令和4年6月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(米内紘正君) 自由民主党の米内紘正でございます。
 請願陳情受理番号第70号について、不採択との委員長報告に対して、賛成の立場から討論を行います。
 ロシアによるウクライナへの侵略戦争は、長期化をし、苛烈をきわめております。民間の死者数においても、子供を含む数千人が犠牲になっているとの報道があり、我々は、いま一度、国を守る、国民の命を守るということについて真剣に考えなければなりません。
 日本においても決して対岸の火事ではなく、北朝鮮から次から次へとミサイルが飛んできたり、中国、ロシアの軍艦も日本列島を周回したりするなど、日本の平和は、現在進行形で脅かされている状況であります。
 まず、今般、政府が打ち出した骨太の方針では、防衛費について、NATO諸国並みのGDP比2%以上を念頭に新たな国家安全保障戦略等の検討を加速し、国家安全保障の最終的な担保となる防衛力を5年以内に抜本的に強化するとしています。
 GDP比2%以上を念頭とする方針については、目標値ではなく、あくまで対外的に日本の強い意志を示す意味を持っております。そして、必要な防衛予算に関しては、スタンド・オフ防衛能力や無人化装備、宇宙・サイバー・電磁波領域を含む領域横断能力、機動展開能力、指揮統制・情報関連機能の強化やAI、無人機、量子等の先端技術の研究開発の推進、また、防衛力の持続性を確保するとともに、現有装備品を真に有効に活用するための必要な弾薬の確保、装備品の維持整備、隊舎・宿舎の老朽化対策への取り組みの強化、そして、質の高い自衛隊員の十分な確保や処遇改善を通じた人的基盤の充実など、具体的方向性を示しております。
 まずは、日本を守るために必要な防衛予算を積み上げることが最優先であります。もちろん、岩屋毅元防衛大臣も言っているように、防衛費の編成は、数値目標が先にあって、そこに向かってとにかく買い足していくというような雑なやり方をしてはいけないというのは、全くもってそのとおりでありますが、今回の防衛費の議論に関しては、NHKの日曜討論において、各党―自由民主党、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会は、防衛費の増額の議論はすべきとの立場を表明しております。
 国防に関する国民の意識が高まる中で、今必要とされているのは、真に日本を守るためにどの程度の装備が必要なのかということをしっかり議論して、国民に対して丁寧に説明していくことであります。
 自衛隊の岩手駐屯地においても、40年前の大砲をいまだに使っております。日本が持っている日本の装備で、中国やロシアの最新鋭の兵器から本当に国民を守ることができるのか、そういった議論をせずに、2%以上は反対という数字ありきで反対することは、批判ばかりの無責任な対応と言わざるを得ません。今の日本は、国民の命を守ることができるのかという問いに対して、防衛費の積み上げと丁寧な説明をしなければ、それこそ国民の不安をあおるだけで、際限なき軍拡に結びつきかねません。
 先日の一般質問においても、軍事評論家の田岡俊次さんの言葉が引用された議論がありました。自衛隊員が定員割れしていて、防衛費をふやしても自衛隊員はふえないとか、日本の基地や空港などの主要施設を守るのは装備を整えても無理だとか、不安をあおるばかりで、それでは、この先どうすればよいのかという議論が全くありませんでした。評論家であれば、国を守る責任もないから、平和ぼけのタカ派などとやゆしていればいいのかもしれません。でも、政治の役割は、国民の命を守ることに対して、国民の不安に対して、責任ある判断、対処を行うことであります。
 現在の不安定な世界情勢において、外交によって全てを解決すべきとの意見もあります。それでは、外交によってロシアからの侵略を防げなかったウクライナは、果たして外交努力を怠ったのでしょうか。まずは、ウクライナがどのような外交努力を怠ってロシアに攻め込まれたのか、その教訓から日本はどうするべきか具体的に説明をしていただきたい。その説明ができないのであれば、外交努力だけで国を守るなどという軽はずみな発言は決してできないと考えます。
 外的脅威から国民の命を守るということに対して、具体的な対応策を示さず、机上の空論を論じるだけでは、国民の理解は得られず、政党の存続すら危ぶまれるのではないでしょうか。
 防衛費の財源に関しては、先日、自由民主党の高市早苗政務調査会長が、短期的には国債発行になるが、将来的な防衛費の財源は、ほかの予算を削減して充てるのではなく、日本経済を拡大して国防費を確保するのが望ましいと説明しました。
 短期的には国債の発行になりますが、それによって国を守るということは、将来世代にツケを回すことではなく、豊かな国土を未来の世代に残すという現役世代の当然の責務であります。無責任な批判によって国土がじゅうりんされるより、よほど国民の理解が得られるのではないでしょうか。
 GDP比2%以上だから反対という数字ありきの反対ではなく、真に国民を守るための議論、現在の装備が国民を守るに足るか否かということを最優先に考え防衛費を積み上げていくべきとの立場から、委員長報告に対して賛成であります。
 議員各位の御賛同をお願い申し上げ、賛成討論といたします。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(五日市王君) 次に、高橋はじめ君。
   〔32番高橋はじめ君登壇〕

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