令和2年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(高橋穏至君) 自由民主党の高橋穏至でございます。
 県議会に席を置かせていただき1年が経過し、2回目の一般質問の機会をいただくことができましたことに感謝申し上げます。
 さて、昨日の一般質問の項目と重複する項目もございますが、通告に従い、順次質問させていただきます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策として、国、県、市町村全てにおいて、感染拡大の防止はもとより、影響を受けた経済活動、市民生活、教育環境などへの対応を行っている最中です。そして、その収束はいまだ見通せない状況です。国内のみならず世界の状況も依然厳しい状況が続いております。このような状況の中、新型コロナウイルス感染症対策はステージを変え、新型コロナウイルス感染症と共存する社会、今後の新型コロナウイルス感染症対策を見据えた社会のあり方が論じられるようになりました。
 9月13日付の新聞記事によると、2021年3月末期限となる過疎地域自立促進特別措置法にかわる新法案の概要が12日わかった。新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴い、東京一極集中是正と地方分散の受け皿となる過疎地域の役割を重視。持続的な発展を後押しするため、デジタル技術による遠隔医療、遠隔教育やテレワークの推進、企業移転による雇用創出などを重点分野に位置づけ、財政支援を強化する。期限は2031年3月末までの10年間。
 現行法では、本県24市町村が過疎地域に指定されている。新法案では、コロナ禍で過密リスクが顕在化した都市への集中を是正し、地方分散の流れを加速するため、豊かな自然環境や安らぎのあるライフスタイルを持つ過疎地域の持続的発展を新たな理念にする。支援の重点分野には、ほかに、移住促進や交通手段の確保、先進技術を活用した農林水産業の自動化などで、過疎対策事業債の対象拡大や補助事業の拡充といった支援強化を今後詰めると掲載されております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 現在作業が進められている第2期岩手県国土強靱化地域計画は、指針となる国土強靱化地域計画ガイドライン第7版の国土強靱化地域計画の策定手順等に従って策定されております。その素案は、基本目標に変更はありませんが、事前に備えるべき目標において、近年の相次ぐ大規模災害の教訓から、人命の保護を最大限図るを、直接死を最大限防ぐと表現を変えたほか、被災者等の健康・避難生活環境の確保、情報通信機能の維持、複合災害の防止を追加し、あわせて新型コロナウイルス感染症への対応から、避難所の感染拡大防止対策等を追加しております。
 この第2期岩手県国土強靱化地域計画は、国土強靱化の観点からいわて県民計画(2019~2028)や岩手県地域防災計画を初めとする分野の計画等の指針となるものです。このように、現在の状況は、感染症を契機に、都市集中から地方分散の流れが全国的に認識され、岩手県を初め地方の都市にとって、コロナ禍を逆手に地方創生のチャンスでもあります。
 テレワーク環境の整備、地方、特に農村過疎地域における居住環境の整備、持続可能な地域社会の実現、将来の外国人観光客の増加を見据えつつも、近隣県や国内観光の充実に向けた取り組み、小規模高等学校を持つ市町村での取り組みが広がりつつある高校の魅力化促進事業や山村留学の拡大、そして定住人口拡大に向けた戦略など、総合的に検討し、いわて県民計画(2019~2028)や岩手県人口ビジョン、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の見直しや修正を検討すべきではないでしょうか。
 例えば、いわて県民計画(2019~2028)については、岩手は今、現状認識・展望の中で、世界の変化と展望の第1項目と第2項目めに、経済・社会のグローバル化や第4次産業革命の進展に、一方で新型コロナウイルス感染症の拡大により、人的な移動が制限され、情報化がさらに進展していますを加え、日本の変化と展望の項目には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、都市一極集中のリスクが注目され、地方への関心が高まっていますを追加するとか、世界の変化と展望に、感染症などのリスクへの対応を加え、日本の変化と展望に、都市集中による弊害の認識を加えるとか、また、新しい時代を切り拓くプロジェクトでは、10年後の将来像の実現をより確かなものとし、さらに、その先を見据え、長期的な視点に立って新しい時代を切り拓いていく11のプロジェクトの中では、会社に出社しなくても働くことができるテレワークに対応できる環境をつくるを追加してはどうでしょうか。
 政策推進の基本方針、10の政策分野の中で6の仕事・収入では、岩手県の地域経済を支える中小企業、地域経済をけん引する自動車や半導体関連産業をはじめとするものづくり産業、地域の特性や資源を活用した産業、幅広い分野に波及効果をもたらす観光産業、岩手県の基幹産業である農林水産業などの産業政策を総合的に展開し、一人ひとりの能力を発揮できる多様な雇用の確保を進めることにより、希望する仕事に就き、安心して働きながら、仕事のやりがいを実感でき、また、経済基盤の高度化や生産性の向上を図ることにより、必要な収入や所得が得られていると実感できる岩手の実現に向けた取り組みを展開します。の後に、さらに、都市に暮らさず地方で仕事をするテレワーク社会へ対応し、岩手で暮らしながら仕事ができる環境を整えることでU・Iターンを推進しますを追加し、具体的項目にも、ライフスタイルに応じた新しい働き方を通じて、一人一人の能力を発揮できる環境をつくりますに、都市にいなくても仕事ができるテレワーク環境を追加するなどの文言を加え、これらの取り組みの方向性を示していくべきではないかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 これ以降は質問席で質問させていただきます。
   〔10番高橋穏至君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋穏至議員の御質問にお答え申し上げます。
 今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、分散型社会の重要性や地方の暮らしやすさが広く認識される契機となっており、感染防止対策をしっかり行うことが地方創生にもつながるとの考えのもと、地方がよりよくなっていく政策の流れをつくっていきたいと考えております。
 こうした方向性は、東京一極集中を是正するため、豊かな自然など岩手県のよさと先端技術の活用を組み合わせることによって、地方の暮らしや仕事を起点とする政策を推進し、県民の幸福度を高めようとするいわて県民計画(2019~2028)や第2期岩手県ふるさと振興総合戦略と軌を一にするものであります。
 このため、いわて県民計画(2019~2028)や第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の目標に真っすぐ向かっていけるよう、アクションプランに掲げる取り組みについて、新型コロナウイルス感染症対策やこれに伴う社会経済情勢の変化などを踏まえ、議員御指摘の情報化の進展やU・Iターンの推進などに対応した新たな事業の追加や事業のブラッシュアップを進めてまいります。
