令和3年9月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇48番(飯澤匡君) いわて県民クラブの飯澤匡でございます。どうぞよろしくお願いします。
 改選後3度目の質問となります。今回は、コロナ禍によって影響を受ける県政の中長期的課題を中心に取り上げます。あわせて、いわて県民計画(2019〜2028)をも検証しつつ、是正を求める提案もしてまいります。
 冒頭に申し上げますが、答弁におかれましては、決して現状の施策展開を述べるにとどまらず、問題の解決策を明示していただくことを強く求めます。
 新型コロナウイルス感染症は、いまだに収束の気配が感じ取れません。まずもって、お亡くなりになられた方々には、心からお悔やみを申し上げ、病床にあり闘病されておられる方には、一日も早い御回復をお祈り申し上げます。また、日々奮闘されておられる医療関係者の方々の御労苦に、心からの感謝をささげます。
 初めに、ポストコロナへの基本的対応について伺います。
 新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって世界経済は急激に変化をし始めています。ヨーロッパの産業界においては、脱炭素社会への転換に大きくかじを切っており、従来のアメリカ主導からイニシアチブを奪い取ろうとする動きがあります。特に自動車産業においては、主導権争いが既に始まっており、世界全体の経済構造や競争社会をダイナミックに変えつつあります。
 日本社会においても、デジタル技術を活用した働き方への変化、環境問題への意識の高まり、地方での暮らしへの関心の高まりなど、未来に向けた変化が大きく動き始めています。こうした環境の変化に対応するためには、人材育成策の転換が求められると考えます。
 国においては、ポストコロナに向けた動きを一気に加速するため、最大の資源である人材の力を引き出していくことが重要と捉え、人材への投資と制度改革を大胆に行うヒューマン・ニューディールを通じ、民間に創意工夫や投資を促し、社会全体で人材を育成する大きなうねりを起こしていくとしています。
 いわて県民計画(2019〜2028)では、このような急激な社会の変化が想定されておらず、特に、若者や女性の活躍支援に関しては実態と合致しない施策が見られます。本県の人材評価は、協調性に富み、忍耐強い点が高く評価されると認識しておりますが、年次ごとのアクションプランでは対応できていないと私は考えており、社会参画や人材育成に関しては、社会の変革に対応して抜本的に見直すべきと考えます。
 そこで伺います。国の政策と呼応しながらいかなる政策体系をもって社会参画と戦略的な人材育成をしていくのか示してください。
 さらに、指摘した点を含んだ現状を鑑みて、本県の特性を生かした産業振興に対する知事の所見を求めます。
 以上、登壇しての質問とさせていただきます。
   〔48番飯澤匡君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 ポストコロナへの基本的対応についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)を推進する上で、国が公表した経済財政運営と改革の基本方針2021、いわゆる骨太の方針2021における日本の未来を拓く四つの原動力となるグリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策の動向を踏まえることが重要と考え、県の令和4年度当初予算編成に向けて、人口減少社会への対応、デジタル化による地域課題の解決、グリーン社会の実現を重点テーマとして、新たな事業の創出や事業のブラッシュアップを進めることとしております。
 また、この骨太の方針2021では、四つの原動力を支える基盤づくりとして、デジタル時代の質の高い教育、女性活躍、若者活躍、共助・共生社会づくりなどを盛り込んでいますが、本県では、既にいわて県民計画(2019〜2028)において、教育分野におけるICTを初めとする教育環境の整備や地域に貢献する人材の育成、参画分野における若者や女性が活躍できる仕組みづくりや多様な主体による幅広い市民活動の促進などを掲げており、このような基盤づくりに取り組んでいるところであります。
 今後、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた産業の回復を図るためにも、新たな時代に向けた人材育成や多様な主体の参画を基盤としながら、グリーン、デジタルの取り組みを幅広い分野に展開することで、ものづくり関連産業の集積やスマート農林水産業の高度化などにつなげてまいります。
〇48番(飯澤匡君) 実は、後段の部分は昨年と同じ問いなのです。国から骨太の方針2021が発表されて、それに対応した答弁をいただいたと思っています。
 そこで、去年と比較してアクションプランでブラッシュアップした点、いかなる成果と課題があるのか、これは通告の中に入っていませんから、大きな視点でいいですので、その点についてお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 岩手県の豊かな自然、おいしい食べ物、そして人口密度の低い中でゆったりと暮らし、働き、学ぶことができる、そうした環境が、ポストコロナの社会においても求められるものであり、そのような地域の特性を生かした県の発展方向は、いわて県民計画(2019〜2028)の中にもともと入っていたものであります。
 そして、デジタル化も、11のプロジェクトを含めまして、かなり思い切った先端的な未来志向のプロジェクトもいわて県民計画(2019〜2028)には入れていたわけでありますが、去年からことしにかけてのコロナ禍のもとで、学校へのタブレットの配布でありますとか、行政の現場への1人1台ノートパソコンの配布でありますとか、それは、リモートが可能になり、オンラインでのさまざまな学びや仕事ができるようになるということでもあり、さらに、デジタルトランスフォーメーション―DXについては、岩手県出身の村上雅人先生の指導もいただきながら、民間の企業や各種団体も巻き込みながら、DXを思い切って進めることで、岩手県がもともと持っているいわゆる田舎のよさプラス先端的なDXの活用ということに、今年度力を入れているところであります。
〇48番(飯澤匡君) わかりました。知事が力を入れようとするところは、今理解したところであります。以下、いわて県民計画(2019〜2028)のことについても触れていきますので、これは大項目3で、ポストコロナといわて県民計画(2019〜2028)でただしてまいります。
 大項目2、緊急的な政策の意思決定について。
 新型コロナウイルス感染症対策における盛岡市に限定した営業時間短縮要請の判断基準の検証についてお伺いします。
 県の人口10万人当たりの直近1週間の新規感染者が8月12日に16.5人となり、初めてステージ3の目安である15人を超えたことから、感染拡大を抑えるため、岩手緊急事態宣言が発出されました。
 岩手緊急事態宣言の発出後においても新規感染者数がふえ続け、8月20日には、これまで最高となる25.9人を記録するなど、瞬く間にステージ4の目安である25人を超えたことから、8月23日に、国に対してまん延防止等重点措置を要請しましたが、御案内のとおり、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において、本県へのまん延防止等重点措置の適用は見送られました。
 しかしながら、県では、8月26日に開催された岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部員会議において、盛岡市の飲食店に限定した営業時間短縮の要請に踏み切りましたが、盛岡市においては、5月から6月にかけて飲食店のクラスターが多数確認された際にも、飲食店に対する営業時間短縮要請は実施されていません。
 今回、盛岡市よりも北上市や奥州市の飲食店において多数の新規感染者が確認され、クラスターも発生したにもかかわらず、盛岡市の飲食店に限って営業時間短縮を要請することにした判断基準については、適切な判断だったのか、しっかりと検証した上で第6波に備えるべきではないかと考えますが、どのように検証されているのか伺います。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 盛岡市の飲食店に対する営業時間短縮要請についてでありますけれども、飲食店のクラスターが発生した場合、保健所の疫学調査による従業員の勤務状況や店舗の感染対策、利用状況などから濃厚接触者を把握し、早期に感染者を発見することにより感染拡大を抑え込んでいるところであり、これが基本的な対応となります。
