令和4年12月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇9番(高橋穏至君) 自由民主党の高橋穏至でございます。さきの令和4年9月定例会決算特別委員会の総括質疑に続き、今回、一般質問の機会をいただきました。初当選してから4回目の一般質問ですので、今任期においては最後の質問となろうかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従い、順次質問いたします。
 令和4年9月定例会の決算特別委員会総括質疑では、岩手県にとって最重要課題である人口減少対策を中心に質問しました。今定例会開会前には、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの素案が発表されました。この素案では、人口減少対策を最優先で取り組むこととし、人口減少対策に取り組む上での四つの重点事項の第1項目として、男女がともに活躍できる環境づくりを進めながら、結婚、子育てなど、ライフステージに応じた支援や、移住、定住対策を強化しますとあります。
 そこで、本県の最重要課題である人口減少対策の強化について、知事に伺います。
 大手半導体企業の事業拡大や自動車関連産業の事業拡大により、製造業を中心に県内雇用が拡大し、県内企業は人手不足、人材確保難の状況にあります。持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書─以後、行財政改革に関する報告書と言いますが─では、人口の社会減は、18歳の進学、就職期、22歳前後の就職期に顕著であり、特に22歳では女性の社会減が大きくなっているとされていることから、高校卒業者の希望する就職先、若者の希望に見合う就職先の確保が必要ではないかと考えます。
 また、高校卒業者及び大学卒業者の就職先のニーズを捉えて、ニーズに合った就職先の確保が必要ではないかと考えますが、特に若者、女性に魅力ある雇用環境の構築の観点から、県は就職先のニーズをどのように捉え、そのニーズにどう対応するのか伺います。
 企業集積が進む県南地域においては、県内の高校卒業者だけでは人材の確保が難しい状況にあります。また、進学によって県外に就学し、就学地で就職することで岩手県に戻らない学生も多くいます。一方で、県外から県内の大学や短大などの高等教育機関に入学し、岩手県内に就職する学生もいます。そこで、県南地域での人材確保に関し、理工系大学や短大などの高等教育機関を県南地域に設置、または誘致する考えはないか伺います。
 行財政改革に関する報告書では、本県の若者の地域定着のための取り組みとして、公営住宅へのWi−Fi整備、公営住宅を活用したお試し居住体験、若者、移住者の空き家住まい支援が掲載されています。
 U・Iターン促進については、全国の地方都市ではどこでも取り組みを強化しており、都市部近郊に比べ距離の遠い岩手県においては、住みたいと思わせる魅力づくりが不可欠です。そして、広い県土を持つ岩手県にとって、岩手県全体の魅力もさることながら、実際に住む市町村の魅力発信が重要であります。県内の市町村でも独自の取り組みがなされていると思われますが、県事業と市町村事業の連携によって相乗効果を上げることができるのではないかと考えます。現在の事業の効果をどのように評価し、今後、U・Iターン促進の効果を高めるためにどのように取り組むか伺います。
 行財政改革に関する報告書では、都道府県単位で人口減少対策に係る新しい取り組みを実施していく場合の留意点の1番目に、人口減少対策については、さまざまな社会経済情勢等の影響を受けることから、一定程度、少なくとも3年から5年程度の期間、事業を実施し、その効果等を検証する必要があるとしております。
 結婚支援を強化する事業としては、平成27年度から事業を行ってきており、令和4年度で7年になりますが、令和4年度決算特別委員会総括質疑の答弁では、事業をどのように検証しているのか具体的な答弁がなかったと思われます。これまでの取り組みに何が足りなかったのか、そして、令和5年度からどのように取り組んでいくのか、具体的に伺います。
 さきの決算特別委員会総括質疑において、子育て支援分野の総括に関する私の質問に対し、県当局は、令和2年の国勢調査データによると、20代女性の有配偶率は全国平均より上位にあるものの、30歳以上の有配偶出生率は全国平均を下回っており、この背景としては、全国に比べて年間総実労働時間が長い中にあって、共働き世帯の妻に家事、育児の負担が偏っていることなどが影響していると考えられる。このような出産や子育てに関連するさまざまな生きにくさを生きやすさに転換し、子供を産み育てたいと思える岩手にしていくため、県の総力を結集して取り組む必要があると考えていると答弁しております。
 行財政改革に関する報告書では、岩手県における子育て支援の事例として、育休を取得しやすい環境整備の取り組みで、いわて子育てにやさしい企業等の認定が掲げられていますが、その効果をどのように検証しているのか伺います。
 また、子育ての負担軽減や2世代での子育て環境の充実の他県の事例が紹介されていますが、既に市町村で実施している取り組みがある場合には、市町村との連携や県内市町村への横展開で充実させることも考えられます。子育ての負担軽減や子育て環境の充実に対する所感を伺います。
 次に、行財政改革に関する報告書において、本県の強みとしている医療提供体制について質問します。
 行財政改革に関する報告書では、本県では、他都道府県に比較しても突出した数の県立病院を運営しており、毎年度200億円を超える繰出金を支出してその経営を支えてきた。県立病院のあり方についての議論に当たっては、この状況を県民や市町村を初めとする関係機関に理解してもらうことが必要である。その上で、さきに掲げた環境の変化に対応し、地域包括ケアの観点から、県と市町村が果たすべき役割を整理しつつ、地域医療を守りながらも、県民へより質の高い医療を提供する体制を検討していく必要がある。今求められているのは、これまでの歴史的経緯を踏まえながら、人口減少や医療の高度、専門化の時代に適合した新しい時代の良質な医療の均てんのあり方の検討であるとあります。そして、具体的方策として、医療提供体制に係るグランドデザインの検討など6項目を示しています。
 本年9月1日に岩手県議会県政調査会で、岩手医科大学附属病院長の小笠原邦昭氏をお招きして、医師不足の現状と医師の働き方改革についてと題して講演いただきました。
 小笠原病院長は、今のまま、医師の働き方改革が進められれば、今の医療提供体制は成り立たないことは明らかであり、取り組みは急を要する旨おっしゃっておりました。
 県立病院の医療提供体制のさらなる充実を図るためには二次保健医療圏の見直しが必須であると考えますが、本県の二次保健医療圏のあり方について、検討スケジュール、見直し後の二次保健医療圏の人口規模など、見直しの考え方をお示しください。
