが、債権放棄を避ける方法はないのでしょうか。
 また、農林漁業金融公庫からの借入金については、県が100%損失補償していますが、特定調停法に基づく特定調停制度は活用できないのでしょうか、お伺いします。
 次に、建設業における新分野への進出等についてお伺いします。
 民間と公共事業の建設投資の総額は、平成4年度の84兆円余りをピークに、平成15年度にはおおよそ70%近くまで落ち込んでいます。しかしながら、就業者数については、平成9年度のピーク時の685万人余りに対して、平成14年度ベースでおよそ10%しか減っていないという数字が出ています。公共事業費が現状維持を保っても、就業者数の激減は必至で、その規模は全国で200万人とも言われています。
 こうした中で、建設業の新分野への進出が出始めています。県内ではホウレンソウ、菌床シイタケ栽培など農業分野に活路を見出そうとする建設会社が出てきており、県も、全国に先駆けて農業参入企業相談センターを設置し、農地の取得や農業生産法人の設立、農畜産物の流通と販売、農業生産技術の習得などについて、相談や情報提供を行うこととしました。県内建設会社が経営ノウハウや優位性を生かし、建設業の新分野・新市場開拓や業種転換などに取り組むケースがふえてまいりますが、こうした建設業の支援についてどのように進めていく考えかお伺いします。
 次に、国直轄事業負担金についてお伺いします。
 公共事業が前年度比17.9%減少される中、国直轄事業に対する負担金は、平成14年度の303億900万円をピークに、今年度216億6、400万円と減少したものの、公共事業費に占める割合は増加の一途をたどっており、本年度は17.1%にまで膨れ上がりました。この数字は平成9年度の2.8倍であり、前年度と比較しても27.6%の増加となります。
 公共事業費のボリュームが縮減される中にあって、国直轄事業負担金の割合が突出していることは、そのあおりを受けて、県単独事業に回る事業費がさらに落ち込んでいる構図となり、受注の減が顕著になっています。
 国の意向により事業が左右され、県が主体的に判断し実施できる単独事業が減ることは地方の自立に反していますし、私は、国直轄分を公共事業費の別枠でとらえた予算確保が必要と考えます。多くの国直轄事業は、法律により国が事業計画を決定し、県に費用の一部を負担することを義務づけており、事業の着手や計画の大幅な変更に際して県から国に意見を述べる仕組みがなく、国から県に対する情報も十分なものになっていません。また、毎年度の県の負担金についても、国から請求金額の詳細な積算内容が示されず、事前協議の仕組みも整っていないと聞いています。このような制度的に問題のある国直轄事業負担金の改善や廃止に向け、どのように取り組んでいく考えかお伺いします。
 以上申し上げまして、質問とさせてもらいます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 工藤大輔議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革についてでございますが、本来の三位一体改革とは、国と地方の役割を根本から見直しをして、地方税財源の充実によって自治体の裁量権の拡大を図って、地方がみずからの判断と責任によって自主的、自立的な行財政運営ができるようにする、いわば地方財政を自立させるための改革にほかならないと認識をしております。しかし、そうした根本問題に手をつけずに、単なる手段としての三位、すなわち税源移譲と国庫補助負担金の廃止・縮減、そして地方交付税の見直しが、通常の予算編成の一作業として、各省庁の都合によってそれぞればらばらに行われたということが、結果として、初年度については理念やビジョンを欠いたものとなってしまったと考えておりますし、この点については今、議員御指摘のとおりだと私も思います。
 また、この三位一体改革の具体的な工程表の必要性について、これも知事会などで再三指摘をしてきたところでございますが、今月発表されました骨太の方針2004におきましてもそれが示されずに、秋まで先送りをされてしまっているということがございまして、この点については政府が本気でどこまで改革しようとしているのか依然として明確にはなっておりませんので、この点について強い懸念を抱いているということでございます。
