平成16年9月定例会 決算特別委員会(企業会計)会議録

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平成16年10月5日(火)
   

1開会  午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
 議事課長 平 澤 石 郎
 議事課長補佐 八重樫 典 彦
 主任主査 千 田 利 之
 主査 小船 進
 主査 佐々木 ユ カ
 主査 嵯 峨 俊 幸
 主査 安 藤 知 行

1説明員
 企業局長 邨 野 善 義
 経営総務室長 宮 舘 壽 喜
 企業局技師長 壽   忠 彌
 業務課総括課長 南 舘 泰 徳
 経営総務室管理担当課長 佐 藤 義 昭
 経営総務室経営企画担当課長 菅 峨 範 夫
 
 監査委員 一 戸 克 夫
 監査委員 谷 地 信 子
 監査委員事務局長 土 井   進
 総務課長 八重樫   良
 監査課長 渡 邉 和 男
 
 予算調製課総括課長 菅 野 洋 樹

〇佐々木博委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成15年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第3号平成15年度岩手県工業用水道事業会計決算までの3件を一括議題といたします。
 認定第2号平成15年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成15年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件について、企業局長から説明を求めます。

〇邨野企業局長 それでは、企業局が所管しております認定第2号平成15年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成15年度岩手県工業用水道事業会計決算について、お手元の決算書に基づきまして、その概要を御説明申し上げます。
 なお、決算書のうち決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税を含めた金額で作成しておりますが、損益計算書及びその他の財務諸表は、消費税及び地方消費税抜きの金額で作成することとなってございまして、金額に相違がありますので、あらかじめ御了承願います。
 まず、認定第2号平成15年度岩手県電気事業会計決算でありますが、電気事業会計決算書の1ページ、平成15年度岩手県電気事業会計決算報告書をお開き願います。
 1ページの収益的収入及び支出でありますが、収入の決算総額は50億5、000万円余、支出の決算総額は43億5、900万円余でございます。
 収入の内訳でありますが、第1項営業収益46億6、600万円余は、水力発電に係る電力料が主なものであり、第2項財務収益1億6、100万円余は、株式配当金、貸付金利息及び預金利息であります。第3項附帯事業収益1億2、600万円余は、稲庭高原風力発電所及び柏台発電所に係る電力料等であり、第4項事業外収益9、600万円余は、松川及び早池峰発電所建設に係る利子補給金のほか、稲庭高原風力発電所の落雷事故に係る災害共済金等であります。
 次に、支出の内訳でありますが、第1項営業費用36億6、200万円余は、水力発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用4億1、200万円余は、企業債に係る支払い利息でございます。また、第3項附帯事業費用1億5、600万円余は、稲庭高原風力発電所及び柏台発電所の運転等に要した経費で、第4項事業外費用1億2、700万円余は、納付消費税及び地方消費税等でございます。
 次に、2ページをお開き願います。2ページの資本的収入及び支出でありますが、収入の決算総額は2億3、200万円余、支出の決算総額は26億500万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、第1項補助金700万円余は、胆沢第三発電所の建設事業に係る国庫補助金であります。第2項負担金2、300万円余は、岩洞ダム河川維持放流設備に係る一般会計の負担金であり、第3項長期貸付金償還金2億円は、一般会計に対する長期貸付金の償還金でございます。
 次に、支出の内訳でございますが、第1項改良費8億9、200万円余は、各水力発電所の施設の改良や更新に要した経費でございます。第2項電源開発費4、700万円余は、新規の水力発電開発のための調査等に要した経費であり、第3項企業債償還金5億8、100万円余は、発電所の建設のために借り入れた企業債の償還金、第4項長期貸付金8、300万円余は、工業用水道事業会計に対し企業債償還元金の原資として貸し付けをしたものでございます。第5項投資は、資金運用に係るペイオフ対策として政府保証債券を購入したものであります。
 なお、資金運用に係る投資10億円余を除いた後の、資本的収入額が資本的支出額に不足する13億7、300万円余については、2ページの下段欄外に記載してございますとおり、当年度消費税及び地方消費税資本的収支調整額、並びに減債積立基金などをもって補てんしたところでございます。
 次に、3ページの損益計算書でございますが、営業利益は――右側の方に数字が載ってございますが――8億4、800万円余となってございまして、この営業利益から財務収支、附帯事業収支及び事業外収支の合計の損失2億円余――右の下の方に書いてございますが――を差し引いた6億4、700万円余が当年度純利益となってございます。
 次に、4ページをお開き願います。4ページの剰余金計算書の利益剰余金の部についてでありますが、減債積立金から5ページの中小水力発電開発改良積立金までの年度末の積立金合計額は53億1、100万円余となってございまして、また、当年度未処分利益剰余金は6億4、800万円余――右側の一番下でございます――となってございます。
 次に、6ページをお開き願います。6ページの資本剰余金の部でありますが、国庫補助金以下3科目の合計額は――右の一番下でございますが――19億1、900万円余となってございます。
 次に、7ページの剰余金処分計算書(案)でございますが、当年度未処分利益剰余金6億4、800万円余のうち、企業債償還金に充てるための減債積立金に6億4、800万円を積み立て、残額の65万円余を翌年度に繰り越ししようとするものでございます。
 次に、8ページをお開き願います。8ページから11ページまでの貸借対照表でありますが、資産合計と負債・資本合計は――右側の方の途中、2本線を引いたりしてございますけれども――それぞれ390億6、300万円余となってございます。
 以上で電気事業会計の説明を終わらせていただきます。
 次に、認定第3号平成15年度岩手県工業用水道事業会計決算について御説明申し上げます。
 工業用水道事業会計決算書の1ページ、平成15年度岩手県工業用水道事業会計決算報告書をお開き願います。1ページの収益的収入及び支出についてでございますけれども、収入の決算総額は11億9、300万円余、支出の決算総額は10億6、500万円余でございます。
 収入の主な内訳でありますが、第1項営業収益11億9、200万円余は、一般水及びろ過水の給水料金が主なものでございます。
 次に、支出の内訳でありますが、第1項営業費用7億5、300万円余は、各工業用水道施設の給水業務及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用2億8、600万円余は、企業債及び電気事業会計からの借り入れに係る支払い利息、第3項事業外費用2、500万円余は、納付消費税及び地方消費税であります。
 次に、2ページをお開き願います。2ページの資本的収入及び支出でありますが、収入の決算総額は4億4、500万円余、支出の決算総額は9億2、500万円余であります。
 収入の内訳でありますが、第1項企業債2億9、000万円は、第二北上中部工業用水道事業の建設事業並びに第二北上中部工業用水道及びろ過施設の改良工事に係る起債であり、第2項出資金7、200万円余は、経営健全化支援等に係る一般会計からの出資金でございます。また、第3項他会計からの長期借入金8、300万円余は、電気事業会計から企業債償還元金の原資として借り入れたものであります。
 次に、支出の内訳でありますが、第1項建設費1億5、900万円余は、第二北上中部工業用水道の建設事業に要した経費でございまして、第2項改良費1億9、200万円余は、各工業用水道施設の設備の改良や更新に要した経費でございます。第3項企業債償還金3億7、500万円余は、工業用水道施設の建設のために借り入れした企業債の償還金であり、第4項他会計からの長期借入金償還金1億8、700万円余は、一般会計からの借入金の償還金でございます。第5項国庫補助金返還金900万円余は、第三北上工業用水道財産の処分に伴う返還金等でございます。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額4億8、000万円余については、2ページの下段欄外のところに記載してありますとおり、当年度消費税及び地方消費税資本的収支調整額、並びに過年度及び当年度の損益勘定留保資金にて補てんしたところでございます。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は――これも右側の方に金額が載ってございますけれども――3億9、600万円余となっており、この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失2億8、500万円余を――これはその下の方に掲げてございますが――差し引いた1億1、000万円余が当年度純利益となってございます。
 次に、4ページをお開き願います。4ページの剰余金計算書でありますが、当年度の未処理欠損金は、前年度の未処理欠損金6億3、200万円余から、当年度純利益1億1、000万円余を差し引いた5億2、200万円余となったところでございます。また、翌年度繰越資本剰余金40億4、600万円余は、国庫補助金等であります。
 次に、5ページの欠損金処理計算書でありますが、当年度の未処理欠損金5億2、200万円余は、翌年度へ繰り越しをするものでございます。
 次に、6ページをお開き願います。6ページから8ページまでの貸借対照表でありますが、資産合計と負債・資本合計はそれぞれ146億円余となってございます。
 以上で企業局関係2会計の平成15年度決算の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

〇佐々木博委員長 これより質疑に入るわけでありますけれども、昨日も申し上げましたが、世話人会の申し合わせにより、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、また、質疑に当たっては、質疑項目が多い場合、関連する項目についてはできるだけまとめて質疑を行うよう、議事進行に御協力をお願いします。
 なお、関連質疑につきましては、冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めているものでありますから、その性格上、関連性のあるもののみ短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう、御協力をお願いします。
 ただいまの邨野企業局長の説明に対し質疑はありませんか。

〇川村農夫委員 民主・県民会議の川村農夫でございます。
 それでは、順次質問させていただきます。
 電気事業は、昭和32年度からこれまで一貫して黒字経営を続けてまいりまして、その経営努力に対しまして敬意を表するところであります。しかし、一方で電気事業を取り巻く経営環境は、電力小売自由化の進展により市場の低コスト化が進んでおりまして、東北電力との基本契約も平成21年度までとなっているなど、これまでのような黒字経営が未来永劫に続く保証はなく、一層経営の効率化を図っていく必要があるものと思います。
 また、工業用水道事業は、長引く景気低迷によりまして、企業局が工業用水を供給している北上や金ケ崎の工業団地への企業誘致が進まず、立地企業の使用水量も伸びない中で、厳しい経営を迫られていますが、平成15年度決算で黒字を計上したことについては評価したいと思います。
 そこで、まず局長にお伺いしますが、企業局では平成15年度の電気事業、工業用水道事業の運営に当たり、経営を取り巻く環境の変化に対応して、特にどのような点に意を用いて経営に当たったのか、お伺いいたします。

〇邨野企業局長 まず、電気事業につきましては、平成12年3月から始まりました、いわゆる特別高圧需要家に対する小売の自由化など規制緩和が進展してございまして、電気料金の引き下げが行われる中で、私どもの卸売供給料金の低廉化への要求が一段と強くなってきている状況にございます。
 こうした中、平成15年度の事業運営に当たりましては、まず電力の安定供給を基本に据えますとともに、コスト削減など経営効率化による経営基盤の強化を図っていく、そしてまた、将来の事業化の可能性を求めていくということに意を用いたところでございます。
 具体的に申し上げますと、安定供給への取り組みとして、岩洞、仙人、御所の発電所におきまして、約10年周期で行ってございます水車発電機の大がかりなオーバーホールを実施したほか、老朽化してきている発電所等の設備改良なども実施して、今後も安定的に発電機能が発揮されるよう取り組んだところでございますし、また経営効率化につきましては、改良工事に伴う減価償却費や固定資産除却費の増加が15年度は見込まれたわけでございますけれども、何とか前年度並みの支出というものを目指しまして、効率的な設計や計画的な執行による工事コストの縮減、あるいは人件費、消耗品等々の削減に取り組んだところでございます。
 さらに、小水力発電の可能性の検討や風力の新規開発地点の風況観測、あるいは木質バイオマスエネルギーの利用に関します調査など、新規事業に向けた準備的な取り組みも行ってきたところでございます。
 また、工業用水道事業につきましては、御指摘のとおり、用水型企業の新規立地が進まない一方、今ユーザー企業の省資源、合理化というものが進展してございまして、水需要が低迷する傾向にございます。そのため多量の未売水を生じておるところでございます。また、平成14年度末で6億3、000万円余の累積欠損金が発生している状況にございます。さらに、給水開始後25年以上経過いたしまして、施設・設備の老朽化の進行により、改良、修繕が必要となってきております。
 こうした中、平成15年度におきましては、まず顧客でありますところのユーザーからの信頼性を一層高めるため、工業用水の安定供給をこれまで以上に確保するとともに、効率的な経営によりまして、累積欠損金の削減を進めることとしたところでございます。このため、老朽化した中央監視制御装置の整備や第二北上中部工業用水道事業における沈殿池の増設などを行って、将来にわたって安定供給が確保できるよう整備に努めたところであります。
 また、累積欠損金につきましては、優先度を重視した、そしてまた、コスト削減を意識した建設改良・修繕10カ年計画というものを策定しまして、これを実施し、あるいは委託費を削減するなどいたしまして、その減少に努めたところでございます。
 さらに、今後の負担金の減少や維持修繕費の増加などによりまして、経営がますます厳しくなると見込まれることから、中期経営計画を策定いたしまして、安定供給、それから累積欠損金の削減について具体的な目標を設定して、経営健全化対策を一層進めていくこととしたところでございます。

〇川村農夫委員 それでは、部門を区切って質問を進めてまいりますが、最初、工業用水道事業についてお伺いいたします。
 工業用水道事業は、本県に立地するユーザー企業のニーズに応じて良質で安定した工業用水を供給し、工業振興や雇用機会の拡大など本県経済を下支えしている重要な生産基盤であると思います。このため、ユーザーに対するサービスの向上を図りながら、使用水量の増量要請を行ってきたとも思いますが、景気が低迷する中での企業誘致は容易ではないことは理解いたします。工業用水道事業は大量の未売水を抱えておりまして、これを解消するためには水利用型の企業を積極的に誘致することが必要と考えますが、ついては、平成15年度、企業局は所管部局とどのように連携を図りながら企業誘致活動を行ってきたのか。また、工業用水道事業の健全化にどう取り組んだのか。そして、今後の経営見通しについてはどうか。あわせて伺います。

〇南舘業務課総括課長 私の方から、所管部局とどのような連携を図りながら企業誘致活動を行ったかということについてお答えいたします。
 県の関係部局、北上市、金ケ崎町等で構成する工業用水利用促進等関係機関連絡会議を通しまして、用水型の企業の誘致や既存企業への水需要の拡大に努め、工業用水の利用を促進するとともに、企業立地の促進により地域振興を図るため情報の収集、提供等、工業用水の利用に関する関係機関の相互の連絡調整を行っております。また、年3回開催される県主催の企業ネットワークいわてに参加し、工業用水道事業のPRを行っております。今後とも、商工労働観光部や北上市など関係機関との連携に努め、情報収集を行いながら、関係機関と一体となりながら取り組みを行ってまいる所存でございます。

〇宮舘経営総務室長 昨年度の工業用水道事業の健全化への取り組みについてでありますが、経営の効率化あるいはコスト削減、それによる経営体質の強化を目指しまして、業務委託の拡大について検討するとともに、施設・設備の適切な維持管理を行うため、施設の健全化の診断を行いまして、建設改良・修繕工事の10カ年計画を策定いたしました。また、工業用水道施設維持管理要領を改定いたしまして、より効率的な維持管理に努めたところであります。
 今後の経営見通しにつきましては、本年9月をもって富士通からの経営負担金が終了し、収益が大幅に減少すること、また、ユーザー企業の省資源、合理化が進展しておりまして、当面は水需要の大幅な拡大が期待できにくい状況であること、さらには施設の老朽化によりまして修繕費等の費用の増加が見込まれることから、さらに厳しくなるものと考えているところでございます。このため、施設のより計画的な改良・修繕、あるいは一層効率的な維持管理、外部委託の拡大によるさらなるコストの縮減など、経営改革プログラムに掲げます経営健全化対策を進めまして、中期経営計画に定めた累積欠損金の削減目標の達成に取り組むほか、何といいましても水源の他用途への転用を含め、引き続き未売水の解消に努力していくといったことによりまして、経営健全化を進めてまいりたいと考えてございます。

