令和2年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(武田哲君) 自由民主党の武田哲です。
 一般質問の機会を与えていただいた先輩、同僚議員の皆様に感謝申し上げますとともに、コロナ禍において献身的に従事している医療関係者の皆様に敬意を表します。また、新型コロナウイルス感染症に罹患した方々、お亡くなりになられた方々にお見舞いとお悔やみを申し上げます。
 そして、東日本大震災津波から9年と半年、復興完遂に向けて、今後もしっかりと務めてまいります。
 それでは、通告に従い質問いたします。
 まず、米政策について2点伺います。1点目は、今後の生産者支援についてです。
 県産米の令和2年産の概算金は、あきたこまち、ひとめぼれでそれぞれ800円下がりました。これまで少しずつですが価格は上昇してきましたが、この下落幅は農家にとっては厳しい結果となりました。一方、ナラシ対策に加入している3ヘクタール以上の規模の大きい農家への影響は少ないのかもしれません。そのためのナラシ対策ですから。しかし、私が危惧しているのは、3ヘクタール以下の農家です。規模が小さくなるほど生産費は上がります。つまり影響が強く出る結果になります。
 現在の農業政策は、大規模な主業農家の育成や集落営農に向かっています。確かに耕作放棄地の解消や農地の集約化は図られるかもしれません。これまでの政策を否定するものではありませんが、東北自動車道や東北新幹線から見る水田には、農家の暮らしや家族の団らんが感じられる風景が想像できません。以前は、家族総出で働き、小昼やお昼にはにぎやかに子供たちの笑い声が響き、ともに笑いながら楽しく休み、一緒に笑っていた子供も見よう見まねで手伝ったりと、楽しく働いてきました。
 しかし、今は大きなコンバインで一瞬にして稲刈りが終わる。本来、子供たちが体に刻むべきにおいや手ざわりや足から伝わる土のやわらかさ。はねるバッタやさまざまな虫たち。稲刈りをする大人たちの力強さに驚いたり、手伝った後に見る夕日。暗くなっても働く大人たちの背中。そのような瞬間はなくなりつつあります。
 私は、小規模でも中規模でも、再生産できる価格帯を維持しなければならないと考えます。田んぼに立つ人たちが多くいる風景を見たい、守りたいと考えています。それが岩手県の田園風景と考えているからです。
 そこで伺います。令和2年産米の概算金下落は、民間卸など在庫量の増加や米消費の低迷などさまざまな要因が考えられますが、米生産者の支援を今後どのように考えるのか伺います。
 2点目は、米の販売方針と来年度以降の作付についてです。
 今年度で、いわての美味しいお米生産・販売戦略ビジョンが終了します。そのような中、コロナ禍における需要喚起策を盛り込んだ新たな販売戦略が必要になってきました。新しい生活様式が求められ、新たに巣ごもり需要など、これまでの販売戦略とは違う視点で検討する必要があります。
 そこで提案したいことがあります。以前、千葉絢子議員が提案されていたジブリのイメージ、いいなと思いました。イメージも大切、加えて食の楽しさも必要と考えます。朝、米を炊く、朝食とともにお弁当にも御飯を詰める。保温機能がない場合、御飯は冷めます。しかし、岩手の品種ではきらほがあります。つまり、冷めてもおいしく味わえるお米です。いい武器です。夕飯には、おいしいおかずとともに、岩手県が誇る金色の風、銀河のしずくといったおいしいお米があります。そして、あきたこまちやひとめぼれ、いわてっこなど、これまでの品種もあります。
 あまねく品種を楽しく食べていただくいい方法があります。それは、それぞれの家でつくる米のブレンドを提案してみてはいかがでしょうか。品種の味にはそれぞれ特徴があります。香り、甘み、舌ざわり、歯応え、喉越しなど味わいを追求するお米の食べ方です。それぞれのブレンドで家庭の味をつくり出す。お父さんなんかこだわりそうですよね。米を研ぐ楽しさが生まれます。それは、家族の笑顔や味の追求につながります。品種の特性を知るからこそ楽しめます。そうすると、きらほのように冷めてもおいしいお米を主体とした朝食のブレンド米が生まれたりとか、新しい食の発見につながり楽しいと思います。
 一つの品種のみを楽しむだけが米の楽しみ方ではありません。いつの間にか、金色の風、銀河のしずく、ひとめぼれなど、味や価格帯を見せる販売ばかり。のぼりも岩手の何々という売り方に徹してきました。しかし、これからは在宅勤務もふえます。巣ごもりもしかり。家で過ごす時間がふえます。そうすると家族で過ごす時間もふえる。家族そろって調理をする、団らんの時間がふえる。その楽しい時間に、岩手のさまざまなお米をブレンドして、それぞれの家庭の味をつくり出す提案が必要と考えます。
 これはあくまで提案ですが、新しい生活様式からどのような時間がふえ、どのような行動が考えられるのか、新たな食の価値観が生まれるときなのかもしれません。その中で、これまでの販売戦略から大きく脱却した発想を私は求めます。ただ、変わらないことがあります。おいしいものを食べて怒る人はいません。
 そこで伺います。新たな生活様式を踏まえた新しい発想による米の販売戦略が必要と考えますが、次期いわての美味しいお米生産・販売戦略ビジョンの方向性についてお示し願います。加えて、業務用米の縮小や今後の新たな販売戦略を踏まえ、来年度から作付する品種構成をどのように考えていくのか伺います。
 次に、畜産振興について伺います。
 豚熱は、最近、発生から大きな展開を見せています。福島県会津若松市で死んだ野生イノシシに豚熱の感染が確認されました。国は、発生地から100キロメートル圏内の地域をワクチン接種奨励地域に指定し、宮城県と山形県は、ついにワクチン接種に取り組むことになりました。本県の養豚農家は、いよいよ豚熱の脅威にさらされることになりました。
 静岡県の種豚供給農家が、二戸市の離農した農家から農場を買い取るなど数億円かけて営農を始めました。この農場は、精液や種豚の供給を全国に行っています。二戸市に移転してきたのは、ワクチン接種地域からは全国に供給できなくなるためです。岩手県にも同じように精液や種豚、繁殖用の母豚を供給する農場がありますが、ワクチン接種により移動制限がかけられると売り上げの落ち込みが懸念されます。まさに正念場です。
 さらに、群馬県では、先日、ワクチン接種を行っていた農場で生まれた子豚に豚熱の感染が確認され、農場で飼養する約5、900頭が殺処分されました。ワクチン接種の手法を早急に検討しなければなりません。加えて、国は去る10月1日から、ビジネス上必要な人材等に加え、順次、留学、家族滞在等その他の在留資格も対象とし、原則として全ての国、地域からの新規入国を許可することを決定し、海外との往来の再開にかじを切りましたが、中国では、ワクチンのないアフリカ豚熱が確認されています。こうした状況に対応するため、水際対策等の強化が必要です。
 また、県内の養豚農家は、これまで柵の設置に経費をかけてきました。これにさらにワクチン接種の経費がかさむと痛手は大きくなりますし、風評被害も懸念されます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 もしワクチン接種の措置をとらなければならなくなった場合、他県のように、せめて1回目は無料で対応できるようにしなければならないと考えます。それは、ワクチン接種後生まれる子豚にもワクチンを打ち続けなければならないからです。
 そこで伺います。農場における豚熱ウイルスの侵入防止対策や豚熱等を国内に持ち込ませないための空港等における水際対策を強化する必要があると考えますが、これまでの県の防疫対策の取り組み状況や今後の対策について伺います。
 また、ワクチン接種の措置をとらなければならなくなった場合、せめて1回目は無料で対応すべきと考えますが、豚熱に対する県のワクチン接種の補助に対する考え方について伺います。
 さらに、豚熱等を媒介する野生のイノシシ対策も重要だと考えますが、駆除の取り組み状況や今後の対策について伺います。
 次に、林業振興について伺います。
 コロナ禍における林業振興策が今求められています。国内で3番目の木材供給県岩手で木材の供給が大きく落ち込んでいます。林業事業体の方は、リーマンショックの中でもそれなりに需要はあった。今は切った木は山に積まれ、虫食いも心配であり、いつ出荷できるかわからず、先が見えないと途方に暮れていました。
 一方、これまで県は、岩手県県産木材等利用促進条例に基づき、岩手県県産木材等利用促進基本計画及び同行動計画等により、県産木材の利用促進に取り組んできました。国の補助事業や森林環境譲与税、いわての森林づくり県民税等を活用しながら、森林、林業、木材産業を活性化させる必要があります。