 この骨太の方針2004の評価についてでございますが、地方側が強く求めておりました税源移譲について、おおむね3兆円規模を目指すと、金額が3兆円という形で明示をされたということについては、一定の評価をしているわけでございますが、先ほど申し上げました、秋に示すとされた工程表を含む改革の全体像でございますが、それはあくまでも平成18年度までのものということになっておりまして、また、おおむね4兆円の国庫補助負担金の見直しの枠の中だけで話が進められているということがあって、そういう意味ではまだ不十分だと思います。18年度までの4兆円規模の改革は、いわば第1期の改革と位置づけるべきものでございまして、最終目標である分権型社会の実現までの一つの通過点にすぎない、引き続き平成19年度以降の第2期の改革につなげていくべきと考えております。このため、全体像は今申し上げましたように政府の方ではそのような状況でございますので、今後地方の側から示していきたいと考えております。
 その関係で国庫補助負担金改革の具体案については、先般、政府の方から地方6団体に対して期日を区切りまして8月20日までに取りまとめるよう要請があったと聞いております。そこで、全国知事会などそれぞれの団体の中で今改革案について鋭意検討を行っているという状況でございます。今義務教育費国庫負担金についてのお話がございましたけれども、これは全体で2兆5、000億円ほどございます。この全額を廃止対象とした場合には、もし今政府が進めている国庫補助負担金の見直しが残り3兆円という枠の中だけの話ということになりますと、もうこの負担金だけで大半を占めてしまうということで、必ずしも本来の目的である地方の自由度の拡大にはつながらないと考えております。
 必要なことは、残り3兆円というその枠、政府がはめた枠の中だけで考えるのではなくて、全国知事会で提言した約9兆円の見直しというような、もっと大きな前提の中で、この義務教育費国庫負担金等の取り扱いも含めて考えるべきで、その際にはそれだけではなくて、公共事業関係の補助負担金なども当然含めて考えるべきでありますし、もっと大きな枠の中で、本来のねらいとしている地方の裁量の拡大や創意工夫の発揮につながるような案を、地方の側の総意として――6団体がばらばらではなくて――ぜひ取りまとめなければいけないと考えているところであります。
 それから、地球温暖化防止対策についてでございますが、2010年までの8%削減目標の達成の可能性についてお尋ねがございましたが、本県の2002年におけるCO2の排出量でございますが、これは1990年比で約3.8%の増加となっております。これは全国の増加率が11.2%の増加ということですので、それに比べますと大分下回っておりますけれども、しかしふえていることは事実でございまして、このまま推移いたしますと、2010年までの8%削減の目標達成というのは、なかなか厳しい状況であると認識をしています。
 目標達成に向けた今後の取り組みとしては4点あると思いますが、家庭における対策として省エネルギーの一層の普及啓発に努めなければいけない。これは具体的には自然エネルギー機器を設置した住宅への補助ということで、太陽光発電などについて今実施をしているわけでございますし、家庭でのさまざまな省エネルギーや新エネルギー対策ということをこれからも取り組んでいきたいと思います。それから、二つ目としては、部門別の目標設定と具体的な削減方策としてのシナリオを盛り込んだ地球温暖化対策地域推進計画を今年度内につくるということにしております。それから、三つ目としては、増加の著しいのは民生部門でございますので、地域や事業所へ地球温暖化防止活動推進員を積極的に派遣して、そして温暖化防止の活動を促していく。それから、4番目として、個人・家庭から地域・団体のエコライフ活動へ展開するために、市町村ごとに協議会をつくりまして、そして省エネのライフスタイルの普及や省エネルギー性能のすぐれた機器等グリーン購入を呼びかけていく。このようなことを今考えております。こうした排出についての対策と、それから吸収面での対策、これは森林による吸収量を確保するためのビジョンの策定などでございますが、こうした両面からの対策を一層推進して、2010年の目標達成に向けて積極的に取り組んでいく考えでございます。
 それから、3番目で雇用対策についてでございます。
 雇用対策は、もう再三申し上げてございますが、緊急に取り組む最優先の課題として位置づけまして、今全庁的な取り組みを進めております。県みずからが企画して行う事業も当然その中に入るわけですが、それぞれの地域が地域の総力を挙げて地元のニーズを踏まえて事業を組み立てる。そして、地域に密着した本当に実効性のある雇用対策として実施されることが重要でございます。したがって、雇用対策は地域づくりそのものであると認識をしているわけでございます。これまで私も市町村長さんとの会合の機会や地方振興局長会議などの場で、地域の主体的な取り組みについて強く求め訴えてきているわけでございます。今、議員御指摘ございましたとおり、地方振興局によりましても雇用創出目標を明確にして取り組んでいる局や、必ずしもそうでないところ、そういう局があるのもこれは事実でございましたので、何らかの形での目標設定は、これは必要なことでございますので、地方振興局長に対して、具体的な数値目標を持って取り組むよう指示をしたところでございます。
