令和4年9月定例会 第22回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(小西和子君) 希望いわての小西和子でございます。通告に従い、順次質問をいたします。
 初めに、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 新型コロナウイルス感染症に感染された皆様方にお見舞いを申し上げるとともに、お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げます。さらには、保健所職員の皆様、医療関係の皆様方を初め、日々、新型コロナウイルス感染症の治療や感染防止に当たられている皆様に心から敬意を表します。
 新型コロナウイルス感染症は、第7波の勢いこそ落ち着いてきているものの、終息のめどはいまだ立っていません。とりわけ、子供たちや若年層での感染の拡大が大きく、それが高齢者や働き盛りの世代への感染へとつながっており、県民の不安は解消されていません。
 地域の公衆衛生の拠点である保健所が削減されてきました。1991年には全国で854あった保健所は2019年までに472に削減されました。ほぼ半減しています。職員数も約3万4、000人から約2万8、000人に減っています。保健所の公衆衛生上の機能自体も極めて低下しているところに新型コロナウイルス感染症が襲いかかりました。
 人員体制の強化についてです。
 県は、保健師の増員や会計年度任用職員の保健師採用、部局横断的な応援体制の構築により対応していますが、人員体制は十分ではありません。新型コロナウイルス感染症対応以外の通常業務すら追いつかない状況となっています。応援職員を派遣する各所属でも、新型コロナウイルス感染症対応のほか鳥インフルエンザの防疫対応等の突発的な業務も加わり、本来業務に影響が出ていて、部局横断的対応はもう限界との声もあります。
 2022年3月時点での14日以上の精神疾患の療養者は、延べ114人、療養者の療養平均日数が133.2日と長期化し、世代別では29歳以下の若年層が増加傾向との報告があります。加えて、長時間労働による健康障害防止のための保健指導対象者報告数は、2022年3月末時点で延べ919人であり、昨年同時期より184人ふえています。恒常的な長時間労働は一向に是正されていません。引き続く新型コロナウイルス感染症等の対応で職場に全く余裕がない中、ハラスメントの発生や欠員等の人員不足が職場環境の悪化に拍車をかけている状況にあります。
 長期化している新型コロナウイルス感染症への対応、さらには、非常災害時を見据えた職員体制確保の観点から、保健所職員を初めさらなる増員が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 学校における人員体制の強化についてです。
 今年度の消毒作業等を行うスクールサポートスタッフが小中学校433校中173校しか配置されていません。県立学校のうち特別支援学校は全校配置ですが、高等学校にはゼロです。学校では新型コロナウイルス感染症の感染者が確認されると、学級、学年、学校単位で一人一人から聞き取りをします。全校ですと何百人にも連絡をとります。さらには、新型コロナウイルス感染症の拡大で保健所業務がひっ迫していることを受け、県立学校と市町村教育委員会に濃厚接触者の特定など疫学調査に協力するよう県教育委員会から通知がありました。クラスターが発生した学校では教職員の業務が深夜まで続くこともあります。
 昨年度は配置方針が12月と遅く示されたため、スクールサポートスタッフを確保できない学校もありました。2022年度の3学期も、子供たちの命を守るため、小中学校、特別支援学校に2学期を下回らないスクールサポートスタッフを配置すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 学校支援体制の強化については、継続的な学校運営の確保に向けて、県教育委員会事務局に情報収集・相談窓口班とオンライン活用・業務支援班を編成し、市町村教育委員会と連携して学校の業務支援に当たっているとのことでしたが、こうした学校支援体制は十分に機能しているでしょうか。教育長の見解を伺います。
 次に、豊かな教育の実現について伺います。
 不登校児童生徒の教育機会の確保についてです。2020年度の県内国公私立の小中学校で30日以上欠席した不登校児童生徒数は、小学校356人、中学校1、016人で、およそ1クラスに1人いることになります。過去5年間で最多となったことが文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査でわかりました。県内の公立、私立高等学校を合わせた516人も含め、全体では1、888人で増加傾向が続いています。
 不登校の要因は、無気力、不安、生活リズムの乱れ、友人関係、学業の不振などさまざまです。県教育委員会では、不登校に対する未然防止のための対策や、不登校児童生徒の支援のための対策を行っています。学校以外の学びの場としてフリースクールなどがありますが、個々の事情によっては選択肢が限られます。
 文部科学省は2017年、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本方針を策定し、不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施することができる不登校特例校の設置が認められるようになりました。全国に公立学校12校、私立学校9校が設置されています。
 不登校特例校は、児童生徒の事情に合わせて授業時間や学習内容を調整できます。フリースクールと異なり、元の学校から転校でき、通常と同じ卒業資格を得られるメリットがあります。
 政府は6月に策定した経済財政運営と改革の基本方針―骨太の方針に全都道府県などへの特例校設置を初めて明記しました。これを受けて、文部科学省は夜間中学校との連携や公共施設の教室への活用など先行事例を共有し、広報を強化しています。都道府県が特例校を設置する際にも、市町村と同様に、教職員給与を国庫が一部負担する制度の周知を図る方針です。
 昨年12月に実施した、教育・子ども政策調査特別委員会の調査で、不登校だった児童生徒が生き生きと通学している不登校特例校について知りました。
 現在、不登校特例校設置に向けて準備を進めている地域があります。岩手県の不登校児童生徒のために、県教育委員会としても不登校特例校の設置に向けた議論を始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 教職員の確保と働き方改革についてです。