 自由民主党会派の要望調査では、県内の市町村からも多くの木材需要の喚起策を要望されました。ある市では、コロナ禍における避難所運営等、今後の集会所運営を考えると、集会所のさらなる整備が必要であり、その話の中で、これまでは一般社団法人自治総合センターのコミュニティ助成事業等の活用を推進し整備してきたが、宝くじ並みに当たらなくなってきたと話しており、新しい県産木材の活用を見据えた集会所整備の助成事業が必要だと訴えていました。
 一方、他県を見ると、例えば秋田県では、秋田杉をふんだんに活用した公共施設が多くつくられ、挙げ切れないほどです。宮城県でも、木造で7階建てのビルが建設されています。それぞれの県産木材の活用策により木材が身近なものになってきています。もっと県内で木のぬくもりが感じられるようなシンボリックな建物と県民が見て、触れて、感じられるような県産木材に特化した取り組み、需要喚起策が必要と考えます。
 そこで伺います。これまでの県産木材の利用促進に向けた取り組みについて、県としてどのように評価し、また、課題をどう分析しているのか伺います。
 また、コロナ禍のかつてない厳しい状況にあって、利用促進に向けた一層の取り組みが必要と考えますが、今後の県産木材の利用促進策としての出口戦略と県産木材の需要喚起に向けた具体の取り組み方策について伺います。
 次に、県立学校の教育施設整備について伺います。
 二戸市の福岡高校は、県内の中でも50年以上たつ古い校舎で、校舎も暗く、トイレも寒風吹きすさぶ和式トイレで、劣悪であり、これが今の時代の教育施設なのかと二戸市の教育長は訴えていました。
 また、二戸市内で生まれた子供たちが通う小中学校の教育施設の整備は市が責任を持って行い、子供たちがこの地で学んでよかったと思えるように全力を傾注する。しかし、高校の教育施設の整備には県が責任を持ってほしいと話していました。
 県は、高校再編を進めておりますが、教育施設の整備にも向き合う必要があるのではないかと思います。子供たちが本当に進学したいと思える教育施設を整備し、良好な施設環境のもとで学校生活を送れるように、計画を前倒しして早急に整備を行うべきと考えます。
 そこで伺います。県立学校のトイレの洋式化率の現状と今後の改修の見通しについて伺います。
 また、校舎の改築に当たってはできるだけ木造校舎とすべきと考えますが、校舎の改築における木造化の状況と今後の見通しについて伺います。
 次に、沿岸地域の被災者支援について伺います。
 県は、東日本大震災津波により被災した多くの住民が、応急仮設住宅での暮らしを余儀なくされていることを踏まえ、住宅環境の悪化による疾病リスクの増加や家計悪化による受診控えに備え、適正な医療を受ける機会を確保するため、被災者の医療費の一部負担金や介護、障がい者福祉サービスに係る窓口負担の免除を実施してきました。
 この免除に要する経費は、平成24年9月までは、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律により国が免除に要する経費を全額補填する形で実施してきましたが、この法律の終了後の平成24年10月からは、県独自で財政支援を実施し、現在も県内市町村等で免税措置が継続中です。
 そこで伺います。医療費一部負担金の免除措置は、生活不安を抱く多くの被災者に対し、必要な医療サービス等を受ける機会の確保などに一定の成果があったと考えますが、これまでの医療費一部負担金の免除措置に係る県の評価について伺います。
 国の支援終了後、現在、国民健康保険については、既存の枠組みにより一定の基準を満たした場合に国が8割支援することになっています。県では、市町村負担2割の半分を財政支援するとともに、国の基準に達しない市町村に対しては、国の8割分も県が支援する措置を令和2年12月まで延長しています。
 一方、さきの新聞報道によれば、沿岸12市町村のうち10市町村が、医療費一部負担金の免除措置について廃止が適当としています。その理由は、社会保険加入者や非対象者の不公平感や財政負担を挙げており、陸前高田市では、今年度から国民健康保険税の値上げに踏み切りました。
 東日本大震災津波から9年半が経過し、住宅についても、多くの被災者が恒久的な住宅に移転しており、医療費一部負担金の免除措置に係る当初の住宅環境の悪化による疾病リスクの増加への対応という目的に照らしても、被災者を取り巻く環境は大きく改善しています。
 そこで伺います。沿岸市町村の医療費一部負担金の免除措置は10年を区切りにすべきとの声に、県としてどのように対応していくつもりなのか伺います。
 次に、コロナ禍における中小企業の支援策について伺います。
 内閣府が発表した景気動向指数に基づいた景気判断は12カ月連続で悪化を示し、悪化期間はリーマン危機以来の11カ月を上回り過去最長を更新しました。コロナショックはリーマン危機に比べると、消費など内需まで急減したのが特徴とされます。輸出や生産は持ち直しつつありますが、今後の感染状況も懸念されます。
 県内の状況を見ると、アメリカと中国の争いにより影響を受けそうな企業も見られ、さらに注視しなければならない状況です。県内の各自治体においても、ホテル事業者への支援など域内の経済対策として宿泊費の補助や商品券の発行など、あらゆる対策を講じています。また、Go To トラベルでは、これまで参加事業者から感染は見られず、事業者の皆様の感染対策が功を奏しています。そして、Go To トラベルの利用者も、同じように感染症対策を講じており、事業者、利用者相互の気遣いのもとに事業が成り立っている状況がうかがえます。花巻温泉など大きな宿泊施設の関係者は、Go To トラベルがなければ大変だったと話していました。
 一方、知事は、以前、Go To トラベルの開催時期に関し問題があるとの認識を示していましたが、そうした指摘をするよりも、開催の時期の問題点を補うのが県の役割ではないかと思います。そして、Go To トラベル参加事業者にも関連する業者にも少しでも問題点があるのであれば、それを克服するアイデアを示すのが県の務めではないでしょうか。今は、国の事業のよしあしより、いかに地域経済を回していくのかについて、ともに解決策を見つけていくことこそが県民のためになるのではないかと考えます。
 そこで伺います。コロナ禍における県のこれまでの宿泊事業者に対する支援策の評価について伺います。
 また、国は、宿泊業と同様にコロナ禍で大きな打撃を受けている飲食店の需要喚起を目的に、今月1日からGo To イートを開始しました。Go To 商店街、Go To イベントもあります。県は、宿泊業に加え、飲食業や小売、サービス業、製造業など、コロナ禍で業績が悪化している中小企業者の支援を幅広く行っていく必要があると思いますが、知事のお考えを伺います。
 この厳しい経営状況にあってもうまく事業を展開している業者もあることは確かですが、多くの中小企業者は苦しんでおり、将来に不安を示し、廃業するかどうするか先の見えない苦しみにあえいでいます。商工会、商工会議所の職員は、忙しく立ち回り、新型コロナウイルス感染症対策の事業をこなし、職員の皆さんの笑顔も見られなくなるほど奔走していますが、県は、こうした商工会、商工会議所の現状を認識しているでしょうか。
 また、県は、事業承継の円滑化に向けた取り組みの評価について、中小企業が事業承継診断を受けた件数など量的な面からその状況を評価しています。ある商工会では、経営者の悩みに寄り添うため、滞在時間を長くとり、信頼を得られるようにじっくりと相談に乗るようにしていると話していました。
 県内事業経営者の平均年齢は高く、コロナ禍における事業承継への対応は喫緊の課題であり、待ったなしの状況です。
 そこで伺います。今後コロナ禍も見据え、円滑な事業承継の支援に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、県の経済、雇用を守るため企業の誘致が取り沙汰されますが、新型コロナウイルス感染症により従来の仕事の延長では採算が厳しくなっている今こそ、地域経済を支えている中小企業者が、新分野進出や業態転換などに取り組み、新たな利益の源泉を生み出すことにより経営力を強化していくことが求められています。そのためには、意欲ある事業者同士をつなぐ機会の創出や事業者が抱えている経営課題の解決に向けた伴走型支援など、商工指導団体や支援機関の役割は一層重要なものになります。