 行財政改革に関する報告書の具体的方策のうち、市町村との新しい連携には、オンライン診療の普及、今後の医療機能の役割分担や集約化の動向も踏まえて、市町村との新たな連携のあり方について改めて検討する必要があると記載されており、そして、医療従事者のより一層の働き方改革の推進には、休日、夜間の救急診療においても、県内の多くの地域で県立病院が担っており、これが医師の働き方改革を進める上で大きな課題となっている。例えば、市町村や医師会等と連携し、休日、夜間の軽症患者を県立病院以外の医師もオンラインで診察することができれば、負担の平準化を図ることも可能であるとあり、ICTを活用した医療機関の連携、医療分野のDXの推進が鍵となります。
 また、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの素案と同時に示された岩手県DX推進計画(素案)には、具体的な取り組みとして、保健医療データを活用した健康対策の推進では、取り組みの概要の中で、保健医療データの集計、分析等の充実により、地域の健康課題の見える化を進め、市町村の健康づくりの取り組みを支援しますとあり、目指す姿、現状と課題、取り組みの内容が記載されております。
 岩手県議会自由民主党会派で行った市町村要望調査の中で、医師不足が深刻な診療科における地域医療へのデジタル技術の活用などの支援、地域医療情報ネットワークへの積極的な関与や支援が要望されており、また、岩手県町村会からは、地域医療体制の充実に関して、地域医療の中核を担う県立病院については、常勤医師の配置の確保、施設、設備の充実強化のほか、ICTを活用した連携体制の推進等、診療体制の充実が要望されております。
 岩手県の医療体制の充実には、ICTを活用した市町村及び医療機関同士の連携が不可欠であり、私が昨年9月の一般質問で取り上げた、地域医療情報連携ネットワークの構築は不可欠であると考えます。昨年の答弁では、国の動向を見極めつつ進めるとのことでしたが、国の動向は見極めつつも、岩手県としてさらに一歩上を行く構想が必要と考えますが、所感を伺います。
 次に、行財政改革に関する報告書において、もう一つの岩手県の強みとしている、県立高校の充実について質問します。
 行財政改革に関する報告書では、県立高等学校における学びの質の向上に関する取り組みの方向性について、総論として、希望ある岩手の実現に向け、本県におけるこれからの教育や高等学校の役割をどのようにデザインしていくかという観点が必要であり、本県のこれまでの取り組みや強み等も踏まえて、全国と比べて15歳未満人口が著しく減少している局面においても、教育の質を高めていくためのグランドデザインを持ちながら、全国に先駆けて具体的な方策に思い切って着手していく必要がある。
 検討に当たっては、これまで果たしてきた取り組みや役割を深化させていくためにも、一つ、現在のみならず、次世代を見据えて、どの地域に生まれても、子供に対して学びの選択肢を確保し、より充実した学びの場を創造できるかという教育を受ける機会の保障と教育の質の保証の観点、二つ、学校における働き方改革を推進し、子供への指導に専念できる体制等の構築を通じて、教員の質のさらなる向上をどのように図っていくかという観点、三つ、市町村との競争による多様な学びの場の確保、地方創生や地域活性化の拠点としての高等学校の魅力化を図ることができるかという観点が必要となる。
 なお、これらの学びの質の向上に向けたさらなる施策の充実に向けては、県民や関係者、関係市町村等と丁寧な議論をしていくことが前提となるとし、具体的な方策については、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会における議論等を踏まえて、総務部から五つの観点で検討のメルクマールを示しています。
 高等学校については、第一義的には教育機関であるものの、高等学校段階での地域の産業や文化等の理解を深める取り組みは、その後の地域定着やUターン等に資するものと期待されており、地方創生の観点からも副次的な効果として、その重要性が高まっています。
 広い県土を持つ岩手県にとって、小規模高等学校は地域振興にとって重要な役割を担っており、地域振興の担い手の一つとして、地元市町村と一緒に地域の、ひいては岩手県の高校魅力化に取り組んでいます。
 そこで、行財政改革に関する報告書における検討のメルクマールを踏まえて検討を進めるに当たり、県教育委員会の観点から、小規模高等学校のあり方における課題をどのように考え、地域との連携をどう進めていくのか伺います。
 行財政改革に関する報告書では、行財政改革の視点で高等学校費における検討の方向性について、県立高等学校については、退職手当を除く令和2年度の超過額が約46億円に上り、普通交付税による措置率で全国平均を5%下回る低い水準となっているとしており、事務職員については、本県では、令和3年度に県立学校に事務職員210名を配置している。これはおおむね標準法どおりの配置となっているが、特に小規模な高等学校においては、追加で会計年度任用職員を1名配置している実態があるとし、新潟県を例に挙げ、本県も含め経費が高い水準の団体は、歳出基準の適正化に当たっては、委託形態への移行等について具体的な検討を進める必要があるとあります。
 人口の少ない地域にあっても持続可能な方法を模索しなければなりませんが、行財政改革に関する報告書を受けて、委託形態だけでなく、例えば、魅力化推進に取り組む地元市町村との連携による事務職員の共有など、経費節減のための方策が考えられますが、県教育委員会としての所感を伺います。
 次に、グリーン社会の実現に向けた住宅の高性能化に関する施策について質問します。
 行財政改革に関する報告書では、現在、本県は、令和2年度に策定した第2次岩手県地球温暖化対策実行計画に基づき、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入促進などによって、2030年度に温室効果ガスを2013年度比で41%削減する目標を掲げて、達成に向けた取り組みを実施しており、脱炭素関連予算の規模は、平成29年度の9億円規模から、令和4年度においては12億円規模になると着実に増加しており、今後においても重点的に予算措置を実施していく必要があるとしています。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そして、令和4年度予算においては、適切な森林整備の促進、水素ステーションの整備、水素自動車の利用拡大、高効率照明、空調等の導入促進等の事業を実施しており、今般、新たな政府目標の提示、本県のポテンシャルの高さ、昨今の原油価格高騰に伴う企業、県民の省エネに対する関心の高まりを踏まえ、さらなる政策充実に努めるべきとし、その施策として、省エネ対策の推進では、建物の高断熱化、高効率照明、空調等の導入促進、次世代自動車の普及促進等が挙げられ、再エネ導入促進、活用では、再エネ導入拡大、地域再エネ地産地消、水素の利活用等、森林の循環利用では、森林整備の促進、県産材の利用促進、オフセットクレジット等が掲げられています。
 省エネ対策の中で、住宅の高性能化に関する事業について、私も昨年の一般質問で取り上げ、ほかの議員も多く取り上げてきましたが、グリーン社会実現のためには、住宅の高性能化に関する県民理解が不可欠であり、そのためには、住宅を建てようとする施主側の住宅の高性能化に関する理解と、実際に建築する建築業者の施主に対する高性能化に関する説明能力の向上が必要と考えられます。住宅の高性能化に関し、県の現在の取り組み状況と今後の取り組みの方向性について伺います。