 子供たちは、相談したいことがあっても教員が忙しく働いている姿を見ると遠慮してしまいます。学校現場からは、教員が足りていない状況が報告されています。文部科学省は2022年1月の教師不足に関する実態調査において、2021年度の始業日時点で全国の公立学校のうち1、897校、2、558人の教員不足が発生していたと発表しました。岩手県の不足数は、小学校15人、中学校8人、高等学校はゼロでしたが、5月1日時点の岩手県の公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律に基づく小中学校の充足率を見ますと、99.7%と東北最下位、全国平均の101.8%と比較しても2.1ポイントも低い割合です。
 昨年度、県内の小中学校の産休者は90人でした。そのうち産休の代替が開始日に間に合わなかった件数は、38件42%にも及びます。講師のなり手不足が顕著であることから年度途中の採用は難しい状況にあります。他県では、1学期途中からの産休の場合、講師を年度初めから配置するなど人員不足にならないよう工夫しています。
 教職員の志望者が減り続けています。2020年度実施の岩手県小学校教員採用試験の倍率は2.3倍と危険水域の3倍を大きく下回っています。志願者減少の要因には、教職員の激務が影響していると言われています。このような配置状況では、ますます教職員を志望する学生が減っていくと思われます。
 子供たち一人一人を大切にする教育のために、教職員の健康を守るために、そして、誰一人取り残さない岩手の教育の実現のために、産休者、休職者等の代替を速やかに配置すべきと考えます。教育長の見解を伺います。
 働き方改革を前に進めるためには、人をふやすことと業務を減らすことは必須です。学校現場では45分間の休憩時間が全く取れていない教職員も多い状況と聞いており、実効性ある教職員の働き方改革を一層進めていくことが必要です。
 長時間労働を是正し、教員が子供たち一人一人とじっくりと向き合う時間をつくり、教員のなり手不足という負の連鎖を断ち切るために、文部科学省は2019年、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法―給特法について一度審議しましたが、しかし、給特法改正には至らず、月45時間、年360時間の残業上限を設定するにとどまりました。ことし行った県内の職員団体の調査では、月45時間残業上限超えは90.6%、過労死ラインの80時間超えが69.1%にも及びます。教育長の見解と実効性ある教職員の働き方改革について伺います。
 次に、子供の幸福度の向上について伺います。
 子供の権利を守るために、1989年に国連で子どもの権利条約が採択されました。日本は1994年に批准しており、この条約を実施する義務があります。ところが、子どもの権利条約に批准した当時、日本政府は既に当時の法律や制度で子供の権利は守られているとの立場をとり、国内の法律の整備を行いませんでした。そのため、日本には子供の権利を包括的に定め、それを守るための国の理念、基本方針、必要な政策等を定めた法律がないままとなっています。
 条約を批准した当時と比較してみると、むしろ子供をめぐる状況は厳しさを増しています。いじめの認知件数は当時の5万6、000件から54万件と大幅に増加しています。児童虐待対応件数は、20万7、000件ととどまるところを知りません。また、近年は、大人の自殺は減少傾向にあるものの、小中高校生の自殺は、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、479人と過去最多になり、厚生労働省は強い危機感を示しました。
 子供たちが意見を表明する機会を持ち、意思決定に参加することは子どもの権利条約の基本であり、非常に重要です。しかし、日本の子供たちが児童福祉の現場や学校などで意見を聞かれ、意見表明ができていないことがさまざまな場面で指摘されています。
 2022年9月には生徒指導に関する学校教職員向けの基本書である生徒指導提要の改訂版が発表されました。文部科学省の正式文書では初めて、子どもの権利条約を重要な参照規範と位置づけています。
 子供をめぐる問題を抜本的に解決し、養育、教育、保健、医療、福祉等の子供権利施策を幅広く、整合性をもって実施するためのこども基本法が2023年4月1日に施行されます。憲法や、国連子どもの権利条約をベースにしたものです。
 教育長に伺います。現在検討している、再発防止岩手モデルにもこども基本法に基づいた文言を入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 知事に伺います。岩手県の子供の幸福度の向上のために、子供権利施策を幅広く、整合性をもって実施するためのこども基本法に基づいた、いわてのこども基本条例(仮称)を制定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、ジェンダー平等社会の実現について伺います。
 パートナーシップ制度の導入等についてです。県内では性的少数者の権利を守るための活動が本格化しています。盛岡市と一関市は性的少数者のカップルの関係を公的に証明するパートナーシップ制度の導入方針を表明し、実現への準備が進んでいますが、前提であるべき国の同性婚法整備の協議は停滞しています。
 先月、性的少数者への差別に抗議する集会が開かれ、性的少数者への攻撃がまかり通る世界はおかしい、誰もが尊重される社会の実現へ力を合わせようなど、当事者のスピーチや賛同者のメッセージが読み上げられました。
 自由民主党の国会議員が参加する神道政治連盟国会議員懇談会の会合で、同性愛は後天的な精神の障害、または依存症など差別的な内容の文書が配布された問題を受けて企画されました。
 いわてレインボーマーチなど2団体が昨年、県内や本県出身者などの当事者86人に実施したアンケート調査では、全体の9割が差別、偏見、生きづらさを感じたことがあると回答しました。パートナーシップ制度の導入、人々が多様な性について学び機会などを求める意見が多く寄せられました。
 パートナーシップ制度は自治体が同姓カップルの権利を補完する救済策です。自治体ごとに内容は異なりますが、公営住宅への入居が可能になったり、病院でパートナーの病状説明を受けられたりするようになります。
 国内では2015年に東京都渋谷区と世田谷区で制度を導入して以降、制度が急拡大しました。これまで230を超える自治体に広がり、これは全人口の5割以上をカバーする普及率です。東北地方では、ことしに入って青森県、秋田県で県単位の導入、県内では盛岡市と一関市で導入の方針を表明しています。新たに宮古市、二戸市、紫波町、大槌町の4市町が導入する方針で検討していることがわかりました。11月には約1、400万人を擁する東京都で運用が始まります。
 ジェンダー平等の実現に向け、性的指向や性自認を理由とした差別の禁止や多様な家族のあり方を支援する仕組みの創設などをいわて県民計画や岩手県男女共同参画推進条例へ明記するとともに、岩手県でもパートナーシップ制度の導入について検討を始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 被害者等支援条例の制定についてです。
