令和4年6月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録 |
前へ | 次へ |
〇15番(菅野ひろのり君) 希望いわての菅野ひろのりでございます。登壇の機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。
私は、特に昨年10月の衆議院議員総選挙以降、地方自治と政党政治のあり方について考えてまいりました。初めに、知事に地方政治と政党政治について伺います。 私は政党所属議員であり、政治思想は保守中道、小沢一郎衆議院議員を一貫して支持し、活動してきました。それぞれの立場を尊重しつつも、私は地方議員であっても、本来は支持政党を背負いながら活動することが望ましいと考えており、一方で、地方自治、すなわち二元代表制の一翼の立場においては、政党の意向にかかわらず、県民の幸福を第一に考え、是々非々で臨むのが重要であります。 地方議会において、政党のかかわりを自治体議会政策学会会長の地方自治制度の歴史から読むと、府県会レベルで政党を結成する動きが出てきたのが明治14年の板垣退助の自由党、明治15年の大隈重信の改進党以降のことであり、その理由は、国家的な課題に直結した、例えば、道路整備の要望など、政党すなわち政府を懐柔するか弾圧するかの二択の手法であるとのことで、140年近く経過した現在の政治体制と大きく変わらない印象を受けました。 また、近年の日本政治は1955年の保守合同で成立した自民党が日本政治を牽引し、高度経済成長期を支え、田中角栄の日本列島改造論に見られるように、新幹線網の整備など全国隅々に都市に追いつけと地方を発展させ、誰もが豊かになれる社会を目指してきました。 それら政治の役割は、物質的な豊かさをもたらす地元への利益誘導が主でしたが、それは成長の時代だから成立した政治構造であって、停滞する現代では政治の姿が異なると課題意識を持っています。 御承知のように、日本の借金は年々増加し、2022年度末には1、000兆円を超え、出生率の低下、人口は2050年には1億人を下回り、生産年齢人口について、現在より1、500万人程度減少が予想されています。 また、達増知事が予算特別委員会で引用した山崎史郎氏の人口戦略法案から言葉をかりれば、6、000万人の小国日本を望むか、移民を受け入れるかを選択するという現実が目前です。雇用や賃金、地方と都市のさまざまな格差は拡大し、農村部は少子高齢化がより加速し、10年後には集落消滅の危機さえ見えてきます。 そうしますと、財政難と人口減少下の中では、富の分配の政治ではなく、成長化の影から表面化してきた負を分配する政治を進めていかなければならないのだろうと考えます。まさに次世代のための社会基盤をつくり直す時期です。 質問に入りますが、そうしたとき、地方政治においては、1999年公布の地方分権一括法の趣旨と推進に関する基本理念に基づき、地方を豊かにするために地方公共団体の自主性、自立性をさらに高めるように努力し、明治以降果たしてきた役割や利益誘導政治から脱却しなければならないと考えています。 政党政治が地方自治に与えてきた役割、影響はどういうものであったのか、知事の県政運営を踏まえて伺います。また、人口減少、財政難を背景にしたこれからの県政運営と政党の関係について、どういうあり方が望ましいと考えるのか所見を伺います。 次に、知事の支持政党と地方交付税の配分について伺います。 令和4年6月22日、参議院議員選挙が公示されました。国政選挙や知事選挙が近づくと、知事が野党だから予算や地方交付税が来ない、政策実現は与党でなければできないと聞こえてきます。政党一部関係者だけでなく、その言葉を繰り返す方々がいることに、国民の自立に至っていないと言われるあらわれだと感じるときです。その政治は、理念や小さな声も聞き入れる民主主義の姿ではなく、既得権益をもとにした利権政治や利益誘導政治であり、歴史を見ても利権政治は国家を腐敗させ国民の生活を苦しめる土壌となります。大切なのは国民、県民の生活が第一です。 地方交付税制度の目的は、地方公共団体の自主性を損なわずにその財源の均衡化を図り、地方行政の計画的な運営を保障することで地方公共団体の独立性を強化することにあります。 岩手県の令和4年度の一般会計歳入歳出の予算の状況を確認すれば、依存財源の地方交付税の金額、割合ともに東北6県の平均を上回っており、県別の社会資本整備事業関係予算についても国の予算措置に差があるようには見られません。 また、令和4年4月26日の衆議院総務委員会での立憲民主党の北海道、石川香織議員の地方交付税の質問に対して、金子総務大臣が、地方交付税法及び同法に基づく省令により個別の自治体ごとに算定している。選出議員の所属政党によって交付額の算定に影響ないと答えています。したがって、地方自治体の財政運営が知事の支持政党によって影響を受けることはなく、また、あってはならないものと私は確信するものであります。 仮に、知事等の政治姿勢によって実際は差が生じている、いわば本音と建前だと感じる方がいるとすれば、それこそ省みるべき姿です。知事の支持政党によって国の予算配分の傾向はあるのか、知事の所見を伺います。 次に、物価高騰における各対策について伺います。 令和4年6月1日、希望いわてでは達増知事に対して、事業者支援、生活支援等の大きく3項目について県に対する物価高対策等の要望を行いました。今回の令和4年度一般会計補正予算(第3号)では、コロナ禍における物価高騰等で苦境にある事業者に対して、14億円の中小企業者支援パッケージや消費喚起策として11億円のプレミアムポイント還元事業費など早急に対応が必要となる予算を提案いただいたこと、敬意と感謝を表します。 私が最も懸念しているのが県民生活に与える影響です。令和4年5月の盛岡市消費者物価指数では、電気代で前年同月比18.7%の上昇、ガス代で前年同月比11.8%の上昇となるなど、光熱水道関係で大きな上昇が見られ、特に生活困窮者やひとり親家庭などへの影響が心配されます。県は中学生までの子供のいる世帯に1万5、000円の支援金を支給しますが、価格高騰が長期化すれば貸し付けも必要となり、生活へのさらなる困窮へもつながりかねません。県は物価高による生活困窮者の状況をどのように把握し、今後どのような対応が必要と考えるのか伺います。 次に、肥料、飼料の高騰について端的に伺います。 肥料の高騰が農家を苦しめています。例えば、茎や葉の栄養となる尿素が、令和3年4月の1、700円から令和4年4月には2、171円と28%上昇したほか、リン酸質肥料や配合肥料も同様に高騰しています。