令和2年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(ハクセル美穂子君) いわて県民クラブのハクセル美穂子です。
 コロナ禍中の今定例会において、通算6度目の一般質問の機会をいただきました。このような機会を与えてくださいました先輩、同僚議員の皆様、そして県民の皆様へ心から感謝を申し上げます。
 また、新型コロナウイルス感染症の一刻も早い終息を願うとともに、世界中でこの新しい感染症に苦しむ方々に対して、心からのお見舞いと励ましの気持ちをささげます。
 さて、新型コロナウイルス感染症の拡大によって社会のありようが大きく変化しています。10年かかってなし遂げるであろうと予想されていた変化が、この1年の間に進んでしまったというお話も耳にされていると思います。実際に、この岩手県においてもそのような変化が起こっています。これらの変化をコロナ禍の中の出来事として終わらせるのか、県民の幸せと県土の発展につなげるツールとして活用し発展させていくのか、今まさに私たちのアイデアと実行力が試されています。知事初め県執行部の皆様からは、アイデアあふれる御答弁がいただけると御期待申し上げつつ、順次質問をしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回のコロナ禍によって、県外からの観光客に観光収入の大部分を依存している今までの観光政策がもろ刃の剣で、コロナ禍の今のような事態に非常に弱いということが明らかになりました。この状況は世界各国どこを見ても大体同じですので、これまでのやり方が適切でなかったとかそうじゃないとかの議論はいたしませんが、何事も一つの方向に集中し過ぎるのではなく、変化に対応しやすい体制を常に意識していくことが大切だということを、我々は改めて学ばせられているのだなと私は感じております。
 今はまず、県民に県内で観光を楽しんでいただき、また県内の物事を知っていただき、使っていただくという自給自足的な仕組みで県内経済をどのくらい回していけるのかどうか、海外、県外からの誘客や需要以外に、もう一つ経済の軸を構築するよい機会であると前向きに捉えて取り組んでいく必要があると思っています。
 今回のコロナ禍の中で私が気づいたことは、県内それぞれの地域ごとの交流活動が意外に少ないということです。沿岸、県南、県北、県央地域内では広域振興局を中心にさまざまな連携がとられていますが、そのほかの地域との連携はそこまで活発な印象がありません。住んでいる地域の周りの市町村のことはよくわかっていても、その隣の地域に属する市町村の情報に関しては、何らかのつながりでもない限り、よく知らないことが多くあります。そして、偶然知る機会もそれほどありません。
 コロナ禍の今を機に、まずは、住んでいる地域以外の地域との経済的な交流を県内で進めていくことが必要ではないでしょうか。例えば、小規模零細企業で今より販路を拡大したいと考えている企業に対して、属する地域以外で販路拡大が図れるようなマッチングを促す取り組みを行うなどです。そうすれば、生産ロットを大幅にふやすことなく、今できる余力の中で販路拡大に取り組むことができ、小規模零細企業としては、想像しやすい発展の形になるのではないでしょうか。
 例えば、岩手県の塩と言えば野田のお塩が有名です。内陸部の観光施設などと連携して、野田の塩をお料理に活用していただくつながりをつくる取り組みをするとか、三陸の海産物を内陸部でもっと積極的に活用していただき、PRなども含めた物販の連携を関係者みんなで構築するとか、県北の雑穀を県央や県南など他の地域でも活用していただくなど、地域と地域の広域交流の活発化を図り、県内の小規模零細企業が規模拡大、販路拡大を図る足がかりにしてもらえるような事業をするべきではと考えます。
 県外や海外への販路拡大もさることながら、県内の広域圏間での交流連携を促進するための販促イベントや企業マッチングなどを実施し、県内経済の活性化を図っていくべきと考えますが、知事のお考えを伺います。
 この後の質問は、降壇して質問席で行います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔24番ハクセル美穂子君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) ハクセル美穂子議員の御質問にお答え申し上げます。
 広域圏間の交流連携による県内経済の活性化についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大により移動が制約される中で、社会経済活動の維持を図るためにも、県民が県内の商品やサービスを知り、消費することは重要であると考えております。
 県ではこれまで、三陸防災復興プロジェクト2019における沿岸と県内各地の交流によるイベントの開催など、復興関連事業を初めとする広域圏を越えた交流事業に取り組んできたところであります。
 また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、買うなら岩手のもの運動~買って、食べて地域を元気に応援キャンペーン~を展開し、県内企業を中心に400者を超える事業者が連携して県産品の消費拡大に取り組んでいるほか、県民が改めて県産品を知り、購入することにもつながる機会として、インターネットや新聞紙面を活用したバーチャル物産展の取り組みを開始したところであります。
 さらに、観光面では、地域における宿泊需要を喚起するため、市町村と連携した地元の宿応援割や県民を対象とした泊まるなら地元割クーポンの宿泊助成を実施しているところです。
 企業マッチングについては、これまでも、いわて食の大商談会において、県内の食品事業者と県内外の小売業、卸売業、飲食業、宿泊業等とのマッチングを進めており、ここ3年間で222件の県内事業者間の取引につながっているところです。
 今年度も引き続き、いわて食の大商談会を開催するほか、買うなら岩手のもの運動に小規模事業者の参画も促しながら、広域圏を越えた交流連携を一層推進し、県内経済の活性化につなげてまいります。
〇24番(ハクセル美穂子君) 先ほど知事が御答弁された事業、いろいろお話ししてくださいました。この中に知事が御発案で、お声をかけて実現されたものはあるのでしょうか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 三陸防災復興プロジェクト2019は、大きな沿岸を看板にしながら、岩手県の総力をそこに結集し、沿岸を舞台にしてオール岩手の取り組みということは、私が、そうですね。ただ、それも沿岸のほうで働く人たちから、そういうことをやってほしいという声を聞きながら選挙の公約にしたというところがあります。一方、その具体的な中身については、担当の部局を立ち上げましたので、そこの担当に市町村や関係団体、事業者の皆さんなどと連携してつくっていってもらったというところです。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けてのさまざまな事業については、基本的に、今は、できるだけ移動せずに、地元で地元のものを消費することをまず市町村の商工会議所、商工会単位の中でやってもらい、かつ、オール岩手でもやるという方向性は私が示したところがありますけれども、一方、それも既に率先して進めていた商工会、商工会議所、市町村もあって、そういうものを受けながらやっていったというところがあります。具体的な事業化については、これは物産取り扱い、流通関係、そういった専門の部門で詰めて考えていってもらったところがあります。
 いわての食の大商談会については、これは昔からやっていることと言っていいと思いますけれども、ただ、随時その状況については報告を受けておりますし、そのたびに私のほうから、最近はこういうものがはやっているんだねとか、こういうところがこれから売れるかもしれないみたいな意見交換は、担当としているところです。
〇24番(ハクセル美穂子君) こういうコロナ禍になりまして、県内で経済を回していかないと、ほかからの経済的な流入がない状態になって初めて私も気づいたのですけれども、やはり広域振興局圏内だけでつながりをつくっていくのではなくて、本来は県内のいろいろなところと交流連携を積極的にやっていくべきだったのではないかと思っています。