 そして、もう一点、ジョブカフェの設置についてお尋ねがございましたが、このたび国の若年者就職支援事業、これは経済産業省が所管の事業でございますが、この事業としてのジョブカフェモデル地域に本県が選定をされまして、この事業では若者の就職を動機づけから就職のあっせんの段階まで、岩手労働局と連携しながらワンストップで支援をしていくものでございます。7月1日――今週でございますが――に盛岡市内にオープンをするジョブカフェの持つ機能を限りなく県内広く波及をさせたいと考えておりまして、現在、盛岡市におきますジョブカフェのサテライトセンターの設置について検討しております。地域にどのように展開をしていったらいいのか、その地域での展開可能性などについて検討しているわけでございますが、県内広く見ますと有効求人倍率の低い地域、これは県北地域や沿岸地域などでございますが、そうしたところにはこのサテライトセンターの設置について配慮していきたい、このようなことで、今内部で検討しているところでございます。
 それから、青森県、その中でも八戸地域との連携について今お話がございました。このジョブカフェモデル地域として、東北の中ではこの岩手県のほか青森県も地域指定を受けたわけで、この2県が受けたわけでございます。隣接をしているわけでございますし、しかも経済圏も同じくする地域である本県県北地域と青森県の八戸地域でございますので、やはりこの地域については若者の雇用対策を両県が県境を越えて連携して取り組むことは大変意義のあることであると思っております。そこで、モデル地域同士が連携していけるよう青森県との協議を鋭意進めていきたいと考えております。
 それから、最後に、国直轄事業の負担金についてでございますが、現在の直轄負担金制度は、国の政策として実施すべき事業について、地方自治体に対して負担が義務づけられているにもかかわらず、問題点としては地方側の判断の余地がほとんど確保されていない状況である。ここが非常に大きな問題点だと思います。こうした直轄負担金が年々地方財政を圧迫しているということ、そのような現実がございまして、三位一体改革でも掲げております地域主権型社会の実現という観点からはこれは非常に問題があると認識をしています。早急にこの直轄事業について地元の自治体との事前協議制度を導入するとともに、これは三位一体改革にあわせてこの制度自体も廃止すべきものと考えております。
 この点について現在、全国知事会や私が所属しております21世紀臨調などでも制度の改善ですとか、それから今申し上げました廃止ということを中央の省庁に要請をしているわけでございまして、そこで、これは廃止になるまでにはいろいろまた今後折衝が必要になると思いますが、当面は現行制度の運用改善策として、事業の着手や計画の大幅変更に際して国と十分な意見交換のできる場の設定などについて申し入れを行っているわけでございます。そのことを実現すると同時に、最終的には制度の廃止に持ち込みたいということで、今後も各県と連携しながら、こうした制度の改廃に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 その他のお尋ねは、関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 県が行っております若年者就労支援事業についてでありますが、この事業は、未就労の若年者が県の業務を体験いたしまして、職務経験を通じてキャリアアップを図るということを主な目的といたしまして、その結果といたしまして、民間企業等への就職活動の支援やワークシェアリングに寄与するものということで、平成14年度から実施をしているものでございます。任用されました非常勤特別嘱託員に対しましてアンケート調査を行っております。この結果によりますと、全体の7割から8割の者が、日常の業務経験がキャリアアップにつながっているというような回答を出しております。また、非常勤特別嘱託員の民間企業等への就職状況でありますが、就職先が内定した者も含めまして、平成14年度で57.6%、平成15年度では39.1%となっておりまして、この制度がキャリアアップあるいは民間企業等への就職促進に寄与していると考えているところでございます。