〇川村農夫委員 ただいまのお答えの中で外部委託の拡大ということがございましたが、その点についてもう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
 次に、新エネルギービジョンにおける企業局の役割等についてお伺いいたします。
 県では、平成10年3月に、環境負荷の小さな自然エネルギー等を有効利用することにより、環境とエネルギーの調和された社会の構築を目指してということで、岩手県新エネルギービジョンを策定しまして、平成22年、西暦2010年度における具体的な導入目標を定めて、各種の新エネルギーの導入促進に向けた取り組みを推進してきたところであります。
 さらに、昨年3月には、地球環境の保全及びエネルギー自給率の向上を図り、県民の健康で快適な生活の確保に寄与することを目的にしまして、新エネルギーの導入の促進及び省エネルギーの促進に関する条例を制定し、新エネルギーの導入に関する施策を総合的かつ計画的に推進することとしております。
 企業局は、近年においても、水力発電所や風力発電所を新たに建設し、新エネルギーの導入に寄与してきておりますが、ここでお尋ねすることは、新エネルギービジョンの策定時には、企業局はどのような役割を期待されていたのでしょうかという点であります。そしてまた、これまでの新規発電所の開発は、県の新エネルギーの導入実績にどの程度貢献しているのでしょうか。この点についてお伺いします。

〇宮舘経営総務室長 外部委託の検討についてお答えいたします。
 平成15年度におきましては、業務委託の拡大についていろいろ調査検討したものでございます。例えば、施設の運転監視、巡視点検、それから工業用施設の運営業務全体について委託するということも含めまして、いろいろ他県で委託している例がございますので、そういったものについて検討したところでございます。今年度は引き続き、個別に委託している業務について検討を深めてまいりたいと考えてございます。

〇邨野企業局長 新エネルギービジョンに対する企業局の役割等でございますけれども、新エネルギービジョンの策定当時は、企業局に対しましては、電力利用のうち水力発電につきまして、これまでの実績や新規開発可能地点調査を継続して行ってきたことから、積極的な開発を期待されていたところでございます。また、風力発電やその他の電力利用につきましては、当時は電力のこうした新エネルギーの買い取り制度が確立されておらなかったこと、事業化のめどというものも立っておらなかったことから、目標数値にかかわるような大きな役割というものは、期待はなされていなかったというところでございます。
 また、企業局におきましては、新エネルギービジョンに掲げます基準年度である平成7年度以降平成15年度末までに、松川、早池峰、そして柏台の3水力発電所、さらには稲庭高原風力発電所を新規開発いたしまして、また、岩洞の第二発電所の水車改良を行いまして出力アップを図ったところでございます。このことによりまして合計出力約1万1、000キロワットを増設したところであります。これを年間の電力量に換算いたしますと、新エネルギービジョンでの算定方式があるわけでございますが、これに直しますと約5、600万キロワットアワーとなります。この間における県内の新エネルギー電力利用量の増加分は、年間で約3億6、900万キロワットアワーと想定されてございますので、企業局の新エネルギー増加電力量に占める割合は約15.2%ということでございまして、応分の貢献を行ってきたのではないかと考えているところでございます。

〇川村農夫委員 応分の貢献をされているということで、何か経営形態のあり方懇談会でどのように評価されるのかというところは、非常に関心を持っていきたいと思います。
 次に、風力発電について、続けて御質問いたします。
 環境負荷の少ないクリーンなエネルギーとしまして、平成13年度に稲庭高原で3基の風力発電を開始されましたが、機器の故障や落雷による風車羽根の損傷などによりまして、計画に対する発電実績は、平成13年度が51.3%、平成14年度が48%余りと当初目標を大きく下回る結果となっています。そこで、平成15年度の稲庭高原風力発電の状況はどうだったのか。そして、今後はどのように対応していくのか。安定的な運転稼働は確立されたのか。この点について伺います。
 また、風力発電所の場所に太陽光発電を併設し、送電線経費の節減を図ってはどうかという思いもあります。また、それに関しましての併設の立地条件として成り立つとか、そういった面の検討はされたことがあったのか、この点についてお伺いします。

〇南舘業務課総括課長 それでは、最初に平成15年度の発電状況についてお答えします。
 平成15年度は、計画値548万2、168キロワットアワーに対しまして、実績が312万8、160キロワットアワーで、達成率57.1%となりました。その原因としまして、年間を通じて風速が計画値を下回ったことがまず第1点。それから、東北電力株式会社の変電所工事に伴いまして25日間ほど発電停止をしたことが第2点。落雷による風車羽根の損傷で長期間発電停止したことが第3点。それから、第4点目として、風車制御が山岳特有の風の急激な変化に追随できず、発電量が伸び悩んだことであります。
 達成率の向上に向けては、平成15年度に雷警報装置を設置しまして、発雷中は風車を自動で停止させる対策をとりまして、現在まで落雷による重大な損傷は発生しておりません。本年度は、5月に、風車が風の急激な変動に追随できるよう、制御プログラムの改良を行いまして、その結果、風車がうまく風に追随し、先般の台風15号、16号、18号、21号の襲来時にも異常なく風車制御が行われていることが確認されております。安定的な運転を続けて売電電力量も増加しております。今後も保守に万全を期すとともに、好風況に期待したいと思います。
 それから、太陽光発電を併設してはどうかということなんですが、これについては風力発電と太陽光発電の組み合わせ、いわゆるハイブリッド化は、送電線を共有することによる送電経費の節減や発電量の平準化などの効果が期待できると思いますが、国内の一部では、風力と太陽光のハイブリッド発電が行われております。しかし、教育や防災倉庫の非常用電源といった、ごく小規模なものに限られておりまして、これは太陽光発電素子が高価なため、太陽光発電の発電原価が風力発電の数倍となり、トータルコストで割高になってしまうためであります。平成10年に当局が試験的に設置しました太陽光発電においても、発電単価はかなり高いものになっております。したがって、現段階では採算面で事業用施設への導入は難しいものと思われます。メーカーを中心に新型素子の研究開発や価格の低廉化に向けた取り組みが行われておりまして、今後この成果に期待したいと思います。

〇川村農夫委員 新エネルギービジョンの中には併設という明記もあったように思いますが、現状を踏まえた見解をいただきまして理解できました。ありがとうございました。
 次に、これからの企業局の経営のあり方についてお伺いします。
 近年、地方公営企業体の中には、民営化等に向けた動きが始まっております。例えば、広島県企業局は、平成14年度末に中国電力に電気事業を譲渡しております。また、長野県や和歌山県でも電気事業を電力会社に譲渡する方向にありますし、福島県も先ごろ東北電力に譲渡することで合意したと聞いております。こうした中で、本県企業局は電気事業のあり方、特に民営化についてどのように考えておられるのでしょうか。
 また、今までのこの経営の中で民間的な経営手法を導入していった取組状況等、それからその効果等がありましたならばお聞かせいただきたいと思います。

〇邨野企業局長 最近の公営電気事業におきましては、委員御指摘のとおり、比較的小規模で、売電単価が高価な発電事業にありましては、民間譲渡がなされる例が見受けられるところでございます。本県の電気事業は他県に比較いたしまして事業規模が大きく、売電単価も低廉でございまして、安定的な供給をこれまでも行ってきているような状況にあることから、私は今、直ちに県営での事業廃止等をする状況にはないのではないかと考えているところでございます。しかしながら、昨年10月に策定されました岩手県行財政構造改革プログラムにおきまして、質の高い行政サービスを提供できる行政経営体へ県が転換していくというその観点から、公営企業は地方独立行政法人化をするか否かを平成18年度までに決定するというふうに掲げられたところでございます。
 企業局におきましては、こうした状況に加えまして、特にも平成22年度以降は、東北電力との電力需給に係る基本契約の更新を行う必要があるわけでございますが、その時点で電気事業を取り巻く経営環境というものがどのようになっているものか不透明なところがございます。そういったようなことや、公営電気事業者としてもこれからは地域電力会社だけに限らず、他地域の電力会社や新規参入者への卸供給ができるような仕組みにもなってございますし、あるいは電力の小売そのものも可能となってまいると思います。そういったような事業の選択の幅が広がるといったようなことから、今のうちから――これはそういった差し迫った状況にいる前から――独自に、将来の経営形態のあり方や事業展開の方向性、こういったものを検討する必要が出てきておるところでございます。
 こうしたことから、私どもは有識者からなる懇談会を設置いたしまして、地方独立プログラムに掲げております地方独立行政法人化、そういったようなものに限らず、民営化も含めた幅広い観点から、望ましい今後の経営形態のあり方や事業展開などについてこの懇談会での御意見をちょうだいした上で、企業局としての取組方針を決定してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、民間的な経営手法の導入についてでございますけれども、企業局の経営改革をより効果的に進めるためには、御指摘のとおり民間的な経営手法の導入が必要不可欠であると考えまして、平成16年1月に策定いたしました経営改革プログラムにおいても、これを積極的に導入することとしたものでございます。一例を挙げますと、現在、中期経営計画による経営目標の設定、これは具体的な数値目標を掲げてございますが、その設定と四半期ごとのその評価、さらには、先ほどいろいろお答え申し上げておりますけれども、業務委託の拡大、さらにはホームページ等による経営情報の公開など、これに取り組み始めたところでございます。なお、これらの取り組みは緒についたところでございまして、今後こうした取り組みが企業局内に定着することによりまして、一層の経営の効率化あるいは事業運営の透明性の確保が図られていくものと考えているところでございます。

〇川村農夫委員 この電気事業は開始以来48年間黒字経営を維持しているわけでありますけれども、現時点での資産総額、これは幾らになっているのでしょうか。また、企業債の残高や今後の償還見通し、それから内部留保資金の状況はどうなっているのか、お伺いします。
 あわせまして、電気事業から一般会計への支援措置についてもお伺いしますが、現在、一般会計はかつてないほどの厳しい財政運営を強いられておりまして、来年度の予算編成も大変苦慮するという状況にあると思います。企業局として一般会計に今まで以上の支援が期待されている面もありますが、局長は、県民に収益を還元する意味も含めまして、積極的に財政支援する考えはおありなのかどうか、この点についてお伺いします。

〇邨野企業局長 それでは、私から一般会計の財政支援のことについてお答え申し上げ、その他につきましては経営総務室の方からお答え申し上げます。
 私ども電気事業会計では、これまで自治振興基金や環境保全基金の原資といたしまして、そしてまた、最近ではいわてクリーンセンター整備資金等の原資といたしまして、電気事業会計から一般会計に貸し付けを行ってございます。このことによりまして、市町村の公共施設の整備の促進や自然環境の保全に寄与してきたものと思っておりますけれども、その貸付金の現在額は、平成15年末でこれは参考までに申し上げますと、24億円となっておるところでございます。また、平成16年度は、新たに県有林事業特別会計繰出金の原資といたしまして8億円を貸し付けているところでございます。
 もとより、私どもの電気事業の余剰資金の使途につきましては、国の強い制限があるわけでございますけれども、本県の現下の厳しい財政状況にかんがみまして、また、行財政構造改革プログラムにおきましても、実はこの電気事業会計からの支援というものを期待されておるところがございます。こうしたようなことから、私どもは電気事業の円滑な遂行に支障のない範囲内ででき得る限りの支援をいたしまして、県政全体の行政が円滑に推進されるよう協力してまいりたいと考えているところでございます。

〇宮舘経営総務室長 平成15年度末の電気事業の資産総額についてでありますが、固定資産は302億4、288万円余、それから流動資産は88億2、038万円余、これらをあわせまして390億6、327万円余となっているところでございます。
 次に、企業債残高及び今後の償還見通しについてでありますが、13水力発電所のうち償還の完了いたしました5発電所を除く8発電所に係る企業債の発行総額は143億600万円となっておりまして、15年度の償還額5億8、195万円余を含めた償還額累計は60億5、931万円余となり、未償還残高は82億4、668万円余となっているところでございます。
 これらの今後の償還見通しについてでありますが、来年度――平成17年度に元金償還がピークになりますが、その額は6億1、700万円余となっておりまして、それが次第に減少してまいります。おおむね10年後にはピーク時の半額程度になると見込んでいるところでございます。
 さらに、内部留保資金の状況についてでありますが、減債積立金、建設改良積立金、中小水力発電開発改良積立金などの利益剰余金と渇水準備引当金や修繕準備引当金などの固定負債に、損益勘定留保資金をあわせますと95億4、561万円余となっているものでございます。

〇川村農夫委員 県財政に対する今までの取り組み、こういったことに対しても、さらに敬意を表したいと思います。
 それでは、最後の前ですけれども、企業局の経営改革の取り組みについてお伺いいたします。
 企業局では、平成15年度末に策定いたしました経営改革プログラムに基づきまして、平成16年度から平成18年度までの3年間を計画期間とする中期経営計画を策定しまして、具体的な経営目標と収支計画を掲げ、その達成に向けて取り組むこととしておりますが、そうした取り組みの中での平成15年度決算を踏まえた上で、これからどのように取り組んでいくのか。また、そういった取り組みの中に産学官一体の取り組みということはどういう位置づけになっているのかお伺いします。

〇菅峨経営企画担当課長 経営改革の取り組みについてでありますが、中期経営計画は、電気事業が電力自由化に伴い競争の激化や先行き不透明な状況にある中、また、工業用水道事業におきましては多額の累積欠損金を抱えている中で、経営改革に本格的に取り組むこととし、昨年度策定した経営改革プログラムに基づき、平成16年度から18年度までを期間とし、経営目標と収支計画を明らかにしたものであります。この計画は平成15年度決算見込み額を前提として、この3年間の数値目標を策定したものであります。
 しかし、決算額と見込み額を比較すると大きな乖離は見られなかったということから、平成16年度以降は計画どおり取り組んでまいりたいと考えております。しかしながら、平成16年度、平成17年度の電気料金は既に契約済みであるものの、平成18年度の料金は未確定であること、新規の風力開発に対する電力会社の対応が不透明であること等の不確定要素があります。また、工業用水道事業におきましては多量の未売水を抱えているなどの課題もございます。
 したがいまして、これらの課題の解決に向けて情報収集を図りながら、一層の経営効率化に努め、計画に掲げた経営目標、収支計画の達成に向け職員一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、産学官一体の取り組みについてということでございますが、特に新エネルギー分野など技術的に開発段階にあるものについては、産業界あるいは研究機関との技術情報収集や意見、こういった交換が必要不可欠と考えております。これまでも企業局は、風力発電や木質バイオマスなどについて専門家との情報交換は行ってまいりましたが、今後は、岩手県内の科学技術及び研究開発にかかわる産学官の人々の交流の場でございます岩手ネットワークシステムへの積極的な参加などによりまして、より幅広く産学官の連携を図ってまいりたいと考えております。

〇川村農夫委員 それでは、最後にお伺いします。今までのその企業局の取り組み、いろいろ今度の中期経営計画も数値目標が非常に適正であったというよりも、その目標に向かってしっかりと業務がなされたという意味でも、大いに評価したいと考えております。御苦労さまでございます。
 最後に、局長にお伺いいたします。あり方懇談会設置につきまして、この件につきましてですが、議会よりマスコミが先というのは、どういう考えからマスコミ優先になったのか。どうも県政全般にそういった傾向が見られるような気もしますが、基本的姿勢について御所見があればお伺いいたします。
 以上で終わります。