今回の補正予算案では、燃料の高騰対策としてさまざま計上されましたが、農業現場における肥料の高騰の現状をどのように捉え、必要な支援策を考えているのか伺います。 また、6月22日、全国農業協同組合連合会は配合飼料について、1トン当たり1万円を超える過去最大幅の値上げを発表しました。今回の補正予算案では、価格高騰対策として計上されたところでありますが、今後どのような対策を講じられるのか伺います。 次に、住宅施策における県産木材の利用促進について伺います。 ウッドショックが発生し木材価格が高騰しています。輸入木材が高騰する中、岩手県では県産木材活用のため、いわて木づかい住宅普及促進事業等を継続するほか、新規事業も含め積極的な姿勢がうかがえます。私はウッドショックを県産材利用促進の好機と捉え、この機会に、住宅を建てては壊すからの脱却を目指して、県産材の住宅とともに家を育てる住宅政策へ転換していただきたいと考えています。 日本では木造戸建住宅は一律に築後20年程度で建物の価値をゼロと評価する慣行が存在する上に、住宅ストックの質も依然として低い状況です。また、欧米と比較し低水準の省エネ基準をクリアできていない住宅が9割近くを占め、耐震性不足の住宅も国内では約700万戸存在すると言われています。例えば、35年ローンで苦労して新築住宅を手に入れても、子供には引き継がれることが少なく、また、県民の資産としても蓄積されていないことになります。カーボンニュートラルの観点からもこの状況を根本的に見直す必要があるのではないでしょうか。県は住宅施策おける県産木材の利用促進にどのように取り組んでいくのか伺います。 県立病院の再編と(仮称)地域医療基本法について伺います。 令和4年6月6日に公表された令和3年度岩手県立病院等事業会計決算概要によると、コロナ禍での経営収支は黒字となりましたが、経営の観点から厳しい状況は変わらず、医療需要を考慮しつつも再編検討は避けて通れない議論だと思います。 現場の医療体制の課題の一つは、県立病院のみを考慮した構想であって、市立病院を含めた公立病院との関係性は地域の判断に委ねられている点だと私は考えます。具体的に言えば、胆江医療圏域では、県立病院を含めた病院の再編論が行われず市立病院のみで議論されています。それに対して、地域の医療体制は地域が判断することとしている県の姿勢は余りにも消極的です。県民が求めているのは、県立病院でも市立病院でも関係なく、充実した安心できる医療体制があることに尽きます。 私は先月、青森市民病院と青森県立病院の統合について、青森県病院局運営部に伺いました。人口減少や医療資源の最大化を踏まえれば必然的なことであると当たり前のような口調で説明をいただきました。それは約3年前に伺った山形県の日本海総合病院の経営と医療需要、人口減少、医師確保の観点から判断した統合と同じ考え方です。当然、医局や医師確保の問題や職員の雇用の課題があり、公立病院の歴史や体制は岩手県とは異なることは承知していますが、直面している状況は同じではないでしょうか。 県では、地域の医療体制は地域医療構想調整会議で決めることとしている一方で、全国で一番多い20の県立病院を有し、それぞれの地域の医療を担っています。県立病院の経営の観点から、地域医療における県立病院の意義、県立病院の適正な配置について、どのように考えているか伺います。 次に、(仮称)地域医療基本法の進捗について、知事に伺います。 医師不足の根本的解決がない中、達増知事が提唱した地域医療基本法は私も賛同する一人であり、憲法で保障された職業選択の自由は尊重しつつも、医師不足が西高東低の中では、医師はある一定均等に全国に配置する仕組みを制定すべきと考えます。地域医療基本法の進捗と国の動向はどのようになっているのか伺います。 周産期医療と男性の育児休業について伺います。 県内の周産期医療体制として、総合周産期母子医療センターを中心に、九つの地域周産期母子医療センターが整備されていると承知しています。また、産科医師養成のための特別貸付枠の創設など医師確保にも尽力されています。さまざま御努力はいただいているものの、一部の医療機関において、妊娠の週数が一定程度を経過し、リスクがあるような場合、分娩の受け入れ予約を断られたケースもあると聞いております。県内で分娩できる体制は十分に整っているのか、周産期医療体制の現状について県の認識をお伺いします。 次に、男女共同参画の観点から男性の育児休業取得について伺います。 県は、いわて男女共同参画プランにおいて、男女が家事、育児、介護などに平等に参画することを目指す姿としています。その具体的方策の一つに男性の育児休業取得があります。 県職員の育児休業取得は平成30年に7.8%だったのが令和2年に36.8%と増加し、男性の意識の変化や職場環境の理解も進んでいるものと推測します。一方で、課題は県内の民間事業者の育児休業取得の推進と支援にあります。令和2年度企業・事業所行動調査では、男性の育児休業取得が11.9%と県職員と25ポイントの乖離があるところです。中小企業の育児休業取得の促進に向けて課題をどのように捉え、どのような支援が必要と考えているのか伺います。 次に、県内の不登校児童の現状について伺います。 令和2年度において、県内の国公私立の不登校児童生徒は、小中高合わせて1、888人と前年より96人増加しています。不登校児童生徒に対して公的支援施設では、教育支援センターが子供たちの居場所として設置されています。 こうした中で、30日以上の欠席に満たない小中学生の不登校も多くなっていると感じています。奥州市教育委員会事務局によると、令和3年度、奥州市内の小学校で月に7日以上欠席した児童生徒数は、小学生では月平均18.5人、中学生で月平均59.3人となっていますが、県教育委員会では30日以上の欠席に満たない児童生徒の調査等を実施していないとのことでした。県教育委員会として全県的に調査し、実態把握を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、教育支援センターについて伺います。 文部科学省の不登校児童生徒への支援の在り方についての通知により、不登校児童生徒への支援は、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒がみずからの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指す必要があるとされています。 