令和2年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 県政の緊急課題、重要課題について、主に達増知事に質問します。
 第1に、新型コロナウイルス感染症対策の取り組みについて質問します。
 新型コロナウイルス感染症は、令和2年10月7日現在、世界的には感染者が1日30万人を超え、累計では3、583万人、死者は105万人を超えています。
   〔副議長退席、議長着席〕
 世界的な大流行、パンデミックが加速しています。国内では、1日500人を超え、累計で8万7、044人となり、東京都では毎日200人前後の感染が続き、減少傾向が鈍化しています。県内では、7月29日に最初の感染者が確認され、10月3日に新たな感染確認者が出て、これまでに24人の感染確認となっています。
 知事は、こうした世界、国内、県内の感染状況をどう認識されているでしょうか。県内の感染者が全国で最小の24人にとどまっていることの現状と取り組みの教訓をどう受けとめているでしょうか。
 あとの質問は、質問席から一問一答で行います。
   〔37番斉藤信君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の現状についてでありますが、世界的には、連日30万人近い新規感染者数を記録するなど感染拡大が続いていますが、日本全体としては、欧州や米州と比べると感染者数が著しく少ないという実態があります。
 日本国内の新規感染者数については、8月第1週をピークとして全国的に減少に転じましたが、8月最終週以降、複数の自治体で新規感染者数の減少がとまってしまう動きや増加に転じる動きが見られるところであり、このような状況について、国の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおいては、全国的な感染拡大につながることのないよう警戒を続けていく必要があると分析されています。
 岩手県については、人口密度や県民性、また食習慣等が関係しているとする意見もありますが、県民及び岩手県に出入りされている方々が、密閉、密集、密接の三つの密を避け、マスクの着用や丁寧な手洗いを励行するなど基本的な感染対策を行っていること、また、飲食店等の事業者が感染防止対策の徹底に努めていることなどにより、患者が少ないという結果につながっているものと認識しており、改めて感謝を申し上げます。
 岩手県でも10月3日に約1カ月ぶりに患者が確認され、また、全国的な移動の活発化等により、引き続き感染拡大への警戒が必要な状況と認識しており、患者が発生した場合には、国が定義する濃厚接触者に限らず、感染が疑われる者にも調査を実施することなどにより、早期に感染者を発見し、感染拡大を防止するよう取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 新型コロナウイルス感染症の感染を抑止するためにも社会経済活動を再開するためにも、検査体制を抜本的に強化することが必要です。知事自身が検査体制の戦略的な転換を政府に繰り返し提言してまいりました。
 当面、インフルエンザが流行する秋、冬に向けて、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時検査を身近なかかりつけ医など地域で受けられる体制が求められています。いつまでに、どのように整備する計画か示してください。
〇保健福祉部長(野原勝君) インフルエンザ流行期に向けた体制整備についてでございます。
 季節性インフルエンザの流行期には、発熱等の症状を訴える患者が大幅にふえ、診療、検査需要等が急増することが見込まれることから、医師会と連携し、地域において必要な検査を受けられる体制の整備を進めているところであります。
 具体的には、患者は、まずはかかりつけ医等の地域の身近な医療機関に電話等で相談を行い、当該医療機関を含め診療可能な医療機関において、診療、検査を受けることができる体制の整備を進めているところであります。
 また、既に設置している地域外来・検査センター等も活用し、かかりつけ医からの紹介を受け入れるなど、地域の実情に応じた診療、検査体制について10月中を目途に整備できるよう取り組んでいくほか、その後も患者の診療、検査が可能な医療機関について随時追加するなど、診療、検査体制の充実を図ってまいります。
〇37番(斉藤信君) 平成29年度のインフルエンザの検査件数は28万9、000件でした。平成28年度は22万8、000件、こういう規模でインフルエンザの検査は行われているのです。これに対応する新型コロナウイルス感染症の検査体制ということで考えているのかどうか示してください。
〇保健福祉部長(野原勝君) 先ほど申し上げましたとおり、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症に関しましては、発熱や呼吸器症状ということで、症状のみでは診断がなかなか難しいということがございます。したがいまして、季節性インフルエンザの検査を実施すると同時に、新型コロナウイルス感染症の検査が実施できる体制を目指しているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 開業医の皆さんも積極的にこれに取り組もうとしています。その際、診療所でどう動線を分離するのか。診療所の前に発熱外来をどう設置するのか。私は、こうした設備、設置、そして防護具など、全面的にこれは国が責任を持って提供すべきだと考えますが、そうなっていますか。
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、防護具につきましては、今回登録いただく開業医等につきましては、国のG-MISという仕組みがございまして、そこで随時需給状況を把握し、欠品等が見られれば配給される仕組みが整ってきております。
 また、さまざまな動線を分けるための資機材等、必要な物品がございます。これらも県で支援するメニューを既に整えて、これまでの補正予算で議会にお認めいただいておりますので、そういった制度を活用して診療所の体制整備に取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) これまで40%以上の感染は無症状感染者から起こっていると指摘されています。無症状感染者を早期に発見し、隔離、治療に結びつけることが感染抑止にとって極めて重要な課題です。
 世界の先進的な取り組みや国内での世田谷区等の取り組みを踏まえて、幅広く検査が受けられる体制を確立するべきと考えますが、県の今後の方針を示してください。
〇保健福祉部長(野原勝君) 今後の検査方針についてでございますが、PCR検査を無症状者を含めて幅広く実施することについては、議員御指摘のとおり、感染していることを自覚していなかった感染者を明らかにし、二次感染を防止できるなどのメリットが考えられます。
 一方で、本県のように感染者が極めて少ない地域で無症状者へ検査を行うことについては、感染していないのに結果が陽性となる偽陽性が多く発生するなどの課題があり、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会におきましては、広く一般に推奨されるわけではないが、想定される課題や留意点を踏まえつつ、社会経済活動の観点から、個別の事情などに応じて検査を行うことはあり得ると提言されているところでございます。
 こうしたことから、今後の県内での感染拡大を見据え、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会等に意見を伺いながら、そのあり方について検討してまいります。
〇37番(斉藤信君) 介護施設、医療機関での感染防止は特別に重要な課題です。特別養護老人ホームや老人保健施設、医療関係者の方々に話を聞いてきましたが、医療、介護、保育等のケア労働の方々の定期的なPCR検査、いわゆる社会的検査の実施を強く要望されました。岩手県として実施すべきではないでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 定期的PCR検査についてでございますが、9月15日に国から示された検査体制の拡充に向けた指針におきまして、施設内感染対策の強化の観点から、感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域においては、その期間、医療機関、高齢者施設等に勤務する者、入院、入所者全員を対象に、いわば一斉、定期的な検査の実施を行うことについて示されたところでございます。
 このことについては、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会から、本県は、現段階において感染が急速に拡大している状況にはなく、感染者が多数発生している地域とは位置づけられないことから、医療機関等への定期的な検査を直ちに実施する必要性は高くないとの見解をいただいているところでございます。
 今後の感染拡大も見据えまして、引き続き、同委員会等の意見を伺いながら、その実施等について検討してまいります。