 そこで伺います。コロナ禍後を見据え、今後の事業者が抱える課題解決に向け商工指導団体の支援体制を強化する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 また、商工指導団体任せではなく、事業者の底力を信じ、県も率先してマッチングなど新たな相談窓口を設置し支援する考えはないか伺います。
 最後に、十和田八幡平国立公園黒谷地湿原の木歩道の早期整備について伺います。
 県ではこれまで、十和田八幡平国立公園の登山道や避難小屋などの整備を進めていますが、黒谷地湿原は、令和4年度に木歩道の再整備を行う予定と伺っています。
 八幡平市では、コロナ禍を乗り切るためさまざまな手法を取り入れて対策を打っていますが、今後の観光客誘致にも力を注ぎたいと考えています。これまで、十和田八幡平国立公園の観光客誘致を進めるため、ドラゴンアイのポスターを作成するなど、県もともに力を注いでいることは高く評価していますが、自然公園内の施設整備が伴わなければ、その後訪れる八幡平の観光客誘致にも少なからず影響があるものと懸念しています。
 八幡平市は、季節を問わず観光客誘致に努める姿勢を見せていること、コロナ禍後を見据えていることを県はどのように捉えているのでしょうか。八幡平市が見せている姿勢に応えるべきではないかと考えます。
 そこで伺います。十和田八幡平国立公園黒谷地湿原の木歩道の早期整備に関し所見を伺います。
 また、今後の県内の国立公園等の自然公園施設の整備方針とコロナ禍後を見据えた整備に関する考え方について、あわせて伺います。
 以上で質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 武田哲議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、沿岸地域の被災者支援に対する県の評価についてでありますが、東日本大震災津波の被災者に対する国民健康保険医療費の一部負担金等の免除措置については、応急仮設住宅での暮らしなど、住宅環境悪化に伴う疾病リスクの増加や失業等による家計悪化に伴う受診控えに対応するため、免除を実施する市町村に対し、その経費の一部を財政支援してきたところであり、これまで延べ28万9、000人余の被災者の適切な医療等を受ける機会の確保と健康の維持増進等に寄与したものと考えております。
 また、本県の東日本大震災津波被災者を対象に、毎年度、岩手医科大学が実施している健康に関する調査研究においても、沿岸被災地において、さまざまな人的、金銭的支援が行われたことにより適切な治療がなされ、高血圧患者の血圧低下などの効果が報告されているところであります。
 次に、沿岸市町村の声に対する対応についてでありますが、東日本大震災津波からの復興は、被災地や被災者の実態を踏まえた切れ目のない支援が重要であることから、国民健康保険医療費の一部負担金免除等に対する財政支援についても、被災地の生活環境や被災者の受療状況を勘案しつつ、市町村の意向を踏まえ、毎年度、継続の判断を行ってきたところであります。
 県では、復興の進展により被災者の生活環境が変化する中、国民健康保険医療費の一部負担金の免除措置等がもたらした効果等を踏まえつつ、その継続の意義について、各市町村と意見交換を行っているところであります。
 県としては、県議会6月定例会における東日本大震災被災者の医療費窓口負担の一部負担金免除継続を求める請願の採択や関係団体からの要望、県民から寄せられた意見等を踏まえつつ、市町村が抱える個々の事情を総合的に勘案しながら、被災者が、今後とも適切な医療等を受けられるための支援方策について、市町村と調整を図ってまいります。
 次に、宿泊事業者への支援策の評価についてでありますが、県では、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい経営が続く宿泊事業者を支援するため、感染症対策に必要な設備の整備等に対する補助金や、宿泊事業者が実施する生産性向上等の取り組みに対する支援金を交付して、経営の基盤づくりを支援してきたところであります。
 さらに、宿泊需要を喚起するため、市町村と連携した地元の宿応援割や、県民を対象とした泊まるなら地元割クーポンの宿泊助成制度を措置し、国のGo To トラベルを併用することで、より身近なエリアでの周遊のインセンティブが高く、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら柔軟に対応できる仕組みづくりができたと考えております。
 次に、中小企業者への今後の支援策についてでありますが、中小企業者の支援に当たっては、各事業者の新型コロナウイルス感染症対策を徹底させることが前提と認識しており、宿泊業や飲食業、運輸業など経営状況が厳しい業種を対象に新型コロナウイルス感染症対策を支援するなど、徹底した新型コロナウイルス感染症対策を促しております。
 その上で、資金繰りへの支援や買うなら岩手のもの運動、宿泊割引クーポンなどの消費喚起策、オンライン販売やテレワーク等、新しい生活様式に対応したビジネスモデルへの転換や生産性向上の取り組みを支援しているところであります。
 今後においても、国内の感染状況や事業者の状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止と経済社会活動の両立に向け、必要な支援策を講じるとともに、全国知事会などと連携し、地域の実情に応じた支援策の実施を国に働きかけ、持続可能で活力ある地域経済の確立を目指してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長藤澤敦子君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) 十和田八幡平国立公園黒谷地湿原の木歩道の早期整備についてでありますが、八幡平アスピーテラインから黒谷地湿原に向かう登山道は、初心者も手軽に湿地トレッキングを楽しめるコースとして人気が高く、多くの観光客に利用されているところでありますが、コース内の木歩道については、老朽化している箇所が多く見られることから、国立公園の5カ年整備計画に位置づけ、令和4年度に再整備を行う予定としております。
 県内の自然公園の施設整備に当たりましては、市町村や関係者の意見を伺いながら、老朽化の状況を確認し、施設の安全確保を優先して、計画的に整備を進めているところであります。
 県といたしましては、新型コロナウイルス感染症の終息後においても、自然公園を訪れた方々に安全にその魅力を満喫していただけるよう、整備予算の十分な確保について、国に対し、引き続き要望してまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、米の生産者への支援についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、米については、家庭での消費が増加した一方、外食での需要が低迷しております。また、国が公表した9月15日現在の水稲の全国の作況指数は、平年並みの101となっており、令和2年産米の価格は、全国的な需給緩和により低下が懸念されています。
 こうしたことから、県では、国に対し、米の需給と価格安定に資するため、主食用米の一部を市場から隔離するなどの対策を講じるよう要望したところであります。
 また、8月末時点では、米の取引価格の大幅な低下などは認められないものの、生産者の経営安定に向けては、県産米の消費拡大と販売対策の強化などのさらなる需要拡大の取り組みが重要であると考えています。
 このため、新たな生活様式の定着による家庭での米消費の増加を踏まえ、県内外の消費者等に向けて、県産米の品質の高さやおいしさを積極的にアピールするとともに、本県が築いてきた大手米卸業者等とのネットワークを活用しながら、外食、中食の需要拡大に積極的に取り組んでまいります。
 さらに、生産者の経営安定を図っていくため、米生産のさらなる低コスト化に向けて、スマート農業技術や直播栽培等の普及などを推進していくほか、米等の農業収入全体の9割を補填するナラシ対策や収入保険などのセーフティネットへの加入を一層促進するなど、引き続き、生産者が安心して米づくりを行えるよう、関係機関、団体と一体となって取り組んでまいります。
 次に、米の次期生産、販売戦略についてでありますが、県では、いわての美味しいお米生産・販売戦略に基づき、高品質、良食味米の生産などによる売れる米づくりや県オリジナル品種のブランド化による県産米の評価向上に取り組んできました。その結果、令和元年産米の一等米比率は全国2位の93.4%となったほか、県産米を使用するいわての美味しいお米提供店は、令和元年度に243店舗とこの3年間で約2倍となるなど、県産米の評価が高まっているところであります。