かつての適応指導教室は教育支援センターと名称を改められましたが、いまだに注釈等で適応指導教室の名称が散見されるところであり、これでは学校に適応するための指導であり、あたかも学校復帰を前提としていると取られかねず、通知の趣旨に反しているものと考えられます。 また、保護者から、教育支援センターの職員から繰り返し不適応と言われ心を痛めているといったケースも聞くところです。職員の認識を改める必要もあるし、適応指導教室という名称の取り扱いも含め、児童生徒だけでなく保護者の方への配慮やケアも大切な視点ではないかと考えますが、所見を伺います。 不登校等の支援団体の支援について伺います。 先月、不登校等の支援を行う北上市のワラタネスクエアに伺い、現状や課題を伺ってきました。ワラタネスクエアはニートやひきこもりの方々のほか、不登校児童生徒も含めて居場所を提供し、心のよりどころや居場所になっており、重要な拠点であると私は認識いたしました。運営は国と市の補助はあるものの、実際はメンバーの方々の手弁当で賄っている部分も大きいとのことでした。 ワラタネスクエア以外にも自前で努力しているような団体は数多くあり、幅広く支援するには教育クーポン等の導入などを検討し、特定の団体のみならず幅広い支援を検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。 次に、農業農村振興とエネルギーについて伺います。 まず、肉用牛振興についてです。本年10月、第12回全国和牛能力共進会が鹿児島県で開催されます。上位入賞を目標として、候補者支援チームによる指導やゲノム解析の活用など、さまざま御努力いただいた藤代部長を初めとする県並びに関係者の皆様、生産者の皆様に敬意を表するとともに、大いに期待をしております。 そこで、今後の県の肉用牛振興への考えを伺います。これまで県は、予算を投じて優秀な県有種雄牛を誕生させ、肉質、歩どまり等の高品質な肉用牛を生産し、共進会等の品評会の成果にて価値が高まり、高値で取引される好サイクルを築き、生産者も意欲を持って一大ブランドを築いてこられました。 現在の課題は、県有種雄牛の評価が高まらない中で、県の肉用牛生産の過去の好サイクル、例えば菊福秀の事例などですが、それらから抜けており、その結果、個別の課題対応になっている点であると私は考えています。例えば、県有種雄牛の凍結精液シェアは平成23年度の44%をピークに減少し、現在はシェア8%です。子牛市場における県有種雄牛産子の割合も平成23年度の40%がピーク、頭数についても減少傾向、販売価格は下落傾向にあります。 その中で新たな取り組みの工夫も必要ではないでしょうか。例えば、九州では民間精液の利用、神戸牛は販路の海外展開、味へのこだわりでオレイン酸の評価導入、安全志向の牧草のみを与えたグラスフェッド等さまざまな付加価値があります。 県は牛肉について、消費者の多様なニーズに応じた供給をするため、脂肪交雑のみならず、増体性や歩どまり、脂肪の質等に着目した改良を促進するなどとしておりますが、県は肉用牛振興にどのように取り組んでいくのか、また、県内冷凍精液の供給にどのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いします。 次に、臓物の活用について伺います。 付加価値をつける点では、家畜の部位を最大限に生かすことが重要と考えます。いわて牛の魅力としてA5、A4等、霜降り肉が有名でありますが、大切な食文化としては、牛に限らず羊や家畜全般の臓物、いわゆるホルモンがあります。いわて羊連携協議会の会合の中で食のプロフェッショナルチームアドバイザーである田野畑村、ロレオール田野畑の伊藤シェフからもその価値を認め、内臓を使えるようにすべきだと御助言いただきました。県内の屠畜場は、いわちくですが、牛、豚の臓物は全量をいわちくが仕入れ、卸業者や量販店に販売されており、牛、豚以外の家畜の臓物は全て廃棄されるとのことであります。要望のある生産者には、販売だけではなく、肉同様に戻したり、牛豚以外は廃棄しないことにより単価の引き上げにも食文化の向上にもつながるため、活用する道を模索すべきではないでしょうか。ちなみに、秋田県や宮城県の屠畜場では、内臓についても要望のある生産者には戻していると聞きます。 屠畜後の臓物をいわちくだけでなく生産者の活用へも道を広げ、単価向上と岩手の食文化の魅力を最大限に発揮すべきと考えますが、県の所見を伺います。 食料安全保障と水田活用について伺います。 食料安全保障が聞こえ出しています。私はもとから食料安全保障の観点は大変重要であると考えています。資源が乏しい日本においては、戸別所得補償制度を導入し、所得と価格政策が一体となった政策が必要だとの立場です。その中、今回の補正予算案では国産小麦産地生産性向上事業費補助2、500万円が計上されました。私はこれを評価する一方で、猫の目農政と言われるゆえんがここにあると思っています。大切なのは、マクロ的な農業政策をもとに個別事業を立案することだと考えています。 県は水田フル活用を行うべく、近年は需要に応じた米生産の旗を振り、稲作から高収益作物への転換を促し、園芸施設や1億円の産地形成などを進めてきました。一方で、今年度から水田活用の直接支払交付金が見直しとなる中、今回の補正予算で小麦生産の事業を計上しました。水田から小麦や大豆の作付やブロックローテーションの根底には、水田活用の直接支払交付金や転作作物助成の裏づけがあってこそ経営が成り立つものです。国が政策誘導し、作付転換させるだけでは無責任だと考えており、しっかりと国にも価格、所得補償を求めなければ生産コストの価格転嫁は消費者の負担に直結します。県として水田をフル活用し、農業県岩手としての責務をどう果たしていく覚悟か、具体的なビジョンをお示し願います。 次に、農村振興についてです。 農村集落の将来が心配です。令和2年の国勢調査によれば、県内の65歳以上の高齢化率は33.8%とこの10年で6ポイント以上の上昇となっており、私の地元奥州市でも35.6%と県平均を上回っています。奥州市は県内第2位の人口規模ですが、昭和35年と比較すると2万5、335人、約18%も人口が減少しています。今後もこうした傾向は続くものと予想され、中山間地域を初めとする農村集落では、現状の仕組みのままでは農村コミュニティーの維持は難しくなります。地域行事はもとより、ごみ出し、交通弱者、ひとり暮らしのサポートなど課題は多岐にわたります。 農林水産省は中山間地域を対象とした農村型地域運営組織形成推進事業、いわゆる農村RMOを創設し、地域で支え合うむらづくりを推進しています。