〇邨野企業局長 あり方懇談会についてのマスコミ報道の件でございましたけれども、実は私どもこの懇談会設置の準備をかねてからしてございまして、今回の決算特別委員会で多くの委員の皆様からいろんなそういった方面での御質問があるだろう。実はこの場で明らかにしたかったというのが私の正直な気持ちでございます。ただ、一方、これは事務的な話で恐縮でございますけれども、私どもの県の主要な行事計画というのが月初めに各マスコミ等にも全部公表されるわけでございますが、この懇談会、実は今月の29日に開催の予定でございまして、そこに明記されているようなことがございました。私、どこの社もきょうまで気がつかないでくれればいいなと、正直言ってそういう気持ちを持っておったわけでございますけれども、そういう過程がございまして、あのような形になったものという経過がございますので、その点ひとつ御理解のほどお願い申し上げたいと思います。

〇高橋雪文委員 自由民主クラブの高橋雪文でございます。
 岩手県企業局は昭和30年10月1日に電力局として発足し、来年は設立からちょうど50年目という節目を迎えるようであります。その中でも電気事業においては、この期間、順調に事業を拡大し、健全な財政運営のもとに地域への貢献を担ってきたことに深く敬意を表するところであります。平成15年度決算の68億円の事業規模のうち約6億4、865万円の純利益を出し、流動資産中約84億円余りの現金預金を持つなど、企業局電気会計は一般企業と比較しても特に健全に推移しており、可とするものであります。
 現在は、平成18年までの中期経営計画のもとに運営されている中ではありますが、今後、規制緩和のもとに電気事業の自由化が視野に入ってきており、今後の運営について準備し、改めて今後の位置づけを考えなければならない時期にもあります。先ほどの答弁にもございましたが、先行した新聞記事によりますと、経営形態のあり方懇談会を設立するとの内容もあり、その中では独立法人化にこだわらず株式会社化、民間への事業譲渡などを含めて多角的に検討するとの報道がなされたところであります。
 そこで、まず質問をさせていただきますが、中期経営計画の平成18年までの純利益などの経営目標の達成をどのように見込み、どのように達成しようとしておられるのか。
 また、前向きに検討したものの、その後需要の拡大が大きく見込まれないなどの理由で参加を断念した事業などを拝聴いたしますが、改めて今後新規の事業の見込みがあるのか、ないならばその理由などをお知らせください。
 さらに、平成22年、電気事業の規制緩和による自由化に対して、企業局として現時点でどのような方向性で県民の負託にこたえようとしておられるのか、まずお聞きいたします。

〇邨野企業局長 ただいまの御質問のうち、新規事業の関係につきましては技師長の方からお答え申し上げます。
 中期経営計画におきます電気事業の経営目標といたしましては、一つとして、年間5億7、000万から8、000万キロワットアワーの電力を安定的に供給していくということ。二つ目としまして、3年間で10%程度、年平均1億3、600万円の発電コストを低減するということ。それから、高森高原風力発電所の事業化等新エネルギー開発への取り組み。この三つを明確に考えたところでございます。また、純利益につきましては、年平均6億4、000万円ほど確保するという目標を立てました。
 まず、電力の安定供給につきましては、発電施設が十分な能力を継続して発揮できるよう、適切なこれは維持管理、改良を行って目標達成に努力してまいりたいと考えております。また、発電コストの低減につきましては、今まで以上の効率的な設計や計画的な執行などによります工事費の削減、あるいは職員数や事務的経費の削減、こういったようなものを実施するなどしながら、業務全体にわたって種々の工夫を凝らし、この目標達成に努力していきたいと考えているところでございます。
 さらに、新エネルギーへの取り組みにつきましては、例えば、新規の風力発電につきましては、電力会社による応募の状況がまだ不透明なわけでございますけれども、これらの募集、応募があったときに直ちに対応できるよう準備を進めてまいりますし、あるいは小水力発電の事業化の検討、これは本当の小さな水力発電でございますけれども、農業用水を利用したりするそういった小水力発電の事業化、これはどういったような形で県内に普及させるかということも含めましての事業化の検討や、これまで課題が多いとされておりました木質バイオマス発電などにつきましても、新たな技術情報の収集に努めるなど、そういったような新エネルギー開発への準備も進めてまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、関連分野の情報収集というものを行いながら、この電気事業を取り巻く環境の変化に適切に対応し、中期経営計画に掲げるこの目標達成に向けて、私、全力を傾けてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、民間事業の参入等の御質問でございますけれども、電力自由化につきましては、今年の4月から500キロワット以上の高圧需要家が小売の対象となりました。来年4月には50キロワット以上のすべての高圧需要家まで拡大されるほか、平成19年度には一般家庭を含めましたこの検討が開始されるというスケジュール等が明らかにされているところでございます。私ども企業局の電気事業につきましては、東北電力との間で締結している電力需給に関する基本契約、これが先ほども申し上げたところでございますけれども、平成22年3月でこれは満了いたしますが、その後の電力需給に関しては今のところ定まっておりませんで、現段階では極めて不透明な状況にございます。さらには、規制緩和の流れの中で、私どもに対します卸供給料金の引き下げ圧力といったようなものも強まってくることが予想されるところでございます。
 こうした環境が流動的であることも踏まえまして、今後の公営電気事業をどのような方向で経営していくべきかという大きな課題に直面しているところでございます。このため、今後の企業局の将来の望ましい経営形態そのものについて、有識者から成る、先ほど申し上げました懇談会の意見を聞きながら検討していくこととしたものでございます。
 一方、これまでと同様の卸供給として民間と肩を並べながら事業を行う方法のほか、今後は特定規模電気事業あるいは特定電気事業などの小売事業として行う方法もあるわけでございますが、経営主体として何が最もふさわしいのか、そして今後どのような道をとるべきかという点につきましても、この懇談会での経営形態の検討とあわせて、慎重に検討していくこととするところでございます。
 このように、今の段階から将来のあるべき事業の姿を求め、これまで約50年にわたって築き上げられてきました本県公営の電気事業が、より時代に合った経営を展開できるようにすることで、こういったようなものにこたえてまいりたいと考えておるところでございます。

〇壽企業局技師長 今後の新規事業に対する見込みはどうかということでございますが、三つに分けてお話し申し上げたいと思います。
 まず、最初に風力発電でございますが、中小水力発電につきましては、企業局はこれまでクリーンで再生可能なエネルギーの主力である中小水力発電の開発を行ってきたところでございます。しかしながら、電力需要の低迷、電力自由化などの電気事業をめぐる情勢において新規開発が非常に難しい状況にあるということでございます。このような中、昨年4月に電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法、いわゆるRPS法が施行になり、水力の場合、水路式の1、000キロワット以下が対象になるということになりました。このことから、県内全般におけるRPS対象の有望地点を探索し、小水力発電の可能性評価及び事業化の検討を実施しているところでございます。
 次に、風力発電でございますが、稲庭高原に続く風力発電の有望地点である高森地区において、これまで基本設計及び環境影響調査等を実施してまいりました。先ほど局長が申し上げましたとおり、東北電力の募集を待っているところでございます。
 それから、バイオマス発電についてでございますが、これまでの調査結果から、現時点における売電事業の可能性は、燃料の収集、運搬面や採算面などの課題がございまして困難であると考えております。県内の市町村では自家用発電を目的とした実証試験の導入の動きが見られることから、こうした自治体に対して、技術面や運営面の支援をするとともに、将来の事業化を見据え、運転や保守管理に係るノウハウを蓄積するなど、調査を継続してまいりたいと考えております。

〇高橋雪文委員 このあり方懇談会なんですけれども、大体の答申、見通しがいつごろ決まるものか、それをお示しいただきたいと思います。
 また、バイオマスの発電に関してでございますけれども、これについてコスト的に非常に割高になると、今の時点では困難であるということでございますけれども、増田知事が提唱します新エネルギービジョンの中でも、かなりこのバイオマスエネルギーに関しては期待を寄せていると。この増田知事の進める政策と企業局としての考え方というのは、非常に相反するところも若干あるのではないかと思うわけでありますけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

〇邨野企業局長 まず、あり方懇談会の関係でございますけれども、10月からおおむね2カ月、これは委員が全国にわたっておりますので、頻繁に開催することはなかなか日程調整が難しいわけでございますが、おおむね2カ月置きをめどに四、五回開催しながら、来年の夏までにはそういったあり方懇談会の御意見というものをまとめ、その後、私ども企業局内部でそれらを参考に詳細な検討等を行ってまいりたいと考えているところでございます。
 それから、県が進めております新エネルギー関係の施策と企業局の関係でございますが、私どもも、県の主要施策に掲げますそういった新エネルギーの導入、あるいはその促進について、知事部局と各種の研究会あるいは事業に積極的に参加しながら、これに取り組んでいるところでございます。
 しかし、これらの新エネルギー関係、今はまだ、私どもの期待するような大きな発電といったようなものまでは至らないようなさまざまな状況下にあるわけでございますが、そういった中におきまして、技術的なもののいろいろなアドバイス、あるいは私どもも情報を得る、それを見ながら、今後のこういった、例えばバイオマス発電は、当面、熱利用の方でバイオマスを使った方が実用化が早いのではないか。それだったら、その次には私どもの発電の方に持っていくような技術開発がどう経過していくのか、そういったようなものを逐次、常に情報を持ちながら、今後のそれらを利用した私どもの事業化が可能かどうかというものを考えるような形で、これらに参加し、実施してまいりたいと考えておりまして、そういう意味では、一緒に走っていくと御理解いただければと思うところでございます。

〇高橋雪文委員 電気事業会計の健全内容の一方で、一般財源の収支が悪化しているのが本県の状況であります。この中で、県が推し進める省エネルギービジョンが平成15年3月に示されているところでありますけれども、この計画の確実な進捗は、京都議定書にも求められるように、岩手県民のみならず、世界的な要望であるのは間違いないところでございます。
 この進捗状況について、余り思わしくないとの報道もありますし、環境を改善していくには多額の予算と意識改革が不可欠であると言われております。そこで、この計画推進に多少の余力がある企業局が、その一端をもっと積極的に担うべきであると私は考えます。
 そこでお尋ねいたしますが、太陽光発電などの助成制度が、市町村と連携で助成されておりますし、特に、増田知事が積極的に進める木質バイオマスを利用した各種事業を県が単独で行っているところでございますが、このような単独で行う新エネルギー事業にかかわるこの財源を積極的に企業局としても捻出して、活用していくべきではないかと思われますが、いかがでしょうか。
 また、特別会計の規定が法律によって定められておりますけれども、具体的にこのような横断的な政策をする場合、どの部分がネックになっているのかお知らせください。
 また、企業局独自の新エネルギー普及事業を立案できないものかも、あわせて質問させていただきます。

〇宮舘経営総務室長 電気事業の余剰資金につきましては、電気事業以外に資金を流出させるべきではないという国の基本的な考え方がございまして、企業局といたしましては、これまでも、その財源につきましては一般会計の貸し付け等で支援をしておりますけれども、それ以外の一般会計の事業に直接充当するということについては、難しいのではないかと考えているところでございます。
 しかしながら、先ほど局長からもお答えいたしましたけれども、木質バイオマスエネルギーなど、将来、発電の事業化の可能性があるものにつきましては、企業局もこれまで関連部局と連携いたしまして積極的に取り組んできているところでございます。
 なお、特別会計としての企業会計を規定しております地方公営企業法におきましては、減債積立金、利益積立金以外の剰余金の処分につきましては、議会の議決を経て定めるということとされておりますので、特に制限があるものではございませんが、電気事業法や卸料金の算定に係る規定の趣旨から、余剰資金の使途を制限されていると考えております。
 したがいまして、現時点では、市町村とか県民を対象といたしました企業局独自の新エネルギー普及事業ということを行うことはなかなか難しいのではないかと考えてございますが、将来、先ほど申し上げましたような可能性のあるものにつきましては、県や市町村などと一体となって今後も取り組んでまいりたいと考えております。

〇高橋雪文委員 今の答弁をお聞きしておりますと、上位法である国の法律よりも、ネックになっているのは、県の条例がないからそういう形でできないということで、そのような解釈でよろしいでしょうか、改めてお聞きします。

〇宮舘経営総務室長 お答えいたしましたけれども、使途制限につきましては、先ほど申し上げましたように、国の方からその余剰資金については、基本的には電気事業に充てるべきだという考え方が示されているところでございまして、条例がないからということであるとは考えてございません。
 この制限の緩和につきましては、企業局といたしましても、公営電気事業者会議という全国の組織がございますので、そういった会議を通じまして国に要望している経緯がございますが、なかなか認めていただくような状況にはないと考えているところでございます。

〇高橋雪文委員 次に、風力発電についてお聞きいたします。
 平成14年度より実験的な試みがなされていると思いますが、先ほど、平成15年度の目標発電量が57%の実績という数値をお聞きいたしました。今後、どのような形をとりながら、工夫をしながら、この発電量を目標数値の100%に合わせていこうとするのか、これをまずお示しいただきたいと思います。
 また、施設整備と管理運営に係る経費との費用対効果は、現時点でどのように把握し、最終的には企業会計にしっかり見合うものなのかどうかをお知らせください。

〇南舘業務課総括課長 今後どのような工夫をしながら発電量目標に合わせていこうとするのかということに対しまして、達成率の向上に向け、雷警報装置の設置や制御プログラムの改良を実施したところであります。その結果、現在まで落雷による重大な損傷は発生しておりません。また、風車がうまく風に追随し売電電力量も増加しております。
 なお、今年度の達成率は、9月末現在で85.7%となっております。今後も、保守に万全を期すとともに、好風況に期待したいと思います。
 それから、次の施設整備等管理運営に係る経費とその費用対効果ということですが、平成13年9月の運転開始時の計画値では、17年間の平均収入として年間約6、300万円、経費を年間約5、900万円と見ております。17年間の純益を約6、700万円と見込んでおりまして、平成15年度末までの純利益の累計額は約980万円の損失となっております。当初計画の17年間累計では、純益が約4、000万円となり、約2、700万円減少する見通しであるものの、採算性は確保できる見込みと思っております。

〇高橋雪文委員 それでは次に、工業用水道事業についてお聞きいたします。
 本年度は黒字決算であり、健全運営されておりますが、富士通との契約が本年10月までということが先ほど明らかにされました。その契約が10月までとなりまして、営業雑収益の収入が途絶えるということで、今後見込めなくなるということを聞いております。
 まず、その実態についてお知らせいただきたいと思います。
 また、このような定期的に固定された収入がなくなるとなれば、今後さらなる運営上の工夫が必要になると思います。また、利用している企業も、経費の削減を図るために、循環設備を整え、消費水量を減らすなどの工夫をしていると聞き及んでいるところでもあります。その中では、次年度以降、どのように利益を上げ、累積債務を軽減するのかが問われているところであります。
 そこで、さらに質問させていただきますが、次年度以降の収支の改善をどのように図ろうとするのか、また、利水を促進するためにどのような工夫を考えているのかをお知らせください。