〇議長(関根敏伸君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇10番(高橋穏至君) この質問は昨日もあった項目ですので、昨日の答弁とほぼ同じ内容でございました。要は、基本的方向性は、地方の持続可能な社会の発展と岩手の幸福の実現ということで、確かに変わりはないのです。ただ、時代背景とか世界の背景とか一応書いてあって、その中の長期ビジョンという位置づけがあります。その中で、確かに長期ビジョンは10年間というスパンで見据えておりますが、その10年間のスパンの中で、現状認識がずっと同じでいいのかと。やっぱり日本全体が、例えばこれから後で出てくる過疎地域自立促進特別措置法ですとか、さまざまな整備をしていく環境がどんどん変わってきている。そのような中で、目指す方向は、一つの目標はいいのですけれども、全体像として状況が変わったというのをやっぱり位置づけておくことが必要なのかなと思っております。
 確かに、アクションプランは4年ごとで区切ってプランをつくっていきますし、事業は当然毎年のようにローリングされると思いますが、そういった意味でのこのビジョンのあり方を見直すことはないのかということでお伺いしたいと思います。
〇政策企画部長(八重樫幸治君) いわて県民計画(2019~2028)の長期ビジョンは、長期的な岩手の将来を展望し、県民みんなで目指す将来像と政策の基本方向を明らかにするものでございます。今、議員から御指摘のありました第2章の岩手は今については、こうした将来像や政策の基本方向を明らかにするに当たり、計画策定時において踏まえるべき世界、日本、岩手の時代の潮流をまとめたものでございます。
 したがいまして、長期ビジョンは県の新型コロナウイルス感染症対策と目指す方向を一にするものであるというのは、先ほど知事が御答弁したとおりでございますが、議員の御提言も踏まえまして、いわて県民計画(2019~2028)の政策推進プランや総合戦略に掲げる取り組みについて、さらに加速させるべき施策や新たに追加するべき事業などをしっかりと見きわめながら、臨機に対応してまいりたいと考えております。
 また、議員より御紹介のありました新たな過疎地域自立促進特別措置法の理念、コロナ禍で過密リスクが顕在化した都市への集中を是正し、地方分散の流れを加速するため、豊かな自然環境や安らぎのあるライフスタイルを持つ過疎地の持続的発展については、この過疎地を岩手県に言いかえてもいいと思いますが、まさに、いわて県民計画(2019~2028)において既に同じ方向性を示しているものであり、分散型社会の実現に向けてこれからも進んでいく考えであります。
〇10番(高橋穏至君) わかりました。その時点での現状認識ということで理解いたしました。
 いわて県民計画(2019~2028)の長期ビジョンは10年間となっております。私の地元である北上市の場合、やはり10年間の計画は区切ってつくるわけですが、基本目標の政策は10年間だけれども、前期5年と後期5年で見直しを一旦かけるのですが、そういった作業は県の計画では行っていないのでしょうか。
〇政策企画部長(八重樫幸治君) 長期ビジョンは、長期的な将来の展望あるいは県民みんなで目指す将来像、政策の基本方向を明らかにするものでありまして、アクションプランについて、長期ビジョンの実効性を確保するため、その取り組みについて、4年間の計画でありますので、今回は中間年に当たります来年度末で、新型コロナウイルス感染症対策あるいは社会経済情勢の変化などを踏まえて、新たな事業の追加や事業のブラッシュアップを行うという考え方でございます。
〇10番(高橋穏至君) それでは具体的に、最初のコロナ禍における新しいビジョンと関連する項目が続きますけれども、次の項目に移らせていただきます。
 次に、岩手県人口ビジョン及び第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略では、全国的な東京一極集中の趨勢はむしろ加速しており、本県の社会減ゼロや出生率の向上を達成し、2040年に100万人程度の人口を確保するためには、ふるさと振興の取り組みをより一層強化していく必要性を認識した上で、国における2019年12月のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンの改定に合わせ、県では第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、人口減少や地方創生に関する取り組みをさらに充実、強化しながら進めていくこととしております。
 そして、そのための施策として、就労、出会い、結婚、妊娠・出産まるごと支援プロジェクトの中で、市町村等と連携し、“いきいき岩手”結婚サポートセンターを設置、運営し、会員登録によるマッチング支援や婚活イベント情報の発信を実施したほか、社会全体で結婚を応援する機運の醸成、情報発信に取り組み、結婚サポートセンターの会員の成婚数の増加や、結婚支援に取り組む市町村の拡大を図っております。
 国では、少子化対策の一環として、新婚世帯の家賃や敷金、礼金、引っ越し代など新生活にかかわる費用について支援する結婚新生活支援事業を拡充し、来年度から現行の補助上限30万円を60万円に引き上げるとともに、対象世帯収入も480万円から540万円に引き上げ、さらに対象年齢を夫婦とも34歳以下であったものを39歳以下に緩和すると新聞で報道されております。
 一方で、従来の制度では市町村負担が2分の1あるため、この事業に取り組んでいる市町村は全国でわずか260自治体にとどまっており、岩手県内では、宮古市、一関市、釜石市、八幡平市、矢巾町、金ケ崎町、平泉町、大槌町、山田町、軽米町の10市町となっております。
 今回は、この事業に取り組むため国の負担も2分の1から3分の2へと引き上げられ、市町村の負担軽減も図っております。とはいっても、自治体負担は厳しい財政状況のもと、どれだけの市町村が取り組むかはわかりません。
 そこで、今回補助が上がるのを機に、県でも負担することで、取り組む自治体をふやす考えはないかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 結婚新生活支援事業についてでございます。本事業は、結婚に伴う新生活の経済的負担を軽減するため、新婚世帯の住宅費用や引っ越し費用等を支援するものであり、議員御紹介のとおり、今年度は県内10市町におきまして、国の交付金を活用して実施しているところでございます。
 しかしながら、事業を実施している市町村からは、国が定めます所得や年齢等の要件によりまして対象とならないケースも多いと聞いておりまして、これらが実施市町村数の拡大に至らない主な要因と認識しております。
 現在、国では所得や年齢等の要件緩和や補助上限額の増額などが検討されていると聞いているところでありますが、これらの補助要件など詳細が示されていないことから、当面、国の検討状況について情報収集に努めまして、事業を実施している市町村の意見も聞きながら、必要な取り組みについて検討していく考えでございます。
〇10番(高橋穏至君) まだ検討中なのでという回答でございましたが、結婚支援金といえば、余談ではありますけれども、大分前、20年ぐらい前ですが、ある会社の社長とお話をしていて、独身の社員が多いことを気にかけて、会社で、結婚したらお祝い金を会社から150万円出そうと言ったところ、その年に3人も結婚されて、いや困ったなという話をしていたことを思い出したのです。これは、社員が将来にわたって自分の会社で働いてほしいという思いと戦略ではあったかと思いますけれども、金額が多かったので効果があったのかなと思います。
 今回は60万円ですから、どれだけの効果があるか、それはちょっとわからないのですが、今回は10市町村が実際に30万円でやってみて、実績として、まだ実績がないという自治体も二つほどあったということでございました。ただ、やっぱり60万円ですから、それだけの後押しする効果はあるのではないかと思います。