 県内の端から端、横の端、縦の端、いろいろな端がありますけれども、そういったところの市町村の首長から直接お話を聞くことができるお立場にある方は、県内では知事だと私は思います。いろいろな悩みとか課題とか、圏域内では話をしているけれども、実はマッチングするものは別の圏域の中にある、そういう市町村だってあるはずです。首長とそういったお話を重ねる中で、トップリーダーである知事が本来はいろいろな事業とか、こういう新型コロナウイルス感染症の拡大の危機の中で、こういう事業をやったら県内経済がうまく回るためのエンジンになり得るのではないかという発案をされてやっていくというのが、本来、トップリーダーである知事のマネジメントという意味でもやるべきことだったと私は思っています。
 首長同士で何らかの連携をして事業をしようということでされている話も聞くのですけれども、やはり知事がフィクサーになって県内の経済交流活動に化学反応が起きたというような取り組みをしっかりとしていかなければならないと思うのです。もちろん事務的なところは事務方の方がやるけれども、こことここはつなげていかなくてはいけないのではないかと、そういうことをやっていただかないといけないと思います。
 私は、そのことも考えた上で、やっぱり市町村要望を首長からきちんと知事がお話を聞くという形にしていないからこそ、こういう細かいところ、県北の方と県南の方と実はマッチングできたかもしれないところとか、そういった発掘というか発見がないのではないかと。化学反応が起きていないのは、その市町村要望、知事が市町村長ともっとお話をするという、直接お話をするという取り組みが少ないからではないかと思っています。
 県のリーダーである知事には、広く県内の市町村長と直接懇談をしていただく機会をきちんとつくってほしいと思うのですけれども、その点について知事のお考えをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 市町村との意見交換の場についてでありますが、県政の推進に当たっては、現場の多様な意見を施策に反映させることが重要であり、県政懇談会や各種業界との意見交換会、現地調査等を通じて、地域住民、市町村、各界などのさまざまな主体から直接意見を聞く機会を設けております。
 こうした中、市町村との連携は特に重要と考えており、市町村長との意見交換会を毎年度開催しているほか、重要な案件については、市町村長から直接お話を伺っているところであります。
 また、日ごろから地域事情に精通している広域振興局長が、市町村からの要望を受け、全庁的に共有しながら市町村との連携や具体的な施策につなげています。
 新型コロナウイルス感染症の対応においても、4月に市町村長と意見交換を行ったほか、町村会、市町村の議会議長会とも意見交換を行い、医療体制の確保や地域経済の回復に向け、市町村と連携し、地域の実情に応じた対策に取り組んでおります。
 今後も引き続き、市町村との連携を重視し、現場の声を伺いながら県政を推進してまいります。
〇24番(ハクセル美穂子君) 市町村長との意見交換会を開いているから大丈夫じゃないかというようなお話だったと思いますけれども、市町村長との意見交換会は、たくさんの市町村の首長が来て、その中での意見交換会だということでよろしいですか。
〇知事(達増拓也君) 先ほどの答弁の中で、毎年度、市町村長との意見交換会を開催しているというのは、私を初め、県の幹部と全市町村の長との意見交換会のことであります。
〇24番(ハクセル美穂子君) 全市町村の首長が集まった中での意見交換会で、それは県としてのマターでお願いしたいということで話をしやすいと思いますけれども、それぞれの市町村の課題、これは市町村要望できちんと出されるものです。これを今は広域振興局長が聞いているのだけれども、どうしても広域振興局長がお聞きして、それを知事に伝えるとなってくると、首長が一生懸命伝えていたニュアンスというか、この課題については非常に重要なのだというニュアンスにフィルターがかかってしまって知事に届く、そういうような段階で意見が届いていく。
 市町村要望というのは、市町村にとっても非常に重要な要望だと思います。これをやっぱり知事が直接聞いて、そこで議論というかお話をすることによって、そこからもう一つ、形式的にある要望以外のことも聞き取れると思うのです。そういうことをやはり知事はやっていただかないと、こういうコロナ禍のような大変な時期になったときに、では、どういうふうにマネジメントするかというときに、連携が今までの枠の中でしかできないようになってしまうと思うのです。
 ぜひとも、この点についてはもう少しやり方を考えていただきたいですし、各地に行くのは、知事はお忙しいので時間がないのであれば、県庁に来てもらうというスタイルもありだと思いますし、今デジタル化になりましたのでZoomもあります。いろいろそういう場を、そういうツールも使いながら、きちんと首長たちから市町村要望とか、ある一定程度の時間を確保した上での懇談というのはしっかりとやっていただきたいと思うのですが、その点について、もう一回知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 広域振興局長が知事の名代として市町村とさまざまやりとりすることについては、かなり機能していると思っております。また、正式な要望以外のさまざまなニュアンスとかそういったことについては、随時、私が県内出張で移動した際、昼食をともにするなどといった非公式というのでしょうか、そういう機会に、なかなか文書にならないような思いを感じ取るような機会も設けているところです。
〇24番(ハクセル美穂子君) 非公式な昼食会。では、県内全ての首長たちと非公式な昼食会をしながらやっていらっしゃるというようなことなのでしょうか。それとも、非公式な昼食会ができる首長はいいかもしれないけれども、最近当選されたばかりで、達増知事と特に非公式にお会いできるような、そういうつながりがない方はどうすればいいのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 議員が先ほど、私にフィクサーとなってさまざま調整するようにというようなことをおっしゃられたのですけれども、フィクサーというのは、ウィキペディアによると、政治行政や企業の営利活動における意思決定の際に、正規の手続を経ずに決定に対して影響を与える手段、人脈を持つ人物。つまり正規の手続を経ずに意思決定に影響を与えるというところがフィクサーのポイントなわけでありますけれども、やはり正規の手続を大事にしていくのが行政の基本だと思っております。岩手県における広域振興局長が市町村からの要望を受けるというやり方、それを全庁的に共有しながら、知事、副知事等、県の幹部もその情報を共有し、そして、県として統一的な対応をより丁寧に練り上げていくというやり方が機能していると考えております。
〇24番(ハクセル美穂子君) 今、知事は正規の手続とおしゃいましたけれども、それであれば、市町村要望は、やはり直接知事がお聞きするというのが、私は正規の手続だと思います。広域振興局長がお聞きして、それが知事に、そこで出されたものを知事に行くという正規の手続は、多分達増知事になってからの手続ではないのですか。
 私は、やはり33市町村の首長は、その地域の住民の方から選ばれて、知事といろいろと話をしながら、まちづくり、市政、町政、村政をしっかりとやっていくという意味で、お話しできる立場だということで、そういう立場の方を選んでいただいてなっていると思います。そういう方が、市町村の要望を知事に直接お話ができないという今のシステムは正規ではないと私は思います。どういうやり方が正規の手続なのかをもう一度きちんと考えていただいて、フィクサーになるならフィクサーでもいいのですけれども、今、正規の手続のお話をされましたので、正規の手続というのは一体どういう手続がいいのか、広域振興局長がお話を聞いて、その中で、圏域の中でだけ考えるのか全体で考えるのか。
 私は、知事はきちんと全体で考えるお立場だし、考えられると思いますので、やはり直接聞いていただいて、いろいろな圏域を越えたつながりをもっとつくるような取り組みをしていただきたいと思います。これについてはお願いをして……。