〇宮舘経営総務室長 まず、富士通の経営負担金の実態についてでございますが、富士通にろ過水を供給しておりまして、この金ケ崎急速ろ過施設の建設に当たりまして、計画段階で収支の大幅な欠損が見込まれたところから、当時の自治省、国の指導もありまして、企業局と富士通との間で、収支見通しの不足分を経営負担金として毎月払っていただくということとしたものでございます。
 これまで、平成4年10月から平成16年、ことしの9月まで、毎月負担をしていただいたところでございますが、ことしの10月からはその負担金がなくなるということで、年間にいたしますと、来年度からは1億800万円減るということになるものでございます。
 それから、来年度以降の収支の改善をどのように図るのかという御質問でございますが、今申し上げましたように、営業収益が来年度からは1億800万円減りますので、それに加えまして、施設の老朽化によりまして修繕費等、費用の増加が見込まれるということから、経営は一層厳しくなるものと予想されるところでございます。
 こういう状況のもとで、工業用水道の経営基盤を強化する必要があるということから、さきに、平成16年度、今年度から3カ年の中期経営計画を策定いたしまして、平成18年度までの間に累積欠損金を各年度平均して約2、600万円、3年間で約15%削減するという数値目標を設定したところでございますが、この目標を設定した時点で、富士通の経営負担金の減少というものも当然織り込んでいるわけでございますが、この目標を達成するためには、建設改良・修繕10カ年計画を策定しまして、修繕費の削減あるいは計画的執行による平準化、それから、業務委託を拡大するなどによりまして、コスト削減に努めていきたいと考えております。
 こういったさまざまな対策によりまして、何とかその収支の均衡を図ってまいりたい、収益を確保してまいりたいと考えておりますが、そのほか、契約水量の増量による未売水の削減、これにも取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 それから、もう1点、利水を促進するための工夫ということでございますが、現状を申し上げますと、計画給水量の約52%に相当します日量4万5、000トンという多量の未売水が発生してございます。
 用水型、水を使う企業の進出が停滞いたしまして、今委員からお話がありましたように、ユーザーの省資源、あるいは合理化が進んでいる現在、新規需要の開拓は非常に困難な状況ではございますが、超過水量が発生している企業もございますので、そういった企業を個別に訪問いたしまして、増量の契約の変更を要請しているほか、受水企業との懇談会等の場を通じまして、この契約水量の増量を要請しているところでございます。
 また、県の関係部局、それから、北上市、金ケ崎町等で構成いたします岩手県工業用水利用促進等関係機関連絡会議という組織がございますが、こういった組織を通じまして、用水型の企業の誘致について連携を図っているところでございます。
 さらに、工業用水道水源の他用途への転用といったものについても、関係機関との情報交換を行うなど、実現に向けて現在取り組んでいるところでございます。

〇高橋雪文委員 最後になると思いますけれども、この利水、いわゆる未売水の利用なんですが、いろいろお聞きしておりますと、農業用水に転用しようじゃないかというようなお話も聞き及んでいるんですが、その辺の考え方について、ちょっとお聞かせいただければと思います。

〇邨野企業局長 工業用水の未売水の転用の件でございますけれども、私ども、今、東北農政局の方と、農業利水に対する利用、こういったようなものにつきましての情報交換をやっているところでございまして、そういったようなものを、今後、これから国の方もどのように対応するか、いろいろな内部の向こうの事情もあるわけでございますが、私どもといたしましては、そういったような情報交換を通じまして、そういった計画が明らかになる時点におきまして、できるだけの協力をしていきたいということも考えているところでございます。

〇柳村典秀委員 政和会の柳村典秀でございます。昨年に引き続きまして、決算の方の質問をさせていただきます。
 まず、電気事業の方からお尋ねいたしますけれども、議会資料のナンバー4というのがありますが、これを見て、ちょっとお話しさせていただきたいんですが、3ページに収益的収支、損益計算書が載っております。昨年の8億2、030万9、000円の利益に対して、ことしは1億7、249万6、000円減の6億4、781万3、000円という結果でございますが、これ、内訳をそれぞれ見ていきますと、総収益で1億2、235万2、000円減っている一方、総費用が5、014万4、000円ふえている。これらをトータルして先ほどの1億7、249万6、000円という前年度に比べての差が出てきているということでございます。そして、その中でも電力量を見ますと1億191万5、000円減っている、これが一番大きいわけです。
 そういう中で、実は、昨年の目標電力量に対して、それぞれの水力発電所がどういう結果だったかというのを見ますと、岩洞発電所を除いた総合計では、まず目標をクリアしているわけです。また、昨年度は109%の目標をクリアしたということで、よかったわけなんですが、それと比較してもほぼ同じになっております。このことからしても、岩洞発電所の電力量の落ち込みが大きく影響したということが言えると思うんですけれども、その原因として、監査の意見書には、取水設備工事を行った影響だということなんですが、この工事は当初から計画して、その予定期間どおり行われたのかということなんですが、それをまずお尋ねいたします。
 また、昨年に比べて機械装置修繕費が1億5、682万1、000円と増額しております。この理由が何なのかということをお尋ねします。
 また、この岩洞発電所の発電量なんですけれども、目標に対して達成率が86%、昨年実績に比較しても71.8%ということで大幅に下がっているわけなんですが、当初から工事を予定していたとすれば、目標の設定自体が大き過ぎたのではないかという気がするんですが、そういうことなのか、それとも別な理由だったのかということ。また、総供給電力量が目標に達していれば、営業収益面における電力料が果たして幾らになったのか。昨年と比べて1億円以上の差があるわけなんですが、当初目標どおり発電していたら、実際は幾らだったのかということをお知らせいただきます。
 三つ目として、営業外収益の国庫補助金が昨年度に比べ4、850万円少なくなっています。これは、ずっとその前年度よりもさかのぼってみてみましても、毎年1億円を超える金額なわけです。何で今年度だけはこういうふうに下がったのかということをまずお聞きいたします。

〇壽企業局技師長 まず、平成15年度の供給電力量の状況から岩洞発電所の電力量の落ち込みが大きいのではないかというお尋ねでございますが、岩洞発電所につきましては、平成15年度に実施した岩洞発電所の取水工事は、小本川の支川でございますが、大川ほか3カ所において河川維持放流設備を設置する工事でございまして、予定どおり工事を実施しております。工事完成とともに、河川維持流量を放流開始しているところでございます。
 それから、なお、今年度は逆川堰堤というのがありますが、取水しているうちの一番低い部分でございますが、そこに、やはり維持放流量を兼ねた魚道設置工事を今盛んにやっております。そのほかに1カ所工事を実施しておりまして、本年度で岩洞発電所における河川維持放流設備工事はすべて完了することになっております。
 それから、機械装置修繕費がふえている理由は何かということでございますが、企業局では、機械装置等の保安を確保するため、必要な点検を企業局電気工作物安全保安規程に定めておりまして、機械装置修繕費がふえた理由の主なものといたしましては、先ほどの規程に定められている水車発電機の分解点検を、平成14年度は御所発電所、それから仙人発電所の2号機を実施いたしました。この2カ所を実施したわけでございます。それから、平成15年度は御所発電所と仙人発電所の2号機、それから岩洞第一発電所の2号機の三つの発電所のいわゆる大規模オーバーホールをやった。こういうことで1億5、600何がしの金が余分にかかっているということでございます。
 それから、岩洞発電所の目標が大きかったのではないかというお話でございますが、岩洞発電所の発電量が目標に対して低い理由は、特に目標値が過大であったとは考えておりません。維持放流設備工事のための取水ができなかったことが、先ほど申し上げましたように大きな理由でございます。
 それから、仮に、例えばその維持放流工事がなかった場合、電力料は44億7、300万円余と見込まれるわけでございまして、実際は44億4、100万円余となったことから、その差額は、3、100万円のいわゆる工事による未達が生じたということでございます。

〇宮舘経営総務室長 営業外収益の国庫補助金が減少している理由ということでございますが、これは、実は松川発電所と早池峰発電所の企業債に係る利子補給金でございまして、昨年度は松川発電所の利子補給率が、これは利子補給率は3年ごとに率が下がっていくことになっておりまして、3年目までは3%、4年目から3年間は2%、そして7年目以降3年間は1%と、補給率が3年ごとにだんだん下がっていくということでございまして、その期間の経過に応じまして2%から松川発電所の利子補給率が1%に低下したということによります減少でございます。

〇柳村典秀委員 先ほどの技師長の説明、ちょっと納得できないというか、わからない部分があるんですけれども、岩洞発電所の目標量が平成14年度も15年度も同じ数字なわけですね。そうすると、昨年も工事をやって、ことしも工事をやってということであれば、それは同じ目標量で理屈はわかるんですけれども、先ほどの、結局、工事をしたために発電量が落ちたということであれば、それも織り込み済みだったということの話ですから、じゃ、雨が少なかったのかということになるわけですね。そこをちょっと確かめたいと思います。
 次に行かせてもらいますけれども、料金算定における営業費用の見積もりと実際の金額との差、これが平成14、15年度のトータルでどのようになっているか。また、算定のときに見積もった金額と、実際経過したときの差が出てきた場合、その差については、次の料金改定において何らかの措置が行われるかどうかということをお聞きします。
 また、目標の電力量というのは、どういう基準によって決められるのかというあたりもお願いします。
 それと、受取利息及び配当金が895万9、000円減少しております。その原因と、今回、政府保証預金保険機構債券というものを10億円以上保有したということなんですけれども、その利回りですね。また、預金がかなりあるわけですけれども、これらの運用先をお知らせください。
 それと、本年度は発行していないわけですが、毎年企業債を発行していました。昨年も簗川のときに、東北電力との交渉の際に、企業債を使わないで、幾らかでも単価を下げるので、それでもお願いできないかという話があったそうですが、それでも東北電力はだめだよという話があったと。もしそういうことができるのであれば、資金に余裕があるんだから企業債を発行しないでやればいいのではないかということなんです。今後、まださらに企業債を発行する予定というのがあるのかどうか、そこをお聞きします。

〇邨野企業局長 私から、営業費用と織り込みの関係について、それから企業債についてお答え申し上げまして、その他は経営総務室長からお答え申し上げたいと思います。
 電気料金の織り込みが、それが直ちに私どもの予算にストレートに拘束されるというものではございませんで、私どもは、そのトータルの範囲内で、公営電気事業の自主的な経営を基本として、事業を円滑に進めるために実行予算を組んでいるものでございますけれども、参考までに申し上げますと、平成14年度、15年度の2年間の営業費について見ますと、織り込み額と決算額を比較しますと、この2年間で合計約1億6、000万円決算の方が多くなってございます。このように織り込み額と決算額に差があった場合におきましても、料金というものは、これは将来の算定期間の必要と見込まれる費用をその改定時において計上し、計算することになってございまして、したがいまして、そのことが、次回の料金の算定の際には、それらを改めて2年間の積算をするわけでございまして、直接的に、この差があるからといって影響を与えるものではないと考えているところでございます。
 また、技師長への再質問にも関連するわけでございますけれども、目標電力量と申しますのは、これは過去の平均流入量をもとに定められる電力量でございまして、それにあらかじめ、これまでの経験値を積んだ理論値でございますが、発電所ごとに細かい数値がございまして、発電所ごとに定められましたいろいろな作業等の停止を見込んだ一定の利用率を乗じたもの、それから所内の消費電力量等を機械的に差し引く、そういったような計算をするわけでございます。つまり、そういった長いスパンで見ますと、発電機が作業により停止する期間も、この今申し上げました利用率を乗ずることによって積算されるということでございます。したがいまして、個別に、この発電所では今年度こういった維持放流設備工事があって水をとめる、水が制限されるといったような場合でも、それらが個別には目標発電量には反映されないといったような仕組みになってございます。長い意味で見ればトータルになるといったような考えのもとに、そういうルールで掲げるものとなってございますので、御理解願いたいと思います。
 それから、企業債の関係でございます。平成14年度は柏台発電所の建設がございまして、これに企業債を充当したわけでございますけれども、平成15年度におきましては、そういったような充当するような大きな事業がなかったことから、発行していないものでございます。
 水力発電の電気料金というものは、先ほど申し上げました総括原価方式で算定されるわけでございまして、新規水力発電の建設に当たりましては、企業債を充当した場合には、その支払い利息が売電の原価に織り込まれるところでございます。一方、自己資金を充当した場合は、その充当した額に一定率を乗じたものが、事業報酬として原価に織り込まれるという仕組みになっておるところございます。
 岩手県の場合、資金的には、補助金を除いて、通常の大きな工事であれば全額自己資金を充当することも可能ではございますけれども、将来の施設設備の更新に備えまして事業報酬というものの確保が必要であるということから、この資金のバランスを考慮しながら、電力会社と個別に協議しながら決定しているところでございます。
 また、今後の起債の予定につきましては、新規の大きな建設改良、あるいは新規の建設が確定した段階で検討してまいりたいと考えているところでございます。

〇宮舘経営総務室長 受取利息と配当金が減少しているのはなぜかということでございますが、受取利息につきましては、大口定期預金の利回りが低下したということで減少しておりますし、受取配当金につきましては、実は平成14年度に岩手銀行の70周年記念配当というものがございましたが、それが15年度はなくなったということで減少したものでございます。合わせまして895万円余の減少となったものであります。
 それから、政府保証預金保険機構債券を保有した理由と利回りについてでございますが、この保有した理由といたしましては、ペイオフ対策の一環といたしまして、安全性の高い国債等により運用するということから、国債あるいは政府保証債、地方債等を運用対象といたしまして利回り等を検討いたしました結果、この政府保証預金保険機構債券を10億40万円で購入したものでございます。年の利回りは0.079%となっているものでございます。
 それから、預金の運用先についてでございますけれども、これは、各金融機関から見積書を徴収いたしまして、最高預金利率を提示した金融機関に決定しているところでございますが、その運用先といたしましては、岩手銀行、それから、岩手県信用農業協同組合連合会、東北銀行、盛岡信用金庫等に預金しているところでございます。

〇邨野企業局長 先ほどの技師長に対する再質問の趣旨を含めて、先ほど、目標電力量の掲げ方について私から御答弁申し上げたところでございますけれども、繰り返しになりますが、そういったような理論値でもって、長いスパンで見た理論値で出されているといったようなことから、個別の毎年の事業の減というのは目標値に対しては計上されない、そういったような決まりでやっているものということでございます。

〇柳村典秀委員 ちょっとかみ合わないんですけれども、平成14年度も15年度も岩洞の目標電力量というのは同じだったわけですよね。そうすると、工事をやったおかげで、実は減ったよということなんですけれども、そうしたら、昨年も工事をしていたのかどうなのか。ことし、昨年と工事をしているのであればおかしいのではないか。去年は目標量をオーバーしているわけですね。ところが、ことしは大幅にダウンしている。その理由は、工事は最初から計画してやったのであれば、それを見込んで計算しなければならないはずなのが、86%に落ちたというのは、雨が少なかったせいなのか、岩洞ダムだけに雨が降らなかったのか、そこの理屈がちょっと先ほどの説明ではわかりませんよというお尋ねだったわけです。そこをお願いします。
 それと、次に進めさせていただきたいんですけれども、一部、先ほどの高橋雪文委員と重複するんですが、本年度の附帯事業の収支を見ると1億2、064万円の収益に対して1億5、395万6、000円の費用で3、331万6、000円の赤字となり、特に、水力が利益を出しているのに対し、風力が収支を悪化させています。この附帯事業の収支を風力と水力に分けた場合、これまでの状況はどうなっているのかということをお尋ねいたします。
 それと、建設準備勘定における本年度の増加額及び減少額の地点ごとの内訳と、平成14年度から繰り越している部分の地点ごとの金額をお知らせください。
 また、建設準備勘定と電源開発費の中身は同じような感じがするんですけれども、どういう基準で振り分けられるのかという点もお尋ねいたします。
 そして、昨年の決算審査において、簗川ダムにおける企業局の発電参加は断念するということが示されました。建設準備勘定にある簗川の約9、000万円という金額が残っているんですけれども、これはいつの時点で償却するのか、また、事業化を断念した時点で、今までに計上しているものがあったらお知らせください。