 次期戦略は、これまでの成果に加え、県内のスマート農業技術の進展や新型コロナウイルス感染症の影響による家庭消費の増加などを踏まえると、生産面では、スマート農業技術を活用した品質、食味の向上や生産コストの低減、販売面では、SNSを通じたプロモーションやウエブを活用した販売促進などの方向性が考えられますが、今後、関係機関や有識者等の意見も伺いながら具体の内容の検討を進めてまいります。
 次に、作付する品種についてでありますが、県では、水稲品種選定と栽培管理指導の方針に基づき、地域の気象や立地条件等に適した品種の作付と適正な栽培管理による高品質、良食味米の安定生産を推進しており、県内では、この方針を踏まえ、全国農業協同組合連合会岩手県本部が行っている主要米卸業者への需要調査や産地と実需者との結びつきの状況等を考慮しながら作付が行われております。
 これまでの取り組みにより、令和2年産では、県南部の立地条件に適し、家庭消費や業務用の需要が多いひとめぼれが県全体の作付面積の約6割、県中部の立地条件に適するあきたこまちが約1割、さらに、県内外から高い評価をいただいている金色の風、銀河のしずく等の県オリジナル品種が約1割となっています。
 今後については、県産米のフラッグシップである金色の風、銀河のしずくや、実需者ニーズの高いいわてっこ等の県オリジナル品種の作付を引き続き推進していくとともに、本県が有する実需者とのネットワークを生かし、全国的な米の需給環境に関する情報も収集しながら、実需者から求められる品種の作付が行われるよう、関係団体等と連携して取り組んでまいります。
 次に、豚熱の防疫対策についてでありますが、県ではこれまで、豚を飼養する全ての農場を定期的に巡回し、飼養衛生管理の状況を確認するとともに、国庫事業等を活用し、野生イノシシの侵入防止柵の整備を進めてきたほか、いわて花巻空港において、国と連携し、国外からの豚肉製品の持ち込み検査や靴底消毒の徹底などの水際対策に取り組んできました。
 また、家畜伝染病予防法に基づく飼養衛生管理基準が本年6月に改正され、農場での防疫対策のさらなる強化が必要となったことから、今般の補正予算案に畜舎への野生鳥獣の侵入を防ぐネットのほか、農場入り口で車両を消毒する設備や飼養する豚の飲み水を消毒する機器などの導入を支援するための経費を盛り込んでいるところであります。
 先月、東北地方で初めて、福島県内で野生イノシシの豚熱の感染が確認されるなど、県内への豚熱ウイルスの侵入リスクが高まっていることから、県内養豚農場での発生を未然に防止できるよう、国や生産者、関係機関、団体等と緊密に連携しながら、豚熱の防疫対策の徹底に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、豚熱ワクチンの接種についてでありますが、豚熱ワクチンは、豚熱の発症を抑制することができるもので、家畜伝染病予防法に基づき県が接種を行うこととされており、その接種回数は、繁殖用の親豚は年2回、生後約6カ月で出荷される肥育用の子豚は1回となっています。
 本県での豚熱ワクチンの接種については、県内で豚や野生イノシシでの感染が確認された場合や、本県の県境から100キロメートル圏内で野生イノシシの感染が確認された場合に、国が接種の要否を判断することとされています。
 豚熱ワクチンの接種に当たっては、県手数料条例に基づき接種手数料を徴収することとしていますが、ワクチンを接種した22都府県のうち20都府県では、農場ごとに初回の接種手数料を免除しており、こうした事例も参考にしながら本県の対応を検討してまいります。
 次に、野生イノシシの駆除対策についてでありますが、県内では、平成22年度に初めて野生イノシシによる農作物被害が確認されて以来、その生息域が拡大しております。
 このため県では、市町村の鳥獣被害対策実施隊員等を対象に、イノシシの生態やわなの使用方法など捕獲技術の習得を支援する研修会を開催しているほか、より効果的な捕獲に向けたICTを活用した箱わな捕獲の実証や、ドローンを活用した生息状況の調査などに取り組んでいるところです。
 こうした取り組みにより、野生イノシシの令和元年度の捕獲頭数は、18市町で約350頭と5年前に比べ約8倍となっており、さらに、今年度は約700頭を捕獲する予算を確保しているところであります。
 県としては、引き続き、市町村や関係団体等と連携しながら、野生イノシシの捕獲強化に取り組んでいきます。
 次に、これまでの県産木材の利用促進に向けた取り組みの評価等についてでありますが、県内の木材加工施設の原木利用量を示す素材需要量は、東日本大震災津波により沿岸部の木材加工施設が被災した影響等により、平成23年は前年から約25%、33万立方メートル減少し101万3、000立方メートルとなったことから、県では、木材需要の回復のため、県産木材の安定供給体制の構築や木材加工施設の整備等の支援に取り組んでまいりました。
 この結果、令和元年の素材需要量は133万2、000立方メートルと東日本大震災津波前の水準に回復したほか、素材需要量に占める県産木材の割合は約8割で推移するなど、県内の木材加工施設で県産木材が積極的に活用されています。
 また、県では、高品質な県産木材等のさらなる評価向上に向けて、関係団体と連携しながら、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会選手村施設への県産木材製品の提供や、名古屋城天守閣復元工事へのアカマツ材の供給などに取り組んできました。
 こうした取り組みにより、アカマツを初めとする高品質な県産木材等は、これまでの一般住宅向けの製材品に加え、寺社仏閣等の修復用資材として全国各地で活用されており、県内外に販売が拡大しております。
 一方で、将来的な人口減少社会の到来に伴い、住宅着工戸数の減少が予測され、木材需要の縮小が懸念されることから、商業施設等の非住宅分野での利用拡大や新たな販路の開拓など、県産木材等のより一層の需要拡大に取り組んでいくことが必要と考えています。
 次に、今後の県産木材等の利用促進策についてでありますが、県では、本年3月に策定した岩手県県産木材等利用促進基本計画及び同行動計画に基づき、公共建築物や民間商業施設等の木造化、木質化の推進、県産木材等の需要創出につながる新たな加工技術等の研究開発、国内外を視野に入れた販路拡大などの取り組みを推進していくこととしているほか、これらの取り組みを官民一体となって総合的に推進するため、今般、いわて県産木材等利用推進協議会を設置したところであります。
 この協議会では、森林資源の重要性を認識し、森林がもたらす多くの恩恵をよりよい形で次の世代に引き継ぐため、いわて木づかい宣言を採択したところです。
 また、県産木材等の利用促進の具体の取り組みとして、民間商業施設等の木造化の促進に向けた木造建築設計技術等に精通したアドバイザーによる助言、新たな需要創出に向けた県産アカマツを活用したCLT製造技術や、広葉樹資源の高付加価値化につながる加工技術等の開発、普及、販路拡大に向けた高品質な県産木材等をPRする展示会への出展支援などに取り組むことを確認したところであります。
 今後とも、豊富で多様な森林資源を活用した本県林業の成長産業化に向け、いわて県産木材等利用促進協議会の構成団体等と連携しながら、県産木材等のさらなる利用促進に積極的に取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、事業承継に向けた支援についてでありますが、事業承継に向けた準備の必要性について気づきを促すとともに、支援ニーズを掘り起こすため、県、商工指導団体、金融機関などにより構成する岩手県事業承継ネットワークにおいて、後継者の有無や事業者の準備状況を対面で調査する事業承継診断を実施しているところであります。
 いわて県民計画(2019~2028)では、具体的推進方策指標として、商工指導団体による事業承継診断を受けた企業数を掲げ、目標件数を定めて実施しているところでありまして、昨年度の実績は686件と前年度の300件から大幅に増加しており、取り組みの成果があらわれてきているものと考えています。
 また、診断の結果、事業承継に向けて解決すべき課題がある場合には、コーディネーターや専門家を派遣したり、例えば、承継資金に関する相談がある場合には金融機関、第三者への事業承継を進める意向がある場合には岩手県事業引継ぎ支援センターに引き継ぐなど、事業承継ネットワーク内で連携して支援する体制としています。