〇37番(斉藤信君) 社会的検査なので、疫学的な調査ということではないので、私はこういう観点が本当は必要なのだと思います。
 それで、介護施設の関係者からは、感染対策についての技術的な助言、指導の継続と感染対策のチェックリスト、感染者が発生した場合のフローチャートがまだ示されていないという指摘がありました。現場にこれが徹底されているのでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 感染者対策の技術的助言、指導については、広域振興局等において実施する介護サービス事業者等を対象とした集団指導や団体が実施する研修会等を活用して、岩手県の感染症の専門家チームでありますICATによります感染症防止対策の助言、指導を実施しているところであり、これまで集団指導で5回、団体実施で2回、ICATによる技術的助言や指導を実施しています。
 感染症対策のチェックリストについては7月に作成し、各施設、事業所等に送付したところであり、感染症対策の状況を点検の上、十分な対策を講じるよう助言しているところでございます。
 感染者が発生した場合の対応については、4月に、施設の種別ごとに感染拡大防止のための施設等における取り組みや感染者等が発生した場合の取り組みについて示されたマニュアルを各施設、事業所に周知しているところでありまして、これ以降も、国から感染拡大防止のための新たな通知に際しまして、繰り返し再周知等を図ってきているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 老人保健施設で感染者が発生した場合、速やかに入院の措置がとられるように要望されました。県の対応はどうなっているでしょうか。
 介護施設や高齢者施設でクラスターが発生した場合、県は、いわて医療福祉施設等医療支援チームを派遣するとしていますが、これは編成されたのでしょうか。介護職員等を派遣する計画と体制はどうなっているでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、老人保健施設への対応でございます。新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるための病床として、大規模クラスター発生も想定し、重点医療機関等の指定を行うなどによりまして、現時点におきましても即時受け入れ可能な病床を150床以上、軽症者等宿泊施設は85室確保しているところでございます。
 また、医療圏内に受け入れ病床が不足する場合や患者の重症度に応じて医療圏を越えた受け入れが必要な場合などにおきましては、県に設置している入院等搬送調整班におきまして搬送先の調整を行っているところでございます。
 次に、高齢者施設で発生した場合のチームの派遣、また介護職員の計画でございます。高齢者施設等でのクラスターの発生に備えまして、現地において、医療関係者が施設内の感染対策の指導や入所者のトリアージを行い、受け入れ先の調整等を行う(仮称)いわて医療福祉施設等医療支援チームにつきましては、編成作業等を進めているところでございます。
 また、介護職員等を派遣する体制につきましては、施設等で新型コロナウイルス感染症の感染者が発生した場合には、出勤できる職員に不足が生じることも想定されるところでございます。職員不足によりサービス提供体制等に支障が生じることがないよう、他の施設等から応援職員を派遣し、施設等におけるサービス提供の継続を支援するため、施設間の相互応援体制の構築を進めております。
 9月末現在における応援施設等の登録数は、介護施設等79施設、障がい者施設32施設となっておりまして、今後、施設等におきまして感染者が発生し職員不足が生じた場合には、岩手県社会福祉協議会におきまして派遣調整を実施することとしております。
〇37番(斉藤信君) 私は、今落ちついている岩手県のこういう状況だからこそ、万全の体制をしっかり構築すべきだと、このことを指摘しておきたいと思います。
 医療体制の確立、強化も重要です。新型コロナウイルス感染症対応の病床の確保は、感染症指定医療機関、重点医療機関、協力医療機関それぞれどうなっているでしょうか。また、県立病院の場合はどうなっているか示してください。
〇保健福祉部長(野原勝君) 県内各医療機関の状況についてでございますが、感染症指定医療機関は、これまで同様に9医療機関、38床確保しているところであります。
 また、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れる重点医療機関につきましては、病床に余裕がある現在のフェーズ1の段階から指定している医療機関は3カ所、病床数は60床程度確保しているところであり、新型コロナウイルス感染症の疑い患者を受け入れることが可能な医療機関として、協力医療機関を二次医療圏におおむね1カ所程度以上指定しておりまして、現在は県内で11カ所、約70床を確保しているところでございます。
 今後、感染が拡大した場合、重点医療機関は5病院、140床まで拡大することを想定しており、感染状況に応じて順次拡大することとしております。
〇医療局長(熊谷泰樹君) 県立病院の状況についてでありますが、感染症指定医療機関については6病院、合計22床が指定されているところでございます。重点医療機関については、フェーズ1の段階で2病院、約30床、協力医療機関については7病院、約40床が指定されたところでございます。
 今後、感染拡大が進んだ場合には、重点医療機関として3病院、70床程度に拡大されることになっております。
〇37番(斉藤信君) これまで24人の感染された患者が入院されています。平均入院日数、最長入院日数はどうなっているでしょうか。重症者がいたのか、軽症、中等症者の実態も含めて示してください。実際に新型コロナウイルス感染症の感染患者を受け入れて、対応しての教訓、課題をどのように把握しているでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 入院の状況等についてでございますが、退院した23人の患者の平均入院日数は12.9日となっておりまして、最も長く入院された方は36日間となっております。
 これまでの受け入れ事例のうち、人工呼吸器等による治療が必要な重症者はいなかったところでありますが、家庭内で感染した10歳未満の小児患者について、療養支援の観点から、小児科専門病院ではない医療機関へ入院した事例がございました。この事例では、県で整備いたしました小児医療遠隔支援システムを活用し、岩手医科大学小児科講座を中心とした応援体制のもと、医療機関の連携を図りながら患者への必要な治療を行ったところであります。
 今後におきましても、限られた医療資源のもと、医療機関、関係団体との連携により対応してまいります。
〇37番(斉藤信君) 岩手県医師会の資料では、軽症者が20名、中等症者が3名となっていましたので、正確な答弁をひとつお願いします。
 受診抑制や新型コロナウイルス感染症対応のために、医療機関の減収は重大な問題です。日本病院会など3団体の経営実態調査では、4―6月期に平均10%を超える赤字となり、4分の1を超える病院では夏の賞与などが減少する賃下げが生じています。
 県立病院を含め県内の医療機関の減収の実態をどう把握しているでしょうか。医療機関の減収補填策はどうなっているでしょうか。国の責任で基本的には全額補填させることを強く求めるべきと思いますが、全国知事会の取り組みを含めて示してください。
〇知事(達増拓也君) 岩手県保険医協会が9月に公表した開業医会員を対象とした調査によりますと、医科の84%、歯科の68%において、5月の保険診療収入が前年同期より減少したと回答しています。
 県立病院の医業収益についても、改善傾向にあるものの、8月末累計では前年同期比で約18億3、000万円の減収となるなど、県内の多くの医療機関において厳しい経営状況が続いているものと認識しております。
 県ではこれまで、新型コロナウイルス感染症への対応を行う医療機関への支援として、患者を受け入れる入院施設の設備整備や病床確保に対する支援、院内感染対策への支援等を行ってきたところであります。
 また、全国知事会では、9月の緊急提言等において、国に対し、診療報酬の引き上げ、包括支援交付金の拡充、無利子、無担保貸し付けの拡充、公立、公的病院を初めとする全ての医療機関に対する財政支援等を求めているところであります。
 引き続き、さまざまな機会を捉えて、国に対し、医療機関の経営安定化に向けた措置を求めてまいります。
〇議長(関根敏伸君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇37番(斉藤信君) 保健所体制の抜本的強化について質問します。
 新型コロナウイルス感染症対応で、保健所、保健師の業務が急増したと思われますが、超過勤務時間を含めて実態を示してください。
〇保健福祉部長(野原勝君) 保健所の勤務状況についてでございますが、広域振興局の保健福祉環境部全職員の実績となりますが、本年4月の1人平均の超過勤務時間は13.6時間、5月から7月にかけましては7.7から10.5時間、8月は13.4時間であり、昨年同期間と比べまして約3割増加しているところであります。