〇知事(達増拓也君) 要望というのは、例えば県議会というものが、この県民のそれぞれの地域の住民の要望なども含めて県執行部に対して正式に物を言い、そして正式にやりとりする。憲法から地方自治法から、さまざまな法律の中で、本当に岩手県の津々浦々、県民一人一人の思いを県執行部とやりとりし、意思決定につなげていく正式な場というのは、この県議会なはずであります。
 各市町村の要望、かつては陳情という言葉を多く使っていたわけですけれども、その陳情を県にする、そして都道府県の陳情を国にするというのは、陳情行政と呼ばれて、政治行政改革の一つの柱で、そういうことはやめましょうということがあるわけです。
 先ほどフィクサーということで、非公然に、非公式にそこに特定の政治家が関与して影響を振るうとかいうことも全国の中では見られたところもあって、そういうやり方はやめるという中で、増田知事の時代に、県庁に来てもらうというのは、もう前時代的なので、知事があちこち回るという手法をやっていたと理解いたしますけれども、そのやり方よりも今のやり方のほうが、より県執行部として正式に市町村の状況を捉えて、県としての責任ある意思決定に役立てられると考えております。
〇24番(ハクセル美穂子君) 今の御発言を聞いていますと、市町村要望というのは正式な手続ではなくて勝手に市町村が陳情、要望のためにやっていると捉えていると感じるのですけれども、その点についてはお聞きしなくていいです。そういう捉え方をしますので。
 まだ質問が終わっていませんけれども。
〇知事(達増拓也君) 今は、岩手県の独自の仕組みとして、市町村要望を広域振興局長において正規に受け付け、やり方についても市町村側と県の側とできちんと調整した上で、これは非公式な、非公然なやりとりではなく、正規の仕事としてお互いやっているものです。
〇24番(ハクセル美穂子君) 知事の御答弁を聞いているうちに、どのやり方が正規なのか、法的な根拠があるのかないのかが正規なことなのかどうなのかわからなくなってしまったのですけれども、今の広域振興局長から上がってくるものが正規だと言うなら、それにも法的な根拠があるのかもしれません。私、話を聞いていてわけがわからなくなってしまったので、これはもうこの時点で終わりにしますけれども、もし広域振興局長から行くのが正規な手続で、それが法的根拠があるというのであれば、後ほど示していただきたいと思います。
 その前の御答弁は違いました。市町村要望は何か違うようなことをおっしゃっていましたし、法的な根拠があるのは県議会だと最初におっしゃったので、そこについてをきちんと整理した上でまた次の議論に行きたいと思いますので、次の質問に移りたいと思います。
 岩手県の子供の医療費助成は、去年から中学校卒業まで現物給付となり、子育て世代の利便性が向上していると認識されています。ただし、これは実質県が助成している医療費が現物給付に伴い増加したわけではありません。皆さんも御存じのとおり、助成要件はこれまでと同じです。
 県が助成している範囲は、通院の場合は未就学児まで、入院の場合は小学校卒業までで、知事の選挙公約であり、先ごろ実現されました現物給付、いわゆる窓口で自己負担分を支払わなくてもよいというものですが、これは中学校卒業までが範囲になっています。この差、要するに、通院分ですと小学校と中学校の間、入院分ですと中学校の間の分の医療費助成の費用は誰が支払っているのかと言えば、御存じのとおり、市町村が予算を組んで、県の助成基準と中学校卒業までの現物給付の差を助成しております。ですから、所得制限があるかないかとか、受給者負担の額にもそれぞれの市町村の財政状況によって差があるというのが、この子供の医療費の現実でございます。
 令和元年8月に県内で唯一、この中学校卒業までの助成をしていなかった市が、助成基準の引き上げを行いました。この引き上げをもって現物給付化が実現されました。
 この県内最後の助成基準引き上げを行った市は、移住者が多くて、子供の数も多いため、財源確保が厳しく、長年子供の医療費助成の引き上げができずにいました。でも、住民からの要望の声も多いことと、それから、この医療費助成は、未来を担う子供たちへの医療費、これを未来に向かっての投資だと考えて、数千万円の自主財源を何とか確保して実際に実施の決断をされたとお聞きしました。市町村にとって数千万円の自主財源で医療費を助成するのは非常に大きな決断だというのは、皆様御承知のとおりだと思います。
 この現物給付への移行によって県ではどれぐらいの負担が生じたのかといいますと、現物給付化に伴う国保のペナルティー分700万円のうちの半分を助成したので、負担額は350万円です。数千万円と350万円。私は、財政規模も何もかも桁違いの県から、市町村に対する助成がもう少しあってもいいのではないかと1年前に同じ質問を行いました。そのときの知事の御答弁は、本来、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同様な水準で行われるべきであると考えていると。だから国でやるべきで、国がやるように要望しているというものでした。
 今現在も県下市町村が置かれているのは、まさに知事が御答弁された自治体の財政力の差によって水準が違う、奨励すべきではない状況です。県がそうであるべきではないと国に訴えている状況が県下で起こっています。このことに関して県はどのような御見解でしょうか。また、意図する方向と違っている現状をどのように修正されていこうとしているのか、その点についてもお聞きいたします。
〇知事(達増拓也君) 県内各市町村においては、県の補助制度を基本としつつ、それぞれの政策的判断により助成対象の拡充が図られてきたものと認識しております。
 県では、助成制度の利便性の向上を図るため、受給者が居住地外の医療機関でもシームレスな医療が受けられるよう、医療関係団体等との広域的な調整を行うとともに、現物給付に伴う国庫補助減額分の一部を負担することにより、本年8月に全県での中学生までの現物給付化を実現するなど、市町村の支援に取り組んでいるところです。
 県としては、子育て家庭の適正な医療を確保していく上で、子供の医療費助成は、自治体の財政力の差によらず、全国どこの地域においても同等の水準で行われるべきであるとの考えに変わりはなく、引き続き、国に対し、全国一律の制度創設を求めていくとともに、広域的な支援調整に努めながら必要な役割を果たしていく考えです。
〇24番(ハクセル美穂子君) 1年前と同じ御答弁です。本来、自治体の財政力の差によらず同水準で行われるべきという御意見は、今もお話ししたとおりでございます。その状態に県内の市町村がないということも御認識されていると思います。病院会計などへの多額の負担もありますので、完全に解決することができないとは思いますけれども、もし国にそのような理由で訴えるのであれば、私は、少なくとも、県でもそれなりにきちんと対処することが必要だと思っています。ですので、通院分を少なくとも小学校卒業まで拡充するなどの努力をしてみることも必要だと考えますけれども、その点について再度お聞きします。
〇知事(達増拓也君) 小学生の通院医療費については、市町村の単独事業によって既に全市町村において医療費助成が行われており、県が小学生の通院まで補助をする対象を拡充したとしても、直ちに県民サービスの向上には結びつくものではないと認識しております。
 県としては、県内の子供がひとしく医療を受けられる環境にあることが望ましい姿であると考えており、市町村の財政力によってサービス水準の低下を招くことがないよう、国に対し、粘り強く全国一律の制度創設を求めていくとともに、小児、周産期医療提供体制の充実など、安全・安心な子育ての環境の整備に努めてまいります。
〇24番(ハクセル美穂子君) 小学校の通院分までは拡充しないという御答弁なのですけれども、これは医療費助成を最後に拡充した市から市町村要望で出ている項目です。このことについては知事は御認識ありますでしょうか。
〇知事(達増拓也君) はい。
