令和3年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

令和3年10月14日(木)

1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 南   敏 幸
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 藤 平 貴 一
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 保   和 衛
副知事 菊 池   哲
企画理事兼
環境生活部長 石 田 知 子
会計管理者 永 井 榮 一
会計課総括課長兼
会計指導監 大 塚 貴 弘

政策企画部長 石 川 義 晃

総務部長 白 水 伸 英
財政課総括課長 山 田 翔 平

復興防災部長 戸 舘 弘 幸

ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹

保健福祉部長 野 原   勝

ILC推進局長 高 橋 勝 重

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 小 畑   真
参事兼監査第一課
総括課長 小 守 健 一
監査第二課
総括課長 佐々木 昭 司


〇南議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 工藤勝子委員、委員長席にお着き願います。
   〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま紹介のありました工藤勝子であります。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 なお、上原康樹委員は、当委員会は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 これより委員長の互選を行います。
 委員会条例第7条第2項の規定により、委員長の互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に小西和子さんを指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました小西和子さんを決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました小西和子さんが決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました小西和子さんが委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 小西和子委員長、委員長席にお着き願います。
   〔決算特別委員長小西和子君委員長席に着く〕
〇小西和子委員長 ただいま決算特別委員長に選任いただきました小西和子でございます。
 御推挙をいただき大変光栄に存じております。委員各位の御協力をいただきまして職責を全うしたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に田村勝則君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました田村勝則君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました田村勝則君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました田村勝則君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 田村勝則副委員長、御挨拶をお願いします。
〇田村勝則副委員長 ただいまは副委員長に選出いただきましてありがとうございます。
 小西委員長のもと、委員各位の御協力により副委員長としての職責を果たしてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
〇小西和子委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件及び議案2件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事、企画理事、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後、18日から22日まで及び25日の7日間は、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め部局ごとに質疑を行うこととし、決算15件及び議案2件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月25日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、7日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。
 これより、会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇永井会計管理者 令和2年度歳入歳出決算の概要について、御説明いたします。
 お手元に令和2年度歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書など8件の法定書類のほか、説明資料として、令和2年度歳入歳出決算説明書をお配りしておりますので、便宜、この説明書に基づき御説明いたします。
 それでは、説明書の1ページをお開き願います。
 第1、令和2年度歳入歳出決算の概況、1、決算の状況ですが、令和2年度の当初予算は、東日本大震災津波、平成28年台風第10号災害及び令和元年台風第19号災害からの復旧・復興に最優先で取り組むとともに、いわて県民計画(2019〜2028)を軌道に乗せ、県民みんなが希望を持てる復興幸福希望予算として9、323億1、336万円が措置され、前年度の当初予算に比べ31億8、846万円、0.3%の減となりました。
 また、その後の補正予算において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止と社会経済活動の維持を図るため、医療提供体制の整備に要する経費や中小企業、飲食店等への支援に要する経費及び防災・減災、国土強靱化のための緊急対策に要する公共事業等の経費などの措置により、1、673億2、621万円の増額補正が行われております。
 これに前年度からの繰越額1、810億8、607万円を加えた最終予算額は1兆2、807億2、565万円となり、前年度に比べ1、383億7、258万円、12.1%の増となりました。
 次に、この予算に対する決算について、初めに、一般会計の収支の状況を御説明します。3ページをお開きください。
 下段の2、決算収支の項目中、一般会計歳入歳出決算収支の状況の表をごらんください。
 一般会計の歳入総額は、1兆1、157億6、950万円余、歳出総額は、1兆219億9、577万円余であり、前年度比で歳入歳出とも増加しました。
 歳入総額から歳出総額の差引額は、937億7、372万円余であり、この差引額から翌年度へ繰り越すべき財源を更に差し引いた実質収支額は、245億9、684万円余の黒字となりました。
 次に、歳入決算状況を御説明します。少し飛びまして、42ページと43ページをお開き下さい。
 第2表、一般会計歳入決算状況の表中、一番下の合計欄をごらん願います。左から三つ目、令和2年度の収入済額は、1兆1、157億6、950万円余となり、その右に二つ参りまして、収入未済額は、主に諸収入ですが、259億720万円余で、この結果、43ページ左から二つ目、対調定収入率は、97.7%となりました。
 また、右隣の、収入済額の前年度との比較増減額は、1、052億1、682万円余、10.4%の増加となりました。
 次に、歳出決算状況を御説明します。少し飛びまして、50ページと51ページをお開き下さい。
 第7表、一般会計歳出決算状況の表中、一番下の合計欄をごらん願います。左から二つ目、令和2年度の支出済額は、1兆219億9、577万円余となり、その右隣の、翌年度繰越額は、主に土木費や災害復旧費などで、1、983億7、767万円余、その右隣の不用額は、主に商工費や土木費などで、603億5、219万円余となりました。この結果、右隣の対予算執行率は、79.8%となりました。
 51ページ、左から二つ目、支出済額の前年度との比較増減額は、843億6、369万円余、9.0%の増加となりました。
 次に、決算の特色を御説明します。1ページにお戻り願います。
 ページ中段の2、決算の特色をごらんください。なお、前年度比較につきましては、便宜、増減率で御説明させていただきます。
 まず、第1は、決算規模が前年度を上回ったことです。
 歳入は、国庫支出金や、県債などの増により、前年度に比べ、10.4%増加し、歳出は、商工費や衛生費などの増により、前年度に比べ、9.0%増加しています。
 第2に、県税収入の減少です。
 企業収益の減退に伴い、法人事業税が5.7%減少したほか、軽油引取税が4.3%減少したことなどにより、前年度に比べ、1.6%減少し、1、279億6、668万円となりました。
 第3に、貸付金及び補助費等の大幅な増加です。
 コロナ禍における対策として、中小企業の資金繰りのための融資制度を創設したことなどにより、貸付金は61.7%増加し、1、878億1、899万円となったほか、医療機関等の体制整備費用に対する補助を拡充したことなどにより、補助費等は21.1%増加し、2、173億2、497万円となりました。
 第4に、翌年度繰越額の増加です。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止策や防災・減災、国土強靱化等の国の経済対策などにより、前年度に比べ9.5%増加し、1、983億7、767万円となりました。
 第5に、県債発行額の増加です。
 県債発行額は、県税収入の減に対応するため、減収補填債を発行したことなどにより、前年度に比べ16.3%増加し、963億3、053万円となりました。
 続きまして、特別会計の決算を御説明いたします。33ページをお開き願います。
 ページ中段の特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により、御説明申し上げます。
 特別会計全10会計の歳入総額は、2、922億7、795万円余で、前年度に比べ、302億7、200万円余の減となり、続いて、歳出総額は、2、859億1、076万円余で、前年度に比べ、331億2、208万円余の減となりました。
 増減の理由は、歳入歳出ともに、公債管理特別会計の減によるものなどです。
 実質収支につきましては、各特別会計とも黒字又は収支均衡となっています。
 なお、流域下水道事業特別会計は、令和2年度から企業会計へ移行していることを申し添えます。
 以上で、令和2年度歳入歳出決算の概要説明とさせていただきますが、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
 なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じております。
 説明は以上でございます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇小西和子委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、希望いわてが35分、次に、自由民主党が33分、次に、いわて新政会が21分、次に、いわて県民クラブが15分、次に、日本共産党が11分、次に、会派に所属しない議員は、社民党木村幸弘委員、公明党小林正信委員の順に、それぞれ7分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑することができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、新型コロナウイルス感染症対策として、換気のため、午前は1回、午後はおおむね1時間半ごとに休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 なお、総括質疑は、明日の遅くとも正午までに終了することを目途にしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 これより総括質疑に入ります。柳村一委員。
   〔柳村一委員質問者席に着く〕
〇柳村一委員 希望いわての柳村一です。会派を代表して前半を私が、後半を菅野ひろのり委員が質疑させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、令和2年度決算全般について伺います。
 令和2年度一般会計の歳出決算額は1兆219億9、578万円、これは令和元年度と比較して843億6、370万円、9%の増となっております。東日本大震災津波からの復旧、復興の進捗のもと、本県の歳出規模は近年縮小傾向が続いてきましたが、令和2年度は増加に転じており、その要因は、言うまでもなく新型コロナウイルス感染症への対策経費となっております。
 令和元年12月初旬に中国武漢で1例目の感染者が報告されてから、およそ8カ月後の令和2年7月末に本県で初の感染者が確認されて以来、昨日の時点で3、486件の感染者が県内で確認され、53名の方が亡くなられるという痛ましい災禍を本県にもたらしたこのウイルスへの対応は、まさに自然災害への対処と同様、臨機の対応、判断が求められる困難な状況の連続でした。
 県議会としても、災害対策連絡本部会議を設置し、当局への意見、提言を取りまとめたほか、令和2年度には4回の臨時会を開催し、必要な対策、予算、事業について議論を深めてきました。
 そこで、この令和2年度決算のうち、新型コロナウイルス感染症対応の決算額をお示しいただくとともに、どの分野に注力してこられたのか、その実績と評価を伺います。
〇達増知事 令和2年度における新型コロナウイルス感染症対策への決算額は1、228億円となっており、主なものとして、感染拡大防止のため、PCR検査体制の拡大、ワクチン接種の加速に6億円、医療提供体制を万全のものとするため、病床確保や宿泊療養施設の確保に135億円、生活困窮者やひとり親世帯などを支援する施策に20億円、利子補給、保証料補給、経営支援金など事業者の資金繰り等を支援する施策に917億円などが挙げられます。
 感染拡大防止については、国が定義する濃厚接触者よりも範囲を広げた検査を実施するとともに、令和2年3月から4月にかけては、知事メッセージにより、首都圏との往来等について注意を呼びかけたところであり、県民の皆様の適切な行動により、本県では7月29日まで感染者ゼロが続き、その後も人口10万人当たりの新規感染者数が最大で7.9人にとどまり、全国的にも低い水準に抑え込むことができたところであります。
 また、感染状況に応じ必要な病床等の確保などの取り組みを進めたところであり、複数のクラスターも発生しましたが、早期に適切な医療を提供できたところであります。そのような中、お亡くなりになられた方に対し、心から御冥福をお祈り申し上げます。
 さらに、社会経済への影響を最小限にとどめるため、累次にわたる補正予算の措置により生活困窮者やひとり親世帯などを支援する施策、飲食店や観光宿泊施設、交通事業者の感染対策の支援、中小企業の資金繰り等のための貸付金の創設や家賃支援、経営支援金などの経済、雇用対策を実施いたしました。
 これらの取り組みや事業者の皆様や市町村、関係団体の頑張りにより、昨年秋には、観光宿泊客数が前年並みとなるなど、成果があらわれたところであります。
 適切な感染対策と医療提供体制、社会経済対策は重要であり、引き続き取り組んでまいります。
〇柳村一委員 令和2年度の決算については、新型コロナウイルス感染症対策に一生懸命対応していただいたということもありますが、県民に影響がある通常の事業についてもしっかり対応されているのかどうか、後でお伺いします。
 次に、令和2年度当初予算案においては、東日本大震災津波、平成28年台風第10号災害及び令和元年台風第19号災害からの復旧、復興に係る事業を最優先で実施するものとしていましたが、その実績と評価を伺います。特に東日本大震災津波は発災から10年となる大きな節目の年度として、どう総括されているのかお伺いします。
〇達増知事 東日本大震災津波を初めとする災害復旧、復興事業の実績と評価についてでありますが、令和2年度においては、東日本大震災津波からの復興については、内陸部の災害公営住宅の整備や市町村が行う復興まちづくり事業が完了したほか、復興道路や海岸保全施設等の整備も進んだところであります。
 台風災害からの復旧、復興については、被災した公共施設の早期復旧等に取り組み、災害復旧工事の完成率は、平成28年台風第10号災害では、農林水産施設で100%、公共土木施設で99.3%、令和元年台風第19号災害では、農林水産施設で92.2%、公共土木施設で50.3%となっており、復旧、復興は目に見える形で進んだところであります。
 また、発災から10年となった東日本大震災津波からの復旧、復興については、災害廃棄物の処理、復興道路や海岸保全施設等の整備、災害公営住宅や被災した漁船、養殖施設の整備などが完了し、応急仮設住宅等に入居されていた方々の恒久的な住宅への移行が令和2年度内に完了、商業施設や水産加工施設などが順次再開されるなど、計画された復興事業の多くが完了するとともに、この間、医療費等の一部負担金の免除、新たなコミュニティー形成の支援などによる生活の再建、事業者の債権買い取りや販路開拓支援などによるなりわいの再生を支援してきたところであり、復興は着実に進展してまいりました。
 さらに、新たに釜石港にガントリークレーンの供用が開始され、釜石港及び大船渡港においてコンテナ定期航路が開設されるなど、震災前にはなかった産業基盤も整備されました。
 その一方で、完成していない一部の社会資本の早期整備や被災者の心のケア、新たなコミュニティーの形成支援、水産業における水揚げ量の減少対策や担い手の確保、商工業における販路の回復や従業員の確保など、引き続き取り組む必要があり、また、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者への支援なども必要であります。
 このような復興の成果と課題を踏まえ、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、引き続き、被災者一人一人が復興を果たしていくことができるよう取り組んでまいります。
〇柳村一委員 社会資本となりわいの部分がもっと進んでいけば復興が目に見えてくると思いますので、一生懸命御尽力いただきたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策以外の事業について伺います。
 令和2年度主要施策の成果に関する説明書・いわて県民計画(2019〜2028)実施状況報告書によれば、57のいわて幸福関連指標のうち33指標、58%が達成または概ね達成、471の具体的推進方針指標については、324指標、69%が達成、概ね達成となっており、いずれも令和元年度の達成状況61%、78%に対して下回っております。
 本文を拝見しても、新型コロナウイルス感染症の影響による中止や活動件数の減少による事業執行の困難がおくれの理由として掲載されており、通常分の事業についても感染症の影響は否めないことが明らかです。
 2028年度を年次目標とするいわて県民計画(2019〜2028)にとって、新型コロナウイルス感染症対策として多額の事業執行を行ってもなお、この2年に及ぶ世界的な感染症の拡大は大きな影響を与えています。
 そこで、成果を踏まえた事業の立案、執行は県行政の柱でありますが、この指標の達成状況を踏まえ、今後の事業をどのように進めていくつもりなのか、今後のポストコロナを見据えた指標の見直しや計画の大幅な見直しに関する認識についても、あわせてお伺いします。
〇達増知事 委員御指摘のとおり、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う事業の延期や縮小、中止により達成度におくれが生じている指標がある一方、デジタル化の進展等により、医療や介護などの分野において前倒しで目標を達成したものもあります。
 今後は、政策評価において、それぞれの指標の達成状況に加え、新型コロナウイルス感染症の感染状況を含む社会経済情勢などを踏まえながら、丁寧に課題を分析し、10の政策分野の取り組みに反映するとともに、岩手県総合計画審議会の意見なども参考に、具体的推進方策指標の見直しを行うこととしております。
 また、今般の感染拡大は、東京一極集中の是正や地方の暮らしやすさが広く認識される契機にもなっていることから、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策をしっかりと行うことが地方創生にもつながるとの考えのもと、今後見込まれる国の経済対策の効果的な活用なども視野に入れながら、アクションプランに掲げる取り組みについて、新たな事業の追加や事業のブラッシュアップを進めてまいります。
〇柳村一委員 ただいま見直しを行うような御発言でしたが、時期とか見直しの基準とか、いわて県民計画(2019〜2028)との整合性はどのようにお考えでしょうか。
〇石川政策企画部長 具体的推進方策指標の見直しにつきましては、現在、各部局と連携しながら取り進めておりまして、今年度中に見直しを行いたいと考えております。
〇柳村一委員 大幅な見直しになるのかどうかわかりませんけれども、しっかりと見直しをお願いします。
 次に、決算の具体の中身、数値について伺います。
 令和2年度は、1年を通じて新型コロナウイルス感染症の感染動向に県民生活が左右され、飲食店を初め多くの事業に影響がありました。
 県税収入の決算額は前年度から20億5、095万円減の1、279億6、668万円と財政的にもその影響があらわれていると考えますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が県税収に与えた影響についてどう総括されているのか、また、今後の動向についてどのような見通しを持っているのか伺います。
〇白水総務部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が令和2年度の県税収入に与えた影響額につきましては、特に法人二税において顕著に生じておりまして、前年度に対して28億2、627万円、9.2%の減となったところでございます。
 一方で、地方消費税については、税率引き上げの効果が通年ベースで生じたこともあり、前年度に対して18億8、657万円、8.8%の増となったところでございまして、税制改正など、新型コロナウイルス感染症以外の要因も複合的に影響した結果、県税全体としては20億5、095万円、1.6%の減となったところでございます。
 今後の動向につきましては、先般公表いたしました中期財政見通しにおいて、国の試算に基づき、県税等として令和4年度に2、078億円と今年度当初予算よりも伸びる見込みとしておりますものの、コロナ禍が今後の県税収に与える影響につきましては、引き続き注視していく必要があると考えております。
〇柳村一委員 先般の中期財政見通しには反映されているということでよろしいですね。わかりました。
 今回の令和2年度決算での実質収支は246億円となっており、昨年の131億円の実質収支額から大幅に増額し、東北6県の平均166億円と比べて1.5倍、単年度で多額の黒字を計上していますが、この金額の実質収支の内容をどのように分析しているのかお伺いします。
〇白水総務部長 令和2年度決算の実質収支246億円のうち、新型コロナウイルス感染症への対応分に係る不用残が70億円となっておりますが、その多くは緊急包括支援交付金などでございまして、概算で交付されているものであり、今後、国への返還が必要となっております。
 また、実質収支246億円から新型コロナウイルス感染症対応分70億円を除きました残り176億円は、例年ベースの実質収支に相当するものでございますが、令和元年度決算と比べ45億円の増となっております。その要因は、歳入について、来年度以降、精算により国への返還が必要な震災復興特別交付税が23億円の増、歳出につきまして、その一部が国への返還が必要な繰越事業に係る不用残が15億円の増などとなっております。
〇柳村一委員 ということは、この大幅な増は、国へ戻っていくお金ということですね。はい、わかりました。
 決算を踏まえて、今後の財政の活用見込みについてお伺いします。
 地方財政法第7条の規定により、決算上、剰余金が生じた場合においては、その2分の1以上の金額を基金に積み立てまたは地方債の繰上償還に活用することとされており、今回の実質収支246億円についても、その規定により2分の1である123億円の積み立てが9月補正予算に盛り込まれております。
 この積み立てを踏まえた本県の財政調整基金の残高は241億円、財源対策3基金の合計では423億円まで回復しています。これは、昨年度の財政見通しで想定された令和3年度末残高282億円を大幅に上回る水準であり、先日更新された岩手県中期財政見通しにおいても、本年度末残高は391億円と昨年度の見通し以上の水準が確保されています。
 そこで、今後の財源対策基金の活用をどのように見込んでいるのか伺います。また、現時点での残高423億円と中期財政見通しにおける391億円の残高見込みには30億円程度の乖離がありますが、その内容もあわせてお伺いします。
〇白水総務部長 中期財政見通しにおきましては、一定の前提条件のもと、歳出改革を織り込まない歳出の自然体の姿で試算しておりまして、生じた収支ギャップにつきましては、推計上、その全額を財源対策基金の取り崩しにより対応することとしております。その結果、基金残高が令和6年度末に101億円となると見込んでおります。
 また、現時点の残高423億円は、9月補正後の財源対策基金の残高である一方で、中期財政見通し上の残高391億円は、今年度内に見込まれる国への返還金など32億円の取り崩しを加味した令和3年度末の残高見込みとなっております。
〇柳村一委員 ということは、この乖離も国に行くお金だと解釈していいわけですね。はい、わかりました。
 ただいま財源対策基金残高について触れましたが、先日公表された県の中期財政見通しについてお伺いします。
 県では、中期的な財政運営を行うための指針として、平成28年度以降、毎年度、中期財政見通しを更新していますが、今回の見直しは極めて厳しい内容です。
 これまで、県は財政逼迫の要因として、バブル崩壊以降、国の経済対策に呼応して実行してきた多額の公共投資や建築投資の借金の返済、広大な県土に由来する県立病院や学校の運営に要する経費に交付税等の地方財政措置が追いついていないことを挙げていました。しかし、今回公表された資料の当局説明では、初めて、本県の人口減少が交付税減の大きな要因としております。
 交付税の算定基礎となる令和2年国勢調査における本県人口は121万1、206人、これまで算定基準とされてきた平成27年度国勢調査における127万9、594人と比較して5.3%が減少し、減少約1%が約5億円の試算のようですけれども、令和6年度の財源が26億円減少するという形で明白な財政逼迫の要因と分析しています。
 県では、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略のもと、2040年に100万人程度の人口規模を維持することを目標にさまざまな施策を展開しているようですが、この財政状況を見ても、厳しい財政状況の中で施策を打つ余裕が少ないという困難な課題に直面していると考えています。
 このように、人口減少が中期的な財政見通しにも大きな影響を及ぼす中で、どのように知恵を絞り、工夫しながら人口減少対策を進めていこうと考えているのかお伺いします。
〇達増知事 国のまち・ひと・しごと総合戦略においては、地方と東京圏との転入・転出を均衡させるとの基本目標を掲げていますが、全国的な東京一極集中は加速しており、本県もその趨勢から免れない状況にあります。
 人口の増減は、国の経済財政政策や経済状況の影響を強く受けることから、東京一極集中の是正に当たっては、地方を重視した経済財政政策の実施や高等教育機関の地方分散などの国による抜本的な対策に合わせ、県独自の取り組みの充実も必要であります。
 このため、国の基本目標や活力ある地方創り、少子化対策を掲げる骨太の方針2021を踏まえ、引き続き、社会減ゼロと出生率の向上という県の目標を維持しながら、県の令和4年度当初予算編成方針に、人口減少社会への対応を新たに重点テーマとして掲げたところであります。
 今後とも、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の4本の柱に基づき、ものづくり産業の集積や雇用における地元志向の高まり、保育人材の確保や仕事と育児の両立など、地域社会全体での支え合い、医療、福祉や文化、教育など豊かなふるさとを支える基盤、復興で培った国内外との人的、経済的交流など、岩手の豊富な資源を生かしながら、今後見込まれる国の経済対策なども有効に活用し、人口減少対策に取り組んでまいります。
〇柳村一委員 このままの交付税措置では、人口減少を食いとめなければ、どうしても歳入が伸びていかないと思いますので、確実な事業の推進をお願いします。
 次に、公債費について伺います。
 県では、平成24年度決算において実質公債費比率が18%を超えたことを受け、公債費負担適正化計画を策定し、厳しい財政規律のもと県債発行を抑制してきたことから、平成30年度決算で比率が18%を下回り、年次目標を2年前倒しして計画を達成いたしました。
 かつて20.5%まで上昇し年間1、300億円を超えていた公債費も、令和2年度決算では13.7%、1、000億円を下回る水準まで継続的に減少してきました。ところが、今回の中期財政見通しでは、令和5年度に底を打った後、再び上昇基調にあることが見てとれます。
 公債費負担適正化計画のもと、公共投資を抑制し、震災関連事業については特例的な国の手厚い財政措置のもとで展開してきたことを考えれば、なぜまた公債費が上昇するのか、公債費上昇の要因と今後の動向をどのように見込んでいるのかお伺いします。
〇白水総務部長 まず、公債費が増加する要因でございますが、これまで、公債費負担適正化計画に基づき地方債発行額を抑制してきたところでございますが、令和6年度以降については、国の経済対策等に対応した公共投資の増加、それから、令和2年度における減収補填債85億円の発行、これらが影響し増加すると見込んでおります。
 今後の動向についてでございますが、今後の発行額にも影響されますが、現時点では公債費が数年程度は増加するものと見込んでおりまして、一層厳しい財政状況が見込まれることも踏まえ、交付税措置のある有利な地方債や低利の資金を活用し、公債費負担の平準化を図っていきたいと考えております。
〇柳村一委員 国の経済政策に呼応して県債を発行していかなければいけないという部分で、それに呼応しないで、選択しながら事業をやっていくことにつきましてどのようなお考えでしょうか。
〇白水総務部長 まず、経済対策につきましては、委員も御承知のとおり、やはりこのコロナ禍を受けて非常に厳しい経済状況、あるいはさまざまな事業者支援等を求められている状況でございまして、その中で、国が打ち出してきた経済対策は非常に有利な財源等を確保できておりますので、必要な事業についてはしっかりと確保していくことだと思っております。
 一方で、地域事情に応じたさまざまな課題もございますので、これについては県も、なかなか厳しい状況ではありますけれども、しっかり財源を確保してやっていくということかと思っております。
〇柳村一委員 総務部長も国に戻られたら、県の苦しい事情をぜひ国のほうに吸い上げていただきたいと思います。
 次に、地方財政全体の動向と本県の経済見通しの関係について伺います。
 過去の公共投資に起因する公債費の増加に対しては、インフラ整備に伴う後年度の負担として現在を生きる我々が担うべき性質のものであり、知事就任以降、公債費負担の適正化、ひいては財政の健全化に向けて取り組まれてきたと認識しております。一方で、広大な県土を有するゆえに、本県の行政サービスを一定の水準で継続的に提供していくためには相当のコストを要することも事実です。
 今回、人口減少の影響が地方交付税の算定に大きな影響を与える見通しとなりましたが、近年、毎年200億円を超える多額の繰り出しにより県立病院の運営を維持していることは、今回のコロナ禍において、原則入院、自宅療養ゼロという手厚い医療体制の確保につながりました。
 また、一律に規模にのみ着目するのではなく、地域の魅力に気づき磨き上げる教育機会の確保として小規模校を維持していることは、国を挙げて推進している地方創生の取り組みと軌を一にするものであります。
 これから県の取り組みについては、人口減少が進む中において、地域を維持、活性化させるために欠かせない取り組みであり、国からの地方財政措置、交付税の算定等において、きちんと算定されるべき性格の経費ではないかと考えます。
 基金が大きく減少していく今回の財政見通しにおいて、歳出の適正化を図ること、財源の涵養を進めることはもちろんですが、本県歳入の25.8%を占め、まさに柱と言える地方交付税の動向は、本県の財政見通しに大きな影響を与えるものです。
 そこで、県は人口減少の影響が顕在化する中で、現行の交付税制度の課題はどのような点にあると認識しているのか、また、どのように対応していくのかお伺いします。
〇白水総務部長 先般公表いたしました本県の中期財政見通しにおきましては、国勢調査人口や公債費の交付税への算入額の減などに伴う普通交付税の減少等によりまして、本県の実質的な一般財源総額が毎年度減少していくと見込んでおります。
 現行の交付税制度では、人口をもとに算定される割合が高く、本県のような広大な県土を有する団体の財政需要への反映が十分ではなく、本県では、例えば地域医療を支える県立病院の運営や就学機会を確保するための小規模高校の維持に係る経費に対する措置が十分でないと認識しております。
 そのため、国に対し、本県の実情に応じた財政需要を的確に反映するよう強く要請するとともに、予算編成におきましては、経常的経費である基礎的経費や一般行政経費についても徹底的な見直しを進めてまいります。
〇柳村一委員 総務部長がおっしゃるとおり、国に対して地方の実情をどんどん訴えてほしいと思います。
 国の人口動態を考えれば、東京都など一部を除き、人口減少の影響は多くの自治体に及んでいます。人口減少が、財政規模の縮小に直結する地方財政の枠組みが継続すれば、今後、本県同様に厳しい財政状況に直面する自治体は少なくないと考えます。
 本県として、国に対して提言していくことはもちろんですが、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の先例があるように、同様の課題認識を持つほかの自治体との連携や、コロナ禍において一層強い存在感を発揮した全国知事会との連携は、地方財政措置の拡充を実現していく上で極めて有効な手段と考えます。
 この人口減少と財政の状況を踏まえて、本県として、他自治体との連携を進めて、国に対して提言していく必要があると思いますが、当局の所見を伺います。
〇石川政策企画部長 県では、本年6月、全国知事会を通じまして、令和4年度国の概算要求に向け、地方の安定的な財政運営や地方創生の推進について、国に対し要望を行ったほか、本年8月には、北海道及び東北6県等で構成する北海道東北地方知事会を通じて、地方を重視した経済財政政策の展開や地方一般財源総額の確保、拡充等について提言を行ったところでございます。
 また、平成28年から、日本創生のための将来世代応援知事同盟に参加し、国に対し、安心して子育てできる環境の整備や東京一極集中の是正などの緊急提言を行ってまいりました。
 人口減少は多くの自治体が抱える共通の課題でありますことから、今後におきましても、他の自治体と連携し、地方創生に向けた取り組みを国に働きかけてまいります。
〇柳村一委員 コロナ禍によって全国知事会が大きくクローズアップされていると思いますので、よろしくお願いします。
 このたび知事は、全国知事会の農林商工常任委員会の委員長に就任されたようでございます。大変おめでとうございます。同委員会は、コロナ禍における飲食業、観光業の支援に係る提言、要請を重点的に行うなど、知事会の中でも強い存在感を発揮しており、新規就農者の拡大、地域経済の発展という人口減少対策の根幹ともいえる分野で大きな役割が期待されております。
 そこで、委員長の立場として、人口減少と東京一極集中の是正という日本全体の構造的な課題解決に対して、どのように国に対して提言をしていく考えかお伺いします。
〇達増知事 委員御指摘のとおり、地方の人口の社会増減は地方経済の状況と深い関係があり、本年6月、全国知事会から国に対し、ウィズコロナ・ポストコロナ時代における産業の振興と基盤の強化に向けた提言を行い、農林水産業の持続性確保に向けた経営発展支援の充実と生産基盤の強化、デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの創出の促進、サプライチェーンの強靱化に対する支援など、地方の強みと魅力を生かした産業構造の構築について強く求めたところであります。
 私も、かねてから内需拡大型の経済構造改革、地方重視の経済財政政策の必要性を繰り返し訴えてきたところであり、岩手県にとって農林水産業、商工業の振興は極めて重要であります。そのような意味からも、農林商工常任委員会委員長としての職をしっかりと務めていきたいと思います。
 先月の委員長就任以降、既に、農林水産省に対し、新規就農者育成総合対策の財源確保等に係る緊急申し入れを行ったころであり、今後も、市町村や農林商工関係団体の声を聞き、全国の都道府県と力を合わせ、人口減少対策と東京一極集中の是正に取り組んでまいります。
〇柳村一委員 まさに岩手県の課題の大きな部分の委員長として、ぜひとも活躍されることを御期待しております。
 次に、次期アクションプランに向けた財政確保について伺います。
 令和5年度から令和8年度までは次期アクションプランの期間ですが、今回の中期財政見通しの期間は令和6年度末、ちょうど中間年度までの財政見通しが公表されている形です。
 令和6年度末の財政対策基金残高101億円の水準が極めて厳しいと考えます。新型コロナウイルス感染症の影響がどの程度長期化するのか確たる見通しを持てない中で、近年の災害の激甚化、頻発化の状況を踏まえれば、やはり一定程度の財政対策基金を確保しつつ財政運営を行っていくことが現実的な対応と考えます。
 そこで、当局としては望ましい財政対策基金残高はどの程度の水準であると考えているのか、また、その水準を確保していくためにどのような手法で財政構造を構築していくのかお伺いします。
〇白水総務部長 財源対策基金でございますが、災害等により思わぬ支出を余儀なくされることがあることから、将来に備えて積み立てているものでございまして、年度間の財源調整の役割を担っているものでございます。
 災害に係る経費などはその規模を見通すことが困難であり、適正な基金の水準は一律に算出できるものではない一方で、持続的で安定的な行財政基盤の構築に当たっては、他県の水準やこれまでの災害対応経費などを参考にし、ある一定の基準を財政目標として設けることは、検討課題の一つであると認識しております。
 毎年度の予算編成と執行段階におきましては、歳入の確保や経費の節減などに努め、収支ギャップの縮減を図ることで、安定的な行財政運営に努めてまいります。
〇柳村一委員 今回の予算のところでもマイナスシーリングとか厳しい予算の状況になっているようですけれども、今後の厳しい財政状況が明白になった以上、これまでどおりの財政運営では、安定的な行財政基盤を構築していくことは難しいと考えます。
 基金の枯渇が目の前の課題として迫る中、毎年度、地道に財政対策を講じていくことはもちろん重要ではありますが、今後の財政状況を見据えたとき、大胆な行財政構造改革を行う必要があると考えますが、所感をお伺いします。
〇達増知事 知事に就任した際、本県は、過去の投資的経費に係る多額の公債費負担による厳しい財政状況に置かれていましたが、東日本大震災津波からの復興における国からの手厚い財政支援措置の実現や公債費負担適正化計画の2年前倒しでの目標達成など、着実に財政運営を行ってきたところであります。
 今後、人口減少を背景とした厳しい財政状況が続くことが見込まれる中におきましても、県民に必要な行政サービスを安定的に提供し、いわて県民計画を着実に推進していくため、持続可能な行財政基盤を構築していくことが重要であります。
 そのため、中長期的な視点に立って県の行財政基盤の構造的な課題の分析を深めつつ、徹底的な歳出の見直しを行い、限られた財源を重点的かつ効果的に活用してまいります。
〇柳村一委員 ただいま中長期的なという言い方がありました。今までは中期的な見方でやっていたのですけれども、やっぱり長期的なビジョンで見るということは、安定した県勢の発展につながると思いますので、しっかりとその辺を見定めて今後も行財政運営を行っていただきたいと思います。
 この後は、菅野ひろのり委員が県政の課題について鋭い視点で質疑をいたしますので、答弁をよろしくお願いします。
 以上、私からの質疑を終わります。
〇小西和子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時4分 休 憩