 4月の超過勤務の増加については、新型コロナウイルス感染症の国内感染が広がり、県民の関心が高まったことにより、保健所への電話相談が急増したこと、その後、5月以降に減少が見られたことについては、帰国者・接触者相談センターの相談受付業務をコールセンターに委託したことなどによるものと考えております。
 8月は、7月29日に県内で2人の感染が確認され、以降8月末までに19人の感染が確認されたことにより、積極的疫学調査等に対応した保健所の超過勤務が増加したものと考えております。
〇37番(斉藤信君) 保健所全体ではなくて、感染症チームの保健師に業務が集中しているのですよ。盛岡市保健所の場合、超過勤務時間が月80時間を超える状況になっている。県央保健所にも私は聞き取りをしましたけれども、忙しいときは月40時間から月50時間と。こういう実態ですから、必要な保健師の増員配置をやっていただきたい。
 そこで知事にお聞きしますが、感染者の追跡調査や健康管理、無症状者や軽症者の着実な発見、保護などの業務は今後さらに増加するものと思います。保健師の増員を含む保健所体制の抜本的強化が必要と考えますが、知事の考えをお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 新型コロナウイルス感染症対策において、積極的疫学調査や健康観察を担う保健師の役割は極めて重要であります。
 本県では、これまでに各保健所等に退職保健師12名を配置したほか、中部保健所管内で発生した事例においては、本庁や周辺保健所から延べ28名の保健師等を中部保健所に派遣し、業務支援を行いました。
 また、搬送業務や一般相談業務に対応するため、地区合同庁舎ごとに、各保健所に事務職員3名程度の応援を実施するなど全庁での業務支援体制を構築しているほか、令和3年度の保健師の採用人数の拡充に取り組んでいるところであります。
 現在、国及び全国知事会において、都道府県を越えた緊急時の対応を可能とするための保健師等の専門職の応援派遣スキームを構築しているほか、国では、保健所の恒常的な人員体制強化に向けた財政措置を検討しており、こうした状況を踏まえながら必要な保健所体制の強化を進めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 保健所の抜本的な体制の強化が本当に必要だというのが、私はこの間の最大の教訓だったと思います。
 次に、地域経済対策、事業者支援と雇用の確保についてお聞きします。
 新型コロナウイルス感染症に伴う県内経済、事業者への影響はどうなっていますか。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 新型コロナウイルス感染症に伴う県内経済への影響につきましては、日本銀行盛岡事務所が9月25日に発表した2020年7月から8月の岩手県金融経済概況によりますと、設備投資は弱目の動きとなっているものの、個人消費や生産動向で持ち直しの動きが見られており、県内経済全体では、厳しい状態にあるが、持ち直しの動きが見られているとされているところであります。
 また、事業者への影響につきましては、直近の8月末時点のアンケート調査におきまして、8月の売上実績について集計いたしましたところ、前年同月と比較し、0%減から20%減が37%、21%減から40%減が31%、41%減から60%減が17%、61%減から80%減が9%、81%減から100%減が4%となっておりまして、41%以上減少の割合は計30%となっています。
 業種別では、41%以上減少の割合は、宿泊業で61%、飲食業で47%、運輸業で44%でありまして、これらの業種において、依然として厳しい状況にあると認識しています。
 一方、3月時点からの売り上げの推移を見ますと、41%以上減の大幅な減少の割合は5月をピークに徐々に低下しておりますことから、全体的には回復傾向にあると捉えているところであります。
〇37番(斉藤信君) 私は、こういう消費の低迷が継続しているところをしっかり見ないと大変なことになると。今まさに融資でつないでいるというのが現状だと思います。
 そこで、事業者に対する県の事業について、家賃補助の8月末の実績は、9、000事業者が対象となるにもかかわらず、申請が2、614件、支給が2、319件にとどまっています。1件当たり10万円の感染症対策補助は、全ての事業者が対象にもかかわらず、申請がわずか528件、支給は205件にとどまっています。進まない要因は何でしょうか。どう改善を図っているでしょうか。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 事業者支援についてでありますが、家賃補助につきましては、5月以降、準備の整った市町村から順次受け付けを開始していますが、国の家賃支援給付金の受け付けが7月に開始されまして、その給付率及び上限額が高かったことから、国の給付金の手続を優先している事業者もあると聞いているところであります。
 また、感染症対策補助につきましては、7月以降、準備の整った商工団体において順次受け付けを開始しているところであります。現在も、県も含めまして対象となる店舗や物品に関係する問い合わせが多数寄せられています。必要な物品の購入や申請準備を進めている段階の事業者が多いと捉えているところであります。
 県では、これら補助制度の利用を促進するために、家賃補助につきましては、売り上げ要件を緩和したことや国の家賃支援給付金との併給が可能であることなどを含めて、市町村等を通じてさらなる周知を図っているところであります。
 また、感染症対策補助につきましては、まずは事業者に制度を知っていただくよう、商工団体等を通じた周知を進めているほか、県内の全飲食店等約1万1、200施設にチラシ等を送付したところでございます。
 また、Go To イートキャンペーンを受託している事務局を通じまして、このキャンペーンの参加店舗の募集の案内とあわせまして、感染症対策補助の案内チラシを送付する予定としております。
 引き続き、関係機関と連携して、事業者に対しさらなる周知を図って、補助制度の利用を促進してまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 全事業者が対象で、達増知事は、繰り返し新型コロナウイルス感染症対策が一番大事だと言っている。しかし、新型コロナウイルス感染症対策の10万円の補助が、申請が528件、支給が205件にとどまっている。私は極めて重大な事態だと思いますよ。県の方針が伝わっていないと。
 私は先日、陸前高田市に行ってまいりました。陸前高田市は、ゴールデンウイーク前に、本当に困った事業者に対して直接補助を既に実施しました。5月に入って全事業者の実態調査をやって、全業種に影響があるというので、事業収入金額が10%以上減少したところに新たな支援策を20万円、30万円の規模でやっています。その申請書は1枚です。これに納税証明書をつける。だから、申請が456事業者、既に9、520万円支給されているのです。
 こういう取り組みに学んで、必要な支援がすぐに届く、そういう点をぜひ徹底していただきたい。いかがですか。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 県といたしましても、感染症対策補助等の支援策について、御指摘のとおり、県内の全飲食店等に徹底した周知を図ることが必要だと考えております。生活衛生同業組合に加盟する理美容店等にも、関係部局が連携してチラシ等を送付しておりますほか、LINE公式アカウントサービスを活用したサービス、もしサポいわてでの周知も行うなど、今さまざまな方法で周知を図っているところであります。
 また、申請書につきしても、記入項目や提出書類を最小限にとどめるなど、申請者の負担を軽減し、手続の簡素化を図っているところであります。事業者の方々には、手続が簡素化されていることも含めまして、さらに制度の周知を図って、一層の活用を促してまいります。
〇37番(斉藤信君) 本当に事業者の経営の継続がかかっていますから、必要な支援がすぐ届く、この精神で事業を点検してやっていただきたい。
 観光対策の地元の宿応援割、9月末までの泊まるなら地元割クーポン、10月から始まっている第2弾の泊まるなら地元割クーポン、経営継続支援交付金、感染対策の整備事業費補助など、観光、宿泊施設への支援策の実績はどうなっているでしょうか。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 観光、宿泊施設への支援策の実績についてでありますけれども、市町村が実施しています地元の宿応援割は、9月30日時点で20市町村に対しまして約13万4、000人泊分の補助金として、約1億8、900万円の交付決定をしているところであります。
 県が実施しています泊まるなら地元割クーポンは、9月まで実施いたしました1泊当たり2、000円の宿泊助成につきましては、約16万2、000枚を発行したところでありまして、10月1日までの利用実績として報告されているのは約4万1、500枚となっているところであります。
 10月から岩手県民を対象とした1泊当たり3、000円の宿泊助成は、9月19日から4期に分けてクーポンの申し込みを受け付ける予定としていたところでありますが、9月24日から10月5日までの第2期の募集期間中において、既に全体で予定していた15万人泊分を上回る申し込みとなりましたことから、第2期においては、抽せんによりクーポンを発行することとしているところであります。