 県内中小企業が持続的に発展していくためには、経営力の強化や生産性向上などとともに、M&Aを含む事業承継を適切に進めていくことも重要と認識しており、引き続き、事業承継ネットワークの取り組みを通じて、個々の事業者の状況に応じ、きめ細かに支援してまいります。
 次に、中小企業者への支援体制等についてですが、県では、中小企業者の経営課題解決に向け継続的にサポートする伴走型支援に取り組むため、令和元年度から、商工会等における従来の経営指導員に加えて、指導員を補佐する経営支援員の配置や、商工会連合会における複数の商工会を担当する広域経営指導員の配置に対する補助を行い、商工指導団体における支援体制を強化しているところであります。
 また、令和2年度一般会計第3号補正予算において、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、商工指導団体における相談対応に従事するスタッフの配置や相談窓口の設置等に対する補助を措置したところであります。
 国に対しては、こうした支援体制を継続できるよう、人件費等に係る財政措置の拡充を要望しているところでありまして、仮にコロナ禍が収束した状況においても、中小企業者にとって厳しい経営環境が続く場合には、引き続き、商工指導団体の体制強化に向けた対応を働きかけてまいります。
 また、マッチングにつきましては、県では、これまでも食品を含む製造業関連の取引拡大につながる各種の商談会や技術展示会の開催、新商品開発など新たなビジネスにつなげるセミナーや交流会等の開催などにより、事業者間のネットワークづくりを支援してきたところであります。
 さらに、公益財団法人いわて産業振興センター内に設置されている常設の相談窓口であります岩手県よろず支援拠点において、売り上げ拡大、経営改善等の経営課題について専門のコーディネーターが相談対応しているところでありまして、引き続き、これら支援機関と連携し、事業者の経営力強化に向けて支援してまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、県立学校のトイレの洋式化の状況についてでありますが、これまで、児童生徒の生活様式の変化や避難所としても活用される学校施設の多様な利用者への配慮などの観点から、トイレ基数の過半数を洋式化することを原則としながら、校舎の改築や大規模改修等にあわせて、順次その整備を進めてきたところです。
 令和元年度末現在の学校トイレの全便器数における洋式便器数の割合である洋式化率は40.7%と低い状況にあり、現在、学校施設の耐震化やエアコン整備と同様に、重点推進項目と位置づけて改修に取り組んでいるところです。
 今後、個々の学校の状況、要望を踏まえながら、必要な箇所については早期に対応してまいります。
 次に、校舎改築における木造化の状況についてでありますが、県では、岩手県県産木材等利用促進行動計画により、県が整備する低層の公共施設の木造化率100%を目標に取り組みを進めており、施設の木造化及び内装の木質化に努めることとしています。
 学校施設においても、2階建て以下で延べ床面積3、000平方メートル以下の校舎、体育館、クラブハウス等は木造化を推進することとしており、県教育委員会では、現在改築工事を行っている福岡工業高校及び伊保内高校の管理教室棟について、木造で整備を進めているところです。また、今後建設を予定している釜石祥雲支援学校の管理教室棟についても、木造で整備する予定としています。
〇9番(武田哲君) それでは、再質問させていただきます。
 知事はきのう、ハクセル美穂子議員の質問の中でウィキペディアを調べたということで、私も知事について開いてみたのです。そうしたら、私と知事は同い年ですが、誕生日も随分近くて正直驚いたところです。同い年だということで、私も以前から本当に親近感を持っています。
 ただ、先ほども質問しましたけれども、Go To トラベルの開催時期に問題があったと。しかし、それがなければ、やはり宿泊業の方々はなかなか集客も見込めないと。それには、やはり県内の宿泊業をしている方たちに対して、しっかりと支えますという姿勢を見せてほしかったと思っています。
 また、私が一番気にしているのは、事業承継にもかかわりますけれども、高齢者の方が経営している宿泊施設など、やはり申し込みがなかなかできない人たちもいるわけです。そういったところをしっかり細かく補佐しながら、もっと丁寧な運営をしてもらいたかったなと感じています。まず、そのところをお伺いしたいと思います。
 続きまして、商工労働観光部長にお伺いしますけれども、今後、Go To イートが開催されます。プレミアム付食事券の販売や、ポイントの付与は10月から1月末までと短い期間ですが、これから岩手県では米も収穫される、リンゴも収穫される、いろいろな収穫物が、今もマツタケも盛んにとれています。そうした中で、1月末までですけれども、いかに食べていっていただくか、そして、それに登録していただける飲食店をいかにふやしていくかというところが、すごく課題だと思っています。
 新潟県では、それを早めて始めたりはしていますけれども、県の動きが、飲食店の人たちからしてみると、県はどんなふうにしてくれるのかというところが、なかなか今行き渡っていない状況だと思います。各個別の事業体の方々は、やっぱり多く利用してもらいたい。そして、そこの事業体にいろいろな方々が訪れていただきたいと思います。そこの需要喚起策を今後どのように進めていくのかお伺いいたします。
 そしてあと、被災地の医療費補助の件ですけれども、新聞報道があって初めて、何か調査が始まったのではないかという感じがするのです。それで、実際のところ感じているのが、陸前高田市が今年度早くから国民健康保険税の値上げに踏み切ったと。それであれば、もうその時点で、もっと早く今後の対応を検討しなければならなかったのではないかと思っています。やはり、これは住民へのさまざまな税に対して関係してくるところですから、周知も含めて、どう見据えて対応していくかというところで、もっと早く動いてもらいたかったと。その開催時期が、開催というか研究する時期が何で今なのだろうと思っています。
 そういった意味で、さまざまな判断をする上で、住民への周知のことも踏まえて、知事からは、各自治体とさまざま意見交換をしながらやっているという話ではありましたけれども、もっと早く動くべきではなかったかと思っていますし、なぜ今になってしまったのかということを伺いますとともに、この後、いつごろまでにその答えを出すのかお伺いしたいと思います。
 あと、米に関してです。全国農業協同組合連合会と主要米卸業者と実需者とともにさまざまな販売戦略をしているとおっしゃっていましたけれども、要は、卸から行ったその先がどういう売られ方をしているかということが、私はすごく大事だと思っています。そこのところの調査研究をしない限り、消費者がどのように買っているのか、あるいはどうやって選んでいるのかというところをしっかり調べていかないと、今後の販売戦略につながらないと思っています。
 ましてや、今のコロナ禍です。どのように食べていただくか、そこのところを調査しない限り、イメージや味などを卸業者の方に伝えても、卸業者からいかに消費者に伝わるか。その販売するところでどのように売られているのか。何を伝えるかというところをしっかりとやってもらいたいと思っています。そこのところをお伺いします。
 あと、岩手県内でシンボリックな建物が必要ではないかという林業振興策のことについて話しました。要は、人々がいかに訪れるところ、例えば秋田県では、秋田駅の木質化が図られています。しかし、岩手県内を見ると、なかなか人が多く訪れるところで木質化が図られている、あるいは木造で建てられているところが少ないように思っています。やはり県民が、岩手県産材がこのように使われているのだな、このような木材があるのだな。色であったり、においであったり、そういったものを感じられる施設が必要だと思っています。特に、今後、盛岡バスセンターなどさまざまな施設が改築されます。人がいかに訪れるか、そういったところを危惧しながらやってもらいたいと思います。
 教育長は二戸市の福岡高校のトイレに行きましたか。校舎の中も暗いですよね。あの雰囲気の中で、高校再編の話がさまざまされていますけれども、本当に通いたい、ここで学びたいと思うような学校でしょうか。まして、ある程度進学系の高校です。そのときには、やはり盛岡市内の学校に行きたい、他県の学校に行きたいなどと、希望が変わることがないように、計画的な改修計画をつくっていかなければならない。