午前11時22分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。次に、菅野ひろのり委員。
   〔菅野ひろのり委員質問者席に着く〕
〇菅野ひろのり委員 では後半、よろしくお願いします。
 まず、先ほど人口減少について答弁がありましたので、その点について、もう少し伺います。
 やはり、これは地方交付税の関係からも、あとは人口流出というところからも非常に重要な課題だと思っています。先ほど国の抜本的な対策が必要だという答弁がありましたが、私は、国は国の努力、そして県は県の努力がやっぱり必要だと思います。
 その中で、来年度の予算方針についてですけれども、人口減少対策を重視していくと記載がありますが、具体的にどんな対策を講じてやっていくのか伺います。
〇達増知事 人口減少は、今目の前にある危機的な課題であるとの認識のもと、県では、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の4本の柱に基づく施策を推進しております。
 県では、今年度新たに、若者の就職、結婚、子育てのライフステージに応じた住宅支援、医療、看護、福祉など女性の就業ニーズの高い職種の県内企業とのマッチングなどに取り組んでいるところでありますが、来年度に向けて、自然減対策と社会減対策を総合的に進めるため、移住、定住や二地域居住、多拠点居住、県内就業や女性人口の確保につながる取り組みのほか、ものづくり産業の集積による雇用創出や大学生等県内定着、安心して子供を産み育てることができる環境づくりなどについて、若者や女性活躍の視点を踏まえ具体的な検討を行っているところであります。
〇菅野ひろのり委員 今、若者、女性のという言葉がありました。本当に重要な視点で、この間も東日本大震災津波復興特別委員会で、沿岸地域の女性の流出が4割弱、36%ぐらいだということがありましたが、沿岸地域と限定していいのか、若者、女性に関してさらにどうやって踏み込んでいくのか、その辺はどのような考えでしょうか。
〇達増知事 県としては、令和4年度政府予算に係る提言・要望におきまして、地方を重視した経済財政政策や地方への人の流れを創出する抜本的かつ総合的な対策の実施、まち・ひと・しごと創生事業費の継続や地方の自主性・主体性に配慮した交付金の確保、地方への移住・定住の促進や農山漁村の活性化、政府関係機関の地方移転や高等教育機関の地方分散などについて国に提言を行い、また、本年6月、全国知事会において、全ての国民が輝ける活力ある地方を創り、地方創生を真の意味で新たなステージに押し上げるため、コロナに打ち克ち、希望と活力ある地方の実現に向けた提言を取りまとめ、国に提言しているところであります。
 県の政策として、先ほど答弁いたしましたように、来年度に向けて移住、定住、二地域居住、多拠点居住、県内就業、女性人口の確保、ものづくり産業の集積による雇用創出や大学生等県内定着、安心して子供を産み育てることができる環境づくりなどについて具体的な検討を行っていると申し上げましたが、今、前半で述べましたように、新型コロナウイルス感染症対策、その克服というところで、特に女性に困窮が集中している状況の克服、そして、岩手県の新型コロナウイルス感染症の感染リスクの低さから来る居住の快適さ、働く場としての優位さ、そうしたところに力を入れながら、岩手県としての人口減少対策を進めてまいりたいと思います。
〇菅野ひろのり委員 総体的にというか、大きな枠組みはそうなのだろうというところはあるのですが、個別具体的となったときに、多分、多くの県民の方もそうですし、もっと若者、女性の流出を何とかとめてくれと。今、北上川バレープロジェクトなどを集中的にやっていますけれども、そこに対して、本当に女性の若い方々のニーズがあるのか、どういうところで働きたいのか、そういった調査も含め、県だけではできないこともあるけれども、やっぱりそこをベースにさらに踏み込んでやっていただきたいと思います。
 総括なので幅広くほかにも質問したいのでこのぐらいにしておきますが、もう一点、国に対してはどうですか。やっぱり若者の流出等を考えたときに、例えば、年代から見ても、大学あるいはそういったところの年齢層の流出が多いと思いますが、税制改正や企業、大学の集中是正、若年層の流出など、具体的に国にどんな対策を求めていくのか伺います。
〇達増知事 東京一極集中の是正に向けては、まず、国が国家戦略として分散型国土の形成など抜本的対策や地方重視の経済財政政策を実施することが求められ、地方においては、地方の人々の暮らしや仕事を起点とする政策を実施し、地方への新たな人の流れを創出、拡大していくことが重要であります。
 また、現在、全国的な東京一極集中は加速して、本県もその影響を強く受けているところですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、東京圏への転入超過数の傾向に変化が見られること、テレワークを初めとする多様な働き方の加速化など、ふるさとづくりにおける大きな転機を迎えております。
 県といたしましては、令和4年度政府予算に係る提言・要望について、先ほど述べましたように、地方を重視した経済財政政策等の実施、まち・ひと・しごと創生事業費の継続等、地方への移住・定住の促進、そして、政府関係機関の地方移転や高等教育機関の地方分散などについて提言を行っております。
〇菅野ひろのり委員 コロナ禍というのは、地方の見直しがされたというような知事の答弁にもありますし、私もそう思っています。そうすると、これは岩手県だけではなくて、東北地方あるいは全国的にも、今だから、うちの県に来てほしいという施策をほかの道府県も一生懸命やるわけでありますから、来年度の予算編成に鑑みても、さらにしっかりと注力をしていただかなければいけないことだと思っていますので、ぜひ、お願いしたいと思います。
 そして、改めて、確認も含め予算編成についてでありますが、財政が厳しい中において、社会経済が回復していかなければいけない。一方で、厳しい財政の状況がありますが、切れ目なくお金を出しながら事業を続けていかなければいけない。アクセルを踏みながらブレーキを踏んでいるような、そんな状況になるかと思っています。
 来年度予算編成では、どこに重点を置いて予算配分をしていくのか伺います。
〇達増知事 厳しい財政状況が見込まれる中においても、いわて県民計画(2019〜2028)及び第1期アクションプランを着実に推進していくためには、徹底的な歳出の見直しを図りつつ、限られた財源を重点的かつ効果的に活用し、めり張りのある予算配分が重要であります。
 令和4年度の予算編成に当たっては、経常的経費に削減目標を設けて縮減を図る一方で、政策・プロジェクト推進費については、シーリングを設けず、部局横断で新しい全県的な課題に対応する施策に重点配分することとしております。
 これによって、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる10の政策分野や新しい時代を切り拓くプロジェクト、それに加えて三つの重点テーマ、人口減少への対応、デジタル化による地域課題の解決、グリーン社会の実現に資する施策を展開してまいります。
〇菅野ひろのり委員 人口減少についてはお伺いしましたので、先ほど予算編成方針には三つの重要テーマがあるということで、人口減少のほかに、デジタル化、そしてグリーン社会を挙げられています。
 県として、これまでもこれに取り組んできた様子はありますが、今これを重点テーマとして新たに設定して取り組みを強化しようという意図は、どう考えていますでしょうか。
〇石川政策企画部長 三つの重点テーマでございますが、いわて県民計画(2019〜2028)の推進に向けまして、国が公表しました骨太の方針2021の動向も踏まえまして設けたものでございます。
 このうち、デジタル化による地域課題の解決につきましては、国もデジタル化を次なる時代をリードする新たな成長の源泉と位置づけ、今年度、県もいわてDX推進連携会議を立ち上げ、産学官金、オール岩手でデジタル社会を目指しており、また今後、デジタルトランスフォーメーションによる生産性、利便性の向上に向けた取り組みを一層推進していくことが重要と考え、重点テーマとしたものでございます。
 また、グリーン社会の実現につきましても、気候変動が一因と考えられる異常気象が頻発しており、県としても、本年2月に、いわて気象非常事態宣言を行い、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入などに取り組んできたところであり、政府も、2050年カーボンニュートラル、脱酸素社会を目指すことを宣言するなど、本県の取り組みを一層強化、加速させる好機であることから、重点テーマとさせていただいたところでございます。
〇菅野ひろのり委員 デジタル化などは、議会としても、これから特別委員会でもデジタルトランスフォーメーション等に取り組んでいくわけですが、私は、このグリーン社会の実現に関する施策、これは、全国的に国も挙げてやっていますけれども、実感としてまだまだ薄いと思っているのです。特にグリーン社会の実現を岩手県で見たときに、洋野町の洋上風力であったり、東日本大震災津波の被災地であれば、あいているところに太陽光パネルであるとか、いろいろな部署が連携してやっていかなければいけない政策課題だと思うのです。
 これを、今の県庁の体制でどうやっていくのかというのが、私はまだ見えないところがあるのです。この辺は、どのような体制でどうやっていこうと考えているのかお伺いします。
〇石田企画理事兼環境生活部長 グリーン社会の実現についてでございますけれども、現在、庁内で検討チーム、作業チームをつくりまして、研究しているところでございます。
 今までは地球温暖化計画で、例えば省エネルギーでこのくらいCO2を減らしますよ、あるいは再生可能エネルギーではこのくらいやっていきますというのはあるのですけれども、このグリーン社会というのは、どちらかというと地域の中で循環させるということで、これは研究の一つの切り口でございますけれども、例えばつくるであったり、ためるであったり、運ぶであったりという切り口で研究しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 復興の途上で主要魚種もとれないという中で、沿岸の産業をどうやってつくっていくかが岩手県の本当に大きな課題であり、先ほど女性の流出の課題もありました。その中で、グリーン社会の実現ができるかどうかは、岩手県にとって大きな一歩になると思っていますので、言葉だけで終わらないように、実効性を持って取り組んでいただきたいと思います。
 次に、予算の要求基準について伺います。
 今回、マイナスシーリングということが言われていて、気になるのは、県民サービスが低下していかないか、大丈夫かというところであります。
 国の概算要求の基準と同様、県予算のシーリングは毎年度の予算の動向を図る物差しです。今回、政策的経費に5%のマイナスシーリングが設定されました。経常的経費についてもシーリングが設定されたということですから、これは本当に県財政が厳しいものなのだと思います。
 また、基礎的経費1%削減。これは努力目標でありますけれども、人件費であったりとか、そういったところに手をつけていかなければいけないような厳しい状況なのだと思います。
 このシーリングでどの程度の財源を生み出して財政の健全化を図ろうとしているのか。先ほども言いましたが、県民サービスの後退につながらないよう、どう配慮して予算編成を行っていくのか伺います。
〇白水総務部長 委員御指摘のとおり、令和4年度の予算編成方針におきましては、人口減少等に伴う実質的な一般財源の減少を見据え、基礎的経費や一般行政経費などの経常的経費について削減目標を設けておりまして、これらの要求基準により生み出される一般財源は、約19億円と見積もっているところでございます。
 安定的に行政サービスを提供していくため、これらの財源に加え、予算編成過程におきましては、徹底的な歳出の精査を行うことで、限られた財源を重点的かつ効果的に活用し、めり張りのある予算編成を行ってまいります。
〇菅野ひろのり委員 めり張り、いい言葉だと思いますが、どこにどうやっていくのか本当になかなか厳しいところだと思いますし、特に、先ほどから沿岸市町村の話をしていますが、公共事業もどうやっていくのかが、めり張りの中で非常に大きな課題だと思っています。
 今回の令和2年度の復旧、復興事業に係る普通建設事業費は12%の減少、前年度比で127億円減っていると。通常分の公共事業も、過去の平成9年当初予算2、476億円から比べると、令和3年度は525億円と大幅に減っているわけです。
 独自に一般会計の公共事業費を見ても、平成8年から平成10年ぐらいは県単で900億円ぐらい、平均で800億円ぐらいずっと使っていたのが、今は100億円ぐらいという厳しい中であります。
 さらに、来年度の県の予算要求基準の公共事業は1.0倍とされるのに対して、国の概算要求段階では、国土交通省の公共事業は1.19倍と違いがあるわけですので、第2期岩手県国土強靱化地域計画の取り組みを進めていくのに十分な予算額を確保できるのか懸念しています。
 公共事業費の確保について今後どうしていくのか、考えを伺います。
〇菊池副知事 公共事業による社会資本の整備につきましては、安全・安心な地域社会の構築や地域の産業振興などの観点からも、安定的な予算を確保していくことが重要であるということは認識しております。
 委員御指摘のとおり、令和4年度の予算編成方針においては、公共事業費について昨年度同額の要求としておりますが、今後見込まれる国の経済対策があります。こうした動向等を踏まえて、必要に応じ、いわゆる別枠での要求を認めていく考えでございます。
 安定的な予算額の確保という観点から、今後、さまざまな機会を捉えて、引き続き国に強く働きかけていくことで、国費の確保を図り、厳しい財政状況においても公共事業を安定的、持続的に実施できるよう努めてまいります。
〇菅野ひろのり委員 財政調整基金の切り崩しの状況など、今の財政状況を見ると、今、借金を返していかなければいけないのだと思います。それは、過去をさかのぼれば、過去の投資が負担になっているという見方もありますし、一方で、過去にその事業をやっていなかったら、例えば今の道路はないのだといった見方もありますが、いずれ財政調整基金が厳しい中で公共事業の予算確保は非常に大変だと思いますので、それは注力してお願いしたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 この辺は一般質問でもさまざまありましたので簡潔にお伺いしたいと思いますが、ワクチン接種の状況でございます。先日、知事は定例記者会見で、10万人当たり2.5人のレベルであれば、基本的な感染症対策をすれば十分という面もあるというような趣旨の発言をされたと思っています。
 今の県内のワクチン接種状況は、12歳以上、10月11日現在で2回目の接種を終えた方は75万9、540人、接種率は68%でありますが、感染状況の落ちつきがあって、団体接種会場の予約の空きの状況も出ているようであります。
 今後のワクチン接種の方針をどのように考えていますでしょうか。
〇野原保健福祉部長 委員から御紹介いただきましたとおり、10月11日時点で12歳以上の本県の接種率は、約7割の方が終了したところでございまして、県の集団接種会場におきましても、一部の日程で空きが生じてきている状況にあります。
 こうしたことから、今後は、一部の市町村におきまして接種の開始時期がおくれておりました20代や30代の方々の接種の促進が必要と考えておりまして、接種を希望していない方にも十分に配慮をしつつ、県のホームページやSNSなどを通じて情報発信を行い、11月末までに希望する全ての県民が2回の接種を終えることができるよう、接種率向上に取り組んでまいります。
 また、国では、早ければ12月に3回目の接種を開始するとしておりまして、各自治体に対して追加接種を迅速に行うための接種体制を準備するよう通知したところでありますが、実施に係る財源を含めまして、具体的な内容についてはまだ示されていないところでございます。
 今後、国の動向を注視しつつ、本県の限られた医療資源の中で着実に接種を進めるため、これまで第1期から第3期まで実施してまいりました県の集団接種などで培った経験や課題などを踏まえ、市町村や県医師会、医療機関等とも協議、調整の上、円滑かつ迅速な接種体制を構築してまいります。
〇菅野ひろのり委員 先ほど保健福祉部長の答弁の中で、希望した方全てにということでありますから、そのとおり3回目の接種も求められるのだろうと思います。その体制はしっかりと整えつつ、今後、この感染状況のとまりが続いていったときに、当然、経済のほうに軸が移っていくのだと思います。
 国会の代表質問で岸田首相がGo To キャンペーンの関係を話しておりました。接種証明などを活用して検討していくという発言もされておりました。一方で、ワクチン接種は個人の判断でもありますし、ワクチン未接種の方の判断も十分に尊重して、差別がないようにしていかなければいけないと私は考えています。
 ちなみに、ワクチン接種について、差別禁止を規定した条例が8都道府県であるようでして、27都道府県は、国に対策を求めています。本県のワクチン証明書の発行と差別禁止に関する考えを伺います。
〇野原保健福祉部長 新型コロナウイルス感染症のワクチンは、あくまで本人の意思に基づき接種を受けるものでありますことから、職場や周りの方への接種の強制や接種を受けていない方に差別的な扱いがあってはならないものと考えており、県では、さまざまな媒体により県民に対して呼びかけを行ってまいりました。
 こうした中、国では、ワクチン接種証明書のデジタル化に伴う国内での利用環境整備を見据え、証明書の国内での活用に関する考え方を示しており、社会経済活動の正常化に向けた取り組みとして、民間における幅広い活用が想定されております。
 県としては、接種の有無や接種証明書の提示の有無で不当な差別的な取り扱いが生じないよう、国の責任において、ワクチンを受けていない方への基本的な対応や差別防止に向けた対策が必要と考えており、全国知事会を通じ国に対し強く求めていくとともに、引き続き、広く県民に対しまして、県のホームページやSNSなどを通じまして差別防止を呼びかけてまいります。
〇菅野ひろのり委員 経済対策について、先ほど柳村委員が指摘しておりましたが、県税収入が令和元年度に比べて20億円以上も落ち込むということでありました。
 そういった中、これはなかなか難しい質問ではあると思うのですが、今後の事業者支援、県内経済浮揚の必要性を含めどのような対策を講じる必要があると考えているのかお伺いいたします。
〇保副知事 県が商工指導団体と連携して毎月実施している新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査がございますが、この1年半余りの間、売り上げが41%以上減少している事業者の割合が一貫して20%を超えており、事業者は非常に厳しい状況にございます。
 この同じ調査で、令和3年8月時点でのものでございますけれども、国や県に要望する支援策として、景気回復施策が75%、資金繰り支援が42%と高い割合でございまして、こうした施策への期待が非常に大きく、これはしばらく続くものと考えております。
 そこで、景気回復策としては、一つは、今のいわての食応援プロジェクトでありますけれども、継続して認証店をふやすということで経済効果をより大きくするよう取り組んでおります。
 もう一つのいわて旅応援プロジェクトも再開いたしましたけれども、さらにこの効果を高めるためには、この割引対象を隣県あるいは全国に拡大することが大変肝であると思います。これについては、引き続き国に対して予算の増額や自由度の高い対応を働きかけてまいりたいと思います。
 また、資金繰り支援につきましては、これまで、地域企業経営支援金ですとか新型コロナウイルス感染症対策資金といったことで対応を進めておりますけれども、今後、さらに踏み込んで、債権の買い取りですとか出資といった方法を用いて事業の再生を図ることも必要と考えており、こうしたものを担うファンドへの出捐や支援体制の構築についても国に働きかけてまいります。
 新しい生活様式に対応した新分野の展開、業態転換、あるいはデジタルトランスフォーメーションの推進といった事業者がコロナ禍を乗り越えて経営力を強化していくことが本筋と考えておりまして、このことを基本として、商工指導団体と連携しながら力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 その中で、飲食店に限って質問していきたいと思いますが、盛岡市のまち中あるいは地元でも少しずつ人出が戻り始めている様子は感じています。そういったときに、ここは、いわて飲食店安心認証制度のシールがここは張られているという安心感などもあったりしてお店に行くわけですが、10月8日時点、県内では4、095件が認証されてきて、お店の人も、これを張っているから、さらにお客様は安心して来てくださいというような状況になってきていると思います。
 一方で、これは来年度以降の事業継続が必要な取り組みです。来年度以降も、新規に事業を開始する方を初め今後の申請を予定されている事業者の皆さんもまだ一定数いるのだろうと思いますが、当局の考え、今後どうしていくのか伺います。
〇石田企画理事兼環境生活部長 いわて飲食店安心認証制度については、10月8日現在の申請状況が4、404店と認証制度の対象店舗約9、000店の半数近くに達し、10月以降も申請が続いていることから、ワクチン接種が進む中においても、多くの飲食店において、感染対策が必要との考えのもと、認証取得に積極的に取り組んでおります。
 また、認証店約1、900店を対象として9月中旬に実施したアンケート調査結果によると、基準の明確化により飲食店や来店者の感染対策への意識が高まったなど、認証取得の効果を感じている認証店は、回答数722店のうち約8割に上っております。
 こうしたことから、認証制度は飲食店における新型コロナウイルス感染症の感染対策の具体的な行動指針として浸透しつつあり、感染拡大防止に向けた取り組みを継続していくことが必要であると考え、引き続き、県民が安心して飲食できる環境の確保に努めてまいります。
〇菅野ひろのり委員 いわて飲食店安心認証制度の認証を受けた店舗は、いわての食応援プロジェクトの応援チケットの利用ができるというのが誘客の大きなメリットでもあると思っています。やはり12月というと、忘年会シーズンで当然期待されるわけでありますが、このチケットは11月15日に販売が終わっていますし、利用は12月15日までとなってしまっています。そうするとその後は、認証店の方は、誘客力の低下や認証取得の鈍化などを懸念されるのではないかと私は思っています。
 コロナ禍でダメージを受けている飲食店には、回復まで息の長い支援が必要ですから、県は、今後同プロジェクトの継続を国に求めていくこと、そして、認証店を支援する新たな仕組みを考えてつくっていくべきだと思いますが、当局の見解を伺います。
〇保副知事 今、11月15日までというお話がありましたけれども、これは、国がそのように定めていて、現状ではそこでストップすることにならざるを得ないわけですが、飲食店の支援は、飲食店に納入している酒類を初めさまざまな食材ですとか、そういうものを考慮しますと、非常に幅広い効果が期待できるものであります。
 プレミアムつき商品券も認証店のみで利用というようなことで、今、ある一つのインセンティブになっているわけですけれども、期限も迫っていることもあわせまして、この販売期限、利用期限双方ともさらなる延長を行うよう、また、さらに食事券の発行額そのものについても拡大するように、これまでも国へ提言しているところでありますが、改めて国に強く求めながら延長を図っていきたいと考えております。
 また、認証店を対象としたスタンプラリーの実施ですとか、あるいは県が持っております公式のLINEなどで呼びかけするといった情報の発信なども今後考えておりまして、そういったことも後押しになるものと思いますので、そのような形で取り組みを進めていきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 認証店を掲げているお店に行って、お店の方と会話をすると、そのとおり、認証があってチケットが使えるのは非常にいいことだし感染症対策もできると。あとは、10万円の支援金をいただいたというような状況もありますが、今になってみると、取得から時間の経過とともに、取得したけれども、その後は何もない。当然、メリットを求められるわけです。安全・安心だからしっかり使ってほしいとなったときに、これは、先ほどLINEのことをおっしゃいましたが、そういった誘客の工夫をさらにやっていくべきだと思っています。
 特に、今、お店を探すときには、スマートフォンでグルメサイトから引っ張ってきます。けれども、その検索基準には、認証制度があるわけではないのです。それは会社の都合も当然あると思いますが、先ほどの公式LINEの活用を含めた情報発信により、さらに認証店にお客さんの足が向くことが、岩手経済の回復の一歩になると思います。
 今後どのような工夫を行って認証制度取得店舗への誘客を強化していく考えなのかお伺いします。
〇保副知事 認証を取られた飲食店におきましては、やはりできればそれが誘客につながってほしいという期待もあるものということは承知しておりますけれども、今後コロナ禍を経験した飲食店の世界という中では、この認証ということがスタンダードになる、当たり前の感染対策が前提となった営業をやるのだという環境になっていくのではないかと思います。
 そういう意味で、認証を取ったから、何かいいことがあるというようなことにすぐには結びつかない面もあることは、我々も業界の皆さんといろいろな意見交換をしながら、御理解いただきたいと思いますが、今御紹介ありましたとおり、認証店をさらにふやして、また、そういった食事券などを通じて業界をさらに元気づけていくという意味では、グルメサイトの活用なども有効ではないかと思われます。
 これも関係団体等と連携してさまざまな方法を考える中で、一つの選択肢として考えていきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 飲食店の方々はそれだけ苦しいということで、認証のシールがあるからどんどん来てくれると集中的に考えているわけではなくて、それだけ今の客足の状況が厳しいから、わらにもすがる思いでお願いしているという趣旨で私は発言させていただきました。
 今回は認証制度のことを言いましたが、観光事業者もそうですし、厳しい予算の中で、来年度の経済回復を含めながら県政を運営していかなければいけないという状況だと思います。引き続き、県の皆様には注力をお願いして質問を終わりたいと思います。(拍手)
〇小西和子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時58分 休 憩