〇24番(ハクセル美穂子君) 非常に大変で、市町村要望の中でも一番最初に項目として持ってきて、何とか助けてほしいと言っている項目です。その市の子供たちにとってみれば、ほかの市町村に行くと所得制限なしで全額受けられている医療費も、やはり財源が厳しいので、幾ら頑張ってもそこまでは到達できないと。そのために、県でも下支えしてほしいということで、こういうものを市町村要望に出しています。そうであったとしても、そしてその要望をお伝えしていても、その不均衡は正しくないから、やはり国にやってほしいという考え方をこれからも続けていかれるということでよろしいのでしょうか。もう一回そこを確認したいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県では、これまでも市町村が行う子供、妊産婦、重度心身障がい者、ひとり親家庭に対する医療費助成への補助拡大、現物給付化などに取り組んできているところでありまして、一方で、市町村が基礎自治体として、地域の実情に応じて住民に身近なサービスを提供するということで、そして、県はまた、広域的な調整や、より専門的なサービスの提供を行う役割など、財政支援以外の重要な役割も担っております。
 いわて県民計画(2019~2028)に掲げる子育て家庭への支援を着実に推進していくためには、県、市町村、関係機関が適切な役割分担と連携のもとでそれぞれの力を発揮することが求められており、今後とも、県は、県の責務を果たす中で市町村を支援し、安心して子供を産み育てられる環境づくりに向け取り組んでまいります。
〇24番(ハクセル美穂子君) 多分、子供の医療費助成は、意見が二分されるような課題ではないかと。これは国にやってもらうべきだから、そのまま国に要望し続けるほうがいいのか、それとも県内で困っているところがある、そして、子供たちを健やかに育てるための医療費は未来への投資だと考えて決断するか、こういうときにリーダーが方向性を示さなくてはいけないと私は思います。
 いわて県民計画(2019~2028)に書かれているからいいだろうというのではなくて、私はそれこそ移住、定住にもかかってくると思います。東京23区では、中学校卒業までの医療費は全部助成がされていて、そして所得制限もないと。これから移住してきますとなったとき、所得も若干下がるかもしれない。医療費助成も引き下げになって、結局減収になるのだなと。そうであれば、所得制限もなくて、きちんと子供の医療費助成があるほうに行こうかなと考える子育て世代だってあると思います。
 そういうところをどういうふうに、県の税金を投資していくことなので、どこに重きを置いていくかというような、その力点を考えるのは、やはり知事のお仕事だと思います。そのために知事はいらっしゃると思うので、ぜひ、リーダーシップを発揮して、どこに投資していくかを明確にしながら県政運営をしていただきたいと思いますので、その点についてはお願いして、次の質問に移ります。
 次に、農業政策についてお伺いいたします。
 岩手県の水田面積は9万4、200ヘクタール、そのうち30アール以上の区画整備率は52.4%、50アール以上の区画整備率は10.7%です。全国平均は30アール以上が65.9%、50アール以上は10.6%ですから、岩手県の区画整備率10.7%ならそこそこ整備は進んでいるという見方もあるかと思いますが、この50アール以上の区画整備率は、お隣の宮城県は29.2%、秋田県は23.8%、米どころで有名な新潟県は17.7%です。やはり米生産に力を入れている地域では、大区画化を積極的に進めていることが数値から見ても明らかです。そういった取り組みを進めている隣県の状況と比べますと、岩手県の10.7%という数字は少し物足りないように感じております。
 私の地元は中山間地域でございますが、昔から稲作が盛んな地域です。近年は農家の高齢化がさらに進み、田んぼの作業を大規模な農業法人に委託するケースが増加しており、80ヘクタール以上の水田を耕作する農業法人が町内各地域で活躍しています。農業法人以外の若手専業農家の耕作面積も年々増加しており、そういった担い手農家が耕作できる面積も飽和状態になりつつあります。それでも受託してほしいという農家はこれからもふえていくと考えておりますので、飽和状態の改善を早急に図っていく必要があります。
 その対策は、やはり私は農地の集約と大区画化による農作業効率の向上だと考えています。この農地の集約と水田の大区画化を県は今後どのように進めていこうとお考えでしょうか、お伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 農地の集約と水田の大区画化の推進についてでございますけれども、県では、集落での話し合いを通じまして、分散する農地が担い手のもとに面的にまとまり、作業の効率化が図られるよう、農地中間管理事業等によりまして農地の集約化を進めておりますが、賃料や面積などの条件が整わず合意形成が進まないことや、集落を越えたより広域的な農地の集約に向けた担い手間の調整の場がないことなどが課題となっております。
 このため、今年度新たにモデル地区を設定いたしまして、地域の話し合いの場に県や関係機関が参画しながら、貸借条件の調整案の作成を支援いたしますほか、担い手同士が話し合える場を設定いたしまして、集落を越えた農地の集約を促進することとしております。こうした取り組みを他の地域にも広げ、担い手がより生産性の高い農業を実現できるように支援していくこととしております。
 また、水田の大区画化についてでございますが、基盤整備の実施に向けて、地域の合意形成を促進し、事業計画の策定に取り組んでいるところでありまして、引き続き、国に対して、水田整備がおくれております本県の実情を訴えながら、必要な予算措置を強く求め、計画的に推進していくこととしております。
〇24番(ハクセル美穂子君) モデル地区をつくって話し合いの中に入っていくような取り組みもされるということでした。ぜひやっていただきたいと思います。
 地元の農家が一番困っているのは、合意形成をどうやってつくっていくかです。市町村や土地改良区に声が届いた時点では、大体合意形成ができ上がっていますけれども、その上でどういう事例があるのかを、農家が独自に調べてきてくださいと言ったって、なかなかそんな時間もないですし、そういうスキルも持ち合わせていないというか、情報が入ってくるところがまた違います。県こそ、いろいろな土地改良区とか先進事例もすごく御存じなのですから、そういった情報をこの地域でやっていきたいと思っているところにぜひ提供していただきたいと思っています。
 そういう意味で、モデル地区をやっていただくということだったのでいいかと思いますが、これは農業改良普及員との連携なども進めながら、何かここで、県としてもこの地域を大区画化していくとこの地域の農業がすごくうまくいくのではないかというような感覚を持っているところに対してどんどん入っていく、そういうこともしていくべきだと思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうかお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 区画整理の関係ということでございますけれども、まず、県がこの地域をこういうふうに大区画化するべきだとかということではなくて、もともと地元の市町村なり農業者の方々が、自分たちの土地をどうやって使っていくのか、そういうビジョンを描くことが非常に重要だと思っております。
 そのため、県の農業改良普及員等が巡回指導とか地域の座談会の場で基盤整備の要望等の話があった場合には、市町村や県の関係機関で速やかに情報共有をしておりますし、将来の農地の管理や利用のあり方といったことを明確化する地域農業マスタープラン実質化に向けまして、地域の話し合いの場に県としても参画し、助言するなど、基盤整備につきまして、合意形成が図られますよう地域の取り組みを支援しているところでございます。
〇24番(ハクセル美穂子君) 地域が最初にまず考えるべきだというのはそのとおりだとは思いますけれども、その意見が上がってくるのを全部地域に任せていて、県としては、それが上がってくるのを待っているような形で事業をしていれば、一歩も二歩もおくれていくと思います。そうではなくて、県から示すことはできなくても、こういう例題もあるよという参考例として出すのが非常に重要だと私は思っています。
 これは、道路の関係で社会実験などがよく行われていますけれども、実際に言葉で聞いても、社会実験をした後に、実はよかったとなって、そこから考え方が変わるというようなことも県内ではよくあります。私の地元でも、社会実験をした後に、こういうふうにするといいのだねということを実感して話が進んだということもありますので、私は、土地改良に関しても、広大な面積の中で大きく話し合いをしなければいけないようなタイプの事業ですので、そういった参考例などを積極的に見る、聞く、それから、知っている方からお話を聞くというのももっと積極的に県からも情報発信してやっていくべきではないかと思っていますので、その点についてお願いして、次の質問に行きたいと思います。