〇宮舘経営総務室長 それでは、私の方から附帯事業の収支について御説明申し上げます。
 附帯事業のこれまでの収支についてでありますが、まず、電気事業会計の決算書、これは3ページに損益計算書を掲げてございますが、ここに記載しております平成15年度の附帯事業収益と費用については、委員御指摘のとおり、収益と費用では3、300万円余の損失となっているところでございます。ただし、平成15年度に稲庭高原風力発電所における落雷被害の復旧工事を実施したことから、修繕工事費相当額の災害共済金、これは2、900万円余を事業外収益の雑収益で受け入れております。このため、附帯事業に係る事業外収益を加味した収支の状況では387万9、000円の損失となっているものでございます。
 次に、風力と水力に分けた場合のこれまでの収支でございますが、稲庭高原風力発電所では、平成13年度からの累計で、収益が1億4、600万円余、費用が1億5、600万円余ということで、900万円余の損失となっているところでございます。
 なお、当初計画の17年累計では約4、000万円の利益になると、先ほど高橋委員にお答え申し上げたところでございます。
 それから、柏台の水力発電所につきましては、平成10年度からの累計で、収益が1億2、300万円余、費用が1億300万円余ということで、2、000万円の利益となっているものでございます。
 それから、もう1点ございました建設準備勘定の関係でございます。この建設準備勘定は、前年比で申し上げますと3、300万円余ふえておりまして7億円余の額になってございますが、増加した地点は、胆沢第三地点、それから簗川地点、槻木平地点、有根沢地点、それから下嵐江――これは胆沢町でございます――の地点で、合わせまして4、500万円余の増加になってございます。
 一方、減少した地点でございますが、風力発電調査地点、これは1、100万円余でございますが、これは、事業化が困難となったため、雑損失として償却したことによる減少でございます。
 このほか、平成14年度から繰り越している地点とその金額というお尋ねでございますが、北本内地点で800万円余、南本内地点で300万円余、姉帯地点で700万円余という、さらに水力発電調査として1、600万円余がこの繰り越している地点と金額でございます。
 次に、建設準備勘定への振り分けの考え方についての御質問でございますが、新規開発地点の調査費などにつきまして、事業化を前提として実施するものについては、将来の資産形成につながるものであるということから、資本的支出の電源開発費に予算で執行しておりまして、これを建設準備勘定で整理しているものでございます。

〇壽企業局技師長 先ほどの答弁、ちょっと舌足らずのところがあったかもしれませんが、目標値の定め方というのは、料金改定が2年ごとにあるわけでございまして、それで、実際平成14、15年の目標値を立てたのは、平成12年度までの長期の、各発電所、スパンが違うわけでございますが、その長期の流量資料を使いなさいと、これは経済産業省の指導でそうなっているわけです。それで、そういう例えばオーバーホールだとか、長期的にとまるものについてはカウントしないで、そして、今までの長期のものを使ってやりなさいと。それで、しからば平成16、17年のものを決めるときに、それから、14、15年のものを決めるときに、平成13年度そのもののデータはまだ出ておりませんので、平成12年度までのものを使って目標値を立案したということでございます。

〇柳村典秀委員 予定工事は含まれないと。

〇壽企業局技師長 予定工事は含まれないということでやるのが一般的なやり方でございます。

〇柳村典秀委員 わかりました。
 とすればなおさら、総括原価における、例えば先ほどの卸、実際との差額が決算では企業局側の方が多いというような話もありましたし、今後、長期計画として、例えば大規模改修については10年計画でやるよというような話もあるわけですよね。やっぱりそれらを綿密に計算して、できるだけ損がないような価格、単価にしてもらうという交渉が必要ではないかなと実は思うわけです。これほど差が出てくるということは、実はそれだけ損をしているということにもつながってくるのではないかと思うんです。まず、その点をどういうふうに考えるかお願いします。
 次に行かせていただきますけれども、改良工事と保存工事の違いは何なのかということと、また、資産として計上するか、あるいは修繕費として費用に計上するかの区分はどのように決められているか。
 また、附帯事業における固定資産の金額に対して償却対象金額がかなり少ないと思っていますけれども、これがどういう原因によるかということ。また、昨年の決算でも話したんですけれども、風力発電というのは大変な競争の激化でございますし、また、これを新規事業化するというのは、RPFにしてもそうなんですが、小規模になればなるほど大変だと。東北電力自体は3円分しか買わないよと。あとは、上乗せ分は自力で探しなさいよというような話になってきているわけです。
 そういう中において、これ以上このまま風力に関する新規電源開発というのを行っていったら、結局、経営に悪影響を及ぼすのではないかと私は考えているんですけれども、この点についてどういうふうに考えているかということ。
 また、平成16年度から風力発電開発室というのがなくなりましたよね。これは何でなくなったのか。実は、例えばさっきの原価計算でも、そういった開発室という部分の人件費は入っていませんよね。純粋なるそこの部分だけで、開発に当たる人たちの人件費も入っていないわけですし、これまでに投資した金額というのは相当なものだと思うんですよね。それからすれば、3年経過して、まだ980万円の赤字が出ているということは、経営からすれば、本当は、大変なお金をかけていまだ赤字だということは問題ではないかと思っているんですが、ここら辺をどういうふうに考えているか、お願いします。

〇壽企業局技師長 まず先に、先ほど目標値の話をいただいたわけでございますが、目標値を立てる場合、我々、発電所の修繕・改良工事等10カ年計画というものを立てて、そして毎年見直しをやって、そして、工事が特定の年に偏らないような平準化をしながら工事をやるというふうに努めておりますが、この平成14年、15年度については、大きい発電所が、現実的にどうしてもその時期にやらなければならないという年に当たったわけでございまして、これについては東北電力も、やむを得ないだろうという話にはなっておるわけでございます。そういう意味で、こういう大きい発電所が三つも重なるような計画はできるだけ立てないで、平準化をして目標値を決定していきたいと考えております。今までもそういうふうにやってきたわけでございますが、インターバルでこうやっていくと、やむを得ないときもあると。
 それから、簗川発電所における建設準備勘定の約9、000万円について、これはこれまでの調査費、負担金でございまして、建設準備勘定の処理にするためには、簗川ダム建設事業から正式に撤退する必要があるが、そのためには、簗川ダム建設事業に関する基本協定というものを今結んでおるわけでございますが、これを一たん整理しなければならないということがございまして、まだその手続が進んでおりませんので、現在も建設準備勘定として計上しているものでございます。
 それから、その他についてもというお話でございますが、これは北本内がございます。北本内ダムにつきましては、今、県土整備部の方でその清算とかそういう手続の作業を一生懸命やっている段階だということでございます。

〇宮舘経営総務室長 改良工事と保存工事の違い、それから、資産として計上するのか、修繕費として計上するのかということ等についてお答えしますが、まず、改良工事と保存工事の違いでございますけれども、改良工事は、固定資産の能率を積極的に高める、あるいは耐用年数を延長させるというものでございまして、これは資本的支出に資産計上しております。それから、保存工事の方でございますが、これは施設設備の損傷あるいは能力を回復させて資産を維持していくというためのものでございまして、これは、収益的支出によりまして修繕費として支出し、資産としては計上しないというものでございます。
 それから、附帯事業における固定資産額に対して償却対象額が少ないのではないかという御質問でございますが、減価償却のお話でございますけれども、この算出に当たりましては、有形固定資産につきましては、償却資産から固定資産取得のために交付されました補助金相当額を控除いたしました額を帳簿価格としておりまして、それに対して減価償却を算出するという取り扱いをしている関係で、その差が出てくるものでございます。固定資産額と償却対象額の乖離は、国庫補助金相当額ということで御理解いただきたいと思います。

〇南舘業務課総括課長 それでは、風力の方についてお答えいたします。
 このまま新規開発を続ければ経営に悪影響を及ぼすのではないかということですが、企業局が地方公営企業として新規開発を行うに当たっては、採算性を確保することが原則であり、かつ、極めて重要であると認識しております。
 稲庭高原風力発電所の運転開始からの累計損益は、約990万円の損失となります。当初計画の17年間累計で比較すれば、純益約6、700万円の見込みが約4、000万円に圧縮されるものの、採算性は確保できる見込みであります。
 一方、環境首都を目指す本県としては、規模としては小さくても、県みずから率先して風力発電の導入に取り組むことは、地球温暖化対策としてはもちろんのこと、環境教育や観光のランドマークとしての利用等、地域活性化の観点からも意義あるものと考えております。
 企業局といたしましては、東北電力の動向を注視しながら、関係市町村の意向も踏まえ、引き続き風力開発の調査を進めてまいりたいと考えております。
 それから、次は、開発費の総額についてでございますが、これまでに要した開発費は、稲庭高原風力発電所の建設費として約6億8、300万円、高森高原を含むその他地点の調査費用として約6、900万円、合計で7億5、200万円となっております。

〇佐藤管理担当課長 平成16年度から風力発電開発室を廃止した理由についてでございますけれども、一つは、平成13年9月に稲庭高原風力発電所の運転を開始したこと、あと、これまで風力発電開発業務に関する一定のノウハウを蓄積できたというような事情がございまして、今後の風力発電開発業務につきましては、企業局組織のスリム化と業務の効率的推進を図るという観点から、業務課におきましては、水力発電業務と一体的に所管するということといたしまして、廃止したものでございます。

〇佐々木博委員長 柳村典秀委員の質疑の途中ですが、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時58分 休 憩
 

午後1時6分 再 開

〇佐々木博委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 企業局関係の説明に対する質疑を続行いたします。

〇柳村典秀委員 午前中の質疑でも明らかになってきているんですけれども、実は先ほどの減価償却の件ですが、帳簿上計上されている資産に対して非常に減価償却累計額は少ないと。その差額というのは、言ってみれば交付金ですね。国庫補助金とかそういったものが入っている分だということで、実は、例えばダムなどですと57年という長期のものなわけです。東北電力との契約では平成21年に切れて、その後どうなるかわからないというような話をしていますけれども、現実的に考えて、膨大な未償却の資産がある中で、それが例えばどこかに売るとかやめるとかというわけにはいかないだろうと実は思います。そういう意味では、常に企業局は、21年以降どうなるかわからないという話をされるんですけれども、私はこのまま東北電力との関係は続いていくのではないのかなと思っているのです。
 その点についてどう考えているかという点と、実は株式の投資をしている部分があります。これは10億円ぐらいあるのですが、今の現価に――時価ですね――換算しますと、例えば岩手銀行と東北電力だけ見ても30億円を超えるそれぞれの価値があるわけです。そうすると含み資産だって大変な金額なわけですよね。そういうことも、ただただ配当をもらっているだけでいいのかということもあるんです。そこら辺をどういうふうに考えているのか。例えば、その部分を工業用水道事業の方に持っていけば工業用水道事業はかなり楽になるのではないかという気もするわけです。これについてお聞かせいただきたいと思います。
 もう一点は、先ほど来、建設準備勘定とかいろいろ、あと修繕費を資産計上するか費用計上するかという話をしてきました。簗川の分は9、000万円余りあるし、北本内も8、000万円ぐらい実はあるはずですけれども、これはもう確実に損失として計上されるものが資産の中にいまだに入っているということなんですけれども、そうしますと、厳密にそういった振り分けというのは、規定にのっとって、例えば局長決裁によって操作できるというものなのかどうなのか。それができないのか、その点をお聞かせいただきます。
 そして、あともう一点なんですけれども、事業外資産として14億1、700万円という、帳簿上には土地として載っていますけれども、これは西口の開発に伴って県の施設として複合施設が今、工事中なわけです。この土地のことだと思うのですけれども、この土地というのは、なぜ取得して、建った後に今後どういう形態になっていくのか、その点をお聞かせいただきます。

〇宮舘経営総務室長 お答えする前に、午前中の私の答弁の中で数字のちょっと誤りがございましたので、訂正させていただきたいと思いますが、平成14年度から繰り越している建設準備勘定の関係でございますけれども、その地点と金額はという御質問でございましたが、北本内地点は800万円余とお答えいたしましたが、これは8、000万円余、今お話しがありましたとおりでございますし、それから南本内地点も300万円余ではなくて3、000万円余でございましたので、訂正させていただきたいと思います。
 それから、今御質問のありました件でございますが、工業用水道事業が厳しい中で、電気事業からその株式を工業用水道事業の方に回すとか、そういうことはできないのかというお話でございましたけれども、電気事業で取得した資産ということでございますので、これをその工業用水道事業の方に譲渡するといいますか、そういった形は実際にはなかなか難しいのではないかと考えております。電気事業会計から工業用水道事業会計の方に貸し付け等はやっているわけでございますけれども、午前中にもお答えしましたとおり、やはりその剰余金等については電気事業に関連する事業に使うというのが原則でございますし、貸し付けすることはできるわけでございますけれども、資産そのものを移すというのはなかなか難しいのではないかと考えているところでございます。
 それから、事業外資産として、固定資産として14億1、700万円のその西口の用地のことでございますが、この土地の取得目的でございますけれども、これは平成4年3月に、企業局の本庁機能を備えるということ、それから県民が利用できる健康増進とか科学技術の啓発普及などに役立つ施設ということも想定いたしまして、企業局会館を建設したいという当時そういう構想がございました。それから、県営公共駐車場の整備のための用地として、電気事業会計の資金で国鉄清算事業団から1万7、600平方メートルを取得したものでございまして、現在も企業局の財産ということになっているわけでございますが、これにつきましては、その後土地区画整理事業が西口で計画されまして、その1街区の面積が9、000平方メートルということでございましたけれども、換地等でその面積が9、000平方メートルに足りなくなりまして、それで盛岡市の所有地と企業局の他の所有地との等価交換を行いまして、仮換地後の1街区を9、000平方メートルということで面積を確保して現在に至っているものでございます。
 この複合施設につきましては、現在、行政サービス等の向上を目的として一般会計で整備されているものでございますが、企業局といたしましてはこの用地については、将来、知事部局の方へ譲渡することを予定しているものでございます。

〇邨野企業局長 ただいまの御質問の中で、東北電力との関係というものは継続するのかといったような御趣旨のお尋ねがございました。御指摘のように、現在、東北電力との間で結んでおります基本契約というものが、これが平成21年度まででございます。その後どのような対応になるかというのは、今後の東北電力との協議によるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、電力の自由化の進展に伴いまして、私どもも一般の卸供給事業から、さらには小売事業といったようなものも制度上できるような形になるわけでございますけれども、そういったような場合におきましても、実際に小売するような場合には東北電力の施設というものを借用しながらやっていかなければならないといったようなことがございます。また、卸売供給を続けるためにも、そういった東北電力のさまざまな配電線その他を使用する必要がございますので、私ども今後、平成22年度以降におきましても、東北電力とはそういったような関係で密接な関係が続くものと承知しているところでございます。
 それから、もう一点、建設準備勘定については局長の意思でもってこれは損失処理できるのかといったような御趣旨のお尋ねがございましたけれども、この建設準備勘定は、やはりその事業の進捗が客観的に明らかな段階においてこれは処理していくのが正当な処理でございまして、そういったような私の一存でもってちょっと早めて処理しようとかいったようなことはできない、そういった一定の客観的なルールに基づいて処理しているものでございます。