午後1時3分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。佐々木宣和委員。
   〔佐々木宣和委員質問者席に着く〕(拍手)
〇佐々木宣和委員 自由民主党の佐々木宣和でございます。会派を代表して総括質疑をさせていただきます。知事初め、執行部の皆様には、御答弁をよろしくお願いいたします。
 初めに、県財政の見通しについて伺います。
 まず、中期財政見通しの収支ギャップの解消について伺います。先般、令和3年度から令和6年度までの4年間の岩手県中期財政見通しが公表されました。
 平成28年度以降、毎年度更新されておりますけれども、今回公表された中期財政見通しでは、国が示した地方一般財源総額を令和6年度まで同一水準とすることを踏まえた内容となっております。その水準が確保されている令和6年度末の財源対策基金年度末残高は101億円となり、このままでは令和7年度には財源対策基金は底をつき、財政運営ができない状態となることが目に見えています。
 こうした状況の中においても、新型コロナウイルス感染症の影響による県内経済の回復に向けた取り組みを第一に行っていく必要があり、より一層困難となる財政運営に知事の手腕が問われる局面であると認識しています。
 知事は、今回の中期財政見通しを踏まえ、令和6年度までの財政運営において、どのように収支ギャップを解消し、この厳しい局面を乗り越えていくおつもりなのか、その考えを伺います。
〇達増知事 今後、人口減少を背景とした厳しい財政状況が続くことが見込まれる中においても、県民に必要な行政サービスを安定的に提供し、いわて県民計画(2019〜2028)を着実に推進していくため、持続可能な行財政基盤を構築していくことが重要であります。
 そのため、中長期的な視点に立って県の行財政基盤の構造的な課題の分析を深めつつ、毎年度の予算編成において、国に対する財源確保の要請に加えて、県有資産の有効活用などによる歳入の確保、事業効果や効率性等を踏まえた歳出の見直しなどにより、収支ギャップの縮減に取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 今回、この中期財政見通しで令和7年度には財源対策基金が底をついて財政運営ができない状態になってしまうということが見えたところだと思いますけれども、先ほどの質疑の中でもありましたが、これを踏まえて、具体的に令和4年度はどういう考え方で予算を立てるのか改めて伺いたいと思います。
〇白水総務部長 令和4年度の予算編成でございますけれども、先ほども少し答弁させていただきましたが、やはり徹底した見直しということで進めてまいりますが、具体的な手段として、いわゆるシーリング、縮減目標をしっかり立てて取り組みたいと思っております。
 ただ、この収支見通しでもお示しいたしましたけれども、令和4年度は100億円近い収支ギャップが生じるということでございます。先ほどもこれは答弁いたしましたけれども、シーリングをかけても19億円ほどしか見込めないというところがございます。その残りについては、例えば財政調整基金を取り崩すことにもなりますけれども、そこはできるだけ縮減していくべきだと思っておりますので、いずれにいたしましても、予算編成の中で一件ずつ査定をしっかりいたしまして、財源を捻出しつつ、今、委員からも御指摘いただきました新型コロナウイルス感染症対策、経済対策ができるように予算措置をしっかり講じてまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 続いて、歳入確保の成果を伺いたいと思います。
 県税徴収の強化、県有資産の売却や各種基金等の有効活用など、あらゆる手法により歳入の確保に努めるとのことですけれども、1年前の令和2年9月に発表されたものと同じ表現となっているところでございます。これまでの取り組みの成果として具体的な数字でお示しいただきたいと思います。
〇白水総務部長 歳入の確保につきましては、毎年度あらゆる手法により継続的に取り組む必要があるものと考えております。県税の徴収につきましては、徴収率は直近5年において98%台を維持しておりまして、また、滞納処分額は直近5年において年間6、000万円から1億円となるなど、県税収入の確保に努めているところでございます。
 県有資産の売却については、令和2年度は、港湾工業用地や旧公舎などの処分により、前年度と比べて3.2億円増の5.8億円となっております。
 財源対策基金以外の基金の活用については、令和2年度は前年度と比べて75億円増の129億円となっているところでございます。
〇佐々木宣和委員 さまざまな手法、手段を通じて歳入確保をしていかなければいけないところでございます。
 次に、税収の見通しに関して伺います。先ほど述べたとおり、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして県内経済が冷え込んでいるところでございますけれども、中期財政見通しの試算結果においては、県税等が右肩上がりにふえていく試算となっております。
 これは内閣府の試算結果を反映したものと伺っており、本県においても試算どおりに右肩上がりにふえていけば喜ばしいことでございますけれども、現実は非常に厳しいのではないかと思っております。
 税収が試算を下回ることも踏まえて幾つかのケースを試算しているのでしょうか。試算しているとすれば、最悪のケースではどのような状況になり、その場合はどのような対策を講じていくのか、お考えを伺います。
〇白水総務部長 中期財政見通しにおけます令和4年度の税収でございますが、国の令和4年度の地方財政収支の仮試算の伸び率5.8%、それから、令和5年度以降は、国の中長期の経済財政に関する試算におけるベースラインケースの伸び率をもとに推計しております。
 委員御指摘のとおり、コロナ禍における厳しい経済状況等を踏まえ、引き続き税収の動向を注視していく必要があると考えておりますが、今後の税収動向にかかわらず、安定的に行政サービスを提供するため、国に対し、地方交付税の財源保障機能が適切に発揮されるよう訴えていくとともに、あらゆる手法による歳入の確保や歳出削減努力により、収支ギャップの縮減に最大限努めてまいります。
〇佐々木宣和委員 実質収支に関して伺います。
 午前中も質問がありましたけれども、令和2年度決算における実質収支は245億円余となっておりまして、その2分の1の額が法定による積み立てとして今定例会に提案されているところです。
 一見すると財政調整基金がふえて収支が改善しているように見えますけれども、この中には震災分の国庫返還金などが含まれていると考えます。そうした自由にならない分を除いた実質的な積立額は幾らなのか、また、中期財政見通しにはそうした積立額が反映されているのか伺います。
〇白水総務部長 委員御指摘のとおり、令和3年度一般会計補正予算(第7号)におきまして、地方財政法の規定に基づき、令和2年度決算に係る実質収支の2分の1に相当する123億円を財政調整基金に積み立てたところでございます。
 一方で、今年度の一般会計当初予算及び一般会計補正予算による基金取り崩しが59億円あることに加えまして、今後、国への返還金などにより現時点で32億円の取り崩しが見込まれることから、中期財政見通し上の令和3年度末における実質的な積立額は、これらを差し引きました残り32億円と見込んでおります。
 また、中期財政見通しにおきましては、令和4年度以降について、当該前年度の決算に伴う実質収支の積み戻しとして、毎年度33億円を積み立てる試算としております。
〇佐々木宣和委員 まず、財政的なところを聞いたわけですけれども、非常に苦しいところであるという認識はわかるのですが、通常の企業であれば、部門や部署を縮小したり人員を削減したりということは日常的にあるところでもあります。特にコロナ禍では、これまで優良と言われている企業でも、そのような対応がされているところでございます。
 県民の大切な税金や国から預かるお金を最大限活用しまして、岩手県としてしっかりとした成果を出すために、将来に向かい発展する事業をしっかりと行わなければいけないと思っております。
 具体的な事業に関して伺っていきます。平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波から10年が経過し、復興・創生期間も第2期となった現在でも、引き続き必要な事業や新たな課題に対応していく必要があるものと認識しています。
 今回の令和2年度決算は、震災復興10年の節目であり、これまでの総括が必要と考えます。
 そこで知事に伺いますけれども、これまでの復興事業のトータルの事業費はどの程度で、それによって得られたものは何でしょうか。また、復興・創生期間終了後、第2期復興・創生期間に関して、重要な事業と財源確保策に関して、これまでの事業の財源の大宗を占める東日本大震災復興交付金がなくなることになりますが、どう取り組まれていくのか伺います。
〇達増知事 これまでの復興事業についてでありますが、県及び市町村の復興事業の決算額は、平成23年度から令和2年度までの10年間において、累計で約4兆7、000億円余となっています。
 災害廃棄物の処理、復興道路や海岸保全施設等の整備、災害公営住宅や被災した漁船、養殖施設の整備などが完了し、応急仮設住宅等に入居されていた方々の恒久的な住宅への移行が令和2年度内に完了、商業施設や水産加工施設などが順次再開されるなど、計画された復興事業の多くが完了するとともに、この間、医療費等の一部負担金の免除、新たなコミュニティー形成の支援などによる生活の再建、事業者の債権買い取りや販路開拓支援などによるなりわいの再生を支援してきたところであり、復興は着実に進展してまいりました。
 さらに、新たに釜石港においてガントリークレーンの供用が開始され、釜石港及び大船渡港においてコンテナ定期航路が開設されるなど、震災前にはなかった産業基盤も整備されたところであります。
 次に、財源の確保についてでありますが、東日本大震災復興交付金については、本県では令和2年度までに県と市町村合わせて8、914億円余の配分を受け、災害公営住宅整備や土地区画整理事業などを実施し、ほぼ全ての交付対象事業が完了したところであります。
 復興交付金制度は令和2年度をもって廃止となりましたが、完了していない事業についても、既に必要な事業費は配分されており、本年度中の完成を目指し事業を進めています。
 今後の財源についてでありますが、国においては、令和2年7月に新たな復興の財源フレームを示し、第2期復興・創生期間である令和3年度から令和7年度までの5年間、本県に1、000億円程度を配分する見込みとしており、今後、本県が対応すべき心のケアやコミュニティーの再生、なりわいの再生などの課題に対応するための財源が確保できると見込んでいるところであります。
 この財源フレームを踏まえ、今後とも、被災市町村等と連携し、被災者一人一人の復興がなし遂げられるよう取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 4兆7、000億円という膨大な費用を使って、それぞれの事業を積み上げてきたというところでございます。私も、さまざまな事業が進んでいることをしっかりと見ておりますし、それをもって、これからこの地域がますます発展するように取り組んでいかなければいけないということを強く思っているところでございます。
 そこで、震災の関係で、水産業の振興施策に関して伺います。
 東日本大震災津波から10年半が経過いたしまして、沿岸地域では、漁船、魚市場、養殖施設、漁港などの生産基盤の復旧がおおむね完了しておりますが、本県の水産業を取り巻く環境は、海洋環境の変化に伴う秋サケやサンマ、イカなどの主要魚種の不漁や、磯焼けによるアワビ資源の減少など深刻な状況となっており、漁業協同組合の経営も厳しい状況が続いております。
 さらに、水産加工業者においても、漁獲量の減少に伴った原料不足に加えて、コロナ禍による外食産業向けの需要の落ち込みなどが課題となっており、沿岸地域経済に大きな打撃を与えています。
 この厳しい記録的な不漁の中で、近年漁獲量が増加している魚種もあり、特にマイワシが増加傾向にあると聞いております。このような水産資源の利用などのさまざまな振興施策を進める必要があると考えますが、県は、水産業の振興施策にどのような考えで取り組もうとしているのか伺います。
〇保副知事 復興を進める上におきまして、水産業の不振は非常に深刻な問題と考えております。特に、主要魚種が不漁だということが非常に大きいわけでありますが、県では、この問題に対して、まずは資源の回復、それから、最近増加している資源の有効活用、さらには新たな漁業、養殖業の導入を三つの柱として、具体的には、まず、春先の海水温上昇の影響を極力回避するサケ稚魚の早期放流、大型で遊泳力の高い稚魚の生産などによって、何とかサケ資源の回復を図りたいと考えております。
 それから、小型漁船の試験操業やまき網船の誘致ということで、今紹介もありましたけれども、マイワシの水揚げを拡大してマイワシをどんどん活用すること、他の産地との出荷時期の関係で比較的優位だと考えられるサケ、マスの海面養殖を推進しております。
 また、痩せウニを蓄養して全国的に国産のウニが品薄となる年末から春先に出荷する、いわゆるウニの二期作を目指すモデル事業を今実施しております。これにも大変期待しているところでございますが、このようなさまざまな取り組みで、何とか収益力の高い水産業が沿岸各地で展開できるよう、全力で取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 小型漁船によるマイワシの水揚げなど、さまざま取り組んでいただいているところかと思います。
 先日も東日本大震災津波復興特別委員会でサケの漁獲量のグラフなどが出ましたけれども、感覚から大分下がってきているような数字で、何とか将来の期待をつくっていきたいと、漁民の方々も一緒になって何かしらのアクションを起こしていきたいと思っているところだと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、漁場整備に関しても伺います。
 安定的で持続的な漁業生産の実現を図るためには、水産生物の生息環境に配慮した漁場を創出するなど、海域全体の生産力の向上に資する漁場整備にも積極的に取り組んでいくことが必要であると考えます。
 県では、近年の海洋環境の変化に対応した漁場整備について、今後どのように取り組むのか伺います。
〇保副知事 県ではこれまで、岩手県水産基盤整備方針を策定しまして、これに基づき、漁港に近接した漁場の整備や既存漁場の改良などを進めて、漁場の生産力の向上に取り組んでまいりました。
 具体的には、ヒラメやマダラなどの漁獲量の安定確保を目指した漁礁の整備、漁港内の静穏水域を活用したアワビ、ウニの増殖場の整備、昆布の養殖技術を活用した海中林と呼ばれる昆布の森づくりといったようなことでございます。
 また、今、海洋環境の変化というお話がありましたが、海水温の変化等によりまして、本県沿岸域に多く来遊し、比較的単価の高いヤリイカ、これは南方系のイカですが、ヤリイカを何とか岩手県の近海でとれるようにしたいということで、昨年度、産卵実態調査を県内4カ所で実施しております。この調査結果を踏まえ、今年度は、大船渡市越喜来湾において、ヤリイカの産卵場所となるブロックを試験的に設置し、その効果、条件の整備などをいろいろ検討しているところです。
 このように、最近ふえている新たな魚種も視野に入れながら、漁業生産の効率化、漁業者の所得向上につながる漁場整備を進めてまいります。
〇佐々木宣和委員 ヤリイカの話もしていただいたところでございます。何にしても、海洋環境の変化、また、主要魚種の低調な漁獲量というところでさまざま課題があるところですが、やれることはいろいろあると思いますので、取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、三陸沿岸道路の効果を象徴する事業であった宮古―室蘭フェリー航路に関して伺います。
 宮古―室蘭フェリー航路は、平成30年6月22日にスタートしましたが、わずか2年で休止となりました。岩手県では、県、宮古市、室蘭市及びフェリー運航会社を構成員とする宮古・室蘭フェリー航路連絡調整会議を令和2年2月に設置したところであり、この会議の場を活用しながら、トラックの利用拡大に当たっての課題などについて情報共有を図るとともに、寄港再開に向けて、宮古市や関係機関と連携し、三陸沿岸道路等の全線開通による宮古港へのアクセス性の向上等を積極的にPRするというような答弁をいただいております。
 県民期待の事業でもありまして、多額の財源をいただいて整備したフェリーターミナルも、その活用を今か今かと待っているといったところでございます。
 フェリー貨物が集中する苫小牧を含めて、さまざまな可能性を現実的に探る必要があると考えますが、船会社やフェリーが寄港している自治体に対して、令和2年度は県としてどのような取り組みを行ったのか伺います。
〇達増知事 平成30年6月に就航した宮古―室蘭フェリー航路は、トラックの乗船台数が当初の見込みを下回るなど厳しい航路運営が続いた結果、令和2年3月末をもって宮古港への寄港が当面休止となったところであります。
 県では、寄港再開に向けて、令和2年7月に、フェリー運航会社も参画する宮古・室蘭フェリー航路連絡調整会議を開催し、9月及び12月に貨物の確保に向けて室蘭市と企業、団体を訪問するとともに、令和3年2月に県内企業等を対象としたポートフォーラムを開催いたしました。
 県としては、フェリーの就航を契機とした室蘭市や室蘭商工会議所等との交流や室蘭市等と一体となった活動が重要と考えていることから、フェリー航路の再開について、室蘭市、宮古市と連携しフェリー運航会社に働きかけていくとともに、県内の港湾で唯一インターチェンジに直結する宮古港の優位性や三陸沿岸道路の全線開通後の利便性について、企業訪問等を通じて積極的にPRしてまいります。
〇佐々木宣和委員 再質問したいと思いますけれども、今の御答弁ですと、まず、室蘭とフェリー運航会社と取り組むというところかと思います。この間、知事自身が何をされたのか伺います。
〇菊池副知事 室蘭市等とのいろいろな意見交換には、昨年度、私も参りまして、まさに知事の命を受けて、相手先とのいろいろなお話し合いもしているところでございます。
〇佐々木宣和委員 いろいろなお話を副知事がされているということのようでございます。実際、宮古―室蘭フェリー航路が開通して、私も岩手県議会港湾議員連盟で行かせていただきました。室蘭のフェリーターミナルは10年間使われておらず、宮古―室蘭フェリー航路が開通して、改めて手を加えたようなことになっています。まさかそういったことにはならないように取り組んでいただきたいところです。先ほど、自治体として岩手県と室蘭市と宮古市で、フェリー運航会社にお願いするというような答弁がありましたが、これは、トラック事業者に営業するなど、その頑張りの成果のハンドルを全てフェリー運航会社が持っているような形になるかと思うのですが、その辺はどういう関係性でこのフェリー航路を考えたのかということを伺います。
〇菊池副知事 委員御指摘のとおり、そうした関係者と、いわゆる三陸沿岸道路の開通を見据えての戦略を練って取り組んできたところでございます。
 フェリー運航会社もさまざまな検討を経て就航に結びついて、一旦は一定の成果が出てきているものと考えております。
〇佐々木宣和委員 フェリー航路の休止に関しても、1便で大丈夫なのかと思ったところが、航路も変わって、そして最後は休止というところで、どんどん悪い方向に進んでいるものですから、復活するにはどうしたらいいのかということもなかなか見えづらいと思っているところでもあります。何にしても、宮古市としっかり気持ちを合わせた上で取り組みを進めていただきたいということをお伝えしておきます。
 次に、三陸防災復興ゾーンプロジェクトについて伺います。
 目指すべき姿を読み上げますけれども、東日本大震災津波からの復興の取り組みにより大きく進展したまちづくりや交通ネットワーク、港湾機能などを生かした地域産業の振興を図るとともに、三陸防災復興プロジェクト2019等を契機として生み出される効果を持続し、三陸地域の多様な魅力を発信して国内外との交流を活発化することにより、岩手県と国内外とをつなぐ海側の結節点として持続的に発展するゾーンの創造を目指すとされております。
 令和2年度はどのような取り組みを進めて、どのような結果が得られたのでしょうか。また、コロナ禍でどのように工夫されたのか伺います。
〇保副知事 令和2年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、大規模な催事という形での実施が困難な状況も一部ございましたけれども、感染対策をとりながら、オンラインを併用したハイブリッド形式での開催など工夫を凝らして、ゾーンプロジェクトが目指す交流人口の拡大に取り組んでまいりました。
 具体例といたしましては、三陸の旬の食材を楽しむプレミアムランチ列車の運行、これは好評につきことしも開催の予定でございますけれども、三陸鉄道を核とした誘客、美味ぇがすと三陸構想推進プロジェクト、これは食―ガストロノミーということですが―をテーマに国際会議の開催、地元料理人と著名シェフとが連携した美食サロンの実施といったことで、三陸の豊かな食を味わい、それを発信すること。三陸ジオパークをフィールドとして三陸の自然を満喫するフォトロゲイニング大会の実施というようなことに取り組んでまいりました。これらは、三陸防災復興プロジェクト2019の成果を引き継いでいるものでもございます。
 また、東日本大震災津波の教訓の伝承と復興の姿を発信するため、岩手県内と東京都をリモートでつなぎ、いわて三陸復興フォーラムを開催。これは、例年であれば1カ所で開催するわけですけれども、リモートでの開催ということを組み合わせて実施いたしました。当日は3、000人を超える多くの方々に視聴いただいたところであります。
 また、東日本大震災津波伝承館においては、令和元年9月の開館以来、40万人を達成したというようなこともございます。
 コロナ禍の問題でさまざま制約はありますけれども、オンライン等も活用しながら、三陸の多様な魅力の発信、国内外との交流について着実に歩みを進められたものと考えております。
〇佐々木宣和委員 新しい時代を切り拓く11のプロジェクトですけれども、部局横断で推進することが一つの肝だと考えておりますが、今もさまざまお話をされたと思いますが、これらの政策効果をどのようにはかっていくのか、その手法、考え方について伺います。
〇石川政策企画部長 11のプロジェクトでございますが、10の政策分野の横断的な取り組みであることに加えまして、10年先、さらにその先を見据えた先導的な施策を推進するものであることから、委員御指摘のとおり、部局横断での一体的な推進が必要であると考えております。
 このため県では、それぞれのプロジェクトごとに部局横断のワーキンググループを設けまして、プロジェクトを構成する事業の進捗状況や成果を共有しており、目指す姿の実現に向けて、国の動向や先端技術の進歩なども踏まえながら、新たな事業の創出や事業のブラッシュアップなどを進めているところでございます。
〇佐々木宣和委員 ワーキンググループで共有するということはわかったのですけれども、政策効果をどう具体的にはかるのかという話で伺っています。もう一度いいですか。
〇石川政策企画部長 11のプロジェクトでございますが、それぞれ目指す姿あるいは工程表を示しておりまして、計画期間内におけます一定の成果を含め、計画期間を超える長期的な展望を踏まえたものであることから、具体的な事業レベルになるまでに時間がかかるものもございます。そういったものにつきましては、定性的、総合的にその進みぐあいを確認しているところでございます。
〇佐々木宣和委員 次の質問に行きます。この10の政策分野と、いわゆる幸福度をはかるものと新しい時代を切り拓くプロジェクトの関係性をどう考えているのかを伺います。
 10の政策分野は、これまで取り組んできた政策の量と質を上げるもので、新しい時代を切り拓くプロジェクトは、将来への期待、成長を示すものであるため、両輪で成果を上げることによって、初めて岩手県の発展が見えてくると思います。
 今回の主要施策成果に関する説明書・いわて県民計画実施状況報告書は、10の政策分野の進捗状況のみであり、新しい時代を切り拓くプロジェクトの状況は全くわからないものとなっています。両輪で成果を上げていくためには、その進捗状況をわかりやすく公表すべきと考えますが、10の政策分野と新しい時代を切り拓くプロジェクトの関係性をどう考えているのか伺います。
〇石川政策企画部長 10の政策分野は、政策評価の仕組みに基づくマネジメントサイクルのもと、毎年度、進捗管理を行っているものに対し、新しい時代を切り拓くプロジェクトにつきましては、プロジェクトの目指す姿の実現に向けまして、市町村や関係団体と連携して実施するものもあれば、先端技術のさらなる進歩や国の規制改革等の社会経済環境の変化を踏まえながら取り組むものもあり、長期的な視点で実現を図っていくこととしております。
 10の政策分野とプロジェクトは、対象期間や進め方などが異なりますけれども、双方の連動性を図る観点から、プロジェクトの進捗に応じて、プロジェクトに係る取り組み状況の公表、具体化した事業の工程表への追加などにつきまして検討してまいります。
〇佐々木宣和委員 将来的なものなので今々の成果は指し示しにくいというような話は、今どのぐらい上がってそれをやるのか、目指すべき目標があって、そのための手段として取り組みをしているわけですから、それが評価できないというのは、少し理解がしがたい部分ではあります。
 10の政策分野のほうは質を上げていくということなので、そのとおりわかるのですが、政策評価ができない新しい時代を切り拓くプロジェクト、未来だから少しわからないというのは、繰り返しになりますけれども、それぞれの地域の独自性を進化させていくような話だと思っているので、基準がないと評価できないと思います。それこそ、三陸防災復興プロジェクトであれば、三陸沿岸道路が開通した、その交通量から逆算するような話でもあるかと思っているところでもあります。
 次に、台風災害からの復旧、復興について伺います。
 平成28年台風10号災害から5年が経過いたしました。また、令和元年台風19号災害から2年が経過しようとしています。改めて、これまでの県の取り組みに対して、災害復旧工事だけではなく、地域振興の面でも、実際に人員を自治体に派遣いただき取り組みを進めていただいていることに感謝申し上げます。
 平成28年台風10号災害について、小本川、安家川の河川改良工事の進捗と見込みを伺います。また、令和元年台風19号災害について、特に道路の災害復旧状況と砂防堰堤の進捗状況について伺います。
〇菊池副知事 まず、小本川と安家川の状況等についてでございますが、この二つの河川の改修は、合わせて延長50キロメートルを超える区間の河道の拡幅や掘削等を行う大規模な事業であります。沿川の地権者が600名を超えている状況でもありまして、これまで、地元岩泉町と協力して、用地交渉や関係機関との調整を並行して進めながら、工事が可能となった箇所から順次着手しているところでございます。
 小本川につきましては、令和3年9月末の整備率は約40%、令和4年度末の完成を目指し、河道掘削や堤防整備等を進めてまいります。
 安家川については、令和3年9月末整備率は約67%、令和3年度末の完成を目指し、河道掘削や道路かさ上げ等を進めてまいります。
 次に、令和元年台風第19号災害の復旧状況でございますが、被災した県管理の公共土木施設189カ所のうち、9月末時点で156カ所、約83%が完成し、このうち県管理道路につきましては90カ所が被災し、うち61カ所、約68%が完成したところでございます。
 また、砂防堰堤につきましては、7市町村25カ所の整備を計画し、9月末時点で岩泉町垂水の沢など12カ所において工事を推進しておりまして、残る13カ所につきましては、用地の取得を進めている状況にあります。
 住民の安全な暮らしの早期確保のため、市町村との連携のもと、用地の早期取得を図り、引き続き、円滑な事業推進に努めてまいります。
〇佐々木宣和委員 次に、流域治水に関して伺います。
 台風災害の経験をしっかりと将来に生かすために、岩手県全体に広げる防災、減災対策の取り組みについて、あらゆる関係者により流域全体で行う治水対策、流域治水に関して、先般、関連法案も成立したところです。今後どのように取り組みを広げていくのか伺います。
〇菊池副知事 近年、激甚化、頻発化する自然災害から県民の生命や財産を守るため、流域のあらゆる関係者が、ハード、ソフト両面にわたり協働して取り組む治水対策、いわゆる流域治水を推進することが重要と認識しております。
 このため県では、二級水系を対象として流域治水に取り組む実施主体や対象内容、工程等を示した流域治水プロジェクトをことし3月には小本川水系で、9月までには久慈川、閉伊川、甲子川及び気仙川の4水系で策定したところでございます。
 流域治水のさらなる推進のためには、流域の多くの事業者や住民との協働、他の水系への普及が重要でありますことから、各水系のプロジェクト内容の住民等への周知、各地域で防災活動に取り組む団体等の流域治水協議会への参画促進、小本川での宅地かさ上げや高齢者利用施設と隣接する事業者による避難訓練等の取り組み事例の紹介、防災まちづくりや住民一人一人の避難行動につなげるための洪水浸水想定区域図の作成支援などを行い、流域治水の考え方やこれに基づいた行動などを全県に広げてまいります。
〇佐々木宣和委員 しっかりと広げていただきたいと思います。
 次に、国土強靱化計画について伺います。
 防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の総括についてでありますが、中小河川の防災対策や土砂災害危険地域への対応など市町村からの要望に加えて、これまで取り組んできた事業の加速化にも大いに役立ったものと考えています。
 執行した国費の総額やどのような事業が実施できたのか、その効果をどう捉えているのか伺います。
〇達増知事 県では、国の3か年緊急対策に対応し、総合的な老朽化対策や防災、減災対策などに取り組んできたところであり、3か年緊急対策の活用実績は、事業費ベースで約300億円で、そのうち国費については防災・安全交付金や社会資本整備総合交付金など約165億円となっています。
 この緊急対策により、閉伊川等50河川において、河道掘削や立ち木伐採等の河川環境整備、県道水沢米里線等18路線25地区において落石防止等の道路のり面対策、宮古市戸塚地区等14地区において治山ダム等の山地災害対策などに取り組んだところであります。
 この取り組みを通じて、県民の安全で安心な暮らしの実現に向け、河川や道路、砂防施設など、重要な社会基盤の機能維持、老朽化対策が大きく前進したと捉えております。
〇佐々木宣和委員 5か年事業もスタートしているところでありまして、しっかりと取り組みを進めていただきたいところでございます。
 次に、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトについて伺います。
 プラチナ社会の構築というようなものもあったかと思いますけれども、令和2年度は、計画を軌道に乗せる時期だったと考えますが、どのようなことに取り組んだのか伺います。また、先ほどは部局間連携のお話を伺いましたけれども、市町村や関係者との連携について、どのように取り組んだのか伺います。
〇達増知事 北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトでは、北岩手の高いポテンシャルを最大限に発揮させる地域振興を図るとともに、人口減少と高齢化、環境問題に対する社会づくりを一体的に推進しているところであります。
 具体的には、食品関連産業の業容拡大、農林水産物のブランド化、アパレル産業や漆関連産業など特徴ある地域資源を活用した産業振興、八戸地域や鹿角地域などと連携した広域的な周遊の促進、北岩手9市町村と横浜市との協定に基づく再生可能エネルギーの活用を通じた連携の支援などに取り組んでまいりました。
 このような中、昨年12月には、本県の漆の伝統技術がユネスコ無形文化遺産に、本年7月には、御所野遺跡を含む北海道・北東北縄文遺跡群が世界遺産に登録されるなど、歴史と伝統に培われた地域として国内外から大きな注目が集まっています。
 この機を捉え、力強く県北振興を推進するため、本年8月には、北岩手13市町村を含む産学官で構成する北いわて産業・社会革新推進コンソーシアムを設立いたしました。このコンソーシアムでは、公共交通機関の経路検索や周遊チケットの購入、観光や飲食店の情報入手をスマートフォン上で容易に行うことが可能となるMaaSや再生可能エネルギーの導入促進など、北岩手の強みを生かす事業に連携して取り組むこととしております。
 今後も引き続き、市町村を初め多様な主体と連携しながら、北岩手の特性や資源を生かした施策を展開し、持続的に発展する地域の振興に取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 次に、ILC誘致について伺います。以前、CERNを調査された先生方からお話を伺った際に、経済的波及効果は限定的であり、地域としてどうかかわるかを考えなければいけないというお話がありました。これを言葉として表現すると、ILC誘致をトリガーとして、岩手県が、地域が、事業者が、県民がどのような社会をつくり参画するかということだと思います。
 令和元年度にILCによる地域振興ビジョンが示されましたが、このビジョンは、誰に、何をすることを求めるものなのでしょうか。現状の把握や誘致された場合のタスクの整理が示されていますけれども、地域として今何をするべきなのかという視点がありません。
 このビジョンのみでは、誘致決定後に考えるように捉えられかねませんが、令和2年度のILC誘致に関して、地域としてどのような取り組みを行ったのか伺います。
〇達増知事 ILCによる地域振興ビジョンは、ILCプロジェクトの五つの施策体系について、県民、事業者、行政など関係者が連携して方向性を共有し、体系的かつ計画的に取り組みを進めるための推進方向を示す戦略として策定したものであります。
 研究者による国際的なILC実現段階を見通して、準備期、建設期、運用期の大まかな工程で、国際研究都市の形成支援やイノベーションの創出等に取り組んでいます。
 令和2年度は、いわて加速器関連産業研究会による県内企業の加速器関連産業への参入支援、グリーンILCを推進する産学官の共同研究、市町村や関係団体と連携した医療通訳者養成等の外国人生活支援の取り組み、ILC推進モデル校による多様な活動の促進や高校生研究コンテストの実施、推進団体やプロスポーツチーム等と連携した講演会、PR活動等に取り組みました。
 また、県内では、ILC研究者を中心に地域の事業者や地元自治体等による自主的な勉強会が立ち上がり、排熱を利用したスマート農業などの実践的な研究も始まるなど、このような取り組みをさらに広げていくことも重要であります。
 県では、ILCの実現により多くの県民、企業等の参画が図られるよう、ILC計画の進展に応じてビジョンの取り組み方策の充実強化を図りながら、ILCプロジェクトを推進してまいります。
〇佐々木宣和委員 ビジョンの充実強化というところをお話しされました。何にしても、かかわる方が多くなることによって、誘致されたときにも、またその事業がどんどん走っていくというようなことになるかと思いますので、岩手県の方がどうかかわっていくのかという視点を忘れずにやっていただきたいというところでございます。