 一方、今回の盛岡市の飲食店に対する営業時間短縮要請は、県内の新規感染者数の半数以上が盛岡圏域であったことや、飲食店クラスターの大半が盛岡市での発生であったこと、さらには、首都圏との往来が多く、人口が集積していることなどから、飲食由来の感染の発生やそれを起点とした感染拡大のリスクが高く、病床使用率が高いその時点の状況下において、さらなる感染拡大による医療提供体制の逼迫を避けるために、将来リスクを抑える目的で飲食店に対し営業時間短縮を要請したものであります。
 岩手緊急事態宣言や盛岡市の飲食店に対する営業時間短縮要請を踏まえた県民の皆様の適切な行動によりまして、全国的にかつてない感染拡大が起こっている中で、感染拡大を抑制し、入院、宿泊療養を原則とする本県において、誰も自宅療養させることなく医療提供体制が維持され、1カ月余りで岩手緊急事態宣言を解除でき、その後、人口10万人当たりの新規感染者数が1人未満となるところまで下がっているところであります。
 今後、専門家や関係団体等からの御意見なども参考に、今回の岩手緊急事態宣言や営業時間短縮要請における対応や効果等について、より詳細な取りまとめも行い、国の動きも踏まえて、再度の感染拡大が生じた場合の対策に生かしてまいります。
〇48番(飯澤匡君) 検証は今後ということでありました。
 盛岡市の数を今出しましたけれども、先ほども触れましたが、飲食店に限定する根拠は非常に薄いと私は思っております。5月が4件、6月6件。ところが、7月1件、8月2件です。そして、なおかつ、岩手緊急事態宣言を出す際には、営業時間短縮要請については必ずしも効果的ではないという認識だった点。その考え方が変わったというのが、私は危機管理的に非常に問題であると思っています。
 なおかつ、飲食店の感染防止等に係るいわて飲食店安心認証制度の認証率が、盛岡市は8月27日現在41.2%と断トツで取得率が高い。これによって何が起こったかというと、飲食店の利用自粛のメッセージを与え、他地域にも影響が出て、それにもかかわらず、協力金の支給対象は盛岡市のみということで、危機管理上においても、県全体を俯瞰するとは言いがたいと私は思っております。結果がよければ全てよかったということにはならないと思っています。
 知事にお伺いしますが、この間、盛岡市が対象となった理由として、盛岡市は岩手県の玄関口という当局の説明がありましたが、その認識で間違いないかお尋ねいたします。
〇知事(達増拓也君) 第5波によって全国的にかつてないような新規感染者の増加となりましたが、特に感染者の多い東京都から盛岡駅まで新幹線で2時間ちょっとということも含めて、特に今回、この新型コロナウイルス感染症対策上、岩手県の玄関口という認識があったと記憶しています。
〇48番(飯澤匡君) そういう認識だということですね。
 飲食店の営業時間短縮要請については、まん延防止等重点措置の要請が起点になるとし、当初から盛岡市が重点地区として想定されていたと臨時議会で答弁されていますが、それで間違いないですか。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) そのとおりでございます。
〇48番(飯澤匡君) では、次の質問に入ります。盛岡市以外の他の自治体の反応の把握と今後の対応について伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策を進める上で、市町村との連携は必要不可欠と考えます。私は臨時議会でも質問しましたが、県内市町村と事前の協議や調整が行われないまま実施された今回の盛岡市に限定した営業時間短縮要請に関して、市町村の反応をどのように捉え、今後の市町村連携をどのように進めていくかお伺いします。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 市町村との連携についてでありますけれども、今回の盛岡市の飲食店に対する営業時間短縮要請につきましては、盛岡市と事前に直接連絡調整を行ったほか、他の市町村にも盛岡市の飲食店に営業時間短縮要請をする旨、事前に連絡したところであります。
 一部の市町村からは、盛岡市に限らず飲食店の経営はどこも厳しいことから、要請地域に追加してほしいという声もありましたが、営業時間短縮要請は、事業者支援を目的とするものではなく、感染拡大防止のために営業の自由を制限する要請をするものであり、必要最小限とすべきことを説明させていただいたところであります。
 新型コロナウイルス感染症対策に当たりまして、市町村との連携は重要と認識しておりまして、現在、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部員会議の同日または翌日には、地方支部会議が開かれ、市町村と速やかに情報共有が図られる体制となっておりまして、緊急を要する対応が求められている場面も多いのではありますけれども、引き続き、県と市町村が連携して適切な対応が図られるよう努めてまいります。
〇48番(飯澤匡君) 今、県と市町村が連携して適切な対応が図られるよう努めてまいりますと答弁されたのですけれども、今回の対応は、まん延防止等重点措置の要請が却下されて、即座に協力金は盛岡市にターゲットを絞った。それは事後にメールで確認したということが、この間の答弁で明らかになりました。盛岡市以外の市町村に事前に意向調査すら行っていない。これはなぜですか。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 盛岡市に営業時間短縮要請をした理由は、先ほど申し上げたとおりでありますけれども、この営業時間短縮要請は、基本的に、事業者支援が目的ではなくて、感染拡大防止のために実施したものでありまして、協力金は、営業の自由を制限する強い措置に協力いただいた飲食店に支払われるものと認識しております。
 他の市町村に対しましては、感染抑制のために盛岡市におい営業時間短縮要請をすることが必要だということを御説明申し上げて、盛岡市を想定した後ではありますが、理解を求めたところであります。
〇48番(飯澤匡君) ふるさと振興部というのは、こうした市町村との連携を円滑にするために創設されたと理解しています。ふるさと振興部長の出番はここにあったのではないかと思いますが、どういう行動をしましたか。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 市町村との連携は一番大事なことだと思っております。今回、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部支援室という形で市町村課がかかわっており、対策本部での情報等につきましては、市町村に情報伝達をさせていただいたところであります。
 それから、市町村、市長会、町村会など関係団体から緊急要望の依頼があります。そういった場合には、速やかに知事による要望対応を実施いたしまして、各団体と意見交換及び情報共有を図っているところであります。今年度、これまで新型コロナウイルス感染症対策でそういったことを3回行っております。
 今後とも、市町村の意向を踏まえながら、必要に応じて意見交換、情報共有の場を設定するなど、適時適切な対応を図ってまいります。
〇48番(飯澤匡君) 緊急的な対応としてどうだったかということを聞いているので、今後の対応については聞いていません。やるのは当然ですから。
 そこで、実は営業時間短縮要請後、北上市中部保健所管内で飲食店クラスターが複数発生して、北上市は大変な混乱に陥ったわけですが、復興防災部長は北上市に赴いて何を要請し、どのようなことをやったのか、それをつまびらかにしてください。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 議員御指摘のとおり、北上市において飲食店のクラスターが複数発生しておりました。このクラスターの抑え込みに関しては、先ほど申し上げたような基本的な対策、対応によって感染拡大を抑え込もうということで対応したわけであります。