 見舞金の給付や生活面でのサポートなど、犯罪被害者や遺族への支援に特化した条例を制定する動きが全国で広まっています。40都道府県が既に定めたほか、4府県が今年度内の実現を目指しています。報道によると、特化条例のない本県、鳥取県、島根県の3県は、既存の条例で支援を充実させるなどとしています。
 秋田県や佐賀県など7府県では、全市町村で条例が定められています。一方、本県や沖縄県など13県はゼロです。東北地方では本県以外は制定済みで、本県は市町村にも全くありません。条例は被害者支援の意義や官民の責務を明確にし、関係機関の連携の根拠となります。見舞金支給など独自の施策を予算に裏づける力も持ちます。
 知事に伺います。県が率先して被害者等支援条例の制定に向け、動きをつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 ジェンダーの主流化についてです。
 いわて県民計画(2019〜2028)の具体的な推進方法を示す第2期アクションプランの策定に向けた市町村と知事の意見交換会で、知事は、女性の施策は充実強化して、女性の幸福度を高める岩手県というくらいのイメージになるよう具体策を工夫しなければとの考えを示しました。
 政策全般にかかわる全ての領域、政策分野にジェンダーの視点を入れていくことは、女性も男性も生きやすい岩手県に変えていくとともに、人口減少対策にも大きな効果があるものと考えています。ジェンダーの主流化をさらに前に進める県政の実現が求められていますが、知事の見解を伺います。
 次に、持続可能な地域公共交通の確保について伺います。
 政府の鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会は、7月25日、地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言を公表しました。この提言のポイントは、1、国は特定線区再構築協議会(仮称)を設けて事業者、自治体と対応を検討すること。2、最長3年で鉄道存続、またはBRTやバスなどへの転換の結論を出すこと。3、対象は利用の状況が危機的かつ複数の自治体にまたがるなど広域調整が必要な線区。JRにあっては平時の輸送密度1、000人未満などを目安とすること。4、国は地元同意を条件に国の許可なく運賃を値上げできる仕組みを創設。鉄道の新駅設置やバスの運行費を支援することなどとなっています。
 一方、JR東日本は7月28日、利用の少ない線区の経営情報を開示し、35路線、66区間の利用の状況などを明らかにしました。このうちJR東日本盛岡支社管内では、八戸線、大船渡線、釜石線、花輪線、北上線、山田線の6路線における平均通過人員計は、1987年度の9、788人に対し、2021年度は2、273人と23.2%まで減少しています。これに対し、沿線地域における鉄道利用の促進を図るための利用促進協議会の活動は、花輪線利用促進協議会、JR北上線利用促進協議会によるものにとどまっている実態にあります。
 2020年12月に可決、成立した改正交通政策基本法では、人口の減少に対応しつつ地域社会の維持及び発展に寄与するものとなるようにすべき旨を基本理念に追加しています。人口減少が続く中でどのような地域公共交通を構築していくのか、輸送モードの選択が問われることになり、今こそ地域住民や自治体の意思を尊重した地域公共交通網の構築が求められています。
 地域住民や自治体の意見を踏まえた地域公共交通網の整備、維持に向け、県として国の自治体や旅客運送者に対する助成の拡充について、政府に対し要請すべきと考えます。知事の見解を伺います。
 次に、復興と防災について伺います。
 いわて被災者支援センターの体制についてです。
 東日本大震災津波から11年半がたち、被災者の生活課題が複雑化しています。岩手県が2021年4月に開設したいわて被災者支援センターには、住宅ローン返済、家計の見直し、家庭問題などの相談が寄せられ、本年度は増加傾向にあります。仮設住宅が解消され、新たな局面に入った中で、同センターでは個別支援計画を立てて生活再建に向け伴走しています。
 県によると、開設した昨年4月下旬からことし7月末の延べ相談対応回数は2、225回です。昨年度は11カ月で1、288回に対し、本年度は4カ月で937回に上ります。
 相談の主な内訳は、家族関係22%、住宅、不動産17%、家計、生活資金15%などです。同居や死別、離婚、心身状態の悪化といった環境変化による家族、親族間のトラブル、災害公営住宅の家賃上昇、被災跡地の売却、多重債務などさまざまです。
 同センターでは相談者323人のうち6割の個別支援計画を作成しました。家族や地域事情、健康や就労状況、金銭面などを丁寧に把握して課題や要点を探っています。医療福祉関係者とも連携するとともに、弁護士やファイナンシャルプランナーの無料相談にスタッフが同行しています。2023年度には新型コロナウイルス感染症関連の貸付金の返済が始まり、潜在的なニーズはまだあります。
 いわて県民計画(2019〜2028)第1期復興推進プランの取り組みの総括骨子案、暮らしの再建の推進状況には、いわて被災者支援センターを設置し、関係機関や専門家等と連携して被災者の生活安定に向けた支援を実施。今後の課題には、健康、生活面や経済面等の複雑な課題を抱え、生活が安定しない被災者に対し、弁護士やファイナンシャルプランナーといった専門家や市町村、市町村社会福祉協議会などの関係機関と連携した対応の継続とあります。いわて被災者支援センターでは、事例を蓄積、分析して、市町村などに伴走型支援のノウハウを広めようと模索しています。
 知事に伺います。岩手モデルとも言われるいわて被災者支援センターの体制を次年度は強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 要支援者の個別避難計画についてです。
 県は、9月22日、今後、本県を襲う可能性のある最大級の地震、津波被害想定の報告書を公表しました。日本海溝沿いを震源とする巨大地震では、最大30メートルに迫る津波で宮古市以北を中心に東日本大震災津波の死者、行方不明者を上回る7、100人の死者が見込まれるとしました。
 国が昨年末公表した本県の最大想定死者数は1万1、000人です。県想定が国より少ないのは、震災の実績を参考に、揺れがおさまってすぐに避難を始める人の割合を国より高く設定したためです。迅速に避難できれば死者を最大87%減らせるとの試算も示しました。迅速な避難の鍵を握るのは、訓練の徹底や高齢者、障がい者ら要支援者対策です。報道によると、沿岸部の要支援者のうち個別に避難計画が作成されているのは7.9%にとどまるとの調査があります。沿岸部の要支援者のうち、個別に作成されている避難計画の割合を高める取り組みの強化をどのように進めていくのか伺います。
 学校津波対策についてです。