 次に、中小企業支援策について御質問いたします。
 先月、私が委員長を務める商工建設委員会の調査がありました。その1日目に奥州商工会議所に赴きまして、皆さんの御意見をいただきました。奥州商工会議所で主となって調査された景気の動向調査の結果で、いずれの支援策も使う予定がないという回答が20%を超える割合になっているという結果を教えていただきました。奥州商工会議所の担当の方の分析によりますと、持続化給付金、それから雇用調整助成金など、御年配の事業者にとってはインターネットを使った申請とか助成金の申請書類が複雑過ぎて、支援へたどり着くことがなかなか容易ではなかった。それで諦めてしまった方が多くいらっしゃるということでした。
 このことについて、県では市町村の状況をどのように把握されているのでしょうか。また、それを受けて講じている対応策についてもお伺いいたします。
 また、このインターネット申請は非常に大きなハードルになっているようです。高齢の経営者の方々が各種支援を受けられるように、商工会議所や商工会が代理で手続の申請ができるような仕組みもあるといいなということを商工会、商工会議所の方々から要望されましたが、県においても聞き取り調査をして、こういった必要な施策をきちんと国に対して要望していただきたいと思うのですが、その点についてお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、支援策の利用状況等についてでありますけれども、県では、商工会、商工会議所を通じまして、毎月、経営状況のアンケート調査を実施しております。8月末時点の調査によりますと、国、県、市町村の支援策を活用したことがない事業者は、全体で25.7%となっています。
 商工会、商工会議所からは、その理由として、支給要件に該当しないことのほか、インターネット環境が整わず申請できない事業者や申請書類が複雑で諦めている事業者もいると聞いております。
 こうした方々への対応につきましては、商工会、商工会議所において、インターネットの操作がふなれな事業者から持続化給付金等の申請について相談があった場合には、入力操作を解説するなどサポートしているほか、国が設置している申請サポート会場に案内をしているところであります。
 また、雇用調整助成金の申請につきましては、ハローワークに案内しているほか、社会保険労務士会やハローワークと協力して相談会を開催しておるところであります。
 支援策を受けるための代理手続についての御提案でありますけれども、持続化給付金等の国の支援策は、申請時に本人確認や二重受給の有無等の確認を確実にするために、本人名義での申請に限定し、代理人名義での申請は禁止されています。
 国では、申請サポート会場での支援に加えて、行政書士等による電子申請の入力支援も可能としているところであります。
 県としては、電子申請にふなれな方々も念頭に置いた受け付け、相談体制の拡充等を国に対し要望しつつ、事業者が支援策の利用を断念することがないように、商工会、商工会議所と連携して各種支援策の周知を図り、事業者に寄り添った対応に今努めているところでございます。
〇24番(ハクセル美穂子君) 行政書士との連携もありというのであれば、やはり商工会の会員の中に行政書士が入っていたりするパターンももしかするとあると思いますので、そういったところをきちんと商工会、商工会議所にも通知して、できる形はこんなものもあるよということをお知らせしながら、インターネット申請できない方を救う方法も一歩二歩と進めていただきたいと思います。
 次に訪れました一関市と平泉町の観光協会の皆さんとの意見交換では、少なくともあと半年、来年の春まで何とか現状の支援策を維持してほしいという強い訴えをお聞きいたしました。
 冬の間、岩手県の観光業は通常でも閑散期であり、非常に厳しいと。ことしは夏の蓄えが全くない状況であること、それから、Go To トラベルキャンペーンのおかげで売り上げは少し改善してきているものの、冬を乗り越えるにはまだまだ足りないと。非常に厳しい状況であり、追加の融資策に加えて、やはり無利子、無担保融資の上限を上げるなど、中規模の企業に対する支援策を考えてほしいという要望がありました。
 このことについて、今後、融資限度額を上げることについても検討していただけないかどうか、県の御見解をお聞きしたいと思います。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 融資限度額の引き上げについてでありますけれども、3年間無利子で、当初保証承諾期間の保証料を全額補給する新型コロナウイルス感染症対応資金は、国の補助制度を活用して実施しているものでありますことから、融資限度額の引き上げ等、さらなる制度の拡充について、全国知事会による緊急提言を行いますとともに、県単独でも同様の趣旨を盛り込んだ緊急要望を行っております。引き続き、全国知事会とも連携し、国に働きかけてまいります。
〇24番(ハクセル美穂子君) 新型コロナウイルス感染症の影響は、きのうの質問の中の答弁にもありましたけれども、飲食と宿泊業、それから運輸が顕著に出ているとありました。それ以外にも、イベント関連企業とか冠婚葬祭が非常に大きな影響を受けております。そういった関連企業の方々は、新型コロナウイルス感染症のワクチンとか、本当に感染しても大丈夫だよというような状況にならないと、なかなか売り上げが戻らなくて、これは多分次の春先までなかなか、90%、80%減のままで行くのではないかと考えていらっしゃって、資金繰りを非常に憂えている方が多くいらっしゃいます。
 売り上げがない中ですけれども、どうするかということで、新規事業とか違う事業展開も何とかやろうと努力を続けておられますが、資金が底をついてしまうとどうしようもなくなってしまうということなので、この冬の間、皆さん非常に憂えています。ぜひ適切な支援策を、いろいろと情報も出していただきつつ、支えていただきたいということを私からも改めてお願いしたいと思います。
 資金策の中でですが、国の第2次補正予算における金融支援策の一つに、1.4兆円の中小企業向け資本性資金供給・資本増強支援事業というものがあります。これは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け一時的に財務状況が悪化した中小企業に対して、日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫等が資本とみなすことができる長期間元本返済のない資本性劣後ローンを供給する内容が盛り込まれているものです。
 通常の融資は貸借対照表では負債の部に示されるのですけれども、資本性劣後ローンは、融資資金ではありますが自己資本とみなされ、通常の融資制度とは別枠で借りることができます。元本の返済も5年1カ月、10年、20年のいずれかの契約期間の最後に一括返済となり、融資期間中は元本返済を気にしなくてもよいため、資金繰りが好転するというものです。
 この資本性劣後ローンの県内での活用状況についてお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 資本性劣後ローンでありますけれども、国の第2次補正予算で措置された日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫による資本性劣後ローンは、令和2年8月3日から取り扱いが開始されたところであります。9月23日現在、日本政策金融公庫盛岡支店で3件の県内事業者による活用があったと聞いております。
 県といたしましては、関係機関と連携し、制度の目的や内容について、さらに周知を図ってまいります。