岩手県でも農用地保全、生活支援など、地域資源を活用した農村の維持が重要となっています。県は地域で主体的に支え合う仕組みづくりについて、どのように寄り添いサポートしていく考えか伺います。 小水力発電について伺います。 県はグリーン成長戦略の中で、沿岸地域の洋上風力発電を主として今年度計画を実施していますが、加えて、岩手県内全域での再生可能エネルギー拡大推進を考える必要もあると思っています。農村部において注目すべきは、県内に数多くの農業用水路や河川支流ではないでしょうか。県は小水力発電について、約10年前から調査し、農業水利施設を活用した中から36カ所の適正候補地を選定し、最終的に土地改良等を中心とした県内9カ所で導入済みです。小規模発電は開放型らせん水車発電など小規模で最大出力も50キロワット未満であれば高圧電線も必要なく、また、売電価格も1キロワットアワー当たり34円と大規模発電に比べ高いため、一般河川の支流も含め自治体や小規模集落での導入も考えられ、課題はあるものの、災害用バックアップ電源や地域の収益源など、工夫によっては明るい兆しと言えます。地域資源としての小水力発電普及の現状と課題をどう認識し、今後どのように取り組むのか伺います。 最後に、動物愛護センターについて伺います。 改正動物愛護管理法への対応について、令和元年6月に動物の愛護及び管理に関する法律が改正され、本年6月からマイクロチップの装着が義務化されました。今回のマイクロチップ装着の義務化については、マイクロチップ情報に基づき、飼い主の手元に返すことが可能となることがメリットであり、重要なのは迷子犬等を減らし殺処分をゼロにすることと考えます。そうしますと、飼い主の元に戻せるようにマイクロチップを装着し、一時的に飼い主が不明等になった際の受け入れ先である動物愛護センターの設置を進めることが車の両輪となって、その効果を十分発揮することが可能だと思います。 県は令和3年頃までに動物愛護センターの設置を行う予定でしたが、設置場所の問題等により進捗がおくれていると伺っております。現状の課題と今までの進捗、今後のスケジュールについてお伺いします。 以上、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 菅野ひろのり議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、地方自治と政党政治についてでありますが、明治時代は、中央政府から派遣される知事に対し、日々、地域に根差す活動をしている政党が県議会の場で地方の民意を訴え、地方自治の発展や日本の民主化を進めてきました。 戦後のいわゆる55年体制のもとでは、国、地方共通の与党が経済分野、社会分野の主要な業界を支部化するなどして、政治経済社会の利益共同体のような形で行政や予算の配分に影響を及ぼす構造がありました。野党の側は、公害問題など経済社会のさまざまな課題の解決を訴え、地方での、あるいは国全体での政策転換を実現することもありました。 県政運営と政党の関係において重要なのは、行政における公正中立と政治における自由であり、このことが今後、より重要になると考えます。 行政の公正中立のためには議会によるチェックが必要であり、その役割が引き続き重要であります。 政治における自由に関しては、暮らしや仕事の現場を起点に政策を形成するためにも、地方における政党の活動はもっと活発になってよく、県民が日常的に草の根からの政策形成に参画できるよう、各政党が適当であれば知事も参加するような活動も含めて、広く県民に呼びかけながら政治活動を行っていくのがよいと考えます。 次に、知事の支持政党と地方交付税の配分についてでありますが、地方交付税は地域間の財政力の格差を調整し、全国どの地域であっても一定水準の行政サービスを提供できるよう必要な財源を保障するために、法令等に明示された全国一律の算定方法により客観的かつ合理的な水準の財政需要等を算定して決定されるものであり、恣意的な算定は行われていないと認識しております。 今後においても、国は地方交付税を初め各種の制度設計や予算配分等に当たって国民の信頼の確保に応えるため、国民の疑惑や不信を招くような行為はあってはならず、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって地方自治体が住民福祉の向上に努めることができるようにしなければならないと認識しております。 次に、地域医療基本法の進捗と国の動向についてでありますが、県では、医師の計画的養成や地域へ適正配置等を理念とする地域医療基本法の必要性を訴え、政府予算提言、要望を通じた国への働きかけや新聞広告による情報発信等により国民的な機運の醸成を図ってきたところであります。 国や医療関係団体においては、地域医療基本法で提唱する内容の実現に向けた取り組みが進められており、医師不足地域における勤務経験を病院の管理者要件とする制度の創設や、医学部臨時定員増の継続、専門医資格更新時に地域で勤務することを促す仕組みづくりの検討等が行われているところです。 引き続き、地域医療基本法の必要性を訴える取り組みを継続するとともに、その理念を踏まえて具体的な施策提言を行っている12の医師少数県で構成する地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の活動との両輪により、実効性のある医師不足、医師偏在対策の実現を目指してまいります。 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔企画理事兼環境生活部長白水伸英君登壇〕 〇企画理事兼環境生活部長(白水伸英君) まず、本県の小水力発電についてでありますが、固定価格買取制度の認定を受けて稼働中の発電施設は、農業用水利施設を活用した9カ所に加え、河川等を利用したものが6カ所あるほか、開発中の2カ所を含め全体の最大出力は2、823.5キロワットとなっているところであります。小水力発電は再生可能エネルギーであることから二酸化炭素の排出削減につながるとともに、例えば、農業用水利施設を活用した発電の場合は、売電による土地改良施設の維持管理費用の確保、停電時のバックアップ電源にもなり得る取り組みであります。 一方で、小水力発電の導入に当たりましては、発電施設の建設や維持管理に係る費用、年間を通じて発電するための水量の確保、水利権の取得などの課題もあるところであります。 