 今、コロナ禍でも市町村の取り組みに県が応援するとか、そういったことが考えられておりますので、市町村で取り組みやすくて、県内どこに住んでいてもこれが受けられるよというようなPRをするためにも、ぜひ検討を進めていただいて、例えば、今3分の1が市町村の負担ですので、60万円だとすると10万円それぞれ負担しましょうということになります。市町によっては、それを上乗せして70万円にしようということも可能だと思いますが、そういったところを、再度になりますけれども、いかがでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 本事業につきましては、経済的負担がネックとなって結婚に踏み切れない方が多い中で、結婚の希望の実現に向けた後押しになるものと認識しております。
 現行の国の補助事業の対象経費につきましては、婚姻に伴います新規の住宅建築、新規の住宅の賃借費用、引っ越し費用の実費となっておりまして、実際にどのくらいの新婚世帯がこうした対象になるのかといった、結婚支援の政策的効果として研究、検討すべき視点もあろうかと考えております。
 また、先ほど御答弁申し上げましたとおり、現時点で国から補助要件など事業の詳細が示されていないことから、これまでのところ、県内市町村から、補助上限の引き上げや県からの上乗せ補助等の支援などの意向はまだ示されていないところでございます。
 このため、まずは国の検討状況について情報収集に努めまして、事業の実施主体であります市町村の意見も伺いながら、結婚の後押しとなり、定住につなげるために、必要な取り組みについて検討してまいります。
〇10番(高橋穏至君) 状況を見ながらということもありますけれども、あと、逆に県からも要望していくとか、これでは使い勝手が悪いでしょうというような情報発信も必要かと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次の項目で、テレワークによる移住、定住促進の取り組みについて2点質問いたします。
 初めに、テレワークに必要な情報通信利用環境の整備についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、都市の会社に出社しなくても仕事ができるテレワークが拡大しました。今後、ウィズコロナの社会情勢は、テレワークによるU・Iターン促進が地方の人口減少対策に有効と考えます。
 このテレワークを行うためには、まずは情報通信利用環境、特にブロードバンド利用環境が整っていなければなりません。この課題は、岩手県国土強靱化地域計画にも課題として取り上げられております。
 県内では、一部地域を除き整備が進んでいると聞いておりますが、整備のおくれている地域からは支援の要望があるようです。県では環境整備をどのように進めていくのかお伺いいたします。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 情報通信利用環境の整備についてでありますが、国では、新型コロナウイルス感染症への対応を進めるため、新たな日常に必要な情報通信基盤の整備が急務との考えから、令和3年度末を目標に、おおむね全ての地域に光ファイバーが整備されるよう、今年度2度の補正予算により支援制度を拡充したところであります。
 県におきましては、国の支援制度の活用について、事業主体である市町村や通信事業者等に対し積極的に働きかけ、市町村に対し技術的な面等での支援も行っているところであります。
 その結果でありますが、11市町村の未整備地域が解消され、来年度末には、ほぼ県内全てのエリアでブロードバンド利用の環境が整備されるものと見込んでおります。
〇10番(高橋穏至君) 実は9月に、岩手県議会自由民主党会派で県内市町村の要望調査を行った際に、遠野市から地域情報基盤の整備に係る国の財政支援についてという表題で、光ファイバーの補助事業について、令和2年度と同様の国庫補助制度及び市負担に充当が可能な地方創生臨時交付金と同様の財政支援制度を継続するとともに、複数年の事業採択が可能となるように県から国に働きかけることという要望が、7月31日に知事に提出されているということの説明を受けました。
 要は、遠野市の場合は整備範囲が広範囲ですので、今年度限りの補助制度での整備が困難であるという説明があったものです。
 国では、ICTインフラ地域展開マスタープランで令和元年6月に策定した光ファイバー整備の目標を、2年前倒しして令和3年度末に達成させるということで、現在、国において光ファイバー整備の推進のための高度無線環境整備推進事業の公募が既に行われております。この市町村の要望に対し、県ではどのように対応したのかお伺いしたいと思います。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 県では、遠野市等の市町村からの要望を受けまして、8月28日になりますが、高度無線環境整備推進事業について、制度の維持と拡充について国に要望したところであります。
 その後でありますが、遠野市におきましては、今年度の国の2次補正予算により、市内全世帯で光ファイバーの利用が可能となるよう国に補助申請をしたという状況にございます。
 今後も、市町村の光ファイバーの整備が円滑に進むよう、市町村の相談にも乗りながら、支援を継続してまいります。
〇10番(高橋穏至君) しっかり対応していただきました。ありがとうございます。
 それでは次に、移住、定住促進の取り組みについて質問いたします。
 現在、都市部に住みテレワークを希望する人へのPRや、現在岩手県に住む人が就職や転職を希望する際に、岩手県に住みながら仕事ができるテレワーク対応可能な県外企業の紹介などを検討すべきではないでしょうか。
 さらに、岩手県にいても仕事ができる県外企業サテライトオフィスのような新たな雇用の場の創出を推進してはいかがか、お伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) テレワークによる移住、定住の促進についてのお尋ねでありますが、県では、テレワークを希望する方や県外企業に対しまして、ワーケーション対応可能な施設やコワーキングススペース、シェアオフィスなどの情報を、移住定住ポータルサイト、イーハトー部に入ろう!などで、10月中に公表できるよう準備を進めているところであります。
 また、本県でのテレワークを実施する企業を掘り起こしていくため、テレワークに関心が高いモデル企業を選定して、テレワークを試行していただくほか、県外企業によるテレワーク関連施設等の視察を行う予定としております。これらの参加企業なども含めて、本県でテレワークを実施する企業情報の発信に取り組んでまいります。
 さらに、サテライトオフィスについてですが、県内でも既に数カ所の実績があり、これをきっかけとしたU・Iターンの促進にも有効と考えられますことから、引き続き、企業ニーズを把握しながら、市町村等と連携し企業に対して働きかけてまいります。
〇10番(高橋穏至君) 着々と準備が進んでいる状況のようですが、県内には人口減少による学校統合や、市町村合併で使われなくなった公共施設インフラがだんだんふえてきている状況が見受けられます。そして、リモートワークやテレオフィスの需要の高まりから、市町村がそういった場所を改装して安く提供する取り組みをどんどん売り込んでいるというニュースも聞かれるようになっております。
 岩手県内は広いですから、各市町村で状況が、環境が違う。その環境が違う中でのそういったサテライトオフィスが県内にさまざまな形でできることを、今ポータルサイトという話もありましたけれども、県がまとめてPRすることで、U・Iターンの促進に寄与するのではないかと思います。