 また、宿泊事業者の生産性向上等の取り組みを支援する観光宿泊施設経営継続支援交付金、これは100万円の交付金でありますけれども、9月29日現在で312件、3億1、200万円、それから、新型コロナウイルス感染症対策やワーケーションに係る整備を支援いたします新型コロナウイルス感染症対策整備事業は、9月29日現在で91件、約1億400万円の交付決定をしているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 私は、県、市町村の取り組みはそれなりの効果があったと思います。温泉地などに聞きますと、8月ぐらいまでは、ほとんど8割は県内、近隣だったと。今Go To トラベルで全国から観光客が来始めていますけれども、県内の取り組みがこれを支えたのだと。
 しかし、今答弁あったように、9月末までの泊まるなら地元割クーポンは、16万2、000枚発行したにもかかわらず、これはもう少し伸びるかもしれませんけれども、4万1、500枚の活用にとどまっていると。これが活用できるような対策をぜひしっかりとってやっていただきたい。
 雇用対策は切実であり、深刻であります。8月の県内有効求人倍率が7年4カ月ぶりに1倍を下回り0.99倍となりました。高卒の求人は前年同期比15.8%の減少であります。全国では休業者が216万人となっています。
 県内の休業者は把握されているでしょうか。休業者を失業者にしない取り組みが重要であります。雇用調整助成金、休業支援金、給付金の取り組みはどうなっているでしょうか。
 10月2日現在の解雇、雇いどめの報告は64事業所、481人となっていますが、これはあくまでも氷山の一角であります。廃業の実態を含めて把握されているでしょうか。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 県内の雇用状況についてでありますけれども、岩手労働局によりますと、休業または短時間休業により雇用調整助成金の支給申請を行った事業所数は、10月2日現在、累計で2、288事業所と聞いております。
 また、雇用調整助成金につきましては、10月2日現在の支給申請書受理は2、288事業所から延べ7、297件、支給決定が2、147事業所の延べ6、740件、また、休業者本人に支給される新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金は、支給申請が354名から延べ974件ありまして、支給決定は583件、4、121万5、080円となっております。
 廃業につきましては、厚生労働省の雇用保険事業月報によりますと、令和2年4月から8月までの廃業事業所数の合計は329件となっておりまして、前年同期比で13件増となっておりますけれども、新型コロナウイルス感染症との関連は不明でございます。
 また、令和2年の県内企業の倒産件数は8月現在で32件と、昨年同月比で5件増加しております。東京商工リサーチによりますと、新型コロナウイルス感染症関連の倒産は4件とされているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 雇用調整助成金は企業の継続にとって最も頼りになる制度です。しかし、それが県内では2、288者しか申請していないと。休業手当が出ていない労働者が申請できる休業支援金はわずか354人だけです。これは事業者が協力していないからなのです。そして、事業者がきっちりした賃金、雇用の体制をとっていないことが障害になっている。これは岩手県社会保険労務士会からも聞きました。私は、そういう事業者にもしっかり支援をして、必要な制度が活用できるようにやっていただきたい。これは提案だけにしておきますので、しっかり受けとめてやっていただきたいと思います。
 第2に、東日本大震災津波からの復興の課題について質問します。
 被災者の医療費一部負担金免除の継続を求める請願が、さきの6月定例会で採択されました。県はこれを受けて、来年度も継続実施するために知事、副知事を先頭に取り組んでいると受けとめています。
 沿岸の市町村では、財政負担も小さくないことから10年で区切りとすべきという声も聞かれます。一方で、被災者の多くが低所得者で、高齢者が多いこともあり、医療費一部負担金免除の継続の必要性を感じている首長も少なくありません。廃止すべきという首長の中にも、知事が継続実施するというならその決定に従う、本当に困っている方に対する支援は必要だ、継続の場合は所得制限を設けるなどの措置が必要だと、こうした声を私は直接聞いてまいりました。私は、知事の思いが伝わればこの継続実施は可能だ、このように感じております。
 被災者の医療費一部負担金等の免除を10年間続けてきたことは、被災者の命と健康、暮らしを守る最も大きな成果だったと考えます。これまでの取り組みとその実績、教訓を知事としてどう認識され、どういう思いで被災者の医療費一部負担金等免除の継続を目指しているのかをお示しください。
〇知事(達増拓也君) 東日本大震災津波の被災者の医療費一部負担金免除についてでありますが、県では、市町村等が実施する免除措置に対して財政支援を行うことを通じて、被災者の健康面や経済面での不安の軽減を図り、延べ28万9、000人余の被災者の適切な医療等を受ける機会の確保と健康の維持、増進等に寄与してきたものと認識しております。
 一部負担金免除については、県議会6月定例会における請願の採択、関係団体や県民から継続を求める声がある一方で、沿岸市町村等からは、これまでの免除措置に伴う国保財政の悪化や他の災害対応とのバランスなどが指摘されているところであります。
 県といたしましては、被災者一人一人の復興をなし遂げるためにも、被災者の適切な医療の確保は重要な取り組みの一つであると考えておりまして、被災者の状況に応じた支援のあり方について、引き続き市町村と調整を図ってまいります。
〇37番(斉藤信君) 私は先日、陸前高田市の戸羽市長にお会いしてまいりました。戸羽市長は、この間知事とも話をしたと。副知事とも話をしたと。県に背を向けてやるわけにはいかないと13の被災自治体のまとめ役となって今努力しているという話をお聞きいたしました。さまざまな課題があるけれども、しっかりしたこういう思いを受けた知事、県の提案をすれば、私はこれは十分継続実施ができると思います。
 例えば非課税世帯に限定するとか、そういうことはあるかもしれない。本当に全体が合意する内容で全市町村が実施できるようにしてほしいけれども、改めて、非課税世帯の比率を含めて知事の見解をお聞きいたします。
〇知事(達増拓也君) まさに今、市町村と調整を図っている最中でございますが、被災市町村は、復興事業の進捗状況や国保財政の運営状況等、個々の事情を抱えていると認識しておりまして、免除措置の継続についてさまざまな意見があると承知しているところでありますが、やはり引き続き被災者にとって必要な医療等が確保されるよう、市町村等と今後の支援のあり方について協議してまいります。
 非課税世帯の比率については、保健福祉部長から答弁させていただきます。
〇保健福祉部長(野原勝君) 一部負担金の免除対象者に占める住民税非課税世帯の割合は、国保では42.2%、後期高齢者医療では76%、合計では56.3%となっております。
〇37番(斉藤信君) それでは次に、教育の課題について質問いたします。
 コロナ禍のもとで、身体的距離の確保、三密を回避するためにも、一人一人の生徒に行き届いた教育を進めるためにも、少人数学級の実現が緊急の課題となっています。
 文部科学省は、来年度予算の概算要求に少人数学級実現を事項要求として盛り込みました。公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律を改正して正規の制度化を目指す意向であります。国民の声と運動が政府を動かしてきた重要な変化であります。しかし、文部科学省は、財務省に遠慮して、10年かけて小中学校を30人学級にする計画を検討していると言われています。
 来年度から本格的に少人数学級を実現する重要な局面を迎えています。知事が先頭になって全国知事会が強力に政府に働きかけるよう求めますが、知事の決意をお示しいただきたい。
〇知事(達増拓也君) 少人数学級の実現についてでありますが、全国知事会、全国市長会、全国町村会の3団体が、7月2日付で文部科学大臣に対し、新しい時代の学びの環境整備に向けた緊急提言を行っておりまして、その中で、現在の40人学級では、感染症予防のために児童、生徒間の十分な距離を確保することが困難であることから、その対応が学校現場において大きな課題となっている。今後予想される感染症の再拡大時にあっても必要な教育活動を継続して、子どもたちの学びを保障するためには、少人数学級により児童、生徒間の十分な距離を保つことができるよう教員の確保が是非とも必要としてあります。
 国では、7月17日に閣議決定された、経済財政運営と改革の基本方針2020、いわゆる骨太方針2020において、学校の臨時休業等の緊急時においても、安全・安心な教育環境を確保しつつ、全ての子供たちの学びを保障するため、少人数指導によるきめ細かな指導体制の計画的な整備やICTの活用など、新しい時代の学びの環境の整備について関係者間で丁寧に検討すると示されました。