県といたしましては、こうした課題解決に向けて県内外での取り組み事例や活用可能な補助事業等の情報を市町村や土地改良区等へ広く周知をしながら、引き続き、自立分散型の再生可能エネルギーであり、地域の特性を生かした小水力発電の導入に向け、採算性が見込まれる施設の設置を支援してまいります。 次に、動物愛護センターについてでありますが、平成30年4月に岩手県動物愛護センター(仮称)基本構想を取りまとめ、その機能や施設規模、設置場所等の方向性を示したところであります。 現在、その具体化に向け県と盛岡市が共同で候補地の選定を行っておりますが、基本構想に掲げる県民の利便性、災害発生時の動物救護拠点等五つの要件のほか、騒音や臭気等の周辺に対する環境衛生への配慮、財政負担の軽減など、さまざまな視点からの検証が必要でありまして、最適地の絞り込みに至っていないところであります。 議員御指摘のとおり、県といたしましても、マイクロチップ装着の義務化を含む動物愛護行政の推進に当たりまして、当該センターの果たす役割は重要であると認識しております。 また、さきの2月定例会において、岩手県の動物愛護行政に関する請願も採択されたところでありまして、最適な整備候補地の早期決定を目指し、引き続き検討を進めてまいります。 〔保健福祉部長野原勝君登壇〕 〇保健福祉部長(野原勝君) まず、生活困窮者への支援についてでありますが、県では、市町村や社会福祉協議会等と連携し、生活福祉資金の特例貸付や自立相談支援機関などにおける相談支援を通じて、生活に困窮している方の状況の把握に努めており、特例貸付や新規相談受け付けの件数は、現時点では昨年度と比較して顕著な増加は認められていないところでありますが、今後の物価高騰等による影響を注視していく必要があると考えております。 このため、県では、令和4年度一般会計補正予算第2号補正予算において、生活困窮者を初めとする生活者支援のため、生活福祉資金特例貸付等の申請期間延長に関する経費や、県と福祉事務所設置自治体が、地域の実情に応じた生活困窮者支援の連携体制等を検討するプラットホームの整備に要する経費を措置したところであります。 今後は、特例貸付終了後の生活再建に向けた支援が一層重要となりますことから、生活に困窮する方それぞれの状況に応じた適切な支援が行われるよう、市町村、社会福祉協議会等における体制の強化を図りながら、関係機関と連携し、さまざまな方策を組み合わせた包括的な支援に取り組んでまいります。 次に、周産期医療体制についてでありますが、県ではこれまで、限られた医療資源のもとで効率的かつ質の高い周産期医療を提供するため、国の指針を踏まえ、県内四つの周産期医療圏を設定し、周産期母子医療センター等の医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めてきたところであります。 こうした中、医療現場においては、妊婦や胎児の状況等に応じてより安全な分娩を行うために、医師や周産期救急搬送コーディネーターの判断により、他の圏域の医療機関へ紹介、搬送されるケースもあるものと承知をしております。 また、医療機関における個別のケースとしては、医療体制確保の状況から、分娩の予約を受け付けることができなかった事例があるとも伺っております。 現在の周産期医療体制のもと、周産期母子医療センターを中心とした医療機関の役割分担と連携により、県全体での分娩の受入体制は確保できているものと認識をしておりますが、さらに地域で安心、安全な出産ができる環境を確保していくため、モバイル型妊婦胎児監視モニターを活用した救急搬送体制の強化やハイリスク妊産婦の通院等を支援する事業の拡充などに取り組んでいるところであります。 また、個別の受入相談にも十分に対応できるよう、関係医療機関と個別ケースへの対応について情報共有を図っていくほか、安全な分娩のためにも、妊婦に対しても医療機関に早めに受診していただくよう啓発を行いながら、安心して妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。 〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕 〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、肥料対策についてでありますが、国の農業物価統計調査によれば、本年4月の肥料価格は、窒素、リン酸、カリを配合した高度化成で、前年同月に比べ約20%上昇しておりますが、今般、全国農業協同組合連合会では、本年6月から10月の肥料価格を高度化成で55%値上げすると発表しているところでございます。県内の生産者や農業協同組合等からは、秋まで使用する肥料は既に確保しており、来年春に利用する肥料への影響を懸念する声があったところでございます。 肥料価格は国際市場の動向が影響していることから、県では、国に対し、肥料価格の安定化に資する事業の創設を要望しているところです。 また、本年1月に作成した岩手県肥料コスト低減技術マニュアルに基づき、農業普及員が土壌診断に基づく適正施肥や、化学肥料の使用量を低減できる堆肥の活用を指導しております。 さらに、県、全国農業協同組合連合会岩手県本部、肥料関係団体等で構成する県肥料コスト低減推進協議会を今月設置し、費用コスト低減の取り組みを推進することとしており、関係機関、団体と一体となって生産者の経営安定が図られるよう、積極的に取り組んでまいります。 次に、配合飼料についてでありますが、国際市場の動向により配合飼料価格の上昇が続く中、県では配合飼料価格安定制度を所管する国に対し、この制度の基金が枯渇した場合にあっても生産者への補填金が満額交付されるよう、国が基金への積立金を拠出すること等を要望しているところです。 また、県独自に畜産経営への影響を緩和するため、配合飼料購入費の価格上昇分への補助に要する経費を今回の補正予算案に盛り込んでいるところです。 さらに、自給飼料基盤の積極的な活用による資料確保に向け、水田を活用したホールクロップサイレージや飼料用米、子実用トウモロコシの生産を推進するとともに、飼料用トウモロコシの収穫後にライ麦を作付する二毛作の取り組みなどを進めることとしており、今後とも生産者の経営安定が図られるよう取り組んでまいります。 次に、肉用牛振興についてでありますが、県ではこれまで、全国的に高い評価を得た菊福秀を初め72頭の種雄牛を造成しており、今年度は、歴代の県有種雄牛の中で脂肪交雑の遺伝能力が最も高い百合花智を造成したところです。 一方、県内での県内種雄牛の凍結精液の利用は低下傾向となっており、この要因は、市場評価の高い他県の種雄牛に魅力を感じる生産者が多いことによるものと捉えております。 