 この事業は、平成13年度に新規学卒者の就職内定率が非常に厳しいという状況を背景に導入したものでありまして、応募状況を見てみますと、毎年度4倍前後の申し込みがあるなど人気が高く、現状ではまだ社会的ニーズは高いと考えております。配置先につきましては、OJTを通じての人材育成、そして配置先の受け入れ態勢、民間企業等への就労促進というような観点からいたしますと、一般行政事務への配置が最も効果的ではないかと考えております。また、その任用期間につきましては、より多くの未就労若年者に対しまして、キャリアアップの機会を提供するというような考え方に立ちまして、1年の任期で行っているものでございます。本事業の継続あるいは拡大、募集人員等の見直しにつきましては、本事業が県総合雇用対策に位置づけられておりまして、また、県では現在、ジョブカフェ事業の導入など、若年者の雇用対策への取り組みを本格的に進めている状況にございますので、そういった状況を踏まえまして、なおかつ社会的ニーズや今後の雇用情勢の推移などもあわせまして、総合的に検討してまいりたいと考えているところでございます。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、国内回帰の企業へのアプローチと立地企業へのフォローアップについてでございますが、現在、国内回帰に向かっている企業は、中国等海外で生産するよりは国内の高度な人材や知的資産あるいは産業集積等を活用し、短いサイクルで高い付加価値の製品をつくる方が高い国際競争力を持てると判断した企業であると認識してございます。本県には、北上川流域を中心といたしまして一定の物づくりの基盤が集積してございます。また、全国的にも高く評価されているINS――岩手ネットワークシステムでございますが、岩手大学地域連携推進センターや岩手県立大学の地域連携研究センターなどの産学官連携を推進する体制や仕組みが整ってございます。こうした本県の優位性をアピールしながら、国内回帰を目指している優良企業の誘致に取り組んでまいります。また、立地した企業の地元への定着を進めるため、今後とも産学官連携の一層の推進を図りながら、企業と大学等との連携をさらに強化するとともに、企業ニーズに応じました人材の確保、育成を支援するなど、これまで以上のきめ細かなフォローアップに努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、自動車関連産業の集積のためのバックアップ体制についてでありますが、本県製造業の大きな強みの一つは、先ほども申し上げましたとおり、北上川流域に電気機械、機械金属を初めとする多くの企業が集積をしていること、また、すそ野の広い自動車組み立て工場が東北以北で唯一立地していることが挙げられます。この両者のマッチングは、多様で厚みのある産業構造の構築に向けて不可欠でありますが、電気機械等の産業と自動車産業とはいわば文化、すなわち、その製造工程の特性等に応じまして、発注・納品等のシステムに大きな違いがあると認識をしております。県は、県内地元企業がこの違いを克服して自動車産業に果敢に取り組むことを期待し、現在、本年4月に設置した工業技術集積支援センターを核に、いわて産業振興センター等の関係機関とともに、そのマッチングや企業における工程改善の支援に取り組んでいるところでございます。あわせて、これらの活動に際しましては、新規参入企業に対する自動車産業の特性に応じた支援、設備投資等に関する支援も含めてでございますが、具体的ニーズの把握なども念頭に進めているところでございます。
 次に、県北・沿岸地域の企業誘致に関する現状と今後の取り組み等についてでございますが、県北・沿岸地域への誘致企業の立地件数は、北上川流域等と比較して大変少ない状況にあります。本県の雇用情勢は、全般になお厳しい状況にございますが、特にこれらの地域の雇用情勢は一段と厳しい状況にありますことから、県北・沿岸地域への企業誘致は大変重要な課題と認識してございます。このため、これまで二戸地域及び久慈地域に拠点工業団地を整備するとともに、県北地域等を対象とする助成制度――企業立地促進奨励事業費補助金でございますが――の創設及び拡充を図るなど、ハード、ソフトの両面での立地環境の整備を進めてまいりました。
 今後は、県内に立地を希望する企業に対し、このように整備された工業団地や優遇制度の活用を積極的に進めながら、例えば二戸地域の特産品である雑穀などの特色ある地域資源を活用する企業の誘致を進めてまいります。また、これまで以上のきめ細かなフォローアップを通じまして、既に立地している企業における新技術の開発などを活用した新たな事業への二次展開や、それらの技術を活用し、産学官連携などにより開発された応用製品を製造する工場、企業の誘致を関係市町村と密接な連携のもとに進めるなどしまして、県北地域において、より多くの企業誘致が実現されるよう努めてまいります。
 また、第2クリーンセンター稼働を生かした企業誘致につきましては、企業にとって産業廃棄物の処理は重大な問題でございます。県北地域に第2クリーンセンターが設置されることは、企業の産廃処理の物流コストの低減や処理の信頼性の面から大きなメリットを生ずるものでございます。県北地域への企業立地の大きなインセンティブになるものと考えてございます。他の地域と差別化できる立地インフラとして積極的にアピールしながら企業誘致に取り組んでまいります。