 今結構、県内で取り組みが始められているということですけれども、そういった取り組みをするところに対する支援や情報発信のお手伝いなどのお考えはないでしょうか。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 先ほどの答弁と若干重なる部分がありますが、本県におきましても、例えば、八幡平市起業家支援センター、葛巻町の公民館や釜石情報交流センターなどの公共施設をコワーキングスペースやシェアオフィスとして活用しているほか、新たに、西和賀町において、旧教員住宅をテレワーク仕様に整備して貸し出す予定であるということを聞いております。
 県としては、このような新しい働き方を実現することができる市町村の施設の情報等について、当該市町村と連携を強化しながら総合的に発信して、岩手への移住を促進してまいりたいと考えております。
〇10番(高橋穏至君) それでは、次の過疎地域の振興について質問いたします。
 冒頭でもお話ししましたが、令和3年3月末に期限が到来する過疎地域自立促進特別措置法にかわる法案の検討が進められていることが新聞報道されました。検討の過程で、社会経済情勢の変化や新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に改めて認識された過疎地域の役割、位置づけを踏まえれば、今後の過疎対策は、条件不利性の克服という累次の過疎対策の基本的な考え方は維持しつつも、むしろ、国土形成のあり方として、持続可能な地域社会の形成や過疎地域が有する可能性の実現による発展に重点を置いて推進しなければなりません。このため、今後の過疎対策においては、新たな理念として、過疎地域の持続的発展を掲げ、国はこれを支援していくことが適当ではないかと検討を進めているようでございます。
 過疎地域自立促進特別措置法の対象として指定を受けることにより、過疎対策事業債による支援や、国庫補助の補助率のかさ上げ、税制特例措置、地方税の課税免除等に伴う減収補填措置などの施策や過疎地域等自立活性化推進交付金の対象となるなど、財政基盤の弱い市町村にとっては大変魅力的な制度となっております。
 そのため、岩手県議会自由民主党会派としてことし9月に行った市町村要望のヒアリングでは、新制度においても過疎地域自立促進特別措置法の対象になるよう働きかけてほしいという要望が数多く寄せられております。
 この過疎地域の指定要件は、現行法では、人口減少率、高齢者比率、若年者比率といった人口要件と財政力指数、公営競技収益といった財政力要件となっておりますが、本県にとっても、この法律の指定が過疎振興政策に及ぼす影響は大きいと考えられます。
 そこで、県では現在の状況をどのように捉えて、国にどのように働きかけているかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県内の過疎地域におきましては、これまで、過疎対策事業債など過疎地域自立促進特別措置法の制度を活用し、さまざまな地域振興が図られてきており、同法の継続は重要と認識しております。
 また、いわて県民計画(2019~2028)においても、引き続き過疎地域等の条件不利地域の振興を掲げ、市町村と連携しながら、交通、通信基盤を初めとした生活環境を守り、高齢者等の保健、福祉の向上と増進、医療の確保などを進めているところであります。
 現在、新たな過疎対策法に関しては、その詳細がまだ明らかになっていませんが、県としては、現行の過疎地域を引き続き対象とすることを基本に、過疎地域の特性を踏まえた振興が図られる内容となることが必要と考えております。
 これまで、県単独や全国知事会を通じた提言、要望を行ってきていますが、引き続き、東北各県や全国知事会の過疎対策特別委員会等と連携しながら、情報収集に努め、今後も機会を捉えて国等に働きかけてまいります。
〇10番(高橋穏至君) 全国知事会でも同じように要望しているというお話がありました。今、インターネット上とかいろいろなところで、検討段階ということでいろいろな資料を引っ張り出しながら見ているわけですが、今進められている新型コロナウイルス感染症対策の拡大を契機とした過疎地域の再評価ということで、これからやろうという取り組みの推進がどんどん図られる中身にはなっているのです。
 例えば、人材関係では移住、定住の促進ですとか関係人口の創出、地域間交流の推進、過疎地域への人の流れの創出、地域社会の担い手の人材育成など。雇用関係では、先ほどの質問項目に関係した企業移転やサテライトオフィス、地域資源を活用した1次産業、製造業、観光業、情報サービスの振興とか、あらゆる分野にかかわります。また、通信メディア、情報技術関係も、先ほど、これからやろうとしている事業に合っていると。8項目あるのですが、ほとんどが県のいわて県民計画(2019~2028)で進めようとしている具体的な内容を全部支援してもらえるような非常にありがたい制度になっているのですが、先ほどの全国知事会の要望はどのような感じになっているのかお伺いしたいと思います。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 全国知事会等との要望でありますが、過疎地域における新たな雇用の場の創出や、地域活性化を図るため過疎地域の環境と特性を生かした産業振興、あるいは持続可能な地域社会の実現に資するため移住、定住対策、関係人口の創出、拡大、それから、高度情報通信基盤の整備、促進等、全体で8項目の要望をさせていただいているところです。
〇10番(高橋穏至君) 先ほどの関係8項目の政策が出てきていますので、それらが十分行き渡るような内容になるようにという内容かと思います。
 ただ難しいのは、条件をどのように設定されるかによって、対象の地域になるかならないかでかなり差が出てきますので、その辺の要望の仕方は非常に難しいのかなと思いながらも、ぜひ岩手県において、対象になっているところが外れないようしっかりと要望していただければと思います。
 では、続いて地域公共交通政策についてお伺いいたします。
 人口減少が進んで、医療、教育、行政機関などの公共施設の集約が進むとともに、高齢化の進展で運転免許証返上者が増加し、将来安心して地域で暮らすには公共交通の充実が欠かせない要素であります。ところが、モータリゼーションの社会の中、人口減少と相まって公共交通の利用者が減り、民間の公共交通の撤退が進んでおります。
 岩手県では、地域バス交通等支援事業費補助や地域公共交通活性化推進事業費補助のほか、令和元年度からは地域内公共交通構築検討会の開催や、本年度、補助路線代替交通確保維持事業を創設しております。また、公共交通活性化支援チームによる支援やバス路線活性化検討会の開催などの支援も行っております。
 市町村においても、地域特性に応じてコミュニティーバスや乗り合いタクシー、NPOによる有償運送などさまざまな取り組みをしておりますが、地域公共交通活性化推進事業費補助は、市町村が地域公共交通体系の再編及び地域公共交通の利用促進に係る事業を行う経費に対して補助しております。補助率は2分の1で、上限1市町村当たり500万円、実施期間は最大3年の実施が可能であるが、補助額の合計は500万円を上限としております。
 また、令和2年度に新設した補助路線代替交通確保維持事業は、国補助、県単独補助の補助要件を満たせなくなった路線について、市町村が代替交通を確保する場合に補助する事業で、補助率は2分の1、上限額は1市町村当たり225万円となっておりますが、これは、実施期間は令和4年度まで、すなわち、いわて県民計画(2019~2028)第1期アクションプランの計画期間となっている時限措置であります。