 今後、国において来年度予算に向けた調整が行われるところであり、本県としても、全国知事会とともに、少人数学級によるきめ細かな指導体制を計画的に整備するように国に働きかけてまいりたいと思います。
〇37番(斉藤信君) ぜひ、重要な局面なので、全国を挙げて本格的な少人数学級の実現を目指していただきたい。
 コロナ禍の対応で、安倍前首相が2月27日に突然、専門家の意見も聞かず3月2日からの全国一律休校宣言をしたことは、学校と子供たち、社会と教育に大きな混乱をもたらすものでありました。6カ月余が経過した現在なら、この対応の評価、検証ができるのではないでしょうか。
 また、県教育委員会が教育委員会議も開かず県立学校の休校を決めたことも問題があったのではないでしょうか。県内の状況を踏まえて自主的な判断を行うべきではなかったでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 一斉臨時休業への対応についてでありますが、令和2年2月28日付の文部科学省事務次官通知による全国の一斉臨時休業の要請を受けまして、学校保健安全法第20条に基づき、設置者として、感染予防の観点から県立学校の臨時休業措置を実施したところです。
 当時、新型コロナウイルス感染症に関する科学的な知見が限られていた中で、児童生徒の健康安全を最優先として判断したものであります。2月27日の夜に報道等で知ったわけでございますが、その際、教育委員にも連絡をし、意見等を伺った上で3月2日からの一斉臨時休業とし、3月3日の教育委員会議臨時会終了後の協議の場において、各教育委員の皆さんに報告をしているところです。
〇37番(斉藤信君) 昨日のニュースで、新型コロナ対応・民間臨時調査会の報告書が出たと。この中で全国一律休校について何と言われているか。疫学的な効果はほとんどなかった。そして、専門家の意見も聞かず、これは教育と社会に混乱をもたらして余りにも評判が悪かったので、欧州からの入国禁止措置がおくれたと言うのです。
 私は、県教育委員会というのは地方自治ですから、そういうときこそ、集団の英知を結集して正確な判断を行うべきだと思います。学校の休校は設置者が判断するのですから、首相ではないのですから。しっかりこれは検証していただきたい。無謀で間違いだったと私は思います。
 次に、県立不来方高校におけるバレーボール部員の自死問題についてお聞きいたします。
 7月22日、第三者委員会―県立学校児童生徒の重大事案に関する調査委員会の調査報告書が提出されました。調査報告書では、生徒が自死に至った事実経過が丁寧に確認されています。特に、顧問教師による暴言、叱責について、指導の手段としての相当性を欠き、指導としての域を超えるものであり、教員としての対応を逸脱したものであったと言わざるを得ない。この暴言、叱責が、当該生徒の絶望感や孤立感を増大させ、希死念慮を増強させる原因となったと指摘しています。
 教育長は、この指摘をどう受けとめているでしょうか。暴言、叱責はどのように行われたかを示してください。
〇教育長(佐藤博君) 第三者委員会の調査報告書の提出を受けまして、教育長として大変厳粛に受けとめております。
 調査報告書によりますと、多くの部員は、元顧問の当該生徒に対する叱責や激しい言動は2年生の秋ごろから厳しくなり、3年生に進級した4月ごろから次第に強まり、県高等学校総合体育大会が終わった6月ごろからは一層強まったと述べております。
 元顧問の指導における言動は、いたずらに生徒を威圧、威嚇する発言、生徒の人間性や人格を否定し、意欲や自信、自尊感情を奪う発言、独善的かつ過度に精神的負荷を与える発言であったとされております。
 学校教育におきましては、生徒の人間性や人格を否定したり、おとしめたりする発言などをすることはあってはならず、教員として許されるものではないと考えます。このような事案が二度と起こらないよう、根絶を図っていかなければならないという思いを強くしております。
〇37番(斉藤信君) 経過はそのとおりなのです。それで、どのような暴言だったか。背は一番高いのにプレーは一番下手だ。使えない。おまえのかわりなんていっぱいいるからレギュラーじゃなくていいんだよ。そして、6月3日の県高等学校総合体育大会の決勝で敗れたとき、セッターとミドルのせいで負けた。おまえらのせいで負けたことをわかっているのか。こうした暴言、叱責が、この自死した生徒を追い込んだ。7月3日に自死していますけれども、6月24日の暴言、叱責は一番激しく執拗に行われたと、このように報告されています。
 そこで、実はこの調査報告書では、県教育委員会と学校の対応についても問題点が具体的に厳しく指摘されています。どういう指摘で、県教育委員会としては、そのことについてどう検証しているでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 第三者委員会の調査報告書では、まず、当該学校の対応について、前任校事案についての校長の断片的な認識と不十分な指導、部活動指導にかかわるガイドライン等についての校長、元顧問の不十分な認識、学校生活アンケートへの対応、当該学校における情報共有の不十分さなどの問題が指摘されております。
 県教育委員会の対応については、元顧問の前任校の裁判の過程で明らかになった事実を校長に正確に伝えるなど、県教育委員会として確認、指導、対応を行う必要があったにもかかわらず、それを怠ったことが、元校長の不十分な監督、指導につながり、結果として本事案へとつながった可能性は否定できないとされているところです。
 再発防止「岩手モデル」策定委員会の協議事項として、今回の事案の問題ある指導について、正確な事実認識、適切な対応、評価、的確な情報共有ができなかった理由を解明することを盛り込むこととしておりまして、あわせて再発防止策の検討の中で対応してまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 実はこの顧問は前任校、これは盛岡第一高校ですけれども、同様の暴言、叱責、体罰でバレーボール部員に重大な精神的打撃を与え不登校に陥らせた。ところが、学校がまともに調査をしないで、民事訴訟に訴えられました。仙台高等裁判所では、この顧問の暴言、叱責、体罰が認定されて有罪判決となりました。一審判決でも暴言、叱責は認定されていました。しかし、この一審判決も二審判決も、県教育委員会はしっかり受けとめないで、第2の事件が起きてしまった。
 私は、県教育委員会の暴言、叱責、体罰に対する、人格侵害に対する認識が余りにも弱かったのではないかと思いますが、いかがですか。
〇教育長(佐藤博君) 第三者委員会の調査報告書でもそのように指摘されております。当該学校の対応、それから県教育委員会の対応について、その中でも、この前任校事案についての伝達をしっかり対応しておればということで、結果として本事案へとつながった可能性は否定できないとされております。
 このことを受けまして、これから、この提言をいただきました岩手モデルの策定を進めていくわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、今回の事案の中にある問題、正確な事実認識であるとか当時の適切な対応、評価、そして的確な情報共有ができなかったところ、この検討を一緒に進めてまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 不来方高校における自死事件の原形は、実は盛岡第一高校での事件にあったのです。しかし、それを真剣に受けとめないで強豪校の顧問にしてしまった。それで第2の悲劇が起きたと。
 そしてもう一つ、学校の対応で言っておきますけれども、これは県教育委員会の指導主事が学校に指導に入っているのに、学校の事故報告書、これは公文書ですよ。文部科学省まで行くのですよ。ここには学校の調査で明らかになった暴言、叱責が一言も書かれていなかった。これは事実の隠蔽ですよ。こういう対応を抜本的に改善すべきです。いかがですか。
〇教育長(佐藤博君) 第三者委員会の調査報告書でも、学校からの内容について指摘をいただいております。その内容についても、今回の再発防止「岩手モデル」策定委員会の検討の中で、改めて確認しながら進めてまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) この問題の最後に、私は、こうした自死事件がなぜ起こったのか、県教育委員会と学校の対応の徹底した検証を行って、新しい岩手モデルを策定すべきだと。それなしにモデルの策定はないと。また、再発防止「岩手モデル」策定委員会の構成は、被害者遺族の意向を尊重すべきだと考えますが、いかがですか。
〇教育長(佐藤博君) 再発防止「岩手モデル」策定委員会につきましては、第三者委員会の調査報告書の提言の趣旨を尊重しながら、県教育委員会が主体的に再発防止策について検討することとしております。
 現在、再発防止「岩手モデル」策定委員会の設置に向けて人選等を進めております。また、御遺族の御意向、意見を伺いながら検討を進めていくことが重要であると認識しております。