 特に、北上市内の企業における感染が長期化しておりましたので、その企業に対しまして、例えば休憩室でありますとか、食事をとる場所、喫煙所、そういったところでの感染対策をいま一度見直していただいて、そして、感染の広がりを抑えるようにお願いしますということを申し上げるために、北上市に赴き、そして、企業関連の団体にもその旨、お願いしたものでございます。
〇48番(飯澤匡君) 危機管理というのは、私は総務委員会で申し上げました。人流については、新幹線でもトヨタ自動車東日本株式会社にしろキオクシア岩手株式会社にしろ北上駅でおりる方は非常に多いと。そういう状況も踏まえて、対策は必要ではないかというようなことも申し上げましたが、残念ながら、その指摘が当たってしまった。
 ただいまの答弁は、ただただ要請しに行ったと。戦地で言えば、激戦地に手ぶらで行って、ただお願いしてきた、こういうことですね。県の対応というのはそういうことでいいのでしょうか。その対応でよかったかどうか、今どのように思っていますか。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 岩手緊急事態宣言を行った後も、しばらく新規感染者の増加が見られたわけでありますけれども、8月30日盛岡市に対する営業時間短縮要請が開始され、そして、この営業時間短縮要請の効果が出てくると思われる1週間後ぐらいから、新規感染者が大きく減少し、そして、病床の使用率も大きく低下しておりますので、今回の岩手緊急事態宣言、そして営業時間短縮要請に関しては、成果があったものと考えております。
〇48番(飯澤匡君) きちんと質問を聞いて答えてくださいね。北上市に対して言っているのです。北上市長が、北上市版の緊急事態宣言を発表したときに、こういうことを言っていました。営業時間短縮要請をするなら全県下にお願いしたいと最後に述べたのです。私は、その悲痛な表情に、これは県の対応としていかがなものだったのかと思っています。県がいかに意思疎通を図っていなかったのかということを物語るものだと思っています。
 私は、県はみずから地域格差を生んだのではないかと思います。岩手県ではなく盛岡県ではないかというようなSNSでの発言もありました。県施策への落胆の声が盛岡市以外の飲食店の方々から相次いであったということをぜひ御理解していただきたい。今回の措置については、非常に禍根を残したのではないかと私は思っています。
 時間がないので、次の質問は飛ばして、いわて旅応援プロジェクト第2弾についてお伺いします。
 県は、県民を対象とした旅行、宿泊代金の割引や土産店等で利用できるクーポン券の発行を行ういわて旅応援プロジェクト第2弾を10月1日に開始し、事業費には、第1弾の予算残額8億5、000万円が充てられています。この金額は、第1弾の実績を踏まえると1カ月余り分の事業費に相当する金額であります。この時期は修学旅行の最盛期にも当たり需要期となっていますが、極めて総額が不足しています。
 旅行業者の各社配分額が異なると他社にお客が流れるというケースが予想され、観光業を助ける事業が観光業をつぶす事業になりかねないという悲痛な声が出ています。こうした状況をどのように把握し、今後対応するのか示してください。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) いわて旅応援プロジェクト第2弾の実施に当たっては、予算の執行管理をより適切に行っていく必要があることから、数多くの県で採用している宿泊施設や旅行業者への配分方式とし、第1弾の利用実績に応じて割引原資を配分することとしたところです。
 また、あらかじめ関係団体等の意見も聞きながら制度設計を行ってきたところであり、こうした中で、教育旅行を中心に取り扱う旅行業者から、対応が難しい旨の相談も受けておりまして、これについては追加配分を含めた調整を進めております。
 総額が少ないことにつきましては、国に対し事業費の増額を働きかけているところであり、また、国における新たな需要喚起策の動向も見据えながら対応してまいります。
〇48番(飯澤匡君) どうもこの間のどたばた感は否めないと思っております。私は、こういう緊急的対応には、まさしく県の実力が出ると思っていまして、これは、すなわち長期計画の事業遂行にも、こうした下地が影響を与えると思っております。
 私ごとながら、冠婚葬祭については、葬儀は葬家の実力が出るものと、亡くなった父親に言われました。要は、葬儀というのはいつ出るかわからない。それに備えて家の実力をきちんと整えておけということだと思いますが、これを例えると、残念ながら、岩手県として、葬家として実力不足と言わざるを得ないと私は思います。
 なぜなら、盛岡市に限定した根拠も希薄、そして、営業時間短縮要請に対するターゲットについても、他の地域との兼ね合いも含めて果たして本当に効果があったのかどうか。私は、先ほどのいわて旅応援プロジェクトについても、9億円という財源を充てられれば、もっと経済効果等にもパッケージとして出ることも可能だったのではないか。これは後からの話ですから、仮説ですけれども、そういう総合的な見地に立った対応がなされたかどうかは疑問だということを指摘しておきます。
 次に、ポストコロナといわて県民計画(2019〜2028)についてお伺いします。
 県民の安全・安心の取り組みについてお伺いします。
 県内には多くの駐在所がありますが、市街地の交番とは違い、県土の大半を占める中山間地域に置かれており、地域住民の安全・安心のよりどころとなっております。
 老朽化している施設も多く、変化する社会情勢に的確に応じながら効果的な警察活動を行うため、駐在所の統廃合は必要な施策の一つとは承知していますが、今後どのようなビジョンで統廃合を含む駐在所の整備を進めようとしているのか伺います。
〇警察本部長(大濱健志君) 県警察本部では、社会情勢の変化に対応し、老朽化した交番、駐在所の整備を図りながら、限られた警察官を効果的、効率的に運用するため、駐在所の統廃合を積極的に推進する方針であります。
 具体的には、建てかえ時期を迎えた駐在所のうち、原則として1人勤務の駐在所を廃止いたしまして、これを近隣の交番または駐在所に統合するものでありますが、統合して単に警察官を減らすというのではなく、統合先の交番等に警察官を集約いたしまして、体制を強化して運用するものであります。これによりまして、複数勤務による現場執行力の強化、駐在所の不在時間の減少、パトロールの強化といった住民サービスの向上並びに治安維持の強化が図られます。
 具体的な計画につきましては、管内の人口、事件、事故の発生状況等を踏まえまして年度ごとに決定し、その都度、住民説明を丁寧に行い、住民の方々の御理解を得ながら進めることとしております。
〇48番(飯澤匡君) 実は、このような案件が地元でもありまして、地元の方々から、その設置位置についての提案があり、この間いろいろありましたが、最終的には、県当局並びに県警察本部でも、地元の意向を酌んで、そしてなおかつ、一関市との調整もうまくいって、これは大変よかったなと思っています。私はいつも批判的なことばかり言いますけれども、これは非常に成功した事例だと思っています。やはり、住民の自治という考え方を前面に押し出して、今後の統廃合並びに安心・安全にも取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、自殺防止策への対応についてお伺いします。
 秋田県は、都道府県別の順位では2019年までの10年間でワースト1位が7回と際立って高くなっていた経緯がありますが、2020年には大きく改善いたしました。一方、本県の2020年の自殺者数は、前年より6人ふえて256人、自殺死亡率は、前年の20.5から0.7ポイント増加し21.2で、6年ぶりに都道府県別の順位で全国ワーストとなりました。
 大きな成果を上げている秋田県の取り組みを県はどのように評価し、本県の取り組みを強化しているのか伺います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 秋田県においては、民間団体を中心に、民学官が連携して、県民運動や専門職の連携による相談対応などの自殺予防対策を行っており、秋田モデルと呼ばれる全国的にも例の少ないこうした取り組みが大きな推進力となり、成果に結びついているものと承知しております。