県では、平成30年度から産肉能力の早期把握に有効なゲノム解析技術を活用しており、この技術により、昨年度、初めて選抜した種雄牛候補は、これまで以上にすぐれた産肉能力が期待されているところであります。また、本県の肉用牛の付加価値を高めていくため、牛肉のおいしさの指標とされるオレイン酸に着目し、こうした要素も加えて種雄牛の改良に取り組んでおります。 県有種雄牛の凍結精液の利用拡大に向けては、脂肪交雑等の遺伝能力の高い種雄牛の造成はもとより、生産者等に広く周知していくことが重要でありますので、専門職員による生産者等への県有種雄牛の情報提供や和牛専門誌への広告掲載、県有種雄牛産子に限定した枝肉共励会の開催などに取り組んでおり、今後とも本県が肉用牛主産地として高い評価が得られるよう、生産者、関係団体等と一体となって取り組んでまいります。 次に、県産畜産物の活用についてでありますが、いわちくの食肉処理施設は牛肉や豚肉の輸出施設として認定されており、羊等を食肉処理する場合には、認定された施設との完全区分や適切なゾーニング、十分な洗浄が必要とされていることから、羊等は、いわちく内の他の施設で食肉処理されております。 牛や豚の内臓は、食肉処理後に流通業者や飲食店等に流通しておりますが、羊の内臓は施設面の課題もあり、活用されていないところです。 また、生産者が出荷した家畜の内臓の活用を希望する場合には、食肉加工経費等を加えた価格でいわちくから提供されていると聞いております。 県内では、御当地ホルモン等として牛や豚の内臓が活用されており、こうした取り組みは、県産畜産物の高付加価値化につながることから、県では、地域や生産者の希望を踏まえながら、食のプロフェッショナルチームアドバイザーの派遣や商談機会の提供などを行っており、今後とも県産農畜産物の利用拡大に向け取り組んでまいります。 次に、水田フル活用についてでありますが、米の需要減少が続く中、需要に応じた主食用米の生産とあわせ、水田を最大限に活用し、高収益な野菜等の作付拡大を図り、生産者の所得を確保するとともに、食料供給基地としての役割をしっかりと果たしていくことが重要であります。 県では、関係機関、団体と組織する県農業再生協議会が策定した水田農業の推進方針に基づき、気象や立地条件等を踏まえた野菜、麦、大豆などの転換作物の作付拡大を推進し、県中南部などの水田地帯では、大規模な麦、大豆の生産、中山間地では小区画の水田でも収益が確保できるピーマンやトマトの生産などが定着してきているところです。 また、水田活用の直接支払交付金に関し、生産者が安心して転換作物の生産に取り組むことができるよう、国に対し地域の実情を十分に踏まえた運用とすることや、必要な予算を十分に措置することなどを要望しているところであり、今後においても、水田を最大限に活用し、主食用米と転換作物の最適な組み合わせにより生産者の所得確保と食料の安定供給が図られるよう取り組んでまいります。 次に、農村振興についてでありますが、農業従事者の減少、高齢化が進む中、農村の維持、活性化に向けては、農業の生産振興はもとより多様な主体の連携、協働により、地域コミュニティーの活動を活発化していくことが重要です。県内では、中山間地域等直接支払制度において、令和2年度に創設された集落機能強化加算を活用し、奥州市など6市町29集落で高齢者の見回りや通院、買い物支援、高齢者世帯の雪おろしなどの取り組みが行われております。 また、本年度は、農業者組織やまちづくり協議会等が連携し、農地の保全活動や生活支援を行う農村型地域運営組織、いわゆる農村RMOの設立に向けた動きも出てきているところです。 こうした取り組みに当たっては、地域活動をリードする人材の育成や地域の合意形成等が課題となっていることから、県ではリーダー育成に向けた研修会の開催や合意形成を支援する専門家の派遣、県内の取り組み事例の紹介などを行っており、今後とも市町村等と連携しながら地域のニーズや課題の把握に努め、地域で支え合うむらづくりの取り組みを支援してまいります。 〔県土整備部長田中隆司君登壇〕 〇県土整備部長(田中隆司君) 住宅施策における県産木材の利用促進についてでありますが、住宅分野では、良質な木造住宅の普及や木造住宅を長く使っていただくことが重要であり、令和3年度に改定した岩手県住宅マスタープランでは、県産木材を活用した省エネ性能を有する岩手型住宅の普及、リフォームによる質の高い住宅ストックの形成などの取り組みを掲げたところであります。 県産木材の活用は、二酸化炭素の固定効果に加え、森林資源の循環利用による森林整備の促進、材料輸送時に排出される二酸化炭素の削減といった多様な効果が期待できることから、イベントにおけるパネルやパンフレットを活用した岩手型住宅のメリットの周知、県産木材を使用した住宅の新築やリフォームへの補助などを行いながら、引き続き、住宅への県産木材の利用促進に取り組んでまいります。 〔医療局長小原勝君登壇〕 〇医療局長(小原勝君) 地域における県立病院の意義と配置についてでありますが、岩手県保健医療計画では、公立病院の役割について、僻地、救急、小児、高度、専門医療など、採算性等の面から民間が提供困難な医療等を担うとしており、県立病院は地域医療構想調整会議の議論等を踏まえて、民間や他の公立・公的医療機関と機能分担と連携を図りながら、それぞれの地域で求められる役割を担うものと認識しています。 また、県立病院は、二次保健医療圏ごとに基幹病院を設置するとともに、交通事情や医療資源等の実情を考慮して初期医療等を担う地域病院、地域診療センターを設置するとの考え方のもと、県立病院等事業の設置等に関する条例に基づいて、現在20病院6地域診療センターで運営しております。 具体的な運用に当たっては、計画期間を6年間とする経営計画に病院ごとの基本的な役割と機能、病床規模を定めているところでありますが、地域の医療ニーズの変化等に応じて、随時見直しを行いながら、持続可能な経営基盤の確立を図り、県民に良質な医療を持続的に提供していく考えであります。 〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕 〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 男性の育児休業についてでありますが、県内中小企業において、男性の育児休業の取得が進まない要因としては、代替職員の確保が難しいこと、また、そうした状況を背景に、職場で仕事を休むと同僚に迷惑をかけてしまうといった意識、さらには、男性も女性も育児に参画するといった考え方が十分に浸透していないことなどがあると受けとめております。 