 そして、本当にこのようなトイレでいいのだろうかと。基本ですよね。今、小学校、幼稚園でトイレを使わせようと思っても、なかなか和式で用を足すことができない子供たちが多くいると。そのときにどのようにやっていくのか、どのように指導していくのか。やはり教育施設の整備は、その現場現場を見据えてやっていかなければならないと思っています。その点をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) Go To トラベルの評価につきましては、記者会見で、Go To トラベルについては失敗だという声もあるが、達増知事はどう思うかという質問を受けて、スタートを前倒しすることでさまざまな混乱もあって、キャンセル料の発生などもあったから、そこについて失敗という言葉を使うこともできるかもしれないが、もともとGo To トラベルは、コロナ禍の収束後にV字回復するための事業としてつくられたものなので、収束しない間はまだ効果が出てこない。そういう失敗、成功を判断する段階にはないという趣旨のことを述べました。
 ある通信社だけがその日のうちに報道し、地元新聞も報道しましたけれども、全国紙は一つも報道しなかったところでありますが、2週間後、地元メディアと記憶しておりますけれども、達増知事はGo To トラベルは失敗だと言っていますがという質問がありましたので、改めて、Go To トラベルは失敗だとは言っていないと記者会見で明言し、今述べたような説明をしたところであります。
 世界的に見まして、観光振興による経済社会活動の回復は、中国、韓国、台湾、ニュージーランドのようなところは、まず新規感染者がもうほとんどゼロが続くようなところまで収束をさせた後に経済社会活動を始めると。あと、欧米については、感染者数が収束しないので観光振興はやらないというようなことが基本であり、日本のように、感染者数が収束しない段階で観光振興をやるというのは、これはかなりの努力と工夫を重ねなければうまくいくものではありません。
 成功、失敗というのは、個別事業について問われるというよりは、感染者を出さない、感染を広げないということ。一方で、経済的、社会的に困窮する人が出ないようにするということ。これについて成功しているか失敗しているかということが問われるべきで、そのためにさまざまな事業を組み合わせ、そして、うまくいっていないところがあるなら、個別の事業を改良、改善していくことが求められると思います。
 岩手県におきましては、まず、市町村の住民がその市町村で観光をする、そして岩手県民が岩手県の中でを観光する。これによって事業者も利用者も感染対策に習熟し、そして全国的に観光が広がってもいいようにするということで、いわての新しい観光キックオフセレモニーイベントにおきましても、私もGo To トラベルを前提に、まずは市町村と県で、地元で観光を進め、そこに国の事業が重なっても、オールジャパンでも成功するようにやっていこうと関係者とともに呼びかけたところであります。
 これは全国知事会でも共有されている方針で、東北地方、新潟県の知事たちも、まずは東北地方、新潟県のブロックで、地元東北地方、新潟県、そして全国というような段取りで、その中でこのGo To トラベルも活用していこうということであります。
 繰り返しますが、国の分科会の中で専門家も指摘しているように、感染者が出たり感染が広がったりすると、たちまちGo To トラベルの評判が落ちて、かえって逆効果になるので、感染が出たり感染拡大が出た場合には、その地域をGo To トラベルの対象から外すべきということを専門家は言っているのですけれども、そういう意味からも、岩手県におきましては、まず感染者を出さない、感染を広げないための事業者向けの感染対策事業費補助、ここに力を入れまして感染対策の徹底を図っているところです。
 議員御指摘の高齢者経営の宿泊施設、高齢者は特に感染対策が重要でありますので、県のそういうスキームも利用しながら、地元から東北、そして全国に広げていく観光振興という中で事業を展開していってほしいと考えます。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) Go To イートに関する御質問を頂戴いたしましたけれども、現在、盛岡商工会議所等が事務局として予定されていて、準備を進めている段階と聞いております。
 特に、飲食店等に関しましては、Go To トラベルの地域クーポンを使うための前提として、Go To イートの対象店になることも必要となってきておりますので、一つは、徹底した新型コロナウイルス感染症の感染対策をやっていただかなければならないと思っています。補助金の活用等も推奨しながら、それをやることによって、新型コロナウイルス感染症の感染対策をしっかりやっていますという表示ができるようなステッカー等も準備しておりますので、そういった形で需要を喚起していければと考えているところでございます。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員から被災地における医療費負担について御質問いただきました。まず、この調査について、なぜ今なのかという点と今後いつごろまでに判断するのかという視点で御質問いただきました。
 この制度につきましては、平成24年から、県と全市町村が一緒になって被災地のために取り組んできた事業でございます。こちらについては毎年度判断してきたものでございますが、例年、年度初めに市町村の意向調査を行いまして、市町村の現状について把握し、また、市町村とも十分協議した上で、翌年以降の一部負担金免除の取り扱いについて検討し、例年、大体この9月定例会の時期に公表してきたところでございます。
 昨年につきましても同様の形で、陸前高田市も含む全ての市町村と協議をして決定いたしました。また、昨年の継続に当たりましては、陸前高田市などからは、支援継続についての御要望もいただいているところでございます。
 ことしに関しましては、市町村と早目に意見交換をするために、2月に市町村の意向調査を実施したところでありますが、新型コロナウイルス感染症の発生などにより大きな環境変化があったことから、6月にも改めて市町村の意向の確認を行うなど、よりきめ細かく市町村の現状把握と意見調整を進めていったところでございます。加えまして、沿岸市町村等からは、財政状況が厳しいとの声や、他の災害対応とのバランスを欠くなど、例年に比べてさまざまな意見が寄せられていることから、市町村との調整に時間を要しているものでございます。
 現行の一部負担金免除措置期間は令和2年12月までとされていますことから、各市町村においては、対象者への丁寧な周知を行うため一定期間を確保する必要がございます。県としては、市町村との協議を進めまして、できるだけ早期に結論が得られるよう取り組んでまいります。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 県産米の関係の米卸業者からのその先の対応というお話でございました。県産米のさらなる評価、知名度の向上、それから販売力の強化ということで、県では、首都圏、関西等にあります米穀専門店や量販店と提携いたしましてイベント等も開催しておりますし、それから、県の職員が実際にそういった小売店、お米マイスターのいる専門店等を訪れ、意見交換等もしております。
 実際に扱っているお米専門店でどういったニーズがあるのかといったようなお話や他県産のお米をたくさん扱っている状況でございますので、他県のお米がどういった形で売られているのかといった情報を収集しながら、県産米をどういう形で売っていけばお客様のもとにストレートに伝わるのかということは、これからも引き続き調査研究、検討してまいりたいと思っております。
 それから、木材の質問をいただきました。象徴的な施設ということで、議員御指摘のありました秋田駅や、あるいは大館樹海ドームといった有名な施設が近県にもあるということでございます。本県にも、県営ではないのですが、副知事答弁でもありましたけれども、オガールや、おしゃっち、あるいは住田町役場など、いろいろな木造建築ができております。
 県営の施設ということでございますが、木造ということだけをアピールする施設を単独に建てる計画は今のところございませんが、これからいろいろな県営施設等で、新築や改築等が出てくると思いますので、行動計画等もつくりましたから、そういうことを踏まえて、どういった形で県産材を使った施設ができるのかは、十分に検討してまいりたいと思っております。