 グリーン政策について伺います。
 カーボンニュートラルの実現には、まず再生可能エネルギーの導入促進が重要であると認識しています。再生可能エネルギーの導入促進のためには、送電線の強化、コネクト・アンド・マネージ、再生可能エネルギー事業者が参画しやすい環境、地域の理解と協力が必要だと考えますが、目標数値を達成させるための県としての取り組みを伺います。
〇石田企画理事兼環境生活部長 本県に豊富に賦存する風力などの再生可能エネルギーの導入拡大を図るためには、送配電網の充実強化が必要であり、県北の市町村などからも送電網の強化や送電網整備に係る工期短縮などの要望を受けているところでございます。
 このため県では、政府予算要望や全国知事会を通じて国に要望してきたところであり、本年1月には、既存の送電網の空き容量に一定の条件下で接続を認める日本版コネクト・アンド・マネージの運用が開始されているところでございます。
 また、本年度の要望内容では、蓄電池の導入も加え、送電線の脆弱な地域の設備強化や系統安定化策の展開を要望しているところでございます。
 県といたしましては、第2次地球温暖化対策実行計画の目標を達成するため、地域資源を活用したエネルギー供給体制の構築に取り組む市町村を支援するとともに、本県の高いポテンシャルを生かしつつ、環境との調和に配慮した再生可能エネルギーの導入を進めてまいります。
〇佐々木宣和委員 カーボンニュートラルに関しては、この再生可能エネルギーの導入と森林吸収源対策でございますけれども、森林づくり県民税事業を伺いたいと思います。
 令和2年度は、いわての森林づくり県民税事業5カ年の最終年となります。既に令和3年から始まっている事業は用途の拡大がされておりますけれども、これまで3期にわたって取り組みを進めてきましたが、いわての森林づくり県民税の第3期までの実績はどうなっているでしょうか。特に、第3期のいわて環境の森整備事業の進捗状況と課題について伺いたいと思います。
〇保副知事 いわての森林づくり県民税の第3期までの15年間、平成18年度から令和2年度の実績でございますが、まず、ソフト事業として、地域の住民などが主体となって里山での間伐などを行う県民参加の森林づくり促進事業があります。これは、延べ437団体、7万8、832人が参加したという実績であります。また、もう一つのソフト事業、いわて森のゼミナール推進事業、これは児童生徒などが森林、林業を学ぶというものですが、延べ285回、6、984人の参加となっております。
 また、ハードのほう、環境重視の森林づくりということで、いわて環境の森整備事業でございますが、この3期にわたる施工地の確保目標2万3、000ヘクタールに対し1万7、208ヘクタールを確保し、間伐を実施いたしました。達成率は75%であります。
 委員からお話がありました第3期、平成28年度から令和2年度までの間は、この施工地の確保目標が7、500ヘクタールに対し、3、361ヘクタール、達成率は45%であります。
 このハードのいわて環境の森整備事業の課題は、施工可能な森林の確保なのですけれども、特に、最近、国産材の需要拡大で、環境の森として残すのではなくて経済林として切ってしまう、そのような森林がふえていることが背景にあります。
 また、そちらの伐採に作業員がとられて、間伐の作業員を確保することが困難ということもありますし、事業対象となる森林がどんどん奥に行ってしまう、そのような問題がございます。そういう中で、なかなか達成率が伸びないということがございました。
〇佐々木宣和委員 次に、森林環境譲与税に関して伺います。
 森林環境譲与税について、令和2年度は2年目ですが、国は全国に令和元年は200億円を配分、令和2年、3年から譲与額を倍増させ400億円、令和4年、5年は500億円、令和6年から600億円全額の譲与となっております。
 特に、岩手県の場合は広い面積を誇っておりまして、面積割というものが非常にありがたいところでございます。通常の人口割ですと100分の1ぐらいのものが、3倍ぐらい来るというところは非常にありがたいところでございますし、600億円全額の譲与が9年前倒しというところでもございます。
 将来的にも安定した財源が見込まれる中で、県は、令和2年度はどのように取り組んだのか、また、長期的な視点でこの譲与税を活用し、県内市町村とどのように進めていこうと考えているのか伺います。
〇保副知事 森林環境譲与税の制度は、市町村が森林を管理する、経営することになるところが大きなポイントでありますが、その意味で、県は市町村を支援していくことになります。令和2年度には、市町村に対する技術的な助言を行う専門職員の配置、それから、市町村が配置する地域林政アドバイザーの方々の養成、市町村の職員を対象とした研修会の開催、また、いわて林業アカデミーの運営等に取り組んでまいりました。
 市町村では、所有者にかわって適切に経営管理を行う立場にございます。今、もともとの森林所有者への経営に関する意向の調査ですとか、航空レーザーを活用した森林の現況調査などを進めております。この調査の進捗状況に応じて、順次、森林管理に必要な計画を市町村において策定していくという流れになっております。
 この市町村の取り組みの円滑化を図るために、県では、広域振興局に、先ほど申し上げました専門の職員を配置して、連携しながら技術的な指導を行うということであります。
 また、今年度は、森林情報をデジタル化して、市町村を初め、広く林業関係者が森林情報を効率的に利用できるよう、森林クラウドシステムの整備にも着手しているところであります。
〇佐々木宣和委員 県民税事業、そして譲与税事業と伺わせていただきましたけれども、先ほど副知事も御答弁されましたが、結局、制度ができても、山で稼ぐ人が急にふえていくわけではないところでもあります。譲与税事業に関しては市町村に配分される分が多い。県のほうは1割とか2割だったと思いますけれども、今まで林政は県がかなり頑張ってやってきたように考えていますので、これだけの予算がついて、安心してやれるような環境をしっかり活用しながら、県民税事業と譲与税事業を分けるという意味合いではなくて、総合して森林整備がしっかり進むように取り組んでいただきたいということでございます。
 次に、県産木材の活用について伺いたいと思います。
 森林整備をしっかりと進めていくためには、木材の活用が非常に重要であると考えます。岩手県でも、県産木材等利用促進条例を制定し、行動計画を実行しているところです。
 また、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律は、平成22年5月26日に公布され、同年10月1日に施行されています。そうした中で、公共建築物の床面積ベースの木造率は、法制定時の8.3%から令和元年度には13.8%に上昇。一方で、民間建築物については、木造率の高い低層の住宅以外にも木材の利用の動きが広まりつつあるものの、非住宅分野や中高層建築物の木造率は低位にとどまっています。
 2050年カーボンニュートラルの実現に貢献するためには、切って、使って、植えるという森林資源の循環利用を進めることが必要不可欠となっています。
 こういったことを背景として、令和3年6月18日に公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律が公布され、対象が公共建築物だけではなくて民間へと拡大し、令和4年度の国の予算へも反映される予定というところでございます。
 その公共建築物の木材利用の幅が民間まで広がったところでありますけれども、岩手県でも取り組んでおります木づかい住宅等の木材利用の事業をさらに強力に進める後押しになるのではないかと期待しております。
 木材利用促進に関して、国の動きを踏まえ、どう取り組むのか伺います。
〇保副知事 委員からもお話がありましたが、県では、岩手県木材等利用促進基本計画及び行動計画に基づきまして、まずは、公共建築物の木造化、木質化を支援する木造建築アドバイザーの市町村等への派遣、あるいは東京2020オリンピック・パラリンピック選手村施設への県産木材製品の提供のほか、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部を設置しまして、県が率先して利活用に取り組んでまいりました。
 民間では、民間での県産木材の利用を促進するため、中大規模建築物の木造化に携わる建築士、これは、結局設計ができなければつくれないということで、建築士の方々を対象に、その設計技術向上のための研修会を毎年開催しております。
 また、今年度からは、御紹介もありましたとおり、住宅の新築やリフォームへの支援、あるいは県産木材の積極的な利用を宣言する事業者の登録といったことにも取り組んでおります。
 県内では、大槌町文化交流センターおしゃっち、あるいは県立伊保内高等学校など、公共施設の木造化、木質化が進んでおりますが、公共部分だけではなく、陸前高田アムウェイハウスまちの縁側、グランドセイコースタジオ雫石、こども本の森など、民間においても木造のすばらしい施設がふえてきております。そういう意味で、みんなで木を使おうという機運は盛り上がっていると思います。国の令和4年度の施策がどのようになるかということも注視しながら、この取り組みをさらに進めていきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 林業で最後の質問になりますけれども、森林整備を加速させるための大きな課題は、長らく言われております川上、川中、川下の連携に加えて、今、ウッドショックというものがありまして、在庫への影響、また、社会経済活動の変動によって生じる消費者側の需要水準が、木材価格に大きく影響することであります。林業は少なくとも50年スパンで考える事業であり、原木価格の安定は、林業従事者の待遇や賃金を改善する、また森林所有者が再造林をすることができる環境をつくることにも貢献することだと思います。
 さまざまな追い風がある中で、川上、川中、川下の関係性をどうつくっていくのか、また、原木価格を安定させるためにどのように考えているのか伺います。
〇保副知事 今、委員からお話がありましたとおり、いわゆる川上、実際に伐採する現場と、それから、それを加工して実需に回す部分、川下の部分とは、ややもすると、これまで長くそれぞれの周期、それぞれの考えでやってきた面はあったかと思います。近年、本格的な伐採期を迎えていること、それから、国産材の需要が非常に高まっていることもございまして、需要の変化などにより柔軟かつ機動的に対応できる木材供給体制を構築するために、川上と川下の連携は非常に重要になっております。
 県では、川上の森林所有者、素材生産業者、川中と言われますが製材業者、そして川下のプレカット業者、工務店など、林業、木材産業に携わる関係者と連携し、県内全体の需給情報などを共有する仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えております。
 このことによって、原木の価格の安定化とか賃金の上昇、さまざまな林業の基盤によい影響を与えると考えて、今後も積極的に取り組んでいきたいと思っております。
〇佐々木宣和委員 ILCからカーボンニュートラルから林業振興というような流れで伺わせていただきましたけれども、林業に関する施策に関しては、過去にもいろいろな取り組みをしていて、そういったこともあって、また新しいことをやってどうなるのだと思う方も大変多くいらっしゃいます。原木価格の安定というお話をしましたけれども、昔、変動が激しくて、それで倒産した事業者もかなりありました。ただ、今、環境というキーワードだったりカーボンニュートラルというところでチャンスがあって、こういったものを体系的に整理して、しっかりとこの地域の魅力として林業が継続的に続くように取り組みを進めていただきたいと思っております。
 次に、いわて県民計画(2019〜2028)における仕事・収入について伺います。
 いわて県民計画(2019〜2028)実施状況報告書によると、正社員の有効求人倍率が0.73、開業率も2.9でD評価となっており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の長期化が県内事業者へ大きな影響を及ぼしていることが伺えます。
 そのような中で、新型コロナウイルス感染症による影響を受ける地域経済に対して、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が創設されました。この交付金は、全国との比較で、事業所数は0.96%、平成27年国勢調査人口で1.01%、その中で交付限度額は1.47%と手厚い配分がされ、財政的な自由度がない中で非常にありがたかったと考えます。
 岩手県では、この臨時交付金を活用し、これまで事業者に対し、家賃補助、資金貸し付け、感染対策設備導入、県産品販売促進など、さまざまな施策を講じ、事業者の事業継続の支援を行ってきたところです。
 岩手県として、これらの事業を実施するに当たり、どのような考え方で制度設計を行ったのか、また、どのような独自性を持って支援策を考えられているのか伺います。
〇保副知事 県では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による地域経済への影響が非常に深刻化する中、事業者団体などを通じて現場の声の把握に努めながら、市町村や関係団体、金融機関との連携のもとで、さまざまな独自策も含め対策を進めてまいりました。
 昨年4月、当時非常に緊急性が高いという判断をいたしまして、家賃補助を市町村と連携して実施いたしました。これは国に先駆けて実施したということであります。
 また、令和3年2月定例会で令和2年度一般会計補正予算(第7号)として措置いたしました地域企業経営支援金も、さまざまな事業者の声をお聞きしながら制度設計をしたものであります。
 1事業所当たりの支給額、あるいはどのように支給額を定めていくか、その対象をどうするかについては、ほかの自治体と比較いたしましても、より手厚い内容となったのではないかと考えております。
 さらに、昨年9月から半年間実施いたしました、買うなら岩手のものバーチャル物産展は、全ての出品物を3割引きとするという、これは非常に思い切った割引でありますけれども、これによりまして1億7、500万円の売り上げを記録したということでございます。
 今後もさまざま厳しい状況も続くと思いますので、現場の声を十分に踏まえて、それに応える経済対策を展開していきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 次に、観光宿泊業に関して伺いたいと思います。
 本来であれば、ことしは東北デスティネーションキャンペーン、復興五輪、震災10年での誘客とさまざまな取り組みを行う年でありました。打撃ということで言えば、令和元年度台風19号でも被害を受けたところもございます。その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大というところでございましたけれども、そのような中でも、観光業は裾野の広い産業でありまして、地域経済の拠点のような機能も持っていると考えており、支援策が必要であると思います。
 令和2年度は100万円の給付、Go To キャンペーン、いわて旅応援プロジェクト等の取り組みを行ってきましたが、その取り組みに対して、宿泊事業者の評価や将来につながる成果をどう捉えているのか伺います。
〇保副知事 今、委員からお話があったとおり、市町村と連携した地元の宿を応援する割引ですとか、いわて応援クーポン、あるいはさまざま感染症対策やワーケーションの受け入れに必要な設備の整備等に対する補助金、生産性向上等の取り組みに対する支援金といったものも創設いたしました。これら宿泊事業者に対しての補助金、支援金、助成といったものは、総額で約15億7、000万円となっております。利用実績は、予算ベースで8割を超えたところでございます。
 また、岩手県旅館ホテル生活衛生同業者組合からは、国や市町村の割引助成などをあわせて、事業継続に大きな効果があったと評価をいただいているところです。
 この間、さまざまな支援をいたしましたけれども、狙いは、新たな生活様式に対応したワーケーションあるいはテレワークといったことにも対応しよう、そのような環境をつくろうということもございます。さらに、この間、多くの地域で観光コンテンツや付加価値の高い旅行商品を今のうちにつくっておこうという活動も見られました。こういったことがありまして、新しい客層の獲得につながったということもございます。
 この間の取り組みが、今後の岩手県の観光の発展につながる基盤になるということで、成果がかなりあったものと考えております。
〇佐々木宣和委員 まず一つは、地元の人が近くの宿泊地に旅行地に行くというところも、なかなか今までなかったと思いますし、修学旅行もそういうケースかと思っております。テレワークとかワーケーションとか、新しい取り組みも進めているというような話もありました。
 観光業はそれでも大変な状況であるわけですけれども、その中で一つの希望は、データの活用であると考えております。令和3年3月の予算特別委員会で、いわゆるビッグデータの活用は、旅行動態や潜在的なニーズを把握できることから、マーケティング分析や観光施策の検討に有効なツールの一つであると認識。令和3年度からは、一般社団法人東北観光推進機構におきまして東北広域での観光マーケティングデータを一元化するため、東北観光DMP―データマネジメントプラットフォーム―を構築、運用することとしており、戦略策定やプロモーションなど、各種観光施策への活用を予定していると承知しているという答弁をいただいております。
 大変苦しい観光事業者に対して、データの活用を含めて今後どのような将来像を指し示すのか、また、どのように共有するのか伺います。
〇達増知事 今後、観光産業の活力ある展開を図っていくためには、旅行者の周遊、滞在の状況やコロナ禍を経て生じた需要の変化などについて、データに基づくマーケティング分析を活用しながら戦略的に事業展開していくことが重要と考えます。
 このような中、東北観光推進機構が構築した東北観光データマネジメントプラットフォームでは、域内動態調査やマーケティングリサーチなどを実施し、観光データの可視化が進められており、このデータの属性やエリアの分析では、コロナ禍で少人数の旅行ニーズが高まり、近県、特に宮城県からの旅行者の構成比が高く、また、教育旅行が過去最高の数値を示し、特に沿岸地域を訪れていることなどから、夫婦や家族連れで楽しめるコンテンツ配信、マイクロツーリズムの推進、教育旅行の誘致などの取り組みの強化を図っているところであります。
 今後、関係団体等と連携を図りながら、コロナ禍を経た旅行需要の変化を見据え、さらにデータを活用したマーケティング分析を進め、観光で稼ぎ、観光で潤う地域づくりの推進に努めてまいります。
〇佐々木宣和委員 そういった動態も見えているというのは、基準があって非常にありがたいことかと思っております。
 最後に、中小企業への支援策に関して伺います。
 今回の新型コロナウイルス感染症は、世界的金融危機を引き起こしたリーマンショック時とは異なり、観光宿泊、飲食、エンターテインメント、小売、医療といった地域型経済圏に真っ先に打撃を与えています。
 日本全体で考えると、地域経済圏の多くは中堅、中小企業や非正規雇用労働者に支えられており、日本のGDPの約7割、労働人口の約8割を占める基幹産業群であるため、リーマンショック時より日本経済への影響は深刻かもしれません。
 他方、ポストコロナを見据えれば、オンライン化の促進等により、これまでの人の流れを都市部から地方へ向ける好機になり得ると考えます。
 しかし、これは日本全体での所感でありまして、特に中小、小規模事業者が99.8%を占める岩手県においては、変化をしっかり捉えた上で取り組みを進める必要があると考えております。
 県内事業者に対して新型コロナウイルス感染症対策としてさまざまな取り組みを行ってきておりますが、中小企業、小規模事業者振興に関してはコロナ禍前からも課題としてあり、いわゆる地方創生や地域の元気のもとである事業者に対して、商工指導団体や市町村とともにどのように取り組んでいくのか伺います。
〇保副知事 人口減少あるいは少子高齢化が急速に進行する中で、経営者の高齢化に伴う後継者の不足あるいは商圏人口の減少、生産性の向上など、さまざまな中小企業が抱える諸課題がございます。
 いわて県民計画(2019〜2028)の中で、新事業分野の開拓や経済、社会環境の変化に対応した経営力の向上、事業承継の円滑化、経営人材の確保などを初めとしてさまざまな中小企業振興に向けた取り組みを進めております。
 コロナ禍の影響によりまして厳しい経営を強いられておる中で、新しい生活様式に対応した、例えばECサイトを活用した通販事業への進出、あるいは卸売から小売業への業態転換といった、事業者が従来から抱えていた課題の解決につながるような取り組みが数多くあらわれてきているところであります。
 このように、今コロナ禍で大変なところの対策は、従前、岩手県の中小企業が抱えていた課題と非常に重なり合うものがございます。これまで県は、市町村や商工指導団体と連携して、特に得意とする伴走型支援を使いながら進めてまいりましたが、今後も、新しい生活様式に対応した新分野展開、業態転換、デジタルトランスフォーメーションの推進といったことでの経営力の強化を図る取り組みを継続的、積極的に進めてまいります。
〇佐々木宣和委員 非常に大変な中でございますけれども、コロナ禍で大変な時期に、改めて将来どうするのかを考えているということもあると思います。事業承継だったり、これまでもあった課題、業態転換であったり事業再構築補助金等もありますから、こういったものを活用しながら、その地域の中小企業、小規模事業者が強くなれるように前向きな取り組みを期待したいところでございます。
 次に、デジタル化に関する取り組みについて伺います。
 令和2年度予算に関しては、ソサエティー5.0の実現に向けた施策としてさまざまな事業が予算化されました。テクノロジーに対する期待は、コロナ禍でさらに大きくなっていると感じます。
 しかしながら、そもそも岩手県においては、テクノロジーの活用という面ではおくれていると認識しています。事業をされる方で言えば、小規模事業者、中小企業が多いため、導入コストに見合う成果が見出せないことや高齢の方が多いこと、導入に当たるIT関連事業者が少ないこと、IT相談のようなことができる方が少ないとも感じています。できない理由はたくさんあるわけですけれども、それらを踏まえても、これからの時代や事業の継続性を考えると、まずはIT化をしっかり進める必要があると考えています。
 ソサエティー5.0の実現に向けた施策の中で、令和2年度において県が行った取り組みについて、特に民間事業者がどのような取り組みをされるようになったのか、実績と成果を伺います。
〇達増知事 県内のデジタルトランスフォーメーションの推進についてでありますが、県では、新たな科学技術により経済発展と社会的課題の解決を両立するソサエティー5.0の実現に向けて、ICTやデジタル技術を活用した取り組みを積極的に推進しています。
 令和2年度においては、県内ものづくり企業のIoTやAI、ロボット技術の導入、活用支援を初め、AIなどの専門人材の育成や起業の支援、IT関連企業の誘致などに取り組みました。
 また、多様なIT企業の集積やこれによる県内産業の高度化、高付加価値化を図るため、本年3月に、いわてIT産業成長戦略を策定いたしました。
 現在、県内では、ものづくり企業の生産性や品質向上に向けたデジタル技術の導入や過疎地域における遠隔診療や高齢者の見守りなど、医療や福祉分野でのデジタルトランスフォーメーションの取り組みが進められています。
 また、大学発のベンチャーが着実に増加するとともに、本年6月には、東京のIT企業の本店移転が行われるなど、関連企業の立地も進んでいます。
 来年度予算編成においては、デジタル化による地域課題の解決を重点テーマとして設定し、部局連携のもと、施策の立案を図っていくこととしており、本年度設置した、いわてDX推進連携会議の活動と相まって、行政、商工業、農林水産業など各分野における取り組みを進め、デジタルがもたらす恩恵を広く県民が享受できるよう取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 次に、県庁内のデジタル化について伺います。
 行政事務の効率化の推進、県民の利便性の向上、行政情報システムの構築、運用の最適化の観点から行った取り組みの結果について、わかりやすい形で答弁をお願いいたします。
〇白水総務部長 令和2年度は、庁内の感染症拡大防止や職員の働き方改革と一体的に進め、リモート接続数の増設、ペーパーレス会議の試行などの取り組みを進めるとともに、職員1人1台端末のノート型パソコンへの更新や電子決裁・文書管理システムの構築に向けた準備を行ったところでございます。
 加えて、ウエブ会議やAIの音声認識技術を利用した会議録作成、電子申請・届出システムの活用を進めるとともに、仮想化技術によるサーバーの統合化など、情報システムの最適化にも取り組んだところでございます。
 こうした取り組みにより、例えばウエブ会議システムについては、庁内間での利用はもとより、市町村や外部団体との会議などへの利用が定着し、また、電子申請・届出システムについては、県民向けの各種アンケートや盛岡市内の飲食店への時短要請に伴う協力金申請などに幅広く活用されておりまして、業務の効率化や県民の利便性向上につなげたところでございます。
〇佐々木宣和委員 デジタル化の最後でございますけれども、方針について伺いたいと思います。
 先ほど申し上げましたけれども、IT化をまずはしっかり進めるというような方針かと思いますが、デジタルトランスフォーメーションというチャンス、国の予算という話にもなりますが、それらをいかに活用するのか、また、特にデジタル人材が、岩手県にどう参画していただくように取り組んでいくのか、所感を伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 デジタル化への取り組み方針についてでございます。
 デジタル化の推進は、さまざまな地域課題に迅速に対処し、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現する可能性を有しておりますことから、本県におきましても、各分野においてデジタル技術を活用することの重要性が一層増しているものと認識しております。
 このため、来年度の予算編成におきましては、デジタル化による地域課題の解決を重点テーマとして設定し、部局連携のもと施策の立案を図っていくこととしており、国の予算の動向も踏まえながら来年度事業の検討を行っていくこととしております。
 次に、デジタル人材の確保についてでございますが、本県出身の芝浦工業大学前学長に本年4月から岩手県DXアドバイザーを委嘱し、県、市町村のほか、関係団体の方々に広く助言、御指導いただいているところでございます。
 また、デジタルトランスフォーメーションの推進に当たりましては、職員のスキルアップに加えて、高度な知識を有するデジタル人材が必要でありますことから、民間からの登用も含め、その人材確保に向けた検討を総務部と連携をとりながら進めているところでございます。
〇佐々木宣和委員 デジタル化は一つのキーワードでありますので、しっかりと使えるものは使いながら、そして、岩手県がこうしたいから、こういう人が必要だということかと思いますので、そういった観点からも取り組んでいただきたいと思います。
 最後の質問でございます。知事の政治姿勢について伺いたいと思います。
 政務秘書の給与等についてでありますが、先日の一般質問で臼澤議員から質問がありました知事の政務秘書に関して伺います。令和2年度決算における給与等に関しては幾らだったのか伺います。
〇白水総務部長 今定例会に提出しております令和2年度歳入歳出決算事項別明細書におきましては、政務秘書を含め職員の給与については、部局ごとにその総額を記載しているところでございます。一方、個々の職員の給与については、個人の所得に関する情報であるため、決算書への記載も含め公表していないところでございます。
 したがいまして、政務秘書の具体的な給与等の額につきましても、同様に個人情報であるため、答弁は差し控えますけれども、特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例により、月額49万9、000円以内で知事が定めることとされております。実際には、個々の学歴や職歴を勘案した上で、一般職の職員の年収との均衡を図って決定しているところでございます。
〇佐々木宣和委員 個人情報にかかわるところで公開できないというところでありました。この政務秘書の話に関しては、東京都では公開されているところでもあります。これは、もちろん本人に確認した上で公表しているようでございますけれども、それも知事の判断というようなところかと思います。
 次の質問ですけれども、政務秘書の方の給与に関しては、先般の臼澤議員の質問で800万円弱ぐらいという話だったり、知事が就任されて以来、トータルで1億円ぐらいの金額だったかというところでございました。
 私は高額であると思います。今回質問させていただいたとおり、今、財政的にかなり苦しい状況の中で、本来は、政策をしっかり進めるための取り組みに活用したほうがいいのではないかというのがまず一つの視点。もう一つは、公金を使う事業においては、今回の決算特別委員会もそうですけれども、さまざまな評価をして、適切に使われているのかしっかりと判断する必要があります。政務秘書の方に関しては、知事の裁量の中で行われるためにその内容はわからないと。高いのか安いのかもわからないというような話にもなります。
 最後は、政務秘書の給与等の妥当性について、一般質問における答弁で知事自身が、自分の政治基盤を県内において強く高めていくことは、知事が強力なリーダーシップをとって県政を進めていくことに役立ちますということをお話しされています。
 選挙活動や政治活動に公金を使う政務秘書がかかわることについて、県民にその正当性を示せるとお思いでしょうか。今お話しした3点の論点からお答えいただきたいと思います。
〇達増知事 政務秘書の正当性についてでありますが、政務秘書は、地方公務員法第3条第3項第4号に規定する特別職の職員であり、同法に基づき、本県の特別職の指定に関する条例においても特別職として指定され、その給与額は一般職職員の給与との均衡が考慮されていることから、妥当なものと考えております。
 特別職である政務秘書は、知事の政治的な活動を補佐する活動や行政事務と政務との調整などを担い、一般職の職員と同様の勤務管理を行う必要がないものでありますが、その勤務状況については、知事である私が直接確認し、十分その職責を果たしていると考えております。
 政務秘書が政治的な活動を行うことについては、長野県知事特別秘書に係る訴訟の判決において、知事という特別職に属する公務員は、かえって政治的に活動することによって公共の利益を実現することも職分とする公務員であり、その政治的活動にかかわる政務につき公務員としてこれを補佐する秘書を設けることが、その職務の円滑、効率的な遂行に資するものと判示されており、そのとおりであると考えております。
〇佐々木宣和委員 政治活動で秘書の方が動くということが、私は余り適切ではないと思っております。知事は国会議員もやられていたところでございます。国会議員の方も政務秘書がいらっしゃいますから、国会議員として活動する際に政務秘書の方がいらっしゃるのと、知事として政務秘書の方がいるのとは、考え方として何か違いがあるのかお伺いいたします。
〇達増知事 知事の政務秘書は、知事の立場が政治家であると同時に行政の長でもあって、そして、行政というものは中立公正が求められる。その知事に政務秘書がいていいのかということだと思います。行政のトップにならず政治活動を専らとしている国会議員に政務秘書がいるのは余り問題にならないと思いますので、行政の長になっている国会議員、例えば内閣総理大臣が典型ですけれども、内閣総理大臣は行政の長で、官邸があるのですが、その官邸に政務の秘書がいることと知事の政務秘書は、類似の例と考えればいいのではないかと思います。
〇佐々木宣和委員 内閣総理大臣と同じというのはどうなのでしょう。
 政務秘書の関係で、全国47都道府県のうち条例化しているのが23都道府県、実際に実施しているのが8都県というところであります。話はもとに戻りますけれども、財政的に苦しい中で、公金を使って政務秘書の方を雇われるということ、これは、ほかの県よりも財政的に苦しいからやめたほうがいいとか私設秘書にしたほうがいいという考え方にはならないのかと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 内閣総理大臣と岩手県知事は、実際に行使する権限の大きさとか、あるいは日程の中で会う相手の社会的立場は比較にならないものとは思うのですが、ただ、同じ1日は24時間で、また、朝から夕方の時間も同じ。そこを政務の仕事と行政の仕事を調整し、これが政務で、これが行政というような日常的な仕事については、内閣総理大臣と岩手県知事に内容面ほど格段の差はないと考えております。
 先ほど述べた長野県知事特別秘書に係る判例にありますように、知事は、かえって政治的に活動することによって公共の利益を実現することも職分とする公務員でありますので、やはり知事の政治的活動は、むしろそれは公共の利益に資すると。そして、それを補佐する秘書を設けることが、知事の職務の円滑、効率的な遂行に資するものと判示されていますので、むしろ政務秘書がいること、政治的な活動を行うことについて、積極的な理由があると考えられます。
〇佐々木宣和委員 内閣総理大臣との違いというところで、国会は議院内閣制で、県議会は二元代表制で、国会は政党政治というところで議席を争っているようなところであります。それに関して、もう一度伺いたいのですけれども、知事と内閣総理大臣は同じなのか。二元代表制と議院内閣制の話はいかがでしょうか。
〇達増知事 行政のトップとしての仕事は、内閣のトップあるいは内閣府や首相官邸という行政府庁のトップでもあるわけですけれども、そこで行う仕事について、政務秘書なしで行政の仕事は回そうと思えば回せるのですけれども、しかしながら、内閣総理大臣という存在が選挙で選ばれている政治家でもあるということで、選挙で選ばれた政治家であるということについては、知事と内閣総理大臣は共通であり、知事も、行政を行う場所に政務秘書が存在し、行政のスタッフと一緒に仕事をすることで、政治家が行政のトップを務めるという点では、知事の二元代表制も議員内閣制も共通するものと考えます。
〇佐々木宣和委員 内閣総理大臣の場合は自由民主党の総裁というところでありますけれども、知事は県民党的な立場というような形で県議会では言われているところでございます。その感覚の違いはどう考えるでしょうか。
〇達増知事 内閣総理大臣と行政のトップが政治にかかわることとの関係におきましては、先ほど判例で2度紹介した中にも、知事というものも政治的な活動をすることが、むしろそれが公共の利益に資するということで、その意味では内閣総理大臣と同じであります。
〇佐々木宣和委員 きょうさまざま質問させていただきましたけれども、国と県と市町村と連携しながら取り組みを進めなければいけないところでございますので、その考え方に基づいて知事もさまざまな行動をとっていただきたいと思うところでございます。
 終わります。(拍手)
〇小西和子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時29分 休 憩