 県が公表した最大クラスの津波浸水想定で、本県沿岸部の小中学校と高等学校の計32校が浸水する見込みとなりました。校舎だけでなく通学路が浸水域に入る地域もあり、さまざまなケースを想定した備えの再確認が必要です。教育長に伺います。新たな浸水想定を受けての学校津波防災対策についての具体的な対策をお示しください。
 防災減災対策の推進についてです。
 9月30日、政府の中央防災会議が開催され、巨大地震に伴う津波対策の特別強化地域に本県沿岸12市町村が指定されました。避難施設の整備に対する国の補助率引き上げなどが示されましたが、市町村からはハード、ソフト面での幅広い対策が必要なことから、支援の一層の拡充を求める声が上がっています。
 知事は、県の被害想定公表に際して、市町村と連携して対策を進めるとともに、国に対して引き続き対策を推進するための財政支援を求めていく考えを明らかにされていましたが、今回の国の動きを踏まえて、今後、県として犠牲者ゼロを目指し、防災減災対策をどのように取り組んでいこうとしているのかお伺いします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小西和子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、人員体制についてでありますが、県民の生命や生活を守るため、自然災害、感染症など緊急的な対応を要する事案に対しては、フェーズに応じて機動的に組織、人員体制を構築していくことが重要であります。このため、例えば、大規模自然災害時には事業全体のマネジメントを担う職の設置のほか、用地取得事務や災害復旧事業等に対応する職員を増員し、集中的な人員配置を行っています。
 また、新型コロナウイルス感染症対策に当たっては、全庁による業務支援体制を構築し、全庁一丸となって対応するとともに、退職した保健師の会計年度任用職員への任用や外部委託を導入するなど、恒常的に、緊急時、非常時における業務や体制の見直しを進めています。
 近年、全国各地で大規模な自然災害が頻発していることに加え、鳥インフルエンザなど県民生活に大きな影響を及ぼすさまざまな事案が発生していることから、専門職員を初めとする必要な職員を確保していくことはもとより、業務の優先度に応じた弾力的な職員体制を編成し、さまざまな危機管理上の課題に迅速かつ的確に対応できる体制の構築に県として最優先で取り組んでまいります。
 次に、いわてのこども基本条例の制定についてでありますが、本年6月に成立したこども基本法は、基本理念に国連の子どもの権利条約に規定する子どもの最善の利益を第一とする考え方を盛り込み、社会全体で総合的かつ強力に子供施策を実施していくための包括的な基本法として制定されたものであります。
 これまで子供に関するさまざまな施策は、各種法律によるほか、地方自治体の独自条例により進められてきましたが、今般のこども法の成立により、子どもの権利条約に沿った考え方が子供施策の共通の基盤として明確化されたものと考えております。
 本県では、県民が安心して子供を産み育てることができる環境の整備を図り、一人一人の子供を健やかに育むことができる社会の実現に寄与することを目指し、いわての子どもを健やかに育む条例を平成27年4月に施行し、基本理念として、子供の支援に当たっては子供の権利を尊重し、その最善の利益を考慮することを盛り込んでいます。
 今後も、こども基本法の趣旨を踏まえながら、本条例に基づく基本計画である、いわて子どもプランに掲げる子供の生きる力を育むための教育環境の整備や児童虐待防止、子供の貧困対策などの施策を着実に実施しながら、子供の権利の尊重や権利擁護の取り組みを推進していく考えであります。
 次に、犯罪被害者等に対する支援条例についてでありますが、犯罪被害者やその家族等が平穏な生活を営むことができるよう支援をしていくことが重要であり、県では、平成17年の犯罪被害者等基本法の施行を受けて、平成19年に岩手県犯罪のない安全で安心なまちづくり条例を制定し、同条例に県の責務や県民の役割のほか、市町村や支援団体と連携を図り、犯罪被害者等に対し必要な施策を講ずると規定し、犯罪被害者等への支援に取り組んでまいりました。
 具体的には、平成20年に岩手県犯罪被害者等支援指針を策定し、県及び全ての市町村での総合的対応窓口の設置、いわて被害者支援センターでの被害者支援のスキルを有した支援員による相談対応や、医療、捜査、司法機関への同行支援、警察での被害者等に対する給付金等の支給など、さまざまな取り組みを行っているところであります。
 このように、県では、市町村、関係団体等と連携して犯罪被害者等に対する支援を行ってきたところでありますが、情報通信技術の普及、進展に伴い、スマートフォン等が犯罪に悪用される事例の増加や犯罪の巧妙化などにより、誰もが犯罪に巻き込まれる可能性が高まっているほか、SNSなどによる被害者に対する誹謗中傷等の二次被害の問題が深刻化しているところであり、これらに対応する必要があることから、より被害者支援に重点を置いた、いわゆる犯罪被害者等支援特化条例の制定も含め、今後検討を進めてまいります。
 次に、ジェンダーの主流化についてでありますが、県では、昨年3月に策定した、いわて男女共同参画プランにおいて、あらゆる分野における女性の参画拡大や女性の活躍支援などを施策の基本的方向の柱に掲げ、各種取り組みを進めています。
 具体的には、審議会等の女性委員や県の管理職員等の女性割合を高める取り組みや、東日本大震災津波復興委員会への女性参画推進専門委員会の設置等により、さまざまな分野にジェンダー平等の視点を反映しているところです。
 また、若年女性の県内就職や定着促進を図るため、いわてで働こう推進協議会を核として、仕事と生活の両立に向けた働き方改革等の取り組みを展開するとともに、いわて女性の活躍促進連携会議では、企業、団体の経営トップ層の意識改革や実践に向けた働きかけを行うなど、官民が連携して女性が働きやすい環境整備にも取り組んでいます。
 8月の市町村長との意見交換会においても、女性活躍施策を充実、強化すべきとの意見を多くいただいたところであり、県としては、今後も引き続き、あらゆる分野においてジェンダーギャップが解消されるよう、性別にかかわらず、一人一人が尊重され、ともに参画できる社会の実現を目指した施策を展開してまいります。
 次に、持続可能な地域公共交通の確保についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)においては、広域的な公共交通基盤や地域公共交通の確保など、地域の暮らしを支える公共交通の取り組みを掲げているところであり、人口減少が進む中、持続的な地域公共交通の確保は重要な課題であります。
 地方鉄道路線を含めた鉄道ネットワークは、国の交通政策の根幹として維持されるべきであり、その維持、確保に向けて政府予算要望を行いましたほか、地方ローカル線を有する28道府県とも連携し、同様の提言を国に対し行ったところであります。