〇24番(ハクセル美穂子君) この資本性劣後ローンは、かなり業績もよくないとなかなか使えないようなところはあるのですけれども、それは、やはりこれまでの県内の中小企業の情勢を今反映しているのかなと私は感じています。3件しかないということで少し残念なので、もう少し力のある企業がもっとあるのではないかとは思いますが、何とか中小企業の育成支援のほうにもこれを使っていきたいと思っていますので、ぜひとも皆さんへの周知についてもお願いしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業の支援策として、この資本性劣後ローンの活用が結構クローズアップされています。新型コロナウイルス感染症対策としての活用方法のほかにも、新規事業展開に取り組む中小企業への育成支援策の一つとして活用することも、この資本性劣後ローンでできます。
 兵庫県では、新事業創出支援貸し付けとして、この資本性劣後ローンを活用して、独創性、新規性の高い事業に取り組む企業の成長を後押ししております。
 この貸付金は、日本政策金融公庫の劣後ローンとは違いまして、貸付限度額をかなり少額に抑えていて、その分、対象企業の範囲をものづくりだけではなく、IT活用ビジネス、それから生活サービス産業まで広げて、さまざまな分野の新規事業創出への取り組みにも使えるような貸付金になっています。しかも、5年6カ月後に一括償還をする無利子の貸付金ということです。
 これからは、このような新しいチャレンジを促す資金繰り支援策を打ち出して、中小企業の誘致とか県内で既に事業をしている中小企業の成長を後押ししていくべきと私は考えますけれども、県の御見解をお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 県では、地域経済を支える中小企業の振興を図るため、企業のライフステージに応じた金融支援を行っています。民間金融機関と協調し、事業の成長を後押しする資金としては、中小企業成長応援資金、商工観光振興資金による融資を実施しています。
 また、いわて希望応援ファンドの新事業活動支援事業による補助制度によりまして、中小企業の新商品や新技術の開発を支援しているところであります。
 御提案の資本性劣後ローンにつきましては、返済期日に一括で返済する仕組みでありますことから、通常の融資よりも回収リスクが高く、融資の条件や審査など金融機関等との調整が必要となるなど課題も多くありますことから、他県の状況等も把握しながら総合的に研究させていただきたいと思います。
〇24番(ハクセル美穂子君) この劣後ローンは、貸し出すほうもかなりリスクを負います。だからこそ、金融機関と行政とみんなで集まって、地域を牽引してほしいと思っている企業、伸びてほしい県内企業に対して、託すことができる応援ツールにもなるのではないかと私は思っています。みんなでこの企業を応援しているんだよ、ぜひ劣後ローンを使って、今開発しようとしている独創性のあるものを伸ばしていってほしいというようなことを伝えるツールにもなりますし、企業の成長を後押しする大きな支援策の一つではないかと思っています。
 新型コロナウイルス感染症の抗体検査キットを岩手県で出しているセルスペクトという会社があります。セルスペクトも、2年前ぐらいだったかと思いますが、この劣後ローンを行政の仕組みとはまた別に取り入れて、きちんと資金を獲得した上で次の段階にステップされているということを私も耳にしました。ぜひ、大規模でなくてもいいのですが、行政でも力を入れていきますよということを示すには非常にいいツールだと思いますので、これから研究して、県内企業の成長の応援をさらに進めていってほしいと思います。
 そのことについてもう一回、御所見をお願いします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 議員御提案の資本性劣後ローンにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、さまざま課題もありますし、与信審査や債権管理などの専門的な知識、意見といったものも必要になってまいります。これが貸し倒れということになりますと県民負担になってしまうこともありますので、その辺、まさに総合的に研究させていただきたいと思います。
〇24番(ハクセル美穂子君) ぜひ、応援ツールの一つとして研究していただきたいと思います。
 次の質問に移ります。これまでも岩手県ではさまざまな税制優遇措置を創設して県内への企業誘致に取り組んできておられます。やはり企業にとっては、税制優遇措置があるかどうかというのは、立地条件もさることながら、大きなメリットに映るのではないでしょうか。
 平成27年に山村振興法が改正されました。山村地域に該当する市町村においても、計画の中に産業振興施策促進事項を記載することで、税制上の優遇措置を受けることができるようになりました。
 山村振興法では、法人税、所得税の割り増し償却、不動産取得税の減免、固定資産税の減免といった国、県、市町村それぞれが取り組める税制優遇措置が定められており、地域資源を活用する製造業や農林水産物等販売業が対象とされていて、これらの優遇措置もほかと同様に、不均一課税に関する条例が県で制定されていることが対象要件になっています。しかし、岩手県ではこの条例はまだ制定されておりません。
 最近では、優遇措置を受けるに当たり必要な産業振興施策促進事項を策定した市町村が県内でもふえてきています。平成29年には久慈市が、ことしの8月には宮古市と遠野市が、9月には雫石町がこの促進事項を策定しました。これは、今後この税制優遇措置を活用して山村地域へ製造業の誘致を図ろうというような意図があってのことであろうと私は推察しております。
 私は、今後より多くの市町村が県内でもこの促進事項の策定に乗り出し、市町村内への企業誘致を進めるという展開が進むのではないかと考えています。こういったことを見越して、県においても、山村振興地域における不均一課税に関する条例の制定を進めるべきと考えますが、県の御見解をお伺いいたします。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 山村振興計画に係る税制優遇措置についてでありますが、平成27年に山村振興法が改正された趣旨は、地域内発的な産業振興を促進し、地域全体の所得や雇用の確保を図ろうとする市町村を支援するというものであります。
 その優遇措置は、山村の条件不利地域の事業者を支援することとし、振興山村において生産される農林水産物などを原材料とする製造業や、それら製造物を販売する直売所、農家レストラン等が対象となっております。
 優遇措置の活用につきましては、各市町村の意向が重要と考えており、現在も意見交換を行っておるところです。具体的な事業計画など市町村の要望を踏まえ、県においても必要に応じて条例制定を検討するなど、市町村をしっかり支援してまいります。
〇24番(ハクセル美穂子君) 県内では、この優遇措置を使いたいと計画しているところが現在はないということですけれども、企業が来ますとか、市町村内の企業がこれから成長しますという具体的な計画がなくても、これを誘導策として活用していきたいと思っている市町村があるのであれば、こういった不均一課税に関する条例についても早目につくっておくことも一つの手だとは思っています。
 そういったことをやっているのが熊本県と福島県です。企業ガイドにもこの山村振興法に係る税制優遇措置がありますよというのをきちんと出しながら、企業誘致のほうでも活用していると。実際はないかもしれなくても、工業地帯や工業団地がない市町村だと、なかなか企業ガイドに載ることもできませんし、どうやって町村内に雇用を生み出すかをいろいろ考えて、誘導策をどういった形でつくっていくのかということも考えていらっしゃいます。
 私が知っている限りでは、そういうふうに誘導策としても使いたいし、町内に工業団地はないけれども、何とか企業を誘致してきて、または市町村内の企業を成長させて、この不均一課税の条例を活用して不動産取得税の減免等をやっていきたいという町があります。ぜひとも、たった1市町村、1町かもしれませんけれども、この条例制定に向けて研究を進めていただきたいと思っています。