 本県では、自殺対策に係る介入効果の研究結果を踏まえ、普及啓発や相談支援、うつスクリーニングなどの包括的な自殺対策プログラム、いわゆる久慈モデルを推進の柱とし、岩手医科大学や県精神保健福祉センター、保健所が、市町村や民間団体と連携し、全県における実践に継続的に取り組んできたところであります。
 北東北3県では、自殺予防に取り組む民間団体を中心とした交流会を毎年開催しておりまして、こうした機会を通じまして、秋田県を初めとする他県の取り組みなども参考としながら、より効果的な普及啓発や相談支援の充実などに取り組んでまいります。
〇48番(飯澤匡君) 広域振興局と市町村との連携はどうなっていますでしょうか。ことし行われた県南広域振興局との意見交換会で私はこの質問をしましたが、全く的を射た答えが出てきませんでした。恐らく何もやっていないのだろうと思います。これに対してどういう対策をしたのか教えてください。
〇保健福祉部長(野原勝君) 今般のコロナ禍の中において、平時の活動を十分に行うことができていない面がありますが、県保健所では、圏域ごとの自殺対策アクションプランに基づきまして、市町村や関係団体と組織する協議会、実務者連絡会を設置しまして、事例の共有や相談事例の検討を行うなど、連携を図りながら取り組みを進めております。
 また、市町村でも計画を策定いたしましたので、それに基づきまして各種取り組みを進めておりますが、保健所においても、この市町村の連絡協議会への参画を通じまして、助言や事業との連携などを通じて連携、支援を行っているところであります。
 市町村は、身近な行政機関として、住民に密着した相談支援等を初め、地域の特性に応じた自殺対策の中心的な役割が期待されますことから、今後におきましても、特に、今般のコロナ禍で自殺対策の取り組みの重要性が非常に高まっておりますので、県精神保健福祉センターが技術的支援を行うなど、連携した取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) 知事に伺います。自殺死亡率も幸福関連指標の一つでありますが、全国ワーストという希望郷いわてとは真逆の結果となっています。これまでの取り組みについてはそのとおりですけれども、結果が全てです。知事はこれを受けとめて、これからどういう対策を進めようとしているのかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 本県では、平成19年3月、自殺対策アクションプランを策定して、久慈モデルを全県的に広げ取り組んできたわけでありますけれども、令和2年の本県の自殺死亡率が、議員御指摘のとおり、6年ぶりに全国で最も高くなったということで、これを重く受けとめまして、本年7月、岩手県自殺対策推進協議会におきまして、これまでの取り組みを検証し、岩手県自殺防止宣言を改定し、改めてそれぞれの役割に応じた対策を強化することといたしました。
 コロナ禍が長期化する中にありまして、自殺リスクが高まることが懸念されます。本年度、県では、相談体制の充実、メンタルヘルス対策など取り組みを一層強化しておりまして、多様な主体が連携し、官民一体となった取り組みを推進してまいります。
〇48番(飯澤匡君) それはこれまでもやってきた延長上のことがほとんどだと思うのです。秋田県の取り組みについて聞きました。そこからどうやって施策を深く受けとめて展開するかという点については、私は、具体的に受けとめることができませんでした。
 自殺というのは絶望から起因するわけです。希望郷いわてとは対極にあることから、この対策の重要性は知事が一番理解し、高度な対策を出すことは必然だと思っています。
 実は、平成20年から岩手県が自殺死亡率の高い全国上位3位から外れたのはたった1回。その1度も、平成24年の4位です。これで希望郷いわてを標榜できるのでしょうか、知事に聞きます。これは、民間組織なら、目標達成できないということで給料カットですよ。いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 岩手県の場合、自殺者数については大きく減少し、また、自殺死亡率についても大きく減ってはいるのですけれども、この傾向は全国的に、かつて3万人台の自殺者数からどんどん減ってきているところでありまして、そういう中で、岩手県が全国最下位というのは、やはり重く受けとめるべきと考えております。
 岩手県における自殺死亡率の改善は希望につながることだとは思いますけれども、一方、全国的には、より減る勢いが大きいということで、岩手県といたしましても、目の前のまず今年度、自殺死亡率が減るように努めてまいる覚悟であります。
〇48番(飯澤匡君) 知事、そういう認識は非常に甘いと思うのです。他の都道府県も一生懸命やって、そして結果が出ているわけですよ。その上でワースト1位なのです。これは、恥ずべきことだと私は思うわけです。
 これは知事の希望マニフェスト2019−2023にも記載されていて、実現できないと公約違反ですよ。せめて最下位から脱する方策を真剣に考える責任があると私は思うのですが、どうもこの間の定例記者会見での記者の質問にも、何といいますか、非常に第三者的な発言なのですね。きょうは若干踏み込んだ感はしましたけれども、これを真剣にやらないと、実は新型コロナウイルス感染症の死亡者より自殺者は多いのです。本当に希望郷いわてそのものを問われることになるので、その点、もう一回、知事の覚悟を問います。
〇知事(達増拓也君) 恥ずべきことではないかという御指摘がありましたけれども、自殺という問題は、その一つ一つのケースをよく見ますと、一つ一つはもちろんなのですが、多くの自殺者がいることをもって恥ずべきとは考えないほうがいいと考えております。
 一方、岩手県の経験からしても、自殺防止、自殺対策はさまざまやればやるほどその効果が出るものでありますから、これはどんどん力を入れてやっていくべきものであり、その結果、ことし8月末現在の暫定値では、全国で自殺が7%増加しているとき、岩手県では25%の減少で推移しているということです。県民の皆さんにも御協力いただいていることで、しっかり連携しながら、この減少傾向が維持されるよう努めてまいりたいと思います。
〇48番(飯澤匡君) 問題の捉え方として、私は、真剣に受けとめるべきだということを最後に申し上げます。
 次の質問に入ります。説明文はかなり省略して言いますので、答弁も簡潔にお願いしたいと思います。
 次に、1次産業振興と人材育成について伺います。
 まず、海外輸出展開でありますけれども、この間いただいた資料を見ると、県も順調に推移しておりますが、他県はもっと頑張っているわけです。今後の県の輸出戦略について知事の見解を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県は、平成29年3月、いわて国際戦略ビジョンを策定しまして、アジアや北米地域等をターゲットに、米、リンゴ、牛肉、水産物などを重点品目と位置づけまして、県産農林水産物の輸出拡大に向けた取り組みを積極的に進めてまいりました。令和2年の農林水産物の輸出額は約36億円となり、震災直後の平成23年と比較して約7倍に増加しております。
 これまでの取り組みに加え、昨年度から、牛肉とリンゴについて、国の事業を活用し海外市場から求められる品質等に対応した産地づくりを進めるための輸出事業計画を策定いたしまして、同計画に基づいて、新規有望市場における販路の開拓に取り組んでおります。
 新型コロナウイルス感染症の影響等により、海外でも自宅での調理や食事の機会が増加していることから、新たな試みとして、現地販売事業者との連携によるSNSを活用した県産品ライブ販売会の開催や、現地の料理教室との連携による県産食材を使ったレシピ動画の配信などの取り組みを進めております。
 また、今年度は米の輸出事業計画を策定することとしており、今後とも、国際貿易環境の変化等を踏まえ、本県の安全・安心で高品質な農林水産物の輸出拡大を戦略的に進めてまいります。
〇48番(飯澤匡君) 他県ではかなり進んでいるのですね。宮崎県や鹿児島県では宮崎牛、鹿児島黒牛が2017年末には国が保護する地域ブランドに登録されて、これは本県でも着手されて順調に推移しているようですが、これは戦略的にもっと予算を投下して、岩手県のポテンシャルを生かすやり方を進めるべきと私は考えています。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、鹿児島県では、県全体の輸出額が前年度比5%減の214億円となりましたが、2020年度は、畜産物は21%増の106億円と過去最高を記録しました。