〇37番(斉藤信君) 次に、県立病院における超過勤務手当未払い問題について質問します。
 私は、2月定例会で3回にわたって県立遠野病院における看護師の超過勤務の申請を認めない総看護師長の問題を具体的に指摘し、適正な調査と処分を含めた対応を求めてきました。
 県立遠野病院の看護師の超過勤務手当の未払いの実態はどうだったのでしょうか。未払いの総額、人数、1人当たりの平均未払い額、未払いの最高額はどうなっていますか。いつから超過勤務の申請は認められなくなったのでしょうか。
〇医療局長(熊谷泰樹君) 県立遠野病院の超過勤務手当の状況についてでありますが、昨年11月の釜石労働基準監督署の指導に基づき、平成31年4月以降のタイムカードによる出退勤時刻と電子カルテのログイン、ログアウトの時刻を突き合わせ、その相違する時間について、本年2月から3月にかけて看護科の職員から個別の聞き取り調査を実施いたしました。
 職員からは、その相違する時間に勤務した記憶が明確にある者はほとんどおらず、超過勤務を行っていたとの確認は必ずしもできませんでしたが、超過勤務を行っていた可能性も否定できないことから、労働基準監督署とも相談を行いまして超過勤務手当を追給することとしたところでございます。
 その後、調査結果について本年3月31日に労働基準監督署に報告し、労働基準監督署からは、同日付で超過勤務手当の追給を5月末日までに行うよう是正勧告を受けたところでございます。
 5月29日にその追給を終了したところでありますが、その超過勤務手当の総額は2、424万8、855円、人数は87人、1人当たりの平均支給額は27万8、722円、1人当たりの最高額は142万654円となったところでございます。
 なお、職員からの聞き取り調査におきまして、超過勤務を申告しづらい雰囲気があるなどの声がある一方で、短時間の超過勤務は申告するまでもないと思っていた、自己研さんであると思っていたなど、超過勤務の対象となる業務、時間等について考えや意識が異なっていたことを確認したところでございますが、超過勤務の申請が認められないといった具体的な声等は確認できなかったところでございます。
〇37番(斉藤信君) 医療局長の無責任な答弁にびっくりしました。いいですか、県立遠野病院で88人の看護師のうち87人の未払いが明らかになったのです。年間100時間以上未払いだったというのが45人、半分以上は100時間以上ですよ。
 そして、この総看護師長が平成30年度に赴任してから超過勤務の申請が激減したのです。その前年は月平均で9時間の超過勤務の申請があった。平成30年度は2時間。そして、昨年12月までは0.4時間ですよ。総看護師長が赴任するまでは申請ができていたのです。この2年間で激減をした。この事実をあなたは認めますか。
〇医療局長(熊谷泰樹君) 平成30年度の超過勤務の状況でございます。県立遠野病院では、平成30年4月から5階病棟を休床といたしまして、平成30年4月に透析や外来等、同病院内の他の部門に看護師を再配置して他の部門の増員を図ったところでございます。
 平成30年度に超過勤務時間数が大きく減っておりますのは、このような人員増の見直しがあったこと、それから、パートナーシップナーシングシステム、いわゆるお互いに補完し、協力し合うことができる看護体制でありますが、その運用を本格的に開始したことも関係していると思っております。
〇37番(斉藤信君) 私は今言ったでしょう。昨年の12月までは0.4時間ですよ。その前は2時間。総看護師長がいないときは9時間だった。激減したのは看護科だけです。誰の責任かはっきりするじゃないですか。
 私は2月定例会でも真に迫った指摘をしましたが、私のところに寄せられた看護師の声を紹介します。総看護師長が県立遠野病院に転勤してから、超過勤務の申請ができません。去年の4月からは皆無です。これはおととしのことですね。超過勤務を申請していいのだよ。仕事をしていたのだしと主任看護師から言われ超過勤務を申請した看護師がいました。看護師長に、何で申請したのと聞かれ、主任看護師に申請していいと言われたから申請しましたと答えたところ、私、申請していいなんて言っていないと主任看護師はしらばっくれました。この件もあり、後にこの超過勤務を申請した看護師は退職しました
 医療局と病院のヒアリングの中で看護師はこう訴えています。超過勤務をなぜ申請しなかったか、申請できる雰囲気ではなかった。残業していることを総看護師長は把握していたが、超過勤務を申請してくださいという声かけがなかったため申請できなかった。4月、5月にはタイムカードの打刻の指示があった。8時15分以前に打刻してはいけない。午後5時15分付近でタイムカードを打刻してから電子カルテの仕事をした。これが実態ですよ。だから9、000時間もの未払いが起きたのですよ。違いますか。看護師の責任にしてはだめですよ。申請しなかった看護師の責任などという言い方を労働基準監督署にしているけれども、とんでもないことです。申請できなかった。申請できる雰囲気ではなかった。
 いいですか。私は全員の記録をもらいました。400時間を超えて超過勤務をしている人がいるのですよ。400時間を超えて超過勤務をしている人も申請できなかったのですよ。どこに問題があるのですか。
〇医療局長(熊谷泰樹君) 超過勤務を適正に把握し管理していくためには、事前に命令して事後に確認するという手続の原則、それから、超過勤務として行う必要がある業務の内容等について、職場内での十分な理解と共通認識のもとに、必要な超過勤務についてはしっかりと認めることが重要であると認識しております。
 適正な申告がなされるよう、ふだんからコミュニケーションをとり、各職員が必要な超過勤務における業務内容、勤務実態について相談しやすい職場づくりに努める必要があると認識しております。
 看護科の業務の命令権者を初めとした管理者、先ほど御答弁申し上げましたが、超過勤務に対する認識がさまざまであったというところを説明いたしました。管理者が適正な勤務時間管理を行うという取り組みを怠り、看護科内において超過勤務を申告しづらい雰囲気が形成されていた、それから、超過勤務時間に係る認識が不十分なまま、管理者が実態を適切に把握できておらず、また必要な指導を行っていなかった、そういった点は不適切であったと認識しております。
〇37番(斉藤信君) 超過勤務の申請を認めないのは労働基準法違反です。これは労働基準法違反なのですよ。そして、超過勤務が申請できないというのはブラック企業、ブラック職場の特徴なのです。県立遠野病院では、そういう状況の中で何が起きたかというと、平成30年に9人がやめました、令和元年は14人がやめました、正規の看護師を含めてです。総看護師長の赴任前にはきちんと超過勤務の申請できていたものが、申請できなくなった。総看護師長、院長、事務局長の責任と処分はどうなりましたか。
〇医療局長(熊谷泰樹君) 先ほども御答弁申し上げたとおり、看護科職員に聞き取り調査を行ったところでありますが、私どもの調査におきましては、超過勤務を申請させない、申告させない、そういった指摘の声はなかったところでございます。
 それから、お尋ねの県立遠野病院の職員の処分の関係でございます。個人の特定につながる個別の処分内容につきましては、情報公開条例第7条第1項第2号に定める、公にすることにより個人の権利利益を害するおそれのある個人情報に当たることから、個別具体的には申し上げられませんが、看護科内において超過勤務を申告しづらい雰囲気が形成されており、超過勤務時間に係る認識が不十分である中、管理者がそうした実態を適切に把握できておらず、また、必要な指導を行っていなかったなど勤務時間管理が不適切であったことから、相応の処分を行ったところでございます。
 処分の検討に当たりましては、労働基準監督署の指導を受け是正措置をとったことでございまして、行政指導にとどまったところでございます。
 退職者を含む看護科職員からの聞き取り調査の結果、それから、業務上必要かつ相当な範囲を超えるなど、パワーハラスメントの定義に合致するような行為の指摘はなかったことなども考慮した上で、関係法令や過去の処分例等を踏まえ総合的に量定を決定したものでございます。
〇37番(斉藤信君) 私はきょうも具体例を示しました。2月定例会のときにもかなり真に迫った話をしました。そうしたパワーハラスメントの事例が医療局に伝わらないということは深刻な事態です。客観的事実を見たらわかるではないですか。なぜ超過勤務が激減したのか。そこで23人も職員がやめざるを得なかったのか。2、424万円の未払いを払わなければならなかったのはなぜなのか。誰に責任があるのですか。
 結局、身内の曖昧な調査で、総看護師長は訓告処分ですよ。だから公表しないのですよ。隠したの。私は、これは隠蔽にもなると思いますよ。
 2月にも知事にお聞きした。調査の結果を待つと。こういう大変な未払いの実態が生まれた。しかし、私は、その責任も明確にされていないのではないかと思います。職員を大事にした職場というのは、県立病院の基本精神じゃないですか。これではこれが実現できないと思いますけれども、一言。
〇知事(達増拓也君) 本件につきましては、労働基準監督署からも指導いただいておりますし、また、今、議員からも、そういう意味で県議会からも指導をいただいているところであります。その指導を大事にして、医療局においては、そんたくを無理に強いられるような同調圧力のようなものも含めて、ルールや制度がねじ曲げられないようにし、きちんとルールや制度に基づいて、働く人たちが快く働きながら、県民の命と健康を守るような岩手の地域医療を実現してほしいと思います。