 また、昨年の私の一般質問で、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画に関し、森林吸収源対策の中で、再造林を促進するための具体的な取り組みについて質問した際、当局から、再造林を促進するため、県では、国の補助事業の積極的な活用に努めてきたほか、森林所有者のさらなる負担軽減を図るため、植栽本数が従来より少ない低密度植栽や、伐採から再造林までの作業を連続して行う一貫作業システムを普及するなど、林業事業体等に対し造林コストの低減の取り組みを促してきたところであり、こうした取り組みにより、民有林における令和2年度の再造林面積は876ヘクタールと、10年前と比べて1.7倍に増加した。また、令和3年度から新たに、いわての森林づくり県民税を活用して、公益上重要で早急に整備が必要な伐採跡地への植栽等を支援する取り組みを始めたところであり、引き続き、林業関係団体等と一体となって地球温暖化対策に貢献する再造林を強力に進めていくと答弁していただいておりますが、現在の再造林の状況と、令和5年度以降の実施計画はどのようになっているのか伺います。
 次に、農業振興について伺います。
 さきの決算特別委員会で、岩手県における農業基盤整備の事業のおくれについて質問しました。当局からは、農業従事者の減少、高齢化、国内外での産地間競争が激化する中、農作業の省力化や効率化、スマート農業の導入等による生産性の高い農業の実現に向け、地域からは、圃場条件の改善を望む声が多く寄せられていることから、農地の大区画化や汎用化など、基盤整備の着実な推進が重要である。このため、県では、国の補正予算を積極的に活用し、昨年度にあっては、事業費を5年前に比べ2倍の100億円とするなど、圃場整備に大きく予算を配分しており、今後も国に対し農業農村整備事業予算の十分な措置を強く求めながら、計画的に整備を進めていくと答弁があったところです。
 圃場整備をするには、農地の所有者や耕作者の合意が必要であり、そのプロセスは、まず、地域からの整備要望をまとめる合意形成期間があり、次に、事業採択申請に向けた計画調査期間を経て事業採択申請に向かいますが、現在、計画調査を進めている地区はどれくらいあり、その事業量はどれくらいになっているのでしょうか。また、県として目標としている水田整備率もあわせて伺います。
 配合飼料の価格安定については、配合飼料価格の上昇が畜産農家に及ぼす影響を緩和するため、民間積み立てによる通常補填と、異常な価格高騰時に国と民間の支援により通常補填を補完する異常補填を実施しております。
 今般、ウクライナ情勢に伴う穀物価格の上昇等によって配合飼料価格が上昇しており、配合飼料の価格安定制度による補填金が交付されてもなお飼料コストが上昇していることを受け、国は本年度、第3四半期に生産コスト削減や飼料自給率向上に取り組む畜産農家に対し、補填金を交付するとのことです。
 このように国の緊急対策が出されているわけですが、生産団体、農業団体などからは経営が厳しく、支援の要望が多く寄せられており、燃料や資材などが高騰する中にあって、緊急的なつなぎ対策が必要ではないかと考えますが、県の考えを伺います。
 本年の予算特別委員会で、環境生活部と農林水産部の部局別審査で、指定管理鳥獣捕獲等事業費に関し、今後の計画を質問したところ、現状の捕獲対策を続けるとの方針でありました。
 私ども自由民主党会派では、県内33市町村の重点要望調査を行っていますが、多くの県内市町村から、危機的な現在の状況に対する対策強化の要望が昨年以上に多く寄せられています。鹿やイノシシなどによる農作物被害対策について、事業を強化するのか、今後の事業の見通しと取り組みを伺います。
 次に、地域公共交通政策について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、地域公共交通の利用率が上がらない中で、高齢者ドライバーの免許証自主返納も進んでいることから、中山間地域を持つ市町村からは、持続可能な地域公共交通構築のための支援要望が多くの市町村から引き続き出されております。
 本年9月27日付で総務部財政課から来年度の当初予算編成の基本的な考え方が示されましたが、生活に密着する公共交通政策の事業縮小は難しいと考えられます。
 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの素案においては、10の政策分野ごとの政策推進プランにおける今後の方向性として、居住環境・コミュニティー分野では、住民ニーズに対応した効率的で持続可能な地域公共ネットワークの構築の促進を掲げております。
 公共交通維持、特に中山間地域における地域公共交通について、令和5年度の取り組みの方針を伺います。
 次に、三陸沿岸地域の観光振興について伺います。
 11月7日、東日本大震災津波復興特別委員会の現地調査で宮古市を訪問し、ことし7月に復活した観光船、宮古うみねこ丸について、運営会社の岩手県北自動車から説明をいただき、観光事業と公共交通の連携で観光客が増加しているとのお話をいただきました。
 その中で、ICカードが路線バスや第3セクターの鉄道にも利用できるような取り組みなど、MaaSの推進の提案をいただきましたが、この取り組みを推進することで、公共交通機関のさらなる利便性向上により観光商品開発の幅が広がるか、岩手県DX推進計画の推進にも資するものでもあります。県の考え方を伺います。
 また、11月1日、2日と、岩手県議会港湾議員連盟で、富山県伏木富山港と石川県金沢港を視察調査しました。一つの港湾整備に対する投資は、多くの港湾を持つ岩手県とは比較できませんが、新型コロナウイルス感染症の影響で、コンテナの取り扱いや外国船社のクルーズ船の利用はないものの、常設のレストランを設置するほか、施設を利用したさまざまなイベント開催や地域住民への施設開放など、観光施設としての活用が活発で、どちらの港も年間100万人を超える観光客の利用があるとのことでした。
 本年3月の予算特別委員会において、三陸ジオパーク推進強化事業費について取り上げましたが、三陸ジオパークは貴重な観光資源であり、教育活動や交流人口の拡大だけでなく、観光サイドからも三陸DMOセンターとの連携や、港湾及び三陸鉄道と連携し、観光コンテンツとして、もっと観光振興に活用すべきではないかと考えますが、県のお考えを伺います。
 最後に、北上金ケ崎パシフィックルートについては、毎回一般質問で取り上げておりますが、江刺田瀬インターから金ケ崎町までの区間、国道456号及び県道255号等へのルート短縮や、国道456号の狭隘区間の拡幅により、大型トラックの円滑な通行を実現し、ひいては釜石港の利用促進と、えさし藤原の郷など県南地域と沿岸地域をつなぐ観光ルートとしても活用が期待できます。
 道路整備については多くの要望が寄せられており、全ての事業に取り組むことは困難と察しますが、狭隘区間については、交通の安全を確保する上でも重要であり、まずはこの課題解決のため、改良整備から進めて利便性の向上につなげてはいかがか伺います。
 以上で登壇しての質問を終わります。(拍手)
   