午後2時48分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。工藤大輔委員。
   〔工藤大輔委員質問者席に着く〕(拍手)
〇工藤大輔委員 いわて新政会の工藤大輔でございます。令和2年度決算審査に当たり、会派を代表し質問をいたします。
 復興幸福希望予算と銘打った令和2年度予算は、新たに発生した新型コロナウイルス感染症への対応に迫られ、感染拡大防止対策、そして社会経済活動の維持のバランスをとりながら事業の執行に当たられたと理解しております。
 令和2年度決算の取りまとめに当たり、監査委員からの審査意見を踏まえ、知事はどのような所感を持っているのかお伺いします。
〇達増知事 令和2年度歳入歳出決算についてでありますが、新型コロナウイルス感染症への対応、対策に係る財源の確保、事業の執行等により、決算規模は、歳入歳出ともに1兆円を超え、前年度を上回りました。
 この決算に対し監査委員からは、復旧、復興、感染症対策、行財政運営などの観点からの総括的な御意見や留意改善を要する事項、内部管理体制などに対する個別的な御意見をいただいており、真摯に受けとめております。
 これまでも御意見等を踏まえ、事務処理誤りの再発防止に向けた取り組みの強化や行政経営プランに基づく研修体系の構築による職員の資質向上を図るほか、さらに、内部統制の整備、運用に取り組むなど、県組織全体として対応を進めてまいりました。
 今後も、財源の重点的かつ効率的な活用を進め、いわて県民計画(2019〜2028)を着実に推進するとともに、適正な事務執行の確保に努め、県民の皆様や県議会の信頼にお応えできるよう県政を推進してまいります。
〇工藤大輔委員 内部統制はここ数年でスタートしたと理解しておりますが、この六つの基本要素に沿って適切な運用が図られていくよう、意識を共有し、今後とも取り組んでいただきたいと思います。
 次に、プライマリーバランスについてお伺いします。
 令和2年度決算は、新型コロナウイルス感染症の影響により、個人消費の低下や輸出の減少など、県税収入を押し下げる影響があり、減収補填債を85億円発行しましたが、令和2年度決算におけるプライマリーバランスの状況はいかがだったでしょうか。
 また、先般公表された中期財政見通しにおいても、財源対策基金の枯渇が懸念されるなど、厳しい財政運営が想定されますが、令和3年度以降のプライマリーバランスの見通しとあわせてお伺いします。
〇白水総務部長 令和2年度決算におけますプライマリーバランスでございますが、77億円の赤字となったところでございます。
 これは、県税の減少に伴い減収補填債を85億円発行したことや、国の経済対策を踏まえて、令和3年度当初予算から公共事業を前倒しして計上したことに伴い、県債発行が増加したことによるものでございます。
 また、令和3年度岩手県一般会計補正予算(第7号)後のプライマリーバランスは105億円の黒字となっておりまして、中期財政見通しでは、令和4年度以降も黒字になると見込んでおります。
〇工藤大輔委員 地方自治体は赤字地方債が発行できないため、財政の硬直化を防ぐためにも、新規の県債発行を抑制し財政規律を守ることは重要だと思いますが、耐用年数を迎える公共施設がふえており、今後、多額の経費が必要となってきます。
 長寿命化等の対策をとりながら適正な時期の更新や、規模や機能の適正化に努められるよう次の計画では踏み込んだ計画も必要かと思いますが、基本的な考え方についてお伺いします。
〇白水総務部長 委員御指摘のとおりでございまして、これからさまざまな公共施設が更新時期を迎えたりいたします。そこはしっかり対応していかないといけないと考えております。
 昨年度、個別計画をつくりましたけれども、今年度は、公共施設総合管理計画の改定をする年となっておりまして、今まさに今年度末の取りまとめに向けて作業しておりますので、適切なタイミングで議会にも説明等させていただければと思っております。
 その中で、大きなポイントとしては、この定例会でも議論いただいています、人口減少が鮮明になってきた中で、この公共施設の総量をどう適切な規模にしていくのか、あるいは統廃合等をしていくのかというところが課題になってくると思っております。そこについて、今まさに検討を詰めているところでございます。
〇工藤大輔委員 検討の経過について、議会への報告もよろしくお願いしたいと思います。
 次に、県民計画の関係についてお伺いしたいと思います。
 令和2年度は、第1期アクションプラン(2019〜2022)の中間年となり、折り返しを迎えることとなりますが、幸福関連指標の達成状況や具体的推進方策指標など、第1期アクションプランの前半2年間の取り組みについて、どのように評価しているのかお伺いします。
〇石川政策企画部長 お尋ねのございましたいわて幸福関連指標につきましては、達成、概ね達成の割合、これは令和元年度が約61%、令和2年度が約58%、分野で見ますと、刑法犯認知件数あるいは河川整備率といった安全、社会基盤分野の達成率が高く、地縁的な活動への参加割合やボランティア・NPO・市民活動への参加割合といった居住環境・コミュニティ、参画といった分野の達成度が低くなっております。
 また、具体的推進方策指標につきましては、達成及び概ね達成の割合は、令和元年度が約78%、令和2年度が約69%、分野で見ると、安全や社会基盤の分野では達成度が高く、居住環境・コミュニティの分野で達成度が低いなど、いわて幸福関連指標とおおむね同様の傾向となっております。
 また、令和2年度は、幅広い分野で新型コロナウイルス感染症の影響を受けておりますが、実績が低調となっているもの、また、前倒しで進んでいるもの、あるいは、例えば県内企業のインターンシップ参加者数など、一部の取り組みを縮小しながらオンラインを活用するなど工夫を凝らしているものなどもございまして、これらの指標の達成状況や社会経済情勢等を分析しまして、今後の政策に反映させてまいります。
〇工藤大輔委員 来年度は第1期アクションプランの最終年度となり、計画に掲げた施策の進捗ぐあいを占う上で重要な年となります。計画の進捗状況や社会情勢の変化を踏まえ、第1期アクションプラン最終年度の重点施策について、どのような考えを持っているのかお伺いします。
〇達増知事 第1期アクションプランの推進に当たっては、現在、実施している政策評価において、それぞれの指標の達成状況に加え、社会経済情勢等を踏まえ、丁寧に課題を分析し、次の取り組みにつなげることで、10の政策分野における取り組みの選択と集中を図っていく考えであります。
 令和4年度の予算編成方針では、国の骨太の方針2021の方向性なども踏まえながら、複数の政策分野にまたがる取り組みの中でも、特に人口減少社会への対応、デジタル化による地域課題の解決、グリーン社会の実現を三つの重点テーマとして新たに掲げました。
 令和4年度は第1期アクションプランの最終年度でありますことから、重点テーマに資する施策を戦略的に展開しながら、10の政策分野それぞれの施策を全力で推進してまいります。
〇工藤大輔委員 取り組むべき柱立てについては理解しました。そこで、その中でも知事みずから意を用いて進めたい、こういった分野については特にも強化したいというものがあれば、具体策をもってお示し願いたいと思います。
〇達増知事 まさに人口減少対策、デジタル化、グリーンという三つに関連してでありますけれども、人口減少社会に関連しては、新型コロナウイルス感染症対策の延長上に人口減少対策はあるというような方向性での施策、デジタルに関しましては、もともといわて県民計画(2019〜2028)にもそういう方向性は随所に盛り込まれていたのですが、これを一気に進めていく。特に、学校や公務員の1人1台端末化が一気に進んでおりますので、そういったことを活用した施策。そして、グリーンに関係しては、いわゆる北岩手の地域が再生可能エネルギー賦存量の多さや、既に先進的な取り組みが行われている、そこを舞台として岩手県としての地域ならではの施策を推進していくというようなことを考えております。
〇工藤大輔委員 今、御答弁いただきましたが、私は、岩手県ふるさと振興総合戦略は、岩手県の未来を担う上で根幹の戦略だと思っています。岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、岩手とつながるということの4本柱に施策推進目標を掲げ、13の戦略があるわけですが、この分野について徹底して強化していただいて、成果を導き出していただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、今、グリーン社会の関係で知事からも答弁があったわけですが、国では2030年までに脱炭素先行地域を100カ所程度指定し、重点対策を全国で実施するとの方向性が示されています。豊富な資源がある県北を初めとする本県の複数エリアの指定を目指し取り組むなど強化していただきたいと思いますが、御所見をお伺いします。
〇石田企画理事兼環境生活部長 北岩手9市町村による北いわて地域循環共生圏が目指す脱炭素社会の構築に向けた取り組みは、非常に先進的な事例であります。それで、国が進めようとする先進的な100地域の指定について、担当部局としては非常に有望であると考えております。
 委員お尋ねの事業概要についてですけれども、まだ詳細はわかりかねておりますが、先行100地域については、2050年ではなくて2030年度までにカーボンニュートラルゼロを目指すところを指定という、ちょっとハードルが高いのですが、そういう情報も入っております。
 県といたしましては、いずれ北岩手9市町村が取り組むこの先行的な事例が有望であると考えておりますので、ぜひ積極的に応援してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症関係についてお伺いします。
 先ほど柳村一委員の質疑に対する答弁において、新型コロナウイルス感染症対策経費の決算額1、228億円との答弁がありました。令和2年度決算における新型コロナウイルス感染症対策経費について、県の基本的対処方針に基づき取り組みを進めた結果をどのように評価しているのか、総括的にお伺いします。
〇達増知事 県では、県の基本的対処方針において、全国的に新規感染者数が増加する局面においては、ステージ3に至らないようにすること、また、全国的に新規感染者数が減少に転じた場合は、速やかにステージ1とすることを目標に掲げて取り組み、その目標は達成されたところであります。
 具体的には、国が定義する濃厚接触者よりも範囲を広げた検査を実施するとともに、令和2年3月から4月にかけては、知事メッセージにより首都圏との往来等について注意を呼びかけたところであり、県民の皆様の適切な行動により、本県では、令和2年7月29日まで感染者ゼロが続き、その後も人口10万人当たりの新規感染者数が最大で7.9人にとどまり、全国的にも低い水準に抑え込むことができました。
 また、感染状況に応じ必要な病床等の確保などの取り組みを進めたところであり、複数のクラスターも発生しましたが、早期に適切な医療を提供できました。そのような中で、お亡くなりになられた方に対し、心から御冥福をお祈りいたします。
 さらに、社会経済への影響を最小限にとどめるため、累次にわたる補正予算の措置により、生活困窮者やひとり親世帯などを支援する施策、飲食店や観光宿泊施設、交通事業者の感染対策の支援、中小企業の資金繰り等のための貸付金の創設や家賃支援、経営支援金などの経済、雇用対策を実施してまいりました。
 これらの取り組みや事業者の皆様や市町村、関係団体の頑張りにより、昨年秋には、観光宿泊客数が前年並みとなるなど成果があらわれたところであります。
 適切な感染対策と医療提供体制、社会経済対策は重要であり、引き続き取り組んでまいります。
〇工藤大輔委員 経済対策等においても必要な資金等が準備されたとも思っておりますが、早期執行等に向けて引き続き取り組んでいただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症の関係についてお伺いします。
 昨年7月29日、県内で最初の感染者が確認されましたが、以降、令和3年10月13日現在、感染者が3、486人となっております。他の都道府県に見られる自宅療養ではなく、入院、宿泊療養の方針を堅持できているのは、積極的疫学調査の対象の絞り込みや入院、療養の判断や対応の方針がしっかり機能していたからと言えます。
 感染を最小限に抑えてきた一方、感染者には療養終了後も味覚や嗅覚への違和感、倦怠感、脱毛、不眠症などの後遺症が残る方がありますが、これら対象者の状況について、本県ではどのように把握しているのかお伺いします。
〇野原保健福祉部長 新型コロナウイルス感染症の後遺症に関しましては、国において全国的な調査を実施しているところでありまして、退院までに、疲労感、倦怠感、睡眠障がい、息苦しさ、筋力低下などの後遺症があった患者の3割以上が、6カ月後においても後遺症が残っていることなどが報告されております。
 また、これまでに保健所や一般相談窓口であるコールセンターにおいて、感染された方から倦怠感や息苦しさなどに関する相談が寄せられており、県内においても一定数の方に後遺症が生じているものと推測されますことから、現在、実態調査に向けて準備をしているところでございます。
〇工藤大輔委員 やはり県内の状況をしっかり把握され、中等症以上の方で、残っている症状が非常に大きい方がいるとも聞いています。そういった方々に対する対応はぜひ必要だと思うのですけれども、そういった中で、県内の感染病床と宿泊療養施設は県央、県南部に集中しており、広域搬送された患者が、退院後の後遺症の治療に当たる場合、搬送先の病院か、かかりつけ医からの診察を選択することとなります。
 後遺症も広域搬送先で治療継続するとなった場合、遠方の病院での治療は負担が大きく、受診控えにもつながると考えられます。
 専門性の高い医療機関での受診や後遺症に悩む対象者の相談、アフターケアの必要性を感じますが、どのように対応してきたのかお伺いします。
〇野原保健福祉部長 新型コロナウイルス感染症の後遺症につきましては、いまだ診断基準や治療法が確立しておらず、現状では、それぞれの症状に対する対症療法とならざるを得ないことなどによりまして、県内の医療機関に専門外来等は設置されていない状況にございますが、後遺症に関する相談については、先ほども御答弁申し上げましたとおり、保健所やコールセンターで対応しているところでございます。
 新型コロナウイルス感染症の国の治療ガイドラインによりますと、退院、退所後の生活指導として、患者が円滑に社会復帰できるよう医療機関と保健所等との連携が示されていることから、寄せられた相談に対しましても、必要に応じて、かかりつけ医や新型コロナウイルス感染症感染時に入院した医療機関等への受診を促しているところでございます。
 新型コロナウイルス感染症の後遺症については、その病態が未解明な部分も多く、今後調査いたします県内の状況や現在行われている国の調査の内容、また、治療に関する研究の進展、県内医療関係者の御意見なども踏まえまして、後遺症等を抱える患者の支援のあり方について検討を進めてまいります。
〇工藤大輔委員 相談窓口の資料を見たところ、医療というのはあるのですけれども、後遺症という項目がないのです。それで、後遺症を持っている方が、すぐに相談しにくいとも考えられるかと思います。
 また、埼玉県では、医師会と協力し、7医療機関8診療科において治療の指針となる症例集の作成に取り組んでおり、多くの医療機関で診療ができるよう働きかけていくという方向性も示されています。
 各地域のこういった事例等も参考にしていただきながら、改善できること、早期にできることがあれば、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、第6波への備えについてお伺いします。
 これまでで最大の感染者数となった第5波は、市中感染の拡大を招き、医療崩壊が現実味を帯びるなど、医療現場の切迫した様子が連日報道されました。ワクチン接種による予防効果などから全国の感染者が大きく減少しておりますが、感染症の専門家から、12月にも次の第6波が始まり、来年1月から2月にピークを迎えるとの意見もありますが、今後どのような備えをしていくのかお伺いします。
〇達増知事 本県においては、8月には直近1週間の新規感染者数が10万人当たり25.9人とステージ4相当を超え、通常医療を一部制限せざるを得ない状況となるなど、医療提供体制が逼迫したところでありますが、県民の皆様の努力のおかげで、新規感染者数や療養者数も着実に減少し、誰も自宅療養することなく、入院、宿泊療養を原則とする本県の方針が維持されたところであります。
 今後、再び感染が拡大し第6波が生じることを想定し、新たな重症患者受け入れ病棟の整備や宿泊療養施設の拡充、感染症患者に対応するための病床確保などに取り組むほか、検査体制や保健所運営体制の充実に努め、今後の感染再拡大に備えた医療提供体制、公衆衛生体制の強化に取り組んでまいります。
〇工藤大輔委員 インフルエンザの関係についてもあわせてお伺いしたいと思います。
 厚生労働省の専門家組織において、この冬は昨年流行しなかったインフルエンザにも警戒が必要との指摘がされておりますが、季節性インフルエンザのワクチン確保の状況も含め、どのような対策を講じる考えかお伺いします。
〇野原保健福祉部長 季節性インフルエンザの主な症状は発熱や呼吸症状であり、臨床症状のみで新型コロナウイルス感染症との鑑別が困難でありますことから、ことしの冬の季節性インフルエンザの流行期に向けまして、同時流行に備えた季節性インフルエンザワクチン接種や発熱等患者に対する診療、検査の体制構築が重要と認識しております。
 このため、今後策定いたします岩手県インフルエンザ対策実施要領に基づきまして、季節性インフルエンザワクチンの迅速な供給と円滑な接種に取り組んでまいります。
 また、昨年度から県内に351カ所設置してまいりました診療・検査医療機関において、抗原検査キットなどを活用し、同時に両疾患の診療、検査を行う体制を構築してきたところでありまして、こうした取り組みを通じ、引き続き、発熱患者等が適切に診療、検査が受けられますよう、県医師会や診療・検査医療機関と連携を図りながら、診療体制の確保に努めてまいります。
〇工藤大輔委員 昨年度は診療・検査医療機関の公表がなされなかったわけですけれども、円滑な医療機関で受診できるようにするために、この公表も一つ必要な判断かと思いますが、ことしの取り組みをお伺いします。
〇野原保健福祉部長 昨年度については、いわゆる院内感染の防止ということで、患者をきちんと振り分けることもあって、事前に必ず県の相談センターに御相談いただいた上で御案内させていただく対応をとらせていただきました。
 県内の患者の診療がかなり進んでまいりましたので、そうした公表のあり方等につきましては、今後、県医師会等とも少し協議を重ねて、周知の方法について検討を進めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 次に、児童虐待及び児童相談所の体制についてお伺いしたいと思います。
 児童相談所への虐待の相談件数が全国的にも増加傾向が続いており、令和2年度は初めて20万件を超えました。本県の令和元年度の相談対応件数は1、427件であり、前年度対比で21.2%の増でしたが、令和2年度の状況についてお伺いしたいと思います。
〇菊池副知事 本県の児童相談所における令和2年度の虐待相談対応件数は1、376件であります。前年度比で51件、3.6%の減となっておりますが、ここ数年の状況から見ますと、高どまりの状況であると認識しております。
〇工藤大輔委員 コロナ禍において、親の就労の不安定さ、また社会的ストレスが増しています。感染防止のため地域活動も縮小が続き、周囲の目が届きにくくなっているとの指摘があります。
 一時保護児童数の資料もいただいたのですが、相談対応件数と同程度で昨年と変わらないような状況であったわけです。子供の異変に気づく機会が減って、問題が表面化するまで時間がかかってはいないのか、また、潜在化した状況になっていないのかということも危惧されますが、どのような対応をとってきたのかお伺いします。
〇菊池副知事 新型コロナウイルス感染症の流行が長期化する中にありまして、外出自粛等に伴う家庭内でのストレス増加などにより、子供たちへの影響が懸念される状況が依然として続いておりますことから、昨年4月に国が示しました子どもの見守り強化アクションプランに沿って、各市町村の要保護児童対策地域協議会が主体となって子供たちの状況把握に努め、必要な支援につなげていくなど、子供たちを見守る体制を強化してきたところでございます。
 具体的な対応としましては、市町村においては、保育所や学校などでふだんとは違った様子が見られる子供たちの情報把握に努めているほか、県においては、警察本部との連携協定に基づく情報共有や連携の強化、児童虐待防止に関する県民への啓発運動、児童相談所虐待対応全国共通ダイヤル189―いちはやく―の周知等により、幅広く支援を必要とする子供たちの把握に努めているところでございます。
 今後におきましても、市町村や関係機関と連携し、こうした取り組みを継続しながら、児童虐待の早期発見と早期対応に努めてまいります。
〇工藤大輔委員 先ほど申し上げましたように、潜在化していないかということを非常に危惧するところですので、特に注意を払って取り組んでいただきたいと思います。
 県では、国の児童虐待防止総合強化プランに基づき体制の強化に努めてまいりましたが、児童相談所の職員体制と一時保護所を含めた施設の老朽化に伴う環境改善等について、今後どのような方向で取り組んでいくのかお伺いします。
〇菊池副知事 まず、職員体制についてでございますが、年々増加する児童虐待相談に対応するため、国の児童虐待防止対策総合プランに基づき児童福祉司等の増員を進めてきたところでありまして、プラン策定前の平成30年度当初から現在までの間に、児童福祉司は37人から54人へと17人の増員、児童心理司は16人から22人へと6人の増員を図ったところでございます。
 また、施設の環境改善についてでございますが、県内の児童相談所は、いずれも建築から40年以上が経過し老朽化が進んでおります。特に、児童が生活する場となる一時保護所は、個別支援が可能な個室を基本とした環境改善が必要と認識しておりまして、令和元年度、福祉総合相談センターにおいて、一時保護所の個室化等の改修を図ったほか、現在、宮古児童相談所の改築整備を進めているところでございます。
 今後も、職員の計画的な増員を図っていくほか、研修による専門性の向上やスーパーバイザーの養成などによる資質向上に努めていくとともに、施設整備においても、ほかの県有施設の状況を勘案しながら対応を検討するなど、引き続き児童相談所の体制強化に努めてまいります。
〇工藤大輔委員 子育てに悩む保護者を孤立させないように、また、子育てに行き詰まる前に支援サービスにしっかりつなげていくということを市町村と共同しながら、その構築に向け取り組んでいただき、虐待の防止に結びつけていただきたいと思います。
 次に、外部人材の活用とデジタルトランスフォーメーションの推進について伺います。
 業務の効率化や生産性を改善するには、業務プロセスとシステムを大胆に標準化し、AIやRPAなどのICT技術を活用するとともに、業務や執行体制の見直しも求められます。
 ICT技術を活用しての業務の効率化はどのように図られているか、伺います。
〇白水総務部長 業務の効率化でございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止や職員の働き方改革の観点から一体的に進めておりまして、ウエブ会議や会議録作成、職員や県民が行う電子申請、届け出などでICT技術を活用しているところでございます。
 具体的には、今年度上半期におきまして、ウエブ会議の利用回数は、県組織内の会議831回、外部機関等との会議1、256回、AIによる会議録作成は約607時間分の会議等に利用、電子申請・届出システムの利用件数は2万63件となっておりまして、会議に伴う移動時間や会議録作成、申請の形式チェックに係る時間削減等につながっていると考えております。
〇工藤大輔委員 この分野はますます効率化が図られていくと思います。働き方改革、また県民へのサービスの向上にぜひつながるように、早期にどんどん取り組んでいただきたいと思います。