〇37番(斉藤信君) 400時間働いても、300時間働いても超過勤務の申請ができなかった、これは事実です。88人中87人に未払いが生じた。この客観的事実をしっかり受けとめるべきだ。このことを厳しく指摘しておきます。
 次に、県警察本部に関する諸課題について質問いたします。
 この1年間に県内で爆破予告事件が数件発生しています。6月20日には県庁爆破予告メールがあり、7月11日には岩手大学で爆破予告がインターネット掲示板に書き込みをされています。県民を不安に陥れる極めて重大な事件だと思いますが、その内容、捜査の状況、県内における状況を示してください。
〇警察本部長(大濱健志君) まず、爆破予告の内容と捜査状況についてでございますが、個別事案の内容や捜査の具体的な状況につきましては、その内容を明らかにすることによりまして、捜査の相手方に手のうちをさらすことになり、捜査に支障を及ぼすおそれがございますので、答弁は差し控えさせていただきます。
 次に、県内における状況についてでございますが、本年8月末までの1年間におきまして、県警察が把握したものは6件となります。
〇37番(斉藤信君) 県庁の場合は私服警察官が配備されたのですよ。岩手大学は休校の措置もとったのですよ。これは大変な問題ですよ。これが県内6件。捜査はしているということですね。これは全国的にも起きているので、全国で捜査したら何でこの犯人が捕まらないのか、なぜこういうものが放置されているのかと思いますが、いかがですか。
〇警察本部長(大濱健志君) 県警察の対応についてでございますが、一般論といたしまして、爆破予告の対象となった機関や自治体等と連携いたしまして、警戒警備を実施いたしますとともに、法と証拠に基づき厳正に捜査を行うものでございます。
〇37番(斉藤信君) 次に、ジャパンライフによる巨額詐欺事件について、山口隆祥元会長が逮捕されました。被害者が全国で約1万人、被害総額約2、100億円とされています。この山口会長には、桜を見る会の招待状が、首相枠と言われる区分番号60番で届けられ、その写真を最大限活用して最後の荒稼ぎをしたと言われています。
 県内での被害者と被害の状況、捜査の状況を示してください。
〇警察本部長(大濱健志君) まず、県内の被害状況につきましては、ジャパンライフ被害対策岩手弁護団からの情報提供も含めまして、これまでに16件の警察安全相談を受理しているところでございます。
 次に、捜査についてでありますが、県警察では、警視庁等6都県警察で構成するジャパンライフ株式会社による広域多額詐欺事件合同捜査本部と連携いたしまして、ジャパンライフ被害対策岩手弁護団の協力も得ながら、所要の捜査を行っております。
〇37番(斉藤信君) ジャパンライフ被害対策岩手弁護団によりますと、県内の被害者は、ことし6月現在で約50人、被害総額25億円以上です。1人当たり5、000万円以上なのです。本当にこれは大変な事件だ。そして、この山口隆祥元会長の逮捕がおくれたのは、政治家がかかわっていたからだと言われているのです。かかわるどころか、桜を見る会まで案内されたのですから。私は、この政治家の責任は極めて重大だと思います。
 そして、岩手県の被害者の場合、ジャパンライフの支店は盛岡市と釜石市に置かれていました。そして、釜石市が被災した後は遠野市に置かれました。被害者の中には沿岸地域の被災者が多いのです。本当に真剣にこの問題を徹底的に捜査していただきたい。改めてお聞きします。
〇警察本部長(大濱健志君) 警察といたしましては、犯罪があると思料した場合におきましては、法と証拠に基づいて厳正に捜査しているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 次に、岩手医科大学元教授による覚醒剤疑惑事件についてお聞きいたします。
 覚醒剤疑惑事件が公に報道された場合、一般論として、県警察は直ちに捜査をするのでしょうか、しないのでしょうか。
〇警察本部長(大濱健志君) 一般論として申し上げれば、警察として犯罪があると思料したときは、法と証拠に基づき厳正に捜査をするものでございます。あくまで一般論としてのお答えでございます。
〇37番(斉藤信君) 岩手医科大学元教授の覚醒剤疑惑事件については、2014年7月の週刊文春の報道で明らかにされました。県警察はこれまで、捜査しているとも捜査していないとも言明していません。
 公安委員会委員長にお聞きしますが、公安委員会委員長には一度も報告がなされていないということですが、聞いたことはありますか。
〇公安委員会委員長(高橋真裕君) 岩手医科大学元教授の覚醒剤疑惑に係る公安委員会への報告についてでありますが、県警察からは、これまでの県議会における斉藤議員からの御質問と、これに対する答弁の内容について報告を受けているところであります。
〇37番(斉藤信君) 報告だけを受けているということですね。
 それで、県警察本部長は、一般論として、覚醒剤疑惑事件というのは法と証拠に基づいて捜査するのだと言っている。しかし、この事件だけは、捜査しているともしていないとも言っていないのですよ。これは何なのですか。公安委員会委員長はおかしいと思いませんか。公安委員会委員長にまずお聞きします。
〇公安委員会委員長(高橋真裕君) ただいまの御質問ですけれども、公安委員会の管理監督は、個々の事件に及ぶものではないと認識しております。あくまで公安委員会の管理監督の対象となるのは、県警察の施策についてでございます。
〇37番(斉藤信君) 私がこの問題をしつこく質問しているのはなぜかと言いますと、この覚醒剤疑惑事件について、実は、その当時の刑事部長、捜査責任者が、翌年4月にこの岩手医科大学に病院長顧問として再就職したからなのです。捜査対象の大学に対して捜査の責任者が再就職、天下りする。これは一般の県民から見たらもみ消しですよ。だから、私は県警察の信頼にかかわるということで取り上げているのです。
 県警察本部長は、6年たっても、いまだに捜査するともしないとも言えないのですか。
〇警察本部長(大濱健志君) お答えします。被疑者を逮捕した場合などを除きまして、既に報道がなされた場合であっても、特定の人物につき、警察が捜査しているか否かについてお答えできないことは明らかでございますし、大多数の県民の方々の御理解を得ているものと認識しております。
〇37番(斉藤信君) この事件が発覚したのは、この岩手医科大学の元教授から覚醒剤、薬物を打たれたという告発だったのですよ。当事者の告発だったのです。一般的な話ではなくて。だから直ちに捜査すべき事件だった。そして、翌年の3月に―看板教授でした。この看板教授が退職しているのです。責任をとってやめたのでしょう。責任をとってやめたということは、やましいことがあったということですよ。岩手医科大学は調査委員会を設置したけれども、残念ながら調査報告はありませんでした。そして、そこに捜査の責任者である刑事部長が再就職、天下りした。私は、こんなにはっきりわかるような癒着はないのではないかと思います。
 そして、きょうはジャパンライフのことも爆破予告事件のことも聞きました。捜査していると。しかし、この問題だけは、6年たっても捜査しているかしていないかわからない。やっていないということでしょう。やらないで、岩手医科大学に当時の捜査の責任者の刑事部長が再就職したとするなら、これは一つの事件の話ではないのではないか。それで公安委員会委員長に聞いているのですよ。一つの事件ではないでしょう。県警察の信頼にかかわる重大な問題ではないですか。そういうふうに受けとめていませんか。公安委員会委員長に聞いている。
〇公安委員会委員長(高橋真裕君) 繰り返しになりますけれども、公安委員会の管理監督は、個々の事件に及ぶものではないと認識しております。したがって、あくまで公安委員会の管理監督の対象となるのは、県警察の施策についてであります。
〇37番(斉藤信君) 壊れたレコードのような答弁はやめてください。私は県警察の信頼にかかわる重大事件ではないかと言っているのです。一つの覚醒剤事件ではないのですよ。まさに構造的癒着と言われても仕方がないのではないかと。そういう問題として指摘をしていた。6年たちましたけれども、しっかり県警察本部もけじめをつけてください。
 ことしも岩手医科大学に再就職しているのですか。
〇警察本部長(大濱健志君) そのような届け出は受けておりません。
〇37番(斉藤信君) それでは、次の問題に入ります。第6に、気候非常事態宣言について。
 昨日の答弁で知事は、2月定例会での請願採択を踏まえて、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロを見据えた具体的な次期岩手県地球温暖化対策実行計画の策定も踏まえ、宣言する方向で考えていると前向きの答弁を行いましたので、この質問は割愛します。
 最後の質問でありますけれども、菅新政権に対する動向について、知事の認識を伺います。
 菅新政権が誕生しました。菅首相は、安倍内閣の官房長官時代には、内閣人事局を使って政権の意に沿わない官僚を異動させるなど、官僚を委縮させ、そんたく政治を蔓延させました。首相になったら、政府から独立している日本学術会議が推薦した会員の任命について、6人の任命を拒否するという暴挙に出ました。