〇議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋穏至議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、学卒者が希望する就職先とその対応についてでありますが、高校生の県外への就職状況については、業種別では、製造業、建設業、卸売、小売業の大手企業への就職者が多い傾向にあり、大学生等については、学生が学ぶ専門知識の影響もあり、公務員や情報通信、医療、福祉、介護の業種を希望する割合が高くなっています。
 また、希望職種としては、高校生、大学生等に共通して製造業などの業種を含め、事務、管理が多いですが、岩手労働局と連携して県内の高校生や大学生等を対象に行った調査では、就職先を決める上で重視することとして、労働条件がよいや企業の雰囲気がよいを選択する割合が、仕事の内容や職種を上回っているところであります。
 このような状況を踏まえ、引き続き、自動車、半導体産業を中心としたものづくり産業のさらなる集積や、小中学生段階からの理解促進に向けた取り組みを進めるとともに、ITや物流関連産業、また、自治体などの事務代行サービスを含めた幅広い業種の企業誘致を展開しつつ、いわてで働こう推進協議会を核に、職場環境の改善や生産性向上に取り組む県内企業に対する支援の強化、働き方改革アワードを受賞した取り組みの横展開を図り、若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の構築を推進してまいります。
 次に、県南地域への高等教育機関の設置等についてでありますが、県内には県立大学のほか、10の高等教育機関があり、それぞれの機関等が有する特色を生かして多様な人材を育成しています。
 本県の高等教育機関の県内就職率は、インターンシップや企業説明会等、県内企業等の理解を深める取り組み等により、東北各県に比べて高い状況にあります。   
理工系学部についても同様の傾向にありますが、県南地域における自動車、半導体関連産業の集積の進行と相まって、理工系人材のニーズが高まっていると認識しております。
 こうした状況を踏まえ、今年度から、いわて高等教育機関地域連携プラットフォームにおいて、県内企業に対するアンケートやヒアリング調査等により、企業が求める人材等を明らかにするなど、産学官が緊密な連携のもと、大学生等の県内定着に向けた取り組みに着手したところであります。
 また、北上市では、理工系学生の育成を目指し、4年制大学の設置等に向けた調査を開始したと担当部から聞いており、今後も北上市の調査や検討状況に応じた対応を進めるなど、県として広く理工系人材の定着に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、U・Iターンの促進についてでありますが、U・Iターンの促進に当たっては、県と市町村が連携して取り組んでいくことが重要であるとの考えのもと、これまでに県内の全市町村に岩手県移住コーディネーターを配置したところであり、県の首都圏相談窓口等で対応した移住相談の内容を速やかにコーディネーターにつなげ、切れ目ない相談対応を実施しているところです。
 また、去る9月に県の主催により都内で開催した移住フェアにおいても、ウエブ参加を含め、全市町村の相談ブースを設置し、来訪者の個々の相談内容にきめ細かく対応するとともに、実際の移住者からの体験談の発表や、各市町村における独自の支援策、魅力のPRなどを行いました。
 こうした取り組みにより、県外からの移住、定住者数は、令和元年度は1、190人、令和2年度は1、318人、令和3年度は1、584人と増加傾向にあり、今年度も順調に推移しているところです。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、東京圏の若者の地方移住への関心は高まっており、これらの取り組みに加え、市町村の魅力を発信する移住ガイドブックの制作や、帰省時期に合わせた県内主要駅でのプロモーションなど、市町村との連携を強化し、本県への移住を一層促進していく考えであります。
 次に、結婚サポート事業についてでありますが、県では、“いきいき岩手”結婚サポートセンター─i−サポを平成27年度に開設して以降、拠点の増設や出張サービス、お出かけi−サポの順次拡大、AIを活用した新たなマッチングシステムの導入などにより、マッチング支援を拡充してきたところでありますが、i−サポにおける成婚者数は、政策推進プランにおける令和3年度の目標値には達していないところです。
 その主な要因としては、会員数の伸び悩みがあり、開設当初は、新たな取り組みとして集中的に広報し、多くの方々に会員登録をしていただいていましたが、その後のi−サポの周知、広報において、結婚したいと願う県民に対し、十分に情報が行き届いていなかったものと分析しております。
 今年度は、いわてで生み育てる県民運動の一環として、メディアを活用した広報を実施するとともに、地域の企業、団体への訪問やコンビニエンスストアへのリーフレットの配架など、周知活動に取り組んでいるところです。
 来年度に向けて、対象となる年代への効果的な広報の実施について検討するほか、マッチング支援にとどまらず、地域の声を伺いながら、地域の特性や実情に合わせた結婚支援の取り組みを推進できるよう、市町村や関係団体等の取り組みとの連携を強化していく考えであります。
 次に、二次医療圏のあり方についてでありますが、令和6年度からの6年間を計画期間とする次期保健医療計画の策定に向け、二次保健医療圏については、国から今年度中に示される医療計画作成指針等に基づき、人口構造や患者の受療動向、医療資源、交通アクセスの状況などを調査、分析の上、初期医療のほか、入院医療を中心とする一般の医療需要への対応など、県民が身近な地域で安心して医療を受けられる体制のあり方について必要な検討を行っていく考えであります。
 また、限られた医療資源のもと、医療の高度、専門化や医師の働き方改革にも対応するため、既に広域で設定している周産期医療圏及び精神科救急医療圏の例等を参考に、がんや循環器疾患、その他の疾病ごとの医療圏のあり方について、今年度から関係する協議会などで議論を始めているところであり、次期保健医療計画において、二次保健医療圏のあり方を含めた今後の本県の保健医療の方向性を示せるよう、必要な検討を進めてまいります。
 次に、DXの推進と地域医療情報連携ネットワークの推進についてでありますが、県では、これまでテレビ会議システムを活用した遠隔診断支援や遠隔病理画像診断システムなど、岩手医科大学と地域中核病院間の病病連携を目的としたシステムの整備を行ってきたほか、全国でも先進的な取り組みとして、医療機関や市町村の間で妊産婦等の情報を共有する周産期医療情報ネットワーク─いーはとーぶによるICTを活用した情報連携に取り組んでまいりました。
 また、地域医療情報連携ネットワークについては、国が構築を進めている全国医療情報プラットフォームの動向も踏まえながら、今後も地域における協議の場に参画し、先行事例の紹介といった技術的助言や導入経費の補助といった財政的支援により、地域の主体的な取り組みを支援してまいります。