 今般、JR東日本から各地方路線の収支の公表がなされたところでありますが、地方ローカル線は地域住民の移動手段としてのみならず、災害時における代替性、補完性を有し、観光、物流など地域経済を支える重要な社会基盤でありますことから、県としては、地方ローカル線の維持に向け、沿線市町と連携した会議を設置し、国やJR東日本への要請内容、マイレール意識など住民意識の醸成や鉄道の利用促進、JR東日本や国の特定線区再構築協議会から何らかの提案がなされた場合の対応など、今後の対応を協議したいと考えております。
 今後とも沿線市町や関係道府県等と連携して、国やJR東日本に対し強く働きかけを行ってまいります。
 次に、いわて被災者支援センターの体制についてでありますが、発災からの時間の経過とともに恒久的住宅への移行後のローン返済や家賃負担など、経済面や生活設計の面などで複雑かつ多様な課題を抱える被災者への支援が必要なことから、昨年4月に、釜石市にいわて被災者支援センターを、盛岡市にサブセンターを設置し、被災者個々のケースに応じた相談対応を行ってきたところであります。
 同センターでは、相談内容に応じ市町村及び市町村社会福祉協議会などと連携して対応するとともに、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャルプランナーと連携し、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行っています。
 今後とも、弁護士等の専門家と直接相談できるセンターの特徴を十分に生かしていけるよう、引き続き弁護士会などの関係機関との連携を図るとともに、介護や子育て、生活困窮など、さまざまなニーズに対応した包括的な支援に取り組む市町村とも一層の連携を強化し、被災者一人一人に寄り添い支援してまいります。
 次に、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震、津波に係る防災対策についてでありますが、本年9月に公表した岩手県地震・津波被害想定調査報告書では、本県最大クラスの地震、津波による被害想定に加え、減災対策の基本的方向性として、県民一人一人の避難意識の向上や迅速な避難などの自助の取り組みにより、人的被害を大幅に減らすことができることを示すとともに、犠牲者をゼロにするため、地域や企業、行政などが一体となった共助、公助の取り組みの方向性を示したところであります。
 本報告書を踏まえ、県では、市町村と実務レベルでの新たな検討組織を早急に立ち上げ、迅速に避難するための防災意識の普及啓発、自主防災組織の活性化、津波浸水想定や積雪寒冷を考慮した津波避難施設や避難路の整備、避難所における防寒対策など、ハード、ソフト両面にわたる具体的な対策を検討することとしています。
 また、市町村の津波避難計画の策定の手引となる津波避難計画策定指針や広域防災拠点配置計画、災害備蓄指針、災害時応援受援計画について、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震、津波に対応した見直しを進め、必要な対策を迅速に講じてまいります。
 こうした取り組みなどにより、県では、自助、共助、公助による防災体制づくりを強化するとともに、再び津波による犠牲者を出さないという強い決意を県民や市町村、関係機関としっかり共有し、あらゆる主体と連携しながら、何としても命を守るための地震、津波防災対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔環境生活部長福田直君登壇〕
〇環境生活部長(福田直君) パートナーシップ制度の導入についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)では、多様な性について理解し、尊重する社会の実現をうたっているほか、いわて男女共同参画プランでは、多様な性的指向、性自認への理解促進や男女共同参画センターでの相談対応について記載をしております。
 パートナーシップ制度については、住民登録を市町村が所管していることもあり、県内でも複数の市町村が導入に向けた検討を行っているほか、ことし8月には県としても当事者の方を含む関係団体の皆様から要望をいただき、公営住宅への入居や病院での待遇におけるメリットを改めて認識したところであります。
 その上で、制度導入に当たっての課題としては、導入する自治体ごとに対象者の範囲や認定の手続が大きく異なると混乱が生じかねないこと、また、市町村と県が別個に制度を導入すると利用者が双方に申請する手間が生じることなどが懸念されます。
 現時点では、条例等に具体的な制度を記載することまでは考えておりませんが、パートナーシップ制度を必要とされている方にとって真にメリットがある形で物事が進んでいくよう、市町村との関係も踏まえながら、今年度中を目途に本県の対応の方向性を整理してまいります。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) 沿岸市町村における避難行動要支援者の個別避難計画の作成状況についてでありますが、沿岸12市町村のうち、対象者全員の計画を作成しているのは1村のみにとどまっており、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震津波による被害想定の公表も踏まえ、早期の作成に向けた取り組みが必要であると認識しています。
 県では、平成22年度から毎年、市町村職員を対象とした計画作成に係る研修会を開催しており、内閣府職員による制度説明や、取り組みが先行している市町村による事例紹介等を行っているほか、令和元年度からは、取り組みが進んでいない市町村を個別に訪問し、それぞれの実情に応じた助言を行うなど、早期の作成を促してきたところです。
 沿岸部の市町村からは、津波の場合は限られた時間の中で、避難支援者が自分の安全を確保しながら要支援者の避難を補助する必要があり、支援者自身が津波に巻き込まれるおそれがあること、また、支援に適任の方がいても、万が一、要支援者が避難しきれなかった場合の責任を懸念し、その役割を引き受けることをちゅうちょされることなどから、支援者の確保が難しいと聞いています。
 このように、沿岸市町村の個別避難計画の作成は、津波が到達するまでの時間のほか、震災において避難支援にかかわり亡くなった方の存在やその遺族の心情などを考慮しつつ進める必要があることから、同様の課題を抱える他の都道府県の取り組み事例なども参考にしながら、個別避難計画の作成を含め、さまざまな観点から人命を最優先とした避難支援の手だてを市町村と一緒になって検討していきたいと考えております。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、スクールサポースタッフの配置についてでありますが、今年度は当初予算により、小中学校に71人、特別支援学校に15人、計86人を配置し、その後の県内における感染状況等を踏まえ、6月補正予算で小中学校95人分を追加措置し、合計181人の配置としています。