 それから、民間施設のお話でございますが、県内には木造の構造を使って設計できる設計者の方がなかなかいらっしゃらないということもございまして、そういった方々を対象にいたしました研修会も開催しております。
 それから、せんだって民間と一緒になりまして岩手県産木材等利用促進協議会をつくりました。従来は、どちらかといいますと森林関係団体だけの内輪の会議だったのですが、今回の岩手県産木材等利用促進協議会には商工団体など、いろいろな方々にも御参画をいただいておりますので、県全体で一丸となって、御紹介がありましたような盛岡バスセンターの改築など、いろいろな情報等もその場で交換できると思っております。
 できるだけといいますか、計画もつくりましたので、県産材をいっぱい使った木造建築がまちの中にあふれるような形の取り組みをしていきたいと思っております。
〇教育長(佐藤博君) 福岡高校につきましては、私も昨年、学校を訪問しました。そして、校長に案内をしていただきまして校舎内を見学させていただきました。議員御指摘のとおり、トイレの問題、それから、福岡高校は昭和41年の建築になります。1966年。ことし3月でもう54年になるということで、かなり傷みもひどく、そういった状況は私も見ております。
 福岡高校に限らず、実は築50年を超えている高校は県内にも多くございまして、また、築50年にならんとする、もう四十七、八年、九年といった校舎が本当に多くございます。それらの校舎の今後の改築をどのように進めていくか、これは教育委員会の大きな課題となっております。
 岩手県公共施設等総合管理計画を県でつくっておりまして、それに基づいて各個別計画をつくっております。県教育委員会でもその計画を今策定したところでありますが、多くの校舎を抱えておりますので、今後の整備に向けてどのような形でやっていくか、これは、一つには県立高等学校再編計画後期計画もございます。そういった取り組みも視野に入れながら、生徒の教育環境の整備に取り組んでいくためには、計画的な整備を進めていくことが当然大事でございます。
 耐震化につきましては、先ほど御紹介しました福岡工業高校と伊保内高校をもって100%を達成します。あとはエアコンの整備であるとか、そういったことも含めまして大きな課題となっておりますが、多額の経費等も要するということで、こちらは、まさに計画的な整備を進めていかなければいけないということをしっかり捉えまして、今後の対応について、関係部局とも調整しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇9番(武田哲君) 知事にいろいろなお話をいただきました。しかし、実際、今岩手県内を歩いてみると、本当に商店街が商店街として形成できないような状況です。その中で明かりをつけながら一生懸命やっている飲食店もある。このコロナ禍の中で、それぞれの店が自分たちでさまざまな工夫をしながらやっています。なかなか補助金の申請をするにも、どうやってやったらいいのかわからないという人たちもいる中で、このコロナ禍は、もう思った以上にもっと身近なものとして今後捉えなければならないのかもしれません。
 しかし、その中でどうやってまちづくりというか、それからあと、地域の中で経営者をどう守っていくか。何というのですかね、本当に一生懸命さ、一生懸命に、確かに感染対策はさまざまやっています。すごく評価するところです。しかし、一方、岩手県内のまちづくり、そして地域の商店街の経営者に本当に向き合っているのだろうかと思うところがあります。それぞれ個別に、さまざま工夫し、また、ちょうど県庁前では、桜山の通りで土日にさまざま、県警察本部の方々も協力したと思います。歩行者天国をつくりながら経営者の人たちを支援しているとは思いますけれども、そういったときに県の姿勢が全く見えてこない。
 私は、知事と誕生日が近いだけではなくて、もっと、どうやって岩手県を守っていくかというところで話をしたいのです。自治体の方々とも、県内を回ってみると、もっと知事と話をしたいという首長の人たちがたくさんいました。
 その中で、私も知事が話す問題点、考えている問題点について、もっと自由民主党にも話していただきたいと思います。そういった要望を聞きながら我々も国に持っていきたいと思いますけれども、その中で、きのうですか、高橋はじめ議員への答弁の中で、国政、与党、野党関係なく挙国一致で頑張りたいという答弁もありました。今こそ、その時期だと思っています。それを県民に話していかなければならないし、国の事業に対してどうこう言うよりも、一緒になって県民に対して何ができるかを伝えなければならないと思います。
 ましてや、宮城県では7月の時点で新型コロナウイルス感染症対策について、第4次補正予算まで組んでいるのです。それは、やはりスピード感を持って一生懸命に県民にアピールしているのだと思います。多分9月で、もう第5次補正予算まで進んでいると思います。そうした状況を踏まえても、やはり県というか知事がもっと積極的に県民に対して言葉を伝えなければならないのではないかと思います。安心感を与える、そして県がやろうとしていること、そのことを伝えるのが、私は知事ではないかと思っています。やはりしっかりその思いが県民に届かない限り、今後のコロナ禍の状況は克服できないのではないかと思っています。
 そして、米のことです。確かに商店街や販売元までさまざまやっていると。それが栽培者のところに戻ってこないのです。どんな評価があったとか。卸業者からは評価はいただきます。毎年、農業協同組合の総会のときに卸業者の人が来て、今後の販売計画をさまざま話してくれます。しかし、消費者がどう感じているか、そこの部分が我々には届かない、農家の人たちには届いていない。月刊農業普及も発行終了となり、県と農業者とのそういった栽培技術、今後の販売計画の推進に当たって、そのつながりをどうつくっていくかが見えてこない。そこをしっかりとお示しいただきたいと思います。
 そしてあと、学校の設計において木造の設計者がいないということでしたけれども、やはりそこは一番力を入れなければならないところではないでしょうか。出口戦略を、出口というか利用をいかに進めるか。滝沢市でも、滝沢中央小学校を建てるときに、その建設計画に合わせて市有林を切って、かわかして、そして使えるようにしたと。計画があるからしっかりと使われる利用計画もできます。その辺をしっかりやってもらいたいと思いますけれども、そこをお伺いします。
 あと、教育長、小さな施設では県内ではさまざまな木造のものがあります。しかし、大きな校舎でも、秋田県では何棟か建てながら、学校建設もそれなりの規格でやっています。そんなふうに、やはりもっと木造の校舎を岩手県産材で建てて、木造の校舎の一番いいところは、これからインフルエンザなどさまざまありますけれども、木が水分を吸って、かわくと空気中に水分が出る。一緒になって子供たちを守っていくと。そういう環境―何で木造か。岩手県の木はこんなふうなんだということを伝えていかなければ帰ってきませんよ。岩手県で子供を学ばせたいと思いませんよ。
 古い校舎がそれほどあるとわかっているなら、建設計画をいかに進めるか、やはり地域の方々、住民の方々にしっかりと示さなければならない。父兄にも示さなければならないと思います。その点について伺います。
〇知事(達増拓也君) 私もこの間さまざま、食事に出たり、またホテル、旅館に泊まったり、そして、テークアウト弁当を売っている皆さんのところに行ったり、盛岡市内の百貨店の前で岩手県の物産を売るときには一緒に売ったり、思えば県庁前で牛乳と花の販売についてフェアをやったところから始まっているのですけれども、また、運輸交通関係の現場にも足を運んだりもしました。行く先々で、本当に大変なのだけれども、県にはこういう事業もしてもらっている。これは大変助かっていると。まず、いつまで続くかがわからないというところが一番大変なのだけれども、頑張っていきたいというようなことを伺っております。
 私が行けないでいるところの人、知事に会ったことがないとか知事が来ないとかということはあるのかもしれませんけれども、できるだけさまざま、記者会見の場を使ったり、新型コロナウイルス感染症対策本部の本部員会議の後の知事メッセージ、また、本部員会議の決定事項等についても、コロナ禍が始まる前にはなかったようなさまざまな工夫を凝らしたホームページの画面づくりもしているところでありますし、ツイッターだけではなくてLINEも使うようになりました。