 さらに、本県が抱える医師不足、偏在の状況や、今般のコロナ禍における相談、診療への対応を踏まえ、医療従事者や患者の移動に係る負担等を軽減し、限られた医療資源を有効に活用するため、オンライン診療を行う医療機関の支援にも取り組み、住みなれた地域で安心して質の高い医療を受けられる体制を構築していく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、子育てにやさしい企業等認証の取り組みについてでありますが、いわて子育てにやさしい企業等認証制度は、常時雇用労働者100人以下の企業等を対象に、一般事業主行動計画の策定により、仕事と子育ての両立支援など、男女がともに働きやすい職場環境づくりに向けた自主的な取り組みを促進しようとする本県独自の取り組みであります。
 認証を受けた企業等は、本年10月末現在で延べ350社となっており、政策推進プランにおける今年度の目標315社を上回っているところであります。
 また、昨年度の認証取得企業等の約7割が一般事業主行動計画の策定後3カ月以内に、いわて子育てにやさしい企業等認証の申請を行うなど、認証制度により計画策定が着実に進み、育児・介護休業法の規定を上回る休暇制度等が導入され、県内の中小企業等における仕事と子育ての両立に向けた環境整備の推進に一定の効果があったものと考えております。
 次に、子育ての負担軽減や子育て環境の充実についてでありますが、人口減少対策の強化を図る上では、子育てや教育に係る経済的負担の軽減に加えて、育児休業、保育、幼児教育などの多様な両立支援策をそれぞれライフスタイルに応じて選択できる環境の整備が必要であると認識しております。
 これまで、県では、子ども・子育て支援事業支援計画に基づき、認定こども園などの施設整備を推進するとともに、放課後児童クラブや一時預かり、延長保育を初めとする多様なニーズに応じた地域子ども・子育て支援事業の取り組みを通じて市町村を支援してまいりました。
 また、市町村が独自に行う保育料の負担軽減や、在宅で保育を実施する世帯に対する応援金の支給など、先進的な取り組みについて、県においても全市町村に情報提供するなど、地域の実情に応じた取り組みの拡大を促してきたところであります。
 県としては、全国の優良事例も参考にしながら、子育ての負担軽減や子育て環境のさらなる充実について検討してまいります。
   〔県土整備部長田中隆司君登壇〕
〇県土整備部長(田中隆司君) まず、住宅の高性能化についてでありますが、本年6月の建築物省エネ法の改正により、新築住宅について、2025年度には現行の省エネ基準への適合が義務化され、2030年度には基準が引き上げられることに伴い、省エネ住宅の普及には、設計者や工務店等の事業者の技術力の向上とともに、建築主の省エネ住宅に対する理解のさらなる増進が必要と認識しております。
 こうしたことから、県では、事業者を対象に、省エネ基準や省エネ性能に係る計算方法の習得を目的として、今年度5回の講習会を開催することとしております。今後は、省エネ住宅に係る建築主への説明能力の向上や施工方法等をテーマとする講習会を開催し、事業者のスキルアップを図る予定としております。
 また、建築主に対しては、省エネ住宅のメリットを伝えるため、関係部局と連携した、いわて気候変動対策展2022を県内4会場で開催し、住宅と健康のかかわりなどをテーマとするパネル展示を行っております。
 さらに、快適な住環境を体感していただくため、今年度創設した、住まいの省エネ改修推進事業を活用して改修された省エネ住宅のうち、建築主の協力が得られた住宅の完成見学会を今月予定しております。
 持続可能なグリーン社会の実現のためには、省エネ住宅のさらなる普及は不可欠であると認識しており、引き続き、関係部局とも連携しながら取り組んでまいります。
 次に、北上金ケ崎パシフィックルートについてでありますが、このルートについては、昨年度の江刺田瀬インターチェンジから国道107号、国道456号、県道255号広瀬三ヶ尻線を経由し、金ケ崎町三ヶ尻地区の国道4号に至るルートに加えて、今年度は、広瀬三ヶ尻線の南側に位置する県道江刺金ケ崎線を経由し、金ケ崎町西根地区の国道4号に至るルートが追加されております。
 これらのルートのうち、議員御指摘の国道456号の隘路区間については、前後に比べ幅員が狭くなっているものの、いずれも2車線が確保されております。
 県といたしましては、港湾のさらなる利用促進や観光振興のためには、インターチェンジへのアクセス向上が重要であると認識しており、釜石自動車道全線開通後の物流の変化や周辺の開発動向、要望区間の交通状況などを見極めつつ、地元市町とも意見交換しながら、江刺田瀬インターチェンジから北上、金ケ崎地区へのアクセスのあり方について検討してまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、再造林についてでありますが、県では、これまで、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランに基づき、国の補助事業やいわて森林づくり県民税を活用し、再造林を推進してきたところであり、民有林における令和3年度の再造林面積は993ヘクタールと、前年度に比べ117ヘクタールの増となっているところです。
 また、令和5年度以降においても、再造林面積をふやしていくこととしておりますが、具体の目標面積は、現在、第2期アクションプランの策定の中で検討しており、引き続き、林業関係団体等と一体となって地球温暖化対策やグリーン社会の実現に貢献する再造林を強力に進めてまいります。
 次に、圃場整備事業についてでありますが、圃場整備事業は、事業実施を希望する地区において、農業者が圃場の区画形状や作付する作物を話し合った上で事業計画の策定を県に申請し、県において事業計画の策定を行い、国の採択を受け事業着手することとされております。
 現在、県では、これまで申請のあった27地区において、作付作物や農地集積などの営農計画の作成支援、圃場の区画形状や農道、水路の配置の検討等を行っており、事業対象面積は約2、500ヘクタールとなっております。
 また、年300ヘクタールの水田整備を目標としており、現在、事業計画を策定している27地区の整備完了後には、水田整備率が3ポイント程度上昇するものと見込んでおります。
 県内からは、圃場整備事業を希望する声が多く寄せられていることから、県では、今後とも予算の重点化を図りながら、計画的に事業を進めてまいります。
 次に、飼料高騰対策についてでありますが、県では、配合飼料価格の高騰を踏まえ、配合飼料価格安定制度を所管する国に対し、この制度の基金が枯渇した場合にあっても、生産者への補填金が満額交付されるよう、国が基金への積立金を拠出すること等について、繰り返し要望しているところです。
 また、配合飼料価格の上昇分を支援する新たな国事業を生産者が確実に活用できるよう、要件となる生産コストの削減や飼料自給率向上の取り組みを支援するとともに、県独自に措置した配合飼料購入費の価格上昇分への補助について、第2四半期を対象に、年内には補助金が生産者に支払われるよう、現在、事務手続を進めているところです。
 さらに、今年度推進してきた自給飼料基盤の積極的な活用による飼料確保について、生産性を高める牧草地の改良が約170ヘクタール、飼料用トウモロコシの収穫後にライ麦等を作付する二毛作の取り組みが約15ヘクタールで行われたところであり、県としては、引き続き、生産者の経営安定が図られるよう取り組んでまいります。