 次に、今後の企業誘致の方針の変化とサービス関連産業の誘致についてでありますが、今後は、国内回帰、国内立地する国際競争力の高い研究開発型の製造業に重点を置いて企業誘致を推進するとともに、一方、雇用創出力が高い情報関連産業や物流関係産業などサービス関連産業については、これまでも重点的に誘致を進めてきたところでございますが、今後におきましても、研究開発型の製造業と並行して積極的に誘致を進めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) まず、いわて子どもの森開館後1年間の総括についてでございますが、施設設置の趣旨を御理解いただき、自然の中で伸び伸びと自由に遊んだり、触れ合い体験などができる施設として高い評価をいただいたものと認識しております。料金徴収についてですが、オープンに当たりましては県立の大型児童館という施設本来の性格や他県の例などを参考にいたしまして、入場料等につきましてはこれを原則無料とした上で、宿泊施設や大型遊具に限って有料といたしました。今後リピーターの動向等も見ていかなければなりませんが、料金については当面現行のままでと考えております。
 次に、子供の健全育成についてですが、今後、放課後児童クラブなどの指導者を対象にした研修や、移動児童館のスタイルによる地域への遊びの普及など、この施設の持っている機能を最大限に生かした事業を展開してまいります。また、収入の確保については、宿泊を伴う研修や子供の遊び体験を企画しておりますし、また、障害のある子供さんへの利用促進のPRなど、これまで以上に努力してまいります。運営経費の適正化については、現在、いわて子どもの森を含めまして県立社会福祉施設のすべてに関してあり方を検討しているところであります。その中でこうした利用型施設については、指定管理者制度の導入についても議論しているところでございます。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) まず、三陸鉄道に対する支援策についてでありますが、三陸鉄道は、三陸沿岸地域の振興に欠かすことのできない社会基盤として維持していく必要があるものと考えておりますが、沿線の人口減少、少子化、マイカーの普及、施設の老朽化により非常に厳しい経営環境にございます。こうした中で三陸鉄道では、鉄道事業のスリム化による経費削減と観光客誘致等による増収策を内容とした経営改善計画を策定し、抜本的な経営の改善を進めることとしております。県といたしましては、この計画の内容を踏まえ、鉄道近代化設備整備費補助制度等の活用を図るとともに、今後の財政支援の内容、規模、方法、県と市町村の役割分担等について、関係市町村と協議を進めてまいりたいと考えております。
 なお、この計画の実現を図るため、観光客誘致等による利用促進も重要でございますことから、沿線市町村と協働して、旅行商品の造成や企画列車のPRと全国誌への情報発信、利用者補助制度等の支援を行っているところでございます。また、老朽化したレトロ調車両を更新するために、日本宝くじ協会からの助成金により、イベント用車両1両分の購入費を補助することとしているところでございます。
 次に、地域路線バスの確保についてでございます。
 路線バスの今後の見通しにつきましては、輸送人員の減少傾向が続いており、バス事業者の経営状況は引き続き厳しいものとなっていることから、今後も路線休廃止の申し出が予想されるところでございます。このような状況の中で、県といたしましては、地域住民の広域的な生活交通手段を確保することが重要な役割であると認識しており、こうした考え方のもとに、国、県、市町村、バス事業者等で構成いたします生活交通対策協議会において、地域の実情を踏まえた協議を十分に行った上で、必要とされた広域的な路線の確保を図ることとしております。
 この結果といたしまして、平成15年度においては、住民の需要に応じた効率的な路線再編に努めながら、国庫補助により66路線、県単補助により24路線の確保を図ったところでございます。なお、平成16年度においては、国庫補助により69路線、県単補助により33路線の確保を図ることとしているところでございます。また、路線の休廃止は地域における重要な問題であることから、バス事業者からの申し出に対しまして、各地域において分科会というものを開催しております。関係機関と連携して地域の実情を踏まえた対応を行ってまいりたいと考えております。それから、市町村が運行するバスにつきましては、国が所要の地方財政措置を講じているところでありますが、県といたしましても、運行の効率化等を図る先駆的な取り組みに対しては、国庫及び県単補助制度を活用し、市町村を支援してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 林業公社の清算に関連しまして幾つかのお尋ねがありましたが、まず林業公社清算の前段となります県有林事業との一元化のためには、林業公社が管理する森林の資産価値を明らかにしたり、分収造林の土地所有者と分収造林契約の変更手続に向けた合意形成などを進めていく必要があり、現在これらの事務に取り組んでいるところであります。これらの事務につきましては、平成18年度までに終了させる予定であり、その後、平成19年度中に林業公社の解散手続や県有林事業に移行させるための諸手続を行うことになります。