〇柳村典秀委員 それであればなお聞きたいということなんですけれども、実は企業局ではことしの1月に経営改革プログラムを策定いたしました。これを受けて3月には中期経営計画を発表しています。これの中で特徴的といいますか、民間的経営手法の導入等により、一層の経営効率化と経営基盤の強化を図るということが強調されているわけです。これを見ますと、では今までのやり方が悪かったのかなと。その民間の経営とかそういった話が強調されているのですけれども、具体的には、本庁の幹部に経営の専門的知識を有した民間人を採用すると、また、外部委員から評価・検証や経営に関する助言を受けると、また、民間の発想・手法の導入・応用のできる人材を育成するとあります。この人材の育成というのは、年間1人を民間の企業に派遣するという話みたいです。ただ、128人いる企業局の中の1人を派遣して、いかほどの効果があるかという気がするし、また、幹部職員に民間人を登用するという話なんですけれども、その方にどういうことを期待するのか。先ほど来、経営に関してはがんじがらめなわけです。ましてや民間とは違った特殊な電気事業法とか、いろいろな制約がある中で、何を期待してそういった民間的経営手法と言っているのか、そこをお尋ねいたします。

〇邨野企業局長 民間的経営手法のことでございますけれども、私ども企業局、極めて限られた業務ということから、これまで一定の業務をこなしていけばいいといったような時代が続いてきたのではないかと思っております。ただ、昨今、こういったような電力の自由化や工業用水道事業も、繰り返し申し上げているとおり非常に厳しい状況にございます。しからば、こういったような私どもの業務において、さまざまな競争を行っている民間での手法で取り入れるべきものがあればこれを導入しながら、今までの業務をより一層効率的なもの、すなわちコストを削減するようなものにつなげていきたいという趣旨から、こういったようなことを導入しようとしているものでございます。
 それから、民間人の起用の関係でございますけれども、委員もちょっとおっしゃったところでございますが、私ども企業局の事業は電気というもの、それから工業用水という、いわば極めて限定されました製品の製造を行っているもので、民間企業に比べまして多様な商品企画や、あるいは製品開発とのかかわりが極めて薄い状況にございます。さらに、取引先が、先ほど申し上げました東北電力あるいは工業用水のユーザーという限られた企業でございまして、市場が極めて限定されておりまして、しかも取引も相対的な取引というのでございまして、さらには、製造部門とも言うべき現場組織も極めて小さなものであるといったような特質があるところでございます。
 加えて、今後、企業局の経営形態のあり方の論議を行うわけでございまして、つまり望ましい経営形態や事業展開のあり方によって、その民間人に対する期待と役割が異なってくるといったようなことが考えられまして、そうした兼ね合いにも考慮していかなければならないと考えております。こうしたことから、当面は私ども職員の民間企業への研修派遣や、民間企業経営者を招いての研修を通じて、まず、みずからの力で民間的経営手法の導入を図ることから始めまして、そういった起用につきましては段階的に考えてまいりたいと思います。
 なお、民間企業への研修派遣は、職場でのリーダー的な存在である中堅を派遣しまして、その培った感覚というものを職場全体に広めていけるような配慮をしてまいりたいと考えているところでございます。

〇柳村典秀委員 私は、企業局がなぜこれほどまでに利益剰余金をふやしてきたかというと、民間ではない感覚でかたくなに利益を留保してきたと、積み立ててきたという結果がこういうことになっているのではないのかと実は思っているところです。ただ、これからは果たして例えばそのことが県民にとって有益なことなのかどうなのか、あるいは、ただ電気の単価を下げることのみにきゅうきゅうとして、そのことだけでいいのかという、いろんなことが求められてくるのではないのかなと。特に、その民間の普通の企業であれば、電気事業と工業用水道事業というのは一つの部門で、一体で企業局というその経営体だと。ところが、余りにも縦割りで、本来は合算して幾らの利益だとなるのが、全く融通がきかないわけですよね。片や莫大な利益を出している、片や累積赤字があると。これがどうにもならないということが私は問題ではないのかなと。中期経営計画では、例えば平成16年に工業用水道事業4、900万円の利益と、平成17年は800万円、平成18年は2、200万円と推定しております。そして、実は工業用水道事業の場合、平成15年度ベースで見ますと、他会計の借入金の返済金、そして企業の償還金、あわせて5億円を超えているんですけれども、5億6、000万円ありますね。本当はこの返済の原資というのは減価償却費と利益なわけですけれども、これを足しても約4億円しかないと、不足するのが1億6、000万円だと。これを今まで電気事業からやったり一般会計から繰り出したりして資金をやりくりしていると。この状態、さらにまた来年以降悪くなるんですけれども、言ってみれば自転車操業で、めどがよくなるという見込みは全くないと私は思うのです。だから、抜本的に例えば電気事業会計から10億円の出資金を出すとかしてそちらの方を助けない限り、この状況はずっと続くと思うのですが、これらについてどう考えるかをお聞きして最後といたします。

〇邨野企業局長 お尋ねがございました私どもの企業、一言で言えばそれぞれ硬直化しているのではないかといったような御趣旨だと承りました。これは公営企業の制度上、個々の企業についての独立採算といったような分離が、これが求められておるところから、そのようなことになっておるわけでございまして、この二つの事業をあわせた、いわば両方した連結決算で見ますと、非常にそれでは黒字のような形態になるわけでございますけれども、そのような独立採算といったようなことを求められておることから、こういったような状況になってきているものでございます。
 それから、余剰資金の活用といったような御指摘もございました。確かに電力自由化等でさまざまな規制の緩和が行われている中、私自身もこういった独自に運用した資産にまで制限を加えられるのはいかがなものかという気持ちは多分に持っているところでございまして、私どものみならず各公営企業の電気事業者はそのような思いでございますので、こういったようなことは電力自由化が進む一方で、あわせてそういった制度改革の中で私ども国に対しまして、引き続きそういったような自由なその活用の方途についても、強く要望を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、工業用水道事業会計の関係で、電気事業の資金を活用すべきではなかろうかという御趣旨、これは確かにそういったような損益がそれぞれアンバランスであることからすれば、ごもっともな御意見ではなかろうかと思います。しかしながら、ただいま申し上げましたような制度上の問題ございます。加えて、この工業用水道事業、特に第三工業用水道事業等を開始する際には、収支が均衡するにはあらかじめ長期的な期間がかかるのだということが見込まれておりましたところから、当時から一般会計との間で、企業会計が努力してもなお不足する分については、応分の支援をするといったようなお約束がございまして、そういったことで今、続けておるところでございます。もとより私どもはその約束に甘えるつもりはございません。あたう限りの工業用水道事業の効率化に努めながら、一日も早く本来の健全な工業用水道事業会計の経営になるように努力してまいりたいと存じているところでございます。

〇伊沢昌弘委員 平成15年度の決算を企業局の分、見させていただきましたが、企業局の所管する電気事業会計・工業用水道事業会計とも、収益的収支において単年度純利益を計上されたという形での報告がございました。関係職員の皆さんもかなりの御努力をしてきたのではないかなということで、まずもって敬意を表したいと思うわけであります。しかし、これまでも議論がありましたように、電気事業においては電力自由化が目前に控えていること、工業用水道事業も厳しい経営状況の中で新規需要が進まない、多くの未売水解消が課題になっているなど、今後さらなる経営改革の推進が求められているのも現状でございます。
 このような中で、企業局は昨年度策定をしたプログラムの基本方針に基づいて、中期経営計画が3月につくられたという中で、いろいろとコストの削減等に取り組んでいることが示されているところであります。
 質問の第1点は、このプログラムに関連して伺いたいと思うわけでありますが、私これ原稿を書いたのはきのうの朝でございまして、朝の新聞で先ほどお話しのありました、あり方懇談会が成るということで、それがわかっていればもっと違う形で書けたなという思いもするのでございますけれども、関連をしながらお伺いをしていきたいと思います。
 この中で、プログラム、中期計画の中で公営企業の地方独立行政法人化制度の導入も含めた検討とあります。懇談会の中では民間化も含めてと、株式会社化も含めてと、こういうふうに一歩踏み込んでいるところでありますけれども、企業局の今の組織と、それから地方独立行政法人化、もしくは会社組織になった場合のこの組織の違いというのはどのような形になるのでしょうか。今、柳村典秀委員がいろいろお話をしてきた電気事業会計とか工業用水道事業会計のやりとりとか、いろんな分野を含めて、これは改善されるものなのかどうかも含めて、ここはまずお示しをいただきたいものだと思っています。
 私は、企業局、これまで努力してきたし、経営改革のもとでいろいろやっていく中では、すべてをこの独立行政法人化に直ちにするという必要はないのではないかと思っている者でございますけれども、組織を変えた場合の開発の面でのメリット、または営業面の中でどのようなメリットがあり、また、デメリットがどのようなものが想定をされるのか。これまで企業局としても検討されてきていると思います。あり方懇談会に丸投げをする気はないと思うわけでありますけれども、その辺の検討状況についてお伺いをしたいと思います。

〇邨野企業局長 現在の企業局と公営企業型の地方独立行政法人などとの組織の違いについてでございますけれども、まず第1に、主なものだけちょっと申し上げてみたいと思います。法人格につきましては、現在はあくまで県の内部機関でありまして、地方公共団体そのものの業務として行うのに対しまして、地方独立行政法人は、県とは全く別の民間法人というような位置づけになるというところでございます。
 二つ目は、組織の長につきましては、企業局の管理者は、県を代表して公営企業の業務に当たることとなってございますけれども、独立行政法人の長である理事長は、知事が策定した中期目標を達成するため、知事に承認された計画に従って業務を執行する責任を負うということにとどまるようなこと。それから、三つ目としましては、管理者等の身分につきましては、県の内部機関である企業局の管理者は当然公務員でございますけれども、地方独立行政法人と理事長は非公務員であるといったようなことの違いがあろうかと思うところでございます。
 また、お尋ねのございました開発や営業面でのメリットということについて考えてみますと、例えば設備投資が中期計画に盛り込まれた内容にこれは制約されるといったようなことや、長期資金の調達先というのが県に――地方公共団体、本県で言えば岩手県になるわけでございますけれども――限られるといったようなこと。こうしたことから、こういったような分野では現行の地方公営企業制度と比較して、特別なメリットは薄いのではないかと考えられるところでございます。しかしながら、一般的には、計画的な業務運営の管理の確保が期待されるといったようなこと、自立的な組織や人事の管理が可能となるなど、機動性や弾力性に富むものというふうに言われていることを承知しているところでございます。
 いずれにいたしましても、この独立行政法人化を含みます将来の経営形態のあり方につきまして御検討いただく有識者の懇談会におきまして、岩手県の抱えておりますこの公営事業の実情、これは単に、電気で申し上げますと電気をつくるだけでございません。農業用水の管理等その確保も担っておるわけでございますが、そういったような本県公営事業の実情を踏まえた、これらの今申し上げましたような各経営体の特質についてもさまざまな御意見を伺うなどしながら、今後さらに詳細な検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

〇伊沢昌弘委員 余り理解できないのですけれども、メリットが薄いとうところだけ印象に残りました。計画を立てて独立行政法人になった場合、今、知事がやったものを粛々と非公務員の理事長が経営をしていくと、今の局長のやり方とどこが違うのかなという部分でいけば、公務員と非公務員の違いだけであるような気がするところであります。
 そこで、ちょっとお伺いしたいのですが、電気事業等について各県も企業局でやっていた部分が民間に資産を売却して全部やってしまったと。例えば、東北電力管内であれば福島県だったと思うのですけれども、そういう形でやったと。これは独立行政法人ではなくて完全に事業からの撤退なわけですけれども、そういったケースの際に、言ってみれば県が先ほど来お話しのありました資産勘定、内部留保を含めて一つはプラスの面があると。それから借金の起債のところもあると。本県の場合は多分起債が全部償還できる能力を今、持っていると思うのですけれども、そういったところでいけば、受け入れ先というのがあるとすれば、電気事業については、私はきれいな形で清算ができるのではないかと思うのです。ただ、工業用水道事業の場合は、研究させていただきますけれども、施策との関連で第2次産業、工業団地を造成する中で雇用の拡大なり、いわば県政の中での経済のプラス面を得ると、こういうところで大きなウエートを占めていると思うので分けて考えなければならないと思うのですが、他県における企業局関係で、今申し上げたように電気事業なり工業用水道事業の関係で動きがあるとすればお示しをいただきたいと思います。

〇邨野企業局長 公営企業のあり方に関してでございますけれども、委員お尋ねのように、当然電気事業と工業用水道事業はその置かれている性格、それから資産内容等その他も大きく異なっておるところでございます。特に工業用水道事業におきましては、これは極めて政策的な観点から本県が導入したものでございまして、その一翼を私どもが担っておるわけでございます。この成果につきましては今さら申し上げるものではございませんけれども、多くの成果を持っておるものでございます。こういったような特質を考えますと、これらの今後のあり方については、当然工業用水道事業と電気事業とは区分しながら考えていくべきものと存じておるところでございます。
 なお、工業用水道事業につきましても、福島県は一部市町村の方の組合、市町村の方へ移管するといったような計画であるということも伺っておるわけでございますけれども、私ども現実には県の工業用団地といったような地域もございますので、そのようなことは現時点では考えられないところであろうと思っておるところでございます。
 いずれにいたしましても、こういったようなそれぞれの事業と置かれている立場といったものの特質も踏まえながら検討をいただき、そしてまた、私たち自身も検討してまいりたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 わかりました。今の段階で移行するとかという話ではありませんので、あり方懇談会の中身も見ながら、また議論させていただきたいと思います。
 1点だけ、あり方懇談会についてであります。6人の委員さんということで新聞報道あったわけでありますが、大学の教授や首長さん、その他識者の方々となっていますが、この選考された基準とかいろんなものがあったのでしょうか。また、公募されたのかどうかも含めてちょっと定かでありませんので、そこだけ教えていただきたいと思います。

〇宮舘経営総務室長 企業局のその望ましいあり方を検討していただくその懇談会の設置の考え方でございますけれども、企業局はいろんな課題を抱えているわけでございまして、今後どのようなあり方が望ましいのかということにつきまして、先ほど来お話しのありました独立行政法人化だけではなくて、例えば民間に譲渡するとか、あるいは極端な場合は廃止とかといった幅広いその選択肢の中から御意見をいただくということから、この企業経営に詳しい民間企業の方とか、あるいは有識者、大学の先生、それから直接その電気事業とか工業用水道事業に関係のある首長さん、そういった方々から成る6人の委員をお願いしたところでございまして、今、公募したのかというお話がございましたけれども、公募はいたしておりません。