 次に、鹿などによる農作物被害対策についてでありますが、野生鳥獣による農作物被害を防止していくためには、有害鳥獣の捕獲とともに、侵入防止柵の設置や集落に寄せつけない対策を地域ぐるみで実施していくことが重要であります。
 県では、捕獲強化に向け、今年度は、3年前に比べ約6、000頭多い予算を確保しており、今年度の鹿やイノシシの捕獲頭数は過去最多となった昨年度を上回るペースとなっております。
 また、侵入防止柵について、今年度は12市町村で約120キロメートルの設置を支援するとともに、下草刈り等の管理が容易な電気柵の活用実証を行っているほか、県内8地区に、柿等の放任果樹の伐採や、やぶの刈払いなどに取り組むモデル地区を設置し、取り組み事例の紹介や成果の波及に努めております。
 令和5年度に向けては、国に対し十分な予算の確保等を要望しているほか、現在、専門的な知識、技術を有する民間等と連携した対策などを検討しており、県としては、引き続き、関係機関、団体と連携しながら、鳥獣被害防止対策の充実、強化に取り組んでまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) まず、令和5年度における地域公共交通の取り組みについてでございますが、県では、中山間地域を含め、地域の実情に応じて市町村が行う地域公共交通計画の策定やデマンド交通等の実証運行など、持続可能な地域交通ネットワークの構築に向けた取り組みに対する支援を行っております。
 また、県と市町村で構成する地域内公共交通構築検討会において、市町村が抱える課題に対する解決策等の検討を行い、バスの県単補助路線に対する新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた補助要件を緩和する特例措置を創設するなど、検討結果を県単補助制度に反映させてきたところでございます。
 県におきましては、引き続き、新型コロナウイルス感染症や原油価格高騰の公共交通事業者への影響等を注視しながら、適時適切に必要な支援を検討してまいります。
 加えて、令和5年度は次期地域公共交通計画の策定年度でありますことから、この計画策定を通じ、市町村や公共交通事業者と連携し、地域の重要な移動手段である地域交通の維持、確保に努めてまいります。
 次に、観光振興のための公共交通機関のさらなる利便性の向上についてでございますが、交通機関等の検索、予約、決済を一元的なサービスとして提供できるMaaSやICカードの導入により、公共交通の利便性の向上を図ることは、公共交通の利用促進に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んでいる観光需要や地域経済の回復、拡大、DXの推進にもつながるものと考えております。
 令和3年度には、公共交通の運行データの統合や公共交通の活性化、地域振興、観光振興等への効果を検証するための北いわてMaaSの実証事業を行い、今年度から事業者による自立的なサービスの運営が開始されております。
 また、三陸鉄道では、列車内に沿線の観光地や被災箇所を視聴できるデジタル機器を設置したところであり、県においては、震災学習列車のプログラムの磨き上げ等の取り組みを支援し、コンテンツの充実を図っているところでございます。
 交通系ICカードにつきましては、令和2年度から乗り合いバス事業者における導入への支援を実施しております。
 今後におきましても、これらの取り組みを生かした新たな旅行商品や企画列車の造成を事業者に働きかけてまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 三陸ジオパークの観光資源としての活用や三陸鉄道との連携等についてでありますが、三陸沿岸地域の観光振興を進めていく上で、雄大な海岸線の成り立ちや地質を三陸ジオパークとして発信し、また、学びの場としての関心を高めていくことが多くの誘客に結びついていくと考えており、今年度、三陸DMОセンターを沿岸地域へ移転するとともに、三陸ジオパーク推進協議会と連携協定を締結し、観光コンテンツの開発やフォーラムの開催などを行っているところであります。
 また、三陸鉄道は東日本大震災津波からの復興の象徴として国内外にわたって知名度が高いことから、震災学習や教育旅行などの誘客や誘致を初め、これまで以上に連携を強めて観光振興に向けた取り組みを進めていく考えです。
 さらに、港湾は市街地からのアクセスにも比較的恵まれ、気軽に海を感じられる場所であり、本県においても水族館や遊覧船の発着場、飲食店などが立地しており、これらの観光資源としてのさらなる活用を図ってまいります。
 東日本大震災津波から間もなく丸12年を迎えようとする中、三陸沿岸地域において、観光振興はなりわい再生の大きな柱であると考えており、あらゆる観光コンテンツを生かした誘客促進を図り、交流人口や関係人口、さらには定住人口の増加につなげていく考えであります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、人口減少局面における小規模高等学校のあり方についてでありますが、中学校卒業予定者数の減少が進行し、学校の小規模化が避けられない状況にあって、教育の質の確保やよりよい教育環境の維持が重要な課題であると捉えているほか、地方創生の観点における学校の役割に対する地域からの期待も大きいと認識しているところです。
新たな県立高等学校再編計画後期計画では、地域の小規模校を可能な限り維持することとしており、小規模校における教育の質の確保に向けて、ICTを活用した遠隔教育の充実のほか、地域と協働した教育活動の実践、コンソーシアムの設置、コーディネーターの配置促進等、高校魅力化に取り組んでいるところです。
 後期計画期間後については、令和5年度から、次期再編計画の策定に向けた県立高校のあり方についての検討に着手していきたいと考えており、外部有識者等による検討、地域の方々や中学生等の意見の聴取等を行いながら、子供たちにとってよりよい教育環境が維持されるよう、丁寧な議論を進めていきたいと考えています。
 次に、高等学校費のあり方の検討についてでありますが、県立高校は広大な県土を有する本県の公教育の基盤として、どの地域に居住していても希望する高校教育を受けられる機会の保障を図る役割を担ってきたところです。
 県立高校の管理運営に要する経費は、主に学校数、学校規模や在籍する生徒数によって増減するものであり、近年の生徒数の減少と小規模校の増加により、運営経費が割高になっていることは、本県のみならず全国的な傾向にあります。
 小規模校が多い本県においては、一部の教科において複数校を兼務する教員の配置や学校事務の適正化にも配意しながら、会計年度任用職員の配置の見直しなどの対応を進めてきており、今後も、学校現場の実態に応じた不断の見直しを図っていきたいと考えています。
〇9番(高橋穏至君) 何点か再質問させていただきます。
 まず、県の最重要課題である人口減少なのですが、これにつきまして、一番着目しているのは、就職者数からいくと、高卒の就職希望で、ことし9月末では求人が5、792人あって、就職希望者は2、173人ということで、仮に就職希望者が100%県内に残っても、そもそも足りないという現状がある。
