令和4年2月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(小西和子君) 希望いわての小西和子でございます。
 請願陳情受理番号第44号東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出基本方針を撤回し、安全な処理、保管方法の確立を求める請願について、委員長報告に対しての反対討論を行います。
 2021年4月13日、政府は、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う多核種除去設備等処理水、いわゆるALPS処理水を、2年後をめどに海洋放出する方針を決めました。今回の決定は、地元三陸の漁業者はもとより、国民の強い反対や懸念がある中、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないとする政府、東京電力と地元漁業者との約束をほごにしたものであり、極めて問題です。
 ALPS処理水は、そもそも一般の原発施設からの排水には通常含まれないトリチウム以外の核種、魚や人の骨に蓄積されるストロンチウム90などの存在が指摘されており、体内に取り込まれると内部被曝する危険性について警鐘を鳴らす専門家もいます。
 このまま海洋放出が行われれば、三陸漁業関係者にとって死活問題であり、漁業ばかりでなく地域経済が大打撃を受けることは必至です。11年間にわたる東日本大震災津波からの復興に向けた関係者の懸命な努力を一瞬にして無にする愚かな行為であると言わざるを得ません。
 さらに、先般、復興庁が本県を初め、全国の小中学校、高等学校などに配布したチラシ、ALPS処理水について知ってほしい3つのことは、当該処理水による内部被曝を懸念する専門家の評価がある中で、安全性のみを強調する内容となっており、本資料をもって関係者の理解には遠く及びません。
 加えて、当該学校を所管する県教育委員会及び市町村教育委員会を経由せず、国が直接学校にチラシを配布したことに対し、学校関係者はもとより、本県沿岸自治体首長や地域の漁業関係者などからも困惑と不信の声が上がっており、極めて遺憾であります。
 さらには、3月16日の福島県沖を震源とした最大震度6強の地震の発生前後で、東京電力福島第一原子力発電所1号機の原子炉格納容器内の汚染水の水位が約40センチ低下したと報道されました。原因は、格納容器の損傷箇所が地震の影響で広がり、原子炉建屋内の漏れ出る水量がふえた可能性が指摘されています。また、ALPS処理水の貯蔵タンクも、地震の影響で170基の位置がずれたとの報道もありました。廃炉作業は安全最優先で進められなければならない中、今回の事故は、改めて原発の危険性を明らかにしたものです。
 ALPS処理水放出反対の声は、岩手県町村会、岩手県市長会及び東北市長会、さらには全国漁業協同組合連合会でも、特別決議を採択し、政府に求めているところです。
 つきましては、岩手県議会においても、東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出基本方針を撤回し、安全な処理、保管方法の確立を求める請願に賛成してくださいますことをお願い申し上げ、請願陳情受理番号第44号について、委員長報告に対しての反対討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(五日市王君) 次に、高田一郎君。
   〔13番高田一郎君登壇〕

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