 岩手県も目標達成はしていますが、現状では地域間競争に勝てません。さらなる対策強化のための知事の根本的にどうしたらいいかという考えを示していただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 根本的には、先ほど申し上げましたように、いわて国際戦略ビジョンに基づきながら、アジア、北米地域等、地域やターゲットを明確にし、そして、米、リンゴ、牛肉、水産物など岩手県の得意とする重点品目を明らかにしながら進めていくと。
 一方、その間に、先ほど議員がおっしゃったと思いますが、国の輸出拡大実行戦略、輸出重点品目、輸出産地リスト、こういったものにも岩手県は産地合計18カ所、品目数にして6品目と、他県と遜色ないような輸出産地リスト登録をしているところでありまして、先ほど述べた品目以外にも、切り花でありますとか清酒でありますとか、まさに戦略的に状況に合わせた取り組みをしているところであります。
〇48番(飯澤匡君) 知事、今のはほとんどマーケティングの話なので、どうやって動かすかの根本的対策が抜け落ちていると思います。
 農林水産部長、輸出の金額が増加するには、やはり生産体制とか、根本的にもっとお金をかけていかなければならない点が私はあると思うのですが、その点についてどういう見解ですか。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 輸出を進めることにつきましては、やはり基盤となる生産量そのものをふやしていかなければならないと思っております。残念ながら、なかなか伸びがいまいちというところもありますし、産地間競争という意味では、議員から御紹介のありました九州地方などに大きくおくれをとっているのは、そのとおりであります。
 本県は、農林水産物の6割ぐらいが畜産物でありますので、強みのところを伸ばしていくのが一番手っ取り早いという気はいたしますけれども、いずれ、本県の強みの品目を重点的に輸出に振り向けるような考え方ということで、予算の配分等も考えていかなければならないと思っております。
〇48番(飯澤匡君) 私と意を同じくする考え方だと思います。これから財政問題についても質問しますので、一番最後に、どうすべきかということも提案させていただきたいと思います。
 県立農業大学校については飛ばしまして、県財政の課題と政策推進の今後のあり方についてお伺いします。
 県財政、特に今後の財政の見通しについて伺います。歳出決算額の推移を詳細に分析しますと、近年は、人件費、扶助費、公債費、いわゆる固定費の割合が30%を超える水準にあり、これは投資的経費を上回る割合であります。
 令和2年度は、新型コロナウイルス感染症への特例的な対応として、国からの財源等により事業を実施した結果、その割合は若干低下しているものの、固定費が公共投資を上回る水準で推移する傾向がこのまま継続いたしますと、県民経済の基盤となる公共投資や、特に東日本大震災津波への復旧に注力してきた結果として、やむを得ず後年度の整備を計画せざるを得ない内陸部の公共投資のさらなるおくれが懸念されるところであります。
 県では、このような固定費の今後の推移をどう見込んで、中期財政見通しにどのように影響を与えると考えているのか、さらに、固定費の増嵩にどう対処していくのかお伺いします。
〇総務部長(白水伸英君) 議員御指摘の固定費、いわゆる義務的経費の割合につきましては、通常分、震災分を合わせた決算額に対して、近年30%程度で推移してきております。一方で、さきに公表いたしました中期財政見通しでは、震災分や新型コロナウイルス感染症対応分を除いた試算となっているため、前提は異なるものの、おおむね40%程度の水準で推移すると見込んでおります。
 また、中期財政見通しにおいては、人件費について、地方公務員法の改正に伴い、今後導入が予定されている定年延長により、職員給与費が増加することに加え、公債費についても増加に転じる見込みとしております。
 このような義務的経費の増嵩などによる厳しい財政状況を踏まえ、令和4年度の予算編成方針においては、特に経常的経費である基礎的経費や一般行政経費について、縮減目標を設定した上で、徹底した歳出の見直しを行ってまいります。
〇48番(飯澤匡君) 毎年徹底した歳出の見直しを行うということを聞いているわけですけれども、政府と県などの地方公共団体は財務のたてつけが違うので、国はどんどん赤字国債を発行してお金を回すことができるのですが、地方公共団体はできない、かなり制約を受けているわけです。
 こうした非常に厳しい状況が今後続くということは、さらに抜本的な改革が求められると思います。国はもうプライマリーバランスについては、さっき言いましたようにたてつけが違うので、実質凍結状態にあって、今後、県は国の交付金等に頼らざるを得なくなるということが容易に予想されるわけです。
 今後、地方財政のコロナ禍による影響について、幅広い業態に悪影響を与えることは明らかでありまして、地方公共団体としては、国の試算に加え、抱えている現場の情勢、動向を把握し、一定の仮説のもとで見通しを示すことが求められる局面であると思いますが、県は、コロナ禍の財政への影響をどのように分析し、その処方箋を示そうとしているのかお伺いします。
〇総務部長(白水伸英君) 安定的な行政サービスを提供していくためには、持続可能な行財政基盤を構築する必要がありまして、そのためには、中期的な財政見通しを踏まえた財政運営が重要と認識しております。
 さきに公表いたしました中期財政見通しにおいても、人口減少と相まって普通交付税が減少する見込みであるなど、より一層厳しい財政状況が続くことが予想される中、新型コロナウイルス感染症対応としては、国の交付金を最大限活用することで県負担を最小限に抑えつつ、令和3年度は1、251億円の新型コロナウイルス感染症対応予算を計上しているところであります。
 今後も、感染拡大の防止や社会経済活動を支える取り組みを進めていくため、これらの交付金を含む国からの財政措置を強く働きかけるとともに、さまざまな事業者からの御意見をお伺いした上で、必要となる対策を講じてまいります。
 あわせて、事業効果や効率性等を踏まえた事務事業の精査など、歳出の徹底した見直しを行い、持続可能な財政運営を図ってまいります。
〇48番(飯澤匡君) これまでも事業の選択と集中というお題目を並べてきたわけですが、いよいよ詰まるところに詰まってきたと思っています。このままですと、県勢の発展はもとより、安定的な財政運営さえおぼつかなくなる。このためには、本当に新しい切り口で政策の選択的集中を行っていかなければならないと思いますが、どのように行っていくのか示してください。
〇知事(達増拓也君) いわて県民計画(2019〜2028)において、県民一人一人がお互いに支え合いながら、幸福を追求していくことができる社会の実現に向け、10の政策分野を設定し、幸福を守り育てる施策を展開しております。
 そして、11のプロジェクトにおきましては、ILCプロジェクトを初め、農林水産業高度化プロジェクトや三つのゾーンプロジェクトなど、デジタル化、グリーン化といった方向性を示すプロジェクトを掲げているところであります。
 そのような方向に重点を置きながら、必要な人材、インフラ、多様な主体との連携などにつきましては、10の政策分野の中に具体的な施策を盛り込んでおり、幅広い分野にわたる人材の育成や地域産業の発展を促す企業誘致、科学、情報技術の活用の基盤や産業、交流を支える道路の整備、イノベーションの創出に向けた研究開発や産学官金の連携体制の構築などを推進するとしているところであります。
〇48番(飯澤匡君) 今まで、同じような質問に同じように答えているわけですよ。その危機感というのがなかなか伝わってこない。
 私は、幸福関連指標に従ってちまちま従来政策を踏襲していては、この厳しい環境を生き抜けないと思っています。実際に予算編成時には各部局にマイナスシーリングをかけて、既存の事業の予算枠を平均的に減ずるという作業が続いています。これでは事業効果が出ません。ますますその様相は深刻になる一途だと思っています。