 そして、デジタル庁が本年9月に設置され、地域におけるソサエティー5.0の実現に向けて地域のデジタルトランスフォーメーション―DXを強力に推進する方針が示されました。
 未来技術の実装を支援し、新たな社会システムを構築していくためには、高い専門性と行政の仕組みを知る人材の登用が必要と考えます。
 そこで、デジタル専門分野における専門性の高い外部人材の採用について、今後どのように進める考えか、これまでの実績も含めてお伺いします。
〇白水総務部長 県ではこれまで、平成15年度から平成25年度までの間に課長相当職として民間企業から3名を登用し、その専門性を生かして、情報化戦略の策定や情報インフラの構築等に対応してきたところでございます。
 委員御指摘のとおり、デジタル分野においては技術革新が早く、民間部門での取り組みが広がっていることから、本県のデジタル化やデジタルトランスフォーメーションの推進においては、高度な知識、技術、多様な経験を有する外部人材の指導、助言が必要と認識しております。
 そのため、外部人材の確保については、ポイントが大きく三つあると思っております。一つは、採用する際の任用形態を工夫すること、二つ目、常時雇用に至らない場合でも、兼業や副業、リモートワークによる外部の専門人材の協力や参画を得られないか模索すること、三つ目、IT関連企業との連携についても協定締結や業務委託などの可能性を追求していきたいと考えております。
 このようなさまざまな手法により、外部人材を確保し、得た知識やノウハウを組織としても活用し、デジタルトランスフォーメーションを推進していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 デジタル社会の到来に向け、県庁内に岩手県デジタルトランスフォーメーション推進本部を、外部組織として官民挙げて取り組むいわてデジタルトランスフォーメーション推進連携会議を設立しました。
 県が進めるデジタルトランスフォーメーション関係業務は、ふるさと振興部と総務部がそれぞれ所管しておりますが、限りある人的資源と権限を集約し、より効率的、効果的にデジタルトランスフォーメーションを推進する司令塔として専門部署の設置を検討する必要もあるのではないかと考えますが、推進体制についてお伺いします。
〇白水総務部長 これまで、情報分野における総合的な企画調整は科学・情報政策室が担ってきたところでございますが、岩手県庁働き方改革ロードマップに基づき、県行政のペーパーレス化やリモートワーク環境整備等の業務を集中的に行うため、今年度から行政情報化分野を総務部に移管し、職員の働き方改革と一体として業務を進めているところでございます。
 また、あわせて科学・情報政策室に新たに情報化推進課長を設置し、市町村における自治体DXの支援や各分野のデジタル化の促進などを進めておりまして、総務部とふるさと振興部が連携しながら、県全体のデジタルトランスフォーメーション推進に取り組んでいるところでございます。
 今後におきましては、それぞれの業務の進捗状況を踏まえながら、デジタルトランスフォーメーションを推進する上で効果的な組織のあり方について検討していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 国の方針でも重点措置がとられていく分野であり、組織と人材の両面からデジタルトランスフォーメーションの推進体制を整備することが必要とされています。そこで、最高情報責任者CIO、CIO補佐官についてお伺いしたいと思います。
 総務省の自治体情報管理対応、これは2019年3月の資料ですけれども、都道府県でCIOを任命しているのが34自治体で、うち18自治体は副知事がその任に当たられています。CIO補佐官は半数の23自治体で任命し、課長級が9自治体、副知事、外部人材を任用が各5自治体となっております。
 施策の推進力を高めるためにもCIO、CIO補佐官の任命についてどのような考えを持っているのか、必要なスキル、また、その知識等、どういったことで今後考えていくのか、この分野についてお伺いします。
〇白水総務部長 CIO、CIO補佐官の関係でございます。これは、委員御指摘のとおり、ほかの自治体でもさまざま設置あるいは任命等が進んでいるところでございます。
 昨年12月に国が策定いたしました自治体DX推進計画によりますと、CIOは、庁内マネジメントの中核として部局間の調整を支える人材、それからCIO補佐官は、CIOのマネジメントを専門的知見から補佐できる外部専門人材の活用を例示されておりまして、CIO補佐官については、ICTの知見を持った上で、本県の実務に即して技術の導入の判断や助言ができる人材が必要ということで考えております。
 いずれにいたしましても、国でデジタル庁もできましたし、それから、ほかの自治体でもさまざま先進事例がございますので、そういったものをしっかりと分析しながら、本県においてどういう形でやっていけるかどうか検討していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 県内のこのデジタルトランスフォーメーション分野の推進の上で、市町村や民間のデジタルトランスフォーメーションの推進が今後とも必要になってくると思います。県としてどのようなフォロー等、また支援をしていくのかお伺いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 県では、全市町村が参画する電子自治体推進協議会を設置いたしまして、これまで、岩手県情報セキュリティクラウドの共同運用、専門家の派遣、自治体DXをテーマとした研修の開催などの支援を行ってきたところでございます。
 市町村におきましては、総務省が本年7月に公表した自治体DX推進手順書で示された情報システムの標準化を進める必要がありますが、それぞれ市町村が独自にシステムのカスタマイズ等を行って運用している現状にございます。このため、市町村のシステムの標準化が円滑に進みますよう、各市町村の取り組み状況調査を今実施しているところでございます。今後、この調査結果をもとに適切な対応が図られるよう支援を行っていく考えでございます。
 また、市町村によりましては、人的体制が厳しい自治体もございますので、そういった自治体につきましては、重点的に支援を行って、着実に市町村の取り組みが進むよう努めてまいります。
 次に、民間のデジタルトランスフォーメーションの推進についてでございます。
 これまで、ものづくり企業の生産現場におけるデジタル技術の活用支援、人材育成、それから、県内の企業と高等教育機関による共同研究への支援等を行ってまいったところでございます。
 本年7月には、産学官金の連携組織でございますいわてDX推進連携会議を設立いたしまして、本県におけるデジタルトランスフォーメーションの推進にオール岩手で取り組むこととしたところでございます。
 本連携会議におきまして、これら各分野のデジタルトランスフォーメーションの取り組みを一層充実させるとともに、大学等高等教育機関と民間の各分野との連携、それから各分野間の連携を進めまして、新たなデジタルトランスフォーメーションの展開を図ってまいりたいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 デジタルトランスフォーメーションの活用の一つとして、デジタルマーケティングについてお伺いしたいと思います。
 デジタルマーケティングは、データの収集や分析を活用することにより、属性を見きわめ、より適切な情報発信を可能にするツールとして、近年、地方自治体でもインバウンドを初めとした観光や県産品の販売促進などに取り入れられ始めました。
 本県においても、インバウンドを初めとした観光や物産の魅力発信、移住、定住の効果的な施策の推進に向け寄与できる手法ではないかと考えますが、今後どのように活用していく方針か、現在の取り組み状況と認識についてお伺いします。
〇保副知事 今、このデジタルデータをマーケティングに活用するのがいいのではないかということで、まさにそのとおりだと思っております。このデジタルマーケティングと一般に言われるものには、例えば携帯電話の位置情報を活用した観光客の旅行動向の把握といったビッグデータの分析の分野もございますし、ウエブやSNSの閲覧者の属性あるいは関心度の高さといった顧客データから分析をするような手法もございます。
 ビッグデータの活用につきましては、特に観光面で有力視されておりますけれども、東北観光推進機構において、東北広域での観光マーケティングデータを一元化するプラットホームの構築が進められております。このデータの属性やエリアのこれまでの分析ですと、少人数の旅行ニーズの高まりですとか、特に宮城県から来る旅行者の構成比が高いということですとか、教育旅行が過去最高の数値である、特にその方々が沿岸地域を訪れているといったことが明らかになり、そういった面でこちらがどう手を打つかの参考になると思います。
 また、一方、顧客データの活用については、既に私どもでも三陸観光ポータルサイトさんりく旅しるべですとか、岩手さちこという公式のVチューバーがおりますけれども、その動画がどのような形で見られているかとか、さまざまそういったことの情報を得てアプローチの仕方を考えるというようなこと、また、買うなら岩手のものバーチャル物産展も展開いたしましたが、売れ筋の把握でさらに販促につなげること、それから、岩手県の移住定住のマッチングでございますシゴトバクラシバいわて、こういうことに関心のありそうなところにダイレクトメールを送って、その反応を見ながら、さらにこちらから仕掛けるといったさまざまな取り組みをそれぞれ行っているところです。
 こういった取り組みはいろいろな面でまだまだ活用できるところが多いと思いますので、今後もさまざま研究しながら活用していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 県でも令和2年度の取り組みとして、今、保副知事から説明をいただきました移住ウエブプロモーションであったり、また、県外大学生向けの情報発信で活用されていた事例があります。これは一度やればいいという話ではなくて、これの情報を分析し、次に生かす取り組み、これを回していくことで非常に精度が高まっていくと思いますので、令和3年度以降も、こういった分野にぜひ取り組んでいただき、効果的なプロモーション活動ができるようにしていただきたいと思います。
 次に、企業誘致についてお伺いします。
 県は、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる北上川バレープロジェクトを推進しており、自動車関連産業や半導体関連産業といった地域経済を牽引するものづくり産業を中心に企業誘致が進められてきました。きょうの報道でも、江刺に半導体関連部品会社の進出が決まったという明るいニュースも出ています。
 近年の取り組み実績について、広域振興圏別の誘致件数、また誘致に伴い雇用の人数がどうなってきたのかお示し願いたいと思います。
〇保副知事 近年のということでございましたので、平成28年度から令和2年度までの5年間ということでお答え申し上げたいと思います。
 この間における岩手県への新規立地件数は92件でございます。広域振興圏別では、県央が13件、県南が72件、沿岸が3件、県北が4件となっております。
 また、既に立地している企業の増設につきましては、この5年間で70件でございます。広域振興圏別では、県央が6件、県南が50件、沿岸が8件、県北が6件でございます。
 これらに伴う雇用人数ですが、新規立地につきましてはおよそ3、000人、増設が約1、100人、合計で約4、100人となっております。広域振興圏別では、県央が約100人、県南が約3、800人、沿岸と県北がそれぞれ約100人となっております。
〇工藤大輔委員 人材の確保、定着を進めるため、令和2年から新たに認定企業制度を取り入れ、いわて産業人材奨学金返還支援制度をつくり県内定着を進めてきましたが、事業効果について伺います。
〇保副知事 いわて産業人材奨学金返還支援制度でございます。県内に就職しようとする大学生の方が奨学金を持っている場合、その返還を支援する仕組みでございます。
 この制度は平成29年度に創設し、令和2年度までに203人の方を支援対象として認定いたしました。この認定した方々のうち、実際に企業に就職した方が189人となっており、利用する企業においても非常に評価は高いです。
 また、学生へのアンケートによりますと、この制度をきっかけとして岩手県への就職を考えたと回答した学生が7割あるということでありますし、この事業への評価として、この制度が若者の県内定住と県内企業への人材確保に効果があると思うかということに対して、9割の方が効果があると回答をいただいているところでございます。
〇工藤大輔委員 例年50名前後という実績なのだろうと思います。定員も120名あるということで、もう少しアプローチの仕方、また効果を高めるやり方もあるのではないかと思います。引き続き検討の上、よろしくお願いしたいと思います。
 そして、先ほどの企業誘致等の実績は、県南地域がこの5年間で、新設で86%、増設では71%、このようなパーセンテージで進出が決まり、県央地域、沿岸地域及び県北地域においては、企業誘致、増設においてもまだまだ課題があると思っております。
 釜石港のガントリークレーン設置など港湾機能の強化や三陸縦貫自動車道など復興道路等の整備などにおいて、物流の利便性がかなり向上してきました。そして、企業立地奨励事業補助金の要件緩和や県北広域産業力強化促進事業の創設などについても取り組んでもらっていますが、これはまだまだ十分に成果が出ていないと思っています。
 そこで、県北、沿岸地域における企業誘致の課題と今後の対応方針について、どのようなことで進めていこうとしているのかお伺いします。
〇保副知事 企業誘致に当たりまして、企業の進出の際に企業がどのようなことを要素として考えるかということですけれども、交通アクセスや上下水道を初めとした産業インフラ、電力の問題、それから、その地域に関連産業の集積があるか、人材の確保が容易であるか、あるいは物流のコストがどれだけなのか、そのようなさまざまな要素を総合的に判断して決定されていくということでございます。
 こうしたことで、県北、沿岸地域を照らし合わせてみますと、今、優遇制度の御紹介もありましたけれども、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金のほか、10分の3という非常に高い割合で進めております県北、沿岸地域における企業立地促進奨励補助といったものも一つの要素ではあると思います。これを行政の側としてはいろいろアピールして進めるわけですけれども、最終的には、先ほど申し上げたようなさまざまな要素によって、企業が総合的に判断しているということであります。
 ただ、近年は、こうした道路の整備ですとかインフラの整備に伴いまして、例えば、医療用機械器具製造企業が洋野町におきまして新規に立地して、さらなる業容拡大を図っているというような例もございますし、もともと県北エリアの強みでありますブロイラー産業に、首都圏のスープ製造企業が合弁して新しい会社ができる、そのような事例ですとか、県北、沿岸地域の資源を活用して新たな事業をやるといった面での立地もふえてきております。
 このようなことを背景にして、さらに、今後は再生可能エネルギーなどの面でも大きな可能性を持っていると思います。また、三陸沿岸道路の全線開通あるいは港湾の効果で物流なども期待できると考えております。
 いずれにしても、このような観点から、地元の市町村と密に連携いたしまして、県北、沿岸地域にさらに多くの企業が立地できるよう取り組んでまいります。
〇工藤大輔委員 社会インフラの整備がかなり進みました。これを活用してということにおいて、新たに戦略的な取り組みが必要ではないかと私は思っています。企業誘致は、地域において人口の定着であったり、移住、定住を進める上で効果が非常に大きいわけですので、そういった取り組みが実行できるように、いま一度、戦略性を持って県北、沿岸向けの対策を総合的に考えていただきたいと思います。これは要望にしたいと思います。
 次に、移住、定住、U・Iターンについてお伺いします。
 リモートワークやワーケーションといったニューノーマルな働き方が可能な職場の増加により、都外に移り住む需要が高まったことなどから、東京都が転出超過となりました。
 東北地方の転出者数は減少傾向にありますが、本県の移住、定住の相談件数及びU・Iターンの状況についてどのような影響があったかお伺いします。
〇保副知事 昨今の地方移住への関心の高まりですとか、本県における感染状況が全国と比較して低く抑えられてきたことなどもございまして、移住に関する相談件数やU・Iターンの就職者は増加している状況にございます。
 詳しく申し上げますと、県が主催するイベントや県の首都圏の相談窓口での相談件数は、年度当初から非常に堅調な動きを見せております。8月までにおよそ1、000件の相談があり、これを昨年度の同時期と比べるとおよそ3倍でございます。
 また、U・Iターンの数字は就職支援機関を通じて把握できるわけですけれども、その数字を申し上げますと、昨年度から本格稼働している就職情報マッチングサイト、シゴトバクラシバいわてが本格的に動いてきていることも背景にあるかと思いますけれども、こちらも8月末現在で581名と前年度を上回るペースでございます。移住者も順調に推移していると考えております。
〇工藤大輔委員 認定NPO法人ふるさと回帰支援センターがまとめた移住希望者の都道府県ランキングで、前年度17位の宮城県が5位に大幅にジャンプアップしました。前年12位の福島県が14位ということで、20位だった山形県は、今回はランク外だったということであります。ただ、本県も20位以内には入れなかったわけですが、セミナーの開催による人数がかなりふえて11位だったということであります。
 こういった新型コロナウイルス感染症に伴う新しい動きもあり、好機と捉える声もありますが、今後どのような対応をしていくのか、今後の具体的方策があればお伺いします。
〇保副知事 今、委員から御紹介があった数字については、認定NPO法人ふるさと回帰センターを活用しての範囲のものということで、実際には、実態としてはこれよりかなり大きなものになっているのではないかと考えております。
 今後の取り組みですけれども、何といっても北上川流域における自動車、半導体関連産業を中心とした旺盛な企業の立地に伴う人材の確保は、なかなか県内だけで全てというわけにはまいらないということで、県も積極的に県外の大学ですとかさまざまな機関を活用して、岩手県にこういう会社がありますからどうぞ来てくださいというような活動も進めております。
 また、第1次産業の分野についても、いわてアグリフロンティアスクール、いわて林業アカデミー、いわて水産アカデミーと、農林水産業それぞれ新規参入のための人材養成の機関がございますが、こういうところに県外から来てもらうことも有望ではないかと考えております。
 また、コロナ禍におきまして、大都市部の感染拡大が著しいということを背景に地方のよさが再認識されているのはそのとおりだと考えております。テレワーク等を初めとする多様な働き方が加速化し、いわゆる転職なき移住という機運も高まってきていると思います。
 今年度、移住に要する経費の支援の拡充、これは移住してくる方への支援金ですけれども、その対象範囲の拡充ですとか、若者のライフステージに応じた住宅支援、これはいわて木づかい住宅の件ですが、岩手県にこういう事業がありますということが、若者にとって、将来岩手県で暮らすことへの魅力の一つにもなるということでございます。
 今、相談件数が非常にふえていることを確実に人口増加につなげていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 宮城県が5位に大きく上がったということで聞いてみたところ、仕事の問い合わせが非常に多かったということでした。首都圏の仕事の不安定さ、やはりそこで解雇になった事例等もあったりし、東北地方で、そしてまた宮城県でということで目が向いたと聞いております。
 宮城県がこのように上がっていくということは東北地方に目が向くということで、私は非常にいい影響ではないかとも感じています。
 そしてまた、先ほど来、企業誘致等でありますとおり、県南地域が好調ということをぜひ生かして、県南地域に目が向いたものを全県に広める、そういった取り組みに発展させてもらえるように強化していただきたいと思います。
 最後に、医師招聘と養成についてお伺いしたいと思います。
 即戦力医師の招聘や奨学金による医師養成事業により、本県に在籍する医師数は着実に増加しており、二次医療圏における中核病院と地域病院でのたすき掛けの配置システムも進んできており、岩手県の医療が目指す取り組みが見られる一方、国が策定した医療偏在指標において本県は最下位となってしまいました。
 医師の地域偏在及び診療科偏在の取り組みについて、県はどのように評価し取り組んでいこうとしているかお伺いします。
〇菊池副知事 医師の不足と地域偏在解消のため、県では、奨学金養成医師の適切な配置調整に取り組んでおります。
 平成28年度の配置開始以来、奨学金養成医師は年々増加し、今年度当初には104名が公的病院等に配置されたところであります。そのうち、沿岸、県北地域への配置については、平成28年度の7名から令和3年度は45名と着実に増加しているところであります。
 令和3年度から義務履行を開始する養成医師については、沿岸地域等への配置を必須化しており、今後、さらに沿岸地域等への配置人数の拡大が見込まれるところでございまして、県内の地域偏在の状況は解消に向かうものと考えているところであります。
 また、本県は全ての診療科で医師が不足しておりますが、特に不足が深刻な産科及び小児科については、産科等を選択した養成医師が、義務履行とキャリア形成の両立を可能とする特例配置を行っておりまして、義務履行中の奨学金養成医師のうち、産婦人科や小児科を選択する医師は、徐々にではありますが、年々増加してきている状況にあります。
 さらに、令和2年度から、医療局奨学資金に産婦人科特別枠を設けておりまして、令和2年度、3年度にそれぞれ1名の貸付実績が出てきております。引き続き、これらの診療科偏在の解消に向け取り組んでまいります。
〇工藤大輔委員 よろしくお願いします。
 そこで、医師臨床研修マッチング協議会があり、毎年の臨床研修先の第1希望先を示す医師臨床研修マッチングの中間結果が、先般公表されました。この5カ年を見ると、平成29年度に県内の臨床研修病院を第1希望にした学生が90名だったことに対し、その後の年度を見ていくと、40人から60人台で推移し、減少してきているという感じを持っております。
 研修ニーズの把握に努めながら魅力ある研修メニューを構築し、まずは第1希望に選択してもらえるような強化、支援をしていくべきだと考えますが、この実績を踏まえ、どのように分析し取り組んでいくのかお伺いします。
〇菊池副知事 令和4年度医師臨床研修マッチングの中間公表の件でございますが、本県の臨床研修病院を第1希望とする医学生等は45名となっておりまして、昨年度より18名、2年前より2名の減少となっております。
 第1希望者が減少した背景にはいろいろな要因が考えられますが、近年、臨床研修後の専門研修を見据えて、専門研修の指導体制やプログラムが充実していると見られております都市部に集中する傾向があることや、新型コロナウイルス感染症の影響により、対面での病院説明会や臨床研修病院への見学ができなかったことなども影響しているものと見込んでおります。
 平成31年度及び令和2年度においては、中間発表から10名程度増加した例もございまして、2次募集を実施する本県病院を県のホームページでもPRするほか、新たにSNSで発信するとともに、県の奨学生や合同面接会等でつながりができた医学生等に個別にアプローチするなど、臨床研修医のさらなる確保に向けて積極的に働きかけていく考えであります。
 また、本県では、全国で最も多い県立病院を有するという地域特性を生かし、12の臨床研修病院がイーハトーヴ臨床研修病院群として一体となり、病院の枠を超えて、内陸や沿岸、県北地域の多様な研修病院を行き来できることで、多くの臨床研修医から評価を得ていると御指摘もありましたたすき掛け研修の実施や、厚生労働省の指針に沿った指導医講習会を全国で初めて開催するなど、特色ある臨床研修事業を展開しておりまして、今後におきましても、こうした本県の魅力やメリットなどが医学生等に一層伝わるよう、広報やPR活動の強化に努めてまいります。