こうした中、本年4月から改正育児・介護休業法の段階的な施行が始まり、中小企業を含めた全ての企業に休業取得の意向確認や相談体制の整備を初めとした育児休業を取得しやすい雇用環境の整備を進めること、また、従業員に対して育児休業取得を働きかける義務が課せられたところであります。 さらに10月からは、育児休業の分割取得が可能になるなど、男性の育児休業がより取得しやすくなることから、いわてで働こう推進協議会などの場を通じて、法改正の趣旨の周知徹底を図ってまいります。 コロナ禍などにより中小企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、企業の抱える課題もさまざまと受けとめておりますが、県内には男性育休100%を宣言して積極的に取り組む企業もあり、こうした事例の共有を進めるとともに、国の両立支援等助成金や働き方改革に取り組む企業に対する県の支援策の活用を促すなどにより、中小企業の男性育児休業の取得向上を図っていきたいと考えております。 〔教育長佐藤博君登壇〕 〇教育長(佐藤博君) まず、不登校児童生徒の実態把握についてですが、毎年、文部科学省で実施している児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査において、年度内に連続または断続して30日以上登校しなかった児童生徒について把握しているところです。 議員御指摘の、30日以上の欠席に満たない児童生徒については、本調査では対象としていないものの、教育事務所では各市町村教育委員会が把握している情報を共有しながら、在学青少年指導員の学校訪問や指導主事の支援資料等に活用しています。 県教育委員会としては、今後、各教育事務所から情報等を集約し、実態把握に努め、市町村教育委員会の取り組みを支援してまいりたいと考えています。 次に、教育支援センターは、通所希望者に対する支援だけでなく、これまで蓄積された知見や技能を生かし、通所を希望しない児童生徒への訪問型支援等、不登校児童生徒への支援の中核となることが期待されているところです。また、保護者へのケアも大切な視点であるため、保護者に対し、不登校への理解や不登校となった児童生徒へのかかわり方について相談に応じるなどしており、保護者に寄り添った支援のさらなる充実が求められているものと承知しています。 県教育委員会としましては、初期の段階での適切なアセスメントを行うことが極めて重要であると考えており、そのためには児童生徒の状態によって専門家の協力を得る必要があり、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの配置、派遣など、学校や教育支援センターをサポートしていく体制が必要であることから、引き続き、支援体制の充実に努めてまいります。 あわせて、教育支援センターの名称については、十分に浸透していないところもあると思われるため、保護者も含め関係機関等に呼びかけるなどして名称の周知を図ってまいります。 次に、不登校等の支援団体への支援についてですが、昨年度、民間施設を招いて改正した岩手県不登校児童生徒支援連絡会議においては、県教育委員会と民間施設、また、民間施設同士がお互いに連携を深め、相互の取り組みを理解しながらそれぞれの支援に生かしていくことが不登校児童生徒に対するよりよい支援につながることについて共通理解が図られたところです。こうした成果を踏まえ、今年度も開催を予定しているところです。 文部科学省が令和2年度から実施している不登校児童生徒に対する支援推進事業において、教育委員会等とフリースクール等の民間団体が連携し、不登校児童生徒の支援のあり方等について協議を行う不登校児童生徒支援協議会の設置や、教職員研修会、保護者向け学習会等を実施する際の経費の一部を補助していることから、今後については、こうした補助制度を活用するとともに、福祉関係機関等や各市町村の教育支援センター等と連携を深め、県教育委員会としてもさまざまな情報を収集しながら、支援のあり方について研究していきたいと考えています。 〇15番(菅野ひろのり君) 教育長にお伺いします。 まず、先ほど不登校のところで、30日に満たない児童生徒の調査、実態把握に努めるということで、ありがとうございます。ぜひこれからその部分が大きな課題になっていくと思いますので、お願いしたいと思います。 その中で、教育支援センターについて、高校生の受け皿も足りないのだろう、実質的にないのだろうと思っています。実際に教育支援センターに令和3年9月1日時点で在席している方はゼロということで、恐らくフリースクールのみになっているのだろうと思いますが、この点をどのように考えているのか所見を伺います。 そして、高校生で不登校になるケースというのは、中学生のときから不登校気味の生徒が高校生になってからも不登校になる傾向があるようでございます。県立高校は県、小中学校は市立ですから、私は県と市の連携した支援が必要だと考えています。その実態と支援のあり方について伺います。 加えて、中学校の夜間学級について、これは国でも推進していますが、本県ではその設置の必要性はないのでしょうか。検討状況を伺います。 次に、胆江医療圏の医療体制について率直に伺います。先ほど医療局長からは、公立病院の役割について、民間が困難なときにその役割を担っていると伺いましたが、例えば、奥州市の場合、厚生労働省の指摘で市立病院を含め3病院が赤字であり、加えて、地域医療構想調整会議において医療需要を見たときに、重なっているところもかなりありました。きょうは細かい数字は述べませんけれども、私は、県も主体的になって医療体制、病院のあり方を発言しないといけないと思っています。地域医療構想調整会議では、県は実際に発言する場がないようです。市立病院と民間の方々が議論して、その結果だけです。胆江医療圏の場合は県立病院が2病院もあって、さらに市立病院もあるのですから、私は県が参加して、公立病院全体で議論していかなければいけない話だと思っております。 伺いますが、実際にどのように県がそこの議論に入っていくのか。地域において、例えば県立病院に全部任せたいという判断があれば、県はその体制を検討するということでいいのでしょうか。どのようなケースの場合、議論に参加する用意があるのか伺います。 