 お尋ねの県の債権放棄についてでありますが、平成19年度に林業公社が解散した場合の債権処理につきましては、債権放棄も含めて検討することとし、現在、林業公社や関係市町村と協議を重ねているところであります。
 次に、市町村の債権放棄について、債権放棄を避ける方法はないかというお尋ねでありますが、市町村からは本年5月、林業公社の解散時に市町村の債権が保全され、将来の精算時に幾らかでも収益が望める清算方法について検討願いたい旨の要望が出されたところでありまして、こうした要望も踏まえ、債権処理の方法についてさまざまな角度から検討を行っているところであります。
 次に、特定調停制度を活用できないかというお尋ねでありますが、この特定調停制度は、平成12年に施行された特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律、いわゆる特定調停法に基づく民事調停の一種でございまして、経済的に破綻するおそれのある債務者を破綻する前に再生させることを目的としているものであります。
 この事案の場合、機関造林の一元化により林業公社を解散するという枠組みを想定していることから、当該制度の趣旨になじまないと考えております。仮に特定調停制度を林業公社に適用すると想定した場合、適用することは可能なわけでありますが――解散しないとしてです――ただ、県は別途、農林漁業金融公庫と損失補償契約を締結しており、林業公社が支払いを軽減されたとしても、別途、別の法的な効力が発生し、県は公庫に補償しなければならないと解されます。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 建設業への支援についてでありますが、建設業協会が設置した経営支援センターに寄せられた昨年度の相談実績によりますと、農業分野への進出について相談した企業は、環境分野への進出を考える企業に次いで2番目に多く、相談件数の約3割を占めており、建設業と関連の深い分野として関心が高いものと考えております。
 また、昨年、県土整備部と建設業協会が実施しました建設業の就業実態調査によりますと、現在、建設業従事者の約26%の方々が農業を兼業しているほか、平成15年度に建設業から離職した方のうち約12%が農業に従事することになるなど、農業従事者と建設従事者との関係がかなり密接なものになっていると考えております。
 このため、今年度は3月に実施した農業と兼業している建設従事者の労働配分や所得割合の状況調査等を踏まえ、経営支援センターが実施する経営革新講座や経営革新アドバイザーの派遣について、農業分野を重点化するなど、建設業の新分野進出や業種転換に向けた取り組みを一層促進することとしているところであり、県としても引き続き支援をしてまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 高校生の就職指導のあり方についてでありますが、近年、経済のグローバル化が進展し、コスト削減や経営の合理化が進む中、雇用形態なども変化し、求人の著しい減少、求職と求人の不適合が拡大していることから、企業のニーズを把握し、それを踏まえた進路指導を行うことは非常に重要なことと考えております。
 そのため、生徒に対しては早い時期から進路意識の高揚を図り、勤労観・職業観の育成に努め、一人一人の自己実現が達せられるような計画的・組織的な取り組みに努めているところであります。
 学校の取り組みでございますが、各学校におきましては、産業界と学校との連絡協議会を通じて企業との情報交換を実施することにより、高校生を取り巻く雇用環境の把握をするとともに、企業が求める人材の育成に努めているところでございます。
 また、進路指導年間計画の中に職場開拓に係る活動を計画し、進路指導担当者――先生です、進路指導担当教員――を中心に、就職実績のある企業はもとより、新規開拓のために県内外の企業訪問を積極的に実施するとともに、ここ数年は就職支援相談員やエリアマネジャーの支援も得ながら、学校挙げて就職の確保に当たっている状況にあります。
 さらに、職業安定所の高卒求人情報システムを活用し、求人情報の迅速な把握に努めるとともに、合同面接会への積極的な参加を図るなど、受験機会の拡大も図っているところでございます。