 そしてもう一つ、私が注目しているのは、若年層の女性の県外流出で、一旦は県外に進学するのも女性の方が多いようでございますが、進学した人が一回県外に出ると、そのままその地域で就職してしまって戻ってこないというのが見えてくるわけです。これは実際、男女別の就職先のデータはないのですが、令和4年岩手県人口移動報告年報によりますと、男女合わせて20歳から24歳までの階層で、県外からの転入が3、288人に対して転出が5、138人と、1、850人が転出超過になっている。その内訳は、男性が764人に対して女性が1、086人ということで、女性のほうが4割くらい多くなっている。
 その結果、人口の年齢別階層ですが、ことし10月1日の同統計の推計人口ですと、20歳から24歳までの男性が2万2、170人に対して女性が1万9、879人、女性のほうが2、291人少なくなっている。そして、もう一つ上の階層を見ると、25歳から29歳では、女性のほうが2、347人少なくなっているということで、女性のほうが1割は少なく、それくらい県外に出ている。
 この状況を解決するために、女性に県内に残ってもらわないと、出会いとかそういう機会をつくっても、そもそも女性がいないという状況になってしまうのではないかということが危惧されるわけです。
 そういった状況であることから、一つの考え方として、ことし2月の予算特別委員会でも質問したのですが、ものづくりの職場がいっぱいある、理系の職場がいっぱいあるのだから、理系女子という言葉がありますけれども、小さいうちから女性へのそういった教育を充実させる取り組みをしてはどうかと、前に伺ったことがあるのですが、それに対する所見を伺います。
 そして、今、第2期アクションプランの素案が示されているわけですが、ここでも人口減少対策が一番のポイントということで、人口減少に対する取り組みが、さまざまあるわけですが、その中で、人口減少に取り組む姿勢といいますか、お金のかけ方について伺います。結局、人が残らなければ出生率も上がってきませんし、子供もふえない。そうすると、働く人もふえないということで、全ての根源がある最重要課題だと思うのですが、それに対して取り組む姿勢を知事に伺いたいと思うのです。
 一つ紹介したいと思っていたのは、私は北上市の出身ですけれども、今、北上市のキオクシア岩手株式会社、いいなとよく言われるのです。しかし、ここに至るまでの北上市の企業誘致とか人材育成の取り組みは、結構長い歴史がありまして、昭和の初期のころ、西和賀町の鉱山が低迷期に入った時代、北上市の前身の黒沢尻町では、次の時代は工業振興だということで、企業誘致と県立高校の誘致に取り組んできました。昭和11年から陳情運動をして、工業高校については、昭和14年4月に開校が決定したのですが、その当時、県からの希望で、5ヘクタールの敷地と、当時の設置費の90万円のうち建設経費37万2、500円を全額寄附するようにという要望を受けて実現しました。その当時の黒沢尻町の歳出規模が20万2、500円でしたので、年間予算のほぼ2倍の予算を県に拠出して実現したという先人の重い決意がうかがわれます。
 そして、昭和29年の大合併で旧北上市が誕生するわけですが、実は、北上市は企業誘致をやってきましたけれども、誕生後8年間は財政再建団体として苦しい思いをしてきました。財政再建解除となってから、昭和37年に財団法人北上開発公社を創設して企業誘致を本格化させ、今でこそキオクシア効果でまちが活気づいていますけれども、バブルの崩壊やリーマンショックのときは、売れ残った土地開発公社の債務返済のために第三セクター等改革推進債を導入して、非常に厳しい時代があり、私は当時、市議会議員だったのですが、北上市は企業誘致にはお金をかけるけれども、生活や教育に対して、ほかの市町村より劣っているのではないかという批判も受けたりいたしました。
 そういった先人の決断と苦労があって今日があるわけで、今、岩手県も厳しい状況ですけれども、やはり将来に対する先見性というか決意がなければいけないのではないか。
 先ごろ、11月18日に商工会議所の会員大会で、金子恵美元衆議院議員の記念講演がありまして、その中でも人口減少対策の問題について、人口減少は全国の課題ではあるのですが、この解決に向けて、平成26年から地方創生に関する法律が施行されて、さまざまなメニューが用意されているのですけれども、このさまざまなメニューの取り組み状況によって、実は全国の人口減少の格差が出てきたという話をされました。
 それをうまく使えなかったこともあって、全国の中でも大きくおくれをとってきているのではないかという気がするのですが、ぜひそういった意味からも、今後にかける人口減少に対する思いを知事に伺いたいと思います。
 続いて、医療の問題について、これは二次保健医療圏のあり方の構想とDXの推進は一緒に取り組まなければならない課題ではないかと思っております。その中で、国の動向を見ながらという言葉もまた出てきたわけですが、実は、市町村を回っておりましても、地域では今すぐにでも市内で、あるいは隣の市町村と二次保健医療圏をつなげたいので何とかそういった推進をしてほしいという声を直接受けております。地域ではやはり切実な問題ですので、全体の国の動向を見るのも大切ですけれども、最初に私が質問したとおり、一歩先を見て、今できること、例えば、取り上げた地域医療情報ネットワークに関しては、岩手県以外の東北地方は全部できているわけですから、そういったできることからすぐ取り組むべきではないかと思うのですが、その辺の所見を伺いたいと思います。
 続いて、住宅の高性能化についてですが、これに関しては、前に私が取り上げたとき、例えば、高性能化したら補助金をつけますよという政策は、お金がなくなれば使えないわけで、そういった関心を持ってもらってしっかりと普及を図る。長野県の例では、条例で説明を義務づけるということで一気に進んだという事例を紹介いたしました。今、設計業者、施主に知識をつけて、それで普及させるということですが、その普及の度合い、参加者の動向を見ながらふやすということで、ある程度しっかりとした、いつまでに100%にするのだという目標設定が必要ではないかと思うのですが、そういった普及に関するスケジュール感について、再度お伺いしたいと思います。
 最後に、基盤整備について再質問いたします。これも前回の9月の決算特別委員会の時に取り上げましたが、今、説明がありましたのは、27地区、約2、500ヘクタールの準備が進められているということで、今現在は年に300ヘクタールという目標で進めているということですので、この約2、500ヘクタールが完成すれば水田整備率の3%の上昇、私が取り上げたときは、これは農林水産部で出している圃場整備のパンフレットですけれども、パンフレットにも、全国の平均が67%、岩手県は57%でおくれをとっていますよとわざわざ載せているのですけれども、では、平均まで目指すのかと思ったのですが、平均まで目指すためには、整備をさらに1万3、000ヘクタールほどやらないと平均にもいかない。そういった目標感について伺いたいのですが、300ヘクタールだと、この目標に対しては44年かかるわけでございまして、今後の頑張る決意でもいいですが、そういったものをお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 人口減少対策にかける意気込みについてでありますが、8月の市町村長との意見交換や11月の県市町村トップミーティングにおいて、多くの市町村長から、人口減少は直面する課題であり、連携してともに取り組んでいきたいという発言をいただいており、人口減少に対する危機感を共有するとともに、人口減少対策の重要性について、意を強くしたところであります。