〇保健福祉部長(野原勝君) まず、胆江医療圏の状況ですが、現在、奥州市において、総合水沢病院を初めとした市立医療機関の維持を基本とした検討がなされているものと承知しております。県としても市立医療機関が地域に必要な医療機能を担う医療機関との認識のもと、当該地域で質の高い医療提供体制の確保に向けた議論を進めていきたいと考えております。 また、県の役割です。総務省で示しております公立病院の改革のガイドラインというのがございます。その中で、市町村がプランの策定や公立病院の施設の新設、建築等に当たり、地域医療構想との整合性等について積極的に助言をしていくといった役割が与えられています。 そういったような視点で、私どもも客観的なデータの提出、また、地域医療構想調整アドバイザーによる専門的な助言などによりまして、県として役割を果たしてきたところでもあり、そうした視点で今後も果たしてまいりたいと考えています。 また、率直な御質問ということで、今、胆江地区の状況について、一般論として御答弁をさせていただきたいと存じます。 公立病院の統合、再編というのは、地域の医療提供体制に大きな影響を与えることから、設置主体である市町村や県のみで検討するべきものではなく、例えば、胆江地区の場合でありますと、先般策定された奥州金ケ崎地域医療介護計画における地域の意向を尊重した上で、改めて地域医療構想調整会議において関係者の合意を得ながら検討を進める必要があるものと考えております。 今後、その調整会議における医療機関の役割分担などの議論の中で、仮定の話でございますが、一般論として、具体の提案などがあった場合には、まずは医療局とともにその内容を伺った上で、当該医療機関はもとより医育機関等も含めた関係機関による議論を行っていく必要があるものと考えております。 〇教育長(佐藤博君) 高校生の受け皿についてでございますが、議員御指摘のとおり、教育支援センターに通っている高校生はいない状況にありますが、昨年9月に実施しました不登校児童生徒支援連絡会議では、高校生が利用している民間施設が複数あることについて情報共有が図られたところです。 子供の居場所につきましては、さまざまな形で確保されることが大切であり、今後、学校は教育支援センターや民間施設とどのような協力体制がとれるのか、具体的に検討していく必要があると考えております。その一つとして、先ほど答弁しました不登校児童生徒支援連絡会議を今年度も開催し、それぞれの取り組み内容を情報共有し、今後の方向性等、協議を重ねていくこととしております。 それから、県と市町村の連携についてでございますが、小・中・高校と継続した支援は重要であると考えて、県教育委員会としましても、県独自で実施している心とからだの健康観察の状況や、中学校在籍時の生活状況等も高等学校に引き継ぎが行われておりまして、これらを活用しながら、きめ細やかな支援に努めているところです。 それから、夜間中学についてでございますが、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校などさまざまな事情により中学校での学習が十分できないまま卒業した方などに対して、義務教育を受ける機会を保障することは教育機会確保の観点から極めて重要であると認識しております。 県教育委員会では、平成28年度に文部科学省からの委託を受けまして、夜間中学設置に係る検討委員会を立ち上げまして、本県の状況を把握するための調査と方向性についての検討を行ったところですが、早急に設置が必要となるようなニーズは認められなかったところでございます。この検討委員会による研究結果を踏まえまして、毎年、市町村教育委員会や関係団体に対してニーズを把握するための調査を実施しているところでございますが、夜間中学で学び直しを希望するニーズは、現段階においては認められていないところでございます。 今後は、国の方針や不登校を初めとするさまざまな事情を抱えた生徒のための多様な学び直しの機会を保障する観点も踏まえ、他県の先進事例を収集するとともに、各市町村教育委員会や関係機関と一層連携を図りながら、潜在的なニーズの丁寧な把握に努めていく考えです。 〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。 午後2時16分休憩 出席議員(46名) 1 番 千 田 美津子 君 2 番 上 原 康 樹 君 3 番 小 林 正 信 君 4 番 千 葉 盛 君 5 番 千 葉 秀 幸 君 6 番 岩 城 元 君 7 番 高橋 こうすけ 君 9 番 武 田 哲 君 10 番 高 橋 穏 至 君 11 番 山 下 正 勝 君 13 番 高 田 一 郎 君 14 番 佐々木 朋 和 君 15 番 菅野 ひろのり 君 16 番 柳 村 一 君 17 番 佐 藤 ケイ子 君 18 番 岩 渕 誠 君 19 番 名須川 晋 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 川 村 伸 浩 君 23 番 千 葉 絢 子 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 木 村 幸 弘 君 26 番 吉 田 敬 子 君 27 番 高 橋 但 馬 君 28 番 小 野 共 君 29 番 軽 石 義 則 君 30 番 郷右近 浩 君 31 番 小 西 和 子 君 32 番 高 橋 はじめ 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城内 よしひこ 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 37 番 斉 藤 信 君 38 番 中 平 均 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 五日市 王 君 41 番 関 根 敏 伸 君 42 番 佐々木 順 一 君 43 番 伊 藤 勢 至 君 44 番 岩 崎 友 一 君 45 番 工 藤 勝 子 君 46 番 千 葉 伝 君 47 番 工 藤 勝 博 君 48 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(1名) 8 番 米 内 紘 正 君 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後2時38分再開 〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木茂光君。 〔35番佐々木茂光君登壇〕(拍手) |
前へ | 次へ |