 しかしながら、今日の厳しい経済情勢や産業・経済及び雇用の構造的な変化等が進む中、今までにも増して、生徒の勤労観・職業観の醸成が求められていることから、学校におきましては、早い段階から職場見学、インターンシップ、社会人や卒業生を招いての講演などを通じ、生徒の職業意識を形成し、適切な職業選択による自己実現ができるよう、進路指導の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、ディベートを取り入れることの意義でございますが、ディベートにつきましては、さまざまな観点から物事を見たり、考えたりすることができ、創造的な話し合いを行う能力を育成する上での意義ある手法であると考えております。
 今後の方向性といたしまして、学校教育におきましては、ディベート的な話し合いも含めさまざまな討論形態を通して自分の考えを明らかにすること、自分の考えを深めること、相手の意見から学ぶことなど、広い視野を持って考え、話すことができる力を一人一人に身につけさせるよう、なお一層指導を充実させていきたいと考えております。
 次に、高校再編についてでございますが、県立高等学校の新整備計画についてであります。
 このことにつきましては、ことしの1月にマスタープランとして基本的な方向を示し、その後、広域生活圏ごとに広く県民の皆さんから意見を聴く会を初め、市町村長・市町村教育長から意見を聴く会、関係機関・団体や要請のあった市町村での意見を聴く会など、50を超す会場でさまざまな意見や要望を伺ってまいりました。
 これらを通じて実感いたしましたことは、いずれの地域にあっても、その地域の高校が、その地域に深く根差し、また大事に育てられていることであります。また、その一方、新しいタイプの高校の設置など、今後の高校教育の充実やあり方等についての期待や熱意もまた肌で感じたところであります。
 こうしたことを踏まえながらも、現実具体に社会状況が大きく変化し、少子化がますます進行する現在、このような現況を見据えて、多様な志望動向を持つ子供たちのために、よりよい学習環境を構築するという視点を基本に具体の後期計画案を策定するよう、各地から寄せられたさまざまな意見を勘案しながら検討を重ねているところであります。
 なお、計画案の策定時期につきましては、これまで、6月中には県民の皆さんにお示ししたいとして進めてまいりましたが、ちょうだいした意見・提言が大変多岐にわたっております。これらを精査し、より慎重を期する必要があるということから、できれば7月中、遅くとも8月の初めには、それをめどにしているところであります。

〇19番(工藤大輔君) まず、これは指摘にしたいと思いますが、地域バスについてですけれども、以前、私もこの質問をいたしまして、これは道路運送法が改正される前だったんですが、きょう指摘した点について、やはりこのような現状にならないように最大限努力するという答弁をされながら、実際、この157路線がなくなってしまったというのが現状です。それが結局、市町村にかかわってきて、今度また市町村も本当に大変だという声が上がっており、これからも県として支援していくということなんでしょうが、この支援の方策というのが、本当に地方の足を守るには大事な政策になりますので、これは力強くこの事業を推進してもらいたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 あと、教育長になんですけれども、今、高校再編について、7月から8月の上旬までということなんですが、その期間で本当にこれまで出してきた市町村あるいは住民からの要望を十分精査できるのかどうか、検討できるのかどうかということを再度お伺いしたいと思います。でき得ることなら、本当にさまざま検討してもらいながら、適切に納得できる答えを出してもらうためには、余りにも早い時期なのではないのかなと。検討の結果を出すには余りにも早いのではないのかなと思いますので、それについて御所見をお伺いしたいと思います。
 それと、知事にお伺いしたいと思いますが、先ほど、有効求人倍率で、まず、久慈が0.17、二戸が0.24ということだったんですが、おおむねこの県北・沿岸というのは、やっぱり0.1から0.2倍台が有効求人倍率の状況だと認識しています。そういった中で、例えば増田知事は、2年間で公共事業を30%カットするというようなことで進められましたが、この久慈に至っては、昨年度比だけで27%台減少しました。平成14年度対比で見ると51%ほどの仕事しか公共事業はないということで、余りにも落ち込みが大き過ぎると思います。
 そういった中で、本来だったら、例えば公共事業等もそういった県内のバランスを勘案してもらって、やらなくてもいいということじゃなくて、やらなければいけない事業が、本当に生活基盤の方に直結するものでまだあるわけですし、でき得ることなら、産業としてお金が返ってくるような、例えば漁場の整備だとか、そういった分野もまだまだ必要だというふうにも考えます。