 現在配置しているスタッフの任用期間については、当面2学期までとしておりますが、継続配置については、県内における感染者の状況やワクチン接種の進捗状況などを踏まえて、時期を失することなく適切に判断してまいります。
 次に、学校支援体制の強化についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の対応として、県教育委員会事務局内に、情報収集・相談窓口班と、オンライン活用・業務支援班を設置し、学校の感染状況の情報収集、臨時休業の措置や再開後の学校運営等についての相談に対応するとともに、必要に応じて県教育委員会の指導主事を学校に派遣し、授業等の支援、オンライン活用等のサポート等のほか、県教育委員会の職員が保健所にリエゾンとして入り、学校との連絡調整業務を担うことで学校運営を支援してきたところです。
 また、今般の第7波においては、学校においても児童生徒や教職員の感染者数が増加したことや、感染症対策と社会経済活動の維持などの動きも踏まえ、スクールサポートスタッフの拡充、抗原検査キットによる小学校、特別支援学校の教職員の検査等にも取り組み、感染拡大防止と学びの継続の両立に努めてきたところです。
 このような支援に加え、感染症対策に係る報告業務等について、感染状況や学校の負担軽減等も考慮し、簡素化、効率化に努めてきたところです。
 今後におきましても、学校の負担増につながらないよう、さまざま工夫しながら対応していく考えです。
 次に、不登校児童生徒の教育機会の確保についてでありますが、不登校特例校は、令和4年4月の時点で、公立学校としては区立で2校、市立で10校の計12校、私立学校としては9校で、全国で21校設置されており、前年度から4校ふえたものの、都道府県での設置例はまだないものと承知しております。
 県教育委員会は、これまでも不登校対策は重要な課題であるとの認識で、市町村教育委員会と連携し、魅力ある学校づくりによる不登校の未然防止、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等と協力しながら不登校対策に取り組んできたところです。
 また、昨年度から、県教育委員会とフリースクール等民間施設の運営者による不登校児童生徒支援連絡会議を開催しており、今年度は市町村教育委員会が設置している教育支援センター担当者にも出席いただき、教育機会の確保に向けた連携のあり方を検討していくこととしたところです。
 引き続き、市町村教育委員会との意見交換会等において情報共有を図るとともに、教育支援センターやフリースクール等と連携しながら、不登校児童生徒の支援や教育機会の確保に努めてまいります。
 次に、産休取得者、休職者等に係る代替教員の配置についてでありますが、まず、小中学校については、市町村教育委員会との連携による計画的な人材確保に向けた情報収集などの取り組みにより、昨年度当初は代替教員の未配置は生じなかったものの、今年度は常勤講師のなり手不足や年度途中の産休取得、休職等の発生により代替教員を配置することが困難な事例も生じています。
 一方、県立学校については、非常勤講師なども活用しながら、必要とされる代替教員を確保できている状況にあります。
 代替教員の確保や、なり手となり得る教員採用試験受験者の掘り起こしについては、先月開催されました都道府県・指定都市教育委員会教育長会議の中で、文部科学大臣から、年度前半に産休、育休の取得が見込まれる教員の代替者を年度当初から任用することの有益性や、国全体で教員志願者をふやしていくため、教員採用試験の早期化等について、文部科学省と教育委員会等の関係団体からなる協議会を立ち上げて検討していく予定であることなど、教員不足への対応に積極的に取り組む方向性が示されたところです。
 県教育委員会では、国が示した考えを踏まえて、産休取得者、休職者等に係る代替教員の確保に一層取り組んでいくとともに、受験者数の確保についても、学生への情報発信の機会の拡充や教員採用試験の見直しに向けた検討などに取り組むことにより、学校現場をしっかりと支えてまいりたいと考えております。
 次に、教職員の働き方改革についてでありますが、職員団体が本年5月から6月にかけて、県内の公立小中学校の教職員を対象に勤務実態に関する調査を行い、県内824人の教職員から回答があったことは、新聞報道等により承知しております。
 県教育委員会では、昨年2月に策定した、岩手県教職員働き方改革プラン(2021〜2023)に基づき、県立学校の教職員について、時間外在校等時間が月100時間以上の者をゼロにする等の目標を掲げて取り組みを進めているところであり、市町村教育委員会に対しては、本プランを参考に、その実情に応じた目標を設定するなど、市町村立学校における働き方改革の推進を要請しておりますが、今回の調査結果を踏まえると、さらなる取り組みの強化が必要であると考えております。
 こうした現状を踏まえ、県教育委員会といたしましては、会議や各種照会の精選、学校閉庁日の設定、長時間勤務者への保健指導などの取り組みを引き続き推進するとともに、市町村教育委員会と連携して、児童生徒の学力や健康状態等の情報を一元管理し、教育の質の向上及び教員業務の効率化を図る全県統一の統合型校務支援システムの導入や、休日の部活動の段階的な地域移行に向けた実践研究事業などの取り組みを着実に推進し、県内学校全体における教職員の負担軽減と働き方改革につなげていく考えです。
 次に、再発防止岩手モデルへの文言についてでありますが、県教育委員会では、学識経験者など外部の専門家が参画した再発防止「岩手モデル」策定委員会を令和2年11月に設置し、これまでに7回の会議において、教職員の体罰、ハラスメント等の再発防止に向けて、具体的かつ実効性ある対策などについて議論を深めているところです。
 その議論においては、外部委員等から、こども基本法の基本理念に掲げられている子供の基本的人権の保障、意見表明権などにかかわる意見や助言等をいただいているところであり、具体的には、スポーツ指導における指導者の責任には、子供の心や人権を守ること、自尊心や健やかに生きる権利を大切にするということも含まれているという意見や、指導者と生徒がお互いに意見を言い合える関係、ディスカッションができる関係の構築が望まれるという助言があったところです。
 今後の検討において、こうした意見等を対策に反映させていくことで、同法の趣旨を踏まえたモデルとなるよう進めてまいりたいと考えております。
 次に、学校津波対策についてでありますが、沿岸部の各学校では、東日本大震災津波以降、想定を超える高さの津波、浸水への備えとして、これまでも学校や地域の実情に合わせ、懸念される災害リスクへの対策を継続的に進めてきています。