 いわて県民計画(2019~2028)にも誰ひとり取り残さないとか、そういう言葉を岩手県は掲げております。使う市町村が少ないからといってつくるのをちゅうちょするとかではなくて、やはりそういう意思を出しているのであれば、考えていくということもするべきではないかと思いますし、その点について、取り残さない政策を実行してほしいと思うのですが、御所見をお願いいたします。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 企業の立地あるいはさまざまな事業の拡充の際には、立地サイドの制度ですとか山村振興法の制度ですとかさまざまある中で、市町村が最も有利な手法を使いながら地域振興、産業振興を図っていくという中で、私どもも立地サイドとは情報共有しながら、まさに当該地元の町とも意見交換させていただいております。条例化の必要があればもちろん条例化するという考えを持っておりますので、地域の振興が図れるように、市町村と意見交換し、また連携して取り組んでいく、そういうスタンスで臨んでおります。よろしくお願いします。
〇24番(ハクセル美穂子君) ぜひ意見交換というか市町村からの声を聞きながら、それが多大な労力を使うので、市町村からそういう意見が出てきてから考えなければいけないのも理解はしていますけれども、人口減少に苦しんでいるところが、何とかして雇用を生んでいかなくてはいけないと非常に一所懸命、苦肉の策で頑張っていると思います。そういった意見ももっときちんと聞いていただきたい。
 私は最初に知事にもお話ししましたけれども、そういったことを県内の市町村長から知事がきちんと直接聞くことが一番必要だと思います。そういうものが取り残されてきているのであれば、やはりよく聞いていない部分があるのではないかと思いますので、その点についても、誰ひとり取り残さないというような耳ざわりのいい言葉を書いているのであれば、実行のほうでもしっかりとやっていただきたいと思いますので、その点についてもお願いして、次の質問に移ります。
 次に、教育に関する質問をいたします。
 岩手県内においても、特別な支援を必要とするいわゆる発達障がいと診断される症状を持っておられるお子さんが数多くおられます。特別な支援を必要とするお子さんの中には、医療機関で診察を受けるために、県立療育センターなどの児童精神科のある病院へ診察に行かれる方もあります。
 しかし、児童精神科の診察は、患者の行動や反応から症状を分析して診察するため、一人一人の診察時間がとても長くかかり、1人の児童精神科医師が1日に診察できる人数は限られます。そのため、診察が必要なお子さんであっても、診療を受けられるまで長い間待っていなければならないという状況も見受けられます。早目に診察と治療を受けて学校生活での困難を緩和したいと望んでいても、なかなか迅速に対応できていないのが現状です。
 そのような困難な状況にあるお子さんと御家族に対して何か支援ができないかということで、今、岩手県医師会では、一般小児科医が、発達障がいの診断と治療に参入する取り組みが進められています。発達障がいの診断を行う場合、知能検査等の解析結果が必要なのですけれども、この知能検査は、医師は行うことができません。この検査は、臨床心理士または学校心理士などの心理の専門資格を持った人などが主に実施する検査で、これが一般の小児科医が、発達障がいの診断と治療に参入する大きな障壁となっています。
 一方、学校には臨床心理士の資格を持ったスクールカウンセラーや研修等を受けた特別支援教育コーディネーターが配置されており、この知能検査等は、教育上必要な場合に適時実施しているもので、一般小児科医が発達障がいの診断と治療に参入する際に苦慮しているこの検査ができる専門人材が、学校教育現場にはいるのが実情です。
 発達障がい児の診断と治療の取り組みを一般小児科医で先行的に実施しておられる盛岡市内の小児科医の先生が、このことに気づかれまして、実際に御自身の医院で診断と治療を行う際に、学校との情報共有について連携されております。
 実際に行った学校との情報共有の内容を少し御紹介しますと、学校における生活面の状況、それから学習面の状態、得意としている学科、不得意な学科など、担任の先生から見て気になること、この生徒の強みと思われること、それから、この知能検査の解析結果、この五つの項目を情報共有していただいていると。
 この小児科医の先生のお話によると、診察に必要であれば、情報共有している学校にそのお子さんの様子を視察させていただくこととか、そういうことも行っていらっしゃって、そういうことを積み重ねていく。それから、当該児童生徒とかかわる学校の先生方との意見交換などによって、非常に精度のよい診断が導け、適切な治療につながるというお話でした。
 このように、発達障がいを持った児童生徒の学校での様子や知能検査の解析についての情報を、一般小児科医師が、その児童生徒の初期診断と治療に取り組む際に共有できる県内統一の仕組みをつくることで、診断までに時間がかかり過ぎて、大変な症状を内在しながら学校で耐え忍んでいる当該児童生徒とその御家族が、少しでも早く健やかな学校生活を送ることができるようになると私は考えております。
 また、この仕組みは、一般小児科医の先生方が、発達障がいの初期診断と治療を実施する体制づくりにも大いに役立ち、発達障がいの初期診断と治療を担う小児科医をふやすことができると県医師会でも今考えておられるそうです。
 私は、この新しい仕組みについて、ぜひ県教育委員会でも実際の現場を確認し、検証、研究していただき、県下統一の特別な支援を必要とする児童生徒を支える仕組みをさらに強化していただきたい、そして、発達障がいの診断と治療における岩手モデルとして全国に先駆けて実施していただきたいと考えますけれども、県のお考えをお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 発達障がい児支援に係る教育と医療との連携についてでございますが、学校現場におきましては、特別な支援を必要とする児童生徒について、支援が必要と判断した段階で、障がいの有無や診断の有無等にかかわらず必要な支援を講じることとしており、センター的機能を有する特別支援学校や福祉、医療機関等と連携しながら、当該児童生徒へ丁寧に支援してきたところでございます。
 県教育委員会としては、引き続き、臨床心理士や学校心理士などの有資格者を含めた相談、支援体制の充実に努めるとともに、保護者の理解を得ながら医師との情報共有を行うなど、学校と医療との連携強化を図り、支援を必要とする児童生徒への適切な支援を実施していくこととしています。
 なお、教育上必要に応じて実施した知能検査等の情報共有のあり方につきましては、個人情報保護の観点も含め、まずは実態把握に努めていきたいと考えております。
〇24番(ハクセル美穂子君) この知能検査を学校での生活の改善のために使うというのはもちろんできることですけれども、医療と連携するというのは、国でもまだはっきりとそれができるというような指針も出ていないということです。ただ、この検査を情報共有できるような統一的な仕組みがあれば、今実際にやられている方もいますので、そういったよいモデルを県内にしっかりと広めていくことで、早目に診察、それから治療につながっていくと。症状の軽いお子さんであれば、今まで、どうして僕はやろうとしているのにできないんだとか、そういうすごく困難な状況を早目に改善して、お子さん自身の自信につながっていって、その後、健やかに学校生活を送っていけるという事例も生まれてきているというようなお話も聞いております。制度上の課題はありますが、その点について実際にやっている方々のお話を聞いたりしながら、問題点を洗い出して、どうすればこれをきちんと活用していくことができるのかという取り組みをぜひやっていただきたいと思っています。
 それから、今、児童精神科のある病院に発達障がいとか、軽度の障がいであっても重度の障がいであっても行くのが一般的なのですけれども、一般小児科の先生も小児科医師でありますので、勉強を重ねている方であれば、初期診断と治療はできるそうです。それで、県医師会でも、そういった学習の勉強会もやりながら、何とか助けていく方法はないかとやっていらっしゃるそうです。
 それから、重度の障がいがある児童生徒の方々を一般の小児科医師がまず医師として診断して、次に、児童精神科医の先生に御紹介することで、児童精神科の専門の医者の負担軽減策としても使えるのではないかということで、そういう部分も含めて取り組んでいらっしゃるということなので、これについては、ぜひ学校と医療現場とのスムーズな情報共有、人的資源の活用に前向きに取り組んでいただいて、よりよい支援体制をつくっていただきたいと考えています。前向きな検討と早期の取り組みをお願いして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、ICT機器の関係で私も質問をいたします。きのうもICT機器の導入に関する質問がありましたけれども、私は、不登校児童生徒の学習機会の保障につながるオンラインの取り組みについてお聞きしたいと思います。