 先ほどの畜産物の海外輸出についても、さらに枠を拡大するには、農林水産部長の答弁にあったように、生産量を増加しなければ、目標達成しないわけです。現状では、部局がアクセルを踏もうとしても燃料が行き届かない、このような状況になっているわけです。今の県庁の状況を例えると、品物は多く陳列していますが、魅力がない商品が並んでいるデパートだと思います。
 知事にお伺いしますが、このままでは財政の硬直化が進み、冒頭に指摘した急激な時代の変化に対応できなくなります。ただいま知事から事業の選択と集中という点で答弁がありましたが、このままですと、あなたの任期終了後に基金は枯渇、事業効果期待なしでは、職員の士気にもかかわる大問題です。先送りはできないと思うのですが、その覚悟はどのように持っていますか。
〇知事(達増拓也君) 今までやってきた方向性が、岩手県の風土を生かしながら、また、岩手県の人の特徴を生かしながら、岩手県らしい産業の振興や岩手県らしい生活環境の整備、岩手県らしい文化、スポーツ等の発信ということで、東日本大震災津波からの復興におきましても、本県沿岸を一つに結び、また沿岸部と内陸部を結ぶ新しい交通ネットワーク、新型コロナウイルス感染症がなければ、花巻空港からは海外直行便も出るようになりました。
 そして、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会、ラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石開催などで示したような岩手県のイベント力といった、過去の積み重ねを生かしていけば、健全な財政規律を維持しながら岩手県をさらによい方向に持っていくことは可能と考えております。具体的な重点や施策については、先ほど述べたとおりでありますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)に沿いながら、さまざまなチャンスを生かして取り組んでいきたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) 私と全く別の観点ですね。やはり、かなり税源も厳しくなっていく中で、どうやって切り捨てるかという厳しいリスクも背負っていかなければならないと思うのです。私は非常に残念だと言いますか、今までも残念だったけれども、かなり残念度が強くなりました。
 ちょっと指摘をしたいのですが、昨年の決算特別委員会で、指標の乱立に対して臼澤勉議員から指摘がありました。たまたま昨年、私も決算特別委員会で質問しましたが、その際、私の担当ではない職員が、私がそばにいるのに気づかずに、この指標の多さは千葉元副知事の負の遺産であるとつぶやいたのを耳にしました。財政課の中堅職員が認識しているならこれはやめて、やはりもう少し目的達成型で、知事は金科玉条、今のは絶対いいのだという前提に立っているけれども、私は、こんな厳しい状況と冒頭に申し上げました。社会の情勢というのは世界的に動いているのですよ。その中で岩手県が生き残れるかどうかという瀬戸際の中で、どうもその危機感が薄いと思うのです。
 冒頭に質問したこの指標めいたものに対して、どのような認識ですか。岩手県の県政はやはりこのまま進むのですか。どうなのですか。
〇知事(達増拓也君) 今引用された職員の考えは間違っています。そして、岩手県のこれからについてでありますけれども、東日本大震災津波からの復興の事業の完成の中でつくられてきた体制、先ほど申し上げたようなインフラの整備から、さまざまなイベント力、その間にある産業の集積や農林水産物のブランド力の強化、岩手県北のほうでは、国内でも先端的な温暖化対策やグリーン化の取り組みも出てきております。
 何を切り捨てるかというよりも、そのようなどんどん伸ばしていくべきものがたくさんあり、岩手県の医療、福祉についても、このコロナ禍におきまして、新規感染者数を低く抑えて、大都会よりも、実は地域医療として命と健康を守る体制という点では機能しているというところも感じられたのではないかと思います。
 その辺を切り捨てるわけにはやはりいかないと思いますし、どこを切り捨てるべきか、もし具体的にあれば、それに関して答弁いたしますけれども、むしろ長所を伸ばしていくところに、今、岩手県のチャンスはあると感じております。
〇48番(飯澤匡君) いいですか、幸福関連指標はAからDまでいっぱいあるわけです。これはこれからも全部やっていきますか。
 総務部長に聞きます。財源がかなり厳しいと言っていましたよね。このままの状況でマイナスシーリングで進んで行って、本当に岩手県はよくなりますか。
〇総務部長(白水伸英君) 議員御指摘のとおり、選択と集中をしっかりして取り組んでいかなければいけないと思っております。まず、財政を預かる財政当局といたしましては、中期財政見通しを公表させていただきましたけれども、この間の一番大きな変化としては、やはり人口減に伴う地方交付税の減少です。これは構造的に非常に大きな額になってきております。ですので、これは議員も御指摘されましたけれども、これまでと違った手法なども取り入れながら、抜本的に見直していくところは見直していかないといけないと思っております。
 そういう意味で、シーリングについては、手法は、さまざまな考え方があると思いますけれども、今回、特に基礎的経費に0.99を掛けさせていただいております。これは人件費等も含まれますのでなかなか厳しい取り組みなのですけれども、これも各部局の理解、あるいはさまざまな皆さんに御理解いただいて進めていくことになるのですが、これほど厳しいという認識であります。ですので、そこはしっかり取り組みつつ、一方で、生み出した財源で政策プロジェクト推進費には充当していくというめり張りのきいた財政運営をしていきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、財政当局といたしましては、しっかり財政を確保しながら、必要な予算を確保していくということで考えております。
〇48番(飯澤匡君) 私は、今の総務部長の答弁とは若干心通じるものがありました。知事とはほとんど通じないですね。やはり何か危機感が感じられないのです。今までやってきた例を示しましたけれども、それは、震災関連の予算ががつんと来て、それでうまくいったわけでしょう。
 そしてなおかつ、私はあえて言いたいですけれども、三陸防災復興プロジェクト、これはよく検証したほうがいいですよ。職員に聞き取りすると、いや、よかったなんて言うかもしれないけれども、結構現場を預かった職員は、何のためにやったのだ、これは自己満足じゃないのかというような話が出ています。9億円もの真水を使ってどれだけの事業効果が出たか。知事は成功だと言っているけれども、私はそうは思いません。
 したがって、今後、お金というのは非常に厳しい状況にあるわけで、地方公共団体については、いずれ臨時財政対策債、これは問題だと思うけれども、これの縮減も目指してしっかり全国知事会でもやっていかないと、交付税はどんどん減額されているわけだから、それをしっかりやっていただきたいと思います。
 時間が大分押しましたので、最後、ILCの推進についてお伺いします。
 前置きはカットして、日本政府は、平成31年度の国際会議において、初めてILC計画への関心を表明以降、国際的な意見交換等を行っておりますが、ILCの誘致表明には至っていません。
 文部科学省の取り組みについては、県はどのように評価し、ILCの計画の実現に向けて今後どのように対応していくのか、県の対応について伺います。
 もう一つ、有識者会議が7月に再開されました。国際的な研究協力及び費用分担の見通し、技術的成立性の明確化等、ILC計画の諸課題について議論されていますが、県は、有識者会議の位置づけと意義をどのように考察しているのか、議論の終着点をどこに持っていこうとしているのか、推察も含めて県の考えを示してください。要点をきちんと突いて答弁してください。
〇ILC推進局長(高橋勝重君) 文部科学省による有識者会議の再開は、ILC準備研究所提案書によりILCの日本での実現に向けた道筋が国際的に明らかにされ、海外から日本への期待がより高まる中で、国内の議論を進める重要なプロセスと受けとめております。
 今後、ILC国際推進チームやKEK―高エネルギー加速器研究機構など、計画を提案している研究者との意見交換などを行い、年内または年度内に取りまとめる予定が示されていますが、ILCの実現に向けて乗り越えるべき課題にどのように対応していくのか、前向きな議論と取りまとめになるよう期待しております。