 公共交通対策にかかる費用は、利便性を考えると、増加することはあっても減少することはありません。9月実施の自由民主党会派の市町村の要望調査では、多くの市町村から地域バス交通等支援事業費補助―広域生活路線維持事業については、利用人数の条件緩和やさらなる公共交通支援策の要望が数多く寄せられておりますが、県ではその要望に対してどのように捉えているのでしょうか。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 公共交通支援策についてでありますが、高齢化や過疎化が進行する中、バス路線の減便や撤退が懸念されており、いわゆる公共交通空白地域が生じることのないよう、買い物や通院、通学など、地域住民の生活の足となる交通手段の確保は重要な課題と認識しております。
 このため、県におきましては、市町村に対し、先ほども議員から紹介のありました補助事業や有識者の派遣等により、市町村が行う地域公共交通の維持、確保に向けた取り組みを支援しているところであります。
 また、昨年度、岩手県地域内公共交通構築検討会を新たに設置し、その検討結果を踏まえ、今年度から補助路線から転換した代替交通の確保、維持に係る市町村負担への補助制度を創設したところであります。
 さらに、国に対しても、バス路線維持のための補助要件の緩和や拡充等について要望しております。
 補助要件の緩和につきましては、デマンド交通等の地域の実情を踏まえた公共交通の確保の観点からも、基本的には、現行の補助要件は維持していく必要があると考えておりますが、今般の新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえ、必要な対応について関係者と検討してまいりたいと思います。
〇10番(高橋穏至君) 要望では緩和してほしいということでしたが、逆に、緩和して路線があることで、デマンド交通への切りかえができなくなる側面も実はあるということで、これは全国に共通した課題でもあるかと思います。
 私も北上市議会議員時代に、やはり公共交通が大きな問題ですので、全国の先進事例の視察や調査に行ったのですが、特徴的な取り組みをして成功していると言われる自治体に行ってみると、実際、利便性を確保しながら利用率を確保している事例は、やっぱりある程度人口がいないと成り立っていないのが現実でありました。しかしながら、ある程度人口があっても、やはり億単位のお金を市がつぎ込んでいるのも実態でありまして、なかなか難しい課題ではあろうかと思っております。
 実際、北上市でも、路線バスを廃止した地域では、地域の事情に合わせてNPOの有償運送をやったり、乗り合いタクシーをやったり、コミュニティーバスを運行したり、あるいはコミュニティーバスと乗り合いタクシーの組み合わせをしたり、そういったことを今やっているのですが、まだまだ試行錯誤が多いのかなと思っております。
 国で何かいい政策はないかということで調べましたが、新たなモビリティーサービスであるMaaS―モビリティー・アズ・ア・サービス―の全国への普及を図り、地域や観光地の移動手段、先ほどの質問でも観光地という話がありましたが、観光地の移動手段の確保、充実や公共交通の維持、活性化を進める目的として地域課題の解決に資する実証実験や普及に必要な基盤づくりへの支援を行う事業に取り組み始め、モデル地区として今6地区やっているようでありますが、このスキームを見ると、やはりどうしても都市部向けなのかなというような感じがしました。
 ただ、そのシステムの中でAIを活用した運行システムは、利用者の利便性の向上と配車等に係る人件費の削減には大きな効果が期待できるのではないかと思います。北上市でやっているオンデマンドの乗り合いタクシーは、どうしても前日に予約しなければならない。そして、そういった不便性があってなかなか利用率が上がらないという課題を持っていますが、こういったものもAIなどを活用することによって解決できるのではないかという可能性も感じられます。
 県は、多くの市町村と公共交通の会議があると思うのですけれども、個々の市町村や地域の課題から全体で捉える、例えばAIの活用となると、システムなどある程度の規模での開発が必要になります。そういったものを県で取りまとめて開発するというような考えはないのかお伺いいたします。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 県におきましては、岩手県地域公共交通網形成計画に掲げる持続可能な地域公共交通体系の構築は実現する必要があるという考えのもとで、引き続き、市町村と意見交換を行いながら、地域公共交通の維持、確保に取り組んでまいりますが、地域内公共交通構築検討会といった路線ごとの検討会がございますので、そういった会で、先端技術の活用も含め、いかに持続可能な地域公共交通体系を構築できるかといった検討課題、テーマを設定して、市町村と連携しながら具体的な検討を進めていきたいと考えております。
〇10番(高橋穏至君) それでは、ぜひそういった中から課題を抽出して、新しい策というか、なかなか難しい課題ですので、しっかりとした一つの方向性も出していただければいいかと思います。
 それで、先ほどの一般質問の柳村一議員に対する答弁の中で、乗り継ぎ拠点の整備の支援という言葉が出たような気がするのですが、もしよければ、その乗り継ぎ拠点について、支援策などがあればお知らせいただければと思います。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) その辺もまさに岩手県地域公共交通網形成計画の中で、関係する路線について、どのような使い方がいいか、あるいは再編によってどう効率的に運行できるか、そういったものも含めながら、拠点というものもあわせて検討していくことで、市町村と連携を図って進めるものでございます。
〇10番(高橋穏至君) 北上市が行っている、乗り合いタクシーとコミュニティーバスをつないで、地域内交通と、拠点から中心部への交通を乗りかえるという乗り継ぎ拠点というのが話題になりました。高齢になって、免許を返納して交通手段がなくなったという状況の方は、何が一番必要かというと、病院と買い物なのです。今使っている人からお話を聞くと、どうしても、できれば乗ったら1回で行きたいというのが非常に多くて、乗り継ぎが不便だと。
 今、実際に北上市で行われているのは、乗り継ぎ拠点になるのは交流センターなどであり、そういった公共の場所を使って、そこまで行って、そこで乗り継ぎをしてコミュニティーバスで病院や買い物に行くのですが、コンパクトシティーの考え方からいうと、地域内である程度簡単な買い物ができるところはどこか1カ所欲しいのです。そのとき提案したのが、そういった乗り継ぎ拠点となる場所を、地域内である程度日常生活用品が買い物できるような場所に設定しないと使わないでしょうという話で、そういった整備をしませんかという提言をしたのですが、当然、お店を開くということになると民間との協働が必要になりますし、場所の設定と、それから建物などいろいろお金がかかるということでございます。
 そういった意味では、そういった拠点整備をモデルとしてでもいいですから、市町村一つでは大変だけれども、やってみませんかとか、そういった実験ももし県も一緒になってできればいいかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 県内には、やはりそういった地域の方が集まって、交通の利便性を高めるような形で動く、あるいは買い物支援のために組合をつくって地元で必要な日常品を確保して、そことのつなぎを集落の方の足でカバーするといった事例もあったり、さまざま工夫されている例もございます。
 そういったことも含めながら、さまざまな路線が地域ごとに特性を持って今存在しておりますので、それぞれが最適な路線、そして、生活の利便性をいかに高められるか、維持できるかといった視点で、その拠点も含めて検討してまいりたいと思います。