〇工藤大輔委員 リモートでやった結果ふえた県もあるようなのです。いろいろと成功事例等を見ていただきながら、よりよいプログラムをつくっていただきたいと思います。
 さまざま質問をさせていただきましたけれども、やはり新型コロナウイルス感染症の影響が非常に大きい、まだ続いているということで、県の政策判断も非常に難しいものだと思います。ただ、その時々で適切な判断をし実行していくことが県民から求められておりますので、達増知事を先頭に、ぜひその対応を引き続き頑張っていただきたいと思います。
 どうもありがとうございます。(拍手)
〇小西和子委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、ハクセル美穂子委員。
   〔ハクセル美穂子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇ハクセル美穂子委員 いわて県民クラブのハクセル美穂子でございます。会派を代表して決算の総括質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、これまでほかの委員も質問しておりましたけれども、令和2年度決算も踏まえて作成された中期財政見通しについてお聞きしたいと思います。
 収支ギャップについてはいろいろとこれまでも質問がありましたけれども、まず、当会派の飯澤匡議員の一般質問に対する当局の答弁は、縮減目標、シーリングの設定でこのギャップを乗り切るというような答弁であったと捉えております。しかし、私は、もっと個々の事業に踏み込んで、きちんとめり張りをつけていく必要があると感じております。
 今行っている事業をそのまま行っていけば、当然収支ギャップは生じるわけであります。しかし、ここで特にめり張りをつけずに危機的状況を座して待つというのは、責任ある行動とは思えません。
 具体的に、これからどの分野、どういった事業に県の限りある資源を投入していこうとされているのか、この点について明確にお示し願います。
〇達増知事 いわて県民計画(2019〜2028)を着実に推進するため、10の政策分野について、それぞれの指標の達成状況や社会経済情勢等を踏まえ、丁寧に課題を分析し、翌年度の取り組みに反映することで、一層の選択と集中を図ります。
 また、来年度当初予算編成において、国が公表した骨太の方針2021も踏まえ、複数の政策分野にまたがる横断的な取り組みの中でも、特に人口減少対策、デジタル化、グリーンを重点テーマとし、限られた財源を重点的かつ効率的に活用しながら、新たな事業の創出や事業のブラッシュアップを進めることとしております。
〇ハクセル美穂子委員 その答弁はこれまでもずっとお聞きしてきました。それだと足りないと私は申し上げておりまして、10の政策分野で、そしてシーリングをかけて何とかその年々で予算を組んでいくというのでは、この中期財政見通しを改善していくのは非常に難しいのではないかと本当に思っております。
 今回、財務諸表を見せていただきました。バランスシートと言われるものですけれども、財政調整基金の金額もそのとおり大変なのですが、何が一番大変というのは流動資産です。現金が足りないというのが岩手県の大きな課題ではないかと捉えました。資産自体は固定資産としてあるのですけれども、流動資産がまず目減りしているという点が非常に気になっております。
 このまま10の政策分野でそれを見直ししてというので、重点的なところをきちんと明確にあらわさないで予算を組んでいったりしていくと、例えばですが、有形固定資産とか、それから、県の出資金なども現金化しないと現金を回していけないといった状況にもなると捉えているのですけれども、その点について知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 キャッシュフローというのは非常に重要な問題で、しかも、多ければ多いほどいいというものではなく、適切な規模で管理する必要がある中で、また足りなくなってはだめだということで、毎年毎年、私も随時報告を受けながら、キャッシュフローの管理については、さまざまな金融機関との連携なども年度ごとに工夫しながら、遺漏なきよう努めているところであります。
〇ハクセル美穂子委員 今の答弁ですと、そのときの現金を確保するために銀行から一時借り入れとかをしながらやればいいのではないかという答弁に聞こえるのです。そうではなくて、もともとの貸借対照表の中で、毎年毎年、流動資産の現金のところとか短期貸付金とか、これは財政調整基金も入っていますが、そういったところが去年よりもまた目減りしているのです。出資金とかに手を出すようになったらもう終わりだと私は思っておりますので、事業をきちんと精査していかなければいけないというのは、こういう点にも出ていると思います。
 何より、私は前のいわて県民計画をつくったときからもお話ししておりますけれども、総花的な計画をつくってしまうと、総花的な予算を結局つけなくてはいけなくなるのです。幾ら選択と集中という話を毎年毎年しても、どこに集中するのかは、結局、集中できないまま過ぎていってしまう。そうすると、達増知事の就任時はいいのかもしれませんけれども、その次の世代のときに、有形固定資産に手を出さなくてはいけないとか、そういうことになる。私は、次世代の子供たちのためにもそれだけは避けたいと考えております。
 私は、やっぱりいわて県民計画(2019〜2028)もあわせてきちんと事業の選択と集中、取捨選択は、知事が決断を下さなければならないと考えておりますけれども、その点について、もう一回御答弁をお願いします。
〇達増知事 岩手県民のさまざまな生活、そして仕事、非常に多様なものがありまして、また、現代社会の中で、それぞれが複雑な問題に直面したり、一方で、デジタル、グリーン、あと新型コロナウイルス感染症対策との関係での地方の可能性など、可能性豊かな分野も多様であります。
 産業の近代化、昔の過重生産方式など、まず、石炭だ、鉄鋼だ、機械だというような時代には非常に極端な集中が求められていたと思うのですが、今のように生活様式も産業も非常に多様化してまいりますと、いかにそうした多様な県民からの行政ニーズに応えていくか、また、豊かさが多様である反面、ひとり親世帯の困窮でありますとかにきめ細かに対応しなければならない。どうしても事業数を減らすのもなかなか難しい時代かと思っております。
 そういう中で、分野や事業等で大なたを振るうよりは、もちろん事業を束ねて、まとめて少なくしていけるところはそうしていく必要がありますけれども、やり方を工夫して、よりコストを低くするとか、民間の活力を利用していくとか、そういった工夫もまた今の時代には重要ではないかと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 それはそのとおりなのですけれども、私が申し上げたいのは、県の政策としてどこに重点的に注力していくか。デジタルトランスフォーメーションも、例えばグリーンに関してもですけれども、一つここに注目して、これについての政策を幅広くやっていくというようなことを取捨選択するのは、やっぱり知事なのだと思います。職員ではないと思います。知事が方向性を決めるために選挙で当選されているのですから、政治家としての職務だと思うのですけれども、その点をざっくばらんに広くお話しするというのは、その職責をきちんと果たしているとは言えないのではないかと思うのです。
 選挙で選ばれた政治家である知事の所見を踏まえて、どこに集中していくべきかを、今どう考えているのか、もう一度答弁をお願いしたいと思います。
〇達増知事 今の時代は、誰ひとり取り残さないということで、その事業の対象がもう数えるほどしかいない、少ししかいない県民が対象であったとしても、そういった事業はきちっとやっていくみたいなことが必要と考えます。
 県職員に期待するのは、そういう取り残されているような人たち、今まで施策が行き渡らない、行政の手が届いていないようなところで困っている人がないか、そういう新しい発見をし、そういうことをやっていくと、むしろ事業はふえ、より予算需要が高まってくるところです。その中で既存の事業との合わせわざで事業数をふやさないようにするとか、そういったコスト、工夫、まずは県民のニーズをきちっと把握することを、特に広域振興局、現場の職員たち初め、職員には期待しているところであります。
〇ハクセル美穂子委員 知事、もう課題は結構見えていまして、菅野ひろのり委員もお話ししましたけれども、この間の東日本大震災津波復興特別委員会でも言われたのは、若年女性の減がひどいということで、もう課題として見えているのです。デジタルトランスフォーメーションでも、移住、定住でも、例えば企業誘致であっても、若年女性がふえるようなものをやるということに注力していくべきではないかという方向を出すのは、私はやはり知事だと思います。どの分野であっても、どの政策であっても、この点を一番重要視してやってほしいというようなことをきちんと書面で明確にしてやっていかなくては、36.9%減、これはなかなか回復していくことは難しいと思いますので、ぜひこの点について、若年女性と、それから、子育て世代の出生率の話もされておりましたので、言ったことに対してきちんと成果が出るであろうと思われる事業はこれですよということで、注力してやっていってほしいと思っております。
 次に、子供の医療費助成についてですが、私はこれまでもお話をさせていただきましたが、これは、やはり出生率を上げていくという観点でも、きちんとやっていかなくてはいけない事業だと思っております。県は、知事が中学校卒業までは現物給付にするということで、今、中学校卒業までは現物給付になっておりますけれども、市町村の負担が非常に大きくて、県内津々浦々全て同じ制度で行っているわけではありません。ここをきちんと平準化していくことは必要なことだと思うのですけれども、その点について知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
〇達増知事 県内各市町村においては、人口減少対策や子育て支援施策としてさまざまな施策が展開されており、医療費助成の対象についても、それぞれの政策的判断のもとに、単独事業として拡充が進められ、結果として取り組みに相違が生じているものと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 県の子供の医療費助成の拡充をすべきと考えますけれども、所感と今後の取り組みの方向性をお示しくださいというところを質問させていただきました。
 再度、その点についてお願いいたします。
〇達増知事 県といたしましては、人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として、厳しい財政状況にありますが、市町村等と協議の上、平成27年8月から補助対象を小学生の入院まで拡大するとともに、昨年8月には現物給付の対象を中学生まで拡大するなど、医療費助成制度の利便性向上にも取り組んだところであります。
 総合的な子育て支援は、人口減少対策を進めていく上で重要な施策でありますが、子供の医療費助成は、本来、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われるべきであり、これまで、国に対し、県の政府予算提言・要望や全国知事会要望などにおいて、全国一律の制度を創設するよう要望してまいりました。
 県の助成について、対象拡大や所得制限の撤廃等を行う場合、多額の財源の確保が必要となりますが、本県の中期財政見通しによれば、人口減少に伴う普通交付税の減などにより、この先の本県の財政は一層厳しさを増すことから、今後、国の動向を注視しながら、県の医療、福祉政策全体の中で総合的に検討する必要があると考えております。
〇ハクセル美穂子委員 この答弁は私も何度もいただいている答弁と同じでございますけれども、出生率とか若年女性の減とか、子供の医療費とは関係ないかもしれないですけれども、若年女性が、やっぱり子育てしていけるかと考えたときに、いや、ここではできないのではないかというような思いが頭に浮かべば、やっぱり違う、きちんと仕事もして、子供も育てていける地域に行きたいと考えると思います。
 そういった点でも、やはりしっかりと子供の医療費助成を小学生の通院まで出さないと、医療費助成を受けているという恩恵も感じないまま病院に行かれているような市町村も結構あり、県内、本当にばらばらです。ここは国に求めていくのはもちろんそのとおりですけれども、県もできるところはやっていくべきだと思います。
 例えば小学生の通院までは助成するとかいったような考えはないのでしょうか。もう一回お聞きしたいと思います。
〇達増知事 小学生の通院医療費については、市町村の単独事業によって、既に全市町村においてほぼ同等の水準で医療費助成が行われており、県が小学生の通院まで補助する対象を拡充したとしても、直ちに県民サービスの向上に結びつくものではないと認識しております。
 県としては、全ての子供がひとしく医療を受けられる環境にあることが望ましい姿であると考えており、市町村の財政力によってサービス水準の低下を招くことのないよう、国に対し、粘り強く全国一律の制度創設を求めていくとともに、医療提供体制の充実など、安全・安心な子育て環境の整備に努めてまいります。
〇ハクセル美穂子委員 ほぼ同様ですけれども、全てが同様の水準ではまだできていないというのであれば、厳しい財政状況の中だとしても、県でも、同様になるところまで何らかの支援策はやれると思いますので、ぜひその点について、両方をうまく答弁の中で使わずに、やるところをきちんと決めてやっていただきたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応について、令和2年度決算を踏まえた中で質問していきたいと思います。
 病床の確保と使用実績です。令和2年度、病床の確保、使用実績等、これまでもお話をされていましたけれども、その中で、使用実績について簡単に御答弁いただきたいと思います。
〇菊池副知事 確保病床の使用状況になりますが、県では、新型コロナウイルス感染症患者の大幅な増加に対応できる本県の医療体制を構築するため病床等確保計画を定めておりまして、発生拡大期のフェーズ2においては、即時稼働できる病床として、重症者用30床、軽症から中等症者用220床の計250床、感染蔓延期のフェーズ3においては、重症者用45床、軽症から中等症者用305床の計350床を確保することとしてきました。
 宿泊療養施設については、発生拡大期に247室、感染蔓延期に300室を確保する予定としておりましたが、8月24日までに計画を上回る377室を確保できたところでございます。
 また、これまでの病床使用実績につきましては、最大で、重症者用病床が4床、軽症から中等症者用の病床が266床、宿泊療養施設が153室となっております。
〇ハクセル美穂子委員 今後の病床確保の方針について、これで第6波が来るのではないかという話はもちろん今も出ているのですけれども、今後、第5波以上の波が来たとしても、十分に対応できるぐらいの病床が確保できている状況であるという御認識でよろしいのか、あわせてお聞きしたいと思います。
〇菊池副知事 7月からの第5波の流行期には全国で重症者数が増加しまして、感染拡大地域を中心に医療の逼迫が生じたことから、本県においても、第6波以降の感染拡大に備えた体制の強化が必要と認識しておりまして、重症患者受け入れのための新たな施設の整備や中等症等の患者に対応するための病床確保、軽症者や無症状者に対応するための宿泊療養施設の拡充などに要する経費を昨日議決いただきました補正予算に盛り込み、対応を進めることとしているものでございます。
 加えて、国から、各地域において今般の最大の感染拡大時と同程度の感染拡大が生じることを前提として、健康観察、診察等の体制、宿泊療養における治療体制、入院等の体制について、都道府県病床等確保計画の再検討を求める通知がありました。
 本県でも、こうした点について、本県の医療提供体制検討委員会での議論も踏まえて検討し、適切な病床等の確保を図っていく考えであります。
〇ハクセル美穂子委員 それでは、次の質問に行きたいと思いますが、今回、県民の行動制限を伴う対策を行いました。国では昨年、小学校、中学校、高等学校の一斉休業などで、最初は全国一律に個人の行動を制限する対策に踏み込みました。けれども、国もだんだんに、その地域の状況に合わせた対策にシフトしていったというような感を私は持っています。
 本県でも、第5波の期間にあって全県に緊急事態宣言が発出されました。一方で、飲食店に対する休業要請は盛岡市のみという適用だったので、とてもちぐはぐな印象で、やはり周辺の事業者からは、協力金は出ないけれども、盛岡市の休業要請の影響をもろに受けて非常に大変だ、不公平と感じるというような声が私のところにも届いております。
 私は、行動制限を伴う厳しい対策をとる以上、状況をきちんと見きわめた上で今後は慎重に判断する必要があると思っています。
 今回、県が行った県民の行動制限を伴う対策について、知事はどのように評価しているのかお聞かせください。
〇達増知事 県では、令和3年8月12日に岩手緊急事態宣言を行い、人と人とが接触する機会を極力減らすため、県民の皆様に対し不要不急の外出自粛等を要請いたしました。
 宣言後、8月20日には人口10万人当たりの新規感染者数が25.9人まで高まるなど感染が拡大したことから、さらなる感染の拡大による医療の逼迫を避けるため、いわて飲食店安心認証店を含む盛岡市の飲食店等に対し、8月30日から9月12日までの期間、営業時間短縮を要請いたしました。
 これらを受けた県民の皆様の適切な行動により、全国的にかつてない感染拡大が起こっている中で、感染拡大を抑制し、入院、宿泊療養を原則とする本県において、誰も自宅療養させることなく医療提供体制が維持され、1カ月余りで岩手緊急事態宣言を解除でき、その後、人口10万人当たりの新規感染者数が1人未満となるところまで下がっているところであります。
 このことによって、基本的な感染対策をしっかりとした上で、さまざまな社会経済活動を行うことができる環境が整ったものと認識しております。
〇ハクセル美穂子委員 全県の緊急事態宣言を発出したことについてはよかったと。それについての課題は特になくてというような印象なのかと思いましたが、私は、ワクチン接種が7割になっている今、全県に出すのが、今後、必要になるのかと思っています。ですからその点、ワクチンの接種率も鑑みて、これからは全県ではなくて、例えば市町村ごととか広域振興局ごとに緊急事態宣言を出しながら、それに伴って休業要請等、きめ細やかな対応が必要とされていると考えております。
 その当時の状況とはまた違いますし、そのときに感染者が出ない市町村にもどれぐらいの影響があったかはきちんと検証して、エリア分けなど同じように大変な状況をつくらないような、経済活動を回していくことにきちんと重点を置いてやっていっていただきたいと思っているのですけれども、その点について知事のお考えをお願いいたします。
〇達増知事 先ほど、昨年度においては10万人当たり新規感染者数が7人とか8人とか、そのくらいまでしか行かなかったのが、この第5波の中では15人を超え、あっという間に25人近くなり、そして25.9人まで行ったということで、やはり岩手県として、かつてない感染の拡大があり、それを鎮静化しなければならない状況ではあったと考えます。
 一方、先ほど述べました評価よりも、さらに、専門家の皆さんの意見を伺ったり、きめ細かな評価を行う作業は、第6波に備えるためにも必要と考え、今やっているところであります。そういう中で、県内において、局所的といいますか地域を限った行動制限をお願いするようなあり方についても検討されるかと思います。
〇ハクセル美穂子委員 ぜひ、きめ細やかな行動制限についてのエリア分けとか、今回の検証をしっかりとしていただきたいと思います。
 知事は、感染者数についてお話をされていましたけれども、感染者と死亡者の数についてグラフをつくっていただきましたら、やはり8月は1、037人の感染者数がありましたけれども、死亡者数については2人ということで、5月、ワクチン接種が始まる前は14人亡くなった月もあるのだけれども、確実に死亡者の数は減ってきています。この点、やはりワクチン接種の効果が出てきていると思いますので、感染者数だけではなくて、そういったことを総合的に考えて、経済をまずとめないこと、これをしっかり重点的にやっていっていただきたいと思います。その点、十分に御留意していただきたいと思います。お願いいたします。
 それでは次に、市町村との連携についてお伺いしたいと思います。
 声の拾い上げについては後ほど別でやりますので、市町村長との意見交換について。
 昨年度からことし上半期にかけて、知事はどの程度市町村長と意見交換を行ってきたのか、どのように県の施策立案に反映されてきたのかという点についてお伺いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 県では毎年、知事と全市町村長との意見交換を行っております。また、急を要する場合などについては、市町村の希望に応じ、随時柔軟な対応を行っているところでございます。昨年度は4月と1月の計2回、今年度は5月に1回、意見交換を行いました。
 また、岩手県市長会及び岩手県町村会からの要望に当たり、昨年度は、岩手県市長会について1回、岩手県町村会については2回、計3回、知事が対応したところでございます。今年度上半期は、岩手県市長会について1回、岩手県町村会について3回、計4回、知事が対応したところでございます。こうした機会も活用し、市町村長と意見交換を行っているところでございます。
 この市町村長との意見交換や市町村要望などの内容は、全庁で共有いたしますとともに、各部局における施策立案に当たりましても、市町村との情報交換や検討会の開催などを通じまして、地域の実情やニーズを聞き取り、事業構築を行うよう努めているところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 私も面談の実績の資料をいただきました。去年もこの点については指摘させていただいているのですけれども、そこからの改善が全然見られません。多分1年間に4分弱、このトップミーティングでしかお話しされていない市町村長がいるのではないかと思われるような資料でございました。
 この点について、岩手緊急事態宣言などを発したにもかかわらずこういった状況というのは、どうやって市町村と連携をしようと考えていらっしゃるのか、その点について知事にお伺いいたしたいと思います。
〇達増知事 盛岡市と連携した新型コロナウイルス感染症対策などが典型だと思いますけれども、そこはもう、盛岡市保健所長を初め、盛岡市の保健、医療、衛生専門家あるいは関係職員、そして県側のそういう職員との間で、日々、密接な調整をしながら、県と市町村との連携が行われております。
 また、県が新型コロナウイルス感染症対策本部員会議を開いた後、その状況がリモートで既に広域振興局に生放送で伝わり、それが市町村にも同時に情報が伝わるような工夫もされているところであります。
 地方自治法上からそうなわけですけれども、地方自治体の行政は、法令に基づいて組織として行っているわけであって、基本的には組織と組織の関係において遺漏なきを得ることが重要であり、首長間においても、そういったことを随時確認しながら、県と市町村との連携が日々行われていると言っていいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 今、緊急事態の中でもこれぐらいの意見交換しかしていないということは、市町村との連携という定義から知事は考え直すべきだと私は思います。本当に市町村とこれから連携してやっていかなければいけないのに、これだけしか話をしていない。職員でいいのだというのでは、とてもトップリーダーの仕事とは思えませんので、その点についてきちんと考えて今後やっていただきたいと思います。
 これで終わります。(拍手)
〇小西和子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時25分 休 憩