 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでは、人口減少対策に最優先で取り組むこととしており、その推進に向け、市町村と県が連携して取り組む方向性を共同宣言のような形で対外的に表明することについて、市町村長から賛同いただいたところであります。市町村と県が一層連携する姿勢を県内、県外に示すことによって、県内の住民や企業、団体、そして、県外在住者等の関心を高め、理解と参画を促し、さまざまな課題の解決につながるものと期待しており、オール岩手で人口減少対策を強力に推進し、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現を目指してまいります。
 次に、地域医療情報連携ネットワークの拡充についてでありますが、適切な医療、介護、福祉などのサービスが効果的に提供される地域包括ケアシステムの構築のためにも有効な手段であり、市町村や医療、介護施設等としっかり連携し、二次保健医療圏ごとのシステム構築を支援してまいります。
〇県土整備部長(田中隆司君) 工務店等技術者の習得の質問でございます。2025年度の現行の省エネ基準への適合義務化などに伴いまして、全ての省エネ住宅の建築に携わる建築士や工務店において、住宅の省エネ化に関する知識や技能の習得が必要となります。
 こうしたことから、今年度は盛岡市内で2回、県南、沿岸、県北の広域振興局管内で各1回、計5回の講習会を開催し、省エネ基準や省エネ性能について、多くの事業者に学んでいただくこととしております。
 なお、今年度の第1回目として、9月に盛岡市で開催した講習会では、定員50名に対して受講者83名となるなど、本年6月の建築物省エネ法の改正を契機といたしまして、建築士や工務店の省エネ住宅への関心は高まっていると認識しております。
 今後の講習会では、住宅の省エネ性能や省エネ住宅のメリット、住宅の施工方法等をテーマとする予定としており、2025年度の現行の省エネ基準の適合義務化に向けまして、引き続き、事業者のスキルアップを図ってまいります。
〇農林水産部長(藤代克彦君) 圃場整備事業についてでございますけれども、現在、実施地区とすれば68地区、そして、先ほど御答弁申し上げましたとおり、現在、計画策定をしているところが27地区、さらに、これから計画策定を県に申請したいという地区については、約30地区ほど残っております。こういった地域の希望について、県としては計画的にしっかり執行していきたいと考えております。
 また、年間300ヘクタールをもっとふやしていけばいいのではないかという御指摘でございますが、これにつきましても、5年前に比べますと、予算につきましても倍額にして約100億円という形で予算の重点化を図り、そういったことについて、国のほうにもしっかり予算の確保をお願いしながらやっておりますので、引き続き、そういった地域の希望に応えられるように、県としては頑張っていきたいと考えているところでございます。
〇教育長(佐藤博君) ものづくりや理科系の科目に興味、関心を高める教育的取り組みについて、県教育委員会としての考え方を答弁させていただきます。
 近年、AIやIоTなどの急速な技術の進展により社会が激しく変化しており、これらの対応として、文系、理系といった枠にとらわれず、さまざまな情報を活用しながらそれを統合し、課題の発見、解決や社会的な価値の創造に結びつけていく資質、能力の育成が求められております。
 そのため、県教育委員会では、文理の枠を超えた学びを通じて高校の早期の段階から生徒の理数分野への興味、関心を涵養し、理系人材やデータを収集、分析、利活用できる人材を輩出していくために、各教科での学習を実社会での問題発見、解決に生かしていくための教科横断的な学びであるSTEAM教育の視点から、生徒の学びを深めていく取り組みが重要であると考えているところです。
 この方向性を実現するため、現在、探求プログラム事業等を実施しており、そこで教科横断的な学び、探求的な学びを深める取り組みの支援、また、高校1年生の希望者を対象とした科学の扉の実施により、理系科目や科学全般への興味、関心を高める取り組みを行っており、今後、さらなる充実を図ってまいりたいと考えております。
 本年5月の文部科学大臣メッセージにおきましても、早期から文系、理系に分ける文理分断教育から脱却し、文系、理系の枠を超えた学びにより、生徒の可能性の芽を大きく育むことと高校に求められており、文理融合の学びの中で、全ての生徒がみずからの可能性を広げ、自分自身の興味、関心や適性に基づいて進路を選択し、広く社会で活躍できるよう、引き続き、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
〇9番(高橋穏至君) ぜひそういった形で進めていただければと思います。
 先ほど1点、教育委員会の関係で、市町村との連携で小規模の高校の経費節減という部分で、できるかどうかは、それぞれの市町村の事情があると思いますけれども、今まで議論となってきた中高一貫という考え方と別の形の考え方、要は、一緒にしなくても連携してやっていく。その中で施設管理とかで協力をするとか、あるいは今、持たれている、高等学校ではないですが、県立の施設と市町村立の公共施設の連携で経費を節減するとか、行財政改革の報告書では経費節減という観点で書かれていましたので、そういったアプローチも必要ではないかなと、研究してみてはいかがかと思ったのですが、いかがでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 今回の報告書の中でも、市町村等々、地域との共創ということが書かれております。私ども今回の高校再編後期計画の取り組みにつきましては、共創ということは既に取り込んでおりまして、例えば、県立宮古商工高校と県立宮古水産高校の一体的整備、今、設計を始めておりますけれども、施設の一部を地域の方々に使っていただくというようなことも視野に進めております。
 また、今後は市町村とどういった形で共創の具体的な取り組みができるか、そして、その施設の整備の手法におきましても、今回、いわて盛岡ボールパーク、県営野球場と盛岡市営野球場が盛岡市と協働して事業ができたということがございます。そういった手法が今後、学校施設におきましても可能ではないかと考えておりまして、現在、研究を進めていることもございます。そういったことが実現できればすばらしいことになるのではないか。これは県にとっても、それから地元の市町村にとっても、相互にメリットがあるということで、そういったことができるよう進めてまいりたいと考えております。
   
〇議長(五日市王君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時36分 散 会

前へ 次へ