〇伊沢昌弘委員 わかりました。いろんな検討の過程の中で、やはり企業局が果たしてきた役割、県がやってきたのだというところを全部なしにして次のところに移ればいいんだという視点での検討だけは、ぜひ慎重にやってもらいたいと思っております。私は今でも独立行政法人化は必要ないと、民間も含めて必要ないのではないかという視点をまず申し上げておきたいと思います。これを言ってしまうとあとの質問が本当は続かないわけですけれども、現状について若干お伺いをしたいと思います。
 新エネルギーの開発についてもこの間いろいろ努力をされてきているところであります。水力や風力発電も含めて稲庭高原風力発電所も稼働していると。先ほど来からお話しありましたように、平成15年度の計画電力量の57%までいわば供給ができたという見方も、逆ではできるのではないかという思いをしております。そこで、稲庭高原風力発電の開始以来、機器のふぐあい、落雷被害など、当初の段階では予想できない事故が発生をしてきたわけであります。正常運転に向けたこれまでの対応の中で、技術的にも貴重な教訓といいますか、そういった課題等も把握をされたと思われるところであります。その内容、教訓なり課題なりの内容と、今後の新エネルギー開発に生かせる点があるとすれば、どういうものがあるのかをお示し願えればと思っております。企業局のホームページの中の電力発電のページを見ますと、詳細に書かれている部分もあるのですけれども、改めて御説明をいただきたいと思っております。
 また、水力発電につきましてもRPS法に基づいて小水力電力を中心に開発を進めるという部分もプログラムにあるわけでありますけれども、これまで行ってきた開発の可能性とか、東北電力との供給契約も含めてこれは必要になると思いますけれども、東北電力との供給契約に向けた取組状況についても教えていただきたいものだと思っております。
 あわせて、電力自由化による競争激化に対応するために、安定供給能力の向上や平成18年度までに3カ年で10%のコスト削減を中期計画に盛り込んでおりますけれども、具体的な取組方針、先ほど来も委託で何%云々と出ているわけでありますけれども、人件費の問題も含めて詳細な計画があると思いますけれども、現時点でわかるだけの具体的なコスト削減の方向性についてお示しをいただきたいと思います。

〇壽企業局技師長 まず、稲庭高原風力発電所の事故から得た教訓はどんなものがあるかということでございまして、今後の開発に生かせるものは生かしたらどうだというお話でございます。
 稲庭高原風力発電では、平成13年度の運転開始以来、機器の故障等で相当予定していないふぐあいが発生しまして、その復旧に努めてきたわけでございますが、その中から一番重要に感じた点というものを三つほど挙げてみたいと思います。
 まず、一つとして、海外製の機器を導入する場合は、設計基準や自然環境などについて、日本との違いを十分考慮する必要があるのではないかということでございます。2番目といたしましては、機器の選定には、特許技術供与契約書等の有無も確認する必要があるということでございます。それから、三つ目といたしましては、機器の試験調整期間を十分にとる必要があるということを感じております。このような教訓を得たと考えておるわけでございますが、今後はこれらの教訓を生かしながら、次の新エネルギーの開発に取り組んでまいりたいと思っております。

〇伊沢昌弘委員 いろいろな課題があったと思いますけれども、ホームページの中のこれを見させていただきますと、今後の課題の中にもまだまだ解決をしなければならない課題が残っているやに記載をされておりますので、今後の開発にぜひ生かしていただきたいと思います。
 工業用水道事業についてお伺いをしたいと思います。
 工業用水道事業の経営安定策は、未売水として残っている供給可能な水を新たに契約していくことが最も有効な対策だと思うわけであります。このため、長年にわたりまして県の誘致担当部とも連携して対応してきていると思われますけれども、先ほど来も御答弁がございました現下の厳しい経済状況を反映して、なかなか成果が見えない現状にあるところであります。各部との連携については具体的な御答弁もあったわけでありますけれども、私は1点だけ、企業局が独自で進める施策といいますか、連携をしなければできないわけではなくて、企業局が独自にこの誘致対策なり未売水対策を含めてやっていくことが必要だと思うわけでありまして、これまでの対応と今後の対策方針についてもお示しをいただきたいと思います。
 もう一点いきます。財政見通しについてであります。
 平成15年度末の企業債残高66億3、000万円余と計上されております。中身を見ますと、企業債の残っている中で、金利が5%、そして6%を超える金利の企業債も相当数含まれております。一方、平成15年度の企業債支払い利息は2億8、600万円と、費用の27.9%と掲載をされているところであります。人件費や委託費のように急激に減額をできない、削減できないものがこの支払い利息だと思うわけでありまして、今後、収支バランスに大きくのしかかってくるのではないかと危惧されるところであります。
 そこで、伺いますけれども、企業債償還に係る支払い利息の今後の推移についてお示しをいただきたいと思います。先ほど電気事業にかかわる企業債のピークがあって、以降、下がるというお話もあったわけでありますけれども、工業用水道事業に係るこの66億円の企業債の分の見通しについてお示しをいただきたいと思います。
 あわせて今後の財政見通しについても、計画には載っているようでありますけれども、私、見ておりませんので申しわけありませんが、今後の工業用水道事業の財政見通しについても改めてお伺いをしたいと思います。

〇壽企業局技師長 まことに申しわけございません。答弁漏れがございましたので、先に答弁を申し上げます。今後の水力開発について開発の可能性や東北電力との契約状況の取り組み方を示せというお話でございます。
 企業局は、これまでクリーンなエネルギー、つまり水力開発を行ってきたわけでございますが、しかしながら、電力需要の低迷、電力自由化などの電気事業を取り巻く情勢において、新規開発が非常に厳しい状況にございます。このような中で、平成15年4月にRPS法が制定されたわけでございまして、水力の場合は、水路式の1、000キロワット以下が対象となります。これを受けて、県内全般におけるRPS対象の有望地点を探索し、小水力開発の可能性評価、事業化の検討を実施しているところでございます。また、1、000キロワット以上の新規開発についても、電力会社の動向を注視しながら、水力開発へのニーズが高まった場合、直ちに開発に着手できるよう、基礎調査を続け準備を進めていく考え方でございます。
 それから、新エネルギーの開発に向けた取組状況でございますが、電力自由化が進む中、電力会社と新規参入者間で競争がさらに激化し、卸供給を行っている企業局についてもその影響が及ぶことが十分予想されるところでございます。このため企業局におきましては、中期経営計画を策定し、電力の安定供給や発電コストの低減に努めていくこととしております。具体的には、老朽化が進んできている施設の修繕・改良を行い、機器の信頼性を向上させることにより、電力の安定供給能力の向上に努めるものでございます。また、さらにコスト低減につきましては、効率的な設計や計画的な工事の実施をすることによりましてコスト低減、それから組織の見直し、人件費の削減、事務的経費の削減等に努めてまいりたいと考えております。

〇菅峨経営企画担当課長 先ほどの発電コスト、3年間で10%低減というこの中身でございますけれども、まず人件費につきましては対前年度比1.5%程度の減を3年間見込んでおります。それから、旅費、消耗品等の事務的な経費、これらについても3%程度と、それから工事費につきましても二、三%の低減することを見込んでおります。そのほかに支払い利息の低減といったものもありまして、トータルで10%としておるところでございます。

〇宮舘経営総務室長 工業用水道事業の企業債の償還に係る支払い利息の推移、今後の見通しでございますが、この支払いのピークは、平成13年度で3億1、300万円余となってございまして、平成14年度は2億9、700万円余、昨年度は2億8、500万円余と減少傾向にございます。今後の財政見通しについてでございますけれども、企業債の償還に係る支払い利息は今後とも低減するものの、平成16年度で、先ほど申し上げています富士通からの経営負担金が終わります。それから、設備の経年劣化によります修繕費の増加が予想されまして、これまでのような利益の確保はなかなか難しくなってくるのではないかと見込んでおります。このため、今後の経営に当たりましては、平成15年度に策定いたしました中期経営計画を踏まえまして、優先順位あるいは費用対効果等を勘案しながら、施設、設備の計画的な改修に努めるほか、工事費、委託費の見直しを図るなど、可能な限りコスト削減の経営努力を行ってまいりたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 答弁漏れを無視して質問して大変失礼しました。御丁寧な答弁ありがとうございました。
 見通し含めて企業債だんだん減っていくということでありますけれども、見ますとなかなか、あとかなりの期間償還の期間が残っているのもいっぱいありますので、これからも必要になれば企業債発行もあり得るのかなと思うので、これは健全な形での取り組みをぜひお願い申し上げたいと思っています。
 最後に、企業局としての危機管理体制についてお伺いしたいと思います。
 今までの御答弁でも、これからの例えば発電における取水の関係だとか、いろんな分野で補修をしながら取り組んでいくという形で、機器の見直し等々含めての取り組みがあるようでありますけれども、自然災害関係についての管理体制、その他の危機管理についてお伺いしたいと思います。
 岩手山の火山活動も沈静化をいたしまして、入山禁止措置が解除されまして登山者が岩手山に戻ってきておる。未曾有の被害を生じた阪神・淡路地震からも9年を経過しているところであります。しかし、直下型の地震の危険性、火山の噴火などの危険性は県内にも存在していると思われるわけであります。加えて、ことしは温暖化の影響とも言われる台風が日本に数多く上陸をし、記録的な被害を各地にもたらしたわけであります。災害は忘れたころにやってくる、先人は言っているわけでありますけれども、市町村、県においても、自然災害対策についてはこの間いろいろな対策を講じてきているところでありますけれども、いかなる対策をとっても万全とは言い切れないものであります。対策のマニュアル化や遠隔操作における予備的な回線の確保対策などは、企業局にとっても大変重要なものだと思います。災害発生時に大いに力を発揮するものではないかと思われるところであります。
 そこで、お伺いいたしますけれども、企業局においては、発電設備や工業用水道、上水道、送水管含めて大いなるこの多くの施設があるわけであります。防災や減災対策、耐震に対しての調査などどのように進めているのか、お伺いをしたいと思います。

〇宮舘経営総務室長 先ほど企業局独自の誘致対策について御質問ございましたので、お答えいたします。
 実は企業局といたしましては、企業誘致を単独で行うということはなかなか難しい状況でございまして、県の関係部局、それから北上市や金ケ崎町等で構成する組織がございますので、そういった組織を通しまして誘致活動をやったり、あるいは企業ネットワークいわてに参加したりして、工業用水道事業のPRをやってきているところでございます。
 企業誘致そのものにつきましては、やはり立地環境とか、アクセスとか、優遇制度など多様な条件を考慮して進められると考えておりますので、企業局だけではなくて関係機関と一体となって今後も取り組んでいきたいと考えております。
 なお、企業局独自といいますか、企業局といたしましては、超過水量が発生している企業もございますので、そういった企業に対しましては個別に訪問いたしまして、さらなる増量を要請しているところでございますし、また、受水企業との懇談会等の場を通じましていろいろ要請を行ってきております。今後ともこういった活動は続けてまいりたいと考えているところでございます。

〇南舘業務課総括課長 最初に、午前中の高橋雪文委員への答弁に対して訂正がございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 風力発電の関係ですけれども、費用対効果、現時点でどのように把握し、最終的に企業会計に見合うものかというところでございますが、平成15年度末までの純利益の累計額を980万円と申しましたが990万円でございますので、訂正をお願いしたいと思います。
 それでは、危機管理体制に対して答弁いたします。
 企業局では、現在14発電所と6工業用水道施設の運転、維持管理を行っております。これらの施設は、常に危機管理意識を持って、定期的に巡視点検を実施し常に良好な状態に保つとともに、24時間体制で施設、気象情報、水質を監視し、常時自然災害に対応できる体制をとっております。
 また、災害発生に備えまして、職員の非常招集訓練や情報収集伝達訓練を実施し、防災対策を講じております。
 減災対策につきましては、岩手県地域防災計画を基本としまして企業局災害応急対策マニュアルのほか、工業用水のもととなる河川への油流出及び水質悪化等に備えた工業用水道事故対策マニュアルを定めまして、自然災害が発生するおそれがある場合及び発生した場合においては、情報収集、被害の拡大防止、事故復旧等に即時対応できる体制をとることとしております。

〇伊沢昌弘委員 やりとりの中で聞かなければならない部分が後で答弁ありましたので、忘れてしまったこともございましたが、工業用水道事業の独自の部分での対応、企業局全体の企業努力のことでだったのですが、一つ、企業局も努力されているなというのは実は、先ほどホームページの話をしましたけれども、中身を大変変えて見やすくなっている部分とか、工業用水道の水質の状況だとかいうようなものも載っていると。もうちょっとPRをされた方がいいのかなと思っているところであります。ただ、アクセス件数が、私が見た段階で1万8、160何人ぐらいだったものですから、若干少ないなということも、今後いろんなところで見てくださいと、いろんな意見もいただきたいということでの努力もしておけばいいのかなという思いでお伺いをしたところであります。
 いろいろ御答弁をいただきました。大変厳しい中で、企業局が今の体制の中でこれまでの財務を整理しながら、計画に今、向かっていると。その中で出てきたのが冒頭申し上げましたあり方懇談会の今後の課題だと思います。重ねて申し上げますけれども、企業局がこれまで果たしてきた役割と、今後、県に対する行政との連携なりの視点をぜひ失わないような形での検討をお願い申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。

〇佐々木博委員長 答弁者に申し上げますが、簡潔明瞭にして答弁漏れのない御答弁をよろしくお願いいたします。

〇斉藤信委員 ぜひ簡潔明瞭に、二、三回に分けて聞きますので、一つは風力発電について。たくさん質問がありましたからダブらない程度で。
 稲庭高原は達成率57.1%でした。私は、今後の見通し、改善点、これを示していただきたい。
 二つ目は、高森高原の開発見込みですね。東北電力との交渉内容も厳しいと聞いていますが、この見通しはどうなんでしょうか。
 そして、それを踏まえて今後の風況調査、その必要性についてどのように吟味されているか、これが第1点です。
 第2点はダム負担金の問題ですが、北本内ダムの負担金、その処理状況。
 二つ目に、簗川ダムの負担金とその処理状況。
 そして、そのダム負担金の返還スキーム、これはどうなっているか。どういうスキームで協議すべきことなのか。そして、今処理すべき皆さんの負担金の根拠。その事業費の額も示していただきたい。

〇南舘業務課総括課長 風力発電の今年度の状況と改善点を示せということです。これについては、改善策としまして、先ほどもお話ししましたが、雷警報装置の設置や制御プログラムの改良を実施したところであります。その結果、現在までのところ落雷による重大な損傷は発生しておりません。また、風車もうまく追随し、売電電力量も増加しております。なお、今年度の達成率は9月末現在で85.7%に回復しております。
 それから、高森高原の開発の見込みと東北電力の交渉内容についてということですが、稲庭高原に続く風力発電の有望地点である高森高原において、平成15年度に基本設計及び環境影響調査を実施し、本年度は測量と地質調査を実施しております。東北電力では、平成15年度以降の風力発電所について、個別交渉による受け入れは行わずに大規模なものは入札、小規模なものは抽選により検討順位を決めまして連系候補者を決定することとしております。そのため、高森高原は現在、東北電力の募集に備えているところであります。
 それから、風力発電の今後の風況調査とその必要性ですが、クリーンエネルギーである風力発電は、国、県ともに導入を推進しております。企業局といたしましても高森高原に続く地点を調査するため、2カ所程度で風況観測を行う予定をしております。なお、風況観測後の調査設計については、東北電力の動向を見ながら進めることとしております。
 それから、北本内ダムの負担金とその処理状況ということですが、北本内ダムは、ダム負担金として平成4年度から12年度までに2、036万4、000円を支払っております。現在、県土整備部においてダム負担金の清算事務が行われており、残存物件の処理を完了し次第、清算の協定をすることとしております。
 それから、簗川ダムの負担金とその処理はどうなるかということですが、簗川発電所のダム負担金は平成4年度から15年度までに5、441万5、000円を支払っております。また、平成16年度のダム負担金はゼロ円であります。負担金の返還につきましては、県土整備部より、現行の補助金制度では難しいと回答されていますが、返還が可能となるよう協議を進めてまいりたいと思っております。