〇10番(高橋穏至君) 地域の状況はそれぞれ違いますので、ぜひそういったさまざまな状況に対応できるような支援というか、お金だけではないのですけれども、しっかりとしていただければと思います。
 それでは、次の項目に移ります。地域を支える教育ということで、特に小規模高等学校に関係して質問いたします。
 高等学校は地域にとって将来を担う人材を育成、確保する地域づくりにとってはなくてはならない教育機関であります。都市部から離れた市町村では、地域に高等学校がないということは、若者夫婦が将来この地域で暮らしたいという選択の条件から外れる要素となり、転出の動機ともなります。それゆえ、小規模高等学校を抱える市町村では、高校存廃は町にとっての死活問題であり、高等学校魅力化プロジェクトや山村留学に取り組み、多くの費用を拠出しております。
 学級規模が小さい中でさまざまな生徒のニーズに応えるためには、指導する教員の負担が大きくなります。大学などへ進学する生徒、就職を希望する生徒に対応するためには、受験科目の全てに対応する先生が必要であり、専門知識を教える先生も必要となります。1学年1クラスの場合、いわゆる国の標準法定数は校長などの管理職を含めて10人となっておりますが、この人数で対応するにはかなり難しく、そこで加配の必要性が出てきます。
 現在、県内の教職員配置の状況は、1学年1クラスの学校での加配は、2人の学校が1校、1人の学校が、途中からの臨時を含めて5校、加配なしが1校あります。どのような魅力ある高等学校をつくるかにもよりますが、2人以上の加配は必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
 また、加配については国の措置に基づいて実施しており、今年度も来年度予算編成に当たって、国に対して、新たな教員定数改善計画の策定と本県のような地理的条件を抱えた地域における小規模校に係る教員配置の見直しを知事から要望しておりますが、その具体的な県の考えをお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 教員加配についてでありますが、教育加配の配置先や人数につきましては、各校の教育課程の特色や教育課題等を考慮した上で決定しているところであり、各校の実情に対応できるよう、県立高校全体の定数の中で人事配置に努めているところです。
 国に対する新たな教員定数改善計画の策定と小規模校に係る教員配置基準の見直しについてでありますが、本県のような地理的条件を抱えた地域において、地域間格差のない学びの環境づくりを推進していくには、小規模校や僻地校に対して十分な教員を配置できる基準とすることが不可欠であると考えており、今後も、機会を捉えて国に対する要望を継続してまいります。
〇10番(高橋穏至君) この表現の中では本県のようなという表現でしかなかったので、具体的に、例えば市町村に一つしかない高校に関しては、1クラスだと先ほど言った10人、それに加配が入っても1人あるいはなしというところもあります。そういった具体的な部分を示して要求していく必要があるのではないかと思っているのですが、今よく要望、それから意見書でも出てくるのですけれども、例えば、35人以下学級やきめ細やかなということだけが出ているのです。そういった小規模校や特色あるところも入れておかないと、35人で確かに全体のボリュームは上がりますけれども、小規模校に来る人数は変わらないわけです。中身的にはそういった具体的な要望項目になっているのでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 実際の文部科学省に対する要望書でございますが、確かに議員御指摘のように、小規模校であるとか、あるいは僻地校であるとか、さらには1市町村に1校とか、そういった個別具体的な内容での表現の要望事項等にはしておりません。
 なお、今年度の要望事項を記述する際には、本県のような地理的条件を抱えた地域における小規模校に係る教職員配置基準の見直しを含めたという、ここを今年度の要望の際に新たに追加して要望したところでございます。
〇10番(高橋穏至君) まさに今、時代はコロナ禍を迎えての新しい時代に入って、過疎地域とか、そういったものも視野に入れながら国でも考えていこうという時期ですので、そういった内容をしっかりと盛り込んだ上で要望していくのが大事かと思います。そうでないとなかなか、どちらかというと、国の加配の基準も、大規模のほうに目が向いているのではないかというきらいが私はするのですが、そういったことではなく、これからの町の形のあり方から考えて、それはもう必然的に欲しいのだというような要望の内容にしていくべきではないかと思います。
 そういった取り組みをぜひお願いしたいですし、また、一方でなかなか難しい問題ではありますが、小規模な高等学校を持つ市町村の取り組みに関しては、文教委員会の視察で大槌高校魅力化プロジェクト、葛巻町の山村留学の取り組み、遠野緑峰高校の取り組みについて調査してきております。また、県内の市町村要望では、種市高校や西和賀高校の取り組みの話も伺っております。
 そういった高校は、地域にとって将来を担う人材を確保するためになくてはならない教育機関だということで、多額の費用を投入しているわけですけれども、これらの学校で生徒の多様な希望をかなえるためということで、県教育委員会独自での加配は難しいのでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 実際に各校へ教員の加配等をする際は、少ない教員数の中で、正直、やりくりをしながらといいますか、やはり地域の小規模校に対しての配慮といいますか、そういった教育環境をいかに維持していくかということで、平たく言いますと、大規模校から教員を小規模校に回しながら、地域の学校を守るというようなことで努力しているところでございます。
 今般の県立高等学校再編計画後期計画(案)につきましても、1学年1学級校については、存続していきたいとしております。それを実現していくためにも、県立学校全体で人員配置を工夫しながら維持をしていくということで、県立学校の存続、運営について、いろいろと人員配置も含め、あるいは施設の維持、それからICT環境や今後の子供たちのための教育環境をいかに維持、向上させていくかというところで、さまざまな工夫をしながら、財源の確保も図りながら努力しているところでございます。
〇10番(高橋穏至君) 先ほどの一般質問の中で中期財政見通しのお話が出て、なかなか全体で厳しい中、県単独で教員をふやすのは非常に厳しいことだなと思いながら先ほどの質問を聞いていたのですが、一方、教員のほうではなくて、この取り組みを成功させる重要な要素として、地域と高等学校の連携という観点から言うと、中学校では、地域と学校がパートナーとなって子供の成長を支えるコミュニティー・スクールの取り組みが進められてきておりますが、まさに高校も同様に連携していく時代ではないかと思います。
 校長を初めとした先生と自治体あるいは地域スタッフとの連携、役割分担、何よりも信頼関係が必要になります。県内調査でお邪魔した大槌町や葛巻町では、専門のNPOからコーディネーターを派遣していただいて事業に取り組んでおりました。
 地域と学校がパートナーとなって地域を支える人材育成、生徒一人一人の能力向上と希望の実現を共通目標に課題設定して、役割分担し授業を組み立てなければなりません。こうしたコーディネーター役のスタッフの支援は、ほとんどが市町単独でやっているわけですが、県も支援しながら取り組むということはないのかお伺いします。
〇教育長(佐藤博君) コーディネーターは学校と地域をつなぐ重要な役割を担っているところでありまして、また、地域学校協働活動の核となる存在であると思います。実際、県内の高校では大槌高校など9校が、市町村あるいはNPO等の支援によりコーディネーターを配置しております。