 そういった中で、公共事業をふやしてほしいというお願いもまずあるわけなんですが、もしこれができないというのであれば、やはり地域の主体となる産業は第1次産業だと思いますので、新たな展開を見出してもらわなければ、なかなかこの県北・沿岸の地域、この一番辛い地域というものが改善されてこない、また雇用が改善されてこないと思います。
 この雇用に関しては、単純に雇用というだけじゃなく、これは本当に家族の生活の糧ということにもなりますし、家族のきずなすら、今壊れようかという感じになってきています。それだけ大切な課題ですので、知事も最重要課題としてやられておるわけでございますが、特にもひどい地域に、これだけ急に仕事を減らしたり何かというのはなかなか理解に苦しむところもあります。何らか新しい方策等もしあればお伺いしたいと思いますし、今後また力強く、特にもひどい地域、大変な地域には、格段の仕事等をまた御配慮してもらいたいと申し上げます。それで質問とします。

〇知事(増田寛也君) まず、雇用の関係について申し上げます。
 今、公共事業のお話がございましたが、県として、今行財政改革に取り組んでいる最中なので、県全体としての量は抑制していかなければならないと考えておりますが、特にも次世代から必要とされる、あるいは次世代から必要だと支持される良質な社会資本というものを厳選して、継承していくという原点に立つことがまず大事だと思っております。
 こうした考え方で選択と集中を図るということであるわけですが、これと、それから地域経済の振興ということをどういうふうに結びつけるか、それから、有効求人倍率の低い地域をそのことによってどう特色づけるかということで言えば、今、議員から再三お話がございましたが、やはり第1次産業の持つ可能性とか特色を最大限にそうした県北・沿岸地域にあって生かしていくということが必要だと思っております。
 この県北・沿岸地域ですが、夏季の冷涼な気象条件を生かして、今、ホウレンソウなどの全国に誇れる産地が形成されている、そのような現実がございます。
 その取り組みをさらに加速化させていくことがこうした地域には重要でありますし、それから、あと、1次産業の今ウイークポイントである担い手の確保ということについても、建設業などの異業種の企業の農業参入ということが有効であろうと思います。他産業離職者の新規就農を積極的に支援して、今後のそうした1次産業を支え、リードしていく多様な担い手をそういう面からも確保・育成をしていきたいと思います。
 今、県北の試験研究機関で小菊のオリジナル品種の選定ですとか、宿根草、花木などの新たな品目の導入試験に取り組んでいるんですが、こうしたことについての成果を早く出して、ホウレンソウに次ぐ新たな有望品目をできるだけ早期に地域に送り込んでいきたいと考えております。
 今、農業のことだけちょっと申し上げましたんですが、漁業も当然、同じ1次産業という上では沿岸地域で大変重要なものでございまして、漁業は漁業として、つくり育てる漁業の新たな展開ということを図っていかなければならないと思いますし、そうした1次産業の積極的な展開を図る。それから、先ほど申し上げましたような、特に若年層を対象としたジョブカフェのサテライト機能を沿岸・県北地域に設置するということで、何としても県北・沿岸地域の経済の再生に結びつけていきたい、このように考えています。

〇教育長(佐藤勝君) 県立高等学校の新整備計画のお示しする時期の件でございますが、このマスタープランにつきましては、1月の初めにお示しし、はや6カ月過ぎるわけでありますが、その間、先ほど御答弁申し上げたように、各地域に参りまして、いろいろ御意見、御提言をちょうだいいたしました。その間、並行して私ども内部で検討しながら今日に至っているわけでございますが、当初お約束した6月にお示しするというこの約束を果たそうとする、それを超える御意見、御要望がございました。したがいまして、1カ月ばかりの御猶予をちょうだいして、何とか私ども努力をし、8月の初めまでにはお示ししたいと。
 このことが逆に、地域の方々、特にも来春あるいは近い将来、高等学校へ送り出す予定の保護者の方々にも、行ってまいりますと、かなり不安とか戸惑いがあるようでございますので、早くお示しすることによってそれを解消できればということで、何とか地域の皆さんに御理解いただけるような計画をそのときにお示ししたいな、こういうことで進めてまいりたいと考えております。

〇議長(藤原良信君) 次に、平沼健君。
   〔12番平沼健君登壇〕(拍手)


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