 今回の公表において浸水区域内とされた32校については、想定される浸水範囲の拡大を受け、改めて避難マニュアルの改定や避難経路、避難場所の確認を行い、避難場所をより高台に移したり、浸水区域を避けるような避難経路へ変更したりするなどの見直しを進めてまいります。
 各市町村においても、防災計画や防災ハザードマップの更新や見直しが進められ、学校ではそれに基づき、さまざまなケースを想定した避難訓練を行っており、例えば、通学路が浸水区域に入っている地域において、住民と一緒に下校時の避難訓練を行うなど、より実践的、実効的な防災訓練となるよう市町村の防災担当部署との連携を図っています。
 県教育委員会としては、毎年実施している県防災教育研修会や復興教育研修会などの各種研修会において、教職員の防災に関する専門性の向上を図るとともに、全ての学校において充実した防災教育を実施し、児童生徒の安全に関する資質、能力の育成に努めていく考えです。
〇31番(小西和子君) 再質問をさせていただきます。
 まず、教育についてです。新型コロナウイルス感染症対策について、学校における人員体制の強化のことですけれども、文部科学省の資料によれば、教員業務支援員、つまり、スクールサポートスタッフの配置について、次のように述べています。教師の負担軽減を図り、教師がより児童生徒への指導や教材研究等に注力できるよう、学習プリント等の準備や採点業務、来客、電話対応、消毒作業をする、それが教員業務支援員、スクールサポートスタッフである。その配置を支援するとあります。これは学校教育活動の充実と働き方改革を実現するための配置です。来年度は今年度の約2.3倍の予算要求となっております。つまり、教員業務支援員、スクールサポートスタッフの配置は消毒作業のみの配置ではないのです。新型コロナウイルス感染症の感染の状況を見てというのは、文部科学省の配置の趣旨に当たらないのではないでしょうか。ほかの県のように、年度初めから通年で配置すべきと考えますが、いかがでしょうか。教育長に伺います。
 続けます。豊かな教育の実現についてということで、不登校児童生徒の教育機会の確保についてのことでしたけれども、先ほど私は、1クラスに1人不登校がいますというようなことを言いましたけれども、実は、県内の小中学校でも欠席が29日以下の児童生徒はかなりいます。フリースクールに行ったり、保健室登校をしたり、朝だけ来て帰るとか、中には、校門にタッチしたらいいよというようなことをしている学校など、1クラスに複数おります。
 文部科学省は次年度の概算要求のポイントに、誰もが学ぶことができる機会の保障の不登校特例校の設置促進等、夜間中学の設置促進等として、今年度の1.3倍の予算要求をしております。それだけ重要だと考えているわけです。ぜひ岩手県の不登校児童生徒の機会均等の確保のため、県立の不登校特例校をつくってくださいと言っているのではなくて、今、準備をしている地域がありますので、その地域の支援をしていただきたいということでございます。いかがでしょうか。
 続けます。教職員の確保と働き方改革について、永岡文部科学大臣が10月3日の会見で、教職員の確保のために教員採用試験の早期化、前倒しをして人員を確保するということです。早ければ2024年度から行いたいということを話しましたけれども、岩手県はこのことについて、どのように考えているのでしょうか。
 次は、働き方改革についてです。働き方改革が叫ばれてから既に数年たっておりますけれども、一向に変わっていません。公益財団法人連合総合生活開発研究所の調査では、残業時間が月平均で約123時間と公表されました。過労死ラインの1.5倍なわけです。働き方改革のため、国や自治体が取り組むべき課題としては、93.5%が学校への教職員配置増と回答しています。岩手県は、他県のように、県単独予算で教職員の配置人数をふやしているのでしょうか。いつも引き合いに出すのは秋田県ですけれども、大体20年間で120億円以上で人員をふやしております。他県でもそうです。そのことについてお伺いしたいと思います。
 私、がっかりした答弁があったので、一つ確かめたいことができました。いわてのこども基本条例のことです。知事が答弁してくださったのですが、元は保健福祉部なので、保健福祉部長にお伺いしたいと思います。
 いわての子どもを健やかに育む条例というのは、国連子どもの権利条約をベースにしたものではないのです。それをチェックする団体があるのですが、その中には含まれていないで、岩手県では遠野市と奥州市にしかありません。そこで確かめたいのですけれども、いわての子どもを健やかに育む条例の中に、国のこども基本法、つまり憲法、国連子どもの条約を盛り込んでいくというような捉えでいいのかどうかということを答弁していただきたいと思います。もしそうでなかったら、国が進めていることと整合性がとれないのではないかと思います。
 最後ですけれども、ジェンダー平等社会の実現についてですが、被害者等支援条例の制定について、本当に前向きな答弁、ありがとうございました。復興防災部長にお伺いしますけれども、犯罪被害者等支援条例制定の機運がすごく高まりまして、2022年度には93.6%に至る見通しです。残るは本県と鳥取県と島根県ということになっていまして、鳥取県と島根県では、合同で犯罪被害者がのぞむ支援をどの地域でも、改めて自治体による支援を考えると題したシンポジウムを今月行う予定になっております。条例制定に向けて、もう動き出しております。岩手県も実効ある条例制定のための動きをつくっていくことになりますけれども、その意気込みをお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) 犯罪被害者等に対する支援条例についてでございます。先ほど知事が御答弁申し上げましたとおり、全国的にスマートフォン等を利用しました犯罪の増加、それから、被害者へのいわれなき誹謗中傷といった二次被害の問題、そしてまた、記憶に新しいところでございますけれども、3年前の京都アニメーションの放火殺人事件といった凄惨な事件も起こっております。本県は人口当たりの刑法犯の認知件数が全国でも1番目、あるいは2番目と低い県であり、また、凶悪な犯罪の発生も少ない状況にございますけれども、昨今の状況を鑑みますと、誰もが犯罪に巻き込まれる可能性があり、万が一、そのような事件が発生した場合に備え、被害者等への支援の取り組みを充実、強化させておくことが重要と考えております。
 小西和子議員から御質問がございましたとおり、多くの都道府県でいわゆる犯罪被害者等支援特化条例を制定して、被害者支援に取り組んでいるところでございますので、本県もこうした取り組みを十分に参考にしながら、不幸にして県民が犯罪に巻き込まれるようなことがあった場合には、被害者の視点に立って寄り添った支援ができるよう、条例の制定も含めまして、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(野原勝君) 小西和子議員から岩手県の条例との関係について御質問をいただきました。平成27年に策定しました本県のいわての子どもを健やかに育む条例については、子どもの権利条約が定めている四つの個々の子供の権利については、個別には規定はしていないものの、この条例の基本理念の第3条におきまして、国連の条約で求めている子供の権利を尊重し、その最善の利益を考慮することは掲げていると考えております。