 この支援のあり方というところでございますが、具体的に財政的な支援というのはなかなか難しい部分は多々あろうかと思いますけれども、今、実際に県教育委員会として行っているのは、地域との連携、協働により一層推進するということで、まずはコーディネーターの資質向上を図るための研修の支援も行っているところであります。それから、岩手県立学校における学校運営協議会の設置等に関する規則を制定しまして、今年度4月から、県立学校にもコミュニティー・スクールの導入を進めているところでございます。
 本年4月には、西和賀高校がコミュニティー・スクールとなっており、今後、順次県立学校に拡大していく予定としております。
〇10番(高橋穏至君) それでは、ちょっと視点が変わるわけですが、自由民主党会派の県内の要望調査で、住田町から、中山間地域における教育振興という項目で、県立併設型中高一貫校の本町への設置という項目があり、これに関しては、県から一関第一高等学校の状況から実現困難という回答が出されております。
 県内の高等学校の教員も、また小中学校の教員も、県が負担する県費職員という面から考えて、例えば県立中学校の設置は別にしても、中学校と高等学校の連携ということを考えて、例えば地域に中学校と高等学校が一つずつしかないといった場合に、中学校の先生が高等学校の授業、あるいは逆のパターンもあろうかと思いますけれども、そういった連携を可能にする制度はできないものなのか。例えば音楽や美術、家庭など、クラス数が少ないわけですから、中学校と高校の連携を図っていくことは考えられないのかお伺いします。
〇教育長(佐藤博君) この中学校の教員が高等学校で授業を行うことについてでありますが、まず一つ制度的な制約として考えられるのは、中学校、高校両方の教員免許を所有していなければならない。また、実務面で申し上げますと、中学校、高校の人事のすり合わせをしなければならないことや、あるいは市町村教育委員会との調整が必要なこと等、多くの事柄について調整が必要になってくるものと予想されます。
 また、中学校の教員が高校の授業を受け持つ場合は、その教員は、高等学校における履修内容について理解を深め、教材研究であるとか評価活動を行わなければなりませんので、新たな業務負担も生じるということで、現実的には多くの課題があるものと捉えております。
〇10番(高橋穏至君) 確かにその件は想定されるわけですが、一つ観点を変えて、それは難しいとして、地域の中学校、そして地域にある高等学校が、どういった活動をして、どういう成果を出しているかというものも、実は先生の交流も必要ではないかという意味で一つの考え方として提言したわけです。それは難しいとしても、やはり地域の高等学校でそういった取り組みをしても、地域の生徒がここに入りたいと思わなければ、なかなか存続にはつながらないということで、まずは地域と高等学校あるいは中学校、特に中学校と高等学校の先生同士の情報交換が必要ではないかと感じて調査活動をしてまいりました。
 ややもすると、中学校の先生は、もう成績によって、ほかに出たほうがいいよという勧め方をしてしまうこともあろうかと思いますし、本当に生徒の将来のどういうところをやりたいのだというニーズに応じて、それなら地元でもそういう活動がきちんとできているよということをPRしていく必要があるのではないかと感じましたので、そういった質問になったのですが、いずれ、そういった連携をさらに深めていただきたいと思います。
 では、次の項目に入ります。中山間地域の振興についてですが、中山間地域を抱える市町村では、人口減少対策や地域特性に応じた産業振興などで持続可能な地域社会の実現に向けて取り組んでいるところです。そして、事業の実現に向けて、限られた財政状況から、さまざまな県や国の施策を取り入れ、地域に合った産業振興や地域おこし協力隊を活用した事業企画など、さまざまな国や県の施策を実施したいと考えております。
 しかしながら、職員数が限られる中で、企画研究の部門のマンパワーが不足しており、企画に回る人材が欲しいという声が聞かれております。現在、職員派遣は災害派遣を中心に実施されており、通常の事業は一部地域に限られているようです。
 さきの質問の公共交通政策においても、また高校魅力化事業においても、さらに、地域おこし協力隊を活用した事業においても、地域住民や学校やさまざまな民間団体とのコーディネートをしながら事業企画を進めることのできる行政職員が欲しくなります。
 人口減少に立ち向かう政策として、県から市町村への人材の応援という制度をつくって支援していく考えはないかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 地域社会を取り巻く環境が大きく変容していく中にあって、県民サービスの持続可能な提供を確保していくためには、県と市町村の連携、協働の取り組みを積極的に進めていく必要があると認識しております。
 このため県では、市町村に対して中長期的な視点に立った安定的な行財政運営に向けた助言や、市町村からの要請に基づく研修生の受け入れ、職員の相互交流の実施による人材育成など、市町村の行財政基盤の強化を支援してきております。
 また、単独の市町村では解決が困難な課題に対応するため、岩手県地方税特別滞納整理機構による県と市町村の共同の取り組みを行っているほか、地域課題が顕在化している小規模な町村に対し、県職員を駐在させ、地域の実情を把握しながら、市町村のまちづくりを支援しているところです。
 今後とも、人口減少を初めとする市町村を取り巻く環境の変化を踏まえ、県民に必要なサービスが持続的に提供されるよう取り組みを進めてまいります。
〇10番(高橋穏至君) 先ほどの項目で過疎地域自立促進特別措置法の対応というか検討過程の話が出たわけですが、その過程の中で、国の財政支援措置として都道府県による支援に関して、都道府県が過疎市町村に人材面での支援をする場合に、国の財政措置について今検討しているという内容がありました。
 都道府県による過疎の支援の推進を図るため、また、先ほど、今やっている滞納整理機構というお話がありましたが、要は、共同処理する仕事をしたり、あるいは市町村等の、例えば下水道の都道府県代行など、さまざまな代行制度を活用していくという検討がありました。
 その中で、やはり国もそういった県からの支援が必要だという認識のあらわれではないかと思うのですが、今、県職員の派遣という話がありましたけれども、これはどれくらいで、今後どのくらいできるものなのかという見通しについてお伺いします。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 現在、市町村に駐在している職員は3名おりまして、個別課題に対応するために、西和賀町、岩泉町、普代村に駐在しているものであります。
 小規模町村の行財政運営や地域課題の解決に資するためということで、まずは、県の調整、専門分野の支援といった能力を生かすということで、現在モデル的な配置をしておりまして、その検証も含めて駐在も検討していくことになります。
〇10番(高橋穏至君) わかりました。モデル的にということですので、今後、制度的にある程度確立していく必要性があると感じますし、また、そういう意味では、きょうの、あるいはきのうの一般質問の中でも出ました県と市町村をつなぐ情報という意味でも、定期的に広域振興局エリア単位というか、そういったことになるかどうかも検討の材料になるかと思うのですが、いずれもっと積極的にふやしていく方向になればいいのではないかと思っておりますので、ぜひ、そういった方向で検討を進めていただければと思います。