 そういったことを総動員しながら、ただ、岩手県の新型コロナウイルス感染症対策、新型コロナウイルス感染症とその感染症の流行に対する岩手県民の対応は、私もいろいろな有識者、マスコミと接する機会がありますが、全国的にも高く評価されていると言っていいと思います。それが全国から岩手県に、観光や交流で岩手県に来たい、そしてまた、さまざま復興のことも学びたい。そして、岩手県の物産、食べ物、いろいろな工芸品を利用したいというところにもつながっていくと思います。その核の部分にあるのが、やはり新型コロナウイルス感染症対策。感染者が少ないことがやはり大事だと思っておりますので、そこの徹底を改めて県民と岩手県に出入りする全ての皆さんにお願いしたいと思います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 米のお話でございました。栽培者のもとになかなかそういった声が届いていないということでございます。
 先ほど、販売フェア等に県の職員が行っていろいろやっているということをお話しいたしましたが、一緒に生産者の方にも実は足を運んでいただいておりまして、じかに自分がつくっている米が、実際どういう形で売られているのかということを、販売の場に立っていただいていろいろ御経験もいただいております。それから、インスタグラムやツイッターなどで、栽培状況等を町外に向けても発信するといったようなこともやっております。
 やはり従来といいますか、生産にだけ一生懸命に頑張ってきた方が、自分の米について、店頭、あるいは直接消費者と意見交換しながら、どういう評価を受けているのか聞く機会というのは非常に大きい、それから励みにもなるというお話を聞いております。数が多いというほどではございませんが、引き続き、いろいろな機会を捉えてそういった機会を設けていきたいと思っております。
 それから、木材の関係の御質問もいただきました。なかなか建築できる者がいないということでございます。木材の関係は、庁内でも連携組織を組みながら、どうすれば県産材を使ってもらえるのかということをいろいろ検討してまいりましたが、実は、昨年から農林水産部に建築職の職員を配置いたしまして、建築の視点から施策などを組ませていただいております。従来は、部内に建築職の職員がいないということがありますので、どうしても木材の生産などといったところに目が向きがちだったのですが、やはり建築の職員に入っていただきますと、いろいろな建築をする上で、どういうところがネックになっているのかといったことが非常によくわかりました。
 引き続き、木造建築が県産材を使ってどんどんできるような形を、いろいろなところと協力しながら進めてまいりたいと思っております。
〇教育長(佐藤博君) 校舎改築の木造化であるとか内装への利用等については、まさに今後の木質化あるいは県産材の利活用という面で非常に大事なことだと思います。私も、滝沢中央小学校の開校式に出席しまして、実際にあの校舎を歩いてみますと、本当に温かみがあって、子供たちも廊下を楽しく歩いているところも拝見しました。
 また、昨年、教育長室も内装を木質化しまして、木質ペレットで暖をとるというようなことで、私も木材の利用に率先して取り組むような形でやっております。
 今後も、校舎改築等に当たっては、可能な限り木材の利用、県産木材の利活用にも取り組んでいきたいと思いますし、あわせて、議員から御指摘がありました児童生徒への環境教育といいますか、木材利用が多面的な教育にも資するように取り組んでいきたいと考えております。
〇9番(武田哲君) 知事、私は応援者でありたいと。この問題解決を一緒にやりたいと。そのためには、やはりこの課題解決に向けてどう頑張るかというメッセージをもっと多く、記者会見なり何なり開いてもっと県民に広く知らせていただきたいし、思いを言っていくべきではないかと思います。国の事業の批判もいいのかもしれませんけれども、どうやってこの危機を一緒になって乗り越えていくか、そういった姿勢を示さなければならないと思っています。そのことをもう一度、最後にお伺いして終わります。
 あと最後、月刊農業普及が廃刊になりました。技術の普及や栽培のための意識改革などについてどうするかというところを、ホームページにさまざま載せて、そして技術の浸透を図っていると言っていますけれども、実際さまざまな年代層の農業者にどう対応していくのか伺って終わります。
〇知事(達増拓也君) 去年、県知事選挙があって、さまざま政党によって、あるいは会派も関係ありましたでしょうか、議員個人や、あるいはグループによって、知事選では戦う格好にはなっているのですが、その知事選に向かう、前の期の県議会で申し上げましたけれども、自由民主党が達増知事を推すのであれば、それはもう相談に乗るということを、去年でしたかおととしでしたか、もうそのころから言っていました。
 特に、こういうコロナ禍にあっては、私も、まず県議会に対しては、県議会議員一人一人全ての皆さんに、県として提案するものについては賛同をお願いしていますし、みんなで全会一致で力を合わせてコロナ禍に立ち向かおうということを呼びかけ、そして、新型コロナウイルス感染症対策についてはそういうふうにやっていただいていると思っております。
 また、政府批判、Go To トラベルについては、Go To トラベルを批判する趣旨ではないということは繰り返し申し上げておりますし、むしろGo To トラベルが成功するように、県として市町村や関係団体と力を合わせて、その基盤を岩手県の中にしっかりつくり、他県の知事とも連携しながら取り組んでおります。特に、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会で専門家の方が発言したように、感染者が出ること、感染が拡大することがGo To トラベルをやめなければならなくなる最大の要因になるわけですから、感染対策の部分で事業者の皆さんをしっかり支援するということをやっております。
 それから、情報発信については、東京都知事や大阪府知事、あれがいいのだということが言われていますけれども、専門家の方のさまざまな分析や評論によると、ああいうのは余りよくないという考えもあります。最近インターネットで見たアンケートによると、最も信頼できないと思う政治家の発言というアンケートの結果、1位が前首相で、2位と3位に東京都知事、大阪府知事が入っていたというような、それは一つのアンケートではありますけれども、やはり県民と心を一つにして、新型コロナウイルス感染症対策をやっていく場合に、どのような発信の仕方がいいのか、これは非常に苦労のしどころでありまして、場合によっては、事を荒立てないほうがいいという状況もあります。また、場合によっては、ここはもうばんばん新聞、テレビにも取り上げてもらうような思い切った発信をしていかなければならない局面もあります。
 そういったところ、私もいろいろ工夫は凝らしているところでありますけれども、基本的に、このような未曾有の危機の場合に、一人のリーダーの力だけでそれを解決することは困難であります。県議会議員、それはもう知事と同じぐらいに県に対して、県民に対して責任のあるリーダーでありましょうから、先ほど申し上げましたように、県議会と知事が一体になって新型コロナウイルス感染症対策を進めていくという形を県民に示しているということは、県民に対しても非常にいいことだと思っておりますので、要所要所、県議会議員の皆さんのリーダーシップにも大いに期待しながら取り組んでいきたいと思います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 月刊農業普及のお話をいただきました。あの冊子は県が直営でつくっている冊子ではございませんで、岩手県農業改良普及会という篤志でつくっておりまして、廃止に至りました経緯は、やはり農業従事者等の減や、購買部数がどんどん減っていったこともございまして、なかなか事業収支が成り立たないということで、やむなく廃止に至ったという経緯がございます。
 その状況をどうやって埋めていくのかということでございますが、農業普及改良センターの地域指導課の組織再編を行いました。やはりインターネット等の情報提供だけではなかなか実際の状況が伝わらないということもございます。
 県は、行政改革で人員削減等をやってきましたが、農業改良普及員はなるべく減らさないということで、人数を確保しておりますので、これからも引き続き足で稼ぐといいますか、極力いろいろなところに出向いて情報等をとってくる、あるいはいろいろな関係機関等のネットワークを生かしながら、現場のニーズを拾って、農業者に必要な情報が提供できるような体制で取り組んでまいりたいと思っております。
   〔「議長、関連」と呼ぶ者あり〕

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