 きのうも質問がありましたとおり、県内にICT機器が子供たち1人に一つこれから行き渡りますけれども、学校内での取り組みのみならず、もう既にやっているところでは、オンラインで授業が行われることによって、不登校児童生徒が授業に参加できるようになって、よい取り組みができるようになったということが、ことし6月のNHKのニュースでも取り上げられていました。
 これは、もともと端末の導入が進んでいた熊本県熊本市での事例ですけれども、オンライン授業を始めたら、不登校の生徒がこの授業に参加できたという報告が市内11カ所の学校からも寄せられてきて、オンラインというのは、一番最初に、不登校になって行けなくなった子供がもう一回戻るのにすごく有効な手段ではないかと話がされています。
 私たち岩手県でも、これから生徒一人一人に端末が配られることになりますので、いざというときはオンラインで授業が行えるような体制づくりを進めていくわけです。
 ぜひ、今回のコロナ禍の中で発見された不登校児童生徒の学習機会の保障につながるオンラインの取り組みも取り入れてほしいと私は考えているのですけれども、県の御見解をお伺いしたいと思います。
〇教育長(佐藤博君) 今般の新型コロナウイルス感染症対策等を契機にしまして、学校のICT環境の整備が急速に進んでいきます。このICT機器を活用した学習支援につきましては、不登校児童生徒の教育機会の確保、それから学習意欲の維持、向上等を図る方法の一つであると捉えております。
 今後、この不登校児童生徒の学校への復帰あるいは社会的自立に向けまして、訪問等による対面指導を基本としながらも、個に応じた適切な支援を行うこと、そしてまた、今、議員から紹介のありました先進地の取り組み状況等の把握にも努めながら、一人一人に寄り添った総合的な支援体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
〇24番(ハクセル美穂子君) 不登校児童生徒へのメリットも発見されてきているのですけれども、オンラインとかICTというのは、きのうの質問にもあったとおりですが、学校の先生にとっては、通常の授業とこういったICT機器を活用したオンラインとか、そういった授業の両方を行うことは過度の負担になるということも、実際に明らかになっています。
 不登校児童生徒、それから不登校児童生徒以外にも医療ケア児なども、オンラインだと学校の授業に参加できてすごくいいという話も聞いておりますので、必要な児童生徒に対して、オンラインで授業参加を促す支援チームのようなものをつくるといった体制整備もあわせて考えていくべきではないかと私は思っています。
 例えば、今後は通信教育のコーディネートを担う専門の先生が学校に配置されるような体制もあってもいいと私は考えますけれども、そういった点についてはどのようにお考えかお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) オンライン授業による学習支援も一つの方法として捉えていると先ほど答弁いたしました。そのための人的あるいは物的な体制整備も求められます。今後どのような形で進めていくことができるか、さまざま情報を集めて検討していきたいと考えております。
 また、ICT機器の活用に向けて、年内の配置で調整しておりますICT支援員につきましても、不登校児童生徒の学習支援に係る体制整備の中で、どのような活用方法があるか、あわせて検討していきたいと考えております。
〇24番(ハクセル美穂子君) ICT機器は、使い方によってはそのまま学校に置いておかれてしまうこともあるかもしれませんが、活用方法によってはいろいろな可能性を秘めていると思いますので、ぜひ前向きに検討、それから検証、いろいろ実験的なこともやっていただいて、有効に活用していただくようにお願いして、最後の質問に移りたいと思います。
 最後に、奥産道(奥地等産業開発道路)の利活用と三ツ石山登山道の補修について御質問いたします。
 コロナ禍の今、登山やキャンプなどのアウトドア活動が大変人気です。前回の答弁では、奥産道は登山道としての利用や環境学習等の利用が定着しているという御見解を御答弁いただきました。最近では、奥産道の入り口付近の大松倉山で地熱の調査が行われ、また、三ツ石山を通してつながる滝ノ上地区でも温泉が再開されています。そして、今後はバイナリー発電等も実施される計画が進んでおり、奥産道から三ツ石山、そして滝ノ上温泉と続くエリアは、登山でも環境学習においても魅力的なエリアになると考えられます。
 このような動きもありますので、さらに一歩踏み込んだ奥産道の利活用策について、地元市町の観光協会やDMOなどの関係者を含めた方々と活発な意見交換を進めてほしいと思っておりますが、この点について県のお考えをお伺いします。
 あわせて、滝ノ上から三ツ石山に続く登山道も、長い間余り使われていなかったため、ところどころ損傷が見られ利用しにくいと関係者の方からお話をお聞きしました。奥産道から三ツ石山、そして滝ノ上温泉へという登山ルートは、登山ルートとしてもすばらしいですが、地熱や温泉による発電等、再生可能エネルギーについて学習する場としてのポテンシャルも秘めております。
 ILC誘致が実現した際には、岩手山周辺の自然環境が、海外からの研究者に好まれるレクリエーションエリアになると予想されます。ぜひ十和田八幡平国立公園の主要な登山道の一つである三ツ石山登山道の整備にも取り組んでいただきたいと考えております。前向きな御検討をお願いしたいのですが、その点についてもあわせてお伺いいたします。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) 三ツ石山登山道の補修についてでございますが、この登山道は、雫石町の滝ノ上温泉の宿泊登山者や葛根田渓谷から続く紅葉を楽しむ登山者などに親しまれており、三ツ石山周辺における主要な登山道の一つであると認識しております。
 登山道は、毎年、自然公園保護管理員による巡回を行い、草刈りや枝払いなどの維持管理を行っており、ルートの一部には木道等が老朽化している箇所もあると認識しております。
 今後とも、地元関係者の意見を踏まえ、補修が必要なところについては、市町村と連携しながら適切な措置を講じるとともに、計画的な整備を行い登山者の安全確保に努めてまいります。
〇県土整備部長(中平善伸君) 奥産道の利活用についてでございますが、県では、利活用の現状や課題を把握するため、平成30年度から、八幡平市及び雫石町の商工観光課や観光協会、休暇村岩手網張温泉、環境省などと意見交換を重ねたところであり、今年度も、八幡平市、雫石町の関係者の皆様と意見交換を行いました。
 その中で、現在、一般車両の通行を制限している登山道までの区間の利活用に関していただいた意見では、運用面や採算性などの観点からシャトルバスの運行については慎重とすべきといった意見や、交通弱者のニーズを把握するため、学校や福祉の関係者を対象としたモニターツアーを実施してはどうかなどの提案があったところです。
 このことを踏まえまして、今後は、学校や福祉、DMOなどの関係者にも参画していただいて、意見交換の対象を広げ、御指摘のありました環境学習の内容も含めまして意見交換を深めていきたいと思います。
〇24番(ハクセル美穂子君) 終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 以上をもってハクセル美穂子さんの一般質問を終わります。
   
〇議長(関根敏伸君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時31分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時48分 再開
〇議長(関根敏伸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。柳村一君。
   〔17番柳村一君登壇〕(拍手)

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