 日本学術会議法には、第3条で、政府から独立して職務を行う、第7条2項では、会員は、第17条の規定による推薦に基づいて内閣総理大臣が任命すると明記されています。1983年の国会答弁では、任命は形式的なもの、推薦に基づき全員を任命すると答えていました。
 菅首相は、理由も示さず、日本学術会議が推薦した6人の任命を拒否しました。日本学術会議法に違反する暴挙ではないでしょうか。また、この6人の言動、思想信条を理由とするなら、憲法23条の学問の自由は、これを保障すると明記した憲法にも反するものではないでしょうか。知事の見解を伺います。
〇知事(達増拓也君) 日本学術会議は、日本学術会議法第2条の目的にあるとおり、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的に設立されたものであり、戦後の我が国の平和的復興、社会の発展、国際的地位の向上等に科学が果たした役割は大きく、その科学者を代表する機関である日本学術会議の果たしてきた役割もまた大きなものがあったと認識しております。
 会員の任命は、日本学術会議法により、同会議が、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考、推薦し、その推薦に基づいて内閣総理大臣が任命するものとされています。
 今般、日本学術会議では、内閣総理大臣に対し、推薦した会員候補者が任命されなかった理由の説明と速やかな任命を求める要望書を決定し、内閣府に送付したと承知しております。
 現在、今回の人事は国民的な議論になっていることから、まずは、政府において、速やかに日本学術会議はもとより国民が納得できるよう説明責任を果たすことが必要と考えます。
〇37番(斉藤信君) 私は、図らずも菅新政権、菅首相の地金、本質があらわれたのではないかと思います。今、知事も答弁されましたけれども、日本学術会議というのは、戦前、科学者が侵略戦争に動員された、その反省から設立されたのです。だから、その当初から政府、行政と独立して職務に当たる。その推薦は、最初は公選制だったものが、1983年に改正されたものですけれども、今お話があったように、専門的な業績を踏まえて日本学術会議が推薦するのです。専門的な業績を踏まえて推薦しているのに、何を基準に6人を排除したのか。菅首相に専門的な領域を判断する能力があるとはとても思えない。政治的な、恣意的な判断ではなかったのか。
 私は何よりも、日本学術会議法が政府からの独立、そして、会員は第17条の規定による推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する。この第17条というのは専門的な業績という意味です。この日本学術会議法に違反する、これははっきりしているのではないか。そして、社会科学系の会員候補だけが排除された。これは思想信条、いわば政府の軍需産業に対する、軍需研究に対する参加に否定的な見解を学術会議は出した。戦争法、安保法制にも反対していた。共謀罪法にも反対していた。そういう科学者が狙い撃ちにされたのではないか。みんなそう思っています。だから、この6人の拒否は撤回すべきだ、この署名がわずか数日間で13万人に広がっているのです。この暴挙は、私は絶対に許せないし、科学者を官僚と同じように恣意的に差別する、排除する、こういうやり方は絶対許してはならない。
 最後の質問になりますけれども、菅新政権は、安倍政治の継承を掲げ、コロナ禍のもとで医療、介護、福祉を大切にし、支え合う政治と社会を求められているときに、社会のあり方として自助、共助、公助の自己責任を強調する、森友、加計の問題、桜を見る会の疑惑については調査しない。これでは政治は変わるどころかますます悪くなるのではないでしょうか。最後に知事の見解を求めます。
〇知事(達増拓也君) 菅新政権についてでありますが、新型コロナウイルス感染症対策を最優先課題として進めなければならない今、ことしの通常国会において、与野党の各政党が、民意を背景に政府の対策や補正予算案に見直しを迫り、それらを受け入れることで国の新型コロナウイルス感染症対策が改善されてきたことに鑑み、挙国一致内閣のような体制で臨むべきと考えます。
 内閣として、国民が分断されるのではなく、結集するような姿勢が求められています。そのためには、今までとは異なる政策や今までと異なる政治姿勢が必要であり、単なる継承にとどまらない政権運営を期待いたします。
〇37番(斉藤信君) 菅首相は、たたき上げの苦労人などと言われますけれども、実態は、まさに恐怖政治なのではないかと。このことを最後に指摘して私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 認定第1号令和元年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第54 議案第36号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(関根敏伸君) この際、日程第2、認定第1号から日程第54、議案第36号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 次に、お諮りいたします。認定第1号から認定第15号まで、議案第37号及び議案第38号、以上17件については、47人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(関根敏伸君) 御異議なしと認めます。よって、認定第1号から認定第15号まで、議案第37号及び議案第38号、以上17件については、47人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することに決定いたしました。
 お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(関根敏伸君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を決算特別委員に選任することに決定いたしました。
 決算特別委員会は、委員長互選のため、10月14日午前10時に特別委員会室にこれを招集いたします。改めて招集通知を差し上げませんので、御了承願います。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第36号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第10回県議会定例会 令和2年10月8日)
決算特別委員会
1 認定第1号
2 認定第2号
3 認定第3号
4 認定第4号
5 認定第5号
6 認定第6号
7 認定第7号
8 認定第8号
9 認定第9号
10 認定第10号
11 認定第11号
12 認定第12号
13 認定第13号
14 認定第14号
15 認定第15号
16 議案第37号
17 議案第38号
〔参照〕
委員会付託区分表
(第10回県議会定例会 令和2年10月8日)
総務委員会
1 議案第1号
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第2款
       第9款
   第3条
2 議案第15号
3 議案第16号
4 議案第17号
5 議案第19号
6 議案第20号
7 議案第22号
8 議案第25号
9 議案第30号
10 議案第36号
文教委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第10款
2 議案第23号
3 議案第24号
4 議案第31号
環境福祉委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款
       第4款
   第2条第2表中
    2変更中 1
2 議案第2号
3 議案第7号
4 議案第18号
5 議案第35号
商工建設委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第5款
       第7款
       第8款
       第11款第3項
   第2条第2表中
    1追加
    2変更中 6~13
2 議案第6号
3 議案第8号
4 議案第9号
5 議案第12号
6 議案第13号
7 議案第14号
8 議案第26号
9 議案第27号
10 議案第28号
11 議案第29号
12 議案第32号
13 議案第33号
14 議案第34号
農林水産委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
       第11款第1項
   第2条第2表中
    2変更中 2~5
2 議案第3号
3 議案第4号
4 議案第5号
5 議案第10号
6 議案第11号
7 議案第21号
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時1分 散 会

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