 また、文部科学省は、7月に開催された第1回の会議の場で、この秋には欧米の政府機関との意見交換を行うよう調整していると明らかにしており、有識者会議や欧米との意見交換によって、文部科学省としてのILC実現に向けた議論が進展することは、次の段階としてほかの省庁との具体的な連携にもつながるものと考えています。
 県としましては、これまでに指摘されたILC計画の諸課題の解決に向け、研究者の取り組みを建設候補地として協力、支援するとともに、文部科学省を初め政府がILC準備研究所の設立に積極的に対応し、ILC計画を日本が主導し前進させるよう、超党派国会議員連盟や推進団体等と連携し働きかけてまいります。
〇48番(飯澤匡君) リモートで行われた有識者会議の資料を見ましたが、文部科学省の見解は非常に厳しいですよ。リニアコライダー国際会議2020(LCWS)で政府高官が言った発言とは中身がちょっと違っているのです。私は、それを非常に懸念しているわけです。
 国会の超党派国会議員連盟も、今、選挙もあったりして非常に停滞している中で、一応窓口は文部科学省なのだけれども、今後、本当に展開していくためには、これは国際プロジェクトですから、岩手県としてもその先を見据えていかなければならないと思うわけですが、その点についてはいかなる見解ですか。
〇ILC推進局長(高橋勝重君) 今年度、科学技術イノベーション基本計画第6期が始まりまして、こういった取り組みの司令塔機能を強化するために、内閣府では、ことし4月に科学技術イノベーション推進事務局を設置しております。また、文部科学省はこの10月、研究基盤の強化などを目的に再編、整備もしているところです。
 県ではこれまで、省庁横断の連携体制の強化を要望してきたところですけれども、今後、研究者、超党派国会議員連盟等とも連携して、こうした国の政策全体の動向も踏まえた関係省庁に対する効果的な働きかけを具体化してまいりたいと思います。
〇48番(飯澤匡君) 局長に聞きます。沖縄科学技術大学院大学(OIST)と、ただいま紹介がありました昨年の決算特別委員会で聞いた科学技術関係費、研究開発費について、10兆円ファンド創設に関して新しい情報があれば知らせてください。
〇ILC推進局長(高橋勝重君) 現在、国では10兆円ファンドの運用益を活用することについて、基金の運用の方法ですとか、あるいは運用益を活用できるような世界と伍する研究大学の選定等について議論を進めていると聞いております。済みません、詳細は把握しておりませんが、2年後ぐらいからは、その基金の運用益の事業が開始されるような形で、今後、法整備等がされるように聞いております。
〇48番(飯澤匡君) 沖縄科学技術院大学(OIST)の評価を教えてください。
〇ILC推進局長(高橋勝重君) 文部科学省の所管ということではなくて整備が進んだものと承知しておりましたけれども、現状等については、大変恐縮です、今答弁できるような情報を持ち合わせておりません。
〇48番(飯澤匡君) あなたは1年半、何をやってきたのですか。内閣府が主導してやった沖縄県の科学技術大学院大学、これは内閣府でやっているのですね。これはILCのモデルともされているのですよ。そのような評価をあなた自身がやっていないということは問題ではないですか。
 私は文部科学省が今進めている状況については、さっき言ったように、一義的に窓口は文部科学省かもしれないけれども、内閣府が動いていかないと、これはなかなか難しい問題だと理解しています。
 私は、日本学術会議にILCをかけるのは、選択としては非常にミスジャッジだと思っていますし、今後、超党派国会議員連盟としても大変苦しい部分があるわけですよ。文部科学省にも気を使わなければならない。ただ、実際に、ILCは手に入れなければならないのです。それに対して県はどのような対応をしていくか、局長、そういう認識では困りますよ。もう一度答えてください。
〇ILC推進局長(高橋勝重君) 先ほど答弁で述べましたこの科学技術イノベーション基本計画についてですが、今後、2025年までに約30兆円の政府研究開発投資を確保するよう目標を掲げておりまして、具体的な取り組みとして、例えば、内閣府は計画期間中の政府科学技術関係予算の拡充ですとか、文部科学省は世界の学術フロンティアを先導する大型プロジェクトや先端的な大型施設、設備等の整備、活用推進等を盛り込んでいるところであります。こうした政府挙げての取り組みが進んでいきますよう、その司令塔である内閣府、文部科学省の間での交換の人事等もありましたけれども、そういったところに積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) では、どのように働きかけていますか。その詳細について示してください。
〇ILC推進局長(高橋勝重君) どのように働きかけていくかということについて、この10月に、組織体制がかわりました文部科学省に、この定例会が終わりましたら、まずは訪問してと考えておりましたけれども、これまでは、通常の県の政府予算要望等の場で働きかけをしております。
〇48番(飯澤匡君) 本当にこの計画を本県で実現しようと思っていますか。どうもその働きかけ自体が、説明的で、戦略的にはなかなか聞こえてこない。このコロナ禍というのはあるけれども、リモートでできるわけですから。
 それで、私が懸念するのは、ILC準備研究所についても、ちょっと今、先が見えない状況になってきていて、それから、令和4年度予算の概算要求についても、これは文部科学省が要求するものですけれども、これも例年並みということで、ILC準備研究所に対する部分については実質的に触れられていないわけです。
 だからこそ、内閣府にも働きかけをし、そして、この計画が本当の意味で実現する道筋をたどっていく、そういう戦略性が求められると私は思うのですが、ILC準備研究所に対する県の対応と今回の予算要求額に対する県の評価を一応聞いておきます。
〇ILC推進局長(高橋勝重君) 今回提案されたILC準備研究所については、日本に置く30名程度の小規模な本部のもと、各国の研究機関が分担することで、総勢数百人が、それぞれの所属機関にいながら、ILCの技術課題の最終的な解決等に取り組む国際共同事業であると研究者から説明されております。
 令和4年度予算概算要求には、先端加速器の低コスト化に関する日米欧の共同研究の経費3億2、000万円が含まれておりまして、この事業は、ILCに関する日米政府間の議論をきっかけに、平成29年度から始まり、現在、欧州も参加しているものです。
 ILC準備研究所が担いますILC技術課題の最終的な解決等に取り組む国際共同事業に資する経費でありまして、KEK―高エネルギー加速器研究機構は、ILCの準備段階の研究開発の先取りで進めるため、ILCの加速器技術につながる開発予算の獲得に努めるとしております。
 こうした研究者の動向も注視しまして、ILC準備研究所の設立に向けた米欧との前向きな議論と、あらゆる手だてによる必要な予算の確保を国に臨機に働きかけてまいりたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) 前任者の局長とは懇談をして、こうやったほうがいいだろうというようなこともいろいろ話し合いをしたのですけれども、あなたの答弁からはそういう雰囲気がまるで感じられないですね。大丈夫なのでしょうかという思いです。
 そこで、私は常々常任委員会でも、ILCが実現するか否かは、多くの皆さんの助力が必要ですから、これはそうなのですけれども、岩手県としてみれば、これだけ地域振興に資するさまざまなデザイン、それを独自でもしっかり持って、実現に向けて戦略的に行っていく必要があると思います。特に1次産業についても、地域のこれまでの資源をいかに生かすかという視点で行っていく必要がある。それから、社会資本の整備についても必要だということを何度も申し上げております。
 そこで、ちょっと話はそれますけれども、ただいま申し上げました地域振興を含む戦略的社会資本の整備について、県土整備部に伺います。沿岸部からビームの衝突地点まで最短ルートとなる国道343号の新笹ノ田トンネルの早期実現は、ILCの推進に当たっては欠かせないインフラの一つであり、沿岸地域の復興や地域振興にも大きな効果をもたらすものと考えますが、整備の方針について伺います。