〇壽企業局技師長 ダム負担金の返還スキームについてどうなっているのかということでございますが、ダム事業から利水者が撤退する場合、国の直轄ダムが対象となる特定多目的ダム法ではもともと還付の規定――これは法の第12条でございますが――がありますが、河川局は平成15年度にその具体的なスキームを定めたものであると承知しております。しかしながら、河川法に基づき設置される補助ダムについては、河川法には還付についての規定がないものと承知しております。それで、これまでかかった北本内ダムのダム負担金でございますが2、063万4、000円でございます。それから、簗川につきましては5、441万5、000円となっております。

〇斉藤信委員 ダム負担金の問題で、河川局の場合は還付のスキームがあると、補助ダムの場合は定まっていないと。しかし、こういう場合は準じてやるというのが私は当たり前なことだと思うので、ぜひ、特に北本内ダムの場合は、これはダムそのものをやめたために結局発電ができなくなったわけだから、これはもう本当に請求する権利があるし、簗川の場合も、私ちょっと聞きたいんだけれども、今までの5、441万円というのは何に使われたのか。発電用としてこれから事業費が削減されると、見直されますからね。そうした場合にそこに吸収されて、今まで払った分は返還しても全然そのダム建設事業に影響ないと思いますけれども、何に使われたと見られるのか示していただきたい。例えば、盛岡市の利水の場合はダム高にかかわりますから、その分の用地の買収にかかっているんですよ、利水の場合だと。発電の場合だとどこにかかるのかということですよね。私は、事業費が見直されればそれはどこを買ったとかとならないのではないかと思うので、その点についてちょっと改めてここはお聞きしたい。
 話、進みます。工業用水道事業の見通しですね。富士通からの経営負担金がなくなると、これからは修繕費の費用がかかるということで工業用水道事業の経営というのは大変厳しくなるんだけれども、これへの中期、長期の対応策、これを示していただきたい。
 あわせて、これ収支を見ると、皆さんからも指摘ありましたが、工業用水道事業の場合は支払い利息というのが2億8、600万円、費用全体の27.9%を占めているんですね。これがもう一番大きいわけです。この支払い利息が大きい理由は何ですか。そして、具体的には高利率のいわば繰り上げ償還ということを経営改善計画でも出ているけれども、これの具体的な実態、どういう利率なのか。企業局としてはどういう――政府資金が70%ですからね――改善を求めて、そしてそれが実ればどういう改善が実現するかも示していただきたい。
 工業用水については、未売水ですね。実際に使われているのは計画給水量の48%ですよ。半分以上使われていないんですね。この未売水を、一時期は入畑のものを水道で浄水に使おうという話もありました。農業用水とかさまざま、そういうものに本当に使用が可能なら、率直に言えばむだなダムをつくらなくてもいいということになるんですね。そういういわば企業誘致だけでなくて、今確保した水をそういう形の有効活用というのは可能なのかどうか、それを示していただきたい。

〇宮舘経営総務室長 工業用水道事業の対応策でございます。
 工業用水道事業につきましては、今後、施設の改良とか、いろいろこれから経費がかかるというようなこともございますし、先ほど来お話ししておりますように、収入面で減少になるものも出てくるということで、大変厳しい状況であると考えております。
 そういう中で、中期の経営計画を昨年末につくったわけでございますので、この中には、富士通からの経営負担金も、当然減少するということを織り込んで策定しております。平成18年度までの間に、各年度平均して2、600万円、3年間で15%の累積欠損金を削減するという数値目標を設定して、これに今、積極的に取り組んでいるところでございます。
 ただ、企業債の支払い利息が費用の28%近くあるというお話でございまして、この工業用水に係る企業債の繰り上げ償還の状況でございますけれども、国の経営健全化対策にのっとりまして、7.1%以上の高い金利のものにつきましては繰り上げ償還を実施しておりますが、7%以下のものにつきましては、現在も毎年、利息を含めまして元利償還をしているという状況でございます。これについて繰り上げ償還してはいかがかというお話だと思いますが、繰り上げ償還する場合ですと、国から利息相当分といいますか、その補償金を求められておりまして、それを支払う、例えば一括繰り上げ償還していくという場合も、その財源の問題とか、今お話ししたような補償金の問題等がございまして、なかなか大きなメリットがないということがございますので、現在のところは、計画にのっとって計画的に償還していきたいと考えているところでございます。

〇邨野企業局長 まず、簗川ダムの負担金の件でございますけれども、これまでに支払われました負担金につきましては、ダム全体の工事費に使用されていると伺ってございまして、どの部分に使用されるといった区別はできないといったようなことでございます。
 なお、この簗川ダムの負担金につきましては、現行の河川法上、さまざまな課題があると承知しておるところでございます。しかしながら、この発電事業の計画は、ダム放流量を利用した完全充足式の発電所でございまして、撤退によってダムの規模にも大きな影響を与えるようなものではございません。そういったようなことから、県土整備部に対しましては、私どものそういったような事情も理解していただくように努め、応分の返還についても求めてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、工業用水の未売水の関係でございますが、私ども、そういったような企業の誘致あるいは増量要請というもののほかに、あわせて、本日、高橋委員の御質問にもお答えしましたとおり、未利用水の転用といったようなことも視野に入れて、現在さまざまな検討を進めておるところでございます。
 農業利水への検討につきましては、今、国との情報交換をやっているところでございまして、必要量を残しながら、そういったような未売水の転用を行いながら、こういった経営改善全体に資するよう今後の方策を考えてまいりたいと存じております。

〇斉藤信委員 聞いたことの答弁漏れもあるけれども、いいですよ。
 じゃ、最後、企業局の中期経営計画について、これは3月定例会が終わってから出たので、私は予算のときにも、議会にこそ示すべきだと指摘しましたが、やっと見せていただきました。
 この中期経営計画の核心について述べていただきたい。核心、中心点。
 それと、独立行政法人化との対比は先ほども議論がありましたので、私は、この中期経営計画の中で、地方公営企業の役割、存在意義の確認というのが平成15年度の仕事でした。そして、平成16年度はメリット、デメリット等の調査研究となっていて、それを踏まえて組織検討委員会による検討というスケジュールですね。これをぜひ整理して、簡単でいいからお話ししていただきたいんだが、地方公営企業の役割、存在意義というのを整理するとどうなるのか。メリット、デメリットの調査研究の結果はどうなったか。このことをできるだけ簡潔に示していただきたい。
 もう一つは、全国的にさまざまな対応がありますから、今掌握している他県の動向、対応についても紹介していただきたい。

〇邨野企業局長 中期経営計画の核心ということでございまして、中期経営計画の核心は、これは、私ども平成16年度からの3カ年にわたる経営目標や収支計画などを具体的な数値として掲げたことにあろうと存じております。具体的に申し上げますと、電気では年間5億6、000から7、000万キロワットアワーの電力を安定して供給していくこと、3年で10%程度、年平均1億3、600万円の発電コストを低減していくこと、それから、工業用水道事業については、日量4万2、000トン程度の用水の安定供給をしていく、それから3年間で15%程度、年平均2、600万円の累積欠損金の削減、こういった具体的な目標を掲げながら、これから取り組んでいくということでございます。
 また、収支計画といたしましても、電気では年平均6億円程度の純利益を確保しよう。それから、工業用水道事業では年平均2、600万円程度の純利益を確保すること。これによりまして、今申し上げました累積欠損金の削減に努めていくといったようなことにしておるところでございます。
 それから、企業局のあり方の関係でございますけれども、昨年度、企業局のどういったような役割の整理をしたかということでございますが、公営企業としての役割は時代とともに変化してきているのではなかろうか。かつては、やはり資金が世の中で潤沢でない、また電力が不足していたような状況におきましては、ある程度資金を融通できやすい地方自治体が中心となって、この発電事業といったようなものを行ってまいったところでございます。しかしながら、現在は民間企業の資本力、技術力もこれまた大いに向上してございまして、独自に多くの資金手当ても可能であり、我が国の電力を賄うことができるような状況にございます。
 こういう中、公営企業の私どもの役割で大きな変わった点と考えておりますのは、今後、私ども公営企業の発電は、水力発電が全国的に中心でございます。これは、環境への負荷を低減させていくというような、環境問題の関係から、この役割というものが再び、私どもも重要であろうと考えておりますし、これは国でのさまざまな機関でも、そのような意義を認めているところでございます。
 そういったような違いを踏まえまして、これから具体的な私どものとるべき、県営でいくべきかどうか、現状のままでいくべきか、どういったような方途がいいのか、その具体的なメリット、デメリットについても、繰り返し申し上げましたとおり、さらに具体的な検討をこれから進めてまいらせていただきたいと考えております。

〇宮舘経営総務室長 企業局の今後のあるべき姿といいますか、民営化等の検討の状況、各県の状況でございますが、広島県の企業局では、平成14年度末に中国電力に電気事業を譲渡済みでございます。それから、長野県では、平成15年度に電気事業を中部電力の方に譲渡する方針を打ち出しております。それから、和歌山県では、平成16年度、本年度、電気事業を関西電力の方に譲渡して、企業局を廃止するというような方針でございまして、各県重立った動きといたしましてはそういったところがございます。
 東北でも、青森県では、10年後には企業局を廃止したいということも聞いておりますし、工業用水道事業について、例えば外部委託するとか、そういったことも検討しているようでございます。それから、秋田県でございますが、秋田県も、企業局は廃止して、公営企業としての存続は図るんだけれども、知事部局の方に移管するということとか、工業用水道事業については外部委託を進めたいということとか、いろいろ今、各県が検討しておりまして、やはり環境を取り巻く変化といいますか、そういったものに対応していくための検討を各県とも現在やっているところでございます。福島県も、今後5年ほどで企業局を廃止したいということで、いろいろな動きが現在出てきていると承知しております。

〇斉藤信委員 本当の最後です。
 私は、風力発電などの新エネルギーは、局長が言われたように、今、大変21世紀に求められている課題だと思うんですね。これをぜひ独立採算で企業局が役割を果たせるように頑張っていただきたい。
 それと、工業用水、これは県行政の先行投資ですよ。だから、ある意味でいけば、好きでやったわけじゃなくて、押しつけられた側面があるんですね。だから、これは企業局だけを責められないと私は思っています。県行政のむだと浪費の政策の破綻のツケを今請け負っている、そういう側面があるので、これはこれで改善しつつありますので、厳しい情勢を迎えますが、頑張っていただきたい。
 最後にちょっとつけ加えて、きょう急に私に寄せられた大事な問題があるので、これだけ聞いて終わります。
 実は、これは北ノ又発電所にかかわることなんですが、9月19日の午前10時ごろですが、キノコとりをしていた地元の住人が、洞窟で待機をしていたら、突然ドーンという音があって放水がされて、孤立してしまって、急に岩場に飛び乗って3時間孤立したと。これは本当にまたぎのような人ですから、辛うじてこういう形で3時間の孤立状態を脱したんだけれども、本当に、余りそういう方でなかったら大変な事故になったのではないか。
 私は、この事情についてもお知らせしましたが、北ノ又発電所とのかかわりがあるのかどうか、そこいら、事情がわかれば、今後の対応策も含めて示していただきたい。

〇邨野企業局長 ただいまございました北ノ又発電所での件でございますけれども、私ども、取り急ぎ事情を調べた結果、現在把握しておりますのは、当日、上流部での強い降雨によりまして、北ノ又発電所の取水堰堤から、これは自然の越流があったと聞いてございます。取水口付近での雨量は7時から12時までに24ミリを記録してございまして、越流量は9時から10時で毎秒32.99立米だと聞いてございます。
 なお、企業局の方で施設管理所に照会しましたところ、土砂吐きゲートの動作は、これは遠隔操作でいろいろ行うわけでございますけれども、特に行っていないといったようなことから、現時点では、降雨による出水で増水したものではなかろうかと見られるわけでございますが、なお詳細を調査いたしまして、必要であれば所要の措置を講じます。
 なお、実は私ども、この付近の沢は通常のこういう河川と違いまして、一般の公共の利用を想定したいろいろな対策を講じているところではございません。途中のゲート等も、場所によっては行っております、一般的には人の入らない、遊びその他での一般の方に利用を供しているようなところではございません。そういった特殊な事情もございますが、私ども、さらに調査を進めてまいりたいと存じます。

〇佐々木博委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇佐々木博委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
 お諮りいたします。認定第1号平成15年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第3号平成15年度岩手県工業用水道事業会計決算まで、以上3件についての意見の取りまとめの方法でありますが、この後、議会運営委員会室において各会派の代表の方々で御協議いただき、その結果を待って、委員会を開き結論を出すこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異義なし」と呼ぶ者あり〕

〇佐々木博委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 この際、意見の取りまとめのため、暫時休憩いたします。
   午後2時20分 休 憩

午後3時3分 再 開

〇佐々木博委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 決算3件に対する各会派の意見の取りまとめについて協議した結果について、御報告申し上げます。
 認定第1号平成15年度岩手県立病院等事業会計決算については、医療を取り巻く環境が厳しい状況にありながらも、医療の近代化、高度化を積極的に推進し、公的病院及び地域医療の中核医療機関として、その使命を果たしてきた努力は評価するところである。
 しかしながら、薬剤の投与日数の長期化により外来患者数が大幅に減少したことなどにより、平成15年度の経営収支は8億円余の純損失を生じる赤字決算となったことから、累積欠損金は107億円余に達し、また、今後も医療費の抑制に加え、患者数の減少等により収益の増加が見込まれない状況下においても、医療需要等に対応した施設の整備等による諸経費の増加が見込まれるなど、さらに厳しい経営環境に置かれることが予測される。
 今後の経営に当たっては、引き続き国に対し、財政措置の強化などを積極的に要望するほか、県立病院改革の推進に当たっては、職員の意識改革を図り、さらに県民の理解を得る努力を重ね、医療資源の有効活用や経営収支の改善を図るなど、安定した経営基盤を確立し、経営の健全化に一層努めるとともに、医療安全対策の推進を初め、医師の確保、高度医療設備の整備充実等、良質で効率的な医療提供体制を構築し、もって県民に信頼される医療サービスの充実、向上に努力をせられたい。
 認定第2号平成15年度岩手県電気事業会計決算については、企業局中期経営計画の着実な推進を図り、今後とも引き続き健全な経営の推進に努めるとともに、新規電源の開発についても、なお一層の努力をせられたい。
 認定第3号平成15年度岩手県工業用水道事業会計決算については、関係機関と密接な連携をとり、積極的に需要の拡大に努めるとともに、企業局中期経営計画の着実な推進を図り、経営の健全化にさらに一層の努力をせられたいとの意見を付し、それぞれ認定することにいたした次第であります。
 これより採決いたします。
 認定第1号平成15年度岩手県立病院等事業会計決算について、ただいまの意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇佐々木博委員長 起立多数であります。よって、認定第1号平成15年度岩手県立病院等事業会計決算については、ただいまの意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号平成15年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成15年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件について、ただいまの意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇佐々木博委員長 起立全員であります。よって、認定第2号平成15年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成15年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件については、ただいまの意見を付し、認定することに決定いたしました。
 以上をもって、当特別委員会に付託されました案件の審査は全部終了いたしました。
 委員各位の御協力に対し、深く感謝を申し上げます。
 これをもって決算特別委員会を閉会いたします。御苦労さまでした。(拍手)
   午後3時7分 閉 会


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