 今般、子どもの権利条約に定めます子供の権利については、こども基本法の基本理念に盛り込まれました。来年4月にこども基本法が施行されます。子供施策がこの条約の基本理念にのっとり、法に基づいて着実に実施されていくかどうか等の観点から、実態について、今後きちんと把握をしつつ、県の条例のあり方等については、法施行の効果ということも十分に見きわめ、また、子供を取り巻く状況が今後大きく変わっていくということも想定されますので、そうしたことも踏まえながら検討していくべき課題であると認識をしております。
〇教育長(佐藤博君) まず、スクールサポートスタッフの配置についてでございますが、担当する業務につきまして、小西和子議員御指摘のとおり、消毒作業に限らず、授業で使用します教材等の印刷であるとか物品の準備、あるいは、小テスト等の採点補助など、教職員の業務負担を軽減するために大きな役割を担っていただいているとされております。
 一方で、財源面で見ますと、御紹介がありましたように、文部科学省の概算要求では2.3倍という要求がなされておりますが、私どもも当初予算で措置しました86人分につきましては、補助率が3分の1の国庫補助を活用しております。その後、県内の感染状況が拡大してきたところでございまして、6月補正予算で追加した95人につきましては、新型コロナウイルス感染症対応の交付金を活用することで、必要な人員の確保につなげることができたということがございます。
 こうした財源措置等につきまして、私どもも国庫補助について、補助率を拡充するよう要望しております。全国都道府県教育長協議会を通じまして、今、措置をしていない高等学校も含めて、希望する全ての公立学校への配置について要望しているところでございます。引き続き、教職員の負担軽減と働き方改革の実現に向けて、取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、不登校特例校の設置に向けての支援についてでございますが、不登校特例校は児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成して教育を行うことができる学校でありまして、居場所の確保と学びの保障ができるものと捉えております。
 教育機会確保法におきまして、教育支援センターや民間団体等とも連携を図りつつ、基礎学力の定着、あるいは社会性の育成、また、自己肯定感の向上等、また、進学に向けての取り組みとか、こういったものが可能となるものでございますので、今後、県内の動向にも配意しながら、不登校児童生徒の教育機会の確保をどう図っていくか、研究してまいりたいと思います。
 それから、教職員の確保についてでございますが、永岡文部科学大臣が会議でも申されましたし、記者会見でも述べておりますが、協議会の設置が進められてまいりますので、県教育委員会としましては、その検討状況等を注視しながら、実施時期も含めて、教員採用試験の見直しに向けた検討を進めまして、また、あわせて、受験者数の確保につなげていきたいと考えております。
 それから、人員の確保でございます。これにつきましては、本県では大変厳しい財政状況もございます。これまでも小中学校における35人学級、これは国の加配を活用して実施してきておりますが、標準法に基づく基礎定数に加えまして、少人数指導であるとか専科指導等の国の加配を活用しながら、学校の事情や教育課程を踏まえて教職員の配置に努めているところでございます。
 働き方改革を進めるために、教職員の定数については、国に対し、中学校における少人数学級の拡大も含めまして、新たな定数改善計画を早期に策定するよう要望しておりますし、また、同様に、高等学校におきましても、本県のような地理的条件を抱えた地域における小規模校に係る教職員の配置基準の見直しを含めた新たな定数改善計画を早期に策定するよう要望しているところでございます。
 引き続き、国への要望と、それから、県内の教員を支援できるような体制等について検討してまいりたいと考えております。
〇31番(小西和子君) 保健福祉部長には急な御質問で失礼いたしました。こども基本法に基づいて、現在のいわての子どもを健やかに育む条例を見直していくという捉えでよろしいですね。
 では、教育長も本当にいろいろ人員をふやすためにも御苦労されてくださっているというのは聞いております。過労死ライン80時間超えの教職員が7割近くもいるということを捉えまして、今、働いている教職員に教育長からメッセージを送っていただきたいです。ここ二、三年でやめたいと思ったことがありますかという質問に、多くの教職員が、もう精も根も尽き果てたからやめたいと答えている、そういう実態がありますので、お聞きして終わりたいと思います。
〇教育長(佐藤博君) まずもって、新型コロナウイルス感染症の感染が学校や地域におきまして発生している状況の中で、教職員の皆さん方は児童生徒の健康、安全を最優先に、学校教育活動、あるいは部活動等、子供たちの生活等を見守っていただいて、学校運営していただいております。本当に大変な御苦労をおかけしていることに感謝申し上げたいと思います。
 今般のコロナ禍は、社会経済であるとか、学校を取り巻く地域、学校教育活動、あるいは部活動にも直接影響しておりますし、子供たちの生活にも大きな変化をもたらしているものだと捉えております。また、これからの社会変化とか教育環境にも大きな影響を及ぼしていくのではないかと考えております。
 そういう中で、岩手県、あるいは日本の将来を担う子供たちをしっかり育むために、ぜひとも教職員の皆さんは子供たちの視点に立っていただいて、そして、今こそ岩手県の教職員としての強い使命感に立って、子供たちをしっかり育んでいっていただきたいというエールを送りたいと思います。
   
〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
  午後2時26分 休 憩
   
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 高 橋 穏 至 君
10  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時47分再開
〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木努君。
   〔36番佐々木努君登壇〕(拍手)

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