 また、これは付随してお伺いしますが、国道343号渋民バイパスが、10年かかってこのたび4月に開通して、でも、それだけの投資効果はあったと思っていますし、その点は大変感謝申し上げます。
 ここで道の駅整備についての動きがありまして、これにあわせた防災道の駅の選定に向けた取り組みを進めることも有益と考えますけれども、県の方針を伺います。
〇県土整備部長(田中隆司君) 2点お尋ねがありました。まず最初に、新笹ノ田トンネルについてでありますが、県では、ことし6月に、県全体の広域的な道路ネットワークの長期的な構想である岩手県新広域道路交通ビジョン・計画を策定いたしまして、この中で、国道343号を一般広域道路に位置づけるなど、内陸と沿岸の拠点都市間の連絡強化を位置づけたところであります。
 この構想の具体化に向けまして、今後、県全体の道路ネットワーク上の課題や整備効果等を検討することにしております。
 国道343号新笹ノ田峠に新たなトンネルを整備することにつきましては、安定的な事業予算の確保が課題となるとともに、事業効果の確認が必要でありますが、ILCの実現も事業効果を向上させる要素の一つと考えております。
 ILCにつきましては、その建設に当たり、国内外から多くの機材の海上輸送が見込まれ、円滑に陸揚げできる港湾や輸送経路の確保が重要であることを踏まえ、今年度、ILC大型機器の輸送ルートの課題把握のための橋梁調査等を実施することとしております。
 道路管理者といたしましては、この調査に必要となる情報提供を行うとともに、ILC関連施設の立地場所や規模、これら施設へのアクセスルートなどの検討状況を注視していきます。
 次に、防災道の駅についてでありますが、国土交通省では、災害時に広域的な復旧、復興活動の拠点となる道の駅を防災道の駅に認定し、防災機能の強化を図る新たな取り組みを進めているところであります。
 一関市が国道343号渋民バイパス沿線に計画している道の駅につきましては、基本構想において、防災情報発信機能や被災地への物資供給中継機能等が掲げられるなど、災害時に防災の拠点となる施設とする方針が示されていると承知しております。
 防災道の駅の選定には、県の地域防災計画等において広域防災拠点の位置づけ等が必要となりますので、県といたしましては、関係部局間で一関市の計画について情報共有するとともに、市の考え方も伺いながら助言等を行ってまいります。
〇48番(飯澤匡君) 従来の答弁よりは半歩ぐらい進んだかなというような感じがしました。いずれにしましても、何回も言いますけれども、9万筆の署名というのは重いものがありますので、ILCの実現とともに、これは本当にしっかり考えていただきたいと思います。
 そこで、私は常々先を見ていろいろ考察するのですが、ILC実現となったならば、将来、科学技術特区というものもにらんだ県独自の地域構想、地域振興策が必要だと思うのですが、それに対して県はどのようなビジョンを持っているのか。これは、いつも常任委員会で質問していますので、局長の見識を問います。
〇ILC推進局長(高橋勝重君) これまで県は、岩手県国際リニアコライダー推進協議会を通じて、経済界、産業界と緊密に連携し、また、県内で活動するILC研究者の知見もいただきながら、企業や大学、市町村等の積極的な協力を得て、ILCによる地域振興ビジョンの取り組みを推進してきました。
 県が立ち上げ活動を推進してきました、いわて加速器関連産業研究会を軸とした取り組みでは、企業や大学、試験研究機関等による技術開発が着実に進展しまして、本年9月には、いわて産業振興センターがKEK―高エネルギー加速器研究機構からの受注に成功し、県内企業も参加するILC要素技術に関する共同開発も始まっております。
 また、県の取り組みと連動した地域住民の理解促進や外国人の生活支援、産業振興等、自治体独自の取り組みに加えまして、ILC研究者を中心に地域の事業者や地元自治体等による自主的な勉強会が立ち上がり、物流や排熱利用、休耕地の活用などをテーマとした実践的な研究も始まるなど、こうした取り組みをさらに広げていくことが重要であると考えております。
 ILCの実現に、より多くの県民、企業等の参画が図られますよう、ILCの意義や効果、こうした地域の取り組み等を積極的に情報発信し、ILC計画の進展に応じた県の取り組み方策の充実強化を図りながら、地域振興ビジョンを推進してまいります。
〇48番(飯澤匡君) どうやったら手をつないでやれるかという話ではなくて、科学技術特区、そういう大きな構想の中で、岩手県はどうやっていくのか。要するに、こうしたことを想定すると、エリアとしてかなり独立した格好になって、行政形態も変わっていくと思うのです。そのようなことも考察に入れていく必要があると思うのですが、どうも私の意図するところと別の答弁をされて、私はちょっと不愉快です。
 最後に聞きますけれども、人材の育成はかなり重要な視点だと思うのですが、このたび県教育委員会では、水沢工業高校と一関工業高校を統合の上、新たに大規模な工業高校を設置することとしました。私は、まさに時宜を得た計画案だと思っています。
 お聞きしますが、ILC誘致の実現も踏まえ、その教育内容とともに、どのような人材育成に取り組んでいくのか、構想を伺います。
〇教育長(佐藤博君) ILC誘致が実現した場合におきましては、加速器に関連する産業の集積はもとより、その建設や運用を通じて土木技術、測定技術等の高度化や連携も図られるものと考えおり、工業高校における各分野の専門教育を通じて技術を習得した人材に対する期待が高まると想定されるところです。
 このようなニーズに対応するため、新たに設置する工業高校については、これからの技術革新に合わせた教育課程の編成やIT、AI、IoT等に関する新たな学科の設置を検討するとともに、最先端の実習設備や機材の導入により、三次元技術を基礎とした設計や生産技術、生産現場における生産管理等のデジタル化、土木技術や建設技術の高度化などに対応した教育環境の整備を図りながら、ILCに関連する産業を初め、幅広い分野で活躍できる人材の育成に取り組む学校としてまいりたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) 私も応援したいと思います。
 最後に、保利耕輔さんという文部科学省にかなり精通したといいますか信頼された政治家がおられて、今から8年前にこういうことを申し上げておりました。ILCは国際的な会議を経て日本誘致が決まるので、国際的な動きが今後どうなるかについては情報が必要だ。日本がどういう役割を果たしていくのか、国際的にどう話していくのかをしっかり整理してほしい。それは外務省の仕事だ。まだやるかやらないかわからない、動けませんではなく、やはり、あれだけの大きなプロジェクトなので、これを今から勉強しておいてください。これからの協力体制、日本にILCという大プロジェクトを持ってくることに議連としても集中してやりたい。学者の人たちが決めたことを了とし、高く評価したいと。これは、北上高地が建設候補地に決定した後に、保利先生がおっしゃった言葉です。保利先生は佐賀県出身の方なのです。私は、こういう高邁な国会議員がいたことを国民として誇りに思いたいと思います。
 あらゆるチャンネルを使って実現に向けてやらなければならないことは明らかですので、私も協力しますので、ぜひともお願いしたいと思います。
 以上、終わります。(拍手)
   
〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時32分 休 憩
   
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
12  番 千 葉 絢 子 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(2名)
2  番 上 原 康 樹 君
46  番 千 葉   伝 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時52分再開
〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐藤ケイ子さん。
   〔18番佐藤ケイ子君登壇〕(拍手)

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