午後4時42分 再開
〇小西和子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。次に、斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 日本共産党の斉藤信でございます。
 昨年度の最大の課題は新型コロナウイルス感染症対策でありました。最初に、新型コロナウイルス感染症対策について知事に質問します。
 第1に、これまでの新型コロナウイルス感染症対策の検証についてお聞きします。
 ことしの7月から9月にかけての第5波では、全国的に感染爆発が起こり、80万人以上の感染者が出ました。医療崩壊のもとで13万5、000人が自宅療養を迫られ、8月だけでも250人が亡くなりました。
 なぜ感染爆発が起こり、医療崩壊を招いたのか。その要因と教訓について示してください。また、新規感染者が急減している要因はどう解明されているでしょうか。
〇達増知事 全国の状況についてでありますが、感染拡大及び減少の要因については、令和3年9月27日の国の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードによれば、今回の感染拡大はデルタ株の影響や夏休みなどの影響によると考えられるが、これまで市民や事業者の感染対策への協力、夜間滞留人口の減少、ワクチン接種率の向上、医療機関や高齢者施設でのクラスター感染の減少などにより、全国的に感染者数の急速な減少が続いていると分析されているところであります。
 また、感染拡大時の8月25日の同会議によれば、公衆衛生体制・医療提供体制が首都圏だけでなく、他の地域でも非常に厳しくなっており、災害時の状況に近い局面が継続していることから、医療体制の強化・保健所業務の重点化や支援の強化などが必要であると評価されていると承知しております。
〇斉藤信委員 感染爆発の要因について聞いたのですが、私は、菅政権が科学を無視して、専門家の提言を無視して東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を強行した。病床の確保もせず、PCR検査件数は世界で143番目という検査の軽視、これがもたらしたものではないかと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 新型コロナウイルス感染症については、やはり新規感染者数にきちんとこだわって、国の基本的対処方針に当初からあったような、ステージであれば、ステージ3、1週間10万人当たり15人になったら社会的な対応を、何か行動制限をする、そして、25人以上はもう爆発状態なのだから、そうはさせないというような厳しい検査、そして医療体制、また、行政による行動、働きかけというようなことを早い段階でやっていれば、ああいうふうにはならなかったのではないかと考えます。
〇斉藤信委員 感染者が急減していることについて、きのうのアドバイザリーボードはこう言っています。今回の急速な減少の要因とその強度などについては、今後の感染再拡大に備えるためにはさらなる分析が必要だと。だから、よくわからないということなのです。だから、私はそういうことを前提にして必要な対策をとるべきだと思います。
 次に、県内でも8月は新規感染者が1、002人に及びました。17件のクラスターが発生し、ピーク時の入院患者は268人となり、病床使用率は76.6%、宿泊療養者は153人となりました。県内における感染拡大の要因をどう分析されているでしょうか。
〇達増知事 県内における感染拡大の要因についてでありますが、岩手県においても、アルファ株から、より感染力の強いデルタ株への置きかわりが急速に進んだことに加え、夏休みなどを利用した帰省や旅行等により生じた都道府県をまたぐ人流の拡大などが影響し、これまでに経験したことのない感染の状況となったものと考えております。
〇斉藤信委員 8月、9月の県内の感染者は1、477名で、それまでの3、479名の42.4%を占めました。私は、この教訓をしっかり深めるべきだと。
 その上で、新規感染者の感染ルートはどうなっているでしょうか。無症状、軽症、中等症1、2、重症患者の状況はどうなっているでしょうか。重症患者、死者が少なかった要因をどのように分析しているでしょうか。
〇達増知事 感染ルートについては、7月下旬以降、学校の夏季休業やお盆の期間において、県外で感染した患者が県内に移動した後に発症し、職場や飲食店を通じて感染したり、帰省による親族や友人等との会食の際に感染するなどの例が多かったものと認識しております。
 患者の状況については、8月には、これまでの一月当たり最多となる1、002人の患者が確認され、現在集計中の暫定値ではありますが、そのうち人工呼吸器などを使用する重症患者は0.5%に当たる5人、酸素投与などを要する中等症2患者は4%に当たる40人、無症状の方を含む軽症患者または呼吸不全のない中等症1患者は合わせて95.5%に当たる957人でありました。
 第5波においては、これまでの約3分の1に当たる感染が確認されたわけでありますが、重症化リスクが高い高齢者や基礎疾患がある方などへのワクチンの優先接種が、おおむね7月末までに終了したことを背景に、この期間の患者は主に若年層であったことから、重症患者や亡くなられる方が少なかったものと考えます。
〇斉藤信委員 岩手県でも感染拡大がありましたけれども、最大の教訓、成果は、全ての新規感染者を診察し、入院、宿泊療養で対応したこと。そのために重症患者を抑えることができた、こう評価をしております。
 第2に、第6波を起こさせないために、ワクチン接種をさらに推進することが必要です。県全体の接種率、年代別接種率はどうなっているでしょうか。
〇野原保健福祉部長 10月11日時点における県内の12歳以上の接種率は、1回目が80.0%、2回目が68.0%と、接種対象人口の7割近い方が接種を終えております。
 また、10月4日時点、この1週間前ですので、現在はもう少し接種が進んでおりますが、年代別の2回目接種率については、12歳から19歳までが29.3%、20代が39.9%、30代が42.7%、40代が50.9%、50代が67.3%、60歳から64歳までが82.3%、65歳以上の高齢者が92.8%となっております。
〇斉藤信委員 65歳以上の高齢者が9割を超えていると。それで、20代が39.9%、30代が42.7%、この接種率を高めることが重要だと思います。
 県内で接種率を高めている市町村の教訓と県の対策を示してください。
〇野原保健福祉部長 県内の一部の市町村では、限られた医療資源の中、早期に医療機関等と調整の上、接種体制を構築してきたほか、接種券を早期に一斉送付し、若い世代の方も早い段階から予約可能な体制を確保するなど、さまざまな調整や工夫に取り組んできた結果、10月3日時点で、先ほど申し上げたとおり、12歳以上の2回目接種率が9割を超える市町村もございます。
 一方で、年代順に予約を受け付けてきた市町村もありますことから、県内では、若い世代ほど接種率が低い状況にあると認識しております。こうしたことを踏まえまして、県の第3期集団接種におきましては、10代、20代の比較的若い層を対象とした先行予約を実施しましたところ、16歳から29歳までの予約率は4割を超えている状況でございます。
 また、ワクチン接種の加速化を図るため、モデルナ社ワクチンを活用した集団接種会場の新規設置や、ファイザー社ワクチンの流通、市町村間の調整などによりまして市町村の接種体制確保を個別に支援しておりまして、11月末までに希望する全ての県民が2回の接種を終えることができるよう取り組みを進めてまいります。
〇斉藤信委員 ワクチン接種のおくれの最大の要因は、国からの供給が7月、8月に半分程度に減ってしまった、ここにあると思いますけれども、そういう中でも、既に全体で90%を超えている市町村も出ています。
 そういう取り組みにしっかり学びながら、今、9割を目標にして取り組んでいる自治体が少なくありません。そうした場合に、ワクチン供給は85%までということがありましたから、ワクチンの確保、供給が懸念されますけれども、どうでしょうか。
〇野原保健福祉部長 9月末時点で県内に供給されるワクチンについては、モデルナ社ワクチンを含めて10月10日までに12歳以上人口の85%程度に2回接種するのに必要な量が供給される見通しとなり、供給されております。
 しかしながら、接種の進んでいる市町村では、接種率を9割と見込んでいるところもありますことから、必要なワクチンの確保について国に働きかけ、これまでのファイザー社ワクチンに加え、新たにモデルナ社ワクチンを4万5、000回確保する見込みとなっているほか、市町村間でのファイザー社ワクチンの調整も行っております。
 この結果、県内では、モデルナ社ワクチンを含め、11月末時点で12歳以上人口の92%程度に2回接種に必要な量のワクチンを確保できる見通しとなっているところであります。
 県としては、引き続き、国に対し、十分なワクチンを供給するよう求めていくとともに、ファイザー社ワクチンの市町村間の在庫調整などを通じまして、市町村の接種体制確保の支援に取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 ワクチンの接種は大きな効果が出ていますので、早期、確実に進められるように県がしっかりとイニシアチブを発揮していただきたい。
 第3に、ワクチンだけでは感染を抑え込むことはできません。PCR等検査を大規模に実施して新型コロナウイルス感染症の感染の根を早期に断ち切ることが必要です。
 シンガポールでは人口の80%以上がワクチン接種済みですが、9月以降に感染者が急増し、10月6日には過去最多の3、577人に達しました。日本の人口比だと6万人に当たります。9月の死者数は、全死者数の約3割となる40人となっています。
 県として、このような事例をどのように把握しているでしょうか。
〇野原保健福祉部長 シンガポール保健省の公表に基づきまして、在シンガポール日本大使館からの注意喚起情報によりますと、10月3日時点において、シンガポールの感染者数は増加し続けており、このまま推移すると、間もなく1日当たり3、200人の感染者を超え、10月中旬ごろには1日当たり5、000人の感染者となる可能性があるとされております。
 また、感染者の大多数は軽症または無症状であり、これは大多数の方へのワクチン接種が完了しているためと分析されているものと承知しております。
 その後、10月10日時点の注意喚起情報では、感染者数の増加のスピードをおくらせることができた。しかしながら、いまだに感染はピークに達しておらず、感染者数の引き続きの増加、高どまりに備えなければならないと公表されております。
 また、感染防止策については、軽症者、無症状者を自宅で快方させるための自宅療養プログラムや、自己検査キットにより陽性と判定された無症状の感染者に対する自己隔離措置などが講じられていると承知しております。
〇斉藤信委員 シンガポールでは、全世帯に検査キットを配布して、会社は毎週1回検査していると。こういう検査が、感染者を早期に発見しているということもあると思います。
 イスラエルでは、9月に1日1万人を超える感染になりました。ワクチンだけでは感染防止ができないことを示しているのだと思います。
 欧米では、いつでも、どこでも、何度でも、無料でPCR検査が実施されています。日本ではなぜ実施されないのでしょうか。PCR検査センターを県内各地に設置して、いつでも、どこでも、無料で検査を受けられるようにすべきではないでしょうか。
 県では、プラザおでってにPCR検査センターを設置した盛岡市の取り組みをどう把握しているでしょうか。
〇野原保健福祉部長 盛岡市においては、無症状感染者を抽出し、市中感染を抑え、少しでも安心できる日常生活を送れるような環境づくりを目的として、PCR検査センターを設置し、9月14日から10月2日までに延べ541件の検査が実施されたと承知しております。
 いわゆるPCR検査センターで実施される検査は、陰性確認等を目的とする、いわゆる自主検査でございます。感染症法に基づき県などが行います行政検査は、感染の疑いがある場合に、患者の隔離措置等のために行うものであり、その結果により行動制限を伴いますことから、より厳格な運用が求められるものでございます。
 現行制度において、都道府県が実施することとされているのは行政検査であり、自主検査については、市町村や民間事業所等が自主的に行う任意の取り組みとなっておりまして、財源的裏づけも保障されているものではないことから、今後のワクチン・検査パッケージの運用も見据え、費用負担も含め、国の責任において活用方針を確立し実行するよう、全国知事会を通じて国に要望してまいります。
〇斉藤信委員 国の対策の一番の弱点は検査を軽視してきた、今でも軽視している。だから、世界で143番目となっているのだと思います。
 そこで、抗原検査キットが保育所に12万回分、学校等にも配布されています。どう活用されているでしょうか。職場等を含めてすぐに自主的な検査ができるように活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇野原保健福祉部長 国が保育所等に配布いたしました抗原検査キットについては、原則として、従事者等に症状があらわれた場合に、医療機関と連携して、医師による診療、診断を行うことができる体制のもとで使用することとされておりまして、岩手県では、9月末までの暫定値ではありますが1、044件使用されております。
 また、学校については、学校医の指導のもと、検査の実施前や実施後の手順をあらかじめ決めておくことや、保護者から同意書を得ておくことなど、検査実施体制を整備した上で使用することとされており、現在、県内の各学校において、検査体制等の検討を進められているものと承知しております。
 発熱等の新型コロナウイルス感染症を疑う症状が生じた場合は、自宅療養するとともに、早期に医療機関を受診することが基本と考えております。
 一方、抗原検査キットの活用を通じ感染を疑われる方が外出することによる感染拡大リスクを低減させる効果等も見込まれますことから、施設や学校に適切な使用を促すとともに、今後のワクチン・検査パッケージの運用も見据え、費用負担も含め国の責任において活用方針を確立し実行するよう、全国知事会を通じて国に要望してまいります。
〇斉藤信委員 きのうの新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでこう指摘されています。家庭等において、体調が気になる場合等におけるセルフチェックの手段として、抗原検査キットも利用可能となっていると。12万回分配布されているのに、まだ1、044件しか活用されていないと。学校では全然活用されていません。使用期限が来て使えなくなってしまうのです。私は、必要なものは検査をして、そして感染抑止の意識を高めていくことが必要だと思いますので、ぜひ活用することを考えていただきたい。
 第4に、病床の確保と医療機関への支援について質問いたします。
 第5波は、これまでの数倍を超える感染爆発となりました。今後の病床確保の具体的計画と取り組みを示してください。
〇菊池副知事 7月からの第5波の流行時には、全国的に重症患者が増加し、感染拡大地域を中心に医療の逼迫が生じたことから、本県においても、第6波以降の感染拡大に備えた体制の強化が必要と考えております。
 各フェーズごとに用意している病床等については、先ほどのハクセル委員への御答弁のとおりでございますが、今般、国から、この夏の最大の感染拡大時と同程度の感染拡大が生じることを前提に、各地域における健康観察、診察等の体制、宿泊療養における治療体制、入院等の体制について再検討を求める通知があったことから、こうした点について、本県医療提供体制検討委員会での議論も踏まえ検討し、本県の病床等確保計画の見直しを行っていく考えであります。
 これに加え、昨日議決いただきました令和3年度一般会計補正予算(第7号)に盛り込んだ、新たな重症患者受け入れ病棟の整備や宿泊療養施設の拡充、感染症患者に対応するための病床の確保など、引き続き医療提供体制の強化に取り組んでまいる考えであります。
〇斉藤信委員 そうすると、病床は、その補正予算措置でフェーズ3の最大時に対応する350床が確保され、必要なときはそれを活用するということですね。
〇菊池副知事 そのとおりでございます。
〇斉藤信委員 医療機関は、一般診療だけでもぎりぎりの診療体制の中で新型コロナウイルス感染症の患者に対応してきました。全国的に受診抑制のもとで1兆円を超える医療費が減少しました。県内の場合はどうなったでしょうか。患者の減少、医療機関の減収、赤字の状況をどのように把握されているでしょうか。医療機関と医療従事者に対する支援が必要ですが、国、県の取り組みはどうなっているでしょうか。
〇菊池副知事 まず、県内における令和2年度の国民健康保険の医療費につきましては、速報値で、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の令和元年度の約1、042億円に対し、約1、023億円と1.82%の減少が見られております。診察件数を示すレセプト件数につきましても、令和元年度の304万7、000件余に対し、令和2年度は287万3、000件余と5.72%の減少が見られたところでございます。
 県内の医療機関の収支の状況につきましては、民間医療機関も含めた状況の把握は非常に困難でございまして、令和2年度の県立病院等事業決算を見ていただきますと、新型コロナウイルス感染症対応に関する補助金等の増加により、令和元年度と比較して約49億3、400万円、4.5%の増収という形にはなっておりますが、入院患者では8.8%、外来患者では8.3%の患者の減少が見られたところでございます。
 県では、医療機関に対する経営支援として、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等を活用し、重点医療機関や協力医療機関等に対する空床確保や院内感染防止対策、新型コロナウイルス感染症の入院患者等の受入医療機関が行う危険手当に関する経費への補助などを行っているところでございます。
 医療従事者への支援としては、昨年度は、全ての医療機関の医療従事者や職員に対する慰労金の支給を行ったところでございますが、令和3年度においては、国では財源措置がなされていない状況にあります。政府予算要望や全国知事会等を通じて、給付の延長を国に要望している状況にあります。
 県としては、地域の医療提供体制を守るために、引き続き医療機関の経営状況を注視しつつ、必要に応じ、国に対しさらなる経営支援の要望を行っていく考えであります。
〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症の入院患者を受けたところは、補助金で黒字になっているのです。ところが、それ以外のところは、受診抑制で赤字なのです。診療報酬の上乗せも9月で終わりましたから、まさに赤字そのものになっていると。ここを国も県もしっかりと対応すべきだということを指摘しておきたいと思います。
 第5に、事業者支援の取り組みについて質問します。
 地域企業経営支援金の申請件数、支給額、これは令和2年度、令和3年度、示してください。岩手緊急事態宣言期間に対応した上限40万円の申請件数はどうなっているでしょうか。
〇保副知事 まず、この地域企業経営支援金の最初の部分、これは令和2年度一般会計補正予算(第7号)のものですが、7、460事業者、8、479店舗に対して30億9、000万円余を支給いたしました。また、第2弾となります令和3年度一般会計補正予算(第2号)と令和3年度一般会計補正予算(第6号)でございますが、10月1日現在で2、810の事業者の3、144店舗に対して9億円余りの支出となっております。
 その後、いわて飲食店安心認証制度の認証を受けた飲食店に対し、10万円の経営支援金を支給するというものを実施いたしましたが、これについては、10月4日現在、1、674事業者の1、871店舗に対して1億8、000万円余の支給を行っております。
 また、支給上限額10万円の引き上げに伴う40万円の申請状況、最後のものですけれども、9月13日から受け付けを開始いたしまして10月1日までの15日間での受け付け状況ということでございますが、1、640事業者から申請をいただいております。
〇斉藤信委員 いわて旅応援プロジェクト第1弾の実績はどうなったでしょうか。第2弾の予算額は8億5、000万円ですが、利用見込み人数はどうなっているでしょうか。第1弾の実績から見ると1.2カ月分程度の予算規模です。12月までとするなら、さらなる補正が必要ではないかと考えますが、いかがですか。
〇保副知事 まず、いわて旅応援プロジェクト第1弾の実績でございますが、4月16日から8月14日の宿泊分までということになります。利用実績は延べ45万1、000人、予算額およそ36億5、000万円に対しまして、執行額は約28億円となったところであります。
 第2弾は今実施しておりますが、この第1弾の状況を踏まえて推計いたしますと、およそ14万人の利用が見込まれると考えております。
 今、委員からもお話がありましたとおり、この第2弾の事業費が、この14万人から割り返しますと1カ月余りということになります。もちろん、これで大丈夫かと言われますと、私どももなかなか厳しいのではないかという認識でございますが、基本的には、国に対して、事業費の増額を働きかけるということでありまして、今後の国の新たな需要喚起策に関する情報をいち早くつかみながら、積極的に対応していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 私が調査しましたら、既に10月早々でもう割り当ては終了しました、こういうホテルが少なくありません。1カ月もたないのではないかと。ですから、やっぱり財政調整基金とか新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の残額なども使って、つないでいくことが必要だと。これは指摘だけにとどめておきます。
 次に、東日本大震災津波からの復興についてお聞きします。
 第1に、被災者の医療費免除の取り組みの成果を、被災者の命を守る立場で、どう今後に生かしていくかという間題であります。
 岩手県保険医協会が実施した被災者アンケートでは、非課税世帯で、国民健康保険世帯、負担が発生した場合、通院できない24.2%、後期高齢者医療制度世帯では17.7%となっています。
 知事は、被災者が経済的な理由により必要な医療が受けられないことがないよう支援を行ってまいりますと答弁されました。具体的にどう必要な医療を確保するのでしょうか。
〇達増知事 一般質問でも答弁したとおり、医療を必要とする方が適切な医療を受けられることが重要と考えておりまして、具体的には、高額医療費制度の活用や生活福祉資金による貸し付け、被災者の置かれている状況によっては、生活保護による医療扶助の活用等も含めて、被災者1人1人の状況に合わせた支援を進めてまいります。
 また、新たに失業等で収入が著しく減少した場合や、世帯主の死亡などにより一部負担金を支払うことが著しく困難であると認められる方については、申請により国民健康保険等の医療費の一部負担金の免除や減額等を受けることができることになっており、こうした制度の活用も積極的に周知してまいります。
 さらに、今回の医療費免除の終了について、市町村社会福祉協議会や民生委員、児童委員等に広く周知し、今後の受診に不安を抱えている方の把握に努めるとともに、そのような方々をさまざまな制度を通じ手厚くサポートできるよう、支援の取り組みを強化してまいります。
 県としては、復興事業は終わっていない、いよいよ正念場であるという意識を持って、今まで以上に市町村や関係機関、いわて被災者支援センターの専門家と連携しながら、困窮している方、医療を必要としている方に寄り添って支援してまいります。
〇斉藤信委員 残念ながら、今の制度では、課税世帯は4月以降免除が打ち切られました。通院できなくなった、国民健康保険世帯で12.7%です。後期高齢者医療制度世帯で10%です。既に通院できなくなっているのです。
 そこで私は、こうした被災者の実態を県が調査して、把握して、必要な医療が受けられる具体的な対策を講じるべきだと思いますが、いかがですか。
〇野原保健福祉部長 実際、受診にお困りの方々をきちんと把握していくことは、我々も必要だと考えています。まず、保険者であり、また、例えば健康診断などの実施主体であり、そして、さまざまな福祉制度を通じて地元でお困りの方を把握している市町村ときちんと連携しながら把握に努めていくとともに、先ほど知事が御答弁申し上げましたとおり、市町村社会福祉協議会や民生委員、児童委員等に、こうしたことについて広く周知いたしまして、今後の受診に不安を抱えている方をきちんとこうした制度につなげていただくように、また行政のほうにも伝えていただくようにという形で把握に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 誰ひとり取り残さないというのは、具体的、現実の問題なのです。ぜひ実態調査をして、必要な手だて、対策を考えていただきたい。
 最後に、災害公営住宅の家賃問題について質問します。
 収入超過者の家賃軽減で、よりきめ細かい家賃体系の導入など、入居要件の見直し等により取り組んでまいりますとの答弁がありました。被災者の収入基準を引き上げることを検討していると受けとめましたが、どういう内容で、いつから実施する見通しか、具体的に示してください。
〇菊池副知事 災害公営住宅の家賃問題についてでございます。
 まず、一般論として、公営住宅制度は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸等をすることにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的として行われているものでして、入居世帯の収入状況に応じた家賃とすることや、公費により整備しているため、いわゆる民間賃貸住宅よりも低い家賃としていることから、入居資格等の検討に当たっては、民間住宅の状況にも考慮する必要がございます。
 行政の立場としては、収入超過者という方は、一定の収入があると認められる方であり、通常であれば、民間賃貸住宅等への転居を促すべき対象となるものでございます。民間賃貸住宅の供給状況や家賃水準の把握など、丁寧な対応が求められると考えております。
 また、県の家賃軽減対策として、御案内のとおり平成30年に家賃の上限を設定する措置をとったところでございます。多くの市町村が同様の措置を講じるなど、市町村営災害公営住宅の家賃軽減対策にも影響を及ぼす可能性があるということで、市町村からも意見を伺っているところでございます。
 さらに、これも一般論ですが、家賃軽減対策として言えば、東日本大震災津波の甚大性に鑑みた今回の措置でございますが、一方で、他の災害による被災者などとの均衡を欠く取り扱いとなるということもありますので、さらなる軽減対策となる収入基準等の見直しに当たっては、災害公営住宅入居者のみならず、一般の県営住宅を含めた入居者や住宅困窮者の状況も把握した上で、慎重な検討を進めるべきものと考えております。
〇斉藤信委員 収入超過者が今何人いて、どうなっているか示してください。
〇菊池副知事 詳細な数につきましては、部局審査等で御答弁させていただければと思います。
〇斉藤信委員 通告している質問なのだから、そして、本会議で答弁あったことについて聞いているのですよ。
 収入超過認定が104世帯、既に収入超過が39世帯、合わせて143世帯。104世帯は、高い家賃を請求されて、この災害公営住宅から出ざるを得ないことになっているのです。10年間これを放置していいのか、これが問われているのです。収入基準の引き上げを考えるのだったら、来年度から、少なくともこういう方々が救われるような対策が必要なのではないですか。
〇菊池副知事 見直しについては検討を進めているところでございまして、先ほど御答弁したような状況も重要な背景、要素となりますので、そこら辺もよく勘案しながら、市町村と関係者等の意見も伺い見直しを進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
〇斉藤信委員 よろしくというわけにはいかないのです。
 来年度から新たな対策を講じるとすれば、12月定例会で条例改正をやって、4月から実施、こういうテンポでやるべきではないですか。
〇菊池副知事 先ほど御答弁したとおりの見直しを進めておりますので、御了解をいただければと思います。
〇斉藤信委員 終わります。(拍手)
〇小西和子委員長 お諮りいたします。時間も午後5時を過ぎましたので、続く総括質疑は明日行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小西和子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 明日以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時19分 散 会



前へ 次へ