 それでは、最後の項目です。北上金ケ崎パシフィックルートについて質問いたします。この項目は、昨日の高橋はじめ議員の質問もございましたが、改めてお伺いいたします。
 いわて県民計画(2019~2028)では北上川バレープロジェクトを掲げ、県南地域を含む北上川流域において、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積が進み、新たな雇用の創出が見込まれることを生かし、働きやすく、暮らしやすい、21世紀にふさわしい新しい時代を切り開く先行モデルを目指しております。
 また、一方、三陸防災復興ゾーンプロジェクトでは、東日本大震災津波からの復興の取り組みにより大きく進展したまちづくりや交通ネットワーク、港湾機能などを生かした地域産業の振興を目指しております。
 いわて県民計画(2019~2028)における北上川バレープロジェクトと三陸防災復興ゾーンプロジェクトを結び、物流機能の相乗効果による県土全域のさらなる発展を図るため、北上金ケ崎インターチェンジを起点とし、江刺田瀬インターチェンジを経由し、釜石港までの物流を支える産業道路の整備として北上金ケ崎パシフィックルートを実現すべきと考えております。
 この質問に関しても、私は昨年も取り上げさせていただきましたが、運送会社の経営者の方から、運転手のなり手がいないという話も出たわけですが、運転手からパーキングエリアの利便性の悪いルートは通りたくないと言われ、運転手の確保が難しい昨今、コストはかかっても有料の高速道路を利用しなければならないという話を伺いました。
 釜石港までのルートを考えると、江刺田瀬インターチェンジに乗ると約1時間足らずで釜石港に着くことができます。その前にパーキングエリアが必要であり、現在整備された復興支援道路は、既存の道の駅がパーキングエリアとなっており、どうしても有料の高速道路上のパーキングエリアのような使い勝手にはなりません。休憩施設を含む利便性の高い産業道路が必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇県土整備部長(中平善伸君) 北上金ケ崎パシフィックルートと休憩施設についてでありますが、自動車や半導体関連産業が集積する北上市や金ケ崎町から釜石港への物流は、さらに拡大すると見込まれており、江刺田瀬インターチェンジへのアクセスを向上し、物流機能を向上させることは重要と考えております。
 そのため、現在は、国では国道4号の4車線化を進め、県では国道107号の梁川口内トンネルを供用したところであり、今後このような道路整備による物流の変化などを見ながら、必要な整備について検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、一般道路の休憩施設としましては道の駅が考えられますが、これは、設置者である市町村等において、地域活性化の観点から必要性や整備手法の検討が行われるものでありますので、市から提案される道の駅の構想等を踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。
〇10番(高橋穏至君) 去年の答弁とほとんど同じなのですが、要は今、トラックなどの交通を考えたとき、道の駅で休憩するときに、1台とまるともう駐車場が塞がってしまうような状況です。要は、使い勝手がよくないので、結局、お金がかかっても遠回りしようという形になってしまいます。
 国道4号は今4車線化のお話が出ているのですが、拡幅したというのは、やはり市街地というか市中心部に近い道路ですので信号がかなり多いです。そういった意味で交通の流通も、広くなってもなかなかスムーズには流れないという状況もございます。
 何よりも、やはり最初に申し上げましたとおり、休憩施設と一緒になったところが江刺田瀬インターチェンジに乗る手前にあればいいわけで、今説明いただいたとおり、道の駅に関しては、市町村の担当になろうかと思いますが、ただ、今まで復興支援道路にしても、さまざまなルートを通してきた中で、既存の道の駅とパーキングをつなぐという考え方になると、キャリアカーなどの大きい車を通すにはどうしても無理が来てしまいます。そういった意味では、新しい産業道路を考えるとき、デザインを一緒にしないと、先に道路をつくってから休憩施設をつくってくださいでは、やはり利便性は上がらないだろうと思います。
 そういった意味から、市では今度、期成同盟会をつくるようですけれども、そういった中に県も入っていただいて、どういうルートがいいのかというデザインから一緒に考えておかないと、いつ進むかはまだわからないわけですが、いざ進もうとしたときに使ってもらえる道路にならないということになろうかと思います。使ってもらえなければ、利用が少ないから実はニーズがなかったという判断にもなりかねませんので、そういった意味では、デザインから関係市町と協議する必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
〇県土整備部長(中平善伸君) 道路ネットワークのあり方につきましては、先ほど御答弁申し上げましたが、新しく国道4号の4車線化、そして国道107号の整備、そして、東北横断自動車道も釜石―花巻間が全線開通されるといった物流の変化がございます。こういった物流の変化を見ながら、道路ネットワークのあり方につきましては、北上市等とも意見交換をしながら検討を進めていきたいと思います。
 その中で、休憩施設につきましては、先ほど申し上げましたが、道の駅の制度の活用も考えられますので、あわせて検討させていただきたいと思います。
〇10番(高橋穏至君) 今、釜石港の利用促進という面から、現状はお金がかかっても仙台港のほうに行ってしまっているわけです。それはなぜでしょうか。さまざまな要因はあると思うのですけれども、釜石港は使われないから状況を見ながら整備するという方向でいいのか、待っているだけでいいのか、戦略的に進める方策を考えるべきではないかと思いますけれども、県土整備部だけで答弁ができるかわかりませんが、これは産業振興にもかかわりますので、その辺はいかがでしょうか。
〇県土整備部長(中平善伸君) 釜石港の貨物の取扱量といいますのは、今、内陸との道路ネットワークの効果もあり、全国一の伸び率を示しております。このコロナ禍の中におきましても、少し頭打ちをしているところはありますけれども、利用する企業数はふえていると聞いておりますので、釜石市や内陸の企業等をあわせて使っていただけるような道路、全体として産業振興につながるように努めていきたいと思います。その中で、そういった物流のあり方が機能向上するために不足する部分がどういったところがあるのか、幅広く関係市町とも意見交換を継続しながら、必要な道路整備に努めていきたいと思っております。
〇10番(高橋穏至君) このルートに関しては戦略的に関係市町、多分釜石市も入りながら、道路のあり方についての期成同盟会を立ち上げたいということが新聞に載っておりましたので、そういった関係市町あるいは事業者との意見交換をしっかりしていただいて、検討のテーブルにぜひ着いていただきたいと思います。そういった検討はしっかり参加するということでよろしいでしょうか。
〇県土整備部長(中平善伸君) 道路ネットワークのあり方を検討するに当たっては、関係する市等ともしっかりと意見交換をすることが大事でありますので、そのように取り組んでまいりたいと思います。
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって高橋穏至君の一般質問を終わります。
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時58分 散 会

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